無表情、無感情で行くリリカルなのは (yudaya89)
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第01話「その少女。無表情、無感情」

 思いつきで書きます


 私は30代にもう直ぐなるおっさん。PCのデータを整理してたら、懐かしいアニメの

映画版を見つけて、視聴していた。嫁さんに

「この声のわかるか?」

「いや、解からんよ」

「○○だよ~」

「え?あの人?ドラマに出ている?」

「そうそう。中学生の頃に一度声優したんだよ」

「そうなんだ~」

「そろそろ寝るかな」

 俺はベッドに横になり明日の仕事に関して考えながら寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 え?何ここ?目を覚ました俺は見知らぬ部屋に居た。見渡すと何処か女の子、そう5~6才ぐらいの女の子の部屋ッポイところに居た。そこへ

「おはよう。よく眠れた」

 母親?と思わしき人物からあいさつされた。少し混乱しているが、怪しまれぬよう

「おはよう」

 あれ?なんでこんな喋り方?

「もう直ぐ朝ごはんだから、着替えて降りてきなさい」

「わかった」

 おいおい。俺は「おはよう、母さん」、「解かった」って言った筈なのに、どうして勝手に変換されているんだ?そうだ、まず状況確認しよう。鏡はあるか?しかし

「できたわよ~降りてきなさい」

 お呼びだ。ここはアドリブでいくしかないな。覚悟を決めて階段を下りていく、そして

「おはよう」

 父親らしき人物へ挨拶をし、テーブルの食器の種類から自分の場所を確認後、その席にについた。

「さぁいただきましょう」

「いただきます」

 黙々と朝食を食べる。

「アウイン?今日は何する予定かな?」

 父親がこちらを向いて話した。そうか、俺の名前はアウインか。俺は子供が答えそうな定番を答えた。

「みてい」

 なんでだ~俺は「今日は公園で遊ぼうと思ってる」って答えようとしたはずなのに・・・

「アウイン?いつも言っているが、たまには外で遊びなさい」

「あなた・・・アウインは・・・」

「・・・そうだったな」

 何これ?何この状況。すげ~暗いぞ?

「じゃあ、そろそろ行って来る。」

「今日は何時ごろに帰るの?」

「いつも通り、18時には帰るよ。」

「わかったわ。いってらっしゃい」

「いってきます」

 俺は朝食を食べ終え、自分の部屋に帰った。

 

 

 どういうことだよ?ええ?意味がわからない。1時間ほど考えたが、まったくわからない。とりあえず、顔でも洗うか。俺は洗面所へ向かった。鏡を見た瞬間俺は・・・

「ラピス・ラズリ・・・」声が出た。機動戦艦ナデシコの劇場版のみに登場するキャラで、ホシノルリと同じように、人工的に作り出された「妖精」。そうか

アウイン→ラピスラズリの構成鉱物の一つ。そういう事か。だから感情、表情がない。状況が読めてきた。俺はとある場所の夫婦の間に出来た子供。しかしその子供には表情、感情がない。ってことは通常の子供ではない。公園にいっても他の子と、コミュニケーションが取れない。よって公園デビューが完全に失敗。そのせいで夫婦間にも亀裂が出来る。言葉が勝手に変換されるのも、彼女が喋るはずがない内容を喋ろうとすると、何かの影響で勝手に変換される。ようやく今の状況が解かった。

 

 

 

 

 で、ここは何処の国?そこが一番の問題だ。目の前のPCで調べてみるか~。

ミッドチルダ?管理局?え?何?地球じゃない?ん~でも聞いたことがあるぞ?

確か~

 

 

 

 

 

 

 

 

 リリカルなのはの世界かよ!!!!



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第02話「人形に見つめられる気分はどうだ?怖いだろ?」

 お気に入り登録ありがとうございます。
まったり行くので、気長におねがいします


 最近わかったことがある。このアウイン、かなりの美少女だ。このまま子供雑誌に乗ってもおかしくないレベルだ。それが良いのか悪いのか、そう、無表情なのだ。

人形のように整っている顔、目は少しだけ細い。そして無表情。その顔で見られたりすると少し怖いだろ?夜中に人形と目が合うと怖いだろ?あんな感じだ。それが原因で友達が出来ない。他の親御さんには「人形みたいで怖い」「実は虐待されてる?」って感じのうわさも流れてる。最低な事に児童相談所?から職員も来た。いや来たって言葉はおかしいな。現在来ている。

「アウインちゃん、どうなのかな?」

 はい、現在聴取されてます。鬱陶しい。

「なにが?」

「お母さんやお父さんに、今まで叩かれた事ない?」

「どういうりゆうで?」

「何もしていないのによ?」

「りゆうもなしになんでたたくの?」

「それは・・・」

「なんであなたにそんなこときかれなくちゃならないの?わたしのからだにあざでもあるの?」

「あのね、アウインちゃん、私たちは「しごと?」え?」

「しごとなんでしょ?そんなのわかってる。じゃあわたしからのしつもん。このいえにはいってかんじたことはなに?ぎゃくたいしているならへやはきれいじゃない。おかあさんはまいにち、かじしてるよ?」

「確かにそうね。この家の外や中を見ても虐待している様な感じはしないわね。でもね最近はそういうところのみで判断しちゃいけないの。」

「わかった」

「じゃあちょっと休憩しましょう」

「へやにいく」

 アウインは自分の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 アウイン

 最悪だ・・・おかしいだろ。3歳児の受け答えじゃないぞ!!本当は

「お母さんもお父さんもやさしいよ。理由なく叩かれた事なんてない。」

 あと失敗したのが

「虐待しているならもっと家とか荒れてる」

 この一言は失敗だな。後々聞かれたらネットで調べたって答えようか。それにしてもこの家族には迷惑をかけたと思ってる。親父の仕事場での立場とか悪くしそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 両親及び職員

「あの・・・」

「なんでしょうか?

「お子さんはいつからあんな感じに?」

「生まれたときからです。普通泣くんですが、泣かなかったのでお医者様にあとから検査しようと言われて」

「いえ、そうじゃなくて。」

「え?」

「今調書を取っていたのですが、まるで大人と話している感じがしました。3歳児とする会話ではありませんでした。」

「うちの子が異常ということですか!?」

「落ち着いてください。普通より脳の発達が早いという事です。それもかなり早いと思います。一度検査してもいいと思います」

「でも・・・」

「勿論しなくてもいいですが、お子さんの将来への参考にしてもいいと思います。」

「解かりました。」

「では、アウインちゃんともう一度話しても?」

「どうぞ。アウイン!」

 

 

 

 

 アウイン

 

 それにしてもこの世界がリリカルの世界とはね・・・いっそこの家からでて働くか?いやいや流石に知識不足だよな?それに俺の魔力やスキルに関しても不明だしな。一度どこかで調べてみたいな。「アウイン!」おっと母親からの呼び出しだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数日後

 

 俺は管理局の施設にきている。なんでも魔力量とスキルの確認だそうだ。これはこれで俺にとって好都合だ。母親が手続きにいってくるからここで待っててねって。本当うちの母親は美人だ。いや俺の嫁さんのほうが美人だった。あ、思い出したら少し心配になった。あ~俺の生命保険降りたかな?殺人犯扱いされてないかな?そんな事を考えていたら。

 

「どうした?迷子か?」

 なんか巨漢の男に声をかけられた。

「たいきしてる」

 そこはお母さん待ってるって言えよ。変換するな。

「待機?ああ、お母さんをまってるのかね?この場所は・・・そうか測定場か」

「あなただれ?」

「私か?私はレジアス・ゲイズ。階級は少将だ」

「しらない」

「ムッ・・・聞いたことはないかね?」

「きょうみない」

「地上を守っているんだよ?」

「しらない。そもそもあなたはまもってない。」

「そうだが・・・」

「そもそもなにをまもってるの?げんばにでないで?」

「うっ」

「げんばにでないひとによくありがちなのが、おもいえがいていたりそうと、めのまえのげんじつのあまりにものちがいに、かってにぜつぼうしてぼうそうする。」

「私は!」

「ベつにとうろんするつもりはない。あなたは「かってに」にちじょうをまもってる「つもり」でいればいい」

「くっ!」

「3さいじにもにんしきされずに」

「・・・どう・すれ・・ば」

「ン?」

「どうすればいい!!これから私はどうすれないい!!地上を守るにはどうすればいい!!」

「わからない?」

「わからない!!」

「かんたん」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・頼む。」

「せんじんにたて」

「え?」

「なにがあってもわしがちじょうをまもるって、みんなにおもわせないとだめ。えんぜつとかはくちだけ。くちがうまいのはまけいぬがいいわけするときと、しゅうきょうでひとをあつめるときと、ねずみこうするときでいい。あなたはどれ?」

「私はそんな人間じゃない!!」

「ならあしたから、げんば(せんじょう)にでろ」

「・・・・・・」

「アウイン~こっちへきない」

「わかった。じゃあね。そうそう、これからどうするかは、れじあす・げいずあなたしだい」

 アウインは検査室へ入っていく。

 

 

 レジアス・ゲイズ

 まったくこれからまた会議か!!いつもいつも同じ事を話し合っているが、有力な案なんて出てこないではないか!!まったく・・・おや?子供?

「どうした?迷子か?」

「たいきしてる」

 変わった子供だな。それにしても人形のような子供だ。そうかここは検査場か。

「あなただれ?」

「私か?私はレジアス・ゲイズ。階級は少将だ」

「しらない」

 なぁ!私をしらないだと?この子供の親はどういう教育をしているんだ!!まぁいい2.3言話して会議に行くか。

「地上を守っているんだよ?」

「しらない。そもそもあなたはまもってない。」

「そうだが・・・」

 なんだこの子供は?

「そもそもなにをまもってるの?げんばにでないで?」

「うっ」

確かに私は現場にはあまり出ていない。

「げんばにでないひとによくありがちなのが、おもいえがいていたりそうと、めのまえのげんじつのあまりにものちがいに、かってにぜつぼうしてぼうそうする。」

 

 

 

 言葉が出てこなかった。私は今まで私が思い浮かべる理想に近づくため努力してきた。そして現場、そう現実を見ていなかった。私は

 

「・・・どう・すれ・・ば」

「ん?」

「どうすればいい!!これから私はどうすれないい!!地上を守るにはどうすればいい!!」

私はほんの数分前に会った見ず知らずの少女へ大声で質問した。返答は

 

「わからない?」

 わからない!!教えてくれ!!

「わからない!!」

「かんたん」

 

 私は考えたが、しかしこの数年考えていた事が、今考えただけで答えが出る事もない。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 暫く沈黙が続き

 

「・・頼む。」

 

 私は頭を下げた。

「せんじんにたて」

「え?」

 意外な答えだった。そして少女は続けた。

 

「なにがあってもわしがちじょうをまもるって、ってみんなにおもわせないとだめ。えんぜつとかはくちだけ。くちがうまいのはまけいぬがいいわけするときと、しゅうきょうでひとあつめるときと、ねずみこうするときでいい。あなたはどれ?」

「私はそんな人間じゃない!!」

 あんな連中と一緒に・・・いや同じか。自分の身勝手な理想を押し付けて、現実を知らない市民へ叶うことのない理想を信じさせている。

 私は・・・少女が言う奴らと変わりない。詐欺師だ。そして

「ならあしたから、げんば(せんじょう)にでろ」

「・・・・・・」

「アウイン~こっちへきない」

「わかった。じゃあね。そうそう、これからどうするかはれじあす・げいず、あなたしだい」

 少女は検査室へ入っていく。

 

 

 しばらくその場に立ち尽くしていた。私は・・・腹を括る!!

 

「少将、こちらにいらしていたんですか?そろそろ会議です」

「オーリスか。わかった」

「どうかされましたか?」

「なに、長年解けなかった問題が解けたんだよ」

「??そうですか」

「オーリス」

「なんでしょうか?」

「今日の会議はかなり長くなる。」

「はっ!」

 今日の会議は長くなるぞ。

 

 

 

 

 

 

 処であの少女は何歳だ?名前は確かアウイン?だったか?しばらくしたら調べてみるか。

 

 

 

 

 




 カタカナ読みにくいですか?でも最後までこのスタンスで行きます


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第03話「幻想ロマン」

 ゆっくりまったり書きます。




レジアスと話した後、俺は検査を行った。レジアスには少々怪しまれたかもしれないが、俺はレジアスが嫌いだ。そもそも考え方が嫌いだ。まぁ3歳のガキの事なんか気にしていないと思うけどな。

「じゃあ検査を開始するわね」

「わかった」

 検査は簡単だった。リンカーコアの性質、スキル確認だけだった。始終検査官の顔が驚きの表情だった。

 

アウイン・アルパイン

魔力光 ゴールド

魔力量 SS+

スキル ???

 

 結果はこんな感じだった。スキルに関しては成長したら発現するかもしれないとのことだった。でもなんとなく、なんとなくだがどんなスキルなのかわかる。この容姿から察すると・・・

 

 

 

 

 

 

 やっぱり具体的にはわからんな

 

 

 

 

 

 検査から1ヶ月後、父親からどこか行きたい場所はあるかと言われた。最近魔力運用を練習したくてどうにか方法はないかと探していたが、ある壁にぶち当たった。魔力運用にはデバイスが必須だった。3歳児が入手することは不可能だった。そこでデバイスは後回しにして、知識を収集することにした。そこで

「まりょくにかんしてしらべれるところにいきたい」

 って答えた。そしたら

「わかった」

 父親は即答した。一体どこにつれていかれるのか不安だったが、逆に楽しみでもあった。

 

 

 1週間後

 

「アウイン?」

「なに?」

「遊びに行こうか」

「どこに?」

「この前行きたいところがあるといっていただろ?そこに行こう」

 まじか!!

「いく」

「じゃあ準備して」

 

 

 父親

 アウインの魔力検査の結果を聞いて私は驚いた。私も妻も魔力自体はあるが、互いにB程度しかない。なのに娘はSS+・・・知能もかなり高い。最近魔力のプログラムに関しても調べている。いくら知能が高くても独学では危険すぎる。そこで妻と相談して、友人に頼んでデバイスをプレゼントすることにした。

 

 

 

 管理局第18研究所 デバイス管理及び開発室

 

「君がアウインちゃんだね」

「そう。あなただれ?」

「僕はバレン。君のお父さんの親友だよ」

「よろしくばれんさん」

「じゃあバレン、さっそく」

「わかった」

 

 

 

 「アウイン、魔力運用にはデバイスが必須だ。だからここにあるデバイスで気に入った物を選んでくれ。それをアウインにプレゼントするよ」

「ほんと?」

「ああ」

「ありがとう」

 

 

 父親

 

 アウインが少し笑ったような気がした。少しは感情が生まれた?まぁ見間違いでも娘の成長が見れてうれしいものだ。あの顔で笑顔ができたら絶対彼氏ができるな。許さんけどな。ん?どうした?

 

 

 アウイン

 親父!!最高だ。あんた絶対いい父親になれるわ!!

「ほんと?」

 なんでもいいんだよな!!

「ああ」

 パパ大好き

「ありがとう」

 そこは変換したらダメだろ!

 

 俺は片っ端からデバイスを見ていく。銃型、剣型いろいろなデバイスがある。全部ストレージデバイスだな。だが問題ない。この銃型のデバイスを起動してみるか。起動して魔力をデバイスに流した瞬間、デバイスの一部から煙が出た。そして動かなくなった。どういうことだ?

 

 

「アウイン!!大丈夫か!!?」

「だいじょうぶ」

「バレン!!一体どういうことだ?」

「ちょっと待ってくれ。これは!!」

「どうした?」

「デバイスの制御基板が溶けてる!」

「どういうことだ?」

「彼女の魔力運用に関して、ここにあるデバイスでは力不足だ」

「どのくらいのデバイスなら大丈夫なんだ?」

「最低でもワンオフインテリジェントデバイスクラス」

「・・・」

「金額は・・・まぁこれぐらいだ」

「!!!!」

「これ最低金額だからな」

「・・・アウイン、すまない・・・」

「これがいい」

「「え?」」

 

 

 アウイン

 あっつ!!手やけどしたわ。「ダイジョウブ」って言ったけど・・・

「彼女の魔力運用に関して、ここにあるデバイスでは力不足だ」

「どのくらいのデバイスなら大丈夫なんだ?」

「最低でもワンオフインテリジェントデバイスクラス」

 なんか話してるな。まぁいいか。他にデバイスないかな?

 

 

 ん?あれは・・・ケースに入っている、手袋型?のデバイスが目に入った。なんだか俺にあいそうな気がする。ん~これがいいな!!

「コレガイイ」

 

 

「これがいい」

「どうしたアウイン?」

「これがいい」

「アウインちゃん、これは駄目だよ」

「なんで?」

「これは最近古い遺跡から発掘されたデバイスで壊れているんだ」

「なんで?」

「魔力を流しても起動しないからだよ」

「ならわたしがまりょくをながしてみる。それできどうしたらちょうだい」

「しかし・・・」

「ならこのけがのことおかあさんにほうこくする」

「「うぅ!」」

「どうする?」

「バレン!頼む!流すだけだから!!俺の命が危ない!!」

「わかった。流すだけだよ?それと結果はどうあれ、その手に関しては至急治療するから」

「くれるの?」

「あげるから!」

「もちろんむりょうだよね?」

「う・・・わかったよ」

「ありがとう」

 

 デバイスをケースから取り出し、デバイスを装着する。なんとなく、そう長年使っているみたいな感触だった。魔力を流した瞬間情報が入ってきた。自分の能力に関しての情報、このデバイスの情報・・・ああ、なんだか暖かい。

「マスター情報をお教えください」

「あういん・あるぱいん」

「マスターアウイン。マスター認証しました。続けて名称を名付けてください」

 ここはやっぱり

「オモイカネ」

「名称オモイカネ。登録しました。」

「オモイカネ、これからもよろしく」

「こちらこそよろしくお願いします。マスターアウイン」

「あういんでいい」

「了解しました」

 

 

 父親・バレン

「なんだこれは・・・」

 アウインが宙にういている。周りにはゴールドの粒子が舞っている。そうこれはまるで、

 

   「妖精」

 

「なぁバレン」

「なんだ?」

「これをどう説明する」

「簡単だ。あのデバイスは彼女の物であり、今俺たちの前にいるのは、幻想の世界が具現化されているということさ。」

「ああ、そうだな」

「とりあえず・・・この警報音が耳障りだな」

「ああ」

 

 俺たちは警報音を止めしばらくの間、この美しい光景を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後

父親とバレンは駆け付けた警備員に事の事情を説明した。警報が作動したのは異常なまでの魔力量を検出した為、そして今回の件に関しては、安全を怠ったとしてバレンには始末書の山がプレゼントされた。われわれ親子に関しては、私はデバイスが無料で提供され、以降のメンテナンスに関しても今回の件があるので無料となった。しかし

「すまない!!許してくれ!!」

「絶対安全と言ったのは誰です!!?」

「それに関しては私は「言い訳は不要です!!!」まってくれ」

 母親は私と自分の荷物をまとめ始めた。流石にこれは止めないとな。

「おかあさん?」

「何アウイン?」

「こんかい、わたしのせいでこうなったの。だからおとうさんをゆるしてあげて」

「アウイン、あなたのせいじゃないわよ」

「おかあさん、わたしがこのでばいすをきどうしたいっていったから、こんなことになったの。だからわたしをおこって」

「アウイン・・・・あなた!!」

「はい!!」

「今回は許します!」

「ありがとう!ありがとう!」

「今度またこんなことがあったら、絶対許しませんからね!!」

「おかあさん、ありがとう」

 

 

 これで魔法運用の練習ができるようなった。それに俺のスキルに関してもわかったことがある。このスキルに関して少し知っているので、それを参考にして技の種類を増やそう。それとプログラムも勉強していこう。高い参考書とかもほしいな。ミッドって3歳でもバイトできるのだろうか?聞いてみよう。




 デバイスの名前が「オモイカネ」これは予想通り立ったと思います。
スキルは全部で3つ。
か弱い少女が戦闘するに必要なスキルです。


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第04話「夢物語」

今回からカタカナではなく、平仮名で書いてみます。
漢字は使用しません。

でわどうぞ


 あれから3ヶ月が経過した。俺はオモイカネと一緒に魔力効率に関して勉強した。しかし

「・・・これいじょうむり」

「マスターアウイン、これ以上は専門書もしくは専門家の下で指導してもらうのが得策です。またこれ以上の独学は危険と判断します」

「わかってる」

 解かってる。でももう少しなんだよな。以前母親と専門書を探しに行ったときにその値段にびっくりした。16万ミッド・・・その値段を見た瞬間の母親の表情は、今でも忘れない。

「おもいかね?」

「何でしょうか?マスターアウイン?」

「けんさく、みっどちるだ おかね ばいと ねんれいふもん」

「・・・・検索数10件です」

「みせて」

 検索内容を見たが、10件中10件とも・・・・・うん風俗系だった。流石に無理だな。

「けんさくないようへんこう。みっどちるだ しょうきん 」

「・・・検索数150000件」

「きーわーどついか。せいふ」

「検索数2件」

「けんさくないようみせて」

「開示します。」

1件目

 政府指定の広域犯罪者を逮捕したら賞金が出ると言う内容

 

2件目

 政府が進めている研究プロジェクトへのアイディア提供

 

2件目に関して詳しく調べてみた。詳細は

①実現可能である

②低コストである。

 

 募集中のアイディア内容

①新型バリアジャケット開発

②テロ対策

③ストレス予防薬

 

①がいいかな?一度ジャケットのプログラム組んでみるか。

②は・・・テロリストへの何か抑止力的な?があればいいんじゃないか?

③・・・頑張れ!!

 

 

 ①に関して応募してみた。

内容は、最低必要と思われる装備のみを装着。その他使用者が必要と思われる機能はオプションにする。最低限の機能は耐衝撃、耐魔力、耐銃撃、温度設定の4つとし、他はオプションとする。また最終目標は、魔力なしの人間でも使用できるようにする。

 その他詳しい情報を入力していった。入力を終えた頃には朝日が昇っていた。目を擦りながら下に降りていくと

「アウイン!また徹夜したの?」

「うん」

「徹夜しちゃダメっていつも言っているでしょ!!?」

「ごめんなさい」

「次徹夜したら、デバイス没収しますからね!」

「いや」

「ダメ!!」

「いや」

「ダメです!!」

「わかった」

 母親には敵わないな。

 

 

 

 

 ミッドチルダ政府関係者

 数ヶ月前の会議でレジアス少将が言った言葉。

「今後私が現場にでる。どんな事件でも私が先陣に立つ!」この言葉にはみな驚いた。勿論最初はみな大反対だった。今まで現場に出ていないレジアス少将が急に現場で指揮などされては迷惑極まりない。みなそう思ってた。しかし

「ワシが現場に出るのは何も指揮をとる訳ではない。ワシが現場に出る事で現場での士気を上げ、テロリスト、その他犯罪者への抑止力になる。そして安心感というのを市民に与える事ができる」この言葉でみな黙るしかなかった。

 それから2ヶ月間毎日レジアス少将は現場に出た。最初こそみな緊張や不安を感じ、多少のクレーム等あったが今では問題なく現場の局員は働いている。数回レジアス少将から現場へ助言があり、それが元で事件が解決したなどもあり今ではレジアス少将が現場に来ると士気が上がるといった効果ももたらしている。また統計調査により犯罪率が下がってきている等の報告も上がってきている。

 

 しかし問題はここからだった。レジアス少将が現場に居る。これは反管理局のテロリストにはまたとないチャンスだ。そこで何か対策はないかと相談していると、1つの案が浮上した。それはある意味夢のような話だったが、試しにその資料を読んでみた。それは夢物語ではなく、現実味をもった案だった。そこでこの案の提案者を探してみた。

「アウイン・アルパイン」。直ぐに連絡したが、そこでもう一つ驚いた。3歳児だった。

私はどうするか迷った。しかしお会いしたいと母親に頼んだ。こちらから伺うと申したところ、彼女から「そちらではなしがしたい」との事だった。私は承諾し、上司、同僚、部下の計7名で対応する事になった。しかし周りから「時間の無駄」「意味が解からない」「3歳児に頼るなど」批判の嵐だった。彼女には申し訳ないと思う。帰りに高級お菓子でも持って帰ってもらうかと思っていた。

 

 

 

アウイン

 研究所からジャケットの資料に関して話がしたいといわれた。俺は心の中でガッツポーズした。勿論現実ではピクリともしていないが。流石にうちにこられるのは困るみたいだったので研究所で話するようにした。まぁ3歳のガキ扱いされるのは目に見えている。なのでより詳しい資料を作成するしかない。そうと決まれば

「おもいかね。しりょうさくせいてつだって」

「ダメです」

「どうして」

「徹夜禁止」

 何故か声と共にいたる空間に「徹夜禁止」とかかれたモニターが映し出された。おかしいな?原作のオモイカネに似せた覚えも無い。

「だいじょうぶ。てつやはしない。すこしよふかしするだけ」

「0時までですよ」

「りょうかい」

 30万ミッドのためなら多少の無理はできる。

 

 

 

 

 

 訪問当日

「じゃあいってきます」

「よろしくお願いします」

「解かりました」

 迎えの車に乗り、研究所に向かった。そして

 

 

 

「お待ちしておりました」

「ほんじつはよろしくおねがいします」

「こちらこそお願いします。こちらえどうぞ」

 

 

「アウイン・アルパインです。ほんじつはよろしくおねがいします。」

「ええ、こちらこそよろしくね」

 ああ、予想通りだな。舐められてるよ。でも

「処で本日は君の提案したバリアジャケットに関してなんだが」

「それならつくってきました」

「「「「「はぁ?」」」」」

「しりょうみるより、げんぶつみたほうがいいとおもった。おもいかね?」

「了解。マスターアウイン」

 その瞬間アウインはバリアジャケットを展開した。

「これはあくまでしさくひん。いまのわたしではここまでがげんかいです。なのでここにおいでるかたたちのちからがあればかんせいします。」

 どうよ?おお皆驚きの表情だな。

「アウインちゃん?」

「はい?」

「このバリアジャケットは誰と作成したんだい?お父さん?」

「わたしとおもいかね」

「オモイカネ?」

「そう、でばいすの」

「インテリジェントデバイスのことかい?」

「そう、おともだち」

「そうか・・・」

 あれ?なんかへんな空気だな?あれミスった?

「あの?」

「え?あぁなんだい?」

「なにかわるいことしました?」

「い、いやしていないよ」

「少し別室でまっててくれないかな?」

「わかった」

 俺は隣の部屋に案内された。

 

 

 

 




 次回はもう少し喋ります。
今回は平仮名がどうかのテストという事で


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第05話「弾から命(タマ)を守るには」

 お久しぶりです。最後までよろしくお願いします


会議室にて

「「「・・・・・・・・・」」」

 会議室には沈黙が流れた。バリアジャケットの募集を行ったところ3歳児の案を採用するかどうか本人と話し合う場にて彼女が持ってきたのは資料ではなく実物だった。それも数日のうちに作成してきた。自分で!!研究者の中では色々と思うところもあるだろう。

「いかがでしょうか?」

 一人の研究者が口を開いた。

「採用するか、しないかという事かね?」

「そうです」

「採用しかないのじゃないか?この資料を見る限りあと一歩でほぼ完成だろ?」

「しかし我々の面子が!」

「面子でここに居るなら辞めたらどうだ?」

「何だと!?」

「面子?それでその面子でなにが開発できる?できないだろ?彼女の発想は今後のミッドに大いに貢献する。それに我々も協力する。もしかしたら彼女の一言で偉大な発明ができるかもしれない。どうだ?私は彼女に協力する」

 その一言で彼らは覚悟を決めた。

「私も協力します」

「私も!!」

「私も!!」

「全員協力で一致ですね?では彼女をここに」

 

 

 

 アウイン

 やっべ!!これは少しやばいかな?研究者の雰囲気がかな~り悪くなったぞ?やっぱり採用されないのかな~。ん~賞金・・・魅力的だったんだがな。そこへ

「アウインちゃん?」

「なに?」

「こっちに来てもらってもいいかな?」

「はなしあい、おわった?」

「あ・・・ああ、終ったよ」

「わかった」

 賞金あきらめるか。

 

 

「アウインさん、ぜひバリアジャケットに関して我々に協力させてくれないか?」

「わかった」

「いいのかい?」

「わたしだけじゃ、かんせいはふかのう。だからこちらこそよろしくおねがいします」

「・・・」

「どうしたの?」

「あ、いや。処でバリアジャケットの今後に関してなんだが」

「それならしりょうつくってある」

「拝見しても?」

「もちろん」

 この日研究者たちとの熱い討論の末、バリアジャケットの方向性が決定した。そして熱い討論が原因で、アウインの帰宅時間が日付を超えた事で、母親からカミナリが研究者に落ちたことは、言うまでもない。

 

 

  新バリアジャケット

耐衝撃、耐魔力(B+まで)、耐銃撃(44口径まで)、温度設定可能。

常時展開式。魔力+使用者の体温を電気に。その電気を魔力に変換して運用している。

これにより低魔力量の人間においても魔力運用が比較的にUPした。また現在試験中だが魔力量なしの人間において運用可能か調査中である。

 

 ここまでレポートをアウインは書き終えた。一時はどうなる事かと思ったが、研究者はみな熱心であり、バリアジャケットの開発も2ヶ月でここまで来れた。流石だ。明日は魔力なしの捜査官での検証を行う。あと魔力なしで危険な現場にでている人間は俺みたいなガキの意見は聞かないだろうし・・・まぁ口で説明しても無駄だから、実戦あるのみだな。あと、この日のために試作している武器も幾つか試してもらうか。

 

 

 管理局本部

本部第2課 現場指揮官 クエンツ

「明日は本部の研究者の検証に付き合うことになった」

「隊長!我々は今そんな暇はありません!」

「そうです、誘拐事件に、武器密輸!!どうしてそんな検証に我々が!」

「まあそういうな。彼らも我々の為に動いてくれている。そこは感謝してもいいんじゃないか?」

「2時間ですね」

「いや!30分でいいだろ」

「いいですか?」

「どうせ長ったらしい説明で時間が過ぎるさ。その後「事件が~」とか言ってお開きとしよう♪」

「ですね」

「では明日0900に集合だ?いいな?」

「了解」

 

 

 翌日

 

 第4演習場

「本日は我々の検証に協力していただき、ありがとうございます。長い話はしません。簡単に説明します。我々が開発したバリアジャケットを現場使用し、その評価をしていただきたい。そしてそのサンプルがこちらです。」

「機能は?」

「耐衝撃、耐魔力、耐銃撃、温度設定があります。」

「耐魔力は?」

「B+までの攻撃まで耐えれます」

「回数は?」

「連続25回まで、耐えれます」

「耐銃撃は何処まで?」

「44口径まで」

「何発まで?」

「同じ箇所へは2発耐えれます。」

「貫通は?」

「3発目で確認しています。」

「銃撃をうけたあとは?」

「44口径以下ならあざ。以上なら打撲。50口径以上は骨折します」

「検証済み?」

「はい」

「そうか・・・」

「・・・」

「・・・」

「ふあん?」

「え?」

「ふあん?」

「君は?」

「アウイン。ばりあじゃけっとのかいはつめんばーのひとり」

「はぁ?」

「・・・」

「ふざけてるのか!?」

「なにを?」

「おい!本当か?」

「本当です」

「貴様ら気でも狂ってるのか?こんな小娘にもなっていないガキと開発?そんな子供だましの道具なんざ使えるか!!」

「つかえるのをしょうめいしようか?」

「はぁ?」

「しょうめいする。」

「おい!」

 近くにいた捜査官をつれてきて

「まずこのぼうだんじゃけっとをきる。けいりょうだけど44こうけいはかんつうする。で、ぼうだんじゃけっとのうえにばりあじゃけっとをてんかい。どう?うごきやすさは?」

「あ・・ああ、問題ない。邪魔にもならないな」

「そしてここにさっきほかんこからかりてきた44こうけいけんじゅうをこていし、やく2mはなれて「おい!!何をしている!!」

「けんしょう。」

 そういってアウインは44口径拳銃を固定し、2m程度離れた。そして

「だいたい2mぐらいはなれて・・・・さん.にい.いち.」

「「「!!!!」」」

 カウントダウンが終った瞬間、轟音が当たりに響いた。アウインの小さな体は、衝撃で宙を舞った。本部第2課のメンバーは呆然としていた。研究者は目を丸くしていた。そう実際に実弾試験をこの日に行うなど予定になかったからだ。

「アウイン!!」

 一人の研究者が駆け寄った。その声をきっかけに、全員がアウインに近寄った。

「しょうげきはかんぜんにけしきれない。でもかるくとぶだけ。」

 何事も無かったように喋り続けるアウインに一同目を丸くした。しかし当の本人は

「このようにばりあじゃけっとがあると、ないとではそうさかんのきけんどはぜんぜんちがう。きょうから1かげつのあいだしけんうんようしてほしい」

「・・・」

「どうしたの」

「ッ!!!」

 その瞬間、アウインの頭に拳が降ってきた。

「いたい」

「貴様!!何のつもりだ!」

「なにが?」

「こんな事をしてもしものことがあったらどうするつもりだ!」

「もしもなんてない。そのことをしょうめいするためにした。」

「はぁ~・・・わかった・・・試験運用しないと、また無茶な証明をされそうだ。試験運用許可する。全員協力せよ。これは命令だ。いいな?」

「「「「了解」」」」

「ありがとうございます」

「ああ、だが今後こんな無茶をしたら、試験運用は中止する。いいな」

「はい」

「分かればいい」

 そういって現場指揮官クエンツはその場から立ち去った。その後姿は何か不自然な雰囲気をかもし出していた。

「・・・ねぇ?」

「ん?どうかしたかい?」

「わたしなにかわるいことした?」

「あ~タイミングが悪かったかな?」

「たいみんぐ?」

 捜査官の一人が教えてくれた。

「最近のニュースみたかい?」

「ぜんぜんみてない。かいはつでいそがしかった」

「そうか。今世間を騒がしている連続少女幼女誘拐殺人をうちで扱っているんだよ」

「そうなの?」

「それで、犠牲者が今では6人。皆君みたいに可愛い子ばかりさ。それでクエンツ隊長ナーバスになってるんだ」

「そうなんだ」

「だから今後無茶したらダメだよ」

「わかった。」

 

 

 アウイン

 ヤバイヤバイ!!しくった!!まさかそんな事件が発生していたなんて!!最悪にタイミングが悪い。それもトップの人間のご機嫌を損ねてしまった。これは修正しなければ、評価が悪くなる。そういえばさっきの捜査官が「君みたいな可愛い子ばかり」とか言ってたな・・・そうかいい事思いついた。それとこの捜査で防犯グッツの評価、検証もできる・・・一石二鳥だ!!

 

 

 

 

       「わたしがおとりになって、ゆうかいはんつかまえる」

 

 

 




 更新遅くて申し訳ありませんでした。リアルが忙しく中々更新できませんでした。

誤字脱字等あれば、ご指導お願いします


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第06話「殺しはしない、ただ永遠に覚めない悪夢を見ているだけ」

 今回は短いですね。それにしてもお気に入り、感想等ありがとうございます。
誤字脱字は目立ちますが、よろしくお願いします。



   「わたしがおとりになって、ゆうかいはんつかまえる」

この事はその場に居た全ての人間が目を丸くし、ただ一人怒りの形相でアウインの元に駆け寄った。

「何を考えている?!!」

「はんにんかくほ」

「ダメだ!!」

「いいの?」

「どういうことだ?!」

「そうさはなんこう。ぎせいしゃはふえつづける。いいの?」

「・・・もう犯人の目星は付いている」

「それがはずれだったら?」

「その時はきみの言う通りしよう」

「わかった。そのげんばにたちあっていい?」

「どうしてだ?」

「しんがたばりあじゃけっとをちゃくようしたそうさかんのうごきをこのめでみて、しゅうせいかしょがないかかくにんしたいから」

「いいだろう。しかし勝手な真似はするな!!いいな?!」

「りょうかい」

 

アウイン

 

 容疑者は20代男性。過去に子供へのわいせつ行為で逮捕歴あり。今回現場に残っていたDNAが一致した事で第一容疑者となった。しかし疑問が残る。普通そういう犯人にはノコノコ付いていかない。それもこの容疑者の顔なら絶対だ。子供は本能的に逃げる顔だ。現に過去の逮捕の決め手が声をかけられた子供が逃げて近くの大人に助けを求めた。そんな人間がどうやって子供を攫い、暴行できる。クルマでつれ去り?監視カメラに写る。しかし不審車両は無い。強引に?それはない。それなら周りが気付く。変装?不審者で即職質。う~ん謎だ。まぁこの突入後に分かる。

 

 

 

 

「全員用意はいいか?」

「「「「はい」」」」

「ではいくぞ?」

 

「管理局だ!!抵抗するな!!」

 ドアを蹴破り容疑者のアパートへ突入した。捜査官のヘルメットについているカメラで現場の様子がリアルタイムで分かる。容疑者は机で寝ているみたいだ。学校の机で寝るみたいに。しかし

「だめ」

「え?」

 私の言葉を聴いて横に居た捜査官が声を出した。これはダメだ。

「これわな。ようぎしゃにふれてはだめ。そうさかんにつたえて」

「隊長から言われただろ?ダ「しぬ」え?」

「ばりあじゃけっとをちゃくようしているのは、とつにゅうしたそうさかん8にんのうち3にん。あとはみちゃくよう。5にんしぬ」

「・・・わかった。隊長!容疑者には触れないでください!!罠です!!」

「何を言っている!!だまっえ?」

 その瞬間周囲に爆音鳴り響き、振動が襲った。そして釘の弾丸が周囲の人間に飛び掛った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果として死者12名。重体6名。重症者5名。と最悪な結果となった。検視の結果容疑者は死後2日経っていた事が分かった。突入した捜査官は全員死亡。新型バリアジャケットを着用しても、至近距離での爆風、釘の雨は防ぎようが無かった。隊長ならびに捜査官の葬儀があった。小さい子供がいる捜査官も居たみたいで、子供の泣き声が聞こえた。

 

しかし事件はこれで終らなかった。また犠牲者が増えた。今度は2人同時に。違う場所で誘拐され、小さい体を弄び性的暴行を働いて切り刻み、ゴミのように川原に捨てられていたそうだ。

 

 

新たに捜査本部が設置されたが、捜査の士気は低かった。犯人は性犯罪者で爆弾の作成に精通している。もし犯人がわれても、死ぬ可能性がある。そういう感情が捜査官に芽生えていた。当たり前だ、捜査官だって人間であり、家族持ちなのだ。そして其処に一人の少女が居た。

 

「本日より捜査に加わる事になったアウイン三尉だ。」

「よろしくおねがいします」

 俺は三尉だった。なんでと聞いたら、研究所は管理局の管轄であり軍属だそうだ。そして俺の功績により三尉まで昇進していたそうだ。

「これからはんにんを「つる」ためのさくせんをおこないます。しかしきけんです。なのでそうさにさんかしたくないかたはでていってください。」

「どうしてですか?」

「かぞくがだいじ、じぶんのいのちがだいじ・・・このさくせん、しぼうりつは80%いじょう。それでもさんかしたいかたは、このばにのこってください。いじょうです」

 俺はそのままその部屋を出て行った。

 

 

 

 30分後

「7にん。」

「・・・」

「じゅうぶん」

「少しいいですか?」

「どうぞ」

「なぜ人数を絞ったんですか?」

「なぜ?」

「はい」

「ひみつ」

「はぁ?」

「ひみつ」

「どういうことですか!!」

「まずこれを見て。」

 これまでの捜査資料を見せた。簡単に説明すると

 捜査ポイントを絞った所、見事に違うポイントで誘拐事件が起こる。大規模捜査を行った際は何も収穫が得られない。これらから捜査情報が漏れていた。そして今回は囮を使って捜査する。だから捜査情報が漏れたら終了。

「我々の中にスパイが!?」

「ちがう」

「どういうことですか?」

「のぞいていた」

「ハッキング?」

「ちがう」

「じゃあなんですか?」

「たぶん1しゅうかんかんかくでそうさかんのいえにしのびこんでPCをのぞいてた。」

「どうしてわかるんですか?」

「それはひみつ。それとたいしょうしゃはわかった。そのひとからはなしをきいて。わたしはいまからまちにでる。さぽーとはふよう。もしわたしのついせきそうちのはんのうがきえてもあせらないで。ふたたびはんのうがでたらそこにきゅうこう」

「しかし危険では!?」

「大丈夫」

 

 

 私は居場所を示すビーコンを装着している。これにより半径10キロ圏内であれば捜査室で居場所がわかる。捜査資料からおおよその場所は分かっている。

 

黒のジャケット、赤いスカート。某戦車アニメのドイツの学校のジャケットによくにた服装で町に出た俺は普通に歩いた。子供のように振る舞い、アイスを買ったり、おもちゃを見たりした。そのうち一人だけ俺の後ろにずっと居る事に気付いた。捜査官ではない。そして

「こらアリス!!こっちにきなさい!!」

 知らない女に手をつかまれた。

「え?」

「このこったら、勝手に一人で!!ちゃんとお母さんの横に居ないとダメじゃない!!」

 そう言い近くの車に乗せられた。その時手錠もされた。そして一番おかしいものがクルマにあった。小型AMFがあった。ここまで小型のAMFは見たことがない。そして「ごめんね」

 そう言い女は俺に謎の気体をかけた。しばらく意識が朦朧とし、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ここは?」

「ここはね。パラダイスさ♪ボクとボクのママとで作った!!永遠のパラダイス!!」

「魔法は使えないわよ。これがある限り。」

 そこにはAMFがあった。さっきより少し大きめだが、この部屋ぐらいなら余裕でカバーできる。

「ボクは小さい子が大~好きなんだ!!!だから愛し合おうww」

「雄太君ダメよ。まずお洋服を脱がさなきゃ♪」

「OKママ♪」

 アウインに男が近づき、ジャケットを破り捨てた。ジャケットの下に着ていたシャツが露になった。

「興奮するよ!!ママ!!」

「雄太君ちょっと待ってね」

「うん」

「ねぇ?どうしたの?もっと泣いていいのよ?」

「・・・・・・」

「どうしたのオシッコでももらしたのかな?」

 女はスカートの中に手を伸ばし確認した。

「ん~怖くて声が出せないとかじゃないわね。」

「どうしたのママ?」

「この子の親はお金持ちね。このビーコンは彼女が持ってたの。勿論早々に使えなくしてる。でもこれ軍用よ?普通絶対に手に入れられない。」

「あなたもとかんりきょく?」

「あらやっと声がきけたわ。可愛いわね♪そうよ元管理局で爆弾処理班をしてたんだけど、寿退社したんだけどね。」

「どうしてこんなことを?」

「子供のために決まってるじゃない~。雄太君のしたいことを母親が手助けして何が悪いの?」

「はんざい」

「ばれなきゃ犯罪は犯罪じゃあないのよ♪」

「そうだママの言うとおりだ!!」

 バカ親子は笑った。

「ねぇママ。そういえばこの「ゴミ」はやく捨ててよ。」

「そうね。今日の夜にでもゴミ捨て場に捨てておくわ♪」

 親子が「ゴミ」と言っていたのは、少女の死体だった。多分5~7歳ぐらいの。体中切り刻まれ、顔は恐怖の表情のままであった。さぞ苦しかっただろ、痛かっただろ。

「さぁ雄太君。この子といつも通り愛し合って。今まで一番可愛いい子だから、たっぷり時間をかけてね。」

「分かった!!!」

 そう言い男は近づく。

「さぁ愛し合う。ボクと、はぁはぁはぁはぁはぁはぁ。いぃいただきます!!」

 男はいつものようにベッドに手錠で身動きが取れない少女に飛び掛った。しかし

「え?」

 男は身動きが取れなかった。体に異常は無い。しかし体が動かない。どうして

「雄太君!!!!!」

 母親も息子の異変に気付き近づこうとしたが、体が動かなかった。彼女は魔力持ちだったのでデバイスに魔力を流したが起動しなかった。

「どうしたの?」

「「体が動かない!!」」

「しってる」

「あなたなの?でもこの部屋にはAMFがあるのに!なんで!それにデバイスも無いのに!!」

「でばいすはおなかにある」

「なぁ!!」

「でばいすにじょうぶないとをくくりつけてからのみこむの。そしたらあまったいとをはにむすぶ。これでいつでもきどうできるし、とりだせる。

 

自主規制

 

 

 

「こんなかんじに」

「でもAMFがあるのに」

「AMFはまほうをしようできなくするんじゃないの。まほうこうりつをていかさせるだけ。まりょくりょうがおおければかばーできる」

「あなた何者?!!」

「かんりきょくいん」

「そんな!!そんな情報しらないわ!!」

 

 

 彼女の情報元は2ブロックはなれた捜査員の家だった。この家では1回/wでお茶会があり、この母親も其処に参加していた。因みにこの親子、近所では仲のよい親子であり、息子は優秀大学に通っている医学生である。お茶会時に捜査員のPCを覗いていたのである。PWは専用のアプリで解析していた。この捜査官は規則に忠実で1回/2wでPWを変更していたが、効果は無かった。勿論上司もPCの持ち出しは許可していた。管理局のPWを解析、痕跡さえ残さない・・・こんなものを使われてはお手上げである。勿論盗み見された捜査官は処罰されない。しかし今後PCの持ち出しは禁止されるだろ。

 

「まぁでも、そんなの事はどうでもいい」

「どういうことよ!!」

「ママ~~何とかして!!」

「雄太君落ち着いて!!」

「だいじょうぶ・・・もうなにもするひつようはない」

「「え?」」

「だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   モウナニモスルヒツヨウハナイ。コレカラハサメナイアクムヲミツヅケテ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                シネ 」

 

 

 

 

 

 

 事件は解決した。犯人の親子は発見時、気を失っていたとの事。搬送中に急に暴れだした。目を覚まさない事に不審を抱いた捜査官が検査を依頼した所、検査の結果は原因不明だった。しかし悪夢?にうなされているかのように親子揃って苦しみ、食事も出来ない状態だった。詳しい事情聴取が出来ない中、親子は意識が戻らないまま半年後に苦しみながら死亡した。

 

 しかし問題はこの後だった。

「アウイン!!!!!!」

 そう両親が大激怒した。バリアジャケットの開発はほぼ終了していた。しかしこの後の実戦データを取り、再度最適化しなければならない。それが終らない限り完成とはいえない。そのことを両親に話をした。

「なら今後危険な現場には出ない事!!これを破ったら即辞めさせます!!」

 そういう事でまとまった。

 

 

 

 

 しかしあの小型AMFの出所箇所は特定できなかった。あのAMFが世に出回ったら大変な事になる。完成度は高く、直ぐにでも実戦投入可能レベルだった。しかも直前までデータをどこかへ転送していた形跡があったが追跡できなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




  最後まで読んでいただきありがとうございます。


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第07話「現在内職中」

 更新遅くなりましたが、よろしくお願いします。



 連続幼女殺人事件解決から3ヵ月後。俺は未だ一人での外出を許可されないままでいた。バリアジャケット(BJ)の最適化はほぼ終了し、現場からの評価はかなり高く、リンカーコアを持たない局員に支給される事になった。しかしここでこのBJの情報が漏洩しないように対策が必要となった。これは特に問題ない。セキュリティをかけて、万が一解除された場合、中のプログラムが消去されるようにした。勿論これだけでは安心できないので、誰に、いつ、どこで、誰が、何処の施設で管理されているかも情報化し、管理するようにした。勿論ここまでしても安心できないので随時更新はしている。これだけでも大仕事だが、オモイカネと俺なら数日で完了できる。

 

 さてここで、彼女アウインの能力を紹介しよう。

 

アウイン・アルパイン

魔力光 ゴールド

魔力量 SS+

スキル ハッキング

魔力変換 電気

 

 ハッキングと電気を使い、人間の脳へアクセスできる。しかし「脳」自体へのハッキングは条件が揃わないと出来ないが、「騙す」事は簡単に出来る。

 

 我々人間が「物」を見たとき、例えばリンゴを見たとする。この時人間はそれを「リンゴ」と認識する。それがリンゴと知っているから。しかしここで眼球と脳の間にハッキングし、それがみかんと誤認識させることができる。これにより其処に誰も居ないのに、居るように思わせたり、逆に居るのに、居ないと認識させる事も出来る。簡単に言えば攻殻機動隊の少佐と同じ様なことが瞬時に出来る。彼女の魔力を電気に変換し、相手の体を通してハッキングする。人間は電気信号で活動している。ここに偽信号を入力してやれば、人間は動く事も、喋る事もできない。先の親子もこの能力で意識不明にした。

 

 

 でも俺には関係ない。そもそも俺がしたのは悪夢を見せただけ。そこからのことは病院側の責任。あそこの病院は黒い噂が耐えないからな。親子が入院した病院は入院患者の60%が死亡退院する、ミッドでもかなり有名なブラック病院だった。大方臓器密売の商品になったのであろう。あそこに入院させた奴が悪い。そう思っていたら

「アウイン~」

「なに?」

「何してるの?」

「あたらしいかんりきょくようのぶきをせっけいちゅう」

「もう少し子供らしい事をしなさい」

「おかあさん?」

「何?」

「こどもがおもちゃのぶきであそんでる。これはこどもらしくない?」

「子供は設計はしないわよ?」

「・・・こどもじゃない」

「じゃあ何かな?」

「しょうじょです」

「・・・は~。わかった。そういえばアウイン?」

「何?」

「イチゴパフェあるけど」

「いる」

「じゃあ休憩する?」

「する」

 昔も今も甘いものには目が無い

 

 

 

 

 

 

 

 その夜、一通のメールがアウインに届いた。

 

 レジアス

 2週間後、本局にて小娘3人を相手に模擬戦をしてもらいたい。相手は管理局外の出身で、名前は高町なのは、フェイト・テスタロッサ。もう一人とは1週間後に模擬戦をしてもらいたい。もしも可能であれば連絡をくれないか?勿論何か試作のデバイスがあれば使用してもらって構わない。徹底的に痛めつけてくれたら、こちらとしては「かなり」うれしい。よろしく頼む。

 

 

 

 

 

PS 母親の許可はアウインでもらってくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おいおいおっさん。俺に全部丸投げかよ。てか4歳児に模擬戦させるか?(外出禁止中に誕生日を迎えました。7/20です。)

また母親との戦いか。それにしても随分あれだな・・・ストレートな内容だな。ようは叩き潰せって事だろ?・・・・・

 

 

 

 アウイン

 

 しょうちしました。じょうけんがあります。

①しさくでばいすひようの50%をゆうし。

②こんごのけんきゅうしきんの30%ぞうがく。

③もぎせんででたひがいにかんしては、あういんにはいっさいせきにんがはっせいしないことをしょめんにて、さんていとく、レジアスしょうしょうのさいんつきでいただきたい

 いじょうです。

 

 

 

 

 

PS、ははおやのせっとくひようとして300000ミッドをのちほどせいきゅうします。

 

 

 

「おもいかね、これをレジアスしょうしょうにへんしんしておいて」

「わかりました。アウイン」

  

 

 

 これでよし!試作デバイスの完成を急ぐか。今夜も徹夜♪明日も徹夜♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ?高町とフェイトって原作キャラだよな?

 

 

 

 

 

 

 あ~闇の書事件終ったんだね。てか勝てるのかな?

 

 

 

 

 

 

 待て!!!大きなイベント終ってるじゃん。俺殆ど関わってね~じゃん!!!

 

 

 

 

 

 仕方ないから、各イベントがどんな風に終ったか調べておこう。次はJS事件か。あんまり好きじゃないんだよな。

 

 

 

 

 




 次回主人公と対決。


 更新遅くなると思いますが、ゆっくり見守ってください。


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第08話「模擬戦(前編)」

前回の誤字脱字報告ありがとうございます。

今後誤字等を減らしていく予定です。

でも少なからずあります。ご容赦を


主人公達をボコボコにするようにレジアス少将から依頼されてから10日後

「・・・」

「・・・」

「・・・マスターアウイン?」

「・・・ごめんなさい」

「いえ、謝罪はあとにして、これどうするんですか?」

「・・・どうしよう・・・」

「現時点のマスターの身長や体格では扱えない武器があります」

「分かってる」

 

 そこには3つのデバイスがあった。

 

1つ目

 銃型デバイス・・・M92Fをモデルにしている。二挺拳銃としており、指紋認証により本人以外が触った瞬間デバイス自体が爆発する。爆発の威力は手首から先は吹き飛ぶ。単発、連射ができる。マガジンに込められる弾は12発+1。1発の魔力弾で3発の誘導弾もしくは直進弾が発射可能。

 このデバイスはBJとセットで現場に配備できればいいかなと思っている。防御ができても攻撃ができなければ意味が無い。M92Fはターミネータ2のT1000を、2丁拳銃はブラックラグーンを参考にした。2丁拳銃にしたのは俺の趣味だ。

 

2つ目

 携帯型シールド・・・一回使い切りのシールド。ランクAAAまでの魔法攻撃を防御可能。ペンダント型であり、使用者が任意で発動可能である。使いきりのデバイスだが、魔力を補充する事で再使用可能。再使用にはかなりの時間が掛かる。間違えて使用してしまった場合を想定して、今後発動条件の見直しが必要である。

 

 

 

 ここまではごく普通のデバイスだ。銃型デバイスに反動を軽減するプログラムも入れてる。勿論俺もここまでは覚えている。でもこのデバイスに関しては全然覚えていない。かなりハイになっていたみたいだ。

 

3つ目

 超巨大銃・・・ヘルシングのハルコンネンである。どうしてこんな物を作ったか覚えていない。多分だがロマンを求めた可能性がある。それはさて置き、どう考えても現場に投入するには非現実的であり、自分が使用するには、反動等への対応ができない。はっきり言って無意味、無駄である。まぁ威力に関しては何処かで検証が必要。

 

 

「・・・」

「どうしますか?」

「とりあえず、せいきゅうしょは、れじあすしょうしょうへ」

「わかりました」

「もぎせんは4かご?」

「そうです」

「じゃあもうひとつあたらしい「寝てください」」

「・・・」

「寝てください」

「おもいかね、もうひとつさくせいし「では両親へ報告「わかった」」」

 オモイカネの奴、母親の名前を出せば俺が折れることを学びやがったな。まぁいい流石にハルコンネみたいなデバイスを作成してしまうぐらい、頭が変になってしまっているようだし一息つくか。俺はベッドに横になり目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おもいかね?」

「なんでしょう?マスター」

「あれからなんにちけいかしてる?」

「3日です」

「じぁあもぎせんは、あした?」

「そうです」

「じゃああしたのじゅんび、てつだって」

「了解しました」

 オモイカネの奴、ワザと俺を起こさなかったな?まぁある程度デバイスは完成してる。魔力弾の作成も、携帯デバイスへの魔力充填もOK。問題はハルコンネの使い道だけだ。とりあえず特注の魔力弾は3発ある。なのはのSLBと打ち合ったデータが欲しいな。

 

 

 

 

 模擬戦当日

 

 

「アウイン本日は頼んだぞ!!海の奴らに陸の強さを思い知らせてくれ!!」

「・・・ん」

「アウイン三尉!!ちゃんと返事をしなさい!!」

「りょうかい」

 相変わらず熱い男と口うるさい娘だ。

「あのひとたちが、きょうのあいて?」

「そうです。名前は「いい」え?」

「ふよう」

「あ・・・わかりました」

 

 

 

 模擬戦開始前

「高町なのはです」

「フェイト・テスタロッサです」

「あういん」

 

「「「よろしくおねがいします」」」

 

「よろしく!!あういんちゃん!」

「・・・」

「あういんちゃん??」

「いまからたたかうあいてに、どうしてこえをかけるの?」

「え?」

「どうして?」

「だって模擬戦だよ?戦いじゃあないの!」

「うみとりくの、なまえがかかってる。そんなもぎせんでも?」

「そんなの関係ないよ。」

「わかった。あなたにたりないもの、きょうわたしがおしえてあげる。」

「まって!!」

 俺はその場を立ち去り所定の位置に向かう。やはりまだまだガキの思考だ。社会ってやつをわかっていない。そんな人間が力を持ってデカイ顔している。そりゃレジアスも怒るだろ。そもそも今の管理局の方針がダメだ。何もしらないガキを教育せずに現場に投入、そうすることで現場はパニックになる。何もしらないガキがいきなり上司となり、指示を出す。チンプンカンプンな指示を出されると混乱する。または周りに追いつこうと、働き過ぎてオーバーワークになる。肝心なときに使えないなんてのは笑いものだ。だからこの方針は早急に変える必要がある。

 

模擬戦開始

 俺は試作BJⅡを展開した。これは先のBJを更に最適化し標準装備を1つ追加したBJだ。勿論必要以上の魔力やレアスキルは使用しないようにする。あくまでこの模擬戦は「デバイスの有用性を見せる」だ。勿論オモイカネはお留守番。というかレジアスに渡している。因みにBJのデザインは某戦車アニメのドイツ学校のジャケットをモデルにしている。そして銃型デバイスを両手に展開し、開始の合図を待つ。

 

 

 双方がデバイスを展開した事を確認した審判が戦闘開始を宣言した。俺は開始の合図と同時にファイトへ魔力弾を連射した。勿論フェイトも高速移動でそれを回避する。勿論これは予想通り。戦闘において先制攻撃は自分のペースに持っていくに必須である。

フェイトは自前の速さをいかし俺に接近してきた。勿論高町も中距離からの誘導弾で攻撃する。勿論2人のコンビネーションは完璧だ。しかしこれには弱点がある。俺はフェイトが攻撃してくる方向へ魔力弾を連射し、誘導弾を撃ち落とした。

「どうして!?」

「おわり?」

「フェイトちゃん!!行くよ!」

「なのは、いつも通りに」

 彼女達は接近戦にもつれ込んできた。フェイトが高速移動で動き回り、再度高町は誘導弾で攻撃。さっきと良く似た動きだが、多分設置型バインドを設置しているはずだ。うん、そことそこだね。俺は設置されている場所を避け攻撃を回避する。

「あまい」

「ガハッ!!」

 その様子を見ていたフェイトの動きが一瞬鈍った。勿論俺はそれを見逃すほど甘くない。そしてフェイトの横腹へ魔力弾を撃ち込んだ。防御がうすいから、さぞ痛いだろ。

「フェイトちゃん!!」

「じぶんのしんぱい」

「きゃああ!」

「せんとうちゅう。よそみはだめ」

 一瞬戦闘から目を離した高町に誘導弾が直撃した。この誘導弾はフェイトに連射していた魔力弾に紛れ込まし、地中に待機させていた。

 

 その後戦闘は続いたが・・・

 

「このていど?」

「どうして攻撃が!?」

「バインドの位置も!」

「おしえるとおもう?てきに「あなたのすきるおしえて?」ってきく?」

「くっ!!」

「ふぇいと、ていあんがある」

「何?」

「さいだいそくどでこうげきして。わたしをたおせたら、あなたのかち。ぎゃくにわたしがあなたのこうげきをさけ、あなたをたおしたらふぇいとのまけ。どう?」

「いいの?」

「もちろん」

「たいみんぐはふぇいとにまかせる」

「なのは、手は出さないで。」

「わかったの」

 

 フェイトがBJをさらに薄くする。痴女か。

 

 

 

 

 

 数十秒後

 

 

 そこには鳩尾に蹴りを入れられ、苦しんでいるフェイトの姿があった。

 

「ふぇいとのまけ」

「あぁあぐあ」

「フェイトちゃん!!」

「つぎ、たかまち」

「先にフェイトちゃ「ことわれば、ここでまがじんないのまりょくだんを、ふぇいとにうちこむ」・・くっ何?」

「じょうけんはふぇいととおなじ。たかまちはSLBをわたしめがけてほうげきする。わたしがたおれたら、わたしのまけ。わたしのこうげきをたかまちがうけてたおれたら、たかまちのまけ。どう?」

「わかったの!!!」

 

 

 スターライトブレイカーを砲撃するためには多少時間が掛かる。高町はカートリッジを使用しそれを短縮する。これだからガキはバカだ。体への負担を考えずガンガン使用する。それを注意もしない海のクソ共。胸糞が悪い。しかしこれが噂の喰らうとトラウマになる砲撃か。リアルで見ると流石に恐怖を覚える。これをまともに喰らうと、そりゃトラウマだな。ピンク怖いピンク怖いww

 

「行くの!!これが私の全力全開!!スターライトブレイカー!!!」

「そう。」

 俺はそう呟いた。そして

「ろー・あいあす」

 その言葉で試作デバイスが発動した。

 

 

「あの砲撃をまともにくらったぞ!!」

「救護班!!早く!!」

「なのは!いくらなんでも・・・」

「あっちゃ~。トラウマ確定かな~」

 

 

 

 

 しばらくして、アウインの周辺の煙が晴れてきた。そして外野と高町が見たものは

 

 

「・・・無傷?」

「ざんねん。じゃあこっちのばん」

 ハルコンネンを構える。このまま射撃すると、反動で俺と砲身が吹き飛ぶ。なので磁場の力で銃身を空中に固定した。それでは反動に負けてしまうため、周辺の瓦礫から砂鉄を集め、簡易的な台を作成した。これで簡易固定砲台の出来上がり。

「がんばって、がーどして」

「そんな!!レイジングハート!!」

 怖いだろ?そりゃそうだ。「銃型のデバイス」は見慣れているかもしれないが、

「人殺しの武器」を見たことはないだろう。今まさに「命の危険」を感じているだろうな。顔色がよくない。でも俺には、そんなの関係ない。

「ふきとべ」

 

 

 

 その後高町なのは及びフェイトは戦闘不能と判定された。しかし

「いまから5じかんご、さいせん」

「どういうことだ!?」

 クロノが声を上げる。

「いまのせんとうは、しさくひんのでも。わたしじしんののうりょくじゃあない」

「この2人相手にデモンストレーションをしていたと?」

「そう。いましようしたでばいすは、こんごげんばへきょうきゅうするかもしれないでばいすのしさくひん」

「あれが!!危険すぎる」

「なんで?ふんべつがわかる「おとな」へきょうきゅうすることがきけん?ちからをもったふんべつのつかない「こども」とどっちがきけん?おしえて?」

「それは・・・」

「あなたたちが「きょういく」しないから、わたしがするの。だからさいせん。ほんきできて。それともにげるの?」

「おい!!てめぇ!!さっきから聞いてれば、好き勝手言いやがって!」

 お、ヴィータか。からかいがいがあるな。

「べるかのきし?」

「そうだ!!」

「きょうだいなちからをもった、こだいのきし。ならほんものの「せんそう」「せんとう」をたいけんしてるはず。なのにあの「こども」たちへきょういくしないの?どうして?」

「なのは達は頑張ってる。そこいらの何も知らないガキより現場を知ってる!!」

「でも「そこいらのがきより」であって、おとなよりしらない」

「くっ!!てめぇ!!」

「ヴィータ!!」

「シグナム!!」

「彼女が言う事も一理ある」

「れっかのきし」

「そうだ。シグナムだ」

「あなたのいけんがききたい」

「確かに我が主を含めて、まだまだ戦闘経験が少ない。これに関してはアウインの言う通りだ。しかし彼女達は分別は付いている。ここだけは訂正願おう。」

「わかった。でもそれはかのじょたちが、わたしにかてたら」

「二言は?」

「ない」

 

 その後再戦が決定した。当日は流石に難しいため、2日後となった。

 

「おもいかね」

「なんでしょう?マスターアウイン?」

「あなたとはじめてのたたかい。」

「確かにそうですね」

「いままでつくったぷろぐらむ、ここでためしたい」

「了解しました。マスター。しかし」

「だいじょうぶ。ぜんぶれじあすが、せきにんとってくれる」

「では、あれも使用するので?」

「うん。」

「承知しました」

 

 あばれちゃうぞ

 

 

 




 色々作者の趣味が入っていきます。

ターミネータ2 100回は見たかな?今後BD版買う予定です。

ブラックラグーン いいですよね

ヘルシング  若本最高!!

某戦車アニメのドイツ学校  エ~リカ!!

Fate PCゲーの中で今もベスト5入り。初代OPが好き。因みにボイスなしが好き。

あばれちゃうぞ→分かる人間は分かる!!


とりあえず、見直しはしています。


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第09話「模擬戦(後編)」

 ストーリーに関して悩んでいました。


 あれから2日後、俺は今まで作成したプログラムの最終起動試験を終え、数分後に始まる模擬戦に備え、ゆっくりジュースを飲んでいた。そこにレジアスが現れた。相変わらずむさ苦し親父だ。お付きのオーリスもお疲れ様だ。

「アウイン、調子はどうだ?今日も海に我々の力を見せてやれ!」

「わかった。ひがいにかんしては、まえのけいやくしょにきさいしているとおり?」

「勿論!!全力でやれ!!」

「りょうかい」

 管理局のトップのお墨付きが出た。わかった、了解だ。 お望み通り全力全壊で行ってやるよ。今回用意した魔法の威力は、特別な条件下でなければ検証できないからな。後悔するなよ?

 

 

 

 

 

 

模擬戦前のルール説明を終え、2人と対面し挨拶を交わす。

「「よろしくお願いします」」

「よろしくおねがいします」

 2人は挨拶した後素早く所定の位置に向かった。お?少しは学んだか?それとも俺を敵と認識したか?ひとつ賢くなったな!

 

 所定の位置についた俺は

「おもいかね?」

「何でしょうか?」

「あそびはなし、さいしょからぜんりょくでいく」

「了解しました。マスターアウインの仰せのままに」

「せっとあっぷ」

 その瞬間私の周囲にゴールドの粒子が舞った。両者ともBJを展開したことを確認した審判は

「開始!!」

 模擬戦の開始を宣言した。

 

 

 

 

 

 まずいつも通りフェイトが近接戦にもつれ込んできた。しかし普段と違い少し速い。そうか最初から全力か。BJも前より少し薄い。まぁそれが普通だ。犯罪者を捕らえるなら、相手に何もさせない内に捕まえる。これが鉄則だ。それが「現場」だ。しかし俺には関係ない。

「遅い」

 俺はフェイトの背後に回り込み、マントを掴んだ。もちろん首に巻いているマントを掴んだことでフェイトの首は締まる。そもそもマントは不要。

「まんとはふよう」

 俺はそのままフェイトを蹴り上げた。しかし寸前でプロテクションで防御した。さすが天才だ、あの状況で瞬時に俺が蹴り上げることを予測した。でもそれだけではダメ。

「ないすはんだん。でもまだまだあまい」

「がっはっ!!」

 俺はフェイトの背中をひじ打ちで攻撃した。背中への強打により一時的に呼吸が出来なくなる。その状態では正常な判断はできず、デバイスへの指示が出来ない。ひじ打ちの攻撃を行った後顔面へ攻撃を行った。しかし攻撃がプロテクションにより防御された。なるほどデバイスが自己判断で攻撃を防御したか。フェイトは一瞬の隙をつき、俺から距離をとった。

「でばいすにかんしゃ」

「くっ!」

 さて高町からの攻撃がない。まぁどうせ砲撃だろ?

「なのは!」

「準備完了なの!!」

 ほらな?全力全開のSLBですか?でもね?俺には関係ないんだ。俺は1つのプログラムを展開した。そして

「これが私の正真正銘!!全力全開!!スターライト!!ブレイカー!!!」

 彼女にとって最強の砲撃を放った。過去の砲撃よりも収束し、威力も上がった砲撃。それを受けきれる者など今の管理局にはいない。アウインが作成した携帯型シールドでも防御は不可能な威力だ。周りで観戦している者も決着はついたと思った。しかし

「かいじょ」

 高町が砲撃を行った瞬間アウインがつぶやいた。砲撃するはずだった魔力は空気中に飛散した。

「え?」

 何が起こったか誰にも分らなかった。ただ一人を除いて。

「なにしてるの?」

 勿論俺がその瞬間を見逃すはずがない。俺の誘導弾が高町とフェイトへ直撃した。高町は腹部へ。フェイトは外側胸部に直撃だった。高町は多少苦しいと思うが、フェイトはかなりキツイ。ここに強打すると背中を強打した時よりも長く苦しい呼吸困難が発生する。これでフェイトは戦線離脱になった。防御は必要よ。防御は。苦しむ二人の元に行き、

「ねぇ?たかまち?」

「何?」

「あなた「し」をかんじたことある?」

「え?」

「「し」をかんじたことある?」

「ないよ」

「そう・・・ならわたしがおしえてあげる」

「え?」

 その瞬間高町の足をバインドで固定した。

「どういうつもりなの?」

「さっきいったとおり」

 俺はバインドされている高町の後ろにフェイトを置いた。

「がんばってぼうぎょしてね?」

 

 

 

 

 

 俺は少し離れたところに立ち、

「よういしたまほう、あまりけんしょうできなかった」

「仕方ありません。彼女達は頑張りました」

「ざんねん」

「しかし一番検証したかった魔法は今から検証できます」

「うん」

 

 さて詠唱しますか。

 

 

 「たそがれよりもくらきもの」

 

 

 

 

 「ちのながれよりもあかきもの」

 

 

 

 

 「ときのながれにうもれしいだいなるなんじのなにおいて」

 

 

 

 

 「われここにやみにちかわん」

 

 

 

 

 「われらがまえにたちふさがりし」

 

 

 

 

 「すべてのおろかなるものに」

 

 

 

 

 「われとなんじがちからもて」

 

 

 

 

 「ひとしくほろびをあたえんことを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レジアス

 まったくアウインには感謝だ。あの海のエース級が手も足も出ない。見ろ!!海の奴らの顔を!!さてそろそろ・・・ん?なんだ?

 

「どうした?なぜ攻撃しない!?」

「わかりません」

 

 

 

 2人を一か所にまとめ距離を置いた。そうか今から攻撃か!!

 

 「たそがれよりもくらきもの」

 

 何だ!この揺れは?

 

 

 「ちのながれよりもあかきもの」

 

「レジアス少将!!」

「何だ?」

「この周辺に次元震の発生を確認しました」

「何だと!!?」  

 

 

 「ときのながれにうもれしいだいなるなんじのなにおいて」

 

「震源はどこだ!!?」

「震源は・・・・!!!!」

「どうした!」

「震源地は・・・地上本部!!ここです!!」

「何だと?」

 

 

 「われここにやみにちかわん」

 

「次元震を複数確認!!」

「何だと!!?」

 なんということだ!!震源地が地上本部?ここにロストロギアは保管していない!!・・・まさか!!」

「詳しい震源はどこだ!!」

「時間がかかります!!」

「構わん!!」

 

 

 「われらがまえにたちふさがりし」

 

「少将避難してください!!」

 オーリスが叫ぶが今更遅すぎる。

「オーリス三佐。無理だ。ここが震源地だ。今からでは到底避難など無意味だ」

「止めてください!!」

「何だと?」

「彼女を止めてください!!」

 

 

 

 「すべてのおろかなるものに」

 

「アウイン三尉!」

 聞こえていないか?

「アウイン三尉!!」

「少将!!」

「今は忙しい!!」

「スピーカーの配線が焼き付いています!!それと震源地ですが・・・」

「・・・アウイン三尉か?」

「・・・はい」

 なんてことだ。

 

 

 

 「われとなんじがちからもて」

 

「頼む!!アウイン三尉!!」

「少将!!これを!!」

 メガホンか!

「アウイン三尉!!アウイン三尉!!今すぐ中止しろ!!」

 聞こえないのか?

 

 

 

 「ひとしくほろびをあたえんことを」

 

 

「アウイン三尉!!中止しろ!!さもないと母親に報告するぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

アウイン

「ひとしくほろびをあたえんことを」

 

 

「アウイン三尉!!中止しろ!!さもないと母親に報告するぞ!!!」

 は?それはダメだろ!!

「おもいかね。プログラム中止。」

「了解」

 俺はプログラムを中止し魔力を空気中へ飛散させた。

 

 

 

 

 今回の2回の模擬戦で得られたものは試作のBJと追加した機能。そして私の最大級の魔法に関してだ。最後に関してはおおよその威力が判明した。

 

 

 

 「ミッドチルダへの被害:約4割。2次災害に関しては次元航路の無期限使用不可。その他不明」

 

 

 

 

 そして俺には無期限のリミッターが施された。

 

 

 

 

 

 

 ロストロギア級の幼女誕生。

 

 

 

 

 

 

 

 




 ナデシコとスレイヤーズです。
どちらも大好きですね。

ドラグ・スレイブよりもグラビティブラストにしたほうが
よかったか?


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第10話「休憩・・・いいえ復旧と悪巧み」

 遅くなりました


 あの模擬戦以降俺には多重リミッターが施される予定になった。当初はデバイスの無期限使用禁止や管理局での無期限永住などのある意味幽閉処置が施される予定だったが、レジアス少将が何とかリミッターを施す程度まで引き下げた。そのことを聞いた時、私がレジアスに掛けた言葉は

「おつかれさま」

「貴様は気にすることはない」

「きにしてない。けいやくでわたしはしょばつされない」

「そうだったな」

「でもすこしやりすぎた」

「ああ」

「で、いつからりみったーを?」

「今日からだ」

「わかった。ところで」

「なんだ?」

「しさくのBJをしけんしたい」

「・・・」

「だめ?」

「今管理局のシステムが不具合を起こしている。それが直らない限り試験は無理だ」

「わかった。ならなおす」

「なっ!!技術班総出でまだシステムは復旧していない!それを「できる」なっ!!」

「あんないして」

「オーリス、頼む」

「了解しました」

 

 

 

 システム管理室

 そこでは管理局員がせわしなく動いていた。そして俺は

「こんかい、しすてむふぐあいをおこしてしまい、もうしわけありませんでした!!」

 

 精一杯の声を出して謝罪した。しかしそれに対する言葉は管理局員からはなかった。分かる。よ~く分かる。他人の不始末を関係ない自分達が解決しなければならない。それも現在2徹。ふざけんな!って思うだろう。でも謝罪しとかないと後々俺の立場が悪くなる。

「あんない」

「こっちよ」

 案内された端末におれはオモイカネを接続した。

「おもいかねきどう。しすてむふっきゅうぷろぐらむきどう」

「システムプログラム起動開始。システム不具合検出中・・・・・・検出完了。マスターアウイン。システム復旧のため魔力供給をお願いします」

「おもいかねへまりょくきょうきゅうかいし。おもいかね、わたしのばっくあっぷおねがい。おーりす?」

「何?」

「いまからこえかけないで」

「わかったわ」

 

 

 

 

 

 

 ふっ~終わった。流石に疲れたわ。

「おーりすおわった」

「・・・」

「おーりす?」

「ええ」

「れじあすへのほうこくおねがい。かえる」

「ええ。お疲れ様」

 あ~疲れた。明日は休んで、明後日から本気出す。

 

 

 

 

 

 

 2日後

 

 俺は今開発メンバーに対し試作BJの新機能を説明している。

「うみとのもぎせんじにしようしたしさくBJにとうさいしていたきのうをすこしさいてきかしました」

「ようは簡易魔力観測機による攻撃回避機能?ということでしょうか?」

「そう。360どかんそくかのう。ただしげんじてんでは「こうげき」が「どこからくる」かどうかしかわからない。たにんずうによるたほうこう、どうじこうげきにはたいおうふか。あくまでこうげきかいひそうち?みたいなもの」

「いえ!これは画期的かと!」

「確かに!魔力攻撃がどの方向からくるかを予測できれば、現場の生存率が上がります」

「ありがとう。ではしばらくこのきのうのさいてきかおよびじっせんへのとうにゅうじゅんびおねがいします」

「「「了解しました」」」

 

 

 

 

 まったくこの世界は・・・魔力未保持者への配慮がまったくない!!

 

 あ、そうか。目に見える結果を出せばいい。俺が結果を出しても意味がない。正真正銘未保持者がこのBJを使用してAランクを倒せばいい・・・なんだ簡単じゃんか。

 

 

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

         いいこと思いついた。




 少し短いです。

 今後ともよろしくお願いします。



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第11話「誰のために?」

 

 

 

「おーりす?」

「何でしょうか?」

「れじあすは?」

「会議中ですよ」

「わかった。いつおわる?」

「もうすぐわりますよ。今日はどうしましたか?」

「れじあすにききたいことがあるの」

「また何かの実験?」

「まぁそんなかんじ」

 

 簡単な話をしていると、どうやら終わったようだ。多数の職員が出て行き、最後にレジアスが退出してきた。

 

「どうした?」

「れじあすにはなしがある」

「なんだ言ってみろ」

 要約すると、今までの試験は全て俺が行い結果を出した。しかし俺はSSランク以上の魔力を所持している。これではインパクトに欠ける。そこで本当に魔力をもたない人間で現在のBJの最終系を着用し、Aランクのそこそこ名の知れた職員と模擬戦を行い、そこそこの結果を出す事を提案した。

「どう?」

「いいアイデアと思う」

「じゃあいい?」

「Aランクの職員は誰だ?」

「ふぇいと」

「あの海の!?」

「うん」

「海が協力してくれるだろうか」

「だいじょうぶ、もぎせんではんめいした、しゅうせいてんのかいぜんもくてき」

「なるほど」

「それに、しつむかんにひつようなけいけんもつめる」

「それを条件に模擬戦を?」

「そう」

「段々、汚れた大人になってきていないか?」

「??よくわからない」

 ははは、中身おっさんで、元社会人なんでw

「分かった。早めがいいんだな」

「うん」

「オーリス手配してくれ。それと魔力なしの職員は誰を推薦する?」

「れじあす」

「・・・?」

「れじあす」

「なっ!?」

「アウイン!レジアス中将に、そのようなことはさせるわけには行きません!」

「れじあす?」

「なんだ?」

「いいの?」

「・・・」

「このじっけんは、こんごのみっどに、かくじつにひつようになる。それをひとまかせでいいの?」

「アウイン・・・わかった。私が現場に立つと言い出した結果、このプロジェクトが発足した。そして今ではほぼ全ての職員にBJが手配された。そして今その最終モデルが仕上がった。ならば私本人がその性能を身をもって体験せねば」

「そう、げんばへきょうきゅうするのに、ちゅうとはんぱなものはだめ」

「確かに。完璧なものを作成せよ。アウイン二尉」

「あれ?しょうしん?」

「ああ、現時点をもってアウイン三尉は二尉へ昇進とする」

 マジか!!

「しかし中途半端な物を作るなよ?」

「わかった」

 

 

 

 こうして俺の昇進及び最終BJの最終確認の計画が発足した。

 

 レジアスは過去に格闘経験があった。そのためある程度のトレーニングでよかったのだが、

「人に中途半端な物を作るなといっておきながら、自分が中途半端な実力では話にならん!!」

 と、何故か本格的に肉体改造を行っている。

 

 フェイトに関しては、オーリスと俺の権限を使用し、短期任務のため本局から地上本部へ異動してもらった。勿論色々と特典はある。

「あなたは、はやいだけ。それならばかでもできる」

「はい」

「せつめいしてもわかりにくいから、とりあえずもぎせん」

「え?」

「はやく」

 速いだけの戦法では話にならない。

「ほら、まりょくのざんりゅうで、どこにいどうするかわかる」

 俺は移動先に魔力弾を撃ち込んだ

「くっ!!」

「ほら」

「がっは!!」

 足元でフェイトが転がっている。

「あいてのすきをねらってこうそくいどうするの。いきなりいどうしてもかくらんにならない」

 最初から高速移動で接近するのもいいが、それが不発、もしくは相手にばれている場合は無意味になる。ならばある程度フェイントを入れる。

「きょうはおわり」

「ありがとうございます」

「このあとべんきょうがんばって」

「はい」

 

 執務官を目指すための勉強もこの任務の中に入っている。仕事中に勉強できるなんてなんてホワイトなんだろう。おまけにデバイスのメンテまで無料・・・俺は優しい天使だ。

 

 

「しんこうじょうきょう」

「問題なく最終作業に入りました」

  上出来、上出来。

 

 

 

 最終調整に入った。もうすぐ完成する。レジアスもほぼ調整は出来ている。フェイトも万全の状態だし、デバイスも調整しておいた。これで双方言い訳とかできないような状況。

 

 

 試験終了後レジアスのおっさんがテスターってわかった時の皆の表情が楽しみで仕方ない。

 

 

 

 




 お久しぶりです。

 また亀更新で再開しましたので

 よろしくお願いします


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第12話「全ての局員に安全と安心を提供する」

 亀と言うより、もう不定期更新になりますね。

 遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。




   

 

 最終BJが完成した。

 

 現在の仕様は

 耐衝撃、耐魔力(B+まで)、耐銃撃(44口径まで)、温度設定可能。

 

 常時展開式。魔力+使用者の体温を電気に。その電気を魔力に変換し運用していた

 

 

 新BJ仕様

・耐衝撃,耐魔力(B+まで)

・耐銃撃(50口径まで)

・常時展開式。

・使用者の体温を電気へ。

 魔力を持っていない場合は付属のアタッチメントにて補助可能(24時間)

・魔力索敵:魔力が付加されている攻撃を360度探知可能及び設置型バインドの感知

 

 温度調整を取っ払い、付属アタッチメントにて運用を補助する。デバイスのカートリッジを応用している。はっきり言って自信作です。

 

 

 最終最適化しレジアスに渡す。勿論アレを忘れない。

 

「れじあす?」

「出来たのか?」

「もちろん。これもつけてね」

「これは?」

「かめん」

「これの効果は?」

「かおをかくすだけ」

「分かった。処でアウイン、今後どうするんだ?」

「こんご?」

「BJが完成したらアウインはどうする?引き続き管理局で開発担当をするか、もしくは5歳児らしく普通の生活に戻るかだ」

「・・・・」

「まだ決めなくてもいい。しかし親御さん・・・お母様と良く話してくれ」

「レジアス?」

「なんだ?」

「わたし・・・・いらないこ?」

「!!!アウイン!違う!私は君の将来についてもう少しお母様と話をしたほうがいいといっているだけだ。私個人としてはアウインにはこの先管理局で働いて欲しい・・・いや働いてくれないかと頼みたいところだ」

「わかった」

 

 いや~久しぶりに焦った。「レジアスの意見は」と聞いたら「いらない子」に変換されてしまった。目の前のおっさんを慌てさせてしまった。

 

 しかし自分の将来ね~。まぁこの容姿を生かしてモデル、女優なんかもいい。もしくはこのまま管理局で開発担当としてもいいし、現場に赴いてもいい。今の俺のスペック的に将来の道は無数にある。

 

「じゃあ、もぎせんのひに」

「気をつけて帰れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 模擬戦当日

 

「さいしゅうBJのしようはてもとのしりょうにあるとおりです」

「分かりました。相手はフェイト・テスタロッサという事ですね」

「はい。りみったーでAらんくまでさげていますが、せんとうのうりょくはへんかしてません」

「この相手に魔力なしの局員とが模擬戦とは・・・よく許可がでましたね」

「がんばった」

「ありがとうございます。処でアウインさん?」

「はい」

「この魔力なしの局員は何方でしょうか?名前が空白になっていますが」

「やおちょうたいさくです」

「なるほど、しかし上や海からの圧力がかかっているのではないですか?そこがここにいる皆さんの疑問のひとつです」

「だいじょうぶ。ぜったいそのようなことはありません」

 俺は大ホールにて関係者への説明をしている。勿論上の方の局員や海の関係者も大勢きている。BJへの資金提供者もいる。しかしまぁ・・・出るは出るは、海から陸への嫌味。そしてその逆。勿論これもある意味狙ってる。

「こんかいのもぎせんからみなさんにつたえたいことは

①さいしゅうBJをげんばにていきょうすることによるきょくいんのあんぜんたんぽ

②かんりきょくぜんたいのせんりょくきょうか

③かんりきょくしすてむのかいぜん

となっています」

「わかりました。ではレジアス中将も到着したようなので模擬戦開始といたしましょう」

 

 

 

 

 「「お願いします」」

 

「審判のクロノ・ハラオウンです。ルールはどちらかの魔力がつきるまで、もしくはノックダウンするまでです。では・・・始め!!」

 

 

アウイン

 この模擬戦の意味は先に説明した③がもっとも意味がある。今までは魔力ランクが高く戦闘力が高ければ昇進が早かった。しかしそれはある意味諸刃の剣だ。高い地位になればそれだけ部下が増える。そのため無理をする人間もいる。原作の高町がその典型的な例だ。おまけに思考が小学生のままだから「困っている人を助ける」なんて幼稚な考えのまま成長する。このBJがあればまず現場にそんな人間が出て行く前に止められる。

 

 

 

 

 模擬戦

 模擬戦が開始した直後にフェイトが誘導弾で攻撃を行う。勿論レジアスはそれを回避すると思っていたが、予想外に叩き落した。確かに避けるより誘導弾自体を消す事で、回避後の攻撃をなくす事が出来る。この手袋の装備はレジアスの依頼で作成した物だ。機能としては魔力を込めて殴るだけだ。

 一度間をおいてフェイトが高速で移動する。以前と違うのは移動中に魔力弾による攻撃を加えることだ。これで相手は魔力弾の対応と高速で移動してくるフェイトの対応をしなくてはいけない。これへの対応は魔力弾の弾道から移動しフェイトへ対応。もしくは魔力弾を回避しつつフェイトへ攻撃を行う。前者は確実にやられる。後者は難易度が高い。

 レジアスの対応は至ってシンプルだった。魔力弾を叩き落としたが、死角から攻撃してくるフェイトに気付かなかった。いや気付いていないフリをしていた。完全に攻撃態勢になっていたフェイトへレジアスの廻し蹴りが入った。フェイトの攻撃は新型BJの機能を逆手に取った戦法だったが、レジアスはシンプルに「全ての攻撃を叩き落す」というシンプルでもっとも誰もしない対応を取った。結果的にフェイトからダウンを奪い間を置かず首を絞めて落とそうとしたが、フェイトが咄嗟に放った誘導弾がレジアスに直撃した。

 しかし咄嗟に放った誘導弾だったのか、BJの機能により無効化された。レジアスの絞め技は完璧で殆どフェイトの体に触れていない。セクハラ対策か?そしてフェイトの意識が落ちた処で試合終了となった。

 

 

 

 

 すまないフェイト・・・Aランクじゃあ太刀打ち出来ないわww

 

 

 レジアスのおっさん・・・中将してるより現場でたほうがいいと思う。

 

 

 

 

 

 BJの性能を見せる模擬戦が・・・おっさんの戦闘力のお披露目になってしまった!!

 

 

 

 




 原作忘れました。一度見直してから執筆します。


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第13話「正社員」

 「勝負あり!!そこまで」

 

 クロノ・ハラオウンの試合終了宣言を聞いた局員達は沸いた。そして

 

 「かめんはずして」

 俺は通信機でレジアスに仮面を外すように指示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果的に俺のBJは世に認められた。当たり前だ。BJを装着した管理局のトップがAランク魔導師に圧勝した。勿論相手をしたフェイトはこのことを知らず、俺の見る限り本気で相手をしていた。これは審判をしていたクロノ・ハラオウンも認めた。それから管理局は変わった。

 

 BJを支給したことで、現場における死傷率は大幅に低下した。また能力があっても魔力がないため評価されなかった局員が大勢昇進及び現場へ投入された事で、現場の指揮系統などが大幅に改善、同時に魔導師不足も改善に方向にむかっている。私の知っている原作とはまったく違うものになってしまった。しかしそれはそれ。これはこれ。

 

 

 そして陸と海の関係も少しは改善された。海の人間は優秀な人材を陸に派遣、現場の横取りなどを禁止した。レジアス中将もレアスキル保持者を毛嫌いしていたのを改善し認めるようになり、海との関係修復に力を入れた。

 

 管理局が変わっていく中、俺も今後の人生を決めることにした。5歳程度で人生を決めるのは早いと思われるが、このミッドでは能力があれば年齢一桁でも就職可能だ。しかし問題はある。

 

 

 

 

 

「許しません!」

「・・・」

「あなたからも何か言ってください!!」

「お前の言いたい事は分かる。しかしこれだけの能力がありながら・・・」

「この子には「普通」に暮らして欲しいんです」

「わたしは・・・ふつうにはなれない」

「「アウイン」」

「わたしはみんなとちがう。なんでみんながわらうのかも、なくのかも・・・かんじょうがない。おかあさんもわかってるでしょ?わたしにはしゅうだんせいかつはむり」

「・・・」

「それに、むきげんのまりょくりみったーの、そうちゃくぎむもある」

「魔力リミッターに関してはレジアス中将にはお世話になっている。それにこれから先アウインは・・・ロストロギア級の扱いになるかもしれん。ならば今の内に・・・」

「れじあすはわたしに「ふつう」のみちをいくようにいってくれた。でもそれはせけんがゆるさない」

「なぁ?アウインの管理局への就職に賛成してやってくれないか?」

「アウイン・・・分かりました。処で仕事内容は?」

「かいはつがめいんで、あとはじむかんけい」

「分かりました」

 

 

 

 

 

 俺はこうして管理局に正式に入社する事になった。これで俺も社会人だ。社会人のルールはある程度把握している。

 入社が決定しオモイカネのメンテナンスを実施する事になった。しばらく酷使していたのでちょうどいいタイミングだった。

 

 

 

 

 

 管理局第18研究所 デバイス管理及び開発室

 

 初めてオモイカネと出会った場所に訪れた。何か色々変わっており、大きな石があった。

「おひさしぶりです」

「アウインちゃん久しぶりだね。色々噂は聞いているよ」

「またよろしくおねがいします」

「出来ればアウインちゃんがここに配属されてほしいけど、レジアス中将がそれを許さないからね」

「ん?おい、どういうことだ?」

「聞いてないのか?アウインちゃんは中将直下に配属されるぞ?」

「管理局第1研究所のことか?」

「ああ、あそこはトップクラスの研究所だ。並みの人間じゃあ入れない」

「ああ、それに資金も豊富だ。あそこにアウインが・・・」

「ねぇ?」

「なんだい?」

「あのいせき?みたいなのは?」

「ああ、あれかい」

 大人の話を遮って俺は石の遺跡がなにかを聞いた。

「これは石の本だよ」

「ほん?」

「そう、これと同じ形をしたものが、オモイカネが発掘された場所を中心に12枚発掘されていてね、殆どは崩れたり文字が分からないものばかりだけど、この一枚は何とか文字が分かる程度に形を保っている」

「これは・・・・・じゅもん・・?」

「え?」」

「し・か・・・・お?な・・・・した・・い?な・・・もて・・・・さら・・」

「アウインちゃん!!」

「なに?」

「読めるのかい?」

「わからない。でもすこしよめる」

「「・・・」」

「もじがかけてわからないけど、ぜんごでよめればつなげることはかのう」

「この石版は全部で12枚。今オモイカネの発掘された場所の更に下から13枚目が発見された。これは偶然じゃあない。オモイカネを起動できた事、そしてこの文字を読めたこと・・・アウインちゃん?」

「なに?」

「この仕事を是非君に頼みたい。そしてミッドの歴史を解明してくれ」

「・・・わかった」

 

 

 

 俺はこの古代の遺跡を分析する事になった。しかしあの親父の友達は熱いな。親父からは歴史オタクで特にベルカの時代を語らせると止まらないとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「これは・・・いい素材かもしれない」




 書き貯めはここまでです。


 また不定期に戻ります。



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第14話「困っている→はぁ誰基準で?」

 

 

 俺は5歳にして管理局正社員となった。おまけに今まで発見されなかった、新しいミッドの歴史が発見され、それの解析チームの一員となった。まぁ古代の文字を読める事、オモイカネを起動した事を考慮しても俺がそのチームに入る事はある程度予想できた。

 

 歴史の調査がある程度落ち着いた頃、フェイトが執務官試験に合格したと連絡があった。当然だ、筆記試験の対策、実技試験への対策・・・俺が直々に教えてたんだ。そして今日フェイトがお礼を言いにきた。

 

「あの」

「なに?」

「執務官に合格できました。ありがとうございます」

「これからはしつむかんとしてがんばって」

「はい」

「?どうしたの、うれしくないの?」

「いえ、合格できたことはすごくうれしいです。でも・・・最近なのはの様子・・というよりワザワザ深夜まで仕事をしているんです」

「そう」

 

 

 あれ?高町が堕ちるのは11歳ぐらいだよな?今10歳ぐらいだから1年程度原作より流れが速いのか。

 

「で?」

「え?」

「どうしたいの?」

「なのはを止めたいです。このままじゃ、いつか任務中に怪我しちゃうから」

「ふぇいと?」

「なんでしょうか?」

「これまでわたしがいったことおぼえてる?」

「はい」

「じゃあそれをじっこうしたらいい。それでもわからないなら「わたしがしどうする」」

「はい」

「はやくしないと、おちちゃうよ」

 

 

 今の管理局で10歳そこそこの子供が無茶をする必要はない。其処までしなくても、ちゃんと人手は足りている。其処を理解していない、もしくは何か「勘違い」している可能性がある。ならその「勘違い」をちゃんと修正してあげるのが、先人の役目だ。まぁフェイトの指導で修正できないようであれば、かなりの重症だ。まぁ俺に掛かれば何も問題ない。方法を問わなければな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アウインさん」

「何?」

「明日、なのはに指導します。それでもダメならお願いしてもいいですか?」

「いいの?」

「はい。アウインさんが言う通りこのままではなのはは落ちます。親友を守るためなら、私は・・・」

「うらまれても?」

「はい」

「じゃあみにいく」

 

 

 

 フェイトから通信が入り、なのはと模擬戦をすることを伝えられた。

そして

 

 

 

「本気なの?フェイトちゃん」

「ごめんなのは。本当はこんな事したくないけど、なのはは言っても聞かないから」

「なら、仕方ないね」

 

 

 

 まぁ予想通りなのはの動きは鈍い。フェイトもそれは分かっている。動きが鈍く、判断力も徐々に悪くなる。フェイトも少し私に似たか?瞬殺で終わらせばいいのに、ワザワザ長引かせる。そうすると動きや判断力が更に悪くなる。そろそろフェイトが勝負を決めに行く。

 

 

 

 結果は最初から分かっていたことだが、フェイトの勝利で終わった。しかし高町は納得しなかった。

「どうしてフェイトちゃんは私の考えを否定するの!?」

「なのは否定はしていないよ。困っている人を助ける。いいことだと思う。でもなのは、無茶し続けると今までの疲労が今日みたいに戦闘に影響するよ」

「大丈夫だよ」

「でも今日私にまけたよね?それで何が大丈夫なの?」

「今日はたまたま・・・」

 

 

 はぁ~平行線か。仕方ないな。私が指導してやろう。まぁ自殺したらごめんね♪

 

 

 

「たかまち?」

「はい」

「そんなに「こまっているひと」をすくいたい?」

「はい」

「わかった。じゃあひとだすけがたくさんできるところにあしたからいどうね」

「え・・あっ、はい!」

「そのかわりでばいすあずかるね」

「どうしてでしょうか?」

「ふようだから」

「えっ・・・」

「あずかる」

「・・・はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2週間後

「アウイン二尉!」

「なにふぇいとしつむかん」

「なのはの様子が!」

「いぜんよりくらくなった?なにかおもいつめてる?めのしたにくまができてる?」

「な!!なぜ知ってるんですか!」

「あのぶしょにいけば、だいたいそうなる」

「異動部署?人助けの出来る部署のはずですよね?」

「うん。そのなも「じさつたいおうぶしょ」」

「自殺・・」

「そう。たかまちがいってた。「こまっているひとをたすけたい」って」

「しかし!」

「フェイトしつむかん?」

「っはい」

「150にんのこまっているひと、149にんのこまっているひと、どちらかをみすてないといけないばあい、どちらをえらぶ?」

「そ、それは・・・150人です」

「じゃあたすけた150にんのにんげんのうち76にんと74にんなら?」

「言いたい事はわかります。全ては・・・救えないということですね」

「せいかい。こどものかんがえは「すべてたすける」でもおとなは「せんたく」する。わかる?」

「はい」

「それにあそこのぶしょのしごとは「すくう」じゃあない」

「え?」

「はなしあいてをするぶしょ。じさつするひとはきほんてきに、おもいつめてる。なやみやふあんをこころにためこんでいる。だからそのおもいをだれかにはなすことでぼうしにはなる。でもなかにはさいごにはなしをしたいからってりゆうででんわをかけてくるばあいがある」

「なのははそれにも真剣に対応しているから、今の状態になったと?」

「そう。いつせんたくするかんがえになるかは、ほんにんしだい」

「でも誰かが・・・」

「それはわたしのしごと?それともふぇいと?」

「いえ、なのは自身で決める事だと思っています」

「そう。じゃあしごとにもどるから」

 

 

 

 

 まぁそろそろレイジングハートにでも説得してもらうかね。そもそも困っているって誰基準できめてるんだろうな?簡単に「助ける」とか語るなよ。

 

 

 

 

 

 

 

「たかまち?」

「ア、アウインさん」

「どうしたの?げんきないけど?こまっているひとをたすけてる?」

「え・・・あ、はい」

「そう。ところでたかまちにすくってほしいひとがいる」

「だ誰でしょうか?」

「わたし」

「あういんさんが!」

「そう。わたし、かんじょうがないの。それで「こまってる」だからたすけて」

「そ・・・それは」

「むりでしょ?」

「・・・はい」

「それで?」

「え?」

「こたえは?」

「全ては・・・全ては救えない」

「うん」

「でも」

「?」

「救える人は救いたいです」

「なら、いますぐこまっているひとにこころあたりがある」

「え?」

「しんゆうをしんぱいしているふぇいと」

「はい!!」

 

 

 

 

 

 

 高町墜落は回避?わからんけど。まぁこれで堕ちたらしゃあない。俺には関係ないことだしな。そもそも高町は現状の管理局には居ても居なくても別に影響ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 リリカル新作映画見ました。

 中々w


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第15話「信仰」

「いや」

「そこをお願いします!!」

「いや」

「アウイン2尉!!」

「わたしはじむいん」

「空いた時間でいいので!!」

「どうしたの?」

「おーりす」「オーリス3佐」

「何の騒ぎですか?」

「このひとがわたしのぶかになりたいって」

「そこを是非お願いします!!」

「スットーーープ!!」

「「!!」」

「その件は一度私が預かります。アウイン2尉は特殊な条件で働いています。なので彼女には現状では部下を持てる資格はありません。それに彼女の同意も現状ありませんし。一度レジアス中将に確認してみます。よろしいですね」

「はい」

 

 

 

 

 

「と、いう訳です」

「なるほど、アウイン2尉」

「はい」

「経緯を」

「いぜんふぇいとをしどうした。そしたらしつむかんしけんにいっぱつ、ごうかく。そのうわさがひろまった」

「なるほど。アウイン2尉」

「なに」

「これを機に以前計画していた各地区に部隊を編成する計画を進展させてはどうだ?」

「たしかに。きほんてきなけいかくしょはできています」

 この計画を簡単に語るなら、日本の県にはいくつかの市がある。県自体に部隊を派遣しても全てをカバーできない。そこで県を2~4に区別する。勿論人手が掛かるシステムだが、今の管理局には問題ない。すべてはBJのおかげだ。しかしここで問題が発生する。それは無能者の存在だ。折角良いシステムを組んでも、それに無能者が組み込まれるとシステムにエラーが生じる。

 

「おおまかなしすてむはくんでいます。じんせんはだれが?」

「人選は私が」

 この人なら大丈夫だろ。

「じんせんがかんりょうしだい、けいかくをじっししていきます」

「頼んだ」

「では」

 

 

 

 

 

 

 

 4年後

 

 

「おーりす?」

「何?」

「Nちくたんとうしゃにれんらくしてください。さいきんやすみがとれていない。こちらからりんじしょくいんをはけんする。と」

「了解しました。アウイン3佐」

 

 私のシステムが実用化されてはや2年と半年。現在各都市には部隊が派遣され、犯罪発生率は大幅に減少した。人選に関してもオーリスの努力が実り、現在は不祥事などは発生していない。BJの横流しが何件か確認されたが、未然に防止出来ている。その当事者にはそれ相応の報いは受けてもらった。その功績により私はそこそこ昇進した。10歳にして3佐であれば、もうこれ以上昇進する必要はないように思う。

 

 それと契約が変更され、事務員→システム管理者→首都防衛隊システム管理者3等陸佐へ変更された。時たま開催される会議などに参加している。異様だろ?周りはおっさんだらけなのに、一人だけ10歳の女の子が居るとかw

 

 

 今日は2年間の経過報告を行うために会議室にてプレゼン中だ。

「げんざいのところ、しすてむはせいじょうにうんようできています。それにはんざいりつはもっともおおいときにくらべ67%だうんしています。ひとでぶそくはたしょうありますが、よそくはんいないにおさまっています」

「ありがとう。アウイン3佐」

「レジアス中将?」

「なんだ?」

「このシステムを運用していくのであれば、今後人手不足が懸念されます。職員の採用年齢を引き下げるのはどうでしょうか?」

「ダメだ」

「やはり、教育の面でしょうか?」

「そうだ。過去に実施した結果から最低でも15歳以上と出ている。10歳の子供に組織の仕組みを教えるより、15歳の人間に組織の意味を教える方が速い。それに未確認だが、オーバーワークの話も聞く」

「わかりました。申し訳ありません」

「いやいい。そういった意見をしっかり出せ」

「少しよろしいでしょうか?」

「八神はやて3等陸佐なんだ?」

「新たな部隊を設立したいと思います」

 

 内容は

 

 これは・・・これは愚策だろ?

 

 

 

「現在ロストロギア及びレリック関連の危険な任務を扱う部隊がありません。そこでレリックの対策と、独立性の高い少数精鋭の部隊を設立したいと考えています」

「それだけか?」

「はい。それに現在のシステムを超える災害、事件が発生した場合への対応部隊と思って頂ければ」

「ということは、現在のシステムは使えないと?」

「いえ、そういう意味では!」

「私にはそう聞こえたぞ?」

「レジアス中将の推進する計画を愚弄するとは!!」

 

 あ~あ、八神よ~。もっと言い方気をつけろよ。仕方ない。

「いいですか?」

「アウイン3佐・・・しずかに!!!」

 

「やがみ3とうりくさ?たしかにいまのしすてむにはけっかんがあります。しかしそれへのたいさくあんもすでにじっししています。せんしゅうのだいかさいにたいしてもじんそくにたいおうできています。ひとつききます。だいじけんがおこるかのうせいがあるからぶたいをせつりつしたいのか、それともだいじけんへのたいおうのためにぶたいをせつりつするのか・・・どっちでしょうか?」

「それは事件が発生する可能性があるからです」

「わかりました。れじあす?」

「ここでは中将と呼べといつも言っている」

「もうしわけありません」

「なんだ」

「ちゅうじょう。このはなしはうらがあります」

「どういう事だ?」

「じけんがはっせいする、それもいまのしすてむでたいおうできないじけんがはっせいすることをやがみ3とうりくさはどうしてしっているのでしょうか?」

「八神3等陸佐?」

「そ、それは」

「聖王教会かね?」

「!!」

「せいおうきょうかい?」

「知らないのか?」

「はい」

「先ほど八神3等陸佐が話していた危険なロストロギアやレリックの調査と保守を使命としている宗教団体の事だよ」

「なるほど、そのそしきのろすとろぎあのかんりほうほうなどにかんしては?」

「不明だ。あちらさんは、そのあたりの情報を開示しようとしない」

 

 最悪だ。ロストロギアの管理方法が分からない?おまけに情報を開示しない?今の管理局においてはロストロギアの管理方法は市民への開示はしていないが、最低限開示はしているぞ?一体何を扱い、どういう管理をしているかを知っていなければ、それこそ、大事件に発展する可能性がある。そもそも宗教団体如きに危険物を扱わすなど・・・論外だ。おまけにそこの息の掛かった人間が部隊を設立?話にならない。

 

「こんご」

「アウイン3佐?」

「こんご、このようなきけんなしゅうきょうだんたいには、ろすとろぎあのかんりはまかすことはできないとかんがえます」

「私も以前からそれは考えていた」

「そもそも「事件が発生する可能性があるから」というはつげんがありましたが、そのだんたいのかんりぶそくでだいじけんがはっせいするかのうせいもあります」

「「「確かに」」」

「やがみ3とうりくさ?」

「は・・はい」

「こんごそのだんたいへのちょうさをおこないます。よろしいですね?」

「・・・」

 

 

 

 

 この会議の次の日から聖王協会への調査が始まった。まぁ出てくる出てくる杜撰な管理方法の数々。ロストロギアの管理方法も半分以上は適当。まぁ仕方ない。管理局ですら、そんな状態だったしな。まぁあちらはレジアス中将に任せて俺はもう一つのお仕事、「古代の遺跡を分析する」を進めていく。

 

「アウインちゃん?」

「なに?」

「この部分の文字は読める?」

「よめる」

 最近遺跡の洗浄が終了した。その事で読めなかった遺跡の文字が読めるようになった。これは大きな進展だった。いや~結構頑張ったと思うよ?

 

 なになに?

「やみよ・・・おく・・もの、よるより・・・・・・もの、

 

こんとんのう・、たゆたいし、

 

・・・・なりしやみのおう、われここに・・・にねがう、われ・・・なんじにち・・、

 

われらがまえにたちふさがりし

 

・・・・・・・・・・・・、わとなんじが・・・もて、

 

ひとしく・・・・あたえんことを」

 

 

 

 

 

 

 あかん

 

 

 あかん

 

 

 これやばい。

 

 これギガ・スレイブやん・・・

 

 

 それも完全版やん。

 

 

 いやいやいや、あれ、ロード・オブ・ナイトメア降臨するやつ・・・

 

 

 あれ?聖王を信仰しているのは聖王協会だろ?この遺跡は古代ベルカの時代のものと判明している。ということは聖王の居たころにロード・オブ・ナイトメアはこの時代に降臨していた?いや、違うな。

 

 

 

ロード・オブ・ナイトメア=魔王・魔族・人間・神・世界の源が原作だ。ならば

 

 

 

あ、この世界も「ロード・オブ・ナイトメア」が作った事になる。創造主だからな・・・

 

 

という事は聖王と呼ばれていた人間があがめていたのが、ロード・オブ・ナイトメアということなる。大戦でロード・オブ・ナイトメアの資料が失われた。そして今まで創造主を崇めていたが、いつの間にか聖王を崇めるようになった。

 

 

 

 

「なるほど」

「どうしたんだい?」

「このいせきのいみがわかった」

「「「「「!!!」」」」」

「このいせきはかこにべるかのじだいに、いま、せいおうとよばれているにんげんが、あがめていた。このよを、このせかいを、このうちゅうをそうぞうしたそうぞうしゅ。そのなまえは「ロード・オブ・ナイトメア」」

 

「「「「「・・・」」」」」

「本当かい?」

「うん。いまこのいせきのないようからすいそくした。ほとんどまちがいはない」

「聖王が信仰していた宗教の遺跡。それも失われた歴史が今此処に現存している・・・」

「世紀の大発見・・・」

「我々は今奇跡的瞬間に立ち会った・・・」

「これは・・・」

 

 

 

 

 

 次の瞬間、この施設で地響きのような歓喜の声が上がった。後日結果を報告し、民間学者や専門家へ情報公開をした。勿論世界中、いや次元中で話題となった。そして恐ろしい事に全ての学者や歴史家はこう言った。

「本物である」と。

・古代ベルカの文字の原型である

オモイカネと共同で翻訳ソフトを作成し、今まで読めなかった古代ベルカの文字が、誰でも読めるようになった。これにより原型である事が証明された。ソフトを民間に無料で配布した事で、今まで解読できなかった資料が解読された。そしてある施設で保管されていた資料に「ロード・オブ・ナイトメア」の事が詳細に書かれていた。これが発表された事で、本物と証明された。

 

 

 

 

 

 

 



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第16話「はじまり」

 

 

 

 八神はやての発言から聖王教会で保管されているロストロギアの調査を行った結果、ロストロギアの管理不十分が発覚した。おまけに横流しの形跡なども発覚し、聖王教会は苦しい立場に立たされた。調査担当である俺は、

①ロストロギアの管理は管理局において実施する。

②横流し及び紛失したロストロギアを聖王教会の名のもとに、回収する。

③管理費用の60%の負担

 

大まかな取り決めはこのように行った。勿論聖王教会も中々首を縦に振らなかった。仕方ないので

「では、これまでどおりそちらで、ろすとろぎあをかんりしてください。ただし、きけんだんたいと、かんりきょくでにんしきします。よって、でいりするにんげんのかくにん、しせつないのかんしを、おこないます。ふしんこうどうのあるものは、そくこうそくします。またでばいす、ぶきなどのもちこみもせいげんします。はんらんぼうしとして。またきけんだんたいのしせつであることは、しみんへこうひょうします」

 

 これにより、聖王教会は首を縦に振る以外の選択肢を失った。

 

 

 

 

 

 古代ベルカ時代にて信仰されていたロード・オブ・ナイトメアの解明については、全世界が認めた事は記憶に新しい。これによりロード・オブ・ナイトメアは歴史の表舞台に出る事になり、これから何年か掛けて解明されていく予定である。

 

 

 俺は上記2つのレポートを提出するためレジアスのもとに向かった。

 

 

「御苦労だったな」

「べつにもんだいない」

「ところで、頼みたい事がある」

「なに?」

「八神3等陸佐の部隊の件覚えているか?」

「おぼえてる。たしかせいおうきょうかいの・・・なんとかっていうひとのよげんをもとにせつりつしようとしたぶたいのこと?」

「そうだ。ちなみにカリム・グラシアという女だ」

「よくあたるうらないていどののうりょく?」

「そうだ」

「それで?」

「部隊を設立することになった」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・何か言わないか」

「きょうみない」

「そう言うな。ワシとていい気分ではない」

「せつりつされるりゆう」

「局の中にもカリムの占いを信じる者も居る。そういった人間から、今回要請があった。まぁ過去に数回予言が的中している実績もある。それと今回の件を調べてみたところ、ハラオウン親子とギル・グレアムが動いたようだ」

「あのおやこはあまりしらない。でもぎる・ぐれあむはしっている。かんりきょくのおてん」

「確かに。しかし彼の功績は、闇の書での彼の罪を超えるものだとワシは思っている」

 

 ロストロギアが一人の少女の下に転送され、それを報告しなかった。そして身勝手な思いで、その少女の命と引き換えに闇の書を封印するという、愚策を実行した人間。そしてその少女名は八神はやて・・・・

 

 全ての人間は救えない。しかし救える人間は救う。だからBJの強化を図った。魔力の少ない人間の致死率を大幅に低下した。しかしそれでも死亡する人間も居る。そういう信念がある。

 しかし、誰かの命を犠牲にして、皆を救うという考えは「間違っている」し「愚策」と思っている。グレアムの口頭弁論を聞いた時、本当に頭にきた。子供ながらに質問攻めにして、精神を削ってやろうかとも思った。

 

「ぐれあむについては、しそうのじゆう」

「分かった。しかしあまり公の場で発言するなよ?闇の書の件に関しても、彼が正しいと支援する人間も居る」

「ぜんしょする」

「それに非公開だが、三提督の要請もあるんだ。これ以上問題を起こさんでくれ。あの提督殿は今なお発言力、人望がある」

「・・・」

「た・の・ん・だ・ぞ?」

「・・・」

「・・・さて、話を戻そう。その部隊について、こちらから監視官を付ける事にした」

「いや」

「まぁ待て。最後まで話を聞け」

「わかった」

 

 

 まず俺が監視官になるのは、一つ目は年齢が近いからという点が大きな要因。年齢の高い局員が監視官として赴任した場合、向こうが委縮してしまい、実力が発揮できない可能性があるからだ。

 二つ目は、俺の部隊設立における勉強のため。近い将来俺は部隊を設立、運用する事がある程度決定しているそうだ。

 三つ目は、反乱抑制。フェイト、八神は元犯罪者。旧体制ではそのような人間を危険視する事もあった。新体制になってそういう風習が減った事は確か。しかし今回は違う。聖王教会が部隊設立に関わっている・・・それが問題だ。先の件で教会は管理局に恨みを抱いている。現に教会の運営は火の車だそうだ。おまけに上層部の人間を大幅に拘束したため信頼もガタ落ちとなった。

 そうした事で、教会が部隊を使って内側から反乱を起こすのではないかという懸念の声が聞こえた。しかし俺は可笑しい話だと反論した。現在高ランクの職員が同じ部隊に所属する事は珍しい。なぜなら旧体制と同じくリミッタを施すからだ。だから、新部隊も同様にリミッタを高ランク者には施す。そしてその解除権限はこちらで持てばいい。いくらエース級が居てもリミッタが掛かっていれば、脅威ではない。と。

 しかし帰ってきた返事は「解除権限はクロノ、リンディ、カリムの3名が持つ」

 

 

 

 

 ・・・バカ?

 

 

 反乱疑いの掛かっている人間に権限を?おまけに後2人はフェイトの身内じゃんか・・・何処までなめた真似をしてくれるんだ!!原作組は!!

 

 

 よって、新部隊の高ランクの人間と互角以上に渡り合える人間といえば、人間ロストロギアである俺しかいないという話になった。

 

 

 

 赴任は部隊の運用の始まる約2年後となった。

 

 因みにリミッタ解除に関しては俺自身に解除権限が与えられることになった。

 

 

 




14話
原作組→10歳前後
主人公→5歳前後

15話後半
原作組→15歳
主人公→10歳前後


10/29 修正


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第17話「調査・検証」

 

 

俺が監視官として赴任するまでの間、俺は地上本部の治安維持のため、今日も正社員として働いていた。勿論その間に他の仕事も並行して行っている。

 

 2徹目の朝、オーリスから小隊に関して話があった。部隊を運用する際、部隊長の他に、小隊長が数名必要になる。その小隊長候補を選出もしくは育成せよとの事だ。しかし今の管理局にその余裕は無い。以前部隊長クラスの人間から色々聞いたことがあり、その際教えてもらった事は、

・高ランクの隊員は貴重であるため手放さない。無理やり引き抜こうとすると、色々難癖をつけられて、部隊の運用自体に支障が出るらしい。

・素質のある人間は学生時代から目を付けられている。などなど

 

 

 

 

 よって今の状況では、優秀な人材を手に入れる事は不可能。権力を行使すれば問題ないが、後々問題が発生するのは嫌だ。

 

 いや、待て。発想を変えるんだ。この世界では総合ランクで評価される。例えば俺は、魔力量はSS+だ。しかし一般局員であるため魔導師ランクは低くなる。よって総合評価はB程度になる。

 

 俺みたいな人間は稀だ。しかし魔力量は多いが、その魔力運用の下手な人間を育てればいい。簡単に説明するなら、大きな貯水槽があるが、その水を排水する蛇口が大きければ一度の放出量が多い。小さければ放出量は少ない。

 

 

 そのため魔力量が多くても魔導師レベルが低い人間を選出する。そうすることで、他の部隊への影響も低く、尚且つデータもとれる。並行して違う方向からアプローチする事も出来る。

 

 

「おもいかね?」

「何でしょう?」

「まりょくりょうAからAAていど、まどうしらんくは、それいかのきょくいんせんしゅつ」

「了解しました。その前にマスターにはすべき事があります」

「なに?」

「寝てください」

「・・・」

「寝てください」

「わかった。でもけんさくしてね」

「了解です」

 

 

 

 

 

 

 

 段々母親に似てきたような気がする。

 

 

 

 

 俺はレジアスに計画書を提出した。それを見て

「要は、魔力量は十分あるが、魔力運用に難のある人間を教育するという事か?」

「そう」

「そして選んだのがこの3人?」

「そう」

「3人とも魔力量はA以上。しかし魔力切れを早々に起こす、何故か魔法が殆ど使えない、単純に運用が下手糞・・・この3人を引き抜いても特に所属部隊への影響はなしと」

「にんげんせいはもんだいない。しょうたいちょうとしてのいくせいは、べつぶたいにふにんさせる」

「育成にはどのくらいかかる?」

「2~3かげつ」

「分かった」

「それと」

「なんだ」

「これとはべつに、きょくいん、もしくはもときょくいんで、にんむちゅうにりんかーこあをふしょうしたにんげんをせんしゅつしたい」

「リンカーコアを?どういう事だ?」

 

 簡単に説明するなら、負傷したリンカーコアを修復可能かの検証だ。俺のハッキング能力で相手の魔力を解析し、相手の魔力と性質を同化させる。そして負傷したリンカーコアに刺激を与える。

 

 心筋梗塞という病名は有名だ。心臓の血管が閉塞する病気の事だ。治療法の大半は、人工血管置換術だ。しかし高齢、DMなどの影響で血管が脆くなっている場合があり、その場合、OPが出来ない。そのため、ESWLを使用した治療法がある。閉塞血管へESWLで衝撃を与える。数ヵ月後に対象血管周辺に毛細血管が作成される。ようは生体血管によるバイパスが可能となる。

 

 生体組織に刺激を与える事で上記のような効果を得る。ではリンカーコアならどうなるか?俺の予想では、リンカーコアが活性化し、コアが修復される可能性がある。同一の魔法性質での刺激で効果がなければ、電気刺激も追加してみる。

 

 俺はレジアスにその旨を伝える。勿論この検証には危険はある。心臓では無くリンカーコアという未だ未知なる臓器に手を入れるのだ。

「危険性は高いっと言う事か?」

「たかい。でもかちはある」

「しかし・・・」

「どういがあればいい?」

「同意?」

「そう」

「4名選出していい。ただし一週間毎に報告し、不具合があれば即報告しろ」

「わかった」

 

 

 

 

 優秀な人間が居ないなら、育てればいい。何て不合理的な・・・

 

 しかしそれが現状。将来は、育成方法のSOPを作成したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これの他にも科学的にリンカーコアを活性化させる方法も別途考察するか

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第18話「木偶狩り隊」

3ヶ月後

 

『只今テロリストと思われる集団が5階建てビルの最上階を占拠しています』

『テロリストの要求は、現在拘束中のテロリスト約40名の解放です!!』

『しかし管理局の返事はNOとのこと。人質の安否が気遣われます』

 

 管理局の体制が変化し、犯罪率が低下しても、やはり犯罪は発生する。このような事態への対策として、第6犯罪防止課、通称『木偶狩り隊』が出動することになった。

 

『管理局の特殊隊が到着しました。今回もやはり木偶狩り隊でしょうか?』

『今、車両から隊員が出てきました!!木偶狩り隊です!!今回も木偶狩り隊が出動してきました!!』

 その瞬間、周りの民衆から歓声が沸き起こった。

『今回もやってくれるのでしょうか?』

 

 

 

 

「こんかいのけーすにたいしては、ぷらんβをてきおうします。ひとじちがさいゆうせん。じょうきょうかいし」

「「「了解!!」」」

 

 

 どうも、事務員から現場に回された、アウイン、10歳です。事務員→システム管理者→首都防衛隊システム管理者3等陸佐を経て、第6犯罪防止課隊長に就任しました。階級は3等陸佐から2等陸佐へ昇進、現在7名の部下と共に、「第6犯罪防止課」にて日夜ミッドの平和を担保しています。

 

 

 第6犯罪防止課

 レジアス中将直轄部隊。アウイン・アルパインを隊長とする実験部隊。隊員は7名で構成されており、各隊員は小隊長候補生となっている。

 魔力運用に難があり、実戦への投入が見送られていた3名の隊員を各方面から集め、育成を経て実戦導入されている。また育成方法に関してもアウイン2等陸佐がマニュアル化し、現在導入が進行している。

 また、過去に任務中にリンカーコアを負傷し、退職した4名の隊員へ治療を施し、現場復帰を果たしている。4名全てが隊長クラスであり、実力は申し分ない。4名の元隊長の経験により、3名の育成が短縮されている。この件に関してもレポートが提出されている。

 

 

 俺は今テロリストが占拠するビルに来ている。まぁマスコミや民衆が多い事。各班が配置に付いたか確認する。

『こちらB班、配置につきました。A班も後10sで配置につきます』

『りょうかい。20sごに、さくせんをじっこう』

『了解』

 

 さて

『さくせんかいしまで、あと10s』

 

 

お仕事しますか

『5』

『4』

『3』

『2』

『1』

 

 

 ビル全体の電気が消えた。しかし消えたのはホンの一瞬。2sにも満たない時間だった。しかし我々にはその時間で十分だった。ビルの中ではテロリスト達が慌てふためく。

 

『どうした!!なんで電気が消えた!!』

『電気を付けろ!!』

 

 どうした事でしょう?何故か電気が付いているビル内でテロリストが『電気がついていない』と叫んでいる。簡単です。彼らの脳を一時的にハッキングしただけです。ほんの数秒間電気を消す事で、人間の意識は電気が消えた事に向く。その際に脳に電気で干渉するだけ。結果、約3sでテロリストの視界はこちらの手に落ち、ハッキングの効果が薄れる頃には突入した隊員の手に落ちる。簡単で、合理的な手法と俺は思っている。

 

 

 

『犯人逮捕!!犯人は逮捕されました!!』

『またもや木偶狩り隊のお手柄です!!』

『そして今日も始まるのでしょうか!?恒例の私刑!!』

『彼らに黙秘は通用しません!!』

 

 

 

 

逮捕されたテロリスト10名は目隠し、正座をさせられた状態で、1列に並んでいる。そうして

「ひと思いに殺してくれ!!」

 一人のテロリストが叫ぶ。 

「頼む!!なんでもする!!」

 そして他のテロリストも続いて叫ぶ。

「俺は無関係だ。頼まれてしただけなんだ!!」

 無関係を主張する者。

「俺には家族が!!」

 懇願する者。

 

 様々な言葉が行きかう現場にアウイン・アルパインは現れた。身長はある程度ごまかしている。BJも本来のBJではなく、上から下まで黒で覆われている。容姿、年齢、その他一切不明。そしてアウインは一人のテロリストの頭を掴んだ。

「ゆ、許しください!!」

 懇願するテロリスト。

「許しを請うなら、最初からしなければいい。でもしてしまったものは仕方ない。お前には罰を与える」

「あああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『デービット・アラト、年齢37歳。独身。初等部時代に女の子のスカートをめくり、その報復として、ズボンを脱がされ、パンツ1枚で自宅に帰った。中等部ではそのトラウマから彼女出来ず。高等部に上がると、初等部での出来事がバレ、不登校に。19歳の時にエロゲーを購入した帰りに職質に会い、親に厳重注意され、以降ひきこもりになる』

「やめてくれ!!!」

 

 

 

 

 

 そう、ハッキングにより、相手の記憶を読み取り、全国中継でそれを暴露する。これは精神的苦痛を相手に与える。勿論当初は反対意見もあったが、犯罪率がある程度低下し、テログループにおいても活動を停止するグループも現れた事で、反対意見も無くなった。

 

 

 そしてこの『木偶狩り隊』というまさに世紀末に出てきそうな部隊名(出てます)にかんしてだが、これに関しては、全面的に俺が悪い。今現在俺の進行している検証のひとつに『目が見えないリンカーコア持ちの人間と、その人間と同じ性質を持った人間のリンカーコアをリンクさせ、視力を共有する』といった内容があり、丁度私刑を行う人間の中に適応者が居たため、『適応者が居た』と呟いた所、『木偶が居た』と変換されてしまった。その時の呟きが全国ネットに流れてしまいネット上で

『木偶?管理局の闇?』

『木偶狩り隊!!どんな私刑になるんだ?』

『木偶www』

 

 そしてテレビにおいても、大々的に取り上げられた。そして今に至る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「れじあす。きょうのほうこくしょ」

「ああ、すまない。検証の方は進んでいるか?」

「いじょうなし。こんかいのななめいについては、せいこうでいいとおもう。でもつぎにするばあいは、もしかしたら、ふくさようがあるかのうせいはある」

「他の検証※は?」

※魔力制御についての検証→検証①

リンカーコア復元について→検証②

リンカーコアのリンクについて→検証③

リンカーコアの復元(薬剤による)→検証④

 

「けんしょう③についてはしんこうちゅう。りんくがとちゅうできれるばあいがあるから、そのぶぶんについてさいけんとうする」

「検証④はどうだ?」

「あれはだめ。けいさんでは、つうじょうのにんげんではたえられない。けんしょう②をすすめるほうがごうりてき」

「そうか」

 

 

 

 俺は報告書を渡し退室した。レジアスが何か悩んでいたが、まぁいつもの事なので放置プレイとした。

 

 

 あと、2年少しであのめんどくさい、機動6課に・・・・・あ~それを考えるだけで、胃が痛い。あ~消えてなくなればいいのに!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第19話「JS始まります」






 


 

 

 ※魔力制御についての検証→検証①

 リンカーコア復元について→検証②

 リンカーコアのリンクについて→検証③

 リンカーコアの復元(薬剤による)→検証④

 

 検証①については問題なく運用可能である。魔力運用はリンカーコアを体が認識出来ていない事例が多くみられた。稀に体が魔力を拒絶している事例も見られた。前者は良くある話であるが、後者の場合は現時点で解決策はない。前者も後者も治療方法?は同じであり、ようは、体が魔力を必要とする環境を作ればいい。術者の命が危うくなるような、危険な環境を・・・これにより前者はほぼ100%改善される。しかし後者は50%程度しか効果はない。今後改善策を模索する必要がある。

 副作用は見られないが、隊員が私を見ると恐怖する事例が幾つか見受けられた。

 

証言①

「訓練の一環で真夜中に行う訓練「真夜中の鬼ごっこ」がありました。鬼である隊長から数時間逃げ切る訓練で、無表情で、血のついたナイフを持った隊長に追いかけられました。精神的に追い詰められました」

 

証言②

「拷問の訓練でした。丸裸にされて足を固定され、浴槽に仰向けで沈められました。空気を求めて腹筋で水から顔を出しました。さらには無表情で鉄アレイを首に巻かれました。それを4回された時点で生きる事を諦めました。訓練と言う事を忘れて。

 分かりますか?必死に頑張って呼吸しようとしたところに、少女が無表情で無言でそれを踏みにじるんですよ?おかげである程度の苦行は屁でもありませんよ」

 

証言③

「Mに目覚めました。それとロリコンになりました」

 

 

 検証②については、当初は先に魔力刺激を行い、効果が見られない場合、電気刺激を行った。しかしこの方法は効果がなく、被験者の同意を得て、電気及び魔力刺激を同時に実施したところ、リンカーコアが反応した。徐々に刺激を強くしていき、最終的に損傷したリンカーコアの80~95%を復元することが可能であった。電気と魔力の相乗効果があったものと考えられた。

 

 

 検証③については、先に話した通りだ。多少の不具合が出ているが、改善出来る許容範囲内である。今後は民間へ提供する予定である。

 

 

 

 検証④は・・・リスクのみが高く実施することなくお蔵入りとなった。検証②から計算したところ、致死量の薬剤を投与する必要がある事が分かった。

 

 

 

 以上検証①から③に当てはまる職員を第6犯罪防止課へ一時的に異動させ、そこで訓練及び治療を実施し、元の部隊へ戻る。検証②に関しては、人材不足部署への再雇用、もしくは訓練教官として新人教育を行う。検証③においては、実戦への投入はデータ不足のため訓練を継続する。

 

 上記を2年間実施し、そのデータをもとに標準マニュアルを作成・運用する。

 

 

 

 

 

 

 2年後

 

 

 今日も第6犯罪防止課には多くの人材が一時的に異動してきている。各検証結果も良好で標準マニュアルもほぼ完成している。これで俺が居なくても機能するだろう。俺の後任も優秀な人物であるため心配無用だ。

 

「あしたからのうんようおねがいね」

「は!!お任せください!アウイン1等陸佐!!」

「よろしく」

「異動先で何かあればいつでも我々をお呼びください。アウイン1等陸佐に危害を与える可能性がある人間がいれば、我々が・・・二度と逆らわないように指導します」

「・・・ありがとう」

 

 

 

 

 

 オーリスとの約束通り、明日から機動6課に赴任する事になった。気分は乗らないが仕事なので仕方ない。

 

 

 

 ところで噂では私の部隊へ異動した職員は性格が好戦的になる等の話があるが・・・何故だ?後任を任せた職員も元は事務をしており、検証①に適応されて召集された。1カ月の治療を経て、魔力運用が他のものより優秀であったため、副隊長まで上り詰めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第20話「6課指導します」

 
 2か月ぶりですが、覚えて頂いているでしょうか?

 今後これぐらいのペースで投稿したいと思います。


 

 機動6課への移動の道中、再度6課の資料に目を通した。やはり部隊設立に関して少し強引に事を進めた箇所が幾つかある。設立にはハラオウン(リンディ、クロノ)が後見人として名を連ね、更には伝説の三提督も非公式ではあるが関わっている・・・まぁこれで部隊が設立出来なければ、無能としか言えないな。

 

 1部隊の設立に3提督が非公式であるが関わっている・・・この話を聞いた他の部隊長はかなり御立腹だった。当たり前だ、部隊長の八神ハヤテが何をするにも3提督の名前を利用した際、要請された側はそれを断る事が出来ない。勿論八神がそんな事をするはずないと3提督が判断した上での話だが、そもそもその判断基準は一体何処に記載しているんだ?八神より優秀でそれこそミッドの平和を考え、管理局に入職してきた人間はごまんといる。その中で何故八神だけなのか?もしも3提督の名前を利用して強引に他部署から引き抜きを行った場合、どのような責任を取るのだろうか?それとも非公式であるため、有事の際は「全て八神ハヤテ2佐が独断で行ったものです」という声明を出すんだろうな。

 

 

 まぁ、新しい管理局の仕組みに馴染めなかった時代遅れの老人達の最後の希望ってやつか。

 

 

「だい6はんざいぼうしか、アウイン・アルパイン1とうりくさ。ほんじつ、こだいいぶつかんりぶ、きどう6かにはいぞくとなりました」

「古代遺物管理部 機動六課隊長、八神はやてです。着任確認しました」

「ほんじつからよろしく」

 

 着任のあいさつはスムーズに終わり、査察のお仕事を開始した。6課の新人たちはすでにガジェットとの実戦は済ませている。しかし

 

 

「やがみたいちょう、しんがたガジェットのほうこくがすんでませんね?」

「やがみたいちょう、けいりほうこくにミスがあります」

「やがみたいちょう、しんじんにはBFへかんそうして、しゅっげきさせてください。くうちゅうでデバイスがうごかなかったらどうすんですか?」

 

 

 ごめん、ガチでこの部隊ヤバいわ。事務仕事がまったく進んでいない。事務が進まないから本部への報告も遅れてしまう。貴重な情報が他部隊と並列化出来ない。よって被害が増悪する可能性がある。

 

 

「やがみたいちょう?」

「・・・何でしょうか?」

「ただちに、たかまち、ハラオウン、りょうめいをここに。げんじこくより、6かはじむしごとをゆうせんしてしょりしてください」

「し、しかし、有事の際は・・・」

「もんだいありません。わたしがしょりします」

「しかし1等陸佐はリミッタ―で能力が制限されていのでは?それに広範囲の場合、一人では「やがみにとうりくさ?」は、はい」

「もういちどいいます。もんだいありません。6かは、げんじこくをもってじむしごとをゆうせんし、しょりしなさい。これはめいれいです」

「り、了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3時間後

 施設にアラームが響き渡った。どうせガジェット関係だろ?うわぁ、結構広域にガジェットが展開しているな。という事は、あいつ・・・スカリエッティが6課のデータ収集をしようとしているな。今回は俺が出撃するのだが、あちら側にはあまりこちらの手の内を見せたくない。ではどうするか・・・よし、あいつを使おう。

 

 

 あいつ・・・不可視だし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘリで現地まで移動し状況を確認した。報告通り広域にガジェットが展開されており、これを撃破するには普通一個小隊以上の戦力は必要になる。しかし今この場には俺しかいない。

 

 この状況を打破するのはリミッターの有無に関わらず無理だ。俺の能力は攻撃型では無く、寧ろ後方支援系の能力だ。デバイスで攻撃を補ったとしても体力等が不足する。体力を補うと攻撃力が不足する。

 

 ならばどうする?簡単だ。無いなら作る。作るのが無理なら持ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

「でてきて、グラトニー」

「※※※※※※※※※!!!」

「うん。ぜんぶたべちゃっていいよ」

「■■■■■■!!―――■■■■!!!」

「うん。おねがい」

 

 

 

 機動6課

「な・・なんやあれ」

「どうして、ガジェットが消えていく・・・」

「この広範囲を一人で・・・」

 

 

 隊長陣から驚きの声が漏れる。

 

 

 

 

 グラトニー

 

 違法施設で作られた人造魔導生命体。生命活動に魔力が必要であり、無機物、有機物に関わらず体内に取り込む事で魔力に変換可能。試作で2体作成されたが攻撃力を重視した結果、制御が困難となった。

 

 簡単に説明すると、都市等にこいつを離す。都市の全てを喰い荒した後、樹や土を喰らいながら他の都市に移動する。資料によると惑星ひとつ壊滅させる能力がある。

 

 契約内容は、好きなだけ喰わせてくれ。それ以外の時は俺の魔力を供給する。因みにこいつの不可視は俺には通じない。生きている以上、電気信号で位置は分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 そうこうするうちに、ガジェットの掃討が完了した。

 

 

 「じょうきょうしゅうりょう。きとうします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第21話「物語は進む・誰の許可も無く」

 

 

ガジェットを始末した後、ヘリで帰還した。

 

「やがみたいちょう、アウイン・アルパイン1とうりくさ、きかんしました」

「お・・お疲れ様」

「このあとほうこくしょをおくります。それとしごとはおわりましたか?」

「あ、はい」

「ではちぇっくしゅうりょうごに、こちらにてんそうしてください」

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 時系列を少し戻して

6課メンバーside

 

「何よあれ・・・あんなの反則じゃない」

 ティアナの言葉が全てを物語っていた。広域に展開されているガジェットをたった一人で一掃したのだ。それも数分という短時間で。ここにいる隊長達のリミッタを解除した状態でも不可能だろう。しかしキャロ、エリオと同じぐらいの年齢の幼女はそれを涼しい顔して成し遂げた。

「八神部隊長」

「なんや?」

「あれが・・・アウイン・アルパイン1等陸佐の実力でしょうか?」

「もしもアウイン・アルパイン1等陸佐が本気になれば、リミッターを切った状態のわたしでも敵わへんよ。現に当時4歳のアウイン1等陸佐にフェイトちゃんもなのはちゃんも敵わへんかった」

「なのはさん達が!!?」

「おまけに試合で当時開発段階だったBJの性能評価を大々的に示して、その有用性を管理局に知らしめたんだよ」

「その話有名ですよね。確か4歳児でもAAランクの魔導士2人に圧勝出来るBJだって。そのAAランクの魔導士ってなのはさん達だったんだ」

「うん。まぁその後もう一戦あったんだけどね・・・」

「なのは・・・」

「何があったんですか?」

「管理局を中心に時空震が発生したことがあったんだ。その原因というか震源が、アウイン1等陸佐だったんだよ。この件はあまり知られていないけどね。その件で彼女には多重リミッターの装着が義務付けられたんだよ。だから今はBランク程度かな」

「・・・」

 

 

「あの・・・」

「どうしたのエリオ」

「僕あまりアウイン1等陸佐について知らないです」

「私も」

「「え?」」

「キャロもエリオも色々あって、あまりそう言った情報は知らなかったよね。簡単にまとめると

 

・現在管理局で運用しているBJの作成者であり、何と3歳だった時にその基礎を築いた事

・管理局に入職し、現在の犯罪防止システムを構築した事

・最近話題になったロードオブナイトメアについて解読した第一人者である事

・そして第6犯罪防止課、通称『木偶狩り隊』の隊長である事。これについては、管理局上層部しかしらない機密事項である事。

・彼女が6課に出向した理由は「八神部隊長の反乱防止のため」とのこと

 

 

「どうかな?分かった?」

「はい。でも最後の「八神部隊長の反乱防止のため」というのは」

「それは・・・」

「それはわたしから説明するわ」

 

 八神は6課設立の経緯や、聖王教会の不祥事などを話した。

 

 その後アウイン1等陸佐の帰還と同時に各者持ち場に戻り作業を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 私の介入による物語の変化はなく、原作は進んでいく。

 

 そしてホテル・アグスタにてティアナがミスショットを犯した。

 

 




 
 わたしにきたえてほしい?

 はい!

 わかった。






 何も守れなかった!!誰の命も守れなかった!!

 嘘だ!!

 ほんとうだよ。ぎゃくに、てぃあながわるいから、みんなしんだ。

 エリオを返して!!キャロを返してよ!! ティアナ!!!!



 なんでこんな事に・・・あの時言う事を聞いておけば・・・

 戻りたい・・・あの頃に・・・

 もう一度 やり直したい・・・





 

 わたしのやりかたにもんくがあるの?

 ティアナは私の部下です。

 そのぶかからのようせい。きょかもある

 でも!!

 


 ・・・少し頭冷やそうか・・・

 ・・・おまえは、すこしかんがえてこうどうしろ・・・

 
 ピンクの金色の魔力が交差する。

 

 次回無表情・無感情で行くリリカルなのは

 第22話「私の指導は少々(死ぬ程)キツイぞ?」





 


 この物語は現在執筆中であるため、予告なしで一部変更される事をご承知ください。 


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第22話「組織として甘すぎる」

 

 

そしてホテル・アグスタにてティアナが誤射を犯した。

私はその日両親との月に一度の団欒を済ませ6課へ戻った。しかし空気が可笑しい事に気づき、近くの職員に尋ね事の真相を知った。

 

 訓練ばかりで、自分の実力が分からない状況で実戦へ投入されれば、そうなるのは目に見える結果である。自分の能力がどのくらいなのか、何処までの敵なら戦ってもいいのか・・・訓練は基礎体力をつける、チームの連携を高める等。それらの「基礎訓練」を行うものである。そして途中途中で自分の練度、能力の向上具合を「自分自身」で確かめる必要がある。上官が把握しても、実戦で戦うのは本人なのだから指導するのは必然だ。しかし6課はそれをしなかった。まるでそんなことぐらいわかるだろ?というように。

 

 要は、訓練の成果や結果を本人が知らないから、現場で自分の能力以上の対応をしてしまう。今回の件は正に典型的な指導ミスだ。

 

 現場のレポートやデバイスの記録を見た限り私にはそう感じた。そして上官達の対応に関しても、こちらから指導する必要がある場面が多々ある。

 

例えば

 ミスショット直前に、シャマルとティアナが通信しているが、その時の内容が

シ「防衛ライン、もう少し持ちこたえて、ヴィータ副隊長がすぐ戻ってくるから」

テ「守ってばっかりではだめだと思います。全て撃ち落とします」

シ「ティアナ大丈夫?無茶しないで」

 

 

 この通信でダメなところがわかりますか?もしも私が命令するなら

 

ア「ヴィータ副隊長が戻ってくるまで、防衛ライン持ちこたえろ」

テ「守ってばっかりではだめだと思います。全て撃ち落とします」

ア「容認できない。防衛ラインを死守せよ」

 

 これでティアナが命令無視したならば、命令無視による厳罰が必要がある。しかしこの記録では命令という命令を出していない。はっきりしていない命令は命令ではない。

 

命令とは

上位の者が下位の者に対して、あることを行うように言いつけること

 

 私の聞いた限りでは、シャマルがティアナをキチンと制御出来ず、ティアナが敵に自分の能力以上の対応を実施してしまい、結果味方に対し誤射未遂が生じた。

 では誰が悪いのか?正解はシャマルと私は思う。制御が出来ていれば防止出来た事例である。シャマルの指揮官としての再教育を100時間要請する。

 勿論ティアナにも罪はある。防衛ラインを守れという通信に対し、上官へ「前に出ます」と反論した。これは反逆行為と捉える事が出来、上官への反逆行為は厳罰が妥当だ。

 

 

 

 そして

 

ヴ「ティアナ、このバカ!無茶した挙句、味方を撃ってどうすんだ!!」

ヴ「もういい、後は私がやる。2人まとめてひっこんでろ!!」

 

 

 本当に指導者か?頭が痛くなってしまった。確かにスバルの状況が理解出来ていない言い訳は聞いていて頭が痛くなる。しかしこの怒り方はまるで子供であり、これではティアナの士気が低下し現場の戦力が低下する。

 

 この場合は、如何に現場の戦力を低下させず、そして誤射をしたティアナの士気を下げないようにするかだ。大きな戦いでは、こういう誤射や誤通信、誤認識は数多く見受けられる。そのたびに部下を後方に下げていては、防衛ラインを下げることと同じになる。

 

 そして誤射でショックを受けている当事者に対し、追い打ちをかけるような言動は控えるべきである。衝動的に自殺したらどうするつもりだ?責任取れるのか?さらに現場を混乱させてどうする?

 現場では怒らず、帰還してから怒るのが正しいと私は思う。

 

 

 

 それと現場での情報共有が遅い。そもそも自分が指導している部下の情報を知らないのはどうかと・・・強くなる気持が他の人間よりも強いと感じているなら、大事になる前に対策するのが基本だろ。あと男とイチャイチャする暇があるなら、何故今日誤射をしたのかを分析し、今後に生かす必要がある。

 

 

 はっきり言って、この部隊は新人を育成したいのか、潰したいのか・・・

 

 仕方ない・・・少しだけ手を貸してやるか。

 

 

 

 

 次の日

 

 スバルとティアナが2人で自主練を開始していた。

 

「ねぇ?すこしいいかな?」

「アウイン1等陸佐!!な、なんでしょうか?」

「じしゅれん?」

「そうです」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「アウイン1等陸佐?」

「つよくなりたい?」

「え?」

「てぃあな、らんすたー2とうりくしは、つよくなりたい?」

「もちろんです!!」

「じゃあ、わたしがいつもしている、くんれんする?」

「!!」

「やめとく?」

「「いえ!やります!!」」

 

 

 私は2人に色々と教えることにした。まず初めに教えた事は誤射について、何故生じたのか、原因分析をさせた。勿論最初ティアナは非協力的だった。しかし何故必要かを理論的に説明し、過去の事例を話し、少しずつだがあの時の自分を分析出来るようになった。

 

 今回、誤射による損失、損害は微々たるものだったが、もしも自分の過ちを認めず、このまま経過すると、いつか大きな損害を被る。今被害が微々たる時に自分の過ちを認め、改善する事で、同様の過ちを回避できる。

 

 私が教えた原因の分析を終えたティアナは、私となのはのダブル指導をこなす日々が始まった。しかし相も変わらず自分の能力以上の事をしようとする・・・

 

 

 やはり体験させたほうがいいかもしれないな。

 

 

 

 

 

「きょうのあさのれんしゅうはやらない。よるにとくべつなめにゅーをよういしている」

「夜ですか?」

「そう。よくじつにはえいきょうしないからだいじょうぶ」

「分かりました」

 

 

 

ティアナside

 アウイン1等陸佐の訓練は確かにレベルが高い。この訓練はあの第6犯罪防止課と同じメニューとのことだ。ならこのメニューをこなせれば、私も第6犯罪防止課のように強くなれる。「ランスターの弾丸はちゃんと敵を撃ち抜けるんだって」証明してみせる。

 

 

 

 アウイン1等陸佐となのはさんのダブル指導をこなし、それが終われば疲労でベッドに倒れこみ泥のように眠る。そんな毎日を繰り返す事で私の能力は格段に上昇した。しかし同時に体に蓄積された疲労は解消される事も無く蓄積し続けてた。アウイン1等陸佐にもその事を何度も指摘されたが、自分は大丈夫、自分だけは大丈夫・・・そんな自信が私にはあった。そんな無茶な生活を続けてられるはずもなく・・・私は誤射より重大な事件を引き起こしてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 筆者の偏見が入っています。

 これは間違っている・・・という箇所があれば御指摘お願いいたします。


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第23話「人の忠告は聞くものだ」

 

 

 

 

 ティアナside

 

「きょうのよる、いむしつにきて」

 アウイン一佐に午後の訓練前に伝えられた言葉だ。言われる事は分かっている。体の事だ。6課の訓練に加え、アウイン一佐の訓練を実施しているのだから、疲労の蓄積は当たり前の事だ。でも大丈夫。私はまだいける。

 

 

「てぃあな?」

「はい」

「さいさんのけいこくもむししてる」

「いえ、まだ大丈夫です」

「ひろうによる、ぎょうむこうりつのていか、さくせんへのえいきょうは、くちがすっぱくなるまでいった」

「でも最近体力も付いてきましたし、それよりも今自分の実力が目に見えて上昇しているのが分かるんです!!」

「・・・わかった。じゃあめをつぶって。かるくひろうかいぜんのまほうをかけるから」

「ありがとうございます!!」

 

 私は目を瞑り魔法をかけてもらう。重かった体が少し軽くなった気がした。

 

 

 

「はい、おわり」

「ありがとうございます」

「あまりむちゃはだめ」

「分かってます」

「・・・あすのあさ、くんれんする?」

「はい!お願いします!」

「わかった。またあした」

「はい!失礼します」

 

 

 

 

 アルパイン一佐の魔法はそこそこ効果があったみたいで、訓練や書類整理はスムーズに終わらせる事ができた。ミスショットの件は、隊長方に謝罪し、ミスを犯してしまった経緯等を細かく分析し、今後にどう活かすかを書類にまとめて提出した。そのこともあり現場復帰が認められた。まだ2,3回の出動だが、訓練の成果だろうか、私の指揮で3人に怪我等は負わせていないし、作戦失敗も発生していない。

 

 そして出動要請が来た。情報によると今回もガジェットとのことだ。最近ガジェットでの破壊行為が多数発生している。隊長達は数の多いところを重点的にまわり、私達は数の少ない場所を担当する事になった。

 

 

 

 そして現場に到着した私達はガジェットの掃討を実施した。しかし

「ティア!援護!!」

「「ティアナさん指示を!!」」

 

 どうもおかしい。いつもならスバルへの援護が間に合わないはずがない。キャロとエリオ達への指示もそうだ。それにガジェットの動きがいつもより速い気がする。

 

 

 どうして?なんで!!私は・・・私は強くなっている・・・はずなのに!!

 

「ティア!!」

「ティアナさん!!」

 

 

 

 

 なんで!!!

 

 

 

 

 いつも出来ている事なのに

 

 

 

 今までは

 

 

 

 別に問題なかったのに

 

 

 

 今はどうして

 

 

 

 体が重いの?

 

 

 考えが纏まらないの?

 

 

 どうしたの?今日の私・・・

 

 

 そして、思考が鈍った私にカジェットの攻撃が・・・

 

 

 その攻撃を回避出来ず被弾し

 

 

 

 私は

 

 

 

 

 意識を

 

 

 

 失った

 

 

 

 

 

 

 

 次に目を覚ました時は病院のベッドの上だった。

 2日後に八神部隊長からスバル、エリオの死亡キャロは重体で有る事を知らされた。八神さんはそれだけを伝え、病室から出て行った。また今回の件に関して、管理局本部より、小隊の指揮を担当していた私の責任であり、また新人の体調管理を疎かにし、それが原因で死者を出したということで、八神部隊長にも責任が追及される事になった。結果6課への風当たりは前よりも酷くなり、事件発生から3週間後には解体される事になった。部隊長の八神さんは2階級降格・・・今回の失態が原因で二度と部隊設立などは出来ないとのことだった。

 

 

 

 

 

 病室を訪ねてきたスバルの姉のギンガは「貴方のせいでスバルが!!返せ」と泣き叫び、最後は平手打ちをもらった。始終私は何も言えなかった。父親であるゲンヤさんは、そんなギンガさんを止める事も無く、始終病室で立っていた。一度だけ目を見たが、その目は・・・殺意を宿していた。

 

 

 キャロは事件発生から4日後に死亡した・・・2人をなくしたフェイトさんから

「ティアナ・・・エリオとキャロがいないんだ・・・どこにいるか知らない・・・ね?ティアナ・・・返してよ・・・返して!!」

 泣き疲れて糸の切れた人形のように崩れ落ちたフェイトさんを抱きかかえた、なのはさんは

「ティアナ・・・私はあなたを許せないよ。ごめんね。ティアナは悪くないって思っているんだけど、どうしても・・・ごめんね。だから2度と私達の前に現れないで」

 

 

 部隊が解散することになった事を伝えにきた八神さんは

「・・・ごめん・・・これだけ渡しとくな」

 

 

 置いて行った書類は・・・除隊申請書だった。遠まわしにクビと言う事だった。

 

 

 

 

 

 私の除隊申請書はあっさり受理され、晴れて無職となった。

 

 

 

 

 

 

 

 2年後

 私は安アパートに引きこもり安酒を煽っている。未成年?知った事じゃない。もう私には何も残っていない。

 

 

 

 信頼も

 

 

 親友も

 

 

 夢も

 

 

 希望も

 

 

 

 6課時代で貯蓄していたお金はもう底を付いている。明日からどうしよう・・・家賃も4カ月未払いで、明日には退去させられるだろう。

 

 

 

 あの時アルパイン一佐の忠告を守っていれば

 

 

 あの時体調を万全にして出動していれば

 

 

 

 

 

 でも・・・もう遅い。いくら考えても結果は変わらない。私は明日からどう生きればいいのか

 

 

 「誰か教えてよ」

 

 ポツリと弱音を吐いた。しかし何も返ってこない。当たり前の事だ。

 

 

 「誰か答えてよ!!」

 

 そう言っても何も返ってこない状況を選んだのは自分だ。

 

 「誰か・・・誰か・・・」

 

 全て自分が悪い

 

 

 「あ・・・もしも、もしも、時間を戻す事が出来れば!!」

 

 部屋に木霊する。

 

 「誰か!!私を!!

 

 

 

 

  あの頃に戻してよ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     「じゃすと3ふん、いいゆめ(あくむ)はみれた?」

 

 



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第24話「慈悲を与えよう」

 UA100,000超え

 皆さまありがとうございます


 

 

  「じゃすと3ふん、いいゆめ(あくむ)はみれた?」

 

 

 

 少女の声で私は目を覚ました。

 

 

 

 そこには

 

「アルパイン・・・一佐・・?」

「うん」

「あ・・ああ・・アルパ・・イン・・一佐・・・?」

「うん」

「これは・・夢でしょうか・・・私の・・・願いが・・叶った・?」

「ちがう。いままでげんじつとおもっていたことがゆめ」

「・・・え?」

「ずいぶんつらいゆめをみたんだね。でもだいじょうぶ。すべてゆめ」

「・・・私のミスでスバルやキャロ、エリオが死んだのも、6課が解散した事も、管理局をクビになった事も・・・全て夢・・?」

「そう」

「・・・」

「でも」

「!!」

「てぃあなのこうどうしだいで、げんじつになるかのうせいがある」

「・・・」

「こうかいしたでしょ?かなしんだでしょ?ひかんしたでしょ?いのったでしょ?」

「・・何度も・・何度も・・あの時に帰りたい、やり直したいと思い、願いました」

「それで・・・どうする?」

「・・・」

「てぃあな、こういうかくげんがある

 

 

 

 

 

 

 

 

     じこくのさたも、おまえしだい」

 

 

 

 

 

「・・初めて聞きます」

「じごくにいくのも、てぃあなのこうどう、かんがえしだい。ってこと」

 

 

 

 この言葉を聞いて、私はその意味の重みを理解した。一佐は何度も何度も体調について注意してくれていた。しかし私はそれを無為にした。結果・・・夢では取り返しのつかない事になった。

 

 一佐は遠まわしに警告してくれている。もしもこの警告を無視してしまえば、夢が現実となって私に襲いかかる。そして二度とやり直せない・・・私は

 

「一佐、アルパイン一佐・・・今まで申し訳ありませんでした。一佐のおかげで、浮かれた夢から覚める事が出来ました。そして体調管理がどれほど大切かを、文字通り身を持って体感しました」

「それだけわかれば、じゅうぶん」

「・・・身勝手なお願いなのですが・・・」

「なに?」

「・・もう一度・・・もう一度、私を教育して頂けませんか?」

「それはだめ。あなたには、たかまちたいちょうがいる」

「・・・」

「わたしがここにいるりゆうは、6かのかんし。だからてぃあなのしどうはできない」

「・・そうですか・・」

「でも」

「え?」

「かんしのあいまなら、しどうしてもだいじょう」

「ほんとうですか!?」

「うん」

「あ・ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ合間なら問題ないだろ。勿論八神への報告は怠らない。これが組織と言う物だ

 

 

 

 

 

 勿論それを良しとする者が居れば、良しとしない者もいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後

 

「アルパイン一佐!」

「なに?たかまちいっとうくうい」

「これは、どういう事でしょうか!?」

「てぃあなのしどうのけん?」

「そうです」

「それなら、やがみぶたいちょうの、きょかはでています。またそのけんにかんしては、かのじょからのていあんです」

「ティアナは私の部下です!」

「しってます」

「なら、何故!」

 

 

 俺はこのお馬鹿さんにも分かるように説明した。

 まず自分の部下と言うのなら、どうしてオーバーワークを注意しない?注意しているのにも関わらず改善していないなら、それは部下と上官との関係性を確立出来ていない証拠。何故最初にそういう箇所をチャンと指導しなかった?

 

 部下の成長を把握しているのなら、それを本人に伝え、指導していくのが本当の指導ではないのか?だから先の事例(誤射)が発生するのではないのか?

 

 そもそもティアナの指導は部隊長の八神の許可を得てから実施しており、開始は数日前からだ。普通は開始前にこのような議論をするのが普通では?忙しかった?それは言い訳としては0点である。 

 

 最終的なコメントは

 

 

「きみはじょうかんとしてはふごうかく。ぶかをもつには、はやすぎる」

「こんかいのけんは、うえにほうこくする」

 

 

 以上の事を高町に伝え、部屋を出ていこうとした時だった。

 

「アルパイン一佐にはそのような権限は無いと思いますが?」

「わたしがここにいるりゆうは、6かのかんしがもくてき。かんしないようをほうこくし、かいぜんてんがあれば、それをしゅうせいする。それがそしきというもの。それにふふくなら、やめればいい。ここはこどものわがままをきくところではない」

「・・・」

「わたしのいけんに、ひとつでもせいろんで、はんろんできる?できないでしょ?できないのは、じぶんがあやまっているということ」

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 流石にイジメすぎたか?仕方ない、少しぐらいは慈悲を与えるか。

 

 

「しかし」

「・・え?」

「すべてひていはできない。そこであなたのせんとうのうりょくをはかる」

「戦闘能力・・」

「そう。こくこくとへんかするせんじょうにたいおうするのうりょく」

「分かりました」

「それでわたしがなっとくできれば、すこしほうこくしょのないようをかえる。でもなっとくできないときは、そのままほうこくする」

「問題ありません」

「では、じょうけんはかんたん。①せんりょくはじゆう②せんとうまえのかおあわせなどはなし③しんじんはふさんか。やがみぶたいちょう?きょかを」

「え・・あ、はい。問題ありません。許可します」

「ありがとうございます。では、そろそろしごとにもどりましょ」

「「「あ、はい」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 第23話でのコメントありがとうございます。

 
 主人公の能力を決めたときに、絶対に使うつもりでした。

 今後とも皆様、よろしくお願いします。


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第25話「下準備は戦いでも料理でも必要」

彼女達は優秀だ。現に高町は一等空尉、八神は2等陸佐、フェイトは執務官という役職についている。しかし優秀であるからと言って有能ではない。優秀とは、他人からの評価が高い事をいい、有能とは結果を出す事をいう。彼女達は確かに他人からの評価も高く、結果も出している。

 

 高町は人並み外れた魔力量、レアスキルである収束等によりジュエルシード事件、闇の書事件に関わり解決へ導いた。フェイトに関しては、多少異なるが、高町同様魔力量、レアスキル保持者だ。八神は闇の書・・・夜天の書の主であり、ヴォルケンリッターを率いており、彼女だけで一個中隊に勝る戦力を保有している。

 

 

 彼女達の評価は高い、しかしそれは命令を実行した際の評価であり、命令を下した際の評価ではない。ヴォルケンリッターに関しても同じだ。彼女達は元々命令された事を忠実に実行する生命体であり、命令を下した経験は皆無に等しい。よって優秀であるが有能ではない人間が上にいる部隊は大変危険だ。

 

 例えそれでも運用するというのなら、経験豊富な経験者を1名相談役として所属させる必要がある。間違っている事を間違っていると言える人間が必要である。

 

 

 

 そして何より今回の模擬戦についてだ。俺がだした条件は3つ。

①戦力は自由

②戦闘前の顔合わせ等は無し

③新人は不参加

 

 

 ここまでアバウトな条件を出したのに、まったくと言っていいほど動かない。戦力は部隊長3名、ヴォルケンリッター5名、そして陸士108部隊所属のギンガ・ナカジマ陸曹の計9名・・・

 

 

 

 

 

 

 

 舐めてんのか?

 

 

 

 

 

 この俺を

 

 

 

 

 

 たった9名で何とか出来ると

 

 

 

 

 

 本当に思ってるのか?

 

 

 

 

 

 俺は言ったぞ?

 

 

 

 

 

 戦力は自由

 

 

 

 

 

 新人は不参加

 

 

 

 

 

 人の話はきちんと聞くもんだぞ?若者よ

 

 

 

 

 

 

 俺が教えた人間の中には現在部隊を率いている人間が数名いる。その中の一人に端末を操作し連絡する。

 

「もしもし」

「お久しぶりです一佐。どうしました?」

「すこしそうだん」

「何なりと申しつけください」

「てすとせい、いまいる」

「はい。現在最終試験に通過したテスト生が10名いますが・・・」

「せいしきにしょぞくはまだしていない?」

「はい。2週間後に正式配属予定となっています」

「そのてすとせい、かしてくれない?」

「問題ありませんが・・・何かあったんですか?」

 

 俺は模擬戦までの経緯を話した。

 

 

「はっきり言って、このような部隊編成は有り得ないかと」

「わたしも、そうおもってる」

「一つ聞いてもよろしいでしょうか?」

「なに?」

「他の者には声を掛けているのでしょうか?」

「いや、まだあなただけ」

「では、残りの者には私から声を掛けておきます」

「いいの?」

「問題ありません。ところで模擬戦の条件は3つのみでしょうか?」

「うん」

「分かりました。それでは3日後、1200に」

「ありがとう」

「いえ」

 

 

 

 

 まぁテスト生(数十名)+俺 VS 6課  

 

 しかしテスト生と言って侮ってもらってはこまる。彼らは管理局に入局3年間配属先で実戦経験を重ね、優秀な成績を収めている。入隊テストでは、小難しい実技、筆記テストは無いが、実戦テストを採用している。毎年30名の募集枠に100人以上が応募する。しかしその中で入隊出来るのは3~5名だ。なので今年のテスト生には優秀な人材が集まったという事だ。そんなテストに合格している人間が十数名・・・

 

 

 

 

 後悔とかはしていない。

 

 

 

 

 

 

 でも、やっちまった感は、感じている。

 

 

 

 

 

 

 でも・・・まぁ・・・仕方ないよね♪

 

 

 

 

 

 

 難しい事は

 

 

 

 

 

 

 

 私よく解りません。なにせ少女ですから

 

 

 

 

 

 

 

 



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第26話「6課指導します Part 2」

 

 

 

 

難しい事は

 

 

 

 

 

 

 

 

 私よく解りません。なにせ少女ですから

 

 

 

 

 

12:00 模擬戦が開始された。

 

 各部隊から借りたテスト生で6課を再教育する。高町、フェイトには正しい上官としての立ち周り、八神にはそれらを統括する心構えを再度認識してもらうのが目的だ。

 

 今回のために各部隊から借りたテスト生だが・・・優等生すぎる。マニュアルバカという言葉が良く似合う。基本に忠実であるがために、急な環境の変化に対応できていない。俺の考えでは1人ぐらいは何とかして落としてくれると思っていたが、考えが甘かった。6課は誰ひとり欠けることなく現在に至っている。次々にLOSTしていくテスト生の信号をモニターで見ながら、彼女達との勝負が近い事を感じた。

 

 

 

 最後の一人の信号をLOSTした。彼らも随分奮闘していたが、6課に与えた被害は0という結果となった。流石に戦力と言うよりも経験が不足していた。この経験を糧に更に精進してもらいたい。部隊に正式配属後6ヵ月後には彼らも6課に対抗出来る程度のレベルに育つだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            

 

 

 

               さて

 

 

 

 

 

 

             指導を開始しよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もしも事前に俺の情報を調査しているのであれば、俺に対して部隊の隊員を分ける事は愚策中の愚策。もしも部隊を分散して俺に挑んできた場合、各個撃破(瞬殺)する予定だったが、流石にそこまで愚かではないようだ。俺の前には6課全員が集結している。

 

「だれひとりかけず、のこってる」

「一佐の用意した隊員達は全員倒しました。流石に手ごわかったですが」

 フェイトの言葉を聞いて俺はゾッとした。手ごわかった?あのレベルで・・・

「あれは、しりあいのぶたいの、てすとせい」

「テスト生だと!!」

 シグナムからも驚きの声が上がる。歴戦の戦士であろうものが何を・・・

「そう。きょうのもくてきは、こくこくとへんかするじょうきょうにたいおうできるのうりょくのかくにん」

 

 俺は指を鳴らした。直後周りの風景が市街地の風景からジャングルの風景に変化した。6課の訓練スペースは陸戦用空間シミュレーションが用意されている。俺はそのシミュレーションをハッキングし、戦闘の状況を変化させた。この程度のお遊びはリミッターを掛けられていても余裕だ。

 

 言っただろ?変化する戦況にどうやって対応するか、ってな。

 

 

「じゃあみんな、しばらくおわかれ」

 

 そういってシミュレーションのシステムにある転送システムを利用し、彼女達を別々の場所へと分散させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 八神

 

 ほんま、思い通りにはいかんもんや。アルパイン一佐についての調査は完璧と思った。彼女のリミッターは通常よりも強力なものであり、現在殆どのスキルは使用できず、ランクもBランクまで下げられている。また彼女自体戦闘よりも後方支援型であり、これらの情報から部隊を分散させずに、全員で一佐にしかける手筈だった・・・でも一佐は6課のシステムをハッキングして、うち等を分散、一佐の言葉通りの状況にうち等を追い込んだ・・・最初から一佐の手の上で踊らされていたかのように。

 

 

 今考えれば、集めた情報が事前に一佐の手によって改ざんされていた可能性もある。情報が初めから改ざんされている事を想定して、情報収集しなかった甘さ、これで大丈夫だろうという油断、それに気づかなかった経験不足を痛感する。

 

 しかし今反省したところで、状況が変化することはない。頭を切り替えて、皆と合流しようと念話を使ったが反応がない。

 

「なのはちゃん!?」

 反応がない

「シグナム!?ヴィータ!?」

 こちらも反応がない。

 

 念話が妨害されている?連絡手段を奪われた場合、事前に決めていた場所で合流する。しかし今自分が何処にいるかも分からない・・・しゃあない、とりあえず移動する事にして、空へ上がった。しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             「やがみ・・・あうと~

 

 

 

 

 

 

 

 耳元で聞こえた一佐の声を聞いた瞬間、うちの目の前は真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 



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第27話「6課指導します Part 3」


あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いします。


 

 

「やがみ・・・あうと~」

 

 俺は八神のお尻に吹き矢を発射した。吹き矢には強力な睡眠薬を塗布しており、八神は瞬時に意識を失った。

 

 

 通信を傍受されている可能性を考慮し、コードネームで呼びかけるのが定石だ。また未開の地に転送された場合、遮蔽物の無い空中ではなく、地上を移動したほうが敵に発見されにくい。

 

 

 

 その後も次々に6課に罰ゲームを実施していく。八神の姿に見えるように、ヴォルケンリッターの視覚を調整し、後ろを向いた瞬間に吹き矢を尻に発射する。4人のうち3人は簡単だったが、犬だけは嗅覚で八神では無いと気付いた。今の俺ではザフィーラの嗅覚への対応は不可能であり、また近接戦闘メインである彼と戦闘をすることも不可能である。仕方ないのでグラトニーで対応する事にした。思いのほか、ザフィーラは優秀である事が分かった。原作では犬だったのに・・・

 

 途中人型へと変更しグラトニーと戦うが、実力というよりも圧倒的なパワー差の前にザフィーラは押されてた。ここぞとばかりに何度か後ろに回り込んだが、彼に気づかれ、距離を置かれてしまった。

 

「ざふぃーら?」

「何だ?」

「なかなかいいはんだんのうりょく」

「ありがたく受け取っておこう」

「でも、どうしてたたかうの?きんせつせんめいんなら、あるていど、あいてのせんとうりょくをはかったら、せんとうからりだつするのがじょうせき」

「俺を逃がすのか?」

「にがさない」

「だろ?逃げても無駄なら戦うのが普通だ」

「これはしけん、ほんとうのせんとうじにおける、はんだんのうりょくをみているのに、そんなりゆうでたたかわれると、さいてんできない」

「・・・」

「だから、ついしをしてもらう」

「追試?」

「そう、きょうのしけんより、もっとほんものにちかいせんとう、ざふぃーらがむかしむかしにたいけんした、どのせんとうよりも、きょうりょくなにんげんたちとの、もぎせん」

「いやだと言ったら?」

「きょうせいだからだいじょうぶ」

 

 俺は2体目のグラトニーを呼び出し、彼の腕、足に噛みつくよう命令し、彼の動きを封じた。地べたでモガク彼の傍に近づき

「このこうそくをすべてはずせたら、ついしはめんじょ」

「バカにするな!!」

「じゃあついし」

「こんなもの!!!!」

 

 

 ザフィーラがグラトニーの拘束から抜けだそうと腕を大きく振った瞬間、右腕の拘束だけをワザと解いた。そして俺の予想通り、自由になった彼の右腕は俺の未熟な胸を掴んでしまった・・・いや、掴むほどないので触ってしまった・・・

 

 

「な!!」

「・・・えっち」

 勿論ザフィーラが俺の胸を触っている瞬間をカメラで撮影している。そしてその写真をザフィーラに見せると

 

「何が目的だ!」

「これをわたしのぶかにおくる」

「・・・」

「わたしのぶかはつよい。おそらくあなたたちよりも。たいちょうであるわたしのむねをさわったとなると、ぶたいぜんいん・・・いえ、わたしのぶかぜんいんが、あなたをころしにくる。そうなると、いやがおうでもにげないとだめ・・・これがついしのないよう。じゃあおやすみ」

 

 有無を言わさず、地べたに転がるザフィーラの穴に吹き矢を発射する。

 

 

 追試・・・頑張ってね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フェイト、高町、ナカジマの3人に俺は問う。

「さて、のこりは3にんだね。どうする?たたかう?」

「戦います」

 フェイトの答えに俺は再度問う。

「にげないの?」

 まっすぐな目で俺を見ながら高町、フェイトは

「「逃げません」」

 

 

 

「ざんねん・・・はずれ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 そのせんたくしは、もっともえらんではいけないこうもく

 

 

 

 

 

 えらんではいけないということは、いちばんせんとうでいきのこれないということ

 

 

 

 

 

 いまからそれをおしえてあげる

 

 

 

 

 ただし、ちょくせつからだにおしえる

 

 

 

 すこしきびしいしどうになるから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しなないでね」

 

 

 

 

 

 





昔の偉人はいいました









貧乳はステータスだ!希少価値だ!




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第28話「6課指導します Part 4」



 


 

「ただし、ちょくせつからだにおしえる

 

 すこしきびしいしどうになるから

 

 しなないでね」

 

 

 

 

と言っても、今の俺ではこの3人を相手にするには少し骨が折れる。グラトニーを使えば楽に勝つことが出来る。しかしそれでは指導にならない。

 

 もう一度この模擬戦のルールを思い出してみようか。

①戦力は自由

 

②戦闘前の顔合わせ等は無し

 

③新人は不参加

 

 

 

 

「ふぇいと、なかじま」

「「何でしょうか?」」

「わたしは、たかまちとたたかうから、ほかのひととたたかって」

「他の人?どういう意味でしょうか?」

「ふぇいと?じょうけんおぼえている?」

「①戦力は自由②戦闘前の顔合わせ等は無し③新人は不参加です」

「うん。で?」

「え?」

「じょうけんにせんりょくはじゆう、ってある。だからいまからせんりょくをほじゅうする」

「「!!」」

「あいてのへいりょくをはあくせずに、たたかうせんたくしをえらんだの?それはぐさくちゅうのぐさく。かれらにしどうしてもらって」

 

 俺は転移魔法を使い、予め配置についていた、部隊長2名を転移させる。

 

「おまたせ」

「「ご無沙汰しています!!一佐!!」」

「きょうはありがとう。おねがいできる?」

「「もちろんです!!」」

「じゃあ、おねがい。しなないていどに」

「「了解!!」」

 

 彼らは強い。私が育てた中でも10本の指に入る実力の持ち主だ。リミッターを掛けているフェイトでは敵わないだろう。外した状態でも相手になるか分からないが・・・精々遊ばれないように頑張る事だ。

 

 

 

 

 

 

 今回の模擬戦のように、もしも敵の作戦等で部隊から孤立もしくは全員がバラバラになった場合、通信妨害や念話傍受を懸念し、作戦前に合流箇所を決めておく。または傍受される事を前提に通信を行う。その際には暗号やコードネームを使用する。

 

 連絡が不可能だった場合、無暗に動くのは危険だ。方角や生息している生物の種類がわからない状況で歩き回ると、さらなる被害を被る可能性があるからだ。そうなれば作戦の実行が不可能になるだけではなく、生還の可能性も低くなる。また無事に部隊と合流、集結できたとして、敵の陣地である事に違いない。敵の数、能力が分からない状態で戦った場合勝率は低い。しかし上記のような状態で敵と対峙する場合もある。その時どうするか?戦うか?それとも逃げるか?

 

 もしも私の部下で戦うと選択した場合、即指導行きとなる。最初の選択肢は戦うでは無く、「逃げる」が最善と思っている。ただ逃げるのではなく、相手の能力の情報を得るために、無暗に逃げず、ちまちまと攻撃を実施する。能力だけでなく、相手の性格等もそれで把握可能だ。ちまちま攻撃する、逃げ回る、これだけで相手がイライラしている言動が分かれば、そいつは短気である。

 

 

 情報は作戦成功率だけではなく、作戦生還率にも影響する。

 

 

 俺は以前からここを上昇させるために色々案を提示し、実施してきた。

 

 

 だから

 

 

 

 それを

 

 

 

 無視して

 

 

 

 何も考えず

 

 

 

 「戦う」を

 

 

 

 選択した

 

 

 

 このバカ共を

 

 

 

 矯正してやろう

 

 

 

 

 

 

「おまたせ、たかまちいっとうくうい。さぁはじめようか」

 

俺はBJ(一般職員用)を展開し、銃型デバイス(M92Fモデル)を両手に持ち、高町に向かって歩き始まる。

 

 

 

 

「いまからしぬかもしれない

 

 

 だから

 

 

 しょうべんはすませたか?

 

 

 かみさまにおいのりは?

 

 

 へやのすみでがたがたふるえて

 

 

 いのちごいをする

 

 

 こころのじゅんびは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              OK?」

 

 

 

 

 

 俺は高町に銃型デバイスを向け、魔力弾を発射した。

 




 


 ヘルシングいいですよね。久々に全巻読み返しました。



 因みに、少女にヤンのセリフを言わしたことについては、後悔していません。

 寧ろ言って欲しい名言と思ってます!!













 


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第29話「6課指導します FINAL」

 

 

 

「いまからしぬかもしれない

 だから

 

 しょうべんはすませたか?

 

 かみさまにおいのりは?

 

 へやのすみでがたがたふるえて

 

 いのちごいをする

 

 こころのじゅんびは

 

 OK?」

 

 俺は高町に銃型デバイスを向け、魔力弾を発射した。

 

 

 

 

 

 

 

 高町は俺の魔力弾を悠々回避し、上空に舞い上がった。俺のBJは陸戦用のため、上空にいる敵には不利となる。しかしそんな事は新人でも知っている常識であるが、俺にはそんな常識等通用しない。高町との戦場は廃墟を選んでいる。理由としては過去に高町の模擬戦結果から最も勝率が高かった戦場が、廃墟であったためだ。恐らく上空からの一方的な砲撃で相手を倒したのだろう。そして今回も同じように上空から砲撃を行う高町、その砲撃を回避するために廃墟を駆けずる俺。一見俺が不利に見える。恐らく高町の作戦は、引っ切り無しに砲撃を行う事で、俺にアクションを起こさせないようにするためだ。また砲撃を回避する事で俺の体力を消耗させ、体力が尽きた処で・・・という考えのようだが・・・マジか?本気でそんな考えしか思いつかないのか?

 

 刻々と変化する状況への対応としては落第点だな。自分が有利な状況だからと言って、後先考えず魔力を大量消費するのは減点だ。そして最も減点される理由が、戦闘を長期化しているという点だ。何故速攻で勝負を決めない。砲撃を小出しせず最大出力で廃墟ごと薙ぎ払えばいい。もしもそれで敵を仕留められなかった場合は、残存魔力で逃走する。これなら合格点を与えられる。だが、高町をそれをしなかった。考えた結果のこの戦術なのか、それともこれ以外の戦術を知らないのか・・・前者なら救いはあるが、後者ならクビだな。

 そろそろ砲撃から逃げるのも飽きた。最近は6課でデスクワークばかりで運動不足だったから、ちょうどいい運動になった。さて軽い運動で訛った体が解れた処で、俺はハルコンネを構える。こいつを使うのは久しぶりだ。そういえば、ハルコンネのデビュー戦も相手は高町だったな。

 

 

 

 

 

 

 約2mあるハルコンネを構えた状態での移動は事実上不可能である。よって固定砲台とする以外使い道はない。高町と撃ち合うとなると高町の砲撃を回避する必要がある。しかし俺が砲撃を回避する必要は無い。何故なら高町が砲撃を発射し、次の砲撃を発射するまでの間に、こちらが攻撃を行えばいい。相手は防御に魔力を消費し、砲撃を行うことも出来ない。砲撃と砲撃の間には約5秒程度のチャージ時間がある。

 

 

 

 何?砲撃を防御するのではなく、回避する事で、上記は論破できる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 させないよ?

 

 射撃には誘導制御型、直射型、物質加速型、砲撃には直射型、誘導制御型、集束型がある。高町は集束型というレアスキルだ。しかし俺は射撃の直射型に分類される。基本的に直線型の弾からは一発の魔力弾しか発射されない。だがそれは安直な意見だ。

 ショットガンというものをご存知だろうか?多数の小さい弾丸を散開発射する大口径の大型銃であり、制圧力があるため地球のポリスでは市街地戦で使用されている。またショットガンには、いくつか弾の種類があり、飛び散る散弾以外にもスラッグ弾という単発弾も装填することが可能である。ハルコンネを使用していた初期の頃は、1発の魔力弾を発射していたが、弾の種類に散弾を加えた。デメリットとして長距離における威力は半減したが、かわりにそのデメリットを感じさせないメリットが生まれた。近接における制圧力の向上だ。初期に作製したハルコンネをこれ以上改良することが難しいと感じたため、近接戦、散弾、制圧というコンセプトを元に、ハルコンネ2ndを作製した。近接戦を想定しているため連射力を強化、散弾は半径5mに散乱し複数の敵を即座に制圧する。試射では60発/minの速度で連射する事が可能であった。それ以上の速度で連射した場合、マガジンの不具合が生じる。実戦には未投入だが、今回の模擬戦で実戦データが取れることは幸運だった。勿論このデバイスは

 

 

 

 

 はっきり言って

 

 

 自信作です

 

 

 

 

 

 

 

 射撃VS砲撃が開始された。

 BJには標準装備としてバリアタイプの防御魔法が使用可能だ。高町が現在発射している砲撃には2発程度耐えられると予測し作戦を練る。1発の砲撃に耐えた後、周りに散乱している鉄骨等を利用した即席の固定砲台(電気により作製)を作製する。勿論距離をとられない様に見えないように作製する。2発目の砲撃が俺に直撃した直後、ハルコンネ2ndを高町に向け連射する。高町は防御魔法を発動し防御を行う。

 

 

 いつまで耐えれるかな?

 

 

 

 

 

 高町side

 

 

アルパイン一佐には私の作戦は早々にばれているはず。でもやり遂げるしかない。最初に最大出力で砲撃を行うことも考えたが、一佐に回避された可能性を考えると、砲撃を連射し、相手の体力を消耗させるほうがいいと考えた。砲撃の威力を下げ、連射する事を重点においた場合、一発の威力は低下する。よって高度を下げる必要がある。案の上、一佐は廃墟を駆けずり回っていた。

 

 

 しかし突然一佐が動きを止めた。一瞬何かが始まるのだろうと、私の第6感が警告を発したが、それを無視して砲撃を発射した。その砲撃が一佐に命中したことは目視で確認できた。そしてダメージが入ったのだろう、よろけて廃墟に倒れこんだように見えた。倒れこんだ場所が私の視界から死角であったため、一佐を目視で確認するため魔力を溜めつつ目視で確認できる場所に移動した。この時功を焦って高度を下げてしまった事を後々後悔する。

 一佐を目視で確認し、砲撃を発射した。目視で一佐に直撃した事を確認したが、私は砲撃を継続するために再度魔力を溜める・・・しかし煙が晴れた場所には一佐が立っており、側にはあの凶悪な銃が固定されていた。私は本能的に防御をしてしまったが、幸運にもその選択肢は正解だった。防御魔法を発動した瞬間に体に大きな衝撃が走り、あろう事か衝撃は収まることは無く、断続的に継続した。一佐の射撃から逃れるためにこの場から離脱しようにも攻撃範囲が広範囲であるため動けない。それに連射の間隔が1秒もない。私の防御魔法が破られるか、一佐の魔力弾が尽きるか・・・そんな悠長な考えを砕く嫌な音が私の耳に響いた。そう私の防御魔法に皹が入ったのだ。そんなバカな!!たった・・・たった6発防いだだけで皹が入るなんて・・・冗談じゃない!!散弾で撃たれた人間がどうのように死ぬかは地球に居た頃ゲームや映画で見たことがある。非殺傷だから死ぬことはないと頭で分かっていても、本能が死ぬと警告を発している。しかし無常にも10発目で私の防御魔法は粉々となり、私の体には今まで経験した事の無い衝撃が走った。

 

 

 

 

 

 薄れ行く意識の中、凶悪な銃を私に向けて発射する一佐の口の動きを思い出す。7発目ぐらいの時に一佐の口が動いているのを確認出来た。なんと言っていたのだろうか・・・

 

 

 

 

 ず?・・・・ず・・・た・・し・・・?た・・・・ん

 

 

 

 ず・・ず・・わたし・・・た・・ん?

 

 

 

 

 

 ああ

 

 

 

 そうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ずっと  わたしの  たーん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







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第30話「メンテナンスは定期的に」

高町との模擬戦後、彼女自身に反省する箇所、改善する箇所、上官と部下との関係性について伝え、今回の模擬戦は明らかに上官に対する反逆行為である事も伝え、罰として反省文50枚を言い渡した。俺これでも彼女達より階級上なんで、よって必要措置と思ってます。今回の件については彼女も心底落ち込んでいるようだったので、少し甘い気がするが、上への報告は取りやめる事にした。

 

 

 

 それから間も無くして俺には一時的に本局への帰還するように辞令が降りた。理由は簡単で、管理局のシステム更新のためだ。元々俺が構築したシステムであるため俺が定期的なメンテナンスを実施する必要がある。日々バージョンUpや簡易メンテは実施しているが、不要なプログラム等の削除は難しい。よって今回ミッド全体での大規模なシステムメンテナンスを行うこととなり、メンテナンス実施中は日によってシステムを一時的にオフラインにし、再起動する必要がある。その場合デジタル管理から人員によりアナログ管理に移行される。一区画毎に行うことは時間的、人為的に不可能であるため、4区画毎に行うことにしている。メンテナンスには約10日間を予定しており、その間各区画の人員を大幅に移動し、対応する必要がある。勿論事前にシミュレーションしており、大きな混乱は生じないようにしているが、実際どうなるかは不明確だ。俺?俺はメンテナンスの際、オモイカネ経由でシステムと連動しているため、完全に無防備となる。まぁ管理局内なので警備等は不要とした。

 

 

 システムメンテナンスの日取りや内容は極秘扱いとなり、俺とレジアス、その他5名程度の将校しか予定を知らされていない。そして本局のメンテナンス日を本局で行われる公開意見陳述会に合わせて実施する事になった。当初は別日に行うように俺から申請したが、公開意見陳述会で本局に人員を集めるため、費用等の関係から同日となった。

 

 あと原作であったアインヘリヤル・・・あれ白紙になっているから。そもそもあんなもの造る予算と人員があるなら首都防衛に廻せと・・・その事をレジアスに伝えたところ「なら、どうやって首都を守護するんだ?」と嫌味満載で反論されたので、首都防衛隊を組織し、人員が揃うまで私の部隊から派遣し、人員育成を行った。アインヘリヤルの開発費用、開発期間の半分で部隊が仕上がったのでレジアスに「できたよ」ってそれとなく報告書を渡したら少し悲しい顔をして自宅に帰ってしまった。俺が作製した部隊作製マニュアル様様である。

 

 

 

本局

 

「あういん・あるぱいんいっさ、ただいまきかんしました」

「ああ、処で機動6課どうだったんだ?」

「ほうこくしょ、おくった」

「貴様の口から聞きたい」

 

 俺は機動6課の問題点を説明した。

 

「やはりか・・・」

「ぶたいさくせいけいけんのとぼしいわりには、がんばってる」

「当たり前だ!まったく!!」

「きげんわるい?」

 これじゃあ話にならない。横にいる秘書であるオーリスに話を振った。

「おーりす?なんでふきげん?」

「レオーネ・フィルス(法務顧問相談役)ラルゴ・キ-ル(武装隊栄誉元帥)ミゼット・クローベル(本局統幕議長)があなたと話がしたいと」

「わたしがひきぬかれることをおそれてる?」

「その通りです。お話になられますか?」

「むり」

「・・・即答ですね」

 

 

 

 当たり前だ!!今日、この日のために俺がどれだけ苦労したか!!各部署への手回し、シミュレーション結果から予想される不具合への対応策の構築、それに対する人員の確保・・・6課の視察を行いながらの平行作業・・・今レジアスと話しているこの時間は、ある意味休憩時間を含んでいる。

 

 

「わたしのきゅうけいじかんは?」

「「・・・」」

「わたしのおくったほうこくしょ・・・よんだ?」

「「読んで(います)いる」」

「じゃあ・・・わたしのきゅけいじかん・・・」

「何がほしい?」

「めんてごの、ゆうきゅうきゅうか」

「約束しよう」

「やぶったら・・・はりせんぼんのむ?」

「・・・」

「・・・」

「お三方には勤務の都合上、難しい事を伝えておきます」

「おねがい」

 

 絶妙なタイミングで話を逸らすオーリスを俺は恨まない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、わたしのまりょくりみったーについては・・・」

「・・・アウイン・アルパイン一佐・・・いやアウイン・・・その話だが・・・」

「そう」

「すまない、やはり管理局での無期限永住が決定した」

 

 

 俺がこれまで出した成果・・・というよりも結果が大きすぎてテロリスト等の過激活動家の標的になり、俺が本局外で活動すると、周りに被害を与える可能性があるため、以前はレジアスのお陰で魔力リミッターまでとなっていたが、この度本局での永住、簡単に言えば監禁となりました。

 まぁ上記は建前で、恐らく薬とかで洗脳されるのだろう。勿論これを指示、決定したのは最高評議会だからね・・・レジアスも逆らえない。

 

「いつから」

「・・・」

「めんてなんす、しゅうりょうご?」

「すまない!!」

 

 

 

 俺が介入した事でレジアスの考え方は大きく変化した。しかしスバル中島、ギンガを確認している時点で、最高評議会、ジェイル・スカリエッティと繋がっているのは間違いない。そしてメンテナンス中に管理局本部、機動6課が襲撃される可能性は確定事項である。そもそも俺が介入したのってここ最近であり、レジアスとゼストが地上事件における人員・戦力不足に悩んで、レジアスが人造魔導師や戦闘機人の研究を初めたのは20年くらい前・・・いや、無理だから。阻止とか無理だから。

 

 

「れじあすがあやまることはない。これはうんめい」

「運命だと?」

「そう、わたしは、かんりきょくに・・・かんりきょくのいしずえになるのがうんめい」

「運・・命・・・礎・・!!」

「そう、わたしは、かんりきょくを・・・れじあすの・・・れじあすのしそうをたいげんさせるためにうまれてきたの、だから、しゃざいはいらない」

「!!」

「れじあす、いろいろてまわししてくれてありがとう。こういうばあい、わらえばいいとおもうのだけど、わたしはわらえないから・・・おれいだけいっておく」

「「・・・」」

「じゃあもうじかん」

 

 俺は姿勢をただし

「それでは、れじあすちゅうじょう、しつれいいたします」

 

 

そして

 

 

        「いままでありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          れじあすをしんじて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            よかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           うまれてきたいみをあたえてくれて

 

 

 

 

 

 

 

       

 

 

 

 

 

 

            ありがとう」

 

 

 

 

 

 



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第31話「喝采せよ」

 

 

レジアスside

 

 「いままでありがとう。 れじあすをしんじて よかった

 

うまれてきたいみをあたえてくれて ありがとう」

 

綺麗な敬礼をしつつ退席するアウインを黙って見送る事しかできなかった。いや、黙って見送る以外の選択肢をワシは持ち合わせていなかった。

 

 

「オーリス」

「何でしょうか?中将」

「この10年でミッドの開発、治安、経済は大きく改善された。今までワシを危険視していた者達に対し、キチンとミッドの現状、そして現状の問題点、問題点への改善策を伝える事で土地の開発やスラムへの支援資金が確保可能となった。

 治安については新型BJの有効性が証明され、魔力なしの者でも戦力となった。また過去にリンカーコア負傷した者への治療による現場復帰、及び魔力操作の劣る者への教育により、数年で人員及び戦力強化が可能となった。

 経済はミッドの開発、治安の改善が有れば自ずと経済は良くなった。」

「はい。もしも対策を講じていなければ、未だミッド、いえその周辺地域さえ荒廃してたでしょう」

「そうだな。そしてそれを危惧し、対策を講じるように意見したのが」

「アウイン一佐でしたね。当時はまだBJ開発メンバーでありましたが」

「当時の彼女が作成した資料を見て、自分の考えが如何に愚かであったかが、今になって良く分かる」

「私も今になって痛感しています。あの時見た資料はとても3歳児が作成した物には思えませんでした。そしてあの資料には『ミッドを復興させるには「開発費用の調達・治安改善の2つを行えば、自ずと経済は良好となる』と」

「ああ、当時は何をバカな事をと思ったが・・・」

「はい。今では「何故当時はそんな事も思いつかなかったのか?」と不思議に思います」

「そうだな。そんな事を教えてくれ、導いてくれた少女をワシ等は守れなかった」

「・・・中将

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 では、覚悟を決める時では?」

 

「オーリス?」

「10年前中将はミッド・管理局改革のため覚悟を決めました。アウイン一佐の助言があったとは言え、それを実行したのは紛れもなくレジアス・ゲイズ中将、あなたです!」

「・・・」

「ミッド・管理局の殆どは改革終了していますが、やはりまだ手つかずの場所もあります。何故手つかずなのか・・・中将はおわかりですよね」

「ああ」

「いち佐官のために将校が動く事は、後々問題になる可能性がありますが、管理局の改革の一部であれば問題ないと愚考致します」

「・・・オーリス」

「明日から公開意見陳述会までの2日間は中将の予定はありません。それとこれは公開意見陳述会で演説する内容となります。覚悟がきまらないのであれば、こちらの通常の演説を、もしも覚悟がきまるようであれば、こちらの演説をお願い致します     

 

 

 

 

 

それでは中将閣下・・・失礼致します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 覚悟・・・オーリス、ワシはもう覚悟を決めている。しかし・・・

 

 

 

 怖い

 

 

 自分が犯罪者に協力を仰いだ事が露見した際、今までの苦労が水の泡となり、昔のように次元世界全体ばかりを優先し続け、本局への人的・物的資源を得られなくなる。

 

 

 それが一番怖い

 

 

 何故当時ワシはあいつを雇ったのか

 

 何故当時ワシは人造魔導師や戦闘機人の製造計画といった違法な方法しか思いつかなかったのか

 

 何故当時ワシは・・・ワシは・・・愚かだったのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『これからどうするかはれじあす・げいず、あなたしだい』

 

 不意に頭に過った言葉だった。その言葉はアウインとの別れの際の言葉だった。全ては自分が招いた事であり、誰も悪くない。そう悪いのは自分だ。

 

 

 

 

「そうか・・・答えはもう出ているではないか。自分が招いた事態・・・そう自分で起こした事態で有れば、その先頭に立ち解決したらいいではないか!!」

 

 

「何を悩んでいるレジアス・ゲイズ!!アウインと最初に約束したではないか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『げんば(せんじょう)にでろ』とな!」

 

 

 

 

 

 ワシはオーリスが残した2つの演説の内容の内、覚悟が決まらない方は破り捨て、覚悟が決まった方を見て、不覚にもニヤけてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「オーリスもアウインに毒されているな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして公開意見陳述会当日

 

「中将、そろそろお願いします」

「ああ」

「ところで覚悟はお決まりですか?」

「ふっ、何をいまさら」

「その顔を見て安心しました」

「オーリス」

「何でしょうか?」

「心配を掛けた。もうワシは迷わない!ワシは戦場へ行く!」

「はっ!!お気を付けて」

 

 

 

 オーリスの敬礼姿を背にワシは公開意見陳述会に挑む。

 

 

 

 そして

 

 

 

 

 

 

 

 

諸君 私はミットが好きだ

諸君 私は管理局が好きだ

諸君 私はこの世界が大好きだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーリスside

 敬礼しつつ中将を見送った。そして

 

 

 

諸君 私はミットが好きだ

諸君 私は管理局が好きだ

諸君 私はこの世界が大好きだ

 

 

 

 昔アウイン一佐が口ずさんでいた内容を私なりに解釈し、この公開意見陳述会で中将に熱く演説してもらう。恐らく最初は皆、反応に困っていたが、中将の演説が進むにつれ、皆涙する。そして

 

 

 

 

我々管理局で

 

世界を守ってやる

 

 

管理局首都防衛隊隊長より全管理局員へ

 

犯罪者を許すな!!我々が求めるのは平和!!そして希望!!未来!!

 

これらを求め動け諸君!!

 

 

それではこれより状況を開始せよ

 

 

征くぞ 諸君

 

ワシに続け!!!

 

 

 

 

 

 

 

 中将の演説が終わった瞬間、全ての局員は起立し喝采した。

 

 

 






 少佐の演説・・・全文とか考えるのが無理でした。仕事中にも考えていましたが、

 やはり無理でした。


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第32話「信じる心」

 

 

 

 俺は今オモイカネと一緒にシステムメンテナンスに勤しんでいる。外とは完全に隔離されているため、外で何が起こっているか不明だ。オモイカネ経由で外の様子を探ればいいだろうと思う人もいるだろうが、はっきり言って困難です。何故なら、このメンテナンスの予定は、不測の事態に対応する時間以外は、隙間なく、キッチリ組んでいる。予定外の仕事を入れると、その分予定通りに進まず、俺の休憩時間(超貴重)が無くなってしまう。休憩時間など不要というブラックな考えがあると思うが、それは作業効率の低下を招いてしまい余計時間がかかる。よって貴重な休憩時間を潰すのは有り得ない行為だ。

 

 しかしその貴重な時間を台無しにしてしまうのが、この

「アウイン一佐、そろそろ休憩時間になります」

 

 そう、俺の監視役兼洗脳(出来なければ殺害)のドゥーエだ。何故正体が直ぐにわかったかというと・・・変装している姿が原作と同じだったためだ。そういえば、こいつは最高評議会の秘書兼メンテナンス役だったな。最高評議会の命令で俺を洗脳するために、食事に薬を混入してくる。勿論俺は嫌いな物が入っていると言って食べる事を拒否している(子供特権)が、それも長くは続かない。メンテナンスには集中力を使うため、カロリー消費が半端なく多い。既に飲まず食わずで2日経過しており、残り8日をやり過ごす事など不可能だ。まさに絶対絶命ってやつだ。分かっていたなら何故対策をしていない?と疑問に思うかもしれないが、ナンバーズのドゥーエが来るとか誰が予想する?出来んぞ。他の職員ならまだしも、暗殺や潜入に特化した相手に、武器無し、BJ無し、援軍無しの状況で勝てと?それも精密機械があるこのフロアで?この状況下で勝負しろと?勝利出来てもメンテナンスが未実施となり、2次被害が増大するだけとなる。そうまでしてドゥーエを倒す必要があるのか?・・・不要である。

 

 しかしそろそろ薬入りの食事に手を出さなければ、作業効率が維持できない。スキルで薬を分解出来ればいいが、生憎それを許してもらえそうにない。それに精密機械があるところで、不用意に電気を使うと機器に不具合が生じる可能性がある。食事後にトイレに駆け込み薬を分解してみようと思う。恐らく不可能に思えるが。

 

 覚悟を決めてドゥーエが要した食事に手を付けようとした瞬間、突如として部屋の扉が開き

「遅くなったな、アウイン一佐」

 そこにはBJを身にまとったレジアスがそこに居た。

「レジアス・・中将・・何故ここに?」

 しかしレジアスは変装したドゥーエの質問に一切答えず、不意打ちでドゥーエの鳩尾に左ストレートと入れ、くの字となったドゥーエの後頭部に肘鉄を与え意識を飛ばした。

「大丈夫か?」

 レジアスは俺を心配してくれている。しかし俺は

「ここ、せいみつきかいがある。こわれでもしたら、めんてなんすがぞっこうふかになる」

「そうか。すまないな」

 どうもおかしい。普通助けたのに、この言いぐさであれば「なんだその言い方は!」と怒る。

「どうしたの?」

「ん?なんでもない。ところで、この女性職員は誰だ?」

「しらないのにこうげきしたの?」

「アウインは一人で作業する予定の筈だろ?そこに誰かが居れば敵と判断してもいいだろう」

「・・・そうだね」

「で、誰だ?」

「さいこうひょうぎかいのひしょけん、めんてなんすよういんであり、じぇいる・すかりえってぃの手下」

「な!!ジェイル・スカリエッティだと!!」

「うん」

「では、こいつからジェイル・スカリエッティのアジトと最高評議会の場所を聞き出す必要がある」

「そのひつようはない。わたしのすきるで、いばしょはわかる」

 最高評議会場所とジェイル・スカリエッティの居場所をスキルを使用して読みだしたが、スカリエッティの居場所は分からなかった。

「すかりえってぃのいばしょはふめい。というよりもれんらくさきだけしかしらない。でもさいこうひょうぎかいのいばしょはわかった。このたてもののちかにある。えれべーたーにあんしょうばんごうをいれないといけない。ばんごうは『36098321』」

「すまない」

「れじあす?」

「なんだ?」

「あとのことはまかせて」

「すまない」

「あやまらないで。ごぶうんを」

「任せておけ!」

 

 

 

 レジアスが地下に向かったのを確認し、俺は監視カメラの映像に細工し、レジアスの姿だけ消去した。また扉等の開閉時間を調整し、エレベーターまでレジアスが誰にも会わないように調整した。

 

 俺が出来る事はここまでだ。あとは任せたぞ、レジアス中将!

 

 あと外ではジェイル・スカリエッティに攻撃されてるとの事だ。しかし俺は一切心配しない。なぜなら、原作とは違い、管理局員には全員BJが支給され、周りには俺の鍛え上げた部隊が鎮座している。もしもこれで本部に被害があれば、「殺す」と伝えている。何故?と思うだろう。これはメンツの問題なんだ。これまで消費した資源に対し、結果を全世界に見せなければならない。

 

 ジェイル・スカリエッティという犯罪者の攻撃にも物的、人的被害にはなしという結果を出さなければならない。休憩時間を削る覚悟で外の様子を確認した。結果は俺の予想通りとなっていたことに安堵し、端末でオーリスを呼び、ドゥーエを引き渡しメンテナンス作業を続行した。そしてドゥーエが知っていたジェイル・スカリエッティの連絡先にハッキングし、彼が持っている過去にレジアスが行ったと思われる違法行為のデータを全て極秘に消去しておいた。勿論俺の休憩時間が大幅に削られた事は言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レジアスside

 

 エレベーターまでに誰にも会わなかった。恐らくアウインが手を回してくれたのだろう。

 

 

 この下に全ての元凶がいる。

 

 

 ワシはもう逃げない

 

 

 ワシはもう悩まない

 

 

 ワシは・・・全てを変える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何だこの空間は?空中に板?が浮いている・・・これに乗ればいいのか?

 

 一枚の板にワシが乗ると、行き成り動いた。そして

 

 

 

 

『何故貴様がここにいる!!レジアス!!』

「全てを変えにきました」

『何だと!!』

『貴様!!何様のつもりだ!!』

「あなた方は偉大ですよ。旧暦の時代、未だ統制の取れていなかった数多の次元世界を平定してた。紛れも無く英雄です。しかし最近のあなた方のやり方には納得できない!」

『何だと!!あの小娘の事か!』

「そうです。アウイン・アルパイン一佐の事です」

『あの小娘は危険だ!』

『そうだ!あの歳であれだけの功績を残している。これから先、この功績を楯に何をするか分からない』

『そのために、今の内に首輪につなげておく必要がある』

「彼女は・・・彼女なりにミッドの未来について考えています。そしてその結果が今のミッド、管理局になります。その彼女が何故反旗を翻すと?」

『『『貴様は何も考えず、我々の言うとおりに動けばいい』』』

「理由も無く彼女を!?」

『あの手の小娘はいずれ反旗を翻す。過去数え切れない人間を見てきた。あの小娘はいつか我々に牙を向く。逆に尋ねようレジアス、何故彼女が我々を裏切らないと言える?』

「彼女には信念があります。ミッドを今以上によくする。そして自分はそれの礎になると」

『笑わせるではないか。なんだその理由は?貴様はそんな子供の夢見たいな理由で小娘を信じるのか?』

「信じます」

『レジアス、今ならまだ戻れるぞ?アウイン・アルパイン一佐を貴様の手で首輪を・・・』

 

 

 彼の言葉は続かなかった。なぜなら、彼の脳髄が浮かぶカプセルが割れてしまったからだ。レジアスが持っている拳銃型デバイスによって。

 

『な・・なんのまねだ!!』

「小娘一人、信じられない管理者等、不要ということですよ」

『や・・やめ!!』

 

 彼のカプセルも割れてしまい、もう言葉を発することは出来ない。

 

『レジアス貴様!!』

「ここに手ぶらで来ると思いましたか?私も射撃訓練は受けておりましてね。こんな大きい動かない的など簡単に当たりますよ」

『何故だ!!何故貴様はここまでする!!貴様も我々と同じく、あの男に「あなた方がいう、小娘を信じたからですよ」何だと?』

「たかが3歳の小娘に諭されたんですよ。今まで自分が信じて進んでいた道が、実は破滅へ続く道だとね」

『・・・』

「だから・・・彼女を信じない大きな膿は、早急に管理局から排出しなければならない」

『ふっ、一つだけ忠告してやる。我々が作り出したジェイル・スカリエッティも最初はそうだった。我々の言葉を信じ、我々も彼の言葉を信じた。しかしあの男は変わってしまった。今や我々に牙を向いている』

「それは彼が悪いわけじゃない。彼の育った環境が問題なのです。あなた方はあなた方の思想を彼に無理強いしてしまった。そして成長した彼はその思想の矛盾点や疑問点がある事に気付いたが、あなた方が彼を弾圧してしまった。自分の考えを一方的に否定されれば、誰しも不満を覚えますよ。それが募りに募り、彼は爆発してしまった・・・」

『・・・』

「これだけは言えます

 

 

 

 彼女、アウイン・アルパインを

 

 

 ジェイル・スカリエッティと

 

 

 

 同じと言うのはやめて頂きたい!!」

 

 

 

 

『お前にそこまで言わせた小娘・・・いやアウイン・アルパインと一度ゆっくり話をしたかった』

「・・・」

『レジアス?お前の信じたアウイン・アルパインが一体これからどうなるか、地獄から見ていてやる』

「はい」

 ワシはカプセルに狙いを定め

『あの若造だった貴様が・・・立派になったな』

「今までありがとうございまいました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      「Hasta la vista」

 

 

 

 

 





 順調に使いたかったセリフを消化しています。


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第33話「結果」

 

 

 

 

定期メンテナンスというブラック作業を終えた俺は、管理局本部及びその周辺の被害状況が記載された書類に目を通していた。結論から言うと被害は軽微であり、その被害も建物の一部が破壊されただけとの事だ。今回本局の警備には、本局直属の首都防衛隊24名を警備担当とした。当初は総数の48名による完全警備を予定していたが、予想外の人員不足がメンテナンス地区に生じたため、半数の24名での警備となった。首都防衛隊はアインヘリヤルの開発資金を使用し作られた、本格部隊の一つだ。勿論48名全員に俺が『直々に』指導しており、陸戦限定であれば、フェイト、シグナムを凌駕する。はっきり言って大人げない戦力と思っています。

 勿論本局システムも本格的に変更した。原作では通信妨害、クラッキングによる情報不足、索敵能力の低下等により、ナンバーズの侵入、破壊工作等により本局は壊滅した。しかしこれらへの対策は万全となっている。管理局のシステムは侵入されても2重、3重の防壁があり、この防壁を突破するにはかなりの時間を要する。まぁ俺とオモイカネクラスの技術で侵入しない限り、短時間で侵入する事は不可能だ。また侵入してきた相手へ俺なりの嫌がらせシステムも投入した。内容は相手がハッキング中にこちらが逆にハッキングし、相手の全データをコピーし、コピーしたデータをアダルトデータに置き換え、3分後にデータが再生される。この再生されるデータの内容はランダムであり、再生を停止する事も消去する事も出来ない。

 

 今回管理局へはナンバーズと思われる人物が正面から攻撃を仕掛けてきた。恐らく管理局のシステムに侵入出来ず、仕方なく予定通り攻撃を仕掛けたという流れだろう。勿論ナンバーズの能力の一つの何とかダイバーへの対策として地下に地上より警備を強化した。結果数人のナンバーズの侵入は許したがすぐさま撃退した。今回、残念ながら捕縛出来たのはドゥーエだけとなる。しかしこれはこれでいい結果である。彼女からスカリエッティや他のナンバーズの情報を話してもらおう。

 

 最後の報告書を見た瞬間俺は頭が痛くなった。

 

 

 

 

 

 

            『6課壊滅』

 

 なんでやねん!!!今回の本局の警備には原作みたいに呼んでないし・・・うん・・・呼んでないよな?じゃあなんで壊滅??隊長格のメンバーや騎士達が不在だった??あ~でも6課で、はやて、なのは、フェイト、騎士、新人が敵と交戦しているようだ。何故この戦力で壊滅するのかと書類を読み進めていくにつれ、6課が何故壊滅したかが判明した。原作と違い、本局の警備が強固であるため、本局への総攻撃を止め、聖王の一族のヴィヴィオの確保のため、ナンバーズ+ゼスト・ルーテシアで6課に総攻撃を行った・・・という事だ。

 まぁ勝てんわな。原作でもリミッタ外して、ようやくナンバーズに勝利出来たし、今回はリミッタ付けたままで、ナンバーズ+ゼスト・ルーテシアと交戦・・・無理ゲーだろうwwしかしこの状況を作ったのは、間違いなく俺に原因があるが、それに対応出来なかったのは6課の隊長、八神の責任だ。これで八神の評価はかなり悪くなっただろう。頑張って挽回できるように祈ってあげよう。

 

 

 

 

 

 

 全ての書類に目を通し終え、俺は久しぶりのOFFを満喫するため、実家に帰る事にした。

 



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第34話「考察・対策」

 

久しぶりのOFFを満喫し、意気揚々と出勤したものの最初の仕事を聞いた瞬間に退勤したくなった。会社に行きたくないという人間の気持ちが少しは理解できた。

 

 

「今回の失態について何かあるかね?」

「確か、「いずれ起こりうるであろう陸士部隊の全滅と管理局システムの崩壊」に対する部隊・・・だったな。しかし今回の事件で全滅したのは古代遺物管理部機動六課のみ。本局に関しては被害は極軽微となっている。説明をお願いするよ・・・八神二等陸佐」

 出勤したら今回の事件での機動六課壊滅に対する説明会議・・・と言う名の吊るし上げ会議であった。まぁ最初から無理な部隊の設立だった。高ランクの職員で部隊を固めても、魔導師ランクの総計規模の規制をクリアするため、魔力の出力リミッターをかけてしまえば、意味がなくなる。

 また機動六課には経験者が圧倒的に足りない。要は管理局での経験年数、部隊長の経験年数・現場における経験年数のことだ。彼女達は若い・・・若すぎる。現場における経験はクリアしているが、管理局・部隊長(指揮官として)の経験・考え方は浅い。通常部隊長候補に部隊長の経験があるものが補佐として付き、ある程度助言を行い、育成していく。六課には助言役はリンディ・ハラオウン、クロノ・ハラオウンといった優秀な後見人が居るが、モニター越しで、なおかつ部隊長達の意見を聞いての助言となる。そんな状態での助言等意味は成さない。これは管理局に限った話ではない。若手と中堅を組ませる事で、基本作業、異常時の対応、ホウレンソウの大切さ等を指導していく。

 

 

 

「やがみにとうりくさ」

「な・・なんでしょうか?」

「こんかい、ぜんめつしたげんいんのよういんは?」

「先ほど説明したとおり、敵の奇襲、我々以上の戦力と思われます」

「ちがう」

「・・・では・・何が要因でしょうか?」

「ろっかのぶたいこうせい」

 こちらの戦力を超過する戦力を保持している敵等幾らでも居る。それらに対応できる部隊構成を構築する必要がある。部隊設立時に魔力出力リミッタの話は聞いている。リミッタはおいそれと解除できない。以上の点から、一箇所ではなく、分散させて配置しておけばいい。簡単な話、八神2等陸佐の部隊を機動六課、フェイト執務官の部隊を機動七課、高町一等空尉の部隊を機動八課として別々に申請し、部隊本拠地を機動六課、七,八課は近所のビルを借り、そこを本部と申請したらよい。作戦実行時、訓練、緊急時には六課に集結、事務仕事等は各本部で行えば良い。これでリミッタの制限は受けない。と八神に伝えてあげた。

「しかし・・それは・・・」

「ぶたいさくせいじのあなをついた、いわばうらわざ・・・とでもいいたい?」

「い・いえ、そんなことは」

「でも・・・かんがえたことないでしょ?」

「・・・」

「ぶたいをせつりつするとき、なにをいちばんにかんがえる?」

「それは、部隊員の安全でしょうか?」

「それはいちばんじゃない。たいいんのじつりょくをかんぺきにだせるかんきょうのこうちく」

「環境ですか」

「たいいんにりみったをかけるのはあんぜんせいのていかじゃない?」

「はい」

「りみったがげんいんでぶたいがぜんめつしない?」

「・・・します」

「そういうこと」

「では・・・では今後どうすればよろしいでしょうか?」

「ぜんいんのりみったをかいじょし、てきにいどむ?」

「・・・」

「じぶんのみすは、じぶんでかいけつしてね」

 

 

 こうして無事会議は終了した。八神は5日以内に今後に関する報告書を提出する事となった。また当初検討されていた降格処分については、機動六課が試験部隊であり、問題点もある事を考慮され、5日後の報告書の内容で判断されるとの事。

 

 

 

 

 八神side

もう無理や・・・部隊は壊滅状態、アウイン一佐の一言でリミッタ解除も出来へん。お情け程度の5日間の猶予・・・レジアス中将に反発して部隊を設立、しかし部隊が全滅・・・唯の降格でないのはあきらか・・・どうすればええ

 

 そんな時端末にメッセージが届いた。差出人は「思い出」?

 

 【襲撃した敵の戦力を今一度整理する。そしてもう一度六課の戦力を思い出す事。

  足りない戦力は補充する。時間は有限である】

 

 どういう意味や。そもそも敵の戦力は前回の戦いで把握しとる。六課の戦力は、今の所全員負傷しているけど入院している子はおらへん。でも今の六課の戦力では太刀打ちできへん。もう一度思い出す・・・六課の戦力を・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

 

・・・・・

 

 

・・・・

 

 

・・・

 

 

・・

 

 

 

 

ああ!!!忘れとった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アウインSide

 

「現在六課にはアウイン・アルパイン一佐が一時的に所属している。そのため、一佐を中心とした部隊編成を行う。また敵戦力が増強されている可能性を示唆し、可能であれば一佐の部隊を一時的に六課へ出向させて欲しい」

 

 八神の報告書を要約するとこんな感じになる。さてさてあの精神状態でよく俺が六課に配属されていた事を思い出したな。

 

「ねぇおもいかね?」

「なんでしょうか?」

「やがみにとうりくさにじょげんしたのだれだろう」

「わかりかねます」

 

 

 まったく・・・誰に似たのかね



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第35話「結果・まとめ」

 

 5日後

「まさか戦力補充をレジアス中将直下であるアウイン一佐にするとは・・・この意味、分かっているのかね?八神二等陸佐?」

「はい。しかしアウイン一佐は現在一時的ですが6課に所属しています」

「だが、一佐以外にも戦力補充が必要とあるが・・・?」

「レジアス中将・・そ・・それは」

「やがみにとうりくさ?」

「は・・はい」

「こんかいのせんとうから、わたしだけではなく、だい6はんざいぼうしか、もしくはしゅとぼうえいたい、これらのせんりょくがひつようとはんだんしたりゆうは?」

「はい。アウイン一佐は現在リミッターが実施され、ランクに換算するとBもしくはC+となります。その状態でジェイル・スカリエッティと対峙する事は危険と判断しました」

「・・・」

「八神二等陸佐、あまりアウイン一佐を見下さない方がいいぞ?それにそのリミッターを実施したアウイン一佐に6課は手も足も出なかったと報告書が来ていたが・・・それはアウイン一佐の虚偽報告なのか?」

「い・・いえ・・・」

「私の部隊の、それも部隊長であるアウイン一佐への侮辱・・・と、取ってもいいのかね?」

「そ、そんなつもりは!」

「ではどういうつもりだ?」

 

 

 レジアスと八神の会話を笑いを堪えながら聞いていた俺は、そろそろ八神に助け船を出す事にした。もう少しこのコントを聞いていたかったのだが、あまりイジメすぎるのは良くない。

 

 

「れじあすちゅうじょう、やがみにとうりくさは、わたしのほんとうのじつりょくをしりません。そのためこのようなかんちがいをおこしたとおもいます」

「しかしそれは可笑しい。アウイン一佐が6課を指導した事で実力は把握しているのではないか?」

「しどうのさいのわたしのじつりょくをりょうがしているかのうせいがある・・・やがみにとうりくさはそういいたいとおもいます」

「そうなのか?八神二等陸佐?」

「は・・はい」

「では、アウイン一佐のリミッターを5段階の内2段階解除する。また必要であれば、全リミッター解除も許可し、ジェイル・スカリエッティへの対応で生じた被害は不問とする。アウイン一佐」

「はい」

「世間では貴様の成果は周知されている。しかし実力については周知されていない。今回のような誤解を生じさせないよう「確実に」ジェイル・スカリエッティを逮捕せよ」

「りょうかいしました」

「それと八神三等陸佐」

「え・・」

「アウイン一佐をしっかりサポートせよ。これは正式な命令だ。後で辞令がいくだろう。以上だ」

「は・はい」

 ありがたく思えよ。当初は3階級降格、ジェイル・スカリエッティ逮捕後は6課解体、そして以降八神にはそれ相応の処罰を与える予定だったんだ。それを俺がある程度フォローし、減刑してもらった。

 

 何故俺が八神をフォローしたのか?理由は簡単だ。あまり使いたくない方法だが、八神に恩を売り、彼女の持つ夜天の書、そしてリインフォースⅡを解析依頼を出す。流石の俺でも彼女のように自身のリンカーコアからデバイスを作成する事は不可能である。であれば、既存のものを解析する事が最高の近道である。この事をレジアスに相談し、先ほどの茶番を仕向けた訳だ。ずるい?卑怯?

 

 

 

 

 

 

 最高の褒め言葉だよ

 

 

 

 

 このリインフォースⅡの解析が成功する事で、俺の知識を持った人型デバイスを現場、育成の場に配置させる事が可能であり、また夜天の書を解析することで、俺の持つ魔法が使用できる本型デバイスを現場の人型デバイスに所持させる事が可能となる。

 

 この計画は以前から解決できずにいた問題の解決策と俺は思っている。その問題とは、幼稚園や初等部等の10代未満に対する犯罪率の上昇についてだ。誘拐、暴行、育児放棄、虐待・・・これらがここ数年上昇している。また園内に不審者が侵入するという事例も多発している。職員を滞在させたいが、やはり現在でも人員不足である場所もあるため、対応を何度も検討している所に、リインフォースⅡの事を思い出したという事だ。

 

 今まで管理職員を配属出来ずにいた幼稚園、初等部等に人型デバイスを配属する事で、犯罪率の低下させる事が可能となる。また情報は逐一他の人型デバイスと共有可能となる事で、犯罪者を迅速に確保できる。また本型デバイスを所持している事から高ランクへの犯罪への対応も可能となる。大量の人型デバイスを作成するには俺のリンカーコアを大量に分ける必要がある?ああ、分かっている。分ける事で本体である俺の魔力量等が低下する恐れがあるが、現在それを防止する方法も開発中だ。

 

 

 

 

 

 スカリエッティとか別にどうでもいい。今の俺には幼年者を守る事が重大だ。

 

 揺り篭?だったか・・・あれにドラグ・スレイブでもブチ込むか。いや、中に居るものも巻き添えになる・・・剣状の重破斬でぶった切るか?

 

 

 

 それとも・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今さらだが、八神にキチンとリインフォースⅡと夜天書を解析させてほしい理由を告げたら協力させてくれたんじゃないのか?恩を売って協力させるなんて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何て汚い

 

 

 

 

 

 

 

 

 私

 

 

 

 

 

 どんどん

 

 

 

 

 汚れて行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが大人になると言う事か・・・・ 





 アウイン
 生まれつき感情が抜け落ちています。当初はカタカナでしたが、読みにくいという感想が多いためひらがなになっています。感情がない=ひらがなで表現しています。


 今年完結させますので、皆さまよろしくお願いします。


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第36話「彼の罪を許そう しかし罰は与える」

 

会議終了後、俺はレジアスの部屋にて辞令をもらい、その場でリミッターを解除した。勿論ゆっくりしている暇はなく、御供にオーリスをつれ機動六課に向かった。原作通り廃棄寸前の戦艦アースラが六課の本部となっていた。普通一つの部隊本部が壊滅、数日後には廃棄艦とはいえ戦艦を本部にする事等到底無理な話だ。俺の不満がオーリスに伝わったのか

「やはり3提督のご配慮でしょうか?」

 そうだろうね

「まったく・・・」

「でも、もうだいじょうぶ。じけんかいけつごには、あのひとたちにもあるていどせきにんはとってもらう」

「え?」

「とくべつあつかいはだめ」

「貴方の待遇もかなり特別扱いですよ」

「わたしはかんりきょくこうにん、あっちはひこうにん」

「それも・・・そうですね」

「それよりもじょうきょうかくにん」

「現在6課はアースラに搭乗、一佐の到着待ちとなっています」

「それはいい。たしか、ほごしていたこどもがさらわれたとあったけど」

「はい、「聖王の器」ですね。報告書には「ヴィヴィオ」とあります」

「せんとうきじん?」

「そうです。もう一人はギンガ・ナカジマ。ゲンヤ・ナカジマ三佐の娘さんであり、戦闘機人のプロトタイプです」

「そう」

 

 

 戦闘機人に興味はない。なぜなら戦闘機人ははっきり言って欠陥品であるからだ。耐久性(スバル程度の攻撃で破損するのであれば論外。まぁまだまだ改良は必要と思うけど)、定期メンテナンス(コスト面、費用対効果が悪い)の問題が大きすぎる。そもそも機械に合わせて人間を作る事が倫理的に解決できるのであれば、優秀な人間のクローンを作製する事で、人為問題は解決できる。

 

 そもそも何故戦闘機人に固執するのか。もしも俺が彼なら間違いなく戦闘機人は実用化しない。戦闘機人といっても人間をベースにしているわけだ。そうなれば負傷もする、栄養補給もいる・・・人間と同じ扱いをしなければならない。では逆ならどうだ?人間をベースにするのではなく、機械をベースにする。機械の骨格を人間の組織で覆う。見た目は人間、中身は機械、その名はターミネータ。食料もいらない、負傷もしない、ブラックな職場でも文句を言わずに仕事する。まぁ夢物語だろうけどな

 

 

 まぁそんな事をしなくとも、今の管理局のようなシステムであれば余計な問題を起こす必要はない。コスト面も初期投資費用は高額となったが、得られた結果は、それを凌駕するものだった。そういった意味でも俺の計画は成功ともいえる。言わばジェイル・スカリエッティは悪い例の見本といったところだ。

 

 

 6課到着後簡易な挨拶済まし、俺は会議室に入った。中には6課全員が集結していた。とりあえず八神の話を聞き流しつつ、ジェイル・スカリエッティについて考える。彼は良くも悪くも優秀だ。彼以上の人材を発掘するには、それこそ莫大な時間が必要となる。有名な格言がある。

 

 時は金なりもしくは Time is Money

 

 

 

 ならば結論は1つだ。彼をこちらに引き込めばいい。

 

 ①力ずく

引き込めることは可能であるが、その後友好関係を構築できる可能性が極めて低い。

 

 ②交渉

彼が求めているものを俺は持ち合わせていない

 

 ③戦力の違いを見せ付ける

あちらの切り札となるユリカゴとやらを一撃で破壊してやれば、彼も諦めるであろう。何より娘であるナンバーズのためにも投降する可能性は高い。どうせユリカゴとやらは破壊しなければならない物だ。俺の実力を見せるいいデモンストレーションなるだろう。

 

 

 ならば話は早い。彼が管理局にハッキングした際、逆にハッキングを仕掛け、彼の居場所は既に判明している。勿論通信番号もバッチリだ。

 

「じぇいる・すかりえってぃについては、まずはこうしょうをだいいちにおこなう。むようなりゅうけつはふよう」

「しかしアウイン一佐!!」

「げんざいまでのひがいをかんがえると、これいじょうのせんとうはむいみ。かれといちどはなしをするひつようがある」

「しかしスカリエッティの居場所は未だに」

「もんだいない。かれのいばしょは、すでにとくていずみ」

一同「・・・」

 

 

 

 

『こんにちは、はじめまして、だい6はんざいぼうしか、アウイン・アルパイン1とうりくさです』

「・・・」

『どうしたの?』

「なぜ、ここに通信できたんだい?」

『ないしょ』

「・・・私に何のようだい?」

『たたかいを、かいひしたい』

「何を言い出すと思えば・・・ふざけているのかい?」

『いたってまじめ』

「どういう理由で戦いを回避したいのかね」

『わたしは、あなたをたかくひょうかしている。どう?わたしのぶかにならない?』

「君の部下になれば、私になんのメリットがあるんだい?」

『しほうとりひきで、あなたのつみをなかったことにする』

「それは魅力的だね。しかしだね、私は自分の罪等どうでもいいんだよ。私は壊したいのだよ!!管理局を!!この世界を!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁ』

 

 

 

 

「なんだい?そのため息は」

 

 

 

『こわしたい?

 

 

 

 かんりきょくを?

 

 

 

 わたしが、たんせいこめてつくりあげた

 

 

 このかんりきょくを?

 

 

 そう

 

 

 わかった

 

 

 しかたない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全員 皆殺しだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェイル・スカリエッティside

 

『しほうとりひきで、あなたのつみをなかったことにする』

 

 彼女は何をいっている?  罪?無罪?  今更何を

 私はそんな事は望んでいない。

 

「それは魅力的だね。しかしだね、私は自分の罪等どうでもいいんだよ。私は壊したいのだよ!!管理局を!!この世界を!!」

 

 

『はぁ』

 急にため息?それに先ほど雰囲気が

 

「なんだい?そのため息は」

 

『こわしたい?』

 何だこの寒気は!

 

 

 

『かんりきょくを?』

 私の脳が警告を発する

 

 

 

『わたしが、たんせいこめてつくりあげた』

 今すぐ逃げろと!画面越しにも関わらず

 

 

『このかんりきょくを?』

 目の前にいるのは、『死』だ

 

 

『そう』

 これは幼女や少女ではない

 

 

 

『わかった』

 ましてや管理局の職員でもない

 

 

 

『しかたない』

 これは人間の皮をかぶった

 

 

 

『全員 皆殺しだ』

 バケモノだ!!

 

 

 

 

 

 あれはなんだ。レジアスはあんなものを飼っているのか

 

 いや、レジアスが、あれに飼われているのだろう。

 

 あんなものが、この世に存在してはいけない!!

 

 

 

 

 

 アウインside

 

ジェイル・スカリエッティとの交渉は決裂してしまった。最後のは流石に反省する必要がある。

 

 暫くして、原作通り 

 

 

 

 

 

 

「さぁいよいよ始まる」

 

 

「復活のときだ」

 

「私のスポンサー諸氏、そしてこんな世界を作り出した管理局の諸君、偽善の平和を謳う聖王協会の諸君、見えるかい? これこそが、君達が求めていた絶対の力」

 

 

 

「旧暦の時代、一度は世界を席巻し、そして破壊した 古代ベルカの悪夢の英知」

 

 

「みえるかい? 待ち望んだ、主を得て、古代の技術と英知の結晶は 今その力を発揮する」

 

 

 

 

「さぁ、ここから夢の始まりだ」

 

 

 

「はははははは!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 あなたの罪は私が許そう

 

 

 

 しかし罰は受けてもらう

 

 

 そのためには

 

 

 そろそろ夢から覚まさせてやろう

 

 

 そして罰を与えよう

 

 

 

 トラウマという名の悪夢を

 

 

 

 

 



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第37話「私は手も足も出さない。でも命令は出来る」

 

 

そして罰を与えよう

 

 

 

 

 

トラウマという名の悪夢を

 

  

 

 ゆりかごが起動したことで、ジェイル・スカリエッティ、ナンバーズ、原作キャラクター達は原作通りの動きを開始した。少し異なる点があるとしたら、ジェイル・スカリエッティがナンバーズにレジアスと最高評議会について語る点だ。原作ではレジアスが戦闘機人に拘り、最終的にどうしようもない状況に追い込まれたが、この世界では最初こそ拘っていた可能性があるが、証拠はなく、計画も何時の間にか誰かが凍結した。かわりにミッドの復興に力を注ぎ、治安のために自ら現場に赴き、必要に応じて新たな部隊の設立、人員不足への対応等を行った、と説明した。最高評議会については、凍結された戦闘機人計画を裏で再開したという点に変更されていた。

 

 なるほど、原作の流れを壊さずに戦闘機人を登場させるにはこの流れが最も違和感がない。これが世界の補正というものか。

 

 まぁ俺としては、「レジアスが関わっていた」という事から、「関わっている可能性がある」に変更になり、さらも「証拠もない」という事になっている点に大いに満足している。これで誰もレジアスを責める事が出来なくなり、レジアスの地位は安泰という訳だ。それに伴い俺の現在の地位なども安泰という事だ。もしもレジアスが逮捕や更迭されるような事があれば、俺が進めていた計画は凍結、俺の身の保障もなくなってしまう。それは流石に避けたいイベントである。

 

 またレジアスや最高評議会について3提督が原作キャラクターに対し語るシーンがあるが、それも同じように変更されている。先に言っておくと戦闘機人計画は割と極秘内容が含まれているので、一般回線や、はやて、フェイト等以外の一般職員に話す内容でない。また話の所々に「レジアスは少し強引な所がある」というレジアスを批判する内容が含まれている。現在八神部隊長には反乱を起こす可能性があるため、その防止のため俺が6課に派遣されている。この通信内容を記憶し管理局に報告する義務が俺にはある。例え相手が伝説の3提督であろうと。

 

 

 

 まぁ以前俺と話しをしたいと言っていたので、色々な証拠(部隊壊滅後にアースラーを手配した件等)を手土産に会いに行ってあげてもいい。勿論普通の話し合いで終わるわけではないので、オーリスを従え色々俺の「ONEGAI」を聞いてもらおうと思う。少々彼等にはキツイ話になると思うが、自業自得と思い諦めてもらうとしよう。

 

 ここで何故ジェイル・スカリエッティや原作キャラ達の動きを俺が把握しているのか・・・少し疑問に思うかもしれないが、単純な話で全ての電子機器にハッキングしているからです。彼らの通信回線や、原作組みの周りにある電子機器、過去にメンテナンスと偽って盗聴コードを仕込んだ。そしてそれらから得られる会話や情報をオモイカネで処置、俺に転送している。

 

 何故このような犯罪紛いな行為をしているのか・・・それは状況確認のため。誰が、何処に、何を、どうしているのか、これから、誰が、何処にいくのか・・・それらの情報を収集する。そうする事で絶妙なタイミングでジェイル・スカリエッティの動きを封じる事が出来る。 

 

 

 ジェイル・スカリエッティ side

 

「世界の全てが我々の遊び場だ」

 私は通信を切る。そこへ

「ああ、お帰りウーノ」

「はい」

 戻ってきたウーノから状況報告を受ける。

「トーレとセイン、セッテも戻りました。迎撃準備完了です。クアットロとディエチはゆりかご内に、他の妹達はそれぞれのミッションポイントと地上本部に向かっています」

「ルーテシアにもお願いしたよ。上手く動いてもらうとする」

「騎士ゼストも動かれています・・・予想外の動きをされたら」

「問題ないさ。現在の任務を完了次第、ドゥーエが地上本部へ向かってくれる」

「その件ですが、ドゥーエと連絡が取れません」

「何?」

「どういたしましょう?」

「何、今は大事な任務中だ。任務終了後に連絡がくるだろう」

「分かりました」

 

 

 

 アウイン・アルパインside

 

 俺は首都防衛隊、第6犯罪防止課、そして俺の要請を受け集まってもらった元第6犯罪防止課、計100名の前で

 

 

 「さぁ、われわれのちからを、かんりきょくのちからをなめているばかどもにてっついをくだせ。むずかしいことはいわない。すべてのてきをほばくせよ。ほうほうはとわない。

 

 あいてのにくたいをふみにじれ

 

 あいてのこころをふみにじれ

 

 なめたことをぬかす、ばかなごみぐずたちをきょういくしろ

 

 ごめんなさいしかいえないぐらいとらうまをうえつけろ

 

 しょくん、かんりきょくをしゅごするしょくん、ばかどもを

 

 おろかにもわれわれにたちむかってきたばかどもを、わたしのまえにつれてきたまえ

 

 そしてさいどきょういくしてあげよう。

 

 

 

 にどと、さからえないように」

 

 

 

 物語の終わりが始まった。原作キャラはゆりかごに潜入しようと奮闘する。しかし俺はそんな無駄なことはしない。相手の動きを先読みするため情報を集め解析する。そして結果から最も最適なポイントを探し、そこに部隊を送り込む。

 

 

 見せてあげるよう。これが本当の

 

 

 殲滅戦だ。



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第38話「3分間まってやろう」

見せてあげるよう。これが本当の

 

 

 

 

 

 殲滅戦だ。

 

 

 

 

 

 

「おもいかね?」

「なんでしょうか?」

「すべてのつうしん、かんしえいぞう、GPSしんごう、ありとあらゆるじょうほうをわたしに」

「了解しました。マスターアウイン」

 

俺は待機している部隊へ連絡し、転移魔法の発動準備に取り掛かる。音もなくナンバーズの背後に局員達を送り込み、背後からの不意打ちを実施する。

 

 卑怯?

 

 

 

 犯罪者相手に正々堂々とするほうがバカだ。

 

 

 

 

 

 さぁ二人目の生贄の候補は、外に出ているオットー、ノーヴェ、ウィンディ、ティード・・・

 

 一人目のように情報を全て吐いてもらう。

 

 

 

 

 

 一人ずつ

 

 

 確実に

 

 

 ゆっくりと

 

 

 攫っていこうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノーヴェside

 

 

「なんだ?」

ディ「なんスか!?」

ディー「!!」

 

 幻術バカを追い詰めた時、何処からともなく管理局員が現れた。

 

「こんにちは。我々は首都防衛隊です。今すぐ投降しなさい」

ノ「はぁ?ふざけんなよ!!」

「それでは仕方ありません。捕縛します」

 こいつら強い!!こっちは3人同時攻撃を繰り出しているのにも関わらず簡単に攻撃を回避している。おまけに全然攻撃をしてこない。何考えてやがる!!

「てめぇ!!舐めてるのか!!」

「あまり強くないですね。3対1で私如きに攻撃を当てられないとは・・・あまり遊んでいると怒られますんで、そろそろ終わらせましょう」

 

 目の前の女がポツリと何かを呟いたと思ったら、目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 時間にしてどのくらいだろう。目が覚めたとき、目の前にお嬢様より小さい女の子が写ったモニターがあった。

「おはよう」

「だれだ!てめぇ!!」

「じぇいる・すかりえってぃは?」

「はぁ?」

「じぇいる・すかりえってぃはどこ?」

「言えるわけないだろう。バカじゃねwww」

「のーヴぇ?」

「なんでお前!!私の名前を!」

「のーヴぇ、よくきいて。じぇいる・すかりえってぃのいばしょをおしえて。でないと、わたしはあなたにひどいことをする」

「やれるもんなら!!やってみろ!!」

「わかった。のーヴぇはなにもしないで、ただそこでねていて」

「いいぜ。お望み通りねていてやるぜ」

 

 

 

 

 

 目の前の映像が消えた瞬間、真っ白な部屋の一部に黒い点があった。その点が部屋の彼方此方に現れた。その点は生き物らしく動き回り、やがて部屋の天井、床は黒く染まった。

 

「おい!!マジかよ!!ここから出せ!!来るな!!!」

 その点はやがて俺の体にまで迫ってきた。そして遂に俺の顔に

「きゃあアアアアああアアアア!!!!!」

 そこに

 

「ごきぶりはざっしょく、なんでもたべる」

「てめぇ!!ふざけるな!!ここから出せ!!」

「のーヴぇ・・・もうだいじょうぶ」

「はぁ?」

「もうだいじょうぶ。なにもしんぱいするひつようはないよ。ほかのこどもたちがいばしょについてはなしてくれた。だからもう

 

 

 

        いきるひつようはないよ」

 

 

 

「待て!!」

「さよなら。かれらのえさになってね」

 

 

 

 ゴキブリどもは、俺の体の中を這いずり回った。何時間、何日、何ヶ月、何年たっただろうか。

 

 

 

  ・・・・

 

 

 

  やっと・・・

 

 

 

  死ねる・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう」

 

 

 

 

「え?」

 

 

「じぇいる・すかりえってぃは?」

「え?」

「じぇいる・すかりえってぃはどこ?」

「ちょっと待て!!」

「??」

「さっき・・・おまえ・・・わたしは・・死んだ・・はず」

「ねぇ?のーヴぇ」

「な・・・なんだよ・・・」

「さっき、わたしとはなしをしてから、さんふんしかたってない」

「う・・そ」

「ほんとうだよ。のーヴぇは、ただゆめをみていただけ」

「ゆめ?」

「わたしの、すきる」

「・・・」

 

そして

 

 

 

 

    「しぬのがじんせいでいちどだけって

 

 

 

 

     だれがきめたの?

 

  

 

     

     わたしのしつもんに

 

 

    

     ちゃんとこたえるまで

 

 

  

     なんどでもしんでもらうよ

 

 

     

 

     ほら、いうでしょ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      もう一回遊べるドン♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けてくれ!!」

 

 

 

 

 いやだ!!いやだ!!やめてくれ!!

 

もう眠りたくない!!

 

 

 

 

 

 急に部屋の雰囲気が変わった。先ほどまで白い部屋だったのに

 

 

 なんでまた・・・あそこが黒いんだ

 

 

 

 もしかして!!!

 

 

 

「きゃあアアアアああアアアア!!!!!」

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・

 

 

「おはよう」

 

 

 

「ゆる・・し・・て・・」

 

 

 

「じぇいる・すかりえってぃは?」

 

 

 

 

「おし・・え・・」

 

 

 

「じぇいる・すかりえってぃはどこ?」

 

 

「たす・・・ね・・むり・・・たく」

 

 

 

 

 

 

 また白い・・部屋・・に・・・・くろ・い・点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アウインside

 

いや~、優秀な部下を持つと上司は何もしなくてもいい!!オットー、ノーヴェ、ウィンディ、ティードなんてあっと言う間に捕縛するんだもん。それにしてもナンバーズって思ったよりも弱いのか、それとも私の部下が強いのか・・・捕縛したナンバーズは例外なく、尋問中だ。たった3分の昼寝で数年分の拷・じゃなかった、楽しい体験が出来る。

 

 オットーは、無口で無表情なので、足の裏をヤギに舐めてもらう夢を体験している。彼女もこれで明るい笑顔ができるようになるだろう。

 

 ノーヴェは汚い言葉を使うので、黒い部屋(ゴキブリ部屋)に閉じ込めてみた。彼等に汚いものを食べてもらう夢をみている。これで、彼女も綺麗な言葉づかいになればいいなと思う。

 

 ウィンディって、割と好きなキャラなので、鳥と戯れてもらっている。何となく鳥と一緒に写真を取ったらいい感じの一枚が取れると思った。全身に鳥の餌を塗って、後は鳥さんと戯れる夢を体験している。

 

 ティードも無口で無表情なので、擽り(機械)ってみた。彼女もオットーと同じく、明るい笑い声と笑顔ができるようになるだろう。

 

拷・・・取り調べから、大体10分経過。4人とも3回は夢を見たので、そろそろ素直になった頃合いだろう。

 

 

 

 さぁ

 

 残りは7人

 

 どんな夢をみせてあげようなか♪

 

 

 

 



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第39話「姉より優れた妹など・・・いるんじゃね?」

 

 

さぁ

 

 

 

 残りは7人

 

 

 

 どんな夢をみせてあげようかな♪

 

 

 

 「こちらβ、現在ユリカゴ内部です。現在高町一等空尉及びヴィータ三等空尉もユリカゴ内に到着。ヴィータ三等空尉は敵の攻撃で重症と思われます。いかがいたしましょう?」

ユリカゴに転送した職員より通信が入った。

「とくになにもしなくていい」

「了解しました。バックアップよろしくお願いします」

「うん」

 

 まったく敵の攻撃で重症?撤退しない?敵の不意打ちを受けてしまった事については問題ではないが、どうしてそれを報告しない。敵の捕虜になる可能性は考慮しないのか?どこまで無能なのか・・・それともプログラムだから死なないと?もしもそんな考えを持っているのであれば、一度教育しなくてはいけない。新人職員が真似をしないようにな。

 

 

「こちらα、フェイト執務官が敵と交戦中。2対1で押されていますが、いかがいたしましょう?」

「てきのとくちょう」

「紫のショートカットの女、武器は手足に生えた8枚の羽のような物体で攻撃しています。また近接時に羽のようなもので斬り付けるように攻撃しています。戦闘タイプは近接戦、空戦もこなせています」

 トーレだな

「つぎ」

「はい。ロングヘアーでピンク色の髪をした女で、額を防護するヘッドギアをつけています。武器はブーメランです。割とパワー系です」

セッテだな。原作とほぼ変更無し。

「わかった」

「どういたしましょ?」

「りょうめいとも、きわめてきけん。ほばくほうほうはまかせる」

「了解しました」

 

 トーレとセッテは彼等に任せていいだろうし、彼等のバックアップもオモイカネのみで問題ない。俺も現場に赴き、ジェイル・スカリエッティと再度交渉をしようと思う。彼の方もそろそろ先に捕縛したナンバーズとの連絡が取れない事に気付き、それに伴い、トーレとセッテとも連絡が取れなくなる。この事実からこちらの戦力が、ジェイル・スカリエッティの戦力を大きく上回っていることを認識する。そうなれば無用な犠牲を出さないよう、彼も良い選択肢を選ぶだろう。ただ、彼が無能で合った場合は、夢から覚めるように叩き起こさないといけない。そうならないように願うばかりだ。

 

 

 

 

トーレside

 フェイト嬢をDrが捕縛した。しかし数分後には管理局のウジムシ共が到着した。どうもおかしい。まるでフェイト嬢が捕縛されるのを何処かで監視していたようなタイミングだ。そして

 

「こちらは管理局首都防衛隊αチーム。君らには、テロリズム幇助・管理局魔導師撃墜・その他多数の容疑がかけられている。大人しく投降せよ」

まったく外の連中は何をしている!!ここまでウジムシの潜入を許すなど!!くそ!!死ね!!一人の管理局員に向かって攻撃を仕掛けたが、

 

「あなたには黙秘権がある」

 

 何!!今の攻撃を躱した?どうやって?確実に仕留めたはず。私はもう一度同じ管理局員に向かって攻撃を仕掛ける。先ほどよりも速く、フェイト嬢でも目で追えなかったスピードで、必殺の一撃を繰り出した。

 

 しかし

 

「なお供述は、法廷であなたに不利な証拠として用いられる事がある」

 

 何故?何故避けられる。今の攻撃は全力の一撃だった。それを!!

「セッテ!行くぞ!!」

 セッテとの同時攻撃を繰り出す。これなら確実に殺せる!しかし無常にも私達の攻撃は、男には届かない。そして男は言葉を続ける。

 

「あなたは弁護士の立会いを求める権利がある。もし自分で弁護士に依頼する経済力がなければ、公選弁護人を付けてもらう権利がある。・・・さて、権利の告知は終了した。これより両名の捕縛を開始する」

 

 彼が言葉を言い終えた瞬間、私の体に衝撃が走った。

 

 

「どうだ?呼吸できないだろ?背中を強打した事により衝撃が肺に到達し呼吸が一時的に困難になっている。もう一人のピンクの髪の女もお前と同じ状態を味わっている。余り動かないでくれよ?動かれると転送が面倒になる。」

 

 男の声はまるで子どもに注意するような言い回しで、私達に話しかけてきた。激痛と呼吸困難の状態でも分かる。この男は私達で遊んでいるのだと!!私は最後の力を振り絞り彼から離れようと、起き上がろうとした瞬間

「だから動くなって・・・言ってんだよ!!言葉わからんのか!!」

 

 

 

 男の怒声が私が最後に聞いた言葉だった。そして次に目覚めたと、私の前にはピンクの髪の少女が座っていた。そして

 

「こんにちは」

 なんとも子供らしい声で挨拶をしてきたが、私はこの子供を知っている。

「アウイン・アルパイン」

「うん」

「私に何のようだ?」

「いろいろ、ききたいことがあります」

「私が答えるとでも?」

「こたえるとおもう」

「馬鹿か貴様は」

「せって」

「何?」

「せっては、こたえてくれてる」

「貴様!!何をした?!」

「なにも」

「嘘をつくな!」

「なにもしていない。せってはいま、つみをつぐなっている」

「どういう意味だ!?」

「そのままのいみ。かのじょは、おかしたつみだけ、じゅうじかをせおっている」

「意味がわからん!」

「ならいちど、かのじょとおなじゆめをみるといい」

 彼女の言葉を聞いた直後、凄まじい睡魔が私を襲った。そして気付くとそこは砂漠の真ん中だった。360°全てが砂、砂、砂・・・そして

「何だこれは!!」

 私の背中に何か付いている。背中全体を見ることは出来ないが、断片的にそれが十字架とわかった。そして

「それはじゅじか。それをせおって、このさばくからまちになるところまであるいて」

「はっ。誰がそんな事をするか!」

「あるかないと、10びょうにつき10kgおもくなる。それにいそがないときおんもたかくなる」

「なんだ!!」

 私は最後まで言葉を発せなかった。急に背中が重くなり、のけぞってしまったからだ。

「はやくしたほうがいい。ごーるはちかい」

 

 

 

 

 

 

 

 それからアウイン・アルパインの言うとおり、砂漠の終わりを目指した。しかし歩いても歩いても砂漠は続いた。重い・・・十字架の重さは左程問題ではないが、この砂と気温が厄介だ。砂は歩きにくく、気温は40℃程度まで上昇しているため体力の消費が激しい。休んでもいいが、休むと十字架が重くなる。

 

 

 

 

 

 遂に私も体力が限界となり、砂の上に倒れこんだ。しかしそれは地獄の始まりだった。太陽の熱で熱しられた砂は想像以上に熱く、起き上がろうにも砂のせいでうまく立ち上がる事が出来ない。そうこうしているうちに、十字架は重くなる。何とか立ち上がろうとしたが、私は誤って仰向けになってしまった。こうなるともう身動きが取れなかった。砂の熱で十字架が熱せられ、背中が熱くてしかたない。おまけに太陽の熱が体を焼く。

 

 

 私は長い・・・長い・・・長い間、砂漠で一人体を焼かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう」

 私の前にはアウイン・アルパインがいる。どうして?何故だ?

「どういう事だ」

「?だってさっきはなしてから、3ふんしかけいかしていない」

 バカな!!そんなハズは!!

「そんなハズはない!!私は砂漠でお前の言うとおり、砂漠を歩いた」

「さいごまであるいた?」

「最後などなかった!!貴様!!嘘をついたな!」

「うそ?」

「そうだ!」

「でもせっては、さいごまであるいたよ?」

「な・・なに!?」

「あなたはろくにあるくことなく、あきらめたんじゃない?はずかしくない?」

「き・貴様!」

「いもうとにまけないでね。おねえちゃん」

 

 

 

 

 

 また私の前には砂漠が広がっている。そしてまた背中には十字架が・・・セッテが最後まで完遂しているのであれば、アウイン・アルパインは嘘をついてない事になる。私がセッテより劣っている?そんな事はない!!

 

 

 

 

 

 

 私は歩く・・・砂漠を・・・歩く・・・最後まで・・・・最後まで

 

 

 

 

 

「おはよう」

 

 

 そしてまた最後まで行けなかった。

 

 

「まただめだった?せってはさいごまでいけたのに」

 

 

「まだがんばれるよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねえちゃん」

 

 

 そして・・・また砂漠・・・・・せな・・・じゅ・・じ

 

 



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第40話「あなたの幸せ 奪ってあげる」

 

 トーレ(3) セッテ(7) オットー(8) ノーヴェ(9)  ウィンディ(11)

 ティード(12) 

 

 

 我々の捕縛はまだ続く。原作ではディエチは高町に不意の砲撃を行うが、直撃直前に高町はディエチよりも強力な砲撃で反撃を行い、戦闘不能にする。はっきり言ってしまえば、ほっといても捕縛は容易であるが、相手に我々の戦力を見せ付けるためにも、こちらで捕縛する必要がある。不意打ちの直前に後ろから気絶させれば問題ないだろう。

 

 

 

 

 

 ディエチside

 

 

「あの小さな子のお母さん・・・なんだ・・・・あんたにうらみはないけど」

 私はモニターに写る白い女性の位置を確認し、カウントを始める

「5・・4・・3・・2・・」

 

 

 

 

 

 

 

気付くと私はベットに寝ていた。確か私はユリカゴ内で・・・

 

「でぃえち、おはよう」

「お・・おはよう」

 突然業況がつかめないまま目の前のピンクの髪の毛の少女に挨拶をしてしまった。

「あなたはにききたいことがある」

「・あ・・なんですか?」

「こんかいのさくせんには、すこしぎもんをかんじてた?」

 確かに・・・今回、Drから出された作戦には少し違和感?を感じていたことは確かだ。でも・・・

「・・・」

「ちんもくということは、ぎもんをかんじてたということでいい?」

「・・・」

「そう」

 

 少女はそういって私の頭元に近づいて

「あなたはほかのこたちより、かいぜんのよちがある」

 そして

「だから、あなたは「おかあさん」のきもちをたいかんしてほしい」

「お母さん?」

「そう、おかあさんのきもち」

 

 彼女の言葉を聞いた瞬間、私の目の前が真っ暗になった。そして次に起きたとき

 

「おめでとうございます。3ヶ月です」

「やったなディエチ!!」

 私の前には医師と思われる女性、そして夫と思われる男性が居た。

「あ・・・ありがとう」

 

 

 毎日の食生活、病院でのエコーで自分のお腹の中の赤ちゃんが日々成長していくのがうれしくてたまらなかった。同時に夫である男性も私に対して物凄く気遣ってくれた。つわりが酷いときに家事や食事を進んでやってくれた。どうしてもみかんを食べたいとわがままを言う私のために大雨の中、探して買ってきてくれた・・・そして

 

 

 

 

「おめでとうございます!!女の子です!!」

 

 3,023gの元気な赤ちゃんを私は出産した。名前は■■■■■と命名した。

 

 それから育児を経て、私は仕事を始めた。夫と二人三脚で働き、最初は不慣れだった仕事も段々慣れてきて、仕事を始めて1年後には正社員として雇われた。勿論夫も喜んでくれた。娘の2歳の誕生日にはみんなで旅行にも行った。

 

 

 

 そして娘が4歳の誕生日に私はケーキを買い、帰宅した。この日夫は休みで一日娘と過ごしていた筈なのに家に居ない。何処かに出かけたのかと思い、電話を鳴らしたところ、寝室から電話の音がした。寝ているのだと思い、夫と娘を起こすために寝室に向かった。案の2人共寝室のベットの上に居た。

「あなた、■■■■■も起きなさい」

 いつも2人を起こすとき、直ぐに起きるはずが、今回は中々起きない。

「ねぇ!おきて!!」

 寝ている娘をうつ伏せの状態から仰向けにした瞬間・・・

 

 

「う・・・そ・・・よね?」

 

 娘の体は血塗れだった。

 

 

 

 

 

 

 直ぐに救急車を呼ぶために電話をかけるが、手が震えて中々番号を押せない・・それから私の記憶は曖昧だ。何時の間にか救急車が来て、2人を運び出している。誰かに声かを掛けられたが良く覚えていない。

 何時の間にか病院に居て、女の医師から

「残念ですが・・・」

 

 

「■■■■■■■■■■!!!!」

 

 そのあと管理局が到着して、現場確認して、葬式をして・・・・私は・・・・

 

 

 夫と娘を殺した犯人が捕まった。犯人は上階の無職の引きこもりの男性だった。動機は幸せそうな家族が妬ましかった。との事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故!お前の理不尽な理由で、私達が!!夫が!!■■■■■が、殺されなければならない!!

 

 お前の考えなんか知らない!!私の夫を返せ!!■■■■■を返せ!!

 

 私の料理を美味しいと言ってくれた夫を返せ!!

 

 幼稚園の駆けっこで1位になれたとうれしそうに笑っていた■■■■■の笑顔を返せ!!

 

 私の・・・

 

 

 私の・・・

 

 

 私の幸せ

 

 

 夫の幸せ

 

 

 ■■■■■の幸せ

 

 

 

 返せ・・返せ!!

 

 

 ねぇ!!返してよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すこしはわかった?」

「え?」

「おはよう。めざめはどう?」

 

 

 どういう・・事?

 

「今のは何?」

「いまのはゆめ」

「ゆめ?」

「そう、ゆめ。あなたはゆめのなかでしあわせにすごした。そしてりふじんなりゆうでそのしあわせをうばわれた」

「・・・」

「あなたたちがこんかい、おこなったことで、おなじくなにかをりふじんにうばわれたひとたちがいる。そのきもちが、すこしはわかった?」

 

 

 少女のいう事は最もだ。私達は大なり小なり誰かの幸せを奪っている

「・・・ごめんなさい」

「うん」

「私はもう、理不尽な事で、誰かの幸せを壊したくない」

「いいと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからといって、1かいでおわらないよ?」

 

「え?」

「100にんのしあわせをうばったのなら、100かい、うばわれなければならない

 

 1000にんのしあわせをうばったのなら。1000かい、うばわれなければならない

 

 でぃえち?あなたはいままでなんにんのしあわせをうばったの?

 

 わからない?

 

 

 

 

 じゃあ

 

 

 

 

 

 

 おもいだすまで、うばってあげる」

 

 

 

 

 

 

 

 






 


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第41話「質問?内容も回答も自分で見つけな」

 

 アウインside

 

ディエチ(10)を教育しているうちに、クアットロがヴィヴィオを覚醒させてしまった。予定ではチンク(5)を除いた全員に対し教育を実施する予定であったが、全体的に少し時間をかけすぎてしまった。現状教育済みなのはドゥーエ(2)トーレ(3)セッテ(7)オットー(8)ノーヴェ(9)ウィンディ(11)ティード(12)の計8名しか終わっていない。残りの4名のうち、クアットロ(4)は教育は必須であるため、クアットロを除いたウーノ(1)、セイン(6)、チンク(5)の3名は後日教育を行うこととする。

 

 

「さくせんへんこう。めがねのせんとうきじんをかくほし、そのごのひょうてきを、じぇいる・すかりえってぃのみとする」

「了解」

「ゆりかごないのじょうきょうほうこく」

「先行部隊は3体の戦闘機人を回収し撤退。現在は後発部隊が艦内の監視を引き継いでいます」

「たかまちがわから」

「高町一等空尉は現在、金髪幼女の戦闘機人と戦闘中。ゆりかご最深部に居るメガネの戦闘機人は命令があれば即時確保可能です」

「ふぇいとは?」

「先発部隊が2体の戦闘機人を確保後も未だジェイル・スカリエッティに捕縛されています。先発部隊は手出しせずに撤退しています。現在会話を行っていますが、詳細は不明」

「りょうかい。たかまちがわは、かんしをちゅうだんし、めがねのせんとうきじんをそくじほかく。その後ヴぃーたさんとうくういをかいしゅう」

「了解。しかしヴィータ三等空尉を回収と言うのは?」

「ゆりかごはきどうじょうにあげる」

「よろしいので?」

「じぇいる・すかりえってぃのきょういくのため」

「了解しました」

「ふぇいとしつむかんは、じぇいる・すかりえってぃがわにねがえらないようかんしをかいし。ふしんなこうどうがあれば、そくじほうこく」

「了解しました。手助けしなくてよろしいでしょうか?」

「ふよう。じしんのこころのよわさがまねいたじたい。こちらにはかんけいない。そうでしょ?」

「仰るとおりです」

「では、ひきつづきよろしく」

「了解」

 

 

 

 

 さて、クアットロの教育を早々に実施し、ゼストへの対応に移行しなければ、本当にレジアスが死んでしまう。最後に話をしたとき、少し様子が変だった。

 

 

 絶対死なせない!!

 

 

 

 俺が行くまで

 

 

 絶対死ぬな!!

 

 

 俺の

 

 

 

 老後のために!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 クアットロside

 ディエチの反応が突然消えた・・・最初はただのセンサーの故障と思い、通信を行うも応答なし。艦内のカメラでディエチを探したけど何処にもいない。カメラを巻き戻して確認したところ、本当に突然ディエチは消えた。ただカメラの映像から突然消えた。

 

 

 まぁいいや。ディエチの捜索に時間がかかったのか、先ほどの女が私と陛下がいる部屋の扉を破って突入してきた。

 

 

「いらっしゃい。おまちしてました」

 

「こんなところまで無駄足ご苦労様」

 

「さて、各地で彼方のお仲間は、たいへんな事になっています~」

 私が女に各地で戦闘している仲間の映像をモニターで見せる。しかし

「どうして戦闘が終わっているの?」

 ゆりかごの外、お嬢様、No.13は戦闘を継続しているけど、ノーヴェ、ウィンディ、ティード等が画面に映らない。どうなっているの?

「はっ!」

 私が呆然としているスキをついて女が砲撃を行う。勿論女が砲撃したのは私の幻影。外の様子に一瞬取り乱したが、すぐさま冷静を取り戻して私はゆりかごの最深部から女にモニターで語りかける。

「これを見てもらえますか?」

 私は陛下に電流を流す

「すぐに完成しますよ。究極の戦士が」

 私の言葉で陛下は目の前の女が自分の母親をどこかに隠したと思わせる。そしてそれを信じた陛下は成長した姿で女に戦闘を仕掛ける。

 

 

「その子を止める事が出来たら、ゆりかごもとまるかもしれませんね

 

 さぁ、親子で仲良く、殺し合いを」

 

 

 モニターを消し、偽りの親子の殺し合いをゆっくり見物しようとした瞬間、私は意識を失った。最後に聞いたのは「標的確保」だった。

 

 

 気を失ってから一体どのくらいの時間が経ったのだろうか。私は真っ白な部屋の真ん中に座らされていた。体は椅子に拘束具で装着されており、体を大きく揺らしたが、びくともしなかった。そして私の目の前には一台のモニター?四角いよく分からないモニターがポツリと置かれていた。

 

 

 しばらくして真ん中にある四角モニターに映像が映し出された。

「やったなぁ~」

「負けないよ~」

 白い猫とピンクのアニメが写っている。稚拙な作画、耳障りな声と感情の篭っていない棒読みの声、そして

「仲直り、仲直り」

「ごめんブ~」

 劣悪なシナリオと演出が目に余る。映像が終わりモニターが消えた。開始から終わりまで体感10~15分ぐらいであったが、この環境であればもしかすると1時間以上だったのかもしれない。私は

「私にこれを見せてどうしろっていうの?」

 誰も居ない空間に問いかけたが反応なし。まぁそのうち、あちらから何かアクションを起こすだろう。それまでゆっくりしていればいい。それにしても退屈よね。少しぐらいは・・・少し仮眠をと思った瞬間

「があああああッ!!体が!!!グァ」

 唐突に拘束具が体に食い込むぐらいキツク締まった。体の激痛が走っているさなか、目の前のモニターに先ほどのアニメが写る

 

「やぁ、私はタマ~」

「ボクはブ~太郎だよ」

「ねぇねぇタマ~、あそこに何かあるよ?」

「なんだろうね~」

 

 

 

 

 

 終劇

 

 

「ハァ・・ハァ」

 私を締め上げていた拘束具が緩み、私は大きく息をする事が出来た。しかしまた時間が経過し睡魔に襲われると

 

「かっ!!があああッ!」

 拘束具が体を締め上げる。そしてそれと同時に始まるゴミ動画

 

「やぁ、私はタマ~」

「ボクはブ~太郎だよ」

「ねぇねぇタマ~、あそこに何かあるよ?」

「なんだろうね~」

 

 

 

「やったなぁ~~」

「そっちこそ~」

 

 

「あああ、おねがい  早く・・早く」

 

 

 このアニメはテンポが、限りなく絶望的に悪い。

 

 

 睡魔・・・体を締め付けられる・・・ゴミアニメ

 

 睡魔・・・体を締め付けられる・・・ゴミアニメ

 

 睡魔・・・体を締め付けられる・・・ゴミアニメ

 

 

「お願い!!誰でもいいから何か私に質問して!!お願い!!」

 

 

 

 

 クアットロ?今彼方はこう思っている

 「何故?自分がこんな目にあっているのか」と

 だから誰かに質問したい、そして回答して欲しい。

 

 

 残念でした。

 

 彼方は散々色んな人達の何かを奪ってきた。時には命令、時には気まぐれ・・・

 

 だから私は彼方の

 

「質問するという事を奪う」「睡眠という欲求を奪う」

 

 それらを返して欲しければ、自問自答しなさい。

 

質)どうして自分がこんな目にあったのか

 

A.敵に捕まったから → 不正解

A.拷問されているから→ 不正解

 

 

 正解

 「    」

 

 空白。私にも分からない。だから、私が納得できる回答を考えて。

 

 期間?

 

 大丈夫。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は無限だから

 



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第42話「老化は防げる!」

クアットロを尋・・・ではなく指導したあと、俺はレジアスのもとに向かった。レジアスの部屋に行くまでの間に数名の部下が待機していたため、私が別の配置場所に移動するように命令した。これでゼストによる被害は最小限になり、尚且つスムーズにレジアスの元に到着できる。話し合いの前に無駄な戦闘で冷静な判断が出来ない状態になっては話し合いをする意味がなくなる。

 

 

 レジアスの元にたどり着き、ノックをし部屋の中に入る。そこにはいつものように机に座るレジアス、横には副官のオーリスがいた。しかし何時もと違うところがあった。レジアスの表情だ。いつもの険しい顔ではなく、神妙な面持ちで何かを待っている様子だった。

 

「れじあすちゅうじょう、しつれいします」

「どうした?何か問題か?」

「いいえ」

「では何のようだ」

「もうすぐ、ぜすと・ぐらんがいつ がここにきます」

「・・・」

「しってた?」

「ああ」

「かこ、なにがあったかしらない、でもいまあなたは、しんではいけない」

「そんなつもりはない」

「そう、ならここに、わたしがいてももんだいない」

 

 

 

 

 

 

 

 そして

 

「失礼する」

 丁寧にノックがされてから扉が開いた。ゼスト・グランガイツのご登場だ。

「レジアス。久しぶりだな」

「ああ、そうだな、ゼスト」

「ゼスト・・さん」

「早速お前に問いたい。俺はいい、お前の正義のためになら、殉じる覚悟がある。だが、俺の部下達は何のために死んでいった」

「ゼスト・・・確かにワシはスカリエッティと戦闘機人関係で繋がってきた。8年前お前の部隊が全滅したあの研究所に関してもワシは知っていた。だが信じてくれ!あの日まさかお前達があの研究所を襲撃した事も、部隊が全滅した事も、全て!!後から報告書で知った!」

「そんな話!!信じられるか!!」

 まぁ普通、信じないだろう

「れじあすは、ほんとうにしらなかった。それはほんとう」

 突然の私の発言にゼストはレジアスから私に視線を向けた。

「君は?」

「だい6はんざいぼうしか、あういん・あるぱいん1とうりくさです」

「君が!!君があの第6犯罪防止課のアルパインだと!!」

「そう、せけんにはべつのじんぶつぞうをながしている」

「そうか。では先の言葉の意味はなんだ?」

「れじあすはあなたをまきこみたくなかった。だからあのひのぜんじつに、あなたにべつのにんむをあたえるといった。でもあなたはそむいた」

「確かにそうだ。スカリエッティとレジアスが通じていないかを確かめたかった。だから」

「でもそれがげんいんでぶたいがぜんめつした。たしかにれじあすのあくじはゆるされない。でもそれとあなたのぶたいがぜんめつしたことはかんけいない。すべてたいちょうであるあなたのせきにん」

「・・・」

「かこのすべてのつうしんをかくにんした。れじあすがあなたのぶたいをぜんめつさせるしじはだしていない。これはしんじつ。だかられじあすのことばもしんじつ」

 

「・・・レジアス・・・すまない」

「ゼスト、あの頃のワシは、ミッドのためと称して犯罪スレスレの改革、そして戦闘機人計画をスカリエッティに・・・本当に愚かな行為だった。

 しかし!アウイン・アルパイン、彼女のお陰で目が覚めた。そしてお前と目指した正義とは何かを再認識する事が出来た。だからゼスト・グランガイツ!もう一度ワシと共に正義を!」

「・・・すまないレジアス」

「どうしてだ!どうして」

「俺は8年前殺された。しかしスカリエッティによって人造魔導師として復活したが、当時の技術は不完全だった。だからもう肉体が・・・持たないんだ」

 

 ゼストの言葉を聞いたレジアスは呆然としていた。気持ちは分かる。数年以上会わなかった戦友に会えたと思ったら、もう直ぐ死ぬと告白されれば呆然とするだとう。レジアスのそんな姿を見るのは忍びないので、ゼストに一枚の紙を渡した。そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あなたの体最近大丈夫?

 

 近くの物が見にくくなった 

 

 腰が痛い 

 

 ひざが痛い 

  

 階段を上ると息切れする

 

 

 そんな時、管理局で体の検査をする事で、何が体に不足しているかが直ぐにわかる!

 

 筋肉? ビタミン? 管理局では彼方の健康も守ります

 

 これを機に、体の管理始めてみませんか?

 

 管理局本局受付 0689-15873-69587

 

 

 

 

「「は?」」

 レジアスとゼストは、私が渡した紙を見終わると同時に同じ言葉を発した。

「すこしならじゅみょうをのばせる」

「「本当か!?」」

「ほんとう」

「・・わかった。管理局にもう一度尽くしたい。この体、アウイン・アルパイン一等陸佐に預けたい」

 

 

 

  



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第43話「正義と悪は表裏一体」

 

「・・わかった。管理局にもう一度尽くしたい。この体、アウイン・アルパイン一等陸佐に預けたい。そして嘗てレジアスと共に誓い合った正義を貫き、ミッドに平和を齎したい!」

「・・・せいぎ」

「どうした?」

「ぜすと?わたしは・・・みっどのへいわをねがって、いまのかんりきょくのしすてむをかくりつした。でもそのかていで、どうしてもいのちをおとした、もしくはきりすてたしょくいんがいた。りゆうがなんであろうと、ひとがしんだことにちがいないし、しぬかていでわたしがかかわっているのであれば、わたしもさつじんしゃ。そのひとやそのひとたちのかぞくにとって、わたしは「あく」になる。わたしは「せいぎ」?それとも「あく」?わたしは・・・れじあすやぜすとと、もういっしょにいられない?わたしはすてられる?」

 

 

正義、悪・・・これは難しい問題だ。レジアス、ゼストの正義は、他の者にとっては悪かもしれない。それを突き通すのは争いの元だ。前世、そして現世においても、それは歴史が物語っている。宗教による戦争、主義、主張の違いにより戦争・・・だから俺が目指すのは、平和な世界ではなく、「俺が生きている間に戦争が起こらない世界」だ。そのためには正義などという概念は必要ない。必要なのは「基準」だ。

 

 例えば普通に考えて人殺しという殺人は「悪」になる。私利私欲や自分勝手な理由で殺人を犯す者・・・これらは悪である。しかし30年以上の介護疲れの果てで起こった殺人、意図しない行動で人を殺してしまった殺人。殺人は許されるものではない。しかし殺人=悪とするのは間違っている。もしも殺人=悪であるならば、俺は間違いなく「悪」だ。だから管理局は正義の味方ではいけない、もちろん悪人でもない。

 

 

 勿論この考え方はいずれ破綻する。当たり前だ、自分達に有利な基準を定めてしまえば、自分達に有利な世界を作ることが出来る。そうなれば、管理局の腐敗、もしくは独裁者による独裁政治の完成だ。だが、皆がこの問題点を知っている事で、独裁者等の発生は事前に予防できる。しかし所詮予防策であり、防止策ではない。大きな戦争により、世界が混乱したら、その隙を突けばいい。

 

 

 勿論この基準は基準を定める事で、人々はのびのび暮らせる。勿論「基準」はあくまでも「基準」であり、基準の中にも不完全なもの・・・抜け穴のような事もあるだろう。そこに目をつけ利用する者もいる。でもそれでいいと思う。どんなに完璧なシステムでも不完全なプログラムは発生する。それを皆でどのように改善するのかを考える・・・そして今の管理局はそのシステムの土台をしっかり作っておく。後は未来の管理局員が考えればいい。

 

 まぁ言ってしまえば他力本願な所もあるが、流石に未来のことまでは俺は責任は負えない。そういう事で2人には悪いが「正義」については諦めてもらう。勿論説得には「泣き落とし」という俺にしか使えない武器を使用する事で、中年のおっさん達は見事に撃沈した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、そろそろこの茶番劇を終わらすとしよう。始まりがあれば終わりがある。



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第44話「物語は終わる。夢と共に」

 アウインside

 ジェイル・スカリエッティ側の戦力である戦闘機人の殆どは無力化できており、残るは事件の首謀者であるジェイル・スカリエッティ本人である。現在ゆりかご内にはジェイル・スカリエッティ、機動六課の高町、フェイト、その他数名が居る。戦闘機人達は私の部下が回収し、現在待機中となっている。また原作のように新人がゆりかご内に突入等といったフザケタ展開等は一切ない。

 

 周りからの反発があるのは分かりきっているが、やはりジェイル・スカリエッティを失うわけには行かない。彼の知識、技術は今後私達にとって必ずプラスになるのだから。オモイカネからも反発はあるが、もう一度彼と話をする必要がある。

 

「おもいかね。もういちど、じぇいる・すかりえってぃにつうしん」

 

 

『こんにちは、だい6はんざいぼうしか、アウイン・アルパイン1とうりくさです』

「何のようだい?」

『かんがえは、かわらない?』

「・・・」

『あなたのせんりょくはむりょくかした。それでもあきらめないの?』

「・・・」

『いまなら、わたしのかんしかでほごする。もちろんせんとうきじんたちも』

「・・・」

『そのごは、あるていどのじゆうもあたえる。もちろん、あなたがきょうりょくするというじょうけんで。どう?わるくないはなしだとおもうけど?』

「なら、こちらからも条件を出す」

『ないようによっては、ききいれられないばあいがあるけど』

「それでも聞いてくれないか?」

『わかった』

「・・・彼女達・・・娘達を解放してくれないか?」

『なぜ?』

「なぜって!!・・・頼む・・娘達を解放してくれ・・・たのむ」

『かいほう?かのじょたちは、ただ「おひるね」をしているだけ。かいほうするっておおげさ』

「!!あ・・あれは拷問だ!!」

『ごうもん?』

「そうだ!拷問だ!娘達を見てみろ!!」

『みんなねてる。ときどきおきているこもいる。でもなんだかくるしそう』

「娘達は強制的に眠らされている!!それこそ拷問だ!!君は!私の娘達の人権を踏みにじっている!管理局の第6犯罪防止課であるアウイン・アルパイン1等陸佐は管理局員であるにも関わらず違法行為を行っている!!これは裁判でも通用すると思うが、どうかな?」

 

 なるほど。自分達の犯してきた事を棚に上げて・・・やはり「OSHIOKI」は確定のようだ。

『たしかにごうもんはだめ』

「そうだろ?では、むす『でもごうもんはしていない』なに?」

『よくみてほしい。かのじょたちは、しろいべっとのうえで、こうそくごをつけずにいる。またかんきんやなんきんにならないように、へやのまどはかいほうじょうたい。それでもかのじょたちがあそこにいるということは、じぶんたちのつみをみとめているというしょうめいになる。だからわたしは、だれもごうもんしていない』

「だが見てみろ!あの寝ている時の表情を!」

『ひょうじょうだけでさいばんするの?【はんざいをおかしたむすめたちがかんりきょくにつかまった。こうそくぐもつけず、まどもかいほうじょうたいのへやでねているむすめのひょうじょうがくるしそうだから、ごうもんされている】ってさいばんするの?】

「くっ!」

『すこしはかんがえがかわっているとおもっていたけど、そのようすではこれいじょうのはなしはいみがない』

 

 私はゆりかご内にいる部下にジェイル・スカリエッティを確保するように命令を下した。またその他数名の局員の回収も命じた。

 

「この方法で娘達を回収していた訳か」

『そう』

「しかし彼らは人間かい?」

『どういう意味?』

「このゆりかごには、センサーがいたるところに張り巡らされている。これを掻い潜る事は不可能だ。特にサーモセンサーは何処の世界にあるものよりも高性能な物だ。それに引っかからないという事は、彼らは温度がないということになる」

『だから?』

「結論!彼らは人間ではないということになる。管理局も違法である戦闘機人プロジェクトを行っていたという事になる」

『え?』

「この事実が世間に知れたら、君達の立場はどうなる?」

『せんさーるいは、はっきんぐでむこうかしているだけ』

「え?」

『せんとうがはじまるまえに、はっきんぐしている。わたしがあなたにつうしんしたときには、もうゆりかごのしすてむはわたしのてのなか』

「じゃあ・・・いままでのやってきたことは・・・」

『ちゃばん?』

 

 

 そしてジェイル・スカリエッティは私の元に連行されてきた。彼は始終無言であった。しかしとある報告を聞いた途端彼は語り始めた。

 

『ゆりかごが衛星軌道上に到達まであと60分!』

 

「どうするんだい?このままではゆりかごが軌道上に上がってしまうぞ?」

 

 確かにゆりかごはロストロギアに指定されてその能力も未知数だ。資料には、2つの月からの魔力供給を受ける事で次元跳躍攻撃や亜空間内での戦闘も可能とある。しかしそれは聖王である戦闘機人が居てこそ真価を発揮する。今のゆりかごであれば、言ってしまえば唯の大きな船だ。

 

「アウイン・アルパイン1等陸佐は、ゆりかごを掌握していると思っていているが、それは間違っている。ゆりかごには2つのシステムが存在する。1つはアウイン・アルパイン1等陸佐が掌握しているシステムだ。このシステムはゆりかご内のセキュリティーや玉座に座る聖王の認識等を担っている。しかしもうひとつのシステムは攻撃用だ。先のシステムにも戦闘用のプログラムは存在するが、このシステムは攻撃専用で独立しているためアウイン・アルパイン1等陸佐でも掌握できない。

 起動条件は聖王の消失。解除方法なんて者は存在しない。魔力が尽きるまで果てしなく攻撃を行う。魔力が尽きるのはいつか?2つの月を破壊する事で魔力供給を停止する事が出来る。仮に月を破壊出来たとしても、月を破壊する事で重力、磁場等がミッドチルダを襲う。勿論物理的に破壊する事も可能だ。しかし今の艦隊の数ではまったくと言っていいほど戦力が足りない。あと2個艦隊は必要だ」

 

 有り難いお話どうも。ゆりかごの停止条件の難易度がベリーハードという事がよく分かった。まず後60分で2個艦隊をここまで送ることは理論上不可能。月を破壊する事も不可能。破壊後のデメリットが不確定すぎる。直接乗り込んでシステムを破壊若しくは掌握するのも不可能。そもそも独立したシステムを捜索している間に月の軌道上に到達するだろう。その後のゆりかご内の状態に関しても情報がないため、危険度が高い。

 

 

「まいった。さくせんがうかばない」

「そうだろ?流石のアウイン・アルパイン1等陸佐でも難しいだろう?早くゆりかごを何とかしないと大勢の人間が死ぬ事になる」

「それはこまる」

「そうだろう、そうだろう。困るな。大勢の人間が死に、君達の信用は地に落ちる」

 

 

 

 

 

 

「うん。ほんとうにこまった。今までせかんどぷらんがおもいつかないじょうきょうははじめて。だからこんかいはせかんどぷらんなしの、ぶっつけほんばん」

「な!この状況を打破できるのか?!」

「するの」

「!!!」

 

 

 

 物語は終盤

 

 

 夢はいつか覚める

 

 希望はいつか絶望にかわる

 

 彼方の夢や希望は

 

 私によって

 

 壊される

 

 

 

 

 さぁ

 

 ぶっ壊そう

 

 

 



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第45話「金色の魔王」

 

 

 

 物語は終盤

 

 夢はいつか覚める

 

 希望はいつか絶望にかわる

 

 彼方の夢や希望は

 

 私によって

 

 壊される

 

 さぁ

 

 ぶっ壊そう

 

 

 

 

「おもいかね」

【何でしょうか?】

「みっどちるだぜんいきにつうしん。これよりゆりかごのはかいをおこなう。はかいにともなう、つうしんしょうがいのはっせい、それによるはんざいのはっせいがよそくされる」

【注意喚起でしょうか?】

「そのとおり。かんきはわたしがする。60びょうごにつうしんを」

【了解しました】

 

 

オモイカネとのやりとりを追え、皆にこれからのことを伝える。

 

「きいてのとおり、ゆりかごをはかいします。そのためいまからわたしは、このふねのそとにでます」

「危険では!?」

「やがみさんとうりくさ?」

「は・はい!」

「わたしひとりのきけんと、みっどちるだのぜんじんこうのきけん・・・あなたはどっちをゆうせんする?」

「そ・それは・・・ミッドチルダです」

「あたりまえ。わたしはそのあたりまえのことをする」

「わかりました」

 

 

 

 オモイカネを使用するのは本当に久しぶりだ。それもリミッターが解除されている状態なら尚更だ。恐らく昔高町と模擬戦を行った時以来だ。

 

 

 

 

 

 

『みなさん、こんにちは。だい6はんざいぼうしか、アウイン・アルパイン1とうりくさです。このすがたでみなさんのまえにでるのははじめてであり、みなさんにこんらんというふあんようそをあたえるかもしれませんが、いまはそのきもちをぐっとおさえてください。

 げんざいみなさんもごぞんちとおもいますが、ゆりかごというこだいのへいきがじょうくうにふゆうしています。あとすうじゅっぷんもしないうちに、むさべつにこうげきがおこなわれます。そのばあい、みっどちるだはかいめつじょうたいとなります。そのため、これよりゆりかごのはかいをおこないます。はかいはぶつりてきにおこなうため、みなさんにただいなめいわくをおかけすることを、さきにしゃざいします。

 つうしんしょうがい、そのたぱにっくにじょうじ、はんざいがしょうじるかのうせいがあります。そのさいはかんりきょくにごれんらくください。そうりょくをあげてたいおういたします』

 

 

 

 

 

 俺は艦内でセットアップを行い、そのまま艦外へ出た。宇宙では人は宇宙服がなければ直ぐに息絶える。しかしこのBJは酸素供給、重力制御等のプログラムを追加している。このプログラムは今後艦外での作業の効率化を重視したものだ。まさかこんな所で役に立つとは思ってもいなかった。

 

 

「いくよ。おもいかね」

【了解です。マスターアウイン】

 

 

 これで長い長い物語は終劇だ。

 

 

 

 

 

 

 「やみよりもなおくらきもの

 

 

 よるよりもなおふかきもの

 

 

 こんとんのうみよ たゆいしそんざい こんじきなりしやみのおう

 

 

 われここに なんじにねがう

 

 

 われここに なんじにちかう

 

 

 われがまえにたちふさがりし

 

 

 すべてのおろかなるものに

 

 

 われとなんじのちからもて

 

 

 ひとしくほろびをあたえんことを」

 

 

 

 吹き飛べ、古の骨董品風情が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         「ぎが・すれいぶ」

 

 

 

 

 

 



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第46話「謝罪は遅れると意味を成さない」

「ぎが・すれいぶ」

 

 

 俺の放ったギガ・スレイブはゆりかごを直撃した。直撃と同時に激しい閃光と衝撃が我々を襲った。激しい閃光は俺の視界は一時的にマヒさせ、衝撃は俺を艦から引き離そうとした。しかし幸いにもBJの機能により宇宙外へ飛ばされることはなかった。

 危うく宇宙の藻屑になりかけたがBJの機能により回避出来た。またこの機能が宇宙での作業任務外時の安全性が担保できたという結果も残す事も出来た。これは後でキチンとレポートとして提出しよう。

 

 視界が回復するまでの数分間で俺は今後について考察していた。そして視界が回復し、ゆりかごの状態を確認した。しかし先ほどまで目の前に鎮座していたゆりかごが消えていた。そう文字通り消えていたので。俺は慌てて周りを見渡したが、ゆりかごは見当たらなかった。

 

 どういう事だ?ゆりかごのシステムはある程度把握していたが、攻撃時に自動転送システムなどはなかったはず・・・まさか俺の把握していないシステムが?やはりもう少しゆりかごのシステム把握に時間をかければよかったか?いや待て、ゆりかごがもしも自動転送されていれば、その痕跡が残っているはず・・・オモイカネに画像解析と魔力解析を至急依頼し、居場所が判明次第俺の部隊を向かわせよう。地上への被害に関しては俺だけの首では責任は取れない・・・

 

 

 

 マイナスの事を考えている内に通信が入った。それは艦内で待機している部隊の副長からだった。

『一佐ご無事で?』

「もんだいない。ゆりかごは?」

『はい一佐。消滅しました』

 

 

 

 は?消滅?

 

 

 

「しょうめつ?」

『はい一佐。完全消滅です』

「そう。それで?」

『え?』

「ゆりかごがしょうめつした。それで?」

『いえ・・・あの・・・』

「しょうめつしたのであれば、つぎはひがいかくにん、ほうこく」

『はっはい!一佐!申し訳ありません!』

「めのまえのてきがしょうめつしたからといって、ひがいはしょうめつしない。いそいで」

『了解しました!』

 

 

 俺はまったく悪くない副官に被害状況の報告と言う、結構時間が掛かる命令を出し、その間今の状況把握に努めた。そもそも消滅って何よ!破壊とかじゃなくて消滅?あのゆりかごが?あんな大きなものが消滅?何?ギガスレイブって思ってたよりもヤバイじゃん。俺の目標の1番である管理局での監禁生活阻止が事実上阻止不可能になってしまった!!

 

 

 

『一佐!報告します!』

「おねがい」

 今後の自分の立場について考えている間に、副官が報告してきた。恐らくオモイカネが気を使って情報をまとめ、伝えたのだろう。

 

『はい一佐。予め一佐が地上全域に注意喚起を行っていたため大きな犯罪等は生じていません。逆に一佐がゆりかごを消滅した際の閃光と衝撃で被害が生じています。閃光による一時的な視力障害による交通事故、転倒、転落等による負傷者120名となっています。衝撃に関しては、我々が居る艦隊内で、転倒、転落、落下物による負傷等により負傷者85名となっています』

「・・・わたしのせい?」

『はい、いいえ一佐・・・仕方のない被害かと・・・』

「それでもげんいんはわたし」

 

 

 ごめん!副官!ちょっと時間頂戴!!数分でいいから!この状況をなるべく穏便に収める方法考えるから!

 

 そして俺に救いのヒーローが舞い降りた(お助け料10億万円というブタではない)

 

『一佐!!』

「なに?」

『一佐の髪の毛が!』

「かみ?」

 

 

 

 

 

 『白髪になっておられます!!』

 

 

 

 

 

 

「そう」

『はい、いいえ一佐!!今すぐ医務室に!!』

「ふくかん」

『はい!一佐』

「いまからかんないにもどります。おもいかねにちじょうぜんいきへのつうしんをよういしておいてと」

『はい。しかし一佐!』

 

 

 

 

 

「ふ・く・か・ん?」

『!!!』

「ふくしょうしろ」

『はい一佐。オモイカネに地上全域への通信を用意するように伝えます』

「おねがい」

 

 

 

 

『だい6はんざいぼうしか、アウイン・アルパイン1とうりくさです。さきほど、こだいへいきであるゆりかごのはかいにせいこうしました。またみなさまのごきょうりょくのおかげで、はんざいなどはしょうじていない、ということもかくにんできました。みなさま、ありがとうございました。

 しかし、ゆりかごはかいじのこうげきにより、せんこう、しょうげきがしょうじ、そのえいきょうで、たすうのふしょうしゃがでてしまったことはたいへんもうしわけありませんでした。さくせんりつあん、しきをおこなっていたわたしのせきにんです。このばをかりてしぁざいいたします。こんごさいはつぼうしにつとめさせていただきます』

 

 

 最後にぺこりと頭を深く下げる。

 

 

 

 どうよ!!先ほどまでピンクの髪の毛の子供が白髪になって謝罪する。そして最後に子供らしさを少し見せる子供ッポいお辞儀・・・これなら世間はある程度許してくれるはず!!

 

 

 しかし救いのヒーローの登場はそこまでだった。深く下げた頭を上げようとした瞬間、俺のしかいは「ぐにゃり」と歪む。まわりから聞こえてくる慌しい声、足音を尻目に私は意識を手放した。

 

 

 

 

 そうか

 

 

 

 魔力枯渇による意識消失だな。

 

 

 

 

 




次回予告

 意識を消失した一佐は病院で検査を行った

「やっぱりむり?」
「はい一佐。一佐の体は徐々に・・・」
「そう。もってどのくらい?」
「もって1ヶ月」





「アルパイン一佐!!貴様が魔力を使えない事は分かっている。死ね!!」




「何故魔力が使える!どうして!」


「まりょくがつかえないのではなく、つかうとからだにげきつうがはしるだけ。
それをがまんしたらつかえる」

「激痛だと?なら貴様を嘘を付いている!!激痛であれば何故平然としている!?」


そっと耳元で囁いてやる
「どんなときでも、じょうかんは、ぶかのまえではへいぜんとしているもの」




「一佐!魔力使用は控えてください!!」
「わたしのいのちは、さいごまでかんりきょく、いっぱんしみんのためにつかう」












「ふくかん」
「はい、一佐」
「もうよる?」
「はい・・・いっ・さ」
「そう。どうしてないてるの?」
「・・っ!」
「そう、いまはよるじゃないのね。これであとはちょうりょくだけ」
「っ・・一佐!!」
「どうしたの?」
「失礼を承知で伺います。最後に何をされたいですか!?」
「かんりきょく、しみんにこうけんしたい」
「もう一佐は十分貢献されました。さい・・ご・っ・最後の時間は自分のためにつかってください!!」
「そうか・・・じゃああそびたい」
「遊び?」
「かくれんぼ?がしたい」
「かくれんぼですか!わかりましたいますぐ「ふくかん」なんでしょうか?」







もういいかい?



もういいかい?



ふくかん


いままでありがとう


いつかまた、わたしをみつけてね















この時一つの時代が終わりを告げた




次回無表情、無感情で行くリリカルなのは




第47話「妖精、還らず」




銀河の歴史が また 1ページ


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第47話「終活」

 

この脱力感・・・魔力枯渇による意識消失だな。俺はそんな事を考えながら意識を手放した。

 

 

 

 時間にしてどのくらいだろうか・・・俺は意識を取り戻した。状況を確認したところ2日経過しているとのことだった。流石に今回は魔力を使いすぎた事を泣いている母親見ながら後悔した。2日間も寝ていたわりには脱力感と眠気は改善していなかった。そのため検査を勧められたが要らぬ心配は不要と断りを入れた。直ぐにでも仕事に復帰したい思いをレジアス中将に申し出したが、まだ休養するようにと強制的に5日間休みを取らされることになった。休みといっても俺の殊遇はゆりかご事件が始まる前は管理局での軟禁(仮)と魔力リミッター装着であったが、今回の件により事実上の管理局での軟禁及びリミッター装着となってしまった。軟禁といっても部屋から出ることが許されない・・・というわけでなく、普通に食堂やジム等の施設も利用可能であり、申請があれば監視つきであるが外出も可能である。

 

 

 休みに突入したがやはり管理局内ですることが余りなく暇を弄ぶことになった。暇つぶしに体力測定を行い、結果以前より数値が著しく低下していた。勿論数値が低下した原因はギガスレイブであることは明白である。やはり俺の体に代償の異常が生じているのは明確であろう。現場に復帰前に検査を行い原因箇所を特定し治療しなければ復帰後に倒れてしまい、周りに迷惑がかかり要らぬ心配をかけてしまう。

 

 

 管理局の医療班に話をつけ検査を行った結果、俺のリンカーコアは現在異常活性していることがわかった。リンカーコアは大気中の魔力を体内に取り込んで蓄積する、体内の魔力を外部に放出するという役割があり、現在俺のリンカーコアの状態は蓄積しすぎているとのことだ。要約すると、放出と蓄積の比率が蓄積寄りに大きく傾いており、このまま体内に蓄積されると蓄積量がオーバーとなる。そうなると魔力が体内に悪影響を及ぼし、最悪の場合死亡する。過去にリンカーコアについて検証した際、ある程度の症例は調査したが、このような症例はたった1例であった。勿論その症例の患者は死亡していた。死亡原因は、呼吸困難及び心不全であった。恐らく魔力が体の筋肉組織もしくは運動神経を低下させたのであろう。そして発症から約半年で死亡していたことから、恐らく俺の余命も半年と推測された。

 

 

 俺がこの世に生を受け約12年・・・はっきり言って未練はある。

 

 結婚もしていない

 

 現在の管理局についてもまだまだ改善箇所を残している

 

 ロマン武器もまだまだ作成途中

 

 ・・・・・・

 

 ・・・・・ 

 

 ・・・・

 

 ・・・

 

 ・・

 

 ・

 

 

 

 

 まぁ仕方ない。そもそも俺はこの世界でいえばイレギュラー的な存在。俺の介入により本来は活躍しなかった人間、死んだ人間、生まれていなかった人間が居る。ならばそれらの人間にあとを任せて潔く死のう。勿論後半年間できっちり教え込むし、ロマン武器の作成は進めていく。

 

 

 

 自分の中で今後の整理できたのでレジアス中将に検査結果及び症例に対する治療方法がない事を伝えた。レジアス、オーリスは突然の事で頭での処理が追いつかないのかフリーズしている。そのまま話を続けようと言葉を続けようとした時、フリーズから復帰したオーリスに腕をつかまれ

 

「何をしているの!!早く入院して安静にしないと!」

 

 だから俺の症例に対する治療法は確立していないといっているのに

 

「だいじょうぶ、わたしはたすからない」

「わからないじゃない!!今まで貴女は不可能を可能にしてきたのよ?まだ探していない文献や世界があるかもしれないじゃない!!何勝手に諦めているのよ!!」

「わたしのいのちで、こんごおなじびょうじょうをはっしょうしたにんげんをたすけることができるなら、わたしはぜんりょくでそれにとりくむ。おーりす、わたしはもうたすからない、それはかえることのできないじじつであり、れじあす、おーりす、わたしのははおやがうけいれないといけないじじつ」

「で・・でもなんであなたが・・・なんで」

 オーリスは私の肩を掴みながらひざから崩れ落ちた。レジアスは私を見ながら、

「お前の好きにしろ。今から半年間はお前は自由だ。何かする時は私の名前を使え」

「中将!!そんな言い方!!アウインは!!」

「オーリス、落ち着け。アウインにはアウインの考えがある。それに・・・私がお前にしてやれることはこれぐらいだ。

 

 

 

 アウイン・アルパイン准将

 

 

 最大限結果を出せ、それが管理局における最後の命令だ

 

 結果を報告後、貴様には新たな命令が出されるまで待機を命じる

 

 分かったな?」

 

 

 この命令はレジアス中将からの直々の命令となる。そうなれば何かトラブルが生じた場合においても相手が引く事になる。流石に権力で解決するのはどうかと思うが、半年という短期間で結果を出すために必要な事なんだとう。そうとなれば最大限有効活用させてもらう。その後の待機は、俺の体調面での考慮だろう。体は動かす事も出来ず、呼吸も人工呼吸器が必要になり、経口摂取も出来ず、点滴での栄養補給になっている。勿論俺に対して殺意を持っている人間もいるため、警護の面でも管理局での待機が効率がいい。俺はレジアスに敬礼し部屋を後にした。あとから聞いた話であるが、俺が退室したあとレジアスは声を荒げて泣いていたとの事だ。

 

 

 

 

 

 その後両親に自分の状況と今後のことについてを説明したのだが、2人とも大反対された。もう管理局を辞めて自分達と一緒に居て欲しいと泣いて懇願されたが、自分は管理局の准将であり、上官の命令に従う必要がある。半年後に死ぬからといって命令を無視するという事は現場の人間にも同じことが言える。彼らは1分、1秒後には命を落としている可能性があるのだから。両親を半ば無視するような形で家を出た。

 

 

 今後俺は自分自身の命を自分で守ることができなくなる。まだまだ俺に恨みを持つ犯罪者は五万と居る。彼らが俺の病状を知れば必ず手足が動かない状態になってから狙ってくる。そうなると周りへの被害が大きくなるし、俺の警護に職員をつけることで、街の警備に穴が空く。それで犯罪率が増加傾向を示したのであればレジアスの評判も悪くなる。これらを解決するには犯罪者を一網打尽にする。短期間に職員の教育を行う。何~簡単簡単。

 

 

 アウインにお任せってね

 

 

 



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第48話「リサイクルという人事異動」

 

 

 

俺の体が動かなくなるまでに何としてでも戦力の確保が必要になる。余命が半年であれば、あと3ヵ月後には体の機能が著しく低下する。そんな短期間で戦力をどのように確保するのか、勿論現場以外から戦力を確保しなくてはならないといった無理難題が立ちはだかる。しかし、実はそんなに難しいことではない。なぜなら既に我々はまぁまぁ戦力となる人材を確保している。また俺の体について調査を行う上で人体、魔法、DNA関連に詳しい人物も我々は有している。有しているというよりも捕縛している。

 

 

 

 

「君が死ぬって?」

「そう」

「だから助けろって?」

「ちがう。あなたたちのせんりょくをかりたいだけ」

 そう捕縛した戦力とはジェイルスカリエッティ及びナンバーズのことである。先の戦闘で各々の戦力は調査済みであるので、あとは再犯防止の教育プログラムの検討と再犯時の罰則について検討するだけだ。勿論既に教育プログラムの作成と派遣場所の選定、指導教員の選定と許可はもらっている。再犯時には俺が過去に行った「教育とは恐怖心を植え付けること」をそのまま提出したらあっさり申請が通ってしまった。

 

「僕らが君に協力すると思うかい?」

「おもう」

「なぜだい?」

「これからあなたたちにかせられるばつは、あなたたちがおもっているよりもきびしい。でもわたしがていじするじょうけんは、それよりもはるかにやさしい」

「嫌だといったら」

「べつに」

「では、こちらとしては協力はしない」

「きょうりょくするじょうけんのなかに、わたしをすきにしてもいい、そういうこうもくがあっても?」

「どういう意味だい」

「ことばとおり。ていじするじょうけんのなかに、わたしをすきにできる。というじょうけんがふくまれている。どう?せかい、いえ、このじげんにおいてただひとりのろすとろぎあきゅうのちからをもつにんげんをすきにできる。あなたにとっては、さいこうのじっけんたいとおもうけど?」

「流石にそれは無理だろう?なんたって君の周りの戦力は強大だ。下手な事をして、殺されるのは目にみえている」

「じゃあ、あなたは、わたしのしゅじい。そうすれば、たしょうのじっけんは、ちりょうといいはれる」

「なるほど・・・そこまで切羽詰まっているということかい?」

「そう」

「即答かい。あの天下のアルパインが、犯罪者の私に助けを乞うとは。これは何とも気持ちいいね」

「・・・」

「嫌味の1つや2つは言ってくれないと張り合いがないね」

「わたしはもうすぐしぬ。でもしぬまでにしたいことがある。それはこれからのせかいにはひつようになるとおもう。だからしゅだんはえらばない。もうかくごはできている。だからひっしにいま、わたしはみらいのためにうごく。へんじはいまきく。きょうりょくする?しない?」

「・・・」

「・・・」

「分かった。快く協力しようじゃないか。断ると娘たちがまたひどい悪夢をみるかもしれないしね」

「けんめいなはんだんをかんしゃします。じゃあいこう」

「??何処へだい?」

「ほんきょく。そしてむすめたちのところ」

 

 

 ジェイルスカリエッティの釈放に関しては既に許可は得ている。協力しようが、しまいが、彼はこの留置所を今日中に出ていく予定だった。勿論非協力であれば、彼は二度と・・・いや、これに関してはもうかたる必要はない。あとはナンバーズが収監されている留置所にいって、ジェイルスカルエッティから協力するように説得してもらうだけだ。勿論私が言ってもいいのだが、何人かは私の顔をみるだけで、一時的にパニック障害になる。そうなると貴重な時間が無意味に消費されてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第49話「妖精、還らず」

 

 ナンバーズにはジェイルスカリエッティから今までの経緯及びこれからの予定を伝えてもらった。勿論全員がすんなり納得したわけではなく、数名俺への憎悪が未だ消えず非協力的な態度を示した。初めから全員が納得するはずもなく、非協力的な者に対しては、今後死ぬまで外の世界との情報を遮断した状態で過ごしてもらうことになっている。追加の処置として俺の能力により常に悪夢を見続けるというおまけ付だ。後から聞いた話ではこのおまけの話をした瞬間に、非協力的な態度をとったものは、全力で俺に協力すると態度を180度変えたそうだ。

 

 ナンバーズ及びジェイルスカリエッティの協力が得られたところで、俺の計画はほぼ完了した。残すはナンバーズの戦力底上げ、ジェイルスカリエッティと今後の治療計画もとい、俺への人体実験計画の最終打ち合わせ、各部署へ俺の病状について報告する。以上3点を行い、俺の計画は完了する。

 

 3点の内2点は説明したが、残りの1点に関してはまだ説明していなかった。何故俺の病状を報告する必要があるのか・・・それはスパイの炙り出しのためだ。過去殆どの素行不良な職員への処罰は行った。しかし時間が経てば、また同じことを繰り返すバカは現れる。だから部署ごとに微妙に報告する。その内容をテロリストに流す。テロリストが活動し、逮捕後尋問時に情報の内容を聞きだし、情報内容から情報漏洩を行った部署が特定可能となる。あとは対象部署の職員の通信記録を洗えばスパイが判明し処分する。 自分自身をエサにする事で、スパイの炙り出しテロリストの逮捕する。俺自信に敵が向かってくることから、周辺への被害も最小限に抑えることが出来る。

 

 

 

 粗方準備が整ったところで俺は計画を実行した。人体実験という名の治療は苛烈を極め、あの人格破綻者であるジェイルスカリエッティですら、ドン引きしていた。まず俺のリンカーコアが現在異常活性しているので、あえて沈静ではなく活性化させてみた。活性化のため外部から魔力の過剰供給、反応がなかったためリンカーコアを意図的に破損させ、再度刺激を与えた。結果はよりリンカーコアが活性化しただけであった。仕方ないのでリンカーコアの80%を取り除き沈静させたが、結果は俺の短い命が更に短くなりかけた。取り除いた80%の部分は驚異的なスピードで再生された。

 残念ながら大小いくつかの実験を行ったが何一つ俺の症状は改善しなかった。少し早いが俺への治療は終了とし、残り短い余生を過ごすことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 副官side  【第19話「JS始まります」】参照

 第6犯罪防止課でアルパイン准将が1等陸佐であった頃より副官として側にいた。准将は昔から言い出したら聞かないところがあった。最初の印象は可愛らしい少女、指導後は悪魔、副官となってからはヤバイだった。そして今の准将の印象は我侭な14歳の女の子だ。余命が半年と聞いたときは耳を疑った。しかしその話は本当であったため、残りの余生は親元でゆっくり過ごすように提案したが、あっけなく却下された

「わたしとおなじやまいにおかされるひとが、こんごでるかもしれない。そのためにはわたしが、ちりょうにこうけんするひつようがある。だからゆっくりやすむひつようはない」

 

 しかし治療と聞いていたが、実際に目にした光景は唯の人体実験・・・いや拷問だった。リンカーコアへの刺激はまだいいとしても、魔力の過剰供給やリンカーコアの意図的な破損は死ぬよりも苦痛なはずだ。それをたかが14歳の女の子が耐えている。主治医であるジェイルスカリエッティは数々の違法実験を行っている犯罪者であるが、その犯罪者ですら一歩引いているような治療方法だ。しかし用意した治療方法では効果が出ないと言う事で、当初予定していた治療期間3ヶ月から2ヶ月へ短縮された。治療終了後でも准将のリンカーコアの異常は変わらず魔法を使用する事で、全身に激痛が走る。激痛だけでなく、全身から血液が吹き出る症状も最近見られるようになった。

 治療終了後から数日後に准将を狙うバカ共が現れた。我々が対処すると申し出たが、准将は頑なに自分が対処するという事を聞かなかった。

 

 

「アルパイン!!貴様が魔力を使えない事は分かっている。死ね!!」

 本当に何も分かっていない。そんなバカ共に准将はスキルを使用し、捕縛した。

「何故魔力が使える!どうして!」

「まりょくがつかえないのではなく、つかうとからだにげきつうがはしるだけ。

それをがまんしたらつかえる」

「激痛だと?なら貴様を嘘を付いている!!激痛であれば何故平然としている!?」

 准将はバカにそっと近づき耳元で囁く。

「どんなときでも、じょうかんは、ぶかのまえではへいぜんとしているもの」

 

 

 

 これがアウイン准将

 

 どこまでも残酷

 

 どこまでも冷酷

 

 どこまでも勇敢

 

 

 

 

 

 そう、これがアウイン・アルパイン!!

 

 

 しかし最強と謳われる彼女も病には勝てなかった。余命3ヶ月を過ぎた辺りから、病状が悪化し、歩行困難、食事摂取不足による体調不良などにより寝たきりとなった。寝たきりとなった彼女を殺そうとするバカ共は相変わらず定期的に現れる。それらに対してはナンバーズで対応した。准将の命令で一時的に第6犯罪防止課で勤務したお陰で戦力が40%上昇した。

 

 

 そして

 

 

 

 訪れる

 

 

 

 終わりの時

 

 

 アウイン准将希望により、家族には自分の最後を見て欲しくない、生きている時の自分の姿を最後にしたいという希望により、最後に見取るのは私を希望された。准将の両親に挨拶を行い「お願いします」と泣き崩れた母親を父親に預け、病室へと向かった

 

 

 

 

 

「ふくかん」

「はい、准将」

「もうよる?」

 ここに来て視力も・・・

「はい・・・准将」

「そう。どうしてないてるの?」

「・・っ!」

「そう、いまはよるじゃないのね。これであとはちょうりょくだけ」

「っ・・准将・・いえ!アウイン・アルパインさん!!」

「きゅうにどうしたの?」

「もう准将と呼ぶのはやめます。今は一人の少女として、彼方に聞きたいことがあります。失礼を承知で伺います。最後に何をされたいですか!?」

「かんりきょく、しみんにこうけんしたい」

「もう十分貢献されました。さい・・ご・っ・最後の時間は自分のためにつかってください!!」

「だめ、わたしは、たくさんのものをうばった。わたしがうしなった、しりょく、しょかくなんて、いままでうばってきたりょうにくらべれは、ささいなりょう」

「ですが!彼方はそれ以上に与えました。しかしそれは傲慢です。何を失わずに、何かを得よう等傲慢です!!それこそ子供の我侭です!!」

 私の言葉にアウインは見えない目を丸くさせた。そして

「そうか・・・わたしは・・・もうやすんでもいいんだな。だってこんなにもゆうしゅうなぶか・・・いや、ゆうしゅうなしょくいんがいるんだもの・・・まったくわれながらふがいない」

「そんな事はありません。全てはアウインのお陰です」

「ありがとう」

 

 

 

 その時・・・アウインが一瞬笑った。

 

 

「・・・その笑顔が・・・」

「え?」

「笑えています!アウイン!!」

「わたし、わらえてる」

 

 

 

 神が居るのであれば、今この時、彼女に感情を与えてくれたことに感謝する。勿論この笑顔はオモイカネ端末で高画質保存だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきのはなしのつづき・・・あそびたい」

「遊び?」

「かくれんぼ?がしたい」

「かくれんぼですか!分かりました!!今すぐ全員を「ふくかん」何でしょうか?」

「わたしがかくれたあと、かならずみつけてくれる?」

「勿論です!!全員で!!第6犯罪防止課全員であなたを探します。そして、また一緒にあなたと現場で・・・あなたの指揮下に入りたいです!!」

「そう、じゃあ・・・はじ・・・めよう・・・か」

 

 

 

もういいかい?

 

 

 

もういいかい?

 

 

 

ふくかん

 

 

いままでありがとう

 

 

いつかまた、わたしをみつけてね

 

 

 

 

 

 

 

 

 6月1日 2:55

 

 アウイン・アルパインの人生は13歳で停止した

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時一つの時代が終わりを告げた

 

 

 

 銀河の歴史が また 1ページ

 

 

     

 

 

       



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第50話「最終話 彼女は○○○!」

初投稿 2016年06月18日(土) 17:10

??

今は2022年12月・・・書き始めるが、まとまらず


 

 

 アルパイン准将死後数年後

 

 副官side

 

 

 

 アルパイン准将の死後にはテロが数回発生した。准将死後の混乱をねらってのことであったが、流石に我々も抜かりはない。テロが発生する事は織り込み済みであったため、テロは数日と掛からず鎮圧された。勿論首謀者には重い罪が課せられた。

 

 また管理局のシステムに関しても問題はない。准将のデバイスであるおもいかねをベースとした管理AIを導入する事で、おもいかね一括で管理していた面を個別で管理することにした。勿論一括であれば情報共有などの手間が省けるが、流石に准将のようにはいかない。そのため分割し複数のデバイスで分割管理することになったのだ。

 

 

 

 准将は若者、主に15歳未満については、管理局に入職せずにテスト生として管理局で勉強しつつ働くシステムを構築した。これによりテスト生は上司と部下について、戦闘についての訓練等を行い、最終テストを経て入職し現場に派遣された。現場の指揮官からはかなりの好評であり、死傷率はシステム導入前と比較し大幅に低下した。勿論中には暴走する者もいるが、そのような者は問答無用でテスト生に戻された。

私は准将が残したシステムを維持するだけで精一杯であったが、周りは私をしっかり評価した。中には准将のことを知らずに私が考案したかのように評価する。それが私には我慢できなかった。だからしっかりと誰が考案し、広め、運用し始めたかの本を執筆し、管理局の管理する世界で販売し、その印税を未開発世界での活動資金とした。また一部を殉職した職員の家族への見舞金とする事とした。過去准将の下で育った一部の職員からは准将を使った資金集めに反対意見を唱えたものが居たが、資金の流れをしっかり把握し、定期的に開示する事で一応の納得は得られた。

 

 

 その後准将が残したシステムやそれに対しての追加のシステムを構築し、多少なりとも私も評価され、退職時には准将よりも上の大将までに昇格した。そして定年退職となり、私も隠居生活を満喫し、息子や孫達に見取られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------------------------------

 

「起きろ」

「・・・・」

「起きろ!副官!」

「・・・な・ん・・だ?だ・・・れだ?」

 

 副官?なんだか懐かしい・・・副官なんて呼ばれたのは何年ぶりだ。

 

 

「ふく・・かん・・だと?」

「何を寝ぼけている?一佐に報告するぞ?」

 

 

 一佐?一佐だと?彼女は准将のはず・・・

 

「一佐?」

「はぁ・・・・」

 

 私に声をかけてきた人物は私と同期であった人物で随分前に退職し病死したはず・・・

 

「一佐!!一佐!!副官殿が寝ぼけてます!!」

 

 

 ??まったく訳がわからない

 

 

 

 

 

「ねぼすけは、どこ?」

 

 な・・懐かしい声が聞こえる。思わず

 

「准将・・・」

 

「はぁ・・・ほんとうにねぼすけ?」

 

 

 彼方にもう一度・・・もう一度あって・・・彼方と共に・・・

 

「ふくかん?わたしはいっさ、じゅんしょうじゃない。そろそろおきて、しごとする」

「申し訳ありません。なんだか・・・なんだか・・・いえ、もう大丈夫です」

「そう、じゃあ、そろそろてきのせんめつ、はじめようか」

「は!」

「てきはかんりきょくにたいして、うらみがある、もとしょくいん」

「捕縛後は?」

「にどとこんなことをおこさないように」

「わかりました」

 

 

 

 そして彼女の後ろ姿を見つつ私は思う

 

 

 

 

 

 

 

 彼女は最高よ!

 

 




2023年3月11 完結


長い長い間、お世話になりました。最後はやっぱりこのセリフと思っていました。

最後の話をどうするか悩みましたが、このような駄文で本当に申し訳ありませんでした。また何かを書くかもしれませんが、その際、ご指導ご鞭撻よろしくお願いします。


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