やはり俺の浪人生活はまちがっている。 (terror)
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1.こうして俺の浪人生活が始まる。

初めまして!terrorです!
八幡が浪人するSSは見たことないなぁ。と思い、書こうと思った本作ですw
温かい目で見守っていただけると嬉しいですm(_ _)m


今日は四月四日!高校を卒業した俺は…今日から新生活を迎える……!

 

 

……そう。浪人生活が始まります。はい。大学受験に失敗した俺は今日から予備校通いの日々が始まる。……嫌だなぁ。辛いなぁ。いやぁ最初は宅浪でもいいかなと思ってたんだけどね。お金かかるし。親に申し訳ないし。でもそのこと親に言ったら、

 

「あんた、家でなんて絶対勉強しないでしょ。お金は出すから予備校行きなさい。あんた働いたら返してもらうから大丈夫!」

 

と、一蹴された。さらばっ!我がニート生活!……そういえば浪人生ってニートって言うのかな?どうなんだろ?というか、働いたらって俺働くことになってるし。俺の専業主夫の夢が……(泣)

 

まぁ真面目な話、予備校通わないとぜんぜん勉強できないだろうし、親には感謝しても仕切れない。ほんと受験失敗しちゃってごめんね。

 

「お兄ちゃーん。今日から予備校でしょ?まだ行かないの?」

 

お前はそんなに早く兄に家から出て行って欲しいのか……。

我が妹であり、天使の小町が台所から声をかけてくる。ちなみに小町は今年から総武高校二年生だ。一年のときから生徒会に所属している。生徒会長とも仲がよろしいようで。いやぁ小町があいつから悪影響受けないかほんと心配。天使が小悪魔になっちゃう!

 

「もうすぐ行くよ。はぁー。行きたくねぇ」

 

「大変だと思うけど頑張ってね!小町もお兄ちゃんの帰りを健気に待ってるから!あ、今の結構小町的にポイント高い!」

 

「はいはい」

 

小町お馴染みのセリフを軽く流して支度を始める。総武高校の始業式は明後日なので小町は寝巻き姿だ。兄のためにわざわざ起きて朝食作ってくれるなんて小町やっぱり天使!ま、俺だけのためじゃないんだけどね。

 

「じゃ、行ってくるな」

 

「うん!いってらっしゃーい!」

 

俺は小町に見送られながら玄関を出た。

 

 

 

自転車を15分漕いで予備校に到着する。俺が今日から通う予備校は東新衛生予備校だ。代々木予備校とどちらにするかだいぶ悩んだが、俺は東新を選んだ。東新は自分で講座を選んで、自分でスケジュールを組んで、自分のペースで受講することができる。あと各生徒それぞれに机が設けられており、自分の席で勉強することができるので特に他人とコミュニケーションをとる必要もない。まさに、ぼっちのための予備校と言っていい。違うか、違うね。

 

一度体験入学ということで英語の講座を受講させてもらい、その時に初めて映像授業を体験したのだが、これが思ったより悪くなかった。むしろ塾講師が非常に優秀でわかりやすくとてもよかった。それに巻き戻し機能が素晴らしい。聞き逃したところや、理解できなかったところは巻き戻して見直すことができる。普通の授業だったら講師に、「もう一度言ってください」なんて言えないもんね。うん。

 

これらの理由から俺は東新にすることにした。夏期講習などに通ってたから代々木にするか迷ったけどね。

 

事務所で登校の確認を済ませた俺は、自分の席へ向かう。早めに入学を決めたことにより取れた壁際のベストプレイスが俺の席だ。席に着いた俺はパソコンを起動する。

 

さて、始めますか……。はぁ…嫌だなぁ……。これ思うの今日何回目だろう。と、くだらないことを考えながら俺の浪人生活は始まった。




1話お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
できる限り頻度よく投稿できるよう頑張ります( ̄^ ̄)ゞ
俺ガイルキャラの現在は後々どんどん出てきます。
誤字脱字や指摘点などあれば遠慮なく教えていただけるとありがたいです♪
またお読みいただけると嬉しいです(。-_-。)
それでは、第2話でお会いしましょう。


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2.予備校初日を終え、比企谷八幡は帰宅する。

第2話です(・ω・)ノ



東新は8時50分までに登校。9時から講座開始である。休憩は昼休みの1時間と、17時からの30分のみであり、17時の休憩の後、19時までは自習の時間となっていて、19時で予備校は終了となる。その後は21時まで部屋は開いているので残って勉強を続けてもいいという仕組みだ。なお、携帯は登校と同時に事務所に預けないとであり、休憩時間以外は使うことができない。まじで勉強しかできない場所である。

 

 

2講座を終え、昼休みを迎えた。事務室から携帯を取ってきて自分の席に戻ると、イヤホンをパソコンから携帯に付け替えて音楽を聴きながらコンビニで買ってきたパンを食べ始める。これがぼっちの食事の仕方だ。イヤホンの作る固有結界をとても強力である。なんなら「体は剣で出来ている」とか言っちゃうレベル。

 

午前中に受けた講座は英語と数学である。高2までは私立文系を志望していた俺だが、高3になってから国立に志望を変更した。そのため数学も必須である。それまで数学など必要ないと思ってまったく勉強してこなかった俺は数学にとても苦労した。1つの参考書を何度も何度も繰り返し、公式を覚え、できなかった問題にはチェックを入れていった。結果的に俺は数学を苦にしないレベルまで仕上げることはできた。いや、できたと思い込んでいたのかもしれない……。

 

 

昼休み後は現文と日本史の講座を受け、17時の休憩後の自習時間は英単語のトレーニング、そして今日の講座の復習を行った。講座で扱った問題をもう一度解くことで、本当に理解できているかを確認する。時間が経ってから、もう一回解くことも大切だ。画面の中の数学の講師が言うには完全に忘れてない、けれども少し忘れたくらいにもう一度解くのがいいそうだ。

そんなこんなで予備校1日目はつつがなく終わった。休憩時間でも誰とも会話することもなかったしね!

 

21時まで自習を続けることもできるのだが、ぶっちゃけキツイ。やはり受験を終えてから休みの日々を一切勉強することなく過ごして来た俺には、一日ぶっ続けで勉強し続けるのはだいぶ堪えた。あとなにより目がやばい。一日中パソコンと向かい合ったことで目がかなり疲れた。やばい。このままでは俺の腐った目がさらに腐ってしまう……。これ以上腐ったらどうなってしまうんだろほんと。

 

てなわけで19時を過ぎ、担当の先生が本日の終了を言いに来ると、俺は持ち帰らない教材はロッカーにしまい、消しゴムのカスなどをさっと掃除して、帰り支度をして素早く教室を出た。待ってろ小町!お兄ちゃんすぐ帰るぞ!21時まで勉強するのは慣れてからでいいよね。うん。そんな初日から張り切って頑張っても長続きしなもんね!

そういえば今日1つ気になったことが俺の隣の席だ。予備校初日の今日、その席に誰かが座ることはなかった。新しいテキストが置かれていることから、その席が空席ということではないらしい。おれの隣が嫌だという理由で埋まらず空席だったとしたら泣いちゃうところだった。つまり、この席の主は初日から欠席したことになる。初日から欠席とか、なんて図太いやつなんだ……。どんな人なのかちょっときになるな。ま、関わることないと思うけど。

 

そんなことを考えながら自転車を漕いでいるうちに俺は家に着いた。自転車を片付けてから、玄関の扉を開けて家に入ると、

 

「あ、お兄ちゃんおかえりー!」

 

「おかえりなさーい!」

 

と、二つの声がおれを出迎えた。一つは我が妹のもの。もう一は聞き覚えのある、あざとい声だった。その声から俺の頭に一人の顔がその声の主を見る前に浮かんだ。

 

「なんでお前いるんだよ……」

 

総武高校三年の生徒会長が妹と一緒に俺を出迎えた。

 

 

 

 

 

 




第2話お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
みんな大好き、筆者も大好きいろはす早くも登場です。
予備校の説明、最初ということで長くなってしまいましたm(_ _)m
それでは、第3話でお会いしましょう。


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3.一色いろはは相変わらずあざとい。

第3話です(・ω・)ノ
お気に入りが30を突破しました♪
不出来な作品ですが、お付き合いいただけると嬉しいですm(_ _)m


「なんでお前いるんだよ……」

 

「今日は小町ちゃんと一緒に春休みの課題してたんですよー」

 

一色いろは。俺が卒業した総武高校の生徒会長だ。一色は高二の時に今度は自ら生徒会長に立候補し、当選した。前は何かあるたびにすぐに俺を頼ってきて、振り回したこいつだが、俺たちが奉仕部を引退したあたりからそんなことも無くなった。一色も成長したのだろう。そのことは卒業式の在校生代表挨拶で伺えた。立派な挨拶だった。一色のことは、初めて生徒会長になったときからけっこう近くで見てきただけに、彼女の成長はなんだか感慨深いものがある……。

そういえば、小町が生徒会に入ってから仲良くなったらしく、家にもけっこう遊びに来てたな……。ついでにうちの親とも仲良くなってた……。でも急に来なくなったんだよなぁ。それも確か俺たちが奉仕部を引退したあたりからだった気がする。

てか……

 

「お前ら学校明後日からだろ?まだ課題終わってなかったのかよ……」

 

「だって入学式の準備とかで生徒会忙しかったんですもん!それに今日で終わったのでいいんですー。ね、小町ちゃん?」

 

「ですよねー!そ・れ・に!いろは先輩夕飯作ってくれたんだから、そんなこと言わないのー!」

 

テーブルには食事が並べられていた。確かにいつも小町が作ってるものとは少し違う感じがする。

 

「これ、お前が作ったの?」

 

「小町ちゃんと一緒にですけどね〜」

 

キャピッと一色が言う。相変わらずあざといな……。

 

「さささっ!食べちゃいましょ!せっかくのご飯が冷めちゃいます!ほらお兄ちゃんもいろは先輩も座って座ってー!」

 

小町に席を勧められて俺と一色は席に着く。……肉じゃがってチョイスがこれまたあざとい。

 

 

 

 

 

「そういえばー先輩ってもう先輩じゃないんですよねー」

 

「どういう意味だよ……」

 

食事をしながらずっと小町と楽しそうに会話してた一色が急に俺に話を振ってきた。そのまま小町と話してくれててよかったのに…

 

「だってー。先輩もう私と同学年じゃないですかー」

 

「あーそゆことね」

 

浪人生と高校三年生を同学年というなら一色の言うことは正しい。でもそういうのかな?なんか違う気もする。

 

「あ、そういうことならお兄ちゃんもう一回浪人すれば小町と同学年だね!」

 

「縁起でもねぇこと言うなよ……」

 

もう一回浪人とか絶対嫌だからね……。……ふむ、でも小町と同学年か……。悪くない。一緒に楽しいキャンパスライフとか送ってみたい……。ヤバイ!このままじゃ二浪しちゃう!

 

「じゃあこれから先輩のことなんて呼びましょうかね?」

 

「どうでもいい……」

 

「うーん……、じゃあヒッキーとか!」

 

「やっぱ今まで通り先輩でお願いします」

 

なんでそこでそうなるんだよ……。

 

 

 

 

「ごちそうさん」

 

「お粗末様です。先輩どうでしたか?」

 

「あぁ。普通にうまかったよ」

 

一色が料理できるのは前から知ってるし別に驚くことは何もない。ただ、一色はいまの俺の回答に満足しなかったらしい。

 

「なんか感想が微妙なんですけど……」

 

「いやだからうまかったって。普通にうまいってかなりの褒め言葉だぞ?」

 

実際料理普通に美味しく作れる人って案外多くないしな。

 

「そうですか……。ならよかったです!」

 

……その笑顔は反則だろ。不覚にも可愛いと思っちまった。

 

「いろは先輩あとは任せてもらって大丈夫ですよ!それにそろそろ帰らないとまずくないですか?」

「あ!やばっ!」

 

気づけば時間は20時半を過ぎていた。たしかにそろそろ帰らないとまずいだろう。

 

「じゃあお兄ちゃん!いろは先輩のこと送ってあげて!」

 

「あぁ。わかったよ」

 

さすがにこんな時間に一人で帰らせるのは心配だしな。……って

 

「なんでお前らそんな驚いた顔してんだよ」

 

「いえ、先輩が素直にそんなこと言うなんて珍しいなって……」

 

「うんうん」

 

失礼な奴らだな……。

 

「嫌なら送らないぞ」

 

「あ!そんなことないですー!お願いします!」

 

「ん。じゃ、ちょっと行ってくるわ」

 

「うん!気をつけてね!いろは先輩さようなら!」

 

「小町ちゃんまたねっ!」

 

小町に見送られながら俺と一色は家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第3話お読みいただきありがとうございます!
初めての会話が多い回だったのでキャラが不自然じゃないかとかかなり心配ですw文におかしいところがないかもかなり心配w
では、第4話でお会いしましょう。


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4.比企谷小町は……。

更新一週間開いてしまい申し訳ありません 
体調崩したり忙しかったりで(´・_・`)
更新頻度上げるよう頑張ります!
今回は小町目線です。
第4話です(・ω・)ノ



お兄ちゃんは、大学受験に失敗した。

 

合格発表の日以来のお兄ちゃんはとても見ていられなかった。

毎日食事のときだけリビングに出てくるだけ。あとは一日のほとんどを、自分の部屋で過ごしていた。また受験に向け勉強することもない。家から出ることもほとんどない。ただダラダラと、無気力に毎日を過ごすだけだった。

 

それでも、一見お兄ちゃんはいつも通りに見えた。ただ受験を終えて疲れた。また四月から受験に向けて浪人生活が始まるのだからせっかくの長期休みをダラダラ過ごしているだけ。そんな風に。

 

小町も最初はそう思ってた。あれだけ一生懸命頑張ってたんだもん。苦手な数学も、わけわからん。とか、誰だ数学考えたやつ。とか文句ダラダラだったけど、それでも毎日ちゃんと向き合って、苦手を克服してた。それなのに受験失敗しちゃったんだもん。そりゃ人間誰だって無気力になるって。

 

でもそれだけじゃなかったんだ。お兄ちゃんはただでさえどうしようもないけど、何かあったときいつもよりどうしようないんだもん。小町にはわかった。お兄ちゃんに受験失敗したこと以外に何かあったって。何があったのか、小町が知ったのはその違和感に気付いてしばらく経った後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃんは雪乃さんと別れた。

 

 

 

 

 

お兄ちゃんたちが奉仕部を引退して少し経ってから、お兄ちゃんと雪乃さんは付き合い始めた。

お兄ちゃんが志望校を国公立に変更したのもそれがきっかけだった。雪乃さんと同じ大学に行きたい。その思いがきっかけだった。

 

お兄ちゃんは受験に失敗して、雪乃さんと別れ、そして、受験に対する動機まで失ったんだ。

 

小町はお兄ちゃんにどう接すればいいかわからなくなっちゃった。

お兄ちゃんはいつも通り接して欲しいと思ってると思うし、小町もそうしたほうがいいとわかってる。でも、それを意識してしまってから、本当にいつも通り接することができているのかかわからなくなったんだ。

 

いつも通り振舞おうとすればするほど、その振舞いは作り物になってしまう。小町にはそれが偽物に思えて、そんな偽物を作ってる自分が嫌になった。

 

今の小町じゃお兄ちゃんを支えてあげられない。助けてあげられない。だから私はお願いしたんだ。

 

『いろは先輩!お兄ちゃんを助けてください!』

 

あのあざとい先輩なら、お兄ちゃんのことを支えて、お兄ちゃんの心を癒してくれるって思ったから。

 

 

 

 

いろは先輩は快く私のお願いを聞いてくれた。

 

『わたしにできることがあるならなんでもするよ!』

本当に素敵な先輩だ。ごみぃちゃんには勿体無い。

 

お兄ちゃんのことを助けられるなら小町はなんでもする。そばにいてあげるし、他の人の助けが必要ならお兄ちゃんの代わりに私がお願いする!

 

だって小町はお兄ちゃんの妹だからねっ!

 

あ!今の小町的にポイント高い!

 

 

 

 




4話お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
今回は初の八幡以外の視点の話でした。(ただ現状を話してもらっただねだけどね)
これからも時々八幡以外の視点が入ります!
では、また第5話でお会いしましょう!
頑張って更新頻度上げます( ̄^ ̄)ゞ


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5.浪人生活にもこんなことはある。

お気に入り50を突破しました!
みなさんありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
評価件数も5件になったのでバーに色が付きましたねw
では、第5話です(・ω・)ノ


四月十五日。俺の浪人生活も二週間目が終わろうとしていた。

予備校通いの生活は思った以上に一日一日が早く感じられた。

この分ならこの一年は意外とあっという間なのかもしれない。

 

この二週間であったことといえば予備校初日に一色が家に来たことくらいだ。一色と小町が作ってくれた夕食を食べた後、俺は一色を駅まで送った。そのときに一色が俺の志望校を聞いてきたのだが、俺は、

 

『まだ決まっとらん』

 

としか答えられなかった。実際本当にまだ志望校は具体的に決められていない。とりあえずセンター試験はしっかり点を取ろうと、センター対策の講座を満遍なくいまはこなしている。

 

『えー。志望校ちゃんと決めないと目標が定まらなくてよくないって聞きますよー』

 

……一色に超正論言われて困った。

 

『うっせ。じゃあお前はどうなんだよ高校三年生?』

 

『え、私は……、じゃあ私も決まってません!』

 

『お前も決まってねーんじゃねぇか……』

 

てか、じゃあってなんだよ、じゃあって。

 

『あ、先輩ここまででいいですよ!ありがとうございました!』

 

『おう。気をつけてな』

 

『また遊びにいきますね』

 

『おう。小町のこと、よろしくな』

 

『はい!任せてください!』

 

 

 

こんな感じで俺は一色を送った。

その日以降俺は普通に予備校に通い……って事件あったわ。そうだよ。俺の隣の席のやつだよ。

 

金髪縦ロールで、春らしい私服を着こなした三浦優美子は、俺の隣の席で、足を組みながらパソコンに向かい合って講座を受けている。

予備校初日に欠席とは図太いやつ。と、思っていた俺の隣の席の主は三浦だった。

 

まさかこいつも浪人してたとはな。最初に三浦の姿を俺の席の隣で見たときはそれはめちゃくちゃ驚いた。

 

まぁ、かといって何かあるわけではない。実際、俺と三浦は一言も会話を交わしていない。ただ、席が隣なだけ。それだけの関係だ。

 

さて、今日四月十五日は普通の登校日ではない。予備校自体は16時半に終了だ。なぜいつもより終了時間が早いかというと、今日はこの予備校の懇親会があるからだ。この予備校の生徒、約四十人で近くのバイキングで食事会だ。なんでも先生が言うには皆んなこの懇親会で友達を作るらしい。……でもさ、飯食うだけで友達になれるなら小学校のやつって皆んな友達だよね。うん。

 

参加は自由参加なのだが、大半の生徒は参加するそうだ。

もちろん俺は……参加するつもりなかったよ?

だが、この懇親会は予備校が料金を全てもってくれる。そのことを不覚にも、懇親会の申し込み用紙を母親に見られてしまい、知られてしまった……。そしたら、

 

『タダなんだからあんた行ってきなさいよ。私達も外で何か美味しいもの食べるから』

 

『お兄ちゃん、友達頑張って作ってきてね〜!』

 

……行くことになってしまった。俺もその美味しいもの食べたかったんだけど……。俺そんなバイキング食えねぇし。

 

てなわけで、16時半になって今日の学習は終わり、俺を含め他の生徒も後片付けを始めた。片付けを終え、自分の席で各々指示を待って少し経つと、先生が教室に入ってくる。これから全員でバスに乗って店へ向かうらしい。俺は端っこの席なので他の人が先に教室を出るまで待ってから席を立った。どうやら三浦も懇親会には参加するようだ。

 

さて、いきますか。……はぁ。めんどくさい。

 

 

 

 

 




第5話お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
さて、今回から三浦が登場です。


では第6話でお会いしましょう。


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6.やはりそう簡単に友達などできない。

第6話です(・ω・)ノ
懇親会でバイキング店に来た続きです!


店に着くと約四十人の予備校生が入口で立ち往生していた。

うん。これ絶対他のお客様のご迷惑だよね。

 

少し時間がかかって先生が受付を済ますと、続々と生徒が店の中に入って行き、席に案内される。男女別々に各テーブル四人ずつだ。

全員が席に着くと、自由に食べ物取りに行っていいよとの指示が出たされた。ちらほらと席を立つ人に続き俺も席を立つ。

 

 

 

……いやぁ、先生が『みんなこの懇親会で友達作る』なんて言ってたからなんかリクリエーションでもあるのかなぁ。嫌だなぁ。とか思ってたけど……うん!ないみたいだね!

 

これで友達作るとか絶望的だろ。俺のテーブルなんてひどいぞ。誰一人喋らず黙々と食べてる。もちろん俺もね!

 

それに引き換え隣のテーブルでは、まるでろくろでも回すかのようなオーバーな手振りを交えながら話してるやつを中心に意識高い話で盛り上がっていた。……あのろくろ回しには見覚えがあるような気がするがきっと気のせいだ。うん、絶対。ロジカルシンキングで論理的に考えても絶対気のせい。

 

ほかのテーブルも見回してみると男子のほうはけっこう会話してないところが多いみたいだな。男は積極的に話ししないのだろうか、逆に女子のとこはみんな会話してるな。盛り上がってるところもあるし、その他もそこまで盛り上がっていないながらも、ちゃんと会話が続いている。……一つのテーブルを除いて。

 

三浦優美子のテーブルは、誰も喋ることなく気まずそうにしていた。

この予備校に通っている女子は見た限り言っちゃ悪いがみんな地味な子ばかりだ。それに比べて三浦はあの容姿であの派手さだ。周りの子が気後れするのも無理はない。あいつ威圧感すごいからな……。ぶっちゃけ怖い。携帯いじっている姿は怒ってるようにしか見えん。

あいつここじゃ友達作るの難しいかもな。作ろうにも馬が合わないんじゃどうしようもない。友達なんて無理して作るものでもないしな。

……俺も人のこと言えないけどな。この沈黙の空間にいるのも辛いので飲み物でも取りにいこ……。

 

 

 

 

飲み物を取りに行く途中でいいコーナーを見つけた。なんとここではワッフル、ホットケーキ、クレープを自分で焼いて、特にクレープはトッピングも自由にできるらしい。なんと素晴らしいことか。ふっ、俺の力を見せるときが来たな。これで残りの時間は問題なく潰せそうだ。

 

まず鉄板に油を軽くしき、クレープの生地の種をオタマですくって鉄板に広げる。この時生地を広く、薄く、円を描くように広げるのがポイントだ。そして、数十秒してからコテでひっくり返す。おぉ、完璧。前にほんとなんとなく動画で上手なクレープの焼き方を見た甲斐があった。

 

「ねぇ」

 

あとはもうちょいひっくり返した面を焼いてから完成だ。

 

「ねぇ」

 

よし、皿に盛り付けてっと……

 

「無視すんなし」

 

げしっと足を蹴られた。話しかけられてたの俺だったのか……。

俺に話しかける人なんていないからてっきり別の人かと……。

 

「いてっ。ってなに?俺のこと?」

 

三浦が腕を組みながら俺の後ろに立っていた。

 

「はぁ?あんた以外にだれがいんの?」

 

「まぁそうだな………。で、何か用か?」

 

「それ、あーしにも焼いてくんない?」

 

「いや自分で焼けよ……」

 

実際クレープ焼くのぜんぜん難しくないしな。

 

「めんどい。あと、あんた焼くの上手いし……」

 

「はぁ……。……じゃあこれやるよ」

 

俺はたった今焼いたクレープを差し出した。

 

「…いいの?」

 

「あぁ。また焼くし」

 

別にもう一枚焼くのも構わないし、それに早く相手の要求を呑んだ方が早く済む。

 

「……ありがと」

 

そう言って三浦は俺の焼いたクレープが乗った皿を手にトッピングコーナーに向かっていった。さて、もう一枚焼きますか。

まさかあいつが話しかけてくるとは思わなかったな。まぁ、もうこんなこともないだろ。

 

 

 

 

90分の食べ放題を終え、店の入口に集合した後、全員で集合写真を撮って解散となった。

 

家に帰ると既に小町たちも帰っていた。

 

「あ、お兄ちゃんおかえりー。友達できたー?」

 

「ただいま。……そうだな、まずどこからどこまでが友達か定義してもらっていいか?」

 

「……できなかったんだね」

 

「ばか、ちげーよ。あれだ、少し話したりはしたんだよ?」

 

途中で一回先生がテーブルに来て、隣の人と会話のきっかけをくれて、会話を繋げてくれたのだが、先生がいなくなるとなかなか会話が続かなくなり、しばらく経つとばったり会話が止まってしまった。

その人が頑張って会話を繋げようと頑張ってくれてただけに申し訳なかった……。ほんと隣が俺でごめんね。

 

「ふぅーん。楽しかった?」

 

「いや、辛かった」

 

「辛かったんだ……」

 

だってあの会話してて止まっちゃったときの沈黙って辛いじゃん?

辛すぎて我慢できずにまたクレープ焼きに席を立ったまである。

 

「あ、そうだ!お兄ちゃん明日何も予定ないよね?」

 

「別にないけど」

 

「うん知ってた!そのまま空けといてね〜!」

 

……知ってるなら聞くなよな。

明日何かあるのだろうか。そう思考を始めた俺だったが、バイキングで少し食べ過ぎていたこともあり、疲れていた俺は思考を止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第6話お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
次は4月16日(土)の話です!
それではまた第7話でお会いしましょう。


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7.今日は一色いろはの誕生日だった……。

第7話です(・ω・)ノ


「……、……」

 

「ん……んん……」

 

……誰だ、俺を起こすのは……。家族だってそんなことしないし、ましてや起こしに来る幼なじみなんて二次元でした見たことねぇ……。

 

「……、……」

 

……ああ夢か、夢だこれは。どうせ夢なら戸塚に起こしてもらいたいなぁ。戸塚東京の大学に行っちゃったからなぁ。夢だけでも会いに来てくれないかなぁ。

 

「せんぱ〜い、起きてくださいよぉ〜」

 

…………。ちっ。

 

「なんだ一色か」

 

「なんですかその反応〜」

 

「いやぁ、どうせ夢なら戸塚に起こしてもらいたかったなって」

 

「うっわ……」

 

夢でも一色にドン引きされちゃったよ……。

 

「ていうか〜夢じゃないですよぉ!」

 

「夢じゃなければ一色が俺を起こしに来るわけがないだろ」

 

「むぅ。じゃあこれでどうですか?」

 

一色は両手で俺の両頬をつまむと、むぎゅーってしてきた。

 

えーなにこの頬っぺたつねり。顔が近いこともあり、恥ずかしさで全く痛みを感じないんですけど。やっぱり夢なの?

 

「い、一色、わかったからもう離せ」

 

「やっとわかってくれましたか〜。おはようございます先輩」

 

「あ、あぁ。おはようございます。……じゃねえよ。なんでいるのお前?」

 

普通に挨拶返しちゃったぞ。ほんとなんでいるのこいつ?ていうかなんで俺のこと起こしてるの?

 

「……先輩、私に何か言うことないんですか?」

 

……うむ。

 

「ご、ご機嫌麗しゅう?」

 

「なんでそうなるんですか……」

 

いやだって何も思いつかないんだもん……。何かあるの?

 

「……じゃあいいです。小町ちゃんも待ってるので早く起きてきてくださいね」

 

そう言うと一色は扉を閉めて部屋から出て行った。扉を閉める力が少し強かったのは気のせいだろうか……。

 

 

 

 

 

……目が覚めてきて思い出したよ……。今日一色の誕生日じゃん。

 

そう。今日4月16日は一色いろはの誕生日である。

俺はそのことを小町が用意した朝食を食べながら思い出した。

 

なんでもこれから一色と小町は買い物に行くらしく、俺のことも荷物持ちとして連れて行く気らしい。……だから昨日小町が予定空けといてと言ってたのか。

 

普段なら絶対ついていかないが、今日一色は誕生日だしなぁ。

それに一色、俺が誕生日忘れててちょっと機嫌悪いみたいだし……。

さっきから『私怒ってますよ?ぷんぷん!』みたいなオーラ出してる……。はぁ、仕方がない。行きますか。

 

小町と一色に早く支度しろと急かされたので、ちゃっちゃっと朝食を済まし、支度を始める。服を適当に選んでると、小町が入ってきた。

 

「お兄ちゃん今日何の日かちゃんとわかってるの?」

 

「一色の誕生日だろ?」

 

「わかってるのになんでおめでと言わなかったの?」

 

「あ、いやそれはな……」

 

「あぁ!わかった!お兄ちゃんサプライズだね?誕生日忘れてるフリして後からプレゼント渡すんだね?キャー!それ小町的に超ポイント高い!」

 

「え、いや……」

 

「あ、お兄ちゃん今日これとこれ着てね。じゃあ小町、いろは先輩と玄関で待ってるから。いやぁお兄ちゃんもたまにはやるなぁ」

 

「お、おい、小町……」

 

小町は行ってしまった。

 

…………妹よ。財布に300円しか入ってない俺がどうやってプレゼントを用意すると……?

 

浪人生はお小遣いなど全くもらえないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第7話お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
ここから数話いろはすの誕生日回続きます♪
それでは第8話でお会いしましょう。


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8.一色いろはが俺に望んだものは……。

お気に入りが100を突破しました!これからも本作品をよろしくお願いしますm(_ _)m
ほとんど書き終えてたのに一度全て文字消えてしまいました……。
文字の保存機能が欲しい……。あるのかな?
更新遅れましたが第8話です!(・ω・)ノ


ふぅ。やはり女子の買い物に付き合うのは骨が折れる。

 

俺、小町、一色が買い物に来たのはおなじみ、みんな大好き東京BAYららぽーとだ。

 

午前中は一通り見て回って買う物の目星をつけるとのことで、服やアクセサリー店を色々回った。一色が試着したときに、

 

『わぁー!いろは先輩可愛い!ね!お兄ちゃん?』

 

と、小町が俺にふってくるので困る。それに俺も、

 

『お、おう』

 

としか返せないのだが、一色も一色で、

 

『ありがとうございます……』

 

とか、なぜか照れるのでますます困る。しかもその目線を少し斜め下に落とし、顔を少し赤らめてもじもじしてる姿は、一見するといつものあざとい仕草にも見えるのだが、いつもの作られたあざとさは感じられなかった。

 

一色のやつ、この間会った時は気づかなかったが、しばらく会わないうちに少しあざとさが抜けてないか?もともと一色はあざと可愛いわけで、その一色からあざとさがなくなったら普通に可愛くなってしまうわけで、それはそれで扱いに困るわけで、って落ち着け俺。

 

そんなこんなで午前中は過ぎ、昼食は一色と小町とで食べたいとのことだったのでオムライスになった。ちなみに俺のぶんは、小町が事前にお袋から二人ぶんの昼飯代をもらっていたので助かった。俺の所持金じゃ食べれなかったからね……。

 

昼食を終えると再び買い物に戻り、そして、今に至る。

ちなみに俺は今トイレで用を足している。こういう時一人になれるからトイレっていいよね。一人になれるこの空間はとても心地いい。まぁ、あまり待たせるのもあれだからさっさと済ませますか。

 

 

 

 

 

トイレから戻ると、二人がここで待っていると言っていた場所には一色しかおらず、小町の姿は見えなかった。……あれ、これデジャブ?嫌な予感しかしないんだが……。いや、気のせいだろ。うん。

 

「悪い待たせたな。で、小町は?トイレ?」

 

「あ、先輩おかえりなさーい。小町ちゃんは何か急用が入っちゃったみたいで……」

 

……気のせいじゃなかったわ。まーたやりやがったな、あいつ……。ほんとせめて一言言ってほしい。ていうか今回やる場面じゃないだろ……。

 

「その……悪いな。どうする?帰るか?」

 

「もう少し付き合ってもらってもいいですか?もうちょっと見たい店もあるので……」

 

このままじゃ一色に申し訳ないし、それにまだ一色の誕生日祝ってやれてないしな……。

 

「わかった。じゃあ行くか」

 

「はい!」

 

俺と一色は二人で買い物を再開した。

 

 

 

 

午前中に回りきれなかった店も回り終え、一色も買い物の目星をつけたらしく、今まで回った店をまた数店回り直して服を数着買った。

途中、小町からラインがあったのだが、ただ一言。

 

『頑張れ!』

 

だ、そうだ。帰ったら覚えとけよ……。おそらくこの頑張れとは、小町が今朝勝手に勘違いした、俺から一色へのサプライズで誕生日プレゼントを『渡すこと』への頑張れだろうが、そもそも所持金不足でそんなプレゼントを用意できない俺がどう頑張ればいいんだ……。買い物に付き合いながら、俺の所持金で買えるものがないか探してはみたものの結局見つからなかったしなぁ。こうなることなら小町に恥をしのんで金借りるべきだったか……。プレゼントなしで誕生日おめでととか言うのもあれだしなぁ。完全に言うタイミング逃しちゃってるし……。もう帰ってからメールかなんかで誕生日おめでとって言ったほうがいいんじゃねぇの?

 

うーん、と俺が色々考えてると、不思議に思ったのか一色に声をかけられた。

 

「先輩どーしたんですかー?」

 

「あ、いやなん「あんれぇ?いろはすとヒキタニくんじゃね?」

 

俺の言葉を遮った声の方を見ると、茶髪でロンゲの男、戸部翔がそこにはいた。こいつ変なタイミングで出てくるな……。なんか嫌な予感するんですけど……。嫌な予感するの今日二回目だよ……。

 

「と、戸部先輩どうしたんですかこんなところで?」

 

一色の顔が引きつってるのは気のせいかな……。

 

「今日は服買いに来てるんよー。ほら、俺浪人したじゃん?浪人生って意外と服ないと困るんよー?毎日私服登校だしー。あー、高校制服でマジ楽だったわー」

 

こいつも浪人してたのかよ……。予備校で見たことねぇから別の予備校かこいつは。

 

「そうなんですね!では私たちはこれで!」

 

一色のやつバッサリ会話切りやがった……。

 

「あ、そういえばー、今日いろはす誕生日だよな?おめっとさん!」

 

「「…………。」」

 

爆弾投下してくれやがったこいつ……。どうしてくれんのこれ?

 

「あ、ありがとうございますー」

 

「あ、もしかして…………。ごっめ、マジ邪魔した?わり、わりー!じゃ、俺行くわ!またな!いろはす、ヒキタニくん」

 

そう言うと戸部は去っていった。

…………。

 

「い、一色?」

 

「は、はい……」

 

「その……、なんだ……、誕生日おめでと……」

 

「あ、ありがとうございます」

 

……ほんとどうしよこれ。俺はどうするべきだ?こういう時でも葉山なら上手く対応できるのだろうが、って葉山ならまずこんな状況になってねぇか……。

 

「あー!もう!なんでこうなるんですかね!……先輩、私の誕生日ほんとはちゃんと覚えててくれたんですよね?」

 

「あ、あぁ。一応。なんで知ってるんだ?」

 

「小町ちゃんが教えてくれたんですよ。先輩がいない時に小町ちゃんに先輩誕生日覚えててくれてなかったのかなーって話したら、ちゃんと覚えてるので大丈夫ですよって!」

 

あぁなるほどな……。って、小町が教えてたなら俺直接言うしかなかったじゃねぇか……。始めから詰んでいたのか俺は……。もう正直に言うしかないか……。

 

「その……悪いな、プレゼントも用意したかったんだが俺金がぜんぜんなくてな。用意できなかったわ。すまん……」

 

「……そうでしたか」

 

一色は下を向いて少し落ち込んでるように見えた。が、すぐに顔を上げると笑みを浮かべながら俺の顔を覗いた。

 

「あーあ!先輩が誕生日ちゃんとわかっててくれたって聞いたから、もしかして朝は知らないフリして後でサプライズで誕生日プレゼントくれるんじゃないかって思ったのになー!」

 

「ぐっ」

 

「ずっと楽しみにしてたのになー?」

 

あぁ!もう!わかったよ!ほんと俺は年下の女のこういうのに弱いな……。

 

「ほんと悪かったな。今度金入ったらなんかプレゼント買ってやるから。それで勘弁してくれ」

 

これで一色も満足だろ……。

 

「もうこの際プレゼントはいいです!」

 

えぇ。なんでだよ。今めっちゃねだってたじゃん。

 

「だって先輩お金ないみたいですし、浪人生だからお小遣いもあまりもらえなそうじゃないですか。だから申し訳ないなーって」

 

……おっしゃる通りで。

 

「じゃあ俺はどうすればいいんだよ……」

 

「だからプレゼントの代わりに、先輩に3つ、なんでもお願いできる権利を私にください!」

 

とてもいい笑顔で一色が俺に要求してきたプレゼントは物ではなく、俺に3つ、なんでもお願いできる権利だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第8話お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
今までで1番文字数が多い回となりました!
……それだけに文字が消えたのが痛かった。
1万文字とかを1話で書く人ほんとすごいと思います(汗)
作品の話ですが、八幡と雪乃が付き合ってたことを知ってるのはごく少数の人間です。
それでは、第9話でお会いしましょう。


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