超次元ゲイムネプテューヌ 光の量子を操りし者(凍結) (熾天 冥夢)
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第零章 キャラ設定や零話
キャラ設定


今更ですが、キャラ設定を載せます。ルビが非常に多いです。


名前:櫻井(さくらい) 悠斗(ゆうと)

 

 

 

 

 

年齢:17歳

 

 

 

 

 

好きな物:ゲーム(特にpso2)、アニメ、文字解読

 

 

 

 

 

嫌いな物:親族や友人などの“仲間を傷付ける者”。傷付けた物には容赦しない。侮辱も“傷付ける”に含まれる。

 

 

 

 

 

 

趣味:前世では、pso2でのオラクル文字を解読する事。転生後は、ゲイムギョウ界の文字を解読する事。文字解読してない時は大抵ゲーム。

 

 

 

 

 

 

容姿:銀髪で、しかも目が青く、普通の青年とは程遠い見た目(大体、東京喰種の白カネキとほぼ同じ)。身長は172cm。視力は両方とも1.8。

 

 

 

 

 

服装:赤のパーカーに青のジーパンという明るめな格好。…が、キレると黒や紫など暗めな服を好み、黒のフード(pso2のオーヴァルフードを黒くした感じ)を被り、全身黒という“何処ぞかの犯人”みたいな格好となる。(たまに紫一色になる事も)

 

 

 

 

 

人物像:基本的に大人しくて優しく、滅多に怒る事がない(悪口を言われても軽くいなす程度)。意外とポジティブ精神。だがそれは、普段の時である。pso2の中だとかなりの廃人(プレイ時間1万時間越え)。そして、悠斗が本気でキレた時は友人曰く『あれが悠斗なのか、目が明らかにおかしくなっていたし、暴言も平然と吐くし、普段絶対しない事(グロ系)をするしで最早悠斗の原型を留めていない』らしい。その所為もあるのか、pso2の中では戦闘狂。

 

 

 

 

 

欠点:生まれつきの銀髪と青目だからか、担任や校長含めた全員の先生に“染めているんじゃないか”と言われたり、かなりモテたりする事、キレた時には普段使わないような言葉や行動を使う事、pso2で戦闘狂になると周りが見えなくなってしまう事。

 

 

 

 

 

概要:pso2をやろうと帰宅中に、神様の間違いで死んでしまった青年。そのお詫びで“超次元ゲイムネプテューヌ THE ANIMATION”の世界に転生させて貰う事になった。そこで悠斗はpso2の全要素、おまけにminecraftの武器『Royal Sword』を転生の特典として渡される事となった。

 

 

 

 

 

装備:大剣(ソード)自在槍(ワイヤードランス)長槍(パルチザン)双小剣(ツインダガー)両剣(ダブルセイバー)鋼拳(ナックル)銃剣(ガンスラッシュ)抜剣(カタナ)飛翔剣(デュアルブレード)長銃(アサルトライフル)大砲(ランチャー)双機銃(ツインマシンガン)強弓(バレットボウ)長杖(ロッド)導具(タリス)短杖(ウォンド)魔装脚(ジェットブーツ)奏具(タクト)のpso2の武器18種に加え、超絶極長リーチ武器(全長10メートル)のRoyal Swordで、計19種の武器を使う。

 

 

 

 

 

原作pso2と違う所:大体のPA、テクニックの挙動が違う事。特に複合テクニックはかなりの改変が施されてある。

 

 

 

 

 

ザンディオン:左手に(ゾンデ)、右手に(ザン)を合わせて発動させる複合テクニック。雷と風の翼を展開させるのは原作と同じだがこの小説の場合、自分で止めるまで“いくらでも突撃できる”。勿論原作と同じで通過したところには雷撃が繰り出されるから危険極まりない。…フォメルギオンの比ではないが。

 

 

 

 

 

フォメルギオン:左手に(フォイエ)、右手に(メギド)を合わせて発動させる複合テクニック。原作は“獄炎で焼き尽くす”。だがこの小説の場合、最大25メートル先まで届く“破壊光線”と化す。しかも、自身のフォトン量により威力が増大される為、悠斗が放ったら“対象のモンスター(エネミー)は瀕死か絶命どちらかの絶望の道筋を辿る事となる”。更に薙ぎ払い可能。尚、原作である獄炎verも放つ事ができる。

 

 

 

 

 

バーランツィオン:左手に(グランツ)、右手に(バータ)を合わせて発動させる複合テクニック。原作は発動した瞬間、対象のモンスター(エネミー)に向かって突撃から華麗なる剣舞を見舞うのだがこの小説の場合、まさかの“武器”として使用可能である。両手だったら飛翔剣(デュアルブレード)モード、片手だったら抜剣(カタナ)モード、通常モードからの派生、2つの刃を合わせる(バーランツィオンの最後の攻撃)と大剣(ソード)モードになる。

 

 

 

 

 




私は改変が好きなので、技を改変させるとぶっ壊れます(性能的な意味で)。しかし、反省もしていないし、後悔もしていません。


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第零話 プロローグ

作者の熾天 冥夢です(名前変更しました)。本作品はpso2と超次元ゲイムネプテューヌのクロスです。なので、pso2プレイヤーでないと解らない武器や防具やスキルや敵などが出てきます。ご注意下さい。そして、本作品は悠斗のあの言動の所為で、オリジナル展開多めです。


えーっと…私は何をしていたんだっけ…あぁそうだ、pso2やろうと高校から帰宅中だったっけ…で、その後は…ダメだ、全然覚えてない…

 

あ、紹介が遅れたね。私は櫻井(さくらい)悠斗(ゆうと)だよ。年齢は17だよ。…口調と一人称からして女性っぽいけど、れっきとした男性だからね?

 

閑話休題(それはともかく)

 

それよりも、ここ何処?辺り全体真っ白い空間だし、動けないし。…辛くね?指の一本も動かせないとか…

 

私がそういう事を考えていると…

 

『私が誤って死なせてしまった…』

 

背中に巨大な天使の翼を付け、白いワンピースを着ていて、何やらかの杖を持っている、神様だと思われる女性の声が聞こえた。取り敢えず、話しかけてみるかな…

 

「ねぇ、どうしたのさ」

 

『ひゃわっ!?ごめんなさい!ごめんなさい!』

 

いやいや、いきなり謝られても何の事か解らない。だから、聞いてみることにした。

 

「いきなり謝られても訳解らないから。でさ、どうしたの?」

 

『貴方を私の手違いで殺してしまいました…ごめんなさい!』

 

何か、やけに謝るなこの神様(みたいな人)。

 

「…どういう事?」

 

『貴方が家に帰宅中での電車で、連続凶悪強盗殺人犯が紛れ込んでいたんですよ。で、その人に裁きを与えようとしたら…「その裁きが私に当たったと?」そうです…』

 

「まぁ、間違い手違いは誰にでもあって、完璧は存在しないから大丈夫。」

 

『えっ!?私を咎めないんですか!?貴方を殺してしまったんですよ!?』

 

「しないしない。でさ、何で私はここにいるの?もしかして、呼び出した?」

 

『…その通りです。手違いで殺してしまったので、転生させようかと思いまして。』

 

「そう。で、その特典って何?」

 

『定められてはいません。つまり、貴方の自由に選択できます』

 

「ふーん…じゃあ、pso2の全要素で。武器も防具もコスチュームも。で、pso2といえばフォトンだから、自分の体内にフォトンを無限に保有できるようにして。pso2内では女性用コスチュームの種類が豊富だから、異性変換をできるようにもして。それと、〝pso2のモンスターも仲間にする〟というのもありだと思ったけど、味気ない気がしたから、倒したら仲間になり、召喚もできるって感じにして。それと、minecraft(マインクラフト)の武器の一つ“Royal Sword(ロイヤルソード)”って武器も追加して。」

 

『それでいいのですね?転生したら能力を増やす事はできなくなりますよ?」

 

「構わないよ。pso2の能力は憧れだったし、Royal Sword(ロイヤルソード)も使ってみたかったし。」

 

『では、転生させます。転生先は“超次元ゲイムネプテューヌ THE ANIMATION”の世界です。しかし、何処に出るのかは解らないので気を付けて下さい。』

 

「OK」

 

神様だと思われる女性が何やら呪文を唱え、唱え終わった瞬間、私の意識は途絶えた。

 




最後の方、強引になってしまいました…


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第一章 異世界へ転生
第一話 フリーフォールからの出会い


今回は、オリ主が原作キャラと出会います。pso2のエネミーが出てきますが、後半シリアスです。


「よしっ、転生先の世界に着いたっと」

 

転生した悠斗は、転生先の世界のある場所(・・・・)にいた。

 

「えーっと、確か『超次元ゲイムネプテューヌ THE ANIMATION』の世界の筈だけど、街は何処?というか、ここ何処?というか、なんか浮かんでいる感じだけど…ん?浮かんでいる(・・・・・・)?」

 

悠斗は改めて、自分に置かれた状況を見る。そして悠斗は遅くではあったが気付いてしまった。ある場所とは…上空3000m付近だと…

 

 

 

 

 

つまり…

 

 

 

 

 

「私落ちてるじゃんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

紐なし自由落下(フリーフォール)である。何処に出るのか解らないとは言ってもせめて地上に送ってよあの女神ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!

 

「このまま行けば確実に死が待っている…って何冷静に考えてるんだよ私!!!何か策は…あ」

 

そうだ、クォーツドラゴンの力を借りればいいんだ。そう思ったが、何か忘れていませんか?

 

「pso2のモンスターは倒さないと仲間にならないし、召喚もできなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!何で忘れてるんだよ私のバカヤロォォォォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

 

 

 

―――――一方ゲイムギョウ界では…

 

 

 

 

 

こちらは悠斗のいた日本とは異なる次元、ゲイムギョウ界である。日本とは違い、技術が遥かに進んでいるゲイムギョウ界で、新たな一歩を踏み出されようとしていた。

 

「ゲイムギョウ界に(あまね)く生を受けし皆さん、新しい時代にその一歩を踏み出せるこの日を…皆さんと共に迎えられることを、喜びたいと思います…」

 

紫が象徴とされたドレスに身を包み、ドレスよりも長い髪を三つ網にして束ねた女性がレッドカーペットの上を歩き出す。

 

彼女はゲイムギョウ界の四女神の内の一人、“パープルハート”。革新する紫の大地の二つ名であるプラネテューヌの守護を司る女神。

 

「ご存じの通り、近年、世界から争いが絶えることはありませんでした…」

 

パープルハートの言葉と同時に、他三女神も立ち上がる。

 

パープルハート含める女神達は神聖さがあり、一目見ただけで女神と解る美しさ、気品さも持ち合わせている(但し一部を除いて)。

 

「女神 ブラックハートが納めるラステイション」

 

銀髪を(なび)かせて立ち上がった、黒が象徴とされたドレスを身に纏っている女性、“ブラックハート”が歩き出す。

 

「女神 ホワイトハートが納めるルウィー」

 

シアンブルーの髪をした白が象徴とされたドレスを身に纏った小柄な女性、“ホワイトハート”が歩き出す。

 

「女神 グリーンハートが納めるリーンボックス」

 

緑の髪をポニーテールにし、殆ど胸が強調されたドレスを身に纏った女性、“グリーンハート”が歩き出す。

 

「そして私、パープルハートが納めるプラネテューヌ」

 

四女神は中央に集まるように歩き続け、中央に集まった瞬間、四女神の足元に光のパネルが出現し、空中を歩く。

 

「四つの国が国力の源であるシェアエナジーを競い、時には女神同士が戦って奪い合う事さえしてきた歴史は、過去のものとなります…」

 

四女神は、女神の力の根源である“シェアエナジー”となるものを奪い、競い、互いに長きに渡り戦いあったのだろう…

 

そう、新たな一歩とは、長きに渡り競い合った歴史に終止符を打つ事であり、今日がその時なのだ。

 

「本日結ばれる友好条約で、武力によるシェアの奪い合いは禁じられます。これからは国をより良くすることでシェアエナジーを増加させ、世界全体の発展に繋げていくのです…」

 

四人の女神が中央に集結し、手を取り合い目を静かに閉じる…その神々しい光景に観衆たちは言葉を飲み、その光景を食い入るように見つめる…

 

 

 

 

「「「「私たちは過去を乗り越え、希望が溢れる世界を作ることをここに誓います」」」」

 

 

 

 

 

彼女達の言葉を聞いた瞬間、観衆達からは割れんばかりの拍手と歓声が湧き上がった。

 

 

 

 

 

が、それをぶち壊す物が一つ(・・)。それは…

 

 

 

 

 

「いぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!たぁぁぁぁぁすけてぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

『!?』

 

その主は悠斗である(明らかに叫びが女性だがれっきとした男性である)。

 

「人が真っ逆さまになって落ちてきてる!?」

 

「何で人が落ちてきてんだよ!?おいネプテューヌ!」

 

「知らないわよ!取り敢えず、あの人を助けるのが先よ!」

 

このまま行くと地面に激突して確実に即死…

 

理由は()(かく)先にあの人を救助しないと!

 

私はドレスから戦闘用のプロセッサユニットを展開し、飛び立った。

 

間に合って!!

 

私はそう願いながら飛び続け、落ちて来ている人の姿が鮮明になってきた。銀髪の男の人?だけど光のオーラが止め処なく流れているような…いや、兎に角助けないと!

 

「落ち着いて!ほら、掴まりなさい!」

 

※上空から真っ逆さまに落ちてきているのに落ち着ける訳がありません。

 

こんな時に落ち着ける訳が無いと思ったが、彼は違った。直ぐさま冷静になり、私の手に掴まる。が、

 

「きゅ~…」

 

Gが物凄くかかり、気絶してしまう。

 

「あー…気絶しちゃったわ…でも、やっぱりこの人から光のオーラが流れている…」

 

「ネプテューヌも気付いているのね。近付いた瞬間、光のオーラが感じ取れるようになったし」

 

「しかし怪しいな…“私達がまだいなかったあの時”までこんな人間他にいたか?」

 

「いませんわ…でももしかして、この人こそが…」

 

 

 

 

 

――――――――――光の量子“フォトン”を扱える唯一の存在――――――――――

 

 

 

 

 

「まさか!?フォトンは私達女神でも扱えなかった筈じゃ!?」

 

「でも、そうと決まった訳ではないわ。取り敢えず、医務室に運んで様子を見ましょう」

 

 

 

   ☆   ☆   ☆   

 

 

 

…………

 

「ん…?あれ…?ここは…?」

 

確か私は真っ逆さまになって落ちて…死んだかと思ったけど、綺麗な紫の人に助けられたんだっけ…でも、あの人、空を飛んでいたような…日本ではそんな技術ないし…やっぱりここ、異世界だ…そんな事を考えていると、ドアが開き、柔らかい感じの雰囲気のした女の子が入って来た。

 

「気が付いたですか?」

 

「えーっと…貴女は?…じゃないね、まずは自分からだね。コホン、初めまして、私は櫻井悠斗といいます」

 

「悠斗さんですね。私はコンパです。」

 

お互いに自分の名前を言い合うと、さっきの紫の女性が入ってくる。

 

「気が付いていたのね?」

 

不意に声がして、その方向に振り返ると、私が気絶する前に見た女性がいた。

 

「あの…さっきはありがとうございます。あ、紹介がまだでしたね。私は櫻井悠斗と申します。…非常に差し出かましいのですが、貴女の名前を教えて貰ってもいいですか?」

 

「こっちも自己紹介がまだだったわね。私の名前はパープルハート、本名はネプテューヌ。この世界の国の一つ、プラネテューヌを治める女神よ」

 

「え?プラネテューヌ?プラネテューヌって何ですか?」

 

「ここがそうよ。知らないの?」

 

「知らないも何も、私…この世界の人間ではないので…」

 

私の言葉で二人は絶句する。それもそうだ。今目の前にいる人物がこの世界の人間ではないと言っているのだから。

 

「その根拠は?」

 

「物凄く、非常に言いづらいのですが…私…転生した身です」

 

「転生!?という事は、元の世界の悠斗さんは!?」

 

「…とっくに死んでいます…」

 

「「……」」

 

また二人が押し黙る。

 

「えっと…すみません、こんな暗い話をして…これから私はどうなるんだろう…」

 

私が不安になっていると、パープルハートさんが私の手を握り、優しく微笑みかけてくれた。その表情に思わずドキッとしてしまう。

 

「まさか転生した身で、元の世界では死んでしまっていて帰る事ができないってのは驚いたけど…不安なのは解るし、これからどうするかはこれから考えていきましょう?私も協力するから。ね?」

 

「すみません…パープルハートさん…見ず知らずの人にここまでしてくれるなんて…」

 

「ふふっ、そんな謙遜しなくていいのよ?それと、私を呼ぶ時はネプテューヌでいいわ。あまりこっち(女神化状態)で呼ばれるのには慣れていないから。敬語もいらないわ」

 

「わ…解った…ネプテューヌ…」

 

「よろしい♪」

 

うん、反則だわこれ。ニッコリと笑いながらのあのセリフはマジで反則。でも、呼び捨てなんていいのだろうか?まぁ、本人がいいと言っているならばいいのだけれども…

 

「あ、そうそう、これからパーティーが始まるのだけれども、悠斗も参加しない?」

 

「え?いいの?私、この世界に来たばっかりだよ?」

 

「いいのよ。今日友好条約が結ばれた訳だし、こんな時は無礼講に行くべきよ?」

 

「それって逆に言えば普段は私敬語だよね?」

 

「気にしないの。ほら、行くわよ」

 

「え、あ、ちょっと、待ってよ」

 

私は半ばネプテューヌを追いかける形でパーティー会場に向かっていった。

 

 

 

   ☆   ☆   ☆   

 

 

 

「うわぁ…すっごい…」

 

うん、かなり広い。え?どれくらいの広さだって?大体体育館ぐらい(←解りづらい)。で、その壁が全面ガラス張りになっていて、街が一望できるような感じ。しかも、テーブルにはかなりのご馳走があるし…食べたい。今直ぐ食べたい。

 

私が料理をチラチラ見ていると、ネプテューヌが少し笑った。

 

「食べたい気持ちは解るけど、もう少し我慢していてね?私の友人達がもうじき来るから」

 

「あー…ごめんね?こんなご馳走見た事一度もなかったし…」

 

「悠斗って普段は何食べてたの?」

 

「…碌な物食べてないとだけ言っておくよ…」

 

「…なんというか、ごめんなさいね」

 

こっちは前世、アルバイトだけではホントヤバかったしなぁ…思わず苦笑いをする。

 

私達がそんなやりとりをしてると、会場のドアが開き大人数の団体が入ってきた。が、全員が女の子って…まぁネプテューヌの友人だから無理もないけど…

 

「漸く始まったらしいわね?待ち草臥(くたび)れたわ。」

 

黒が象徴とされたドレスに身を包んだ銀髪の女の人が強気な表情を浮かべてそう言うと、そっぽを向いてしまった。うん、ツンデレだわこの人。ツンデレっていいよね!…いきなり何言ってるんだ私は…

 

「ごめんなさいねノワール、ちょっと悠斗と話をしていたものだから」

 

「悠斗?そうか、そこの見ない顔だな。」

 

白が象徴とされたドレスを身に纏ったシアンブルーの髪の女の子が私の顔を見る。…いや、睨まれているっていうのが正しいかな?だって眼が紅いし…

 

「ネプテューヌが言うには貴方から光のオーラが止め処なく流れているって聞きましたが…本当なのかしら?」

 

薄い緑がかかった白いドレスのエメラルドグリーンのポニーテールの女性が私の事を聞いてくる…でかくね?え?何がって?サッシテクダサイワタシハナニモミテマセンヨー(棒)。というよりも、気になる単語が…光のオーラ?私にそんなのあったっけ?あ、もしかして、私の体内に無限に保有されているフォトンが原因?一応言ってみるかな…

 

「もしかして…私の保有してあるフォトンが原因じゃないですか?」

 

「「「「え!?」」」」

 

私の言葉で四人が驚く。…何故?

 

「それは本当なのね!?」

 

「貴方がフォトンが扱える唯一の人なのね!?」

 

「え、あの、いきなりどうしたんですか!?落ち着いて下さい!」

 

「ネプテューヌさん達が慌てるのには無理がありません。悠斗さん。私が説明します。因みに、申し遅れましたが、私はイストワールといいます。」

 

「どうも…ご丁寧に…じゃなくて!私にはこの状況がサッパリなので説明して下さい!」

 

「焦らなくても大丈夫です。では説明します。ですがその前に、貴方は“ダークファルス”という邪悪な存在を知っていますか?」

 

ダークファルス!?それってpso2内でのダーカーの親玉で、更に上が深遠なる闇で…話が逸れた。何でイストワールさんが知っているの!?

 

「えーっと、ゲーム内でですが戦った事はあります。この名前を知っているのかは解りませんが、ダークファルス【巨躯】(エルダー)、ダークファルス【敗者】(ルーサー)、ダークファルス【双子】(ダブル)、ダークファルス【若人】(アプレンティス)(ジア)という四体の固体に分かれています。」

 

「はい、悠斗さんの言う通り、ダークファルスは四体います。過去に古の女神達が遭遇した時、全く歯が立たなかったのですが、悠斗さんみたいなフォトンを扱える人がこの世界に来て、一人でダークファルス四体を倒したそうです。それが伝承になり、フォトンを扱える人は伝説のアークスだとされています。」

 

「話が大きすぎてよく解らない…しかも私は転生者ですが一般人ですよ?」

 

「しかし、フォトンを扱えるのには変わらないのです。つまり、悠斗さんは伝説のアークスそのものなのですよ?」

 

「そうですか…で、私とダークファルスでは何の関わりがあるのですか?」

 

「悠斗さん…よく聞いて下さい…今ゲイムギョウ界は、四体のダークファルスにて脅威に晒されるかもしれないのです。」

 

嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?何で私がこの世界に来たばっかりなのに脅威に晒されないとならないの!?

 

「悠斗さんがこの世界に来た…つまり落ちてきた時に、強大で邪悪な反応を四つ確認したのです。ダークファルスが来るのも時間の問題です。」

 

「…そうですか…あの…すみません、私はそういう重い話が好きじゃないんです…しかも、私はこの世界に来たばっかりですし…」

 

「そうですね。一先(ひとま)ずこの話は止めておきましょう。何時来るか解りませんが、その時まで猶予がありますから」

 

私はホッと一息ついた。当然だろう。かなり重い話を聞いたのだから。

 

「あの、そういえば、私とねぷねぷ以外はまだ悠斗さんに自己紹介してないですよ」

 

コンパナイス!助け舟を出してくれた。コンパの言葉で皆が“あ、そうか”という顔をしていた。…忘れている訳じゃないよね?

 

「まずは私からね。私はブラックハート。本名がノワールよ。ラステイションの守護女神をしているわ。」

 

「アタシはユニです!お姉ちゃんと同じでラステイションの女神候補生です!宜しくお願いします!」

 

…何かハイテンションになってない?それとも私の気のせい?というか何時の間に…

 

「私はルウィーの守護女神、ホワイトハート。本名はブランだ。まさかお前がフォトンを扱えるなんて思わなかったがな」

 

「はいはーい! 私はラムちゃんでーす! お姉ちゃんと同じルウィーの女神になる予定なの!」

 

「ロム、です…よろしく…お願い、します…」

 

少し怖い感じのホワイトハートさんに対し、ロムちゃんラムちゃんの双子は差が激しい…姉妹といっても似ないとこはあるんだ…

 

「初めましてですわね?私はリーンボックスを納める守護女神、グリーンハート、本名はベールですわ。以後お見知りおきを」

 

「よ…宜しくお願いします…」

 

グリーンハートさんは穏やかな口調でにっこりと微笑みながら自己紹介をしてきた。この人はとても優しそうだと思った。

 

「今度は私達ね?私はアイエフ、プラネテューヌの諜報活動員をしているわ」

 

「改めて、私はコンパです。看護学校に通ってて、ねぷねぷ達のお手当とか、お料理とかをしてるです」

 

…二人の仕事が凄いと物凄く実感した。アイエフの言う諜報活動員はプラネテューヌの情報管理、治安維持などを務める、所謂(いわゆる)自警団の一角の様なものらしいし、コンパは私と同じ学生だとはいえ、看護師である。羨ましい…え?私はどうだって?万年アルバイトだよ?ははっ(泣)

 

心の中で泣きながらも、これから宜しくという意味を込めて二人に握手をする。すると、二人の隣にいたピンク色の髪のネプテューヌとどこか似た女の子がぺこりと頭を下げてきた。

 

「初めまして、私はお姉ちゃん…パープルハートの妹で、プラネテューヌの女神候補生のネプギアっていいます、宜しくお願いします」

 

あぁ成る程、見れば確かにネプテューヌに似ていると思ったが、姉妹だったんだね。

 

私以外の自己紹介が終わったところで、私の番が来る。

 

「それじゃあ私の番ですね?私は櫻井悠斗といいます。さっき言った通り、フォトンを扱う事ができます」

 

先程とあまり変わらない自己紹介をしたが…

 

『……』

 

あれ?空振り?

 

「…あれ?」

 

私が頭に疑問符を浮かばせていると、突然ブラックハートさんがくすりと笑った。それに釣られてか他の面々も笑顔が浮かび始める。

 

「そのフォトンでどんな技を出すのか、見物ね。」

 

「ああ、武器も気になるしな」

 

「魔法もあるのかしらね?」

 

ふぅ、よかったぁ…本気で空振ったかと思ったぁ~。心なしかホッとした。

 

「私は強いかはまだ解りませんが、宜しくお願いします!」

 

頭を下げたあと、ネプテューヌが俺のそばまで寄ってきて飲み物が入ったグラスを手渡してくれた。お酒じゃないよね?…私未成年なんだけど… なんて考えているとネプテューヌが俺の前に出てグラスを掲げる。

 

「それでは、四つの国の友好条約の締結と、異世界から転生した友人、悠斗の歓迎を込めて…乾杯!」

 

 

 

「「「「乾杯!!」」」」

 

 

 

全員が声をそろえてそれぞれの飲み物が入ったグラスを掲げた。私も一緒にグラスを掲げる。

 

私の人生初のパーティーが始まった…

 

 

 

 

 

 

   ☆   ☆   ☆   

 

 

 

 

 

…今私は猛烈に悩んでいます。何にって?そりゃあ…

 

「人生初のパーティーだから何から食べていけばいいのか解らない…」

 

…田舎者丸出しである。でも仕方ないじゃん!ホントに人生初のパーティーだし!え?前世ではパーティーした事あるのかって?一度もないよ畜生めぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

 

「ねぷねぷが用意した食材なので、好きなだけ食べていいですよ」

 

ん?今好きなだけ食べていいって言ったよね?じゃあ遠慮せずに…

 

私は用意されている料理を猛獣のように食べた。普段から金がなくて、殆ど碌な物食べてないしね、仕方ないね!

 

「悠斗さんの勢いが凄まじいです…」

 

「よっぽどお腹減っていたのね…」

 

片方は驚きの表情、もう片方は呆れた表情で見つめてくるが、はいはい無視無視。兎に角沢山食べておかないと何が起こるか解らないしね!

 

「悪いね。私、ホントに碌な物食べてなかったから」

 

「その碌な物って何なのよ?」

 

「…虫とか草とかを揚げ物にしてた」(←本当の事)

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

 

二人は虚ろ目になる。当たり前だ。碌な物といったが更に酷い物が悠斗の口から出てきたのだから。

 

「何か、変な事聞いてごめんなさいね…」

 

アイエフが謝ってくるが、その必要ないと思うんだよなぁ…

 

「いや、大丈夫だよ。人生で始めての“幸せ”が訪れているから」

 

それよりも、このご馳走を心行くまで堪能しないと!

 

「ん?あれはネプテューヌ?」

 

ふとみるとネプテューヌがバルコニーで一人静かに飲んでいるのが見えた。改めてもう一度お礼に行こう。私は料理を食べ終え、ネプテューヌの所へ向かった。

 

「ネプテューヌ!」

 

「あ、悠斗。パーティーは楽しんでいる?」

 

「うん、人生初だけど、パーティーってこんな楽しかったんだなって実感したよ。それと、あの時はホントにありがとね」

 

「どう致しまして。…あら、ノワール」

 

後ろを振り向くとそこにはノワールさんがいた。ブランさんとベールさんも一緒である。するとネプテューヌが突然光り出す。そこで私が見たものはある意味とんでもない物だった。

 

「ひゃっほう! やっぱりこっちの姿の方が私らしくていいかな~」

 

「…ゑ?」

 

ゑ?この子誰?いやマジで。私は目が点になり、ノワールさんは溜め息をつく。

 

「貴女誰?割と本気で」

 

「え!?さっきまで会話してたのにそんなにすぐ忘れるもん!?ネプテューヌだよネプテューヌ!!」

 

「はああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「はぁ…ネプテューヌは女神化すると性格が逆転する程変わるものね…後、私達に敬語は必要ないわ。普通に接して頂戴」

 

ノワールさん…いや、ノワールまで光り出し、そこには黒髪ツインテールの女の子が立っていた。黒髪良いよね!黒髪!…ホントに何言ってるんだ私は…少しは自重しろよ…

 

「どういう事か誰か説明お願い…頭の中が混乱してる…」

 

「つまり、女神化が解りやすく言ったのが変身だな。で、この女神化変身を解くと…」

 

ブランも光り出し…

 

「…こうなるって訳。」

 

そこには、薄い茶色をしたボブカットの女の子が立っていた。

 

「さっきまでと違いローテンション…それじゃあベールも?」

 

「ええ勿論」

 

するとベールも光り出し女神化が解かれる。そこにいたのは金髪で気品あふれる女性だった。…あれ?あまり変わってない?

 

「ベールはあまり変わらないんだね?」

 

「他の三人とは違って精神的にも大人ですから」

 

「…それ、遠回しに一番の年長者と言っている…」

 

「うっ!?」

 

ブランの言葉に超が付く程傷付くベール。うん、ベールには歳の事は禁句だ。マジで肝に銘じておこう…

 

というか、さっきまで一般人だった私が転生してキャラが超濃いヒロイン達に囲まれて過ごすとか…これ何てゲーム?恋愛ゲーム?ははっ、 抜 か し お る ! 第一私まだ未成年だし!彼女なんていないし!ゲームオタクだし!(pso2だが)…自分で言ってて辛くなって来たからやめよう…

 

 

 

 

 

私、櫻井悠斗は転生して四女神と出会い、この世界に暮らす事になりました。不安しかありませんが、何とか頑張って行きたいと思います。




今回の途中で出てきたダークファルスですが、まだ出しません。悠斗がある程度pso2のエネミーを仲間にした時に出すつもりです。


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第二話 初のクエスト、だが相手は意外なヤツだった

冥夢「皆さん、二ヶ月も更新が止まってしまいすみませんでした!(エクストリーム土下座)」

悠斗「カッコ内が仕事して無い件について」

冥夢「話が変わりますが、今回は初戦闘です。それと、オリジナルPAも登場します」

悠斗「そして私の意外な一面も…」

冥夢&悠斗「「それでは、本編をどうぞ」」


パーティーから数日後。悠斗はプラネテューヌに身を置く事にし、街案内をして貰い、自分の部屋まで持つ事になった。が、それでも悠斗は“また”悩んでいた。それは…

 

「どうしよう…私の能力の使い所がない…」

 

そう、転生し特典を貰ったはいいが、その使い所がないのである。

 

「あ、そういえば、ネプテューヌに街案内して貰った時に、“ギルド”を紹介していて、“クエスト”ってものもあったっけ」

 

よし、そうと決まれば早速ギルドに行こう。っとその前に、皆から行っても大丈夫なのか聞かなくちゃ。

 

「イストワール、今から私、ギルドに行ってクエスト受けてくるんだけど、私が行っても大丈夫かな?」

 

因みに、イストワールって呼んでるのは、敬語じゃなくてもいいとの事だったから呼び捨てだよ。

 

「大丈夫です…と言いたいのですが、この世界にはモンスターが出るんです。幾ら悠斗さんがフォトンを保有しているからといって、悠斗さんを危機に晒したくはありません」

 

ふむふむ…やっぱこの世界にもモンスターはいるんだね。でも、私の力がどれ程強力なのか確かめられる絶好のチャンスだから、このチャンス、見逃したくはないよ。

 

「気遣いありがとう。だけど、私自身のフォトンの力がどれ程強力なのか、知りたくてね。それに、私が“この世界に来て何もしない”って言うのは嫌だし、いざダークファルスが来ても太刀打ちできないってなって、ゲイムギョウ界が滅びてしまうのは私が転生した意味がなくなるから…」

 

「悠斗さん…」

 

「そこを何とかお願い!」

 

私は手を合わせてお願いする。皆に少しでも役に立ちたいしね。

 

「解りました。私としては非常に助かります。それでしたら、悠斗さんに是非行って貰いたいクエストがあります」

 

私に行って貰いたいクエスト?何か嫌な予感が…

 

「私に?」

 

「そうです。最近、『見た事もないモンスターが暴れている』という依頼が届くようになったのです。ですが、依頼を受注した人が“攻撃が通じていないのか、全く倒れる素振りも見せない”らしいのです」

 

え?何それ?相手ってそんなに強いの?

 

「そのモンスターの特徴は何?」

 

「各部位に橙色の岩が付着していて、回転した後にプレスをしてくるモンスターらしいのです」

 

…前言撤回。うん、あいつ(・・・)だわ。完璧に。

 

「あのー…それってただ単に弱点部位の顔に攻撃してないだけ…一応通じてはいるけど…まぁ、それを受けに行くよ」

 

「それじゃあ私も行くよ!悠斗の技見たいしね!」

 

「「「右に同じです(よ)」」」

 

すると、何時の間にいたのか、ネプテューヌ、ネプギア、コンパ、アイエフがいた。

 

「解った。それじゃあ…クエストに行く前に、出でよ“大剣(ソード)”『クルセイドロア』!」

 

悠斗が右手を前に突き出し、『クルセイドロア』と呼ばれる大剣(ソード)を呼び出した。すると、悠斗の右手には自分の身長もあろうかとも思われる青と黄色を黒を象徴とし、持ち手の近くに水晶が埋められている大剣(ソード)が握られていた。すると悠斗以外の全員が唖然としていた。

 

「どしたの?口開けたままにして」

 

「やっぱり…その武器は悠斗さんの言う通り『クルセイドロア』です…本当に存在するんですね…」

 

「そんなに凄い武器なの?」

 

「凄いってものではなく、古来の書物に載るまで古来より伝わる武器なんです…それに、その武器よりも更に強い武器まであるとか…」

 

あぁ、pso2での“☆11、☆12、☆13、☆14武器”の事だね。でも、まさか書物にまで載るとはね…

 

「まぁ、その話は興味があるから後で聞くとして、行ってくるね」

 

 

 

     ☆     ☆     ☆     

 

 

 

場所は変わり、ここはプラネテューヌの近くの村。ここにクエスト依頼にあるモンスター、もといエネミーがいるはずだけど…うん、いたわ。というか直ぐ解ったわ。図体デカイし、目立つし。で、やっぱあんただったか…“ロックベア”…

 

「はぁ…特徴からして解ってたけど、やっぱ“ロックベア”だったよ…」

 

「その様子からして知ってるみたいね?」

 

「まぁ、ゲーム内で何度も戦った事あるし…で、最初に言っちゃうけど、あいつ、弱いよ」

 

「「「「え?」」」」

 

「弱点である顔を集中攻撃をすれば直ぐ沈んだし…まぁいいや、倒すよ」

 

「「「「了解!」」」」

 

私は納刀していたクルセイドロアを両手に持つ。ネプテューヌは太刀を、ネプギアはビームソードを、アイエフはカタールを、コンパは注射器を…え?注射器?

 

「コンパ、まさかそれで戦うの…?」

 

「そうですよ、この注射器を突き刺した後に、この液体を流し込むとかなり効くんですよ」

 

うわぁ…エグい。めっちゃエグい。突き刺すだけならまだしも注射器の中の液体を流し込むって…何処の拷問なのさ…

 

「それってモンスターにしてみれば拷問だと思うよ…それよりも、さっき言った通り、顔が弱点だからそこを重点的に狙って」

 

「「「「解った!(解りました)(解ったわ)(解ったです!)」」」」

 

全員はロックベアに攻撃を仕掛けるが、何かを忘れてはいませんか?

 

「「「「顔が弱点なのに届かないよ(わよ)(です))!!!」」」」

 

「あ…ごめん、言うの忘れてた。顔じゃなくても効果あるよ」

 

「「「「それを先に言ってよ(言いなさいよ)((言って下さい))!!」」」」

 

「結局弱点に攻撃できるのは私だけなのか…」

 

「え?でも相手は私達の数倍はあるよ?どうやって攻撃するの?」

 

「こうするのさ!フォトンアーツ!『ギルティブレイク』!」

 

悠斗がジャンプした後、水平に持つ構えを切っ先が頭の所まで来るように少しだけ傾けた瞬間、

 

 

 

 

 

空中を走りながら、猛ダッシュでロックベアに近付き、峰打ちから斬り上げを放った

 

 

 

 

 

「「「「…(ポカーン)」」」」

 

「まぁ、このようにジャンプしながら攻撃すると弱点である顔に当たるね。…どしたの?」

 

「貴方…今空中を走ったわよね?」

 

「空中で発動すると自然とそうなるけどね」

 

「自然とそうなるって…普通は重力とかで無理だったような…」

 

「…さっきのギルティブレイク、重力無視だから。それに、重力無視したフォトンアーツは他にもあるよ?」

 

「いや、おかしいわよそれ…まぁいいわ。それで、悠斗の技がさっきの『フォトンアーツ』なのね?」

 

「そうだよ。フォトンアーツはまだまだ沢山あるから見せる機会が多くなるよ」

 

何時の間にかロックベアが空気である。それに耐え兼ねたのか、大振りの殴りを悠斗に見舞う。

 

「危ないっ!」

 

だが悠斗はニヤッとした顔つきで即座にクルセイドロアを自身の前に覆うように前に出す。すると、『ガキンッ』とした音がし、攻撃を跳ね返した。

 

「『オールガード』を舐めて貰っては困るね。これは全方向に対してガード、跳ね返しができるんだよ。…といっても、喋れないヤツに対して言っても無駄か。それじゃ、遠慮なくボコってあげるよ!」

 

「あの…悠斗さん…?」

 

「雑魚の癖に私達に喧嘩吹っかけたのが間違ってたねぇ!吹っかけなければまだ延命できたのに。終わらせてあげるよ。連携フォトンアーツ発動。『オーバースラッシャーパリング』!!」

 

オーバーエンドで自分の身長ぐらいの大きさだったクルセイドロアが、三倍の長さになり、約四メートルとなった刃がロックベアを襲う。斬り上げ、回転斬り、突撃、四連斬からの強二連斬。これらの攻撃が休みなく、止め処なく繰り出され、耐え切れずにロックベアは倒れ、そのまま動かなくなった。

 

「「「「うわぁ…」」」」

 

「やっぱり、雑魚は雑魚だったか…ん?」

 

ロックベアが動かなくなった数秒後、悠斗の身体が光り出す。

 

「あぁ、そうだったよ…転生特典で、pso2エネミーを倒すと仲間になるんだったね…出でよ、『モタブの写本』(以下、写本と表記)」

 

転生する前に、あの女神から教えられた方法を試す(ちゃっかり方法を教わっている)。すると、ロックベアが光の量子となり、写本に吸い込まれた。

 

「「「「えええええっ!?吸い込まれた!?」」」」

 

「これでよし。それじゃ早速、出でよ『ロックベア』!」

 

すると、さっきまで悠斗に散々ボッコボコされていたロックベアが写本から出て来る。

 

〈マスター、呼んだか?〉

 

「「「「「…ゑ?」」」」」

 

〈…『何お前喋ってんの』って雰囲気、醸し出さないでくれ…〉

 

「「「「「喋ったぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」

 

〈いやいや、何でマスターも驚いてるんだよ…これテレパシーだからな?〉

 

「まさか喋るとは思ってなかったから。テレパシーだったのね」

 

〈ストレートッ!?〉

 

ガクンと項垂れるロックベア。シュールな光景である。

 

「まぁ、呼び出したのは召喚できるかどうかを試してみたかったから、もう戻っていいよ」

 

〈そうか…〉

 

といって量子になり、写本に戻った。

 

未だに混乱状態の四人を我に帰らせる。

 

「おーい、クエスト終わったよー、教会に戻るよー」

 

「えっ、あっ、う、うん、今行くよー」

 

私達は、クエストを報告しにギルドへと戻った。

 




冥夢「え?ロックベアの扱いが酷いって?…pso2ボスエネミーの中では最弱なんだし、これぐらいが妥当だと思います。因みに、ロックベアとの戦闘中、態度が豹変していましたがキレてはいません」

ロックベア〈解せぬ…〉


                 ~おまけ~
            『ギルドに戻る帰路での会話』


ネプテューヌ「悠斗、いきなり態度が豹変してたけど、あれ何?」

悠斗「あぁ、あれ?私自身戦闘狂だからさ、戦闘になると大抵ああなっちゃうんだ☆」

ネプギア「悠斗さんが戦闘狂…」

アイエフ「見た目とは裏腹に意外な一面を持っているのね…」

9/8 一部の文字を変更し、連携PAの名前を変更(連携PAは長い為)。


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第三話 ラステイションへレッツゴー! それと怒りのバックハンドスマッシュ

悠斗「…サブタイトル何?」

冥夢「実際にあった事じゃん」

悠斗「まぁそうだけど…」

冥夢「あまり長くなり過ぎるとあれだから始めるよ」

冥夢&悠斗「「第三話、始まります」」


ロックベアとの戦闘から約一ヶ月後。私はイストワールから頼まれた書類整理をしている。え?ゲイムギョウ界の文字はどうしたかって?自力で解読しましたが何か?その時は皆唖然としてたけど…何で?

 

何時もの様に書類整理を終わらせ、ネプテューヌ達がいるリビングに向かったが…

 

「いい加減に…してくださぁぁぁぁぁぁぁい!!!」

 

イストワールが怒ってるけど…何かあったの?悠斗はそう思いながらドアを開けた。が、

 

「あっ…」

 

悠斗がドアを開けたと同時にイストワールがゲーム機のコンセントを離してしまったようで、悠斗に当たりそうになるが、

 

「危なっ!?」ヒュン、シュパッ

 

何と、飛んできたゲーム機を反射的に避け、左手でキャッチしたのである。

 

『ビューティーフォー…』

 

皆はゲーム機を振り回したり、投げつけてはダメだよ?壁に打ち付けたり地面に打ち付けたりして、下手したらゲーム本体が壊れ、データが消し飛ぶ事になるからね。悠斗との約束だよ?

 

 

 

 

 

「申し訳ありませんでした!」

 

「いや、大丈夫だよ。それよりも、何か話があるんじゃないかな?」

 

「そうです!二人とも、これを見てください!」

 

と言って二人はイストワールをまじまじと…って違う、イストワール(そっち)じゃない。

 

「シェアクリスタルを見てください!」

 

へぇ、この結晶がシェアクリスタルなんだね。…心なしかPCの起動ボタンに似てるけど、気のせいだよね?

 

「このシェアクリスタルに何か問題が?」

 

「はい、クリスタルに集まる我が国のシェアエナジーが、最近下降傾向にあるんです」

 

そう言いシェアエナジーのグラフを見せながら、説明した。

 

「まだ沢山あるんでしょ?それなら心配ないんじゃないかな?」

 

「ネプテューヌ、慢心ダメゼッタイ。このままだと危ないと思うんだけど」

 

「悠斗さんの言う通りです!この下降傾向は、国民の皆さんの心がネプテューヌさんから、少しずつ離れているのですよ!」

 

「えぇ~?嫌われる事していないと思うんだけどな~?」

 

「…好かれる事もしてないと思うんだけど、その所どうなの?ネプテューヌ?」ニッコリ

 

「そ…それは…って、悠斗!?その笑顔が怖いって!?」

 

「ハハッ、キノセイダヨ」ニッコリ

 

と、悠斗が暗黒微笑をしていると、

 

「全く、悠斗の言う通りだけど、Sっ気まであるのね…」

 

アイエフとコンパが部屋にやってきた。

 

「すみませんイストワール様、話が聞こえたもので…」

 

「いえ、アイエフさんとコンパさんなら別に…」

 

「あいちゃんも、いーすんや悠斗の味方なの~!?」

 

「え?味方じゃなければ何があるっての?教えてよ、ねぇ?」

 

おぉ、責める責める。しかも言葉の一つ一つにグサッとくる言い方だから、更にネプテューヌの心に刺さる。しかも、ま だ 終 わ ら な い 。

 

「ねぷねぷ!これを見るです!」

 

コンパがそう言って見せたのが“女神いらない”と書かれたチラシである。

 

「女神…いらない…はうあっ!?」

 

「これからネプテューヌを『駄女神』って呼ぼうかな。第一仕事してないしねぇ?文句言えないよねぇ?」ニッコリ

 

「駄女神って!?もしかして私四面楚歌!?大ピンチ!?」

 

「「大ピンチなのはこの国の方です(なんだけど)!」」

 

イストワールは怒り口調で、悠斗は冷たい口調でそう言った。

 

(うぅ~、どうしよう、このままじゃ悠斗に『駄女神』って言われちゃう~!あ、そうだ!)

 

ネプテューヌは何かを考え付いたようだ。…嫌な予感が200%ぐらいするが。

 

「私、女神の心得を教わりにいくよ!」

 

「…えっ?」

 

「誰に教わるのさ?」

 

「ノワールに!」

 

『えええええぇぇぇぇぇ!!!??』

 

こうしてネプテューヌ達はラステイションへ向かう事になった。

 

Q、この国は大丈夫ですか?

A、もうダメかもしれない。

 

 

 

 

 

     ☆     ☆     ☆     

 

 

 

 

 

ラステイションに着いたネプテューヌ達は、ノワールのいる教会に向かったのはいいが…嫌な予感が的中しました。

 

「ねぇ、よく解らないけど、どうしてお隣の国の女神が人の教会で寝ているのかしら!?」

 

ど う し て こ う な っ た … 

 

「あっ、私の事は気にせずに~」

 

「気にするわよ!?」

 

「何か…ゴメンね、ノワール…(諦め)」

 

悠斗は謝り、ネプテューヌはノワールの教会をまるで自分の家の様に(くつろ)いでいて、ネプギアが必死に起こしている。…うん、もう一回言う。ど う し て こ う な っ た … 

 

「貴方も大変ね…ネプテューヌがこんなんじゃ…」

 

「いや、これでダメだったら今度こそネプテューヌを『駄女神』って呼ぶつもりだから」

 

「お姉ちゃ~ん、起きてよ~!」

 

「えぇ~?いいじゃん~ネプギア~」

 

(#^ω^)ピキピキ…(#゚Д゚)パッキィーン!!

 

悠斗の中で“何かが”割れるような音がした。

 

「…ダメだ、ネプテューヌを『駄女神』と呼ぶ呼ばない以前にほんのちょっとイラッと来た。ノワールちょっと待ってて」

 

「…?えぇ、いいけど…」

 

「…出でよコスチューム『カースドコートM』、髪型『カースドフード』、アクセサリー『ダークレイスウィング、封印されし真眼B、解放されし真眼 黒炎』、“鋼拳(ナックル)”『アディルバフォール』!」

 

そう唱えた瞬間、悠斗の服は真っ黒いコートに変わってフードも被り、背中に黒い翼が生え、左目が黒い眼帯で覆われ、右目は黒く燃え盛る炎と化し、装着している武器は、悪魔の頭を模した禍々しい鋼拳(ナックル)となっていた。

 

「「「!?」」」

 

「お、お姉ちゃん…ま…前…」

 

「え?前?…!?」

 

「ネ プ テ ュ ー ヌ … あんたさぁ、何の為にラステイションに来たんだい?まるで自分の家の様に(くつろ)ぐ為なのかい?え?」

 

さっきまでしていた口調は何処(いずこ)に。さっきまででもとっくに冷たかったが、完全に冷酷になっている。

 

「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!???」

 

悠斗の途轍もなく変わった姿を見て、ネプテューヌは完全に怯えていた。それもそうだ。ネプテューヌの目の前には“黒いコートを着て、翼も生え、左目は黒い眼帯で右目は黒く燃え盛る炎”と化して、最早悠斗の原型を留めていなかったのだから。

 

「ノワールから、女神の心得を教わるんじゃなかったのかい?忘れた?もしかして、やっぱり駄女神と言われたいかい?望むなら幾らでも言ってあげるけど?」

 

「ひいぃぃぃぃぃぃ!?申し訳ございませんでした!だからその武器と怒りを沈めに!?それと駄女神と言うのをお止めに!?」

 

「本 当 に や る ?」ギロッ

 

「やります!やりますので!」

 

「そう。それじゃあ私も責めるのを止めるよ」

 

「ホッ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と  で  も  言  っ  て  欲  し  い  の  か  い  ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?」

 

「私の勘だけど、女神の心得教わっても、あんまり効果が無いように見えてね…ネプテューヌ、そこに立って。フォトンアーツのバックハンドスマッシュかますから。あぁ安心して。ほんの二十メートル吹っ飛ぶだけだから」

 

「それって“ほんの”じゃないよね!?」

 

「問答無用!バックハンドスマッシュ!」ドゴォォォン

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」ピューーーン

 

「追撃、メテオフィスト!」

 

二十メートル吹っ飛ばされたが、上空に巨大な拳が出現した後ネプテューヌの頭上に落とし、そのまま“何処ぞかの大乱闘ゲームに出てくるメテオ状態”となった。

 

「「「「こ…怖すぎる(です)(わ)…」」」」

 

※これでも本当の怒りの百分の五にしか満ちません。

 

勿論元に戻った悠斗が回収しに行ったのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

     ☆     ☆     ☆     

 

 

 

 

 

「悠斗怖い悠斗怖い悠斗怖い悠斗怖い悠斗怖い…」

 

完全にトラウマとなっている。無理も無い。著しく変わった悠斗を目の前で見て、二十メートル吹っ飛ばされ、追撃に巨大な拳を落とされたのだから。

 

「…そのくらいで怯えてると、本気で怒った時になると立ち直れなくなるよ」

 

「あれで怒ってないの!?」

 

「“怒る”ではなく、“冷酷状態”だしねぇ…で、反省した?」

 

「反省しましただから私を思いっきり吹っ飛ばすのを止めて下さい」

 

「宜しい。で、ノワール、反省してるみたいだけど?」

 

「わ、悪いけどお断りよ、敵に塩を送る気はないから」

 

「えぇ~、敵じゃないよ~友好条約結んだ仲間なんだから~」

 

「シェアを奪い合うことに変わりはないから敵よ」

 

(敵…ねぇ…本当は仲間となりたいけど、プライドが許さないって感じだなぁ…)

 

「む~、そういうこと言うから友達がいないって言われるんだよ~」

 

「流石に友達はいるでしょ」

 

「えっ!?そ、そんなことないわよ!?と、友達ならいるわ!」

 

あっ…(察し)、これは確実に友達がいないパターンだね…明らかに焦ってるし…

 

「へぇ~、それは誰なの?」

 

「そ、それは…」

 

明らかに焦りが強まってるような。そろそろ止めよう。

 

「お姉ちゃん、この書類終わったよ」

 

「あら、ユニお疲れ様、そこに置いといて」

 

そこに書類を持ったユニが来た。

 

「ねぇ、お姉ちゃん…その今回は早かったでしょ?私頑張って…」

 

「そうね。“普通”ぐらいにはなったわね」

 

「………」

 

(ノワールにとっての“普通”って何なのだろうか…)

 

ノワールの言った言葉でユニは悲しそうな顔をしていた。

 

「あっ、もしかしてユニちゃんが友達?妹は“友達”ではないんじゃない?」

 

「なっ!?ち、違うわよ!他にちゃんといるわよ!」

 

「とか言って、本当はぼっちじゃないの~?」

 

「そ、そんな事ないわよ!」

 

もうこれは弁解無用だね…二人が言い争っていると、ユニはそっとこの場から立ち去った。

 

「ネプギア」

 

「悠斗さん?」

 

ユニの後を追おうとしたネプギアを止める。ネプギアは“何故私を止めたの?”という表情になっていた。それでも私がネプギアを止めたのは“ある”一つの理由があった。

 

「私も付いて行っていいかな?ユニの顔を見ると心が痛くなったし、何より“友達”をそのままにするのが一番嫌だから」

 

そう。悠斗には“友達や仲間は命を賭けてでも大切にする”という信念があった。見殺しにしたり、見捨てたりするのが悠斗にとっては許せない事だったから。

 

「解りました…悠斗さん、行きましょう」

 

こうして悠斗とネプギアはユニを探す事となった。『ライドロイド』で。




冥夢「最後にライドロイドが出てきましたが、あれは次回に出します。え?一人用じゃないのかって?操作は悠斗で、ネプギアは悠斗に掴まってます(ネタバレ)」





              おまけ(改変されたPAの紹介)            

pso2でのバックハンドスマッシュ:全身の力を込め、裏拳を放ち、エネミーを数メートル吹っ飛ばす。

この小説でのバックハンドスマッシュ:裏拳で二十メートルも吹っ飛ばす。

pso2でのメテオフィスト:小(小さな拳が幾つか降ってくる)、中(一発の中くらいの拳が降ってくる)、大(巨大な拳が降ってくる)の三つでランダム。

この小説でのメテオフィスト:任意で小、中、大を変更できる。 

10/14 一部の文字を変更。      


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第四話 銀の翼-ライドロイドー

冥夢「物凄く今更な話、“不定期更新”とタグを付けていますが、最低1ヶ月で投稿を目標にしています」

悠斗「こんな作者ですが、気長に待っていて貰えると嬉しいよ」

冥夢&悠斗「「それでは第四話、始まります」」


悠斗side

 

「あの…悠斗さん?ユニちゃんを探しに行くんですよね?なのに何故テラスにいるんですか?」

 

そうネプギアから質問が入る。それもそうだ、ユニを探しに行くのに何故かテラスにいるのだから。

 

「まぁまぁ。普通に行くよりも別の方法で探した方が新鮮だからね。さて…こんな早く使う時が来るとは思ってなかったけど、出でよ『銀の翼 ライドロイド』」

 

悠斗が呼び出すと、何処からともなく“歩行型のような機械に、ブースターとウィングが付いた”機械が現れた。

 

「!? あの…これって…」

 

「私が前世でやってたゲームの兵器の一つでね、これで“空を飛ぶ”事ができるんだよ。じゃ、ネプギア、乗って」

 

「いや…明らかに一人用だと思うのですが…」

 

「私に掴まってれば問題ないよ。それじゃ…ぶっ飛ばすよー!」

 

「それってどういう…」

 

「こういう事だよ!」キィィィィン!

 

そう言った瞬間、物凄いスピード(大体時速150km)で飛び上がった。

 

「いやぁぁぁぁぁ!?悠斗さん!?少しスピード落として下さいぃぃぃぃ!!!」

 

悠斗side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユニside

 

「…はぁ…」

 

私は溜息をつく。理由はお姉ちゃんに認めて貰えないから。私は私なりに頑張って…お姉ちゃんの為に仕事を頑張ったけど…それでもお姉ちゃんに認めて貰えなかった…

 

「私って…駄目な女神候補生なのかな…」

 

そう思うと自然に涙が出てくる…駄目駄目!こんな事を考えちゃ!私は…女神ブラックハートの妹…(すなわ)ち女神候補生なんだから!“今は”まだ女神化はできないけど…

 

「…帰ろう…」

 

私は帰ろうと立ち上がろうとすると、後ろから私を呼ぶ声がした。

 

「ユニちゃ~ん!」

 

「ユニ~!」

 

振り返ると、機械に乗って空を飛んでいるネプギアと悠斗さんだった。

 

ユニside out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠斗side

 

「ユニー何処ー?」

 

「これだけ空を飛んで探しているのに、見つからないですね…」

 

私達は、ライドロイドで空を飛びながらユニを探していたけど、全くと言っていい程見つからない。いや…まさかとは思うけどね…え?ネプギアはもう慣れたのかって?もう慣れていました。この子怖い…

 

「はぁ…仕方ない、“クイックターン”をするから、しっかり掴まっててね。掴まってないと必ず落ちるからね」

 

そうして、ライドロイドでクイックターンをするが…はい、さっきの予感が的中しました。正反対側にいたよ…

 

「そりゃそうだよね…一定の方向でしか探してないもの…まぁいいや。ネプギア、ユニいたよ」

 

「はい!…ユニちゃ~ん!」

 

「ユニ~!」

 

私達はライドロイドに乗ったまま、ユニに向かって声をかけた。勿論、ライドロイドを着陸させたが、こっちを振り向いたユニは少しだけど涙が出ていた。…確実にあの時の事だろうね…

 

「ネプギアに悠斗さん…」

 

「ユニちゃん、隣いい?」

 

「…うん…」

 

ネプギアはユニの隣に座る。…私?立ったままですが?

 

「どうしてここに?」

 

「ユニちゃんが悲しそうだから…心配で…」

 

「右に同じだよ」

 

「…そう…ごめんね、ネプギア…ごめんなさい、悠斗さん…」

 

「ううん、それよりもお姉ちゃんが話を遮ってごめんね」

 

「(謝る必要…ないと思うけどなぁ…)」

 

「いいわよ…お姉ちゃん、いつも私に対してはあんな感じだから…」

 

「そうなの?」

 

「うん…」

 

うわぁ…少しキツい感じだとは思ってたけど、身内に対しては厳しいんだね…明らかにピリピリしたオーラ纏ってたし…多分…自分に対しても厳しいんだろうね…

 

「お姉ちゃんよりも仕事ができないと褒めてくれないし…そんなの無理なのに…」

 

うっ!?何故だろう、ユニの言葉が心に刺さったような気が…あぁ…前世での事を思い出してしまったからか…前世での仕事(バイト)は、上手くいかない時が度々あって、仕事すらできなかった時があったからなぁ…ユニの気持ちが物凄く解る…

 

「ユニちゃん…」

 

「それに私…今はまだ…変身できないし…」

 

「変身?女神化の事?」

 

「はい…今はまだ出来ないですけど、(いず)れはネプギアもロムもラムも…」

 

「…凄いね…私に比べれば…」

 

「「え?」」

 

私の黒く、淀んだ歴史に比べれば、ユニの方が圧倒的に凄いよ…内容?…言いたくない…そんな暗いオーラを察したのか、ユニが話しかけてくる。

 

「あの…悠斗さん?どうしてそんな暗いオーラを発しているんですか?」

 

「…言いたくない。それとごめんね、話の腰を折って」

 

「いえ…大丈夫です…」

 

「でもユニちゃんは凄いよ、ノワールさんの仕事をしっかりこなしていて!」

 

「そんな事ないわよ、むしろお姉ちゃんの足を引っ張っているだけよ…」

 

まずい、私の暗いオーラが発せられてる所為なのか、ユニがネガティブになっている。まぁ、仕事ができる人を見て劣等感が生まれるのは解る。でもやっぱり…

 

「ユニ、そんなネガティブになっちゃ駄目。ノワールはあぁ言っているけど、内心では褒めているかもしれないんだよ?」

 

「そうだよユニちゃん!沢山努力して頑張っているんだから!」

 

「ネプギア…でも私は…」

 

「だから、ネガティブになっちゃ駄目。…意外だと思うけど、私から見れば二人が羨ましいよ…」

 

「「え?」」

 

「…私の黒く、淀んだ歴史を一部だけ話すけど、私ね、仕事(バイト)すらできなかった事あるし、褒められるのが稀なレベルだったよ…それに比べれば、二人は仕事ができるんだから…少しは誇ってもいいと私は思うな。…何様かと思うけど」

 

「い、いえ!そんな事ないです!ありがとうございます!」

 

ユニが顔を赤らめてお礼を言う。可愛いと思ってしまったのは内緒。

 

「…そろそろ戻ろう…ネプギア、ユニ」

 

完全に前世の“あの記憶”を思い出してしまう前に戻らないと…

 

「え…?は、はい」

 

「そ、そうですね!(明らかに、悠斗さんの暗いオーラが大きくなった?)」

 

私は完全に“前世のあの記憶”を思い出さないように気を使いながら、ネプテューヌ達のいる教会に戻る。

 

 

 

 

 

※因みに帰る時は、私とユニでライドロイド一機、ネプギアでライドロイド一機を使って帰りました。…あの短時間で操作できるようになったネプギア…恐ろしい子…

 

 

 

 

 

私達が教会に戻ったら“何これどうなってんの?”という雰囲気が教会を覆っていた。

 

「やめてぇ!?もうそれ以上触らないでぇ!?」

 

「え~!?女神の心得その一はまず書類の整理からって…」

 

「それは貴女の教会でやって頂戴よ!!」

 

「あはは…」

 

「えっと…」

 

「どういう事なのか誰か三行で頼む」

 

「私が女神の心得を教えたら

 何故か解らないけど私の教会で

 書類整理を始めてしまった

 誰でもいいから助けて」

 

恒例の四行目…ホント…ノワールも大変だね…

 

悠斗side out

 




冥夢「今回から、pso2では“pso2〇〇”、pso2とこの小説で変わった要素に“改変〇〇”と書く事にします。それでは、今回で改変された要素をどうぞ。

pso2ライドロイド:降りるには、ライドロイド射出という、“自身は飛び上がってライドロイドはそのまま突進”という行動をとらなければならない。

改変ライドロイド:ライドロイドに搭乗するには、呼び出しだけで現れ、いつでも搭乗する事ができる。降りるには、飛行機のように着陸させる事ができ、そのまま降りる事ができる。


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第五話 何もかも孤独で背負わずに、誰かを頼りにしてもいいと思う

冥夢「まさかの早めの投稿です。更に今回は“洞窟”があるので、あのエネミーが出てきます。」

悠斗「これでかなりの火力アップだね。ちょっとイタいルビが出てくるけど気にしないでね」

冥夢「…悠斗、軽く傷付く事言わないで貰えるかな?」

悠斗「あはは、ごめんごめん。それじゃあそろそろ…」

冥夢&悠斗「「第五話、始まります」」


「今回のクエストは二ヶ所、ナスーネ高原とトゥルーデ洞窟でモンスター退治よ。難易度はそう高くは…」

 

ノワールは今受けているクエストの説明をしている。今私達がいるところは、プラネテューヌとラステイションの国境に近く、“その足で帰りなさい”というのが正直なところだが、やっぱりキツい感じがする…しかし、それよりも気にする事が別にあった。

 

「ねぇ…ノワール…」

 

「何?どうしたの悠斗?」

 

「…説明は有り難いんだけど、私とユニ以外誰も聞いてないよ」

 

「えっ!?」

 

ノワールが振り返ると、歩き疲れて座るコンパとそれを気にするアイエフ、挙句はしゃぎながら歩いているネプテューヌ…これクエストだよね?ピクニックじゃないよね?

 

「おお!?これは有名な裏から見ると読めない看板!?」

 

…それ何処のドラ〇エ?

 

「お姉ちゃん、何処の看板も基本読めないよ…」

 

「ちょっと!?」

 

…何でこうなったし…人の話は最後まで聞こうよ…

 

 

 

 

 

「いい!?」

 

「ほら、ペース落ちてる!」

 

案の定、ノワールは木の棒でペースが落ちる(たび)にネプテューヌを(つつ)いていて、ペースが落ちないようにしていた。

 

「も~!ノワールは真面目なんだから~いつもそんなんじゃ疲れない?」

 

「悪い?それに疲れぐらい大した事はないわよ、私はもっともっといい国を作りたいのよ」

 

ノワールの言っている事は最もだと思う。ラステイションの女神だからみんなを幸せにしたいのは解るんだけれど…常にピリピリしたオーラを纏っているし、少しくらい肩の力を抜いてもいいと思う…でないと(いず)れ大きな失敗や無茶をしてしまうかもしれない…

 

仕事に一生懸命なのは解る。でもその所為なのか周囲に壁を作っている感じがする…まるで、自分を押し殺すかのように、自分で全てを背負い込むように…それだけではただ自分が辛いだけ。ユニに厳しく接してしまうのはその所為なのかな?と考えてしまう。

 

「そりゃあ私だっていい国作りたいけど…どうせだったら楽しい方がいいな~」

 

「「あんた(貴女)は楽しみすぎ(なの)!」」

 

「悠斗!?」

 

え?何か悪い事でも言った?流石にこればっかりはね…弁解のしようがないよ…うん、諦めて、ネプテューヌ。そう溜め息をついていると、前方から人の歓喜の叫び声が聞こえてくる。その声を聞いたノワールは直ぐさま走り出し、森の出口付近で止まる。

 

「キャ~!女神様よ~!」

 

どうやらその歓声は村人達だった。ノワールの姿を見たら更に歓声が大きくなった。流石、信仰されているだけはあるね。

 

「いけない!アクセス!」

 

「え~!?今ここで変身しちゃうの!?」

 

どうやらネプテューヌも同じ考えだったらしい。それとは引き換えにノワールは輝き出し、銀色の髪に“プロセッサユニット”と呼ばれるものを装着し、レオタードを着た、私が初めて見た“ブラックハート”そのものだった。

 

「女神の心得その二、国民には威厳を感じさせる事よ。皆さんモンスターについて聞かせてくれるかしら?」

 

「目の前で変身しても威厳とかなくね?」

 

「それは気にしたら負けだと思うよ。取り敢えず、私達も行こう」

 

私達はノワールの後を追い、村人達のところに向かった。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆             

 

 

 

 

 

「ここがナスーネ高原ですね」

 

「えぇ、ここでスライヌが大量発生して、困っているのです…」

 

うわぁ…至るところにスライヌがいる…確かに、何処ぞかのキング・オブ・ザコとはいえ、これだけいると困るよね…

 

「解りました、ではここはお隣の国のネプテューヌさんとネプギアさんが対処してくれるそうです」

 

…え?ネプテューヌ達に振った?当然ネプテューヌ達は驚きを隠せていない。

 

「ねぷぅ!?いきなり!?」

 

「私たちがやるのですか?」

 

「女神の心得その三、活躍をアピールするべし」

 

いや、ここで活躍したらネプテューヌの方にシェアが行く筈。あれ?“敵に塩を送るつもりなどない”と言ってたけど…そう考えると、プラネテューヌとラステイションの国境付近にした理由が解る。もしかしてノワールはネプテューヌの事を敵とは思ってないんじゃ…素直じゃないなぁ…

 

「まあいっか!スライヌなんてヒノキの棒でも倒せるもんね!」

 

ネプテューヌ…それを“フラグ”って言うんだよ…そう心の底で思っていたら、ネプテューヌとネプギアはスライヌの前に立っていて、それぞれの武器を出していた。

 

「それじゃ~いくよ~!ネプギア!」

 

「うん!お姉ちゃん!」

 

さて、私も行こうか。武器はどうしようかな…よし、今回は銃装備で行こう。

 

「出でよ“双機銃(ツインマシンガン)”『不知火星(しらぬいぼし)』!」

 

悠斗が両手を交差させ、『不知火星(しらぬいぼし)』と呼ばれる“双機銃(ツインマシンガン)”を呼び出した。すると、ショットガンが小型化して黒と橙を象徴とし、銃身に紅葉の模様が入った2つの銃が握られていた。

 

「先手必勝!『エルダーリベリオン』!」

 

悠斗は前進しながら、“エルダーリベリオン”と呼ばれるフォトンアーツを放つ。9連射撃の為周りのスライヌが巻き込まれて、光の粒子に変える。

 

「おお!悠斗もやるね!私も負けてはいられないね!てやぁぁぁぁぁ!!!」

 

ネプテューヌは太刀でスライヌを切っていく。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

ネプギアもビームソードで切り、次々と倒していく。

 

姉妹だからか、二人の戦闘スタイルはよく似ている。

 

でも…スライヌ…やっぱり多くね?

 

「はっ!!!」

 

「えいっ!」

 

そう考えていると、アイエフとコンパも何時の間にか戦ってくれていた。

 

アイエフはカタールで鎌鼬(カマイタチ)のようにスライスしながら、コンパは注射器でスライヌを突き刺し、中の液体を注入して倒していく…うん、あの注射器には絶対刺されたくない…

 

「これで百人力!もう勝ったも当然…」

 

…ネプテューヌ…フラグを乱立させないで…

 

そのフラグは回収されてしまったようだ…フラグの力って怖い…

 

「ふぇ?うにゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「きゃぁ!?」

 

「おっと、危ない危ない…」

 

スライヌの大群に巻き込まれており、対処できない人がいるのに、冷静に対処している人が一人。何故なら、“双機銃(ツインマシンガン)”で遠距離攻撃かつスタイリッシュロールをしていたから。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

今ネプテューヌさん達はスライヌの群れに苦戦している。アタシも驚いた、まさかあそこで増援が現れるなんて思いもしなかったから。だからアタシも加勢するしかない!アタシはお姉ちゃんに声をかける、アタシも一緒に戦う為に。

 

「お姉ちゃん!」

 

「ダメよ」

 

「え!?どうして!?」

 

だけどお姉ちゃんはアタシを制止する。

 

「これはあの子達がやる事に意味があるのよ。だから…ね」

 

「お姉ちゃん…解った」

 

お姉ちゃんの言葉に疑問を持ちつつも、アタシは投稿用の写真を撮る方に集中した。けれど…

 

「…お姉ちゃん、悠斗さんは人間だよね…」

 

「ユニ、その気持ち解るけど…れっきとした人間よ。悠斗は…」

 

お姉ちゃんはそう言うが、この光景を見たら本当に人間なのか疑いたくなる。何せ、装脚?みたいなものを装備し、重力を無視して縦横無尽に回っていたから。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

悠斗だよ。うん、言いたい事は解るよね?どうしてこうなった…

 

「アハハハ!くすぐったいよ!?アハハハハハハ!!!」

 

「そんなとこ入ってきちゃダメぇ!?」

 

「ひゃあ!?へ、変なところをさ、触るな!」

 

「気持ち悪いです~!」

 

スライヌ達に襲われているよ。…私以外。というか、この状況、かなり危ない事になっているんだけど。何処のR18ゲーム?まぁ、それはそれとして、ずっとこの状況なのも癪だからスライヌ達を一網打尽にして解放してあげますか。

 

「武器変更。“魔装脚(ジェットブーツ)”『フブキトウシュウ』!」

 

悠斗がジャンプし、『フブキトウシュウ』と呼ばれる“魔装脚(ジェットブーツ)”を呼び出した。すると、金と青が象徴とした脚の装備に、桜の模様が入った刃が付けられ、それを紐で固定している脚の装備が装着されていた。

 

「『ゾンディール』でスライヌ達を集めて…からの『モーメントゲイル』!」

 

悠斗は、雷テクニックの一つ、『ゾンディール』で辺りのスライヌを吸引した後、高速で左右に飛び回り、派生し視認できない程回転し、スライヌを光の粒子に変えていく。そうしたら…

 

「だああああああああああ!!!!!」

 

はい、アイエフがブチギレました。解らなくもけども…私も悪ノリしてみますか!

 

「お前らの魂、冥界に送り返してやるよ!!!!!」

 

「スライヌ達、廻り廻って舞い踊れぇぇぇぇぇ!!!」

 

「あいちゃんが壊れたぁぁぁぁぁ!?悠斗が人間離れしたぁぁぁぁぁ!?」

 

え?そうなの?いや、普通に考えれば、高速で左右に飛び回り、視認できない程回転する一般人とか有り得ないしね…

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…お、終わった…」

 

「さっきが本当の“数の暴力”…」

 

「暫くゼリーとか肉まん見たくない~、それにまさか悠斗が人間離れするなんて…」

 

「…常識的に考えればやっぱりそうなるよね…」

 

私とアイエフの無双により、スライヌ達は根こそぎ撃退された。けど、周りには倒れ込むネプギアとコンパ、へたり込むネプテューヌがいた。そこに、ノワールがやってきた。

 

「どうして女神化しないの!変身すればスライヌくらい…」

 

ノワールは怒りの声を上げる。それもそう、あの時変身していれば、スライヌなど敵ではなかった事を彼女は知っているから。でも、ネプテューヌの事だから忘れてたりするんだよなぁ…当の本人は頭を掻きながら笑ってるし…やっぱり忘れてたんだ…

 

「まぁまぁ、悠斗達のお陰で何とかなったし…」

 

「もし、いなかったらどうしてたのよ!?そんなんだからシェアが…精々(せいぜい)休んでおきなさい!」

 

ノワールは村人達にトゥルーネ洞窟の場所を教えて貰いに行った。

 

「わ、私も…」

 

「大丈夫よ、ユニはネプギア達を介抱してあげて」

 

「う、うん…」

 

ノワールはそう言った後、一人でトゥルーネ洞窟へと向かって行った。女神の務めを果たそうとしてるんだけど…何?このざわつく気持ちは?女神化してるから大丈夫だとは思うけど、よくある“単独行動は一番危険”って言葉もあるし…それに…やはり嫌な予感がする…

私はこっそりと、ノワールの後に着いて行く。

 

 

 

 

 

 

ノワールside

 

「消えなさい!」

 

私はモンスター倒していった。それにしてもここのモンスターは大した事ないわね、そして洞窟の奥まで進んでみたけど、ここで行き止まりだった。何か拍子抜けね。

 

「ここで打ち止めね…!」

 

引き返そうとしたその時、背後から気配を感じた。後ろを振り返ると…

 

〈この感じは…フォトンに似ている…だが、フォトンでない…?汝は何者だ?〉

 

「!?」

 

そこにはエンシェントドラゴンではなく、RPGで出てくるドラゴンの容姿に加え、翼が付いており尻尾に結晶が付いているドラゴンだった。でも、何よりも気になったのは、脳内に直接話しかけている事だった。それに、何者って言いたいのはこっちの方よ!

 

「貴方こそ、何者なのよ!」

 

〈我か?我は『ヴォル・ドラゴン』。ここにいた我と同じ大きさのドラゴンは倒しておいたぞ?〉

 

「貴方…エンシェントドラゴンを倒したというのね?中々強そうじゃない!」

 

〈戦闘態勢に入っているが、我が戦うのは汝ではない。フォトンの力を持った人間だ〉

 

「(フォトンの力を持った人間?まさかそれって…)」

 

〈汝よ、立ち去るがよい。フォトンの力を持っていなければ無意味なのだからな〉

 

「嫌よ、ここまで来て何も収穫が無いのは。なら、貴方を倒す!」

 

〈そうか…なら、消え失せるがよい〉

 

その刹那、ヴォル・ドラゴンというモンスターから爆発が混ざった火球が発射される。その火球は結構な速度で、回避に転じる事ができずモロに受け、その衝撃で私は壁に叩き付けられてしまった。

 

「くっ…あっ!?」

 

立ち上がろうとするが、力が抜ける感覚に襲われ、女神化が解けてしまった。何故!?どうして!?考えても解らない。ヴォル・ドラゴンは炎を吐こうとしているが、後ろに壁があり逃げる場所もない。

 

「あ…いや…」

 

私は、初めて“恐怖”という感情に呑まれ、動く事もできなかった。ここで…終わるのかな…ヴォル・ドラゴンは私に向かって火炎放射を放った…

 

「せぇい!!!」

 

――ガキィン!!

 

〈グオォ!?〉

 

だが火炎放射は悠斗のガードによって掻き消された。

 

「…悠斗?」

 

「大丈夫?ノワール?」

 

悠斗が身を挺して私を助けてくれた。

 

ノワールside out

 

 

 

 

 

危ない…ホント、ギリギリだったよ…ノワールがピンチに陥っていたなんてね。でもまさか、洞窟にヴォル・ドラゴンがいるなんてね…

 

「(何でヴォル・ドラゴンまで…)」

 

〈汝が、フォトンの力を持った人間か…〉

 

やっぱり、テレパシーを使ってくる…それより、ノワールと話をしたいから、待つように促す。

 

「…ヴォル・ドラゴン、ちょっと、この人と話をしたいから待っててくれる?」

 

〈解った。待とう。だが、10分までだ〉

 

「悠斗!?何でここにいるのよ!?いいから早く逃げなさい!」

 

「…ノワールを置いて?」

 

そんな事…私にはできない。できる筈もない。逃げたくない。…正直、ドラゴン相手にするのは初めてだけど。

 

「いいから逃げなさい!はっきり言って貴方がいては邪魔よ!あいつは私一人で平気よ!」

 

…さっきまで恐怖で動けなくて、今にも泣き出しそうな顔だったのに…心細かったんだと思う…助けて欲しかったと思う…なのに…!今でも意地を張っているのさ!何で…何で…素直に“助けて”と言わないんだよ!

 

「解ったら早く「…黙って」っ!」

 

「さっき、怯えてたよね?怖がってたよね?なのに、一人で平気?何処が?何で今この状態でも意地を張るの?」

 

「っ!」

 

「ノワールはさ、何もかも一人で物事全て背負い込み、周りに強固な壁を作っているよね。それ自体悪い事じゃないけど、自分から孤独になろうとしてるよね?」

 

「そんな事ないわよ…私は女神なのよ…」

 

「…それで?だから何なのさ?言い訳にならないよ。女神だからって怖がっちゃいけないの?誰かを頼っちゃいけないの?そんな訳無いよね?」

 

「っ…!」

 

「いいんだよ…怖がっても…誰かに頼っても…悪い事じゃないんだよ…?だから…一人で物事全て背負い込まないで…ノワールにはユニやネプテューヌ達がいるんだよ?それなら頼ればいいんだよ?まだ強いか解らないけど…私にも頼っていいんだよ?」

 

「…!」

 

「だから…帰ろう…ノワール…“また”仲間を失ったら…私が壊れちゃうから…」

 

「悠斗…」

 

〈取り込み中悪いが、話は終わったか?〉

 

「うん…終わったよ…それじゃあ…戦おうか…出でよ長杖(ロッド)『グラヴィリオス』!」

 

悠斗は一気に戦闘態勢に移行する。その手には青い龍が象徴とされた杖を持っていた。

 

〈我はヴォル・ドラゴン。汝が我の力を受け継ぐ力があるのか、見届けさせて貰うぞ〉

 

こうして、悠斗対ヴォル・ドラゴンの戦闘が始まった…

 

 

 

 

 

先に仕掛けたのは、ヴォル・ドラゴンの方だった。

 

〈殺す!〉

 

ヴォル・ドラゴンが左手を地面に叩きつけると、マグマが噴出する。だが悠斗はミラージュエスケープで華麗に避ける。

 

「(確か、ヴォル・ドラゴンは氷と闇が弱点だったよね…そうなると、属性は氷と闇2つだけに限られるか…)今度はこっちの番だね。『サ・バータ』!」

 

悠斗がグラヴィリオスを前に向けると、何処からともなく氷柱が悠斗の周りに出現し、それがヴォル・ドラゴンに向けて放たれる。

 

〈掻き消してくれる!〉

 

だが、ヴォル・ドラゴンの炎ブレスで氷柱は掻き消される。

 

「それじゃあ、『メギド零式』!」

 

今度は闇の球体を十数個生み出し、流星群のように落とした。

 

〈ほう…我のもう一つの弱点を付くとは…流石、フォトンの力を持った人間…いや、“アークス”と言うべきか?〉

 

「そりゃどうも。でも、攻撃を緩める訳にはいかないんでね。『ラ・バータ』!」

 

悠斗の周囲に吹雪が起こり、ヴォル・ドラゴンの足を凍らせる。

 

〈(ちっ…凍ってしまったか…)〉

 

ヴォル・ドラゴンは、悠斗が攻撃すると思ったが、悠斗は何もしなかった。

 

〈(何故、何もしないんだ…?)〉

 

そう考えている内に氷が溶けて、足が外せるまでになった。

 

〈汝…何故攻撃をしなかった?〉

 

「だって…動けないところをタコ殴りにしても面白くないし、何よりも最大攻撃を放ってないしね」

 

〈汝…正々堂々としてるんだな…そうか…我の最大攻撃を刮目したいのだな?〉

 

「うん。でも、私も氷と闇の最大攻撃を放つから」

 

〈解った…では…刮目し、喰らうがいい…〉

 

ヴォル・ドラゴンは地面に潜る。これが、最大攻撃を放つ予備動作なのだ。

 

ヴォル・ドラゴンが出てくると、全身が金色に染まっており、まるで鎧を纏ったような姿になった。その黄金鎧を纏ったヴォル・ドラゴンは飛び上がり、溜め動作を始めた。

 

〈我の超火炎弾(メガフレア)を!!!〉

 

「準備完了。合成テクニック『イル・ナ・メギバータ』!!!」

 

ヴォル・ドラゴンは巨大な火炎弾を、悠斗は巨大な氷と闇の結晶を放つ。その二つがぶつかり合い、大爆発を起こす。

 

数秒の静寂の後、煙が晴れる。どちらも平然と立っていた。が、

 

〈汝のフォトンの力…しかと見届けたぞ…汝なら我の力も使いこなす事ができるであろう…受け継ぐがよい〉

 

そう言った瞬間、ヴォル・ドラゴンの身体が光り出し、咄嗟に写本を構える。その刹那、その光が写本に吸い込まれた。

 

「受け継ぎ…完了」

 

私は写本を仕舞う。ん?あそこにいるのはネプテューヌ?取り敢えず呼んでみる。

 

「おーい、ネプテューヌ!」

 

「悠斗!さっきの戦闘凄かったよ!特に、火の玉と悠斗の魔法が合わさって大爆発が起きた時はね!」

 

もしかして…ずっと見てた?見てるだけなら加勢すればいいのに…

 

「取り敢えず、ノワール起こそっか」

 

「おーい?ノワール?」

 

「え?あ、悠斗とネプテューヌ…」

 

「大丈夫?」

 

「ええ…ありがとう…」

 

「悠斗もそうだけど、私の方こそ感謝しないとね」

 

「ネプテューヌ…気付いてたよね?」

 

「その様子からして、悠斗も気付いてたみたいだね?」

 

「な、何の事よ…」

 

「ノワール、とぼけようとしてもダーメ。クエストの事だよ。ここ、プラネテューヌとラステイションの国境近くだよね?ここを選んだのは、“ネプテューヌが活躍すればプラネテューヌに伝わり、シェアが回復できる”だよね?」

 

「えぇ!?ちがっ!?///」

 

「どうやら正解みたいだね」

 

「そうだね」

 

ノワール、照れてももう弁解無用だよ…(苦笑)

 

「でも…」

 

何やらニヤリとした笑みを浮かべるネプテューヌ。嫌な予感がするのは気のせいだよね?

 

「負けそうになった女神のことも報告しないとね~☆それと、悠斗とのラブコメの事もね~☆」

 

「え?」

 

「ちょっと!?ラブコメなんてしてない!?」

 

ラブコメ?もしかして、私がノワールを抱きしめていた事?え?何時抱きしめたのかって?「いいんだよ…怖がっても…(以下略)」のところですが何か?というかネプテューヌ、あれ絶対言う気だね…

 

「まぁ、ネプテューヌの処刑(O☆HA☆NA☆SHI)は戻ったら速攻するとして、私達も戻ろう?」

 

「それは山々だけど…さっきの戦闘で腰が抜けて立てない…」

 

「はぁ…もう…仕方無いなぁ…よいしょっと」

 

「ちょ、ちょっと!?この体勢って…///」

 

ノワールの顔が真っ赤になる。それもその筈、“お姫様抱っこ”の状態なのだから。

 

「少しの辛抱だから、我慢しててね?」

 

「でもこの体勢、恥ずかしいわよ…///」

 

「対処法がこれしかなかったからね、仕方ないね」

 

何時も通り、冷静に言いながら、私達は出口へと向かった。

 

その後、プラネテューヌのシェアが急激にアップしたが、原因はネプギア達のあられもない写真で、ネプテューヌの送信間違いだったのはまた別のお話。

 

プラス、悠斗がネプテューヌに処刑(O☆HA☆NA☆SHI)をしたのもまたまた別のお話。




冥夢「気が付いたらこんな文字数に…そして、途中から厨二展開になりましたが、これからもあのような厨二展開があると思います。それでは、今回出てきた改変したテクニックと、私の想像で追加したテクニックと、合成テクニックについて説明します。」

改変サ・バータ:普通は、頭上に氷柱を落とすのだが、改変の場合、周りに氷柱が出現し、敵に向かって射出する。

メギド零式:一斉に十数個の黒紫色の球体を生み出し、流星群のように落とす。勿論、敵に当たった時は炸裂する為、範囲攻撃が可能。

イル・ナ・メギバータ:フォトンの凝縮のナ・メギドと、威力を増幅させる紋章のイル・バータを合わせたテクニック。闇と氷の魔方陣が展開され、展開が完了すると、巨大な氷と闇の結晶となり、撃ち出して大爆発を起こす。だが、魔方陣展開完了まで5秒かかる。


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第六話 ルウィーへ、そして悠斗の敗北

悠斗「サブタイトルが完全にネタバレなんだけど」

冥夢「そこに気にしては負け」

悠斗「アッハイ」

冥夢&悠斗「「それでは、第六話、始まります」」


ここは女神ホワイトハートもといブランの治めている国、ルウィーに私達は来ている。目的は女神の心得を教わる為だけど…もう…ね。完全に諦めている。他の目的もあるらしいけど、私は知らない。それは兎も角、

 

「ここがルウィーかぁ…すっごい綺麗だなぁ…」

 

前世で暮らしていた地域でも雪が降る事が偶にあったが、黒ずんで溶けていってしまい、こんなに綺麗ではなかった。でもこの国は違い、“銀世界”を彷彿とさせるまでに雪に覆われており、その景色は“圧巻”の一言に尽きる。

 

それに、街行く人々が目を合わせる度に笑顔を向けてくれた。その笑顔は“こちらも温かくし、優しい気持ちにさせてくれる”ような笑顔だった。…優しいって…いいね…あはは…

 

「悠斗?何か表情が暗いよ?」

 

「…はっ!?」

 

気が付いたら私は俯いていて、突然の事に心配したネプテューヌが声をかけてくる。割と本気で気付かなかった…

 

「どうしたのよ?いきなり俯いたりして…」

 

「…ごめん、ちょっと前世の記憶を…ね」

 

「そういえば悠斗さん、前世では何があったんですか?」

 

「ごめん、その事については本当に言いたくないんだ…幻滅するから…(ボソッ)」

 

「え?」

 

「いや、何でもないよ。それじゃ気を取り直して、教会に行こう?」

 

私は前世の記憶を思い出させないように気を使いながら話を逸らし、強制的に気を取り直させ、ルウィーの教会へ向かう。

 

「…明らかに無理矢理自分を行動に移してるよね…悠斗…」

 

「えぇ…私を助けてくれた時、『“また”仲間を失ったら壊れてしまうから』って言っていたし…『壊れてしまう』って一体何なのかしら…」

 

「悠斗さんが壊れるって…一体…」

 

ネプテューヌ達は悠斗に聞こえないように喋りながら悠斗の後を追った。

 

 

 

 

 

一方その頃―――――

 

ここはルウィーの教会の一室。その扉は厳重に閉じられていて、明らかに“立ち入り厳禁”という雰囲気を醸し出しているこの部屋には、この国の女神ブランともう一人…

 

「宜しいのですね?この計画が実行すれば、世界に革命的変化が訪れますわよ?」

 

「承知している…だからこの計画は絶対にばれないようにしないと…」

 

リーンボックスの女神のベールである。二人は真剣な表情で話している。それもそうだ。世界にとって革命的な事を話しているのだから…しかし、それをよそに…

 

「きゃはははははは!!!」

 

「お待ち下さぁぁぁぁぁい!!!」

 

「逃っげろ~~~!!!」

 

部屋の外は騒がしいのであった。その原因はロムとラム。どうやら悪戯をした所為で追いかけられているようだ。メイドさんは、息を切らしながら二人を追いかける。だが元気一杯な二人に追い付く事がなく息を切らしている。だが、物事には必ず終わりを迎えるのだ。

 

 

 

―――――バンッ!!!!!

 

 

 

と大きな音がして廊下中に響き渡る。

 

「お前ら…仕事中は静かにしろって言ってんだろ!!」

 

「も…申し訳ありません!」

 

今度はブランの怒号が廊下中に響き渡る。メイドさんは頭を下げ、ビクつきながらブランに何度も謝る姿勢を見せた。一方ロムとラムは謝る姿勢を見せず、ニコニコと笑顔でブランの下に行き、何かを差し出した。

 

「お姉ちゃん!見て!見て!」

 

「?…!?こ、これ!?」

 

ロムとラムはブランの似顔絵であった。クレヨンで描かれた幼い絵であるが、一生懸命ブランの事を思いながら描かれた絵である。こういう絵を見せられたら喜ぶであろう。…普通は(・・・)。だがブランは体を震わせてこめかみに青筋を起ててキレる寸前である。何故なら、描かれた紙に問題があったからである。

 

「私の大事な本に~!!!お前らぁぁぁぁぁ!!!」

 

二人が使った紙は、ブランが長い年月をかけ集めた大切な本だったからだ。しかも貴重な本だった為にブランの怒りはまるでテクニックカスタマイズの“火焔のラ・フォイエ”のように大爆発していた。そんなブランを見て二人は怖がるどころか逆に笑顔になり、ブランから逃げるのであった。

 

「本と同じ顔になった!」

 

「逃っげろ~~~!!!」

 

「待ちやがれぇぇぇぇぇ!!!お前らぁぁぁぁぁ!!!」

 

完全にブチギレたブランは二人を捕まえようとするが二人は楽しそうに逃げる。生死をかけた鬼ごっこに見えるのにも関わらず。ロムとラムは幼いが為、姉に構って欲しいからああいう行動に出たのだろう。だがブランはどうか?大切な本に絵を描かれたのだから頭に血が上っている。そんな様子を見ているベールは優雅に紅茶を楽しみながら、三人の行く末を見守っている。まるで“お姉さん”のように。ブラン達が廊下の角を曲がった時…

 

「っ!?」

 

「ネプギア!それにユニちゃん!」

 

ルウィー教会に到着したネプテューヌ達と鉢合わせした。ロムとラムは友達のネプギアとユニが来てくれた事に喜んでいる。ブランはいきなり出会ってしまったので少し驚いている様子だった。

 

「遊びに来てくれたの?」

 

「うん、遊びに来たよ!」

 

「ヤッホー!ブラン、来ちゃった~☆」

 

「久し振りだね。ブラン」

 

「貴方は…櫻井悠斗…久し振りね…」

 

悠斗はパーティー以来の再開をした。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

場所は移り、教会の中庭。妹達は雪だるま制作し、四女神と私は中庭のテーブルに腰を掛けて、出された紅茶を飲んで一息ついていた。

 

「…それで、貴方達は何をしに来たの?」

 

「そうそう、最近ルウィーに新しいテーマパークが出来たから遊びに来たの!」

 

…何だろう、私の予感がかなり的中するんですが。それはさておき、ネプテューヌ…遊びにって…女神の心得はどうするのさ…

 

「イストワールからは女神の心得を学びに来ると聞いたのだけど…」

 

「それはもういいよ~前回だってそんなに役には「…ネプテューヌ、またバックハンドスマッシュ喰らいたいのかな?」いえ何でもありません」

 

役に立たないと言おうとした為即座に止める。何で拒絶するのかな?ほんの二十メートル吹っ飛ぶだけなのに…え?それが駄目?

 

うん、やっぱり今回も駄目そうだね…諦めよう☆

 

「ベールも久し振りだね」

 

「悠ちゃんもお久し振りですわ。この世界の生活には慣れましたか?」

 

私に声をかけたのは隣にいるリーンボックスの女神ベールだった。それにしても“悠ちゃん”ねぇ…前世ではそのように呼ばれた事がないからある意味新鮮だよ。まぁそれでもいいかな。というか、前世での記憶思い出しそうだから止めようか。私。

 

「うん、皆が色々教えてくれたから。文字は自力で解読したけど」

 

「えっ!?自力で解読したのですか!?」

 

「うん。そうだよ。半日かかったけど」

 

「それでも凄いですわ…たった半日でゲイムギョウ界の文字を解読するなんて…」

 

「悠斗って結構凄い能力持ってるよね」

 

「えぇ…ゲイムギョウ界の文字を自力で解読した人は初めてですわ…」

 

「聞こえてるよ、ネプテューヌにベール。そんなに凄い事なのかな…まぁ、それは置いといて、テーマパークねぇ…」

 

テーマパークなんて一度も行った事ないなぁ…行ってみたいな…

 

「その噂なら私も耳にしていますわ。皆で遊びに行ったら楽しいのではないかしら?」

 

「テーマパーク!?行きたい行きたい!」

 

「連れて行って!ワクワク♪」

 

情報が耳に入るのがお早い様で。テーマパークの話を聞きつけたロムとラム二人組は大はしゃぎ。“今すぐ行きたい”という気持ちが伝わってくる。けど、ブランが心なしか疲れている様な表情をしている。

 

「…妹達を連れて行って貰えるかしら?」

 

「…ブラン?」

 

「お姉ちゃん…行かないの?」

 

悠斗とロムが問いただすが、ブランは躊躇して一緒にテーマパークに行く事を拒否するブラン。それを聞いたロムとラムはとても悲しそうな顔をしている。仕事も大事だけど、家族の触れ合いも大事だと思う…

 

「え~?仕事ならやめなよ~昔の偉い人も言ってるよ?『働いたら負けかな』って思ってるって!」

 

―――――ピクッ…

 

「ネプテューヌ、仕事がしたくてもできなかった前世の私をバカにしてるのかい?しかもそれ偉い人じゃないし」ゴゴゴゴゴ…

 

何か前世の時の私を真っ向から否定し、バカにするような単語が出てきた為、黒いオーラ全快でネプテューヌを睨む。…だから前世の話はするなっての…

 

「いえ!?そんなつもりは!?」

 

「頼むからさ、仕事関連の話はしないで…」

 

「わ…解った…(ガクブル)」

 

そんなやり取りをしている時、ブランが机を思いっきり叩いた。思わずビクついて、ブランの方へ顔を向く。勿論、全員が。

 

「兎に角!私は行けないから…」

 

「あっ!ブラン!」

 

「ブラン!」

 

声をかける暇もなく、そのままブランは立ち去ってしまった。私達はその後ろ姿を呆然と眺める事しかできなかった。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆      

 

 

 

 

 

所変わってここはスーパーリテールランド。何処ぞかの配管工を連想させるが、気のせいだと思いたい。

 

「わ~い!」

 

「待って…ロムちゃん…!」

 

「二人共~!待って~!」

 

「ネプギア!入場券!!」

 

「ひゃっほぉぉぉう!!!初めてのテーマパークだぁぁぁ!!!」

 

高校生にもなってロムとラムのようにはしゃぐ人が一人。それは悠斗である。無理もない。悠斗にとっては初めてのテーマパークなのだから。

 

「ふふっ、悠ちゃんったら、まるで子供のようにはしゃいじゃって…可愛いですわ♪」

 

「そうね、さっきまでの暗い表情が嘘みたいだわ」

 

「あら、あんなに楽しそうなのに暗い表情をしてましたの?」

 

「えぇ…前世の記憶を思い出しそうで、私を助けてくれた時に『“また”仲間を失ったら壊れてしまう』って言っていたし、それが引っ掛かっているのよ」

 

「悠ちゃんが“壊れてしまう”ね…非常に気になりますわ。それと、悠ちゃんの前世の記憶って?」

 

「言いたくないみたいよ。『幻滅するから』…って」

 

「言いたくないって…悠ちゃんに何があったのかしら…」

 

ベールとノワールが悠斗についてのやりとりをしていると、

 

「テーマパークってこんなに楽しい所だったんだなぁ…(満面の笑み)前世ではほぼ絶対に行けなかったからなぁ…」

 

さっきまでの暗い表情は完全に消え失せ、明るく、最高の笑顔だった。

 

「何気に、悠斗のあの“希望に満ち溢れた”表情を見るのは初めてね」

 

「やっぱり悠ちゃんには笑顔が一番似合いますわ♪」

 

「ベールにノワール、何の話?」

 

「貴方についてよ。『“また”仲間を失ったら壊れてしまう』という事と前世での記憶の事」

 

「あはは…ごめんね。それは本当に言いたくないかな…まぁ、何れ話す時が来るかもしれないから。それじゃ、ロムとラムのところへ行ってくるね。ちょっと提案を思いついたからね」

 

「ふふっ、行ってらっしゃいな♪」

 

 

 

 

 

「ロム、ラム」

 

「あっ!お兄ちゃん!」

 

「お兄ちゃん、どうしたの?」

 

「コイン集めをしようと思ってね」

 

「コイン…集め…?」

 

「うん。一杯集めて、一緒に行けなかったブランにお土産として持っていくんだけど…どうかな?」

 

「うん!やる!お姉ちゃんにお土産を持って行きたい!」

 

「私も…♪」

 

「決定だね。それじゃあ集めよう!」

 

私達はコイン集めを開始した。

 

 

 

 

 

…だが、私は気付かなかった。ロムとラムを影でじっと見つめている存在に…

 

 

 

 

 

―――――一方その頃、ネプギアとユニはロムとラムを探していた。

 

「何処に行ったのかな…ロムちゃん、ラムちゃん…」

 

「そうね…!あれってロムとラムじゃない?」

 

ユニが指した場所にはロムとラム、+αで悠斗もいた。少し離れた場所にいて、角を曲がったようだ。

 

「本当だ!悠斗さんもいるみたいだね、行こうユニちゃん!」

 

「ちょっと!?待ちなさい!?ネプギア!?」

 

二人が悠斗達の元に行くと、いきなり大きい音と共に黒い何かが吹っ飛んでいった。二人は何事と思いその元に行ったら…

 

「うぐっ!?」

 

「ゆ、悠斗さん!?」

 

「大丈夫ですか!?悠斗さん!」

 

悠斗が倒れていた。所々に傷があり、口からも血が流れていた。恐らく、何度も抵抗したんだろう…悠斗は飛ばされた方向に指を指していた。

 

「ネプギア…ユニ…ロムとラムが…」

 

「えっ…!?っ!何をしてるのですか!?貴方達!?」

 

悠斗の指した場所には、大きな舌を出し涎を垂らしている黄色い怪物に、変な色合いのパーカーを着た女性が立っていた。そして怪物の手には、口元を塞がれたロムとラムの姿が。2人は即座に助けようとするが…

 

「幼女以外に興味はない!!」

 

「「きゃあああああ!!!」」

 

黄色い怪物の舌が勢い良く飛び出し、ネプギアとユニに直撃して、吹っ飛ばされ地面に悠斗毎叩き付けられる。三人はダメージが大きいのか立つことが出来なかった。

 

「やりましたね!トリック様!」

 

「アックックック!!!」

 

女性の言葉に再び妙な笑い声を上げる怪物…トリック…絶対忘れない、いや、忘れるかあんな奴…

奴は不敵な笑い声を上げながら両手のロムとラムを交互に見やる。その時の二人の表情は“怯えきっていて、目に涙を溜めていた”。

 

「まだまだ…お楽しみはこれからだ…!アーックックックック!」

 

「うぅ…ロム…ラム…」

 

悠斗は立ち上がって追いかけようとするも、ダメージが大きすぎて立てなかった。それもそう、フォトンを司っていても元はただの人間なのだから。

 

それを嘲笑うかのようにトリック達は去っていく…

 

 

 

 

 

あぁ…私は“また”仲間を守れないのか…

 

 

 

 

 

“あの時”とは違うのに…!今では戦う力も充分にあるのに…!

 

 

 

 

 

あはは…ごめんね…ネプギア…ノワール…ベール…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私…“また”壊れちゃうよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠斗は意味深な事を思いながら気を失った。




冥夢「次回は…ゲイムギョウ界に転生してから、初の悠斗マジギレ回です。」


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第七話 其の怒りは、時に邪神、時に鬼神、時に狂神と化す

冥夢「今回は、前回の最後で言った通り、悠斗がマジギレします。しかし、悠斗のマジギレは…おっと、これ以上は言えません。後の伏線だと思ってください。それと、悠斗の過去が一部だけですが、明らかとなります。それでは、第七話、始まります」


ここはルウィー教会。先ほど気を失った悠斗が運び込まれた所である。しかし、その悠斗は、“最悪の悪夢”に(さいな)まれていた。

 

 

 

 

 

―――――お前はこの友達が大切なんだろ?なんならもう少しは抗ってみろや

 

 

 

―――――へっへっへ…まぁ、そんなボロボロの体じゃ、抗いにも抗えないだろうけどなぁ!

 

 

 

―――――さぁ、どうするんだ?早くしねぇと、こいつがお陀仏になるぜ?

 

 

 

―――――私の事はいいから…早く逃げて…悠斗…

 

 

 

―――――おっと?もうお陀仏するって事を悟っちまったようだが?

 

 

 

―――――まぁいいぜ、おい、最後に言い残したい事はあるか?

 

 

 

―――――じゃあ…悠斗…今までありがとう…貴方が…“最高の友達”だったよ…

 

そう言い、目を閉じた瞬間…

 

 

 

 

 

―――――バァンッ!!

 

 

 

 

 

こめかみを銃弾で貫かれる。勿論、即死だった…

 

「あ…あぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

―――…うと…

 

誰かが俺を呼んでいる?

 

―――ゆうと…

 

俺を呼ぶなんて…誰かいたか…?友達を失った俺に…

 

「悠斗ってば!」

 

「……はっ!?」

 

「いきなり大声が聞こえてきて、来たら悠斗が(うな)されてたから…でもよかった~悠斗が起きてくれて」

 

「悪い…心配かけたな…」

 

「…悠斗?口調が…それに、目の色と髪の色が…」

 

口調?目の色?髪の色?まさか…

 

「もしかしてだが、俺の目の色で、左が光が消えた青、右が赤、髪の色が黒に染まってないか?」

 

「そのもしかしてですわ…一体どうしちゃったのかしら?」

 

「皆…この状態は…俺が本気で壊れる一歩手前だ…そして、解ってるとは思うが、この状態になると“一人称と口調が変わってしまう”んだ…なるべく、この状態は見せたくなかったんだがな…」

 

「それでも、悠斗は悠斗だよ!でも…動いて大丈夫?」

 

「大丈夫…と言いたい所だが、正直キツいな…だが、俺のせいでロムとラムが誘拐された…あぐぅっ!?」

 

傷だらけの体を無理矢理にでも動かすが、案の定激痛が襲い、倒れそうになる。が、寸での所で皆が支える。

 

「駄目だよ!今は無理に体を動かしちゃ!」

 

「そうよ!今は体を休めないと…それに、誘拐されたのは悠斗のせいでも、誰のせいでもないわ。だから無理しちゃだめよ!今の貴方はボロボロなんだから、ここは私たちに任せて」

 

「それでも…俺はやらなきゃいけないんだ…ロムとラムを助け出さなくては…」

 

もう一回、無理矢理にでも体を動かすが、痛みに勝てず、その場で(うずくま)ってしまう。皆に大慌てで支えられ、もう少し休むように言われるが、俺は痛みに堪えて立ち上がろうとする。

 

「はぁ…一人でやろうとしない。仲間を頼れって言ったのは誰よ」

 

「…ノワール?」

 

体の痛みに苦しみながら立ち上がろうとする俺に、ノワールが俺の肩を貸してくれた。何故か顔が赤いが、あの時のお返しなのか?

 

「いいのよ…“私を頼っていい”って言われたように、私も貴方を頼りたいし、頼られたいから…」

 

「そうか…」

 

そんな甘い雰囲気にネプテューヌは痺れを切らしたのか…

 

「む~!だったら私は右だよ!」

 

「ちょっ!?ネプテューヌ!?」

 

ネプテューヌが割り込んで右肩を強引に支えてくる。バランスを崩しそうになったが、なんとか持ちこたえる事ができた。肝心のネプテューヌは、勝ち誇った表情をしていて、鼻を鳴らしていた。

 

「ふふん!この方が楽でいいでしょ?」

 

「ははっ…ありがとうな、ネプテューヌ」

 

「どういたしまして♪」

 

何だかんだで心配してくれている二人に嬉しくなるのを感じた。俺は二人に支えられながらだが、ブランのいる部屋へとゆっくりと進んでいく。

 

途中、廊下でばったりと出会ったネプギアとユニに俺の状態を問われたが、軽く説明してブランの部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

「そうは言われましても、ブラン様からは誰も通すなとの事ですので…」

 

俺達はブランの部屋に辿り着く。だがメイドがドアの前に立ち塞がっている。どうやら、ブランが俺達を入れないようにとメイドに命じたようだ。

 

「え~!?私達女神仲間なんだからいいでしょ~?」

 

「いえ…女神様と言えど…」

 

「せめて詫びを入れさせてくれ!誘拐されたのは俺のせいなんだ!」

 

「二人が捕まったのは悠斗さんだけのせいではないです!」

 

「私だって…」

 

「既に警部兵を総動員させて捜索中なので…」

 

「それは知っているけど!」

 

俺達が必死の説得をしてるが、頑なに断るメイド。埒が明かない。どうすればいいのか…そう考えている時…

 

「帰って…」

 

部屋の中からブランの声が聞こえてくる。しかし、その声は悲しみ、苛立ちが混ざったような声だった。原因は間違いなく二人の事だろう…俺はドア越しにブランに話しかけた。

 

「ブラン!俺は…」

 

「ここにいられても迷惑よ…貴方達も…それに櫻井悠斗、縁もないただの赤の他人よ…それこそここにいられたら迷惑…」

 

ブランの言葉が心に突き刺さる。“赤の他人”と。はっきりとブランから発せられる。痛い。その言葉が物凄く痛く感じる。だがそれを必死に耐える。だってそうだろう?ブランは俺以上に心が痛い筈なのだから。

 

「ブラン!貴女、そんな言い方!」

 

「いいから…帰って…」

 

その言葉を最後に、ブランは口を閉ざしてしまう。こうなる事は薄々感じてはいたが、やはり俯いてしまう。

 

「ゆ…悠斗…その…」

 

「いいんだよネプテューヌ…家族を…仲間を誘拐されて、冷静でいられる筈なんてないんだからな…」

 

「悠斗…貴方…」

 

「ちょっと、外行って来る…」

 

今のブランには時間が必要だ…その時にもう一度行こう…ブランの所へ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブランside

 

「ロム…ラム…私の所為で…」

 

ふらふらと歩き出す私、ブランは自責の念でいっぱいだ。何故、あの時私はあの子達に着いて行かなかったの?一緒に行けば誘拐だって未然に防げたかもしれない…そんな気持ちでいっぱいだった。

 

だけど泣き言は許されない。今はロムとラムの救出する手立てを考えなければならない。

 

だが、ネプテューヌ達に酷い事を言ってしまった手前、協力して欲しいなんて、そんな虫のよすぎる話なんて…言える筈がない。特に櫻井悠斗…彼には酷い事を言ってしまった。

 

櫻井悠斗がロムとラムを助け出そうとしたのは報告で聞いている。傷だらけなのに何度も何度も助け出そうとした事も…それなのに、私は苛立ちをぶつけて“赤の他人”と言ってしまった…まるで“ロムとラムが誘拐されたのは全部貴方の所為”と、突き放すかのように…幾ら私が冷静ではなかったとはいえ、あんな事を言う物ではなかった。私は…最低だ…

 

「何とかしないと…私が…そうだ!あれを使えば!」

 

“兎に角自分で何とかしなくてはならない”と考えていると、ふととある事を思い出す。今現在進んでいるプロジェクト…あれを使えばロムとラムの居場所が解る筈。善は急げと思い、私は歩き出す。しかし…

 

「見~つけた!」

 

「っ!?」

 

突然ドアが開き、誰かがずかずかと入ってくる。頭にドクロのアクセサリーと大きなリボンを身に着け、ピンクのアマロリの様な服を着た女性。そしてその女性の背後には黒子のような人物が二人、カメラとマイクを持っていた。

 

「…誰?」

 

「私はアブネス!幼年幼女の味方よ!」

 

私は首を傾げる。アブネス?幼年幼女の味方?単語一つ一つに疑問を持つが、本当に疑問を持ったのは“私の許可がないと入れない筈なのに入ってきている”事だった。つまり彼女達は不法侵入をした事になる。私は警戒心を強めた。

 

「大人気ネット番組『アブネスちゃんねる』の看板レポーターよ!知らないの?まぁいいわ、さぁ今日も中継スタートよ!」

 

「…中継?」

 

彼女は怒り口調で叫びながら言った。中継?初めは何を言っているのか解らなかった。だが黒子達がカメラとマイクを回しているのを見て気付く。私はテレビ中継で映し出されている事に。それも、不法侵入した輩に…

 

「全世界の皆~!幼年幼女のアイドル!アブネスちゃんで~す☆今日はルウィーの幼女女神ブランちゃんの所に来ているぞ☆」

 

「てめぇ…いい加減に…」

 

私はアブネスに怒りを覚える。不法侵入され、勝手に中継までされているのだ。この人は“プライバシー”というのを知らないのだろうか?キレようとするが、彼女の次の一言で私は固まってしまった。

 

「ところで!妹のロムちゃんラムちゃんが誘拐されたって言う噂は本当なのかな?ブランちゃん?」

 

「っ!?どうしてそれを…」

 

ロムとラム、誘拐されて行方が解らない二人の名前が出されたからだ。何故アブネスがその情報を知っているのか解らないが、私は思わず声を上げてしまう。だがそれがいけなかった。その声に食いつくかのようにアブネスが私にマイクを向けてきたのだ。

 

「本当なんだ!アブネスちゃん心配…で!可愛い妹を誘拐された気分はどうですか?ブランちゃん?」

 

いつもだったら言い返していたが、それができなかった。妹二人が誘拐された事実、そして自分への罪悪感がそうさせたのだ。

 

更に、話したくない筈なのに、アブネスにぽつりぽつりと話してしまった。自分を責めるかのように、自分への戒めのように…

 

「つまり妹二人が誘拐されたのは、貴女の責任と言う事ですね!ブランちゃん?」

 

「っ…そ…それは…」

 

「見てください!幼女女神は何の釈明も出来ません!やっぱり幼女に女神なんて無理なんです!」

 

何も言い返せなかった…妹二人を守れない私に女神は無理なのでは…私は…何の為に…

 

「アブネスちゃんねるは幼女女神に断固h『ガッシャアアアアアン!!!』なっ!?何!?」

 

自己嫌悪に浸っている最中、何かが砕かれる音が私の耳を(つんざ)いた。はっとなり顔を上げると、ここにいる筈がない人物が一人いた。

 

「…………」

 

「ゆ…悠斗?」

 

櫻井悠斗…でも本当に彼なのか疑った。初めて出会った時の柔和な雰囲気とは正反対で、光がなくなった左の青目、妖しく光る右の赤目、銀髪から黒髪に染まっていて、ピリピリと伝わる怒気、最早隠していない殺気…女神である私でも戦慄した。まるで、“鬼を超える何か”になってアブネスを見下すように睨んでいたのだから。

 

ブランside out

 

 

 

 

 

悠斗side

 

「希望は薄いが、もう一度謝りに行くか…」

 

時間が経ち、ブランの様子が気になり戻る事にした。もう一度会ってちゃんと謝りたい。勿論、許して貰おうとは思っていない。

 

ブランの部屋に辿り着いた俺はドアをノックしようとするが、部屋の中から声が聞こえた。誰かと話をしているのだろうか?少しだけドアを開けて中の様子を見たその時…

 

「つまり妹二人が誘拐されたのは貴女の責任と言う事ですね!ブランちゃん?」

 

「…は?」

 

一瞬体が固まってしまったが、直ぐに頭を横に振り、思考を回復させる。気になった会話の内容…それはブランの妹であるロムとラムの誘拐事件の内容だった。

 

しかし、それよりも気になったのは、ブラン以外の女性の声。その声の主がブランに問いただしているようだった。ここで俺はドアを思いっきり開けそうになるが、抑える。

 

ブランは今カメラを回され、マイクを向けられてインタビューを受けている。そのブランの表情は“とても苦しそうで、泣きそうな”表情だった。俺はここであの女性に怒りを覚える。だが、それだけでは終わらず、その女性はブランに対して根掘り葉掘りと聞き出す。

 

あの女性はその情報を知っているのかは知らないが、誘拐されて傷心しているブランに対して何であんなにしつこく聞く必要がある?何であんなに心を踏み躙るような事が平然とできる?そんな思いの中、俺は自分の怒りが爆発しないように抑えた。しかし、次の一言でその思いは崩れる事となる。

 

「見てください!幼女女神は何の釈明も出来ません!やっぱり幼女に女神なんて無理なんです!」

 

…ナニヲイッテルンダアイツハ…キズツケルダケデナクブジョクマデスルノカ…モウゲンカイダ…

 

俺はドアを思いっきり開き、

 

「アブネスちゃんねるは幼女女神に断固h『ガッシャアアアアアン!!!』なっ!?何!?」

 

カメラを蹴り、踵落としをして破壊した。

 

「あ、あんた!何してくれてんのよ!カメラを壊して!」

 

「…言いたい事はそれだけか…?お前は家族を誘拐されて、傷心しているブランの心を、土足で踏み躙る事が趣味なのか?そんじゃとんだ悪趣味だな…?」

 

「な…何を言っているのよ…」

 

「質問を質問で返すんじゃねぇよ。それを人前ではするように教えられたのか?あぁ?」

 

「ひぃっ!?ゆ、誘拐された事は事実でしょ!?私はそれを証明しに来ただけよ!?それの何がいけないのよ!?」

 

「確かに、誘拐されたのは紛れも無い事実だ」

 

俺の言葉を聞いた女性は胸を張り、ふふんと鼻を鳴らす。勝ち誇ったような表情をしているが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんまり調子に乗るんじゃねぇぞ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうでしょそうでしょ!だから私は幼女に女神は無理だと言っているのよ!そんなことせずに幼女は幼女らしくお遊戯をして楽しく過ごしていれば…」

 

「だが、そんな事を言う権利はない。誘拐事件を出汁(ダシ)にして根掘り葉掘り聞き出すなんて…本当にとんだ悪趣味な奴だな?えぇ?」

 

「う…煩いわね!私はアブネスちゃんねるの…」

 

「てめぇがうるせぇんだよ。ちったぁ黙ってろ!!!それにな!」

 

こいつに話す隙を与えない。いや、与えてはならない。“与えてたまるか”という気持ちを心で思いながら続ける。

 

「お前の脳は腐ってんのか?ブランに女神は無理だって事は絶対に有り得ない。お前はこの国に来て何も思わなかったのか?この国は『笑顔』に溢れている。この国に来て何も知らない俺でも解るくらいのな!それは何故起こっているか解るか?そう、この国は『幸せ』で満たされているって事だ!その『幸せ』を造り上げたのは誰だ?紛れもなくお前が散々罵倒したブランだろ!女神は無理だって言葉、お前のような奴がヘラヘラ笑いながら使う言葉じゃねぇんだよ!!元々使ってはいけない言葉だけどな!!」

 

「ぐ、うう…」

 

「それにな、お前は責める相手を間違えている。真に責めるべき相手は、ブランではなく俺だ。俺のせいでロムとラムが誘拐されたからな」

 

俺はそれを戒めるかのように目を瞑る。

 

「はぁ!?えっ!?」

 

「え…!?ち、違う!貴方のせいじゃ…」

 

「何よ!貴方が悪いって事じゃない!?幼女女神に問いだして損したわ!まぁいいわ、カメラや私の事を含めてきっちりと貴方の事を…」

 

「ま、待って!?悠斗は関係ない!」

 

アブネスという女性の言葉に対して、ブランは俺を庇う様に叫んだ。だがそんな言葉を聞き入れる事をする筈もなく、女性は俺を睨みつける様にジリジリと近づいてくる。目を瞑っているのに何で解るのかって?勘で解る。

 

「何か言いなさいよ?まぁどうせ釈明の余地はないだろうけど」

 

「…家族が誘拐されるのは言い方が悪いが、まだ救いがある…だが、俺の場合は…」

 

 

 

 

 

 

 

「家族も仲間も、大切な人が全員失い、救いなんてないんだぜ?そんな気持ちや思い…お前には解るか…?」

 

 

 

 

 

 

 

悠斗side out

 

ブランside

 

「家族が誘拐されるのは言い方が悪いが、まだ救いがある…だが、俺の場合は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「家族も仲間も、大切な人が全員失い、救いなんてないんだぜ?そんな気持ちや思い…お前には解るか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠斗はその言葉を言った瞬間、大きく目を見開く。だがその右の赤い目は、完全に紅く(・・)染まっていた。

 

「え…っ!?」

 

「ゆ…悠斗…?」

 

大切な人が全員失った?…彼の家族は…もう…

 

「俺には解る…解りすぎて今でも悪夢で(うな)されるくらいにな…家族は交通事故、友達は暴走族に“目の前で”殺され、俺は狂った…いや、“壊れた”って言った方が正しいか?俺は十人以上いる暴走族を全員ぶっ殺した…ぶっ殺してしまった…そのせいで他の友達には、“あの人を失った気持ちは解るが、もう人殺しとなんかは友達じゃない”と言われ、友達を一気に全員失った…」

 

「っ!?」

 

悠斗が人を殺した!?しかも、一人二人ではなく十人以上も!?一体彼に何があったの…

 

「…ロムもラムも俺のせいで誘拐されて…」

 

「そ、そうよ!貴方のせいで二人は誘拐されたのよ!だから…」

 

「そしてお前は俺の前から“また”大切な人を侮辱して馬鹿にして、最終的には殺して…奪っていくんだろう…?」

 

「な…何を…」

 

「そんな奴は消えてしまえばいい。寧ろ消えろ。」

 

「ひぃぃぃぃぃ!!??」

 

っ!?何この殺気!?本当に彼から出ているの!?彼女もあまりの恐怖で尻餅をついてしまい、立てなくなっている。

 

「だからお前をここで消してやるよ!!!出でよ“抜剣(カタナ)”『ヤミガラス』!!!」

 

悠斗はそう言い、立てなくなっているアブネスの首を掴み、浮かせた後『ヤミガラス』と呼ばれる“抜剣(カタナ)”という武器を呼び出した。すると悠斗の右手には淡い紫を象徴としている刀剣が逆手持ちで握られていて、腰の鞘には何かの尻尾を模した装飾が施されてあった。このままだと本当にアブネスを殺すつもりだ。彼を止めなくては!前世では十人以上殺したって言っていたけど、この世界で人殺しはさせない!

 

「止まって!悠斗!」

 

私はそう言って彼を抱きしめた。

 

「…ブラン?俺の邪魔をするな…だから退けよ」

 

「駄目よ…貴方がそんな事をしても誰も喜ばないわ…寧ろ皆を悲しめるだけよ…」

 

「……」

 

「お願い…悠斗…」

 

私は涙をしながら彼を止める。

 

「そうだな…前世では人殺しをしたせいで友達を失ったしな…ごめんな…ブラン…」

 

彼はそう言って殺気が収まり、武器を仕舞い、アブネスを下ろす。良かった…本当に良かった…安心したのか私はまた涙を流した。

 

「おい、お前ら、今の内に逃げておいた方がいいぞ?また俺が本気で消すかも知れねぇぜ?」

 

「こ、今回の事は見逃してあげるわ!!で、でも次はないんだから!!覚えておきなさいよ!!」

 

「そうかそうか、そんなに消されたいんだな?(ニッコリ)」

 

「ひぃいいいいいい!?!?」

 

冗談混じりに、笑顔で言うと女性達は一目散に逃げていった。俺はそれを遠目で見つめる。その時にふと、ドアの近くに目を向けた。すると、見知った人がいたが、一人はへたり込み、二人は抱き合いながらガタガタと震えていた。

 

「ね…ねぷぅ…」

 

「「はわわわわわわ…」」

 

「ネプテューヌ?ネプギア?ユニ?」

 

ネプテューヌ達がドアの外にいたのだ。何時の間に…それは兎も角、ネプテューヌは顔を青ざめていて、ノワールとベールは冷や汗を掻いている。ネプギアとユニに至っては涙目になっていた。原因は間違いなくさっきの事だろう。だが俺は敢えて聞いてみる。

 

「…どうかしたか?」

 

「ゆ…悠斗が…凄く怖かった…」

 

「…やっぱりな」

 

「いや、あれは無自覚の方が逆に恐ろしいわよ…」

 

それにしても、ネプテューヌ達がドン引きのレベルって…まぁ無理もないわな。殺気80

%、普段言わない言葉を平然と言ったりしてたしな。

 

「と、取り敢えず誰かヘルプ…」

 

え?腰が砕けるまで引いてた?マジかよ…それを見たノワールは溜め息をつきながら、ネプギアは慌てながらネプテューヌに肩を貸し、立ち上がらせる。そして俺の方はまだ怒りが治まっていないようで、紅く染まっていた目が赤い目に戻ったとはいえ、元の両青目、銀髪、口調が戻っていないようであり、溜め息をつく。するとベールが近づいて来て肩にポンと手を当て微笑みかけてくれた。

 

「まぁまぁ、悠ちゃん、溜め息は似合いませんわよ?」

 

「…ベール?」

 

「確かに、先程までの悠ちゃんはその…怖くて、今でも元の悠ちゃんとかけ離れていて本当に悠ちゃんだと疑ってしまいますが…それでもブランの為に怒ってくれて…やっぱり悠ちゃんなんだって実感しましたの…だから堂々としていていいのですよ?」

 

「そうね。ブランが悠斗にあんな事を言って、普通なら嫌われてもおかしくない筈よ。寧ろ悠斗はブランの為に怒ってくれたのよ?性格が逆転してしまったとはいえ、人の良さまでは逆転してないんだから、その人の良さに感謝しなさいよ?ブラン?」

 

「あ…う…」

 

ノワールの言葉に狼狽(うろた)える。しかし、その狼狽えは直ぐさま気絶に変わる。

 

「ブラン!?」

 

慌てて俺はブランを抱きとめる。その顔を覗き込むと、疲労困憊の顔で、息が心なしか上がっていたのだ。これ程にまで思い悩んでいたというのだろうか?

 

ネプテューヌ達もブランが心配になり、俺の周りを囲む様に集まった。ブランが倒れ込んだ原因は、誘拐事件か、はたまたさっきの事か。そう思う俺、するとネプギアがある事を口にした。

 

「ブラン…」

 

「今の番組をルウィーの国民が見て、シェアが一気に下がったからとか?」

 

「確か“シェアが少なくなると女神は力が出なくなる”って、イストワールさんから聞いたけど…」

 

さっきの連中がカメラを回していて、その様子がルウィー全域に広がり、中継を見ていた国民から信仰がなくなってしまった。そう考えていたが、ノワールがそれを打ち消す形で言葉を繋げる。

 

「幾らなんでもそれは早すぎよ」

 

「じゃあ、あいつに根掘り葉掘り聞かれた事や、さっきの俺に対する事などの“精神的疲労”って事か…」

 

可能性としては有り得なくもない。が、本当にそれが原因なのかは解らない。そう考えていると

 

「皆さん」

 

ベールが俺達に声をかけた。俺達はベールの方に視線を向けた。今のベールの表情は真剣その物だった。そんなベールが一呼吸置くと、俺達にとって朗報な言葉を口にする。

 

「方法があるんです、ロムちゃんとラムちゃんを見つける方法が」

 

それは、最高の転機であり、同時にある者(・・・)にとっては最悪の時間の幕開けだった…




冥夢「今回、ブラン以外の皆が悠斗の言葉を聞いて、問いただしていない理由は、悠斗がアブネスを消す寸前にブランの部屋に着いたからです。つまり前半部分は聞いてすらありません。そして、夢に出てきた“友達”ってのは誰なのかはまだ明かしません。ですが性別は男です。言ってしまうと悠斗と同じ性格です。それと最後の言葉の“ある者”とは?それは次回明らかとなります。…まぁ、勘の良い人は既に解っているかもしれませんが。そして次回は『悠斗の怒り “ルナティックモード”』となります。次回もお見逃しなく。」


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第八話 悠斗の怒り“ルナティックモード”

冥夢「今回は…はい、とうとう悠斗が壊れます。モードとなっていますが、怒りには三つのモードがあり、今回はその一つが出てきます(サブタイトルでネタバレしてるのは見逃してください)。そして、オリジナルテクニックも…?長くなりましたが、第八話、始まります」


「実はブランととはある計画を進めていましたの」

 

そう言いながらベールは巧みにPCを操作して俺達に画面に映し出された物を見る。これが“とある計画”なのだろう…

 

「その計画って何だ?」

 

「ルウィーでは人工衛星を使ってのサービスを行われていましたの。悠ちゃん以外はご存知ですわよね?」

 

「確か…“お寺ビュー”だっけ?」

 

…“何その実用性のなさそうなビュー”って思ったが自重する。

 

「十年前に終わったやつよね?」

 

「えぇ。実はあの人工衛星はまだ稼働していて、地上の写真データを送ることが出来るのですわ、但し低解像度を解析して高解像度にするソフトウェアをリーンボックスの研究所が開発しましたの」

 

えーっと、さっきのが解りにくかった人に説明すると、144pと低解像度だったのがソフトウェアで1440pという超高解像度になったって事だ。え?1440pを知らない人から見ればどうなるのかって?…1080pみたいになったって事だ、うん。というか、ネプテューヌが話に着いていけるのが不思議で堪らないのだが…

 

まぁ、それを使ったらロムとラムの居場所が特定できる…それ何処の衛星ロキ?衛星オーディン?え?今それを考えるなって?はい、自重します。

 

でも、使ったら使ったで世界中の情報はルウィーとリーンボックスで独占できるという事。何だか監視されてるようで嫌だな…

 

「え~!?そんな事したら私達見られ過ぎて困るじゃん!」

 

…まぁ、これが普通の反応だろう。“常に監視されてる”のは誰だって嫌だしな…でも、ベールは予想外な答えを返した。

 

「いいえ、私達はそのデータを皆で共有しようと思っていたのですわ」

 

「えっ!?」

 

そう。世界中の情報はルウィーとリーンボックスで独占してもおかしくないのに、ベールはそれを“共有する”と言ったのだ。それを聞いたネプテューヌは驚いていて、俺も声には出さなかったが少し驚いていた。

 

「ブランが言い出したのですよ?友好条約を結んだんだから、四つの国で等しく利用するべきだと」

 

「ブラン…」

 

ちゃんとネプテューヌ達の事も考えてくれている…その事に凄く嬉しく感じる…やはり、仲間の事を考えるっていいな…そう考えていると、PCから音が鳴り響く。どうやら解析が終わったようだ。

 

「解析が終わりましたわ、これで誘拐犯の居場所が…?ここは…」

 

俺達がPCを覗き込むと、誘拐犯の居場所は思いもよらないところにいた。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

「まさかここにいるとはな…」

 

データ解析の結果、誘拐されたロムとラムはテーマパークの建設中のアトラクションの中にいた。…意外と近かったな…

 

「よ~し!今すぐ殴り込みだ!!」

 

「お待ちになって」

 

「ねぷ?」

 

ネプテューヌは意気込んで乗り込もうとするが、ベールに止められる。それもそうだ。敵に対して何も武器を持たず特攻するような物だ。そう考えているとベールは真剣な表情で口を開いた。

 

「今は人質の救出が最優先ですわ、まずは…私が身代わりとなります」

 

「なっ!?」

 

ベールの言葉に思わず目を見開いた。確かにそれならロムとラムの安全は確保できる。だが代償としてベールの身に危険が及んでしまう。流石に止めようとしたが、安心させるかのようにベールは優しく微笑みかけた。

 

「あくまでロムちゃんとラムちゃんを救出出来るまでですわ、私も二人が無事に救出されたら隙を見て逃げますので」

 

「それなら俺でもいいんじゃないか?あの時は一方的にやられたが」

 

ベールの言う通りなのだが、それが“上手くいけば”の話だ。もし失敗したら…ロムやラムだけでなく、ベールにまで危険に晒される事態となる。

 

ベールは女神だから俺よりは絶対に強い。でも、この前のノワールのように危機的な状況に陥るかもしれない。だからベールにこんな事をさせたくない。下手をすれば、大怪我では済まない事態になるのかもしれないから。まぁ、綺麗事を並べているが、女神と言う事を除けば“普通の女性”だから無茶をさせたくないってのが本当の理由だ。

 

「悠ちゃんの言いたい事も解りますわ。ですが私は大丈夫。それに責任を感じているのは悠ちゃんだけではありません。私達もあの場にいながら二人を助ける事が出来なかった私達にも責任はあります。だから悠ちゃんだけが責任を感じる必要はありませんわ」

 

「……」

 

ベールの言葉に俺は思わず黙る。それもそうだ。二人を助けれず責任を感じているのは俺だけではなかった。現にネプギアもユニも凄く悔やんでいた。…どうやら俺はベールに言われるまでずっと焦っていたみたいだ…皆も同じ事を思っているって、少し考えれば解る事なのに…

 

「だから悠ちゃん、こんな時は頼りにして下さいな、そしてロムちゃん達を助け出しましょう?ここにいる皆で…ね?」

 

「…そうだな」

 

そうだ、前世と違って俺は孤独ではないんだ。必ず皆で助け出して、笑顔でブランの下へ戻ろう。

 

「気のせいだといいんだけど、な~んか悠斗とベール二人だけの空間になってない?」

 

「気のせいじゃないけど、折角いい話っぽくなってるんだからアンタは黙ってなさい!」

 

ネプテューヌ、空気読めよ…見事にぶっ壊されたぞ…ベールの大人っぽさの三分の一でも見習えよ…本気で…

 

「ふふ、それでは参りましょうか?ロムちゃんとラムちゃんも私達が助けに来る事を待ち望んでいますわ」

 

「そうね…それじゃあ早速…」

 

「待ってくれ」

 

とっさに俺が声を掛けた事で皆の足が止まる。何故止めたのか不思議に思ったみたいで、皆の視線が俺に集まる。

 

「…?悠ちゃん?どうかなさったのですか?」

 

「俺もベールと一緒に行く」

 

「えっ?」

 

俺の言葉を聞いたベール達は驚き、俺に問いかけた。

 

「何故その様な事を?」

 

「そうだよ!態々(わざわざ)悠斗が危険な目に遭う事をしなくても…」

 

「確かにそうだ。危険?それがどうしたんだ?皆には言ってなかったが、俺は“皆を助けられればこの命が尽きても構わない”という信念なんだ。それに、もう仲間を失いたくないんだ。だから、ベールにだけ任せるという無責任な事はしたくない」

 

「悠ちゃん…」

 

「ロムとラムを助けたいけど、ベールの事も助けたいんだ」

 

「…えっ?」

 

俺の言葉に目をキョトンとさせるベール。だが俺は言葉を続ける。

 

「俺を気にしてくれた時は凄く嬉しかった…俺が孤独ではない事を気付かせてくれた。でも、気付かせてくれたベールが一人で危険な場所に行く。それをただ指を咥えて見ているだけなのはできない」

 

「でもそれは…」

 

「ベールが女神だって事は解っている。俺よりも強い事もな。でも、女神って事を除けばどうなる?ロムとラムと同じ普通の女性になってしまうんだぞ?その女性が危険な場所に行くって事が解っている以上、尚更(なおさら)行かせたくないんだ。そうさせた自分が許せなくなるからな」

 

「…っ!」

 

俺はベールを見据えて言う。俺の正直な思いを、感情を、言葉を彼女に伝える。

 

我儘(わがまま)だって事は解っている。それでも俺はロムとラム、そしてベールに危険な目に遭って欲しくない。だから俺にベールを守らせてくれ」

 

「えっ…あの…その…」

 

顔が赤くなるベール。だが俺は振り返って言葉を続ける。

 

「勿論、ベールだけではない。ここにいる皆も同じだ。皆を守れるのなら俺は人間を辞める覚悟だってある。だから全力で守らせてくれ」

 

「「「「……」」」」

 

俺がそう言うと、ベールと同じで顔が赤くなる。…やっぱ、“守らせてくれ”が原因か?

 

「…皆、顔が赤いが、大丈夫か?」

 

「「「「「え!?だ、大丈夫((です))(よ)(ですわ)!」」」」」

 

皆が手をブンブンと振りながら大丈夫だと声を張り上げていた。けれども顔は赤いまま。本当に大丈夫なのだろうか?

 

「にしても、凄い覚悟だね…私達を守れるなら人間を辞める覚悟まであるって…普通はそういう考えにいかないよ?」

 

「…まぁ、それが俺の信念な訳で」

 

「でも、何で悠斗はこう恥ずかしいセリフをポンポン言えるのかしら…」

 

「“助けたい”とか“守らせてくれ”とかか?」

 

「まぁ、大体の原因はそれね…」

 

と言いながらジト目で見るノワール、それとネプテューヌ、苦笑いするネプギアとユニ、顔が一番赤いベール…

 

 

 

 

 

Q.この状況を3文字で説明せよ

 

A.カオス 

 

 

 

 

 

 

「ゆ、悠ちゃん、もし一緒に行くのでしたら、私からの条件を飲んでくれますか?」

 

「条件?」

 

「絶対に私から離れない事、それと決して無茶な事はしない事…これを約束して下さるのであれば、一緒に来ても構いませんわ」

 

「…できるだけ善処する…」

 

もし、ロムとラムが目の前にいたら正直、冷静になれるか解らない。現在進行形で俺の目と髪色と口調が変わっている訳だし。

 

「それでは救出作戦開始ですわ!」

 

ベールの号令の下、ロムとラムの救出作戦が決行された。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

「やだ!?止めて!止めてってばぁ!!」

 

「うぅ…気持ち悪い…止めて…」

 

ロムとラムの悲鳴が響き渡る倉庫の中、二人はトリック(変態)の舌に弄ばれていた。嫌がる二人にトリックはにやける。だがそれも長くは続かなかった。ドアが勢いよく開き、誰かが中へ入って来たからだ。

 

「「お姉ちゃん…?」」

 

ドアから現れたシルエットを見て呟くが、それは自分達の姉ではなく、別の人物であった。

 

「そこまでですわ!」

 

「ロム!ラム!大丈夫か!?」

 

「ベールお姉ちゃん…お兄ちゃん…」

 

二人を救出する為に来たベールと悠斗の2人だった。

 

「その子たちを解放しなさい、私が身代わりになりますわ!」

 

身代わりになるとトリックに宣言するベール。普通だったら(なび)いていただろう。そう、普通だったら(・・・・・・・)。それを決定付けるかのような答えが返ってくる。

 

「…はぁ?俺紳士だし、守備範囲は幼女だけだし、それにでかい胸は興味ないし」

 

「…は?」

 

トリックの言葉を聞いた悠斗は目が点になって()頓狂(とんきょう)な声を出してしまう。当のトリックは物凄くキリッとした表情で平然と言ってのけているのだが、それを聞いたベールは噛み付くように言った。

 

「なっ!?大きい胸のどこがいけないですの!!」

 

「…垂れる未来しか見えない」

 

「……」

 

うわぁ…発動させたよこいつ…大きな胸の人には発動させてはいけない『禁句「垂れる未来しか見えない」』というスペルカードを…え?色々混ぜ込んでカオスだって?…うん、いつもの事だから気にしてはいけない。

 

「ベール、突っ込むところそこじゃない。そしてお前、失礼にも程があるだろ」

 

突っ込みと混ぜ込みのオンパレード。何かズレた話に持っていき、ベールに失礼な言葉を発言したトリック…正直頭が痛くなる…そう思っていると、突如笑い声が聞こえてきて、目を向けると…

 

「フフ、フフフフフフフフ…」

 

案・の・定。ベールが黒いオーラを出しながら笑っていた。怨念が籠もってるんじゃないかねあれ…

 

「どうやら貴方…私を本気で怒らせてしまったようですわね…」

 

「落ち着け…ベール…」

 

落ち着くように言うが、もう時既に遅し。ベールの身体が光り出し、周りからはフォトンに似た粒子と共にパーツの様なものが浮かぶ。ベールの着ていた服が消え、代わりに粒子を纏い、その粒子がレオタード形へと変化する。

 

だがそれだけではない。彼女の金色の髪が緑色に変わり、ポニーテールに纏められる。そして何処からともなく現れた槍を持ち、リーンボックスの女神“グリーンハート”に姿を変えた。

 

「なっ!?女神だったのか!!」

 

「さて…俺も変身するか。皆には見せていないが。出でよ『モタブの写本』」

 

悠斗は写本を呼び出し、召喚体勢に入る。だが、普通の召喚ではなかった。

 

「紅蓮纏いし炎の竜、ヴォル・ドラゴン、召喚融合」

 

そう、転生寸前に“召喚融合”なる物を教えて貰っていたのだ。それをここで実践している訳である。

 

そして、写本からホログラム状にヴォル・ドラゴンが映し出され、そのヴォル・ドラゴンと悠斗が合体し、光が放たれる。

 

「「「「!?」」」」

 

突然の光に四人(一人?)は驚く。それを尻目に光が収まり、そこにいたのは…

 

「悠斗、“ヴォル・ドラゴン形態”に変身完了」

 

頭に一本の角、背中に翼、腰に尻尾が生え、手が鱗を纏った黒い爪に変化し、足も鱗を纏った黒い爪に変化した。体の所々にも鱗を纏っていて、元の姿から著しく変化した悠斗がいた。

 

「お兄ちゃんの姿が…変わった…?」

 

「悠ちゃん…!?その姿は…!?」

 

「ん?これか?以前ヴォル・ドラゴンってエネミーと対峙してな、その時に力を授けて貰ったんだ。それと俺を融合して、この姿になったって訳だ」

 

「ヴォル・ドラゴン…という事は、貴様がフォトンとか言う、自然に漂うエネルギーを扱える人間って事か。まさかお前だとは思っていなかったがな」

 

「知っていたのか、まぁいい。お前はここで倒して、ロムとラムを解放させる。火炎弾(プチフレア)!」

 

火炎弾(プチフレア)”と唱えると、悠斗は右手から30cm大の大きさの火の玉を出し、それをトリックに向かって射出する。

 

「ぐがあああぁぁぁっ!?」

 

射出されたプチフレアはかなりな速度で、反撃の予知も与えずトリックに直撃する。それだけでなく直撃した瞬間に爆発した為多段ヒットとなり、トリックに更なるダメージが与えられる。

 

だが、それだけでは終わらない。

 

「悠ちゃんばかりにいいとこ取りはさせませんわ!レイニーナトナピュラ!」

 

「ぐぁぁぁぁっ!?」

 

超高速による槍の連続突き、それがトリックの胴体に降り注ぐ。一撃は軽いがそれが蓄積される事によって大きなダメージとなる。それによってトリックは堪らず苦悶の表情を浮かべて叫んだ。

 

「この間にロムとラムを…!」

 

ベールが攻撃をしている間、トリックに小さな隙が生じた。悠斗はその隙を見逃さず全速力でロムとラムがいる場所に走り出す。だが…

 

「ぬうあああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

「なっ!?」

 

一歩遅かった。吹き飛ばされたトリックが咄嗟に伸ばした舌でロムとラムを連れ去った。

 

「ちぃっ!」

 

悠斗はそれを見ながら舌打ちをする。それもそうだ。ロムとラムが一瞬の間に連れ去られたのだから。

 

そして…悠斗の身体に変化が訪れた。それは、光のなくなった青目が赤く変色したのだ。

 

「ふう、余裕でしたわ…あれ?ロムちゃんとラムちゃんは?」

 

気付いた時にはもう遅かった。ロムとラムは既に連れ去られていた。

 

「あの変態に連れ去られた。そして悪いな、ベール…約束、守れそうにない」

 

「えっ!?それってどういうことですの!?」

 

「フフフ…俺の目を見てくれ、また変化してしまっているだろう…?ハハハ…これは第三段階にまで進んでしまった証だ。それを決定付けるかのように言葉の所々に狂気染みた笑いが混ざっているだろう…?俺が壊れるのを見せる訳にはいかない。だからごめんな、約束を破ってしまって…」

 

そう言った瞬間、悠斗はトリックが吹っ飛ばされた方向に向かって飛び上がった。

 

「“壊れるのを見せる訳にはいかない”…!?という事はもう直ぐで悠ちゃんが悠ちゃんではなくなってしまうって事!?早く悠ちゃんを止めなくては!」

 

ベールは慌てて、飛んで行った悠斗を追いかけた。

 

同時刻に下っ端ことリンダがノワール達によって吹っ飛ばされたのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

物音一つしない、シーンと静まり返った場所。廃置場なのだろうか?物音しない筈なのに、その場所からガラガラと物音が鳴る。その正体はトリックであった。先程悠斗とベールの攻撃によって吹き飛ばされたのだ。

 

しかし、そんな彼の表情は清々しく見えた。かなりの痛い目を見たというのに。何故清々しくなっているのか?その理由はただ一つ。ロムとラムを手中に収めたからだ。

 

「幼女は命に代えても守る!紳士のジャスティス!!ん?幼女は何処?」

 

だが、その手にはロムとラムがいない。一体何処へ行ってしまったのかと周りをキョロキョロと見渡しながら探すトリック。

 

そして見つけた、“見つけてしまった”。ロムとラムがフェンスをよじ登り逃げ出そうとするところを。それを見たトリックは口元が吊り上がり、舌なめずりをする。

 

「この生きの良さ!全く幼女は最高だぜ!!ん~レロレロレロレロ!」

 

「「ひうっ!?」」

 

 

 

―――ドッゴォォォン!!!

 

 

 

「いってぇ!!!」

 

何処からともなく現れたハンマーにより、舌が打ち付けられトリックは痛みに声をあげた。

 

「てめぇ…私の大事な妹たちに何しやがる、許さねえぞ…この変態が!!」

 

そのハンマーを打ち付けた正体は、怒りの表情で満ちたブランであった。

 

「変態!?それは褒め言葉だ!」

 

「そうかよ…なら褒め殺しにしてやるぜ!!」

 

そう言ってトリックを一睨みした後、ブランの身体が光り出す。普段着ている服がフォトンに似た粒子になり、レオタード形に変化する。背中にウィングプロセッサが装着され、髪の色も茶色からシアン色に変化した。

 

それだけでなく、ハンマーが巨大な斧に変わって大きく振り回して構える。ルウィーの女神“ホワイトハート”に姿を変えた。

 

「覚悟しやがれ!!このド変態!!」

 

ブランの掛け声と共に戦闘が始まった。巨大な斧を構えたブランは突撃し、トリックはその舌を刃物状に変えてブランに襲いかかる。だがブランも負けていない。ブランは華麗に避けてトリックに技を叩き込む。

 

 

 

…罵倒も込みで…

 

 

 

「この超絶変態!!」

 

「げひぃ!?」

 

「激重変態!!」

 

「んぐあ!?」

 

「テンツェリントロンペ!!」

 

「うぐあぁぁぁっ!?」

 

巨大な斧を何度も打ち付け、最後に大きな回転して強烈な一撃をトリックに叩き込む。罵倒も込みで(・・・・・・)。怒涛の連続攻撃に加え、必殺技まで放ったのだ。ダメージは目で見る程明らかだった。しかし、それに激情したトリックはカッと目を見開く。そして、ブランの方に鋭い視線を向けると、力いっぱいその鋭利な舌を飛ばしたのだ。

 

「せめて貴様に…一矢報いてやるわぁぁぁあ!!」

 

まさかの不意打ちがブランに襲いかかる。だが、それを紙一重で回避した。そこから直ぐさま反撃に出ようとしたが、できなかった。それは何故か?理由は回避した後の舌の行方を見てしまったからである。そう、その舌の先にはロムとラムがいたのだ。

 

「っ!ロム!ラム!!」

 

「あ…ああ…」

 

「い…いや…」

 

全速力で飛び立ち駆けつけるブラン。だが間に合わなかった…

 

 

 

―――ドゴオオオオオォォォォォン!!!!!

 

 

 

大きな音が鳴り、砂埃が巻き起こる。“二人を守れなかった”…ブランがそう思った時…

 

「…………」

 

何も言わず現れたのは…

 

「悠斗…なのか…?」

 

悠斗であった。しかし今の悠斗は角も翼も尻尾も生えていて、手足身体の所々に鱗を纏っている状態の“ヴォル・ドラゴン形態”になっていて、元の悠斗とは著しく変わった悠斗だった。しかしブランには一つ疑問があった。…悠斗の姿が変わっているのもそうだが、悠斗自身トリックの攻撃を“受けていない”のだ。ロムとラムに攻撃が当たる寸前で幾ら悠斗のスピードでも間に合わない筈。それでも悠斗達は無事なのだ。それは何故か?話は数分前に遡る…

 

 

 

 

 

「くそっ!ロム…ラム…」

 

悠斗はヴォル・ドラゴンと融合した事で生えてきた翼で吹っ飛ばされた怪物を追っている。だがかなり吹き飛ばされた様だ。

 

「お願いだ…間に合ってくれ…」

 

そのまま飛びながら暫くすると、廃置場に辿り着く。すると、悠斗の目には怪物と女神化したブランが戦っている光景が映し出された。連続攻撃と必殺技と思われる技を繰り出すブラン、だが次の瞬間、ブランに向かって鋭利な舌が襲いかかり、ブランは回避したが…その先にはロムとラムがいた。

 

「させるか!!超火炎弾(メガフレア)!!!」

 

悠斗は瞬時に右手を掲げ、超火炎弾(メガフレア)を唱える。するとその右手には5m大の巨大な火球が生み出され、それを怪物に向かって落とす。だた、それだけでなく、落とした超火炎弾(メガフレア)と一緒に自分もロムとラムのいる場所に降下する。

 

「…………」

 

だが、着地した悠斗は何も言わない。

 

「悠斗…なのか…?」

 

「ぬうっ!?また貴様か!!」

 

「お、お兄ちゃん?」

 

「そ、その格好…」

 

「大丈夫だから…怖かったでしょ?」

 

「「こ、怖かったよ…」」

 

「大丈夫。あいつは私が倒すから…でも、私が大丈夫じゃないな…ははは…」

 

「お…お兄ちゃん…?」

 

「ロム…ラム…できれば、目を瞑って、耳を塞いで貰えると助かるな。ちょっと、今からの私を見て欲しくないから…聞いて欲しくないから…」

 

「「う…うん…」」

 

悠斗の言葉を聞いたロムとラムは目を瞑り、耳を塞ぐ。だが、その瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ドクンッ…

 

鼓動が鳴り響く。

 

…あいつはロムとラムを殺そうとした?

 

―――ドクンッ…

 

再度鼓動が鳴り響く。

 

…また仲間を失うの?

 

―――ドクンッ…

 

鼓動が早くなっていく。

 

…あの怪物に?

 

―――ドクンッ…

 

どんどんと早くなっていく。

 

…許さない…

 

―――ドクンッ…ドクンッ…ドクンッ…!ドクンッ…!!ドクンッ…!!!ドクンッ…!!!!ドクンッ…!!!!!

 

鼓動が最高スピードに達する。

 

許さない許さない許さない許さない許さない許サない許さナい許さなイ許サナい許さナイ許サナイ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユルサナイッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ…フフフフフ…アハハ…」

 

悠斗は更に狂気染みた笑いを浮かべ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハハハハハハ!!!!!アッハハハハハハハハハハ!!!!!殺シテアゲルッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

悠斗が、壊れた。その証に両目は完全に紅く染まっていて、口元はおかしいくらいにまで吊り上り、そして悠斗の身体は全て黒く変化し禍々しい姿になり、ブチギレた時よりも十倍もの量の殺気が放出される。

 

 

 

 

 

「殺さなきゃ…私の仲間を奪う奴は…殺さなきゃ!!!!アハハハハッ!!!!」

 

「ゆ…悠斗…?」

 

「ひっ…ひぃいいいいいいっ!?」

 

尋常ではなく、恐ろしいまでの殺気、禍々しくなった姿の悠斗を見て戦慄し、ガタガタと震え出し狂気に似た叫び声を上げた。無理もない。目の前にいるのは完全に狂ってしまった人間なのだから。

 

「ほら…出てきて、“双小剣(ツインダガー)”『ノクスネシス』ッ!!!」

 

悠斗は両手を交差させ掲げると、その手には黒と紫が象徴とした、ダガーと呼ぶには少し長い双剣を呼び出した。

 

「シンフォニック…ドライブッ!!!!」

 

そのまま、“シンフォニックドライブ”と呼ばれる強烈な二段蹴りをトリックに浴びせる。壊れた事で力が増したのか、二段目の蹴りで仰向けになる様にトリックが倒れる。

 

それを…悠斗が見逃す筈がなかった…悠斗は、倒れたトリックに馬乗りになり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、刺した。所謂(いわゆる)“メッタ刺し”という行為だ。

 

「あぎゃあああああぁぁぁぁぁっ!?」

 

何度も身体を刺され、叫び声を上げるトリック、だが、悠斗のメッタ刺しは止まらなかった…

 

悠斗side out

 

ブランside

 

今、私ブランはあの怪物と同じで戦慄している。何故かというと…

 

「殺さなきゃ…私の仲間を奪う奴は…殺さなきゃ!!!!アハハハハッ!!!!」

 

そう、悠斗が完全に狂っているからだ。悠斗が本気でキレた時よりも更に強い殺気も放っている。本当に彼から出ているのか!?この殺気は悠斗が本気でキレた時よりも危険だ。止めなくては…!だが、できなかった。身体が震えてしまっていてできないのだ。

 

「ほら…出てきて、“双小剣(ツインダガー)”『ノクスネシス』ッ!!!」

 

そう思っている内に、悠斗の手から黒と紫が象徴とされた双剣が出てくる。あれで何をするんだ!?嫌な予感しかしない…

 

「シンフォニック…ドライブッ!!!!」

 

悠斗が二段の強烈な蹴りを放つ。あまりにもダメージが大きいのか、あの怪物が仰向けになる様に倒れた。そして、次の瞬間…

 

 

 

 

 

悠斗が怪物をメッタ刺しにしていた。

 

 

 

 

 

怪物から悠斗に刺されて剣が抜かれる度に血が噴き出す。その返り血を浴びて、血のような色になる悠斗…もう…彼を止められる者はいない…どうすればいいんだ…

 

ブランside out

 

三人称side

 

「アハハッ!アハハハハッ!!ねぇ、どうしたの?さっきまでの威勢は何処に行ったの?まぁいいや、こうやって刺してるの、楽しいしねぇッ!!!!アハハハハハハハッ!!!!!」

 

もう、悠斗を止める者はいないのか?そう思われた時…

 

「ブラン!ねぷっ!?あれは!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

「悠ちゃんが…」

 

「悠斗さんが…悠斗さんではなくなってる…あれが…悠斗さんの言っていた“壊れる”って事…」

 

「あの優しかった悠斗さんが…」

 

ネプテューヌ達が駆けつけた。だが、目の前の光景に全員が驚き、戦慄する。ほぼ全身が返り血を浴びて血だらけで、もう悠斗が悠斗ではなくなってしまっている状態にさえなっていたから。

 

そして、悠斗がメッタ刺しを始めた五分後、急に悠斗の手が止まる。

 

「アハハッ!!!アハハハ……もう飽きちゃった。つまんない。だから一思いに殺してあげるッ!!!」

 

「死んじゃえ壊れちゃえ消えちゃえ滅びちゃえッ!!!融合テクニック『ナイトメア・デスフレア』!!!!!」

 

悠斗は飛び上がり、超火炎弾(メガフレア)よりも遥かに大きい“20mもの”巨大な黒紫の球体をトリックに落とす。そして、その黒紫の球体が直撃した瞬間…

 

 

 

 

 

―――――ドガアアアアアアアァァァァァァァァン!!!!!

 

 

 

 

 

20mをも越える大爆発が起こる。そして数秒の後、爆風が小さくなり、最終的には煙もなくなる。そこにいたのは、壊れた悠斗ただ一人であり、爆心地は巨大なクレーターができていた。

 

「アハハッ!殺した!私が殺したんだ!アハハッ!アハハハハハ…ははは…は…」

 

また、狂気に取り憑かれたような笑いをする悠斗。だが、どんどん笑い声が小さくなる。

 

「…………」

 

そして、段々と元の悠斗に戻っていく。しかしその目には、涙が浮かんでいた。

 

「…また…壊れちゃった…あはは…前世では壊れた事によって、友達を失ったのに…バカだなぁ…私は…また大切な人を失う結果になっちゃうなぁ…ははっ…」

 

膝をつきながら、崩れ落ちる悠斗。その悠斗に向かって、皆が駆けつける。

 

「「「「「「「「悠斗((さん))((お兄ちゃん))(悠ちゃん)!」」」」」」」」

 

「皆…ごめんね…壊れちゃって…嫌になっちゃったでしょ?幻滅したでしょ?」

 

悠斗がそう言った瞬間、皆が悠斗を抱きしめる。

 

「え…?何で…?私の事嫌いになっちゃったんでしょ?」

 

「そんな事ないよ…悠斗…よかった…」

 

「いつもの優しい悠斗なのよね…?」

 

「今までの殺気が嘘のように消えて…」

 

「私の知っている悠ちゃんに戻って…よかったですわ…」

 

「「悠斗さん…いつもの悠斗さんに戻ってよかったです…」」

 

「「お兄ちゃん…怖かったよぉ…」」

 

「嫌いになってないの…?あんな事したのに…?」

 

「ならないよ!でもまさか、悠斗の壊れた姿を見るとは思ってなかったけど…」

 

「いつもの優しい悠斗に戻っただけで充分よ…!」

 

「そう…でも本当にごめんね、あんな姿を見せちゃって」

 

「もう謝るのはなしですわ、そろそろ教会に戻りましょう?ね?」

 

「…そうだね」

 

悠斗達は立ち上がり、そのまま教会に戻った。

 

 

 

 

 

誘拐事件も無事に(?)解決し、その日はもう遅かったのでルウィーの教会に泊まる事になった。その翌日、悠斗はブランに呼び出され、

 

「悠斗…二人を助けてくれてありがとう…それとあの時、酷い事を言ってごめんなさい…」

 

とお礼と謝罪を受けた。

 

「大丈夫だよ。寧ろ皆を戦慄させちゃったから、こちらこそごめんね」

 

「あの時の記憶があるんだ…」

 

「鮮明にね…」

 

「あの時の悠斗は、“悠斗に似た何か”みたいになってたわよね…」

 

「そこまで…でも、記憶が鮮明に残ってるから、周りから見るとそうなるかもね。…物凄い他人事みたいに聞こえるけど」

 

「もうあれは、私の知っている悠ちゃんじゃありませんわ…」

 

「そこまでいってたんだ…」

 

悠斗と女神メンバーが“壊れた悠斗”の事を話していると、応接室のドアが開き、ロムがニコニコ笑顔で走り寄って来たのだ。

 

「お姉ちゃん、悠斗お兄ちゃん…!」

 

「…えっ?」

 

ロムの言った言葉に一瞬だが思考停止してしまった。昨日までお兄ちゃん呼びだったけど、名前が入っている…?思わず真顔でロムに聞き返した。

 

「ロム?今何て言ったの?」

 

「えっと…“悠斗”お兄ちゃん」

 

「まさかの名前呼び!?」

 

▼おめでとう!お兄ちゃん呼びから“名前入りの”お兄ちゃん呼びに進化した!

 

何故に…?昨日だって壊れてたし…いや、呼んでくれて嬉しいけど…寧ろそう呼んでいて下さい。

 

「嫌…だった…?」

 

「ううん、そんな事ないよ。でも、どうして?昨日の私は見せられる物でも、聞かせられる物ではなかったし…」

 

「耳を塞いでいても、お兄ちゃんの変わった声を聞いちゃってとても怖かったけど、それでもお兄ちゃんからは優しい雰囲気がなくなってなくて、私達を守ってくれて…凄く嬉しかったの…その時に“やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃん”なんだって…だからこれからも悠斗お兄ちゃんって呼びたい。ラムちゃんもそう思ってるから…」

 

「ラムも?」

 

「(コクコク)」

 

「あはは、ありがとね」

 

感謝の気持ちを述べながら、ロムとラムを撫でる。その時のロムとラムは物凄く嬉しそうにしてたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

その後、何故倒れたのか理由を知った悠斗は、ブランにO☆HA☆NA☆SHIをした。




冥夢「今更ですが、名前を変えました。このままの名前で通していくので、よろしくお願いします。それは兎も角として…はい、もう文字数には突っ込みません。それに、私も暴走してしまいましたので(壊れた悠斗の描写)…これからの話では自重しますが、自重しない時がくるかもしれません。因みに、ナイトメア・デスフレア直撃時にトリックがいませんでしたが、まだ死んではいません。これだけは言っておきます。それでは、今回で描写された“ルナティックモード”とオリジナルテクニックの紹介をどうぞ」

“ルナティックモード”:仲間を殺されそうになると発動する悠斗の3つの怒りの一つ。段階に分けられており、第一段階で銀髪が黒髪に、目が光のなくなった青目、赤目になり、口調が変化する。第二段階で両目が赤く染まる。第3段階で狂気の含んだ笑みが混ざる。第四段階で身体全体が黒く染まる。最終段階で目が完全に紅く染まり、口元がおかしいくらいにまで吊り上り、狂った笑いが常に起こる。所謂狂化形態である。

火炎弾(プチフレア):“ヴォル・ドラゴン形態”に移行する事で使用可能のオリジナルテクニック。右手に30cm台の火球を生み出して、高速で射出する。“フレア”となっている為、直撃した後に爆発するという、“二段攻撃”が可能。

超火炎弾(メガフレア):“ヴォル・ドラゴン形態”に移行する事で使用可能のオリジナルテクニック。右手を掲げ、超火炎弾(メガフレア)と唱えると、悠斗の上に5m大の巨大な火球が生み出され、相手に向かって落とす。火炎弾(プチフレア)と同じで直撃後に爆発もあるが、その威力は火炎弾(プチフレア)の比ではない。

ナイトメア・デスフレア:“ヴォル・ドラゴン形態”、“ルナティックモード”と同時移行時のみ使用可能のオリジナルテクニック。その名の通り、闇の力と狂気の力を使い20m大の球体を相手に向かって落とす。その威力は、火炎弾(プチフレア)超火炎弾(メガフレア)を“余裕で”上回る。



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第二章 三国への体験入国&エネミーとの会敵
第九話 三国への体験入国 まずはラステイション


冥夢「更新が遅れてすみませんでした。前回の描写で私達が暴走してしまったのでそのクールダウンをしていました(言い訳)。そして、ここから暫らくはオリジナル展開でお送りします。それでは、第九話、始まります。」


「私が他の国へ体験入国?」

 

「はい、そうなんです」

 

私が仕事を終えて片付けているところ、イストワールに呼び出された。その内容は、“私がプラネテューヌ以外のラステイション、ルウィー、リーンボックスに体験入国をする”という物だった。

 

「それは解ったけど、何故いきなり?」

 

「悠斗さんはプラネテューヌの事はネプテューヌさん達に色々教わって地形も把握していますが、他の国の事はあまり知らないと思いましたので。そこで、他の国に体験入国という形で勉強できたらと思ったのです」

 

うん、確かに私はプラネテューヌ以外の国の事はあまり知らない。ラステイションとルウィーにはたったの一度しか行ってないし、リーンボックスにおいては一度も行ってないしね。

 

それに、他の国でも私が知っているエネミーがいるかもしれないしね。これは良い経験になるし、私の火力アップという一石二鳥だね!

 

「理由としては、二つありますが、まずはノワールさん達からの希望で、もう一つが、悠斗さんはこの世界では見た事がないモンスター…もといエネミーと戦闘しましたね?そのエネミーが世界各地に出現するようになり、それを討伐して頂きたいのです」

 

「えーと、確か三国には別称があったよね?それを教えて貰えないかな?」

 

「はい、ラステイションは“重厚なる黒の大地”、ルウィーは“夢見る白の大地”、リーンボックスは“雄大なる緑の大地”です」

 

「ははは…何だろうね、今の別称で何のエネミーが出てくるのか大体予想できたよ、うん。でも、何でノワール達が?」

 

ノワール達自ら希望?何で?私何かしたっけ?

 

と、私が頭を抱えていると、イストワールは笑いながら教えてくれた。

 

「プラネテューヌだけでなく、“自分達の国の事”も沢山知って貰いたいという気持ちがあるのだと思います。それに、悠斗さんは半年も経たずにこの世界の女神全員と友好を結ぶことができた。その結果ですよ」

 

「思い当たる節しかない…」

 

ノワールには“私の事も頼っていい”、ブランには“女神が無理だって言葉、絶対に有り得ない”、ベールには“ベールの事も助けたいんだ&ベールの事も守りたい”、と。今思い返しても、物凄いキザな言葉を使ってるなぁ…と頭を掻きながら思う私。

 

で、この用件を受けるか受けないか?答えは勿論、

 

「うん、解った。この用件、受けさせて頂くよ。他の三国で勉強になるし、エネミーを討伐して危険が迫る事が少なくなって、一石二鳥だしね」

 

「悠斗さんなら受けてくれると思いました。ノワールさん達には私から連絡しておきます。出発日は明日の正午から、出現したエネミーが複数体いるので、滞在期間は五日間となっています。何か解らない事、困った事がありましたら私に連絡を下さいね?」

 

「ん、了解」

 

出発は明日、早いね。でも、心なしかワクワクしている自分がいる。待ってて、pso2のエネミー達!

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆          

 

 

 

 

 

そして、翌日の正午―――

 

「まさか、貴方が空を飛べるなんて思ってもいなかったわ…」

 

「ん?これ?いざという時になったらミサイル発射できるよ?」

 

「いや、どんな兵器よ!?」

 

私はライドロイド(改良型)を呼び出しラステイションに向かって飛び立つ。女神化したネプテューヌも込みで。

 

「まぁ、それはホントに“いざという時になったら”だしね。後、もう一つ能力があって、それじゃ『オーバーブースト』!」キュイイイイイイイン!!!

 

と、ネプギアを乗せてユニを探しに行った時と同じようなスピードで加速する。

 

「ちょ、ちょっと!?待ちなさいよ!」

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆     

 

 

 

 

 

私は久々のラステイションに着く。あ、ネプテューヌ置いてきちゃった。大丈夫だよね?ネプテューヌの事だし…そう考えていると遅れてきたネプテューヌが追い付く。

 

「もう…悠斗ったら早すぎよ…」

 

「ごめんごめん。でも、見送ってくれてありがとね」

 

「ええ。それじゃ、私はここら辺で帰るわ。…お土産忘れないでよ?」

 

「解ってるよ。それじゃあ、行ってくるよ」

 

「行ってらっしゃい!」

 

と、笑顔を向けてくれたネプテューヌ。そして彼女は空高く飛び立ちその場を後にした。さて、私も行きますか。待ち合わせ場所にいないって事は許されないしね。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆     

 

 

 

 

 

「確か、指定された場所はここだと思うけど…」

 

そう、悠斗はネプテューヌと別れた後もライドロイドで待ち合わせ場所に移動していた。Nギアを見ながら。

 

え?何時の間にそんな物持ってたのかって?ネプギアから貰いました。

 

「あ、いた」

 

色々飛び回っていたら探していた人物の姿があった。そこで私は、ライドロイドから“乗り捨てるように”飛び降りた。

 

「ユニぃぃぃぃぃぃ!!」

 

「えええっ!?ゆ、悠斗さん!?」

 

ユニが驚くのも無理はない。何せ、待ち合わせていた人物が“空から”やってきたのだから。

 

とはいっても、そんなに高くなく、精々4m程から飛び降りたんだけど。え?充分高い?

 

それでも悠斗は“普通に”着地したので、人間らしさがどんどんと薄れていっている今日この頃である。

 

Q.何で人間とかけ離れていってるの?

 

A.フォトンを有して人間業ではない動きをするようになったから。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆     

 

 

 

 

 

「いやぁ、ごめんね?いきなり空から来て、目の前で着地して」

 

「いえ、大丈夫です…少しびっくりしただけなので…それじゃあ、行きましょうか」

 

私は、ユニに着いて行く形でラステイションの教会へ向かう事となった。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆     

 

 

 

 

 

私達は教会に着き、ノワールの居るところへ行き、ノワールの部屋に入るが、目に飛び込んできた物は、“書類の山”。え?この状態で通したの?助けを求めようよ…

 

取り敢えず、書類の山に埋まっているノワールを引っ張り出す。案の定、ノワールは目を回していた。

 

「た…助かった…」

 

「お姉ちゃん、大丈夫?」

 

「仕事熱心なのは解るけど、まさかここまでだったなんてね」

 

逆に考えよう。あの書類の山をノワールはこなしていたのだ。え?凄くない?

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆     

 

 

 

 

 

それから私達は、バラバラに散ってしまった書類を片付ける。私の手伝いもあって、片付けは直ぐに終わった。

 

「ごめんなさいね、悠斗。仕事が立て込んじゃってて迎いに行けなくて」

 

「気にしてないからいいよ。それよりも、本来の目的があったんじゃないかな?」

 

「ええ、そうね。それじゃ悠斗、ラステイションへようこそ!歓迎するわ!」

 

「ありがとう。これから五日間お世話になるよ」

 

と、私も挨拶をする。見知った人とはいえ、挨拶なしでは、失礼に値しちゃうからね。

 

「でも、私は何をすればいいの?イストワールからは女神の手伝いが主だって言ってたけど」

 

「それもそうだけど、早速明日に突如出現したモンスターを討伐しに行くわ」

 

「いきなりだね。でも、ノワールが知らないってのが気になるんだけど?」

 

「知らないどころか情報もサッパリだわ…でも、放ってはおけないでしょ?」

 

「…そうだね。もしかしたら、私が知ってるエネミーかもだけど」

 

私は、明日討伐するエネミーに心躍らせながら、ノワールから教会で泊まる場所を案内して貰った。




冥夢「さて、次話はラステイションでエネミー討伐ですが、閲覧者様はどんなエネミーが出るのか、想像してみて下さい」


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第十話 VS巨大変形機甲種

冥夢「二ヶ月以上遅れてすいませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」

悠斗「さて、その理由を言って貰おうか」

冥夢「ちょっ!?明らかにキレてるよね!?口調変わってるし…」

悠斗「いいから理由を言え」

冥夢「あ、はい。リアルが忙しかったのと、イルルカとネプテューヌUとMH4にどっぷりハマり込んだ事と…って悠斗ちょっと待って!フォメルギオン放とうとしないで!もう一つの最大の原因があるから!」

悠斗「ほう…?で、それは何だ?」

冥夢「それは…自動保存のデータが二回消し飛んだ事です…」

悠斗「!?」

冥夢「自動保存は十五日経つと全部消えますよね?で、見事にそれを“二回も”やらかしてしまい、一回目は何もメモせずに消し飛び、一から作り直す羽目に…しかも、この話終わりかけで…そして、二回目は一回目の反省でメモを取ったから良いものの、またメモを取らなかったらと思うと…ガクガクブルブル…」

悠斗「そう、なら仕方ないね。でも、イルルカとネプテューヌUとMH4にハマり込んでいたのには制裁しないといけないねぇ…」

冥夢「ちょ…何するつm「ディバインランチャー零式!」それ当たったらシャレにならnギャアアアアアアア!?」

*冥夢は悠斗のディバインランチャー零式で吹っ飛ばされ、そのままログアウトした。

悠斗「全く…こんな作者ですいません。今回は、私とノワールとユニがpso2のエネミーと対峙し、ネプテューヌRe;Birth2のフィールドも出てきます。長くなりましたが、第十話、始まります」



――翌日。

 

「昨日の突如出現したモンスターだけど、何処にいるのかが解って、“ミッドカンパニー”という廃工場にいるらしいわ」

 

「廃工場ねぇ…想像つくエネミーは機甲種かな?まぁ、行ってみれば解る事だし、行こっか」

 

「待って下さい!」

 

ノワールと私でミッドカンパニーに行こうとした時、ユニが引き止める。

 

「どうしたの?」

 

「あの、私も行っていいですか?」

 

「「え?」」

 

ユニの“私も行っていい?”の発言により、ノワールと悠斗が困惑の表情を浮かべる。

 

「ユニ、今から行く場所は未知のモンスターがいる場所よ。そんな所に貴女を連れていけないわ」

 

「ノワール、そんなキツい事言わないの。確かに危険な場所だけど、ユニもいた方が戦力アップするし、この世界じゃないモンスター、もといエネミーの事も知る事ができるから一石二鳥じゃないかな?」

 

「じゃ、じゃあ…」

 

「いいよ。でも、油断と慢心はしないでね?」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「それじゃ、改めて行こっか」

 

私とユニはライドロイドで、ノワールは女神化してミッドカンパニーに向かった。

 

 

 

 

 

 

“異世界 ゲイムギョウ界 ミッドカンパニー”

 

私達はミッドカンパニーに着き、目的のモンスターもといエネミーを探す。すると奥深くに…

 

<ヤット来タカ、フォトンヲ操リシ人間ヨ。待チ侘ビテイタゾ>

 

「「!?」」

 

そのエネミーのテレパシーによってノワールとユニは驚く。だが悠斗は、

 

「…トランマイザーもこの世界に来てたんだね…」

 

テレパシーには驚きもせず、対峙したエネミーに驚く。それもそう、目の前にいるエネミーは重厚なボディ、赤熱したクロー、二つのミサイルポッドが装備され、後ろに青いコアがある機甲種、“トランマイザー”だったのだ。

 

<マァナ。気ガ付イタラコノ世界ニイタノダ。ソレヨリモ…>

 

「うん、周辺に影響が出てるから、討伐させて貰うよ!」

 

<(何カ違ウヨウナ…)イイダロウ、カカッテクルガイイ!>

 

「ノワール、ユニ、ぼーっとしてないで。もうこれから見るエネミーは、全てテレパシーを使うって覚えてて。それよりも、来るよ!」

 

「はっ!?え、ええ!」

 

「わ、解りました!」

 

そう言ってノワールはショートソード、ユニはアサルトライフルに似た銃をコールする。

 

「さて私はっと、出でよ強弓(バレットボウ)『ライブベルド』!」

 

悠斗は全身が紫を象徴とされ、弦の部分が紫の量子でできた弓が握られていた。

 

<ハァッ!>

 

トランマイザーは赤熱したクローを出し、横薙ぎに引っ掻く。しかし、

 

「甘いわ!」キィン!

 

ノワールは咄嗟に剣を斜めにしてガードする。そこに

 

目標補足(ターゲットロック)!トリコロールオーダー!」ババババッ!

 

ユニの連続射撃がトランマイザーのボディに僅かだが傷を付けていく。更に

 

「私もいる事を忘れないで欲しいね!フォトンアーツ『ペネトレイトアロウ』!」

 

悠斗の溜めからの一回り大きい矢がトランマイザーに向かって発射される。フォトンの矢でもある為、トランマイザーを貫通する。

 

<マダマダ!放電(ディスチャージ)!>

 

「っ!ノワール、離れて!」

 

「え?きゃああっ!」

 

ノワールはトランマイザーと至近距離にいた為、放電(ディスチャージ)をモロに喰らってしまう。

 

「お姉ちゃん!大丈夫!?」

 

「ちょっと待ってて。テクニック『レスタ』」

 

悠斗は右手を上に掲げる。すると、悠斗から緑色の光が出て、悠斗とノワールとユニを包み込む。

 

「あれ?さっき放電を喰らったけど、もう痛くない?」

 

「今放ったテクニックのレスタは、体力を回復させるものなんだ。だからこれで大丈夫だと思うよ」

 

「大丈夫…って言いたいんだけど、痺れて動けない…」

 

その証に、ノワールの周りに小さな青い雷が纏わり付いている。

 

麻痺(ショック)状態だね。なら、テクニック『アンティ』」

 

悠斗はもう1度右手を上に掲げる。すると今度は青色の光が出て、悠斗とノワールとユニを再度包み込む。小さな青い雷を纏ったノワールだったが、それが綺麗さっぱり無くなり、立ち上がる。

 

「回復だけでなく、麻痺も治療できるなんて、フォトンの力って凄いわね…」

 

「とは言っても、一部の状態異常は治療できないけどね。例えば、自分に銃での照準マークが付く“ウィークバレット状態”という状態異常があって、その場合、全身が弱点になって更に大きなダメージを受けるから、その状態になった後にはエネミーの攻撃は喰らってはダメになっちゃうんだよね」

 

「えっと、その状態異常は解ったのですが、“ウィークバレット”って何ですか?」

 

「お、良いところに目を付けたね。ウィークバレットっていうのは、武器に長銃(アサルトライフル)があるんだけど、それに必須なスキルでね。それをエネミーに撃ち込んだら、赤い照準が付いて、その“赤い照準が付いたエネミーの部位は弱点になる”って感じだね。まぁ、習うより慣れろだし、出でよ『ヴァルツフェニクス』」

 

悠斗は、装備していた弓を培養液の満たされた容器にしまい、『ヴァルツフェニクス』と呼ばれる長銃(アサルトライフル)を呼び出す。すると、悠斗の両手には、黒色を象徴とした流線型のフォルムに加え、真っ黒い翼を広げたような装飾がされてある長銃(アサルトライフル)を持っていた。

 

「ユニ、これを使って」

 

「え、いいのですか?」

 

「うん。いずれ、私の使っている武器を皆も使わなければならない時が来るかもしれないしね。ウィークバレットも使わなければならなくなる時もあるだろうから」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「……」ジー

 

ユニに、長銃(アサルトライフル)を渡すと、ノワールが“私にも貸して欲しい”と言わんばかりの目線が送られてくる。

 

「はいはい、そんな目線送らなくても貸すよ。でも、ショートソードってなかったような…」

 

「えっ…」

 

途端にノワールは“そんな…”という目線になる。その目線やめて…心が痛くなるから…

 

「まぁまぁ、ショートソードはないけど、似ている武器として飛翔剣(デュアルブレード)ならあるよ。けど、両方もいらないから片方だけかな。それじゃ、出でよ『ツーヘッドラグナス』の“片方”」

 

悠斗が“ツーヘッドラグナス”とコールすると、全身真っ赤な剣が握られていた。

 

「ノワール、これを使って。炎が燃え盛ってるけど、そういうエフェクトで影響はないから」

 

「…いいの?」

 

「うん。さっきの目線が心に刺さった事と、ノワールにもフォトンを使った武器に慣れてほしいしね。因みに、フォトンは私が流し込んでおくから気にしないでね」

 

「あ、ありがとう!」

 

〈…大分空気ニナッテイタヨウダガ、ソロソロ動イテイイカ?〉

 

「マイザー…メタいよ…」

 

〈悪イナ、長イ間放置ニサレテイタンダ。愚痴クライ発スルサ〉

 

「…その件に関してはごめんね。さて、続きといくよ!」

 

「「解ったわ(解りました)!」」

 

〈釈然トシナイガ…マァイイダロウ。再戦ト行クゾ!〉

 

トランマイザーの号令により、再び動き出す3人と1機。最初に仕掛けたのは…

 

「フォトンアーツ、『トレンシャルアロウ』!」

 

悠斗であった。再び弓を構え、上に向かって矢を放つ。すると上空で矢が分裂し、雨となってトランマイザーに襲いかかる。

 

「悠斗ばかりにいい所は持って行かせないわ!トルネードソード!」

 

ノワールは、信仰の力で虹色の剣を作り出し、その剣でトランマイザーを斬り裂く。

 

「わ、私も!悠斗さんの使っているフォトンアーツ、お借りします!フォトンアーツ『グレネードシェル』!」

 

ユニは、銃にグレネード弾を装填し、トランマイザーに向けて発射する。その弾丸は僅か二秒でトランマイザーの目の前に到達し、着弾、炸裂する。炸裂時に起きた煙が晴れると、そこには多数の攻撃で機体に少し傷が付いたトランマイザーがいた。

 

<フム…ヤハリフォトンノチカラハ偉大ダナ。ダガ、コレナラドウダ!フォームチェンジ、“戦車形態(パンツァーモード)”!>

 

そう唱えると、トランマイザーが変形し、クローとミサイルポッドがキャタピラ、人型形態では足だった部分が砲台、コア部分が砲台部分の後ろに配置された。しかし、それだけでなく、側面に新たなミサイルポッド、クローがキャタピラとなった時に、人型形態では格納されていたバルカンが現し、まるで戦車を模した姿に変化した。

 

「形態変化して来たね…あの形態は、人型形態よりも脅威は上がって、寧ろここからが本番だと思って!それと、ミサイルを発射してくるけど、一発も当たらないでね!」

 

「「解ったわ(解りました)!」」

 

<蜂ノ巣ニシテクレル!>バババババババッ!

 

悠斗がユニとノワールに戦車形態の脅威を伝えて、了承を得た瞬間、トランマイザーのバルカンから弾幕が形成される。

 

ユニとノワールは即座に避けるが、悠斗は避けるどころかトランマイザーに向かって走っていた。

 

「悠斗!?何してるのよ!それで当たったら元も子もないわよ!?」

 

「いや、大丈夫。(ゲーム内でだけど)戦い慣れてるんでね!寧ろこっちの方がありがたいね!それじゃ、フォトンアーツ『シャープボマー零式』!」

 

悠斗は弓を横の水平にして力を入れる。そして、前に飛び上がって悠斗の向きが反対になった瞬間――

 

 

 

――バシュッ!ドオオォォン!

 

 

 

着弾と同時に炸裂する矢が発射され、そのままトランマイザーに襲い掛かり、グレネードシェルと同様、着弾からの炸裂。その間に悠斗は普通ではあり得ない空中前転を済ませ――

 

「もう一発!『シャープボマー零式』!」

 

今度は横に飛び上がって、再度炸裂する矢が発射される。

 

「追撃するわよ!私も悠斗の使ってるフォトンアーツを借りるわ!フォトンアーツ『ジャスティスクロウ』!」

 

ノワールはツーヘッドラグナスで五角形を描く。すると、星型の印が形成され、トランマイザーに向かって射出する。弾速は遅いが、着弾と同時に爆発する。

 

「援護します!フォトンアーツ『パラレルスライダー』!」

 

ユニは銃を構え、左に飛び込む。それと同時に十三発の銃弾をトランマイザーに浴びせる。

 

幾度の弓撃、斬撃、銃撃…それらを喰らったトランマイザーは、所々火花が散っていて、壊れる一歩手前だった。

 

<グッ…ソロソロ限界カ…ダガ…セメテモノ報イダ!>

 

トランマイザーは、側面のミサイルポッドから大量のミサイルを発射する。

 

「来た…!戦車形態での一番危険な攻撃…ノワール、ユニ!こればっかりは“一発も”当たらないでね!」

 

「「ええ(はい)!」」

 

大量のミサイルが三人に向かって襲い掛かる。だが、ノワールはフォトンアーツ『ディストラクトウィング』、ユニは再度『パラレルスライダー』で撃ちながら、悠斗はフォトンアーツ『カミカゼアロウ』で、“自身を弓にして発射し、避けた”。三人が避けた事により、ミサイルは明後日の方向の地面に当たり、爆発する。

 

「(確か、この後は排熱で弱点を晒す筈…!なら…!)」

 

悠斗は、トランマイザーの後ろに回り込む。狙い通り、排熱で弱点の青いコアを晒していた。

 

「ノワール、ユニ!こっちに回り込んで!青いコアが弱点だから、ここに猛攻撃を仕掛けて!」

 

「ええ!これで終わらせるわ!フォトンアーツ『ケストレルランページ』!」

 

ノワールは、縦横無尽にトランマイザーのコアを斬り刻む。

 

「これで消えなさい!フォトンアーツ『エンドアトラクト』!」

 

ユニはその場で静止し、溜めに入り、その三秒後、銃から巨大な貫通弾が発射される。

 

「まずは追加衝撃により炸裂する矢『バニッシュアロウ』。そして…」

 

悠斗はマーキング矢を放ち、トランマイザーのコアに当てる。しかし、バニッシュアロウ自体にダメージはなく、“後の追撃が本当の攻撃”なのだ。

 

「この一射は全てを貫き、明日を光指す力となれ!フォトンアーツ『ラストネメシス』!」

 

詠唱と共に悠斗は浮き上がり、思いっきり力を込めて弦を引き、その込めた力を矢に託し、発射する。

 

その一射はコアに命中し、先程放ったバニッシュアロウでの衝撃となり、瞬時に爆発する。その爆発がトドメとなったのか、トランマイザーに大きな火花が上がり、崩れ落ちる。

 

<ヤッパリフォトンノチカラニハ敵ワナカッタカ…マァ、戦ワズトモ我ノチカラハオマエニ託シテイタガナ>

 

「マイザー、それを早く言ってよ…」

 

<悪イナ、アークスデナイ“フォトンノチカラヲ持ッタ人間”ニヨリ、闘争心ガ出テ来テシマッテナ…マァ、ソレヨリモオマエハ、我ノ想像以上ニフォトンヲ扱エテイルヨウダナ。ナラ、我ノチカラモ使イコナス事ガ出来ルダロウ…受ケ継グガイイ…>

 

テレパシーでそう言った瞬間、トランマイザーの身体が光り出す。悠斗は即座に写本を取り出し、その光を写本に吸い込む。

 

「受け継ぎ…完了」

 

写本に“トランマイザー”と項目が追加された事を確認し、仕舞った。

 

「ノワール、ユニ、クエストも達成された事だし、ギルドに戻るよ」

 

唖然としている二人を引き戻し、行きと同じで私とユニはライドロイド、ノワールは女神化してギルドに戻り、報酬を受け取った。

 

因みに、報酬金額高くない?(五十万クレジット)と三人が思ったのは別の話。




冥夢「私、復活!ですが置いておいて、前書きの通り、二ヶ月以上投稿が遅れて申し訳ありませんでした…」

悠斗「これに懲りたら、もうやらないでよ?次やったら強制フォメルギオンだからね?」

冥夢「善処します…それに、何時までも気を落としていたら進まないので、ここまでにします。今回、悠斗だけでなく、ノワールとユニがフォトンアーツを、しかも即座に使えていましたが、ここで解説します。まず、超次元ゲイムネプテューヌの原作やアニメを知っていて、尚且つpso2も知っていると、キャラの使っている武器とフォトンを使った武器が似ているって思うのですよ。まぁ、コラボもしましたし…(原作の方じゃないけど)なので、今回のノワールとユニにはフォトンを使った武器を使って貰いました。」

悠斗「私の使っている武器はかっこいいもの多いしね。あぁ…複合テクニック使いたい…」

冥夢「それに関してはまだまだ先です。それと、次回は悠斗の性別が…?投稿が遅れないよう、頑張ります…」


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第十一話 素直なノワール

冥夢「またもや二ヶ月更新遅れ…本当にすみません…しかも、今回は本来悠斗の性別を変えようと思っていましたが、まだ早かった為あと二話ほど先延ばしです。そして、遅れた理由ですが…ネプテューヌRe;Birth2の小説が猛烈に書きたくなってしまいまして、この作品を書こうとすると、ネプテューヌRe;Birth2の小説の話題が出てきてしまい、この作品に手が付かなくなる…といった感じが前話から続いて、今に至ります。そして、この作品はクロスオーバーですが、他原作キャラを追加し、更にクロスオーバーさせます。この話の前半部分と後半部分ですが…」

悠斗「もう訳が解らなくなっちゃってるよ…で、そんなに書きたいのなら書けばいいじゃんって思うけど、この作品まだ話数が浅すぎるし、この作品が更に更新が遅れるとまずいので、一区切り着いてからだよ。さて…二ヶ月以上遅れたね?前回言った通りに…『フォメルギオン』!」

冥夢「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」ゴオオオオオォォォォォッ!

*冥夢はフォメルギオンで消し炭にされた。

悠斗「全く…少しは待たせちゃっている読者の方々にも気を配れっての…おっと、すみません。それでは第十一話、始まります」


「さて…昨日新たに入手したトランマイザー、その融合を試してみようっと。ごめんね、その為に呼び出しちゃって」

 

「いや、いいのよ。その『融合』に興味あるしね。次はどんな姿になるのかしら…」

 

「以前、ヴォル・ドラゴン形態…でしたっけ?殆ど血だらけで、遠目だったのでどんな姿になっていたか解らなかったですが、今度は別の形態を目の前で見れるんですよね?楽しみです!」

 

「ユニ…あんまりその話はしないで…あの時の姿は見せたくなかったし…ま、まぁ、あの時の原因は暫くしたら話すとして、“重厚なる変形機甲種、トランマイザー”、召喚融合」

 

モタブの写本からホログラム状のトランマイザーが映し出され、そのトランマイザーと悠斗が合体し、光が放たれる。

 

そして、光が段々と収まり、悠斗の姿が映し出される。その姿は“服が外され全身が機械化、頭がトランマイザーの顔を模した装甲、両腕にアーム、その手の外側の部分に収納状態の赤熱したクロー、内側に小さなバルカン、足には装甲+ブースター、肩にミサイルポッドが装備された”俗にいうキャストとトランマイザーが合わさったような姿だった。

 

「悠斗、“トランマイザー形態”に変身完了。…何か、全体的にロボットみたいになっちゃったね。まぁ、元が元だし仕方ないかな」

 

「姿が変わるだけでなく、変わった形態によっては専用技も使えるようになるのよね?」

 

「うん、そうだね。例えばヴォル・ドラゴン形態だと、火炎弾(プチフレア)だったり超火炎弾(メガフレア)だったりね。で、トランマイザー形態だと…このクローでの引っ掻きや放電(ディスチャージ)やミサイル射出だったりだね。一部だけど」

 

「一部でも、かなりの強化が施されていますよね。でも、その姿をネプギアが見たら大興奮して問い詰めて来そうですね」

 

「あー、確かにね。ネプギアってかなりの機械好きだから、私のこの姿を見た瞬間、目を輝きさせて質問攻めしてきそうだね。秘密兵器(AIS)出したら、どんな反応するんだろ(ボソッ

 

「え?何か言った?」

 

「いや、何にも。さて、融合解除っと」

 

再度、悠斗の身体から光が放たれ、モタブの写本にトランマイザーのホログラムが吸収される。服も元に戻り、人間形態に戻った。

 

「さてっと、こんな事してる場合じゃないね、私は勉強させて貰ってる身なんだから、部屋に戻って書類整理しないと…いや、昨日に終わってたわ。うーん、そうなると暇なんだよねぇ…」

 

「(暇…ってことはチャンス!)ね、ねぇ、暇だったら…えっと…」

 

「?ノワール?どうしたの?」

 

「えっと…///悠斗、耳貸して…///」

 

「…?どうぞ?」

 

「(えっと…私と国の案内…じゃなくて、デートに行かない?///)」ゴニョゴニョ

 

「(!? ど、どうしたのいきなり?)」ゴニョゴニョ

 

…逆じゃない?ノワールどうしたんだろ?

 

「(ふ、深くは追及しないで…///自分の言った事なのに恥ずかしさで爆発しそうだから…///)」ゴニョゴニョ

 

「(あ…うん、解ったよ)」ゴニョゴニョ

 

ツンデレって何だっけ…今のノワール、ツンのないデレなんだけど…私いつフラグ建てたの?

 

「…あの、悠斗さんとお姉ちゃん、二人で何をコソコソと話しているのですか?」

 

「(のわあぁぁぁぁぁぁっ!?まずい!ユニにバレたら折角のデートが台無しに…!ごめんなさい悠斗!頼ってしまうけど何とか気付かせないようにして!)」ゴニョゴニョ

 

完全にデートって言ってるし…というか落ち着いてよ…まぁ、私が何とか言ってみますかね。

 

「(落ち着いてよノワール…)私さ、この国に来て三日になるけど、観光してない事を思い出してね。観光してくる事をノワールに伝えただけだよ?」

 

「でしたら私が案内します!」

 

「うーん、有り難いんだけど、仕事を優先した方がいいんじゃないかな?それこそノワールに追い付く為にはね。じゃないと、もっともっと突き放されちゃうよ?ユニがどれだけ頑張っても追い付けないくらいにね…」

 

「うっ…確かにお姉ちゃんに追い付きたいですが…」

 

「それなら尚の事だよ。ユニから見ると嫌味にしか聞こえないけど、私はもう終わっちゃったしね…手伝いたい思いもあるけど、私が手伝っちゃったらユニのタメにならないし…ね?」

 

「わ…解りました…残念ですが仕方ないですね…」

 

ユニは悠斗の部屋を後にした。

 

「ふぅ…何とか凌げたね」

 

「いやいや!?何とかって言ってるけど、冷静沈着だったじゃない!?」

 

「でも、そのおかげで二人で行けるでしょ?」

 

「た、確かに…それじゃあ、行きましょう♪」

 

テンション高いね…まるで私と一緒だからのように…

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆     

 

 

 

 

 

「~♪」

 

物凄い上機嫌…私何かしたっけ?←おい

 

まぁ、それは兎も角…今、ちょっとした問題に直面してるんだよね…それは…

 

「…」ジーッ

 

「……」ジーーッ

 

「………」ジーーーッ

 

うん。街の男性の方達が物凄い私を見てくるんだよね。嫉妬の目線のおまけ付きで。そんなおまけいらない…

 

多分、いや確実に女神であるノワールと一般人の私二人一緒にいるせいで“何であんな男がノワール様に…!”って思ってるんだろうね。…気持ちは解らなくもないけど、見苦しいよ?

 

「ねぇママー、あの人達デートしてるー」

 

「こらっ!男の人はイケメンだし、ノワール様と良くお似合いだけど、見ちゃいけません!」

 

私がイケメン?ないない。でも、この世界に来る前はかなり呼び出されては告白ってなってたけど…何で?プラス、良くお似合いって…私、何処にでもいる普通の一般人だよ?

 

「妬ましい…あんなイケメンと付き合ってるノワール様が妬ましい…パルパルパルパル」

 

ちょいちょいちょいちょい待て待て待て待て!?今パルスィいたんだけど!?幻想郷からこの世界に迷い込んで来ちゃったの!?

 

「ノワール様があんな男と一緒にいるなんて…俺の方が絶対いいのに…!」

 

…ごめん。バッチリ聞こえた。何せ地獄耳らしいんでね。でも、失礼な事を言う人には、ちょっとお灸を据えなきゃね?物理的な意味じゃないよ?

 

「ノワール、ちょっと席外すよ」

 

「え?あっ、ちょっと!?」

 

悠斗は、その失礼な事を言った人に近づく。

 

「ねぇ」

 

「!? お、お前はノワール様と一緒にいた人じゃねぇか!お前のようなヒョロいのと違って、俺の方が体格いいし、強いから絶対良い!さぁ、変わりやがれ!」

 

「…ふーん、で?それだけ?なら、言わせて貰っていい?“あんな男”とか、“お前のような”とか、“ヒョロい”だって?あんたさ、人をバカにするのも見かけで判断するのやめた方がいいよ?それと、そのナルシスト的な事も言うのもやめた方がいいと思うね。でないといずれ、周りから叩かれるよ?それか、既に叩かれてるのに懲りずに言ってるか。まぁ、嫉妬する気持ちも解らなくもないけどさ、心の内に留めておいた方がいいよ。プラス、これはノワールからの要望なんだから無理だよ。それじゃあね」

 

悠斗は、反論の余地を与えない程に男に“やめた方がいい”事を淡々と述べ、ノワールの元へ戻る。

 

「さて、ノワール、あんな人に構わずに行こう?」

 

「え、えぇ…でも、あんな人がいるのね…見落としてたわ…ごめんなさいね悠斗、折角勉強しに来たのに不快な思いをさせてしまって…」

 

「いや、対処には慣れてるからね。それに、不快というより、“あぁ、またか”って思っただけだから大丈夫だよ。ああいう人はああいう風に言うと大抵反論できなくなるんだよね。たまに物理的に解決させようとした人もいたけど」

 

と、2人でその場を立ち去る。が…

 

「ぐぅ…あんな奴の何処がいいと言うんだ…!俺の方が似合うと言うのに…!ふざけるなぁぁぁぁぁっ!」

 

なんと、男は隠していたナイフを持ち、悠斗に向かって突進してきたのだ。

 

「ノワール様と付き合うのは俺の方がいいんだぁぁぁ!お前のような男なのに女っぽい胸糞悪い野郎は死にやがれぇぇぇ!」

 

「っ!?悠斗!避けて!」

 

危険に一早く気付いたノワールが悠斗に怪我をさせないように避けるように叫ぶ。だが、既に悠斗は気付いていた。そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

忘れてはいけない…この人(悠斗)の反射神経はFPSゲームを通じて化け物レベルと化した人だと言う事を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ」ヒュッ

 

悠斗は、ナイフが刺さる寸前で左に避け、そのまま右手で男の左手首を持ち、脇を挟んで男の左腕を固定させる。その反動でナイフが落ち、男の表情が苦悶に満ちていく。

 

「あだだだだっ!?」

 

「…ねぇ、ふざけるのも大概にしないと…このまま折るよ?」ニッコリ

 

「ひっ…ひいいぃぃっ!?」

 

打つ手がなくなって、更に“このまま折るよ?”と笑顔で言ったら、途端に怯えだす男…右手?左腕の反動で動かせないみたい。男として情けないと思わないの?恥ずかしいと思わないの?

 

「ノワール、警察呼んでくれるかな?ごめんね、折角のデートなのに」

 

「えぇ…悠斗、本当にごめんなさいね…こんな事をさせてしまって…それと…その事はあんまり言わないで…恥ずかしいから…///」

 

「いや、気にしてないから大丈夫。それに、悪いのはこの人だし…ねぇ?」ニッコリ&ギラッ

 

「ひぃぃぃぃぃっ!?」

 

あーあ、情けない。同じ男として恥ずかしいよ…笑顔で睨んでるだけなのに…

 

その後、男は来た警察に連行され、私達も一緒に行く事となった。署での事情聴取で、“意味不明な事を言って、反論したら急(正当)に襲ってきたから仕方なく護身術を使った”(防衛だ)と言ったらすぐ解放してくれたよ。あの男?勿論逮捕ですが何か?

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆     

 

 

 

 

 

「全く…何であんな人の事を考えない自己中心的な人いるんだろう…」

 

「ホントよ…自己中心的なのは周りの指摘で直せるけど、気に入らない人を力で解決させる場合はもう手遅れよ…私もまだまだね。こんな人がいなくなるように努力しないと…」

 

「ノワールなら絶対にできると思うよ。この国を“笑顔”で溢れるようにもね。頼りないけど、私が保証するよ。」

 

「ふふっ、悠斗が保証してくれるなら、安心ね。」

 

再度、二人は歩き出す。悠斗は気付いていないが、周りでは“あの人(悠斗)、容姿がイケメンで対応もイケメンで、護身術まで使えるなんて完璧超人”だと噂されていた。そんな事も露知らず、二人で街を歩いていると…

 

「…」グウゥゥゥ~

 

不意に悠斗のお腹が鳴る。

 

「あはは、お腹空いちゃったみたい。何処かで食事でも取ろっか」

 

「それなら、丁度この近くに、最近できたお食事処があるわよ♪名前は確か、“白玉亭”だったかしら」

 

「“白玉亭”ねぇ、そうと決まれば行こう?」

 

名前からして、半人半霊の方だったり亡霊姫の方二人が安易に想像できるんだけど…

 

お食事処に行く前に、私は財布の中を見てみる。うん、十分にあるね(二十万クレジット)。ノワールには暮らす部屋を貸して貰ったり、一緒に戦ったり。色んな恩があるから返さないとね。

 

 

 

――カランカラン

 

 

 

「いらっしゃいませ~…ってノワールさんじゃないですか!?」

 

「あら、“妖夢”。久しぶりね?」

 

ファッ!?妖夢!?東方projectのだよね!?嘘っ!?

 

…おっと失礼。取り乱しちゃったね。でも…まさか妖夢もこの世界に…“ゲイムギョウ界入り”が発生しちゃってるのかな?先程だってパルスィいたし…

 

「お久しぶりです、ノワールさん。お連れの方はノワールさんの彼氏さんですか?」

 

「「ぶふっ!?」」

 

いきなりの爆弾発言やめてよ…ノワールと同時に吹いちゃったじゃん…ノワールに対しては突っ伏しちゃってるし…

 

「あれ?違いますか?」

 

「いやいや、違いますよ?私はただの一般人ですし、一般人と女神様とでは不釣り合いにも程があります」

 

「(さっきまで同時に吹いてたのに、一瞬で冷静&敬語に…やっぱり対応の仕方が凄いわね…悠斗は気付いてないかもだけど、“対応がイケメン”だって事、納得ね。でも、不釣り合いって言われるのは納得いかないわね…あれ?何で私、納得いかないって…?)」

 

ノワールは、自分で思った事なのに、頭に?マークを浮かべている。何故なのかはまだ知らない――

 

「そうですか?凄くお似合いだと思いますが…」

 

“凄くお似合い”って…私、ずっと言ってるけどただの一般人だよ?それに対してノワールは美少女&女神という唯一無二の差があるんだよ…嬉しいけどね…

 

でも、私は“ゲーム廃人”って言うの?それが無ければ、やっぱり何処にでもいる普通の一般人なんだよね…一部を除いて(女性らし過ぎる事)…ね。だから、私とノワールでは釣り合わないんだよ…妖夢は満面の笑みで言ってるけど…完全に狙ったよね…

 

「ふふっ、このまま立ち話もなんですし、テーブル席へと案内しますね」

 

「え、えぇ…お願いね。」

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆     

 

 

 

 

 

さて、何食べようかな?メニューにいっぱいあってどれも美味しそう…優柔不断発動しそうになったけど…あ、これにしよう。

 

「私はサーロインステーキで」

 

「私はチーズハンバーグかしらね」

 

「かしこまりました。少しお待ちください」

 

 

 

――数分後…

 

 

 

「お待たせ致しました、サーロインステーキとチーズハンバーグになります。それではごゆっくりどうぞ」

 

「おぉ、美味しそう。ステーキなんていつ振りだろ。軽く数年いってるかも…」

 

「数年って…悠斗はこの世界に来る前は何食べていたのよ?」

 

「…言うと折角の料理が不味くなっちゃうから今は言わないよ。それより、冷めちゃうといけないから…」

 

「「いただきます!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「御馳走様でした!」」

 

小声でね。幾らノワールの友人とはいえ、感謝しないとね。

 

そして、“凄く…美味しかったです”っと。ラステイションにずっと居れるのなら、このお店の常連になってたかも。でも、ノワールの手作り料理には負けちゃうかな。…そういえば、この世界に来てから一度も料理してないなぁ。近い内に作って皆に食べさせたいな…

 

―― 一方、妖夢“達”はというと…

 

「ノワールさんがまさかここに来るとは思ってませんでした…“幽々子様”…」

 

「そうね。でも、お連れの人は将来大物に…いや、もうなっているかしらね」

 

「“悠斗”さんの事ですか?」

 

何故妖夢が知っているのかというと、悠斗自身が紹介したからである。

 

「そうよ。一般人であるのに、女神であるノワールと一緒にいるもの。一瞬妖夢と同じくノワールの彼氏かと思ったわ。即否定したけどね。それでも、薄々は気付いているんでしょう?」

 

「はい。悠斗さんが“別の世界からこの世界に来た事”ですね」

 

「えぇ。本来なら不安で仕方ないはずなのに、ノワールとあんなに打ち解けて…次来店した時には本当の彼氏になっているかもね♪ふふっ」

 

「有り得ますね…ノワールさん…応援してます」

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆     

 

 

 

 

 

白玉亭を出た私達はその後、ゲームセンターで軽くゲームをしたらノワールが物凄く驚いて、周りに人だかりができたり…洋服屋でノワールが気になった服を買ったら、顔を真っ赤にしながら“ありがとう”って言ってくれたり…ノワールお勧めのゲームや面白そうだな―って思ったゲームも買ったり…とにかく充実した一日だったよ。それと同時に“リア充爆発しろ”って思われる気持ちも解ったよ…

 

あ、因みに白玉亭での支払い、ゲームセンターでの料金、服、ゲームの料金は全て私持ちだよ。ノワールが申し訳なさそうな顔してたけどね。でも、恩があるからこういった形で返さないとね。

 

 

 

―― 一方ノワールは、“霧がかかりもやもやとした思い”が心を覆っていた。

 

今日の私は一体どうしてしまったのかしら…?国の案内じゃなくてデートだなんて言うなんて…本心だからいいけど…///その後、自分で言って恥ずかしくなってユニの対応を押し付ける形になってしまったけど…それでも冷静に対応して…当の悠斗は“何とか”って言っていたけど、私には“軽く”にしか見えなかったわ。それでも、女神として悠斗の冷静さを見習いたいって思ったわ。

 

そして、二人きりになれた私は、周りからも解るまでにテンションが上がって…悠斗と一緒にいる事が嬉しくって…ドキドキして…心が温かくなって…こんな思いになったのは私がヴォル・ドラゴンに殺されそうになった時、悠斗が自分の身を挺して私を守った後、私を抱きしめて――

 

 

 

 

 

――いいんだよ…怖がっても…誰かに頼っても…悪い事じゃないんだよ…?だから…一人で物事全て背負い込まないで…ノワールにはユニやネプテューヌ達がいるんだよ?それなら頼ればいいんだよ?まだ強いか解らないけど…私にも頼っていいんだよ?

 

 

 

 

 

あの時の言葉は本当に嬉しかった。悠斗に酷い事を言っちゃったけど、私の事を本気で心配してくれて…でも、その後に言った““また”仲間を失ったら…私が壊れちゃうから…”という言葉が引っ掛かっている…

 

それでも…私は思う。悠斗は自覚していないけど、悠斗は強いって…力もそうだけど、それより強いのは“心”。

 

初めて会った時は、自分の置かれた状況に不安を隠せないで、頼りなかったけど、今は違う。私が女神でも関係ないみたいに、あんな事を言ってくれて…“相手を考える”事、“相手を思いやる気持ち”、それら二つの事を考えた上で“手を差し伸べなければ”言葉にする事も、抱きしめる事もできない。でも、悠斗はそれを“当たり前”のようにやった。だから思うの。悠斗の心は思っている以上に強いって…

 

そういえば、あの時まさか抱きしめられるなんて思っていなかったわ。もしかして…悠斗と一緒にいて、嬉しいのも、ドキドキするのも、心が温かくなるのもあの影響なのかしら?

 

 

 

ノワールが悠斗に対する思いに気付くのは近い――




冥夢「私、再度復活!さて、悠斗にはじゃんじゃんフラグを建てて貰うよ?」

悠斗「…それマジで言ってるの?まぁ、本当の事だからいいけどさ…」

冥夢「(悠斗の前世あれだからなぁ…)まぁ、いたずらとか、本心でないよりは良いでしょ?」

悠斗「確かに…ね。あれは引いたよ…」

冥夢「今話している事、他の謎などはまだまだ先ですが悠斗自身が明かします。さて、次は要塞機甲種との対決になります。次こそは…遅れないよう頑張ります…フラグにしか聞こえませんが…」


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第十二話 ユニとの手合わせ VS戦艦型機甲種

冥夢「何とか、二ヶ月以内に投稿出来ました…!」

悠斗「うわっ、珍しい。明日は槍かな」

冥夢「ちょっ!?そこまで言わなくても…」

悠斗「まぁ、アホ作者はほっといて、第十二話、始まります」

冥夢「ほっとかないでええぇぇ!!」


「…え?私と戦ってみたい?」

 

「えぇ、悠斗はモンスターにおいてはかなり強いけど、私達女神においては手合わせした事ないでしょ?その場合の強さを知りたいのよ」

 

「それに、悠斗さんの戦い方を見て、参考にしたい部分もあると思いますし…なので、私達を手合わせして下さい!」

 

「いいよ。でも、容赦しないからね?」  

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆  

 

 

 

 

 

「さて、今から手合わせするわけだけど、まずはユニからだよね?」

 

「は、はい!お手柔らかにお願いします…」

 

「ユニにはフォトンアーツも使いこなして欲しいし、昨日のように武器を貸すね。出でよ長銃(アサルトライフル)『ワルキューレA30S』」

 

悠斗の手には、現代のアサルトライフルに加え、アタッチメントとしてスコープとサプレッサーが取り付けられたアサルトライフルを持ち、それをユニへと渡す。

 

「ユニはこれを使って。そして私は…出でよ長銃(アサルトライフル)『レイガンバレル』」

 

再度悠斗の手には、金色と黒色が象徴とし、銃口には折り畳まれているような形跡があるアサルトライフルを持っていた。折り畳まれている形跡があるといったが、それもそのはず…

 

「フォトンウィング、展開」

 

そう唱え、アサルトライフルを構えた瞬間、折り畳まれていた場所が四方に広がり、黄金の翼のような装飾が展開される。

 

「ユニの装備がアサルトライフルなら、私もアサルトライフルでやらなきゃね。それじゃあユニ…いくよ。」

 

「は、はい!(うぅ…プレッシャーが凄い…)」

 

悠斗対ユニの手合わせが始まった。だが、どちらも静止したままだった。

 

「……(さて、ユニにフォトンアーツを使うわけだけど…ちゃんと覚えられるかな?)」

 

「……(さっきから悠斗さんのプレッシャーがはっきりしすぎていて、いつ仕掛けてくるかも解らないし、どうすれば…)」

 

そして、数秒の沈黙の後、最初に仕掛けたのは…

 

「ユニが来ないのなら、私から行かせてもらうよ。まずは…フォトンアーツ『グレネードシェル』!」

 

悠斗だった。炸裂弾を装填し、ユニに向けて放つ。 しかし、発射して即着弾ではなく、直線状に飛んでいっているため、ユニに避けられる。

 

「まぁ、これは避けるのも当然だよね。でも、これはどうかな?フォトンアーツ『ワンポイント』」

 

今度は、高速の十二連射が放たれる。さっきのグレネードシェルと違い、発射されてから即着弾の為、十二連射の全てがユニに直撃する。

 

「きゃああぁぁっ!?」

 

「まぁ、ロックオンしてたし、十二回全部当たっちゃうよね。今度はユニから仕掛けてきていいよ。このままだと、私がフォトンアーツを放ってばっかで、全部ユニに当たってボロボロになっちゃうだけだしね」

 

「悠斗さん…自分の事までじゃなく、しっかり私の事も考えてくれて…ですが、仕掛けるには容赦しませんよ!フォトンアーツ『インパクトスライダー』!」

 

ユニは少し後退した後、四発の銃弾を前方にスライディングしながら放つ。着弾速度がかなり早く、流石の悠斗でも当たるかと思っていた。しかし…

 

「着弾速度が早いフォトンアーツを使ったのは良いと思うよ。…けど甘い。フォトンアーツ『ホーミングエミッション零式』」

 

瞬時に六発の誘導弾が発射される。その誘導弾は、ユニの放った四発の銃弾を“掻き消した”。

 

「今度は銃弾を掻き消した!?」

 

悠斗の人間離れが続いて、今度は“銃弾を掻き消す”という芸当をやってのけた。その為、ノワールが驚愕の表情になる。…それが普通なのだが。

 

「ふふっ、悠斗さん。銃弾を掻き消したのは驚きましたが…甘いのはどちらでしょうか?はぁっ!」

 

しかし、ユニも負けてはいなかった。インパクトスライダーには、発射した後に回し蹴りがある。それを油断していると思われる悠斗に放ったのだ。

 

「いや、解ってるよ?この後回し蹴り来るなぁってね。それっ」

 

だが、悠斗はインパクトスライダーの性質を解っていた為、ユニの放った回し蹴りをバク転して回避した。

 

「さて、今度はちょっと重いのいくよ…!」

 

しゃがみ体制を取り、そのまま…

 

「目標捕捉、射程範囲指定、範囲縮小…最大出力確認!フォトンアーツ『サテライトカノン』、照射!!!」

 

悠斗はレイガンバレルのトリガーを引く。すると、上空から衛星が照射攻撃したような光の束が、ユニに向かって降り注ぐ。

 

「ユニ!上!」

 

「え…上?…っ!?」

 

ユニは咄嗟に躱そうとした。だが、時既に遅し。その光の束は瞬時にユニを包み込んだ。

 

「きゃああああぁぁぁぁっ!!」

 

「ユニーーーー!!」

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆  

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

先程、サテライトカノンが直撃し、ユニは肩で息をしていた。それもそのはず、かなり威力が高い為である。しかし、悠斗の方は…

 

「あちゃぁ…流石にサテライトカノンはやりすぎたかなぁ…」

 

息の一つも乱れていなかった。前世でよっぽど鍛えたのだろう。それか、ただ単純に戦闘時間が短かったのか。

 

「やっぱり…悠斗さんは強いですね…私の負けです…」

 

「うーん、何だろ、勝っても嬉しくないような感じがする。あんな事言ったのにほぼ一方的だったし…ユニ、サテライトカノンに関してはごめんね。やっぱり威力が強すぎたよあれは」

 

「いえ…大丈夫です…」

 

「さっきの、サテライトカノンといったかしら?上空から一点集中照射って…まるで衛星攻撃みたいね…」

 

「範囲はかなり狭いけど、その分、威力が結構高いんだよね。それをユニに当てたんだから…まぁこうなっちゃうよね…さて、テクニック『レスタ』」

 

悠斗が右手を掲げると、緑の粒子の領域が展開される。その粒子がユニの体内に吸い込まれる。

 

「すみません…回復ありがとうございます…」

 

「いや、いいよ。元々私がやった事なんだしね。それじゃ、次はノワールだね?出でよ飛翔剣(デュアルブレード)『アストラルブレイズ』の片方」

 

レイガンバレルを仕舞い、今度は機械のような剣身に青い粒子の刃を纏った剣をどこからともなく呼び出した。

 

「ノワール、これを使って。ふふっ、私の使ってる武器を使えて嬉しいんでしょ?」

 

「っ!?///あ、ありがとう…///(やっぱり、勘がかなり鋭いわね…嬉しい事には変わりないけど…///)」

 

「さて、私の武器は…出でよ『アウラヴォルザーク』の片方」

 

悠斗の手に持っている剣は黒く、持ち手の周りに棘のような装飾が施され、剣の中央の蒼く流動している部分は全てフォトンで作られた一振りだった。

 

「行くよ、ノワール!」

 

「えぇ!私はユニみたいに甘くないわよ!」

 

二人の手合わせの幕が切って落とされる…その時だった。

 

 

 

 

 

――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!

 

 

 

 

 

『!?』

 

大きな地響きが起こったのだ。エス〇ークじゃないんだから…

 

―― ~♪ ~♪

 

突如、誰かのNギアが鳴る。どうやらノワールのようだ。

 

「もしもし?ケイ?どうしたの?」

 

あ、伝え忘れていたけど、通話の相手はラステイションの教祖の“神宮寺(じんぐうじ)ケイ”さん。体験入国初日に会ってたんだけど…どっかのアホ作者のせいで存在ごとすっ飛ばされたんだよね…よし、後でバックハンドスマッシュとメテオフィストの巨大ver喰らわせてあげようかな…フフフッ…

 

(それマジでシャレにならないからやめて!?悪かったから!?)

 

「今何処かから声がしたような…いや、それは兎も角三人とも、大至急で戻ってきてくれ!」

 

「敢えて理由は聞かないけど、解ったわ!」

 

ノワールは通話を終了し、私達に呼びかける。

 

「そんな事だから、急いで戻るわよ!」

 

「うん、お姉ちゃん!」

 

「言われなくても、ね」

 

地響きの原因を探るため、私達は全速力で教会に戻った。

 

 

 

――ラステイション教会

 

 

 

「待ってたよ、三人とも。呼び戻してすまない。要件は先程起こった地響きについてだ。ラステイション全域まで起こったものだから、詳細までは解らないが巨大な何かが引き起こしていると考えられる。」

 

「ラステイション全域!?そんな規模を起こせる相手って…」

 

「そんな規模の相手に戦うってなっても、私達に勝てるの…?」

 

「(巨大…?そう言えば、ラステイションは“重厚なる黒の大地”…そして機械が多い…それに、一昨日のトランマイザーもあるし…もしかしたら…)」

 

ノワールとユニが驚愕する中、悠斗はいつもの冷静さを欠ける事なく考えていた。

 

何か思い当たる節があるようだ。

 

「…もしかしたらだけど、地響き起こした相手解ったかも」

 

『えっ!?』

 

「私の予想なんだけどね。相手は“陸上戦艦型機甲種 ビッグヴァーダー”だと思う。全長数十メートルあるから、それが地面の中から出てきて地響きを起こしたんだと思うよ」

 

「数十メートルの機甲種…なるほど、それならラステイション全域に地響きを起こしたのも納得できるね。でも、悠斗さんは何故知っているんだい?」

 

「何せ(ゲーム内でだけど)戦った事ありますので。それに、地面から出てきた時に地響きが起こりましたし。…まさか予想とはいえ現実になるかもしれないとは思ってなかったですけど…それで、その地響きの震源地は何処ですか?」

 

「震源地は、以前三人でミッドカンパニーに行っただろう?その地下らしい。巨大な生体反応が一つ存在するからね」

 

「ミッドカンパニーの地下?そんな所あったかしら?」

 

「私達が気付いてないだけで、あるんじゃないかな?」

 

「そうですね…見落としている所もあると思いますし…」

 

「それじゃあ、その原因を潰しに行こっか」

 

「えぇ。ラステイションで好き勝手させないためにもね」

 

「は、はい!(潰しにって…)」

 

「くれぐれも気を付けて行ってくるんだよ?特に、悠斗さんはね。フォトンを宿して、戦えるといっても一般人と変わらないのだからね」

 

「勿論、それは解っています。でも、皆と戦えるのが嬉しいので。だから頑張りたくなるのですよ」チラッ

 

『…っ!?///』

 

悠斗の言葉でノワールとユニの顔が赤くなる。その肝心の悠斗は、二人に笑顔を向けていた。ある意味敏感である。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆  

 

 

 

 

 

――異世界ゲイムギョウ界 ミッドカンパニー

 

 

 

「地下ねぇ…何処にもそんな形跡ないわよ?」

 

「それどころか、地下があった事すら初耳よ…」

 

「二人とも、聞いた事すらないということは、巧妙に隠してあるんじゃないかな?まぁ、そういう物は衝撃を与えれば出現するってよくあるし…それじゃ出でよ大砲(ランチャー)『シューティングドライブ』」

 

どこからともなく、赤と黒が象徴とされ、レールガンに似ている大砲を呼び出した。

 

「さてっと…どこか怪しいとこは…ん、あそこに扉があったような形跡が…よし、二人とも離れててね、爆破するから。フォトンアーツ『ディバインランチャー』!」

 

悠斗が力を込めると、シューティングドライブの中央部分のコアから、一回り大きい炸裂弾が発射される。そして

 

 

 

 

 

――ドゴオオォォン!!!

 

 

 

 

 

炸裂弾が壁に当たり、小規模な爆発が起こる。爆発での煙が晴れた先には、人が通れそうな空間が空き、その先には何処かに繋がっている階段があった。

 

「やっぱりね。でも、少々荒っぽかったかな」

 

「でも、そのおかげで道が開かれたでしょ?さぁ、原因を叩くわよ!」

 

私達三人は、何処かに繋がっている階段を降りる。数秒後、目の前に物凄くだだっ広い空間が現れる。それと同時に…

 

〈ヨクゾココヘ来タ。待チ侘ビテイタゾ〉

 

悠斗が言っていた、数十メートルで複数の装備が取り付けられた“陸上戦艦型機甲種 ビッグヴァーダー”が鎮座していた。

 

「(で…でっか!?)貴方が悠斗の言っていたビッグヴァーダーね!ラステイション全域に地響きを起こすとはいい度胸じゃない!」

 

〈済マナイナ。我ノ存在ヲ気付カセルタメニハ、コノ方法シカナカッタノダ。〉

 

「随分荒っぽいわね…でも」

 

「これ以上、ラステイションに被害を及ぼされては堪らないから」

 

「討伐させて貰うよ?私の戦力アップという意味も込めてね」

 

〈…イイダロウ。我ハビッグヴァーダー、戦艦型機甲種ノ恐ロシサ、見セテヤロウ!!〉

 

こうして、悠斗&ノワール&ユニVSビッグヴァーダーとの戦いの幕が、切って落とされた。

 

「さて、ノワール、ユニ、さっきの武器を貸すよ。出でよ長銃(アサルトライフル)『ワルキューレA30S』、飛翔剣(デュアルブレード)『アストラルブレイズ』の片方」

 

「あの、武器を貸してくれるのは有り難いのですが、相手…流石に大きすぎないですか…?」

 

「それは最初の私も同じだったよ。けど、もう慣れちゃったからねぇ…まぁ、破壊箇所が四十九ヶ所あるのはちょっと骨が折れるけどね」

 

「「四十九ヶ所!?」」

 

「うん。四十九ヶ所。前のレーザー砲門四ヶ所、前のレーザー砲門の下の機銃が計四ヶ所、側舵機銃が計六ヶ所、側舵の移動するロケット砲が計六ヶ所、ヴァーダーのデッキ上では、本体の腕のコアが計六ヶ所、下部機銃が計四ヶ所、肩部ミサイルポッドが二ヶ所、中央のレーザー砲、本体の後ろの火炎放射器が計四ヶ所、ミサイルハッチが計十二ヶ所…ざっとこれで四十九ヶ所だね」

 

「多すぎ…それを全部破壊するのね?」

 

「一見そう思うけど、実際はデッキ上に登っちゃえば、下の部位は機能しなくなるから、さっさと左右どちらかの部位を破壊して登っちゃった方がいいね。それじゃあお先に。フォトンアーツ『ロデオドライブ零式』」

 

悠斗は、シューティングドライブの持ち手に跨ると、コア部分から炎が噴き出し、そのままバイクみたいに突進する。

 

「「大砲をバイクみたいにしてる!?」」

 

〈フム…ソウキタカ…ダガ、簡単ニハ近ヅカセナイゾ!!〉

 

ビッグヴァーダーは、正面の四つのレーザー砲のチャージし、即座に発射される。

 

「「っ!?」」

 

レーザーの射程範囲にいたノワールとユニには直撃するかと思われた。だが、間一髪で避ける。 肝心の悠斗はというと、突進の角度を四十五度曲げ、強引な転換をしたのだ。その事により、レーザー砲を回避し、機銃まで辿り着く。

 

「はい、ドーンとね」

 

機銃に向かって前方宙返り後、砲門を下向きに叩き付け、爆風を起こす。その爆風で、一ヶ所の機銃が破壊される。

 

「流石は悠斗ね…あっという間に一ヶ所破壊して…私達も負けてられないわよ!フォトンアーツ『ディストラクトウィング』!」

 

一歩踏み込んだ後、高速で突進し、レーザー砲門に斬り上げを浴びせる。

 

「援護するわ!フォトンアーツ『パラレルスライダー零式』!」

 

ユニがフォトンアーツの一つの名前を唱えた瞬間、スッと浮き上がり、無数の射撃を移動しながら浴びせる。

 

「まだまだ!トルネ―ドソード!」

 

信仰の力で虹色の剣を作り出し、砲門に向かって一閃する。先程のディストラクトウィングでの一閃も合わさり、砲門の四ヶ所の内一ヶ所を破壊する。

 

「私も!エクスマルチブラスター!」

 

銃口から、一本のビームが発射される。そのビームは、無数の射撃で傷付いた一ヶ所の砲門を貫き、破壊する。

 

「これでやっと三ヶ所なのね…本当に骨が折れるわね…」

 

「骨が折れる?なら、破壊は私にお任せあれ!フォトンアーツ『ゼロディスタンス』!」

 

“骨が折れる”の言葉に反応し、フォトンアーツの名前を唱えたのは悠斗であった。ゲームでの経験上、現実になるとノワールとユニが苦戦すると思い、即座に飛んできたのだ。そしてその悠斗は、左に回転した後一気に距離を詰め、ゼロ距離で爆風を浴びせる。

 

「まだだよ?ゼロディスタンス“x2”」

 

一回だけではやめない。追撃として二回のゼロ距離爆破をお見舞いしたのだ。その爆破で砲門の一ヶ所を破壊する。

 

「…あははっ♪」

 

ビッグヴァーダーの装備を次々に破壊していく3人であったが、悠斗に変化が訪れた。突如として含み笑いをし始めたのだ。それは即ち…

 

「ゆ、悠斗?」

 

「悠斗さん…?背後から物凄い黒いオーラが出ているのですが…」

 

「だって…ヴァーダーの部位を壊してくの、楽しいんだもの♪だから…どんどん壊してあげる♪」

 

『悠斗(さん)が狂ったあああぁぁぁっ!?』

 

“戦闘狂モード”の始まりだ。特に、破壊部位が多いエネミーに関しては発動確率が高くなり、ビッグヴァーダーの場合は確実に100%になるので、性質が悪いものである。

 

〈ム…?我ノ部位ヲ壊シテイクノヲ楽シンデイル…?我ヲ壊スノガソンナニ楽シイノカ!?〉

 

「楽しいよ?どんどん壊れていくのを見るのも、自分から壊していくのも…すっっっごく楽しいよ♪だから、壊れていく様をその目で見て行ってね♪」

 

その瞬間、二人は確信した…悠斗は“ドS”だって事を…

 

「ほら…ノワールもユニも、ヴァーダーをどんどん壊して行こう?後四十五ヶ所ぜーんぶ…フフッ♪」

 

『こんな悠斗(さん)は嫌だ!!』

 

「いいよ?やらないのなら、私が全部やっちゃうから♪さぁヴァーダー、覚悟しててね?」

 

〈ハァ…モウ何モ言ウマイ…ダガ、抵抗ハサセテモラウカラナ?〉

 

ヴァーダーも諦めるという、悠斗の戦闘狂モード…恐ろしいものである…

 

「そーれ♪『コンセントレイトワン』!『クレイジースマッシュ』!」

 

最後に残った砲門に向かって、三発の炸裂弾を発射する。それだけでは砲門は壊れず、追撃とばかりに自身の大砲をゴルフクラブみたいに思いっきり振り上げ、殴りつける。

 

「それそれそれそーれ♪」

 

一回だけでは終わらず、五~六回も殴りつける。俗に言う“大砲(物理)”である。六回目を殴り終えたら、砲門は粉々になっていた。

 

『うわぁ…』

 

ノワールとユニは最早ドン引き状態である。

 

「もう、悠斗はこのまま放っておくわよ…多分、倒さない限りずっとあんな感じだろうしね…」

 

「う、うん…解ったわ…」

 

「さぁ、武器変更♪出でよ鋼拳(ナックル)『デスティムアリオン』!」

 

シューティングドライブを粒子として消滅させた後、濃い紫で外側に殴打の威力を強める尖った装飾、魔方陣のような模様が回転しているナックルを出現させ、手にはめる。

 

「行くよ…♪何度も何度も殴りつけてあげるから♪」

 

ここから、ほぼ一方的な蹂躙が始まった…

 

「フォトンアーツ『バックハンドスマッシュ』!」

 

右側の側舵に行き、三ヶ所の内の一ヶ所の機銃に向けて全力の裏拳をかます。その一撃だけで機銃の一ヶ所が破壊される。

 

「『ハートレスインパクト』!」

 

もう一ヶ所の機銃に向かって、旋回した後右ストレートをかます。また、一撃だけで二ヶ所目の機銃が壊れ

 

「『サプライズナックル』!」

 

身体を捻り、三ヶ所目の機銃に向かって裏拳を三発当てる。

 

バックハンドスマッシュより威力が低い為、三発目で三ヶ所目の機銃が壊れ、右の側舵機銃が全て破壊される。

 

「おっと、レーザー砲門の下の取り残された一ヶ所の機銃も壊さなくちゃ♪『ダッキングブロウ』!」

 

身を屈め右手を引き、一歩踏み出すと同時に右フックを当て、破壊する。

 

――一方ノワール達は…

 

「『ディスパースシュライク』!」

 

「『ディフューズシェル』!」

 

ノワールは無数のフォトンブレードを展開し、飛来させながらレーザー砲門の下の機銃二ヶ所、左の側舵機銃の一ヶ所を切り刻みながら破壊する。 ユニはショットガンの弾を連射し、的確に機銃を破壊していく。

 

〈チッ、小賢シイ!〉

 

ノワールとユニを定め、ロケット砲を発射するが、軽く躱され、

 

「『イモータルダーヴ』!」

 

「『エンドアトラクト』!」

 

フォトンブレードで作られた巨大な剣、巨大な貫通弾で悉くロケット砲三ヶ所が破壊される。

 

「これで左側は全て破壊したわね?なら、デッキ上に登るわよ!」

 

「うん、お姉ちゃん!…悠斗さん大丈夫かな…」

 

ノワール達はデッキ上にジャンプで登り(高い為)、デッキ上に登ると、右側の全てを破壊したのか、悠斗も登ってきていた。

 

「結局、全部破壊してるじゃん♪」

 

「気が付いたら、左側全部破壊してたわ。悠斗は…言うまでもなさそうね」

 

「全部壊すもの♪さっきは登っちゃえばいいって言ってたけど、やっぱり全部壊す方が楽しいしね♪」

 

「はぁ…何時になったら戻るのよ…」

 

「全部壊したらだよ?さぁーて、破壊は終わらないよ?『ストレイトチャージ』!」

 

力を溜め、一気に右腕を前にし、本体の機銃へと拳を叩きこむ。

 

〈ヌゥ…我ノ装備ガ次々ニ壊サレテイク…ダガ、責メラレテイルママデハナイゾ!〉

 

ビッグヴァーダーは、三人に向けて赤い照準を合わせる。そう、肩部ミサイルポッドと十二ヶ所のミサイルハッチ、全てのミサイルが飛んでくる合図なのだ。

 

「あ、ノワール、ユニ、いっぱいミサイル飛んでくるから気合で避けてね。」

 

「ちょっ!?気合でって無理があるわよ!」

 

「大丈夫、一度ロックオンしたら他のミサイルは追尾しないから」

 

「そういう問題じゃ…って来たっ!?」

 

「うわあぁぁぁ!?」

 

ノワールとユニは飛んでくるミサイルを間一髪で避けていく。因みに、悠斗の方はというと…

 

「よっ、ほっ、はっと」

 

バク転、前方宙返りを駆使し、華麗に躱していた。“経験者(ゲーム内でだが)は違う”という事がはっきりと表れている。

 

「うーん、あの肩部のミサイルポッドどうしよ。ここはまた射撃武器で行きますか♪出でよ双機銃(ツインマシンガン)『バレットレボルシオ』!」

 

デスティムアリオンを粒子として消滅させた後、赤と黒を象徴とされた機械で作られた武器の先端に、緑のフォトンが流動してある二つの銃を握る。

 

「行くよー♪フォトンアーツ『エリアルシューティング』!」

 

腕を右に交差させ、即座に蹴り上げる。二回目の蹴り上げでは、“自身も上空に飛び上がる”。

 

「『メシアタイム』!」

 

悠斗自身がスローモーションとなり、肩部ミサイルポッドの一つに向かって、飛び込みと同時に三十発の銃弾を浴びせる。流石に三十発の銃弾に耐え切れなかったのか、ミサイルポッドの一ヶ所が破壊される。

 

「『バレットスコール』!」

 

前方宙返りと同時に蹴り上げ、逆さまの体制になり、弾丸の雨をもう一ヶ所の肩部ミサイルポッドに浴びせる。“塵も積もれば山となる”という(ことわざ)があるように、一つ一つの銃弾には威力が低いが、全て集中してミサイルポッドに命中したのだからかなりの威力になり、破壊する。

 

「あっという間に…しかも更に人間離れしているわね…私達も、狂化した悠斗に負けてられないわよ!『スターリングフォール』!」

 

くどいようだが、戦闘狂モードである。狂化モードではない。…“戦闘狂化モード”と言われたらそれまでなのだが。

 

十二本のフォトンブレードを展開し、辺りに四散させる。本体の二ヶ所の機銃に当たるが、それだけでは壊れない。

 

「うん!悠斗さんの方が経験者だし、私も!『ホーミングエミッション』!」

 

ビッグヴァーダーの本体の機銃二ヶ所、火炎放射器二ヶ所、ミサイルハッチ二ヶ所にロックオンし、誘導弾を放つ。だが、元々威力が低いのか、何一つ壊れなかった。

 

「威力が低いのなら…!『グローリーレイン』!」

 

ユニは一気に機銃に近付き、上に向かってばら撒きながら撃つ。すると、遅れて上から雨のように銃弾が降ってくる。ダメージを蓄積していたのか、十回目の銃撃で機銃二ヶ所を破壊する。

 

「やるじゃないユニ!やっぱりフォトンの力って強いわね…」

 

「それに加え、簡単に人間卒業できるって特典付きだよ♪ノワールは女神だから人間じゃないけどね。それじゃ『エルダーリベリオン』!」

 

左側の火炎放射器、ミサイルハッチに向かって高威力の銃弾を浴びせる。悠斗は火炎放射器とミサイルハッチが脆い事を知っている為、二回の高威力射撃を浴びせたら、いとも容易く破壊する。しかし、エルダーリベリオンは九連射撃の為、ミサイルハッチの一部がまだ残っている。

 

「ノワール、ユニ、火炎放射器とミサイルハッチはかなり脆いから、想像以上に簡単に壊せるよ」

 

「想像以上にって…やってみるわ。『ジャスティスクロウ』!」

 

五角形を描き、星形の弾を形成し火炎放射器に向かって打ち出し、爆発する。その爆発だけで火炎放射器の一ヶ所を破壊する。

 

「本当だわ…でも、流石に脆すぎない?」

 

〈済マナイ。サッキノ地響キヲ起コシタ時ニ、少シ装備ニ傷ガ付イタノダ…〉

 

「ドジっ子かっての…まぁいいや。『グリムバラージュ』!『シフトピリオド』!」

 

回転しながら間合いを詰め、ミサイルハッチに辿り着くと、六発の追撃を行う。その追撃で左側のミサイルハッチ四ヶ所の内の一ヶ所が破壊される。その後にジャンプし、辺りに銃弾をばら蒔き球体状の壁を作り、両腕を広げると一斉に弾き飛ばす。その銃弾で三ヶ所のミサイルハッチ全てが破壊され、左側は全て破壊した。

 

「左側は全て破壊されたから、こっちはこっちで壊すわよ!『ヘブンリ―カイト』!」

 

フォトンブレードを形成し、回転させながら斬り上げる。その斬り上げは見た目よりもかなり範囲が広く、火炎放射器とミサイルハッチ一ヶ所を同時に破壊する。

 

「『ワンポイント』!」

 

十二連射の銃撃をミサイルハッチ全てに浴びせる。その銃撃で残りのミサイルハッチ全て破壊され、右側も全て破壊した。

 

「さぁーてヴァーダー?残りはこっちから見て左の二ヶ所の機銃と腕のコアと中央のレーザー砲だけだよ?」

 

〈グヌヌ…我ノ装備モ機銃トレーザー砲ダケカ…ナラ、セメテモノ報イダ!喰ラウガイイ!!〉

 

ビッグヴァーダーは本体を開くと、中央のレーザー砲のチャージをする。極大範囲のレーザーを撃つ合図だ。

 

「ノワール、ユニ、一旦ここから降りて。レーザー飛んでくるから。私は避けるから心配しないでね」

 

「解ったけど、どうやって避けるのよ!?」

 

「確実に悠斗さんを覆いかねないような気がするのですが…」

 

「大丈夫、私を信じて。…来るよ!」

 

ビッグヴァーダーは、悠斗達に向かって極大範囲のレーザーを発射する。ノワールとユニは咄嗟にデッキ上から降りた為避けれたが、悠斗は…

 

「残念だけどヴァーダー、経験者には効かないよ。リングスキル『ジャンピングドッジ』!」

 

高く飛び上がり、レーザー砲を回避する。ゲーム中では“スタイリッシュロール”というスローモーションバク転でも回避できたのだが、如何せん現実なので、無難な回避法をしたのだ。

 

「高く飛び上がって、レーザー砲自身を回避した!?」

 

「これが避け方としては普通だね。それじゃあヴァーダー、覚悟してね?『ヒールスタッブ』!」

 

上空から踵落としを二発与え、追撃に六連射の銃撃を行う。二回の踵落としで一ヶ所の機銃、六連射の銃撃でまた一ヶ所の機銃を破壊し、残るは腕のコア六ヶ所、中央のレーザー砲、本体コアのみとなった。

 

「ノワール、ユニ、一気に畳みかけるよ!!」

 

「えぇ!相手はもう満身創痍だろうしね!!」

 

「はい!悠斗さん!」

 

「『バレットスコール零式』!」

 

「『ディスパースシュライク』!」

 

「『パラレルスライダー零式』!」

 

技のバーゲンセールである。悠斗は中央のレーザー砲に銃撃の雨、ノワールはフォトンブレードで作り出した刃で右側の腕のコアを飛来させながら切り刻み、ユニは浮き上がり左側の腕のコアに無数の銃撃を与え、次々に破壊する。

 

「残りはコアだけ…そうだ、ユニ!ちょっとポケットの中を見てみて!」

 

「ポケットの中…ですか?」

 

ユニはポケットの中にあった何かを取り出す。それは“赤い銃弾”だった。

 

「…?これは何ですか?」

 

「一昨日、“ウィークバレット”の話をしたよね?その弾こそがウィークバレットの弾でね、それをそのアサルトライフルに装填してあのコアに当てて!」

 

「は、はい、解りました」

 

アサルトライフルにウィークバレットの弾を装填し、コアに向かって放つ。

 

「当たって!」

 

無事にコアに当たり、“赤い照準”が出現する。

 

「さぁて、ラストスパートだよ。私は威力を更にかさ増しするために、ちょっと細工を施すよ。スキル『チェイントリガー』!」

 

悠斗がビッグヴァーダーのコアに攻撃すると、ウィークバレットの赤い照準の他に“青い照準”が出現し、同時に『CHAIN』という文字も浮かび上がる。

 

「ノワール、ユニ!このCHAINって文字、数が上がれば上がる程、後から与える技の威力が遥かに上がるから、私が合図したら今の最大技をコアにぶっ放して!」

 

「今の最大技…となれば“あれ”ね。解ったわ!」

 

「私も、悠斗さんが使っていた“サテライトカノン”を…解りました!」

 

悠斗が“チェイントリガー”を発動してから数十秒後、横のCHAINが“100”になる。

 

「今だよ!」

 

「えぇ!喰らいなさい!『ケストレルランページ零式』!」

 

ノワールは、フォトンで作り出した巨大な刃を自身の武器(悠斗から借りているが)に宿し、縦横無尽に切り刻む。

 

「解りました!堕ちなさい!『サテライトカノン』!」

 

数秒のチャージを踏み、上空から光の束がコアに向けて降り注ぐ。あれかなりの技術が必要なのに…

 

「さぁて、年貢の納め時だよ♪超ド級の一撃、喰らってね♪『インフィニティファイア零式』!」

 

空中での回し蹴りから、銃を前に突き出し、フォトンを集約し、コアに向けて解き放った。その一撃がトドメとなったのか、ビッグヴァーダーの全ての機能が停止する。

 

「よし、ノワール、ユニ、一旦降りよう。このまま粒子になったら落ちちゃうしね」

 

『あ、戻った』

 

三人は、ビッグヴァーダー本体から降りる。

 

〈流石ダ…我ノ恐ロシサヲ見セツケヨウトシタラ、逆ニフォトンの恐ロシサヲ見セツケラレルトハナ…ダガ、オマエノフォトンノ扱イ、フォトンヲ使エナイ女神達デモ、フォトンヲ流動サセ、一時的ダガ使用可能ニシタ…ドウヤラ、心配八イラナイヨウダ。オマエナラ、我ノ力ヲ使イコナス事ガ出来ルダロウ…我ノ力、受ケ取ルガイイ…〉

 

ビッグヴァーダーがテレパシーでそう言うと、身体が光り出し粒子となる。悠斗は即座に写本を取り出すと、その粒子を吸い込み、写本に“ビッグヴァーダー”と項目が追加される。

 

「受け継ぎ…完了。さて、終わったし帰るとしよっか。ケイさんの報告も含めてね」

 

私達三人は、速攻で教会へ戻り、ケイさんに討伐報告をした。

 

余談だけど、写本で倒したエネミーをケイさんに見せると、「こんなモンスターをも自分の力にするなんて…」と物凄く驚いていたのはまた別のお話。




悠斗「アホ作者は、途中で吹っ飛ばしたのでいません。まぁ、フラグ回収しなくて良かったとは思いましたが。それと、アホ作者からの伝言で、次回こそは私の性別を…?だそうです。フラグですかね…」


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第十三話 ノワールとの手合わせ おや…?悠斗の様子が…?

冥夢「明けまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。…!?悠斗!?何その物騒な武器は!?」

悠斗「いや、今何日だと思ってんの?何ヶ月放置してんの?返答次第では…ねぇ?」←チェインソード持ちながら

冥夢「マジですみませんでしたぁぁぁぁっ!!MHXXとDQMJ3をやっておりましたぁぁぁっ!!!」

悠斗「はぁ…ねぇアホ作者?」

冥夢「ななな、何でしょうか?」

悠斗「O☆HA☆NA☆SHI…しようね?」

冥夢「いやああああぁぁぁぁっ!!!」

悠斗「このアホ作者はO☆HA☆NA☆SHIするとして、第十三話、始まります。」


「どれか、難しいクエストは…ん、“デウス・エクス・マキナの討伐”…よし、これにしよう。このクエスト受注します」

 

「はい、承りました。ですが、本当に強いモンスターなので気を付けてください」

 

え?今何をしてるのかって?昨日仲間にしたビッグヴァーダーの力を試しにクエストを探してて、さっき“デウス・エクス・マキナ”っていういかにも強そうなモンスターの討伐クエストがあったからそれを受注したわけ。

 

「えーっと、場所は…また廃工場なのね…まぁ、ミッドカンパニーよりは近いしいいかな」

 

廃工場=機械ってイメージが強いから仕方ないけど…さて、行きますか。

 

「出でよ『ライドロイド』」

 

あ、因みに、三人には既に言ってあるよ。でも、ノワールから“終わったら早急に戻ってきて!いいわね!”って言われたけど…多分手合わせだろうね。あの時お預けになっちゃったし。

 

 

 

――悠斗が飛行機械に乗り込み、飛翔してから僅か三分後…

 

 

 

「到着っと。同時にライドロイド、消滅」

 

目的の廃工場に着き、ライドロイドを粒子状に消滅させる。

 

「出でよ銃剣(ガンスラッシュ)『セレスタレイザー』。さて、指定されたモンスターは何処かなー」

 

何時モンスターに襲われても対応できるように、黒紫を象徴とした持ち手とフォルム、小さな銃口と大きな刃をした銃剣を装備する。そのセレスタレイザーを持ったまま、目標のモンスターを探す。

 

まぁ、案の定途中に…

 

「シャアァァァァッ!!!」

 

「そぉいっと」

 

「シャアァァッ!?」

 

「ピー…ガガー…ニンゲン…ハイジョ…ハイジョ…」

 

「はいはいそれはこっちのセリフっと。フォトンアーツ『スラッシュレイヴ』、『シュトレツヴァイ』」

 

「ピー…ガ…キドウ、フカノウ…キドウ、フカノウ…」

 

モンスター達が襲い掛かって来たけどね。前者の“バンチョーキャット”には思いっきり振り下ろしたらあっさり両断したし、後者の“自動防衛システム”には『スラッシュレイヴ』と『シュトレツヴァイ』を放ったら壊れて消滅したよ。“自動防衛システム”って危険種の筈なんだけどなぁ…

 

なお、『スラッシュレイヴ』は左右に斬りつけながら強力な銃弾を浴びせる技で、『シュトレツヴァイ』は剣形態と銃形態の二つがあって、剣形態では自身を回転と同時に斬撃波を放って間合いを一気に詰めて数回斬撃を与え、銃形態では全方位拡散する銃弾を放つフォトンアーツだね。

 

「ん、あれは…」

 

青い機体に斧とハンマー…うん、あれが“デウス・エクス・マキナ”だね。確か資料によると“接触危険種”なんだってね。…だから三人とも心配してたんだなぁ…

 

「反応確認、ニンゲン…コロス…」

 

「おっと、あっちも気付いたようだね。でも、新たな力の糧になってもらうよ!出でよ『モタブの写本』“要塞戦艦型機甲種、ビッグヴァーダー”召喚融合!」

 

モタブの写本からホログラム状のビッグヴァーダーが映し出され、そのビッグヴァーダーとと悠斗が融合し、光が放たれる。

 

光が収まり、そこにいたのは“トランマイザーに似たような装甲を全身に纏い、頭がビッグヴァーダーを模していて、両手首にはバルカン砲とミサイル砲が左右二つ装着され、両腕には火炎放射器が二つ、足にはトランマイザー形態と同じでブースターがあり、首辺りには巨大なミサイルポッド、肩には左右合計十二門のミサイルポッドが装着され、何よりも変化が目立つ1m大の四つの球体状のビット”がある悠斗の姿だった。

 

「何か、アーマー〇コアみたいになっちゃってるね。でも、この姿もいいかな。全身が更に機械化してかっこいいし。それじゃあ、デウス・エクス・マキナ、私の糧になってね」

 

悠斗はブースターでデウス・エクス・マキナに近付き、バルカン砲の射撃を浴びせる。だが…

 

 

 

――キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!

 

 

 

悠斗の放ったバルカン砲の射撃は、悉く全て弾かれたのだ。

 

「ん、バルカン砲の射撃を弾いてる?やはり、そう上手くはいかないよね。なら、これはどうかな?」

 

バルカン砲の射撃が効かないのなら、今度は両手首に装着されたミサイル砲を発射する。

 

 

 

――ドゴォオン!ドゴォオン!

 

 

 

バルカン砲の射撃は効かず、ミサイル砲では着弾と同時に鈍い音がしたが、果たして効いているのだろうか?と思ったが、ほんの少しはダメージを与えられたようだ。しかし

 

「コザカシイ!」

 

 

 

――ドガアアアァァァン!!!

 

 

 

デウス・エクス・マキナからの反撃が飛んできたのだ。ハンマーによる叩きつけをブースターで加速し回避したが、叩きつけられた地面は少しのクレーターができていた。

 

「うわぁ…基本、攻撃は喰らっちゃダメな奴だね。これ。でも、引く訳にはいかないんでね」

 

悠斗も負けていない。両腕のバルカン砲の射撃を無数にデウス・エクス・マキナに浴びせる。大体の部分は弾かれるが、ミサイル砲で少し傷が付いた所は効いているようだった。

 

「ミサイル砲でバルカン砲の射撃が効くようになるのなら、全身を効かせてあげる。ミサイル十二連射!」

 

ミサイル砲を同時に十二連射し、合計二十四回もデウス・エクス・マキナの全身に爆発を通じてダメージを与える。

 

「まだ終わらないよ、ホーミングミサイル!」

 

肩の合計十二門のミサイルポッドからホーミングミサイルが発射され、全てがデウス・エクス・マキナに直撃する。銃弾に晒され、ミサイルを幾度となく放たれ直撃したデウス・エクス・マキナだったが、まだ稼働しているようだった。

 

「やっぱ、接触危険種だけあってタフだね。でも、これには耐えれるかな?ヴァーダービット、ブラスター砲発射!!」

 

宙に浮いている四つのビットが僅か一秒のチャージの後、青いビームが発射する。そのビームは、デウス・エクス・マキナの一部を容易く呑み込み、1mの穴が四ヶ所空けられる。

 

「意外に強いね、ブラスター砲。さっきまでの攻撃はあんまり効かなかったのに、あっさりと四ヶ所も穴空いちゃってるし。でも、早く戻りたいからちょっと本気出すよ!“火炎放射器を除いた武装による一斉攻撃”!!!」

 

あまり時間がかけられない為、火炎放射器を除いた一斉攻撃を放つ。バルカン砲、ミサイル砲、巨大なミサイルの爆撃、ミサイルポッドのホーミングミサイル…無数にも思える攻撃に晒され、デウス・エクス・マキナの機体はボロボロになっていた。

 

「ビッグヴァーダー自体も結構強いね。それじゃ、デウス・エクス・マキナ、土に還って」

 

トドメのブラスター砲により、中心核や動力炉などの重要機器を消し飛ばされて機能を停止し、粒子として消滅した。

 

「うーん、ビットのブラスター砲が結構強くて、接触危険種なのにあっさり終わっちゃったなぁ。でも、強さを確かめられたからいいかな。さて、融合解除っと」

 

再度、悠斗の身体から光が放たれ、モタブの写本にビッグヴァーダーのホログラムが吸収される。キャスト化していた身体も服も元に戻り、人間形態に戻った。

 

「さて、ギルドにクエストを報告して早急に戻らなきゃね。ノワールが待ってるだろうし。出でよ『ライドロイド』」

 

 

 

――飛翔してから三分後…

 

 

 

ラステイションに着いた後、速攻ギルドに赴き

 

「はい、指定されたモンスター倒してきました」

 

「本当に討伐してしまったんですね…凄いです…。いえ、何でもないです。それでは、こちらが報酬金となります」

 

クエストを報告して十二万クレジットの報酬金を手に入れた。…所持金増えたような気が…気にせずに戻るかな。

 

 

 

――ラステイション教会

 

「戻ったよー」

 

「お帰りなさい。“ビッグヴァーダーの力を試す”って言っていたけど、何のモンスターを倒してきたの?」

 

「デウス・エクス・マキナだけど?接触危険種のね」

 

『!!?』

 

三人の顔から、驚愕の表情が見て取れる。それもそう、この世界に来てまだ半年も経っていないのに、接触危険種と対峙したのだから。

 

「えっ!?大丈夫!?怪我してないわよね!?」

 

「デウス・エクス・マキナは確か、ラステイション周辺のモンスターでも屈指の接触危険種ですよね!?まさか“倒した”って事はないですよね…?」

 

「いや、倒したよ?さっきギルドに行って十二万クレジットの報酬金貰ってきたし」

 

『!?!?』

 

再度、今度は更に驚愕の表情を浮かべる三人。対峙しただけでなく、倒してきてしまったのだから。それは必然ともいえよう。

 

「因みに、どういう風に倒したんだい?口で言うのは簡単だが、いかにも納得できないんでね」

 

「解りました。それじゃ出でよ『モタブの写本』。そしてビッグヴァーダー、召喚融合」

 

悠斗は再度ビッグヴァーダーと融合し、全身の装甲と沢山の武装を備えた“ビッグヴァーダー形態”に姿を変えた。勿論、四つのビットも付近に浮いている。

 

「はい、この“ビッグヴァーダー形態”を使って倒しました」

 

「人間とモンスターが融合…!?これは興味深いね…」

 

「だからって、皆に同じようなものを施さないで下さいよ?」

 

「ねぇ悠斗、そのふわふわ浮いてるの、何?」

 

「ん、これ?ビッグヴァーダーと戦った時、いきなり放ってきた四ヶ所のレーザー砲門あったでしょ?それがビット状になったものだよ。結構大きいけどね」

 

「確かに…悠斗さんの身長の半分以上ありますよね…」

 

「まぁ、そのビット化したレーザー砲門が想像以上に強くてね、レーザーを放ったらデウス・エクス・マキナの装甲を一発で貫いたよ。しかも四ヶ所もね」

 

「一発…しかも四ヶ所も…いよいよフォトンが何なのか解らなくなってきたわ…」

 

「しかも、容易く重力を、物理法則を無視できるからね。私も解らなくなる時あるよ。それよりノワール、“早急に帰ってきて”って言ってたけど、何かあるの?」

 

「そうだわ!あの時中断させられた手合わせの続きをするわよ!」

 

「やっぱりね。そんな感じはしてたよ。」

 

 

 

――移動中…

 

 

 

私達は昨日来た教会から近く、広い野原にいる。ここでユニとの手合わせをした場所なのだ。

 

「さて、武器はあの時のでいいよね?」

 

「えぇ、いいわよ」

 

「OK。それでは出でよ飛翔剣(デュアルブレード)『アストラルブレイズ』の片方と『アウラヴォルザーク』の片方」

 

あの時に出した流線型の剣と黒く棘のある剣を虚空から生み出した。

 

「はい、ノワール。」

 

「ありがとう。それじゃあ…」

 

「「いくよ(いくわよ)!!」」

 

こうして、悠斗対ノワールの手合わせの幕が、切って落とされた。

 

悠斗は剣を構えノワールを見据える。その眼はいつもの温厚な雰囲気を醸し出している眼ではなく、鋭く光っていた。

 

「(…!?何このプレッシャー…いつもとはまるで違う…!)」

 

「…ノワールが来ないのなら、こちらから行かせて貰うよ。はぁっ!!」

 

 

――ヒュンッ!!

 

 

最初に悠斗が一歩踏み出し、そのまま思いっきり走りノワールに向かって鋭い斬撃が繰り出される。

 

「(速いっ!?)」

 

ノワールは悠斗の鋭く速い斬撃に当たりそうになるが、すんでのところで回避に成功する。とても十七歳だとは思えない身体能力である。

 

「(例え、十七だからって言っても手加減したら確実に手合わせだけれども負ける…!なら…)中々やるわね…まるで戦闘慣れしてるかのようね…なら、いきなりだけど本気で行かせて貰うわよ!!」

 

「そりゃあ、プラネテューヌにいた時にこっそりとギルドでクエスト受けまくったしね。最初の内は勿論危険種なんて相手は太刀打ちできなかったよ。でも、どうやれば倒せるかも研究しまくったよ。その成果が接触危険種をも相手できるまでなんだから。それで、ノワールが本気を出したって事は、私も本気を出さないとマズいタイプだね。それじゃ、今ある戦闘能力の殆どをぶつけるよ!」

 

二人に緊迫した雰囲気が醸し出される。その場にいたユニも冷や汗を流している。

 

「(悠斗さんのプレッシャーが更に大きく…!?これが悠斗さんの本気…!)」

 

しかし、プレッシャーが大きくなっても使う武器は1つだけなのだから、悠斗に対しては全く本気を出している状態ではなかった。何せ、悠斗の本当の本気は他の武器も魔法も召喚も融合も駆使するのだから。

 

「…ふっ!!」

 

再度、鋭く速い斬撃が繰り出される。だが、ノワールはその斬撃を受け流して反撃に突きを入れる。悠斗はそれをお得意の反射神経で避ける。

 

「(やっぱり、悠斗の反射神経が人間じゃないわね…)」

 

「…私の反射神経に驚いている暇はないよ。はっ!!」

 

今度は素早い突きを繰り出す。悠斗の動きは全く無駄がなく、隙もなかった。

 

「(まるで、自分自身と手合わせをしているようだわ…一体、どんな訓練をしているのかしら…)」

 

その後も、斬撃を繰り出しては受け流され反撃からの回避を幾度となく繰り返した。流石に体力はあっても、長い時間剣同士を撃ち続けると身体に限界が来る。現時点の悠斗とノワールが正にそれだった。

 

「「はぁ…はぁ…」」

 

「お姉ちゃんも悠斗さんも凄い…悠斗さんに至っては途中から逆手持ちに切り替えたりしていたのに…」

 

「悠斗、そろそろ決着を付けない?」

 

「そうだね。一体どれくらい時間がたったのか解らないけど、いい加減決着を付けるよ。」

 

 

 

「「それじゃあ…行くよ(行くわよ)!」」

 

 

 

そう言って悠斗とノワールは同時に構える。だが悠斗は右手に握られている剣を前に翳し、もう片方の手を剣を撫でるように広げる。すると元々短い剣のリーチが“フォトンにより伸びた”。そのリーチが伸びた剣は、大剣(ソード)みたいに、かなり大きく長くなっていた。

 

「トルネード…」

 

ノワールは一歩踏み込んだ後、一瞬だが“消えた”。

 

「ブライトネス…」

 

そして悠斗は目を瞑り、剣を構えて左手を前に翳す。

 

「ウィングッ!!!」

 

「エンドッ!!!」

 

ノワールは姿を現し、虹色の剣を悠斗に向かって振るう。対して悠斗は目を開き自身を回転させて、その遠心力で剣を大きく薙ぎ払った。

 

 

 

 

 

――ギィンッ!!!!!

 

 

 

 

 

二人の剣が同時に打ち合い、途轍(とてつ)もない音量の金属音が鳴り響く。

 

 

 

 

 

――ピキッ! ――パキッ!

 

 

 

 

 

「「「!?」」」

 

遅れて、二人の持っていた剣が同時にヒビが入る。どうやら引き分けのようだ。引き分けが引き金になったのか、お互いに倒れた。

 

「はぁ…はぁ…流石の私も疲れたわ…」

 

「うん…私もだよ…こんなに疲れたのは久しぶりだなぁ…」

 

「お姉ちゃんも悠斗さんも、あれから数時間打ち続けていましたから」

 

やっぱり…というかよく数時間も打ち続けられたな私…それより、さっきの技は…

 

「ノワール?さっきの“トルネードウィング”って何?」

 

「あの技?トルネードソードと、フォトンアーツのディストラクトウィングを組み合わせてみたのよ。」

 

「成る程ね、だからトルネードウィングなんだね。」

 

 

 

 

 

     ☆     ☆     ☆     

 

 

 

 

 

手合わせが引き分けに終わった後、私達は教会に戻って昼食を食べ、シャワーを浴びた。流石にね、汗まみれの服をそのままにする訳にいかないしね。シャワーから出た後は、愛用のコスチュームである赤を象徴とした“ジャッジメントコート”を着用する。

 

…とは言っても、新しいのを魔方陣を通じて出しただけだけどね。さて、午後はどうするっかなっと。

 

「うーん、ノワールのとこに行ってゲームで対戦を申し込むかな。」

 

そうと決まれば、ノワールの所へ行こう。あ、ユニ見つけた。ちょっと、ノワールの所に行く前に声掛けておこう。ユニも私に気付いたみたいだし。

 

「悠斗さん、お疲れ様です。これからお姉ちゃんの所へ行くのですか?」

 

「うん。ゲームで対戦を申し込もうと思ってね。」

 

私がそう言ったら、ユニの顔から困惑の表情が浮かぶ。

 

「…?どうしたの?もしかして、ノワールのとこに行っちゃダメとか?」

 

「うーん…それに近いです。数十分前にお姉ちゃんが『取り込み中だから絶対に入らないように!』って言っていましたので…」

 

「ふむ…でも何でだろ。ま、行ってみれば解る事だから行ってくるよ」

 

「はい、それでは」

 

私はユニと別れ、ノワールの部屋を目指す。けど、『取り込み中だから絶対に入らないように!』ねぇ…何か裏がありそう。

 

 

 

 

 

     ☆     ☆     ☆     

 

 

 

 

 

「さて、到着っと。」

 

…うん、到着したのだいいんだよ。でもね、ユニが言ってた事もあって案の定、『面会謝絶』のプレートが吊り下げられてるんだよね。さて、どうしようか?これじゃあ話できないし…少し時間空けるかな。また改めて申し込めばいいし。

 

そう考えてノワールの部屋から立ち去ろうとした、その瞬間――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「~~~~~~~っ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?ノワール!?」

 

ドア越しから、尋常じゃない大きさの叫び声が聞こえてきたのだ。声の主は紛れもなくノワール。悠斗はそれに驚き、瞬時に振り返った。

 

「もしかして、あの時の人が襲いに…?いや、冷静に考えている場合じゃない!一応、出でよ銃剣(ガンスラッシュ)『ルベルサイファー』!」

 

悠斗は虚空から黒と淡い赤色を象徴とした持ち手に、フォトンでできた巨大な刃がある銃剣を呼び出す。そのまま部屋の中に突撃する。

 

「ノワール!大丈…夫…?」

 

「……え……?」

 

悠斗はノワールの名前を叫び、剣を構えようとするがそれは途中で途切れ、珍しくも唖然となる。

 

そう、一昨日の人はいないし、荒らされてもいなかった。だが、ノワールが何時ものノワールではなく、何時も着ている“クリアドレス”でもなく、全身の殆どが黒でノースリーブの服にギザギザとしたスカート、真っ黒な腕抜き、真っ黒なブーツ…つまりは“ミラセリア影”と全く同じコスチュームを着たノワールがいた。

 

何を言ってるのか解らない?簡単に言うと、“六芒の零”であるクーナが着てるコスチュームの黒色verって事。

 

「…武器消滅。ノワール、その衣装…」

 

“とても似合ってるよ”と言いかけた瞬間――

 

 

 

 

 

「いやああぁぁ!?み…見ないで…っ!」

 

 

 

 

 

ノワールは涙目になり、身体を丸めしゃがみ込んでしまった。そして、その身体は小刻みに震え、まるで“何かに怯えているような”素振りだった。

 

「悠斗…見ちゃいや…」

 

「…ノワール、落ち着いて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……」」

 

お互いにソファーに座るがだんまりの状態になる。ノワールのやっていた事…コスプレなのだが何故に?いや、決してダメって言っている訳ではない。誰もが固有の趣味を持っているのだから。

 

「ノワール、あの衣装完全に“ミラセリア影”だったけど、あの衣装はどうしたの?」

 

すると、静寂の場を破るように悠斗がノワールに問いかける。

 

「……よ」

 

「…え?」

 

「コスプレよ…以前、ダークファルスを一人で倒した人がいる事をイストワールから聞いていたでしょ?その人が着ていたらしい衣装を真似して“作ってみた”のよ…でも、こんな私…嫌よね…」

 

コスプレねぇ…私はそういう技術はからっきしでやった事ないけど、完全にノワールに似合っていたよ。しかも、“作ってみた”って事は、一から作ったって事になる。…え?凄くない?どう考えても市販されてもおかしくないレベルだよ?

 

「うーん、“趣味は人それぞれ”ってよく聞くけど、コスプレだってのは意外だったかな。でもね…」

 

悠斗はノワールの前に座り、頭に手を乗せて“ポンポン”と優しく叩く。

 

「こういったのは作るのに相当苦労したんじゃないかな?私には真似できないよ」

 

「でも、要するに私は“オタク”って意味に…」

 

「いいんじゃないかな?かく言う私もゲームオタクだし。まぁ、周りからは“最早廃人レベル”って言われてたけどね。」

 

「悠斗が…廃人レベル…?」

 

「意外でしょ?でもね、こういった風に意外な事もあるんだから、私みたいに堂々としていればいいんじゃないかな?全くもって気にしないから。まぁ、ノワール自身が気にするかもだけどね」

 

「…ぐすっ…」

 

…あれ?泣いてる?何か気に障った事言ったかな…

 

「…どうしたの?何か気に障っちゃった?」

 

「だって…私の趣味を知ったら悠斗に嫌われてしまうかもって思っていたんだもん!!」

 

あー…結構気にしていた感じだね…コスプレしている時のノワールは寧ろ可愛いって思うけどね。

 

「嫌う訳ないでしょ?寧ろ可愛いって思ったよ。でも、女性の前で言うのは恥ずかしい事だけどね?」

 

「っ!?///こんな時に恥ずかしいセリフを言わないで…でも良かった…こんな私を嫌わないで受け入れてくれて…」

 

…よし、“あれ”を使う時が来たね…何せ、“あの状態”になったら着れるかもだし。

 

「それでも、ノワールの趣味に関して何か言ってくる人がいたら、地平線の彼方まで吹っ飛ばすから。…さて、本来の目的があったけど予定変更。ノワール、今から“有り得ないもの”を見る事になるけど、“私は私”だからね」

 

「え…?」

 

悠斗は右手を横に翳し、魔方陣を出現させ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“異性変換”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その合図と同時に魔法陣が悠斗を貫通していき、悠斗の姿が変わる。そして魔方陣が消え、その場所にいたのは――

 

「うーん…この姿になるのは初めてだけど…さしずめ、“櫻井悠華(さくらいゆうか)”って所かな」

 

悠斗と同じ位の身長で、銀髪のロングストレート、服は青と白が象徴となりノースリーブで肩と脇が強調とされ、腰にはマントのような装飾、腕には幅が広くなっていく腕抜きのようなもので、脚には思わず太ももを見てしまうように長いブーツ…つまりは“オーヴァルロード”と呼ばれる衣装を着た“女性”がいた。

 

「え…ええええぇぇぇぇっ!?」

 

「…まぁ、これが普通の反応だろうね。だって男性から女性になるのって有り得ないしね。だから、“私は私”って言ったんだよ」

 

「“私は私”の言葉に重みがあったのはそのせいだったのね…で、悠t…じゃなくて悠華、その本来の目的ってのは何だったの?」

 

「いやね、ゲームで対戦を申し込もうとしたんだけどね、ノワールの姿を見て気が変わったんだ。“もしかしたら、異性変換すれば着れるかも”ってね」

 

「でも悠華、今の身長じゃ…」

 

そう、今の悠華の身長は悠斗の時とほぼ同じで170㎝なのだ。だから、ノワールの作った衣装を着ようとしても、小さくなってしまうのが現実だった。

 

「あ、そっか。身長は悠斗の時と殆ど変わってないし…なら、武器を出していたように、衣装も出しちゃえばいいかな。ノワールも着てみる?色々あるからバリエーション増えるかもよ?」

 

「…いいの?」

 

「勿論。予定変更時はそのつもりだったしね♪」

 

その後、ノワールと悠華のコスプレが始まる。ドレス、メイド服、機械のような服、鎧のような服、和服、別原作とのコラボ服…その多数の衣装にお互いが似合うものがあり、

 

「ねぇ悠華、この衣装くれないかしら?一から作ってみたいしね」

 

「いいよ。でも、他の皆にバレないようにね?フォローできるか解らないし」

 

「勿論、それは解っているわ。もしかしたらまた悠華に頼るかもだけどね」

 

こうして、ノワールと悠斗or悠華の二人きりの時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノワールside

 

私の…私だけの趣味が悠斗にバレてしまった時は本当に怖かった…悠斗が嫌って、離れて行ってしまうのではないかと思って…

 

でも、私の趣味を知った悠斗は好意を持ってくれて…凄く…凄く嬉しかった…それだけでなく、ゲームオタクだって事を私に言ってくれて…でも廃人レベルらしいって事には意外だったけど…

 

 

 

 

 

――意外でしょ?でもね、こういった風に意外な事もあるんだから、私みたいに堂々としていればいいんじゃないかな?全くもって気にしないから。まぁ、ノワール自身が気にするかもだけどね

 

 

 

 

 

やっぱり、悠斗は優しい。私の事も気にかけてくれている…

 

 

 

…ドクンッ…

 

 

 

思えば、胸のドキドキがまた始まっている。悠斗に頭をポンポンってされた時は恥ずかしくて顔を伏せそうになったけど…凄く暖かくて…安心して…

 

 

 

 

 

――嫌う訳ないでしょ?寧ろ、可愛いって思ったよ。でも、女性の前で言うのは恥ずかしい事だけどね?

 

 

 

 

 

この一言が決定打になり、胸のドキドキが最大までになって…止まらなかった。そして、私はやっと…やっと気付いたわ。意外と鈍感だったのね…私…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう。私は、悠斗の事が好きだって――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に今更だった…一昨日にはぐらかさずに“デート”と言うのも、悠斗といると嬉しくなるのも…悠斗に趣味を知られて嫌われたくなかったのも…好きだから。悠斗の事が…好きだから…それでも、後悔なんて全くない。

 

「ネプテューヌ達がどう思ってるかなんて関係ないわ。何せ私は悠斗の事が大好きだから…何時か振り向かせてみせるわ」

 

だから、待っていて。悠斗。でも、出来れば悠華の姿になって欲しくない…そう思う自分がいた――

 

 

ノワールside out




悠斗「今回もアホ作者はいません。それで、ノワールが私への好意に気付いたみたいですね。小説内の私は気付いてないようですが。アホ作者からは、私をこの調子でフラグを建てていくみたいです。無意識ですが頑張ります…」


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