ONEPIECEの世界で大切なものを (与麻奴良 カクヤ)
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本編
1 「1ページ目 愚俱絵阿須が殺されるまで」


「・・・それでは、創めるか!」


「君、明日から来なくていいから。」

 

 バイトの終わりに告げられた解雇の言葉に私の頭が真っ白になった。

 

 

 私の名前は愚俱絵阿須(ぐぐえあす)普通の高校より少し偏差値が低い私立高校に通う女子高生だ、趣味は読書で本を読んでいるだけが幸せだった。

私は、漫画、児童書、ライトノベル、など色んな種類の本を読んでいて、毎月何かしらの本が発売するため、お金が必要だった。

私は昔から本の事以外のことになると恐ろしく記憶力がなく何も出来なかった。

やっとのことで高校に受かってバイトを始めてちょっと続いていて、いけると思ったらこのざまだ。

なぜ、私がバイトをしないといけないか、本当はそんなことやりたくない、だけどそれしかお金が手に入る手段がないから。

私の家は同学年の家と違う事があり例えば、

パソコンがあるけど使ってはいけなかったり、

学校や部活動以外の出かけは五時までだし、

コンビニでお菓子やジュースを買うのも禁止、

ケータイも必要ないと言われ、

家にいると「勉強、勉強」うるさい、あっ これはどこの家でもあるか、

そしてなにより私は生まれてから一度もお祝い事以外におこづかいと言うものを貰った事が一切なかった。

そんな中バイトを辞めさせられた今となっては、もう本が買えない。

 

 

 

~帰り道~

 

 あの後どう返事をしたのか覚えていない、「はい」とでも答えて歩き出したんだと思う、気がついたら帰り道の誰もいない橋の上にいた。

そこで私はボロボロと泣きじゃくった、もう新しい本が買えない、そう思うと急に死にたくなった。

でも自殺は、嫌だった、そんなの怖くてできっこないだから      

    

 

          私を誰か殺して     

 

 

そうした願いが通じたのか急に胸に痛みがはしった、左側ちょうど心臓のところだ。

さらに追い打ちをかけるように背中をポンと押された。

普通の状態なら何ともないが私は刺されていた為それで十分だった。

私は橋から落ちた。落ちる中、私の気持ちは感謝でいっぱいだった

 

    私を殺してくれてありがとう。

 

 一つ心残りがあるとすれば連載中の本の続きが気になるなぁ、ある有名なセリフをパクリながら、落ちた橋が小さく見ていた。

次の瞬間、私の意識が遠のいていった。

 

 

 

こうして愚俱絵阿須は死んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

~橋の上~

 

 

 「何だったんださっき殺した奴、せっかく殺したのに「きゃぁぁぁーーー」とか言わずによ、笑っていやがった、気になったから頭の中覗いたら「私を殺してくれてありがとう。」だとよ ちっ 自殺願望者だったのかよ ああぁぁぁなんかイラつく結局あのじじの為になっちまったじゃあねえか。しかたねぇもう一度人さがさねぇとな」

 

 阿須を殺した犯人は音もなく消えてしまう。



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2 「2ページ目 私が死んでから転生まで」

目を開けると、いや目を開けるという表現は違う、なぜなら体がないから意識が目覚めると表した方があっている。

周りを見渡すとそこに映る光景は、真っ白、360度見渡しても白である。

唯一変わった事といえば変な爺さんがいるだけだ

「ちょっと待ってぇい、変な爺さんはないじゃろ 変は!」

心の声が聞こえた!もしかして神様ですか?

「そうじゃ、話が早くて助かるのう」

ということは、ここは死後の世界?

「おぉそれもわかるのか、じゃったら儂がおぬしの前におる訳はどうじゃ?」

ここが死後の世界で神様がいるということは最近流行っている小説によくある『転生』をさせてくれるんですか?

「正解じゃ すまんかったのう死神のバカがおぬしを殺してしもうてのう、それに対する謝罪として『転生』じゃ」

そんなことはないです。

私死にたくて、死神さんが私を殺してくれて良かったです。

しかも『転生』もできるなんてこんなに素晴らしい事ないです。

「『転生』が素晴らしいなんてよほど生前の生活が嫌じゃったようじゃな、喜んでくれてなによりじゃ」

神様、私王族に生まれ変わりたいです。

「王族に生まれ変わってなにがしたいのじゃ?」

それは勿論、権力を使って…

「世界征服とかかのう」

本を読みつくしたいんです!!!

「ダメじゃならんは、それじゃと儂が見ようて面白くないじゃろうが」

もしかして神様、私を『転生』させるのって神様が私の『転生』先の人生を見て楽しむためなんですか?

謝罪じゃなかったのですか?

「そんなの建前じゃ」

神様ってなんでそんなにわがままなの あぁ聞こえてるんだった

「もう怒ったぞい、おぬしの要望を叶えるが少しばかり運命をいじらしてもらうぞい」

本が読めて王族やめなかったらもうなんでもいいし

「交渉成功のようじゃのうそれじゃあ転生を始めるぞい」

神がそう言うと死んだ時のように意識が離れて行く。

「あっ言い忘れてたおったが転生先は『ワンピース』の世界じゃ」

神様が最後に言った言葉は私に届くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度こそ、目を開けると私は寝かされていて、大きな人がいた、ちょ ちょと待ってよ、私の身長は157cmで平均値なのにその私の目から見て大きいって、どんだけ大きな人間なの!?

とりあえず立って見ようとするが立てない、なんで?声を出そうとするが……出なかった。

いや、出るには出るんだけど「あうぅ」としかでなかった。

少し考えて見る、確か最近はまった転生物の小説で転生直後の様子にピッタリなんだけど!!

でもそれなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日が経ったいくらなんでも、もう否定できない、始めから気がついていたけどそう思はないようにしていたが何時までもウジウジしている訳はいかない

「さあ、ソフィーご飯の時間ですよ」

そう言われ私は母乳を飲まされる。

 

そう私は赤ちゃんに生まれ変わったのだ!最悪だよも~

 

 



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3 「3ページ目 王族での生活」

 私は神様にリクエストした通りに王族に生まれ変わってから10年の年月が経った。

 

 

 

私の一日はメイドさんに起こされるところから始まる、というか起こされるまで起きられない (一度、本の続きが気になって早くから起きていたら怒られた)王族って以外とめんどくさい。

そして起こされたら着替えさせられる、そう着替えさせられるのだ。

始めは小さいからだと思っていたがどうやら自分の思っていた王族とは違うようだ。

私の生まれた家、ツァーリ家は小さな島(と言っても北海道ぐらいの広さはある)を統一する王家で国民の信頼性はほどほどにある。

この家では、服を着替えさせられるのも、身の回りのことも、物を持つのも、お風呂で体を洗うのも、自分が絶対にしないといけない事以外は全て使用人の仕事なのだ。

私には二人の専用の使用人がいる。

私が女の子(性別転換しなくてよかった~)なので使用人も二人とも女性なのでメイドさんだ。

華やかな服に着替えた私は、ベテランのおばあちゃんメイド、アゲスを連れ朝食の為食堂へ向かう。

食堂に着くと三人の家族が席についていた。

「おはようございます。少し遅れました。」

そう言い決められた席に着くと

「ああぁ~ 私の天使ソフィーちゃん、少し遅いから心配したのよ」

初めに反応したのがウェリ・ツァーリ私のお母さんだ少しばかり親ばかなところがある。現在の王妃だ。

「遅いぞソフィア、父上と母上を待たせるな。」

次に反応したのは、第一王子のイジュン・ツァーリ、私のお兄さんだ。

私の一つ上でこの年から王子の自覚があり、頭が少し堅い。

「そう怒るな、イジュン ソフィア 気にすることはない」

イジュンに怒られた私に気にするな、と言うのは現国王である。

ヘヴァン・ツァーリ、私のお父さんだ。

私が早く本が読みたくて、歩くことやしゃべりだすのも、文字を読み書きできる様になったのも一般的よりかなり早くから出来た事により私に期待している。(期待していると言うのも次期王女として)

しかもこのカラダは記憶力よく頭の回転がよく運動以外はハイスペックで何でもできてしまう。

これにより私は、天才を演じないといけなくキツイ、まぁある程度の自由が認められているのだが……図書室に引きこもりたい。

「むぅぅ おはよ くぅーーーZzzz」

最後にメイドさんにせかされ入ってき椅子に座りまた寝たのがセア・ツァーリ、私の三つ上のお姉さんだ。

前の世界だったら家でダラダラとゲームをしたり漫画を読んだりしてポテチを食べていそうな性格なお姉さんだ。

私はこんな個性豊かな王家の末っ子、ソフィア・ツァーリとして暮らしている。

全員が揃い朝食を食べ終わると私とお兄さんとお姉さんは勉強時間だ。

勉強部屋に移動し先生が帝王学、経済学、法学、兵法、歴史、地理、数学、語学など王になるための知識を詰め込まれる。

ここでの内容は語学と数学は前世でやっているので難なくクリア、経済学、法学、は教科書や参考書を読むのと前世の知識でクリア、帝王学と兵法は前世では学べなかったので本が読めて新しい知識が増え楽しくクリア、歴史と地理はこの世界にしかないことなので特に勉強してクリアと言うことで今年ノルマは終わったのでそれぞれの分野を少しずつ来年のノルマをこなしている。

私はいいとしてイジュンとセアはどうだろうか

イジュンは悪くないのだけど私がハイスペックなので私より少し遅れている。

こっちはいいとして問題はセアだ、まるでやる気がない内容は全部まだ初歩で机に頬杖ついて寝ていて先生を困らせている。

まぁ私に関係ないことだ、ここで勉強をし始めて一つ驚くべき事に気が付いた私は前世で大人気のマンガ『ワンピース』の世界に転生している事だ。

初めは似たような世界かな~と思っていたが偉大なる航路(グランド・ライン)とか天竜人などが地理と歴史に出てきて否定できなくなった。

まぁ私には関係ないはずだ。

お昼まで勉強すると各自お昼ご飯をとると私には夜まで自由時間だ。

やっとこの時間がやってきた、勿論図書室にこっもて本を読みあさる、勉強時間は参考書などを読むがこの時間は文学本や童話、冒険記など物語を読む。

これだよ、これ、私はこの時間の為に真面目にやっている。

幸福な時間と言うのもすぐに終わる。夜になると朝食と同じように家族全員で食事をとる。

ここでお父さんが最近はどうだ?とか聞いてくる。

夕食が終わるとお風呂に入らされ体を洗わせられて部屋に戻りベッドに入らされる。

これで私の一日が終わる。

 

 

 

 

 

 

しかし幸せな生活は突然に壊れていく

 「海賊だ~~!!海賊がきたぞ~~~~~!!!!」

死亡フラグきちゃったよ 神様のイジワル さてどうしようか?

 

 

 



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4 「4ページ目 ソフィアからアスになるまで」

「海賊が襲撃してきた」そう報告されたのは城のみなが寝静まったころだ。

 この国の王都は海に近い所にあり襲撃を受けたらすぐにお城に着かれてしまう。

しかも数人の見張りしかいない夜中だ。瞬く間にお城に到達されてしまった。

この島には海軍基地がなく国軍が国の防衛にあたる、普通の海賊なら難なく撃退させる彼らだが今は夜中で海賊側にかなりの実力者がいるようですぐに全滅し私達がいる部屋へはいってくる。

「私が時間を稼ぐウェリは早く子供達を連れていけ!」

お父さんがそう言い剣を持ち海賊と対峙する。

お母さんが私達の手を取り走り出すが脚を撃たれ転んでしまう。

私は逃げなきゃ殺されると思い、見捨てて走り続ける。

10年間良くして貰ったがそれだけの事どうせこの私じゃ助けることなど不可能なことだ。

私はまだこの世界で本が読みたいんだ。

部屋から出る直前に一瞬後ろを振り返ると目に映ったのは、背中から刺され息絶えたお母さんと正面から斜めに切られ崩れ落ちるお父さんの姿が見えた。

お父さんがソフィアとつぶやいた気がしたが私は立ち止まらない。

私は走る 走るこれまでにない程のスピードで走り続ける。

気がついたら図書室の前に来ていた、外に出なければならないのに何故か図書室に入った。

 

 

 

 

どのくらいの時間が経ったのだろうか、とうとうこの部屋に海賊が入ってきた。

「クソ!あと一人はどこだ?」

海賊は確かにそう言った。 ということは私以外は全員死んだのだ。

「おらぁ 出てきやがれ」

海賊達が怒鳴る声と何かが倒れる音や破かれる音が聞こえた。

その瞬間私の何かが切れた、そして海賊達の前に出ていった。

 

 

 

それからのことは覚えていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目覚めると知らない天井が見えた ここはどこだろう確かに海賊が攻めてきて あれどうなったのだろう?

あれこれ思い出そうとすると一人の男性がはいってきて私が目覚めていることに気がつくとすぐに出ていった。

確かあの服装、海軍のものだった。

ということは少しばかり揺れているし海軍の船と言うことになる。

なら海賊達はすでに捕まって私は海軍に保護されていることになる。

突然ノックが聞こえ

「入るぞ」

と言われ私の返事を待たずにドアが開き一人のおじいちゃん海兵が入ってきベッドの近くの椅子に座る。私も体を起こし向き合うとおじいちゃん海兵隊が話かけてきた。

「お前さん名前は?」

「名前を聞くなら聞く方から名乗るのが礼儀でしょ。」

もう猫を被る必要がなく興味がないので冷たい声になってしまう。

「おぉ すまんのうワシは海軍本部中将ガープじゃ」

うん知ってる遂にきたよ原作キャラ、一生関わらず生きていくことだと思っていたが神様のせいだな絶対に…ともかく名乗られたのだから仕方なく答えた

「アス それが私の名前よ」

この世界の名ではなく前世の名で 何となくそっちの方がいいとおもったからだ。

「そうかアスか…アス家族はどうした?」

「全員殺された。」

「そうか、それは辛かったのぉ どうじゃワシの孫にならんか?」

きたよ孫にならないか発言、どうせここで断っても神様のせいで狂うのだから断らない。

「好きにすれば」

もうどうにでもなれ、どんなことがあっても本を読み続けてやる

はぁ~ これからどうなるの~ 私は?

 



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5 「5ページ目 おじいちゃん海兵から見たアス」

 パトロール中、フィアンスィーが海賊による襲撃を受けて崩壊に陥っていると連絡が本部から来てセンゴクの奴がお前が近いから行けと言われ向かっておる途中じゃ。

フィアンスィーはグランド・ラインの後半の海 新世界に位置する国で現在ツァーリ家が統一している国じゃ。

フィアンスィーを襲っているのは懸賞金四億五千万の『王族殺しのワイク』奴は名前の通り4つの軍事力が小さい国の王族を皆殺しにし、国を崩壊させている海賊団じゃ。

正直ゆうて逃げ足も速く捕まえるのは諦めかけているのだが何故か海賊達がお城から出てこないとの事じゃどうしたものか?

 

 

 

 

 

フィアンスィーに着くと報告通り海賊船がまだある。

これは城で何があったのじゃろう 早く城にむかわねば!

ワシは一人で城へ向かう 部隊編成なんか待っておるものか!

 

 

 

 

 

城に着くと不気味なほど静かでそこら中に海賊以外の死体がゴロゴロしておるが肝心の海賊がおらんが見聞色の覇気で一人の生きている人間を見つけてそちらの方向に向かう。

人間に近づくにつれ狂った笑い声が聞こえてくる。

「アッハハハハハ~~~~~~~~~~~~~~~」

ドアを開けると一人の少女と死体の山がおった。

死体の山は皆海賊で手や足、体の色んな所が引き千切れたり、変な方向に曲がったり、潰されておった。

この状況を作りだした少女は10歳くらいでエースより少し年上であり、目は赤く染まり大きく開かれており、白銀の腰まである長い髪は返り血に染まっておる。

理性を失っているようじゃ。

ケタケタと笑い狂っておった少女はワシを見つけると「オマエモ コワスノカ」と呟き、すざましいスピードで向かってくる。

それでもワシに反応出来ないことはない、武装色の覇気で受け止めるとのもすごい衝撃がきおった。

物凄く強い攻撃じゃった。ワシの武装色のガードを崩すとは、今度はワシが殴ると眼つきが強くなり

ドクンッ!!

空気が震え、ビリビリとした感触が伝わってくる。

これは、覇王色の覇気!こんな少女が嫌、持っておってもおかしくないほどの殺気、次の攻撃に身が得るが攻撃はこなんだ。

少女は力尽きるたのか、体力がなくなって助かったのう。

あのまま戦い続けたらワシは負けておったかもしれんがともかく本部に連れてかえらんとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今ワシは様子を見に行かせた部下から起きている、と報告を受け少女がおる部屋へ向かう途中じゃ。

部屋の前に着くとワシはノックをすると同時にドアを開け部屋の中に入る。

部屋に入ると少女は仰向けでいた、ワシが椅子に座ると少女は体を起こした。

少女の目は初めに会った時と違い、普通の目じゃ とりあえずワシは少女と話をした。

少女の名はアス、そうとしか教えてくれんかった。

何とも家族は全員殺された様じゃ、そこでワシが面倒を見てやると言うと好きにすればと答えた。

ワシはこれを肯定ととらえ面倒を見てやることにした。

今度休暇でフーシャ村に訪れる時にルフィと一緒にダダンの所に預けようかのう

まずはセンゴクの所にいかねばならんな。

 

 

 

 

 

海軍本部へと船は進む

 

 



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6 「6ページ目 大仏視点のアス」

 私は今、フィアンスィーで起きた一件をガープから聞いている。

なんとあの『王族殺しのワイク』を一人の少女が全滅させたというのだ。

少女の名前はアスと言うらしい。

アスは初め理性を失っていてガープに攻撃をして、もう少しでやられたかもしれんと言うのだ。

海軍本部の中将が10歳そこらの少女に負けそうになるとは、しかも覇王色の覇気を持っているらしい、出来れば海軍(うち)に欲しいものだ。

 

「家族が全員殺された様なんでワシが面倒を見てやるんじゃ」

 

ガープの奴がとんでもない発言をした。

ガープが面倒を見ると言うのもとんでもない事なのだが

 

「ガープ、今家族が全員殺されたと言ったな!」

「そうじゃが、なんじゃおかき食うか?」

「貴様、城にいて家族が全員殺されたとなれば彼女が王族だと言う可能性を考えなかったのか?」

「そんなもんワシに分かるか!」

 

少し考えてほしいもんだ

 

「おい、ガープ、アスを連れてこい聞きたい事がある」

「分かったわい アス入ってこい」

 

ドアの前まで連れて来たのかガープにしてには準備が良いな、今の会話聞かれてないだろな?

 

「失礼します。」

 

ノックと断りの言葉を述べ部屋に入って来たのはこの年で可愛いと言うより綺麗と言う顔立ちで不機嫌そうに腰まである白銀の髪を揺らし歩く少女だった。

 

「何の用ですか?」

「お前がアスか? ファーストネームは?」

「その質問に答えるつもりはない」

「しかしだな…まぁいいそれよりも海軍に入らないか?」

「体を動かす事が苦手なんです。書類仕事だけの為に入れというんですか?」

「なに! では、どうやって海賊を殺したり、ガープと渡りあったのだ?」

「どう?と言われても気が付いた海軍の船にいたんですけど」

 

どういうことだ、まさか二重人格なのか?しかしそうでなければ説明が付かない

 

「そう言えば、ワシに攻撃する前に『お前も壊すのか?』と呟いておったのう」

「なに! アスどうだ?」

「さあ?」

 

アスも心当たりがないようだ。

 

「ならば二重人格だな、取り敢えず海軍に入ることは考えていてくれ。それと別人格でもお前が海賊を殺したんだ、賞金は渡そう。」

「そうですか…そう言えばドンキホーテファミリーから手を引いた方が良いですよ、悲しい出来事が起こります。…では」

 

ドンキホーテファミリーから手を引いた方が良いだと!?悲しい事とはなんだ?何故このことを知っているのだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直後一人の海兵が「少し任務を離れます……!」と電伝虫がかかり、半年後亡くなり悲しむのはまた別の話し

 



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7 「7ページ目 海軍本部での私」

 私は今ある部屋の前にいる。

センゴク大将の部屋だ。

センゴクさんまだ大将なんだな~たしか半年前ぐらい前にフィッシャー・タイガーが聖地マリージョアで奴隷解放したってニュースが新聞に載ってたから………原作開始12年前か、この年ってコラさんがローを助けてファミリーを抜け出す年じゃなかったけ?

ちょっと大きな原作崩壊できるかどうか試してみよっと。

 

「貴様、城にいて家族が全員殺されたとなれば彼女が王族だと言う可能性を考えなかったのか?」

 

センゴクさんの怒鳴り声が聞こえてきた。

王族だとばれたようだ。

まぁ否定もしなければ肯定もしないでおこう、何かあった時の為にね。

 

「分かったわい アス入ってこい」

 

はぁー何聞かれるのだろうか、早く本が読みたいなー

 

 

 

 

 

名前を聞かれたけどツァーリの名前は教えなかった、多分私が王族だと気が付いていると思う。

だけど何も言ってもこなかった。

しっかし私って二重人格みたいなものらしい、出てくる原因はたぶん本関係だと思うが秘密にしておいた。

神様が勝手に付けた特典かなぁ?だとしたら面倒な物だ。

いや、本を乱暴に扱う奴は死ねって思うけどね。

でも別人格さんのせいで海軍に目を付けられたのは痛手だなぁ だってガープさんだよ!絶対に「将来は強い海兵になるんじゃ」とか絶対に言うって海兵とかぜ~~~~ったいにイヤ、ダダンさんの所に行ったら海賊にはなりたくないけど普通に暮して本を読み暮してやる!

…海軍にある本も気になるけど……ダダンさんの所に行くまでに読み尽くしてやる!

そうと決まると早速ガープさんに図書室の場所を聞いてみる。

 

「図書室に行きたいわ」

「おぉそうか図書室に行きたいか…はて何処じゃったかの」

「もういいわ、あてにならないのね」

「まままま待つんじゃアス おいお前さん今すぐ図書室に案内するんじゃ」

「はっ 分かりました」

「アス、じいちゃんについて来るんじゃ」

 

ガープさん図書室の場所知らないなんて!まあガープさんが本なんて読むわけないしね というかすぐさま部下に案内させるなんてよほど私に嫌われたくないんだね。

 

「着きました」

「ご苦労 仕事に戻れ アスここが図書室じゃ」

「そう じゃあ閉館まで居るから仕事に戻って」

「そうかじゃったらその頃に迎えにくるわい」

 

ふぅー やっと着いた海軍の図書室 邪魔者も追い払ったしさぁてどんな本があるのかなあ楽しみ楽しみ早速見て回ろうっと

ふむふむ 世界の歴史や地理などはお城で読んだりしたことがあるのばかりであとは六式と覇気に関する物ばかりだ 

この種類の本は読んだ事がないのでワクワクする。

小説はなかったが海軍を離れるまではその辺の本を読みあさる事になりそうだ

 



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8 「8ページ目 コルボ山へ」

海軍本部にいたこの2年間はずっと図書室に通い続けた。

ガープさんに「遠征に行かんか」と強引に誘われたり、センゴクさんに「海軍学校に入らないか?」とか色々言われたけど全部断った。

それと図書室に行く時に時々原作キャラにあった。

仕事をサボろうとしているクザンさんとか…

図書室にいると海軍学校の生徒がたくさんやってくる。

みんな必死に勉強していたり、私の近くにやって来て話しかけてくる人達もいたがテキトーに答えたり流したりした。

読書の邪魔しないでよね!

そんなことがありながらも2年たち12歳になった頃、ガープさんに休暇がやって来た

 

「アス ワシの孫のルフィがおるフーシャ村に行くんじゃが、お前も来い。」

「なんで?」

「ワシの知り合いの所に預けるんじゃ お前さんが来て2年間は休暇が取れんかったからここにおったがワシも忙しいからの」

「支度するわ」

 

やっときたよ、コルボ山、ダダンさん、エース、ルフィ、楽しみだなー。

興味がある本は読み終わり、退屈になってきた所だったんだよ。

さて、支度と言っても荷物がほとんどないんだよね。

お金でしょ、お気に入りの小説に服を数着でいっか。

海賊の賞金はほとんどガープさんに預けている。

だって五億近くも持っていけれないからね。

足りなくなったら持ってきてもらったらいいし。

そんなことで準備完了、本当に楽しみだな。

 

 

 

 

 

数週間後、私はフーシャ村にやって来た。

 

「ガープさんが帰ってきた」

「休暇ですか?」

「後ろにいる綺麗なお嬢ちゃんはだれだ?」

「ガープさんに拾われたのか」

 

なんだか物凄く視線を感じるんだけどやめて欲しい

ガープさんについて行くと酒場に入った。

 

「ルフィはおるか」

「げっ じいちゃん」

「元気にやっておるじゃの」

「ガープ…」

「なんじゃ村長」

「ルフィが悪魔の実を食べたぞ」

「うん じいちゃんオレ海賊王になる」

「なんじゃと!もう怒ったわいルフィ来い」

「いっちゃった あらあなたは?」

「アス、あの人に保護されているの もう行くわ」

 

はー緊張したマキノさんに話しかけられるなんて、それよりも早く追いかけないと道が分からないじゃない。

追い付いたらルフィはほっぺたを捕まれて運ばれていた、

 

「私の事忘れてない?」

「誰だ?」

「おぉアスこいつがルフィじゃ」

「知ってるわ」

「なーじいちゃんこいつ誰だ?」

「こいつはアス、ワシが面倒を見てやっておる、これからお前と一緒に暮らすんじゃ」

「そうか よろしくな」

「よろしく」

「なに読んでんだ?」

「あなたには分からないわ」

 

そう私、今本を読みながら歩いている。

危険じゃないか?って大丈夫問題ないこんなこと前世でもやっていたからね

さて着いたようだ本を読むのをやめよう。

 

 

 



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9 「9ページ目 下町に行こう」

「ダダン!! 出てこい!!」

 

開いたドアから出て来たのはダダンさんだ!ダダンさんって意外といい人なんだよね。

ここら辺は原作どうりガープさんがダダンさんを脅して私とルフィを育てるように言って、

 

「どうせ怪物なんだろ!?あのガキも小娘も!!」

 

私、今怪物呼ばわれされたよ、怪物じゃないのに酷いなガープさんが保護者ってだけで。

あっエースが帰ってきた、十歳であんなに大きな野牛を獲ってこれるなんて、私なんてあと十年経っても出来る気がしないよ

 

「あいつがエースじゃ歳はルフィより3つ上、アスより2つ下、今日からこいつらと一緒に暮らすんじゃ仲良うせい!」

「う!!」

「………」

「分かったわ」

 

 

 

 

 

 ガープさんが帰ってから私達はご飯を食べている。

ダダンさんから仕事と保証をもらった、掃除・洗濯・クツ磨き・武器磨き・窃盗・略奪・サギ人殺しと言ったお仕事に1日に一回の茶碗一杯の米とコップ一杯の水と言う保証だった。

うん、知っていたけどこれは過酷だね。

食料をどうにかして手に入れないとね。

山で獲るのは無理だし、やっぱ持ってきたお金で買うしかないか…本を買う資金がぁー

あ、ルフィがエースを追いかけて行った。

さて、こっちも行動開始

 

「ダダンさん」

「何だい?お前も追いかけて行くのか?」

「いいえ、仕事はするわ、住ませて貰うもの けど窃盗・略奪・サギ人殺しはしないわ 捕まりたくないの それと誰か町への道を案内して」

「町になんか行って何する気だい?」

「食料と本を買うのよ」

「買うって言ったってお金はどうするんだい?」

「お金はあるわ そうね、今あるのは1000万ぐらいかしら」

「な なんでそんな大金なんか持ってるんだい?」

「たまたま殺した海賊が賞金首だったのよ」

「分かったよ、ドグラ!!案内してやれ」

「分かったニューお頭」

「ありがと 帰ったら仕事するわ」

 

 

 

 

 

そして辛い山道を歩いてついに私は『ゴア王国』下町についた。

ほんっと疲れた、早く本屋さんに言ってこの疲れを癒さないと

 

「ここにゅーは貴族がおるかもしれからきーつけろよ」

「大丈夫よ もしからまれても権力でねじ伏せるから」

「権力ってゆーて…」

「じゃあ帰っていいわよ」

 

こうして私は自由を手に入れて下町の本屋さんを満喫するのだった。

 

 

 

 

 

日が暮れる少し前、買ったばかりの本を読みながら山道を帰っていると木の上にいるエースとサボを見つけた。

海賊貯金でもしまっているんだろう。

じっと見つめていると気が付かれた。

そして木に縄で縛り付けられた。

え なんでなの!?

 



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10 「10ページ目 私とエースとサボ」

 前回までのあらすじ、ダダンさんの所に預けられた→下町に行った→本屋さんで癒された→本を読みながら帰っていた→エースとサボを見つけた→捕まった

と言う訳で木に縄で縛られているソフィアことアスです。

なんで!ただ海賊貯金をしまっているのを見ていただけなのに見たらダメだったの?

あ 荷物が転がっている。

 

あぁどうしよう早く綺麗に直さないと

 

「ねえ早く縄をほどいて!」

「なあエース、こいつが今日来たって言ってた女か?」

「ああそうだ なんでこんな所にいる。しかも海賊貯金を見られた」

「ねえ無視しないでよ」

「おい、お前なんで見ていた」

「何でも良いでしょ早く縄を解いてよ!!」

「分かったから落ち着けって  ほらほどいたから」

 

はっ 本は無事?確認しなきゃ。

袋に入れていた本は大丈夫、読んでいた本は……良かった~少し汚れたけど目立ったキズはない もし付いてたら弁償して貰わないとね、一冊プラスで

そのまま帰ろうとすると肩を掴まれた。

なに?

 

「まだ話は終わってねぇ なに帰ろうとしてんだ?」

「しゃべらないからそれにあなた達が何をしていようと興味ないわ」

「信用できねぇ」

「信用してもらうしかないわ」

「それが出来ねぇって言ってんだよ サボ何かいい案はねぇか?」

「監視すればいいんじゃねぇか」

「監視?」

「そう こいつを俺たちの見える所に置くんだ」

「ちょ ちょと待ってよそれzy………あなた達の近くにいれば何しても良いのね?」

「ああ 海賊貯金の事を言わなければな エースもいいだろ?」

「サボが良いと思うならいいんじゃねぇか」

「その話乗ったわ」

「乗ったってなんか利用されているみたいだな」

「そうよ 利用しているのあなた達の近くにいないといけない状態だと私は得するの」

「そうか よしじゃあこれから一緒にいることになるんだから名前は知ってた方がいい おれはサボ、こいつはエースだ」

「私の名前はアス、アス・ツァーリよ」

「!!?  そ そうかよろしく」

 

 

 

 

 

それから私は毎日エースと不確かな物の終着駅(グレイ・ターミナル)に行った

正直言ってヤバイほど疲れた

だって普通の道ですらキツイのにエースは危険な道ばっか通る

しかも待ってくれないし、追いかける方の身にもなってよね

これでもこの後数時間も本が読めるのが救いだ

サボとは直ぐに和解したけどエースの方はまだ疑っているようだ

一週間後の夜、ルフィが帰って来た

本当にどんな生命力してるんだろうか

次の日の朝、私とエースがいつものようにサボの所に行こうとするとルフィが声をかけてきた

 

「今日もどっか行くのか!?エース!! あれアスも一緒か!? おれも連れてってくれよ友達になろう!!」

「なにか言ってるわよ?」

「聞こえねぇ 行くぞアス!!」

 

一緒に居始めてから一週間、やっとエースに名前を呼んでもらえた

 



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11 「11ページ目 遂に見つかった!」

 エースに名前を呼ばれる様になってから3か月は経った。

エースとサボにはもう監視をされていないって言うか仲良くなった。

そうなったのは予定外だけど楽しいからいいや、それと毎日グレイ・ターミナルに通っていると始めの頃は物凄く大変だったけど今ではエースに楽々付いて行けるまでになった。

やらないだけでちゃんと毎日続けると出来るじゃん 私、まぁ別人格さんがこの体で凄いことをしたのだから元々運動スペックがないって訳じゃなかったんだね。

 

 

 

今日もいつものように海賊貯金を隠している木の上で本を読んでいるとサボが来た。

今日はもう町でお金を奪って来た様だ

「おはよ、もう仕事してきたんだ?」

「おはようアス、あれエースは?」

「もう少ししたら来ると思うわ」

「そうか、なら先にしまわないとな。誰かに見られたら厄介になる」

「そうね、皆が皆私みたいに上手く行く訳じゃないものね」

会話が終わると私は読書にサボはお金の片付けに戻る。

サボがお金をしまい終わった頃にエースがやって来た。

 

 

 

エースはこれまでで一番の金額になる大金を持って来た。

どうやら大門のそばでチンピラから奪ってやったらしい、あれこのシチュレーションってまさか!?

「海賊船 お前ら海賊になるのか!?」

あ 見つかった。さてこれからどうしようかな。

私が関わってルフィと仲良くならないっと言った原作崩壊だけは絶対にさけないとね

「え~~~~~~~~っ!!?」

うるさっ 耳が痛くなる!エースとサボがもめているどっちも人を殺した事がないからどっちもビビってる。こうなったら

「私が殺るわ ナイフない?」

「助けてくれ~~~!!!」

この言葉が決め手だった様でルフィがまた一段と大声で喚いた。

もちろんだが嘘だよ!主人公を殺す事なんてしないよ。

私達はここから離れる事になった。

エースが「お前のせいだぞ」と責めてきた。

本当すいません つい言ってしまったんです。本当に殺るつもりではなかったんです。

 

 

 

ルフィの大声を聞いてやって来たのはブルージャム海賊団の船員ポルシェーミ 良かった原作どおりだ。

(戦って敗けた奴は生きたまま“頭の皮”を剥がされるんだ……!!)

なにそれ知ってたけど改めて聞くと凄く怖いんだけど

あ ルフィが捕まったそして連れて行かれた。

「私は後を追ってみるからあなた達は早く海賊貯金を違う所に移して」

「あぁそうだな」

「アスもしあいつが口を割ったら直ぐに報告してくれ。追ってが来る前に!」

「分かったわ じゃあまた後で」

 

 

 

海賊貯金の移動をエースとサボに任せて私はポルシェーミの後を追って行った。

 



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12 「12ページ目 仲間になった」

 ルフィの見張りをし始めてからかなりの時間が経った。

「おいアスあいつは口を割ったか?」

あ 私がまだ来ないからサボが様子を見に来た。

「まだよ、それよりそっちはもう移動し終えたの?」

「あぁ今エースが運んでいるのが最後だ」

「ならそろそろあの人を助けたほうがいいじゃない?あれだけボロボロになっても秘密を守ろうとしているわよ。つまり私と同じじゃない?」

「エースに話してくる!」

そう言いサボは走り出して行った。

あの様子ならサボはルフィを信用し始めているね。

問題はエースだ。まぁ原作どおりにいくと思うけどね。

 

 

 

サボがエースを連れてやって来た時には本当にギリギリの所だった。

「アス突撃するぞ」

「分かったわ」

 

それから私達は壁を壊して部屋の中に入った。

すぐにエースがポルシェーミに捕まるがサボが後ろからポルシェーミの頭を鉄パイプで殴りエースを助ける。

私はその間に護身用のナイフでルフィを吊るしていた縄を切って落とす。

サボがルフィを抱きかかえて逃げようとエースに呼び掛けるがエースは

「一度向き合ったらおれは逃げない……!!!」

きた~~名言いただきました。

サボがエースを止めようとするがポルシェーミはエースを襲う

「お前ちょっと待ってろ!アス行くぞ!」

え 私も行くの?

こうして私とエース、サボはポルシェーミと戦いを繰り広げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、ほとんどエースとサボがやった。だって人と戦闘をしたのってこれが初めてなんだからしょうがないや。

エースとサボが獣を狩る時も全部本を読んでいたしね。

それに別人格さんがでて来たら大変だし、結果私は役立たずだった。

 

 

 

役立たずだった私は三人のキズを治療した。

治療っていうほどでもないけど本で読んだ通りに止血して包帯を巻いただけだけど。

治療が終わると私は読書をする。

 

 

 

読書していると不意に声を掛けられた。

「なぁアスはどう思う?」

「いいんじゃない?」

「お前聞いてなかったろ?」

サボは私が適当に答えたのはおみとおしだったようだ。謝っておく

「ごめんなさい、でなに?」

「あいつの事どう思う」

「ならさっきと同じよルフィはあれだけやられても秘密をしゃべらなかったのだから仲間に入れても大丈夫だと思うわ」

そう言うと私は読書にもどる

 

サボはこれから私達の所、つまりダダンさんの所に住むことになるようだ。原作どおりっと

 

それから私達はルフィを加えた4人で海賊貯金の隠し場所まで行き、私はそこで読書に明け暮れた。

 

 

 ある日いつものように隠し場所に行きその日の新聞を読んでいると、あるニュースを見つけた

 



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13 「13ページ目 ばれた」

 私は今、中心街の本屋さんに来ている。

エースとサボ、ルフィはレストランで無銭飲食をしている。

別れたのが一時間前ぐらいだからそろそろだと思い会計を済ませる。

ここに来るのも久々だからざっと30冊ぐらいの本を買ってしまった。

外に出ると騒ぎが起きていた。

「ピッタリ」

「アスか、逃げるぞ」

騒ぎを起こした張本人達は私を見つけると逃げるように促す。

「ほどほどにしときなさいよね」

こんな事はもう慣れてしまった。

慣れないとこっちがやっていけない。

いつものように逃げていると

「サボ!!? サボじゃないか待ちなさい お前生きていたのか? 家にかえるんだ」

サボを呼ぶ声が振り返ると貴族風の服を着た40代のおっさんが叫んでいた。

あれ、あの人ってサボのお父さんだよね。

あれもうこんなに時間が経ったんだ。

帰ったら『兄弟の盃』じゃん、私って入るのかな?

 

 

 

森までくるともう安心『 お は な し 』タイムだ。

っと言ってもエースとルフィが一方的に話せと言ってるんだけどね

サボは観念したように自分は貴族だとばらした。

それに対してエースとルフィは「で?」の一言これにサボは怒鳴る。

「アスはどう思った?」

サボが私の反応が気になるのか聞いてくる。

「…知ってたわ さっきサボを呼び止めたのは父親ね あなたは親に『地位』と『財産』を守って欲しいだけであなたの事はどうでもよかった あなたには両親がいても一人だった、だからあなたはここにいる 違う?」

私は原作知識を披露した。

何でも知ってるキャラになるのも悪くないと思っていたんだよね

よしこれからあまりたくさん披露するつもりはないがそうしよう。

「合ってる…」

「そうだったのか……」

「アスお前おれのこと知っていたしこんな所でなにしたいんだよ!!?」

何がしたい?ってそれはもちろん

「本を読んで平凡に暮らしたいだけよ」

「~~っ 質問を変える!なんでこんな所にいるんだお前は」

まさか

「待ってサボ!」

私の制止を無視してサボは私の身分を言う

「お前はフィアンスィー王国の王女だろ!」

「え?」

「サボの方こそなんで私のこと知ってるの?ガープさんにも言ってないのに」

「一年以上前の新聞でツァーリ家が滅んだと読んだ!その記事にはソフィア第二王女が行方不明だと書かれていた」

えぇーーまさかサボにばれるなんてなんで私サボの前でツァーリなんて名乗ったの!

過去の私のばかぁ

それから私は三人に生まれと事件に合った事を洗いざらい話した。

「アスお前海軍に保護されたのになんで王女にならなかったんだ!?」

 

 



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14 「14ページ目 姉弟の盃」

 「面倒だったのよ、王女だった頃の私は今と違いもっとおしとやかにしないといけないし、何よりも自由時間が半日しかなかった、息苦しかった。私は将来女王になると期待されていたから大人になれば本が読めなくなる。だからあの事件を利用させて貰ったのよ」

 

本当はイジュンに王になってもらって、私は王女の権力を使ってずっと本を読みまくる生活を送ろうとしたけど家族が全員殺されてあのままいれば女王になってしまう。そうなれば本など読む暇などありもしない生活になってしまうだろう。だからここにいる。

 

「黙っててごめんなさいね」

 

「あやまったからゆるす 良いよな! エース!サボ!」

 

「………あぁ」

 

「エース ルフィ アス 俺たちは必ず海に出よう!! この国を飛び出して自由になろう!!!」

 

あ 私も入っていた、なんか嬉しい自然と笑ってしまう

 

それから

 

サボは世界を見て回ってそれを伝える本を書く事

 

エースは勝って勝ちまくって最高の名声を手に入れて大海賊になって見返してやる事

 

私は色んな島を旅して色々な本を読む事

 

そしてルフィは………………………………………………………………

 

 

 

前世ではこのシーンでルフィがどんなセリフを言ったのか色んな考察があったけどあんな事を言ったのか…

 

ここで一つ問題が起きた

 

「でも三人も船長ってマズくねぇか」

 

そう三人も船長になりたいということだ

 

これは原作どおりなんだが…

 

クルリと三人が私の方を向く

 

「なぁアスはおれの船に乗るよな、この中で一番付き合いが長いからな」

 

「いいやおれだよな、本を書くって言うんだから本を読むのが好きなアスとは気があうからな」

 

「おれの船に乗れよぉアス」

 

エース サボ ルフィの順で私に自分の船に乗れと迫ってくる

 

「ちょちょっとまってよ 私は旅をしたいって言ったけど海賊にはなりたくないわよ」

 

私があたふたしているとエースが将来の事はあとで決めようと閉める

 

そして四つの盃とダダンから奪った酒瓶を取り出す

 

「お前ら知ってるか盃を交わすと姉弟になれるんだ」

 

エースがそれぞれの盃にお酒を注ぐ

 

この盃を交わすと私達はどこで何をしていようとこの絆は切れない

 

「これでおれ達は今日から  姉弟だ」

 

「「「おう(うん)」」」

 

初めて飲んだお酒は苦かった

 

きっとこれから起きる運命を表しているかのように

 

それからは色んなことが起きた

 

ルフィが端町のチンピラにやられて鼻から血を流した時にエースが兄としてチンピラをボコしたり

 

食事の争奪戦でダダンさんを怒らしたり

 

つり橋が壊れてルフィが谷底に落ちそうになったのを協力して助けたりした

 



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15 「15ページ目 捕まった」

ある日、マキノさんとフーシャ村の村長さんが来た

 

どうやらガープさんに黙って来たようだ

 

私達に服とお酒を持って来てようだ

 

正直、服をくれるのは助かる

 

私は今13歳、第二次成長期の真っただ中だ

 

最近食事を取る量も多くなってきた(それでも弟達の半分も食べてはない)ので成長も少ししていた

 

服をそろそろ買い直さないといけなくってこんな所で大切な本を買う為のお金使わないといけなかったんだけど

 

マキノさんが持って来てくれたラッキー

 

 

 

 今度はガープさんが休暇でやって来た

 

エース、サボ、ルフィはガープさんにボコボコにされていた

 

私は巻き込まれないようにその日は本を読んでおとなしくしていた

 

ごめんね 三人とも後で治療してあげるから

 

 

 

あとはツリーハウスを作ってダダンさんの所から独立した

 

まぁ私はダダンさんの所で寝泊まりしている

 

女の子だしね

 

 

そんな四人での平凡に暮らしも終わりを迎える

 

 ある日いつものように過ごしているとブルージャム海賊団に襲われる

 

そうかこれでサボとはルフィはドレスローザまでエースは一生の別れなんだ…

 

私達は抵抗したが私一人増えたぐらい原作は崩壊しない

 

私とサボは捕まってしまった

 

なぜに!?

 

「サボとアスを返せよブルージャム」

 

「返せとは意味の分からないことをサボはウチの子だ」

 

親の言うことを聞いて生きるのは義務だとサボのお父さんは言う

 

さらに

 

「アスと言うのは知らないがこの方は行方不明の王女様だぞ」

 

サボのお父さんは新聞で私の写真を見ていてサボと一緒にいるのを見付けてこの機会に捕らえて私を島に送り帰して恩を受けようとしていた

 

「おいサボ、アス振り切れよおれ達なら大丈夫だ!! 一緒に自由になるんだろイヤな生活をおくるのか これで終わるのか!!?」

 

エースが呼んでいる

 

サボは泣いている

 

私は考えた、ここで捕まっても直ぐに船を出す訳にはいかないだろうもうすぐこの国に天竜人が視察にくる

 

機会を伺って逃げればいいだけだ

 

だから私は伝える

 

「エース、ルフィ 少し離れるだけよ直ぐに話を着けてサボと戻ってくるわ だから心配しないで」

 

そして私とサボは連れて行かれた

 

 

 

高町の検問所で私はサボと別れ護衛に連れられてお城に連れて行かれた

 

別れ際に

 

「サボ、直ぐに迎えに行くわだから心配しないで明日の深夜に会いましょう」

 

と小声で伝えた

 

 

 

お城に着くとゴア王国の国王と会見した

 

「無事でなによりだ あのままごみの中にいたら燃える所だったその前に保護出来て助かりましたな一か月後、フィアンスィー王国に送り届けますぞ」

 



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16 「16ページ目 脱出」

 一か月それまでの期間にエースとルフィの所に帰らないといけない最終リミットだ。

 

でも明日の昼には抜け出す。だって直ぐに帰ると約束したから

 

 

 

ゴア国王との会見が終わってから私は客室に案内され、そこで一か月間過ごすように言われた。

 

取り敢えず火事が起きるまでの時間は本を持って来てもらってそれを読んで時間を潰す。

 

 

 

次の日の昼すぎ私は行動を起こす。

 

窓を開けそこから飛び降りる。

一番近くにある屋根に飛び移り屋根をつたって中心街に行く

 

 

 

だいぶ時間がかかった、だって国の警備員に見つからないようにしないといけなかったしエースとルフィ、サボのように慣れてなかったので仕方ないんだ…

 

まぁ取り敢えずサボとの待ち合わせ時間までまだまだ先だが中心街に来た理由はこの後の火事で全身に火傷を負うダダンさんの為に包帯や薬品を盗む為だ。

 

お金があれば買うのだが今はないので仕方なく拝借する。

 

やっとの事で欲しい物を手に入れる事が出来た時には日がもう沈んだあとだった。

 

早くサボを見つけないと、もう家から飛び出したのだろうか?

 

あてもなくサボを探していると不意に頭の中でサボの声が聞こえてきた。

 

なにこれは?立ち止まって耳をすませていると今度はサボの気配が見えた!!?

 

見聞色の覇気、直ぐに起きたことが理解した、でもなんで使えるようになったのか分からない。

 

もしかしたら別人格さんが教えてくれたのかもしれないが考えている暇はない、直ぐにサボの所に向かう。

 

すぐにサボの所に行けた。見聞色の覇気って凄くべんりー、これって応用し本の場所とか分かるようにならないなぁ

 

「アス、大変だ!!グレイ・ターミナルで火事が起きる。しかもその火事の犯人は王族と貴族なんだ、早くエースとルフィに知らせないと」

 

「落ち着いてサボ、火事のことは知ってるわ、国王が言ってからそれにもう手遅れよ」

 

そう言ってグレイ・ターミナルの方を向いた

 

「クソー 急げ!」

 

サボはすぐさま走り出した。………私は後を追いかけて行かなかった。

 

だってサボに付いて行っても外に出られないし、更に連れ戻されるだけだしね。

 

端町に着くと私は壁に近い家の屋根に登ると助走を着けて跳んだ。

 

いつもならこんな距離は届かないはずなのに絶対に届くと感じた、だから私はためらいもなく跳んだ。

 

すると壁を通り越して燃えるごみの中に着地した。

 

燃える!急いで炎の中からでなきゃ火傷し…………なかった!?

 

なんで?

 

服の先が少し燃えてていたので今度こそ火傷する覚悟で握って鎮火する。

 

 



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17 「17ページ目 一時的な別れ」

 おかしい、私は火事の中を走り抜けながらそう思ったのは三度目もの異常な体験を思い出していたからだ。

 

一度目は見聞色の覇気、なぜ今になって使えるようになったのかは分からないけどこれは急に開花する事があったはずだ。でもきっかけが分からない。

 

二度目は壁を飛び越したジャンプ、お昼すぎに色んな所を使って逃げ出した時にはこんなにも跳べなかった。

 

三度目は炎に触っても熱いと感じるが火傷をしなかった。

これには思い当たる節がある。

確か武装色の覇気を鍛えると皮膚に見えない鎧をしているみたいになるんだっけ。

 

一気に二つの覇気の発動にいきなりの身体強化、なぜ今になって?

本は関係がないはずだ、関係していたら別人格さんが出てきて私の意識はなくなるはずだから説明が付かない。

 

 

 

あれこれ考えていると見聞色で見えていたエースとダダンさんの所にたどり着いた。

原作どうり中間の森の川縁にいた

「やっと見つけたエース、ルフィは何処?」

「アス逃げてこれたんだな!ルフィは他の奴らと一緒だ。あれサボは一緒じゃないのか?」

「うん ちょっとあってね でも町にいるから無事よ」

「そうか………」

「それとこれ、ダダンさん火傷してるでしょう」

私は拝借した薬品を取り出すが

「絶対に足らないな。」

「まさかここまで酷い状態だと思わなかったわ」

「ブルージャムと戦ったんだ。何とか倒したんだが火に道を塞がれてて何とかここまで来れたんだ。」

「大変だったのね。さて早くダダンさんを回復させないと」

「ああ、そうだな」

 

 

 

それから数日間、私達はダダンさんの命を繋ぐ為に色んな事をした。

そしてダダンさんの容態がまだ動けないけどだいぶ良くなったのでエースが家に運んでいる。

その時私は町にいた。

エースとダダンさんが家に帰る時に話さなければいけない人がいる。

見聞色で見つけてそこに行くと目的の人は船を出す準備をしていた。

「サボ…行くのね」

「あぁ、アスか………悪いけどおれは一足先に海へ出ようと思う。」

「自由をつかめるといいわね」

「じゃあもう行くから…またいつか会おう。手紙を出したけどエースとルフィに伝えておいてくれ。」

「分かったわ12年後にまた会いましょう。」

そう言って私はサボの船を押して海に送り出す。

 

 

 

そしてサボは天竜人の艦の前を横切って砲撃により沈めさせられた。

 

こうなると分かっていたのに……………………………

 

サボは革命軍に助けられるって分かってるのだけど

 

サボを撃ったあいつがにくい

 

 

 

コロシテヤル

 

 

 



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18 「18ページ目 目的決定」

 コロシテヤル

確かにそう聞こえた。

その瞬間、意識が遠のいてくる。ダメ、今意識を離したら別人格さんが出てきて、あの天竜人、たしかジャルマック聖だっけ。その人を確実に殺してしまう。

私はなんとか力を振り絞って人の少ない場所に移動して座り込む。

するとまた声が聞こえてきた。

 ナゼワラワヲツカワナイノジャ アイツガニクイノジャロ?

別人格さんが私に聞いてきた。確かにジャルマック聖が憎い。

 ナラハヤクイシキヲテバナストイイノダ ソウスレバワラワガスベテカタズケヨウ

だからダメ、天竜人に危害を加えたら海軍大将がきちゃう。そうなったら、いくらあなたでも勝てないよ。

 ミクビルナ ソノグライドウッテッコトナイ マエヨリコノカラダハタイリョクモツイタ ソレニヤツラガクルコロニハチキュウノウラガワダ

て言うか何で私、あなたと話せるの?

 ソレハオマエガカナリオコッテイルカラダ

怒っているから、それだけであなたと話せるの?

 フツウハムリダ ダガオマエハイカッテイテナオレイセイダッタカラ ワラワハキレタトキニシカデテコレナイ

切れた時にしか出ない。本は関係なかったんだ。だとしたら私はサボが殺されかけてキレそうだったから。なんとも思っていなかったのに弟達(あいつら)の事を本当に姉弟だと思っていたんだ。

本当の家族が殺された時はなんともなかったのに。エース、サボ、ルフィは私の大切なものになれたんだ。

いつの間にか私は怒りなどなくなっていて泣いていた。

嬉しかった。だって今まで大切な人なんていなかったから、私に初めて出来た大切な人達

別人格さんは消えていた。私の怒りがなくなったからだと思う。どのみちサボは生きているって分かってるから。

でもエースは死んでしまう。それは変えれない…………いや変えて見せるイレギラーな私の存在を利用して。

私はそう決意してエースとルフィが待っている場所に帰るのだった。

 

 

 

それから色んな事があった。

 

エースとルフィの一日百戦の手合わせに参加するようになった。初めの方はルフィには勝ってたけどエースには勝てなかったが段々といい勝負をするようになり数年が経つ頃には勝てるようになった。

それからガープさんが来た時は二人と一緒になって戦ったが見事にやられた。

 

 

 

サボの事件から五年が経ち17歳になった私はコルボ山の海岸にいた。今日が出港日だ。

「じゃあエース、ルフィまたね」

「あぁ俺が海に出た時会ったら仲間に入れよ」

「ああエースずりー、オレの船に入れよアス」

「そうね、考えておくわ」

 

こうして私は故郷フィアンスィーを目指してコルボ山を出たのだ。

 



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19 「19ページ目 海軍本部へ」

 海に出てからまず海軍本部のあるマリンフォードに向かった。

 

私の故郷フィアンスィー王国は新世界に位置する島だ。島に行く為には二つの方法がある。

 

一つ目はリヴァース・マウンテンからログポースでログを辿って行かなければならない。

 

しかしその方法で行くと確実にたどり着く事は無理だと思う、なぜならどこかですれ違ってしまう可能性があるからだ。

 

だから私は確実に行く為にはもう一つの方法、エターナルポースを使って行く事にした。しかし私はフィアンスィー王国のエターナルポースを持っていないし何処で手に入れる事が出来るか知らない。

 

考えた結果、一番高確率で手に入れる事が出来るであろう海軍本部に向かっている。

ガープさんに持って来てもらえたら一番簡単なんだけど、そうしちゃうと絶対に怪しまれると思う。センゴクさんなんか絶対気づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数か月が経ち、私は遂に海軍本部に帰る軍艦に密航する事に成功した。

 

ちなみにこの軍艦の責任者は少将。それ以上の責任者の軍艦だったら見つかった時に逃げ切る事が出来ないと思ったからだ。

 

いや、中将や大将の化け物とかまだ無理!

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして密航する事週間後、海軍本部に到着した。

 

さて、ここからが大変だ。

 

まず、7年前に住んでいた記憶を頼りにエターナルポースがしまってある保管庫に気配を消して向かう。

 

特に何もないまま保管庫にたどり着く事が出来た。

 

意外と警備がなってないね。保管庫に入る。そこは辺り一面の棚に色んな場所のエターナルポースが置いてあった。

 

その数、数百個はあるだろうか

 

「…っとこんな所でもたもたして場合ではなかったわ。すぐにフィアンスィー行きのエターナルポースを探してここを出ないとね。見つかっちゃうと酷い目に遭うしね。」

 

コルボ山に居た時に時々来るガープさんは来る度に私を海軍本部に連れて行こうとする。多分センゴクさんはまだ私を諦めてないのだろう。

 

そして直ぐにフィアンスィー行きのエターナルポースを見つけ、それをカバンに入れると廊下にでる。

 

「ん?」

 

「あ、見つかった!」

 

つい見聞色の覇気で辺りを警戒するのを怠ってしまい海兵に見つかってしまった。

 

すぐに私はその海兵に7年前ではとても出来なかったであろう回し蹴りをくらわす。

 

とっさの出来事に何も反応出来ないまま海兵はアスが繰り出した回し蹴りを喰らいそのまま地面に落ちていき動かなくなる。

 

海兵が動かなくなったのを確認した私は見聞色で気配を探りながら海軍本部を出て行った。

 



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20 「20ページ目 安定した国」

偉大なる航路(グランドライン)後半の海、通称“新世界”ある島

 

 

その過酷な海に位置するこの島は7年前にある海賊の手により滅んでいた。

 

その後、滅んでしまった王家の親族が独裁政治に走り、国はまたしても崩壊。

 

しかし最近になり、5年間にも及ぶ内乱も終わりを告げ、新たな王家が誕生し、国は安定していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼頃

 

 

一か月に一度、訪れる客船から一人の女性が降り立った。

 

町を歩けば十人中十二人が振り返る程、綺麗な女性だ。

 

彼女は新しい町に行ったら、まず本屋に行きそこで大量の本を買う。

 

その後、カフェに行き、そこのテラスでアップルティーを飲みながら買ったばかりの本を読み始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、島では隣国を訪問していた女王が帰国するため大勢の人が港に集まっていた。

 

隣国の訪問から帰国するだけでこの集まり。

 

つまりそれだけこの国の女王は国民に親しまれている証拠だ。

 

船が港に着き、女王様が降りてくる。降りてきたのは十五歳の少女。

 

「王女様か?」と別の島から来た者は思うだろう。

 

しかし国民は

 

「女王様」

 

「お帰りなさい」

 

などと十五歳の少女の事を女王様だと認めている。

 

それもそのはず彼女は五年間に及ぶ内乱を止め今の安定した国へと導いたのだから。

 

彼女が内乱の表舞台に現れたのは一年程前、それからわずか一か月程で内乱を無くしてしまったのだ。

 

彼女は優秀な頭脳の持ち主だ。

 

半年で政権を勝ち取り、今では「7年前の崩壊よりも豊かになった。」などと言われるまでの優秀さ。

 

一部の家臣たちからはこう呼ばれている

 

 

 

 

      『前第二王女の再来』と

 

それもそのはず彼女は7年前の王家の親族なのだから。

 

親族といっても独裁政権を作った親族とは異なり別の親族になるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カフェのテラスで本を堪能していた彼女は段々と近づいてくる歓声に始めは気にしていなかった。

 

しかしその歓声がカフェの前までくると遂に本から目を離し、道を走る馬車へと向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、女王を乗せた馬車は城へ続く道を走っている。

 

道には港と同様にたくさんの人が女王様を城へと見送っている。

 

そんな中、女王様は国民に向かって手を振っている。そんな中、女王はこの歓喜が聞こえないかのようにカフェのテラスで本を読んでいる女性が気になった。

 

なんだか懐かしい感じがする。

 

そう思った瞬間、その女性が顔を上げ馬車へと目を向けて、

 

彼女の事が気になっていた女王様と目が合った。

 

女王様は瞬時に懐かしさの正体を知った。

 

そして馬車を止め彼女の元へ歩む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の名はソフィア・ツァーリ

 

 

 

そしてこの島の名前はファンスィー

 

 

 

 



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21 「21ページ目 教育」

 急に馬車が止まり、なんだ?なんだ?とざわめきだす国民たち。しかし、そのざわめきもすぐに治まる。なぜなら女王様が馬車から降りて、こちらに向かって来るからだ。

 

「ハァ」

 

アスは軽くため息をついた、こんな面倒な事をするつもりはなく、少し立ち寄って遠目で従妹の姿を見るだけのつもりでチラっと見たはず、なのに!あの子と目が合ってしまった。アスが後悔している内に女王様は護衛騎士を連れて目の前まで来ていた。

 

「そこの貴女、顔をお上げ下さい。」

 

女王様が私に顔を見せる様に頼みこんできた。イヤだ。私はもうこの国とは関係がある。ソフィア・ツァリーではなく、だだのアスなのだから。私は先ほどの頼みを無視して本を読み続ける。

 

「貴様!女王様が話しているのだぞ!」

 

アスが女王様の言葉を無視した為、一人の護衛騎士がアスが読んでいる本を取り上げた。しかしその行動がいけなかった。護衛騎士が行った行動は普通の人に向けてなら問題はない。その行動の矛先がアスならばどうだろうか?アスの反応は速かった。本を取り上げられた瞬間にその騎士を殴り飛ばし、本を取り返した。

 

「ふぅ 急に取り上げるなんて、本がキズついたらどうしてくれるのかしら?」

 

アスが本にキズがないことを確かめていると護衛騎士に取り囲まれてしまう。

 

「貴様!反逆者か?捕らえろ!」

 

何人もの騎士がアスを襲う。騎士達は始め、アスの見た目がおとなしそうな女性なので素手で捕らえようとしていたが、アスがかなりの手練れだとわかると腰にぶら下げていた剣を使ってきた。アスは見聞色で迫り来る無数の剣を避け、時々避けきれない剣を武装色で受け止め、少しずつ騎士を気絶させていった。

騎士達は焦った。一人の女性に剣を次々に避けられ、数少ない当たった剣も皮膚を切り裂くことはなく金属と当たったような音だけがするだけなのだから。そして騎士は全滅してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここの人達は読書の邪魔をしてはダメって先生に習わなかったのかしら?」

 

「す すみません」

 

 騎士を全滅させたアスは女王様に向かって怒っていた。それに対して女王様は弱気な声で謝ってしまう。ここに国民がいたなら女王様は弱気な態度など取らないが先ほどの攻防に巻き込まれぬ様に避難させていたのでこの場にはアスと女王様、その側近しかいない。

 

「じゃあ私はもうこの国を出るわ。あとで倒れている人達にきちんと教育しておきなさい」

 

そう言ってアスはこの国から出て行こうと歩き始める。

 

「ま 待って下さい。」

 

しかし女王様はアスの腕を掴み歩み寄る。

 

 



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22 「22ページ目 女王様の思い」

 「女王様!なぜこのような奴を止めるのです!?」

 

アスの手を引っ張っている女王様に向かって家臣の一人がアスを呼び止める理由を尋ねる。

 

「分からないのですか?この国の為です。」

 

この国の為、そう答える女王様、しかし家臣たちはその言葉の意味が理解出来ていない。一方、アスはこの言葉の意味が理解できた。つまり彼女はアスがソフィアである事を見破っているのだと言う事をアスは理解した。アスと彼女は、ツァーリ家が崩壊するまでに数回、会っていた。いや、アスが図書室で読書している姿を一方的に彼女が見ていてだけであるが。当時、彼女は秀才であったがソフィアは天才であった。彼女はソフィアの事をとても尊敬し、ソフィアに追いつこうと努力した。その結果が今、彼女を女王にしていた。そしてこの国の発展為にしなければならない事が分かっていた。

 

「どうか、私のお城にいらしてください。先ほどの無礼を謝りたいのです。」

 

彼女はアスに行なった無礼を謝る為と言う口実を作りアスを城(実家)へと招待する。しかし城へ帰ると厄介な事になる、と分かりきった事なので断る。

 

「先を急いでるので手を離しなさい」

 

「そ、そんな!?考え直して下さい。お願いします。」

 

アスに迫る女王様、アスは頑として城は行かないと言う。これに家臣たちの反応は様々だ。ツァーリ家から仕えている古参等は女王様が考えている事が分かり、アスが城へ来る事を望んでいた。一方、内乱後にはいった家臣たちは様々な反応をしていた。アスを悪く思い早くこの国から出て行って欲しいと思う者、騎士を全滅させる程の実力の持ち主なのでなんとかこの国に取り込めないかと考える者、単にアスが欲しい者など様々だ。

 

「あっ、そう言えばお城の図書室にない本が大量に届いたと報告が合った様な…」

 

「気が変わったわ。さぁ早く行きましょう。」

 

しかし、まだ見たことがない本の誘惑にアスは耐えられなかったのであった。女王様が言った独り言はアスを即座に城へと興味を持たせ、女王様は自分の予想が当たった事に口元をゆるませていた。女王様はあるアスの知らない秘密がある。

 女王様はすぐに馬車を用意してそれにアスと女王様が乗りお城へ向かう。アスは城へ向かう馬車の中でも本を読んでいた。女王様はアスの読書姿を見つめていた。アスはそのことに気がついていたが読書に集中力を持っていった方が良いと判断し気にしていなかったが。

 

「いい加減にして!」

 

ついに切れた

 

「なんでしょうか?」

 

「なんでしょうか?じゃないわ、私ばかり見て何がしたいの?」

 

「始めの方は気にされていなそうでしたが?」

 

「それは始めの方は普通に見ていたからでさっきまでの顔はなに?気持ち悪いのだけど」

 

女王様はアスの事が恋愛感情で好きだった。いわゆる、アス限定の同性愛者であった。

 



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23 「23ページ目 故郷との別れ」

 お城に着いたアスは一直線に図書室へと足を運ぼうとするが

 

「こちらにお越しください。おもてなしいたします。」

 

それを女王様が遮る。見たことのない本が読めると舞い上がっていたアスは重い足取りで応接室へと足を運ぶ。応接室に行くと椅子に座らせられた。アスの前の椅子に女王様が腰を掛け、アスと女王様の周りを家臣等が囲んで立っている。そして話し合いが始まる。

 

「結論から言います。ソフィア様、よくぞお戻りになられました。私、ヴィクトリアはファンスィー王国の女王の座を正当なる継承者、ソフィア・ツァーリ様へお譲りいたします。どうかこの国の為に女王の座に付いてファンスィー王国を治めて下さい。」

 

女王様、ヴィクトリアの放った一言に家臣たちは驚く者、混乱する者、喜ぶ者など様々な思いをこらえてアスもといソフィア王女の返事を待ちわびる。

 

「嫌よ。私の名前はアス、ただのアスだから。」

 

アスの返事は拒否。その返事を聞いたヴィクトリアは直ぐに別の作戦を考えだす。

 

「でしたら、わたくしの護衛として傭兵をしませんか?先ほど騎士との戦闘を見ましたがかなりの腕前でした?」

 

「この国に来たのは貴女の顔を最後に見る為だからなにがあってもこの国にはもう来ないつもりだわ」

 

「なんで…」

 

「私はこれから海軍に追われる様になる事をしなくてはいけないわ。だから、縁を切らないとこの国には迷惑がかかる。」

 

「しかし!」

 

「私は…この生まれた国をもう崩壊させたくないの。まして崩壊の原因が私だなんて嫌。」

 

「そこまでこの国を思っていらっしゃるのならなぜ!?」

 

なぜ?か…私はこの部屋に入ったとたんヴィクトリアの条件を飲もうかと一瞬思ってしまった。元々この国の王族に生まれ変わったのは本を読んで贅沢に暮らす為。だがそんな考えも直ぐになくなった。いずれ起こる戦争で絶対にエースを救うそう決めたのだから。大きな原作改正これを成し遂げるには今の力では到底無理なはず。だからこの国でほのぼのと暮らしてる場合ではないのだ。ここは次の発言で納得してもらわなくても強引に出て行こう。この国に来た目的はもう果たしたしね。心残りがあるとしたら新しく入ったっていう本が気になるんだけどね。

 

「私がこの国を捨ててでもしなくてはいけないことだから………もう行くわ。少し長居しすぎたわ。」

 

そう言って向かう先には窓がある。窓を開けると風が部屋の中に入ってきて私の髪を揺らす。最後にヴィクトリアの方を向き

 

「最後に貴女の顔を見れて良かったわ。ファンスィーをよろしくね」

 

別れの挨拶を言い窓から飛び降りた。

 



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24 「24ページ目 戦争の始まり」

 「『麦わらのルフィ天竜人を殴る』か、そろそろ頃合いかな?」

 

ある島のカフェのテラスで新聞を読んでいた私は目印となる記事を見つけた。

 

(なんじゃもうそんな時期か早く我も頂上戦争とやらで暴れてみたいぞ)

 

「はいはい、大将と戦う事になったら嫌でも力を借りるからそれまで我慢して。じゃあ移動するからね」

 

私は能力を発動させてカフェのテラスから消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 「お前の父親は海賊王ゴールド・ロジャーだ」

 

(時間じゃぞ)

 

「もうちょっと待って」

 

ペラ、ペラ、ペラ

 

(おい)

 

「あと100ページ」

 

(本など読んどる場合か!?)

 

「集中力を上げているのよ」

 

(もう十分じゃろ!1週間もぶっ通しで読み続けておって)

 

「終わったから出るよ」

 

私は能力で異空間を作りそこで集中力上げもとい読書をカフェのテラスで新聞を見た日からしていた。

やっぱり読書はいいルーティンになったね。

これなら戦争が終わるまで能力をフルに発動出来るはず。

これならエースを絶対に救える。

 

(さっさとするのじゃ)

 

「ハイハイ」

 

エイちゃんにせかされるのでそろそろこの空間からでますかね。

能力を使い海軍本部マリンフォードの湾内に出た。

私の造った異空間は見聞色でも気づけない。

よって出てくる前兆が完全にない。

完全に不意に出て来た私、海軍側は一瞬静まり返ってしまうがすぐにざわめきだした。

絵で見るのと実際に肉眼で見るのは全然迫力が違う。

約10万人の海軍の精鋭を目の前に私は動けないでいた。

大丈夫、大丈夫、海軍側の動きは大体知っている。

私はそれを見て落ち着いて対処すれば必ずエースを救う事ができる。

まずは

 

「私はアスそこにいるエースの義姉よ。私はあなた達と交渉をしに来た。私の要求はただ一つエースを解放する事そうすれば実力行使は止めるわ」

 

まずはやっぱり平和交渉だよね。戦争が起こらないのならそのほうがいいからね。

 

「アス、悪いがそれはできん話しだ。」

 

ですよね~私の要求はセンゴクさんに即却下された。

まぁ元々通るとは思ってもいなかったしね。

さてこれからどう動こうかと考えていると急に私の真下、海面から船が出て来た。

これらの事を考えていた私は船、モビーディック号に突き上げられ船首に転げ落ちた。

イテテ、急だったから受け身が取れずにおしりから落ちちゃったよ。

おしりを撫でていると隣で「グラララララ!!」なんて聞こえた。

まさか?と思い横を向くと居た。

私がまた別の事に気を取られている内に隣りまで来ていた。

世界最強の男“白ひげ”エドワード・ニューゲート

初めての会う世界最強なのに私は今この男に文句を言いたい。

 

 

 

 



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25 「25ページ目 行動開始」

 「あなたが白ひげね。私はアスよ。弟がお世話になっているわ」

「グラララララ小娘お前がエースの言ってた姉か。一応聞くが此処に何しに来た?」

「エースを助ける為よ」

「小娘ごときが生き残れると思うなよ。聞いた話しによるとエースにも勝てないそうじゃねぇか」

「それは昔の話よ。今戦ったらエースなんて能力を使わなくても勝てるわ」

「能力者なのか?」

「そう、でも体力の消耗が激しいからあまり使わないけど」

「そうか、グラララララ……」

 

会話が終わって白ひげが腕を交差させて力を貯める体制に入った。取り敢えず私は心の中で本を取り出して『私は2分間体制を崩さない』と書いた。これで耐震は出来た。するとエイちゃんが話しかけてきた。

 

(あやつが白ひげとやらか…世界最強と言うから期待しておったがあの程度か妾の父上の足元にも及ばんのう)

「そんなに強いの?エイちゃんのお父さんは?」

(そうじゃ妾の父上は世界の王じゃからな。)

「天竜人ってこと?」

(あんな奴らと一緒にするでない。)

「天竜人とは違うって事ね」

(それはそうともう始まっとるぞ)

「あ、出遅れちゃった」

 

私がエイちゃんと話してる隙に津波が来て青キジが海を凍らせて、私は完全に出遅れていた。すぐさま能力を使いエースの元へワープする。処刑台にワープした。が流石大将一回見ただけで対処してくる。処刑台に着いて1秒ぐらいで私は黄猿に蹴り飛ばされた。とっさの事だったので蹴られた時のダメージは受けてしまったが地面に落ちる寸前に武装色の覇気で背中をガードすることに成功して落下ダメージは免れた。落ちた先は海軍の布陣の真っただ中これヤバくない?私が起き上がると周りを囲んでいた海兵達が突っ込んでくる。

 

(かわるのじゃ)

「分かった。」

 

体をエイちゃんにゆだねる。アスに襲いかかってきた海兵の首が全て体から離れた。もう二度と海兵達の首が戻らない事は切口から噴水の様に噴き出している血を見れば一目瞭然。

一瞬意識を持っていかれた私はエイちゃんが創った光景に気分が悪くなる。

 

「………エイちゃん、なんで殺しちゃうの!?」

(クックックック、やはり人を殺すのは気分が良いのう)

「だから、誰構わず殺すのはダメだって」

 

とは言っても一般人を標的にする事はなく私もしくはエイちゃんが敵と判断した物に容赦なく攻撃してるらしい。

先ほど光景に腰抜けて生き残った海兵達は私に近づいて来ようとしない。すると巨人族の海兵が私に襲いかかってきた。

ヤバっ、さっきエイちゃんに代わったばっかしだから少しの間代われなくなる。かと言って能力を使うまでの相手ではないし、こうなったら!

 



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26 「26ページ目 私がつけた力とインペルダウン組到着」

 私はコルボ山を出発してから強くはなっていない。いや現を言えば強くはなっているがエースいやフーシャ村を出発時のルフィにも劣ると思う。でもそれは能力を使わないでさらに私だけだった場合では。ではなぜ海軍大将にも張り合える様になったのか?それはエイちゃんの力を一部使えるようになったからである。

 

右手に力を籠める。すると力を籠めた右手がアクアマリンの様に色づいた。武装色で腕が黒くなる様に別の覇気でこうなるらしいがエイちゃんの力を借りているとこの状態になる。

 

巨人海兵が腕を振り上げて叩き付けてきた。しかも武装色の覇気付きで。あれ?この巨人海兵さん中将だった?取り敢えず右手で腕を受け止め押し返す。すると巨人海兵がバランス崩れた。そこに今度は両足の力を借りてサマーソルトを巨人海兵の顎に喰らわす。巨人海兵が宙に浮いた。そして多くの海兵達を巻き込んで倒れて気絶した。私は巨人海兵が気絶していることを確認するとほっとした。

 

周りを見渡してみると色んな所で戦いが起きている。あ、海兵さん達が一斉に電伝虫に注目し始めた。あれはエースの処刑執行時間を早めるという言う連絡だろう。原作ならもうすぐルフィ達インペルダウン組が来る頃だね。

 

空を見上げていると海兵さんや海賊さん達も次々に空を見上げていく。段々と大きくなる叫び声と共に見えてくる軍艦の姿、その中に紛れて点々と見える人の影。

いた!私は数年ぶりの弟の姿を見つけた。原作と同じく落下の先頭にいた。

 

取り敢えずゆっくりと歩いて弟の元へ行く。途中で海兵さん達が私に襲いかかってきたがかわしすれ違いざまに殴り飛ばした。姉弟の力は強いのだ!

 

 少し時間が経った。今私の目の前にはパシフィスタが居る。ついでにドフラミンゴもね

しかしこちらに背を向けて立っていてパシフィスタの向こうにはルフィがいる。

 

こいつは邪魔だね。足を強化してパシフィスタ多分0だからバーソロミュー・くまを回し蹴りで吹き飛ばす。くまはルフィに向かって口からレーザーを撃つはずだったのか私の攻撃で狙いが反れて関係がない人達を巻きこんで爆発した。ごめんね!でもそのおかげでルフィはレーザーの餌食にならずにすんだよ。前を向くと弟の姿

 

やっと会えたよ、ルフィ。私は嬉しい感情を抑えて落ち着いた雰囲気で話しかけた。だってお姉ちゃんは弟のピンチをクールに救わないと、それに内面ではこんなだけど外面はクールって言うか冷たい態度?で演技してきたから今更変えれない。

 



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27 「27ページ目 イトのせいで!」

「久しぶりね。ルフィ」

「誰だ?」

 

ダメだった!?この人、私の事覚えてないの。いやしかしルフィは忘れん坊だ久しぶりの再会に期待した私の感動を返して欲しい。

 

しかしなんで覚えてないのだろう?私そんなに容姿変わったかなあ。

原作では三年ぶりにアラバスタで会ったエースをルフィはちゃんと覚えていたし。

 

本人は気づいていないが実際にアスは元々綺麗な容姿であったがコルボ山を出港してから数年で世界一の美女『海賊女帝 ボア・ハンコック』にも負けない程の容姿になっていた。数年前から全く成長していない微かな胸以外では……このことに関してはアス自身も諦めているのだが二人の胸の大きさを平等にしたらアスはハンコックにも負けないだろう。

 

それとアスは一つ見落としている。

ルフィが三年ぶりアラバスタでエースに会った時に覚えていたのはエースの容姿がそんなに変わっていなかったのと新聞に写真が時々載っていた。一方アスは容姿が変わり新聞に載ることもせず載りそうになっても能力で写真を回避していた。

 

容姿が変わったのと消息を断った。この二つ知らないルフィは今のアスを見ても分からないのはしょうがない事なのだから。

 

私はどうしようかと悩んでいると体に何かまとわり付く感じがした。次の瞬間私は自分の意志に関係なく体が動いていた。

結果、私の足がルフィの体を捕らえ吹き飛ばす。

 

幸い覇気は込めていなかったのでダメージはないとおもう。不本意ながらルフィを攻撃してしまった。

しかしなんで体が勝手に動いたのだろう?体が勝手に味方を攻撃してしまう。このシーンは見たことがあったはずだ。答えは直ぐにでた。ドフラミンゴ そうだ、くまは蹴り飛ばしたけどドフラミンゴがいたのを完全に忘れていたよ。敵がいるのにルフィに会えた事が嬉しくてつい警戒を怠ったのがミスだ。でも寄生糸(パラサイト)の対処法は簡単に出来るはず。力で引き千切れば良かったと思う。たしか原作ではルフィがギア4でやっと引き千切ったぐらいしかなかったけど取り敢えず切れない事はない。

今まで予想以上に能力を使ってしまっている。これからまだみちは長い。力で解決出来るなら能力は使わずに温存しておこう。

 

力を籠めて動くと糸はブチブチと簡単に切れた。そのまま驚いているドフラミンゴを蹴り飛ばした。

 

私って蹴ってばっかしだね。さてこれで邪魔者はいなくなったからルフィの元に行こうか。何て考えているとルフィ等の声が聞こえてきた。

 

「麦わらボーイ、大丈夫かしら?」

「大丈夫だ、イワちゃん。けどよ、あいつ声をかけて来たと思ったら急に攻撃してきてよ。」

「海兵じゃなさそうね。けど敵と見た方がいいわね。」

「エースへの道にいるんだ。ぶっ飛ばして行こう。」

 

何それ。

私はルフィに敵だと判断されてしまった。どうしよう?

 



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28 「28ページ目 やっと合流」

かなり速い速度で拳が飛んでくる。が、それを難なくかわす。すると今度はいくつもの拳が同時に飛んでくる様に見えた。様に見えたと言うのも実際には二つの拳が交互に出ているだけだがいくつもの拳を同時に飛んでくる様に見させる為には人の目ではとても追えない程のスピードが必要である。アスはこのスピードの秘密を知っている。『ギア2』血液の流れを上げてドーピング効果を得るが命を削る行為つまり

 

ヤバい本気だ。なんでルフィは私なんかに本気出しているの。おかげでエイちゃんの目を借りなきゃいけないし体力が無駄だよ。

 

ルフィの攻撃をひたすら避けていると不意に攻撃が止んだ。やっとやめてくれたのかな?あれ?なんか周りが薄暗くなったような…

 

上を見ると巨大な拳が迫って来ていた。

 

ちょ、ちょっと今度は『ギア3』とかバカなの?あ、ルフィはバカだったっけ。はぁ、もういいやこれじゃあらちが明かないから仕方ないね。元はと言えばルフィが私の事を思い出してくれないのが悪いんだから。

 

エイちゃんの力を借りて真正面からぶつける。なんとか押し返してルフィの後ろに回り込んでルフィの頭を「いい加減にしなさい」と殴る。武装色の覇気付きで痛いと思うけど力は私のままだから大ダメージにはならず、ポカといい音をならす。

「え!?」

「私よルフィ。覚えていない?」

「ん~~あ、もしかしてアスか?」

やっと思い出してくれたルフィ。私はほっとしながらも自分の事を忘れていた事に怒る。

「人の話をよく聞いて行動しなさい。ルフィのせいで余計な時間をとってしまったわ。」

「わりぃ」

 

二人で再開を喜んでいると水を差す者がいる。革命軍幹部エンポリオ・イワンコフだ。

「麦わらボーイその人は誰かしら?くまを蹴り飛ばす所かなりの実力者のようだけど?」

「あぁオレの姉ちゃんだ」

「アスよ、ルフィとエースの義姉をしているわ。インペルダウンではルフィがお世話になったそうね。マゼランの毒とか。革命軍幹部エンポリオ・イワンコフ。一応、礼を言っておくわ、ありがとう。」

「いいえ、礼には及ばないわ。ヴァターシは麦わらボーイを助ける義理がある。それはそうと貴女なぜヴァターシがマゼランの毒から麦わらボーイを救う手助けをしたと分かったのかしら?」

 

しまったぁ、なんでマゼランの毒なんて言っちゃたんだろう私のばか。ここはイワンコフが納得する答えを冷静でかつ素早く考えないとダメだ。聞き間違いだと言うとその場は逃れられるかもしれないけど納得されないから却下。

うーん、ルフィにとってインペルダウンで脅威になったのはマゼランの毒ぐらいだから(私は能力で毒を中和出来るから全然脅威じゃないけど)。

 

私はインペルダウンにはマゼランっていうドクドクの実の能力者がいるって事を知っていて多分毒にやられてホルホルの実を持ったイワンコフが助けてくれた的な事を言ってその場を逃れた。

 

さぁルフィとも合流できたことだしエースを助けるぞ。

 



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29 「29ページ目 止める!」

 ルフィとアスが処刑台に向かって走っていると前方に巨大な刀を持った男が行く手を阻む。世界最強剣士『鷹の目』ジュラキュール・ミホーク。

「あんな強ぇのと戦ってる場合じゃねぇ。おれはエースを助けに来たんだ。」

「そうね。ここは別れて逃げて後で落ち合いましょう。」

アスはミホークを倒すのは簡単だけどそうすると体力を使う事になり今後に影響を与えると考え、ルフィの言葉を肯定して別れて逃げるように言い、ルフィとは別の方向へ走り出す。

 

少し時間が経ち処刑台に動きが起る。それと同時に後ろに多数のパシフィスタが現れる。アスはそのタイミングを見計らい黄猿に攻撃するが

「ちっ、少し遅かったわね。」

アスはルフィに攻撃しようとする黄猿を止めようとしたが一歩遅く、さらに黄猿に攻撃を防がれてしまい舌打ちする。

とっさに黄猿から離れ仕方なく能力を使い戦いの最後列、白ひげの隣にワープした。

 アスはこのままだと無駄な時間と体力を使うと判断し、ある瞬間に賭ける事にした。その為、最後列までわざわざ能力を使い下がってきたのだ。白ひげはアスに声を描けず、アスの反対側にいるスクアードに意識を向けている。よかった間に合った、アスはほっとすると同時に緊張する。アスがこれから行うことは原作と異なること。つまり

アスは白ひげに刃を突き立てるはずのスクアードを殴る。その瞬間戦場中の意識がアスに集まる。白ひげに好意的なアスが白ひげの傘下に攻撃をした。それも白ひげの目の前でだ。アスの行動は戦場中、いや電伝虫で放送されていたシャボンディ諸島にいた人々をも混乱させた。公開処刑に真っ先に現れ、ポートガス・エースの義姉だと自称した銀髪の美女、彼女は海軍か海賊どちらの味方なのか?しかしアスの義弟のエースとルフィはアスに何か考えがあると思いひたすら成り行きを見守る。そして海軍大将赤犬だけがアスをにらむ。そして当事者達が動き出す。

「ぐっ!?」驚きながら吹き飛ぶスクアード。

「小娘、おれの息子になにしやがる。」白ひげは息子を攻撃されたことに怒りアスに腕を振り攻撃を、出来なかった。正確には拳に地震のオーラを纏えなかったのだ。

「小娘、何をしやがった。」白ひげがアスに質問するがアスは無視する。

「オヤジ!!」そこへ一番隊隊長不死鳥のマルコがアスを狙い飛んでくるが、アスに近づいた途端に動きが止まってしまう。

「なんだ?この雰囲気は体が動かないよい!」

「ちょっと黙って貰えるかしら。あなた達二人の動き、覇気・能力を封じさせて貰ったわ。私に攻撃しないなら解くわ。結構体力を使うしこのままだと話したい事も話せないしね。」

 

 



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30 「30ページ目 三対二」

 アスが行なった原作と違うこと。つまり、アスがスクアードを止めて白ひげが刺されて戦力の低下を防いだ。

「とりあえず大渦蜘蛛のスクアード!貴方は赤犬に良いように利用されたようね。私が止めなければただでさえ弱っている白ひげがさらに弱り海軍が一人笑う事になるわ。白ひげは海軍となんの取引もしてないわ。」

アスがスクアードは赤犬に利用されていた事を伝えると後は原作どおりに進んだ。白ひげが船から降りるとマルコがアスに話しかけてきた。

「さっきは疑って悪かったよい。お前のおかげで助かった。ありがとよい。」

「礼には及ばないわ。礼をしたいなら言葉ではなくエースを救出して見せて。」とアスが言うと「分かったよい」とマルコが返事をして戦場へと飛んで行く。

アスはやるべき事はやったと言わんばかりにどこからともなく本を取り出しこれまでの疲れを癒す為、読書を始めた。

アスが読書をしていてもなお戦争は続く、白ひげの能力でマリンフォードが傾き、赤犬がマグマの拳が降り注ぐ。まさに天変地異の様な戦いの中それでもなおアスは読書を辞めないあの瞬間までは。

白ひげの攻撃を喰らってなお壊れない包囲壁、それを一つの水柱が超えた。

アスはその瞬間どんな事があっても辞めなかった本を閉じて消えた。

 水柱が落ちた先にいるのはルフィ、その前に立ちふさがる三大将。

ルフィが行動する瞬間、

「やっと面倒な三大将が集まってくれたわ。ルフィはエースの元に急ぎなさい!大将は私が止めるわ。」

ルフィはわかったと頷き横へ行こうとするが黄猿が邪魔をする。

「行かせないよぉ」

「だからルフィの邪魔はさせないって言ってるでしょ」

黄猿を止めるアス。

「パルチザン」今度は青雉が氷の槍を作り出しルフィに向かって投げる。

「このぉ!」空中で氷の槍を叩き壊す。アスが三大将から離れたところで赤犬が

「三対一じゃワシらを止めれる訳なかろうが!!大噴火!!」

マグマの拳を放つ、アスからは離れていて止めることができないが。

勢いよく放たれたマグマが急に何かにぶつかり止まる。

「何時、私が三対一だと言ったの?」

「三対一ではない。三対二じゃ」

何も私一人で三大将を止めれる訳ないじゃない。でもこれなら!

アスは三大将と戦うに当たって考えていたこと。それは召喚、数を増やして戦うと言う物だった。

アスが召喚した者が現れたとたん島全体にいや世界全体で色んな事が起こった。海で森で空でありとあらゆる生物がマリンフォードと反対の方向へ逃げた。

「自己紹介がまだでおったの、妾の名はエイフィア。世界の王の娘じゃ。」

 



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31 「31ページ目 いつぞやの日」

 「ねえ、私がこの前食べた悪魔の実でエイちゃんの力を使う事が大体出来る様になったけど実体化はできないの?」

グランドラインにある無人島で私はこの前偶然食べた悪魔の実を使いエイフィアの力を最大限まで操る練習をしていた。

てかこれ絶対に私を転生させた神様のイタズラでしょ。そんなに私が頑張ってるのを見るのが好きか?!」

(まぁそう言うでない。その神とやらには妾は感謝をしておる)

あれ?いつの間にか声に出てたらしい。

私はこれまでに二重人格さんと話しが出来るまで成長していた。二重人格さんはエイフィアと言う名前で世界の王の娘だという。世界の王?天竜人のこと?って聞いてみたら逆に誰じゃそれは?と返された。どうやら私の知っているワンピースの世界にないものらしい。ちなみにエイフィアと呼ぶと私のこの世界の名前のソフィアと重なるのでエイちゃんと呼んでいる。

それにしてもここが無人島じゃないとエイちゃんと中々喋れないんだよね。傍から見ると見えない人と喋ってる変人だからね、こんなのが町にいたら私だったらいや私じゃなくても話しかけない。早く心の声でも話せる様にならないといけないのが課題でーす。まぁなんとかなると思う。

 かなりの話しが逸れてしまった。

「は?なんでエイちゃんが会ったこともない神様に感謝しているの?」

(エイちゃんと言うでない!それはじゃな、あくまで妾の推測なんじゃが、貴様の話しを聞くと元々ソフィア・ツァーリとして生まれるはずじゃったのが妾なのじゃ。そこにこの世界に転生してきた貴様が入り込んで来て妾が二重人格となったと妾はそう考えておる。)

「なんでエイちゃんは自分が元々ソフィアとして生まれて来ることを知ってるの?でも、まあそれだと神様に感謝するよりむしろ恨むんじゃない?動きを制限されるんだし。そこのところどうなの?」

(そうじゃな。そこまでじゃと妾も神とやらを恨んでおった。じゃが貴様が悪魔の実で妾を実体化出来るかもしれんとなったら恨みなど吹き飛んだぞ。)

「初めの質問には答えてくれないんだ…。実体化の方がいいの?」

実体化した方が元の体で動けるからの。それと実体化についてじゃが体力がまだ足りんと妾は思うとる。まあ貴様の場合本を読み貯めれば済む話しじゃろう。)

「そうかな?だったらこのままエースの処刑日までずっと本を読んで過ごそう。」

「ダメに決まっておるわ。そんな事しておったら体力の方は心配ないが動けんであろうが。」

 

 



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32 「32ページ目 エイちゃん」

 「やっと出来た。」

アスは自分の目の前に立っている女性に言った。

背はアス程高くない。しかしアスよりも胸は出ている。顔はきりっとした顔立ちで口元をニヤリと笑っている。髪は紅く短く後ろで辛うじてまとめていた。服装は白い着物だ。十二単ではなく男物の着物で龍が書かれた物だ。

腰には武器である日本刀が左右にそれぞれ一太刀ずつさしている。左側には黒を基調とした、右側には赤を基調とした刀だ。黒い方はエイフィアの身長程もあり、赤い方は片方程長くない。

そしてなによりも異形なのは瞳の色である。右眼の瞳は金色、そして反対側、左眼の瞳は銀色。バイアイやオッドアイ、虹彩異色症などと言われるもので人間では珍しいがエイフィアはこれであった。

その目を見続けるとなにかに引き込まれるかのように不思議な感覚に陥る。アスはこれ以上はヤバいと思い目をそらす。

この人がエイちゃんか…なんか負けた気がする色々と。

「ふぅ、久々の体じゃな。まだ完全な感覚ではないが…その内戻るじゃろう。さてと、初めましてとでも言うものかのうアスよ。」

「そうだね。エイちゃん」

互いに見つめ会う。なんかこうやって見ると恥かしいな。ていうかエイちゃんの瞳に飲み込まれるぅ~。

とエイちゃんの後ろからレーザーが飛んでくる。

黄猿のせいだ、私の再会?を邪魔しやがって。まぁ助かったけど。

「エイちゃん後ろ!」と叫ぶ前にエイちゃんが動いた。なにこの動き!?一瞬だった。私は自分の能力で視力をかなり強化していたけど、それでも一瞬の行動。レーザーが当たる瞬間にエイちゃんは体を翻し右腰にさしてある刀を右手で抜き、体の動き共に振るう。するとレーザーが刀に当たり、爆破もしなければ刀を折ることもせず、打ち返した。

いや、防いだとかじゃなくて、ボールを打ち返す様に跳ね返した。エイちゃん、本当に能力者じゃないの!?これで完全な状態になっていないなんて本気を出したらどんだけ強いの!?その前に私の体力、持つかな?

その攻防が開戦のきっかけになり私、エイちゃんVS三大将の戦いが始まった。いや、エイちゃんの無双が始まった。

前から攻撃をしたと思えば後ろから、左側、右側、上、下から同時に三大将を襲いかかる。

これはもう私必要ないよね。休んでいいかな?なんかエイちゃんが三大将を血塗れにしてるんですけど!?それを見てエイちゃんは狂った様に笑っているし。おーい、エイちゃん理性残ってる?あ、返事なし。そうですか、せめて私には攻撃しないでください。

 



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33 「33ページ目 戦場中、どうでもいい話」

エイちゃんが刀を振るうと大将の体が切れて血が流れる。それを見てエイちゃんのテンションがおかしい位に上がる。もうあの姿は血を見て興奮する狂人だと私は思う。血を見て喜ぶなんて狂人と呼ばないでなんと呼べばいいんだろう?しかもどんどん狂っていく。これだと例え三大将を倒したとしても止まらず海軍どころかこの島にいる人を全員殺してしまうんじゃないかと心配になる。

とりあえず私は足手纏いなので体力回復に専念する事にした。少ない体力を使い自分の周りに防御結界を張る。

 

ふと目を上げるとエイちゃんは消えていた。が三大将はボロボロな状態になり立つのがやっとみたいだ。エイちゃんが私の体の中に戻ったらしい。これで体力がかなり戻ってきた。

(なんじゃ、やっと妾が戻っておったことに気づいたのか)

だって、体力回復に集中していたから…。

(嘘をつけ、単に本を読むのに夢中になっておっただけでおろう)

な、なぜわかった。エイちゃんまさかサトリなの!?

(二十年近くも一緒に過ごしておるんじゃ、貴様の思考ぐらい分かるのじゃ)

そ、そっかぁ

(しかし、まだ血が…戦い足りんのじゃが。)

はい、聞きましたか皆さん。あ、私以外は今のエイちゃんの声は聞こえないのでした。この子血がもっと欲しいとおっしゃいましたよ。

(血が欲しいとは言っておらんじゃろう。……確かに血は好きじゃが。まだ、戦い足りないと言っておるのじゃ)

………あれで?

目の前にある光景、ボロボロの三大将に目を向ける。

(あれは準備運動ぐらいだったかの、妾が昔生きておった国じゃったら三大将、よんこう?じゃったかの)

あぁ、四皇ね。私が死ぬ何日か前の単行本にやっと登場し始めた。あり得ない程に強すぎる人達だね。

(そうそう、そ奴らなんて妾達王族には到底及ばぬ。父上なら目に入る前にやられてしまうじゃろう。)

エイちゃんはいつもお父さんと戦っているもんね。だから準備運動にしかならないんだ。もうなんなんだろう、エイちゃんのいた世界。異世界か何かかな?でもエイちゃん覇気とか知ってたしなぁ。まあどうでもいいや。

(ところでもう一度妾の実体化をせんか?)

嫌だよ。次実体化したら確実に全滅させちゃうでしょどう見ても。

(つれん奴じゃのう)

また機会があればね。私がそう言うとエイちゃんはそれっきり何も言わなくなった。

 

暴れ狂人を言い籠めた私は戦場がどうなっているか見渡した。

処刑台には石で出来た橋が架かっていた。その橋を登るルフィ、前にはガープさん。

丁度良いタイミングだった。

 



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34 「34ページ目 その後」

処刑台が爆発する。それを合図にして瞬間移動ではなくて走って海兵さん達が集まっているエースとルフィの着地予想地に向かう。

海兵さん達をなぎ倒しながら移動していると爆炎の中から二人が出て来た。そして私がいる辺り目掛けて炎の柱を作った。

海兵さん達は焼けて行ったが私は能力で回避した。けど、ちょっと熱かった。

着地したエースの頭を後ろから叩いた。

「熱いじゃないの!」

「痛った! あぁアスか…」

エースは言い訳を考えているみたい。横にいたルフィは私の無事を確認する。

「アス、大将三人によく無事だったな。どうやったんだ?」

「また今度に教えるわ」

二重人格のエイちゃんを召喚して任せっぱなしにして私は結界の中でぬくぬくと読書をしていました。と話したらどう反応するだろう?幻滅するかな?それとも、アスらしいな。なんて言うのだろうか?まあ、いいや。どうせ話すと決まった訳でもないし。

「来るぞ、戦えるか?ルフィ、アス」

「勿論だ!」

「そっちこそ足引っ張らないでね」

あの名セリフに私の名前が入ったことに喜びながら私は返事をする。

 

 

 

 

 

 

 頂上戦争から二年、私は今ドレスローザのコリーダコロシアムに来ている。

エースが解放されてから私は再び赤犬と戦った。エースが復活した赤犬の挑発に乗ってしまって私が止めて二人を逃がした。

結果は惨敗だった。エイちゃんは呼び出すことも出来ず、力を借りる事さえ出来なかった。なぜあの時エイちゃんの力を借りる事ができなかった今なら分かるような気がする。多分エイちゃんは最後ぐらい私自身の力でエースとルフィを助けたいと、心の底にある気持ちに気がついてそっと助けてくれたのかもしれない。エイちゃんが何を思ってそう行動したのかはもう分からない。何故ならこの世界で私は一度死んだから。ちゃんと墓もある。ならなぜドレスローザのコリーダコロシアムに来ているのか。幽霊?いや、きちんと身体もある。前の様な銀髪で綺麗な体ではないけれど。私は死ぬ寸前に能力で死を回避するように“お願い”した。結果、少し体力が足らず別の体で生き返った。

 ドレスローザには原作ではメラメラの実があった。でも、私の登場でエースは生きている。これで歴史が変わったのだろう。大会の優勝賞品は私の食べた悪魔の実が出ている。

 これは完全に想定外、私がここに来た理由は別にあった。だから、あの悪魔の実を手に入れようとはしない。どうせ新しい体では優勝出来ないし。

 

連絡はばっちり、名前を隠して呼び出せれた。あとの二人は勝手に集まってくれる。そろそろ会いに行こう。………三人の義弟に。

 




「もう少し創るか」


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蛇足と言う次作へ続く番外編
35 「35ページ目 ちょっとした設定」


・愚俱絵 阿須(ソフィア アス ツァーリ)

 主人公、偏差値が低い私立高校に通っていた容量の悪い女子高生。死にたいと願ったバイトの帰りで通り魔に刺されワンピースの世界に転生する。本を読む事が生きがいで行動の原動力。転生後、本を読む事の他に大切なものを見つけた。

 

 

・死神

 アスを殺した張本人。たまたま殺したアスにお礼を言われてむしゃくしゃしている。

 

 

・神様

 死神に殺されたアスを可哀そうに思い転生させた。アスに無理やりチートを授けて世界を観戦したかったのが本音

 

 

・ウェリ・ツァーリ

 ファンスィー王国の王妃で転生したアスのお母さん。子供たちを逃がす為海賊に殺された。

 

 

・アゲス

 ソフィア専属のベテランのおばあちゃんメイド。海賊団に襲われたがなんとか生き残るがその後、直ぐに亡くなった。

 

 

・ラクカ☆

 二人いたソフィア専属の一人。アゲスの孫娘でソフィアと同い年の女の子が周りにいた方いいとのことで選ばれた。海賊団に襲われた日は休みで城にはいず助かった。その後……

 

 

・イジュン・ツァーリ

 ソフィアの兄。将来の王としての自覚があるが父である国王がアスの方に期待している為、アスにちょっと嫉妬していた。海賊団に襲われた日に死亡

 

 

・へヴァン・ツァーリ

 ファンスィー王国の国王で転生したアスのお父さん。ソフィアを自分の後継ぎになって欲しかった。家族を守る為に海賊団と戦い戦死する。

 

 

・セア・ツァーリ

 ソフィアのお姉さん。ダラダラしている寝る事が好き。海賊団に襲われた日に死亡。

 

 

・ワイク

 王族殺しの異名を持つ海賊。懸賞金四億五千万。その名の通り王族しか殺さないことで有名。エイフィアに瞬殺された。

 

 

・ヴィクトリア・ツァーリ

 ファンスィー王国の現女王でソフィアの親戚。ソフィアの事を敬愛している。国民に信頼は絶大な人気を誇っている。

 

 

・ファンスィー王国

 北海道位の面積を持つ島国。一応世界政府加盟国だが海軍の駐屯地や政府関係の建物はなく独自の騎士団や法律を持つ。ソフィアは神格化しそうな勢いで広まっている。一番の狂信者はヴィクトリア。

 

 

・アスの食べた悪魔の実?

 頂上戦争までの間にアスの前に現れた。神様のせいだとアスは決めつけている。心の中で描いた事を現実に起こす事が出来る能力。使用者の器用と体力に応じて出来る範囲が決まっている。少量の体力で大量の体力を回復することも出来るチート能力。想像が得意なアスにはこれ以上ない適正能力。最後にアスが行なった様に一度死んでも生き返れる?

 

 



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36 「36ページ目 日記」

部屋の整理をしているとこんなものが出て来た。少し時間もあるので見てみよう。

 

 

 

○月×日

 明日からお城で働く事になった。それと同時にこの日記を付けよう思う。おばあちゃんはお城で第二王女様の専属のメイドでそのつてで私も同じく専属のメイドに選ばれた。第二王女様と私はお歳が同じで6歳ならしい。同年齢のお世話係と言うお友達候補に選ばれた。一体どんなお方なのだろうか?

 

 

○月×日

 今日、第二王女様に顔合わせをして来た。ソフィア様と言う。噂に聞いていた以上に綺麗な方だった。

 

 

○月×日

 ソフィア様には本当に困ってしまう。私が朝起こしに行くとベッドにいらっしゃらなかった。今日も起きて服もご自身で着替えていらっしゃってご本を読んでいらっしゃった。これでもう何回目になるのか…またおばあちゃんに怒られしまった。「姫様が起きられるより速く行きなさいと何回言えば分かるのですか」と

 

 

○月×日

 今日ソフィア様が図書室でご本を読んでいらっしゃった時にソフィア様の従妹になるヴィクトリア様がお尋ねくださって来られた。ソフィア様はヴィクトリア様が話しかけられても読書を辞めずに本当に聞いているのかは分からなかったがヴィクトリア様は一人嬉しそうに話しかけられていた。

 

 

○月×日

 今日は久々に休みを貰った。ソフィア様が働きすぎだから休みを与えるようにおばあちゃんにおっしゃったらしい。そういえば最近は忙しくて中々休みを取れなかった。ソフィア様は私の事をよく見てくださってくれた。でもなぜか胸騒ぎがする。なにも起こらなくて欲しい。明日ソフィア様にお暇を下さった事にお礼を申し上げないと。

 

 

○月×日

 昨日の胸騒ぎが当たった。海賊団がお城に攻めて来て王族が全員お亡くなりになられたと噂話が国中に広まっている。ソフィア様とおばあちゃんは無事だろうか心配です。

 

 

○月×日

 かなりの重傷でおばあちゃんが帰ってきた。私と二人きりでお話しがあるようだ。ソフィア様の事だろうか?

 

 

○月×日

 おばあちゃんから襲撃事件の事を詳しく知らされた。ソフィア様は行方不明だそうだ。

 

 

○月×日

 新しい国王様の批判は日に日に増えている。近いうちに反乱が起こると思う。

 

 

○月×日

 始めの反乱から何度目だろう?このままファンスィー王国は滅びていくのだろうか?

 

 

○月×日

 今日おばあちゃんに私の家に伝わる伝説を聞いた。このままではダメだ!

 

 

○月×日

 ヴィクトリア様が私を呼んでいる。ソフィア様の事だろう。

 

 

「っと、危ない、危ない。つい最後まで見てしまったわ。ヴィクトリア様の元に急ぎましょう。この家とも今日が最後かもしれない。」

 



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37 「37ページ目 小屋」

 暗い夜道、月が雲に覆われて完全に暗闇の中

小屋を守っている二人の男達は前から聞こえてくる足音に注意を向けた。

段々と足音が近づいてくる事に二人の男は警戒を最大限に引き上げた。この小屋にはあるお方がいらっしゃる敵など絶対に来てはならない。

暗闇の中に雲が晴れ現れた月に照らされ、足音の正体の姿が二人の男に見えた。鼠色のボロボロのマントを着ていてフードを被っている。明らかに怪しい者。

「止まれ!誰だ、顔を見せろ!」

二人の男のうち一人が正体不明の人物に声を掛ける。

正体不明の人物は立ち止まりフードを外す。そこに表れた顔は無表情ながらも気迫のある少女の物だった。

「っは、ラクカ様でしたか。ご無礼をお許しください。これも仕事なので…」

二人の男は顔が分かると敬意を見せた。

 

ラクカ

襲撃事件後、国王だったヘヴァンの弟が国王になった。新国王は独裁政治を行い、今では反乱軍との戦いで国は混乱状態になっている。国は今、国王軍、反乱軍、市民軍の三軍に別れて三つ巴の戦いになっている。国王軍は新国王を、反乱軍は新国王の義兄を、市民軍は国民のまとめ者をそれぞれ指導者としている。

数年前の襲撃事件以前にお城で働いていた者達に新国王に不条理な理由で処刑されたはずだった。ラクカは早々に身の危険を感じ逃げた。こうしてラクカは平和の王家ツァーリ家臣等の唯一の生き残りになり三軍から身を追われている。

 ラクカが三軍から身を追われている中ラクカの事を様付けで呼び、今はまだ小さく三軍から敵対すらされていない組織があった。ラクカは今夜その組織のトップに『会えないか』と手紙を受け差出人を知ると直ぐに返事を出した。

 

「仕事ならしょうがないです。私があなたの立場なら同じ事をしました。」

「ご理解ありがとうございます。では中にどうぞ。主がお待ちしております。」

 

ラクカは頷くと小屋の中に入っていった。中に入ると外の薄汚い外見は作り物だと分かる。小屋の中は綺麗とは言えないがそこらの家よりは掃除が行き届いている。それともラクカが訪れる為に綺麗にしたのか。会う人があの人だから後者のかもしれないとラクカは結論付ける。

部屋の奥まで進むと更に二人の男がいた。今度は先ほど人と違い鎧を着けている。二人の男はラクカの姿を確認すると床を持ち上げた。隠し階段の入り口だ。

そして深々と貴族のお辞儀をしてラクカが通り過ぎるのを待った。

階段を降りるとそこは豪華な作りとなっていた。

「ラクカ様ですね。こちらへどうぞ」

一人女性がラクカを案内する為先導する。

すれ違う人達は皆忙しそうにバタバタしているがラクカの顔を見た途端立ち止まって深々と頭を下げるのだ。ラクカはここでもしかしてこれは罠なのではないかと考えた。が直ぐに消えた。

 一室に入るとそこにいたのは

「お待ちしておりました。ラクカ様。」

ラクカの主ソフィア様の従妹、ヴィクトリア様がいた。

 



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38 「38ページ目 友達」

「本日は私の招待に答えてくれてありがとうございます。どうぞお掛け下さい。」

ヴィクトリアがラクカに言うと侍女がヴィクトリアの反対側の椅子を引いた。

「わかりました。それで、今回私はなぜ貴方様にお呼ばれされたのですか?隠し階段からのこの様な施設、一体何をしているのでしょうか?」

ラクカは早速ヴィクトリアに疑問を質問した。

「ラクカ様、敬語は必要ありません。貴方様はソフィア様の使用人であります。」

ヴィクトリアはまずラクカには敬語は必要ないと言う

「でしたらなぜですか?」

「が、ご友人でもあります。ですから普通に話しかけても構いません。」

「私は生まれつきメイドとして生きていました。ですから急には変えられません。ですからヴィクトリア。と同じ様に『ソフィア様にお仕えする者』としては扱えます。」

「ラクカ…なんだかお友達になった様ですね。ラクカ」

「そうですね。ヴィクトリア」

笑い合うラクカとヴィクトリア。二人にとって初めての対等な友達になったのだった。

 

しばらくの間二人は雑談をしていた。内容はソフィアに関することだが。

「そういえばまだ私が呼ばれた理由を聞かされていませんね」

ラクカは肝心な話しをしていない事にふと思い出してヴィクトリアに聞く。

「あらら、私ったらソフィア様の話で盛り上がってしまい肝心なお話しを忘れるところでしたわ」

「肝心な話しを忘れないで下さい。まぁ私も盛り上がってしまいましたが…」

ラクカとヴィクトリアは共に頬を紅く染め目線を逸らす。

「で、では私がラクカを呼んだ理由をお話し致しますわね。今この国は混乱状態に陥っていることは分かっていますわね?ラクカ」

「そんな事分かり切っていますよ」とラクカが返事をすると

「ラクカ、貴女はこの国はこのままでいいと思っているの?」

「ダメでしょうね」

「そう!そこで私はこの混乱状態を終わらせることにしたのですわ」

この混乱状態を治めるためには一つしかない。少なくとも私がおばあちゃんに聞いた話ではあれしかない。果たしてヴィクトリアは分かっているのだろうか。返答次第でどうするか決めないと。

「私は新たな派閥を作り、統一を目指します。」

ダメでしたか…。

「そこでラクカには一番重要な仕事を頼みたいと考えているの」

断らないと

「ごめんなさい。わたs」

「ソフィア様を見つけ出して国へお戻りになさるよう説得してもらいたいの。」

え!?今ヴィクトリアは何て言った?ソフィア様をお戻りなさるように説得する。それだとソフィア様はまだお亡くなりなられていない!?

 



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39 「39ページ目 ペンダント」

「どういう事ですか?まるでソフィア様の居場所を知っているようですけど」

おばあちゃんに聞かされていたソフィア様の行方不明。ヴィクトリアなら場所を知ることができたのでしょうか?

「いいえ。居場所は分からないわ。でも方向は分かるわ」

居場所が分からないのに方向は分かる?一体どういう事なのでしょうか

「居場所は分からないけれども方向はわかる。というのはどうしてなのですか?」

ラクカの言葉を聞くとヴィクトリアは手を服の中に入れてペンダントを取り出した。

「このペンダントは特注品で何が起ころうと開きませんのよ。大事な物をしまって置くには最適ではないでしょうか。」

ペンダントを机の上に置いてラクカに見せてくる。

「そうですね。中には何が入っているのですか。とても大事な物でしょう」

ヴィクトリアはラクカが手に取って見てと言うとペンダントをラクカが手に取りやすい位置まで差し出して来た。

では失礼します。とラクカがペンダントに触れるとカチッと音がしてペンダントがゆっくりと開いた。

「紙?」

入っていたのは一枚の紙だった。

「このペンダントはラクカが触ると開く様にと作られていますわ。そしてこの紙こそがソフィア様の方向を示す『ビブルカード』ですわ。」

ビブルカード、聞いた事がある。確か爪の切れ端を使って作る特殊な紙の事だ。親紙の方向へじわじわと移動する紙であり使った爪の持ち主の生命力を表す紙でもあったはず。だったらこのビブルカードが本当にソフィア様の物でしたら…ソフィア様の元へ行くことできる!でも二つ疑問が残る。ヴィクトリアは一体どうやってソフィア様のビブルカードを手に入れて私しか開けられないペンダントを作ったのだろうか?ストレートに聞いて見た。

「ソフィア様のビブルカードはかなり前にソフィア様の爪を『偶然』にも手に入れた物を使い作ったのですわ。」

ヴィクトリアは偶然手に入れたと言う。

「では私がこのペンダントを触った瞬間、開いたのは?」

ハッキリ言ってこっちの方が不思議だと思う。だって前者の方はヴィクトリアにはやりかねない。問題は後者の方。

「私の家に伝わる秘宝で初めて触った人以外は開かないのですわ。襲撃事件前に寝ている貴女を登録したのですわ」

「そんな秘宝でなぜ私に登録を?」

次に思った事を質問する。直ぐに返事が返ってきた。

「ラクカがソフィア様の唯一のご友人だからですわ」

「私がソフィア様のご友人ですか。そんな事はありません。」

 



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40 「40ページ目 伝説」

「いいえ。ラクカ、貴女は確かに書類上ではソフィア様のメイドの立場になっていますが周りでは既にご友人と認識されていますわ。そして何より貴女と話している時ソフィアは一番感情を豊かに話していらっしゃいますわ。それはあなたに心を許していると言う事ではないのでしょうか」

ヴィクトリアの言葉を聞いて私はおばあちゃんに教わった伝説の存在を肯定した。

そして私は気がついたら伝説の内容をぽつぽつと話していた。

 

「 昔々ある所に二つの国がありました。

国と言うがまだそれ程発達もしておらず強いて言うならば部族

二つの部族はそれぞれ違う物を信仰していた

片方の部族は太陽と金をもう片方の部族は月と銀を

二つの部族は絶えず争いが起きていた

そんな中二人の男女が恋に落ちた

男女は部族が違い公に出来ずにいました

二人はこっそりと会う関係を続けていましたがそれも長く続きませんでした

女性が子供を産んだ時にばれてしまいました

部族は直ちに女性と赤ん坊を殺そうとしましたがここで奇跡が起こるのです

女性と赤ん坊をどう殺そうとしても死なないのです

やがて赤ん坊は子供となりわずか十歳で部族のトップになり二つの部族を統一したのです

そしてその後彼は全世界を統一したと伝えてられています 」

 

「その伝説は知っています。でもなぜ今それを?」

「では彼が生まれてから時折彼に対抗出来る能力を持つ子供が生まれくる様になっていたことは?彼には三人の子供がいたことは?その内の一人がこの国を作ったことは!?」

ラクカは感情が高まっていくのかドンドン大きな声へとなっていく。ヴィクトリアは少し驚いた。こんなラクカを見たことがないからだ。

「あ、申し訳ございません。感情が抑えられませんでした。それで先程私が言ったことは知っていましたか?」

当然ヴィクトリアは知っているはずもなく首を横に振る。ラクカはヴィクトリアの反応に満足げに「やっぱり」と呟くと自分の思考の海に沈んでいった。がヴィクトリアは今ラクカが話していたことの意味が知りたかった。だから、ラクカを思考の海から引っ張り出した。

「ラクカ、私には今貴女が喋っていた事の意味が分からないわ。教えて」

ラクカの目に焦点が合ってきて「っは」と言うとラクカはまた喋りだした。

「今私が喋った事は少なくとも私のおばあちゃんから教わった事実です。王家には伝わっていませんでしたか。…それとも王のみに伝わる伝承でしたのか?ソフィア様の能力は先祖返りだと思われます」

 



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41 「41ページ目 先祖返り」

「先祖返り…ですか?」

ヴィクトリアはラクカに訳が分からないと聞いてきた。ラクカはその質問にすぐ答えた。

「はい。現在この世界では伝説の能力を持つ者は誰一人いません。」

「え?つい先ほどソフィア様は先祖返りで伝説の能力を持つと言っていたではないでしょう」

ヴィクトリアはラクカの答えが矛盾していることを指摘した。

確かにそうですね。自分でも何を言っているのか分からないです。が一つだけ分かっていることは

「はい。あくまでも先祖返りです。伝説の能力を持つわけではないと私のおばあちゃんが言っていました。」

「では、ソフィア様のお力はまだ完璧ではないと言う事ですね。」

「そうです。あることをすれば完璧な能力を得ることができるはずだ。とも伝えられています」

「あること?それは一体何を行えばよいのでしょうか。……ってそんな事考えている場合ではありませんわ。いいえ。勿論ソフィア様には完璧になって頂けなければなりませんが話しの本題からずれていますわね。」

ヴィクトリアに言われてラクカは自分の失態に気づいた。

そうでした。私がソフィア様のご友人だという話からかなり話がずれていた。

「私はあくまでもメイドです。」

「では、なぜそこまでメイドにこだわるのです。『ソフィア様のご友人』と言う立場は名誉あることですわ。そんなにもイヤなのですか?」

あくまでも『メイド』を主張するラクカ。

確かに『ソフィア様のご友人』と言う立場になれば私はソフィア様に仕えていらっしゃっても周りの人達が勝手に決め込んで私は本当の意味でソフィア様に仕える事が出来ないと思う。それに私には…

「先程お話しした『先祖返り』。実は私にもあるのです。」

「…え?」

私の言葉にヴィクトリアは固まってしまった。当たり前の反応だと思う。私もおばあちゃんから聞いた時、同じ反応をしたからだ。私はヴィクトリアが頭の整理を終える前に話しを続けた。

「『先祖返り』とは、遥か昔の伝説の国の王に対抗できる程の力があり。その力は王族のみが持っていた物ではなく条件はあるものの誰にでも持つことが出来ました。現在は遥か昔にその力を持っていた人の子孫にはある程度の能力しか持つ事が出来ない。それでもある程度でもかなりの力を持ちその人達の事を『先祖返り』と呼ばれるのです。私のおばあちゃんも先祖返りでした」

いっきに話した私は少し息を吸ってヴィクトリアの反応待った。何分か経った。私にはその時間が何時間にも感じられていた。

 



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42 「42ページ目 メイド」

ヴィクトリアがついに口を開いてくれた。正直この沈黙が耐えられなかった。ソフィア様がお相手でしたらいくらでも耐えれそうですけど。

「話は分かりわしたわ。貴女がソフィア様のご友人になれないのは『先祖返り』のせいなのでしょう。どんな能力なの?」

ヴィクトリアは私にどんな能力なのか聞いてきたので私は盛大に言い放った。この誇りある素晴らしい能力を誰でも良いから聞いてもらいたかったのです。

「メイドでございます。」

「メイド?」

私が言うとオウム返しの様に繰り返された。ヴィクトリアは悪魔の実の能力に近い事を想像していたらしいが職の名前が出てきて、ぽかーんとしている。

「そうですがメイドと言うには明確ではないです。おばあちゃんが言うには悪魔の実の様に出来ることが曖昧なのです。」

「曖昧?ですか。ラクカの場合にはどういった感じですか」

う、この質問には回答が少し難しい、かな?とりあえず私が今思っている事をそのまま伝えましょう。

「私の場合、何となくソフィア様の行動が少し分かる時があり「本が欲しい」とおっしゃっられた時にはもうすでに準備が完了出来ていたり、ソフィア様のご命令であらばどんな事であろうともできる気が…いえ、絶対に出来る、しなくてはならないと頭の中で響き、実際に出来てしまうのです。今でもソフィア様の元へと駆けつけたいという衝動に駆られています。」

そう、私はソフィア様の無事を知ってから直ぐにでも行きたいという衝動と戦っていた。今少しでも気を抜けば行動に出てしまうので早く会話が終わって欲しいです。

「まあ、まさにソフィア様の為にある能力ですわね。正直羨ましいですわ。」

ヴィクトリアはラクカの心情を読まずに話を続けた。

「わたくしも何かソフィア様のお役に立てる力が有れば…」

もう限界だ。早くヴィクトリアに要件を終わらせてもらいましょう。

「ヴィクトリア話がかなり脱線していますよ。私も脱線させたのですがヴィクトリアだって暇ではないでしょう。それで私にソフィア様のビブルカードを私に渡してどうしてもらいたいのですか?」

正直、もう分かっているのですがヴィクトリアに依頼されなければ私はこの国には戻って来ないでしょう。

「そうでしたわ。わたくしがラクカに頼みたい事はこのビブルカードを使ってソフィア様の元へ行きこの国へ帰国して頂くのです。」

やはりそう来ましたか…。私は一つの疑問がありました。

「ソフィア様が戻らなないとおっしゃった時は?」

 



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43 「43ページ目 もう一度」

「その時はその時ですわ」

「分かりました。では早速ですが、行ってもよろしいでしょうか?」

私はヴィクトリアに退室の許可を得て部屋を退室した。退室際にヴィクトリアが

「ソフィア様の事を頼みましたわよ。今度はソフィア様と三人でお茶会が出来るよう頑張りましょう。頑張ってくださいませ、ラクカ!」

と言って来られたので私も扉の前でクルリとヴィクトリアの方を向き精一杯の感謝を込めてお辞儀をした。

「この度はソフィア様のビブルカードをお預け下さり誠にありがとうございました。ヴィクトリアもこの国をソフィア様に導けるよう私も応援させて頂きます。」

感謝申し上げた。ヴィクトリアは私にもう一度生きる意味を与えてくれた。なら私もヴィクトリアに全力で答えてあげないと。もう一度あの素晴らしい一日を取り戻すために。

 

ヴィクトリアはラクカが顔を上げた時に見た目を見てこの部屋に入って来た時と違う目をしている事が嬉しかった。部屋に入って来た時は意志のない目をしていたが今はしっかりとした意志のある目をしていた。わたくしも頑張るので貴女も頑張って下さいね。………ラクカお姉様。ヴィクトリアはラクカをソフィアに向ける目と同じ目で見ていた。

 

 

 

ガヤガヤと騒がしく平和な町中、一人の女性が手を少し体の前へ突き出して歩いている。彼女は手の上に乗せてある一千切りの紙をずっと見つめている。紙は掌で少しずつ動いている。ビブルカードだ。ビブルカードは彼女の進む方向へ動いていたが急に反対側へと動き出した。それを確認した女性はビブルカードの示す方向へ走り出した。周りにいた人々は急に走り出した女性に驚き辺りは更に騒がしくなるが当の本人は気にせず走り続けた。

島の最端に着くと再び掌にあるビブルカードへと目線を移す。ビブルカードはまだ先へ示している。つまりこの島にはもういないと言う事だ。女性、ラクカは、はぁとため息をついた。

「今回も逃げられてしまいましたか…。」

私はヴィクトリアとの約束でソフィア様を見つける旅にでている。ビブルカードを辿って島に着くとどんなに大きな島でもまず島を一周する。次に島を一周するとビブルカードを確認する。島を回る間にビブルカードが全て同じ方向を示すと島を出る。が今回の島は島を一周する間ずっと中心、ではないが島の中を示していたのでここからは念入りに探していた。ソフィア様を探して数年、ヴィクトリアは無事に私との約束を守ってくれてファンスィー王国を統一していた。

 



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44 「44ページ目 無人島」

 一方で私は何も成果を得られずにいた。どういうわけかソフィア様は島の中にいたにも拘わらず急に島の外に移動される。ビブルカードが差す方向へ行き島にいる事を確認する。探し中に別の島に移動される。繰り返し作業の数年間だった。

「私はこのまま一生ソフィア様の元へたどり着く事がないのではないでしょうか?」

「あぁ、辛い。こんなにもソフィア様の傍にいないことが辛いだなんて……。」

「もう、ヴィクトリアとの約束なんてどうでもいい。とにかくソフィア様の傍にいたい。」

「ソフィア様、一体どこにいらっしゃられるのでしょうか?」

もうすっかり暗くなり辺りは真っ暗だ。そんな中、月がぼんやりと暗闇の世界を照らしている。そして月の下でラクカはひたすら祈った。

ソフィア様に今度こそ会えます様に。会いたい、会いたい。早くこの苦しみから逃れられたい。ソフィア様の傍にいる事が望み。会いたい、会いたい、会いたい…会いたい……………会いたい。

心がぐちゃぐちゃなってどうかしそうな中、それでもラクカは月に祈った。祈って、祈って、祈って、祈って、祈って…祈って……祈って………祈って…………祈って……………祈って………………祈って…………………祈った。

 

神様はやはり私を見捨てていなかった。と思ったのは前回ソフィア様を見失ってしまってから直ぐのことでした。

島からビブルカードが示す新たな方向にある島へ行く為私は定期船に乗り航海をしていました。無人島を通り過ぎたとたんにビブルカードが進行方向の逆に引き寄せられ始め私はもしかしたらソフィア様は先ほどの無人島にいるのではないかと思い船を降ろして貰いました。

この数年でかなりのお金が無くなりましたがそれでもヴィクトリアが用意してくれた金額にはまだ余裕がありましたので定期船から小舟を買い無人島に着けました。

 その無人島はかなりの大きさで森が中心にあるだけで普通でしたら無人島なんて調べないのですが今回は何故か頭の中でソフィア様がここに来ているのではないか?と言う考えが離れないのです。

いつも通り無人島を一周しました。するとビブルカードは全て森の中を示しました。私は早速森の中へと足を運びました。

森の中に入ってから数時間が経った頃、私はもしかしたら今にでも島の端に出てしまうのではないかと心配になっていた頃です。

急に気配が変わりズウン、ズウンと大きな足音とメキメキと木が折れる音が聞こえてきました。

「ガルルルルゥ!!!」

 



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45 「45ページ目 ソフィア様」

 木をなぎ倒しながら現れたのは私の知っている大きさよりも十倍以上のサイズのトラでした。

「え!?」

森に入ってから今まで何も起こらなかったのでこの無人島には特に警戒するものはないと侮ってしまいました。後で知ったのですがこの無人島にはこの様な猛獣が沢山いて私は偶々出会わなかっただけらしいです。

 咄嗟のことで私は動けずにいてトラが噛みついてきました。それをギリギリで避け考えました。

「(護身術は学んでいましたがこのトラにはき――。)っがは!?」

私は気が付くとトラになぎ倒されていました。そしてぼんやりとする視界に見えてくるのはトラの口。

「(た、食べられる!)」

次の瞬間、奇跡がおこりました。

「森が騒がしいと思ったら誰かが迷い込んでいたのね」

その女性は清く美しく神々しく見覚えのある雰囲気でした。女性は私の前に立ちふさがり

「私は今、読書の邪魔をされて気分が悪いの。エイちゃんに言われて来て見たけど、あなたどうするの?」

トラに言い放った。

それでもトラは威嚇してきました。

「はぁー。消えて!」

彼女が面倒さそうに冷たい声で言うと一瞬硬直してトラは逃げていきました。

 あぁ、お変わりのない声の冷たさ、美しい容姿。私を助けて下さった人は、

「ソフィア様!」

「?? あ、ええと大丈夫?」

ソフィア様は私の言葉に一瞬ご自分がソフィア様の名前ではないように首をかしげられたが直ぐに私の身を心配されました。

「心配要りません。私は大丈夫です。」

言葉ではそう言ったものの足の骨が折れていて上手く立ち上がれません。

「足の骨が折れているみたいだけど…大丈夫と言うならいいわ。それで貴女はどうやってこの島にやって来たの?この島は無人島でなおかつ危険な猛獣がゴロゴロ潜んでいるから一般人は来ないし来るとしたら海賊もしくは漂流者。格好を見るには漂流者には見えないから海賊?でも敵意は見えないからホントに貴女の目的が分からないわ。教えてくれる?」

ここでやっと見つけることができた。神様は私を見捨ててはいませんでした。

でもこんなに口を開くソフィア様は初めて見ました。

「私は元ファンスィー王国第二王女ソフィア様の仕え、ラクカでございます。ソフィア様!」

「そう……残念だけどファンスィー王国に戻って欲しいならば受けないわ。それについこないだそこに行ってきて断って来たから。」

「私の任務はソフィア様をファンスィー王国に連れて帰る事でしたが別に強制ではございませんでした。」

 



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46 「46ページ目 指先から血」

「ソフィア様がお望みでしたら私は何も言いません。」

私がソフィア様に伝言だけが役目だと言うとソフィア様はほっとした様子になりました。

「あそこに行った時にね。ヴィクトリアがしつこくて困ったの」

「ヴィクトリアはソフィア様の事を神と崇めていましたから」

ソフィア様は本当にお喋りになられたと思う。内容は全て本に関する事でしたが…。

「ソフィア様。先ほど私が言ったのはついででございます。本来の目的はソフィア様に仕える為にやって来ました。どうか私をソフィア様の元に置いては下さいませんか?」

私は本来目的をソフィア様に申し立てました。

「…残念だけどそれは出来ないわ。もう少し起こる戦争に行かなくてはいけないから。それとこれはここまで来てくれたお礼。」

「そ、そんな!」

ソフィア様がお礼とおっしゃった瞬間、トラにやられたケガが治っていた。しかしそんな事よりも私に返ってきた答えに絶叫していた。すると今度はソフィア様が何やら驚いた表情になっていきました。

「え!?何、エイちゃん?そんな事出来るの?分かった。やってみる。ラクカ、私のビブルカードを貸して。大丈夫、きちんと返してあがるから。」

「は、はい。」

私はビブルカードをソフィア様に差し出した。ソフィア様はビブルカードを受け取られると何かブツブツと声に出して何もない所から手にナイフを出してそのまま指に突き刺しました。

「ソ、ソフィア様!何をなさるのですか!?」

あぁ、ソフィア様の細くて綺麗な指先から真っ赤に滴る血が流れています。早く治療をしなくては!

私が急いで荷物から応急箱を取り出しているとソフィア様の血はビブルカードにドンドン染み込んでいきます。

「ソフィア様。早く治療を」

「もう少し待ちなさい」

ソフィア様はまだ血を流し続けています。

ビブルカードいっぱいに血を注ぎ込む事が出来たのは血を流し続けて数分後でした。

「これくらいでいいの?」

ご自身に確認するのではなく見えない誰かに確認するかのように言うとソフィア様はようやくおやめになられました。血を流し続けていたせいかほんの少し顔色が悪い事に気づきました。これは多分先祖返りのお陰なのでしょう。

「治療を」

治療の準備していた私はソフィア様に言いましたが

「これくらい自分で治せるわ」

そうおっしゃるとキズは塞がっていき顔色も良くなりました。

「ではラクカ、ビブルカードを返すわ」

「おこがましいのですが質問を申し上げてもよろしいでしょうか?」

 



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47 「47ページ目 信頼されたメイド」

私はこの赤いビブルカードをどう使うのか気になってソフィア様に尋ねました。ソフィア様は私に躊躇いもなく教えてくださります。

「通常のビブルカードは爪のかけらを使って作るのに対してこの赤いビブルカードはさっきしたように血を加えて作り上げた為通常のビブルカードより性能の差がかなりのあるわ。より強く私と繋がっている事になるから直に持ち過ぎるとおかしくなっちゃうから止めて起きなさい。」

「分かりました」

私はビブルカードをいつもしまっている懐ではなく荷物が入っている鞄にしまい込みました。

「ではソフィア様、私は何をすればよろしいでしょうか。」

「? 貴女一体何をしに来たの?」

「勿論ソフィア様に仕える為にやってまいりました。」

「それはさっき聞いたわ。そして拒否したはずよ。」

二度目の拒否に私は酷く傷つきました。ですが悪いのは私です。ソフィア様がダメだとおっしゃられたらダメなのですから。

「ではソフィア様。最後にお願いがございます。」

「……いいわ。言って」

「ありがとうございます。……ソフィア様に私の人生を奪って貰いたいのです。」

私は期待する目でソフィア様を見つめました。

「それは私に自分を殺せと言っているのかしら?」

「そうです。私はソフィア様だけに仕える身です。ソフィア様が要らないとおっしゃられたのならば私をこの身を終わらせるだけです。どうせならばソフィア様ご自身の手で終わりたいと考えております。」

私は再び期待する目でソフィア様を見つめた。しかしソフィア様は私の期待を裏切った。いい意味で

「一体何のためにビブルカードに血を吸わせたと思っているの!?……いいえ。私の言い方が悪かったわ。今はまだ傍に居させるのは無理だと言っているの。」

私はその言葉を聞いた途端に先程まで沈んでいた心がスッと軽くなった気がした。

「その様な考えでございましたか。私の理解不足でした。申し訳ございませんでした」

頭を下げ両手を前に組んでソフィア様の前でお辞儀をした。メイドは跪いてはいけないとおばあちゃんに習ったからだ。

「多分半年後までに呼び出すと思うからよろしくお願いね」

半年間辛抱だ。それまでの間ソフィア様が好んでいたご本を用意しましょう。

「はい。呼び出しを何時でも心からお待ちしております。それまでの間どうかご無事でいらっしゃって下さい。」

そう述べるともう一度お辞儀をして無人島を去った。

島に着いたら早速町の本屋さんに寄って新刊を買いましょうか。

 



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48 「48ページ目 待つ」

半年後

「ありがとうございました。」

私は店員の声をバックにお店を出た。両手には大量に詰まったビニール袋。

今日は久しぶり本屋に行ったら随分と多くの新刊が出ていたので全て買いました。分けて買えばいいと思ったかもしれませんがソフィア様曰く

「出来れば初版が欲しいし少し立つと直ぐに絶版になる本もあるから出来るだけ目に入ったら全部買っといて」

だそうなのでこういう新刊の発売日は腕が痛いです。

町から少し離れた所にある小屋に帰るとポストに新聞が入っているのを見て家の中に持ってはいる。買ったばかりの本を分けてしまうと新聞に目を通す。

『頂上戦争終結 海軍の勝利

昨日ポートガス・エースの公開処刑を目の前に海軍と四皇白ひげ海賊団及び傘下が正面衝突した。白ひげ海賊団が現れる前に発覚した火拳のエースは海賊王ゴールド・ロジャーの息子だと言う事が判明し直後、火拳の義姉を名乗る女性が現れ―』

そういえばとふと思い出した

「半年後ぐらいに呼ぶからよろしくね」

もうすでに半年間経っている。

私はいつも持ち歩いていつポーチを探るとソフィア様のビブルカードを取り出した。

「何ですかこれは!?」

ビブルカードは目で確認出来なくなるほど小さくなっていた。

ソ、ソフィア様に一体何が起きたのでしょう。これ程のサイズでしたらもう生死をさまよっているはず。あぁどうしましょう!

私が焦っているとビブルカードが少しずつ大きくなっていきました。ビブルカードは何時間も掛けて少しずつ、少しずつ大きくなっていきます。五時間も経つころには人間の容だと分かる様になっていきました。

何でしょうか?ビブルカードには元の大きさより大きくなり人間の容をとるなんて聞いた事もありません。ソフィア様のビブルカードが通常のビブルカードとは違う点は血を一定以上沁み込ませていると言う事のみ。もしかしてその違いがこの様な現象を起こしているのでしょう。

そこまで考え着くと私は考える事を止めた。

これはソフィア様が起こしたもの。ソフィア様が行っている事に口を出すなんておこがましいです。何をされていましてもソフィア様の行いは全て正しいのです。

自分に言い聞かせるとひたすらに待った。

 いくら忠誠心があろうと人間には限界がある。ビブルカードの変化から丸一日が経とうとしていた。ラクカはそれまでの間一切の食事、運動、排泄行為をしておらず人間ここまで出来るのか?と言うほどの忍耐力で耐えて来た。だがそれは終わった。

 



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49 「49ページ目 ビブルカードから」

三話連続投稿になります。


終わった。

ラクカの体力が、いいや違う。

終わったのはビブルカードの謎の変化の方だ。

それは人間の女性の姿をしておりラクカより低く見えるそれは全く布をまとわない産まれたままの姿で止まった。

 

ラクカは急いで彼女に服を着させベッドに乗せると自分は食事を作る為にキッチンへ向かおうとするが……

 

「あ、あれ?上手く動けない」

 

ラクカの体は既に限界を超えている。それでもなお動こうとすると体は強制的に脳の信号を無視する。意識がもうろうとして体は完全に倒れてピクリともしなくたった。

そうしてラクカの意識は深い闇に落ちて行った。

 

 

 

ドスッと言う音を聞いてラクカは目を覚ました。

どれくらい眠っていたのだろ?

ラクカは体を起こすと音のした方に目を向けた。

 

「痛ったた。ほ、本~。あれ、何で体が動かないの!?」

 

ラクカが目にしたのはベッドから降りようとして落ちたあの少女だった。

ラクカは急いで駆け寄るとベッドに戻した。

 

「大丈夫でしょうか?」

「大丈夫じゃないかも。あ、ありがと。えーと、あれ思い出せない。もうちょっとで、確かララ、ラクカ。そうラクカ!本取って!自分じゃ動けないから」

 

この少女はなぜ私の名前を知っているのでしょう?ソフィア様のビブルカードから生まれた少女、まずは情報を集めなければ。

 

ラクカは本を一冊本棚から適当に取り出して少女の脇に立つと

 

「あなた様は一体誰ですか?それをお答えいただけませんとこの本はお渡し出来ません。」

「私?アスだけど」

「…アスですか」

 

アス、一体どなたでしょう聞いた事もない名前ですが。

 

「あ、最近こっちしか言ってなかったから忘れてた。でも私を見てもラクカの反応は他人に対するもの。もしかして!」

「もしかしてなにか思い出しましたか?」

「鏡貸して」

「分かりました」

 

変なことを言う少女です。鏡なんか使ってなにをするつもりなのでしょうか。この部屋にある物はすべてソフィア様の為にオーダーメイドした物です。正直言って彼女が今使っているベッドもソフィア様の物。壊したりしたらいくらソフィア様のビブルカードから出て来たといえ出て行ってもらいましょう。

 

ラクカは部屋にある化粧台にしまっている手鏡を取り出して少女に渡した。遠回しに脅しながら。

 

「これをどうぞ。壊してしまっては困りますがこの様な物しかございませんので丁寧に扱って下さい。」

 

少女は手鏡を受け取ると顔を写し見ると

 

「やっぱり。どおりで体が動かないと思った。約二十年間もあのハイスペックな体を使っていたから元の体が思うように動かないのも当然だよね。頭も働かないし。ラクカ」

「何ですか?」

「私はソフィア、貴女の仕える主人ソフィア・ツァーリです」

 



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50 「50ページ目 エピローグ?」

「ソフィア・ツァーリです。わっ……ごめんけど起こして下さい。」

 

ソフィア・ツァーリを名乗る少女はベッドに入っている状態で体を起こし頭を下げると「ぺった」と顔面から布団に倒れこんだ。

ラクカはすぐさま少女を起こしてあげたがまだこの少女が自分が敬愛するソフィア様とは思えなかった。

 

「お言葉ですが私が使えていらっしゃるソフィア様はこの様な少女ではございませんし覇気がなさすぎます。本物のソフィア様でしたら私の能力で直ぐに分かるはずですが本物の証拠を見せてください」

 

ラクカは焦っていた。

言葉遣い、態度は全く違うがソフィア様のビブルカードから生まれた事真っ先に本を欲しいとねだる事を知ると全くソフィア様でないことを否定できなかった。

それでも自分の能力が全く反応しないでいると肯定もできなかった。

だから焦って説明を求めた。

 

「分かった。じゃあまず半年前に渡した赤いビブルカード。あの時に一応保険を掛けていたんだけど掛けていて正解だったね。エイちゃんの言う通りだ。それで私は頂上戦争に向かった。目的を達成する為に戦って最後に致命傷を負ったの。体力も残りわずかだったから治癒もできずそのまま死亡。だけど、そのまま死ぬのってしゃくじゃない。まだ沢山本読みたいし。だから最後の力を振り絞って私の命の欠片がある場合つまりラクカが持っている赤いビブルカードから転生出来る様にしたってわけ。わかった?」

 

いっきに説明をされて私は混乱した。

理解したことはこの少女がソフィア様だということ。

だが一体何この様なお姿になられてしまったのか説明されてない。

 

「貴方様がソフィア様である事は分かりました。がその様なお姿に変わり果てた理由は何故でしょう?」

 

ラクカは少女がソフィア様だと言うのに不思議とソフィアに向かって堂々と疑問をぶつけることができた。

 

「多分だけど転生に失敗したんだと思う。」

「失敗?ソフィア様は今ここにおられます。転生は成功でしょう」

「確かに大きく分けて考えたら成功と言っても過言ではないと思う。だけど容姿も変わった。能力も使えず逆に日常生活にも支障がでる程の運動量、エイちゃんも消えた。失敗に近い成功なの。あと少し足りなかったら私という存在まで消えてしまう成功。こんなの成功じゃ無くて失敗だよ……」

 

最後の方は泣き崩れながらソフィアは説明をした。

そんなソフィアにラクカは

 

「そんな事言わないで下さい。私はソフィア様がどれ程弱っていようと容姿が違おうと私の元にいてくださることだけで結構です。私はソフィア様の存在がここにあることだけで嬉しいです。成功でも失敗でもありません。存在が消えてしまう所を前とは違えどここに今いるのです。それだけで十分です」

 

抱きしめて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺り一面真っ白い空間

そこから二つの存在がラクカとアスを見ていた。

 

「満足頂けたでしょうか?エイフィアさん」

「満足も満足、大満足じゃ。がのうここは一体どこになるのかのう?」

 

ラクカとアスが映っている場所を見下ろす位置にある机と二つの椅子。

そこでまるでお茶会の様に優雅にお茶を飲んでいる存在に向かってエイフィアは質問を質問で返した。

羽衣を身に纏って頭には実態のない輪背中には白い羽毛の羽。

エイフィアが子供の頃父上に教えてもらった事のある存在、そう天使そのものだ。

 

「貴女には私とここがそのように見えているのですね。」

「妾には?人によって違うのか?」

「はい。大体の姿は似ていますが人によって好みはそれぞれ違うでしょうそれです。元々私達は世界から『神様』と呼ばれる存在です。そしてここが何処か?と言う質問ですがここは『第二世界』と呼ばれている世界を管理する空間です。」

「管理部屋と言うところじゃな」

「その認識で間違っていないです。本題なのですが貴女は元々『第二世界』にはいない存在でした。勿論貴女がいたからこその『第二世界』なんですけどね。そこで『第一世界』に戻る気はありませんか?」

「妾がいない存在でいたからこその世界か…難しいのう頭がパンクしそうじゃ」

「そんなに考えなくても大丈夫ですよ。貴女が考えるべきことは貴女が生まれ育った世界に戻るかどうかです。」

「戻らないと言った場合じゃと妾はどうなるのかのう」

「私の管理下ではないので詳しくは分からないのですが恐らく記憶を消去し別の器に入れられるでしょう」

「ならば妾の選択肢はただ一つ元の世界に戻るしかないのう。所で死んだ魂はすべて此処に来るのかな?」

「中々来ませんよ。貴女の場合向こうの不良でしたが……。取り敢えずこれから第一世界に転移します。さようなら。

 

 

 

 

あちらの世界はかなり不安定になっていますので頑張ってくださいね」

 




「この世界はまだまだ続くがもう安定するだろう」


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