神代凌牙はデュエルをしない (さらさ)
しおりを挟む

序、神代凌牙を取り巻く環境
1/神代凌牙は回想する


ここの凌牙はデュエルをしないのでⅣとのいざこざがあった大会には出場していません
出場してはいませんが……
この回はオール回想です


神代凌牙が前世の記憶を思い出したのはまだハイハイをするかしないかの瀬戸際の年齢のころだった

最初思い出した頃はパニックになったりもしたが今はもう己の運命を受け入れている

それから不自然にならないように年を重ねていく過程で神代凌牙は重大なことに気が付いた

 

(……あれ?ここ遊戯王の世界じゃね?)

 

テレビを見ればやれプロデュエリストの試合だの新パックがなんだのとみればいやでもわかる

そんな感じで毎回テレビはデュエルモンスターズ関連を放送していたが凌牙は何の反応も示さなかった

確かに前世で遊戯王を知っていたとはいえ実際にやっていたわけではないし、アニメだって初期の遊戯王にGX、その次にやった5Dは最初の方にちょろっと見ただけでゼアルでは見てすらいない

アークファイブになってから欠かさず見ているとはいえ、周りにデュエルをやる人なんていなかったし、自分もカードを買って眺めているだけで十分だった

だから遊戯王の世界に転生したとはいえ別にそこまで心躍ることはなかった

そんなことよりも可愛い双子の妹と両親と幸せに暮らせている方がいい

幸せなんでし別にデュエルしなくてもよくない?

こんな感じで平凡な家庭で暮らしていたが、両親が事故にあってから生活が一変した

ハイエナのような親戚から必死で妹と我が家を守ったりなんやりかんやり

これでも精神年齢は高いほうなだから貴様らの思惑なんぞお見通しだぞこの野郎(憤怒

妹……璃緒の事を下賤な目で見る奴らなんぞ信用できるか!

 

そんなこんなでなんとか我が家や両親が残してくれた遺産。璃緒の貞操(←重要)をしっかり守った、俺超がんばった

そんなことがあったせいか璃緒がデュエルにのめりこんでいった

曰く「凌牙に守ってもらったんだから、私も凌牙を守りますわ!」とのこと

うちの妹が可愛い(確信)

でもまぁデュエルで守るって選択はあながち間違いではない

ここが遊戯王の世界である以上ここではデュエルがすべてだ

何かの道理を通したければデュエルをするのが手っ取り早い

そんなこんなあって璃緒はデュエルを学び始めた

俺はというとそんな璃緒を隣で見ている、あとはせいぜいパックを一緒に買うくらいだ

璃緒はそんな俺をとがめないし、そのままでいいと言う

あれかな、守りたいお年頃なのかな

 

 

 

ある大会に璃緒が出場することが決まった、さすが俺の妹

町中が大会のフィールドになるらしい、さすが遊戯王世界、規模が違う

そんな町中で俺は璃緒を探して歩きっていた

双子の直感、というべきか嫌な予感がしていた

まぁこの嫌な予感、当たってたんですよね(白目

 

璃緒ともう一人、デュエルをしない俺でもそのプレイングに魅入られファンとなったデュエリストⅣ

 

「凌牙!?」

 

「な!凌牙なんでここに!?だってトロンが……!」

 

璃緒とⅣが突然の俺の登場に驚き、その拍子にⅣのDパッドが勝手に作動してしてしまった

———その瞬間、当たり一面を覆う炎

 

「きゃああああ!」

 

「なんだよこれ!こんなの聞いてなかった!こんな、こんな……!」

 

「なんでもいい!Ⅳ!璃緒!こっちにこい!」

 

突然の炎にパニックになる璃緒に、出した本人であるにもかかわらず狼狽するⅣ

多分、こうなるって知らなかったんだろうな

知ってたらもっと場所を選ぶだろうし

 

俺の呼びかけに正気に戻ったのかこちらに走り寄ってくるⅣと璃緒

少しだけ離れていた俺だから見えた、Ⅳと璃緒の上から降り注ぐ鉄柱

 

「Ⅳ!璃緒!」

 

寸前でⅣと璃緒を突き飛ばし、安堵して、目の前が、暗転した

 

 

 

「……」

 

以上回想終了

とかやってる場合じゃない、気が付いたら病院でした☆とかシャレにならない

あかん、璃緒に怒られる

まぁまぁまぁこうやって起きれたし?結果オーライやろ(震え声

とりあえずちゃっちゃとナースコールを押さないと

 

 

 

 

……ナースさんナースさん、一年間寝たきりってマジですか(白目




突発的に思いついたので疾走するかもしれません
ここの場合だと璃緒ちゃんと凌牙のポジションが入れ替わってます
グレてはいないけど璃緒ちゃんはⅣ絶対復讐するウーマンになっています


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2/トーマス・アークライト、あるいはⅣにとっての神代凌牙

今初めてゼアルを見て十一話まで見終わったわけですが……
シャークさんゲスすぎてびっくりしたし作画もあれで笑っちゃいましたwww
今回はⅣ視点の話です
次の璃緒視点が終わったら凌牙視点に戻ったらいいな


トーマス・アークライト、あるいはⅣにとって神代凌牙は奇妙な友人であり自身の一番のファンだ

デュエルをしない凌牙とⅣがいかにしてであったのか

それは数年前まで遡る

 

 

 

「……ったく、どいつもこいつも雑魚ばっか、ヘボデュエリスト共が」

 

Ⅳはそう言いながDディスクをしまう

ここ最近様々な大会で優秀な成績を収めているせいか、逆恨みのように襲われるようになった

だが所詮は逆恨み

雑魚が群れる程度ではⅣには勝てない

年下のⅣにいいようにされるなんてⅣが手を下さなくてもいずれはプロの世界から消えるだろう

興味なさげに踵を返し、裏路地から出ようとしたとき

 

「ふざけんなぁ!ガキなんかに!ガキなんかにぃいいいいい!」

 

一人の男が起き上がり、Ⅳに向かってこぶしを振り上げながら突進してくる

あまりに突然の出来事にⅣはとっさに動くことができなかった

いくら襲われると言ってもそれはデュエルの話だ

喧嘩は弟としていたとはいえ所詮は口喧嘩、殴り合いの激しい喧嘩などしたことがない

それに全員倒したから油断していたのもあるのだろう、男のこぶしがⅣを捉えようとした時

 

「闇討ち、暗殺、お手の物!」

 

そんな掛け声と共に男が視界から消えた

いきなりの出来事にⅣはとっさに反応することができず、その場で棒立ちになるほかなかった

入れ替わるようにⅣの視界に入ったのは青い髪を揺らす一人の少女

 

「おい!早く来い!」

 

「な、おい何するんだ!」

 

「いいから!早くしないとまたあいつらに絡まれるぞ!」

 

そう言いながら青髪の少女はⅣの手を取る

Ⅳが何かと抗議をする前にそのまま走りだした

路地裏を縦横無尽に駆け回り、少女が殴り飛ばした男以外が追ってくる

見た目はスポーツでもやってそうで、影の世界のことなど何も知らさそうなのに、こんな裏路地に詳しいなんてこの少女は一体何者なのだろうか?

 

「隠れるぞ」

 

少女はそう言ってⅣを建物と建物の狭い隙間に押し込んだ

反論させもえも許さず、そのまま少女も隙間に入り込む

数分も立たずにバタバタと足音と男たちの怒鳴り声が聞こえてくる

 

「いねぇ!あのガキどもどこ行きやがった!」

 

「な、なぁ、やっぱやめようぜ?確かにⅣだけだったら何とかなったかもしれねぇけど、❝シャーク❞もいるんだ」

 

「シャークっても子供だろ?」

 

「いや、あいつはやばい」

 

「(❝シャーク❞?こいつの事か?)」

 

男たちにシャークと呼ばれた少女は特に反応を見せず、隙間から男たちの様子をうかがっていた

隙間に潜伏しているⅣ達には気づかず、そのまま立ち去って行った

 

「……はぁ、もう大丈夫そうだな」

 

そういって少女は隙間から裏路地へと出た

こちらを振り向きⅣの手を取り隙間出させ、もう一度周りを見渡した

 

「もう平気だな、大丈夫かⅣさん」

 

「あ、平気だけど

 ……じゃねぇ!てめぇ誰だよ!いきなり連れまわしやがって!?」

 

そう言いながらⅣは少女に詰め寄る

少女はキョトンした後、罰が悪そうに顔を背けた

 

「あー、悪い、ちょっと憧れのデュエリストが絡まれてて、それでついその場のテンションとノリで……

 初めましてⅣさん、神代凌牙です」

 

そう言って少女……神代凌牙は握手するように手をⅣに差し出した

 

 

 

「Ⅳー!聞いてくれよ、また璃緒が絡まれてさー」

 

「またか!あいつどんだけモテてんだよ……」

 

「まぁ、ぼっこぼこにしてやったわけですが」

 

「そんなんだから❝シャーク❞って言われて恐れられてんだよ」

 

「なんでや!妹を守ってるだけやろ!?」

 

「だからってリアルファイトすんなよ!」

 

「黙れデュエル脳」

 

「ぶっ飛ばすぞ」

 

「やめてください死んでしまいます」

 

公園、そのベンチにⅣと凌牙はいた

何の因果か知らないが、こうしてⅣと凌牙はたびたび顔を合わせるようになった

どうしてこうなった、俺は復讐のためにこんなことしてる場合じゃないとⅣは内心頭を抱えていた

しかし、凌牙と今はいないがその妹璃緒との会合は思ったよりもⅣは楽しんでいた

例えば凌牙と璃緒は重度のシスコンだとか

例えば❝シャーク❞の通り名(?)は璃緒にすり寄る男どもをリアルファイトで倒したため付いただとか

例えば神代璃緒はデュエルをするとか

……例えば、神代凌牙はデュエルをしないとか

おい、デュエルしないのに俺のファンってどういうことだよ

 

「そーいやお前この次の大会って出るの?」

 

その言葉にⅣはびくりと肩を揺らした

 

「璃緒がその大会に出ることになってさ、お前も出るのかなってさ」

 

「……俺も出るぜ」

 

知っている、いや、知っているからこそⅣはこの大会に出るのだ

この会合をいつの間にか知ったトロンが立てた計画

この大会に出て神代璃緒を倒し、魂を捉え、トロンを強化する

捉えられた魂は、トロンが解放するか……トロンが倒されるしか魂をもとの肉体に戻す方法はない

目の前の奇妙な友人はⅣがこんな醜い考えを抱いているなんて夢にも思ってないだろう

 

「ま、予選で俺と当たらないことを祈るんだな

 璃緒も腕が立つとはいえ俺の足元にも及ばないからな」

 

「おっと璃緒を馬鹿にするとは俺に対する挑戦状か?

 ……お前がそこまで死にたがりとは思ってなかった、表へ出ろ」

 

「凌牙、ここはもう表だ」

 

白々しい会話だ

予選で当たらないことを祈る、なんて

 

 

 

気が付いた時にはもう夕暮れで、凌牙は家へと帰って行った

俺は両手で手を覆い、必死になって叫びたくなる衝動を抑えた

凌牙、璃緒、復讐者である俺を友と呼び慕ってくれる小さな子供

そんな彼女らに自分は何をしようとしている?片割れを引き裂いて、いつ目覚めるかわからない眠りへと落とす

でも、それでもやめるわけにはいかない

あの誰よりも優しい弟が、誰よりも聡明な兄が、……誰よりも家族を愛していた父が

ばらばらになった家族の絆をもう一度取り戻すには、復讐を成しえるしかない

 

なのに、

どうして璃緒とのデュエルの場にお前がいる

 

「きゃああああ!」

 

「なんだよこれ!こんなの聞いてなかった!こんな、こんな……!」

 

「なんでもいい!Ⅳ!璃緒!こっちにこい!」

 

 

どうして目の前に炎が広がっている

 

 

 

「Ⅳ!璃緒!」

 

 

どうして凌牙が、鉄柱の雨の中にいる

 

 

 

「いやああああああ!凌牙!凌牙ぁ!」

 

「凌牙!どうしてだ!凌牙ああああああああ!」

 

 

 

どうして、血みどろになって倒れている

 

 

……もう、何も見えなくなった




なぜかシリアスになっていた不思議


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3/妹、神代璃緒はシスコンである

ゼアル37まで見終わりましたー
やっぱりⅣ良いキャラしてますねぇ!
ちなみに今回もシリアスです


自分とは違う青い髪に青色の目

小さい頃から自分を守ってくれたもう一人の私

神代凌牙という片割れ

 

あの日、両親が亡くなり凌牙と二人ボッチになった時、私を、両親との暖かい思い出の家を守ってくれた

なんでまだ幼かった凌牙にそんな芸当ができたのかは謎だったが、それでも必死になって守ってくれた

今になって、あの親戚たちは私たちを引き取って、まぁ、そういうことをしようとして私たちを引き取りたいと申し出たのだろう

だから凌牙はあんなに必死になっていたのだろう

どれだけ周りからこんなに小さい子供が暮らしていくのは無理だとか、やっぱり大人と一緒と一緒の方がいいとか

そんなこと思っていもいないのに、私たちと私たちの家、遺産欲しさに私たちを引き取りたいと申し出る醜い怪物たち

そんな怪物から凌牙は守ってくれた

 

凌牙はこんなに私を守ってくれたのに、私は凌牙に何もしてあげられない

そんな思いに苛まれる中、私と凌牙はテレビを見ていた

 

「やっぱⅣさんはすごいよなー」

 

「すごいの?」

 

「なんつーか運命力がやばい

 手札事故起こしてもおかしくないのによく回せるよなーって

 それになんというかデュエルとかよくわかんないけどさ、繊細なんだよなー」

 

「……そういうものなの?デュエルって?」

 

「せやで

 ここが遊戯王の世界である以上、ある意味法律よりもデュエルの方が絶対的な正義だからなー」

 

「……遊戯王?」

 

「ごめん、忘れて

 まぁ、デュエルさえあれば、自分の道理を通すことだって可能だかね」

 

そんなことを言いながら凌牙はまたテレビへと視線を戻す

Ⅳとプロのデュエリスト試合は終盤に差し掛かっていて、凌牙は夢中になって見ているが私はそれどころではなかった

デュエル、それはこの世界で一番多くの人間に愛され、遊ばれている遊戯

ほとんどの人間がデュエルを楽しんでいる

たしかにここはプロの大会などもあり、なるほど、デュエルで道理を通すとはよく言ったものだ

デュエルが強ければ強いほどこの世界では生きやすくなる

これだ

何も持たない非力な私でもデュエルでなら、私は私の片割れを守れる

 

その日を境に私はデュエルを学び始めた

いきなりデュエルを学び始めた私を不信に思ったが、素直に私の気持ちを伝えたら「俺の妹が可愛すぎてつらい」とぼやいていたが私からしたら凌牙の方が可愛いと思う

凌牙はデュエルをしない

どちらかというとデュエルを見ている方が好んでいるらしく、私とパックを買っていると言ってもそれは日本人特有の収集癖のようなもので実際にデッキを組んだりはしていない

だけど、それでいい

こんな言い方はあれだけど私はデュエルで、凌牙は物理で、互いを守る

私たちはこの二人ボッチの世界で一緒に生きるために理不尽な現実と闘い続けるのだ

 

しかし、そんな二人ボッチの世界に乱入者が現れたのだ

Ⅳ、最近話題になっているデュエリスト

凌牙が偶然にもⅣを助けたらしく、そこから交流が始まったらしい

気に入らない、私と凌牙の世界に赤の他人が入り込むなんて

どこの馬の骨かわからないやつに私たちの箱庭を壊されるなんて

……しかし、私が予想していたよりも、Ⅳとの邂逅は楽しかった

凌牙と違い、二人ボッチの世界から出ようとしなかった私のある意味初めての他人との絆

気が付けばこの二人ボッチの世界にⅣがいるのを認めるぐらいに私はⅣに心を許していた

なのに

 

「きゃああああ!」

 

「なんだよこれ!こんなの聞いてなかった!こんな、こんな……!」

 

「なんでもいい!Ⅳ!璃緒!こっちにこい!」

 

 

なのに

 

 

「Ⅳ!璃緒!」

 

 

なのに!

 

 

「いやああああああ!凌牙!凌牙ぁ!」

 

「凌牙!どうしてだ!凌牙ああああああああ!」

 

 

 

私の目の前には体中に包帯を巻き、死んだように眠る凌牙がいた

あの地獄のような場所から私たちは死に物狂いで逃げた

あの後のことは、よく覚えていない

気が付いたら病院で、私の片割れは、いつ覚めるかわからない夢の世界へ行ってしまった

何度Ⅳに連絡を取ろうとしても反応がない

ただただ通帳に治療費だけが振り込まれるだけが、確かにⅣと私たちがつながっていること証明していた

許さない、許さない許さない許さない!

私たちの二人ボッチの世界に現れた侵略者のくせに、私たちの世界を壊していくなんて!

 

私はひたすらに牙を研ぐ

獰猛な鮫のごとく、デュエルという名の牙を

片割れが目覚めるその時まで、Ⅳに復讐するその時まで




璃緒はヤンデレではないです
どうしてこうなった^p^
次は目覚めた後の凌牙視点だと思います


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4/神代凌牙の大脱走、そして再会

66話まで見終わりましたー!
改めて見るとトロン兄弟のあれやそれが改めてわかって胸が痛い
とくにⅣと凌牙のデュエルがやばい
トロンの信じない発言とかⅣの待ってますって伝えてくれ発言とかやばい


点滴を打たれながら凌牙は空を見てた

別に今まで眠っていた空白の時間を悔いていたわけではない

そう、ただ一つ、たった一つの答えだ

 

「(……璃緒とⅣになんて言い訳しよう)」

 

絶対に正座で説教コースだ

ツンデレ気質のⅣと璃緒だが、二人とも根本が似ており、根が優しい自慢の友人と妹だ

だから勝手な真似をしてかばった挙句一年間寝てました☆とかあかんわ(白目

ため息をつき、また無意味に外を眺めてみる

ちなみにこの行為、何の意味もありません

 

「しゃーない、逃げるか」

 

 

 

やばい

 

「やっちまったああああああああああ!」

 

思わず叫んでしまった

しゃーないじゃねーよ逃げるかじゃねーよ!

町中の人が俺を見ている

そりゃそーだよなんてったって病院服だからな!

その場のテンションとノリで行動するもんじゃないって俺は学びました(小並感)

これからどうしよっかなーなんかここまで来たらもう限界まで逃げよう

 

「ねぇ」

 

後ろを振り返ると緑のまるで貴族が着るような服を着ている、仮面をつけた少年がいた

 

「ん?どうしたんだ?迷子になったのかな?」

 

しゃがんで目線を合わせてやる

こんな小さな子供がなんでこんなところにいるんだ?親御さん、こんな小さい子から目を離すなよ

 

「君の名前は、もしかして神代凌牙って名前かい?」

 

「え、そうだけど」

 

……俺の名前を知っている?

このショタは一体何者なんだ

璃緒はともかくなんで俺なんだ?

 

「……僕は君に謝らなければならない、すまなかった」

 

「ふぁ!?」

 

ええええええええええええ!

俺こんなショタに謝れるそうなことされてないしむしろ初対面なんですがそれは!

あ、やめて頭下げないで!めっちゃ見てる!めっちゃ人見てるから!

 

「と、とりあえず頭をあげよう!な、な?」

 

「でも、僕は……」

 

「俺は君に謝れることされてないから!」

 

そういうとショタは悲痛な顔をする

ふえええええ、意味がわからないよぉ><

……我ながら気持ち悪いな

 

「父さん!どこに行ってたんですか!?」

 

「だめじゃないですか父様、勝手に動いたらダメですよ!」

 

「ったく、せっかくWDC終わったってのに騒々しいっての」

 

父さん!?え!このショタが父さんってどういうこと!?意味が分からないんですけどおおおおおお!

声がした方を見るとショタと同じような服を着た三人組がこちらに駆け寄ってくる

……って、え

 

「はぁ!Ⅳ!?」

 

「凌、牙?」

 

そこにいたのは一年前のあの日、炎に包まれていた友人だった

 

「えぇー、お前と璃緒から逃げるために病院逃げ出したのに無いわー、この再会はないわー」

 

「お前、なんでここに」

 

「病院から抜け出しちった☆」

 

「ちった☆じゃねーよ馬鹿じゃないのかお前!?」

 

「ほんとそれな」

 

「わかってたんなら抜け出すんじゃねーよ!」

 

「だって一年間寝てたとかお前と璃緒の正座で説教コースやんけ!」

 

一年間寝ていた

その言葉を聞くとⅣは悲痛な顔になりうつむいてしまった

最初に俺とあったショタもうつむいてしまう、おいなんだそれ流行ってんのか?

残りの二人を見ると二人そろって俺を見て驚いていた

 

「え、じゃあ彼女が神代凌牙なんですか……!?」

 

「あ、はい神代凌牙です」

 

「そうか、貴女が……」

 

「え、なにが?」

 

やめてお前らだけで通じ合わないで、俺全然話に付いていけてないから

なんなん?お前ら俺に対して何かあんの?

 

「あー……とりあえずどっかお店入りませんか?」

 

 

 

「ありのまま起こったこと話すぜ!」

 

「長くなるから三行な」

 

「気が付いたら

 Ⅳの家に

 お邪魔してた」

 

あれれー?おかしいなー?俺お店に入りませんかって言ったよな?なんでなん?

連れてこられたのは大きな西洋風のお屋敷だった

こいつ、あった時からお上品だと思ってたがマジもんの金持ちだとは思わなんだ

座っているとミハエルが紅茶を入れてくれた、うん、うまい

てか俺はⅣと呼んでるけど家族であるミハエル達がⅣの事をトーマスって呼んでるし訳が分からないよ!

あ、ちなみに道中で自己紹介してもらいました

長男クリストファー・アークライトことⅤ

次男トーマス・アークライトことⅣ

三男ミハエル・アークライトことⅢ

父親であるバイロン・アークライトことトロン

まじであのショタ三児の父親でした(驚愕

 

「こんな兄様、初めて見ました」

 

ミハエルはそうつぶやくと同意を求めるようにクリスとトロンの方を見る

その言葉にうんうんとうなずく二人

 

「毎回思うのですが俺まったく話に付いていけないんですがねぇ

 後俺はお前の事なんて呼べばいいの?トーマス?Ⅳ?」

 

「……いや、俺はお前と一緒には、いられない」

 

「おい合法ショタお前の息子がとち狂った事言ってるんだがどういうことだ」

 

「とりあえずその呼び方やめてくれない?」

 

どういうことだと説明しろやぁ……

俺が寝ていた一年間の間に何が起こったの?

 

「まぁいい、僕が説明するよ

 君が意識が戻らず、一年間ずっと寝たきりになっていたのは僕のせいなんだ」

 

「ち、違う!凌牙、違う!俺が悪いんだ!父さんは悪くない!お前ら双子を引き裂いたのは俺だ!だから、父さんは……!」

 

「トーマス!何言ってるんだ!あれは君のせいじゃない!僕の復讐に巻き込んで息子たちを捨て駒にした僕が悪いんだ!トーマスは僕の命令に従っただけだ!」

 

「父さんにトーマス!落ち着きなさい!」

 

「なぁなぁミハエル、俺あっちサイドの事情知らないから全く意味が分からないんだが

 あっちサイドだけで盛り上がられても俺全く話に入っていけないんだけどどうすりゃいいんだ?」

 

「なんか、ごめん……」

 

「とりあえずそっちで盛り上がってないでちゃんと説明くれ、誰が悪いとかそういうのを決めるのは話を全部きいてからだ」




璃緒と会う前に再会したのはⅣでした
ちょっとだけトロン一家のターンが続くんじゃ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5/神代凌牙とトーマス・アークライト、そして神代璃緒

ゼアル40まで見ましたー
トロン兄弟再出演おめでとう!
ゼアルではⅣとベクターが好きなので嬉しいです!
あ、激闘!デュエルカーニバル買いました
遊馬クリアして現在アストラルでプレイ中です


あの後あらかた一年前から現在に至るまでの事の顛末を聞いた

バリアン世界

フェイカー

No.

そして一年前の事故

 

「なるほどね、だからⅣ……トーマスの方がいいか?だからトーマスはあんな事言ったんか」

 

あの火事は璃緒の魂を捉えるためにトロンが意図的に仕組んだもの

トーマスはそのことを知っていたが、まさか火事になるとは思わなかったと

俺が乱入してくるのは想定外だったと

そして、復讐のために俺の魂を捉えたと

 

「あほか」

 

そういってトーマスを睨み付ける

そんな俺の視線を受けながらトーマスはうつむく、手は、固く握りしめられていた

 

「凌牙!トーマス兄様は……!」

 

「あー、違う、違う、そういう意味で言ったんじゃないよ」

 

別に攻めるつもりはないという意味を込めて手を振る

俺の言葉にミハエルは怪訝そうにこちらを見る

まぁ今のタイミングであんな事言ったらそりゃ勘違いするかもしれないけど、言わずにはいられなかった

 

「たしかにあの事故のせいで俺は一年間寝たきりになったけどよ、そんなことで俺がお前を嫌いになったり憎んだりするわけないだろ?」

 

そう言うとアークライト一家が驚いたように俺を見る

他の人はともかくトーマスは俺の性格わかってんだろ、俺そこまで心狭くないかんなー

というかトーマスお前いつまでそんな顔してるんだよ

 

「恨んでないとか、嫌いなってないとか嘘だろ!お前の妹にあれだけ恨まれて!俺は、俺は!」

 

「確かに璃緒はお前の事を恨んでいたかもしれない

 ……でもさぁ、璃緒が恨んでるからって俺がお前を恨んでるとは限らねぇってどうしてその発想に思い至らなかったし」

 

話を聞く限り璃緒はトーマス絶対復讐するウーマンになってたけどさ……

いや、なんで璃緒がそんなハッスルしたのかよくわかんないけど

 

「でも、俺は!」

 

「話を聞く限りお前はトロンの命令で色々やらかしたってもの理解できる、お前はきっと俺に断罪してほしいんだろ?それで今まで自分の罪を償いたいんだろ?

 俺と璃緒に恨まれて、それで罪を償うために一生苦しいまま生きていく気だったんだろ?」

 

その言葉にみんな完全に言葉を失った

ミハエルは「どういうことですかトーマス兄様!」とトーマスに詰め寄ってる

トーマスはなんで、どうしてとつぶやいている

演技が得意とはいえそんなの俺には通用しないし、あいつはわかりやすいから普通にわかるんだけどなぁ……

 

「俺はお前を恨まない、故に断罪しない

 ……だから俺はお前を許す」

 

「え……?

 あ、ありえねぇ!許すとかありえないだろ!

 一年間寝たきりにして、その上お前にやけどという一生消えない傷まで残した、なのに、なのにお前は俺を許すのか!この俺を!」

 

「許す、俺はお前を許すよ」

 

トーマスの紫色の瞳がゆらゆらと揺れている

俺はその瞳を真っすぐ見つめる、目はそらさない

俺は本気でそう思ってると、態度で示すために絶対に目をそらしてはいけない

 

「なぜ、君はトーマスを許せるんだ?

 私がいうことではないがトーマスがしたことは許されることじゃない」

 

多分クリスは純粋な疑問として聞いてきたのだろう

俺はクリスのオリハルコンメンタルに戦慄する、普通この場面でそう言うこと聞かないだろ

隣見ろよ隣、トロンとミハエルがすごい顔してるぞ

 

「確かに世間一般で見れば許されることじゃないけど俺にとってはそんなことはどうでもいいんだって

 仕組んだのなんだの言ってもあれは結局はただの事故だったんだよ、事故

 それに俺は気づいてたよ、あん時お前がわざとやったんじゃないって

 俺はあの時から、いや、あった時から気が付いてたんだよ……お前が必死になって走り続けてボロボロになってたのも

 だから俺はお前を恨まない……恨めねぇよ」

 

そう言ってそっとトーマスを抱きしめる

ビクリとトーマスの肩が跳ね、俺から離れようとするが離れられない

人間の皮を被ったゴリラの力を舐めるなよ

 

「俺はお前の苦しみを全部を全部知ってるわけじゃねぇ、だけどさお前の頑張りを少しはわかってるつもりだ

 お前はずっと走って、走って走り続けてそれで疲れちゃったんだよな

 だから、もう休んでいいんだ止まっていいんだ、お前は頑張った、頑張ったんだよ

 そんなお前を恨むなんてことはできない、たとえ璃緒がお前を恨んでいたとしても、他の奴らがお前を憎んでいたとしても、璃緒やほかの奴らがお前を許さなくても、俺はお前を許してやる

 ……お疲れさま、トーマス・アークライト、もう頑張らなくていいんだよ」

 

「……なんだよ…それ

 ……お前、ほんとばかだなぁ…」

 

「俺が馬鹿なのは周知の事実だろ」

 

「はは、馬鹿だ、よ、ほんと……本当に……!」

 

トーマスはそのまま俺にしがみつきむせび泣いた

こいつの事だから吐き出さないで全部ため込んでたんだろうなぁ……

むせび泣くトーマスに何も言わずにただただ抱きしめて背中をさすってやる

大丈夫だよと、休んでいいんだよという意味を込めて

 

 

 

 

 

「いやーなんか二人だけの世界に入ってすみませんね」

 

すっかり寝入ってしまったトーマスを抱っこの体勢に抱え直して椅子に座る

そんな俺達をアークライト一家は何というか、安心しているような顔をしているが、どうしたんだ?

 

「……ありがとう、神代凌牙」

 

唐突にトロンがそんなことを口走る

 

「……?え、何が?」

 

「トーマスの事さ

 ……僕たちはわかってたんだよ、トーマスが重すぎる十字架に押しつぶされそうになっていたのを

 だけど、僕たちではトーマスを救うことができなかった……当たり前だよね、僕たちは一番汚い仕事をトーマスに押し付けていたんだから」

 

「僕たちは本当の意味でトーマス兄様を理解できていなかった……ありがとう神代凌牙、トーマス兄様を救ってくれて」

 

「私たちがこんなことを言う資格はないが、どうかトーマスと仲良くしてほしい」

 

そう言って三人が深々と頭を下げる

……やっぱりこいつら外見まったく似てないけどこういう不器用なところは似てるんだよなぁ

 

「もとよりそのつもりだから安心しなって」

 

くすくす笑いながらトーマスの髪を撫で……なんだこいつの髪!見た目以上にふわっふわやぞ!

トーマスが起きないのをいいことにわしゃわしゃと髪をいじくりまわす、やばい、結構楽しい

 

「ミハエルもやってみろやめっちゃ楽しいよ」

 

「……実はやってみたかったんですよ」

 

ミハエルも混ざり一緒にわしゃわしゃする……っておい、何ちゃっかりクリスとトロンも入ってんだよ

てかそれよりこの状況でも起きないトーマスは一体どうなってんだ

まぁでもそれからトーマスも起きたし俺達のわしゃわしゃタイムは終了した

それからはゆっくりとお茶を楽しんだ、え、シリアス?ははっ、知らんな!

……だから俺達全員忘れていたのかもしれない、俺が病院から抜け出したという事実を

 

———ガンガンガンガンガン!

 

突然玄関からすさまじい音が聞こえて来た

 

「Ⅳ!開けなさい!開けないと今すぐ蹴破りますわよ!」

 

「いもシャ落ち着けって!」

 

「璃緒さんのお姉さんを返せー!」

 

他にも女の子の声やらなんやらと外から聞こえてくる

あーよくわからないけど大体俺のせいだって察したよ、だからアークライト一家はそんな顔で見ないでくださいお願いします

俺はそんなアークライト一家に顔をそらすしかできなかった

あの、その……すみません

 

———ガァン!

 

すさまじい爆音が響いたかと思うとバタバタと屋敷を駆け回る音

あ、これはあかんパターンですわ(白目)

 

「凌牙!凌牙あああああああああ!」

 

リビングの扉が開かれそこには俺の片割れ、双子の妹神代璃緒がいた

後ろにいるは友だ……おいまてあの半透明の幽霊は!お姉ちゃん今すっごいお前の友好関係すっごい気になるよ!

 

「そこに……正座しなさい正座ああああああああああああああ!」

 

そのまま璃緒は勢いを殺さずに右手を思いっきり俺に向かって振りかぶった

首を軽く横に振り回避、そのまま右手を掴み璃緒を背負い投げ……する前に璃緒は俺の手から逃れキックを繰り出そうとするがキックに体をなぞるようにしてよける

体勢を低くし、腕をクロスさせてそのままみぞおちにダイレクトアタック!

 

「あぅっ!」

 

「いきなりお姉ちゃんに殴りかかるのはひどいと思うんだよね!」

 

「い、いもシャあああああああああああ!」

 

「兄貴、ミハエル、父さん、惚けているところ悪いけどあの双子はこれで通常運転だ」

 

いきなりデュエル(物理)を始めた俺達にアークライト一家(トーマス除く)と璃緒のお友達が度肝を抜いていた

残念だけどこれ、現実なのよね

ちなみになんでトーマスが驚いてないのかというとトーマスの前でも割とリアルファイトしていたからです

というかしょっちゅうトーマスともリアルファイトしてたかんなぁ

 

「なんかごめんなー」

 

「デュエル(物理)はいいけど物は壊すなよ」

 

「それでいいのかトーマス」

 

「あ、貴女が璃緒さんのお姉さんなんですか!?なんか随分とイメージと違う気が……」

 

『遊馬、彼女が璃緒の双子の姉、というやつなのか?

 明里とは違うタイプの姉なのだな』

 

「きええええええええええしゃべったああああああああああああああ!」

 

いきなり大声を上げた俺に皆が注目する

しゃーないやんあの半透明の幽霊がいきなりしゃべるんだもん!

 

「凌牙、うるさいですわよ

 人さまの家で大声を上げるなんてはしたないですわ」

 

「璃緒に言われたくなかったな!

 いやだって半透明の幽霊がしゃべったら誰だって悲鳴(?)を上げざるをえないよ!

 っていうか一体いつの間にそんなファンシーなお友達ができたの!お姉ちゃんは璃緒の交友関係が心配だよ!」

 

そういうと皆は一斉に俺を見た

……え、何?皆こっち見て?どうしたん?




凌牙は最初っからアストラルが見えます
理由は物語後半で明らかになる予定(は未定)です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6/ナンバーズクラブの驚愕

ゼアル全部見終わりましたー!
ナッシュVS遊馬のデュエルは胸熱でしたわ
七皇とナッシュが一緒に戦う(?)シーンは、もう!ね!


「はーん、じゃあその半透明の幽霊がアストラルなんだ」

 

「ええ、今私たちのNo.はアストラルが管理していますわ」

 

「にしてもなんでお前アストラルが見えるんだよ…」

 

「そんなん俺が知りたいわ

 ……ところで正座、やめてもいいですか?」

 

「「ダメ」」

 

「なんでや!」

 

遊馬達の目の前では神代璃緒とⅣ、その前に正座をさせられている神代凌牙がいた

このよくわからない状況を打破しようにもⅢとトロンはお茶を楽しんでいるし、Ⅴはいつもと違うⅣを興味深そうに眺めている

ナンバーズクラブの面々はこの状況にどうしたらよいかわからず右往左往していた

そもそもなぜナンバーズクラブのメンバーがこの場にいるのかというとそれは約一時間前まで遡ることになる

 

 

 

 

 

「凌牙がいないですって!」

 

病院に璃緒の悲鳴が響き渡る

それもそのはずだ、先ほど病院から璃緒の双子の姉である神代凌牙が目を覚ましたと電話が入ったのだ

WDCが終わりトロンが今まで体内に閉じ込めた魂を開放してもなお目覚めなかった片割れ

ナンバーズクラブは璃緒がどれだけ片割れの目覚めを渇望し、待っていたか今までの付き合いで知っている

今回敵であったⅣも凌牙の治療費を払ったり、璃緒にばれないようにお見舞いに行っていたりもしていたらしいし……

そんな凌牙いない

しかし璃緒は思いのほか冷静だった

 

「……ふーん、なるほどね」

 

「なんか璃緒さん随分冷静ウ、ラね……」

 

声をかけた徳之助の言葉が途中でとまる

何事かと他のメンバーが璃緒を見ると固まってしまった、璃緒の目が完全に据わっている

 

「逃げ出したのね」

 

ふるふると手を震わせている、それは悲しみなどではなく、怒りだった

ゆっくりと璃緒は病院から抜け出し、一直線に歩き出す

ナンバーズクラブの面々は急いで璃緒を追いかけ始める

 

『璃緒、一体どうしたんだ?』

 

アストラルは不思議そうに璃緒に問いかける

そんなアストラルの問いに答えることなく璃緒は歩き続け、しかし目的地があるようで足は止まることはない

何度も声をかけるが璃緒は全く反応しない

ナンバーズクラブの面々は璃緒に語り掛けるのをやめ、無言で璃緒の後を付いていく

そして璃緒がたどり着いたのは大きな西洋風のお屋敷だった

 

「大きくてキャットびっくりしちゃった……」

 

「ねぇ璃緒さん、本当にどうしちゃったんですか」

 

お屋敷の前で立ち止まった璃緒はすっと前を見据えて歩き出す

 

「……いる、ここに凌牙がいる」

 

『璃緒、どうしてシャークの居所がわかるんだ?』

 

小首をかしげ不思議そうに璃緒に話しかける

アストラルからしてみれば居場所がわからないにもかかわらず、まるで最初からそこにいると知っているようにここについた

 

「……だって、私は凌牙の片割れ、もう一人の神代凌牙

 凌牙があの炎の海の元へたどり着けたように、私も凌牙の居場所がわかる」

 

そして璃緒は玄関の前まで来るとこぶしを振るう

 

———ガンガンガンガンガン!

 

「Ⅳ!開けなさい!開けないと今すぐ蹴破りますわよ!」

 

そう言って璃緒は玄関を叩き続ける

ナンバーズクラブは璃緒の言った言葉に顔を見合わせる、今Ⅳって言ったよね

もしかして神代凌牙がいなくなった原因って……

 

「いもシャ落ち着けって!」

 

「璃緒さんのお姉さんを返せー!」

 

ナンバーズクラブの面々も玄関の扉を叩く

しかし、璃緒はそれでも待っていられなかったのか足を思い切り振り上げ、そして……

 

———ガァン!

 

すさまじい爆音が響き、玄関のドアが破壊された

 

「「「「えええええええええ!」」」」

 

さしものナンバーズクラブの面々も度肝を抜かれた

西洋風の屋敷という外見通りにそのドアも大きめの重厚感あるものだった、そのドアが璃緒の蹴りで文字道理吹っ飛んだのだ

あの華奢な少女がこんな凶悪な蹴りを放つとは……アストラルは璃緒を決して怒らせてはならない存在と再認識したのだった

 

「凌牙!凌牙あああああああああ!」

 

屋敷内を走り周り、璃緒は一つの扉を思い切り開け放った

……そこにいたのは先の戦いで遊馬達と闘ったトロン・Ⅴ・Ⅳ・Ⅲ

そしてあの病院の病室で眠っていた神代璃緒の双子の片割れ、神代凌牙がいた

 

「そこに……正座しなさい正座ああああああああああああああ!」

 

そしてその少女に思い切りこぶしを振り下ろした

 

 

 

 

「まぁいいや、初めましてナンバーズクラブの皆さん、神代璃緒の双子の姉の神代凌牙です

 俺のいない間璃緒がお世話になったみたいで……No.やアストラル世界の事は聞きました、今まで貴方方が璃緒を支えてくれたのは知っています

 この御恩はいずれお返しします」

 

正座から解放されたシャークはそう言って遊馬達に頭を下げた

先ほどまで縮こまっていた人物と同一人物とはまるで思えない

 

「いや、いいって!俺は俺のしたいことをしただけだし、いもシャの事も俺がなんかしたっつーか、いつの間にかなってたっつーか……

 それに俺の方がいもシャに助けられてたんだ、美術館の時だって、それに俺がNo.に取りつかれたいもシャとデュエルした時だって、あいつは取りつかれながらも必死に抵抗してたんだ、俺よりもすごい奴だぜ!」

 

「璃緒がすごいのは当たり前だよ!」

 

「そうだな!」

 

「「あっはっはっは!」」

 

「凌牙が楽しそうで何よりですわ」

 

「俺としてはあんだけ言われて表情変えないお前がすげーよ」

 

「私としては遊馬の話に付いていける、えっと、神代凌牙先輩の方がすごいと思うけどなぁ」

 

「別にそんなかしこまらなくてもいいって、俺の事はシャークでも凌牙でも何とでも呼んでいいよ

 ……てかwwwwいもシャって何wwwww璃緒なんでそんな風に呼ばれてんのwww」

 

「遊馬が勝手に読んでるのよ!シャークって名前を知ってたみたいだからその妹よって言ったらじゃあお前の名前はいもシャだなって勝手に決められたのよ!」

 

「シャークの妹だからいもシャか、俺そのセンス結構好きだよwww」

 

『遊馬のセンスが好ましいとは君は中々個性的な感性を持っているな』

 

「アストラル辛辣すぎぃ!」

 

 

 

「……あれ?シャークと遊馬君達って今日初めて会ったんですよね?

 とどのつまり馴染みすぎじゃないですかね?」

 

「あー、凌牙はうちに来てからもあんな調子だったよ

 すぐにその場に馴染んだというか、父様の事を面と向かって合法ショタって言ってたし」

 

いつの間にかすっかりと馴染んでいるシャークに驚くナンバーズクラブの面々

さしも精神力の強いメンバーでもトロンを初対面(?)で合法ショタというだけの勇気はない

知っているか?勇気と無謀は違うんだぜ?

 

「あ、なんかごめんねーこっちだけで盛り上がっちゃって……と、君たちの名前は?」

 

「そう言えば自己紹介もまだだったな、俺は武田鉄男だ!よろしくなシャーク!」

 

「観月小鳥っていいます、璃緒さんにはいつもお世話になってます」

 

「とどのつまり等々力孝です!」

 

「裏表徳之助ウラ」

 

「えっと、キャッシーって言います、よろしくお願いします」

 

「俺九十九遊馬!将来はデュエルチャンピオンになる男だぜ!」

 

『改めて自己紹介させていただこう、我が名はアストラルだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして神代凌牙は一年間の長い眠りから目を覚まし、自分の双子であり片割れの神代璃緒と一番のファンであり友達のⅣあるいはトーマス・アークライトとの再会を果たした

アークライト一家やナンバーズクラブと出会いを果たし、神代凌牙の世界は一気に広がった

二人ぼっちの世界にトーマスがやってきてからの劇的な変化

しかし、神代凌牙の目覚めによってこの物語はまた新たなる展開を迎える

本来の神代凌牙とは違う道を辿り、違う結末を迎えることだろう

なぜなら彼女は本来の神代凌牙ではないから

 

前世の記憶を持って生まれた神代凌牙は、デュエルをしないから




と、いうわけで序章は終了です
次回から本編……の前に一回あるキャラとの出会いを書いてから、改めてアニメ本編に行きたいと思います
あるキャラって誰の事なんだろうなー(棒読み)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1、神代凌牙と異世界の侵略者達
7/神代凌牙あるいは××××と真月零あるいはベクターの××


デュエルカーニバルはアストラル・Ⅳ・ベクター・ゼアルがクリア
今は璃緒ちゃんでプレイしてますー
璃緒ちゃんのデッキうまく回せない……(´・ω・`)


空は雲一つない晴天で、風も吹いて髪をたなびかせる

……あ、あそこにあった雑貨屋さんが無くなっとるわ

本当に一年たってんだなー、一年で街並みって結構変わってるもんなんだなー

久しぶりに見るハートランドの景色に懐かしいやら、ちょっぴり変わった街並みにセンチメンタルになったり

あの事件から数日、無事に(?)退院して我が生家に帰ってきた(余談だが病院に帰った時看護師さんにしこたま怒られた、解せぬ)

俺の部屋はあの日のままで、それは璃緒がずっと掃除してて、俺の帰りをずっと待っていたことを何よりも証明していた

……本当に璃緒にはさみしい思いをさせちゃったなー

うん、そうだな、あとでたくさんお話しよう

この一年間で璃緒が体験したこと、アストラル世界だのなんだのはトロン達に教えてもらったけど、それは本当に客観的な説明だったからなー

結構璃緒はこの戦いの中心にいたみたいだし、その辺も聞かせてもらおっと

 

小さい頃遊んだ公園

 

トーマスと璃緒と一緒に行った喫茶店

 

あの事故のあった裏路地

 

多少の街並みが変わったとはいえ、それでもやっぱり変わらないものもあるんだな……

そんなこんな考えながら歩いていたら、一つの大きな建物にたどり着いた

ハートランド学園、璃緒やナンバーズクラブの面々が通い、俺も明後日から通うことになっている学園

……前世の記憶っていうアドバンテージがあるとはいえ、中学一年生の勉強丸々すっ飛ばすのは結構つらいかなぁ

ふと、視界に一人の男子生徒が目についた

なんだろ、ここに来る道のりで結構ハートランドの学生とすれ違ったりしたけど、あの男の子が異様に気になる

制服が赤、ってことは一年生だよな

オレンジ色の逆立った髪にアメジストの瞳

……?

なんだ?なんであの男の子は今俺の前にいるのに瞳の色なんてわかったんだ?

んん?なんだこのよくわからんこう、なんというか、こう、なんというか、なんというか……だめだ、この違和感をことーばにーーできなあーいー

 

「あの、さっきからうんうん唸っていて大丈夫ですか?

 良かれと思って僕と一緒に病院へ行きますか?」

 

一人でうんうん唸っていると誰かに話しかけられた

おっと天下の往来でお恥ずかしい姿を見せちゃったなぁ……

うつむいていた顔を上げてだれが話しかけて来たのか確認する

 

「「……え?」」

 

オレンジ色の逆立った髪にアメジストの瞳

先ほどのまでの男の子が立っていた

目と目が合い、一瞬、男の子が一瞬誰かとダブって見えた、でも一瞬だけでそれが誰だったかわからなかった

男の子も俺を見てほおけている

きっと男の子も俺と同じように、この言葉では表せない違和感を感じてるのかな

初めて会ったはずなのに、まるでずっと前から知っていたような、そんな感覚

 

「えっと、あ……あの、どこかでお会いしましたか?」

 

そう言うと男の子ははっとしたように目を見開き、急いで俺から距離を取った

そうだよな、こんなナンパみたいな事言われたら警戒して距離をとるよなー

 

「す、すみません!良かれと思って声をかけたのですが、えっと……」

 

「違和感?が、あるって?」

 

「は、はい!すみません、初対面なのに、僕、おかしいですよね……」

 

「俺も違和感あるから安心しな」

 

そう言って男の子の頭を撫でる

頭を撫でると大きく目を見開き、そして

 

——ダァン!

 

いきなり目の前の男の子に組み伏せられた

……アイエエエエエエエエエ!ナンデ!組み伏せるナンデ!

 

「イタイイタイって!ど、どうしたの!?」

 

「ご、ごめんなさい!

 なんか、えっと……ごめんなさい」

 

そう謝ってから男の子は俺を開放する

この違和感といい、男の子の行動といい、まじでなんなんだろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前の女は俺が組み伏せを開放したら、スッと立ち上がってぽんぽんと服の埃を払う

あの深海のような青い目

それを見た時言いようの知れない、得体のしれない違和感が俺の中でてきた

神代凌牙

WDCで俺の計画を台無しにした九十九遊馬とアストラルの仲間である神代璃緒の双子の姉

俺はこいつと初めて会ったはずなのに、なんだ、この感覚は

 

 

『ベクター』

 

 

なんで、あいつの顔が浮かぶんだ

あいつは、あいつらは、俺が、俺があいつを

 

「おーい、どうした?」

 

神代凌牙は突然固まった俺にそう問いかける

ダメだ、早く真月零に戻らないと

 

「す、すみません!」

 

こいつといると調子が狂う

なんでだ、なんでこいつはこんなにも俺をかき乱す?

 

「じゃあ、俺もう行くな、突然でごめんなーそれじゃ」

 

俺が神代凌牙に会ってから俺の様子がおかしいと悟ったのか、その場を去ろうとする

後ろを向き遠ざかっていく背中

 

待って

 

待って

 

俺を置いて逝くな

 

「んあ?」

 

気が付けば俺は神代凌牙の服の袖を掴んでいた

完全に無意識に体が動いていた

……こいつは神代璃緒の双子の姉、つまりこれから否が応でも九十九遊馬と関わりをもつだろう

今のうち神代凌牙と親密になっていれば後々楽になるだろう

神代凌牙は神代璃緒の弱点になりうる存在だ

そしてなぜ神代凌牙が、なぜ俺をこんなにもかき乱すのか、調べよう

だからだ、無意識に体がこいつを引き留めたのは

 

「あの、ここであったのも何かの縁だと思いますしお名前を教えてもらえませんか?僕は真月零と申します!」

 

そう言って敬礼しながら笑う

設定上、俺はシャークって名前は知っていても神代凌牙の名前は知らないからな

……一応神代璃緒とは顔見知りだからそういうていで言ってもよかったな

 

「うーん、そうだね、これから後輩になるわけだしなー

 改めまして神代凌牙です!明後日からハートランド学園に通う二年生だよーよろしくね」

 

『ほーん君がベクターかぁ

 俺は××××!バリアンの女王様なんて面倒な役職についてるけどよろしくね』

 

そう言って手を差し伸べた神代凌牙の顔が、どうしようもなくあいつと被って見えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ!じゃあシャーク先輩ってあのWDCベスト4の神代先輩のお姉さんなんですか!?」

 

「せやで、てかそんなに驚くことかな?」

 

あれから零と一緒にその辺のベンチに座って談笑していた

話を聞く限りは零君は遊馬のファンらしい

遊馬の一番のファン……なんだ俺と同類か、類は友を呼ぶって言うしなー

 

「そりゃそうですよ!なんてったってあの極東エリアのデュエルチャンピオンであるⅣにも勝ったって話ですよ!?」

 

「うーん、俺としてはトーマ……Ⅳと璃緒がデュエルしてるって聞いてもさよかって感じなんだよなー

 よく二人がデュエルしてるの見てるし、俺は俺でデュエル(物理)してるから、そこまで驚かないというか」

 

「よくデュエルしてるっていうのもあれですけどデュエル(物理)ってなんですか!?」

 

「リアルファイト」

 

「何やってるんですか!」

 

こやつ、なかなかいい突っ込みすんなー

話を聞く限り良かれと思ってやったことが裏目になっちゃうんですよねーって……

その裏目になったとこを見てないからだけど、俺の印象的にはしっかりした子って感じがするんだけどな

 

「あの、良かれと思って僕とデュエルしませんか?

 あの神代先輩のお姉さんですから、きっとお強いんでしょう!」

 

……あー

 

「零、残念なお知らせがあります」

 

「はい?なんですか?」

 

すっげーキラキラした目でみてくるよーすっげー言いずらいよー

……まぁ?確かに璃緒はデュエル強いし?WDCとやらにも出たし?その身内である俺がデュエルするって勘違いするのもわかるよ……

なんだ、あれだ、無駄に期待させてごめんね

 

「零、俺、デュエルしないんだ」

 

「……え?」




タイトルは意図的にぼかしいてるけど絶対みなさんなんて文字が入るかわかりますよねwww
次回から満を持して原作に入ります
後どうでもいいですけどアクファでは沢渡さんが一番好きです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8/神代凌牙と絵空事の世界・前編

デュエルカーニバルは璃緒ちゃん、小鳥ちゃんクリアしました!現在はⅢでプレイ中なう
それにしてもおかしいな、導入をサクッと終わらせて本編もサクッと終わらせるはずだったのに、どうしてこうなった
そういえば初めてデッキ組みました!BF!
まぁ、一緒にやる友達いないんですけどね!


「うーん……」

 

ベンチに座り、両手をぐいーってして体をほぐす

ここはハートランド学園内にある中庭のベンチ

明日からいよいよ学園に……なんだろ、復学でいいのかな?復学するにあたっての必要書類を提出しに来たのだ

って言ってももう提出し終わった後だけどな!

この学園での用はもう終わった後だけど、もうちょっとで放課後だしせっかくだから璃緒やナンバーズクラブの面々に会ってから帰ろうかと思いました☆

時間つぶしでDゲイザーでネトサフなう

 

「あのー、少しよろしいですか?」

 

ネトサフしてたら急に声をかけられた

……あー、制服じゃなくて私服で来てるから怪しまれて声をかけられたのか?

 

「もしかして、神代凌牙さんですか?」

 

制服の色を見る限り……三年生か

でもなんで俺を知ってるんだ?いくら璃緒がWDCとかで有名だからといっても、その双子の姉である俺に関しての情報なんて皆無に等しい

璃緒が自分から俺の事を話すなんてしないと思うしな、仲の良かったナンバーズクラブの面々だってシャーク=神代凌牙ってのは知ってたみたいだけど、俺の顔とか知らんかったみたいだしなー

 

「そうですけど、貴方は?」

 

「失礼しました、私は漫画研究部の部長です

 お噂はかねがね聞いてますよ、それでぜひあなたにお願いがあるのですよ」

 

「………内容によります」

 

会っていきなりお願いってなんやねん

俺は警戒をMAXまで上げる、そもそも噂ってなんだよ、噂って

病院を脱走したりとかしてないのになー、あ、もしかしてシャークの噂の事かな?

 

「実はですねぇ、貴女をモデルにした漫画を描きたいのですよ

 九十九遊馬君が主人公であなたはその前に立ちふさがる悪の手先!どうですか?」

 

「いやいや、俺よりももっといい素材がいるだろ

 そもそも噂で俺を知ってるって言ってもあったこともない初対面の人間にそーゆーのを頼むのはどうかと思いますけど…」

 

「まぁまぁ、そんな固いこと言わずに」

 

「……いやです」

 

「いやだなんてひどいですね

 大丈夫です、ほら、貴方は漫画のモデルになることを了承するだけでいいんですから」

 

「噂だけで勝手に漫画のモデルにして、その上問答無用でYESと言えだなんて……」

 

なんだこいつ、一気に雰囲気が変わった

それにこの禍々しい気配……

神代凌牙を知っている、神代璃緒、九十九遊馬、そしてこの禍々しい気配

……まさか

 

「…バリアン?」

 

漫研の部長の顔が一気に強張ったのが分かった

あーこれはあかんパターンですわーやばいパターンですわー

 

「くくくく……はははっは!素晴らし洞察力だ!それこそ悪役にふさわしい!

 さぁ!私と共にもう一人の悪役である神代璃緒を打ち倒すのだ!」

 

そう言った瞬間、漫研の部長は一枚のカードをかざした

RUMバリアンズ・フォース……?え、RUMってなんぞ?そんなカテゴリーのカードあったかな?

ランクアップマジックって直訳するとランクを上げるマジックカード

んー?エクシーズモンスター専用のカードなんかな?バリアン世界専用のカードかな?

ってなんか発光してるんだけど!これやばいやつやんけ!

……?あれ

 

「なんともない?」

 

なんだ、ただの見掛け倒しか(安堵)

漫研の部長が「嘘だ…」とか「バリアン世界の力が…」とか言ってるけどそんなの関係ねぇ!

逃げるが勝ち、古事記にも書いてある(嘘)

 

「!!待て!」

 

うえええええええ気づかれたあああああああ!

いや、まて、俺は人間の皮を被ったゴリラだ、運動神経もいいほうだし俺の足に追いつける奴なんてそうそう……

 

「ってはえええええええええ!」

 

なんでや!あの見た目完全インドア派の漫研の部長早すぎるだろ!

てかあの額にある十字架っぽいのなんだよ!おしゃれか!

ていうかマジやばい!俺デッキないしデュエルしないし!

これは援軍を呼ぶしかない!

Dゲイザーから璃緒の番号出して……

……

 

「出ないいいいいいいいいいいい!」

 

せやんな今ぎりぎり授業中だもんな!

他!他は……

ダメもとでトーマスに連絡しよう!ワンチャンワンチャン!

 

<……なんのようだ、俺今眠いんだよ……>

 

「今どこにいるん!?助けて!ヘルプヘルプ!」

 

<うっせー……助けてって何がだよ>

 

「バリアンに操られてるっぽい奴に追われてるんだYO!」

 

<……はぁ!?>

 

遅いよ!事の事態を理解するのが遅いよ!

マジでこれあかんて!体力がもう持たんて!ガチでやばいて!

 

<今どこだよ!>

 

「あれ!俺が寝てた病院付近!」

 

<そっちに付くの一時間ぐらいかかる!>

 

「オーマイガッ!」

 

<今から行くから頑張れ!>

 

そう言って切れるDゲイザー

すまんトーマス、一時間は無理だわ

誰!他に誰かいないのか!Dゲイザーで他の人に連絡できないか見てみる

後はあいつしかいない!璃緒に繋がらなかったけどもう藁にもすがる思いだ!

 

<はい、どうしましたかシャーク先輩?>

 

で、出たあああああああ!時間的に今ホームルーム中なのになんで電話出れるのか疑問だけど出たああああああああ!

 

「助けて!今バリアンに操られてるやつらに追われてるなう!」

 

<は、え、はぁ!?どういうことですか!?>

 

「こっちだってわかんないよおおおおおおおおおおおおお!マジで助け」

 

「やっと追いついた!」

 

「ふぁ!?」

 

嘘だろ!もう追いついたの!?

電話に夢中だったせいかいつにの間にか背後を取られていたことに気が付かなかった

\(^o^)/オワタ

 

「洗脳ができないなら人質になってもらうだけだ!私の漫画の世界に入ってもらおうか!?」

 

そしてスケッチブックが輝いたかと思うと、一瞬にして俺の視界を奪った

璃緒、なんかまたこんなんなってすまぬ

トーマス、やっぱり一時間はムリゲーだよ……

遊馬にアストラル、バリアンの奴らってマジで手段を選ばなかったな、正直疑ってたわ

零、助けを呼んでくれたら嬉しいな

そこで俺の思考は途切れた

 

 

 

カシャン

光に包まれた後、神代凌牙の姿は消えていた

 

「くくくく、これで神代璃緒と闘うことができる!

 私のキングアーサーで神代璃緒を倒し、No.を手に入れるのだ!すべてはバリアン世界の為に!ははははは!」

 

そして彼はその場を離れた、ふさわしい舞台で彼女らと闘うために

だから気が付かなかった、神代凌牙のDゲイザーがまだ通話中だったということに

バリアン七皇の一番の問題児に、繋がっていたということに

 

 

 

 

 

 

 

 

「❝すべてはバリアン世界の為に❞ねぇ……」

 

あれきりなんの返答もないDゲイザーの通話を落とし、そっと屋上を後にする

屋上でサボっていた時に神代凌牙からの通知が来た

不信に思い通話に出るとまさかのSOSの電話だったのだ

神代凌牙はデュエルをしない

だから俺に連絡を入れたのだろう、助けを求めるために

時間的にはまだホームルームの時間だ、神代璃緒や九十九遊馬達はくそ真面目だから(まぁ九十九遊馬は遅刻居眠りを頻繁にしているから真面目とは言い難いかもしれないが)Dゲイザーで連絡を取ることができなかったのだろう

俺があいつを助ける義理はない……むしろ九十九遊馬とアストラルに復讐するという俺の目的を考えればむしろこのまま捕まっていてくれた方が好都合だ

なのに、俺の意思とは裏腹に俺の足は早足に二年生の教室を目指していた

神代凌牙が××××と重なるように×××と重なる神代璃緒

放っておけばいいのに、伝えるなら九十九遊馬達ナンバーズクラブの面々の方がいいだろう

だけど俺の足は止まることはない

 

(まぁ、いい)

 

いずれ俺は世界の王になるのだから

その時にじっくりとこいつらを調べて、この違和感の正体を探り当てる

そのためにはまず

 

「神代先輩、大変です!シャーク先輩が!」

 

バリアン七皇ベクターとしての顔を隠し、真月零の仮面を被り勢いよく教室の扉を開けはなった




目が覚めて一瞬で面倒ごとに巻き込まれる凌牙ちゃん哀れなりぃ……
次回は本編のメンバー+Ⅳのメンバーで凌牙ちゃんを救出しにいけたらいいな(願望)
後どうでもいい補足ですが璃緒もギラクとベクターにあった時に言いようのない違和感を感じています、逆もまたしかり
……しかし凌牙ちゃんと七皇メンバーの対面って全部ベクターと凌牙ちゃんが出会った時の話みたいに書いた方がいいのかなぁ……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9/神代凌牙と絵空事の世界・後編

うわああああああああああああ休み終わっちゃうよおおおおおおおおおおやだよおおおおおおおおおおおおおお!
まさかのⅤ兄様の視点からスタートです


「……くそ!全然出ねぇ!」

 

「落ち着きなさいトーマス!もうすぐ病院に付く、だからそれまでに冷静になりなさい」

 

「でも!あいつはこの前目が覚めたばかりなんだぞ!それなのにこんな、」

 

「今お前が冷静にならなくてどうする、そんなのでは凌牙を救う事は出来ないぞ」

 

「……!わりぃ、兄貴」

 

そう言ってトーマスは口を紡ぎ俯いてしまった

いきなりトーマスが私の部屋に乗り込み「兄貴!急いで車を出してくれ!」と言ったときは本当に何事かと思った

そしてその次に告げられた言葉にさしも私も動揺を隠しきれない

神代凌牙がバリアンの刺客に追われている

遊馬や璃緒、カイトならばわかる、遊馬はナンバーズのオリジナルであるアストラルと共にあるし璃緒は何の力を持たない人間にもかかわらずNo.に取り込まれない強いデュエリスト、カイトは銀河眼光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)というバリアンの力が宿った竜を従えている

言っては何だが凌牙にはバリアンにとって何の価値もない人間だ

デュエルが強い依然にデュエルをしない、故にNo.すら待っていない

そんな人間になぜバリアンの刺客が現れたのか

 

「兄貴!まだか!?」

 

トーマスが待ちきれないといった風に、口早に言葉を投げかける

それは数分前に私に聞いたばかりだろう

 

「まだ少しかかる、と言っただろう

 さっきも言ったが焦るな、何の理由で凌牙がバリアンの刺客に追われているかわからない以上むやみに突っ込むのは得策ではない」

 

「……ごめん、兄貴

 でも冷静になんていられねぇよ、いくらデュエル(物理)が強いからってあいつはなんの力も待たないただの人間だ」

 

「それは私にもわかっている、ただの人間になぜバリアンの刺客が現れたのか謎だが今はそんなことを言っている場合じゃない」

 

そう、あのSOSの電話から30分以上経過している

いくら凌牙が並外れた身体能力を持っているとはいえどう考えても逃げ切れるわけがない

ぎりぎりまで車のスピードを上げているとはいえ病院付近に付くにはもう少し時間が掛かる

その時、トーマスのDゲイザーが鳴った

 

「んだよこんな時に!……璃緒?今それどころじゃ……はぁ!?凌牙が捕まった!?だってお前、え?ああ、今俺も向かっているところだ、ああ……わかってる……もうすぐ着くから待ってろ」

 

「トーマス、今の電話は……」

 

「ああ、璃緒からだ

 璃緒の後輩に凌牙から電話があったらしくって、その電話の途中に連れ去られたみたいだ」

 

そう言ってトーマスは歯をぎりりと噛みしめる

トーマスはあの双子を特に気にかけていたのは私たち家族の全員が知るところだ

家族がバラバラだったころに、トーマスの心が壊れないように(本人たちにその自覚は皆無だが)支えてくれた

にもかかわらず、その双子を引き離して片方の魂を捉えて、もう片方から恨まれて

でも、最終的には璃緒はトーマスを許したしそもそも凌牙は恨んでもいなかった、そして凌牙はトーマスの背負っていた十字架を下してくれた

それがトーマスにとってどれほどの救いだったか

自分を守ってくれた、自分を支えてくれた、自分を許してくれた凌牙が連れ去られた……それがトーマスの逆鱗だとは知らずに連れ去ったバリアンの刺客は大丈夫だろうか

まぁ、凌牙や璃緒に何かをしたら我ら家族も容赦しないがな

 

「さぁ、ついたぞトーマス」

 

いつの間にか病院付近に付き、思考していたのをトーマスに悟られないように慌てて車を止める

すでに遊馬や璃緒達が付いているらしくハートランド学園の制服を着た子供たちが少し離れているここからでも見える

 

「わりぃ兄貴!俺行くから!」

 

慌てて車から降り、彼らの元へ駆け寄ろうとする

車から出た時に少しだけ見えたトーマスの手は、握りすぎたせいか赤くなっていた

 

「トーマス、凌牙を頼んだぞ」

 

私たちの家族(トーマス)を救ってくれた、もう一人の恩人を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んぅ?」

 

目を覚ますと、そこは牢獄でした

 

「じゃないって!なんぞ?この状態なんぞ!?」

 

どうしてこうなってる(驚愕)

いやいやまてまて思い出すんや凌牙!えーっとたしかバリアンに操られてる人に追われて、璃緒に電話したけど出なくて、トーマスには行くまで一時間かかっちゃう☆てへぺろ☆(捏造)って言われて零に電話して……

あー、そうだ、捕まったんだよなー

……これからどうしよう(ゲンドウポーズ)

周り見た感じどこにも脱出口なさそうだし、どうしようもできなさそうなんだよなーDゲイザーもないし

コンコンと周りの石壁を叩いてみたり、鉄格子を引っ張っても押してもびくともしない

いくら人間の皮を被ったゴリラでも限界があるんやで?

あれだな、詰んだな!

 

「んー、でもこの状況どうしようかねぇ」

 

SOSの連絡を入れたとはいえ、さっきの漫研の部長の言動を聞く限りここは漫画の世界

いくらアストラルって摩訶不思議生命体がいたとしても漫画の世界には……

来れるだろうなー、なんかそんな気がする

 

「……ん?」

 

うろうろと牢屋を歩き回っていたら部屋の隅にぽつりと一枚だけカードが落ちているのを見つけた

こんなところにカード?敵の罠っぽいけどこれ以上どうしようもないのが現状なんだよな

仮に罠だとしても何かしら事態が動くでしょ

部屋の隅に移動し、カードを拾い上げる、そこには

 

「No.96ブラック・ミスト?」

 

No.?って確かアストラルが集めてるやつだよね?なんでこんなところにあるの?

まぁいいや、あとでアストラルと遊馬に渡しておくか

お気に入りのカードが入っているカードケースに入れておく(デッキではない)

にしてもまた振り出しかーどないしよう?

 

「せん…シャー………い……」

 

「…おー………-ク!シャー……」

 

お?

 

「おーい!ここだよここー!」

 

そう大声を出すとパタパタと階段を駆け降りる音が聞こえる

いやー思いのほか助けが早く来て助かったわ

 

「シャーク先輩!よかった、無事だったんですね!」

 

「よかったー!これでⅣといもシャが思いっきり戦えるな!あ!シャーク大丈夫か?痛いことされてないか?」

 

『すまないシャーク、まさかバリアンが君を狙ってくるとは思わなくてな……』

 

零、遊馬、アストラルがそう口々に言う

まだ会って数日だけど仲間思いの良い後輩が出来て先輩は嬉しいです

 

「いやー助けに来てくれただけでもいいよ、あ、痛いこととかされてないから平気だよー

 あ、零も電話の途中でごめんよー人間の皮を被ったゴリラでもさすがにトーマスが来る一時間逃げ切るのは無理だった(真顔)」

 

トーマスって言葉に反応したのか零も遊馬もハッと顔を見合わせる

え?トーマスが何かしたん?

 

「そうだ!今いもシャとⅣが戦ってんだよ!」

 

「そうです!シャーク先輩が人質になっててお二人とも倒すわけにはいかなくて……」

 

「っておーいそれかなり重要な案件じゃん!早く案内して!」

 

確かに璃緒はお姉ちゃん思いの良い子でトーマスは友達思いの優しい奴だから俺っていう人質がいる以上、自由に戦えない

それを見越して俺を人質にしたってことか……貴様、それでもデュエリストか!

 

『リアリストだ』

 

なんか声が聞こえた気がするけど気のせいだよな

イメージ的にはあれだ、くっこいつ直接脳内に……!状態やな

 

『ファ○チキください』

 

くっこいつ……ってやかましいわ

遊馬と零の先導の元急いで階段を駆け上がる、大丈夫だよね!負けてないよね!?

廊下を駆け抜け、広間を走り、玄関の扉を開け放つ

 

「神代先輩!Ⅳさん!シャーク先輩を見つけました!」

 

「シャークは大丈夫だからもう思いっきり戦って大丈夫だぜ!」

 

「ごめ!心配かけて悪かった!」

 

 

 

 

 

「そして私は魔法カード成金ゴブリンを発動しますわ!

 これにより私はカードを一枚ドローし、貴方はライフを1000回復しますの!」

 

漫研の部長LP100→LP1100

 

「ひいいいいいい!もう勘弁してください!」

 

「うるせぇ!凌牙を!解放するまで!俺達は!デュエルを!やめない!」

 

「じわじわと嬲り殺しにしてあげますわ!」

 

 

 

 

 

パタン

 

「ごめん、俺帰っていい?」

 

『ふむ、これが俗にいう現実逃避というやつか』

 

扉を開けたら璃緒とトーマスがヒャッハーしてました……どういうことなん?

遊馬と零とアストラルの方を見るとスッと顔を反らされてしまった、いや、アストラルは状況が分かっているのかいないのかキョトンとしている、可愛いな畜生

 

「……とりあえず、あの二人、止めような」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、無駄に心配かけやがってふざけんなよ……」

 

「もーそれについては謝ったじゃん!」

 

「そんなんで私が許すと思ってるの!?凌牙の馬鹿!」

 

「(´・ω・`)」

 

あの後漫研の部長をフルボッコにしている璃緒とトーマスを必死に止めてなんとかデュエルを終了させた

漫研の部長VS璃緒&トーマス、漫研の部長は二人相手だからライフ8000スタートだったけど……

一瞬で終わりそうになって、相手のライフを回復→殴るという無限ループを俺が来るまで延々とやってたみたいです(小鳥ちゃん談)

うん、お前らが楽しそうで何よりです(震え声)

 

「でもまさかそうそうにそのバリアン世界とやらの戦いに巻き込まれるなんて思わんかったなー」

 

俺の平穏は一瞬で終了しました

でも璃緒やトーマスが関わってるとわかった以上、首を突っ込まないなんて選択肢は存在しないけどな!

 

「大丈夫よ凌牙、この身に変えても私が守ってあげるわ

 だって私のデュエルは凌牙を守るためにあるんだからね」

 

「俺はお前に救われた、だから今度は俺がお前を救う番だからな」

 

「やだ、俺の妹と友達が男前……」

 

うーん、でも俺が璃緒に対して有効な人質になるってバリアン側にわかった以上、俺もデュエルした方がいいのかな?

でもなールールが意味わかんないんだよなぁ……戦闘が巻き戻るってなんだよ、対象に取るとらないってなんだよ、チェーンの逆処理ってなんだよ……

まぁいいや、いざとなったらデュエル(物理)すればいいし

でも、少しぐらい検討した方がいいのかな?少しだけカードケースを見る

これはデッキじゃなくて俺の気にいったカードが入ってる、デッキとも言えないカードの束

もしデッキを組むならこいつらを生かしてやりたいな、なんて

 

『だったら俺を使え、なぁ、凌牙?』

 

あ、天の声さんうるさいです

そしてカードケースを見て思い出した

 

 

 

 

 

……No.、アストラルと遊馬に渡してないや




天の声(笑)はご存知の通りブラック・ミストです
凌牙ちゃんは天の声(笑)を「遊戯王世界だからこれぐらい普通」って感じでスルーしてます
これからブラックミストは天の声(笑)としてちょくちょく出てくる予定です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10/神代璃緒は大人気

Ⅲクリアして現在はⅤでプレイ中
なんでⅢルートと璃緒ルートのⅣは最後は救われた(?)のに肝心の自分ルートでは救われないんや……
ⅤルートのⅣも皆と仲良さそうだし……なんでや!


「あああああああああもおおおおおおおおおつーかーれーたー!」

 

ごろりと屋上に大の字で寝転がる

どーも、デュエルをしないデュエリスト(命名:徳之助)神代凌牙です

デュエルはしないけどデュエル(物理)はするよ!

 

「まったく、シャークである凌牙を引き合いに出せば勧誘地獄から抜け出せると思ったのに……

 私は風紀委員の仕事があるって再三言っても聞かないんだから……ごめんなさいね、凌牙、巻き込んじゃって……」

 

「別にいいって!可愛い妹を守るのはお姉ちゃんの役目だからね!」

 

ハートランド学園の屋上、そこに俺と璃緒がいた

前来た時とは違ってちゃんと制服を!来てるんだぜ!

緑のふちが付いた半袖のワイシャツに青色のネクタイと緑のスカートに黒タイツ

そう、上は男子生徒の制服を着ています、だってあの女子制服なんなん!ぴっちりしてて袖なしとか恥ずかしくてとてもじゃないけど着れないお……

なんで璃緒とか小鳥ちゃんとかキャットちゃんとか普通に着れるん?俺には無理です(真顔)

俺ぴっちりした奴よりだぼってした奴の方が好きなんだよね

それでまぁ璃緒とナンバーズクラブの面々(アストラルも普通にいてびっくりした)と一緒に登校、したまではよかった

風紀委員に入ってるらしい璃緒は委員会の方に集中したいらしく、部活には入りたがらない

それに俺が寝ていた時に「委員会と双子の姉の見舞いがある」と全力で部活勧誘を拒否

それでも璃緒が可愛くて美人さんだからか断っても断っても部活の勧誘が絶えないらしい

しかも俺が退院してきてさらに状況が悪化した……そう、俺が目を覚ましたから姉の見舞いという部活勧誘を断る名目が使えなくなったのだ

氷の女王神代璃緒の双子の姉が事故で病院で眠り続けているというのは有名な話らしく、さすがの部活勧誘も(それでも多いが)少なかったらしいのだが

俺氏、無事退院

お姉ちゃん無事退院おめでとう!そういうわけで俺達の部活に入ってよ!

……まぁ昼休みのうちに皆まとめてデュエル(物理)でぶち転がしましたけどね!

 

「えーっと後最後は華道部かぁ」

 

昼休みに部活勧誘してきた男どもをぶち転がしたせいか女子の皆さんから恐れられています

いや、たしかに昼休みの部活勧誘には女子の皆さまもいたけどデュエル(物理)してないから!ぶち転がしたのは璃緒に部活勧誘という名の色目を使った男どもだけだから!

これでさらにシャークの悪名が広がりましたわぁい^^

そんな中部活勧誘だけど話しかけてくれた華道部の部員さんだけが俺の心を癒してくれる……

 

「ならさっさと行きましょう、今日は凌牙の復学祝いに夕飯は私が腕を振るって差し上げますわ、何か食べたい物はありますの?」

 

「え!リクエストしていいの?やったぜ!璃緒ー俺あれがいい!ささみのから揚げとイカと里芋の煮物!」

 

家事は当番制で、よほどのことがない限りは冷蔵庫に入ってるもので作ったり、その日のスーパーで特売のもので作るため実は璃緒も俺自身も自分の好きな物を作って食べる!ってことはあまりしない

だからこの夕飯のリクエストは実はかなりレアである

 

「うーし、んじゃさっそく行きますかっと!」

 

「ええ、早く終わらせて食材を買いに行かないと」

 

意気揚々と屋上を後にする

……よくよく考えれば漫研の部長がバリアンに操られてたんだし、他に学校の生徒を操ってこっちに攻撃を仕掛けてくるって子供でも分かることがなんでこのときの俺は思いつかなかったんだよ

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、おいで下さいました

 わたくしが部長の花添愛華でございます

 璃緒さん、と申しましたか、貴方は素晴らしい才能の持ち主のようです」

 

せやろせやろ!なんてったて俺の自慢の妹ですから!

皆と一緒に華道部に突入、現在華道部の部長さんのお話を聞いているところです

……正座で

いや、前世では家の方針?でごはんの時は正座だったけど今世ではテーブル+椅子だから全く正座する機会無かったんよねぇ

ここまで言ったらもうお分かりでしょう?……すごく、足がしびれます

絶対今足つんつんしたら死ぬ自身がある(真顔)

ていうか他の皆は平気なわけ?璃緒とアストラルならともかく遊馬とか零とか鉄男は正座とか無理そうだよなぁ

遊馬は正座に慣れてなさそうだし零はドジっ子(自称)鉄男は体形的な意味で

ちらりとみると遊馬と鉄男は平気そうで零は何やら鋭い目つきで華道部の部長を見つめてる

どうしたん?何かあったん?まさかの華道部の部長にフォーリンラブ?

あっ、ちょっと身じろぎしたら足のしびれがああああああああ!今必死に平静を装ってるけど足がやばい!

 

『おい、凌牙』

 

おっとどうなさいましたか天の声さん

というか天の声が聞こえるって俺も相当遊戯王次元に犯されてきたなぁ……

でも平気です、遊戯王ではよくあることです、偉い人にはそれがわからんのです

遊矢とユートみたいに合体しないよね……いやでも遊戯王次元出しなぁ

まぁいいや、ところでどうしたん?

 

『周りを見ろよ』

 

天の声さんの言うと周りを見……皆寝落ち仕掛けている……だ…と?

 

「ね、ねぇ、流石に寝るのはまずいんじゃないかなー……」

 

まぁ、足のしびれの方ばっか気にしてて全く話を聞いていない俺がいうセリフじゃないけどね!

……ってあれ?何の反応もない?

その時、特に意味のない遊馬のペンダントの光が俺達を襲う!

 

『遊馬、遊馬!』

 

「アストラル!?」

 

お前見ないと思ったらそんなところにいたんかい!

なんなん?遊馬のペンダントは四次元空間なん?

……じゃなくて

 

「遊馬、起きて、起きて!璃緒!みんなも」

 

「う……えっ!アストラル!?」

 

『遊馬、周りを見ろ!』

 

「なんか皆の様子がおかしいんよ!」

 

そう言って遊馬と一緒に周りを見渡す

璃緒も小鳥ちゃんも皆眠ってしまっている、絶対におかしい

 

『どうやら彼女は花を切る音で催眠術をかけているようだ』

 

「んなばかな!」

 

「何それすごい」

 

『考えられる答えは一つ

 ……彼女はバリアンの刺客』

 

フラリ、と俺と遊馬以外が前のめりに倒れる

バタバタと畳の上に転がっていく様はまるでホラーのようだ

 

「み、みんな!」

 

必死に肩をゆすったり顔を軽くたたいたりしているが誰一人として起きない

……おいちょっと待て璃緒お前どうして起きてるんだよ?お姉ちゃんわかるからね?お前が絶賛寝たふり中なのわかるからね?

 

「流石は九十九遊馬

 バリアン世界の為に、まずは神代璃緒からと思いましたが、やはりあなたから叩き潰してあげましょう」

 

「なんだと!」

 

バリアン世界の為……マジでバリアンに操られてるんか……

今日は部活勧誘で色々な人に話しかけられたから、知らない人……華道部の人にここに誘い込まれても全然警戒しなかったんだよなぁ……

 

「わたくしとデュエルして貴方が勝てば、神代璃緒は見逃して差し上げます」

 

「よーし!やってた……あたたた!足しびれた!」

 

遊馬……やはり同志だったか

え、俺?絶賛足痺れ中ですが何か問題でも?

 

「未熟なり、九十九遊馬!」

 

俺も未熟者です本当にありがとうございました

 

「私がお相手いたしましょう」

 

そう言って璃緒がスクっと状態を起こす

璃緒が起き上がったことで華道部の部長と遊馬とアストラルが驚いている

 

「!!どうして!?」

 

「催眠術に掛かってなかったのか?」

 

「どうもおかしいと思って、掛かったふりを」

 

『シャークといい、璃緒といい、君達は本当にただの人間なのか?』

 

少なくとも前世の記憶がある俺はただの人間じゃないけどな(遠い目)

転生なんて一般人のカテゴリー入れていいのやら

でも遊戯王次元だしなー、バイクと人が合体するらしいし、人がカードになったり、もう一人の僕とか同じ顔が四人とか……

なんだ、転生者なんてただの個性か、問題ないな

 

「こざかしい真似をなさるのね」

 

「お、なんぞ?璃緒を馬鹿にするのか?よろしい、ならばデュエル(物理)だ」

 

「大丈夫ですわ凌牙、自分の身は自分で守ります

 このデュエル、私が受けて立ちます!」

 

俺の妹がかっこよすぎてつらい

 

「いいのかシャーク?」

 

「デュエルしない俺がどーのこーの言えないって

 それに璃緒は強いから大丈夫だって、それに璃緒の強さはお前らが一番知ってんだろ?」

 

『確かに、璃緒はNo.の誘惑に打ち勝つほどの強い精神力に腕のいいタクティクスを持っているな

 ……下手な心配は逆に璃緒を侮辱することになるな』

 

そう言って先に行ってしまった璃緒と華道部の部長の後を追うアストラルと遊馬

え、俺?ここに残って眠ってしまったナンバーズクラブの皆の警護します(`・ω・´)

下手に俺まで行って皆丸ごと誘拐→洗脳☆なんて展開は俺は望んでない

 

 

 

 

 

 

 

九十九遊馬とアストラル、神代璃緒をバリアンの手駒が部屋を出て行って少し

そろそろ起き上がった方がいいか?とベクターは少し顔を上げてこの部屋で起きている唯一の人間、神代凌牙

あいつらがこの部屋を出てった後に部屋の窓から悠々とデュエルを見学しようかと思ったが、神代凌牙がここに残ったことでその計画もおじゃんだ

あの催眠能力はバリアンの力によるもの、故にバリアンである俺には聞かない

まぁ、確かに全員寝てるからその間にバリアンの連中に集団誘拐とかシャレになんねーからな

 

「う、え、あ、あれ、僕、どうして寝て……」

 

そう言って起き上がろうとする

そして神代凌牙の方を見て

 

「……!」

 

神代凌牙は、ただ真っすぐと窓の外からデュエルを見ていた

何かを考えるように、ただ、真っすぐと

 

「RUM……やっぱりRR(レイド・ラプターズ)の奴同じ奴だよなー……幻想騎士団(ファントム・ナイツ)光波(サイファー)も専用のRUMあったし

 ……?え?あー、いや、ぶっちゃけこの前RUMみたことあるんよ、なんだっけ?ああ、そうそう、RUMバリアンズ・フォースってやつ

 いや、あん時はRUMのことすっかり忘れててさー、……天の声さんでもそれは教えられないなー」

 

RR(レイド・ラプターズ)幻想騎士団(ファントム・ナイツ)光波(サイファー)?……それに天の声?

なんだ、なんのことだ?

神代凌牙は見えない何かと話しているように見える、あいつにもアストラルみたいなアストラル人が付いているのか?

だったらバリアンの俺がそいつを視認できないのはおかしい

……!微かに、本当にじっくりと見ないとわからないレベルで神代凌牙にカオスの気配が感じる……あぁ、そういう事か

 

「シャーク先輩!こ、これはどういうことですか!みなさん寝ているようですけど……」

 

そう言って真月零の仮面を被り、慌てた様子で神代凌牙のそばによる

この気配……そう言う事か、調べた限りではあのカードは九十九遊馬とアストラルと闘った後、行方が分からなくなってたな

 

 

No.96ブラック・ミストさんよぉ?




ベクター視点の凌牙ちゃんはベクターが起きてると知らないでブラックミストと話しています
このときは皆寝ているから実際に声に出して脳内のブラック・ミストと話してるけど普段は脳内で話しています

それと主人公凌牙ちゃんのイラストです
イメージを壊したくない人は観覧をお控えください
見てからの文句は受けつけません☆


【挿絵表示】


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11/神代凌牙「カイト!なぜカイトがここに!まさか自力でエクシーズ次元から脱出を!?」

Vルートクリア!後はトロンをクリアすればアークライト一家は全員クリアです!YATTANE!
ちなみにこの話でカイトは出てきません


「ほいでなー、スタンダード次元の榊遊矢と柊柚子・エクシーズ次元のユートと黒崎瑠璃・シンクロ次元のユーゴとリン・融合次元のユーリとセレナで……なんだっけなー……

 思い出せん、ゼロリバース?リバイバルゼロ?なんとかゼロって計画に関わっているのだった……!みたいなサムシングなんよ」

 

『ふーん、そのエクシーズ次元ってここじゃねぇの?』

 

「多分パラレルワールドって事でしょ?シンクロ次元でも三代目遊戯王の5Dsに出てた元キングと苦労……間違えた、クロウが出てたしなー」

 

『融合はわかるが……シンクロ、ペンデュラムねぇ……?

 どんなもんなんだ?モンスターエクシーズとはどう違うんだ?』

 

今日は珍しく一人で散歩をしていた、休みの日は引きこもってるか、璃緒といるかトーマスと一緒に遊ぶか

最近はナンバーズクラブの皆と遊んだりもしている、なんて中学生らしい休日なんだ!(驚愕)

……まぁ天の声さんといるから一人というのは語弊があるけど、いや、天の声さんって一人としてカウントしていいのかなぁ?

 

「まーざっくり言うとシンクロは……エクストラデッキにあるシンクロモンスターと同じレベルになるようにチューナーモンスターと他のモンスターを墓地に送って召喚できるんよ

 例えばレベル7のシンクロモンスターを出したかったらレベル2のチューナーモンスター+レベル5のモンスターを墓地に送って召喚!……みたいな?

 あとふわっとしか覚えてないけどシンクロチューナーとかアクセルシンクロとか」

 

『シンクロチューナー……アクセルシンクロ……』

 

ある意味最強のメタ的存在の天の声さんがシンクロとかペンデュラムとか知らんとはなー

まぁ、ARC-Vでもスタンダード次元も赤馬が融合次元に行ったから融合やらシンクロやらがスタンダードに浸透したみたいだし

シンクロ次元の人間もエクシーズ召喚やら見て驚いてたし、シンクロ次元=シンクロ召喚しかない、エクシーズ次元=エクシーズ召喚しかないって認識で合ってると思う

だからここが四代目遊戯王だとしたらここはエクシーズ次元の元ネタのはずだからペンデュラムはともかくシンクロ、融合がないのは仕方ないのかなぁ……

でも初代から見てる側としてはやっぱ融合がないのは悲しいわぁ……

まぁ、初代から見てるって言っても5Dsはネタを動画で見た程度で話の内容さっぱりわからん

四代目遊戯王見てもないからここが本当にARC-Vのエクシーズ次元の元ネタ世界かはわからんけどな

 

 

 

「返して!それは兄さんと父さんからもらった大事なカードなんだよ!」

 

「未来への思い……このカード見たことがねぇ!てめぇ見たいなガキにはふさわしくねぇなぁ!」

 

「ハルト様ノ物デアリマス!返スデアリマス!」

 

 

 

「ん?」

 

何やら言い争っている声が聞こえる

そっちを見ると小さな男の子と高校生くらいの男子とオボットがいた……なんだその謎の組み合わせは

高校生がカードを上に掲げ、男の子とオボットが必死に取ろうとしている

おいおい……たかがカードをカツアゲとか遊戯王次元ってやつは本当にクレイジーだぜ!

 

『おい、まさかあのガキどもを助けるつもりか?』

 

まぁあの子もデュエリストみたいだし、この世界じゃカード=自分自身と言っても過言じゃないしなぁ

それにああいう胸糞悪いの嫌いだしね

 

『はっ、あんなガキ一人助けたところで何の得にならないだろ』

 

損得の問題じゃなくてさー、なんだろ、気持ちの問題?

俺がしたいからそうするんだよ、困ってる人がいたら助ける!

 

『……ただの労力の無駄遣いだろ

 まぁ、勝手にしてろ』

 

この天の声さんすっげー荒んでおるなぁ

なんだ天の声界での人間関係がうまくいってないんかなぁ?いや、天の声界なんてものがあるか知らんけど

それきり反応の無くなった天の声さんを心配しつつ男の子とオボットの方に走り寄って

 

「俺のキックは防げない!」

 

思いっきりドロップキックをかます

え?「おいデュエルしろよ」やらないよ?デュエルしてないし、そもそも明らかにあの高校生に非があるんだから手加減なんていらないですわ(真顔)

よろめいた隙をついてカードを奪還、男の子とオボットを小脇に抱えて全力ダッシュ!

あ、ちゃんとカードは男の子に返しといたからね!

逃げる途中で思いっきり高校生を蹴り上げる

子供をいじめる輩に手加減なんていらんのです

 

「え、え!何!何!?」

 

「何ヲスルデアリマス!」

 

「はーいごちゃごちゃ言わないでちゃっちゃか逃げるよー

 君もオボット君もまたあの高校生にカツアゲされたくないでしょ?」

 

そう言うと男の子とオボットは一応俺が助けようとしているとわかったらしくそのままおとなしく運ばれていく

後ろから何やらさっきの高校生らしき声が聞こえるのでカードを投げる

スコーンと額にカードが突き刺さる、カードの力ってすっげー!

 

 

 

 

 

 

「あー!疲れた疲れた!

 なんか逃げるためにこんなところまで連れまわして悪かったねー」

 

とりあえず縦横無尽に町中を駆け回り、最終的にはあの男の子とオボット達がいた公園に戻ってきました

まさかあの高校生もここに戻ってくるとは思うまい

 

「ごめんねー、大丈夫だった?」

 

一旦しゃがんで男の子と目を合わせてやる

 

「え、あ、大丈夫です!あの、ありがとうございます、これ、兄さんと父さんからもらった大事なカードだったんで……」

 

「あー、そういやあの高校生に取られた時も言ってたね、どんなカードなん?」

 

そういうと男の子はカードを差し出してきた

こんな見ず知らずの怪しい女にカードを差し出してくれるとはええ子だな

 

 

未来への思い

通常魔法

自分の墓地のレベルが異なるモンスター3体を選択して発動できる

選択したモンスター3体を特殊召喚する

この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は0になり、効果は無効化される

その後、自分がエクシーズ召喚を行っていない場合、このターンのエンドフェイズ時に自分は4000ライフポイントを失う

また、このカードを発動するターン、自分はエクシーズ召喚以外の特殊召喚ができない

 

 

な、なんというトリッキー(?)カード……

エクシーズしかできないってことは融合もシンクロもアドバンスも儀式もできないってことやろ?

ここの人はエクシーズしか使わないっぽいしこういう効果になってるのも仕方ないのかな

でもレベル違うのにエクシーズ召喚しろってなんてムリゲー

せめてエクシーズ召喚以外の特殊召喚できたらいいだろうに……

それにライフ4000って一撃死じゃないですかやだー!OCGってたしかライフ8000だっけ?

……OCGでも一発ライフ半分てあかん(確信)

あ、でもたしかDDDで効果ダメージを回復にするってやつがいた気がするし、そいついればなんとかなるんかな?

 

「モウイイダロ不良鮫!サッサトハルト様ニカードヲ返スデアリマス!」

 

「オービタル!」

 

「まーそこのオボット君の行くことももっともだしねー

 ほい、もう取られないように気をつけな—」

 

そう言ってほいとカードを渡す

男の子は少しはにかみ、大切そうにカードをしまう、あらかわいい

 

「えっと、改めてお礼を言わせてください

 僕の名前は天城ハルトっていいます、こっちはオービタル7」

 

「ハルト君にオービタル君よろしくね

 俺の名前は神代凌牙っていうんだー、よろしく」

 

そう言うとハルト君とオービタル君がそろって顔を見合わせる

ん?どうしたん?

 

 

 

 

 

 

 

「じゃーハルト君のデッキはまだ完成してないんだ」

 

「うん、兄さんみたいに僕も銀河眼(ギャラクシーアイズ)を使ってみたいんだけど……」

 

まさかハルト君があのアークライト一家の話に出て来たハルト君とは思わないんだ……

しかも璃緒とも知り合いとか、だから俺が名乗った時に神代に反応したのか

それにしても、銀河眼(ギャラクシーアイズ)かぁ……たしかアカデミア絶対カードにするマンのカイトが使ってたよな

カバンの中からいくつかのカードケースを取り出す

そして一枚だけ、ハルト君とオービタル君には見えないように、俺だけそのカードを見つめた

 

 

魔界劇団プリティ・ヒロイン

ペンデュラム・効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1500/守1000

【Pスケール:青2/赤2】

(1):1ターンに1度、相手モンスターの攻撃で

自分が戦闘ダメージを受けた時、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●その相手モンスターの攻撃力は、受けたダメージの数値分ダウンする。

●自分のエクストラデッキから、受けたダメージの数値以下の攻撃力を持つ

表側表示の「魔界劇団」Pモンスター1体を手札に加える。

【モンスター効果】

(1):1ターンに1度、自分または相手が戦闘ダメージを受けた時、

相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力は、その戦闘ダメージの数値分ダウンする。

(2):モンスターゾーンのこのカードが戦闘または相手の効果で破壊された時に発動できる。

デッキから「魔界台本」魔法カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。

 

 

ペンデュラムカード

この世界には存在しない、次の世代から存在する新しい召喚に必要なカード

なんでこれを持っているのかというと、それは知らない

いつの間にか手元にあった、としか言いようがないのだ

他にも様々なカードを持っているとはいえ、俺が前世で本格的にカードを買い始めたのはARC-Vが始まってから

つまりそれ以降のカード、例えば5Dsの遊星が使ってるスターダスト・ドラゴンは無い

本当に前世で俺が持っていたカードしか現在手元にないのだ

 

『それがペンデュラムカードか……

 上半分が効果モンスター、下半分が緑色……』

 

いきなり出てこないでよ天の声さん

後ふわっとした知識だけど通常モンスターのペンデュラムカードもあるよー

カードケースのこの辺に……あったあった

 

 

メタルフォーゼ・スティエレン

ペンデュラム・通常モンスター

星2/炎属性/サイキック族/攻 0/守2100

【Pスケール:青8/赤8】

(1):1ターンに1度、このカード以外の

自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊し、デッキから

「メタルフォーゼ」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。

 

 

通常モンスターってなんの効果ももたないのに……

それともこのペンデュラム効果が強いのかな?

 

『お、おま、レスキューラビットとか知らないのか?』

 

( ゚Д゚)ハァ?

いや待て、のんきに天の声さんと話してる場合じゃなかった

えーっと確かあのカードはこの辺に……あったあった

 

銀河眼(ギャラクシーアイズ)使いたいんだったらこれやる

 どのみち俺はデュエルしないから必要ないし」

 

そう言ってカードケースから何枚かのカードを取り出す

 

 

二重光波(ダブル・サイファー)

通常罠

(1):フィールドの攻撃力が一番高いモンスターが相手フィールドに存在する場合、

自分フィールドのX素材を持った、「ギャラクシーアイズ」Xモンスターまたは

「サイファー」Xモンスター1体を対象として発動できる。

そのXモンスターのX素材を全て取り除き、

そのXモンスターの同名モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

 

 

光波双顎機(サイファー・ツイン・ラプトル)

効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1600/守 800

「光波双顎機」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが相手フィールドに存在し、

自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):手札を1枚捨てて発動できる。

手札・デッキから「サイファー」モンスター1体を特殊召喚する。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「サイファー」モンスターしか特殊召喚できない

 

 

光波翼機(サイファー・ウィング)

効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1400/守1200

(1):自分フィールドに「サイファー」モンスターが存在する場合、

このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードをリリースして発動できる。

自分フィールドの全ての「サイファー」モンスターのレベルをターン終了時まで4つ上げる。

 

 

そう、アニメでカイトが使ってたサイファーシリーズです、え?銀河眼光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)は、だって?

待ってないです\(^o^)/

 

「このカードに書かれてる、❝「ギャラクシーアイズ」Xモンスターまたは「サイファー」Xモンスター1体を対象として発動できる❞って……銀河眼(ギャラクシーアイズ)専用のサポートカードって事!?

 それにこのモンスターカード……兄さんでもこんなカード持ってるの見たことない……」

 

「解析不能!解析不能!データベースニコノカード情報ガナイデアリマス!

 ハルト様!スグサマハートランドニ戻リ、カイト様にコノ事ヲオ伝スルデアリマス!」

 

……え、カイト

あ、え、いや、ちょっと待って

確かにハルト君の名前は天城ハルト、カイトも天城カイト

カイトも銀河眼(ギャラクシーアイズ)使ってたし、ハルト君のお兄さんがカイトだって説明付くし

それにアカデミア絶対カードにするマンの時も家族がカードになってたって言ってたし

あれ、ってことはカイトってZEAXLから参戦したキャラなの!?

確かにGXからエドとか明日香ちゃん、5Dsから元キングとクロウも出てたしZEAXLから誰かしか出てくるだろうなーとは思ってたけどそっかー、カイトがそうだったのかー

ん?だとしたらハルト君の発言おかしくない?カイトが使ってるカテゴリーってサイファーでしょ?なのに、兄さんも持ってないって……

……考えるのはここまでにして……この状況、まずくね?

 

『非常にまずいな』

 

とりあえず俺はあの腹パンされたりそこで黒崎が大活躍していた!したり(無言の睡眠)したりARC-Vで数々の伝説(笑)を残した最強のネタキャラである黒崎隼のあの有名なセリフを俺なりに改変し、そして高らかに叫んだ




凌牙ちゃんとうとうやらかすの巻
ちなみに凌牙ちゃんはこの世界のカイトもサイファーを使うと思っています
GXと5Dsから参戦したエド達は元々のカテゴリ、エドだったらD-HERO、クロウだったらBFを使ってたので
フォトン(ZEAXL)→サイファー(ARC-V)と変わってるのを知りません
そしてハルト&オービタルに強化フラグが立ちました^^


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12/天城ハルトとオービタル7と廃れた召喚法

トロンクリアでアークライト一家コンプリートだドン☆
今は鉄男でプレイ中ナウ
あと凌牙ちゃんが持ってる前世のカードは実際に作者が持っているものと同じものです
何枚かNo.持ってるけど……こっちではNo.抜きにした方がいいのかな?


「……」

 

「……」

 

「……」

 

はぁい!絶賛修羅場中の神代凌牙ちゃんでっす☆

……いや、割とマジでどないしよう?

まさかハルト君がカイトの弟だったとは……

今更だけど迂闊だったなー、一応エクシーズ次元編で出てきたカードだったから(多分)元ネタ世界のここにもカードがあるだろうと高を括った結果がこれだよ

ARC-Vのレギュラーだった黒崎隼が使っていたRR(レイド・ラプターズ)や重要人物だったユートの使ってる幻想騎士団(ファントム・ナイツ)、黒崎の妹でありなんとかゼロの要である黒崎瑠璃が使ってるLL(リリカル・ルスキニア)とかはさすがに上記三人の専用カード(?)だと思うからおいそれと渡さないけど……

他のレジスタンスメンバーが使ってた列車の奴とかフェアリーとかはこっちの世界でも普通にパックで売ってるから、カイトもそういった口だと思ってるんだけどな……

 

 

剛腕特急トロッコロッコ

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1800/守1000

(1):フィールドのこのカードを素材としてX召喚したモンスターは以下の効果を得る。

●このX召喚に成功した場合に発動する。

このカードの攻撃力は800アップする。

 

 

レジスタンスのポンチョショタことアレンが使っていた列車カードの一枚

このカードは前世の物だけど、こっちの世界で璃緒と一緒にパックを買ったときにも何枚か列車カードを入手している

だからさー、サイファーが普通にあるって思っても仕方ないよね☆

……いや、現実逃避はこれぐらいにしよう

とりあえず目の前のハルト君とオービタル君にどうやって口止めするか……

カイトって大量のアカデミアを瞬殺したりとかしてARC-Vの中でも赤馬と並ぶ強キャラだから、このことが知られた何が起こるかわかるかわからない

それに、もしかしたら俺の持ってるシンクロカードやペンデュラムカードも場合によっては見つかってしまうかもしてない

融合は天の声さんとの話でこの世界にも存在するっていうのはわかったけど、シンクロは前の世代の召喚法だし天の声さんも知らなかったからこの世界にも存在するか否かと言われたら限りなく0に近い

ペンデュラムに関しては言わずもなが

 

上記の事を踏まえて俺がこいつらにできる対応は思いつく限り5つ

1つ、カードは拾ったことにする

2つ、バリアンからかっぱらったことにする

3つ、全力ですっとぼける

4つ、潔く話した上で黙っててもらう

5つ、パックで当てたと言い張ってシンクロ召喚を教えて話題を反らす

 

1はさすがに騙されないだろ、無理

2はそもそもこいつらバリアンのあれやこれ知らんだろ、無理

3は今更無理

4はいくら遊戯王次元でも前世とか一般市民が信じるわけないだろ、無理

5はもうやけくそ、俺は考えるのをやめた!

……これ、選択肢5しかないじゃないですかやだー!

でもしかたないよなー……全部自分が蒔いた種だかんな

前の世代の召喚方法だしシンクロ、シンクロはセーフだろ(震え声)

 

「一つ、言わせてもらっていい?」

 

「ナンデアリマスカ?」

 

若干警戒してオービタル君が答える

そらまぁ警戒するよなぁ……

 

「俺ちょっと訳ありでさ、そのカードも、その類でさ

 だから黙ってて欲しいんだよねー……その変わり色々教えてやるからさ、な」

 

そう言うとオービタル君は胡散臭いようなものを見るような目で俺を見ている、そらそうだよな

ハルト君は何か考え込むように俺を見ている

 

『で、この後どうすんだよ』

 

どうするも何もこいつらの返答次第なんだよな

これで断られたらどうしよう\(^o^)/

 

「……うん、わかった

 その代わり、教えてね、全部」

 

やだ、このショタ怖い……

 

 

 

 

 

「それで墓地に送ることでシンクロ召喚ができるってわけ」

 

そう言って凌牙は三枚のカードを横に退け、カードケースから一枚のカードを取り出した

 

 

超重武者ツヅ—3

チューナー・効果モンスター

星1/地属性/機械族/攻 300/守 300

「超重武者ツヅ-3」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、

「超重武者ツヅ-3」以外の自分の墓地の

「超重武者」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

 

 

超重武者ココロガマ—A

効果モンスター

星3/地属性/機械族/攻 100/守2100

自分の墓地に魔法・罠カードが存在する場合、このカードは召喚・反転召喚できない。

(1):自分の墓地に魔法・罠カードが存在せず、自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、このターン戦闘・効果では破壊されない。

 

 

超重武者ジシャ—Q

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻 900/守1900

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

手札からレベル4以下の「超重武者」モンスター1体を特殊召喚する。

その後、このカードを守備表示にする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手は他のモンスターを攻撃できない。

 

 

超重忍者サルト—B

シンクロ・効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻2000/守2800

機械族チューナー+チューナー以外の「超重武者」モンスター1体以上

このカードはルール上「超重武者」カードとしても扱う。

(1):このカードは表側守備表示のままで攻撃できる。

その場合、このカードは守備力を攻撃力として扱いダメージ計算を行う。

(2):1ターンに1度、自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、

フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊し、相手に500ダメージを与える。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

シンクロ召喚、もう誰も使うことのなかったすごく古い召喚方法

僕も名前くらいは聞いたことあるけど、実際の召喚の仕方とか、どんな効果があるとかは全然知らない

凌牙は璃緒の話ではデュエルはしないって言ってたけど、なんでモンスターシンクロを持ってて、その召喚の仕方を知ってるんだろう?

パックを買ったって凌牙は言ってたけど、誰も使わないからもう何十年単位でモンスターシンクロがパックに入ってることはない

それにこのカードもオービタルに見てもらったけど、何処のデータベースにもこのカードの情報は無いって言ってる

オービタルも知らないってことは、本当に存在してるかどうかも怪しい

それに❝自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合❞つまりこのカテゴリのモンスター達はフルモンデッキが前提のデッキ構築にしないと役に立たないということになる

兄さんやオービタル、遊馬達と話をした中でフルモン前提のカテゴリなんて聞いたこと無い

……もしかして、

 

「ねぇ、どうしてモンスターシンクロを持っているの?」

 

「え、いやパックで当てたんよ

 後カードショップの骨董売り場的なとこで買ったんよ」

 

そう言う凌牙の目は少しだけ泳いでいる

嘘、ついてる

 

「ソンナ訳無イデアリマス!モンスターシンクロカードはここ何十年単位デパック販売サレテナイデアリマス!」

 

「それにデュエルをしないのにモンスターシンクロを持ってるし、シンクロ召喚のやり方も知ってる

 ……もしかして凌牙ってバリアン、なの?」

 

「ぐぶふゅっ!」

 

僕とオービタルが言い終わると凌牙飲んでいたジュースを噴出した

ごほごほとせき込む凌牙にハンカチを渡す

 

「後、ちゃんとさっきの光波(サイファー)の、ちゃんと教えてね?」

 

「ごばはぁ!」

 

「不、不良鮫ー!」

 

女の人に無理やり聞くのはとっても心苦しいけど……

でも凌牙がバリアンだったら、僕が何としてでも止めないと、兄さんは命に代えてでも僕を守ってくれた

だから、だから今度は兄さんを、皆を守るんだ!

 

 

 

 

 

 

 

こえええええ!このショタまじこえええええええええええ!

さっすがアカデミア絶対カードにするマンの弟やでぇ!

……これ、まじで選択肢4を発動するしかなさそうやんなぁ……

ここで黙秘するのは簡単だけど、その後が大変なんだよなぁ

カイト襲来、俺氏バリアン容疑、強制連行、シンクロ・ペンデュラムバレる、このシンクロ・ペンデュラムがバリアンにばれるかも、ばれたら絶対奪いに来る、結果バリアン陣営大幅強化、璃緒やトーマスに嫌われる、かも

黙秘した場合のデメリットが多すぎる

ここは賭けるしかない、前世も何もかも話して、黙っててもらえるように

あー、まさか前世バレの最初がカイトの弟だったとは……

 

『お前って本当に本能だけで生きてるよな』

 

やかましいわ

 

「あー、わかった俺が下手にごまかそうとしたから話がややこしくなってるんだよな……

 何もかも話すよ、その変わりこのことは他言無用で頼む

 たとえ君のお兄さんのカイトでも、両親でも言っちゃだめだ、それぐらい俺の秘密は大きいんだ

 墓までもっていく覚悟がないとこのことは話せない

 ……まぁ安心しろ、俺はバリアンでも何でもない、ちょっと秘密が多いだけの善良な一般市民だよ」

 

うーん……小さい子に対して難しい言葉使いすぎたかな?

いやでもオービタル君が頑張って翻訳してくれるかもしれない(願望)

 

「ハルト様!コンナ不良鮫ノ戯言二付キ合ウ事ナイデアリマス!」

 

おいオボットこの野郎!

こちとら(自分で建てた)死亡フラグの処理に忙しいんだよ!

お願いだから余計な事言わないでYO!

 

「……うん、わかった」

 

「!!ハルト様!本気デアリマスカ!?」

 

「僕、もう兄さんたちの足手まといになりたくないんだ

 だからここで凌牙の話を聞いて、それでちゃんと味方かどうか考える

 兄さんは危険なことをいっぱいしてきた、だから僕も危険だけど……話を聞く」

 

やだ……このショタかっこいい……

そーいやARC-Vのカイトも家族の為に相当無茶してたみたいだし、こっちの世界もなにがしかやってきたんだろうなぁ

だから今度は僕が守るってことか……

よくよく考えればシンクロなんて全然見ないし、そりゃパックで買ったって言い張ったら余計怪しいわな

 

「んじゃ、本当に他言無用で頼むよ」

 

そう言って俺はこれまでの……前世の記憶も含めての経緯を話すために口を開いた

カチリッ

何かの音が聞こえた気がしたが、気のせいだろう




おかしい、予定では2話で終わるはずだったのにどうしてこうなった\(^o^)/
これも全部ドン・サウザントってやつのせいなんだ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13/天城ハルトとオービタル7と未知なる召喚法

鉄男君クリアしましたー!
それにしてもコナミクリアするの大変すぎぃ!
今回全然天の(笑)声さん(笑)の出番はないです


「……これが、俺の歩んできた人生だよ」

 

話した、何もかも

俺の前世も遊戯王の事も……ペンデュラムの事も

流石にARC-Vのエクシーズ次元の話をしたときはさしもオボットであるオービタル君も鬼畜ショタのハルト君も動揺を隠しきれなかった

そらそうだよな、違う世界の話とは言えハートランドが侵略されて、兄のカイトがアカデミア絶対カードにするマンになってたらなぁ……

 

「ニワカニ信ジ難イ話デアリマスガ、コレハ……」

 

そう言ってオービタル君は俺の差し出した二枚のカード

それは、ペンデュラムカード

ARC-vから榊遊矢が編み出した5つ目の召喚法、この次の世代から出てくる召喚法であり、この世界には存在しない、俺しか持っていないオリジナルカード

 

 

妖仙獣左鎌神柱

ペンデュラム・効果モンスター

星4/風属性/岩石族/攻 0/守2100

【Pスケール:青3/赤3】

(1):自分フィールドの「妖仙獣」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、

代わりにこのカードを破壊できる。

【モンスター効果】

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。

このカードを守備表示にする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手はこのカード以外の自分フィールドの「妖仙獣」モンスターを効果の対象にできない。

 

 

妖仙獣右鎌神柱

ペンデュラム・効果モンスター

星4/風属性/岩石族/攻 0/守2100

【Pスケール:青5/赤5】

(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「妖仙獣」カードが存在する場合に発動できる。

このカードのPスケールはターン終了時まで11になる。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「妖仙獣」モンスターしか特殊召喚できない。

【モンスター効果】

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。

このカードを守備表示にする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手は他の「妖仙獣」モンスターを攻撃対象にできない。

 

 

アニメでは舞網チャンピオンシップ編で遊矢と沢渡さんのデュエルで大活躍した妖仙獣のペンデュラムカードだ

個人的にあの話が一番好きです!あの二人の楽しそうなデュエルと来たら……それに真澄ちゃんと柚子のあのデュエルもいいよな……

幻想融合モンスターが可愛いのいっぱいだからいいよな!……じゃない、話がそれた

 

「わかったろ?こういう特殊な事情があってさっきの光波(サイファー)カードを持ってたってわけ」

 

そう言って妖仙獣をしまう

一応外だし、警戒するに越したことはないからね

 

「本当は銀河眼光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)でも見せられれば良かったんだけど……」

 

銀河眼光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)は持ってないんだよなー

光波(サイファー)はそこまで興味なかったからあんま買わなかったんだよな

その代わり魔界劇団と妖仙獣は欲しかったからしこたま買ったけどね!

 

「で、信じてくれた?というかマジで黙っててくれませんかねぇ……」

 

これで信じてくれなかったら、申し訳ないけどハルト君とオービタル君をぶち転がすしかなさそうだ

ぶん殴れば運が良ければ記憶が吹っ飛ぶかもしれない

……いや、ダメだな

漫画とかだと記憶がポーンと飛ぶかもだけど、遊戯王次元とはいえここは現実だ

それにカイトにばれたら懺悔の用意は出来ているか!→>>突然のカード化<<ってなってもおかしくない

もしもバレたら、その時は

 

「うん、ごめんね凌牙、なんだかつらい話をさせちゃって」

 

「私モ反省デアリマス……」

 

別に、そこまで気にしては無いんだけどな

確かに俺の前世はわりかし壮絶だったとはいえ、そこまで悲痛なことでもなかったんだけどな

……嫌われ……テンプレ……いじめ……う、頭が!

 

「ま、まぁそう思ってくれてるんだったら、黙っててくれないかな?」

 

そういって両手を前に合わせお願いのポーズをとる

こういった仕草ってハイパープリティーシスターの璃緒やあざとい零、合法ショタのバイロンさんや目の前の鬼畜ショタのハルト君がやるから似合うのだ

俺みたいな人間の皮を被ったゴリラがやってもキモイだけなんだよなぁ

 

「大丈夫、僕は絶対に言わないから(・・・・・・・・・・・)

 

そう言ってニコリと笑う、うんうん、子供は笑顔が一番!

ちょっと不安だけどここはもう信じるしかないからな

ハルト君は大丈夫そうだけど、オービタル君がなぁ……心配なんだよなぁ……

そう思いつつオービタル君をジトリと見つめる、ハルト様の安全のためだーって言ってカイトにチクるかもしれん

 

「何ナンデアリマスカ、ソノ目ハ!ハルト様ノ言葉ガ信用出来ナイデアリマスカ!」

 

「いや、個人的に信用できないのはオービタル君の方なんですがそれは」

 

「ムキー!」

 

やだ……このオービタル君面白い……

 

「あーそれにしてもよかったー!もう話してる時心臓ばっくばくやでぇ!

 こんな事言いたかないけど、ハルト君が物わかりの良い子で助かったわぁ……」

 

脱力したようにベンチに寄りかかる、鬼畜ショタの威圧感が本当にパないです……

なんかいい子、の部分で若干ハルト君の肩が跳ねたけどどないしたんやろか?

 

「ねぇ、もう一度だけでいいからペンデュラムカード見せて!黙ってるんだから、それぐらいいいでしょ?」

 

あー……

見せるか、ここで辺に躊躇って気が変わっちゃった☆ってなったら嫌だからなー

 

「ん、ほいよ」

 

そう言ってもう一度ペンデュラムカードをハルト君にカードを渡す

とりあえずこれが終わったらさっさと帰ろう、今日は墓穴しか掘ってないから疲れたよ璃緒ぉ……

 

「はい、オービタルちゃんとよく見てね(・・・・・・・・・)

 

「!!了解デアリマス!」

 

まじまじとカードと見るハルト君とオービタル君

ほんとデュエリストってやつはカードに目がないよな

 

「はい、ありがとう凌牙」

 

そう言ってPO☆NNとカードを返してくれた

若干身構えてたけど、いらん心配だったなー、遊戯王次元ではカード見せて!→これはもう俺のもんだ!ってコンボが良くあるからなぁ

 

「ん、ありがとう」

 

カードケースにしまいDゲイザーで時間を確認をする……おい、2時間も立ってるってどういうことなの……

確かにシンクロ召喚の召喚方法を説明したりかーらーのー前世説明→ペンデュラムカードで……ああ、2時間立つのも納得だわ

とりあえず帰ろう、マジで精神が摩耗してるからなぁ……

そしてDゲイザーに登録されてる新しい二つの番号を見てため息をつく、そう、ハルト君とオービタル君のDゲイザーの番号である

さっきの説明の過程で交換させられました…マジであの鬼畜ショタ怖いです

 

「そんじゃ、俺は帰るからお前らも暗くならないうちに帰れよー」

 

「うん、またね凌牙」

 

「サッサト帰ルデアリマス不良鮫!」

 

とりあえずどっかよって甘いもん買って、トーマスも呼び出して璃緒と三人でゲーム大会でもやるか

家に帰って早くあいつらに癒されたいですわぁ……

片手をヒラヒラと上げて俺はさっさと甘いもんを買うべく、早足で公園を出て行った

 

 

 

 

 

 

「……良カッタノデアリマスカ?ハルト様」

 

「僕もこれが正解かどうかわからないけど、僕達だけで対処できる問題じゃないと思うんだ」

 

神代凌牙が去った後の公園で、天城ハルトとオービタル7は先ほどの出来事について話し合っていた

僕達だけで対処できる問題じゃない

天城ハルトの言うと通り、二人にはこの神代凌牙の話はあまりにも重すぎた

前世の記憶がある、それだけではなく神代凌牙が語った、神代凌牙が神代凌牙になる前のあまりにも悲しいすぎる過去

そしてこの世界ではもう覚えてる人も数えるほどしかいない廃れてしまった召喚法であるシンクロ、この町の最高権力者の息子である天城ハルトも、日本だけにとどまらず世界中のカード情報を網羅していると言っても過言ではないオービタル7さえも知らない未知なる召喚法ペンデュラム

まだ親の庇護下でないと生きていけない天城ハルトとオボットであるオービタル7にはとてもじゃないけど対処ができない

だから、天城ハルトがこのような手段を取ったのも、ある意味必然だったのかもしれない

 

「僕が話したわけじゃないけど、実質凌牙との約束を破ったのは……」

 

<いや、ハルトが悪いわけじゃない、お前は正しい選択をしたんだ>

 

天城ハルトのポケットから聞こえて来た声

ポケットを探り取り出したのはDゲイザーで、画面には通話中・天城カイトの文字が並んでいた

 

「兄さん……」

 

<お前はたまたま神代凌牙の話を聞くときに間違えて俺に電話をかけただけだ、盗み聞いた俺が悪い、お前は悪くない

 ……おい、オービタル7>

 

「何デアリマスカ、カイト様」

 

<お前が先ほど送ってきたペンデュラムカードの画像を解析する

 至急ハルトと一緒に戻ってこい>

 

「カシコマリ!」

 

先ほど最後にペンデュラムカードを見た時、オービタル7は密かにカード撮影し、それを己の主である天城カイトに送ったのだ

天城ハルトもオービタル7も神代凌牙と約束した通り誰にも話してはいない(・・・・・・・・・・)が、それはあくまで屁理屈で、ほぼ約束を破ったのと同じだろう

二人は神代凌牙に罪悪感を抱きながら己の兄の元へ、主の元へ帰っていくのであった




ハルト→話してはいない(Dゲイザーを通話状態にしてカイトに話を聞かせないとは言ってない)
オービタル→話してない(ペンデュラムカードを撮影してそれをカイトに送らないとは言ってない)

どうでもいいですけど天城って変換するとき「てんじょう」だと変換できないので「あまぎ」で変換しています


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14/神代凌牙あるいは××××とアリトとギラグの××

最近某物作り小説を読み返してるので中々筆が進まなかったんや……
あとこの話は中々たいへんでしたわぁ


「え?小鳥ちゃんが付きまとわれてる?」

 

そんな話を聞いたのは丁度一時間目が終わった後の休み時間の事だった

理緒は心配そうに一年教室を見ながら俺にそう言ってきたんだが……

おい遊馬、おい、お前の将来の嫁(仮)が付きまとわれてるのに何してんだ……

 

「なんなん?ストーカーの類?」

 

「そうではなくて……どうやら彼……アリト君は小鳥さんの事が好きみたいなのよ」

 

「……そのアリトって子もしかして最近小鳥ちゃんのこと好きになったの?

 最近知り合ったとはいえ、小鳥ちゃんが遊馬の事好きなのは一目瞭然なんだよなぁ」

 

なんという茨道、恋する見知らぬ少年、アリトに幸あれ……

 

「まーいいんでねーの?あんまりにも付きまとってたら俺がデュエル(物理)しに行くし

 璃緒も女子だから他人の恋愛事情を詳しく知りたいのはわかるけどそこまで酷くなかったらほっとくのもありじゃない?」

 

そう言うと璃緒は複雑そうにこちらを見つめている

…?なんぞや?

こういときの璃緒の顔は言いたいんだけど言っていいかわからないけど、確実に俺達双子に何等かの関わりがあるときの顔だ!(長文)

 

「何か言いたいことあるん?」

 

璃緒が複雑そうにこっちを見て、そして逡巡

 

「私、その時初めてアリト君と会いましたの」

 

「うん」

 

「でも、私、本当に、アリト君と初めて会いましたの?」

 

「ん?」

 

速報、我が妹が電波発病した模様

 

「どういうこと?」

 

「私、零君とあった時も、何か言いようのない違和感がありましたの

 ……言葉に表せない違和感で、なぜか会ったことがないのに、懐かしい

 私、私は、本当に、零君と、アリト君と初めて会いましたの?本当は、どこかで、」

 

「璃緒」

 

璃緒の口元に指を持って行ってやって言葉を止めてやる

よくわかんないけど璃緒は追い詰められてるみたいで顔が真っ青になって、いつもの可愛い顔が台無しだ

というか璃緒も零に対して違和感を感じてたか……なんなんだろうなー、全然接点も何にもないはずなんだけどなー

 

「なーなーちょっち璃緒具合悪そうだし保健室つれていくわ、誰か先生に伝えといてー」

 

教室中からはーいとかわかったーなどの返事が聞こえる

皆璃緒の顔色を見て尋常な何かがあったと悟る、まぁ人に弱みを見せたがらない璃緒がこんなに弱ってるからなぁ……

璃緒の手を繋いで廊下に出て誘導してやる

 

「凌牙……ありがとう」

 

保健室で璃緒をベットに寝かせてやった時、か細く、しかし確かに璃緒のその感謝の言葉が聞こえた

 

 

 

 

 

 

 

「…ん?」

 

保健室から渡り廊下で教室に帰る途中、外からたったったと誰かが走っている音が聞こえる

そっちに目を向けると黒髪で褐色肌の男子生徒が走っているのが見えた

制服の色が赤だし一年生かな?赤色の服だしあいつの翡翠色の眼がよく合い……

……?

 

「まただ」

 

零の時と同じ、後ろ姿であいつの顔なんて見えないのにわかる瞳の色

そして、違和感……待てよ

璃緒が言っていた零と同じように違和感を感じるアリトという少年、アリトは小鳥ちゃんが好きってことは同学年って可能性が高い

もしかしてあいつがアリトか?だったら会ってみるか、今更授業をサボるなんて怖くないぜ!

渡り廊下から飛び降りてこっそりと後ろからついていく、こちら神代凌牙、ミッションを開始する

 

『段ボール被れよ段ボール』

 

いや廊下だしそんなのないよ……

こそこそと某蛇さんよろしく背後からついていく

んんー?こっちの方なーんもなかった気がするんやけどどうしたんだろうか?

んー?アリトが入っていったあの建物はもう使われてない体育倉庫だった

ヤンキーなの?ヤンキーなの?

 

『なんで二回言ったし』

 

大切なことなので二回言いました

うーん、どうする?凸っちゃう?凸っちゃう?

 

『知るかよ、自分で考えろ』

 

はーい

まぁ俺まどろっこしいのは嫌いだし?こうなら突撃しかないよね☆

というわけで俺は意気揚々と扉を開けた

 

「おーい一年坊主!サボってないで授業に出ろや!」

 

……さっきのアリト少年(推測)ともう一人の生徒がいた

二年生服を着ていて背中に羽の付いた……ほら、あの坊ちゃんとかがつけてるズボン止める紐みたいなやつ……サスペンダー?をつけた茶色の瞳の大男

この人にも、何か…何か、言葉にできない、心ではわかってるのに、それを脳がうまく処理できない……でも、でもそれよりも見逃せない事実がある

 

そこらへんに散らばってるカップ麺やらコンビニ弁当のごみ

 

レジャーシートに寝袋や目覚まし時計

 

そして軽快にさなぎちゃんのセカンドシングルを流してるTV

 

「おめーら体育館倉庫で何やってんだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

ギラグに俺の天使の話をしていたら突然体育館倉庫の扉が開いた

ここは人が来ないから好き勝手やってたけど、もう見つかるなんてな

扉の方を見ると青い髪に意志の強い青色の瞳を持ち、右目の目元、首、右腕の途中まで巻かれた包帯レディ

 

『アリトは頑張り屋さんだねー!そんな君には俺が直々になでなでして進ぜよう!』

 

『ギラグ!ギラグぅうううううううう!時空竜(タキオンドラゴン)にちょっかい出したらミザちゃんがげきおこなんだけど助けてええええええ!』

 

今はいない、俺達七皇のリーダーの××××が、なぜか思い浮かんだ

神代璃緒とあった時も、×××の事がなぜか思い浮かぶ

 

「おめーら体育館倉庫で何やってんだよ!?」

 

そう言いながらレディは倉庫内に入ってくる

ギラグの方をちらりと見るとギラグも同じように感じているのか固まっている

 

「お前ら倉庫私物化してんじゃねーよ!そこの二年生も一緒になってこんなことやってんなよ……」

 

きょろきょろと体育館倉庫を物珍しそうに見てから俺達を見る

青色が視界に移るたびに、どうしても××××が思い浮かんで落ち着かない

 

「おーい一年坊主大丈夫?なんか具合悪そうだけども」

 

そう言いながら覗き込むようにこっちにレディはこっちを見る

 

「あ、ああ!アリトはなんか今日は具合が悪いみたいでさぁ!だからそっとしておいてほしいなーなんて、ははは!」

 

「いやーそういう君も具合悪そうですけど……」

 

「いや、大丈夫!本当に大丈夫だから!

 あ、あー!そう名前!君の名前教えてくれないかな!?」

 

ギラグが必死にごまかしてるけどあれ効果あんのかなぁ……

レディは訝し気に俺達を見ていたが、少し考えるように逡巡した後答える

 

「なーんか気になるけどいいか

 俺は二年生の神代凌牙だ、よろしくな」

 

「俺はギラグだ」

 

「ア、アリト、俺の名前はアリトだ」

 

カラカラの喉から出て来たのはそんな引き攣った声

神代凌牙、神代璃緒の双子の姉でデュエルをしないデュエリスト

ギラグはもちろん前この学校の生徒を洗脳したときに関わっただろうから名前ぐらいは知っているはず

 

「あー君がアリト君?君の事は妹から聞いてるよー

 ……それにしてもこれ本当にどうなってるん?マジでお前らここに住んでるの?」

 

あ、やっべどうしよう

これどうやってごまかそう?

いつもは適当に洗脳してるけど確かこいつ洗脳効かないんだよなぁ

 

「ん?どうしたん?天の……」

 

その瞬間いきなりガクリと前のめりに倒れる

……え!一体どうしたんだ!?

慌てて神代凌牙を支える、体にはなんの異常もないし、一体どうしたんだ?

ギラグと顔を見合わせてどうしようかと頭を抱えるのであった

 

「ど、どうすんだよギラグ!」

 

「俺に言われても!とりあえずお前が保健室に連れていけ」

 

「ええ!ギラグは来ないのかよ!」

 

「だって俺一応二年生だぞ!こいつと同じ学年だからなんか感づかれてもおかしくないだろ?」

 

「うぐ!そ、そうだけどよぉ」

 

まるで眠っているように神代凌牙はなんの反応もない

それに神代凌牙は俺の事を神代璃緒から聞いてるみたいだし、俺の方が適任かもしれないけどさぁ!

結局俺は神代凌牙をおんぶして保健室まで連れて行ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

目が覚めるといつの間にか保健室のベットに寝かされていた

どうしてこうなった\(^o^)/

 

「あ!凌牙!目を覚ましたんだな!」

 

声がした方を見るとアリトがいた

おいちょっと待てこれどういう状況なん?

えーっと確かアリト君をストーキングして体育館倉庫行ってー

あれ、確かアリト君とギラグと話してる時に天の声さんがなんか言ってきて……?ん?

 

『気にしたら負けだ』

 

せやな!

 

「んんー、なんか途中で倒れたっぽいんだけど、なんか知ってる?」

 

「いや、俺もいきなり倒れてびっくりしたぜ!」

 

なーんか最近こんなんばっかやでぇ……

バリアンだりなんだり、天の声さんだったり

なんなん?俺何か付いてるん?

いや、遊戯王次元に生きている以上ある程度のもめごとに巻き込まれるのは覚悟の上だったけどさ……

 

「あー……あのさ」

 

「?どしたん?」

 

「体育館倉庫の事なんだけどさー」

 

「ん?ああ、別にいいよ」

 

「え!?」

 

「ん?」

 

いきなりアリト君がそんなすっとんきょんな声を上げる

ん?たかが体育館倉庫に住んでるだけで(・・・・・・・・・・・・・・・・・)……

 

『まぁここは遊戯王次元とやら不思議が起こっても仕方ないんじゃないか?』

 

そうなのかなー?

でもバイクに乗ってデュエルしたり次元戦争したりカードの精霊がいたりするし普通なのかなー

 

「え、えっと、黙っててくれるんだったらいいんだ!じゃぁな!」

 

そのまま大慌てて保健室から出て行くアリト君

あんなに急いで大丈夫かねぇ?

 

「ところで凌牙、倒れたと聞いたのですがどういうことですか?」

 

シャッと音がしたかと思うと、隣のベットに璃緒がいた

……やっちまった\(^o^)/オワタ




ちなみに凌牙ちゃんが突然寝たり体育館倉庫に住んでるのに何の疑問も抱かなくなったのもブラック・ミストのせいです
RUM-バリアンズ・フォースが聞かなくてブラックミストの洗脳(?)が効いたのは凌牙ちゃんがブラックミストを信頼しているからです
もし警戒してたら効きませんでした


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15/ライディングデュエルがあるならスポーツデュエルがあったっていいよね!と神代凌牙は思った

ここから漫画版ZEXALのキャラが登場します!
捏造満載というか捏造しかないので注意してください

デュエルカーニバルでは委員長でプレイしてます!
デッキまわしにくいですわぁ(´・ω・`)


「おろ?なんか一年教室騒がしくない?」

 

「あら、本当ですわね、一体どうしたのかしら」

 

俺と璃緒でナンバーズクラブの面々と帰ろうとしていたけど、なんだか教室の中が騒がしい

っていうか小鳥ちゃんとキャットちゃんの言い争う声?

確かにあの二人は遊馬を取り合ってるけどいうほど仲が悪いってわけではなかったはずなんだけどなー

璃緒の方をちらりと見るとこくりとうなずく

それを確認した後ガラリとドアを開ける

 

「おーいおめーらちょっとは静かにしなよ!廊下にまで声が聞こえて来たよ!」

 

「一体なんの騒ぎですの?」

 

そんな事を言いながらドアを開けるとカオスだった

孝や徳之助、鉄男が必死にキャットちゃんと小鳥ちゃんを抑えていて、そんな事を梅雨知らず小鳥ちゃんとキャットちゃんは手あたり次第に物を投げている

遊馬は床にダウンしていて零とアストラルは机の下に隠れている、なんだこの状況

というかアストラル、お前隠れる必要ないやないか

 

「あ!シャークに璃緒さん!そうだ、マスコットガールはシャークか璃緒さんにやってもらおう!」

 

「マスコットガールですか?」

 

「おめーは一体何を言ってるんだ」

 

いきなりマスコットガールってどういうことなの……お姉ちゃん最近の後輩が考えていることが分からないよ……

見た感じ零とアストラル以外にまともな説明してくれる人がいなさそうなんだよなぁ

とりあえずどっちか二人になんでこうなってるか聞いて、この騒動を一回止めないとあかんわ

廊下にまで聞こえていたし、いつ先生に見つかってもおかしくないからな

しかし穏便に済まないのが現実ってやつでして

 

「はぁ!?璃緒さんならともかくなんでおまけのシャークまで!」

 

「……今、なんて言いましたの?凌牙が私のおまけ?……ありえないから」

 

一気に室内の温度が下がった

わーい、氷の女王の異名は伊達じゃないね!さすが俺の妹(白目)

アストラルと顔を見合わせてため息をついた

……こりゃ、面倒なことになるなー

 

 

 

 

 

 

「瑠那ちゃん先輩!興司ー!俺もう限界だよー!」

 

机に突っ伏しながらバタバタて手足を動かす

行儀が悪い?知らんな!

 

「確かに最近璃緒は機嫌悪いからね、一体何があったのよ」

 

「凌牙、女の子なんだからあんまりそういうはしたないことはやらない方がいいと思うけどな」

 

二人はそう言いながら俺をなだめてくれるけど俺の心の荒波はとどまることを知らないぜ!(?)

……うん、自分でも何言ってんだろ

この二人は俺がこの学校に来て仲良くなった瑠那ちゃん先輩こと黒咲瑠那と興司こと八雲興司だ

なんとびっくり瑠那ちゃん先輩はあの腹パン先輩と同じ苗字なのである

あれだね、もしかしたら黒咲兄妹ももしかしてZEXALからの参戦とか?うわぁぁぁもう何を信じればええんや\(^o^)/

あ、ダメだまた話がそれた、それで璃緒も俺が二人と話してるから二人と仲が良く、瑠那ちゃん先輩も興司もデュエリストでよく璃緒と三人でデュエル談義しているのを俺はニコニコしながら見ている

なんつーかほんと瑠那ちゃん先輩と興司がいなかったら絶対このクラスで璃緒しかしゃべる相手いなかったわぁ、いや、瑠那ちゃん先輩は先輩なんだけどね

 

「なんかさー、璃緒と後輩達でちょっともめててさー

 後輩達がちょっとしたクラブを作ってて、その中でマスコットガールを決めよう!ってなって……」

 

「どうしてマスコットガールを作ろうって話になったのかしら……」

 

「それで俺と璃緒がその言い争いの場面に出くわしたんだけど、後輩の一人が❝璃緒のおまけのシャーク❞ってね\(^o^)/」

 

「あっ……」

 

「その後輩達と凌牙達って仲いいんでしょ?

 すごいよねその後輩、見事璃緒の地雷を踏みぬいたよね」

 

「なー、実際問題俺が璃緒のおまけである事実は変わらないんだし、あながち間違いでは無いんだけな」

 

「それを璃緒の前で言わないでよ?」

 

「それ璃緒に言ったらだめだからね?」

 

「うぃっす」

 

まぁ前はそれで盛大にやらかしましたからね……

璃緒とトーマスの前で言ったら……うん、正座で説教ですわ\(^o^)/

なんなん?あいつら俺の事大好きすぎだろ……俺も大好きだよ畜生め!

というかそうやないんや、璃緒が全然機嫌治さないんだよ……

一年は一年で小鳥ちゃんとキャットちゃんはまだ仲直りしてないっぽいし

 

「とりあえず休みの日にトーマスと一緒に璃緒の気が済むまでショッピングに付き合う所存です」

 

「あー……凌牙、頑張れ」

 

「貴女よくそれを考え付きましたわね」

 

二人がこんな微妙な反応なのは訳がある

璃緒は買い物が長い、そりゃもう偉く長い

俺はおしゃれ?何それ食えんの?状態なのでそのショッピングが言っちゃ悪いが偉く暇なのだ

二人もその辺をわかってるのでこんな反応なのだ

 

「大丈夫、だから生贄を用意してるんだからなー」

 

生贄?トーマスですが何か?

 

「今更だけどよく極東エリアのデュエルチャンピオンと友人関係になれたわよね」

 

「そうかなー?」

 

「僕も一応アジアエリアのチャンピオンなんだけどなぁ

 それに瑠那先輩も副生徒会長だし、本当凌牙の友好関係どうなってんの?」

 

「他にも天の声さんとか半透明の全裸の幽霊とかいるぜ!」

 

「凌牙の戯言なんて置いておいて、それで璃緒の機嫌が直るのかしら?」

 

「信じてくれないのか、ひでぇ話よ!」

 

まぁそんなことは置いておいて、本当にこれで機嫌が直るか微妙なんだような……

んん……いや、難しいかなぁ……

そんなこんなでうんうん唸ってる俺を心配そうに瑠那ちゃん先輩と興司が見ている

璃緒が委員会でいない今のうちに二人から知恵を借りたいんだけど、二人も何も思いついてないみたいだし……

 

「シャークー!」

 

大声で俺の名前を堂々と呼ぶのってあいつぐらいしかいないよな

なーんて思いつつ教室の扉を見てみたら案の定遊馬でした

後ろの方でアストラルと零も待機しているけど一体どうしたんだろ?

 

「はいはいシャークですよーっと

 一体どうしたん?二年教室まで来るの珍しいっていうか初めてじゃない?零はともかくとして」

 

「ちょっと用事があってな!シャーク日曜って空いてるか?」

 

「うん、空いてるけど」

 

「でしたら良かれと思ってぜひ一緒にスポーツデュエル大会に参加しませんか?」

 

「( ゚д゚)?」

 

なんだその謎デュエルは……

多分スポーツしながらデュエルすることってことだけど、それでデュエルできんのかな?

でも5Dsでもバイク乗ってたし、ARC-Vでもアクションデュエルがあったし、ZEXALではスポーツデュエルが一般的なのかな?

でもそれだったら普通にテレビでも放送とかされる……よなぁ?

 

「というかなんでいきなりそんな話に?」

 

「スポーツデュエルを通して小鳥とキャットちゃんといもシャを仲直りさせるんだ」

 

あー、なーるー

ようするに少年漫画みたいな感じで仲直りさせようって事か

でもそれって男の子限定のような感じが……女の子でもその戦法が通用するのかな

というかさー

 

「俺デュエルしないんですが」

 

「あ……(´・ω・`)」

 

『遊馬、だから私は止めたじゃないか』

 

アストラルお疲れ様でーす

まぁ、見学ぐらいは面白そうだから行くけどさ

 

「あ!でしたら実況というのはどうでしょう?お恥ずかしながら僕はデュエルは得意ではないので実況に回ろうかと思っていたのですよ!」

 

「なんぞそれ楽しそう!やるやる!」

 

『観察結果、シャークは楽しい事に弱い』

 

余計なお世話っすよ、アストラルさん

 

「ねぇ、それ私たちも参加していい?」

 

俺の席でたむろってた瑠那ちゃん先輩と興司がいつの間にかこっちに来ていた

そこまで立ち話長かったかな?

 

「えっと、お前ら誰だ?」

 

「遊馬、一応瑠那ちゃん先輩は三年の先輩やで?初対面なんだから敬語使おうぜ?」

 

「その先輩にちゃん付けできる凌牙も凌牙だと思うんだけどな

 僕は凌牙のクラスメイトの八雲興司だよ、WDCの活躍見ていたよ」

 

「私は副生徒会長の黒咲瑠那、貴方とは一度手合わせしたかったのよ、たとえスポーツデュエルなんてよくわからないルールでも、ね」

 

「八雲先輩と黒咲先輩!シャーク先輩の友好関係どうなってるんですか!?」

 

『…?どうして真月はこんなに驚いているんだ?遊馬は彼らを知っているか?』

 

「俺も知らないけど、有名人なのか?」

 

「そりゃもう!八雲先輩は最少年のアジアエリアチャンピンですし黒咲先輩は今だこの学校では負け知らずの生ける伝説ですよ!」

 

「お、おう」

 

零が楽しそうで何よりです

あれかな、零は強いデュエリストに憧れでももってるのかな?

というか俺がそんな事考えてるうちにいつの間にか瑠那ちゃん先輩と興司が参加する流れになってるんだけど、まぁ、たまには難しい事を抜きにして皆で遊び惚けるのもいいでしょ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおーっと!瑠那ちゃん先輩華麗にスパイクを決めました!」

 

「遊馬くんとⅣさんはこの手のスポーツは得意じゃないのですかね?」

 

「現在は瑠那・興司チームが一歩リードしていますね」

 

「あー、こりゃ逆転するのは難しいな」

 

日曜当日

人数合わせのためトーマスとミハエルを呼んでスポーツデュエルというよくわからん大会が無事開催された

というか当日になって気が付いたけど鉄男達も仲たがいしてたのかよ……全然気が付かんかったわ

後最初ギラグを見た時マジでびっくりしたよ、お前が提案したのか……

まぁなんやかんや無事にチーム分けと解説分け(ちなみに俺、ギラク、零、ミハエルの四人である)も済んだし早速試合?デュエル?が始まったんだけど、これはひどい(真顔)

いやね、テニスしながらとかプロレスしながらはまぁまぁギリギリ許容範囲内ですよ?

でもスカイダイビングて……零もミハエルも落ちながらノリノリで実況してたし

え、俺とギラグ?地上で高見……高見?高見でいいのか?まぁその辺はどうでもいいや、高みの見物してました

 

『にしてもお前から聞いたライディングデュエルよりも酷いな』

 

あー、まぁこっちは明らかに突貫で作ったルールだけどあっちはちゃんとしたルールとかもあるしねー

でも俺はちょっとそれを受け入れられなくて5Dsを見るに至らなかったんだよなぁ

お、瑠那ちゃん先輩と興司チームが勝った

 

「ここまで試合が終わりましたが結果の方はどうなってるの?」

 

「んー、同率一位が遊馬・トーマスチームと瑠那ちゃん先輩・興司チームだねー、その下が鉄男・璃緒チームやね」

 

今までの結果をまとめた紙を見ながらミハエルに答える

まーある程度は予想してた結果ですね、びっくりしたのがなんと小鳥ちゃんもスポーツデュエルに参加していたことである、ちなみにキャットちゃんと同じチームである

いや、皆の仲直りが目的とはいえ小鳥ちゃんはスタッフ側として参加するかと思ってたからさ

 

「一位か、もうちょっと残りたかったけどもう出ないと時間がないんだよね

 ごめんね凌牙、せっかく誘ってくれたのに途中退場なんてして」

 

「いやいや時間ないのに来てくれただけでもありがたいって」

 

実はトーマスこの後試合があるんだって、俺だって試合あるって知ってたらさすがに誘わなかったけどスポーツデュエルに反応して時間ぎりぎりまでここで大会に参加することにするらしい

ちなみにミハエルはマネージャーもどきをやっていて今回の試合もついていかないといけないらしい

 

『代行天使にフェアリーか……ヴァルハラとか天空の聖域あたりは入ってるだろうな』

 

天の声さん天の声さん、俺がミハエルとトーマスを見送ってる間に俺のわからない話で一人で盛り上がらないでほしいんですがそれは

あーそういやあの創造の代行者ってやつの効果使えばあのカードを召喚できんのかな?

まだにアストラルと遊馬に渡してないNo.のカードの内容を思い出す

 

 

No.96ブラック・ミスト

エクシーズ・効果モンスター

ランク2/闇属性/悪魔族/攻 100/守1000

レベル2モンスター×3

このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。

このカードが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。

その相手モンスターの攻撃力を半分にし、このカードの攻撃力はその数値分アップする。

 

 

あれだよ?俺も何回か返そうと思ったよ?でも天の声さんが許してくれなかったんや……

というか本来となんかカードテキストが違うらしいんだけど俺が知るか

最初拾ったときはカードの内容見るまでの余裕がなかったし、それに変わってるって言ってもエクシーズ素材が闇属性レベル2から普通のレベル2になってるぐらいええやん

そっちの方が出しやすいと思うし、それにカードを書き換えるのって遊戯王次元の人間ならまれによくできるだろ?遊矢だってペンデュラムカード作ったし

 

「それではこれから決勝戦を始めるぜ!遊馬・Ⅳチームと小鳥・キャットチームだ!最後の競技は野球デュエルだ!」

 

女子二人でポイントがめっちゃ入ったことにより無事(?)決勝戦に上がることができた小鳥ちゃんとキャットちゃん

元々のこの大会の目的は皆の仲直りだったしいいとは思うんだけどいくらなんでも強引すぎないかなぁ?

何か考えがあってのことなんだけど思うけどさ、俺がとやかく言う問題ではないし?それに鉄男達は和解したっぽいし、璃緒もある程度発散できたと思うし後はあの二人だけなんだよな

 

「ⅣさんとⅢさんが帰ったので遊馬君チームには良かれと思って解説のギラグさんが特別参戦してくれることになりました!」

 

「えっ!」

 

そういやトーマスとミハエルが途中で帰るのってギラグには教えてないんだよねぇ

零曰く「僕たちのためにここまでしてくれたんですから、サプライズで最後のデュエルはギラクさんにお任せしましょう!」らしい

確かに遊馬や璃緒、瑠那ちゃん先輩や興司はもちろんのことキャットちゃんも孝や徳之助も最近力をつけて来たみたいだし、デュエリストであるギラクが参加できてないのはちょっと心苦しかったんだよね

ギラグ自身は大会の発案者だから解説に徹するって言ってたけどやっぱデュエルしたいよねぇ…

ギラグが何かを理解する間にどんどんお膳立てられるようにフィールドが構築されていく、俺達のサプライズを受け取れぇ!

 

「へい!それでは決勝戦遊馬・ギラグチーム対小鳥ちゃん・キャットちゃんチーム!デュエル開始!」

 

「「「デュエル!」」」

 

「え、えええええええええ!何この格好!何この状況!」

 

『これは酷い』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え」

 

四人がデュエルしている途中でキャットちゃんと小鳥ちゃんの様子がおかしくなった

そして小鳥ちゃんは一枚のカードを取り出す

 

RUM-バリアンズ・フォース

 

バリアンに操られてる人が例外なく持たされるエクシーズモンスターのランクを上げCX(カオスエクシーズ)という新しいモンスターを生み出す魔法カード

それを扱えるということは、間違いなくバリアンに操られているということで

 

「……」

 

今までどことなく他人事のように感じていた

バリアンの奴に攫われたり、璃緒がバリアンに操られてる人と闘った時も、他人事で

でもこの大会の為だけにデュエルをしているといっても過言ではない小鳥ちゃんもこんなことに巻き込まれて、しかもその瞬間を間近で見て

あくまでここは遊戯王次元で、俺はここがアニメの世界のように感じられてふわふわと地に足が付いていなかった

でも今日の小鳥ちゃんとキャットちゃんを見て、俺は思った

もう他人事じゃいられない、遊戯王次元といってもデュエルをしなければ厄介ごとに巻き込まれる確率は減るだろうと

だけど、もう目を反らすことは出来ない

だってここは、確かに俺にとっては現実なのだから




瑠那ちゃんの苗字が黒咲になったのは瑠那と瑠璃って字面も発音(?)も似ていたので採用しました
後この次元の黒咲兄妹は瑠那ちゃんと兄妹設定になってます、この話に出てくるかは未定ですが
興司君も弟君は生きてますし、アジアエリアチャンピオンという捏造設定があります

後漫画版ZEXALを知らない人のために雑な説明
瑠那→ハートランドでフェイカーの助手をしていた
   ある目的の為にフェイカーに離反し、No.を集めるため凌牙と手を組んだ

八雲興司→極東エリアのデュエルチャンピオン
     凌牙とは同じ孤児院で育った仲、現在はフェイカーの元にいるが……?


後ブラックミストのカードテキスト変更ですがわざとです
本来のNo.はアニメ効果ですが、凌牙が持ったことで(無意識に)強制的にOCG版にエラッタされています
なので凌牙ががNo.を持つとNo.耐性+OCG版に強制エラッタされます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1.5、神代凌牙の楽しい前世教室
16/No.96ブラック・ミストあるいは天の声さんと神代凌牙の気持ち


後八人でコナミをクリアできる……!
ちなみにコナミルートでは小鳥ちゃんデッキを改造したものを使っています
創造の代行者を出してブラックミスト召喚するの楽しいです

今回は凌牙ちゃんがデュエルをしない理由が明らかになります


「……」

 

『どうしたんだよ凌牙』

 

あれから無事にスポーツデュエル大会とやらが無事に終わって、あいつらの日常が戻きたにもかかわらずこいつの表情は暗い

今はコンビニだなんだと理由をつけて外出しているが、実際は俺と何か話したいから外に出て来たの事だと思う

あの天城ハルトとかいうガキと出会った公園に行った時も俺と話したいから外に出たと言ってたからな

脳内で直接会話できるとはいえこいつは実際に口に出して会話する方が好きらしい

 

「あのさ天の声さん、俺ってどうしようもなく臆病なんだよ」

 

『はぁ?』

 

 

 

 

凌牙はいまだに俺の事を天の声とやらと思っていていろいろと俺の知らない知識を俺に教えてくれる

融合は俺もかろうじて知っているがもう失われている召喚法といっても過言ではないシンクロや、存在しない、完全に未知なる召喚法であるペンデュラム

デュエルをしないこいつにいつまでもくっついてるのはそう言った理由だ

アストラルの奴も知らない召喚法、シンクロやペンデュラムを使えば今度こそあいつに勝つことができる

……それに、こいつの傍は酷く居心地がいい、俺の事を知らないのにも関わらずまるで友人のように接してくる

アストラルや遊馬達からNo.が危険な物だと知らされているのに、俺を手放さない、俺が止めたから

 

「んんー、まぁ天の声さんがそう言うんだったら、まだ返さないでおくよ」

 

俺はずっと一人だった

No.として生まれてから、でも俺はアストラルの半身でありNo.をすべて集めるのには俺の力が必要だ

……なのにあいつは俺を拒絶する

あいつには遊馬やナンバーズクラブがいるのに、俺の傍には誰もいない

俺にはアストラルしかいないのにあいつは俺を拒絶する

でもあいつは、凌牙は俺の傍にいてくれる

 

『なぁ凌牙』

 

「ん?なんぞや?天の声さん」

 

『もし俺が、意思を持ったカードだとしたらどうする?』

 

「あー、意思を持ったカードってカードの精霊って事?もしかして天の声さんってGX勢?

 仮に天の声さんが精霊だとしてもどうもしないし、逆にどうしろっていうんだよ」

 

『悪いことに使ったりとか』

 

「悪い事って言い方可愛いな天の声さんwww

 精霊って言っても物理的に干渉出来ないんだったら悪い事でも何でもできないだろ?」

 

『だけど』

 

「だけどもなんでもないだろ?それに天の声さんにそんな事させたら俺の心臓が痛くて死んでしまうわw

 それに天の声さんそういう事するの好きじゃなさそうだし?てかなしていきなりそんな事聞いてくるの?何かあったん?あったら話ぐらい聞いてやるからさ」

 

あいつは俺の話を聞いてくれる

あいつは俺の事をわかってくれる

あいつは俺の傍にいてくれる

あいつは、俺を信じてくれる

 

ああ、俺はもう一人じゃないんだ

 

 

 

 

凌牙は何にも考えないアホだが、少なくとも俺が観察している限り臆病者ではないはずだ

むしろどんどん自分から厄介ごとに突っ込んでいくタイプだ

 

「俺がデュエルをしない理由、それが何よりも俺が臆病者という証明なんだよ」

 

ことり、と俺は首をかしげる

こいつがデュエルをしない理由ってルールが面倒って理由だったはずだ

本能で生きているこいつはデュエルモンスターのルールは難しいらしい

タイミングを逃す、チェーンの逆処理、スピードスペル、対象を取る取らない、戦闘の巻き戻り

ややこしい言い回しも多いしルールを理解するのはかなり時間が掛かる

 

「確かにルールが面倒だからやらないっていうのも本当だぜ?

 でもさ、それだけじゃないんだ」

 

『……意味が分からねぇ』

 

何がこいつをこんなに怯えさせるんだ?

凌牙は大きな目を伏せて、自分の両手見つめる

 

「天の声さんは歴代遊戯王を知らないからちょっと説明するけどさ

 デュエリストって碌なこと巻き込まれないんだよな

 闇のデュエルであっさりと人が死ぬ、次元戦争で一つの次元…パラレルワールドのハートランドは壊滅してほとんどの人間はカードになり残った人間はわずかな食料や水を分け与えながら、いつ自分がカードにされるかおびえながら暮らしていた

 ここの世界だってそうだ、デュエルをしていたが為に璃緒やトーマスはバリアンとの戦いに巻き込まれた

 ……確かに5Dsの世界でダークシグナーが地縛神を召喚するときデュエルをしない人間も巻き込まれてた

 けどさ、それでもこの世界ではデュエルが強いってだけでその確率は段違いに跳ね上がる、天の声さんも俺の言いたいこと、わかるよな」

 

『……』

 

「デュエルするのが怖い、怖いんだよ

 痛い事が嫌だ、死にたくない、もっとあいつらと一緒にいたい

 あの時、あの火の地獄からトーマスと璃緒を助けた時……いや、俺が神代凌牙として生まれる前の記憶が蘇った時からもうこの戦いに巻き込まれていたのかもしれない、それが俺の運命だったのかもしれない

 それでも俺がデュエルさえしなければ璃緒は、家族が巻き込まれないと思って……

 本当は璃緒がデュエルをするって言い出した時、俺は止めようと思ったんだ、まぁ今となってはもう遅いけどな

 ……あー、俺なんでこんな意味不明で文脈も何も無いこと言ってんだろ、ごめんな天の声さん、いきなりこんな意味不明なこと言い出して、ちょっとした決意表明の為に天の声さんに話を聞いて欲しくってさ」

 

そう言って儚く笑う凌牙に言葉が出なかった

いつも笑ってばかりで、何も不安なんてないように振る舞っていた

だけど心の奥ではいつ来るかわからない非日常に怯えていた

はたから見れば、人間から見れば凌牙は自分勝手に、自分が助かりたいだけの卑怯者かもしれない

だけど生き物だったら死にたくないのは当たり前じゃないか、誰も失いたくないと思うのは当たり前じゃないか

 

「天の声さん、俺にデュエルを教えてくれ」

 

『はぁ!?』

 

さっきの話からどうしてそうなった!?

 

「ここが俺の現実である以上もう逃げないって決めたんだ

 もう俺の我が儘で皆に迷惑かけるわけにはいかないからな

 俺が璃緒の弱みってバリアン側にはもうばれてると思うから、また俺を人質に取られるかもしれない

 だから最低限あいつらが来るまで時間稼ぎができるようにデュエルが出来るようになりたいんだ」

 

そう言って凌牙はカバンからたくさんのカードを取り出す

それは凌牙が璃緒や遊馬達と一緒に買っているパックのカードではなく、凌牙だけが持っている特別なカード

前世カード、凌牙がそう言って持っている特別なカード

 

『お前、まさか』

 

「もうハルト君達にばれている以上時間の問題だぜ

 それにペンデュラムとシンクロはバリアン側も把握してないはずだし、初心者の俺が時間を稼ぐとしたらあの召喚法を使うしかない

 たとえあいつらにこの召喚法がバレてなんで今まで黙っていたとか罵られても、俺の前世がバレて嫌われても、それが俺の決めた運命だから甘んじて受け入れるさ」

 

『お前は本当に、それでいいのか』

 

「いいんだよ、だってここは俺の生きる世界で、俺の生きる現実だからな

 罵られるのも怖いし嫌われるのも怖いけど、それよりもこの璃緒が、皆が生きる世界が壊れてしまう方が怖い

 だったら他の人からどう思われようとも、俺はこの世界の為に戦うよ」

 

そこまで言って凌牙は上を見て空を見上げる

その眼にはもう迷いはなかった

 

「天の声さん、俺と一緒に来てくれるか?」

 

やっぱり凌牙は自分が思っているよりも臆病なんかじゃない

こんなにも真っすぐに、ひたすら真っすぐに前だけを見つめるその眼の輝きは強い意志をもって、凌牙の中から強い力がその眼に現れていた

 

『いいぜ、俺もこの世界が壊れるのは勘弁してほしいからな』

 

俺は凌牙がいる世界が壊れるのが怖い

だから俺もお前と一緒に戦おう

アストラルに感づかれないように最小限の力で実体化する

 

「黒い、アストラル?ってえ?その声、天の声さん?」

 

ポカンと口を開けて俺を見上げる凌牙

その様子がなんだか可笑しくって笑ってしまう

 

『俺はアストラルの半身、天の声じゃない

 NO.、俺はNo.96ブラック・ミストだ、お前の言うカードの精霊みたいなもんだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

この世界が壊れるのが怖い、か

物陰に隠れてNo.96と神代凌牙の会話を盗み聞き、会話の内容をゆっくりと理解していく

そうして理解した後、いつだったか××××が言っていたことを思い出す

 

 

 

「××××はなんでアストラル世界と戦う事に反対すんだよ」

 

「ベクターおめー血の気多すぎだろうがwww

 だって今のところ戦う理由がないじゃん、確かに俺達をこんなところに追いやったアストラル世界が憎いかどうかって言われたらそりゃ憎いですわ

 でもアストラル世界との戦い……戦争になったら俺達バリアン七皇はともかく、他の奴らは戦う力なんてない奴の方が圧倒的に多い

 そうなったら仮に勝てたとしても俺達は多くの命を失うことになる、それってさ、意味あるのかな?

 そうまでして勝ってもその勝利に意味なんてあんのか?俺はこの世界を壊すことなんてできないし、一応バリアンの頂点に君臨してるしそんな選択はとてもじゃないけどできないよ」

 

「そんなんだからてめぇはいつまでたっても甘ちゃんなんだよ」

 

「そう思うんだったら王様を交換してくれYO!」

 

 

 

どうしても××××と神代凌牙が重なる、×××と神代璃緒が重なる

言動が、行動が、仕草が、何もかもが

そしてあの時、神代凌牙が真っすぐ前を見つめた時に感じたあの力は間違いなくカオスの力

混沌を司るはずのカオスであるのに、アストラル世界の住人のように純粋な力

この不思議なカオスの持ち主はあいつしか知らないけど、それはあり得ない

 

だって××××と×××は、俺が殺したのだから




>>突然のシリアス<<


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17/アカデミア絶対カードにするマンあるいは天城カイトと規定外な少女神代凌牙

委員長ルートクリア!現在は徳之助でーす

いい加減タイトル詐欺と言われそうな今日この頃
果たして変えた方がいいのかそうでないのか


「さてブラック・ミスト、我々は重大な問題に直面したわけだが」

 

『いきなりどうした』

 

ゲンドウポーズを取りながら天の声さん……否、ブラック・ミストにそう声をかける

なんか今日はデュエル始めるぜ☆ミっていう決意表明の為にブラック・ミストとお話&あわよくばデュエルを教えてもらおうかなーって軽いお話するはずだったのにまさか今まで天の声さんがNo.96ブラック・ミストのカードの精霊だったとは……

いやデュエルを教えてもらえるようになったのは行幸だけどまさかこの世界にもカードの精霊がいるとはなー

アストラルって摩訶不思議生命体がいるからそりゃカードの精霊だっているよな

ハネクリボーもおじゃまトリオも好きだよ!後ヨハンのルビーちゃんだっけ?

って待て待て待てまた話がズレた……

そうだよ俺達かなり深刻な問題に直面してんだよ!

 

「ブラック・ミスト、まずはこれを見てくれ」

 

そう言ってDディスクを展開させる

このDディスクは実は璃緒とおそろいなんだ(どやぁ)

俺はデュエルをしないって常々言ってたけど、どうしてもおそろいがいいって言われたのでやりもしないのに買っちゃいましたよ!

でもあの時の璃緒のはにかんだ笑みを見れただけでお姉ちゃんは幸せです

 

『……?別に普通のDディスクだろ?』

 

「いや、普通だからダメなんだよ」

 

俺の意味が理解できないのかブラック・ミストは不思議そうに小首をかした

んんんんんん!待ってお前ってそんな可愛いキャラだっけ?

 

「ペンデュラム召喚ってモンスターゾーンの両端にペンデュラムゾーンっていうのがあって、そこにペンデュラムカードを置くことによって初めてペンデュラム召喚ができるんだよ

 で、当たり前だけどこの世界にはペンデュラム召喚がない、だからこのDディスクにはペンデュラムゾーンがないからペンデュラム召喚できないんだよ」

 

ARC-VではDディスクは光の板みたいになっていたからある程度は融通が利いたみたいだけど、こっちは完全に機械で出来ているからどうしようもない

 

「まーペンデュラムは仕方ないとはいえシンクロは出来るし大丈夫でしょ」

 

『確かにシンクロ召喚なんて俺も知らなかったぐらいだし、それで十分だろ』

 

そして前世カードを二人で見ながらどんなデッキにするか話す

一応自分なりにデッキを一つ作ってみたりしたんだけど、ペンデュラムが入ってるから使えないんだよな

融合っつーか儀式だとサイバーエンジェルとか古代の機械(アンティーク・ギア)とかいっぱいあるし

シンクロはPSYフレームにWW(ウィンド・ウィッチ)SR(スピードロイド)もいいよなー

エクシーズは皆大好きRR(レイド・ラプターズ)に十二獣とか光波(サイファー)……

いや、光波(サイファー)はダメだ、この前の鬼畜ショタ事件を忘れたら駄目だ、またややこしいことになる

それにすっかり忘れてたけど銀河眼光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)は持ってないけど、もっとえげつない爆弾持ってるの忘れてたんだよな……

 

「うーん、このデッキ使いたかったけどなーペンデュラムなのがなー」

 

『確かに同時召喚は魅力的だよな、融合やエクシーズなどの特殊召喚がやりやすくなるからな』

 

「なるほど、ペンデュラム召喚とは同時召喚をする召喚法なのか」

 

「せやで、ペンデュラムカードにはそれぞれスケールがあって、例えばスケール1と8のスケールだったら1から8の間、つまりレベル2から7のモンスターが同時に召喚できるんだ

 あとペンデュラムモンスターは破壊されたときにエクストラデッキに行くんだけど、ペンデュラムスケールがある限りエクストラデッキから何度でも特殊召喚できるんだよ」

 

「しかしそれだけは無いのだろう?デメリットは?」

 

「んー、ペンデュラム召喚のデメリットっていうかペンデュラムモンスターのデメリットになるけどいい?」

 

『デメリットなんてあるのか?』

 

「ペンデュラムモンスターは破壊されるとエクストラデッキに行くんだけど、まーエクストラデッキに行くから墓地利用できないよね、貪欲な壺とか使えない

 後はペンデュラムスケールが無くなっちゃったらエクストラデッキにあるペンデュラムモンスターを再利用するのは難しいって感じかなー」

 

……ん、ちょっとまて俺一体誰と話してんだ?

ブラック・ミストの方を見るとあいつもその事に気づいたのか俺の方を見て固まってる

声の方向的に聞こえたのは俺とブラック・ミストの後ろ、しかもめちゃめちゃ聞き覚えのある声だし、でもあの二人誰にも言わないって約束してくれたんだけどなあああああああああ!

俺とブラック・ミストでゆっくりと後ろを向く

黄色の逆立った髪に黒を基調とした服を着ている青年

完全にアカデミア絶対カードにするマンです本当にありがとうございました\(^o^)/

 

『お前は一体……』

 

「天城カイト、この前あったハルト君のお兄さんだよ」

 

驚いたようにカイトを見るブラック・ミスト

そしてDディスクをどこからか出現させ(←!?)戦闘態勢を……ってMATTE!

 

「落ち着けブラック・ミスト!なしていきなりそんな警戒してんの!?後そのDディスクどっから出した!?」

 

『こいつが俺達に接触してきたってことはハルトとオービタルが約束を破ったてことだろ?っつーことはペンデュラム召喚とかも知ってるだろ?』

 

「せやかて工藤!」

 

『なんやと工藤!』

 

「やかましいわ!」

 

「茶番は済んだか?」

 

「あ、なんかごめん」

 

だって茶番しないとこんこ空気に耐えられそうにないんや……

てかマジでなんでカイトがここにいるんだよ!

いや、ペンデュラム召喚を聞いても驚かないってことはハルト君達から俺の話を聞いたって事でいいんだけど

……あー、それで真偽を確かめに来たんか

 

「別に手荒な真似をする気はない

 貴様には色々聞きたいことがあるからな、一緒に来てもらうぞ」

 

「ですよねー^p^」

 

そんなことだろうと思ったよ畜生め!

バレるのは時間の問題だとは思ってたけど早いなー、ハルト君、結局約束守ってくれなかったんか……

 

「(´・ω・`)」

 

『だから俺は言ったんだ、助ける利益はねぇって』

 

「だってぇ……(´・ω・`)」

 

しょんぼりしてるとカイトが近くに寄ってきた

心なしか焦ってるようだけどどうしたんやろうか

 

「俺は確かにあの時貴様達の間で何の話があったか知っている

 ギリギリのラインでハルトは確かに約束は破ってないが、それでも実質的には破ったといっても過言ではないだろう

 ハルトはまだ子供だ、あんな話を子供のハルトが抱え込める話じゃない、だからハルトを責めるな

 だが、ハルトは約束を破ったことを気にしている、万一の時に連絡を入れろと言ったのは俺だ、責められるべきは俺だ、ハルトじゃない」

 

ちょっとだけ申し訳なさそうな顔でカイトは俺にそう言ってくる

あー一応申し訳ないって思ってるんだ、これで平然としてたらハルト君達にまたあった時八つ当たりしちゃう自信あったわ

確かにあの話は子供とオボットには重すぎたな、反省反省

 

『で、聞きたい事っていうのは何だ?』

 

そうだ、聞きたい事があるって言って接触してきたんだよな

でも大方予想はついてるけどね

 

「ああ、ペンデュラムやシンクロ、お前の言っていた歴代遊戯王とやら、特にこの世界が元になったというARC-Vの話とかな

 一緒にハートランドまで来て話を聞かせてもらおう、安心するといい、あの話はハルトとオービタルは俺にしか話してないし俺も誰かに話す気はない」

 

あ、あかん、これはがっつり話さないといけないパターンですわ(白目)

まさかあん時の自分で蒔いた種がここまで綺麗に花咲くと思わなんだ\(^o^)/

とりあえず大人しくカイトについていくしかないなー

 

「はいはいわかってるよ

 というかこれでまた他の人に話してましたてへぺろ☆って言われたら自分の自業自得だけどキレるわ」

 

『お前ってやつは……』

 

そう言いながら俺は腰かけていたベンチから腰を上げる

あーもー本気であの時何にも考えないで光波(サイファー)なんて出すんじゃなかった……

どうしてこんなめんどくさい事になったんだ!まるで意味が分からんぞ!

 

「その前に、おい、そこにいるのはわかってるんだ、いい加減出てきたらどうだ?」

 

カイトがいきなりカードを木に向かって投擲する

毎回思うけどこの世界のカードの耐久性ってどうなってんの?木にぶっ刺さるほどの硬さとは……

てか待ってその言い方だとまだ誰かいるって事!?勘弁してくれよおおおおおお!

ガサガサと木が揺れたかと思ったらそこから一人の人間が出てくる

……ん?んん!?

 

「あ、あの……決して盗み聞きとかじゃなくて、シャーク先輩を見かけて、元気がなさそうだったから良かれと思って、元気づけようとして、その……」

 

「アイエエエ!ナンデ!零ナンデ!?」

 

 

 

拝啓、我が妹璃緒へ

俺の秘密を知るやつがたくさん増えました

天城ハルト

天城カイト

オービタル7

No.96ブラック・ミスト

真月零

……これ、もうどうにもならないんじゃないの?




Dディスクにペンデュラムゾーンないからペンデュラム召喚できないよなーって考えた結果がこの話

今更ですけど基本的に大まかな流れは考えてますけど一話一話その場で考えて書いています
なので結構自分でもどうしてこうなった!ってなるパターンが多いです
この話も実はそうです、零君が出てくる予定は全くありませんでした


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18/神代凌牙の地雷

感想で凌牙ちゃんの秘密を璃緒やⅣに話さないでハルト君にあっさり話すのはどうなん?ってきたので今回はその辺に触れていきたいと思います
凌牙ちゃんの心の(笑)闇(笑)が垣間見えます
多分この話は賛否両論があると思います


「ごめんなさい、僕、約束を破ってしまって……」

 

ハートランドの一室、そこに俺達はいた

そこには既にハルト君とオービタル君がスタンバイしていて開口一番に謝られた

ブラック・ミストとカイト、零は心配げにこっちを見ている

あれだからね、流石に怒鳴ったりしないからね子供相手に

あ、ちなみに零も強制連行しました、バレちゃった以上仕方ないね!

 

「まー、あんな約束いつまでも守られるわけないって思ってたからそこまでダメージデカくなかったからいいけどさぁ……

 まさかこんなに早くバレるとはこっちも思わなかったわ、いつバレたん?」

 

「あの時、凌牙から話を聞くときDゲイザーを通話モードにしておいたんだ」

 

「最初からじゃないですかやだー!」

 

まぁ?確かに?話さないって約束は守ってるけど……ああ、実質約束を破ってるってそういう意味ね

流石アカデミア絶対カードにするマンの弟ですわ、というかあの鬼畜ショタ本当に子供か?

俺があのくらいの年頃のころは……いや、前世の記憶があるから比べられないな

 

「もうこの話はやめようよー、何言ったってもう不毛な言い争いになるだけなんだからさ」

 

「シャーク先輩、随分あっさりしてますね……」

 

どかりと椅子に座りこんでリラックスの体勢を取る

なんかもう色々と吹っ切れたYO!

 

「それで、まず聞きたい事を色々言ってくれない?

 俺が色々話すよりもそっちが質問してくれた方がやりやすいし」

 

「ふむ……ではペンデュラムについてだな

 ペンデュラムゾーンとはDディスクのどの辺にあればいいのだ?」

 

「えーっと、このへんかなー」

 

そう言ってカシャンとDディスクを展開させ、モンスターゾーンの両端を指さす

場所を確認したらカイトは俺のDディスクを持ち部屋から出て行こうとする、ってなんでやねん!

 

「シャーク先輩のDディスクをどうするつもりですか!」

 

「勘違いするな、このDディスクをペンデュラム召喚に対応させるだけだ

 あの話から察するにお前はペンデュラム召喚を主としたデッキを使うつもりだろう?」

 

『確かに、普通のDディスクじゃペンデュラム召喚はできねぇ

 ペンデュラム召喚するためにはDディスクをそれ用に改造するしかない』

 

まーどうせカイトの事だからそれを対価に色々要求するんだろうなぁ

別に今更隠すことも何もないんだし、いや、それかバリアンとの戦いに向けての戦力強化、かな

カイト、ハルト、オービタル7が部屋から出て行き俺と零とブラック・ミストだけになる

おい、いいのか誰か置いて行かないで、俺達逃げるかもしれないんだぞ?

 

「それにしても、まさかシャーク先輩にそんな秘密があるなんて知りませんでした」

 

零には大まかには前世のあれやこれを話を大まかに話している

デュエルするにあたってペンデュラムやシンクロとか使うって決めたから遅かれ早かれバレるしね

それがちょっと早まっただけだし

 

「んー誰にも話してなかったしねー」

 

「誰にもって……まさか神代先輩とⅣさんにも言ってないんですか!?」

 

「せやで」

 

『はぁ!?あいつらにも言ってないのかよ』

 

零とブラック・ミストが驚きの声を上げる

ええ、そんな意外だったかな?

 

「だってハルト君にはあっさり話したんでしょう?だったら先輩たちも知ってると……」

 

『あっさりは話していたけど半分以上こいつの自滅だぞ』

 

その通りだけどブラック・ミスト辛辣すぎぃ!

 

「あいつらには知られたくなかったからな」

 

「……?じゃあハルト君には知られても良いってことですか?」

 

「んー、知られてもいいって言ったら語弊ではあるけど、知られてもどうでもいい、かなぁ

 でもカイトに知られるのだけは勘弁して欲しかったなぁ、あいつアカデミア絶対カードにするマンだし」

 

『だからアカデミア絶対カードにするマンっていうのはやめろ、知られてもどうでもいいってどういうことだ?』

 

理由、かぁ……

割と最低な理由なんだけどなぁ……これはさすがに言えんしな

たとえ零やブラック・ミストだろうと、この俺の浅ましい考えを知られる訳には行かないんだ

 

「文字通りの意味だよ、もうこの話はやめようぜ」

 

『凌牙』

 

「それよりもさー俺のディスクどんな風になって帰ってくるんだろうな」

 

『凌牙』

 

「あれ璃緒とお揃いで買ったからあんまりにも魔改造されたらカイトの事ぶち転がしちゃうぞ☆」

 

『凌牙!』

 

むぅ、ブラック・ミストもしつこいな

割とガチで理由最低だし、それに言う必要性がないんだよね

別に心に(笑)闇を(笑)持ってるわけでもないし、そこまで必死になる必要ないんやでブラック・ミスト

のらりくらりとブラック・ミストの追求を交わしていると唐突に零が口を開く

 

「神代先輩とⅣさんは身内で、ハルト君達は赤の他人だから、ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神代先輩とⅣさんは身内で、ハルト君達は赤の他人だから、ですか?」

 

そう言った瞬間、凌牙の雰囲気が変わった

ああ、この感じだ、××××と同じ

天城ハルトにあっさりと話たと聞いて、そして神代璃緒とⅣには話していないと聞いて真っ先に浮かんだこの結論

××××と似ているあいつなら、きっとそれは××××と同じような理由だと思ってたが、まさか本当だったとはな

 

「……零って、そこまで感が良かったっけ?」

 

そう言いながら神代凌牙は若干責めるようにこっちを見る

あいつも、あの時指摘したときこんな眼差しで俺を見ていたな

 

『おい凌牙、それどういう意味だよ!』

 

ブラック・ミストが神代凌牙に詰め寄る

俺が知る限りブラック・ミストと神代凌牙はかなり長い時間一緒にいるはずだし、こいつも神代凌牙の身内になっているはずだ

だからこいつはブラック・ミストには何も言わなかったのだろう

 

「んー、本当に浅ましい理由なんじゃがな

 もしかしたら俺に幻滅するかもしれないぜ?」

 

そう言いながらカードケースをポンポン投げながらブラック・ミストに問いかける

……そう言えば、俺も××××は身内に優しく、他人には無関心の理由を結局は聞けずに殺してしまった

あいつとこいつは違うとはいえ根本は同じだといっても過言ではないだろう

 

「大丈夫です!僕は何を聞いてもシャーク先輩を嫌いになるなんてありえません!」

 

『俺とお前はもう運命共同体だ

 今更嫌いも何もない、俺の居場所はお前の隣だからな』

 

おいちょっとまてこいつ本当にNo.96ブラック・ミストか?

なんだこのデレデレは、俺の知ってるブラック・ミストじゃねぇ

 

「俺さ、前世でいじめられてたんだよな」

 

『「はぁ!?』」

 

こいつが!嘘だろ!?

確かにぶん殴りたくなる時もあるけどいじめられる程ではない

どちらかというと九十九遊馬と同じで周りから愛されるタイプだ、そんなこいつがいじめられてた……?

 

「え、えっと、それってどういう……」

 

「そのまんまの意味だよ、高校の時だったかな、転校生が来てそいつに嵌められたんだよ

 俺は赤ん坊の頃に孤児院に拾われてさ、よくわかんないけどそういうのが気に食わなかったんじゃねーのか?

 そんで、嵌められた時は孤児院の皆しか俺の事信じてくれなかったんだ

 信じらんねぇだろ?二年間一緒にいたやつよりも会って一日、二日の奴の言葉を信じたんだぜ、笑えるよな

 あいつは俺が殴っただの叩かれただの言ってクラスの奴らが俺に暴力を振るうように仕向けたんだよ

 集団で殴られたり根性焼きされたときは痛かったなー、あとあれはやばかった、野球部の奴がバット持ってきたときとかさー」

 

あれには参ったよ、そういいながらカラカラと笑う神代凌牙に思わず絶句してしまう

こいつはなんとも無い様に話すが、確かに感じる負の感情(カオス)

そして、いつもキラキラと輝いている目には光がなく、何処までも飲み込むような深海を宿した青

これ以上は、これ以上はまずい

 

「べっつさーもう終わったことですしお寿司?もう気にしてないから安心しなって

 だからさ、ハルト君が俺の秘密を知ったところでどうでもいんだよ

 それが原因でバリアンに攫われようが、死んでしまおうが、俺は心は痛まないし悲しまない

 そりゃもし本当にそうなったとしたら俺が話さなければと思うだろうしもっと俺が気を付けていればと思うけどそれ以上の感情は出てこないだろうな

 お前らだって町中ですれ違った人なんて一々覚えてないだろ?仮に覚えていたとして、そいつが事故かなんかで死んだところであ、死んだんだ、って思う程度だろ?

 俺にとってハルト君はその程度なんだよ、だから俺の秘密を知って俺を軽蔑しようが中二病乙って感じで痛い人を見るような目を向けようがどうでもいいんだよ、だって俺とハルト君は他人なんだから」

 

くすくすと笑いながら俺とブラック・ミストを見る

ドロドロした負の感情(カオス)は神代凌牙からあふれ出るように外へ排出される

そしてやっと気づいた、この話は神代凌牙の地雷なのだと

 

『でも、お前はあの時他人であるハルトを助けたじゃないか』

 

「それはあの時言ったじゃん、俺がしたかったからしたって

 確かに他人だけどそれを理由に見て見ぬふりなんて真似は出来ないな」

 

矛盾している

他人なんてどうでもいいと、どうなっても心が動かないといっておきながら、積極的に他人に関わっていく

そんなにまた裏切られるのが怖かったら関わらなければいいのに

そして一番の問題は神代凌牙自身がその矛盾に気付いていないことだ

おそらくその事を指摘しても、神代凌牙は理解できないだろう

 

「あ、あの!話は変わりますけど、シャーク先輩の前世カードってどんなものがあるんですか!」

 

そういって話を逸らす

こういう時真月零ってキャラを演じていてよかったと思う、本当に

真月零(空気を読めないキャラ)だからこういう時遠慮なくぶっこんで行ける

 

「あーせやね、零ってその辺詳しく説明してないからね

 説明は二度手間だからカイト達が帰ってきてからでもいい?」

 

眼から光が戻りあのドロドロとした負の感情(カオス)も綺麗になくなった、まるでさっきの出来事なんて初めからなかったように

あまりの切り替えの早さにブラック・ミストはどう反応を返したらいいのかわからないみたいで右往左往している

ダメだ、俺の中でブラック・ミストが萌えキャラになってきている、俺が把握していた限りお前もっと俺様キャラだったろ、どうしてそうなった

 

「勿論です!うわぁすごいな!僕が知らないカードがいっぱいありますね!」

 

何気なくカードを何枚か抜き取りそれをはしゃいだように演技しながらじっくりと観察する

ペンデュラムモンスター、チューナーモンスターなどのこの世界はおろかバリアン世界やアストラル世界にも無いであろう未知なるカード

そして、最後の二枚を見て固まってしまった

 

 

 

|超銀河眼の光波龍《ネオ・ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン》

エクシーズ・効果モンスター

ランク9/光属性/ドラゴン族/攻4500/守3000

レベル9モンスター×3

(1):このカードが「サイファー」カードをX素材としている場合、以下の効果を得る。

●1ターンに1度、このカードのX素材を3つまで取り除いて発動できる。

取り除いた数だけ相手フィールドの表側表示モンスターを選び、

そのコントロールをエンドフェイズまで得る。

この効果でコントロールを得たモンスターの効果は無効化され、

攻撃力は4500になり、カード名を「超銀河眼の光波龍」として扱う。

この効果の発動後、ターン終了時までこのカード以外の自分のモンスターは直接攻撃できない。

 

 

RUM-光波昇華(サイファー・アセンション)

速攻魔法

(1):自分・相手のメインフェイズに、

自分フィールドの「サイファー」Xモンスター1体を対象として発動できる。

その自分のモンスターよりランクが1つ高い「サイファー」Xモンスター1体を、

対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターは以下の効果を得る。

●このカードの攻撃力は、自分フィールドのレベル4以上のモンスターの数×500アップする。

 

 

『お前銀河眼光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)は持ってないって言ってただろ!』

 

銀河眼光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)は持ってないよ、銀河眼光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)は(震え声)」

 

RUMは人間界には存在せず、バリアン世界とアストラル世界にしか存在しないカード

神代凌牙の前世はこんなカードが普通に出回っていたというのか?どんな化け物世界だよ

 

「ほぅ、俺の知らない銀河眼(ギャラクシーアイズ)か、しかもバリアンが使うRUMまであるとはな」

 

そこには天城カイト、ハルト、オービタル7がそこにいた

三人とも俺の持っている二枚のカードを注視している

あ……

 

あっ(察し)




凌牙ちゃんの前世カードは私のカードとリンクするので必然的にカードが増えていきます
一箱買って超銀河眼とRUMとWWのシンクロ、融合モンスターとパラサイトフュージョナーとオッドアイズ・レイジング・ドラゴンとか当たりました(/・ω・)/
超銀河眼とRUMが出た瞬間「あ、出すしかないな」と思いました
しかし銀河眼の光波龍はいない

そしてベクターに対する盛大なおまいう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19/神代凌牙と初めてのデュエル~そっと天城カイトを添えて~

オービタル7の会話がカタカナだと読みずらいので普通に表記させます
初めてデュエル描写したけどこれで合ってんのか全く分かりません(真顔)
誰か助けてください
大変、すっごい大変!
あ、あとコナミ君ルートと徳之助ルートクリアしました
今はカイトで勉強中です


「なるほど、しかし凌牙の前世はすごいな、なんのデメリットも無しにモンスターエクシーズを進化させるなど……」

 

「一つ高いモンスターに進化するだけだけどねー、カオス化するわけじゃないし

 RR(レイド・ラプターズ)で相手のORUの無いエクシーズモンスターを奪い取ってそのモンスターよりランクが一つ高いRR(レイド・ラプターズ)をエクストラデッキから特殊召喚するってのもあるよ」

 

「それがあればバリアンに対する強力な切り札になるでアリマス!」

 

『確かにな、相手のエクシーズモンスターを奪えばエクシーズ・リボーンなどでモンスターを蘇生されることもないな』

 

「なんだっけ、速攻魔法で、その相手のエクシーズモンスターを奪う効果は相手ターンに発動した場合で、自分ターンで発動した場合はどんな効果か忘れた

 ちょっと待ってて今から出すから、零ーそれとってー……あったあった」

 

 

RUM-レボリューション・フォース

速攻魔法

(1):発動ターンによって以下の効果を発動できる。

●自分ターン:自分フィールドの「RR」Xモンスター1体を対象として発動できる。

ランクが1つ高い「RR」モンスター1体を、

対象の自分のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

●相手ターン:相手フィールドのX素材の無いXモンスター1体を対象として発動できる。

そのXモンスターのコントロールを得る。

その後、ランクが1つ高い「RR」モンスター1体を、

対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

 

RUM-デス・ダブル・フォース

速攻魔法

(1):このターンに戦闘で破壊され自分の墓地へ送られた

「RR」Xモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚し、そのモンスターの倍のランクのXモンスター1体を、

対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

 

 

「ふむ、ではこれも解析するとしよう

 凌牙、連絡先を教えろ、これから先他にも聞きたいことも出てくるだろうしな」

 

そう言ってちゃっちゃかとDゲイザーの連絡先を交換する

連絡先を登録しつつ戻ってきたDディスクを確認するけど確かにモンスターゾーンに二つほどエリアが増えている、きっとこれがペンデュラムゾーンなんだろう

かちゃかちゃと弄っているとオズオズとハルト君と零が俺のそばに寄ってくる

 

「あの本当にもらっていいの?」

 

「良かれと思っても、これをもらうのは……」

 

そう、実は俺は前世カードをハルト君と零にあげる事にしたのだ

あげるといってもハルト君はギャラクシー関係のカードを上げただけでデッキを作れるだけは無いんだけどね

零はとりあえず好きなカテゴリを選ばせてデッキを組ませている

安心したまえ、今回のカード贈呈は俺が提案したものではない、流石にハルト君カードを上げるのはともかく零にまでカードをあげるような迂闊な真似はしないからな!?

実はこれはカイトからの提案なのだ

カイト曰く、俺の前世カードを戦力にするにあたって圧倒的に情報が足りないらしい

だから思いっきり零にバレたのでいっそのこと戦力強化もかねて巻き込もうという話になったのだ!

言い出しっぺはカイトだからいざとなったら責任は全部カイトにおっかぶせる所存です

 

「別に俺は構わないよ」

 

そう言いつつ手元のカードを再確認しながらデッキケースにしまう

デッキはブラック・ミストと一緒に相談しながら色々作ったデッキ複数と俺が思うがままに作った混沌Myデッキだ

多分使う事が一番多いのがMyデッキだと思われるが、他のデッキを使う機会があるかどうか……

 

「よし、お前らついてこい」

 

「どこかに行くの兄さん?」

 

「地下修練場だ、あそこなら誰にもバレずにデュエルをすることができる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「広っ!」

 

カイトに連れられてやってきたのは地下深い場所

なんだよこの謎空間、これだから遊戯王次元ってやつは!というか14年ハートランドに住んでるけどこんな空間あるなんて全然知らなかったわ

俺とブラック・ミスト、零はポカンとしながらあたりを見回す

 

「どうでもいい、貴様らさっき作ったデッキは持ってきたか?」

 

「はい、持ってきてます!」

 

『で、デュエルだけど誰がやるんだよ』

 

「まずは凌牙と俺からだ」

 

「( ゚Д゚)!?」

 

おい、おい(迫真)

あの、俺バッキバキの初心者なんだけどその辺わかってんのかあのアカデミア絶対カードにするマン!?

俺もアストラルよろしくブラック・ミストの助言がないとつらいんですが

嘘だろブラック・ミストなんで観客サイド行っちゃうの?待って、待ってなんでカイトはDディスク構えてるの!?

 

「さぁ、狩らせてもらおう、貴様の魂ごと!」

 

「やめてください(震え声)」

 

「「デュエル!」」

 

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

とりあえずドローしたけどどう動けば最善なのかまったくわからん

うーん好きに動いていいのかなー?まぁ初心者だし多めに見てくれるよね

……でも相手はアカデミア絶対カードにするマンなんだよなぁ……

まぁどうでもいいや!(思考停止)

 

「俺は守護神の宝礼を発動して、五枚捨てて二枚ドローする

 で……カードを一枚伏せてターンエンド?」

 

 

神代凌牙:LP4000 手札:1枚

【モンスター】

無し

【罠・魔法】

守護神の宝礼(永続魔法)

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

デッキから勢いよくカードをドローするカイト

流石本場の遊戯王次元は違うな

 

「俺は手札からフォトン・スラッシャーを特殊召喚!このカードは自分フィールド上にモンスターがいない場合に特殊召喚できる

 さらに手札からフォトン・サークラーを召喚する」

 

 

フォトン・スラッシャー

星4/光属性/戦士族/攻2100

 

フォトン・サークラー

星4/光属性/魔法使い族/攻1000

 

 

「俺は二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ、輝光帝ギャラクシオン!」

 

 

輝光帝ギャラクシオン

ランク4/光属性/戦士族/攻2000

 

 

「俺はギャラクシオンの効果を発動!ORUを二つ使いデッキから銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)を特殊召喚する!」

 

ああー、あれが噂(?)の銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)かー

銀河眼の光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)の元だし似たような能力なのかな?

だったら今はモンスターいないからセーフセーフ

 

「闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ!光の化身、ここに降臨!現れろ銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)!」

 

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)

星8/光属性/ドラゴン族/攻3000

 

 

……ん?んん!?エクシーズモンスターじゃないの!?

どういうことだってばよ!オリジナルってエクシーズモンスターじゃなくって普通のモンスターだったんだ……

やばい、どんな効果か想像がつかん

 

「バトル!二体のモンスターでダイレクトアタックだ!」

 

「まじかYO!とりあえずくず鉄のかかしを発動してギャラクシオンの攻撃を無効にして墓地のネクロガードナーを除外してギャラクシーアイズの攻撃を無効にする!くず鉄のかかしは墓地に送らないでセットできるよ」

 

2000+3000って完全にオーバーキルです本当にありがとうございました

だから初心者だって言ってんだろ!手加減しろって言ってんだろいい加減にしろ!

 

「ならばカードを二枚伏せてターンエンドだ」

 

 

天城カイト:LP4000 手札:2枚

【モンスター】

輝光帝ギャラクシオン/攻2000 ORU:0

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「俺のターン、ドロー

 ……っとそうだ俺は守護神の宝礼の効果で二枚ドローできるよ」

 

んー、とりあえず当面の目標はギャラクシオンの撃破かな

……ああああああ墓地からトラップ発動させるの忘れてたあああああああ!!

罠カードにチェーンできるってことは鉄くずのかかしで効果発動できたってことだろ!?

もうしょっぱなからやらかした\(^o^)/

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

「貴様、ふざけているのか?」

 

「ふざけてないよ!こっちだっていっぱいいっぱいなんだよ!初心者なんだから察してYO!」

 

なんでブラック・ミスト観客サイド行ってしまうん?

カイトの威圧がめっちゃ怖いです……しゃーないじゃんこれ罠カードいっぱい入ってるんだから!こういうデッキなんだよ!(多分)

……とりあえず、頑張って生き残りたい、ちょっとでも一矢報いて鮮やかに散ってやんよ!

 

 

神代凌牙:LP4000 手札:2枚

【モンスター】

無し

【罠・魔法】

守護神の宝礼(永続魔法)

くず鉄のかかし(セット)

伏せ×1

 

天城カイト:LP4000 手札:2枚

【モンスター】

輝光帝ギャラクシオン/攻2000 ORU:0

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

伏せ×2




とりあえず怖いから今回はここまで
これでいいのかな?あってる?ルールとかあってる!?
動き方とか大丈夫なのかわからんちん
コラボ小説に憧れてるけど凌牙ちゃんだしなー……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20/神代凌牙と初めてのデュエル~全力で手加減の巻き~

楽しいけど大変
後ルールこれであってるのかよくわかんない
めちゃくちゃ不安だよハルトオオオオオオ!
あ、カイトは全力で手加減しています


神代凌牙:LP4000 手札:2枚

【モンスター】

無し

【罠・魔法】

守護神の宝礼(永続魔法)

くず鉄のかかし(セット)

伏せ×1

 

天城カイト:LP4000 手札:2枚

【モンスター】

輝光帝ギャラクシオン/攻2000 ORU:0

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「俺のターン、ドロー!

 ……バトル!二体のモンスターでダイレクトアタック!」

 

「ギャラクシオンの攻撃に対してトラゴエディアの効果を発動!俺が戦闘ダメージを受けた時にこのカードは特殊召喚でき、攻撃力・守備力は俺の手札×600アップする!

 それでギャラクシーアイズの攻撃に対してくず鉄のかかしを発動!そしてチェーン?して墓地から罠を発動!」

 

「墓地から罠だと!?」

 

 

神代凌牙:LP4000→2000

 

トラゴエディア

星10/闇属性/悪魔族/守 ?→600

 

 

はい、遊戯王の恒例行事いただきましたー!

お前らそんなに墓地から罠に驚くん?墓地からモンスター効果とか使うし別にいいじゃん墓地から罠発動したって!?

 

「バージェストマって罠カードは共通で罠が発動した時にチェーンでこの効果を発動できるんだ

 そんでこの効果ってのが通常モンスターとしてモンスターゾーンに特殊召喚できるんだ、っつー分けで出てこいバージェストマども!」

 

 

バージェストマ・オレノイデス

星2/水属性/水族/守 0

 

バージェストマ・エルドニア

星2/水属性/水族/守 0

 

バージェストマ・カナディア

星2/水属性/水族/守 0

 

 

「やっとデッキが回り始めたか、ターンエンドだ」

 

 

天城カイト:LP4000 手札:3枚

【モンスター】

輝光帝ギャラクシオン/攻2000 ORU:0

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「俺のターン、二枚ドロー!

 ……っと魔法カード発動!魂吸収、この効果でカードが除外されるたびに俺のライフが500回復する!

 そして俺は……俺は三体のバージェストマでオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!

 現れろ、俺の相棒!No.96!漆黒の闇からの使者、ブラック・ミスト!

 そして手札から妖仙獣鎌弐太刀を召喚!手札の増減によりトラゴエディアの攻守が変化!」

 

 

トラゴエディア

星10/闇属性/悪魔族/守 600→1200

 

No.96ブラック・ミスト

ランク2/闇属性/悪魔族/攻 100 ORU:3

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1800

 

 

うーん、攻撃するべきかしないべきか

でも伏せカード怖いしギャラクシーアイズがどんな効果かわかんないから攻撃すんの怖いんだよな

とりあえず弐太刀で攻撃して、ターンエンドで大丈夫かな?

 

「俺は弐太刀の効果を発動!攻撃力を半分にしてダイレクトアタックできる!」

 

「ダイレクトアタックができるモンスターか」

 

「いっけー!カイトにダイレクトアタック!」

 

 

天城カイトLP4000→3100

 

 

「それで俺は……んー……んんー……うん、俺はカードを一枚伏せてターンエンド!

 弐太刀の効果が発動、エンドフェイズ時にこのカードは手札に戻る、そんで手札の増減によってトラゴエディアの攻守が変化するよ」

 

 

神代凌牙:LP2000 手札:3枚(公開:妖仙獣鎌弐太刀)

【モンスター】

トラゴエディア/守1800

No.96ブラック・ミスト/攻 100 ORU:3

【罠・魔法】

守護神の宝礼(永続魔法)

くず鉄のかかし(セット)

魂吸収(永続魔法)

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!行け、銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)!ブラック・ミストに攻撃!そしてギャラクシーアイズの効果を発動!ブラック・ミストとこのカードをバトルフェイズ終了まで除外する!

 ギャラクシオンでトラゴエディアを攻撃!そして速攻魔法サイクロンを発動!くず鉄のかかしを破壊する!」

 

「んんー?とりあえずカードが二枚除外されたからライフが1000が回復するよ

 で、ORUになってるバージェストマ達はフィールドから離れたら除外されるからさらに1500回復するぜ!」

 

 

神代凌牙:LP2000→4500

 

 

あートラゴエディアが破壊された

っていうかギャラクシーアイズの効果がいまいちわからん

除外はわかるけどなんでバトルフェイズに戻ってくるし意味ないんじゃないの?でもアカデミア絶対カードにするマンだしな……

 

「バトルフェイズ終了時、二体のモンスターが戻ってくる

 そしてギャラクシーアイズの更なる効果発動!この効果で除外されたモンスターがエクシーズモンスターだった場合、除外した時のORUの数×500攻撃力がアップする!」

 

「( ゚Д゚)!?」

 

そんなエクシーズ殺しの効果なの!?ってあああああああああ!ギャラクシーアイズじゃなくてギャラクシオンにブラック・ミストで攻撃しとけばよかったあああああ!

プレミ多いYO!誰かー!お客様の中にデュエルアドバイザーはおりませんかー!?

 

 

No.96ブラック・ミスト/攻 100 ORU:3→0

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000→4500

 

 

「俺はこれでターンエンドだ

 ああ、エクシーズモンスターは除外された場合はORUは墓地へ行くんだ、奈落の落とし穴で除外された場合もそうだな」

 

 

天城カイト:LP3100 手札:3枚

【モンスター】

輝光帝ギャラクシオン/攻2000 ORU:0

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻4500

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「俺のターン、二枚ドロー!

 罠発動!バージェストマ・ピカイアは手札のバージェストマを捨てることで二枚ドロー!

 そんでもって永続魔法修験の妖社を発動!このカードは妖仙獣が召喚・特殊召喚される度に妖仙カウンターを一つ置く

 手札から弐太刀を召喚!そして弐太刀の効果を発動!このカードが召喚に成功した時手札から弐太刀以外の妖仙獣を特殊召喚できる!俺は妖仙獣鎌参太刀を特殊召喚!そして妖仙獣が召喚されたことにより妖仙カウンターが二つ点灯!」

 

 

修験の妖社 カウンター:0→2

 

 

よ、よし、なんとかデュエルできてる!

明らかに手加減されてるけどデュエルできてるよ璃緒おおおおおおお!

 

「鎌弐太刀の効果でダイレクトアタック!」

 

「通すぞ」

 

 

天城カイト:LP3100→2200

 

 

「そして参太刀の効果を発動!このカード以外の妖仙獣が相手にダメージを与えた時デッキから参太刀以外の妖仙獣を手札に加える!俺は妖仙獣右鎌神柱を手札に加える!ブラック・ミストを守備表示にして俺はターンエンド!」

 

 

神代凌牙:LP4500 

  手札:6枚(公開:妖仙獣鎌弐太刀・妖仙獣鎌参太刀・妖仙獣右鎌神柱)

【モンスター】

No.96ブラック・ミスト/守1000 ORU:0

【罠・魔法】

守護神の宝礼(永続魔法)

魂吸収(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) カウンター:2

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は手札からフォトン・サーベルタイガーを召喚、効果を発動!デッキからフォトン・サーベルタイガーを手札に加える

 そしてサーベルタイガーは同名カードがフィールドに存在しない場合は攻撃力は800ポイントダウンする」

 

 

フォトン・サーベルタイガー

星3/光属性/獣族/攻2000→1200

 

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)でブラック・ミストに攻撃!破滅のフォトンストリーム!」

 

ギャラクシーアイズが大きく息を吸い込んだかと思うと、思いっきり光線を放出した

防御態勢のブラック・ミストは抵抗もできないままあっさりと破壊された……なんの活躍もなく破壊とかすまねぇ…すまねぇ……

……ってあれ?

 

「破壊されてない?」

 

「当たり前だ、No.はNo.以外では破壊されない」

 

「あーそういやそうだったな、ん?ならなんで攻撃したん?」

 

「凌牙がちゃんとブラック・ミストの能力を理解しているか見るためだ

 自分のカードテキストくらいちゃんと把握しておけ」

 

「ごめんなさい」

 

「だからNo.のような破壊耐性を持っているモンスターにはこのような手段が有効だな

 俺は手札から速攻魔法禁じられた聖杯を発動!表側表示で存在するモンスターを一体選択し、エンドフェイズまで攻撃力が400アップし、効果は無効になる

 ブラック・ミストの効果が無効化されたことによってNo.耐性は無くなりNo.でないモンスターでも破壊できる」

 

ほーん、勉強になるわー

まぁアストラルの記憶っていう特別なカードでもあくまでカード効果はカード効果だかんなぁ

……?ん?ブラック・ミストの効果が無効になった=No.耐性無くなった、そんで今はバトルフェイズ中……あっ(察し)

 

「ギャラクシオンでブラック・ミストに攻撃だ!そしてサーベルタイガーでダイレクトアタック!」

 

 

神代凌牙:LP4500→3300

 

 

ですよねー

何というか本当手加減してくださってありがとうございます

そしてカイトはエンド宣言してターンが俺に移る

 

 

天城カイト:LP2200 

   手札:2枚(公開:フォトン・サーベルタイガー)

【モンスター】

輝光帝ギャラクシオン/攻2000 ORU:0

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻4500

フォトン・サーベルタイガー/攻1200

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「俺のターン、二枚ドロー!とりあえずカードを伏せる!」

 

多分カイト俺に気を使って守護神の宝礼を破壊しないでくれてるんだろうなぁ……

まぁ本気出されて瞬殺されたらデュエル教えるも何もないしね

 

「俺は弐太刀と参太刀を召喚!修験の妖社の効果で妖仙カウンターが二つ点灯、そして修験の妖社の更なる効果を発動!妖仙カウンターを三つ取り除いて墓地・デッキから妖仙獣カード一枚手札に加える、俺は魔妖仙獣大刃禍是を手札に加える!」

 

 

修験の妖社 カウンター:2→4→1

 

 

「俺はスケール3の左鎌神柱とスケール5の右鎌神柱でペンデュラムスケールをセッティング!右鎌神柱のペンデュラム効果を発動し右鎌神柱のスケールを11まであげるよ!この効果を使用したターンは妖仙獣しか召喚できない!

 烈風纏いし妖の長よ、荒ぶるその衣を解き放ち、大河を巻き上げ大地を抉れ!出ておいで!魔妖仙獣大刃禍是!」

 

 

修験の妖社 カウンター:1→2

 

 

風を纏った大きい獣が俺の前に現れる

ああああああああ!かっこいいいいいいい!テンション上がってきたー!↑↑

俺本当に舞網チャンピオンシップ編の遊矢と沢渡さんのデュエル本当に好きなんだよ!

そして俺のARC-Vで一番好きなのは沢渡さんなんだよ!これ前にも言った気がするわ!

そんでも持ってこの口上!かっこいいだろぉ!

 

「大刃禍是の効果を発動!このカードは召喚、特殊召喚に成功した場合フィールドのカード二枚を手札に戻す!俺はギャラクシーアイズとギャラクシオンを手札に戻す!ギャラクシオンはエクシーズモンスターだからエクストラデッキに行ってもらうよ!」

 

「手札からエフェクト・ヴェーラーの効果を発動!……効果は言わなくてもわかるな?」

 

「アイエエエ!ナンデ!ヴェーラーナンデ!?

 というかそれ解析用にお前に渡した俺の前世カードじゃん!何ちゃっかり自分のデッキにいれてんの!?」

 

あれだろ!?ヴェーラー握ってない方が悪いって言うセリフがあるヴェーラーさんだろ!?

というか一枚しか持ってないのをわざわざ渡してやったのにこの仕打ちよ!俺がデッキに入れたかったわ!

と、とりあえず気を取り直してデュエルに集中しないと

 

「とりあえずバトルだ!大刃禍是でギャラクシオンで攻撃!」

 

「罠発動!攻撃の無敵化!このカードは効果が二つあり俺はその内の一つ、このバトルフェイズ中俺の戦闘ダメージは0になる」

 

「その罠にチェーンして墓地からバージェストマ達の効果を発動!さぁフィールドに出ておいで!」

 

 

バージェストマ・ピカイア×2

星2/水属性/水族/守 0

 

 

「そんでもってでもギャラクシオンは破壊させてもらうぜ!

 そして参太刀でサーベルタイガーを攻撃!

 これで俺はターンエンド、そんで俺の妖仙獣達は俺の手札に戻ってくるぜ」

 

三体の妖仙獣達が俺の手札に戻ってフィールドには二体の深海生物が!

そして両端には鳥居(?)がある、なんだこのカオスなフィールドは

 

「なるほどな、貴様のデッキの内容はおおよそ理解できた

 ……では、俺も本気で行くとしよう」

 

あ、ダメだこれ勝てる気がしない

 

 

神代凌牙:LP3300 

  手札:6枚(公開:妖仙獣鎌弐太刀・妖仙獣鎌参太刀・魔妖仙獣大刃禍是)

【Pゾーン】

妖仙獣左鎌神柱/Pスケール3

妖仙獣右鎌神柱/Pスケール5

【モンスター】

バージェストマ・ピカイア/守 0

バージェストマ・ピカイア/守 0

【罠・魔法】

守護神の宝礼(永続魔法)

魂吸収(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) カウンター:2

伏せ×1

 

天城カイト:LP2200

   手札:1枚(公開:フォトン・サーベルタイガー)

【モンスター】

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻4500

【魔法・罠】

伏せ×1




このデュエル終わる気がしない……
次で三話目ですよ奥さん
あ、間違ってるところがあったらどんどん行ってもらっちゃって結構ですよ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

21/神代凌牙と初めてのデュエル~強キャラに初心者が勝てるわけない~

この度は感想にてたくさんのルールミスの指摘ありがとうございます!
あれですね!やっぱりアニメ見ただけとデュエカしただけのバッキバキの素人じゃ仕方ないよね!(虚勢)
前回の話ですが、ルールミスした部分だけうまい事書き直そうとしましたが、何分最初の方でバジェ×3→ブラック・ミストってやったせいで、丸々書き直さないといけない事態が発生しました
なので今回の話では【この世界に存在しないカードの為Dディスクがの裁定がおかしくなった】ということで話を進めていきたいと思います
なのでこのデュエルに限り

・ORUのバージェストマは墓地へは行かず除外される
・一枚の罠カードに対してたくさん(?)チェーン(?)できる(同時召喚可能)

の裁定で進めたいと思います
言いたいことはわかります、けど丸々一話書き直す気力なんてなかったんや…
あと今更ですけどアニメオリカもOCGカードもごちゃまぜで使っていきます

あ、カイトルートクリアして今はキャットちゃんでプレイしてます!

追伸、この話からオリカが登場します
   苦手な方はブラウザバック推奨です


神代凌牙:LP3300 

  手札:6枚(公開:妖仙獣鎌弐太刀・妖仙獣鎌参太刀・魔妖仙獣大刃禍是)

【Pゾーン】

妖仙獣左鎌神柱/Pスケール3

妖仙獣右鎌神柱/Pスケール5

【モンスター】

バージェストマ・ピカイア/守 0

バージェストマ・ピカイア/守 0

【罠・魔法】

守護神の宝礼(永続魔法)

魂吸収(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) カウンター:2

伏せ×1

 

天城カイト:LP2200

   手札:1枚(公開:フォトン・サーベルタイガー)

【モンスター】

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻4500

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は手札からフォトン・トレードを発動!

 手札からフォトンまたは光子と名のついたモンスターを墓地に送り二枚ドロー!

 そしてバトル!ギャラクシーアイズでバージェストマ・ピカイアに攻撃だ!さらに速攻魔法フォトン・トライデントを発動!

 フォトンと名のついたモンスターを選びエンドフェイズまで攻撃力を700アップする、さらに貫通効果も付与する」

 

「オーバーキルだろいい加減にしろ!罠カードハーフ・アンブレイク発動!俺のダメージは半分になりモンスターを一体選択し破壊されない!」

 

えーっと4500の攻撃力に700アップして5200でそれが半分になるから2600

で、俺のライフが3300だから……

 

 

神代凌牙:LP3300→700

 

 

「そしてフォトン・トライデントの更なる効果発動!選択したモンスターが戦闘ダメージを与えた時、フィールドの魔法・罠を一枚選択し破壊する!俺が選択するのは守護神の宝札だ、そしてターンエンド」

 

 

天城カイト:LP2200 手札:1枚

【モンスター】

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻4500

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は速攻魔法ペンデュラム・ターンを発動!自分か相手のPゾーンのカードを対象に発動し、1~10までのPスケールを宣言して発動する!対象にしたカードは宣言したPスケールと同じになる、俺は左鎌神柱を選択しPスケールを2にする!」

 

 

妖仙獣左鎌神柱/Pスケール3→2

 

 

「っとその前に俺は二体のバージェストマでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!古代の海より現代に姿を現せ!岩より蘇りし者、出ておいで!バージェストマ・オパビニア!」

 

 

バージェストマ・オパビニア

ランク2/水属性/水族/守2400 ORU:2

 

 

「オパビニアの効果を発動!ORUを一つ使いバージェストマ罠カードを1枚手札に加える!俺はバージェストマ・ハルキゲニアを手札に!さらにORUになっていたバージェストマが除外されたことによりライフ回復!」

 

 

神代凌牙:LP700→1200

 

 

「セッティング済みの2~5のPスケールでペンデュラム召喚!鎌弐太刀・参太刀!そしてSR(スピードロイド)三つ目のダイス・メンコート!そして妖仙カウンターが1つ点灯!三つ使い妖仙獣鎌壱太刀を手札に加える!」

 

 

SR(スピードロイド)三つ目のダイス

星3/風属性/機械族/守1500

 

SR(スピードロイド)メンコート

星4/風属性/機械族/守2000

 

修験の妖社(永続魔法) カウンター:2→3→0

 

 

「レベル4のメンコートにレベル3の三つ目のダイスをチューニング!輝く翼、神速となり天地を照らせ!出ておいで!シンクロ召喚!クリアウィング・ファスト・ドラゴン!」

 

 

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

星7/風属性/ドラゴン族/攻2500

 

 

漫画版でのユーゴのエースモンスターであるクリアウィング・ファスト・ドラゴン

シンクロ・ペンデュラムモンスターという正気を疑うようなとんでもモンスター…まぁエクシーズ・ペンデュラムのオッドアイズ・リベリオン・ドラゴンとかオッドアイズ・レイジング・ドラゴンとかいるけどね…

水晶のような翼を持った文字道理神速のドラゴン、それが今ここに現れた

 

「クリアウィングの効果を発動!……出来ない!ごめん、出来なかった!」

 

「お前は一体何を言ってるんだ」

 

「よく見たらエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターじゃないと効果発動できなかった……」

 

「……これが終わったらみっちりカードテキストの内容を叩き込むぞ」

 

「アッハイ」

 

カッコよく決めたかったよね!

正直ノリで召喚したからね、あんまカードテキスト読んでなかったわ

 

「とりあえずバトル!クリアウィングでギャラクシーアイズを攻撃!この瞬間、オパビニアの効果発動!このカードがフィールドに存在する時、バージェストマ罠カードを手札から発動できる!」

 

「今度は手札からだと!?」

 

墓地から罠の次は手札から罠です☆

毎回思うけどなんでそんな驚くかなー

 

「手札から罠カード、バージェストマ・ハルキゲニアの効果を発動!表側表示モンスター一体を対象にしてターン終了まで攻守を半分にする!対象にするのはもちろん銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)だ!」

 

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻4500→2250

 

 

「行け!クリアウィング・ファスト・ドラゴン!神速のファストレヴォリューション!」

 

「罠カード発動!聖なるバリア—ミラーフォース!」

 

「……はあああああああああ!?」

 

クリアウィング、弐太刀、参太刀、ボッシュートになります☆

あの仕事しないことで有名なミラフォ先輩が仕事したことに驚きを隠せないっすわ……

……Pスケールの関係上クリアウィングの再召喚は無理かー……とうかあのカード最初の方に伏せてたやつじゃないですかヤダー!

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

神代凌牙:LP1200

  手札:3枚(公開:妖仙獣鎌壱太刀・魔妖仙獣大刃禍是)

【Pゾーン】

妖仙獣左鎌神柱/Pスケール3

妖仙獣右鎌神柱/Pスケール5

【モンスター】

バージェストマ・オパビニア/守2400 ORU:1

【罠・魔法】

魂吸収(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) カウンター:0

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は命削りの宝札を発動!カードを5枚ドローし、5ターン後にすべて捨てる!」

 

「なんだその頭おかしいカードは!?」

 

「しらん、俺の管轄外だ

 さぁ凌牙、俺がハルト達からお前の話を聞いた時、何もしなかったわけではない

 ARC-Vとやらの俺を知っているお前なら俺が何もしない、というのはあり得ないと知っているだろう?」

 

「……どういうことだ!まるで意味がわからんぞ!?」

 

「こういうことだ!俺はスケール1のフォトン・レフト・プロトタイプとスケール9のフォトン・ライト・プロトタイプでPスケールをセッティング!」

 

 

フォトン・レフト・プロトタイプ(オリカ)

ペンデュラム・効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻0/守1000

【Pスケール:青1/赤1】

(1):このカードを使いP召喚した場合、そのターンのエンドフェイズにこのカードは除外される

【モンスター効果】

(1):このカードは召喚、特殊召喚できない

 

フォトン・ライト・プロトタイプ(オリカ)

ペンデュラム・効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻1000/守0

【Pスケール:青9/赤9】

(1):このカードを使いP召喚した場合、そのターンのエンドフェイズにこのカードは除外される

【モンスター効果】

(1):このカードは召喚、特殊召喚できない

 

 

「……っえ」

 

「これによりレベル2から8のモンスターが同時に召喚可能!現れろ、フォトン・カイザー!二体の銀河の魔導師(ギャラクシー・ウィザード)!」

 

 

フォトン・カイザー

星8/光属性/戦士族/攻2000

 

銀河の魔導師(ギャラクシー・ウィザード)

星4/光属性/魔法使い族/攻 0

 

 

「……まじか……まじかぁ……」

 

ペンデュラムカード自作とかマジですか

赤馬もDDで作ってたけどさぁ、まさか画像データだけで作るとは思わなんだ

でもちゃんと作れてないせいか効果がひどい(確信)しかも名前に試作品(プロトタイプ)ってついてるし

 

銀河の魔導師(ギャラクシー・ウィザード)の効果発動!1ターンに一度、このカードのレベルを4上げる!

 俺はフォトン・カイザーとレベル8になった銀河の魔導師(ギャラクシー・ウィザード)でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!

 逆巻く銀河よ、今こそ、怒涛の光となりてその姿を現すがいい!降臨せよ、我が魂!(ネオ)銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)!」

 

 

(ネオ)銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)

ランク8/光属性/ドラゴン族/攻4500

 

 

……ん?あれ?これってもしかして

 

「行け銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)でバージェストマ・オパビニアに攻撃!破滅のフォトン・ストリーム!」

 

「墓地から三つ目のダイスの効果発動!このカードを除外してモンスターの攻撃を無効にする!」

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)の攻撃は無効になったが……この勝負、俺の勝ちだ」

 

「えっ」

 

(ネオ)銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)で攻撃!そして速攻魔法フォトン・トライデントを発動!」

 

 

(ネオ)銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻撃4500→5200

 

 

「二枚目ぇ!?」

 

「攻撃力700アップ!そして貫通付与だ!これで終わりだ!(ネオ)銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)でオパビニアを攻撃!アルティメット・フォトン・ストリーム!」

 

 

神代凌牙PL1200→-1600

 

WIN 天城カイト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あああああああああ負けた!」

 

手札もなんもかも投げ出して大の字で寝っ転がる

まさか5枚ドローからのペンデュラムで逆転されるとはなー

でもそうだよなーあの強キャラに初心者が勝てるわけないよね!(爽やかな笑み)

 

『ま、そこそこ頑張ったんじゃないのか?』

 

ブラック・ミストがそう言いながらふよふよとこっちに向かってきた

今更来ても遅いんだよなぁ…

 

「もー、なんで観客サイド行っちゃうのさー!一人で心細かったんだかな!」

 

『……俺がいなくて寂しかったか?』

 

「当たり前でしょ!なんだかんだで一緒にいたしこのデュエルもブラック・ミストと一緒にやるもんだと思ってからめっちゃ気抜いてたんだYO!」

 

そう言いながらブラック・ミストをどつく

悪態をつきながらもブラック・ミストはなぜかちょっと嬉しそうにしている

 

「すごいよ凌牙!僕あんなデュエル見たの初めてだよ!ペンデュラムもシンクロもすごかった!」

 

「でもプレイングミスが多かったデアリマス」

 

「流石シャーク先輩です!初心者であそこまでできるなんて!」

 

ハルト君とオービタル君と零もぞろぞろとこっちに向かってくる

ハルト君と零はいいけどオービタル君、お前はダメだ

なんなん?この世界初心者に厳しくない?

 

「ほんじゃ次は零の番だよね?頑張れ♡頑張れ♡」

 

「え、僕もですか!?」

 

「当たり前だ、お前もデッキを一新したんだろう?しかも聞く限りデュエルが得意のではないのだろ?

 安心しろ、俺が凌牙と一緒にみっちり仕込んでやる、ブラック・ミストお前も手伝え」

 

『面白そうだからいいぜ』

 

そう言ってカイトとブラック・ミストがニタリと笑いあう

やばい、この顔はやばい

 

「零」

 

「なんですかシャーク先輩」

 

「ここからが本当の地獄だよ(遠い目)」

 

「ですね(遠い目)」

 

この後めちゃくちゃデュエルした




ルールミス一覧
・バージェストマは罠一枚に対して一枚しかチェーンできない
・ORUのバージェストマは除外されず墓地へ送られる

ところでPカードって墓地へ送られた場合ってエクストラデッキじゃなくて墓地に行くんですよね?
ほんとコンマイ語って難しい……

オリカに関してはカイトが作りそうだから作りました
フォトン・ドラゴンとかアージェント・カオス・フォース作ってたし
カイトやらかしそうだし……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

22/神代凌牙と真月零あるいはベクターの疑問

カイトルートクリア!今はキャットちゃんでプレイしています
それにしてもフリーデュエルでトロンに勝てない
カイトデッキ(改造)、小鳥ちゃんデッキ(改造)、璃緒ちゃんデッキ(改造)で十回はやってるけど勝てない


「マジあのアカデミア絶対カードにするマン許さねぇ……」

 

「あ、あはは、でもおかげでデュエルが上手になりましたし僕は満足ですよ!」

 

もう夜も遅い時間に俺と零は大通りを歩いていた

時間も人通りもあるので俺ら中学生が出歩いてもある程度の安全は保障されている

まぁ零はともかく俺はある程度荒事に慣れてるから絡まれても大丈夫だろう

店やビルの明かりを頼りにぽつりぽつりと会話をしながら歩いてく

ブラック・ミストは疲れたと言ってカードの中に引っ込んでしまった、この野郎

不思議なことに会話がなくてもそれが苦痛にはならない

 

「零ー」

 

「なんでしょうか?」

 

「……やっぱなんでもねーわ」

 

「?」

 

やばい、今俺とんでもない事口走りそうになった

あれかなーやっぱこの二人っきり☆夜☆満天の星空(ビルの明かりでよく見えない)☆のせいかなー

 

「んー、なんか今日は色々濃い一日だったなー」

 

「そうですね!シャーク先輩の事もそうですが、まさかあのカイトさんとデュエルできるなんて!」

 

零はそういいながら両手をバタバタさせて必死にその感動を伝えようとしてくる

うん、この世界線のアカデミア絶対カードにするマンはWDCでベスト4っていう成績を収めてるわけで零見たいなデュエリストのあこがれの的なんだろうなー

海馬社長とかカイザーとか元キングとか赤馬とかのポジションなんだろうね

だから零が興奮するのはある意味ではわかるんだけどさ

 

「でもだからってあの地獄のデュエル学習—50戦するまで帰れません—は酷いと思うの(白目)」

 

「あれは本当に地獄でしたね……」

 

いやね、あれだよ?バリアンとの戦いでちょっとでも戦い慣れしないといけないっていうのはわかるよ?

だけどねだけどね?強キャラに初心者が勝てるわけないだろ…?50回敗北って相当きついんよ……?

途中に璃緒から電話もあったし、いや、なんというかこんな時間(現在時刻午後9時)までかかるとは思わんかったんよ……

 

「というか零もこんな時間まで出歩いてていいの?親御さんとか心配しない?」

 

「え?ああー……僕、今は一人暮らしなんですよ

 僕の親、海外に転勤になって、でも僕は日本に居たかったので、日本に残る条件がハートランドで暮らすことだったんです、ここ、治安がいいんで……」

 

「治安がいい……?」

 

全部人づてで聞いただけだけど何回かハートの塔ぶっ壊れてるみたいだし、WDCで色々あったみたいだしそれが治安がいい……?

No.の影響でこれまた色々騒動があったみたいだし、治安がいいってなんだっけ?

 

「中学生で一人暮らしってお前ってやつは中々チャレンジャーだな」

 

「そうでしょうか?シャーク先輩も神代先輩と二人暮らしですし結構なチャレンジャーですよね?」

 

「うちの場合は色々あったかんねー」

 

最初の頃は親がいなくなって俺が璃緒を守らなきゃって細かい事を考える余裕なんて全然なかったから親がいなくなった悲しみとか感じる余裕がなかった

でも生活が安定してきて、段々と今までの現状を振り返る余裕が出た時に、俺は初めて……初めて家族を、肉親を亡くした悲しみをしった

確かに前世ではあの孤児院皆が俺の家族だった、でも今は、あの時はお母さんがいて、お父さんがいて、璃緒がいる

血の繋がった、本当の意味での家族、そしてその消滅

その事実に打ちのめされていた、なんとか璃緒が荒れていた俺を落ち着かせてくれてこうして元気に今も生きています

 

「あのさー」

 

「どうしましたかシャーク先輩?」

 

「バリアンのさ、目的ってなんなんだろうね?」

 

「……?ヌメロンコードっていうのを手に入れるのとアストラルのいるアストラル世界を滅ぼすことじゃないんですか?」

 

「いやまぁ、そうなんだろうけどさー」

 

うーんなんて言えばいいんだろう?俺説明下手だしなんて言えばいいんだ?

ここにきて語彙力のなさが露見するとは思わなんだ

 

「あー……あー!そうそう理由だよ理由!バリアンがアストラル世界を滅ぼす理由!」

 

「え?理由って……?」

 

「多分人間世界ってアストラル世界のついでに滅ぼそう☆ってノリだと思うけどさ、バリアンがアストラル世界を滅ぼす理由が思いつかんのよねー

 だって滅ぼすならそれなりの理由があるからだろ?その理由って何なのかなーって思って」

 

「理由なんてそれは……それは…」

 

そう言ったきり零は深刻な顔で口を閉じてしまった

ええー、先輩からの無茶ぶりとはいえそこまで考え込まなくてもいいのに、零は真面目やんなぁ……

ただ単純な疑問として聞いただけなんだけど…滅ぼす理由……嫌いだから?

バリアンってアストラル世界が嫌いなのかなー?でもそうだったらなんで嫌いなんだろ?

嫌いになったとしても絶対に最初のきっかけがあるはずなんだけど、それってなんなんだろ?

うーん、そもそもアストラル世界とバリアン世界ってなんだ(哲学)

 

「うーん、バリアンと話す機会ってないのかなー」

 

「……え、あ、ああ、今までの相手はバリアンの刺客でしたからね、でもバリアンですし強いと思いますよ?

 こう言ってはあれですが、まだまだ初心者のシャーク先輩やましてや僕なんかはとてもじゃないけど太刀打ちなんて」

 

「おいこらなんですぐにそっち方向に話を持ってくんだ

 対話だよ対話、人間にはなー言葉って素晴らしいものがあるんやで?別にデュエルで語るのもいいけどやっぱりちゃんと言葉にしないと」

 

「言葉に、ですか?」

 

「だってそうじゃん、よく漫画やテレビでお前に私の気持ちがわかるかーってセリフあるけどさ、当たり前じゃん

 何にも言わないんだからわからないのは当たり前じゃん、言葉にしないならわからないのは当たり前じゃん

 皆の話聞いてるとさ、バリアンがアストラル世界をーとかヌメロンコードをーって聞くけど誰も理由を知らないんだよね

 なんかさー、もうちょっとバリアンを知りたいんだよね、何にも知らないでただ敵だから倒す!じゃなくて、バリアンが抱えてるものとかさ、知りたいんだよなー俺は」

 

そう言って零の方を見ると口を大きく開けて間抜け面を見せていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アストラル世界を滅ぼす

俺達がこの世界生まれた時から一種の決まりごとのように、ルールのようにそれはバリアン世界に蔓延していた

それに関して俺はなんの疑問も持たなかったし、他のバリアン世界の住人や七皇の奴らさえ当然のようにアストラル世界を滅ぼす為にに動いてきた

そうしないとバリアン世界が滅ぶから

でも神代凌牙からなぜバリアンはアストラル世界を滅ぼそうとするのか、その理由を真月零としても、ベクターとしても答えることができなかった

アストラル世界を滅ぼす理由なんてバリアン世界の崩壊を阻止するためだって今までそう信じて来た

でもよくよく考えるとそれはおかしい、なんでアストラル世界が存在するとバリアン世界が崩壊するんだ?

今までなんの疑問も疑わなかった、でも神代凌牙に理由を問われ始めて持つことができた違和感

バリアン世界は元々アストラル世界から追放された者たちが集まる世界

でも正直バリアン世界の奴らは復讐なんて考えていない、その筆頭が××××だった

いつだったか××××が言っていたように俺だって少なからずアストラル世界を恨んでいる

だけど、それだけだ

俺ら七皇は元々がバリアン世界の生まれだからもあるだろうし、追放されてここに流れ着いた者たちも追放されて恨んではいたが窮屈でルールに縛られ、ランクアップの可能性が見込めないものは切り捨てられるアストラル世界よりは弱肉強食だが何よりも自由なバリアン世界の方がいいという者の方が圧倒的に多い

それなのにアストラル世界と戦う理由、それは

 

「……わからない」

 

 

「何が分からないんだ」

 

 

背後からいきなり声が聞こえた

まさかここまで接近されて気が付かなかったなんて、随分と思考の海に落ちていたらしい

後ろを振り向くとそこには長い金髪を揺らし、少しだけ不機嫌そうに顔を歪めたミザエルがいた

俺とミザエルは気が合わない、だから二人きりで話すなんて事は俺もミザエルもごめん被る

なのになんでこいつがここにいるんだ

 

「大したことじゃねーよ、それよりも何の用だ、俺もお前も二人っきりなんてごめんだろ?」

 

「当たり前だ」

 

即答とかこいつ本当にむかつくな……

 

「先ほどドルべから人間世界に行くように言われてな、事前に貴様から人間世界の情報を聞こうと思っただけだ」

 

「脳筋のお前がまさか情報収集なんてなぁ、アリト・お前・××××の三大脳筋が情報収集…」

 

「貴様なぜ二回言った」

 

「大事なことだから二回言ったんですぅ!」

 

そう言いながらミザエルに人間世界の一般的な常識を教えていく

こいつが人間世界で何かやらかしたら俺まで動きにくくなるからな

それにしてもこいつら全員人間世界のあれこれを俺に聞きに来るのはやめてほしい、××××がいた頃は何故かやたら人間世界に詳しかったから××××と俺で二つに分散されてたからそこまで俺に負担はなかったかんな

 

「……それと、神代凌牙と神代璃緒に会う時はそれ相応の覚悟を決めてから会うんだな」

 

「神代璃緒は確かNo.保持者か、貴様が無様にも負けた」

 

「黙れ」

 

「それにしても貴様が忠告とは珍しい、その二人に何かあるのだな」

 

「まぁ、会えばわかるさ、会えば、な」

 

前にバリアン世界に帰った時にギラグとアリトと話したが、あいつらも神代凌牙と神代璃緒に対してなんらかの違和感を感じていたらしい

俺だけならまだしも他の七皇であるギラグとアリトまでも感じたとなると偶然なんて言葉で片づけるのは難しい

きっとあの二人には何かある

 

「そう言えば最初の質問に貴様は答えてないな、わからない、とはなんだ?」

 

ああ、そういや言ってたなそんな事

ミザエルの人間世界の一般常識を叩き込むのが大変で忘れてたわ

 

「ああ、ちょっと考えていただけだ、てめぇには関係ねぇよ」

 

「隠し事とは怪しいな、我が時空竜(タキオンドラゴン)の餌食にしてやろうか?」

 

「ミザちゅわんこわーい!」

 

そう言いながらカラカラ笑うとミザエルの雰囲気が変わった

俺も人の事言えないけどこいつ煽り耐性なさすぎだろ

そういや神代凌牙もデュエリストは総じて煽り耐性皆無で精神攻撃が基本、とか言ってたな

 

「へーへー言えばいいんだろ、言えば」

 

両手を上げて降参のポーズを取る、こいつはやると言ったら本気でやるからな

前に××××がミザエルを怒らせて時空竜(タキオンドラゴン)に頭から食われてたし

そん時ドルべと×××は呆れた顔でその様子を見ていたのはしっかり覚えてる

 

「いや、なんで俺はアストラル世界を滅ぼそうとしてるんだろうなと思ってな」

 

「……貴様ついに頭が沸いたか」

 

「あらら、ミザちゃんひっど~い!」

 

からかうようにいうとミザエルの額に青筋が浮かぶ

こいつ煽り耐性が本当に皆無だな、それでいつか足元救われるぞ

 

「そんなもの我らバリアン世界の為に決まっているだろう」

 

「なんでアストラル世界を滅ぼすのがバリアン世界の為になるんだ?」

 

「そうしなけばバリアン世界が滅ぶからだ」

 

「なんでバリアン世界が滅ぶんだ?」

 

「そんなの決まって、い、る……」

 

そこまで言ってミザエルは言葉を途切れた

やっとミザエルも気が付いたみたいだ、アストラル世界が存在する=バリアン世界が崩壊するのはおかしいと

 

「まーその辺はおいおいと調べればいい話だ

 とりあえず今はアストラルと九十九遊馬を倒すことだけに専念するんだな」

 

ワープホールを開いて人間世界へ向かう

その時、俺はミザエルから背を向けていたのであいつがどんな顔をしていたかわからなかった




ここの七皇は原作より仲がいいです
そしてやっと次からアニメルートに戻るはずです!
楽しい前世教室編がここまで続くとは思わなかった……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2、神代凌牙とバリアン戦士達の背負う物
23/神代凌牙あるいは××××とミザエルの××


ちなみにミザちゃんの行動時間系列は
ドルべに人間世界に行くように言われる
 ↓
ベクターと話をする(前話)
 ↓
一週間ぐらい人間世界について勉強する
 ↓
人間世界でアリトとギラクに会う
 ↓
凌牙ちゃんとブラック・ミストに会う(今話)です

キャットちゃんルートを徐々に攻略中
あ、フリーデュエルでやっとトロンに勝てました!やっぱりアカデミー絶対カードにするマンは偉大だった
後どうでもいいけど私は脳内で黒咲の事を腹パン先輩と呼んでいます


「……」

 

「……」

 

金髪の髪の長い男の娘

天上を思わせるような青い瞳は挑戦的に俺を射抜いている

そして、違和感が!お 前 も か !

あーはっはっはっは!四回目!こちらこの違和感は四回目やぞ!いい加減になれたわ!

 

「あー、あのー、何の御用ですか?」

 

俺がそう声をかけても男の娘は反応せずに何かを考えるように手を組んでいる

おい、せめてなんか反応してくれよ

こんな道のど真ん中で見つめ合う男女って明らかに恋人のそれだろ

というかこんな綺麗な顔してんのに眉に雛がよってんぞ、もったいねぇ

 

「おい、貴様の名前はなんだ?」

 

「いやまずお前が名乗れよ」

 

俺だって見知らぬ相手に名乗るほど危機感死んでないからね?

男の娘はなるほどといった風に目を見開き、そして口を開く

 

「我が名はミザエル、孤高のバリアン戦士だ」

 

「( ゚Д゚)!?」

 

アイエエエエエ!ナンデ!?バリアンナンデ!?

というか堂々と名乗るなんて潔いなおい!

まじもんのバリアンなんて初めて見たわ……それにしても本当こいつバリアンか?

見た目っつーか外見が完全に人間のそれなんだよなぁ…んん?あれ?この状況まずくね?

 

『まずいってもんじゃねぇよ』

 

そう言ってカードからブラック・ミストが出てくる

ありがとう、ありがとう、多分デュエルしたら負ける自信しかないわぁ

俺の前に守るように立ちふさがるブラック・ミスト

やだ、俺の相棒がかっこいい(トゥンク)

 

『でぇ?一体何の用だよバリアン戦士さんよぉ?』

 

そう言いながらもブラック・ミストはミザエルを睨み付け警戒を怠らない

確かに遊馬とアストラル、璃緒やカイトならともかくなんで俺のところに?

俺がデュエル始めたって知ってるのはあの前世教室にいた皆だけだ、ブラック・ミストだって璃緒すら知らないのに

ミザエルはブラック・ミストに気付き目を開く

 

「自我があるNo.だと?」

 

「そりゃブラック・ミストはカードの精霊だからねぇ……」

 

そう言いつつじりじりと後ろに後退する

なんの理由でここに来た……いや、来た理由はわかるんだ、なんで俺と会いあまつさえ自らバリアンと名乗ったんだ?

普通に人間のふりをして油断したところでやっつけた方がいいと思うんだけどなー

それともあれかな、頭が弱いのかな

 

「まぁいい、そのNo.は九十九遊馬とアストラルを倒してからいただこう

 それよりも貴様も名を名乗れ」

 

あーこれはあれだな、敵サイドによくいる卑怯な手はダメ!正々堂々と勝負!誇りを大事!なタイプの奴か

こういうタイプがある意味一番安心できるな

 

「俺は神代凌牙、その辺にいるただのリアリストだよ」

 

「……神代凌牙?そうか、貴様が……」

 

そういうとミザエルは何かを考え混むようにして手を顎に当てる

だからYO!璃緒を知ってるのはともかくなんで俺の名前に反応するんだよ!あれか、バリアン側に「神代凌牙ってやつまじちょろいぜうへっへ」ってバレてんの?その通りだよ!

ミザエルはジロジロと俺を見て、そしてブラック・ミストを見る

 

「ベクターから話を聞いていたが、なるほど、こういう事か……」

 

「だからなんでデュエリストって自分で勝手に納得するん?俺全く状況が理解できないんだけど」

 

『安心しろ、俺にもまったくわからん』

 

というかベクターって誰?バリアンなの?ねぇ、バリアンなの?

えーっと、とりあえずブラック・ミストにこっそり目くばせしてここから逃走する意思を伝える

ブラック・ミストもそれに承諾して俺の横に移動、いつでも逃げる準備は万全だぜ!

こっそり後ろを見て逃走ルートも確認しておく

 

「神代凌牙、神代璃緒はどこだ」

 

「……何、なんで璃緒が出てくるわけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜベクターが神代凌牙と神代璃緒に注意しろと言ったのか、その意味が会って初めて分かった

会った瞬間に感じた言いようのない、違和感の正体がわかるはずなのにそれが喉まで出かかっているのに、なのにそれを理解できない

 

「……何、なんで璃緒が出てくるわけ」

 

神代璃緒の名前を出した途端に雰囲気が変わった

自分の庇護たる子を守ろうとするその姿は××××とどうしようもなく被る

なぜだ、なぜ愚かな人間が我らがバリアンの女王と同じ目をするんだ

 

「神代璃緒のWDCなどの動向は聞き及んでいる

 ならば神代璃緒の事を聞くのは通りだと思うが」

 

「それもそうだな」

 

『納得すんじゃねーよ』

 

No.96はそう言いながら神代凌牙の横に控えている

……私から逃れられると思っているのか?非力な人間ができることなどたかが知れている、自我があるNo.がいるとはいえバリアンである私にかなうわけがない

 

「確かに璃緒はNo.のあれこれに関わってるからミザエルが気になるのもわかる

 だけど会わすわけにはいかないよ、璃緒は俺のたった一人の肉親で半身なんだから、お前が璃緒に何をするかわからない以上は姉として璃緒を守る責任がある」

 

 

 

『×××はバリアン七皇である以前に俺の妹だ、×××を傷つける奴は、絶対に許さない』

 

 

 

いつだったか、×××がアストラル世界との小競り合いでけがを負った時の、あの時と同じ

いや違う、××××はバリアン世界の女王、下等な人間である神代凌牙ではない

わかってる、わかってるのに!なぜ、なぜ重なるんだ!

 

「何もしない、ただ会いたいだけだ」

 

これは本当の事だ

ベクターが神代凌牙と神代璃緒に気を付けろと言ったのはこの事だったのか

あいつもこの違和感を感じてあの忠告をしたのだろう、しかしいつ神代凌牙と神代璃緒に会ったんだ?

私がベクターの名前を出した時、神代凌牙は何の反応も示さなかった

ということは神代凌牙はベクターと会ってない可能性が高い

 

「……残念だけど、まだミザエルを信用したわけじゃないから璃緒に会わすわけにはいかないなー」

 

『これで会わせるって言ったらお前の事を殴ってたところだよ』

 

「酷くない?ねぇ、酷くない?」

 

 

 

『---だからまだここで突っ込んでいくのはいい手だとは思わないんだよね』

 

『お前、脳筋の癖に考える脳があったんだな』

 

『酷くない?ベクター酷くない?』

 

 

 

いつだったか××××とベクターとのやり取りが脳裏によぎる

ブラック・ミストと神代凌牙があの時の二人と重なる

 

「まぁいい、今日はそんな事をするために来たわけではない

 お前と会えたことは行幸だがその前にやらねばならないことがあるから行かせてもらうぞ

 そう、全てはバリアン世界の……」

 

バリアン世界の為に

そうだ、その為に今まで私たちはバリアン世界の為に戦ってきた

……そのはずなのに今は前ほど意欲的に取り込むことができなかった、理由ならわかる

あの時のベクターとの会話が脳内に蘇る、なぜアストラル世界を滅ぼさなければバリアン世界が消滅するのか

今まで何の疑問も思っていなかった、そして、その疑問に気づいて背筋が凍った

普通だったら誰かしら早い段階で気づく事柄を、ようやっと気づけんだ

本当に、アストラル世界を滅ぼしていいのか

 

「……ミザエル、大丈夫か?」

 

神代凌牙が心配そうにこちらを見つめてくる

その視線に耐えきれなくなり、私はその場から姿を消した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「璃緒!」

 

ミザエルと別れた後(……別れた?)後Dゲイザーに出ない璃緒が心配になり必死に探し回った

なんかミザエルは璃緒と会いたがってたし、ああいうタイプは人質とかはしないけど万が一のことがある

 

『……!凌牙!あそこだ!』

 

「あー!いたー!」

 

ショッピングモールの服屋の前でアイス食べてました

よかったーなんともなかった……考えすぎだったみたいだしよかったわ……

こっちに気付いた璃緒は驚いたような顔をしてアイスを落とす、勿体ないなー

逡巡し、そしてDディスクを構え……構える!?なんで!?

 

「No.96!貴方凌牙に一体何したの!?」

 

「あー!あー!そういう事ね!大丈夫!ブラック・ミストはいい子だから!いい子だから!」

 

『俺が言うのもなんだけどその説得方法は無いと思う』

 

ブラック・ミストおおおおお!俺お前庇ってるんだからその反応は酷いと思うの!

というかお前何したの!?璃緒があんだけ警戒するなんてよっぽどやぞ!

 

「どういうことなの?凌牙、No.96を庇うなんて何があったの?」

 

不機嫌そうな顔を隠そうともせずにブラック・ミストを睨み付けている

 

「お前一体何したん……?」

 

『ちょっと遊馬に憑りついてアストラルと一体化しようとしただけだ』

 

「何してんの!?」

 

そりゃ警戒もされるよ!むしろなんで警戒されないと思ったん!?

まじでお前の人生(?)どうなってんだ……

 

「なんか俺が寝てた間にそんなバイオレンスが合ったとはなー……

 とりあえずブラック・ミストは悪さはしてないよ、俺が保証するからちょっと話というか言い訳をさせてくれたら嬉しいな!」

 

確かにブラック・ミストが昔(?)遊馬達に悪い事したみたいだけど、もうブラック・ミストは俺の身内で相棒だ

璃緒とブラック・ミストのどっちが大事かって言われたら間違いなく璃緒を取るけど、それでもブラック・ミストは俺にとってかけがえのない存在になっている

あいつは俺の事情(前世とか前世とか前世とか)を理解してくれるし、相談にも乗ってくれる理解者

天の声さん時代にも弱音とか色々吐いたし、できれば璃緒とも仲良くして欲しいんだけどな

 

「……はぁ」

 

璃緒はため息をつく

そして呆れた顔でこちらを見つめた、こんな不甲斐ないお姉ちゃんでごめんね!

 

「操られている、というわけではなさそうですし一先ず家に帰ってみーっちり事情をお聞かせ願おうかしら」

 

「アッハイ」

 

璃緒は買った服の紙袋を持って俺の改造バイク……もといDホイールの方に来る

ちなみにこれ、5DsとARC-Vのシンクロ次元編の事を話したらジェバンニ事カイトが3日でやってくれました

やっぱり遊戯王次元の人間はどっか頭のねじぶっ飛んでる、これ常識

フィールド魔法のクロス・オーバーだっけ?は無いけどオートパイロットにしてのライディングデュエルならできるようになったよ!使う機会無いだろうけど!

荷物をDホイールに収納し、いざ璃緒がDホイールに乗ろうとした時にそれは起こった

 

「いっ……」

 

いきなり璃緒が頭を押さえる

何かの痛みから逃れるようにして首を左右に振る

 

『璃緒…?おい、どうした?』

 

「頭痛?大丈夫」

 

璃緒が顔を上げる

その顔には生気がなく、何処も見つめてはいない、深い深淵を宿した真っ赤な瞳をこちらに向けた

 

「来る、大事なものを壊すため、全てを破壊するために、忌まわしいドラゴンが」

 

「璃緒……?」

 

何か予言めいた事をつぶやいた後に璃緒はフラリと倒れる

慌てて璃緒を抱きかかえるけど体調が悪いのか顔色が優れない

来るって何が?忌まわしいドラゴンって?……ダメだ、スターヴ・ヴェノム・フージョン・ドラゴンしか思い浮かばない

 

『関係あるかどうかわからないが、バリアンのミザエルはアストラルと遊馬を倒すと言っていたぜ』

 

「……!まさか!」

 

その瞬間山の方から何か強烈な光が走った

ショッピングモールの人たちは一瞥しただけで、足早に歩いていく

だけど俺達はあの光の正体がわかって一瞥しただけで知らんぷり、なんてできなかった

 

「あれってバリアンの……!」

 

「遊馬……遊馬とアストラルが危ない」

 

『おい凌牙!』

 

ブラック・ミストがそう言うのと同時に璃緒にヘルメットを被せ後ろに乗せる

体調の悪い璃緒を気遣うようにブラック・ミストがちょっと実態化して璃緒をDホイールから落ちないように支える

きっとあそこで遊馬達が戦っている

俺と璃緒、ブラック・ミストはDホイールに乗って山へと向かっていった




Dホイール所有者
・神代凌牙
・天城カイト(オービタルが頑張って変形する)
・真月零あるいはベクター(演技じゃなければ操縦完璧)
・天城ハルト(ルカとルアが持ってたスケボータイプの奴)

久しぶりにアニメルートに戻ってきましたYO!
前世教室でデュエルが出来るようになったとはいえやっぱり全然デュエルはしない予定です、多分
そして最近またとうらぶ熱が再発しました、世界一可愛いよ加州ううううう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

24/神代凌牙と107番目のNo.

ダイパ以降から全くやっていませんでしたが、新作ポケモン買いました!ムーン!
それにしてもドット絵のポケモンしかやってないのでなんだか違和感が…
ライバルキャラも名前決められないし、ライバルってこっちが水を選んだら草って感じで相性有利なのを選んでいたのに、相性悪いやつ選んでてなんだかなーって感じですね
若干RPG?ぽくなっててなんだかジェネーションギャップを感じる……ルビサファは至高(恍惚)
ところで皆さん最初のポケモンって何選びますか?私は初代から水一択です

デュエルカーニバルはしばらくお休み
許せ、キャットちゃん……



山道をDホイールに乗ってどんどん進んでいく

ここまでの道のりで体調を取り戻したのか璃緒はブラック・ミストの補助を解いてしっかりと俺にしがみついている

ブラック・ミストが気になるのかチラチラと見ているが、ブラック・ミストはそんなの意に介さずにDホイールと並走している、結構な速度で走ってるのにすげーな

 

「璃緒、ブラック・ミスト、もうちょい飛ばすから」

 

「わかったわ」

 

『言われなくてもついてくっつーの』

 

無理やりDホイールで突っ切ってるせいで揺れが酷いからな

……それにしても離れていてもわかるこの重圧

今まではあくまでバリアンによって力を与えられた一般人だったからそこまでの威圧を感じなかったが今回は違う

重苦しいような、先ほど璃緒が言った全てが無に帰るような、そんな感じ

璃緒もこの感覚を感じているのか口数が少なく、ブラック・ミストもだんまりを決め込んでいる

 

「……!いた!あそこだ!」

 

大きな赤い球体が空に浮かんでいる……うん!遊戯王次元だからこんぐらい普通だよね!(洗脳)

その球体の中にさっき会ったミザエルと遊馬&アストラルがデュエルをしてる

あの球体なんだろ?特殊なフィールド魔法かな?オレイカルコスの結界的な

 

「あれはスフィアフィールド…!」

 

「璃緒、なんか知ってるん?」

 

「ええ、あれはバリアンの力で出来た特殊なフィールドですわ」

 

『バリアン……確かにあのフィールドからはカオスの力を感じるな』

 

赤い球体……スフィアフィールドのすぐ近くまで来た時、上ばっかしか見てなかったけど下のスフィアフィールドの下に小鳥ちゃんがいるのが見えた

小鳥ちゃんもデュエルしないからあのフィールドに巻き込まれんでよかったよ……

少しスピードを出し小鳥ちゃんの元へ向かおうとした時、スフィアフィールドの中でミザエルが二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築するのがここからでも見えた

 

 

 

「宇宙を貫く雄叫びよ、遥かなる時を遡り銀河の源より蘇れ!顕現せよ、そして我を勝利へと導け!No.107!銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)!」

 

 

 

『107番目のNo.だと!』

 

「どういうこと?No.って100枚じゃなかったの……?」

 

「ギャラクシーアイズ!?持ってるのカイトだけじゃないの!?」

 

俺だけ二人(一人と一枚?)と驚いてる部分違うけどでもそんなの関係ねぇ!

ギャラクシーアイズカイトだけが持ってるわけじゃないんだ……あれかなー遊矢シリーズのドラゴン達と同じ感じなのかなー?元は一つだった!的な?そう、今こそ一つに!

とか考えてたら丁度いい感じのところまで来たのでDホイールを急停止させて小鳥ちゃんの前に躍り出る

 

「小鳥ちゃん!大丈夫?怪我し……てるやん!待って今から救急箱出すから!」

 

「小鳥さん!一体何がありましたの!?」

 

「璃緒さん!シャーク!?……って、No.96!?なんで璃緒さん達と一緒にいるの!?」

 

「だ、大丈夫だから!ブラック・ミストいい子だから」

 

『だからその説得方法はねぇってさっき言ったばっかだろ』

 

「なんでお前を庇ってんのにそう言われなくちゃいけないの!?酷くね?」

 

ってちゃうねん!今はそんな事してる場合じゃないねん!

なんとか小鳥ちゃんを説得する、まじで何したんやブラック・ミストェ……アストラルと創世☆合体ってどういうことなの……

とかやってるうちに時空竜がホープに攻撃する…けどホープの効果を使い攻撃を無効にする

 

 

 

銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)の効果発動!1ターンに1度、バトルがすべて終了した時ORU1つ使ってフィールドにいる銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)以外の効果を無効にし攻撃力と守備力を元に戻す!タキオン・トランス・ミグレイション!」

 

 

 

んん!ということはもしブラック・ミストの効果を使ったとしても100に戻されちゃうって訳か……きついなー

遊馬もダブル・アップ・チャンスとか瞬間火力が上がるカードの他に破天荒な風とかの永続的に攻撃力が上がるカードが入ってたはずだからこれはやばいなー

いや、でもバトルが全部終わった後の発動だから傷が浅いかな?

 

 

 

「さらに時空竜はこのターンに効果を発動したカード1枚につき1000ポイント攻撃力がアップする!時空を遡り再び権限せよ!銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)

 そしてこの効果を自分のターンに使用した時時空竜はもう一度攻撃できる!」

 

『なんだと!このドラゴンは過去に戻り、自分に有利な未来を選択できるというのか!?』

 

 

 

アストラルのその発想はなかったは(驚愕)

でもこれってかなりまずいよな……さっきの時空竜の効果で時空竜以外の効果は無効、仮に攻守が上がってたとしても元に戻されてるから無意味

しかもさっき遊馬達はホープの効果を発動したから時空竜の攻撃力は3000から4000になってる

スフィア・フィールドって特殊なフィールド内に加えて100以上の数字を持つ、アストラルでさえ知らないNo.

この攻撃はまずい

だけど無慈悲にもミザエルは時空竜に攻撃命令を出した

時空竜の咆哮がホープに直撃する

 

 

 

『まずいぞ遊馬!この攻撃は…!』

 

「うわああああああ!あ、ああああああああああああ!」

 

 

 

「いやぁ!遊馬!アストラル!」

 

1500のダメージがアストラルと遊馬を襲う

アストラルは何とかダメージを反らすことに成功したものの遊馬はそのままスフィア・フィールドに叩きつけられる

その瞬間、遊馬に雷のようなものが走りそのまま倒れこんでしまう……ダメージが実体化、もしくは何倍にも跳ね上がる系のフィールド、かな

 

「……小鳥ちゃんの前で言うのもあれだけど、遊馬はもうデュエルをしない方がいい

 あのダメージであれ以上デュエルを続けたら遊馬の体が持たない」

 

「凌牙!?」

 

「何を言ってるのシャーク!」

 

『俺も同意見だな

 普通の人間の遊馬もそうだけどアストラルはあのフィールドにいるだけでも負担になってるみたいだしな』

 

璃緒と小鳥ちゃんが反論しようとするがスフィア・フィールドの中の遊馬とアストラルを見て口を紡ぐ

必死になって立ち上がりデュエルを続けようと、アストラルを守ろうとする姿はいっそ痛々しい

それをミザエルは落胆した顔で遊馬とアストラルに語り掛ける

人間は脆すぎる、と

期待、してたのかなぁ遊馬達に

ミザエルはあれだな、強者と闘うことに喜び感じるタイプかな

今まで色んな脅威に立ち向かっていった遊馬達なら、自分を満足させられると思ってたとか?

もしかしてミザエルって黒バスの青峰タイプ?

 

「私がデュエルを引き継ぎます!私をスフィア・フィールドの中に入れなさい!」

 

流石の璃緒もあの状態の遊馬がデュエルを続けるのは無理だと判断し、ミザエルに向かってそう叫ぶ

璃緒の声に気が付いたのかミザエルがこちらに目を向ける、そして璃緒と目が合い硬直する

ちらりと璃緒の方を見ると璃緒もなんとも言えない表情をしていた、きっと璃緒もあの違和感を感じているのだろう

 

「……っ!そうか、貴様が神代璃緒か

 いいだろう!ならば貴様から叩き潰してやろう!」

 

そしてミザエルが璃緒をスフィア・フィールドに招き入れようとした時

 

 

 

「待て!」

 

 

 

突然頭上から声が聞こえる

そちらに目を向けるとオービタル君と合体(←!?)したカイトがこちらにやってきていた

……Dホイールになったり一体オービタル君はどこに向かおうとしているのか

そしてオービタル君と分裂して地上に降り立つ、え、やだこの登場の仕方かっこいい…

 

「そのデュエル、俺が引き継ごう!」

 

『パッと出の癖にかっこつけやがって…』

 

そう言ってブラック・ミストはカイトに悪態をつく

そうかなーピンチの時に登場ってヒーロー(※E・HEROでもD・HEROでもない)って感じでかっこいいじゃん

 

「璃緒はどう思うん?」

 

璃緒の方を振り向くと、また、また何か予言めいた事を言ったみたいに、深淵を宿した目がこちらを見据えていた

 

「呼んでいる、ギャラクシーアイズがギャラクシーアイズを呼んでいる

 遥かなる時空を超えて、再び会いまみえた二体の竜が互いに引き寄せ合っている」

 

「二体の竜……?」

 

小鳥ちゃんが不思議そうに璃緒を見つめている

二体の竜……きっとミザエルの持ってる銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)とカイトの持ってる銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)の事だろう

俺がこの世界に持ち込んだ(ネオ)銀河眼の光波龍(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)は違うよなー

二体のギャラクシーアイズの咆哮が聞こえる

きっとミザエルとカイトも同じギャラクシーアイズ使いとして何かを感じ取っているのか、ミザエルは無言でカイトをスフィア・フィールドに招き入れる

 

「遊馬、アストラル、お前達は休んでおけ」

 

『すまない、カイト

 ……ところで、小鳥達は大丈夫なのか?あそこにNo.96がいるのだが』

 

「大丈夫だ、俺を信じろ」

 

ブラック・ミストの方を見るとそっぽを向いており、若干頬が赤くなっている

お前って結構直球で褒められるの慣れてないよねー

 

「それにこれは俺の問題だ、俺が、俺こそが真のギャラクシーアイズ使いだ!」

 

「そうか!お前がもう一人のギャラクシーアイズ使いか!

 ……いいだろう、天城カイト!もう一体のギャラクシーアイズを持つ者よ!さぁ、デュエルの再開だ!」

 

「「デュエル!」」

 

 

 

そしてデュエルが再開し、カイトがカードを駆使し1ターン目から光子竜を召喚する

フィールドに二体のギャラクシーアイズがそろう

その瞬間、二体の銀河の眼を持つ竜が共鳴する

スフィア・フィールドの中から二体の竜の咆哮が漏れ出し、外にいる俺達にも影響を及ぼす

木々がなぎ倒され、石畳で出来た道は大きな亀裂が生まれ見るも無残な姿になっている

おい、これ本当に大丈夫なの?

 

「……ギャラクシーアイズが二体そろう時、大いなる力への扉が開く」

 

「…?なんだそれは」

 

「昔から伝わる言い伝えのようなものだ、まさかこれほどまでの力だとは……」

 

これ、(ネオ)銀河眼の光波龍(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)も出したらどうなるんだろ?

……考えないようにしよう(笑顔)

二人の凄まじい攻防に俺も璃緒も目を見張る、まさしく次元が違うという感じだ

カイトはシフトアップとのコンボでレベル8のモンスターをフィールドにそろえた、ということはあのモンスターが出てくるという事か

 

 

 

「逆巻く銀河よ、今こそ怒涛の光となりてその姿を現すがいい!降臨せよ、我が魂!(ネオ)銀河眼の光子龍(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)!」

 

 

 

召喚した超光子龍で時空竜を破壊する、効果無効とか強いなー

ミザエルは笑う、面白いと、これが望んでいたデュエルだと

そしてミザエルのターンになり死者蘇生で時空竜を蘇生させる……引きが強すぎるだろ!なんなん、あの二人の運命力が宇宙やばい(確信)

 

 

 

「さぁ!私の本気を見るがいい!バリアルフォーゼ!」

 

 

ミザエルの胸にある赤いブローチみたいなものが光ったかと思うと姿が変わる

全体的に黄色の体に腰巻をつけ、白い仮面を付けたミザエル、きっとあれが

 

『あいつの本当の姿って訳か』

 

「あれが、バリアン…」

 

小鳥ちゃんがはんば呆然として変身したミザエルを見る

そりゃいきなり変身したらそうなりますよね

スフィア・フィールドの中のアストラルもバリアン自体を見るのは初めてなのか、動揺している

そしてミザエルはバリアン専用のRUM-バリアンズ・フォースを発動させた

 

 

「逆巻く銀河を貫いて、時の生ずる前より蘇れ!永遠を超える竜の星!顕現せよ!CNo.107!(ネオ)銀河眼の時空龍(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)

 

 

 

三つの首を持つ炎を纏った時空を司る龍がここに顕現した

……しかし、超時空竜と超光子龍の膨大なエネルギーにフィールドが耐え切れなくなったのか、ところどころからエネルギーが漏れだし崩壊し始めた

ってまずいまずい!バリアンであるミザエルや幽霊見たいなアストラルならともかくカイトと遊馬は普通の人間だ、あの高さから落ちたら大怪我じゃすまない!

 

「ど、どうしよう!遊馬が…!」

 

「あの高さから落ちたら…!待って凌牙!」

 

『おい凌牙!お前何する気だ!』

 

後ろの叫び声を無視して走りだす

カイトの方はオービタル君が救出してくれたから問題ない、でも遊馬は意識がない、あの状態では受け身も満足に取れない、それで地面に叩きつけられようものなら本当に死んでしまう

地面に落ちた遊馬はそのままさっきの二体の竜の咆哮で出来た亀裂に吸い込まれるように落ちていく

 

「遊馬!」

 

その寸前、ぎりぎりの位置で遊馬の腕をつかむことに成功した

だけどその一瞬の気の緩みがあったせいだろうか、亀裂の土が脆くなっていることに気が付かなかった

 

「うぇ!嘘でしょ!?嘘でしょおおおおおお!」

 

二人分の重さに耐えきれなくなったのかあっさりと土が崩れ落ちた

亀裂はかなり深いみたいで、下が暗がりになって見えない、せめて遊馬だけでも

俺は遊馬を引き寄せて胸に抱き込み俺が下、遊馬が上になるように位置を調整する、これなら最低限遊馬を守ることができるだろう

……そして背中に強烈な痛みを感じ、意識を手放した




小夜ちゃんが極になって帰ってきたぜいえーい!
これで極が前田、愛染、小夜の三人になった!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

25/神代凌牙の第二の実家=病院

遅れた原因:オリカ作成
      ポケモンムーン
Zクリスタルはいらないのでジムバッチください(真顔)


いつも顔の右側、首、右腕の肘まで巻いた包帯の他に足や背中にまで新たな包帯が追加された凌牙は病院のベットで眠っていた

遊馬は凌牙が庇ったおかげか軽症ですみ、数日の入院で退院できるそうだ

だけどその遊馬を庇った凌牙は重傷であれから丸一日経過したが目を覚まさない

 

『No.96……』

 

アストラルが俺を呼ぶが返事をする気にならない

凌牙の妹の璃緒やその二人とよく一緒にいるトーマスも悲痛な顔をしているが、それより酷い顔をしているのは遊馬だ

あの時自分が気を失っていなければ、崖から落ちることなく、凌牙もこんな大怪我をすることはなかっただろうと何度も自分を責めている

……遊馬が自分のせいだと言っているが、実際は俺のせいだ

アストラルと違い実体化できる俺はあの時崖から落ちていく遊馬と凌牙と助けることができたのに、出来なかった

ただただ、走りだしたあいつを呆然と見送ることしか出来なかった

 

「ブラック・ミストさん、その、あんまり自分を責めないでください……」

 

零がそう言いながら俺の頭を撫でてくる

そうは言っても、あの状況で一番俺が助けられる確率が高かったのに、なのに

 

「No.96、貴方が後悔することはありませんわ」

 

「そうだぜ」

 

璃緒とトーマスがそう言いながらこちらを向かず俯いたままつぶやくようにそう言った

この二人も凌牙を止められなかったことに責任を感じてるのだろう

でもなトーマス、お前あの場にいなかったから止めようもなかった気がするんだが

 

「なぁ、本当にそいつ大丈夫なのかよ」

 

確かこいつは……武田鉄男っていったか、あの時遊馬に憑りついた時に戦ったデュエリスト

 

「そうですよ!鉄男君から聞きましたけど、アストラルに憑りつこうとしたんですよね!?」

 

「そうウラ!信用できないウラ!」

 

……まぁ、その反応は正しいよな

普通に考えて警戒するのが正しいのに全くしなかった凌牙の方がおかしかったんだよな、なんだよ天の声さんて、あいつの危機感死にすぎだろ

 

『別にお前らがどう思おうが知ったこっちゃねぇよ

 あいつのとこにいる限り悪さなんてしねぇって言ってもどうせお前ら信用しようとしないだろ』

 

『確かに、以前の君のままだったら私は凌牙からNo.96を奪っていただろうな』

 

「アストラル!?」

 

『落ち着け遊馬、あくまで私が言ったのは以前のNo.96のままだったらの話だ』

 

そう言ってアストラルは俺の方を見やる……遊馬や凌牙とは違う、こちらを真っすぐと見据えるオッドアイの瞳

俺の心まで見透かされそうで、思わず顔を背ける

俺は……変わったのか?確かに凌牙と一緒にいるようになってから、あいつの居心地の良さから凌牙を守護するようになったが、それがアストラルの言う俺が変わったって事なのか?

 

『……まぁ、君自身はまだよくわかっていないようだがな』

 

そう言いながらこちらを見てほほ笑むアストラルにどう反応していいのかわからず、そっと顔を背けたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く!だからあんたって奴は!」

 

「あの……すみません、今姉が休んでる最中なので、出来ればもう少し静かに……」

 

耳に入ってきたのは知らないお姉さんの叱り声と妹の申し訳なさそうな声

なにこれ一体どういう状況なん?目を開けてみると真っ白な天井

首を動かしあたりを見回すとカーテンが囲まれていて、そして俺が寝ていたベットと棚の上に小さなTVがあるだけだ

んんー?まじでここ何処なん?

 

「いっ…」

 

体を持ち上げようとすると背中に凄まじいが走った

うめき声をあげ背中を庇うように丸まる

 

『凌牙!起きたのか!?』

 

そう言いながらカーテンを通り抜けてブラック・ミストが現れた

なんだか声を荒げてるけどどうしたんだ?

ブラック・ミストの声に反応するかのようにカーテンが開く、そこには璃緒とナンバーズクラブとミハエルとトーマスがおり、それに俺と同じ病院着を着て椅子に腰かけている遊馬がいた

 

「皆どうしたん?なんか勢ぞろいしてるけど」

 

「どうしたん?じゃありませんわ!」

 

「どうしたん?じゃねーよ!」

 

純粋な疑問をぶつけたら怒られたの巻

酷くない?訳が分からないまま起きていきなり怒られて訳が分からないよ状態だよ……

んーと小首を傾げるとブラック・ミストがため息をついた、え、酷くね?

 

『璃緒、トーマス、こいつ全然状況を理解できてないみたいだぜ?』

 

「えーっとシャーク、ここで起きる以前の記憶ってどう?覚えてる?」

 

ここで起きる前の?んー……

ミザエルと遊馬がデュエルしてるの見てたんだよな、ほいでカイトが来て遊馬のデュエルを引き継いで、スフィア・フィールドが壊れて遊馬が落ちて……あー

そうだよなー、俺デュエリストじゃなくてリアリストだしあの高さから落ちたらそら病院行きですわ

 

「あーごめんごめん、ちょっと記憶が混乱してて、今全部思い出したから安心しぃや

 ところで遊馬は怪我とか大丈夫なん?お前も病院着着てるし……結構やばげな感じ?」

 

そういうと遊馬は悲痛な顔で俯く

 

「悪い、シャーク!俺のせいで、お前すっごい大怪我して……!」

 

「別に気にしなくていいって、後輩を守るのも先輩の役目ですしおすし?

 それにこんぐらいの怪我よく不良共とデュエル(物理)で日常茶飯事だし、俺にとってはいつもの事だからさー」

 

実際これは本当である

なまじ璃緒が愛らしい容姿をしているためにナンパやらなんやらで無理やり連れて行こうとする輩も多かったし、それで頻繁にリアルファイトしてたからなー

それに姉妹喧嘩も俺がデュエルしないからリアルファイトだし、俺が入院する前も何度かトーマスとリアルファイトしたし

今だ俯いている遊馬の頭を撫でる、だけど遊馬の顔が晴れることはなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ」

 

「あら、どうしましたの?ため息なんかついて」

 

病院で璃緒が持ってきてくれた本を読みながらそっとため息をつく

そんな俺に気付いたのか璃緒はリンゴを剥く手を止めてこちらを向いた

 

「遊馬がな、ちょっと精神的に危なげなんだよね」

 

俺と遊馬の病室が近いので暇なときとかお互いちょくちょく行き来している

その時遊馬は暇なせいかよく昼寝をしてるんだけど……結構な確率で魘されて飛び起きるんだよねぇ…

多分、あの時の戦いが糸を引いてるんだろーなー

よくアストラルとかシャークとか寝言言ってるから確実なんだろうけど……あ、半分は俺のせいだわ、すまん

別になー、本当に気にしてないのに……というか頑張ってる後輩を見殺し(?)に出来ないって!

 

「ああ、遊馬ですか」

 

そう言った瞬間、璃緒の眼がスッと細くなる

確かに璃緒が一緒にの時も飛び起きてたし、そのたびに璃緒がすごい顔になるからなー

たまにブラック・ミストもその場面に出くわすけど完全に璃緒に怯えてます本当にありがとうございます

後ブラック・ミストが俺の傍にいないのは遊馬の皇の鍵の中にいるからだ

あの戦いでアストラルは力を消耗してしまったため皇の鍵の中でNo.の力を借りて休んでいる、そこに自我があるブラック・ミストが加わることで回復を早めているみたいだ

 

「まったく、いつもでもうじうじとしててイラっとしますわ」

 

「いや、あんだけバイオレンスな事になったら心の一つや二つ折れてもおかしくないんですがそれは……

 遊馬だってまだ13なんだし仕方ないと思うよ?てか13なのにあいつ過酷な運命背負いすぎだろ……」

 

これが遊戯王次元に生まれたものの宿命なのだろうか……アニメとかだから未成年がこういう過酷な運命を背負わされるのが許されるのであって、現実だと大人が対処しろよって思うよな……

未成年に世界を救わせて自分は高みの見物とか汚い、流石大人汚い

 

「シャーク先輩ー!お見舞いに来ましたよ!

 あ、神代先輩もいらっしゃったんですか?」

 

両手にコンビニの袋を携えた零が病室にやってきた

結構量があるけどさー、それ、一体いくらしたん……?いや、気にしたら負けだ(笑顔)

 

「あら零君ごきげんよう、遊馬の元へ行かなくていいの?」

 

「いえ、丁度診察の時間だったみたいで遊馬君は病室にいなかったんですよ、ですから先にシャーク先輩のところへ来ました!」

 

そう言いながら零は璃緒の隣の椅子に腰かけ、袋からお菓子やらを取り出す

……お前ほんとどんだけ買ったの?

 

「……失礼、少しの間席を外しますわ」

 

そう言って璃緒は席を立ち退出する

なんだろ?トイレかな?

そしてしばらく零と談笑してたらブラック・ミストがいきなり病室に飛び込んできた……なんか焦ってるみたいだけどどうしたんやろか

 

『お前の妹と遊馬が皇の鍵をかけてデュエルしてるけどどういうことだ!』

 

「こっちが聞きたいわ!」

 

そう言って立ち上がり璃緒達がデュエルしてるという屋上に向かおうと急いでベットから降りようとするが、急に動いたせいかまだ直ってない背中に痛みが走る

くっそ人間の皮を被ったゴリラといえど苦痛は克服できないというのか、マジつらたん

いや大丈夫だ、俺は人間の限界を超えるぞジョジョー!

……やっぱ無理だわ\(^o^)/

 

「シャーク先輩、掴まっていてください!」

 

零は俺の足の裏と背中に手をやって持ち上げる、おっとこれは俗にいうお姫様抱っこって奴ではないか?

別に抵抗する理由もないのでそのままおとなしく運ばれる…おいちょっと待て、この状態で病院内を走るなってちゃうねん!看護師さんあらー彼氏にお姫様抱っこ?羨ましいわねーうふふとか言わんといて俺と零そんなんじゃないから!

ブラック・ミストは言葉の意味がわかっていないらしく仕切りに首をかしげている、これは後で質問攻めのパターンですわ

屋上のドアは零は俺を抱えている為開けることができずブラック・ミストに開けてもらう

 

 

九十九遊馬LP:400 手札:1

【モンスター】

No.39希望皇ホープ/攻2500 ORU:2

【魔法・罠】

ゼロゼロック(永続魔法)(効果無効)

炎の護封剣(永続魔法)(効果無効)

 

神代璃緒LP1100 手札:0

【モンスター】

零鳥獣シルフィーネ/攻2600 ORU:1

【魔法・罠】

無し

【フィールド魔法】

氷炎の世界(アイス・ファイヤー・ワールド)

 

 

「---さらにダブル・アップ・チャンスを発動!この効果によりホープの攻撃力を2倍にする!」

 

 

No.39希望皇ホープ/攻2500→5000

 

 

『行くぞ、遊馬!』

 

「ああ!」

 

『「希望皇ホープでシルフィーネに攻撃!ホープ剣・Wスラッシュ!』」

 

「きゃああああああ!」

 

 

神代璃緒LP:1100→—300

 

WIN 九十九遊馬

 

 

ドアを開けた瞬間璃緒が吹っ飛んできました、あやー丁度デュエルが終わったとこか

零に卸してもらってダイレクトアタックを受けた衝撃で倒れた璃緒を抱き起す

 

「お疲れ様ー、マジでどうしてこんなことしたん?」

 

「……だって、イラっとしたんですもの」

 

そう言いながらちょっとだけ遊馬に顔を向ける

あー、なるなる、ようは元気のない遊馬を元気づけようと無理矢理デュエルして元気づけようとしたってことか

我が妹ながら心優しい子に育ってお姉ちゃん嬉しいよ……!

 

「シャーク!真月!いつの間に来たんだ?」

 

「つい先ほどですよ、ブラック・ミストが神代先輩と遊馬君がここでデュエルしてるって聞いて飛んで来たんですよ!」

 

『いきなり璃緒がこんな暴挙に出たからな、止められるの凌牙しかいないだろ』

 

『シャークが来る前にデュエルは終わってしまったがな』

 

『呼びに行っただけましだろうが!』

 

なんだかアストラルとブラック・ミストが仲良さそうで何よりです

なんか話を聞いた限り険悪そうな雰囲気もないしよかったわ

 

「なーちょっといいか?」

 

色々と吹っ切れたのかいつもの元気な姿の遊馬が俺に話しかける

 

「俺、シャークと真月のデュエルが見たい」

 

おっといきなり血迷ってどうしたんだい?

というかなんで遊馬がそれ知ってるんだ

 

『君と遊馬が崖から落ちた時、君のカバンからデッキケースが落ちているのを見つけたんだ』

 

まじかー、でも遅かれ早かれ言うつもりだったし別に問題はないか

零の方を見るとこっちを向いてうなずく、零も新デッキのお披露目に異論は無いようだ

 

「私も興味がありますわ」

 

なんだかよくわかんないうちに俺と零のデュエルが決定しました

まぁ璃緒がそう言うんだったらやらないっていう選択肢はないんだけどね、璃緒の可愛さは世界一

二人でデュエルの定位置についてDゲイザーとDディスクを構える

 

「「Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「デュエル!」」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

真月零LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し




ブラック・ミストがⅣの事をトーマスと呼ぶのは凌牙ちゃんがそう呼ぶからです

次回は凌牙ちゃんと零君がデュエルします
だって早めに二人のデュエル描写しないと零君の新デッキのお披露目が……
まぁ多分衝撃の真実の後も新デッキ使うかもしれませんが
というか零君の新デッキがなんだかわかる人いるのかなー
それにしてもこういうの考えていて本当に思う、これタイトル詐欺やないかーい!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

26/神代凌牙VS真月零あるいはベクター~二人は初心者?~

今更ですけで禁止・制限はガン無視で行きます
理由は私がよくわかってないからです(キリッ)
強欲な壺が禁止カードとか月の書が制限カードっていうのはわかるんだけどなー

とういわけで皆さん、恒例のルールミス指摘大会の開幕を宣言します


神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

真月零LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「先行は僕ですね!ドロー!僕は手札から永続魔法黒い旋風を発動します、このカードは自分フィールドにBF(ブラック・フェザー)が召喚された時その攻撃力より低いBFをデッキから手札に加えます!

 僕はBF-蒼炎のシュラを召喚します!黒い旋風の効果でBF-黒槍のブラストを手札に、そして黒槍のブラストはこのカード以外のBFがフィールドにいる場合手札から特殊召喚できます!そして黒い旋風の効果でBF-疾風のゲイルを手札に、そしてこのカード以外のBFがフィールドにいる時特殊召喚できます!黒い旋風の効果でBF-突風のオロシを手札に加えます!」

 

 

BF-蒼炎のシュラ

星4/闇属性/鳥獣族/攻1800/守1200

 

BF-黒槍のブラスト

星4/闇属性/鳥獣族/攻1700/守 800

 

BF-疾風のゲイル

星3/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 400

 

 

怒涛の展開やなー、流石BF

一気に三体のモンスターが並んだし、いや妖仙獣使ってる俺が言うのも俺だし

 

「僕はレベル4の黒槍のブラストにレベル3の疾風のゲイルをチューニング!黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ!シンクロ召喚!BF-アーマード・ウィング!」

 

 

BF-アーマード・ウィング

星7/闇属性/鳥獣族/攻2500/守1500

 

 

『なんだあの召喚法は!?』

 

「シンクロ召喚?なんだあれ!いもシャ、なんか知ってるか!?」

 

「わ、私だってわからないわ!」

 

だよな、そういう反応になるよなー……あ、ブラック・ミストが説明してる

こっちはこっちでデュエルにに集中したいから助かるわ

 

「僕はこれでターンエンドです」

 

 

真月零LP:4000 

手札:5(公開:BF-突風のオロシ)

【モンスター】

BF-蒼炎のシュラ/攻1800

BF-アーマード・ウィング/攻2500

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)

 

 

「俺のターン、ドロー!俺はモンスターをセット、カードを二枚伏せてターンエンドだ」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:3

【モンスター】

セット×1

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「僕のターン、ドロー!バトル!僕は蒼炎のシュラでセットモンスターに攻撃!」

 

 

ネクロ・ガードナー

星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300

 

 

「そして蒼炎のシュラの効果でデッキから攻撃力1500以下のBFを効果を無効にして特殊召喚します!出てきてください、BF-東雲のコチ!」

 

 

BF-東雲のコチ

星4/闇属性/鳥獣族/攻 700/守1500

 

 

「さらにアーマード・ウィングでダイレクトアタック!ブラック・ハリケーン!」

 

「その攻撃を通すわけにはいかないかな!罠カードバージェストマ・カナディア発動!アーマード・ウィングを裏守備表示にするよ!」

 

「むー!では蒼炎のシュラと東雲のコチでオーバーレイ!紅蓮に燃えさかる竜達よ、渇望の翼を燃やし我が魂を照らせ!エクシーズ召喚!RR(レイド・ラプターズ)-ブレード・バーナー・ファルコン!僕はこれでターンエンドです」

 

 

RR-ブレード・バーナー・ファルコン

ランク4/闇属性/鳥獣族/攻1000/守1000 ORU:2

 

 

真月零LP:4000 

手札:6(公開:BF-突風のオロシ)

【モンスター】

BF-アーマード・ウィング/攻2500

RR-ブレード・バーナー・ファルコン/攻1000 ORU:2

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は罠カード、バージェストマ・オレノイデスを発動!フィールドの罠、魔法を一枚破壊する!俺は黒い旋風を破壊する、そしてチェーンで墓地のバージェストマ・カナディアの効果発動!通常モンスターとしてこいつを特殊召喚する!」

 

「「『墓地から罠!?」」』

 

 

バージェストマ・カナディア

星2/水属性/水族/攻1200/守 0

 

 

お前らが楽しそうで何よりです

というか俺、バージェストマ達を召喚するたびに言われなきゃいけないのか……?

 

「そして俺は創造の代行者ヴィーナスを召喚するぜ!」

 

 

創造の代行者ヴィーナス

星3/光属性/天使族/攻1600/守 0

 

 

「そしてヴィーナスの効果でライフを1000払い聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)をデッキから二体特殊召喚する!」

 

 

神代凌牙LP:4000→3000

 

聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)×2

星2/光属性/天使族/攻 500/守 500

 

 

「俺はバージェストマ・カナディアと聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)二体でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ、俺の相棒!No.96!漆黒の闇からの使者、ブラック・ミスト!」

 

 

No.96ブラック・ミスト

ランク2/闇属性/悪魔族/攻 100/守1000 ORU:3

 

 

「俺はブラック・ミストでアーマード・ウィングを攻撃、ブラック・ミラージュ・ウィップ!そして手札から速攻魔法禁じられた聖杯を発動!対象はアーマド・ウィング、効果を無効にして攻撃力を400アップさせる!

 さらにブラック・ミストのORUを一つ使い効果発動!アーマードウィングの攻撃力を半分にし、その分をブラック・ミストに加える!シャドーゲイン!」

 

 

BF-アーマード・ウィング/攻2500→2900→1450

 

No.96ブラック・ミスト/攻 100→1550 ORU:3→2

 

真月零LP:4000→3900

 

 

グルグルと攻撃力が変化してブラック・ミストがアーマード・ウィングを粉砕する

やっぱこの効果強いよなー、ダークリベリオンも似たような効果だけどあれって永続だっけ?でも何回も使えないしなー

いやでもランク4だからブラック・ミストよりかは出しやすいのかな?とりあえずブラック・ミストにサムズアップをしておこう

 

「さらに俺はヴィーナスでブレード・バーナー・ファルコンに攻撃!」

 

 

真月零LP:3000→2400

 

 

そして破壊される隼、でも零の表情は変わってなくて

……あ、やっちまったわこれ\(^o^)/

 

「僕は手札から速攻魔法RUM-デス・ダブル・フォースを発動します!」

 

その瞬間、観客サイドからが一斉に叫び声(?)が聞こえた

まーこの世界線にRUMってバリアンのしかないみたいだし、なんでないんだRUM

ここがエクシーズ次元の元ネタの四代目遊戯王だったらあってもおかしくないと思うのに

というかカオス化ってなんぞ?普通にランクアップしないの?カオスっていうのになるから普通の人間には扱えないとか?うーん、わからん

 

「このターン戦闘破壊され墓地へ送られたRRエクシーズモンスター一体を対象に発動します!そのモンスターを特殊召喚し、その倍のランクを持つエクシーズモンスターを対象モンスターの上に重ねエクシーズ召喚扱いでエクストラデッキから特殊召喚します!

 勇猛果敢なるハヤブサよ、怒りの炎を巻き上げ、大地をも焼き尽くす閃光となれ!ランクアップ・エクシーズチェンジ!飛翔しろ!ランク8、RR-サテライト・キャノン・ファルコン!」

 

 

RR-サテライト・キャノン・ファルコン

ランク8/闇属性/鳥獣族/攻3000/守2000 ORU:1

 

 

「うえぇー、俺はこれでターンエンド」

 

 

神代凌牙LP:3000 手札:2

【モンスター】

No.96ブラック・ミスト/攻1550 ORU:2

創造の代行者ヴィーナス/攻1600

【魔法・罠】

無し

 

 

あっぶねー、確かあいつって魔法・罠を全部破壊するからなー

魂吸収とか修験の妖社とかの永続魔法とか罠多用するから俺とは相性悪いっすわ……

権現坂が使う超重武者とかは意味無いんだろうけど、あれフルモンデッキだし

 

「僕のターン、ドロー!僕は手札から二枚目の黒い旋風を発動します!そして手札からBF-疾風のゲイルを召喚します、黒い旋風の効果でBF-極北のブリザードを手札に、そして極北のブリザードを通常召喚します!

 黒い旋風の効果BF-大旋のヴァーユを手札に、極北のブリザードの効果を発動します!このカードが召喚された時、墓地のレベル4以下のBFを墓地から特殊召喚できます!僕は墓地からBF-黒槍のブラストを召喚します!」

 

 

BF-疾風のゲイル

星3/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 400

 

BF-極北のブリザード

星4/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 0

 

BF-黒槍のブラスト

星4/闇属性/鳥獣族/攻1700/守 800

 

 

なんか零のフィールドがえぐい事になってる(戦慄)

知ってるか?こいつ、ちょっと前まで初心者より下手だったんだぜ……?

 

「僕はレベル4の黒槍のブラストにレベル3の疾風のゲイルをチューニング!シンクロ召喚!もう一度僕に力を貸してください!BF-アーマード・ウィング!」

 

 

BF-アーマード・ウィング

星7/闇属性/鳥獣族/攻2500/守1500

 

 

「さらに手札のRR-シンギング・レイニアスの効果を発動します!このカードは自分フィールドにエクシーズモンスターがいる場合特殊召喚できます!」

 

 

RR-シンギング・レイニアス

星4/闇属性/鳥獣族/攻 100/守 100

 

 

「そしてレベル4のシンギング・レイニアスにレベル2の極北のブリザードをチューニング!漆黒の力!大いなる翼に宿りて、神風を巻きおこせ!シンクロ召喚!吹き荒べ、BF-アームズ・ウィング!」

 

 

BF-アームズ・ウィング

星6/闇属性/鳥獣族/攻2300/守1000

 

 

「僕はサテライト・キャノン・ファルコンで創造の代行者ヴィーナスを攻撃!エターナル・アベンジ!」

 

そしてサテライト・キャノン・ファルコンからレーザービームみたいなのが出てきてヴィーナスを破壊する

なんつーか、うん、お前鳥獣族じゃなくて絶対機械族だろこれ

 

 

神代凌牙LP:3000→1600

 

 

「うーん、僕はカードを一枚伏せてターンエンドです」

 

 

真月零LP:2400 

手札:3(公開:BF-突風のオロシ・BF-大旋のヴァーユ)

【モンスター】

RR-サテライト・キャノン・ファルコン/攻3000 ORU:1

BF-アーマード・ウィング/攻2500

BF-アームズ・ウィング/攻2300

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!俺はブラック・ミストでサテライト・キャノン・ファルコンを攻撃!そしてブラック・ミストの効果を発動!シャドーゲイン!」

 

「僕はサテライト・キャノン・ファルコンの効果発動!ORUを一つ使い相手モンスターの攻撃力を墓地のRRの数×800攻撃力をダウンさせます!さらに罠カードRR-レディネスを発動します!このターンRRは戦闘では破壊されません!」

 

 

No.96ブラック・ミスト/攻1550→3050→2250 ORU:2→1

 

RR-サテライト・キャノン・ファルコン/攻3000→1500 ORU:1→0

 

真月零LP:2400→1650

 

 

「あーレディネスが落ちたか、俺はカードを一枚伏せてターンエンド」

 

 

神代凌牙LP:1600 手札:2

【モンスター】

No.96ブラック・ミスト/攻2250 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「……?僕のターン、ドロー!魔法カード闇の誘惑を発動します!二枚ドローし、手札の闇属性モンスターを一体除外します!僕は大旋のヴァーユを除外します!

 手札のシンギング・レイニアスを二体特殊召喚します、そして永続魔法RR-ネストを発動します!」

 

「ここだー!俺は罠カード裁きの天秤を発動!このカードは相手フィールドのカードの数が自分の手札・フィールドのカードの合計より多い時に発動できるよ!自分はその差の数だけドローできる!

 俺のカードの合計は四枚、零のフィールドは七枚、よって三枚ドロー!」

 

「!だからさっき墓地のバージェストマの効果を発動しなかったんですね!僕はRR-ネストの効果を発動します!自分フィールドにRRモンスターが二体以上いる時、デッキ又は墓地からRRモンスターを一体手札に加えます!僕が加えるのはRR-ラスト・ストリクスです!

 僕は二体のシンギング・レイニアスでオーバーレイ、エクシーズ召喚!ジェムナイト・パール!」

 

 

ジェムナイト・パール

ランク4/地属性/岩石族/攻2600/守1900

 

 

「僕はアーマード・ウィングでブラック・ミストを攻撃します!そしてアーマード・ウィングの効果を発動します!このカードは戦闘破壊されず自分の戦闘ダメージを0にします!」

 

「俺はブラック・ミストの効果を発動!シャドーゲイン!」

 

 

BF-アーマード・ウィング/攻2500→1250

 

No.96ブラック・ミスト/攻2250→3500 ORU:1→0

 

 

「そんなの関係ありません!アーマード・ウィングの効果を発動!このカードが攻撃した時、楔カウンター一つ置くことができます!僕はこれでターンエンドです」

 

 

真月零LP:1650 

手札:2(公開:BF-突風のオロシ・RR-ラスト・ストリクス)

【モンスター】

RR-サテライト・キャノン・ファルコン/攻1500 ORU:0

BF-アーマード・ウィング/攻1250

BF-アームズ・ウィング/攻2300

ジェムナイト・パール/攻2600

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)

RR-ネスト(永続魔法)

 

神代凌牙LP:1600 手札:5

【モンスター】

No.96ブラック・ミスト/攻3500 ORU:0 楔カウンター:1

【魔法・罠】

無し




というわけで零君の新デッキはBF+RRでした!
一応前世教室編で凌牙ちゃんが零君に前世カードを上げたって描写を入れたので、まぁ予想できる人にはできたのでしょうか?
ほかの候補としては幻想騎士団、Emがありました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

27/神代凌牙VS真月零あるいはベクター~デュエルの結果とその後~

デュエルの間違いなどは治せるところは治しますが、大幅に修正しなければならない場合やデュエルの展開上修正出来ない場合はそのまま通します
皆さんの感想でご指摘いただいたルール・効果ミスはその次の話に記載しておきます
というわけでドーン☆

【前回のルール・効果ミス一覧】
・黒い旋風の効果は通常召喚のみ適応可能
・通常召喚を二回してる
・カルートはチューナーではない
 →疾風のゲイルに変更、え?ゲイルのモンスター効果?……(目反らし)
・攻撃宣言してるのに反転召喚してる

……うん!これは酷いね!


真月零LP:1650 

手札:2(公開:BF-突風のオロシ・RR-ラスト・ストリクス)

【モンスター】

RR-サテライト・キャノン・ファルコン/攻1500 ORU:0

BF-アーマード・ウィング/攻1250

BF-アームズ・ウィング/攻2300

ジェムナイト・パール/攻2600 ORU:2

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)

RR-ネスト(永続魔法)

 

神代凌牙LP:1600 手札:5

【モンスター】

No.96ブラック・ミスト/攻3500 ORU:0 楔カウンター:1

【魔法・罠】

無し

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は永続魔法修験の妖社発動!妖仙獣が召喚される度に妖仙カウンターが一つ点灯するぜ!

 そして俺は妖仙獣右鎌神柱と左鎌神柱でPスケールをセッティング!そして右鎌神柱の効果発動するぜ、片方のPゾーンが妖仙獣の時Pスケールを11まで上げる!その代わりこのターンは妖仙獣しかペンデュラム召喚できないけどそんなの関係ねぇ!これでレベル4から10のモンスターが同時に召喚可能!

 揺れろ、魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!妖仙獣鎌壱太刀、そして烈風纏いし妖の長よ、荒ぶるその衣を解き放ち、大河を巻き上げ大地を抉れ!出ておいで!魔妖仙獣大刃禍是!そしてSR三つ目のダイスを通常召喚!そして妖仙カウンターが一つ点灯!」

 

 

妖仙獣鎌壱太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1600/守 500

 

魔妖仙獣大刃禍是

星10/風属性/獣族/攻3000/守 300

 

SR三つ目のダイス

星3/風属性/機械族/攻 300/守1500

 

修験の妖社 妖仙カウンター:0→1

 

 

「鎌壱太刀と大刃禍是の効果を発動!鎌壱太刀は自分以外の妖仙獣がフィールドにいる時表側表示のカードを持ち主の手札に戻す、そして大刃禍是は召喚・特殊召喚された場合フィールドのカードを二枚まで対象にし、カードを持ち主の手札に戻す!

 俺はジェムナイト・パール、アームズ・ウィング、アーマード・ウィングを手札に戻す!っと言っても戻るのはEXデッキだけどね」

 

突風が吹き荒れたかと思うと一気に零のフィールドからモンスターが消えた……って言ってもサテライト・キャノン・ファルコンはいるけどね

 

「そして俺はレベル4の妖仙獣鎌壱太刀にレベル3の三つ目のダイスをチューニング!輝く翼、神速となり天地を照らせ!出ておいで!シンクロ召喚!クリアウィング・ファスト・ドラゴン!」

 

 

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

星7/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

 

 

「むー、シャーク先輩のエースが三体揃いましたか……」

 

「俺はブラック・ミストでサテライト・キャノン・ファルコンを攻撃!ブラック・ミラージュ・ウィップ!」

 

「墓地のRR-レディネスの効果発動します!墓地にRRがいる場合このカードを除外して僕が受けるダメージを0にします!」

 

「だよねー知ってた!でもサテライト・キャノン・ファルコンは破壊させてもらうよ!」

 

くっそ、レディネスが落ちてなかったらこのターンに決められてたのに!

このままでもすることがないのでターンエンドする、あ、大刃禍是は手札に戻ってきました

というか俺のフィールドもなかなか酷いことになったな

 

 

神代凌牙LP:1600 

手札:1(公開:魔妖仙獣大刃禍是)

【Pゾーン】

妖仙獣左鎌神柱/Pスケール3

妖仙獣右鎌神柱/Pスケール5

【モンスター】

No.96ブラック・ミスト/攻3500 ORU:0 楔カウンター:1

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻2500

【魔法・罠】

修験の妖社 妖仙カウンター:1

 

 

「僕のターン、ドロー!僕は貪欲な壺を発動!モンスターを五体戻し二枚ドローします!」

 

 

戻すカード

・RR-サテライト・キャノン・ファルコン

・RR-ブレード・バーナー・ファルコン

・BF-北極のブリザード

・BF-疾風のゲイル

・BF-黒槍のブラスト

 

 

「相手フィールドにモンスターがいて自分フィールドにいない場合、BF-暁のシロッコはリリースなしで通常召喚できます!黒い旋風の効果で疾風のゲイルを手札に加え、疾風のゲイルの効果でこの子を特殊召喚し突風のオロシも自分フィールドにこのカード以外のBFが居れば特殊召喚できます!」

 

 

BF-暁のシロッコ

星5/闇属性/鳥獣族/攻2000/守 900

 

BF-疾風のゲイル

星3/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 400

 

BF-突風のオロシ

星1/闇属性/鳥獣族/攻 400/守 600

 

 

「さらに疾風のゲイルの効果を発動します!表側表示のモンスター一体の攻守を半分にします、僕はクリアウィングを選択!」

 

 

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻2500→1250 守2000→1000

 

 

「僕はレベル5の暁のシロッコにレベル1の突風のオロシをチューニング!シンクロ召喚!アームズ・ウィング!」

 

 

BF-アームズ・ウィング/攻2300

 

 

「突風のオロシの効果を発動します、シンクロ素材として墓地へ送られた場合フィールドのモンスター一体の表示形式を変更できます!僕はブラック・ミストを守備表示に変更!」

 

「!!俺はクリアウィングの効果を発動!EXデッキから特殊召喚されたモンスター一体の攻撃力をターン終了まで0にして効果を無効にする!対象はアームズ・ウィング!」

 

 

BF-アームズ・ウィング/攻2300→0

 

 

あっぶねー!確かあいつって貫通効果持ってたし下手したらこのターンで負けてたかもしれん……

あれ、突風のオロシとアームズ・ウィングの地味コンボやばくね?

 

「でもクリアウィングは破壊させて貰います!疾風のゲイルで攻撃!」

 

「墓地のネクロ・ガードナーを除外して攻撃を無効にする!」

 

俺のフィールドに半透明のネクロ・ガードナーが現れ、疾風のゲイルの攻撃を防ぐ

こちらを向いてサムズアップしたかと思うとそのまま消えてしまった、ネクロ・ガードナーさんお茶目やな

 

「僕はカードを一枚伏せてこれでターンエンドです」

 

「そしてアームズ・ウィングの攻撃力は元に戻るぜ」

 

 

真月零LP:1650 

手札:1(公開:RR-ラスト・ストリクス)

【モンスター】

BF-疾風のゲイル/攻1300

BF-アームズ・ウィング/攻2300

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)

RR-ネスト(永続魔法)

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!ブラック・ミストを攻撃表示に変更!

 そして右鎌神柱のスケールを11までペンデュラム召喚!魔妖仙獣大刃禍是!妖仙カウンターも一つ点灯するよ!」

 

 

修験の妖社 妖仙カウンター:1→2

 

 

「この瞬間罠カード発動!迷い風!特殊召喚されたモンスター一体を対象にし、モンスター効果は無効になり元々の攻撃力は半分になります!僕が選択するのは大刃禍是です!」

 

 

魔妖仙獣大刃禍是/攻3000→1500

 

 

「今更攻撃力下げたって遅いよ!俺はブラック・ミストでアームズ・ウィングに、大刃禍是で疾風のゲイルに攻撃!

 俺は修験の妖社の効果を発動!妖仙カウンターを一つ取り除き、妖仙獣の攻撃力をターン終了まで300アップする!」

 

 

魔妖仙獣大刃禍是/攻1500→1800

 

 

「あー……」

 

大刃禍是の攻撃力が上がり、零がそう言葉をこぼす

確か零の手札ってラスト・ストリクスだったはずだし、ネクロ・ガードナーとかのカードも墓地に落ちてないはず

これは詰みましたね(確信)

 

「今回は僕の負けですね」

 

「そりゃ璃緒の前で負けるのはお姉ちゃんの威厳の為に絶対あってはならないことだからね!」

 

「でも僕が勝ち越してますよね?」

 

「それは言わないお約束」

 

結構な回数デュエルしてるけど若干零が勝ち越してるんだよねぇ……

璃緒やトーマスのデュエルや前世でアニメ見ていたとはいえ、実際にやってない俺とじゃ経験が違うからなー

……まぁ、前世教室の50戦連続デュエルやったから俺も経験積んだっちゃつんだんだけどなー

 

「さぁ行け大刃禍是!ブラック・ミスト!ブラック・ミラージュ・ウィップ!」

 

 

真月零LP:1650→1150→—50

 

WIN 神代凌牙

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「あ、あのー…璃緒ー、お姉ちゃん正座で足しびれたなーなんて……」

 

「……」

 

「トーマスお見舞い来てくれたん?いやー嬉しいねー!」

 

「「……」」

 

『凌牙、いい加減に現実を見ろ』

 

ベットに璃緒、トーマスに囲まれる形で正座している

後ろの方でアストラルや遊馬にブラック・ミスト、零とアークライト一家(-トーマス)に小鳥ちゃんがこちらを心配そうに見ている

いやね?デュエルが終わった後に色々聞かれるのは想像できたけどね?

まさかいつの間にかバイロンさん達がいるとは思わなんだ……ブラック・ミスト、来てたら教えて欲しかったなー……

 

「璃緒、トーマスも少し落ち着いたらどうだ?それでは凌牙が話すに話せないと思うが」

 

「キャー!クリス……いや、クリスの兄様ー!俺だー!妹にしてー!」

 

「「凌牙?」」

 

「ごめんなさい(土下座)」

 

お前らそんなドスのきいた声出せるんだ、凌牙ちゃんびっくり!

……自分でやっといてあれだけどキモイなぁ、うえぇ

 

「……全く、前々から私に何か隠していると思っていましたが、まさかそんな事を隠していたなんて

 それに前世の記憶なんて、どうして今まで黙っていましたの?私、そんなに信用がありませんでしたの?」

 

「俺はお前の事にどうこう口を挟む権利はないが、俺はお前の事を大切に思ってるから話して欲しかったってのが本音だな」

 

そう言いながら璃緒は腕組をほどいて俺を抱きしめ、トーマスは俺の頭を撫でる

違う、そうじゃない、そうじゃないんだ

俺が臆病だったから、お前らに嫌われるのが怖くて言えなかったんだ

……逆に嫌われちゃったかな、あー、ダメだ、思考がネガティブ方向によってんな

 

「そうじゃないよ、ただ……怖かっただけだって!お前に嫌われたら悲しすぎて爆発☆四散なんて事になりかねんからねー」

 

そう言って笑う

そうそう神代凌牙こうでないと、大丈夫大丈夫、これがいつもの俺だ

……俺なんか病んでる人みたいだけど俺大丈夫か?

 

『……絶対大丈夫じゃないだろ』

 

あの、ブラック・ミストさん心読むのやめていただきませんかねぇ

 

「どういう意味だい?」

 

ブラック・ミストの言葉にバイロンさんが反応する……って待ってどうしてそんなに仲良いの?

俺と零がデュエルしている間に一体何があったって言うんだ……

 

『病んでる人みたいじゃない、病んでるんだよ』

 

「病んでないよ!そしたら俺属性盛りすぎだろwwwどこの二次創作の夢主だよwww」

 

『なんだよ夢主って……』

 

ジト目で俺を見ながら璃緒やトーマスの隣に並ぶ

いやまぁ俺も四代目遊戯王の世界か、それとも完全に今までのシリーズとは別のオリジナルの世界かはわからんけど、転生者で前世の記憶があるなんて俺も夢主みたいなもんだけどよ

あー、でもカイトいるしここ四代目遊戯王の世界だよな……だよな?

 

『ブラック・ミスト、先ほどの言葉はどういう意味だ?病んでいる、とは?』

 

アストラルは言葉の意味が分からないのか首をかしげている

こういう所々の仕草がブラック・ミストと似てるんだよな、いや、ブラック・ミストがアストラルと似てるっていうのが正しいか

ブラック・ミストってアストラルの記憶である100枚あるNo.の内の一枚(一人?)だからな

 

『……まぁ、こいつの前世の話を聞けばわかるさ、いやって程に、な』

 

そう言いながらブラック・ミストは口を閉じる

俺の前世がいくら壮絶だからってその言い方は酷くない?ねぇ、酷くない?

 

「うーん、シャークの前世ってどんなもんなんだ?」

 

「……もしも僕が前世でシャーク先輩の立場だったら、今世で人間不信……むしろ外を出歩くことさえできないと思います」

 

「そんなに酷かったの?」

 

「正直、小鳥さんと遊馬君はこの話を聞かない方がいいと思います」

 

純真な中学生にこの話はつらいと思うしなー

……あれ、なんで俺の前世の話を話す方向で話が進んでるん?なるほど、この超展開が遊戯王次元の洗礼か(確信)

 

「何言ってんだよ!俺はシャークの事知りたい

 そりゃシャークが前世の記憶があるって、今も意味はよく分からねぇけど、けどシャークは俺達の仲間だ!

 一緒にバリアンと闘って、それで、うまくは言えねぇけどシャークの過去に何があったって俺はシャークの傍にいるぜ!人間不信?って奴になんねぇから大丈夫だ!」

 

「あはは!傍にいるってなんか告白見たいやなぁ、お前の横にいる幼馴染に言ってやれYO!」

 

「シャ、シャーク!?」

 

小鳥ちゃんがそう言いながらポカポカと背中を叩いてくる

そして遊馬は言葉の意味が分からないのかキョトンとしている……おい、そこは察しろよ

 

「まー、聞いて面白い話ではないのは確かだよ?

 普通にシンクロとかペンデュラムの説明だけでいいんだとおもっ……はい、俺の前世の話をさせていただきます」

 

璃緒、トーマス、同じタイミングでこっち向くやめていただけませんかねぇ、怖いから、マジで

土下座の体勢から正座に切り替える、流石に土下座の体勢で話すのは俺がつらい……

そして俺は昔の事を、俺が神代凌牙ではなく、あの孤児院の一人の子供である武藤マナミとしての人生を思い出しながら、口を開いた




凌牙ちゃんは自分が病んでるなーwwwワロスwwwとかは思いますけど実際に自分が病んでるとは自覚してません
前世教室の話にも出て来ましたが、それを凌牙ちゃんに指摘しても凌牙ちゃんはまだ理解できません
後なんで璃緒やトーマスが凌牙ちゃんの異常性に気付けなかったのは凌牙ちゃんがうまく隠してたのと、その異常性が出てくるのは前世がらみの時だけだからです
普通に生活している分には問題ありません

零君、というかベクターが人間界をエンジョイしすぎる件について
なんかこのベクターが衝撃の真実やるのか不安になってきた
むしろこのままバリアン裏切って人間サイドに付きそうな勢いで怖いわー(他人事)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

28/神代凌牙あるいは武藤マナミの話

この話はいじめなどの表現があります
そういうのが苦手な方は全力で逃げてください


「あああああああ!これ絶対学校間に合わないよ!ここから学校まで何分かかると思うのさ!時間間に合わないよ!」

 

「言っておくけど起きなかったマナミが悪いんだからね」

 

「マナミおねえちゃんちこくー?」

 

「そうだねーあんな風になっちゃダメだからね?」

 

「はやく、がっこう…」

 

「皆冷たすぎじゃないの!?私こんなに必死に準備してるのに!」

 

いやまぁ昨日夜更かしした私が悪いんだけどさ!

この二年間で着慣れた高校の制服を着ながら朝食のおにぎりを食べる

その間に他の皆は孤児院から学校へと登校していく、ねぇ!私の事を待ってくれる心優しい兄妹はいないの!?

必死に走ってぎりぎり学校に到着、私を置いて先に言ったあいつら絶対に許さん

 

「マナミー今日ギリギリだったけどどうしたの?」

 

この高校で新たに出会った友人がそんな事を言っているが今の私にそれを返す言葉がない

全力ダッシュでここまで来たからなぁ……息切れが激しいんですが……いや、これは

 

「この激しい動悸と息切れ……これが恋!?」

 

「何を言ってるんですかマナミさん」

 

前の席に座る小学校からの付き合いの友人が呆れた顔をしてこっちを見ている

だけどその顔には親が子供を見守る温かい目をしていた、私はお前の子供ではないんだがなー

すぐにHRが始まり、先生が教卓の前に出てくる

先生曰く、今日急な転校生が来るらしい、この学校って結構偏差値高いっていうか学力を重視しているせいか転校してくるにしたってそれ相応の学力を持っていないとダメなんだよな

そんなことを考えてると教室のドアが開き、一人の少女が入ってきた

フワフワとした長い茶色の髪に大きなくりくりとした目、小柄な身長に加え出ているとこは出ている体

そこに文句のつけようのない絶世の美少女が、そこにいた

 

 

「初めまして、今日からこのクラスに転校してきた愛沢妃花です」

 

 

この少女が私に絶望をもたらす悪魔だと気づかないまま、私は彼女の転校を素直に喜んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで、どうして、どうして、違う、わた、私じゃ」

 

思考が霞む、手足が思うように動かない

視界に移るのは……かつて友人だった人達と、その人達に囲まれ慰められている愛沢姫華

怯えているように体を縮こませているが、他の人達から見えないように、私だけに見えるように、笑う

 

「み、みんな、いいの、私がきっと武藤さんに気に食わないことしたのよ……」

 

「妃花ちゃん!あんな奴庇わなくていいの!」

 

「そうだよ!こんなに怪我してるのに…」

 

怪我、確かにあの子は包帯を巻いて、立つのもつらそうにしてるけど、私はあんなことしてない

あの子はいつどこどこで私に殴られたとか、罵詈雑言を吐かれたとか言うけど、私はしてないし、それにいくつかはアリバイだってある

なのに皆信じてくれない、何もやってないのに、小学校から友人だったあの人も、高校から新しく友人になったあの人も、誰も信じてくれない

ずっとずっと叫んでいるのに、私の声は届かない

 

「なぁ、こいつ全然反省してないみたいだぜ」

 

「そうみたいだな」

 

やっちまうか

その言葉を皮切りに皆は私殴りだした

殴られて、蹴られて、髪を引っ張られて、カッターで切り付けられて、骨が折れて、

 

「痛い痛い!やめて!やってない!私はやってない!」

 

必死になって叫ぶのにこの地獄は終わらない

バキリ、と、腕から嫌な音が聞こえてくる、その音は皆に聞こえたはずなのに、暴行が終わることはない

 

「やってない!私はやってないのに!なんで!?どうして誰も私を信じてくれないの!」

 

ボロボロと涙が流れ、必死に、何度も、何度も声を張り上げる

やってないと、私を信じてと、

 

「これを使おうぜ」

 

教室の隅に立てかけてあった野球部のバットをこちらに持ってくる

 

「ね、ねぇ、やめて、痛いの、本当に、痛くて、ねぇ、おね、お願い、だから」

 

だけど私の声なんて聴いてないと、言うようにバットを私に振り上げて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凌牙!もういい!もういいから……!」

 

璃緒がそう言いながら俺の肩を揺さぶる

おいおいまだまだ序の口なんですがねぇ……周りを見るとアークライト一家の顔が凄まじいことになってるし、一度話を聞いたはずの零とブラック・ミストもなんだか難しい顔をしている

アストラルは信じられないというように大きく目を見開き、小鳥ちゃんと遊馬は目から涙を……

( ゚Д゚)!?

 

「うおおい小鳥ちゃんに遊馬いきなりどうしたん!?あれか?思春期特有のあれか!……あれってなんだ?」

 

『俺に聞くな』

 

いつの間にか璃緒まで泣き出す始末、なんだこのカオスは!まるで意味が分からんぞ!?

目線でトーマスに助けを求めるけどトーマスもトーマスでなんか泣きそうな顔で一体どういうことだってばよ!?

どうしてこんなカオスな空間になってしまったんだ(絶望)

 

「よーしよしよし、よくわからんが泣かんといてーな、俺が看護師さんたちに怒られるYO!」

 

『……シャーク、君は本当にわからないのか?』

 

アストラルはそう言いながら俺の顔覗き込む

その顔はいつもすました顔をしているアストラルには珍しくなんか焦ったような、信じられないような顔をしているんだがマジでどうしたんだ

訳もわからず小首を傾げてるとブラック・ミストがため息をつく

 

『だから言っただろ、こいつは病んでるって

 ……何を言っても凌牙は何も理解しない、できないんだ』

 

理解できないって酷くない?俺そこまで頭悪くないからね!

解せぬって顔を隠さずブラック・ミストをガン見してたらまたため息を付かれた

相棒が俺に対して冷たい件について……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一向に泣き止まない遊馬、小鳥、璃緒を凌牙とⅣの二人がかりで慰めているが泣き止む気配がない

そりゃⅣも難しい顔して心ここにあらずって感じで、あれで慰めてるつもりなのだろうか

 

「ブラック・ミスト、零、君達が凌牙がああなってるって気が付いたのはいつなの?」

 

仮面をつけて表情が読み取れないが、声色が硬い事からこいつも凌牙の話に少なからず衝撃を受けたようだ

そりゃいじめとかには一番無縁そうだしな、それに凌牙の精神状態もトロンから見ても危ないのだろう

 

「……少し前から、ですね

 皆さんと同じようにシャーク先輩がこの前世の話をしたときに……目から、光が無くなって」

 

あの時の凌牙を思い出すだけで、あいつがいかに病んでるかっていうのが分かる

それにさっき凌牙が前世の……自分がいじめられていた時の話、また光が無くなり、表情が消え、まるで人形のようになっていった

……普通(?)の人間である遊馬や小鳥がその凌牙の、人間が人形になっていく様を見て恐怖しないわけがなかった

ブラック・ミストもあの時の事を思い出したのか何かしかめっ面をしている

 

『俺も、だな

 ただ凌牙があんな状態になるのは前世のいじめに関することだけだな、他の事は聞いても大丈夫だって保障するぜ』

 

まぁ、凌牙の前世のデュエルモンスター……いや、遊戯王って言った方が正しいか

その話とか話していても特に問題はなかったしな

 

「それにしても、あの精神状態は危ないな」

 

「クリス兄様、危ないとはどういうことですか?」

 

よくわからないのかⅢがⅤにそう質問する

Ⅲはまだまだガキだし凌牙の精神状態がおかしいのはわかるが、事の重大さが分からないのだろう

 

「ミハエル、君は凌牙みたいに信じてもらえず、声が届かず、否定され、暴力を振るわれたら正気を保てる?

 ……普通の人間はその時点で心が壊れてもおかしくない、でも凌牙は違う、壊れてるけど壊れてない」

 

トロンのその言葉を聞いてⅢは目を伏せる

俺の策略でこいつら家族の絆がバラバラになり、そして復讐の道へと走り、他人を陥れたりしてきたこいつらにその言葉が刺さる

 

「心は壊れている、だけど何でもないように振る舞って、その事実に蓋をして、正気を保ってる、心を守ってるんだよ

 だから凌牙自分の心が壊れていることに、自分が病んでいることに気付けない、理解できない、もし何もないまま理解してしまったら、その時は本当に武藤マナミという人生を歩んできた神代凌牙という人間は、本当の意味で壊れてしまうだろうね」

 

「……そんな」

 

Ⅲが悲痛な顔をして凌牙の方を見やる

 

「ねー遊馬もいい加減泣き止んでよ!これ看護師さん入ってきたら完璧俺が悪者やんけ!」

 

「だ、だってよぉ……!」

 

「だっても何もないYO!」

 

いまだに泣き続けている遊馬や小鳥を慰める凌牙だが一方に泣き止む気配がない、当たり前だ

凌牙がいつも道理に振る舞っているからこそ、それはあいつの心が壊れている事の何よりの証明だから

今まで上の空で形だけあいつらを慰めていたⅣが口を開いた

 

「なぁ凌牙、あの時の質問をもう一度聞く、お前はどうして俺を許してくれたんだ?

 俺がした事を考えれば、とてもじゃないけど許されることじゃないし、たしかにお前が恨んでないって言うのもあるかもしれないが、それだけじゃないんだろう?」

 

騙して、裏切って、片割れを傷つけて

話を聞く限りこいつは幼少の頃から前世の記憶があったはずだ

その記憶があるんだったら普通に考えてこいつを許すなんて選択肢なんて無いに等しい、なのに凌牙は許した

一旦遊馬や小鳥、璃緒から視線を外しこちらを見やる

 

「俺も許して欲しかったから」

 

ただ簡潔に、そう口にした

 

「俺は許されないことがどれほどつらいかわかってる、何を言っても、何をやっても、それが届かないことがどれだけ苦しいかわかる

 だから俺は許す、俺も許して欲しかったから、それがあの時、俺が何よりも望んでいたことだから」

 

そう言った凌牙の瞳には、何も映ってはいなかった




ちなみにⅣのあの時の質問っていうのは最初の方で目が覚めたばかり凌牙ちゃんとⅣが再開した時にⅤに言われたことです

現在のムーンの旅メンバー
ミミッキュ
ムウマ
クロバット
アシレーヌ
ブースター


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

29/ギラグとアリトはバリアン戦士

やっぱり代表(リーリエのお母さん)は怪しいと思ってたんだよ!
なんというか、ポケモンの氷漬け見た瞬間あ、まじでこの人やばいわって思ったわ!
そして数話前に旅メンバーの紹介したけどごめん、ラランテス忘れてたわ
あとムウマがムウマージに進化したぜ(∩´∀`)∩


「暇だなー」

 

『お前は本当に頭の中お花畑だな』

 

病院のベットでゴロゴロするけど暇なことには変わりはない

今は丁度璃緒が学校に登校してる時間のはずだし、ブラック・ミストがいるけどそれでも暇なことには変わりない

だってノックしてくれると言えいつ看護師さんが来るかわからんし…脳内で直接話すしかないのか?

ここに入院してから割とたって背中の傷もほとんど直ったって言っても過言ではない、早く退院してーよー

 

「遊馬ももう退院していないし」

 

『そら凌牙の方が重傷だったからな』

 

まぁ遊馬を庇ったし、これで遊馬も重症だったら俺の頑張りは一体何だったんだって話だし

 

「ブラック・ミストーデュエルの練習手伝ってー」

 

『そういやまたデッキの内容変えたみたいだしな』

 

「おうよ、SRももっと入れてーメタルポットとカエルも入れてー」

 

『もう何のデッキかわかんねーよ……まだ最初は妖仙獣+バージェストマだったけどよ……』

 

「やっぱカエル抜こうかなー」

 

『なんなんだお前は』

 

カテゴリに縛られず、思うがままにデッキを構築する……これが遊戯王の楽しさか

……まぁ何も考えずにいれまくってたらデッキが60枚になったけど回るから問題は無いな

なんか俺の運命力上がってない?気のせいか?

 

「うーん、デッキなー」

 

『つーかそれ以外にも調整すべきデッキがあるだうわあああああああ!』

 

「ブラック・ミスト!?」

 

デッキの相談をしている最中いきなりブラック・ミストが球状の光に当たったと思ったら横に吹っ飛ぶ

そのまま病院の壁をすり抜けて外に飛んでいく、実体化してなくてよかったけどどうしたんだ!?

慌てて光が飛んできた方を見るとスポーツデュエルの時にお世話になったギラグがいた、けど片目が赤くなっていて、それは人間体のミザエルがデュエルをしていた時のを思いだし……

 

「え、嘘だろ?」

 

認めたくない、確かにスポーツデュエルの時しか交流は無かったけど、それでもあの時一緒にやったデュエルの実況は本当に楽しくて

 

「一緒に来てもらうぜ」

 

そう言ってギラグはあのカードを……RUM-バリアンズ・フォースを俺に向かって翳す

だけど薄くカードが光っただけで何も起こらない、軽く舌打ちをして俺に赤い光が宿った右手を伸ばした

……俺なんでこんな某配管工のお姫様ポジションになってるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふははははは!」

 

ぐらりと視界が揺れたかと思えば、病院の病室ではなくハートランドにある港に転移していた

いきなりの出来事とギラグの高笑いにどうしたらいいのかわからずあたりを見回す

周りにはたくさんのハートランド学生がごった返しており、その全員が額にバリアンのよくわからないのをつけていて、状況的にギラグに操られているっていうのが分かる

そしてその人達に囲まれるように璃緒達がいるけどどういうことなん!?

Dゲイザーをセットすると0から9の数字が視界に流れARヴィジョンが映し出される

璃緒がシルフィーネ・遊馬とアストラルがガガガガンマン・小鳥ちゃんがフライパン(←!?)・零が攻撃力4000のブレード・バーナー・ファルコンを従えていた

戦っている遊馬が俺たちの存在に気付いたのかこちらを向いてぎょっとする

 

「あんたスポーツデュエルの時の!それにシャークも!」

 

「シャーク先輩!?」

 

「あなた凌牙に何をしてるの!?」

 

「ごめんまた捕まった!それよりも気を付けて!こいつバリアンだ!」

 

『なんだと!?』

 

ギラグから必死に逃れようとしてるけど何分まだ背中の傷が十分癒えていない

ほぼ治ったと言っても痛みが無くなっているわけではないからな

 

「待ってて凌牙!すぐに助けてあげるから!」

 

『待て璃緒!今彼女はギラグに捉えられている、下手に刺激するのは危険だ!』

 

今にもこっちに突撃してこようとしてきた璃緒をアストラルが諭す

ありがとうアストラル、俺の体調も万全ではないし璃緒も俺ほどリアルファイトが得意ではないから助かった

というかそんなことして璃緒が傷物になったら俺は死ぬ

 

「……っ!」

 

「卑怯ですよ!デュエリストなら正々堂々デュエルで勝負してください!」

 

「うるせぇ!もう手段なんか選んでいられるか!完璧に、万全にNo.を奪う!

 さぁ九十九遊馬!こいつを開放して欲しくばNo.を渡すんだ!」

 

そう言いながら俺の手をひねり上げる

その拍子に背中に痛みが走る、畜生!万全の体調だったらアッパーでも食らわせてやれるのに!

現状打破しようにも俺は怪我人だし、璃緒達は俺を人質に取られてるから手を出せない、なんだこの絶望

取れる選択肢は二つ、No.を渡すか渡さないか

そしてその選択の答えは決まっている

 

「遊馬、アストラル!俺を見捨てろ!No.を渡すんじゃない!」

 

『何を言っているんだシャーク!?』

 

「そうだよ!お前を見捨てるなんて!」

 

「優先順位を間違えんなよ!お前らの優先すべきものはNo.を集めてヌメロンコードを探し出すことだろ!」

 

よくわかんないけど話を聞く限りアカシック・レコードみたいな役割を果たしてるみたいだし、それがバリアンの手に渡ったらえらいことになるのは火を見るよりも明らかだ

まだバリアンがなんでアストラル世界を滅ぼそうとしている明確な理由がわからない以上、下手にヌメロンコードの手がかりであるNo.を渡すのはまずい

ぶっちゃけアストラルや遊馬に璃緒などの替えの利かない人材より、いてもいなくても変わらない俺がどうなっても大差ない

そういった意味で下手に璃緒やらじゃなくて俺が人質になってよかったわ、最悪ブラック・ミストは璃緒か遊馬に任せておけば問題は無いし

 

「ふざけないでください!シャーク先輩を見捨てるなんて絶対にしません!」

 

「凌牙を見捨てるなんてありえないから!だったら徹底抗戦するわ!」

 

俺の妹と後輩達が頼もしすぎてつらい

でもそうはいっても俺ていう人質のせいで皆のデュエルの繊細さが無くなってるのもまた事実だ

このままだと十中八九、皆負けてしまうだろう、だったら、そうなる前に

 

 

『何物騒なこと考えてんだよお前は!』

 

 

瞬間、黒いムチのようなものが俺の視界に現れギラグ薙ぎ払う

ギラグの手が俺から離れ慌てて逃げようとするが、いきなりの事で転びそうになる

体が倒れかけた時、黒い手が、俺を支えてくれた

 

「ブラック・ミスト!生きとったんか!」

 

『やかましいわ!』

 

ブラック・ミストに支えられてなんとかギラグから距離を取る

 

「でも、お前なんでここが」

 

『……あいつだよ、あいつ』

 

そう言ってブラック・ミストが指し示す方を見て見ると、アリトが遊馬の前に守るように立ちふさがっており一枚のカードをかざしていた

瞬間、凄まじい突風が巻き起こりバリアンに操られていた人達のライフは一気に0になる

そしてその衝撃でバリアンに操られていた人達の紋章が消え、ばたりと倒れていく

まるで意味が分からないけど、どうやらアリトが助けてくれたらしい

 

『あの力は、まさか!』

 

『ああ、そうだぜアストラル……あいつもバリアンだ』

 

右目は髪に隠れていて見えなかったが、あらわになっている左目は人間体のミザエルやギラグ同様に赤くなっていた

まだ二人しか会ってないけど、それはバリアンが人間体の時に力を使っているときに出てくるものだった

 

「てめぇアリトォ!忘れたのか!我らの使命を!

 我らの世界を救うため、あいつらを探すためにはNo.が、ヌメロンコードが必要だということが!」

 

「忘れてなどいない!俺は……俺はバリアンだ!」

 

「アリト……お前もバリアンだったなんて……」

 

いきなりのカミングアウトに呆然とする遊馬

璃緒から話を聞く限り、遊馬とアリトはかなり仲良かったみたいだしかなり動揺している

……そういや前にアリト達に初めてあった時ギラグと一緒にいたし、なぜか体育館に住んでたし、今思えばおかしいところいっぱいあったのになぜ気が付かなかったし

 

「だったらなぜ俺の邪魔をする!」

 

「言ったはずだ!俺は真っ向勝負で奴らを倒すと!」

 

「違う!どんな手を使っても勝たなきゃいけねぇんだよ!九十九遊馬をなめんじゃねぇ!」

 

二人とも遊馬の実力をわかってるからこそこんなにも意見が割れてるのかな

強いからこそ正々堂々と戦い、デュエリストの誇りにかけてNo.を勝ち取りたいアリト

強いからこそ人質を使い、確実にNo.を手に入れたいギラグ

同じバリアンなのにこんなにも考えてることが違うなんて、やっぱり人間もバリアンも根本的なとこは同じなんだな

 

「舐めてねぇさ!だから、俺が認めた最強のデュエリストを最高のデュエルで打ち負かしNo.を奪う!

 そうだ、俺はバリアンである前に!俺は!デュエリストなんだよぉ!」

 

「っ!アリト……」

 

まさかのアリトもミザエルと同じタイプだったでござるの巻

確かにギラグのやり方は汚いかもしれないけど、それでもやり方としてはギラグのが成功確率が高いのは確かなんだよな

俺をうまく使えば遊馬やアストラルのNo.だけではなく璃緒からもNo.を奪えるしね

でもデュエルを初めてデュエルの楽しさに目覚め始めた俺も、アリトの考えることもわかるんだよなぁ…

やっぱりデュエルで蹴りをつけたいよね、わかります

 

「だから俺はデュエルで蹴りをつける!すべてデュエルで!

 ギラグ、お前のやってることはデュエルじゃねぇ!消え失せろ!」

 

その言葉にギラグは目を見開き……辛そうな顔をして消えて行った

……流石にギラグの肩を全面的に持つわけじゃないけど、それはダメだよアリト

確かに意見が対立した時とか罵詈雑言が飛び交う事だってあるけど、その言葉をダメだぞー

 

「俺とのデュエル、受けてくれるな遊馬」

 

「待てよ!バリアンのお前と、俺達がデュエルするってことは」

 

『そうだな、No.を、お互いの存在をかけたデュエルになる

 サレンダーは認められない、文字道理どちらかが倒れるまでな』

 

ブラック・ミストの言葉にアリトは同意するようにうなずく

その一連のやり取りをみて一層遊馬の表情が歪む

 

「アリト……」

 

「俺は!お前とデュエルしたいだけだ!遊馬、そしてアストラル!」

 

「アリトにもアストラルが見えているのね……」

 

小鳥ちゃんのその言葉に璃緒は静かにうなずく

 

「アリト君が遊馬に会う時、たまに遊馬の後ろの方を見ているときがありましたがあれはアストラルを見ていたのね」

 

普通の人間にはアストラルは見えないらしいし、ちょっと遊馬の後ろを見ているからってアリトがバリアンと疑う材料としては薄いからな

見た目猪突猛進型だけど、割と疑われないように振る舞う程度には頭は回るらしい

 

『遊馬、彼の決心は変わらない、いずれにせよ戦わなければならない相手だ』

 

「……わかったよ、やってやる

 でも!やるからにはアストラルと一緒に必ず勝つ!」

 

そうアリトに勝利宣言をする遊馬

その遊馬の様子を見ると嬉しそうにアリトは笑う

……このやり取りだけでこの二人がどんだけ仲が良かったかわかる、もしもアリトが普通の人間だったら、二人はきっといいライバル同士になってたんだろうな……

そして今にもデュエルが始まりそうに…ってMATTE!

 

「あー、ちょっとアリトに物申したいことがあるんだけどいい?」

 

「……どうせ何言ってもシャーク先輩は行くんでしょう?」

 

「とりあえず先ほどの二の舞にならないようにNo.96は連れて行きなさい」

 

こいつら俺の性格熟知しすぎぃ!まぁ、結構俺自身もわかりやすい性格ではあると思うけどよ

なーんて思いながらブラック・ミストと一緒にひょこひょこアリトの傍に行く

驚くアリトをしり目に(無言のチョップ)を繰り出す

 

「いってぇ!」

 

「売り言葉に買い言葉なのはわかるけどさー、もしも生きて帰れたらちゃんとギラグに謝っといた方がいいぜ!」

 

腕を組み怒ってますよアピールをする

アリトは少し呆然とした後、目を一層つり上げこちらに反論する

 

「でも!あいつはデュエリストの誇りを」

 

「んー、まぁアリトの気持ちもわからんでもないけどさ、それでもあれは言い過ぎだよ

 多分ギラグだってアリトの事心配してたんだし、アリトも本心から言ったわけじゃないだろ?」

 

「だけどよ…」

 

「確かにやり方は汚いけど、それほどアリト達バリアン側が切羽詰まってたわけだし、ここは大人のアリトが水に流したら?ギラグはギラグで素直に謝れなさそうな性格だったし、俺の偏見だけど

 だからさ、もしも帰れたらちゃんとギラグに謝った方がいいぜ?いくらお前の本心じゃないとはいえ言葉にしないと伝わらない、伝えられない状況になって後悔しても遅いんだからさ」

 

俺だってあの時言葉を伝えていればって後悔していたことなんてごまんとある

トーマスの時だって、何かあるって気が付いてたのに何もできなかった、もしも言葉にして伝えていたら何か変わったかもしれないのに

 

「……お前、あいつに似てるな」

 

「んぅ?え、今なんか言った?」

 

「いや、なんでもねぇ!つーか生きて帰れたらってなんだよ!」

 

「えーそりゃ遊馬とアストラルが勝つからに決まってるからじゃん!」

 

「うっせー!勝つのは俺だ!」

 

そう言いながらアリトはDディスクを出現させ、片目が赤く染まる

んー、まぁ言いたい事言えたしいいや

ブラック・ミストと共に後ろに下がり観客サイドに移動すると呆れた顔の璃緒と零、心配そうな顔をした小鳥ちゃんが出迎えてくれた

 

「なんでバリアン側をフォローしてるのよ」

 

「んー、俺がそうしたかったからかなー、なんだかあいつら他人とは思えんし」

 

その言葉に璃緒が複雑そうな顔をする

多分璃緒はこれで俺の言いたい事わかっただろう、だってあの違和感は、ねぇ?

 

「行くぜ!バリアンズ・スフィア・フィールド展開!」

 

アリトの持っていた黒い立体を投げるとそれがはじけ飛び、赤いカードのようなものが球体を作る

フィールドが展開し終わるとアリトと遊馬&アストラルの体が淡く光を放つとバリアンズ・スフィア・フィールドに姿を現した

 

「さぁ遊馬!思う存分デュエルしようぜ!」

 

「勿論だぜアリト!Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「デュエル!」」

 

こうして二人のデュエルが幕を開けた




ブラック・ミストはアリト君が連れてきてくれました
皆さんちょっと遅めですがメリークリスマス!
クリスマスとイヴはいかがお過ごしでしたか?え、私ですか?仕事です♡
……別にケーキ食べたからいいし……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

30/九十九遊馬とアリトの熱き戦い

年末年始は実家に帰省する予定です
皆さんよいお年を


デュエルが始まりアリトの先行からスタートする

アリトが着々とフィールドを整えていく中、遊馬は顔を歪めていた

……まだ、アリトがバリアンであるという事実を受け入れられていないのか、それだったらアリトに失礼なんじゃないかな

確かに今まで仲良くやっていたアリトが敵だったなんて、遊馬の精神ダメージは計り知れない

だけど自分が消えるリスクを背負ってまでアリトは遊馬に勝負を仕掛けて来た

その思いを、無駄にしたらダメなんじゃないかな?

アリトがエクシーズ召喚をし、BK(バーニング・ナックラー)拘束番兵リードブローって奴を出してきた

 

「わかっているよな?このリードブローはORUを一つ使うことで破壊されず、ORUが一つ減るごとに攻撃力が800ポイントアップする!」

 

ああー、ORUが拘束具で、それが無くなるから強くなるって事か、なかなか面白いモンスターだな

そしてアリトは脅威の三枚伏せでターンエンドする

 

「あの伏せカード!」

 

『まさか、最初の時のデュエルを再現しようというのか!?』

 

ん?最初の時を再現ってどういうことなん?

訳が分からず隣の三人に助けを求める視線を送ると、小鳥ちゃんが苦笑しながら説明してくれた

 

「遊馬とアリトが最初にデュエルした時に、アリトがああいう風にリードブローを召喚して、三枚カードを伏せてターンエンドしたの

 もし遊馬もアストラルも最初のデュエルを再現しようとするのなら……」

 

「遊馬君が勝ちますよね、でも、きっとそれで終わるはずがありません、このデュエルは」

 

多分最初のデュエルはあくまで遊馬とアストラルの実力を見るための物だっただろうし、言うほど本気は出してないと思う

デュエルに目を向けると遊馬もフィールドを着々と整えており、遊馬達のエースである希望皇ホープが現れた

アリト同様にカード三枚伏せ、皆の言動を聞く限りあれも最初のデュエルの再現なんだろう

そして遊馬がエンド宣言をしようとした時、アリトが動いた

 

「俺はエンドフェイズ時に速攻魔法オーバーレイ・フラッシュを発動!」

 

「何!?」

 

『このタイミングで速攻魔法だと!?』

 

オーバーレイ・フラッシュは自分のエクシーズ・モンスターのORUを一つ使い相手のモンスターの効果を無効にする

その効果でホープは攻撃無効の効果を使うこともできずNo.耐性もなくなった、さらにORUが無くなったことによりリードブローの攻撃力も800アップするというおまけつき

リードブローが拘束具の一つを無理やりに引きちぎる、なんつーか、うん、ARヴィジョンってすごいよなこういう細かいとこまで再現できるとか

 

「遊馬!俺はこのデュエルに全てを捧げる!だからお前も全力で来い!」

 

アリトのターンになりリードブローで攻撃を仕掛ける

それに対して遊馬は罠カードを使うがアリトもカウンター罠で対抗し、さらに遊馬がカウンター罠を発動させる

……だめだ、もう頭がこんがらがってきた……それでも罠合戦はまだ終わらず、さらに遊馬のカウンター罠にアリトがカウンター罠を発動させる

最初のデュエルの再現だったらしいが、さらにアリトがチェーンしてくるとは思ってなかったらしい皆は驚愕の顔を浮かべる、ってことは最初のデュエルでは遊馬のカウンター罠に対してアリトがカウンター罠を発動させなかったらしい

1234……4個のチェーンってやばいな

そしてアリトのカウンター罠には戦闘ダメージ2倍の効果があるみたいで一気に1000のダメージが遊馬に入ってしまった

ホープも破壊されたし、これ流れは完全にアリトだよな

 

「すげぇ、すげぇよアリト!やっぱりお前とのデュエルは否応なく必死なっちまう!燃えて来たぜ、熱くなってきたぜ!」

 

「そうだ遊馬、楽しもうぜ!全力でぶつかり合って、全力でこのデュエル楽しもうぜ!」

 

『デュエルを、楽しむ?』

 

そのアストラルのつぶやきがこちらにも聞こえてくる

ブラック・ミストは腕を組みながら何も言わず、このデュエルを見届けていた

きっと曲がりにもアストラルの半身であるブラック・ミストだから何も言わずに見守っていてくれるのかな?

このデュエルは敗者が消滅という遊戯王特有の闇のゲームで、それを楽しんでいるアリトと遊馬

このデュエル、アストラルはアストラルで思うことがあるのかな?

 

『……』

 

ちらりとブラック・ミストを見るが、やっぱりなんの反応も見せなかった

デュエルの方に意識を集中させると、遊馬が魔法カードを駆使してホープを復活させリードブローのORUを奪う

ORUが無くなったことによりまたリードブローの攻撃力がアップするが、その攻撃力アップを逆手に取り燃える闘志を発動させる

この効果によりホープの攻撃力は2倍になり5000になった

さしもアリトも攻撃力5000に動揺しているのか一歩後ずさる、いやカイザー先輩とかよりましだと思うよ?

そしてホープがリードブローを破壊し、アリトに大ダメージを与えることに成功しました

 

「いいわよー遊馬ー!このまま押し切っちゃえ!」

 

「んー?それはどうだろーなー」

 

「アリトも遊馬も一流の腕を持つデュエリストですわ

 このままで終わるとは思えませんし、次のターンアリトも何かしら仕掛けてくると思いますの」

 

多分ここからが本番、だろうなー

今までは最初のデュエルの模範みたいだったけどここからは正真正銘、誰もわからない未知なる戦い

そんな観客サイドの思いを知ってか知らずか、アリトと遊馬の戦いは激化していく

 

「二人とも、すごい気迫ですね」

 

「はい、遊馬君も、アリト君も、自分の全部を出し切ってデュエルしています」

 

璃緒と零は比較的冷静にデュエルを見ていられるけど、小鳥ちゃんは心配なのか両手を組んで祈るようにこのデュエルを見守っている

 

「大丈夫だよ、小鳥ちゃん」

 

「シャーク……?」

 

「遊馬とアストラルなら絶対勝つって!まぁ根拠はないけどな!」

 

どや顔で小鳥ちゃんにそう宣言する

一瞬ぽかんとした後にやわらかい笑みを浮かべる、うんうん、肩の力が抜けたみたいだね!

このデュエルはそんな難しい顔をするより皆でうおおおお!って盛り上がる方が楽しいからな!

……だからこそ残念だなぁ、これが敗者は消える闇のゲームじゃなかったらもっと楽しめただろうに

デュエルの方はアリトのターンに移り、同じレベル4のモンスターがフィールドにそろっていた

 

「俺は二体分となったレベル4のBKスイッチヒッターとBKヘッドギアでオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ、No.105!BK流星のセスタス!」

 

召喚されたのは青を基調とし、黄色の装飾がされた、百超えのNo.だった

やっぱりミザエルの銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)と同じで今までのNo.とは比べられないほどの存在感を放っている

……っといっても遊馬のホープとか璃緒のNo.にブラック・ミストぐらいしか知らんけど

そしてアリトはセスタスでホープに攻撃を仕掛ける、遊馬は攻撃力が5000のホープに攻撃力2500のセスタスで攻撃されることに驚いてるけど

 

「んー、どんな効果かな」

 

『普通に考えて何の策も無しに攻撃は仕掛けねぇしな

 攻撃力アップ系かそれとも問答無用でモンスターを破壊する系か』

 

「自分は戦闘ダメージを受けず、相手がダメージを受ける系か、ですね」

 

「それとも表示形式変更系かもしれませんわよ?」

 

遊馬もアストラルも俺らと同じくあのモンスターを警戒し、ホープの効果で攻撃を無効にする

 

「俺はセスタスの効果発動!この効果はセスタスよりも攻撃力の高いモンスターとバトルする時発動できる!

 ORUを一つ使い、セスタスはこのバトルでは破壊されず、バトルを無効にできない!しかも俺が受けるダメージはお前が受ける!」

 

『まずいぞ遊馬!ホープとセスタスの攻撃力の差は2500!』

 

「じ、じゃぁ2500のダメージを俺達が受けちまうって事かよ!」

 

攻撃反射系か、零の方を見るとどや顔していて隣の小鳥ちゃんが苦笑している

ホープがセスタスに破壊されて遊馬のライフが残り500になる、はい、鉄壁入りましたー

もうライフが500って時点で遊馬に勝利フラグ立ったな(確信)

んー、それにしても危なかったなー、これが柚子ちゃんが使うブルーム・ディーヴァだったら負けてたよ

 

 

幻想の華歌聖ブルーム・ディーヴァ

融合・効果モンスター

星6/光属性/天使族/攻1000/守2000

「幻奏の音姫」モンスター+「幻奏」モンスター

(1):このカードは戦闘・効果では破壊されず、

このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

(2):このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に発動できる。

その相手モンスターとこのカードの、元々の攻撃力の差分のダメージを相手に与え、

その相手モンスターを破壊する。

 

 

『素材指定があって面倒だな、指定が無い分セスタスの方が使い勝手はよさそうだけどな』

 

「せやな」

 

遊馬とアストラルが吹っ飛ばされてから体制を整えるまで待ってくれるアリトマジ紳士

アリトは依然として挑発するような笑みを受かべている

 

「どうした遊馬、これで俺達の楽しいデュエルはしまいか?」

 

「まだまだ!もっと楽しんでやるぜ!」

 

『……だが、我々のライフは残り500このままでは楽しむ以前に私たちが敗北してしまうぞ』

 

ライフが1000以下は我々の業界では鉄壁と言われていてむしろ勝利フラグなんで大丈夫だとおもうよアストラル

そんなアストラルの言葉に遊馬は吠えるように言った

 

「わかってる!俺もアストラルも絶対に負けられないデュエルだ、でも!それでも俺はこのデュエルを特別の物にしてぇんだ!

 俺達は今まで色んな奴と闘ってきた、No.を集める為、奪われない為、必死になって戦ってきた!でもあいつと、アリトと闘ってると!どうしようもなく熱くなっちまうんだよ!燃えてきちまうんだよ!」

 

『遊馬……君の燃える思いを消すことなど出来ないのだろう

 だったら私も、行くしかないようだな』

 

そういうアストラルの眼には微かな呆れと……絶対にアリトに勝ちたいという闘志と、このデュエルが楽しくて仕方がないとでも言うように輝いていた

そのアストラルの様子を見たブラック・ミストは安心したように息を吐く、お前らめっちゃ仲良しだな!

ガン見してたらその視線にブラック・ミストが気づき、罰が悪そうに顔を反らした、うん、ごめん

 

「行くぜアストラル!かっとビングだ!俺と!」

 

『私で!』

 

『「オーバーレイ!』」

 

「……え?」

 

いきなりアストラルと遊馬がそう叫んだかと思うとアストラルが青色、遊馬が赤色の光になりバリアンズ・スフィア・フィールド内を駆け回る

二つの光が交わり爆風が巻き起こる、バリアンズ・スフィア・フィールドの外にも漏れ出し突風が俺達を襲う

 

『尊き二つの魂が交わる時、語り継がれし姿が現れる!エクシーズチェンジ!』

 

『「ゼアル!』」

 

金色の逆立った髪に赤いラインの髪、白い全身タイツに所々赤いプロテクターをつけた遊馬がそこに立っていた

頬には合体したアストラルの影響か、緑色のラインが入っている

 

「まるで意味が分からんぞ!」

 

「これが、ゼアルなんですね……初めて見ました」

 

どういうことなん!?え!変身!?変身したの!?っていうかお前ら変身できたの!?リアル遊矢か!あれだろ!?今こそ一つになるんだろ!?

久々の急展開で訳が分からないよ!どうしてこうなった!

……まぁこれで一つはっきりしたことがあるな

ゼアル……いや、ZEXALって単語が出た以上ここは四代目遊戯王にして遊戯王ARC-Vのエクシーズ次元の元ネタである遊戯王ZEXALで間違いなさそうだな

まさかガチの遊戯王次元とは恐れ入ったぜ……!つーかこれ俺ってどんな立ち位置なんだよ

元々いたキャラに成り代わったのか、それとも新しく神代凌牙って人間が誕生したのか

 

『凌牙、お前の頭の中万年お花畑なんだからあんまり深く考えるんじゃねーよ』

 

「……そうだね」

 

ブラック・ミストに言われ思考を打ち切る

仮に成り代わりだとしても俺は神代凌牙でありそれ以上でもそれ以下でもない

 

「遊馬、アストラル、それがお前らのフルパワーってかよ!かっけー!かっけーぜ!」

 

アリトが子供のようにはしゃぐ、というかお前だってバリアンだったら変身できるやろ!ずるい!

俺もブラック・ミストとならできるかなー?ちらりとブラック・ミストの方を見ると首を横に振られた、無理ですか、そうですか

 

「まだ遊馬もアストラルも諦めていないようですわね

 まぁ、この程度で諦めていたら私直々に凍らせてあげた所ですわ」

 

何それ怖い

 

「そうよ!遊馬もアストラルも諦めるなんて事絶対にしない!行けー!ゼアルー!」

 

そう言いながら遊馬とアストラル……いや、ゼアルを応援する

まだまだこの戦いは、終わりそうになかった




知ってるか?これアニメで約8分の内容なんだぜ?
可笑しいな、ミザちゃんとの初戦闘の時は一話で収まったのに……まぁあのデュエルは途中中断だったけどさ
多分凌牙ちゃんが原作凌牙にあっても「成り代わりだったwwwwふぁーwwww」ですます程度にはオリハルコンメンタルです(ただし前世関係は除く)
ちなみに璃緒ちゃんがアリトに対して君付けが外れたのはアリトがバリアンとわかったからです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

31/九十九遊馬とアリトの戦いの果て

あけましておめでとうございます!
今年も神代凌牙はデュエルをしない(タイトル詐欺)をよろしくお願いします!

ポケモンもUB集めもそこそこに久しぶりにデュエルカーニバルやってます
キャットちゃんと凌牙ルートクリア!今はアリトでプレイしてます
凌牙ルートめっちゃ楽しかった!デッキまわすの凄まじく楽しい


ゼアルになった遊馬に驚きながらもこのデュエルの行く末を見守るためにしっかりと前を見据える

このデュエルは見てるこっちもワクワクするし、しっかり見なきゃ損だぜ!

 

「俺はエクシーズトレジャーを発動!これによりフィールドのモンスターエクシーズの数だけカードをドローできる!

 フィールドにはホープとセスタスの二体!よって俺はカードを二枚ドローできる!そして俺は希望皇ホープをエクシーズ素材としてオーバーレイネットワークを再構築!」

 

ガシャンガシャンの音が聞こえてきそうな感じでホープが変形していく

真っ白だったホープが全体的に黒く染まり大きな金色の翼が生え、先ほどとは違った頼もしさを感じる

 

『「カオス・エクシーズ・チェンジ!現れろ、CNo.39!混沌を光に変える使者、希望皇ホープレイ!』」

 

CNo.(カオスナンバーズ)って重ねて召喚とかもできたんだ……うーん、バリアンに操られてる人はRUM-バリアンズ・フォース使ってCX(カオスエクシーズ)を出してたけど、遊馬のホープレイが特別で普通は重ねて召喚できないのかな?うん、わからん

というかカオスってたしかバリアンの力だよね?なんで遊馬とアストラルが使えるんだろ?うーん、あれがアストラルの力とは考えにくいし、遊馬かな?

アストラルとバリアンって光と闇っていうのかな?対局だからアストラルが(多分)バリアンの力であるカオスが使えるとは思えないし、でも遊馬も人間だしカオスが使えるかどうかは不明だけど

 

「んー?え、でも5000から攻撃力下がっちゃって大丈夫なの?」

 

「いえ、これで大丈夫ですわ」

 

「( ゚Д゚)?」

 

『セスタスの効果はセスタスよりも攻撃力が高いモンスターにしか発動できない

 攻撃力5000のホープからセスタスと同じ攻撃力2500のホープレイになったことでセスタスの効果が発動出来ないんだ』

 

「なるほど……そこまで見越してホープレイを出したってことですね」

 

すごいな、俺だったらそこまで頭回んないと思うっていうか絶対回んない

ホープレイがセスタスに突っ込み、それを迎え撃つ形で両者相打ちになる

エクシーズ・スタンドアップを使いホープレイを復活させる

 

「ホープレイが復活したわ!」

 

「セスタスを破壊するには捨て身で攻撃するほかありませんわ」

 

「見たかアリト!これが俺達ゼアルの力だ!」

 

「ふふ!すごいぜ遊馬!お前がそう来るなら俺だって底力見せてやるぜ!」

 

でもアリトのフィールドにモンスターいないしここからの展開って難しいんじゃ…

……?アリトのフィールドに一枚魔法カードが発動してるのが見えたけど、なんのカードだ?

Dゲイザーを使ってなんのカードを発動しているか確認して…エクシーズ・スタンドアップ、だと?

あっ(察し)

そして流星のセスタスが復活した、いつも思うけど「発動していたのさ!」ってずるいと思うの

 

「さいっこうだよ!こんなに楽しいデュエルは久しぶりだ!あいつらが居なくなってから、本当の意味でデュエルを楽しむ余裕なんて俺達にはなかったからな」

 

『あいつら?あいつらとは誰だ?』

 

アストラルの疑問も最もだ

 

「……それは内緒だな!聞きたかったら俺に勝ってからにしろよな!」

 

「ああ!絶対にお前に勝ってやる!この思い全部お前にぶつけてやるさ!」

 

「俺だって!俺の熱い思い全力でぶつけてやる!

 見せてやる、これが俺の本気!俺の全力だ!」

 

アリトが右手を掲げると赤い宝石をつけた腕輪のようなものが出現した

その宝石はミザエルが付けていたあのブローチについていたものと同じっぽい?

もしかしてあれがバリアンの力の源なのかな?

 

「バリアルフォーゼ!

 見ろ、俺の真の姿を!俺の真の思いを!」

 

アリトの腕輪が光バリアンズ・スフィア・フィールドの中が金色の光に覆われる

ミザエルがバリアルフォーゼした時みたいにアリトの変身に耐えられなかったのかバリアンズ・スフィア・フィールドから風が漏れ出す

それが収まり改めてアリトを見るとミザエルと同じように赤い宝石を胸につけ、ベスト?みたいな物をつけており顔にもミザエルとは違った黒い仮面を付けていた

バリアン体の時のミザエルは全体的に黄色だったのに対し、アリトは全体的に赤色だ

……バリアン世界にも戦隊ものの概念があるのかな?

 

「あれが、アリトの本当の姿…」

 

「小鳥さん…」

 

「大丈夫よ真月君、私は目を反らさないわ」

 

そう言って小鳥ちゃんは真っすぐとアリトを見つめる

強いな、小鳥ちゃんは……俺はそんな強い心は持ってないし小鳥ちゃんが羨ましいなー

いやでも遊馬とずっと一緒にいたからそれでメンタルが鍛えられたのかもわからんね

 

「遊馬、これで全て揃った!お楽しみはこれからだぜ!来い!」

 

どこぞのエンタメデュエリストかな?

 

「行くぜ!俺のターン、ドロー!俺は魔法カードエクシーズトレジャーを発動!フィールドにはホープとセスタスがいる、よって二枚ドロー!

 行くぞ遊馬!俺はRUM-バリアンズ・フォースを発動!このカードは自分のモンスターエクシーズをランクアップさせCXを特殊召喚する!」

 

今のドローでRUM持ってきたの!?嘘だろ丈太郎……

やっぱりこいつも運命力半端ないなぁ、頼むからその運命力を俺にも分けろください(真顔)

セスタスが黒い渦に巻き込まれ、一つの球体になり、新たなモンスターとして俺達の前に姿を現す

 

「俺はランク4の流星のセスタスでオーバーレイネットワークを再構築!闇を飲み込む混沌を、光を持って貫くが良い!カオス・エクシーズ・チェンジ!現れろ!CNo.105!BK彗星のカエストス!」

 

セスタスの時は青と黄色が主体だったけど、カエストスは全体的に黒く染まり赤いエネルギーがカエストスの禍々しさを強調している

……心なしかカイトの(ネオ)銀河眼の光子龍(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)を沸騰させるようなカラーリングやんな

 

「これが、アリトのCNo.か!すげぇ、すげぇよ!」

 

「そう、これが俺達バリアン七皇の絆であり思いの丈だ!そしてこれで終わりにする!

 俺は彗星のカエストスの効果発動!CORU(カオスオーバーレイユニット)を一つ使い相手モンスターを一体破壊してその攻撃力分のダメージを与える!」

 

『やばいぞ!あの効果が決まったらあいつらは負ける!』

 

「遊馬!アストラル!」

 

CORUがカエストスに吸い込まれて効果を発動しようとした時に、遊馬は動いた

罠カードであるオーバーレイ・トレーニングを使いホープを破壊から守ったのだ

カエストスの効果はモンスターが破壊された後にその攻撃力分のダメージを与えるから、破壊されなければ効果ダメージは発生しないってことだよね?

だけどカエストスの攻撃でホープレイは破壊されないけど戦闘ダメージが入り、遊馬のライフは500から200になる

 

「まさかフィールドにモンスターを残すなんて!やっぱりお前は最高だよ!

 来いよ遊馬、アストラル!まだまだデュエルは終わらねぇよ!」

 

「アリト……!こんなに楽しいデュエルなのに、お前はバリアンなんて……」

 

「確かに俺はバリアンだ、だけどデュエルにそんなの関係ない!確かにこれは闇のゲームだけど、今お前は俺と戦ってる、それで十分だろ?」

 

『敗者が消えるからな、なるほど、闇のゲームとは妙な言い当てだ

 遊馬、彼の言う通り今はこのデュエルに集中し楽しむんだ、それが私たちにできる最大限の事だからな』

 

「アストラル……そうだな!行くぞ!」

 

『ああ!』

 

『「最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する!シャイニング・ドロー!』」

 

なんかあっちでいい話になってたりチートドローしてるけど俺はそれどころじゃなかった

……闇のゲーム?なんでアリトがその単語知ってるんや?

こっちの世界に生れ落ちて随分立つから割とARC-Vよりも前の遊戯王の内容はほとんどうろ覚えだけど……

最初の遊戯王はペガサス会長が木馬君をカードにしたり、獏良君やらマリクやらも闇のゲームをした、はず

GXはたしか最初の方で嘘っぱちだけど闇のゲームって単語は出て来た

5Dsはネタ動画しか見てないからなんとも言えないけど、多分このあたりから闇のゲームって単語は……あれ、満足さんが使ってたっけ?どうでもいいか

んー?だったらZEXALで闇のゲームって単語が出てきても不自然ではない、のかな?でも引っかかるんだよなー

ARC-Vは確かそんな単語出てこなかったと思うし、俺の考えすぎか?

でも璃緒やトーマスに遊馬&アストラルから闇のゲームなんて単語出てきたこと無いんだけど……うーん?

 

「---ZW(ゼアル・ウェポン)-荒鷲激神爪(イーグル・クロー)の効果発動!バトルの時に一度だけ相手の罠を無効にできる!」

 

「それも読めていたぜ!これで止めだ!カウンター罠、コークスクリュー・クロス!バトル中に相手のカード効果が発動した時、その効果を無効にし500ポイントのダメージを与える!」

 

「何!荒鷲激神爪(イーグル・クロー)にカウンターを!?」

 

残りライフ200の遊馬にこの効果が決まれば、遊馬は負ける

でも遊馬とアストラルのあの目、まだあきらめてないみたいだね

 

「これで終わりだ!行け!カエストス!コメット・エクスプロージョン!」

 

「まだだ!まだ終わってっちゃいない!俺は全ての力を吐き出す!俺はカウンター罠ラスト・チャンスを発動!

 相手の墓地からカウンター罠を一枚発動する!俺はアリトの墓地からカウンターズ・ハイを発動!」

 

そしてお約束のチェーン合戦、お前ら本当にそれ好きだな

それにしても遊馬がアリトの墓地から発動したカウンターズ・ハイ、あれの効果って確か

 

「カウンターズ・ハイはバトル中に発動されたカウンター罠を破壊し、このバトルで発生するダメージは2倍になる……勝負ありましたわね」

 

カエストスが破壊され、アリトの目の前には荒鷲激神爪(イーグル・クロー)を装備したホープレイが立ちはだかってる

ゆっくりと腰についてる双剣を抜き、身構える……何あれかっこいい

ホープレイが黒い剣を振ると黒い色が振り払われ純銀の剣が姿を露わにした

 

「行くぞ!ホープ剣・カオスイーグル・スラッシュ!」

 

双剣を重ね合わせ一つにし、それを振り上げアリトに攻撃し、ライフを根こそぎ奪い取った

ARヴィジョンが解除され遊馬とアストラルのゼアルが解かれる

それと同時にアリトのバリアルフォーゼが解除され元の……元のではないか、バリアルフォーゼの状態がアリトにとっての本当の姿なんだし

人間体になったアリトが地面に倒れている、遊馬やアストラルはもちろん観客サイドの俺達もアリトに駆け寄る

 

「アリト!おいアリト!大丈夫か!?」

 

遊馬が倒れているアリトを抱き起す

やっぱり2800のライフを一気に0にされたわけだし、ダメージもデカいんだろうな

 

「……楽しかったな、遊馬」

 

「ああ、俺もすげー楽しかったぜ!」

 

「見てるこっちも楽しかったよ!いいデュエルを見せてくれてありがとうな」

 

「アリト、また、またやろうな!」

 

遊馬がそう言った時、アリトは黙って首を横に振る

きっとそれは、アリトが自分の運命をわかってるからだと思う、敗者の末路を、闇のゲームで負けた者の最後を

真っすぐとアリトはアストラルを見つめ、口を開く

 

「アストラル、持っていけ

 俺の魂を……俺達の、バリアンの絆を」

 

『アリト……ああ、わかった』

 

アストラルはアリトに手をかざし、淡い光を放つ

だけどいつまでたってもアリトのNo.が回収される気配がなかった

 

『アストラル、そこをどけ』

 

ブラック・ミストがアストラルの隣に立ちNo.を回収しようと試みるが、やはりNo.が回収されることはなかった

……No.は100枚あって、それはアストラルの記憶でありヌメロンコードを探すのに必要なピース

もしかしてアリトのNo.ってアストラルの記憶とは別物って事?

同じバリアンのミザエルも百超えのNo.持ってたし、アストラル世界のNo.とバリアン世界のNo.が存在するとか?

でもアリトの反応見る限りそうでもなさそうだし……

アリトの背後に光の渦が出てきてアリトを飲み込もうとする

 

「あーあ、どうやら迎えが着ちまったようだな」

 

そうしてアリトは俺達を見回して静かに笑う

 

「遊馬、アストラル、お前らのデュエル最高だったぜ!

 小鳥、俺の天使よ、また会おうな

 真月、あんまり遊馬に迷惑かけるなよ

 神代姉妹、あいつらに似てる人の子よ、一目でもお前らに会えてよかったぜ」

 

アリトが光の粒子になり消えていく

でもそこに悲壮感なんてなくて、すっきりした顔をして、なんというかやりきったー!って感じをしている

……なんだこの感想……俺に語彙力がなくてすまん……すまん……

もうすぐ消えるギリギリの瞬間、アリトは手をグーにして中指と人差し指を真っすぐ伸ばし、手をこちらに突き出した

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!遊馬!」

 

『「!!』」

 

完全にアリトが光の渦に飲み込まれ、消えてしまった

 

「ブラック・ミスト、今、アリト」

 

『ああ……』

 

あれは二代目遊戯王の主人公である遊戯十代のセリフ&ポーズだ

お楽しみはこれからだ!とか闇のゲームとかはまだ誰も言う可能性がある

でもそのセリフだけ違う、そもそもガッチャ!なんて単語普通思いつかないだろ

カイトや零にもフワッと話したことあるけどこのセリフを言ったことは無いし、基本的に話すのはARC-Vのはなしだからそっちから漏れたとも考えずらい

というかGXに詳しく語ったのブラック・ミストだけだし

 

「アストラル!アストラル、どうしたの!?」

 

小鳥ちゃんの悲鳴が聞こえる

そちらを見るとアストラルが薄く点滅してる!どういうことだ!まるで意味が分からんぞ!

頼むからこれ以上俺に頭を使わせるようなことしないでくれ!

遊馬もさっきのデュエルで疲労してるのか零に支えられてアストラルの傍まで移動する

アストラルやその半身であるブラック・ミストでも回収できない百超えのNo.、知るはずのない遊戯王GXのセリフ&ポーズを知っているアリト、結局聞くのを忘れたアリトの言うあいつらとは誰か

謎は深まるばかりだった




凌牙ちゃんのデッキはメインで使ってる妖仙獣(?)の他に色々あるのですが、果たしてこの先使う事があるのだろうか

わかりにくいと思うので補足
最後の方の文章で真月は最後まで凌牙ちゃん達と一緒にいます
なのでアリトの闇討ちイベントは発生してません


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

32/神代凌牙とデュエルの序章

とりあえず今回はデュエルをする前の前振り?見た感じです
ずっとこいつらを戦わせたかった

デュエルカーニバルではアリトとミザちゃんクリアしました!
アリトデッキ楽しかったけど、ミザちゃんデッキは回る時と回らない時の差が激しいんだなぁ(小並感)


「なーなーこれ良くない!さっき前世カードから発掘してきたんだけどさー!」

 

 

幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ウロング・マネリング

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

その攻撃を無効にする。

その後、このカードは以下の効果を持つ効果モンスター(戦士族・闇・星2・攻/守0)となり

モンスターゾーンに攻撃表示で特殊召喚される(罠カードとしては扱わない)。

●このカード及び自分フィールドの表側表示の、

「幻影騎士団」モンスター1体または「ファントム」永続魔法・永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。

自分はデッキから2枚ドローする。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ロスト・ヴァンブレイズ

通常罠

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は600ダウンし、

レベルは2になり、自分の「幻影騎士団」モンスターは戦闘では破壊されない。

その後、このカードは通常モンスター(戦士族・闇・星2・攻600/守0)となり、

モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚する(罠カードとしては扱わない)。

 

 

「ロスト・ヴァンブレイズを使って俺の場のモンスターのレベルを2にしてロスト・ヴァンブレイズをモンスターとして召喚、墓地のバージェストマをチェーンして復活させればレベル2が三体!これでブラック・ミストも召喚しやすくなるんじゃね!?ウロング・マネリングもレベル2モンスターになるんだし相性いいと思うんだよな」

 

「戦略としてはいいと思いますけど凌牙のデッキに入れる余裕ありますの?」

 

「これ入れて60枚ピッタリだZE☆」

 

『俺を使おうとしてくれるのは嬉しいんだけどよ、そんなんでデッキ回んのかよ……』

 

「んー?どうだろ?シャッフルしてー、初期手札5枚かーらーのードロー!」

 

 

初期手札↓

SRメンコート

妖仙獣鎌参太刀

妖仙獣鎌壱太刀

修験の妖社

魔装戦士ドラゴノックス

 

ドローカード↓

バージェストマ・ハルキゲニア

 

 

「割といける」

 

『お前の運命力も大概だよな』

 

「待ちなさい、魔装戦士ドラゴノックスなんていつ入れたのよ!」

 

誰もいない道を歩きながら璃緒とブラック・ミストにデッキの構築の手伝いをしてもらっている神代凌牙です

やっと退院できたので今は病院帰りです、長かったよ入院生活……

なんか毎日毎日お見舞い来るしなんでみんな過保護になってしまったん?

まぁこの話はここまででいいか、うん、俺は切り替えのできる良い子(笑)だからね

デッキの言い訳をさせてくれ、入れたいカード入れたら60枚になったんよ、というか60枚って少なすぎじゃない?100枚くらい欲しいわ……

後EXデッキも15枚って少ないと思うんだよね?入れたいカード全然入れらんないっす

あ、璃緒が魔装戦士ドラゴノックスを知ってるのは俺の前世カードを見せたからです

アリトと遊馬のデュエルの後改めてナンバーズクラブの皆やアークライト一家に改めて説明、一部の前世カードを公開しましたいえーい!

 

「だってドラゴノックスのペンデュラム効果がいい感じで…」

 

「シャーク!璃緒さん!ブラック・ミスト!」

 

そうそう、ナンバーズクラブの皆も無事に(?)ブラック・ミストと和解してNo.96じゃなくてブラック・ミストって呼んでる

というかやっとブラック・ミストとナンバーズクラブの皆との和睦の道は長かった(遠い目)

 

「というか鉄男に零に小鳥ちゃんじゃん、なしてこんなところにいるん?」

 

時間的に下校しててもおかしくない時間だけど、皆の家の方角的にこっちの道を通ることなんてないはずなんだけどな

しかも皆走ってきたせいか所々息が切れてる

 

「あら?遊馬はどうしましたの?一緒にいないようだけど……」

 

このメンバーに遊馬がいないって確かに変だなー

大抵はこのメンバーに遊馬を加えたメンツがデフォだし、あと孝と徳之助とキャットちゃん

 

「遊馬君が果たし状をもらって、それで一人で行っちゃったんです!」

 

話によるとなんとびっくりギラグが果たし状を出したらしいのだ

内容は遊馬と零の二人で来るようにという、これギラグ零がデュエリスト(笑)っていうのを知っているらしく、足手まといの零をつけての1対2の変則デュエルをするつもりみたい

…敵の俺がいうのもあれだけどギラグさん、情報古いよ?

俺の前世カードを表だって使ってないって言っても、元々零が持ってたシャイニングもカイトとの地獄の50戦デュエルでかなりまわし方も理解してるみたいだし、ぶっちゃけ強いよ?

それを遊馬が知らないとは言い難いし、きっと巻き込まないように黙ってたんやな……

 

『小鳥と鉄男は決闘の場所はわかってるんだよな?』

 

「ああ、この先の埠頭って確かに書いてあったぜ!」

 

「おk!とりあえず急ごう!全速前進DAー!」

 

遊馬が埠頭に向かってどれだけの時間がたったかわからない

もしかしたらもうデュエルが始まってるかもしれない、急がないと

一斉に走りだして埠頭に直行する、間に合うよね、これ間に合うよね!?

埠頭についた時にはギラグと遊馬が対峙しているのを見つける、零・鉄男・小鳥ちゃんが真っ先に遊馬に駆け寄っていった

俺と璃緒にブラック・ミストは周囲を警戒する

埠頭の荷物置き場の近くにアリトが座って……え、アリト!?

 

「アリト!アリトがなぜここに!まさか自力で生還を!?」

 

『(無言の腹パン)彼はアリトではない』

 

「アリトだぜ!?」

 

ごめん、ついいつものノリで……

 

「久しぶり……つっても数日前にあったばかりだけどな」

 

そう苦笑しつつアリトはこちらに寄ってくる

 

「……あの後ギラグに助けられて、な」

 

「ちゃんと謝れたん?」

 

間髪入れずにアリトに聞く、なんだかんだでずっと心残り(?)やったからな

ちょっとだけ目を反らしてうなずく、うん、謝れたようで何よりです

 

「……所でどうしてアリトがここにいますの?」

 

確かに、アリトは本当だったら養成してなきゃいけないと思うんだよね、闇のゲームで死にかけたわけだし

わざわざギラクとの決闘に来たってことはもしかして、待ち伏せか?汚い、流石バリアン汚い

 

「何勘違いしてるのかしらねぇけど、俺は見届け人だ」

 

『はいそうなんですかって納得するわけねぇだろ』

 

「いや、俺はむしろ納得したというか」

 

「私もですね、見た限りアリトもギラグも卑怯な真似は好みそうにありませんからね」

 

『味方がいない』

 

だって今までのアリトとギラグの言動みたらわかるもんだと思うんだけどな

っていっても5回も会ってないけどな……まぁ

 

「それでも、君を見逃すわけには行かないんだよねー?

 こっちにだって聞きたいことあるし、遊馬達のデュエルを見届けるだけじゃなくてこっちでお話しようか?」

 

アリトの手を掴もうと手を伸ばす

伸ばした手をアリトが捌き、手を掴まれ足払いをされバランスが崩れる

地面に倒れる瞬間空いてる手を付きそのままぐるりを回転させアリトの手から逃れ、そのままの勢いに裏拳をアリトを叩き込むがなんなく受け止められた

 

「……まさかリアルファイトもこなせるとは俺びっくりだわ」

 

「お前だって女の癖にいい拳持ってるじゃねぇか!」

 

そしてそのままファイティングポーズを取る

二人見合ったまま相手の動きを注視し、いつでも動けるように体勢を……

 

「やっぱやめようや」

 

流石に遊馬達の方でシリアスしてるのにこっちでギャグやってたらいたたまれないって……

それにここは遊戯王次元、だったらさ

 

「やっぱり、これで勝負しない?」

 

そう言ってデッキケースをアリトに突き出す

それを見てアリトは目を丸くし、ブラック・ミストと璃緒もあんぐりと口を開けている

 

「ちょっと!一体何考えてますの!?」

 

『いくらあのカードがあるとは言え相手はバリアンだぞ!?何考えてんだ!』

 

この大批評である

まぁちょっと前までデュエルをしない初心者様だったし、なのにバリアンに戦いを挑むなんて自殺行為に等しい

でもさー、俺だってちょーっとはデュエリストの自覚はあるんだよ?でもリアリスト寄りだけどな!

それに多分俺の聞きたい事には答えてくれないだろうし

遊馬とアリトが戦った時に色々聞きたかったけど、結局聞けなかったしね

 

「それに、デュエルで語る方が分かりやすいだろ?」

 

「……へぇー、いいな!そういうの嫌いじゃないぜ!俺もお前に聞きたい事があったしな

 じゃデュエルに勝った方が負けた方になんでも質問できるってことでどうだ?」

 

「妥当なところだよねー、んじゃ始めますか」

 

そう言って俺とアリトはデュエルの準備をする

 

『凌牙!せめて璃緒に任せろ!お前の実力じゃ』

 

「ブラック・ミスト」

 

璃緒が俺を止めようとしたブラック・ミストを止める

その顔を呆れ半分と怒り半分で、明らかに怒っているのがわかる、うん、すまん

 

「こうなった凌牙は絶対に止められないわ、あきらめましょう」

 

流石我が妹、話が分かるな

そして俺にはわかるぞ、これが終わったら正座案件だということがな!

でもどうしてもあいつらに聞きたいことが山ほどあるんだよなー

なんでNo.を集めるのか

なんでアストラル世界滅ぼそうとするのか

……そしてバリアンの皆に会うたびに起きるあの言いようのない違和感はなんなのか

俺はそれを知りたい

 

「お、あっちもどうやら始まったみたいだな」

 

遊馬達の方を見るといつの間にかバリアンズ・スフィア・フィールドが展開されており、その中にはギラクに零達がいた

あっちもあっちでデュエルすることになったらしい

俺の手を取りアリトが展開されたバリアンズ・スフィア・フィールドへと入っていく

 

「アリト!?お前何してるんだ!」

 

『シャーク!?どうしてここに!』

 

「アリト!?シャーク!?なんだこれ!何してるんだよ!」

 

「ちょっとアリトとデュエルをすることになってね、お邪魔しまーす」

 

「どういうことですか!?まるで意味が分かりません!」

 

なんでや!遊戯王次元の人間だったらこれぐらいの超展開についてこれないでどうする!(暴論)

それに自然な流れ(?)でデュエルに持ち込めたし、これで万が一にでも璃緒や小鳥ちゃんに鉄男が危害を加えられるってことはないだろう、あっちにはブラック・ミストがいるわけだし

 

「アリト、無茶するんじゃないぞ?」

 

「何言ってるんだギラグ、俺がNo.を持ってない普通の人間に負けるわけないだろ!」

 

……ブラック・ミストがいるんだけどなぁ

それともあれかな、ブラック・ミストは璃緒が所有してるって思ってんのかな?

 

「ま、御託はいいからさっさと始めよう

 遊馬、アストラル、零、そっちも負けんなよ」

 

『君は遊馬と本当に似ているな』

 

「ちょ、俺に似てるってどういうことだよ!」

 

「何も考えてないところじゃないですか?」

 

零が毒舌すぎワロタ

アリトとギラグがDディスクを出現させる

その様子を見て俺達もDゲイザーとDディスクを取り出した

 

「「「Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」」」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

『「「「「「デュエル!』」」」」」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

アリトLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し




というわけで次回はまさかの凌牙ちゃんとアリトの戦いです
ギラグと遊馬&真月の方のデュエル描写はしないと思います
したとしても凌牙ちゃん目線で「隣を見ると遊馬がホープを召喚していた」みたいな感じになると思います
だって原作と違って零はBF+RRだし、いや、いけないことは無いんだろうけどさ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

33/神代凌牙VSアリト~バリアンとの戦い~

アリトのデッキですが、アニメ効果とOCG効果のカードが出てきます
基本的に原作に沿った話ではアニメ効果になりますが今回のようなオリジナルの話ではOCG効果になったりします
スイッチヒッターがアニメ→2体分のエクシーズ素材、OCG→墓地のBKを特殊召喚みたいな感じに前の話ではアニメ効果でもこの話ではOCG効果、ってな感じで
効果が違っても気にしないでください

ハイ皆さん、恒例のルールミス大会指摘大会始まります


神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

アリトLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は永続魔法修験の妖社を発動!このカードは自分の場に妖仙獣が召喚・特殊召喚された時に妖仙カウンターが一つ点灯する

 俺は妖仙獣鎌弐太刀を召喚、これによって妖仙カウンターが一つ点灯!俺はこれでターンエンド

 そしてエンドフェイズに鎌弐太刀は俺の手札に戻るぜ」

 

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1800/守 200

 

修験の妖社 妖仙カウンター:0→1

 

神代凌牙LP:4000

手札:5(公開:妖仙獣鎌弐太刀)

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)妖仙カウンター:1

 

 

「俺のターン、ドロー!俺はBK(バーニング・ナックラー)ヘッドギアを召喚、効果発動!召喚に成功した時BKと名の付くモンスターを墓地に送ることができる、俺はBKスパーを墓地へ送る

 そして手札のBKスパーの効果発動!このカードはBKと名の付くモンスターがフィールドにいる時召喚できる!」

 

 

BKヘッドギア

星4/炎属性/戦士族/攻1200/守1400

 

BKスパー

星4/炎属性/戦士族/攻1500/守1400

 

 

「俺はBKヘッドギアとスパーでオーバーレイ、エクシーズ召喚!来い、ラヴァルバル・チェイン!」

 

 

ラヴァルバル・チェイン

ランク4/炎属性/海竜族/攻1800/守1000 ORU:2

 

 

赤い炎を纏った竜がアリトのフィールドに現れる

……あれって確か墓地にカード送る奴だよね?たしかアリトのBKって墓地から発動するカードがほとんどだった気がする

あ、これはあかんパターンですわ

 

「ラヴァルバルの効果発動!ORUを一つ使いデッキからカードを一枚墓地に送る、俺はBKグラスジョーを墓地に送る!

 そしてグラスジョーはカード効果で墓地に送られた時、墓地のBKモンスターを手札に加えることができる俺はBKスパーを手札に!

 さらに魔法カードバーニングナックル・スピリッツを発動!デッキトップを墓地に送り自分の墓地のBKを表側守備表示で特殊召喚する!出てこい、グラスジョー!そしてグラスジョーがいるのでスパーを手札から特殊召喚する!

 俺はグラスジョーとスパーでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!魂に秘めた炎を、拳に宿せ!拘束番兵リードブロー!」

 

 

拘束番兵リードブロー

ランク4/炎属性/戦士族/攻2200/守2000 ORU:2

 

 

「スパーは自身の効果で特殊召喚された時俺はバトルフェイズを行えない

 俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

 

アリトLP:4000 手札:1

【モンスター】

ラヴァルバル・チェイン/攻1800 ORU:1

拘束番兵リードブロー/攻2200 ORU:2

【魔法・罠】

セット×2

 

 

うーん、セットカードが怖いなー

でも前のデュエルを見る限りほとんどがバトルフェイズに発動させるカウンター罠だし……大丈夫かな?

いや、考えるのはやめよう!とりあえず突っ込めー^^

 

「俺のターン、ドロー!俺は鎌弐太刀を召喚!妖仙獣が召喚されたことによりカウンターが一つ点灯!

 バトル!鎌弐太刀で攻撃!そして鎌弐太刀の効果発動!このカードは攻撃力を半分にすることでダイレクトアタックできる!鎌弐太刀でダイレクトアタック!」

 

 

修験の妖社 妖仙カウンター:1→2

 

 

「お待ちかねのカウンター罠発動、エクシーズ・ブロック!自分フィールドのORUを取り除き、相手の発動した効果モンスターの効果を無効にして破壊する!俺はリードブローのORUを取り除き鎌弐太刀の効果を無効にして破壊する!

 そしてリードブローの効果!ORUがカード効果によって減った場合攻撃力が800ポイントアップする!」

 

 

拘束番兵リードブロー/攻2200→3000 ORU:2→1

 

 

「んー、俺はカードを一枚セットしてターンエンド」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)妖仙カウンター:2

セット×1

 

 

「俺のターン、ドロー!行け!リードブロー、ラヴァルバル・チェイン!凌牙にダイレクトアタックだ!」

 

「俺は手札からバトルフェーダーの効果発動!直接攻撃時手札から特殊召喚し、バトルを強制終了させる!」

 

 

バトルフェーダー

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

 

アリトLP:4000 手札:2

【モンスター】

ラヴァルバル・チェイン/攻1800 ORU:1

拘束番兵リードブロー/攻3000 ORU:1

【魔法・罠】

セット×1

 

 

「俺はこれでターンエンドだ

 なんつーか、お前のデッキ遅くないか?」

 

展開がって事かなー?ちゃんと特化させたらいいと思うんだけど、色々混じってるからなー

それにデッキが60枚だしね、しょうがないね

 

「これそういうデッキだからなー、それじゃドロー!

 俺は強欲で貪欲な壺を発動!デッキトップを裏側で10枚除外して2枚ドロー!そして大欲な壺を発動!除外されてる自分及び相手のモンスターを三体選びデッキに戻す

 俺は魔妖仙獣大刃禍是・SR(スピードロイド)ドミノバタフライ・The despair URANUS(ザ・ディスペア・ウラヌス)をデッキに戻し1枚ドロー!」

 

「ここで立て続けにドローだと!?」

 

正直俺もここまでとはびっくりです、でも助かったわ……

後ドローソースはエクシーズ・トレジャーとかしかないからな……

 

「まだまだ行くぜ!罠カードバージェストマ・レアンコイリア発動!除外されている自分又は相手のカードを墓地に戻す!俺はSR三つ目のダイスを墓地に!

 そして俺はSRダブルヨーヨーを召喚!ダブルヨーヨーの効果でレベル3以下のSRモンスターを特殊召喚する!俺は三つ目のダイスを特殊召喚!」

 

 

SRダブルヨーヨー

星4/風属性/機械族/攻1400/守1400

 

SR三つ目のダイス

星3/風属性/機械族/攻 300/守1500

 

 

これでフィールドにチューナーモンスターと非チューナーモンスターがそろった

遊馬達のフィールドを見ると、零のフィールドにもチューナーモンスターと非チューナーモンスターがそろっていた

零と視線が合いうなずぎ合う、さって、バリアンにお披露目と行きますか!

 

「見せてやるよ、皆から忘れ去られた融合とエクシーズにつぐもう一つの召喚法を!」

 

「は?もう一つの召喚法?一体どういうことだ?」

 

怪訝そうにアリトはこちらを見る

だけどその眼には、確かにデュエリストとしての、忘れ去られた召喚法についての興味が隠しきれてない

ひゃっはー!得と見るがいい、これがキングのデュエルだ!(嘘)

 

「行くぜ!俺はレベル4のダブルヨーヨーにレベル3の三つ目のダイスをチューニング!

 輝く翼、神速となり天地を照らせ!出ておいで!シンクロ召喚!クリアウィング・ファスト・ドラゴン!」

 

 

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

星7/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

 

 

白を基調として所々緑色のラインが入った、水晶の翼を持った竜

あっちでもシンクロ召喚をしたらしく、アリトとギラグは俺と零のモンスターを見てどういうことかと騒いでいる

 

「これがシンクロ召喚、チューナーモンスターって呼ばれる特殊なモンスターとモンスターを墓地に送ってその合計のレベルを合わせ持ったシンクロモンスターをEXデッキから特殊召喚できるんだ

 まぁ一部のシンクロモンスターにはチューナーモンスター+風属性モンスターとかの制約が合ったりするけどね」

 

「すっげえええええ!すげぇよ凌牙!俺シンクロ召喚なんて初めて見たぜ!

 なぁなぁ、零のもシンクロモンスター?なんだよな!あれはなんのモンスターなんだ!?」

 

「あー……まぁ、あっちのモンスターに関しては俺に勝ってからってことで

 俺はクリアウィングの効果発動!EXデッキから特殊召喚された相手フィールドの表側表示モンスター一体を対象として発動できる!ターン終了まで対象モンスターは攻撃力は0にして効果を無効にする!」

 

……攻撃力が高いのはリードブローだけど、ラヴァルバル・チェインの能力が厄介なんだよな

下手に残して置いたらまたBKを墓地に送られて蘇生させられたらなー

せやんな、ここは

 

「俺はラヴァルバル・チェインを対象に効果を発動する!」

 

 

ラヴァルバル・チェイン/攻1800→0

 

 

「バトル!俺はクリアウィング・ファスト・ドラゴンでラヴァルバル・チェインを攻撃!神速のファストレボリューション!」

 

「くっ……!」

 

 

アリトLP:4000→1500

 

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

ブン、とカード裏側に伏せられる

とりあえず2500の大ダメージを与えられたけど、次のターンアリトが何もしないとは思えない

クリアウィングは相手ターンでも使えるから大丈夫だとは思うけど……

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:3

【モンスター】

バトルフェーダー/守 0

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻2500

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)妖仙カウンター:2

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!なんだよなんだよ!ただの一般人じゃなかったのかよ!

 ……こんなん出されたら、俺だって本気出すしかないじゃないかよ!」

 

「はぁ!?お前よくわかんないけどまだ遊馬との戦いの傷が癒えてないんだろ!まさかバリアルフォーゼする気じゃ」

 

「バリアルフォーゼ!」

 

「おいいいいいいいいいい!」

 

そしてアリトが腕輪を掲げ変身する

なぁ、大丈夫なん?本当に大丈夫なん!?俺めっちゃ心配なんだけど!?

明らかに無理してんじゃん!隣のギラグ見て見ろよ!めっちゃ何してんだとか言ってるから!

 

「ギラグも心配かけてわりぃな!でも、こんな面白いデュエル!本気にならなきゃ損だぜ!」

 

「「このデュエル馬鹿が!」」

 

おっとギラグと突っ込みが被ってしまった

 

「俺は手札から愚かな埋葬を発動!デッキからグラスジョーを墓地に送る!グラスジョーの効果でスパーを手札に、そしてBKスイッチヒッターを召喚!さらにスパー自身の効果で特殊召喚!

 スイッチヒッターの効果発動!自分の墓地のBKモンスターを1体特殊召喚する!俺はグラスジョーを特殊召喚!

 スパーが自身の効果で特殊召喚されたターン俺は攻撃出来ない、カードを一枚伏せてターンエンド」

 

 

BKスイッチヒッター

星4/炎属性/戦士族/攻1500/守1400

 

BKスパー

星4/炎属性/戦士族/攻1500/守1400

 

BKグラスジョー

星4/炎属性/戦士族/攻2000/守 0

 

アリトLP:1500 手札:0

【モンスター】

拘束番兵リードブロー/攻3000 ORU:1

BKスイッチヒッター/攻1500

BKスパー/攻1500

BKグラスジョー/攻2000

【魔法・罠】

セット×2

 

 

「俺のターン、ドロー!バトル!俺はクリアウィングでリードブローを」

 

「おっと、罠発動!一時休戦!お互いカードを一枚ドローして次の相手ターン終了までお互い受けるダメージは0になる!」

 

「その効果にチェーンして墓地のバージェストマ・レアンコイリアの効果発動!このカードを通常モンスターとして特殊召喚する!

 さらにクリアウィングの効果でリードブローの攻撃力を0にして効果を無効にする!ダメージは無理でも破壊させてもらうよ!」

 

 

拘束番兵リードブロー/攻3000→0

 

バージェストマ・レアンコイリア

星2/水属性/水族/攻1200/守 0

 

 

「行け!クリアウィング!目前の敵を粉砕しろ!」

 

クリアウィングがリードブローに向かって攻撃する

リードブローも迎撃しようとするが、攻撃力になっている為太刀打ちできずに粉☆砕された

よしよし、いい流れだ

……でもこのままで終わるわけないよな

というかなんでNo.召喚しなかったんやろか?出してくれたらクリアウィングで粉☆砕したのに……

あ、クリアウィングで破壊されるのが目に見えてたから出さなかったんか

リードブローよりセスタスの方が優先順位が高いからな、カオス化されたらたまらんし

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンド」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:4

【モンスター】

バトルフェーダー/守 0

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻2500

バージェストマ・レアンコイリア/守 0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)妖仙カウンター:2

伏せ×2

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は手札から速攻魔法月の書を発動!」

 

「ガチカードだとぉ!?」

 

「クリアウィングを裏守備表示に変更する!そして二体目のスイッチヒッターを召喚!効果でグラスジョーを特殊召喚する!」

 

 

BKスイッチヒッター

星4/炎属性/戦士族/攻1500/守1400

 

BKグラスジョー

星4/炎属性/戦士族/攻2000/守 0

 

 

モンスターゾーンが全部埋まった……

 

「俺はスイッチヒッター・スパー・グラスジョーでオーバーレイ、エクシーズ召喚!熱き闘志をその身に宿し、己の拳で道を切り開け!No.105流星のセスタス!

 さらに二体目のスイッチヒッターとグラスジョーでオーバーレイ!その拳は星のごとく光り輝き、圧倒的な力を見せつけろ!エクシーズ召喚!俺の新な力!No.79新星のカイザー!」

 

 

No.105流星のセスタス

ランク4/炎属性/戦士族/攻 2500/守 1600 ORU:3

 

No.79新星のカイザー

ランク4/炎属性/戦士族/攻2300/守1600 OUR:2

 

 

なぁにこれぇ(白目)

 

「俺はカイザーの効果発動!1ターンに一度手札・墓地からBKと名の付くモンスターを一体選びこのカードのORUにできる!俺はヘッドギアをこのカードのORUにする!さらにカイザーはORUの数×100攻撃力がアップする!」

 

 

No.79新星のカイザー/攻2300→2600 OUR:2→3

 

 

「俺は流星のセスタスで裏守備になってるクリアウィングに攻撃!」

 

「クリアウィングを破壊される訳には行かないんでね!俺は罠カード、バージェストマ・カナディアの効果発動!相手フィールドの表側表示モンスターを対象にし、そのモンスターを裏守備表示にする!俺はセスタスを選択!」

 

「そうはいかねぇ!俺はカウンター罠アクセル・フットワークを発動!バトル中に罠が発動した時に発動でき、その罠の発動を無効にして破壊する!」

 

「なんだと!?」

 

裏守備のままなすすべもなくクリアウィングが破壊される

そのままEXデッキに戻っていくのを見ていることしか出来なかった

手札には一組のペンデュラムカードがあるけどスケールが足りないし、召喚するにはドミノバタフライかペンデュラム・ターンを引くしかない

ペンデュラムゾーンに置いてもいいけど、スケール4だからレベル4のモンスターは召喚できないし揺れる眼差しとかの破壊系のカードも無いから置いておくのもなー

 

「さらに新星のカイザーでバトルフェーダーを攻撃!俺はこれでターンエンド」

 

 

アリトLP:1500 手札:0

【モンスター】

No.105流星のセスタス/攻 2500 ORU:3

No.79新星のカイザー/攻2600 ORU:3

【魔法・罠】

無し

 

 

一瞬で壊滅状態の巻き

まさかクリアウィングが破壊されるとは思わなんだ……

 

「俺のターン、ドロー!俺は罠カードバージェストマ・ピカイアを発動、チェーンでバージェストマ・カナディアを自身の効果で特殊召喚!ピカイアの効果は手札のバージェストマカードを一枚捨て二枚ドローできる!バージェストマ・エルドニアを捨て二枚ドロー!」

 

 

バージェストマ・カナディア

星2/水属性/水族/攻1200/守 0

 

 

やっと妖仙獣来た!長かった、めっちゃ長かった!

 

「俺は妖仙獣鎌弐太刀を召喚、弐太刀は召喚に成功した時手札から弐太刀以外の妖仙獣を特殊召喚できる!俺は鎌参太刀を特殊召喚!妖仙獣が召喚されたことにより妖仙カウンターが2つ点灯!

 さらに修験の妖社の効果発動!カウンターを3つ取り除きデッキから妖仙獣を手札に加える!俺は妖仙獣壱太刀を手札に加える!」

 

 

修験の妖社(永続魔法)妖仙カウンター:2→4→1

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1800/守 200

 

妖仙獣鎌参太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1500/守 800

 

 

まだ一時休戦の効果で戦闘ダメージは与えられないんだよね……

ブラック・ミストを召喚したいけど、カナディアとレアンコイリアだけじゃ足りない

RUM-バリアンズ・フォースが出てくる前に倒さないと、ORUが全部持ってかれちゃうからな

ランク4をエクシーズ召喚してもこの状況を打破できるカードは持ってないし、ランク4を出すくらいなら鎌イタチ3兄弟出して効果使った方がいいし

……

 

「俺はスケール2の魔装戦士ドラゴディウスとスケール7の魔装戦士ドラゴノックスでペンデュラムスケールをセッティング!」

 

モンスターゾーンの両端に光の柱が伸び、そこに白と黒の対局の色を持ったドラゴン戦士(?)が現れた

あっちを見るとアリトとギラグはこちらを見て口をあんぐりを開けている

ちなみにペンデュラム召喚はしません、意味ないからね

鎌壱太刀召喚して妖仙カウンターたまるけど、そこまで手の内をさらすのはな

 

「ペンデュラムスケール?なんだそれ!なぁ、今度は何をするんだ!」

 

眼をキラキラさせて子供のようにはしゃぐ

それを見てると、本当に普通に楽しくデュエルしてるみたいで敵対してるなんて嘘みたいだ

 

「こいつらはペンデュラムモンスターって言ってね、こうやってモンスターゾーンの両端にあるペンデュラムゾーンにセットして使うんだ、もちろん普通のモンスターとしてモンスターゾーンに召喚できるよ

 ペンデュラムソーンにある間はこいつらは永続魔法として扱うから大嵐で一掃できたりするぜ

 効果に関しては……まぁ使う時になってから、かな?俺はカードを一枚伏せてターンエンド」

 

「……ははっ!そうだな!最初からわかってちゃ面白くもなんもともねぇよな!」

 

ライフでは明らかにこっちが有利なのに、なのにどうして明らかに有利なのはあっちの方だろう

高い攻撃力にNo.耐性に強力な効果、対しこっちは壁が二体いるだけ

でも次のアリトのターンはしのげるし、次の俺のターンには相棒が呼べる

そんな事を考えて、俺も随分とこの遊戯王次元に染まってきたんだなと、少しだけ笑いが零れた

 

 

神代凌牙LP:4000 

手札:4(公開:妖仙獣鎌壱太刀・妖仙獣鎌弐太刀・妖仙獣鎌参太刀)

【Pゾーン】

魔装戦士ドラゴディウス/Pスケール2

魔装戦士ドラゴノックス/Pスケール7

【モンスター】

バージェストマ・レアンコイリア/守 0

バージェストマ・カナディア/守 0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)妖仙カウンター:1

伏せ×1

【EXデッキ】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

 

アリトLP:1500 手札:0

【モンスター】

No.105流星のセスタス/攻 2500 ORU:3

No.79新星のカイザー/攻2600 ORU:3

【魔法・罠】

無し




途中から自分が一体何をやってるのかわからなくなってきました
このデュエルは終わるのか、一応終着点はあるんだけどそこまで行くか……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

34/神代凌牙VSアリト~カオスの力~

はい、毎度の事ながらルールミスがいっぱいありました
ご指摘いただいた皆様に感謝を……


【前回のルールミス・効果ミス一覧】
・一時休戦は罠ではなく魔法
・鎌弐太刀の直接攻撃効果にエクシーズ・ブロックは打てない
・強欲で貪欲な壺で除外したカードは大欲な壺で戻せない(裏側で除外されたため)


神代凌牙LP:4000 

手札:4(公開:妖仙獣鎌壱太刀・妖仙獣鎌弐太刀・妖仙獣鎌参太刀)

【Pゾーン】

魔装戦士ドラゴディウス/Pスケール2

魔装戦士ドラゴノックス/Pスケール7

【モンスター】

バージェストマ・レアンコイリア/守 0

バージェストマ・カナディア/守 0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)妖仙カウンター:1

伏せ×1

【EXデッキ】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

 

アリトLP:1500 手札:0

【モンスター】

No.105流星のセスタス/攻 2500 ORU:3

No.79新星のカイザー/攻2600 ORU:3

【魔法・罠】

無し

 

 

「俺のターン、ドロー!バトルだ!セスタスとカイザーで凌牙のモンスターに攻撃だ!」

 

「甘いよ!俺は魔装戦士ドラゴノックスのペンデュラム効果発動!相手モンスターの攻撃宣言時に発動でき、このカードを破壊してバトルフェイズを終了させる!

 あー、そうだ、一応補足しておくけどペンデュラムカードは永続魔法みたいなもんって説明したけどフィールド魔法みたいに、こう、独立した魔法カード、的な?アレなんだよね」

 

「よくわかんねぇけどわかったぜ!」

 

「さよか!」

 

「俺はカードを1枚伏せて、これでターンエンドだ」

 

 

アリトLP:1500 手札:0

【モンスター】

No.105流星のセスタス/攻 2500 ORU:3

No.79新星のカイザー/攻2600 ORU:3

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

うーん、ブラック・ミストを召喚するべきか

でもRUM-バリアンズ・フォース使われるとORUが……

流星のセスタスは自分よりも攻撃力が上っていう条件があるけど戦闘態勢にバトルの無効化もできず、戦闘ダメージは自分が受ける

遊馬みたいに同攻撃力No.で自爆か、クリアウィングなどで効果無効か……

……待てよ、あの子だったらセスタス処理できる!

よし、このターンで蹴りをつける!まずはフィールドを開けないと

 

「俺は2体のバージェストマでオーバーレイ、エクシーズ召喚!古代の海より現代に姿を現せ!岩より蘇りし者、出ておいで!バージェストマ・オパビニア!」

 

 

バージェストマ・オパビニア

ランク2/水属性/水族/攻 0/守2400 ORU:2

 

 

「オパビニアは罠カードをエクシーズ素材としてる時ORUを一つ使いデッキからバージェストマ罠カードを一枚手札に加える、俺はバージェストマ・ピカイアを手札に加える!」

 

カシュっとDディスクが音を立てて罠カードが俺の手元にやってくる、あっちは動かないみたいだしこれはチャンスか?

良し、モンスターゾーン空いたしここから一気に突っ走る!

 

「俺は死者蘇生を発動!墓地の三つ目のダイスを蘇生させる!そして鎌弐太刀を召喚、効果で鎌壱太刀を召喚、さらに鎌参太刀を召喚!そして妖仙カウンターが3つ点灯!

 修験の妖社の効果で妖仙カウンターを3つ取り除き妖仙獣左鎌神柱を手札に加える!

 鎌壱太刀の効果発動!壱太刀以外の妖仙獣がいる時表側表示モンスターを手札に戻す!俺はセスタスを戻す!」

 

 

妖仙獣鎌壱太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1600/守 500

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1800/守 200

 

妖仙獣鎌参太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1500/守 800

 

修験の妖社妖仙カウンター:1→4→1

 

 

「させねぇよ!カウンター罠エクシーズ・リフレクトを発動!エクシーズモンスターを対象にする効果モンスターの効果・魔法・罠を無効にし破壊する!そして凌牙に800のダメージだ!」

 

 

神代凌牙LP4000→3200

 

 

やっぱセスタスは守ってきたか、でもそれも想定内!

 

「こんなんかすり傷だ!俺はレベル4の鎌弐太刀にレベル3の三つ目のダイスをチューニング!二色の眼を持つ竜よ、星々の力束ね炎を纏い眼下の敵を焼き尽くせ!シンクロ召喚!レベル7、オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン!」

 

 

オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン

星7/炎属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

 

 

……?あれ、俺このカード持ってたっけ?

本能でこいつの事を持ってるっていうのがわかってたっていうか、うーん?

なんで持ってないカードがEXデッキに入ってるん?まぁここ遊戯王次元だからこういう摩訶不思議現象起きても不思議じゃないから大丈夫か

 

「さらに罠カード幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ロスト・ヴァンブレイズを発動!さらにチェーンしてバージェストマ・カナディアの効果を発動して通常モンスターとして特殊召喚!

 ロスト・ヴァンブレイズの効果処理するよ、表側表示モンスター一体を対象に発動!攻撃力が600ダウンし、レベルは2になる!俺は鎌参太刀に対して発動するぜ!そしてロスト・ヴァンブレイズは通常モンスターとして特殊召喚できる!」

 

 

幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ロスト・ヴァンブレイズ

星2/闇属性/戦士族/攻600/守0

 

バージェストマ・カナディア

星2/水属性/水族/攻1200/守 0

 

妖仙獣鎌参太刀/星4→星2/攻1500→900

 

 

「なんでわざわざ攻撃力を下げて……!レベル2のモンスターが3体!?」

 

「俺はロスト・ヴァンブレイズとカナディアとレベル2になった参太刀でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!出ておいで、俺の相棒!No.96!漆黒の闇からの使者、ブラック・ミスト!」

 

 

No.96ブラック・ミスト

ランク2/闇属性/悪魔族/攻 100/守1000 ORU:3

 

 

96という数字が浮かび上がり、No.96ブラック・ミストというモンスターが俺のフィールドに現れる

よ、よし、今のところは順調だ

 

「俺はブラック・ミストでセスタスを攻撃、そして効果発動!ORUを一つ取り除き相手の攻撃力の半分にし、その分自身の攻撃力に加える!シャドーゲイン!」

 

 

No.96ブラック・ミスト/攻 100→1350 ORU:3→2

 

No.105流星のセスタス/攻 2500→1250

 

 

「行け、ブラック・ミスト!セスタスを粉砕しろ!ブラック・ミラージュ・ウィップ!」

 

「おいおいセスタスの効果を忘れたのか?俺はセスタスの「メテオバーストの効果発動!このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はバトルフェイズ中にモンスター効果を発動できない!」なんだと!?」

 

ブラック・ミストが大きな口をあんぐりと開けてむしゃむしゃとセスタスを食べる

……え、お前そういう攻撃方法だっけ!?

 

 

アリトLP1500→1400

 

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

神代凌牙LP:3200

手札:2(公開:バージェストマ・ピカイア/妖仙獣左鎌鎌神柱)

【Pゾーン】

魔装戦士ドラゴディウス/Pスケール2

【モンスター】

バージェストマ・オパビニア/守2400 ORU:1

オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン/攻2500

No.96ブラック・ミスト/攻1350 ORU:2

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)妖仙カウンター:1

伏せ×1

【EXデッキ】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

魔装戦士ドラゴノックス

 

 

「俺のターン、ドロー!俺はエクシーズトレジャーを発動!フィールドには3体のモンスターエクシーズがいる、よって3枚ドロー!」

 

出た!この世界の最強ドローカード!

やっぱり強いなエクシーズトレジャー、なんでデッキに入れてんのにこっちには来てくれないん?

 

「俺は死者蘇生を発動!俺は墓地からセスタスを蘇生させる、蘇れ!セスタス!

 そして俺はRUM-バリアンズ・フォースを発動する!対象はもちろん流星のセスタスだ!」

 

「!」

 

嘘だろ今のドローで死者蘇生とRUMを引いたのかよ!

 

「俺はNo.105流星のセスタスでオーバーレイネットワークを再構築!闇を飲み込む混沌を!光を以て貫くがよい!カオス・エクシーズ・チェンジ!現れろ、CNo.105彗星のカエストス!」

 

 

CNo.105彗星のカエストス

ランク5/炎属性/戦士族/攻2800/守2000 ORU:1

 

 

「さらにRUM-バリアンズ・フォースの効果でNo.96のORUを全てカエストスのCORUにし取り除いた数×300ポイント攻撃力が下がる!」

 

 

No.96ブラック・ミスト/攻1350→750 ORU:2→0

 

CNo.105彗星のカエストス ORU:1→3

 

 

「俺はカエストスの効果発動!CORUを一つ使い凌牙のモンスターを一体破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!俺が選択するのはオッドアイズ・メテオバースト・ドラゴンだ!」

 

 

CNo.105彗星のカエストス ORU:3→2

 

神代凌牙LP3200→700

 

 

「バトル!俺はカエストスでブラック・ミストを攻撃!」

 

「罠発動!ハーフ・アンブレイク!フィールドのモンスター一体を選択し、そのモンスターは破壊されず戦闘ダメージは半分になる!俺はもちろんブラック・ミストを選択する!

 そして魔装戦士ドラゴディウスのペンデュラム効果発動!自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う時、手札を一枚捨てて戦闘を行う相手モンスターの攻守は半分になる!」

 

「でもダメージは受けてもらう!さらにカイザーでブラックミストを攻撃だ!」

 

「ドラゴディウスの効果で最後の手札を捨て攻守を半分にする!」

 

 

CNo.105彗星のカエストス/攻2800→1400

 

No.79新星のカイザー/攻2600→1300

 

神代凌牙LP:700→375→100

 

 

「よし、俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

アリトLP:1400 手札:0

【モンスター】

No.79新星のカイザー/攻2600 ORU:3

CNo.105彗星のカエストス/攻2800 ORU:2

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

ライフは100でおまけに俺の手札は0

この絶望的な状況なのに不思議と笑いがこみあげて来た

 

「どうしたんだよ?お前のターンだぞ?」

 

怪訝そうにアリトが訪ねてくる

 

「いやーこの状況割と絶望的だなって思ったら笑えてきてさー!」

 

カラカラと笑いながらアリトの方を見やる

なんかよくある遊戯王次元の展開にあるじゃん?なんかそれっぽくてさ

それに

 

「そんでさ、この状況から逆転したらさ、すごくないか!?」

 

両手を広げて、すごく楽しいよってアピールする

それを見たアリトがそれもそうだなと笑う、うん、やっぱりアリトって奴はそう言うやつだよな(錯乱)

よっしこれで頑張って逆転だ!お楽しみはこれからだ!

デッキトップに手を乗せカードをドローする

 

「俺もエクシーズトレジャーを発動!フィールドにはカエストス・カイザー・オパビニア・ブラックミストの4体!よって4枚ドローだ!」

 

デッキトップから4枚のカードを一気に引き抜く

その時、カードが微かに光の軌跡が通ったような、そんな気がした

……うん!気のせいだな(目反らし)

引いた4枚のカードはピアニッシモ・修験の妖社・ペンデュラムターン・二重魔法(ダブルマジック)

おい、なんだこのラインナップは、手札事故じゃないか(絶望)

 

「……ん?」

 

待てよ、これもしかしたら行けるんじゃないか?

うまくすればこのターンで蹴りが付けられるし、仮にこのターンで蹴りをつけられなかったとしても……

俺があのカードを使うことで俺やブラック・ミストにどんな影響が出るかわからない、でもこのままじゃ確実に俺は負ける

だったら、この方法にかける

 

「俺は二重魔法(ダブルマジック)を発動!手札の魔法カードを1枚を捨て、相手の墓地の魔法カード1枚を選択して発動できる!

 選択した魔法カードを自分フィールド上の正しいカードゾーンに置き使用する!俺はお前の墓地からRUM-バリアンズ・フォースを発動する!」

 

「はぁ!?」

 

アリトの墓地から1枚のカードが俺の手元へ届く

RUM-バリアンズ・フォース、俺の前世カードであるRUMとはまったく違うカオスの力を与えるRUM

これを使ってどんな影響があるかわからんど負けるよりましだし、というかあんだけ言っといて負けるとかはずいわ!

 

「俺はNo.96ブラック・ミストでオーバーレイネットワークを再構築!混沌なる嵐を巻き起こし、今ここに舞い降りよ!カオス・エクシーズ・チェンジ!CNo.96ブラック・ストーム!」

 

 

CNo.96ブラック・ストーム

ランク3/闇属性/悪魔族/攻1000/守1000 CORU:1

 

 

光の渦に巻き込まれて、新たな力を、カオスの力を宿したブラック・ミスト……いや、ブラック・ストームが俺のフィールドに現れた

その存在感とカオスの力が俺に直接流れ込んでいる

……心臓が、痛い

きっとこれが人間であるにも関わらずバリアンの、カオスの力を使った俺への代償なのかなー?

ずくずくと心臓が握りつぶされそうになる痛みを必死に抑えながらアリトに向き合う

 

「……どうよアリト?絶望的な状況からここまで持ち直したぜ?」

 

そう言って笑って見せる

はくはくと口を開閉させて大きく目を見開いている、おいお前大丈夫か?

 

「お前!え!?なんともないのか!?」

 

「のたうち回るレベルで心臓が痛い」

 

「え!?」

 

ぶっちゃけ吐きそう

でも今はそんな事言ってられる状況じゃないし、決着は俺か次のアリトのターンで終わるだろう

それまでこの痛みを抑えて見せる、だって、遊馬も零もアストラルもあんなに頑張ってるんだから

 

「俺はRUM-バリアンズ・フォースの効果を発動!カエストスのCORUを全てブラック・ストームのCORUにしその数×300ポイント下げる!」

 

 

CNo.105彗星のカエストス/攻2800→2200 ORU:2→0

 

CNo.96ブラック・ストーム ORU:1→3

 

 

「俺はブラック・ストームで彗星のカエストスを攻撃!そしてブラック・ストームの効果を発動!CORUを一つ使い相手モンスターの攻撃力を0にしてその分をブラック・ストームに加える!」

 

 

CNo.105彗星のカエストス/攻2200→0

 

CNo.96ブラック・ストーム/攻1000→3200 ORU:3→2

 

 

「行け!ブラック・ストーム!カエストスを攻撃!これで終わりだ!」

 

「させねぇよ!俺は攻撃の無敵化を使い、俺はこのバトルフェイズ中戦闘ダメージは0になる!」

 

そのままカエストスは破壊されるがアリトにダメージが入らない

次のアリトのターンできっとアリトは勝負を仕掛けてくる、次のターンできっと勝敗が決まる

 

「……俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

神代凌牙LP:100 手札:1

【Pゾーン】

魔装戦士ドラゴディウス/Pスケール2

【モンスター】

バージェストマ・オパビニア/守2400 ORU:1

CNo.96ブラック・ストーム/攻3200 CORU:2

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)妖仙カウンター:1

伏せ×1

【EXデッキ】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

魔装戦士ドラゴノックス

 

 

「ただの人間の癖にお前はよく頑張ったよ、でもそれもここまでだ!

 俺は手札から貪欲な壺を発動!墓地のモンスター5体をデッキに戻し2枚ドローする」

 

 

戻すカード

・CNo.105彗星のカエストス

・No.105流星のセスタス

・ラヴァルバル・チェイン

・BKスパー

・BKスイッチ・ヒッター

 

 

「俺は最強の盾を新星のカイザーを装備!このカードは表示形式によって効果がかわる、現在カイザーは攻撃表示なので守備力を攻撃力に加える!よってカイザーの攻撃力は」

 

 

No.79新星のカイザー/攻2600→4200

 

 

なんだ、ただのワンパン圏内か(錯乱)

 

「俺はカイザーでブラック・ストームを攻撃する!」

 

「( ゚Д゚)!?」

 

あれ!?この子ブラック・ストームの効果わかってんの!?

これ相手ターンでも使えるんやで!

 

「ちゃんとブラック・ストームの効果は把握してるぜ?速攻魔法禁じられた聖衣を発動!選択したモンスターは攻撃力が600ダウンし、カードの効果の対象にならず効果では破壊されない!」

 

「まじか!?」

 

これでブラック・ストームの効果は使えない

俺のライフが100である以上……俺の負け

……まさか保険をここで使うことになるとは思わなかったけど、負けるよりましだよな

 

「これで終わりだ!行け!カイザー!凌牙に止めだ!」

 

「……それはどうかな?俺は速攻魔法ピアニッシモを発動!」

 

「このタイミングでか!?」

 

「自分フィールドモンスター一体を対象に発動!このターンそのモンスターの元々の攻撃力は100になり戦闘・効果では破壊されない!」

 

ピアノの綺麗な音色があたりに響き渡り、綺麗な多種様々な羽がブラック・ストームの周りを舞う

なんというか、ブラック・ストームが禍々しい分すごいアンマッチというか、なんというか

 

「…はぁ?今更その効果に何の意味が?」

 

意味が分からないと怪訝そうにこちらを見る

そらせっかくの3200の攻撃力を100にして無意味な戦闘態勢……でも攻撃力を100にすることに意味があるんだよ!

 

「ブラック・ストームのもう一つの効果を発動!このカードによって発生する戦闘ダメージは相手も受ける!」

 

「なんだと!?」

 

ブラック・ストームの攻撃力が100、カイザーが4200で両者に発生するダメージは4100

どっちにしろワンパン圏内か、おお、えぐいえぐい

 

「さぁアリト!一緒に地獄にレッツゴー☆」

 

「……あはは!本当にお前らは俺を楽しませてくれるな!

 いいぜ、今回はこれで引いてやるけど次はこうはいかないからな!」

 

「「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」」

 

ブラック・ストームとカイザーが激突する

その余波はバリアンズ・スフィア・フィールドが揺らす、莫大なエネルギーが俺とアリトに直撃する

初期ライフを一発で持ってくほどの攻撃のエネルギーを俺もアリトも受けきれるわけもなく

 

「きゃあああああああ!」

 

「うわあああああああ!」

 

バリアンズ・スフィア・フィールドに思いっきり叩きつけられる

バチバチと電流のようなものが俺の体をかける、RUMを使った副作用でまだ心臓が痛い中のこのコンボである

…電流と心臓の痛みで視界が霞む、最後に俺が捉えたのは

 

『凌牙!おい凌牙!』

 

いつの間にか中に入っていたブラック・ミストと、見たことのない黒いホープだった

……結局、アリトに聞きたい事聞けなかったなぁ

 

 

DRAW 神代凌牙・アリト




凌牙ちゃんとアリトの戦いは引き分けにするって最初から決めてました
いくら前世カードがあるとはいえアリトはバリアン七皇だし、引き分けにするのめっちゃ大変でした…
途中凌牙ちゃんのライフが100になったのは本当に偶然です、自分でもびっくりしました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

35/神代凌牙の魂

今回は伏線回になります
頑張って伏線回収できるといいなぁ(願望)


オービタルとドルべをクリアしてゴーシュをプレイ中です!


 

 

 

 

 

 

病院ベットの上で凌牙は綺麗な土下座を披露している

周りには璃緒、Ⅳ、ブラック・ミストが腕を組み額に青筋を浮かべていた

 

「あの、神代先輩もⅣさんもブラック・ミストもその辺に……シャーク先輩も反省してるみたいですし……」

 

そういいながら庇うように凌牙の前に出る

真月零ならこうするだろうし、何よりこいつらのせいで話が全く進まない

 

「甘いですわ零君、凌牙は反省はしていますが絶対にまた同じことを繰り返しますわ」

 

やばい、否定できない自分がいる

 

『そうだよお前馬鹿じゃないのか!?バリアンに戦いを挑んだ挙句にバリアンのRUMを使うなんて!』

 

そう、今回の問題は凌牙がバリアンに戦いを挑んだ挙句RUMを使った事だ

あれにはアリトだけじゃなくてこっちサイドもしばらく放心してたぞ?

俺もギラグもあのRUMを使ってるからわかる、あれは人間が使っていいもんじゃない

確かに洗脳された人間は普通にRUMを使ってるけどあれは俺らバリアン七皇のカオスの力で問題ない様に制御してるからであってなんの対策も無い人間が使ったら激しい痛みに襲われるはずだ

遊馬だってアストラルと皇の鍵(?)の守護があるからカオス化に耐えられるだけだ、遊馬に渡したあのRUMだってRUM-バリアンズ・フォースのデットコピー

ランク4以下のモンスターしかカオス化できず、バリアンズ・フォースの相手のエクシーズモンスターのORUをカオス化したエクシーズモンスターに与える効果もない

これだけ弱体化してるにも関わらずリミテッド・バリアンズ・フォースを使えるのは遊馬や俺が紋章の力を授けたトロン達にカイトやかろうじて璃緒ぐらいだろう

 

「貴様が持っている前世カードのRUMとはわけが違うんだ、何の対策もなしにRUMを使うとは貴様は馬鹿か?」

 

「いやだってあん時のドローカード全部魔法カードだしあれが最善だったというか……

 それに確かに痛かったけどああいう痛みには慣れてるし、あのRUM使ってなかったら俺負けてたからね、仕方ないね」

 

「つまりお前は必要に迫られたらまたあの戦法でRUMを使うと」

 

「……てへりーん☆」

 

『「「そこに正座しろ』」」

 

「今土下座の体勢なんですがそれは」

 

あの戦い後ギラグを退け、無事に遊馬にRUMを渡し終え急いで凌牙の元へ行った

ブラック・ミストが必死に凌牙の名前を呼び体を揺すっているのが見え、止めたのは記憶に新しい

本当だったらあのギラグとの戦いが終わった後で俺がバリアン警察(笑)であるとあかし、遊馬との親密度を上げる予定だったがそれどころじゃなかったしな

急いで病院へ凌牙を戻し、改めてアストラルがいない隙に色々と遊馬に吹き込んでおいた

今までのこともあり遊馬は完全に俺を信頼している

凌牙も遊馬も危機感が死んでる、この世界の人間は大丈夫か?

 

「とりあえず凌牙は病院で検査した後はフェイカーの元に行ってもらうよ

 紋章の力があるわけでも無く、バリアンの補助なしにカオス化させたんだ、何か体に変化があってもおかしくないからね」

 

「そう言うわけだ、明日にはこちらに移ってもらうぞ」

 

「うぃっす」

 

ビシッと敬礼する

その様子に璃緒、Ⅳ、ブラック・ミスト……面倒だからセコムでいいか、セコムが怒りを通り越して呆れていた

 

「所でアストラルはどうしたん?」

 

きょろきょろと遊馬の周りを凌牙は見やる

あいつ自分のデュエルに集中しすぎてこっち全然見てなかったしな

 

「……アストラルはね、今皇の鍵の中にいるみたいなの、その、バリアンズ・スフィア・フィールドの影響があったみたいで……」

 

ちらりと小鳥が遊馬の皇の鍵を見る

あの後アストラルがデュエルの途中で退場してから一回も姿を見ていない、よほどバリアンズ・スフィア・フィールドでのデュエルが体に響いたみたいだ

 

「そうだ!シャークがカイト達のとこ行くなら俺もついていっていいか!アストラルを見てほしいんだよ」

 

そう言いながら皇の鍵をずいっと突き出す

かなりのダメージを受けてたみたいだし、回復にはそれなりに時間がかかるだろう

ブラック・ミストが皇の鍵に視線を移すと目を大きく見開き、舌打ちをして遊馬の腕をつかむ

 

『来い、遊馬!』

 

「え?何、がぁ!?」

 

皇の鍵が光輝き病室を照らす

そして光が皇の鍵に収束したころには遊馬とブラック・ミストの姿は無く、あるのは床に転がった皇の鍵だけ

 

「……つまりはどういうことだってばよ!」

 

凌牙のその叫び声でやっと病室内の時間は動き始めたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入った瞬間に戦いに巻き込まれるという凌牙風に言うなら"遊戯王特有の超展開"に巻き込まれた……遊馬も一緒にここに引きずり込んで正解だったな

皇の鍵の中での戦いは俺達が勝利し、改めてアストラルがNo.の保持者に認められた

そこでようやくアストラルは己の使命を思い出した

ヌメロンコードを使い、バリアン世界を滅ぼす

それがアストラル世界の使者たるアストラルとその記憶である俺達No.がこの世界に来た理由だ

 

「……なぁ、アストラル

 本当にバリアン世界って滅ぼさないとダメなのか?本当に、それが正解なのかな?」

 

『バリアン世界を滅ぼすのが私の使命だからな

 だが、私はもう少しこの問題についてシャークの意見を聞きたいんだ、彼女の意見は実に興味深いからな』

 

バリアン達の戦う理由、あいつらがどうしてアストラル世界を滅ぼすのか

それを凌牙がアストラルに聞いた時のあいつの反応は面白かったな

だって今まで誰もそんなこと考えたことなかったし、考えようとも思わなかったからな

 

『No.96』

 

今だそこに存在している黒の巨人が俺に対して声をかけて来た

本来敗者である黒の巨人が消えずにそこにたたずんでいたのはそう言う事か

 

『あんだよ、もしかして俺もアストラルみてぇにデュエルしろって言うのか?』

 

黒の巨人はフルフルと横に首を振る

 

『No.96の担い手にNo.を使わせるな』

 

『……はぁ?』

 

いきなり凌牙にNo.を使わせるなってどういうことだ?

仮になんの力を持ってない一般人だから、っていう理由だと璃緒が入ってないのがおかしい

あいつも一般人にも関わらずNo.を何体も従えてるのに璃緒が出てこないのは凌牙だけに何か、特別な何かがあるからだろうな

そして凌牙だけが持ってる特別な何かって言ったら

 

『凌牙の前世と何か関係があるのか?』

 

黒の巨人は小さくうなずく

 

『担い手の魂はこの次元の物ではなく、魂はこの次元に固定されていない

 故にこの次元の力を担い手が使いすぎると、担い手の魂はこの次元の力を内包しているが故に元の次元に転生することは出来ず、魂はこの次元の物でない為この次元の転生には出来ないず、魂は次元の狭間で彷徨い続けるだろう』

 

『はぁ!?』

 

こいつのいうことが本当だとしたら、凌牙は前世の世界にも、この世界にも転生できず…

独りぼっちで、誰とも触れ合えず、ずっとずっと永遠に彷徨い続ける

それはきっと死ぬよりも恐ろしい、一人でいるのは何よりもつらいのは俺自身がよくわかってる

 

『元々この次元の魂ではないのに幾度とない魂の移動により魂と器はもう限界を迎えている』

 

……幾度とない魂の移動?

凌牙の話だと前世→今って感じだから魂の移動と言っても1回しかしていないはずだ

なのに幾度となく、という発言だと何回か転生を繰り返しているということになる

ただ単に凌牙が覚えてないだけで移動を何回か繰り返してるって事か?いや、そもそも魂の移動ってなんだ?

転生するんだったら転生と言えばいい、なのに移動ってなんだ?それに

 

『なんでお前がそれを知ってるんだ?』

 

どうして黒の巨人は凌牙が前世の記憶があるのを知っており、凌牙の魂が限界という事を知ってるんだ?

いくらNo.の保持者を試す守護神、ヌメロンコードの使者だとしてもどうして違う次元の事を知ってるんだ?

 

『彼の者との契約だ

 "武藤マナミ、××××、神代凌牙が使役するカードの精霊にこの事実を伝える"という契約がな』

 

……なんだ、今、ノイズが掛かったみたいに言葉がかき消されたような

いや、それよりも彼の者っていったい何者なんだ?どうしてそんなことを知ってるんだ?

 

『いずれ彼の者はお前達の前に現れるだろう

 ……あらゆる次元のあらゆる運命を収束する者……武藤コナミに』

 

そのまま黒の巨人は消え去った

いきなりたくさんの情報にこめかみを抑える

No.…いや、この次元の力と言っていたからバリアンのRUMもそれに含まれるのだろう

それを使いすぎると凌牙の魂が永遠に次元を彷徨い続ける

そしてなぜかそれを知る謎の武藤コナミという存在、武藤ということは凌牙の前世の肉親か?

……違うな、凌牙赤ん坊の頃に孤児院に拾われたと言ってたし、孤児院皆が家族という話は聞いたが凌牙自身に血の繋がった肉親がいると聞いたことがない

一体武藤コナミは凌牙のなんなんだ?

 

「おーいブラック・ミストー!」

 

遊馬が大声で俺を呼ぶ

そちらを見ると遊馬がぶんぶんと手を振り俺の事を呼んでいた

アストラルも俺の方を見て手招きをしており、俺は誘われるままにそちらに向かった

 

『あんだよ』

 

「いや、もうすぐ帰ろうと思って声をかけたんだよ!」

 

『君は黒の巨人と話していたようだけど……なんの話をしていたのだ?』

 

小首を傾げながらアストラルは俺に問いかける

……幸いにもあの会話はこいつらには聞こえていなかったようだ

こんな事あいつらに知られたら、何をしでかすかわかったもんじゃない

俺の判断であいつらに話す前にまず凌牙に言って判断を仰がないと、当事者である凌牙を置いてけぼりに出来ないからな

 

『別になんでもないさ、早く行くぞ』

 

皇の鍵から俺、遊馬、アストラルが出てくるとそこは俺らの見知った病室だった

……見知った病室って単語が出てくるあたりこいつがどんだけの頻度で入院してるかを物語ってるよな

なんだよ第二の実家が病院って……

 

「おお、マジで鍵から出て来た……三人ともおかえりー」

 

「もー!いきなりブラック・ミストも遊馬もいなくなって私たち心配したんだからね!」

 

凌牙と小鳥の声に少しだけ安堵する

さっきの黒の巨人との会話は結構精神に負担がかかったみたいだ

 

『ちょっと皇の鍵の中でデュエルしてただけだ、そこまで心配するようなことは起きてないっての』

 

「いやいやそんだけでもだいぶクレイジーだからな!なんだよペンダントの中でデュエルって!まるで意味が分からんぞ!?」

 

混乱するように凌牙が突っ込みをする

……確かにペンダントの中でデュエルって字面がやばいけど凌牙が話してくれた質量を持ったソリッドヴィジョンってのとかモンスターと人が合体したりとかの方もだいぶクレイジーだと思うんだけどな…

さて、凌牙になんてさっきの出来事を説明するかだな

No.とRUMを使わないように言って……

使わないように?

 

「ん?どうしたん?」

 

もし言って、本当に使わなくなったら俺はもう用済みって事なのか?

アストラルに回収されて、もう凌牙の傍にいることは出来ないのか?

……いや、凌牙もアストラルもそんな事はしないだろう、でもこのことを話して凌牙はどんな選択をするのか

No.を使わないのか、使うのか

幸い凌牙は効果を無効にさせるクリアウィング・ファスト・ドラゴンやカードを手札に戻せる大刃禍是がいるしNo.が無くても十分に戦えるはずだ

でもあいつは素直にいうことを聞くだろうか

この事をどこまで話すべきか

 

『別になんでもないさ』

 

きっとあいつは必要になったらNo.を使うだろうしこの次元のRUMも使うだろう

もしもそうなったら、その時は強制的にでもデュエルを変わろう

あいつが使う前に変わればきっと大丈夫、だからこのことはまだ凌牙には言わないでおこう

これからの戦いで余計な心配事を増やすのは得策じゃないし、必要に応じて俺が話せばいい

 

「ふーん?そうだよ皇の鍵の中で何があったのさ!俺めっちゃ気になるんだけど!」

 

『ん?ああ、それはな』

 

こいつの笑顔を守るために頑張らないと、大丈夫、きっとこの戦いもすぐ終わる

だからそれまでにNo.を使わせないようにしないと

俺を使ってくれないのは寂しいど、あいつには代えられないからな

願わくば凌牙にこの事実を伝える前にこの戦いが終わるのを願うしかないな

 

 

 

 

この選択が、近い将来凌牙を苦しめる結果になるなんて思いもよらなかったけど




箱で買ってブラック・ローズ・ドラゴンやらダーク・ダイブ・ボンバーやカステルやらゴヨウ・ガーディアンやトリシューラやら出てきました!
段々凌牙ちゃんの本命デッキがシンクロに特化していく気がするが気のせいだな(すっとぼけ)
というかドン・サウザンドの契約なるものを当てたんだがこれは物語に組み込んだ方がいいのだろうか

それとブラック・ミストは気が付かなかったけどこの次元の力というのはカードの創造も含まれる
そして凌牙はシグナー竜を持っていない、そして作者は現在シグナー竜を二枚持ってる
……この意味がわかるな(ゲス顔)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

36/神代凌牙VS神代璃緒~誤解です(迫真)~

リンク召喚とやらが出たと風の噂で聞いたので検索したら…
なんというか、うん、うん
真月のRR+BFがやばいことになりましたね、あれエクシーズとシンクロ多用するデッキだし…
多分この小説だとどんな扱いになるのかはもっと詳しくわかってからですね

ゴーシュクリアで現在ブラック・ミストルート攻略中!
攻略が遅くなってすまねぇ…すまねぇ…

あと遅くなりましたが
【前回のルールミス・効果ミス一覧】
・ブラック・ストームの効果は対象を取らないので禁じられた聖衣で防げない


「体のどこにも異常はない、健康そのものだ」

 

「あざーっす!」

 

フェイカーさんの検診を受けて健康という太鼓判を受け改めて退院…退院?することが出来た

あの後病院で軽い検査を受けそのままハートの塔に直行し、そこで入院からの精密検査を受けましたとさ

アリト戦から丸三日が過ぎてたなんてびっくらこいたでぇ……!

なんか一年間病院で寝たきりになったり崖から落ちたり、俺ってもしかしてトラブル体質だったり…?

いや、そんなことは無い、俺はちょっと転生しちゃっただけの普通(?)の女の子だ!

……よくよく考えたら普通じゃないな(白目)

この前オービタル君に恋愛相談されたし、ロボットに恋愛相談される女子とは一体……

 

「うーん、時間もいい感じだし俺学校行ってくるわ」

 

「……今日ぐらいは休んでいったらどうだい?」

 

「いやーフェイカーさん達の気遣いは嬉しいけど出席日数がねー」

 

タダでさえ丸一年寝てたしこの前入院したばっかだしこれ以上休めないのよ……

世界がピンチだってのに学校にも通わないといけないなんてつらいわ

でもそんな日常があるからこそ俺達は正気を保っていられるのか、そうでないのか

 

「なら学校へはクリスに送らせるよ」

 

「マジで?それじゃお言葉に甘えさせてもらうぜ!」

 

「まぁここから学校へは遠いからな

 わかった、凌牙は準備が出来次第ガレージへ来なさい」

 

「了解しましたクリスの兄様ー」

 

璃緒が前に着替えを持ってきた時に制服もついでに持ってきてくれたからその辺は問題ない

ちゃっちゃかと着替えを済ませハートの塔のガレージに直行する

そのまま車に乗って学校に直行、そのままダイナミック☆登校

 

『だからなんでお前は何も考えずにその場のテンションとノリで動くんだよ…』

 

「何も考えてないからじゃね?」

 

『せやな』

 

てこてこと校内に入り下駄箱から上履きを取り出し履き替える

……なぜかここに来るまでに色んな人の目線が俺に突き刺さるんだがどういうことなの?

確かに校門前まで車で来たけどそれでも目立っては無いはずなんだけど……

ガラリと教室のドアを開けると皆が一斉にこっちを向く、なんぞ?本当に今日何があったん?

 

「あ、ああ、おはよう凌牙」

 

「?興司おはよー」

 

若干どもりながら興司も挨拶を返してくるけど一体何なんや?

璃緒も教室にいないし……ブラック・ミストーなんかわかる?

 

『しらねぇな、まぁいずれわかるんじゃねぇか?』

 

んー、まぁそうなんだろうけど……なんか釈然としないなー

そして朝礼が始まっても璃緒が来ることはなかった……そういや風紀の仕事で授業に出れないって昨日連絡あったの忘れてたわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ凌牙、ちょっといいかしら?」

 

「おー瑠那ちゃん先輩じゃん!なんか久しぶりに会ったやん!」

 

「それは貴女が入退院を繰り返してるからでしょう?この前も崖から落ちたってのに……」

 

「子供ってのはやんちゃ生き物なんだぜ☆

 ところでマジでどうしたん?なんか用でもあった?」

 

「ええ、璃緒が第四グラウンドまで来てほしいという言伝を預かってきたわ」

 

「りょうかーい、なんぞよくわからんけど行ってくるぜ!」

 

「がんばってね、凌牙……本当に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後に第四グラウンドまで歩いていくが……遠いなー

というかこの学園がデカすぎなんだよ、グラウンドが10個に体育館が8つ、プールは5つとか頭おかしいよ……

前世での俺の中学時代っていったら一学年一クラスの30人未満、教員含めて100人超えるかどうかってとこだったのに

可笑しくね?いくらなんでも多すぎだろ、流石遊戯王次元といったところか

 

「……それにしても、今日は本当になんだったんだろうねぇ?」

 

『明らかに学校の奴らの様子というか、お前に対しての反応がおかしかったからな』

 

No.かなんかかと思ったけどそんな気配はしないってブラック・ミストは言ってたし

うーん、遊馬達に話を聞いた方が早いけど休みすぎた影響でたまったプリントの処理で休み時間も昼休みもつぶれたからなー

グラウンドにつくと璃緒を筆頭にナンバーズクラブのメンバーが勢ぞろいしていた……まじでこれ何の集まりなん?俺だけなんも知らないの?

 

「璃緒ー来たけどこれなんなん?」

 

「えーっと、それはですねぇ……」

 

「大丈夫ですわ零君」

 

「やっぱり僕の話聞いてくれないんですね、知ってました」

 

んー?話の流れ的に璃緒と零がなんかあるっぽいけど……

ナンバーズクラブの面々を見るとなんだかワクワクしたようにこっち見てるし、零は何だか申し訳なさそうにこっち見てるし

 

「凌牙、私とデュエルなさい」

 

「え?デュエル(物理)?」

 

「残念ながらカードゲームの方ですわ」

 

『その会話がすでにおかしい』

 

だって今まで璃緒とのデュエルはデュエル(物理)だったからな……

どうしてもそっちが出るのはしょうがないね、というかいきなりデュエルってどういうことなん?お姉ちゃん遊戯王次元に適合してきたとはいえこの超展開にはついていけないのよ

璃緒がDディスクとDゲイザーを取り出す……これは何を言っても聞かないパターンですわ

なんで璃緒がこんな暴挙にでたかわかんないけどリアリストの俺が受けて立ちましょう

え?デュエリストじゃないのかって?だって俺だし(適当)

……まぁぶっちゃければ楽しくデュエルできればいいんだし、勝ちには執着してないしそれでデュエリスト名乗ったら本物に失礼やろが……

 

「「Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「貴女が零君を本当に好きなら私に勝って見せなさい!」

 

「( ゚Д゚)!?」

 

「デュエル!」

 

「デュ、デュエル?」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

神代璃緒LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

Dゲイザーを通してみる世界が0から9の数字で構築されていく

というかなんなん?俺が零を好きってどういうことなんだってばよ……

好きは好きだけど友愛の方の好きであって恋愛感情の好きではないんだけど、璃緒の態度を見る限り恋愛感情の方の好きの事を言ってるのは明白なんだよね

零の方を見ると黙って首を振った、諦めんなよぉ!後ブラック・ミストは爆笑してんなや!

 

「先行は俺だね!ドロー!

 俺はフィールド魔法の暴走魔法陣を発動!このカードの発動処理として召喚師アレイスターを手札に加えさせてもらうぜ、そして俺は沼地の魔紳王を墓地に捨ててデッキから融合を手札に加える!」

 

カシャリとDディスクから出て来た召喚師アレイスターと融合のカードが出てくる

そして辺りを見回すと夜空へと早変わりし、足元には赤い魔法陣が輝いて実に厨ニ心がくすぐられますわ

 

「っと、暴走魔法陣の説明するな

 このフィールド魔法は融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した時、その発動は無効化できず融合召喚成功時に相手は魔法・罠・モンスター効果を発動出来ないぜ」

 

「融合カードに融合召喚をサポートするフィールド魔法……まさか!」

 

「その予想は当たってるよ!俺は手札からファーニマル・ドッグを召喚!」

 

 

ファーニマル・ドッグ

星4/地属性/天使族/攻1700

 

 

「ドッグの効果発動!手札から召喚、特殊召喚された時デッキからエッジインプ・シザーかドッグ以外のファーニマルモンスターを手札に加える!俺はエッジインプ・シザーを手札に加えるぜ!

 そして手札から魔法カード融合を発動!ファーニマル・ドッグと手札のエッジインプ・シザーを融合する!」

 

空中にグルグルと渦巻く、全てを統合させる神秘の渦が空中に現れる

そして二体のモンスターがフィールドから、手札から離れてその渦へと巻き込まれていく

 

「悪魔の爪よ!悪意の駒よ!神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ! 融合召喚!現れ出ちゃえ、全てを落とす深淵の支配者!デストーイ・デアデビル!」

 

 

デストーイ・デアデビル

星8/闇属性/悪魔族/攻3000

 

 

「ゆ、融合召喚!?」

 

『何!シャークは融合召喚を使わないのではないか!?』

 

『待て、どうしてアストラルがそのネタ知ってるんだ』

 

「聞いてたシャークのデッキじゃないウラね」

 

「ああ、あれは余所行きのデッキですよ

 さすがにシンクロやペンデュラムを公に使うわけには行きませんからね…」

 

「真月君も普段はシャイニング使ってるもんね」

 

デストーイ使ってるのこのメンバーじゃブラック・ミストと零ぐらいだもんなー

後はカイトにハルト君にオービタル君……なんだただの前世教室のメンバーか

というか普段使ってるのが多いのが妖仙獣+SRってだけで他にもデッキいくつか持ってるんだけどなー

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンド」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:3

【モンスター】

デストーイ・デアデビル/攻3000

【魔法・罠】

伏せ×1

【フィールド魔法】

暴走召喚陣

 

 

「私のターンです、ドロー!

 ……ふむ、私は相手フィールド上にモンスターが居て私のフィールドにモンスターがいないとき手札からBF(ブラック・フェザー)-暁のシロッコをリリース無しで召喚できます」

 

 

BF-暁のシロッコ

星5/闇属性/鳥獣族/攻2000

 

 

「さらにカードを2枚伏せてターンエンドです」

 

 

神代璃緒LP:4000 手札:3

【モンスター】

BF-暁のシロッコ/攻2000

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

なんか静かなのが怖い…怖いよぉ!

まじでなんで璃緒は俺が零を好きだって勘違いしてしまったん?

でもああなった璃緒は止められないしな……うん、頑張ろう(白目)

 

「俺のターン、ドロー!俺はファーニマル・ペンギンを召喚!」

 

 

ファーニマル・ペンギン

星4/水属性/天使族/攻1600

 

 

「行くぜ!俺はデアデビルでシロッコを攻撃する!」

 

「罠発動、イタクァの暴風!相手フィールド上の表側表示全てのモンスターの表示形式を変更します!」

 

アイエエエ!ナンデ!?クトゥルフナンデ!?

やばい俺サイコロ持ってないよ!?何面ダイス降ればいいんだ!?1d10/1d100のSANチェックか!?

 

 

デストーイ・デアデビル/攻3000→守2200

 

ファーニマル・ペンギン/攻1600→守1100

 

 

「むー…俺はカードを一枚伏せてターンエンド」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:2

【モンスター】

デストーイ・デアデビル/守2200

ファーニマル・ペンギン/守1100

【魔法・罠】

伏せ×2

【フィールド魔法】

暴走召喚陣

 

 

「では参ります、ドロー!

 私は永続魔法ホログラム・プロジェクションを発動します、フィールド上のモンスター1体を選択して発動でき、カードは発動後、選択したモンスターと同じ種族・属性・レベル・攻撃力・守備力の同名モンスターカードとなり、 自分のモンスターカードゾーンに特殊召喚します!対象はシロッコです!

 レベル5のシロッコとシロッコ扱いのホログラム・プロジェクションでオーバーレイ、エクシーズ召喚!氷の翼を持つ美しき姫!零鳥姫リオート・ハルピュイア!」

 

 

零鳥姫リオート・ハルピュイア

ランク5/水属性/鳥獣族/攻2500 ORU:2

 

 

「私はハルピュイアでデアデビルを攻撃!」

 

「だったらデアデビルの効果を発動!表側表示のこのカードが破壊された時、墓地のデストーイモンスター×500のダメージを与える!墓地にはデアデビルが一体だけだから500のダメージを与える!」

 

 

神代璃緒LP:4000→3500

 

 

そのままにデアデビルは粉砕される

なんというか見せ場を与えられなくてすまねぇ…すまねぇ…

そして璃緒はそのままターンエンドした

 

 

神代璃緒LP:3500 手札:3

【モンスター】

零鳥姫リオート・ハルピュイア/攻2500 ORU:2

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!

 手札から永続魔法デストーイ・ファクトリーを発動!自分の墓地の融合魔法カード、またはフージョン魔法カードを除外して発動できるぜ!自分フィールド・手札を素材として融合召喚できる!

 俺は墓地の融合を除外して手札のエッジインプ・チェーンとフィールドのファーニマル・ペンギンを融合!悪魔の鎖よ!堕ちた鳥よ!神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ! 融合召喚!現れ出ちゃえ、全てを封じる鎖の獣!デストーイ・チェーン・シープ!」

 

 

デストーイ・チェーン・シープ

星5/闇属性/悪魔族/攻2000

 

 

「素材となったチェーンとペンギンの効果発動!

 チェーンは手札・フィールドから墓地へ送られた場合、デッキからデストーイカードを手札に加える!俺は魔玩具融合(デストーイ・フージョン)を手札に加える!

 ペンギンはデストーイモンスターの融合召喚の素材になった時にデッキから2枚ドローし1枚墓地に捨てる

 そして俺は魔玩具融合(デストーイ・フージョン)を発動!このカードは墓地・フィールドのモンスターを除外して融合召喚できる!俺は墓地のエッジインプ・シザー、ファーニマル・ドッグで融合召喚!現れ出ちゃえ!すべてを引き裂く密林の魔獣!デストーイ・シザー・タイガー!」

 

 

デストーイ・シザー・タイガー

星6/闇属性/悪魔族/攻1900/守1200

 

 

「シザー・タイガーの効果発動!融合素材となったモンスターの数までフィールドのカードを対象にし破壊する!」

 

「なんですって!?」

 

素材となったモンスターは二体、璃緒のフィールドはハルピュイアと伏せカードだけ

カードが全て破壊され墓地に送られていく、伏せカードは……エクシーズ・リボーンかー

 

「さらにシザー・タイガーがフィールドに存在する時、自分フィールドのデストーイモンスターはファーニマル及びデストーイモンスターの数×300アップする!」

 

 

デストーイ・チェーン・シープ/攻2000→2600

 

デストーイ・シザー・タイガー/攻1900→2500

 

 

「総攻撃力4100……」

 

「これが通ればワンターンキルにゃ!」

 

あっ、外野にフラグを建てられた

 

「行け!チェーン・シープとシザー・タイガーでダイレクトアタック!」

 

「させませんわ!私は手札のバトルフェーダーの効果を発動!

 ……効果はもちろん凌牙も知っていますよね?」

 

 

バトルフェーダー

星1/闇属性/悪魔族/守 0

 

 

そら俺が愛用してるカードだしな……

手札誘発でバトルを強制終了させる、レベルは1だけど俺は好きです

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

あーもーなんでこんなことになったんやろな……

俺が零を好きって誤情報一体どこから出てきたことやら

それにまだ出てきてないけど璃緒には俺の前世カードも入ってるし…

なんだかこの先のデュエルの展開を考え、ため息を付いた

……後で魔界劇団デッキ作ってトーマスとでもデュエルしようかな

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:2

【モンスター】

デストーイ・チェーン・シープ/攻2600

デストーイ・シザー・タイガー/攻2500

【魔法・罠】

デストーイ・ファクトリー(永続魔法)

伏せ×2

【フィールド魔法】

暴走召喚陣

 

神代璃緒LP:3500 手札:2

【モンスター】

バトルフェーダー/守 0

【魔法・罠】

無し




というわけで散匂わせておいた凌牙ちゃんのデッキは素良くん愛用デッキデストーイでした!
というか璃緒ちゃんのデッキ考えるの大変なんですわ…
アニメでも元々あまりカード使ってなかったし、デュエルカーニバルが無かったら即死でしたわ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

37/神代凌牙VS神代璃緒~バーンダメージは偉大~

現在5Dsをレンタルで視聴中です
何というか…アキちゃんの過去が壮絶すぎてびっくりした
アキちゃんのお父さんェ……あんなことしたらそらアキちゃんグレる(?)だろ……
後カーリーのダークシグナー化も詳しい経緯知らなかったけどめっちゃ心が痛かったよ……
やっぱり5Dsって大人向けのアニメやったんやな
ブルーノちゃんも双子ちゃんも可愛いよ可愛い


神代凌牙LP:4000 手札:2

【モンスター】

デストーイ・チェーン・シープ/攻2600

デストーイ・シザー・タイガー/攻2500

【魔法・罠】

デストーイ・ファクトリー(永続魔法)

伏せ×2

【フィールド魔法】

暴走召喚陣

 

神代璃緒LP:3500 手札:2

【モンスター】

バトルフェーダー/守 0

【魔法・罠】

無し

 

 

「私のターン、ドロー!

 私はバトルフェーダーをリリースして大皇帝ペンギンをアドバンス召喚しますわ!」

 

 

大皇帝ペンギン

星5/水属性/水族/攻1800

 

 

大きなペンギンがぽんっとフィールドに現れる

なんかあれ見たい、こう……でっかい動物の風船(?)で中に入ってポンポン遊ぶみたいなあれ見たい

巨体を跳ねさせてフィールドを和ませる、何あれぐうかわ

 

「さらに大皇帝ペンギンの効果を発動します、このカードをリリースすることで自分のデッキから大皇帝ペンギン以外のペンギンモンスターを2体まで召喚できます、私はガード・ペンギンを二体召喚します!」

 

 

ガード・ペンギン

星4/水属性/鳥獣族/攻 0

 

 

「私は二体のガード・ペンギンでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!舞い降りよ、零鳥獣シルフィーネ!」

 

 

零鳥獣シルフィーネ

ランク4/水属性/鳥獣族/攻2000 ORU:2

 

 

……あっ(察し)

 

「私はシルフィーネの効果を発動!1ターンに1度ORUを1つ使い相手フィールド上の表側表示のカードの効果を無効します、さらにこのカードの攻撃力はこのカード以外の表側表示のカード×300ポイントアップする!

 フィールドにシルフィーネ以外の表側表示のカードは4枚!よってシルフィーネは1200攻撃力がアップしますわ!

 さらに表側表示のカード効果が無効になったことによりチェーン・シープとシーザー・タイガーの攻撃力が下がります、なおこの効果は次の私のスタンバイフェイズまで続きますわ」

 

 

零鳥獣シルフィーネ/攻2000→3200 ORU:2→1

 

デストーイ・チェーン・シープ/攻2600→2000

 

デストーイ・シザー・タイガー/攻2500→1900

 

 

くっそ対象を取らないカード効果だからデストーイ・マーチが発動できない……

デストーイ・マーチの発動条件はモンスター効果・魔法・罠がデストーイモンスターを対象にしたときに発動できるだからな

 

「私はシルフィーネでシザー・タイガーを攻撃!アイス・レイ!」

 

氷の刃がシザー・タイガーを切り裂く

そしてシザー・タイガーから白い綿があちこちに飛び散り、そのまま爆発四散した

 

 

神代凌牙LP:4000→2700

 

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンドです」

 

 

神代璃緒LP:3500 手札:0

【モンスター】

零鳥獣シルフィーネ/攻3200 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

やっぱシルフィーネ強いなぁ……

とりあえず手札が心元ないし、もうちょっと手札稼がないと

デストーイ・ファクトリーは効果無効で使えないし、ドローしてから考えよう

……後でこのデッキにもエクシーズ・トレジャー入れておこうそうしよう

 

「俺は墓地の置換融合の効果発動!墓地のこのカードを除外して発動!自分墓地の融合モンスターをEXデッキに戻し、自分はデッキからカードを1枚ドローできる!俺はデストーイ・デアデビルをEXデッキに戻す!」

 

「置換融合なんていつ墓地に……ファーニマル・ペンギンの手札交換の時ですわね」

 

「せやで(便乗)

 俺はファーニマル・オウルを召喚!」

 

 

ファーニマル・オウル

星2/地属性/天使族/攻1000

 

 

「そしてオウルは手札から召喚、特殊召喚された時デッキから融合を1枚手札に加える!

 そんでもって今手札に加えた融合を発動!手札のファーニマル・マウスとデストーイ・チェーン・シープを融合する!

 融合召喚!現れ出ちゃえ、全てに牙剥く魔境の猛獣!デストーイ・サーベル・タイガー!」

 

 

デストーイ・サーベル・タイガー

星8/闇属性/悪魔族/攻2400

 

 

「サーベル・タイガーの効果を発動!このカードが融合召喚に成功した時、墓地のデストーイモンスター1体を特殊召喚する!俺はシザー・タイガーをフィールドに呼び戻す!

 さらにシザー・タイガーとサーベル・タイガーの効果発動!シザー・タイガーの効果でデストーイモンスターはファーニマル・デストーイモンスターの数×300アップする、よって900ポイント攻撃力がアップする!

 サーベル・タイガーはこのカードが存在する限りデストーイモンスターの攻撃力は400上がる!よって攻撃力は」

 

 

デストーイ・シザー・タイガー/攻1900→3200

 

デストーイ・サーベル・タイガー/攻2400→3700

 

 

「こ、攻撃力3200と3700!?」

 

「なんですかあの脳筋の相乗効果は!」

 

おい孝、俺もかなりの脳筋効果だと思うけど言ってやんなよ……

デストーイって基本的にレベル(攻撃力)を上げて物理で殴れって感じのデッキテーマだし(多分)

 

「行け!俺はサーベル・タイガーでシルフィーネを攻撃!」

 

「甘いですわ!リバースカードオープン、速攻魔法ハーフ・シャットを発動しますわ!

 このカードはフィールド上で表側表示のモンスターを選択して発動します、選択したカードは戦闘では破壊されず攻撃力はこのターンのエンドフェイズまで半分になります、私はデストーイ・サーベル・タイガーを選択しますわ」

 

「その大ダメージはつらい!俺は手札の召喚師アレイスターの効果発動!このカードを墓地に送り自分の融合モンスターの攻守を1000アップする!」

 

 

デストーイ・サーベル・タイガー/攻3700→1850→2850

 

神代凌牙LP:2700→2350

 

 

やばい、一方的にやられてる……

まじであの子なんなん!?マジでこっちの思考を読んでるがごとくの罠回避率だよ……

墓地のデストーイを蘇生させても次の璃緒のターンで無効化+攻撃力アップされる

 

「俺はシザー・タイガーでシルフィーネを攻撃する!」

 

「…!相打ち狙いですか」

 

そらね、シルフィーネの効果無効つらいからね……

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

「エンドフェイズ時に永続罠リビングデッドの呼び声を発動しますわ、墓地の大皇帝ペンギンを対象に発動!大皇帝ペンギンを私のフィールドに特殊召喚しますわ!そしてこの瞬間、ハーフ・シャフトの効果が切れますわ」

 

 

神代凌牙LP:2350 手札:0

【モンスター】

デストーイ・サーベル・タイガー/攻3700

デストーイ・シザー・タイガー/攻3200

ファーニマル・オウル/攻1000

【魔法・罠】

デストーイ・ファクトリー(永続魔法)(効果無効)

伏せ×3

【フィールド魔法】

暴走召喚陣(効果無効)

 

 

「私のターン、ドロー!

 スタンバイフェイズになりましたので零鳥獣シルフィーネの効果は終了します

 そして大皇帝ペンギンの効果発動!大皇帝ペンギンをリリースしてトビペンギンを2体特殊召喚いたします!」

 

 

トビペンギン

星4/水属性/水族/攻1200/守1000

 

 

「さらに私はマジック・プランターを発動させます、場に残ったリビングデッドの呼び声を墓地へ送りカードを2枚ドローできます!ドロー!」

 

璃緒が勢いよくカードを引き抜く

ドローカードを見て、璃緒は笑った

 

「私は手札からサイレント・アングラーを特殊召喚します!このカードは自分フィールドに水属性モンスターが存在する時、手札から特殊召喚できますわ!」

 

 

サイレント・アングラー

星4/水属性/魚族/攻 800

 

 

……?レベル4のモンスターが3体?

んんー?あれ、璃緒ってレベル4のモンスターが3体のエクシーズモンスターって持ってたっけ?

それとも融合とか使うのかな?

 

「私は2体のトビペンギンとサイレント・アングラーでオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 最強最大の力を持つ深海の帝王!その牙で全ての物を嚙み砕きなさい!No.32海咬龍シャーク・ドレイク!」

 

 

No.32海咬龍シャーク・ドレイク

ランク4/水属性/海竜族/攻2800 ORU:3

 

 

「なん、だと」

 

璃緒が操るモンスターから想像できないほどやばいのが出て来た

全体的に紫色のフォルムで赤と黒がアクセント(?)として添えられている

なんでだろう、某融合次元の紫キャベツを思い出したわ

というか待って待って、俺あいつの効果全く知らない!

 

「私はシャーク・ドレイクでファーニマル・オウルを攻撃、デプス・バイス!」

 

噛み砕かれ、綿が飛び出て爆発四散する

なんなんだ?俺のモンスターは爆発四散しないと気が済まないのか?

 

 

神代凌牙LP:2350→550

 

 

「この瞬間、シャーク・ドレイクの効果を発動します

 ORUを一つ使い先ほど破壊したファーニマル・オウルの元々の攻撃力を1000ダウンさせ、攻撃表示で特殊召喚します!さらにこのバトル中にもう一度だけこの効果で特殊召喚したモンスタと戦闘できますわ!」

 

「それ通したら負け確じゃないですかやだー!

 罠カードのファーニマル・クレーンを発動!自分フィールドのファーニマルモンスターが戦闘・効果で破壊され墓地に送られた時、破壊したモンスターを手札に加え、自分はカードを1枚ドローできる!

 墓地からオウルが居なくなったことによりシャーク・ドレイクの効果は不発だ!」

 

 

No.32海咬龍シャーク・ドレイク ORU:3→2

 

 

クレーンゲームのアームが出現し、墓地にアームを突っ込んだかと思えばオウルが運ばれてきた

俺の手札に加わる時にデッキのカードが一枚引っかかって2枚とも俺の手札にシュゥゥゥーッ!超!エキサイティング!された

……

 

「『(無言の運搬)」』

 

「凌牙もブラック・ミストも脳内に直接語り掛けるのはやめなさい」

 

すんません

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

神代璃緒LP:3500 手札:0

【モンスター】

No.32海咬龍シャーク・ドレイク/攻2800 ORU:2

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は手札からデストーイ・リニッチを発動!墓地からデストーイモンスターを特殊召喚する、来い!チェーン・シープ!

 さらに罠カード、融合準備(フージョン・リザーブ)を発動!エクストラデッキのカードを公開して、その融合素材のモンスターをデッキから手札に加える!さらに墓地から融合を1枚選んで手札に加える!

 俺はデストーイ・デアデビルを公開してエッジインプ・シザーを手札に加える!かーらーのー手札から融合を発動!シザーとオウルで融合召喚!何度でも働けぇ!デストーイ・デアデビル!」

 

 

デストーイ・デアデビル

星8/闇属性/悪魔族/攻3000

 

 

「シャーク先輩!さすがにその召喚口上は酷いと思います!」

 

大丈夫、この程度は許容範囲内(のはず)

それにこの程度では過労死とは程遠いと思うからセーフセーフ

 

「手札から魔法カード融合回収(フージョン・リカバリー)を発動!墓地の融合と融合召喚に使用した素材のオンスターを手札に加える、俺は融合とファーニマル・ペンギンを手札に加える

 そしてエッジインプ・シザーの効果発動!手札1枚をデッキトップに置いてシザーを守備表示で特殊召喚!

 デストーイ・ファクトリーの効果で、墓地の魔玩具融合(デストーイ・フージョン)を除外してファーニマル・ペンギンとエッジインプ・シザーで融合召喚!デストーイ・シザー・ウルフ!」

 

 

デストーイ・シザー・ウルフ

星6/闇属性/悪魔族/攻2000

 

 

「サーベル・タイガーとシザー・タイガーの効果により攻撃力がアップする!」

 

 

デストーイ・サーベル・タイガー/攻3700→4300

 

デストーイ・シザー・タイガー/攻3200→3800

 

デストーイ・チェーン・シープ/攻2000→3900

 

デストーイ・デアデビル/攻3000→4900

 

デストーイ・シザー・ウルフ/攻2000→3900

 

 

『なぁアストラル』

 

『どうしたブラック・ミスト』

 

『あの布陣割と絶望的だと思うけどどう思うよ』

 

『5体の融合モンスター、総攻撃力20800……中々に倒しがいがありそうだな』

 

『お前そんなバトルジャンキーだったっけ?』

 

そんな事言えるのアストラルぐらいだと思うよ?

俺だったらこんな布陣展開されたらもう絶望するしかないじゃない!状態になる

 

「それじゃ俺はデストーイモンスター達で攻撃を」

 

「……あら、何を勘違いしてますの?凌牙のバトルフェイズは始まりませんわよ?」

 

「ひょ?」

 

……この状況を覆す伏せカードがあれって事?

今更ミラフォで全体破壊しても、手札に戻しても墓地にはまだ融合カードがあるからメインフェイズ2で融合できるから俺のフィールが開くことは無い

なんだ?あの伏せカードはなんだ!?答えろ夜一いいいいいい!

 

「まさに自業自得、ですわ」

 

璃緒がDディスクを操作して伏せていたカードを発動させる

赤色のカードで、それが罠であることが分かる、そしてカード名は"自業自得"

 

 

自業自得

通常罠

相手フィールド上に存在するモンスター1体につき、相手ライフに500ポイントダメージを与える

 

 

……あっ(察し)

 

「凌牙のフィールドには5体のモンスター、よって2500のダメージを受けてもらいます」

 

……そっかー、バーンダメージかー

そうだよなーバトルフェイズに入る前にバーンダメージでライフを0にしちゃえばバトルフェイズは始まんないよなー

そんなことを思いながらオーバーキルのダメージを甘んじてその身に受け止めた

 

 

神代凌牙LP:550→—1950

 

WIN 神代璃緒

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凌牙はデュエルに負けましたが、貴方が零君を本当に好きでしたら別に止めたりはしませんのよ?

 ただずっと一緒にいた凌牙が零君を取られるのが癪だったので……でも後悔してませんわ」

 

「MATTE☆なんでそうなってるん!?俺が零を好きってどういうことなん!?いや、確かに友愛的な意味で好きだけどさ!?」

 

「……?」

 

俺がそう言うと璃緒は理解できないのかキョトンとした顔でこちらを見てる、あらかわいい

…じゃなくって!一体どうしてそう話になったんだよ!

本気で困惑している璃緒の横から零が出てきて一枚の新聞を取り出してきた

 

「これが元凶ですよ」

 

若干疲れた声色の零から新聞紙を受け取り内容を確認する

そこには"熱愛!?真月零とシャーク!"の見出しでなぜか俺と零が付き合ってるって内容だった

 

「えー……」

 

「えーって、シャーク貴女本当に違うの?」

 

「違うって」

 

若干小鳥ちゃんが残念そうに言うけど、事実なのよね

そして記事の内容を確認していく

 

「ここのお姫様抱っこって病院の時の奴だよね?あれただ単に俺が動けなかったから零に運んでもらっただけなんだよなぁ」

 

「こっちの二人で下校って、シャーク先輩の前世カード関連でカイトさんに呼ばれてハートの塔に行ってるだけなんですよね」

 

「……あーこっちの二人で雑貨屋デートってあれだよね、前にハルト君にお土産にぬいぐるみ買ってった奴」

 

ドンドンと新聞の間違いを訂正していく

あー……確かにこれ客観的に見たら付き合ってるって言われても仕方ないわな

でもね、一つ言わせてもらうけどなんで小鳥ちゃんと遊馬は噂になってないんだよ……

あの子らマジで四六時中一緒にいるよ?普通に小鳥ちゃん遊馬の家に泊まったりしてるみたいだし、親公認みたいだし?

 

「なーんだ、じゃあ新聞部の奴らの勘違いかよ」

 

「そそそそそそうですよね!新聞部の勘違いですよねぇ!」

 

「そ、そうウラそうウラ!新聞部の勘違いに違いないウラ!」

 

……なーんか孝と徳之助怪しいな

璃緒もそう思ったのか訝し気に2人を見ていた

なんか釈然としないけどとりあえずまだ読んでない内容を頭の中に入れていく、そして見つけた最後の一文

 

情報提供者:U・Tさん、T・Tさん

 

裏表(U)徳之助(T)等々力(T)(T)……あっ(察し)

最後の一文に璃緒も気が付いたのか黙って二人を見定める

あっダメだ完全に目が座ってる……安心しろ二人とも、骨は拾ってやんよ

 

「「……ごめんなさいいいいいいいい!」」

 

「待ちなさい!」

 

徳之助と孝が逃亡し、璃緒がそれを全力で追いかける

何分璃緒は俺とデュエル(物理)してるし追いかけっこも日常的にやってるし、2人が逃げ切るのは難しいだろう

俺と零は2人に対し静かに十字架を切った




この話いつの間にか37話まで続いてるけど、ZEXALで37話って言ったら徳之助の不正がゴーシュとドロワに見つかって遊馬が代わりにデュエルするってとこだった
……これ完結するまで何話かかるんだ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

38/神代凌牙と慌しい文化祭

ただいま


デュエカでは真月ルート攻略してさなぎちゃんルート攻略中です!
カイトまで倒したけど、噂のさなぎバンドってあんな風にメンバー集めてたんだ……
というかさなぎちゃんの言葉がめっちゃ心に来る……さなぎちゃんのファンになります(真顔)
え?ブラック・ミストルートはどうしたのだって?
……(目反らし)


魔の試着部屋

そう書かれた看板は俺達のクラスにかけられており、そこには何人かの人が列をなしていた

出口側から出て来た男女のお客さん、一人はアロマージ—ベルガモット、一人はアロマージ—ジャスミンの衣装を着ていた

ハートランド学園の文化祭の日である今日、俺達のクラスは貸衣装屋さんをしておりましたとさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりコスプレしたいわ!コスプレ喫茶にするべきよ!」

 

「それじゃ他の奴らと被るだろ!」

 

「休憩時間が多いほうがいい、むしろ何もやらないで皆で出店巡ろうぜ!」

 

「えー!俺達もなんか出そうぜ!こう、皆が楽しめる奴さー!」

 

「何か作りたーい」

 

文化祭での出し物を決める話し合いは混沌を極めていた

皆が皆自分のやりたい事を押し付け合いで中々話し合いは進まない

この話し合いのまとめ役である璃緒も興司もあまりの混沌さに片方はため息を付き、片方は眉間にしわを寄せていた……お疲れーっす

若干疲れたような声色で璃緒は俺に意見を求めて来た

 

「凌牙は何かある?」

 

「ん?んー……貸衣装屋さんとか?」

 

「貸衣装屋さんって……」

 

興司が呆れながらも黒板に貸衣装屋さんの文字を書く

うん、お前のそういう真面目なところ好感が持てるYO!

 

「貸衣装と言っても他のクラスと衣装を被らせなければよくない?

 店員である俺らもコスプレすれば宣伝にもなるし、貸衣装屋なんてきっと誰もやらないから被らないだろ?

 休憩時間も衣装貸出とか衣装を着る補助とかだったら、あんまり人を使わないだろうから必然的に休憩時間は多くなると思うよ?

 それにハートランドの生徒も外部から来た人もコスプレ出来れば両方楽しいと思うし、衣装も手作りになるだろうし……一応さっきでた意見は全部クリアできてるで?」

 

「……他のクラスと衣装を被せないと言いましたけど、全てのクラスに何のコスプレをするか聞くつもりですの?」

 

「んー」

 

皆から見えないように前世カードを取り出し、5枚ぐらいそのモンスターの衣装を書いて渡す

ちなみに書いたモンスターの衣装はKozmo-グリンドル、ヒュプノシスター、幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ、十二獅子サラブレード、EM(エンタメイト)バラード

俺の前世カードからだったら他の奴と絶対被ることはないし

 

「……」

 

「あれ?皆どうしたん?」

 

いきなり皆黙りこくってこっちを見ている

なんだこの新手のホラー、本当に大丈夫かこいつら

 

 

 

 

 

 

 

そしてなぜか俺の案が採用されてこうして貸衣装屋さんの魔の試着室部屋が完成したというわけさ!

 

「それにしてもすごい人だよね……やっぱり皆文化祭だしコスプレしたかったんだね」

 

相克の魔術師の衣装を身にまとった興司が俺と璃緒の元にやってきた

あー、もう交代の時間か……璃緒と二人で飲んでいた飲み物を片付けて接客の準備に移る

 

「兄さん!」

 

パタパタと興司そっくりの少年が入ってきた

その少年は刻剣の魔術師のコスプレをしており、手には出店で買った綿あめが添えられている……いいなー

 

「優司!すぐにそっちに行くから教室の外で待ってろって言っただろ?」

 

「あ、ごめん…」

 

「もう…紹介するよ、僕の弟の八雲優司だよ」

 

「八雲優司です」

 

そう言ってペコリとお辞儀する優司君

興司と同じで白髪に緑色の髪がアクセントとして添えられている

……うん、やっぱりツートンカラーの髪は遊戯王の伝統だよなー……6代目遊戯王の遊作君は脅威のスリーカラーだけど

 

「初めまして優司君、俺は興司の友達の神代凌牙だ」

 

「私は神代璃緒と言いますの

 こちらの凌牙の双子の妹ですわ、よろしくお願いね」

 

「う、うん、よろしく……」

 

そういって優司君は若干顔を赤くしながら目を反らす

うちの妹は宇宙1可愛いからね、しょうがないね

 

「……それにしても璃緒も凌牙も本当にその衣装でいいの?」

 

「えー、だって俺達双子だし?この衣装がそれっぽいかなーって

 確かに俺は包帯グルグルだから見た目悪いけどさー」

 

「確かに露出度は高いと思いますけど、私は気に入ってますし問題ありませんわ」

 

俺と璃緒はお互いの衣装を見てそんな感想を漏らす

漫画版ARC-Vの遊矢が使用しているアイドルカードのEMユニとEMコンだ

あー璃緒が可愛くて心がぴょんぴょんするんじゃ~……

大きく胸元が開いており、首には蝶ネクタイと襟だけが付いている

下はバニーガールみたいになっていて少しだけ寒いけどしょうがないね、あとは上着だったりと多少の違いはあれど大体の服の構造は同じだ

 

「あ、いくら興司でも璃緒に色目使ったら優司君の目の前だろうが何だろうがぶち転がすからそのつもりで☆」

 

「そうですわ、先に言っておきますが凌牙に不埒な事を働いたら凍らすから」

 

「……なんというか、うん、凌牙と璃緒がいつも通りで何よりだよ」

 

「「?」」

 

俺も璃緒もいつも通りだよ?

よくわからず俺も璃緒も小首を傾げていると興司にため息を付かれたのであった、解せぬ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

興司と優司を送り出し、途中で生徒会長と瑠那ちゃん先輩がやってきたので生徒会長に霊魂鳥神(エスプリット・ロード)-彦孔雀、瑠那ちゃん先輩に霊魂鳥神(エスプリット・ロード)-姫孔雀の衣装を貸し出したりと色々あったが滞りなく営業出来ている

……滞りなく営業出来てるけどなんか人多くない?

最初は並んでいても3人4人だけだったけど今は常に6人は並んでいる状態だ

とりあえずもうすぐ俺達の仕事は終わりだし、あとは任せたぜ皆!(丸投げ)

 

「うーん、並んでんねー」

 

「ええ、まさかこんなになるなんて私も思いもしませんでしたわ」

 

衣装を貸し出しつつ璃緒とそうぼやく

俺が提案したことだったけど、こんなに繁盛するとは思わなんだ

 

「ねぇ凌牙、璃緒、貴方達にお客さんが来ているわよ?」

 

クラスメイトの1人がそう言いながら6人の人間が控室に入ってきた

……おいアークライト一家と天城兄弟何してんだYO!というかトーマスは帽子被ってごまかしてるだろうけどいつバレるかどうかひやひやするよ

 

「やっほー、遊びに来たよ!」

 

「ういーっすバイロンさん、通常運転で何よりっすわ」

 

「あら、皆さんお久しぶりですわ」

 

「璃緒、凌牙も久しぶりだな

 今日はトーマスがこの学園で交流会デュエルをするからな、私たちはその付き添いだ」

 

「ねぇねぇ!僕たちもこれ着て良い?」

 

「これお前の持ってる前世カードの奴だろう?いいのかよ」

 

「……まぁ、大丈夫ではないか?」

 

「トーマス兄様もカイトも細かい事は気にしちゃダメですよ?」

 

どやどやと休憩室に入ってくるアークライト一家と天城兄弟

いつもの高貴な服とナンバーズハンターの正装(?)とは違い普通の服を着ている

……普通の服だけど中身がいいからどこぞのブランドの服と言われても納得しそう

 

「兄さん!僕これがいい!」

 

「父様に兄様達!僕たちも何かコスプレしましょうよ!」

 

「ハルト!わかった、わかったから引っ張るな!」

 

「わーい!僕コスプレだぁーいすき!」

 

『おい、いい大人がそんな事言って恥ずかしくないのか?』

 

「ブラック・ミスト、お前居たのか……」

 

「というかマジレスすんじゃねぇよ……」

 

そう言いながらさっき来たのにも関わらずさっさと退室してコスプレ衣装を選ぶ

和気あいあいとコスプレ衣装を選んでるけど……いや、もう何も言うまい

途中でトーマスがⅣとバレて大騒ぎになったりカイトがWDCに出て来たとあのカイトとわかり大騒ぎになったりとハプニングがあったが何とか衣装貸出に成功する

アークライト一家と天城兄弟は十二獣で統一させておりバイロンさんが十二獣モルモラット、クリスの兄様が十二獣タイグリス、トーマスが十二獣ヴァイパー、ミハエルが十二獣クックル

天城兄弟がカイトが十二獣サラブレード、ハルトは十二獣ラムのラインナップ

お揃いとかお前ら仲いいな

 

「うーん、遊馬達のクラスに行きたかったけど時間が……」

 

ミハエルが時間を確認するとトーマスが交流デュエルの時間になったらしく、俺達はそのまま第2グラウンドにいどうする

最初はトーマスとの交流デュエルで、その次は羽原夫妻の交流タッグデュエルだ

トーマスの交流デュエルは順調に進んで各段大きな問題は起きなかった

最後の閉めとしてトーマス&カイトVS俺&璃緒のタッグデュエルは大いに盛り上がりましたとも!

ん?結果?負けたに決まってんだろ!(半ギレ)

終わった後はデュエルアイドルのさなぎちゃんのバンドの手伝いに行ったりと有意義な時間を過ごした

そして休憩時間が終わりクラスに戻るといつの間にか10人以上が列をなしていた……なんでや!

璃緒と2人でぎょっとしていると列をなしているとクラスメイトの一人が俺達を見つけると、あわててこっちにやってくる

 

「よかった!2人とも戻ってきてくれたんだ!」

 

「お願い手伝って!」

 

思いのほかトーマスとの交流デュエルでしたコスプレが大好評だったらしく、あの衣装はどうした!あのクラスの衣装だ!さなぎちゃんバンドのギターの子のあの衣装はなんだー!

……みたいな感じで話題が話題を呼び、この惨状が出来上がったというわけだ

それからは戦場だった

何度も何度も衣装を貸し出しを行い列を捌くが、なかなか列が減らないしむしろ増えてる

うん、これは地獄ですな(白目)

それにあのタッグデュエルを見た人も何人かいてその人達の対応もありめっちゃ大変ですわ……

 

『凌牙!璃緒!カオスだ!バリアンの気配がグラウンドの方からする!』

 

「「!!」」

 

ブラック・ミストがそう張り上げる

幸い実体化していないのでその声を聞き届けられたのは俺と璃緒だけだった

 

「ねぇ興司、今俺と璃緒って抜けられる?」

 

「冗談言わないでよ!この人だかりだよ?」

 

いまだに列は途切れることはなく、確かに璃緒と俺が抜けたら大変そうだ

……ブラック・ミスト、悪いけどトーマス達と遊馬達を見つけてそこに向かってくれない?

 

『お前らはいいのかよ』

 

この状況で俺ら抜けたら不自然だろ?

それにアークライト一家に天城兄弟に遊馬がいたら何かあっても対処できるだろ?

こっちにバリアンが来ないとも限らないし、そん時の為に多少は戦力を残しておかないといけないし

 

『……わかった、でもなんかあったらすぐに呼べよ』

 

うぃっす

そのままブラック・ミストは教室から抜け出していくのを見てさりげなく璃緒の傍に寄る

 

「璃緒、ブラック・ミストに皆を回収させてグラウンドに向かわせた」

 

「……大丈夫ですの?」

 

「あいつらいりゃ大丈夫だろ

 それにいざって時に校舎に残ってた方が都合がいいし」

 

「……確かに、こちらで何かあった時に誰もいなくて対処できませんでした、では話になりませんからね」

 

そう言って璃緒接客に戻るが何度も何度もグラウンドに目を向ける

……璃緒だけでもグラウンドに行かせた方がいいかな?

何かあったとしても最低限皆が来るまでの時間稼ぎにはなるし

 

「ねぇ璃緒、あのさ」

 

「あー!シャークちゃん!ここにいたんだ!」

 

璃緒に話しかけようとした時、教室の外からそんな元気な声が聞こえた

見ると綺麗な桃色の髪をお団子にして、全体的にハートの装飾がされている衣装を身にまとっているさなぎちゃんがいた

いきなりのさなぎちゃん登場で教室中は野太い悲鳴やらが響き渡り混沌としている

 

「おいーっす、どうしたんさなぎちゃん?こんなとこまで来て」

 

「ほら、スカウトの続き?」

 

「……スカウト?凌牙、なんの話ですの?」

 

さなぎちゃん曰く、さなぎアンテナとやらにビビッと来たらしく何かと一緒にバンドやろうと誘ってくる

わりぃなさなぎちゃん、こっちはバリアンの事でいっぱいいっぱいなんや……

 

「うーん、シャークちゃんには是非一緒にデュエルバンドやってもらいたかったんだけどなー……」

 

しょんぼりしながらさなぎちゃんは視線を逸らす

なんというかすまないね……さなぎちゃんの頭をよしよしと撫でてやる

 

「シャークちゃんのおかげで元気が出て来たよ!

 今日は諦めるけど、絶対にさなぎのバンドに入れるんだから!とりあえずこれ、さなぎからシャークちゃんへプレゼント!」

 

そう言ってさなぎちゃんは俺にマドルチェの絵柄が掛かれた封筒を渡す

受け取ってみると少しだけ厚みがあり、多分中にはカードが入っているのだろう

 

「シャークちゃんはこれからいっぱいいっぱい悩むと思うの、だけどシャークちゃんだったらきっと乗り越えられるとさなぎは思うの」

 

そう言いながらさなぎちゃんは俺達が止める間もなく教室を出て行く

なんというか、さなぎちゃんって割と自由人だよね……

嵐が去った後しばしの静寂が訪れたが、すぐに騒めきがやってきた

 

「あ、あれ?」

 

何気なくさなぎちゃんのいた場所を見ると衣装が1着足りない

なんというか、来たかったんだねコスプレ衣装

さなぎちゃんが来たからかさっきまで以上に教室が繁盛してしまい、結局グラウンドの方には行けなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

文化祭が終わり、グラウンドで起こったことを自宅でブラック・ミストに聞きながら皆でご飯を食べる

まさかプロのデュエリストまで洗脳するとか……それだけバリアン側も時間が無いってことだよな

 

『そういやお前蝶野さなぎから何かもらったんだろ?何貰ったんだ?』

 

ブラック・ミストの言葉で部屋まで取りに行き開封する

さなぎちゃんからもらった封筒の中身は黒のフレーズだけで、カードテキストもイラストも無いカードが数枚入ってるだけだった




さなぎちゃんから渡された謎のカード、そのカードとは一体!?
そしてやっと次くらいからサルガッソに入れるはず!

後前に話してたリンク召喚ですが、多分この小説ではやりません
ペンデュラムはともかくリンクはルールが大幅に変わっちゃうので……
でも遊作世代から出てくるカードは登場するかもしれません


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

39/神代凌牙と異次元への出発

というわけで、サルガッソに行くための準備(?)編です
ちょこちょこZEXAL見直してるけどやっぱ面白いね!

デュエカではさなぎちゃんとブラック・ミストクリア!さて次はだれにしようかな……


「これがそのカードか」

 

ハートの塔の最上階、ハルト君の私室に俺と璃緒とトーマスはいた

今回の話し合いは前世教室のメンバーで行いたかったけど、零は何やら用事があるらしく今はいない

そして話し合い、というのはさなぎちゃんからもらった正体不明のカードの事だ

黒のフレームだから多分エクシーズモンスターのカードだと思う

カイトはそのカードを裏返したりと色々見ているが、特に怪しいところが無いみたい

 

「……ダメだな、俺には何の力も感じられない」

 

「うー……カイトもダメかー」

 

がっくりと肩を落とす

ここに来た時にバイロンさんとかにも見てもらったところ、バイロンさんも何の力感じられなかったみたいだし

……今のところ、は

このカードに何の意味があるのか、なんでさなぎちゃんがこのカードを持っていたのか、なんで俺に渡したのか

謎が多いこのカードを十分に警戒しつつカードケースに入れる

 

『そんなカード持ってて大丈夫なのかよ』

 

「んー……でも何か意味があってさなぎちゃんはこれをくれたんだし、とりあえずね」

 

「俺も蝶野さなぎにあったら聞いてみるが、会えるかどうか……」

 

トーマスとさなぎちゃんは有名人とはいえ、トーマスはプロデュエリストでデュエルの大会などが主な活動場所になる

さなぎちゃんはアイドルだからテレビとかが主な活動場所になるからな、一応トーマスもテレビに出ているとはいえ出る番組の系統は全然ちがうからね……

 

「とりあえず俺的にはグラウンドの方の話をもうちょい詳しく聞きたいんやけど」

 

ブラック・ミストに事前に聞いたけど、それでも皆を回収するのに時間が掛かり付いた時にはすでにデュエルが終了した後でその辺の話しか聞けなかったからな

でもトーマスは仕事の関係でグラウンドに残ってたので事の一部始終を全て見ていたらしい

 

「そういや父さんたちやカイト達には話したがお前らには話してなかったよな」

 

事の始まりは羽原夫妻の交流デュエル大会に遊馬と神月アンナって子が乱入してきたのが始まりらしい

デュエルは中盤まで羽原夫妻が有利……というか遊馬コンビの息が合ってなく、全然力を発揮をできなかったみたい

そして羽原海美さんがRUM-バリアンズ・フォースを使いCXを召喚

神月アンナちゃんが発動した献身的な愛の効果でドローしたRUM-リミテッド・バリアンズ・フォースを使いCNo.39ホープレイVを召喚、そこから一気に逆転

 

「……ってちょっと待てRUM-リミテッド・バリアンズ・フォースってなんぞ!遊馬いつの間にそんなカードもってたん!?」

 

驚いたように俺が声を上げるとカイト達が驚いたように顔を上げる

 

「……あのカードは凌牙の前世カードではないのか?」

 

「違うって!俺の持ってるRUMはあくまでランクを上げるだけであって、カオス化とかは出来ないから!」

 

ぶんぶんと顔を思いっきり顔を横に振る

CXなんてARC-Vでも出てこなかったし、そんな物を俺が持ってるわけないじゃないですかやだー!

……おいちょっと待てだったらなんで遊馬はバリアンのRUM持ってんだよ

 

「じゃあなんで遊馬はバリアンのRUM持ってたのかな?」

 

「作ったんじゃね?」

 

「作ったって……お前なぁ……」

 

「えー、でもシャイニングドローとかしてるしさー、ARC-Vの遊矢もペンデュラムカード創造したしできるよ

 そもそもここって俺にとっては”そういう世界”だから、カードってその場で創造するもんじゃんこの世界は

 てか遊矢はルールまで変えちゃったしカードの創造くらい普通しない?」

 

「しませんわ」

 

『しないからな』

 

「しねぇよ」

 

「しないな」

 

「しないと思うよ」

 

「あれー?」

 

釈然としないなー

俺だってノリ(?)でオッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン創造したし

というかトーマスだってNo.の専用カード持ってるじゃん、あれ市販で売ってるわけないじゃん、ってことはトーマスが創造したって事じゃん

……それともこの次元の人って意識せずカードを創造してるのかな……

というかカイトの超銀河眼の光子龍だってあれもある意味カードの創造じゃん!

 

「その場のテンションとノリでしない?」

 

『お前はどこに向かってるんだ』

 

お前らみたいに無意識に創造してるやつらより、自覚してる分ましだと思うんだよなぁ

オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴンを見ながら思案する

俺が知ってる限りこのカードはアニメでは出てきてない、ってことはこれはOCGのカードって事になると思う

OCGのカード……だよね?オッドアイズ系は前世でも良くわかんなかったかんなー

それにしてもまさか自分がカードを創造する側になるとは思わなんだ

 

「んー、でもさぁ」

 

 

———……ドオオオオオオオン

 

 

突然遠くから何かが破壊される音が聞こえる

全員急いで窓に駆け寄ると、球状の物体がビルを破壊しながらどこかに移動してるところだった

かなりのスピードが出ておりすぐに俺達の視界から消えて行ってしまう

 

「なんなんあれ!?」

 

「オービタル!今すぐあの球状の物体が向かった場所を調べろ!」

 

「かしこまり!」

 

オービタル君が調べてる間、俺達はデッキの調整やらをして準備をする

え?なんでデッキの調整してるのかって?そりゃデュエルがあった時の為にだよ!

 

「ブラック・ミストはあの球状の向かった場所わからないの?」

 

『ある程度ならバリアンの力で場所が分かるが、そこら中にバリアンの気配があって全然わかんねぇ』

 

ハルトの言葉にブラック・ミストがそう答える

まぁ、わからないんだったらオービタル君の解析を待てばいいし

 

「解析結果出ました!エリアB-392であります!」

 

「よし、オービタルはすぐに飛行モードになれ

 俺達は先に行く、お前たちもすぐに来い!」

 

カイトは窓を開け放ち、そのまま外へ飛び出す

俺達もカイトが飛んでいく様子を見届けて急いでガレージに向かう

あの騒動で街がパニックになっているのをいいことに璃緒は俺のDホイールで2人乗り、トーマスはブラック・ミストに抱えてもらっていってる

とりあえず飛んでるカイトを目印にして皆でついてく、あちこちで渋滞だったり建物が倒壊していたりと大変なことになっとるでぇ……

しばらくDホイールを走らせているとカイトが下降を始め、そちらを見て見ると遊馬達が何やら集まっているのが見えた

 

「あそこに遊馬達が居ます、とりあえず合流しましょう」

 

『言われなくてもわかってるっての』

 

とりあえずDホイールをその辺に止めて急いで皆の元に駆け寄る

 

「なぁ、頼むよカイト!お前なら真月を探せるだろ!?なぁ、なぁ!」

 

遊馬がカイトに詰め寄ってそんなことを言っている

……零を探してくれってどういうこと?ざっと見て見ると確かに零がいない

そしてあまりにも遊馬がカイトに詰め寄ったせいか、カイトが遊馬をビンタした

 

「落ち着け、見苦しいぞ」

 

「カイト……」

 

呆然としてる遊馬を抱き起してやる、遊馬の頬が赤くなってるけどどんだけ強く叩いたんだよ

とりあえず何があったか聞くために俺達はハートの塔に向かったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃーそのベクターってバリアンがWDCの時にやらかしてた黒幕って事なん?」

 

「あの時ベクターは消滅したんじゃありませんの?

 ……いえ、今回出て来たということは何等かの手段で生きながらえたって事ですわね」

 

部屋には俺、遊馬、カイト、璃緒、ブラック・ミストがいる

さっきまでトーマスもいたけど町の混乱を鎮めるために駆り出されて今はいない

ナンバーズクラブの面々も遊馬に締め出されて現在ハートの塔の前にいる(と思う)

まぁ遊馬の皆を巻き込みたくないって気持ちはわかるけどさー……それ逆効果なんでねーの?

 

「それでどうする?真月を助けるにしても、ベクターを倒すにしても、俺達には何も情報が無い」

 

『ああ、それに状況的に罠である可能性の方が高いからな』

 

「カイトにブラック・ミスト……お前ら、真月を見捨てるのかよ!」

 

「遊馬!落ち着きなさい!」

 

遊馬は激昂して2人に突っかかる

俺も遊馬の気持ちがわかる、俺だって今すぐにでもそのベクターを追いかけたい

でも2人のいう事もわかるから、感情を抑えてこの場に留まっているんだよ…

そんな皆のやり取りを見てると突然アラームが鳴り響く

 

<カイト様、大変であります!ハートの塔上空で強大な重力場が出現したであります!>

 

「( ゚Д゚)!?」

 

「なっ、まさかバリアンか!?」

 

全員が急いで屋上に駆け上がる

そこで見た物は黒い雲が空に渦巻いてるという、なんとも遊戯王次元特有の超常現象が起こっていた

俺達が唖然としていると突然遊馬の皇の鍵が光り輝きだした、一体どういうことだ!(混乱)

光は黒い雲に吸い込まれて、光の爆発が起きる

凄まじい暴風が周囲に吹き荒れ、空からたくさんの歯車を重ねて、内部から緑色の光を発しているよくわからない物体がやってくる

ワースゴイナー(白目)

 

『皇の鍵の中にあった飛行船じゃねーか!』

 

「ああ……だがなぜ現実に?」

 

「まー、遊戯王次元だからこんぐらい普通普通」

 

『納得した』

 

「なんで今ので納得しましたの?」

 

なんてよくわかんない物体……ブラック・ミスト曰く”飛行船”がハートの塔に着陸する

……これ絶対下の方騒ぎになってるよなぁ……よっしゃ考えないようにしよう(爽やかな笑顔)

 

『遊馬、私たちの向かうべき場所がわかったぞ』

 

アストラルが現れる……お前今までどこにいたんだよ……

まぁそんな事はどうでもいいんだ、重要じゃない

皇の鍵の中で黄昏てたら(語弊)ベクターが使っていたNo.66覇鍵甲虫マスター・キー・ビートルが何やら場所を示したらしい

俺達は知らないけど、ベクターが零を連れ去る時にこのNo.が導くと言っていたらしいし、マスター・キー・ビートルが指し示す場所にベクターと零がいる可能性は高いというかいるだろう

きっと、罠だろうけど……

 

「確かに罠かもしれねぇ、けど俺は真月を見捨てられねぇ!俺はたとえ一人でも行くからな!」

 

確固たる意志を持った目でこっちを見てくる

あー、こりゃ何言っても無駄だな……てか俺も罠って確定してるけど行くからな

……恨みしかないし、俺達の仲間の零を連れ去ったこと後悔させてやる

どんな汚い手段を使ってでも、俺は零を助けてやる

 

『飛行船は今夜はエネルギーを充電しなければならない、出発は明日の朝だ』

 

その言葉を最後に俺達は解散した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、改めてハートの塔に向かうとすでにカイトと遊馬がすでに待っており、飛行船の前で待機している

……結構早い時間に出たはずなんだけどな

 

「おはよー!」

 

「遅せぇぞシャークにいもシャ!俺らずっと待ってたんだからな!」

 

『いや、シャークと璃緒は時間通りに来ていので私たちが早すぎただけだ』

 

待ちきれないとばかりに遊馬が俺の手を引っ張る

……まぁ気持ちはわかるからね、早く零を助けないといけないって、昨日は感情が高ぶってて結局ブラック・ミストと璃緒とデッキの調整と称しデュエルをしてました

 

「それにしても、これどうやって中に入りますの?」

 

璃緒が飛行船を見ながらそう聞く

確かに入り口なんか見た感じ見当たらないし、アストラルとかブラック・ミストみたいな存在じゃないと入れないとか?

アストラルが出現し、飛行船に手をかざすと緑色のわっかが俺達を包み込む

 

『このフラッシュ・トランサーでコックピットに入れる』

 

「すごい科学力だな……」

 

カイトが飛行船のハイスペックな能力に感動してる(?)

こんなのSF小説でしか見たことないしおらワクワクすっぞ!

フラッシュ・トランサーが俺達を包み込みコックピットに入……ろうとした時、ナンバーズクラブの面々がフラッシュ・トランサーの中に入ってきた

 

「お、お前ら!なんでここに!?」

 

「黙っていくなんて酷いキャット!」

 

「そうですよ!」

 

「水臭いウラよ!」

 

そう言いながらキャットちゃん、孝、徳之助が抗議してくる

あっちゃーついてきちゃったかー…そっかー…

 

「でも、お前達を巻き込むわけには……」

 

「何言ってんだ!俺達だって真月を助けたいんだよ!」

 

「真月君は私たちにとっても大切な友達よ!」

 

「皆……」

 

そんな風にナンバーズクラブの面々がそうやって友情を確かめあっていると、アストラルが改めて宣言する

 

『それでは乗り込むぞ』

 

俺達が赤い光に包まれ、そのまま飛行船の中に入る

仲はよくわかんない機器がたくさんあり、なんだかハートの塔を連想させるな……

皆このコックピット内を興味深そうに眺めていて気付いてない、飛行船に入った時になんだかアストラルの存在が増したというか、ブラック・ミスト見たいに実体化してるみたいな……

やっとみんなそのことに気付いて代わる代わるアストラルに話しかける、まぁナンバーズクラブの皆は普段はアストラル見えないし仕方ないのかな?

皆と話せることにアストラルも喜び、話すが本来の目的を忘れないうちにアストラルが皆に問いかける

 

『これよりこの船は出航する、準備はいいな』

 

『愚問だな、それにあいつらはともかく俺達は相応の覚悟をしてるからな』

 

遠まわしにおkとブラック・ミストが返事をする

それにしてもあいつらって……完全にナンバーズクラブの皆の事じゃないか……

まぁ皆まだ中学生だし、ある程度楽観視してるのは仕方ないとしてもなぁ……

小さくため息をついて少し視線を逸らすとカイトと目が合い、あっちもそんな同じような表情をしている

 

『遊馬、君が指示を出せ』

 

「え、俺が!?」

 

「ふっ……今回は譲ってやるよ」

 

「やったれやったれ」

 

皆からのGOサインが出て、遊馬は舵を取り秒読みを開始する

その様子を俺達は黙って配置につき、遊馬の発進の号令に備え……うん、お前らこの操縦方法わかるの?とか野暮な事は言わないでおこう!だってここ遊戯王次元だし(洗脳)

 

「5、4、3、2、1、発進!」

 

「「「「発進!」」」」

 

飛行船が浮かび上がり、歯車を回しながら空を駆け抜ける

これ下じゃ大騒ぎしてるんじゃ……うん、考えないことにしよう!(2回目)

 

「異次元ゲート開門!」

 

空に大きな穴が現れ、それは大きな光が渦巻いてこれ下じゃ大騒ぎじゃ……うん、諦めよう(白目)

そして飛行船はまるで吸い込まれるように、誘い込まれるように、異次元ゲートの中へと突入していった




次はようやくサルガッソに入れるぞい


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

40/神代凌牙VSドルべ~サルガッソの戦い~

どこ探しても遊作君のストラクチャーデッキが売ってないんですが

デュエカではハルト君無事クリア!
そしてとうとうTFSPを買ってしまいました……
ちなみに凌牙から攻略を始めました!


異次元の狭間

人間はもちろんの事、バリアンもアストラル人もここに来ることを嫌う

正しい道順を通らなければすぐに己のいる場所が分からなくなる迷路のような空間

その異次元の狭間にあるサルガッソに俺達はいた

 

「まっさかドルべはともかくミザちゃんもこの作戦に乗って来るとは思わなかったわ」

 

「確かにな、ミザエルはこういうのは嫌いだろう?」

 

「ふん、カイトと闘うのに来ただけだ、貴様の作戦なんぞ知らん」

 

そう言いながらミザエルは真っすぐと前を見据える

……大きな力がここに来るのを感じる、きっと遊馬達がこっちに来ているのだろう

俺達3人はあいつらが来るのを、ただただ待ち続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異次元トンネルはなんとも不思議な空間になっており、あちこちで光の渦が渦巻いている

 

「もうすぐ、だね」

 

『ああ』

 

ベクター、零を攫いこの罠を仕掛けた張本人

絶対に倒す、そんな感情が俺の中に渦巻いて、こんな感情が俺の中にあったのかと少しだけびっくりしている

……カオスって確か負の感情だよね?今の俺は多分カオスで大変な事になってんだろうなぁ

 

『なぁ凌牙』

 

「ん?なんぞや?」

 

思考を中断してブラック・ミストの方に目を向ける

見て見るとブラック・ミストが1枚のカードを俺に見せていた

No.96ブラック・ミスト、ブラック・ミストの核たるカード

 

『これは俺が回収するぜ』

 

「ほーい、わかったよ」

 

『……』

 

「……」

 

『……』

 

「……え、マジで?本気で言ってるん?」

 

いきなりの事にちょっとへんな間があったけど、こいつはいきなり何を言ってるんだ(驚愕)

 

「あのさぁ、これからバリアンと闘うんやぞ?それわかってて言ってる?」

 

『わかってるっつーの、俺は俺の分身以外にNo.を持ってないんだ

 俺とお前が分断されたら俺はどう戦えばいい?俺のデッキはレベル2軸だ、ランク2のNo.が現状無い時点でもし俺が戦うことになったら俺の分身が無いと正直かなりきつい

 お前の前世カードを今から借りるってのも手だがどう考えても時間が足りないだろ?』

 

「あー……」

 

そこまで考えてなかったわ

そうだよなーよくよく考えるならNo.96ブラック・ミストは元々ブラック・ミストの分身なんだし俺じゃなくてブラック・ミストが持ってる方が自然なんだよなぁ……

ランク2のエクシーズモンスターももちろん居るし能力も良い奴はいるけど如何せん打点が足りない

……そう考えるとNo.96ブラック・ミストはブラック・ミストに返却しておいた方がいいよな

 

「うーん、とりあえず今からでもアストラルと遊馬に相談して何枚かNo.を借りるとしますか」

 

『やめろ』

 

「……ん?」

 

遊馬とアストラルの方に向かおうとした時、ブラック・ミストに手を掴まれ止められる

その顔はいつにもまして必死で、その気迫に少しだけ気おくれしてしまう

 

『お前が俺の分身を使っても平気だったのは俺が使われることを了承していたからだ

 他のNo.を使ってお前が無事であるという保証はどこにもない、だからNo.無しで戦うべきだ』

 

「ブラック・ミスト……?」

 

何だかいつもとブラック・ミストの様子が違くて戸惑う

確かにあのカードはブラック・ミスト自身だったからカードの闇(笑)とやらに憑りつかれずに済んだかもしれない

他のNo.では憑りつかれる可能性も無きにしも非ずだけど、いつものブラック・ミストだったらもっと冗談交じりに言うし……

カードに憑りつかれる、以外に俺にNo.を使わせてはいけない理由でもあるのか?

幸い俺はカード効果を無効にするカードはそれなりにデッキに入れてあるから、No.無しでも戦えないわけでも無い

……ブラック・ミストがそこまで俺にNo.を使わせないようにする理由ってなんだ?

 

「なぁ、あの」

 

ガコン

飛行船が揺れる

普通それだけだったらただ単に風で煽られてるだけだと思うが、ここは異次元トンネルだ

船内にオービタル君の声が響き渡る

 

「カイト様、大変であります!

 飛行船前方にブラックホールが出現、引きずり込まれるであります!」

 

飛行船が大きく揺れる

近くの窓から前を見ると大きな黒い渦が飛行船の進路上に現れていた

 

「きゃあああああ!」

 

「オービタル!何とかならないのか!?」

 

「引力が強すぎて操縦が効かないであります!」

 

「このままじゃ吸い込まれてしまいます!」

 

必死に操作して進行方向を変えようとしてるけど全然いうことを聞かない

……まさか、これ自体が罠?

とかなんとか考えてももう遅い、どうあがいても絶望である

 

『全員何かに掴まるんだ!』

 

アストラルの声に思考の海から意識を浮上させる

必死に何かに掴まろうと手を伸ばすが、何も掴まるところが無い

……半ば諦めつつ窓ガラスをぶち破り、外に放り出されるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……」

 

地面が硬い、体中が痛い

痛みを堪え目を開けると、そこは俺が見たこともない奇妙な空間だった

コンクリートの地面があちらこちらに浮かんでいて、遠くの方で戦艦のようなものが宙を漂ってる

飛行船は……うん、無事みたいだな

他の空中浮遊してる地面に目を向けると何人かが俺と同じで外に放り出されたみたいで、俺と同じようにこの場所に混乱している

 

「おい、皆無事か!?」

 

遊馬の声があたりに響き渡る

 

「いるよー!」

 

「問題は無い」

 

「俺も璃緒さんも無事だぜ!」

 

<遊馬、私たちも大丈夫よ>

 

各々から生存報告が来る

良かった、皆無事だったか

 

『……ここはバリアン世界ではない、この場所は』

 

「ようこそサルガッソへ」

 

アストラルの声を遮るように誰かが俺たちに声をかける

見ると黒に紫色のラインが入った服に金色の輪っかが頭についてる紫色のフードを被っている

顔は全体的に灰色でアメジストの瞳を持つバリアン

 

「待ってたぜ、九十九遊馬にアストラル

 長い旅路をごくろうさん、まさかブラックホールに飲み込まれるとは思わなかったがな」

 

「お前はベクター!おい、ここは何処だ!」

 

「はいはいベクターですよーっと

 ここはどこだって質問に答えてやるよ、異世界の墓場サルガッソ……ここがお前らの最後の場所になる」

 

サルガッソ……それがここの名称か

俺はベクターの挙動を注意深く観察し、何が起こってもある程度対処できるように構える

 

「ここがどこかとかそんなことはどうでもいいの、零君はどこですの?」

 

睨み付けるように璃緒がベクターに問いかける

周りを見渡すが零の姿が見えない……どこかに隔離してるのか?

 

「零?……ああ、こいつの事か」

 

パチン、とベクターが指を鳴らすと光が人の形に収束していく

その光が解けた時、それが零であると遠目でも分かった

 

「零!」

 

ぐったりと倒れている零だけど、とても無事には見えなかった

 

「真月!おいベクター!真月を返せ!」

 

「それではいそうですって渡すわけないだろぉ?

 ここに来た以上、どうやったらこいつを取り戻せるか……やることは一つ、だろ?」

 

デュエルディスクを出現させてベクターは構える

……やっぱ、こうなるのか

青色の髪が顔にかかりそれを振り払う、この距離からあそこまで遠いし俺達の立っている場所は一つ一つ宙に浮かんでいる状態なので別の場所への移動もままならないだろう

ブラック・ミストに頼んで……ダメだ、そしたら誰が飛行船の中に取り残されているナンバーズクラブの皆を守るんだ?

意地でもあそこに行く方法は……

 

「行かせないぞ、神代凌牙」

 

聞いたこともない声

そちらを見るとベクターと同じ服とローブを着た、でも紫の部分が白になってる服を着た新たなバリアン

 

「……」

 

「なっ……!」

 

白いバリアンが声を漏らす

きっと彼(?)も感じているのだろう、この言いようのない違和感を

ストン、と胸に落ちる不思議な感覚

欠けていたものがそろったような、空っぽだった魂が……満たされぬ魂が満たされるような

 

「お前が新しいバリアンか?」

 

「……!ああそうだ、私の名はドルべ、お前を倒す者だ」

 

「ドルべか、悪いけどこっちとしても大人しく倒される気はないんでね!」

 

カイトの方を見て見るとミザエルがすでにカイトをロックオンして、すぐにでもデュエルを始めそうだ

遊馬もアストラルも戦闘準備は万全みたいだし……こっちもこっちで始めようか

 

<凌牙!今そっちに行くから待ってろ!>

 

飛行船の方からブラック・ミストの声が聞こえる

 

「来るんじゃねぇ!」

 

<だけど!>

 

「お前までこっちに来たら誰があいつらを守るんだよ!」

 

<でも!>

 

<行って、ブラック・ミスト!>

 

俺達の会話に被せるように小鳥ちゃんの声が入ってくる

って、え!?

 

「何言ってるん小鳥ちゃん!」

 

もしも新たなバリアンが飛行船に奇襲攻撃をかけたらNo.を持っていないナンバーズクラブの皆の勝ち目は薄い

ある程度対抗手段はあるとはいえ(効果無効とか効果破壊とか)あまりにも危険すぎる

まぁ俺も人の事言えないけどね!

 

<私たちは大丈夫、自分の身ぐらい自分で守れるわ!

 いつまでも私たちは遊馬やシャーク達に守ってもらうほど弱くはないのよ!>

 

「小鳥ちゃん……」

 

……そうだよねー、なんだかんだ言って皆バリアンの戦いに身を投じてるんだし、ある程度の覚悟はできてるはずだよねー

ふっと顔を緩め飛行船の方に顔を向けた

 

「だが断る!」

 

<えっ!>

 

心配な物は心配なのよね

幸い今の俺はNo.を持ってないし、負けた所で失う物なんてない

 

「さぁ、行くぜドルべ!」

 

「バリアン七皇が1人、ドルべが相手をしよう!」

 

「Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「デュエル!」」

 

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

ドルべLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ピッとカードをドローする

辺りを見渡すと遊馬&アストラルはベクターと、カイトはミザエルとデュエルを開始していた

手札を見てどうしたもんかと思案するがすぐに首を振るう

だってもう考えるの面倒だし!人それを思考停止という

 

「俺は手札から永続魔法守護神の宝札を発動!カードを5枚捨てカードを2枚ドローする!そしてこのカードが存在する限り、俺の通常ドローは2枚になる

 さらに墓地に送られた代償の宝札の効果、このカードが墓地に送られた時2枚ドローできる、よって俺は4枚ドロー!」

 

新たにドローした4枚の手札を確認し、ドルべを見据える

まだドルべがどういうカードを使うかわからないから、とりあえずは

 

「永続魔法修験の妖社発動!このカードは俺が妖仙獣を召喚・特殊召喚するたびに妖仙カウンターが1つ点灯する

 俺は手札から妖仙獣鎌壱太刀を召喚、効果でこのカード以外の妖仙獣を召喚できる、俺はさらに鎌弐太刀を召喚!さーらーにー妖仙獣が召喚・特殊召喚されたので妖仙カウンターが2つ点灯!」

 

 

妖仙獣鎌壱太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1600

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1800

 

修験の妖社 妖仙カウンター:0→2

 

 

「俺は壱太刀と弐太刀でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!ランク4、ガガガガンマン!」

 

 

ガガガガンマン

ランク4/地属性/戦士族/守2400 ORU:2

 

 

視界が白く光る

そう認識した瞬間、空から雷が降ってきて俺に直撃した

 

「きゃああああああ!」

 

「ぐっ、なんだこれは!」

 

「うわああああああ!」

 

『う、あぁ……!』

 

辺りから悲鳴が聞こえる

見るとカイトも遊馬(とアストラル)もあの雷を食らったのか片膝をついていた

なんだ、今のダメージは?フィールドとドルべを見ているがドルべや他のバリアンがカードを発動した感じはしない

手札も減ってないし、墓地にも何もないはず

Dディスクを確認して確かにドルべは何もカードを発動していな……

 

「はぁ!?」

 

 

神代凌牙LP:4000→3500

 

 

ライフが減ってる!?

慌ててカイトと遊馬達に確認を取ると、あっちも500ポイントのダメージがあった

 

「おーっと言い忘れてたな、ここサルガッソは常にフィールド魔法が発動していてな

 エクシーズモンスターが特殊召喚される度にプレイヤーは500のダメージを受け、さらにエクシーズモンスターのコントローラーは自分のエンドフェイズごとに500のダメージを受ける!」

 

それ先に言ってよ!

ナンバーズクラブの皆もそう思ってるらしく飛行船からブーイングが聞こえる

……にしてもそれが本当なら戦う内の1人が俺で本当によかったわ

幸いにもエクシーズ召喚に頼らなくても大丈夫なデッキの構成だし、他の皆はエクシーズ主体だからなぁ

それに常日頃からリアルファイトに興じているから

 

「この程度の痛みどうってことない!ガガガガンマンの効果発動!ORUを一つ使い、守備表示の時は相手に800ポイントのダメージを与える!」

 

 

ガガガガンマン ORU:2→1

 

ドルべLP4000→3200

 

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「この瞬間、異次元の古戦場-サルガッソの効果で凌牙に500のダメージだ!」

 

 

神代凌牙LP3500→3000

 

 

エクシーズ召喚するたびに500、エンドフェイズごとに500

……ドルべも条件は同じだけど、この罠を仕掛けた張本人だし何かしらの対抗手段はあってもおかしくない

厳しい戦いになるな……それでも、それでも俺は零助けたい、取り戻したい

その為に、俺はここまで来たのだから

 

 

神代凌牙LP:3000 手札:0

【モンスター】

ガガガガンマン/守2400 ORU:1

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2

伏せ×1

 

ドルべLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し




No.なしでバリアンとの戦いに挑む凌牙ちゃん
ドルべのオーバーハンドレットナンバーズにサルガッソの効果
そして今明かされる衝撃の真実!凌牙ちゃんの(心の)ライフはどうなるのか!?
次回、この次回予告の内容が次の話に反映されるとは限りません
デュエルスタンバイ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

41/神代凌牙VSドルべ~サルガッソの攻防~

この小説ではサルガッソは表側表示のカードとしては扱いません
あくまでサルガッソはこの場所特有の効果でフィールドには存在しない為です
ほら、ドン千のヌメロン・ネットワークだって最初はフィールドになかったからセーフセーフ

TFで凌牙ルートクリア!今は遊馬ルート攻略中
デッキはもっぱらセイクリッドを愛用していて、七皇の剣も入ってて凌牙、璃緒、ベクターのオーバーハンドレットナンバーズはカオスも含めて両方入ってる凄まじいデッキになってます
ホープもいるよ!


神代凌牙LP:3000 手札:0

【モンスター】

ガガガガンマン/守2400 ORU:1

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2

伏せ×1

 

ドルべLP:3200 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

ドルべは手札を確認すると迷いなくカードを引き抜く

 

「私は光天使(ホーリー・ライトニング)ウィングスを召喚、このカードの召喚成功時に手札から光天使を特殊召喚できる!私は光天使ブックスを特殊召喚!

 さらにブックスの効果発動!手札の魔法カードを捨てることで手札の光天使を特殊召喚できる、私は光天使ソードを特殊召喚する!」

 

 

光天使ウィングス

星4/光属性/天使族/攻1200

 

光天使ブックス

星4/光属性/天使族/攻1600

 

光天使ソード

星4/光属性/天使族/攻1400

 

 

「レベル4のモンスターが3体……」

 

「行くぞ凌牙!私は3体の光天使モンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 光の使いよ、今悠久の時を超え、輝きの衣を纏いて彼の地に降臨せよ!現れろ、No.102光天使グローリアス・ヘイロー!」

 

 

No.102光天使グローリアス・ヘイロー

ランク4/光属性/天使族/攻2500 ORU:3

 

 

全体的に金色の神々しいモンスターが俺の目の前に現れる

背中の大きな翼に102の文字が光っていて手には弓矢を持っている、そしてそこにいるだけで圧倒される存在感

これがドルべのオーバーハンドレットナンバーズ、か……

 

「私は墓地のサルガッソの灯台の効果を発動!このカードが墓地に存在する限り私はサルガッソの効果を受けない!」

 

やっぱ防御策はあったか……

まぁ罠に誘い込んだ張本人だし当たり前だよなぁ?

 

「行け!グローリアス・ヘイローでガガガガンマンに攻撃だ!」

 

「させないよ!罠カードバージェストマ・エルドニアの効果発動!モンスター一体を対象にし、攻守をターン終了まで500アップさせる!

 さらにチェーンして墓地のバージェストマ・ハルキゲニアの効果でこのカードをモンスターとして特殊召喚できる!」

 

 

ガガガガンマン/守2400→2900

 

バージェストマ・ハルキゲニア

星2/水属性/水族/守 0

 

ドルべ LP3200→2800

 

 

グローリアス・ヘイローはNo.耐性があるから破壊されないけど、ダメージは受ける

早めに何とかしないと、下手したらサルガッソのバーンダメージでこっちが負けるし百超えのNo.だから効果も強力なはずだ

 

「ならばグローリアス・ヘイローの効果を発動!ORUを一つ使い相手モンスター1体の効果を無効にし、攻撃力を半分にする!守備表示だから攻撃力はあまり関係ないが、その厄介な能力は封じさせてもらおう」

 

 

No.102グローリアス・ヘイロー ORU:3→2

 

 

ドルべLP:2800 手札:2

【モンスター】

No.102光天使グローリアス・ヘイロー/攻2500 ORU:2

【魔法・罠】

無し

 

 

「俺のターン、2枚ドロー!」

 

カードを見てどう動くか……と言ってもどう動くかは決まってる

やることが決まったんならさっさと動くのみ!

 

「俺はガガガガンマンとハルキゲニアをリリースしてアドバンス召喚!The despair URANUS(ザ・ディスペア・ウラヌス)!」

 

 

The despair URANUS(ザ・ディスペア・ウラヌス)

星8/光属性/岩石族/攻2900

 

 

「なるほど、サルガッソのダメージを受けるくらいならばリリースした方がまし、か」

 

「サルガッソのバーンで負けとかシャレになんないかんね!

 ウラヌスはフィールドの表側表示の罠・魔法の数×300アップする!さらにこのカードがフィールドにいる限り、表側表示の罠・魔法はカード効果で破壊されない!」

 

 

The despair URANUS(ザ・ディスペア・ウラヌス)/攻2900→3500

 

 

青い球体に金色の装飾がされていてどこかエジプトを思い出させるようなモンスターだ

……なんだこの威圧感は、もしかしてこのカードもなんか特別なカードとか?でもARC-Vでは出てこなかったし

それともGXか5Dsか?もう昔の事だから記憶も朧気だもんな……さすがにVRAINSではないよね?

って駄目だ駄目だ、デュエルに集中しないと

見た感じグローリアス・ヘイローの効果は相手ターンでは発動できないみたいだし、少しでもLPを減らしておかないと

幸い伏せカードも無いはずだし、このターンは凌げるはず

次のターンもあっちが新たにモンスターを召喚しない限りは平気……な、はず

というか攻撃力の上昇値が600ってことはサルガッソはフィールド魔法として扱われないのか?この場所特有の効果って事?まぁいいか

 

「行け!ウラヌスでグローリアス・ヘイローを攻撃!Weil of despair(ウィル・オブ・ディスペア)!」

 

「少しでもライフを減らそうという魂胆のようだが……甘い!私はダメージステップ時手札からオネストを発動!」

 

「嘘だろ初手から握ってたん!?」

 

オネストは光属性のモンスターと闘う時に警戒しなければならないカードだ

光属性のカードがバトルする時に手札から発動できるカードで、相手モンスターの攻撃力を自分の光属性のモンスターに加算できるという恐ろしいカード

 

 

No.102光天使グローリアス・ヘイロー/攻2500→6000

 

神代凌牙LP3000→500

 

 

「ああああああ!」

 

勢いよく後ろに吹っ飛ばされ2、3回バウンドして岩に叩きつけられる

背中に強烈の痛みが走り、思わず意識を失いそうになるが歯を食いしばり痛みに耐えた

 

「シャーク!?おいシャーク、大丈夫か!」

 

「凌牙!大丈夫ですの!?」

 

鉄男と璃緒の心配そうな声がDゲイザーを通して聞こえてくる

平気だよ、なんて口に出そうとしたけど声が出ない

ひゅっひゅっと変な呼吸をして、必死になって痛みに耐えて立ち上がる

打ちどころが悪かったのか足に力が入らない

 

『俺が支えてやるよ』

 

黒い触手が体に巻き付く

いつの間にか来たブラック・ミストが俺を支えてくれているせいか、足の痛みも気にならない

色々言いたいことはあるけど、声を出すのが厳しいし今はありがたく力を貸してもらおう

 

「No.96か……明確な意思を持つNo.

 このデュエルはお前が引き継ぐのか?」

 

『ちげーよ、俺はあくまで凌牙の補助だ

 ……こんな状態でまともにデュエルできるとおもってんのか?』

 

「まぁいい、ならばターンを進めろ」

 

そう言ってドルべは続きを促す

俺は手札を1枚罠・魔法ゾーンにセットする

 

『俺達はこれでターンエンドだ』

 

 

神代凌牙LP:500 手札:0

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2

伏せ×1

 

 

声を出すのがつらいのでブラック・ミストに代わりにエンド宣言してもらう

というか残りライフ500ってサルガッソで死亡圏内やないか(絶望)

でもエクシーズモンスター出さなければいい話だよね!

 

「俺はRUM-リミテッド・バリアンズ・フォースを……」

 

『待て遊馬!』

 

他の皆がどういう状況かDゲイザーで確認すると遊馬とアストラルが言い争うような声が聞こえて来た

零の為に手早くベクターを倒そうとRUMを使いたい遊馬と、もっと慎重になれというアストラル

確かに遊馬のデッキはカイトと違って融合や儀式を使わない、完全にエクシーズ特化のデッキだからサルガッソの効果をもろに食らう

遊戯王次元でのライフが4000である以上慎重にならざらるおえない

そして慎重にならなかった結果がライフ500である

 

「いいのかぁ?そーんな悠長な事言ってて?このデュエルが長引けば長引くほど大切なお友達がどうなるか、俺はなーんの保証もできないぜ?」

 

そういってベクターは零の体を足で軽くつつく

 

『凌牙!』

 

ブラック・ミストの声で、ようやく自分がベクターの方に体を向けていることが分かった

無意識のうちにあっちに行こうとしてたみたい

 

「ごめん」

 

『……気持ちはわかる、でも今は落ち着け』

 

こくりと頷きDゲイザーに目を向け遊馬達のやり取りを見守る

ベクターのその行動に遊馬も激昂しRUMを発動させる

ホープは白と金の、まさに正義の味方のようなモンスターだが、黒に赤いラインが入って闇落ちしてしまったような風貌に代わっていた

 

「ホープレイVが来たか……さぁ!サルガッソの効果を受けてもらおうか!」

 

「うわあああああああ!」

 

雷が遊馬に直撃し、後方に吹き飛ばされる

場所が特殊なせいか500のダメージでもかなりのリアルダメージを俺達は受けなければならない

 

「あちらの心配するのもいいが、そろそろ私の相手をしてもらおうか!ドロー!

 私はグローリス・ヘイローで凌牙にダイレクトアタックだ!ライトニング・クラスター!」

 

『罠カード幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ウロング・マネリングを発動!相手モンスターの攻撃宣言時、その攻撃を無効にし効果モンスターとして攻撃表示で特殊召喚できる!

 さらに効果で墓地のバージェストマ・エルドニアを通常モンスターとして特殊召喚できる!』

 

 

バージェストマ・エルドニア

星2/水属性/水族/守 0

 

幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ウロング・マネリング

星2/闇属性/戦士族/攻0/守0

 

 

「これくらいは躱してくるか……私はこれでターンエンドだ」

 

 

ドルべLP:3200 手札:2

【モンスター】

No.102光天使グローリアス・ヘイロー/攻2500

【魔法・罠】

無し

 

 

『俺達のターン、2枚ドロー!

 ウロング・マネリングの効果発動、このカードおよび表側表示の幻影騎士団カードを墓地に送ることでデッキから2枚ドローできる!』

 

「ウロング・マネリングを墓地に送り、2枚ドロー」

 

合計4枚のカードをドローし、手札からカードを抜き取ろうとした瞬間

 

「ぐおおおおおおおおおおおおお!」

 

遊馬達の方でそんな爆発音と叫び声が聞こえて来た

巨大な光の柱が立ち上がり、このサルガッソ全体を大きく揺らす

飛行船の方で歓声が聞こえるがアレ零大丈夫なの!?意識がないし危ないと思うし!

煙が晴れる頃にはベクターの姿は無く、倒れている零だけがそこにいた

 

「ブラック・ミスト、零を、今のうちに」

 

『!ふざけんな!こんな状態のお前を置いて行けるか!』

 

「でも、チャンスは今しか!うっゴホッ」

 

大きい声を出したせいか喉の痛みで変な咳をする

皆がデュエルをしている今しか、零を助けることは出来ない

遊馬はベクターを倒し(?)喜んだが、零が倒れているのを見て顔を歪める

 

「でも、真月は……なぁ真月、目を覚ませよ!真月!真月ー!」

 

必死に零を呼び続ける遊馬の様子は痛々しい

飛行船の皆も、璃緒も鉄男もカイトも、そんな遊馬の様子に何も言えなかった

……間に合わなかった、ここまで来て、助けることが出来なかった、なんて

 

「……!」

 

拳を思いっきり岩に打ち付ける

この衝動を、怒りをどうすればいいのか、なんでもっと早く助けに来なかったのか

そうすれば、もしかしたら助けることが出来たかもしれなかったのに

 

「ありが、とう、遊馬君」

 

ユラリ、と零が立ち上がる

満身創痍だが無事で本当によかった……!

ふぅと力が抜け、体がよろめくがブラック・ミストが支えてくれた

 

「真月、よかった、本当に……!」

 

遊馬が零の方に向かい、零の状態を確認しようとする

 

「ふふふふふはははははは!なぁーんちゃって!」

 

いきなり笑い出した零の様子に思わず遊馬も足を止める

ケラケラと楽しそうに笑う零の場違いな声に思わずカイト達もデュエルの手を止めていた

 

「真月?お前、一体、どうしたんだよ」

 

「お前らは本当にいいやつだなぁ!見せてやるよ、もっと面白い物をよぉ!

 さぁ!お楽しみはこれからだ!はあああああ!バリアルフォーゼ!」

 

紫色の光が零を包み込み、凄まじい暴風がサルガッソを駆け抜ける

体が浮き飛ばされそうになるが、ブラック・ミストが体を支えてくれてなんとかことなきことを得る

ばさりと学校の制服を突き破り黒い羽が背中から現れ、体が、顔が変化していく

……そしてそこにいたのは、先ほどまで遊馬とデュエルをしていた……バリアンの1人、ベクターだった

 

 

神代凌牙LP:500 手札:4

【モンスター】

バージェストマ・ハルキゲニア/守 0

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2

 

ドルべLP:2800 手札:2

【モンスター】

No.102光天使グローリアス・ヘイロー/攻2500

【魔法・罠】

無し




完全に予告詐欺ですほんとうに(ry
いや、だって衝撃の真実を全部言っちゃうと切りのいいところで終わらなそうだったんや……すまねぇ……すまねぇ……
あと最新のパック買いました!トリックスターと聖杯シリーズが可愛いんじゃ~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

42/神代凌牙VSドルべ~今明かされる衝撃の真実~

GWいええええええええええい!!!!!!!


神代凌牙LP:500 手札:4

【モンスター】

バージェストマ・ハルキゲニア/守 0

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2

 

ドルべLP:2800 手札:2

【モンスター】

No.102光天使グローリアス・ヘイロー/攻2500 ORU:2

【魔法・罠】

無し

 

 

「え……?」

 

頭が回らない

どういうこと、なんだ

なんで、なんで、零がベクターになったの

俺らの考えをあざ笑うかのようにベクターは言葉を続ける

 

「本当にお前らは単純だよな!」

 

からからと零……いや、ベクターの笑い声がサルガッソに響く

手に力が入らない

足に力が入らない

 

『凌牙、おい凌牙!』

 

ブラック・ミストの声が遠く聞こえる

支えてくれてるのもわかる、けど視線がベクターから外せない

 

「ベクター!?お前、まさか真月に化けてやがったのか!?真月、本物の真月はどこだ!」

 

遊馬が声を張り上げる

本当は遊馬もわかってるはずなのに、真月零はベクターだって

……思考が、淀む

 

「本物?誰それ?俺ベクター!鈍いなぁ俺が真月だよぉ!」

 

零がバリアンだった、零は、ベクターだった

俺は、俺達は、裏切られていた

 

「じ、じゃ、さっきまでのベクターは!?」

 

『偽物だった……というわけか』

 

ずっとずっと一緒にいたのに、戦っていたのに

一緒にデッキを作って、デュエルして、あの時間は、一体

 

「ふざけないで!貴方今まで私たちの事騙していたの!裏切っていたの!?」

 

「裏切る?違うな表替えったんだよ

 俺は元々バリアン七皇の一人、ベクター様だ!騙していたも何も、真月零なんて人間最初からいなかったんだよ!ジャンジャジャーン!今明かされる衝撃の真実ぅ!」

 

何度も何度も俺の、私の声が届かなくて

前の生ではあんな結末になって、だから、この人生は必死に生きようと

璃緒に会えて、トーマスに会えて、遊馬達に会えて、だから私はきっと浮かれていたんだ

また裏切られた

あの時と一緒で、短い間だったけど、楽しい事も、悲しい事も共有したのに、結局裏切られた

グルグルと頭の中が回りまわる

……結局、裏切られるんだったら、最初から信じなければよかったのかな

……もう、わかんない……わかんないよ

 

 

 

—…さぁ、受け入れろ

  我を受け入れ、そのカオスを我に捧げるのだ…—

 

 

微かに聞こえる、そんな声

頭の片隅に77の数字が浮かび……そして消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変だったぜ?人間のふりしてお前らの信頼を得るのはよぉ?」

 

『ふざけんじゃねぇ!』

 

怒りで顔が赤くなるのが自分でも分かった

……零は、バリアンで、裏切り者だった

それだけでも俺の感情を揺さぶるのには十分だったのに

あいつは凌牙の過去を知りながら裏切った

凌牙が前世で裏切られ、傷つけられ、この生で壊れた心を抱えながら懸命に生きようとしているのに

あいつはそれを踏みにじったんだ!

 

「……さぁ、茶番もここまでだ

 来い、神代凌牙!No.96!バリアン世界を救済するために貴様らを打ち倒す!」

 

「……」

 

凌牙は俯いてなにもしゃべらない

しかし、今の凌牙の体にほとんど力が入っておらず、俺の力だけで支えていると言っても過言ではない

そしてあちらで聞こえてくる端々の会話から、遊馬は真月零がバリアンだって知ってたみたいだ

……ここであいつの仲間思いな性格が利用されるなんてな

 

()は、SRダブルヨーヨーを、召喚」

 

 

SRダブルヨーヨー

星4/風属性/機械族/攻1400

 

 

『凌牙……?』

 

いきなりデュエルを再開した凌牙に違和感を感じる

 

「この効果で、レベル3以下のスピードロイドチューナー、モンスターを、墓地から特殊召喚する、SR三つ目のダイスを、召喚」

 

 

SR三つ目のダイス

星3/風属性/機械族/攻 300

 

 

「レベル4のダブルヨーヨーに、レベル3の三つ目のダイスをチューニング

 輝く翼、神速となり天地を照らせ、クリアウィング・ファスト・ドラゴン」

 

 

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

星7/風属性/ドラゴン族/攻2500

 

 

『凌牙、おい、凌牙!』

 

明らかに凌牙の様子がおかしい

必死に揺さぶりをかけて正気を取り戻そうとするが、まったく効果が無い

手札を奪い俺がデュエルを変わろうとするが、かなり強い力で握られているのか俺の力じゃ引きはがせない!

 

「クリアウィングの効果発動、EXデッキから特殊召喚されたモンスターを、対象にできる

 ターン終了まで効果を無効にし、攻撃力を0にする」

 

「なるほど、それが君の切り札、シンクロ召喚か……

 しかしその効果を通すわけには行かない!私はグローリアス・ヘイローの効果を発動!ORUを使いクリアウィングの攻撃力を半分にし、効果を無効にする!」

 

「……」

 

 

No.102光天使グローリアス・ヘイロー ORU:2→1

 

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻2500→1250

 

 

クリアウィングの効果が無効になったにもかかわらず、凌牙は何の反応も見せない

どうした、一体何が凌牙をこうさせたんだ!

頭を必死に回転させ、記憶を探る

……そうだ、零が、ベクターとわかったあの時にはもう様子がおかしかった

 

「---さらにVと名の付くカード1枚につきデッキから5枚を墓地に送る

 これによりお前は25枚を墓地に送らなければならない!よってお前のデッキは3枚だ!」

 

いつの間にかあちらのデュエルも大変なことになっていた

なんだよデッキ3枚って!デュエルはデッキアウト……デッキの枚数が0になり、ドローできなくなったらそのプレイヤーは敗北する

3枚という絶望的な枚数であいつらは戦わなければいけない

 

 

「私は、カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

 

神代凌牙LP:500 手札:2

【モンスター】

バージェストマ・ハルキゲニア/守 0

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻1250

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2

伏せ×1

 

 

こっちもこっちで凌牙の様子がおかしいし……本当にこのデュエル勝てるのか?

そんな弱気な考えが頭によぎる

凌牙は真月零に裏切られたショックで正気ではないし、遊馬とアストラルも息が合っていない

 

「私のターン、ドロー!これで終わりだ、神代凌牙!私はRUM-バリアンズ・フォースを発動!」

 

ドルべが1枚のカードを勢いよくドローし、そのまま発動する

あのカードを発動されたら……!

 

「罠カード発動」

 

クルリとカードが1枚反転する

 

「神の宣告、ライフを半分払い、魔法カードの発動を無効にして、破壊する」

 

RUMはそのまま発動させること無く破壊される

一時の危機は脱した……だけど、状況が最悪なのは以前として変わらない

 

 

神代凌牙LP:500→250

 

 

そしてドルべはグローリアス・ヘイローがクリアウィングに対して攻撃を仕掛けるが、三つ目のダイスを墓地から除外して攻撃を無効にする

何をするわけでも無く、そのままドルべはターンエンドした

 

 

ドルべLP:2800 手札:2

【モンスター】

No.102光天使グローリアス・ヘイロー/攻2500 ORU:1

【魔法・罠】

無し

 

 

「私のターン、2枚ドロー、強欲で貪欲な壺を発動、10枚除外して、2枚ドローする

 手札から妖仙獣鎌参太刀を召喚、妖仙カウンターが1つ点灯し効果発動

 妖仙カウンターと3つ取り除き、妖仙獣左鎌神柱を手札に加える

 そして私はスケール3の妖仙獣左鎌神柱と、スケール5の妖仙獣右鎌神柱をセッティング

 ……クリアウィングを守備表示にし、カードを1枚伏せてターンエンド、この瞬間、参太刀の効果によりエンドフェイズに手札に戻る」

 

 

妖仙獣鎌参太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1500

 

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2→3→0

 

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻1250→守2000

 

神代凌牙LP:250 手札:3

【Pゾーン】

妖仙獣左鎌神柱/Pスケール3

妖仙獣右鎌神柱/Pスケール5

【モンスター】

バージェストマ・ハルキゲニア/守 0

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/守2000

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:0

伏せ×1

 

 

手札を増強したりしたが何分手札が良くない

あれだけドローしたにもかかわらず、この状況を打破するカードは、引けなかった

まずい、この状況はまずい!

 

『凌牙!なぁ凌牙!頼むから正気に戻ってくれ!』

 

必死に凌牙に語り掛けるが、何も反応しない

駄目だ、こんなんじゃ勝てるものも勝てない、一体どうすれば……

 

「私のターン、ドロッ……!」

 

ドルべがドローしようとした瞬間、凄まじい暴風がサルガッソ内を駆け抜ける

風の発生源を探すと、飛行船がブラックホールに吸い込まれそうになっていた

飛行船は徐々にブラックホールの方に近づいており、今にも飲み込まれそうになっている

 

「小鳥!」

 

「……あの穴塞いでやろうか?」

 

遊馬の悲痛な悲鳴が聞こえる

そしてその声に答えるようにベクターは遊馬に問いかけた

 

『何……?』

 

「サルガッソの灯台を一時的に増幅させれば……あの穴ぐらいは塞げるかもしれない」

 

「!!だったら!」

 

「その変わり、お前らの持ってるNo.を全てもらおうか?」

 

……やっぱりそう来るか

これで実質俺達は小鳥達を人質に取られたも同然だ

遊馬はアストラルも、小鳥も選べない

どちらも大切だからどちらも見捨てるなんて選択を選べない

 

「よそ見をしている暇なんてないぞ!ドロー!私はシャインエンジェルを召喚!」

 

 

シャインエンジェル

星4/光属性/天使族/攻1400

 

 

「クリアウィングの効果発動、グローリアス・ヘイローの効果を無効にし、攻撃力を0にする」

 

「何度も同じことを……私はグローリアス・ヘイローの効果発動!ORUを1つ使いその効果を無効にし、攻撃力を半分にする!」

 

 

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻1250→625

 

No.102光天使グローリアス・ヘイロー ORU:1→0

 

 

効果は無効にされたが、これでグローリアス・ヘイローのORUが無くなり、あの厄介な効果はもう使えない

しかし……状況が最悪なのは以前変わらない

 

「手札からトランスターンを発動!

 モンスター1体を墓地に送り、そのモンスターと同じ種族・属性でレベルが1つ高いモンスターをデッキから特殊召喚する!

 私はシャインエンジェルを墓地に送り光神テテュスを特殊召喚する!」

 

 

光神テテュス

星5/光属性/天使族/攻2400

 

 

「バトル!私はグローリアス・ヘイローとテテュスで凌牙のモンスターに攻撃だ!」

 

そのまま二体のモンスターは爆発四散する

その様子を見ても、凌牙は何も反応せず、ただ暗い瞳で真っすぐ前を見つめていた

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

 

ドルべLP:2800 手札:1

【モンスター】

No.102光天使グローリアス・ヘイロー/攻2500 ORU:0

光神テテュス/攻2400

【魔法・罠】

無し

 

 

「俺と!」

 

『私で!』

 

『「オーバーレイ!』」

 

アストラルと遊馬が二つの光となりサルガッソ内を駆け巡る

青と赤が交わり合い、1つになり、そして……

光がはじけた

 

『……は?』

 

はじけ飛んだアストラルはそのまま空中に横たわる形になり、胸から黒いシミが……カオスがアストラルが包み込んだ

悲痛な叫び声がサルガッソ内に木霊する

そんな状況でも、凌牙はただ暗い瞳で前を見据えていた

アストラルの方に再び目を向けると、カオスが弾けて中にいたアストラルが姿を現す

現れたアストラルはその半分をカオスに身を宿していて……とてもじゃないが正気じゃない

 

『ゼアル、ゼアル、ゼアル、ゼアル、ゼアル』

 

「ア、アストラル?お前、どうしちまったんだ?」

 

『ゼアル、ゼアル、ゼアル!ゼアル!ゼアル!』

 

そのままアストラルは遊馬を抱え空中へ引き上げる

……そしてそのまま黒い光に包まれて、光が消失する

現れたのは全体的に黒を基調とし、カオスの力を纏った……悪意に染まってしまった、ゼアルだった

 

「私のターン、2枚ドロー

 罠カードバージェストマ・ピカイアを発動、手札のバージェストマカードを捨て、その後2枚ドローする

 さらにチェーンで墓地のバージェストマ・エルドニアの効果、このカードを通常モンスターとして特殊召喚する」

 

 

バージェストマ・エルドニア

星2/水属性/水族/守 0

 

 

あっちが大変なことになってるにもかかわらず平然と凌牙はデュエルを進める

いつの間にか手札も6枚で膨れ上がっており、これなら何とかなりそうかもしれない

それでも凌牙が正気でない以上油断できない

……どうして、どうして声が届かないんだ

 

「私は手札から鎌参太刀を召喚、効果により妖仙獣鎌弐太刀を召喚する

 妖仙モンスターが召喚されたことにより妖仙カウンターが2つ点灯する」

 

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1800

 

妖仙獣鎌参太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1500

 

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:0→2

 

 

「バトル、私は鎌弐太刀で攻撃、効果発動

 相手に与えるダメージを半分にすることでダイレクトアタックできる」

 

「くっ!直接攻撃か……!」

 

 

ドルべLP:2800→1900

 

 

「この瞬間、鎌参太刀の効果発動、このカード以外の妖仙モンスターが戦闘ダメージを与えた時、鎌参太刀以外の妖仙モンスターを手札に加える、私は魔妖仙獣大刃禍是を手札に加える

 私はカードを2枚伏せてターンエンド、この瞬間鎌弐太刀と鎌参太刀は手札に戻る」

 

 

神代凌牙LP:250 手札:5

【Pゾーン】

妖仙獣左鎌神柱/Pスケール3

妖仙獣右鎌神柱/Pスケール5

【モンスター】

バージェストマ・エルドニア/守 0

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2

伏せ×2

【EXデッキ】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

 

 

「私のターン、ドロー!

 私は手札から速攻魔法光神化を発動!手札から天使族モンスターを1体特殊召喚する!ただし攻撃力は半分になりエンドフェイズには破壊される、私は2体目の光神テテュスを特殊召喚!

 そして2体の光神テテュスでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!星々の光よ、今大地を震わせ降臨せよ!ランク5、セイクリッド・プレアデス!」

 

 

セイクリッド・プレアデス

ランク5/光属性/戦士族/攻2500 ORU:2

 

 

「私はプレアデスの効果発動!ORUを1つ使いフィールドのカード1枚を手札に戻す!私は守護神の宝札を対象に発動する!」

 

 

セイクリッド・プレアデス ORU:2→1

 

 

……まぁそうくるよな

守護神の宝札は手札を5枚捨てて発動できるカード、その後2枚ドローできるとはいえ中々発動条件が厳しいカードだ

それに破壊されればおしまいだしな、それでも通常ドローを毎ターン2枚引けるというのはかなりのハンドアドバンテージを得ることが出来る

 

「ハンドレット・オーバーの効果発動!このカードの対象になったモンスターが攻撃された時、相手モンスターの攻撃力に100加えた攻撃力になる!」

 

『ぐっ……!DZW-魔装鵺妖衣(キメラ・クラス)の効果発動!攻撃力を2倍にしてもう一度攻撃できる!ダーク・チャージ!行け!ホープレイVでシャイニングを攻撃!』

 

『なっ……!』

 

あのバカ何やってんだ!?

シャイニングはハンドレット・オーバーの効果で必ずホープレイVの攻撃力は100上回る

なのに何度も何度も攻撃し、ついにはライフが600にまで減ってしまった

あの攻撃が通ったらライフが500になりサルガッソの効果で敗北が決定してしまう!

 

『う、あああああああああああ!』

 

いきなりダークゼアルが苦しみ始める、カオスの力がダークゼアルを覆い弾けた

……そして現れたのは分裂したアストラルと遊馬だった

ダークゼアルになっていた時、アストラルと遊馬に何があったのかわからない

でも強制的にゼアルが解かれたとなるとそれ相応のことがあったに違いない

ってそういう場合じゃねぇ!

 

『遊馬!今すぐホープレイVの攻撃を中断させろ!』

 

「そうしなければ貴様の負けだ!」

 

自分のフィールドやDパッドのライフ表示を見てこの状況がまずいと気が付いたのだろう、慌ててエンド宣言をする

サルガッソの効果でライフが100になるがまだ負けていない、負けていないならなんとでもなる、が……

デッキ枚数は残り1枚、アストラルとのゼアルも絶望的

でも遊馬はアストラルが倒れても、1人で立ち上がりデュエルを続けようとする

希望を失っていない、その姿にカイト達は安堵の息を漏らす

 

「私はプレアデスでエルドニアを攻撃!そしてグローリアス・ヘイローで止めだ!」

 

「……私は手札のバトルフェーダーの効果発動、直接攻撃宣言時に発動でき、バトルフェイズを終了させる」

 

 

バトルフェーダー

星1/闇属性/悪魔族/守 0

 

 

「くっ……!私はこれでターンエンドだ!」

 

ドルべがイラついたようにエンド宣言をする

ライフが250しかないのにそれを削りけれない、明らかに凌牙はドルべから見たら格下なのに

この危うい均衡がいつ崩れるのか……きっとそれが崩れた時が、このデュエルの勝敗が決まる時だろう

 

 

ドルべLP:1900 手札:0

【モンスター】

No.102光天使グローリアス・ヘイロー/攻2500 ORU:0

セイクリッド・プレアデス/攻2500 ORU:1

【魔法・罠】

無し

 

神代凌牙LP:250 手札:5

【Pゾーン】

妖仙獣左鎌神柱/Pスケール3

妖仙獣右鎌神柱/Pスケール5

【モンスター】

バトルフェーダー/守 0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2

伏せ×2

【EXデッキ】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン




ブラック・ミストがまさかの胃痛枠に
あと璃緒とか他の子達の描写をあまりかけなくてごめん、だってそっちまで書くと話長くなりそうやったんや……
あと77って数字は漫画版読んでる人にはわかるんじゃないかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

43/神代凌牙VSドルべ~失った”もの”~

これにてサルガッソ編終了!
次からは遺跡編へと突入します


神代凌牙LP:250 手札:5

【Pゾーン】

妖仙獣左鎌神柱/Pスケール3

妖仙獣右鎌神柱/Pスケール5

【モンスター】

バトルフェーダー/守 0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2

伏せ×2

【EXデッキ】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

 

ドルべLP:1900 手札:0

【モンスター】

No.102光天使グローリアス・ヘイロー/攻2500 ORU:0

セイクリッド・プレアデス/攻2500 ORU:1

【魔法・罠】

無し

 

 

「私のターン、ドロー

 リバースカードオープン、速攻魔法揺れる眼差しを発動、お互いのペンデュラムゾーンのカードを破壊し、その後この効果で破壊したカードの枚数によって効果を適用する

 破壊したカードは2枚、よって相手に500のダメージを与えデッキからペンデュラムモンスターを1体手札に加える、私はSRドミノバタフライを手札に加える」

 

 

ドルべLP:1900→1400

 

 

「自らペンデュラムカードを破壊した……?まさか!」

 

「私はスケール2の魔装戦士ドラゴディウスとスケール7の魔装戦士ドラゴノックでペンデュラムスケールをセッティング

 ……これによりレベル3から6のモンスターが同時に召喚可能となる」

 

光の柱に大きな振り子……ペンデュラムが現れ、揺れる

 

「揺れろ、魂のペンデュラム……生きるも地獄死ぬも地獄、同じ地獄にゃ行かなきゃ損損、ペンデュラム召喚

 手札から妖仙獣鎌弐太刀に鎌参太刀、そしてEXデッキから妖仙獣右鎌神柱に左鎌神柱

 さらに妖仙獣を特殊召喚したことにより妖仙カウンターが1つ点灯し、妖仙カウンターを3つ取り除き妖仙獣鎌壱太刀を手札に加える」

 

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1800

 

妖仙獣鎌参太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1500

 

妖仙獣右鎌神柱

星4/風属性/岩石族/守2100

 

妖仙獣左鎌神柱

星4/風属性/岩石族/守2100

 

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:2→3→0

 

 

凌牙のフィールドに5体のモンスターが並ぶ

そして凌牙はさらに手札を引き抜く

 

「私は鎌弐太刀と鎌参太刀をリリースしてアドバンス召喚

 疾風纏いし妖の長よ、荒ぶるその衣を解き放ち、大河を巻き上げ大地を抉れ、アドバンス召喚、魔妖仙獣大刃禍是

 妖仙獣が特殊召喚されたことによりさらに妖仙カウンターが1つ点灯する」

 

 

魔妖仙獣大刃禍是

星10/風属性/獣族/攻3000

 

修験の妖社(永続魔法) 妖仙カウンター:0→1

 

 

「いくら上級モンスターを召喚しようが関係ない!私はプレアデスの効果を発動! ORUを一つ使い大刃禍是を手札に戻す!」

 

「妖仙獣左鎌神柱の効果発動、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はこのカード以外の自分フィールドの妖仙獣を効果の対象にできない

 プレアデスの効果はフィールドのカード1枚を対象に取る、よってその効果は不発だ」

 

「なんだと!この為にわざわざペンデュラムカードを破壊したのか……!」

 

 

セイクリッド・プレアデス ORU:1→0

 

 

「大刃禍是の効果発動、このカードが召喚・特殊召喚された時フィールドのカード2枚を対象に発動できる、そのカードを手札に戻す」

 

「なっ!?」

 

暴風がドルべのフィールドを包み込み、グローリアス・ヘイローとプレアデスは元のカードに戻りEXデッキに戻っていく

手札は0伏せカードもないし、墓地で発動するカードも無い

……一時はどうなることかと思ったが、これで何とか勝ち、か

 

「私は手札から魔法カードシフトアップを発動、自分フィールドの最もレベルの高いモンスターを選択し、エンドフェイズまで他のモンスターは選択したカードと同じレベルになる、私は大刃禍是を選択する」

 

 

妖仙獣右鎌神柱/星4→10

 

妖仙獣左鎌神柱/星4→10

 

バトルフェーダー/星1→10

 

 

『凌牙、お前何やって』

 

凌牙のデッキにはグスタフマックスが入っているが、それを召喚しなくても勝てる

なのにわざわざレベルを10にする意味なんてどこにもない

 

「私はレベル10になったバトルフェーダーと左鎌神柱でオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、全てを食らいつくす暴食な糸よ、その貪欲な食欲で全てを食い散らかせ……エクシーズ召喚、No.35ラベノス・タランチュラ」

 

 

No.35ラベノス・タランチュラ

ランク10/闇属性/昆虫族/守 0 ORU:2

 

 

『No.だと!?』

 

「凌牙!?そのNo.はどうしたの!」

 

「なんだ、この邪悪な力は……!」

 

なんで、なんで凌牙がNo.を持っているんだ!

俺は曲がりなりにも100枚のNo.の1枚、それなのに凌牙がNo.を持っていることに気が付かなかったなんて!

いや、それよりもいつこのNo.を手にいてたんだ?こんな邪悪な力を持っているNo.を手に入れて正気でいられるなんて

 

「さらに私はEXデッキにいるモンスターの効果発動、このカードは自分フィールドのORUを2つ以上持ったランク8から10の闇属性エクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚できる

 ラベノス・タランチュラを素材にオーバーレイネットワークを再構築、ランクアップ・エクシーズ・チェンジ

 痛みを増幅せよ、痛みを与えよ、その圧倒的苦痛を私に歯向かう全ての敵に与えろ……No.84ペイン・ゲイナー」

 

 

No.84ペイン・ゲイナー

ランク11/闇属性/昆虫族/守 0

 

 

先ほどの未知のNo.が蜘蛛の糸に包まれた

そのNo.が全て蜘蛛の糸に包まれ、姿を現したのは先ほどのNo.と同じで蜘蛛を模したモンスターだった

3つの目がギョロリとこちらを見据え、その視線に肌が泡立つ

知らない、あんな邪悪なNo.は……アストラルの半身であり、No.のカオスを司る俺でもNo.の全てを把握してるわけなじゃい

でもあのNo.は明らかに異質だ

 

「なんだ、凌牙、お前は一体何を」

 

一体何をしようとしているのか、それは俺にも、きっと璃緒にもわからないだろう

凌牙の周りには莫大なカオスが渦巻いており、その心を見透かすことは出来なかった

ピキリと何かがひび割れる音が聞こえる

 

「私はさらにEXデッキからモンスター効果発動、このカードは自分フィールドのランク10・11の闇属性エクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚できる」

 

最早デュエルどころではなかった

この邪悪なNo.が一体どれほどまでに進化するのか……何が起きるのか

止めなければ、止めなければあいつが、あいつの魂が

 

「化天を司る糸よ」

 

No.がオーバーレイネットワークに吸い込まれていき、3つのORUがその後を追うように渦に飛び込んでいく

 

「儚き無幻となりて」

 

No.とORUが全てネットワーク内に入り、渦巻いて

そしてここからでもわかる、莫大なカオスと……圧倒的な存在感

それこそバリアンが持つオーバーハンドレットナンバーズぐらいの

 

「我が滅び行く魂を導け」

 

止めなければ取り返しのつかないとわかってるのに、出来ない

ただただ、見てるだけしか出来なかった

 

「現れろ、No.77---」

 

凌牙がEXデッキから1枚のカードを取り出し、それをNo.に重ねようとした時

 

「俺と!」

 

『私で!』

 

『「オーバーレイ!』」

 

赤と青の光が、サルガッソを駆け抜けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視界に走る赤と青

くるくると回って、綺麗

 

『真の絆で結ばれし2人の心が重なった時、語り継ぐべき奇跡が現れる!』

 

2つの光が1つになって、そこにいたのは……奇跡

 

「『エクシーズ・チェンジ、ゼアル!」』

 

そこにいたのは、最初のゼアルとは違う、オレンジ色の髪色に少しだけホープを思わせるような装飾をしている新たなゼアル

ぼぅっとした頭が急に覚醒する

……なんだ?俺は何してたんだ?

訳もわからずフィールドとDディスクに目を落とす

いつの間にかドルべのフィールドはがら空きで、俺のフィールドには

 

「……え?」

 

DディスクにはNo.84ペイン・ゲイナーという未知のNo.がセットされていた

何、このカード?

俺はNo.はNo.96ブラック・ミスト以外にNo.を持っていないし、そのカードもブラック・ミストに返却してるので現在俺はNo.を保持していない

そして右手には新たなエクシーズモンスターが握られていた

 

「なっ、ひぃ……!」

 

なんだ、なんだこのカード!

リアリストよりのデュエリストの俺でもわかる、このカードから発せられる強大な力に脳が警報を鳴らす……これは危険だ

その恐ろしさのあまりカードを地面に叩きつける

 

『凌牙!お前正気に戻ったのか!?』

 

「おれは しょうきに もどった !

 じゃなくて、何、俺何してたのん?俺、何があって」

 

震える声で俺を支えてくれてるブラック・ミストに尋ねる

その言葉にブラック・ミストは何も言わない

……ああ、そうだ、俺は、零にベクターに裏切られて

 

 

—…さぁ、受け入れろ

  我を受け入れ、そのカオスを我に捧げるのだ…—

 

 

あの声が頭の中でリフレインする

一体あの声は何だったのか、でも、あの声が聞こえてから、俺の意識は、俺、俺は

 

「『重なった熱き思いが、世界を、希望の未来に再構築する!リ・コントラクト・ユニバース!」』

 

新たなゼアルがバリアンのカードであるRUM-リミテッド・バリアンズ・フォースが砕け、砕け散ったかけらがカードになり、再構成される

 

「何ぃ!カードを書き換えただと!」

 

……ああ、そうだ、確かに俺は裏切られたし、あの声に何かされて、俺の精神状態は普通じゃないかもしれない

でも遊馬もアストラルあんなに頑張ってる、俺達の後輩が、俺達の希望が

再構築された新たなRUM-ヌメロン・フォースを発動させ、希望皇ホープが、新たな姿を現す

 

『「現れろ、CNo.39!』」

 

『未来に輝く勝利を掴む!』

 

「重なる思い、繋がる心が世界を変える!」

 

『「希望皇ホープレイ・ヴィクトリー!』」

 

ホープに赤・青・黄の装飾が付き、まるで新たなゼアルのような見た目になった

その姿はまさに希望(ホープ)と呼ぶにふさわしい

 

「行け!アンブラルをぶった切ってベクターをぶっ飛ばせ!

 希望皇ホープレイ・ヴィクトリーでアンブラルを攻撃!」

 

『「ホープ剣・ダブルヴィクトリー・スラッシュ!』」

 

四つ手にそれぞれ剣を持ってアンブラルへ振り上げる

大きなVの字がアンブラルに刻まれ、その攻撃に耐えきれなくなったアンブラルは爆発する

 

「ぐおおおおおおおおおおおおお!」

 

2、3回バウンドしてベクターは倒れ伏す

そしてARが新たなゼアル……いや、ゼアルセカンドの勝利を告げた

 

「いやったあああああああああ!」

 

「……全く、気が気じゃありませんでしたわ」

 

よかった、なんとか勝てたか……

なんて安心してたのもつかの間、いきなりサルガッソ全体が揺れ動く

なんぞ!一体何があったんだ!?

 

「今の衝撃でサルガッソのバランスが崩れたか……」

 

ドルべは冷静にこの現状を理解したのか、そうつぶやきミザエルに声をかける

 

「ミザエル、引くぞ!」

 

「ふざけるな!まだカイトとの決着が!」

 

「異次元の狭間に飲み込まれたいのか!つべこべ言わずにさっさと行くぞ!」

 

「くぅっ……!」

 

苦々しく顔を歪めるが、結局ミザエルはカイトに再戦の約束をし光の渦の中へと消える

それを見届けたドルべはベクターの居る場所へ瞬時に移動する

 

「ベクター、行くぞ!」

 

「ちぃ……!いいか、アストラルの心のシミは消えることはない

 ……じわじわとお前達を蝕み、それがいずれ取り返しのつかないことになるだろうなぁ……!」

 

「捨て台詞はいいからさっさと帰れ!」

 

「ぐぶぅ!」

 

中々帰らない(?)ベクターにしびれを切らしたのか、光の渦にドルべがベクターを投げ入れる

 

「お前達も早くここから脱出するといい、サルガッソはもう持たない」

 

そしてドルべも光の渦の中へ消えて行こうとする

 

「待って!」

 

消えて行こうとするドルべを止める

俺の言葉に反応したのか、遊馬達から視線をそらし俺の方を見やる

 

「ねぇ、零は、ベクターは……」

 

そこまで言って口を紡ぐ

あの様子を見て、きっとベクターは最初から裏切るつもりで俺達に近づいたのだろう

ベクターは表替えると言ってたし、最初から俺達の事を敵としか認識していなかった、俺達に憎しみしかなかったなかったと思う

でも、それでも

 

「ベクターは、俺達の友達だったんだ

 ……それは、それだけは変えられない真実だったんだ」

 

そうだ、いくらベクターが俺達の絆を、時間を、友情を否定しても、それだけは何者にも変えられない、俺達だけの真実なんだ

 

「君は、本当に似ているな……」

 

ドルべは目を細め、何かを懐かしむような表情をして……光の渦の中に消える

サルガッソの揺れはどんどん大きくなり、俺達の立ってる大地が崩れ始めた

なんとかしないと思う前にフラッシュ・トランサーの光が俺達を飛行船内に導く

ああ、やっと終わった、そう思った瞬間視界が歪む

そこで意識が途絶える

 

 

―…使えない依り代め、魂と器が限界な使い捨ての癖に

  まぁいい、これで十分なカオスが得られた……依り代をこの世界に誘い込んだのは間違いじゃなかったか…―

 

 

最後にそんな声が聞こえた、そんな気がした




とうとうVRAINSが始まりますね!
どんな話になるのか楽しみです!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3、神代凌牙のドキドキ遺跡探索
44/ベクターとカオスの神様


段々ドルべのキャラがおかしくなっていく……

VRAINSのスピードデュエルってあんな感じになるのか……
普通のスタンディングデュエルもある……あるよね?


「どこに行くんだベクター」

 

あの戦いから数日、バリアン七皇が根城にしている建物から出ようとしていたらドルべに見つかった

ドルべはあいつらが居なくなってから自分が俺らをまとめなきゃと常に気を張っている

ましてや俺はアリトやギラグみたいに眠りについてはいないが体はズタボロだ、だから余計に俺に意識を向けているのだろう

 

「あー、ちょっとなー」

 

「はぁ、この自由人め……

 それでこれからどうする?」

 

これから、というのは遊馬達の持ってるNo.の回収の話だろう

俺が真月零として学園に潜入し、アストラルと遊馬の友情を引き裂く作戦も失敗に終わったし

 

「とりあえず何の情報がない以上どうしようもできねぇだろ」

 

「なんとか出来ないのか作戦隊長」

 

「できねぇもんはできねぇよ参謀」

 

あんな事が合った以上、あっちも相応に警戒するはずだ

下手に突撃して攻撃を仕掛けるのは危険だし、返り討ちに会う可能性も高い

 

「……今は静観するほかない、か」

 

「そういうこった」

 

何かしらのアクションがないときついだろう

また計画の練り直しかと思うとやる気をなくす、ドルべはともかくミザちゃんは脳筋だしな……

 

「んじゃ、俺は行くとこあるから」

 

そう言って俺はひらりと翻り歩き出す

そうだ、俺は行って確かめなければならない、アストラル世界とバリアン世界の戦いの意味を

 

「……ベクター、遊馬達との友情ごっこは楽しかったか?」

 

その言葉に思わず足を止める

 

「……まぁな」

 

きっとドルべの”楽しかった”は、きっと人間としての生活を指しているよな

こんな質問をあいつがしてくる事に驚きつつも質問の返答を考える

学校で授業を受けて、休み時間はあいつらと馬鹿騒ぎをして、放課後は寄り道をしたり凌牙と一緒にカイトのところに行ったり

……神代凌牙、この世界とは異なる世界からやってきた転生者

思えば真月零として生活していた時の記憶を思い出すと遊馬達よりも、あいつと過ごした時間の方が多かった気がする

この世界には存在しないペンデュラムカードや遊戯王シリーズと呼ばれるこの世界……いや、この次元とは異なる次元の話

その情報を聞き出すために凌牙に付きまとってたからな、でもそれが友情ごっこよりも楽しかったかもしれない

 

「あいつは、凌牙は言っていたぞ

 ……ベクターは友達だったと、それだけは変えられない真実だったと」

 

前世では信じてもらえず、裏切られて、最後には殺されてしまった哀れな少女

それで心が病んでしまったにもかかわらず、あいつは俺を友と呼ぶのか

何を言っていいのかわからず、ドルべに背を向けたまま歩き出す

俺は確かめなきゃいけないことがある、その為に

 

「神代凌牙は本当に……××××に似ているな」

 

ドルべのその言葉に振り返ることなく、ただ歩いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に広がるのは赤い海、別名悪意の海

ここは古くからの言い伝えでバリアン世界の神であるドン・サウザンドが眠るとされている場所だ

海の深い深い場所に眠るとされるドン・サウザンドに会うのが俺の目的

そんな古い伝承が本当かどうかもわからないけど、一欠けらの可能性があるのなら俺はそれにかける

ドボンと飛び込み、視界が赤に浸食される

悪意が俺を襲い、硫酸の中に入ったみたいに少しずつ溶ける感覚があるが不思議と痛みはない

何分か、何十分か、何時間か、体感時間が狂いながらも海の深い深い場所へ潜っていく

そしてやっと見つけた悪意の海の終着点、大きな海底の切れ目へ入っていくと伝承にあったドン・サウザンドの紋章があった

あの伝承は、嘘じゃなかった

 

「ドン・サウザンド!俺らの世界の神よ!俺の問に答えろ!」

 

ズタボロの体からカオスをありったけ搾り取り、紋章にぶつける

この方法が正解かもわからない、けれども不思議とこの方法が正解だと確信していた

 

『……我の眠りを妨げるのは誰だ』

 

頭の中に響く重苦しく、しかし不思議と頭の中にすんなりと入ってくる不思議な声

そして確かに感じる絶対的な存在感

これが、俺らの神にして頂点であるドン・サウザンド

 

「てめぇの都合なんてどうでもいいんだよ、俺はお前に聞きたいことがあってきたんだからな」

 

『その声は……ベクターか?』

 

「!?」

 

こいつなんで俺の名前を……いくら神でもこいつはさっき目覚めたばかりだ

いや、そういう”存在”だから、と言われればそれまでだが何か引っかかる物を感じる

 

『しかし何用だ、お前がただ何となくで我を眠りから起こしたわけではあるまい』

 

そうだ、俺はこいつに聞きたいことがあってきたんだ

 

「俺達はなんでアストラル世界と戦っている!?この戦いに何の意味がある!?答えろ!ドン・サウザンド!」

 

凌牙の言葉を聞いてから時々考えていた

なんでアストラル世界と戦うのか、どうしてそれが原因でバリアン世界が滅ぶのか

俺達バリアンが、数千年という長い時間アストラル世界と戦っているわけを、きっとドン・サウザンドなら知ってるはずだ

知っていなくても何かきっかけとなる出来事を知っているはずだ

 

『……』

 

ドン・サウザンドは答えない

黙ったまま、何かを思案するように目を閉じる

 

「はぁっ!?」

 

ドン・サウザンドから無数の触手が伸び俺を絡めとる

触手から逃れるように必死に抵抗するが、ドン・サウザンドを目覚めさせるために莫大なカオスを使い、さらに遊馬達と戦った傷もまだ癒えていない

逃げ切れるわけがなかった

 

『まさか七皇であるお前がその疑問にたどり着くとは、我もそろそろ動かなければな』

 

「どういう、意味だよ……!」

 

『何も疑わずにアストラル世界を滅ぼせばよかったものを……

 目障りな××××と×××を殺したのに、やはり××××の影響力は無視できないものだったか』

 

「ころ、した?」

 

こいつは何を言ってるんだ?

ドン・サウザンドの言い方だとあいつが××××と×××を殺したような

でもそれをしたのは俺だ、ちゃんとその時の記憶もある

 

『本当に?』

 

声が頭に響く

 

『それは本当にお前の意思だったか?』

 

そうだ、あれは俺の意思だ

××××達が目障りで、だから×××を盾にして一緒に

 

『本当にお前は××××を目障りだと思っていたのか?本当に?』

 

そうだ、俺は××××が、目障りで、嫌いで、だから……

本当に?これは、本当に俺の気持ちだったのか?

 

『生まれた時よりNo.に祝福された哀れな皇子

 カオスとNo.の親和性が高いお前に干渉するのはたやすい事よ』

 

「なんだよ、それ!どういう意味だよ!」

 

No.に祝福された?皇子?干渉?

一体何のことかわからない、わからないがその言葉が本当なら

 

「お前が、××××を俺に殺させたって事かよ……!」

 

『ほう、気が付いたか』

 

少しだけ驚いた声を上げ、感心したようにうなずく

なんだよ、それ、じゃぁ、アストラル世界との戦いも、バリアン世界の崩壊も、全部

 

「そうか、よくわかんねぇが全部黒幕って事かよ……!」

 

ふざけるなと叫び出したい、俺らの戦いが全部無意味な事だったなんて

バリアン世界はアストラル世界が原因で崩壊しない、だからアストラル世界との戦いも全部……無駄だった

××××を殺したのだって、俺自身そう選択したように見せかけて、全部こいつの

 

『だが今更気が付いたところでもう遅い』

 

ずくり

 

「あ、がああああああああああああ!」

 

触手が俺の体に突き刺さり、俺の体を貪る

心臓が絡み取られ、それが強烈な痛みになって俺に襲い掛かった

 

『ベクター、今この時よりお前は我の依り代となり、我の手足となり動くのだ

 まぁ、あまり自我を壊しすぎるとカオスの供給に支障が出るので強く干渉出来ないが……お前には関係ないか』

 

「い、がぁ、あ!」

 

目が霞んで視界が滲む、思考が淀んでいく

せっかく真実にたどり付いたのにこんな結末になるなんて

 

「みざえ、ど、る」

 

あいつらなら俺の変化に気付くだろうか

 

「あ、り、ぎら、ぐ」

 

目覚めない同胞は大丈夫だろうか

 

「な、め、ら」

 

俺が弔った、あいつ等は

 

『さぁ、その心臓を我に捧げよ!』

 

そして俺の意識は反転した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ダメ、何も感じないわ」

 

「いもしゃのアンテナでもダメかー……」

 

「だから!その名前で呼ばないでって何回言ったらわかるのよ!」

 

屋上で私と凌牙、遊馬、小鳥さん、ブラック・ミストで小会議を開いていた

授業中に私たちが感じた”何か”の正体を確認するため

あの感覚は一瞬で、詳しく正体を掴む前にその”何か”は霧散してしまった

 

「でも、皆が一斉に何かを感じ取るなんて……」

 

小鳥さんの言う通り普通の人間とはいいがたい私たちが”何か”を感じ取るなんて

何かしらある、そう思ってるからこそこの小会議なのだろうけど

 

『凌牙、お前は何か気が付いたこととかなかったか?』

 

「……」

 

ブラック・ミストが凌牙に声をかけるが何も反応を見せず、ただ空を見つめている

 

「凌牙!」

 

「ん?んー……あー、なんもないなー

 ただこのメンバーが何か感じ取ったとすると、やっぱバリアンとかNo.関係の可能性が高いんでねーの?」

 

私の呼びかけでようやくこちらに意識が向いたのか、そう言葉を紡ぐ

凌牙はあの戦いからぼーっとすることが多くなった

今だ癒えていないのだろう……ベクターに裏切られた時につけられた、心の傷が

でも、少し前よりはましだ、と思いたい

サルガッソの戦いから3日間凌牙は部屋に閉じこもって出てこなかった

私がいくら呼びかけても、遊馬達が声をかけても、凌牙は出てこなかった

唯一の凌牙の安否がわかるのは実体の持たないブラック・ミストとアストラルの報告だけ

その報告でも、凌牙は何をするわけでも無く、ただ部屋の隅でじっとしていたと

そして3日がたちようやく出て来た凌牙はボロボロだった

少しだけ頬が痩せこけ、目の下には濃い隈が出来上がっていた

 

「だよなー……」

 

「でもそれがバリアン関係だったとして、一体何があったのかな?」

 

「バリアン世界で何かあった、とか?」

 

『何かってなんだよ』

 

「知らぬ」

 

部屋から出て来た凌牙は力なく笑った

自分はもう大丈夫だと、時間はかかるけど、乗り越えて見せると

 

「何か大きい事でもしようとしてるんかな?」

 

「あのサルガッソの戦いであちらはかなりの深手を負ったはずですから、こんなに早く仕掛けてくるものかしら?」

 

色々と意見を出し合うけど、これといった情報は出てこない

遊馬の持っている皇の鍵が輝き、空が曇天に包まれる

そしてそこに現れたのは、あの戦いで私たちが使った皇の鍵の飛行船だった

フラッシュ・トランサーが私たちを飲み込み、飛行船の中へと誘う

 

「とりあえずアストラル、貴方むやみやたらに飛行船を出すのはやめなさい」

 

『アレすっげー目立つぞ』

 

『それは……配慮が足りなかったな、すまない』

 

素直に謝るアストラルに反省したかと小さく息をはく

ただでさえ前に飛行船が現れた時に大騒ぎになったのだから……

 

『とりえずこれを見て欲しい』

 

現れたのは球体の地図、その地図には赤い点が7つあり何かを示しているようだった

そして

 

<遊馬、アストラル>

 

ホログラムが一人の男性の形になる

探検家のような服を着ており、顔立ちがどことなく遊馬に似ている

 

「父ちゃん!?」

 

「ふぁ!?」

 

「え、遊馬のお父様ですの!?」

 

遊馬の父……九十九一馬さんの言葉だと事態は良い方向に向かってはいないらしい

そして遺跡の7枚を探せと、そういうメッセージがの越されていた

 

『で、これ見てお前はどうすんだよ』

 

ブラック・ミストが遊馬にそう問いかける

答えはわかっているが念のための確認の為だろう

 

「父ちゃんは今まで俺を導いてくれた、だから俺は父ちゃんを信じる!」

 

真っすぐとこちらを見る真っ赤な瞳が私たちを射抜く

 

「俺も行くよん!もしかしたらあのNo.についてわかるかもしれないし」

 

あのNo.というのはサルガッソの戦いで凌牙が使っていたNo.35ラベノス・タランチュラとNo.84ペイン・ゲイナーの事だろう

あの戦いの後あのNo.を探してみたが、最後まで見つかることはなかった

凌牙もなんであのNo.を持っていたかわからないし、かなり危険なNo.だというのは私たちの共通認識だ

 

「もちろん私も同行しますわ」

 

『凌牙が行くなら俺も行く』

 

「そうと決まれば出発するわよ!」

 

飛行船が動き出す

高度がぐんぐん上昇し、ハートランドから離れていくの見ながらまた新たな戦いについて考える

7枚のNo.は一体どんな力を秘めているのか、そして……

 

「……」

 

『ん?どうした璃緒?』

 

「いいえ、なんでもありませんわ」

 

No.は元々アストラルの記憶でありヌメロン・コードの鍵、それがなんらかの原因で100枚に分かれ人間世界にばらまかれた

なのに遊馬のお父様の話だと7枚のNo.はまるではるか昔からあったような言い方

それにWDCで小鳥さんと遊馬から聞いたNo.7ラッキー・ストライプも昔から美術館に保管されていたNo.と聞いたし……

アストラルがこの人間世界に来たのは最近なのにそんな昔からNo.があるのはおかしい

その7枚のNo.は本当にアストラルの記憶なのだろうか?

バリアンが持つオーバーハンドレットナンバーズもアストラルは知らなかったし、もしかしたらその7枚のNo.はバリアン側のNo.だという可能性もある

……いや、バリアン側のNo.だったらとっくにあちらが回収しているはずだ

 

「璃緒?どうしたん?」

 

凌牙が心配そうな眼差しでこちらを見てくる、少し考え事が長すぎたかしら?

 

「いいえ、なんでもありませんわ」

 

私はそう言いながら、微笑んだ




\デデーン、ベクターアウトー!/


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

45/神代凌牙とペガサスの遺跡

VRAINSで現在4話までやってるけどヒロインが出てこないってどういうことなの……?
いや、ブルーエンジェルは出て来たけど財前葵は出てきてないじゃん!
あとGO鬼塚とPlayMakerのデュエルもこれからどうなるのか楽しみやでぇ!
所でこの世界ってリンク召喚とか他の召喚法ってどんな扱いなんだろ?
全部元からある召喚法なのかな?

最近TFSPでギミパぺデッキまわすのが楽しくてしょうがない


『荒れてるなぁ……』

 

異次元トンネルの中は激しい雷と風で飛行船を揺らす

俺達皆甲板に出て異次元トンネルにどんなことがあっても対応できるようにスタンバってる

 

「なぁアストラル、アストラル世界ってどんなところなんだ?」

 

『……?なぜそんなことを聞く?』

 

「だって、父ちゃんはNo.の事を知っていた、絶対アストラル世界にいるはずなんだ」

 

一馬さんだっけ?と遊馬のお母さんの未来さんは小さい頃に行方不明になった、らしい

うーん、本当に一馬さんって何者なんだろう?前にバイロンさんから聞いた時はバリアン世界が干渉した(?)23か所の場所もわかってたみたいだし

というか一馬さんと未来さんってホントにアストラル世界にいるんかな?いるとして帰ってこれない事情があるんかなー?

これでARC-Vの遊勝さんみたいな展開だったら激おこだからな!なんで遊勝さんバーバリン使いの人とのデュエルの前日にプロフェッサーのとこ行ったんだよ……しかもエクシーズ次元とか行ってないで帰って来いよ……遊矢君が笑顔の呪いに掛かったのあんたのせいだかんな……

 

『アストラル世界はランクアップした魂が行きつける世界だ』

 

『魂のランクアップって?』

 

「ああ!」

 

「凌牙、ブラック・ミスト?」

 

『「ごめんなさい』」

 

色々と遊戯王の話をしているせいかブラック・ミストがどんどん俗世に染まってる気がする

この前も某携帯獣でボコボコに負けたしね!いやほら、俺旅メンバーだったし?というかブラック・ミストが全力で厳選しててびっくりしたわ

 

『すべての生き物の魂は常に理想を目指している、誰にでもランクアップの可能性はある』

 

「?それってどうやってランクアップするんだ?」

 

『それは私にもわからない』

 

「デュエルモンスターズみたいにRUMを使って、なんて簡単な問題ではありませんのよね」

 

『そもそもRUMはバリアンやアストラル人のように高次元のエネルギー……生命体にしか扱えないものだ

 シャークの次元のRUMはバリアンはおろか人間でさえノーリスクで使えるかなり異質なカードと言えるだろう』

 

やっぱこの次元とARC-VじゃRUMの扱いかなり違うよなー

一番の大きな違いは普通にランクアップさせるかカオス化させるかってとこかな

 

「ランクアップかー、俺も出来るかな?」

 

『あー……うん、出来るんじゃねーの?(目反らし)』

 

「なんでこっち見ないんだ!?」

 

本当にブラック・ミストは皆と仲良くなって……お姉ちゃんは嬉しいです

 

「……ん?」

 

飛行船の正面、赤い光がこちらに向かってくるのが見える

なんだろ、異次元トンネル特有の現象かなんかかな?

遊馬達はランクアップの話に夢中で気が付いてないみたい

 

「なー、あれなんだろ?」

 

俺が正面を指さすとつられて全員がそっちを見る

正体不明の光は真っすぐとこちらへ向かってくるけど……これ、直撃コースじゃね?

 

「これやばくね?」

 

『せやな』

 

『何かに掴まるんだ!』

 

アストラルが声を荒げて俺達に指示を出すがもう遅い

光が飛行船に衝突し、俺達全員がその衝撃で飛行船から投げ出されたのだった

……この展開前にもあったよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『凌牙、凌牙!起きろ!』

 

ブラック・ミストの声で俺の意識は覚醒する

目を開けると必死なブラック・ミストが視界に入った

 

「んー、起きたよー」

 

『起きた!お前心配させんじゃねーよ!』

 

「なして俺理不尽に怒られるん!?」

 

心配してくれたのは嬉しいけど起こるのは違うっしょ!

 

「ところでここ何処なん?」

 

『さぁ……異次元トンネルから落ちたからな、何処に行きついたっておかしくはない』

 

んー、ってことは最悪全員違う場所に飛ばされたって可能性もあるわけか

とりあえず立ち上がり改めて周囲の状況を把握する

周りにはたくさん木があって……うーん、ここは森かな?もっと遠くの方も見て見たいけど、この森は思ったよりも深いのか木しか見えない

 

「とりあえず移動する?」

 

『そうだな、いつまでもここに至ってどうしようもないしな』

 

とりあえず適当に歩き回ってここの地理を把握する

どこまで歩いても木、木、木、木……これ遭難してないよな?

若干遭難の心配をしつつウロウロしてると遊馬とアストラル、それと見知らぬお兄さんがいるのを発見した

 

「おーい!遊馬、遊馬ー!」

 

一般人もいるようなので遊馬だけに呼びかける

俺の声に気が付いたのか遊馬達が一斉に振り替えった

遊馬と一緒にいるお兄さんは服が所々破けており、手首には赤いブレスレットをつけている

灰色の髪が猫みたいに尖っててなんかキャットちゃんみたいな人やな

 

「シャーク!無事だったんだな!」

 

「そっちこそ無事だったんだねー

 えっと、そこのお兄さんは誰なん?原住民?」

 

「俺もよくわかんねぇ、なんかクマに襲われてたんだ」

 

「ふぁっ!?」

 

「そんで怪我してるみたいだし……」

 

「いやいやクマに襲われてたんだったら怪我ぐらいするよ!お兄さん大丈夫なん!?」

 

「あ、ああ」

 

腕を負傷しているのか、袖が大きく破れており血が滲んでいる

俺はカバンから包帯と水を出しなけなしの手当を行った、来る前に自動販売機で水買っといてよかったー

 

『凌牙、こいつ本当に大丈夫かよ?』

 

……あー、この人が本当はバリアンかどうかって話?

まぁ状況的にあの正体不明の光がバリアンで、このお兄さんがバリアンって可能性も無きにしも非ずだよね

で、バリアンだった場合は今だ人間体を見せたことのないドルべって事になるよな

 

『じゃあ』

 

それでも、な

 

『……どうなっても知らねーからな』

 

それきりブラック・ミストは黙りこくってしまう

アストラルも黙ったまま俺達の話を聞いており、遊馬とお兄さんは何やらお話してる

 

「ところでお前の名前はなんだ?なんでこんなとこにいるんだ?」

 

「私は……」

 

そこまでお兄さんは言って、少し考えてから口を開く

 

「私はナッシュ、旅行者だ」

 

ごめんブラック・ミスト、この子100%バリアンだわ

旅行者って!こんな森の中そんな薄着でなんの装備もなしに深い森に突撃する旅行者がいるか!

……いや、俺が知らないだけでこれが普通なのか(錯乱)

 

『落ち着け』

 

すっごく落ち着いた^^

それにしても遊馬達とは合流できたけど璃緒と小鳥ちゃんはどこだ?

 

 

 

「きゃああああああああああ!遊馬!遊馬ぁ!」

 

 

 

遠くのほうで小鳥ちゃんの悲鳴が聞こえて来た

何かに反響したような声で、そのせいでここまで声が届いたのかもしれない

 

「小鳥!?小鳥ー!」

 

小鳥ちゃんの悲鳴が聞こえたかと思った途端、遊馬は声のした方に駆け出してしまった

っておい小鳥ちゃん心配なのはわかるけどナッシュさんと二人っきりにしないでよ!

我女子ぞ!女子ぞ!?いやブラック・ミストがいるから安心して置いて行けると考えているのか……いや、遊馬はそこまで考えてないか(失礼)

 

『とりあえず遊馬追った方が良くないか?』

 

せやんな、とりあえず一人にしたら色々と心配だからナッシュさんも連れて行くか

暗躍されたらたまらないしね

 

「ナッシュさん、悪いけど一緒に来てもらっていいですか?

 怪我してるみたいですし、この森の中一人は危険でしょうし」

 

「……そう、だな、すまないがご一緒させてもらおう」

 

パタパタとナッシュさんと一緒に遊馬を追いかける

走って走って、たどり着いたのは入り口にペガサスのレリーフが飾ってある大きな遺跡だった

 

「いや!いやぁ!来ないで!あっち行って!遊馬!助けて遊馬!」

 

「小鳥さんから離れ……きゃあ!や、凌牙!早く来て!」

 

……は?え、何、璃緒悪漢に襲われてんの?

だってちょっとやそっとじゃ悲鳴も上げない璃緒が、あんなに声を張り上げてんだよ?

あの時みたいに、璃緒が、また、

……

 

「璃緒おおおおおおおおおおおおおお!」

 

「!?」

 

『ふぁっ!?』

 

ナッシュさんとブラック・ミストがポカンとしてるけど関係ない

一刻も早く璃緒を助けないと、俺の、俺のたった一人の半身を

遺跡に飛び込み璃緒達の声のする方に走っていく、そして、

 

「凌牙!早く助けて!」

 

「遊馬!?お願いなんとかしてぇ!」

 

老朽化して倒れたであろう柱の上に乗り、その周りを蛇で囲まれた璃緒と小鳥ちゃんがいた

 

「……何してるん?」

 

「いいから早くして!」

 

「えぇ……」

 

なんか釈然としないけど遊馬と一緒に蛇をどける

足で蛇を攻撃すればあっさりと引いて行って

ナッシュさんは一歩下がって見守ってもらってます、一応怪我人だしね

 

「ったくよー、こんぐらいのことでビビってんじゃねーよ」

 

「だって蛇は小鳥の天敵なのよ!?」

 

それは動物的な意味で言ったのか、小鳥ちゃん的な意味で言ったのか……いや、両方か?

 

「それにしても、この遺跡は一体……」

 

『どうやらここで行き止まりみてぇだな』

 

ナッシュさんが興味深そうに行き止まりである壁を調べ始める

壁は赤と青2色に分かれており、ナッシュさんは青でブラック・ミストは赤を調べていた

2色に分かれてるけどなにがしかの意味があるのだろうか?

赤はバリアン世界を象徴する色(多分)で青はアストラル世界を象徴する色(多分)だけど……まさかね?

 

「ええー!マジかよ……」

 

遊馬とアストラルがブラック・ミストの居る赤の壁の方に駆け寄り、俺達も続く

また蛇が出ないか探しつつ璃緒と小鳥ちゃんの後についていった

そして遊馬が赤い壁に調べようとした途端

 

「「え?」」

 

後ろから見ていた俺にはわかったが、ナッシュさんと遊馬の片足が同時に沈んだのが後ろから見えた

 

「え?どうしたの?」

 

遺跡が大きく揺らぐ

……このタイミングで地震ってのは無いか

後ろがシャッターのように閉まり、入り口が完全に封鎖されてしまった

 

「一体何が起こってますの!?」

 

『とりあえず何が起こるかわからない、皆気を付けるんだ』

 

「まずは入り口が本当に封鎖されているかどうか確かめなければ……」

 

ナッシュさんが封鎖された入り口を調べるためにこちらに歩いてくる

 

「……?」

 

また地面が微かに揺れる

まさかと思い上を見ると赤い壁と青い壁の間に何かの壁のようなものが見えた

ガコン、と音がしたと同時に壁が動き出した

そしてその下にはこちらに来ようとしているナッシュさんがいる

 

「ナッシュさん!」

 

皆封鎖された入り口を見ていたせいか上の壁に気が付いてない

ナッシュさんは怪我人だけど、壁につぶされてぺしゃんこになるよりかはましだろ!この際四の五の言ってらんないし!

地面を思いっきり蹴り、ナッシュさんに向かってタックルをかます

 

「なっ!?」

 

青い壁の方にどさりと着陸(?)した瞬間、赤い壁と青い壁の間を区切るように新たな壁が降りて来た

こうして俺達は完全に二手に分断されてしなったのだ……やっちゃったZE☆

 

「凌牙!凌牙、大丈夫なの!?」

 

『くっそなんだこの壁!なんでそっちに行けないんだ!』

 

「シャーク!おいシャーク!」

 

「大丈夫だって!俺もナッシュさんも無事だって!」

 

分断はされていても声は聞こえるか……

それならまだセーフかな?俺は後ろを振り向きいまだ尻餅をついているナッシュさんに手を差し伸べる

 

「ナッシュさん大丈夫?」

 

その言葉にナッシュさんは尻餅をつきながら呆然とした表情をしている

 

「ナッシュ……?」

 

「え、何?本当にどうしたん?」

 

ナッシュさんが小声で何か言ってたみたいだけどいまだ俺を呼ぶ皆の声にかき消されて聞こえなかった

俺の言葉にはっとした表情をしたナッシュさんは俺の手を掴み立ち上がる

 

「す、すまない、いきなりの出来事で少々意識が飛んでいた」

 

「それ大丈夫なん……?」

 

さてどうしたもんかと皆で話し合っていると青い壁が音を立てて開いた

……これ行かないといけないパターンだよなー

 

「これ……奥に行く通路?」

 

『シャーク、そちらにも通路は現れたか?』

 

「うん、こっちにも出て来たよ」

 

青い照明が通路を照らし……ちょっと怖い

 

「これは……どうやら別々に進むしかないな」

 

まぁこの状況で四の五の言ってらんないしね

 

「それじゃ、別々に行きますか」

 

「凌牙、絶対に怪我しないでね

 後ナッシュさんとやら、凌牙に手を出したら……凍らすよ?」

 

「私の魂に誓ってそんなことは絶対にしない」

 

「こんな包帯グルグル女をどうこうするほどナッシュさんも落ちぶれてないだろうし大丈夫でしょ」

 

暫定ドルべはあのサルガッソの戦いの時も割と正々堂々と戦ってたし

どうこうするっていったら、どっちかって言うと

 

「……ベクター」

 

「!?」

 

あの日、俺達を裏切った彼は今何をしているのか

彼は仲間と今何をして過ごしているのか

どうして、あんなにも手酷く裏切られたというのに……会いたいと思うのだろうか

あの時は、俺が前世で裏切られた時はこんなこと思ってなかったのに

つらくて、苦しくて、何度も叫んで……もうあの人達の顔は見たくないと、そう切に願っていたのに

でも会いたい、ベクターに……会いたい

3日間部屋に閉じこもってた時も、色々と裏切られたショックで絶望して、死んでしまいたいと思って……それでも最後に思うのはベクターに会いたい、それだけだった

 

「凌牙!」

 

肩を揺さぶられて意識が覚醒する

そこには心配そうな顔をしたナッシュさんがいた

 

「どうした?ベクターの名前を言った途端……」

 

「んー……大丈夫、ちょっと意識が飛んでただけだから平気やでぇ

 それより早く行こうか、遊馬達はもう行ったみたいだし、ここにいつまでもいるわけにはいかんでしょ」

 

「そう、だな

 だがつらくなったらいつでも言ってくれ」

 

「りょーかーい!」

 

そして俺とナッシュさんは青い通路の奥へと歩みを進めた

……ナッシュさんというかドルべ、ベクターの名前に反応するし本当にバリアンって隠す気あるん?




凌牙ちゃんが本編で言ってた”あの時”は凌牙ちゃんが1年の眠りにつく前、Ⅳと交流がまだあった時より前の話です
ちなみにこのときの騒動が原因で”シャーク”という異名が付きました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

46/神代凌牙と遺跡の試練

遊矢よりエンタメしている人リスト
・沢渡さん
・デニス
・Go鬼塚←NEW!

次はいよいよブルーエンジェルの主役回!おらワクワクがとまらねーぞ!


青い道を淡々と進む

出口は無く、俺とナッシュさんは何をしゃべる間もなく歩き続ける

ゴールが見えないから若干心が折れそうです

 

「先ほどは助けてくれてありがとう」

 

不意にナッシュさんが話しかけてくる

まぁバリアン(暫定)でもあんなんに押しつぶされたら重症だろうしねぇ

 

「別にええで気にしないでも」

 

「しかしそのせいで君は仲間と分断されてしまった」

 

「んー?ああ、一人じゃ危ないって事?

 別にナッシュさんが俺をどうこうするんだったらとっくにしてるはずだし、それにナッシュさん怪我してるしリアルファイトではナッシュさんより強い自信あるから平気平気」

 

「そういう問題か……?」

 

小学生の頃に中学生と高校生をフルボッコにしたこの俺を舐めるなYO!

人間の皮を被ったゴリラは伊達じゃないぜ……?

そして俺達は一つの大きな部屋にたどり着いた

ここも青い光が周りを照らしており、あたりには何もない

 

「ここは……行き止まりか?」

 

「みたいやんねー……どうする?戻る?」

 

そう言いながら何か抜け道はないかどうか探していると、突然通路が封鎖された……おい、またこのパターンか

 

「まんまと閉じこめられたって事か」

 

「しかしただ閉じこめられるだけとは思えない

 ……絶対に何かある、なかったら殴る」

 

「誰を!?」

 

その言葉がフラグだったのかわからないけど、突然部屋から何かを引きずるような音が聞こえる

部屋全体が大きく揺れ出し、そして両サイドの壁が動き出し俺達に迫ってきた

 

「何このリアルSA○UKE!?」

 

「ボケてる場合ではないぞ!」

 

そうは言っても出口も逃げ道もないこの状況でどうしろと

段々と迫ってくる壁に俺とナッシュさんは部屋の中央に追いやられる

このまま何もできずに押しつぶされる……と思ったが、壁の一部が開き通路が解放される

 

「ナッシュさん!」

 

怪我をしているナッシュさんを引きずるように出口と思わしき場所に飛び込む

 

「ナッシュさん、大丈夫ですか!?」

 

「ああ、なんとか……」

 

飛び込んだ先は先ほどと変わらぬ部屋で、行きつく暇もなく今度は天井が俺たちに迫ってきた

 

「今度は上か!」

 

「くそっ!出口はどこだ!?」

 

ドンドン降りてくる天井に俺とナッシュさんが焦りながら出口を探す

半分まで降りて来たところで新たに壁の一部が開いた

壁が開く条件ってなんだ?時間経過か何かかな?

俺とナッシュさんがスライディングの要領で天井と床の間を潜り抜け次の部屋へと飛び込む

立ち上がり部屋を見渡すと、今までの部屋とは違う、何か壁画が掛かれた部屋だった

 

「ここは……今までとは違う部屋のようだが……」

 

「うーん、ここで行き止まり見たんだね」

 

さてさてどうしたものかとナッシュさんと一緒に頭を悩ませていると突如部屋に球体のホログラムのようなものが浮かび上がった

そこには俺達と別れた璃緒達が映し出されている

 

「璃緒!?」

 

<凌牙、こっちでは遊馬のデュエルが始まっているわ>

 

「どういうことなの!?」

 

話を聞くと遊馬達は通路を抜けた先にNo.が収められている部屋にたどり着いたらしく、今はこの遺跡のNo.をかけてその精霊とデュエルをしているらしい

……うん、自然な流れでデュエルが出来てるな!(錯乱)

そして俺達の方のトラップとデュエルは連動しているらしく、あっちが攻撃するとこっちの道が開く仕掛けになっている

だが攻撃を仕掛けるとライフを削るコンボが発生……ようするに俺達は遊馬達の足かせになってるって事か

 

<シャークにナッシュ、安心しろ!俺が絶対助けてやるからな!>

 

そう言ってくれるのは嬉しいけどいざとなったら俺は見捨ててもかまわないんやで?

まぁナッシュさんはドルべ(暫定)だし、頑張れば脱出できるだろ

 

<シャーク、君たちのところに何かデュエルのヒントになるようなものはないか?>

 

「ヒント……そうだ凌牙、この部屋には壁画があるな」

 

「せやんな、アストラルちょっと待ってて」

 

一旦アストラルから目を離し壁画の方へ目を向ける

というかナッシュさん、あんた堂々とアストラルと会話して隠す気ないやろ……

一番端の壁画を見て見ると、白い馬……ペガサスに乗った騎士が他の騎士を率いている絵だった

 

「えーっとペガサスに乗った騎士が他の騎士を率いている絵と文字の壁画……かなぁ?」

 

<それがヒント、だろうな>

 

<ああ、彼が仕掛けて来たのは一種の謎解きのようなものだ

 我々が離れたことも一種の試練だとしたら……>

 

<ねぇシャークにナッシュさん、壁画の文字にはなんて書いてあるの?>

 

「んー……ダメだ読めん」

 

多分ここの遺跡が出来た時に使われていた文字だし、何かの記号みたいで何が書いてあるのかさっぱりわかんね

 

「これには、古の英雄の伝説が記されている」

 

「ナッシュさん……?」

 

「遠い昔、ある国に使える勇敢な騎士たちがいた

 その一人は愛馬ペガサスに乗る英雄だった

 英雄率いる騎士たちの活躍でその国の平和は守られていた

 ある時英雄は城を後にし、自分の生まれ故郷の村へと帰っていった

 だが英雄が居なくなると残った騎士たちの中に王を倒し、国を乗っ取ろうとする者たちが現れた

 彼らは英雄が去ったのち、己の力にうぬぼれ自分たちが王にふさわしいと言い始めた」

 

壁画を見ながらナッシュさんは語る

どこか懐かしみを帯びた目でナッシュさんは壁画を見つめている

 

「……壁画はここで終わっている」

 

「それじゃ謀反を起こした騎士たちがどうなったか、真相は闇の中かぁ……」

 

多分この話のエンディングがデュエルと何かしら関係があると思うんだけどな……

他には……何もないかな?ナッシュさんと二人で他に何かなんか無いか周りと捜索するが、やはり何もない

 

「ダメだ、こっちにはなんもないわ」

 

「こっちにも何も……なんだこの揺れは?」

 

部屋全体が大きく揺れ出す……またこのパターンか!今度は床か!床なのか!?

俺とナッシュさんがあたりを警戒して部屋全体を見渡す

どこだ、次は一体何が始まるんだ

 

「上だ!」

 

ナッシュさんの叫び声が耳に入った瞬間視線を上に向ける

天井を構成している石のブロックがグラグラと揺れ出し……そして落下してきた

 

「嘘だろ!?」

 

「っつ!とにかく避けるんだ!」

 

その言葉を皮切りに次々と天井のブロックが落下してくる

……ちょっと本当にやりすぎだろこれ!?死人が出るよ!

とにかく避け続けて次の部屋が解放されるを待つしかない

 

「ぐあぁ!」

 

「ナッシュさん!?」

 

怪我をしているナッシュさんがブロックをよけきれず背中を思いっきり強打してしまった

そうこうしているうちに新しい部屋が解放されたがナッシュさんは動けそうにない

 

「ちょっと我慢しててね!」

 

倒れこんだナッシュさんを掬い上げ、片手幼児抱っこをして部屋を駆け抜ける

少々ナッシュさんに恥ずかしい思いをさせるが許してクレメンス

無事に部屋にたどり着いたが、ナッシュさんは重傷だ

 

<おい凌牙!続きは!壁画の続きはあるのか!?>

 

「うん、ちょっと待ってて」

 

ナッシュさんを片手幼児抱っこという羞恥プレイをしながら壁画の場所へと向かう

ここにもペガサスに乗った騎士……英雄の絵が記されていた

 

「騎士たちの謀反を知った英雄は城に駆け付けた

 そして英雄は彼らに訴えた、いかなる時でも心に掲げていた正義を、共に戦った仲間との絆を思い出して欲しいと

 かつての仲間は英雄に刃を向けたのだった

 英雄には仲間を切ることは出来ない、彼は無抵抗のまま仲間の剣に傷つき、倒れた

 その時だった、愛馬ペガサスが主人を守ろうと仲間の騎士たちに立ちはだかった

 自分を犠牲にして英雄を守ろうとしたのだ」

 

そこでナッシュさんは口を閉じる

 

<……それで、続きは?英雄はどうなったんだ!?>

 

「この続きは、風化していて読めない」

 

そう、英雄が倒れペガサスが己を犠牲に3人の騎士に立ちふさがる絵を最後に壁画は終わっている

文字もすべて風化しており、1文字も解読できない状態だ

デュエルの鍵である伝説も肝心の終わりがないんじゃ、遊馬達の戦いは相当厳しいものになるだろう

 

<---ただしライフを500払うことでこの効果を無効に出来る>

 

ホログラムからそんな声が聞こえ、改めて……というかちゃんと遊馬達のデュエルを見る

いや、だって天井落ちたり色々あってちゃんと見れなかったんだから仕方ないやんか……

遊馬のライフは1200、No.44白天馬スカイ・ペガサスの効果でホープを破壊するか、破壊させずにライフを500払うか選べるみたい

うん、この局面だったらいうことは決まってるよね!

 

「遊馬!俺達の事はいいからホープを破壊しろ!いくら鉄壁突入でも勝てるものも勝てなくなるよ!」

 

確かスカイ・ペガサスって払った分のライフをダメージとして与える?みたいな効果もあったよね

そうしたら遊馬のライフは200になる、あんまりリスクは負えない

しかし遊馬は迷っているのか、中々答えを口に出さない

 

「仲間を守れ!ホープを守るんだ!」

 

「ふぁっ!?」

 

この状況で嘘やん!?確かにホープを失うのはつらいけど、でもこれ以上ライフを減らすのは危険なんやで!?

 

「ナッシュさんこの状況見てそう言えるん!?」

 

「ああ、そうだ……私は、私はこの伝説の続きを知っている!」

 

「え、それってどういう」

 

ガタガタと床が揺れ出す

床も前の部屋と同じブロック状になっていたため、その一つ一つがどんどんと崩れていく

ナッシュさんを片手幼児抱っこしたまままだ崩れていない床へ走る

 

「英雄にはペガサスを見捨てることは出来なかった

 彼はその場にとどまり、ペガサスと共に息を引き取った

 ……わからないのか!この伝説は仲間を守り、人を信じる気持ちを語っている!

 遊馬!ホープを守り、私を信じろ!」

 

力強いナッシュさんの声が部屋に響き渡る

どうしてナッシュさんはこの遺跡の伝説の結末を知っているのだろう

理由はわかんないけど、この人はやっぱり

 

「ナッシュさん、お前やっぱり」

 

床が崩れるスピードが上がり、とうとう俺が走っているブロックごと崩れてしまった

彼を放り投げり、なんとかまだ崩れていないところに無事着地(?)できたみたいで安心

でも俺は間に合わずに床が崩れ、そのまま重力に従い落下していく……が

 

「っつ!」

 

彼が落ちていく俺の手を掴み、必死に引き上げようとしてくれてる

怪我をしているのにあまりにも無茶だ!

 

「そうだっ凌牙、私は、私は……」

 

彼が手首につけているブレスレットが怪しく光る

真ん中のひびが入っている赤い装飾が一段と輝きだし、その傷が修復されていく

そして彼の体が輝きだし、その光が解かれた

 

「私はバリアンだ!」

 

「知ってた!」

 

完全にドルべです本当にありがとうございました

バリアン体になったせいか傷もある程度癒えているらしく、俺を片腕で支えている

 

「やはり気が付いていたか……」

 

「まーねー……ところでホープを守れって?それをしたら遊馬のライフは200になる

 そのことも踏まえて守れって言ってるんだよね?勝算はあるんだよね?

 確かに今までの試練からドルべがそういう答えを導き出すのもわかるけどさ、それはNo.を取られないための嘘って可能性も否めないよね?」

 

そこまで言うと、ドルべは俺を掴んでいる手を一層強く握る

 

「勝算は無い、このデュエルが勝てるかどうかは遊馬とアストラル次第になる、だが……

 私を信じろ、神代凌牙!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『絶対に生き残れよ、ドルべ』

 

『ああ、もちろんだ

 私を信じろ、ナッシュ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

どこかのテントの中で、目の前には白い鎧を着たドルべの幻覚を見る

今のは、なんだ?

 

「凌牙?」

 

「ん、大丈夫」

 

少しだけ心配を乗せたドルべの声で現実に戻ってくる

そうだ、この強い力を持った目

どこかで見たことのある、安心する瞳

……そんな目で見られたら、信じろって言われたら、信じるしかないじゃん!

 

「遊馬、ドルべを信じろ!」

 

<凌牙!?>

 

璃緒が驚きの声を上げる

声を上げるのも無理もないけど、ドルべが俺達を負けさせるためにホープを守れなんていう可能性もある、でも、それでも

 

「頼む!私を、私を信じてくれ!」

 

「遊馬!」

 

ホログラムの中の遊馬はどうするべきか視線を彷徨わせている

信じるべきか、そうでないべきか

 

<遊馬、私は君の意見を尊重しよう>

 

アストラルはそう言ってスカイ・ペガサスを見つめる

そんな自分を信頼しているアストラルの言葉で吹っ切れたのか、遊馬は選択した

 

<俺はライフを500払いホープの破壊を無効にする!>

 

ホープは破壊されなかったが、さらに追加でライフを500失い遊馬達のライフは200になる

鉄壁に突入とは言えここは俺達にとっての現実だ、何が起こるかわからない……

体が持ち上がる感覚がし、俺は床に引き上げられる

 

「いっつ……助けてくれてありがとね、ドルべ」

 

「別に、私はただ借りを返しただけだ」

 

俺とドルべは立ち上がり、このデュエルの行く末を見守ることにした

果たしてこの選択は正しかったのか

遊馬がホープに攻撃するように指示し、次の部屋が解放される

ドルべに引っ張られながら次の部屋に飛び込む、部屋を見た感じでは何もなさそうだしここで最後と思っても大丈夫だろう

ホログラムの中では遊馬が決断の迷宮の効果で手札を1枚墓地へ送るところだった

そして次に不公平条約の効果で600のダメージを受け……負ける、だけど

 

「何も起こらない……?」

 

いつまでたっても不公平条約の効果が発動しない

俺も遊馬達も混乱している中、アストラルたちが説明してくれた

 

<あいつのコンボはもう発動しねぇよ

 このコンボは決断の迷宮で発生するコストを不公平条約で遊馬達が払わなきゃいけなかった>

 

<だが、スカイ・ペガサスの効果からホープを守ったことにより我々のライフは200になり、コンボの成立条件であるライフ600を下回ってしまった

 我々に支払うライフがない今、そのライフは彼自身が払わなければならない……遊馬、シャーク、君たちの選択は正しかった!>

 

そして遊馬は手札から墓地に送ったカウンター罠の効果を発動し、RUM-ヌメロン・フォースでホープをホープレイ・ヴィクトリーにカオス化させる

そして効果を使い見事No.の精霊を打ち倒した

デュエルが終了すると同時に壁の一部が開く

これまでと違い、壁の先は階段状になっておりそこから遊馬達の声が聞こえる

なるほど、ここから皆と合流できるわけか

 

<伝説には続きがある

 騎士たちは命がけのペガサスと英雄に心を打たれ、己を恥じ、謀反の気持ちは消え失せた

 彼らは英雄とペガサスを手厚く葬り、その墓の前で跪き、深々と頭を垂れた

 そして英雄はペガサスの魂と共に天に召されていった

 ……信じよう、アストラル、遊馬、お前たちの人を信じる心を>

 

そしてNo.の精霊は1枚のカード……No.44白天馬スカイ・ペガサスとなり、遊馬の手へと納められた

俺はドルべを見据え、問いかける

 

「なードルべ、なんでお前俺達を助けたん?」

 

「……わからない」

 

ドルべは目を伏せる

 

「あえて言うなら、この遺跡の伝説に心を動かされたから、だな」

 

後ろを振り返り、今まで通ってきた通路の方を見る

確かにドルべは遺跡の伝説に何かを感じていたみたいだ

 

<ありがとうなドルべ!お前がこの遺跡の伝説を教えてくれなかったら……>

 

「いや、お前が選んだ答えだ

 それに、それがなくともお前は人を信じたさ」

 

そこまで言ってドルべはホログラムから視線を俺に移す

 

「だが慣れ合いはここまでだ

 次は必ず私たちがNo.を手に入れる」

 

ドルべの背後にワープホールが出現し、ドルべを飲み込んでいく

 

「待って!ドルべ、お前はどうしてこの遺跡の伝説を」

 

知っているのか

しかし俺の口からその言葉を紡ぐ前にドルべはワープホールの中に消えてしまった

 

「絶対に生き残れよ、ドルべ、かぁ……」

 

幻覚の中で見たドルべを思い出し、口に出すとすんなり俺の中に入ってくる

あの幻覚は何だったのか、なぜ幻覚の中のドルべは俺の事を……ナッシュと呼んだのか

でも幻覚の中のドルべにナッシュと呼ばれた時、不思議とそうであると受け入れられた

俺が神代凌牙であるように、私が武藤マナミであるように、自分はナッシュだと

なんでそう思ったか自分で思ったのかわからない、でもこれから先の戦いで”それ”が何なのかわかると、そう直感した

 

 

 

俺が俺の真実を知った時、残酷な選択を迫られることだったとしても




思いのほか早くこの遺跡の話が終わって驚愕してます
次回の遺跡は長くなる予定なので大変です……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

47/神代凌牙と呪われた遺跡

まさかの財前ちゃんのお兄様呼び……
というかお兄さん、あんた妹を大切に思ってるんだろうけどその言い方は誤解されるって!
どうして遊戯王次元の人間はあんなにも言葉が足りないのだろうか……

TFSPで十代のM・HEROおもしろそうで十代のデッキを元に色々調整したらなんと魔法カードが30枚超えに!?
…でもやってるぶんにはすごい楽しい


「どこに行く気なんだよ、No.のある場所が分かったって言うのか?」

 

異次元トンネルの中を飛びながらドン・サウザンドに問いかける

 

『ああ、お前の記憶の底からな』

 

「俺の……?」

 

どうしてそこで俺の記憶が出てくるのか

7枚のNo.はドン・サウザンドに聞いて初めて知ったものだ

……いや、考えるのはよそう、俺はドン・サウザンドの為にNo.を集めればいい

 

「そう言えばお前はあのNo.について何か知っているのか?」

 

サルガッソで凌牙が見せたあの異質なNo.

No.35ラベノス・タランチュラとNo.84ペイン・ゲイナー

そして、最後に凌牙が召喚しようとした”何か”

 

『あやつの事か……放っておけ、あやつもあやつで我の眷属

 我らに害をなす事はしないだろうし、今のお前には到底御しきれない』

 

「あいつ……?ってことは自我があるのか」

 

まさかブラック・ミストの他に自我があるNo.がいるとは思わなかった

それにドン・サウザンドの眷属ってことはそれ相応の力を有しているという事か

問題はなんでそいつを凌牙が持っていたのか

 

『まぁいい、それよりも急ぐぞ

 アストラルたちに遅れを取るわけには行かないからな』

 

「そうだな」

 

異次元トンネルの中を進み続ける

……俺の記憶から探し当てたNo.、その意味を深く考えずに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが次の遺跡かー」

 

飛行船から次の遺跡のある場所に来たけど……

孤島にある大きな遺跡……というかお城に近いところに来た

あのスカイ・ペガサスがあった遺跡とはまた違った雰囲気が出ている

警戒しつつ入り口を皆でくぐり……そうになった時、璃緒が足を止めた

 

「璃緒?どうしたん?」

 

俺の声に反応して皆が足を止める

璃緒は何かを感じ取っているのか、両腕を擦ってあたりをきょろきょろしている

 

「ここは……かなり危険ですわ」

 

「危険って……璃緒さん、ここそんなに危ないんですか?」

 

小鳥ちゃんが不安げに璃緒に聞いてくる

確かに俺でもここの雰囲気が、なんだか薄暗く感じるし小鳥ちゃんもなにがしか感じてるっぽい

 

「できれば入らない方がよろしいですわ」

 

『だが、地図が示した場所はここだ』

 

『だけど俺もここには何かやばいもんを感じる

 さっさとここのNo.を回収して帰ろう』

 

他の皆もその意見に賛成し、少しためらいながら遺跡へと足を踏み入れる

入ってすぐに階段になっていて、すぐに下へ下っていく

階段の壁にはあのスカイ・ペガサスみたいに文字と絵が書いてあり解読が無理そう、だけど……

何でだろう、ここには初めて来た気がしないのはなんでだ

そうだ、この感覚……バリアンのやつらと初めてあった時と同じ違和感

 

「これって、遺跡の伝説だよな?」

 

遊馬が壁画を見ながら皆に問いかける

 

『だろうな、十中八九なにかしかNo.と関係あるだろう』

 

アストラルも壁画を見ながら顎に手を当ててどう関係するのか考えてるみたい

璃緒は目を閉じて、この遺跡の何かを感じ取っていた

 

「嘆き合っているわ……過去の人達が」

 

「過去の人……?じゃあここってスカイ・ペガサスの遺跡と違って人が住んでいたって事?」

 

「ええ、過去の人が語り掛けてくるわこの遺跡の伝説を…呪われた皇子の伝説を

 かつてこの王宮に住まう皇子は平和を愛し、民を愛していた

 そして民も平和を愛し、皇子を愛していた

 ある時皇子は敵国と和議を結び、国の戦乱を収める一歩を踏み出した

 しかし皇子が和議を結んだ夜に王とその妃が何者かに殺され、皇子は狂ってしまった」

 

璃緒はそこまで言い終わるとふらりと倒れこむ

階段から落ちないようにその体を支える

 

「大丈夫か?」

 

「ええ、少し……」

 

顔色が悪く、その過去の人の声とやらで精神が随分参っている見たいだ

伝説を聞いて余計に怖くなったのか小鳥ちゃんは遊馬にべったりとくっついている

呪われし皇子……一体ここで何が起こったのだろうか

皆恐る恐る階段を下っていく、と少しだけ広い空間でた

そこには5つの通路があり、それぞれが別の色で塗装されていた

 

「これ……どれに進めばいいのかしら?」

 

『なんか手掛かりになりそうなものは……』

 

皆はそれぞれの場所を探し、何かないかと探している

 

「あ、これ父ちゃんの目印だ!」

 

遊馬が一番端の通路を指をさしてあるものを見せる

通路の目立たないところに星のマークがあり、遊馬が指さしてたのはこれみたいだ

 

『おい……バリバリ罠っぽいんだけど大丈夫かこれ』

 

「大丈夫だって!俺を信じろよ!」

 

そう言って遊馬達は星のマークの書かれているルートに進む

……まーここは遊馬の第六感を信じますか、ここの通路も先ほど通った通路と同じで入ってすぐに階段になっている

俺も皆の後に続いて階段を降りる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『すごーい!ここ迷路みたいだな!』

 

『待ってくださいナッシュ!』

 

『お姉さま、あまり人さまの家ではしゃぐのは……』

 

『ナッシュ、あまりふざけすぎると国へ強制帰国させるからな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達の通路の横

4人の子供の影が俺達が入ろうとした通路の隣の通路に入っていく幻影を見る

まただ、あのスカイ・ペガサスの遺跡でみた幻影をここでも見えた

……あっちの通路に何かあるのか?

でも前を見ると璃緒達はすでに階段を下っていて、俺が付いていないことに気付いていない

ちょっとだけ……ちょっとだけならいいよね?

どうしてもあの幻影たちが入っていった通路が気になり、そちらの方に足を踏み入れる

こっちもあっちの通路と同じですぐ階段になっていて、そろーっと足を一段一段階段を下りた

 

 

ガコンッ

 

 

階段に足をかけた時、足が沈む感覚がして慌てて周りを見渡す

 

「ふぁっ!?」

 

階段の一部がエレベーターのように下に降りていく

慌てて壁キックをして上へ戻ろうとしようとする、けど

あの幻影がどうしても気になる、俺は璃緒達との合流を諦めてそのまま階段エレベーターで下へ降りていく

そして俺は璃緒達と完全に分断されてしまった

スカイ・ペガサスの時もそうだったけど、俺分断されすぎじゃね?

いや、今回は自業自得だけどさ……

階段エレベーターが止まり、新しい空間に出る

ここも長い通路になっており、ひたすら前を歩いていく

 

「んー……」

 

長い通路を淡々と歩き続けてる

何というか、変化が無いから詰まらんな……話相手もいないし

というかあっちの皆大丈夫かな?あいつら心配……してるよなぁ

璃緒達からすれば俺は突然いなくなったわけだし

 

「ん?」

 

ふと前の通路の壁に何か絵が書いてあるのが分かる

小走りでその絵……壁画の前に陣取る

この絵は……船と化け物を率いた……男の子?と金色の鎧を着た女の子と白い服を着た女の子が相対している絵

これって最初の入り口にあった遺跡の伝説の続き?

でも全然なんのこっちゃわからん……転生者とはいえ璃緒見たいに不思議パワーは無いからなぁ……

次は……場面はさっきと同じで男の子側に青い大きな何かがいて、その手のひら(?)の上に鎧を着た女の子の方にいた白い服を着た女の子がいる

ここで壁画が終わっており、この次には何も書かれていない

というかこの青いのなんだ?なんか雰囲気がオベリスク見たいだし、なんというか

 

「……神様?」

 

「お前、この文字が読めるのか?」

 

聞きなれた、だけどあの時以来一切聞かなかった、聞けなかった声

ゆっくりと後ろを振り返る

オレンジ色の髪にアメジストの瞳、そして全身を黒で統一させた服を身に着けた彼が

 

「……ベクター」

 

腰のDディスクに手をかけ、いつでもデュエルが出来るよう構える

……だけどそんな俺の警戒なんて知りもせずにベクターは壁画を見据えた

 

「でぇ?お前この文字読めるのか?」

 

「……ううん」

 

「あっそ」

 

ベクターはそれだけ聞くと俺に興味を無くしたのか、また壁画を眺めている

……なんか、サルガッソにあった時とテンションが違くて、俺どう反応すればいいんだ?

ベクターがここにいる理由は十中八九No.の回収だろう

どうして俺と戦わない?遺跡のNo.が優先順位が高いとはいえ俺だってブラック・ミストを所持していたし、それに前世カードも

倒して奪い取るったらバリアン側にかなり有利になる……今から逃げるか?

でもここは一本だし、ベクターはバリアンの力があるし走って逃げても追いつかれる可能性がある

 

「あららー?凌牙ちゃん、俺が何もしてこないからってそんな油断してていいのかなぁ?」

 

両手首を拘束され、通路に縫い付けられる

ベクターはにやにやとした顔をずいっと俺に近づける

……声が出ない

ガタガタと震える体を抑えることが出来ない

馬鹿か俺は、心の中で無意識にベクターは味方だと思っていたのかもしれない

そんなことはないのに、ベクターは……俺達を、裏切ったのに

 

「こーんなに震えちゃって可哀そうにねぇ?

 どうした?んー?大丈夫ですよ、シャーク先輩!ってなぁ!」

 

グイッと顔を持ち上げられて無理矢理目線を合わせられる

ベクターの瞳に映った俺の顔は、恐怖に歪んでいた

俺の反応に一通り満足したのか、ベクターは俺の手を放して解放する

でも再度手首をがっちりつかまれ、完全に逃げられない

力任せに振り払おうにも、弱弱しく抵抗するのが精いっぱい

 

「てめぇには人質になってもらうぜ」

 

俺の手首をつかんでベクターは歩き始める

歩いていく途中、ところどころに壁画があったが、それを見る余裕は俺にはなかった

ベクターが分からない

確かに俺は人質としては有用だろう

だけどそれだけでじゃないような、こんな、丁寧(?)な扱いで

 

「……生きてたんだね」

 

「あぁ?あー、サルガッソの事か

 まー、遊馬にズタボロにされたけど俺はこの通り完全復活!倒せなくて残念だったな」

 

カラカラとベクターは小馬鹿にしたように笑うけど、なぜか安心した

怖いのに、恐怖してるのに、裏切られて、体が震えて、でも

なんでこんなにも会えて安心しているのかな

 

「ベクターは、この遺跡の伝説を知ってんの?」

 

「知ってたとしてどうしてお前に教えなきゃいけないんだよ」

 

こちらを見ずにベクターはそう答える

これは……どちらともとれる発言で、本当に知ってるのか、知らないのか迷う

 

「会えて、よかった」

 

思わずそうつぶやく

だってあんなにボロボロになって、確かにあの時裏切られた絶望が俺の心の大半を占めていたけど、少しだけ……ベクターが死んでしまうかもしれないという喪失感が、確かにあった

そのつぶやきが聞こえたのか、ベクターの足が止まる

 

「会えてよかった、だと?」

 

こちらを振り向いたベクターの目に光は無かった

いきなりの豹変に俺は体を固まる

 

「うぐぅっ!?」

 

喉元を掴まれ、壁に押し付けられる

それはさっきみたいに脅しの目的じゃなく、本当に俺を、殺そうと

ベクターも、あの人達みたいに、俺をゴミみたいに扱って、人の尊厳を踏みにじって、心が折れるほどの暴力を浴びせて

でも、ベクターは

 

「なんでお前は、そうやって俺に優しくできる!?なんで、どうしてお前は」

 

ただ、悲しそうな顔で、俺を見ていた




ベクターが若干情緒不安定なのはドン千の洗脳のせいです
カオスやNo.と相性がいいけど、それと同じくらいレジスト能力もあるので洗脳と正気を行ったり来たりしてます
もっと強く洗脳すれば情緒不安定はなくなりますが、その代わり人格崩壊の可能性が高く、ドン千の計画に支障が出るのでこの程度にとどめてあります
ちなみに凌牙もベクターと同じでカオスとNo.の親和性は高いけど、それと同じくらいレジスト能力が高いです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

48/神代凌牙とベクター

ま た せ た な !
気が付いたらこの小説を登校して約1年たっててびっくりしました
今思えばこの小説、本当に凌牙ちゃんはデュエルをしないで小鳥ちゃんみたいに傍観者(観測者?)ポジションの予定だったのにどうしてこうなった
ちなみに初期の神代凌牙はデュエルをしないでは、凌牙ちゃんは最後ベクターと一緒にドン千に吸収されて死亡→主人公を璃緒ちゃんに交代し、メラグとして遊馬達にラストバトルを仕掛ける予定でした

そしてやったぜ次のVRAINSはスタンディングデュエルだ!
展開的にはもうリボルバー出て来たしクライマックスなんだけどこの先どうなるのか楽しみだな
あ、今回視点変更が大量にあるのでお気をつけて


ギリギリと首が締め上げられ、壁に体を押し付けられ、息が絶え絶えになる

ひゅっひゅっと口から空気がおかしな音を立てて出て行くのが分かる

 

「わかってんのか!お前は俺に散々裏切られた、お前が前世でどれだけの仕打ちを受けたか知ったうえでだ!」

 

もうベクター自身、自分が何を言ってるんか半分も理解できてないだろう

なんで彼は、ベクターはこんなに怒っているのだろうか

俺の事なんてただの使い捨ての道具のようにしか思ってなかったのに

それともベクターも俺達と過ごす中で、仮初でも友情を感じてくれたのだろうか

ああそうだ、ドルべはあの伝言をベクターに伝えてくれただろうか、なんて場違いな事を考える

 

「それ、でも」

 

理由なんて自分でもわからない

この思いが何なのかわからない

それでも俺は、お前に会いたかった

……会えて、よかった

 

「やめろ、見るな」

 

ベクターは急におびえたように後ろに下がる

その拍子に俺の体が壁から離れたせいか、ベクターの腕だけでは俺を持ち上げるのが不可能になりべしゃりと床に落ちた

げほげほとせき込み、呼吸を整える

尋常じゃないベクターの様子に思わず恐怖を忘れて、その頬を落ち着かせるように撫でる

 

「大丈夫か?」

 

俺の言葉にベクターははっとして俺を見る

その眼は、俺から見ても淀んでいた

 

「見るな、見るんじゃねぇ!

 ……あいつと同じ目で俺を見るんじゃねぇ!」

 

「ベクター!」

 

その言葉を皮切りにベクターは俺の手を振り払い、通路の奥へと駆け出していってしまう

スカイ・ペガサスの遺跡で珍妙な罠があったし、ここでもなにがしかあってもおかしくはない

俺はすぐに体勢を整え、すぐにベクターを追いかける

なんで俺はベクターの為にこんなに必死になってるんだろうか

……なんかこの遺跡に来てからそんな事ばっかり考えてるなぁ

幸いにもベクターはすぐに見つかった

壁にもたれかかるように座り込み、両手で頭を抱え込んでいる

 

「違う、凌牙はあいつじゃない……うるせぇ、わかってる、No.は絶対に俺が……」

 

ぶつぶつと何か独り言を言っているが、あまりに声が小さすぎて何を言っているのかわからない

 

「……ベクター」

 

うつろな目をこちらに向け、その視界に俺を捉える

しかしぼんやりと俺を見つめるだけで何も示さない

 

「ベクター」

 

もう一度呼びかける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ベクター』

 

『ナッシュ……やっぱり私には、この国を治めるなんて』

 

『またベクターのお父様に何かいわれたの?』

 

『……私は、争いが嫌いです、だから少しでもこの国の戦乱を収めたい

 国を治めるのに戦争を止めたいのに、父上は……』

 

『あの人根っからの戦争屋だからねぇ……

 まぁなるようになるんじゃね?』

 

『なるようにって……』

 

『ぶっちゃけ即位したらこっちのもんだから、今は耐えるしかないよ

 俺も出来るだけの支援もするし』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『なんとかなる、絶対に大丈夫」』

 

幻影と声が重なる

その言葉にベクターがやっと俺に焦点を合わせる

 

「ナッ」

 

 

 

ザ ク リ

 

 

 

「……え」

 

ベクターが何か言いかけた時、そんな音が俺の体から聞こえてくる

体が、おなかが熱い

恐る恐る視線を下に下げると、黒い何かが俺の体を貫いていた

 

「な、ん」

 

後ろを振り返るも、誰もいない

黒い何かを視線に辿ると、それはベクターの影に繋がっていた

……いや、黒い何かがベクターの影に繋がっているのではなく、黒い何かがベクターの影なのだが俺を貫いているのだ

 

『ああ、まったく面倒なことだ

 あやつも面倒なものをこの世界に引き込んだものだ

 ……いや、こいつが居なければ今頃七皇は空中分解していたか』

 

頭の中にそんな声が聞こえる

この感じは、サルガッソで俺が聞いた声と似ている

でもあの時の声とは違う、あの声より圧倒的強者の、より強い力を持った声

 

「え、あ、ナッ、凌牙、?」

 

ズグリズグリと影がより深く俺に突き刺さっていく

その様子を呆然とベクターは見ていた

俺はベクターの方へ手を伸ばす、けど腕が思うように上がらない

というかなんでおなか貫通してるのにこんなに俺は冷静なのだろうか、あれか、前世のアグレッシブな経験が原因か、それとも多少なりとも俺がデュエリストだからか

 

『「あ、あ……?ナッシュ?』」

 

どこかの遺跡

地下の闘技場のような場所

幻影が、見える

ああそうだ、そして俺はこう言ったんだ

 

『「泣かないで、俺の世界で一番』」

 

その言葉を言い切る前に、俺の視界は暗転した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、どうして

何かを紡ぐ前に彼女は俺の影に刺さったまま力なく体を浮かせる

影が貫通しているにもかかわらず、血の一滴も流れていない

いや、違う、俺が、私が、彼女を、この手で

彼女は死んだように動かない、私が、殺した、?

ああそうだ、私の剣が、彼女を貫いて、それから……

それから、体が冷たくなって、私の、私の大切な

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

彼女を、私が、

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

彼女を掻き抱く

いやだ、また、彼女を失うのか?

弔いたくない、もう失いたくない

お願いだ、もう、私を、俺を

 

「置いて逝かないでくれ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まだ、早い』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識を無くしたようにベクターは壁に寄りかかる

……まさかベクターがここまでこやつに執着していたとは思わなかった

ナッシュに……神代凌牙に突き刺した影をそのままに、記憶を改竄する

まさか殺したはずのナッシュが人間としての生を受けていることには驚いた

 

『さて』

 

ぐずりぐずりと、ナッシュを侵食し奴の残骸を回収する

奴はかなりナッシュに食い込んでいたらしく、魂の損傷が激しい

まぁ、どのみちサルガッソで奴を召喚しようとしてたし、その時の干渉でかなりの精神ダメージを受けたようだ

 

『それにしても、ペンデュラムモンスターにリンクモンスターか』

 

神代凌牙がナッシュだったころは前世の記憶というものが無く、朧気に覚えていた程度で自覚するすらなかった

しかし神代凌牙という人間に転生し、どういうわけがナッシュの記憶ではなく、奴がこの世界に来る前の世界の記憶を思い出すとは思わなかった

ナッシュの知識は使える

どんどん影を侵食させ、その知識を吸収していく

……そして、我の欠片をナッシュに植え付けておく

今は泳がせて、ナッシュはこのままにしておこう

ここで我の元へ来させるのは簡単だ、ナッシュの魂はバリアンの力を失っておらず、それどころか前世……武藤マナミを思い出してより一層その力を増していた

我の力であるオーバーハンドレットナンバーズもナッシュの魂の奥底に眠っているので、それを媒介に洗脳するものたやすい

ただ武藤マナミを思い出した代償か、また別の要因かはわからないがナッシュの魂は王の時より、バリアンの時よりも損傷していた

今からバリアンとしての力を多用すればナッシュの魂は壊れてしまうし、仮に壊れなかったとしても魂はこの次元に固定されていない

へたに今こちらに引き入れても、力を多用し、器を失った魂が次元の狭間に落ちてしまったら、せっかくの駒が無くなってしまう

だから今はこの時の記憶を改竄し、我の欠片を植え付けるにとどめておく

ナッシュは一度懐に入れた相手を絶対に裏切れない

少しずつ、少しずつ我の欠片で侵食し、自分の意思でこちら側に行くように誘導する

いずれナッシュは己の真実を知るだろう

そして……ナッシュはこちらにつくだろう、ナッシュは無辜のバリアンを切り捨てられない

 

『次はベクターだな』

 

ナッシュに突き刺していた影を引き抜き、そのままベクターへ突き刺す

そしてナッシュ同様に記憶の改竄を行い、より深い洗脳を施す

錯乱した今の状態なら、ベクターの人格を壊さずともさっきまでよりも深い洗脳が出来た

……それにしても、今もそうだがベクターのナッシュに対する執着は凄まじいものを感じる

執着、というか依存、と言った方が正しいだろう

ベクターは、いや、他の七皇はわかっているのだ

ナッシュは何があっても裏切らない、絶対に信じてくれる

そういう不思議なカリスマ性があるからナッシュがデュエルをしなくても、七皇はナッシュを王とするのだ

 

「……逝か、ないで」

 

ベクターのそんな声を無視して記憶の改竄を進める

また何かのきっかけでベクターが前世を思い出さないように、念入りに

安心するといい、この事は全て忘れてより忠実な我の手駒になる

ナッシュもベクターも、この遺跡と関わりが深い為に共鳴現象が起こり、記憶が戻りかけるとは思わなかった

それはまだ早い

記憶が戻るにしても、まだ残りのNo.は回収できていないし手駒がベクターだけなのは少々動きずらい

そう、彼らの記憶が戻るその時は……

くすくすと笑う声が、遺跡に響いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凌牙!凌牙!」

 

『おい凌牙!返事しろ!』

 

「ダメ、Dゲイザーも出ないわ……」

 

「シャークの奴どこ行っちまったんだよ……」

 

『やはりこれも遺跡の罠か?』

 

声を張り上げながら通路を進むが、凌牙の姿は見えない

ブラック・ミストも必死にあたりを探し回っているけど、それも無駄みたい

あの階段を下った後、私たちは凌牙が居ないことにようやく気が付いた

全員階段を上り凌牙を探そうとしたが、階段上から巨大な岩が転がり落ちてきてそれどころではありませんでした

それからも落とし穴が発動したり、天井が落ちてきたりと某トレジャーハンターのような仕掛けが私たちに襲い掛かり、気が付けばこの遺跡のどことも知れぬ場所に迷い込んでしまった

 

「璃緒さん……その、シャークは絶対に見つかります!大丈夫です、きっとひょっこり出てきますって!」

 

「……ふふ、そうね、ありがとう小鳥さん、少し元気が出ましたわ」

 

大丈夫、きっと凌牙は見つかる

凌駕の悪運は強い方だし今慌てても仕方がない、凌牙が無事だと信じて今は前へ進もう

 

「遊馬、アストラル、凌牙の捜索は一旦打ち切ってNo.を回収しに行きましょう」

 

『……いいのか璃緒?』

 

「ええ、凌牙だったらNo.の方が優先順位が上だろ!っていいますし、No.を手土産に凌牙を見つけた方が何の遠慮も無く殴れますわ」

 

『お前ら双子はなんでそんなに攻撃的なんだ』

 

喧嘩はもっぱらリアルファイトだったからその影響でしょう

捜索を打ち切ってから私たちはとにかく遺跡を歩き回り、何とかしてNo.を探しだそうとしたが如何せんこの遺跡は広い

時間だけが過ぎていき、このままではバリアンに先をこされてしまいます

 

『なぁ璃緒』

 

「……?どうかしまして?」

 

ブラック・ミストが遊馬達に聞こえない程度の声で話しかけて来たので、私も小声で返す

ちらりとそちらの方を見ると、なんだか不安そうな顔をしているけどどうしたのかしら

 

『お前、凌牙が心配じゃないのか?』

 

「あら、心配に決まっていますわ」

 

ブラック・ミストが何かほざいているようなので即答で返す

 

「いきなり何を言っていますの?」

 

『いや……だって、なんだかんだであっさり凌牙の捜索を打ち切ったし』

 

「聞きますけど、凌牙探しに集中していてNo.を取られました、なんて話を凌牙にしたら殴られますわよ?」

 

『そうだけどよ…』

 

「ブラック・ミストが凌牙を心配するのはわかります、でもこれ以上時間を無駄に出来ませんわ

 それに凌牙なら何があっても絶対に私たちの元に帰ってきてくれます、だって凌牙が私たちを置いてどこかに行くなんてありえないから」

 

その確固たる自信があるから私は凌牙捜索を打ち切ることが出来るのだ

凌牙は絶対私たちから離れない、絶対に帰ってきてくれる

そう信じられるから、私はこうやって前に進めるのだ

 

『璃緒……お前は「居ましたわ!」』

 

突然張り上げた私の声に皆が一斉にこちらを剥く

しかしそれに構わず私は走りだした

 

「いもシャ!?え、どうしたんだよ!」

 

遊馬達も続けて走りだす

遊馬達が後ろからついてくるのを確認し、さらに速度を上げる

常日頃から説教から逃げる凌牙を追いかける為私の速さはかなりものになっている(ただし凌牙には追いつけない)から速度を遊馬達に合わせないと遊馬達が私に追いつけませんからね

 

『璃緒は以前、病院から姿を消したシャークを探し当てることが出来た、もしかしたら今回も』

 

「ええ、凌牙の気配を感じますわ」

 

わかる、凌牙はこっちにいる

その感覚に従い、遺跡内を走り回る

遺跡の通路の先に今までに見たことのない大きな扉があり、それを半場け破る形で扉を開け放つ

……そこは、処刑場だった

部屋の中央には円形の広い空間があり、その周りは深い堀のようになっており落ちたらひとたまりもないだろう

壁には斧や剣などの武器が飾られており、壁には檻が埋め込まれていた

そして、私たちの正面には玉座があり、そこには

 

「よぉ、やーっと来てくれたか」

 

ベクターが座っており、そのベクターに抱えられるように眠っている凌牙が、いた




次回、やっとデュエルします!さぁ、相手は誰だ!?そしてベクターのデッキはどうなっているのか!?
ドキドキ遺跡編でやっとデュエルします
え、遊馬とスカイ・ペガサス戦?あれは半分スキップしてたから(震え声)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

49/神代璃緒VSベクター~鳥使い達の意地~

というわけで久々のデュエル回です!
タイトルからわかるように璃緒ちゃんとベクターの話になります
今回も今回で間違い指摘大会開催です(ただし間違いを修正するとは言ってない)

最近なぜかベクターがトリックスターデッキで戦っているところを想像してしまう
そして凌牙ちゃんはボコボコに負ける


「凌牙!?ベクター!凌牙を返しなさい!」

 

「はぁ?こいつは大事な大事な人質なんだぜ?そう簡単に渡すわけないだろ?」

 

そう言いながらベクターは凌牙を抱き寄せる

思わず駆け出そうとするが、ブラック・ミストに止められてしまう

どうして!?思わず睨み付けるが、彼も唇をかみしめて必死に自分を抑えているような……

そうだ、冷静になれ

凌牙を助けるにはどうすればいい?考えるのよ、こういう時どうすれば……

 

「ああそうそう、ここのNo.はもう俺様がいただいたぜ?」

 

ひらりとベクターは1枚のカードを私たちに見せる

そこにはNo.65裁断魔人ジャッジ・バスターと書かれたエクシーズモンスターだった

一足遅かった……!この状況は最悪だ

遺跡のNo.は奪われ凌牙は人質、どうしよう、どうすればいい!?

頭を必死に回転させ、何とかこの状況を打破する方法を考えるけど……

 

「お前ら、俺とデュエルしろ」

 

いきなりのベクターからの提案に思わず彼を凝視する

どういうこと?凌牙を人質に私たちからNo.を奪うんじゃないの?

私たち皆が訝し気にベクターを見ていると、ベクターが笑い出した

 

「ははは!なんだその顔!大方なんで俺がデュエルの申し出をしたのか疑問に思ってるんだろぉ?

 ただの余興だよ、余興!デュエルでお前らをつぶしてNo.を奪う!ブラック・ミストと璃緒ならわかるだろ?ここはそういう”世界”なんだよ!」

 

アストラルや遊馬に小鳥さんはピンとこないのか不思議そうな顔をしているが、私たちには言葉の意味が理解できる

そう、ここで自分の意思を通すにはデュエルで勝つのが1番早い

私は中央の円形の舞台に降り立ち、デュエルディスクを構える

 

「そういう事ならばこのデュエル、受けて立ちます!」

 

「璃緒さん!?」

 

小鳥さんが声を上げるが、私は大丈夫よという意味を込めてニコリとほほ笑む

 

「このデュエルは私がやらねば意味がありません

 遊馬にアストラルにブラック・ミスト、手助けは不要です」

 

「危ないですよ!璃緒さん、ここは遊馬に代わって」

 

「心配してくださってありがとうございます

 ……でも、私の片割れを人質に取られて、私、これでもかなり怒ってますのよ?

 それにベクターは凌牙を、私たちを裏切ました……そのお礼をしてさしあげますわ」

 

『……どうせ何を言っても、お前が戦うんだろ?

 戦うんだったら、絶対に勝てよ』

 

「勿論ですわ」

 

ぎらりとベクターを睨み付けるけど、そんなのお構いなしに笑っている

あの余裕の表情を必ず崩して差し上げます

ベクターは意識がない凌牙を自分が座っていた玉座に座らせ、ゆっくりと部隊へ降りてくる

 

「んじゃ、始めるか

 俺が勝ったらお前らのNo.をいただくぜ!」

 

「私が勝ったら凌牙と遺跡のNo.を返していただきます!

 Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「デュエル!」」

 

 

神代璃緒LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

ベクターLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「私のターン、ドロー!

 私は魔法カード手札断殺を発動します、互いのプレイヤーは手札を2枚墓地に送り2枚ドローします

 モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンドです」

 

 

神代璃緒LP:4000 手札:4

【モンスター】

裏守備×1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

まずは様子を見ましょう

ベクターの挙動を一つも見逃さないように神経を集中させる

 

「俺のターン、ドロー!

 俺は永続魔法黒い旋風を発動!自分フィールドにBFが召喚された時、そのモンスターより低い攻撃力のBFをデッキから手札に加える

 手札からBF-極北のブリザードを召喚、そしてブリザードと黒い旋風の効果発動するぜ

 黒い旋風の効果でBF-東雲のコチを手札に加え、ブリザードの効果で墓地のBF-精鋭のゼピュロスを特殊召喚する!」

 

ブリザードがベクターのデュエルディスクに留まり、コンコンと叩きゼピュロスのカードを墓地から取り出す

今はそんな事思ってる場合じゃないのはわかってるけど、やっぱり可愛い……!

 

 

BF-極北のブリザード

星2/闇属性/鳥獣族/攻1300

 

BF-精鋭のゼピュロス

星4/闇属性/鳥獣族/攻1600

 

 

「俺はレベル4の精鋭のゼピュロスにレベル2の極北のブリザードをチューニング!

 漆黒の力!大いなる翼に宿りて、神風を巻きおこせ!シンクロ召喚!吹き荒べ、BF-アームズ・ウィング!」

 

 

BF-アームズ・ウィング

星6/闇属性/鳥獣族/攻2300

 

 

『璃緒、あのカード達は……』

 

「ええ、わかっています」

 

星が重なり輪になって、新しいモンスターを召喚する

……さっきの黒い旋風やBFというカテゴリで確信しました、ベクターはいまだに凌牙から譲り受けた前世カードのデッキを使ってる

改めて気を引き締めなけば、油断をすれば、私は負ける

 

「俺はアームズ・ウィングで裏守備モンスターに攻撃!そして効果発動!

 このモンスターは守備表示モンスターを攻撃する場合、攻撃力を500ポイントアップする!さらに守備表示モンスターを攻撃した場合貫通ダメージを与える!」

 

 

BF-アームズ・ウィング/攻2300→2800

 

子型ペンギン

星1/水属性/水族/守 200

 

神代璃緒LP:4000→1400

 

 

2600のダメージが私を襲う

リアルダメージありのバリアンとの戦いは、かなりの苦痛を伴う

遊馬も凌牙も、この痛みの中戦っていたなんて……!

 

「っつ!私は子型ペンギンの効果発動!リバースしたこのカードが墓地に送られた場合、自分の墓地の子型ペンギン以外のペンギンモンスターを表側攻撃表示か裏側守備表示で特殊召喚する!私は大皇帝ペンギンを表側攻撃表示で特殊召喚します!」

 

 

大皇帝ペンギン

星5/水属性/水族/攻1800

 

 

「っち、そいつが出てきやがったか

 俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 

ベクターLP:4000 手札:3

【モンスター】

BF-アームズ・ウィング/攻2300

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)

伏せ×2

 

 

「行きます、ドロー!

 私はフィールド魔法忘却の都レミューリアを発動します!このカードは”海”としても扱います、レミューリアははフィールドの水属性モンスターの攻守を200アップします

 さらに永続罠DNA改造手術を発動!種族を1つ宣言し、このカードがフィールドに存在する限り表側表示モンスターは全て宣言した種族になります、私は鳥獣族を選択します!

 そして大皇帝ペンギンの効果を発動します、このカードをリリースして大皇帝ペンギン以外のペンギンモンスターを2体まで特殊召喚します!現れなさい、2体のボルト・ペンギン!」

 

 

ボルト・ペンギン×2

星3/水属性/雷族→鳥獣族/攻1100→1300

 

 

「忘却の都レミューリアの更なる効果発動!自分フィールドの水属性モンスターの数と同じだけ、自分フィールドの水属性モンスターのレベルをエンドフェイズまであげます!私のフィールドに水属性モンスターは2体、よってレベルを2つあげます!」

 

 

ボルト・ペンギン×2/星3→5

 

 

「これでレベル5のモンスターが2体だ!」

 

遊馬が嬉しそうに声を上げる

きっとこの後私が召喚するモンスターも大体検討が付いてるのだろう

何度か遊馬とデュエルしてますが、結構な頻度でこの子にボロボロにされてますからね

 

「私はレベル5・鳥獣族となったボルト・ペンギン2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!氷の翼を持つ美しき姫、零鳥姫リオート・ハルピュイア!

 忘却の都レミューリアの効果で攻守を200ポイントアップします!」

 

 

零鳥姫リオート・ハルピュイア

ランク5/水属性/鳥獣族/攻2500→2700 ORU:2

 

 

文字通り、氷の翼を持つ鳥の姫が私の前に舞い降りる

レベル5の鳥獣族という少々厳しい素材だが、その分この子の能力は強力だ

 

「私はハルピュイアの効果発動!ORUを1つ使い相手フィールドの表側表示モンスター1体を選択し、そのモンスターの攻撃力を0にします!私はアームズ・ウィングを選択します!」

 

 

零鳥姫リオート・ハルピュイア ORU:2→1

 

BF-アームズ・ウィング/攻2300→0

 

 

「行きます!私はハルピュイアでアームズ・ウィングを攻撃!」

 

ハルピュイアが氷の翼をはためかせ、アームズ・ウィングに特攻する

鳥たちが空を舞い、ぶつかり合いそのままアームズ・ウィングを破壊―――

 

「はっ、ただじゃやられねぇよ!

 罠カードゴッドバードアタック発動!自分フィールドの鳥獣族モンスターをリリースし、フィールドのカードを2枚を対象にし、そのカードを破壊する!俺はリオート・ハルピュイアと忘却の都レミューリアを破壊する!」

 

「!」

 

アームズ・ウィングが光に包まれて消えたかと思ったら、ハルピュイアが砕け散り、レミューリアもその美しい景色が一瞬で虚無へ帰る

……やはりそう簡単に勝たせてはくれないわよね

 

「ならば私はカードを1枚伏せてターンエンドです」

 

 

神代璃緒LP:1400 手札:3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

DNA改造手術(永続罠)(宣言:鳥獣族)

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!

 手札の永続魔法RR-ネスト発動!そしてRR-バニシング・レイニアスを召喚!

 このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンに、レベル4以下のRRモンスターを特殊召喚できる!

RR-ラダー・ストリクスを召喚する、そして効果発動!

 このカードが召喚に成功、またはRRのカード効果で手札から特殊召喚した場合相手に600のダメージを与える!

 さらに罠カードR・R・R(レイド・ラプターズ・レプリカ)を発動するぜ、自分フィールドのRRモンスターを対象に発動し、その同名モンスターを特殊召喚する!さぁ来い、RR-ラダー・ストリクス!」

 

ラダー・ストリクスが私の上に旋回し、私の頭上でおなかの部分を開けミサイルを投下する

私のライフは現在1400、600のダメージを受けたら800になり初期ライフの5分の1になってしまう

流石にそれはまずい

 

「私は手札のガード・ペンギンの効果発動!カード効果によってダメージを受ける時に発動できます

 このカードを手札から特殊召喚し、受けたダメージ分私のライフを回復します!」

 

 

RR-バニシング・レイニアス

星4/闇属性/鳥獣族/攻1300

 

RR-ラダー・ストリクス×2

星4/闇属性/鳥獣族/攻 0

 

神代璃緒LP1400→800→1400

 

ガード・ペンギン

星4/水属性/鳥獣族/守1200

 

 

『いくらライフは投げ捨てるもんだからって、こんな序盤でライフ1000以下はシャレになんねぇ』

 

「それに璃緒さんのライフはあんなに少ないのに、ベクターは無傷なんて……」

 

確かにベクターは無傷ですけど、まだデュエルが始まって3ターンしかたっていません

何があるかわからない、それがデュエルです

 

「首の皮1枚繋がったか……俺の場にRRモンスターが2体以上存在する場合、RR-ネストの効果でデッキ・墓地のRRモンスターを1体手札に加える!俺はデッキからRR-ファジー・レイニアスを手札に加える」

 

ベクターのフィールドを改めて見直すとレベル4のモンスターが3体

あのサルガッソで見たベクターのオーバーハンドレットナンバーズの召喚条件も、レベル4のモンスターが3体

 

「俺は2体のラダー・ストリクスとバニシング・レイニアスでオーバーレイ!さぁ、その眩き聖なる光で愚かな虫けら共を跪かせよ!No.104仮面魔踏士(マスカレード・マジシャン)シャイニング!」

 

 

No.104仮面魔踏士(マスカレード・マジシャン)シャイニング

ランク4/光属性/魔法使い族→鳥獣族/攻2700 ORU:3

 

 

「俺はシャイニングの効果発動!相手のデッキトップを墓地へ送る!」

 

シャイニングが光り輝き、それに呼応するように私のデッキトップも光る

その1枚がデッキから墓地へ送られた、送られたカードは……いや、これは逆に都合がいいかもしれませんね

それにしてもシャイニングですか……グリズリーマザーなどの効果が使えなくなりました……これは結構手痛いですわ

 

「行け!俺はシャイニングでガード・ペンギンを攻撃!」

 

シャイニングの持っているチャクラムが防御姿勢のガード・ペンギンを貫く

守備表示だからダメージは無いけど、破壊した時の爆風が私を襲う

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 

ベクターLP:4000 手札:2

【モンスター】

No.104仮面魔踏士(マスカレード・マジシャン)シャイニング/攻2700 ORU:3

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)

RR-ネスト(永続魔法)

 

 

以前私が不利なことには変わりない

でもまだ私にはライフも手札もある、まだ私は戦える

 

「私のターン、ドロー!」

 

ドローしたカードを確認し、どう動くかしばし思考する

そしてどちらのモンスターを出すか……デュエルが長引くことを考えると、あの2枚の永続魔法は厄介だ

あれらを封じるとなると……

 

「私はオーロラ・ウィングを召喚!」

 

 

オーロラ・ウィング

星4/水属性/鳥獣族/攻1200

 

 

「さらに手札のサイレント・アングラーの効果発動!自分フィールドに水属性モンスターが存在する場合、このカードを特殊召喚できます!」

 

 

サイレント・アングラー

星4/水属性/魚族→鳥獣族/攻 800

 

 

「レベル4のモンスターが2体……いや、レベル4・鳥獣族のモンスターが2体、か?」

 

そこまでわかるということは、この後私がどの子を召喚するかバレているも同然ですね……

それでも私は止まるわけには行かない

 

「私はレベル4・鳥獣族のオーロラ・ウィングとサイレント・アングラーでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!舞い降りよ、零鳥獣シルフィーネ!」

 

 

零鳥獣シルフィーネ

ランク4/水属性/鳥獣族/攻2000 ORU:2

 

 

「シルフィーネの効果発動!ORUを1つ使い、相手フィールド上の表側表示のカードの効果を全て無効にし、このカードの攻撃力はこのカード以外の表側表示のカード×300アップします!表側表示のカードは4枚、よって攻撃力を1200アップします!行きなさい、シルフィーネ!パーフェクト・フリーズ!」

 

 

零鳥獣シルフィーネ/攻2000→3200 ORU:2→1

 

 

シルフィーネから強力な冷気の風がフィールドを駆け抜ける

ベクターのフィールドのカードが凍り付き、何の効果も発動できなくなっていることが目に見えてわかった

問題はあの伏せカードだけど……RRのRUMの可能性もあるが、ベクターのフィールドにはRRのエクシーズモンスターもいないし、私のシルフィーネもORUがあるのでRUMだとしても発動する可能性はないだろう

 

「さらに手札のマジック・プランターを発動、DNA改造手術を墓地に送り2枚ドローします

 さぁ行きなさい、シルフィーネ!仮面魔踏士シャイニングを攻撃!アイス・レイ!」

 

シャイニングがシルフィーネを破壊するが、ベクターは特に何の反応も見せずにその様子を見ている

 

 

ベクターLP:4000→3500

 

 

オーバーハンドレットナンバーズも倒したし、ごくわずかだかライフも削れた

……けど、これで終わるはずがない

必ずこのデュエルに勝利してNo.を回収し、凌牙を取り戻す

私はエンド宣言し、ベクターにターンが移った

 

 

神代璃緒LP:1400 手札:3

【モンスター】

零鳥獣シルフィーネ/攻3200 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

ベクターLP:3500 手札:2

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)(効果無効)

RR-ネスト(永続魔法)(効果無効)




とりあえず一旦ここまで
今後どうなるのだろうか(適当)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

50/神代璃緒VSベクター~神代璃緒のかっとビング~

とうらぶでイベントがあって更新がおざなりで申し訳ない(真顔)
そして毛利君来なかったあああああああ!
いや、修行セットもらえたからいいんだけどさぁ!ドロップ率低くない……?
それにしても極の鯰尾は可愛い(確信)

Aiが可愛い!最後の草薙さんと遊作とAiの会話で思わず笑ってしまいましたw
葵ちゃんとお兄様、ちゃんと和睦(?)できてよかったね……!


神代璃緒LP:1400 手札:3

【モンスター】

零鳥獣シルフィーネ/攻3200 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

ベクターLP:3500 手札:2

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)(効果無効)

RR-ネスト(永続魔法)(効果無効)

 

 

「随分と消極的だなぁ?俺のターン、ドロー!

 魔法カード闇の誘惑を発動!デッキから2枚ドローし、その後闇属性モンスターを除外する!俺はBF-東雲のコチを除外

 ダーク・バーストを発動!自分の墓地の1500以下の闇属性モンスターを手札に加える、俺はバニシング・レイニアスを手札に加えるぜ」

 

これでベクターの手札が3枚

でも、私のフィールドには攻撃3200のシルフィーネがいるし、伏せカードはリビングデッドの呼び声だ

最悪ダイレクトアタックは防げるだろう

 

「俺はRR-バニシング・レイニアスを召喚!バニシング・レイニアスの効果でRR-ミミクリー・レイニアスを特殊召喚するぜ!

 さらに手札のRR-ファジー・レイニアスの効果発動!ファジー・レイニアス以外のRRモンスターが存在する場合、このカードを特殊召喚する!」

 

 

RR-バニシング・レイニアス

星4/闇属性/鳥獣族/攻1300

 

RR-ミミクリー・レイニアス

星4/闇属性/鳥獣族/攻1100

 

RR-ファジー・レイニアス

星4/闇属性/鳥獣族/攻 500

 

 

一気に3体のモンスターがフィールドに現れる

RRもBFも効果で特殊召喚をする物が多いカテゴリみたいで、どんどんとモンスターが沸いてくる

これでRR-ネストが効果無効になっていなければ、もう少し展開が可能だったでしょう

よく凌牙が「RRは鉄の意思と鋼の強さが宇宙やばい」とか「BFってあれやん?インチキ効果が多いあれ」と言っていましたが、確かにこの展開力は危険ですわね

 

「俺はミミクリーとバニシングとファジーでオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 雌伏の隼よ、逆境の中で研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼翻せ!エクシーズ召喚!現れろ!RR-ライズ・ファルコン!」

 

 

RR-ライズ・ファルコン

ランク4/闇属性/鳥獣族/攻 100 ORU:3

 

 

「ライズ・ファルコンの効果発動!ORUを1つ使い、特殊召喚された相手モンスターを対象に発動する、このカードの攻撃力は対象のモンスターの攻撃力分アップする!」

 

「!」

 

 

RR-ライズ・ファルコン/攻 100→3300 ORU:3→2

 

 

ライズ・ファルコンの効果を聞いて、このモンスターがどのようなモンスターか凌牙が話していたのを思い出した

モンスター名までは聞いていなかったけど、間違いないだろう

特殊召喚されたモンスター限定の攻撃力上昇の永続効果、これだけでも恐ろしいのに真の恐ろしさはもう1つの効果と合わさることで真価を発揮する

 

「ライズ・ファルコンでシルフィーネを攻撃!

 このカードは特殊召喚されたモンスターすべてに攻撃できるが、今は関係ねぇな」

 

ライズ・ファルコンがシルフィーネを攻撃し、遺跡が揺れる

激しい戦いの中で遺跡が大きく揺れる、これはそうそうに決着をつけなければなりませんね

 

 

神代璃緒LP1400→1300

 

 

ライズ・ファルコンの真の恐ろしさ特殊召喚されたモンスターと限定されているが、攻撃力を上昇させ全てに攻撃できる効果があるのだ

下手に高攻撃力のEXモンスターなどを並べると一瞬でフィールドが焼け野原になりライフが持ってかれる、下手をすればこの子だけでデュエルが終了する

でも凌牙の話を聞く限りこれでもOCG化されるに当たって弱体化(?)されたというのだから恐ろしい、確か原作効果は―――

 

『あのカード、原作効果……オリジナルは相手フィールドの特殊召喚されたモンスターの攻撃力分の合計アップするらしいぜ?』

 

「はぁ!?」

 

『しかも特殊召喚されたモンスターすべてに攻撃できる効果は健在だ』

 

『インチキ効果も大概にするんだ!』

 

『だからなんでお前そういうネタ知ってるんだよ!』

 

……緊張感皆無ですね

それにしても、「これは印象に残ってるからどんな効果か覚えてる、ワンターンスリーキルゥ……」と言っていましたが、OCG版とはいえ実際にその効果を体感する身としてはアストラルと同じようにインチキ効果も大概にしないさい!と叫びたくなりますわ

というか弱体化してても十分強いですわ

 

「俺は墓地のミミクリー・レイニアスの効果発動!墓地のこのカードを除外し、ミミクリー以外のRRカードを手札に加える!俺はRR-レディネスを加え、そのまま伏せてターンエンドだ」

 

等と茶番をしていたらいつの間にかエンド宣言をしていたらしく、私のターンに移る

 

 

ベクターLP:3500 手札:0

【モンスター】

RR-ライズ・ファルコン/攻3300 ORU:2

【魔法・罠】

黒い旋風(永続魔法)(効果無効)

RR-ネスト(永続魔法)(効果無効)

伏せ×1

 

 

「私のターン、ドロー!この瞬間、シルフィーネの効果が終了します」

 

私は手札からカードを抜き取り発動させる

 

「私は浮上を発動させます、このカードは墓地のレベル3以下の魚・海竜・水族を1体守備表示で特殊召喚します!現れなさい、白鱓(ホワイト・モーレイ)!」

 

 

白鱓(ホワイト・モーレイ)

星2/水属性/魚族/守 200

 

 

「白鱓は墓地から特殊召喚されたターン、チューナーモンスターとして扱います

 さらに永続罠リビングデッドの呼び声を発動させます、来なさい!大皇帝ペンギン!

 大皇帝ペンギンをリリースし、トビペンギンを2体特殊召喚します!

 手札のダブルフィン・シャークを通常召喚、効果発動!墓地のレベル3・4の魚族の水属性モンスターを守備表示で特殊召喚します!来なさい、サイレント・アングラー!」

 

 

トビペンギン×2

星4/水属性/水族/攻1200

 

ダブルフィン・シャーク

星4/水属性/魚族/攻1000

 

サイレント・アングラー

星4/水属性/魚族/守1400

 

 

「すごい、モンスターゾーンが全部埋まった……!」

 

『しかしこの大量のモンスター、璃緒はこのターンで決着をつけるつもりだな』

 

そう、このターンでケリをつけないとライズ・ファルコンの効果で、遅かれ早かれ私は負けるだろう

それに遺跡がデュエルが進むにつれて揺れが大きくなっていく、何とかしないと

大丈夫、焦っちゃダメだ、なんとかなる、絶対に大丈夫

 

「私は2体のトビペンギンとサイレント・アングラーでオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!最強最大の力を持つ深海の帝王!その牙で全ての物を嚙み砕きなさい!現れなさい、No.32海咬龍シャーク・ドレイク!」

 

 

No.32海咬龍シャーク・ドレイク

ランク4/水属性/海竜族/攻2800 ORU:3

 

 

赤紫の巨大な海竜が私のフィールドに現れる

WDCから私に力を貸してくれているNo.、そしてこれから召喚するのは私が凌牙からもらった新たな力

 

「さらにレベル4のダブルフィン・シャークにレベル2の白鱓(ホワイト・モーレイ)をチューニング!穢れを知らない海の英知が、白の闘気を身に纏う!シンクロ召喚!現れなさい、レベル6白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)!」

 

 

白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)

星6/水属性/魚族/攻2400

 

 

フィールドに波紋が広がり、真っ白な体を持ったイルカが水面から出てくる要領で現れる

凌牙がいうには漫画版ARC-Vに出てくる連という敵キャラが使ってくるモンスターだ

 

「私は白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)の効果発動!相手モンスター1体の攻撃力はターン終了まで、元々の攻撃力の半分になります!

 ライズ・ファルコンの元々の攻撃力は100、よって攻撃力は50になります!」

 

 

RR-ライズ・ファルコン/攻3300→50

 

 

「ならその効果にチェーンしてRR-レディネスの効果発動!このターン、RRモンスターは戦闘では破壊されない!」

 

「それでも戦闘ダメージであなたの負けですわ!行きなさい、海咬龍シャーク・ドレイク!白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)!ライズ・ファルコンに攻撃ですわ!」

 

2体のモンスターがライズ・ファルコンに攻撃を開始する

これでこのデュエルは私の―――……

 

「意味のねぇ罠を発動させるわけないだろ?俺は墓地のRR-レディネスの効果発動!墓地にRRが存在する場合、このカードを除外しこのターン俺が受けるダメージは全て0になる!」

 

「なっ!」

 

「これでライズ・ファルコンは破壊されねぇしダメージも受けねぇ!」

 

ライズ・ファルコンに透明なバリアが包み込み、シャーク・ドレイクと白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)の攻撃を弾く

これも躱されるなんて……!今はこのカードで次のターンを防ぐしかない……

 

「……私はカードを1枚伏せてターンエンドですわ」

 

 

RR-ライズ・ファルコン/攻50→100

 

神代璃緒LP:1300 手札:1

【モンスター】

No.32海咬龍シャーク・ドレイク/攻2800 ORU:3

白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)/攻2400

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

『……惜しかったな』

 

『ああ、まさかレディネスにダメージを受けなくする効果があったとはな』

 

『?ということはブラック・ミストはRR-レディネスのカード自体は知っていたのか?』

 

『ああ、つっても俺は戦闘破壊耐性しか知らなかったが』

 

『なおさら意味が分からないな、なぜ2つ目の効果を知らなかったんだ?』

 

『あのなアストラル、一緒にいる俺や璃緒にカード解析してるカイトは確かにお前らより詳しいぜ?

 だけど何でもかんでも知ってるってわけじゃねーからな?』

 

ブラック・ミストの言う通り、いつも一緒にいるとはいえ凌牙の前世カードの全てを把握しているわけではない

たまに思い出したように「アニメでこのカードがこう使われてて」とか「このカードはOCGとアニメじゃ効果が違ってて」と凌牙に教えてもらう程度だ、下手をすればカードを解析しているカイトの方が詳しいだろう

そもそも最近は気が付いたら前世カードが増えている、という謎の現象も発生しており余計にカードを把握するのが難しくなっている

それ以前に凌牙も正確には把握していないと思いますわ

 

「俺のターン、ドロー!俺はエクシーズ・トレジャーを発動!フィールドのエクシーズモンスターの数だけドローできる、フィールドにはライズ・ファルコンとシャーク・ドレイクの2体、よって2枚ドロー!」

 

ベクターはカードを2枚引き抜き、確認するや否やすぐに次の行動に移る

 

「墓地のBF-精鋭のゼピュロスの効果発動!自分フィールドの表側表示のカードを手札に戻し、こいつを特殊召喚する!ただし400のダメージを受けるがな、俺は黒い旋風を手札に戻しゼピュロスを特殊召喚する!

 さっき戻した黒い旋風を発動し、手札からBF-疾風のゲイルを召喚する!

 黒い旋風の効果でBF-突風のオロシを手札に加えるぜ」

 

 

ベクターLP3500→3100

 

BF-精鋭のゼピュロス

星4/闇属性/鳥獣族/攻1600

 

BF-疾風のゲイル

星3/闇属性/鳥獣族/攻1300

 

 

「俺はライズ・ファルコンの効果発動!ORUを1つ使いシャーク・ドレイクの攻撃力分、こいつの攻撃力をアップする!

 ゲイルの効果発動!1ターンに1度相手モンスターの攻守を半分にする!俺はシャーク・ドレイクの攻守を半分にするぜ」

 

 

RR-ライズ・ファルコン/攻100→2900 ORU:2→1

 

No.32海咬龍シャーク・ドレイク/攻2800→1400

 

 

シャーク・ドレイクはNo.以外では戦闘破壊されないとはいえ、攻撃力1400の棒立ちは致命的だ

ましてライズ・ファルコンの現在の攻撃力は2900、私のライフも吟味すると完全にアウトだ

 

「俺はレベル4のゼピュロスとレベル3のゲイルをチューニング!漆黒の翼濡らし、そぼ降る雨に響け、雷鳴の一撃!シンクロ召喚!突き抜けろ!ABF-涙雨のチドリ!

 チドリは墓地のBFモンスターの数×300攻撃力がアップする、墓地にBFは4体、よって攻撃力は1200アップだ!」

 

 

ABF-涙雨のチドリ

星7/闇属性/鳥獣族/攻2600→3800

 

 

2体目の黒い翼を持った鳥がフィールドに舞い降りる

RRと違いBFは鳥と人をかけ合わせた外見のモンスターが多く、対してRRは鳥と機械を掛け合わせた外見のモンスターが多い

同じ闇属性・鳥獣族なのにここまで見た目や効果が違うとは、やはりデュエルモンスターは奥が深いですわ

 

「バトルだ!俺はライズ・ファルコンでシャーク・ドレイクに攻撃だ!」

 

「させません!罠カード和睦の使者発動!このターンの戦闘ダメージは0になり、私のモンスターは戦闘では破壊されません!」

 

「……っち、カードを伏せてターンエンドだ」

 

 

ベクターLP:3100 手札:0

【モンスター】

RR-ライズ・ファルコン/攻2900 ORU:1

ABF-涙雨のチドリ/攻3800

【魔法・罠】

黒い旋風

RR-ネスト

伏せ×1

 

 

「はっ、はっ」

 

耐えた、何とか耐えた……!

彼は強い、凌牙から譲り受けた前世カードの力を存分に引き出している

私は勝てるの?

そんな弱気な考えが脳内に過る

先ほどから私の攻撃を絶妙に躱しているし、今だって私が和睦の使者を引いていなければ、負けていた

ドローする手が震える、これでもし良いカードが引けなかったら、私は、私は

 

 

 

「かっとビングだ!いもシャ!」

 

 

 

遊馬の声が遺跡内に響き渡る

そちらを見ると、遊馬が拳を握りしめ、それを突き上げていた

 

「かっとビング!それは勇気をもって1歩踏み出す事!

 かっとビング!それはどんなピンチでも決して諦めない事!

 かっとビング!それはあらゆる困難にチャレンジする事!

 ドローをする事を怖がってちゃ、デッキを信じなきゃ自分の望むカードはぜってぇこねぇ!

 ベクターを倒してシャークを助けるんだろ!?大丈夫だ、いもシャならきっと勝てる!」

 

「そうよ!璃緒さんはベクターなんかに負けないわ!かっとビングよ、璃緒さん!」

 

「……遊馬、小鳥さん」

 

彼らの温かい声援が、私の体の中に浸透していく

そうだ、何を弱気になっているのよ私

今まで私は何のためにデュエルの腕を磨いてきたというの?

非力な私が凌牙を、片割れを守るために今までデュエルを続けて来たのじゃない

1枚だけだけど手札がある、ドローできるカードがある、ライフポイントがある

ああ、なんだ、私はまだ戦えるじゃない

……ドローをする為デッキトップに手を添えたその瞬間、私のEXデッキが光輝き始めた

 

『なっ、あれは……!』

 

アストラルが何か言っているようだが、私には聞こえない

 

「私のターン、ドロー!

 私は手札からブリザード・ファルコンを召喚!」

 

 

ブリザード・ファルコン

星4/水属性/鳥獣族/攻1500

 

 

「さらに手札から永続魔法幻影の吹雪(ブリザード・ヴィジョン)を発動します!

 自分フィールドの水属性モンスターを選択し、選択したモンスターと同じ種族・属性・レベルの同名モンスターとなりフィールドに特殊召喚されます!ただしこの効果で特殊召喚されたモンスターの攻守は0になります」

 

 

幻影の吹雪(ブリザード・ヴィジョン)(ブリザード・ファルコン)

星4/水属性/鳥獣族/攻0

 

 

これでレベル4のモンスターが2体

EXデッキから新たなモンスターの鼓動が聞こえる

これが、カードの創造

凌牙がいうにはデュエリストたちが当たり前に行っている行為であり、これが出来なければ一人前のデュエリストとは言えないらしい

……凌牙の一人前のデュエリストの基準は一体どうなっているのかしら

 

「私はブリザード・ファルコンとブリザード・ファルコン扱いの幻影の吹雪(ブリザード・ヴィジョン)でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 ……漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙、今降臨せよ!現れなさい!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」

 

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2500 ORU:2

 

 

そして私のフィールドに、エクシーズの名を持つドラゴンが降臨した

 

 

神代璃緒LP:1300 手札:0

【モンスター】

No.32海咬龍シャーク・ドレイク/攻1400 ORU:3

白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)/攻2400

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン/攻2500 ORU:2

【魔法・罠】

無し

 

ベクターLP:3100 手札:1

【モンスター】

RR-ライズ・ファルコン/攻2900 ORU:1

ABF-涙雨のチドリ/攻3800

【魔法・罠】

黒い旋風

RR-ネスト

伏せ×1




おまけ<最初の璃緒ちゃんの手札断殺で捨てたカード>

璃緒
・大皇帝ペンギン
白鱓(ホワイト・モーレイ)

ベクター
・BF-精鋭のゼピュロス
・御前試合


それにしてもデュエル描写って会話文だけだとあれだし、周りの描写も入れすぎると長くなるし、大変だぁ(白目)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

51/神代離緒VSベクター~天城カイトはお兄さん~

今回前回引っ張った意味は!?と思うほどあっさりデュエルが終わります
そして段々ベクターが強キャラ化してるんだがこれはどういうことだ(驚愕)

結局の所10年前何があったのか、ハノイが遊作に何をしたのかまだ謎に包まれてるんだよなぁ……
というかGo鬼塚めっきり出てこなくなったけど、また出てくるよね……?
後天気モンスターぐうかわ


神代璃緒LP:1300 手札:0

【モンスター】

No.32海咬龍シャーク・ドレイク/攻1400 ORU:3

白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)/攻2400

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン/攻2500 ORU:2

【魔法・罠】

無し

 

ベクターLP:3100 手札:1

【モンスター】

RR-ライズ・ファルコン/攻2900 ORU:1

ABF-涙雨のチドリ/攻3800

【魔法・罠】

黒い旋風

RR-ネスト

伏せ×1

 

 

「ダーク・リベリオン!?カードの創造、しかも覇王龍の眷属だと!?」

 

私のフィールドに降臨した黒い龍を見たベクターは驚きの声を上げた

驚くのも無理はないだろう

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン、クリアウィング・シンクロ・ドラゴン、スターヴ・ヴェノム・フージョン・ドラゴン、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンという4つの召喚法の名を冠する特別な龍達は凌牙は所持していない(でもなぜか派生のカードは持っていますわ)

これは文字道理私が創造した凌牙の前世カードでもない、エクシーズ次元の榊遊矢であるユートの物でもない

正真正銘”私の”ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

 

「……さぁベクター、お楽しみはこれからですわ!

 私はダーク・リベリオンの効果発動!ORUを2つ使い相手モンスターの攻撃力を半分にし、その数値分攻撃力をアップさせます!私が選択するのはチドリですわ!トリーズン・ディスチャージ!」

 

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン/攻2500→4400 ORU:2→0

 

ABF-涙雨のチドリ/攻3800→1900

 

 

「さらに白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)の効果を発動!モンスター1体の攻撃力を元々の攻撃力の半分にします!」

 

 

RR-ライズ・ファルコン/攻2900→50

 

 

ダーク・リベリオンの創造に、モンスター効果による攻撃力の減少を前にやっとベクターの表情を崩すことが出来ましたわ

伏せカードもありますが、流れは確実にこちらに来ている!

 

「行きなさい!私はダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンでライズ・ファルコンを攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイ!」

 

ダーク・リベリオンが大きく飛び上がり、その黒い巨体を翻しライズ・ファルコンに向かっていく

翼が羽ばたく度に遺跡が揺れる……もうこの遺跡は持ちそうにありませんわ

でもこれで私の勝ちです、RRのRUMも破壊をトリガーに発動するものだからどちらにしろ私の

 

「罠カードフェイク・フェザーを発動!

 手札のBFを墓地に送り、相手墓地の通常罠1枚を選択し発動する!このカードは選択したカードと同じになる、俺は和睦の使者を選択するぜ!」

 

「っ!……私はこれでターンエンドです」

 

 

神代璃緒LP:1300 手札:0

【モンスター】

No.32海咬龍シャーク・ドレイク/攻1400 ORU:3

白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)/攻2400

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン/攻4400 ORU:0

【魔法・罠】

無し

 

RR-ライズ・ファルコン/攻50→100

 

 

攻撃力が高いダーク・リベリオンや白闘気海豚(ホワイト・オーラ・ドルフィン)が居ますが、ライズ・ファルコンの前ではそれは逆効果にしかなりません

私の手札は0、墓地で発動するカードも無く、伏せカードもない

私は静かに手を下す

 

「璃緒さん!?」

 

小鳥さんが驚きの声を上げる

遊馬も、アストラルも、ブラック・ミストも、大声を張り上げるが結果は変わらないだろう

私は覚悟を決めて真っすぐ前を見据える

せっかくダーク・リベリオンが私の元に来てくれたというのに、こんな結果になってしまってごめんなさい

あれだけ啖呵切ったのに、かっこ悪いなぁ

 

「……俺のターン、ドロー!

 俺はライズ・ファルコンの効果発動!ORUを1つ使い特殊召喚された相手モンスターの攻撃力をこのモンスターに加算する!」

 

 

RR-ライズ・ファルコン/攻100→4500 ORU:1→0

 

 

「行け!俺はライズ・ファルコンで海咬龍シャーク・ドレイクを」

 

―――……ゴゴゴゴゴゴゴ

 

ベクターが攻撃宣言をしようとし、ライズファルコンが大きく飛び上がった

……それが原因だったのだろう、遺跡が大きな音を立てて崩落を始めた

 

「なっ!……ちぃ、この勝負はまた後でな!」

 

ベクターの後ろにワープホールが現れ、そこに吸い込まれる

私……助かったの?いや、それよりも凌牙を!

 

「凌牙!」

 

凌牙の元に駆け寄ろうとするが、私の立っている舞台も崩落を始め、凌牙のいる玉座までの道が閉ざされてしまった

助走をつければ飛び越えられそう……いや、飛び越えて見せる

 

『何やってるんだ!』

 

走りだそうとした瞬間にブラック・ミストに腕を取られる

 

「離しなさい!私は凌牙を!」

 

『あいつのことは心配すんな!』

 

「何を根拠に……!」

 

 

 

 

 

「何をしている!さっさと逃げろ!」

 

 

 

 

 

頭上に何かが横切ったかと思うと、それはカイトとオービタルだった

 

『カイト!?なぜ君がここに!』

 

「説明は後だ!脱出するぞ!」

 

カイトはそのまま飛び、凌牙の元まで行くと抱きかかえる

その様子を見届けた私はブラック・ミストに引きずられるように遺跡から脱出した

息も絶え絶えになり、遺跡の入り口でへ垂れ込んでいると凌牙を抱えたカイトが文字道理転がるように現れた

 

「カイト様!大丈夫でありますか!?」

 

「シャーク!大丈夫か!」

 

「凌牙!」

 

3人の声がほぼ同時に重なる

オービタルは飛行モードを解除し、カイトの安否を確認する

私と遊馬は地面に寝かされた凌牙のところへ一目散にかけていく

凌牙の容態を確認すると、ただ気絶しているらしくどこにも異常がない

……ベクターはどうやら凌牙に不埒を働いたわけではありませんのね

 

『……?』

 

ブラック・ミストが凌牙に駆け寄った時、何やら不思議そうな顔をして小首を傾げる

 

「ブラック・ミスト?どうしましたの?」

 

『あ、いや……気のせいだ』

 

そう言いながらもブラック・ミストは何度も凌牙の心臓に手を当て、小首を傾げるという動作を繰り返す

……やはり、ベクターは凌牙に不埒なことをしたようですね

 

「璃、璃緒さん、顔怖いです」

 

「あら、ごめんなさいね小鳥さん」

 

そうは言うが、凌牙が不埒を働かれたと思うとどうしても顔を戻すことなんてできない

そんな私の思いを知ってか知らず、凌牙は静かに息をするだけだ

遺跡の内部が崩落した以上、外とはいえここにいるのは危険です

アストラルの提案で一旦飛行船に乗り込み、凌牙を寝かせる

 

「……で?説明してもらおうか?」

 

カイトはにっこりと笑いながら(ただし額に青筋を受けべている)私たちに問いかける

これは……どこから話した方がいいのかしら?

 

「えーっと……いもシャがベクターがデュエルしてたぜ!」

 

「遊馬、多分カイトが聞きたい事ってそういう事じゃないと思うんだけど……」

 

「……もういい、なんでこんな事態になっているのか、最初から、順を追って、説明しろ」

 

『『「「「アッハイ』』」」」

 

そして私たちは話し始めた

学校で妙な力を感じた事

飛行船で遊馬の父親である一馬さんのメッセージを聞いた事

そこからすぐ遺跡のNo.を探し始めた事

最初の遺跡でNo.の精霊と戦った事、ドルべと共闘(?)した事

そして……ここでの出来事

私たちが覚えている限りの全ての事を話終えるとカイトはこめかみを抑えながらため息を付く

 

「とりあえず、色々と言いたいことがあるが……お前達は何をしているんだ!」

 

突然のカイトの大音量の声に全員がびくつきます

今まできつい言動が多かったカイトですが、ここまでの声を聴いたのはWDCの時以来ですわ

 

「どうして俺達に相談しないんだ!確かにお前達のデュエルは一流だがそれでもやれることに限界がある!

 スカイ・ペガサスの遺跡でもそうだ!話を聞く限り凌牙は死んでもおかしくなかったんだぞ!

 璃緒だって遺跡が崩落しなければ負けていた!お前達は自分の力を過信しすぎだ!

 確かにバリアンの力を研究したりこちらもやることがたくさんある、それでもお前たちだけが無茶をする理由にはならない!行くにしてもせめて一声かけてからにしろ!」

 

カイトの声を聴いて、彼の思いを聞いて、私たちの行動がどれだけ浅はかだったのかわかりました

私たちは誰にも告げず、半場衝動的に飛行船で遺跡へ向かいました

それは何かのアクシデントで身動きが取れなかったり、連絡が取れなかったりした場合、カイト達は私たちがどうして行方知らずになったかしらずに心配をかけることになります

それどころかその動揺を付いて、私たちの不在でバリアンが攻撃を仕掛けてくるかもしれません

今はバリアン側も遺跡のNo.を追っているようですが、何人かハートランドに来てもおかしくありませんわ

 

「今回だってブラック・ミストが連絡を入れてくれなかったらこっちはなぜお前たちが居なくなったかわからなかったんぞ!

 お前達のDゲイザーの反応がハートランドから消失していてこっちは大騒ぎだった!

 ナンバーズクラブはお前たちが居なくなったと押しかけてくるし、ⅣとⅢも凌牙はどこだ、遊馬はどこだと騒ぎを起こす!」

 

『それは私たちの配慮が足りていなかった……すまなかった』

 

「わりぃカイト、父ちゃんのメッセージを聞いたらいてもたってもいられなくてよぉ……」

 

「ごめんなさい、私カイト達の気持ち考えてなかった……」

 

「年長である私がしっかりしないといけませんでしたのに……

 ……ちょっとおまちなさい、ブラック・ミスト、貴方いつの間にカイトと連絡を取りましたの?」

 

『あの呪われたの遺跡で”凌牙のDゲイザーの反応を探せ”って

 まぁ結局わかんなかったけどな』

 

「それだけの情報では何もわからん!」

 

貴方そんなことしてましたの……

でもそのおかげでカイトは何とかここにたどり着いて、凌牙を助けてくれました

もしも、カイトが間に合わなかったら……そう考えるとゾッとします

私は、凌牙を失うところでした

 

「んー……」

 

カイトの説教を聞き続けてると、凌牙の声が聞こえてきました

 

「凌牙!気が付きましたの!?」

 

『おい、目ぇ開けろ!』

 

一目散に凌牙の元に駆け出し、様子を確認する

もぞもぞと動き、目をうっすらと開ける

 

「んぁ?……璃緒?」

 

体を起こそうと動き出すが、力が入らないのかもぞもぞと動くばかりだ

ブラック・ミストが触手を使い支え、体を起こすのを手伝ってやる

まだ状況を把握できていないのか、仕切りに辺りを見回す

 

「え、ここ何処なん?

 ってアイエエエ!カイト!カイトナンデ!?どういうことだ!まるで意味が分からんぞ!?」

 

『凌牙うっせぇ』

 

「アッハイ」

 

「さぁ凌牙、そこに正座しろ」

 

「え?……え!?」

 

「二度も言わせるな」

 

「アッハイ」

 

カイトのあまりの剣幕に思わず正座する

そして私たちにもしたような説教を凌牙にもします

凌牙もカイトの説教を聞いて、自分の行動がどれだけ浅はかだったのか理解したみたいです

 

「ごめんねー、年長者の俺がしっかりしないといけないのにねー……」

 

「……今の一言でお前と璃緒の血の繋がりを再確認した」

 

「何を言ってるんだお前は」

 

「まぁいい、ところでお前の事も教えてもらおうか?」

 

その一言で私は凌牙が途中ではぐれてしまった事実を思い出します

ベクターとのデュエルやらカイトの説教やらですっかり忘れていましたわ

凌牙もカイトに言われて思い出したのか、そうだそうだと言いながら口を開く

 

「えっと、5つの階段があったやん?皆と一緒に降りようとしたら……したら?」

 

そこで凌牙は口を紡ぎ、ことりと首をかしげる

何度も口を開こうとするが、そのたびに口を閉じ考え込んでいる

 

「シャーク?どうしたの?」

 

小鳥さんが心配そうに凌牙を見ている

そんな小鳥さんの声に反応したのか、凌牙は腑に落ちないという顔をしながら口を開く

 

「いや、なんか……覚えてないんだよねぇ?」

 

「それはどういう意味だ」

 

「そのまんまの意味だって、なんかそっからの記憶が全然思い出せないんだよね」

 

「……」

 

『だから璃緒、お前顔怖いっつーの』

 

思わず顔が強張る

あのゲス野郎やはり凌牙に不埒を働きましたのね……!

 

「あー、璃緒?もしもーし?大丈夫?」

 

『私の目から見れば大丈夫じゃなさそうだが』

 

2人の声で思考が現実へと戻っていく

いけない、すっかりベクターへの憎悪で周りが見えていませんでしたわ

 

「覚えてないって、ベクターになんかされたのか!?」

 

「それもさっぱがわかんね」

 

「……^^」

 

「え、あの、マイスイートシスター?そんな笑顔で近づかれるとお姉ちゃん、ちょーっと怖いなーって……」

 

「凌牙^^」

 

「……誠に申し訳ございませんでしたあああああああ!(土下座)」

 

このあと滅茶苦茶説教しましたわ




ジャッジ・バスター「あれ、俺の出番……( ;∀;)」

最終的にはカイト、ブラック・ミスト、璃緒に囲まれての説教になります


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

52/神代凌牙と拳闘士の遺跡

財前お兄様、あんた会社首になるんじゃないの……?
というか次回予告完全に財前お兄様デュエルフラグやないかーい!
どんなデッキ使うのか楽しみです

この小説でリンク召喚を扱うなら
・EXゾーンが新たに追加される
・魔法罠ゾーンとPゾーンは別々
・リンクモンスターが居なくてもEXモンスターを召喚できる
・その場合はメインゾーンでもEXゾーンでもどっちでも可
・↑リンクモンスターも
・墓地から特殊召喚の場合は強制でメインゾーン

さらに先ドロあり……完全にオリジナルルールのような何かになってるなぁ……
皆さんどう思います?


「うっめー!ジェラートうっめー!」

 

「シャーク!あっちにドネルケバブ?っつーぞがあるぜ!」

 

『ドネルケバブ?とはなんだ?いつ発動する?』

 

「貴様ら少しは大人しくしろ!」

 

デュエリストの町、スパルタンシティに俺達はやってきた

理由は単純明快でこの場所に新たな遺跡のNo.があるからだ

いやね?最初の方は俺達も真面目に探してたよ?

だけどおいしそうな匂いがそこら中からするし、カードショップもいっぱいあるし、なんというか、うん

正直に言いましょう、途中から観光してました\(^o^)/

ここはイタリアとかに近いらしくピザとかもおいしいし洋服も可愛い

 

「それにしてもいもシャ達おっせーなー」

 

「女の子の買い物は長いかんねー、特にオシャレ関係は」

 

「貴様も女子だろうが」

 

「いやそれ生物学上の話だからね

 それに俺はオシャレより自分の趣味にお金を使いたいんで」

 

璃緒も小鳥ちゃんもずっと制服なの気にしてたしねー

2人だけじゃ不安なのでブラック・ミストは護衛という名の生贄に捧げました

ブラック・ミスト?ああ、良い奴だったよ……

ちなみにオービタル君は飛行船でお留守番です

 

「遅れてごめーん!」

 

「ごめんなさい、可愛らしい服がたくさんあって迷ってしまいましたわ」

 

『……疲れた』

 

ブラック・ミストお疲れ様でーす、今度なんかおいしい物買ってきてやんよ……

それにしても璃緒と小鳥ちゃんは可憐な変身を遂げていた

小鳥ちゃんは上は濃いピンクの服に白いスカート

璃緒は青と白のしましまの服に青いスカートの服を着ていた、うちの妹がこんなにも可愛い

 

「……もう観光はいいだろう、さっさとNo.を「ああー!」……俺はいい加減キレても誰も文句言わないと思うのだが」

 

「せやな」

 

『せやな』

 

「所で遊馬、何を見つけたの?」

 

「あれ!あれだよ!」

 

遊馬が指さす方向を見ると巨大なモニターがあり、そこには様々なプロデュエリストが参加している大会のPVが流れていた

俺の知ってる人や、そうでもない人が何人か参加しているスパルタンシティの恒例大会らしく、この大会の優勝者にはスパルタンシティのチャンピオンへの挑戦権が得られるみたい

なんというか、遊馬がいつも道理で何よりです

 

『お前、いくらデュエリストの町だからって流石に大会には出場する余裕はないぜ?』

 

「ちっがーう!あれ!あれ見ろって!」

 

遊馬がさっきからPVをしきりに指をさしている

……大会自体じゃなくて、大会参加者の事を言ってるのかな?

うーん、さっぱがわかんね!(満面の笑み)

 

「おい、あのデュエリスト……!」

 

『まさか彼は!』

 

皆があっけにとられているデュエリストの紹介がされている

星からの使者、ゴーシュ・ザ・スターマン

 

「ゴーシュの奴だ!」

 

……ゴーシュって誰?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして、神代凌牙です」

 

『No.96ブラック・ミストだ』

 

「おーお前が璃緒の姉で、意思を持つNo.か……

 俺はゴーシュ!WDCの時はお前の妹に世話になったぜ!」

 

「私はドロワ、同じくWDCで色々とあった

 まぁ、今はこいつのマネージャーをしている」

 

プロデュエリストのゴーシュ・ザ・スターマン事ゴーシュさんとそのマネージャーのドロワさん

なんとびっくりこの2人はカイトの元同僚で、一緒になってNo.を集めていたらしい

その過程で遊馬や璃緒達と友好を深めていたみたいやんね

 

「それにしてもゴーシュがプロデュエリストかー……」

 

「まぁな、星からの使者ゴーシュ・ザ・スターマンってな

 連戦連勝!次はチャンピオン戦だ!」

 

ここってデュエリストの町って呼ばれるくらいだからか、総じてデュエリストのレベルは高い(らしい)

そんな中で負け知らずって、ゴーシュさんってかなり強いのか……

まぁちょっと前までカイトと一緒にナンバーズハンターしてたみたいだし、強いのは納得だな

 

「ドロワはマネージャーだと言ったが、プロデュエリストにはならないのか?

 お前ほどのデュエリストなら、十分にプロの世界でもやっていけると思うが」

 

「そうなんだよカイト!一緒に覆面タッグデュエリストやろうって言ってるのに嫌だって」

 

「あ、当たり前だ!」

 

うーん、ゴーシュさんとセットって事はゴーシュさんと似たような服装ってことでしょ?

ドロワさんってかなりのナイスバディだし、あんなぴちぴちの服を着たら……あかん(確信)

英断だぜドロワさん、将来絶対黒歴史になるパターンやで……

 

「それにしてもよ、なんで星からの使者なんだ?」

 

遊馬がゴーシュさんに向かってそんな疑問を漏らす

確かに大会のPVを見た時にゴーシュさんが使っていたデッキはH・Cってカテゴリで星要素が全くない

どっちかっていうと……炎の剣士とか?なんだ、ただの城之内君か

 

「俺は……俺達はよ、子供たちに希望の星を見せてやりてぇんだ」

 

そう言ってゴーシュさんは語り始めた

ゴーシュさんとドロワさんの生まれた所は現代日本とは思えないほど荒れていたらしく、かなり生きずらい環境だったらしい……サテライトかな?

でもデュエルっていう希望のおかげで真っすぐに成長できたらしい

そしてそこからデュエルで皆に希望を与えたいと、そう思うようになった

いい話じゃん!お姉ちゃん感動しちゃったよ……

 

「いい夢ですね!私応援します!」

 

「俺も俺も!でもゴーシュさんとトーマスが戦う場合は真っ先にトーマスを応援しますがね(キリッ)」

 

『お前本当にブレないな』

 

ぶっちゃけそこブレたら終わりだと思うの

 

「ゴーシュ、俺はお前の気持ちわかるぞ

 ……俺はハルトを救いたいと、ずっと戦ってきたからな」

 

>>突然のハルト君<<

まぁ、カイトにとってハルト君が希望の星って事かー

 

「凌牙ももっと私を大事にしてくださいね?」

 

「これ以上大事にしたら璃緒は一生お家から出られないよ?」

 

『ふむ、これが俗にいうヤンデレというやつか』

 

『多分違う』

 

「お前らのノリはどうなってるんだ」

 

「諦めろ、こいつらはこういうやつだ」

 

ごめんねお二人さん、俺達大体こんな感じなんだ……

諦めろ、それか慣れて、慣れろ

 

「所でお前らなんでここに?」

 

ドロワさん軌道修正ありがとうございます

 

「実は俺達遺跡を探してるんだ」

 

「遺跡?」

 

ゴーシュさんとドロワさんがきょとんとした顔でこちらを見ている

そらいきなり遺跡を探してる、なんて言われたらそうなるよな

遊馬とかはデュエル一筋だし、スパルタンシティにデュエルをしに来たなんて言われたら納得するけど、遺跡って単語を聞いて若干混乱してるっぽい

 

「ドロワ、ゴーシュ、何処か腰を落ち着ける場所は無いか?長い話になるしな」

 

「それならあのホテルのレストランがいいだろう

 もういい時間だし食事をしながら話をする方がお前達もいいだろう?」

 

ドロワさんのおすすめのホテルへ着き、皆思い思いの料理を頼み舌鼓をうっている

そしてそんな様子をブラック・ミストがギリィとしながら見ている……ごめん、後でご飯買ってきてあげるから……

アストラルを筆頭にこれまでの経緯を話す

そして大体の経緯を話し終わったのは料理を食べ終わった後だった

 

「なるほどねぇ、だから遺跡を探してたのか」

 

『おう、お前らはここの遺跡の伝説なりなんなり知ってるか?』

 

「それなら1つ有名なのがあるぜ」

 

「コロッセウムを彷徨う拳闘士の魂の話だ」

 

話の流れからしてそのコロッセウムが遺跡って事だよなぁ

……なんかまだ3つしか遺跡を巡ってないから何とも言えないけど、どの遺跡も必ず1人の人間の半生があるというか……

遺跡のNo.は7枚で、バリアンはバリアン七皇っていうくらいだから7人だよね?

まさか、ねぇ?

 

「かつてこの地には、己の拳一つで勝ち続けた最強の拳闘士が居た

 そいつにはライバルがおり、その国の皇子だった

 拳闘士と皇子は何度も戦うことにより、立場を超えた戦う者同士の絆を育んだ」

 

ドロワさんの話が始まり一旦思考を止める

今度は友情物語かぁ、ペガサスの遺跡はなんだかんだで悲惨な結末だったからこっちではハッピーエンドで終わってほしい物だ

……呪われた遺跡の結末って何だったんだろう?

 

「そんな2人が雌雄を決する時が来た

 だが大観衆の前で皇子が破られることは許されない

 側近たちは拳闘士に無実の罪を着せて、捕らえた

 拳闘士は必死に無実を訴え、皇子も弁護したが聞き入れてもらえず……

 結局大観衆が見ている前で無残にも処刑されてしまった」

 

「酷い……」

 

小鳥ちゃんが両手で口元を抑える

いつの時代もその手の身分違いの友情って悲惨な末路を辿るんだろうねぇ……

 

「長い時が経ち、その国が滅びコロッセウムが遺跡となった後も、拳闘士の魂が彷徨うという」

 

「無実の罪で殺された恨みでってことかな?

 まー、そこまでされたら殺意が限界突破しても仕方ないのかなー?」

 

「いいや、違うな」

 

やっぱり遺跡の伝説になっている人物は悲惨な末路を辿るのって事でいいのかな?

なーんて思ってたらゴーシュさんから突っ込みが入った、違うって何が?

 

「奴は、まだ戦い足りねぇんだよ

 ライバルとの戦いを果たせぬまま倒れた無念が、奴の魂をコロッセウムに引き留めてるんだ」

 

「最も、その遺跡も湖の底だけどな」

 

ホテルの窓から見るコロッセウムの遺跡は見事に湖の底に沈んでいる

拳闘士の魂を鎮める為に土手を築いたらしい

肝心の遺跡が湖に底ということで、皆右往左往してたけど璃緒の一声により一旦ホテルで休息をとることになった

各々の部屋に戻ることになりました、代金はゴーシュさん達が払ってくれるそうです……すまねぇ……すまねぇ……

 

「うーん、なぁ、ぶっちゃけ言っていい?」

 

<今更だろ?で、相談したい事ってなんだよ>

 

部屋でDゲイザーの通話機能を使いトーマスと電話をしていた

ブラック・ミストはアストラルと何やら話すことがあるらしく、今は近くにいない

ちなみにトーマスにはあらかたの経緯を話しました

 

「遺跡とバリアン七皇って絶対何か関係あると思うんだよねー」

 

<まぁ、確かに偶然で片づけるのは軽率だけどな

 だからと言って確証もないのに決めつけるのは危ないぜ?>

 

「その辺はわかってるよ、だから余計な先入観を与えないためにお前に相談してるわけだし」

 

<璃緒は?>

 

「多分あの子気付いてると思うよ?」

 

なんだかんだいって双子だからその辺の思考がリンクしやすいんだよね

璃緒は璃緒で大丈夫って結論を出したから何も言ってこないだけで

なんかあったら相談してくるし大丈夫でしょ

 

<遺跡とバリアン七皇が関係あるって他の根拠はなんだよ?

 遺跡のNo.とバリアン七皇の人数が同じだからって、いくら何でも暴論じゃないのか?>

 

「んー……あるっちゃあるし、でもこれも暴論の域を出ないんだけどねー

 それと遊戯王次元だからこんなこともあり得るだろうっていう、メタ的な?」

 

<御託はいいから話せ>

 

「うぃっす」

 

やだ……トーマス怖い……

 

「前にアストラルに聞いたんだけど、アストラル世界ってランクアップした魂が行きつける場所だって」

 

<おう>

 

「で、全ての生き物は常に理想を目指してて、誰にだって魂がランクアップする可能性があるんだって」

 

<……>

 

「って事はアストラル世界にはそうやって魂がランクアップした、この世界の生き物がいるってこともあり得るんじゃない?例えば元人間で現アストラル人とか」

 

トーマスは俺の話を黙って聞いている

あいつ見た目に反して賢いし、俺の言いたい事が大体わかっているだろう

 

「バリアン世界がどんな世界か全く知らないけどさ、アストラル世界と対になってるんだったらあるんじゃない?

 バリアン世界には元人間の現バリアンが居て、バリアン七皇は遺跡の伝説の生まれ変わりで、No.は人間だった時何等かの関わりがあったって可能性が」

 

<……暴論だけど筋は通ってるな>

 

「ぶっちゃけ何千年前のアイテムにエジプトの王様の魂が宿ってたり、人間をカードに封じ込めたり、マインドスキャンで相手の手札を丸わかり☆、精霊世界で闇落ちしたり、破滅の光で世界が浄化されそうになったり……遊戯王次元だから人間がバリアンになっても不思議じゃないんじゃない?」

 

<お前は何を言ってるんだ>

 

ぶっちゃけこれ言ってれば大抵のことは納得できるのが、げに恐ろしき遊戯王次元……

遊矢シリーズなんてまんまズァークの生まれ変わり(?)だしなー

 

<そうなると残りの七皇のナッシュっつー奴ともう1人の所在が気になるな>

 

「だよねー、ナッシュって人の話はバリアン七皇からチョロチョロ聞くけど姿見えないし、もう一人については話しすら聞かないし

 ……いや、バリアン七皇だから7人いるってのは完全に俺の妄想だけどな」

 

<つーかもういるって事でいいよ>

 

「お前さては疲れてるな?」

 

<おう>

 

「もう考えるのやめよう!」

 

相談っていったけど、夜遅いしもう頭回んないなぁ……

トーマスはトーマス達で紋章の力とやらの制御装置を作るのに忙しいみたいだし

自分の体がボロボロ?んなもん知るか!な復讐真っ最中のWDCならいざ知らず、もう体に負担をかけるわけには行かない

なのでなんかこう……うまい具合に紋章の力を制御する制御装置が必要になったらしい

 

<ああ、それと関係ない話なんだがちょっとこっちもお前に相談したい事があるんだ>

 

「んあ?珍しいねーどしたの?」

 

<お前の前世カードなんだが―――>

 

 

 

どおおおおおおおおおおおおん!

 

 

 

いきなりホテルの外から爆発音が……爆発音!?

 

「ごめん!また後で掛けなおす!」

 

<はぁ!?ちょっと待--->

 

Dゲイザーの電源を切り、慌ててホテルのテラスに出て周囲を確認する

コロッセウムの遺跡の方を見ると、その異変に気付いた

 

「湖の水が、無い?」

 

そこには最強の拳闘士が処刑され、その魂が彷徨い続けるコロッセウムが、完全に姿を現していた




Ⅳとの話に出て来た魂のランクアップ云々は”45/神代凌牙とペガサスの遺跡”に少し出てきています

凌牙ちゃんはドロワとゴーシュは恋人同士と思ってる、というどうでもいい設定
だってドロワがカイト好きな事知らんし
印象としてはドロワがクールのお姉さん、ゴーシュがノリのいいあんちゃんってかんじになっています


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

53/神代凌牙と変わってしまったアリト

よりにもよってロスト事件の黒幕が判明する回録画忘れてたああああああ!
実家に録画をお願いしておいたので、今度帰った時にダビングします、さらさです、さらさです、さらさです……
それにしても10年前の真実があんな事になってたとは…
草薙さんの弟も被害者だったなんてなー

遊作「お前との間に友情などない」
↑こ れ は 酷 い


「すみませんドロワさん、こんな夜中に……」

 

「構わないさ」

 

全員を叩き起こし、ドロワさんの車で遺跡へ向かう道中の会話である

このタイミングでの遺跡の異変は、十中八九バリアンが関わってるとみていいだろう

それが分かっているからか、ドロワさんは不安定な森をどんどん加速させながら遺跡へ向かう

 

「全く……ゴーシュは一体にどこに行ったんだ」

 

カイトはそう言いながら窓の外を見ているけど……ゴーシュさんが心配なんだろうなぁ

このタイミングでゴーシュさんが行方不明とか、そりゃなんかあるって思うわ

車をすっ飛ばしてきたせいか、はたまたあんな大ごとになっているのに野次馬が1人もいないせいか、遺跡には驚くほど簡単に着いた

遺跡に降りると、そこには座り込んだゴーシュさんと黒いマントを着たアリトがいた

……でも、なんだかアリトの様子がおかしい

なんか言いようのない違和感というか、雰囲気が変わったというか

 

「お前、アリト!」

 

遊馬はそんなことお構いなしに嬉しそうに話しかける

俺は微妙な顔をしてそれを見守ることにした……ぶっちゃけ3回しか会ってないから気のせいかもしれんが……

やっぱ俺と最後にデュエルした時と感じが違うんだよなぁ……

 

「俺心配したんだぜ!」

 

「俺も心配したぜ……遊馬と凌牙が俺以外の誰かに倒されやしねぇかってなぁ!」

 

そう言ってアリトは挑発的な顔をこちらに向ける

そしてアリトは持っているカードに視線をやり、今度はゴーシュさんに視線をやるってあのカードって!?

 

「おい遊馬、そいつはお前らの知り合いか?」

 

ゴーシュさんが不思議そうな顔を俺達、というか遊馬に問いかける

そらバリアン云々は言ったけど外見的特徴までは話さんかったしなぁ……

話したとしてもバリアン形態のだったし

 

「ゴーシュとか言ったな?しばらくこれを貸してやる!」

 

アリトがゴーシュさんに向かい持っていたカードを投げつける

ってあれってまさか!

 

「ダメだ、ゴーシュさん!受け取っちゃダメだ!」

 

『それは遺跡のNo.だ!』

 

俺の声とブラック・ミストの声がほぼ重なる

……でも、俺達が声を上げた時にはすでにカードがゴーシュの手に渡った後だった

そしてアリトは1枚のカードをゴーシュさんに向ける……RUM-バリアンズ・フォースを

 

「さぁ!俺と一緒に九十九遊馬と神代凌牙を倒すんだ!」

 

「うあああああああああああああ!」

 

ゴーシュさんの絶叫があたりに響き渡る

バチバチと電流がゴーシュさんの体を包み、額にはバリアンに操られている人が例外なく身に着けていた、青い十字に赤い宝石の付いた装飾が付いていた

 

「ゴーシュさん!」

 

「アリト!なんで……!」

 

璃緒と小鳥ちゃんが信じられないものを見るような目でアリトを見つめる

あのアリトがこんなことするなんて、俺よりもアリトと一緒にいた2人はその衝撃の確たるや

 

「アリト!お前どうしてゴーシュを洗脳なんて……!」

 

「洗脳、だと……?貴様、何者だ!」

 

「俺か?俺はバリアン七皇の1人、アリトだ!」

 

その言葉を聞くとドロワさんはピクリと反応する

フェイカーさんのあれやそれや、バイロンさんのあれやそれを裏で糸を引いていたのがバリアン……ベクターだ

同じバリアンであるアリトが目の前に現れて、動揺が隠し切れないみたいだ

 

「それじゃぁタッグデュエルとしゃれこもうじゃねぇか?さぁ来い、遊馬!凌牙!」

 

「待て、そのタッグデュエル私を参加させてくれ」

 

ドロワさんが1歩前に出てデュエルディスクを構える

……ここは俺がドロワさんに譲った方がいいな

遊馬とドロワさんが代わったところで、俺とドロワさんは今日初めて会ったばっかだし、ドロワさんがどんなデッキを使っているのかもわからない

 

「ん、指名させてもらってありがたいけど、タッグデュエルは遊馬とドロワさんでやってくれや」

 

「……いいのか?」

 

「恋人を洗脳されたんですよね?だったら自分の手で取り戻したいと思うのは当たり前じゃないですか、俺は気にしないんで」

 

「あいつは私の恋人ではない!」

 

「なん……だと……」

 

まじか……まじかぁ……うん、勘違いして許してヒヤシンス!

こっちは遊馬&ドロワさんペアでタッグデュエルをすることになったが、それに納得しなかったのはアリトだ

 

「ふざけんじゃねぇ!俺が倒したいのは遊馬と凌牙だ!お前はお呼びじゃねぇんだぞ!」

 

アリトは激昂した様子で声を上げる

でも、アリトには悪いけど俺はドロワさんの意思を尊重したいのでその意見は却下です☆

俺が意地でも観客席から動かないでいると、アリトは俺がデュエルをしないという鉄の意思と鋼の強さを感じたのか舌打ちをして遊馬とドロワさんに向き直る

 

「なぁ遊馬、お前も俺と戦いたがってたんだろう?だったらもっと嬉しそうな顔をしろよ!」

 

「俺だってお前と戦いと思ってたさ、またあの時と同じようにデュエルしたいと思ってた!

 でもなんでゴーシュを巻き込むんだよ!俺とデュエルしたいんなら、俺とサシで勝負しろよ!」

 

「お前とのサシの勝負はまた後でな!何より……こいつの使い道は考えてあるんでな」

 

……使い道?やっぱりアリトがおかしい

少なくとも俺の知ってるアリトはこんなマネはしない

ベクター見たいにこれが元々の性格なのか……それとも、何か別の原因があるのか

それにしてもゴーシュさんの使い道ってなんだ?

十中八九あの遺跡のNo.が関係してると思うけど、何かしかのデメリットがあると見て間違いないかな

 

「御託はここまでだ!さぁ、デュエルしようぜ遊馬ぁ!」

 

「……くっそぉ!Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲットロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「「「デュエル!」」」」

 

……ちゃんとDゲイザーをつけてデュエルしてるのが遊馬だけっていう

いや、ドロワさんとゴーシュさんはカイトと一緒にナンバーズハンターやってたから納得できるし、アリトもバリアンの力でつけなくても見えるってのはわかるけど、なんか釈然としないわ

タッグデュエルってその場その場で微妙にルール違うからそんな好きじゃないんだよなー

俺もDゲイザーを装着して観戦の準備を始める

うーん、このタッグデュエルは共通じゃなくて個人個人でライフ4000持ってるって事ね

デュエルが始まりゴーシュさんのターンはモンスターを出すだけで終わった……手札事故かな?

続いて遊馬は1ターンでホープを呼び出し、アリトとドロワさんもモンスターをセット&伏せカードだけでターンエンドした

……怖い!なんか静かすぎて怖いよ!

 

「アリト、変わってしまいましたね」

 

少しだけ、寂し気な璃緒の声が響く

その声に小鳥ちゃんが璃緒をちらりと見、顔を俯かせてしまう

なーんか、バリアン側の様子が最近おかしいんよねぇ……

 

「そしてアンブッシュ・ソルジャーの効果発動!1ターン以上自分のフィールドにとどまってからリリースすることで、手札からH・C2体をレベル1にして特殊召喚できる!来い、ダブル・ランス!夜襲のカンテラ!」

 

そしてレベル1のモンスターが3体並ぶ

それにしてもランク1のエクシーズモンスターってベビードラゴンかLLくらいしか知らないからな、何を召喚するのやら

というかアンブッシュ・ソルジャーの効果がエキセントリックすぎる、俺絶対使いこなせないわ

 

「俺はクラス・プナイフ、ダブル・ランス、夜襲のカンテラでオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れろ、No.54!熱き闘志の雄たけびが、眠れる魂すらも震わせる!反骨の闘志ライオンハート!」

 

この遺跡の伝説である拳闘士を模しているのか、身軽な恰好をしているが、それゆえにその鍛えられた筋肉(?)がこれでもかと象徴してくる

見た感じ凶悪そうな感じではないが(むしろ頼れる兄貴って感じだけど)一体、どんな効果があるのか

アリトが自分で使わず、ゴーシュさんを通して使わせるのだから相応のデメリットがあるはず

 

「これが遺跡のNo.!?」

 

「攻撃力はわずか100……気を付けろ、何かある」

 

遊馬とアストラルは遺跡のNo.に驚き、ドロワさんはその低い攻撃力に警戒する

うん、古今東西攻撃力が驚嘆に低い効果モンスターって厄介な効果を持ってることが多いみたいだからね、ドロワさんの警戒は正解だろう

 

「攻撃表示のライオンハートは戦闘では破壊されない!ライオンハートで希望皇ホープを攻撃!」

 

「え!ライオンハートの方が攻撃力が低いのに……!?」

 

小鳥ちゃんが驚きの声を上げる

あー、小鳥ちゃんデュエルはわかるけど、デュエリストじゃないからライオンハートを中々警戒出来ないんか

 

「確かにこのままだったらゴーシュは2400のダメージを受ける」

 

『でもライオンハートはNo.だ、何か厄介な効果があるに違いないだろうさ』

 

カイトとブラック・ミストの言葉に俺と璃緒はうなずく

うーん、どんな効果があるのやら……

 

「ライオンハートのモンスター効果発動!このモンスターで発生した俺へのダメージを相手にも与える!バーニング・クロスカウンター!」

 

LLかな?

遊馬とゴーシュさんが吹っ飛び、2400の大ダメージを受ける

 

『自滅狙いか……!』

 

アストラルがそう驚きの声を上げるとアリトは肯定する

完全にゴーシュさんを道具扱いだな……

そして遊馬は必死にアリトに語り掛けているが、アリトは全く聞き入れない

本当、なんであんなにもアリトは変わってしまったのか

 

「それに」

 

あのNo.が異様に気になる

 

「凌牙、何か気になる事が?」

 

俺の声が漏れたのか、カイトがこっち意識を向ける

別にそんなお前が気になる事でも何でもないと思うんだけどなぁ

けど視線が「話せ」と言ってる、こえーよ!

 

「確かにダメージ反射は怖いけど、違うなーって」

 

「?何がですの?」

 

「だってアリトが自分で使わないでわざわざゴーシュさんに使わせてるんだよ?何かあるって

 それにダメージ反射はあるけど、元々の効果でORUを効果じゃない

 あのモンスターの真価って、ORUを使った時じゃないんかなーって」

 

俺がそう言うと小鳥ちゃん以外のデュエリスト連中が難しい顔をして考え込む

ただの疑問でそこまで考え込まないでよ俺そこまで考えてしゃべってないから!

 

 

―――……わあああああああああああ!!!

 

 

いきなり青い光がコロッセウムに広がる

大きな歓声があたりに響き渡り、あたかも4人の戦いを観戦している観客のような……

 

「これは……遥か昔、このコロッセウムを埋め尽くした人々の思い……!」

 

ような、じゃなくてマジの観客でしたか

あいつらの熱い戦い(?)に惹かれて出て来た……のかな?

 

「俺はアリトの裏守備モンスターにホープで攻撃だ!ホープ剣・スラッシュ!」

 

ホープが裏守備モンスターに向かうとセットされた裏守備モンスターが反転し、その姿が現れる

 

「リベージ・ガードナーの効果発動!裏守備表示のこいつが攻撃対象になった時その攻撃対象を別のモンスターに変更する!」

 

『まずいぞ遊馬!』

 

「お察しの通り、俺はホープの攻撃対象をライオンハートに変更する!そしてそれがモンスターエクシーズだった場合、ORUを全て墓地へ送る!」

 

リベージ・ガードナーとライオンハートの位置が入れ替わる

そしてホープが纏っているORUが墓地へボッシュートされてしまった

これでORUが無くなったので攻撃中止できない、ゴーシュさんと遊馬のライフは1600

何も対策が無いとダブルノックアウトだ

遊馬とアストラルの反応を見る限り、あの攻撃を防ぐ手立てはないだろう

……でも、これはタッグデュエルだ

 

「罠発動!幻蝶の守り!味方プレイヤーの戦闘ダメージを半分にする!」

 

「ドロワ!?」

 

遊馬の周りに蝶々のバリアが出来、ダメージを軽減させる

罠のおかげで遊馬のライフは400残ったが、ゴーシュさんは今の攻撃でライフは0

 

「ゴーシュには悪いが、これでドロワと遊馬はかなり有利になった」

 

「んー……」

 

『どうした凌牙?』

 

うーん、なんかやな予感がするんだよなー……

俺が不安げにフィールドを見つめていると、アリトが動いた

 

「まだだ!ライオンハートのもう一つの効果発動!」

 

『馬鹿な!ゴーシュのライフはもう0だ!』

 

アストラルが驚愕の声を上げる

このタッグデュエルってパートナーが負けたら、そのパートナーのモンスターを使うことが出来るんか

でもゴーシュさんが倒された今効果発動してもなんの意味が?

 

「プレイヤーのライフがこのカードの戦闘ダメージで0になった時、ORUを1つ使い0になったライフを100にする!レスキューショック!」

 

「はぁ!?」

 

ライオンハートから電気のようなものがゴーシュさんに流れる

そして、ゴーシュさんがビクリと体を震わせ体を起こす

 

「……あああああああああああああ!ライオンハートの自爆効果って!そういう意味かああああああああ!」

 

思わず叫ぶ

 

「え?それってどういう?」

 

「ライオンハートは攻撃力が100しかない、だから相手モンスターとの戦闘で必ず自分と相手がダメージを受ける

 それを続ければ必ず両者のライフはゼロになる、でもライオンハートの効果で自分はライフを100回復できるから最終的には自分が勝つって言う……大丈夫?この説明でわかる?」

 

「わかりますから大丈夫ですわ」

 

流石我が妹だ……

でもこれでなんでアリトがゴーシュさんにライオンハートを渡したのか

確かに自爆戦法で行けば勝てるには勝てるが、リスクが大きすぎる

No.を使役している以上、戦闘ダメージや効果ダメージはリアルな痛みとなって襲う

ORUがある限り蘇るとはいえライフが何度も0になったら、バリアンであるアリトにも相当な負担になるだろう

ライフが0になっても使い手を蘇生させて戦い続ける、それがこのカードの真価……!

 

「そういうこった!こいつは戦闘破壊されねぇ!ボロボロになるのはそのデカブツだけだ!」

 

「アリト……てめぇ!」

 

「だが、戦闘破壊耐性はあくまで攻撃表示の時だけだ!

 私は幻聴の守りのもう一つの効果発動!バトルが終わった時、相手モンスターを守備表示にする!」

 

蝶々がライオンハートを包み込むと、戦闘態勢から防御体勢に変える

守備表示なら戦闘破壊耐性がない

勿論No.だからNo.耐性があるけど、遊馬はホープを始めとした多種様々なNo.を持ってるしほぼ無意味だろう

そして遊馬はカードを1枚伏せてターンエンドした

ライオンハートを破壊できるようになったとはいえ、アリトはゴーシュさん……というかライオンハートを守ろうとするだろうし、洗脳されてるゴーシュさんもライオンハートを守るだろう

……この戦い、いかに早くライオンハートを処理するかで決まるなぁ

俺はゴーシュさんの体を心配しながら、このデュエルを見守るしか出来なかった




ジャッジ・バスター「俺だけ召喚されてない……( ;∀;)」

スカイ・ペガサス「まぁ、彼のデッキには悪魔族はいないからな……」

ライオンハート「……LLってなんだ?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

54/九十九遊馬とドロワの思い

TFSPで残るところ柚子1人!
プレイ時間を見たら250時間超えでとっても驚きました(小並感)

やっとGo鬼塚再登場!
それにしても鬼塚って本当にPlayMakerの正体に気が付いたのかな?どうなんやろか


「ゴーシュ!いつまでその坊やの好きにされている!」

 

「はぁ!?誰が坊やだよ!?」

 

『ぶふぅっ!』

 

ブラック・ミスト、気持ちはわかるが噴き出すのはやめなさい

 

「ゴーシュ、その様はなんだ!今お前がしているデュエルには暑さの欠片も無い!

 お前は忘れてい待ったのか、お前の、私たちの夢を!答えろ!ゴーシュ!」

 

ドロワさんは必死に声を張り上げる

届けと、その心に思いを、必死に

 

「無駄だ!こいつにお前らの声は届かねぇ!

 俺のターン、ドロー!俺はBKラピット・パンチャーを召喚!」

 

 

なんか鶏の擬人化っポイ(?)のが出て来た

そんな貧弱な体でボクサー(?)やれるのかお前……

 

「俺はリベージ・ガードナーとラピット・パンチャーでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 全ては意のままに、黒き権威を纏いて入場せよ!ランク3BKチート・コミッショナー!」

 

簡易版チャンピオンベルトを方にひっさげた、ボクサーの審判?のようなエクシーズモンスターが現れた

攻撃力は0だけど……これもダメージ反射系の能力なんかな?

アリトがノリノリでチート・コミッショナーでホープを攻撃していく

 

「この瞬間、チート・コミッショナーの効果発動!

 このモンスターがバトルする時、フィールドにいる全てのモンスターは攻撃表示になる!」

 

「え!それじゃぁ!」

 

「えぇ……ライオンハートが攻撃表示になりましたわ」

 

しかもドロワさんの裏守備モンスターも攻撃表示になったし

うーん、わざわざ攻撃表示にしてきたってことは……

まさかあのモンスターって、リベージ・ガードナーと似たような効果が

 

「チート・コミッショナーの更なる効果発動!フィールドに味方のモンスターがいる時、バトルをしているチート・コミッショナーはそのモンスターと入れ替えられる!」

 

チート・コミッショナーの姿がぶれたかと思ったら、一瞬にしてライオンハートと入れ替わる

……ってのんきに解説(?)してる場合じゃない!

このままだったら遊馬が2400のダメージで負ける!

 

「罠カード幻蝶の雄姿を発動!相手モンスターの攻撃してきた時、攻撃対象を自分フィールドの幻聴と名の付く攻撃表示モンスターに変更できる!……来い、ゴーシュ!」

 

「ライオンハートの効果発動!バーニング・クロスカウンター!」

 

2人もダメージを受け、思いっきり吹っ飛ぶ

ドロワさんはライフが満タンだったからある程度ライフに猶予があるけど、ゴーシュさんはライフが100しかないから当然のように0になる

 

「ドロワ!」

 

「カイト…私は、大丈夫だ……それよりも、ゴーシュは……!?」

 

ドロワさんが必死に立ち上がったが、まだダメージが体に残っているのか若干ふらついている

問題のゴーシュさんはそのまま倒れてピクリとも動かない、ライフ0になりゴーシュは負けた、でも……

 

「ライオンハートの効果を発動!ORUを使いそのデカブツのライフを100にして蘇生させる!レスキューショック!」

 

……やっぱり、使ってくるよな

でもこれでORUが残り1つになったけど……インスタント・オーバーレイとかエクシーズ・ユニットとかORUを補充するサポートカードはいっぱいあるから油断できんな

 

「ゴーシュ……それが今のお前のノリか!そんな死んだ目をしたお前が、子供たちの希望の星になれると思っているのか!」

 

「学習しねぇなお前は!お前の声はこのデカブツには届かねぇってな!」

 

アリトはカードを1枚伏せてターンエンドする

ドロワさんはモルフォとオオルリを召喚し、フィールドにはレベル4のモンスターが3体いる

……ということは来るよ、遊馬!

 

「私は3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!闇を舞う美しき死の化身、ナイト・バタフライ・アサシン!」

 

攻撃力2600かぁ……でもチート・コミッショナーでバトルの対象を入れ替えられるし、そこんとこどうにかしないと

しかも伏せカードもあるし、アリトも馬鹿じゃないと思うから対策もしてるだろうし

ドロワさんは魔法カードを使いライオンハート最後のORUを奪い取るが、エクシーズ・バトル・チェーンを使い魔法カードを無効にする

しかもバトルをしてないモンスターだった場合、強制的にバトルさせるというおまけつき

そしてドロワさんの表情を見る限り、もう打つ手はなさそうだ

 

「やれぇ、ライオンハート!ナイト・バタフライ・アサシンを攻撃だぁ!」

 

「この瞬間、ナイト・バタフライ・アサシンの効果発動!」

 

「え!?」

 

「ドロワさん、何をやってますの!?」

 

ドロワさんがナイト・バタフライ・アサシンの効果を使った瞬間、小鳥ちゃんと璃緒が声を上げる

このタイミングで効果を使ったって事は、効果無効とかそういうやつだろ?

 

「ORUを1つ使い、フィールドにあるすべてのORU数×400攻撃力がアップする!

 ORUは全部は全部で5つ、よって攻撃力は2000アップする!」

 

「ファッ!?」

 

元々の攻撃力は2600でさらに攻撃力が2000上がって4600

ライオンハートの攻撃力が100だから両者に入るダメージは4500

リアルダメージが入る以上、ライフが消し飛ぶレベルの攻撃とかゴーシュさんもドロワさんも無事で済むとは思わない

 

「あの4600はただの攻撃力ではない

 あれはゴーシュに向けたドロワの思いの強さだ

 ドロワは今、持てる力を使い洗脳されたゴーシュを取り戻そうとしてるんだ」

 

デュエルで思いを伝える

これがある意味で正しいデュエルの在り方

 

「行けぇ!今の私の全てを叩きつけ、あいつのデュエリストとしての魂を呼び覚ませ!———……ゴーシュ!」

 

ナイト・バタフライ・アサシンとライオンハートの拳がクロスして、顔面に直撃する

4500の大ダメージであるからか、衝撃波が観客席まで届く

ドロワさんの悲鳴がコロッセウムに響き渡り、壁に叩きつけられる

ライフが0になり、ドロワさんが敗北したことがDゲイザーを通して通知された

これは2人のライフが0になったら負けだから完全に負けって訳じゃないけど、ドロワさんが負けたことで遊馬が圧倒的に不利になった

 

「ドロワ!おいドロワ!大丈夫か?」

 

「遊馬……私のモンスターを、お前に託す……だから、どうか、ゴーシュを……」

 

その言葉を言い残し、ドロワさんは意識を失ってしまった

あの状態では万が一モンスターの攻撃の余波が来たとしても避けられない

俺は観客席からコロッセウムに降り立つ

 

「俺はライオンハートの効果を発動!レスキューショック!」

 

アリトがゴーシュさんを蘇生してる間にドロワさんの傍にスネークさながら近寄る

ちなみに段ボールは被ってません

 

『シャーク!?なんでここに……?』

 

「ん?ああ、ドロワさん意識ないし、ここにいるのは危ないだろうし観客席に避難させるんよ」

 

「そうだよな……シャーク!ドロワの事頼んだぜ!」

 

「あいやさいさーい!」

 

素早くドロワさんを抱きかかえると、観客席に跳躍する

……人間の皮を被ったゴリラとはいえ、俺も随分人間離れしてきたなぁ(遠い目)

いや、むしろデュエリストって人間なのか?

ドロワさんを俺の上着を置いた状態の観客席に寝かせる

だってこんな石の椅子に寝かせたら絶対痛いじゃん

俺が甲斐甲斐しくドロワさんの世話を焼いている間にデュエルがかなり動いていたらしい

 

「ん、今どうなってるん?」

 

「ゴーシュがライオンハートに装備魔法を、使いホープを倒したところだ」

 

「おk」

 

改めてDゲイザー越しにフィールドを見るとゴーシュさんのフィールドには攻撃力2600のライオンハート、加えて装備魔法2枚に伏せカードとかなり盤石なフィールドになっている

洗脳が解けて……ないよなぁ、まだゴーシュさんの額にはあのバリアの十字架くっついてるし

 

「ゴーシュの意識はまだ洗脳されたままだろう……だがドロワの渾身の一撃が囚われた魂を震わせ、奴の細胞に刻み込まれたデュエリストの魂を呼び覚ましたんだ」

 

俺の心の声を知ってか知らずか、カイトがそう言葉を漏らす

てか細胞に刻み込まれたデュエリストの魂ってなんやねん

 

「来いゴーシュ!お前のありったけを見せてやれ!俺のターン、ドロー!

 俺はエクシーズ・シフトを発動!自分フィールドのエクシーズモンスターを墓地に送り、そのカードと同じランクのモンスターを特殊召喚する! ……現れろ!H・Cエクスカリバー!」

 

観客席の幽霊たちが沸き上がる

ORUが無いから効果発動できないけど、それだけじゃないよね

 

「さらにこのカードは特殊召喚されたモンスターのORUになる!」

 

エクシーズ・シフトが1つの光の玉になり、エクスカリバーの周りを漂い始める

 

「ゴーシュ!このカードは熱いデュエルの証として、お前が俺に託してくれたカードだ!」

 

遊馬がエクスカリバーで攻撃宣言し、効果を発動させ攻撃力を2倍の4000にする

それに対しゴーシュさんが罠の戦士の威声(バトラーズ・クライ)の効果でライオンハートも5200にアップした

さらに遊馬が魂の一撃を発動し、ライフを半分支払いエクスカリバーの攻撃力を100だけ上昇させる

それでもライオンハートの攻撃力は超えられない……けど

 

「お、おい、どうした!ライオンハート!」

 

ライオンハートがみるみる萎んでいき、攻撃力が2600にまで下がってしまった

いきなりどうしたワレェ!

 

「遊馬の本当の狙いは、ゴーシュと同じライフを100にする事だ」

 

「え?でもそれで何の意味が……?」

 

小鳥ちゃんが不思議そうに首を傾げながらこちらに視線を向ける

その様子を見て俺も首をかしげる、さっぱりわかんね

 

「装備魔法のヒロイック・グロースは自分のライフが相手より下の場合でないと発動しません

 遊馬とゴーシュさんのライフが同じの今、ヒロイック・グロースの攻撃力が2倍の効果が発動していないので攻撃力が2600まで落ちたのですわ」

 

なるほどねー、しかしライオンハートの元々の攻撃力は100を装備魔法とかの補助があったとはいえ5200までアップさせたゴーシュさんマジぱねぇっす……

とはいえこれでゴーシュさんは敗北するだろう、そうなると今度はアリトと遊馬の一騎打ちか

 

「ふざけんなぁ!俺はチート・コミッショナーの効果発動!このカード以外がバトルしてる時、ORUを全て使い相手の手札に魔法カードがあればバトルを終了させ、それを発動させる!さぁ使え!バリアンズ・フォースを!」

 

おいちょっと待てなんだそのよくわからん効果は!?

って茶番してる場合じゃない!今までいろんなCXを見て来たけど、そのどれもが凶悪な効果を持っている

ライオンハートがカオス化したら、きっと遊馬は負けてしまうだろう

 

『遊馬、今だ!』

 

「おう!罠発動!オーバーレイ・マーカー!」

 

遊馬の伏せカードがクルリと反転する

 

『このカードはバトルの時、オーバーレイを全て使いきった場合発動した効果を無効にし破壊する!

 そしてそのエクシーズモンスターをコントロールするプレイヤーに、バトル中のモンスターの攻撃力の合計のダメージを与える!』

 

『つまりアリトはライオンハートとエクスカリバーの攻撃力の合計、6700のダメージを受ける』

 

「食らえアリト!俺とゴーシュの熱い魂を!」

 

ライオンハートとエクスカリバーの拳がチート・コミッショナーの顔面に直撃する

そのままチート・コミッショナーが破壊され、6700のダメージを受けアリトがコロッセウムの端まで吹き飛ぶ

……あっぶねー!ドロワさん観客席に避難させておいて本当に良かったー!

 

「……なん、だよ

 なんなんだよ!今のは……!」

 

突然アリトがそんな叫び声を上げる

その表情には困惑や……絶望、の感情が見て取れた

一体どうしたんだ?それを思考する前にアリトの後ろにワープホールが現れ、アリトを吸い込んでいく

 

『……今の、記憶は』

 

「……ブラック・ミスト、どうしたん?」

 

ブラック・ミストの独り言……というより思わず出てしまった、という言葉が気になり話を振る

今の記憶って何?どういうことだ?

俺の言葉が聞こえていなかったのか、ブラック・ミストは顎に手を当てて何やら考え込んでいる

んー、今の記憶ってNo.の記憶の事いってるのかな?でもそれだったら今までの遺跡で何も反応しなかったしなぁ

 

「!ゴーシュ!」

 

ゴーシュさんの額にあったバリアンの十字架が消滅する

洗脳してたアリトが倒されたから洗脳が解けたのか……

膝を付き、前かがみに倒れるゴーシュさんを遊馬が支えた

その衝撃でゴーシュさんは目を覚ました(?)らしく、状況が使えめていないのかしきりに混乱していた

何というか、うん、お疲れ様です

目を覚ましたドロワさんがゴーシュさんを殴り飛ばすというハプニングもあったが、なんとかこの遺跡の戦いも終わって一安心ってとこか

 

「あったー!覇者のコイン!」

 

壊れた台座で遊馬が一馬さんの残したコインを発見した

……それにしても、皇の鍵然り、遺跡のNo.然り、色んな事知ってるしマジ一馬さん何者だよ

 

「んだよ遊馬、水臭ぇじゃねぇか!バリアンとやり合ってるんならなんで言わねぇんだよ

 あいつらをぶっ倒すんなら、俺もドロワも力を貸すぜ!」

 

「馬鹿野郎!お前にはドロワとの夢があるんだろ!子供たちの希望の星になるって夢が!そうだろ?ゴーシュ!」

 

「遊馬……」

 

遊馬のそんな言葉にゴーシュは一瞬きょとりとした表情を見せ、嬉しそうにほほ笑んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――……ゴーシュ!ゴーシュ!ゴーシュ!ゴーシュ!

 

会場で沢山のゴーシュさんを呼ぶ声が聞こえる

中央のステージでチャンピオンベルトを掲げたゴーシュさんが、誇らしげに子供たちに囲まれている

 

<やりましたぁ!ゴーシュ・ザ・スターマン!スパルタンシティに新しいチャンピオンの誕生だぁ!>

 

アナウンスを聞いて思わず顔を緩めてしまう

会ったのは昨日今日とはいえ、知り合いの夢のスタートラインをこの目で見れるのは嬉しいもんだねぇ

俺は、俺達はゴーシュさんとドロワさんが嬉しそうに笑い合う姿を見て、改めてこのバリアンとの戦いを終わらせようと誓い合った




次はミザちゃんの遺跡かー
アリト戦とは違って、カイトは凌牙ちゃんの前世カード持ってるからなぁ……
……これもしかして頑張らないといけないパターンか(白目)

ちなみにアニメでは小鳥は置いて行かれましたが、今作では凌牙ちゃんがしっかり起こして一緒にコロッセウムまで行きました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

55/天城カイトVSジンロン~勇者の遺跡~

Go鬼塚再出演おめでとう!
それにしてもハノイの騎士達は一体何がしたいのやら
ブルーエンジェルも何やら悩んでるみたいだし、これからどうなるかたのしみだっぺー

アーティファクトデッキまわすの楽しいね!


飛行船の中は俺達数人しかいないにもかかわらず、賑わっていた

次の遺跡につくにはかなり時間が掛かるらしく、今は各々好きに過ごしている

璃緒はデッキの調整中で、遊馬&アストラルとカイトはスピードデュエルをしており、小鳥ちゃんは応援、オービタル君は飛行船の操作、俺は読書だ

ちなみに遊馬達がやってるスピードデュエルは遊戯王VRAINSの奴を採用しており、大体のルールは

 

・初期手札は4枚

・デッキ枚数は20枚

・メインフェイズ2は無し

・モンスターゾーン及び魔法・罠ゾーンは3つ

 

と、大体こんな感じだ

14年前の記憶だし、もしかしたらちょっとルールは違うかもしれんがね

ちなみに初めてスピードデュエルをカイトとやった時、デッキ枚数が20枚というのを忘れて強欲で貪欲を壺を発動してデッキアウトで負けました

今じゃいい思い出だよね!

 

「おい遊馬!デュエルに集中しろ!」

 

カイトの声が俺の耳に届き、俺はそちらの方を見る

……やっぱりアリトの事考えてたんかなぁ

俺でさえアリトの異変に気が付いたから、遊馬達の驚きは計り知れないだろうね

カイトの説教(?)を耳に入れているとオービタル君から、遺跡が近いとの連絡から入る

 

「次の遺跡にも、何か伝説があるのかしら」

 

「そう言えば、今までの遺跡でも必ず悲しい物語が……」

 

んー、やっぱ偶然じゃないよなー

バリアン七皇も、7つの遺跡も、その伝説も

 

『やっぱお前も関係あるって思うか』

 

ぶっちゃけ割と前から思ってました

というかいきなり脳内に直接語り掛けるのはやめてびっくりするから

 

『無理』

 

さよか

だってここ遊戯王次元だし、バリアン”七”皇と”7”つの遺跡だし

あ、俺の詳しい考えは”52/神代凌牙と拳闘士の遺跡”の最後の方をご覧ください

 

『おいそんなんでいいのかよ』

 

だって二度手間やん……

 

『まぁいいけどよ

 それよりお前の予想は当たってるぜ』

 

……マジで?

 

『マジで

 前の遺跡でアリトが負けた時にな、見たんだ……この遺跡の、あいつの記憶を』

 

……アリトの記憶?

それは何かと聞く前に、飛行船が大きく揺れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛行船がいきなり制御不能になり、七夕の某携帯獣映画みたいなところに不時着した

あれかな、特殊な電波的なアレがあったんかなぁ……

どうやらここが次の遺跡の座標の近くらしく、足場の悪い道を黙々と歩いていく

そしてたどり着いた場所には巨大な岩山がそびえたっており、その上に遺跡があるようだ

……え、この岩山を自力で登るん?

 

「すみません、カイト様」

 

カイトがオービタル君の飛行モードで上に行こうとしたが、その前にオービタル君がカイトに謝る

 

「か、体が言う事聞かないぃ~!」

 

ボスンとオービタル君から煙が噴き出しぶっ倒れる

そりゃあのオーバーテクノロジーの塊である飛行船が制御不能になったのに、オービタル君が無事なはずないんだよなぁ

 

「ええー!私こんなところ登れないし、もしかしてここでお留守番!?」

 

小鳥ちゃんがそんな声を上げる

そりゃ普通の女の子の小鳥ちゃんがこの岩山を上るのは酷だろう

 

「ブラック・ミストー」

 

『んだよ凌牙、なんか用か?』

 

「小鳥ちゃんと璃緒ぐらいなら運べるよね」

 

『……あー、別に急ぎじゃないし遅くてもいいんだったら、こいつら2人ぐらい上に運べるぜ』

 

そのブラック・ミストの発言を聞いて小鳥ちゃんはほっと胸を撫で下ろす

まぁここまで来てお留守番ってのもあれやしねぇ

え?オービタル君は、だって?……オービタル君は例のごとくお留守番です

俺、遊馬、カイトは全力で岩山を素手で登る

……なんつーか、デュエリストって本当に人間なのかな(白目)

途中カイトが落ちそうになったりとアクシデントがあったが何とか頂上まで登ることが出来た

中華っぽい寺院が建っていて、とても遺跡とは思えないほどきれいだった

周りを見回しながら門をくぐり、中に入る

 

「す、すっげぇ……!」

 

遊馬が思わず感嘆とした声を上げる

確かにすごい、の一言に尽きる

広い広場には龍の紋章が刻まれており、赤い柱には金色の龍が巻き付いていてめっちゃ中華やんな

 

『気を付けろ、バリアンの罠かも知れねぇ』

 

『あぁ、気を付けて進もう』

 

ブラック・ミストとアストラルの言葉に従い、警戒しながら進む

 

「……遊馬?」

 

小鳥ちゃんの声がすぐそばで聞こえる

遊馬?遊馬がどうしたん?

そちらを見ると、遊馬がフラフラとした足取りで歩いていく

 

「匂う……匂うぜ……」

 

「匂う?……まさかバリアンですの?」

 

璃緒が心配そうにそう言うが、バリアンの匂いとは一体何なのか

 

「うへへぇ……すげぇいいにおいがする!」

 

「「『……はぁ?」」』

 

カイトとブラック・ミストはいいとして璃緒、女の子のお前がそんな声だしちゃあかんでしょ……

遊馬の言う通り何処からか鍋の匂いがする

フラフラとした足取りで広場に設置されてる銅の前まで到達する、あれただの飾りだと思ったけどご飯だったんかい

 

「うっひょー!うまそーう!」

 

遊馬の警戒心仕事しろ

俺もよく璃緒やブラック・ミストに警戒心が死んでるって言われてるけど、遊馬の方がひでぇじゃないか!

遊馬が鍋に手を出そうとした瞬間、彼方から杖が飛んできて遊馬に直撃する、やっぱ罠じゃないですかやだー!

 

「この、戯け者めー!」

 

中華服を身に纏い、長い白髪を三つ編みにした老人が寺院から出て来た

……あの人誰だ?こんな山奥に住むなんて、仙人か……遺跡のNo.の精霊か

 

「人の飯を勝手に食おうとして……!」

 

「ちょっと見てただけだっつーの!」

 

「ダウト」

 

「ダウトですわ」

 

『遊馬、嘘は良くないぞ』

 

「お、お前ら!」

 

『m9(^Д^)』

 

「おいブラック・ミストその顔やめろ!」

 

俺らがどんちゃん騒ぎを起こしていると、カイトが一歩前へ踏み出す

その様子に気が付いたのか、No.の精霊(暫定)は顔をしかめる

 

「貴様ら、何者じゃ」

 

「俺は天城カイト、遺跡のNo.を回収しにきた」

 

その言葉を聞くや否やNo.の精霊(暫定)は警戒するように距離を取る

やっぱこの仙人はNo.の精霊(暫定)じゃなくてNo.の精霊(真)でしたか

 

「ん?お主、もしやドラゴン使いか?」

 

No.の精霊はカイトを鋭い目つきで見る

 

「ああ、そういう貴様もただならぬ気を感じるな」

 

だからそのデュエリスト特有のフィーリングを唐突に出すのやめていただけませんかねぇ(困惑)

ソリッドヴィジョンが発動していないのにも関わらず、カイトのギャラクシーアイズが咆哮する

そしてそれに呼応するように、No.の精霊から未知のドラゴンの咆哮が聞こえた

凄まじい突風があたりをまき散らされる、ギャラクシーアイズ……ドラゴンの咆哮……壊れるバリアンズ・スフィア・フィールド……うっ、頭が!

 

「やはり貴様は!」

 

「我が名はジンロン!No.の遺跡を守る者、お前は中々良い闘志を持っておるな

 お前のようなデュエリストをワシは知っている」

 

「何?」

 

うーん、口調的にそのデュエリストは遺跡のNo.(ジンロンさん)の所有者だったのかな?

ということはやっぱり、この遺跡にも何等かの伝説があるって事か

 

「遥か昔、この遺跡の伝説に残るドラゴンと戦ったデュエリストをな」

 

そんな昔からデュエリストっていたん?

いや、初代遊戯王でもアテムが王様やってた時に……いたっけ?あれ、でもモンスターとか普通にいた……っけなぁ?

やばい、全然思い出せん

 

『そのデュエリスト、ミザエルという者だな』

 

「え!?」

 

「ああー」

 

「やっぱり、そうなのね」

 

やっぱ関係あったか―

というか璃緒も同じ結論になってたなんてお姉ちゃんびっくりです

 

「っていうかシャークに璃緒さんもわかってたの!?」

 

「詳しくは”52/神代凌牙と拳闘士の遺跡”の最後の方をご覧ください」

 

「以下同文、ですわ

 どうやら凌牙も私と同じ結論に至ったようですし」

 

『君達は何を言ってるんだ』

 

ごめんなメタ発言多くて

 

『まぁいい、回収した遺跡のNo.の記憶が私に教えてくれた

 我々が探している7枚のNo.、その遺跡にまつわる遺跡の伝説はバリアン七皇が人間であった時の物語だったからだ』

 

「そんな……じゃぁアリト達は元々人間だったの!?」

 

『……その通りだ』

 

その言葉に小鳥ちゃんも遊馬も大きく目を見開く

 

「じ、じゃ今までの遺跡の伝説はドルべやアリトやベクターが人間だった時の……!」

 

人間だったベクター達の悲惨な末路

どんな経緯であれ、人の悪意に殺された魂

 

「遊馬、凌牙、璃緒、このデュエル俺に任せてくれないか?

 ここに俺がやってきたのは単なる偶然じゃない、運命……いや、ドラゴン使いの宿命だ」

 

「よかろう、ワシに勝つことが出来たら遺跡のNo.はお前に託そう

 じゃが負けた時は、お主のドラゴンをいただくとしよう!」

 

「構わん、俺が負けるなどありえん」

 

実際カイトが負けてるとこなんて見たこと無いからなー

そういうわけで俺達は後ろに下がり、完全に傍観の体勢に入る

 

「その生意気な口、いつまで続くかのぉ!」

 

「デュエルモード、フォトンチェンジ!

 ……さぁ、狩らせてもらおう、貴様の持つ遺跡のNo.を!」

 

「「デュエル!」」

 

 

ジンロンLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

天城カイトLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一つ聞かせてもらおうか、遺跡の伝説のミザエルと戦ったのは貴様か……そしてミザエルは貴様に勝ったのか?」

 

ここに伝説として残っている以上、ミザエルはきっとジンロンに打ち勝ち、ともに過ごしていたのだろう

だが、聞かずにはいられなかった

 

「さぁ、どうかのぉ?ワシのターン、ドロー!

 ワシは幻木龍を召喚、さらにフィールドに地属性モンスターがおるので手札から幻水龍を特殊召喚できる!」

 

「そのモンスターは……!」

 

 

幻木龍

星4/地属性/ドラゴン族/攻 100

 

幻水龍

星8/水属性/ドラゴン族/攻1000

 

 

あのモンスター達はミザエルとのデュエルで出てきたモンスター達だ

幻木龍はドラゴン族・水属性のモンスターと同じレベルになる効果を持っている

 

「その顔はこのモンスター達の効果をわかっておるようじゃな?

 ワシは幻木龍の効果発動!この効果で幻水龍と同じレベル8となる!」

 

 

幻木龍 星4→8

 

 

『これでレベル8モンスターが2体……』

 

「来るよ、カイト!」

 

「行くぞ!ワシはレベル8となった幻木龍と幻水龍でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 雷鳴よ轟け、稲光よ煌け!権限せよ、我が金色の龍!No.46神影龍ドラッグルーオン!」

 

 

No.46紳影龍ドラッグルーオン

ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000 ORU:2

 

 

空を曇天が覆い、雷鳴と共に姿を現した1体のモンスター

西洋のドラゴンではなく、中国や日本で多くみられる、まさに龍と呼ぶに相応しい存在感

キラキラと煌く白い体毛と龍の周りを漂うORUの存在で、余計にその存在感を濃くしている

あれが、この遺跡のNo.……!

 

「ワシはドラッグルーオンの効果発動!自身以外のドラゴン族モンスターがいない時、ORUを1つ使い手札のドラゴン族モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚できる!

 ORUを1つ使い、手札からレベル8の武装神竜プロテクト・ドラゴンを特殊召喚する!我が元に姿を現せ!武装神竜プロテクト・ドラゴン!更にプロテクト・ドラゴンに装備魔法ドラゴン・シールドを装備する!

 プロテクト・ドラゴンは装備魔法1枚につき500ポイント攻撃力がアップする!」

 

 

No.46紳影龍ドラッグルーオン ORU:2→1

 

武装神竜プロテクト・ドラゴン

星8/光属性/ドラゴン族/攻2000→2500

 

 

青い巨体を持った新たなドラゴンがフィールドに現れる

そして装備魔法によりプロテクト・ドラゴンは堅牢な鎧を纏い、新たな姿を俺に見せる

装備魔法は厄介な効果を持つ物が多く、あのドラゴンを倒すか装備魔法を破壊するのが先決だろう

だが、ドラッグルーオンは自身以外のドラゴンが居ない場合、手札からドラゴンを呼ぶ効果も厄介だ

どちらを先に倒すべきか……

ドラッグルーオンに目を向けると、フィールドから掻き消えてしまった

 

「何!?」

 

「嘘!ドラゴンが消えちゃった!」

 

訳もわからずドラッグルーオンが居た場所を見つめていると、ジンロンの笑い声が響いてきた

 

「ドラッグルーオンの効果じゃ!このカードは自分フィールドに自身以外のドラゴン族モンスターが存在する時、ドラッグルーオンは攻撃対象にならず効果の対象にならない!

 これでお前はワシのNo.に指1本触れる事は出来ない!」

 

……なるほど、ならばプロテクト・ドラゴンを倒すことが先決か

 

「フハハハハハ!お主、プロテクト・ドラゴンを倒そうと考えておるようだがそうはいかん!

 ドラゴン・シールドは装備モンスターを戦闘と効果破壊から守り、戦闘ダメージを0にする!

 さらにプロテクト・ドラゴンが表側表示で存在する限り、装備魔法は罠・魔法・モンスター効果では破壊されない!ワシはこれでターンエンドじゃ!」

 

 

ジンロンLP:4000 手札:2

【モンスター】

No.46紳影龍ドラッグルーオン/攻3000 ORU:1

武装神竜プロテクト・ドラゴン/攻2500

【魔法・罠】

ドラゴン・シールド(装備魔法)

 (対象:プロテクトドラゴン)

 

 

『なるほど、プロテクト・ドラゴンとドラゴン・シールドはお互いを守り合う効果を持っている

 この鉄壁の守りを突破するのは難しいだろう、だがカイトなら……』

 

なるほど、まさに鉄壁の守りにふさわしいな

しかしどんな完璧なロックを仕掛けようと、突破できない壁はない

それに俺の手札には既に攻略できるカード達がそろっている

 

「俺のターン、ドロー!

 俺はフォトン・スラッシャーを召喚!このカードは自分フィールドにモンスターが存在しない場合特殊召喚できる!

 さらに同じ縦列にカードが2枚以上存在する時、紫宵の機界騎士(ジャックナイツ)をその縦列に特殊召喚できる!」

 

 

フォトン・スラッシャー

星4/光属性/戦士族/攻2100

 

紫宵の機界騎士(ジャックナイツ)

星8/光属性/サイキック族/攻2500

 

 

白を基調とした外殻を持ち、紫のラインが入っている紫宵の機界騎士(ジャックナイツ)と呼ばれるモンスター

機界騎士(ジャックナイツ)は総じて縦列に2枚以上カードが存在する時特殊召喚できる共通効果を持っている

さらに攻撃力が2000以上で、このカードはレベルが8もあるので凌牙から譲り受けてデッキに入れている

 

「俺は攻撃力2000以上のモンスター2体をリリース!

 闇に輝く銀河よ、希望の光となりて我が僕に宿れ!光の化身、ここに降臨!銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)!」

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)

星8/光属性/ドラゴン族/攻3000

 

 

「それがお前のドラゴンか」

 

「ああ、お前に俺のドラゴンの力を見せてやる!」

 

俺の最も信頼するエースモンスター

除外効果を使えばプロテクト・ドラゴンはフィールドから消え、対象を失ったドラゴン・シールドは破壊される

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)が居ればプロテクト・ドラゴンを突破できる

 

「それはどうかな?この瞬間、ドラッグルーオンの更なる効果発動!相手フィールド上のドラゴン族モンスターの効果を無効にする!」

 

「なっ、ギャラクシーアイズ!?」

 

ドラッグルーオンが一度咆哮すると、ギャラクシーアイズを囲うように光の紋が出現し、ギャラクシーアイズの力を奪い、光の翼は失われてしまった

俺のギャラクシーアイズがエクシーズ殺しのモンスターならば、ドラッグルーオンはまさにドラゴン殺しのモンスター……!

 

「さぁ、お前はこの壁をどう乗り越える!?」

 

確かにギャラクシーアイズの効果を使えないのは痛手だ

しかしいくらでもやりようはある、俺はこの程度では止まらない

 

「ふんっ、貴様は俺が鉄壁の守りの前で途方に暮れる姿を見たかったのだろうが……

 その程度の壁、全力で打ち崩す!俺は手札から速攻魔法月の書を発動!プロテクト・ドラゴンを裏守備表示にする!」

 

月の模様が掛かれた青い書が現れ、パラパラとページが捲られる

ピタリととあるページで止まり、書が輝いたかと思うとプロテクト・ドラゴンがフィールドから消え裏側になったカードだけが残っていた

 

「うまいですわね、裏側になったモンスターに装備魔法は装備できません

 よって対象を失ったドラゴン・シールドは破壊されます」

 

ドラゴン族モンスターがフィールドから消えたことによりNo.が再び姿を現す

残念なことに俺の手札にはドラッグルーオンを倒すカードは無い

まずはプロテクトドラゴンを倒すことが先か

 

「俺は裏守備となったプロテクト・ドラゴンを攻撃!破滅のフォトン・ストリーム!」

 

効果は無効になっているが、その強さは変わらない

ギャラクシーアイズから放たれた光の渦がカードに直撃する

 

「うわーやったぜ!先制パンチだ!」

 

「※ただしライフは削れてない」

 

後ろが騒がしいが気にしてなどいられない

この程度の壁、いくらでも打ち崩して見せる

 

「これは愉快じゃ!決して破壊できぬものをあえて破壊する、見事だ!お前に及第点をやろう!」

 

まるで自分が試されているようで、気に入らない

俺は不機嫌さを隠さずジンロンに話しかける

 

「気に入らんな、貴様に点数を付けらるれるいわれはない」

 

「褒めているのだ!全く、ドラゴン使いは偏屈な奴が多くてたまらんわ

 ミザエルもそうじゃったわ、今のお前によく似ておる」

 

「俺はあいつとは違う」

 

同じ銀河の瞳を持つ竜を従えているとはいえ、考え方も、戦略も違う

比べられるなんて俺とミザエルに対する侮辱もいいところだ

 

「カイト!お前のデュエルまだまだ見せてもらうぞ!

 まだ打ち破るべき壁は残っているのだからな」

 

「ならばすべて打ち壊すのみ!俺は手札から強欲な欠片を発動!さらにカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

―――……オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 

突然ギャラクシーアイズとドラッグルーオンが咆哮を上げる

遊馬達は何が起きたかわからないが、ギャラクシーアイズを持つ俺ならわかる

……もう1体のギャラクシーアイズを持つ者、ミザエルが、この遺跡に近づいている事を

 

 

天城カイトLP:4000 手札:0

【モンスター】

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

強欲な欠片(永続魔法) 強欲カウンター:0

伏せ×1

 

ジンロンLP:4000 手札:2

【モンスター】

No.46紳影龍ドラッグルーオン/攻3000 ORU:1

【魔法・罠】

無し




ジャッジ・バスター「いいよなあああああお前ら召喚されてさあああああああ!」

スカイ・ペガサス「原作では私も1回しか召喚されてないから安心しろ(白目)」

ドラッグルーオン「ワシは大活躍じゃがな!」

ライオンハート「君達元気だなぁ(小並感)」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

56/天城カイトVSジンロン~奪われたギャラクシーアイズ~

カイトVSジンロン中編です
次回でやっとデュエルの決着がつく(予定)です
毎回素敵小説のデュエル描写をみて勉強する毎日
というか1デュエルの長さってドンぐらいが適正なのだろうか


天城カイトLP:4000 手札:0

【モンスター】

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

強欲な欠片(永続魔法) 強欲カウンター:0

伏せ×1

 

ジンロンLP:4000 手札:2

【モンスター】

No.46神影龍ドラッグルーオン/攻3000 ORU:1

【魔法・罠】

無し

 

 

「ワシのターン、ドロー!

 ドラッグルーオンの効果を発動!自分フィールド以外に自身以外にドラゴン族モンスターがいない時、ORUを1つ使い手札のドラゴン族モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する!

 魂食神龍ドレイン・ドラゴンを召喚し、効果発動!このモンスターの攻撃力・守備力は相手のライフを加えた数値となる!」

 

「え、ドレイン・ドラゴンの元々の攻撃力は4000だから……」

 

『カイトのライフは4000、つまりドレイン・ドラゴンの攻撃力は8000となる』

 

 

魂食神龍ドレイン・ドラゴン

星8/光属性/ドラゴン族/攻4000→8000

 

 

ドレイン・ドラゴンの攻撃に魔法の筒(マジック・シリンダー)を打てば勝てると思った俺は邪道なのだろうか

それにしても攻撃力・守備力上昇か……これだけ強力な効果だ、何かデメリットがあるだろう

 

「このモンスターを召喚・特殊召喚したターン、ワシは攻撃宣言できない

 さらにドレイン・ドラゴンは破壊された時、その時点での攻撃力の半分のダメージを相手に与える!

 カードを1枚伏せてターンエンドじゃ、さぁカイト、この壁どう乗り越える!?」

 

破壊と明言されている以上、戦闘破壊も効果破壊もダメか

そうなるとハンデスか、除外かのどちらかになるだろう

 

「俺のターン、ドロー!この瞬間、強欲な欠片にカウンターが1つ乗る!」

 

 

強欲な欠片 強欲カウンター:0→1

 

 

ピッとデッキからカードを抜き取る

まさに欲しい、と思っていたカードをドローできて、少しだけ驚く

この引いたカードを使えば難なくドレイン・ドラゴンを処理できる、デッキが、俺を勝利へ導こうとしている

そういえば凌牙が言ってたな、デュエリストがカードを選ぶこともあればカードがデュエリストを選ぶこともあると

そして思いが強ければ強いほど、デュエルでは誰よりも強くなる

 

「俺は手札から魔法カードデステニー・オーバーレイを発動!

 このカードは相手フィールドの表側表示のモンスターと自分フィールドの表側表示のモンスターを素材とし、エクシーズ召喚する!」

 

「なんじゃと!?」

 

「相手フィールドのモンスターでエクシーズ召喚とかチートやんけ!」

 

『超融合パイセンを忘れないでください』

 

おいギャラリー、静かにしろ

 

「俺は魂食神龍ドレイン・ドラゴンと銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!ランク8神竜騎士フェルグラント!」

 

 

神竜騎士フェルグラント

ランク8/光属性/戦士族/攻2800

 

 

白い騎士が現れ、俺のフィールドに舞い降りる

守備表示で出そうと思ったが、守備力1800しかない

ジンロンに攻撃力1800以上のモンスターを出されて3000のダメージを受けるよりかましだ

 

『あれなら破壊にならないからドレイン・ドラゴンの効果ダメージは発生しねぇ

 ドラッグルーオンは倒せねぇが、それでもドレイン・ドラゴンを処理できたのは大きい』

 

「しかもフェルグラントってモンスター効果無効を無効にする効果持っとるし、んー、いいんじゃない?」

 

「何がですの」

 

俺はカードを1枚伏せてエンド宣言する

これでドレイン・ドラゴンのバーンダメージで負ける事は無くなった

 

 

天城カイトLP:4000 手札:0

【モンスター】

神竜騎士フェルグラント/攻2800

【魔法・罠】

強欲な欠片(永続魔法) 強欲カウンター:1

伏せ×1

 

 

「ドレイン・ドラゴンがこうもあっさり攻略されるとは!お主は本当に面白いのぉ!ドロー!

 ワシはドラッグルーオンでフェルグラントを攻撃じゃぁ!」

 

「今フェルグラントを失うわけには行かないんでな!

 罠カード模擬戦闘(バトル・シュミレーション)を発動!このバトルフェイズ中お互いのモンスターの攻撃力は半分になり、この戦闘でモンスターは破壊されない!ぐっ……!」

 

 

カイトLP4000→3900

 

 

この程度安い出費だ

ドラッグルーオンの効果を無効に出来るフェルグラントを手放すことは出来ない

 

「やるのぉ、ワシはカードを2枚伏せてターンエンドじゃ」

 

 

ジンロンLP:4000 手札:1

【モンスター】

No.46紳影龍ドラッグルーオン/攻3000 ORU:0

【魔法・罠】

伏せ×3

 

 

「俺のターン、ドロー!この瞬間、強欲な欠片にカウンターが1つ乗る!」

 

 

強欲な欠片 強欲カウンター1→2

 

 

バラバラだった壺が完成し、本来の姿を現す

不気味に壺は笑い、早く効果を使えと俺を急かすようにその笑い声を響かせる

 

「俺は強欲な欠片の効果発動!カウンターが2以上乗ったこのカードを墓地に送ることでカードを2枚ドローする!」

 

新たなカードを招きいれ、戦略を立てる

俺は迷いなくカードを1枚抜き取り発動させた

 

「俺は魔法カードエクシーズ・バーストを発動!

 自分フィールドにランク6以上のエクシーズモンスターがする時、相手フィールドのセットカードを全て破壊する!」

 

魔法カードが光り輝き、フェルグラントに力を与える

それは全てを破壊する破滅の光を

 

「そうはさせぬわ!罠カードバーストブレス発動!

 このカードは自分フィールドのドラゴン族モンスターをリリースして発動できる!リリースした攻撃力以下の守備力を持つフィールド上のモンスター全てを破壊する!リリースするのはもちろんドラッグルーオンじゃ!」

 

「なんだと!?」

 

自ら自分自身と言っても過言ではないNo.を自ら破壊するだと!?

バーストブレスが発動し、ドラッグルーオン共々フェルグラントが吹き飛ぶ

そしてフェルグラントがフィールドから姿を消したことにより、エクシーズ・バーストの効果は不発になった

 

「ならば俺は銀河眼の雲竜(ギャラクシーアイズ・クラウドドラゴン)を召喚!」

 

 

銀河眼の雲竜(ギャラクシーアイズ・クラウドドラゴン)

星1/光属性/ドラゴン族/攻 300

 

 

銀河眼の雲竜(ギャラクシーアイズ・クラウドドラゴン)の効果発動!このカードをリリースして墓地からギャラクシーアイズを召喚する!もう一度俺の前に姿を現せ!銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)

 

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)

星8/光属性/ドラゴン族/攻3000

 

 

俺の頼もしい相棒がもう1度フィールドに現れる

今度はその輝きを失っておらず、本来のギャラクシーアイズの輝きが俺の目に移った

 

「バトルだ!俺はギャラクシーアイズでジンロンにダイレクトアタック!破滅のフォトン・ストリーム!」

 

光の渦がジンロンに向かって放たれるが、そう簡単にはいかないだろう

……あいつの場には、2枚の伏せカードがあるのだから

 

「何かあるとわかっていて、あえて突っ込んでくるとはなぁ!

 ワシは罠カードリビングデッドの呼び声を発動!墓地のドラッグルーオンを蘇生させる!」

 

 

No.46紳影龍ドラッグルーオン

ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000 ORU:0

 

 

なるほど、No.を破壊したのは蘇生する算段が出来ていたからか

だが存念ながら、俺にもNo.を破壊する算段はすでに付いている!

 

「バトル続行だ!俺はギャラクシーアイズでドラッグ・ルーオンを攻撃する!」

 

「ふぁっ!?」

 

「カイト!?ドラッグルーオンはドラゴンの効果を無効にするんだぞ!」

 

確かにギャラクシーアイズの効果が無効になっているので除外効果は使えないし、同士討ちをしようにもNo.にはNo.耐性があるから破壊できない

遊馬はその事を言ってるのだろうが、そんなことは百も承知だ

 

「俺は手札から速攻魔法フォトン・トライデント発動!攻撃力を700アップし、貫通効果を与える!」

 

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000→3700

 

ジンロンLP4000→3300

 

 

「ああ、そういう事ですの」

 

「そういう事って璃緒さん、どういう事ですか?」

 

『フォトン・トライデントにはもう1つ効果があるんだよ』

 

どうやら璃緒やブラック・ミストは俺のしようとしていることが分かったようだな

 

「俺はフォトン・トライデントのもう1つの効果発動!選択したモンスターが相手に戦闘ダメージを与えた時、フィールドの罠・魔法を1枚選んで破壊できる!俺はリビングデッドの呼び声を破壊する!」

 

パァンと亡者を蘇らせる墓場を破壊する

そしてリビングデッドの呼び声が破壊されたことにより、ドラッグルーオンも破壊される

これでギャラクシーアイズも本来の力を取り戻す

 

「これで俺はターンエンドだ!」

 

 

ジンロンLP:3300 手札:1

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「フハハハハハ!まさかドラゴンでドラッグルーオンが破壊されるとは!お主本当に面白いのぉ!

 ワシのターン、ドロー!リバースカードオープン!永続罠リビングデッドの呼び声を発動!」

 

「なっ、2枚目!?」

 

白い龍がもう1度フィールドに現れる

これが凌牙の言う過労死枠、という奴だろうか

 

「さぁ行くぞカイト、この最後の壁を変えて見よ!

 ワシはドラッグルーオンの効果発動!このカードにORUが無く、自身以外のドラゴン族モンスターが存在しない時、相手フィールドのドラゴン族モンスターのコントロールを得る!」

 

「なんだと!?」

 

「お前の魂、ギャラクシーアイズを頂くぞ!

 ……じゃがこの効果はお主がライフを半分払い、ギャラクシーアイズを破壊すれば効果を無効に出来る!」

 

俺に、俺にギャラクシーアイズを破壊しろというのか?

こいつは俺の事を馬鹿にしているのか?

 

「そんな!カイトが自分でギャラクシーアイズを!?」

 

「さぁどうする?ギャラクシーアイズの恐ろしさは、お主が1番知ってると思うがのぉ!」

 

……こいつは俺がギャラクシーアイズを破壊すると思っているのか

ジンロンはさもドラゴン使いを理解しているという感じに振る舞っているが、まるでわかっていない

 

「お前は何もわかっていないな、俺とギャラクシーアイズの絆の強さを

 俺無くしてギャラクシーアイズはあらず、ギャラクシーアイズ無くして俺はあらず

 ましてやお前に言われて、俺がギャラクシーアイズを破壊することなどありえん!」

 

「ふっ、潔い

 ならばお前のギャラクシーアイズ、ワシが頂こう!」

 

ドラッグルーオンが金色に輝き、光がフィールドに拡散する

そして本来の輝きを取り戻し、その光の翼を携えたギャラクシーアイズがジンロンのフィールドに現れた

安心しろ、ギャラクシーアイズ、すぐにお前を取り戻してみせる

 

『ギャラクシーアイズが、カイトの敵にまわった……!』

 

「行け!ギャラクシーアイズでカイトにダイレクトアタックじゃ!」

 

ギャラクシーアイズが光を収束させ、俺に向かってその攻撃を解き放つ

その様子を見て俺は冷静にカードを1枚抜き取った瞬間、ギャラクシーアイズの攻撃が俺に直撃する

……煙が晴れ、ジンロンは笑いながら俺を見ている

 

「フハハハハハ!もう何もできまい!ワシはドラッグルーオンでカイトに止めを……」

 

 

カイトLP3900→1950

 

 

「なんじゃと!ライフが1950!?」

 

ギャラクシーアイズの攻撃力は3000

ダイレクトアタックを受ければ3000のダメージをもろにくらい、俺のライフは900しか残らない

……何もしなければ、な

俺の周りに少し大きいしずく型のモンスターが雷を纏わせ、ふよふよと浮いていた

 

「俺は攻撃宣言時、クリフォトンの効果を発動していた

 ライフを半分支払うことでこのターン受けるダメージを0に出来る」

 

クリフォトンはくるくると楽しそうに俺の周りを漂っている

一通り回って満足したのか、そのままデュエルディスクの墓地へ帰っていった

 

「ぐぬぅ……ワシはこれでターンエンドじゃ!」

 

 

ジンロンLP:3300 手札:2

【モンスター】

No.46神影龍ドラッグルーオン/攻3000 ORU:0

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

リビングデッドの呼び声(永続罠)

 (対象:No.46神影龍ドラッグルーオン)

 

 

「なんとかなったなー……」

 

『だが、今のままではカイトはどうすることもできない』

 

どうすることもできない?違う、どうにかするんだ

最強デュエリストは、ドローカードさえも自らが導く

それに俺は俺のデッキを信じる、だからきっとデッキは俺に応えてくれる

だが、遊馬、俺に少しだけ勇気をよこせ

 

「……最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する!ドロー!」

 

「その口上って……!」

 

「俺は逆境の宝札を発動!相手フィールドに特殊召喚されたモンスターがいて、自分フィールドにモンスターが居ない時2枚ドローできる!

 貪欲な壺を発動!モンスターカードを5枚デッキに戻し、2枚ドロー!」

 

 

デッキに戻すカード

・神竜騎士フェルグラント

・フォトン・スラッシャー

・紫宵の機界騎士(ジャックナイツ)

銀河眼の雲竜(ギャラクシーアイズ・クラウドドラゴン)

・クリフォトン

 

 

『ここで立て続けにドローカードだと!?』

 

合計3枚まで手札を解決させる

そして手札を見て思考する、コレはどうあがいても賭けだ

賭けの負け……それはそのままこのデュエルの敗北を意味する

俺はカードを1枚抜き取り、そのまま召喚する

これもまた凌牙からもらい受けた前世カードであり、あの伝説の龍に仕える穢れ無き巫女を

 

「俺は青き眼の乙女を召喚!カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

天城カイトLP:1950 手札:0

【モンスター】

青き眼の乙女/攻 0

【魔法・罠】

伏せ×2

 

ジンロンLP:3300 手札:2

【モンスター】

No.46神影龍ドラッグルーオン/攻3000 ORU:0

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

リビングデッドの呼び声(永続罠)

 (対象:No.46神影龍ドラッグルーオン)




カイトが最後のターンでZEXALのドロー口上をまねたのは、なんだかんだ言って不安だったからです
ギャラクシーアイズは敵だし、負けたら奪われるし


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

57/天城カイトVSジンロン~託された思い~

し、島くーん!
何気に島君好きだったのでメイン回きて嬉しいです!
そしてハノイVSロンリーブレイブのデュエルは笑ったwwww手札事故じゃないですかやだー!

最近アンダーテイルにもはまってしまった……
犬神社にお賽銭を寄付する毎日です


天城カイトLP:1950 手札:0

【モンスター】

青き眼の乙女/攻 0

【魔法・罠】

伏せ×2

 

ジンロンLP:3300 手札:2

【モンスター】

No.46神影龍ドラッグルーオン/攻3000 ORU:0

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

リビングデッドの呼び声(永続罠)

 (対象:No.46神影龍ドラッグルーオン)

 

 

ジンロンは警戒するように青き眼の乙女を見る

それはそうだろう、乙女の攻撃力は0にも関わらず攻撃表示で召喚したのだから、何かあると言っているようなものだ

さぁ、どう出る

 

「ワシのターン、ドローじゃ!

 バトル!銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)で青き眼の乙女を攻撃じゃ!

 ……だがその見え見えの罠にかかるほどワシは優しくないぞい?ワシはギャラクシーアイズの効果を発動し、ギャラクシーアイズと青き眼の乙女を除外する!」

 

光の翼を纏っているギャラクシーアイズが乙女を睨み付けると、自身と共に異次元へその身を隠そうとする

これで、ギャラクシーアイズをジンロンから解放することが出来る!

 

「貴様の事だ、ギャラクシーアイズで乙女を除外し、ドラッグルーオンで確実に俺を倒しに来ると思っていた

 だからこの賭けは俺の勝ちだ!俺はカウンター罠無償交換(リコール)を発動!相手がモンスター効果を発動した時、効果を無効にして破壊する!ただし相手はデッキからカードを1枚ドローする」

 

「魔宮の賄賂のモンスター効果版じゃと!?」

 

ギャラクシーアイズが破壊され、俺の墓地へと戻ってくる

これで憂いは無い、が、まだ足りない

アストラルの言う勝利の方程式のピースは、まだ揃っていない

 

「くっ!ワシはドラッグルーオンで再び青き眼の乙女を攻撃じゃ!」

 

「この瞬間、乙女の効果発動!このカードが攻撃対象に選択された時、その攻撃を無効にし表示形式を変更する

 ―――……そして、手札・デッキ・墓地から青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を特殊召喚する!」

 

 

青き眼の乙女/攻 0→守 0

 

 

「ブ、ブルーアイズじゃと!?」

 

「『凌牙あああああああああああああああああああああああ!!!」』

 

「後悔は!!!してない!!!」

 

「ブ、ブルーアイズって、六十郎爺ちゃんのとこにあった……!」

 

『あの伝説の龍がなぜ!?いや、まさか凌牙の前世カードか!?』

 

あちこちから叫び声にも似た声が響いてくる

それはそうだろう

かのKCの社長でもあり、伝説のデュエリストである武藤遊戯のライバルであった海馬瀬戸の使う、この世界で3枚しか存在しない

いや、今現在では存在しているかも怪しい超ウルトラレアカード

……しかし、凌牙の次元では当たり前のように存在する伝説の白き龍

 

「白の伝説が、今ここに降臨する!青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)!」

 

風が大きくうねりを上げる

それは、圧倒的存在感

俺のギャラクシーアイズと、No.と同等の存在感

巫女が、青き眼の乙女が祈りを捧げ、フィールドに現れた……伝説

 

 

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)

星8/光属性/ドラゴン族/攻3000

 

 

「綺麗……」

 

「おおー、俺もARで初めて見るけどやばいわ……

 なんか社長がブルーアイズに固執してた意味が分かるわ……」

 

あの日、凌牙の前世カードの中から見つけたこのカード

あくまで俺達の次元のオリジナルカードではなく、凌牙の次元のデットコピー

コピーカードにも関わらずここまでの力があるなんて、オリジナルのブルーアイズは一体どれほどの物なのだろうか

 

 

 

 

 

「流石もう1体のギャラクシーアイズを持つ者、まさか伝説の白き龍までも従えるとはな」

 

 

 

 

 

バッと後ろを振り返る

遊馬達やジンロンもその声につられ声のする方向を向く

赤い支柱の先端に立って、こちらをじっと見ているミザエルがいた

 

『ミザエル!?』

 

『あいついつの間に……!』

 

来たか……

ギャラクシーアイズを通じて、ミザエルがここに近づいているのはわかっていた

だがこれほどまでに早く到着するとは

 

「……タキオンに導かれてきたが、一足遅かったようだな」

 

俺とジンロンのデュエルはもう始まってる

既に始まっているデュエルを中断できない……まぁ、凌牙の言うARC-Vの乱入ペナルティがあれば話は別だったが

 

「ミザエル!?そんな馬鹿な……いや、だが魂に確かにミザエルを感じる……」

 

「貴様ら静かにしろ!まだデュエルは終わっていない!」

 

その言葉にざわついていたギャラリーが一様に口を閉じる

たしかにこのタイミングでミザエルが来たのは想定外だったが、バリアンも遺跡のNo.を探している以上、必ず鉢合わせるだろう

今更この程度の事でざわつかれていてはおちおちデュエルも出来ない

 

「そうじゃったな……ワシはカードを1枚伏せてターンエンドじゃ!」

 

 

ジンロンLP:3300 手札:1

【モンスター】

No.46神影龍ドラッグルーオン/攻3000 ORU:0

【魔法・罠】

リビングデッドの呼び声(永続罠)

 (対象:No.46神影龍ドラッグルーオン)

伏せ×2

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカードは……裁きの天秤か

このターンで決着をつけるのは無理でも、次のターンへつなげる事が出来る

仮にブルーアイズが破壊されたとしても、このもう1枚の伏せカードがあれば次のジンロンのターンは確実に持つだろう

 

「……俺は乙女を攻撃表示に変更、カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

天城カイトLP:1900 手札:0

【モンスター】

青き眼の乙女/攻 0

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)/攻3000

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「どうした、もはや打つ手なしか?ワシのターン、ドローじゃ!

 リバースカードオープン、インスタント・オーバーレイを発動!このカードはドラッグルーオンのORUになる!

 そしてドラッグルーオンの効果発動!ドラッグルーオン以外のドラゴン族モンスターが存在しない時、ORUを1つ使い手札からドラゴンを呼ぶことが出来る!ワシはタイラント・ドラゴンを特殊召喚!更にドラゴンウィッチ―ドラゴンの守護者―を通常召喚するぞ!」

 

あの伏せカードはブラフだったか……

ジンロンのカードが1つの光る球体になり、ドラッグルーオンのORUになるが、すぐに消滅し新たなドラゴンがフィールドに現れる

 

 

No.46神影龍ドラッグルーオン ORU:0→1→0

 

タイラント・ドラゴン

星8/炎属性/ドラゴン族/攻2900

 

ドラゴン・ウィッチ―ドラゴンの守護者―

星4/闇属性/魔法使い族/攻1500

 

 

「バトルじゃ!ワシはドラゴンウィッチで青き眼の乙女を攻撃じゃ!」

 

「この瞬間、乙女の効果発動!その攻撃を無効にし、表示形式を変更する!」

 

 

青き眼の乙女/攻 0→守 0

 

 

本来ならばここで2体目のブルーアイズを召喚したいが、そういうわけにもいかない

ジンロンは俺を訝し気に見つめ、そして合点がいったように俺に問いかける

 

「なるほどな、お主が青き眼の乙女の効果でブルーアイズを召喚しないからのぉ、青き眼の乙女の効果はデュエル中1度だけだと思ったが

 ……その様子を見る限り、カイト、お主はブルーアイズを1体しか持っておらんのか」

 

「だからどうした」

 

ジンロンの言う通り、俺はブルーアイズを1体しかもっていない

流石の凌牙もブルーアイズを複数枚持ってはいなかった

……だがブラック・マジシャンやブラック・マジシャン・ガールが出て来た時はさすがの俺も絶句したがな

 

「まぁ良い、ワシはドラッグルーオンでブルーアイズを攻撃じゃ!ドラッグルーオンはNo.出なければ破壊されない、よってドラッグルーオンは破壊されない!」

 

白い龍達が空中で激しい攻防を繰り広げる

両者の力は互角……だがジンロンの言うと通りNo.はNo.でしか破壊できない

ブルーアイズはドラッグルーオンの攻撃が当たり、爆発四散する

……凌牙の前世カードのモンスターはどうあがいても爆発しなければ気が済まないらしい

 

「さらにワシはタイラント・ドラゴンで青き眼の乙女を攻撃じゃ!

 そしてタイラント・ドラゴンは2回攻撃できる!タイラント・ドラゴンでカイトにダイレクトアタックじゃ!」

 

「甘い!俺は速攻魔法銀龍の轟咆を発動!自分墓地のドラゴン族の通常モンスターを特殊召喚できる!蘇れ、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)!」

 

 

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)

星8/光属性/ドラゴン族/攻3000

 

 

「フハハハハハ!お主らドラゴン使いは本当に諦めが悪いのぉ!ワシはこれでターンエンドじゃ!」

 

「エンドフェイズ時、罠カード発動!裁きの天秤は相手フィールドのカードの枚数が自分の手札・フィールドより多い場合に発動できる、その枚数分だけドローできる!お前のフィールドには5枚、俺は2枚、よって3枚ドローだ!」

 

 

ジンロンLP:3300 手札:1

【モンスター】

No.46神影龍ドラッグルーオン/攻3000 ORU:0

タイラント・ドラゴン/攻2900

ドラゴン・ウィッチ―ドラゴンの守護者―/攻1500

【魔法・罠】

リビングデッドの呼び声(永続罠)

 (対象:No.46神影龍ドラッグルーオン)

伏せ×1

 

 

きっとこれが俺の最後のターンになる

確証はないが、デュエリストとして長年培ってきた経験がそう言っている

このターンで状況をひっくり返さなければ俺は負ける

だが、負けるつもりは毛頭ない、俺の運命は俺が導く!

 

「俺のターン、ドロー!

 魔法カード強欲で貪欲な壺を発動!デッキトップから10枚除外し2枚ドロー!

 更にソウルテイカーを発動する!相手モンスターを1体破壊し、相手はライフを1000回復する

 ドラッグルーオンはドラッグルーオン以外にドラゴンがいる為、カードの効果対象にはならない、俺はタイラント・ドラゴンを破壊する!」

 

 

ジンロンLP3300→4300

 

 

「永続魔法の星遺物へ至る鍵を発動!さらに紺碧の機界騎士(ジャックナイツ)は縦列にカードが2枚以上ある場合特殊召喚できる!

 そして俺は死者蘇生を発動!この効果でギャラクシーアイズを俺のフィールドに復活させる!現れろ、銀河纏いし異界の竜!銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)

 さらにフィールドにフォトンまたはギャラクシーと名の付くモンスターがいることで、銀河騎士(ギャラクシーナイト)はリリース無しで召喚できる!」

 

 

紺碧の機界騎士(ジャックナイツ)

星8/光属性/サイキック族/攻2400

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)

星8/光属性/ドラゴン族/攻3000

 

銀河騎士(ギャラクシーナイト)

星8/光属性/戦士族/攻2800

 

 

「すっげぇぜカイト!一気にあんなにモンスターを召喚して!」

 

「フン、もう1人のギャラクシーアイズ使いだ、あれぐらいしてもらわなければ困る」

 

「でもあのジンロンのあの伏せカードが鬼門ですわね」

 

おい、ミザエル、なんでそっちサイドに馴染んでいるんだ

遊馬や凌牙は仕方ないにしろ、アストラルや璃緒は警戒しろ

 

「んー?でもあの伏せカードに関しては心配しなくても大丈夫だよ?」

 

『あ?それってどういうことだよ?』

 

「まーデュエルを見てればわかるって」

 

凌牙はそれ以上言う気はないらしく、真っすぐと俺を見やる

そこには俺が負けるはずないという信頼が見て取れていた

……ただでさえ長引いているデュエルだ、さっさと幕を引こうじゃないか

 

「俺は青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)銀河騎士(ギャラクシーナイト)銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 逆巻く銀河よ!今こそ怒涛の光となりて、その姿を現すがいい!降臨せよ、我が魂!超銀河眼の光子龍(ネオギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン)!」

 

 

超銀河眼の光子龍(ネオギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン)

ランク8/光属性/ドラゴン族/攻4500 ORU:3

 

 

「それがお主の切り札か、だがドラッグルーオンの効果でお主のドラゴンの効果は発動出来ない!」

 

「効果など使わなくとも、俺の勝利は確定している!俺は紺碧の機界騎士(ジャックナイツ)でドラゴンウィッチを攻撃!」

 

「ぐぬぅっ!」

 

 

ジンロンLP4300→3400

 

 

「そしてネオフォトンでドラッグルーオンを攻撃!」

 

ドラッグルーオンの効果で光の翼は失われているが、それでも銀河の輝きが消えることは無い

ネオフォトンがその力を収束させていく

 

「少しでもライフを削る算段か?じゃがそうはさせぬわ!

 罠カード強制脱出装置を発動!この効果でワシはネオフォトンをデッキに戻し……ぬぅ!?なぜ効果が発動されない!?」

 

ジンロンがデュエルディスクを操作するが、罠カードが発動されない

それは凌牙の前世カードである星遺物へ至る鍵のカード効果によるものだ

 

「星遺物へ至る鍵は2つ効果があるんだけど、その内の1つがジャックナイツモンスターと同じ縦列で発動された罠カードは無効になるんだよねー」

 

「つまり紺碧の機界騎士(ジャックナイツ)と同じ縦列に存在する強制脱出の効果は無効になる!」

 

「じゃがネオフォトンの攻撃力は4500でドラッグルーオンは3000!このターンでワシを倒すことは不可能じゃ!」

 

たしかにそれだとダメージは1500しか与えられない

だが、俺の手札にはあのカードがある

光属性を主体に使うデュエリストなら、必ずデッキに入れているであろう光属性最強のサポートカードを

 

「言っただろう、すでに俺の勝利は確定していると!

 俺はダメージステップ時オネストを発動!ドラッグルーオンの攻撃力をネオフォトンに加える!」

 

 

超銀河眼の光子龍(ネオギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン)/攻4500→7500

 

 

「攻撃力、7500じゃと!?」

 

「行け、超銀河眼の光子龍(ネオギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン)!アルティメット・フォトン・ストリーム!」

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 

ジンロンLP3400→―1100

 

WIN 天城カイト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Dゲイザーを取り、皆でカイトの元へ駆け寄る

そしてさも当然のように付いてくるミザエル、お前敵だよな?

 

「フハハハハハ!実に面白いデュエルじゃったわ!」

 

愉快愉快とジンロンさんは笑う、この爺さん豪快だなぁ……

そんなジンロンさんをしり目にカイトは不機嫌そうな顔をしている、デュエルに勝ったんだからもっと嬉しそうにしろや

 

「久しぶりじゃのうぉミザエル」

 

ジンロンさんは懐かしそうに眼を細めミザエルを見る

しかしミザエルは不機嫌そうに顔をしかめた

ギャラクシーアイズ使い共なんですぐ不機嫌になってしまうん?

 

「私は貴様の事なんぞ知らん」

 

「そうか……ならば少し昔話に付き合ってもらおうかのぉ」

 

何がならばなんだ(ゲンドウポーズ)

頼むから遊戯王次元の人間は言葉のドッチボールじじゃなくてキャッチボールを覚えて欲しいわ、切実に

 

「遥か古より、この地は1体のドラゴンに守られていた

 とりわけこの地の勇者ミザエルとドラゴンは心を真に通わせた良き相棒であり、デュエルで共に戦う仲間でもあった

 ドラゴンとミザエルの活躍で穏やかで平和な日々が続いていたのじゃ」

 

ミザエルの方を見ると先ほどよりも不機嫌になっているのが見て取れる

いくらミザエルが勇者ミザエルの生まれ変わり?転生体?だったとしても、ミザエルというかバリアン七皇は人間だった時の記憶が無いわけだからなぁ……

それを自分の事のように話されるのがミザエルは嫌なんだろうと思いました(小並感)

 

「じゃがある時この地に酷い災害が起き、罪の無い多くの人々が無くなった

 そんな時、流れ者の祈祷師が訪れドラゴンがこの地に災いを齎したと触れ回った

 人々はその言葉に惑わされ、守り神であるドラゴンを忌み嫌い討伐することにした

 ミザエルは必死になって人々を説得しようと試みたが、その言葉は届かなかった

 そればかりかミザエルが真の勇者ならばドラゴンを倒すべきだという声が次々と上がり、ついにミザエルは決心した

 彼はドラゴンの前でみなにこう告げたのじゃ、自らの命を捧げる代わりに我が言葉を信じて欲しいと

 その時じゃった、数百数千の矢がドラゴンとミザエルを貫いたのじゃ

 それは隣国からの軍勢で、この時を待って攻め込んできたのじゃ

 そう、祈祷師はその国の回し者……そうしてこの地は滅んだのじゃった」

 

そしてジンロンさんはそこまで語り終えるとカイトに改めて向き直る

 

「カイト、お主にはどんな窮地に立っても諦めない力がある

 自らの命を諦めたミザエルと違ってな」

 

「ふざけるな!」

 

突然のミザエルの叫びに俺と小鳥ちゃんはびくつき、璃緒とブラック・ミストとカイトは臨戦態勢を取った

お前ら訓練されすぎやろが!

 

「黙って貴様の話を聞いていたが、私をその脆弱な人間と一緒にするな!

 お前は私が”勇者ミザエル”と同一と考えているが、そんな自分の命を差し出すことでしか事態を解決できない軟弱な奴と一緒にされるのは不愉快だ!男だったらそいつら全員ぶん殴って無理やりにでも話を聞かせろ!」

 

『何言ってるんだお前』

 

冷静な突っ込みありがとうブラック・ミスト

だがミザエルの全員殴って話を聞かせるって発想、嫌いじゃないぜ

そんなミザエルの言葉にジンロンさんは驚きで目を見開く

話を聞いた限り、人だった頃のミザエルって穏やかそうな性格っぽいし、バリアンになってから一体ミザエルに何があったんだ

 

「ミザエル、お主」

 

ジンロンさんが何か言おうとした瞬間、遺跡が大きく揺れた

その揺れはどんどん激しくなり、ついには建物自体が倒壊し始めたんだけど俺ら大丈夫だよね(戦慄)

 

「……今日の所は引く

 カイト、次会いまみえる時こそ真のギャラクシーアイズ使いを決める時だ!」

 

そう言いながらミザエルは光の渦の中に消えてしまう

……うわあああああああ!あいつ逃げやがった!この状況で1人で逃げるってバリアンって奴は最高にクレイジーだぜ!(混乱)

そんな感じで残った全員がプチパニックになるが、それでこの揺れが収まるわけじゃない

そして本当に、本当に気が付いた時は俺達全員岩山のてっぺんにいて、ジンロンさんも遺跡も初めからなかったかのように綺麗に姿を消していた

 

「あ……父ちゃんのコイン……」

 

遊馬の手にはこれまでの遺跡同様、覇者のコインが握られていた

 

『伝説には続きがある』

 

不意にジンロンさんの声があたりに響き渡る

声の発生源はどこかと当たりをきょろきょろ見回していると、丁度夕日に背を向けるように立っている(?)ドラッグルーオン(ジンロンさん)の姿があった

 

『ドラゴンの魂はNo.に触れ、再び蘇った

 そして今日までそれを守ってきたのじゃ

 ……カイトよ、ワシがお前を試したと言ったな、いかにもその通りじゃ』

 

カイトはこくりと頷く

不機嫌そうな顔をしながらも顔を背けようとしないのは、ジンロンさんの言葉に真剣なものを感じたからだろう

俺達も余計な口出しはせず、ジンロンさんの話を聞く

 

『遺跡のNo.を求めし者が現れる時、世界は大きく動く

 若きドラゴン使いよ、世界を正しき道へ導くのだ!』

 

「正しき、道」

 

世界を導くなんて並大抵の人間が出来ることじゃない

それでもジンロンさんはカイトに託したんだ、世界を……ミザエルを

 

『ワシは見たのじゃ

 遥か彼方、天空で戦う神々しい光と光』

 

『……!』

 

『……』

 

アストラルが息を飲む、大きく目を見開き食い入るようにジンロンさんの言葉を聞いていた

その様子をブラック・ミストが静かに見つめている、2人の様子に俺以外の誰も気が付いていないようだ

 

『その戦いは数百日にも及んだ

 地上には火の雨が注ぎ、稲妻が大地を切り裂いた

 やがて2つの光がぶつかり合い、消滅したのじゃ!

 ……カイト、お主にこのNo.を託す』

 

そしてジンロンさんは1枚のカードになり、カイトの手元に渡った

 

『愚かな戦いは世界を滅ぼす、決して繰り返してはならん』

 

その言葉を最後にジンロンさんの言葉が聞こえなくなった

繰り返しちゃダメって事は、この戦いもジンロンさんにとっては愚かな戦いって事になるのかな?

そしてこの戦いで、世界が滅ぶとも言ってたしこれから先どうなるのだろうか、お姉ちゃんは心配です

 

『……ようやく、ようやく思い出した』

 

俺がアストラルのつぶやきを拾えたのは、ある意味奇跡と言っても過言じゃない

アストラルがあまりにも真剣にジンロンさんの話を聞いていたから、気になってアストラルの様子を見ていたからそのつぶやきを拾うことが出来たのだろう

他の皆はジンロンさんの話の意味を考えたり、ここからどう降りるかの話し合いでアストラルに注意を向けていなかった

……そう、俺とブラック・ミスト以外は

 

『私の使命は……バリアン世界を滅ぼすことだ』

 

そのつぶやきを聞いたブラック・ミストは、静かに目を閉じた




次回はギラグの遺跡(?)ですが……
それは遊馬達に任せて、オリジナル回をする予定です
久しぶりに凌牙ちゃんがデュエルをする、はず!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

58/神代凌牙VSNo.96ブラック・ミスト~ぶつかる思い~

結局Aiって味方なの?敵なの?
是非ともミスリードであってほしい……遊作とAiは仲良しのまんまでいて欲しい……
そして安定の身バレwwwwお前らもっとちゃんと考えて行動しろやwwww


「ブラック・ミストは知ってたん?アストラルの使命がバリアン世界を滅ぼすことだって」

 

『まぁ、な』

 

あの後何とか遺跡から帰還した俺達は一旦ハートランドに帰ってきていた

ナンバーズクラブの皆に泣かれたり、アークライト一家にどつかれたりと色々あったが俺達は元気です

ハイスペースでNo.を回収していたせいか、気が付かないうちに疲労がたまっていたらしくカイトからドクターストップがかかりました

なので一旦回収はお休みして休息をとる事にしたのだった

 

「まー不思議ではないよなー、ブラック・ミストはアストラルの記憶の1枚なわけなんですしおすし?」

 

『……俺が黙ってたこと、怒らねぇのか?』

 

「んー?まぁ何で黙ってたんだろうなーとは思うけど、怒るほどじゃないかな?

 それにそれを俺に言ったところでどうにもならないだろうし、今の段階でアストラルに言っても余計な混乱を招いただけだし、妥当な判断だと思うぜ?」

 

アストラルが自力で思い出さない限りは伝えた所で信じない可能性の方が高いからなー

最近のアストラルは遊馬に似て来たし、信じないというか信じたくない、の方が正しいかな?

 

「それよりもさー、俺お前に聞きたいことがあるんだけど、いい?」

 

『ああ?なんだよ?』

 

あの日から何回も言おうとして、結局諦めていたあの疑問を俺は口に出す

タイミング的にも、今しか聞けないと思うし

 

「なんで俺はNo.を使っちゃいけないの?」

 

『……だからそれはあの時話しただろう』

 

ブラック・ミストは自身以外にNo.を持っていない

だからNo.96ブラック・ミストは自分が持っている

俺はあくまで普通の人間だからNo.を使うのは危険

 

「それが理由じゃないでしょ?」

 

確かにそれも理由の1つだろう

でも違う、ブラック・ミストはまだ重要な何かを隠している

俺にNo.を使わせない、重要な隠し事が

 

「一体どんだけ一緒にいたと思ってるん?

 さすがにどんな隠し事かまではわからんけど、でもお前が俺の為にNo.を使わせないようにするのわかるかんな?」

 

『……お前は、なんで』

 

ブラック・ミストはフルフルとその体を震わせ、手を強く握る

カードの精霊だから血とかは出ないだろうけど見てるこっちは痛いので、ブラック・ミストの手をゆっくり解いてやる

 

「別にさ、怒ったりしないから話してくれや

 ……何度も言うけどブラック・ミストは俺の為にやってくれてたんだろ?感謝はするけど、怒りはないよ」

 

そういうとボロボロとブラック・ミストは涙をこぼす

トーマス然り、ベクター然り、お前ら泣きすぎだろ!

……んー?なんで今ベクターの名前が出て来たんだ?(多分)ベクターの遺跡の時は俺は気絶してて、ベクターと合ったとはいいがたいし

というかいつの間に俺は気絶してて、ベクターに捕獲されたんだ……?

とか考えてるうちにブラック・ミストの顔がえらいことになっていたので、背中を撫でて必死にあやす

璃緒が小鳥ちゃんとキャットちゃんと一緒に買い物行っててよかったー!ブラック・ミスト泣かせてるところ見られてたらぶん殴られてるところだったぜ!

 

『……俺か、らその話、を聞、きたいん、だったら、この戦いでNo.を、使用しないと誓って、くれ』

 

「それは無理な相談ですな!」

 

涙ながらに紡いだ言葉を一瞬で否定する

すまんな!いかに俺の前世カードが強力だからってNo.があるのとないのじゃ、全然戦力が違うからなぁ

俺の言葉にブラック・ミストがパチパチと瞬きし、そして好戦的な笑みを浮かべた

そして構え、デュエルディスクを出現させる

 

『……そうだったな、何まどろっこしい事考えてたんだろうな俺は!こうするのが1番手っ取り早いってな!

 凌牙!俺が勝ったらNo.を使うな……そしてこの事について二度と詮索するな』

 

「ほいじゃー俺が勝ったらNo.は使うし、ぜーんぶキリキリ吐いて貰うからな!」

 

『上等だ!俺を満足させてもらおうか!』

 

「ヒャッハー!来いよブラック・ミスト!デュエルディスクなんか捨ててかかってこい!

 Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

『「デュエル!』」

 

 

No.96ブラック・ミストLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

『俺のターン、ドロー!

 俺はモンスターを裏守備表示でセット!カードを2枚伏せてターンエンドだ』

 

 

No.96ブラック・ミストLP:4000 手札:3

【モンスター】

裏守備×1

【魔法・罠】

伏せ×2

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

今のブラック・ミストのデッキは俺の前世カードでデッキを再編集しているので、俺の知ってるデッキとは違う可能性が高い

……まぁ、俺の知ってるデッキじゃないからと言って、負けるわけには行かないけどね!

 

「俺のターン、ドロー!

 んー……俺はカードを3枚伏せてターンエンドかなー」

 

 

No.96ブラック・ミストLP:4000 手札:3

【モンスター】

裏守備×1

【魔法・罠】

伏せ×2

 

神代凌牙LP:4000 手札:3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ×3

 

 

うん、俺もスロースタートでごめんね!

これ(多分)初動が遅い長期戦特化デッキ(だと思う)から!

ブラック・ミストも俺のデッキの遅さを知ってか、特にコメントも無くドローフェイズに移る

 

「俺のターン、ドロー!

 俺は罠カードのバージェストマ・ピカイアの効果を発動するぜ、手札のバージェストマ・オレイノデスを墓地に捨て2枚ドロー、さらにジャイアントウィルスを反転召喚!」

 

 

ジャイアントウィルス

星2/闇属性/悪魔族/攻1000

 

 

黒いとげとげの球体がブラック・ミストのフィールドに現れる

ジャイアントウィルスってブラック・ミストが使うってイメージよりもダークマミー使いの人が使う印象が強いんだけな(ただし本人は召喚してない)

 

『さらに手札からマリスボラス・ナイフを召喚、効果発動!召喚に成功したからマリスボラス・スプーンを特殊召喚する!』

 

 

マリスボラス・ナイフ

星2/闇属性/悪魔族/攻 600

 

マリスボラス・スプーン

星2/闇属性/悪魔族/攻 100

 

 

……これでブラック・ミストのフィールドにレベル2のモンスターが3体

さぁ俺、ここからが本番だぜ!

 

『俺はジャイアントウィルス、マリスボラス・ナイフ、スプーンでオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れろ、我が分身!No.96、漆黒の闇からの使者ブラック・ミスト!』

 

 

No.96ブラック・ミスト

ランク2/闇属性/悪魔族/攻 100 ORU:3

 

 

しばらくぶりに見たNo.96ブラック・ミストは相変わらず禍々しいく口から瘴気っぽい何かを吐き出している

……うん!改めて見るとビジュアル酷いね!

 

『お前失礼な事考えてなかったか?』

 

「ナンノコトカナー」

 

それにしてもブラック・ミストが己の分身を出してきたって事は、本気って事だよねぇ

まったく、こいつは一体何を隠してんだか……そうやって思い詰めさせるほどの何かって、いったいなんなのかな

 

『俺は俺の分身でダイレクトアタック!ブラック・ミラージュ・ウィップ!』

 

……攻撃力はたった100だけど、攻撃表示のままフィールドに残しておくのは怖いな

墓地も全然肥えてないし、うん、発動しておくか

 

「罠カード、バージェストマ・カナディアの効果発動!ブラック・ミストを裏守備に変更する!」

 

『させねぇよ!カウンター罠闇の幻影を発動!闇属性モンスターを対象に発動したモンスター効果・魔法・罠の発動を無効にして破壊する!』

 

「ほげえええええ!」

 

 

神代凌牙LP4000→3900

 

 

使ってた俺だからわかるけど、No.96ブラック・ミストって戦闘ではほぼ無敵だから厄介なんだよなぁ……

手札や伏せを使っても、No.96ブラック・ミストを突破できない

さぁ、これからどうするべきか

 

『俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ』

 

 

No.96ブラック・ミストLP:4000 手札:2

【モンスター】

No.96ブラック・ミスト/攻 100 ORU:3

【魔法・罠】

伏せ×1

 

神代凌牙LP:3900 手札:3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカードはっと……強欲で貪欲な壺かぁ

んー、とりあえずまた2ドロしてから考えますか

 

「俺は強欲で貪欲な壺を発動!デッキトップから裏側で10枚除外して2枚ドロー!」

 

ドローカードは……うん……うん

動けるとは思うけど、でもここで一気にやってもなー

 

『凌牙』

 

どうしたもんかと頭を悩ませていると、ブラック・ミストが話しかけてくる

その声色はいつにもまして真剣で、茶化すような雰囲気ではない

 

『お前さ、前言ったよな

 ……痛いのが嫌だから、死ぬのが怖いからデュエルをしなかったって』

 

あー、そういや言ってたねそんな事

俺がまだブラック・ミストの事を天の声さんと勘違いしていた時かー……なんか随分昔の事のように思うな

 

『俺の”秘密”も、そういう関係なんだ

 お前がNo.を使い続ければ、近い将来必ず後悔する』

 

「……」

 

この世界(遊戯王次元)の力を行使すれ行使するほど、な

 だからその力の代表格であるNo.さえ使わなければ、進行は止められる』

 

進行……?カード化とか、そっち方面かと思ったんだけどどうやら違うみたいだな

なんだろ、No.に精神を蝕まれてーとかそういう感じか?

でも遊戯王次元の力を使うほどって事は、No.だけが原因じゃないから、精神蝕まれ説はないのかな?

んー……本当にブラック・ミストが隠してることってなんなんかな?

てかNo.以外の遊戯王次元特有の力ってなんだろ?今のところ俺がやってるそれっぽいのって、カードの創造に前世カード(なぜか増える)とか?

 

『だから、』

 

「くどいよー?悪いけど俺はこの1件に関して譲る気は皆無だからな!

 ……だから、自分の意思を通したいなら、デュエルで勝ってからってね!

 とりあえずカードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

No.96ブラック・ミストLP:4000 手札:2

【モンスター】

No.96ブラック・ミスト/攻 100 ORU:3

【魔法・罠】

伏せ×1

 

神代凌牙LP:3900 手札:3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ×4

 

 

俺のフィールドに新たに2枚のカードが追加される

……墓地発動とか、バージェストマのこともあるし墓地肥し系のカード入れといた方がいいかなー?後で璃緒達に相談しましょ

 

『っつ!俺のターン、ドロー!』

 

シュバーっと勢いよくカードを引き抜く

……俺もあんな風にドローしたいなー

等と考えていると、俺の腰につけているデッキケースがうすらぼんやりと光っているのが見えた

え、なんなん?まぁ別にデッキケース……ていうかカードが光るなんて遊戯王次元じゃ当たり前だし、今はデュエルに集中しないと

 

『俺はフィールド魔法星遺物に差す影を発動!』

 

景色が一瞬にして暗闇に変わる

打ちひしがれた古代の遺産(星遺物)の影から赤い光が大量に俺達を見ている

あの、怖いんでそんなに見ないでください(震え声)

 

『そして星遺物に差す影の効果発動!1ターンに1度、手札からレベル2以下の昆虫族モンスターを裏守備か表守備で特殊召喚できる!俺はクローラー・レセプタリーを表側守備で特殊召喚!

 さらに星遺物に差す影の効果でクローラーモンスターの攻守は300ポイントアップする!』

 

 

クローラー・レセプター

星2/地属性/昆虫族/攻 900→1200

 

 

聖杯シリーズの敵対勢力(?)と思われるクローラーモンスターがブラック・ミストのフィールドに現れる

クローラーは確かリバースモンスターで、相手効果で破壊されるとなんか効果が発動……した気がする

そしてそんなことしてる間もデッキケースは光続けているけど、これ大丈夫なのか?

 

『俺はモンスターを裏守備でセット、そして永続罠星遺物の傀儡を発動!

 自分フィールドの裏側守備表示モンスターを表側攻撃表示か守備表示にすることが出来る!俺は今セットしたクローラー・アクソンを表側守備表示にする!』

 

 

クローラー・アクソン

星2/地属性/昆虫族/守1800→2100

 

 

『アクソンのリバース効果発動!このカードがリバースされた時、フィールドの魔法・罠を1枚破壊できる!俺は右端のカードを破壊するぜ』

 

「おっとー?だったらチェーンして罠カードバージェストマ・レアンコイリアの効果発動!除外されてるカード1枚を墓地に戻すことが出来る!俺はこの効果でSR三つ目のダイスを墓地に!

 さらにチェーンして墓地のカナディアの『その効果にチェーンして墓地のピカイアを特殊召喚する!』おいいいいいいいいいいい!」

 

 

バージェストマ・ピカイア

星2/水属性/水族/守 0

 

 

先に言ったもん勝ちってことか!ずるくない!?それずるくない!?

でも無情にもDディスクはブラック・ミストの方を優先し、フィールドにピカイアが召喚され……

てもおおおおお!デッキケースがうるさい!

先ほどとは比べ物にならないぐらい光を放っている、流石の俺ももう無視できずにデッキケースを開け、何のカードが光ってるのか確認する……って、え?

 

「これ、さなぎちゃんの」

 

学園祭の時にさなぎちゃんからもらった、白紙のエクシーズカードだった

 

『俺はクローラーモンスター2体とピカイアでオーバーレイ!』

 

ブラック・ミストは高らかにそういうけど、現状でNo.96ブラック・ミスト以外にレベル2のモンスターが3体のエクシーズモンスターっていたっけ……?

なんて考えていると、白紙のカードが俺の手を離れ、ブラック・ミストの元へ向かっていく

 

『3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!』

 

白紙のカードは吸い込まれるようにブラック・ミストの手に収まる

ブラック・ミストが手に取った瞬間、カードがより一層輝き、新たなテキストと絵が出現した

 

『現れろ、No.45!破滅の運命を辿る魂を導き、神の御心のままに構築せよ!滅亡の預言者クランブル・ロゴス!』

 

 

No.45滅亡の預言者クランブル・ロゴス

ランク2/地属性/アンデット族/攻2200 ORU:3

 

 

「嘘やん!?」

 

全体的に暗い色彩のケンタロス?がブラック・ミストのフィールドに現れる

え、今のってカードの創造!?いやでも白紙のカードがあったわけだから”創造”って言えるのか……?

って違う違う!問題はさなぎちゃんからもらったカードがNo.になったって事だよ!あの子マジで何者なの!?

 

『バトルだ!俺は俺の分身とクランブル・ロゴスで凌牙にダイレクトアタックだ!』

 

「ちょちょちょイタイイタイ!」

 

 

神代凌牙3900→3800→1600

 

 

おいブラック・ミスト気付け!お前今とんでもないことしてるのわからないん!?

カードの精霊がカードの創造って、よくわかんない展開になってるんだけど!?

そしてブラック・ミストはそのままエンド宣言を……

 

「ってちょーっと待ったー!俺はエンドフェイズ時にバージェストマ・ピカイア発動!手札のバージェストマカードを捨て2枚ドロー!

 かーらーのー墓地のカナディアの効果で、カナディアと特殊召喚するぜ!」

 

 

バージェストマ・カナディア

星2/水属性/水族/守 0

 

No.96ブラック・ミストLP:4000 手札:0

【モンスター】

No.96ブラック・ミスト/攻 100 ORU:3

No.45滅亡の預言者クランブル・ロゴス/攻2200 ORU:3

【魔法・罠】

星遺物の傀儡(永続罠)

【フィールド魔法】

星遺物に差す影

 

神代凌牙LP:1600 手札:4

【モンスター】

バージェストマ・カナディア/守 0

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカードや墓地を確認してっと……んー、これならいけるかなー?

そうと決まれば、俺はDディスクを操作する

 

「俺は罠カード幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ロスト・ヴァンブレイズ発動!カナディアを対象に発動して、攻撃力は600ダウンしてレベルは2になる!

 ……って言ってもあんま関係ないけどね、本命はこっち!俺はチェーンして墓地のオレイノデスの効果発動!フィールドに特殊召喚するよ!

 そしてフィールドのロスト・ヴァンブレイズとオレイノデスをリリースしてアドバンス召喚!現れろ、The grand JUPITER(ザ・グランド・ジュピター)!」

 

 

The grand JUPITER(ザ・グランド・ジュピター)

星8/闇属性/戦士族/攻2500

 

 

緑色のカマキリが闇を切り裂いて現れる

No.96ブラック・ミストと同様に割とキモイ

まだURANUS(ウラヌス)のほうが可愛いよぉ……

 

「ブラック・ミスト!俺はお前が何を隠してるのかわからん!っていうかこのデュエルでもっとわからんくなった!」

 

『お前正直すぎだろ』

 

「正直なのはいいことです!だからーえっとー……んー……」

 

『もうちょっと考えてから喋れよ……』

 

「ごめんね」

 

すまんな俺基本的になんも考えずに喋るからな……

頭を回転させるけど……うん!やっぱ何も考えず勢いのまま話した方がいいな!(思考停止)

 

「もう決めたんだ、たとえ痛くても、この命が危険にさらされようと、戦うって!

 たとえ後悔することになっても、これが俺の、この世界に生きる”私”じゃない、”俺”の人生なんだ!

 俺はJUPITER(ジュピター)の効果発動!手札を2枚捨ててモンスター1体をこのカードの装備カードにする!俺はNo.96ブラック・ミストを装備!JUPITER(ジュピター)の攻撃力は装備モンスターの攻撃力分アップする!」

 

 

The grand JUPITER(ザ・グランド・ジュピター)/攻2500→2600

 

戦闘では無敵のNo.と言えど、装備カードにしちまえば問題ないんだよなぁ!

……そう考えると、No.はNo.以外は破壊できないって言っても効果破壊とか装備カードに出来るんだから、No.ってそこまで強くないんじゃなね?

むしろ戦闘破壊されないで1000ポイントのダメージを与えられるマシュマロンの方が強いんじゃな?(錯乱)

 

「そして魔法カード二重召喚(デュアルサモン)を発動して、もう一回通常召喚できるようにするよ!

 そして聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)を召喚するぜ!」

 

 

聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)

星2/光属性/天使族/攻 500

 

 

「俺は聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)とカナディアでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

EXデッキからカードを取り出そうとしたら、またデッキケースが光り輝く

なんとなく、だけど、デッキケースに入っているカードが俺に語り掛けてくるように感じるのだ

……自分を使え、と

取り出してみると、それはまたもさなぎちゃんからもらった白紙のカードだった

んー……使ってもいい、のかな?

そういえばさなぎちゃんはこれを渡すとき言ってたっけ、これから俺はいっぱい悩むと、でもきっと乗り越えられると

そう思ってこれを渡してくれるんだったら、信じない理由は無いかな?

俺はカードテキストとイラストが新たに出現したカードを勢いよくDディスクに叩きつけた

 

「今その封印を解き放ち、現代にその威光を示したまえ!さぁ出てこい!No.14バージェストマ・カンブリア!」

 

 

No.14バージェストマ・カンブリア(オリカ)

ランク2/水属性/水族/攻 0/守2400

レベル2モンスター×2体以上

このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。

(1)このカードは他のモンスターの効果を受けない。

(2)このカードのX素材を全て取り除き発動できる。自分墓地にある罠カード×700ポイント攻撃力がアップする。

(3)このカードが罠カードをX素材にしている場合、1ターンに1度X素材を1つ取り除き、自分墓地の通常罠カードを対象に発動できる。その罠カードの効果を発動できる。この効果は相手ターンでも使える。

 

 

『お、おっま!』

 

「おめーも人の事言えないからな!俺はカンブリアの効果発動!ORUを1つ使い墓地の罠カードの効果を発動できる!俺はハルキゲニアの効果を使い、クランブル・ロゴスの攻守を半分にする!」

 

 

No.14バージェストマ・カンブリア ORU:2→1

 

No.45滅亡の預言者クランブル・ロゴス/攻2200→1100

 

 

半透明になったハルキゲニアがクランブル・ロゴスの周りをグルグルと回り、その力を吸収する

ブラック・ミストのライフは無傷とはいえ、これでフィニッシュだ!

 

「さぁ行くよ!俺はカンブリアでクランブル・ロゴスを攻撃!」

 

『攻撃力は0だぞ!?……いや、まさか!』

 

「俺はカンブリアのもう1つの効果発動!ORUを全て取り除き、自分の墓地にある罠カード×700攻撃力がアップする!俺の墓地の罠カードは4枚、よって攻撃力は2800アップだ!」

 

 

No.14バージェストマ・カンブリア/攻 0→2800 ORU:1→0

 

No.96ブラック・ミストLP4000→2300

 

 

カンブリアがそのまんまタックルしてクランブル・ロゴスを破壊する

もっとさー攻撃手段なんとかならんかったん……?

 

「これで止めだよ!俺はThe grand JUPITER(ザ・グランド・ジュピター)でブラック・ミストにダイレクトアタック!Great red spot(グレート レッド スポット)!」

 

『ぐっ!うわああああああああああ!』

 

 

No.96ブラック・ミストLP2300→-300

 

WIN 神代凌牙




ちなみにブラック・ミストのデッキ候補にDDDとダークマミーがありました
DDDはランク2が全然活躍出来ないし、ダークマミーは種類もないし、レベル1だし……
そして戦況が分かりやすいように自分と相手、両方のフィールドの情報出しましたけど見ずらくないですかね?

サラメーヤ「あれ?14って俺の番号……」
ジャッジ・バスター「ようこそこちら側の世界へ(笑顔)」



そして今回、なめこ汁様から支援絵を頂きました!
うわあああああああやったああああああああああ!!!!!!!(語彙力の消失)
画像一覧の方に掲載していますので、そちらの方をご覧ください!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

59/神代凌牙の覚悟

毎回思うけどヴレインズの最初からクライマックス感がやばい
ゴーストガールに幸あれ……(黙祷)
それにしてもなんでイグニスで世界が滅ぶのか、まだ明かされてないんだよなぁ……
でもネットワーク全破壊するぐらいに追い詰められてるって事は、ガチで世界崩壊案件だよなぁ
結局イグニスってなんだ(振り出しに戻る)


ブー!とデュエル終了のブザーが鳴り響く

なんかこのデュエルで色々エキセントリックなことが起こったけど(カードの創造とかカードの創造とか)なんとか勝てたー!

俺は後ろに吹き飛ばされたブラック・ミストに駆け寄り、手を差し伸べ体を起こしてやる

 

「ブラック・ミストー大丈夫なん?」

 

『ギリギリ生きてる』

 

「マジか」

 

割と派手にぶっ飛ばされたにも関わらず、ぴんぴんしているお前はすごいと思いました(小並感)

ブラック・ミストは立ち上がった(?)後1枚のカードを取り出す

それを見た俺もEXデッキからカードを1枚抜き取り、それをブラック・ミスト同様見せる

No.45滅亡の預言者クランブル・ロゴスとNo.14バージェストマ・カンブリア

 

「No.ってこんな風に出来るんだね」

 

『現実逃避はやめて、どうぞ』

 

「うぃっす」

 

とりあえず2人揃って空を見上げる

本日もハートランドは平和です

 

「……とりあえず俺はさなぎちゃんが余計にわからなくなったわ」

 

『俺も同感だな

 見た限りでは蝶野さなぎは何の力も持ってないただの有名人だ』

 

ただの有名人ってなんかおかしい単語が出て来たけど気にしないようにしよう

そう、さなぎちゃんはなんの力も無い有名人のはずだ

白紙のカードを持ってた時点でただの有名人とはいいがたいけどねぇ……

まぁメタ的な視点で言っちゃえば、遊戯王世界に置いて白紙のカードってわりかし重要なアイテムなことが多い

 

『問題はその白紙のカードをなんで持っていたかだな』

 

「ナチュラルに人の心を読むなっちゅーに……

 まー、考えられるの候補はいくつかあるよねー

 さなぎちゃんがこの白紙のカードを創造したとか、誰かに渡すように託されたとか」

 

『どっちにしても蝶野さなぎに話を聞くしかない、か』

 

「ほんとそれな」

 

でも有名人のさなぎちゃんに会えるかどうか……

いっそ科学者連中に頼むか?

カイトとかクリスの兄様ならあっさりさなぎちゃんの個人情報割れると思うけど……流石にそこまでするのはなぁ……

 

「まー、この話はまたハートの塔に行ったときにすんべ

 ほんじゃま、本題に入るとしますかね」

 

『はぁ?本題にならもう入ってるだろ?』

 

「お前さぁ……俺達がなんでデュエルしてたのか思い出せよ」

 

いまさらはぐらかされてもこっちが困るYO!

俺がデュエルで勝った場合は、なんで俺がNo.を使っちゃいけないのかを話す

ブラック・ミストが軽い舌打ちをする……なんか俺の扱い酷くない?

 

『……お前はこの次元の人間じゃない』

 

そらそうやって言いたい言葉をぐっとこらえる

今ブラック・ミストは話してくれているんだ、ここで茶化すのは失礼だ

 

『お前の魂はこの次元の物じゃない、だからこの次元の力を使えば使うほどこの世界の力が内包されることになる

 だかさっきも言ったようにお前の魂はこの次元の物じゃない、だからたとえお前が死んだとしてもこの次元に転生できない

 だが世界の力を内包させすぎると、違う次元の力を持った魂だからお前の元居た次元に転生できない』

 

んー?なんか拍子抜けしちゃったなー

たしかにブラック・ミストの話だと、このままだとどこも転生できないって事態になるけど、それってあくまで死後の話やん?

死んだ後も意識があるわけじゃあるまいし、別に問題ないんじゃねーの?

 

『問題大ありだ……!お前の魂も器ももう限界なんだ!

 このままこの次元の力(No.)を使い続ければ、お前の魂は永遠に次元の狭間で彷徨うことになるんだぞ!?

 意識は無く、意思も無く、誰にも認識されず、自身が何かもわからず、ただそこに”ある”だけ……

 俺も意思の無かったNo.だった期間があるからわかる、あれは……地獄だ』

 

うーん……

正直そう言われても、俺の意識は変わらない

 

「うん、ブラック・ミストがそこまで俺を思ってくれてたんて嬉しいよ

 確かに意思も何も無く、ずっとそこにいるだけなんて常人だったら発狂ものだしね」

 

でも俺は普通の人間ではない、転生者だ

転生者だからと言ってこの問題が解決するとは思わない

そんなことが出来るのは俺TUEEEE!なチート野郎とか夢主に限られる

俺は転生者とはいえ、普通の人間だ

 

「それでも俺はやめるつもりはないよ

 っていうかブラック・ミストだって、俺がこう答えるってわかってたからこの事言わなかった系?」

 

『……むしろこの話を聞いて、お前が覚悟を決めるのが嫌だったんだよ』

 

「そらね

 だったら俺はこの命を使いつぶすつもりで行くさ

 異次元の狭間を彷徨う?永遠に生きながらえながら?……だからどうしたん?

 俺はそんなもんより璃緒やお前がいるこの次元を守る、知ってるか?命って投げ捨てるもんなんだぜ?」

 

『ライフは投げ捨てるみたいなノリで言われても』

 

嫌だって、ねぇ?

普通に考えて俺1人の命と璃緒やトーマスやブラック・ミスト達の命、比べるまでもないやん?

それに俺は記憶を持ってこの次元に転生してきている以上、なんらかのペナルティがあってもおかしくないと思ってないし

……どのみち、今世じゃ長生きできそうにないし

 

「ブラック・ミスト、俺はこの選択を後悔する時が来るかもしれない

 ……けど俺は巻き込まれたわけでも無い、俺自身の手で選んだんだ」

 

最初はデュエルが怖かった

痛い思いが、怪我をするのが、カードにされるのが……死ぬのが

でも今じゃ、あいつらを守ってぽっくり逝くのも悪くないと思う

この心境の変化は、俺があの声をきっとあの声を聞いたからだ

サルガッソで聞いた、あの声を

 

「本当はブラック・ミストだってわかってるんだろ?

 たとえ俺の前世カードがあったとしても、絶対にNo.を使わざる負えない状況が絶対来る

 いや、No.が無ければ俺達は絶対勝てない」

 

それはNo.耐性もあるし、効果が強いのもある

けど1番の理由はNo.そのものだ

それ単体で莫大な力を持つNo.はその存在に、そこにあるだけで人間に莫大な影響を及ぼす

いくらクリアウィング・ファスト・ドラゴンが漫画版ユーゴのエースモンスターだとしても、それはあくまで漫画の付録に過ぎない

本当の意味で”クリアウィング・ファスト・ドラゴン”とはいえないのだ

俺の前世カードは、所詮ただのカードだから

 

『そんなことぐらいわかってるさ、この次元でNo.がどれだけの意味を持つのか』

 

自身がNo.であるブラック・ミストだから言える事なんだろう

No.がどれだけの力を持っているのかを

カイトだって銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)はバリアンの力で出来た、特別なカードだ

あのカードが無ければ、カイトだってナンバーズハンターとしての活動なんてできなかっただろう

 

『それでも、それでも俺はお前にNo.を使わせたくない!俺は、お前に、あんな思いをさせたくない!させたくないんだよ……』

 

止まっていたはずの涙が、またブラック・ミストの目から溢れ出ている

だけど俺は、ブラック・ミストの思いに答えられない

 

「……ごめんねー」

 

俺の言葉は虚しく空に響くだけだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、師匠!」

 

TVで絶大な人気を誇るデュエリストアイドル、蝶野さなぎは普段の衣装とは違い活動的なズボンとシャツにポニーテールという、TVで見る”蝶野さなぎ”とはかけ離れた姿をしていた

高い高層ビルの上で眼下の人物を見下ろす

その目線は神代凌牙とブラック・ミストがいた

 

「ん、来た」

 

蝶野さなぎの問いかけに答えた”師匠”は赤いジャケットと肩に羽織っており、目元が見えないくらいに深く赤い帽子をかぶっていた

師匠は蝶野さなぎの隣に立ち、一緒になって2人を見下ろす

 

「会いに行かなくていいの?シャークちゃんは師匠の……」

 

「……いい、もうすぐその時が来る、その時まで俺との接触は避けるべき」

 

「師匠がそこまで言うんだったらさなぎはもう何も言わないけど……」

 

師匠は下でじゃれ合う(?)2人を見ながら隣の蝶野さなぎを見る

一瞬きょとんとしたが、蝶野さなぎは師匠の言いたいことが分かったのか言葉を紡ぐ

 

「シャークちゃんはさなぎが渡したカードをちゃんと使ってくれたみたいだよ?」

 

「なら、よかった」

 

安心したように師匠は息を吐く

そんな師匠の様子を見た蝶野さなぎは少々不機嫌に顔を歪めた、それは決してデュエリストアイドル蝶野さなぎがする表情ではない

 

「そんなに気になるんだったら会いに行けばいいじゃん!さなぎ越しにシャークちゃんの様子聞いてくるのいい加減やめてくれないかなー?」

 

「だ、だから、それは、もうすぐその時が来て、その時に会えるから、今は」

 

「もー!いっつもそう言ってるじゃん!」

 

「でも、今回は本当!」

 

「いっつもうじうじして、そんなんじゃシャークちゃんに嫌われても知らないよ?」

 

「!」

 

「後さなぎは師匠よりシャークちゃんの味方するからね?」

 

「(´・ω・`)」

 

「そんな顔しても困るよー」

 

非常にコミカルな掛け合いに、TV越しで見ている蝶野さなぎを知っている人物は思わず2度見する事だろう

師匠は悲し気な顔をしながらも蝶野さなぎを見つめる

 

「というか師匠、さなぎすっごいシャークちゃん達に怪しまれてるのだけどどうしてくれるの?」

 

「マジごめん」

 

「真顔で言われても、説得力の欠片もないよ……」

 

冗談で言っているのか、それとも本気で言っているのか蝶野さなぎはわからない

だって真顔だし、帽子で表情見えないし

 

「……ブラック・ミスト君の言ってたことって本当なの?

 シャークちゃんの魂が、もう限界だって、異次元の狭間に漂うって」

 

「うん」

 

「なんで断言できるの?」

 

「俺が頼んだから、守り人に、ブラック・ミストへの伝言を」

 

「!じゃぁ師匠は知ってたの!?シャークちゃんの魂がもう限界だって!」

 

「うん」

 

「……!」

 

蝶野さなぎは特注で作ったDゲイザーを目にかけ、Dディスクを構える

その目に映るのは、敵意

そんな様子を師匠は表情を変えずに見ている

何も変わらない師匠の様子に、蝶野さなぎはいら立ちを覚えた

 

「なんで師匠は冷静なの!?だって、シャークちゃんは」

 

「うるさい」

 

師匠は蝶野さなぎの言葉を遮る

帽子の影から見えた表情は、苦しそうに歪められていた

 

「俺だって、いやだ

 でも、これからもこの世界で生きたいのなら、死なないといけない(・・・・・・・・・)

 

生きないと思うなら、死ななければならない

矛盾した言葉だが、蝶野さなぎはその言葉を聞いて構えていたDディスクを下す

 

「だってお姉ちゃんは……武藤マナミは、神代凌牙は、存在しないから」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

60/神代凌牙と海底の遺跡

うわあああああああああああブルーエンジェルううううう!
スペクターの顔芸が今日も光るうううううううう!
財前お兄様のSAN値がマッハ

スイッチ買いました!スプラトゥーン2楽しい


ありのまま起こった事を話すぜ!気が付いたら5枚目の遺跡のNo.が回収されていた、何を言っていr(ry

……よし、ボケるのはここまでにしよう

とりあえず言い訳からさせてもらおう、言い訳ぐらいしてもいいよね?いいよね!

そもそも5枚目のNo.に気が付いたのは、すでに遊馬達に回収された後だったのだ

俺が璃緒とブラック・ミストと家で冒涜的なTRPGをやっていた時、いきなりブラック・ミストが「No.の気配がする!」って騒ぎ始めたのだ

そらやばいわとなり、俺達は一斉に飛び出してDホイールに乗り、俺と遊馬がフラアウェイした崖がある山へと直行した

山についた時にはもうデュエルは終わっていて、唖然とした表情の小鳥ちゃんと遊馬が立っているだけだった

 

「……っつ」

 

「ん?璃緒、大丈夫?」

 

「え、ええ、大丈夫ですわ」

 

『またなんか感じたのか?』

 

「そういうわけではありませんわ」

 

璃緒はそう言うが、背中越しで険しい顔をしているのが分かる

え?なんでわかるかって?双子の神秘ですな!

というか今Dホイール乗ってるんだからぼーっとするのは、お姉ちゃん良くないと思うよ!

ブラック・ミストは璃緒の事が気になるのか、しつこく璃緒に質問攻めするが璃緒がそれに答えることは無かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ここが最後の遺跡、6枚目と7枚目のNo.が置かれている場所だ』

 

飛行船の中で俺達は空中に浮かぶ地球儀を見つめる

最後のNo.は同じ所にあるのかな?

 

『んで、その最後の2枚は俺達がまだ会ってないバリアンの伝説があるところって事だな』

 

まだ出会っていない……ナッシュともう1人のことだね

それにしてもなんでその2人は姿を見せないんだろ?

なんらかの理由があるのは間違いないとして、その理由ってのは……

うーん、わからん

 

「あら、そういえばカイトはどうしましたの?」

 

「んー?カイトならいないよー?

 遺跡の伝説について色々調べたいんだって」

 

まぁ調べたいのは主にミザエル関連だよなー、主にギャラクシーアイズ関係で

そーいや1番最初にミザエルのデュエル見た時変な事言ってたよな

”ギャラクシーアイズが2体揃う時、大いなる力への扉が開く”……だったよな、うん

 

「それじゃぁ次のNo.はこのメンバーで回収するのね」

 

小鳥ちゃんの言葉にアストラルはうなずく

最後の遺跡はどんな感じなんだろなー

出来ればスカイ・ペガサスの遺跡みたいなトラップ地獄は勘弁願いたいんだよなぁ……

遊馬の操縦で飛行船が動き出し、空を飛ぶ

……最後のNo.も、俺達で手に入れないとなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのジンロンというNo.の精霊は、お前が人間だったといったのか?」

 

「ああ、そうだ」

 

高い建物の屋上から見える景色は、バリアン世界と違って色彩に溢れてる

私たちの世界は基本的に赤しか存在しないからな

 

「それにしても機嫌が悪いな、お前はあまりそのような事は気にしないと思っていたが」

 

「別に私が人間だったとかはどうでもいいんだ

 だが!”勇者ミザエル”とやらと一緒にされるのは別だ!何が己の命を差し出すだ!

 だったら村人にを全員殴って話を聞かせろ!祈祷師なんぞ後ろから刺せ!それで海に捨ててしまえ!」

 

「ミザエルが楽しそうで何よりだ」

 

荒ぶるミザエルを放置し、残りのNo.をどう回収するか考える

5枚目のNo.はギラグが失敗し、すでにアストラルたちの手にある

残るNo.は2枚……今までの事を考えるなら、その2枚は我等バリアン……満たされぬ魂の女王であるナッシュとその妹のメラグ

遺跡のNo.とその遺跡に対応する伝説を持つ七皇は引かれ会う

最初の1回2回だったら偶然で済ませられるが3回4回となると、それは偶然ではなくなる

バリアン七皇でいまだ対応する遺跡とNo.に出会っていないのは……ナッシュとメラグだ

 

「……行くのか?」

 

「ああ」

 

最後の遺跡は特定できた

ずっと前にバリアン世界から姿を消したナッシュとメラグ

会える確率なんて無いに等しいだろう、だが俺は少しでも希望があるなら、それにかける

 

「では行ってくる」

 

「行ってこい」

 

ミザエルと短い挨拶をかわし、私は彼の視界から消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーみーはーひろいーなーおおきーいーなー♪」

 

『いーってみたいーなーよそのーくーにー♪』

 

「現実逃避する暇があったらこの嵐を鎮めなさい!」

 

「それは無茶ぶりが過ぎるかな!?」

 

飛行船に乗ってはるばるやってきたのは、まさかまさかの海のど真ん中!

さらに絶賛嵐というおまけつきだよくそが!

ていうか本当にここでいいの!?座標があってるとはいえお姉ちゃん心配だよ!?

 

「……っつ!?」

 

『璃緒!?』

 

ブラック・ミストが声を荒げて璃緒を支える

飛行船が揺れてバランスを崩したのかな……?いや、そんな感じじゃない

遺跡の座標はここであってるはずだし、遺跡の何かを感じ取ったのか?

 

『このままでは危ない、1度ここから離れるぞ』

 

「待って、アストラル!船の動力が止まっちゃた!」

 

遊戯王次元んんんんんんん!こんなところで仕事しなくていいから!

なんだ!?遊戯王次元特有の年末落下すればいいのか!?今年末じゃないけど!

 

『……船はここを動くつもりはねーみたいだな』

 

マジかよ(絶望)

外は雷も鳴り響いているし、ここに長時間いるのは危険だ

飛行船の耐久度ってどんなもんかわからんが、この状況をどうにかしないと

 

「……誰!?誰なの!?私を呼ぶのは誰!?」

 

璃緒がいきなり声を張り上げる

”呼ぶ”?俺は小鳥ちゃんやアストラル達を見るけど、皆は訳が分からないように困惑している

そういえばDホイールで移動してた時も、璃緒は何かを感じていたみたいだった

……まさか、この遺跡と璃緒はなんか関係あるのか?

……いや、いくら遊戯王次元とはいえ、そんなご都合主義な展開があるとは思えない

多分この遺跡と璃緒は相性が良かったとか、そんな落ちだろう

 

「璃緒、俺が傍にいるから」

 

落ち着いて、そう言い切る前に飛行船の明かりがすべて消える

そうだ、小鳥ちゃんは飛行船の動力が止まったって言ってたし、発電がストップしてもおかしくない

 

「な、なんだ!?」

 

『停電か!?』

 

遊馬とブラック・ミストがプチパニックを起こす

ブラック・ミストはともかく、遊馬は停電ぐらいで狼狽えんなや

いきなり電源が復旧し、あたりに光が戻る……え、今の一瞬の停電なんだったん?

 

「璃緒ー、だいじょう……璃緒?璃緒!?」

 

璃緒、璃緒、璃緒!璃緒が、璃緒がいない!

 

「璃緒!璃緒!どこ行ったんだ!」

 

『落ち着け凌牙!』

 

「でも、でも璃緒が!」

 

「落ち着いてシャーク!大丈夫よ、きっと璃緒さんは見つかるわ」

 

小鳥ちゃんの言葉に俺は少し冷静さを取り戻した

そうだ、今の一瞬の停電でいなくなったんならまだ近くにいるはずだ

……後輩に諭されるなんて、情けねー

 

「シャーク、モニターだ!外にいもシャがいる!」

 

皆の視線のが向く

モニターを見ると、雨に濡れながら甲板を歩いている璃緒がいた

モニター越しでもわかる、璃緒は正気じゃない、そしてその状態で璃緒は甲板をフラフラ歩いている……あっ(察し)

 

「璃緒!」

 

『ちょっ、待て凌牙!』

 

急いで甲板に出ないと!

俺はブラック・ミストの静止を無視して全力でダッシュする

フハハハハハ!人間の皮を被ったゴリラの脚力を舐めるでないぞ!

 

『だがしかし、俺のNo.はお前が持ってるから俺はお前から離れられない』

 

「それな」

 

漫才をしながらも俺は甲板を目指して走り続ける

扉を強引に開け放ち、璃緒の元に駆け寄る

璃緒は体をゆらゆらを揺らし、海面を静かに見つめて……

 

「『璃緒!」』

 

璃緒の体がぐらりと傾き、船の外へ投げ出された

くっそ間に合わなかったか……!

 

「ブラック・ミスト!」

 

『わかってる!』

 

甲板のふちに手をかけ、海に飛び込んだ

海の中で璃緒はすぐに見つかった

海がまるで璃緒を、俺を誘うように下へと体を押し流す

……もしかしてNo.が俺達を呼んでいるのか?

それか本当にご都合展開か……遊戯王次元だし、どっちもありそうだから困る

 

「!!」

 

海の流れが急に変わり、璃緒と引き離される!

ブラック・ミスト!璃緒の元まで運んでくれ!

 

『わかって……うわぁっ!』

 

ブラック・ミストが俺の体を絡め取り、一気に璃緒の元まで進もうとするが突然海流が変わる

俺と璃緒を呼びたいけど、でも別々じゃないと困る……?

俺もブラック・ミストも必死に璃緒を追うが、海流に、海に邪魔され璃緒との距離を離される一方だ

……ブラック・ミスト、これが遺跡のNo.の意思なら一旦その思惑に乗ろう

 

『はぁ!?お前璃緒が心配じゃないのかよ!?』

 

心配に決まってるやん!?

でもこのまま璃緒を追い続けても、きっと海に邪魔される

しつこく璃緒を追い続けても事態は好転しない、だったらこのまま運ばれて、その先で璃緒を探そう

きっと行先は同じ遺跡、絶対に会える

 

『……それもそうだな』

 

璃緒を追うのをやめ、海に身を任させると、先ほどの荒々しさは無くなり、まるで俺を慈しむような優しい流れに変わり運ばれる

うーん、遺跡のNo.が何をしたいのかわからん、いやこれが遺跡のNo.のせいと決まったわけじゃないけど

 

『お前と璃緒ってこの遺跡の関係者かなんかか?』

 

何故?

 

『わかんねぇが……この海に入ってからお前と璃緒に俺とは違う力……強い守護の力を感じる』

 

えー……どうなんだろ?

あ、でも心当たりはあるんば

 

『心当たり?』

 

ういうい、俺の両親が生きていた時の話なんだけどねー

よく眠る前の物語として聞かされてたんだ

俺達神代家の先祖はずっと遠いところからやってきた海の民なんだって

 

『ああ、その先祖がこの遺跡の関係者と考えれば辻褄があう……か?』

 

それ俺に言われても困るんですが

なんてとても海の中とは思えない和やかな会話(?)をしていると、海底にに不自然な半球体が見えた

え、あれなんぞ?

 

『十中八九、あれが遺跡だろうな』

 

なんか今までとはまた違った遺跡だな……5枚目のNo.があった遺跡は俺知らんけど

目的地はあそこらしく、俺達は海流に導かれ、遺跡の内部へと足を踏み入れた

 

「んー、よし、璃緒を探すか」

 

『お前ほんと歪みねぇな……』

 

俺はブラック・ミストと一緒に歩く、遺跡の内部と言ってもそれは遺跡に張られている半球体の結界の内部に入っただけだ

本当の遺跡は、目の前にある

だけど内部は周りを覆う壁に邪魔され見えない

……なんか段々進撃する巨人に出てくるあの壁に見えて来た

そして青い砂浜見える赤い人影と半透明の人影

 

「遊馬!アストラル!」

 

『お前ら無事だったか!』

 

砂浜にいた遊馬とアストラルを発見する

招かれた俺と璃緒とは違い、遊馬とアストラルは完全に招かざる客だ

お前らよく無事にここまでこれたな……

 

「シャーク!ブラック・ミスト!無事だったか!」

 

『ああ、しかし……ここはどこだ?私たちは途中で意識を失ったからな』

 

あー、もしかしてNo.に拒まれたのかな?

とりあえず俺もアストラルもここに来るまでの事をあらかた説明する

というか人の事言えないけど、嵐の海に飛び込むとか最高にクレイジーだぜ!

 

「うわー……ほんとーだ、空に海がある!」

 

「ねー、これもNo.の力なのかなー?」

 

俺達は璃緒が残したと思しき足跡を頼りに前へ進む

その足跡は遺跡へと続いており、俺達もその足跡を追うように遺跡の内部へと入る

 

「うわ!なんじゃこりゃ!」

 

『んだよこれ……迷路か?』

 

……遺跡の内部はブラック・ミストが言ったように、青い壁が所せましと並んでいる迷路だった

璃緒の足跡は迷宮に入る前に無くなっており、もうどこにいるのかわからない

きょろきょろと周りを見回していると、遺跡のアーチ部分に何か光るものがあった

 

「ブラック・ミストー、あれ取ってー」

 

『あれってどれだよ……ああ、あれか』

 

俺の視線の先の光る物に気が付いたのか、ブラック・ミストが浮かび取ってくれる

こういう時実体化できないアストラルってほんと不便やな

受け取ったのは2枚の覇者のコインだった

2枚のコインって事は、ここにNo.が2枚あるとみて間違いないな

 

「ほいよ」

 

「ありがとうシャーク」

 

遊馬大事にコインをしまう

とりあえずここにいても何も始まらないので前に進む

代り映えのしない景色に飽きてきたころ、そういえば璃緒の力について詳しく話していなかったな

今更と言えば今更な事実だけど、いいか

 

「璃緒には小さい頃から不思議な力があったんだ」

 

俺達の両親がいた頃も、璃緒は何かを感じ取っていた言動を度々見ていた

カードの精霊が当たり前のように存在する遊戯王次元だから俺はあまり気にならなかったみたいだけど、周りの大人は璃緒の力に目をつけていた人も幾人かいた

……今更だけど、俺達を引き取ろうとしていた親戚の人達って璃緒にそう言う事を企んでたやつらの他に、璃緒の力目当ての奴もいたのか?

あっぶねー!あいつらと縁切っといてよかったー!

 

「璃緒はここに来るまでに何かを感じてた

 それに俺と璃緒はNo.に招かれたとはいえ、璃緒の力が何等かの理由で反応していたとしてもおかしくない」

 

璃緒が一種のトランス状態になったのも、No.の力だけとは言い難い

うーん、よくわからん

 

 

-…おいで

 

 

「……!」

 

頭の中で声がリフレインする

……もしかして、璃緒の言ってた「私を呼ぶのは誰?」って、こういう事か

ダメもとで声の主を探す為周りの様子を見るが、声の主は見当たらない

一つの通路に差し掛かった時、1枚のカードが落ちてるのが見える

それを手に取るためにその通路に入り、カードを手に取る

速攻魔法の絶対零度……璃緒のカードだ

 

「皆、璃緒のカードが」

 

振り向き、皆を呼ぼうとした時、ホログラムのようなものが壁を生成する

……って嘘ぉ!分断された!?

 

「遊馬!アストラル!ブラック・ミスト!」

 

声を張り上げるが、帰って来る言葉はなかった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

61/神代凌牙VSNo.73激瀧神アビス・スプラッシュ~遺跡の記憶~

Aiは一体何がしたいんだ……
ものっそい不穏な空気が漂っているんですけど
それにスペクターの過去もやばい
まさかロスト事件で逆に救われていた奴がいたとは……


変わり映えしない景色をひたすら歩き続ける

ここがどこなのか、入り口はどこへ行ったのか、遊馬達はどこなのか、今の俺に知るすべはない

 

 

-…おいで

 

 

見知らぬ……多分この遺跡のNo.の精霊の声に導かれるように、ただ歩き続ける

この遺跡のNo.は俺と璃緒を呼んでどうしたいんだ?

わざわざ璃緒のカードを囮に使って分断させるなんてな

ブラック・ミストともテレパシー出来ないし

そして遺跡を歩き続けて見えて来たのは巨大な建造物だった

なんだろ、ピラミッドを段々にして、てっぺんの部分を削り取った……感じかな?

きっとこの上に遺跡のNo.と……璃緒がいる

俺はピラミッドを駆け上がり頂上を目指す

 

「璃緒!」

 

ピラミッドの頂上には確かに璃緒がいた……が、その服装は先ほどとは全く違っていた

白を基調とした民族衣装を着ており、頭に白いヴェールを被っている

確かに璃緒だ、だけど中身はまるで別物だ

 

「お前が遺跡のNo.か!璃緒に何をした!璃緒を開放しろ!」

 

まるで俺の言葉を綺麗にスルーし、空から落ちて来た光を璃緒……否、遺跡のNo.はつかみ取る

光が放たれ、そこにあったのは1枚のNo.だった

 

『そなたを待っていました、神代凌牙

 我が名はアビス、No.73激瀧神アビス・スプラッシュ』

 

こいつが残り2枚の内の1枚か……

今ここにアストラルも遊馬もブラック・ミストもいない

あのメンバーで俺が最弱だとしても璃緒の為に、俺が頑張らないと

 

『我とそなたは戦うべき運命

 ……目覚めよ、我が力を受け継ぎし者よ!』

 

……アビスの、No.の力を受け継ぎし者?どういうことだ?俺とアビスには何の接点もない

もしかして、俺の先祖が海の民だって事が関係しているのか?

No.の名前からして水関係のNo.なのは間違いないだろうし

 

「まぁいいや、そんなことは重要じゃない

 重要なのはお前をぶっ倒して璃緒を助けることだ!」

 

『話が早いな、さぁ!デュエルを始めよう!』

 

「上等だ!デュエルディスクを捨ててかかってこい!

 Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

『「デュエル!』」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「先行は俺だ!ドロー!

 俺は手札から手札抹殺を発動!お互いのプレイヤーは手札を全部捨てて、その枚数だけデッキからドローできる!

 そして手札から番猫-ウォッチキャットを特殊召喚する!このカードは自分フィールドにモンスターがいない時に特殊召喚できる!」

 

 

番猫-ウォッチキャット

星1/地属性/獣族/守1800

 

 

時計の首輪をつけた猫がフィールドに出てくる

璃緒は猫嫌いだけど、今はNo.の精霊さんだからセーフでしょ(震え声)

 

「そして魔装戦士ドラゴディウスを召喚!」

 

 

魔装戦士ドラゴディウス

星4/光属性/戦士族/攻1500

 

 

「俺はこれでターンエンド

 そしてエンドフェイズに番猫の効果発動!このカードを除外してデッキから永続魔法をセットできる!俺は補給部隊をセットするぜ!」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:3

【モンスター】

魔装戦士ドラゴディウス/攻1500

【魔法・罠】

伏せ×1(補給部隊)

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

補給部隊はセットされた状態だけど、次から効果を使えるのは大きい

次はアビスのターンだけど、どんなデッキを使うのか

 

『我はゴルゴニック・ゴーレムを召喚!』

 

 

ゴルゴニック・ゴーレム

星3/闇属性/岩石族/攻1200

 

 

「はぁ!?岩石族!?」

 

名前からして完全に水系統の使い手だと思ってたのに岩石!?どういうことだ!?

俺がプチパニックを起こしている間にも、アビスはデュエルを進める

 

『そして岩石族モンスターの召喚に成功したのでゴルゴニック・ガーゴイルは手札から特殊召喚できる!』

 

 

ゴルゴニック・ガーゴイル

星3/闇属性/岩石族/守 800

 

 

『見るがいい凌牙、我が力を!

 我はレベル3のゴルゴニック・ゴーレムとガーゴイルでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!ランク3ゴルゴニック・ガーディアン!』

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン

ランク3/闇属性/岩石族/攻1600 ORU:2

 

 

「なんだよ、そのモンスターは……!」

 

その姿はあまりにも醜悪だった

下半身は蛇のような体で、顔にはだらしなく開けている口に赤と青のオッドアイ

耳の部分には蛇がくっついていて、物好きじゃない限りこのモンスターを使役したいと思うデュエリストはいないだろう

このモンスターはNo.じゃないとはいえ、警戒するに越したことは無いだろう

ドラゴディウスの攻撃力は1500だし、仮にダメージを受けても100しか食らわないから……

 

『果たしてそうかな』

 

俺の心の声に反応するように、アビスは声をかける

 

『我はゴルゴニック・ガーディアンの効果発動!ORUを1つ使い、フィールドのモンスター1体の効果を無効にし、攻撃力を0にする!』

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン ORU:2→1

 

魔装戦士ドラゴディウス/攻1500→0

 

 

ガーディアンの目から光線が放たれ、ドラゴディウスが石化していく

イメージ的にはメデューサか?

 

『ゴルゴニック・ガーディアンのもう1つの効果発動!

 このモンスターがフィールドに存在する限り、攻撃力0のモンスターは破壊される!』

 

「なんだと!?」

 

ガーディアンの蛇がドラゴディウスに絡みつき、破壊する

表側表示の限り、いくら守備力が高くても無意味って事か……!

 

『ゴルゴニック・ガーディアンでダイレクトアタック!』

 

「悪いけどそのダイレクトアタックは通さない!俺は手札のバトルフェーダーの効果発動!

 このカードを特殊召喚して、バトルフェイズを強制終了させる!」

 

 

バトルフェーダー

星1/闇属性/悪魔族/守  0

 

 

『ダイレクトアタックは避けたようだが……

 我はゴルゴニック・ガーディアンの効果発動!攻撃力0のバトルフェーダーを破壊する!』

 

バトルフェーダーもドラゴディウスと同じように破壊される

ガーディアンの効果はクリアウィングと似てるけど、攻撃力0のモンスターを破壊する効果は厄介だな

 

『我はカードを1枚伏せてターンエンド』

 

「俺はエンドフェイズ時にドラゴディウスの効果発動!

 戦闘・効果でこのカードが破壊されたエンドフェイズに発動できる、ドラゴディウス以外の攻撃力2000以下の戦士族か魔法使い族を手札に加える!俺は魔装戦士ドラゴノックスを手札に加える!」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ(補給部隊)

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

『そんな様で璃緒を救えると思っているのか?』

 

……アビスは何がしたいんだ?

俺と璃緒をここに呼んだだけじゃなく、まるで試すようにデュエルするなんて

いや、実際に試しているのか?

スカイ・ペガサスの時もドラッグルーオンの時もだけど、あの時のデュエルは遊馬やカイトを試していた

あいつらが自分を使うにふさわしい所有者かどうかを見極めるために

俺も、アビスに試されているのか?

 

「俺のターン、ドロッ……」

 

ドローをしようした瞬間、ちらりとアビスの方を見ると、あいつの両目が青く光っているのが見えた

何だあいつ、璃緒の体で何しようとしてるんだ!

 

「おいお前!璃緒の体で何を、」

 

ぐらりと視界が歪む

頭を押さえ、その歪みの痛みを追い払おうとゆっくりと頭を振る

 

「え、なっ……!」

 

そして再び前を向いた時には、俺の景色は変わっていた

俺は玉座のようなものに座っており、周りには槍を持って綺麗に整列した兵士がいた

周りを立ち上がり、あたりを見回す

玉座の後ろはステンドグラスになっていて、外からの光ですごい綺麗

そして壁にはこの国の紋章が飾られていた、あの紋章どっかで見たことあるんだけど、何処だっけなー?

白を基調とした建物らしく、調度品は青の系統でまとめられていた

 

「幻覚……?遺跡の記憶か?」

 

アストラルやブラック・ミストも遺跡の記憶を見たって言ってたし、俺が見てもおかしくない……のか?

 

「鏡?」

 

玉座の横には鏡が備え付けられていて、今の俺の姿を映し出してくれた

久しぶりに見た包帯が無く、やけどの跡もない顔

服装は金色の鎧で、青いマントを羽織っていて、胸元にはバリアンの紋章のペンダントをかけていた

 

「お姉様」

 

璃緒の声が当たりに響く

声のした方を向くと、そこにはあの民族衣装を着た璃緒がいた

 

「璃緒?お前もこの幻覚を見てるん?」

 

「リオ?幻覚?」

 

璃緒は意味が分からない、というようにコトリと首を傾ける

アビスが璃緒の体を使っているから、ここにいるのは本来の璃緒の意識だと思っていたがどうやら違うらしい

だったらこの璃緒はなんだ?ここが遺跡の記憶である以上、ここは過去の世界で、バリアン七皇の伝説の中だ

だからここに出てくる登場人物は、人間だったバリアン七皇達とその時代の人達しかいない

 

「お姉様、そろそろお時間です、皆が待っていますわ」

 

これ以上ここにいても進展しないだろう

俺は璃緒の後についていく、そしてついたのはバルコニー

 

「女王ー!」

 

「女王様ー!」

 

そこから見えるのは、たくさんの人

皆が俺を見て、嬉しそうに声を張り上げている、女王、と

 

「皆が、偉大な女王を讃えていますわ」

 

「……俺が?女王?」

 

璃緒は嬉しそうに、国民を見下ろしている

なんだろう、少なくとも俺が記憶している限り、遺跡のNo.を回収している時にこんな現象は起きなかった

もしかして、アビスが俺達姉妹を呼んだのはこの遺跡の記憶と関係あるのか?

 

「女王!女王!大変です!敵襲です!」

 

「敵ぃ!?」

 

俺が声を荒げると、敵襲を知らせて来た兵士は顔を歪める

璃緒の様子を見ようとそちらを見ると、璃緒も悲しそうに顔を歪める

敵襲ということは、戦いになり人が死ぬ

璃緒は優しいからその辺の事で、悲しそうにしているのかと思ったがどうやらそうではないらしい

でも顔を歪める理由までは俺はわからん

俺は城を飛び出し、兵士が用意してくれた馬に乗り走る

海上には海を監視する巨大な建物が建てられていた

建物の上に上がり、兵士たちに言われるままに海をみた

海には何十隻とおびただしい数の船がこちらに向かっており、後ろにはほかの船とは十数倍はあろう巨大な船がこっちに近づいてきていた

 

「あれが、敵か」

 

そう言った瞬間、兵士たちの空気が変わる

全員が顔を歪めて、痛ましそうに俺を見ていた

なんだ?あの敵に何かあるのか?

 

「総員、迎え撃て!」

 

兵士の声で迎撃態勢を取ろうとした時、いきなり海が荒れる

そして海からさっきアビスが召喚した同じモンスター、ゴルゴニック・ガーディアンが現れた

こちらに向かい目から光線を出す……ってあれがアビスの召喚したガーディアンと同じ効果を持っているとしたらまずい!

 

「全員よけろ!あれに当たるな!」

 

光線が俺達に降りかかる

俺は自分の身を守るのに精いっぱいで、周りを見る余裕がない

……そして光線の雨が終わり、周囲を見回すと、そこは地獄絵図だった

助かった者ももちろん居るが、兵士の大半が光線に当たったらしく石化してしまっている

……戦いだってわかってるけど、酷いな、これは

巨大な船がこちらに近づいてくる

 

「ん!?ベクター!?」

 

巨大な船についている玉座(?)に座っていたのはベクターだった

ベクターの遺跡だと、ベクターは平和を愛した優しい皇子だったんだけどどうしてこうなったし

 

「!えぇ……ベクター皇子は、現在近隣諸国を侵略し、略奪と虐殺を繰り返しており……現在は狂気の皇と呼ばれています」

 

「おっふ……でもなんでベクターが……」

 

この遺跡の記憶にベクターが登場するとか予想外ですわぁ……

でも璃緒もいるし、この記憶どうなっているん?

ていうかベクターとこの遺跡の伝説を持つ七皇って同じ時間軸存在してたんか

 

「女王よ、貴女の心の痛みは我々の想像を超えるでしょう……

 ですが忘れないでください、巫女姫様も、我々も、女王とベクター皇の思い出を否定しません」

 

巫女姫様って多分璃緒の事だろうなぁ

ってか女王とベクターの思い出って何?女王とベクターって知り合いなの?この兵士たちも知ってるみたいだし、国ぐるみの付き合い?

うーん、わからん

 

「……っつ」

 

ぐらりとまた視界が歪む

前を見るとデュエルディスクを構えている璃緒が見えた

帰ってきたか……てか本当にアビスは一体何をしたいんだ?

遺跡の記憶を見せて、俺にそれを疑似的に体験させる

今までの遺跡と全く違い、俺は戸惑いを隠せなかった

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ(補給部隊)

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1




この海の遺跡のデュエルは凌牙ちゃんの今後を左右する重要なものになります
このデュエルが終わった後、凌牙ちゃんがどのような行動をとるのか、お楽しみに!
……といっても、デュエルはまだまだ始まったばかりなんですが

ちなみに今回のデュエルは今までと違い、ほとんどアニメと同じように進行します


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

62/神代凌牙VSNo.73激瀧神アビス・スプラッシュ~知らない記憶~

今回めっちゃ長いです
いやだっていいところで切ろうとすると、次の話ですぐデュエルが終わったりするので、この話に全部ぶっこむしかなかったんや……
許せ、ナッシュ……


神代凌牙LP:4000 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ(補給部隊)

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!

 俺はセットしていた補給部隊を発動させる!」

 

さてどうしたもんか……

攻撃表示……というか表側表示で出した瞬間、ゴルゴニック・ガーディアンの効果で破壊される

ということは必然的に裏守備で出さないといけないことになる

俺の手札のメンコートは守備力が2000もあるし、ガーディアンに負けることもないだろう

んで、とりあえずブラフとしてペンデュラム・バックとペンデュラム・ターンを伏せとくか

 

「俺はモンスターを裏守備でセット、カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:2

【モンスター】

裏守備×1

【魔法・罠】

補給部隊(永続魔法)

セット×2

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

『我のターン、ドロー!

 それでゴルゴニック・ガーディアンの効果から身を守ったつもりか』

 

「いや全然」

 

ぶっちゃけこういう状況も織り込み済みだろうし、デュエリストの腕もいいし、対処できないわけがないんだよな

 

『リバースカードオープン!魔法カードゴルゴン・チャームを発動!

 フィールドにセットされたモンスターを表側守備表示にする!』

 

やっぱなにかしらの対抗策があったか……

クルリとカードが反転し、メンコートがフィールドに姿を現す

 

 

SRメンコート

星4/風属性/機械族/守2000

 

 

『そしてゴルゴニック・ガーディアンの効果発動!ORUを1つ使い、フィールドのモンスター1体の効果を無効にし、攻撃力を0にする!』

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン ORU:1→0

 

SRメンコート/攻100→0

 

 

『そしてゴルゴニック・ガーディアンのもう1つの効果発動!攻撃力0のモンスターを破壊する!』

 

「でも、ただでは転ばないよ!俺は補給部隊の効果発動!1ターンに1度、俺のモンスターが戦闘・効果で破壊されたからカードを1枚ドロー!」

 

石化したメンコートが粉々に砕け散り、フィールドから姿を消す

今現在、このターンの攻撃を凌ぐ手立ては俺にはない

だけどガーディアンのORUを全て使いきらせたのは行幸かな?

 

『さらに手札から装備魔法エクシーズ・ユニットをゴルゴニック・ガーディアンに装備!

 エクシーズ・ユニットはモンスターエクシーズに装備でき、そのモンスターのランク×200攻撃力をアップさせる!』

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600→2200

 

 

『行け!ゴルゴニック・ガーディアンで凌牙にダイレクトアタック!』

 

ガーディアンが蛇の尾を振り回し、俺に叩きつける

 

「ぐ、ああああああああああ!」

 

 

神代凌牙LP:4000→1800

 

 

痛いよ!2200のダイレクトアタックは痛いよ!

ズサーと勢いよく地面に滑り、何とか体勢を立て直す

 

『我はこれでターンエンドだ』

 

 

神代凌牙LP:1800 手札:3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

補給部隊(永続魔法)

セット×2

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻2200 ORU:0

【魔法・罠】

エクシーズ・ユニット(装備魔法)

 →対象:ゴルゴニック・ガーゴイル

 

 

よりにもよってエクシーズ・ユニットかぁ……

あのカードは攻撃力上昇のほかに、ORUの変わりとして使える効果がある

またモンスターを出しても、ガーディアンの効果で破壊されるだろう

 

「っつ!」

 

また、遺跡の記憶に入り込む

俺は玉座にまた座っていて、傍には璃緒と3人の兵士が跪いていた

その兵士たちの格好はボロボロで、戦いの後と見て取れる

 

「女王陛下、ご報告いたします

 各方面の戦況は劣勢、ベクター皇子はゴルゴン軍を使い次々と我が国の防御線を突破

 ……我が国の城下に攻め入るのも、時間の問題かと思われます」

 

ガーディアン……カードの精霊(いや、時代的には石板の精霊か?)に生身の人間が勝てるとは到底思えない

ARC-Vのレイだって、プロフェッサーの作った花鳥風月の力が宿ったカードを使って、モンスターと一体になったズァークを倒した……というか封印?したぐらいだし

まぁ、その代わり次元が4つに分断されたけどな!

 

「このままでは、我が国は愚か近隣諸国の民全員が皆殺しにされてしまいます!」

 

兵士の1人が必死に訴えてくる

うーん、どうしたもんか……

これどういう風に答えるのは正解なんだよ……

 

「……お前ら俺に何を求めてるん?」

 

わからなかったら聞くのが1番、相互理解は大事です

 

「お姉様、皆がお姉様の指示を待っています

 この国の女王であり指導者でもある、お姉様の指示を」

 

璃緒ー!俺が聞きたいのはそう言う事じゃない!

もっと、防御を固めたら?とか攻撃したら?とかそういう事を聞きたかったんや!

 

「あのさ、俺はそう言う事を聞きたかったんじゃないんよ

 そうやって俺にお前らの責任を押し付けてくるのやめてくれる?」

 

俺はごく一般的な転生者だ

他人の命も、この国の運命を、押し付け来ないでほしいな

たとえここが遺跡の記憶だったとしても、今ここで起こった出来事の責任は俺が支払わなければならない

悪いけど、他人の為に俺は責任を負えない

 

「じょ、女王!?」

 

「どうしたのお姉様!?」

 

璃緒と兵士たちは信じられないものを見るような目で見つめる

どういう答えを期待してたか知らないけど、俺はお前達の知ってる”女王”じゃないからなー

 

「お姉様は、このポセイドン連合国を束ねて来た指導者じゃない!この世界の平和をずっと守ってきたじゃない!」

 

そんな事言われてもなー……

俺には思い出も、感情も、この国には持っていない

言っちゃなんだが、他人の為に俺は命をかけられない

 

「……やはり、ベクター皇子の事ですの?」

 

「……ん?」

 

「確かに、いきなりのベクター皇子の凶行に私も、この国の民たちも戸惑いに見ています

 でも、だからこそ!私達はベクター皇子を止めなくてはいけないのではなくて!?

 ただの和義を結んだ友好国ではなく、私達の家族を、お姉様の世界で1番」

 

-…乗り越えろ

 

璃緒の声を遮るように、頭の中にアビスの声が響き渡る

ふと横を見ると飾ってあった鏡の中の俺と目があう

 

-…試練を乗り越えろ

 この世界の戦いも、デュエルにも勝つのだ

 さすれば、お前は

 

ガン、と鏡に拳を叩きつける

いい加減にしてくれませんかねぇ!(憤怒)

この意味の分からん状況を理解しようと頑張ってるんに、ちゃちゃ入れてくんなや!

つーかこの世界はともかくデュエルには勝つよ!

 

「俺の試練、ねぇ」

 

璃緒や兵士の皆がなんか言ってますが、知らんぷりです

……ん?鏡?あっ(察し)

 

「んー、まぁ、色々あるけど……どっちも負けるのはイラっと来ちゃうよね!

 よっしゃお前ら!兵士に新たな武装をさせてね!」

 

ぐらり、と遺跡の記憶から現代に戻ってくる

遺跡の記憶がヒントになり、ひとまずガーディアンの攻略方はわかった

あいつの攻撃力を0にすれば、自身の”攻撃力0のモンスターを破壊する”という効果を自分自身が受けることになる

それをするカードは、俺が拾った璃緒のカードしかない

クリアウィングでも突破できるけど、出す前にガーディアンの効果で素材のモンスターを破壊されるもんなぁ

……そんなわけで、デッキは俺に微笑んでくれるかな?

 

「俺のターン、ドロー!」

 

引いたカードは……!

 

「よっしゃ!俺ってばカードに選ばれすぎぃ!

 俺は手札から速攻魔法絶対零度を発動!ORUの無いエクシーズモンスター1体の攻撃力を0にする!」

 

カードから冷気が吹き荒れ、あたりを雪で覆っていく

デュエルの時でもお姉ちゃんを守ってくれるなんて、流石マイゴットプリティーシスター!

 

『無駄だ、装備魔法エクシーズ・ユニットは』

 

「ORUを使った効果を発動する時、その代わりとすることが出来る、だろ?

 でもエクシーズ・ユニットはあくまで”ORUの代わりにできる”だけで合ってORUじゃない、よって絶対零度の効果は有効だ!」

 

ぴきぴきとゴルゴニック・ガーディアンが凍っていく

いくらガーディアンの効果が協力とはいえ、俺のフィールドにモンスターが居なければその効果を発揮することが出来ない

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン/攻2200→0

 

 

「この瞬間、ゴルゴニック・ガーディアンの効果発動!攻撃力0のモンスターを破壊する!」

 

ぐらりとまた遺跡の記憶に入り込む

俺は新しい武装をした兵士と一緒に船に乗り込み、海原に繰り出す

そして海からガーディアンが現れる、計 画 通 り (ゲス顔)

 

「今だよ!鏡を出して!」

 

一斉に鏡の盾を構える

その瞬間、ガーディアンから石化の光線が放たれるが、盾の鏡が全ての光線を反射する

反射された光線がガーディアン達に当たり、石化して粉々に砕け散る

やったぜ(コロンビア)

そして感覚が現代に戻る

うーん、でもほんとアビスは何がしたいんかなー?デュエルに勝つヒントとかも出して、わからん

まー、何はともあれ、これで心置きなく展開できる!

 

「俺はSRドミノバタフライを召喚!」

 

 

SRドミノバタフライ

星2/風属性/機械族/攻 100

 

 

パタパタと可愛らしい音を立てながらドミノバタフライが現れる

羽の部分がダイスになっていて、どこぞの駄菓子を思い浮かべてしまう

 

「さらに俺は手札のSRタケトンボーグの効果発動!自分フィールドに風属性モンスターがいる時特殊召喚できる!

 そしてこのカードをリリースすることでSRのチューナーモンスターをデッキから特殊召喚できる!この効果でSR三つ目のダイスを特殊召喚!」

 

 

SR三つ目のダイス

星3/風属性/機械族/攻 300

 

 

「この効果を発動したターン、俺は風属性モンスターしか召喚できないよ

 俺はレベル3の三つ目のダイスにレベル2のドミノバタフライをチューニング!その躍動感溢れる剣劇の魂、出ておいで!レベル5HSRチャンバライダー!」

 

 

HSRチャンバライダー

星5/風属性/機械族/攻2000

 

 

幾重にも星が重なり、新たなモンスターが俺のフィールドに現れる

どうでもいいけど刀を見ると、刀擬人化のゲームを思い出すね

 

「行くよ!俺はチャンバライダーでアビスにダイレクトアタック!」

 

『させぬ、我は墓地のネクロ・ガードナーの効果発動!このカードを除外してその攻撃を無効にする!』

 

刀のままアビスに突っ込むチャンバライダーだが、ネクロ・ガードナーの亡霊(?)がそれを阻む

あれたぶん最初の手札抹殺の時に落ちたんかなぁ……

 

「でもそれで安心するのは早いよ!チャンバライダーは2回攻撃ができる!

 さーらーにーチャンバライダーはダメージステップ開始時に攻撃力が200アップする!」

 

『!』

 

 

HSRチャンバライダー/攻2000→2200

 

 

「いっけーチャンバライダー!柄まで通してー!」

 

チャンバライダーは亡霊を打ち払い、もう1度アビスの方へ向かっていく

2度目の攻撃を防ぐ手段を、アビスは持っていなかったみたいでチャンバライダーに柄まで通される

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000→1800

 

 

うっし、これでアビスのライフを大幅に削ることが出来た!

最初の攻撃が無効にされなかったら、このターンで決着がついたけどそこまで贅沢は出来ない

俺はそのままエンド宣言をする

 

 

 

神代凌牙LP:1800 手札:1

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2200

【魔法・罠】

補給部隊(永続魔法)

セット×2

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:1800 手札:3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

『我のターン、ドロー!

 魔法カードゴルゴニック・リチューアルを発動!

 墓地の岩石族モンスターエクシーズを除外し、墓地から岩石族モンスターを守備表示で特殊召喚する!

 ゴルゴニック・ガーディアンを除外して現れろ!ゴーレム、ガーゴイル!』

 

 

ゴルゴニック・ゴーレム

星3/闇属性/岩石族/守 600

 

ゴルゴニック・ガーゴイル

星3/闇属性/岩石族/守 800

 

 

リチューアルの効果でゴーレムとガーゴイルが蘇生させられる

レベル3……もしかしたらまたガーディアンが来るか?

 

『さらに魔法カードゴルゴニック・パイルを発動!ゴルゴニックモンスター1体につきレベルを1アップする!

 フィールドのゴルゴニックモンスターは2体、よってレベルを2つアップする!』

 

 

ゴルゴニック・ゴーレム 星3→5

 

ゴルゴニック・ガーゴイル 星3→5

 

 

「レベル5のモンスターが2体……!」

 

この場面でランク5のエクシーズモンスターと言ったら……

今デュエルしているアビス自身であり、この遺跡のNo.だろう

 

『凌牙、お前の記憶を呼び起こせ!』

 

「俺の記憶……!いっつ!」

 

どういう意味だと聞こうとした瞬間、遺跡の記憶に放り込まれる

俺の記憶はこの次元とは異なる次元の孤児である”武藤マナミ”と、今この場所で生きている”神代凌牙”の記憶しかない

……いや、もしかして俺が覚えてないだけで”武藤マナミ”と”神代凌牙”の他に違う人物として転生していたとか?

ただ”神代凌牙”の時に”武藤マナミ”を思い出しただけで合って、その前に違う人物として生きていたって不思議じゃないんだし

……あれ?待って、待ってよ

だって、ここはバリアン七皇が人間だった時の遺跡で、アビスはこの遺跡のNo.で、そのNo.が記憶を呼び起こせって事は

 

「…!」

 

嘘でしょ、だってアビスの言ってることが本当なら

俺は、俺は遊馬の、皆の……

いや、これはもしかしたら遊戯王次元特有の心理フェイズかもしれん

だってそうじゃないと、俺は

 

『見るがいい、凌牙!我はレベル5の2体のゴルゴニックモンスターでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れろ、No.73!カオスに落ちたる聖なる雫、その力を示し混沌を浄化せよ!激瀧神アビス・スプラッシュ!』

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ

ランク5/水属性/戦士族/攻 2400 ORU:2

 

 

……気持ちを切り替えろ、俺!今はデュエルに勝つことに集中するんだ!

白いマントをつけて、青と黄色の鎧を身に着けたNo.が現れた

 

「……女王!女王!」

 

「!え、な、何?」

 

気が付いたら俺は遺跡の記憶に入り込んでいた

ベクターが船の上から兵士を一人海に突き落とす……って何してるのあいつ!?

 

「まずいです女王!あれは……!」

 

兵士が何か言おうとしたが、その前に海に変化が訪れる

海が渦巻き、光があふれ、現れたのは……遺跡のNo.であり、俺をこの記憶に放り込んでいるNo.73激瀧神アビス・スプラッシュだった

アビスが持っている杖を掲げ、光線を放つ

……次の瞬間、こちら側の船が光線によって次々に爆破・破壊されてしまった

その光線は船のみならず、城や町までも破壊したのだ

 

「うわぁあああああああ!」

 

光線や爆破の衝撃を受け、甲板に転がる

どうする?あいつにはガーディアンに使った鏡の戦法は使えない

あいつを倒すには弱体化か、あるいはあいつ以上の攻撃力を持つモンスターとかで倒すしかない

ここが遺跡の記憶の中である以上、モンスターは召喚できない

弱体化にせよ、方法が分からない、一体どうすれば……!

 

「ふぁっ!?璃緒!?」

 

馬の蹄の音が聞こえたからそちらを見て見ると、璃緒が馬に乗ってデカい桟橋を走っていた

あの子何考えてるん!?見た感じ丸腰だし、いくら何でも危険すぎる!

 

「何やってるの!?璃緒、お城に戻れ!璃緒!」

 

俺の言葉をガン無視し、アビスの前に立つ

待って、ねぇ、何する気なの?

 

「璃緒!」

 

ガクリと倒れそうになった体を何とか支え、前を見据える

いつの間にか現代に戻っている、が……

璃緒は空中に浮かび、十字に張り付けられた罪人のように拘束されていた

 

「おいアビス!てめぇ璃緒に何してる!璃緒を開放しろ!」

 

『神代凌牙、これからお前の本当の試練が始まる』

 

光が収束し、璃緒の代わりに小さなアビス……多分スカイ・ペガサスみたいな存在だろう、が姿を現した

これから、本当の意味でアビスとのデュエルが始まる……!

 

『我はNo.73アビス・スプラッシュの効果発動!ORUを1つ使い、バトルの間攻撃力を2倍にする!』

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ/攻 2400→4800 ORU:2→1

 

 

攻撃力4800……

ターン1制限がないし、最悪9600に跳ね上がるわけか……あかん(白目)

 

『行くぞ!我はアビス・スプラッシュでHSRチャンバライダーに攻撃だ!』

 

「させない!俺は墓地の三つ目のダイスの効果発動!このカードを除外して攻撃を無効にする!」

 

アビス・スプラッシュが杖を掲げ、光線を放つが三つ目のダイスが無効にする

くっそ、クリアウィングかブラック・ミストが居ればこいつなんてやっつけられるのに!

つかなんでバージェストマカードが1枚も来ないんだよ!デッキに何枚入れてると思ってるんだ!

 

『防戦ばかりで、我を倒せると思っているのか!我はこれでターンエンドだ!』

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ/攻 4800→2400

 

神代凌牙LP:1800 手札:1

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2000

【魔法・罠】

補給部隊(永続魔法)

セット×2

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:2000 手札:3

【モンスター】

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ/攻 2400 ORU:1

【魔法・罠】

無し

 

 

またぐらりと遺跡の記憶に放り込まれる

……そして目に飛び込んできたのは、アビスに囚われた璃緒だった

 

「……は?」

 

あまりの事に思考が止まる

なんで、なんで、璃緒が捕まってるの?

 

「ははははははは!さぁ俺に降伏しろ!さもなくばお前の妹は海の泡と消えるだろう!」

 

アビスの足元に渦が現れる

あそこに璃緒を落とすつもりなのだろう

海のど真ん中で、アビスに戦うすべも、璃緒を救うすべも、今の俺にはない

 

「はああああああああああ!」

 

空から男の人の声が聞こえ、そちらを見るとペガサスになった眼鏡の無いドルべがいた

 

「ドルべ!?」

 

「わが友よ何を驚く!私が君の危機に駆け付けないと思ったか!」

 

ドルべはペガサスを巧みに操り、アビスに対して攻撃を仕掛ける

アビスは片手に璃緒を捉え、もう片方には杖を持っている為思うようにドルべに対して攻撃できないでいた

そうしてアビスが思うように動けないまま、ドルべの剣とペガサスによって確実にダメージを与えられていた

 

「何をしている!さっさとドルべを射落とせぇ!」

 

「っつ!ベクター!どうしてだ!どうしてこのようなことをする!」

 

ドルべが必死に何かベクターに訴えかけているが、それを意に返さないようにベクターは俺を見る

その顔は、酷く歪んでいた

 

「さぁ選べ!妹を救うのか、国を救うのか!」

 

どちらを救うかなんて、そんなの璃緒を救うに決まっている!

……でも、少しだけ、少しだけこの国も救いたい、なんて思ってたりする

そりゃ璃緒の方が大事だけど、この遺跡の記憶でしかないけど、それでも俺を信じてついてきた兵士の皆を切り捨てるのは……少しだけ、心が痛む

それにアビスの言った”記憶を呼び起こす”事がそのままの意味だったら

これは遺跡の記憶なんじゃなくて、俺の知らない、俺のもう1つの記憶だったら

少しの躊躇をしている間に、アビスに囚われていた璃緒がアビスの手の上で立っていた

 

「璃緒……?」

 

「邪の呪印を解くには、聖なる代償で浄化するしかない」

 

璃緒はただただ悲しそうに俺を見るが、それ以外に強い意志を感じる

あの璃緒の目は、何か覚悟を決めた目、何が何でもそれを貫こうとする目

 

「璃、緒?お前、何する気だ?おい、やめろ、やめろ璃緒!」

 

これから璃緒がやろうとすることが想像でき、必死に声を張り上げる

やめて、俺が、俺が代わりに聖なる代償とやらになるから!お願いだから、やめて!

 

「お姉様、私の魂がアビスを浄化するわ」

 

ぐらりと璃緒の体が傾く

どんどんと璃緒の体が海面に近づき、そして

 

「璃緒おおおおおおおおおおおおおお!璃緒おおおおおおおおおおおおおおお!」

 

……海から光が爆発し、現れたのは、まだ俺が見たことのないモンスターだった

そして俺の感覚が現代へと戻る

俺はデュエル中にも関わらず、膝を折る

 

「あれが、俺の、俺の知らないもう一つの、記憶?」

 

そうだったとしたら、俺は璃緒を救う事が出来なかったの?

俺の唯一の家族を、俺と同じ血を引く、この世界でたった1人の妹を

 

『このフィールドは、お前の心その物

 お前は再び、この世界でも妹を失うことになる

 ……お前のその心の弱さが、大切な物全てを失うことになる』

 

その瞬間、浮かんでいた璃緒は重力を取り戻し……遺跡の下へ落下していく

その光景は、さっきの記憶にあった璃緒とそっくりで

 

「離……」

 

お願い、お願いだから動いて!なんで動かないんだよ!お願いだから!じゃないと、俺は、また璃緒を、お願い、お願いだから、誰か、誰か璃緒を

 

 

 

 

 

「かっとビングだぁ!俺ぇ!」

 

 

 

 

 

俺の横を見慣れた影が横切る

その影は……遊馬は落ちた璃緒をキャッチし、璃緒が怪我をしないように遊馬がしたになるように受け身を取る

 

「シャーク!いもシャは助けた!これで心置きなくそいつをぶっ飛ばせ!」

 

「遊、馬?」

 

あまりに色々なことが起こりすぎて思考が停止する

唖然とする俺にブラック・ミストが近づき、支えてくれる

 

『凌牙、大丈夫だ!璃緒なら遊馬が助けた!』

 

ブラック・ミストの声でようやく状況がつかめる

璃緒が、助かった?

 

「よかった……よかったよぉ……!」

 

璃緒が無事で、思わず涙腺が緩む

だって、この世界で唯一の肉親が、弔わられなくて

……そうだ、泣いてる場合じゃない

遊馬が璃緒を救ってくれたんだ、俺も、頑張ってこいつを倒してNo.を回収しないと

……記憶について悩むのは、その後だ

 

「ブラック・ミスト、一緒にいてくれるか?」

 

『!当たり前だろ!?』

 

ブラック・ミストが俺の横に立つ

やっぱりお前は心強いなぁ

俺の目の前に光が収束し、1枚のカードとなって俺の前に姿を現す

 

「これは……」

 

記憶の中にあった……璃緒の化身のNo.

 

『さぁ凌牙、我を倒し自分の記憶を取り戻し、女王として世界を導くのだ!』

 

「うっせぇ!世界を導けとか知るか!俺は俺の人生を生きる!俺のターン、ドロー!」

 

大丈夫、璃緒は救われた、ブラック・ミストも遊馬もアストラルもいる

後は、俺が頑張るだけだ!

 

「俺は強欲で貪欲な壺発動!デッキトップを10枚除外して2枚ドロー!

 うっし、俺は手札の妖仙獣右鎌神柱と左鎌神柱でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

2本の光の柱の中に対となる鳥居が姿を現す

俺はそれを確認すると、すぐに伏せカードを発動させる

 

「リバースカードオープン!速攻魔法ペンデュラム・ターンを発動!

 この効果により右鎌神柱のスケールを7へ変更する!」

 

 

妖仙獣右鎌神柱 Pスケール5→7

 

 

「さらに罠カードペンデュラム・バックを発動!

 自分のPゾーンにカードが2枚ある場合、そのPスケールで召喚可能な墓地のモンスター2体を手札に加える!俺は2枚目のレベル4魔装戦士ドラゴノックスと、レベル5のSR56プレーンを手札に加える!」

 

カシュっとデュエルディスクから出て来たカードを抜き取る

俺の展開はまだまだ終わらない

 

「スケール3の左鎌神柱とスケール7の右鎌神柱がいるからレベル4から6のモンスターが同時に召喚可能!

 揺れろ、魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!手札の魔装戦士ドラゴノックスとSR56プレーン、EXデッキからもう1体の魔装戦士ドラゴノックス!」

 

 

魔装戦士ドラゴノックス×2

星4/闇属性/戦士族/攻1500

 

SR56プレーン

星5/風属性/機械族/攻1800

 

 

光の柱から3つの光がフィールドに降り立つ

よし、これで準備は整った!後は頑張るだけだ!

 

「EXデッキからモンスター効果発動!」

 

『EXデッキからモンスター効果だと!?』

 

まぁ、墓地から罠より珍しいからなぁ

2体のドラゴノックスが光の渦に巻き込まれていく

 

「このカードは融合カードを使わなくても、闇属性のペンデュラムモンスター2体をリリースしてもEXデッキから特殊召喚できる!

 俺は2体のドラゴノックスをリリースして特殊(融合)召喚!覇王眷竜スターヴ・ヴェノム!」

 

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム

星8/闇属性/ドラゴン族/攻2800

 

 

遊戯王ARC-Vでのラスボスのズァークが使っていた覇王竜の眷属

まだまだ、まだ俺のターンは終わらない!

 

「俺は魔法カードジェリーレインを発動!フィールドのモンスターを全て水属性にする!

 ……行くよ!俺は水属性になったレベル5のSR56プレーンとHSRチャンバライダーをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

2体のモンスターが光の渦に巻き込まれていく

……光の雪の結晶がフィールドに現れ、ゆっくりと開いていく

 

「氷の心纏いし霊界の巫女、澄明なる魂を現せ!No.94極氷姫クリスタル・ゼロ!」

 

 

No.94極氷姫クリスタル・ゼロ

ランク5/水属性/戦士族/攻2200 ORU:2

 

 

青いドレスに白い鎧を纏った女性型のモンスターが現れた

澄んだ空気を纏った、まさに巫女と呼ぶにふさわしいNo.だ

 

「バトルだ!俺はスターヴ・ヴェノムでアビス・スプラッシュに攻撃だぁ!」

 

『甘い、我はアビス・スプラッシュの効果を発動!ORUを1つ使いバトルの間攻撃力を2倍にする!』

 

「甘いのはそっち!俺はクリスタル・ゼロの効果発動!ORUを使うことでフィールドのモンスター1体の攻撃力を自分のエンドフェイズまで半分にする!俺はORUを2つ使い、アビスの攻撃力を半分の半分にする!クリスタル・イレイザー!」

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ/攻 2400→4800→2400→1200 ORU:1→0

 

No.94極氷姫クリスタル・ゼロ ORU:2→0

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP2000→400

 

 

クリスタル・ゼロの効果でアビスの力が急速に力が失われていく

相手を油断させるために先にスターヴ・ヴェノムで攻撃したけど、どうやら心配しすぎ見たいだ

 

「俺はクリスタル・ゼロでアビス・スプラッシュに攻撃!クリスタル・ジャベリン!」

 

『うわああああああああ!』

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP400→-1800

 

WIN 神代凌牙

 

 

アビスが吹っ飛び、Dゲイザーのファンファーレが鳴り響く

あー……勝てたぁ……

 

「やったなシャーク!」

 

遊馬が璃緒を支えながら喜びの声を上げる

 

「ねぇアビス、なんで俺と璃緒にこんなことするん?」

 

なんで璃緒を人質まがいな事をして、俺の記憶を呼び覚ますような真似をしたのか

敗者であるアビスに、俺の質問に答えるしかない

 

『……我はそなたの命令に従ったまでだ

 そなたの記憶を呼び覚ますという命令に』

 

「俺の命令……?」

 

アビスが光に包まれて、1枚のカードになり俺の元に来る

そしてカードを受け取った瞬間、一層強い光に包まれる

これが、俺のNo.……

 

「ん!?」

 

あっれー!?アビスの効果が変わってる!?

レベル5のモンスター2体からレベル5の水属性モンスター2体に変わってるし、効果使ったターンの相手に与えるダメージが半分ってどういうことぞ!?

なんて考えていたら、俺達は光に包まれて、気が付いたら飛行船にいた

 

「遊馬!皆!」

 

小鳥ちゃんが涙目で俺達を迎える

なんとか戻ってきた、か

……いや、安心してる場合じゃない!璃緒は!?

 

「璃緒?璃緒!」

 

璃緒はぐったりと甲板に横たわっており、力なく目を閉じていた




次のデュエルは、アイドルのあの子です
ちょっとだけあの子の秘密もわかる……かも


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4、神代凌牙の選ぶ道
63/神代凌牙VS蝶野さなぎ~可愛いモンスター対決(?)~


ミラフォが仕事した……だと?
といか散々ひっぱった最強カードがミラフォで草
まぁ、実際決まればミラフォは強いけどね!


ぴっぴっぴっと電子音が規則的に響く

病院のベットには死んだように眠る璃緒がいた

あの遺跡の出来事以来、璃緒は目を覚ましていない

 

「……俺が1年寝てた時、璃緒はこんな気持ちだったんかなぁ」

 

『凌牙……』

 

遊馬やアストラル、バイロンさんにカイトに診てもらったけど、原因はわかっていない

原因はわからないけど、きっかけはあの遺跡の出来事に間違いない

俺はカードケースからカードを取り出す

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ、俺の化身のNo.

理由はわからないが、アビスはアビス自身が使っていた時と、俺がアビスを手に入れた時じゃ全く効果が変わっている

No.96ブラック・ミストもカード効果が変わってたってブラック・ミストが言ってたし、もしかして転生者……この次元とは違う魂である俺が持つことによってカードが変質した……のか?

わからん

というか考える事が多すぎて頭がパンクしそうだ

7枚の遺跡のNo.は回収し終えた(1枚はバリアンに回収されたけど)が、この後どう動くべくか

バリアン側の動向も気になるし、璃緒の事もどうにかしないといけない

それに……俺が一体、なんなのか

俺は”神代凌牙”であり、私は”武藤マナミ”だ

それは俺自身がよくわかってるし、それは何があろうと変えられない真実だ

でも、あの遺跡の記憶は俺の知らない俺の記憶

 

「あーもー……脳みそ死んじまいそうだよー……」

 

『お前、本当に大丈夫かよ?』

 

「もうだめかもわからんね」

 

アビスはあの時確かに言った、俺の記憶を呼び覚ませと、そしてそれは俺の命令だと

アビスの言った事が本当だとすると、俺は何等かの事情で記憶を失ったか、又は死ぬときにアビスに俺の記憶を取りもどうすように頼んだという事だろう

基本的にNo.の遺跡はバリアン七皇が人間だった時の記憶が眠る場所だ

あの記憶が本当に俺の知らない俺の記憶なら、俺は、バリアンということになる

それが本当なら、俺は……俺達は、遊馬達の敵だ

確かに俺は今まで真面目に生きて来たと胸を張っては言えない

璃緒を守るために男を殴り飛ばしたりしたし、俺の半身である璃緒にも、ハルト君とオービタル君にバレなければ前世の記憶を話そうとは思わなかっただろう

でも、だけど地獄に落ちるような悪いこともしていない

なのになんだよこの仕打ち

本当に俺がバリアンだったら、俺は選択しなければいけない……

遊馬達の味方になるか、それとも敵になるか

 

「……」

 

敵か味方と言われたら、俺はもちろん遊馬達の味方だ

だけど、俺達は遊馬達の敵であるバリアンかもしれないのだ

いくら味方だ味方だと言っても、俺達自身は敵と同じバリアンだったら……信用してはもらえないだろう

 

『璃緒、目が覚めないな』

 

「せやなー……」

 

ブラック・ミストには全部話してある

というかブラック・ミストも遺跡の記憶に入り込んだらしく、俺に話を聞いてきたのだ

俺とブラック・ミストはある意味運命共同体で、俺の相棒

だから散々迷って、そしてブラック・ミストに伝えた

俺の話を黙って聞いて、ブラック・ミストは言った『俺はお前についていく』と

『結局俺は、凌牙が永遠の孤独を味わうことになろうとも戦うという決意を曲げることは出来なかった、だからせめて凌牙の最後を全部見届ける』と

本当に、俺にはもったいない相棒やでぇ……

 

「ちょっとさ、お散歩行こうか」

 

『あいよ』

 

ちょっと色々考えすぎて頭の中がぐちょぐちょになったので、とりあえず外に出て気分転換を図る

とりあえず公園にあるホットドック屋さんにでも行こうかな

ちなみにホットドック屋さんと言っても草薙さんはいません、畜生!

無事ブラック・ミストの分も含めて2つ買い、公園の隅の方に移動する

この辺、実は人が全く来ない穴場なんですよ!

よくトーマスと会うのにこの場所使ってたっけなー

 

「やぁシャークちゃん、それにカードの精霊さん!久しぶりだね!」

 

「ふぁっ!?」

 

『ん!?』

 

いきなり後ろから声をかけられ、肩をビクつかせる

後ろを振り向くと、いつもの衣装とは違いスポーティーな服を着たさなぎちゃんがいた

 

「……ドーモ、さなぎ=チャン、神代凌牙です」

 

『ドーモ、蝶野さなぎ=サン、No.96ブラック・ミストです』

 

「ドーモ!シャーク=チャン、カードの精霊改めNo.96ブラック・ミスト=サン!蝶野さなぎです!」

 

>>突然の忍殺語<<

……じゃないや、なんでさなぎちゃんがここにいるん?

それにあの白紙のカードの事も聞かないと……あーもー聞きたい事多すぎ!

なんで気分転換にお散歩してるのに、また考え事が増えなあかんねん(憤怒)

 

「ん?ブラック・ミスト君、やけにあっさり正体バラすんだね?てっきりしらばっくれると思ったんだけどなー?」

 

『あの白紙のカード渡されたり、そのカードがNo.になったらそら正体隠す気無くなるだろ』

 

「そっかぁ!」

 

さなぎちゃんフレンドリーすぎぃ!

何というか、うん、さなぎちゃんが元気そうで何よりです

 

「んー、とりあえず挨拶もそこそこに聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

「大丈夫だよ!というか、多分シャークちゃんが聞きたい事を教える単にさなぎはここに来たんだ」

 

教えてくれるんだったら、遠慮はいらないかな?

俺はブラック・ミストに目くばせ、さなぎちゃんに再度目を向ける

そんな俺とブラック・ミストの事をニコニコとさなぎちゃんは見つめている

 

「あー……色々聞きたい事はあるんだけど……

 とりあえず、さなぎちゃんは一体何者なん?まさかあんなカード渡しといてただのアイドルです、なんていうわけないよね?」

 

「さなぎ自身はただのアイドルなんだけどねぇ

 あのカードはね、さなぎの師匠からシャークちゃんに渡してって頼まれたんだよ」

 

『師匠?』

 

うーん、じゃぁその師匠とやらに何かあるって事なんかな?

でもだからと言ってさなぎちゃんがただのアイドルとは思えないんだよなぁ……

 

『その師匠は誰だ?なんで直接白紙のカードを渡してこない?』

 

「ねー、さなぎも師匠が渡した方がいいって言ってるのに、師匠が全然頷いてくれないの、”まだその時じゃない”って」

 

『……その時じゃないっつー事は、いずれ顔を合わせる時が来るって事か?』

 

「うん、師匠もシャークちゃんに会いたがってたみたいだし」

 

んー……とりあえず、さなぎちゃんと”師匠”は俺達に対して友好的ってことでいいのかな?

今のところこっちに敵対するような言動は見られないし

 

「んー、もうちょっと”師匠”について詳しく教えてくれない?」

 

「師匠について?師匠はね、すっごい無口!あんまりおしゃべりとかしないんだよね

 後ね、デュエルがすっごい強いよ!色々なデッキを使ってて、さなぎもまだ片手で数えるほどしか勝ったこと無いんだー」

 

……え?まじで?

TVのデュエル番組によく出るさなぎちゃんのデュエルを見ている俺ならわかる、さなぎちゃんが片手で数えるほどしか勝てないってよっぽどやで

さなぎちゃんは滅茶苦茶強い、よく某笑顔動画のタグに【限りなくアイドルに近いデュエリスト】【もしかして:アイドル】などの名誉(?)あるタグが付くほどの実力派デュエリストだ

そのさなぎちゃんがそこまで勝てないなんて……師匠とは一体何者なんだ

 

『……まぁ師匠とやらは今はいいか、お前、この白紙のカードは?なんか聞いてんのか?つーかなんでこれを凌牙に渡してきたんだ』

 

その言葉を聞いて、さなぎちゃんは初めて言葉を詰まらす

うーん、とさなぎちゃんは小首を傾げ、言葉を選ぶように話し始める

 

「これはね、人の心を、魂を写し取るカードだよ」

 

「人の心……?魂……?」

 

「さなぎもね、師匠からそこまで詳しく聞いてないから、うまく説明できないかもだけど……

 このカードは人の感情や力をそのままカードとして反映するんだって、まさかさなぎもNo.になるとは思わなかったけどねぇ……」

 

うーん、いまいち要領を得ないなぁ……

白紙のカードのもっと詳しい事は師匠とやらに聞かないとダメっぽいな

 

「さなぎがシャークちゃんに渡した理由は、もちろん師匠に頼まれたからなんだけど……

 そのカードが、シャークちゃんを救う切り札になるの」

 

俺を救う切り札……?

訳が分からないと考え込みんでいたからか、ブラック・ミストが抱いた疑問に俺はたどり着けなかった

 

『……ん?お前今、No.って言ったよな?』

 

「?うん、言ったよ?さなぎもNo.持ってるし」

 

『「ふぁっ!?』」

 

んんんんんんん?あれれー?俺の耳がおかしくなったのかなー?今さなぎちゃんNo.持ってるって言ったよねー?

ていうかNo.持ってるのに普通でいられるってどういうことなん!?

いや、璃緒見たいに自力でNo.をねじ伏せた(意味深)かもしれんし……

とかしてる場合じゃない!なんともないとはいえ、一応No.を回収しないと……

 

「それじゃぁ、デュエルしようか!」

 

『「ひょっ?』」

 

さなぎちゃんのいきなりの提案に俺とブラック・ミストはすっとんきょんな声を出してしまう

まさかさなぎちゃんから「おい、デュエルしろよ」される日が来るとは思わなんだ

というかなんでそんな話になったし

いや、No.を回収したい身としてはありがたいんだけどさぁ

なんて考えている間にさなぎちゃんはすでにDゲイザーとDディスクを装備して構えている

あの、準備早すぎね(困惑)

 

『……で、どうすんだよ?』

 

「受けるにきまっとるがな、リアリストよりとはいえ俺だってデュエリスト!

 勝負は受けなきゃ女が廃るってもんよ!そんなわけでさなぎちゃん、デュエルディスクなんて捨ててかかってこい!」

 

とりあえずデッキはこっちでいいか

さなぎちゃんもNo.を持ってるとはいえ、ペンデュラムやシンクロは知らんからなぁ

マイ混沌デッキ使ってうっかり召喚☆って事になったらシャレにならん

 

「Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「デュエル!」」

 

 

蝶野さなぎLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

視界に0から9の数字が流れていき、ARが正常に作動したことが分かる

先行はさなぎちゃんみたいで、デッキトップに手を置いていた

 

「いっくよー!さなぎのターン、ドロー!

 さなぎは手札からフィールド魔法マドルチェ・シャトーを発動するよ!」

 

さなぎちゃんが1枚のカードをセットすると、あたりの景色が一気に塗り替えられる

緑の多い公園から、ケーキで出来てたお城などが出てくる、まさにお菓子の国と言っても過言ではない景色が広がっていた

 

「さなぎは手札からマドルチェ・マジョレーヌを召喚!

 そしてフィールド魔法マドルチェ・シャトーの効果を発動するよ!フィールドのマドルチェモンスターの攻撃力と防御力を500アップするね☆」

 

 

マドルチェ・マジョレーヌ

星4/地属性/魔法使い族/攻1400→1900

 

 

紫の魔女っ娘服を着た女の子がフィールドに現れる

やっぱりマドルチェモンスターは可愛いな

 

「マジョレーヌの効果発動!このカードが召喚に成功した時デッキからマドルチェモンスターを手札に加えるね、さなぎはマドルチェ・ピョコレートを手札に加えるよ!それでカードを3枚伏せてターンエンドするね」

 

マジョレーヌが自身の箒を振り、効果を発動させる

デッキから出て来たカードをさなぎちゃんは抜き取り、淀みない手さばきで手札に加えた

そしてカードを伏せ、エンド宣言をする

 

 

蝶野さなぎLP:4000 手札:3

【モンスター】

マドルチェ・マジョレーヌ/1900

【魔法・罠】

セット×3

【フィールド魔法】

マドルチェ・シャトー

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

手札は……っと

大量展開できるけど、ここは慎重になった方がいいかな

さなぎちゃんの使うマドルチェデッキは、戦闘・効果で破壊されたら墓地に行かないでデッキに戻るカテゴリだ

でも今発動してるフィール魔法は、デッキに戻るカードを手札に戻すことが出来る

まー、マドルチェ・チケットも発動してないだけよかったかな

そしてマドルチェのエースであるクイーン・ティアラミスはカードをデッキに戻すことが出来るのだ

ここは様子見して、出来るだけ被害を抑えて……あー、あの伏せカードも警戒せな……

……どうにかなるか!(思考停止)

 

「俺は手札からファーニマル・オウルを召喚!

 そしてオウルの効果発動!手札からの召喚に成功したので、デッキから融合を手札に加える!」

 

 

ファーニマル・オウル

星2/地属性/天使族/攻1000

 

 

「わぁ!可愛いー!」

 

さなぎちゃんが嬉しそうにオウルを見るけど、これの融合先を見たらさぞびっくりするだろうなぁ……

オウルはさなぎちゃんの可愛い発言に気分を良くしたのか、パタパタとさなぎちゃんにアピールしている

 

「オウルのもう1つの効果発動!ライフを500払ってデストーイモンスターを融合召喚する!

 フィールドのファーニマル・オウルと手札のエッジインプ・チェーンを融合!

 悪魔の鎖よ、英知の鳥よ!神秘の渦で1つとなりて、新たな形と姿を見せよ!融合召喚!現れでちゃえ、全てを封じる鎖の獣、デストーイ・チェーン・シープ!」

 

 

神代凌牙LP4000→3500

 

デストーイ・チェーン・シープ

星5/闇属性/悪魔族/攻2000

 

 

オウルの体が切り裂かれ、鎖が体中に巻き付いていく

口の間からぎらりと赤い目がさなぎちゃんを睨み付け、やってやんよと言わんばかりにチェーンソーの部分(?)がぎゅるんぎゅるんと唸る

 

「おおー!融合使う人少ないからびっくりしたよ!シャークちゃんも融合使うんだー」

 

「まー、ぶっちゃけ融合が1番好きだからねー」

 

GXは俺の青春でした、今はもう内容あんま覚えてないけど

 

「俺は融合素材となったエッジインプ・チェーンの効果発動!手札・フィールドから墓地に送られた時、デストーイカードを手札に加える!俺は魔玩具融合(デストーイ・フージョン)を手札に加え、そのまま発動!

 このカードはフィールド・墓地のモンスターを除外してデストーイモンスターを融合召喚する!俺はチェーンとオウルを除外して……」

 

「んー、その召喚は通さないよ☆

 さなぎはカウンター罠神の警告を発動するね!ライフを2000払ってその魔法カードの効果を無効にして破壊しまーす!」

 

「うげっ!」

 

 

蝶野さなぎLP4000→2000

 

 

光の渦がさなぎちゃんのフィールドに出て来た神に消される

出来るだけ小展開でティアラミスが出てくる前に、少しでもライフ削りたかったんだけどなー

最低でもマドルチェ・シャトーは破壊したかったわ……

 

「んじゃバトル!俺はデストーイ・チェーン・シープでマジョレーヌを攻撃!」

 

チェーン・シープがぎゅるぎゅるとチェーンソーをうならせ、マジョレーヌに突撃する

なんつーか、完全にトーマスのファンサービスです本当にありがとうございました

 

 

蝶野さなぎLP2000→1900

 

 

「さなぎはマドルチェ・シャトーの効果を発動するよ!マドルチェモンスターが墓地からデッキに戻る時、手札に戻すことが出来るよ!」

 

マジョレーヌは怯えた表情をして、さなぎちゃんの手札に戻っていく

ごめんね、このデッキのモンスターこんなんばっかなんや……

 

「ほんなら俺はカードを1枚セットしてターンエンドするわ」

 

カードを1枚Dディスクに差し込み、ターンをさなぎちゃんに渡す

神の警告で大幅にライフが削れたからよし、かなぁ?

俺はさなぎちゃんの挙動を見逃さないように、ただ静かにさなぎちゃんを見つめていた

 

 

蝶野さなぎLP:1900 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

セット×2

【フィールド魔法】

マドルチェ・シャトー

 

神代凌牙LP:3500 手札:4

【モンスター】

デストーイ・チェーン・シープ/攻2000

【魔法・罠】

セット×1



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

64/神代凌牙VS蝶野さなぎ~お菓子の騎士~

Go鬼塚までもやられてしまったよぉ
最終的に残ってるのがPlayMakerって寂しいなぁ……
ゼアルもアクファも割と大人数でわちゃわちゃやってたから、なんか、寂しいな!(語彙力の消失)


蝶野さなぎLP:1900 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

セット×2

【フィールド魔法】

マドルチェ・シャトー

 

神代凌牙LP:3500 手札:4

【モンスター】

デストーイ・チェーン・シープ/攻2000

【魔法・罠】

セット×1

 

 

「さなぎのターン、ドロー!」

 

さなぎちゃんはカードを1枚ドローして、初期手札と同じ枚数になった手札を見てためらいなくカードを引き抜いた

 

「さなぎはさっきに手札に戻ったマドルチェ・マジョレーヌを召喚するよ!そして効果でデッキからマドルチェ・メッセンジェラートを手札に加えるよ☆」

 

 

マドルチェ・マジョレーヌ

星4/地属性/魔法使い族/攻1400→1900

 

 

もう1度さっきの魔女っ娘がフィールドに現れる

俺のフィールドにいるチェーン・シープを見ると、さなぎちゃんの後ろに隠れてしまった

 

『軟弱だな』

 

いやマジョレーヌのあの行動は正しいと思うで

俺だってリアルでアレをやられたら完全にトラウマ案件やで

 

「そしてさなぎは罠カードマドルチェ・ハッピーフェスタを発動!手札のマドルチェモンスターを任意の数まで特殊召喚するよ!

 さなぎはマドルチェ・ピョコレート、ミルフィーヤ、メッセンジェラートを特殊召喚するよ☆」

 

 

マドルチェ・ピョコレート

星3/地属性/獣族/攻 800→1300

 

マドルチェ・ミィルフィーヤ

星3/地属性/獣族/攻 500→1000

 

マドルチェ・メッセンジェラート

星4/地属性/戦士族/攻1600→2100

 

 

マジョレーヌに続くように続々とマドルチェモンスター達がさなぎちゃんのフィールドに現れる

あっちの獣はあんなに可愛いのに、こっちの獣は……ねぇ?

 

『おい、チェーン・シープがへこんでるぞ』

 

しょぼん(´・ω・`)とした顔でフィールドでのの字を書いている(?)チェーン・シープ

確かに俺の頼もしいモンスターだけど、怖いのは事実だからね、しょうがないね

 

「さなぎはメッセンジェラートの効果を発動するね、デッキからマドルチェ・チケットを手札に加え、発動するよ!」

 

なんかさなぎちゃんのフィールドがすごいことになってきた

これならもうちょい展開してもよかったかなー?

でももうターン回しちゃったししょうがないよね

 

「それにしても……レベル3と4のモンスターが2体ずつってこーとーはー?」

 

「行くよ、シャークちゃん!さなぎはレベル4のマジョレーヌとメッセンジェラートでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 ちょっぴり苦い大人の味で皆魅了しちゃって☆ランク4クイーンマドルチェ・ティアラミス!」

 

 

クイーンマドルチェ・ティアラミス

ランク4/地属性/天使族/攻2200→2700 ORU:2

 

 

玉座に腰かけ、片手に杖を持った女王がさなぎちゃんのフィールドに現れた

俺の視線に気づいたティアラミスは、こちらに向かってニコリとほほ笑む

 

「さらに、レベル3のピョコレートとミィルフィーヤでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れて、No.42!可愛らしいナイトさん、私達を守ってね☆ナイトマドルチェ・モンブラウニー!」

 

 

No.42ナイトマドルチェ・モンブラウニー(オリカ)

ランク3/地属性/天使族/攻1600→2100/守1100→1600 ORU:2

レベル3のマドルチェモンスター×2

このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。

X素材を1つ取り除き発動できる、このターン自分フィールドの「マドルチェ」と名の付いたカードは効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも使える

 

 

出て来たのは、茶色い軍服を着た凛々しい男性モンスターだ

頭にはモンブラン風の帽子をかぶっており、ティアラミスを守護するように佇んでいる

右の頬に42の数字が刻まれていて、彼がNo.であると一目でわかる

 

「さなぎはティアラミスでデストーイ・チェーン・シープを攻撃!アイシング・ティラミス!」

 

ティアラミスがゆるりと杖を振ると、そこからやわらかい光がポコポコと湧き出しチェーン・シープを攻撃する

チェーン・シープはそれをよけきれることが出来ず、爆発四散した

 

 

神代凌牙LP3500→2800

 

 

「チェーン・シープの効果を発動するぜ!

 破壊されて墓地に送られた時、このカードを墓地から攻撃力を800アップさせて特殊召喚する!」

 

「させないよー?カウンター罠魔導人形の夜(マドルチェ・ナイツ)を発動するよ☆

 このカードはさなぎの墓地にモンスターがいない時に発動できるよ!効果モンスターの効果を無効にしまーす!」

 

「うぇ!?」

 

チェーン・シープがゾンビよろしくフィールドに這い上がってこようとしたけど、さなぎちゃんの罠カードによりあえなく墓地に逆戻りされたのであった……チェーン・シープ?ああ、良い奴だったよ

 

「さらにさなぎはモンブラウニーでシャークちゃんにダイレクトアタック☆アシェ・モンブラー!」

 

モンブラウニーが腰に差してあるレイピアを真っすぐに俺の心臓に突き刺す、殺意がMAXハートなんですがそれは

ブラック・ミスト、そんなオロオロしなくて大丈夫だから!いくらNo.の攻撃だけどわりかし平気だから!

さなぎちゃんは若干こちらを心配しつつ、エンド宣言をした

 

 

神代凌牙LP2800→700

 

蝶野さなぎLP:1900 手札:2

【モンスター】

クイーンマドルチェ・ティアラミス/攻2700 ORU:2

No.42ナイトマドルチェ・モンブラウニー/攻2100 ORU:2

【魔法・罠】

マドルチェ・チケット(永続魔法)

【フィールド魔法】

マドルチェ・シャトー

 

神代凌牙LP:700 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

セット×1

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカードはっと……うーん、コレはちょっとした賭けになるけど、何とかなるかな?

俺はカードを1枚抜き取り、Dディスクにセットする

 

「俺は永続魔法トイポットを発動!手札を1枚墓地に送り、デッキの1番上のカードをお互いに確認する

 そのカードがファーニマルモンスターだった場合特殊召喚できる!ただし違った場合カードは墓地へ送る……さなぎちゃーん、いいー?」

 

「いーいーよー!」

 

『楽しそうだなお前ら』

 

まぁ、デュエルは楽しんでなんぼですから……

さなぎちゃんの確認も取れたので、デッキトップをめくる

そのカードには、ドーナツを持った可愛らしいモンスターカードだった

 

「よっし!デッキトップはファーニマル・マウス、よって特殊召喚!

 さらにマウスの効果発動!メインフェイズに1度だけ、デッキから他のファーニマル・マウスを特殊召喚できる!」

 

 

ファーニマル・マウス×3

星1/地属性/天使族/攻 100

 

 

可愛らしいネズミがポコポコとフィールドに姿を現す

現れたマウスにティアラミスとモンブラウニーが警戒するように身構えた……ああー、ネズミは天敵だからね

 

「墓地の置換融合の効果を発動!デストーイ・チェーン・シープをEXデッキに戻して1枚ドロー!

 んでもって俺は沼地の魔神王を通常召喚するぜ!」

 

 

沼地の魔神王

星3/水属性/水族/攻 500

 

 

マウスたちの横からドロリと湧き出てきて、なんだろ、新種の変身携帯獣かな?

そしてまたしてもティアラミス達が警戒する、まー湿気も天敵だよね!

 

「そして手札から融合を発動!ファーニマル・マウス3体と沼地の魔神王を融合させる!沼地の魔神王をエッジインプ・シザー扱いとする!

 悪魔の爪よ、小さき者よ、神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ、全てを切り裂く密林の獣、デストーイ・シザー・タイガー!

 シザー・タイガーの効果で、自分フィールドのデストーイモンスターはファーニマル、デストーイモンスターの数×300攻撃力がアップする!」

 

 

デストーイ・シザー・タイガー

星6/闇属性/悪魔族/攻1900→2200

 

 

攻撃力はギリギリモンブラウニーを倒せる程度だけど、モンブラウニーはNo.なので戦闘破壊できない

だったら効果破壊すればいいじゃない!(笑顔)

 

「シザー・タイガーの効果発動!このカードの融合素材にしたモンスターの数まで、相手フィールドのカードを破壊できる!

 融合素材にしたのは4体、よってマドルチェ・シャトー、チケット、モンブラウニー、ティアラミスを破壊する!」

 

シザー・タイガーが吠え、その声の反動でさなぎちゃんのフィールドの……

 

「それはどうかな?さなぎはモンブラウニーの効果発動!ORUを1つ使い、このターンマドルチェカードはカード効果では破壊されないよ!」

 

「え!?」

 

『マジか!?』

 

 

No.42ナイトマドルチェ・モンブラウニー ORU:2→1

 

 

シザー・タイガーの咆哮をレイピアで切り刻んで(?)ドヤ顔をするモンブラウニー

このデッキNo.入ってないから効果破壊できないのはきついんですけど!?

あ、シザー・タイガーがしょげてる、でもどうしようもないよな!

 

「だったらちょっとでもダメージを与えるのみ!俺はシザー・タイガーでモンブラウニーを攻撃!」

 

シザー・タイガーがその爪を光らせ、モンブラウニーと突撃してくる

鋭い爪がモンブラウニーを切り裂くが、モンブラウニーはNo.であるため戦闘破壊されない

 

 

蝶野さなぎLP1900→1800

 

 

手札をじっと見つめて、これからどうするか思案する

幸いさっき迷い風を引けたから、ティアラミスでバウンズ→ダイレクトアタックは食らわないから大丈夫だと思うけど……

シザー・タイガーを破壊されたら俺は負ける

とりあえず、次のさなぎちゃんのターンを防げるかどうかが肝だな

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

蝶野さなぎLP:1800 手札:2

【モンスター】

クイーンマドルチェ・ティアラミス/攻2700 ORU:2

No.42ナイトマドルチェ・モンブラウニー/攻2100 ORU:1

【魔法・罠】

マドルチェ・チケット(永続魔法)

【フィールド魔法】

マドルチェ・シャトー

 

神代凌牙LP:700 手札:1

【モンスター】

デストーイ・シザー・タイガー/攻2200

【魔法・罠】

トイポット(永続魔法)

セット×2

 

 

「さなぎのターン、ドロー!」

 

さなぎちゃんの挙動を見逃さないように注視する

タイミングを間違えたら負けちゃうからな

 

「さなぎはティアラミスの効果発動!ORUを1つ使い、墓地のマドルチェカードを2枚までデッキに戻すことで、戻したカードの枚数だけ相手のカードをデッキに戻すよ!

 墓地の魔導人形の夜(マドルチェ・ナイツ)とORUとして墓地に送ったメッセンジェラートをデッキに戻して、シザー・タイガーと右の伏せカードをデッキに戻すよ!」

 

「させない!俺は罠カード迷い風を発動!特殊召喚されたモンスター1体を対象にし、その攻撃力を半分にして効果を無効にする!」

 

 

クイーンマドルチェ・ティアラミス/攻2700→1350 ORU:2→1

 

 

ぶわりと黒い風がフィールドに吹き荒れ、ティアラミスを包み込んでいく

ティアラミスは不機嫌そうにその風を振り払うが、弱体化の呪いはきちんと作用してるみたいだ

 

「ありゃ、躱されちゃったかー

 それじゃぁさなぎはマドルチェ・エンジェリーを召喚!」

 

 

マドルチェ・エンジェリー

 星4/地属性/天使族/攻1000→1500

 

 

可愛らしい女の子がフィールドに現れるが、シザー・タイガーを見た途端にモンブラウニーの後ろに隠れてしまう

やめてあげてよぉ!シザー・タイガーの心のライフはもうゼロよ!

 

「さなぎはエンジェリーの効果発動!このカードをリリースして、デッキからマドルチェモンスターを特殊召喚する!

 エンジェリーをリリースして、デッキからマドルチェ・ホーットケーキを特殊召喚しまーす!」

 

可愛らしい鳥モンスターがフィールドに現れる

ホーットケーキは可愛らしい外見とは裏腹に、けたたましく鳴き声を上げた

 

「さらにホーットケーキの効果を発動するね、墓地のモンスターを除外して、ホーットケーキ以外のマドルチェモンスターをデッキから特殊召喚する!

 2体目のメッセンジェラートを特殊召喚、メッセンジェラートの効果でマドルチェ・ワルツを手札に加えるね」

 

 

マドルチェ・ホーットケーキ

星3/地属性/獣族/攻1500→2000

 

マドルチェ・メッセンジェラート

星4/地属性/戦士族/攻1600→2100

 

 

可愛らしいモンスターが出てくるが、幸いシザー・タイガーの攻撃力には届いていない

 

「さなぎはティアラミスを守備表示に変更して、カードを1枚伏せてターンエンドするね」

 

 

蝶野さなぎLP:1800 手札:2

【モンスター】

クイーンマドルチェ・ティアラミス/守2600 ORU:1

No.42ナイトマドルチェ・モンブラウニー/攻2100 ORU:1

マドルチェ・ホーットケーキ/攻2000

マドルチェ・メッセンジェラート/攻2100

【魔法・罠】

マドルチェ・チケット(永続魔法)

セット×1

【フィールド魔法】

マドルチェ・シャトー

 

神代凌牙LP:700 手札:1

【モンスター】

デストーイ・シザー・タイガー/攻2200

【魔法・罠】

トイポット(永続魔法)

セット×1

 

 

『何とか持ったな』

 

「ほんとな」

 

マジで迷い風が無かったら即死やで!

とりあえずこのターンで何とかしないと、次のターンで負けるでこれ

 

「俺のターン、ドロー!

 ……っし、俺は罠カード融合準備(フージョン・リザーブ)を発動!EXデッキの融合モンスターを公開し、素材モンスターを手札に加える!俺はデストーイ・シザー・ウルフを公開して、エッジインプ・シザーを手札に加え、さらに墓地に融合がある場合手札に加える」

 

あの伏せカードはきっとさっきさなぎちゃんが手札に加えたマドルチェ・ワルツだろう

召喚を妨害されなければ逆転できる!

 

「俺は手札から魔法カード融合を発動!手札のエッジインプ・シザーとファーニマル・ペンギンを融合させる!

 悪魔の爪よ、堕ちた鳥よ、神秘の渦で1つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!デストーイ・シザー・ウルフ!」

 

 

デストーイ・シザー・ウルフ

星6/闇属性/悪魔族/攻2000

 

 

「攻撃力2000……」

 

新たに出て来たデストーイモンスターにさなぎちゃんは警戒する

たしかに攻撃力は2000でホーットケーキとの相打ちぐらいしか出来ないだろうが、関係ない

俺の目的はとにかくフィールドを埋めることだ

 

「俺はファーニマル・ペンギンの効果発動!融合素材となったこのカードが墓地に送られた時、カードを2枚ドローして1枚捨てる!」

 

このドローに勝負の行方が掛かっているといっても過言ではない

俺は祈るようにドローする

……ドローカードは魔玩具補綴(デストーイ・パッチワーク)と強制脱出装置

そして残りの手札はメタモルポットだ、魔玩具補綴(デストーイ・パッチワーク)は必須だからここはメタモルポットかな

 

「そして今手札に加えた魔玩具補綴(デストーイ・パッチワーク)を発動!デッキから融合とエッジインプモンスターを手札に加える、俺は2枚目の融合と2体目のエッジインプ・チェーンを手札に加える!」

 

カシャリとデッキから飛び出て来た2枚のカードを手札に加える

そして加えたカードをためらいなく発動させた

 

「魔法カード融合を発動!手札のエッジインプ・チェーンとフィールドのデストーイ・シザー・ウルフで融合召喚!現れ出ちゃえ、全てに牙剥く魔境の猛獣、デストーイ・サーベル・タイガー!」

 

 

デストーイ・サーベル・タイガー

星8/闇属性/悪魔族/攻2400

 

 

また新たに現れたモンスターにさなぎちゃんは驚きの声を上げる

 

「すごいよシャークちゃん!ここまで融合使いこなす人を見たのは師匠以来だよ!」

 

「あははー、ありがとう!

 サーベル・タイガーが融合召喚に成功した時、墓地のデストーイモンスターを特殊召喚する!戻ってこい、シザー・タイガー!」

 

 

デストーイ・シザー・ウルフ

星6/闇属性/悪魔族/攻2000

 

 

あの天下のさなぎちゃんに褒められるとは悪い気がしないな

それじゃぁさなぎちゃんの期待に応えるべく、もうちょいぶん回しますか!

 

「俺はエッジインプ・チェーンの効果発動!このカードが墓地に送られた時、デッキからデストーイカードを手札に加える!この効果で2枚目の魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)を手札に加える!

 そして魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)を発動!このカードは墓地かフィールドのモンスターを除外して融合召喚できる!俺は墓地のファーニマル・ペンギンとエッジインプ・チェーンを融合!」

 

可愛らしいペンギンと目のぎらついた無機物の鎖が渦に巻き込まれていく

 

「それじゃぁさなぎちゃん、このデュエル勝たせてもらうよ!

 悪魔の鎖よ、堕ちた鳥よ!神秘の渦で1つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ、全てを落とす深淵の支配者、デストーイ・デアデビル!」

 

 

デストーイ・デアデビル

星8/闇属性/悪魔族/攻3000

 

 

赤と黒を基調とした、まさに悪魔と呼ぶにふさわしいデストーイモンスターだ

さなぎちゃんはデアデビルを興味深そうに見ている

 

「んー?なんか今までのデストーイモンスターとは、また違った雰囲気のモンスターだね」

 

「あー、まぁね」

 

デアデビルは今までのデストーイモンスターとは違い、漫画オリジナルのカードだ

だから多少コンセプトが違っても仕方がないよなー

 

「……それにしてもたくさんモンスターはいるけど、勝利宣言には早いんじゃないかな?

 さなぎは永続罠マドルチェ・ワルツを発動!マドルチェモンスターが戦闘を行った場合、相手に300のダメージを与える!」

 

クルリとさなぎちゃんの場のカードが反転する

そこにはお姫様と王子様が仲良く踊っている絵が書かれていた

 

「シャークちゃんのライフは700、2回しか攻撃ないのにさなぎのライフを削りきれるかな?

 このカードを破壊すればこの限りではないけど、モンブラウニーの効果でマドルチェカードはカード効果では破壊されないよ!」

 

確かに攻撃力3000のデアデビルで2000のホーットケーキを攻撃してさなぎちゃんのライフは1800から800

攻撃力2400のサーベル・タイガーで2100のメッセンジェラートを攻撃してもさなぎちゃんのライフは500残る

2回攻撃したことにより俺のライフは100しか残らず、次のさなぎちゃんのターンで負けるだろう

これだと俺はさなぎちゃんを倒せない、だけど

 

『お前、何か忘れてることは無いか?』

 

「……忘れてること?」

 

さなぎちゃんは大きな目をぱちぱちと瞬きさせる

俺のフィールドを見渡し、「あ……」と声をこぼした

 

「俺はシザー・タイガーの効果!デストーイ、ファーニマルモンスターの数×300デストーイモンスターの攻撃力をアップさせる!

 さらにサーベル・タイガーもフィールドのデストーイモンスターの攻撃力を400アップ!

 フィールドのデストーイは4体だからシザー・タイガーの効果で1200アップ、サーベル・タイガーの効果も併せて1600アップだ!」

 

 

デストーイ・シザー・タイガー/攻2200→3500

 

デストーイ・シザー・ウルフ/攻2000→3600

 

デストーイ・サーベル・タイガー/攻2400→4000

 

デストーイ・デアデビル/攻3000→4600

 

 

「う、うわぁお……」

 

思わずさなぎちゃんの素の声と思しき声が聞こえる

まぁこんなアホみたいな攻撃力みたらそうなるよな

 

「回数制限なんて関係ねぇ、レベルを上げて物理で殴ればいいじゃない!」

 

『出た!凌牙さんの脳筋コンボだ!』

 

「脳筋コンボってなんぞ!?」

 

いや確かにこれ脳筋だけどさぁ!?

俺は真っすぐにさなぎちゃんを見ると、あちゃーという顔をしていた

どうやら自分の敗北を悟ったらしい

 

「負けちゃったかー、でもすっごく楽しかったよ!またデュエルしようね☆」

 

「おうよ!俺はデストーイ・デアデビルでNo.42ナイトマドルチェ・モンブラウニーを攻撃!」

 

デアデビルがその巨体な体を持って、モンブラウニーを攻撃したのであった

……完全に見た目がアウトです本当にありがとうございました

 

 

蝶野さなぎLP1800→-700

 

神代凌牙LP700→400

 

WIN 神代凌牙

 

 

 

 

 

勝利のファンファーレが辺りに鳴り響き、ARの花吹雪が辺りに舞う

俺はDゲイザーを取り、ライフが0になった衝撃で後ろに倒れこんださなぎちゃんを起こしてあげる

 

「ういー、大丈夫?」

 

「大丈夫だよ!アイドルたるもの、デュエリストたるもの、この程度で怪我するようなやわな鍛え方はしてないしね」

 

さなぎちゃんは服に付いた埃をパタパタと払いニコッと笑う、かわいいなぁ

デッキケースからカードを1枚取り出し、さなぎちゃんが俺に手渡してくる

No.42ナイトマドルチェ・モンブラウニーと書かれた凛々しい騎士(ただし戦士族ではなく天使族)は難なく俺の手の中に納まった

 

『そんなにあっさり渡していいのかよ?』

 

ブラック・ミストが若干さなぎちゃんを訝し気に見ながら言う

 

「これはあるべきところにちゃんと返さないと、ね」

 

パチリとウィンクをするさなぎちゃんはやっぱり可愛いと思いました(小並感)

あ、とさなぎちゃんは声を出し腕時計を確認する

先ほどの可愛らしい表情とは一変、瞳を大きく広げ声を上げる

 

「仕事!ごめんシャークちゃん、ブラック・ミスト君!さなぎ仕事があるからもう行かないと!」

 

腕に装着していたDディスクを外し、置いていたカバンを持ち恰好を整える

本当に時間が無いらしく駆け足で公園を出て行こうとする

 

「あ、待って!」

 

大声でさなぎちゃんの名前を言うわけには行かず、待ってと静止をかける

さなぎちゃんは俺の声に気付き、少しだけ立ち止まった

 

「No.うんぬんで聞きそびれたんだけどさ、この白紙のカードが俺を救う切り札になるってどういうことなん?」

 

白紙のカードを掲げるようにカードケースから取り出す

人の心を、魂を写し取るカードが俺を救う切り札になるとはどういうことだってばよ

ていうか何から救うんですかねぇ

さなぎちゃんは今まで見せたことのない表情を、悲し気に瞳を揺らし、その表情の変化にブラック・ミストも言葉を失う

 

「それは、人の心を、魂を写し取カード

 シャークちゃんの心が、魂が、シャークちゃんの存在を認めてくれる

 ……シャークちゃんが、神代凌牙が存在しないなんて、さなぎは……僕は絶対に認めない」

 

なぜか遠い昔、同じ表情を見たような気がしたけど

……それを思い出すことは出来なかった




師匠然り、さなぎちゃん然り、謎が謎を呼ぶ展開になりましたね
一応この謎は本編中にはあらかた解明する予定です
それか本編解決後に後日談としてやるか
いや、本編後のあれこれも色々やりたい事あるので後日談はやる予定です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

65/凌牙&遊馬VS××××~悲劇の幕開け~

今回のデュエルは大変だった……
大まかな流れを必死に考えて、改めて見直したら総ターンが14て……
いや3人でやってるから仕方ないのかな?
14ターンだと1人約5ターンなわけだし多いのかなぁ……わからん

今回の話を原作で言えば、ブラック・ミストが天変地異を起こす下りの所です
でもこの話はブラック・ミストは完全に味方ポジなので、この話のブラック・ミストがそんな事するわけありません
さて、遊馬と凌牙ちゃんの相手は誰でしょう!
答えは本編で!


とうとうAiの秘密やらリボルバーの本名やら色々出てきましたね!
まさか遊作を救ってくれた声が、リボルバーだったとは……
完全にAiかと思ってたわ


<本日未明、火山活動を停止していた火山が突然活動を再開しました、専門家は―――>

 

<ニュース続報です、××島の海岸に流氷が―――>

 

<こちら現場の××です!現在××国ではオーロラが観測されており―――>

 

病室のテレビを見ていると、何処でも現在起きている異常現象について報道されていた

現在世界中で異常現象が起きており、世界滅亡の前触れだのとネットでは大騒ぎだ

カイトやバイロンさんなどの科学者連中に連絡を取ってみた結果、何等かの強大な力が働いているらしい

現在ハートの塔で情報や打開策を考えているみたいだ

 

『……』

 

「んー?ブラック・ミスト、何か気になることでも?」

 

この異常現象が起きてから何か考え混んでいる見たいで、さっきから無言だ

俺の声に反応し、ゆっくりとこちらを見る

 

『あ、いや……この気配、どっかで感じたことがあるんだが……』

 

「どこだかわからない?」

 

『ああ』

 

それだけ言って、ブラック・ミストはまた考え込んでしまった

うーん、多分ブラック・ミストの反応からNo.とかバリアン関係なのは間違いないだろうけど……

これ科学者連中だけじゃなくて遊馬とアストラルにも連絡とればよかったな

 

「うぅ……」

 

『!?』

 

「璃緒!」

 

ベットから璃緒のうめき声が聞こえ、即座にベットに近づく

どうやら起きたわけではないみたいだけど、うめき声を聞けただけでも少し安心した

 

「……闇」

 

「……璃緒?」

 

これってもしかして、璃緒の予言?

このタイミングで予言という事は、この異常現象の事だろう

 

「……大きな闇が……闇が……遊馬を、凌牙を……飲み込む……悲劇の、幕開け………」

 

『悲劇……?』

 

璃緒はそれだけ言うと、また口を閉じてしまう

……異常現象の元凶が遊馬に危害を加える、悲劇が起こる

え、俺?俺の事はどうでもいいのです、今は遊馬が最優先!

俺は病室を飛び出し、病院の駐車場までダッシュで向かう

Dホイールにまたがり高速道路を爆走する

 

『凌牙、アストラルの気配は海辺の公園の方だ、急げ!』

 

「わかってるっつーの!」

 

明らかにこの異常現象の元凶は多大な力を持っているの確定的に明らか

そんな奴が危害を加えるとなると、遊馬もアストラルもただでは済まないだろう

法定速度ギリギリで飛ばし、公園に到着する

海のベンチの傍で遊馬とアストラルと小鳥ちゃんが、何か話し込んでいるのが見えた

 

「遊馬!アストラル!小鳥ちゃん!」

 

「シャーク!?」

 

俺の声に遊馬達が一斉にこちらを見る

俺はヘルメットを外し、Dホイールから飛び降りる

 

「皆、大丈夫!?」

 

『よかった、無事だったか……』

 

「無事?なんのこっちゃ」

 

無事に遊馬達と合流し、ほっと一息つく

なんとか遊戯王特有の超展開になる前に合流できてよかったわ……

いや、異常現象が起きてる時点で超展開になってるんだけどね

 

「あれ?黒い雪……?」

 

小鳥ちゃんの声に皆が反応し、一斉に上を見る

黒い雪がどんどんと落ちてくる……これ黒い雪というよりごみでは?

 

「きゃぁ!?」

 

『どうした小鳥、大丈夫か?』

 

いきなり小鳥ちゃんが悲鳴を上げる

アストラルが小鳥ちゃんを心配げに見つめている

 

「雪、黒い雪が……」

 

「雪ぃ?黒い雪がどうした……ってうわぁ!?」

 

いきなり遊馬が悲鳴を上げる

この黒い雪が原因か……俺も手のひらに黒い雪を乗せる

すると黒い雪から微弱の電気のようなものが、俺の体に流れた

黒い雪は空から降って来るから……

 

「ふぁっ!?皆!上!上!」

 

『上……はぁ!?』

 

「うわぁ!?なんだあれ!」

 

俺達の丁度真上では、分厚い雲が渦を巻いていた

黒い雪の他に雷まで出てきて、でも黒い雪や雷は俺達のいるところしか降っていない……ということはあそこに元凶がいるのだろう

 

 

 

―…さぁ、こちらに来い

  我に、我等が神にそのカオスを捧げるのだ!…―

 

 

 

「……え?」

 

いきなり響いてきた声に、思わず呆然としてしまう

だって、この声はあの時に聞いた、俺の……私の中にいた”何か”の声

 

『くっそ、通りで感じたことのある気配だと思ったら、そういう事かよ……!』

 

『ああ、この気配は、サルガッソで感じたものと同じ……!』

 

ああ、そうか、璃緒はあいつのことを言ってたのか

俺の中にいた”何か”は、璃緒が言うように闇その物

遊馬の事ばかりに気を向けすぎて、俺自身の事に目を向けなかった代償か

ドロリと俺達の影が蠢き、俺達を包み込み……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチリと唐突に目が覚める

周りは赤い結晶体で覆われており、ここが人間世界でないことが伺える

多分、ここはサルガッソみたいな特殊な空間なんだろう

 

「皆!無事か!?」

 

遊馬の声に各々が声を上げる

どうやらあそこにいたメンバー全員がここに放り出された見たい……って

 

「カイト!?なんでここにいるん!?」

 

「知らん、俺の管轄外だ」

 

いい加減なんだよなぁ!

ってボケるのはここまでだ、俺は小鳥ちゃんを背に隠すように前に出る

璃緒の予言通りなら、狙いは俺と遊馬だ、小鳥ちゃんを危険な目に会わせるわけには行かない

……え?カイト?あいつはアカデミア絶対カードにするマンだから大丈夫だ(?)

 

―…ようやく来たか、九十九遊馬……武藤マナミ、いや、依り代…―

 

「え、武藤マナミって……」

 

小鳥ちゃんがちらりとこちらを見る

というか小鳥ちゃんに限らず、全員が俺を見ていた

それはそうだろうね、だって武藤マナミは”私”が”俺”になる前の名前だからだ

 

「俺さぁ、お前に色々聞きたかったんだよねぇ

 ……なんでお前が()の中にいたのか、俺をこの世界に誘い込んだって言うのはどういう意味なのか」

 

サルガッソで聞いたあの言葉を思い出す

使えない依り代だと、魂と器が限界だと、俺をこの世界に誘い込んだ、と

俺の声を聴いた”何か”はくつくつと面白そうに声を漏らす

 

―…それを知って何になる?お前たちは今から我等が神に捧げる生贄になるのだからな

  お前達の持っているNo.を奪い、九十九遊馬とアストラルを屠り……依り代を神に捧げる…―

 

ゾッとするような、底冷えするような声が辺りに響く

……俺を神に捧げるってどういうことだ?いや、俺は転生者だし、その関係……なのかな

 

「ふざけんな!神とかなんかわかんねぇけど、シャークやアストラルには指一本触れさせねぇぞ!」

 

「お前は俺がこの次元に転生するきっかけを知ってるみたいだし、それをキリキリ吐いて貰おうかな?

 え?生贄?なるわけないじゃないですかやだー!」

 

俺と遊馬の言葉を聞くと、”何か”は徐々に人の形を取っていった

煽情的な女性で、髪が長く俺が今までで会って来た女性の中でぶっちぎりの美しさを誇っている

……だけど、生物を、人間を見下すような冷たい瞳に、アストラルともブラック・ミストとも違う気配が、あいつが人間じゃない、闇その者であると伺える

 

―…我が名はe・ラー、我が神の僕であり、アストラル世界と人間世界を破壊する者なり!』

 

「させるかよ!アストラル世界も、俺達の世界も、お前なんかに壊させなんかしねぇ!」

 

「璃緒が、皆がいる世界を壊すとか見過ごせるわけないんだよなぁ!」

 

”何か”は……e・ラーは黒い霧を収束させ、Dディスクへと変化させる

俺も遊馬も、覚悟は決まった

異常現象を止めるために、世界を守るために、戦うと

 

『ルールは変則タッグデュエル、ライフは別々だが我はお前達のライフを足した数値である8000だ』

 

「上等だ!かかってこいやゴルァ!」

 

「行くぜ!かっとビングだ!俺ぇ!」

 

「「Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

『「「デュエル!』」」

 

 

 

e・ラーLP8000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP4000 手札5

神代凌牙LP4000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

 

『先行は我だな、ドロー

 我はトレードインを発動、レベル8の堕天使スペルビアを墓地に送りカードを2枚ドローする』

 

スペルビアって事は、天使族デッキって事か……

俺達はe・ラーがカードをドローする挙動を見逃がさないように見つめる

 

『さらに我は堕天使ユコバックを召喚する

 ユコバックの効果発動、このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキの堕天使カードを墓地に送ることが出来る

 我はデッキから堕天使エデ・アーラエを墓地へ送る』

 

 

堕天使ユコバック

星3/闇属性/天使族/攻 700

 

 

フィールドにゆるキャラっぽい、黒い天使の羽をはやしたモンスターが出て来た

遊馬とアストラルはただそのモンスターを見つめているだけだったが、俺やブラック・ミストは驚きの声を上げてしまった

 

「なんでお前がそのカードを持ってるんだよ!」

 

『……?どうしたシャーク、あのカードに何かあるのか?』

 

俺やブラック・ミストの声にアストラルが反応する

 

『あれは凌牙の前世カード、おそらくこの世界にはまだ存在しない新規の堕天使カードだ』

 

ブラック・ミストの説明にアストラルだけでなく、遊馬と小鳥ちゃんも驚き、ユコバックを凝視している

ちなみにカイトは通常運転である……あれぇ!?オービタル君いたの!?全然気が付かなかったわ……

 

『ふふふ……我は依り代の中にいたのだぞ?依り代の知識は大体把握しておるわ

 我はカードを3枚伏せてターンエンド』

 

 

e・ラーLP8000 手札2

【モンスター】

堕天使ユコバック/攻 700

【魔法・罠】

伏せ×3

 

九十九遊馬LP4000 手札5

神代凌牙LP4000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

俺とブラック・ミストは警戒レベルを一気に引き上げる

俺の知識を知ってるって事は、カードもそれ相応の物を持ってるだろう

 

「シャーク!先にいいか?」

 

「んー?いいよ!」

 

遊馬が先に動いていいか聞いてきたので了承する

別に俺はどっちでも問題ないし、手札を見る限り出来ることは限られるし

 

「俺のターン、ドロー!」

 

『遊馬、ゴゴゴゴーレムを召喚だ!』

 

「おう!俺はゴゴゴゴーレムを召喚、そして手札のカゲトカゲの効果発動!

 レベル4のモンスターの召喚に成功した時、手札から特殊召喚できる!」

 

 

ゴゴゴゴーレム

星4/地属性/岩石族/攻1800

 

カゲトカゲ

星4/闇属性/爬虫類族/攻1100

 

 

岩石で出来たゴーレムと、影のトカゲが遊馬のフィールドに出てくる

共にレベルは4……ということは来るな、遊馬達のエースが

 

「行くぜ!俺はレベル4のゴゴゴゴーレムとカゲトカゲでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れろ、No.39!俺達の戦いはここから始まる、白き翼に望みを託せ!希望皇ホープ!」

 

 

No.39希望皇ホープ

ランク4/光属性/戦士族/攻2500 ORU:2

 

 

……そう言えば、何回か遊馬とデュエルした事あったけど、こうやって味方としてのホープを見るの初めてだなぁ

大きな背中が俺達を守ってくれる、そんな安心感がある

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

e・ラーLP8000 手札2

【モンスター】

堕天使ユコバック/攻 700

【魔法・罠】

伏せ×3

 

九十九遊馬LP4000 手札3

神代凌牙LP4000 手札5

【モンスター】

No.39希望皇ホープ/攻2500 ORU:2

【魔法・罠】

セット×1

 

 

「俺のターン、ドロー!

 俺は永続魔法修験の妖社を発動!このカードは妖仙獣が召喚・特殊召喚される度に妖仙カウンターが点灯する!

 妖仙獣鎌弐太刀を召喚、そして妖仙モンスターを召喚したので妖仙カウンターが1つ点灯!」

 

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1800

 

修験の妖社 妖仙カウンター:0→1

 

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド、弐太刀は自身の効果でエンドフェイズ時に手札に戻るよ」

 

 

e・ラーLP8000 手札2

【モンスター】

堕天使ユコバック/攻 700

【魔法・罠】

伏せ×3

 

九十九遊馬LP4000 手札3

神代凌牙LP4000 手札3

【モンスター】

No.39希望皇ホープ/攻2500 ORU:2

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:1

セット×1

セット×2

 

 

いつも思うけどこの俺のターンの短さは何とかならないものか……

いや、混沌としたデッキ構築してる自分の責任なんだけどさ

 

『我のターン、ドロー

 魔法カード堕天使の戒壇を発動、墓地の堕天使モンスターを守備表示で特殊召喚する

 堕天使スペルビアを蘇生し、スペルビアの効果で墓地の堕天使エデ・アーラエを特殊召喚だ』

 

 

堕天使スペルビア

星8/闇属性/天使族/守2400

 

堕天使エデ・アーラエ

星5/闇属性/天使族/攻2300

 

 

堕天使の戒壇……やっぱ俺の前世カードである程度デッキが構築されてるみたいだ

やばい、あんまカード効果とか覚えとらんぞ……

 

『さらに罠カード背徳の堕天使を発動、手札及びフィールドの堕天使モンスターを墓地に送りフィールドのカードを破壊する

 我はフィールドのユコバックを墓地に送り、希望皇ホープを破壊だ』

 

白い天使が現れ、ホープをその剣で破壊する

モンスターが居なくなった遊馬フィールドをe・ラーは満足げに見つめ、バトルフェイズに移行させた

 

『バトルだ、我はエデ・アーラエで九十九遊馬にダイレクトアタックする』

 

獣のような姿の堕天使が無防備な遊馬に、その鋭い爪を振り上げる

でも遊馬は攻撃をされる前にDディスクを操作して、カードを発動させる

 

「罠カード逆さ眼鏡を発動!」

 

『このカードは表側表示のカードの攻撃力をエンドフェイズまで半分にする!』

 

グルグル眼鏡がエデ・アーラエとスペルビアに装着される

スペルビアは守備表示だから関係ないけど、アーラエはもろに効果を受ける

 

 

堕天使エデ・アーラエ/攻2300→1150

 

九十九遊馬LP4000→2850

 

 

『ふん……我はこれでターンエンドだ』

 

『そして逆さ眼鏡の効果が終了し、モンスターの攻撃力は元に戻る』

 

あんまり堕天使の効果は覚えてないけど、基本的にはEXデッキを使わずに、高レベルモンスターを並べて殴るって感じだったはず

あとライフを1000払ってなんかする効果があったはずだけど……なんだっけ?わからん

ブラック・ミストの方を見ると、ため息を付かれた

 

『……一部の堕天使モンスターにはライフを1000払って、墓地の堕天使魔法・罠カードの効果を適用できる効果があるんだよ』

 

解説どうもありがとう、流石俺の相棒やでぇ!

……とりあえず、その効果に気を付けてデュエルしないとな

このデュエル負けられない、世界を壊すなんてさせないし、何よりも、俺がこの世界に、次元に生まれた意味を知りたいから

 

 

e・ラーLP8000 手札2

【モンスター】

堕天使スペルビア/守2400

堕天使エデ・アーラエ/攻2300

【魔法・罠】

伏せ×2

 

九十九遊馬LP2850 手札3

神代凌牙LP4000 手札3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:1

セット×2




と、言うわけでデュエルの相手は漫画版遊戯王ZEXALのラスボスe・ラーでした!
ちなみにe・ラーのデッキの候補は暗黒界やDDやクリフォートがありました
暗黒界はともかく、DDやクリフォートは私がよくわからないので諦めました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

66/凌牙&遊馬VSe・ラー~悪夢再来~

最近新米マスターになったさらさです
……と言ってもいまオケアノスで絶賛イアソン様と交戦中なんですけどねぇ
イアソン様の実装はよ(真顔)

いやだよおおおおおおおおお来週からAiがいないなんて!
というかサイバース世界どうなるの!?
ハノイが解散(?)したけど、また戻ってくる発言したし、だったらまだサイバース世界は切断されたままなのかな……

所で人間だったけど転生(?)してイグニスになったオリ主がAiと一緒にドタバタする話が読みたい



e・ラーLP8000 手札2

【モンスター】

堕天使スペルビア/守2400

堕天使エデ・アーラエ/攻2300

【魔法・罠】

伏せ×2

 

九十九遊馬LP2850 手札3

神代凌牙LP4000 手札3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:1

セット×2

 

 

「行くぜ!俺のターン、ドロー!

 俺はゴゴゴジャイアントを召喚!そして効果発動!自分の墓地のゴゴゴモンスターを守備表示で特殊召喚できる!俺はゴゴゴゴーレムを特殊召喚!」

 

 

ゴゴゴジャイアント

星4/地属性/岩石族/攻2000

 

ゴゴゴゴーレム

星4/地属性/岩石族/守1500

 

 

「行くぜ!俺は2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 力を砲弾に変え、全てを打ち抜け!No.50ブラック・コーン号!」

 

 

No.50ブラック・コーン号

ランク4/闇属性/植物族/攻2100 ORU:2

 

 

俺の見たことのないモンスターが遊馬のフィールドに出てくる

黒い船……黒……黒ひげ……ロジカル言語……うっ頭が!

 

「俺はブラック・コーン号の効果発動!」

 

『ORUを1つ使い、相手モンスターを墓地に送りその攻撃力分のダメージを相手に与える!対象は堕天使スペルビアだ!』

 

ブラック・コーン号の周囲に回っているORUが、砲弾に吸い込まれていく

というかブラック・コーン号の効果強すぎぃ!

 

『我は罠カード神属の堕天使を発動

 堕天使モンスターを墓地に送り、モンスターの効果をターン終了まで無効にし、その攻撃力分のライフを回復する

 スペルビアをリリースしブラック・コーン号の効果を無効、ブラック・コーン号の攻撃力分の2100分ライフを回復する』

 

「何!?」

 

 

No.50ブラック・コーン号 ORU:2→1

 

e・ラーLP8000→10100

 

 

これでe・ラーのライフは10000超えたか……

ブラック・コーン号の効果はこのターン使えないし、攻撃力も上級モンスターが大半の堕天使モンスターに対しては心もとない

……でも次の俺のターンまで回ってこの子を召喚できれば、e・ラーに対して大きく牽制できるはず

 

「くっそ……俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

『ならばエンドフェイズ時に永続罠リビングデッドの呼び声を発動、蘇生させるのはもちろん堕天使スペルビアだ

 そして堕天使スペルビアの効果で堕天使ユコバックを蘇生、堕天使ユコバックの効果で堕天使ゼラートを墓地に送る』

 

「俺もカードを発動させてもらうよ!速攻魔法終焉の焔を発動!

 自分フィールドに黒焔トークンを2体守備表示で特殊召喚するよ!」

 

 

堕天使スペルビア

星8/闇属性/天使族/攻2900

 

堕天使ユコバック

星3/闇属性/天使族/守1000

 

黒焔トークン×2

星1/闇属性/悪魔族/守0

 

 

e・ラーLP10100 手札2

【モンスター】

堕天使エデ・アーラエ/攻2300

堕天使スペルビア/攻2900

堕天使ユコバック/守1000

【魔法・罠】

リビングデッドの呼び声

 →対象:堕天使スペルビア

 

九十九遊馬LP2850 手札2

神代凌牙LP4000 手札3

【モンスター】

No.50ブラック・コーン号/攻2100 ORU:1

黒焔トークン/守0

黒焔トークン/守0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:1

セット×1

セット×1

 

 

一気に4体のモンスターがあっちこっちに召喚される

というかスペルビアが過労死枠に入ってる……ユコバックも強く生きろ

 

「俺のターン、ドロー!」

 

『凌牙』

 

「わかってるっちゅーに!俺は罠のバージェストマ・カナディアの効果を発動、手札のオレイノデスを捨てて2枚ドロー!」

 

ドローカードを確認っと……

おっ、おあつらえ向きにいいカードきた!

 

「俺は永続魔法冥界の宝札を発動!

 このカードは自分が2体以上リリースしたアドバンス召喚に成功した時、カードを2枚ドローできるよ!」

 

このカードはトーマスが俺にくれたカードだ

買ったはいいけど、よくよく考えたらギミック・パペットは自身の効果で特殊召喚できるものが多いから意味がなかったとくれたのだ

正直ギミパペの場合はこれ使うよりも、アドバンスドローとかトレード・イン使った方がいいよな

 

「俺は黒焔トークン2体をリリースしてアドバンス召喚!電脳世界に巣食う龍、クラッキング・ドラゴン!」

 

 

クラッキング・ドラゴン

星8/闇属性/機械族/攻3000

 

 

遊戯王VRAINSの初期に登場してきたモンスターであるクラッキング・ドラゴンだ

というかクラッキング・ドラゴン好きだったから、全然出てこなくなって悲しいなぁ……

 

「俺は冥界の宝札の効果で2枚ドロー!

 そしてバトル!俺はクラッキング・ドラゴンでエデ・アーラエを攻撃!」

 

 

e・ラーLP10100→9400

 

 

『ふん……この程度どうってことないわ』

 

まぁ、まだ初期ライフの倍以上はあるからねぇ……でも!

 

「ライフ差は埋められなくても、モンスターにはご退場願うよ!

 俺は速攻魔法アクションマジック-ダブル・バンキングを発動!手札を1枚墓地に捨てて、このターンに相手モンスターを戦闘で破壊した時もう1度攻撃できるよ!捨てた代償の宝札の効果で2枚ドロー!」

 

突然白いDホイールが現れてクラッキング・ドラゴンの周りを爆走する

……あれって絶対ユーゴだよね、なんでアクションマジックなのに遊矢じゃなくてユーゴなのか

 

「俺はクラッキング・ドラゴンでスペルビアを攻撃!焼き払え、クラッキング・ドラゴン!」

 

 

e・ラーLP9400→9300

 

 

ライフが1000も削れなかったけど、高攻撃力モンスターは一掃できた

……でもスペルビアが墓地に……攻撃するのユコバックの方がよかったかな?

でももう終わったことだ、気持ちを切り替えていこう

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 

e・ラーLP9300 手札:2

【モンスター】

堕天使ユコバック/守1000

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP2850 手札2

神代凌牙LP4000 手札:3

【モンスター】

No.50ブラック・コーン号/攻2100 ORU:1

クラッキング・ドラゴン/攻3000

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:1

冥界の宝札(永続魔法)

セット×1

セット×2

 

 

クラッキング・ドラゴンの効果があれば、e・ラーのライフを結構なとこまで削ることが出来るはず

ここからe・ラーがどう動くか注意してみてないと

 

『我のターン、ドロー

 ……なぁ依り代、なぜおまえはそこまで頑張るのだ?』

 

「……何それ、どういう意味なん?」

 

突然のe・ラーの問いかけに、俺も同様を隠せない

遊馬も困惑してるし、アストラルは遊馬を、ブラック・ミストは俺を庇うように前へ出る

俺の相棒がこんなにもかっこいい

 

『この世界は我等が神によって支配される

 一時期の安寧の為に、その魂を、器を食いつぶすことに何の意味がある?』

 

こいつどこまで俺の事知ってるんだよ……

俺だってその辺はブラック・ミストに言われて初め気付いたし、ブラック・ミストも皇の鍵の中にいた黒の巨人とやらに教えてもらって初めて分かったって言ってたし

というかこの話をここですんのほんとやめて、後ろでギャラリー化してるバカイトがすんごい目で見てるから

 

「一時期の安寧のわけないやん」

 

『お前らごときが我等が神に勝てるとでも?

 ……ふふ、面白い冗談だ、だったら見せてやろう……絶望という物を!

 我は手札の堕天使イシュタムの効果発動!このカードと堕天使モンスターを墓地に送り、カードを2枚ドローする!』

 

でたな堕天使専用トレード・イン

黒い羽を生やした少女がe・ラーの手札を1枚とり、自身と一緒に墓地に吸い込まれていく

 

『さらに堕天使の戒壇を発動する!このカードの効果により堕天使スペルビアを蘇生、スペルビアの効果で……』

 

「おっとその特殊召喚は通さないよ!罠発動!奈落の落とし穴!

 攻撃力が1500以上のモンスターが召喚された時、それを破壊して除外する!」

 

『甘いのは依り代の方だ!我は手札の堕天使テスカトリポカの効果発動!

 堕天使モンスターが戦闘・効果で破壊されるとき、このカードを代わりにこのカードを捨てることが出来る!』

 

光の網がスペルビアに向かうも、黒い天使によって粉々に切り裂かれる

スペルビアの召喚の妨害は失敗か……

 

「でも、まだ大丈夫!俺はクラッキングドラゴンの効果発動!

 モンスター1体のみを召喚・特殊召喚した場合、ターン終了までモンスターのレベル×200攻撃力がダウンし、ダウンした数値分のダメージを相手に与える!」

 

 

堕天使スペルビア

星8/闇属性/天使族/攻2900→1300

 

e・ラーLP9300→7700

 

 

「クラッキング・ドラゴンの効果はレベルが高ければ高いほど真価を発揮する、堕天使モンスターと相性がいいわけか」

 

「イェア!」

 

これでe・ラーがモンスター召喚をやめてくれたら花丸である

……つっても今のe・ラーのライフを考えるとこんなもんじゃ止まんないよな

 

『この程度で我は止まらぬ、我はスペルビアの効果で墓地の堕天使イシュタムを召喚!

 クラッキング・ドラゴンの効果でイシュタムのレベル×200攻撃力が下がり、ダメージを受ける!』

 

 

堕天使イシュタム

星10/闇属性/天使族/守2900

 

e・ラーLP7700→5700

 

 

可憐な黒い天使の少女がフィールドに現れるのを確認すると、e・ラーは不気味な笑みを浮かべる

そのおぞましい顔に恐怖を覚える……だって、あの顔を、俺はどこかで見たことある

 

『さぁ行くぞ!我は魔法カードギャラクシー・クィーンズ・ライトを発動!ユコバックとスペルビアのレベルをイシュタムと同じとする!』

 

 

堕天使ユコバック/星3→10

 

堕天使スペルビア/星8→10

 

 

「レ、レベル10のモンスターが2体って……!」

 

小鳥ちゃんが後ずさる

無理もない、俺でさえ……デュエルも何もかも投げ出して、ここから逃げ出したい、と

 

『我はレベル10となったユコバックとスペルビアでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 全てを食らいつくす暴食な糸よ、その貪欲な食欲で全てを食い散らかせ!No.35ラベノス・タランチュラ!』

 

 

No.35ラベノス・タランチュラ

ランク10/闇属性/昆虫族/守 0 ORU:2

 

 

蜘蛛のNo.はギョロリと目をこちらに向ける

……あれが俺がサルガッソで使っていたっつーNo.、か……

その辺の記憶は俺にはないけど、ブラック・ミストや璃緒から何があったか聞いた

 

『EXデッキからモンスター効果発動!このカードはORUを2つ以上持ったランク8から10の闇属性モンスターの上に重ねてエクシーズ召喚することが出来る!

 我はNo.35ラベノス・タランチュラでオーバーレイネットワークを再構築、ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!

 痛みを増幅せよ、痛みを与えよ、その圧倒的苦痛を我に歯向かう全ての敵に与えろ!No.84ペイン・ゲイナー!』

 

 

No.84ペイン・ゲイナー

ランク11/闇属性/昆虫族/守 0 ORU:3

 

 

先ほどの蜘蛛のNo.と似たようなNo.が現れる

見た目はほとんど一緒だと言っても、こっちは若干スイカを思わせる配色だ

……そしてここから、だ

あの時のおぞましいNo.が、召喚に失敗(?)したとはいえ、持っているだけで脳が危険だと叫ぶ未知なるNo.が

 

『さらにEXデッキからモンスター効果発動!ランク10・11の闇属性エクシーズモンスターに重ねてエクシーズ召喚できる!

 No.84ペイン・ゲイナーを対象にオーバーレイネットワークを再構築、ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!』

 

おぞましい蜘蛛が、3つの光と共に吸い込まれていく

……それだけで、あそこからあふれ出る邪悪な気配が、あたり一帯を包み込む

 

『……さぁ、行きますよ、武藤さん(・・・・)

 

「……え?」

 

今、あいつ、なんて

 

『さぁ現れろ、我が分身!

 化天を司る糸よ、儚き無幻となりて我が滅び行く魂を導け!エクシーズ召喚!No.77ザ・セブン・シンズ!』

 

 

No.77ザ・セブン・シンズ

ランク12/闇属性/悪魔族/攻4000 ORU:4

 

 

過剰な光の渦から現れたのは……真っ白な蜘蛛

だけど、それどころじゃない、俺はe・ラーから視線を外せずにいた

だってあの声は、確かにあの人と同じ声で

 

『……凌牙?おい凌牙!どうしたんだ!?』

 

「シャーク!?」

 

そんなはずはない、だってここは遊戯王次元で、死んでしまった……殺されてしまった(・・・・・・・・・)俺と、私と違って、あの人は生きてるはずなんだ

だからここにいるはずない、いるはずがないんだ

 

『……ふふふっ、どうかしましたか、武藤さん?顔色が悪いですよ?』

 

「あ、あ、あ、」

 

『凌牙!しっかりしろ!あいつの声を聴くな!凌牙!凌牙!』

 

なんで、どうしてここにいるの

だって違う、私は何もやってない、やめて、私はやってないってどうして信じてくれないの

e・ラーの体がどんどん変化していく

フワフワとした長い茶色の髪に大きなくりくりとした目、小柄な身長に加え出ているとこは出ている体

そこに文句のつけようのない絶世の美少女が……私に絶望をもたらした悪魔が、そこにいた

 

『久しぶり、と言った方がいいんでしょうね……武藤さん』

 

「なんで、どうしてここに、いるの?……愛沢さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凌牙は一歩、一歩後ずさる

俺達の目の前には、高校生くらいの少女の姿を形取ったe・ラー

その姿を見た瞬間、凌牙の心は”恐怖”で支配されていた

だが、それも仕方ないだろう

愛沢妃花、凌牙の前世である武藤マナミを地獄に叩き落とした張本人

 

「ど、どういう事だよ!?だってあいつってシャークの……!」

 

遊馬はまだ状況が理解できていないのか、手札を握ったままオロオロしている

……それも仕方ない、だって愛沢妃花はこの世界には存在しないのだから

 

『シャーク、大きく息を吸え、そう、そうだ、そしてゆっくり息を吐け、そう、落ち着け、落ち着くんだ』

 

「はっ、はっ、はっ」

 

凌牙は真っ青な顔をし、体をガタガタと震わせる

あいつは凌牙にとって最大のトラウマ、デュエルの最中だからと必死に逃げたい気持ちを押し殺してこの場に立ってる凌牙を、愛沢妃花(e・ラー)は笑う

 

『どうして私が、ここにいるのか疑問に思ってるみたいですね』

 

「当然だ、武藤マナミが元々この世界の人間でないように、愛沢妃花もこの世界の人間ではない」

 

カイトの言う通り、凌牙もそうだがここに愛沢妃花がこの世界に存在するのは、本来だったらありえないことなのだ

ましてや俺と同じNo.の精霊であるe・ラーが存在しない人物の姿を形どるなど、ありえないのだ

 

『それは違いますよ、天城カイト

 この世界に愛沢妃花()がいるのがありえないのではなくあの世界に愛沢妃花がいるのがありえない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)んですよ』

 

その言葉に、遊馬と今だ顔色の悪い凌牙以外が、その言葉の意味に気が付いた

まさか、そんなわけないと、でもあいつが愛沢妃花の形をとっている以上、それが真実だ

たとえどんなに奇妙な事でも、最後に残った物が真実なのだから

 

『それでは……冥土の土産に教えてやろう

 ……どうして依り代が、この世界に生まれたのか、その理由を』

 

愛沢妃花(e・ラー)は、おぞましいほど綺麗な笑みで、ただ凌牙を見ていた




このVSe・ラーではサルガッソ編と同じでデュエルしながらお話もするのでくっそ長くなると思います、ご了承ください


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

67/凌牙&遊馬VSe・ラー~神代凌牙は存在しない~

Aiと不霊夢が可愛すぎてつらい(真顔)
なんだよあのポンコツAi共!可愛すぎか!(2回目)
VRAINSは2期から本番、はっきりわかんね
あとソウルバーナーとGo鬼塚のデュエルェ……剛鬼は犠牲となったのだ……( ˘ω˘ )


e・ラーLP5700 手札1

【モンスター】

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000 ORU:4

堕天使イシュタム/守2900

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP2850 手札2

神代凌牙LP4000 手札3

【モンスター】

No.50ブラック・コーン号/攻2100 ORU:1

クラッキング・ドラゴン/攻3000

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:1

冥界の宝札(永続魔法)

セット×1

セット×1

 

 

 

そもそもの始まりは、我等が神がヌメロンコードに触れた時に始まった

愛沢妃花(e・ラー)はそう語りだした

 

『アストラル世界の使者と我等が神の戦いの時、我等が神は偶然、ヌメロンコードの端に触れた』

 

全員、黙って愛沢妃花(e・ラー)の話を聞いていた

凌牙は愛沢妃花(e・ラー)の声を聴く余裕があるのかないのか、震える体を押さえて必死に立ち上がっている

俺はそっと凌牙の体を支える……少しでも、凌牙の感じた痛みを、恐怖を分かち合うため

 

その世界(・・・・)で、我等が神は7人の魂を用いてアストラル世界と人間世界に混沌をもたらした』

 

愛沢妃花(e・ラー)はくすくすと笑いながら……しかし、不機嫌な顔を隠さずに言葉を続ける

 

『我等が神も、その世界の我等が神と同じように7人の魂を使い、世界に混沌をもたらそうとした、だが……

 この世界には、6人しか存在していなかった(・・・・・・・・・・・・・)

 

「え、6人?1人足りねぇじゃん」

 

愛沢妃花(e・ラー)の言葉に遊馬が口を挟む

遊馬も小鳥も、まだ意味が分からないように困惑しているが、俺やカイトやアストラルは言葉の意味がわかり黙って凌牙を見つめていた

なんでかわからねぇけど、神とやらは7人の人間を使い何かをしようとしている

だけどこの世界には神とやらが見た違う世界の7人の人間の内1人足りない

そして、凌牙は、武藤マナミはこの世界の人間じゃない

 

『なるほど、武藤マナミは選ばれたというわけか……足りない1人の代役として』

 

凌牙は俯いたまま顔を上げない

体はまだ、震えたままだ

 

「だが腑に落ちないな……なぜ武藤マナミが選ばれた?

 それに、ただ代役と選ばれて、なぜ武藤マナミはあんな目に合わなければならなかった?」

 

「そうよ!シャークにあんなひどい事するなんて……!」

 

小鳥の言葉に愛沢妃花(e・ラー)はきょとりと目を大きく開く

あいつにはわからないが、俺達はあくまでカードの精霊だ、人間と精霊じゃ感じる感情に微妙にずれるんだ

俺も今は人間に近い思考をしているとは言え、カードの精霊だからわかる……

人間ごときがどうなろうが、知ったことはないと

 

『我等が神とて違う次元の違う世界に干渉出来るわけではない

 ……だが、その依り代の世界だけは違う、その依り代の世界には既に道があったからな』

 

道?すでに神とやらが干渉するための何かがすでにあったって事か

でもそれはなんだ?デュエルモンスターズか?

……いや、違う、もっと違う何かが……

 

「!まさかアニメか!?」

 

『……!そういう事かよ……!』

 

愛沢妃花(e・ラー)は満足げにほほ笑んだ

……まるで、そうだとでも言わんばかりに……それだけで、俺達の推測が正しい物だと証明された

 

「カイトもブラック・ミストも納得すんなよ!俺は何が何だか……」

 

まぁ遊馬の頭で理解しろって言う方が無理だな

というか普通の人間なのにそこまでの発想が至るカイトの方が異常なんだよな

小鳥もよくわかってねぇって顔してるし

 

『……遊馬と小鳥は覚えているだろうか?シャークが話してくれた、こことは違う世界……歴代遊戯王の話を』

 

「勿論覚えてるぜ!4つの世界に分かれちまった奴とか、インターネットの世界の奴とかだろ?」

 

『ああ、遊戯王デュエルモンスターズ、GX、5D's、ARC-V、VRAINS

 シャークの世界ではデュエルモンスターズはアニメとなっていて、シャークもそれを見ていた……1つを除いて』

 

『アストラルと遊馬がオーバーレイした姿と同じ名前……遊戯王ZEXALをな』

 

遊馬と小鳥の表情が固まる

ここまでの説明を聞いて、どうして神が凌牙の世界に干渉出来たか理解できたのだろう

愛沢妃花(e・ラー)は大声で笑い出す

 

『そうだ、それが作りものだとしても、それがその世界では空想の物でも、それはここと同じ世界

 いわば特殊な平行世界(パラレルワールド)、違う形の同一世界……故にその”世界”という”道”を通る形で干渉を行うことが出来た』

 

大きな瞳は真っすぐと凌牙を見つめる

不気味なくらいに、大きな瞳を

 

『足りない1人の代役を見つけるのは簡単だった

 孤独を抱え、だけど希望を失わず、絶望を知らず、だけど痛みは知っている……輝ける純真な魂を持った人間を』

 

「それが、俺……」

 

凌牙のつぶやくような声が、やけにあたりに響く

微かに、震えるような声なのに、なぜかこの場にいる全員の耳に届く

 

「仮にその条件に当てはまったのがシャークだとしても、だからってあんな……!」

 

『我とて人間風情に割く時間などないわ

 ……だが干渉は出来たとはいえ、理の違う次元の世界だ

 武藤マナミはあの世界の人間だ、それは変えようのない事実だ

 この世界の人間とは違う運命を生きる人間を無理やり誘い込むなど、本来ならば絶対に出来ないことだ

 しかしな、何事も”例外”という物が存在するのだ』

 

くるりと愛沢妃花(e・ラー)は回り、話を続ける

 

『孤独を植え付け、絶望させ、1つ残らず希望を奪い取り……その魂を”堕とす”』

 

「魂を堕とす……だと?」

 

愛沢妃花(e・ラー)の言葉にカイトは眉を顰める

人間であるカイトは魂を堕とす、ということがどういうことかわからないのだろう

だけど俺とアストラルはわかる、魂のランクアップやランクダウンを繰り返し見て来た俺達は

 

『そうだ、輝ける純真な魂であればあるほど、それが堕ちた時の魂の、意思のエネルギーは莫大なカオスになる

 ……世界の理を無視し、次元を超える程度の力を、な』

 

……あぁ、だから凌牙はあんな目にあったのか

1人の人間の代わりにするために、この世界に連れ込むために、深い絶望に落とされて

 

『つまり、君達は違う世界の神と同じように7人の魂を使おうとしたが、この世界には6人しかいなかった

 足りない1人の代役を見つけるためにシャークの世界へ干渉

 輝ける純真な魂の持ち主であるシャーク……武藤マナミを見つけるが、真っ当な手段では私達の世界に誘い込むことは出来ない

 ……だから武藤マナミを嵌めて、罵詈雑言と嘲笑で尊厳を、心を傷つけて、暴力でその体もボロボロにした……という事か

 シャークは何度も言ったと言っていた、”信じて欲しい””何もやっていない”と、心が悲鳴を上げているのに、それを無視して』

 

アストラルの声が震えている……それは、怒り

俺だって凌牙を支えていなければ、凌牙のぬくもりを感じてなけれな、きっと愛沢妃花(e・ラー)を殴りにいっていた

理不尽にその生を食いつぶされ、だけど懸命に生きている生命をまるでゴミのようにもてあそんでいるこいつに怒りを感じているんだ

俺達が怒りを感じているのを、愛沢妃花(e・ラー)もわかっているはずだ

 

『……だから?』

 

それでも愛沢妃花(e・ラー)は理解しない

だって愛沢妃花(e・ラー)にとって、人間は自分たちの目的を達成するための道具なのだから

 

「ふざけんなぁ!シャークは必死に耐えて来たんだぞ!?なのに、なのに……!」

 

『……はぁ、もうこの問答も聞き飽きたな、冥土の土産も用意してやったんだ……さぁ、デュエルを再開しようじゃないか!

 我はセブンシンズの効果発動!ORUを1つ使い、相手フィールドのモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターをこのカードのORUにする!』

 

『ちょっ!?』

 

 

No.77ザ・セブン・シンズ ORU:4→3→5

 

 

俺達の問答を強制的に終わらせて、セブンシンズの効果を発動させる

こちらの動揺などもまるで無視してモンスターを破壊し、それが光の玉となりセブンシンズの周りを漂う

あいつの姿も、いつの間にか愛沢妃花からe・ラーの姿に戻っていた

 

『これで厄介なクラッキング・ドラゴンは消えた!

 我は堕天使イシュタムの効果発動!ライフを1000払い、自分の墓地の堕天使魔法・罠を対象に発動できる

 その魔法・罠の効果を適応し、そのカードをデッキに戻す!我は堕天使の戒壇の効果を適応し、堕天使ゼラートを守備表示で特殊召喚する!』

 

 

堕天使ゼラート

星8/闇属性/天使族/守2300

 

e・ラーLP5700→4700

 

 

e・ラーは俺達の姿を見つめ、にやりと笑う

 

『もっとカオスを……その壊れかけの魂と器を我らが神に捧げよ!

 なすすべもなく、友が地に倒れるさまを、自分の無力さを嘆きながら絶望しろ!

 我はNo.77ザ・セブンシンズで九十九遊馬にダイレクトアタック!ジェノサイドスパイダーシルク!』

 

『遊馬!』

 

真っ白な蜘蛛は、その巨体で遊馬とアストラルに迫る

小鳥が悲鳴を上げ、必死にアストラルと遊馬の名前を呼んでいる

俺はただ、その様子を見てるしか出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「罠、発動……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あはははははははは!我が神よ!これで貴方様の障害であるアストラルと九十九遊馬は討ち果たした!後は……』

 

「……それは、どーだろうねぇ」

 

土煙が晴れて、俺達のフィールドがあらわになる

遊馬とアストラルは、何が起こったかわからず呆然としている、小鳥ちゃんもカイトもそうだ

 

 

九十九遊馬LP2850

 

 

『な……!なぜだ!なぜライフが減っていない!?』

 

e・ラーは驚いたようにフィールドを見つめる

 

 

バージェストマ・オレイノデス

星2/水属性/水族/守 0

 

幻影騎士団ウロング・マグネリング

星2/闇属性/戦士族/守 0

 

 

さっきまでいなかったモンスターにe・ラーは目を見開く

一応罠カードの発動を宣言したけど、皆に聞こえてなかったみたいで、結果的に「発動していたのさ!」をやることになってしまった

 

「……俺は、罠カード幻影騎士団ウロング・マネリングを、発動してたんだよ

 相手モンスターの攻撃宣言時に、発動出来て、その攻撃を無効にでき、る

 その後は、効果モンスターとしてフィールドに、特殊召喚する

 チェーンで、オレイノデスの効果、を発動して、モンスターと、して特殊召喚した」

 

……まだ、あの人の恐怖が残っているみたいで、言葉を所々つっかえてしまう

前を見るのも、まだ怖い

 

「サンキューシャーク!おかげで助かったぜ!」

 

『ああ、君のカードが無ければ私と遊馬は負けていた』

 

遊馬とアストラルに声をかけられたが、喉が引き攣ってうまく言葉が出ない

気丈に笑って、遊馬とアストラルの声に答える

 

『ちっ……さっさと負ければ余計な怪我をしないものを……我はこれでターンエンドだ

 そしてこの瞬間、クラッキング・ドラゴンの効果は終了する』

 

 

e・ラーLP4700 手札0

【モンスター】

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000 ORU:5

堕天使イシュタム/守2900

堕天使ゼラート/守2300

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP2850 手札2

神代凌牙LP4000 手札3

【モンスター】

バージェストマ・オレイノデス/守 0

幻影騎士団ウロング・マグネリング/守 0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:1

冥界の宝札(永続魔法)

セット×1

 

 

状況は俺達が圧倒的に不利だ

守備力が高く、墓地の堕天使カードを使えるイシュタムにモンスターを破壊してORUにするセブンシンズ

ライフはかなり減ってて、手札も0だけどフィールドのこの盤石を崩すのは至難の業だ

 

「俺のターン、ドロー!」

 

遊馬はドローカードと手札を見比べて難しいそうな顔をしている

下手にモンスターを出しても、セブンシンズの効果で破壊され、ORUにされちゃう

 

『遊馬、ここは……』

 

「ああ、俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 

e・ラーLP4700 手札:0

【モンスター】

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000 ORU:5

堕天使イシュタム/守2900

堕天使ゼラート/守2300

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP2850 手札1

神代凌牙LP4000 手札:3

【モンスター】

バージェストマ・オレイノデス/守 0

幻影騎士団ウロング・マグネリング/守 0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:1

冥界の宝札(永続魔法)

セット×3

 

 

やばい、このままじゃじり貧になる

とりあえず次のターンは持つと思うけど、あんまり楽観視できない

……何とか、なんとか突破口を見つけないと

 

「俺のターン、ドロー!」

 

……とりあえず、うまくいけばセブンシンズをフィールドからご退場できるけど、無策でセブンシンズを置いてるわけじゃないよな?

でもイシュタムの効果もあるし、墓地発動のカードがないとも限らない

……考えてるのは性に合わない、とりあえず出来ることをする!

 

「俺は―――」

 

フィールドを確認するため、前を向く

 

「……あ」

 

愛沢さんが、見てる

姿は確かにe・ラーだけど、あの目が、面影が、あの人に似ていて

……手が震える、カードがうまく持てない、ダメだ、デュエルに、デュエルに集中しないと、負けられない戦いなのに、手が、

 

『……凌牙』

 

俺の手に、ブラック・ミストの手が重なる

 

『大丈夫だ、俺達はお前を傷つけない

 俺も、遊馬も、アストラルも、小鳥も、カイトも……皆、お前の事を信じてるから』

 

「ブラック・ミスト……」

 

……そうだ、ここには皆がいる

何者にも変えられない、絶対無敵の絆で結ばれた仲間が

まだ、あいつは怖い

だけど……皆が俺を支えてくれる、信じてくれる……それだけでいいんだ

 

『ほぉ……いい目をするじゃないか

 ……その心が折れた時、一体どれほどのカオスが生まれるか、楽しみだなぁ!』

 

e・ラーはまだ怖い、けど、俺はこのデュエルをやり遂げる!

 

「―――俺は、レベル2のオレイノデスとウロング・マグネリングをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!さぁ出ておいで!ランク2バージェストマ・オパビニア!」

 

 

バージェストマ・オパビニア

ランク2/水属性/水族/守2400 ORU:2

 

 

「俺はオパビニアの効果発動!ORUを1つ使いデッキからバージェストマカードを手札に加える!俺はディノミスクスを手札に加える!

 オパビニアがフィールドにいる限り、バージェストマカードを手札から発動できる!さっき手札に加えたディノミスクスを発動!」

 

かしゃりとカードを墓地に送り、発動させる

 

「フィールドの表側表示のカード1枚を選択して、手札を1枚捨ててそのカードを除外する!」

 

『よし!これでセブンシンズを除去できる!』

 

ブラック・ミストが嬉しそうに声を上げるが、俺は安心できない

だってほら、あんなに楽しそうに笑ってるんだから

 

『ふふふ、その程度でセブンシンズを倒せるものか!

 我はセブンシンズの効果発動!このカードが除外されるとき、代わりにこのカードのORUを破壊する!』

 

「はぁ!?」

 

 

No.77ザ・セブン・シンズ ORU:5→4

 

 

遊馬の驚きの声が聞こえてくる

一瞬セブンシンズが消えかかってたが、ORUが弾けた瞬間セブンシンズがその存在感を取り戻す……やっぱりそう簡単にはいかないか

でもまだできることはある!

 

「俺は手札から妖仙獣鎌弐太刀を召喚、弐太刀の効果で参太刀を召喚!弐太刀と参太刀の召喚に成功したから、修験の妖社の妖仙カウンターが2つ点灯!

 修験の妖社の効果を発動!カウンターを3つ取り除いて妖仙獣の神颪を手札に加える!」

 

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1800

 

妖仙獣鎌参太刀

星4/風属性/獣戦士族/攻1500

 

修験の妖社 妖仙カウンター:1→3→0

 

 

ここは少しでもライフを削る!

 

「俺は弐太刀でe・ラーにダイレクトアタック!弐太刀は与えるダメージを半分にする事でダイレクトアタックすることが出来るよ!」

 

 

e・ラーLP4700→3800

 

 

これでやっと半分か……

 

「俺は参太刀の効果を発動!このカード以外の妖仙獣が戦闘ダメージを与えた時、妖仙獣を手札に加える!俺は魔妖仙獣大刃禍是を手札に加える!

 俺はカードを1枚伏せてターンエンド、この瞬間弐太刀達は自身の効果で手札に戻る」

 

次の俺のターンが来れば、大刃禍是でバウンズ出来るはずだから多分大丈夫なはず

それまで持つか……いや、持たせて見せる

俺の事を支えてくれるブラック・ミスト、一緒に戦ってくれてる遊馬とアストラル、見守ってくれてるカイトと小鳥ちゃん

皆の為に……何より、自分の為に、俺がこれからどうするかの答えを見つけるために

もし、俺の推測が本当だったら、俺は……

7人の魂……バリアン七皇の足りない1人の代役なのだから

 

 

e・ラーLP3800 手札:0

【モンスター】

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000 ORU:4

堕天使イシュタム/守2900

堕天使ゼラート/守2300

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP2850 手札1

神代凌牙LP4000 手札:5

【モンスター】

バージェストマ・オパビニア/守2400 ORU:1

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:0

冥界の宝札(永続魔法)

セット×3

セット×1




正直言って自分でも何書いてるのか途中からわからなくなってきた(真顔)
VSe・ラーは次で終わる(予定)です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

68/凌牙&遊馬VSe・ラー~希望を冠する者達~

詰め込んだ結果1万越えの文字量……デュエル無しの話が大体5千だから約2倍である
途中で「お?」って思うところがあるとは思いますが寛大なお心でスルーしていただけるととっても嬉しいです(震え声)

最新話だけどボーマンがオリジナルで、Playmakerがバックアップの人格とかすさまじい展開になってきたな(驚愕)
果たしてボーマンがそう言う風に記憶を捏造されてるだけなのか、本当の事なのか……
次話が楽しみだなと思いました(小並感)
後ウィンディの声が親善大使でびっくりしたよ!
考察ではウィンディが草薙仁のパートナーで、スペクターのパートナーは土属性のイグニスだって話だけど、実際はどうなんだろうね?


e・ラーLP3800 手札0

【モンスター】

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000 ORU:4

堕天使イシュタム/守2900

堕天使ゼラート/守2300

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP2850 手札1

神代凌牙LP4000 手札5

【モンスター】

バージェストマ・オパビニア/守2400 ORU:1

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:0

冥界の宝札(永続魔法)

セット×3

セット×1

 

 

『我のターン、ドロー!』

 

e・ラーがカードをドローし、何も持っていない左手に加える

たった1枚、されど1枚、油断は出来ない

 

『我は守備表示のイシュタムとゼラートを攻撃表示に変更!

 そしてセブンシンズの効果発動!ORUを1つ使い、お前達のモンスター全てを破壊しこのカードのORUにする!』

 

「所がそうはいかないんだよね!オパビニアは他のモンスターの効果を受けない!よってこのカードが破壊されることは無い!」

 

『ちっ……』

 

 

No.77ザ・セブン・シンズ ORU:4→3

 

 

とりあえず壁は守られたけど、こっちの劣勢には変わりない

あの高攻撃力のモンスターを捌くのは一苦労だ、2対1なのにアドバンテージはあっちの方が圧倒的に上だ

 

『さぁバトルだ!我はセブンシンズで九十九遊馬にダイレクトアタック!ジェノサイドスパイダーシルク!』

 

セブンシンズが蜘蛛の糸……いや、あれはもはや白いレーザーと言っても差し支えは無いだろう

それが一直線に遊馬に向かっていく……あいつ、やっぱり遊馬を集中攻撃することをやめないらしい

 

『遊馬!』

 

「わかってる!俺は手札の虹クリボーの効果発動!このカードをセブンシンズの装備カードにし、装備モンスターは攻撃出来ない!」

 

クリクリーと可愛らしい声が聞こえ、カードを発動しようとDディスクに置いていた手を止める

……全体破壊の効果はともかく、4000の攻撃が来ないのは安心できる

多少の時間稼ぎしか出来ないだろうけど、ないよりはましだろう

この伏せカードは最後の切り札としてとっておこう

 

『無駄な足掻きを……!ならばゼラートで九十九遊馬を攻撃だ!』

 

「させるか馬鹿野郎!俺は墓地の三つ目のダイスの効果発動!」

 

『墓地のこのカードを除外することで相手モンスターの攻撃を無効にする!』

 

2回もの攻撃を防御されてe・ラーはイライラとした表情を隠そうとしない

e・ラーはイシュタムで再度遊馬に攻撃宣言を行う

遊馬はDディスクに手を伸ばそうとしたが、アストラルに窘められてそのままダメージを食らう

そしてe・ラーはそのままターンエンドした

 

 

遊馬LP2850→350

 

e・ラーLP3800 手札1

【モンスター】

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000 ORU:3

堕天使イシュタム/攻2500

堕天使ゼラート/攻2800

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP350 手札0

神代凌牙LP4000 手札5

【モンスター】

バージェストマ・オパビニア/守2400 ORU:1

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:0

冥界の宝札(永続魔法)

虹クリボー(装備カード)

 →対象:No.77ザ・セブン・シンズ

セット×3

セット×1

 

 

……なんでカードを発動させなかったんだ?

多分遊馬のリアクションから、あれは防御系のカードだと思うんだけど……

……あっ(察し)

 

「アストラル……聞こえますか……俺です……シャークです……今、あなたの脳内に……直接話しかけています……」

 

『こんな時でもネタ挟むのはやめろ』

 

Dゲイザー越しから遊馬達に呼びかける

声出してもいいけど、あまりこっちの手の内を知られるのは良くないからな

 

<え、シャーク、アストラルに用か?でも何で通信……>

 

「ちょっとねぇ……アストラルー」

 

<どうした、シャーク?>

 

今更だけどこれアストラルの声も認識するんだ……

通信しといてあれだけど、正直期待してなかった、科学の力ってすげー!

 

<あのさぁ、俺の事心配してくれるのは嬉しいけどさぁ、俺の事はいいからそっちはそっちでデュエルしててや

 遊馬の反応見る限り、さっきのカードは防御系のカードっぽいし、それは俺にとっておくもんじゃなくてそっちで使うべきカードだったと思うけど?>

 

確かに俺も三つ目のダイスの効果使ったけどさ、それはタッグデュエルでパートナーである遊馬を助ける為

でもさっきのは明らかに自分達を犠牲に、いざって時に俺を生かす為の行為だった

いくらデュエリストの皮を被ったリアリストだけどさ、それはデュエリストである俺を侮辱する行為に他ならない

 

<……そう、だったな、君も1人のデュエリストだったな……すまないシャーク>

 

「いやまぁ発狂した手前、俺も強く言えないんだけどねぇ……

 パートナーとしてのサポートは大歓迎だけど、自己犠牲、ダメ、絶対、OK?」

 

<ああ、了解した>

 

おっしこれで大丈夫だ

俺を助けたのが原因で遊馬達が脱落したら死んでも死にきれねぇ

俺とアストルの話が終わったのを確認すると、遊馬がデッキトップに手を置いた……話が長くてすまねぇ……すまねぇ……

 

「行くぜ!俺のターン、ドロー!

 俺はエクシーズリベンジを発動!相手フィールドにORUを持ったモンスターがいる場合、自分墓地のエクシーズモンスターを選択して発動できる!

 選択したモンスターを特殊召喚し、相手モンスターのORU1つを選択したモンスターのORUにする!

 俺はホープを特殊召喚して、セブンシンズのORUをホープのORUにする!」

 

 

No.39希望皇ホープ

ランク4/光属性/戦士族/攻2500 ORU:1

 

No.77ザ・セブン・シンズ ORU:3→2

 

 

遊馬のフィールドにホープが舞い戻る

……やっぱり、ホープがいると何となく安心するな

 

「行くぜ!俺はホープでセブンシンズを攻撃!」

 

『馬鹿な!こちらの方が攻撃力は上だぞ!?』

 

e・ラーは驚きの声を上げる

明らかに自爆特攻をされたら、驚きもするだろう

でも俺達は慌てない……それは俺達にとって必殺のコンボだから

 

『この瞬間ホープの効果発動!ORUを1つ使い、ホープの攻撃を無効にする!ムーンバリア!』

 

 

No.39希望皇ホープ ORU:1→0

 

 

ホープの持っている剣の刃先を消滅する

そして遊馬伏せカードを発動させようと手を伸ばす

ダブル・アップ・チャンス……モンスターの攻撃が無効になった時、攻撃力を倍にしてもう1度攻撃できるようになる速攻魔法

攻撃力2500の倍は5000、これなら十分にセブンシンズを倒せる

……あれ、なんか大事な事忘れてるような―――

 

『ふっ……貴様らがそう来るとは読んでいたさ!』

 

先ほどの驚き表情から一変、邪悪な笑みを浮かべていた

あああああああああそうだった説明はフラグだったああああああああああああ!

 

『我は堕天使イシュタムの効果発動!ライフを1000払い墓地の神属の堕天使の効果を発動する!

 フィールドのゼラートを墓地に送り、ホープの効果を無効にしその分ライフを回復させる!』

 

「えっ!?」

 

「ふぁっ!?」

 

 

e・ラーLP3800→2800→5300

 

 

そうだイシュタムがいたんだ!つーかこれやばい!

 

「ホープの効果を無効にされた今、攻撃は続行される!攻撃力4000のセブンシンズに攻撃力2500のホープの攻撃が通れば遊馬は負ける!」

 

ただでさえリアルダメージがある闇のデュエルで、ライフ350で2500の反射ダメージを受けたら遊馬もアストラルもただでは済まないだろう

変則タッグデュエルとは言え、ある意味No.をかけて戦ってるこのデュエルで負けたらアストラルが消滅してしまうかもしれない

 

『大丈夫だ、シャーク!遊馬!先ほど発動させなかったカードを使うんだ!』

 

「ああ!俺は速攻魔法ストップ・ハンマーを発動!ホープの攻撃を無効にする!」

 

ピコン!と可愛らしいピコピコハンマーがホープの頭に当たり、そのままホープを遊馬のフィールドに戻っていく

……もしかしてあの時アストラルがこのカードを発動させなかったのは正解だったのでは?

いや、一応俺も防御カード伏せてるけどさ……

何はともあれ必殺コンボは妨害され、さらにはライフまで回復させられたんだ、遊馬とアストラルは苦い顔をしている

 

「俺はこれでターンエンドだ!」

 

 

e・ラーLP5300 手札1

【モンスター】

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000 ORU:2

堕天使イシュタム/攻2500

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP350 手札0

神代凌牙LP4000 手札5

【モンスター】

バージェストマ・オパビニア/守2400 ORU:1

No.39希望皇ホープ/攻2500 ORU:0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:0

冥界の宝札(永続魔法)

虹クリボー(装備カード)

 →対象:No.77ザ・セブン・シンズ

セット×2

セット×1

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

あのすいません、この切羽詰まった状況でお前(ジェリーレイン)が来られても困るんですが(絶望)

 

「……俺はオパビニアの効果発動!ORUを1つ使いレアンコイリアを手札に加え、発動!

 除外されているカードを墓地に戻す!俺は三つ目のダイスを墓地に戻す!さらに墓地のカナディアを特殊召喚!」

 

 

バージェストマ・カナディア

星2/水属性/水族/守 0

 

 

防御カードを墓地に戻す簡単な作業です

 

「俺はオパビニアとカナディアをリリースしてアドバンス召喚!

 疾風纏いし妖の長よ、荒ぶるその衣を解き放ち、大河を巻き上げ大地を抉れ!レベル10魔妖仙獣大刃禍是!

 妖仙獣が召喚されたから妖仙カウンターが1つ点灯!冥界の宝札の効果で2枚ドロー!」

 

 

魔妖仙獣大刃禍是

星10/風属性/獣族/攻3000

 

修験の妖社 妖仙カウンター:0→1

 

 

久しぶりに姿を現したのは、俺の最推しエースの大刃禍是

その高い攻撃力と効果はまさにエースにふさわしい

 

「大刃禍是の効果発動!フィールドのカード2枚を手札に戻す!俺はセブンシンズとイシュタムを選択する!

 イシュタムは手札に戻るけど、セブンシンズはエクシーズモンスターだ!EXデッキに戻てもらおうか!」

 

大刃禍是から暴風が吹き荒び、e・ラーのフィールドを蹂躙する

イシュタムはともかく、セブンシンズはEXデッキに戻されたら再度召喚するのはかなり厳しくなる

レベル12のモンスターをそろえるなんて不可能に近いし、ペインゲイナー達は墓地だし

 

『言っただろう?お前達の考えなんぞお見通しだと!我はカウンター罠無償交換(リコール)を発動する!』

 

『そのカードも複製してたのかよ!?』

 

ジンロンとのデュエルでカイトが使っていた俺の前世カードか!

どんだけ俺の前世カード複製してんだよあいつ!後カイトは早急にエフェクト・ヴェーラーを返すべきそうすべき!

 

『大刃禍是の効果を無効にして破壊する!そしてお前はカードを1枚ドローしろ!』

 

「くっそ……!」

 

ここでセブンシンズを除去できないのは痛い……!

どうする、防御を固めるべきか……二重召喚(デュアルサモン)で弐太刀と参太刀を召喚してガガガガンマンでバーン……

いや、それとも……

 

『いい加減諦めたらどうだ?』

 

どうするべきか悩んでいたらe・ラーがそう俺に問いかける

 

『……最初にお前の心を折ろうとしたが、結局持ち直した

 九十九遊馬を倒し、絶望させようとしたが……依り代の様子を見る限りそれは無理そうだな

 だがお前らが我に勝つなどありえはしない、我の勝利は絶対の物、ここでサレンダーすれば依り代とアストラル以外は生かして帰してやろう』

 

……それも、1つの選択だろう

俺達が劣勢の今、最低限遊馬達だけでも逃がすのも手だ……だけど

 

「ふざけんな!俺は絶対サレンダーなんかしない!」

 

「だが断る!」

 

俺と遊馬の声が重なる

その様子をアストラルとブラック・ミストが満足そうに見てめていた

 

「たとえ勝算が低かろうと、俺達はデュエリストだ!」

 

「ライフが1ポイントでも残っている限り、俺達は戦い続ける!」

 

「「それが俺達のかっとビングだ!」」

 

俺達のデッキから光が瞬き始める

諦めない気持ちが、デッキを信じる気持ちが、カードが俺に力を貸してくれる

……いや、この状況で思うのはあれだけど、ほんと最近カードの創造率高すぎない?遊戯王次元大丈夫?

 

「俺は二重召喚(デュアルサモン)を発動!通常召喚をもう1度行うことが出来る!手札から弐太刀と参太刀を召喚!

 さらに魔法カードジェリーレインを発動!フィールドのモンスターの属性を水属性に変更する!」

 

 

妖仙獣鎌弐太刀

星4/風属性→水属性/獣戦士族/攻1800

 

妖仙獣鎌参太刀

星4/風属性→水属性/獣戦士族/攻1500

 

修験の妖社 妖仙カウンター:1→3

 

 

……よし、これで召喚条件は整った!

俺はEXデッキに手を添え、新たに創造されたであろうカードを抜き取った

アビス然り、クリスタル・ゼロ然り、最近水属性縛り多いな

 

「俺は水属性となったレベル4の弐太刀と参太刀でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 出ておいで、No.37!眠りし大地と海の力が紡がれしとき、新たな命の光が噴出する!希望織竜スパイダー・シャーク!」

 

 

No.37希望織竜スパイダー・シャーク

ランク4/水属性/海竜族/攻2600 ORU:2

 

 

……それは、白い鮫だった……いや、どことなく蜘蛛ともとれる部分がある鮫と蜘蛛の複合生物

きっと、e・ラーがまだ俺の中にいた時に残留していた力が、この新たなモンスター()を生み出したんだ

そしてe・ラーとは別の力の……大地(神代凌牙)(ナッシュ)で構成された、希望

 

『これがお前の諦めない思い……希望か

 我はイシュタムの効果発動!ライフを1000払い、墓地の堕天使の戒壇を発動!スペルビアを守備表示で特殊召喚する!スペルビアの効果でテスカトリポカを蘇生させる!』

 

 

e・ラーLP5300→4300

 

堕天使スペルビア

星8/闇属性/天使族/守2400

 

堕天使テスカトリポカ

星9/闇属性/天使族/攻2800

 

 

黒い天使たちが一気に蘇生される

やっぱスペルビアうざいな

 

『我はもう1度イシュタムの効果発動!墓地の堕天使の戒壇を発動、スペルビアを墓地に送りスパイダー・シャークを破壊する!』

 

「させないよ!俺は手札から速攻魔法禁じられた聖衣を発動!スパイダー・シャークの攻撃力を600下げる代わりに効果の対象にならず、効果で破壊されない!」

 

 

e・ラーLP4300→3300

 

No.37希望織竜スパイダー・シャーク/攻2600→2000

 

 

召喚した傍から効果破壊はやめろください!

スパイダー・シャークが破壊できなかったのを見て、e・ラーは眉を顰める

攻撃力は2000……でもこの子なら!

 

「俺は妖仙カウンターを3つ取り除いて2枚目の大刃禍是を手札に!

 そしてバトルだ!俺はスパイダー・シャークでテスカトリポカを攻撃だ!」

 

『ちっ……何をする気だ』

 

「わかってるねぇ、俺はスパイダー・シャークの効果発動!自分か相手の攻撃宣言時、ORUを1つ使い相手フィールドのモンスター全ての攻撃力をターン終了まで1000ダウンさせる!」

 

 

No.37希望織竜スパイダー・シャーク ORU:2→1

 

堕天使テスカトリポカ/攻2800→1800

 

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000→3000

 

堕天使イシュタム/攻2500→1500

 

e・ラーLP3300→3100

 

 

イシュタムとどっちか迷ったが、こっちの方が攻撃力が高いしイシュタムと同じ墓地の堕天使罠カードを使用できる

だったらこっちを優先的に破壊した方がいいよな

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド、スパイダー・シャークの効果は終了して攻撃力は元に戻るよ」

 

 

e・ラーLP3100 手札0

【モンスター】

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000 ORU:2

堕天使イシュタム/攻2500

【魔法・罠】

無し

 

九十九遊馬LP350 手札0

神代凌牙LP4000 手札2

【モンスター】

No.39希望皇ホープ/攻2500 ORU:0

No.37希望織竜スパイダー・シャーク/攻2600 ORU:1

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:0

冥界の宝札(永続魔法)

虹クリボー(装備カード)

 →対象:No.77ザ・セブン・シンズ

セット×2

セット×2

 

 

No.39希望皇ホープとNo.37希望織竜スパイダー・シャーク

2体の希望を冠するNo.は、俺達のフィールドに悠然と佇んでいた

俺達の諦めない気持ち、かっとビングが生み出した希望

 

『悪あがきもここまでくればいっそ哀れだな……!我のターン、ドロー!

 我はエクシーズトレジャーを発動!3体のエクシーズモンスターがいるので3枚ドロー!』

 

3枚も手札があれば、ある程度のことは出来る

ここが執念場だ、絶対にこのターンを乗り切って見せる!

 

『我はセブンシンズの効果発動!ORUを1つ使いお前達のフィールドのモンスター全て破壊する!』

 

『そうはさせない!遊馬!』

 

「ああ!」

 

「『罠発動!スターライトロード発動!」』

 

あ、俺があげたカードだ

……遊馬の事だからあげた時点で予想は出来てたけど、まじで入れていたとは

 

「自分フィールドのカード2枚以上破壊する罠・魔法・モンスター効果が発動した時、その効果を無効にして破壊する!」

 

実はこのカードもう1つの効果があるんだけど、あいにくその効果が使えるカードは俺は持ってない

だからほぼ同じ効果の大革命返しのほうがいい気がする、カウンター罠だし、破壊じゃなくて除外だし

でもセブンシンズを破壊できたのは大きい

 

『その後、EXデッキからスターダスト・ドラゴンを特殊召喚できる!』

 

「ヴァ!?」

 

ちょっと待て、頼むから待って!?

確かに俺スターライトロードあげたけどスタダはあげた覚えがないというか持ってないというか!?

……ああー!お前も創造しちゃった系か!?いいの!?スタダって創造していいの物なの!?

いや璃緒もダークリベリオン創造しちゃってるから強くは言えないけどさ!?

e・ラーもスタダの事は知っていたみたいで、驚きの表情を隠せていない

 

「『集いし願いが新たに輝く星になる……光差す道となれ!飛翔せよ!スターダスト・ドラゴン!」』

 

光の柱が遊馬達のフィールドに現れる

その光の柱を上る黒い影と、周りぐるりと回るように上っていく赤い影……って赤き龍さんじゃないか!

ARC-Vのシンクロ次元編でも出張してたけど、ここでも来るのかお前!

そして光の柱が消失して、フィールドに現れたのはブルーアイズとはまた違った白銀のドラゴンだった

 

 

スターダスト・ドラゴン

星8/風属性/ドラゴン族/攻2500

 

 

『馬鹿な……シグナー龍だと!?

 だがそれだけで我を止められると思ったか!我は手札から死者蘇生を発動!セブンシンズを復活させる!』

 

 

No.77ザ・セブン・シンズ

 ランク12/闇属性/悪魔族/攻4000 ORU:0

 

 

一瞬で蘇生させられちゃったけど、ORUが無けりゃさして脅威ではない……嘘ですORU無くてもめっちゃ脅威です!

だって攻撃力4000だぜ!?グスタフマックスや大刃禍是だって攻撃力は3000しかないんやで!?

 

『さぁバトルだ!我はセブンシンズでホープを攻撃だ!』

 

「発動するなら今しかないでしょ!罠カード決別を発動!

 魔法カードを墓地に送り、バトルフェイズを終了させてターン終了まで表側表示モンスターの効果を無効にする!俺は魔法カード妖仙獣の神颪を墓地に送るぜ!」

 

いくら高攻撃力でも、バトルフェイズを終わらせちゃえば何もできない

e・ラーは強引にカードを2枚Dディスクにたたきつけ、ターンを終了させた

 

 

e・ラーLP3100 手札0

【モンスター】

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000 ORU:0

堕天使イシュタム/攻2500

【魔法・罠】

セット×2

 

九十九遊馬LP350 手札0

神代凌牙LP4000 手札2

【モンスター】

No.39希望皇ホープ/攻2500 ORU:0

スターダスト・ドラゴン/攻2500

No.37希望織竜スパイダー・シャーク/攻2600 ORU:1

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:0

冥界の宝札(永続魔法)

セット×1

セット×1

 

 

『遊馬、シャーク、ブラック・ミスト』

 

アストラルからいきなり声をかけられる

俺達デュエルをしてる3人はどうしたとアストラルの方に顔を向けた

 

『私は、どうしても彼女に勝ちたい

 私達の思いを、決意を、何もかもを踏みにじり粉々に破壊する彼女に……私は勝ちたい

 ……改めて、君達の力を私に貸してほしい、頼む』

 

黄色と透明のオッドアイが俺達を捉える

負けないという闘志が俺達に伝わってくる

ブラック・ミストはそんなアストラルに若干呆れながら、ふいと顔をそむけた

 

『はっ、あいつに勝ちたいのはてめぇだけじゃねぇ……力を貸すも何も今更だろ』

 

照れ隠し?ねぇねぇ、照れ隠……痛っ!

あのすみません脇腹こづくのやめていただけませんかねぇ!?

 

「ブラック・ミストの言う通り今更やで?

 俺達は俺達の思いを踏みにじるあいつを絶対に許しはしない

 ……それに、俺はe・ラーに個人的なアレが色々あるから俺の力も、前世カードもどんどん使っちゃいなYO!」

 

俺の……私の、武藤マナミの人生を狂わせ、この世界のバリアン七皇の1人ナッシュの代役として放り込まれた

どれだけ私が絶望したか、どれだけ俺が今悩んでいるか、e・ラーにはわからないし理解できないだろう

……だったら、あいつのすました顔を敗北のくやしさで歪めるのもやぶさかではないよね!

本当は俺の手で引導を渡してあげたかったけど、遊馬とアストラルだったらその役目を譲ってもいい

 

「何言ってんだよアストラル!俺達はいつだって力を貸し合ってきただろ!

 俺達は1人の力は弱いけど、力を合わせればなんだってできる!今までだってそうやって戦ってきただろ!」

 

『……そう、だな』

 

アストラルはゆるりと微笑み、完全に蚊帳の外であった小鳥ちゃんとカイトの方を見る

俺達の他にも、カイトや俺達を見守ってきた小鳥ちゃんも間違いなくこの戦いで俺達に力を貸してくれた

 

『遊馬、シャーク、ブラック・ミスト……勝つぞ!』

 

『言うまでもねぇよ』

 

「あたぼーよ!」

 

「もちろんだぜアストラル!俺は俺自身と!」

 

『私で!』

 

『「オーバーレイ!』」

 

赤と青の光が天を舞う

ぶつかり、まじりあい、1つの光へ収束していく

 

『真の絆で結ばれし2人の心が重なった時、語り継ぐべき奇跡が現れる!』

 

『「エクシーズチェンジ・ゼアル!』」

 

遊馬とアストラルがエクシーズチェンジした姿、ゼアルセカンドが姿を現した

いきなりの超展開にe・ラーが付いていけないみたいだけど、遊戯王次元じゃこんぐらい普通だから(暴論)

 

「俺のターン、ドロー!魔法カードエクシーズトレジャーを発動!セブンシンズ、ホープ、スパイダー・シャークの3体、よって3枚ドローする!」

 

ゼアルセカンドの右手が光を放ち始める

遊馬の希望とアストラルの力が合わさり、奇跡の力が使用される

……シャイニングドローという、意図的にカードを創造する奇跡の力

 

「『最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する!シャイニングドロー!」』

 

『シャイニングドロー……忌まわしきアストラル世界の力……!』

 

ぎりりとe・ラーは顔を歪ませる

バリアンのカオスとは対になるアストラル世界の力は、e・ラーとは相性が悪いのだろう

 

「俺はホープでオーバーレイネットワークを再構築!カオス・エクシーズ・チェンジ!

 現れろ、CNo.39!混沌を光に変える使者、希望皇ホープレイ!」

 

 

CNo.39希望皇ホープレイ

ランク4/光属性/戦士族/攻 2500 ORU:1

 

 

誰だお前(驚愕)

ホープレイVとホープレイ・ヴィクトリー以外にもいたのかホープシリーズ!

なんだこのホープがいっぱいコレクション!増殖しすぎやろ!?

 

「さらに俺はZW-風神雲龍剣(トルネード・ブリンガー)とZW-荒鷹激神爪(イーグル・アロー)をホープレイに装備する!

 風神雲龍剣(トルネード・ブリンガー)荒鷹激神爪(イーグル・アロー)の攻撃力分ホープの攻撃力がアップする!攻撃力は2000と1300、よって3300分攻撃力をアップさせる!」

 

 

CNo.39希望皇ホープレイ/攻2500→5800

 

 

赤黒い剣と弓矢を装備し、その攻撃力を大幅に増加させる

ゼアルセカンドのターンはまだ終わらない

 

「さらにホープレイの効果発動!ORUを使い、使った数×500攻撃力をアップさせる!更に相手モンスターの攻撃力を使ったORU×1000ダウンさせる!

 俺はORUを1つ使い攻撃力を500アップさせ、セブンシンズの攻撃力を1000ダウンさせる!オーバーレイチャージ!」

 

 

CNo.39希望皇ホープレイ/攻5800→6300 ORU:1→0

 

No.77ザ・セブン・シンズ/攻4000→3000

 

 

ホープレイの攻撃力がセブンシンズを大きく上回った

さっきe・ラーが伏せた2枚のカードが不安だけど、仮にもシャイニングドローで創造されたZWだ、ただの攻撃力アップの装備カードとは思えない

 

「行くぜ!俺はスターダスト・ドラゴンで堕天使イシュタムを攻撃!シューティング・ソニック!」

 

「この瞬間、スパイダー・シャークの効果発動!自分か相手の攻撃宣言時にORUを1つ使い、相手フィールドのモンスター全ての攻撃力をターン終了まで1000ダウンさせる!」

 

 

No.37希望織竜スパイダー・シャーク ORU:1→0

 

No.77ザ・セブン・シンズ/攻3000→2000

 

堕天使イシュタム/攻2500→1500

 

e・ラーLP3100→2100

 

 

白銀の龍が天を舞、黒い天使を破壊する

凄まじい風圧が俺達を襲い、立つほどの出来ないほど衝撃だった

小鳥ちゃんはカイトが支えており、俺はブラック・ミストが支えてくれた

流石遊星のエースモンスター、その辺のモンスターとは格が違うぜ……!

 

「これで終わりだぁ!俺はホープレイでセブンシンズを攻撃だ!」

 

ホープレイが武器を掲げ、セブンシンズに向かって攻撃してくる

ホープレイの攻撃力6300でセブンシンズが2000、ダメージが4300でe・ラーのLPは2100で俺達の勝ちだ

……でも、ここでe・ラーは動いた

 

『そうはさせぬ!罠カード強制脱出装置を発動!ホープレイを手札……EXデッキに戻ってもらおうか!』

 

「させるかぁ!俺はZW-荒鷹激神爪(イーグル・アロー)の効果発動!ホープレイが相手モンスターと戦闘する場合、1度だけ罠の発動を無効にする!」

 

突然ホープレイの前に現れた射出装置は、ホープの持っている荒鷹激神爪(イーグル・アロー)で粉々に粉砕される

 

『ぐっ……!だが我は炸裂装甲(リアクティブアーマー)を発動!

 相手モンスターの攻撃宣言時、そのモンスターを破壊する!ホープレイを破壊だ!』

 

「俺はZW-風神雲龍剣(トルネード・ブリンガー)の効果発動!ホープレイはカードを破壊する効果の対象にならない!」

 

鎧を破壊する爆弾のようなものが一直線に飛んでいくが、ホープレイが風神雲龍剣(トルネード・ブリンガー)で射落とす

e・ラーのフィールドには、この状況を突破するカードはもうない

 

『あっ……あ……?嘘、だ、我が、我が人間ごときに負ける、など……!』

 

e・ラーが一歩後ずさる

デュエルに負ける恐怖、散々見下してきた人間に負けるなんてe・ラーのプライドが許さないだろう

……でも、それじゃ俺が納得できない

復讐……とまではいかないけど、このままで終わらせるのは納得できない!

 

「俺は墓地の三つ目のダイスの効果発動!ホープレイの攻撃を無効にする!」

 

『なんだと!?』

 

三つ目のダイスがe・ラーのフィールドに現れて、ホープレイの攻撃からセブンシンズを守る

俺の行動にゼアルセカンドは驚きの表情を見せたが、すぐに俺の考えが分かったのかカードを発動させた

 

「リバースカードオープン!速攻魔法ダブル・アップ・チャンスを発動!攻撃が無効になった時、攻撃力を倍にしてもう1度攻撃できる!

 さらに手札からバイテンションを発動!自分フィールドのモンスター1体の2回目の攻撃宣言に発動できる、攻撃力を倍にできる!」

 

 

CNo.39希望皇ホープレイ/攻6300→12600→25200

 

 

『攻撃力2万……!?我が、我が負けるなどと、あってはならない!』

 

「攻撃力2万程度でガタガタ言うなボケェ!無限よりはましやろが!

 つーかオーバーキルしないと俺の気が収まらねぇし納得も出来ないんだよ!

 デュエルも楽しいし璃緒達に会えたのもこの世界に来たおかげだ

 それでも俺が感じた痛みも、苦しみも無くなったわけじゃない、だから……これは八つ当たりだ!死にさらせえええええええ!リバースカードオープン!速攻魔法アクションマジック-フルターンを発動!

 このターン、お互いの戦闘で発生する戦闘ダメージは倍になる!」

 

ホープレイの攻撃でe・ラーは23200の倍のダメージである46400のダメージ

e・ラーのライフは2100、4万オーバーの超過ダメージという名の俺最大の八つ当たりを食らえ!というかこの程度で済ませてやってんだからありがたく思え!

 

『嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だああああああああああああああああああああ!』

 

「「CNo.39希望皇ホープレイでNo.77ザ・セブン・シンズを攻撃!」」

 

黒い鎧を纏った希望が、白い絶望にその双剣を振り下ろす

あいつを守る物は、何もない

 

「「ホープ剣・ダブル・イーグル・スラッシュ!」」

 

『あああああああああああああああああああ!!』

 

 

e・ラーLP2100→-44300

 

WIN ゼアルセカンド&神代凌牙



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

69/神代凌牙と新たなる敵

尊と不霊夢の出会いすごい良かった!
つーかブラッドシェパード卑怯すぎワロタ
何だろ、この卑怯な手口どことなくベクター臭がするのは気のせいだろうか……?
そしてまだ見てないけど次は草薙さんと遊作の出会い!楽しみだなー


e・ラーが1万以上の超過ダメージを食らい、派手に吹っ飛ぶのを見て、ああ、終わったのか

……そう思った瞬間、体から力が抜け座り込んでしまう

ブラック・ミストが座り込んだ俺を見て慌てて視線をこちらに向ける

 

『お、おい凌牙……平気か?』

 

それはきっと、デュエルの疲れであったり、愛沢妃花と相対しての精神的疲れであったり……神代凌牙……ナッシュとしての、真実だったりと色々な意味が含まれているのだろう

正直に言おう、平気じゃないです

隣をみるとゼアルセカンドも疲労で膝をついている

……多分、ここ最近で一番きつい戦いだったからね、仕方ないね

 

『嘘だ、我が負けるなどと、たかが依り代に、人間風情に負けるなど』

 

吹っ飛ばされたe・ラーがブツブツとつぶやきながらユラリと起き上がる

虚ろな瞳に映っているのはゼアルセカンドだった

 

「ゼアルセカンド!気を付けろ、あいつ何か―――」

 

『あはははははははは!闇のゲームで無様に負けた以上、我の消滅は避けられぬ……ならば貴様1人でも道連れにしてくれるわ!我がカオスを受け止められるものなら受け止めて見ろぉ!』

 

おい闇のゲームだったなんて聞いてないぞ!そういうことは早めに言えやボケェ!

e・ラーはその体を巨大な槍へと変え、ゼアルセカンドに向かって飛び立つ

異変に気付いた小鳥ちゃん達ギャラリーが急いでゼアルセカンド駆け寄っていくが、距離がありすぎて間に合わない

俺もデュエルのダメージが大きすぎて動けず、ブラック・ミストは俺の方に意識を集中させすぎてとっさに反応できなかった

 

「遊馬!アストラル!逃げてぇ!」

 

小鳥ちゃんの悲鳴が辺りに響き渡る

だけどノーダメージの俺でさえここまで疲労しているのに、ライフを鉄壁まで削られたゼアルセカンドに逃げる力なんて無いだろう

俺達は、ただその光景を見ているだけしか出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『遊馬!』

 

アストラルの声が聞こえたのと同時に、ゼアルセカンドが光り輝き、赤と青の光に分かれ……

 

『ぐあぁ!!』

 

「ひっ!アストラル!」

 

アストラルに、e・ラー自身となって作り上げた槍が突き刺さっていた

丁度人間の心臓と同じ部分に刺さっており、どんどんとアストラルの体を侵食していく

俺も、ブラック・ミストも、小鳥ちゃんも、カイトも、オービタル君も、まるで時が止まったように動かない、動けない

 

「アストラル!」

 

『来るな!……来ては、いけない……!』

 

遊馬がアストラルに駆け寄ろうと、傷だらけの体を起こすがアストラルに止められてしまう

 

『う、あああああああああああああああああああ!!』

 

光の爆発が再び起き、大地が大きく揺れる

立っていられないほどの揺れで、遊馬は倒れこむ

小鳥ちゃんはカイトに支えてもらって何とか自力で立っている状態だ

……そして揺れと光が収まった後、この赤い結晶体で覆われた大地に穴が開いていて、その中心で悠然と佇むアストラルの姿が目に移った

 

『アストラル、お前……』

 

……だけど、アストラルの体は半透明のまま明滅を繰り返し、今にも消えてしまいそうで……きっとアストラルと表裏一体の関係であるブラック・ミストは、今アストラルがどんな状態にあるか正確に理解しているだろう

 

『遊馬……君が無事でよかった』

 

「馬鹿野郎!なんでゼアルを解いたんだよ!」

 

『君を巻き込むわけにはいかない

 それにゼアルをしていた状態であの槍に刺さっていたら、君も無事では済まなかっただろう』

 

「でも、だからって!」

 

『遊馬』

 

遊馬の言葉をアストラルが遮る

その声はどこまでも穏やかで……まるで、今にも。消えてしまいそうな

 

『私は君に会えて本当に良かった

 君には仲間の尊さを、大切さを、信じる心を教えてもらった

 今までありがとう、遊馬、小鳥、シャーク、ブラック・ミスト、カイト、オービタル……君達とはここでお別れだ』

 

「はっ?なんだよそれ、どういうことだよ!説明しろよアストラル!」

 

遊馬も本当はわかってるんだろう……アストラルが、もうすぐ死ぬって事を

でも、それを認めたくないと声を張り上げる

 

『凌牙』

 

ブラック・ミストに声をかけられて、そちらを向く

アストラルと瓜二つの顔を歪ませ、手を俺の目元までもっていく

 

『泣くな、凌牙……』

 

そう言ってブラック・ミストは俺の目からこぼれる涙を拭ってくれる

道理で視界がぼやけるとは思っていたけど、ああ、俺、今泣いてるんだ

 

『皆、No.を頼んだぞ』

 

「おい……ふざけんじゃねぇよ……なんだよ、それ!俺いやだよ!別れるなんて!」

 

アストラルがキラキラと光り輝き、足元から徐々に消滅していく

俺は、ただブラック・ミストに寄り添ってもらいながら、それを見ていることしか出来なかった

 

「おい、アストラル!アストラル!いやだ!行かないでくれよ!」

 

『遊馬』

 

――ありがとう、私の唯一無二の相棒

 

その言葉を最後に、アストラルは完全な光となって穴へと吸い込まれていく

遊馬が必死になって手を伸ばすが届かず、ただ見送るだけしか出来なかった

 

「アストラル!」

 

ブツリ、と皇の鍵を縛っている紐が切れて、アストラルが消えて行った穴へと吸い込まれていく

……そして、もう1度光の爆発が起き、気が付いたら俺達はあの海辺の公園へ戻っていた

誰も、動かない、動けない

 

「ここ、元の場所……ア、アストラル!アストラル、いるんだろ!?隠れてないで出て来いよ!アストラル!」

 

遊馬が首元に手をやり、何かを掴む仕草をするが、その手に掴む物は何もない

……だって、皇の鍵は、あの時確かに弔われたのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あれから、数日の時が過ぎた

遊馬は塞ぎこんでるし、俺も俺でずっと病院に居座っている

小鳥ちゃんが遊馬に何か声をかけて欲しいと言われたが、とてもじゃないけどそんな余裕はない

敵かもしれない俺が、遊馬に何を言ったところで何の意味も無い

……とかなんとかグダグダ考えてたら、いつの間にか遊馬は多少元気を取り戻していた

トーマスからの電話で遊馬とミハエルが新たな刺客である蝉丸?って奴と戦ったらしい

これから新たな敵が出てくる可能性があるので注意してほしい、とも

 

「ブラック・ミスト、一回お家に帰ろうか」

 

『そうだな……お前最近ろくに飯も食ってないし、ゆっくり休め』

 

「うん」

 

そうだ、ここで俺が参るわけには行かない

璃緒が起きない以上、俺がこの戦いの結末を見届ける義務がある

それに俺が1年寝てた璃緒の気持ちと比べたら、これぐらいどうって言事ない

Dホイールを走らせ、自宅へ帰っている途中にDゲイザーがなる

流石に運転しながら電話は出来ないのでこれをスルー

病院からここまで10分くらいだし、さっさと掛けなおそう

家のガレージにDホイールを駐車させ、Dゲイザーで掛けなおしっと電話の相手は遊馬か

 

「もしもし、ゆ<シャーク!無事か!?>」

 

いきなり遊馬の声が大音量で聞こえてきて、思わず耳からDゲイザーを離す

 

「声大きいがな!なんなんいきなり!?」

 

思わずDゲイザーに怒鳴り返す

でもDゲイザーの先の遊馬の顔はほっとしたような顔をしていた

……緊急の用か?まさか敵が来たのか!?

 

<シャーク、落ち着て聞け

 いもシャが敵の毒にやられて大変なんだ!敵はシャークの所に行くって言ってた!大丈夫か!?>

 

『璃緒が!?』

 

「璃緒は!?璃緒は大丈夫なん!?」

 

<シャーク、落ち着いて!璃緒さんの容体は、はっきり言ってよくないわ……このまま解毒出来ないと、命が危ないってお医者さんが……>

 

「くそが!」

 

ガンっとガレージに拳を叩きつける

なるほどなるほど、璃緒は人質って訳か

俺がデュエルを断れないようにする、もしくは璃緒の命と引き換えにNo.をよこせって事か

……璃緒を人質にするとは、よほど死にたいみたいだな

アビスの時は遊戯王次元特有のカードの精霊の試練(?)みたいなものだったから、色々不満しかなかったけど我慢は出来た

でもさぁ、これはさぁ、違うんじゃない?

確かに沢渡さんも柚子たちを人質にしたりしたけどさぁ、ある意味遊戯王次元のお約束と言えるけどさぁ

……ああ、この薄暗い感情をどうしてくれよう?

 

『凌牙、落ち着け、画面の向こうの遊馬や小鳥が怯えてるぞ』

 

「ああ……ごめん、ちょっとあらぶってた」

 

<い、いや大丈夫だよ?

 それよりも凌牙、君は今どこにいるんだい?>

 

「璃緒の事をそれよりもで片づけんなよミハエル、これからミー君て呼ぶからな」

 

<どういうこと!?>

 

というかお前もいたんかい

 

「(スルー)とりあえず俺は今お家に帰った所だよ、とりあえずここで待機してるよわ、俺が目的だったら絶対俺のところに来るはずだしねぇ……下手に動かん方がいいだろ」

 

<おう!俺達もすぐ行くからな!>

 

その言葉を最後にぷつりと通話が切れた

俺はブラック・ミストに向き合い、軽くうなずき合った

 

「……そーゆーわけで、もう出てきていいよー敵さん」

 

「……ち、俺の事気が付いてたのか」

 

『いや割とバレバレだったからな』

 

ユラリと一部の景色が陽炎みたいに揺らめいて、そこに立っていたのは、不審者でした

 

黒咲(不審者)黒咲(不審者)じゃないか!どうしてここに、まさか自力で脱出を!?」

 

『(無言の腹パン)彼は不審者だ』

 

「てめぇら後輩の癖に先輩の俺を無視してるんじゃねぇ!」

 

璃緒に毒を盛るような社会のゴミに人権なんてあるはずがない

……あ、バリアンだから人ですらないか

 

「先輩の俺睨むとかてめぇ何処中だオラぁ!」

 

「ハートランド学園中等部2-Aだオラぁ!」

 

『話が進まねぇからさっさと次行くぞオラぁ!』

 

と、言うわけで場面転換

ガレージから移動してここは中央の広場

俺とブラック・ミストは目の前の不審者と向き合っていた

いやだってコートに帽子、マントとか、後全体的な色彩も黒咲さんに似てる、黒の部分は白だけど

 

「……で、要件はわかってるけどあえて言わせてもらうよ、さっさと解毒剤を渡せやゴミ野郎」

 

「後輩風情が先輩にたてつくなんていい度胸じゃねぇか……!

 まぁいい、解毒剤なんて存在しねぇ、毒を消し去るにはデュエルで俺に勝つしかねぇんだよ!」

 

デュエルで勝ったら毒が消えるってどういう原理だオラぁ!

……色々文句はまだたくさんあるけど、とにかく一刻も早くこいつにデュエルで勝たないと!

 

「おっと……そのデュエル待ってもらおうか!」

 

ヴぁ!?

見知った声が聞こえたのでそちらを向くと、トーマスが屋根の上にいた

……いや、お前いつの間に屋根に上ったんだよ!?そしてよく誰も気づかなかったな!

屋根から軽快に飛び降り、俺の前に優雅に着地する

 

「お前は、トロンのとこの息子か」

 

バイロンさんってバリアン世界でそんな有名人だったの?

 

「おい凌牙、大丈夫か?」

 

「大丈夫だけど最近俺の周りの人間、俺に対して過保護すぎじゃね?」

 

『日頃の行いだろ』

 

「なんも言えねぇや」

 

「だから後輩の分際で先輩を無視するなぁ!」

 

まぁすぐ茶番に走るのは笑いとは思うが、こいつは社会のゴミ野郎なので何の問題も無い

 

「おいそこの不審者野郎、このデュエル俺が代わりにやる」

 

「はあああ!ふざけんなし!このデュエルは俺が受ける!いくらトーマスでもこれは譲れないよ!」

 

璃緒の命が掛かってるんだ、親友のトーマスでも譲れない

キッとトーマスを睨み付けるが、いつにもまして真剣なトーマスの眼差しに思わず後ずさってしまう

 

「逆に聞くが、そんな生半可な気持ちで璃緒を助けられると思ってるのか?」

 

「何、言って」

 

「お前、何を迷ってるんだ」

 

「!」

 

『……流石だな、気付いてのか』

 

「ちょっ!ブラック・ミスト!?」

 

なんで言っちゃうの!?

批難の眼差しをブラック・ミストに向ける、が、ブラック・ミストこれを華麗にスルー!

 

『お前だって、本当は薄々気付いてたんだろ……このまま迷ったままじゃいけないって

 いつか必ず気付かれる、そのタイミングが今だったってだけの話だ』

 

……まぁ、そうだよね

いつか必ず露見することだ、これから先必ず俺は選択しなくちゃいけないんだから

人間として生きるか、バリアンとして生きるか

 

「てめぇらふざけんじゃねぇぞ!上等だ、てめぇら2人まとめてかかってこい」

 

「っだってよ?まさかまさかのタッグデュエルやっちゃいますか?極東エリアのチャンピオンさん?

 ……大丈夫、確かに迷いがある、だけど今は璃緒を助けることが先決だよ」

 

あんに無理やりにでもデュエルに参加すると決意表明(?)したらトーマスはため息をついた

あ、これは諦めたサムシングですわ

 

「ふん、やっと話がまとまったか

 早速デュエル!と言いたいとこだがお前ら俺よりも10こは年下だ、後輩は先輩を立ててもらう」

 

10は下って、トーマスが17歳でその10上って事は……27歳?

……いい年下大人が何ちゅー恰好してるんだよ、防犯ブザー鳴らさなきゃ(使命感)

 

「先輩の俺のライフは8000、後輩のお前達のライフはそれぞれ2000づつだ」

 

「それずるくない!?」

 

あっちのライフが4000でこっち2000だったらまだ納得できたけど8000て!?

いくら何でも理不尽過ぎない!?e・ラーの方がまだマシだったぞ!その代わり精神攻撃がクソだったけどな!

 

「はっ、何言ってるんだよ丁度いいハンデだろ?」

 

「後輩風情が生意気な、最強の水属性モンスターの力見せてやるよ!」

 

ドロリと不審者の体が変形(?)し、その姿を変える

あの……なんだあれ、なんだあれ!?えーっと、水属性モンスターって言ってたからそっち関係の動物?だよな?

で、髪?でうねうねしてて……

 

「……クラゲか?」

 

『なるほど、クラゲ先輩って事か』

 

「誰がうまい事言えと」

 

不審者改めクラゲ先輩の足元から不気味な紋章が広がり、弾けた

軽くDゲイザーをチェックするとすでにタッグ設定で、ライフもさっきクラゲ先輩が言っていた条件になっていた

 

「さぁ行くぞ凌牙!」

 

「もちのろん!つーか男だったらデュエルディスクなんて捨ててかかってこい!

 Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「「デュエル!」」」

 

 

神代凌牙LP2000 手札5

ⅣLP2000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

クラゲ先輩LP8000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し




というわけで次はVSクラゲ先輩です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

70/凌牙&ⅣVSクラゲ先輩~妹を助ける為に~

ミラフォの次は魔法の筒とかリボルバーガチカード使いすぎじゃね……?
後ウィンディとリボルバーのデュエルがハイレベルすぎる……あのレベルのデュエル私には到底不可能です(真顔)
後”密会”は神回だった、イグニス達がわちゃわちゃしてるのすごくかわいい!
「このままいかせていいのか?」「そんなわけなかろ」のやり取り好き

あ、今回のデュエルはいつにもましてガバガバなのでご容赦ください


神代凌牙LP2000 手札5

ⅣLP2000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

クラゲ先輩LP8000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「俺のターン、ドロー!

 修験の妖社発動、妖仙獣が召喚される度にカウンターを点灯させる

 妖仙獣鎌弐太刀を召喚、弐太刀の効果の効果で参太刀を召喚!妖仙獣が召喚されたので妖仙カウンターが2つ点灯!」

 

 

妖仙獣鎌弐太刀

 星4/風属性/獣戦士族/攻1800

 

妖仙獣鎌参太刀

 星4/風属性/獣戦士族/攻1500

 

修験の妖社 妖仙カウンター0→2

 

 

さてここからどうするか……

ランク4を召喚しようか……ガガガガンマンか?

1ターン目は全員攻撃できないし、バーンを与えるか……

……いや、このデュエルには璃緒の命が掛かってるんだ、ただでさえライフが半分なんだから慎重に行かないと

つーかトーマスとのタッグなんだし、エクシーズモンスター出したら俺がやばいか

 

「俺は手札のWW-スノウ・ベルの効果発動!風属性のモンスターが2体以上いるので特殊召喚できる!」

 

 

WW-スノウ・ベル

 星1/風属性/魔法使い族/攻 100

 

 

可愛らしい水色の鈴のモンスターがひょっこりとフィールドに現れる

……なんでリンちゃんのデュエル1回だけだったんだろか……リンちゃん不憫すぎるやろが……

 

「俺はレベル4の鎌弐太刀にレベル1のスノウ・ベルをチューニング!その躍動感溢れる剣劇の魂、出ておいで!HSRチャンバライダー!俺はこれでターンエンド、参太刀は自身の効果で手札に戻るよ」

 

 

HSRチャンバライダー

 星5/風属性/機械族/攻2000

 

神代凌牙LP2000 手札3

ⅣLP2000 手札5

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2000

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:2

 

クラゲ先輩LP8000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

というかクラゲ先輩シンクロ召喚に対して何のリアクションもしなかったなぁ……

いや、バリアン側には既にシンクロもペンデュラムもバレてるんだし当たり前か

 

「なんだ、やけに慎重じゃねぇか」

 

「当たり前やん?璃緒の命が掛かってるんやぞ?

 ……まぁ、そんなわけで俺がやらかしそうになったらフォローよろしく」

 

『よっしゃ任せろ(腹パンの素振りをしながら)』

 

「物理じゃないですかやだー!」

 

「てめぇらいい加減しろぉ!俺のターン、ドロー!

 俺はデス・キロネックスを召喚、フィールドに水属性モンスターがいるのでサイレンス・シーネットルを自身の効果で特殊召喚だ!」

 

 

デス・キロネックス

 星4/水属性/水族/攻 800

 

サイレンス・シーネットル

 星4/水属性/水族/攻 800

 

 

フワフワとフィールドに現れたのは、うん、クラゲです

彼の見た目とかで大方想像は付いたけど、本当に見たまんまだなおい

 

「先輩の本気はここから始まる……しっかり見とけよ?

 俺はレベル4のデス・キロネックスとサイレンス・シーネットルをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れろ、No.4!混沌に漂いし透明な戦士、全てを見通し世界を刺せ!猛毒刺胞ステルス・クラーゲン!」

 

 

No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン

 ランク4/水属性/水族/攻 1900 ORU:2

 

現れたのは毒々しい色の巨大クラゲ

んー、ランク4のわりに攻撃力が低いような……どんな効果効果を持ってるんだ?

クラゲだし、ジワジワと攻撃力を下げる系か、それともバーンか

 

「はぁ!?No.4!?ふざけるな!4は俺の専売特許だ、特別な数字だ!何が悲しくてNo.4がクラゲなんだ!」

 

>>突然の逆ギレ<<

まぁ、ファザコンのトーマスがバイロンさんからもらった4の数字を馬鹿にされたら(?)そらキレるよなぁ……

あ、俺的には別にNo.4がクラゲだろうが何だろうがどうでもいいです、はい

 

「クラゲを舐めてんのか?水属性最強の生物こそクラゲ!不死の生命が死の毒をお前達に突き刺してやるよぉ!

 俺は手札から魔法カードジェリー・レインを発動!フィールドのモンスターを水属性に変更する!」

 

『このタイミングで属性変更だと?』

 

ブラック・ミストが怪訝そうにクラゲ先輩を見つめる

このタイミングで変更、って事はあのNo.の効果と関係してるとみて間違いないだろな

 

「ステルス・クラーゲンの効果発動!互いのターンに1度、水属性モンスターを破壊し、その攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える!俺は水属性になったチャンバライダーを破壊する!」

 

「その為の属性変更か!でもスノウ・ベルを素材にしたシンクロモンスターは効果破壊されない!」

 

「なんだと!?」

 

正確にはこのカードを素材にしてシンクロ召喚した風属性シンクロモンスターだけどね

それにしてもあっぶねー!ガガガガンマンじゃなくてチャンバライダー出しといてよかった……!

……ん?効果破壊されないのは風属性シンクロモンスターだけど、今水属性に変更になってるけどどうなんだ……?

……まぁいいや!デュエルディスクは効果破壊されないって処理されてるし、考えるのはやめよう!(思考停止)

 

「ちっ、俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 

神代凌牙LP2000 手札3

ⅣLP2000 手札5

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2000

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:2

 

クラゲ先輩LP8000 手札1

【モンスター】

No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン/攻 1900 ORU:2

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

今更だけどステルス・クラーゲンの効果ってORU使わないんだ……これはつらい

 

「俺のターン、ドロー!

 俺はギミック・パペット―死の木馬(デストロイ)を召喚!」

 

 

ギミック・パペット―死の木馬(デストロイ)

 星4/闇属性/機械族/攻1200

 

 

「さらに手札からからくりの宝札を発動!フィールドのギミック・パペットモンスターを破壊し、カードを1枚ドローする!

 死の木馬(デストロイ)がフィールドから墓地に送られたので、手札のギミック・パペットモンスターを2体まで特殊召喚できる!俺はネクロ・ドールとナイト・ジョーカーを特殊召喚!」

 

 

ギミック・パペット―ネクロ・ドール

 星8/闇属性/機械族/攻 0

 

ギミック・パペット―ナイト・ジョーカー

 星8/闇属性/機械族/攻 800

 

 

死の木馬(デストロイ)から出て来たのは、ホラゲに出てきそうな人形たち

……デストーイ使いの俺が言うのもなんだけど、いつ見てもこいつら怖いな

 

「俺はレベル8のネクロ・ドールとナイト・ジョーカーでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

ネクロ・ドールとナイト・ジョーカーが不気味な笑い声を発しながら光の渦に吸い込まれていく

出てくるのは、エクシーズ召喚が主流なこの次元に置いて無類の強さを誇るえぐいカードだ

 

「現れろ、No.15!運命の糸を操る地獄からの使者、漆黒の闇の中より舞台の幕を開けろ!ギミック・パペット―ジャイアントキラー!」

 

 

No.15ギミック・パペット―ジャイアントキラー

 ランク8/闇属性/機械族/守2500 ORU:2

 

 

「Ⅳ!」

 

「トーマス兄様!」

 

門の方から遊馬とミー君の声が聞こえた……てかお前ら来るの早いな!?

今はトーマスのターンなので、片手を軽く振って無事であることをアピールする

 

「俺はジャイアントキラーの効果発動!ORUを1つ使い、このカード以外のエクシーズモンスターをぶっ壊しその攻撃力の合計分のダメージを与える!さぁ、俺のファンサービスを食らえ!」

 

ステルス・クラーゲンに無数の糸が絡み、ジャイアントキラーの開いた胸部分に吸い込まれていく

いやー、先行でグスタフ・マックスで2000バーンでどや顔してたらジャイアントキラーの効果で3000バーン→ダイレクトアタックでワンキルされたのはいい思い出です

……うん、やっぱエクシーズモンスター出さなくてよかったわ

このルールだと俺のモンスターも巻き込まれちゃうんだよなぁ……というかなんだこのバーン合戦は

 

 

No.15ギミック・パペット―ジャイアントキラー ORU:2→1

 

クラゲ先輩LP8000→6100

 

 

早々にNo.を処理できたのは大きいな

何気にNo.耐性がくそめんどくさいしねー

 

「……あー?この程度でいい気になってるんじゃねぇぞ!10個下の後輩風情が調子になってるんじゃねぇ!」

 

 

ステルス・クラーゲン・エフィラ×2

 ランク4/水属性/水族/攻 1900 ORU:1

 

 

「え!なんでモンスターが増えてるんだよ!?」

 

「これは……!?」

 

遊馬とミー君が驚きの声を上げる

かく言う俺達も驚きでデュエルの手を止めてしまう

これがステルス・クラーゲンのORUを使った効果って事か……!

 

「俺はステルス・クラーゲンの効果を発動したのさ!

 このカードが破壊された場合、自分の墓地かEXデッキからステルス・クラーゲンと名の付くモンスターをORUの数まで特殊召喚できる!

 さらにこの効果で特殊召喚したエフィラは破壊されたステルス・クラーゲンのORUを1つずつ得る!しかもエフィラにはステルス・クラーゲンと同じ効果がある」

 

つまり無限再生か……くそめんどくせぇな!

いや、クラゲらしい効果っちゃ効果なんだけど、それを相手するこっちの身にもなれよ!しかもステルス・クラーゲンと同じ効果を持ってるって事は水属性破壊&バーンもあるって事だろ?それが毎ターン2回!

トーマスは闇特化だし、俺も水属性はバージェストマ達だからあまり効果が無い……っつてもその辺を考えてないとは考えずらい

ジェリー・レインみたいな属性変更カードをある程度入れてるはずだ

 

「知らねぇだろ?クラゲの中には自ら分裂し、元の個体に戻るすげぇ先輩がいるんだよ

 それに老化しても若返る先輩もな、さらには驚くなよ?先輩たちには心臓も脳もねぇんだ!」

 

「脳みそがねぇって威張ってんじゃねぇ!馬鹿が!」

 

『せやな』

 

「せやな」

 

ちなみにすっげーまじでどうでもいいけど、自ら分裂してーの下りであの……なんだ……プラタリナ?プラネリア?を思い出しました

 

「お前……もう1度聞く……どこ中だぁ!?おらぁおらぁおらぁ!」

 

クラゲ先輩うっせぇなぁ……

にしても、あのモンスター達をどうにかするのは至難の業……めんでぇよぉ……

 

「俺はジャイアントキラーの効果発動!ORUを1つ使いエフィラ2体をぶっ壊す!デストラクション・キャノン!」

 

エフィラ達がジャイアントキラーに吸い込まれていく

そしてそれがエネルギーとなり、クラゲ先輩に直撃する

 

 

No.15ギミック・パペット―ジャイアントキラー ORU:1→0

 

クラゲ先輩LP6100→2300

 

 

「どうだ、奴のライフを3800削ってやったぜ」

 

強い(確信)

てかステルス・クラーゲンも含めるとこのターンだけで5700削ったことになるんだよなぁ……

っておい、5700って初期ライフ悠々と超えてるやんけ!

 

「だが俺は破壊された2体のエフィラの効果発動!墓地からステルス・クラーゲンを特殊召喚し、EXデッキから3体目のエフィラを特殊召喚する!」

 

 

No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン

 ランク4/水属性/水族/攻 1900 ORU:1

 

ステルス・クラーゲン・エフィラ

 ランク4/水属性/水族/攻 1900 ORU:1

 

 

「あーもーなんだよあれ!?これじゃきりがねぇよ!」

 

「このままじゃトーマス兄様も凌牙も危ない……!」

 

くっそ、ただでさえ時間が無いのに……!

時間を掛ければ掛けるほど、璃緒の命が削られていく……なんとかしないと……

 

「……俺はカード伏せてターンエンドだ」

 

 

神代凌牙LP2000 手札3

ⅣLP2000 手札2

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2000

No.15ギミック・パペット―ジャイアントキラー/守2500 ORU:0

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:2

伏せ×1

 

クラゲ先輩LP2300 手札1

【モンスター】

No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン/攻 1900 ORU:1

ステルス・クラーゲン・エフィラ/攻 1900 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×2

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

さてどうするべきか

面倒な蘇生効果+バーンがある以上安全策でいきたいがそうもいかない

璃緒の命が掛かってる以上、早急に終わらせないと……

あの蘇生効果がある以上、一撃でライフを削らないとダメだ

クリアウィングで攻撃力を0にするか、大刃禍是でバウンズか、それとも

 

『……アビスで一撃か、クリスタル・ゼロで攻撃力を下げるか、だな』

 

……やっぱりそうなるよな

俺の手札を見ると、そのモンスターのどれも召喚できない……

ここは、地道にチャンバライダーでライフを削るしかない

 

「俺は手札の鎌参太刀を召喚!妖仙カウンターが点灯!

 さらに妖仙カウンターを取り除き、妖仙獣の神颪を手札に加える!」

 

「永続罠DNA移植手術発動!属性を1つ宣言し、フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になる!俺が宣言するのは水属性だ!」

 

「何!?」

 

「ファッ!?」

 

やばい、これで迂闊な事出来んくなった……!

てかなんでそれトーマスのターンに発動しなかったし……それでジャイアントキラー破壊すれば5700もダメージ受けずに済んだのに……プレミかな?

……なんて悠長に考えてる場合じゃない!これまずい!

 

 

妖仙獣鎌参太刀

 星4/風属性→水属性/獣戦士族/攻1500

 

修験の妖社 妖仙カウンター:2→3→0

 

 

「俺はステルス・クラーゲンとエフィラの効果発動!水属性モンスターを破壊してその攻撃力分のダメージを与える!対象はジャイアントキラーと鎌参太刀だ!」

 

クラゲの触手がジャイアントキラーと鎌参太刀に絡みつき、破壊する

……これは、本格的にまずい

 

 

神代凌牙LP2000→500

 

ⅣLP2000→500

 

 

俺とトーマスの残りライフ500……鉄壁突入とはいえ、もし1度でもクラーゲン達の効果を受けたら終わりだ

……とりあえず、この状況を打破するためのカードを引くまで、少しでもダメージを稼ぐしかない

 

「俺はチャンバライダーでステルス・クラーゲンを攻撃、そしてダメージステップ時チャンバライダーの効果発動!チャンバライダーの攻撃力を200アップさせる!」

 

 

HSRチャンバライダー/攻2000→2200

 

クラゲ先輩LP2300→2100

 

 

No.耐性があるとはいえ、戦闘破壊できるエフィラに攻撃してもまた蘇生させられる

だったらステルス・クラーゲンをサンドバックにした方がいいよな……いいよな?

 

「はっ!この程度のダメージどうってことないなぁ!」

 

「ちょっと油断するのは早いんじゃないかな?チャンバライダーは2回攻撃できる!」

 

「なんだと!?」

 

「もう1度ステルス・クラーゲンを攻撃!そしてダメージステップ時に攻撃力200アップだ!」

 

 

HSRチャンバライダー/攻2200→2400

 

クラゲ先輩LP2100→1600

 

 

よーしよしよし、何とか700削れたか……

でも長期戦になればなるほどこっちが不利になる、とりあえず防御札伏せなきゃ(使命感)

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

神代凌牙LP500 手札3

ⅣLP500 手札2

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2400

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:0

伏せ×1

伏せ×1

 

クラゲ先輩LP1600 手札1

【モンスター】

No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン/攻 1900 ORU:1

ステルス・クラーゲン・エフィラ/攻 1900 ORU:1

【魔法・罠】

DNA移植手術(永続罠)

 →宣言:水属性

伏せ×1

 

 

「……凌牙、大丈夫か?」

 

「あー……正直、今すぐデュエルディスクをぶん投げてマウント取ってあいつの顔面ボコボコに殴りたい衝動に駆られているので平気じゃないです」

 

『よし、大丈夫そうだな』

 

「俺の話ちゃんと聞いてた?」

 

実際あいつをボコボコに殴りたいとは言え、デュエルに勝たなきゃ璃緒の解毒はかなわない

……こういう時遊戯王次元は面倒だな、おい

 

「手も足も出なってか?俺のターン、ドロー!

 さぁバトルだ!ステルス・クラーゲンでトロンのバカ息子にダイレクトアタック!これで終わりだぁ!」

 

「そうはさせないよ!罠発動、決別!魔法カードを墓地に送ってバトルフェイズを終了させて、モンスター効果をターン終了まで無効にするよ!墓地に送った代償の宝札の効果で2枚ドロー!」

 

ぶっちゃけこの状況じゃ効果無効はあんま意味無いけどね!

……あれ、効果無効になったらチャンバライダーの効果破壊耐性もリセットされるんじゃ……

……ま、まぁあっちは気づいてないないみたいだし気にしない方向で行こう(震え声)

や、やばい、璃緒の事で頭がいっぱいでこっちもプレミが多い、し、慎重にいこう

 

「ぐっ……俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

神代凌牙LP500 手札4

ⅣLP500 手札2

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2400

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:0

伏せ×1

 

クラゲ先輩LP1600 手札0

【モンスター】

No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン/攻 1900 ORU:1

ステルス・クラーゲン・エフィラ/攻 1900 ORU:1

【魔法・罠】

DNA移植手術(永続罠)

 →宣言:水属性

伏せ×3

 

 

「……」

 

『……』

 

……あの、プレミの事は俺もわかってるんです……だから、その……俺を見るなぁ!(迫真)

俺は黙って首を反らした

 

「俺のターン、ドロー!

 トレード・インを発動、2体目のネクロ・ドールを捨てて2枚ドロー!成金ゴブリンを発動し、お前のライフを1000回復しカードを1枚ドローする!更に傀儡儀式―パペット・リチューアルを発動!」

 

 

クラゲ先輩LP1600→2600

 

 

一瞬トーマスがクラゲ先輩のライフ回復させたのを見てファッ!?って思ったけど、パペット・リチューアル発動させるためか

 

「俺のライフが相手のライフより2000以上少ない場合に発動でき、このカードを発動したターンバトルできねぇ

 パペット・リチューアルの効果で俺は墓地からギミック・パペットと名の付くレベル8のモンスターを特殊召喚できる!俺はネクロ・ドール2体を特殊召喚だ!」

 

 

ギミック・パペット―ネクロ・ドール×2

 星8/闇属性→水属性/機械族/攻 0

 

 

棺桶からずるりと人形が出てくる

うん、攻撃力0のネクロ・ドールなら破壊されたところでダメージは0……ああ、だから手札補充もかねてトレード・インでネクロ・ドールを墓地に送ったのか

 

「俺はレベル8のネクロ・ドール2体をオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!来い、No.40ギミック・パペット―ヘブンズ・ストリングス!」

 

 

No.40ギミック・パペット―ヘブンズ・ストリングス

 ランク8/闇属性→水属性/機械族/攻3000 ORU:2

 

 

天使の羽をもつ地獄人形がトーマスのフィールドに現れる

……なんでだろう、FGOのポロロンさんを思い出すわ

 

「いくら攻撃力が高くても先輩たちの前には無力なんだよ!

 俺はステルス・クラーゲンの効果発動!水属性となったヘブンズ・ストリングスを破壊する!」

 

「俺が何の対策も無しにこいつを召喚すると思ったか!速攻魔法禁じられた聖衣を発動!ヘブンズ・ストリングスの攻撃力を600下げ、効果の対象にならず効果では破壊されない!」

 

 

No.40ギミック・パペット―ヘブンズ・ストリングス/攻3000→2400

 

 

ヘブンズ・ストリングスが神の衣を纏い、ステルス・クラーゲンの触手を弾く

……うん、全然似合わねぇな!

 

「俺はヘブンズ・ストリングスの効果発動!ORUを1つ使いこのカード以外のモンスターにストリングスカウンターを1つ置く、次のターンのエンドフェイズにカウンターの乗ったモンスターを破壊し、その攻撃力のダメージをコントローラーに与える!俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

No.40ギミック・パペット―ヘブンズ・ストリングス ORU:2→1

 

HSRチャンバライダー ストリングスカウンター:1

 

No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン ストリングスカウンター:1

 

ステルス・クラーゲン・エフィラ ストリングスカウンター:1

 

神代凌牙LP500 手札4

ⅣLP500 手札1

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2400

 →ストリングスカウンター:1

No.40ギミック・パペット―ヘブンズ・ストリングス/攻3000 ORU:1

【魔法・罠】

修験の妖社(永続魔法)

 →妖仙カウンター:0

伏せ×2

 

クラゲ先輩LP2600 手札0

【モンスター】

No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン/攻 1900 ORU:1

 →ストリングスカウンター:1

ステルス・クラーゲン・エフィラ/攻 1900 ORU:1

 →ストリングスカウンター:1

【魔法・罠】

DNA移植手術(永続罠)

 →宣言:水属性

伏せ×3

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「永続罠ジェリー・バインド発動!自分フィールドに水属性モンスターがいる時、相手モンスターを対象に発動!対象モンスターは効果を発動できず、攻撃も出来ない!俺はヘブンズ・ストリングスを選択する!」

 

クラゲの触手がヘブンズ・ストリングスに巻き付く

……これでストリングスカウンターによるバーンは期待できないなぁ……

でも、こっちも勝利の方程式は整ってる!

 

「凌牙、さっさとやっちまえ」

 

「おうよ!俺はスケール2の魔装戦士ドラゴディウスとスケール9のケンドウ(スピリット)KAI-DENでペンデュラムスケールをセッティング!これでレベル3から8のモンスターが同時に召喚可能!

 揺れろ、魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!出ておいで、カラテ(スピリット)KURO-OBI!

 さらにKAI-DENのペンデュラム効果発動!モンスターがペンデュラム召喚された時、このカードは手札に戻る」

 

 

カラテ(スピリット)KURO-OBI

 星5/風属性→水属性/戦士族/攻2400

 

 

これで俺のフィールドにはレベル5で水属性のモンスターが2体

……俺は、EXデッキから1枚のカードを取り出す

俺のNo.、俺の知らない記憶の欠片……ダメだ、干渉に浸るな、今は璃緒を救う事だけ考えろ!

 

「俺はレベル5のチャンバライダーとKURO-OBIでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 カオスに落ちたる聖なる雫、その力を示し混沌を浄化せよ!No.73激瀧神アビス・スプラッシュ!」

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ

 ランク5/水属性/戦士族/攻2400 ORU:2

 

 

「な、なんだこのモンスターは……!」

 

クラゲ先輩はアビスを見て呆然としている

水属性モンスターの使い手だし、海の神たるアビスを見て何かを感じ取ったらしい

 

「No.73激瀧神アビス・スプラッシュ、混沌を浄化する海の神だよ……んじゃま、さっさと勝つぜトーマス!」

 

「当たり前だろ?」

 

……やっぱり、俺はこの場所を手放せないなぁ

璃緒がいて、ブラック・ミストがいて、トーマス達や遊馬達がいる、この場所が

俺がバリアンで、皆の敵だとしても、俺は……

 

「後輩風情が何盛り上がってるんだ!」

 俺はエフィラの効果発動!水属性モンスターを破壊し、その分のダメージを与える!」

 

「させねぇよ!罠発動、ストリングス・シェード発動!俺はアビスを選択し、選択したモンスターは効果では破壊されない!」

 

クラゲ先輩とトーマスの声で思考の海から意識を引き上げる

何はともあれ、アビスは大丈夫だろう……でも、ヘブンズ・ストリングスの方はどうだろうか?

 

「なら俺はステルス・クラーゲンの効果発動!ヘブンズ・ストリングスを破壊する!」

 

「それも対策済みだ!ブレイクスルースキル発動!ステルス・クラーゲンの効果を無効にする!」

 

あ、大丈夫みたいですね

……それじゃ、後は本当に勝つだけだね!

 

「それじゃこれが最後の仕上げだ!俺はRUM-バリアンズ・フォースを発動!」

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

『……』

 

皆が驚いている中、ブラック・ミストだけが静かに俺を見ている

……うん、アリト戦とは違い、痛みも何もない

それが、俺がバリアンとして自覚したからか、アビスの力かはわからないけど

 

「俺はアビス・スラッシュでオーバーレイネットワークを再構築、カオス・エクシーズ・チェンジ!

 渦巻く混沌の水流を突き破り、今彼の地に浮上せよ!CNo.73激瀧瀑神アビス・スープラ!

 バリアンズ・フォースの効果でステルス・クラーゲンのORUをアビスのCORUにし、その数×300攻撃力をダウンする!」

 

 

CNo.73激瀧瀑神アビス・スープラ

ランク6/水属性/戦士族/攻3000 CORU:4

 

No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン/攻 1900→1600 ORU:1→0

 

 

「そして俺はアビス・スープラの効果発動!CORUを1つ使い、ダメージ計算時のみ相手モンスターの攻撃力分アップする!」

 

「なっ!じゃぁ、俺は……!」

 

『そうだてめぇはここで終わりだ!』

 

「「CNo.73激瀧瀑神アビス・スープラでNo.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲンを攻撃!これが俺達のファンサービスだぁ!」」

 

「後輩風情が先輩の俺に勝つなんて……!ぐああああああああああ!」

 

 

クラゲ先輩LP2600→—400

 

WIN 凌牙&Ⅳ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

71/×××××VSⅣ~運命のデュエル~

アースうううううううううう!
つれぇよ!あの最後の独白(?)とか卑怯だろ!クイーンとSOL許さん
今更だけど財前お兄様、アースが消滅(?)する時に辛そうな顔をしていたのが印象的
そらそうだよなぁ……財前お兄様とか初期の時からイグニスと関わってたんだし
後Go鬼塚は一体どこに向かっているんだ……
ちなみにVRAINSでの最推しキャラはもちろんAiちゃんです!


クラゲ先輩が勢いよく吹っ飛び、俺達の勝利を知らせるファンファーレが鳴り響く

……それにしてもアリトと戦った時にバリアンズ・フォースパクッといてよかったわぁ

 

「シャークー!Ⅳー!小鳥から連絡が入って、いもシャの容態が良くなったって!」

 

「本当か!?」

 

「よかったー……」

 

……デュエルに勝てば解毒できるなんてリアルで考えたらありえないけど、ここは遊戯王次元だからね、しょうがないね

見学していた遊馬とミー君と合流し、バリアンズ・フォースについて質問攻めにあった……しょうがないね!(二回目)

にしても、アリト戦の時に感じたあの心臓の痛みが無く、普通にバリアンズ・フォースを使えたって事は、それは俺が普通の人間でないことの証明だ

転生者とかそんなの物ではない、もっと異質な者という証明

……ああ、そうだ、1つ思い出した

俺は喜びを分かち合う皆に背を向け、庭にある装飾のある柱へ移動した……そこには、あの遺跡で見た記憶の国にあった紋章が刻まれていた

そうか、俺は

 

「凌牙、どうしたんだ?」

 

その声で現実に引き戻される

トーマスやミー君に遊馬が心配そうに俺をみていた

 

「……なぁトーマス、明日暇か?」

 

「……ああ」

 

「え?トーマス兄様、明日は雑誌の取材があるって……」

 

「俺は明日体調不良になるからその予定はキャンセルしといてくれ」

 

「トーマス兄様……?」

 

ミー君が心配そうにトーマスを見つめている

そんなミー君を華麗にスルーし、トーマスは俺に話しかけてくる

 

「明日、だな」

 

「うん」

 

明日、俺は俺の真実を話す……そして、俺が、私が、神代凌牙として生きるか、ナッシュとして生きるか、運命を、明日決める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、話してくれるんだよな?」

 

「そりゃね、ここまで来てくれたんだし」

 

昨日言った通り、トーマスは来てくれた

……どちらか選べない()は、トーマスを利用して己の運命を決めようとしている

本来は自分の運命は自分で決めなくてはいけないのに……いや、良そう

どれだけ胸の内で懺悔したって、私が最低な事をしようとしている事実は変えられないのだから

 

「遺跡のNo.は七皇の人間だった時の記憶って話は覚えてる?」

 

「そりゃな」

 

「私達は最後の遺跡のNo.を回収しに向かった時、結果として私がNo.の精霊と戦うことになった」

 

「……?何が言いたいんだ?……ん?()?」

 

「その時、精霊は言ったんだ、私の記憶を呼び覚ませと、それが私からの命令だと」

 

トーマスの言葉を無視し、私は話し続ける

ごめんね、今トーマスを気遣ってる余裕は無いんだ

 

「デュエル中に私は遺跡の記憶を見た

 どこかの国で私は女王で、璃緒は巫女として生きていた……そこで、私はナッシュと呼ばれていた」

 

「は?ナッシュ……?って事は、まさか!」

 

トーマスが信じられない、といった顔をして私を見る

 

「私は、武藤マナミであり、神代凌牙であり……何等かの原因で神代凌牙として生れ落ちた……バリアン七皇の1人、ナッシュなんだ」

 

「嘘、だろ……?」

 

私は、ただじっとトーマスを見つめる……私の表情を見て、それが真実であるとわかったのだろう

トーマスは私に改めて向き直り、私に言葉を紡ぐ

 

「お前、まさか……そのことで迷ってるのか?」

 

「……」

 

「お前は神代凌牙だろ!たとえ前がどうであれ、お前はシスコンで、頭の中お花畑で……俺が傷つけた、でもそんな俺を許してくれた……俺達の仲間の神代凌牙だろ!」

 

私が依然何も言わずにいると、トーマスが俺の肩を掴み、咆哮する

それを私は止め無いし、止める権利も無い

 

「確かに私は神代凌牙だ……でも、それと同時にバリアン七皇のリーダーであるナッシュでもある……それは事実なんだよ

 私は皆の仲間だよ、それでも私はバリアンで……皆の、敵なんだよ」

 

「だから!そんなの関係ねぇって言ってるだろ!お前がバリアン七皇のナッシュだろうと、なんだろうと、お前は神代凌牙だ!俺の……俺の1番のファンだろ!?」

 

……そこは1番の親友だろ!?とか友達だろ!?って言う場面じゃないのかなぁ

少しだけ、そんな場違いな感想が出てきてくすりと笑う

私はそっと肩に置かれた手を離し、トーマスから距離を取る

 

「もちろん、私はトーマスの1番のファンだし、璃緒やブラック・ミスト以外でこんな相談できるのはトーマスぐらいだよ……ちなみに次点で遊馬」

 

「ああ……」

 

その遊馬はアストラルいないから精神不安定だし、仮に遊馬が元気だったとしてもトーマス以外に相談する気はない

 

「だから、さ……今日ここで、私は私の運命を決める、神代凌牙(人間)として生きるか、ナッシュ(バリアン)として生きるのか」

 

私はデュエルディスクを構える

トーマスは私の行動に、私がどうしたいのかを理解したみたいだ

 

「……俺が勝ったら、お前は神代凌牙として……人間として、生きてくれるんだな?」

 

「それは保証できないけど……もし万一にでも手なんか抜いたりしたら、私は一生お前を許しはしない」

 

理不尽なのはわかってる

でも、これは私にとっては必要な事なんだ

このまま生半可な覚悟で戦いを続けたら、私は神代凌牙でも、ナッシュでも、ましてや武藤マナミでも無い”何か”になってしまう

だからこそトーマスと全力でデュエルをして、私がどうしたいのか、何処へ行きたいのか……運命を、これからの未来を、私は決める

私は腰につけてあるEXデッキが入ったデッキケースをそっと撫でる

ブラック・ミストはこの中にいてもらっている……これはブラック・ミストに頼っちゃいけない、私の運命の戦いだから

 

「Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「デュエル!」」

 

 

武藤マナミLP4000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

ⅣLP4000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「私のターン、ドロー!私は守護神の宝札を発動、手札を5枚捨てて新たにカードを2枚ドロー!これから私の通常ドローは2枚になる

 さらに手札からSRダブルヨーヨーを召喚!ダブルヨーヨーの効果で墓地の三つ目のダイスを蘇生させる!」

 

 

SRダブルヨーヨー

 星4/風属性/機械族/攻1400

 

SR三つ目のダイス

 星3/風属性/機械族/攻 300

 

 

「私はレベル4のダブルヨーヨーにレベル3の三つ目のダイスをチューニング!

 輝く翼、神速となり天地を照らせ!シンクロ召喚!レベル7クリアウィング・ファスト・ドラゴン!」

 

 

クリアウィング・ファスト・ドラゴン

 星7/風属性/ドラゴン族/攻2500

 

 

白銀の翼を持った、シンクロ(同調)の名を持つ私の数あるエースモンスターの1体

トーマス相手にエクシーズモンスターは危険だし、この子ならEXモンスターの攻撃力を0にして効果を無効に出来る

まずはこの子で様子を見よう

 

「私はこれでターンエンドするよ」

 

 

武藤マナミLP4000 手札1

【モンスター】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻2500

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

 

ⅣLP4000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

にしても手札にバージェストマカードが来なかったのは珍しいな

いつもは初手に必ず1枚か2枚は必ずいるはずなのに……それとも、私のこの迷いがカードに伝わっていつものドロー(?)じゃなくなってるのかな?

……ここは遊戯王次元だし、ありえるよねぇ

思いの強さ、カードを信じる心、デッキを信じる事、それがそのままデュエルの強さに直結する……そんな、私の好きな世界

 

「俺のターン、ドロー!俺はギミック・パペット―ハンプティ・ダンプティを召喚!

 ハンプティ・ダンプティが召喚・特殊召喚された時、手札のギミック・パペットモンスターを特殊召喚できる!俺はシザー・アームを特殊召喚する!」

 

 

ギミック・パペット―ハンプティ・ダンプティ

 星4/闇属性/機械族/攻 0

 

ギミック・パペット―シザー・アーム

 星4/闇属性/機械族/攻1200

 

 

現れたのは2体の不気味なモンスター

……どっちもレベル変動の効果は持たないモンスターだ、召喚されるのは、ランク4か

 

「俺はレベル4のギミック・パペット―ハンプティ・ダンプティとシザー・アームでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!ラヴァルバル・チェイン!」

 

 

ラヴァルバル・チェイン

 ランク4/炎属性/海竜族/攻1800 ORU:2

 

 

「ラヴァルバル・チェインの効果発動!ORUを1つ使いネクロ・ドールを墓地に送る!」

 

「させないよ、私はクリアウィングの効果発動!チェインの攻撃力を0にして効果を無効にする!」

 

 

ラヴァルバル・チェイン/攻1800→0 ORU:2→1

 

 

ギミパペは墓地から特殊召喚する者がほとんどだからね、迂闊にモンスターを墓地に送らせるわけには行かない

墓地からわらわら出てくるから、こいつも早めに処理しないと

 

「そう来ると思っていたさ、俺は手札から強制転移を発動!

 お互いに自分フィールドのモンスターを1体選び、そのモンスターのコントロールを入れ替える!俺はチェインを選ぶ!」

 

「!……私はクリアウィングを選ぶ」

 

これで私のフィールドには攻撃力0のチェインだけか

いつもなら割と取り乱す場面だけど、なぜか冷静に物事を判断できる

それは私が今この瞬間だけ、この次元で生きた神代凌牙でもナッシュでも無いからかな

 

「バトル!俺はクリアウィングでラヴァルバル・チェインを攻撃!」

 

「墓地の三つ目のダイスの効果発動!このカードを除外して攻撃を無効にする!」

 

墓地から三つ目のダイスが飛び出し、その身を挺してチェインを守る

しょっぱなから2500のダメージはきついよ

 

「俺はフィールド魔法エクシーズ・コロッセオを発動!フィールドのエクシーズモンスターの攻撃力を200アップさせ、エクシーズモンスター以外のモンスターは戦闘出来ない!カードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

 

武藤マナミLP4000 手札1

【モンスター】

ラヴァルバル・チェイン/攻2000 ORU:1

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

 

ⅣLP4000 手札1

【モンスター】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻2500

【魔法・罠】

伏せ×1

【フィールド魔法】

エクシーズ・コロッセオ

 

 

露骨にシンクロとか封じて来た……!

いや、効果とかは使えるんだけど、攻撃できないのはつらいなぁ……

このデッキ割と上級モンスターが入ってるし、トーマス相手だからシンクロとかアドバンス主体にしようと思ったのに!

 

「私のターン、2ドロー!私はチェインの効果発動!ORUを1つ使い超電磁タートルを墓地に送る」

 

「させねぇよ!俺はクリアウィングの効果で効果を無効にして攻撃力を0にする!」

 

 

ラヴァルバル・チェイン/攻2000→0 ORU:1→0

 

 

うーん、手札は芳しくないなぁ……

確かに割と手札事故は起きるけど、これはいつもの手札事故と違う

やっぱり、私の迷いがもろにデッキに出ている……トーマスに手加減するなって言っておきながらこのざまなんて、笑えないな

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンドするよ」

 

 

武藤マナミLP4000 手札1

【モンスター】

ラヴァルバル・チェイン/攻2000 ORU:0

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

伏せ×2

 

ⅣLP4000 手札1

【モンスター】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻2500

【魔法・罠】

伏せ×1

【フィールド魔法】

エクシーズ・コロッセオ

 

 

「俺のターン、ドロー!俺はギミック・パペット―ボム・エッグを召喚!」

 

 

ギミック・パペット―ボム・エッグ

 星4/地属性/機械族/攻1600

 

 

「さらにボム・エッグの効果発動!手札のネクロ・ドールを墓地に送り、ボムエッグのレベルを8にする!

 墓地に送られたネクロ・ドールの効果発動!墓地のギミック・パペット―ハンプティ・ダンプティを除外して自身を特殊召喚!」

 

 

ギミック・パペット―ネクロ・ドール

 星8/闇属性/機械族/攻 0

 

 

レベル8が2体……そして私のフィールドには攻撃力の上がったエクシーズモンスターであるラヴァルバル・チェインが1体

……って事は来るな、トーマスの運命の糸を操る地獄人形が

 

「俺はレベル8のボム・エッグとネクロ・ドールをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れろ、No.15!運命の糸を操る地獄からの使者、漆黒の闇の中より舞台の幕を開けろ!ギミック・パペット―ジャイアントキラー!」

 

 

No.15ギミック・パペット―ジャイアントキラー

 ランク8/闇属性/機械族/攻1500→1700 ORU:2

 

 

「そして俺はギミック・シールドをジャイアントキラーに装備する!この効果でジャイアントキラーの攻守を入れ替える!

 さらにギミック・シールドの効果発動!1ターンに1度、装備モンスターのORU×300のダメージを与える!ジャイアントキラーのORUは2つ、よって600のダメージだ!」

 

 

No.15ギミック・パペット―ジャイアントキラー/攻1700→2700/守2500→1500

 

武藤マナミLP4000→3400

 

 

ジャイアントキラーの口が開き、そこから鉛玉が私に向かって叩き込まれる

少し体勢を崩すが、問題ない……私は真っすぐとトーマスを見据えた

トーマスも、いつものデュエルでは罵詈雑言とネタが飛び交うカオスな物になるが、このデュエルでは、ただじっと私を見つめている

 

「俺はジャイアントキラーの効果発動!ORUを1つ使い、エクシーズモンスターを全て破壊しその攻撃力分のダメージを与える!」

 

チェインにジャイアントキラーの糸が無数に絡まり、ジャイアントキラーの胸部に巻き込まれていく

そのままチェインを砲弾に変え、私に向かって発射された

 

「……その効果で何回もやられてる私だよ?対策ぐらいしてある!リバースカードオープン!速攻魔法痛魂の呪術を発動!自分に効果ダメージが発生した時、発生した効果ダメージは相手が受ける!」

 

「なっ!?」

 

私に向かってきた砲弾は不自然に曲がり、そのままトーマスに着弾する

グスタフ・マックスでバーンする私が言うのもなんだけど、2000のダメージは結構大きいよ?

 

 

No.15ギミック・パペット―ジャイアントキラー ORU:2→1

 

ⅣLP4000→2000

 

 

ライフが半分消し飛んだが、トーマスは少し驚いただけで平常心を取り戻す

……さっすが極東エリアのデュエルチャンピオン様だよ

 

「……確かに、お前はバリアン七皇のナッシュなんだろうな」

 

トーマスがデュエルディスクを掲げながら話し出す

私は何も口を挟まず、その言葉に耳を傾ける

 

「今のお前は神代凌牙でもない、かと言ってナッシュでもない

 e・ラーはお前は存在しないと言っていたらしいが、それでも、俺は何度だって言ってやる!お前はここにいる!誰の代役でもない、神代凌牙はここにいる!誰が何と言おうとお前は神代凌牙だ!俺はジャイアントキラーで凌牙にダイレクトアタックだ!」

 

 

武藤マナミLP3600→1100

 

 

攻撃を受け、ゴロゴロと地面を転がる

さすがモンスターのダイレクトアタック、かなりの衝撃だったな

立ち上がり、服に付いた土を払い落とし、冷静に戦局を見極める

私が何者かを、証明するために……神代凌牙でも、ナッシュでもない、その代役でもない、ただ、私という存在を、私の運命を、証明するために……

どんな結果になろうとも、、私は、武藤マナミであった過去も、神代凌牙であった今も、ナッシュであったであろう未知も否定しない

たとえどんな結末になろうとも、私はそれを粛々と受け入れるだけだ

―――さぁ、ここからが本番だ

 

 

武藤マナミLP1100 手札1

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

守護神の宝札(永続魔法)

伏せ×1

 

ⅣLP2000 手札0

【モンスター】

クリアウィング・ファスト・ドラゴン/攻2500

No.15ギミック・パペット―ジャイアントキラー/攻2700 ORU:1

【魔法・罠】

ギミック・シールド(装備魔法)

 →装備:No.15ギミック・パペット―ジャイアントキラー

【フィールド魔法】

エクシーズ・コロッセオ




凌牙ちゃんの1人称が私だったり、テンションが普通だったり、デュエル中に表示される名前が”武藤マナミ”なのは、現在”神代凌牙”でも”ナッシュ”のどちらとして生きるか決められて無いからです
なので神代凌牙でもナッシュでもない、武藤マナミとして戦っていいます
……というか、自分で書いてて凌牙ちゃんのコレジャナイ感がやばい、いや今は凌牙ちゃんじゃなくて武藤マナミだからこれでいいんだけど……なんか違うコレジャナイ

後今更ですがe・ラーの戦いの出来事は皆に共有されています


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。