【CoC仮想リプレイSS集】箱庭と賽子 (白鷺 葵)
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イノリの『ともだち』
セッションログ


『百花繚乱クロニクルセブン』
KP.リヒト
PL.イノリ
見学者.ユマ、ユウマ、シキ、ソウセイ
有って無いような設定:イノリとユウマがまだくっつく前。
使用シナリオ:『ともだち』(作者:仮谷さま)


【探索者紹介】

 

リヒト「では、探索者の紹介をお願いします」

イノリ「今回は新規探索者を使うよ。継続探索者にする予定で能力を割り振ったんだ」

 

名前:来栖 いのり 性別:女性 年齢:26歳

職業:院内セラピスト(メンタルセラピスト:クトゥルフ2010参照)

STR:9 CON:9 POW:13 DEX:13

APP:12 SIZ:13 INT:14 EDU:19

初期SAN値:65 幸運:65 アイディア:70 知識:95

耐久:11 MP:13 ダメージボーナス:0

年収:800万 財産:4000万

 

【技能】

目星:65 聞き耳:60 図書館:60 心理学:85 精神分析:85

言いくるめ:41 芸術/アロマ:60 信用:50 説得:60 英語:50

応急手当:56 博物学/植物学:67 回避:50

 

<特性>

・2-10⇒前職、あるいは幼少期に得難い体験をしている。57ポイントを割り振れる。

・2-4⇒愛書家。図書館に+20、且つ自宅で図書館ロールが可能

 

<簡単な背景>

・都内の精神科病院に勤務するカウンセラー。花やアロマ、ハーブティーを使ったセラピーを用いる。また、花言葉にも興味がある模様。

・とても仲の良かった友人がいたが、その人物がいじめを苦にして自殺してしまった。今でも「相手のためにできることがあったのでは?」と悔いており、それがカウンセラーを志すきっかけになった。

・祖母が花が大好きで、いのりに花のことを教えてくれた。

・人に寄り添いながら治療することを信条としており、患者からの信頼は厚い。半面、人を言いくるめることは不得手である。

 

 

リヒト「バランスがいい能力値ですね。相手の心情分析やヒーラーとしても優秀ですし、探索と対人技能もそこそこあります。戦闘に陥ったとしても回避に専念できる……」

イノリ「対人技能の言いくるめが低めなのは、『性格に、言いくるめることはあまり得意じゃない』っていう設定なんです」

ユウマ「成程。信用の値が50なのは、誠実な人柄が評価された結果なんですね」

ソウセイ「そして驚異のEDU19……!」

シキ「ダイスの女神さま、仕事しすぎでしょう……」

ユマ「まあ、今後の展開ではどうなるか分からないけどねえ」

 

リヒト「では、シナリオ『ともだち』スタートです」

イノリ「いあいあー!」

ユウマ「(ああ、いいなあ……)」(イノリの笑顔を見てほんわかしている)

 

 

 

【導入】

 

 

 【来栖いのり】には、大切なおもちゃ――人形やぬいぐるみがありました。どこへ行くにも何をするにも一緒にいた、大切な友達です。

 しかし、大きくなるにつれて、【いのり】はおもちゃと一緒にいることもなくなり、最後には、存在自体を忘れてしまいました。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「さて、どんなおもちゃにしますか?」

イノリ「そうだね。……青いウサギのぬいぐるみにしようかな。頭には王冠を付けて、可愛いドレスを着たやつ」

リヒト「了解です」

 

 

―――――――

 

 

 【来栖いのり】は実家を離れて暮らしています。ある日、実家の母親から電話がかかってきました。

「大掃除をしていたら、昔いのりがよく使っていたおもちゃが出てきたの。古くなってしまったし、貴女も大人だし、もう捨ててしまっても構わないわね?」

 【いのり】は母の問いに同意し、「昔は大切にしていたけれど、今はもういらないから処分してほしい」と頼みます。

 

 

―――――――

 

 

ユウマ「いらないものは、捨てられる……」(表情が曇る)

ユマ「(しまった! 奴の地雷に直撃した!!)」

 

 

―――――――

 

 

 そして、何事もなく一日が終わろうとしていました。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「さて、いのりは何をしますか?」

イノリ「寝る前からスタートか……。お風呂に入った後、アロマを焚いて寝ることにするよ。アロマオイルの配合はオリジナルブレンドなんだ」

リヒト「イノリのリアル知識なら成功は確実ですね。でも、折角ですから、適切な効果と良い香りのアロマのブレンドができたか否かをダイスロールしてみましょう」

 

芸術(アロマ)

1D100>60

 46⇒成功!

 

リヒト「良い香りで、且つ、高い安眠効果を齎す香りの調合に成功しました。匂いを嗅いでいると、疲れが取れていくような気になりますね」

イノリ「アロマミストのタイマーを設定してから、布団に入って寝るよ。つけっぱなしで寝たら大変なことになるからね」

リヒト「わかりました」

 

 

ユマ「貴女、アロマが好きなの?」

イノリ「はい。趣味でアロマオイルの調合もやってるんです」

ソウセイ「疲れたときとか世話になってるな」

シキ「本当にいい香りなのよ」

ユマ「ふーん……。じゃあ、あそこのオコチャマ用に何か調合してあげて。最近悩んでるみたいだから、心が落ち着く香りとか頼めるかしら?」

イノリ「え? そうなんですか?」(ユウマを凝視する)

ユウマ「!? ちょっと! 余計なことを言わないでくださいよ!! 俺は別に何でもありませんから、そういうものは不要です」(顔真っ赤)

イノリ「そ、そうですか……」(しょんぼり)

ユウマ「あ……! お、俺は、その……」(おろおろ)

ユマ「この馬鹿!」

 

 

<ユマ、ユウマをイノリから引き離してひそひそ話をする>

 

ユマ「折角人が色々とお膳立てしてあげたっていうのに。しかも、さりげなくあの子の趣味を否定してるし! あの子が落ち込むのも当然じゃない!!」

ユウマ「……こういうとき、どうしたらいいんですか?」

ユマ「はァ?」

ユウマ「俺には、落ち込んだ女性を慰める方法なんて分かりません。誰も教えてくれませんでした。……ましてや、その原因は俺だ。もう、本当にどうしたらいいのか……」

ユマ「……あんたねえ、自分で考えなさいよ。悪いことをしたら、相手になんて言えばいいの?」

ユウマ「……それで、イノリは許してくれるんでしょうか? ……また、いつも通り、笑ってくれるんでしょうか?」(不安そう)

ユマ「ええい面倒くさい! ほら、当たって砕けてきなさい!!」

ユウマ「砕けたくないから訊いてるんじゃないですか! ――ああもう、行けばいいんでしょう!?」(ヤケクソ)

 

 

<イノリたち>

 

イノリ「(ユウマさんとユマさん、やっぱり仲良しだなぁ……。いいなあ……)」(悲しそうな顔で俯く)

シキ・リヒト「…………」(はらはら)

ソウセイ「…………」(イライラ)

 

 

<ユウマとユマが戻ってきました>

 

ユウマ「イノリ」

イノリ「はい? どうかしましたか?」

ユウマ「……先程は、その……ごめん、なさい……」(しょんぼり)

イノリ「ああ、大丈夫です。気にしてませんから」(どこか痛々しい笑み)

ユウマ「…………」

イノリ「…………」

ユウマ「…………」

イノリ「…………」

ユウマ「……あの」

イノリ「?」

ユウマ「……最近、精神的に疲労が蓄積されているみたいで、疲れが取れないことがあるんです。……だから、その……」

イノリ「!(表情を輝かせる) はい、分かりました。どんな症状なのか、後でゆっくり聞かせてくださいね」(満面の笑み)

 

リヒト「もう大丈夫ですか?」

イノリ「うん、大丈夫。続きやろう!」

 

ユウマ「(よかった、笑ってくれた……!)」

シキ・ユマ・ソウセイ「(ホッ)」

 

 

―――――――

 

 

 ふと【いのり】が目を覚ますと、そこは自分の部屋ではありませんでした。白い天井、パステルカラーの壁にフローリング、そんなごく普通の部屋です。

 室内にはベット、姿見、本棚、大きなおもちゃ箱 があります。そして気づきます。この部屋には窓もドアも――いいえ、出口と呼べるものが何一つないのです。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「では、初のSANチェックです」

イノリ「よーし……」(ゴクリ)

 

SANチェック

1D100>65

 22⇒成功!

 SAN:65

 

 

イノリ「成功だね」

リヒト「では、次へと進みます(部屋の地図を手渡す)。ここでアイディアをどうぞ」

 

アイディア

1D100>70

 24⇒成功!

 

 

リヒト「では、情報を開示します」

 

 

―――――――

 

 

 【いのり】はこの部屋を見回してみます。そして、『この部屋は“子ども部屋”のように見える』と思いました。

 

 

―――――――

 

 

イノリ「子ども部屋、かあ」(地図を見る)

 

イノリ「今、【いのり】はどんな格好をしてるのかな?」

リヒト「そうですね。【いのり】が子ども時代に着ていた服とよく似ていますね。あと、心なしか、手足が短く感じます」

イノリ「あっ。もしかしてアレじゃあ……」(察し)

ユウマ「アレ?」

ユマ「あー。昔の推理漫画に会ったアレかあ」(察し)

 

リヒト「じゃあ、これからどうしますか?」

イノリ「これ見よがしに置かれた鏡が気になるんだよなあ……。PL的には近づきたくないんですけど、【いのり】だったら気になって近づくと思う」

リヒト「では」

 

 

―――――――

 

 

 姿見を見てみると、自分の姿が映ります。しかしそれはいつものあなたの姿ではありませんでした。

 今あなたは子供の姿になっています。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「それでは、SANチェックです」

イノリ「やっぱり!」(悔しそうだが、顔は笑顔)

ユマ「目が覚めたら、体が縮んでいた!」(ノリノリ)

ユウマ「?????」

 

 

SANチェック

1D100>65

 09⇒成功!

 SAN:65

 

 

ユウマ「凄いですね。出目が安定してます」

リヒト「あはは、固いですねぇ」

イノリ「今日は本当に調子がいいね!」

 

リヒト「次は何を調べますか?」

イノリ「箱は後回しにして、先に本棚を調べます」

リヒト「分かりました。本棚には目星、図書館、知識が振れますよ?」

イノリ「それじゃあ、一番成功率が高い知識を振ります」

 

 

知識

1D100>95

 96⇒ファンブル

 

 

リヒト「ぶっふwwwwwwwwwwwwwww」

イノリ「うわぁ」

ユウマ「こ、これは……どうするんですか?」

リヒト「……そうですね。じゃあ、こうしましょう」

 

 

―――――――

 

 

 【いのり】は本へ手を伸ばします。ですが、身長が足りません。それでも無理をして手を伸ばした結果、よろけて本棚に軽くぶつかってしまいました。

 次の瞬間、中途半端に出ていた本が、【いのり】の頭上に振ってきたのです。本は結構な厚みがありました。更に、その本の角が頭にぶつかってしまったのでしょう。

 頭がずきずきと痛みます。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「では、耐久に-1、集中する技能に-10の補正がかかります。補正の継続時間は1D3で算出します」

ソウセイ「なかなか厳しいな……」

リヒト「大丈夫ですよ。『このシナリオ、ロストとか後遺症とかありませんから』」(『』の台詞をソウセイに耳打ち)

ソウセイ「そ、そうか……」

 

 

補正継続時間

1D3⇒3

 3回行動を終えたら補正解除。

 

【いのり】耐久

 11-1⇒10

 

 

イノリ「地味に痛いね、これ」

リヒト「どうします?」

イノリ「応急手当振っておこう。補正も早く解除したいし」

 

 

応急手当

1D100>56

 13⇒成功

1D3⇒3

 

【いのり】耐久

10+3⇒11(全回復)

 

補正解除まであと2回

 

 

―――――――

 

 

 【いのり】は、先程本がぶつかった頭を手当てします。手当はうまくいったようで、痛みは完全に引きました。

 

 

―――――――

 

 

イノリ「後は、落ちてきた本に目星。マイナス補正が引っかからなきゃいいんだけど……」

 

 

目星

1D100>65-10

 72⇒失敗

 

補正解除まであと1回

 

 

リヒト「補正無しでもダメだったみたいですね」

イノリ「まあ、こんなこともあるよ。ところで、目星をしない範囲で分かることはあるかな?」

リヒト「ぱっと見た感じでは、童話集みたいですね。ひらがなが多い印象を抱きます」

イノリ「アイディア振れますか?」

リヒト「どうぞ」

 

 

アイディア

1D100<70

 03⇒クリティカル

 

補正解除

 

 

リヒト「こんなところで出てくるとは思いませんでした。効果は……そうですね。先程のファンブルで入手できなかった情報を入手します」

イノリ「あははは」

ユウマ「賽の目は気まぐれだと聞きますが、本当ですね」(しみじみ)

 

 

―――――――

 

 

 【いのり】はまじまじと本を確認してみました。ぱらぱらと本をめくると、見たことのある童話が掲載されているようです。

 本棚をよく確認してみると、沢山の絵本や童話集が収められていました。どの本にも、かなり読みこんだ形跡があります。

 童話や絵本のタイトルを見ていると、なんだか懐かしい気持ちになってきました。子どもの頃に戻ったような気持ちになりましたね。

 

 

―――――――

 

 

ユマ「しょっぱい……。クリティカルなのに、情報がしょっぱい……」

イノリ「昔を懐かしむ、かあ。何かのヒントかな?」

 

リヒト「さて、次は?」

イノリ「大きなおもちゃ箱を調べてみるよ」

 

 

―――――――

 

 

 【いのり】は、大きなおもちゃ箱を開けてみました。中には、なんとも可愛らしい女の子が眠っています。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「立ち絵のイメージはこんな感じですね」(セブンスドラゴン2020シリーズのゴスロリ♀.青髪)

イノリ「わあ、可愛いね!」(目を輝かせる)

ユウマ「(イノリの方が可愛い……って、俺は今、何を考えたんだ!?)」(内心パニック)

ユマ「(口に出せばいいのに)」(呆れ)

 

リヒト「【いのり】はどうしますか?」

イノリ「女の子に声をかけてみます。『ねえ、キミ。大丈夫?』」

 

 

―――――――

 

 

 【いのり】は女の子に声をかけてみました。女の子は【いのり】に声をかけられると、すぐに目を覚ましました。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「NPCが目を覚ましたようです。どんな話をしますか?」

イノリ「まず、女の子が無事かどうか確認するよ」

リヒト「具体的には?」

イノリ「怪我はないか、痛いところはないかだね。心配なので目星も使います」

 

 

目星

1D100>65

 17⇒成功!

 

 

―――――――

 

 

「ねえ、大丈夫? 怪我はない? どこか、痛いところはある?」

 【いのり】は女の子に問いかけました。女の子は驚いたように目を見張りましたが、すぐににっこり微笑みました。

「怪我とかしてないよ。大丈夫だよ」

 女の子はそう言って、自分の手脚を見せてきます。白くて滑らかな肌には、傷も痣もついていません。

 おもちゃ箱の中に閉じ込められていたので【いのり】は心配していたのですが、女の子には衰弱したような様子もありませんでした。

 

 

―――――――

 

 

イノリ「そっか。よかったぁ」

リヒト「そして、怪我の有無以外にも情報を入手しました」

 

 

―――――――

 

 

 【いのり】はまじまじと少女を見つめました。そうして、ふと、思い至ります。『自分は、彼女を知っているような気がする』と。

 

 

―――――――

 

 

イノリ「アイディアロールだね」

 

 

アイディア

1D100>70

 81⇒失敗

 

 

ユマ「そこは気づいておきたかった!!」

イノリ「そうですね。でも、賽の女神のおぼしめしですから……」(苦笑)

リヒト「他には何を質問しますか?」

イノリ「そうだね。まず、女の子が誰なのか訊ねるよ」

 

 

―――――――

 

 

「ねえ、貴女は誰?」

それを聞いた女の子は、少し悲しそうな顔をしました。

「貴女は、私のことをよく知っているはずだよ」

 

 

―――――――

 

 

イノリ「……さっきのアイディアロールに成功できなかったのが惜しくなってきた」

リヒト「【いのり】は何も察せませんでしたから、詳しく問い詰めることはできませんね。……では、他に質問は?」

イノリ「この場所がどこなのか、彼女はここを知っているのかを訊きたいかな」

 

 

―――――――

 

 

「この場所について、キミは何かを知っているのかな?」

 【いのり】の問いに、女の子は首を振りました。

「ここがどこなのか分からない。私も、いま目を覚ましたばかりなの」

 

 

―――――――

 

 

イノリ「彼女の発言に心理学を使ってみます」

 

 

心理学

1D100>85

 (??)⇒??

 

 

リヒト「では」

 

 

―――――――

 

 

<心理学>

 【いのり】は、女の子が嘘をついているように思います。女の子は出口を知っているけれど、【いのり】に教えようとはしないでしょう。

 

 

―――――――

 

 

イノリ「あ、あれ? なんだろう、不穏な気配が……」

リヒト「他には、何かありますか?」

イノリ「出口の場所を訊ねてみるよ。困ったことになっているとアピールすれば、教えてくれるかもしれない」

リヒト「どんな風に訊ねますか?」

イノリ「【いのり】はこの子の正体を知らないから、女の子のことは同じように閉じ込められてしまった被害者だと推理するよ。でも、さっきの心理学の結果から、この子は自分を困らせようとしてるのかな? って考えると思うんだ」

リヒト「ほほう」

イノリ「だから、ちょっと意地悪するよ。眉間に皺を寄せて、不安と心配を前面に押し出しつつ、出口の場所を訊ねる。後、女の子が帰れないというのも引き合いに出そうかな」

 

 

―――――――

 

 

 【いのり】は女の子が嘘をついていると思いました。ですが、何故女の子が嘘をつくのか分かりません。この女の子も、この空間に閉じ込められた被害者ではないのでしょうか?

 同じようにここに閉じ込められたなら、この子も脱出しようと思う筈です。それなのにどうして、【いのり】に嘘をつくのでしょう? 何故、【いのり】を困らせるようなことをするのでしょう?

 ならば、と、【いのり】は思いつきました。幼い子どもを虐めるようなものなので気分はよくありませんが、このままでは、【いのり】も女の子もここに閉じ込められたままになってしまいます。

 帰れない――それは、非常に困ることでした。

「この部屋の出口はどこか知らない? 知っているなら教えてほしいの。このままじゃ、貴女も私もお家へ帰れなくなっちゃう」

 

 

―――――――

 

 

リヒト「では、子どもはこう反応しますね」

 

 

 

―――――――

 

 

 女の子は【いのり】を見つめて問いかけてきました。

「何か急ぐ用事でもあるの?」

 

 

―――――――

 

 

リヒト「【いのり】はどう答えますか?」

イノリ「用事は特にないけど……」

リヒト「分かりました」

 

 

―――――――

 

 

「用事は特にないけど……」

「なら、私と一緒に遊ぼう」

 【いのり】がそう答えると、女の子はそう声をかけてきました。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「どうします?」

イノリ「と、とりあえず心理学を」

 

 

心理学

1D100>85

 (??)⇒(??)

 

 

リヒト「はい、どうぞ」

 

 

 

―――――――

 

 

<心理学>

 女の子は満面の笑みを浮かべています。悪意のない、無邪気な笑みです。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「どうしますか?」

イノリ「【いのり】は頷くと思うけど、女の子のことを心配しているからね。彼女は帰らなくてもいいのかと訊くよ」

 

 

 

―――――――

 

 

「私は構わないけれど、貴女は帰らなくても大丈夫なの? お父さんやお母さん、貴女のお友達は、きっと心配しているよ?」

 無邪気に笑う女の子に、【いのり】は問いかけました。

 確かに【いのり】には急ぐ用事はありません。ですが、女の子はそうとは限りません。

 【いのり】の帰りを待っている人々がいるように、女の子にだって、女の子のことを心配している人がいるはずです。

 その人たちの心情を無視して、女の子を引き留めるようなことはできませんでした。

 「用事がない」という【いのり】の発言に笑顔になった女の子でしたが、「貴女の家族や友達が心配しているかもしれない」という言葉を耳にした途端、大きく目を見開きました。そして、少しだけ悲しそうな顔をしました。

「私も大丈夫だよ。だから一緒に遊ぼう」

 女の子はそう言って、【いのり】を誘いました。

 

 

―――――――

 

 

イノリ「悲しそうな顔をする、って……」

リヒト「(子どもの正体と考えていることを知っている側からすれば、とてつもなくエグイRPですね……)……どうしますか?」

イノリ「心理学……いや、さっきの“悪意がない”結果を踏まえたうえで、【いのり】は女の子の言葉を信じて一緒に遊ぶことにするよ」

リヒト「では、次に進みましょう」

 

 

―――――――

 

 

「何をして遊ぶ?」

 女の子は【いのり】に問いかけてきました。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「何をしますか?」

イノリ「うーん……ぱっと浮かんだのが折り紙なんだけど、部屋には折り紙なんてなかったよね?」

リヒト「それは、PL――イノリとしての発言ですか? PC――【いのり】としての発言ですか?」

イノリ「【いのり】も発言します」

 

 

―――――――

 

 

「折り紙とかどうかな?」

 【いのり】が提案すると、女の子は嬉しそうに頷きました。

(あ、でも、この部屋に折り紙なんてあったっけ……?)

 【いのり】がそう思ったとき、女の子は自分が眠っていたおもちゃ箱へと向かいました。何かを探しているようです。

 程なくして戻っていた女の子の手には、折り紙セットが握りしめられていました。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「折り紙で遊ぶようですが、【いのり】は何を作りますか?」

イノリ「それじゃあ、折り紙で四葉のクローバーを作るよ」

リヒト「折角ですので、出来栄えをDEXでロールしてみましょう」

 

 

DEX

1D100<65

 14⇒成功

 

 

リヒト「綺麗な四葉のクローバーができました」

イノリ「女の子にあげます」

 

 

 

―――――――

 

 【いのり】は緑と黄緑色の折り紙で四葉のクローバーを作りました。折り紙自体は久々でしたが、綺麗に折ることができました。

「これ、あげる」

 出来栄えに満足した【いのり】は、女の子に四葉のクローバーを手渡しました。女の子は目を輝かせて喜びました。

 女の子は意気揚々と折り紙を取り出し、真剣な眼差しで折り始めました。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「それじゃあ、ちょっと待ってくださいね」

 

 

女の子のDEX

3D6⇒11

 

女の子の折り紙

1D100<55

 78⇒失敗

 

 

リヒト「女の子はつばめを折ったようです。ですが、ぐちゃぐちゃになってしまいました」

イノリ「あらら」

リヒト「女の子はもう1回チャレンジしてみるようです」

 

 

女の子の折り紙

1D100<55

 39⇒成功

 

 

リヒト「今度は綺麗に折れました」

 

 

 

―――――――

 

 

 女の子は綺麗に出来上がった折り紙のつばめを、【いのり】へと差し出しました。

「クローバーのお礼だよ」

 

 

―――――――

 

 

イノリ「『ありがとう』と言って受け取るよ」

リヒト「では、次に進みましょう」

 

 

―――――――

 

 

 楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。ですが、【いのり】は帰りたくなりました。

「貴女と一緒に遊ぶのは楽しかったけれど、そろそろ帰りたいな」

 と、【いのり】は言いました。すると、女の子は悲しげな顔をして引き止めます。

「どうして? 楽しかったでしょ? ずっとここで私と遊んでいようよ」

 女の子はそう言って、【いのり】の腕に縋りつきました。必死なのでしょう。その手には、かなりの力が込められています。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「さて、【いのり】はどうしますか? 女の子の手を振り払いますか? それとも、何か声をかけてあげますか?」

イノリ「何やら重要な分岐の気配を察知。し、慎重にしなきゃ……!」

リヒト「(ニコニコ)」

イノリ「ええと、まずは女の子に謝る。それで、貴女の家族やお友達も心配しているだろうから、一緒にこの部屋から出ようって誘うよ」

 

 

 

―――――――

 

 

「ごめんね」

 【いのり】は女の子に謝りました。

「貴女と一緒に遊んだのは楽しかったし、ずっと一緒に遊んでいられたらいいと思う。でも、ごめんね。私、やっぱり帰らなきゃいけないんだ」

 女の子の瞳を覗き込みながら、【いのり】は彼女の両手を取ります。

「貴女も一緒にここから出よう。きっと、貴女のお父さんやお母さん、お友達だって、貴女のことを心配してるよ。貴女が帰ってこなかったら、みんなが悲しむ。貴女が帰れなくなってしまうのは、私だって悲しいよ」

 【いのり】は女の子を諭すように語り掛けました。

「……だから、一緒に帰ろう。大切な人のところに」

 

 

―――――――

 

 

ユウマ「…………」(食い入るようにイノリを見つめる。どこか呆けているようにも見えた)

ユマ「(コイツ、イノリのRPに見惚れてる……!)」

リヒト「(フライング!)……では、そのRPを説得として処理します。説得に+20してロールしますよ」

 

 

説得

1D100<60+20

 41⇒成功!

 

 

 

―――――――

 

 

 女の子は驚いたように目を見張ります。何かを言おうと口を開いた女の子は、【いのり】の言葉を受け止めたのでしょう。

「……うん、わかった」

 と言って頷きました。女の子は【いのり】をベッドに案内しました。

「ここで眠れば、元の世界に帰れるよ」

 女の子は【いのり】に教えてくれました。【いのり】は頷き、女の子の手を引いてベッドに入ります。

 【いのり】はベッドに横たわり、静かに目を閉じました。

「おやすみなさい、大好きな友達」

 という女の子の声が聞こえ、頭を優しく撫でられました。

 

 【いのり】は自分の部屋で目を覚ましました。日ごろの疲れなどがきれいさっぱりなくなっており、 非常にすっきりとした目覚めを迎えます。

 ふと隣を見ると、あなたが子供のころに気に入っていたぬいぐるみを小さくしたようなストラップがありました。

 ただ、そのぬいぐるみの頭には、四葉のクローバーがついていました。ぬいぐるみの他に、つばめの折り紙を模したチャームも一緒についています。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「では、強制的に聞き耳どうぞ」

イノリ「!? う、うん」

 

 

聞き耳

1D100<60

 82⇒失敗

 

 

イノリ「あー……!! どうしてこう、失敗しちゃいけないときに限って……!!」

リヒト「では、何か聞こえたような気配はしましたが、聞き取ることは叶いませんでした。……このまま終わるのもアレなんで、幸運とアイディアどうぞ」

 

 

幸運

1D100<65

 16⇒成功

 

アイディア

1D100<70

 07⇒成功

 

 

イノリ「……このロールは……?」

リヒト「EDの演出に関わる1つです。では、EDの描写、行きますよ」

 

 

―――――――

 

 

 不意に、【いのり】は誰かの声が聞こえたような気がしました。ですが、誰の声だったのか、何を言っていたのかを判別することはできませんでした。

 【いのり】はふと、ストラップに視線を向けます。惹かれるようにしてストラップに触れれば、なんとなくですが、優しい気配を感じました。

 脳裏に浮かんだのは、夢の中で出会った女の子です。それと同じ気配を、ストラップから感じたのです。【いのり】は思わず微笑みました。

 

 【いのり】はストラップを身に着けると、いつもの日常へと繰り出していきます。

 彼女の傍らには、常に、そのストラップが揺れていることでしょう。――これからも、ずっと一緒です。

 

 

―――――――

 

 

リヒト「おめでとうございます! 『ともだち』ベストエンドです」

イノリ「あ、ああ、良かった……!」

 

ユマ「大事な演出を次々と潰していったときはどうなるかと思ったけど、最後はきちんとまとまったわね」

ソウセイ「ファンブルには驚いたな……」

シキ「ダイスの出目はいい感じだけど、ファンブルもクリティカルもなかなか出ないよね」

ユウマ「成長ロールはなしのようです。残念ですね」

イノリ「でも、ベストエンドに到達したのが一番ですよ」

リヒト「では、報酬へと移行します」

 

 

SAN回復報酬

1D4⇒3

 SAN:65+3⇒68

 

入手AF

「大事なキーホルダー」(合計10ptまでのダメージを肩代わりしてくれる)

 

 

イノリ「SANが黒字だ!」(ガッツポーズ)

ユウマ「AFも入手したみたいですね。おめでとうございます」

イノリ「えへへ……」

 

リヒト「では、今回のセッションはこれにて。ありがとうございました!」

イノリ「ありがとうございました!」

 




リプレイ風仮想卓。ダイスはすべて実際に振った結果です。


≪リザルト≫

名前:来栖 いのり 性別:女性 年齢:26歳
職業:院内セラピスト
STR:9 CON:9 POW:13 DEX:13
APP:12 SIZ:13 INT:14 EDU:19
初期SAN値:65 現在のSAN値:68
幸運:65 アイディア:70 知識:95
耐久:11 MP:13 ダメージボーナス:0
年収:800万 財産:4000万

【技能】
目星:65 聞き耳:60 図書館:60 心理学:85 精神分析:85
言いくるめ:41 芸術/アロマ:60 信用:50 説得:60 英語:50
応急手当:56 博物学/植物学:67 回避:50

<特性>
・2-10⇒前職、あるいは幼少期に得難い体験をしている。57ポイントを割り振れる。
・2-4⇒愛書家。図書館に+20、且つ自宅で図書館ロールが可能

<AF>
大事なキーホルダー


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仲良し東京組の『不条理な部屋』
セッションログ


『百花繚乱クロニクルセブン』
KP.ミカゲ
PL.イノリ、シキ、リヒト、ソウセイ
シナリオ『不条理な部屋(海からのシ者さま)』を微改変。演出やルール、ダイスロールの箇所に若干の変化があります。


【探索者紹介】

 

ミカゲ「クトゥルフTRPG始めるぞー。それじゃあ、紹介頼む」

イノリ「了解! 私は今回も継続探索者だよ」

 

 

名前:来栖 いのり 性別:女性 年齢:26歳

職業:院内セラピスト

STR:9 CON:9 POW:13 DEX:13

APP:12 SIZ:13 INT:14 EDU:19

SAN値:68 幸運:65 アイディア:70 知識:95

耐久:11 MP:13 ダメージボーナス:0

年収:800万 財産:4000万

 

【技能】

目星:65 聞き耳:60 図書館:60 心理学:85 精神分析:85

言いくるめ:41 芸術/アロマ:60 信用:50 説得:60 英語:50

応急手当:56 博物学/植物学:67 回避:50

 

<特性>

・2-10⇒前職、あるいは幼少期に得難い体験をしている。57ポイントを割り振れる。

・2-4⇒愛書家。図書館に+20、且つ自宅で図書館ロールが可能

 

<職業補正>

患者に対して説得+20

 

<簡単な背景>

・都内の精神科病院に勤務するカウンセラー。花やアロマ、ハーブティーを使ったセラピーを用いる。また、花言葉にも興味がある模様。

・とても仲の良かった友人がいたが、その人物がいじめを苦にして自殺してしまった。今でも「相手のためにできることがあったのでは?」と悔いており、それがカウンセラーを志すきっかけになった。

・祖母が花が大好きで、いのりに花のことを教えてくれた。

・人に寄り添いながら治療することを信条としており、患者からの信頼は厚い。半面、人を言いくるめることは不得手である。

 

<持ち物>

財布、スマートフォン、ハンカチ、ティッシュ、家の鍵、車の鍵、オーディコロン(自分で調合したもの)、筆記用具、水筒;ハーブティー(精神分析+10)

 

<AF>

大事なキーホルダー(合計10pのダメージを肩代わりする)

 

 

 

ミカゲ「シキたちはどうする?」

シキ「新規探索者で行くわよ。勿論、今回生き残ったら、継続探索者としても使っていくつもり」

ソウセイ「俺も新規だな。一応、俺もシキと同じようにするつもりでキャラメイクしたぞ」

リヒト「僕も新規探索者でプレイします」

 

ミカゲ「じゃあ、まずはシキからだ」

シキ「ええ!」

 

 

 

名前:宝条 志貴(ほうじょう しき)

職業:警察官

STR:16 CON:11 POW:13 DEX:11 APP:10

SIZ:11 INT:17 EDU:16

年収:350万円

財産:1750万円

 

SAN:65 幸運:65 アイディア:85

知識:80 耐久:11 MP:13

ダメージボーナス:+1D4

 

【技能】

言いくるめ:75 聞き耳:75 心理学:71 追跡:50 目星:85 武道:35

こぶし:75(1D3+DB) 組み付き:75 説得:64 信用:61 回避:55

 

<特性>

6-7:不屈の精神力。気絶後、次のラウンドでCON×2ロールに成功すると自力で目覚める。

3-7:俊敏。回避の初期値が55になる。

 

<職業特性>

制服および警察手帳で信用と説得に+20追加。但し、警察への敵対者には効果なし。

 

<簡単な背景>

・地域課所属のお巡りさん。道場で子どもたちに武道を教えるボランティアを行っている。身のこなしが早い。

・勢いやマシンガントーク等で相手を言いくるめるのが得意。

・正義感が強く、市民の安全を守るために奮戦中。

 

<持ち物>

財布、スマートフォン、ハンカチ、ティッシュ、家の鍵、車の鍵、警察手帳、時計、筆記用具、テーピング用のテープ(手に使用することで、こぶし技能時に+1のDBが発生)

 

 

 

ミカゲ「完全な前衛攻撃型だな。サブで対人技能も搭載……」

ソウセイ「武道が30以上あると実用的だと聞いたな。完全な攻撃役じゃないか」

リヒト「【いのり】との役割分担はばっちりですね!」

シキ「その代わり、情報収集能力は壊滅的だけどね」

イノリ「一緒に探索することになったら、前線は任せるからね! 後方支援は頑張るから!」

 

リヒト「次は僕です」

 

 

 

名前:神宮寺 利人 性別:男性 年齢:26歳

職業:ディレッタント

STR:9 CON:11 POW:14 DEX:15

APP:14 SIZ:13 INT:15 EDU(教養):16

財産:2000万

年収:1億円

 

SAN:70 幸運:70 アイディア:70 知識:80

耐久力:11 MP:14 ダメージボーナス:0

 

【技能】

自動車運転:50 芸術(絵画):60 信用:85 図書館:63 英語:50 ラテン語:40

写真術:60 武道:20 目星:50 聞き耳:50 杖:55 心理学:75

 

<特性>

1-5:天才。INT+1。

3-10:親の七光り。信用に+20

 

<職業特性>

・信用に+10。様々なコネクションを有している。

 

【持ち物】

財布やカード、携帯電話、手帳、筆記用具、自分の名刺、特殊警棒・木製(1D6+DB/耐久16)

 

<簡単な背景>

・神宮寺財閥の御曹司。方々にコネクションがあり、顔が広い。

・以前誘拐されかけたことがあったため、護身術として特殊警棒の使い方を学んだ。

 

 

 

ミカゲ「人脈と信用の暴力……継続探索者になった場合、導入が楽になりそうだ」(遠い目)

ソウセイ「この数値だと、神宮寺財閥の力の強さが伺えるな。大半の人間が知る有名どころじゃないか」

リヒト「信用と権力ってイコールで結べますよね」

ミカゲ「恐ろしいなお前。しかも、自衛手段としての杖技能と特殊警棒の理由がヤバいぞ」

イノリ「ラテン語って、魔道書を解読するつもり満々じゃあ……」

シキ「何だろう。絵面的に違和感がない」

ミカゲ「魔道書解読しつつ、いざというときは戦えるか。文字通り文武両道って感じだな」

 

ソウセイ「じゃあ、最後は俺だな」

 

 

 

名前:風見 創成 性別:男性 年齢:26歳

職業:エンジニア

STR:13 CON:13 POW:11 DEX:14

APP:11 SIZ:17 INT:13 EDU:16

財産:500万円

年収:2500万円

 

SAN:55 幸運:55 アイディア:65

知識:80 MP:11 耐久:11 ダメージボーナス:+1D4

 

【技能】

機械修理:55 コンピューター:70 電気修理:65 物理学:40 英語:50 電子工学:65

目星:50 聞き耳:60 キック:70 組み付き:50 頭突き:50 武道:28 回避:50(28+22)

 

<特性>

3-6.格闘センスの持ち主:キック、組み付き、頭突きの基本成功率が50になる

6-4.実は生きていた:死からの生存のチャンスが5ターン以内に増加

 

<職業特性>

得意分野の構造物や設計図なら、歴史上の古いものでも遺構・遺物・図面等から設計思想を理解することが可能。

 

【持ち物】

財布、スマートフォン、小型PC、特別な補助ツールプログラム(コンピューター技能に+15のボーナス)

 

 

・神宮寺財閥の技術部に所属するエンジニアで、次期技術部主任。コンピューターや電子工学に詳しい模様。

・利人の護衛役を兼任しており、護身術を学ぶ。創成もまた、利人の誘拐に巻き込まれた1人である。

・技術は人を幸福にするために使われるべきだと思っている。

 

 

 

ミカゲ「文字通りの戦う技術者じゃねーか。某石村に行っても帰ってきそうな戦闘力と技術力だな」(困惑)

ソウセイ「SANがやや柔らかいのが難点だろう。幸運も低めだしな」

イノリ「戦闘役が3人いるのは心強いね。発狂したら即座に地獄絵図になりそうだけど」

シキ「それ、何かのフラグかしら?」

リヒト「ちょ、やめてくださいよ縁起が悪い!!」

 

 

ミカゲ「ところで、4人の関係はどうするんだ?」

PL一同「小学校の頃からの幼馴染で、家族ぐるみの付き合いがある」

ミカゲ「よし。それじゃあ、『不条理な部屋』スタートだ」

PL一同「いあいあー!」

 

 

【導入の前に】

 

 

ミカゲ「まず、全員に幸運ロールを振ってもらう。AF持ちは2回、AFなしは1回だ」

イノリ「もしかして、持ち物の有無?」

ミカゲ「正解。2回成功すればAFと持ち物が、1回成功だと持ち物の持ち込み可能になるぞ。頑張れ」

PL一同「はーい!」

 

 

幸運(1D100<LUC)

 いのり:65 1回目:94⇒失敗 2回目:84⇒失敗

 志貴:65 69⇒失敗

 利人:70 77⇒失敗

 創成:55 68⇒失敗

 

 

一同「これはひどいwwwwwwwwwwwwwwwwww」

イノリ「誰も何も持ち込めてないよ!」

シキ「己の肉体だけが頼りなのね! 燃えてきたわ……!!」

ソウセイ「全体的に出目が高いな……」

リヒト「幸先悪いですよねこれ」

 

ミカゲ「では、このシナリオにおける特別ルールだ」

 

 

【特別ルール】

・イベントが発生するたび、POW*5を振ってもらう。失敗すると探索者が耐え切れずに噴き出してしまう。

・探索者が吹き出すと、派手な効果音と共に、様々な経路(天井、床、壁、引き出しの中等々)から仕置き人が現れ、噴き出した探索者の真後ろに立ち、吹き出した探索者のお尻に、見事なフォームで蹴りを入れる。

・蹴りのダメージは1で固定。スパァン、という良い音が鳴り響いた後、仕置き人はどこかへと消えていく。探索者の耐久が尽きそうになったり、発狂して手が付けられなくなると、仕置き人は応急処置や医学で傷を癒してくれるし、精神分析(場合によっては物理もあり)を使ってくれる。

・尚、SANチェックが発生するイベントでは、SANチェックに失敗した探索者はPOW*5のロールは免除される。逆に、CON*5のロールに失敗した後にSANチェックが発生した場合、SANチェックは免除される。

 

 

リヒト「笑ってはいけないヤツですね」

ソウセイ「常にタイキックというヤツか。ケツバットとどちらがマシか……」

イノリ「でも、回復させてくれるあたり良心的だと思うなあ」

シキ「これなら死なずに済むかも」

 

ミカゲ「まあ、死人は出したくない派なんでな。適宜救済していくから安心しろ。それじゃあ、本格的に始めるぞー」

 

 

【導入】

 

 ある日の夜のこと。【いのり】、【志貴】、【利人】、【創成】は、大きなベットの上で目を覚ました。天井にはでかでかと『笑ってはいけない探索者』と、ショッキングピンクのペンキで文字が書かれている。

 身を起こし、周囲を確認すると、正面に赤い扉と黒い扉が並んでいた。右側の壁際には戸棚が1つ有り、左側には銀色の全身タイツを着たおっさんが3人居て、無言でスクワットを繰り返している姿が目に入る。

 

 

―――

 

 

ミカゲ「『目が覚めたらいきなり訳の分からない光景が広がっていた。しかも、碌でもないことに巻き込まれた予感がする』という、意味不明な状況に陥った4人、SANチェックだ。成功で0、失敗で1」

イノリ「開幕SANチェックはクローズドのお約束だもんね」

シキ「幸先悪かったからなあ。どうだろう」

ソウセイ「全体的に出目が高いし、心配だな……」

リヒト「女神さまのおぼしめしに任せるしかないでしょう」

 

 

SANチェック(1D100<SAN)

 いのり:68 33⇒成功 SAN:68

 志貴:65 54⇒成功 SAN:65

 利人:70 86⇒失敗 SAN:70-1⇒69

 創成:55 53⇒成功 SAN:55

 

 

リヒト「【利人】以外の出目が好調で羨ましい限りです」

シキ「CoCに置いて、7割は仕事しないって言われてるものね……」

ソウセイ「技能99でもファンブルするらしいからな。“とあるPLがノリノリで『俺はゼロ、奇跡を起こす男だ』ってダイスロールして、ファンブルした”話が有名だぞ」

イノリ「【いのり】だって、演出上の要所要所で悉く失敗するもの。しかも、棚を調べてファンブルになったし」(遠い目)

ソウセイ「だが、これでPON*5ロールからは解放されるな」

リヒト「SANかHPか、好きな方を捧げろってことですね。耐久は応急手当で回復可能ですから、回復量の少ないSANよりは優先低いと思うんですけど」

 

ミカゲ「さて、目の前ではタイツを着たおっさんが無言のままスクワットを繰り返してるぞ。SANチェックに失敗した【利人】以外の腹筋はどうだろうな?」

 

 

噴き出した?(1D100<POW*5)

 いのり:65 65⇒成功

 志貴:65 26⇒成功

 創成:55 62⇒失敗

 

 

―――

 

 

 あまりの光景に、【創成】は思わず吹き出してしまう。次の瞬間、『デデーン』と派手な音楽が鳴り響く。次の瞬間、【創成】が寝ていたベッドの下から、人影が飛び出してきた。いつの間に、そんな場所に潜んでいたのか。

 現れたのは、褐色の肌をしている筋骨隆々の男性だ。だが、彼が身に纏っているのはミニスカのメイド服である。突如現れた男の正体を確かめるよりも先に、男は【創成】の背後に回りこみ、一発蹴りを叩きこんだ!!

 【創成】は蹴られた場所を抑えてうずくまる。派手に蹴られた割には、痛みは予想より少ない。だが、やっぱり、痛いものは痛かった。

 

 

―――

 

 

創成

耐久:11-1⇒10

 

 

ソウセイ「CON低いから不安だったが、見事に回収されたな」

シキ「本当にね」

イノリ「ど、どんまい! 危なくなったら応急手当するから……!」

ミカゲ「仕置き人も治してくれるから安心しろよ」

 

ミカゲ「さて、これからどうするんだ?」

イノリ「目星を使わない範囲で情報が欲しいな。他にはどんな光景が広がってるの?」

ミカゲ「了解。目星を使わない程度で、部屋の中を描写するぞ」

 

 

―――

 

 

 正面に赤い扉と黒い扉が並んでいた。右側の壁際には戸棚が1つ有り、左側には銀色の全身タイツを着たおっさんが3人居て、無言でスクワットを繰り返している姿が目に入る。おっさんたちの動きに、疲労の色は一切伺えない。文字通り、一心不乱にスクワットを続けている。

 

 背後を振り返ると、くすんだクリーム色の壁が広がっていた。次の瞬間、床を何かが猛スピードで転がっていった。寝転がって寝返りを繰り返すことで、部屋の床を往復しているようだ。

 転がっていたのは、ゴシック調のドレスを着ている女性だ。見た感じ、30代後半だろうか? 彼女の目には光がなく、酷く澱んでいる。彼女の移動に合わせて反復横飛びをしているのは、パンダのなり損ないだ。

 その正体は人間である。頭にはファンシーなパンダの帽子を被り、パンダ柄の前身タイツを着ていた。奴の右手にはちくわが、左手には笹かまぼこが握られており、時折どちらかを齧るような動作も見られた。

 

 

―――

 

 

ミカゲ「さて、POW*5ロールいくぞ」

 

 

噴き出した?(1D100<POW*5)

 いのり:65 11⇒成功

 志貴:65 58⇒成功

 利人:70 07⇒成功

 創成:55 99⇒ファンブル

 

 

リヒト・シキ「wwwwwwwwwwwwwww」(腹を抱えて大笑い)

ミカゲ・イノリ「あー……」

ソウセイ「【創成】、可哀想にwwwwwwwwwww」(めっちゃ笑ってる)

 

ミカゲ「それじゃあ、こうしよう。ソウセイ、RP頼むわ」

ソウセイ「ああ、分かった」

 

 

―――

 

 

 

 【創成】は思わず噴き出してしまった。次の瞬間、【創成】の背後の床から突然仕置き人が飛び出してきた。筋肉隆々のメイド男は、勢いよく【創成】の尻に蹴りを入れる。しかし、仕置き人は力加減を誤ってしまったようだ。

 【創成】の身体は思いっきり吹っ飛ばされた。丁度【創成】の眼前には、赤い扉がある。固い衝撃を覚悟して目を閉じた【創成】だが、次の瞬間、強い反発を感じた。それはまるで柔らかなゴムのように心地がいい。

 恐る恐る【創成】が目を開ければ、赤い扉はゲルのようにプルプルとしていた。【創成】は驚いて手を伸ばす。しかし、赤い扉はもう弾力性を失っていた。手に伝わるのは、ひやりとした鉄の感触である。

「なんだ、これは」

 【創成】は恐る恐る呟いて、扉を叩く。やはり、鉄の感触がした。

 固いはずの扉なのに、先程の弾力性は何だ? いきなり柔らかくなったということなのか?

 もしかして、この扉は、無理矢理こじ開けようとすると弾力性を帯びる性質があるとでもいうのか。

(こんな性質を持つ扉なんて、今まで目にしたことがない!)

 【創成】はぞっとした。そして、同時に理解する。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

 

 

―――

 

 

創成

 耐久:10-1⇒9

 SAN:55-1⇒54

 

 

ミカゲ「という訳で、情報開示ついでに【創成】のSANから-1だな」

ソウセイ「文字通りの踏んだり蹴ったりだな」

イノリ「とりあえず、【いのり】は扉の方にいる【創成】くんに駆け寄るよ」

シキ「【志貴】も【いのり】の後を追うわよ」

リヒト「【利人】もそれに続きます」

ソウセイ「じゃあ、【創成】はこの扉の情報を他の奴らと共有するぞ」

 

 

―――

 

 

 

「【創成】くん、大丈夫!?」

 【いのり】は思わず【創成】の元へ駆け寄った。【志貴】と【利人】も【いのり】の後に続く。

 【創成】は青い顔のまま、赤い扉を凝視していた。【いのり】たちに声をかけられた【創成】は顔を上げて、赤い扉を指さす。

「この扉は、外部から強い衝撃を受けると攻撃を弾き返す。……おそらく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「さて、調べられる場所と技能は以下の通りだ」

 

・ベッド周辺/目星

・スクワットを続けるおっさん/目星

・戸棚/目星

 

イノリ「それじゃあ、【いのり】はベッド周辺に目星するよ」

シキ「【志貴】は戸棚に目星を振るよ」

ソウセイ「【創成】はおっさんに目星する」

リヒト「【利人】も、【創成】と一緒に目星をします」

 

 

目星(1D100<目星)

 いのり/ベッド周辺:65 78⇒失敗

 志貴/戸棚:85 79⇒成功

 利人/おっさん:50 61⇒失敗

 創成/おっさん:50 46⇒成功

 

 

イノリ「ああっ、出目が高い!!」

リヒト「失敗したところは、後でもう1回調べ直してみましょう」

シキ「ミカゲさん、これって時間制限あり?」

ミカゲ「なしだから、ゆっくり探索していいぞ。それじゃあ情報開示だ」

 

 

―――

 

 

 【いのり】はベッドの周りを確認してみたが、なにも見つけることはできなかった。

 【志貴】は戸棚を調べてみた。すると、2つの戸を発見した。上の戸はすりガラスの扉で、中に何か入っているようだが姿が見えない。下の戸は木でできており、外側からは中身を確認することはできなかった。

 【利人】と【創成】はスクワットを続けるおっさんの様子を確認してみた。【利人】は何も見つけられなかったが、【創成】は気づく。3人のおっさんの中で、真ん中のおっさんだけが鼻眼鏡を付けていないのだ。

 

 

―――

 

 

ソウセイ「【利人】と情報を共有したい」

リヒト「【創成】からそれを聞いて、もう1度おっさんを観察します」

ミカゲ「了解。それなら自動成功だ」

 

 

―――

 

 

 

「なあ【利人】。スクワットしている真ん中のおっさんだけ鼻眼鏡してないぞ」

 【創成】の言葉に、【利人】はまじまじとおっさんを観察してみた。

 左右橋のおっさんは鼻眼鏡をしているのに、真ん中のおっさんだけ何もつけていない。

「本当ですね。どうしたんでしょう?」

 

 

―――

 

 

 

リヒト「ミカゲさん、アイディア振りたいんですけど」

ソウセイ「俺も」

ミカゲ「おう、OKだ」

 

 

何かに気づいたかな? (アイディア)

 利人:70 84⇒失敗

 創成:65 92⇒失敗

 

 

リヒト「絶不調もいいところですね」(遠い目)

ソウセイ「リアルアイディアでは思いついたんだが、PCには反映できないか……」

ミカゲ「何かを見つけるまでは思いつかないだろうな」

 

 

シキ「どうしよう。PL的には絶対上の戸開けたくない。でも、PCだったら開けちゃうかも」

ミカゲ「開けてもいいぞ」

シキ「聞き耳! 上の戸に聞き耳振るわ」

 

 

聞き耳(1D100<75)

 志貴:26⇒成功!

 

 

―――

 

 

 【志貴】はすりガラスの扉に耳を傾けた。

 ハアハアハア……と、荒い息遣いが聞こえる。心なしか、薄らと汗臭い。確実に何かが潜んでいる。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「さて、開けるか?」

シキ「開けない。絶対開けない。絶対ヤバイもの。上の戸を放置して、下の戸を開けるわ。その前に聞き耳ね」

 

 

聞き耳(1D100<75)

 志貴:32⇒成功

 

 

―――

 

 

 悍ましい気配を察知した【志貴】は、上の戸から即座に離れた。そして、木製である下の戸に耳を傾ける。物音1つしなかった。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「さて、開けるか?」

シキ「開けてみる」

 

 

―――

 

 

 【志貴】は下の戸を開けてみた。中には、可愛らしいクマのぬいぐるみとナイフが入っている。

 

 

―――

 

 

ミカゲ「どうする?」

シキ「ぬいぐるみに触ってみるわ」

 

 

―――

 

 

 【志貴】はぬいぐるみに触ってみた。腹部に何か違和感を覚える。綿の中に、何かが入っているようだ。

 

 

―――

 

 

 

シキ「成程ね。ミカゲさん、ぬいぐるみの腹をナイフで裂くわ」

ミカゲ「了解だ」

 

 

―――

 

 

 

 ぬいぐるみの中に何かが入っていると分かった【志貴】は、手元に合ったナイフに視線を向けた。このナイフなら、ぬいぐるみの腹を裂いて中身を取り出すことができそうだ。

 【志貴】は躊躇うことなくぬいぐるみの腹をナイフで裂いた。果たして【志貴】の予想通り、ぬいぐるみの綿の中には真っ赤な鍵が入っていたのだ。

 しかし、【志貴】が鍵の入手を喜ぶより、異変が起こる方が早かった。突如、ぬいぐるみの中に入っていた綿が真っ赤に染まったのだ。

(な、なにこれ!?)

 【志貴】が驚いたとき、ぬいぐるみの首が動いた。つぶらな瞳が【志貴】を見つめる。

「痛いよ……どうしてこんなことするの? 痛いよぅ……」

 クマのぬいぐるみは悲痛な声を上げて、腹を抑えてぱたりと倒れこむ。それきり、ぬいぐるみは動くことはなかった。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「じゃあ、【志貴】のSANチェックだ」

イノリ「何という必要経費系トラップ……」

シキ「ざ、罪悪感が……」

 

 

SANチェック(1D100<65)

 志貴:65 17⇒成功

 SAN:65

 

 

シキ「メンタル固い」

イノリ「この警察官は強い」

シキ「とりあえず、みんなに鍵の発見を知らせるわ」

 

 

―――

 

 

 

「みんな、ちょっと来てくれる? 鍵を見つけたの」

 【志貴】の言葉を聞いた3人は、彼女の元へと駆け寄った。【志貴】の手には、真っ赤な鍵が握られていた。

 この色からして、恐らくは赤い扉の鍵であろう。これで先に進めそうだ。

 

 

―――

 

 

 

イノリ「先に進む前に、ベッドの周辺をもう1回調べておきたいんだけど……」

ミカゲ「それじゃあ、RP頼む」

 

 

―――

 

 

「ねえ、待って。もう少しだけ、ベッドの周辺を調べてみたいの」

 先へ進もうかと勇む3人を引き留め、【いのり】は提案した。

「もしかしたら、まだ重要なものがあるかもしれない。不用意に先に進んでしまったら、この部屋に戻って来れなくなる可能性もあるし」

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「さて、他の3人はどうする?」

シキ「【いのり】の意見に賛成するわ。調べ尽くすのはTRPGの基本でしょう?」

リヒト「そうですね。失敗したのはベッド周辺だけですし、調べてから行きましょう」

ソウセイ「もしかしたら、おっさんのことでまたアイディアを振れるかもしれない」

ミカゲ「了解。それじゃあ、ベッド周辺に目星だ」

 

 

目星

 いのり:65 70⇒失敗

 志貴:85 69⇒成功

 利人:50 64⇒失敗

 創成:50 42⇒成功

 

 

ミカゲ「(2人成功、且つ数字はこうだから……)よし、結果だ」

 

 

 

―――

 

 

 3人は【いのり】の提案に同意して、ベッド周辺をくまなく調べてみる。

 ふと、【志貴】と【創成】はベッドの下に目を留めた。ベッドの下に小指程の大きさの小さなおっさんが立っている。おっさんは関節をフルに使い、人体の構造を利用した芸術とまで言えるポーズをとっていた。

 小さなおっさんは2人の存在に気づくと、異様な速さで走り寄り、【創成】のポケットの中に滑り込んだ。

 

 

―――

 

 

 

噴き出した?(1D100<PON*5)

 志貴:65 19⇒成功

 創成:55 41⇒成功

 

 

ソウセイ「耐えた……【創成】が耐えたぞ!」

シキ「おめでとう!」

ミカゲ「まだまだ続くぞ。SANチェックだ」

ソウセイ「上げて落とされた!」(大歓喜)

 

 

SANチェック

 志貴:65 08⇒成功

  SAN:65

 創成:54 08⇒成功

  SAN:54

 

 

イノリ「凄い凄い! 2人とも同じ数字で成功したよ!!」

リヒト「奇跡ですねぇ」

ソウセイ「こっちも耐えたぞ!」(大歓喜)

シキ「どっちに転んでも喜ぶのね」

 

ミカゲ「それじゃあ、次の部屋へ行くんだな?」

一同「はい!」

 

 

―――

 

 

 

 一同は【志貴】の持っていた鍵で赤い扉を開けた。

 

 扉の色と同じく、部屋の壁一面が真っ赤になっている。壁には絵画がかかっていて、机と本棚が壁に隣接するように置いてあった。

 部屋の真ん中では、赤いドレスを着て鼻眼鏡を付けた美しい女性が佇んでいた。彼女は普通に佇んでいるのではない。真顔で片手を天井に突き上げ、肩幅に足を広げたポーズを取っていた。

 

 

―――

 

 

 

噴き出した?(1D100<PON*5)

 いのり:65 25⇒成功

 志貴:65 45⇒成功

 利人:70 81⇒失敗

 創成:55 38⇒成功

 

 

リヒト「うわあああああああwwwwwww」(大爆笑)

ソウセイ「【利人】ォォォォォ!」(大爆笑)

ミカゲ「じゃあ、RPな」

 

 

―――

 

 

 【利人】は思わず噴き出してしまった。次の瞬間、【利人】の背後の天井から突然仕置き人が飛び出してきた。逃れようとした【利人】だが、仕置き人は【利人】を拘束する。

 仕置き人は【利人】の尻を壁方向に向けさせた。刹那、別の仕置き人が壁を突き破って【利人】の尻に蹴りを入れる。【利人】は思い切り床に叩き付けられた。

 【利人】に蹴りを入れたのは、真っ赤なチャイナ服に身を包んだ、筋肉隆々で褐色の肌の男であった。チャイナ服の仕置き人はメイド服の仕置き人とハイタッチを交わし、そのままどこかへと走り去ってしまった。

「……なんですかアレ。完全に大みそかの某番組じゃないですか」

 尻の痛みを堪えながら、【利人】はぼやいた。

 

 

―――

 

 

 

利人

 耐久:11-1⇒10

 

 

ミカゲ「そして、【利人】と【創成】はもう1回アイディアロールだ」

リヒト「待ってました!」

 

 

何かに気づいたかな? (アイディア)

 利人:70 49⇒成功!

 創成:65 60⇒成功!

 

 

 

―――

 

 

 

 女性がしている鼻眼鏡を見て、【利人】と【創成】は思い至る。先程の部屋でスクワットをしていたおっさん3人組のうち、真ん中のおっさんだけが鼻眼鏡を付けていなかった。

 ……もしかしたら、この女性がつけている鼻眼鏡を、先程の部屋にいるおっさんにつけてやればいいのではないだろうか?

 

 

―――

 

 

 

 

ソウセイ「ミカゲさん。この情報を共有したい」

ミカゲ「おう。RPどーぞ」

 

 

―――

 

 

「「そうか、そういうことか(ですね)!」」

 【利人】と【創成】は、ぽんと手を叩いた。何かを思いついた様子の2人に、【いのり】と【志貴】は目を見張る。

「2人とも、どうしたの?」

 【いのり】の問いに、【利人】と【創成】は口を開いた。

「さっきの部屋のことを思い出していただけますか?」

「ほら、おっさんが3人並んでスクワットしてただろ」

 【いのり】と【志貴】は頷く。【創成】は言葉を続ける。

「あそこにいたおっさんの中で、1人だけ鼻眼鏡を付けていなかったんだ。両隣のおっさんは付けていたのに。……もしかしたら、あの鼻眼鏡を付けてやればいいのではないかと思ったんだ」

「成程ね。ってことは、あの女性から鼻眼鏡を譲り受けるということでいいのかしら?」

 【創成】の言葉を聞いた【志貴】は、女性に視線を向けた。

 女性は相変わらず、真顔で片手を天井に突き上げ、肩幅に足を広げたポーズを取ったまま微動だにしない。

 

 

―――

 

 

 

 

ミカゲ「調べられる場所は以下の通りだ」

 

・女性/目星

・机の上/目星

・絵画/目星、芸術(絵画)

・本棚/図書館

 

 

イノリ「それじゃあ、【いのり】は本棚に図書館を使うよ」

シキ「それじゃあ、【志貴】は絵画を調べるわ」

ソウセイ「【創成】は女性に目星だな」

リヒト「【利人】は絵画に芸術を振りますね」

 

 

目星

 志貴/絵画:85 10⇒成功!

 創成/女性:50 34⇒成功!

 

図書館

 いのり:65 82⇒失敗

 

芸術(絵画)

 利人/絵画:60 40⇒成功!

 

 

イノリ「ああっ!? 私だけ失敗した!!」

ミカゲ「あー……(参ったな。図書館には謎ときに必要な情報が入ってるんだけど)。情報開示するぞ。RP頼む」

 

 

―――

 

 

 【いのり】は本棚を調べていたが、なにも見つけることができなかった。

 【利人】と【志貴】は絵画を調べてみた。左から順に竜、虎、兎、蛇が描いてある。【利人】は、それが素晴らしい水墨画であることを瞬時に理解した。おそらく、コレクターの間ではかなりの値段で取引されるであろう。

 【利人】が感心している横で、【志貴】は絵画で隠れていた壁に穴が開いていることに気づいた。気になって絵画を外すと、そこにはショッキングピンクの全身タイツを着た爽やか系のイケメンがすっぽり収まっている。

 【創成】はドレスを着た女性を調べてみた。女性の放漫な胸元に、小さなおっさんが挟まっている。小さなおっさんは【創成】に気づくと、異様な速さで走り寄り、【創成】のポケットの中へと滑り込んだ。

 

 

―――

 

 

 

噴き出した?(1D100<POW*5)

 志貴:65 01⇒クリティカル!

 利人:70 50⇒成功!

 創成:55 95⇒失敗

 

 

シキ「こんなときにクリティカルだなんて! これ、処理どうするの?」

ミカゲ「そうだな。次のPOW*5ロールが自動成功になる」

シキ「やった! ラッキー!!」

ソウセイ「ファンブルにならないだけでもマシな状態だな。奇跡は2度も続かないか」

リヒト「ど、どんまいです」

イノリ「こういうこともあるよね」(遠い目)

 

 

―――

 

 

 【創成】は思わず噴き出してしまった。次の瞬間、【創成】の真横から、突然仕置き人が飛び出してきた。筋肉隆々のアオザイ男は、勢いよく【創成】の尻に蹴りを入れる。【創成】はそのまま床に叩き付けられた。

 

 

―――

 

 

 

創成

 耐久:9-1⇒8

 

 

イノリ「【創成】くんに応急手当したいんだけど、大丈夫かな?」

ミカゲ「許可しよう」

 

 

応急手当(1D100<56)

 19⇒成功

 

回復量

 1D3⇒2

 

創成

 耐久:8+2⇒10

 

 

―――

 

 

「【創成】くん、大丈夫?」

 【いのり】は慌てて【創成】の元へ駆け寄った。この場で出来得る限りの応急処置を行う。【創成】の傷は、それなりに回復したようだ。【創成】は【いのり】へ礼を述べた。

 

 

―――

 

 

ミカゲ「成功していないのは本棚、調べていないのは机の上だな。どうする?」

イノリ「もう一度、本棚に図書館を使うよ」

リヒト「【利人】も【いのり】を手伝います」

シキ「なら、【志貴】は机を目星するわ」

ソウセイ「俺も、【志貴】と同じく机を目星するぞ」

 

 

図書館

 いのり:65 76⇒失敗

 利人:63 71⇒失敗

 

目星/机

 志貴:85 95⇒失敗

 創成:50 92⇒失敗

 

 

ミカゲ「…………」(無言のまま頭を抱える)

PL一同「(気まずい)」

ミカゲ「もう1回やってみて」

 

 

図書館

 いのり:65 81⇒失敗

 利人:63 81⇒失敗

 

目星/机

 志貴:85 16⇒成功

 創成:50 10⇒成功

 

 

イノリ・リヒト「(気まずい)」

ミカゲ「図書館……(頭を抱える) ! そうだ、リヒト。水墨画を見ただろ。アイディア振れ」

リヒト「は、はい」

 

 

アイディア(1D100<70)

 利人:74⇒失敗

 

 

ミカゲ「(椅子から崩れ落ちる)」

リヒト「(気まずい)あ、あの。絵の情報をみんなと共有します」

ミカゲ「……了解。処理に映るぞ。RP頼む」

 

 

 

―――

 

 

 【いのり】と【利人】は本棚をくまなく調べてみたが、何も見つけられなかった。【利人】は先程の水墨画のことを思い返す。しかし、何も浮かばなかった。2人は顔を見合わせて唸る。

 【志貴】と【創成】は机の上をくまなく調べてみたところ、蓄音機を発見した。スイッチを入れた途端、女性が突如フラメンコを踊り始めた。踊りの衝撃で鼻眼鏡が吹き飛び、床に叩き付けられた。【志貴】は鼻眼鏡を拾い上げた。

「これで、あのおっさんは仲間外れにされなくて済むな」

「そうね。鍵らしきものは見当たらなかったし、これが何かのヒントになればいいのだけれど」

 鼻眼鏡を入手したことを報告しようとした【志貴】と【創成】が振り返ると、お手上げと言わんばかりに難しい顔をした【いのり】と【利人】の姿があった。

 2人の様子からただならぬ気配を察知し、【志貴】と【創成】は【いのり】たちの方へ駆け寄った。

「2人とも、どうしたんだ?」

「何かに使えそうな情報が見つからなくて困ってるの」

 【創成】の問いに、【いのり】は深々とため息をついた。【利人】も頷く。

「実は僕、先程見かけた水墨画が引っかかるんです。けど、何も浮かばなくて」

「水墨画?」

「はい。【志貴】さんも見ましたよね? 左から順に竜、虎、兎、蛇が描いてある水墨画なんですけど……」

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「ここで全員がアイディアだ」

 

 

何か思い付いた?(アイディア)

 いのり:65 79⇒失敗

 志貴:85 73⇒成功

 利人:70 57⇒成功

 創成:55 51⇒成功

 

 

ミカゲ「成功者3人、知識で振れ」

 

 

何か思い出した?(知識)

 志貴:80 66⇒成功

 利人:80 36⇒成功

 創成:80 35⇒成功

 

 

ミカゲ「よし!(ガッツポーズ) 情報開示だ」(嬉しそう)

PL一同「(苦笑)」

 

 

―――

 

 【利人】、【創成】、【志貴】は、水墨画に描かれていた動物たちを見て気づく。竜、虎、兎、蛇には、十二支という共通点があった。そして、十二支は嘗て時刻を示す役目もあったのだ。

 

 子の刻…時刻としては00時、時間帯としては23時~01時

 丑の刻…時刻としては02時、時間帯としては01時~03時

 寅の刻…時刻としては04時、時間帯としては03時~05時

 卯の刻…時刻としては06時、時間帯としては05時~07時

 辰の刻…時刻としては08時、時間帯としては07時~09時

 巳の刻…時刻としては10時、時間帯としては09時~11時

 午の刻…時刻としては12時、時間帯としては11時~13時

 未の刻…時刻としては14時、時間帯としては13時~15時

 申の刻…時刻としては16時、時間帯としては15時~17時

 酉の刻…時刻としては18時、時間帯としては17時~19時

 戌の刻…時刻としては20時、時間帯としては19時~21時

 亥の刻…時刻としては22時、時間帯としては21時~23時

 

 

―――

 

 

ミカゲ「前半がアイディア、後半が知識で出せる情報だ」

シキ「もしかして、これが後で謎解きのヒントになるってこと?」

イノリ「ああ、だから必死だったんだね」

ソウセイ「これをみんなと共有したい」

ミカゲ「了解」

 

 

 

―――

 

 

 

「そうだ、干支だ! この動物たちは、十二支なんだ!」

「言われて見ればそうですね。干支は嘗て、時刻や日時を現すのに使われていたと聞きます」

 【利人】と【創成】は、水墨画に描かれていた動物たちの共通点を【いのり】に伝えた。

「これが、何かのヒントになるのかしら」

「一応覚えておこう。何かに使えるかもしれないよ」

 首を傾げた【志貴】を見て、【いのり】はそれを記憶に留めておくことにした。

 

 

―――

 

 

 

イノリ「それじゃあ、一番最初の部屋に戻るよ」

ソウセイ「真ん中のおっさんに鼻眼鏡をかけるぞ」

ミカゲ「オーケイ。それじゃあ行くぞ。RP頼む」

 

 

 

―――

 

 

 

 【いのり】たちは最初の部屋に戻ってきた。おっさんたちは相変わらずスクワットを続けている。

 【創成】は真ん中にいるおっさんに近づき、鼻眼鏡をかけてやった。すると、おっさんはスクワットをやめ、無言で黒い扉を開けて出て行った。追いかけて黒い扉を確認すると、鍵が開いているではないか。

「……まさか、おっさんに鼻眼鏡をかけることが条件だとはな」

 鍵が開いた扉をまじまじと観察し、【創成】はため息をついた。

「本当ね。こんな方法で扉を開けるだなんて、誰が予想したかしら」

「バラエティ番組みたいな状況ですから、あり得るだろうなとは思いましたけど……」

 【志貴】と【利人】も苦笑した。

「それじゃあ、先に進もう」

 【いのり】の音頭に従い、4人は黒い部屋へと足を踏み入れた。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「それじゃあ、黒い部屋の描写を始めるぞ」

 

 

 

―――

 

 

 その部屋は、壁一面が真っ黒だった。中へ足を踏み入れると、そこには異様な光景が広がっていた。

 一言で言うなれば、“化け物が鼻眼鏡をかけたおっさんに腹パンを繰りかえしている”という表現が適切であろう。

 化け物の肌は灰色がかった白色だ。大きな油っぽい体をしている。よく見れば、そいつには目がない。曖昧な形の鼻面の先には、ピンク色の触手が固まって生えていた。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「ムーンビーストを見た探索者は、0/1D8のSANチェックだ」

イノリ「うわあ、来た……!」

ソウセイ「発狂不定ワンチャン有りだな」

ミカゲ「(さーて、仕置き人の精神分析が火を吹くかなー?)」

 

 

SANチェック

 いのり:68 13⇒成功!

  SAN:68

 志貴:65 36⇒成功!

  SAN:65

 利人:70 08⇒成功!

  SAN:70

 創成:54 11⇒成功!

  SAN:54

 

 

シキ「図書館と目星のアレは一体何だったんだってレベルの固さね」

ミカゲ「本当にな。それじゃあ、POW*5ロールやるぞ。ああ、【志貴】は自動成功な」

 

 

噴き出した?(1D100<POW*5)

 いのり:65 55⇒成功!

 志貴:前回クリティカル補正により自動成功

 利人:70 27⇒成功!

 創成:55 02⇒クリティカル!

 

 

ソウセイ「こんなときにか」

ミカゲ「了解。次のPOW*5は自動成功だ」

ソウセイ「SANチェック免除の方がいいんだが……いや、何でもない」

ミカゲ「それじゃあ、描写を続ける」

 

 

 

―――

 

 

 化け物が陣取っている奥には、白い扉が見える。化け物が邪魔で進めそうにないが、奴は今、おっさんを腹パンするのに夢中になっているようだ。この状況で襲い掛かれば、不意打ち扱いになるかもしれない。

 

 

―――

 

 

 

リヒト「襲い掛かれたらいいのですが、僕の戦闘技能は特殊警棒ありきのものですからね。ムーンビーストをMAキックとこぶしを持つ2人だけで倒すとなると、火力不足が否めません……」

ミカゲ「じゃあ、【利人】は幸運と目星を、他3人はアイディアを振ってくれ」

 

 

何か見つからないかな?(幸運&目星)

利人

 幸運:70 50⇒成功!

 目星:50 34⇒成功!

 

何か思い付くかな?(アイディア)

 いのり:70 12⇒成功!

 志貴:85 71⇒成功!

 創成:65 13⇒成功!

 

 

ミカゲ「それじゃあ、描写に入る」

 

 

 

―――

 

 

 棍棒や杖があれば、自分もあの化け物と戦えるのに。【利人】がそんなことを思ったとき、幸運にも、足元に棍棒が転がっているのを発見した。大きさも重さも、【利人】が持ち歩いている特殊警棒とほぼ同じである。強度はやや劣るが、無いよりはマシだろう。

 

 

―――

 

 

利人

 持ち物⇒棍棒(1D6+DB/耐久:10)が追加

 

 

 

―――

 

 

 【いのり】、【志貴】、【創成】は思いつく。

 自分たちが噴き出した時にやって来る仕置き人の蹴りは、手加減されていてもかなり痛い。もし、彼らの助力を得られれば、あの化け物を退けることができるのではないか?

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「さて、どうする?」

イノリ「おじいちゃん。仕置き人って、助けを求めれば来てくれるのかな?」

ミカゲ「ルール通りにやってればすぐに飛んでくるんじゃないか?」

シキ「ってことは、手っ取り早い方法は……」

ミカゲ「(お?)」

シキ「ムーンビーストを噴き出させればいいってことね!」

ミカゲ「( )」

リヒト「成程。噴き出した相手に蹴りを放つなら、ムーンビーストを噴き出させれば、奴が仕置き人の攻撃を喰らいますよね!」

ミカゲ「――理論は間違ってないが、神話生物に笑いのツボがあると思うか?」

ソウセイ「設定されてないのか?」

ミカゲ「想定外も想定外だよ! ……ああもう、なら、この2択から好きな方を選べ。1つは不意打ち自動成功で1ターン一方的に攻撃可能、もう1つは先制攻撃として1ターン消費する代わりにPOW*3ロール失敗でムーンビーストを噴き出させるだ。どっちがいい!?」

一同「後者で」

ミカゲ「……その心意気やよし。行くぞ」

 

 

 

―――

 

 

 仕置き人の蹴りは強烈だ。それは、蹴られた者たちはよく知っているし、それを目の当たりにした者たちも察している。

 なら、どうやって仕置き人を呼び出すか。――あの化け物を噴き出させれば、仕置き人は罰を喰らわせるために現れるだろう。そして、噴き出したものに蹴りを叩きこむのだ。

 4人は顔を見合わせる。彼や彼女たちは頷き合い、大よそ言葉にできない奇行に走った。

 

 

―――

 

 

ムーンビーストは噴き出した?

 ??⇒?? 失敗

 

 

ミカゲ「……了解。描写するぞ」

 

 

 

―――

 

 

 

 4人の奇行を目の当たりにした化け物は、混乱のあまり噴き出してしまったようだ。次の瞬間、化け物の周辺の床板が吹き飛び、仕置き人が現れる。セーラー服を身に纏った褐色の男は、悍ましい笑みを浮かべて化け物の尻を思い切り蹴っ飛ばした。しかも、その蹴りは、明らかに本気である。

 

 

―――

 

 

 

仕置き人

 キック・MA自動成功

  2D6⇒5、2

  1D6⇒2

  合計:9

 

ムーンビースト

 耐久:??-9⇒??

 

 

 

―――

 

 

 仕置き人に蹴倒された化け物は、派手に地面に叩き付けられた。化け物はよろよろと体を起こす。気のせいか、奴は仕置き人に対して酷く怯えている様子だ。

「なかなか面白いもの見ちゃったからなー。うぷぷ。折角だし、協力してあげるよ~☆」

 仕置き人はやる気満々で化け物と対峙している。理不尽の権化は、今このときばかりは最高の戦力になったのだ。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「じゃあ、戦闘開始だ。DEX順に並べると、仕置き人⇒利人⇒創成⇒いのり⇒志貴⇒ムーンビーストの順番だ」

イノリ「まずは仕置き人からだね。どうなるんだろう」

 

 

仕置き人

 キック

  ??⇒成功

 MA

  ??⇒失敗

 1D6⇒2

 1D6⇒5

 計:7

 

ムーンビースト

 耐久:??-7⇒?

 

 

 

―――

 

 

 仕置き人の蹴りが叩きこまれた。化け物は床に叩き付けられる。

「あれ、ちょっと掠めただけみたいだ。惜しいなー」

 仕置き人の言葉通り、化け物はふらつきながらも体を起こした。掠っただけだと仕置き人は言うが、化け物はもう死に体である。

 

 

―――

 

 

リヒト「仕置き人が強いのか、ムーンビーストが弱いのか……どっちなんでしょうね」

ミカゲ「ノーコメントで」

リヒト「それじゃあ、次は【利人】の番ですね」

 

 

利人

 杖(1D100<55)

  46⇒成功

 MA(1D100<20)

  93⇒失敗

 1D6⇒6

 

ムーンビースト

 耐久:??-6⇒オーバーキル

 

 

 

―――

 

 

 

「せえい!」

 【利人】は棍棒を振りかぶり、化け物に叩き付けた。それは致命傷だったようで、化け物は潰れた風船のように破裂した。それきり、もう動かない。

 

 

―――

 

 

 

 

ミカゲ「はーい、戦闘終了ー」

リヒト「最大値が出ましたからね」

シキ「あっという間だったわ。折角準備してたのに」

イノリ「まあまあ。全員無事なんだからラッキーでしょ?」

ソウセイ「そうだな。神話生物とまともに戦って勝てる可能性は低いんだし」

ミカゲ「それじゃあ、描写するぞ」

 

 

 

―――

 

 

 化け物の体は砂と化し、何も残さず消えてしまった。仕置き人はニコニコ笑いながら何処かへと去って行く。

 その背中を見送った後で振り返れば、化け物に殴られていたおっさんはどこにもいなかった。

 代わりに、おっさんがいた足元の位置に、小さなおっさんがいつの間にか佇んでいる。彼は近くにいた【いのり】のポケットへと飛び込んだ。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「それじゃあ、どうする?」

イノリ「白い扉を調べてみる」

シキ「【志貴】は部屋全体に目星をしてみようかしら」

リヒト「じゃあ、【利人】も部屋全体に目星をします」

ソウセイ「【創成】は扉を調べるぞ」

 

ミカゲ「じゃあ、まずは目星の方だ」

 

 

目星

 志貴:85 12⇒成功

 利人:50 18⇒成功

 

 

 

―――

 

 

 【志貴】と【利人】は、部屋全体をくまなく調べてみた。部屋の隅に、小さな黒いボタンがある。何かのスイッチのようだ。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「押す? 押さない?」

リヒト「押すとしたら僕ですよね。SAN値の盾的な意味で」

シキ「でも、一番最初のSANチェックで失敗してたわよね?」

リヒト「それは……ですが、SANはシキより上ですよ。あの失敗以降、【利人】のSANチェックは安定してますから、何とかなります。多分」

ミカゲ「じゃあ、【利人】が押すんだな。了解」

 

 

 

―――

 

 

 【利人】は黒いボタンを押してみた。刹那、【利人】の足元の床が抜け、【利人】は真っ逆さまに落ちていく。

 真っ暗な縦穴を落ちていく中、突然、落下していく感覚がなくなった。むしろ、浮いているような感覚に包まれる。【利人】は思わず周囲を見渡した。

 赤い、巨大な火の玉が目につく。それが太陽だ、と【利人】が気が付いた瞬間、周囲の景色は宇宙空間へと変貌した。星々の間を、虹色の全身タイツのおっさんが平泳ぎで移動している。1人、2人、3人……おっさんの人数は数え切れない。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「強制目星だ」

リヒト「トラップですかね?」

 

 

目星(1D100<50)

 利人:83⇒失敗

 

 

 

―――

 

 

 おっさんたちの泳ぐ様子を見た【利人】は気づく。自分は今、何も無い真空に生身で放り出されているのだ。哀れな【利人】にできることは、只息を吐き喘ぐことのみ。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「襲い来る生々しい死の恐怖に1d3/1d10のSANチェックだ。頑張れよー」

リヒト「げぇ! 発狂待ったなしじゃないですか!!」

ミカゲ「ついでに、強制的に聞き耳も振ってもらうぞ」

 

 

SANチェック(1D100<69)

 82⇒失敗

1D10⇒6

 SAN値:63

 

アイディア(1D100<70)

 74⇒失敗

 

聞き耳(1D100<50)

 13⇒成功

 

 

ミカゲ「おおおおおおお!? アイディア不発によって一時発狂は逃れたな!」

リヒト「不定の狂気はまだ大丈夫。まだ大丈夫……!」

シキ「ダイス目が高かったのがラッキーだったわね」

イノリ「合流したら精神分析するからね!」

ミカゲ「よし、描写の処理をするぞ。シキ、リヒト、RP頼む。合流だからな」

 

 

 

―――

 

 

 【利人】は思わず目を閉じた。凄まじい恐怖に、思考回路が理解することを放棄する。意識が途切れる直前、真空中にも関わらず鳴り響く不気味な旋律が聴こえた気がした。

 

 穴に落ちた【利人】を助けようとした【志貴】だが、その手が届くよりも先に床が閉まる方が早かった。その数秒後、【志貴】の真後ろで凄まじい音が響いた。

 何事かと振り返れば、先程穴に落ちたはずの【利人】が落下してきた。彼の顔は真っ青で、呻いている。気を失っているようだ。その隣に、小さいおっさんが転がっている。

 小さいおっさんは体を起こすと、いきなり走り出し、【志貴】のポケットに飛び込んだ。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「さて、少し時間を巻き戻すぞ。扉の処理だ」

 

 

―――

 

 

 【いのり】と【創成】は、白い扉を調べてみた。白い扉には短針しか付いていない時計がくっ付いている。

 

 

―――

 

 

 

 

イノリ「これ、さっきの水墨画と、昔使われていた方角や時刻の表現だよね?」

ソウセイ「だろうな。RPで共有していたから、【創成】たちはすぐに思い出せるだろう」

ミカゲ「じゃあ、謎解きだ。頑張ってくれよ」

 

イノリ「あの水墨画に描かれていたのは、左側の順から竜、虎、兎、蛇だったよね?」

ソウセイ「竜は辰、虎は虎、兎は卯、蛇は巳。それらを時刻に当てはめれば……」

イノリ・ソウセイ「8時、4時、6時、10時!」

 

イノリ「よし! その順番に針を動かすよ」

ミカゲ「了解。処理するぞ。全員合流につき、RP頼む」

 

 

―――

 

 

 

 【いのり】が時計の針を動かす。8時、4時、6時、10時……次の瞬間、がちゃりと扉が開く音がした。

 

 次の瞬間、床が抜けるような音が響いた。何ごとかと振り返れば、【志貴】の後ろに何かが落下してきた。慌てて駆け寄ってみると、真っ青な顔をして気を失っている【利人】の姿があった。

 暫し呻いていた【利人】は目を開ける。彼は慌てて周囲を見渡し、己が呼吸しているという事実を確認した途端、大きく息を吐いた。

「よかった……僕、生きてます……! 宇宙空間に生身で飛び出してたなんて、そんなの夢だったんだ……!」

「穴に落ちて天井から落ちてくるまでの数秒間に何があったのよ……?」

 【利人】の発言を聞いて、【志貴】は思わず表情を引きつらせる。【いのり】は【利人】を落ち着かせようと声をかけた。

「何があったかは分からないけど、とりあえず落ち着こう? 【利人】くん」

 

 

―――

 

 

 

精神分析(1D100<85)

 16⇒成功

 1D3⇒1

 

利人

 SAN:64

 

 

イノリ「しょっぱい……。リヒトくん、ごめんね! 本当にごめんね!!」

リヒト「あはは。大丈夫ですよ。では、先へ進みましょう」

ソウセイ「だな。扉は開いたわけだし」

シキ「次の扉には何が待っているのかしらね……」

ミカゲ「よし、次へ進むぞ」

 

 

 

―――

 

 

 

「……大丈夫です。落ち着きました」

 【利人】はそう言って微笑んだ。彼の顔色は悪いままだが、先程よりは幾分かマシになったであろう。4人は顔を見合わせた後、白い扉へ視線を向ける。

 【いのり】と【創成】が謎を解いたおかげで、白い扉の鍵は開いている。4人は恐る恐る近づき、扉を開けて踏み出した。

 

 真っ白な部屋の真ん中に、黒い人型の怪物が立っている。床を踏みしめる足は3本有り、両腕は一対のカギ爪を備えていた。顔が有るべき所には、かわりだとでもいうように血のように赤く長大な触手が伸び、天井まで届いている。

 本来ならば、絶大的な恐怖を感じさせるであろうその姿は、人間代の大きさにデフォルメされている。本来の恐怖は感じないが、それでも、4人をぞっとさせるには充分であった。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「じゃ、1/1D10のSANチェックだ。頑張れ」

一同「(ごくり)」

 

 

SANチェック

 いのり:68 41⇒成功

  SAN値:67

 

 志貴:65 41⇒成功

  SAN値:64

 

 利人:64 29⇒成功

  SAN値:63

 

 創成:54 12⇒成功

  SAN値:53

 

 

ミカゲ「固い! 全員きっちり成功したじゃないか!!」

リヒト「でも、【利人】のSAN値は、回復した分が無くなってしまいましたね……」(遠い目)

ソウセイ「SANは投げ捨てるもの、SANは投げ捨てるもの」(ぶつぶつ)

シキ「意外と【創成】固いわよね。4人の中で1番低SAN値だったのに」

リヒト「【利人】のメンタルは柔らかいんでしょうね。あと、女性陣は安定してるように思います」

ミカゲ「ダイスの女神さまが守ってくれてるんだろうよ。全員守ってほしいとは思うんだけどな」

 

ミカゲ「それじゃあ、先に進むぞ。RP頼む」

 

 

 

―――

 

 

 怪物は、4人の存在に気づいた。奴はどこから発生しているかは分からないが、大きな声で話し始めた。

「にゃるるるるるるるる~んん☆ ぼ~↑↑く~↓↓だ~↑↑よ~↑↓↓←→」

 怪物はそう言うなり、派手にステップを踏み始める。3本足はスピーディー、且つ、リズミカルに動いていた。あまりにも凄まじすぎて、残像しか見えない。

「やぁ下等種族のみんな!息してるぅ~↑~↑~↓~↓~?」

 ……奴は飲酒でもしたのだろうか。酔っ払いのように、しつこく4人に絡んできた。【いのり】は思わず、怪物に問いかける。

「……もしかしって、酔ってる?」

「えっ。真顔でそんなこと訊いちゃうの? 僕超素面なんだけどぉ」

「……貴方、周りから、面倒くさい奴だって言われるタイプ?」

「あ~うん。周りの連中がよく言ってくるね~☆ ま、僕自身は、ぜ~んっぜん気にしてないんだけど~↑」

「……もしかして、友達いない?」

 【いのり】の問いに、怪物は一瞬びくりと肩をすくめる。

 ほんの一瞬の沈黙の後で、怪物はぷんすこと怒りの声を上げた。

「失礼な! 僕ぼっちじゃない~! 友達いーっぱいいるもん!! その証拠に、全員この場に呼んじゃおうか~?」

「やめろ。お前のような奴がこの場にひしめくなんて、考えるだけで頭が痛くなる」

 【創成】は深々とため息をついた。しつこく絡んでくる化け物が増えるだなんてお断りだ。

 それを聞いた怪物はげらげらと笑った。

「冗談~↑↑激おこだけど~↓↓くだらない下等種族にそんな労力かけたくな~い~~↑↑←→ あいつら、呼び出すのた~いへ~んなんだも~ん↓↓」

 呪文がーと言いながら、怪物はドスドスと足音を響かせた。そうして、【利人】のポケットに触手を突っ込む。ポケットの中から出てきたのは、1枚の紙切れだ。

「こいつに書かれている呪文を使えば、す~ぐ呼び出せるよ~☆ そこのキミ、試してみる~?」

「い、いや、僕は――」

「ほらほら! 遠慮しな~い!!」

 そう言って、化け物は【利人】に無理矢理メモを読ませた。異国の言葉がかかれており、おおよそ【利人】が理解できるような文章ではない。

 だが、次の瞬間、分かるはずのない冒涜的な知識が頭の中に流れ込んでくる。【利人】はぞっとして身を震わせた。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「すまんな。リヒト、SANチェック」

リヒト「理不尽!」(大歓喜)

 

 

SANチェック(1D100<63)

 24⇒成功

 SAN:62

 

クトゥルフ神話技能:1

最大正気度:98

 

呪文習得

外なる神の従者との接触

 MP14と1D3のSAN値をコストがかかる。幸運に成功すると、外なる神の従者と接触可能。ただし、失敗すると外なる神の従者がその場におらず、コストは無駄なものとなる。

 呪文の使い手は星が見えていなければならない。その上で、呪文の使い手は「アザトースの言い知れぬ心臓」を思い浮かべる必要がある。

 従者は1D6+4ラウンド以内に現れて血の生贄を求めてくる。指定された生贄が不適当なものだった場合、従者は呪文の使い手を貪り喰ってしまう。生贄を受け取った場合は、従者は呪文の使い手のためにちょっとした仕事を1つ手伝ってくれる。

 値切りに成功すると、アザトースに関する敬意を持った質問になら1つだけ答えてくれる。答えてもらえた当事者は1D3の神話技能が追加されるが、その場に居合わせただけのものにとっては無意味で、神話技能の上昇はない。

 場合によっては呪文を教えてもらえることもあるが、習得した場合は1D8のSAN値と1D10ラウンドの間、精神が混乱状態に陥る。場合によっては、奉仕が終わった後も居残り、笛の演奏をする可能性がある。

 その笛の音を聞いた者は1/1D4のSANを失う。その後、従者が奏でた笛の音が、傍にいるすべての歌手あるいは楽器演奏者にとりつく。とりつかれた者はこの世の音階に興味を失い、次第に宇宙の音階で歌うようになる。(ルールブックを独自に要約)

 

 

ミカゲ「おお。意外と固い」

リヒト「普通の感性を持つ人間から見ると、これ、凄く使い辛いですよね。おそらく、僕も【利人】も、これを使うことはないと思います」

ミカゲ「その方がKPとしても楽だな。描写とRPを続けるぞ」

 

 

 

―――

 

 

「あれれ~? 想定した以上に驚かないぞ~?? 意外と玩具として使えそうかな~???」

「やめなさい」

 【利人】を見た怪物は、ニヤニヤと笑う。【志貴】は【利人】と怪物の間に割って立った。それを見た怪物は、余計に笑みを深くした。

 それを見た【いのり】と【創成】も、仲間たちを庇うようにして立つ。【利人】もまた、怪物を睨み返した。それをみた怪物は、楽しそうにくすくす笑う。

「おや~。この場に持ち込むことができなかったっぽいけど、持ち物ちゃ~んと書いてるね~。でも十徳ナイフが無い~↓↓折角だから、キミの持ち物の中に入れておいてあげるぅ~↑↑←→」

 そう言うなり、怪物はどこからともなく十特ナイフを取り出した。近くにいた【創成】にそれを握らせる。

 刃先は美しい銀色だが、何でできているのか見当がつかない。しかも、何やら不思議な力が宿っているように思う。

 【創成】は思わず怪物を見返す。怪物はニヤニヤ笑いながら、他の3人を見返した。

「他のみんなにも、素敵なアイテムをプレゼント・フォー・ユーしちゃおう~↑↑←→。ついでに呪文もあげるよ~↑↑僕の眷属を噴き出させたご褒美、奮発~☆」

 怪物がそう言った刹那、【いのり】、【志貴】、【利人】の掌の上には、いつの間にか物が置かれていた。

 【いのり】にはフローライトで作られた小さめの香水瓶が、【志貴】には真っ赤なバーベナの花を象ったネックレスが、【利人】にはルリビタキが描かれ/刻まれたループタイが、掌の上に鎮座している。3人はおずおずとそれを受け取った。

 その直後、突然、【いのり】、【志貴】、【創成】の頭の中に、異国の言葉が流れ込む。理解できないはずの冒涜的な知識が、3人の脳内に直接刻み込まれたのだ。

「近々、必ず面白いことになるはずだから~☆ 頑張って~~↑↑←→」

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「さて、呪文を頭に叩きこまれた3人はクトゥルフ神話技能に+1してくれ」

リヒト「全員仲良く最大SAN値が減りましたね」

イノリ「喜んでいいのやら、悲しんでいいのやらって感じ……」

シキ「それを人は有難迷惑と言うのよね」

ミカゲ「そんで、それぞれの習得呪文は以下の通りだ」

 

 

呪文習得および入手AF

 

いのり

・さまよう魂

 呪文の使い手が眠っているとき、MPを1だけ残し、1D4の正気度をコストにすることで発動。自分の魂を別の場所に送り込み、相手の様子を探ることができる。目覚めるのは呪文を使った12時間後。(ルールブックを独自に要約)

 

・「フローライトの香水瓶」

 精神を安定させる効果を持つパワーストーン・フローライトで作られた小さめの香水瓶。色は無色透明。不思議な力を宿しており、最大で2ポイントのMPをストックすることが可能。貯蔵されたMPを使いきった場合、月光浴等で浄化することで、1日1ポイントずつ貯蔵できる。

 他にも、芸術(アロマ)に成功し、作った香水を子の瓶に入れて持ち歩くことができる。これを使用すると、精神分析と芸術(アロマ)の複合ロールにチャレンジ可能。成功で2D3のSAN回復が可能。片方失敗で片方成功時は普通の精神分析と同じ効果で、両方失敗すると失敗扱いとなる。最初の1回目は中に香水が入っているので、すぐ使える。

 

 

志貴

・ナーク・ティトの障壁の創造

 物理的および魔術的障壁を創り出すことができる。呪文の参加者は1D10の正気度と任意のMPをコストとして支払う。呪文を知っていれば、誰でも参加することが可能。提供されるMP1ポイントにつき1D6のSTRを与える。壁を破壊するためには、壁とのSTR対抗に勝つ必要がある。近接攻撃の場合はSTR、飛び道具の場合はダメージで対抗する。(ルールブックを独自に要約)

 

・「バーベナのネックレス」

 バーベナの花がモチーフになっているネックレス。花弁の色は赤。不思議な力を宿しており、身に着けている間だけAPPに+1、対人交渉技能、かばう技能に+10のボーナスが入る。但し、警察官の制服を身に纏ってるときは、このAFを身に着けることはできない。

 

 

利人

・「ルリビタキのループタイ」

 ソーダライトという天然石にルリビタキを象った模様が刻まれたループタイ。不思議な力を宿しており、身に着けている間だけ目星と聞き耳に+15のボーナスが入る。他にも、シナリオクリア時にこのアイテムを身に着けていると、シナリオクリア報酬によるSAN回復量が+1される。

 

 

創成

・生命の察知

 家一軒分の地域で、そこにいる生命体の種族を探知できる。但し、察知できるのは種族だけであり、特定の個体を察知することはできない。MP1と正気度1をコストにして発動。(ルールブックを独自に要約)

 

 

 

イノリ「うわ、大盤振る舞いだね。こんなに出して大丈夫なの?」

ミカゲ「ほら、アレだよ。ムーンビーストを吹かせたから、ニャルさまもご満悦だったんじゃねーの? まあ、今後何かあったら使えって感じだな」

ソウセイ「継続探索者前提だからな。助かるっちゃあ助かるが、何とも言えない気持ちになる」

リヒト「じゃあ、【利人】は早速ルリビタキのループタイを装備します」

シキ「【志貴】も、バーベナのネックレスを装備してみるわ」

イノリ「それじゃあ、私も早速香水瓶を使って【利人】くんに精神分析をやってみる」

 

 

芸術(アロマ)(1D100<60)

 46⇒成功!

 

精神分析(1D100<85)

 70⇒成功

 

2D3⇒4

 

利人

 SAN:62+4⇒66

 

 

 

―――

 

 

 

「【利人】くん。この香水、心を落ち着ける効果があるみたいだよ」

 【いのり】は【利人】の袖口に香水を吹きかける。先程酷く青い顔をしていたので、正直彼のことが心配だった。不思議な加護の力か、【利人】は飛躍的に落ち着いたようだ。

「ありがとうございます。かなり楽になりましたよ」

 心地よい香りによって、状況はかなりマシになったらしい。【利人】は穏やかに微笑んだ。

 【志貴】と【利人】は貰ったものを身に着けてみた。不思議な力による加護を感じる。それを見た怪物は、どこか嬉しそうに体を揺らした。

 

 

―――

 

 

 

 

ミカゲ「ひと段落したところで、先に進めるぞ。……と言っても、もうEDだけどな」

イノリ「嘘。まだ続くかと思ってた」

ミカゲ「これで終わりなんだよ。ラスト、ちゃちゃっと描写するぞー」

 

 

―――

 

 

「いやぁ、君達の反応、面白かったよ。わけのわからない状況で下等種族が行う行動、愉快で愉快でもう顔がにやけちゃったね。帰り道はあっちだから、もう行っていいよ」

 怪物は満足げに頷くと、部屋の奥の方を指さした。そこには、先程まで存在していなかった木の扉が現れていた。4人は恐る恐る木の扉へ近づいてみる。

 扉の前まで来たとき、4人のポケットに滑り込んでいた小さなおっさんたちが、突然ポケットから飛び出した。奴らは綺麗に整列し、戦隊ものを連想させるかのような決めポーズを取って、散り散りに走り去っていった。

 そんなおっさんたちを見送った後、【いのり】は木製の扉のドアノブを回した。がちゃり、という音と共に、扉が開かれる。――次の瞬間、抗えない程強力な睡魔に襲われた。

 

 目が覚める。最悪な目覚めだった。

 体中はびっしょり汗をかいているし、強い倦怠感に絡みつかれたような気分である。

 

 今までの光景は夢だったのだろうか――そう思った【彼】または【彼女】は、ふと気づくだろう。

 【志貴】と【利人】は、自分が夢の中で身に着けたアクセサリーを、現実でも身に着けている。【いのり】と【創成】は、夢でもらったものがベッドサイドに置かれている。

 それぞれが何とも言えない表情を浮かべた後で、悪夢を振り払うようにかぶりを振る。そして、身支度を終えた4人は日常へと飛び出していくのであった。

 

 

―――

 

 

 

ミカゲ「『不条理な部屋』クリアだ。さて、報酬といこう。SAN回復値に見つけたおっさんの数を加算して、と」

 

 

SAN回復

1D3+4

 いのり:3+4⇒7

  SAN:67+7⇒74

 志貴:2+4⇒6

  SAN:64+6⇒70

 利人:1+4⇒5 AFの効果で+1

  SAN:68+5+1⇒73

 創成:2+4⇒6

  SAN:53+6⇒59

 

 

ソウセイ「全員黒字だぞ」

ミカゲ「その分、他のセッションでガンガン削れると思うぜ」

リヒト「典型的なアメとムチですよね」

ミカゲ「PCが劇的な死を迎えるまで、使ってやってほしいというKPの親切心さな」

イノリ「死なせたくないってのも本心だけどね」

シキ「成長ロールはナシか。残念だわ」

ミカゲ「幕間ロールは後でするけどな」

 

ミカゲ「では、これにてセッション終了だ。お疲れ様でした」

PL一同「お疲れ様でした!」

 




【参考および参照】
『パワーストーン、ストーンアクセサリの総合ショップ、トライアングル』(https://triangle.nu/zencart/)より、『フローライトの香水瓶』
『パワーストーン意味事典・効果一覧』(http://kaiun-navi.jp/navi/powerstone/namelist.html)より、『フローライトの意味・効果・浄化方法』
『花言葉-由来「由来も知りたい!」誕生花,画像など花情報満載』(http://hananokotoba.com/)より、『バーベナ(花言葉:魅力)』
『365日の誕生鳥一覧表』(http://www.oiwai-item.com/bird)より、『ルリビタキ』
『パワーストーンの意味・効果を色から探す 天の根』(http://tennnone.com/color/)より、『ソーダライト』


《リザルト》
名前:来栖 いのり 性別:女性 年齢:26歳
職業:院内セラピスト
STR:9 CON:9 POW:13 DEX:13 APP:12 SIZ:13 INT:14 EDU:19
SAN:74 幸運:65 アイディア:70 知識:95 耐久:11 MP:13 ダメージボーナス:0
年収:800万 財産:4000万
【技能】
目星:65 聞き耳:60 図書館:60 心理学:85 精神分析:85 言いくるめ:41 芸術/アロマ:60 信用:50 説得:60 英語:50
応急手当:56 博物学/植物学:67 回避:50 クトゥルフ神話:1
<特性>
・2-10⇒前職、あるいは幼少期に得難い体験をしている。57ポイントを割り振れる。
・2-4⇒愛書家。図書館に+20、且つ自宅で図書館ロールが可能
<職業補正>
患者に対して説得+20
<AF>
「大事なキーホルダー」、「フローライトの香水瓶」
<呪文>
さまよう魂
<遭遇した神話生物>
ムーンビースト、ニャルラトホテプ(デフォルメ)



名前:宝条 志貴(ほうじょう しき)
職業:警察官
STR:16 CON:11 POW:13 DEX:11 APP:10 SIZ:11 INT:17 EDU:16
SAN:70 幸運:65 アイディア:85 知識:80 耐久:11 MP:13
年収:350万円 財産:1750万円 ダメージボーナス:+1D4
【技能】
言いくるめ:75 聞き耳:75 心理学:71 追跡:50 目星:85 武道:35 こぶし:75(1D3+DB) 組み付き:75
説得:64 信用:61 回避:55 クトゥルフ神話技能:1
<特性>
6-7:不屈の精神力。気絶後、次のラウンドでCON×2ロールに成功すると自力で目覚める。
3-7:俊敏。回避の初期値が55になる。
<職業特性>
制服および警察手帳で信用と説得に+20追加。但し、警察への敵対者には効果なし。
<AF>
「バーベナのネックレス」
<呪文>
ナーク・ティトの障壁の創造
<遭遇した神話生物>
ムーンビースト、ニャルラトホテプ(デフォルメ)



名前:神宮寺 利人 性別:男性 年齢:26歳
職業:ディレッタント
STR:9 CON:11 POW:14 DEX:15 APP:14 SIZ:13 INT:15 EDU:16
SAN:73 幸運:70 アイディア:70 知識:80 耐久力:11 MP:14
ダメージボーナス:0 財産:2000万 年収:1億円
【技能】
自動車運転:50 芸術(絵画):60 信用:85 図書館:63 英語:50 ラテン語:40 写真術:60 武道:20
目星:50 聞き耳:50 杖:55 心理学:75 クトゥルフ神話技能:1
<特性>
1-5:天才。INT+1。
3-10:親の七光り。信用に+20
<職業特性>
・信用に+10。様々なコネクションを有している。
<AF>
「ルリビタキのループタイ」
<呪文>
外なる神の従者との接触
<遭遇した神話生物>
ムーンビースト、ニャルラトホテプ(デフォルメ)



名前:風見 創成 性別:男性 年齢:26歳
職業:エンジニア
STR:13 CON:13 POW:11 DEX:14 APP:11 SIZ:17 INT:13 EDU:16
SAN:59 幸運:55 アイディア:65 知識:80 MP:11 耐久:11
財産:500万円 年収:2500万円 ダメージボーナス:+1D4
【技能】
機械修理:55 コンピューター:70 電気修理:65 物理学:40 英語:50 電子工学:65 目星:50 聞き耳:60
キック:70 組み付き:50 頭突き:50 武道:28 回避:50 クトゥルフ神話技能:1
<特性>
3-6.格闘センスの持ち主:キック、組み付き、頭突きの基本成功率が50になる
6-4.実は生きていた:死からの生存のチャンスが5ターン以内に増加
<職業特性>
得意分野の構造物や設計図なら、歴史上の古いものでも遺構・遺物・図面等から設計思想を理解することが可能。
<AF>
「十特ナイフ」
<呪文>
生命の察知
<遭遇した神話生物>
ムーンビースト、ニャルラトホテプ(デフォルメ)


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グラハムの『セックスしないと出られない部屋』(R-15)
セッションログ


『大丈夫だ、問題しかないから』
KP.クーゴ(飲酒済み)
SKP/NPC.刹那
PL.グラハム
有って無いような時間軸:刹那とグラハムがくっついてひと段落した後
シナリオ:『セックスしないと出られない部屋』(阪中さま)を一部改変
※元のシナリオにはR-18要素がありますが、このログ内にはR-18描写はありません。せいぜいR-15描写までです。
※R-15程度の下ネタ・胸糞描写があります。


クーゴ「クトゥルフ神話TRPGを始める。推奨技能は目星と対人技能。グラハム、お前は戦闘特化のキャラを作れ」

グラハム「言ってることが滅茶苦茶だぞKP!? キミの言うとおりにPCを作成したら詰みそうな気配がするんだが!?」

クーゴ「安心しろ。最低でもある程度の目星とNPCの御機嫌取りさえうまくやれば補正かかるし、どうとでもなるから」

グラハム「な、なんという暴論だ……」

クーゴ「通りを無茶でこじ開けてきた貴様が言える台詞か。ほら、KPの言うことは?」

刹那「……絶対、だな」(遠い目)

グラハム「……クーゴ。やはりキミは、“彼女”の弟だな……」(遠い目)

刹那「誰がコイツに酒を飲ませたんだ……」

グラハム「A級戦犯、後で絶対に探し出さねば」

 

 

<キャラクター作成中>

 

 

グラハム「出来上がったぞ。紹介しよう」

 

 

名前:永花(えいか) グラハム 年齢:27歳

職業:居合・抜刀術師範(スポーツ選手)

STR:15 CON:16 POW:13 DEX:16(15+1) APP:11 SIZ:14 INT:15 EDU:16(17-1)

SAN:65 幸運:65 アイディア:75 知識:80 耐久:15 MP:13

年収:450万円 財産:2250万円 ダメージボーナス:+1D4

【技能】

回避:70 芸術(日本刀):62 武道(居合および抜刀術):50 日本刀:85 跳躍:60 登攀:76

天文学:49 写真術:50 目星:65 聞き耳:55 ナビゲート:50

<職業特性>

STR,SIZ,DEXのいずれかに+1、EDUに-1。

<特性>

3-1.天気予報士:外を見てアイディアロールに成功⇒1D6+1時間の間の正確な天気を予測可能。

2-10.前職:以前は別の職業に就いていたか、幼少期に得難い体験をしている。48ポイントを多く配分可能。

 

<簡単な背景>

・日本文化に魅了されてこの国に帰化したアメリカ人が両親。彼が生まれた直後、事故によって帰らぬ人となる。以後は孤児として施設で暮らしていた。

・見目は金髪碧眼の白人だが、英語は喋れない。何も知らない人が英語で話しかけてきて困惑することがある。

・空が好き。特に青空が好きで、写真に撮っていることがある。家の中には青空の写真が沢山飾られている。

・最初はパイロットを目指していたが、「トラブルに巻き込まれたのが原因で、挫折せざるを得なくなった」過去がある。

・親友の叔父に勧められて居合と抜刀術を習った結果、才能を開花させた。現在は道場で師範代をしている。

・家にいる時は着物を着用することが多い。

 

<持ち物>

日本刀(居合・抜刀術用:厳重に管理している。1D10+DB:耐久20)、スマートフォン、財布、携帯食品

 

 

クーゴ「APP以外は高水準だな」

グラハム「本当なら、職業はパイロットにしたかった。だが、振れる技能と条件的に断念したんだ。それに、どうせ戦闘技能特化にするなら、日本刀を振るってみたいと思ったのさ」

刹那「成程な。天文学とナビゲートはその名残か。“パイロットを目指していたが挫折した”という設定的にも説得力がある。特性も相まって、それらしいな」

クーゴ「さて、お助け要員であるNPCの紹介だ。NPCの操作はSKPである刹那に一任する。好感度管理と補正もだ。方向性は予め説明してあるから、その通りに頼む」

刹那「分かった」

 

 

名前:伊良部(いらべ) 刹那 性別:女性

職業:私立探偵 24歳

STR:16 CON:16 POW:14 DEX:15 APP:10 SIZ:13 INT:16 EDU:18

SAN:70 幸運:70 アイディア:80 知識:90 耐久:14 MP:14

年収:700万円 財産:3500万円 ダメージボーナス:+1D4

【技能】

言いくるめ:85 鍵開け:85 心理学:65 追跡:50 図書館:50 目星:60 聞き耳:65

杖:75 精神分析:66 応急手当:45 回避:50 隠れる:20

<職業特性>

隠れるに+10のボーナス

<特性>

3-4.戦士。あらゆる近接武器の技能値が50になる。

???<この時点では開示されません>

 

<簡単な背景>

・中東系のクォーターだが、生まれも育ちも日本。母国語は日本語である。周囲からは「日本人にしては肌の色が濃い」と認識される様子。

・大手の探偵事務所として有名な『日本ピンカートン探偵事務所』に所属している探偵。主に護衛や調査任務を行っているようだ。

 

<持ち物>

筆記用具、財布、スマートフォン、特殊警棒(タクティカル・バトン/1D8+DB:耐久25)、鍵開けキット、虫眼鏡(目星に+10のボーナス)、ピンセット、包帯キット(応急手当に+20のボーナスor回復量に+1D3のボーナス)、携帯食品

 

 

グラハム「戦闘と交渉が得意だが、探索技能も兼ね備えているマルチタイプか。【刹那】の方が有能な気がしてきたぞ」

刹那「お助けキャラだからな。攻撃も回復もそれなりにこなせる。応急手当用のボーナスもあるし、大丈夫だろう」

グラハム「NPCが心理学を持っていると、何となく嫌な予感がするな。結果によって好感度が左右されてしまいそうだ。どのような影響が出るか……」

刹那「あんたがきちんとRPすれば、悪いようにはならないと思うぞ」

グラハム「刹那……」

 

グラハム「そういえば、特性表の下が不明になっているぞ? 何故だ?」

クーゴ「さて、ではセッションを始めるぞ」

グラハム「お、おい。いささか強引では――」

クーゴ「シナリオ『セックスしないと出られない部屋』スタートだ」

グラハム「……は?」

クーゴ「だから、シナリオ『セックスしないと出られない部屋』スタートだ」

グラハム「……おい。ちょっと待て。何だそのタイトルは!?」

クーゴ「『セックスしないと出られない』……」

グラハム「待て! 何だそのシナリオタイトルは!? 完全に破廉恥じゃないか! おいクーゴ、キミは何をどうしようと言うんだ!?」

クーゴ「セッション開始だ。異論は認めんぞ。返事は?」(ガン無視)

刹那「……い、いあー」(おずおず)

グラハム「話を聞けぇぇぇぇぇぇぇ!!」(KPをゆする)

 

 

クーゴ「グラハム、RP」

刹那「諦めた方がいい。それは、アンタが一番分かっていることじゃないのか?」(KPから視線を逸らす)

グラハム「く……!」(不本意そうな顔をしてギリギリ)

 

 

 

【導入】

 

 【永花 グラハム】が目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋のベッドの上にいた。隣を見ると、20代くらいの若い女性が身を横たえて眠っている。

 赤みを帯びた黒髪に、砂漠の砂地を思わせるような煤けた肌色。ほんのりと桃色に色づいた唇がやけに目につく。【グラハム】はごくりと生唾を飲み干し、即座にかぶりを振った。

(いかん。何を考えているんだ、私は)

 邪念に飲まれかける己を叱咤して、【グラハム】は周囲を見渡した。自分たちがいるそこは、どうやらやけにケバケバしいホテルのようだ。桃色基調で統一された部屋。

 とりあえず、ここで眠っている女性を起こした方がいいだろうか。【グラハム】は、眠っている女性の肩を軽くゆすりつつ、声をかけてみた。

「キミ、大丈夫か?」

「……ん……」

 女性は小さく呻くと、ゆっくりと瞳を開けた。柘榴石を連想させるような赤い瞳は、暫くぼんやりと【グラハム】を見つめていた。ややあって、完全に意識が覚醒したのだろう。女性ははっとしたように目を見開き、周囲を見渡す。

 現状を確認し終えたのだろう。彼女は【グラハム】の方に視線を向けた。金髪碧眼ということから、【グラハム】のことを外国人だと思ったのだろう。スマートフォンを起動し、翻訳アプリを使ったようだ。どうやら音声認識らしい。

「ええと……『あなたは誰ですか』」

「いや、日本語で構わないよ。こんな成りだが、私は日本生まれの日本育ちでね。英語が話せないんだ」

 女性のアプリが英語を示すより先に、【グラハム】は苦笑した。女性は目を丸くすると、何とも言い難そうに視線を彷徨わせる。【グラハム】は微笑み、名を名乗った。

「私は【グラハム】。【永花 グラハム】だ。○○市にある道場で、居合と抜刀術の師範代をやっている」

 

 

―――

 

 

クーゴ「刹那。【刹那】が“金髪碧眼の、居合および抜刀術師範”の存在を知っているか否か、知識ロール」

グラハム「成程な。収入もそこそこあるわけだから、ご当地では有名になっている可能性もある」

刹那「分かった」

 

知識(1D100<90)

96⇒ファンブル

 

刹那「あ」

グラハム「開幕ファンブルとは、幸先が悪いな……」

クーゴ「分かった。なら、こう処理しよう」

 

 

―――

 

「○○市……あそこか」

 女性はそう言って眉を潜める。彼女は【グラハム】のことよりも、何か別の話題に気を取られているようだ。

 【グラハム】は内心ひっそり苦笑すると、女性に問いかけた。

「キミは?」

「……【刹那】。【伊良部 刹那】だ。探偵をやっている」

 女性――【伊良部 刹那】はそう言って、名刺を差し出した。名刺には『日本ピンカートン探偵事務所』【伊良部 刹那】とある。

 

 

―――

 

 

クーゴ「グラハム。【グラハム】が日本ピンカートン探偵事務所を知っているか知識ロール」

グラハム「!? あ、ああ」

 

知識(1D100<80)

55⇒成功!

 

 

クーゴ「2人とも、RP」

グラハム「分かった」

刹那「了解だ」

 

 

―――

 

 

 日本ピンカートン探偵事務所と言えば、かなり有名な探偵事務所である。大きなビルに事務所を構え、多くの探偵が所属していると聞いた。

「ピンカートン探偵事務所……聞いたことがある。かなり大手の探偵事務所だな」

「そうか」

「こんなに若いのに、探偵か。キミは凄いんだな」

 【グラハム】は素直に【刹那】に賛辞の言葉を贈る。

 【刹那】は目を瞬かせると、ほんの少し警戒を解いたようだ。

「……いや。俺は、そんなのじゃない」

 【刹那】は表情を緩ませる。けれど、その笑い方は、どこか影があるように思えた。

 

 

―――

 

 

刹那「…………」

 

ダイスロール

 1D3⇒2

(ポイント:2)

 

 

グラハム「おい、何だ今のダイスロールは!?」

刹那「好感度管理に関係している、としか言えないな」

クーゴ「続けるぞ」

 

 

―――

 

 

 ここはどこかと思案を巡らせていると、部屋にあるスピーカーから館内放送のようなチャイムが鳴る。

「あ、やっと目が覚めたかな? いやーなかなか起きてくれないからまさか死んじゃったかと思ったよ」

 声の主は全く知らない人物だ。男か女か判別できない。だが、声の主は、【グラハム】と【刹那】がここに閉じ込められているという事実を楽しんでいるように見えた。

「君たち、この部屋に閉じ込められてるわけだけど、出る方法を知りたいかい? 知りたいよね? 答えは簡単、『この部屋にいるキミたちが、この場でセックスをすること』だよ!」

 「カンタンでしょ?」と声の主は嗤った。

「ま、どーしても勃たないって言うなら他に出る方法がないわけでもないけど……でもそんな面倒な手段を取るぐらいならさっさとヤっちゃった方がカンタンだけどね。制限時間は1時間!さあ、せいぜい脱出に向けて頑張ってくれたまえよ!それじゃ!」

 放送がブツンと切れる。それきり、この場は静まり返った。

 

 

―――

 

 

グラハム「おい」(顔色が悪い)

クーゴ「2人とも、SANチェックだ」

グラハム「おい」(顔色が悪い)

刹那「……グラハム。あくまでもこれはゲームだ。遊びなんだ。だから大丈夫」(グラハムの肩を叩く)

グラハム「…………そう、だな」(俯く)

 

 

SANチェック

 グラハム:65 72⇒失敗

  SAN:65-1⇒64

 刹那:70 70⇒成功

  SAN:70

 

 

クーゴ「次は聞き耳だ」

 

 

聞き耳

 グラハム:55 32⇒成功

 刹那:65 86⇒失敗

 

 

クーゴ「グラハムはアイディアを振れ」

 

 

アイディア(1D100<75)

 76⇒失敗

 

 

クーゴ「はい、処理するぞ。RP頼む」

グラハム「あ、ああ」

刹那「了解した」

 

 

―――

 

 

「…………」

 【グラハム】は、思わず身を震わせた。先程の放送は、あまりにも不気味である。

「大丈夫か? 顔色が悪いようだが」

「ああ、平気だ」

 【グラハム】の様子に気づいたのだろう。【刹那】は心配そうにこちらを覗き込む。【グラハム】はどうにか取り繕い、笑い返した。

(……ん?)

 そこで、ふと、【グラハム】は気づく。エアコンから、どこか甘い香りが漂ってくるように思うのだ。それが何かは分からないが、嗅いでいると頭がくらくらしてくる。

 先程の声は、「制限時間は1時間」と言っていた。もしかして、1時間というのはこの香りが充満するまでのタイムリミットということだろうか? ――だとしたら、この香りが充満してしまったら大変なことになる。

 おまけに、あの声の主は言っていた。「ここから出たければセックスをしろ」などと、馬鹿げたことを。見ず知らずの若い女性に、そんな無体を強いるなんて真似は御免だ。

 【刹那】の表情は険しい。彼女もまた、先程の放送を思い出しているのだろう。気のせいか、顔色が悪いように思う。【グラハム】は【刹那】に向き直り、頷き返す。

「【刹那】。この部屋に長居するのはよくない。どうにかして、2人でここを出る方法を探そう」

 【グラハム】の言葉を聞いた【刹那】は、驚いたように目を見開いた。

 

 

―――

 

 

刹那「…………」

 

<シークレット>

心理学(1D100<65)

 56⇒成功

ダイスロール

 1D6+5⇒1+5⇒6

(ポイント:8)

 

 

クーゴ「【刹那】はこう認識したぞ。それを踏まえて、好感度管理とRP頼む」

刹那「……分かった」(どこか嬉しそうに目を細める)

グラハム「心理学に好感度か……。ひやひやするな」

 

 

―――

 

 

「……分かった」

 【刹那】は静かに微笑んだ。彼女は【グラハム】に手を貸してくれるらしい。

 

 

―――

 

 

クーゴ「それじゃあ、探索開始だ。制限時間は箱庭内の1時間、イベントおよび技能ロール1回につき5分経過と扱う。つまり、イベントが12回発生するまでの間に脱出できなければ強制的にR-18EDだ。だが、ヤっても別に悪い結果になることはない。生きて出られるから気楽にな」

グラハム「……私が『気楽にできないと知っている』から、このシナリオを回したのだろう?」

クーゴ「さあ、どうだろうな」

グラハム「悪趣味め。……こういうときは、キミも“彼女”の弟なんだと認識するよ」(苦い表情)

刹那「……どうする? 別々に探索するか? それとも一緒に探索するか?」

グラハム「時間がない。別々に行動した方が早そうだ。頼めるか?」

刹那「分かった。任せてくれ」

クーゴ「では、どこを調べるかの宣言を頼む」

グラハム「なら、私はベッドを調べよう」

 

 

目星(1D100<65)

 96⇒ファンブル

 

 

グラハム「あ」

クーゴ「じゃあ、こうだ」

 

 

―――

 

 

 【グラハム】はベッドを調べようと近付いた。その際、天蓋に思い切り頭をぶつけてしまう。しかも、その衝撃で天蓋が落ちて、足に思い切りぶつかった。

 

 

―――

 

 

グラハム

 HP:15-3⇒12

 

 

クーゴ「では、【刹那】の方だ」

刹那「分かった」

 

 

<シークレット>

・タンス

 引き出しを開けると、パズルを発見。

1D100<INT*5

 26⇒成功

パズルを解いた

 中には木の切れ端が入っており、「NEWS」と彫られている。

 

 

クーゴ「2回目のダイスロールだ。じゃ、どうする?」

グラハム「もう一度、天蓋の向こうを目星したい」

クーゴ「いや、目星しなくてもいい。情報を開示するぞ」

 

 

―――

 

 

 【グラハム】は天蓋の向こうに視線を向ける。そこには、数字が書いてあった。書かれている数字は1だ。

(この数字には、何か意味があるのか?)

 【グラハム】は首を傾げたが、その意味は分からないままだ。

 類推するには、あまりにも情報が少なすぎる。

 

 

―――

 

 

クーゴ「改めて、2回目のダイスロールだ。どうする?」

グラハム「調べる前に、刹那に声をかける。数字のことを伝えたい。それから、テーブルとソファを調べるぞ」

クーゴ「了解。2人とも、RP頼む」

 

 

―――

 

 

「刹那。ベッドの天蓋に数字が書いてあったぞ。そっちは何か見つかったか?」

「タンスの中にパズルが入っていた。解いてみたら木の切れ端が出てきたぞ。それには『NEWS』と彫られていた」

 そう言って、【刹那】は木の切れ端を【グラハム】に見せた。それが何を意味しているのか、まだ分からない。推理するにはまだ情報が少なすぎる。

 ならば、部屋の中を調べてみる他あるまい。

「刹那。私はテーブルとソファを調べてみる」

「なら、俺はバスルームだな」

 2人は顔を見合わせた後、頷き合う。そして、手がかりを探しに向かったのであった。

 

 テーブルとソファには何の変哲もないように見える。テーブルの上にはキッチンタイマーがある。

 一時間からスタートしてカウントダウンしているようだ。探索に残された時間を表示してくれる。

 

 

―――

 

 

クーゴ「では、CON*10で振れ」

グラハム「CON*10? 何をするんだ?」

クーゴ「エアコンから何か流れてたんだぞ。1時間後に完全に充満するわけだからな。定期的に量は増えてくるぞ」

グラハム「……ああ、成程」

刹那「その一定時間が、イベント2回分――つまり、このシナリオにおける10分間という訳か」

 

 

CON*10

 グラハム:自動成功

 刹那:自動成功

 

 

グラハム「成功値が減っていくタイプか」

刹那「今のところは確実に成功するが、次はどうなるだろうか……」

クーゴ「CONが低ければもうちょっとハラハラしてもらえるんだろうがな」

 

 

―――

 

 

 

 室内に、甘い香りが充満する。一瞬くらくらしたが、2人は踏みとどまった。

 

 

 

―――

 

 

クーゴ「残り50分。改めてダイスロールを頼む」

グラハム「分かった」

 

 

目星(1D100<65)

 31⇒成功!

 

 

クーゴ「じゃあ、情報開示だ」

 

 

―――

 

 

 テーブルの下には方位磁針が置かれていた。開けると、丁度、ベッドのある方角を北と表示している。

 

 

―――

 

 

グラハム「方位磁石、ベッドの方角、ベッドの天蓋に数字の『1』、【刹那】が見つけた『NEWS』……成程な。見えてきたぞ……!」

 

クーゴ「それじゃあ、【刹那】の探索を頼む」

刹那「分かった」

 

 

<シークレット>

・浴室

 洗面台と浴槽がある。浴槽のカーテンは閉じている。

 洗面台の上には避妊具が2箱、ペペローション、イチジク浣腸。

 換気扇はつかない。

浴槽全体に目星。虫眼鏡使用(1D100<60+10)

 02⇒クリティカル!

 カーテンを開けると浴槽の壁にルージュで書かれた「9」の文字。

 クリティカル効果保留

 

 

クーゴ「では、CON*8ロールだ」

 

 

CON*8

 グラハム:自動成功

 刹那:自動成功

 

 

―――

 

 

 室内に、甘い香りが充満する。一瞬くらくらしたが、2人は踏みとどまった。

 

 

―――

 

 

クーゴ「残り40分だ。では、どうする?」

グラハム「次は……そうだな。情報共有と推理がしたい」

クーゴ「その場合、情報共有と推理で10分経過するが構わないか?」

グラハム「頼む」

クーゴ「了解。2人とも、RP頼む」

 

 

―――

 

 

「刹那。ちょっと来てくれ」

 【グラハム】に呼ばれ、【刹那】がやって来た。【グラハム】は先程手に入れた方位磁石を指示す。方位磁石は、ベッドの方角を『北』と指し示している。

「キミは先程、パズルを解いて木片を手に入れたと言っていたよな?」

「ああ。木片には『NEWS』と刻まれていた」

「この方位磁石は、ベッドの方角を指し示している。そして、私がベッドを調べた結果、天蓋の裏に数字が書いてあった。書かれていたのは『1』だったな」

 数字という言葉に、【刹那】はポンと手を叩いた。

「バスルームの鏡にも、口紅で数字が書いてあった。『9』だったな」

「……成程な」

 【刹那】の言葉を聞いた【グラハム】は、納得した。自然と口元に笑みが浮かぶ。

 外に出るための突破口へ繋がるヒントを手にしたのだ。笑いたくなるのも当たり前だろう。

「……方角と数字……方角を英語に……」

 【刹那】も気づいたのだろう。己の思い付きが正しいか否かを確認するように、彼女は【グラハム】を見返す。

「北はNorthで、方位磁石の指す先はベッド。ベッドには数字の『1』。西はWestで、方位磁石の指す先はバスルーム。バスルームには数字の『9』」

「木に刻まれていた『NEWS』は、方角の頭文字か。対応する順番に見つけた数字を並べれば、1、×、9、×……4桁の数字が出来上がるな。それが、ここから出るヒントか?」

「となれば、数字の場所は、方位磁石が指し示す家具の場所にあるということになる……!」

 2人は方位磁石を用いて部屋を眺める。方位磁石の先には、対応する家具と場所があった。

 

 

 

―――

 

 

クーゴ「方位磁石で家具の場所を確認した結果、タンスとトイレが該当するようだ。他の場所も調べられるが、どうする?」

グラハム「【グラハム】からしてみれば、遠回りする理由が見当たらない。即座に直行するだろう」

クーゴ「どっちを調べるんだ?」

グラハム「女性に重いものを動かせとは言わんよ。【グラハム】はタンス近辺を調べるだろうな」

刹那「それは【刹那】を馬鹿にしているということか?」

グラハム「いや、【刹那】には感謝している。【刹那】が協力してくれなければ、謎解きがスムーズに進むとは思わなかったからな」

刹那「感謝と労いの言葉があったうえでの念押しならば、【刹那】は納得してトイレを調べに行くだろう」

グラハム「分かった。そのことも伝えるさ」

 

クーゴ「じゃあ、まずはCON*6で振れ」

 

 

(1D100<CON*6)

 グラハム:96 78⇒成功

 刹那:96 33⇒成功

 

 

―――

 

 

 室内に、甘い香りが充満する。一瞬くらくらしたが、2人は踏みとどまった。

 

 

―――

 

 

クーゴ「じゃあ、RPだな」

 

 

―――

 

 

「【刹那】。私はタンス近辺を調べてみる。キミにはトイレを調べてもらいたい」

「先程、タンスの中から木片を取り出したのは俺なんだが……」

「女性に重いものを動かせと命令するほど、私は酷い奴ではないさ」

 【グラハム】がそう言うと、刹那は目をぱちくりさせた。どこか腑に落ちないと言いたげな表情を浮かべる。

「アンタは俺が役立たずだと言いたいのか?」

「そうじゃない。キミのおかげで、ここから出る手がかりを集めることができた。もう少しで、2人でここを出ることができるはずだ。協力、本当に感謝している。ありがとう」

 【グラハム】は柔らかに微笑む。【刹那】は目を瞬かせた。

 

 

―――

 

 

刹那「…………」

 

<シークレット>

心理学(1D100<65)

 99⇒ファンブル

 

 

刹那「あっ」(表情がこわばる)

クーゴ「ほう。だが、シークレットで出したアレがあったな」

刹那「KP。この結果を帳消しにできるか?」

クーゴ「了解。折角だからオマケもつけよう。刹那はこう認識したぞ」

刹那「…………おい。流石にこれは」

クーゴ「嫌ならファンブル処理にするが」

刹那「分かった。帳消しとオマケで頼む」

 

<シークレット>

 1D6+1D3⇒6+3⇒9

(ポイント:17)

 

 

グラハム「…………」(ダイスが秘匿されているため、ハラハラしている)

 

 

―――

 

 

 何とも言い難そうに視線を彷徨わせた。ややあって、【刹那】は口を開く。

「それは俺の台詞だ、グラハム。アンタが力を貸してくれなければ、俺たちをここに閉じ込めた犯人の思うつぼになっていただろう」

 柘榴石を思わせるような瞳は、柔らかに細められた。

「……ここに閉じ込められた相手が、アンタでよかった」

 【刹那】が【グラハム】に向ける眼差しは、強い信頼そのものだ。

 だが、次の瞬間、彼女の表情に暗い影が滲む。

「――他の奴だったら、きっと……」

 【刹那】は零すように呟いて、かぶりを振る。そうしてすぐに顔を上げた。

「分かった。そっちは任せるぞ」

 

 

―――

 

 

クーゴ「残り25分だ。ダイスロール行くぞ」

グラハム「クーゴ。最初からアタリを付けて探すのだから、【グラハム】は注意深く、丹念に観察するはずだよな?」

クーゴ「成程な。なら、+10で補正を付けるぞ」

 

 

目星(1D100<65+10)

 44⇒成功

 

 

グラハム「よし!」

クーゴ「それじゃあ、【刹那】のダイスロールだ」

刹那「分かった」

 

 

<シークレット>

トイレに目星。アタリを付けて捜索+虫眼鏡使用:(1D100<60+10+10)

 79⇒成功

・入って右側の壁にひっそりとポストカードが貼ってある。ポストカードには『0』の数字。

 

 

クーゴ「グラハム。RP」

グラハム「任された!」

 

 

―――

 

 

 【グラハム】はタンスを調べてみた。今までの法則と方位磁石の方角を信じ、タンス周辺を丹念に捜索する。それが功を制したようで、タンスの後ろに何か文字が書かれているのに気付いた。

 タンスを動かそうと手をかけてみる。すると、異様に軽い。これならば、女性でも簡単に持ち上げることができただろう。【刹那】のことを気遣ったつもりだが、杞憂に終わったようだ。

(このことは言わない方がいいだろう)

 【グラハム】は苦笑しつつ、タンスを動かす。木製タンスの裏側には、『8』の数字が刻まれていた。

 

 

 

―――

 

 

クーゴ「そして、CON*4ロール」

 

 

(1D100<CON*4)

 グラハム:64 93⇒失敗

 刹那:64 60⇒成功

 

 

グラハム「う……!」

クーゴ「おお、ようやく失敗か」

グラハム「……キミ、嬉しそうだな」

クーゴ「ああ。でも正直な話、もうほとんど意味がないがな。それじゃあ、RPに移るぞ」

 

 

―――

 

 

「ぐ……!」

 甘ったるい香りに、【グラハム】の体がぐらついた。纏わりつくようにむせかえる香りは、【グラハム】の理性を削ぎ落していく。体の底から滲むのは、欲望だ。――だが。

 強靭な意志で、それを屈服させる。しかし、所詮、無理矢理押さえつけただけに過ぎない。頭がぼうっとする。

「【グラハム】!? おい、大丈夫か!?」

 トイレを調べ終えたのだろう。【刹那】がトイレから出てきてすぐ、【グラハム】の異常に気づいて駆け寄ってきた。

 彼女に心配をかけるわけにはいかない。【グラハム】は無理矢理笑って見せた。そうして、話を逸らすように、先程手にした情報を伝える。

「……ああ、平気だ。それより、数字は見つかったか?」

「見つかった。壁のポストカードに、『0』と」

「こちらはタンスの裏に『8』とあった。それを、木の破片と方角に照らし合わせれば……」

 半ば荒くなりつつある呼吸を押し殺し、【グラハム】は類推する。

「数字は、1、8、9、0だ」

「この数字を使える場所を見つければいいんだな。セオリー通りだとすれば……」

 【刹那】の視線は、扉の方に向けられている。扉には、何かを入力するタイプの鍵が取りつけられていた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「どうする? 出るか? それとも、もう少し探索してみるか?」

グラハム「……【グラハム】は、もうここに留まっていたくないだろうな。【刹那】にも、『ここから出よう』と促すぞ」

刹那「【刹那】も特に異論はない」

クーゴ「それじゃあ、RP頼む」

 

 

―――

 

 

「ここから出るためのヒントは手に入れたんだ。もうここに用はない」

「そうだな。早く出よう」

 【グラハム】と【刹那】は顔を見合わせ、頷いた。そして、扉に数字を入力する。

 1890と入力すると、電子音が鳴り響く。赤く点滅していたランプが緑に変わった。ロックが解除されたらしい。

 さあ、ここから出よう――【グラハム】が扉に手をかけたとき、不意に服の袖を掴まれた。振り返れば、【刹那】がこちらを見上げている。

「……どうかしたのか?」

「ありがとう。俺を助けてくれて」

 【グラハム】が問うと、【刹那】は静かに微笑んだ。赤い宝玉は柔らかに細められる。浮かぶのは、深い感謝。

「【グラハム】。アンタがいてくれて、本当に良かった」

「それはこちらの台詞だよ。ありがとう、【刹那】」

「……ここから出た後も、また会えるか?」

 ぼそり、と、【刹那】は呟いた。だが、すぐに、「アンタがよければ」と付け加える。

 柘榴石のような瞳は、どこか不安そうに【グラハム】を見上げていた。

 ……返事など、決まっている。

「私もだ。ここから出たら、また会おう」

 【グラハム】も、目を細めて頷く。それを見た【刹那】も、嬉しそうに口元を綻ばせて頷いた。

 【グラハム】はドアノブに手をかけた。ドアを開けると何事もなかったかのように開く。ドアを開けるとまぶしい光が差し――

「ちぇっ、パスワードを見つけられちゃったのかあ。……まあいいか、また別の人を連れてくればいいしね」

 男か女か判別がつかない声が響いた後で、世界が反転する。

 目を開けるといつものベッドの上だった。

(……夢?)

 【グラハム】は目をこすりながら体を起こす。

 だが、先程まで【刹那】と一緒にいたという感覚は、まだ胸の底に残っている。

 そして、「あの奇妙な部屋から出たら、また会おう」という約束も。

 

 

―――

 

 

クーゴ「さて、幸運振れ」

グラハム「こんなときにか!?」

クーゴ「補正は+17だ」

グラハム「……っ」(祈るような表情で)

 

幸運(1D100<65+17)

 48⇒成功

 

 

―――

 

 

 ふとベッドサイドに視線を向ければ、あの部屋で【刹那】から貰った名刺がひっそりと存在を主張している。

「【刹那】」

 【グラハム】は小声で少女の名前を呼んだ。甘い響きが胸を満たす。

「約束、だからな」

 【グラハム】は微笑み、体を起こした。

 今日は休日、道場は休みである。【グラハム】は身支度を整えると、スマートフォンに手をかける。名刺にかかれている電話番号をタップし、電波を飛ばした。

 程なくして、電話は繋がる。

『もしもし。日本ピンカートン探偵社所属、伊良部 刹那です。どちら様ですか?』

「永花 グラハムだ。……()()()()()()『初めまして』と言うべきかな?」

 聞こえてきた声に口元が綻んだのは、気のせいではない。【グラハム】は微笑めば、受話器の向こう側にいる【刹那】が息を飲む音が響いた。

 ややあって、受話器の向こう側にいる【刹那】が微笑む気配がする。【グラハム】もまた、胸の底が温まるような熱を感じていた。

 

 2人は確かに日常へと帰ってきた。

 けれど、2人はその日常に、微かに変化を投じる。

 

 ――そうして、新しい日常が始まりを告げた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「はい、『セックスをしないと出られない部屋』、ハッピーエンドだ。おめでとう」

グラハム「っし!」(ガッツポーズ)

クーゴ「しっかり守り抜いたな」

刹那「…………ふ」(嬉しそう)

 

 

クーゴ「さて、大成功または大失敗による、技能値成長の時間だぞ」

グラハム「【グラハム】が目星のファンブル1回だな」

刹那「【刹那】はどうなる? 一応NPC扱いなんだろう?」

クーゴ「NPCからPCにしろ」

刹那「……は?」

クーゴ「今回のセッションでハッピーエンドになったのと、好感度が高い状態という得点だ。むしろ、今後も【刹那】にはお世話になってもらう予定だった」

刹那「……そ、そうか」

クーゴ「という訳で、【刹那】も成長ロール頼む。目星クリティカル、心理学ファンブルだな」

グラハム「もしや、心理学でファンブルが出たのは……」

クーゴ「2人とも、ダイスロール」(威圧感)

PL一同「…………」(頷く)

 

 

<グラハムの成長ロール>

・目星

 1D10⇒1 目星:66

 

<刹那の成長ロール>

・目星

 1D10⇒10 目星:70

・心理学

 1D10⇒2 心理学:67

 

 

グラハム「最大値が出るとは、刹那はダイスに愛されているのだな」(しみじみ)

刹那「まさかの最低値か。アンタ、ダイスの女神に好かれてるんだか嫌われてるんだか分からないぞ」

クーゴ「そんでもって、クリア報酬のSAN回復だ。暗号を解いて脱出したことによる2D3に、暗号入力ノーミスクリアボーナスで1D2だ」

 

 

<SAN回復>

グラハム

 2D3⇒5 1D2⇒2

 SAN合計:64+7⇒71

 

刹那

 2D3⇒4 1D2⇒1

 SAN合計:70+5⇒75

 

 

クーゴ「おめでとう。2人とも黒字だな」

グラハム「現実では著しくすり減らされたがな」(顔色が悪い+遠い目)

刹那「だ、大丈夫か?」

グラハム「何とかな。少なくとも、キミが気を揉む程ではないよ」

 

クーゴ「あーあ。SANチェックと好感度管理の罠を踏まなかったし、【グラハム】がCON*nチェックに失敗したのも謎を解き終わった後だったし、折角エグイの用意してたのに」

グラハム「……あまり聞きたくはないんだが、キミが仕掛けていた罠とは一体?」

クーゴ「【刹那】の過去に関わる話。テレビを調べるのと、『高好感度でCON*nチェック失敗』または『高好感度で脱出方法が見つからないまま、残り時間10分を切った』時点で出てくる予定だった」

グラハム「……シナリオタイトルからして嫌な予感しかしないぞ。なあ、何が出てくるんだ。一体何が出てくると言うんだ……!?」(戦慄)

クーゴ「それじゃあ、セッションお疲れさまでしたー……Zzzz」(爆睡)

グラハム「ああっ!? 話を途中で切るんじゃない! ……ああもう、こうなったら明日まで眠ったままか」(呆れ)

刹那「そして記憶も残らない、と」

グラハム「困ったものだよ。本当に」

 

グラハム「なあ、刹那。キミ、SKPだろう? クーゴの言っていた罠を踏んだ場合、何が起きたんだ?」

刹那「TVの場合は、【刹那】が複数人の男たちに無理矢理犯されているAVが延々と流れる」

グラハム「……は?」(表情を強張らせる)

刹那「好感度が高い状態でCON*nロールに失敗したり、高好感度で脱出方法が見つからないまま残り時間10分を切ったりした場合は、【刹那】は【グラハム】を助けたい一心で『自らと性行為をするように』誘ってくる」

グラハム「…………は?」(顔色が著しく悪くなる)

刹那「【伊良部 刹那】は、幼少期はカルト教団に所属する狂信者だった。彼女を含んだ一族全員がカルト教団に所属していた。その際、教義によるサバト由来の性的暴行を受けており、純潔なんてとうに踏みにじられていた。【刹那】が16歳のとき、ひょんなことから教義に疑問を持つようになり、カルト教団を潰す決意をする。周囲の協力を得てカルト教団を壊滅することに成功したが、結果的に、家族や友人を死なせてしまった。その際に、彼や彼女たちからかけられた言葉を気にしている。そのため、自身に関する優先順位が著しく低い」

グラハム「…………」(顔面蒼白)

刹那「カルト教団を抜けてからは、紆余曲折あって、日本ピンカートン探偵社で探偵をするようになる。表向きは大手探偵社所属の探偵だが、その実態は、非公式の抗神組織に所属するエージェントだ。主にカルト的被害や神話的事象の解決のために働いている。しかしここ最近は、“何者かの手によってラブホテルらしき部屋に閉じ込められ、同じ部屋に閉じ込められた相手に無理矢理犯される”というリアルな悪夢に見舞われていた。因みに、この夢は『時間内にセックスした』EDに関わっているな」

グラハム「つまり、【刹那】は、このシナリオを周回していたということか? しかも、【グラハム】意外との男は、夢オチだろうと、結果的に【刹那】と……」(顔面蒼白)

刹那「そうらしい。だから、他の男たちとは違う手段を模索し、言葉通りに見つけた【グラハム】は、【刹那】にとって特別な存在だ。いや、性行為ではない脱出手段を模索した時点でも、【刹那】にとっては嬉しいことだからな。故に【刹那】は、好感度が高い場合、【グラハム】が負うであろうダメージを少しでも和らげようとして夢オチEDに持ち込もうとする」

グラハム「…………刹那」(顔面蒼白のまま、ボロボロ涙を流す)

刹那「おい、アンタが泣いてどうするんだ」

グラハム「敢えて言わせてもらおう。……泣いているのは、私だけではないよ」

刹那「――そうか。アンタのこれは、【グラハム】の涙でもあるわけか。……優しいな、アンタ“たち”は」(抱きしめて背中を撫でる)

グラハム「キミ“たち”こそ、優しすぎるんだ」(抱きしめ返す)

 

 




≪リザルト≫

名前:永花 グラハム 年齢:27歳
職業:居合・抜刀術師範(スポーツ選手)
STR:15 CON:16 POW:13 DEX:16(15+1) APP:11 SIZ:14 INT:15 EDU:16(17-1)
SAN:71 幸運:65 アイディア:75 知識:80 耐久:15 MP:13
年収:450万円 財産:2250万円 ダメージボーナス:+1D4
【技能】
回避:70 芸術(日本刀):62 武道(居合および抜刀術):50 日本刀:85 跳躍:60 登攀:76
天文学:49 写真術:50 目星:66 聞き耳:55 ナビゲート:50
<職業特性>
STR,SIZ,DEXのいずれかに+1、EDUに-1。
<特性>
3-1.天気予報士:外を見てアイディアロールに成功⇒1D6+1時間の間の正確な天気を予測可能。
2-10.前職:以前は別の職業に就いていたか、幼少期に得難い体験をしている。48ポイントを多く配分可能。

<簡単な背景>
・日本文化に魅了されてこの国に帰化したアメリカ人が両親。彼が生まれた直後、事故によって帰らぬ人となる。以後は孤児として施設で暮らしていた。
・見目は金髪碧眼の白人だが、英語は喋れない。何も知らない人が英語で話しかけてきて困惑することがある。
・空が好き。特に青空が好きで、写真に撮っていることがある。家の中には青空の写真が沢山飾られている。
・最初はパイロットを目指していたが、「トラブルに巻き込まれたのが原因で、挫折せざるを得なくなった」過去がある。
・親友の叔父に勧められて居合と抜刀術を習った結果、才能を開花させた。現在は道場で師範代をしている。
・家にいる時は着物を着用することが多い。

<持ち物>
日本刀(居合・抜刀術用:厳重に管理している。1D10+DB:耐久20)、スマートフォン、財布、携帯食品



名前:伊良部 刹那 性別:女性
職業:私立探偵 24歳
STR:16 CON:16 POW:14 DEX:15 APP:10 SIZ:13 INT:16 EDU:18
SAN:75 幸運:70 アイディア:80 知識:90 耐久:14 MP:14
年収:700万円 財産:3500万円 ダメージボーナス:+1D4
【技能】
言いくるめ:85 鍵開け:85 心理学:67 追跡:50 図書館:50 目星:70 聞き耳:65
杖:75 精神分析:66 応急手当:45 回避:50 隠れる:20
<職業特性>
隠れるに+10のボーナス
<特性>
3-4.戦士。あらゆる近接武器の技能値が50になる。
4-9.邪悪な一族、カルティスト、神話生物、クリーチャーの子孫。元カルト教団所属。

<簡単な背景>
・中東系のクォーターだが、生まれも育ちも日本。母国語は日本語である。周囲からは「日本人にしては肌の色が濃い」と認識される様子。
・大手の探偵事務所として有名な『日本ピンカートン探偵事務所』に所属している探偵。主に護衛や調査任務を行っているようだ。正体は抗神組織の一員。
・元々一族がカルト教団に所属しており、彼女もその被害に合う。心身ともにかなりのダメージを受けた。現在は回復している。
・カルト教団を壊滅させるために、家族や友人を裏切った。結果、カルト教団の壊滅と引き換えに天涯孤独となる。
・家族や友人の死、および死の間際になった彼らから向けられた呪いの言葉を気にしている。そのため、自身に関する優先順位が著しく低い。

<持ち物>
筆記用具、財布、スマートフォン、特殊警棒(タクティカル・バトン/1D8+DB:耐久25)、鍵開けキット、虫眼鏡(目星に+10のボーナス)、ピンセット、包帯キット(応急手当に+20のボーナスor回復量に+1D3のボーナス)、携帯食品


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グラハムと刹那の『かくりよがたり(刀剣乱舞CoC)』
セッションログ


『大丈夫だ、問題しかないから』
KP.クーゴ(素面)
PL.グラハム、刹那
シナリオ『かくりよがたり(刀剣乱舞CoC)』のステータスのみ改変
プレイするにあたっての参考資料:ゲーム『刀剣乱舞』および『刀剣乱舞Wiki』


クーゴ「クトゥルフ神話TRPG始めるぞー。推奨技能は目星と幸運、芸術またはリアル日本刀、およびゲーム『刀剣乱舞』の知識だ」

グラハム「なんと! 日本の刀が擬人化したというあのゲームか! キミの言っていた、あの付喪神の!」(目を輝かせる)

クーゴ「その刀剣乱舞で間違いないぞ。このシナリオには一応の戦闘要素が含まれてるが、探索や対人技能特化系の探索者でも探索できるよう、匙加減はこちらが整える」

グラハム「心得た! 丁度、芸術に『日本刀』技能を持っているPCがいるから、それを使わせてもらうとしよう」

 

 

名前:永花 グラハム 年齢:27歳

職業:居合・抜刀術師範(スポーツ選手)

STR:15 CON:16 POW:13 DEX:16(15+1) APP:11 SIZ:14 INT:15 EDU:16(17-1)

SAN:71 幸運:65 アイディア:75 知識:80 耐久:15 MP:13

年収:450万円 財産:2250万円 ダメージボーナス:+1D4

【技能】

回避:70 芸術(日本刀):62 武道(居合および抜刀術):50 日本刀:85 跳躍:60 登攀:76

天文学:49 写真術:50 目星:66 聞き耳:55 ナビゲート:50

<職業特性>

STR,SIZ,DEXのいずれかに+1、EDUに-1。

<特性>

3-1.天気予報士:外を見てアイディアロールに成功⇒1D6+1時間の間の正確な天気を予測可能。

2-10.前職:以前は別の職業に就いていたか、幼少期に得難い体験をしている。48ポイントを多く配分可能。

 

<簡単な背景>

・日本文化に魅了されてこの国に帰化したアメリカ人が両親。彼が生まれた直後、事故によって帰らぬ人となる。以後は孤児として施設で暮らしていた。

・見目は金髪碧眼の白人だが、英語は喋れない。何も知らない人が英語で話しかけてきて困惑することがある。

・空が好き。特に青空が好きで、写真に撮っていることがある。家の中には青空の写真が沢山飾られている。

・最初はパイロットを目指していたが、「トラブルに巻き込まれたのが原因で、挫折せざるを得なくなった」過去がある。

・親友の叔父に勧められて居合と抜刀術を習った結果、才能を開花させた。現在は道場で師範代をしている。

・家にいる時は着物を着用することが多い。

 

<持ち物>

日本刀(居合・抜刀術用:厳重に管理している。1D10+DB:耐久20)、スマートフォン、財布、携帯食品

 

 

クーゴ「なんだこの戦闘民族!?」

グラハム「推奨技能は取ってるぞ。職業柄、日本刀にも詳しそうだからな」

クーゴ「確かに、聞き耳と幸運、美術的な面と戦闘的な面からの日本刀技能もあるし……というか、こんな戦闘民族、どんなセッションで使ったんだ?」

グラハム「…………(やはり覚えていなかったか)」(遠い目)

刹那「なら、俺はこの探索者を使おう。継続で、【グラハム】と面識がある」

 

 

 

名前:伊良部 刹那 性別:女性

職業:私立探偵 24歳

STR:16 CON:16 POW:14 DEX:15 APP:10 SIZ:13 INT:16 EDU:18

SAN:75 幸運:70 アイディア:80 知識:90 耐久:14 MP:14

年収:700万円 財産:3500万円 ダメージボーナス:+1D4

【技能】

言いくるめ:85 鍵開け:85 心理学:67 追跡:50 図書館:50 目星:70 聞き耳:65

杖:75 精神分析:66 応急手当:45 回避:50 隠れる:20

<職業特性>

隠れるに+10のボーナス

<特性>

3-4.戦士。あらゆる近接武器の技能値が50になる。

4-9.邪悪な一族、カルティスト、神話生物、クリーチャーの子孫。元カルト教団所属。

 

<簡単な背景>

・中東系のクォーターだが、生まれも育ちも日本。母国語は日本語である。周囲からは「日本人にしては肌の色が濃い」と認識される様子。

・大手の探偵事務所として有名な『日本ピンカートン探偵事務所』に所属している探偵。主に護衛や調査任務を行っているようだ。正体は抗神組織の一員。

・元々一族がカルト教団に所属しており、彼女もその被害に合う。心身ともにかなりのダメージを受けた。現在は回復している。

・カルト教団を壊滅させるために、家族や友人を裏切った。結果、カルト教団の壊滅と引き換えに天涯孤独となる。

・家族や友人の死、および死の間際になった彼らから向けられた呪いの言葉を気にしている。そのため、自身に関する優先順位が著しく低い。

 

<持ち物>

筆記用具、財布、スマートフォン、特殊警棒(タクティカル・バトン/1D8+DB:耐久25)、鍵開けキット、虫眼鏡(目星に+10のボーナス)、ピンセット、包帯キット(応急手当に+20のボーナスor回復量に+1D3のボーナス)、携帯食品

 

 

クーゴ「設定が重ぉい」(顔真っ青)

刹那「(まあ、元NPCだからな)」

クーゴ「こっちも戦闘系かよ。しかも、探索もそれなりにこなせる上に抗神組織所属って……どれだけのハイスペックなんだ」

刹那「その代わり、【刹那】は刀剣乱舞をよく知らないと思うぞ。ゲームに手を出すのは、大抵『神話的事象に関係していそうな場合』くらいだし。おそらく、【グラハム】がプレイしているのを脇から見てる程度だろう」

クーゴ「成程な。じゃあ、【刹那】の導入は『【グラハム】に巻き込まれた』という扱いでいいか」

グラハム「なんだか釈然としないな……」

 

クーゴ「さて、シナリオを始める前に、登場するNPCを1人決めるぞ。本来はPLの任意だが、折角だからダイスで決めようか」

 

 

<シークレット>

近侍

 1D100⇒59

 

クーゴ「(キリのいい数字が出たな)あとはパラメータと技能を決めて……と。よし、こんなものかな。それじゃあ、『かくりよがたり』スタートだ!」

グラハム「その旨を良しとする!」

刹那「了解だ」

 

 

 

【導入】

 

 【永花 グラハム】は、ブラウザゲーム『刀剣乱舞』のプレイヤーである。PCがなくても空いた時間でプレイできるよう、スマートフォンにアプリをインストールして持ち歩く程、『刀剣乱舞』というゲームにハマッていた。

 今日、【グラハム】は【伊良部 刹那】と喫茶店で待ち合わせをしている。【刹那】とは“とある事件”に巻き込まれた際に出会って以後、ちょくちょく会って話をする仲になっていた。待ち人が来るまで、【グラハム】はスマートフォンでゲームをプレイしていた。

 程なくして、【刹那】が待ち合わせ場所に現れた。【グラハム】はゲームの手を止める。

「遅くなってすまない」

「いや、大丈夫だよ。私の方が早く来過ぎただけだ」

 申し訳なさそうに頭を下げる【刹那】に、【グラハム】は笑って見せる。【刹那】は安心したように口元を緩ませ――ふと、目を留めた。

「あんた、何やってるんだ?」

「ん? ああ、ゲームだよ。『刀剣乱舞』と言うんだ。日本刀の付喪神が、歴史を変えようとする不埒な連中を討つために、様々な時代に飛び回るというものさ」

 【グラハム】は簡単に説明を終えると、スマートフォンの画面を示した。画面には、近侍を務める刀剣男士と雨が降り続く庭が表示されている。【刹那】も、興味深そうに画面を覗き込んだ。

 次の瞬間、突如画面が真っ白く染まった。何事かと【グラハム】が訝しめば、画面の端に『通信エラー』の文字が表示されている。【グラハム】は苦笑したのち、アプリを終了させて起動し直す。いつものようにスタートボタンをタッチした。

 

 ――刹那、突如白い光が弾けた。

 

 気が付くと、【グラハム】と【刹那】は見知らぬ和室にいた。持ち物はなくなっているようだ。

 自分たちがいる部屋は小さく、障子はすべて閉め切ってある。部屋の端には、小さな文机が置かれていた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「そういう訳で、探索開始だ。まずはどこから調べる?」

グラハム「そうだな。【グラハム】は、とりあえず机を調べるぞ」

刹那「【刹那】はまず、部屋全体を調べるだろうな」

クーゴ「よし。それじゃあ、目星だな」

 

 

目星

 グラハム/机(1D100<66):06⇒成功!

 刹那/部屋全体(1D100<70):89⇒失敗

 

 

グラハム「惜しいな。あと1小さければクリティカルだったんだが」

クーゴ「こんなところでクリティカルを出されても困るけどな」

刹那「幸先良くて羨ましい限りだ」(ため息)

クーゴ「情報を開示するぞ。RP頼む」

 

 

―――

 

 

 【刹那】は周囲を見渡してみたが、この部屋には特におかしい部分はなさそうだった。

 

 【グラハム】は机の上を調べてみる。すると、そこには1枚のメモがあった。【グラハム】はそのメモに手を伸ばし、読んでみる。

 『部屋は4つ、扉も4つ、貴方の出口はどこにもない』――これが何を意味しているのかを探るには、手がかりがあまりにも少なすぎた。

「【刹那】、ちょっと来てくれ」

「どうした? 何か見つけたのか?」

 【グラハム】は【刹那】に声をかけた。彼女にも、自分が見つけたメモを示す。

 メモに目を通した【刹那】は眉間に皺を寄せた。

「……前にも似たようなことがあったな」

「ならば、謎を解けばここから出られるということだろう。……最も、その謎に該当する情報は一切ないが」

「出題とヒントを探すにしても、ここを探索してみるほかあるまい」

 2人は顔を見合わせて頷くと、閉め切られた障子へ歩み寄る。【グラハム】は先頭に立ち、障子に手をかけた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「……つまり、次の行動は『障子を開ける』ってことか?」

グラハム「ああ」

クーゴ「それじゃあ、描写するぞ」

 

 

―――

 

 

 障子を開けた先には、廊下と庭が広がっていた。空は曇天に覆われ、しとしとと雨が降っている。縁側にはてるてるぼうずが吊るされており、ゆらゆらと揺れていた。

 庭の方へと視線を向ける。色とりどりの紫陽花が、長雨を喜ぶように大輪の花を咲かせていた。蓮の葉が浮かぶ池には、鯉が悠々と泳いでいる。

 

 

―――

 

 

クーゴ「まず、ここでアイディアロール」

 

 

アイディア

 グラハム(1D100<75):27⇒成功!

 刹那(1D100<80):26⇒成功!

 

 

クーゴ「よし、描写するぞ。RP頼む」

グラハム「了解だ」

 

 

―――

 

 

 【グラハム】と【刹那】には、この庭の風景に既視感を感じた。特に【グラハム】は、この光景は見慣れているものだった。

「……この庭、『刀剣乱舞』のゲーム背景とよく似ているな。丁度、私が背景に設定していたのは、梅雨の庭だった」

「まさか、俺たちはゲームの世界に吸い込まれたとでも言うのか?」

 己の推論に、2人は顔を見合わせた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「自分たちがいる場所はゲームの世界ではないか、と思い至った2人はSANチェックだ」

グラハム「私が実際に体感したら、恐らく困惑より喜びの方が勝る気がするんだが」

刹那「PLとPCは別だからな」

 

 

SANチェック

 グラハム(1D100<71):76⇒失敗

  1D2⇒1

 SAN:70

 

 刹那(1D100<75):81⇒失敗

  1D2⇒2

 SAN:73

 

 

グラハム「多少の困惑か」

刹那「まあ、妥当だろうな」

 

 

クーゴ「次に、聞き耳ロール」

 

 

聞き耳

 グラハム(1D100<55):18⇒成功!

 刹那(1D100<65):62⇒成功!

 

 

刹那「何か聞こえたということか?」

クーゴ「ああ。PCはちゃんと聞き取れたようだな。描写するぞ、RP頼む」

 

 

―――

 

 

 自分たちがいる場所は、ゲーム『刀剣乱舞』の世界ではないか――そんな予感に2人が困惑していたときのことだ。

 廊下の向こう側から足音が聞こえる。小走りで、でもどこかゆったりとした足音。人数は1人だ。【グラハム】と【刹那】は思わず振り返る。

「あれ? キミたち、誰?」

 そこにいたのは、銀髪に翡翠の瞳を持つ子どもだった。書生を思わせる学生帽と服に、マントを身に纏っている。

 一見普通の少年なのだが、右肩の防具――甲冑と、背中に背負った大太刀が、異質さを際立たせていた。

 『刀剣乱舞』を長らくプレイし、意識を失う前の端末に表示されていたキャラクターを知っている【グラハム】は、思わず少年に問うた。

「……【蛍丸】、か?」

 

 

―――

 

 

グラハム「蛍丸! 蛍丸じゃないか!! 演練の悪魔と名高い、大太刀の中で最速を誇るレア刀!」

刹那「(目が輝いているな)」

クーゴ「序盤に来ればエース確実、後半に来ても育てる価値のある刀だ。速度重視の装備と馬を揃えれば、素早い大太刀の誕生だな」

グラハム「鎌倉時代末期の刀工・来国俊が作成した太刀で、国俊自作の鍛冶造りの鉄ハバキが嵌めてあるのも特色の一つであり、名工国俊の入魂の一振りであることが偲ばれたという名刀だ。阿蘇神社に奉納されていた宝剣だったのだが、第二次世界大戦で連合軍に徴集されて以後行方不明となった……(云々)」

刹那「落ち着け。後でゆっくり聞いてやるから。セッションが進まないだろう」

グラハム「む……」

クーゴ「今回は技能値を秘匿とさせてもらう。少なくとも、人間以上の強さを持っていることは確実だ」

グラハム「心強い味方だな!」

 

クーゴ「というわけで、ゲームの登場人物が自分たちの目の前にいるということでSANチェックだ」

グラハム「なんと!!」

 

 

SANチェック

 グラハム(70):79⇒失敗

  1D3⇒1

 SAN:69

 

 刹那(73):81⇒失敗

  1D3⇒3

 SAN:70

 

 

グラハム「じりじり減っていくな」

刹那「ラブホテルに閉じ込められたときは大丈夫だったんだが、ゲームの世界に閉じ込められて、ゲームの登場人物と相対峙すると言うのは慣れなかったらしい」

クーゴ「(この探索者2人、どんな宇宙的恐怖と対峙すればそんなことになるんだよ……!? 探索者をラブホテルに閉じめる神話生物ってなんかいたっけ?)」

 

 

クーゴ「さて、NPCのちょっとした茶番ロールだ」

グラハム「(【グラハム】の容姿から何かを察する)」

 

 

<シークレットロール>

アイディア(1D100<??)

 ??⇒??

【刹那】はどうか知らないが、【グラハム】は明らかに外国人である。外国人の場合、日本語でコミュニケーションできるかどうか怪しい。

しかし、彼は【蛍丸】を知っており、名前を発音することはできるようだ。……心なしか、発音がやけに流暢な気がする。

 

心理学(1D100<??)

 ??⇒??

【蛍丸】の存在に酷く驚き、困惑しているように思う。2人の様子からして、2人はこの場所を知らなそうに見える。

【グラハム】と【刹那】は、蛍丸と同じでここに迷い込んだのかもしれない。

 

 

クーゴ「さて、これを踏まえたうえで、NPCが話しかけてくるぞ。RP頼む」

グラハム「KP、先程私が蛍丸についての発言をしたが、あれを【グラハム】の発言にできるだろうか?」

クーゴ「それじゃあ、芸術/日本刀に知識の1/4を足してダイスを振れ。成功すれば採用しよう」

 

 

芸術/日本刀(1D100<62+20)

 12⇒成功!

 

 

グラハム「よし!」

クーゴ「それじゃあ、改めてRPだ」

 

 

―――

 

 

「おにいさん、俺のこと知ってるんだ!」

 【グラハム】に名前を呼ばれた【蛍丸】は、ぱっと表情を輝かせた。

「阿蘇神社にあった蛍丸でーす。じゃーん。真打登場ってね」

「鎌倉時代末期の刀工・来国俊が作成した太刀だったな。国俊自作の鍛冶造りの鉄ハバキが嵌めてあるのも特色の一つであり、名工国俊の入魂の一振りであることが偲ばれたという名刀。審神者の界隈では、素早い大太刀とのことから演練の悪魔とも呼ばれている」

 【蛍丸】の言葉を聞いて、【グラハム】は思わず刀について語り始める。元々剣術――居合と抜刀術の道場師範を勤めているのだ。刀の知識は豊富である。

 そして、長らく『刀剣乱舞』のユーザーをしており、意識を失う直前まで彼を近侍にしていたのだ。これくらいの知識、知っていて当然であろう。

 【グラハム】の言葉を聞いた【蛍丸】は、大きく目を見開いた。ぱちぱちと瞬きした後、感嘆の声を上げる。

「すごいすごい! おにいさん、日本語上手だねー」

「これでも私は日本生まれの日本育ちでね。外見からよく“日本語が通じない”と勘違いされてしまうんだ」

「しかも、俺のこともすっごくよく知ってるし。嬉しいなあ」

 【蛍丸】は嬉しそうに表情を綻ばせた。こうしてみると、無邪気な子どもという表現がしっくりくる。

「お前、凄い刀なんだな」

「へっへーん、まあね」

 2人の会話に感心した【刹那】に、【蛍丸】は自慢げに胸を張った。自身に満ち溢れた様子といい、何とも心強い。

 【グラハム】と【刹那】がゆるりと目を細めたとき、【蛍丸】は2人に問いかけてきた。

「そういえば、おにいさんとおねえさんはどうしてここにいるの?」

「それがよく分からないんだ。気が付いたら、この場所に来てしまってね」

「以前、似たような目に合った経験があってな。この屋敷の中にヒントがあると思って、屋敷内を散策してみることにしたんだ」

「ふーん……。俺もそうなんだ。気づいたらここに迷い込んじゃって、出口もないし……ここで会ったのも何かの縁、一緒に行動しない?」

 【蛍丸】の申し出に、【グラハム】と【刹那】は顔を見合わせた。大太刀を背負った少年の様子や、『刀剣乱舞』のゲームからして、この少年は相当な手練れであろう。

 彼の心強さは、【グラハム】がよく知っている。【刹那】も、【グラハム】が何を言わんとしているかを理解したようで、無言のまま小さく頷く。

「キミが協力してくれると言うのは心強い。是非頼む」

「りょーかい! 一緒に探索しまーす!」

 【グラハム】の言葉を聞いて、【蛍丸】はびしっと手を上げて宣言した。

 

 

―――

 

 

クーゴ「(刀および刀剣男士の【蛍丸】のことを知っている、【蛍丸】に好意的に接した、【蛍丸】を褒めた……こりゃあ、最初から好感度は高くなるだろうなあ)」

 

蛍丸の好感度:3(MAX)

 

 

クーゴ「それじゃあ、本格的に探索開始だ。廊下に出た先には、大きな部屋が4つある。手前から順に、『第1の部屋』、『第2の部屋』、『第3の部屋』、『第4の部屋』だ」

グラハム「順番に回ってみよう。1番手前の部屋――『第1の部屋』に入るぞ。刹那もそれで構わないか?」

刹那「ああ」

クーゴ「では、描写に入る。RP頼むな」

 

 

―――

 

 

 3人は、『第1の部屋』に足を踏み入れた。その部屋は案の定和室であり、床の間と掛け軸があった。

 掛け軸には大きく『不足』と書かれており、掛け軸の下には一輪挿しの花瓶が置いてある。だが、花瓶には何も活けていないようだった。

「……不足、か」

「花瓶に、足りないもの……花、か?」

 【グラハム】と【刹那】は顔を見合わせた。【蛍丸】は花瓶を凝視し、首を傾げる。

「おかしいなー。いつもなら、ここに花が活けられてるんだけど……」

 

 

―――

 

 

グラハム「クーゴ! 確か、庭には紫陽花の花が咲いていたな」

刹那「成程な。花瓶に花を活ければ、何かギミックが解除されるのかもしれない」

クーゴ「ほほう。じゃあ、紫陽花の花を見つけることができるな。目星をすれば、紫陽花の様子が分かるかもしれんぞ?」

グラハム「では、目星で」

 

 

目星(1D100<66)

 37⇒成功!

 

 

クーゴ「それじゃあ、描写するぞ」

 

 

―――

 

 

「ならば、花瓶に花を活ければいいということか」

 【グラハム】はちらりと庭に視線を向けた。庭に咲き誇る紫陽花は、どれもみずみずしく美しい花を咲かせている。

 どの花も、手折るにしてはあまりにも丈夫そうだ。それ相応の刃物がなければ、綺麗に手折ることはできないであろう。

 

 

―――

 

 

グラハム「ということは、花を手折るのに必要な道具を手に入れなくてはならないわけだな」

刹那「部屋中を探してみる必要がありそうだ」

クーゴ「ここで全員幸運ロールだ」

 

 

幸運

 グラハム(65):34⇒成功!

 刹那(70):32⇒成功!

 蛍丸(??):??⇒??

 

 

―――

 

 

 紫陽花に池、遠くに見える橋や離れの小屋。それ以外に、【グラハム】や【刹那】の目に留まるものはない。

 庭を眺めていたとき、【蛍丸】が「あ」と声を上げた。彼の視線を辿ると、庭の端に石灯籠が見える。

 

 

―――

 

 

グラハム「KP」

クーゴ「何だ?」

グラハム「幸運ロールに成功した我々には、石灯籠は発見できなかったんだよな?」

クーゴ「(しくじった! これもシークレットにすればよかった)……だな」

刹那「不運にも発見してしまった、ということは、何かのトラップか。気に留めておくことにしよう」

 

クーゴ「それで、次はどうする?」

グラハム「紫陽花を手折るための道具を見つけないとな。『第2の部屋』へ向かうぞ」

刹那「俺も異論はない」

 

 

―――

 

 

 3人は『第2の部屋』に足を踏み入れた。『第2の部屋』は、特に目ぼしいものはない。箪笥と押し入れ、天袋がある。

 

 

―――

 

 

グラハム「【グラハム】は天袋に目星だ」

刹那「じゃあ、【刹那】は押入れに目星だ」

クーゴ「オーケイ。【グラハム】は目星だが、【刹那】は幸運で振れ」

刹那「何故?」

クーゴ「ぶっちゃけた話、押し入れはさほど重要じゃないからな」

 

 

目星(1D100<66)

 天袋:87⇒失敗

 

幸運(1D100<70)

 66⇒成功

 

 

クーゴ「(やべ。天袋がダメだったの!?)……じゃあ、【蛍丸】のダイスロールだ」

 

 

<シークレットダイス>

目星(1D100<??)

 ??⇒??

 

 

クーゴ「よし、描写するぞ。RP頼む」

 

 

―――

 

 

 【グラハム】は天袋を調べてみたが、使えそうなものは見つからない。【グラハム】の様子を見ていた【蛍丸】も天袋を覗き込む。

 すると、【蛍丸】は目を瞬かせた後、おもむろに天袋へ手を突っ込んだ。

「使えそうなの、みーつけた」

 得意満面に笑う彼の手には、花切り鋏が握られている。これがあれば、庭の紫陽花を摘むことができるだろう。

「ねえねえ。鋏でも立派な刃物だから、これは俺が持っておくよ」

 いいでしょ? と小首を傾げる【蛍丸】の申し出を断る理由はない。

「ああ、頼む」

 【グラハム】は、花切り鋏を【蛍丸】に預けることにした。

 

 【刹那】は押入れの中を確認してみる。すると、どこからか美味しそうな匂いが漂ってくるではないか。

 押入れの奥には、串にささった三色団子が乗っている。匂いの出どころはここからだったらしい。

「……食べれるのか、これ?」

 【刹那】は思わず団子を凝視した。

 すると、向うで天袋を物色していた【蛍丸】が声を上げる。

「わあ、三色団子だ。おいしそうだね」

「三色団子は、刀剣男士が食べると疲労が回復するものだ。悪いものではないはずだよ」

 【蛍丸】は目をキラキラ輝かせている。【グラハム】が補足する。

 【刹那】はまじまじと三色団子を見ていた。【蛍丸】の何か言いたげな視線が突き刺さってくる。

 それは、彼の確認する必要もないくらい、あからさまなものであった。

「……食べるか?」

「やった! いただきまーす!」

 【刹那】から団子を受け取った【蛍丸】は、嬉しそうに団子にかぶりついた。

 余程美味しいのか、「あまー、あまあまあまー♪」と鼻歌を歌っている。

 2人は、【蛍丸】が団子を食べ終わるまで小休憩を取ることにした。

 

 

―――

 

 

クーゴ「調べてないのは箪笥だな。どうする?」

グラハム「庭の紫陽花を確保次第、【グラハム】は花瓶に花を活けて来る」

刹那「【刹那】は箪笥を調べる」

クーゴ「特に意見がなければ、【蛍丸】は【グラハム】に同行するぞ。それじゃ、ダイスロール」

 

 

目星(1D100<70)

 35⇒成功!

 

 

クーゴ「よし、描写するぞ。まずは【グラハム】の方から、RP頼む」

グラハム「む……了解だ」

 

 

―――

 

 

「鋏があれば、庭の紫陽花を摘めそうだな」

「じゃあ、俺が取ってくるよ」

「えっ!? キミ、雨に濡れてしまったら問題ではないのか?」

「大丈夫だよ。ここの雨は、刀剣男士に害を与えるものじゃないからね」

「……なら、キミに任せよう。無理はするなよ」

「はーい」

 【グラハム】に頼まれ、【蛍丸】は庭へ飛び出した。本来、刀を雨に晒すのは問題なのだが、【蛍丸】は平気な様子だった。

 【蛍丸】は紫陽花の花を一輪摘んで、グラハムに手渡す。グラハムは礼を言い、『1の部屋』へ戻った。

 一輪挿しの花瓶に、紫陽花の花を活ける。すると、掛け軸の文字がすっと消えてしまった。

 

 

―――

 

 

クーゴ「いきなり掛け軸の文字が消えたことによるSANチェックだ」

グラハム「またSANが減るのか……」

 

 

SANチェック(1D100<69)

 38⇒成功

 SAN:69

 

 

クーゴ「それじゃあ、次は【刹那】だ」

 

 

―――

 

 

 【刹那】は箪笥を調べてみた。箪笥の中には、一枚のメモがあった。

『刀なら 斬るのが 本来の姿』

 これが何を意味しているのかは、まだ分からない。

(……後で、【グラハム】に報告しよう)

 

 

―――

 

 

クーゴ「それで、どうするんだ?」

グラハム「【刹那】と合流して、『第3の部屋』に向かいたい」

刹那「ああ、構わない」

クーゴ「了解。じゃあ、合流だ」

 

 

―――

 

 

 花を活けた【グラハム】と【蛍丸】、箪笥を調べていた【刹那】は合流し、『第3の部屋』に足を踏み入れた。

 畳の部屋に似合わぬPCが、机の上に鎮座している。調べてみると、パスワードによってロックがかかっているようだ。

 

 

―――

 

 

グラハム「成程。次はパスワードを探す必要があるわけだな」

刹那「なら、先に『第4の部屋』を探したらいいんじゃないか?」

グラハム「そうだな。そうしよう」

クーゴ「了解。描写しよう」

 

 

―――

 

 

 3人は『第4の部屋』に足を踏み入れた。部屋には様々な書物が、床一面に、乱雑に散らかっている。

 

 

―――

 

 

グラハム「棚に入っている本から情報を探す場合は図書館、散らばった本から目ぼしいものを見つけるには目星だったよな?」

クーゴ「そうだけど」

刹那「なら、床に散らばった本に目星だ」

グラハム「私も目星しよう」

 

 

目星

 グラハム(1D100<66):66⇒成功!

 刹那(1D100<70):88⇒失敗

 

 

クーゴ「成功者であるグラハムのみ知識で振れ」

グラハム「分かった」

 

 

知識(1D100<80)

 45⇒成功!

 

 

クーゴ「オーケイ、結果を開示する。RP頼むな」

 

 

―――

 

 

「……ん?」

 【グラハム】は目を留めた。とある一冊の本だけ妙に新しい。その本には、『刀帳』と書かれていた。ページをめくると、1と14の番号が塗りつぶされている。

 それだけではない。「へし切長谷部」「燭台切光忠」「薬研藤四郎」「にっかり青江」の名前に赤い印がついている。

 

 

―――

 

 

グラハム「なあ、クーゴ。リアル知識を反映させたいんだが」

クーゴ「構わん。【蛍丸】ロールに成功させたんだから、成功してもおかしくない」

グラハム「感謝する!」

 

 

―――

 

 

「この刀は、『何かを切った』という逸話を持つ刀だったな」

「斬る……もしかして、先程のメモに関係しているのか?」

 【グラハム】の言葉に触発されたのか、【刹那】はぼそりと呟いた。首を傾げた【グラハム】に、【刹那】はその内容を教えた。

「『刀なら 斬るのが 本来の姿』……だったか」

「……逸話に、斬る……何かのヒントかもしれないな」

「誰が何を斬ったか知ってるか?」

「はいはーい。俺知ってまーす。へし切長谷部が茶坊主、燭台切光忠が青銅製の燭台、薬研藤四郎が薬研、にっかり青江が母子の幽霊だよ」

 「俺の本丸にもいるよ」と、【蛍丸】は語った。

 

 

―――

 

 

クーゴ「では、どうする?」

グラハム「PCのパスワードらしきものは、塗り潰された刀帳くらいか。1と14……とりあえず、これをPCに入力してみたい」

刹那「他に行ける場所は、今まで言った部屋くらいか?」

クーゴ「正直、PCのパスワードをどうにかしない限り、何も変化は起きないぞ」(念押し)

グラハム「露骨な誘導だな。よし、乗った!」

 

 

―――

 

 

 3人は再び、『第3の部屋』へ戻ってきた。PCに、塗りつぶされていた刀帳の番号を入力してみる。141ではエラーが出たが、114でようやくロックが解除された。

 鍛刀場、検非違使、任務という画面が表示される。【グラハム】はマウスを操作し、まずは鍛刀場をクリックしてみた。

 どん、と、外から大きな音が響いた。何ごとかと外に出たら、外に大きな鍛刀場が出現しているではないか。

「あそこなら、刀帳に書かれた刀剣男士を鍛刀できるね!」

「なら、PCを調べ次第、4振りのいずれかを鍛刀してみよう」

 【蛍丸】はニコニコ笑う。【グラハム】は頷き、次は任務のタブをクリックした。

 表示された任務の内、<生け花に花を活ける>と<鍛刀場を出した>の任務に達成マークが提示されている。

 それをクリックすれば、聞き覚えのある効果音と共に、済のマークがついた。資材支給という単語が躍る。

「この資材というのは?」

「俺たちを降ろすために必要な材料だよ。資材がなきゃ刀剣男士を増やせないから、注意してね」

「ありがとう。俺は審神者ではないから、よく分からなくて」

 【刹那】の問いに、【蛍丸】はすらすら答えた。

 済マークがついていないのは、<名前の通り斬ること>という任務だけである。先程の逸話と絡めるなら、刀剣男士の逸話に合わせて該当するものを切れということを意味していた。

 3人は鍛刀場へと足を踏み入れる。刀の炉があり、木炭、冷却水、玉鋼、砥石があった。資材の数は各種1500となっている。

 

 

―――

 

 

グラハム「それじゃあ、目星を使おう」

刹那「だな。部屋全体をくまなく見渡してみる」

クーゴ「了解」

 

 

目星

 グラハム(66):38⇒成功

 刹那(70):100⇒ファンブル

 

 

グラハム「あ」

刹那「あ」

クーゴ「了解だ。【刹那】のファンブルは、次のSANチェック自動失敗、かつSAN最大値減少としよう」

刹那「……」

 

 

―――

 

 

 鍛刀場を見回していた【グラハム】は、棚の隅に無造作に転がっていた薬研を発見した。薬研を切った刀剣男士は、粟田口派の短刀・薬研藤四郎である。

 同じく棚を確認していた【刹那】は、棚の中に人影を見つけて息を飲んだ。【刹那】は【グラハム】の服の袖を掴み、人影を指さした。

 そこにいたのは、着物を身に纏いちょんまげを結った小人だ。彼らは手持無沙汰そうにうろついていたが、2人に気づくと即座にびしっと敬礼した。

 

 まるで、「いつでも仕事の準備はできているぞ」と言わんばかりだ。

 

 

―――

 

 

クーゴ「では、SANチェックだ。刹那は強制でマイナス1な」

グラハム「良かったな、刹那。大したことはなさそうだ」

刹那「まあ、な」

 

 

SANチェック

 グラハム(69):60⇒成功!

  SAN:69

 刹那(70):強制失敗

  SAN:69

 

 

クーゴ「さて、どうする?」

グラハム「今のところ、見つけたのは薬研藤四郎の薬研だな。……となると、薬研藤四郎を狙って鍛刀したいところだが……」

刹那「キャラクターを増やしていく系のゲームは、ピンポイントで見つけるのが難しいと聞く」

グラハム「……そういえば、クーゴ。PCを調べた後なら、部屋に変化が起きていると言っていたな?」

クーゴ「ああ」

グラハム「ということは、今まで調べた部屋に、該当する刀剣男士に関係するアイテムがあるということだよな?」

クーゴ「だな。どこに何があるかについてはノーコメントだな」

グラハム「なら、狙うのは薬研藤四郎、燭台切光忠、へし切長谷部だ!」

クーゴ「……にっかり青江をハブにした理由は?」

グラハム「にっかり青江はにっかり笑った母子の幽霊を切った逸話から名がついた。オチとしては斬ったのは石灯籠だが、【蛍丸】が幸運失敗で石灯籠を見つけたというケースからして、ミスリードなのではと疑った」

クーゴ「…………さいですか」

グラハム「では、資材を炉にくべよう。短刀レシピのオール50、オール500、オール750だ」

クーゴ「資材の残りはオール150だな。ちょっと待ってろ」

 

 

<シークレットロール>

短刀

 1D10⇒8(非レア:今剣、前田、秋田、乱、五虎退、薬研、愛染、小夜)/1D9~10がレア刀剣

 1D8⇒7(愛染)

 

打刀

 1D10⇒6(非レア:鳴狐、宗三、加州、大和守、歌仙、陸奥守、山姥切、蜂須賀、へし切長谷部)

 1D10⇒5(歌仙)

 

太刀

 1D10⇒5(非レア:燭台切、山伏、獅子王)

 1D3⇒1(燭台切)

 

 

クーゴ「短刀が20分、打刀が1時間30分、太刀が3時間だ」

グラハム「時間が過ぎ去るまで、該当の刀剣男士が出てくるかは分からないという訳だな。時間的に、へし切長谷部は出なさそうだが……」

クーゴ「PLへの開示としては、『狙っていた3振りのうち、1振りが該当する逸話持ちの刀剣男士である』とだけ」

刹那「成程。なら、該当する物を見つけてくればいいんだな」

グラハム「誰が来るか分からないなら、全員分の逸話に関わるものを見つけ出せばいいだけだ。部屋をくまなく探すぞ!」

 

 

―――

 

 

 妖精に資材を手渡せば、妖精たちは鍛刀を始めた。時間が来れば、刀剣男士たちが顕現するであろう。

「よし。後は、逸話に関係する物を集めなくては。時間的に、へし切長谷部は出てきそうにない」

「となると、今手に持っているのは薬研だから……」

「用意するものは、青銅製の燭台だな」

 3人は顔を見合わせて頷いた。

 

 

―――

 

 

グラハム「では、今度は『第4の部屋』から調べてみるとしよう」

クーゴ「了解」

 

 

―――

 

 

 『第4の部屋』に足を踏み入れた【グラハム】と【刹那】は驚愕した。

 先程とは違い、部屋中が真っ赤に染まっている。何人もの人間が刀で切り捨てられた際、派手に血飛沫が舞ったかのような、凄惨な光景だ。

 また、奥の壁には「コノヒトゴロシヒトゴロシシネシネシネシネザイニンハシンデシマエコロスコロスコロスオマエモダ!!!!!」と大きな血文字が書かれていた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「凄惨な部屋を見た2人はSANチェックだ」

 

 

SANチェック

 グラハム(69):72

  1D4⇒3

  SAN:66

 刹那(69):26

  SAN:69

 

 

グラハム「グラハムのSAN値がどんどん減っていくな」

刹那「せ、精神分析するか? 時間も潰せるだろうし一石二鳥だろう」

グラハム「ああ、頼む」

 

 

精神分析(1D100<66)

 72⇒失敗

 

 

刹那「あ」

グラハム「気にするな。発狂までしてないから」

クーゴ「そして、強制聞き耳ロールだ」

 

 

聞き耳

 グラハム(55):11⇒成功

 刹那(65):49⇒成功

 蛍丸(??):??⇒??

 

 

―――

 

 

 凄惨な光景を思い浮かべたのか、【グラハム】は青い顔で部屋を見つめた。発狂しそうになっているのを、理性で抑え込んでいるようだ。

 【刹那】が声をかけると、【グラハム】は青い顔のまま「大丈夫」と微笑んだ。本棚はなくなっており、部屋の中央には戸棚が置かれている。

 ふいに、カタカタと音がした。耳を傍立てると、戸棚のところに人が隠れている気配がする。【蛍丸】は音を聞き取れなかったようで、しきりに首を傾げていた。

 

 

―――

 

 

グラハム「へし切長谷部がいれば、ここで茶坊主を切らせていたんだが……」

刹那「薬研は手元にある。後は青銅製の燭台を見つけるだけだな」

 

クーゴ「この部屋はこれで以上だ。どうする?」

グラハム「次は『第3の部屋』へ向かおう」

 

 

―――

 

 

 3人は『第3の部屋』に足を踏み入れた。部屋の中には一切変化がない。PCは相変わらず任務画面を映しているだけだ。

 

 

―――

 

 

グラハム「成程。なら、『第2の部屋』に向かおう」

クーゴ「了解。サクサク進んでくれて助かるな」

 

 

―――

 

 

「変化がないみたいだから、『第2の部屋』に向かうか」

「だな」

「さんせーい」

 【グラハム】の案に、【刹那】と【蛍丸】は従った。そのまま、『第2の部屋』に足を踏み入れる。

 ここも、特に変わった点は見受けられない。

「……何も変わったところはなさそうだね」

 【蛍丸】は目を凝らした後、小さく呟いた。

 

 

―――

 

 

グラハム「では、『第1の部屋へ向かおう』」

クーゴ「オーケー」

 

 

―――

 

 

 『第2の部屋』には何もないことを知った3人は、『第1の部屋』へ足を踏み入れた。掛け軸には、『斬るのは人のみか』と書かれている。

 

 

―――

 

 

クーゴ「では、幸運ロール」

 

 

幸運

 グラハム(65):96⇒ファンブル

 刹那(70):50⇒成功

 蛍丸(??):??⇒??

 

 

グラハム「あ」

刹那「(口元を抑えて笑いを堪える)」

クーゴ「wwwwwwwwwwwwwww では、RPだ」

 

 

―――

 

 

 燭台を探していた【グラハム】が一歩踏み出した瞬間、突如真上から白い粉が降り注いだ。

「げほっ、ごほっ……! なんだこれは!?」

 【グラハム】が怒鳴りながら真上を見れば、丸いものが真上から降ってきた。それは【グラハム】の頭に直撃する。痛みに呻く【グラハム】の足元には、半開きの薬玉が転がった。

 中から出てきた紙には『どうだ、驚いたか!?』と達筆で書かれていた。なんて酷い悪戯だろう。【グラハム】は頭が痛くなりそうだった。

 

 

―――

 

 

クーゴ「はい。グラハムは耐久から-1、目に頼る技能に-10の補正だ。戦闘技能にも影響するぞ」

グラハム「踏んだり蹴ったりじゃないか!!」

クーゴ「時間が過ぎれば回復するから」

 

 

グラハム

 耐久:15-1⇒14

 

1D3⇒3

 3ラウンド(イベントまたはダイスロールを3回行うまで)の間技能値低下。

 

 

―――

 

 

 対して、【刹那】と【蛍丸】は、青銅の燭台を見つけた。【燭台切光忠】が顕現すれば、逸話通りに切らせればいい。

 咳き込む【グラハム】と共に、3人は部屋を出た。

 

 

―――

 

 

グラハム「鍛刀場の時間を確認したい」

クーゴ「了解」

 

 

―――

 

 

 3人は鍛刀場に戻ってきた。3つの炉のうち、2つに『完成』の文字が浮かんでいる。鍛冶妖精が出来上がった刀を【グラハム】へと指示した。

 【グラハム】が刀に触れた瞬間、桜吹雪が舞い上がった。温かな光が晴れた後、そこには顕現した刀剣男士たちが佇んでいた。

「オレは【愛染国俊】! オレには愛染明王の加護が付いてるんだぜ!」

「僕は【歌仙兼定】。風流を愛する文系名刀さ。どうぞよろしく」

 前者の【愛染国俊】には何かを切ったという逸話は無いし、後者の【歌仙兼定】は36人斬らなければ逸話を再現できない。

 まだ顕現していないのは太刀である。残り時間は、あと1時間半を指していた。

「【国俊】!」

「おう、【蛍】か! お前の方が先にいたんだなー」

「どうやら、僕たち以外の刀剣男士はまだいないようだね。これから宜しく頼むよ」

「あー、そのことなんだけど……」

 和気藹々と話しかけてきた【愛染】と【歌仙】に、【蛍丸】は困った顔で説明し始めた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「よーし、あと2回イベントおよびダイスロールを済ませれば、【グラハム】の弱体化は解除されるぞ」

グラハム「そうか。……成程。該当する刀剣男士は燭台切光忠か」

刹那「丁度いいな。青銅の燭台もあるし」

クーゴ「でも、PCは何が出てくるか知らないぞ?」

グラハム「そうなると、資材を入れてみたいと思うだろうな。残りの資材はオール150だから、薬研狙いで資材を回すぞ」

クーゴ「了解」

 

 

<シークレットロール>

短刀

 1D10⇒4(非レア:今剣、前田、秋田、乱、五虎退、薬研、愛染、小夜)

 1D8⇒2(前田)

 

短刀

 1D10⇒10(レア:平野、厚)

 1D2⇒1(平野)

 

 

―――

 

 

 【グラハム】は、妖精に資材を手渡した。どちらもオール50、短刀レシピである。【グラハム】と【刹那】が見守る中、炉は20分と30分を指示した。

「成程。このにーちゃんとねーちゃんは審神者じゃなくて、偶然ここに迷い込んじまった普通の奴なんだな?」

「それは災難だったね。ここで出会ったのも何かの縁だ、僕たちも協力しよう」

「ありがとう」

「感謝する」

 【刹那】と【グラハム】は、【歌仙】と【愛染】に頭を下げた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「あとは時間を潰さなきゃだな。今回のイベントは1回をカウントするから、あと1回だ」

グラハム「PL的にはこのまま待ち続ければいいが、PCはそれで納得するとは思わない。何かしようとするだろうな」

クーゴ「なら、2人はアイディアを振れ」

 

 

アイディア

 グラハム(75):68⇒成功!

 刹那(80):95⇒失敗

 

 

―――

 

 

 何か、他に自分たちができることはないだろうか。そう思った【グラハム】は、資材に目を向ける。残りはオール50、あと1回短刀を顕現する程度の資材しかない。

 これを使っても、もし狙った刀剣男士が出てくるとは限らない。物欲センサーが厳しいことを知っている【グラハム】は、段々と心もとなくなってきた。

 資材を増やす方法は2つ。遠征を成功させるか任務を終わらせたことの報酬だ。

(……そういえば、『第3の部屋』のPC画面に、任務について何か表示されていたような気がする)

 

 

―――

 

 

グラハム「【刹那】と情報共有する」

刹那「なら、『第3の部屋』に行って任務を確認してみよう」

クーゴ「了解だ」

 

 

―――

 

 

「【刹那】。『第3の部屋』には、確かPCがあったはずだ。任務に関する情報は、そこに表示されていたよな?」

「あんた、いきなり何を言い出すんだ?」

「……いや、資材が心もとなくてな。次の鍛刀で薬研藤四郎が顕現できるとは限らないだろう?」

 【グラハム】はそう言って、ちらりと『第3の部屋』に視線を向ける。【刹那】も頷き、『第3の部屋』へと足を踏み入れた。

「なになに? どうしたの?」

「ああ、資材不足が心配だからな。資材を増やす方法を探してたんだ」

「なら、俺も行くよ。【国俊】と【歌仙】は?」

「勿論ついて行くぜ!」

「僕も護衛させてもらおう」

 【蛍丸】に続いて、【愛染】と【歌仙】も付いて来てくれるらしい。

 面々はPCを覗き込んだ。【グラハム】がPCを操作すれば、任務以外に検非違使というタブが表示される。

 クリックすれば、『検非違使戦、報酬:資材、オール1500』とある。もう一度クリックすれば、『戦闘を開始します。よろしいですか?』と注意喚起が出てくる。

「……何だろう。凄く嫌な気配がする」

 【蛍丸】は顔をしかめた。同じように、【愛染】と【歌仙】も眉をひそめる。

「ねえ、おにいさん。何かあったときのために、俺の本体を貸してあげる」

 そう言って、【蛍丸】は【グラハム】に本体を手渡してきた。【グラハム】はおずおずとそれを受け取る。

 刀剣男士の本体を託されたということは、それ程【蛍丸】が【グラハム】を信頼してくれているということだ。

「ありがとう。大事にさせてもらおう」

「うん。……あ、そうだ。おねえさんにも武器があった方が良さそうだよね?」

 【蛍丸】はそう言いながら、【愛染】と【歌仙】に視線を向けた。

「……【蛍】が本体を預けるってことは、にーちゃんのことを信じてるってことだよな」

「そうだね。僕ら刀剣男士にとって、本体を他人に預けることは、相手に対する強い信頼を意味している。……しかも、もう1人の方も気にするということは、キミもまた信頼されている人間であるということだ」

 【愛染】と【歌仙】はそう言って、己の本体を外した。どうやら、【刹那】の戦いに使えそうな得物を選んで使えということらしい。

 正直、【刹那】の得意分野は刀ではない。一応、武器の扱いには長けているが、一番の得物は杖である。だが、それを【愛染】たちに言うことは憚られた。

 彼らの信頼と好意を踏みにじるような真似はしたくない。【刹那】は2人に礼を述べ、【愛染】の短刀を受け取った。

「……よし。行くぞ」

 預かった武器を片手に、グラハムは画面に浮かんだ選択肢――『はい』を選択する。

 

 次の瞬間、世界が変わった。大きな荒野に放り込まれた【グラハム】と【刹那】の眼前に、異形の影がゆらりと現れた。

 青く光る鎧武者は、獲物を見つけたと言わんばかりに尖った武器を振り上げる。判別できぬ叫びは、戦いの始まりを告げているかのようだった。

 

 

―――

 

 

クーゴ「さて、【検非違使】2体と戦闘開始だ。行動順は【グラハム】⇒【刹那】⇒【検非違使A】⇒【検非違使B】の順番だな」

グラハム「ところで、蛍丸のダメージはどうなっているんだ?」

刹那「俺も、愛染国俊のダメージについて知りたい」

クーゴ「了解。下にまとめておくぞ」

 

 蛍丸:ダメージロールは2D8+1+1+DBの両手武器として扱う。日本刀技能(グラハムの技能:85)

 愛染国俊:ダメージロールは1D4+1の片手武器として扱う。日本刀技能(刹那の技能:50)

 

クーゴ「まずは【グラハム】だ。どっちを狙う?」

グラハム「【検非違使A】に日本刀だ」

クーゴ「オーケイ。日本刀技能に-10で振れ」

 

 

日本刀(1D100<85-10)

 95⇒失敗

 

 

グラハム「あ」

刹那「だ、大丈夫だ! まだファンブルじゃない!!」

クーゴ「了解。あと、これで弱体化は解除されるぞ」

 

 

―――

 

 

 先手必勝と言わんばかりに、【グラハム】は蛍丸を振るった。だが、本来使っている居合・抜刀用の刀とは使い勝手が違うようで、大振りの一撃は【検非違使】を捉えることはできなかった。

「くそ……!」

 【グラハム】は小さく舌打ちした。

 

 

―――

 

 

クーゴ「次は【刹那】だ」

刹那「【検非違使A】に日本刀で攻撃する」

クーゴ「了解」

 

 

日本刀(1D100<50)

 40⇒成功!

 

検非違使Aの回避(1D100<14)

 90⇒失敗

 

ダメージロール

1D4+1⇒4+1⇒5

 

 

グラハム「おお! 凄いな、ダメージ最大値だ!」

刹那「意外と何とかなるらしいな」

クーゴ「よし、描写しよう」

 

 

―――

 

 

「――せぇいッ!」

 【グラハム】と入れ替わるようにして飛び出した【刹那】は、愛染国俊を振るって【検非違使A】へ攻撃を仕掛けた。その一撃は、最大威力を持って【検非違使A】を傷つける。

 しかし、まだ【検非違使A】を倒すには至らない。

 

 

―――

 

 

クーゴ「さて、敵のターンだ」

 

 

【検非違使A】の標的

 1D2⇒1⇒グラハム

 

尖ったもの(1D100<50)

 73⇒失敗

 

 

―――

 

 

 【検非違使A】は【グラハム】に襲い掛かったが、尖った武器は見当違いのところに突き刺さった。

 

 

―――

 

 

【検非違使B】の標的

 1D2⇒2⇒刹那

 

尖ったもの(1D100<50)

 62⇒失敗

 

 

―――

 

 

 【検非違使B】は【刹那】に尖った武器を振りかざした。だが、鋭利な穂先は見当違いのところに突き刺さる。

 

 

―――

 

 

クーゴ「行動が一巡したぞ。【グラハム】はどうする?」

グラハム「もう一度、【検非違使A】に日本刀だ」

 

 

日本刀(1D100<85)

 58⇒成功

 

MA(1D100<50)

 26⇒成功

 

【検非違使A】回避(1D100<14)

 30⇒失敗

 

ダメージロール

 4D8+1+1D4⇒19+1+1⇒21

 

 

―――

 

 

「逃さん!」

 【グラハム】は思い切り蛍丸を振りかぶった。

「――今日の私は、阿修羅すら凌駕する存在だ!!」

 振り下ろされた蛍丸の薙ぎ払いが、【検非違使A】を跡形も残さず粉砕した。

 

 

―――

 

 

クーゴ「文句なしのオーバーキルだ。次、【刹那】」

刹那「分かった。次は【検非違使B】を狙う」

 

 

日本刀(1D100<50)

 42⇒成功

 

【検非違使B】回避(1D100<14)

 79⇒失敗

 

ダメージロール

 1D4+1⇒4+1⇒5

 

 

―――

 

 

 【グラハム】の薙ぎ払いに続くようにして、【刹那】が飛び出した。【刹那】が振るった一撃は、【検非違使B】に叩きこまれる。

 的確な攻撃は、愛染国俊が発揮できるであろう最大威力を叩きだす。【検非違使B】は呻き声を上げた。

 

 

―――

 

 

グラハム「2回連続最大威力! 刹那は凄いな!!」(目を輝かせる)

刹那「褒めても何も出ないぞ」

クーゴ「さて、次は敵のターンだ」

 

 

【検非違使B】の標的

 1D2⇒2⇒刹那

 

尖ったもの(1D100<50)

 30⇒成功

 

 

刹那「回避を振る」

 

 

回避(1D100<50)

 100⇒ファンブル

 

 

刹那「しまった……!」

クーゴ「こうなると、攻撃必中且つ最大値だ。ダメージは7だな。ショックロールはいるぞ」

 

 

ショックロール(1D100<80)

 01⇒クリティカル!

 

 

グラハム「持ち直した! しかもクリティカルだぞ!!」

クーゴ「01か……。ダイスの女神さま凄いな」

刹那「一々極端だな」

クーゴ「なら、気絶から持ち直すだけじゃなく、後で何かサービスするとしよう」

 

 

―――

 

 

 【検非違使B】が振りかぶった一撃は、容赦なく【刹那】を抉った。激しい痛みと共に、【刹那】は弾き飛ばされ叩き付けられる。

「【刹那】!!」

 【グラハム】の金切り声が響く。【刹那】は咳き込んだ後、すぐに立ち上がる。

 呼吸は荒いが、まだ闘志は折れていない。

「まだだ……!」

 【刹那】は愛染国俊を構えて【検非違使B】を睨みつけた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「さて、次は【グラハム】だ。どうする?」

グラハム「【検非違使B】を日本刀で攻撃する」

 

 

日本刀(1D100<85)

 23⇒成功

 

【検非違使B】回避(1D100<14)

 41⇒失敗

 

MA(1D100<50)

11⇒成功

 

ダメージ

 4D8+1+1D4⇒20+1+3⇒24

 

 

―――

 

 

 ぶちり、と。【グラハム】の中で、何かが切れた音がした。

「貴様……! 堪忍袋の緒が切れたぞ!!」

 【グラハム】は蛍丸を大きく振りかぶり、【検非違使B】へと思い切り叩きこんだ。

 勢いを込めて振り下ろされた大太刀の薙ぎ払いは、【検非違使B】の命を刈り取るだけでは飽き足らない。

 彼の怒りを体現するかのごとく、【検非違使B】の存在そのものを粉砕した。

 

 

―――

 

 

クーゴ「はい、これで戦闘終了だ。元の空間へと戻るぞ」

 

 

―――

 

 

 どこからか、任務達成のファンファーレが鳴り響いた。程なくして、【グラハム】と【刹那】は『第3の部屋』に立っていた。

 2人を迎えようとした【蛍丸】、【愛染】、【歌仙】は、【刹那】の傷を見て顔を真っ青にした。3人はどこからか包帯を持ちだし、【刹那】の傷を治療した。

「医学や薬学に長けた【薬研藤四郎】がいたら、もっと上手く治療できたんだけど……」

 3振りは何とも言い難そうな表情で【刹那】を見上げる。【刹那】は淡く微笑むと、「大丈夫だ。ありがとう」と礼を述べた。

 

 

―――

 

 

クーゴ「クリティカル補正だ。【刹那】の耐久力を1D3ポイント回復させてくれ」

刹那「分かった」

 

 

1D3⇒2

耐久:7+2⇒9

 

 

クーゴ「さて、そろそろ鍛刀場に行ってみたらどうだ? 戦闘イベントで時間が経過したし、目的の太刀は顕現できると思うぞ」

グラハム「よし!」

刹那「これで、PCに表示されていた任務はすべて完了だな」

クーゴ「それじゃあ、RP頼むぞ」

 

 

―――

 

 

 そろそろ鍛刀時間が終わった頃だろう。もし目的の刀剣男士が出てこなかった場合、入手した資材を投じて顕現することになる。

 鍛刀場に足を踏み入れると、すべての炉に『完成』の字が浮かんでいる。妖精は自慢げに胸を張り、3振りの刀を【グラハム】に手渡した。

 【グラハム】が刀に触れると、桜吹雪が舞い上がった。温かな光が晴れた後、そこには顕現した刀剣男士たちが佇んでいた。

「【前田藤四郎】と申します。末永くお仕えします」

「【平野藤四郎】といいます! お付きの仕事でしたらお任せください」

「僕は、【燭台切光忠】。青銅の燭台だって切れるんだよ。……うーん、やっぱり格好つかないな」

 顕現したのは、【前田】、【平野】、【光忠】だ。前者2振りには何かを切った逸話は無いが、後者には青銅の燭台を切ったという逸話がある。

 そして、逸話を再現するために必要なアイテム――青銅の燭台も所持している。【グラハム】と【刹那】は顔を見合わせた後、【光忠】へと向き直った。

「……ど、どうかしたのかい? やっぱり、燭台切って変な名前――」

「――ありがとう! 私はキミを待っていたんだ!! 青銅の燭台を切ったという逸話を持つ、キミのことを!!」

 感極まった【グラハム】が、【光忠】の手を両手で掴んだ。いきなりそんなことを言われて、【光忠】が驚くのは当然のことである。「え? え??」と困惑気味に視線を彷徨わせた。

「あ、あの……」

「何があったんですか?」

「……何かを切った逸話を持つ刀剣男士を探していたんだ。逸話を再現することが、任務に関わっているらしくてな」

 呆気にとられる【前田】と【平野】に解説し、【刹那】は青銅の燭台を指示す。

「他にも茶坊主らしき気配や薬研は見つかったが、該当する刀剣男士は、あそこにいる【燭台切光忠】だけのようだ。……ほら、アンタもいい加減に離れろ。彼に燭台を切ってもらわなければ、任務が終わらないぞ」

「む、すまない」

 そう言って、【刹那】は【グラハム】を【光忠】から引っぺがした。

 【グラハム】は【刹那】に謝罪したのち、【光忠】へと向き直る。

「【燭台切光忠】。キミに頼みたいことがある」

「う、うん。僕にできることがあるなら、何でも言ってくれ」

「――キミの逸話通りに、これを切ってくれないか?」

 【グラハム】はそう言って、青銅の燭台を指示した。【光忠】は目を見張ると、何とも言い難い顔をする。

 だが、それは一瞬のこと。【光忠】はニッコリと笑い、二つ返事で頷いた。

「オーケー、任せてくれ」

 

 

 【光忠】が振り下ろした一撃は、嘗ての逸話通り、青銅の燭台を真っ二つに切り裂いた。「おおー」と、【蛍丸】が感嘆の息を吐く。

 【グラハム】と【刹那】も、惜しみない拍手を贈った。【光忠】は照れたようにはにかみ、刀を鞘に納める。

「流石は【燭台切光忠】だ。青銅製の燭台を、こんな風に真っ二つにするとはな」

「はは、ありがとう。そうやって褒められると、なんだか照れてしまうな」

 中世では日本刀が最強の近接戦闘武器だったらしいぞ、と【グラハム】が付け加えれば、刀剣男士たちは自慢げに胸を張った。

 ともかく、これで任務は完了だ。【グラハム】と【刹那】たちは、ぞろぞろと連れ立って『第3の部屋』に足を踏み入れる。

 PCを起動すれば、任務<名前通りに斬る>の部分に済の字が浮かんでいた。【グラハム】はそこにカーソルを合わせる。クリックした瞬間、画面にメッセージが表示された。

 『おめでとう。君は良い主のようだね。もう1人の方も、彼と同じような良い主になれるだろう。これからも刀達をたのむよ』――次の瞬間、聞き覚えのあるファンファーレが響き渡り、視界が真っ白に染まった。

 

 

―――

 

 

クーゴ「さて、EDだ。最後のRP頼むぞ」

グラハム「もう少し何かありそうな気がしたんだが、案外大したことがなかったな」

刹那「だな」

 

 

―――

 

 

 目が覚めると、そこは【グラハム】と【刹那】が待ち合わせをしていた喫茶店だった。時計を見ると、気を失う前の時刻より殆ど時間が進んでいないことが分かる。【グラハム】のスマートフォンには、近侍である【蛍丸】の画像が映し出されていた。

「……今のは、夢か?」

「それにしては、ラブホテルの一件と似たような感じだったんだが……」

「夢にしてはリアルな夢、という扱いでいいんだろうか」

 【グラハム】と【刹那】が顔を見合わせて唸っていたところ、突然、【グラハム】のスマートフォンが白くなった。端の方には『通信エラー』の文字が浮かんでいる。

 先程も同じようなことがあった――なんて既視感を抱きながら、【グラハム】はアプリを起動し直す。

『刀剣乱舞、始まるよ。――きたきた』

 近侍のログインボイスが響くと同時に、本丸の背景画像が浮かんだ。紫陽花咲く梅雨の庭に、6(にん)の刀剣男士が並んでいる。

 近侍の【蛍丸】、【愛染国俊】、【歌仙兼定】、【前田藤四郎】、【平野藤四郎】、【燭台切光忠】――先程の夢の中で行動を共にした刀剣男士たちだ。

 彼らは満面の笑みを浮かべている。特に、【蛍丸】は機嫌が良さそうだった。

『主。俺、主の刀で本当に良かった! これからもよろしくね』

 【蛍丸】は【グラハム】にそう言うと、【刹那】に向き直った。

『おねえさんも、主のことをよろしくね。主はおねえさんのこと、大切にしてるから』

『こらこら。僕たちがそうやって茶々を入れるのは無粋と言うものだろう。主はきっと、自分の言葉で伝えるはずだ』

『むー……りょーかい。そういうわけだから、2人ともよろしくね』

 【歌仙】にたしなめられた【蛍丸】はフグのように頬を膨らませた後、口元に人差し指を立てて苦笑した。

 ゲームの枠を超えた演出に、【グラハム】と【刹那】が目を見開くと、その画面は通常の本丸画面に変わっていた。

 紫陽花咲く梅雨の庭に、近侍である【蛍丸】が表示されている。

 【グラハム】がおもむろに編成をタップすると、そこにいる刀剣男士たち――【蛍丸】、【愛染国俊】、【歌仙兼定】、【前田藤四郎】、【平野藤四郎】、【燭台切光忠】のアイコンには、桜が舞っていた。

「……夢ではないらしいぞ」

「だな」

 【グラハム】と【刹那】は顔を見合わせた後、ふっと笑みを浮かべる。2人はおもむろに【蛍丸】をタップしてみた。

 2人が何を考えているのか察したのだろう。

『そんなになでたら背が縮んじゃう!』

 どこか不機嫌で照れくさそうな声が響いたのであった。

 

 

―――

 

 

クーゴ「はい。『かくりよがたり』ハッピーエンドだ。おめでとう」

グラハム「出来る限りのことをしてたどり着く最良のED……それこそPLの義務だ」

刹那「良かったな」

 

クーゴ「それじゃあ、報酬と技能成長だ。まず、ハッピーエンドということで、1D6に1D3+1のSAN回復だ」

 

 

グラハム

 1D6+1D3+1⇒1+1+1⇒3

 SAN:69+3⇒71

 

刹那

 1D6+1D3+1⇒5+2+1⇒8

 SAN:69+8⇒77

 

 

グラハム「【刹那】の回復量が凄まじいな」

刹那「……SANの結果を入れ替えてやりたくなる」

グラハム「気にすることはないよ。プラスマイナスで0だからな」

 

クーゴ「次は成長ロールだ。成長できる技能は、刹那の目星と回避のファンブルだな」

刹那「回避技能は既に50ポイントなんだが」

クーゴ「クリファン成長ロール以外、且つ、趣味技能ポイントを割り振った回避は、50以上に振り分けるのは禁止ってだけだよ。クリファン成長による数字だったら、70まで加算できるぞ」

グラハム「では、既に技能値が85になっているものは?」

クーゴ「成長ロールは適応されない。ハウスルールの最大値は85だからな」

刹那「なら、【刹那】の成長技能は目星と回避か」

 

 

刹那

 目星:1D10⇒8

  目星:78

 

 回避:1D10⇒7

  回避:57

 

 

グラハム「回復と成長ロールが凄いことになってるな。【刹那】はダイスの女神さまに好かれているらしい」

刹那「時々、あんたのPCとダイス目を入れ替えたくなる」

グラハム「ははは。心配無用。私もなんやかんやで元は取り戻しているからね」

 

クーゴ「では、これでセッション終了だ。お疲れ様でした」

グラハム「お疲れさま!」

刹那「ああ、ありがとう」

 

 




≪リザルト≫

名前:永花 グラハム 年齢:27歳
職業:居合・抜刀術師範(スポーツ選手)
STR:15 CON:16 POW:13 DEX:16(15+1) APP:11 SIZ:14 INT:15 EDU:16(17-1)
SAN:71 幸運:65 アイディア:75 知識:80 耐久:15 MP:13
年収:450万円 財産:2250万円 ダメージボーナス:+1D4
【技能】
回避:70 芸術(日本刀):62 武道(居合および抜刀術):50 日本刀:85 跳躍:60 登攀:76
天文学:49 写真術:50 目星:66 聞き耳:55 ナビゲート:50
<職業特性>
STR,SIZ,DEXのいずれかに+1、EDUに-1。
<特性>
3-1.天気予報士:外を見てアイディアロールに成功⇒1D6+1時間の間の正確な天気を予測可能。
2-10.前職:以前は別の職業に就いていたか、幼少期に得難い体験をしている。48ポイントを多く配分可能。

<簡単な背景>
・日本文化に魅了されてこの国に帰化したアメリカ人が両親。彼が生まれた直後、事故によって帰らぬ人となる。以後は孤児として施設で暮らしていた。
・見目は金髪碧眼の白人だが、英語は喋れない。何も知らない人が英語で話しかけてきて困惑することがある。
・空が好き。特に青空が好きで、写真に撮っていることがある。家の中には青空の写真が沢山飾られている。
・最初はパイロットを目指していたが、「トラブルに巻き込まれたのが原因で、挫折せざるを得なくなった」過去がある。
・親友の叔父に勧められて居合と抜刀術を習った結果、才能を開花させた。現在は道場で師範代をしている。
・家にいる時は着物を着用することが多い。

<持ち物>
日本刀(居合・抜刀術用:厳重に管理している。1D10+DB:耐久20)、スマートフォン、財布、携帯食品



名前:伊良部 刹那 性別:女性
職業:私立探偵 24歳
STR:16 CON:16 POW:14 DEX:15 APP:10 SIZ:13 INT:16 EDU:18
SAN:77 幸運:70 アイディア:80 知識:90 耐久:14 MP:14
年収:700万円 財産:3500万円 ダメージボーナス:+1D4
【技能】
言いくるめ:85 鍵開け:85 心理学:67 追跡:50 図書館:50 目星:78 聞き耳:65
杖:75 精神分析:66 応急手当:45 回避:57 隠れる:20
<職業特性>
隠れるに+10のボーナス
<特性>
3-4.戦士。あらゆる近接武器の技能値が50になる。
4-9.邪悪な一族、カルティスト、神話生物、クリーチャーの子孫。元カルト教団所属。

<簡単な背景>
・中東系のクォーターだが、生まれも育ちも日本。母国語は日本語である。周囲からは「日本人にしては肌の色が濃い」と認識される様子。
・大手の探偵事務所として有名な『日本ピンカートン探偵事務所』に所属している探偵。主に護衛や調査任務を行っているようだ。正体は抗神組織の一員。
・元々一族がカルト教団に所属しており、彼女もその被害に合う。心身ともにかなりのダメージを受けた。現在は回復している。
・カルト教団を壊滅させるために、家族や友人を裏切った。結果、カルト教団の壊滅と引き換えに天涯孤独となる。
・家族や友人の死、および死の間際になった彼らから向けられた呪いの言葉を気にしている。そのため、自身に関する優先順位が著しく低い。

<持ち物>
筆記用具、財布、スマートフォン、特殊警棒(タクティカル・バトン/1D8+DB:耐久25)、鍵開けキット、虫眼鏡(目星に+10のボーナス)、ピンセット、包帯キット(応急手当に+20のボーナスor回復量に+1D3のボーナス)、携帯食品


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