レギオンザビクトリー!! (ドスメラルー)
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プロローグ 月城ルナ

ヴァンガードのファイト描写考え中の寿弘です。初投稿で、殆ど殴り書きに近い感じがします(汗
月城ルナが先導アイチとの出会い、櫂との決戦までのお話です。


また、次投稿がExtra Fileに間違えて移してしまったので、その回はそちらでご覧頂ければと思います。お手数をお掛けします。


 初めまして。ヴァンガードを愛するしがない者の一人です。今回、このハーメルンにて多くの方が投稿しているのを見て、私も自分のイメージを信じてやってみようと思い、投稿致しました。何分初心者の初投稿故、至らぬ点が多いかと思いますが、宜しくお願いします。

 切っ掛けは、ロックオンビクトリー発売後、レギオンメイトのゲームを信じて待ちましたが、残念ながらストライド軸まで延期されたことから、個人的に執筆を考えていました。そこで、今回ロックオンビクトリーの後の世界の状態で、レギオンメイトの話をやっていきます。主人公は月城ルナ。主要デッキはエンジェルフェザーです。投稿期間は設けておりませんが、三ヶ月程にやっていきたいと思います。それではご一緒に『スタンドアップ!ヴァンガード!』

 

p.s 予定よりも一ヶ月早く書けました。ほとんど勢いでしたが。

 

 

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----私の日常は退屈だった。小学、中学と進学し、成績が良かったことと、両親の方針から、私はこの四月、宮地学園高等部に入学した。周りが新しい友人が出来ていく中、私はあまり考えずに過ごしていた。考えていたのは、今後の自分についてだ。

 自分の未来が見えない。前に進んでいる気がしない。そんなことばかり考えていた。卒業後は就職か、それとも進学か。両親に相談しようにも、二人ともこの四月からヨーロッパに転勤することが決まっていたため、出来なかった。

そして現に、宮地学園では部活参加必須であることを知り、私は更に思い悩んでいた。このまま流されていて良いのか?

 そう思っていた時、私は一枚の用紙を見た。

 

ーーーー「カードファイト部」ーーーー

 今や世界の誰もが知っている人気のカードゲーム「カードファイト!!ヴァンガード」の部である。元々こういった流行りものに興味は無かった私だが、何故かやってみようかと思っていた。それは運命か、はたまた必然かーーーー

そこで私が出会ったのは、どこかあどけなさを持ちながら、前を向いている青い髪の少年だった。

 

               

                「さあ、イメージしてみて」

 

                   「イメージ?」

 

「そう。イメージ。ここは、地球とよく似た惑星クレイ。そこでは人間、ドラゴン、精霊等、様々な種族達が、共存し、競い、暮らしている。僕たちは、ここに小さな霊体として存在している。」

 

                   「・・・・・」

 

「でも、僕たちは一人じゃない。ユニットに憑依して、仲間を呼び出し、一緒に戦うことが出来るんだ。こんな風に。」

 

そうして私は、彼の指示のもと、ユニットを呼び出していった。けど、彼のイメージはもっと強かった。

 

 

「立ち上がれ、僕の分身!ライド!"ブラスターブレード解放者”(リベレイター)!!」

     

 

瞬間、すべてが変わった。まるで、視界から霧が晴れるように消えていった。私の中の迷いや不安を、この騎士が無くしたみたいに。

その後、彼らの行きつけのカードショップ「カードキャピタル」にて皆のレクチャーを受けながらデッキを作った。

 

 

「・・出来た・・・」

 

「それがあなたが皆さんと作り上げた、世界で只一つしかないあなただけのデッキです。」

 

店長の新田シンさんからそう言われながら、私は自分のデッキをみた。

 

エンジェルフェザー。ユナイテッドサンクチュアリに所属する医療専門の天使たち。ダメージゾーンのカードを第二の手札にしながら操作し、相手を翻弄するクラン。      

私はそれを見ながら、新しい何かに変わっていけることに、自然とワクワクしていた。

 

      「じゃあ、入部は決定だね。君の名前は?」  「・・・月城ルナ。」

 

      「じゃあ、月城さん、僕は先導アイチ。ようこそ、カードファイト部へ!」

 

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それから私は、部活が終わり次第、直ぐ部室に行き、部活がない日は町を歩き、出会った人達とファイトをしていった。色んなファイターがいた。その誰もが、ファイトを、ヴァンガードを楽しんでいた。

 

森川「お、俺の最強デッキが負けた!?い、いや、今日の花占いは・・・」 井崎「今日は花占いかよ」

 

エミ「ルナさん、強いですね!またファイトしてください!」 光定「いいファイトだったよ。留学先から戻って、日本に戻ってきて正解だったよ。」

 

その一方で、VF甲子園が開幕した。強豪校との熾烈なファイトの中、私たち宮地学園は連戦連勝を重ねていった。私は、初めはぎこちなくファイトしていったが、次第に相手とのファイトを楽しんでいた。

 

レオン「風を感じた・・・。これが、お前の力か」三和「いいねぇ。負けちまったのに、すげぇ楽しかっぜ。」

 

レン「君はここまで、仲間を、ヴァンガードを信じてここまで来たんですね。」    

 

対戦相手からそんな言葉を受けながら、私はファイトを楽しんでいる自分がいた。仲間と切磋琢磨し、ファイトをし、イメージする。私の楽しさは、周りだけでなく、部員の皆もそうだった。

 

ナオキ「すげーじゃねえか!俺も燃えてきたぜー!!」 シンゴ「君は我がカードファイト部の誇りなのです!」

 

コーリン「驚いた・・・。こんなに強いのに、楽しくさせるのね。」

 

ミサキ「もう新人なんて呼べないね。ルナは立派なカードファイト部員ね。」

 

そして、VF甲子園優勝。私も驚いていた。自分がその頂点に立っていたことに。そんな中。

 

アイチ「ありがとう!ここまで来れたのは君のお陰だよ!」

 

彼のそんな言葉を受けながら、私は心から楽しかった。これからもこうした日々が続くと、信じて疑わなかった。

 

リンクジョーカー。謎の勢力が、私たちの世界を襲うまでは。

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立凪タクトの説明を受けて分かったこと。それは、リバースファイターに負けたファイターはリバースされること。もう一つは、惑星クレイは存在し今もクレイと地球は異世界の侵略者の攻撃に晒されている。そして、この世界を攻めているのはスクリーン越しに現れた立凪タクトを依代とするリンクジョーカーの代行者ーーヴォイド(虚無)ーーであることだった。私たちは奴を倒すため、立凪ビルに乗り込んだ。そこで待ち受けたいたのは、アイチ君の先導者、櫂トシキさんと、部活の仲間の立凪コーリンさんだった。

 

 

   「俺はお前を倒し、最強を手にする!」  「私は、運命に従うだけ。」

 

櫂さんはアイチ君、コーリンさんは私とファイトを繰り広げた。どちらも激しいファイトを繰り広げた。私は コーリンさんに勝つことに成功したが、アイチ君は負けてしまった。体がリンクジョーカーの支配を受けながらも、

駆けつけたタクトによって治療を受けるなか、私は櫂さんと対峙した。

 

「お前は強いのか、ルナ?」「分からない。でも、どんな相手であれ、全力であなたに挑む。」

 

そして、私と櫂さんはファイトし、辛くも勝利できた。やったと思ったのも束の間、櫂さんのリバースはまだ解けていなくて、タクトを倒すことを宣言し、そのまま立ち去った。

 

櫂さんはレンさんを倒し、タクトとのファイトし、勝った者とファイトすると言い、下がった。再び立ち上がったアイチ君がタクトに挑み、リンクジョーカーの元凶を倒した。だがその直後、ファイトの連戦に加え、負けた時のダメージが残っていたため、アイチ君は倒れてしまった。

 

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アイチ「ルナさん・・・」  ルナ「大丈夫。私は全力で立ち向かう。アイチ君はそれまで休んでて」

 

     アイチ「ゴメン・・・こんな時に」 ルナ「きにしなくていい」

  

私は櫂さんの前に立つ。

 

櫂「ようやくこの時を待っていた。」 ルナ「待っていた?」

 

そうだ、と言いながら櫂さんは言葉を紡いだ。

 

櫂「当初、俺が力を求めたのは、アイチとレンの強さからだった。俺は魂を売ってまで、二人に勝てる力を得たかった。だがその世界に、お前というイレギュラーが現れた。」

 

ルナ「イレギュラー・・・」

 

櫂「そうだ。お前は短期間で、アイチやレンと並び、一度俺を倒した。ならば、お前がヴァンガードで得たものが何なのか、それをこのファイトで俺に示せ。」

 

ルナ「・・・」櫂「お前が本気で俺を止めたいと思うなら、俺に勝ってみろ。それが出来ないならば、今すぐ引け。俺を打ち負かす覚悟をもってぶつかれ。」

 

ルナ「・・・違う。」櫂「何?」

 

ルナ「櫂さん、忘れたの?ファイトは一人じゃできない。なら、勝ち負けであなたとファイトしたら、イメージであなたには勝てない。」

 

櫂「なら」ルナ「でも、私は」そう、それでも・・・

 

ルナ「私は、私の信じるファイトをやる。世界とか、そんなの関係なく。アイチ君や櫂さん、皆が私に教えたくれたヴァンガード。それで、私の意思を示す。」

 

静かに、しかしはっきりと彼女は言った。それは、普段大人しい彼女からはあまり想像できないほどの感情と意思を出しながら。

 

櫂「・・・いいだろう。」不意に、櫂さんの体から、リバースの力が溢れていく。私はそのオーラに驚きながらも、デッキを取りだし、ファイトテーブルにつく。

 

櫂「お前の覚悟をもって、最強を証明して見せろ。お前の道が間違っていないと思うならば。」

 

ルナ「・・・」櫂「イメージしろ。自分が歩んできたその道を!」

 

櫂さんもファイトテーブルにつく。お互いFV(ファーストヴァンガード)をおき、五枚の手札を確認し、手札交換を済ませる。

 

「行くぞ」

構えながら櫂さんは言った。

 

「・・・はい!」最後のファイトが幕を開ける・・・

 

 

           「「スタンドアップ!(ザ)ヴァンガード!!」」

 

                            To be continued・・・

 

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                      次回予告

ルナ「櫂さん、これが最後です。」

 

櫂「そうだ。そしてファイトが終わるとき、俺はお前たちから去る。」

 

アイチ「ダメだ、櫂君!!」

 

櫂「止められるか?お前に。」

 

現れるは帝国の暴竜の異名を持つ、彼の代名詞。紅き竜にレミエルは果敢に立ち向かう。かげろうの竜たちは炎を吐き、エンジェルフェザーの天使たちは主を守るために翼を広げ、武器を構える。

 

ルナ「止めてみせる。私の、私の意思で。」

 

LEGION0「ルナVS櫂~新たな未来への序曲」

 

 




如何でしたでしょうか。宮地に入部しながら、最終決戦で櫂とファイト出来る贅沢さ。書いてて狡いかなとも思いましたが、自分の書きたかったファイトがこれで書けます。ファイト描写はまだ決まってませんが、なるべく分かりやすくカードの効果を書きながらやってみたいと思います。まぁ、気長にお待ちください。

それでは、感想、意見のほど宜しくお願いします。

余談ですが、実際にエンジェルフェザーデッキを作ろうとしたらクリティカルヒットエンジェルとサニースマイルエンジェルが店舗に無かったからビックリしました\(×_×)/


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LEGION1 消えた先導者

はい。今月二度目の話を投稿します。ファイト描写はなしです。

UAが400越えたのに驚きです。ありがとございます。

少しずつやっていきますので、宜しくお願いします。

それではどうぞ。


ーーー記憶の欠片ーーー

 

 公園で砂遊びをしている少女がいた。少女は一人そこで遊ぶのが好きだった。

この時間帯は閑散としており、少女にはちょっとした楽しみの一つだった。

 

とーーー

 

 

「あれ?」

 

不意に、茂みの方に一人の少年が疼くまっているのが見えた。少年の体のあちこち中傷だらけだ。

少女が近づきながら、彼を改めて見る。髪は銀色に輝いていたが、その髪も少し汚れていた。

 

「ねぇ、どうしたの?」

 

立ち止まりながら声を掛ける。しかし、少年は聞こえなかったのか、自分が声を掛けられたとはなから思っていないのか。どちらにしても少女のやることは一つ。

 

「ねぇ、どうしたの?何かあったの?」

 

更に距離を詰める少女。端から見れば、何とも健気で微笑ましい光景だろう。

しかし、少年はこちらを見ようとしない。意図的なのかそれとも別の?

 

「ねぇ、聞こえてる?大丈夫?」

 

彼の肩に手を置きながら、少女は三度声を掛けた。

 

しかしーーー

 

不意に、少年が肩を震わせながら、何かをブツブツと言っていた。よく聞き取ろうと顔を近づけようとしたとき。

 

 

「····るな····」

 

「え?」

 

聞こえない。そう言おうとした瞬間彼は振り向きーーー

 

 

 

「ボクに触るナアアアァァァァァァ!!!!!」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

「っ!?」

 

飛び起きながら、少女は目を醒ます。水色の髪の少女は荒い息を吐きながら呼吸を整える。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。····ふうぅ。」

 

 

(なに?今の夢···。)

 

正直心当たりはない。

いや、正確には違う。彼女ーー月城ルナは幼少の頃の記憶は覚えていない。病院にも行ったが、医者からは何も結果は得られなかった。ウイルスや流行り病に毒されたかと親も心配していたが、原因は見つからなかった。

結局、記憶障害の一種として片付けられた。その後、記憶障害が解明されることも、再発も無かった。

 しかし、今朝のあれは、自分の無かった記憶だ。それをまるでビデオを見せられたようである。

 

「(でも、何で今更。そんな夢を?)」

 

今の彼女は、毎日が楽しい。学校で勉強し、部活に通い、仲間と日々切磋琢磨する。これほど有意義な一時はない。

だから、不安に感じる必要はない筈。

だがーーー

 

「(嫌な予感がする···。)」

本能的な何か。とんでもないことが起こっているのでは、と思うくらい。寒気すら起きそう。

時計を見ると、5時半。朝の日差しを感じ、小鳥の声を聴きながら、普段よりも30分早いが、先ずは背中に張り付いている不快な汗を落とすため起き上がる。

 

 

ポトッ

 

 

「?」

 

 

落ちた方向に目を向けると、カードが落ちていた。それを確認すると。

 

 

「これは····」

 

 

 

 

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世界のカードゲーム人口が億万人を越え、私達の日常の一部として、当たり前になっていた。

 

カードファイト!!ヴァンガード。私たちの中で、今最も人気のカードゲームだ。

大人も子供も、誰もが楽しんでいる今の世界。

一見正常に見えるこの世界には、何かが欠けていた····

 

 

 

「えー、この文法を直訳するとーーー」

 

 

目の前で教師が授業を行っているが、ルナは目だけを追っており、実際には半分聞こえていない。少女は今朝のことを思い出していた。

 

 

いつものように学校に登校し、授業が始まっても彼の姿が無かった。おまけにその席には別の人が座っていた。

 

 

自然に石田ナオキや小茂井シンゴに聞いても知らないという始末。おまけに二人は話もしない始末。いつもなら、開始数秒で、エリート宜しくな挑発をシンゴが言い、それに直ぐ反応し、突っかかるナオキ。周りは呆れ、彼は苦笑い。私はそんな二人にチョップをかまし、収集を治める。そんな普遍的な毎日だった。混乱せずには居られない。

次の休み時間、ルナは3年の教室に赴き、戸倉ミサキに聞きに行った。

 

彼女とは入学時、校内で迷っていたルナを案内してくれており、その頃からの知り合いである。そのため、気心の知れた、良い先輩だ。更に彼女は、完全記憶能力を有しており、一度覚えたことは忘れない。

 (因みにこれをのろけるように語っていたシンさんはミサキさんに暫く雑に対応されていたが)

 いずれにせよ、彼女なら忘れてないだろうと祈りを込めて向かった。

 

 

しかしーーー

 

 

「先導アイチ?ゴメン、アタシは聞いたことないよ。」

 

 

「···え?」

 

 

これには驚きすぎた。だって、彼女にとって、アイチはQ4の頃からの仲間だ。辛いときも苦しい時も一緒だった彼を、知らないの一言で済むとは思えなかった。

それでも彼女は知らなさそうだったので、ルナは諦めざるを得なかった。

 

 

昼休み。何時もなら部員皆で一緒に食事しているのに、一人で食べている。ナオキも、シンゴも。これほど寂しい時間は無かった。

 

 

 

「(どこに行ったの····アイチ君·····)」

 

 

彼女はそう思わざるを得なかった。

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

案の状、授業は碌に耳に入らず、気が付けば放課後になっていた。周りは早く下校する人、部活に行く人等に分かれた。

 

 

(「・・・そうだ。部活・・・」)

 

 

そう思い、立ち上がるも、逡巡してしまう。

 アイチの居ない世界であるのが未だに分からない。先程、先導エミにも電話で聞いてみた。先導アイチは休みか、知っているかと。しかし、答えは予想通り、NOだった。でも、可能性が残っているとすれば、もうこれ位しかない。でも、行って確かめる必要があるからだ。

 

 

(確かめる?何を?彼が居ないことを?)

 

 

ネガティブな自分の心の声が聞こえたような気がする。

それを振り払うように、彼女は荷物をまとめ、教室を出た。後ろから見ていたことにに気づかずに。

 

 

 

 

「ム?貴様か。」

 

 

「あ・・・」

 

 

ーーー何故か彼と出会ってしまった。

 

 

那嘉神エル。詳しい話は不明だが、カードファイト部を認知し、時々右腕が疼いたからと言ってファイトを持ちかけられたこともある。群青色の髪、青い目をしている。容姿はいいが、右腕、及び左目から額にかけて包帯が巻かれているのが彼の印象を阻害している。おまけに超能力研究会なんてよくわからない部に所属している。

色々突っ込み要素満載だが、悪い人ではない。

 

 

「ふむ。今日は我が右腕は穏やかだ。まるでこの流浪の民を祝福している気分だ。」

 

 

「そ、そう・・・。」

 

正直、この人の対応は、少しの会話と、相槌を打つことくらいしかない。

 

 

「ところで、貴様も我が研究会に同志として招いてもよいが、答えはどうかね。」

 

 

「いえ、私はやることがありますので。すみません・・・」

 

 

そう断った。しかし以前にもそんなことを聞いて来たがわからない。自分は別にそういう人間では無いし、やっていけるイメージが出来ない。

 

 

「ふむ。ならば仕方がない。何れ我らが待つ天空の門にて会い見える見えることを願っているぞ。」

 

 

そう言い、彼は立ち去った。ホッとしてそそくさと準備室に向かった。

 

 

・・・後ろから彼に似た奇妙な声が聞こえたが、無視することにした。

 

 

 

廊下を歩いていると、何人かの人が自分を見ているのがわかる。振り返る人、指を指して話す人、ヒソヒソと話す人。様々だが、凡そ理由は分かっている。

VF甲子園終了後、テレビでは一部取り上げられていた。その中には当然、何処からか知った人も多かっただろう。翌日には質問されたりした。以前聞いたが、何でも一部の学生が、カードファイト部に入部しに押し掛けたらしい。その理由は何ともありきたり過ぎた。

その時のことや、戻ってきた直後、生徒会からは何故かファイトの練習をさせられたり、色々大変だった。

 ------最も、それを教えてくれた人は、ここにはもういないのだが。

 

 

・・・そういえば、何故優勝したという情報があるのに、ナオキやシンゴはお互い知らないのだろう・・・?

 

 

 

物理準備室。

 

入部以来、通い詰めた場所だ。何時もなら、そこには『カードファイト部』のチラシが貼ってあるのだが、それがない。誰かが意図的に剥がした。いや、そもそも張り付けた後すら無かった。

 

 

「・・・・・」

 

 

もう、ここまで来れば自ずと分かるだろう。見えている結末。分かりきった答え。消えるのが当たり前な蝋燭のように、空しくなるだけ。

 

 

でも、と彼女は前を向く。どんなに苦しい状況の中でも、彼は突き進んでいった。弱くても、情けなくてもいい。立ち上がる勇気を、立ち続ける力、意思を教えてくれた、二人の先導者に。

 

 

(だからこそ、最後まで確かめなければ・・・!)

 

 

今朝見つけたあのカード。あれが無ければ、自分はどうだっただろう。あのカードに触れて、初めてイメージを浮かべたような感覚を、未だに覚えているのだ。楽しいことも、辛いことも、悔しい思いも、全部。

だから、このまま見過ごしていい訳がない。気づかない振りをしてはいけない。仮初の平和を享受するよりも、彼の居ない未来の方が、ずっと辛い。

だって・・・だってーーー

 

 

 

「まだ私は、彼を知っているんだから・・・!!」

 

 

そう言い、彼女は勢いよく扉を開けた。

 

 

    Aパート 月城ルナ 戸倉ミサキ 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    Bパート 櫂トシキ 石田ナオキ

 

 

 

櫂トシキside

 

 

異変には直ぐに気づいた。ショップに行ってみれば、先導アイチを知らない人で埋めつくされていた。偶然居合わせたアイチの妹にも声を掛けるも、自分は一人っ子だと言った。

何かが起きている。そう思わざるを得なかった。

 

 リンクジョーカーの事件から時間が経ち、平和になったにも関わらず、何故アイチは居なくなったのか。

俺はその中で、目を付けたのは戸倉ミサキだった。

 チームメイトであり、完全記憶能力を有する彼女であれば、きっと知っているだろう。そう思い、宮地学園に向かった。

そして、宮地で丁度下校途中だった彼女に話すことが出来た。

 

 

 

「戸倉、聞きたいことがある。先導アイチを知っているか?」

 

 

そう尋ねるも

 

 

「え?アンタもその人を探しているの?」

 

 

「!どういうことだ?」

 

 

「私の知り合いに、同じことを訪ねてきた子がいたのよ。」

 

 

考えながら、その人物を尋ねた。

 

 

「ルナよ。月城ルナって子。」

 

 

「っ!!」

 

 

訝しげに答えた戸倉も知らずに、俺は安心感と疑問を覚えた。

何よりも、彼女が知っていたことは分からないが、聞いてみる必要はあるだろう。

 

 

「それを聞きたくて、ウチの学校に?」

 

 

「ああ。」

 

 

「・・・そう。その子、見つかるといいね。・・・じゃあ、私は帰るから。」

 

 

そう言い、彼女は離れていく。

 

 

と、偶然店長から聞いたことを彼女に聞いた。

 

 

「そういえば戸倉、お前は今日用事で遅くなったと聞いているが、それはカードファイト部の活動か?」

 

 

それを彼女は不思議そうに答える。

 

 

「うちにそんな部はないよ、私は日直の仕事が長引いただけ。」

 

 

「そうか・・・」

 

 

「(アイチが設立したカードファイト部も存在していないことになっているのか・・・)」

 

先ずはルナの捜索だ。とは言っても、彼女が何処にいるかわからない。先ずは、以前アイチが話していたカードファイト部の場所に向かった。

 

 

そして、準備室に入ってみたものの、誰も居なかった。····手詰まってしまった。どうしたものかと考えていたが。

 

 

 

ガラララララララ

 

 

扉が開いた。思わず、身構えてしまうが、その先にいたのはーーーーーー

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

ガラララララララ

 

扉の先に誰も居ないと踏んで開ける。

 

 

とーーー

 

 

「・・・ルナ?」

 

 

「え?か、櫂さん!?」

 

 

思わず上ずった声が出てしまうルナ。

当然の反応であろう。目の前にいるのは、後江高校にいる筈の楷トシキだからだ。三年だから授業はないのか、等の理由はこの際排除して、先ずはその疑問をぶつけた。

 

 

「楷さん、どうやって「先導アイチを知ってるんだな?」···今遮りましたよね?」

 

質問の途中で遮った目の前の先輩をジト目で見つめるが楷は答えない。

 

はぁ、と溜め息しながらも、真剣な顔になりながら答えた。

 

 

「はい。知ってます。」

 

「他のメンバーは?」

 

「··皆覚えてないんです。楷さん以外に。」

 

 

淡々と答えているように見えるが、その瞳は不安を感じ、声も沈んでいる。

 

 

「そうか。」

 

「聞きますけど、楷さんは何故ここへ?」

 

「アイチの知っている手がかりは、もうここしか無かった。」

 

「となると、覚えているのは私達二人になりますか···」

 

 

ルナは呟くと考え始める。

一方、楷は教室を繁々と見ていた。

 

 

「······」

 

 

 ····きっと、イメージしてるんだろう。ここでの日々を。彼はここには来たことはなかったが、きっと彼のことだ。色々教えたんだろう。

 ········私もそうだったから。

 

 

「俺はまだ、アイチに借りを返せていない。だから、このまま過ごすつもりもない・・・!」

 

 

「櫂さん・・・」

 

 

(もし、手がかりが在るとしたら。)  (手がかりが、まだ残っているなら。)

 

 

それぞれ思い浮かべる。あの、優しくも勇敢な少年を。

その彼が手にしてい、あのカードを。少年にとっては渡したもの。少女にとっては導かれたものとして。

 

 

((教えて(くれ)、ブラスター·ブレード····!!))

 

 

そして、その願いが聞き遂げられたのか。

 

 

「「!!??」」

 

 

ーーーーーーーそれは、突如現れた。眩い光に包まれながら、その姿を二人の前に晒す。

 

 

 

「あ·····」  「ブラスター·ブレード?」

 

聖なるもののような白い甲冑。剣の柄を握りながら、強い意志を持った騎士がそこにいた。

 

 

 

暫く混乱したが、漸く落ち着いた。

試しに聞いてみる。

 

 

「教えて、ブラスター·ブレード。知っているなら答えて。」

 

 

続いて楷が発する。

 

 

「俺はーーーいや、俺たちはアイチに戻ってきて欲しい。そのためなら、どんな過酷でもやってみせる。だから、教えてくれ、ブラスター·ブレード!」

 

 

二人がハキハキと、しかして明確に言う二人。

 

 

すると、ブラスター·ブレードはその想いに答えてくれたのか、何も言わず、光に包まれながら、準備室のテーブルの上に降り、一つの形になった。

 

 

「これは····」  「ヴァンガードの、デッキ?」

 

 

そう、そこにはカードになった物があった。そして楷が一番上のカードを捲ると

 

 

「ブラスター·ブレード···。」 「探索者(シーカー)?」

 

 

ブラスター·ブレードには、ロイヤルパラディンとゴールドパラディンの二つのクランにそれぞれ存在している。

しかし、このカードは見たことが無かった。ルナもそれなりにカードを集めてはいるが、初めて見る。

 

でも、一つだけハッキリしていることがある。

 

 

「だが、これがあるということは、だ。」

 

 

楷が言ったのに対し

 

 

「アイチ君はどこかにいる。」

 

続けた。

 

 

そうなれば、やることも、行き先、手がかりなどやることは山積みだ。今は思い出に浸るときではない。

 

 

「先ずはこれを手がかりにいくいしかないな。」

 

 

そう言い、櫂は後ろを向き、進もうとし、

 

 

「楷さん、どうやって警備を抜けるんですか?」

 

 

その言葉に、今度こそ歩みを止めざるを得なかった。

 

 

 

 

一先ず、人目の無い所まで送って、話をしようとした所。

 

 

「なぁ、何やってんだアンタら。」

 

 

そう声を掛けて近づいて来たのは石田ナオキだった。ルナは思わず言おうか迷ったが、その前に。

 

 

「石田ナオキか。」

 

 

「そうだけど、何で知ってるんだ?月城から聞いたのか?」

 

 

「ううん、彼は元々知っていたよ、ナオキ君。」

 

 

彼女の言葉に驚く。が、今度は訝しげにこちらを見る。

 

 

「なぁ、朝から気になってんだけど、何でそんなに親しげに言うんだ?言っちゃ悪いけど、そんなに話したこと無いんだけど。」

 

 

「それには、先導アイチ君が関わるんだけど···本当に知らない?」

 

 

そう言うと、歯切れが悪そうに答える。

 

 

「知らない、筈なのになんかモヤモヤするっつーか。」

 

 

それより、とナオキは続けて今度は楷に質問する。

 

 

「アンタ、その手に持っているのは何だ?」

 

 

ナオキが楷の持っているデッキに注目し、指を指している。

ーー記憶を無くしていても、感覚は覚えている?

 

 

「カードファイト!!ヴァンガード。それがこのカードの名前だ。」

 

 

「ヴァンガード?」

 

 

「知ってる?」

 

 

ナオキは考えながら、歯切れの悪そうな返答をする。

 

 

「知らねぇのに、見たことがある、気がする。」

 

 

ルナと楷はアイコンタクトを取ると、楷が先に提案する。

 

 

「なら、実際に試してみたらどうだ?」

 

 

「はぁ?それって。」

 

 

「此れからファイト出来る場所に、ね。」

 

 

続いてルナが話す。

 

 

「もしかしたら、そのモヤモヤを無くせるかもしれないよ?」

 

 

フッとルナが微笑みながら言い、ナオキはたじろぎながらも、答えた。

 

 

「いいぜ。で、場所は?」

 

 

 

 

 

 

その後、三人はカードキャピタルの前に到着。正面に来ている。

 

 

「ここだ。」

 

 

「ここ····が?」

 

 

「そ。カードキャピタル。」

 

 

ホントは知ってるんだけどね、と付け足しながらルナが答えていると、楷は先に中へ入り、ルナがそれに続き、ナオキは最後に慌てながら入っていった。

 

 

「いらっしゃ····アンタたち?」

 

 

「邪魔するぞ。」

 

 

「どうも、ミサキさん。」

 

 

二人が挨拶するなか、

 

 

「お、女番長!?」

 

 

ナオキはすっとんきょうな声を上げながらミサキを指を指す。指された戸倉ミサキはムッとナオキを睨みながら店番をする。すると、にゃ~と言いながらこちらに鳴く猫、店長代理が見ている。

 

 

そして、店長が新しいデッキの調整の具合を依頼され、彼はそのまま立ち去った。

 

 

 

「やり方はどうやればいいんだよ?」

 

「とりあえず、こいつに書かれてるルールをざっと読むんだ。」

 

 

「いや、ちゃんと教えましょうよ。」

 

 

前途多難だ····

 

 

 

デッキはなるかみのトライアルデッキのようだ。以前からなるかみを使っていたが、偶然にもまたそれを使うとは。

ルナが丁寧にナオキに教えた後、楷とナオキはファイトテーブルで準備をし、ルナは見守り、ミサキは気になるのか、読んでいる本から時々目を離して見ている。因みに位置的に彼女にも見える位置のため、よく顔を見てしまう。

 

 

(ミサキさんも、何か思い当たるものあるみたい。)

 

 

そして、

 

 

「準備はいいか?」

 

 

「お、おう。」

 

 

「私もサポートするから、安心して取り組んで。」

 

 

戸惑いながらも、手札交換を行い、ナオキは楷に続いてFVに手を置く。

 

 

(···先ずは楷さんのデッキを含め、どんな風にいくのか、見ていこう。)

 

 

「「スタンドアップ·(ザ)·ヴァンガード!!」」




「ブラスターブレードが手元に···。アイチ君は何処に?」


「分からん。だが、まだ希望は失われてはいない。」


二人の前に来たのは同じ部員の筈の二人。そして、彼にとっては片方は長年といっていいほどの付き合いである。そんな彼らとのファイト。
そしえ、現れるは懐かしいとも思える、真っ白い光を纏った剣士。


「うん。一歩ずつ、確実に行こう。」


「ああ。」


LEGION2 双闘






「···え、これも読むの?···はぁ。了解。えーと。アンケートを実施します。内容はG編のヴァンガードで、オリ主が使用するクランを次の三つの中から一つ選んでください。読んで下さった方、途中でも読んで下さった方、ヴァンガードを知らない方でも大歓迎です。どしどしご応募お待ちしてます。byうぷ主。······じゃあ、お願いします。」


シャドウパラディン    ペイルムーン    リンクジョーカー


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LEGION2 双闘

遅れてしまいました。申し訳ありません。ストライドゲート編が終わり、nextが始まりましたが、面白い。執筆も唸ります。遅いけど。

今回は、初心者の方でも分かりやすくルール説明もしております。公式サイトと参照しながらお楽しみいただいても構いませんよ。
あと、予めお伝えしますが、この物語はルナの物語です。ですので、途中からオリジナル展開も考えております。

アンケートも行っております。感想、意見、お待ちしています。


ルナ「というか、私は何時ファイトするの?」


作者「えーっと、出来れば来月には・・・」


ルナ「言質取りましたよ。もし投稿なかったらジャーマンスープレックスにして埋めますよ?」ニコニコ


作者「コワッ!」


ルナ「冗談です。」


作者「何処までが!?」


ナオキside

 

 

いつもの光景だった。

毎日何も変わらない新しい1日の始まり。朝起きて学校行って、授業受けて帰って寝る。そんなつまらない日々。

···つまらない?何に?

決まってる。この何も変わらないことだ。とか言ってるオレ自身、何かを変えようとしているわけでもない。何かアツくなれるような、そんなモノを求めて、燻っている。それだけだ。周りは気にしない。不良だのツッパリだの他人に言われたとしても、気にしない。

 

とーーー

 

 

「ねぇ、ちょっと聞いてもいい?」

 

 

朝、いつものように登校すると、一人の女子が声を掛けてきた。

確か名前は····月城っつったか?

 

 

「ああ、何か用か?」

 

 

普通の人間なら、朝の寝覚めの悪さから怖がったり、「やっぱいい」とか言って逃げる奴が多いが、ソイツは気にせず、

 

 

「先導アイチ君って知ってる?」

 

 

「···はぁ?」

 

 

····訳わかんねぇこと聞いてきた。

 

 

誰だ?ここ何日かの記憶と照らし合わせるが、まったく知らない。

改めてそれを彼女に伝えると。

 

 

「····そう。ありがとう。」

 

 

一瞬顔が曇ったが、そう言って席に戻った。

何だったんだ?その疑問も忘れながら、オレは眠りに着いた。

 

 

放課後

 

 

特にやることの無かったオレは帰ろうかと思っていたが、気が変わった。偶然にも昼休み前の授業が移動教室だったため、授業が終わり、購買に行こうとしたことだ。教室に朝声を掛けてきたアイツが、三年の教室の前にいたからだ。

すると、

 

 

「ミサキさん、先導アイチ君って知っますか?」

 

 

そんな声が聞こえてきた。

返答は分からなかったが、浮かない顔をしていたことから、成果は出なかったのだろう。

···一体誰なんだ?その先導アイチは?オレの記憶に無いのに、何でソイツのことを聞いてるんだ?

よくわかんねぇけど、この胸のざわつきはなんだ?

知らない筈なのに、何故か知っている気がする。放課後、付けてみたが···

 

くそ、見失っちまったか。仕方ねぇ。

オレは諦めて校庭にあるベンチに寝転がり、寝ることにした。よく分かんない時は、寝てりゃあ忘れるだろ。

そう思い、オレは寝始めた。

 

 

暫くした後、不意に視線を正門の方に向けると、変な奴が入ってきた。

ウチの制服じゃなく、後江高校の制服を着ていた。髪は黄色見がかかった茶髪で、少し長め。目は青く、自分で言うのも変だが、目は鋭く研ぎ澄まされたようだ。

 

 

(これってアレか?所謂・・・カチコミ?)

そんなことを考えていると、

 

 

(はぁ!?)

 

 

アイツ、窓から入ってったぞ!?

 

 

(どうする?やっぱり報告した方が・・・)

 

 

ともかく、まずは様子見。何か持ち去っているようなら、直ぐに話せばいい。

此処は宮地。警備に関して、右にはでねぇ。

 

 

暫くした後。

 

 

(やっと出てきやがったか。)

 

 

窓から出てきた青年に話しかけようと近寄ろうとすると。

昼間話しかけて来た水色の髪の少女。その子が後江の男子に話しかけながら歩いていた。

 

 

(いったい何がどうなっていやがる・・?)

 

ミステリアスな少女が先導アイチって奴を聞いてきて、それを三年の先輩にまで聞いて、挙句後江の男子生徒と知り合い。訳分からん。

 

 

(あーもう、考えるのは性に合わねぇ。当たって砕けろ!)

 

 

そう思い、彼らに話しかけた。

 

 

話の中で、コイツ(櫂って名乗った)は、また先導アイチって名前を出す。

・・・ずっと、学校に登校した時から、モヤモヤした感じがあった。何か大切なことを忘れている。でもそれが何のことか分からない。

そして、櫂って奴が持っていたのは、カードだった。

 

カードファイト!!ヴァンガード、というらしい。

それも、知っているような気がする。やってみたいって思う。

そして、俺に話しかけて来た少女。月城ルナは見透かしたかのように言った。

 

 

「もしかしたら、そのモヤモヤをなくせるかもしれないよ?」

 

 

その言葉は、俺をまったく違う世界に引き込むんじゃねぇかって感じがしたが、ここまで来て逃げる訳にはいくか。こうなったら、とことんやってやろうじゃねぇか。

 

 

そう思い、俺は気を引き締めた。

ナオキside out

 

    

 

 

LEGION2 双闘

 

 

「イメージしろ。」

 

 

「イメージ?」

 

 

カードキャピタルの店内にて、ファイトを始める前に、櫂はナオキにそう告げる。

 

 

「そうだ。俺たちは今、惑星によく似た地球、クレイの地に立っている。ここで俺たちに出来ることは二つ。」

 

 

続けて櫂は説明する。

 

 

「一つは、俺たちがユニットの力を借り、憑依していくことを[ライド]という。そしてもう一つは、ユニットーー仲間を呼び出す[コール]だ。」

 

 

「ヴァンガード。私たち自身は先導者として行動するの。」

 

 

「先導者・・・?」

 

ナオキが訝しげに聞き返す。

 

 

「ヴァンガードを呼び出すには順序がある。カードにグレードが0のものが最初になれて、そこから3になる過程がライドだ。」

 

 

「だから、手札はなるべくグレードが1~3になるように交換した方がいいんだ。」

 

 

二人の説明を受け、着々と整えるナオキ。そして

 

 

「準備はいいな。」

 

 

「おう、いいぜ。」

「(なんだ、この熱くなる感じ。悪くねぇ。)」

 

 

「「スタンドアップ・(ザ)・ヴァンガード!!」」

 

 

「雄心の探索者《シーカー》マーク」

 

「喧嘩屋《ブロウラー》スカイ·ドラコキッド」

 

 

(櫂さんのデッキはやっぱりロイヤルパラディン。そして、ナオキ君は新しいなるかみ。)

 

 

櫂のロイヤルパラディン。宝石騎士は知っているが、探索者は聞いたことはない。そして、ナオキのなるかみ。

 

 

ーーーー喧嘩屋。リンクジョーカーの襲撃によって損傷を受けたドラゴンエンパイアの中で、立て直すために立ち上がった部隊。

 

 

「これで俺たちは、クレイの大地に立った。」

 

 

「へぇ、面白くなってきたな。」

 

 

ナオキは興奮気味に答える。

 

 

「なら、試しにナオキ君から始めてみて。先ず、始めるにはフェイズがあって、スタンド、ドロー、ライド、メイン、バトル、エンドになってるの。」

 

 

「えっと、ドローして、ライド!流離の喧嘩屋《さすらいのブロウラー》テイリン!」

 

 

流離の喧嘩屋 テイリン pow7000

 

 

「これで、ライドに成功した。そしてメインフェイズに入る。」

 

 

「私たちは、手札から仲間を。ヴァンガードと同じグレードのユニットを呼び出せるの。」

 

 

「そうか。・・・で、どうすんだ? 」

 

 

ナオキは真剣に聞きながら質問する。

 

 

「1ターン目はアタックは出来ない。一先ずこれで終了だ。」

 

 

「これでターンエンドを宣言すればいいよ。」

 

 

「じゃあ、ターンエンド。」

 

 

ナオキ手札五枚。

 

         

         R テイリン R 

 

         R   R   R  櫂のダメージ0 

 

 

「次は俺だ。ドロー。ライド!正道の探索者《せいどうのシーカー》ガンガレン!」

 

 

    正道の探索者 ガンガレンpow7000

 

 

「そして、コール。探索者 ユースフルメイジ。」

 

 

探索者・ユースフルメイジ pow7000

 

 

「先ずはこれでバトルに入る。」

 

 

        R  ガンガレン  R

  

        R ユースフルメイジ R

 

 

「後ろに置いてあるのは、ブーストか?」

 

 

「そう。グレード0~1はブーストの能力を持っているの。」

 

 

詳しく説明すると、グレード0~1はブースト後列に該当するユニットが居る際に、達成できる能力だ。グレード2はインターセプトといい、ガード時、前列に該当するユニットが居る際に達成出来る。そして、グレード3はツインドライブ。ドライブチェックを二回行える。

 

 

「そして、アタックするときは、横向きにする。ユースフルメイジのブースト、ガンガレンでヴァンガードにアタック。」

 

 

7000←7000+7000=14000

 

 

「この場合は?」

 

 

「先ずはここでガードフェイズに入るけど、今回はノーガードで。」

 

 

「ノ、ノーガード。」

 

 

「ヴァンガードはアタックした際、山札から1枚を公開することが出来る。チェックザドライブトリガー『天賦の探索者《てんぷのシーカー》ヴァルロッド』トリガーはない。」

 

 

イメージの中で、ガンガレンの剣がテイリンを斬る。

 

 

「っ!」

 

 

「そして、受けたダメージ分ダメージチェックを行うの。今回は1枚チェックで。」

 

 

「ダメージチェック。『喧嘩屋 ワイルドクローク・ドラゴン』トリガーはねぇ。」

 

 

「これでターンエンドだ。」

 

     櫂の手札五枚 ナオキのダメージ1

 

 

 

すると、ナオキの体が震えている。

 

 

「ドラゴンか。なんかかっこいいな!やってやる!俺のターン、ドロー!ライド!獄鎖の喧嘩屋《ごくさのブロウラー》コウテンカ!」

 

 

獄鎖の喧嘩屋 コウテンカ pow1000

 

 

「コール!喧嘩屋 ワイルドフィスト・ドラゴン!棍棒の喧嘩屋(こんぼうのブロウラー)ソゴ!」

 

 

喧嘩屋 ワイルドフィスト・ドラゴン pow8000  棍棒の喧嘩屋 ソゴ pow7000

 

 

     ワイルドフィスト・ドラゴン  コウテンカ  R

 

          R           ソゴ   R

 

 

「行くぜ!ソゴのブースト、コウテンカでヴァンガードにアタック!」 「ノーガード。」

 

 

「来い、ドライブチェック!『喧嘩屋 プラズマキック・ドラゴン ☆』これが、トリガーか!?」

 

 

「そうだ。チェックでトリガー発動した際、効果が発動する。」

 

 

「今回は、クリティカルトリガーだね。」

 

 

トリガーは全部で四種類ある。今引いた☆マークはクリティカル。引はドロー。醒はスタンド。治はヒールである。また、トリガーにも制限が在り、ヒールトリガーは最大四枚。総数は十六枚入れなければならない。

 

 

「トリガーには、パワーと効果が与えられる。それによって、戦局が左右されることもある。」

 

 

「じゃあ、パワーはアタックしていないワイルドフィストに。クリティカルはコウテンカに与えて。」

 

 

「お、おう!パワーはワイルドフィスト、クリティカルはコウテンカに!」

 

 

7000←10000+7000=14000☆2

 

 

コウテンカの拳のニ撃はガンガレンにヒットする。

 

 

「ダメージトリガーチェック。『ぶらどがる 探索者』、『探索者 ラヴィング・ヒーラー』ゲット、ヒールトリガー。ダメージを一枚回復。パワーはヴァンガードへ。」

 

 

「え、マジかよ!?」

 

 

ヒールトリガーが発動する条件は、相手とのダメージ差が同じ、或いは相手より多くダメージを受けている場合に発動する。

 

 

「よし、じゃあワイルドフィストでヴァンガードにアタック!」 「ここは防ぐ。ガード『警鐘の探索者 《けいしょうのたんさくしゃ》 マリス』」

 

 

「!?今のは?」

 

 

「今のはガード。今回はワイルドフィストのパワーは13000.対してガンガレンは、12000。相手がアタックしてきた際に必要なガード値でガード出来る。今回はガード説明も兼ねるけど、カードの横の数字がシールド値。これが私たちを守ってくれる数値。ガードした時の櫂さんのパワー数値がナオキくんより上ならガード成功。」

 

 

ガードには幾つかある。今みたいに、手札から出したり、グレード2がいるならインターセプト。他にも、カードの特殊な効果でガードできたりする。

 

 

「よし、これでターンエンドだ。」

 

 

ナオキの手札4枚

櫂のダメージ2

 

 

「スタンド&ドロー・・・・!」

 

 

「?(櫂さん?)」

「(ここで来たか・・・)」

 

 

櫂がドローしたカードに驚いているのにルナは気づき、櫂は引いたカードを注視した。

 

 

 

「カードファイト!!ヴァンガード、不思議なゲームだ。」

 

 

「?」

 

 

「ただのカードゲームなのに、ヴァンガードはいつも俺の心を熱くさせる。冷めてしまったり、飽きてしまった心を奥底から燃え上がらせてくれる。」

 

 

「分かる気がするぜ・・・。俺もさっきからそう思ってるんだ。なんでこのゲームをやってると、心が熱くなってきちまうんだってな・・・。」

 

 

「・・・・そうね。私も。」

 

 

櫂の呟きにナオキ、ルナも同意する。

 

 

「そして、このカード。ヴァンガードのカードは、いつも俺に声を語りかけてくれる。俺の心の中の、本当の思いってヤツをな。」

 

 

「まさか、櫂さん、引いたの?」

 

 

そして、高らかに告げる。

 

 

「カードが繋いだ思いは永遠に途絶えることはない。忘却という絶望の中でも、その光が俺に勇気をくれる。何一つ、目に見えない暗闇を、駆け抜けていく勇気だ!」

 

 

色褪せぬ、光の剣士。

 

 

「立ち上がれ、俺の分身!俺達の魂の中にいる真の友、メイトよ!ライド・ザ・ヴァンガード!ブラスター・ブレード!!」

 

 

ブラスター・ブレード 探索者 pow9000

 

 

「ブラスター・ブレード・・・」

 

 

「なんだよ、このカードは・・・ブラスター・ブレード・・。なんなんだよ・・・くそ、くそっ!!何だよ、この涙・・・何だよ、この気持ちは!!」

 

 

ナオキが何かに気づいたかのように、目から涙が溢れてきていた。その様子に二人が見守る。

 

 

「先導・・・アイチ!」

 

 

「思い出したか?」

 

 

「ああ、思い出したぜ、櫂トシキ。月城ルナ!」

 

 

「ナオキ君・・・!」

 

 

そうしながらも、悔しい思いでテーブルを叩く。

 

 

「クソっ!!なんてこった!この俺が、あの先導アイチの事を一瞬でも忘れちまうなんてよぉ・・!」

 

 

自分の無力さに打ちひしがられるナオキ。

 

 

「だがお前は、アイチを思い出した。このカードによって。」

 

 

そういい、櫂は先程ライドしたブラスター・ブレード探索者を見せる。

 

 

「そう、お前も間違いなく、奴のメイトなんだ。」

 

 

メイト。友という。自分にとって、かけがえのない人。

 

 

「俺が、アイチのメイト・・・」

 

 

「そうだ。」

 

 

いずれにせよ、分かったことがある。ファイトを通すことで、アイチの記憶を忘れていた人はブラスター・ブレード。彼の分身によって蘇る。

 

 

「櫂、ルナ。教えてくれ。アイチはどうなったんだ?」

 

 

「分からん。今分かっていることは、先導アイチの記憶を持っている人間は殆ど居ないということだ・・・。」

 

 

「クソっ!アイチが今何処に居るのかも分からないのか・・・。」

 

 

「でも、まだ諦めるには早いよ。」

 

 

そうう続けて話す中、ナオキが前を向いた時、彼の目に強い光が宿っていた。

 

 

「分かったぜ、絶対に俺はアイチを探し出して見せる!」

 

 

「ふっ。俺も同じだ。」

 

 

「私もだよ、ナオキ君。」

 

 

三人が腕をぶつけ合う。

 

 

と、先ほどまで店番をしていたミサキは、ブラスターブレードを見ていることにルナは気づく。

 

 

「ミサキさん、気になるなら、櫂さんとファイトしてみませんか?」

 

 

「えっ!?でも、私はまだ店番が・・・」

 

 

「大丈夫だろ!もう客なんてこねーし。」

 

 

「それとも、俺とやるのが怖いのか?」

 

 

櫂が不敵な笑みを浮かべる。その雰囲気に呑まれながらも、答える。

 

 

「べ、別に只のカードファイトでしょう。何も怖くは・・・」

 

 

そう呟くミサキ。怖気づいたのか、それとも反射的か・・・・

 

 

「じゃあ、決まりだな。」

 

 

「・・・・」

 

 

話が進む中、ルナは考える。

 

 

「(恐らく、会話から察するに、ミサキさんが使うのはジェネシス。上手くいくかは分からない。でも、櫂さんのイメージ力なら、それも可能かもしれない。)」

 

 

テーブルに置かれたブラスター・ブレード 探索者を見つめながら、彼女はそう思った。

 

 

 

Aパート 櫂トシキ ブラスター・ブレード 探索者

 

 

Bパート 戸倉ミサキ 全知の神器 ミネルヴァ

 

 

 

櫂とミサキがファイトテーブルに着き、準備を整える。

 

 

「「スタンドアップ!(ザ)・ヴァンガード!」

 

 

櫂 FV 雄心の探索者 マーク pow6000

 

ミサキFV 戦巫女 アメノホアカリ pow5000

 

 

「なぁ、ばn、い、いやねーちゃんのデッキは」

 

 

「ジェネシス。ソウルチャージして、溜めたソウルを解放することで協力な力を手に入れる。」

 

 

すると、何を思ったのか、櫂はジッとミサキを見つめる。

 

 

「・・・私の顔に何かついてる?」

 

 

その質問にナオキは櫂の後ろに隠れるが、しばらく見た後、ナオキが話す。

 

 

「なぁ、櫂。ねーちゃんのこと知ってるのか?」

 

 

「あぁ。戸倉ミサキ。新田シンの姪っ子で、宮地学園高等部の生徒。そして、チームQ4のメンバーだ。」

 

 

「Q4・・・?」

 

 

と、ミサキの疑問の声も上がるが、気にせず櫂は話す。

 

 

曰く、先導アイチ、戸倉ミサキ、葛城カムイを加えた4人が、カードキャピタルで結成。そして、日本一を取ったこと。

 

 

ルナも入部後、ネットで調べて判明した。

当時から頭角を現していた櫂トシキ。完全記憶能力を持つ戸倉ミサキ。連撃を繰り広げる俺様小学生葛城カムイ。そして、先導アイチ。この4人だからこそ優勝出来た。

 

 

「そんなスゲーチームで一緒に居たのかよ!・・・・只の女番長じゃなかったのかよ。」

 

 

「私が何だって?」

 

 

女番長という呟きに反応して、ミサキがナオキを再度睨む。

 

 

「い、いやぁ、只の勘違いだぜ。な、なぁ・・・戸倉・・・・先輩。」

 

 

「・・・ミサキでいいよ。」

 

 

「あぁ・・いきなり名前は無理かな。」

 

 

それを慌てながら応対するナオキ。ミサキは自然に言うが、ナオキは断る。

 

 

(だからスイコさんにもああ言うこと言っちゃうんだよ。)

 

 

心の中でため息を吐くルナ。

 

 

「戸倉、お前はQ4を知っているか?」

 

 

「Q4・・・?悪いけど知らないね。」

 

 

本当に知らなそうに彼女は答える。

 

 

「そう、これが俺たちを取り巻く世界の現実だ、石田ナオキ。どんなにたくさんの人がいても、あのアイチを知る人間が何処にもいない・・・・それが今の世界だ。」

 

 

それを聞いて、ナオキは悔しそうに握った拳を震わせている。

 

 

「ちょっと、いつまで話してるの?」

 

 

ミサキが怒気を含めた口調で言う。

 

 

「ああ、待たせたな。・・・・・イメージしろ。」

 

 

「!」

 

 

櫂は語り始める。

 

 

「俺たちは、この惑星クレイの地では、只の霊体に過ぎない。だが、そんな俺達でも、このクレイで誰よりも強い存在になれことも可能だ。」

 

 

「・・・・・別にヴァンガードのルール位は知ってるよ。」

 

 

「そうか。なら問題ない。」

 

 

まだ疑問があったらしく、言葉が続く。

 

 

「ロイヤルパラディン・・・アンタそんなクランを、今まで使ったことあった?」

 

 

「ある。」

 

 

「!」

 

 

「(私は初めて見る。でも、やっぱり。)」

ルナはミサキの腕に巻かれている黒いリボンに注意を向ける。

 

 

そうして、ファイトを始める。

 

 

「私の先攻、ドロー。猫の魔女クミンにライド。」

 

 

猫の魔女クミン pow7000 

 

 

「アメノホアカリは先駆で移動。クミンのスキル。登場時、山札の上から1枚をソウルチャージ。ターンエンド。」

 

 

ソウルカード 『盾の女神 アイギス』

 

 

 山札42枚 手札5枚 櫂のダメージ0

 

 

「俺のターン、ドロー。ライド!正道の探索者 ガンガレン!コール、誠実の探索者 シンリック、探索者 ユースフルメイジ」

 

 

誠実の探索者 シンリック pow7000

 

 

   シンリック  ガンガレン  ユースフルメイジ

 

     R      R        R      手札3枚

 

 

 

「ユースフルメイジでアタック!「ガード。『ファンシー・モンキー』」ガンガレンでヴァンガードにアタック!「ノーガード。」チェックザドライブトリガー『天賦の探索者 ヴァルロッド』「ダメージチェック『叡智の神器 アンジェリカ』」シンリックでアタック!シンリックのスキル、パワー+3000「ノーガード。『戦巫女 サホヒメ』」ターンエンド。」

 

 

7000+5000=12000←7000ヒットせず

 

7000←7000ヒット

 

7000+10000←7000+3000ヒット

 

 

櫂の手札4枚

 

山札42枚

 

ミサキのダメージ 2枚

 

 

「ドロー。葡萄の魔女 グラッパにライド。更に樹木の女神ユピテールをコール。」

 

 

葡萄の魔女 グラッパ pow9000

 

 

樹木の女神 ユピテール pow9000

 

 

  ユピテール  グラッパ  R

 

    R    アメノホアカリ R 手札3枚

 

 

「アメノホアカリのブースト、グラッパでヴァンガードにアタック。「ノーガード」ドライブチェック『戦巫女 ククリヒメ(☆)』クリティカルトリガー。パワーはユピテール。クリティカルはヴァンガードに。「ダメージトリガーチェック。『青炎の探索者 タラニス』、『秘剣の探索者 ヴォルティガーン』」ユピテールでシンリックでアタック「ノーガード。」ターンエンド。」

 

 

ミサキの手札4枚

 

 

山札38枚

 

 

櫂のダメ―ジ2枚

 

 

「俺のターン、スタンド&ドロー。ライド、天賦の探索者 ヴァルロッド!」

 

 

天賦の探索者 ヴァルロッド pow10000

 

 

「ユースフルメイジを後列に、ぶらどがる 探索者をコール。」

 

 

ぶらどがる 探索者pow8000

 

 

 

        R   ヴァルロッド  ぶらどがる

 

        R      R    ユースフルメイジ   手札3枚

 

 

「ヴァルロッドでヴァンガードにアタック。「ノーガード。」チェック・ザ・ドライブトリガー『探索者 ルーンイーグル』「ダメージチェック『オーダイン・オウル』ユースフルメイジのブースト、ぶらどがるでヴァンガードにアタック「ガード。『戦巫女 ククリヒメ(☆)』ターンエンド。」

 

 

山札38枚

 

 

手札4枚

 

 

ミサキのダメージ5枚

 

 

スタンド&ドローし、ミサキのライドフェイズに入る。

 

 

「叡智の神器の呼びかけに応じ、降臨せし女神よ!先を見通す智力の刃でほつれ乱れた糸を切り解け!全知の神器 ミネルヴァにライド!!」

 

 

 

全知の神器ミネルヴァ pow11000

 

 

 

「コール戦巫女 サホヒメ。」

 

 

 

戦巫女 サホヒメ pow9000

 

 

 

ユピテール  ミネルヴァ  サホヒメ

 

       R   アメノホアカリ  R    手札2枚

 

 

 

「サホヒメでぶらどがるにアタック。「ガード『探索者 ルーンイーグル』」アメノホアカリのブースト、ミネルヴァでヴァンガードにアタック。アメノホアカリのスキル、グレード3のジェネシスをブーストした時、一枚ソウルチャージ『ファンシー・モンキー』「ノーガード。」ツインドライブ。『叡智の神器 アンジェリカ』、『戦巫女 ククリヒメ(☆)』クリティカルトリガー。パワーはユピテール、クリティカルはヴァンガードに。「ダメージチェック『挑発の探索者 ブルメンタル』、『めっせがる 探索者(引)』ゲット、ドロートリガー。一枚ドローし、パワーはヴァルロッドに。」ユピテールでヴァンガードにアタック。ユピテールのスキル。ヴァンガードが神器と名がつくなら、パワー+3000.「ガード『警鐘の探索者 マリス(醒)』ターンエンド。」

 

 

手札4枚

 

 

山札35枚

 

 

櫂のダメージ4

 

 

 

「おいおい、もうダメージ4かよ。ていうか、ねーちゃんはさっきからソウルに加えているけど・・・」

 

 

櫂が答える。

 

 

「それがジェネシスの特徴だ。」

 

 

「特徴?」

 

 

「そう。クランによって、特性や得意な分野は変わってくる。ジェネシスは溜めたソウルで多彩なスキルをするの。」

 

 

「じゃあ、次のターンから仕掛けて来るのか・・・。」

 

 

現在のソウルは4枚。そしてミネルヴァのスキルは・・・・・

 

 

 

「流石櫂、良く知ってるね。ルナも詳しいね。」

 

 

「フッ、お前こそ、ジェネシスを使いこなしているな。」

 

 

「・・・どういう意味?」

 

 

「お前がジェネシスを使う前、何のクランを使っていたか覚えているか?」

 

 

突然の質問に驚きながらも、ミサキはオラクルシンクタンクと答える。

 

 

「でも、それが何か?まさか、ファイト中オラクルに変えろとか、言いだすんじゃないでしょうね。」

 

 

「いや。只、お前の心に眠っているその思い出の中に聞きたいことがあるだけだ。」

 

 

「どういう意味?」

 

 

「俺のターン、スタンド&ドロー。」

 

 

ルナはじっと聞きながら、考える。

 

 

「ライド、探索者 セイクリッド・ういんがる!」

 

 

探索者 セイクリッド・ういんがるpow11000

 

 

「ういんがる・・・・」

 

 

「覚えているんですか?」

 

 

それにルナが聞きながらミサキは覚束ない顔で答える。

 

 

「いや、見たこと無いはず・・・でも・・・何か、その名前に聞き覚えがある気がしたから・・・。」

 

 

それに対し、櫂が記憶を呼び起こすように告げる。

 

 

「イメージしろ、お前が初めてカードファイトした時のことを!」

 

 

その時のミサキの脳内に記憶のイメージが流れ込んできた。シンの伝言でヴァンガードファイトすることになり、オラクルシンクタンクを使用した。

確か、その時の相手は、後江中学の制服・・・・

 

 

「思い出したか?」

 

 

「な、何の事?」

 

 

「お前が初めてカードファイトした時、闘っていた相手のことだ。」

 

 

「!!」

 

 

見透かすように話す櫂にミサキは今の思いを吐露する。

 

 

「それが・・・おかしいんだ。私の記憶はいつだって鮮明なのに。なのに・・・最初の対戦相手の事がぼんやりしていて・・・・思い出せないんだ。」

 

 

「そうか・・・・・」

 

 

間を置いた後、櫂は続ける。

 

 

「大体分かった。」

 

 

「え?」

 

 

「何だ!?どういうことだ?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「戸倉の記憶はやはり正しかった。だが、そんな完璧な記憶の中にさえ、消されているものがある。」

 

 

それは・・・

 

 

「なら、俺たちのやるべきことはただ一つ。その消されたメイトの記憶をどんなことをしても、必ず取り戻す!」

 

 

ファイト再開。

 

 

「コール、秘剣の探索者 ヴォルティガーン。」

 

 

秘剣の探索者 ヴォルティガーンpow11000

 

 

 

    ヴォルティガーン  ういんがる  ぶらどがる

 

       R         R    ユースフルメイジ 手札2枚

 

 

「ヴォルティガーンでユピテールにアタック。「サホヒメでインターセプト。」ういんがるでヴァンガードにアタック!ういんがるのスキル、ヴァンガードにアタック時、パワー+2000.「ノーガード。」ツインドライブ。『探索者 ユースフルメイジ』、『探索者 ラヴィングヒーラー(治)』ゲット、ヒールトリガー。パワーはぶらどがるに、ダメージ1回復。「ダメージチェック。『猫の魔女 クミン』」ユースフルメイジのブースト、ぶらどがるでヴァンガードにアタック。「ククリヒメでガード。」ターンエンド。」

 

 

9000+5000←11000ヒットせず

 

 

11000←11000+2000=13000ヒット

 

 

11000←8000+5000+7000=20000ヒットせず

 

 

山札32枚

 

 

手札4枚

 

 

ミサキのダメージ4

 

 

「スタンド&ドロー。コール、『叡智の神器 アンジェリカ』、『林檎の魔女 シードル』」

 

 

 

叡智の神器 アンジェリカpow11000  

 

 

林檎の魔女 シードルpow7000

 

 

 

 ユピテール  ミネルヴァ  アンジェリカ

 

  R     アメノホアカリ シードル   手札2枚

 

 

「ユピテールでぶらどがるにアタック!スキルでパワー+3000.「ガード!『探索者 ユースフルメイジ』」アメノホアカリのブースト、ミネルヴァでヴァンガードにアタック!スキルで一枚ソウルチャージ。『ファンシー・モンキー(引)』「ノーガード。」ツインドライブ。『叡智の神器アンジェリカ』、『サイバー・タイガー(☆)』クリティカルトリガー!効果は全てミネルヴァに!」

 

 

ミネルヴァの一撃がういんがるにヒット。

 

 

「ダメージチェック。『青炎の探索者 タラニス』、『天賦の探索者 ヴァルロッド』」

 

 

これで5点。

 

 

「あれ、そういや何でパワーまでミネルヴァにプラスしたんだ?」

 

 

「・・・それこそが、あのユニットの強みだから。」

 

 

ルナが吐き出すように言う。

 

 

「本番はこれから、リミットブレイク!」

 

 

ミサキは不敵な笑みを浮かべ、告げる。

 

 

ダメージが4以上の時に発動する、強力なスキル。それが限界突破の名に相応しい。

 

 

「ミネルヴァのリミットブレイクは、カウンターブラスト1、ソウルブラスト3、手札3枚捨てることで発動する。」

 

 

ソウルブラストカード

 

 

『葡萄の魔女 グラッパ』 『盾の女神 アイギス』 『猫の魔女クミン』

 

 

ドロップカード

 

 

『サイバー・タイガー(☆)』 『叡智の神器 アンジェリカ』 『ファンシー・モンキー(引)』

 

 

「そして、ミネルヴァをスタンドし、パワー+5000。」

 

 

「マジかよ・・・」

 

 

「更に、グラッパのスキル。ソウルからドロップゾーンに置かれた時、2枚ソウルチャージされる。」

 

 

「使用したソウルをもう戻してきた。・・・これは、不味いね。」

 

 

ソウルチャージカード

 

 

『大鍋の魔女 ローリエ(治)』 『樹木の女神 ユピテール』

 

 

「もう一度、ミネルヴァでヴァンガードにアタック!」

 

 

これを通せば、間違いなく負ける。

 

 

「ガード!『警鐘の探索者 マリス(醒)』、エスペシャルインターセプト!『ぶらどがる 探索者』」

 

 

ぶらどがる 探索者はRに居る時、ヴァンガードが探索者なら、ガード時シールド値+5000する。これでトリガー2枚引かなければ当たらない。

 

 

「ツインドライブ。『全知の神器 ミネルヴァ』、『戦巫女 ククリヒメ(☆)』クリティカルトリガー!効果は全てアンジェリカに。シードルのブースト、アンジェリカでヴァンガードにアタック!「ガード!『必殺の探索者 モドロン(☆)』、『探索者 ラヴィングヒーラー(治)』」

 

 

アンジェリカのアタックはモドロンとラヴィングヒーラーに阻まれる。

 

 

「ターンエンド。」

 

 

8000+5000=13000←9000+3000=12000ヒットせず

 

 

11000←11000+5000+5000=21000☆2ヒット

 

 

11000+10000+10000=31000←11000+5000+5000=21000☆2ヒットせず

 

 

11000+10000+10000=31000←11000+5000+7000=23000☆2ヒットせず

 

 

山札26枚

 

 

手札3枚

 

 

櫂のダメージ5

 

 

「さっきスキルを発動したのに、またソウルにカードが溜まってやがる!」

 

 

「グラッパとアメノホアカリのスキルで、使った3枚分のソウルチャージができたからね。これで次のターンでも、ミネルヴァのリミットブレイクは発動出来る。」

 

 

「スタンド&ドロー。コール、『探索者 ルーンイーグル』

 

 

探索者 ルーンイーグルpow6000

 

 

「ダメージは櫂が5、ミサキ先輩が4。櫂は1ダメージでも受けたら負けだ・・・!」

 

 

「でも、今のルーンイーグルが最後の手札。つまり、櫂さんはこのターン、ミサキさんに2ダメージ与えなければ、リミットブレイクの連撃が待ち構えている・・・」

 

 

冷静に分析するルナと焦るナオキ。

 

 

「くっそーー!いくら考えても答えが出ねえ!ヴァンガードは奥深いぜ!」

 

 

「・・・楽しそうね、アンタ。」

 

 

「まぁ、それがナオキ君の持ち味だからね。」

 

 

クール3に熱血1.カードキャピタル内の温度差は激しい。

 

 

「ヴァンガードは楽しい、か。」

 

 

「だが、そのヴァンガードを・・・俺は一度辞めようと思ったことがあった。」

 

 

「・・・櫂さん。」

 

 

櫂は思い返していた。これまでの自分を。行ってきた罪を

 

 

「時には勝ち、時には負け、勝敗を重ね、共に歩む。・・・メイト共に。」

 

 

カードファイトをし、日々研鑽し、競い会う。理想以上のことだ。

 

 

アイチ、レン、ルナ、それ以外のファイターも。日々強くなる中、櫂の心は不安、疑問が押し寄せる。

 

 

「そんなカードファイトの楽しみを、俺は忘れてしまっていた。」

 

 

弱りきった心に、リバースという呪いと力を与えられた。

 

 

「その結果俺は、多くの人を、仲間を、傷つけてしまった。」

 

 

知り合いも、ライバルも、幼馴染みも巻き込んだ。彼らを、自分も最も好きなヴァンガードでもって直接手を下し、傷つけ、服従させた。

 

 

「その事に気づいた時、俺は一度決意した。人を傷つけることしか出来ない・・・それならば、ヴァンガードを捨てよう。そして・・・捨てられないのならば、仲間から離れ、永遠の孤独の中で生きようと。」

 

 

皮肉にも、ヴァンガードを道いた者が、ヴァンガードによって救われたのだ。

 

 

「だが、そんな俺に、真正面から向き合う奴と、そして尚、メイトとして受け入れてくれた奴がいた・・・!」

 

 

「ああ、知ってるぜ・・・!」

 

 

「・・・・」

 

 

いつしか二人の視線を受け、流石に居心地が悪く、ルナは視線を横にし、ミサキもそんな様子を見詰める。

 

 

「戸倉、お前なら思い出せる筈だ、アイツのことを。俺達の心には奴がいる、永遠のメイトだ!」

 

 

そうして、櫂は手をヴァンガードに添える。

 

 

「忘却の絶望の中に伸びる、一筋の光・・・暗闇の中で、メイトと俺を繋ぐ、勇気という名の光!!それが、双闘《レギオン》!!」 

 

 

「!」

 

 

「!?」

 

 

「レギオン!?」

 

 

「シーク・ザ・メイト!!」

 

 

彼の強いイメージが、黄色いオーラとなり、それがヴァンガード・・・ういんがるにも伝わり、遠吠えを上げる。その光は上空に昇り、弾ける。

 

 

「ドロップゾーンの4枚を山札の上に戻す。」 

 

 

『探索者 ラヴィングヒーラー』、『必殺の探索者 モドロン』、『警鐘の探索者 マリス』×2

 

 

「そして、山札からブラスター・ブレードを呼ぶ!」

 

 

ういんがるの声に応じるかのように山札から一枚のカードが櫂の手元に渡り、櫂はそれを受け止める。

 

 

「それが、双闘?」

 

 

「スペリオルコールじゃねぇのか?」

 

 

そう、カードの効果によって、手札以外の方法でリアガードサークルに登場する方法がスペリオルコール。しかし、この双闘は違う。

 

 

「そして、このブラスターブレードを・・・」

 

 

ヴァンガードサークルに置き、ういんがるの隣に立った。

 

 

「これが双闘だ!!」   

 

 

     ブラスターブレード 探索者×探索者 セイクリッド・ういんがるpow20000

 

 

「ヴァンガードサークルに!?これが、双闘なのか・・・!?」

 

 

「イメージしろ!」

 

 

「!」

 

 

ミネルヴァにイメージライドした視線の先にはブラスターブレードが佇んでいる。

そのブラスターブレードには、青い髪、青い目をした少年の姿。

 

 

『何、今のブラスターブレードは・・・』

 

 

「イメージはお前を裏切らない!!」

 

 

「お前の心の中に浮かんだイメージ・・・それは、お前の表層の意識や、知識から生まれたものではない。」

 

 

櫂は導くように話し、ミサキはイメージに呑み込まれる。

 

 

「心の奥底に刻み込まれた記憶までもが反映されたもの・・・それこそが、真のイメージだ!!」

 

 

「真の、イメージ・・・」

 

 

ミサキは感じている。ブラスターブレードに映る、優しくも揺るがない。そんな瞳と覚悟を持った少年を。

 

 

「双闘、なんていう力、、なんていうイメージの荒波なの・・・・」

 

 

『完璧だった筈の私の記憶の中で、イメージが暴走していく・・・イメージが、私の記憶の中に、はっきりと・・・・アイチ!』

 

 

ミサキの中の記憶が呼び覚まされ、嘗ての友の姿が映る。

それは、生半可な物ではない、確かな強さを秘めた少年。

 

 

「双闘したことで、ういんがるのスキル発動。山札から、グレード2以上の探索者の名を持つユニットをスペリオルコールする。爛漫の探索者 セルディックをスペリオルコール。」

 

 

爛漫の探索者 セルディックpow9000

 

 

「味方を更に呼んだ!?」

 

 

「ロイヤルパラディンの強みは、双闘でもあるんだ・・・」

 

 

不意にルナは、今朝見つけたカードを見てみる。やはり双闘の文字。全く分からなかった筈なのに、ルナは直ぐこのカードをデッキに加えたいと思えた。

 

 

「更にユースフルメイジのスキル。CB1払うことで、このターンパワー+1000。これを二回発動する。」

 

 

探索者 ユースフルメイジpow7000+2000=9000

 

 

     ヴォルティガーン  ブラスターブレード×ういんがる  セルディック

 

                   ルーンイーグル     ユースフルメイジ

手札0

 

 

「ヴォルティガーンでユピテールにアタック!」

 

 

「!ノーガード!」

 

 

ヴォルティガーンの剣がユピテールをすれ違い様に斬る。

 

 

「レギオンとは双闘!ヴァンガードと轡を並べ、共に戦うメイト!互いの力が合わさった時、一つの巨大なパワーが生まれる!」

 

 

レギオンリーダーはレギオンメイトのパワーを受け継ぎ、攻撃することが可能。これによって、常にパワーは20000.

 

 

「ルーンイーグルのブースト、ういんがる、ブラスターブレードでレギオンアタック!!」

 

 

「パワー26000!?」

 

 

「ううん、もっと上がる。」

 

 

「そうだ!ういんがるのスキル。ヴァンガードにアタック時、パワー+2000、ルーンイーグルのスキル、ヴァンガードをブーストした時に双闘状態ならば、パワー+4000!合計32000!」

 

 

「す、すげぇ・・・」

 

 

「ブレイクライド無でこのこのパワーが出せるなんて・・・」

 

 

櫂の攻撃にミサキは手札を確認する。

 

 

 

「くっ(私の手札は、完全ガードが一枚、グレード0と3が一枚。ここを凌ぐしか・・・)ノーガード。」

 

 

「ツインドライブ!」

 

 

『天賦の探索者 ヴァルロッド』、『必殺の探索者 モドロン(☆)』

 

 

「ゲット、クリティカルトリガー!パワーはセルディック、クリティカルはういんがるに!」

 

 

「っ!」

 

 

ういんがるとブラスターブレード。強き絆に結ばれた者たちがそれぞれ駆け抜け、ミネルヴァに切りかかる。

 

 

5点目『猫の魔女 クミン』 6点目『戦巫女 サホヒメ』

 

 

ファイトが終了した後、ミサキは信じられないように話し始める。

 

 

「思い出したよ・・・アイチの事を。驚いたよ、私がアイチの事を忘れてたなんて・・・!」

 

 

未だに分からないことがある。アイチの行方。記憶を無くしたこの世界。そしてブラスターブレード。

 

 

「櫂、アンタの言ってた事は本当なの?アイチの事を覚えているのは、私たちだけってこと・・・」

 

 

「あぁ。」

 

 

猫の店長は、不思議そうな鳴き声をあげ、ミサキを見上げる。

 

 

「信じられない・・・」

 

 

「そうだよな・・・でも、さっきまではアイチの事を覚えていたのは、たった3人だったんだぜ!」

 

 

ナオキが悔しそうに、しかし隠しきれない強い意志を伝える。

 

 

「今は4人だ・・・そして、永遠に4人って訳じゃない。」

 

 

まだ希望は無くなったのではない。ならば、やることは一つ。

 

 

「俺達は、アイチを見つけ出す・・・必ずな。」

 

 

「・・・はい!」

 

 

「俺もだぜ!」

 

 

「・・・私も。」

 

 

それぞれ思いは同じ。自分たちを支え、導き、苦楽を共にした彼を助け出す。

果てしないことなのかもしれない。それでも、信じる心と、メイトがいるなら・・・・

 

 

 

「俺は誓うぜ、一人は皆のためにってやつ!」

 

 

ナオキの宣言と共に拳を突き出し、ミサキ、櫂、そしてルナがぶつけ合う。

 

 

「(これで4人。待っていて、アイチ君。私たちが必ず、探し出すから・・・!)」

 

 

ブラスターブレードが輝く中、4人の誓いを祝福するかのように、店長が鳴く。

新たな決意を胸に、彼らは歩み始めた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

月が空に浮かぶ中、その空間は異彩を放っていた。暗い空間の中、神殿を模したような建物内から、4人の声が聞こえてくる。

 

 

 

「アイチ様の事を思い出したものが出た。」

 

 

          「ありえない・・・いや、あってはならない事態だ。」

 

 

「ねぇ、どうする?」

 

 

               「何か手を打たねば」

 

 

青年、少女の声が響く中、一人の青年が考え込む。

 

 

「(念のため、動いてみるか・・・・)」

 

 

これより始まるは、表の歴史にない話。ヴァンガードの、いや、たった一人の友を探し出す、小さな物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ミサキ「本当に信じられないよ。私がアイチを忘れていたなんて。」


ナオキ「くそ!今でも信じらんねぇ。何で忘れてたんだ。」


櫂「だが、まだ希望が潰えたわけじゃない。」


ルナ「うん、全てはここからだよ。」


ナオキ「俺たちは絶対にアイツを、先導アイチを見つけ出す!」


        LEGION3  「アイチの影」


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LEGION3 アイチの影

Extraでは簡単なキャラ紹介もします。
また、更新ペースが遅いので、オリジナルにテキパキとやっていくため、一部ファイトを端折ったり、飛ばしたりしますが、ご了承ください。


活動報告にアンケートを載せました。

また、既にGのヒロインがわかった方が居ます。一人でも嬉しいので、感想、意見お待ちしております。


翌日、ミサキと櫂が公園で今後の方針について話をする中、ルナは掃除当番だったため、学校に残っていた。一段落着いた所、携帯が揺れているのに気付き、確認する。

 

 

From 戸倉ミサキ

 

Re 公園で

 

 

石田も残ってると思うから、回収してきて

 

 

 

「物じゃないんだけどな、ナオキ君は。」

 

そう呟きながらも、ルナは微かに笑みを浮かべながら返信を送り、荷物の準備をする。

心が澄み渡る中、空はいつの間にか暗雲が立ち込め始めていた・・・

 

 

           「LEGION3 アイチの影」

 

ルナは真っ先に物理準備室に行き、扉の向こうから聞こえる声を聴きながら引き戸を手にかけ引いた。そこにはナオキと小茂井シンゴが居た。

 

 

「ここにいたんだ、ナオキ君。」

 

 

「おう、ルナか。どうした?」

 

 

「君は・・・」

 

 

ナオキは自然に、シンゴは訝しげな顔をしている。

シンゴもまた、『この世界』ではアイチについての記憶が無い。ファイトして呼びかければ、記憶を取り戻し、きっと協力してくれるだろう。

 

只、それは出来ない。

昨日、話していた中で、少数精鋭で行こうという話になった。というのも、無理して数を多くすれば、それだけ見つかりやすくなり、余り多くの人を巻き込むのは危険であると4人でまとめた。それから、何人、人物なども決めるため、その後解散したのだ。

それに、ルナは個人的に櫂を心配している。あのリンクジョーカー事件を自分の責任として受け止めて、ルナ達がいなければ、恐らく一人でもやろうとしただろう。もしくは、自分たちが危険になれば、巻き込みたくないといって突き放すだろう。

 

「ナオキ君、そろそろ・・・」

 

その言葉にナオキは気づいて荷物を纏める。

 

「おう、そうか。お前は?」

 

「ここの戸締りをしてから行くよ。」

 

「ああ、わりぃな。じゃあ、またな。」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!まだ聞きたいことが・・・!」

 

ナオキが玄関に向かい、シンゴが慌てて追っていった。

 ふと、物理準備室の風景を見てると、入部仕立ての頃の記憶を思い出す。

 

 

 

『よーし、VF甲子園に向けて、今日も頑張りますか!』

 

『まったく、気合だけは一人前ですな。そんなこと言う暇があったら、カードの一枚でも把握しろってんです。』

 

『何だと!?じゃあ先ずはお前からファイトしようか刈り上げメガネ!』

 

『上等ですよツッパリモドキ!僕の完璧な計算で組み上げたデッキでギャフンと言わせてやりますよ!』

 

『ハイハイ、気合は十分だけど、今回はくじで決めるんだから、大人しくしなさいよ。』

 

『まぁ、それだけ元気があるなら、今日はビシビシ行こうかしら?』

 

『あ、あはははは・・・・と、取りあえず対戦相手を決めましょう。ルナさんも、今日はいつもよりやる気が凄くて、さっきからナオキ君たちを軽く、睨んでるんだよね・・・』

 

『・・・・・・』

 

『どうやら櫂とファイトしたのが良い刺激になったみたいね。』

 

『じゃ、やる気も十分な所で、アンタたち!さっさとくじ引きな!』

 

『『は、はい!!』』

 

『今日も頑張ろうね、ルナさん。』

 

『・・・うん。』

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」

 

いつの間にか外は雨の音が鳴り響くが、今は心が澄みきっている。

今でも、ルナの脳裏に焼き付いている。自分の中でかけがえのない日々の、ささやかな一部。一年も経っていないにも関わらず、既に何年も共にしたかのようだ。

 

 

だからこそ、彼女の記憶に、魂に刻まれたこの場所に戻らんと、彼女が決意した時だ。

 

 

「不安と恐怖。そしてその狭間にある小さな希望。それが今の貴女の心ですか。」

 

 

「っ!?」

 

刺客がやってきたのは。

 

 

 

「誰?ここの警備をどうやって・・・」

 

 

「この程度の些末な問題、私めには造作も無いことです。

 

俗に言う黒い燕尾服を着、モノクルを着けた顔は、一見優雅さを垣間見るが、どことなく粘着質なイメージが流れ込んでくる。

 

 

「初めまして、私はモレス・ペニーワースと申します。お見知りおきを、月城ルナ様。」

 

 

「・・・・一応聞きますけど、どうして知っているんですか?」

 

 

目の前の男、モレスは執事然とした礼を取り、ルナの質問に答えた。

 

 

「私はある方に仕え、そしてあなたをお迎えしに参った者。そして、執事は主の意図を汲み取り、先に動く。故に、私はこうしてあなたの前に現れました。」

 

 

「・・・・・」

 

 

「さて、出来ればご同行願いたいところですが、いかがなさいますか。」

 

 

雨が激しくなる中、ルナはハッキリと返答する。

 

 

「お断りします。不法侵入の上に、目の前に現れた人をどう信じろと?」

 

 

「拒否して戴いても構いませんよ。その場合はこちらで決めます。その上で貴女の意志を折らせて戴きます。」

 

 

モレスはデッキを見せ、それに応じるようにルナも取り出す。

 

 

 

「ではイメージしていただきたい。蜘蛛の巣に捕らわれ、身動きが取れなくなり、死を待つ蝶の姿を・・・!」

 

 

「!」

 

 

モレスの言葉のままをイメージした自分は、正に蜘蛛の餌だ。蝶は自由の翼を絡め取られ、羽ばたくことを許されない。そしてもがく間ににじり寄る蜘蛛の獰猛なる牙を。

 

 

「例え翼が無くとも、手が動き歯を立てられるなら・・・・!」

 

 

自分は最後まで足掻く。

 

そう暗示させた。

 

 

「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」

 

 

ルナFV『希望の子《ホープチャイルド》トゥルエル』pow5000

 

モレスFV『メガコロニー戦闘員C』pow5000

 

 

 

「メガコロニー・・・・」

 

 

ズー国家に所属する犯罪結社。相手の動きを封じ、何もできなくさせる手口は一級品だ。

 

 

「私の先攻、ドロー。マシニング・ホーネットにライド。戦闘員は移動。ターンエンド。」

 

 

『マシニング・ホーネット』pow7000

 

 

   R  ホーネット  R

 

  戦闘員  R     R

   

モレス手札5枚  山札43枚 ルナダメージ0

 

 

「私のターン、ドロー。ライド!光の弾幕《バースト・ショット》ベスネル!トゥルエルは後ろに移動。更に、幸せの鐘《ハッピーベル》ノキエルをコール。」

 

 

光の弾幕 ベスネルpow8000

 

 

幸せの鐘 ノキエル pow4000

 

 

    R   ベスネル  ノキエル

 

    R    R    トゥルエル 手札4枚

 

「トゥルエルのブースト、ノキエルでヴァンガードにアタック。「ノーガード。ダメージチェック『マシニング・コーカサス』」ベスネルでヴァンガードにアタック「ノーガードです。」ドライブチェック。『クリティカルヒット・エンジェル(☆)』クリティカルトリガー。効果は全てヴァンガードに。「ダメージチェック『マシニング・パビリオ』、『無双剣鬼 サイクロマトゥース』」ターンエンド。」

 

ホーネット7000←ベスネル8000ヒット

 

 

山札42枚  ルナの手札5枚  モレスダメージ3

 

 

「フフ・・・」

 

 

「?何が可笑しいんですか?」

 

ダメージが0対3の状況の中、突如モレスが気味悪そうに嗤いながら感想を述べる。

 

「いえ、失礼。貴女は今、何かに悩み、自分が何をすべきかを模索している。とても拙いが懸命な働きです。」

 

しかし、と続けながらモレスはライドする。

 

 

「貴女の努力は徒労に終わろうとするでしょう。このファイトで。ライド!『マシニング・マンティス』」

 

 

マシニング・マンティスpow9000

 

 

「マンティスのスキル。登場時、Rかソウルに『マシニング』がいるなら、このターンパワー+3000。更に『マシニング・レッドソルジャー』、『マシニング・コーカサス』をコール。」

 

 

マシニング・レッドソルジャーpow9000

 

 

マシニング・コーカサスpow6000

 

 

 

モレス手札3枚  

 

 

     レッドソルジャー  マンティス  R

 

      戦闘員C    コーカサス   R

 

 

「人の意思とは、いつまでも強いままではいられません。戦闘員のブースト、レッドソルジャーでヴァンガードにアタック。レッドソルジャーのスキル。ヴァンガードが『マシニング』なら、パワー+3000「ガード。『クリティカルヒット・エンジェル』」コーカサスのブースト、マンティスでヴァンガードにアタック。「ノーガード。」ドライブチェック『マシニング・スコルピオ(☆)』クリティカルトリガー!効果は全てヴァンガードに」ダメージチェック『盤石の守護天使 アニエル』、『投薬の守護天使 アスモデル』ブーストしたアタックがヒットしたため、コーカサスのスキル。トゥルエルをパラライズ!」

 

 

トゥルエルは突如全身に襲った痺れに苦しみ、動けなくなる。

 

 

「今のは・・・」

 

 

「これがメガコロニーのスタンド封じ。そして私はより美しくパラライズと呼んでおります。」

 

 

「そのユニットと同様、人の意思もまたパラライズ。麻痺してしまうものですよ・・・フフフ。ターンエンド。」

 

 

ベスネル8000+10000=18000←レッドソルジャー9000+3000+5000=17000ヒットせず

 

 

ベスネル8000←9000+3000+6000+5000=23000☆2ヒット

 

 

 

モレスの手札4枚 山札38枚 ルナのダメージ2

 

 

「・・・・私のターン、スタンド&ドロー。ライド!投薬の守護天使《オーバードーズ・セレスティアル》アスモデル!」

 

 

投薬の守護天使 アスモデルpow9000

 

 

「(手札を使えば守りも薄くなる。ここは・・・。)」

 

 

 

ルナの手札4枚      R  アスモデル  ノキエル

 

 

            R     R    トゥルエル

 

 

 

「アスモデルでヴァンガードにアタック!「ほう、ガード。『マシニング・スコルピオ☆』」ドライブチェック『聖火の守護天使 サリエル』・・・ターンエンド。」

 

 

ルナの手札5枚 山札38枚 モレスダメージ2

 

 

ルナは無理してアタックするのではなく、押さえてきた。

 

 

「無理にこじ開けるのではなく、より確実に。なるほど、正しい選択です。」

 

 

ドローしながらモレスは続ける。

 

 

「貴女が悩んでいることに対して、解答は得ていらっしゃいますか?その方法、手段を。」

 

 

「・・・・・」

 

 

「言える訳がありません。何も分かってないのですから。フフフ・・・ライド!『無双剣鬼 サイクロマトゥース』!」

 

 

無双剣鬼 サイクロ・マトゥースpow11000

 

 

「コール、『マシニング・パビリオ』登場スキル発動。トゥルエルをパラライズ!」

 

 

マシニング・パビリオpow8000

 

 

トゥルエルは再び動きを封じられ苦しんでいる。

 

 

「今の貴女では、徒労に終わる。なればこそ、導いて差し上げましょう。貴女に勝利して。」

 

 

モレスの手札2枚

 

 

      レッドソルジャー  サイクロマトゥース  パビリオ

 

 

        戦闘員       コーカサス      R

 

 

 

「パビリオでノキエルにアタック。「ノーガード。」コーカサスのブースト、サイクロ・マトゥースでヴァンガードにアタック!サイクロマトゥースのスキル。相手のリアガードが全てスタンド状態ならば、パワー+2000!「ノーガード。」ツインドライブ!『マシニング・ホーネット』、『無双剣鬼 サイクロマトゥース』」

 

 

イメージの中で、サイクロマトゥースの腕の剣がアスモデルを切りつける。

 

 

「くっ」

 

 

3点目 『メディカルガンナー・エルミエル』

 

 

「まだですよ。戦闘員のブースト、レッドソルジャーでヴァンガードにアタック!スキルでパワー+3000!「ノーガード!」

 

 

ルナ4点目 『フィーバー・セラピーナース(引)』

 

 

「ドロートリガー。パワーはヴァンガードに、一枚ドロー。」

 

 

ノキエル4000←パビリオPOW8000ヒット

 

アスモデルPOW9000←サイクロ・マトゥースPOW11000+2000+6000=18000ヒット

 

アスモデルPOW9000←レッドソルジャーPOW9000+3000+5000=17000ヒット

 

 

 

モレスの手札4 山札35 ルナのダメージ4

 

 

 

「フフ、次のターンを決めるまでもありません。ここで止めていただいても構いませんよ?」

 

 

嘲笑いながらモレスの提案を聞いたルナは静かに答える。

 

 

「あなた、もう勝ったつもりでいるの?・・・随分と舐められてるな。」

 

 

後半は小さな声でつぶやき、続行の意思を見せる。

 

 

「気高いですね。それでこそです。しかし、いつまでも走り続けることはできません。何れ立ち止まってしまう。どうするというのでしょうか?」

 

 

「なら黙って見ていて。私は止まっていられない。ライド!『メディカルガンナー・エルミエル』!」

 

 

メディカルガンナー・エルミエルPOW10000

 

 

「トゥルエルのスキル。CB1払い、自身をソウルに。手札の『フィーバー・セラピーナース』をダメージゾーンに置いて『盤石の守護天使 アニエル』を手札に。コール、聖火の守護天使《キャンドル・セレスティアル》サリエル!登場時、スキル発動!CB1払い、山札から守護天使の名の付くユニットを一枚選び、ダメージゾーンに表で置く。・・・『救急の守護天使《エマージェンシー・セレスティアル》ダネル』をダメージゾーンに。そしてアスモデルをドロップゾーンに。更に天罰の守護天使《ワイルド・セレスティアル》ラグエル』をコール。」

 

 

聖火の守護天使 サリエルPOW8000

 

 

天罰の守護天使 ラグエルPOW9000

 

 

ルナの手札3枚   

 

 

 

       ラグエル   エルミエル   サリエル

 

 

        R      R      R

 

 

「サリエルでパビリオにアタック!「ノーガード。」エルミエルでヴァンガードにアタック!「ガード!『マシニング・パピヨン(治)』ツインドライブ!『刻印の守護天使《マーキング・セレスティアル》アラバキ』、『クリティカルヒット・エンジェル(☆)』クリティカルトリガー!効果は全てラグエルに。そしてラグエルでヴァンガードにアタック!ラグエルのスキル!ヴァンガードが守護天使なら、パワー+3000!「ノーガード。」

 

 

ラグエルの銃撃がサイクロマトゥースにヒットするが、腕で防ぐ程度。

 

 

モレスの4、5ダメージ『マシニング・レッドソルジャー』、『シェルター・ビートル(☆)』

 

パビリオ8000←サリエル8000ヒット

 

サイクロ・マトゥース11000+10000←エルミエル10000ヒットせず

 

サイクロ・マトゥース11000←ラグエル9000+3000+5000=17000ヒット

 

ルナの手札5枚   山札31枚 モレスのダメージ5

 

 

「フフ、これであなたを封じこめる準備は整いました。もう、逃げられませんよ?」

 

 

「・・・そうね。でも、私にも質問があるわ。」

 

 

淡々と、冷えた目でモレスを射抜く。

 

 

「あなた、自分が執事だからと言って、貴女の主の事が分かると言ったけれど、実際それが本当かどうかなんて、分かるの?」

 

 

「関係ありません。私がそう判断したのであって、」

 

 

「そう。つまり、あなたは自分の目的も知らず、只私を連れてくるように言ってきたのね。」

 

 

微笑の笑みを浮かべながら、そう理解したルナの言葉を受け、言葉に詰まる。

 

 

これは彼女の意趣返しだ。相手ばかり攻撃し、自分を疎かにした執事という立場を利用した一手。

 

 

「・・・お聞きしたいことはそれだけでしょうか?」

 

 

「ええ、ありがとう。これで心置きなく、ファイトを続けられるわ。」

 

 

「ならば、これで終わりにして差し上げましょう。全ては我が主の命のまま。あらゆる敵を麻痺させる!ブレイクライド!『マシニング・スパークヘラクレス』!!」

 

 

マシニング・スパークヘラクレスPOW11000

 

 

「サイクロマトゥースのブレイクライドスキル!ヴァンガードにパワー+10000、相手のリアガード全てをスタンドし、ヴァンガードを含め、全てをパラライズ!」

 

 

ルナの場にいる全ての天使たちの動きが鈍る。

 

 

「身動きできないと言うことはどういうことかお分かりでしょう?貴女様はご自分の意思でどうすることも出来ないのです!」

 

 

「そうね。一人では何もできないね。」

 

 

平坦な応答する彼女にモレスは戸惑いながらも言葉を連ねる。

 

 

「コール、『無双剣鬼 サイクロマトゥース』、マシニング・ホーネット』さぁ、これでフィニッシュです!」

 

 

モレスの手札2枚  

 

 

     レッドソルジャー  スパークヘラクレス  サイクロ・マトゥース

 

 

      戦闘員        コーカサス      ホーネット 

 

 

「コーカサスのブースト、スパークヘラクレスでヴァンガードにアタック! そして、リミットブレイク!!」

 

 

スパークヘラクレスの頭上に緑の魔方陣が強い魔力を放出する。

 

 

「ESB2払い、あいての場のユニット全てがスタンドしてるならば、ヴァンガードにパワー+10000、☆+1!!」

 

 

スパークヘラクレスより電撃が放たれ、エルミエルを貫こうとするも

 

 

「通しませんよ?完全ガード『盤石の守護天使 アニエル』(コスト 刻印の守護天使 アラバキ)」

 

 

アニエルの盾が電撃を防ぎ、エルミエルには届かない。

 

 

「ツインドライブ!『マシニング・ローカスト』、『レイダー・マンティス(引)』ドロートリガー!一枚引き、パワーはサイクロマトゥースに!戦闘員のブースト、レッドソルジャーでヴァンガードにアタック!スキルでパワー+3000!、「ガード!『クリティカルヒット・エンジェル(☆)』」くぅ、おのれ、おのれぇ!ホーネットのブースト、サイクロ・マトゥースでヴァンガードにアタック!「ノーガード!」

 

 

サイクロ・マトゥースがエルミエルを剣で切り付けるも、エルミエルはゆっくり立ち上がる。

 

 

ルナの5点目『天罰の守護天使 ラグエル』

 

 

「ダメージゾーンにカードが置かれたとき、ダネルのスキル。ECB1払い、ダネルをスペリオルコール!サリエルは退却。そして山札の上から一枚をダメージゾーンに。」

 

救急の守護天使 ダネルPOW9000

 

 

『投薬の守護天使 アスモデル』

 

 

「漸く本性を表しましたね。」

 

 

「くっ····しかし貴女の場で動けるのは一体。次に私のターンが回るのは時間の問題です!」

 

「ええ、そうね。次のターンが来れば、だけど。」

 

 

 

「ねぇ、あなたはこのファイト中、私を封じるイメージを浮かばせた様だけど、他には無かったんですか?」

 

 

「む···」

 

 

「私は、一つ一つのファイトに全力で答えてきた。強い弱い関係なく。勝利のイメージだけじゃない。自分の意志を、本当の気持ちにさせてくれる力にすらなれる。」

 

 

胸に手を当て、ヴァンガードに触れる。それだけで、分かる。

 

 

「そして、想いは一人じゃない。同じ気持ちが集まれば、イメージは強くなる。絆は、魂に刻まれたもの。離れていても、決して見失ったりはしない。」

 

 

だから、と彼女は引きながら締めくくった。

 

 

「イメージして。蜘蛛の巣を引き裂き、大空に羽ばたく翼を!」

 

 

「っ!」

 

 

「苦しみを断ち切る天使よ。病魔を切り伏せ、安寧を此処に!ライド!『切開の守護天使《ホーリーエッジ・セレスティアル》マルキダエル!!』」

 

 

切開の守護天使 マルキダエルpow11000

 

 

「ライドした以上、パラライズの誓約からは免れる。メガコロニーのある意味の弱点ですね。」

 

 

「それがどうしたと?アタック出来るのはその2体です。何も出来ませんよ!?」

 

 

「いいえ、何も無いなら切り開けばいい。友と共に!シークメイト!!」

 

 

『気付けの守護天使 タミエル』 『クリティカルヒット・エンジェル』『幸せの鐘 ノキエル』 『投薬の守護天使 アスモデル』

 

 

「慈愛を持って接する天使。その心は献身と愛によって癒される尊い輝き!双闘!!!『投薬の守護天使 アスモデル』!!」

 

 

「れ、双闘ですと!?」

 

 

『投薬の守護天使 アスモデル』×『切開の守護天使 マルキダエル』pow20000

 

 

「マルキダエルの双闘スキル!双闘状態なら、前列にパワー+2000!更にヴァンガードと同盟のユニットがダメージゾーンに居るなら、前列にパワー+2000!」 

 

 

「なっ!?」

 

 

「そして、メディカルガンナーエルミエル、愛の守護者ノキエルをコール!これが、私の全力!」

 

 

愛の守護者 ノキエルpow5000+4000=9000

 

 

 

手札0  

 

     エルミエル  アスモデル×マルキダエル  ダネル

 

 

      ノキエル        R          R

 

「ダネルでレッドソルジャーにアタック!」「の、ノーガード!」

 

 

レッドソルジャーはダネルの一撃に消える。

 

 

「超える!イメージの果ての、現実に!マルキダエル、アスモデルで双闘アタック!マルキダエルのスキル!ヴァンガードにアタック時、パワー+3000!」

 

 

「ガ、ガード!『レイダー・マンティス』、『マシニング・ローカスト』、『マシニング・パピヨン』!」

 

 

マルキダエルとアスモデルの攻撃を前に、メガコロニーたちが立ち塞がる。

 

 

「(トリガーさえ、出なければ・・・)」

 

 

 

「ツインドライブ!」

 

 

 

『聖火の守護天使 サリエル』、『幸せの鐘 ノキエル(醒)』

 

 

「スタンドトリガー!ダネルをスタンド!」パワーはマルキダエルに!」

 

 

「此処でトリガーですとおぉぉぉぉぉ!?」

 

 

「私は突き進む!答えの先に!真実を!」

 

 

アスモデルの投げた薬を避けようとするも、目の前には既にマルキダエルが刃を構えていた。腹を横字に斬ったマルキダエルは下がり、遅れて大量の薬が周囲に舞い、閃光が溢れ、最後には何も消えていた。

 

 

9000←9000+4000=13000ヒット

 

11000+10000+5000+5000=31000←20000+4000+3000+5000=32000ヒット

 

 

モレスのダメージ6点目『マシニング・レディバグ』

 

 

ルナ5点 モレス6点

 

 

Winner ルナ

 

 

 

「さて、ここまで来てくれたんです。歓迎しますよ?あなたから情報といういい出汁がとれそうですし・・・」

 

 

「く、うぅ・・・」

 

 

ファイトが終わり、ルナがモレスを問い詰める中、モレスの耳に付いていた通信機に声がかかる。

 

 

「引け。」

 

 

「し、しかし、」

 

 

「構わぬ。今は引け」

 

 

苦渋の表情のまま、モレスは窓に向かって走る。

 

 

「待って!まだ話は・・・!」

 

 

「次はこうはいきません。それに、何れあなたも我々の元へ来ることでしょう。」

 

 

そう言い、モレスは去った。ルナも直ぐに追ったが、既に影も見えなかった。

 

 

「・・・逃げられた。」

 

 

悔しさを露わにしながらも、彼女は直ぐにミサキ達に連絡を取り、情報の共有を始めた。

 

 

 

 

 

 

「ふむ。やはり彼では荷が重すぎたか。」

 

 

「当然よ。彼女は事実、櫂トシキに並ぶ実力者。」

 

 

「・・・ならば、ぼくが挑むまでだ。」

 

 




「あの陰険執事、アイチ君のことを知っていた。・・・感じる。アイチを知っている人の気配。。。」


「俺達もメイトを集めねば・・・だが、無作為に集めるのは彼らを危険に晒すことになる。」


「ならここは、危険を顧みないメイトにします?」


「あ、俺みたいな馬鹿ってことかな・・・いいけど。」


「・・・・・すまん」


「認めやがったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


「ナオキ君、ドンマイ」


LEGION4 オリビエガイヤール


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LEGION4 オリビエ·ガイヤール

今回からオリジナル展開していきます。


え、チーム新ニッポンの三人目はリンクジョーカー使いのキタエリ!?
ばかな、私のイメージではオリ主のnextチームメンバーのオリキャラの一人はこの人だったのを、見越して選んだのかブシロード!!


ルナ「偶然でしょう?」

ぐはっ衝撃ぃ!!


どうしよう、平行して時間かかってもいいならGも更新しようかな。ウズウズする。


ルナ「そんな暇があるなら、早いとこ完結に向けての原稿書いたら?」


Gオリ主「まだ出ないの?」


すみません・・・我慢が限界に来ましたので平行してやります。時間は懸りますが・・・



「この辺りには居ないみたいね・・・」

 

 

数日後、ルナは細心の注意を払って家に向けて帰宅している。敵の狙いが自分である以上、下手に動いて再び襲撃を受ける訳にはいかない。

 

 

「でも、何で私何だろう・・・」

 

 

櫂を狙うならばまだ分かる。モレスの残した言葉が気になりながらも、ルナは歩みを進めた。

自分に迫る存在がいるのも知らずに。

 

 

 

 

「ふぅ」

 

 

漸く自宅のアパートにたどり着き、ルナはエレベーターに向けて向かう。

今日はもう早く休んで、また明日頑張ろう。幸い、この数日で協力者も増えた。三和タイシ、葛城カムイ。櫂がういんがるとは別に新たな切り札 探索者 シングセイバードラゴンの力で、二人はアイチの記憶を取り戻した。これで行動範囲も広がる。

 

 

只、いいことばかりではない。櫂が当てにしていた幼馴染の鈴ヶ森レンはアイチを知らないと言った。ブラスターブレード 探索者を見せても、反応を示さなかった。

いずれにしても、アイチはこの世界におり、探すのを阻止しようと動いている者が居ることは確定している。後は、その人物を見つけ出す。決意と目的を再確認をしたルナは自宅に戻ろうとした際、現れた。

 

 

 

 

「待っていたよ。月城ルナさん」

 

 

「っ」

 

 

反射的に振り替えると、特徴的な青い髪、青色の眼をした青年がいた。幼さを残しながらも、覚悟と意思を持った雰囲気をさらし出している。

 

 

「こんな夜更けにレディに声を掛けるなんて、危険そうな人としか思われませんよ?知らない訳では無いですよね。」

 

 

「無論、その上で話しています。ご不快な思いをさせてしまったことは謝罪します。」

 

 

そう言いながらも、青年は表情を変えるつもりはない。決意も想いも揺るぎ無い。

 

 

「僕は、オリビエ・ガイヤール。ある人の意思を受け継いでここに来た。」

 

 

「ガイヤール・・・・・」

 

 

その名前に聞き覚えがある。確か、ヴァンガードのヨーロッパサーキットを優勝したことのあるプロファイターだ。そのファイト姿勢から、「青き炎のガイヤール」とも呼ばれている。

欧州を歩いている人物が、何故ここに要るか。

 

 

「以前、昼間に会ったモレスっていう執事の主が貴方?」

 

 

「いえ、彼はあくまでもサポーターに過ぎません。我々『カトルナイツ』とは。」

 

 

聞きなれない単語だ。複数系ということは、他にもいるかと思わせる。

 

 

「お答えしましょう。『カトルナイツ』とは、アイチさんの意思を守るために立ち上がった者達です。」

 

 

「!?アイチ君・・・・を・・?」

 

 

ガイヤールがハッキリと言った言葉。やはり、彼はいる。そして、目の前の人物はその居場所を知っている。

 

 

しかし、何故守る?何から?何を?そもそも何を抱えている?

 

 

「我々は無闇な争いを避けたい。特にルナさん、貴女はあの事件の数少ない理解者。出来ることならば僕たちの、アイチさんの意思を知って頂きたい。」

 

 

「だから、あなたたちの手を取れと?」

 

 

ガイヤールが頷く。辺りの空気は緊張感を保ったまま過ぎていく。

少なくとも、嘘を吐いているようには見えない。寧ろ誠実さすら感じられる。

 だが・・・

 

 

「お断りします。アイチ君を知っているからと言って、そう易々と乗りません。それに、仲間を裏切るつもりもありません。」

 

 

「拒否、ですか。」

 

 

残念です、と呟きながらもガイヤールはこの答えを見越していたのか、両手の中指に嵌めた指輪を掲げる。

 

 

「ならば仕方ありません。実力でお連れします。」

 

 

「永久に煌めく聖なる炎よ。全てを焼き付くし、燃え盛れ!ホーリー・プロミネンス・プリズン!!」

 

 

 

突如、辺り一帯を焼き付くさんと青い炎が煌々と燃え始める。それとともに、周囲の空間も激変し、まるでイメージの中にいるようだ。

 

 

「・・・ここは・・・・・」

 

 

「ここはカトルナイツである、僕が作れる空間。この牢獄で、貴女の意思をも焼き尽くして見せよう。」

 

 

「どんな理由であろうと、私の意思は私だけのもの。誰にも渡さない!」

 

 

「ならば、とくとご覧あれ。赤き炎ですら凌駕する、高熱の青き炎を!」

 

 

そしてファイトテーブルが出現し、準備を整える。

 

 

 

「「スタンドアップ!・(ル)・ヴァンガード!!」」

 

 

 

「希望の子 トゥルエル!」pow5000

 

 

「解放者 チアーアップ・トランぺッター!」pow5000

 

 

 

「!?ゴールド・・パラディン・・・?」

 

 

そう、ガイヤールのFVに見覚えがある。嘗てアイチが使用していた、ゴールドパラディン。

 

 

「見せて上げましょう。僕とアイチさんの絆を。」

 

 

「絆なら、私も負けません。先行は貰います。」

 

 

「ライド!介護の守護天使 ナレル!トゥルエルは移動し、スキルを獲得。ターンエンド。」

 

介護の守護天使 ナレル pow7000

 

 

R  ナレル  R

 

トゥルエル  R   R 手札5

 

 

「僕のターン、ドロー。ライド!理力の解放者 ゾロン!チアーアップは移動し、スキルを獲得。更に小さな解放者 マロンをコール。」

 

 

「マロンまで・・・」

 

 

理力の解放者 ゾロンpow7000

 

小さな解放者 マロンpow7000

 

 

 

 マロン  ゾロン  R

 

  R  チアーアップ R 手札4枚

 

 

「マロンでヴァンガードにアタック!解放者のヴァンガードがいるため、パワー+3000。「ノーガード。『刻印の守護天使 ハスデヤ』チアーアップのブースト、ゾロンでヴァンガードにアタック!「ノーガード。」ドライブチェック『五月雨の解放者 ブルーノ』ダメージチェック『恋の守護者 ノキエル』」ターンエンド。」

 

 

「ドロー。ライド!救急の守護天使 ダネル!更に天罰の守護天使 ラグエルをコール!」

 

 

     ラグエル ダネル R

 

    トゥルエル  R  R 手札4枚

 

 

「トゥルエルのブースト、ラグエルでヴァンガードにアタック!スキルでパワー+3000!「ノーガード。『不撓の解放者 カレティクス』ダネルでヴァンガードにアタック!「ガード!『賢慮の解放者 ジュロン』ドライブチェック『気付け守護天使 タミエル』スタンドトリガー!ラグエルをスタンド、パワー+5000!ラグエルでヴァンガードにアタック!スキルでパワー+3000!「ノーガード『横笛の解放者 エスクラド』」ターンエンド。」

 

 

「スタンド&ドロー。ライド!不撓の解放者 カレティクス!更に王道の解放者 ファロン、五月雨の解放者 ブルーノをコール。」

 

 

不撓の解放者 カレティクス pow1000

 

王道の解放者 ファロンpow9000

 

五月雨の解放者 ブルーノpow7000

 

 

   マロン  カレティクス  ファロン

 

    R    チアーアップ  ブルーノ 手札3枚

 

 

 

「マロンでラグエルにアタック!スキルで+3000。「ノーガード。」チアーアップのブースト、カレティクスヴァンガードにアタック!「ノーガード。」ドライブチェック『絆の解放者 ガンスロッド・ゼニス』「ダメージチェック『投薬の守護天使 アスモデル』ブルーノのブースト、ファロンでヴァンガードにアタック!スキルで+3000。「ノーガード『フィーバーセラピー・ナース』ドロートリガー!ヴァンガードにパワー+5000、一枚ドロー。」ターンエンド。」

 

 

4ターン終わり、ダメージは2対4。ガイヤールが一歩リードする状況。

 

 

「スタンド&ドロー。苦しみを断ち切る天使よ。病魔を切り伏せ、安寧を此処に!ライド!切開の守護天使 マルキダエル!!」

 

 

切開の守護天使 マルキダエルpow11000

 

「要の守護天使 ベカ、メディカルガンナー エルミエルをコール。トゥルエルのスキル。CB1、自身をソウルに。手札を一枚ダメージゾーンに置き、ダメージゾーンから一枚を手札に加える。そしてベスネル、サニースマイル エンジェルをコール。」

 

 

要の守護天使 ベカpow1000

 

メディカルガンナー エルミエルpow1000

 

光の弾幕 ベスネル pow8000

 

サニースマイル エンジェルpow4000

 

 

    ベカ  マルキダエル エルミエル 

 

     R  サニースマイル  ベスネル 手札2枚

 

 

「ベカでファロンにアタック!「ノーガード。」サニースマイルのブースト、マルキダエルでヴァンガードにアタック!スキルでパワー+2000!サニースマイルのスキル。ブーストした時、パワー+3000!「ノーガード」ツインドライブ『投薬の守護天使 アスモデル』、『恋の鐘 ノキエル』スタンドトリガー!ベカをスタンド、パワーはエルミエルに!「ダメージチェック『聖木の解放者 エルキア』ヒールトリガー!パワーはヴァンガードに。」ベカでマロンにアタック!「ノーガード。」ベスネルのブースト、エルミエルでヴァンガードにアタック!「ガード!『大願の解放者 エーサス』ターンエンド。」

 

 

「(ダメージは一点しか与えられなかった。でも、手札は削れている。)」

 

 

「リアガードを削りつつ、盤面を立て直す。僅か数ヶ月前にヴァンガードを始めたとは思えないですね。」

 

 

だが、とガイヤールは続けて話す。

 

 

「これで終わりですか?貴女の実力は。」

 

 

「そういうあなたこそ、まだグレード2。本当の戦いはそこから。」

 

 

「・・・そうですか。スタンド&ドロー。」

 

 

加えたカードを確認し、ガイヤールは改めて真正面から彼女を見据える。

 

 

「ならばご覧いただこう。僕とアイチさんの絆を!」

 

 

「呪いに囚われし者を解放するため、今こそ降臨せよ、騎士たちの主!ライド!解放者 モナークサンクチュアリ アルフレッド!!」

 

 

解放者 モナークサンクチュアリ アルフレッドpow11000

 

 

 

「アルフレッド・・・!?それは。」

 

 

そう。リンクジョーカーとの最終決戦時。アイチが使った新たな切り札。

つまりそれがガイヤールの手にあるということは、だ。

 

 

「これで分かったでしょう。僕とアイチさんの絆を。」

 

 

「っ、」

 

 

信じられない、というよりも彼の身に何があったのかを聞きたい思いがルナの中でつよく思っていた。

 

 

「・・・・続けて下さい。どうあれ、ファイトは続いています。」

 

 

「そうこなくては」

 

 

「(戸惑いながらもがむしゃらに前へ進もうとする、その愚直なまでの精神だ。)」

 

 

「コール、絆の解放者 ガンスロッド・ゼニス、マロン。」

 

 

絆の解放者 ガンスロッド・ゼニスpow11000

 

 

ガンスロッド  アルフレッド マロン

 

  R     チアーアップ ブルーノ 1枚

 

 

「ガンスロッドでエルミエルにアタック!「インターセプト『要の守護天使 ベカ』チアーアップのブースト、アルフレッドでヴァンガードにアタック!アルフレッドのスキル。解放者の名を持つリアガード一体に付きパワー+1000.4体なので4000アップ。ガード!『気付けの守護天使 タミエル』、『聖火の守護天使 サリエル』!」ツインドライブ『光輪の解放者 マルク』、『理力の解放者 ゾロン』 ブルーノのブースト、マロンでエルミエルにアタック!「ガード!幸せの鐘 ノキエル」ターンエンド。」

 

 

ダメージに変動なし。しかし今ので守護者が加わったことで必ずガードされる。とはいえ、

 

 

「止まるわけにはいかない。スタンド&ドロー!」

 

 

「諦めない、ですか。」

 

 

ルナは頷きながらデッキに手を置く。

 

 

「例え彼が望んでいなくても、私は望んでいる。コール、アスモデル。その気持ちに嘘は突けない!シークメイト!」

 

 

気付けの守護天使 タミエル 幸せの鐘 ノキエル 天罰の守護天使 ラグエル 要の守護天使 ベカ

 

 

「慈愛を持って接する天使。その心は献身と愛によって癒される尊い輝き!双闘!!投薬の守護天使 アスモデル!!」

 

 

アスモデル×マルキダエルpow20000

 

 

「双闘スキル!前列にパワー+2000.更にVと同盟カードがダメージゾーンに表の状態でいるため、前列にパワー+2000!」

 

 

エルミエル アスモデル×マルキダエル アスモデル

 

  R       R        ベスネル 1

 

 

「エルミエルでヴァンガードにアタック!「ノーガード『待願の解放者 エーサス』クリティカルトリガー!効果は全てヴァンガードに!」っ、エルミエルのスキル。CB1、自身をダメージゾーンに置き、ハスデヤをスペリオルコール。マルキダエル、アスモデルで双闘アタック!スキルでパワー+3000!「完全ガード!『光輪の解放者 マルク』」ツインドライブ!『天罰の守護天使 ラグエル』 『クリティカルヒット・エンジェル』クリティカルトリガー!効果は全てアスモデルに。ハスデヤでマロンにアタック!「ノーガード」ベスネルのブースト、アスモデルでヴァンガードにアタック!「ガード!『聖木の解放者 エルキア』、五月雨の解放者 ブルーノ』」・・・・・ターンエンド。」

 

 

 

結果、後一点まで追い詰めるも届かなかった。

 

 

「惜しかったですね。」

 

 

「っまだ!」

 

 

「いいえ、これで終わらせます。スタンド&ドロー。マロンをコール。チアーアップのスキル。自身をソウルに。アルフレッドにスキルを獲得。忌まわしき者、邪悪なものをすべて解き放て!りべレイト・ザ・ロック!!」

 

 

アルフレッドから強い力が溢れていくのを、ルナはただ見守ることしか出来ない。

 

 

「CB3、SB1、自分のリアガードを山札に戻し、5枚までを好きな順番にリアガードサークルに登場させる!スペリオルコール!」

 

 

ガンスロッド③  アルフレッド  パーシヴァル④

 

 

 マロン②     ゾロン⑤    ブルーノ①

 

 

「ブルーノのスキル。解放者と名の付くユニットがリアガードに登場した時パワー+3000。体登場したので、+12000!更にチアーアップのスキルを獲得したアルフレッドはパワー+15000!自身のスキルを合わせて20000アップ!!」

 

 

「くっ!その、ユニットは、」

 

彼女が指したのはどこかブラスターブレードを思わせる騎士甲冑のユニット。

 

 

「これは、貴女が初めて目にするユニット。青き炎の解放者 パーシヴァル。これこそが、僕の分身!」

 

 

 

Vとパーシヴァルの列で既に30000ラインが出来ている。手札は3、インターセプトは一つ。

 

 

「マロンのブースト、ガンスロッドでアスモデルにアタック!「ノーガード・・・!」ゾロンのブースト、アルフレッドでヴァンガードにアタック!「ノーガード・・・・。」ツインドライブ!『誓いの解放者 アグロヴァル』、『不撓の解放者 カレティクス』」

 

 

アルフレッドの肩より現れた光線がマルキダエルを貫く。

 

 

5点目『盤石の守護天使 アニエル』

 

 

「振りかざせ、剣を!まつろわぬ敵を打ち砕け!我が分身、パーシヴァル!!」

 

 

パーシヴァルの青き剣はマルキダエルを切り裂き、後には羽すら残らない。

 

 

6点目『気付けの守護天使 タミエル』

 

 

「味わうといい、敗北の味を!この牢獄の聖なる炎を!爆ぜろ、ジャッジメント!!」

 

 

互いのダメージゾーンから青き炎の火柱が上がり、一つの炎にんり、ルナに襲いかかった。

 

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

 

 

「ぐっ、ああああああああああぁぁぁ!!」

 

 

熱い。体が、溶けんばかりの熱が、わたし、に、

 

「これが、ジャッジメント。カトルナイツの持つ能力で、この中で受けたダメージを戦いの終了後に全てが敗者に与えられる、云わば罰です。」

 

と思いきや、その熱は収まり、彼女は立って居られず両手で床を支えるのに精いっぱいだ。

 

 

「驚いた。まさかこの炎に耐え、意識を保っている者が貴女だとは。」

 

 

「はぁっ、はぁっ・・・・その、炎は・・・・?」

 

 

何とかガイヤールの顔を向けると、彼の指輪で青い炎が揺らめいたのを見て、体が強張ったのを彼は見逃さなかった。

 

 

「今この炎によって、貴女は焼かれた熱さと痛みを心に刻まれた。理性で隠そうとしても、貴女の深層心理は恐怖を忘れられない。」

 

 

所謂、フラッシュバックというものだ。

魂に刻まれたコトは、一生の傷になるともいう。

 

 

「そして、何れ貴女の仲間も受けていくでしょう。」

 

 

 

「あっ・・・・・そん・・・な・・・」

 

 

ゆっくりと、意識が落ちていく中、必死で耳を傾けるルナ。

 

 

 

「そして我々、カトルナイツは4人居ます。アイチさんの眠りを妨げるのを守る騎士・・・・それが、我々の目的です。」

 

 

 

余りにも強大。そして高い壁。

 

 

 

「今回はあくまでも挨拶。次にお会いする時に返事を聞かせていただきましょう。」

 

 

 

「まっ、て・・・・まだ・・・・私、・・・・」

 

 

 

 

遠ざかる背中を見つめながら、その声はハッキリと聞こえた。

 

 

 

 

 

 

「忘れないことです。アイチさんを助けるか、彼らを助けるかを。オ・ルヴォワール(さようなら)」

 

 

 

それを聞き届けた後、炎によって跡形もなくガイヤールは消えた直後、限界が来て、沈むように意識が薄れていった。

 

 

 

 

「ルナ!!」

 

遠くから聞こえる仲間の声を耳にしながら・・・・

 




次回 LEGION5「先導者とは」




活動報告に新しく記載があります。


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