やはり折本かおりは選択肢を間違えない (卯猫)
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一章「再会と決心」
一話「告白」


皆さんはじめまして。初投稿しちゃう系男子の卯猫です。
 どうしてもSSを書いてみたくなってしまいました。
 初投稿なら小町にしようと思ったのですけど世の中(千葉)の兄を敵に回したくないので・・・これは折本ファンを敵に回す宣言ですねw大丈夫です私は折本大好きです。

 一話から怒涛の展開

 葉山達のダブルデートの時、折本達に「表面だけ見て勝手なことを言うのはやめてくれないかな。」って言ったあとからスタート!

 殺伐とした雰囲気からスタートです。



「表面だけ見て勝手なことを言うのはやめてくれないかな。」

 

「…ごめん帰るね」

 

 葉山君ってこんな人だったんだ。なんかつまらない。比企谷の様子を見ればわかる。これは葉山君彼の独断だ。自分のために比企谷を使ってる。

 …でも比企谷のことは理解してるっぽいんだよね。そこだけはちょっと悔しい。

 

 居合わせた二人の女の子のほうに目を向ける。美人系のスラットした女の子はこの状況に対して動じていない。かたやお団子のかわいい系の女の子はこちらから目線を反らしておろおろしいている。

 二人とも私よりよっぽど魅力的だなぁ…やるじゃん比企谷。

 

「そっか…」

 

 私は勘違いしていたのだ。やっぱり彼は変わった。こんな可愛い子達と…葉山君のような本当の自分を知ってくれる友達もいる。私とは違うんだ。

 あーこれが嫉妬っていう感情なのかウケるw

 こんな感情初めてだなぁ。普段適当に周りに合わせて自分が好きなように生きてきたから。

 

 

 

 店から出ると夜風が心地よく感じた。あの雰囲気はやっぱり私には似合わない。

 なのに胸の中にある何かがもやもやしている。なぜか比企谷の顔を思い出してしまう。

 

「私は知らないといけないんだ…彼について」

 

「え、かおり?どうしたの?」

 

 中学の時私は彼を知らなかった。だからフッた。意味なんてない。なのどうして。今は比企谷の周りが…比企谷が気になって仕方ない。

 この気持ちは今明かさないともう一生理解できないかもしれない。

 それは嫌だ。彼に負けた気がする。

 

「ごめん千佳。先に帰ってくれない?私ちょっと用事があるの」

「え、あ、うん…」

「じゃまた明日!バイバイ~」

 

 ごめん千佳。でも私の初めての嘘だから許してくれるよね。そういえば、人に頼みごとをするのも初めてだっけ。どんだけ適当に生きてきたの私。

 

 カフェに戻ろうとするとさっきの美人が出てきた。すごい速足で帰っていく。

 あれ?怒ってる?顔はなんだか強張っているように見えた。

 そのあとに続くようにお団子頭の子もでていった。

 

 しばらく二人を目でおっているとまたもや美人が店からでてきた。

 あれ?なんだか雰囲気がさっきの娘と似てる?お姉さんとかなのかな…姉妹そろって美人とかどんな家系よ

 

 え?っちょ、こっちに近づいてきたんだけど!!

 

「ねぇ折本さんだっけ?どうしてまだここにいるの?」

「…あなたは誰ですか」

「誰だっていいでしょ。あなたが思う通り彼の関係者であることにはかわりないんだから。それより質問しているのはこっちよ。答えなさい。」

「私は比企谷に聞きたいことがあって…」

 

 そう私はこんなところで油を売っている時間はない。はやく比企谷に聞かなくちゃいけないことがある。

 

「へぇ…でも、ごめんね。彼は雪乃ちゃんのものなの。誰かに手わたっていい物じゃない。だから帰ってくれないかな。きっと隼人と大事な話をしているから」

 

「ぷっ!あ、あはははははwww」

 

 比企谷が物って(笑)ウケる!この人意外にギャグのセンスあるかも!

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そしてどこか比企谷に似ている気がする。

 

「何を笑ってるのかな…お姉さん分からないな」

「だって比企谷が物ってwしかも所有者がいるなんてwあはははwww」

 

「ふぅん…あなた、少し面白いわね。まぁ真逆なライバルってもの悪くはないっか」

 

 そういうと謎の美人さんはどこかに去っていった。ライバル?なんのことだろ。

 

 

 

 再び店内に入り、さきほどまで座っていた席に戻る…やっぱ気まずいや。葉山君に結構怒られたし、

 比企谷はきょどって、…ぷっ!あの顔思い出すとウケるw

 おっといけない、にやけて戻るわけにもいけないよね。

 

「ずっと考えてたんだ。俺が壊してしまったものを取り返す方法を。」

「はぁ?」

 

 !!どうしよ。思わず隠れちゃった。

 それに、謎の美人さんの言う通り葉山君と比企谷が言い争っている。しかもかなり空気が重い。葉山君は思い悩んだように顔の前で両手握り合わせている。比企谷は…こっちからじゃ表情が分からない。

 

「俺は君に期待していて、だから分かっていたのに頼ってしまった。そのせいで…君は」

「おい」

「君は自分の価値を正しく知るべきだ。君だけじゃない、周りも。」

「お前何言って、はぁ?」

「ただそれは難しいことで、もっとうまくやれればよかったんだけどな。俺ができるのはこれくらいしかなかった。君はずっとこんな風にしてきたんだろ?もうやめにしないか、自分を犠牲にするのは。」

「…一緒にするな。犠牲?ふざけんな。当たり前のことなんだよ俺にとっては。

 いつも一人だからな。

 だから周囲がどうとか関係ねぇんだよ。俺の目の前で起きる事はいつだって俺の出来事でしかない。勘違いして割り込んでくんな。」

「君がだれかを助けるのは、誰かに助けられたいと願っているからじゃないのか?」

 

「ちげぇよ。気持ち悪い同情を押し付けて勝手に憐れんじゃねぇ。」

 

 比企谷がカバンを担いだ。

 …って、やば!!こっち来た。葉山君とめて!

 

 もちろん私の願いは叶うことはなくあっけなく比企谷に見つかってしまう。

 

「…何してんのお前」

「あはは…」

 

 どうしよなんて声かけたらいいの。本人を目の前にすると言葉が出てこなくなる。

 

「すまんな。今日はこんなことになっちまって。」

「え」

「葉山ならそこにいるぞ。邪魔もんの俺は帰るから葉山とでも楽しくお茶でもしてくれ」

「あ、ちょ」

 

 違う違う違う。違うんだよ。

 

 ねぇ比企谷どうしてこんなことを私に言えるの?私のことなんて嫌いだよね。なんで優しくしてくれるの?

 

 あんたには私がどう見えてるの?

 

 ・・・・・知りたい。

 

「まって!!」

「…なんだよ文句があるなら言えよ。」

「違うよ。文句なんてこれぽっちもない。」

 

 文句があるのは私じゃないでしょ?今日一日こんな身勝手な女に貶され、笑われたあんたじゃないの比企谷。昔フラれた女に笑われて、友達である葉山君にあんなふうに否定されて、どうしてまだ他人の私に気遣えるの?

 

「私はね。ただ知りたいの」

「あー葉山ならフリーだぞ。」

 

 予想外の返答。この状況でなんで『葉山くんって彼女いるの?』っていう質問にいきつくの?ウケるw

 ちょっと意地悪をしてみよう。

 

「比企谷は?」

「は?」

「だから比企谷は……彼女いるかって聞いてんの」

 

 うーん。ちょっと待って私。カラかっているだけだよね。なのに全身が熱い。比企谷と目が合わせられない。どうして。

 

「い、いや…生涯でいたことなんてなんてないが」

「ぷっ!生涯ってw」

「…俺は本当のこと言っただけなんだが」

 

 さすが比企谷!彼のおかげで少し冷静さを取り戻せた。そして気づけた。

 

 もやもやの正体は恋なのかもしれない。それならさっきまでの比企谷への気持ちも納得いける。まさか初恋が比企谷になるとはw私も単純な女だなぁ。

 

 でも、もう決めた。もうこの思いは本物だ。彼が面白いのは行動がとか言動がおもしろいからじゃない。そうこれは…

 

「じゃぁ、それも今日までだね」

 

 踏み出そう。ここまで私に考えさせて、行動にうつさせた男なんだ。

 こんなにおもしろい男なのに、なぜあの時(・・・)あの時気づかなかったのであろう。

 

「今日から私が彼女になってあげる!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 

 彼の混乱している顔は今まで見たことのない光景を見ているように目を見開いてる。

 でも、なんだか彼に勝った気がした。もやもやも晴れた。ぷっ!おもしろ!なんでこんな顔してるの笑えるんだけどw

 

「あはははははははははwww」

 

 私の笑い声だけがカフェの中に響いた。なんで私しか笑ってないの?ウケるw

 

 




どうでしたか?
 積極折本。私は好きです(聞いてない)。一話で告白するなんで短編だと思うでしょ?
 残念!結構長編になります!
 そのためそんなに期間は開けたくないんで、最低週1ペースは守っていきたいと思います。
 守れなかったらごめんなさい。

 感想評価よろしくお願いします!誤字脱字アドバイスもお待ちしております。

≪一部修正しました。≫


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二話「葉山」

どうも卯猫です!いやーびっくりしましたよ・・・
家に帰ったらUA2500超え、お気に入り70超え。・・・・なにごと!?
それに加えて、感想・評価をくださった方ありがとうございました!

これを糧に頑張ろうとしたら二話が書きあがっちゃいましたw少し短いですが一応くぎり回となっています。
次回から展開も分量も増やしていこうと思います。

二話のタイトルですが彼が結構この物語にかかわってきます。なのでここらへんで印象付けようって根端ですな。


「あー笑った笑った」

 

 こんなに笑ったにはいつ以来だろうか。きっと過去遡っても今日を越える日はないだろう。

 

「そりゃ、よかった。それじゃ俺は帰るからそこをどいてくれ」

「え?」

「いや、だから雰囲気悪くした俺に仕返しに来たんだろ?告白の嫌がらせをしにな。

 結果的にだ、お前は気が済むまで笑った。俺はこれで今日のことをお前への貸しにしなくて済む。ギブ&テイクってやつだ。」

 

「…それはちょっとひどいんじゃないかな。」

 

 思わず俯いてしまう。そっか…比企谷ならそういう解釈になっちゃうよね。

 比企谷の知っている私はそういうやつだ。お調子者で常に自分勝手に振る舞う。

 

 …本心を気づいてもらえないのって結構悲しいもんだね比企谷。

 

「そこだよ比企谷。お前はいつだって自分を下に見る。」

 

 座っていた葉山君が立ち上がってこちらに向かってくる。

 てか私、葉山君がいるのすっかり忘れてた…告白を聞かれていたかと思うと少し恥ずかしいかな。

 

「何が言いたい葉山。」

「君は自分が傷ついても他人を守る。今だって折本さんのために理由をつくって逃げたわけだ。君は自分だけを肯定して他人は全て否定するのか?そこにいる折本さんも、そして彼女たちも」

「黙れ葉山。」

 

 え、どゆこと…私のため?

 さっきから葉山君の言っていることが理解できない。なんなのだろうさっきから漂う葉山君の焦燥感は。まるで比企谷の全てを悟っているような・・・

 …彼女達とは先ほどの二人だろう。やっぱり比企谷となんかあるんだあの二人。比企谷がムキになるほど彼女たちは大切な存在らしい。今気づいたけどライバルってことかな。謎の美人さんもそんなこと言ってたなぁ・・・・・あはは、勝てる気がしない。

 

「黙らないさ。まるで自分を見ているようだからね。今君は俺の立場にあるわけだ。いつも涼しげな顔をして勉強もできて運動もできるみんなの葉山と同じだ。」

「何言ってるか分からねなぁ…俺がお前だ?ふざけんな俺は俺でしかねぇ。」

「なら答えを出せよ、比企谷。君が君ならば俺のように逃げたりしないでくれ。」

 

 葉山君はそういうと微笑んだ。私が昼間見ていた葉山君の微笑みとは全く違う。これが本当の彼の顔なんだろう。

 

「…」

 

 一方、比企谷は葉山を睨み続けている。

 あのー…告白したの私なんだけどな…これが放置ってやつか。さっきから悲しい感情ばっかだけど、今日はいろんな経験ができるなぁ私。

 

「無言か・・・折本さんの告白が本気だということがわからない君じゃないだろう。」

 

え、比企谷私の告白気付いてたのにはぐらかしたの!?

 

「ところで折本さん」

「は、はい!」

 

 いきなりこっちに話を振らないでくれるかな…心臓に悪い。

 

「折本さんはアイスは好きかな?」

「へ?アイス?まぁ結構好き…かな。」

 

 なぜ、このタイミングでアイス?

 

「それはよかった。すいません店員さん、チョコパフェとイチゴパフェ1つづつください。」

「え…「どういうつもりだ葉山。」

 

「なんだい比企谷。今日は語尾に『葉山』をつけるのが流行っているのかい?」

「ちゃかすんじゃねえよ。」

「おっとそんな怖い顔しないでくれよ。これは俺の罪滅ぼしだ。もちろん折本さんへのね。彼女の望むシチュエーションをプレゼントしてあげようと思ってさ。

 今日は本当にごめんね折本さん。でも俺にできることはしたつもりだ。あとは君と比企谷の二人で決めてくれ。」

 

 そう言い残すと伝票をもって会計に向かっていた。その後ろ姿は昼間一緒にいた葉山君。かっこいい葉山君。彼はいつもの日常に戻っていったように見えた。

 ごめん葉山君。私少し勘違いしてたかもしれない。葉山君って結構おもしろい人だったんだね。でも、やっぱり自分を正当化するために比企谷を使っているところは気に食わない。

 

 ・・・・・・って!私の望むシチュエーションって何!?この今の気まずい状況!?

 それともこれから、二人で仲良くパフェ食べろってこと!?

 いや確かに比企谷と二人になりたかったけども…成り行きなわけで。何を話そうかとか全く考えてないし。どうしよ・・・

 

「あの、お客様…」

 

 どうやらチョコパフェとイチゴパフェが来たらしい。なんという早さ。ここのカフェの店員ただものではない。

 ここはさりげなく比企谷を誘ってみようかな。まだ告白の返事ももらってないし…

 

「比企谷、パフェ来たけど…どうしよっか?」

 

 彼は一瞬私のほうに顔を向けたが、すぐにそっぽを向いてしまった。そして照れくさそうに頭を掻きながら

「・・・・・・はぁ、あいつの思惑に嵌るのはシャクだが甘いもんに罪はないからな。」

「ぷっ!何かっこつけちゃってんのウケるw」

「いや、ウケないから。」

 

 はぁあ…緊張してるなんて馬鹿みたい。今の私は比企谷と一緒に居たい。それだけじゃん。

 いつもの私らしく楽しく自分勝手にすればいいんだ。

 まだ顔は熱くて、手もいつもはどうしていたか分からなくなっているけど、気持ちは整理できた。

 

「ね、比企谷」

「なんだ?」

 

 本気の気持ちじゃなきゃ、またはぐらかされてしまう。私は楽しいことは好きだけどさっきのような悲しい気持ちになるのは苦手だ。

 だから今度は違う言葉で、逃げられない言葉で、比企谷に伝えよう。

 

「・・・・私ね、比企谷のこと好きみたい」

「お、おう・・・」

 

 席に着くと二人とも無言になってしまった。・・・言うタイミングミスったかなぁ私。でも真っ赤な顔になっている比企谷を見れば、そんなことはなかったと思える。

 可愛いとこあんじゃん比企谷。

 

 微笑んだ私の顔もきっと真っ赤になっていることだろう。

 ・・・はやく冷たいパフェでも食べていつもの私を取り戻さなきゃ。

 




読者の皆様には葉山隼人がどういう人物にとらえられたか気になります・・・

急いで書き上げたので誤字を多いと思われます・・・その時はこっそり感想なんかで教えてください。

一話の最後のほうなのですが少し修正しました。アドバイスをくださった方ありがとうございました!

評価・感想お待ちしております!誤字報告、アドバイスのほうもどうかよろしくお願いします!


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三話「勝手」

お気に入り100突破しました!ありがとうございます!
UAも5000を突破していて結構なプレッシャーがw

感想もらえると本当にうれしいですね~一言一言に関心していまいます。
「あぁ~こう感じてくれてるんだ」「なるほど・・・こう解釈されてしまうんだ」とか自分視点では気づけない点に数多く気づかせてもらえます!
今後の私の成長を助けると思ってこれからも感想・評価ドシドシ待ってます。

前書きが長くなってしまいました。
三話はたぶん誰も想像してない展開なんじゃないかな?

では、どうぞ!




「比企谷、はやく食べないと溶けちゃう」

「お、おう。」

 

 せっかく葉山君が頼んでくれのだから、溶かすのはもったいないよね。どっちの味にしようかな・・・

 私が悩んでいると、比企谷は堂々とイチゴパフェを手元に置いた。

 

「普通イチゴとかは女子が食べるんじゃないの?」

「俺の知ってる限り、食事で男女差別はない。つまり俺がイチゴパフェを食べてもいいってことだ。」

「なにそれ、ただの屁理屈じゃん…」

「屁理屈上等。俺は俺のしたいように生きる。」

 

 比企谷はドヤ顔でそういうと一口食べた。比企谷とイチゴパフェの2ショットの似合わなさに思わず笑ってしまった。

 さっきまでの険悪な雰囲気はどこにいったのか…安心した。

 

「やっぱ似合わないね。」

「うっせ。そもそもな「んー!冷たくておいしい!」…聞けよ。まぁ、悪くはないな。」

「ぷっ!w悪くはないだってw」

 

 でた、上から目線。やっぱりおもしろいなぁ比企谷は。

 私が笑うたびに少し照れるのはなんでだろう。惚れてるこっちからすると、いじめたくなって仕方ない。

 

 おっと…ついつい会話がはずんじゃった。

 

「で、比企谷。そろそろ告白の返事を聞かせてくれる・・・かな?」

 

 私は核心に迫る。今日の本題を忘れてもらっては困るよ。…私も忘れそうだったけど。

 

「はぁ……お前…マジで俺のこと好きなのか?」

「だからそう言ってるじゃん。私は比企谷のことが好き。」

 

 私は背筋をぐーと伸ばして比企谷に気づかれないように深呼吸をする。

 別に顔が赤くなってるかもしれないとか、目線が泳いでないかとそういうことが心配でしてるわけじゃないから。たぶん。

 

「異性として?」

 

 異性としてか…同性にこんな気持ちになったことないしな・・・異性だから比企谷に惹かれたのかな?うーん、はっきりしない。でも

 

「もちろん」

 

 私ははっきりそう答えた。好きって感情には変わりないから。

 

「はぁ…わかったよ。お前が俺を好きだってことは理解できた。でも、どこで俺のことを好きになったか分からないし、なにより先日会ったばかりで今日告白する理由がわからん。」

 

 ため息をついたように吐き捨てる比企谷。さっきからちょいちょいひどいな・・・私はこんなに緊張しているというのに。告白された本人はいたって普通なことに納得いかない。

 

 でも、比企谷の言うことはもっともである。比企谷と再会したのはつい先日で、遊んだのだって今日が初めてで、私だって急だと思う。

 

「そだね・・・急すぎるよね。でもほら私って自分勝手じゃん?収まりがつかなくてつい......」

 

 これは本当のことだ。比企谷に聞きたくて、話したくて、最初はそれだけだと思ってた。

 そして、気が付いたら告白していた。まだ比企谷のことが知りたくて堪らなかった。

 

「収まりがつかなくて…か。」

 

 顎に手を当て考える比企谷。

 

「やっぱ気の迷いなんじゃないか?

 第一、俺は一回お前にフラれている。今更付き合おうなんて「勝手だよね」」

 

「…。」

 

 

「勝手なのは分かってる。でも…でも…いつもの自分勝手とは違うってことを比企谷には分かってほしいの。私を知ってほしいの。」

 

 

 これから初めて話す本心について怖いのか目線を下に下げてしまう。

 私はいつだって自分勝手に生きてきた。でも・・・今回は違う。同じ自分勝手だけど違うんだ。

 私はありのままの自分を話そうと決心した。

 

『がんばれ私』そう言い聞かすと、重い顔を上げ

 

「ねぇ比企谷、『選択』ってしたことがある?」

 

「突然なんだよ。そりゃ文理選択とかテスト問題とか選択しなきゃいけない場面なんていくらでもあるだろ?」

「そうじゃなくてさ。どっちも半分半分。どちらかを選んじゃえば自分の人生が変わっちゃうような選択。例えるなら・・・告白とか?」

 

 

「そりゃ、何回かはな・・・・お前に告白したのだって俺自身の選択だし。あの告白のおかげで今の俺がいるって言っても過言じゃないな」

「なにそれウケる・・・」

「ウケてるんならそれらしい顔しろってんだよ。俺の渾身の自虐ネタがすべっちまったじゃねぇか。」

 

 私そんなに笑えてなかったかな?いつも、どう笑っていたか思い出せない。

 それにしても、

 

「自虐・・・?告白したことが?」

 

 彼は自虐と言った。でもなんで告白したことが自虐になるんだろう。

 

「・・・・まぁそこは置いといて、お前の言う『選択』ってのがなんだって言うんだ?」

「私ね。選択をしたことがなかったんだ。」

「…。」

 

 少し話すのが楽になってきた。比企谷はちゃんと聞いてくれる。私を見ていてくれる。

 ちょっと調子もどってきたかも。

 

「いつも周りを振り回したり、自分勝手に行動したり、好きなことばかりしてた。そんな人間なんだー私って。

 でもさ、やっぱり壁にぶつかることってあるじゃん?そのときは逃げてきた。友達に合わせたりしてさ。」

「そうだな。それが俺の知っている折本かおりだ。今のお前とは似ても似つかない。」

 

 思わず驚いてしまう。

 

「さすが比企谷。気づいてたんだね。そう、今の私はいつもと違う行動をとってる・・・はじめて自分から告白しちゃうとか・・・ね。」

「意外だな。はじめてなのか。」

「告白はよくされるんだけどね。比企谷とか?」

「おい、俺は一回しかしたことねぇぞ」

「なんなら今からしてくれたら即OKするけど?」

「・・・しねえよ。」

「だよねw」

 

 うれしいな。触れてほしくないところは話を反らしてくれる。こんなに優しかったんだ。

 

 私は、まだまだ比企谷のことを理解してない。

 

「とにかく!私は始めての選択で比企谷に告白した。あぁこんなにおもしろい人ともう会えないんだなぁと思ったら、いてもたってもいられなかった。

 選択したっていうより選択せざるを得なかったとでも言うのかな?葉山君とのやり取りを見て影響されちゃった。」

 

 

「折本…お前は結局自分勝手なままだよ。」

 

 

 比企谷はどこか寂しそうに斜め下に視線を落としていた。

 目が合うと、お互いぎこちない笑顔になった。

 

 

 あぁ・・・私、察しちゃったな。

 

 比企谷は真剣な顔をすると頭を下げた

 

 

「悪いが俺は今の折本に対して好意をもっていない。だから付き合うことはできない。」

 

 あぁ、やっぱりね。

 

「そっか・・・比企谷ならそう言うと思ったよ。」

 

 あーあ。フラれちゃったよ私。人生初めての告白なのに。

 まぁ今日始まって今日終わるような恋なら悲・・しく・なん・・・・て。

 あ、あ・・・れ?

 

「ちょ・・・どう・・して・・涙なんか」

 

 私は涙を流していた。

 涙…そっか悲しいんだ。比企谷にフラれたことが堪らなく悲しいんだ。

 

「ほ、ほら使えよ。まさか泣くとは思わなかった。すまん。」

 

 慌てた比企谷がハンカチを差し出してくれた。

 

「あはは・・・なんで比企谷が謝ってんのよ。」

「いや、だって泣かせちまったのは…俺だしな。」

 

 また優しくしてもらっちゃった。もうフったんだから、いっそ突き放してくれたら楽なのに。

 中学校の時、知らなかった比企谷の優しさを今日は何回も感じた。

 ふと、疑問に思ったことを聞いてみる。

 

「ねぇ、比企谷。私にふられた時泣いた?」

「・・・・言わねぇ」

 

 分かりやすいよ比企谷。でも泣いてくれたんだ。

 

「じゃこれでお互い様だね。」

「…まぁそういうことになるか」

 

「フラれるって結構悲しいんだね。ウケるw」

 

 振り絞った笑顔はどのような顔だったのか。

 

「お前は強いよ・・・俺なんかよりずっとな。」

 そういうと笑みを見せてくれた。

 そして彼は

 

「なぁ折本・・・フられた直後で悪いんだが俺の話聞いてくれないか?」

 

何を言い出したかと思うとフッた相手に頼み事をしてきた。

普通なら言うことなんて聞かないで帰ってしまうだろう。でも私は

 

「…うん、いいよ。聞いてあげる。」

 

 私は笑顔で返事をした。

 

 残ったパフェのアイスはもうほとんど溶けきっていた。

 




よし、まず謝らなければなりませんね・・・・・・

「折本に悲しい思いさせてすいませんでしたあああああああ」

私は書いてる時に良心が痛みました・・・でも!これで終わる折本じゃないですよ!!
次回も楽しみにしていていただけると幸いです!

ここまで読んでいただきありがとうございました!
感想・評価お待ちしております!誤字のお指摘もお待ちしております。


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四話「味覚」

UA数が総文字数を超えて焦っています。想像以上に読んでいただいているようで本当にありがたいです!

なんと!このSSに色が付きました!5人以上に評価してもらえたってことですよね!どんな評価でも今はとてもうれしいです。今後の活動の励みになります。

前回まぁ・・・あんなことになってしまったんので
ちょっと甘味を入れてみました。
今回はあまり物語に影響ないので気軽に読んでいただければ幸いです。



「フッた女に普通相談する?私だってまだ傷ついてはいるんだけどなぁ。」

「!…わりぃ。やっぱいいわ。忘れてくれ」

「ちょ、ちょと待って!嘘だから!私も聞いてあげるって言ったじゃん。」

 

帰ろうとした比企谷の腕を必死にとる。

これが未練か・・・・私が未練?比企谷に対して?ウケるw

 

とっさに手を出してしまったわけだが…やっぱり私は比企谷のことが好きだ。ここまで執着したものはないし、失いたくないと思えたものもない。

 

ここで別れちゃったら、もう出会えないとでも思っちゃったのかな私。

すっかり恋愛脳になっちゃって・・・これからは千佳のこと笑えないなぁ。

葉山君葉山君うるさい千佳のことを思いだす。千佳もこんな気持ちなのかな…

 

「あ、あの~お、折本さん?ちゃんと話すから、その…腕を離してもらえると嬉しいんですが…」

「あ…ごめん。」

「お、おう。」

 

おい、私。そこは「何照れてんの?キモいんだけどウケるw」とか軽くあしらうとこでしょ。

何素直に謝ってんの。あー!もう調子狂う!

 

そして、ずっと比企谷の腕つかんでたの?私。

あはは…いよいよ笑えなくなってきたよ。

 

「いいから話してよ。」

 

ちょっと不機嫌な感じになっちゃった。私だってなんで不機嫌なのか分からないから仕方ないよね。

 

「なんで不機嫌なんだよ…じゃ…よろしく頼む。」

 

再び私に頭を下げる比企谷。

 

「店員さーん!アイスコーヒーとピーチソーダください。」

「おい、人が頭下げてるのに何してんの。」

「私やっぱりこういうの苦手てさ…比企谷とは軽い気持ちで話したいんだ。今日のデートみたいにさ。」

「ふっ・・・そうだな。俺も重苦しいのは嫌いだ。」

 

私の苦笑いに比企谷は苦笑いで返してくれた。

 

「それにしても、よく俺が飲みたいもんがわかったな…ちょっと飲んでみたかったんだよピーチソーダ。」

「はぁ?比企谷はコーヒーだよ。ピーチソーダは私の。」

「俺、コーヒー飲めないんだけど・・・」

「うん。そう思ったから頼んだ!」

「故意かよ…」

「そそそ『恋』。私の愛情だから受け取ってくれると嬉しいな~」

「うげ・・・お前ってそういう奴だっけ。」

「あははwその嫌そうな顔ウケるw」

 

そう、これでいい。

この距離が私と比企谷との「正しい」距離。

今回で変わったとすれば私の少しの恋心くらい。

 

「お待たせしました~」

「はやっ!?」

 

あいかわらずの速さに、比企谷が驚く。

やっぱりこのカフェの店員さんは只者ではない。今度TVにはがきを送ってもいいかもしれない。きっと早すぎるカフェとして有名になるだろう。

 

店員さんはどちらがどっちを頼んだか聞くことなく私の前にはピーチソーダ、比企谷の前にはコーヒーを置いた。

 

あからさまに嫌な顔をする比企谷。

 

「ぷっwそんなに嫌なわけ?」

「俺は苦い人生ならコーヒーは甘くてもいいじゃないかって精神でな、甘くないコーヒーはお断りだ。」

「あははははwwwなにそれお、お腹痛いww」

 

コーヒーで、こんなにかっこつける奴なんて比企谷くらいだろう。本当にこの男はいつでも私を笑わしてくれる。

どれ、私は飲ませてもらおうかな。

 

「うーん!このピーチソーダ結構おいしいかも!」

 

さっきまでアイス食べたから喉が渇いてたんだよね~。

対して比企谷はコーヒーから目を離さない。

彼も喉が渇いてるはずだろう。ちょっと意地悪しちゃったかな…

 

「一口飲んでみる?」

「・・・は?」

「いや、ちょっと意地悪しすぎたかな~と思ってさ。」

 

フラれたのを理由としていじりすぎたかもしれない。似合わない感情ばっかりで今日は疲れてたのかな。

 

「いや・・その・・お前気にしないのか?」

 

ん?気にするって何を?もしかして間接キスのこと!?

 

「あっはははw比企谷間接キスなんて気にしてんの!?ぷっ子供みたいw」

「いや、普通気にするだろ。折本は…その、慣れてんのか?こういうの。」

「いや、したことないけど?」

 

これは本当のこと。もともと男と付き合った経験はないし、男友達と遊ぶときも、なるべくそういうことは避けてきた。

 

「なら、なんで…」

「うーん。比企谷ならいいっかなーって。私の好きな人だし役得的な?」

「お、おう…。い、いやでも」

 

なんだこの男可愛いぞ。間接キスくらいでこんな反応を普通するのだろうか。

 

やっぱりいじめよう。私の欲求が彼をいじめろと告げている。

 

「え~比企谷。フッた女とは間接キスもできないっていうわけ~?ショックだなぁ・・・私は親切心で言ってるのに。」

 

大げさな演技をしてみる。

チラッと比企谷のほうを見ると何かと葛藤しているようだった。

諦めがついたように息を吐くと、

 

「わ、わかったよ!飲めばいいんだろ?」

「あ、ちゃんとストロー使ってね?私、コップに口あと付くとか嫌なんだよね。」

 

さらにいじめてみる。どうだ比企谷、これで逃げ道はない!

 

「おま…ずるいぞ。」

「はやく飲んでよ~。私も飲みたいんだから~。」

「…覚えとけよ。」

 

そういうとゴクリッと比企谷の喉がなった。ストローに口をつけるまで彼から目を離せなかった。彼が私のストローを使うことに目が離せなくなっていた。

彼の口がストローについた瞬間少し体が熱くなった。

 

吸い出せれるまでの過程を眺めてると、どんどん彼の顔が赤くなってるのが分かる。

数秒間のこととは思えないほど長く感じた。

 

「ま、まぁうまいんじゃねぇの。レモンの香りが広がってなんていうのハーモニーを奏でるっていうか「ピーチソーダなんだけど。」…ごめんなさい味なんて分からなかったです。」

 

そういうと私の手元に返してくれた。

味が分からなかったか…よっぽど緊張してたんだね。ちょっとうれしい。

まだ私のこと意識してくれてるんだ。

 

「へえ~味がわからないくらい緊張してくれたんだぁ~」

「し、仕方ないだろ。間接キ、キスとか初めてなんだし。」

 

よーし。満足したし私も飲もうかな!

 

・・・目の前に比企谷が使ったストローが…うん。これはただのストロー。そう市販で売ってるのと同じ。でも比企谷が使ったストロー。あれ?ただのストローよね。

 

よくわからなくなってきた。

 

「…」

「お、おいどうした?」

「これはストロー、ただのストロー。」

「おーい、折本さん。・・・もしかして緊張してる?」

「ななな何を言ってるのかなぁ~!私が緊張とかありえないし!」

 

比企谷がにやにやしているので、少しムキになってストローを口にする。

 

…味がしない。あ、あれ~?もしかして私も…。

 

「お味はいかがでしたか?折本さん?」 

 

まだにやにやしてる比企谷が意地悪そうに聞いてきた。

 

あれ?これ何味だっけ?私は何を飲んでいるんだっけ?

 

くっ…分からない!でも、比企谷にやられっぱなしなのは嫌だ!

 

「・・・比企谷の味がする。」

「はぁ!?」

 

照れ隠しに、さらに照れるようなセリフを言ってしまった。顔が熱い。

なるほど…間接キス恐るべし。バカにしてごめんね比企谷、私も子供でした。

 

やられっぱなしは嫌だと思って発した言葉が、思ったよりも比企谷に効いたらしく彼の顔も赤い。

 

「「…」」

 

しばしの無言。お互い目を合わせられないで黙ってしまった。

私はそのまま味の分からないピーチソーダを飲み続けている。

 

比企谷は・・・あれ?比企谷コーヒー飲んでない?

なんと彼はあれほど苦手だと言っていたコーヒーを飲んでいた。

 

それにしても気まずい…。

な、何か話さないと

 

「あのさ」「おい」

 

「「…」」

 

「あはは~な、なんか気まずいね。」

「そ、そうだな。」

 

「「…」」

 

もう、どうすればいいのこの状況。

 

誰でもいいから助けて!

 

 

「あ、八幡だ!」

 

 

入口からジャージ姿の女の子が入ってきた。

この子、比企谷のことを下の名前で呼んでる…一体どういう関係?

 

「と、戸塚!?」

「…」

え!なによその比企谷の態度!?

見たことないくらい生き生きしてるんですけど!

 

…それにしても比企谷の周りってレベル高い女の子多いよね。

 

やっと味が分かったピーチソーダを泡立てながら彼女を睨みつけてた。

 




いかがでしたでしょうか?次回から天使が降臨します!

個人的に折本が嫉妬してるだけでも悶え死にそうになります。原作ではありえないですからねw
次回からはちゃんと物語を進めていこうと思います!

突然ですが今新しい俺ガイルSS(オリジナル)を書いております。そこでひとつ読者様に答えていただきたいのですが、登場させたい原作キャラを教えていただけませんか?感想に添える程度でいいのでよろしくお願いします!

感想・評価お願いします。多いほど執筆活動が捗ります。誤字報告も引き続きお願いします。本当いつもいつも誤字ばっかですいません。

では、読んでいただきありがとうございました!次回もよろしくお願いします!


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五話「味方」

UA10000突破&お気に入り250突破&赤色評価
おめでとう俺!ありがとう読者様!
おかげで一週間でここまでくることができました!
なんとルーキー日間のほうでランキングに乗ってしまいました!ありがたいですな!

平均評価も高く多くの感想も貰えていており、少しでも折本の魅力が伝わっていたとしてたら幸いです。

では、第五話「味方」どうぞ!
戸塚が出てきた理由とは!?

あ、今回大学のパソコンから投稿してますwだからこの時間帯になってしまいました。


「どうしたんだ戸塚?部活帰りにしちゃ、ちょっと遅いと思うんだが」

 

あいかわらずの口調に捻くれた態度は変わらないけど…

めっちゃ嬉しそう!!比企谷めっちゃ嬉しそうだよ!?

 

チラッチラッっと見る彼の目は…なんというのか犯罪者のようだ。

ほんのり赤らめた頬と腐ったような目が想像以上に合わない。ウケるw

 

でも・・・さっきまでの私を見る目と頬の赤さが違う。

なんか・・・なんか・・・ムカつく。

あんな犯罪者の目で私を見てほしいとまで思ってる私にもムカつく。どうかしちゃったんだろうか私。

 

こんな他の女に目を光らせる男のどこがいいっていうんだろうか?

惚れた弱みとはよく言ったものだ。

 

「ちょっと自主練で走ってたんだよ。このカフェよく来るんだよね~まさか八幡に会えるとは思わなかったけど。・・・・ふぅ。・・・ちょっと暑いね。」

 

「「…」」

 

襟をパタパタさせているだけなのに妙に色っぽい。

ちょっ私何見惚れているの。いけない何かに目覚めそうだった。世の中にこんなにかわいい女の子がいるとは・・・

 

「結婚しよう戸塚。」

「はぁ!?」

「もう、八幡ったら。こんなとこで何言ってるの!恥ずかしいよ…」

「お、おう。すまんつい。」

 

え、何?この雰囲気。私置いてかれてる?いきなりの結婚しよう宣言。それに嫌がりながらも、どこかうれしそうな戸塚ちゃん。

・・・おもしろくない。

 

「ねぇ八幡。もしかしてなんだけど…僕、デートの邪魔しちゃった?」

 

僕・・・僕っ子か・・・こりゃ勝てないわ。そっか比企谷はこういう子が好きなのか。

なんていうの?守ってあげたい。守りたいと思える、そういう子が。

くっ!私じゃ勝てる気がしない。

 

「んなけあるか。ぼっちの俺だぞ、こんなおしゃれなカフェで女子と話せる器量はねぇよ。」

「あはは~…じゃ、この海浜高校の制服を着た人は?」

「こいつは…中学の同級生だ。」

 

そう・・・説明するんだね。まぁ仕方ないか。

 

「どーも。比企谷と同級生の折本かおりでーす。」

 

比企谷のほうを見ると安心した顔をしていた。

彼は自分の出来事に戸塚ちゃんを巻き込みたくないんだろう。

しょうがない今日は乗ってあげる。私って優しい!

 

「折本さんね。僕は戸塚彩加。八幡とは同じクラスなんだ~」

 

うわ!笑顔がまぶしい!

比企谷の態度からすると比企谷の好感度が一番高いのはこの子だろう。

でも戸塚ちゃんも比企谷を嫌っている様子はないし…まさかもう。いやいや、さすがに比企谷だよ?付き合ってる…とかないよね?もしかして誰とも付き合ってないって嘘だったの?

 

「八幡。僕お邪魔ならどこk……ちょっ!・・・はぁ分かったよ八幡。そういうことね。ごめん折本さんご一緒してもいいかな。」

「へ!?い、いいけど。」

 

気を利かせて戸塚ちゃんは違う席にでも移ろうとしたんだろうけど、それを拒むように戸塚ちゃんの腰にに抱きつく八幡。その行動を察したように同席を要求してきた戸塚ちゃん。

 

二人の仲には他人には立ち入れない何かがある…妬けるな本当に。

 

ってか、普通にセクハラでしょ!

 

「それじゃ、お邪魔します。店員さん、スペシャルバーガーとバニラシェイクください。」

 

え、そんな重いもん食べるの?意外と大喰らいなのかな。

人は見かけによらない。

 

「かしこまりました~!」

 

奥で店員さんの声が聞こえる。

 

私もまだちょっと喉がかわいてるなぁ。

 

「あ、すいません!私ハニーシナモンラテください!」

 

当店一押しと書かれたシナモンラテの文字が目に入り、そのまま勢いに任せて注文する。

 

戸塚ちゃんに抱き着いていた比企谷が手をなして、一回メニューのほうに目を向ける。

シナモンラテをしばらく凝視して

 

「え、なにこれうまそう。すいません俺もそれひとつ。」

 

「かっしこまりました~!」

 

注文を終えると、私はストローを手に取ると自分の手元においた。

ま、まぁエコってやつかな!。自分のストローがあるのにわざわざ二本目使うことなんてしないよね。

 

ストローから正面に視線を戻すと

・・・そこには比企谷の顔が。

 

・・・・え?

 

自分の顔がみるみる赤くなっていくのが分かる。

 

やば!見られた!?いやでも私の勘違い…顔赤!?比企谷の顔めっちゃ赤い!

これは100%見られた。

 

どうしよめっちゃ恥ずかしいんだけど…

 

「……ん?・・・・・・・・・・・・・ああ!なるほど!」

 

戸塚ちゃんが何か閃いたようだ。なんでもいいからこの空気を変えて!

 

「折本さん。ちょっといいかな・・・」

「え、あ、うん。」

 

私を手招きしてる戸塚ちゃん。何か閃いたようだけど、私をあの空気から逃がしてくれたのかな?

 

私は戸塚ちゃん意図は汲めていないが、とりあえず付いて行くことにする。

 

さっき、私が比企谷と葉山君との話を盗み聞きしていたところまでくると

戸塚ちゃんが比企谷に聞こえないくらいの声で話しかけてきた。

 

「折本さん、八幡のこと好きでしょ?」

「へ!?」

な、なぜばれた。

 

「見てれば分かるよ~。二人とも分かりやす過ぎるよ。八幡が必死で僕を止めたのも不思議だったんだけど、こういうことだったんだね。」

 

すごい洞察力・・・ただ単に私達が分かりやすかっただけかもしれないけど。

そんなに顔にでるタイプじゃなかったんだけどなぁ。

 

「で、私が比企谷を好きだから釘を刺しに来たっけわけ?」

 

いくらかわいいからって譲れないものがある。呼び出して女子が二人きりになる理由なんでそれくらいしかないだろう。

結局この僕っこちゃんも化けの皮を被ってたのか。

 

「あははー…やっぱり勘違いしてるね。・・・僕こう見えて男なんだ。」

「へ!?男!?」

 

いやいやいや、こんな可愛い男の子がいていいはずがない。

ぱっちりした目に、きめ細かい肌、女性らしい雰囲気、そして極めつけは名前の彩加。

 

「男の子要素0なんだけど…」

「でも、僕は男なの!もう!」

 

え、かわいい。余計に信じられなくなったんだけど…。

 

「さっき八幡が抱き着いてきたでしょ?普通女の子相手にそんなことすると思える?」

「うっ…確かに。」

 

「それに、僕はね。折本さんの恋を応援したくて、折本さんに声かけたんだよ?」

「え…」

「最近八幡元気がなくてね・・・。なんか教室でもいつもと違う感じで、心配なんだ。だからさっきの折本さんと八幡の様子を見て少し安心したんだ。八幡すごい楽そうだった。だから、たぶん八幡に今必要なのは折本さんみたいな人なんだよ。」

 

「・・・でも。私さっきフラれたばかりなんだけど」

「もう告白しちゃったの!?そりゃ…今の八幡は誰とでも付き合うと思えないからね。でも、さっきの八幡の態度からするとまだ脈ありと思っていいかもしれないよ?」

 

「ほんと!?」

 

そっか…まだ脈があるんだ。まだチャンスがあるのかも。

「それで、あんな雰囲気になってたんだね。でも、それなら普通帰らない?なんでまだ二人でいたの?」

「それは・・・比企谷に相談に乗ってほしいって頼まれたから。」

 

戸塚く…ちゃんは少し驚いた表情になったけど、すぐにさっきまでの優しい顔になった。

 

「僕はね…今の八幡が見てられないんだ。僕と話してる時もどこか抜けているっていうか、考え込んでいるっていうか。八幡のことだから僕に心配かけさせたくないんだと思う。」

 

なるほど比企谷らしいなー。なんとなく戸塚ちゃんの意図が読めてきた。

 

「それで私になんとかしてほしいと。」

 

「簡単に言うとそういうことだね。八幡が相談に乗って欲しいんなんて普通言わないんだから!僕もサポートできるとこはさせてもらうからさ!もちろん恋のほうもね!」

 

だから笑顔が眩しいって!

まぁ…悪い気はしないかな?比企谷に近づけるいいチャンスと思えばいいしね。

 

「折本さん、これ僕のアドレス。登録して空メール送ってくれるかな?」

 

そういうとスマホの画面を私に見せてきた。

私は急ぎながら登録すると空メールを戸塚君に送信した。

 

「ありがとう!じゃ、そろそろ怪しまれちゃうから戻ろっか。戻ったら僕と話し合わせてくれる?」

「りょーかい。」

 

つまり私は比企谷の相談にのってあげて、恋を成就させればいいわけね!

戸塚ちゃんっていういい味方もできたことだし、がんばれ私!

 

「おわったよー八幡。」

「おう、おかえり。出会って1分で仲良くなれるとかお前すごいな。」

「折本さんが僕のこと女の子と勘違いしてたから説明してたんだよ。」

 

さすが戸塚ちゃん。完璧な嘘だと比企谷にばれちゃうもんね。

 

「なるほど。確かに女の子にしか見えないからな戸塚は。…それにしても長くなかったか?」

「あははーなかなか信じてもらえなくてね?折本さん?」

「そうなんだよね~どっからどう見ても戸塚君女の子じゃん?なかなか信じられなくて…信じたら女として負けた気がしたけど…。」

 

いや、ほんと理不尽だよ世の中は。男より女を可愛く作ってよ神様。

あ、これは私の本心ね。

 

「あ!ハンバーガー来てる!それじゃいただきまーす!」

 

「「…」」

 

戸塚君の食欲から見てやっぱり男の子なんだと思った。

 

私と比企谷は手元にあるハニーシナモンラテをとって元気よく食べる戸塚ちゃんを見ていた。

 

何度か比企谷がこちらを見て顔を赤くしていたが、さすがに私はなれてしまった。

おどおどする比企谷がおもしろくて、わざとストローを見せ付けるような飲み方をしていた。

 

うん!この甘さは私好きかも!

 




はい、みなさんせーの!

『とつかわいい!』

今回は天使にがんばってもらいました。
それにしても話が進まないw今の段階の予想ではこのペースだと50話いきますねw
うん、どうしよう。

これからもなるべく3000字あたりを一話とさせていただきます。飽きない程度の文量にしたいので。

感想・評価どんどんお待ちしております!読者様の声がこのSSのクオリティーにつながっていくかも、しれないことも、ないかもしれません!!よろしくお願いします!
誤字報告してくれる方毎回毎回すいません。今回もよろしくです!

あと「Snow House」という俺ガイルのSSも書きはじめました。よかったらこちらもよろしくお願いします。
では、また次回!


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六話「相談」

やばいっす!ついに日間ランキングのほうにも載ってしまいました!
めっちゃうれしいです!
友達にはうぬぼれるな!と言われましたけどうぬぼれて六話を書いてしまいましたw

そして謝らないといけないことが…このあと七話も連投させていただきます。当初予定してた六話が長くなってしまい二話分にわけることにしました。ご了承のほどお願いします。なので六話が区切りの悪い締め方になってしまいました。

今回ついにちょっとだけ物語は動きます。
ここらへんから折本の心情に注目してください!結構伏線じみたセリフがでてきます!

では、六話「相談」どうぞ!


「ごちそうさまでした~」

 

あっという間に完食…。

開いた口が塞がらない私と比企谷。

 

「と、戸塚?お前そんな食うの早かったっけ?」

「運動後だからね~お腹減ってたみたい。」

「そ、そうか。」

 

お腹減るだけであんなに早く食べれるなら早食い選手権に出るべきだと思うよ…。

 

「お腹いっぱいになったことだし、僕はそろそろ帰ろっかな。」

「え、ちょ、待ってくれ戸塚!俺を一人にしないでくれ!」

「駄目だよ八幡。それと折本さんがいるから一人じゃないよ。じゃ、あとは折本さんよろしくね。」

 

良い笑顔だ。

さすが比企谷の扱いには慣れてる。

これで比企谷は帰る事ができなくなり、私と話す選択肢しか残ってないわけだ。

 

「またね戸塚君~。」

「うん、またね折本さん。」

 

ありがとう戸塚君。

私、がんばるよ。

 

レジのほうでお会計する戸塚君と店員さんの声がする。

 

店から戸塚君が出たタイミングで比企谷に声をかける。

 

「そろそろ本題に入ろっか。」

 

突然の戸塚君襲来で話が逸れてしまったが相談を聞くまでは私は帰れない。

 

「あぁ…でもな、やっぱり…。」

「私ね。戸塚君のアドレスもらっ「すいません。すぐ話します。」った、え、あ、わかったならいいんだけど…」

 

戸塚パワー恐るべし。なんか比企谷を扱える呪文を覚えた気分になる。ってかそこまで戸塚君のこと好きなのかこの男…。

 

「それじゃまず、俺の部活について話すか。」

 

やれやれとした雰囲気で話しはじめる比企谷。いや、その雰囲気になるの普通私だから。なんであんたがダルそうにしてるのよ。

 

そこから10分間くらい比企谷の相談が始まった。

まず前提として比企谷は奉仕部に所属しており、部員は比企谷を含めて3名。

 

雪ノ下雪乃:部長、クールで才色兼備、学園一の美少女。さっきいた女の子二人組の髪の長い方。

 

由比ヶ浜結衣;こちらも美少女。クラスで上位カーストに位置し男女ともに人気が高い。二人組の髪が短い方。

 

そこに比企谷を含めて奉仕部は活動してる。最初は「奉仕」という単語に笑ってしまったが内容は人助け、困っている人を助けるための何でも屋みたいなものらしい。

そして今回来た依頼が厄介だという。

 

内容は

『総武高校では生徒会選挙が行われるらしい。その選挙で一色いろはという一年生の女の子が比企谷の奉仕部に相談に来た。要件は「クラスで囃し立てられて立候補してしまった。だから生徒会選挙で受かりたいくない。でも生徒会長に立候補しているのは一人だけ。だから信任投票で落ちてしまったら自分の威厳にかかわる。だからどうにかしてほしい。」そういう相談が部活にきたらしい。その解決策で部活の三人で揉めていてどうしたらいいか分からなくなっていると。』

 

はは~ん。なるほど。なんとなく読めてきた。

 

「で、比企谷はどんな解決策を提案したの?」

「…応援演説者を出して、そいつがしくって落選してそいつのせいにする。」

 

やっぱりね。

 

「お~いい案だね。で、その悪役は誰がやる予定だったのかな~?」

「いや、それは見つけ次第「ん~?」あ、はい。俺がやる予定でした。」

「はぁ・・・だよね。比企谷ならそうすると思った。」

 

そりゃ、喧嘩になるわけだ。話を聞いている限りだと奉仕部の女子二人が比企谷のことを好きなのは明確。でなきゃ、この問題だって喧嘩にならない。

 

「その時の他の二人の様子を教えて。」

 

比企谷は気づいてないだろうけど、一番の問題は「依頼の解決」ではなく「部の回復」だろう。ならば、二人の行動を把握しておく必要がある。

 

「雪ノ下は全面的に否定してきたな。「あなたのやり方を認めるわけにはいかない」ってな。由比ヶ浜のほうは対立的な俺たちを交互に見て動揺してたな。」

「なるほどね~。」

 

つまり、雪ノ下さんが比企谷に対して敵対心に近い感情を持ってるってことかな。

 

「で、それがなんか関係あるのか?問題解決につながるとは思えないんだけど。」

「うん、まぁ参考程度にね。」

 

うわ・・・さすがに引くわ。ホントに「何言ってるかわからない。」っていう顔してる。

 

これは…私のせい…かな。

 

「とにかく!手っ取り早くこの依頼を解決させよう!」

「手っ取り早くねぇ…俺が考えて思いつかなかったんだぞ?そんな簡単には」

「あ、解決策ならもう思いついたから大丈夫~。」

「え、ちょ、マジかよ。教えてくれ。」

 

確かに私は解決策を思いついたよ。でもこれを比企谷に話したら意味がない。

 

「ダメ。比企谷には教えられない。」

「おい、相談者に教えないってどういうことだ。」

「この問題は由比ヶ浜ちゃんに解決してもらう。そして、これは由比ヶ浜ちゃんにしかできない方法。」

「…。」

 

黙ってしまう比企谷。由比ヶ浜ちゃんという言葉を聞いて少し悲しそうになる。わかるよ彼女を巻き込みたくないんだね。

 

「ごめんね比企谷。比企谷には解決できないの。比企谷には葉山君の言葉を借りると「自己犠牲」でしか解決できない。比企谷のことだから、それはわかっているよね?」

「そんなつもりはねぇけど…まぁ雪ノ下達が納得してもらえるような解決策は俺には思いつかない。」

「なら、ここは由比ヶ浜ちゃんと私に任せてもらえるかな?」

 

少し比企谷は考えたあと、頷いてくれた。

 

「…正直意外だったよ。」

「ん?何が?」

「いや…ここまで折本が考えてくれるとはな…」

「あははーだよね。私もこんな真剣に自分以外のこと考えたの初めてだよ。これも恋の力かな!」

 

私はなんて恥ずかしいことを言ってるのだろうか。今日何回目か分からない羞恥心に襲われる。

 

「あ、おま、何言って」

「あははははw照れてるw」

「…うっせ。馴れてないんだよ。」

 

ああーいいなぁこういうの。

もし付き合うことができたら、こんな会話がいつでもできるんだろうか。

 




折本が奉仕部踏み込んできましたね・・・みなさんこの後の展開は読めていますか?

すぐに七話を読んでいただければ幸いです。
あ、時間がない人は後日に読んでください!

感想・評価お待ちしております!
あなたの一票がこのSSを支えてます。…なんか選挙みたいですねw

誤字報告いつもありがとうございます!!なんで自分で気づかないのか不思議です。
今回もよろしくお願いします。


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七話「解法」

はい七話でございます!


最近タイトルが思いつきません…なんで漢字二字縛りにしてしまったんだ俺…

そして残念なことに評価バーのランクが下がってしまいました。不甲斐ないです!
また赤色目指してがんばていこうと思ってます!

今回!がはまちゃん登場です!そろそろ誕生日ですね。
誕生日には投稿できないと思うのでここで言わせてもらいます
「誕生日おめでとう!」

では七話「解法」どうぞ!


「でもね。私は比企谷には何もできないとは言ってないよ。」

「なんだよ楽はできないのか…。」

 

「人に頼んどいて、楽できるわけないでしょw」

「じゃ、俺は何をすればいいんだ?」

「とりあえず、今すぐ由比ヶ浜ちゃんに電話してくれるかな?」

「今かよ。いきなり難題だな…。」

「電話するくらいなんでもないでしょ!ほら、はやく!」

 テーブルの上に置いてある比企谷のスマホを手に取り彼の隣に座る。

 おお…比企谷のにおいがする。

 

「わかったから、近い!近いから少し離れて!」

 

 うっさい!こっちはにおいを嗅ぐのに・・・・近づかないと会話が聞こえないでしょうが!

 好きな人が他の女とどこまでの関係なのかは知りたいって思うのが普通でしょ。

 

 比企谷の頼みはガン無視して電話するように催促する。

 諦めたようにスマホの電話帳から☆★結衣★☆の名前をタップする。

 え…なにその名前。比企谷友達のことそんな名前で登録してるの?

 

 数回のコールのあと由比ヶ浜ちゃんが電話に出た。

 

『もしもし!ヒッキー?』

 

 電話の声から分かる。予想通りの子だ。

 

「お、おう俺だ。今大丈夫か?」

『うん!大丈夫だよ。何か用事?』

「いや、俺が用事があるわけじゃ「どーも、あなたが由比ヶ浜ちゃん?」お、おい。」

『その声…ヒッキーどうしてその子と一緒にいるの?』

 

 はい!恋する乙女&私のライバルとして確定!くっそ…心の中ではライバルでないことを祈ってたのに!

 

「いや、ちょっと訳ありでな…」

『ふーん…で、私に用事があるのはその子?』

 

 おお!思ったより察しがいい。

 

 比企谷越しに会話するのがじれったくなって比企谷からスマホを奪いとる。

 私に触れることをためらってか、比企谷はスマホを取り戻すことを諦めた。

 

 席を離れ比企谷に聞こえないくらいの距離をとる。

 

「そうだよー。もしもし、由比ヶ浜ちゃん?私は折本かおり。察しがいい由比ヶ浜ちゃんならなんで私が比企谷と一緒にいるか分かるよね。」

『うん…なんとなくはね。』

「そっか、さすがだね。でも今回はそっちの話じゃないの。一色さんについて相談があってね。」

『え…なんで折本さんがいろはちゃんの相談を知ってるの?』

「そりゃ比企谷に『相談』されたからね~」

『…そっか、ヒッキーは折本さんに頼ることにしたんだね。』

 

 彼女も比企谷の理解者ってことか。比企谷が人に相談することの重要性が分かっている。

 

「そう、比企谷は私を頼ってくれた。でも不甲斐ないことに部外者の私は解決することができないんだ~。」

『…。』

「由比ヶ浜ちゃん、この問題を比企谷が解決するのは無理なの。どう頑張っても比企谷が犠牲になる解決方法しかない。だから私はね由比ヶ浜ちゃんに解決してほしいと思ってるの。」

『私…が?』

「うん。だからさ、明日私と会えないかな?特に用事がないなら付き合ってほしいな。」

『うん…いいよ。』

「ありがとう!じゃ駅前の喫茶店5時集合でよろしく~」

 

 こっちから電話を切る。

 よし、第一段階はクリア。由比ヶ浜ちゃんのほうはなんとかなりそう。

 

 おとなしくシナモンラテを飲んでいる比企谷のとこまで戻ると、

 

「ありがと比企谷。」

 

 ポイッと比企谷にスマホを投げ返す。

 

「うわっと…あぶね!文明の利器を粗末にするんじゃねぇ。ウェブ小説が読めなくなるだろうが!?」

「気にするのそこ!?」

 

 ・・・比企谷は由比ヶ浜ちゃんとの会話について何も聞いてこない。

 

「何も聞かないの?…由比ヶ浜ちゃんと何を話してたか。」

「気にならないと言われれば嘘になる。でも俺は折本に任せるっちまったしな。話せる時になったら話してくれればいいさ。」

「…うん。」

 

 やっばぁ…かっこいいとか思っちゃったよ!

 いつも通りかっこつけているだけなんだけど、なんか今のはぐっときちゃった!

 

「どうした?折本?」

「え、あ、ううん!なんでもないよ!あははは。」

「?それならいいんだけど。」

 

 スマホを見ると8時を回っていた。

 結構遅くまで話していたんだな。

 

「結構遅くなっちゃったね。そろそろ帰ろっか。」

「そうだな。」

 

 お互い荷物を持ち帰る身支度を整える。

 その時、さりげなく伝票をとる比企谷。こういうちょっとした気遣いが比企谷のいいところだと思う。

 

「男らしいとこあるじゃん!」

「お、おう。これくらいは…な。」

 

 惚れられてうれしいのか顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。

 かわいい…。

 

 私は比企谷が会計をしている間ずっとその背中を見ていた。

 今日一日のことを彼の背中を見ながら振りk…

 

 おっといけない、振り返るのは少し早い。私にはまだしなくてはいけないことがある。

 

 店を出ると、さっきでた時よりも冷たい風が吹いてきた。

 でも、心地よい風。少し熱を帯びた頬を冷やすにはちょうどよい。

 

「それじゃ、折本これから…その…よろしく頼む。」

「うん!よろしく~。でも比企谷、私と連絡はどうとるのかな?」

「あ、忘れてた。ほい、登録してくれ。」

 

 そういうとスマホを手渡してきた。

 

「え、私、中見てもいいの?」

「見られて困るもんもないしな。はやく登録してくれ。」

 

 これはチャンス。比企谷の友好関係を知る機会・・・・ってすくな!?

 電話帳の中は10人にも満たない。電話帳の5割家族ってさすがに同情するよ。

 

 私は比企谷のプロフともう一人のプロフをメールに張り付けて送信する。

 私のスマホで送れたことを確認すると比企谷宛に私のプロフを張り付けて送信した。

 

「ほい!かんりょ~ありがと。私のプロフ送っておいたから登録してね。」

「おう。」

「じゃ、私こっちだからまた今度ね~」

「ああ。またな。」

 

 少し離れたとこえろで振り返る。

 

「あとさ!私まだ諦めてないから!」

 

 一瞬彼の背中がびくっとなったが振り返ることはなくそのまま歩いていく。

 振り返るくらいしてくれてもいいのにな~残念。

 

 伝えたいことは伝えられたからまぁいっか!

 

 比企谷に振り向いてもらうには道はまだまだ長そうだ。

 

「よし、もう一仕事しますか!」

 

 さきほど手に入れたもう一人の番号に電話を掛けた。

 




いかがでいたか?
折本さんかなり策士に育ってきましたね。最後の電話の相手はいったい誰なんでしょうか。
え、比企谷の登録してる電話番号なんて限られているって?
頼みますからネタバレはご勘弁を!

感想・評価お待ちしております。
あなたの一票が卯猫を変える!たぶんどちからの数が100超えたら進化します。

誤字を!誤字の報告を!いつも感謝感激です。
本当に助かっております。

ではまた次回お逢いしましょう!


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八話「明日」

UA25000&日間ランキング10位ありがとうございます!
お気に入りも400超え、評価バーも赤マックスバー。正直自分のSSか疑ってしましますw皆さんのあかげでここまでこれました。本当にありがとうございます!

そして、ついに字数をUAに抜かれたら書き出す作戦が使えなくなってしまいました…。
嬉しいことなんですけどね!!
だからって投稿を止めるわけではないので安心してください!


折本も電話の相手とは・・・

次回からのキーパーソンの登場です!





「もしもし~小町ちゃん?」

『その声は…かおりさん。…どうして私の番号を知ってるんですか。』

「比企谷のスマホから拝借した!」

 

 私が電話をかけたのは比企谷小町、比企谷の妹。

 訳あって小町ちゃんとは中学の時の知り合い。決して仲がいいわけではないんだけどね。

 

『はぁ…どうせお兄ちゃんのことだからスマホを手渡して「登録してくれ。」とか言ったんですね。』

「そのとおり!さすが小町ちゃん。」

 

 さすがブラコン妹。兄のことならほとんど把握してるのだろう。ここまで好きあってる兄弟ってちょっと怖いよね。

 

 小町ちゃんが私の恋のキューピットになってくれるなら嬉しいんだけどな~…。

 

『今は、どんな√でお兄ちゃんに出会ったかは置いておいてあげます。

 それで、わざわざ受験生に何の用事ですか?勉強に忙しいんですけど。」

 

 すごい不機嫌。

 そりゃ受験勉強忙しいのにさらに私の電話だもんw不機嫌にもなるよね。

 

「もー怒んないでよ。」

『受験生のストレスをバカにしないでくさださーい。』

「そんなストレスが溜まった小町ちゃんにひとつ面白いことを教えてあげよう!

 私、告白しちゃった!」

 

 ガタッっと電話の向こうでものが落ちたような音がする。小町ちゃんが何か落としたようだ。

 

『告白って…まさかお兄ちゃんにですか?』

「惚れちゃった勢いでそのままねー。…まぁフラれたけど。」

『当たり前です。なんで今のお兄ちゃんに告白を・・・そもそも、かおりさんにそんな権利はないでーす。はやくお兄ちゃんから手を引いてください♪』

 

 権利がないことくらい私だって分かってる。

 日中のデートでは変に意識しないように努力した。

 けど彼を見ていたら…気になってしまって、どうしていいか分からなくなった。

 そのくらい彼は魅力的な人に変わっていた

 

 ・・・変わってしまっていた。

 

「私も分かってたんだけどね…好きになっちゃったんだから仕方ないでしょ。」

『はぁ…。それが分かった上で告白したんならいいです。かおりさんがお兄ちゃんに何をしたのか、覚えてくれてさえいれば。』

「手厳しいな…二年前より口悪くなってるよ小町ちゃん。」

『小町が口が悪くなるのはお兄ちゃんとかおりさんの前だけです。反面教師的な意味で二人のことは見てますから。』

「あははwそれはごもっとも。でも、今の比企谷ってホントおもしろいよね。すごい好みなんだ~

 

 …そして、自分の罪の重さに押しつぶされそうになるよ。」

 

 時々今日も覗かせていた彼の悲しそうな顔が脳裏を過ぎる。

 

『小町としてはそのまま押しつぶされておにいちゃんの目の前から消えてほしいんですけどね。』

「ひっどーい。将来のお姉さんになんてこと言うの!」

『かおりさんがお姉ちゃんなんて小町は嫌でーす。』

 

 相変わらず小町ちゃんは可愛いなぁ。もうちょっと私に優しくしてくれれてもいいのに。

 

「ま、そこらへんはまたゆっくり話そうよ。お茶でもしながらさ。今日の電話の用件は比企谷の相談についてなんだー。」

『お兄ちゃんの相談…?まさかお兄ちゃんがかおりさんに相談したってことですか!?』

 

 ありえない!と驚いている小町ちゃんの顔が、声をきいてるだけで想像できてしまう。

 

「そのま・さ・か♪ごめんね~ポジション奪うような真似して。」

『…ありえないです。お兄ちゃんが…かおりさんに頼るなんて。』

「なんで頼ってくれたか私にも分かんない。でも比企谷は私を頼ってくれた。なら全力で答えてあげないとでしょ?

 小町ちゃんは私のこと嫌いかもしれないけど、大好きなお兄ちゃんのためなら動いてくれるよね?」

 

 ぐぬぬと唸る小町ちゃん。

 

『…仕方ないです。かおりさんを助けるためじゃないんですからね!』

「わかってるわかってるwそれで、聞きたいことは二つ。由比ヶ浜ちゃんと雪ノ下さんについて。」

『うわ…いきなりその二人についてですか…。思念とか入ってないですよね…?』

「半分くらいは思念だよ!」

『えーめちゃくちゃ教えたくなくなってきたんですけど…。』

「そこをなんとか!」

『まぁ…お兄ちゃんのためなら仕方ないですね。雪乃さんはとても美人で私の将来のお姉ちゃんにふさわしい人です。もちろん結衣さんも雪乃さんに負けないくらいお姉ちゃんにしたい人です!』

 

 小町ちゃんすでにロックオンしているんだねw。いろんな策使って、二人を比企谷とくっ付けようとしてるんだろうな。

 

 でも今日聞きたいのはそこではない。

 

「そこじゃなくて、私が聞きたいのは

 

   『小町ちゃんから見た彼女たちの欠点』

 

 だよ。」

 

 私はまだ二人のことをよく知らない。だからこそ欠点だけを重点に二人を見ていきたい。魅力は欠点を隠すためにあるのだから、先に知るべきは本心である欠点である。

 

『…あいかわらず人が悪いですね。どうしてお兄ちゃんはこんな人を…。仕方ないですね・・・あくまで小町から見た欠点ですから参考程度にしてください』

「うんうん!」

『まず、雪乃さんは短所と長所が一緒なところが短所です。小町からみても子供にしか見えないですね。純粋で無垢。自分を固定して物事を主観的に捕らえてしまう人です。

 逆に結衣さんは客観的に物事をとらえ過ぎてます。周りを気にして自分は前にあまりでてこないタイプですね。二人はまったく対照的といっていいと思います。

 かおりさんならこの情報だけで充分でしょ?』

 

 さすが小町ちゃん!わかりやすい説明ありがとう。

 比企谷が彼女達と一緒にいる理由もなんとなく分かってきた。

 

「うん!ありがとね小町ちゃん。お礼に今度お茶は私のおごりね!」

『かおりさんとお茶なんて嫌です。できれば速攻電話帳から私の名前を消してもらえるとありがたいなーなんて。』

「あははーwじゃ今度の日曜日にね。また電話するから!」

『人の話を聞いてください!!』

 

 私たちはそのあと他愛のない会話を数分続けてきた。

 

『あ、お兄ちゃんが帰ってきました。すいません、切りますよー。』

「うん。今日はありがとね~」

 

『・・・かおりさんお兄ちゃんをよろしくお願いします。』

「うん…まかせて。」

 

 プツリと電話が切れる音がした。また小町ちゃんと話せる時が来るなんて嬉しいな。

 

「う~ん!」

 

 背筋を伸ばしすと今日一日分の疲れが飛んだように気持ちいい。

 今日一日で、何年分もの出来事を凝縮したような事がたくさんあった。

 良いことも悪いこともあった。それでも今日という日は、私にとって大切な日になるだろう。

 

 ふと見上げた空は星が綺麗で思わず笑顔になってしまう。

 

 手を伸ばし、星を掴むように握りこぶしを作る。

 

 

「待ってて、比企谷。今度は私の番だよ。」

 

 

 

 明日の選択肢はまだ分からない。でも私が間違いを選ぶはずがない。

 私が選んだ道は彼から貰ったもの。

 それが間違いであっていいはずがない。

 

 

 『だから私は選択肢を間違えない』

 




いかがでしたでしょうか!!

次回から過去編が始まります。タイトル伏線回収したから最終回かと思った読者さんいるんじゃないでしょうか!残念!まだまだ続きます。

いったんここではじめから読んでいただけるといいかもしれないです。どこが過去の伏線になってるか探すものおもしろいんじゃないかな~と。
私も一緒に探します!(←え

調子に乗ってツイッターはじめました。現在フォロワー0です。
こんな私ですが会話してくれる方募集してます!

「@u_nya_7225」  又は 「卯猫」で検索かければ出ると思います。

今回感想が多くなるんじゃないかな~と期待しちゃったりしてます。
無理にはしなくていいので一言でも感想いただけると嬉しいです。

評価バーもみなさんの支援の結果です。今後もがんばって期待に応えていきたいと思います!

最後に誤字報告をくれる方々!本当に感謝です。みなさまの報告のおかげでSSが完成いていると思っています。今後もSSを一緒に作ってるという感覚で報告いただけるととてもうれしいです。

それではみなさんまた次回過去編でお逢いしましょう!


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二章「犠牲と別離」
九話「手紙」


えーと…本日はお日柄もよく?あれ?この後ってなんて言うんでしたっけ?

いや、お気に入りもUAも延びがやばくてですね・・・もうちょっとちゃんとした前書きにしようと思った結果がこれですよ。馴れないんでいつものに戻しますねw

ん!ん!!

お気に入り500&UA30000超えありがとうございます!
しかもですよ!日間ランキング3位になってました!!(な、なんでだってぇ!)
投稿始めて二週間も経っていない新参ものですがこれからもよろしくお願いします!

今回から過去編にはいるわけですが、9話はプロローグ的なものです。過去の折本が置かれている状況に注目してください!


川岸中学校。

千葉市にある普通の公立中学校。

わたし折本かおりは今年で中学3年。

3年間、部活に入ることもなかったがノリで生徒会に去年から入っている。生徒会といっても書記だからほとんど仕事はないんだけどね。

 

「ん?…。」

 

登校して下駄箱で上履きに履き替えようとすると、中に手紙が入っているのが見えた。

三年生になってからもう何回目だろうか。生徒会入ってからか私の名前を知っている人が増えたのが影響してるのかな?

はぁ・・・もう、めんどくさいなぁ。

 

わたしはどうやら結構モテるらしい。

容姿は気にしてはいるがそこまで自身はない。わたしより可愛い子はたくさんいると思う。

成績は生徒会に入っている身なので一応そこそこの成績ではある。

けど、わたしはそれだけの女であり特別男の子と話したりしないし遊んだりもしない。

 

なんでモテるのか本当に分からない。

 

「あー!かおりまた手紙貰ってる!ずーるーいー。」

「あ、つみちゃんおは~。いやぁ…本当に代わってほしいよ。最初のうちは嬉しかったんだけどね…。」

 

この子は同級生の沢下 筒美。通称つみちゃん。

わたしと一年の時席がとなりで、そこから三年生になるまでずっと仲良くさせてもらっている。もちろん三年間クラスも一緒!親友っていうのかな。

 

けど、中身はいつも彼氏がほしいほしい言ってる残念な子。見た目は可愛いんだけどなぁ…

 

「なんでかおりばっかりモテんのかな~私だって結構悪くないと思うんだけどな~」

「じゃ、わたしの代わりに行く?」

 

手紙をつみちゃんの目の前に差し出ししてみる。

 

「いや、私が行ってどうするのよ。」

「だよねw」

 

手紙をカバンに入れる。読むのは教室に着いてからにしよう。

着くまでの間「なんで私はモテないんだ!」「いや、たぶんそこがモテない理由だと思う。」「え、どこ!?」そんな他愛のない日常の会話をしながら教室に向かった。

がんばれつみちゃん・・・わたし応援してるから!!きっといい人が現れてくれるよ…きっと…たぶん。

 

クラスの前まで来ると賑やかな声がする。

中学三年になってはいるがまだ五月上旬。受験モードに入っている人は少なくクラスはまだ二年生のころとあまり変わらない。

 

「おはよ~」

「おはよう折本。」「かおりちゃんおはよー。」「おはよ~。」

 

席に着くまでいろんな人に挨拶をする。もちろん、みんな返事を返してくれる。

挨拶に他意はなく、無言で素通りするのがわたしは嫌なだけ。

ギスギスしてるのは面白くないしね。

 

「で、かおり手紙にはなんて書いてあったの?」

 

つみちゃんは私の前の席で、後ろを向いて話しかけてくる。

 

「ちょっと待ってねぇ~。えーと・・・『放課後、3年2組に来てほしい。折本さんに大事な話がある』だってさ。」

 

もう慣れたようにつみちゃんは苦笑いをする。私もつられて苦笑い。だって同じような手紙をこの2か月で何回見たことか…。

 

「うわ、またベタな誘いだね~それで誰から?」

 

わたしは手紙の裏表を確認する…がやっぱり相手の名前は載っていなかった。

 

「毎回恒例で書いてないでーす。」

「だよね~。心当たりはあるの?」

「いや~毎回の事ながらさっぱり!あはは~」

 

そもそも男子生徒と絡みのないわたしにこ心当たりなどあるはずがない。

 

「はぁ・・・かおりは八方美人すぎるんだよ。誰にでも優しくしすぎ。」

 

むっとした表情になったと思ったら、ビシッと人差し指でわたしを指出すつみちゃん。あざとい・・・。

 

「そんなことないと思うんだけどな・・・。」

 

実際そんなことはないと本当に思う。すれ違う人に挨拶をしたりするくらいしか、わたしはしてないと思う。

八方美人なんて窮屈な生き方なんてしてやるもんか。

 

キンコンカーンコーン

 

予鈴のチャイムがなったので一時間目の授業の準備をする。確か国語だったよね…教科書、教科書・・・ない。

・・・ま、まさか忘れた!?あちゃー…久々に忘れ物したなぁ。

 

しょうがない他のクラスの生徒会の友達に借りに…って時間もないか。

あと数分でチャイムが鳴ってしまう。

 

仕方ない。隣の人から借りるとしますか。

 

左隣の・・・確か名前は…比企谷だっけ?

 

「ごめん比企谷!教科書一緒に見せて!」

「…いいぞ。」

 

そう言うとこちら側に教科書を開いて見せてくれた。

 

えーと…それだとこっちから見えないんですけど…。

あ、私が机をくっ付ければばいいのか。

 

「ありがとう!」

 

お礼を言い終えると、わたしは自分の机を比企谷の机とくっ付ける。

ガタッと机と椅子をわたしが動かすと同時に比企谷が私から離れるように椅子を動かした。

・・・何よ、離れなくたっていいじゃない。

 

キンコンカーンコーン

 

チャイムと同時に先生が入ってくる。

教科書を忘れた生徒に対しての恒例、「何お前ら仲いいな!」と先生に囃し立てられた。正直に教科書を忘れた事を告げると「なんだ、つまらないな~」と先生が反応し、私が「つまらなくて結構です!」と答える。

そんなテンプレな会話にクラスは笑った。

 

隣の彼を除いては。

 

授業中、彼は一切こちらを見ることはなく窓の外を眺めていた。

女子の体操着姿でも見てるの?・・・ってそれはないか。彼はいつも真面目に授業を受けている。

こちらを見ないのは…わたしが嫌いだから?・・・ちょっと傷つくな~。

悪いことした覚えもないのに一方的に嫌われてしまっていると思うと腑に落ちない。

対抗して私も授業中いっさい声をかけなかった。

 

私が嫌いならそれはそれでいいんだけど、比企谷・・・ちゃんと授業受けなさいよ。

結局最後まで比企谷がこっちを向くことも、正面の黒板を向くこともなかった。

 

授業が終わり先生出て行くのを見て、わたしは机を離すと、やっと正面を向いた彼は首を抱えて震えていた。

 

「ぐぉぉ」と唸っている。

そりゃ一時間も外を見続ければそうなるよ…。

 

「ぷっw」

「…」

笑ったわたしに気づいてこっちを睨む比企谷。

その姿は滑稽で、面白かった。

 

 

放課後になり、呼びだされた3年2組に向かう。

やだな・・・告白するならもうちょっと段階を踏むとかそういうのがあるでしょ。いきなり告白ってのもなんだかいただけない。

 

教室のドアを開けると一人の男子生徒がいた。

夕焼けのせいで顔がよく見えない。

 

「わたしを呼び出したのはあなた?」

 

一応笑顔で話しかけてみる。

 

「・・・折本さんのことが好きです!俺と付き合って下さい!」

 

うわ、いきなりの告白。ないわ…

でも緊張しているのかと相手のことを考慮して、笑顔を保つ。

 

「とりあえず名前を教えてくれないかな?」

「す、すいません。3年2組の石館 畔 です。」

「石館君か…ごめん、わたしと話したことあったっけ?」

「はい!その・・・一回だけですけど!折本さんに廊下で声をかけてもらったことがあります!ハンカチを拾っていただいて・・・それで一目惚れしました。」

「なるほどね~」

 

・・・うーん。まったく覚えてない。ハンカチを拾った?そんなことあったっけ?

まぁ、あったとしてもそれだけで、わたしに惚れたっていうのか…。

 

わたしに告白してくる男子はだいたいが一目惚れを理由に告白してくる。

今回も例外ではなさそう。どうして、そんな理由で人を好きって思うんだろう・・・。

ハンカチを拾ってあげたらその人の事を好きになってしまうのだろうか。

 

「ごめん。石館君とは付き合えない。」

 

いつも通り断る。

 

「そう、ですか・・・理由を教えていただいてもいいですか?」

「理由か…石館君のことをあまり知らないからかな。わたしはやっぱ付き合うまでの段階ってあると思うんだ。だから一目惚れとかそういう理由で付き合うことはできないな。」

「…。」

「ごめんね。」

 

石館君は無言で私の前から去っていった。

 

はぁ…こんなことならつみちゃんと帰ればよかったな~。

違うことを考えて、笑顔を作ろうとしているがうまく作れない。

やはり本心では石館君…過去にフった人たちに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになっている。

 

「はぁ・・・。」

 

誰もいない教室の真ん中の机に座りため息をこぼす。

 

「こんなわたしのどこがいいんだろうね…。」

 

 

ふと、一時間目の事を思い出して外を見てみる。

 

「なんもないじゃん。」

 

見えるのはいつもと変わりない校庭だった。

 

 

 

____________________________________________________

 

 

  「…許せない。」

 

 

 誰かがそう呟いた。

 

 

 

 




いかがでしたか?

現代の折本とはまったく違う折本が見れたんではないでしょうか!
ってかこいつ誰!?って感じですよねw

今回はご指摘本当にお待ちしております。ストーリー的な部分は固まっているのですが折本の描写に迷ってます。アドバイスお願いします!また疑問点がある方はお知らせください!物語の進行にかかわらない程度に応えていきたいと思ってます。

ツイッターでも意見お待ちしております。こちらでは制作中段階で読者様の声を聞きたいと思っています。普通に雑談もしたいと思っているので気軽にフォローお願いします!

@u_nya_7225 「卯猫」

感想・評価お待ちしております!過去編に入ったことでどう評価されるか心配しております。是非よろしくお願いします!

誤字報告班の方々!今回もよろしくお願いします!

ではまた次回お逢いしましょう!


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十話「魔女」

まずはじめに投稿遅くなって申し訳ありません。リアルが多忙でした。

先日中学校に授業しに行く機会がありまして私も参加してきました。
「教える事の難しさ」「伝える事の大切さ」を学ぶいい機会だったと思います。

ん?何が言いたいかですって?
そりゃもう「平塚先生まじぱねぇ!!」ってことです!
今回の経験で平塚先生に一歩近づけた気がしますw

ではでは物語について。今回投稿が遅れたのはこの話から次章にも影響してくるわけですよ。もう一回構成を見直していたことにしてください。

記念の十話のタイトルが「魔女」・・・なにやら不穏ですな~。
 あと今回ちょっぴり長いです。


翌日、わたしはクラスに違和感を覚えた。

普段なら元気よく挨拶してくれるクラスのみんな。しかし今日にいたっては「あ…おはよ」

「お、折本さんおはよう。」「…でさーこの前(ry)」など反応が頗る悪い。最後の人に至っては無視だからね無 視!

異様に感じてはいるが、なぜ無視されるような事態になっているのか呑み込めない。ひとまずは自分の席に着くことにする。

 

自分の席に着くとわたしより先に登校していたつみちゃんに疑問を投げかけてみる。

もしかしたら何か知っているかもしれない。

 

「ねぇ、つつみん…なんかクラスの雰囲気いつもと違くない?」

 

特に理由もなく、憂さ晴らしにつみちゃんをいじってみる。

 

「つつみん言うな!」

 

あーはいはい。あざといあざとい。

プクーと頬を膨らますつみちゃんはいつも通りの態度で返してくれた。

・・・今はこのいつも通りが少し嬉しい。

 

「でも・・・まぁ確かに視線をチラホラと感じるね。」

 

つみちゃんの言う通り、クラスの誰かしらの視線を感じている。

なんだかむず痒いなぁ…言いたいことあるなら直説言ってほしい。

こういう雰囲気、わたしは嫌いなんだけどなー。

 

「こういうの慣れないんだよね・・・言いたい事があるなら直接言ってくれればいいのに。」

「かおりん陰口とか嫌いだもんね~もしかしたら何か噂が広がってるのかもよ?」

「そうなのかな…わたし悪いような噂されるような事してないと思うんだけど・・・とにかくじれったくして仕方ない!んで、かおりん言うな!」

 

わたしもつみちゃんの真似をして頬を膨らましてみる。

 

・・・なによ、つみちゃんその目は・・・

 

目の前には苦笑いで「アーカワウィイナー」と棒読みする友達思いの親友がいた。

 

・・・やっぱ慣れない事をするもんじゃない。

 

恥ずかしくなって後ろを振り返ると、ボサッっとしている比企谷が登校してきたので挨拶をしてあげる。

 

「おはよ比企谷~」

「・・・お、おっす。」

 

え、何その返し…。

なんともつまらない返事を残して比企谷は席についた。

ま、まさか比企谷までわたしの事を・・・。

 

・・・ん?わたし比企谷に挨拶したことあったけ?・・・ないような…気がする。

なら、あの反応も仕方ないっか。

 

比企谷の反応がクラスのみんなと違うことに安心するわたしがいた。

 

 

慣れない空気間の中一時間目の準備を始める。

よし・・・今日は忘れ物してないな。二日連続で忘れ物してたら恥ずかしくて仕方ない。

 

「今日は忘れなかったぞ!」とドヤ顔で比企谷のほうを見る。

しかし彼は、今日も何もないはずの外を眺めていた。

えっと…今日は机くっ付けてないんだけど…なんで外を向いているのよ。

 

何を考えているか分からない彼の事はほっといて授業を真面目に受けよう。

いろいろ分からない事だらけの朝だったが授業は真面目に受けないとね!

中間試験も近いしがんばらないと。

 

さすがの比企谷も授業が始まると真面目に受け始める。

そうよ、ちゃんと受けなさい。

 

真面目に授業を受けている姿に思わず微笑んでしまう。普通のことなのにね。

 

 

一時間目が終わり次の数学の準備をしていると

 

「折本さーん、生徒会長が呼んでるよー。」

「はーい・・・なんの用だろう?」

 

今は中間試験前だから生徒会はないと思うんだけど・・・

などと疑問に思いながら教室の入り口に向かう。

 

「どしたの~百合ちゃん?」

 

我が中学の初めての女性生徒会長、花崎 百合。通称「子供生徒会長」

身長は140センチあるか分からない程度。その子供じみた見た目も名前の由来だが、それよりも彼女の言動すべてが可愛すぎることが一番の命名の理由である。そしてなによりハーフの女の子。もう、お人形さんみたいに可愛い!

学校で100人に聞いたら100人が可愛いと答えるだろう。

 

生徒会長選挙では自ら立候補したという。演説の時のかわいさで投票率95%という偉業を成し遂げて当選した。もちろん勉学でも立派な成績を残しており、ほとんどの教科で一位を取っているらしい。

唯一国語では勝てない生徒がいるとか…。まったく百合ちゃんに一位をあげてやりたいとは思わないのかな。

 

つまり生徒会長として百合ちゃん以外の適任者はいないくらいの人格の持ち主である。

 

「あ、かおりちゃんちょっと問題があってね・・・。だから、その・・・放課後来てくれると嬉しいな?」

 

上目使い、赤く染めた頬、潤んだ瞳!ああ、もう抱きしめたい!

卑怯なほど可愛い見た目に女子であるわたしもときめいちゃう!

 

「うん!もちろん!」

 

即効の肯定。

こんな可愛い子のお願いなら応えちゃう!いや、全力で答えるね!

 

「よかった~じゃ放課後生徒会室で待ってるから。他の生徒会の人には言ってないから一人で来てね。個人的な・・・相談があるの。」

「?・・・りょーかい。」

 

それだけ伝えると、いそいそと自分の教室に帰っていく。相談ってなんだろう…ま、放課後になれば分かるか。

 

それにしても可愛いな~。

わたしじゃなくて、ああいう子がモテるべきだと思う・・・。

 

もう・・・神的な扱いなのだろうか。そうだとしたらこの学校はもうダメなのかもしれない。

 

 

 

百合ちゃんとお別れした後、呼んでくれた子にお礼を言って自分の席に戻る。

 

すると・・・比企谷がこちらを見ていた。

 

「・・・なんかよう?」

「あ、すまん。なんでもない。」

 

ムカッ・・・なんでもないわけないでしょ!ずっとこっち見てただろうが!!

ずいぶん素行が悪い生徒がいたもんだ・・・。

 

これは生徒会の一員として更生させなければいけないなぁ~。

 

「な に よその態度!気なるじゃない!教えろぉ~!!」

「おま、ちょ、やめろって!」

 

私は比企谷の頭をくしゃくしゃと手で揉む。

・・・む。こいつ男児の癖に異様に髪質いいな。サラサラしてるし…ちゃんとケアすればすごい美髪になるかも。

 

揉んでいると一部引っ掛かる髪がある。

なんだこのアホ毛。撫でても撫でても立つんだけど・・・面白くなってきたので伸ばしたり引っ張ったりしてみる。

 

「どうなってるのよこのアホ毛・・・全くいうこときかないんだけど。」

「こういう髪質なんだよ。あんま触んな痛ぇんだよ。」

「あ、ごめん。・・・で、なんでこっち見てたのかなぁ~?」

 

謝るけどアホ毛をいじることはやめない。少し撫でるように触ってあげる。なんか癖になりそう。

結果的に後ろから比企谷の顔を覗く姿勢になり、比企谷と話す。はたから見ると仲良しとか思われてんのかなw

 

「・・・・・・・・・・・・いや、あの生徒会長ちっけなぁとね。」

「何よその間・・・あ!!もしかして比企谷百合ちゃんに惚れてんの?」

 

顔を真っ赤にしちゃって~百合ちゃんを好きなことを隠したかったのか。可愛いとこあんじゃん。

そりゃ、あんだけ可愛い子だったら惚れるのも分かる。

 

「いや、そういうわけじゃないが。」

 

あれ?今度は即答。うーん…百合ちゃん見てたわけじゃなかったのかな。それじゃなんでこっち見てたんだろう。

 

「あんま見すぎると嫌われるから気をつけな~」

 

とりあえず気まずい雰囲気になるのは嫌なので適当に会話を切る。

比企谷の拘束を解除してあげ、自分の席に自分の席に着く。

 

「…お前もな。」

「え、なんだって?」

「んや、なんでもねぇよ。」

 

何て言ったのか聞き取れなかった。なんて言ったのだろう?

 

比企谷はカバンの中から本を取り出して読みはじめてしまったので、追及するのはやめておこう。

 

 

 

放課後、生徒会室を訪れる。

結局、何についての相談なのか検討もつかなかった。…百合ちゃんが恋・・・いやまさか、あの子に恋愛はまだ早い(確信)。

扉を二回適当にノックして入ると、他の役員は居らず百合ちゃん1人が広い生徒会室に座っていた。

 

「百合ちゃーんきたよ~」

「あ、かおりちゃん。…とりあえず座ってくれるかな?」

 

出迎えたらそこには百合ちゃんが!なんてすばらしいのだろう。一家に一台百合ちゃんを常備する未来は遠くないかもしれねい。

って何言ってんだわたし。少し冷静になろうよ…。

 

「それで、相談って何?」

「うーんとね…とりあえずこれを見てくれるかな。」

 

百合ちゃんはかばんの中から一枚のプリントを差し出す。

 

「なに・・・これ」

 

たった一枚のプリントだがとても分かりやすくわたしを攻撃していることが分かった。

 

 

『生徒会書記の折本かおりは男を手篭めにする魔女である。』

 

 

一瞬驚きはしたがわたしには悲しい感情とかそういう悲観的な感情は存在せず、ただ怒りの感情だけが、このプリントの向こう側の存在へと向いていた。

 

「今朝学校にきたらこれが生徒会室前に張ってあったの。私は生徒会室に用事があって結構早く来てたんだけど、何人か朝練習がある生徒に見られちゃったみたいでね・・・。」

 

百合ちゃんが申し訳なさそうに現状を説明してくれた。

 

「百合ちゃんのせいじゃないから!!気にしないで!わたしが何かやらかしたのかもしれないし!」

 

手をブンブン振って否定を表現する。天使にこんな顔させたら全校生徒に怒られちゃうよ。

 

「かおりちゃん…大丈夫なの?私が言うのもなんだけど結構ひどい事されてるんだよ?」

「そりゃ、怒ってはいるけどね。あははー・・・まだ実感がわかないっていうのかな、なんか初めてのことでどうしていいか分かってないのかも。」

「そっか・・・でも、放っておくわけにもいかないよね?」

 

だよね・・・犯人捜そうにも全校生徒に噂はもう流れている。わたし個人が弁明しても取り返しのつかないことになるかもしれない。そうなれば、私以外にも被害が及ぶ可能性が出てくる。

 

「とりあえず、しばらくは相手がどうでるのか見てみる事にしようかな。今のとこいじめにあっているわけではないし…。」

「じゃ・・とりあえず様子見ってことで。で も!かおりちゃん何かあったらすぐに私に言うんだよ!」

 

天使はいつでも優しい。・・・でも頼ってばかりもいられない。

できれば百合ちゃんを巻き込むことは避けたい。

まずは自分で考えるべきだ、どうしてわたしが標的にされたのか…相手は男なのか女なのか。自分一人で探れることはたくさんある。

いったん家に帰って考えてみよう。

 

「ありがと百合ちゃん!わたし帰って少し整理してみるね。」

「…。」

 

百合ちゃんは無言で見送ってくれた。わたしの気持ちを汲んでくれてたのかも。はたまた、なんて声をかけたらいいか分からなかっただけかもしれない。

 

「失礼しました~。」

 

ガチャリと生徒会独特の重い扉が閉まる。

 

「魔女・・・か。」

 

プリントに書かれていた文字が脳にこびりついて離れない。

たった二文字の単語がわたしを悩ませる。

 

 

 

まだ夕方のはずなのに暗い・・・・。

廊下ってこんなに暗くなるんだっけ。そもそも夕方ってこんな暗かったけ。

 

何人かの生徒がこちらを向いている。どの生徒も皆不気味な笑顔でこちらを覗いてくる。

 

「ああ魔女だ」「魔女」「折本かおりは魔女」

 

どうして笑ってるの?どうしてそんな怖い顔で笑っているの?

どこからか聞こえてくる「魔女」の声。

しだいに人が増えているような気がする。

 

やめて・・・やめてよ!!わたしは魔女はなんかじゃない!!

 

「魔女」「魔女」「魔女」

 

もうやめてよ…お願いだからこっちを見ないで!!

暗い廊下。何人もの気持ち悪い笑顔と「魔女」の歓声。

 

 

怖い怖い怖い。   

 

 

どうしてわたしを笑うの!!!

魔女って呼ばないで!!  わたしが何をしたっていうの!

 

怖いという感情がわたしを渦巻いていく。

学校というものが一瞬で暗闇と化す。

 

「や・・めてよ。やめてよ!!」

 

わたしはいてもたってもいられず走り出す。

暗い暗闇の中を。不気味な歓声の中を。

 

 

わたしだってまだ中学生。

恐怖という感情に慣れているほど大人にはなれてなかった。

恐怖という感情がこれほど大きくなるとは思わなかった。

 

 

わたしはまだ知らなかったんだ。

 

「折本かおりという人間がひどく脆い人間だったということに。」

 




過去の天使、花崎 百合たそ~の登場です。
完璧に私の趣味ですね!合法ロり最高!

今回折本がかわいそうなことになってしまいました・・・。
中学生だった折本にはもちろん耐えられることができません。

誰がこんなことをした張本人なのか予想してみてくだい。
ま、読者のみなさんならもうお気づきでしょう!あの人です!

感想・評価・・・・してくれてもいいんだからね!
・・・やめて!そんな冷たい目でみないで!!もう後書きのネタが思いつかないの!!

毎回のことながら、誤字報告もよろしくお願いします!

では、また次回!
投稿はあまり遅刻しないようにしたいと思います。


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