【東方project】幻想入りした少女と紅魔館 (彩@小説練習中)
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始まり
第1話『蒼魔館』


紅魔館があるなら、蒼魔館があっても良いじゃない!
って事でこういう名前になってしまいました。((

ニュイちゃんとフルールちゃんの設定は、
後々書いていこうと思います。


「信じられない……!お義父様ったらっ……!!…………はあっ。」

 

義理の父への不満を呟きながら、紅茶を飲む少女。

彼女がこんな風に怒っているという事は大変珍しい事で、

メイド達はいつもと違う空気に戸惑っている様だ。

 

彼女の名前はフルール。私…ニュイの、双子の姉だ。

私達はこの蒼魔館で暮らしている、お姫様と言う訳だ。

 

蒼魔館、といっても全体的に蒼い…と言う訳ではない。

全体的な印象として言えば、白、という方が近い。

蒼は、外見だけで言えば屋根やそれ以外でも一部しか使われていない。

では、何故この館が蒼魔館と呼ばれているのか?その理由は……。

 

フ(フルール)「せっかく、皆様にこの美しい薔薇たちを見てもらえるチャンスでしたのに……。」

 

そう、この屋敷の周り一面に咲いている蒼い薔薇だ。

この薔薇は私達のお母様が育てていて、1本1本、お母様自身が水をやったり、剪定をしたりしている。

私は、お花にあまり興味がないのだが…。だが、お母様やフルールが気に入っているのなら、

それで良いのではないかな、と思っている。

 

……さて、彼女が何故ここまで怒っているのか。

それは、今から1時間ほど前のこと。

 

*   *   *

 

今日は私達の10回目の誕生日だ。

今年も、今日この日が来るまでが本当に長く、永く感じられた。

だが、こうやって今フルールと誕生会の用意をしていると、

その待っていた時間などどうでも良くなってしまうものだった。

 

無論、私達は飾りつけなどの準備をしているわけではない。

今日は10才、という何ともきりの良い年になったという事で、

私達2人は、この館の名物と言っても過言ではない蒼い薔薇を使ったドレスを着て、

街の皆の前でお披露目をする、ということになっていたのだ。

 

メイドA「フルール様、とてもよく似合っておられますわっ。」

フ「本当?……貴女はお世辞が御上手なのね。」

メイドA「お世辞だなんてとんでもないですわ、私がフルール様に嘘をつくはずがございませんもの。」

フ「うふふっ……ありがとう。」

 

ちらりと見たフルールはとても美しく、10才とは思えないほど大人びていた。

自分も同じ衣装を着ているが、この紅い目のせいで、フルールと私では全然印象が違う。

 

___この館が紅魔館という名前で、お母様が紅い薔薇を好んでいれば良かったのに。

 

___私が姉で、フルールが妹だったら良かったのに。

 

___私が、……紅い目、じゃなければ、良かったのに。

 

小さな嫉妬が、多くの嫉妬に変わって行く。本当は、こんな事思いたくないはずなのに。

もう一度フルールの方を見ると、彼女は私に向かって「綺麗ね、ニュイ」と一言。

 

チクリ。と、胸が痛くなった気がした。

 

そんなの、お世辞にしか感じない。

 

フルールの方が綺麗に決まっているのに。

 

……もしかして、私を憐れんでるつもりなの?

 

次々と生まれる疑問と怒り。嗚呼、なんでこうなってしまうのだろう。

私達はまだ10才だ。こんな感情、覚えなくても良いはずなのに。

何処か遠くへこの気持ちを追いやろうと部屋を見回すと、ふと、鏡に目が留まった。

そこには、真っ赤な目をした自分が虚ろな顔でこちらを見ていた。

着ているドレスは、美しい蒼い薔薇で飾られている。蒼い、蒼い薔薇。

 

ああ、そうだ……。

 

私は自分でも恐ろしいと思う様な考えが浮かんだ。

でも、それを止める気にはなれなかった。

 

私の計画は、動き出していた。

 




如何でしたでしょうか、何か微妙な終わり方ですみません。
この小説は、定期的に更新していけたらな、と思っています。

感想、アドバイス、誤字の指摘等ありましたら、
是非お願い致します。ここまでの閲覧、ありがとうございました。


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第2話『計画』

第2話、計画。
ついにニュイちゃんの計画が実行されるわけですが…
はたして、成功するのでしょうか?

※注意※
色々と「ん?」となる場所があるかもですが、
(多分)後々明かされていくので、気にしないであげて下さい。((


着替えが終わった私達は、お義父様とお母様に、

ドレスを見せに行くことにした。

 

___計画が始まった。

 

フ「ねぇねぇ、どう?お母様、お義父様っ。」

母「うふふっ……よ~く、似合ってるわ、フルール。」

義父「やっぱり母さんの薔薇はフルールに似合うな。」

フ「えへへっ。ありがとう、お母様、お義父様。」

二「お母様。」

母「あらっ、どうしたの?ニュイ。」

 

お母様は驚いたようにこちらに顔を向けた。

当然だ。自分から声など掛けた事もない。私の存在など、空気だったのだから。

私は蒼い薔薇が見えるように、少しドレスの裾を持ちあげて言った。

 

二「この薔薇は、本物なのでしょう?……枯れてしまわないのかしら。」

母「うふふっ、ニュイは心配性ね、大丈夫。誕生会の間はね。」

二「…つまり、その後はもう駄目、ということ?」

母「そうね……悲しいけど、その薔薇たちは捨てる事になるわね。」

二「そう……残念ね。」

 

少し悲しそうにしてみせる。私が得意な表情だ。

チラリとお義父様に目をやると、お義父様は心配したような表情だった。

そして、ついにその口が開いた。

 

義父「な、なあ……ニュイ。」

二「……?なんでしょうか、お義父様?」

義父「……その薔薇に、水でもやろうか。」

母「えっ……?何を言ってるの、アナタ?」

義父「確か、このドレスも布とかじゃなくて、植物を使ってるんだよな?」

母「え、ええ……ドレスと薔薇がその方がまとまって見えると思って…でも、どうして水なんか?」

義父「どうせ、捨ててしまうのだろう?……なら、最後に水を与えてやろうじゃないか。」

母「……そう、ね。……アナタらしい良い考えね。」

義父「はははっ……じゃあ、ニュイ。」

二「はい、お義父様。」

義父「そこにある、如雨露を取って来てくれないか、まだ水が入っているはずだ。」

 

「はい」と返事をして如雨露の方へ向かう。…計画通り。

 

如雨露を手渡し、いつもの愛想笑いを浮かべる。

お義父様はにっこりと微笑み返すと、フルールのドレスの蒼薔薇に、そっと如雨露の水をかけた。

薔薇に、水滴がつく。薔薇が、元気になる。皆、そう思っていた。

 

フ「えっ……?あ……え、あ……な、なんですの?!」

義父「……な、なんという事だ……。」

母「あ、ぁぁ……蒼薔薇が。」

二「……」

 

蒼薔薇は、水を与えたはずなのに、元気になるどころか、みるみるうちに萎れて行った。

予想されなかった未来。……まあ、私には予想出来ていたが。

如雨露の中には、何という薬品名かは忘れたが___花に悪影響を与える薬を仕込んでおいたのだ。

もっとも、これは“お父様”の研究室から持ち出したものだったから、

結果はもしかしたら違っていたかもしれなかったけれど。…私以外、だったら。

この心に、後悔や、罪悪感という感情はなかった。……ここまで見えている、これが私の才能なのだと、

むしろ、この結果を誇らしく思い、誰かに褒めでもしてもらいたいくらいだ。

 

チラリとフルールに目をやると、彼女の手は細かく震えていた。……無論、それは悲しみだけではない。

 

フ「……っ、お義父様っ!!」

 

___そう、怒りだ。

 

そして、今に至り、彼女はこうやって、私になど目もくれず、

罪のないお義父様に怒りの矛先を向け続けているのである。




よく分からない内容で申し訳ありません。
とりあえず、計画は成功に終わった、ということで、
次回からはまた普通に戻ります。


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