三度の食事縛りプレイ (みんみん)
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やきさかな
どうも。俺、ユウキと申します。オダマキ・ユウキなどではなく、ただのユウキでっす。
今、何処にいるかというと、あー、なんというか雲の上っすね、ハイ。実は友人とポケモンHGSSの通信対戦やった帰り道で、なんと空から金のコイキングが降ってきて頭に当たって即死でした。ありゃ結構痛かったですよ。気付いたら天国です。……地獄よりマシだけど。
んで、目の前にいる金ピカのニコニコオヤジは神様でしょうかね。
「そうじゃ」
わお。合ってたらしい。
「というわけで、君に転生して貰おうと思っとるんじゃ」
そっすか。
「縛りプレイで」
あーなるほどって、縛りプレイ!? まさかのポケモン!?
「そうじゃ。とりあえず、これで頑張りなさい」
神様からひとつのモンスターボールを手渡される。
「じゃあな、行っといで」
え、ちょ、ま、まだ説明全部聞いてないんですけどぉーーー!!!
ユウキ の しかい が まっくらに なった! ▼
*
目覚めた。周りを見た。草むらの中だった。
腰に何かついていた。ボールベルトだった。6個モンスターボールが付けられるようになっていた。
ボールベルトに触った。ひとつモンスターボールが付いていた。取り外してみた。
センタースイッチを押した。ロックが解除された。展開してみた!
「……わーお」
いろちがいの コイキング が あらわれた! ▼
微妙としか言いようがない。コイツ一匹とか、多分レベル1だろうし新しいポケモンも捕まえられない。
「……よし、とりあえずそこらの野生のポケモンとバトろうか。それからお前の名前決めよう」
「コイッ!」
てな訳で草むらを歩き回っていたら。
「そこの君! バトルだ! いけ、コラッタ!」
「え、ちょっと、まだ何にも言って———」
「でんこうせっか!」
吹き飛ばされるコイキング(色)。あちゃー。
「もうポケモンいない? じゃ、賞金ちょうだいよ。御守り小判持ってるから、1.5倍で」
い、1.5倍!? 背負っていたリュックサックに入っていたがま口を開け、急いで計算をする。
……ちょうどぴったり。泣く泣く渡し、喜んで帰っていく通りすがりのトレーナーを睨みつける。
どうしよう、これじゃ食っていけない。このままじゃ最終的に色違いコイキングを焼いて食べるしかない!
「という訳で、君の名前は今から『やきさかな』だ。字数の問題でやきざかなじゃなくてやきさかなな。もし、切羽詰まったら君を焼いて食うことになるから、一緒に頑張ろう」
「コイッ!?」
弱肉強食の世の中だもの、仕方ないよ。
・解説
「ユウキ」
この物語の主人公。オダマキ・ユウキではないので悪しからず。三度どころか一度の食事にも困っている。
ポケモン図鑑、トレーナーカード、バッジケース、リュックサック、ボールベルトなどは持っている。ポケモン図鑑売れとか言わないで。
「やきさかな」
切羽詰まったらユウキの食料となる色違いコイキング。不憫な子。
「コイッ!?」
ポケモンの鳴き声は適当です。
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そうざい
俺は、やきさかなが使える唯一の技、『はねる』を何とか技として確立させることから始めた。
それは単純明快、やきさかなが思いっきり跳ね、ポケモンの上に着地して体力を奪うというものである。
そして、野生のポケモンを倒していくうちにレベルが上がっていき、『たいあたり』と『じたばた』を覚えることに成功した!
で、わかったこと。
・此処はウバメの森。
・御守り小判が欲しい。
以上だ。
とりあえず、何か良いポケモンがいないか探そう。壊れてないモンスターボールを何個か見つけたし、ポケモン1匹の捕獲は何てことないだろう。
———現実はそんなに甘くはなかった。
遭遇したナゾノクサ。コイツが、あまりレベルが高そうには見えないのに、めちゃくちゃ強かった。トレーナー歴1日だから、観察眼がアレなのかもしれないが、とにかく強い。
やきさかながじたばたを覚えたからレベル30にいったのかと思いきや、なんと此奴、焼き魚になりたくないがために気合いで覚えたらしい。
ナゾノクサの痺れ粉で麻痺状態、加えて眠り粉で眠り状態となっているやきさかなに代わり、俺自身がナゾノクサとバトルしている。
痺れ粉を必死で避け、拳を叩きつけ、眠り状態を浴びながらも前世3日連続の徹夜で鍛えた眠り耐性を存分に活かして蹴りを入れる。
「や、き、さ、か、な、起きろー!」
だが、これじゃあまりHPを削れない。目には目を、歯には歯を、ポケモンにはポケモンを、だ。
「焼くぞー!」
ヤケクソで叫んだのだが、やきさかなは飛び起きた。
「よし! よくぞ起きた! たいあたりだぁっ!」
ナゾノクサに向かって、覚醒したやきさかなの体当たりが決まる。多分、これでレッドゾーンに入ったのであろうナゾノクサは、目を回してふらふらしている。
「よし、捕獲だ!」
慣れない動作———とは言い難い。今まで出会ったポケモンには問答無用でモンスターボールを投げつけていたため、かなり慣れた動作。
最後のモンスターボールを手に取り、叩きつけ、願い、そして———
カチッ!
やっと、捕獲に成功した。
「やきさかな……新入り入ったぞ……」
「コイィ……」
モンスターボールを展開し、捕まえたばかりのナゾノクサを出す。
「これからよろしくな。お前の名前は……そうざいだ! 三度の食事のために、精一杯頑張ろうではないかぁ! そして、切羽詰まったらお前は惣菜となってしまうから頑張ってくれたまえ!」
「ナゾッ!?」
謎じゃねえよ、自然の摂理だよ。
あ、鳴き声か、今の。
・解説
「はねる」
ゲームでは何もできない技だが、現実ではいくらでも応用できる。
「じたばた」
コイキングがレベル30で覚える技。しかし我らがやきさかなは、焼き魚になりたくがないために気合いで覚えた。
「そうざい」
新入りナゾノクサ。切羽詰まったら惣菜となってしまう。
「ナゾッ!?」
ポケモンの鳴き声は適当です。
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負けられない戦い
ウバメの森を抜けてコガネシティに到着した。
トレーナーカードの提示で無料になるポケモンセンターの回復システムを利用し、やきさかなとそうざいを回復させた俺は、早速地下通路へ行った。
ボールベルトのふたつめのモンスターボールを展開し、そうざいを出す。
「御守り小判を探すのを手伝ってくれ」
「ナゾ〜!」
2人で地下通路を探し回り、ようやく御守り小判を見つける。
「これでなんとかなるだろうな……。出来れば、アサギの灯台でジェントルマンのカーネルと対戦したいんだが……予備知識では、まだまだレベルが足りないんだよな」
「ナゾ〜」
「とりあえずさ、そこらのトレーナーとバトルしようか」
「ナゾ!」
地下通路でウロウロしていた短パン小僧に声をかける———前に、ちょいとチートを使おうと思う。
実は、神様転生した俺にも転生特典がついていたのだ。
それは、『強さ』がわかるという能力。ポケモンの強さやトレーナー自身の強さ、頭の強さまでわかってしまうすんばらしい能力だ。
調べた結果、レベルの低いコラッタ2体を持っていることがわかった。
「あのー、バトルしませんか?」
「お! やり甲斐のありそうなトレーナーだな。受けて立つぞ!」
では早速……って、俺の方が歳上だボケェ! 仕切り直しだ!
「やるぞ! ルールは2体対2体、道具の重複はなし、これでいいなぁ!?」
「うん!」
「賞金はぁ!?」
「2万円で!」
「よっしゃキタァーーー!!!」
俺もアイツも2万円も持ってないんだけどな♪
「バトル開始ぃーーー!!!」
怒った所為でめちゃくちゃ熱が入っちまった。まあいい! 勝つぞ!
「行けぇぇぇええやきさかなぁ!! 生のまま気張るぞぉ!!!」
「なにその前口上……行くぞコラッタ!」
お互いに戦闘体勢に入る。
「コラッタ、でんこうせっか!」
「お前は生の生きた魚だ、イキのいい魚なんだ、はねる!」
やきさかなは、こう言った方が効果があがる。
やきさかなは思いっきり尾を地に打ち付け、はねた!
一瞬前までやきさかながいた場所を何かが通過し、その正体であるコラッタは勢いを殺せずに壁に突っ込む。
「海の中で……たいあたり!」
「コ……イ……キ、ン、グ!」
距離を取り、尾から水を後ろに発射し、その反動で一気にコラッタに突っ込む。
既にそれは体当たりの域を超えて、アクアジェットの域に入っている気がするが、コイキングは通常アクアジェットを覚えない為これは体当たりである。
「コラッタ戦闘不能ぅ! 次のポケモン出せやゴラァ!」
言いながらやきさかなをモンスターボールに戻し、次のモンスターボールを手に取る。
そして、お互いにとって負けられない戦いの為にモンスターボールを地に叩きつける。
「行っけぇぇぇええそうざいぃ! お前は野に生える草だ!」
「だからなにその前口上……頑張るぞ、コラッタ2号!」
最初から作戦は決まっている。
「そうざい! 花粉を出せ! 毒の粉痺れ粉眠り粉3連発だぁ!」
「くっ……! 耐えろコラッタ! 起きるんだ! 負けられない戦いなんだ!!」
「ざまぁ……はなびらのまい!!」
そうざいが気合いで覚えた花びらの舞がコラッタを襲い、一撃で戦闘不能に追い込む。
「勝者は俺って訳だ、賞金出せや。あ、ちなみにやきさかなもそうざいも御守り小判持ってたから、2かける2で4倍だな。2万かける4は……80000円!」
「うっ……!」
負けるとは思っていなかったんだろう、短パン小僧は唇を噛み締めている。
その理由を知りながらも、俺は知らん顔をして呼びかける。
「どうしたんだ? こっちも時間がないんだ。早くしてくれよ」
「じ、実は……」
「ん?」
「実は、そんなにお金持ってなくて……」
「はぁぁ。まあ、しょうがねえな。じゃあオマケして、2万円でいいよ。お前が言ったんだし、そんくらいは持ってるだろ?」
「そ、それが持ってなくて……」
「んあ? お前が言ったんだろうが。有り金は?」
短パン小僧は、ポケットから350円を出す。
「おい、お前が2万円つったんだろうが。それなのに350円? なら言うなよ」
「ご、ごめんなさい……」
ま、俺は0円なんだがな♪
「とりあえず、その350円で我慢してやるか」
「で、でも……」
「なんだ?」
「お母さんに、この350円でミックスオレ買ってこいって言われたんです」
う、嘘だろ!? なんでお前勝負受けたんだよ!?
「す、すみません……。今回は、勘弁して下———」
「何言ってんの、ケンタ!」
「ひっ! 母ちゃん!」
「自分で2万円って言ったくせに、お金がないから許してくれですって? 信じられないわ、約束を破るなんて!」
カンカンに怒った、何処かで見たことのあるような女性が、エプロンのポケットを探りながらずんずん近付いてくる。なるほど、短パン小僧のお母さんか。
「アンタの所為で、私は80000円も払う羽目になったのよ! いい加減にしてよね! 何回めだと思ってるのよ!」
あ、初犯じゃないのね。
短パン小僧母は、こちらを振り返り、財布から80000円を出して渡してくる。
「すみません、うちの息子が……。あとできつく叱っておきますので、ご勘弁下さい」
「いえいえ、大丈夫です。2、3日の飯代は確保できたので」
「へ?」
「あ、なんでもないっす」
「そ、そう……」
「じゃ、失礼しまーす!」
すたこらさっさ!
さっさと飯買いに行かなきゃな!
・解説
「チート」
神様転生にはチートがつきもの。
「たいあたり」
陸上では、尾の先から勢いよく水を発射し、その反動で相手に体当たりする。既にたいあたりではなくなっている気がするが、コイキングはアクアジェットを覚えないのでこれはたいあたりである。まる。
「御守り小判2つ」
2かける2で4倍になる。
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手作りボロの釣竿
コガネデパートで30個入りの怒り饅頭(300円)を購入し、そのままポケモンセンターへと向かう。
ジョーイさんにやきさかなとそうざいの回復をお願いし、待っている間にやるべきことを済ませてしまおうとロビーの隅へ向かう。
リュックサックから取り出したのは、ポケギアとポケモン図鑑、その充電用プラグ。手際よくコンセントを繋ぎ、ソファーに座って充電の回復を待ちつつ、怒り饅頭のラッピングを丁寧に外し、包装紙は綺麗にたたんでリュックサックへ、透明なビニールはゴミ箱へと捨てる。
しばらくして、ジョーイさんが、回復が終わったと伝えに来た。
礼を言ってモンスターボールを受け取ってボールベルトに装着し、充電していたものはリュックサックへ仕舞い込む。
既に夕方、肌寒さを感じ、ウインドブレーカーの前をかき合わせながらポケモンセンターを出て南下、コガネシティを出て草むらへと入っていく。
西へ十数分歩き、湖だか川だか判断に迷う水辺へと出る。そこで、やきさかなは水の中へ、そうざいは自分の傍らへと出して、岸に座る。
「みんな、夕飯だ。30個入りだから、ひとり1食3個とすると、9×3+3……今含めて3回、つまりは明日のお昼までは確実に食べられるね。残り3個は回復用として、明日また新しく買えば大丈夫。個数厳守で食べよう」
9個饅頭を出して、箱を仕舞う。3つそうざいに渡し、自分用にひとつ口に放り込む。やきさかなは自力では食べられないので、千切って食べさせてやる。
ひとくちひとくち噛み締めて食べたはずなのに、ものの数分で食べ終わってしまった。
時計を確認し、そろそろ寝るか、と呟く。
「残りの食糧、野生のポケモンに盗られたりでもしたら元も子もないから、交代で見張りをしよう」
「コイ! コイィ、コイ!」
「サンキュー。やきさかな、最初で次俺。1時間経ったら交代だから、起こしてくれ」
「コイ!」
「ナゾォ?」
「そうざいは、俺のあとだ。それまでゆっくり休むんだぞ」
「ナゾ!」
大きな木に寄りかかり、ウインドブレーカーを脱いで自分とそうざいの身体にかける。やきさかなは陸で見張りをするようで、ぴょんと水から跳んだ。
「じゃあ、おやすみ……」
「ナゾォ……」
「コーイ」
俺は襲いかかる睡魔に、抵抗せずに身を委ねた。
*
昨日の夜は、結局俺とやきさかなで交代で見張りをした。
そうざいは寝ている間に自分に眠り粉をかけていたらしく、揺すっても起きなかったのだ。
大声を出すとポケモンたちが寄ってきてしまうため、そうざいは抜きで見張りをすることになった。
「コイィ、コイ?」
「ナゾォ……」
「もうしないでね?」「反省してます……」こんなところだろう。
そうざいも反省しているようだし、飯にするか。
「飯の時間だ。そうざい、昨日のことでうじうじするな。失敗は成功のもとと言うだろう。次から気をつければいいんだ」
「……ナゾ!」
「ひとり3個だぞ、それ以上食べるなよ」
言いながら配り、自分も口にする。
「ナゾ!」
「ああ、美味いな。次はぽにぎり買うか。元はおにぎりだから力もつくだろうし。昨日パッと見てきたところだと、一個30円……コスパでいうと怒り饅頭の方がいいんだが、飽きてバトルに支障が出てもなぁ……」
「コイィ……」
「ウバメの森に戻って木の実を取ってくるのもありだな。そうしたら、タダで大量に手に入るし。考えておくか」
「コイ! コイ?」
「ああ、今日は猛特訓するぞ。ミルタンクがレベル20くらいだったから……できればレベル30を目指すんだ。いいな?」
「コイ!」
「ナゾ!」
とりあえず、お相手はコイキングがいいだろう。ここらへんのコイキングは跳ねるしか覚えてないし。
大きめの木の枝と長いツタを探してきて、早速作業を開始する。ツタをキツく細かく編み、その先端を太い枝に結びつける。手頃なサイズの石ころにやきさかなが体当たりして形を整え、釣り針にして、編んだツタの先端につける。
「ボロの釣竿の完成だ! よし、コイキングバンバン釣っていくから、陸に乗ったのを順番に倒して行けよ!」
言っているうちに、すぐさま何かが掛かる。
「行くぞ、おらぁ!」
釣りあがったのはコイキング。やきさかなが瞬間で体当たりをかまして戦闘不能に追い込み、そのまま水の中に落ちていく。
続けて釣れたクラブは、そうざいがいつの間にか覚えていたソーラービームでぶっ飛ばした。……地味に日本晴れも覚えたんだね。技マシンなしで。
そうやって、釣れるだけ釣り、ボコれるだけボコった後は、回復用怒り饅頭を三等分してひとりと2体で食べ、もうひとつは細かく千切って水面にばらまいておく。勝手に食べて回復するだろ。
「あー、タブンネかラッキーあたりが欲しいわぁ。いや、タブンネが欲しい!」
そうすれば、野生のポケモンをボコったあとも癒しの波動で回復させ、自然に返せばいいのだから。だが、現実は非情だ。そこまで上手くはいかないだろう。
休憩を挟み、ボロの釣竿をリュックサックに仕舞ったあと、今度はやきさかなとそうざいを直接水に投入した。
「やきさかなぁ! 体力つけるぞ! 滝登りできるくらいになるんだ!」
「コイィィイイイ!!!」
「そうざいぃ! 今後の為に泳げるようになるんだ!」
「ナz、ボコボコボコォ……」
「やきさかな助け出せ!」
やきさかなと俺をコーチに、そうざいの水泳特訓が始まった。
昨日投稿出来ませんでした、申し訳ありません……。
日曜日に2話投稿してあったので、お許しください。
感想など頂けると嬉しいです。
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コガネジム
スパルタでやったために、そうざいは2時間後には不自由なく泳げるレベルまで上達した。
途中で現れた野生のポケモンは、2人が交互に戦う。
ハードスケジュールで特訓していた為に、結構体力を消耗してしまった。ポケギアを見てみると、時刻は12:11。お昼時だ。
お腹が空き過ぎていたために、残りの怒り饅頭を全員で平らげてしまう。
現所持金は79700円。まだ空腹の為、プラスで何か食べ物を買ってきた方がいいだろう。
「ぽにぎり買うか。やきさかな、戻れ」
やきさかなをモンスターボールに戻し、そうざいを抱えてコガネシティ、その中心のコガネデパートへ向かう。
デパ地下でぽにぎりとポフィン、そして木の実コーナーで格安で売られていたポロックキットとポロックケースをカゴに入れる。おいしい水も合わせて会計を済ませ、デパートを出てコガネシティにある、海に突き出たエリアへ向かう。
噴水の中にポケモンを入れてもいいようで、早速やきさかなをドボンしてみる。
「コイィ!」
「オッケー、洗ってやるよ」
そうざいも水浴びを始めたので、やきさかなのウロコについている泥をこすって落としてやる。
「さぁ出来たぞ。……ん? これはなんだ?」
やきさかなを持ち上げてチェックしていたら、噴水の底に何かキラキラ光るものがあった。明らかにお金とは違うそれを不審に思い、手に取ってみる。
「金色のウロコ? そんなのあったっけか」
なぁ、とやきさかなを見る。……見た。
…………。
「お前のウロコか」
「コイ!」
「脱皮? いや、脱鱗したのか?」
「コーイ!」
「そういうもんなのか?」
「コイィ!」
「……これ、金になるな」
「コォイ、コイィイ?」
「売ろうか。……質屋で」
*
「流石に質屋は無かったかぁ……。まあ、マニアにでも渡せば一儲け出来るだろ」
残念ながら、大都会コガネシティにも質屋は無いようで、俺は落胆しつつも金色のウロコをリュックサックにしまった。
そのまま向かうのは、コガネジム。さっさとコガネジムを制覇し、エンジュ、アサギと行くのが目的である。
「すいませーん、ジム戦お願いできますか」
「あー、そこの用紙に記入しておいて貰えますかー! 準備しまぁす!」
女の人の声に従い、テキパキと記入を終わらせる。
そのまま案内されたのは、ジムフィールド。ジムトレーナーとは戦わずに、最初からジムリーダーと戦う仕組みのようだ。
審判のルール説明を聞きながら、トレーナーゾーンへ足を踏み入れる。
なんだかドキドキする。緊張感が高まり、その反面リラックス。審判の声がぼんやりとしているように見える。
「———それでは、試合開始!」
視界が晴れたような気がした。
一瞬で頭の中がクリアになり、秒速でモンスターボールを手に取り、宙へ投げ、展開する。
「———行っけぇぇぇええやきさかなぁ!! 生のまま気張るぞぉ!!!」
「行け、ミルタンク!」
最初から
「ミルタンク、ころがる!」
ミルタンクが、フィールドの向こう側から転がり、どんどんと接近してくる。やきさかなと考えていた作戦は使える。必要なのは、俺の判断力と反射神経だけ。
柄になく興奮し、集中力がみなぎる。
来る、来る、来る、来た、
「———はねる!」
ミルタンクがぶつかる直前、肺に溜めていた息を吐き出すように素早く、鋭く、的確に指示を出す。とは言っても、「はねる」の一言なのだが、
「う、嘘やろ……!」
素早く指を立てて指示を出し、やきさかなは跳ね上がって攻撃を避け、アクアジェットこと体当たりで空中で体勢を整えながらミルタンクの肩に一撃を加えた。
「違う、そこじゃない、そこだ!」
「コォイ、コイ———!」
俺が指差したところ、ミルタンクの急所であるお腹に狙いを定めるため、やきさかなは一旦体当たりで距離を取る。
ミルタンクは、アカネの指示で再び転がり始めた。
「もう一度飛べぇっ!」
ミルタンクに触れる直前、やきさかなは飛び上がるが、ミルタンクが手を伸ばして尾を掴み、引きずり下ろし、ダメージを与える。
何度もやきさかなの上を往復するミルタンクを見て、即座に作戦を切り替える。
「やきさかな、耐えろ! いいな!? 出来るな!?」
「コ……イ……!」
「頑張ってくれ! あともうひと仕事だ!」
「何を企んでいるんや……。ハッ! ミルタンク離れろ!」
「遅いぞ、じたばた!」
気合いだけで耐え抜いていたやきさかなが、ミルタンクが乗っかっている状態でじたばたを発動させた。今のHPは0以下、威力は最大の200となる。
「———ミルタンク戦闘不能! コイキングの勝ち!」
「負けてしもうた……。ピッピ!」
「やきさかな、お疲れ、休んでいてくれ。切り札はミルタンクだと思ってたんだがまあいい、———行っけぇぇぇええそうざいぃ!! お前は野に生える草だ!! 頑張ってくれ!」
「ナァゾ、ナゾナゾォ!」
余裕の笑みでピッピを繰り出すアカネに疑問を覚えつつ、指を鳴らすことでそうざいに指示を与える。
あらかじめサインとして決めておいた動作、それを読み取ってそうざいは、身軽さを利用してピッピに接近する。
そのまま花粉3連発を繰り出そうとしたところで、アカネが指示を出す。
「ピッピ、れいとうビーム!」
弱点技を持っているために余裕だったのだろう、しかしこちらにそれは筒抜けだ。俺もゲームで れいとうビーム / 10まんボルト / だいもんじ / くさむすび という技構成の特性:マジックガードの特殊アタッカーピクシーを持っていた。
だから、そうざいはあらかじめ仕込んでおいた方法を取った。
何度も反復練習していた日本晴れを1発で成功させ、特性:ようりょくそのお陰でスピードアップの恩恵を預かり、冷凍ビームの軌道から外れる。
「よくやったそうざい、此処からが本番だ!」
「ナァゾゾ、ナァゾ!」
一旦、距離を取り、相手を錯乱させるために適当なところにソーラービームを撃ち込みながら、そうざいが此方を見る。
わかってるさ、と呟き、本来そうざいが覚えるはずのない技の指示を出す。
「なみのり———っ!」
「嘘やろなんで覚えてるんや!」
技マシンなしで日本晴れもソーラービームも覚えられるなら、何でも覚えられるはずじゃないか。
なみのりピカチュウだって存在する世の中だぞ! ……次元が違うけど。
自分にツッコミを入れながら、乗ってきているそうざいの様子を見る。
波乗りを現在進行形で発動させているそうざい。それを見て閃き、叫ぶ。
「そうざい、そのまま毒粉ばら撒けぇっ!」
「ナァゾ、ナゾ!!」
ユウキ、謎!! とでも叫んでいるのだろうが、そうざいは痺毒の粉を辺りにばら撒く。粉は波乗りの波と混ざり———
「ピッピ、頑張るんや!」
ピッピまで届いた。
普通は接近しないと使うことの出来ない粉3種類だが、波乗りに乗せれば容易に届かせられる。
———ピッピの冷凍ビームが、技を繰り出すためにその場にとどまるそうざいに当たり、HPを削っていく———
デメリットは、此方もダメージを喰らうことだろう。
「そうざい交代、やきさかな頼むぞ———!」
既に体力が0だが、まだ戦う力は残っているやきさかな。さっきから、最後まで力を出し切りたいとモンスターボールが揺れ続けていたのだ。だから、存分に活用させて貰う。
毒水の浸水によって、やきさかなは最後の一撃を喰らい、今度こそ瀕死に陥る。
「コイキング戦闘不能!」
だが、その時間稼ぎが重要なのだ。
再びそうざいを出すが、その頃には水捌けの良いフィールドのお陰で毒水は綺麗さっぱり無くなっていた。相手は波乗りと毒の粉のダメージを受けているが、此方はまだピンピンだ。
「ピッピ耐えるんや!」
「そういう訳にはいかんよねぇ。そうざい! ソーラービーム!」
「ナァ〜ゾォ〜ノォ〜っ!」
溜めなしソーラービームをぶっ放し、それがピッピに直撃する。
「———ピッピ戦闘不能! ジムリーダー・アカネのポケモンが全て戦闘不能のため、勝者、挑戦者ユウキ!」
審判の声で現実に戻される。
なんだか絶好調だったような気がする。いつも以上に頭が冴えたな。
感想を抱きながらそうざいをモンスターボールに戻し、フィールドの向こう側のアカネを見る。
バトル前に軽く視線を交わしただけであったが、アカネは悔しそうに「負けてもうた」と呟きながらフィールドを突っ切って歩いてきた。
「あと一撃、ナゾノクサに当てられていたら勝てたのになぁ。そっちは余裕の表情だったけど、結構な接戦やったな」
「もう必死でしたよ、とりあえず勝つためにどうすればいいのかだけを考えていた———というか、多分楽しんでいたんだと思います。楽しんでたから、奇策を思い付いたり余裕の表情を浮かべたり出来たのかなと。やっぱり楽しまなきゃ後が続かないですし」
「そやそや。若いのによく分かってるやないか。最近の若者は、勝つことを目的にしてるから、そこらへんを伝えたいんや。それをわかっててくれて、安心したな」
元はゲームをやってましたので。楽しくなきゃゲームはやらないでしょ。そこらへんは大丈夫ですから。
「とにかく、レギュラーバッジや。絆も実力も充分。問題ないやろ」
「ありがとうございます」
差し出されたバッジを受け取り、バッジケース———3つ目のくぼみ———におさめる。最初のバッジを手に入れた。効率は悪いかもしれないが、このままキキョウ、エンジュ、アサギと行ってバッジを取りつつジェントルマンのカーネルに勝負を挑み、そこからタンバやヒワダ、などと行けば充分だろう。
最優先事項は生き延びることではあるが、出来ればリーグ出場して上位にまで行きたいのだ。賞金もかなりの額だし、もしチャンピオンになればある程度の収入は得られる。公務員っていいね。
「次はエンジュ?」
「いえ、キキョウに寄ってレベル上げ、ジム制覇をしたいなと思っています。エンジュはその後ですね」
「コガネが最初やったんかぁ……。大人気ない戦い方してもうたな」
「え、バッジ何個だと思ってたんですか?」
「えーと、4、5個?」
「……」
「気合いとか闘志とかがそのくらいだったし。まさか初ジム戦とは、な」
「……そんなぁ」
「ま、まあ、キキョウでは修行にいい場所もあるし! 期待しとくわ! またなー!」
思った以上に本気だったのはそういう理由か。涙目になりかけていると、アカネがさっさと逃げ出していった。おい待て逃げるな。
受付で、バトルに勝った分の賞金を受け取る。御守り小判で2倍、さらに本気を出してしまったことにお詫びの印で少し上乗せしてくれるようだ。アカネ、そこだけは感謝しておこう。
ジムを出て、すっかり暗くなった夜空を見上げる。
まだこちらに来て1週間も経っていないが、もうこの生活に馴染んだ気がする。バッジも手に入れられたし、よい滑り出しとなったのではないだろうか。
「……よし、明日から旅を始めよう」
『コォイ、コイ』
『ナァゾ、ゾゾ!』
ユウキ無理すんなよ、ユウキ頑張ろうねと、それぞれの返事を聞きながら、まずは彼らの回復のためにポケモンセンターに向かった。
Q. 何故昨日投稿出来なかったのか。
A. ジム戦描写が難しかったから。
ジム戦の描写を後日修正するかもしれません。
また、ジム戦前が急展開であるために、そこも修正しようかなと考えています。
・解説
「金色のウロコ」
本作オリジナル。
「アクアジェットこと体当たり」
体当たりだと言い張らせて頂きます。
・お願い
アンケートです。
種族値が350未満で未進化(卵から生まれた状態)のポケモンを大募集します。進化をしないポケモンはNGです。
かなり幅が狭いためパッと思いつかず、また調べにくいためにご協力頂きたいと思っています。
回答はメッセージか、後ほど投稿する活動報告にてお願いします。
まだまだ見て下さっている方は少ないと思いますが、いつでも回答ウエルカムです。
お願いします。
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新米①
「そろそろ新しいポケモンが欲しいなぁ……」
『コォイ、コイコイ』
「ナゾゾ?」
コガネシティ北ゲートを潜り、自然公園に向かって歩を進めていく途中、俺は呟いた。
そこまで整備されていない道であるためにそうざいをモンスターボールから出しているのだが、そこまで意味はないようだ。———本人ははしゃいでいるが。
野生のポケモンに警戒して歩きながら、そうざいの疑問に答える。
「バッジ2個くらいならまだしも、3個くらいになってくるとポケモン2体はキツイんだよね。俺、元はどんどんパーティを回していって相手を翻弄するような構成でパーティをつくってたから、そっちの方が親近感湧くし。いいの居ないかなぁ」
前世、ゲームでは天候パにハマっていた。雨パーティ、晴れパーティ、霰パーティ、砂パーティとポケモンを用意してみたり、上の天候の起動要員だけを集めて交代するごとに天候を変えてみたり———対戦相手は雨パだったので、かなり困らせることが出来た———とにかく、居座って殴るのはちょいと方針に合わないわけだ。
コイキングもナゾノクサも種族値は低めだし、どんどん翻弄していく型がいいだろう。
「と、すると次は何タイプが良いかねぇ。炎タイプでバランスよくするのもいいし、水ポケ入れてやきさかなのすいすい発動させてもいいし……。ひでりロコンとか欲しいわぁ。でもやきさかな干上がっちゃうかな……本格的に焼き魚になっちゃうかな……?」
『コォイ! コイィコイ!』
「だいじょぶだいじょぶ、ポケモンの技で焼き魚になったりはしないよ」
本当は様々なタイプのポケモンが欲しい。天候起動要員だけ集めたパーティとか超やりたい。ただ、見つかるかどうかが問題なんだよな。
アレコレを考え始めたところでゲートにたどり着き、中に入る。左へ行けばポケスロンドーム、真っ直ぐ行けば自然公園。ポケスロンには参加料が必要なため、とりあえず進化の石などが欲しくなってからでいいだろう。
ということで、そのまま真っ直ぐ、自然公園に向かう出口を目指す。
ポケギアの時計を見ると、既にお昼時。休憩にはちょうどいいだろう。
中央にある噴水近くまで歩き、ベンチに座ってモンスターボールを展開し、やきさかなを噴水に放つ。ずっとモンスターボールから出していたそうざいもひょこひょこと噴水まで歩いて行った。
その後ろ姿を見送り、俺はリュックサックからポロックケースを取り出し、あらかじめ作っておいたポロックを取り出す。他にも、ポフレを入れたカゴなども取り出し、ランチの準備を整えた。
「おーい、お前ら食べるぞ〜」
声をかけ、腹持ちのいい食料を腹に詰め込む。
早食いが得意な俺たちは、いつもの通り10分ほどで食事を終えた。
「———で、ポケモンの話に戻るわけだけど」
「コイ」
「ナゾォ!」
「強いポケモンって言っても、貴重なモンスターボールだから、意外と簡単に捕まえられるのがいいな」
「コォイ、コイ」
「悪かったな、ケチで……!」
本気で、このメンツじゃやっていけないのだ。
「どうすっかなぁ……」
本当にどうすっかなぁ……。
まだポケモン決まっていないのに投稿してしまった。
投稿の空白の原因は、ほとんどが新米が決まらないためです。
しかし! 10日以上空白が続くのは、地味に完璧主義者の私が許せるはずもなく。
迷ってまーすという気持ちを1233文字に引き伸ばしてお送りしました。
ちなみに、残りの原因は、パソコンの調子が悪かったためです。それは丸々3日も執筆活動を邪魔したあげく、急にお亡くなりになりました。
あー、神(という名の優しい人)よ、我に知恵を与えたまえ……!(チラッ
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イーブイ見学
「ロコン……ひでり……晴れパ……うっ頭が」
「ナゾ?」
「冗談冗談。ロコンがいいかねぇ。ブイズ欲しいなぁ。ピンプク可愛いし、ツチニンとか進化したらヌケニン現れるし……ホント迷うわぁ」
「ナゾゾゾ」
「全部なんていう贅沢は出来ないっての。とりあえず、捕まえたらお前たちのレベルくらいまで上げて揃えなきゃいけないからな。それに、持ってるモンスターボール3個だし」
「ナーゾナゾ♪」
「勝手に先走るな、まだ捕まえてないっての」
最近、ずっと迷ってる気がする。こんなんじゃキキョウジム挑めないな。トレーナーの迷いはポケモンの迷い、だ。さっさと決めてしまわないと。
「んーーー………」
『コォイ、コイーイ』
やきさかなに落ち着けと言われてしまった。だがなぁ……。
『コイイ?』
「ん?」
『コォイ、コイィ、コイキ』
「なるほど、その手があったか!」
———実際に見せてもらって決めるという手が!
*
目的地を東から北へ変更し、やって来たのはエンジュシティ。舞妓さんのところである。
「うーん、ブイズ可愛いなぁ……」
「欲しいポケモンの参考にしてもらえるなんて、嬉しいなあ」
「いえいえ。優柔不断なもんで、なかなか決められんのです」
「触れ合って、色々と良いところ見つけて行ってな」
「ありがとうございます」
リーフィアを撫でながら、ブイズも可愛いなと候補のランクをUPさせる。どうしよう、イーブイにしようか。
「ただなぁ……」
イーブイは草むらから飛び出して来ないというのがひとつある。手に入れるには、タマゴや個体を譲ってもらうしかないのだ。
「むぅ……。マサキはくれないだろうしな……」
主人公の補正掛かってないっぽいし。バトル出来れば三度の飯はいらないとかありえないし。
「次のポケモン行くかぁ……」
ツチニンは……虫取り大会だな。
*
というわけで、ただいま来た道を引き返している。
太陽の傾きを見る限り、自然公園まで一気に行くのは難しいため、キキョウで一泊してから向かうのが無難だろう。
夏期は毎日虫取り大会が開催されているため、明日でも大丈夫だ。そうざいに頼んで、捜しまくってみよう。
南下している途中、分かれ道を左折し、キキョウへ向かう。ウソッキーも欲しかったけど、やはり主人公が持って行ったようだ。
キキョウ付近で野宿出来る場所は、マダツボミの塔が一番だろう。そう思い、ポケモンセンターの回復マシンで回復を頼み、10分後、モンスターボールを受け取ってからマダツボミの塔へ向かう。
ポケギアが欲しいと叫ぶ少年をなだめ、橋を渡って塔へ着いた頃には、辺りはすっかり闇に包まれていた。
恐る恐る塔内へ。 お坊さんの目が光っている1階は論外であるため、2階、3階と登っていく。……それまでのお坊さんは全て倒して。
ただ、お坊さんは優しいため、「次の方は私より強いですから」といって、勝負が終わるたびに全回復をしてくれるのには涙が出た。あれだろうか、修行をすると誰でも優しい性格になるのだろうか。
お坊さんたちは、強くなるたびに奥へ、上へと向かうため、3階に登ったところで1人倒したあたりでぱたりと誰にも会わなくなってしまった。
さすがにそうかぁと思いつつ、暗がりを仮の住まいと決め、コガネの地下道でホームレス仲間から譲っていただいたボロボロの麻布(やきさかなと共に充分洗濯済み)を、破れないよう丁寧に床に敷き詰め、その上にリュックサックをタオルで巻いた即席枕を置き、リサイクルショップで無料でいただいたハンカチを大量に広げる。
———ユウキの3分クッキング!
アシ「さて、今回は何を作るのでしょうか」
自分「はい、今回は、ホームレスにお役立ち! 無料で作れる即席タオルケットです」
アシ「材料は、リサイクルショップで無料でいただいたハンカチや余り布を大量にと、針、糸だけです」
自分「では、まず針に糸を通します。そして、大量の布を彩りよく並べて、その通りに縫い合わせていきます」
アシ「あっという間にタオルケットの完成ですね!」
自分「慣れれば1分で出来ますよ」
自分・アシ「次回もお楽しみに!」
———テレレッレッレ♪ テレレッレッレッレ、レ、レ、レ♪———
ブツブツ言いながら完成させていると、やきさかなとそうざいから憐れむような目で見られた。はいはい、どうせ俺には友達はいませんよーだ。
布の上に横になり、タオルケットを身体にかける。そうざいも一緒に中に入り、やきさかなは、いけないと承知で床に水を撒いたゾーンに横になっている。
「やきさかな、一晩中見張り頼んでも良いか?」
「コイッ!」
「じゃあ、よろしく…………すかー」
・解説
特になし。
・アンケート
またまたアンケートをお願いします。1人でも多くの読者様に回答して頂きたいと思っています。
今回は、イーブイ、ロコン、ピンプク、ラルトス、ツチニンの中で、一番ユウキくんパーティにピッタリだと思うポケモンをお願いします。
また、この中で合うポケモンが居ないよっと思う方は、種族値が350未満で進化前のポケモン(タマゴから生まれた状態。進化しないポケモンはNG)を回答お願いします。
次のポケモンが決まらない限り、物語が進んでいかないので、お願いします。
また、【こちらに新しく投稿せず、勝手に活動報告でこのことに関するアンケートを何度も行う可能性があるので、時間があればどうかこまめに確認してやって下さい。】
回答は、活動報告かメッセージにてお願い致します。
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新米②
朝早く、お坊さんに見つからないように気をつけてマダツボミの塔を出る。目指すは自然公園。ツチニン捜しの旅である。
しかし、自然公園前のゲートで「虫取り大会は午後からとなっております」と言われてしまった。そりゃそうだわな。虫取り少年達も夏休みは不健康な生活を送ることを第一にしているだろうからな。
そのような事情で、虫取り大会に参加する前の下見として自然公園に足を踏み入れる。
「そうざい、頼むぞ」
「ナァゾ、ナゾゾゾ!」
任せて! と自信たっぷりに言うと、そうざいは草むらに飛び込んだ。
一応モンスターボールは十個用意してあるが、出来れば勧誘して仲間にしたい。その方がモンスターボールを無闇に使う自体にはならないし、何より体力も使わない。……この照りつける日差しの中を歩き回るのは、かなり体力を使うけど。
「ナァゾ! ナゾ!」
そうざいが捜索を始めてから一分ほど経ったとき、そうざいが慌ててこちらに来た。
草をかき分け、そうざいの待つ場所へ向かう。
「どうした、ん、だ……」
言葉が尻すぼみになっていく。なぜなら、目の前に候補として考えていたポケモンがいたからだ。
白い体。黄緑色の頭。赤いツノ。そう、ラルトスである。
「ラァル? ラル?」
「ごめん、やきさかなとそうざい以外の言葉はわからないんだ……」
「ナァゾ! ナゾ、ナゾゾ!」
「え? 仲間になってくれるの?」
「ラル!」
そうざいの通訳で、ラルトスの意思を知る。ただし、仲間になるのには条件があるようだ。
「ナァゾゾ、ナァ」
「俺の実力を見極めるためにバトル……。ラルトスさん、あなたバトルジャンキーですか」
「ラル!」
なんとラルトスさん、俺のトレーナーとしての実力を見極め、主人に値するとわかったら仲間になってくれるようだ。
「じゃあ、バトルしましょうか」
やる気いっぱいのそうざいにバトルをしてもらうことにした。
ラルトスの周りの葉っぱが浮き、虹色に輝きながらそうざいを襲う。
「はなびらのまい!」
そうざいのはなびらのまい。花びらがそうざいを包み込み、マジカルリーフを防いだ。
「放て!」
はなびらのまいがラルトスを襲う。ラルトスは、たぶん念力だろう、それで花びらを操ろうとする。
「ラルトスが手間取っているうちににほんばれ!」
そうざいが日差しを呼び寄せた。
ラルトスは花びらを操ることに成功し、そうざいに向けて放つ。そうざいは、日差しで上がった素早さで、上手く花びらの間をすり抜け、ラルトスの上に飛び出した。
「痺れ粉毒の粉眠り粉三連発っ!!」
そうざいが頭の葉っぱをバサリと降ると、黄色、紫、そして白い粉が思いっきりラルトスに降りかかった。
「行けっ!! モンスターボール!!!」
新品のモンスターボールを、ラルトスに向かって投げる。
コロン、コロン、コロン……カチ!
「やきさかな、そうざい……新入りが入ったぞ……」
熱を込めすぎたせいで若干疲れた。俺はラルトスのモンスターボールを拾い上げ、急いでポケモンセンターに向かった。
*
チャンチャンチャララン♪
「お待たせしました。ラルトスは元気になりましたよ」
「ありがとうございます、ジョーイさん」
エンジュシティのポケモンセンターでラルトスを回復。調子に乗って毒の粉までかけてしまったので、走ってここまで来たため、とても疲れた。
ポケモンセンターを出ると、エンジュシティに入る手前の草むらで、食べれそうな木の実を探してくれていたそうざいが駆け寄ってきた。葉っぱの部分には、充分四人で食べれる量の木の実が乗せられている。
「ありがとな、そうざい。さ、行こう」
エンジュシティにある湖に向かう。
やきさかなを湖に投入し、ラルトスのモンスターボールも開く。
「夕食の時間だぞー。今日はひと工夫してみようと思うんだ」
拾ってきた網を焚き火の上に乗せ、その上に穴を開けたペットボトルを置く。水が沸騰したら、そうざいがやっとこさ見つけてくれた薬草を入れ、出汁を取る。そして、木の実の柔らかい果肉を入れ、塩で味を整える。スープの完成だ。
「不味くても許してくれよ。一週間前まではこんなこと、したこともなかったんだから」
〔前世では?〕
「そうそう前世では……って、今の誰だ!?」
〔私よ私。ラルトスよ〕
「わお。あ、ラルトスって『きもちポケモン』だっけ?」
〔そうよ。これはテレパシー。すごいでしょ?〕
「すごいすごい」
〔明日からは私が料理しましょうか? 不慣れみたいだけど〕
「え? 出来るの?」
〔サイコキネシスを使えば、なんてことないわ。私、野生のポケモンを養っていたこともあるし〕
「どうやって?」
〔そうね……。木の実を集めてきて平等に配ったり、怪我や病気の
話してみるとわかったのだが、このラルトスはお姉さん気質みたいだ。ニックネームは何がいい? と聞いてみたら、何でもいいわよと返された。ちょっとクールなとこもある。ただ、ツンデレではない。ツンデレでは。
ニックネーム……どうしようかね。
皆様、お久しぶりです。
見てくれる方はいるのかなぁと思いつつ、「三度の食事縛りプレイ」のアンケートをします。
さて、久しぶりに投稿しましたが、新入りはラルトスに決定致しました。イーブイ、ロコン、ピンプク、ツチニンは、また次の機会にさせていただきたいと思います。
そこで、ラルトスのニックネームを募集したいと思います。
・ラルトスはしっかり者でお姉さん気質
・面倒見がよい
・メス
・地味に6V
上の設定を踏まえて募集します。
なお、食材の名前などで無くても構いません。また、上の設定に関係なく食材の名前をお答えいただいても構いません。
出来れば六文字以内でお願い致します。
回答は活動報告、メッセージにて受け付けます。
これからもよろしくお願い致します。
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