徒然なるままに… (初代小人)
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日本昔話のような何か。

はい。やってしまいました。
前々から思っていた、色々な昔話をつなげたらどうなるのだろう、というのをついに書いてしまいました。
おじいさんが疲労困憊します。
ということで今回は昔話ミックスです。
あまり好きでない方は飛ばすことを推奨します。


昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。

おじいさんは山へ竹取に。

おばあさんは川に洗濯に。

それぞれ分かれて進みました…

 

 

山へやってきたおじいさんは山に生えている竹を上手に切っていきます。

ところがその中に他とは比べ物にならない程太くて立派な竹がありました。

計算高いおじいさんは考えました。

 

この竹は目方で大体普通の竹5本くらいあるじゃろうな。

そうしたら…この竹を切って持って帰ってしまえばもう今日は働かなくていいではないか。と。

 

 

そうしておじいさんは太い竹に威力のある一撃を加えるべく、大きく鉄の斧を振りかぶりました。

しかし、斧はおじいさんの手を離れてしまいました。

 

少子高齢化問題が騒がれ始めて10年以上がたち、おじいさんも気づかないうちに立派に高齢者の仲間入りをしてしまっていたのです。

まだまだワシは若い。

そう思っていたおじいさんには実はもう重い鉄の斧を大きく振るうほどの力は無かったのでした。

 

そしておじいさんの手からすり抜けた斧はというと、砲丸投げのように綺麗に飛び、たまたま竹にも当たらなかったようで、近くにあった泉にボトン、と沈んでしまいました。

 

数十年来の相棒を失い途方に暮れるおじいさんは泉のほとりで膝をついてガッカリしてしまいます。

流石にショックだったようです。

透き通った泉の水の一番深いところに斧は沈んでいます。

水面から既に見えています。

しかしおじいさんはカナヅチなので取りに行くことはできません。

見えているのに手に取れないことに気づいたおじいさんはなお一層嘆き悲しみます。

 

その時でした。

泉の水がボコボコと泡立ち、水底が見えなくなりました。

そして現れたのは目が覚めるような美しい、金髪で白人の女神様でした。

両手には純金の斧と、純銀の斧が握られています

 

「でっででででで出たーーー!?」

しかし外国人に馴染みのないおじいさんは見た事の無い姿の人を見て恐れ慄来ます。

すでに腰が抜けて立ち上がれないようです。

 

「Which ax did you drop?(どちらがあなたが落とした斧ですか?)」

女神様はおじいさんにそう聞きました。

しかし英語がわからないおじいさんは大慌てです。

どうやら化け物に襲われると勘違いしているようで「ごっ、御先祖様ーーー!?どうか私をお助けくださいませ~!」と頭を抱えて祈っています。

女神様の言葉など聞こえていません。

 

すると女神様は自分の頭をポンポンと叩きながら、「oh… I should known better…(おおぅ…私としたことが…)」と呟いてから、

「アナタが落としタのはこの金の斧デスか?ソレトモこちらの銀の斧ですカ?」とおじいさんの国の言葉で問いかけます。

 

それを聞いたおじいさん。

女神様が斧を届けに来てくれただけだということを知り、途端に安心します。

「いいや、違う。ワシが落としたのはそんなもんではない。もう古くなった鉄の斧じゃ。」と言いました。

 

すると女神様は「Oh…アナタは正直なひとですネ。そんなアナタには今だけ、この鉄の斧を通常価格の半額、1990円でお売りいたしますネ」と、鉄の斧を手に持って言いました。

 

おじいさんは憤慨して、「とんだ悪徳商法じゃないか!その斧は元々ワシのもんじゃ。返してもらおうか。」と言い、女神様の持っている鉄のおのに飛びつきます。

しかし女神様もなかなか離しません。

 

おじいさんと女神様は斧を掴んで引っ張り合います。

そしてバランスを崩したおじいさんは泉の中に誤って飛び込んでしまい…

泉の中に吸い込まれてしまいました。

 

流石にこれには焦った女神様。

泉の底をいくら探してもおじいさんは見つかりません。鉄の斧も持っていかれてしまいました。

 

その頃おじいさんはというと。

竜宮城にいました(!?)

 

おじいさんは心中穏やかではありませんでした。

美しい乙姫様をみて恋をするような時代はとうの昔に終わってしまっています。

美味しいご飯。快適な暮らし。

まるで大金持ちのような生活は、おじいさんには馴染みませんでした。

 

早く帰りたい。

おじいさんは遂に乙姫様にそう言ってしまいました。

乙姫様は哀しそうな、寂しそうな顔をしましたがおじいさんの希望を受け入れ、地上におじいさんを帰してくれました。

 

亀の甲羅に背負われて、水面に出てしまえばそこに女神様はもういません。

日が高く登っています。もうお昼です。

亀にお礼を言って別れたおじいさんはおばあさんが作ってくれたお弁当のおにぎりを食べようと包みを開けます。

その瞬間でした。おにぎりは膝の上から落ちてコロコロと転がっていきます。

それを必死で追いかけるおじいさん。

この半日で不思議な事をいくつも体験して疲れたのか、もうお腹はペコペコです。

 

おにぎりとおじいさんの追いかけっこは結局おにぎりの勝利に終わります。

おにぎりは地面に空いていた大きめの穴に落ちて消えてしまいます。

しかし追いかけていたおじいさんも、急には立ち止まれません。

そのままおにぎりとともに穴の中にダイブしてしまいます。

 

おじいさんは真っ暗な穴の中をどんどんどんどん落ちていきます。

時には斜めに、時には真下に。

おじいさんは目が回って今どれくらい落ちたかわからなくなりました。

 

やがて穴のそこにドスン、と尻餅をつくと、そこにはおじいさんが落としたおにぎりを美味しそうに食べているたくさんの白いネズミたちがいました。

 

ネズミたちはおじいさんを見るやおにぎりをたべるのを止め、「あなたがこの恵みを下さったのですか。」と聞いてきました。

全員が歯形のついた汚いおにぎりの残骸を指さしています。

「ああ。」お腹がすいて疲れている上にまだ頭がくらくらするおじいさんは気だるげに答えました。

すると爆発するように周りがネズミの鳴き声で一杯になります。

 

「この巣では最近餌が足りなくなって飢餓に悩まされていたのです。本当にありがとうございました。これはつまらないものですが…」

そう言って一匹のネズミが大きいつづらと小さいツヅラを差し出します。

 

「こちらはお礼と言っては何ですが…どちらかお好きなほうをお鳥になって下さい。」

おじいさんはただ、のんびりとした生活が送れればお金などどうでもいいと言い切れる様な人でした。

だから当然小さい方のつづらを受け取り帰りました。

 

そして抜け道から地上に再び出ました。

あたりはすっかり日が暮れていて、もう夜です。

おじいさんはなんとか自分が朝切り倒した竹を見つけました。

太い竹はどこかへと消えていました。その代わりに光り輝く竹がありました。

 

「ほう、めずらしい。光る竹なんぞ初めて見たわい。」そう言っておじいさんは斧を構え、輝いている竹をきります。

中には可愛らしい女の子が入っていました。

おじいさんはギョッとしましたが、訳あって子供がおらず、おばあさんとふたりで寂しく暮らしていたため、子供がいればさぞ楽しいだろうと考えて連れて帰ることにしました。

 

帰路の途中、おじいさんは「夜に輝いていたからお前の名前は輝夜だ。」

と言いました。

 




更新はこれからもしていく(つもり)のでまたゆるゆる読んでいってください。
それではまた会う時まで。
see you!


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鬼より鬼畜な桃太郎①

まず初めに。
この小説に素敵な感想を送って下さったピザトーストさんにこの場を借りてお礼を言わせていただきます。
いや、ホントは昨日気付いて昨日のうちに投稿するつもりだったのですが、バイト明けで疲れており、精神的にもキテしまっていたのでできませんでした。
ピザトーストさん、ホントにありがとうございました。

そして本編なのですが、今回はガラリと雰囲気が変わり、シリアスな感じになっています。
そもそも僕の永遠のテーマである「善と悪」についての作品です。
一話で纏まらないので数話かけます。後書きは書きません。
それではどうぞ!

※追記
人肉食についてのシーンがあります。具体的な話しはしていませんが、そういう話が嫌いな方は桃太郎編を読み飛ばすことをおすすめします。並びに念のためにR15の警告タグをつけておきます。


鬼たちは激怒した。必ずかの邪知暴虐の太郎を取り除かねばならぬと決意した。

 

 

 

始まりは数日前、人里に下りて狩りをして帰ってきた一人の赤鬼が、本拠地である鬼ヶ島に傷だらけの体で帰ってきたことである。

その赤鬼曰く、人里でめぼしい人間を数人さらい、袋に詰めて帰ろうとした時、桃太郎と名乗る若い男の人間が刀を抜き、不意打ちで攻撃してきたと。

そしてその赤鬼は他の鬼達の必死の手当も虚しくその次の日にこの世を去ってしまった。

気さくで優しく、いい鬼だった。

それ故彼の友だった鬼たちは涙を流して彼の死を悲しんだ。

 

 

 

そもそも鬼達は好き好んで人肉を食べるわけではない。彼らは他のものを食べることが出来ないのだ。

昔、一匹の鬼が草を食らって生活しようとした。

その結果、力が出なくなり、最終的に彼は心臓を動かす力すら出なくなり、あっけなく死んでしまった。それも1週間だけで。

昔、別の鬼が人肉以外のありとあらゆる肉を喰らって生きようとした。

だが鬼の体にとって人間以外の生き物の肉は消化できないものだった。

彼は栄養が摂取できず、餓死した。

 

 

 

それらの例を見て鬼の中の科学者は結論付けた。

「鬼が生きていくためには人肉を食べなければならないのだ」と。

 

 

 

鬼たちにも理性があり、道徳がある。

だから本当は人間など殺したくない。

何故なら人間と自分たちとでは見た目以外に何ら違うところがないと分かっているのだから。

しかし生きていくためには仕方が無い。

人間だってそうだろう。自分たちが生きるためには豚を殺し、鶏を殺し、たまの贅沢に牛を殺してすべて食らう。

場合によっては自らを着飾るためだけに動物を殺す。

 

 

 

 

しかしそれは人間達には理解されない。

人間とは傲慢な生き物である。

自らは家畜を屠殺し、喰らって生きるが、いざ自分が喰われるとなると捕食者を殺すことも厭わない。

実に身勝手なことであるがこれが人間の、そして鬼の本質なのである。

 

 

 

 

そして鬼たちは無益な殺生は好まない。その証拠に彼らは人間を喰らう際、先に気絶させてから殺すし、内蔵どころか骨の一本まで残さずに食べる。

その上彼らは常に飢えている。何故なら自分たちが生きていくことが出来る最低限の量しか食べないからである。

それも彼らが人間を殺すことを好まないからである。

 

 

 

 

しかしそれも人間達には誤解される。

鬼たちは残虐で人間を骨までボリボリ貪るのだ、と。

 

 

 

そしてこれまでは両者のパワーバランスは鬼の方が大きく、しかし喰らわれる人間の数よりも生まれてくる人間の方が多かったため、人間は絶滅せず、均衡を保っていた。

そう、これまでは。

 

 

 

 

そこに現れたのが桃太郎。

彼は人里に下りた赤鬼に明確な憎しみを抱き、襲った。

これは鬼への明らかな宣戦布告である。

そして今、桃太郎が人里を出発し、鬼ヶ島に向かっているとの情報が入ってきた。

刀を携え、更に道中に手下を増やしながら進軍してきているらしい。

そして鬼たちは仲間の死と桃太郎の横暴に怒り狂っていたのだった。

 

 

 

 



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鬼より鬼畜な桃太郎②

はい。桃太郎回2話目です。多くてもあと2話程でこの話は完結します。
その次はギャグ路線で同じく桃太郎を書いてみようかな?などと考えています。
あとちなみに、裏設定と言ってはなんですが、登場する鬼たちはすべて「泣いた赤鬼」と同じような性格です。
それでは、桃太郎が2時をお知らせします。


その日、桃太郎は怒り狂った。自らを大切に、愛情を込めて育ててくれていたおじいさんを連れ去った鬼に対して。そして泣き叫んだ。

次の日から彼は人が変わったように冷たくなった。何か外見的に変わったわけではない。

しかし太郎の中の何かが変わってしまったのかもしれない。

或いは太郎は心の中に鬼を飼ってしまったのかもしれない。

 

 

 

何にせよ彼はその日から狂ったように体を鍛え始めた。

毎日刀を振るい、重りをつけてトレーニングをする。さらにおばあさんのご飯をたくさん食べるようになった。

太郎の体は日に日に逞しくなっていった。

 

 

 

そうして数年経ったある日だった。

おばあさんとふたりで暮らす家から少し離れた里に買い物に行った太郎が返り血に塗れて帰って来たのである。

おばあさんが慌てて太郎に何があったのかと聞くと、太郎は晴れやかな笑顔で、「おじいさんの仇を取ってきたよ」と言ったのだ。

その時おばあさんは悟った。

もうあの優しくて純真な太郎はいないのだと。

 

 

 

そして次の日太郎はおばあさんに、「鬼ヶ島に行って鬼退治に行ってくるよ。」

と笑った。

何か大切なものを壊してしまいそうな危うさを含んだ笑顔だった。

おばあさんは太郎が手の届かない、どこか遠くに行ってしまわないように、という願いを込めてキビ団子を持たせた。

 

 

 

 

そして太郎は出発した。

 

 

 

 

太郎は憎しみを力に変え、意気揚々と歩いていった。

するとそこに犬がいた。

 

 

 

「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰に付けたキビ団子、1つ私にくださいな。」

その犬のセリフを聞いて桃太郎は少し考えた後、「俺は今から鬼退治に行く。それを手伝ってくれるならこのキビ団子をやろう。」

 

 

 

古来より犬は魔を祓うとされている。

魔の代表格である鬼を討つのにこれ程ない味方はいないだろうと桃太郎は考えたのだ。

 

 

 

こうして犬が桃太郎の仲間に加わった。

それから少し歩くと今度はキジが空から降りてきて、「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰に付けたキビ団子、ひとつ私にくださいな。」と言った。

 

 

ここでも桃太郎は考えた。

空を飛べるキジが居れば偵察が容易になり、更に空中からの攻撃もできるようになるのではないかと。

特に偵察ができれば道中の危険を回避しながら進めるのではないかと。

 

 

 

そこで桃太郎はまたもや鬼退治の手伝いをさせる代わりにキビ団子を与えた。

キジが桃太郎の仲間に加わった。

 

 

そしてそれから更に歩いていくと、そこには利口そうな猿がいた。

どうやら鬼の衣服(あの有名な虎柄のパンツである)にするために家族を殺され、鬼に復讐をしたいらしい。

桃太郎は、知能が高い猿ならばトリッキーな戦術も出来るのではないかと考え、餌付けの意味も込めてキビ団子を与え、仲間に引き入れた。

 

 

3匹の動物を従えた桃太郎はいよいよ鬼ヶ島の対岸にたどり着いたのだった。

 



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鬼より鬼畜な桃太郎③

ふぅ…なかなか難産だった。書いてる途中に二つ結末を思いついてしまってどちらで終わらせるかという事にまず悩みましたね〜その上微妙に文字数が際どかったですし…
そのせいで投稿が遅れてしまったことはとても申し訳ないです。
次回で桃太郎は最終回です。最初の構想よりもまだマシな結末を迎えられそうです。
それでは、どうぞ!



桃太郎の横暴に怒ると同時に驚き慌てた鬼たち。

急いで古来からの武器である金棒と兵力を集め、臨戦態勢に入ります。

いくら人間を殺したくないとはいえ、自分達が滅ぶわけにはいきません。

その部分とは鬼と人間は同じなのです。

 

 

 

 

そして原始的な武器と思われている金棒ですが、そこには工業技術が発達した鬼の一派、「小鬼(ゴブリン)」の技術が用いられており、最小限の力で、最大限の破壊活動が出来るように作られています。

そしてそのトゲには蛇から抽出された出血毒が染みだします。

 

 

 

「鬼に金棒」

この言葉が示すように金棒とは鬼の力を象徴するシンボルですが、それは同時に食人という呪われた歴史のシンボルでもあります。

その為鬼達は滅多に金棒を手に取りません。大抵の場合、斧や適当な鈍器などを持ちます。

 

 

 

そして鬼の中にも三つの分類があります。

まず代表的なものが赤鬼。

 

 

赤鬼は、力が強く、また体も頑丈な為、白兵戦の際に活躍します。

1方青鬼は、非常に冷徹で、知能が高く、頭が回るので作戦本部で参謀として働きます。

そして最後に黒鬼は、赤鬼を超えた圧倒的な力、青鬼にはないリーダーシップで赤鬼たちをまとめます。

 

 

 

 

桃太郎の一団はぐんぐん鬼ヶ島に近づいてきます。

鬼ヶ島に、桃太郎が犬、猿、雉を従えて鬼ヶ島の対岸に辿りついたという知らせが届きました。

 

 

 

 

決戦の時が近づきます。

赤鬼の夫婦やカップルが別れを惜しんでいます。

戦に出る父に子鬼が行かないでくれと泣きわめいています。

悲劇の光景がここにありました。

しかし、逃げ出すものはどこにもいません。

 

 

鬼とはそれだけ勇敢な種族なのです。

それどころか別れの哀しみを怒りに変えて桃太郎を迎え撃つべく、隊列を組みます。

彼らの目はもはや赤く血走っています。

 

 

 

そして、鬼ヶ島に、とうとう「桃太郎が船に乗り、対岸を出発した」という知らせが入った。

開戦のが上がるのも時間の問題である。

 

鬼たちにピリピリとした緊張が走る。

女子供を鬼ヶ島から隣の島に逃がしていく。

今生の別れになるかもしれない、その事をなんとなく察したのか物心もつかぬ幼い鬼が激しく泣いて、父にしがみついて離れようとしない。

また、あるところでは新婚の鬼の夫婦の妻が、大きくなったお腹で、しくしくと泣いている。

その光景は、ある意味戦場よりも哀しく、辛いものである。

 

 

 

鬼たちにはもう選択肢が残されていない。

自分達が桃太郎に敗れてしまった後には、隣の島にいる妻子の存在は隠しきれないだろう。

そうなれば、桃太郎は何の慈悲もかけず、ただただ淡々と、自らが愛すものを殺すだろう。ありったけの憎しみを込めて。

 

 

鬼たちは自分の為ではなく、自らの希望と愛する者のために戦うのだ。

 

 

 

 

 

 

 



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鬼より鬼畜な桃太郎④

はい。桃太郎最終回です。
無理やりまとめたので普段の三倍くらいの長さになってますがよろしくお願いします。


3匹のお供を従え、鬼ヶ島の対岸に到達した桃太郎。

海を隔てて向こう側にはそびえ立つ鬼ヶ島が既に見えている。

しかし桃太郎には海上を移動する術はない。

 

 

その身体能力は高いものの、重い鎧と纏い、刀を下げた状態では海を超えることなど到底不可能である。

最も、イヌ、サル、キジの3匹は、 それぞれ向こう岸に行く方法があったようだが。

何にせよ大将たる桃太郎が鬼ヶ島に行けないのは大きな問題である。

仕方がないと太郎はあたりに落ちている木切れや、生えている木を組んで、小舟を作り始めた。

 

 

 

そして努力の甲斐あって、その日の夜には小舟は完成した。

しかしもう日はとっぷりと暮れており、今攻め込んだとて暗闇の中、地形の分からない鬼ヶ島で戦えば大敗することは確実と考えた桃太郎はそこで一夜を過ごし、明朝に漕ぎ出すことにしたのである。

 

 

幸い、おばあさんが多めに作ってくれたキビ団子はまだ8個ほど残っている。

この団子は、おばあさんが腕によりをかけて作ったものであり、一個食べれば一食分の栄養が得られ、空腹が満たされるという優れものである。

これだけの量残っていれば明日の分は足りるだろう。

桃太郎は安心して寝袋に入り、眠りに落ちた。

 

 

 

そして、朝がやってきた。

桃太郎とお供3匹は、それぞれキビ団子を一つずつ食べ、船に乗って出発した。

海は大荒れだった。神が怒り狂っているかのごとく雷は轟き、雨は殴りつけるように激しく打ち付ける。

まるでこれから起きる激しい戦いを暗示しているかのようだった。

 

 

桃太郎はそれでもどこ吹く風で、舵を取り、力強く漕ぎ、鬼ヶ島に到達した。

 

待ち構えていたのは凶悪な顔で金棒を構え、今にもこちらに飛びかかってきそうな赤鬼たち。

その目は血走り、ギラギラと妖しく輝いている。

 

 

相対した桃太郎は驚くほど落ち着いていた。

澄み切った頭にはもはや視界を遮る大粒の雨は目には入らず、鼓膜が破れそうなほど大きな雷鳴は耳にしない。

そして家来たちに指示を出す。

「一斉に、掛かれ!」

 

鬼たちにはひとつ誤算があった。

激しすぎる雨のせいで、金棒の毒がすべて洗い流されてしまったのである。

そしてそれは桃太郎にもわかっていたことだった。

 

 

桃太郎は以前に村で、金棒のトゲが体に少し刺さっただけの女性が苦しみ抜いた末に死んでしまったことを見たことがあったのだ。

そこから、金棒に毒が塗られていることを推測していた。むしろそれが一番の難点と思っていたので、無害化されて安心していた。

 

 

だが、あくまで毒が消えただけ。生身の人間である桃太郎は、金棒で殴打されればいと簡単に死んでしまうことだろう。それらは確実に避けなければならない。

それも分かっていたが、所詮鬼達も空は飛べない。

よって攻撃は多くても四方向から来ない。

しかも体が大きく愚鈍な鬼が相手なら、いなす事も大したことではないだろう。

 

 

桃太郎はタカをくくり、鬼の事を舐めきっていた。

 

 

そしてそれが桃太郎の()()となったのである。

 

 

 

桃太郎が計算に入れていなかったのは鬼たちのタフさ。

桃太郎にとって金棒の一撃は一撃必殺なのに対して、鬼たちは桃太郎が急所を5回以上刀で攻撃しなければ倒れない。

ましてや桃太郎はただの人間。体力の面でも鬼たちと大きな差がある。

さらにその体には道中の旅の疲れも残っている。

 

 

強い意志で無理やり動かしていたものの、その実桃太郎の体のコンディションは最低レベルまで落ちていた。

本来の力を出せれば、鬼と太刀打ち出来たかもしれない。

しかし今の桃太郎は疲労困憊。

鬼と戦うにはいささか部が悪すぎたのである。

 

 

鬼との戦いが始まって数分、最初に敗北を喫したのは猿であった。

太郎はその知恵を見込んで人間と同じような武器を持たせたものの、猿にはその武器は重すぎたのである。

結果として機動力が低下し、鬼たちに生け捕りにされてしまいました。

そして必死の抵抗もむなしく、彼は縄で縛られ、鬼ヶ島の奥へと引きずられて行った。

 

 

 

それを見ていたのはキジだった。

存外頭が切れるキジは、その様子を見て、自軍の敗北を予知したのである。

そして、桃太郎と犬を冷酷に見捨て、空へと高く飛び、逃亡。

そのまま自らの古巣へ戻り、天寿を全うしたそうな。

 

 

 

そして残された犬と桃太郎。

桃太郎にも自らに勝ち目がないことはわかっていた。

しかしここで降参したところで残忍非道な鬼たちは自分を殺すだろうと思っていた。

そのため白旗は上げなかった。

 

 

そして犬は忠義心が強く、これまで自分の面倒を嫌な顔一つせずに見てくれた桃太郎のことを見捨てるなど出来るはずもない。

よって桃太郎と共に最後まで戦い抜くことを心に決めていた。

 

 

 

そして孤軍奮闘する桃太郎と犬。

だがしかし、疲労がピークに達した桃太郎は、一瞬の隙を突かれて刀を弾かれてしまった。

それを見た犬は「ご主人様!」と思わず桃太郎に駆け寄ろうとしたところを捕縛されてしまう。

そして桃太郎と犬は磔の刑に処されることになってしまった。

 

 

 

死を目前にした桃太郎。

しかし彼には後悔はなかった。

不思議と満足感があっただけだった。

そして鬼たちによってとうとう磔台に縛られようというその時だった。

腰に下げていたキビ団子を入れていた網が地面に落ちて転がった。

 

 

 

それを見て桃太郎は走馬灯のようにおばあさんのことを思い出した。

物心がついたときからいっぱい美味しいご飯を作ってくれたおばあさん。

おじいさんと仲良くニコニコといつも楽しそうにしていたおばあさん。

おじいさんが鬼に連れ去られ、二度と帰ってこないことを知って声を上げて泣いていたおばあさん。

それなのに桃太郎の前では涙を押し殺し、泣きはらした目で、震えた声で、桃太郎をあやしてくれたおばあさん。

鬼への復讐のために体を鍛え始めた桃太郎を見て心配そうな顔をするおばあさん。

鬼ヶ島に出発する際、震えた声で、泣きそうな顔で、それでもキビ団子を渡してくれて、応援してくれたおばあさん。

 

 

次に桃太郎はおじいさんのことを思い出していた。

優しく、強い子になれといつも桃太郎に言い聞かせてくれたおじいさん。

おばあさんの料理が美味しいことを何故かいつも自分のことのように胸を張っていたおじいさん。

たまにおばあさんに内緒で芝刈りに連れていってくれたおじいさん。

壊すためじゃなく、守るために力を使えといつも言っていたおじいさん。

稼ぎが少なくて貧乏なはずなのに桃太郎の為ならといくらでもお金を出してくれたおじいさん。

 

 

 

そして桃太郎は自分について考えていた。

僕は、おじいさんとおばあさんにたくさんの愛情を貰った。

でも、僕はそれが見えていただろうか、感じられていただろうか。

 

 

 

僕はおばあさんのことをきちんと見れていただろうか。

あの、寂しそうな笑顔になぜ気づけなかったのだろうか。

おばあさんの心配を何故察することができなかったのだろうか。

おじいさんの敵討ちはおばあさんの為だなんて言って、おばあさんがそんなことを望んでいるかどうか確かめただろうか。

「僕はおばあさんにもらった愛情に、何か恩返しが出来ただろうか。何かおばあさんを喜ばせるようなことが出来ただろうか。」

 

 

 

僕はおじいさんのいいつけを守れただろうか。

確かに強くはなった。

でも今の僕は優しいだろうか。

鬼たちの返り血にまみれ、何の関係もなかった動物達を巻き込み、何体もの鬼を殺して。

もっと穏便なやり方はなかっただろうか。

僕は守るために力を使えただろうか。

「僕は、おじいさんの想いを受け取ることが出来ただろうか、天国のおじいさんに、褒められるような生き方ができただろうか。」

 

 

 

そして僕は気づいた。

僕は、2人からたくさんのものを貰うだけもらっておいて、恩返しはおろか、感謝の言葉すらも返せていない。

 

 

これまでの人生を、おばあさんがくれた人生を、何故僕は、復讐という空虚なものに費やしてしまったのだろう。

働いて稼いだお金でささやかな暮らしを送りながら、おばあさんに親孝行をして生きていく、そんな幸せな生き方もあったはずなのに。

 

 

 

そこまで考えて、桃太郎は涙をこらえることができなかった。

おじいさん、おばあさん、ごめんなさい。ありがとう。

こんな親不孝者を今まで育ててくれて。

貧乏だったけど一番大切な、愛情をたくさんくれて、ありがとう。

それなのに、それなのに。

僕はもう、おばあさんに何も返すことが出来ない…

最後に残った命も、もう少しで費えてしまう。

それならば、せめて、最後に、尊い命を救わせてくれ。

こんな罪にまみれた命だけど、最後に少しくらいかっこつけても、バチは当たらないだろう?

 

 

「少し、待ってくれ。」

いよいよ処刑されようかという時、桃太郎は鬼にそう言った。

 

 

「僕は、罪に塗れた悪人だ。お前らの仲間も殺した。死刑になろうとも悔いなどない。だが、この犬と猿は違う。僕が無理やり罪を背負わせた。僕はどのような苦しい死に方をしても構わない。だから、こいつらの命だけは、助けてやってくれないか?」

 

 

その顔は、憑き物が落ちたような清々しい面持ちだった。

1匹の黒鬼が言った。

「そなたも、理由なしで攻め込んでくるようなことはするまい?なぁにこちらの退屈しのぎだ。どうしてこうして攻めようなどと思い立ったのか、聞かせてくれんかのぅ?」

 

 

桃太郎はそれに応じ、桃から生まれたこと。おじいさんのこと、おばあさんのこと、そして今とても後悔していることを全て話した。

それを聞いた鬼たちは、胸を打たれたようで、熱い涙を流すものも中にはいた。

そして黒鬼は桃太郎に問うた。

「今、そなたの縛めを解けば、再び我らを殺そうとするか?」

 

そして桃太郎は答えた。

「もう二度と無益な殺生はしない。そちらにもそちらの事情がある。仕方ないことなのだろう。」

 

それを聞いて鬼たちは驚いた。

何故なら桃太郎は、それを本心から言っていたのだから。

それを示すように、目には真っ直ぐな光が宿っていた。

 

 

そして黒鬼は配下の鬼たちに問うた。

「のう、人間共、猿共とバカにしてばかりおったが、なかなかどうしてきゃつらも捨てたもんではないと思わんか。むしろワシには我ら鬼より人間の方が優れているように見えるが。どうだ、ここは一つ、きゃつらに未来を預けてはみんか?人間を喰らって滅ぼすよりも、我ら鬼こそ滅ぶべきだとは思わぬか?」と。

そして鬼たちは、揃って肯定した。

 

 

 

そして黒鬼は桃太郎に言った。

「お主の人徳に免じて此度のことは不問としてやろう。また、我らは食人をやめる。まあ一ヶ月後くらいには滅んでいることだろう。そこで、お主は人間の里に戻り、「鬼退治をやり遂げた」と言うが良い。なぁに、気にするな。地上から劣等種がまた一種減るだけじゃ。」

そうして黒鬼は桃太郎1行の縛めを解いた。

 

 

そして自由の身となった桃太郎は、おばあさんに恩返しをしながら慎ましく穏やかに生きたとさ。

 

 

おしまい。

 

 

 

 

 

 




鬼より鬼畜な桃太郎、どうでしたか?結末を考えるのに結構頭を使いましたよ〜(大嘘)まあ一応これが一番丸く収まったかなって感じです。桃太郎が鬼全滅させるマジキチルートもあったんですけどね?w
また次の投稿はいつになるかわかんないので、まあ気長にお願いしますね。
あと、テーマが、最初に書いた「正義と悪とはなんなのか」ということともうひとつ、「見えているつもりになっていませんか?あなたの大事なもの」の二つになっています。後者は、暗殺教室の、死神の過去編より着想を得ています。彼は自分の弟子が「見えている」つもりで、「見えていなくて」、そして裏切られた後も今度はあぐりのことが「見えて」いなくて、そうして大事なものを失ってから気づいたというものなので。
いやはや、脱線しました。次回もよろしくお願いしますね。


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桃太郎VS輝夜【前編】

はい。なんかこんなことばっかやってる気がしますが、今回は、桃太郎と輝夜姫のコラボです。コメディ回です。シリアスなのは書いてて疲れます。というかギャグな桃太郎の構想を練ってると何故かかぐや姫がいた不思議。
今回も一話でまとまらなかった…orzまとめる力なさ過ぎんよ…ということで、今回は前後編あるいは、前中後編の編成になります。前後編で終わればいいけど…
ちなみに結末は考えていません!完全に行き当たりばったりです!ギャグも思いついたものを次々投入してます!
なのでもしかしたら後編の投稿がまた遅くなるかもしれませんがすみません。
ということで、桃太郎VS輝夜、上映開始です。


むかーしむかし。

まあどれくらい昔かというとそこまで昔じゃないかもしれないような、そんな昔。

ある所にお爺さんとお婆さんが、木造の小さな家に住んでいました。

 

 

 

ある日、お婆さんが起きると、隣でお爺さんが冷たくなっていました。

「お爺さんが!死んどる!?まあ昨日の晩ご飯の時にアド〇シンをお爺さんが食べる分に入れといたし、当たり前といえば当たり前か。」

「ワシのやばい婆」来月から放送開始(※嘘です。)

 

 

 

なんてことは当然無くて、むしろ円満な夫婦であるおじいさんとおばあさんは、仲良く朝ごはんを食べます。

そして別れを惜しみながらも、おじいさんは山へ柴刈に。おばあさんは川へ洗濯に行きました。

 

 

おじいさんが薪になりそうな湿り気の少ない枝を探し、歩いて歩いて、ふと気がつくとおじいさんは見たことのない竹林にいました。

山のことなら何でも知っているはずのおじいさんが知らない場所というのはどうにも奇妙な話でした。

なんとか帰るための道を探していると、おじいさんは金色に輝く竹を見つけました。

根本には古い斧が落ちています。

 

 

 

それを見つけたおじいさんはというと。

「………」

完全にフリーズしています。

不思議なことが同時に起こったせいでおじいさんの頭の処理能力はパンクしてしまったようでした。

 

 

さて、どれくらいそうしていたでしょうか。

おじいさんは目の前の輝く竹から目を逸らし、のっそりとそこから立ち去ろうとしました。

すると…?

 

 

 

バーン!

と、つんざくような破裂音が轟いて、竹の破片がおじいさんのところに飛んできました。

おじいさんが恐る恐る振り返ると…

そこには下を向いていて、髪が地面につきそうなぐらい長く、白い着物を着て、真っ白な肌をした、女の子がいました。

驚き慌てるおじいさん。

本能的に生命の危機を感じてその場から逃げ出します。

 

 

さぁって、第一走者がスタートしました。先頭のおじいさんは恐怖にかられて走る、走る、早い早い!一方それを追う謎の髪の長い少女。見る限り幼くなったs子にしか見えませんがこれは著作権的には大丈夫なのでしょうか!?何はともあれ少女も少女とて速い、速い!死にものぐるいで逃げるおじいさんに必死で追いすがる!おぉっと!?差が縮んできている!縮んできているぞ!!?やはり老化でしょうか!?おじいさんが失速してきているぞ!?と、おおっ!?少女の接近を悟ったおじいさん、急加速して少女を引き離そうとする!!

しかし相手は遊び盛りの女の子!いくら不気味だからと言ってもその体力には目を見張るものがあるぞ!!?あぁっと!いよいよおじいさんは体力の限界が訪れてきたようです。またもや少女が背後からおじいさんに迫る!迫るぞ!?しかしおじいさんにはもう急加速して逃げるほど体力が残っていない!万事休すか!?万事休すなのか!?と、おおっとここで決着です!少女がおじいさんを見事確保しました!さあおじいさんはどうなってしまうのか!!?

(ご自身の徒競走の際の曲をBGMとしてどうぞ。)

 

 

 

 

 

そうしておじいさんにようやく追いついた少女の第一声は、

「はよ竹切って出せやゴルァ!」だったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

川へ洗濯にいったおばあさんはというと、こちらも妙なことが起きていました。

おばあさんの身長と変わらないくらいの桃が上流から流されてきました。

おばあさんはそれを華麗にスルー。

この夫婦、似たもの同士なのかも知れません!

 

 

 

おばあさんはそのまま洗濯を続けます。

すると、最初に流れてきた桃よりも一回り大きな桃が、流れてきました。

おばあさんはそれをまたもやスルー。

こちらとしては早く引き上げて話を進めたいものです。

 

 

 

それからしばらくすると、また一回り大きくなった桃が再三流れてきました。

そしておばあさんはというと。

「この位の大きさが丁度いいかねぇ。」

と言って桃を川から引き上げました。

なんと、おばあさんは桃がおじいさんと2人で食べ切れる程度に大きくなるのを待っていたのです。

 

 

 

そしておばあさんは、おじいさんと暮らしている家に桃を運びました。

しかし、おじいさんは帰ってきません。

当然です。その頃おじいさんはどこか分からない竹林で幼女に追いかけられているのですから。

なにかいかがわしい響きですが嘘ではありません。

 

 

そして、おじいさんが家に帰ってきた時には日がとっぷりと暮れてしまっていました。

そしてその後ろには、長い黒髪を垂らして、ところどころ泥に汚れた、死に装束のような、真っ白な着物を着た白い肌の幼い少女がいました。

 

ーー続くーー

 

 

 

 

 



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桃太郎VS輝夜【後編】

難産だった…難産だったと告白しよう…
話が広がらなさ過ぎて1度書いていたものをすべて消しました。
そして、一つ謝罪します。桃太郎メインの物語だったはずが、いつの間にやら輝夜メインになってしまいました。でも綺麗にまとまったと僕は勝手に思ってます。が、桃太郎を期待していた方がいたとしたら申し訳ございません。今回はアナザーストーリーなので、原作である、「桃太郎」と、「かぐや姫」、及び「竹取物語」の本筋にはあまり沿っていません。特に桃太郎は崩壊していると言っていいでしょう。それを留意した上で、読むことを推奨します。
活動報告で、リクエストを募集しています。良かったら返信してください。


おじいさんがやっとの事で家に帰ると、いつもご飯を食べているちゃぶ台の上には、大きな大きな、とても大きな桃がありました。

 

おじいさんはそれを見るやいなやフリーズして、動かなくなりました。

白目まで剥いています。

そして頭を抱えたおじいさんは、文字通り倒れてしまいました。

 

もう80歳を超えたおじいさんのことです。本来竹林で走り回ったりできる体力などなかったのです。

そしておじいさんが倒れてしまった瞬間、その陰に隠れていた少女がおばあさんの目に映りました。

 

 

しかしなんということでしょう(before&after風)

おばあさんは少女を見るとすぐに、「あら、あなたどこの子?そんな服装じゃせっかく女の子に生まれてきたのにもったいないわよ?」と言って、少女を風呂に入れ、その間におばあさんの服の中から少女が着れそうな服を探します。

幸いおばあさんはとても小柄な上でオシャレだったので、少女が来ても少しダボッとする程度でした。

 

 

そしてお風呂から上がった少女に、見繕った自分の服を着せます。

すると、その服は確かにダボッとしていましたが、ヒップホップのダンサーのように上手く着こなされてしまったのです。

そんな着こなしまで知っているおばあさん、恐るべし…

 

 

そしてきちんとした服を着た少女は…すごい美少女でした。

そうこうしているうちにおじいさんが目を覚ましました。

 

 

そして一言。

「そこの可愛い女の子は誰じゃ?」

 

 

その言葉に、おばあさんと少女はプッと吹き出しました。

「嫌ですねぇあなた、連れて帰ってきた本人がそんな事言うなんて。ねぇ〜。」

そう言っておばあさんは少女と顔を見合わせて笑います。

少女は頷いて肯定します。

 

 

「ところであなた、この子はどこの子なの?本人に聞いても首をかしげるだけで答えてくれなくて…」

と、おばあさんがおじいさんに問いかけました。

おじいさんは山であった出来事をおばあさんに説明しました。

するとおばあさんは「へぇ〜そうなの〜とりあえずお父さん、お母さんが見つかるまでここで住まないかい?」と、少女に聞きました。

少女はブンブンと激しく首を縦に振りました。

 

 

少女はおじいさん、おばあさんと一緒に住むようです。

ちなみに名前は輝夜になりました。

 

 

 

おじいさんがショックから立ち直ると、まず最初に考えたのは桃についてでした。

輝夜の身長程もある大きな桃です。

おばあさんは川で桃を拾った際の経緯を説明しました。

 

 

そして、おじいさんが桃を切ることになりました。

大きな桃なので、包丁で切るには少し手間がかかりそうです。

そこでおじいさんが持ってきたのは、強盗などが入った時の護身用の日本刀。

それをきちんと清潔にしてから、いよいよ桃をきちんと固定してから切りました。

 

 

すると、断面から赤い血がダラリと漏れて、水たまりのようになりました。

「ッ!?」

おじいさんもおばあさんも驚いて声が出ません。

すると、恐れを知らないのか、輝夜が桃の断面を開きました。

 

 

そこには切れたへその緒が付いた赤ちゃんが入っていました。

逆側には胎盤がついています。

 

 

おじいさんは思わず、「これこそホントの植物人g…」と言っておばあさんに頭を小突かれていました。

そして数秒後。

この世のものとは思えないような絶叫がおじいさんの家に響き渡りました。

その声はまるでマンドラゴラの様でした。

 

 

忘れているかもしれませんが、今は夜です。

酉の刻、現在でいうところの夜10時です。

そんな時にマンドラゴラのような絶叫が響けばどうなるか。

とても近所迷惑です。

 

 

おじいさんとおばあさんは十秒ほど掛かってやっと気づきました。

これは産声である、と。

植物から生まれた赤ちゃんの産声は、植物由来のものでした。

 

 

 

そしてその呪いの叫びを聞いてしまった3人は、とにかくまずいと桃をもう一度閉じました。

ようやく泣き声は止みました。

試しにおじいさんが少し桃を開くと、また絶叫が響きました。

 

 

おじいさんとおばあさんはとりあえず桃を縛り付けて開かないようにすると、話し合いました。

はなからもう桃を食べる気などはありません。

ただあの赤ちゃんの対応方法について考えました。

 

 

そして話し合って三日三晩が経った時でした。

 

常温で放置された桃は、腐ってしまって、直視できない茶色いドロリとした半固体になっていました。

そして、とうとう崩れ落ちてしまいました。

 

 

 

すると当然赤ちゃんがむき出しになります。

しかし、あのおぞましい声は上げません。

代わりに通常の赤ちゃんのオギャーオギャーという産声を上げました。

顔つきもこころなし丸くなった気がします。

 

 

そこでおじいさんとおばあさんはある仮説を立てました。

「おじいさんが桃を切った時、この子はまだ出てくる時ではなかったからあんな声を上げたのではないか」と。

しかし2人は、考え込むあまり、赤ちゃんの事を無視してしまっていました。

その時でした。

「°$♪+÷=¥°÷=%÷=÷=%:^…-%々>¥☆○」

あの、人語ではない何か、としか表現のできない泣き声が再び響きました。

輝夜が慌てて抱きかかえると、赤ちゃんはゴキゲンそうにキャッキャと笑いました。

 

 

おじいさんとおばあさんはついに気づきました。

「この子、気に入らないことがあるとあの泣き声を出す…」

 

 

それからのこと、おじいさんとおばあさんはなるだけその声を出させないようにと苦心して育てました。

もう名前のことなど考える気力もなく、桃から生まれたから桃太郎と名付けられました。

桃太郎も泣かなかったので、気に入ったようでした。

 

 

そして10年ほど経ちました。

輝夜は、その生来の美しい容姿と、桃太郎の世話で培った家事スキルのおかげで、周りの男性からの求婚を幾度と無く受けていました。

輝夜は、その大半を断り、最終的に候補を7人まで絞りました。

 

 

そしてその7人にこう言いました。

「私の弟、桃太郎の気に入らないことをしてもあの泣き声を出さないようになる方法を一番最初に見つけたものと婚姻しましょう。しかし最初に言っておきますが、あの声量は猿轡やその類のもので収まるものではありませんよ。」と。

 

 

これはある意味原作「竹取物語」よりも鬼畜な無理難題です。

もちろんクリアできるものは居らず、結果として輝夜は桃太郎の世話から解放されることはないのでした。

 

 

 

一方桃太郎はというと。

それはそれはわがままに育っていました。

思い通りにならなくて駄々をこねると、妙な声が出ておじいさんとおばあさん、それに輝夜が大人しくなるのです。

しまいには3人を顎で使う始末。

 

 

それに耐えかねたおばあさんは耳栓をつけ、ヘッドホンで大音量で音楽を鳴らしながら、「そんなにワガママ放題言うのなら、この家から出ていっておくれ!」と言いました。

当然桃太郎は泣きわめきますが、対桃太郎用装備をこれでもかと着けているため、堪えません。

そもそも美しい輝夜は今が一番綺麗な時ですが、家でぐうたらしながらスナック菓子を貪り続けた桃太郎は既に見るに耐えません。

 

 

おばあさんに拒絶された桃太郎はネットカフェに逃げ込みました。

当然開くのはtwo channel。

桃太郎の友達はそこにしかいません。

自らの孤独を身に染みて理解した彼は、おじいさんとおばあさんに謝り、大人しくなりました。

そして、輝夜に追い出され、フリーターとして生きるまでの半生をtwo channelに入り浸って過ごしたのでした。

 

 

 

しかし輝夜は美しき女性へと成長しました。そして彼女も恋をしました。

その時の帝です。

要は皇帝です。

 

 

そして帝も輝夜の事を愛しました。

帝と輝夜は晴れて結ばれ、輝夜は皇后となりました。

輝夜は心労と疲れでどんどんやつれていくおじいさんとおばあさんを見ていられず、結婚前夜に桃太郎を家から追い出してしまいました。

 

 

おじいさんとおばあさんは表面上は心配そうにしていましたが、本心ではせいせいしていました。

成人しても働かない息子など、最早2人にとってお荷物でしかなかったのです。

 

そして輝夜は帝と体を重ね、子供を産みました。

輝夜はとても上手だったとか。

 

 

そして幸せに過ごしていたのですが、ある日。

輝夜はシクシクと涙を流し、着物の袖を濡らしていました。

それを見つけた帝は慌てて、「何があったのか」と聞きました。

「実は…私は月の都のもので、この星に逃げてきたのですが、とうとう居場所がバレてしまい、今晩使者が私を捕えに来るのです…」

 

 

すると帝は、「君の事は連れては行かせない。この身にかけて守ってみせるよ。」と言いました。

それを聞いた途端、輝夜は突然笑い始めました。

「フフフッ帝様、今日は何日か分かってますか?」

そう聞かれた帝は暦を見て、「今日は…卯月の最初の日(4/1)…ハッ!?」

「ああ可笑しいわ、帝様、全部嘘ですのよ?ご安心下さいませ?今日は「えいぷりるふうる」という日ですから。」

と、輝夜は言いました。

すると帝はほっと安心して、「嗚呼良かった」というと、その場を立ち去りました。

輝夜はその背中を見て「帝様、ごめんなさい…」とポツリと呟きました。

 

次の日の朝、輝夜の寝室には、帝と息子に向けての手紙が置いてありました。

帝への手紙はこのような内容でした。

「私の愛しの人へ

帝様、昨日言ったことは全て本当です。私は月に帰らなければなりません。そして、今までに犯してしまった罪を償わなければなりません。本当は、貴方に告げて行かなくてはならないのですが、貴方と別れる事が、何よりも辛くて、貴方の悲しむ顔をみたくなかったのです。でも、貴方があんなふうに言ってくれて、私はうれしかったですよ?嗚呼、愛しの息子も置いていってしまわなければなりませんね。貴方から宝物を奪うわけにはいきませんから。世話を任せることになってしまいますが、本当にごめんなさい。ああ行きたくない。貴方とずっと暮らしていたい。向こうに帰ってしまえばこちらに帰ってこれてもその頃には貴方も、息子もこの世にはいないことでしょう。愛しき人よ。それでも私は貴方ともう一度巡り会える奇跡を信じています。だからさようならとは言いません。沢山の幸せをありがとうございました。色々と迷惑をかけてしまいますが、よろしくお願いします。そして、行ってきます。

追伸、生まれ変わったとしてももう一度貴方の妻になれますように。

輝夜」

 

 

手紙には、所々涙で濡れたあとがあった。

この手紙を読んだ帝は、大粒の涙をこぼした。読み進めれば読み進めるほどに、涙は多くなり、止まらなくなる。涙の跡は増えていった。

今までにないほどに帝は、大きな声を上げて号泣していた。

綺麗な満月の夜だった。

その時、帝の耳には確かに、「月が綺麗ですね」という愛しき人の声が聞こえた気がした。

そして彼は呟いた。「いつでも、いつまでも、死んでしまってもいいと僕は答えるよ。」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




以下は完全なる余談なので本編には何の関係もありません。

映画「植物図鑑」見に行ってきました。
もともと有川浩さんの小説が大好きで、原作も大好きだったので行ったのですが…
あれはいい!まず何よりもヒロイン役の高畑充希さんがすごく可愛い!てかやばい!可愛すぎた!それに加えて相手役の3代目J soul brothers の岩田剛典さんもイケメン!原作崩壊もなかったし大画面で見る価値があった…
そしてそれに影響されて今回の結末も少し恋愛ものになってしまった。
長くなってしまったけどやりきった感がすごくある。
書いてる途中flowerの「優しさであふれるように」が頭の中でサビだけヘビーにローテーションしてたけど。
まあ結構今回は自信作です。という話でした。


それでは次回の投稿もいつになるかわかりませんが、よろしくお願いします。


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とある浦島の物語

勢い余って連日投稿。
今回はピザ・トーストさんのリクエスト、「浦島太郎」をモチーフとして書き上げてみました。
ちなみに100%コメディです。流石に毎回読者さんを感動させられるような物語かけるほどの技量はありません。とても欲しいですが。
なお、今回はメタフィクション的なものと、版権の限界に挑戦しています。もしも警告が来た場合は書き換えます。
今後は、カチカチ山と、一寸法師を書いていく予定です。どちらが先に上がるかは分かりません!
ということで本編へ。どーぞ!


昔々、ある村に、浦島大郎がいました。

 

浦島大郎は、毎日釣った魚を売って生計を立てていました。

雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケズ

毎日彼は浜辺で釣りをしました。

 

 

ある日のことです。

浦島大郎がいつもの浜辺に行くと、そこには、甲羅が下を向いていてジタバタしている亀と、それを虐めている子供たち数人がいました。

浦島大郎が近寄っていくと、亀と子供のやりとりが聞こえました。

 

 

 

「おどれら!人の事バカにすんのも大概にせえよ!?わいは乙姫のババ…ゴホン、乙姫様の命でここに来とるんや!こんなんしてタダで住むと思うなよ!って痛い痛いやめろていうとんねん」

どうやら亀は大阪弁の様です。

そして子供たちはピタリと手を止めました。すると亀は、

「こおへんのかい!」と叫びました。その次に、「来んのかおもたら、けえへんのか思たら来んのかおもたらけえへんのかおもたら、くんのかーい…」

 

 

 

浦島大郎には、亀が何をしたいのか、何を言っているのかがよくわからなかったので、その横を素通りして、釣りポイントを探そうとしました。

すると亀が突然、「ちょちょちょちょっと、そこのオニーサン待ってぇなぁ。」と、言いました。

浦島大郎は肩をビクンと揺らしましたが、素通りしようとします。

 

 

すると、亀はもう一度、「そこの兄ちゃんやんか、分かってんねやろ?というか、浦島はんやろ??せやで、アンタのことやで。」と言いました。

浦島大郎は渋々と言った様子で、亀の方に歩み寄りました。

子供達は気にせずに亀を棒で殴打したりをし続けます。

亀は「ちょ、やめ、マジで、死ぬ、グフッ、カハッ」亀の甲羅は既にヒビが入っています。

 

 

浦島が近づいていくと、亀は、「お兄ちゃん、ホンマに、お願いやから助けてくれ。マジで、死んでまうから。700文字ちょっとでお話が終わっちゃうから。」と助けを求めました。

それを聞いた浦島は、子供たちに、「こらこら、虐めてはいけないよ。別にこの亀が好きなわけでも助けたいわけでもないけど「作者」って人がすごく迷惑をするらしいから殺したりしたらダメだよ。」と言いました。

子供たちはすごすごと引き下がり、どこかへと走っていきました。

 

 

 

「で?所でそこの亀さんは何がしたいの?子供たちにひっくり返されたわけじゃないよね?」

浦島大郎は子供たちが立ち去ったのを見届けると、亀に問い掛けました。

亀は、「何でそう思うんや?」と言いました。鼻のあたりに黒い影ができています。

まるで名探偵コナソの犯人が言い当てられた時の演出の様です。

 

 

それを聞いた浦島大郎、鼻で笑い飛ばした上で答えます。「いや、だってあの子達幼稚園児くらいでしょ?それが2~3人でしょ?対する君は成体の亀だよね?どう頑張っても重すぎてひっくり返せないだろ…」

すると、亀はこう言いました。

「フッ。正解や。流石やな浦島はんよぉ。わいはあのガキどもにやられたんちゃう。作者の都合で「昔々」のあたりからずっとこの状態でガキどもにリンチされてたんや。でも助かったわありがとうなぁ。お礼にわいの主人の乙姫様に会わしたるわ。感謝しいや。」

すると、浦島大郎は、皮肉気に唇を歪めて、「あぁ〜例の乙姫のババ…ゴホン、乙姫様、ねぇ?」と言いました。

それを聞いた亀は、顔が青ざめて、ブルブルと震え始めました。

「ちょ、それ、ホンマに内緒にしといてや。わい殺されてまうから。頼むから。」

浦島大郎は即答で了承しました。

亀がここまで恐れる乙姫様を見たくなったからです。

 

 

 

「で、俺を乙姫様のところに招待してくれるんだよね?ならお願いするよ?」浦島太郎がこう言うと、

「がってんでい!」と亀は答えました。というか、最後だけ江戸っ子風でした。

 

 

亀は、甲羅に浦島大郎を跨らせると、海に進んでいきました。

しかし、お忘れでしょうが、亀はすぐさっきまで子供たちに、リンチされていました。甲羅はひび割れていて、血も出ています。

そんな時に海に入ればどうなるか。

 

 

「な、なんや!?ちょっと、痛い痛い痛い痛い!!何でこんな痛いんや!?ってあのガキどものせいか!何にしてもくっそ痛い!てかやばい痛すぎて手足(ヒレ)動けへん!泳がれへん!不味い、沈む!」

 

 

そしてもう一つ。

浦島大郎は所詮ただの人間です。

そんな彼が亀に半ば引きずり込まれるような形で海中に沈められればどうなるか。

「ガボ、ガボボ、ガボボ、ガボガボ、ガボボガボボ、ガボボ、ががぼぼ、ガボガガボガボガボ!」(ちょ、くるし、息が、出来ねえ、このクソ亀、上がれ、上がれよ!死んじまうじゃねえか!)

 

 

こうして亀と浦島大郎は海底に沈んで行くのでした。

 

_____________________

 

 

 

浦島大郎と亀が目を覚ました時、そこは大きな城の前でした。

周りで魚が泳いでいることを確認して、浦島大郎はあることに気づきました。

「息が…出来る!? 」

 

亀が言いました。

「ここが竜宮城、乙姫様がおりはるところや。いいか?絶対機嫌を損ねるような失礼なことすんなよ?」

 

 

門が開きました。

中から大きな半魚人が出てきます。

ナイスバディで、腰のくびれも申し分ありません。

が、「すっげえブスじゃんか。ハハハハハ」

 

 

形容しがたいほどに、顔が残念でした。

 

 

「貴方、無礼よ!私に向かって!私が誰だか分かってるの!?」

「え?乙「姫」様だろう?その顔で名前に姫が入ってるって苦労しただろ?」

 

 

「ムッキー!亀!これはどういうことですか!浦島太郎は優しい好青年だ、という話ではなかったのか!」

「いやー申し訳ないわぁ、なんか思ったようなやつと違ってんなぁ。」

「そんな問題じゃないでしょう、どうするんですか!」

 

その2人(?)のやりとりに浦島大郎は口を挟みました。

「あのー」

「何ですか!(やねん!)」

「俺の名前は「浦島大郎(うらしまだろう)」ですけど。」

「「へ??」」

「いや、だから僕は浦島大郎です。太郎は双子の兄ですよ。そこの亀さんには「浦島はんやろ?」と呼ばれたので肯定しましたけど。」

「「………」」

 

亀と乙姫様は黙りこくってしまいました。

最初に口を開いたのは乙姫様でした。

「亀?」

「はい。」

「人違いのようです。彼は連れて帰り、次は本物を連れてきなさい。」

「はい。」

「ハハハハッ!まあいいけどね。面白かったから。あ、太郎はB専だから乙姫様はタイプかもね?」

「どういうことですか!?」

 

 

こうして浦島大郎は村に帰ることになりました。

この後の話は、皆さんも知っている通りです。

 

おしまい。

 




一言だけ。

誤字だと思ったか!わざとだよ!


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次回予告

今回は更新ではありません。楽しみにされていた方、申し訳ございません。
今執筆中のピザ・トーストさんのリクエストの「カチカチ山」の予告となっております。

更新自体はもう少し遅くなります。申し訳ございません。乞うご期待を。


その日、老爺は毎日畑をあらすタヌキを捕らえた

 

 

タヌキに迫る狸鍋の危機…

その時彼に救いの手が差し伸べられる…

 

 

これは、たぬきを相手取った、ウサギと老爺の復讐の物語…

 

 

「もう二度といたずらはしないかえ?」

「ああ、しない。だから、後生だから命だけは助けてくれ。」

 

 

 

破られる誓い。

殺され、鍋に入れられてしまう老婆。

 

 

「お前、自分が大好きなクソババア食ってやんのww」

「なんだと!?」

「騙される方が悪いんだよ!」

踏みにじられる思い。傷つけられる心。

 

 

そして老爺に差し込む一筋の希望の光。

「やぁ、いつもニンジンをくれてありがとう。ところでどうしたの?」

「それは許せない、僕がアイツをやっつけてやるよ。」

 

 

立ち上がる救世主。

「タヌキどん、タヌキどん、少し手助けしておくれよ。」

「そのくらいならお安い御用さ。」

 

 

「ところでウサギくん、、このカチカチ、という変な音は何の音だい?」

「ああタヌキどん、知らないのかい?この山はカチカチ山って言ってカチカチ鳥って鳥がカチカチって鳴くので有名なのさ。」

「へぇ、そうなのかい。」

 

 

「ウサギくん、ウサギくん、それじゃあこのボウボウという音は何の音なんだい?」

「タヌキどんはそれも知らないのかい?このあたりの谷はボウボウ谷と言ってね?ボウボウ鳥っていう鳥が巣を作っているのさ。」

 

燃え上がる背中。

「熱い、熱いよウサギくん、背中がとても熱いんだ!」

「太陽がよく照ってるからねぇ…」

「燃えてるじゃないか!ウサギくん、助けておくれよ、お願いだ、このままじゃ死んでしまうよ。」

 

 

 

大やけどを負うも九死に一生を得るタヌキ。

 

 

極上の笑顔を浮かべ、唐辛子入りの味噌を持ってタヌキの元へと向かうウサギ。

「タヌキどん、この前はすまなかったね、やけどに良く効く塗り薬を持ってきたんだ、塗ってあげるよ。」

「おおありがとう。」

「アッ!?痛い!痛すぎる!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」

 

 

悶絶するタヌキ、そして…?

「ウサギくん、どうしてオイラの舟を突き崩しているんだい?」

「タヌキどん、僕はずっと君に復讐をしたかったんだ。騙された気分はどうだい?タヌキどん。おばあさんの気持ちが少しでもわかったかい?」

「お願いだ!ウサギくん、今後は、今後こそはもうイタズラはしない!おじいさんの畑仕事も手伝う!だから!お願いだ!助けてくれ!そっちの船に、渡らせてくれ!死にたく、死にたくないよぉ…」

「君がおじいさんに言ったんだろう?「騙される方が悪いんだよ。」ってね。全ての罪を後悔しながら死ね!化けタヌキ!」

 

 

 

「ウサギVSタヌキ」

近 日 公 開




皆さんにお詫びいたします。次回予告と言ったな?あれは嘘だ。
一度やってみたかったのさ、予告詐欺というものを。リクエストして下さったピザ・トーストさんのご意向には少し沿っていない形になってるかもしれません。申し訳ございません。
というのも、カチカチ山のストーリーを微妙に忘れてしまっていて、Wikipediaで調べたところ、カニバリズムの要素も入った少し無惨なお話で、でもシリアスは桃太郎書いてる時に「性根に合わん」と思ったので、どうにかコメディにしたい、と思った結果こうなりました。

もう一度言います。これは次回予告詐欺です。本編に投稿する予定は一切ありません。

という訳で、次回の投稿は一寸法師となります。
よろしくお願いします。


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新訳:一寸法師

「は〜い、元気な男の子ですよ〜」


昔々、ある所に、ある日、新しい命が生まれた。
その男の子は、とても元気に、健康に生まれたのだが…
「ちっさ!?何じゃこりゃ親指1本分くらいの大きさくらいしかねえじゃねえか!」
おじいさんが年齢を忘れて突っ込んでしまうほど小さかった。




彼は一寸法師と名付けられ、すくすくと育っていきました。

おじいさんとおばあさんの間には長年子供ができず、挙句どちらが不妊の原因かということでよく喧嘩をしていたのが、一寸法師が生まれたことで解消され、家庭には再び暖かい空気が流れていました。

 

 

 

そして、一寸法師が生まれてから、六年が経とうとしていました。

一寸法師は寺子屋に通い始める年齢となりました。

 

 

そこで一寸法師は愕然としました。

これまでおじいさんとおばあさん以外の人間をあまり見てきていなかったので、ほかの子供たちとのサイズの違いを今になってやっと実感させられたからです。

 

 

そもそも一寸、と言ってもわかりにくいですが、要は約3センチメートル程です。

一般的な定規の長さが15センチメートルですので、その五分の一ですね。

 

 

逆に、周りの子供たちからも奇異の目で見られてしまいます。

自分の足首ほどまでしかない子供がペタペタと走り回るのです。

もしもわざとでなくても蹴飛ばしそうになってしまいます。

 

 

そしてそんな環境に一寸法師は徐々にストレスを貯めていきます。

 

 

そんなある日でした。

寺子屋に、藩主様に直接仕える上級武士が講師としてやって来ました。

彼は、藩の政治について考える、いわば参謀として藩主の右腕としてのポジションの者でした。

 

 

そんな彼が教えたのは道徳でした。

本来なら、歴史について教えるはずだったのですが、休み時間中の一寸法師の扱いを見て、彼は説教を始め、そのうち授業にくいこんでいってしまったのです。

 

 

しかし、その内容は、一寸法師を感動させるに余りあるものでした。

というのも、「一寸法師は確かに小さく、他のものと異なった外見をしている。しかしそれが侮蔑の理由になり得るのか?彼は小さくとも、君たちよりもしっかりしておる。見よ、この勤勉な態度を。君達が怠けている課題を、彼は毎度出しているそうではないか。それでも君たちは彼の事を劣っていると判断できるのかね?」というものだったのです。

 

 

そして、彼はそんな武士に憧れの念を抱き、あんな武士に自分もなりたい、そう思うまでになっていました。

 

 

家に帰って第一声が、「じっちゃんばっちゃん、オラ、サムライんなっぞ!」だったそうな。

 

 

しかし、身長3cmのサムライなんぞ、何も出来ないだろう、そう思ったおじいさんとおばあさんは、一寸法師を止めました。

別の道だってあるじゃないか、と諭そうとした日もありました。

それでも頑固な一寸法師は聞く耳を持たず、「いや、オラはサムライになんだ、そんで強くなるんだ。オラ、ワクワクすっぞ?」と言って聞く耳を持ちません。

 

 

説得を諦めたおじいさんとおばあさんは、針の剣を持たせて、お椀の船に乗せて一寸法師を送り出しました。

 

 

 

一寸法師がどんぶらこ、どんぶらこ、と川を下って到着したのは、武士たちが大勢いる、役所のようなところでした。

手始めに挨拶をと、「オッス、オラ一寸、ワクワクすっぞ?」と挨拶するも、体が小さすぎるせいで、誰も一寸法師に気づきません。

仕方なしに一寸法師が飛び跳ねると、数人が気づいてこっちを向きました。

「オラ一寸、サムライになっぞ!?」と言うと、一瞬の沈黙の後、爆笑がその場を満たしました。

 

 

 

「おまwwwその大きさでwサムライwww冗談はwwwよせよww」

みんなだいたいこんな反応です。

ムキになって一寸法師がひょこひょこと跳ねていると、貴族風の容貌の男が出てきて、「ほっほっほ、面白いではないか、一寸、と申したか?そなた、マロの娘の遊び相手になってやってくれんか?給料ももちろんやるぞよ?」と言いました。

一寸法師は渡りに船とばかりにその話に飛びつきました。

 

 

 

そしてその男(藤原磨呂(ふじわらのまろ)と名乗った)の家に行くと、そこには美しい娘がいました。

 

 

娘も最初こそあまりに小さすぎる一寸法師に警戒していたものの、数日経てば打ち解け、一寸法師はとても良く可愛がられており、外出する際の篭の中にも同行するまでになった。

 

 

そんなある日だった。

表が随分と騒がしいと思うと、鬼が突風に化けてびゅうっとあっという間に娘をさらっていってしまったのです。

あとには一枚の紙が置かれていました。

 

「この雌は頂いてくぞ?柔らかくて美味しそうだ。」

 

 

これに激怒したのは一寸法師です。

怒りのあまりオーラのようなものを放ちながら、「娘のことかァッ!!」と怒鳴っています。

 

 

そして地を蹴って館を飛び出すと、鬼の本拠地に向かいます。

 

 

そしてそこに到着した時、一寸法師が見たものは。

気絶する娘の頬を気味の悪い笑みを浮かべて撫ぜる藤原磨呂でした。

 

 

「おい…藤原磨呂…お前、何してんだ?」と、浦島大郎が問うと、「藤原磨呂?そんな者はもうとっくに死んで居ない。俺は最強の鬼の1人、茨木童子だ!」

そういうと、藤原磨呂、いや茨木童子は正体を表した。

全身が針金のような短い毛で覆われていて、筋肉が隆々としており、顔はおぞましく、息はヘドロのような臭いがします。

 

 

茨木童子はなおも語る。

「こいつの父親はとうの昔に食い殺してやったわ。そして俺は当の父親に化け、絶望に苦しむ顔を見ながらこいつを食ってやるのさ…その次はお前さ…お前のような小さな人間は見たことがない…どんな味がするか…とても楽しみだ…」

 

そこまで聞いた一寸法師は激昂して、茨木童子に飛びかかりました。

その体の小ささを生かして、茨木童子の筋肉のコブを足場にして飛び跳ねながら攻撃します。

 

 

しかし所詮針の剣では、ダメージなど与えられません。

一寸法師はついに茨木童子に捕らえられてしまいました。

「忌々しいチビめ!お前から先に食ってやるわ!」

そう言って茨木童子は一寸法師を丸呑みしました。

というか、噛むには小さすぎました。

 

 

そして目覚めた娘を今食おうかというその時でした。

茨木童子の腹部を激痛が襲いました。チクチクという何かが刺さっているかのような、否、何かが刺さっている猛烈な痛みが茨木童子を襲います。

もはや娘を食うどころではありません。

腹の中から声がしました。

「もう降参すっか!?」

茨木童子は痛みに耐えかねて、「ああお願いだ。助けてくれよぉ…」と言いました。すると、茨木童子の鼻の穴から、一寸法師が出てきました。

それとほぼ同時に茨木童子は腹を押さえて焦って逃げていきました。

 

 

そして茨木童子がいた所には、金色の小槌がありました。

慌てて娘の縄を解いてから、「この小槌はなんだ?おら、こんなの見たことねーぞ?」

「何でしょうねぇ?」

そういいながら娘が、適当に小槌を振ると、一寸法師が一回り大きくなりました。「あれ?姫様ちっさくなったか??」

もう一度、もう一度と振っていくと、一寸法師はどんどん大きくなっていき、立派な若者になりましたとさ。

 

めでたしめでたし。




なんか今回は不完全燃焼な感じがする…もしかした書き直すかもしれないです。

次回投稿日は決まっていません(いつものことですね)
まあゆるゆる待っててくださいね。


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コラボ回!「鶴の恩返し」

今回は活動報告でピザ・トースト様とのコラボ回になります。
僕はおじいさん視点、 ピザ・トースト様が鶴目線になります。

が、没になった方も勿体ないので同時に投稿します。
前置きが長くなるのもどうかと思う上にこの記念すべきコラボ回で前書きをずらずら書くのはどうかと思うので。
それでは、どうぞ!


はい、罠にかかった鶴を見つけました。ありがとうございました。

 

 

いかんな、少々取り乱しておった。ワシは名も無きおじいさんじゃ。

いやはや、自分で自分のことをおじいさんというのも何か心苦しいものがあるがそもそもそれ以外の名前が無いのじゃから仕方が無い。

ワシがもしギャグ好きだったなら「吾輩は爺である。名前はまだない。」とでも言っておくところじゃが、生憎ワシはクソ真面目な性格での。

そんなギャグは性に合わんわい。

 

 

また話がそれたの。

相当ワシも混乱しとるらしい。

まあ落ち着いて話そう。

そうじゃ。ワシは「くうる」なのじゃ。断じて取り乱したりはせんのじゃ。

 

ありのまま今起こったことを話すぞ。

ワシは猟師なんじゃが、今日も1人で狩りに出て、昨日仕掛けておいた罠になにか掛かっているかと思って見回っていたんじゃよ。

そうしたらそこに純白の鶴が1羽かかっておった。

何を言ってるか分からないとは思うがワシにも何が起こったのかよく分からなかった。

偶然とか幻覚とか、そんなちゃちなもんじゃあ断じてない。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったんじゃ…

 

 

ゴホン…

そもそもこの山に鶴がいるなんて話見たことも聞いたことも…

居た!目の前に居たんじゃった…

 

 

 

ではなくじゃな。

そもそもわしが仕掛けたのはタヌキ用のやつじゃったんじゃよ。

縄で出来てて掛かったらタヌキが掛かると宙吊りになるヤツ。

 

 

そこに鶴がかかろうと思ったら何じゃ?靴を履くみたいに足を突っ込んで自分で締め付けるのか?

鶴ってあれなのか?「まぞ」というやつなのか?

 

 

何?お前は誰じゃ。

え、作者というのかお前。

で、何のようじゃ?

何?この時点で630文字越えてるのに話が全く進んでない?

冒頭部のお約束の「昔々〜」のくだり全部カットしたのにって?

そんなことは知らんわい。

え?鶴はこの間ずっと宙吊り?作品内時間で15分間?

結構経っとるんじゃのう。

 

 

 

「とりあえず。」

わしは惜しげもなく初セリフを使って状況をまとめる。

「何にせよ鶴を捕まえる気なんぞ元よりないわい。逃がしてやるとしようかのう。」

そう言いながらワシは鶴の罠を外してやった。

 

 

 

鶴は「ケーン」と一声鳴くと、空に高く飛び上がり、姿が見えなくなった。

 

 

そう。これで終われば平和だったのじゃ。

 

 

若くて美人な女の人が一人で家に訪ねてきました。襲ってもいいですか。

 

 

いやはや、またも取り乱してしまったわい。これは違うんじゃ。だからばあさんや、お願いだからあの世から呪うのはやめとくれ。

外は珍しく吹雪なんじゃが、その吹雪に見舞われて若くて美しい女が一晩泊めてくれと訪ねてきたんじゃよ。

 

 

ただ不審なのが。

女の着物は一滴も濡れておらず、寒そうな様子もないことじゃのう。

別段唇が蒼いという訳でもないしのう。

 

 

とりあえず家に迎え入れて、「少ないとは思うがこれくらいしか出せるものがないんじゃ。すまんのう。」と言いながら今食べていたタヌキ汁の残りをお椀に注いで出す。

 

 

 

女は、一口飲んでから、「美味しい…」と漏れ出すような声で言い、その後に「ありがとうございます…」と言った。

余談じゃが綺麗で可愛らしい声じゃ。

 

 

そのまま女は上品さを崩さない程度に勢いよくタヌキ汁と白飯を完食した。

よほど気に入ったようじゃな。

わしも嬉しいわい。

 

 

それから少しばかりしてから、女は「お世話になりました。何かお礼をしたいのですが…」

そう言って周りを見回して目を留めたのはわしの服。

そういえば穴が空いていても小さければそのままにしてしまっている。

 

 

「貴方の着物を織らせていただこうかと思うのですがこの家には機織り機はありますか?」

「あ、ああ。隣の部屋にあるぞい。ワシの着物を織ってくれるのかの?ありがとう。」

「いいえ、お礼を言うのはこちらの方ですし。ただ一つお願いなんですけど、私が着物を織っている間、襖を開けないで頂きたいのです。」

「あ、ああ。分かった。」

 

 

それから数時間ばかりが経った。

小説とは便利なものじゃ。この数時間そわそわしていたんじゃぞ?

というかこの襖開けたいんじゃが。ずっとトッタン、パッタンって機織り機の音だけしかしないし。

布も無しにどうやって織ってるのか気になるわい。

 

 

……………………

 

 

 

ええい開けてやるわい!

 

 

カラカラッ!

 

 

「えっ…」

ストンッ

ワシの驚いた声と織りかけの着物が床に落ちる音がする。

 

 

 

そこには、1羽の純白の鶴が居た。

「あ、ああ…」

ワシは自分がとんでもない失敗をしてしまったと今更悟った。

 

 

鶴はすっくと立ち上がったかと思うと、女の姿になった。

女はとても悲しそうな顔で、「私は昼間の鶴です。助けてもらった恩を返しに来たのですが…見られてしまっては仕方ありません。本当に、本当に、ありがとうございました。」

そういうと女は再び鶴の姿になると、窓から飛び立っていった。

 

 

ワシはずっと、吹雪で白い空を見ていた…

 

 

 




さあ、僕は鶴についてほとんど描写していません。鶴目線をどう書くのか!?僕も楽しみです。
なお、もう一つの方の鶴の恩返しの方は、前書き、後書きはこちらの話で書き尽くしてしまったので書かないつもりです。
次回は通常回でちょっと昔話から離れて、走れメロスを投稿するつもりです。投稿は遅くなるとは思いますが、よろしくお願いします。


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つるの恩返し

注:これはコラボ回ではありません。


昔々、あるところにおじいさんが居ました。

はい、お約束です。むしろ昔々〜で始まらない昔話があるだろうか、いいやないだろう(反語)

 

 

おじいさんは山の奥に建っている、ボロ…ではなく、風情のある古民家に住んでいました。

ちなみにおじいさんの職業は猟師です。

狩るのは人里に出てきては悪さをするタヌキや、人間を襲って殺す熊や猪などです。

 

 

ある冬の日のことです。

おじいさんはいつものように相棒である火縄銃を片手に山に入りました。

 

 

そして昨日のうちから仕掛けておいたタヌキ用の罠のところに行くと…

「ケーンケーン」

綺麗な白い羽を持つ鶴が掛かってました。

 

 

「おっ今日は鶴鍋か。美味しそうだな。」

おじいさんはこれ幸いと家に鶴を縛って持って帰り、そのまま捌いて血抜きまで器用に済ませて晩御飯にしてしまいましたとさ。

おしまい。

 

 

「これ!やめんか!話が終わってしまうではないか!そもそもわしは鶴を食べるほど残酷なことはせんわ!」

 

 

だそうなのでおじいさんは可哀想なので鶴を食べずに逃がしてあげました。

完全なるご都合主義です。

むしろこれこそがご都合主義です。

例として使っていただいてもいいほどです。

 

 

「早く話を進めるんじゃ。これじゃいつまでたっても終わらんじゃろうが!」

 

 

おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きm…

 

 

「それは桃太郎じゃよ!もう終わっとるじゃろうが!またニートな桃太郎と美人な竹娘の話を書くのか!?」

いや、そのツッコミは正しいけど竹娘って…

 

 

そんなおじいさんの独り言があったかなかったかはさておいて、おじいさんは鶴を逃がしてあげた後に、猪を数頭仕留めて家に帰りました。

 

 

その日の夜は滅多にないほどの大吹雪で、家の外ではごうごうと風が吹いていました。

 

 

おじいさんは薪に火をつけて、お湯を沸かして、猪鍋を食べて体を温めていました。

 

 

すると…

コン、コン

木で出来た家のドアがノックされました。

 

 

「ハフハフ、熱々、猪鍋はうまいのう」

しかしおじいさんは返事をしません。

 

 

ドン、ドン

ドアが再び勢いよくノックされました。

 

 

「いやはや外は寒そうじゃのう…こんな日は外に出ないのが得策じゃて…」

しかしおじいさんは返事をしません。

 

 

ドス、バキ、ガッシャーン

強く殴りつけられたドアは、とうとう粉々に砕けてしまいました。

 

 

「…………」

「…………」

 

 

そして粉砕されたドアの向こうには真っ白な肌に真っ白な着物、そして髪を垂らした女性がいました。

桃太郎回の時のかぐや姫を連れて。

 

 

そして始まるリアル鬼ごっこ。

どこかで見たことがある展開?イヤーシラナイナー

 

 

火縄銃を取り出し、女子供二人組をまとめて始末しようとするおじいさん。

させるかとばかりに火薬を湿らせて撃てなくする作者。

追いかけるs子もどき×2

猛烈な勢いで逃げるおじいさん

 

 

え?こんなカオス空間を前に見たことがある?

だから言ってるでしょう作者は知りませんよ( ー`дー´)

 

 

それはさておき訪ねてきた女性に捕まったおじいさんはというと。

 

 

「ねえ、こんなか弱い「れでぃ」を吹雪の中で放置するってどうなのかな?「じぇんとるまん」としての心意気はどうしたの?」

「はい、ほんとすみませんでした。許してください。」

 

 

謎の女性に詰め寄られてしゅんとしていました。

ちなみに子供はいつの間にかどこかへと姿を消していました。

 

 

「とにかく今晩この家に泊めなさいよ。別にあんたの家だからってわけじゃないんだからね!?」

「あ、はい」

 

 

女性はおじいさんの家に泊まる事になりました。

貞操観念的なものは無いのでしょうか。

 

 

 

女性は照れ隠しにツンデレ口調になりながら言いました。

「す、少し花を摘みに言ってもいいかしら?別に雪隠に行くわけじゃないんだからね!?」

 

 

その後は2人でタヌキ鍋を食べて、少しの間のんびりしました。

すると、女性がすっくと立ち上がって、「隣の部屋に機織り機あったわね?少し借りるわよ?お世話に…なっちゃったし…」と言いました。

顔を背けて赤くしながら最後の方はボソボソと。

おじいさんの中に忘れかけていた恋心のような何かがもう1度燃え上がったような気がしました。

 

 

「わ、分かったわい。」

おじいさんも少し照れているのかぶっきらぼうに答えました。

そして女性は隣の部屋に篭もりました。

 

 

そこからはトッタン、パッタン、トッタン、パッタンと機織り機の音だけがしてきます。

おじいさんは女性が何をしているのか無性に気になってきました。

 

 

他のことをして気を紛らわせていられたのも最初のうちだけ。

そしておじいさんはとうとう隣の部屋につながる襖を開けてしまいました。

 

 

するとそこには自分の羽根を抜いて出来かけの白い着物を織っている鶴がいました。

鶴は女性の姿になってから、「せっかく恩返ししようと思ったのに…あんたのことも嫌いじゃなかったのに…バカ…でも、色々ありがとね。さよなら。」

そう言うと再び女性はつるの姿となって吹雪が収まらぬ山の中へと消えていきました。

 

 

おしまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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走れメロス(ハードモード)王宮編

投稿が、投稿が…一ヶ月も遅れましたことを心よりお詫びいたします。
メロスの原案ができなかった…全然ちゃかせないぞメロス…恐るべし太宰治…
ということでお待たせしました。すみませんでした。

それではどうぞ本編へ…


メロスは激怒した。必ずかの邪知暴虐の王を取り除かねばならぬと決意した。

 

「何だよ…俺が登場する話いっつもそれかよ〜…」

うん。まあお約束だし。

 

 

王は日々人間不信に苛まれていた。

というのも先代の父王が亡くなった際に、王位継承権を信じていた二人の弟が言葉巧みに自らのものにせんと言い寄ってきたからである。

最終的に2人を処刑することで事なきを得たのだが…

 

 

「いや、そういう設定ないよ?ぶっちゃけわし妹しかおらんのじゃよ?」

いや、そういう設定でお願いします…(小声

「うむ…仕方あるまい…」

 

 

そして王は国民に自らの暗殺の容疑をかけて次々に処刑していった。

「え?え?ワシってそんな事したっけ?覚えがないんじゃが?」

しーーっ!!

そういうことになってるんです!

 

 

そして王は日々誰かを処刑する…

今日は誰か、明日を生きる国民はひっそりと息を潜めてやり過ごしていく。

 

 

「ちわっす王様、殺しに来たぜ?」

このやたらと能天気な男以外は。

「ま〜たお前さんか。あんたは何がしたいんじゃ?わしの暗殺未遂、今日で158回目じゃろう?死にたがり屋なのか?というかはっきりいってもう相手するの面倒臭いんじゃが?」

「ならサクッと殺されてくれりゃあいいじゃんかよ〜なんで毎度毎度防ぐかなぁ…」

「ワシはお前さんとは違って死にたがりではないのでな。」

 

ホッホッホ、と王は笑う。

何を隠そう、この2人、とても仲が良いのである。

 

 

「とはいえ罪人は処罰せねばならぬの。皆のもの、」

訂正しよう。仲が良かったのである。

「かかれぇー!」

 

王は常々考えていた。

メロスのような者がいるとそれに乗っかって自らを殺そうとするものが増えるのではないか、と。

そして昨晩、彼は結論を出した。

「暗殺者が増えて困るなら、殺して減らせばいいじゃない。」

中世ヨーロッパのマリー・アントワネットのような暴論とともに。

え?最初からそうすればよかった?知らないですぅ。

 

 

そんなわけでメロスは護衛隊にあっさり捕まり、磔にされた。

しかし、メロスも一筋縄で行く男ではなかった。

 

 

 

「いや、すいませんでしたって。ただ妹の結婚式だけ行かせてくれね?ほら、この街に住んでる親友のセリヌンティウスを人質にするからさ。大丈夫、三日で帰ってくる」

 

 

「セリヌンティウス」は、メロスの人質にされました。

 

 

「うわぁぁぁぁあ!」

とてつもない叫び声を上げながら引っ捕らえられたセリヌンティウスが、メロスと王様がいる王宮に入ってきました。

 

「メロス…お前って奴は…」

邪知暴虐()の王様もこの所業には呆れ顔です。

 

 

「あのな…」

すぐに王宮を飛び出そうとしたメロスに磔にされたセリヌンティウスは声を掛けます。

 

 

「本来ならここからお前の家まで10里なんだがな…」

「お、おう…」

 

「それじゃ余裕で帰ってこれるだろうから軽く15里にした上に途中の苦難も更に困難になってるからな?でも帰ってこいよ?」

「なん…だと…」

 

「帰ってこねえと、即座にお前の妹が鬼畜なR-18ルートに上で王様に処刑されるからな?」

「みんな…死ぬしか…ないじゃない…」

 

 

 

 

さあ唐突に始まったメロスの旅路(ハードモード)。一体メロスは三日で帰ってこられるのか!?そして一蓮托生のメロスとセリヌンティウスとメロスの妹の運命やいかに!?

 

 

続く…

 




ということで今回は前後編となります。次はメロスの往復路&帰還です。
ちなみにこの原案を思いついたのが、某中学生の方が発表した、日が沈んでいく描写と10里という本来の距離から速度を計測した結果、早歩き程度の速度でメロスが帰ってきた、という論文を思い出したからです。
気になった方は「走れよメロス」と検索してみてください。

後編もなるだけ早く投稿します。が、頑張ります(震え声)
それではまた会う日まで〜


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走れメロス(ハードモード)往路編

またも結構な日にちが空いてしまった。マジで茶化しづらいなこの小説。参りました…
今回はメロスにあんなことやそんなことが!?
さてメロスは生きているのか!?その辺りも気にしながらお願いします〜


何はともあれメロスは自らの住む村へ急いだ。

セリヌンティウスは困難があることをほのめかしはしたがどんな困難が…

 

 

「早速か…こんな川、シラクスに行く道中にあったっけ…」

 

あるのだろうか、と地の文を書く前に最初の困難が来てしまった。

目の前には何故か大量のピラニアとワニが悠々と泳ぐ大河がある。

 

 

「ま、泳ぐしかないですよね〜ハハハ」

メロスは乾いた笑みを漏らしながら着衣水泳に挑んだ。

 

だがしかし。困難は続く。

水面に飛び込んだタイミングでこむら返りを起こしたのである。

 

「ガボ、ガボボボ」

メロスは右足が使い物にならないことを察し、左足をばたつかせ、後は手で掻くことで進もうとする。

 

 

そこに獲物の到来を察知したワニが襲いかかる。

ワニはぐったりとして動かないメロスの右足目掛けて噛み付く。

慌ててメロスは流れてきた手頃なサイズの木の棒でワニを殴りつける。

何度も何度も殴りつける。

やがてワニは諦めてどこかへと泳ぎ去った。

 

 

 

メロスがああ助かったと一安心した時だった。

ピラニアの大群が向かってきた。水面が真っ白になる勢いで。

その時、メロスには神(作者)の声が聞こえた気がした。

「そんな都合のいい事が起きるとおもった?」と。

 

 

そもそもピラニアは血の匂いで獲物を見つける。

つまりメロスの周りに血が存在しない限り、ピラニアは全く無害な金魚と同じだったのだ。

しかしワニに襲われたメロスはそんなことなどつゆ知らず、ワニを幾度となく殴打した。

その結果、ワニの体表をおおう鱗は割れ、血が出た。

そしてそれを追うピラニアは見つけた。

片足が全く動かなくなってしまったメロスという獲物を。

 

哀れメロスは1000匹もいようかというほどのピラニアに一斉に襲われる事となったのである。

しかし惜しむらくは、もうすぐそこに川べりがあったことである。

ワニから逃げ、ピラニアから逃げるうちに、彼は思わぬほどの速度で河を渡っていたのである。

 

 

そしてピラニアがメロスの右のつま先をかじろうとした正しくその時、メロスは対岸に手を付き、足を引き上げた。

ピラニアは逃がすかとばかりに水面から飛んでメロスに食らいつかんとするが、どうにもこうにも上手く行かず、数匹は河原に打ち上げられてしまった。

 

 

そして大河を泳ぎ切ったメロスは、空腹を感じた。

もう日が傾き始めている。

元より昼食も口にしていない。

 

そこでサバイバル精神(笑)に溢れるメロスは打ち上がったピラニアを食べようと思った。

「都合よく」周りには燃えやすい木の枝が落ちている。

それを並べて山のようにし、持っていたマッチに火をつけようとする。

もちろん火がつく訳もない。

 

 

みなさんは覚えておられるだろうか。メロスはつい十分前まで「着衣水泳」をしていたのだ。

もちろん防水加工などされていない服のポケットに入っていたマッチは完全に水に浸かって使い物にならない。

仕方なくメロスは木と木を擦り合わせて火を起こそうとした。

 

が、火は一向に起きない。

というのも、メロスの火の起こし方はテレビで聞きかじった程度の知識からなるものである。

それを素人のメロスが簡単に出来るはずもない。

それにそもそもその番組では一瞬で火がついたように放送されていたが、それは編集。実際には膨大な時間が流れていたのである。

 

 

 

「つ、点かねぇ、どうすりゃいいんだ」

などとブツブツいいながら木を擦り合わせる成人男性。

服は川の泥に塗れてかなりみすぼらしくなっている。

傍から見ればかなり変な人である。

 

 

数十分後に、火は点いた。

しかしながらその頃にはもうメロスの社会的地位は地の底まで落ちてしまっていた。

 

 

そして川の水でピラニアについた泥を洗い流し、川辺の綺麗そうな木の棒を刺して、焼く。

 

「上手に焼けました〜」

そんな声が聞こえた気がした。

 

 

 

ピラニアを食すというややグロテスクな事をしたあとメロスは再び走り始めた。

こむら返りは既に治っていた。

あと13里も残っている。

急がなくてはいけない。

そう思うのに。

太陽はさんさんと照り輝く。

そのくせ乾いた北風がぴゅうぴゅうと吹き付ける。

 

 

その頃空では。

太陽「あのメロスという男の服を脱がせた方が勝ちだぞ?」

北風「よかろうなのだ」

そんなやりとりがあったりした。

 

 

「あづい…あづいいよぉ…」

うなされるように唸るメロス。

彼は最早歩く程度のスピードで進んでいた。

 

 

「嗚呼妹よ…我が最愛の妹よ…もしかしたらもう会えぬかもしれない…このような不甲斐ない兄を許しておくれ…」

往路で既にこの始末である。

そもそもこれはまだ3つ目の試練。この先にも困難はまだまだ続くのだが…

 

 

「ああ、暑い暑すぎる。どうにもこうにもおかしすぎる…どうしてこんなに暑いのか…喉が渇いてきた…」

 

 

 

そんなメロスの目の前にはオアシスが現れた。

 

 

「水…?水だ!水がある!水があるぞ!!」

大興奮のメロスとは裏腹に、空では、

太陽「結局服は脱がせられなかったではないか。」

北風「暇つぶしにはなったしよかろうなのだ〜♪」

そんなやりとりがあったとかなかったとか。

 

 

ともかくオアシスを見つけたメロスはそんな元気があったのかという勢いで走った。

ウルサイン=ボルトも顔負けのスピードで走って走ってコケて。

メロスは膝を擦りむいた。

結構シンプルに痛かった。

 

 

 

痛む膝を抱えながらメロスはオアシスに到達した。

ここまでたくさんの苦労があった。

だがしかし。

水、水である。

泉として湧いた綺麗なはメロスの体に染み渡った。

 

 

ああどうした事だろう。

これまでにたくさんの美味なものを食してきたメロスではあったが、この水以上に美味いものを口にしたことは無いように思えた。

メロスは感涙の涙を流した。

次から次へと涙がこぼれて、またこぼれて、止めることが出来なかった。

こうして時間は刻一刻と過ぎていく。

 

 

しばらくして落ち着いた頃、メロスは再び走り出した。

が…しばらく走りった頃、メロスの腹に激痛が走った。

よく考えてみて欲しい。

いくら綺麗に見えたとはいえメロスが飲んだ水は生水である。

生水を加熱もせずにそのまま飲んだらどうなるか。

脱水症状に陥りかけていたメロスにその判断を下す余裕はなかったのである。

 

 

というか水を飲んでも腹痛、飲まなければ水分補給が出来ずに死亡、という最悪の二者択一だったのである。

 

 

 

(ここからはジャック・オルフェンバック作曲の「天国と地獄」をBGMにお送りします)

 

 

さあメロス選手、腹痛をこらえ、雄叫びを上げながらも走る、走る。

もはやその目には何が何が映っているのか、狂気が宿っています。

おおっとここで足が止まったぁぁあ!

お?口を抑えて腰を屈めて口かr「ピーーーーーーーーーーーーーー(自主規制)」

さあそうこうしつつもオアシスを超えてから10里を超えたァ!

あと2.3里ほどしか残ってないぞ!?

さあメロスのおケツがボンバーイェイするのと故郷に到着するの、どちらが先だ??

ここで妹が待つ故郷が見えてきたぞ!!?

メロスの肛門からは最早常時と言っていいほどの頻度でオナラが出ているぅ!

限界も近いかという所でゴールイン!!!

 

 

 

 

「メロスは自分の住む街に帰ってきました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前後編にするといったな?アレは嘘だ。
思ったよりも文字数が多くなりそうだったので往路と復路で分けます。すみません。


次回、感動の結婚式。そして…?


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走れメロス(ハードモード)復路編

よしメロス完結!
今回は新たな試みも投入しています。なんといっても記念すべき第15話ですからね。願わくば千夜一夜物語のように長く続く短編集になりますように。
なかなか長くなってしまいましたが収めました。少し無理やりな感じもありますが…
ということで本編へGo!


「よっしゃ故郷きたぜ!」

 

 

今メロスがいるのはシラクスの街から15里離れたスリッカの村。

メロスの故郷である。

そしてメロスは自分の家にまっさきに帰ったのだが…

 

 

「ただいま〜」

「………………」

「あれ?おっかしいな?妹の声がしない。よしもう一度。

ただいま〜!!」

どうやら返事がないようだ。

ところで今の時刻をご存知だろうか。

誰も出歩かない丑三つ時、今でいう夜中の2時〜2時30分くらいである。

そんな時に大声で叫べばどうなるか。

 

 

 

「こら〜何時だと思っとるんだ!!」

隣人に殴りこまれる。

もっと言えばのちのちにも繋がる隣人トラブルにもつながりかねない。

しかしメロスの方が一枚上手であった。

 

 

 

「すみません、うちの妹知りませんか?」

何度も繰り返すが今は夜中で相手は殴り込んできた隣人である。

呆気に取られた隣人は「あ、ああ、つい今晩にアンタを探しにシラクスの街に行ったよ?会ってないのかい?」

どうやら入れ違ってしまったようである。

 

 

「は?え?嘘ォ?マジで?えぇ〜〜!?」

 

 

 

そしてここで繰り返そう。

 

 

メロスは激怒した。

 

 

 

 

 

 

かの邪知暴虐の王を

 

 

 

 

 

 

必ずや取り除かねばならぬと決意した。

 

 

 

 

 

 

 

その怒りはもはや逆ギレではあったがメロスにもう一度シラクスへ向かわせるのには十分な気力を与えた。

 

 

「だぁら!クソッタレがぁぁあああ!」

 

メロスは駆け出した。

もはや恥も外聞も何もかも気にせずにシラクスへと走った。

 

 

 

 

夜はひどく冷え込む砂漠は自らが走って生まれる熱のおかげでビクともせずに走り抜け。

眠ったワニの頭上をバランスを取ってぴょんぴょんと飛び越えて。

瞬く間にシラクスの街が見えてきたその時。

 

 

ゴッ!ガッ!メキッ!

鈍い音がメロスの鼓膜を揺らした。

 

 

「!?」

 

 

大事なことなので何度もいうが今は真夜中である。

そんな中誰がそのような音を発したのか。

その答えはすぐにメロスが知ることとなった。

 

 

「あ、メロメロスお兄ちゃん!」

「お前、わざとだろ」

「噛みまみた」

「わざとじゃない!?」

 

 

メロスの最愛の妹が、ある意味変わり果てた姿でそこにいた。

というか返り血を浴びまくっている。

よく目を凝らすと足元に数人男が気絶して転がっている。

身なりからして盗賊だろうか。

 

 

メロスの思考が自動的に現実逃避の方向に向かったその時であった。

「お兄ちゃんが帰ってくるのが遅いからぁ〜私の方から来ちゃった☆」

「いや、来ちゃった☆じゃないよ!何してるの?俺は盗賊を1人でボコボコに出来るような妹は知らないよ?」

「いやいや〜こいつらが弱かったんだって〜ヤダな〜お兄ちゃんったら〜」

「おい、そいつ普通に刃物とか持ってるからね?素手で撃退はおかしいからね?」

「まあいいじゃない、作者さんが早く話を進めろって怒ってるし、早く帰ろうよ、私こわぁーい」

 

 

何が怖いんだ、そう思いながらメロスはスリッカへと帰り始めた。というか休憩もなしに45里である。

本当に頑張っていると思う。

 

 

そんなこんなで歩いていた時であった。

「おうおうおう、ちょぉっと待ちぃなそこの兄ちゃん姉ちゃん」

スタスタスタ

「待てや言うとんねん」

スタスタスタスタスタスタ

「おいごらナメとんのか、我ぇ?チョーシこいとんちゃうぞ?あぁん?」

スタスタスタスタスタスタスタスタスタ

「いや、ホント止まってくださいお願いしますってば」

するとメロスと妹はニィ〜〜っと笑って

「そうそう、最初っからそういえばいいんだよ〜」

「そうだよ〜偉そうに言われたら止まりたくないよ〜」

「「ねぇ〜?」」

 

 

ほんと、この2人、やりたい放題である。

 

 

「おいそこの女ァ!ようよう見たらアンタ、ウチのツレが世話なったのう?」

「何?え?お兄ちゃん助けて怖ぁい」

 

妹は可愛こぶって兄の背中に隠れることにした。

 

 

「おうおう、お前こいつの兄貴かぁ?そんなら黙って着いてきて貰おk」

 

 

盗賊は何が起きたかわからなかった。

話していたと思った次の瞬間には顔に拳がめり込んでいた。

本当にこの兄妹、何なんだ。

そう思いながら彼は意識を手放すことになった。

 

 

「さぁ、行こうか。」

「うん☆」

この兄妹、何かおかしい気がする。

 

 

こうしてメロスは再びスリッカに帰ってきた。もう既に日が登りつつある。

王にもらった猶予の二日目である。

3日めの夕日が沈むまでにはシラクスに帰らなくてはならない。

 

 

 

メロスはほうぼうに謝って回り、妹の結婚式の準備をした。

 

 

昼の12時に挙式の運びとなった。

色々事情はあれど、妹の結婚は嬉しいものである。

両親を早くに亡くしたメロスは妹の親代わりとなって必死に育ててきた。

色々と足りない事もあったが妹は元気すぎるほどに元気に育ってくれた。

ああ、あの新郎ならば妹を大事にしてくれるであろう。

お陰でメロスは何の心残りもなく処刑され、逝くことが出来る。

 

 

そんな思いが胸を占めている中、兄からの祝辞の時間となった。

メロスは胸が詰まって何も言えず、ただ泣き出してしまった。

妹は苦笑し、その他の者は冷やかしの声をかけてくる。

その暖かい雰囲気がメロスの死への恐怖を打ち払い、勇気を与えるのである。

 

 

こうして結婚式はつつがなく進行された。

しかしここでめでたしめでたしとなる訳もない。

この話はそんな親切には出来ていないのだ。

 

 

結婚式のあとの宴にて…

 

 

「おいアンちゃんもうちょっと呑んでけよ〜ヒック」

メロスは酔っぱらいに盛大に絡まれていた。

 

 

「めでたい宴だろ?もっと楽しもうぜ〜」

「そうだぜアンちゃんよぅ〜」

しかも複数人だった。

 

 

メロスの心はもはやそのような事には少しも興味がなかった。

ただ、早く死にに行かなければ、その思いだけだった。

ちなみに昨晩は一睡もしていない。

少し眠って出発したいというのが本音であった。

 

 

だというのに。

酔っぱらい1「アンちゃん〜」

酔っぱらい2「アンちゃん〜」

酔っぱらい3「アンちゃん〜」

 

 

鬱陶しいと感じたメロスはついに激怒し、酔っぱらいの顔面に強烈なアッパーを1発ずつ決めて、宴会から逃げ出した。

そして家で深い眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルッポークルッポー

鳩の鳴き声で目が覚めたメロスは現在時刻を確認する。

 

 

「は?」

10:27を表示するディジタル(ネイティブ風の発音で)時計を見てメロスは絶句した。

完全に寝坊である。

今は冬であり、日が沈むのも早い。

しかも「不幸」な事に今日は冬至、一年で一番日が沈むのが早い日である。

 

 

 

「ちょ、やばいやばいやばいやばばばばばばbbbbbb」

メロスは奇声を上げて走り出した。

と、その進路を塞ぐものが1人。

 

 

「お兄ちゃん、また行くの?」

メロスの妹である。

 

 

「お兄ちゃんは、私のことを置いてまたどこかへ行くの?」

「いや、ちょ、急ぐからそこどいて…」

「そっか、私なんて、私の事なんてどうでもいいんだね…」

「あぁーー!もうめんどくせえな!早く行かせてくれよ!」

 

 

 

メロスは駆け出した。

後ろには泣き崩れる妹が居たがもう気にしないことにした。

そうしなければメロスは走れなくなるような気がしたからである。

こうしてメロスは最も大事にしていた妹との絆を失ったのである。

 

 

 

メロスはスリッカをあとにして駆け出した。

もはや何も悔いはない。

メロスは死ぬために、そして死ぬ間際に王を嗤うために走るのである。

それがメロスという男の生きざまであった。

 

 

 

 

「おいそこの兄ちゃん?アンタ、メロスとかいうもんとちゃう?」

「あ、王様の手のものですね、帰ってどうぞ。」

「あふん」

王様が差し向けた山賊を打ち払い。

 

 

 

 

「おにいぢゃーん!!」

号泣しながら追いかけてきた妹を振り払い。

 

 

「あなたが落としたのはこの金の斧ですか?それともこっちの銀の斧ですk」

「すいません!斧は落としてないです!」

唐突な女神様の質問をバッサリと断り。

 

 

 

「オラぁ!」

「ソ、そこの兄ちゃん、助け」

「ごめんなさい他の誰かを頼ってね」

子供達にいじめられる亀を冷たくあしらい。

 

 

 

どんぶらこ〜どんぶらこ〜

はっけよ〜い!のこった!

川から流れてきた大きな桃とその横で相撲を取る熊と少年を完全にスルーして。

 

 

 

「…………………………………」

燦然と輝く竹の横を走り抜け。

 

 

 

 

轟々と流れる濁流を泳ぎ切り。

 

 

 

 

「お願いだ! ウサギくん、今後は、今後こそはもうイタズラはしない! おじいさんの畑仕事も手伝う! だから! お願いだ! 助けてくれ! そっちの船に、渡らせてくれ! 死にたく、死にたくないよぉ…」

「君がおじいさんに言ったんだろう? 「騙される方が悪いんだよ」ってね。全ての罪を後悔しながら死ね! 化けタヌキ!」

ウサギとタヌキの騒動を無視して。

 

 

「オラ一寸!ワクワクすっぞ!」

跳ねる一寸を踏まないように器用に飛び越え。

 

 

 

そうして到着したのはメロスが死に場と決めたシラクスの街。

もう日はほとんど地面に沈んでいて、赤い夕日も徐々に消えていっていました。

 

 

 

意を決して門をくぐり、シラクスの街に入ると??

 

 

 

「メロス様!」

「ちょ、誰だよ」

「セリヌンティウス様の弟子のフィロストラトスでございます!もうあの人は磔にかけられるところでございます!お恨みいたします。あと数刻早く来てくだされば…」

「え?フェラストラトス?」

「唐突の下ネタに私びっくりでございます!というかですから!もう手遅れでございます!諦めてご自宅に帰ってのんびりと人生を」

「腑抜けたこと言ってんじゃねえよ!」

「へ?」

 

 

「俺はなぁ!死ぬために来てんだ!諦めろ?手遅れ?んなもん知るか!俺は!死にに行く!」

「ですから…」

「うるせぇぇぇえええええ!」

メロスはフェ…もといフィロストラトスに綺麗なアッパーを決めフィロストラトスを吹き飛ばす。

見事なアッパーを食らったフィロストラトスは吹き飛んだ。

そしてフィロストラトスは意識を手放し…

 

 

「おい」

ん?どうした早く死ねよメロス

「シンプルな罵倒にお兄さんびっくり!じゃなくてフィロストラトスで露骨な字数稼ぎするなよ」

へいへいほー

 

 

 

そんなわけでメロスは王宮の広場に入った。

そこではセリヌンティウスが丁度処刑されようとしているところでした。

 

 

「待て!処刑されるべきは俺だ!その男じゃない!」

 

 

 

「え?は?何言ってるの?あの人?」

「よく分からないわぁ?とりあえず早く処刑をしなさいよ!」

「そうよそうよ!」

「早くしなさいよ!」

観衆から大ブーイングである。

 

 

 

「俺が!処刑されるんだ!」

そう言ったメロスはセリヌンティウスの戒めを解いて、こういった。

「俺はお前を助けるのを早々に諦めようとした。俺をぶて!そうでないと死んでも死にきれんわ!」

 

 

パァン、と小気味いい音を立ててメロスの頬がぶたれました。

 

 

「ああ、メロス、俺はお前が帰ってこないかもしれないと疑った。俺を打て!」

再びパァン、という小気味いい音がして、今度はセリヌンティウスの頬がぶたれました。

 

 

そして王様にメロスは大声で言いました。

「これが真の信頼の証だ!この痛みは友情の証左だ!あなたが一生涯分かる事はありますまい!」

 

 

それを聞いた王様は我に帰った様子で、涙を流し始めました。

「ああ今までわしがしてきたことは何だったのか…メロス、セリヌンティウス、よくぞわしに大切なことを気づかせてくれた。処刑は取りやめじゃ。」

 

 

「はぁ、助かった。」

そう言ったセリヌンティウスとは対照的に、メロスは不満そうでした。

 

 

「ちょ、え、マジで?嘘だろーーー!?」

メロスは絶叫しました。

それもそのはず。

メロスはピラニアを焼く際に通行人に浮浪者だと思われ、大事な妹との絆も失われているのです。

 

 

そして最後に。

 

 

メロスは激怒した。必ずかの邪知暴虐の王を取り除かねばならぬと決意した。

 

 

 

「ん!?朝か。何だよ…俺が登場する話いっつもそれかよ〜…」

 

まあいいか、とメロスは布団から抜け出し、日課である王様の暗殺に向かうのであった。

 

 

 

fin,

 

 

 

 




特別出演



第1話より「泉の女神」



同じく1話より「光る竹」(かぐや姫)



第3〜7話より「川を流れる桃」



第8話より「亀」




第9話より「ウサギ」と「タヌキ」



第10話より「一寸法師」


そして原作「金太郎」より「金太郎」と「クマ」


ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
次回をお楽しみに♪




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ハリーポッターの小ネタをちょいと投入してみるだけの回

金曜ロードショーに感化されて書いてみた。原作崩壊100%です。気に入らない人はブラウザバック推奨。
コラボ回はもう少しお待ちを。


〜ホグワーツでの初めての食事〜

 

そこにはたくさんのご馳走が!

ハリー「こんなの初めて見たよ!」

ロン「どうせイギリスクオリティさ」

 

〜ウィーズリー家にて〜

 

ハリー「わぁ!美味しそうなご飯!」

ロン「どうせイギリスクオリティさ」

 

〜ホグワーツの朝〜

 

ハリー「わぁ!美味しそうな朝ご飯!」

ロン「やったぜ!超マー髭!」

 

〜フラッフィー〜

 

ピーブス「生徒が夜に出歩いてるぞ〜!」

ハリーたち3人&ネビル「やべえ見つかるとりあえずここに入れ!」

そこにはとても恐ろしい三頭犬が…

 

ハーマイオニー「あぁ、可愛いわ!生後1ヶ月くらいかしら!あはは、そんなに舐めないでよ!」

男衆「なんだろう、このシリアスブレイカーは…」

 

 

〜ニコラス・フラメル〜

ハリー&ロン「ニコラス・フラメルって何もんなんだよ!」

ネビル「そりゃあ人間だろう…」

ハーマイオニー「違うわよ!錬金術師よ!それも最高峰の!」

ハリー&ロン「え、人間じゃないの?ならますます何者なんだ…」

ハーマイオニー「あぁもう!だから!」

 

〜みぞの鏡とヴォル&クィレル〜

 

ヴォル「この鏡はなんだ?割ればいいのか?」

クィレル「分かりません、我が君」

ヴォル「なんの仕掛けだ?どうすれば賢者の石が手に入る?」

クィレル「分かりません、我が君(怒)」

ヴォル「お前も少しは考えんか!大体お前はいつも…イライラ」

クィレル「分かりません、我が君(激怒)」

ヴォル「本当に使えん奴め!そんなだから…ブツブツ」

 

 

ハリー「イライラしてますねぇwww闇の帝王(笑)とその下っ端は二人ともカルシウム不足なのかな?www」

 

 

〜杖選び〜

 

 

オリバンダー「本当に不思議じゃ…不思議なお方じゃ…」

ハリー(こいつ誰にでもそう言ってんじゃねぇの?)

 

 

 

守護霊呪文

 

 

ディメンター「コォォォォォ」

ハリー「エクスペクトパトローn」

ディメンター「はい、キスしますねー」

ハリー「うわぁぁぁあ!」

 

〜イタチ〜

偽マッドアイ「お前なんぞこうしてくれるわ!」

イタチになったマルフォイ「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙イタチがぴょんぴょんするんじゃぁ!」

 

〜スネイプの最期〜

 

ヴォル「ナギニ…殺れ…」

ドッタンバッタンドスンドスン

 

主人公ら3人「スネイプ先生!」

スネイプ「僕を…見てくれ…」

主人公ら3人「だが断る」

スネイプ「いや、お願いだから。もう最期のお願い。ホントに。見て?」

主人公ら3人「分かったよ〜♪(アナ雪風)」

 

〜スネイプの過去〜

過去のスネイプ「リリー…」

ハリー「なあ…あれって…」

ロン「どうしたんだ?」

ハリー「ストーカーじゃねえの?かなり引くんだけど…」

 

 

 

〜最終決戦〜

ハリー「終わらせよう、トム…はじまった時と同じように…2人きりで…(上ずった声」

監督「カット!ハリー!もっと堂々とした感じでやってくれ!」

 

ヴォル役「お前…まさか…高所恐怖症なのか…?」

ハリー役「う、うん…」

 

 

 

〜そして…?〜

 

ヴォル「アッバッダ!ケタブラー!」

ハリー「マホカンタ」

ヴォル「なん…だと…この俺様がこんなにあっさりと負けるはずが…」

ハリー「ねえ今どんな気持ち?分霊箱も全部壊れてるよ?ねえ今どんな気持ち?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




も、もうすぐコラボ回を上げます…(震え声
待っててください。はい。お願いです。それではまた今度です。


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彼らは集う、新しき未来のために

年越し企画です!
いよいよ今年も一週間を切りました!
今回はプロローグになっています。本編は2017年の元旦の0:00に投稿予定です。
お楽しみに!


とある元不死身の少年「はぁ…もう年越しなんだね、イブ。」

とある元不死身の少女「そうだよ?アダム。でさ、こんなの届いたんだけど…?」

とある元不死身の少年「なになに?新年会をします?場所はクラウィンコロナ首都の居酒屋?これ、僕達年齢的に参加できるのかな?」

とある元不死身の少女「年齢って…あなた何歳よ…」

とある元不死身の少年「え?6兆5千312万4710歳…大丈夫だね。」

とある元不死身の少女「ね?行きましょうよ。楽しそうだし。」

とある元不死身の少年「君が行くなら僕も行くよ…」

とある元不死身の少女「じゃあ決まりね!出席って返しとくわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

とある最強の魔術師「ねぇロキ…?あなた初代小人って人と知り合いなんですか??変わった名前ですけど…」

とある竜騎士「まあ知り合いっちゃあ知り合いか?それがどうした?」

とある最強の魔術師「往復はがきが届いてるんですよ…送り主はその初代小人って人なんですけど、新年会開催のお知らせだそうです…私とロキ2人とも誘われてますけど。」

とある竜騎士「面白そうじゃねぇか。行こうぜ。」

とある最強の魔術師「なら返事を書いておきますね…」

 

 

 

 

 

とある操虫棍使い「なあ狩友(男)、これ見ろよ」

とある脳筋なハンター「ん?なんやこれ?忘年会のお知らせ?初代小人ってお前の事じゃないん?」

とある操虫棍使い「be quiet!」

とある脳筋なハンター「うわびっくりしたなぁ!」

とある操虫棍使い「メタい発言は避けなさい。それがあなたが今積める善行よ!」

とある脳筋なハンター「わかりました四季様…ハッ!」

とある操虫棍使い「次にお前は「今俺は何を…」という!」

とある脳筋なハンター「今俺は何を…ハッ!?じゃなくてやな」

とある操虫棍使い「ん?俺はとりあえずふざけとけばいいんやろ?」

とある脳筋なハンター「もう…新年会やってさ、行くん?行かんの?場所は…クラウィンコロナって街の飲み屋…あ、これアイルーが経営してるとこだ…というかシータンジニャじゃん!?」

とある操虫棍使い「ほう、楽しそうやん。行くか。」

とある脳筋なハンター「あいよー」

 

 

 

街の景色は移りゆく。

人々は忙しなく動き、日は沈み、また登る。

そして新たな年の訪れと共に過ぎ去った過去は去っていく。

そこに人は大きな希望と一抹の不安を覚え、その不安をぬぐい去るため人は集まり新年を迎える。

竜騎士と魔術師の2人は希望を分かち合うべく身を寄せ合う。

 

 

時は進み、物は朽ちる。

生ける者はすべて死へと向かい、形あるものはすべて滅びゆく定めにある。

その運命からは何人たりとも、例え世界最初の2人すらも逃れられない。

死はすべてを祝福する。

 

 

 

大きな竜も、小さき人も。

すべて生きとし生けるもの。

強きものは弱きものを喰らう。

しかし喰らわれまいと立ち向かう者がいる。

果たして彼らはその摂理に刃向かえるのか。

敗れ死ぬことを恐れず強き竜を討ち取りし勇敢なものは、自らの死を恐れない。

 

 

 

 

そして友のため死を覚悟した英雄は期せずしてその場に居合わせる



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俺の主人公キャラが一堂に会すのは間違っている

あけましておめでとうございます。小人です。
新年企画です。何故かカオスになりました。こんなはずじゃなかった。
つべこべ言うのもあれなので。

本編に行ってらっしゃい!


※俺ガイルには一切関係ありません。


ここはシータンジニャ。

店主は小人。

バイトはデュラハン。

今日も今日とて変人が集う…

 

初代小人「今日は七人かァ…そろそろ来るはずなんだが」

 

 

ガラガラッ!

カランカラン

 

入ってきたのは小学生くらいの容姿の少年少女。わざわざ特筆するほど容姿に特徴はない。

 

 

アダム「やってますか〜?」

イブ「こんばんはー」

初代小人「お、来たな、いらっしゃい。あ、そこの席に座っとくれ」

アダム「???」

初代小人「いや、誰?みたいな顔しないでくれよ、これでも君達の生みの親だよ?」

イブ「多分この人が初代小人さんだよ。ですよね?」

初代小人「せいかーい。さすがヒロインは察しが良くて助かるね」

アダム「ところで新年会って事でしたけど他に誰か来るんですか?」

初代小人「あと4人にハガキは出した。でももう一人来る。俺のサイドエフェクトがそう言っている。」

アダム「サイドエフェクトってなんかカッコi」

イブ「騙されちゃダメよ、この人が書いてるんだからそのくらいわかるわよ」

アダム「ハッ!そうだった!?」

初代小人「う…うーバレた…あとタメ口でいいよ?そんなに硬くならずにくつろいでってよ」

 

 

ガラガラッ!

チリンチリン

 

次に入ってきたのは背中に薙刀のような武器を提げ、右手に巨大な蝶のような虫をつけた男と、背中に大きなハンマーを担いだ男。

薙刀の方は長めの銀髪をオールバックにしていて左目には縦に傷が入っている。もうもう1人の方は中肉中背であるが、全身にバランスよく筋肉がついている。二人共ただならぬ威圧感をまとっている。

 

 

 

操虫棍使い「最凶最悪のハンター見参!」

狩友(男)「どうも〜お邪魔します〜」

初代小人「おっ、いらっしゃい、そこの席座ってよ」

操虫棍使い「だが断る!」

狩友(男)「なんでや!」

アダム「またすごいキャラの人が来たね…」

イブ「そ、そうだね〜」

 

二人がまとっていた威圧感は一瞬で消えてしまった。後に残るのは大丈夫だろうかと心配になるほどのアホさだけである。

 

操虫棍使い「あれ?てんちょーさんの隣にいる全身真っ黒な人ってバイトさん?」

初代小人「うん、今日は忙しくなる予定だからね。一日だけ助けてもらうことにしたんだ。一応紹介するよ。セルティ・ストゥルルソンさんだ。種族はデュラハン。」

セルティ《ちょっと、それは言わない約束じゃ…》

初代小人「いいじゃないか、一応うちの小説の主人公なんだし。」

セルティ《だってみんな怖がるじゃないか…》

操虫棍使い「.*・゚ .゚・*.」

セルティ《ヒッ!?なんだその目線は、流石に怖いぞ?》

操虫棍使い「デュラハン…カッケー!」

初代小人「な?みんな受け入れてくれるって」

セルティ《ちっちゃい子もいますし…》

初代小人「あ、そのふたりは軽く6000000000000歳超えてるから。」

セルティ《なっ!?》

初代小人「だから大丈夫だ。こいつらなら受け入れてくれる。」

 

 

しかし不安を抱くものが1人。

狩友(男)「何だろう、もしかしてマトモなの俺だけ?」

アダム「大丈夫です!僕がいますって。」

狩友(男)「ありがとう少し気が楽になった。たぶん。きっと。もしかしたら。めいびー。」

アダム「6000000000000歳超えてますけど…」

狩友(男)「( ^o^)<うわぁぁあ!」

 

 

ざんねん、かりとも(おとこ)のぼうけんはここで終わってしまった。

 

 

ガラガラッ!

 

 

ロキ「終わらせねぇぜ!」

サラ「え、ロキ?もう…こ、こんばんは〜」

 

 

叫びながら入ってきたのは透き通るような銀髪を下ろしている男。

腰には太刀が下げられている。

慌てながら一緒に入ってきたのは純和風の美女。訓練で鍛えられた体は無駄な脂肪が無く、それでいて出るところが出ている完全なモデル体型。

 

 

 

その姿を見て動揺したのはイブだった。

イブ「あ、あなた何者ですか?」

サラ「そちらこそ。人の名前を聞く時は自分から先に名乗りましょうと幼稚園で習わなかったのか?」

サラも気障ったらしく指を回しながら挑発する。

 

 

サラ「こんなところにお子様が1人。ちっちゃい子はもう眠る時間じゃないんでちゅか〜?」

イブ「私は6兆年生きてるからいいんです!私からしたらむしろそっちの方がお子様なんですけど〜?」

二人の間に火花が散る。

 

 

 

その日男衆は悟った。

これは…

 

お互いの…

 

 

おもちの差から起きる争いだ…と。

 

 

サラ「この年増!」

イブ「若いのが粋がらないで頂戴!」

サラとイブ「何を〜」

 

 

ロキとアダム「「まぁまぁまぁ!」」

 

 

ロキ「酒は楽しく飲もうぜ、な?飯だっていつの間にか机に来てるしさ。」

アダム「そうだよイブ。僕はありのままの君が好きなんだからさ。そんなことで張り合わないでよ…」

イブ「………ボン!」

アダム「ウワァァァ!イブが倒れた!」

 

 

 

操虫棍使い「なんだろうこのいたたまれない空気…」

狩友(男)「今夜も長くなりそうだな…」

 

 

イブ「アダムも…やっぱり大きい方が好き?」

アダム「僕は…僕は…どんな君でも好きだ!」

イブ「顔真っ赤よ?どうしたの?」

アダム「それは…」

 

 

操虫棍使い「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

狩友(男)「どうした!?」

操虫棍使い「リア充なんて…リア充なんて…」

狩友(男)「あっ、(察し)」

 

 

 

 

操虫棍使い「嫌いだーーー!!」

狩友(男)「やっぱりな」

操虫棍使い「リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発リア充爆発」

 

 

 

サラ「私のこと、好き?」

ロキ「あれ?サラさん、酔っ払ってらっしゃいます?」

サラ「いいから答えてよ!私のことどう思ってるの!」

 

 

 

イブ「やっぱり貧乳じゃダメなんだァァァァ!ウワァァァン!(泣き上戸)」

アダム「そんなことないよ、だから落ち着いて?」

 

 

セルティ(ペタペタと全身を触っている。)

初代小人「どうしたの?やっぱ気になるの?」

セルティ(コクリ)

初代小人「でもセルティ、彼氏いるんでしょ?じゃあ大丈夫なんじゃないの?」

 

 

 

 

操虫棍使い「今年もやっぱりサビシマス…来年もどうせサビシマス…再来年も…その次も…うぅ…グスン…」

 

 

 

 

狩友(男)「カオスすぎんだろこれ…もう収拾つかねえぞ…」

 

そんな声に答えるかのように一筋の希望が!

 

 

 

ガラガラッ!

カランカラン

 

 

 

半裸の男「空いてるかァ!?」

 

 

狩友(男)は呟いた。

「変態来た…」と。

しかし半裸の男の声がきっかけで辺り一帯の混沌とした雰囲気は一瞬だけ消えた。すぐに戻ったのは言うまでもない。

 

 

狩友(男)「と、とりあえず自己紹介して?」

半裸の男「俺はメロス!海賊王になる男…ハッ!今変な電波を…」

狩友(男)「あ、そっち側の人ですね、帰ってどうぞ。」

メロス「分かったわ。ほなさいなら…ってなんでやねん!」

狩友(男)「ノリはいい、と。メモメモ」

メロス「何メモってんねん、てかこれどういう状態?」

狩友(男)「(少年、説明中)」

メロス「なるほど、そういうことか…酔っ払ってみんなてんやわんやってことか。それならいい方法がある」

狩友(男)「ん?」

メロス「一発ずつアッパー入れたらいい。それで止まる。」

狩友(男)「いや、絶対あかんから。最強の魔術師とか最凶最悪のハンターとか混じってるから。あと竜騎士とか。というかまともなやつおらんから!」

メロス「ぐぬぬ…よし分かった!」

狩友(男)「ん?なんか思いついたんか?」

メロス「無視する。もうコイツら手に負えんわ。」

狩友(男)「だろうと思った知ってた。」

 

 

 

 

サラ「ねぇロキ?なんで逃げるの(暗黒微笑)?」

 

 

 

 

イブ「ごめんね胸がおっきくなくて…ウワァァァ(号泣)!」

 

 

 

操虫棍使い「リア充なんか羨ましくない…リア充なんか羨ましくない…羨ましくないったら羨ましくない(自己暗示)。」

 

 

狩友(男)「うん、やっぱ無理!カオスすぎて耐えられんわ!」

メロス「45里走った後の年越しそば美味しい。」

狩友(男)「こいつもまともではなかったか…(戦慄))」

 

 

 

初代小人「えっと…結論から言うと、僕の主人公キャラが会うとカオスになる。ということがわかった。そんな訳でこの当たりで〆させてもらうとしよう。」

 

 

 

 

狩友(男)以外の全員「あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!」

 

狩友(男)「そこ合わせれるならみんな落ち着けよぉ!」

操虫棍使い「挨拶しようぜ…」

 

 

 

狩友(男)「クソがァァァァァァ!」

狩友(男)の虚しい叫びが店内に響き渡ったのだった…

 




狩友(男)…不憫な子…
こんな感じのを次の年越しにもやろうかなと思います。まぁ楽しそうですよね(白目)
今年もよろしくお願いします!


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とあるヒーローの独白(餡)

皆様一ヶ月と少しぶりです。寒さ厳しい折ですが、お元気にされておられますでしょうか?インフルエンザが流行っておりますが小人は馬鹿なので病気になりません。
ということで今回は皆さんおなじみのあのヒーローが登場します。お楽しみに


「愛?勇気?そんなもんつまらねえ。それだけが友達とか悲しすぎんだろ」

目の前にいる彼…顔が菓子パンで出来ているヒーローはそういった。

 

 

 

「そもそもだよ。なんなんだよ顔がパンって。今どきの転生者でもそんな弱点だらけじゃないぞ?え?それでも最後は勝つじゃないかって?ふざけてんのか?お前。」

 

 

顔を歪めながらも彼は言葉を続ける。

 

 

「見てるだけのお前らはよぉ、主人公なんだから余裕で勝てると思ってるだろうけどよ?俺だって散々な目にあってんだ。あのバイキン野郎も的確に俺の顔を狙撃してきやがるんだぜ?泥とか水とかカビとか。お前、顔面にカビ生やされたことあるか?すげえ臭いし変な感触だしおまけに力も入りやしねえ。そんでようやく重い腰を上げたジジイが出てくるんだ。「新しい顔よ!」なんて言いやがるがアレ交換の瞬間に文字通り顔面高速回転してんだぞ?常人なら死ぬぞ?」

 

 

彼はまだ語る。

「普段のパトロールだってよぉ。事件発生率ほぼ100%だぜ?こんなに治安が悪い街あるか?俺からすりゃあ警察組織仕事してくれ!って感じだよ。ましてやなんだあのカバに至っては。「お腹がすいて歩けない」だぁ?マジでふざけてんのかよ。もういいんだよ。それで俺が顔をあげたらバイ菌出現フラグなんだろ?勘弁してくれよ俺も暇じゃねえんだよ。その上あれだろ?どっかのリボン使いに至ってはなんだよあの設定。悪の心がどうたら〜ってなに主人公の俺より細かい設定もらってんだよふざけんじゃねえよ。」

 

 

 

 

「ん?子供人気?まだ勘違いしてるみてえだから言ってやるけどな?俺はヒーローやりたくてやってんじゃねえんだよ。お前だって遊んで暮らせるなら記者なんかやらねえだろ?それと同じだよ。あとな?ことある事に俺を遊園地とかに呼び出すんじゃねえよ!ひどい時は分単位でスケジュール組まれてんだぜ?ん?誰がスケジュールを組むのか?あのクソジジイだよ!ジジイが俺を使って一財産築いてんの!」俺には一円も入らねえんだぜ?強いて言うならあれだ。新しい顔とかの必要経費ってやつらしい。飛んだブラックだろ?デ〇ツーの事言ってらんねーぜ?」

 

 

「あともう一つ聞きたいのはさ、もうあのバイ菌ハイターとかに浸けちゃダメなのか?その方が平和になんだろ?あぁ、ちなみにこれ村長的なやつに聞いたら「彼は必要悪なので生かしておいてください」って言われたわ!ほんとなんなんだ必要悪ってのは。苦労すんのこっちだってのがわかんねえのかよ!あとバター女にも言いたい。お前パンの材料切れてるからって時折パンじゃないもんで顔作るのやめろ。」

 

 

 

「最後に一言?えー…苦労が耐えないので今度からアンパ〇マンは有料制になります。お金が無いなら自己解決でお願いします。」

 

 

カットォ!

 

 

 

「こんな感じでいいですか?どうもありがとうございました。アレですか?本心なわけないじゃないですかヤダな〜ちょっとパトロールの予定がありますので先に帰りますね〜お疲れ様でしたー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと終わったよ。クッソめんどくさいんだよインタビューなんてのはよ。二度とやりたくねえわ。」

 

 

 

 




ピザ・トースト様とコラボのお話が決まってから連絡が取れておりません。コラボ回はもうしばらくお待ちくださいませ。ピザ・トースト様はこの投稿を見たら、連絡をくださいますようお願い致します。


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