幻影のエトランゼ (宵月颯)
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主人公&登場機体・その他の設定

<始めに>

基本、本編は前回の簡易的なあらすじ→会話パート→戦闘パート→戦闘後パート→次回予告で一話が成立します。
話数に前編などが入る場合は敵側パートや思惑パートが入り長引きます。


<ご注意>
各説明毎に本編ネタバレも含みます。


<主人公>

 

※名前:九浄蓮美(クジョウハスミ)

※呼び名:ハスミ

※性別:女性

※年齢:16→17歳(一章)18歳(二章)

※血液型:A

※身長:168㎝

※髪の色:青みを帯びた黒

※髪型:セミロング(肩までのストレートヘアー)

※眼の色:暗めの青

※肌の色:日系だが欧米の白より

※3サイズ:B91・W58・H84

※所属:地球連合軍・極東方面伊豆基地所属ATXチーム

※階級:曹長→准尉(一章)少尉(二章)

※固有能力:サイコドライバー(α版)、縁繋ぎ(解放済)、夢渡り(限定解除)、DG細胞(DG軍団傘下時のみ)、魔法継承(光属性、闇属性のみ)、念神召喚(エクリプス)。

 

性格は几帳面で真面目だがある意味でひねくれている所がある。

ひねくれの部分はこの世界における母親の遺伝と思われる。

前世と同様に一人で考えて抱え込んでしまう癖がある為、かなりの無茶振りを披露する事がある。

 

これが原因で幾多の戦場でも一歩間違えば戦死する可能性のある無茶を何度もしている。

が、逆にストレスを溜め込みやすく一定の条件下に置いて、ある意味酷い状況のストレス暴発を起こす。(普段の敬語使いが真逆と言ってもいい位の口の悪さに変貌。)

日頃の軽い茶々程度は受け流しするか、脳内で自己完結して終わりにしている。

元々の能力と几帳面の性格故か瞬時に物事の細分化と仕分けする事が得意で部隊の資料整理に一役買っている。

 

 

好きなものは猫とアロマテラピーなどのリラックス効果のある事、アイスクリーム、月見。

前世では隠れオ〇クであるらしい。

嫌いなものは元彼の存在そのものとそれに類する存在そのもの。

 

 

とある別世界で死亡した転生者、出身は日本で成人した大人だった事は覚えていたが前世の名前は忘れてしまった模様。

 

前世の恋人に裏切られ、その反動で元のオ○クに戻ってしまいSRWの物語にのめり込んでしまう。

 

元々外へ出かける事が好きだったので仕事をしつつ一人で平穏に暮らし、裏切った恋人からの復縁要請を跳ね除けるまでに強くなった。

 

しかし、これが原因で元恋人の凶行により車道に突き出されて殺害されてしまう。

 

本来は死ぬべき運命ではなかったが、手違いで死亡してしまったとの事。

 

転生時に色々と補助して貰い、とある条件下で現在の世界へと転生する。

 

転生後は没落した九浄家の長子にして次期当主として誕生する。

 

5歳の頃に実母を事故で無くし後妻にネグレクトまがいの虐待を受けて半年程過ごした。

 

後、秘密裏に盗聴器を父親に発見させ実母の事故の真実と後妻の悪行を発覚させ一家離散の原因を作った。

 

それを苦にし自殺した父親並びに故人となった祖父母の伝手で旧戦技教導隊の隊長だった

 

カーウァイ・ラウの養女となり、彼の任期の間テスラ・ライヒ研究所で共に過ごす。

 

腹違いの弟が居たが、一家崩壊後に里子に出されたものの急性白血病を患って死亡している。

 

なお、このドナー検査の際にハスミと弟に血縁関係がない事が判明している。

 

2年後にエアロゲイター襲撃の際にカーウァイを亡くし同部隊の隊員だったテンペスト・ホーカーに引き取られ彼の養女となる。

 

部隊解散後はテンペストと共に各地の基地を転々としていたがテンペストの伊豆基地への転属命令の為、日本に戻り幼馴染だったリュウセイとクスハの住む街に引っ越してくる。

 

その後、幕張の事件まで同街の学園の生徒として生活する。

 

描写されてはいないが、学園通学の為にバイク免許を取得している。

 

後の生活費を自力で稼ぐ為にネット小説を執筆し細々と作品をUPし顔出しNGのネット作家として活動を始める。

 

幼少期にカーウァイと内緒のトレーニングをしており、それを元にバーニングPTで操縦の腕を伸ばしていた。

 

これによりPTとAM系統の操縦は可能であり、特に少女期に内緒で乗せて貰っていたリオン系統を好んでいる。

 

連邦軍へ志願後はMS系統の操縦も視野に訓練していたので操縦は可能である。

 

幕張事件でバグス襲来時に伊豆基地へ納機される予定だったガーリオン・タイプTを輸送していた破損車両を発見し搭乗、実戦はこれが初めてであるものの転生者であるリュウセイの指示と卓越した洞察力、陰ながらの努力で生き延びた。

 

事後整理で軍用機の独断使用の件で刑罰に処される事になったが、軍に志願する事で軍用機の独断使用の罪状を取り消すとの事で有無言わず志願兵となった。

 

リュウセイとギリアムの密約で極秘裏にクスハと共にATXチーム所属となる。

 

ご丁寧にATXチーム恒例の入隊祝い(軍事演習)にクスハと共に引っ張り出されるも、とりあえず合格を頂く。

 

生まれながらに強大なサイコドライバーとしての素質を持っていた為、封印を兼ねて母親のペンダントを随時離さず付ける様に言いつけられていた。

 

幼少期はその力をうまくコントロール出来ない為、アカシックレコードの記録を読み取る事が出来ず、実母の死亡、一家離散、マーチウインドの壊滅、カーウァイのMIA、テンペストの妻子の死を止める事が出来なかった。

 

現在はコントロール出来る様になってきた為、本来の目的の為に独自で行動を開始する。

『縁繋ぎ』の件は十話にて詩篇刀・御伽を回収した為、その効力を知る事となる。

 

後の恒例となってしまった異世界帰り特有の慣れで白兵戦もある程度可能なまで熟練度を上げている。

 

また、所持する能力でアカシックレコードに介入出来る時点で彼女に試験やテスト、ロ〇くじなどの運試しやトランプなどの心理戦はある意味で無用で無敗である。

 

後に専門用語で作戦や説明を受ける時に理解できていない少年や一部の大人達に彼らの思考で解りやすく説明する事となってしまう。

 

ホルトゥスや記憶保持者達に遠回しで情報を与えているが自身がこの世界が物語とされている世界からの転生者だと言う事を話していない。

 

一章終盤からビッグファイア本人にのみ協力しているが、ナシム・ガンエデンの件だけは自分に任せて欲しいと告げている。

 

ビッグファイア並びに二章で協力体制となった孫光龍本人からはアシュラヤー・ガンエデンの巫女と推測されているが既に契約を済ませており、事実上四人目のガンエデンの巫女でもあると同時にホルトゥスの真のリーダーである。

 

この世界における『知りたがる山羊』のスフィア・リアクターに選ばれている。

 

 

<一章の出来事>

幕張事件にてAMを無断使用した為、逮捕されるが今後降りかかる罪状を無くす為に軍に志願する。

その後、アーガマ隊と合流し行動するも所属隊の配属先もありアイドネウス島へ向かう。

アイドネウス島でのUGの機動実験の際にAnti・DCの介入で暴走、DG細胞に感染してしまう。

周囲に知られないままDG細胞を内包しトリントン基地へ。

トリントン基地にてアインストと初遭遇するものの撃退に成功。

伊豆基地へ帰還道中に体内に寄生したDG細胞が活性化し部隊から離脱、旧東京エリアで洗脳状態で対立するも無事に解放される。

後に独立機動部隊ノードゥスに参加し各地の遊撃を続ける。

アイドネウス島へ侵攻したゼントラーディの部隊と交戦中に転移に巻き込まれ冥王星軌道上へ部隊ごと転移してしまう。

地球帰還までにラダム、ゼ・バルマリィ帝国の先遣部隊と交戦、月にて機械化城に占拠された月防衛戦線奪還作戦に参加。

作戦終了後に時空転移に巻き込まれセフィーロと物質界へ転移し事件に巻き込まれるが無事帰還する。

ホルトゥスとの密談で地球圏で起こる敵勢力の大規模作戦を未然に妨害。

後日、梁山泊で新型機を受領する際にBF団の襲撃に遭遇し拉致されてしまう。

ビッグ・ファイアとの密談後、ネルフ本部へ放置される。

そのままネルフ本部からノードゥスへ帰還、始末書と格闘する事に。

数回の戦闘を終え、ホワイトスター戦へ参加し無事終結まで生き残る。

祝勝会ではバニースーツの着用を強制された。

 

<二章での出来事>

L5戦役から四か月後、ノードゥス解散後はATXチームと共に北米エリアにてAnti・DCなどの残党部隊の迎撃任務に就く。

L5戦役後、梁山泊へ出向する回数が増加した。

理由とすれば、BF団に目を付けられる様になった為、自衛が出来る様に修行中だからである。

最近は本人曰く死ぬ気で鬼ごっこが脅威。

ラングレー基地から伊豆基地へ帰還後、梁山泊へ向かう道中で転移に巻き込まれエンドレスフロンティアへ飛ばされてしまう。

エンドレスフロンティアで恋人ケイロンと再会し事件を解決、その後は元の世界に帰還した。

EFから帰還後にベルターヌ第二エリアへ転移し領域の支配者ガープと交戦。

無事に退けるも愛機であるガーリオンC・タイプTを全損させる結果となった。

愛機が使用不能になった為、隠していた念神エクリプスを召喚。

第二エリア解放戦に参戦、無事帰還する。

第三エリアにてデビルウルタリアと交戦、その際に知りたがる山羊のスフィアと遭遇。

知りたがる山羊のスフィア・リアクターに適合してしまう。

同時に念晶石を取り込んだ事でエクリプスの稼働限界が無くなった。

第四エリアでは引き続きエクリプスにて参戦しているが、状況に応じて元のAM系統に乗り換える事になっている。

オーブ近海にてキラと共にアストレイのテスト訓練の際に黒のカリスマが搭乗するレムレースの奇襲を受けて行方不明となる。

その後、場所は不明であるが孫光龍のプライベートビーチで本人に発見され一時的に彼の協力を得る。

姿を隠し進軍中のインスペクターを退け、第四エリアの主シードの撃破する。

その後、閉鎖空間に飛ばされランド、セツコ、ロジャーと共にアサキムの襲撃を退ける。

後にアラスカ基地に救助されるもサイクロプス発動に伴い離脱する。

北米ラングレー基地経由で第六エリアへ向かったものの『踊る悪夢』の再来を目にした為、内部分裂に繋がる虚偽発言で仲間を陥れたカイメラ隊をスフィアの覚醒に至ったランド、セツコと共に新モードとキレ芸込みでフルボッコにした。

第六エリアにてネクロ追撃中に黒の英知の意志によって空間に閉じ込められてしまう。

そこで自身の過去とこれから進むべき道への強い意思を示す。

アースクレイドル戦にてアースクレイドル内部で『アニムスの花』を発見した為、例の事件が今後起こる可能性を視野に入れている。

アースクレイドル戦後、北米に転移したセフィーロの人々を護る為に救援に向かい、無事にデボネアを仲間達と共に倒す事に成功している。

 

 

<搭乗機体>

 

※機体名称:ガーリオン・タイプT

※形式番号:RAM-006T

※全長:18.9m

※重量:30.4t

※基本OS:LIEON→lotus

※開発者:複数いる為、記載は省略する。

※開発:フレーム→イスルギ重工、T-LINKシステム→特脳研、内部機関→テスラ・ライヒ研究所。

※所属:地球連邦軍極東方面伊豆基地所属ATXチーム配備。

※武装:マシンキャノン、アサルトブレード、バーストレールガン、ソニック・ブレイカー、ストライク・アキュリス。

 

 

基本構造はガーリオンと変わりはなく、T-LINKシステムを搭載しているだけである。

上記のタイプTはテストタイプではなく正式採用の為「TYPE・T-LINK」の略となっている。

改修前は試作機だった為、外装の色は灰色と赤だったが整備員の計らいで白とアイリスグリーンの配色に仕上げて貰っている。

また、正式採用化の証としてT-LINKシステムを利用した広範囲攻撃機構のストライク・アキュリスを実装された。

ハスミは集中力の関係で上記の武装を一度の戦闘で3回までしか使えないと話している。

内臓OSのlotusはハスミが独自に組み上げたものでストライク・アキュリスをチート運用できる様に細工している。(プロテクトを解除しなければ所載は判らない様になっている。)

主武装としてバーストレールガンとアサルトブレード、ソニック・ブレイカーで対応している。

任務内容によってはチャフ系などを換装する。

なお、本来のパイロットは幕張事件の際に戦死している為、引き続きハスミがパイロットとして登録されている。

実装されたストライク・アキュリスのアキュリスはラテン語で『小さな投げ槍』を意味し大小問わず投げ槍の総称として使用されていた。

ガーリオンの両肩部分に槍の刃先の様なパーツだけを6本ずつ装備しており、T-LINKシステム解放時に展開しファンネルと同じ要領で扱う。

なお、アキュリスと名付けられた理由はこれら一本一本が念を纏った巨大な投げ槍へと変貌するからである。

後にパイロットである彼女の二つ名になる武装でもある。

三.五話にて会話では話されていないが三話にてDG細胞の感染が予測されるガーリオン・タイプTをDG細胞除染の目的で改修に回されている。

 

 

※機体名称:ガーリオンカスタム・タイプT

※形式番号:RAM-006V・T

※全長:18.9m

※重量:30.4t

※基本OS:LIEON→lotus

※開発者:フレーム→フィリオ・プレスティ、武装並びにシステム→ウィスティアリア・マーリン。

※開発:フレーム→イスルギ重工、T-LINKシステム→特脳研、内部機関→テスラ・ライヒ研究所。

※所属:地球連邦軍極東方面伊豆基地所属ATXチーム配備。

※武装:マシンキャノン、アサルトツインブレード、バーストレールガン、レクタングル・ランチャー、ソニック・ブレイカー、ストライク・アキュリス、フォーメーション・ロータス(ストライク・アキュリスの応用攻撃)、コード・ダークテイル。

※DG軍団傘下時:HP回復、EN回復、精神干渉。

 

本編五話よりハスミが乗り換えた機体。

基本構造は前回と同様T-LINKシステム搭載機であること以外は原作のガーリオンカスタムと変わりはない。

未来改変の結果による技術進歩でレクタングル・ランチャーが先行配備され装備されている。

なお、現時点でディバイン・アームは入手出来ないのでアサルトブレードを改良したアサルトツインブレードが追加された。

現時点で使用していないが必殺技の一つフォーメーション・ロータスは紅い睡蓮が華を咲かせる様を表現する。

コード・ダークテイルはその名の通り『闇の物語』を意味し御伽噺に準えた技であるが、どのような効果を持つか不明である。

 

本編五.五話にてパイロット共々DG軍団に下ってしまう。

本編七話にてDG細胞は除去されそのまま運用される。

本編二十話において全損、フルメンテナンス行きとなった。

本編二十四話に置いてレムレースの襲撃を受けて再び全損。

その後、応急処置しつつ使用しアラスカ基地でフルメンテする。

本編二十九話にて再び全損。

 

 

※機体名称:ガーリオンカスタム・タイプT≪ダークテイルモード≫

 

コード・ダークテイルを発動した状態のガーリオンカスタム。

ティアリー博士の仕込みなのか機体色が変異し紅と黒の装甲へと変異する。

この域はSEEDシリーズのフェイズシフト装甲に酷似している。

詠唱風にされているのはティアリーの趣味である。

L5戦役後は装備点検の関係で外されている。

 

 

黒染語:発動コード『幼き思い出は真実へと変わる!識れ、玄き闇の物語を!詩れ、残酷な童話を!』

 

発動時は上記の文字がディスプレイを覆いつくしある意味でバーサーカー状態へと変貌する。

武装は随伴機のガーリオンカスタムに取り付けられた武装を換装する事で変貌する。

 

 

※武装

*灰被女:解除コード『灰燼に塗れつつも己が復讐の為に屈辱を啜るのなら、栄華の硝子の靴を纏え、乙女よ。』

ガーリオンカスタムの追加両腕・両脚部装備

 

*紅套娘:解除コード『昏き森より醜い世界から生還する為に己が知恵を絞れ、紅に染まりし、幼娘よ。』

ガーリオンカスタムの追加頭部装備

 

*眠茨姫:解除コード『茨の眠りは己を失わせる逃避であり、目覚めを拒まぬならその身に失う痛みを思い出せ、眠姫よ。』

ガーリオンカスタムの追加胴体装備

 

 

 

※機体名称:ゲシュペンストmk-Ⅱ・タイプS

※形式番号:PTX-007-02

※全長:21.2m

※重量:72.4t

※基本OS:TC-OS→lotus・G

※開発者:複数いる為、記載は省略する。

※開発:マオ・インダストリー社、テスラライヒ研究所。

※所属:地球連邦軍極東方面伊豆基地所属ATXチーム配備。

※武装:スプリットミサイル、メガ・プラズマカッター、プラズマ・ステーク、メガ・ビームライフル、メガ・ブラスターキャノン、ストライク・アキュリス。

 

3.5話でガーリオン・タイプTの改修が決定した為、改修作業が終わるまでハスミが搭乗する事になった機体。

基本構造は一般兵用のゲシュペンストmk-Ⅱと変わりはない。

ストライク・アキュリスが装備された為、その装備の関係でスラッシュ・リッパーは外されている。

カイ少佐より送られたOSで『究極!ゲシュペンストキック』が再現可能となっている。

色はガーリオンと同じく白とアイリスグリーンで統一されている。

四話にてハスミのDG細胞感染が進行し限定的なバーサーカー状態になってしまう。

五話で機体を失ったアルベロ・エスト少佐に譲り渡した後、そのまま彼の代用機となる。

尚、一部の武装とカラーリングは変更した模様。

五.五話でDG細胞に感染したフォリア・エスト准尉に奪取される。

七話にてDG細胞が除去され、そのままクライ・ウルブズ隊で運用される。

 

 

※機体名称:ガーリオンカスタム・タイプA

※形式番号:RAM-006V・A

※全長:18.9m

※重量:40.4t

※基本OS:LIEON→rosa

※開発者:フレーム→フィリオ・プレスティ、武装並びにシステム→ウィスティアリア・マーリン。

※開発:フレーム→イスルギ重工、T-LINKシステム→特脳研、内部機関→テスラ・ライヒ研究所。

※所属:地球連邦軍極東方面伊豆基地所属ATXチーム配備。

※武装:武装コンテナ・アミュレット、マシンキャノン、アサルトツインブレード、バーストレールガン、スラッシュ・リッパー、スプリットミサイル、ソニック・ブレイカー、コード・ダークテイル。

 

元テンペスト機だったガーリオンカスタムを改修したロサ専用機体(機体色はアイスブルーと白)。

基本武装は原作のガーリオンカスタムと変わりはないがハスミの随伴機と言う理由上から換装武装に変化を持つ。

重量が増えたのは武装コンテナ・アミュレットが取り付けられた為である。

パイロット同伴も可能だが現状の搭乗者がロサだけの為に人体の生命の危険性を考慮しない方向での設定になっている。(搭乗しているロサに負担がかからない程度は保証されている。)

T-LINKシステムは後述のコード・ダークテイルの起動に必要な為、搭載されている。

この機体におけるコード・ダークテイルの解凍はハスミの了承が必要である。

なお、上記のタイプAはアサルトのAを意味する。

L5戦役後はテンペスト機として運用する為、返却されている。

 

 

※機体名称:ガーリオンカスタム・タイプA≪ダークテイルモード≫

 

コード・ダークテイルを発動した状態のガーリオンカスタム。

こちらの機体色が変異し紫と黒の装甲へと変異する。

この域はSEEDシリーズのフェイズシフト装甲に酷似している。

詠唱風にされているのはティアリーの趣味である。

L5戦役後にテンペスト機として復帰と同時に外されている。

 

 

※武装

*笛吹男:解除コード『貴方が奏でる病巣を運ぶ音色、侮辱の言葉により栄光を掴む事はないが、その者らの代償は言の葉を発した者達の希望を奪う時である。』

ガーリオンカスタム・タイプAの電子戦装備

 

※夢幻娘:解除コード『貴方が望んだ世界を拒ばないで、貴方の過ちを認めて貴方が認めし時、それは儚き夢の物語となる、貴方を守る現実となる。』

ガーリオンカスタム・タイプAの特殊防御機構

 

※青髭鬼:解除コード『その者は愛すべきものを失い、神を憎み、世を憎み、全てを憎悪する者、どうか架の者に安らぎを。』

ガーリオンカスタム・タイプAの広域戦術兵装

 

 

※機体名称:ガーバイン・クリンゲ

 

ガーバインにストライク・アキュリスを換装させた機体。

カラーリング変更とT-LINKシステム装備がある以外は変わりはない。

クリンゲはドイツ語で『刃』を意味する。

この他にもガーバインを主軸にバリエーション違いが複数存在する。

 

 

※機体名称:念神・エクリプス

※形式番号:無し

※全長:50.6m

※重量:130.5t

※動力源:念晶石、ハスミの念動力、知りたがる山羊のスフィア。

※創造者:ハスミ・クジョウ

※発見地:セフィーロ・狭間の神殿内部。

※所属:ハスミ・クジョウの私物。

※武装:詩篇刀・御伽、光と闇の装甲、心淵の極意。

※固有技:鏡界のドレス、金陽の轟き、銀月の嘆き、白月の斬撃、紫陽架斬、月歌薇陣、天輪渦斬、鋼月の縛糸、界蝕の儀、双蝕の宴。

 

ハスミがセフィーロで入手した念神。

本来は存在しないモノだが、物語の変異とハスミの念の力がセフィーロで具現化された結果である。

以前はこの存在そのものを周囲に秘匿していたが、二章の第二エリア解放戦で正体を晒した。

ハスミの深層心象により日食と月食などの蝕をモチーフとし同じ意味を持つ名前が使用されている。

外見は仮面を付けた武者の様な姿。

搭乗する際はハスミの防具が紫を基調とする和装の鎧へと変化する。

魔法系統が光と闇の属性を持つ為に幻影などを操る事が可能。

心淵の極意は自身の心の闇を受け入れ抱えていく事を決意した事で発動を可能としたモードチェンジの一つ。

 

第二エリア解放戦時、敵拠点のバリアを破る為に参戦したが稼働限界のリスクがあり本領発揮が出来にくくなっている。

第三エリアにて念晶石と知りたがる山羊のスフィアを取り込んだ事で稼働限界のリスクが無くなった。

オーブ近海での訓練に参加する前に独自にスフィアの力を隠蔽するガードフィルターを完成させる。

これによりエクリプスがスフィア搭載機である事を秘匿する事に成功。

第二十九話にて『心淵の極意』を発動させ、キレ芸を披露した。

 

 

※機体名称:機神・エザフォス

※形式番号:無し

※全長:51.7m

※重量:143.2t

※動力源:魔導結晶→精霊石

※創造者:ロサ・ニュムパ

※発見地:セフィーロ・地の神殿内部。

※所属:ロサ・ニュムパの私物。

※武装:ロサの銃剣、地の装甲、心淵の極意。

※固有技:大地の叫び、大地の変動、大地の捕縛、浄化の恩威、豊饒の祈り、晶石の弾奏、金剛の弾道、砂塵の迷衣。

 

ロサがセフィーロで入手した機神。

本来は存在しないモノだが、ハスミ同様にセフィーロで具現化されたものである。

以前はこの存在そのものを周囲に秘匿していたが、二章の第二エリア解放戦で正体を晒した。

ロサの深層心象で最も興味を持つ自然の恵みや土の恵みをモチーフにし同じ意味を持つ名前が使用されている。

外見は女神を模した姿。

搭乗する際にロサが人間サイズに巨大化し黄色と橙の外装が追加される。

魔法系統は地属性だが植物や宝石、鉱石が魔法名称に使用され、自身が無機物である由縁で無属性も含まれている。

地の属性を持つ為、強固な防御力を持つ。

心淵の極意は自身の心の闇を受け入れ抱えていく事を決意した事で発動を可能としたモードチェンジの一つ。

 

第二エリア解放戦にて参戦、地の属性を持つ重火器を操る。

第二十九話にて『心淵の極意』を発動させ、キレ芸を披露した。

 

 

<組織>

 

※ホルトゥス

ハスミが所属し代理人ブルー・ロータスが纏める集団。

各人のコードネームは『庭園』に関係する名前になっている。

現時点でその構成員の規模や戦力などは不明。

元々、当主としてハスミ本人が姿を晒していない為に構成員の多くが当主の正体を知らないのもある。

組織の名を耳にした者達は敵にするなと話している。

その名の概念は『季節ごとに変わる庭園の様に世界もまた変わる』と言う意味合いで付けられている。

『庭師』、『花』、『樹』、『蝶』など庭園に必要な存在がコードネームになっている以上、かなりの規模と推測されている。

確認出来ている『庭師』はホルトゥスの実働部隊とされている。

そしてホルトゥスには当主とその側近とする『念神官』が存在する。

 

 

<キーパーソン・登場人物>

 

※アシュラヤー

蒼のガンエデン、アシュラヤー・ガンエデン。

今世に置いて四体存在するガンエデンの一体で蒼の死海文書を所持する。

現在の動向は不明であるが、ハスミと何らかの接点を持つ。

以下は読者視点で説明する。

ホルトゥスは元々アシュラヤー・ガンエデンが立ち上げた組織であり、とある脅威から世界を守る為に行動を起こしている。

ビッグ・ファイアや孫光龍の言う様にハスミがアシュラヤーと呼ばれているが、それがハスミ自身若しくはアシュラヤー自身を示しているのか不明である。

孫光龍の言う様に継承をしているのか不明と話しているのはハスミがアシュラヤーの意識と同化しているのか?と問いただしている事を示している。

またハスミ自身がホルトゥスに接触した時期や加入した時期は不明としているのでその多くを語る事は出来ない。

少なくともテンペストの養女となる頃には既にホルトゥスに加入している。

なお、梁山泊での襲撃事件でハスミの事がアシュラヤーの後継者と呼ばれていた事は当事者以外に伏せられている。

セフィーロ戦にてハスミ自身がアシュラヤ-の巫女である事を内心で打ち明けている。

 

 

※バビル

紅のガンエデン、バビル・ガンエデン。

今世に置いて四体存在するガンエデンの一体で紅の死海文書を所持する。

正体はBF団の当主、ビッグ・ファイア本人こと山野浩一。

普段は伊達眼鏡と髪の色を変えて陣代高校に在学する一般生徒、古見浩一と名乗っている。

今世では初代バビルより記憶と力を引き継ぎ、二代目バビルを拝命しBF団と言う組織を動かしていた。

彼が初代バビルの直系の子孫である事は変わりないので引継ぎか可能であったと推測する。

尚、身体年齢は主人公と変わらないが長年のコールドスリープの関係で本来なら四十代の男性である。

以下は読者視点で説明する。

初代バビルは某同人誌の64における戦いのビッグ・ファイアの記憶を所持しており、敗北後に今世の機人大戦開始前頃に転生。

いずれ現れる『彼ら』を監視する為にBF団を組織したが自身の衰えを感じた為、秘密裏に自身の子孫である二代目バビルこと山野浩一に後を託す。

 

 

※ナシム

白のガンエデン、ナシム・ガンエデン。

今世に置いて四体存在するガンエデンの一体で白の死海文書を所持していたが、遥か過去の大戦で消失している。

αの流れによって彼女の所持していた白の死海文書の一節はネルフ本部に保管されており、残りの欠片は不明である。

現在の彼女の行動は不明であり、配下であるバラルの行動も公にされていないので水面下で行動していると思われる。

だが、バラルの元締めである孫光龍の離反もあり今後の彼女達の行動は不明である。

 

 

※ブルー・ロータス

現時点で各味方陣営に情報を与えている謎のハッカー。

その素性を知ろうとしたものは花言葉通りに滅亡する。

また、この名前も偽名である可能性が高いとされている。

ハスミが何度か通信で会話しているものの関係が明かされるのはしばらく先となる。

コードネームは『蒼睡蓮』。

 

※地獄

ホルトゥスのメンバー。

二人組で第6の悪魔と第4の堕天使と名乗っている。

火星にて火星開拓基地で悪行を尽くしたハザードを謀殺した。

正体はマジンカイザーSKLの海動剣と真上遼。

現在はホルトゥスの指示の元、戦いの元凶と成り得る組織の基地の破壊工作に周っている。

 

※将軍

ホルトゥスのメンバー。

大統領と共にDG事件で暗躍中。

正体は鉄のラインバレルの石神邦生。

現在は公式の場でJUDAコーポレーションのCEOを務める。

ホルトゥスの指示の元で戦争被災者達への慈善活動を行っている。

 

※大統領

ホルトゥスのメンバー。

将軍と共にDG事件で暗躍中。

正体はSRWLのラスボスのルド・グロリア。

現在は公式の場でGreAT社のCEOを務める。

軍事産業へ加入し自社商品としてヴァレイシリーズを開発。

ルド本人はホルトゥスの指示で政治介入の為、上院議員選へ出馬している。

 

※想像者

ホルトゥスのメンバー。

別の任務で不在中。

 

※巫女

ホルトゥスのメンバー。

大嵐とペアを組むエージェント。

 

※大嵐

ホルトゥスのメンバー。

巫女と行動中だったが悪魔によって分断されたが後に合流を果たした模様。

 

※新郎

ホルトゥスのメンバー。

将軍が経営する企業の社員。

正体はガン×ソードのヴァン。

現在の行動は不明。

 

※霧

ホルトゥスのメンバー。

空気が読めないと言う事で他のメンバーから煙たがれている。

元々の性格上、暴走しがちな為に任務を与えて抑えている。

 

※軍曹

ホルトゥスのメンバー。

いきなり団子が好物の謎の生命体。

他にも仲間がおり、月のマスドライバー掌握に一役買った。

 

※蒼穹

ホルトゥスのメンバー。

正体は蒼穹のファフナーの竜宮島のアルヴィスメンバー。

人数が多い為、総称して呼ばれる。

 

※隠者

ホルトゥスのメンバー。

しいて言うなら必○仕○人と呼べる存在。

OZから重要人物を確保した後、護衛に付いている。

現在は男爵と共に行動している。

 

※魔術師

ホルトゥスのメンバー。

その名の通り、魔術を操る者。

二章において行動を仄めかせているが正体は不明。

 

※狩人

ホルトゥスのメンバー。

その名の通り、弓を操る者。

二章において行動を仄めかせているが正体は不明。

 

※男爵

ホルトゥスのメンバー。

第四エリアにてオーブ滞在中のノードゥスに共闘依頼の手紙を送る。

正体は敗者を求めた青いエレガントと思われている。

 

 

<所属機体>

 

 

※機体名称:ハヤル

※形式番号:???

※全長:20.5m

※重量:32.6t

※OS:???

※開発者:???

※開発:ホルトゥス研究部隊『園芸家』

※所属:ホルトゥス

※武装:???

 

ホルトゥスの一般エージェントに支給されている機体。

基本構造はMSやPTと余り大差はなく、ごく普通の戦力となっている。

名前の由来はヘブライ語の『兵士』より。

 

 

※機体名称:シャリアッハ・カホール

※形式番号:???

※全長:不明

※重量:不明

※OS:???

※開発者:???

※開発:ホルトゥス研究部隊『園芸家』

※所属:ホルトゥス

※武装:???

 

ホルトゥスの幹部エージェントに支給される機体。

ハヤルの指揮官機の為、出力はハヤルより高めである。

機体色は青、ブルーロータスの専用機となっている。

名前の由来はヘブライ語で『蒼い伝令』より。

 

 

※機体名称:???

※形式番号:???

※全長:不明

※重量:不明

※OS:???

※開発者:???

※開発:元となった機体は持ち込まれた為、詳しい経緯は不明。

※所属:ホルトゥス

※武装:???

 

 

『男爵』専用の機体。

元々の機体を改修した為、所々にその名残が残っている。

改修によって、高機動に於ける精密射撃を行える様になっている。

本来は補助AIを搭載する予定だったが、本人の希望で無しとなった。

 

 

 

<主人公に協力する登場人物>

 

 

※名前:ウィスティアリア・マーリン

※呼び名:ティアリー

※性別:女性

※年齢:25歳

※血液型:O

※身長:170㎝

※髪の色:金髪

※髪型:ロング(ヘアゴムで緩めに纏めている)

※眼の色:明るめの碧

※肌の色:白

※3サイズ:B100・W60・H87

※所属:連邦軍・極東方面伊豆基地兵器開発部門所属

※固有能力:機動兵器に関する創作技術並びに該当する開発など。

      

 

自分の興味を引くもの以外は余りにも興味はなく極度のマイペースで普段は余り研究に打ち込まない。

九浄蓮美の乗機であるガーリオン・タイプTを主軸としたテイル・プランと呼ばれる制作プランを立ち上げた存在。

制作プランは立てたものの後は本体であるガーリオンについてはそれの専門家に任せて放置した。

それはガーリオンもしくはゲシュペンストなどPTやAMと言う本体があればそれに装着する武装を作ればいいと言う考えであった為である。

後々に本体が武装の衝撃に耐えきれない可能性も視野に入れて防御システムとしてT-LINKシステムを導入した。

しかし現状では扱える人材が居なかった為、軍より素質のあると予想される人材を派遣して貰ったが全員が不発であり、T-LINKシステム抜きで稼働させるとパイロットの生命が危険に晒される代物だった。

偶々ハスミが幕張の戦闘で搭乗し予想以上の結果を出した為、彼女を軍に引き入れる算段を企てた。

後にハスミが軍に入った事で、やる気を取り戻し彼女に専用武装であるストライク・アキュリスを送った。

なお、ハスミとは秘密の約束を誓い合う仲であり彼女の求める未来の実現へと手を貸す事を約束している。

五話にてハスミと再会しそのままハガネに乗艦後、伊豆基地へ戻る。

七話では姿を現していないが、後の事を考えて追加武装を制作していた。

九話にて月・地球ルート組に同行している事が判明。

二章では連合軍ソルトレイク基地へ出向中だが、大地震後の行方は不明。

色々あってアラスカ基地に救助されており、新型機の開発を行っていた。

 

 

※名前:七枝紅葉(シチエコウヨウ)

※呼び名:コウヨウ

※性別:男性

※年齢:21歳(一章)→22歳(二章)

※血液型:B

※身長:185㎝

※髪の色:黒髪

※髪型:セミロング、(髪の一部に紅いメッシュを入れている。)

※眼の色:赤

※肌の色:日系よりの白

※3サイズ:いらんでしょ?

※所属:ネルガル重工所属ナデシコ・副操舵士→JUDAコーポレーション所属テストパイロット。

※固有能力:???

 

今回、ナデシコクルーとして雇われた元地球連邦軍所属の操舵士。

見た目は普通だが少々オネエが入っているイケメンなのに残念な人。

家事全般が得意であり、人当たりはいいので受けはまあまあである。

ナデシコ内で暴走する数名を止めるストッパーや良き相談相手となっている。

普段は副操舵士としてブリッジクルーとして働いている。

以外にも白兵戦を得意とし格闘技か何か嗜んでいたのかとよく言われる。

兄弟に双子の兄がおり紅葉本人が度を越えた溺愛をしている。

八話ではハスミとは知り合いの様であり、彼女の発言から紅葉が『護行柱』の一人である事を語っている。

九話では配属先の所属艦の事もあり火星ルート組へ同行。

二章ではネルガルを辞職しJUDAコーポレーションの軍用試作機迅雷のテストパイロットを務める。

 

 

※名前:七枝蒼葉(シチエソウヨウ)

※呼び名:ソウヨウ

※性別:男性

※年齢:22歳

※血液型:B

※身長:185㎝

※髪の色:黒髪

※髪型:ショート

※眼の色:青

※肌の色:日系よりの白

※3サイズ:明日の朝日を拝めんぞ?

※所属:第3新東京市立第壱中学校・数学教師。

※固有能力:???

 

紅葉の双子の兄。

一卵性なので紅葉と瓜二つであるが、違いとして髪がショートとブルーフレームの伊達眼鏡を掛けている。

性格は真面目であるが腹黒い一面もあり授業を聞かない生徒には問答無用で出席簿の角がお見舞いされる。

碇シンジ達のクラスの数学教師として赴任している。

実際はスパイの様な事をしているが監視程度に留めている。

紅葉と同じく『護行柱』の一人。

元々はGreAT社でテストパイロットをするつもりだったが、任務の一件で表向きの職業である教師職へと戻る。

 

 

※名前:ロサ・ニュムパ

※呼び名:ロサ

※性別:女性

※稼働年月:一年目

※精神年齢:15位

※外装:1/60ガーリオン+フリルな姫デコパーツ

※外装色:アイスブルー

※所属:地球連合軍・極東方面伊豆基地所属ATXチーム・サポートロボット。

※固有能力:ハッキング、AM操縦、情報集積体への高度処理能力、DG細胞制御(現在封印中。)、魔法継承(地属性)、機神召喚(エザフォス)。

 

八話から登場したハスミのサポートロボット。

元はUGに搭載されたUG細胞制御用の『超AI』。

七話で本体が破壊され制御コアのみとなったがそのAIチップはハスミに引き取られた。

名前はラテン語で薔薇の妖精を意味する。

戦闘時はハスミのガーリオンカスタム・タイプTの随伴機として乗り手の居ないガーリオンカスタム・タイプAに搭乗し行動している。

二章ではガーリオンカスタム・タイプTのサブパイロットを務めていたが、現在は機神・エザフォスにて戦闘に参加している。

なお、コールサインは本来付けられない立場だが隊の計らいでアサルト7になっている。

若干天然気味な所が見られるが人間の行動理念を旨く把握していない事からの発言である。

二章では多少改善はされているが素直なだけにエクセレンに妙なネタを教え込まれるなど少々問題になっている。

歌が好きでハスミが時折歌っているフレーズを思い出して練習している。

同じロボットであるハロやロペット達は大切なお友達である。

セフィーロではエテルナの試練の時に自身の前身となったDGの虚像と戦う事で『罪に飲まれず、前に進む』と決め、前に進む事を決意する。

魔法が使用可能な件に関してはハスミ曰く、誕生過程が違えども確固たる意志を持つのなら可能では?と推測している。

GGG所属のファルセイバーから片思いを向けられているが本人にその気はないらしい。

第四エリアにてツグミのデコレーションにより猫耳姿のニャンコリオンとメイド姿のメイドリオンの外装を持つ事となる。

第四エリアでのハスミ達の行方不明に動揺しているものの周囲を不安にさせない様に努力している。

この時、ミスリルの相良達と行動していた為にマニアックな重火器の知識を得てしまう。

その後、アラスカ基地でハスミと再会。

第六エリアではハスミの助言と自らが持つ高度情報処理能力を生かしてカイメラ隊の思惑を看破する。

 

 

※四季の女性達

 

ハスミが転生を行う前に選定した存在達。

それぞれが幼女、少女、女性、老女の四人で構成されている。

名前が無いのでハスミは順にハルナ、ナツキ、アキヨ、フユコと呼んでいる。

命名理由はそれぞれが居た場所をモチーフにしている。

ハスミの推測によると全員が神様であり、その姿は人の一生を表していると思われる。

 

 

※ケイロン

 

エンドレスフロンティアで再会したハスミの恋人。

真名は明かせないので上記の名称は偽名である。

何処かでハスミと出会い、何かの契約を結んでいるがそれは不明である。

ある人物達が顔を合わせれば正体が判明してしまう存在。

 

 

<設定用語>

 

※九浄家

認知されるのは旧西暦時代の一度目の大規模大戦開始前頃。

古い軍事家系の旧家であったが現在は衰退し名前だけが知られる程度。

一族の使命から歴史の影に隠れ暗躍し平穏を保つ事を第一としてきた。

代々女性が当主を務めており、名前には必ず『花』が使用されている。

理由は花の名でその意味を体現する、花に隠された隠し言葉(花言葉)を利用している為と思われる。

また性の九浄は『苦罪浄化』を捩ったもの。

 

※約定事件

本編開始前の数十年前に起こった国際警察機構とBF団との戦いで九浄家が第三者として介入した一件。

その戦いで当時の九浄家当主が『約定』と呼ばれる能力で双方の特殊な能力を封印し現在の双方の均衡を保っている状況を作り上げた。

 

※断章介入

本編に置いて事象に更なる可能性が介入する現象。

例えとして本流の流れにAやB等のIF的な事象が介入すると言うモノである。

可能性が集約した世界の為に起こり得る現象ではないかと予想されている。

また主人公がセフィーロで存在しない念神を入手したのもこれが関わっている。

 

※メモリーホルダー

この世界における逆行者又は転生者の通称であり現在のリュウセイ達を指す。

所持する記憶の量によってケースと呼ばれる以下のタイプに分けられる。

 

⋆ケースEタイプ

逆行か転生の記憶はなく、曖昧に覚えている者。

該当者:藤原忍。

 

⋆ケースNタイプ

逆行か転生の記憶を一つのみ保有する者。

該当者:ジョウ(未定の為タイプが変更する場合あり)、瞬兵、洋。

 

⋆ケースHタイプ

逆行又は転生の記憶を複数保有する者。

該当者:キョウスケ、アクセル、リュウセイ、マサキ、ヒューゴ、ドモン、シュバルツ、ロム、コウ、ガトー、アムロ、シャア、アキト、シンジ、D兄弟、エイジ、キリコ、キラ、凱、銀河、北斗、舞人、キラ、アスラン、ロジャー、万丈。

 

⋆ケースEXタイプ

逆行又は転生の記憶の他に未確定数の知識を保有する者。

該当者:ハスミ。

 

 

詩篇刀・御伽(シヘントウ・オトギ)

かつて九浄家に保管されていた家宝の刀で約定事件より行方が分からないままであった。

刀に付属していたとされる護符から察するに遥か古代の物ではないかと推測されている。

その使用用途や付属された能力等も明かされていない。

この護符は現在ハスミが付けているペンダントになっている。

セフィーロにて破損状態のまま発見するもエスクードを取り込んだ事で完全復活した。

ハスミ以外が使用すると自己防衛本能として刀身から刃が突き出し相手を拒絶する。

形状は独特な鍔無しの白い打刀であるが黒い鞘に収まっている。

母・蓮華の残留思念による過去の記憶の転写が施されており、『縁繋ぎ』と『約定事件』についての真相が記憶されている。

特性として『概念を断ち切る力』を持つ。

 

※ロサの銃剣

セフィーロで手に入れたエスクード製の銃剣。

ロサ以外が触れると砂と化してしまう。

形状はプレートを思わせる刀身と引き金が鍔部分に追加されている。

ロサに合わせているので物凄くサイズが小さい。

後に名前が無いのもアレなのでハスミの提案で『ティターニア』と命名される。

 

※念術

念動力の応用としてハスミが編み出した独自戦術。

現時点では解放されていないが、必要あらば行使する事もあるだろう。

 

※アカシックレコードとの契約

ハスミはアカシックレコードから多種多様の情報を読み解く条件として他言無用のとある契約をする。

 

*アカシックレコードからの情報を記憶保持者達に答えてはならない。

*自らを転生者である事を記憶保持者達に明かしてはならない。

*上記二つに関して既にアカシックレコードか黒の英知に触れている人物は該当しない。

*情報から本来死すべき相手を生存させた場合、自らがその代償を払う事。

*転生前に譲渡する予定の能力に関しては自ら発見し覚醒させる事。

*自身が『  』である事を忘れてはならない。

 

もしも上記の契約を一つでも破ればアポカリュプシスの洗礼で世界を崩壊してしまうと言う爆弾を抱えている。

しかしこれには言葉の抜け道もあり、別の方法で情報を与える事を可能にしている。

ちなみにビッグファイアは逆行者であるものの同じくアカシックレコードを読み解く力を持っている為、三番目の契約に当てはまる。

これにより一とニの契約から外れる。

 




《当小説に登場する版権参戦作品》

α、衝撃、OG、MX、A、J、W、UX、BX、K、Rは確定済みです。
後々の話の流れで他の作品も登場させていきます。
これは登場作品が重複しない為の措置です。
場合によって登場人物の入れ替えや一部イベントを省く事もありますがご了承ください。

※既に本編にて世界消滅となった世界(作品)は『虚憶』もしくは『実憶』扱いとなります。
※スパクロは未定です。
※消滅した世界を復帰させるかは未定です。


=追加参戦=

※魔法騎士レイアース
※次世代ロボット戦記ブレイブサーガ
※ガンダムビルドファイターズ並びにビルドダイバーズシリーズ(機体のみ)

様子を見て追加で参戦作品を投入予定です。



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プロローグ

ある次元の世界の銀河にて…

 

 

=???=

 

 

3つの機影に追われながら高速で宇宙空間を突っ切る一体の人型兵器の姿があった。

それを追う三つの機影は紫水晶の竜、エジプト王を思わせる外見に半身が鉱石物で覆われた巨人、頭部が髑髏の人馬騎士の姿である。

 

 

 

「何処ヘ逃ゲテモ、無駄ダゾ?」

「…!」

「ホンマ、しぶとい奴やな…」

「だから~さっさとさっきの仲間ごと始末すればよかったのだ~っ!」

「取リ逃ガシタノハ、致シカタナイ…」

「デブ公とクリ公は相変わらずエグイのう…」

「結果が良ければぁ~それでいいのよ~ぅ!」

 

 

それぞれが追っていた人型兵器対し攻撃を仕掛けながら制止させようとしていた。

会話は以上の通り、傍から見れば漫才の様にしか聞こえないのだが…

追われていた人型兵器のパイロットは深く溜息を吐いた後…

嫌味を込めて電子音に変換した言葉を発した・

 

 

「……漫才はその辺にして貰おうか?」

「何や、もう逃げるの諦めたんか?」

「別に、一人の方がやりやすいからここまで来ただけ……」

「なあにぃ~!?」

「お前達の目的は私……だったら私が惹き付けた方が被害が少ないと踏んだだけよ。」

「つまり、ワイら踊らされとったんか……ようやってくれる!」

「モウイイ、テカゲンハナシダ!」

「…それはこっちのセリフ!!」

 

 

追われていた人型兵器のパイロットは踵を返すと3体の機影に対して戦闘を開始した。

その直後だった。

 

 

「!?」

「どないしたんや!?」

「まさかぁ~!?」

「これは……次元転移!?」

 

 

空間の揺らぎによってその場に居た4つの機影は姿を消した。

それは新たなる戦乱への旅立ちだった。

 

 

 

+++++

 

 

とある世界に置いて…

 

嘗て新西暦と呼ばれていた時代があった。

 

突如出現したクロスゲートの発見を皮切りに様々な戦乱が起こったのである。

 

平行世界、異世界、果ては魔法、心霊、邪神など様々な要因が出現したのである。

 

これはその世界での話であり、それと並行する幾多の世界でも様々な戦乱が起こった。

 

世界は再び、混沌に包まれようとしたがその中に希望もあった。

 

それに対抗する組織が次々と手を取り合い立ち向かった。

 

彼らはそれぞれの世界で一つの遊撃部隊として祭り上げられた。

 

 

「αナンバーズ」

 

「第13独立遊撃部隊ロンド・ベル隊」

 

「ラウンドナイツ」

 

「ブルー・スウェア」

 

「地球連合軍第3艦隊・特務分隊艦」

 

「ノイ・ヴェルダー」

 

「LOTUE」

 

「アルティメット・クロス」

 

「ブライティクス」

 

「マグネイト・テン」

 

「ホワイトベース隊」

 

「部隊呼称不明」

 

「イオニア隊」

 

「コネクト・フォース」

 

「アンティノラス隊」

 

「Z-BLUE」

 

「鋼龍戦隊」

 

 

彼らは地球と言う枠を超えて精神型知的生命体や異星人、異世界人など様々な人種で構成された部隊。

 

俗に言う、地球政府によって集められた最も扱いにくい案件の人々が集められた集団である。

 

ご丁寧に彼らはISA戦術(Integrated Synchronizing Attack、空母の役割を果たす機動戦艦と、そこに搭載された人型機動兵器による電撃戦)に特化した部隊であり、彼らの存在は敵勢力にとって討ち果たすべき存在であったが…

 

それらが集結したこの部隊そのものが異常を超える程の非常識な集まりであった為か、文字通りの返り討ちに合うのがセオリーとなってしまうほどの地球圏において最凶の規格外部隊となってしまったのである。

 

それらと敵対していた部隊や組織も数多くあったものの…

 

軌道要塞を内側から生身で撃退してしまう人外級や…

 

世界規模の精神攻撃すらを屈服させる能力者。

 

衛星型起動兵器などをいとも簡単に塵にしてしまう勇者と螺旋を持つ者。

 

経済や人心掌握による政府内からの瓦解を企てようとしてもそれらすら跳ね除け、逆に痛手を喰らわせる事の出来る政治家やハッカーなどなど…

 

数えたらキリがない程の名言ならぬ迷言や歴史上に残る出来事を起こすなどの伝説を作り上げてしまっている。

 

とある世界に置いてそんな彼らにより『究極のエゴイスト』とも呼ばれた御使い達も彼らの前に敗れ去った。

 

その大戦が終結した後、スフィアによる時空修復によってそれぞれが居るべき世界へ戻る筈だったが…

 

沈黙を続けていたクロスゲートが起動し、幾多の世界は文字通り一つとなった。

 

それは無限の可能性が交差する世界に住む冒険者達が語った。

 

 

ー新たな可能性を秘めた新世界ー

 

 

だったのかもしれない。

 

太陽系が存在した場所には超級型巨大クロスゲートが置かれ、そのゲートに進むと九つの地球と月が存在する新太陽系が存在する新世界へと変貌した新世界もまたその可能性を秘めているのだろう。

 

再編された新世界で統合された人々は様々な要因を残しつつも再び平和を取り戻す事となった。

 

中には敵対していた勢力も加わり、星を失った異星人、移民船団なども協力もあり、スムーズに移民が進みつつあった。

 

そして戦乱から半年後、植民した異星人や古代人、異世界人を交えた地球圏はゾヴォークとの和平交渉の道に進み…

 

長らく続いた星間戦争に終わりを告げる事となった。

 

時間と空間と世界を超えて…

 

新世界は新・統合歴と改暦し…

 

翌年より時を刻み始める事となった。

 

 

 

 

新・統合歴001年、1月1日。

 

新たなる歴史の幕開けを迎える新世界。

 

それは起こった。

 

 

*****

 

新たなる歴史を迎える星々がその時を待つかの様に式典に参列したり星ごとにお祭りムードになっていた…

 

そして…

 

 

「な、なんだあれ!?」

「えっ!?」

 

 

新年を迎えるお祭りに来ていた観客の一人が声を上げた。

 

星々が輝く藍色の空に突如現れた通常サイズのクロスゲート。

 

そこから飛び出す流星の様な無数の光。

 

それらは九つの地球各所へ降り注ぎ。

 

最も近い二つはこの第一地球の北米エリアへと落下した。

 

 

「クロスゲート・バースト」

 

 

と呼称されていた現象は各地球に落下した物体の調査の為に各地球に点在する独立機動部隊に調査を仰いだ。

 

しかし、クロスゲート・バーストの影響で一時的な通信障害が発生した為か…

 

発見された落下地点に落下物の存在は無く移動した可能性があると判明した。

 

それと同時期に地球各所で謎のアンノウンが発生。

 

地球政府はそれの対処と同盟を結んでいる異星人、異世界人、古代人へ情報開示と情報提供を仰いだ。

 

世界は再び戦乱へ向かいつつあった。

 

 

=続=

 

 

 

 

 

 




<今回の登場人物>

※クリスタルドラグーン
ダークブレイン軍団の配下の1体。
他の二人の除き、無駄な話を好まない様子。
(UXの劉備ガンダム達の建国した国を火の海にした水晶の竜の正体。)
ある世界にて謎の人型兵器を追っていたが、次元転移に巻き込まれ第二地球にへ転移した。

※スカルナイト
ダークブレイン軍団の配下の一人。
何故か大阪弁の突っ込み魔。
ヘラヘラしているがやる時はやる奴。
ある世界にて謎の人型兵器を追っていた。
次元転移に巻き込まれ第一地球へ転移し衛星軌道から北米エリアへ落下した。

※デブデダビデ
ダークブレイン軍団の配下の一人。
自信過剰が目立つせいか他二人のボケ担当と思われている。
しかし実力は確かでラクロアのナイトガンダムを戦線離脱に追い込んだ事がある。
(BXでの戦いでナイトガンダムが他の仲間と共に次元転移に巻き込まれた原因でもある)
ある世界にて謎の人型兵器を追っていたが、次元転移に巻き込まれ第三地球へ転移してしまう。
現在は元居城であるダークアイアンキャッスルの奪還に当たっている。

※????
ダークブレイン軍団の配下三体に追われていた人型兵器のパイロット。
仲間達を逃がす為にわざと囮となり、三体を惹き付けた。
戦闘開始前に次元転移に巻き込まれスカルナイトと共に第一地球の北米エリアに落下した。
彼女の会話から追って来た強敵三体を相手にする実力があるらしいが…


******

始めまして、宵月颯と申します。
今回が初投稿となります。
亀更新となりますので何処まで続けられるか判りませんが長い眼で見てください。
気になる事が御座いましたらコメントなどご連絡ください。


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主人公・中断メッセージ集


主人公の中断メッセージ風にまとめたものです。

章ごとに別れますが、大体は似たようなものです。


 

=中断メッセージ集=

 

 

<第一章編>

 

 

リアルへの帰還

 

ハスミ「お疲れ様です、お子様は夜更かしせずに、大人の方は明日の仕事に支障がない様にお休みの時間です。」

ロサ「それではまたお会いしましょう。」

 

 

ATXチームと

 

ハスミ「皆様、お疲れ様です。」

エクセレン「はいはい、お疲れ様。」

クスハ「皆さん、お疲れの様なので宜しかったら私特製の栄養ドリンクを…」

ゼンガー「!?」

キョウスケ「!」

ブリット「…クスハ。」

エクセレン「えっと…」

ハスミ「…(プレイヤーの皆様、早い所逃げてください。」

 

 

DGと

 

ハスミ(ハイライト無し)「…」

DG「…」

ハスミ(ハイライト無し)「…次もプレイしてくださいね。(ニコ」

 

 

ロサと

 

ロサ「えっと、プレイヤーの皆様お疲れ様でした。」

ハスミ「ロサ、そんなに緊張しなくても大丈夫よ?」

ロサ「大勢の人の前じゃ緊張するよ、恥ずかしいです~。」

ハスミ「ロサに免じて次回もプレイしてくださいね。」

ロサ「ううっ///」

 

 

 

<二章編>

 

 

EF勢とその1

 

アシェン「やっほー♪オタク勢の皆の衆!おつかれちゃん!」

輝夜「皆様、お疲れ様です。」

錫華「よいよい、良きに計らえ。」

ハーケン「おいおい、こんなに騒いでたらプレイヤーの皆が休めないだろう?」

アシェン「では、休憩しながらプレイを続けやがれです。」

ロサ「それだと全然休めませんよ。」

ケイロン「ハスミ、終わりは任せるぞ。」

ハスミ「了解です…それでは、夜の人は明日に昼間の人は休憩をしながら次回のプレイを楽しんでください。」

 

 

密談

 

ケイロン「この様な場所でお前と語る事になるとはな。」

ハスミ「私は別に構いませんよ?」

ケイロン「そうか…」

ハスミ「プレイヤーの皆様、この先の結末を知るにはまだまだ道のりは長いですが…末永く見守ってください。」

ケイロン「その時までお前達をてい…」

ハスミ「今はそれを語ってはなりません!!」

ケイロン「む、すまん。」

ハスミ「では、おやすみなさい。」

 

 

 

AIの語らい・その1

 

ロサ「プレイヤーの皆様、お疲れ様です。」

ガイン「ロサ、これからどうするんだ?」

ロサ「AMの定期点検があるのでそのお手伝いです。」

ブラックガイン「頑張るのもいいが、偶には休憩も必要じゃないか?」

ロサ「それでは一緒にクスハさんの特製オイルで…」

 

ガイン&ブラック「「それだけは!?」」

 

ロサ「冗談ですよ、これにて失礼します。」

 

 

AIの語らい・その2

 

ロサ「プレイヤーの皆様、お疲れ様です。」

氷竜「私達の戦いはこれからも続きますが…」

炎竜「応援してくれよな。」

ボルフォッグ「その為にもプレイヤーの皆さんの休息は大事ですよ。」

ロサ「プレイヤーの皆様もそうですが、GGGの皆さんもしっかりメンテナンスを受けてくださいね。」

ボルフォッグ「ご心配、ありがとう御座います。」

氷竜「今度、ロサの事を光竜達に紹介させてあげたいですね。」

炎竜「きっと喜ぶよ。」

ボルフォッグ「同じ女性型ですから気も合うでしょう。」

ロサ「その時はお願いします。」

 

 

AIの語らい・その3

 

ロサ「プレイヤーの皆様、お疲れ様です。」

ファルセイバー「…」

ブルーヴィクター「…」

ロサ「お二人とも、如何かされました?」

ファルセイバー「いや、特には…」

ブルーヴィクター「女性型のAIロボットは光竜達だけかと思っていたのでな。」

ロサ「?」

ファルセイバー「ロサ、その…」

ブルーヴィクター「ファルセイバー、男らしく言ったらどうだ?」

ロサ「ファルセイバーさん?」

ファルセイバー「こ、今度、その、あの!!?!」

 

(水蒸気を上げてぶっ倒れるファルセイバー)

 

ロサ「ファルセイバーさん!?」

ブルーヴィクター「余りの恥ずかしさにオーバーヒートを起こしたか。」

ロサ「オーバーヒート!?急いで氷竜さんにフリーズガン貸して貰ってきます!!」

ブルーヴィクター「ファルセイバー、お前の初恋は長引きそうだな。」

ヨウタ「それよりもフリーズガンは拙いだろう!」

ユキ「そうだよ、ファルセイバーが氷漬けになっちゃうよ。」

ブルーヴィクター「プレイヤーの皆もゲームばかりせずに青春も謳歌してくれ。」

 

 

 





ネタが思いついたら徐々にUP予定です。


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断章ノ詩篇 謎話・零 『消失《ロスト》』

いつか何処かの記憶。

本来なら消える筈の記憶。

何処かで繋がりそして。

ここへ集約し紡がれる。

これはその一端の出来事。


ようこそ、画面外世界(プレイヤー)の皆様。

 

ここは忘れ去られた断片を記す出来事。

 

現在進行している幻影のエトランゼ(シナリオ)で気になった点を纏める意味での話となります。

 

皆様は何故彼らが過去の記憶を所持しこのシナリオに転生したか気になっていると思われます。

 

本来ならこの物語の最終決戦時にお話する予定でしたが、余りにも長すぎるのでこの辺で語っておく事と相成りました。

 

では、現在記憶を所持する人々を交えてお話ししましょう。

 

この世界の成り立ちと混乱の世となった理由。

 

彼らが現れた理由を…

 

 

******

 

 

「前置きはこの辺で宜しいですかね?」

「そうは言うけどよ、ハスミ…本編で無茶し過ぎだろう!!」

「リュウセイにだけは言われたくないけどね。」

「な、何でだよ…?」

「一昔前までは『無敵のリュウセイ様』とかはっちゃけたよね?」

「うっ!」

「それにラトゥーニやマイに対して鈍感すぎるし…リュウセイ病の発生源になったりしているじゃない。」

「へ?」

「リュウセイの様に恥ずかしい技の名前を叫んじゃうって病の事よ。」

「あ、そっちか…」

「自覚はあるの?」

「う~ん、アヤにその事で叱られた。」

「やっぱり、アヤ大尉かなり怒っているんじゃないの?」

「だよな。」

「リュウセイを弄るのはその辺にしておけ、ハスミ。」

「了解です、キョウスケ少尉。」

 

 

話の舞台はATXチームの分隊室。

 

部屋狭くないとかは気にしないでください。

 

ちなみに合流していないメンバーも含まれています。

 

 

「さて、クジョウ准尉…ここでは洗いざらい話して貰うが構わないだろうか?」

「はい、大丈夫です。」

「やけに素直じゃねえか?」

「マサキ、正直言えば私がここで話した事は無限力によってリセットされちゃうから大体話しても問題ないって思っただけよ。」

「そう言う事かよ!」

「まあ、それはさておき…聞きたい事は何でしょうか?」

 

 

※何故記憶を所持した者が多く居るのか?

 

 

「それは確固たる意思の強さによるものです。」

「意思の強さ?」

「ええ、条件はそれぞれ違いますが…共通の条件として世界の終焉を体験したが一つ目の条件です。」

「世界の終焉?」

「イデの光、人類補完計画の発動、調律、オリジンシステム、エタニティ・フラット、アポカリュプシス、ユガの審判など聞き覚えのある現象は有りませんか?」

 

 

「「「「「!?」」」」」」

 

 

「それらこそが世界終焉の結末、いわばBADEND…皆さんはいずれかを体験した筈です。」

「確かに俺達はそのいずれかを体験した事がある。」

「はい、そしてもう一つの条件は理由はどうであれ真化に至る成長を遂げたと言う点です。」

「真化ってたしか…」

「Z事変における御使いへの対抗策の一つだった現象だ。」

「そして最後は強固な自我…要は諦めが悪かったって事ですね。」

 

 

心辺りのある人物達は一斉に顔を背ける。

 

 

「以上の条件を満たした者が次の世界で虚億、実億として記憶が蘇ったという訳です。」

「待ってくれ、その条件が正しければ…敵の方にも記憶が蘇っている可能性もあるのではないのか?」

「そこはアカシックレコードが微調節してくれてますので大丈夫です。」

「えっと…つまりどう言う事ですか?」

「負の無限力に手を貸した魂達はリセットの影響で記憶浄化されてしまったって事です。」

「それではここに居るのは正の無限力の影響だと言うのか?」

「それに近いですが、正確には狭間の無限力と言った方がいいでしょう。」

「狭間?」

「生前に決められた結末を認められず、やり遂げられなかった事がある為に正にも負にも転ずる事が出来ずに曖昧になってしまった魂達が行きつく先です。」

「…」

「そう言った魂は輪廻転生後に稀ですが、記憶を保持したまま転生する事があるみたいです。」

「言い得て妙だが…」

「でしょうね。」

 

 

※現在の世界における改変事例は?

 

 

「正直に言いますと…この世界は先程話した転生者達が悲劇的な結末を阻止する為に用意された世界です。」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

「事前に用意された世界の駒として我々が転生させられたのか?」

「いえ、この世界は皆さんが結末を阻止し新たな未来を切り開く為の世界です…ただその代償は大きいです。」

「代償?」

「もしも結末を阻止出来なければ、前の世界に戻され…永久に同じ結末を繰り返させられるからです。」

「つまり…俺達は二度と未来を勝ち取る事が出来ないって事かよ!」

「だからこそ失敗は許されないのです。」

「初っ端からハードな戦いとは思ってたが…そんなカラクリがあったのかよ!」

「最初の結末はどうであれ、皆さんは少しずつですが良好な未来を創り上げています。」

「救えなかった命も多々あるがな。」

「ええ、それは無限力の介入によるもので絶対に防ぐ事が出来ない事例でしたから…」

「君はアカシックレコードから知らされていたのだろう?」

「知っていても踏み出す為の力も無ければ戦う力も持たない幼子の頃にどうしろと?」

「…」

「勿論、私自身も何も出来ない歯がゆさはありました。」

「…」

「だからこそのホルトゥスなのです。」

「ハスミ、ホルトゥスは一体何者なんだ?」

「悲劇的結末を迎えた世界から偶然逃げ落ちた人々の集まりです。」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

「見た事がない機動兵器や技術も並行世界からの逆輸入によるものです。」

「それじゃあラダムに寄生された僕らを救えたのも…」

「彼らの技術力、そして私が知っていたからです。」

「DGの事も知っていた…と言う訳か?」

「DGに関してはアプローチの仕方次第で救える事が出来ましたから。」

「その代わり、お前が洗脳されたりとこっちは生きた心地がしなかったぜ。」

「それについては反省しております。」

 

 

※ハスミは何者なのか?

 

 

「私は皆さんと同じ転生者ですが、転生する前が異なります。」

「異なる?」

「私は……皆さんの存在が物語として定着している世界からの転生者です。」

 

 

「「「「「!!?」」」」」

 

 

「そんな事ってあるのか…!?」

「現実ではありえませんが、現に私はこうして存在しています。」

「事例がある以上は認めざる負えないか…」

「ハスミ、お前は前の世界でも念者だったのか?」

「いえ、ごく一般のしがないOLをしていました。」

「OLって事は…結婚とかしていたとか?」

 

 

地雷を踏むリュウセイ。

 

 

「まさか?婚姻を約束していた相手に浮気された挙句に捨てられ!向こうが振られたからヨリを戻せとしつこく迫り!!挙句の果てには車道に押し出されて殺される結末を迎えた私が!!!結婚?ありえませんねw」

 

 

生々しい真っ黒いオーラを醸し出すハスミ。

 

 

「随分と生々しい人生を送ったみたいだな。(汗」

「ええ、御蔭様で…軽率な男には細心の注意を払っていますよ。」

「通りでイルム中尉やライトとかのナンパをのらりくらり躱していた訳だ。」

「弱点は把握しておりましたので。」

「ま、まさか?」

「勿論、皆さんの弱点も把握してますよ?幼少期の話したくない事から恥ずかしい中二病の様な黒歴史までね?」

 

 

「「「「「…」」」」」」

 

 

「私の事はもういいですかね?」

 

 

※今後危惧すべき事。

 

 

「私が現在危険視しているのは破滅の王と御使いです。」

「あれ?霊帝は?」

「いずれ理由は判る時が来るでしょう。」

 

 

*******

 

 

それでは無限力からのリセットの時です。

 

皆様のここでの記憶はリセットされ、幻影のエトランゼの時間軸に戻ります。

 

では、またいつか。

 

 

=続?=

 



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狭間ノ詩篇 閑話・零 『滅曲《マーチエンド》』

何処かで聞こえる滅びの曲…

それは星に籠り…

平和を謳歌する中で…

静かに静寂な滅びを迎えた…

幼き日の少女は『夢物語』として静かに紡いだ…



曇天の空に草木も咲かぬ大地。

 

それは燃え盛る鉄屑達の亡骸で埋まっていた。

 

まるで墓場の様に。

 

 

 

『どうして、何故!?』

『噛み砕け…!』

 

 

******

 

 

 

 

 

蒼い。

 

蒼い。

 

蒼い。

 

蒼いのに何故そんなに真っ赤なの?

 

蒼い狼さん?

 

どうしてそんなに真っ赤に染まってしまったの?

 

蒼い狼さんは何も言わずに傍に居た大きな人をガブリと食べてしまいました。

 

 

ボリボリ。

 

ボリボリ。

 

ボリボリ。

 

 

お腹一杯になった蒼い狼さんは大きな朱い狼さんになりました。

 

大きくなった朱い狼さんは次のご飯を探し求めて動きました。

 

 

小さいけれど神様の様な心の王様。

 

鋼鉄の人。

 

赤と白と黄色の人。

 

太陽の人。

 

三日月の人。

 

昆虫の人。

 

獣の人。

 

白い人。

 

赤い人。

 

遠い星から来た人達。

 

 

そして。

 

 

悲しい思いをした蒼い人。

 

苦しい思いをした紫の人。

 

悔しい思いをした金の人。

 

恨みたい思いをした傷の人。

 

 

皆、皆、皆。

 

 

朱い狼に食べられてしまいました。

 

終わった頃には朱い狼のお腹は満腹でした。

 

そしてお腹の中から聞こえるのです。

 

色々な声と一緒に音楽が聞こえた。

 

 

 

<風の行進曲>

 

 

 

心地よい音楽を聴いた朱い狼は言いました。

 

 

 

『愚かな静寂を求めたのはお前達だ。』

 

 

 

朱い狼はあざ笑いながらひと眠りにつきました。

 

 

 

『我々の選択は間違っていたのか?』

 

 

 

朱い狼のお腹の中で食べられてしまった人の一人が答えました。

 

でもそれは誰にも聞こえずに消えてしまいました。

 

まるで風の様に。

 

 

 

『見つけたぞ。』

 

 

 

居眠りをしていた朱い狼を見ていた人が居ました。

 

銀色の腕を持った大きな蒼い鬼でした。

 

 

『ベーオウルフ!!』

 

 

大きな蒼い鬼は朱い狼を殴りました。

 

朱い狼は眼を覚ましましたが殴られてしまったので横にふっ飛びました。

 

しかし、一杯食べてぐっすり寝た朱い狼は元気だったのでそんな事があっても平気でした。

 

蒼い鬼と朱い狼はこうして戦い始めました。

 

そして戦いは止まりませんでした。

 

何度も何度も傷つけ合いました。

 

そして。

 

紫の魔女が言いました。

 

 

『もう時間よ。』

 

 

蒼い鬼は一緒に行けないと話しました。

 

何度言おうとも聞き入れないと悟った紫の魔女は旅の仲間と一緒に先に外の世界に旅立ちました。

 

紫の魔女は青い鬼の為に外の世界に繋がる扉と鍵を残しました。

 

しかし扉と鍵は魔法で後5分しか開いて置く事が出来ません。

 

蒼い鬼は扉が閉じる時間まで朱い狼と戦い続けました。

 

時間が訪れる頃に扉の前へ朱い狼を誘いました。

 

蒼い鬼は扉に入ると紫の魔女が残した魔法を使いました。

 

朱い狼は炎に焼かれて怨みの声を上げながら消えました。

 

蒼い鬼も扉を閉じて外の世界へ向かいました。

 

扉も閉じると炎に焼かれて壊れました。

 

そして世界は静かに壊れました。

 

 

† † † † †

 

 

10年前のテスラ・ライヒ研究所にて。

 

 

 

『わっ!?』

 

 

 

研究所の住居スペースの一室にて備え付けのベッドから飛び起きた少女が居た。

 

少女はびっしょりと冷や汗を出して震えていました。

 

薄暗いライトに照らされた室内からタオルを探し出すと濡れた場所を拭き上げた。

 

そして室内から出て展望スペースに歩いて行き、外の景色を見ながらこう呟いた。

 

 

 

風の行進曲(マーチウィンド)、助けられなくてごめんなさい。』

 

 

 

北米の夜空に流れ星が落ちて行く様子を見ながら少女は一筋の涙をこぼした。

 

 

=終=




<今回の登場人物>

≪マーチウィンド≫
異星人による侵略を受け、半ば彼らに従う者と反逆する者に別れた地球の独立部隊。
監視者と呼ばれる存在との戦いの後、地球に封印を施して外宇宙からの脅威を退けると言う選択を選んだ。
しかし、既に地球に入り込んでいたアインストによって浸食した『ベーオウルフ』によって壊滅した。

≪???≫
※ベーオウルフ
平行世界でのキョウスケ・ナンブ、階級は大尉。
アインスト化によって『ベーオウルフ』と化し、愚かな静寂を呼び込んだマーチウインドを壊滅させた。
その後、アクセル・アルマーとの一騎打ちで消息不明となる。

≪シャドウミラー≫
※アクセル・アルマー
平行世界で『ベーオウルフ』を倒した後、時空転移し生まれ故郷の世界と決別した。


≪旧戦技教導隊≫
※ハスミ・K・ラウ
カーウァイの養女となった幼い頃のハスミ。
旧戦技教導隊ではマスコット扱いになっている。
サイコドライバーとしての能力の一つ『夢見』で平行世界でのマーチウィンドの壊滅とシャドウミラーの逃避を知る。
そして自身の力がまだ完全に未覚醒である事と戦う力を持たない為にマーチウィンドを救えなかった事を悔いている。


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閑話・壱 『紐解《ヒモトキ》』

次の戦場へ向かう前。

睡蓮は今は亡き家族への祈りを捧げる。

己のルーツを紐解く為に。

そして新たな思惑が巡るのだった。


アイドネウス島へ出発する前日の早朝。

 

私は今後こちらへ戻れる時期が分からないので少し早い墓参りに向かった。

 

伊豆内陸の郊外に位置するこの世界での私の実家。

 

かなり古いお屋敷であるが使い勝手はいい。

 

祖父母が無くなる少しの間だけ住んでいた。

 

今は近所に住む三人姉妹のお姉さん一家にお願いしてもらっている。

 

私の実家から何かと便宜を図って貰っており、その縁からだそうだ。

 

我が家の墓標は伊豆の海が見渡せる山沿いの丘にあり、数多くの墓石が立つ中でひっそりとそこに立っていた。

 

祖父母が墓石を豪華にしたがらない謙虚性もあった為だ。

 

ご丁寧に家族一緒に遺骨が収められる日本式である。

 

しかし血縁上の父の遺骨は入っていない。

 

理由とすれば生前に母方の祖父母から絶縁をされてしまった事と遺伝上の父親の遺骨が発見されなかった事である。

 

事件発覚後に崖からの転落自殺をしたのだ。

 

死体は海に流れてしまい、発見されていない。

 

見つかったとしても無縁仏として葬られるだろう。

 

 

 

*****

 

 

 

「御爺様、御婆様、母さん、私…軍人になりました。」

 

 

墓石の周囲を掃除し打ち水とお供えの花束を供え終えると私はお線香を添えた。

 

そして合掌を捧げた。

 

 

「私がいずれ戦場に出るのは運命だったのかもしれません。」

 

「それが九浄家の使命ならば、私もそれに従います。」

 

「だから見守ってください、お義父さんと共に行ってきます。」

 

 

合掌を終えると私は打ち水用の桶を持って実家の墓を後にしようとした。

 

するとどこかで見慣れた姿をした男性がお供えの花束を携えて実家の墓へ向かって来ていた。

 

 

「失礼、ここに九浄家の墓があると伺ったのでお参りに来たのだが…」

「家の墓にですか…でしたらこの先の墓がそうですが?」

「君はもしや…九浄家のご息女のハスミ嬢かな?」

「はい、そうですが……貴方は一体?」

「これは失礼、私はこう言うものです。」

 

 

男性に渡された名刺を見遣ると少し驚いた表情のまねをした。

 

 

「ああ…あの、一介の大企業の社長様が何故私の家に?」

「君のお爺様には多大な恩義があってね、御葬式の際にも顔を出させて貰った事もあるのだが?」

「そうでしたか、この度のご足労ありがとうございます。」

「それはこちらの台詞だよ、亡くなられた事を惜しむ者達も多く居たものだ。」

 

 

 

あえて言おう。

 

何で貴方が出てくるの!?

 

時系列ならもうちょっと先でしょうに!

 

幻惑のセルバンデスさん。

 

何かジャイアントロボルート進んでいませんか?

 

このままだとバラルの園とバベルの塔でダブル頂上決戦の結末しか見えてきません。

 

いやー!!

 

 

 

「ハスミ君、宜しければお時間はあるかね?」

「あ…あの少しならあります。(逃げたいでござる、逃げたいでござるです!」

 

 

 

そのままの流れで私はセルバンデスと共に再び墓参りをした。

 

それでも危機を脱した訳ではない。

 

いくら私がサイコドライバーでもこの状況は拙いでしょう!

 

無数の未来予知でも判ります。

 

下手打つとここで死亡フラグ真っ逆さまだよ。

 

アカシックで調べたら『舞台演劇』使えるってどんだけーですか!?

 

てか、あれは漫画版でしょ!?

 

そもそも私の正体は横浜での変態忍者のせいでバレてるし!

 

てか、名前言っちゃった私もどうかしてるよ!

 

ヤバい、積んでます!

 

そんな私が脳内で一人暴走をしているとスマホの音が響いた。

 

互いにスマホを取り出すと音の主は私ではなかった。

 

 

 

「…お仕事ですか?」

「ああ、重要な案件でね。」

「ご苦労様です。(お願いですから、このまま静かにお帰りください。」

 

 

 

墓参り後、何とか私は危機を脱した。

 

本当に心臓に悪いです。

 

私はその足で実家の屋敷を訪れて亡き御爺様より託された手記を手にした。

 

それによると我が家系は過去にとんでもない事をしでかしていたらしい。

 

箇条書きするとこうである。

 

 

 

 

※古より続く守人の家系。

 

※記述によると機械仕掛けの翼を持った女神、大いなる意思と接触している。

 

※人類が宇宙に進出する遥か過去に異星人と度々接触していたらしい。

 

※代々女傑当主によって繁栄、男尊女卑が激しい時代は男装の麗人など。

 

※表は男性当主、真の当主は女性となっている。

 

※明治22年頃日本海溝付近にて謎の船舶が沈没する様子を黙視。

 

※その後発生した大戦中に先祖が超機人に接触し搭乗者をしていた。

 

※その後の戦いでオーダーと共にバラルと接触、後に壊滅に追い込んだ。

 

※上記の功績により西暦時代まで日本政府より影の守護を任命される。

 

※メテオ3による西暦時代崩壊後、日本政府より守護を解任、別の道を模索。

 

※地球連邦軍設立を機に一族の一部が入隊、影より軍内部の安定を図る。

 

※数十年前、国際警察機構とBF団との戦いに第三者として乱入し現当主がある約定を定める。

 

※上記の戦いで詩篇刀・御伽が破損の為、地下倉庫に安置したものの喪失。

 

※15年前、次代当主誕生、同時に現当主の身体並びに能力の弱体化。

 

※10年前、現当主事故により死亡。

 

※半年後、当主暗殺を謀った婿養子の後妻一族を社会的抹殺、婿養子縁切り、罪無き赤子は里子に。

 

※三ヵ月後、先代当主死亡。

 

 

 

そこから途切れており、ささっと流し読みをした結果がこれである。

 

但し、この手記はかなりの厚みを持っているので他にもやらかした事は多そうである。

 

んで。

 

ご先祖様、一体何やらかしてくれちゃってるんですか!

 

母さん、国際警察機構とBF団に喧嘩を売るなんて貴方どんだけ強者なのですか!?

 

て、言うかあの凶悪レベルの人外と戦ったのですか貴方は!!?

 

今初めて判明、過去の御爺様と母さんは人外クラスの狂人ですた(泣。

 

詩篇刀・御伽の件は交差する世界か無限の開拓地に行ってこいと言うフラグにしか思えない!!!

 

絶対に動く死体と巨大トカゲとバトりたくないです!

 

後、生身でカタパルトから射出されるのも絶対に嫌でござる!!

 

一通り某漂流者なギャク暴走した私は落ち着きを取り戻した後、屋敷を後にした。

 

驚愕の事実を知ってしまった以上、やるべき事が増えてしまったのは事実だ。

 

よし、駄菓子屋に寄って英気を養おう。

 

あーしばらくはBF団に襲撃されない事を祈りたいね。

 

本当に。

 

 

******

 

 

とある南の島にて。

 

 

「厄介な事をしてくれましたね。」

「…」

 

 

何処かのリゾートを思わせるプールサイドにて南国の気候であるにも関わらず白いスーツを着こなす男性がビーチベッドに寝そべっていた。

 

 

「何を言いだすと思えば、貴様こそ隠し事とは…どういうつもりだ?孔明。」

「マスク・ザ・レッド、貴方こそ何をおっしゃいますかな?」

 

 

大きめのグラスに注がれたメロンソーダを啜りながら孔明と呼ばれた男性はマスク・ザ・レッドの話を聞いていた。

 

 

「九浄家の人間は全て絶えた筈……だが生き残りがいたとは聞いていないが?」

「ええ、あの九浄の長老にしてやられましたよ。」

 

 

まさかあの九浄家の姫巫女が生きていたとは。

 

いやはや、戦況はまだまだ私達を見捨ててはいないようですね。

 

さて、我らがビッグファイアはどう出られますかな。

 

 

「かつて、我らBF団を含め国際警察機構の者共は全員その能力を約定によって九浄家当主に封印されたのだぞ。」

「ええ、あれは厄介な出来事でしたよ。」

「ならば…!」

「お待ちなさい、例え九浄家の生き残りがいたとしても封印は解除出来ないのですよ?」

「何故だ!あの小娘一人始末すれば済む事…っ!?」

 

 

呆れた表情ではあるがいつもより鋭い目つきで孔明はある言葉を発した。

 

 

「九浄家先代当主である『蓮華』の能力である『約定』はその一族に危害が及んだ場合、永久に破棄する事が出来ないと付け加えてあるのですよ。」

「…アルベルトに監視を任せていたのはそう言う訳か?」

「その通り、唯一『約定』を破棄できる次代の当主を死なせる訳にはいきませんからね?」

「ふん、俺は好きにやらせて貰うぞ!」

「ビッグファイアに逆らうおつもりで?」

「いや、我らがビッグファイアに逆らう事はない、俺自身あの小娘に興味があるのだ。」

「私は説明しましたよ?くれぐれも厄介な事にならない様にして貰いたいですな?」

 

 

孔明が話し終えるのを待たずにマスク・ザ・レッドはそのままパラソルの日陰になっている影に沈み込む様に姿を消した。

 

そして一人になった孔明も溜息をついた後、誰も居ない筈の場所で誰かに話しかける様に答えた。

 

 

「分かっています、まあ悪い様になりませんよ。(あれはややこしい…恋と言うものですからね。」

 

 

******

 

 

 

「くしゅん!」

 

今、ものすごく嫌な悪寒がしたような?

 

=続=

 




<今回の登場人物>

《BF団》

※幻惑のセルバンデス
幻惑もしくは眩惑と呼ばれる十傑集の一人。
約定事件によって『舞台演劇』などの能力を封印されている。
現在は『オイル・ダラー』と言う表会社で行動している。

※策士・諸葛孔明
BF団のナンバー2、その所載は謎に包まれているが今回の会話で腹黒さは日増しにUPしている模様。
約定事件に関わっており、本来の能力『水魚の交わり』を封印されている。


《九浄家》

九浄蓮華(レンゲ・クジョウ)
九浄家の先代当主であり、ハスミの母親。
享年27歳。
約定事件の首謀者にして固有能力『約定』によって国際警察機構並びにBF団の能力を封印した張本人。
『約定』によって封印したのは双方の特殊な力のみであり武道に関しては何の隔たりもなく使用は可能らしい。
当時のヤング時代の孔明曰く「私の数倍は腹黒かったですよ。」と呟いている。
刀剣の使い手で約定事件では詩篇刀・御伽で阿鼻叫喚の絵図を披露したと言う。
二つ名は『深淵の蓮華(シンエンのレンゲ)』。


九浄 漣(サザナミ・クジョウ)
九浄家の先々代当主、ハスミの祖父。
享年78歳。
当時の政財界からは『鬼震の漣(キシンのサザナミ)』と恐れられており、かなりの猛威を振るっていたらしい。
天下り政治&腐敗政治を断固毛嫌いしており、当事者達を再起不能なまでに社会的抹殺するなど迷宮入りの騒動を度々起こしていた。




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閑話・弐 『祈願《イノリ》』

年の終わりと始まりを迎えるこの日。

人々は何を願い何を求めるのか。

ここにもそれを願い祈る姿があった。

睡蓮はいずれ訪れるであろう戦いから無事に戻る事を願うのだ。

この先に現れるであろう災厄と危機から友を生還させる為に。


新西暦186年12月31日。

 

日本で言う大晦日の日である。

 

地球並びに各コロニーで厳戒態勢のまま年を迎える準備を着々と進めていた。

 

ここにもそれを願う者達の姿があった。

 

 

「年末だって言うのにギリギリまで任務だなんて。」

「少尉、しょうがないですよ。」

「ふふっ戻ったら私が美味しい栄養ドリンクを出しますよ?」

「あ、え、遠慮しとくわ。」

「そうですか?」

「うん、疲れてないし。」

 

 

私達ATXチームも各地が祭りムードになる中で警戒態勢のまま各地の見回りを行っていたのだ。

 

民間人ではない私達が一緒にお祭りに参加できるとは思っていない。

 

これも任務の一環として割合する。

 

 

「アサルト0より各機へ基地に帰還すればエルザムが年越しと年明けの料理を準備して待っている。」

「わぉ!エルザム少佐ったら太っ腹ね。」

「楽しみです。」

 

 

隊長の言葉を皮切りにそれぞれが喜びの声を上げていた。

 

任務を全うした後、それぞれが伊豆基地に帰路を向けるのだった。

 

 

******

 

 

伊豆基地に帰還した私達は任務中のレポートを纏めて提出し他の部隊や仲間になった人達の集うホールへ向かった。

 

既に何人かが待ちくたびれた様で話を進めていた。

 

そしてレイカー司令の挨拶を始め、今年の労い言葉と来年の誓いを立ててパーティが始まる。

 

そしてエルザム少佐を筆頭に非番だった女性パイロット達がお手製の料理を運んで来た。

 

今回は人数が多いので立食式となっている。

 

 

「ささやかながら年越しの料理と年明けの定番である御節料理を用意してみた。」

 

 

他にもソフトドリンクなどが揃っている。

 

当然、祝い事であっても酒類は禁止である。

 

パーティ中に出撃命令があっても可笑しくはないのだ。

 

全員にソフトドリンクが配膳され終わるとレイカー司令の号令がかかる。

 

 

「では、乾杯。」

 

 

「「「「「乾杯!!!!!」」」」」

 

 

ホール内にグラスを軽く鳴らす音が響いた。

 

パーティの始まりである。

 

 

 

「リュウセイ、これ…私が作ってみたの。」

「ラトゥーニが?どれどれ?」

 

 

軽食を取って食べていたリュウセイにラトゥーニが自分で作ったと言う料理を持ってきた。

 

どうやらおにぎりの様である。

 

 

「これマグロのトロか?」

「うん、マグロのトロ…だから”トロ“ニウムおにぎり。」

「うん、醤油ダレが効いててうまいぜ!」

「良かった///」

 

 

何処かでリア充爆発しろとかのセリフが聞こえて来るが気にしない。

 

寧ろ気が付いてない二人であった。

 

 

「皆さん、私もデザートを作って置いたの。」

「わお、さすがハスミちゃん。」

「任務中だったのでこれ位しか出来ませんでしたけど。」

「ハスミ、ありがとう。」

「隊長はこっちの果物ゼリーを…」

「うむ。」

「そっか、ボスって甘い物苦手だっけ?」

「一口食べただけでも卒倒する勢いだからな。」

「いつも隊長用に別で作っておくんです。」

「うまい。」

「テンペスト少佐…いえ、お義父さんもどうぞ。」

「ハスミ、いつも済まないな。」

 

 

ハスミがATXチームに渡したのはホワイトチョコと苺のムースである。

 

ちなみにゼンガーには砂糖不使用の果物ゼリーである。

 

事前に作って冷やして置けばすぐに出せる物だ。

 

 

「ドモン、私もエルザム少佐に習って作ってみたの。」

「ん、いいのか?」

「いいのよ、私がドモンに作ったのだから。」

「そ、そうか…ありがとうレイン///」

「ふふっ。」

 

 

リア充爆発しろその二。

 

 

「こらーボス、甲児君に作った料理を!!」

「ボス、食い物の怨みはって事だ!!」

「に、逃げるだわさ!!」

 

 

リア充爆発しろその三。

 

 

「カミーユ、ごめんなさい。」

「失敗は誰にでもあるよ、また今度頑張れば。」

「そ、そうよね。」

「ありがとう、カミーユ。」

 

 

リア充爆発しろその四。

 

 

「何なんだこの甘ったるい空気は…」

 

 

呆れる元影鏡隊の隊長。

 

 

「楽しいですね。(ああ、腹筋崩壊したいほど笑いたいよ。」

 

 

そんな感じでパーティは進んでいった。

 

そして年を越す除夜の鐘が鳴り響く中で一同がホールの窓ガラス付近に集まった。

 

伊豆の街で年越し恒例の花火が上がるのだ。

 

それを伊豆基地のここからでも見上げる事は出来るので全員が集まったのだ。

 

藍色の夜空に広がる色とりどりの花火。

 

それぞれが祈りを捧げる。

 

良いお年を。

 

そしてhappynewyearと口にするのだった。

 

=続=

 

 

 



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閑話・参 『過去《カコ》』

ふと思い出すのは前世の記憶。

程遠い筈がまるで昨日の様に思い出される。

これは睡蓮が奇跡を目の当たりにする前の記憶。


突然だが、私の前世での事を話しておきたい。

 

まあ、世話話と思って頂いて構いません。

 

産まれは普通の家庭だった。

 

父と母、歳の離れた兄だ。

 

仲はまあ良かっただろう。

 

そんな中で平穏に育って行った。

 

次第に成長し大人に成り、一人立ちをした。

 

新生活、仕事、趣味。

 

それは静かに過ぎ去っていった。

 

ある事を除いては…

 

 

「お前とは付き合えない。」

 

 

ある日、付き合っていた彼に別れを告げられた。

 

一方的にだ。

 

私は一気に冷めてしまい諦めの様にこう伝えた。

 

 

「そう、元気でね。」

 

 

自分ではあっさりしていた方だ。

 

その後は自宅に戻ると強烈な吐き気と共に台所へ向かった。

 

拒絶、悲しみ、怒り、そんな感情に支配された。

 

吐いて、吐いて、吐き出した末に私は泣きながら笑っていた。

 

何でこんなに無力で情けないんだろう。

 

その後、本調子を取り戻すまで何も口に出来ずにいた。

 

何か口にすると吐き気で戻してしまう。

 

それで一気にやせ細った。

 

数週間程過ぎた頃だっただろうか。

 

同じ職場の同僚が話しかけてきたのだ。

 

 

「ねえ、〇〇〇。」

「どうしたの?」

「彼の事、聞いた?」

「何を?」

「やっぱり知らないか…」

 

 

同僚に詳しく聞いてみると私と付き合っていた彼が新しく配属された新人の子と一緒に居るのを見かけたと話してくれたのだ。

 

それも何人もだ。

 

もちろん私と彼が付き合っている事は同じ部署の仲間なら知っている事だったが…

 

どうやら彼は新人の子に乗り換えたらしい。

 

そう、捨てられたと確信した。

 

そしてまた吐き気だ。

 

同僚の子が付き添ってくれていたが、誰が見ても余りにも惨めで無様な光景だっただろう。

 

 

「彼とヨリを戻したい?」

「全然、多分…見ただけで吐くと思う。」

「そうだよね。」

「うん、もう…誰も愛したくないよ。」

 

 

それが私を現実での恋と切り離す切っ掛けになったのだ。

 

学生の頃に止めてしまった空想に入り浸る様になったのもその頃だ。

 

趣味の一環で仕事の合間に物語を書き綴りフリーの小説サイトに投稿する事で満足感を得ていた。

 

仕事をし空想に耽り外へ出て妄想を膨らます。

 

そんな日々が続いた。

 

 

「〇〇〇、ヨリを戻さないか?」

「は?」

 

 

吐き気が収まり、静かに過ごしていた私の前に現れた元彼。

 

何を思ったのか急に元の関係に戻らないかと迫って来たのだ。

 

 

「実は付き合っていた子がさ、お見合いで決めた相手と結婚するからって言われて別れて来たんだ。」

「それで?」

「お前、まだフリーだろ?だからさ…」

「…」

 

ハッキリ言おう。

 

気持ちが悪い。

 

誰のせいで現実を愛せなくなったと思っているの?

 

お前のせいだろう。

 

 

「気持ち悪い。」

「へっ?」

「二度と近寄らないで…」

「どうしてだよ!」

「貴方の顔を見ると吐き気がするのよ。」

「何でっ?」

「これ以上、付きまとうなら警察呼ぶからね。」

 

 

そうはっきりと伝えて別れた。

 

恋に破れたからって振った相手に戻る調子者などこっちから願い下げだ。

 

だが、職場が一緒なだけに会う確率は多いのだ。

 

朝から晩まで付きまとい。

 

上司に相談して配置換えをしても追ってくる。

 

事情を知る同僚のおかげで彼はその冷たい視線に居たたまれななくなったのだろう。

 

数か月後に辞めて行った。

 

静かになった。

 

筈だった。

 

ある日の事だ。

 

交差点で赤になり、待っていると後ろから押される様な感じが伝わった。

 

 

「えっ?」

 

 

そして。

 

 

キキ―――!!!

 

 

「おい、轢かれたぞ!」

「早く119番、救急車!!」

「俺見たぞ、こいつが押していたのを!!」

「人殺しっ!!」

「警察にも連絡だ!」

 

 

騒がしい音が周囲を満たした。

 

空は青いのに何でこんなに朱いんだろう。

 

ああ、私死ぬのかな?

 

 

「だ…っ…………さ…」

 

 

そこで私は目を閉じた。

 

私は死んだのだ。

 

原因は元彼の不用意な行動だった。

 

車に轢かれそうな私を救ってもう一度ヨリを戻そうとしたが失敗したらしい。

 

ハッキリ言っていい迷惑だ。

 

元彼は周囲の人々の情報と同僚達の証拠で塀の中へ入って行った。

 

歳の離れた兄夫婦も元彼を許せずに殴るの罵倒を加えたらしい。

 

うん、ありがとう。

 

所で?

 

何でそこまで知っているかと言うと…

 

目処前に居る幼女に教えて貰いました。

 

 

******

 

 

昼下がりだろうか桜の大木の下でお絵描きをする幼女がいた。

 

だが、顔は見えない。

 

長い髪の毛で隠してしまっていてどういう顔付なのかハッキリと見えないのだ。

 

 

「わたしはおしえたからつぎにいってね。」

 

 

幼女にそう言われると再び景色が変わった。

 

 

次は夏の海だ、夜明けを迎える空に足元には海の水が漂っている。

 

すぐ下は砂浜の様だったので満潮で海水が入った様に思える。

 

目処前にはガーデンチェアに座ってスマホを弄る少女だ。

 

その子も髪の毛で顔を隠している。

 

 

「貴方は何をしたい?」

「具代的には?」

「そうだね、生まれ変わる場所とか?」

 

 

私はすかさずやりたい事を伝えた。

 

 

「うん、判ったよ。」

「それと生まれ変わる場所にあの元彼が未来永劫惹き合わない様にして。」

「解ってるよ。」

「ありがとう。」

「じゃ、次に行ってね。」

 

 

次は秋を思わせる場所だ、夕方になるかならないかの空模様。

 

落ち葉が散る森の中でベンチに座ってノートパソコンを打つ女性。

 

 

「来たね。」

「次は何を答えればいいの?」

「そうだね、さっきのやりたい事の理由かな?」

「理不尽な思いをしたくない、私自身を見つめ直したい。」

「分かった、最後に彼女に会ってね。」

 

 

最後は月夜に照らされる冬景色だ。

 

切れ雲から見せる月の光とふわふわと散る雪が幻想的で綺麗だ。

 

月明かりに照らされながら手元にあるランプで明かりを灯しており、小さなテーブルに置かれた日記を書く老女が木製のチェアに座っていた。

 

 

「よく来たね。」

「はい、先ほどの女性に言われて…」

「それじゃあ最後の質問だよ。」

「はい。」

「前の世界で生きられないけど後悔はないね?」

「ありません。」

「判ったわ、だけど…これだけは忘れないでね。」

「?」

「貴方の選んだ道は険しくそして理不尽な世界かもしれない、それでも(エニシ)がある事を忘れないでね?」

「はい。」

 

 

そこで私の意識は途切れた。

 

次に目を覚ますと清潔そうな白い部屋だった。

 

そう。

 

新たな生命として生まれたのだ。

 

この世界の住人『九浄蓮美』として。

 

そして来るべき災厄からこの世界を守る為に目覚めた。

 

 

『”     “の巫女(マシヤフ)』として…

 

 

=続=



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閑話・肆 『夜船《ヨフネ》』

夢を渡る事は誰の障害も受けない。

ただ道を外れると戻れない。

現実に。

それを忘れることなかれ。

忘れなければ道は開かれるだろう。

手綱を放さずそして道の先へ向かえ。

そこに新たな障害と奇跡が待ち受けようとも。

心を偽ることなかれ。


ある夜の夢の中で。

 

私は再度、戦うべき相手である彼に出会った。

 

 

******

 

 

「随分と早い再会ね。」

「ああ、こうやって再び出逢う事になるとは…」

 

 

ここは私の夢の中。

 

人の夢の中はその人の願望や心象が反映される場所でもある。

 

以前、リュウセイの夢を除いた事があったがバーンブレイド?などのメカニズムが集結した凄まじい夢の世界だったので割合する。

 

他者の夢の中に相手や自分自身が渡り歩く事はかなりのリスクが被る。

 

頻繁に出来ない事は重々承知の上で行っている。

 

こう言った現象を人は『白河夜船』と言うだろう。

 

それと似たようなものだ。

 

 

「やっぱり戦うしかないの?」

「それを愚かだと思うか?」

「愚かと言うよりは自分なりのけじめを着けたいのでしょう?」

「…」

「相変わらず不器用だね。」

「よく言われる。」

「出来る事なら私も貴方と戦いたくはない。」

「だが、この先の未来でお前は俺と戦わなければならない。」

「それはアカシックレコードに刻まれた一つの未来でしかないの、その結末はいくらでも変えられると教えた筈よ?」

「…」

「もしかして…もう起きてしまったの?」

「ああ、正確には『テンシ』の介入によってだ。」

「そう、貴方が直接手を下した訳じゃないのならそれでいい。」

「済まない。」

「謝る相手が違うわ、それは彼女にしてあげて。」

「解っている。」

 

 

私達は話し合いを進めつつ私の夢の中にある蒼い湖を見渡せる丘に座っていた。

 

昼下がりの春を思わせる陽気と春風。

 

パステルカラーの蝶や小鳥が草原で飛び交っていた。

 

 

「お前はどうなのだ?」

「少しずつ準備は進めているわ。」

「順調と言うべきか?」

「いえ、無限力の介入を避ける為にもう少し時間が掛かる。」

「…」

「ただ…これだけは言える、今から半年後に二人のスフィア・リアクターと接触出来るわ。」

「『獅子』と『乙女』だったな?」

「ええ、必ずこの未来を変えて見せるわ。」

「ああ、だが無理はするな?」

「それ、最近お義父さんにもよく言われる。」

「フッ、そうか。」

 

 

この夢の中の彼は普通の人間と変わらない服装をしている。

 

あの重苦しい甲冑など外してただ一人の人になってしまえば普通に話しも出来る。

 

こうやって分かり合えるのに。

 

彼の進む道は険しくそして虚しい。

 

そんな時に傍に居られない事が悔やまれる。

 

寄り添える時間がある限り、私は彼の傍で寄り添った。

 

 

「もう時間ね。」

「今度はいつ頃に逢えるのか?」

「しばらくは出来そうにないわ。」

「そうか。」

「どうしても声を聴きたい時はいつも通りに。」

「解っている。」

「それじゃあ、またいつか。」

「再会を願って。」

 

 

私は彼を見送った後、夢から覚めた。

 

夢の中で彼の手に触れた感触はまだはっきりと残っている。

 

彼の包み込むような大きな掌は暖かく心地いい。

 

 

「また会えるよ、ケイロン。」

 

 

† † † † † †

 

 

「またいつか…か。」

 

 

夢の中で彼女と語り合った彼は目覚めると静かに呟いた。

 

 

「ならば、俺は道化として奴らに立ち向かおう。」

 

 

彼は甲冑に備え付けられたマントを翻してその場を去った。

 

先程まで彼が居た場所には小さな小箱が置かれていた。

 

蓋が開いており、中はオルゴールの様で静かに主が居なくなった場所で音を刻んだ。

 

 

=続=




<今回の用語>

※ケイロン
主人公が彼の真名を露見する事を危惧した為に付けられた愛称。
現時点で彼を象徴する意味も持つ。

※白河夜船
一節では熟睡し過ぎてその間の記憶が曖昧であると言う意味。
ここでは主人公曰く曖昧で一時の様な夢世界の事を指す。

※オルゴール
幼少期、主人公が虐待から来る念能力の暴走で次元の狭間に迷い込んだ時に出遭った男性に送ったもの。
本来の名称は巡音箱・夢繋(メグリネバコ・ユメツナギ)
九浄家に残された一品の一つで特定の相手の夢の中に入り込む事が可能な代物。
しかし、使いすぎると相手の意思と混ざり合ってしまい元に戻れなくなる。



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閑話・伍 『猫日《ネコノヒ》』

来たるこの日。

それはどこにでもいる人の言葉より出たもの。

覆す事は出来ず、ただそれを受け入れるしかない。

現実?

妄想?

いや、人はそれをご都合主義と呼ぶだろう。

これは猫様様な日の出来事。


二月二十二日。

 

旧西暦時代に猫の日として位置づけられたと記録にあった日である。

 

気まぐれで甘える姿に人々は萌え。

 

時に嫌われ、時に甘えられ、気まぐれな仕草は人々を魅了する。

 

春一番の風が吹くある夜の事である。

 

 

 

「猫なんてメーワクだっ!!」

 

 

 

陽昇町と呼ばれる研究都市の一つにて。

 

夜更けに居酒屋から出て来た一人の男性。

 

先ほど、野良猫に遭遇し脅かされた為に言ってしまった言葉。

 

酒に酔った男性はそのままフラフラと自宅に帰路を進めた。

 

しかし。

 

 

 

「メイワク、メイワク…猫はメイワク…」

 

 

と、その状況を見ていた禍々しい一つ目の黒い球体はそれを聞き逃さず復唱していた。

 

そして翌朝を迎えた。

 

 

******

 

 

「ふぁあああ~」

 

 

私の名前はハスミ・クジョウ。

 

訳あってこの世界に転生した異邦人である。

 

伊豆基地の士官用の寮にある自室にて私は目を覚ました。

 

 

「あれ?何か騒がしいな…?」

 

 

いざ起きてみると寮の外で騒いでいる声が響いていた。

 

大体が『猫が!?』とかが多いのだが、ハスミは昨日の夜に起きた戦闘へ出撃しており未だ意識は虚ろ虚ろであった。

 

室内に設置されたシャワールームで支度を整えているとその状況は如何に拙い事になっているのかが理解できた。

 

 

「…」

 

 

鏡に映る自身の頭にある二つの猫耳。

 

それは飾りなどではなくちゃんと感触が残っている。

 

ご丁寧に尻尾まで付いている。

 

色は髪の色と同じく黒に青みを帯びた色である。

 

 

「無限力、ここまでおふざけするのかよ…」

 

 

呆れを通り越した遠い目をしながら鏡に向かって呟いた。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

「あらん~ハスミちゃんも猫耳がついちゃったのね。」

「そうみたいです。」

 

 

着替えを済ませてATXチームの分隊室に入った所、エクセレン少尉を始めとしたチームのメンバーが揃っていた。

 

状況は皆同じく髪の色に合わせた猫耳と尻尾が付属していた。

 

アカシックレコードで調べた所、どうやらどこかの酔っ払いが陽昇町に潜むアークダーマの一体に『猫はメイワク!』と叫んでしまったのが原因らしい。

 

ちょっとフルボッコして来ていいかな?と思ったりしたり。

 

個人的には猫は好きなので別に構わないが眼の行き場に困る状況であるのは確かだ。

 

閲覧者達よ、大の大人が猫耳と尻尾を付けている状況は人によっては『へー』位で終わるだろう。

 

だが、強面とかオッサンの猫耳はどうだろうか?

 

メディアで調べた所によると地球だけではなく地球圏全域で発生しているらしいのである。

 

敵味方老若男女問わずこの状況が発生していると言う事はもうお分かりだろう。

 

加藤機関曰く『創造しろ』なんてやったら腹筋崩壊、リバース、現実逃避の三パターンに陥るだろう。

 

一例とすればBF団の十傑集にも猫耳が付属されてますと言う事である。

 

うん、後は閲覧者達の創造にお任せしよう。

 

 

「結局、これの原因は何なのでしょうか?」

「解らん、現在も調査が進められているが原因は不明との事だ。」

 

 

ブリットが自分の猫耳に指を差して質問しゼンガー少佐が答えていた。

 

そりゃ、元の原因がアークダーマですからね。

 

原因のアークダーマの発見は勇者チームに任せるしかない。

 

 

「…(原因を知っているけど話し様がないし。」

 

 

今現在も私が転生者でアカシックレコードに介入し放題の状況を隠している。

 

正体を知られる訳にもいかないので今回の原因を知っていても話す事は出来ないのである。

 

半分猫になったせいかホットミルクが異様に美味しく感じていた。

 

オマケに猫舌にもなっているのが辛いです。

 

 

 

「あの、もしかすると私達…魚とかマタタビとか猫が好きなものに反応しやすくなってませんか?」

「そうかも、何だか分からないけど無性に魚が食べたくなったりするものね。」

「まさかそんな…」

「隊長、一体何を?」

 

 

気を紛らわそうと刀の手入れを始めるゼンガーであったが、刀の手入れに使用する打ち粉を見るや否や指先でチョイチョイと弄り始めてしまったのである。

 

 

「む…?」

「…完全に私達、猫化が進んでますよね?」

「そうね。」

「キョウスケ少尉、どうしましょう?」

「原因が分からん以上、何も出来ない。」

「…(まあ、アークダーマの事を知っているドモンさん達辺りが原因を知って動いていると思うから任せるしかないかな?」

 

 

時間が経つに連れて伊豆基地のみならず各地の猫化してしまった人々が更に猫化が進んでしまい戦闘も行えない状況に陥ってしまったのである。

 

唯一猫化を免れたAI搭載のロボット達が何とか被害を広げない様にしようとするも焼け石に水状態であった。

 

この状況に自らの羞恥を晒さない為に自室に引きこもったり、既に猫化が進んでしまいどうしようもない状況に陥ってしまった者などで基地内は騒然と化していた。

 

 

「そう言えば私…猫化しているけどあんまり被害受けてない様な?」

 

 

考えられる理由とすれば私自身が以前DG細胞に感染した事があるのでその影響を受けにくくなっているのでは?と考えた。

 

それならDG細胞に感染していた経験がある人達も同じ状況なのでは?と思った。

 

その結果だが感染期間が短いと他の人と同様に猫化の影響を受けやすくなっており、やはり感染期間が長い人がこの影響下でも動けるらしかった。

 

 

「どうしようかな?」

 

 

基地全体が機能不全、原因を知っている以上はその原因であるアークダーマを倒しに陽昇町へ行きたいが無断出撃もどうかと思った。

 

まだ幼生態であるなら白兵戦でも倒せなくはないが正体を知られたくもない。

 

 

「成り行きに任せるしかないかな…」

 

 

ちなみに『蒼い睡蓮』も似た様なもので動けないらしい。

 

そもそも邪悪獣って確かスーパー邪悪獣にするにはジャークサタンが必要なのにどう言う訳か大量生産されているのはスパロボマジックのご都合主義なのかな?

 

だから原作で地球防衛組ことライジンオーが勝利出来たのかもしれない。

 

あれだけの物量で掛かったら一溜りもないし。

 

本編ではないので説明する必要はないのだが勇者チームに敵対する勢力の大体は以前話した四大勢力に組するか独自に徒党を組んで侵略活動を行っている。

 

所詮は烏合の衆であるので己の権力を求めて自然消滅よろしくで瓦解するのは目に見えている。

 

問題はその悪意達が『霊帝』の生餌にされかねないと言う点である。

 

取り越し苦労な杞憂であればいいがそれも無理な話だ。

 

『霊帝』ってかなり貪欲だった様な気もしなくもないし。

 

 

「本当に調子に乗ってるよね…奴ら。」

 

 

只今、アカシックレコードの実況中継で問題の邪悪獣がこちらへ向かって来ているとの事だ。

 

その後をライジンオーら動けるメンバーが追跡している状態である。

 

 

「緊急事態だし、いいよね?」

 

 

私はそのままハガネの格納庫へ向かった。

 

 

******

 

 

えーっとどう説明した方がよろしいか?

 

BXまで参入してましたよw

 

デストルークは来てないのでどうなっているか不明ですがね。

 

 

 

「そう言う訳ならあの猫を倒すのに協力させて貰うわ。」

「えっ…でも。」

「奴を倒さないと基地の機能も他の人達も元に戻せないって聞いた以上はね。」

「ありがとうございます…えっと。」

「アサルト5よ、私のコールサインなの。」

「よろしくお願いします、僕達は…」

「互いに名前は止めておきましょう、そちらは知られるとまずいのでしょう?」

「出来る事なら…」

「貴方達の事は機体名で呼ばせてもらうわ、その方が分かりやすいでしょう?」

「解りました。」

 

 

礼儀の良い子達でちょっと感激しちゃった。

 

とりあえず、向こうは名前を知られ訳には行かないので機体名で呼び合う事なった。

 

伊豆の砂浜で対峙するノラネゴン。

 

それと同時に出現するスーパー邪悪獣達。

 

こちらはライジンオー、バーンガーン、マッハスペリオン、ファルセイバー、ブルーヴィクター、ガーリオンC・タイプT。

 

スーパー系五機にリアル系一機のアンバランスな戦力である。

 

その為、ペアで行動する事を提案した。

 

バーンガーンとマッハスペリオン。

 

ファルセイバーとブルーヴィクター。

 

私がライジンオーのサポートに入る事でバランスは取る事が出来た。

 

勿論、単機での行動も考えたが相手が相手の為にこう言った戦法を推薦した。

 

相性の良いペア同士による連携を考えてのこの組み合わせ。

 

先のペア二組は連携攻撃ならぬ合体攻撃で火力に申し分はないだろう。

 

こう言う布陣にしたのでメインであるライジンオーにサポートへ入る事にしたのだ。

 

 

「猫に怨みは無いけれどこればっかりはね。」

 

 

マッハスペリオンとブルーヴィクターの援護攻撃で相手の耐久力を削ぎ、バーンガーンとファルセイバーで止めを刺す。

 

実にシンプルであるが前者達の援護があってこそ後者達の撃破率を上げる事が出来るのだ。

 

前者達の攻撃は相手を攪乱させるだけではなく攻撃力低下などの付与効果もある事を私は知っている。

 

それを狙ったのだ。

 

元々相性のいいペア同士の連携もあったのであっさりとおまけ達が片付いたのはいいが本題のノラネゴンを相手にするライジンオーと私ははっきり言って苦戦していた。

 

ライジンオーの戦術は前世の記憶で知っているので邪魔にならない様に援護はしていたが、あのノラネゴンはどうも様子がおかしかった。

 

止まない攻撃に戦艦の支援すらままならない状況。

 

オマケに補給を持つ機体が居なかったのもネックだ。

 

修理は昨日の戦闘で外し損ねていた修理機能を持つ私の機体が担当したが、燃費が良くてもいずれはEN切れになるだろう。

 

そろそろ決着を付けたい所だ。

 

なので。

 

 

「五分でいい、奴の動きを止めておけるか?」

「何をする気だ?」

「考えがある、合図をしたら奴をおびき寄せて欲しい。」

「…分かった。」

「いいのか?ファルセイバー。」

「アサルト5に策があるのならそれにかけてみよう。」

「俺達も賛成する。」

「僕達も賛成するよ。」

「解った、なるべく早く合図する。」

 

 

私はその場を離れ、ある場所に向かった。

 

 

「確かこの辺に……あった!」

 

 

破棄された大型温室を構える果実園。

 

度重なる戦闘で所々脆くなっているがお目当ての物が無事だったのでそれを一か所拝借し戦闘中の彼らの元へ急ぎ戻った。

 

 

「準備は整った。」

「解った!」

 

 

彼らにノラネゴンを街から引き離して貰い、被害が出ない様に海岸沿いへおびき寄せた後、例の物を奴の顔面目掛けて投げつけた。

 

その後。

 

 

「ゴロニャ~ン♪」

 

 

その様子に一同は。

 

 

「えっ?動きが止まった。」

「どういう事何だろう?」

「アサルト5さん、あの猫に投げつけたのって…?」

「あれは破棄された果実園から拝借したキウイの木よ。」

 

 

「「「「「「キウイの木!?」」」」」」

 

 

「何でキウイ?」

「キウイはマタタビ科に属する植物なのよ。」

「そっか、だからマタタビに反応した様になったんだ。」

「さっき奴の動きを見ていたら猫と同じ仕草が残っていたからもしかして…って思ってね。」

「成程。」

「それと用心の為にっと。」

 

ノラネゴンがキウイの木で油断している所で私がストライク・アキュリスで足止めした。

 

 

「今の内に止めを!!」

 

 

そうしている間に彼らに攻撃を集中する様に指示を出した。

 

 

「エリアルスパーク!」

「エクスプローシブピアース!」

「インペイルノヴァ!!」

「フェニックスストーム!!」

 

 

四機の必殺技が炸裂し最後の一撃はライジンオーの必殺技が決めた。

 

 

「ゴッドサンダークラッシュ!!」

 

 

強大なエネルギー攻撃を喰らったノラネゴンは爆発四散した。

 

 

「絶対無敵っ!ライジンオー!!」

 

 

お決まりの名台詞を聞く事も出来たので旨みは取れました。

 

その後、彼らと別れて無事に元に戻った伊豆基地へと帰還した。

 

私は軍用機の無断使用並びに無断出撃の一件で呼び出されたが正当な理由と情報を持ち帰った事で相殺された。

 

ちなみにリュウセイにライジンオーやバーンガーン達の雄姿を写した映像記録を渡した所、すっごいオタク踊りを見れたので腹筋崩壊しそうになった。

 

こっちはこっちで猫化によって醜態をさらしてしまった人達の写真をゲットする事が出来たので後々に利用させて貰います。

 

猫だけにニャンともいい日かな?

 

=続=




<今回の登場人物>

※ノラネゴン
原作では猫の鳴き声を嫌がって生まれた邪悪獣であるが、今回は夜中に野良猫に驚いた酔っ払いが猫を迷惑がった事で生まれた邪悪獣。
原作では動物を操る力を持っていたが、今回は産まれた経緯が違う事と未来改変の影響で人間を猫化させてしまう能力に変異した。
猫だけにマタタビに弱かった様でハスミの機転で破棄された大型温室を持つ果物園よりキウイの木を拝借し投げ付けて無力化し撃破した。

※地球防衛組
地球防衛軍に所属となったエルドランに選ばれた小学生達。
選ばれた期間が早かったので現在小学4年生である。
ノラネゴンを追って伊豆基地へ訪れた。

※VARS
元々は私立防衛組織だったが連邦軍強硬派の手から逃れる為に地球防衛軍へ参入した。
戦闘要員は二名であるが、戦力になるのか不明な三人目も居る。
戦闘要員である二名は謎の転移に巻き込まれアストラギウス銀河にあるウドの街から帰還したばかりだったので猫化を免れた。
その為、地球防衛組に付き添って伊豆基地へ訪れた。

※ファルセイバー
GGGへ参加したスーパーロボット。
現状で動けない機動部隊に代わって活動している。
今回は地球防衛組と共にノラネゴンを追ってやってきた。
理由は不明だがブルーヴィクターと共に現れた為、記憶所持者と思われる。

※ブルーヴィクター
GGGへ参加したスーパーロボット。
同僚であるファルセイバーと共に戦地へ赴いている。
経緯は不明だが合体は出来ない様子。


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魔星ノ詩篇 第零話 『語手《カタリテ》』

プロローグに繋がるまでかなり長いです。

時系列順では第零話~第一話~数話予定~プロローグ~本編になります。

この様な流れになりますが長い目で見て頂けたらと思います。

今回の主人公の鬱展開は転生時にチート能力を手に入れる為に請け負った代償です。




今回の話に入る前に私の事とそれまでに起きた事件についてかなり長い説明をさせて頂きたい。

 

私の前世での名前は忘れてしまったのでそこは割合させて貰います。

 

私は俗に言う隠れと呼ばれる部類に入っており、個人的にも物語を書くのが好きだった。

 

普通に生活し仕事し何事もなく平穏に生きてました。

 

そして…

 

それは突然だったのです。

 

大きな衝撃と痛みが全身を駆け巡り。

 

残ったのは青い空と赤い、紅い、朱い景色だった。

 

耳に残るのは叫びと悲鳴と独特のサイレン音。

 

誰かが呼びかける声がうっすらと残るが、徐々に消えて行った。

 

 

 

『そう、この時に前世での私は偶然起きた自動車の衝突事故で死んだのだ。』

 

 

 

それも、神様とやらの手違いと不可抗力らしく。

 

最初は怒りに震えたよ。

 

だが、チート能力を付けて好きな世界に転生させてくれると言うのだからそれでお相子とした。

 

一番したいと思った事があった。

 

新しい人生を生きるのだ。

 

だから、あの世界の人達を救いたいと願った。

 

その為の転生とチート能力を授かった。

 

世界の理さえ変えかねない力を手に入れて私は転生した。

 

 

 

******

 

 

 

『この子の名前は蓮美(ハスミ)にしよう。』

 

 

清潔そうな白い部屋で産声を上げた女の子の赤子に父親と思われる男性にそう告げられた。

 

その横で母親らしき女性が笑みを浮かべていた。

 

こうして私こと九浄蓮美(クジョウ・ハスミ)の人生が幕を開けたのだ。

 

 

「ハスミ、これからよろしくね。」

 

 

私は了承と伝える為に両親に向かって笑った。

 

それから五年間の幸せな家族生活を送った。

 

何故五年間なのか?

 

それは五年後に産みの母親が他界したからである。

 

前回の私と同じく自動車事故だった。

 

しかもひき逃げと言う最悪の結果だ。

 

父親は幼い私を育てる為にしばらくしてから後妻を迎えた。

 

これが良い意味での母親であればの話であるが…

 

あえて言おう、毒でした。

 

翌年に異母弟が産まれるとその育児に付きっ切りで私の事は後回しだった。

 

ネグレクトの一歩手前だった。

 

父親の前では良い母親顔をするが私の事は徹底的に無視を決め込んだ。

 

食事も洗濯も必要な物も全部母方の祖父母と父から貰ったお小遣いでやりくりした。

 

ここでは前世での生活の知恵の知識が役だった。

 

当初の目的を果たす前に死ぬ訳にはいかなかった事。

 

この毒に塗れた義母が私の産みの母親を引き殺した張本人だったからだ。

 

片思いだった父を手に入れる為に私の母を引き殺し、政治屋だった一族の力でその罪を逃れた様だが、私は許すつもりはない。

 

今回は色々と知識を手に入れる事が出来たので近所に住むお姉さんに助けを借り…

 

内緒で購入した盗聴器等を自宅に仕掛けるとボロボロと黒い物が出てきてくれた。

 

 

 

その結果、家庭崩壊となった。

 

 

父は母を殺した女と添い遂げた事に苦悩し自殺。

 

義母は母殺害の罪を含めた余罪とその隠蔽に協力した一族諸共塀の向こう。

 

異母弟は幼いながらも実の母が犯した罪を知り、自ら施設行きを選んだ。

 

祖父母は母殺害の真相発覚後に心労でこの世を去った。

 

私は生前に父の伝手で出会ったカーウァイ・ラウ大佐に養子縁組をして貰い、引き取られしばらくは平穏な生活を送れたが…

 

その大佐も任務中のMIAで行方不明になり死亡した事になった。

 

知っていながら助けられなかった事が悔やまれる。

 

行き場を無くした私を引き取ってくれたのはエアロゲイター襲撃の際に妻子を失った。

 

彼の部下だったテンペスト・ホーカー少佐に引き取られたのだ。

 

最初は大佐の養女だったからが理由だった様だが、暫く暮らす内に本当の親子の様になっていった。

 

そして私は彼の事を『お義父さん』と呼べるまでに信頼関係を築いていった。

 

 

 

******

 

 

そして私はこの日、戦う力を手に入れた。

 

友人と共に幕張で行われるバーニングPTの大会の決勝戦に訪れていた。

 

そうOGのリュウセイとテンザンの一騎打ちのシーンだ。

 

だが、優勝したのはリュウセイでテンザンではなかった。

 

しかもリュウセイは実戦のPTに付属出来る最小限の武装とあり得ない程のテクニックで相手を打ち負かした。

 

これは正直驚いた。

 

流石の私もこのリュウセイは逆行でもしているのでは?

 

と思ったが、イングラム・プリスケンの事もあったので…

 

こっちの手の打ちを明かす訳にはいかなかった。

 

なので、あえて聞かない事にした。

 

その優勝の余韻に浸りながらリュウセイらと共に帰宅する途中だった。

 

バグスが現れた、そうエアロゲイターの襲撃にあったのだ。

 

リュウセイはそのまま出現した量産型ゲシュペンストMk-IIへ。

 

クスハは墜落した輸送機に積載されたグルンガスト弐式へ。

 

行動を共にしていたリョウトとリオは軍に納入される予定だったヒュッケバインMk-IIへ。

 

私も破壊されたイズルギ社の輸送車両にあった試作ガーリオンへそれぞれが乗り込んだ。

 

リュウセイとリョウトが殿を務め、私とリオが操縦に難があるクスハのフォローに入った。

 

機体に搭載されたT-LINKシステムの御蔭でそれぞれの操縦に何の支障は無かったが…

 

まさか、このガーリオンにまで搭載されている事に驚く私が居た。

 

そこからは無双でした。

 

武装も最低限ですが、ほぼフルボッコ状態と言って良いだろう。

 

襲撃から少し経った後に到着したATXチームも唖然だった模様。

 

活躍の場を取ってしまいすみません。

 

それにしても零式と量産型ゲシュペンストが3機って事はまだアルトとかのロールアウトが済んでいないのだろう。

 

ただ、ゼンガー少佐が原作のDC行きにならない事を祈りたい。

 

今回はDCが出てくる事がない様に連邦政府内にも少々手を打っておいたがどうなるだろう。

 

戦いが終わった後、軍用機の無断使用でリュウセイらと共に伊豆基地に拘留され軍属になる事を強いられた。

 

同基地に所属していたお義父さんからはかなり叱られたが無事である事に安堵し泣かれた。

 

本当にごめんなさい。

 

その後、イングラム少佐から説明を受けた私達は軍に属すると言う事で無断使用の一件の相殺してもらう事になった。

 

リュウセイはイングラム少佐指揮下のSRXチームへ。

 

リョウトはパイロット兼整備兵へ。

 

クスハはパイロット兼看護兵へ。

 

リオはパイロット兼オペレーターへ。

 

私もパイロットとして配属される形となった。

 

そして一度、リュウセイ、リョウト、リオと別れる事となった。

 

私とクスハはATXチームに配属される事となった、実戦で戦いに慣れろと言う意味合いの説明を受けた結果だ。

 

OG主軸とは言えここまで話の展開が早いとは、しかも母艦はハガネだそうで遊撃隊として各地を回る事となった。

 

数日後、私達は身辺の事後処理を終えた後にハガネに乗艦した。

 

 

 

αにしてOG…

 

OGにして衝撃…

 

私の戦いは始まったばかりである…

 

 

=続=




<今回の登場人物>

九浄蓮美(ハスミ・クジョウ)
この話の主人公で都内の学園に通学する高校1年生、年齢は16歳、同学園に通学するクスハ達とは幼馴染。
高検並びに大検は取っているものの学生生活を謳歌したい為に通学している。
物語開始前に転校して来た為、前の高校の制服を着用しているが学園が私服認可しているのもあり、そのまま指定制服を私服として着用している。(紺のブレザーと細めのリボンで水色のブラウスになっている。)(容姿は風鳴翼似で胸のサイズが大きめ、髪の色は黒に紺を混ぜた様な配色になっている)
性格は至って真面目だが敵と判断した者には容赦がない。
睡蓮が好きでそれをモチーフにしたケース(携帯端末用)を所持している。
この世界ではライトノベルの執筆をしながら学生生活を送る一般人であるが、実は別次元(プレイヤー側の現実世界)から転生したチート能力者。
チート能力はα基準の『サイコドライバー』、常にアカシックレコードと繋がっている状態である事とその情報から特殊な能力を再現化する力を持つ。
念動力の能力としては他の能力も高いが常時発現状態の予知、ヒーリング能力、戦闘能力がずば抜けて高い。
アカシックレコードと常時リンク状態である為に様々な表と裏事情(今後起こるであろう事件の予測と都合の悪い事まで)を知り尽くしていると言ってもいい状況である。
上記の能力が原因で周りからの迫害を逃れる為に母親の形見であるアンティークなペンダントで念能力を封印している。
身に付けている間は念の力を使う事は出来ないが外せば使える様になる。
無意識に発動している能力は『縁繋ぎ』、世界を結ぶエニシからこの世界の彼らと繋がっていた仲間達(原作上の事情によって元の世界に戻った面々や元々関わらなかったが物語とリンク状態の仲間)がこちら側に必然的に引き寄せられてしまっている。
この世界では実の父親と義母との間に産まれた10歳になる異母弟が居るが、父親の死亡と義母との一件で縁切り状態である。
現在は軍の関係者だった父と祖父の伝手でカーウァイ・ラウ大佐に身元引受人として養子縁組をして貰い生活する事となったがバグス初襲来時にMIAなってしまう。
その為、家族を失ったカーウァイの元部下であるテンペスト・ホーカー少佐に引き取られ彼の養女として再度引き取られる形となった。
原作では「ホープ事件」で死亡した彼の妻子はこの世界ではエアロゲイターの襲撃で死亡している事になっているので連邦政府への復讐心は無くなっている。
苗字を変えていないのは母方の性(父親は婿養子)を失いたくない為である。
幕張でエアロゲイターの襲撃に合い、リュウセイやクスハ達と共に避難していたが…
破壊されたイズルギ社の輸送車両に積載されたT-LINKシステム搭載の試作ガーリオンに乗り込み戦う。
本人曰く『操縦方法はお義父さん仕込みだけど……後は吹っ切れるだけ!」と語っている。
上記の発言はカーウァイに引き取られた時に当人のお遊びで当時の戦技教導隊のデータでシミュレーションを日々やらされていた為である。
今回の戦闘後にアカシックレコードの意思から『この世界にようこそ異邦人(エトランゼ)』と歓迎された。

※リュウセイ・ダテ
17歳、後のSRXチームの一人。
原作とは違い、自信過剰な面は見られず少し落ち着いた様子である。
同じ様にエアロゲイターの襲撃に遭いOG同様に量産型ゲシュペンストMk-II・タイプTTに搭乗し戦う。
原作では優勝を逃す筈だったバーニングPTの大会で優勝候補だったテンザンを打ち負かしている。

※クスハ・ミズハ
後のATXチームの一人。
リュウセイのお隣さんである事は変わらず、襲撃事件前からリュウセイに付き合ってバーニングPTの練習をしていた…
幕張でエアロゲイターの襲撃に遭うものの自身も輸送中に墜落したグルンガスト弐式に搭乗しハスミとリュウセイらと共に撃退した事によって軍属になった。
クスハ汁の脅威は相変わらずである。
OG基準なのかブリットとはまだ恋人同士ではないらしい。

※リョウト・ヒカワ
リュウセイ達の友人。
エアロゲイター襲撃時にマオ・インダストリー社が主催したプログラミング大会で優勝した事でスカウトされており、その件で支社に顔を出していた。
軍のトライアル機として搬入予定だった通常カラーのヒュッケバインMk-IIに搭乗し、リュウセイ達と共闘し撃退したものの無断使用の一件で軍属になる事となってしまう。

※リオ・メイロン
後のリョウトの恋人。
エアロゲイター襲撃時に支社に顔を出していたリョウトと同じく軍のトライアル機として搬入予定だった赤いヒュッケバインMk-IIに搭乗し、リュウセイ達と共闘し撃退したものの無断使用の一件で軍属になる事となってしまう。

※キョウスケ・ナンブ
※エクセレン・ブロウニング
※ゼンガー・ゾンボルト
※ブルックリン・ラックフィールド
幕張に現れたエアロゲイター迎撃の為に出撃していた。
ハスミを含めリュウセイ達民間人の戦闘スペックに驚いていた。
人員不足の為、ハスミらに協力を仰いだが後の祭りだった。
なお、ハスミの事はカーウァイの一件でゼンガーが知っていた。

※イングラム・プリスケン
バーニングPTの大会を利用してリュウセイ達を監視していた。
エアロゲイター襲撃の際はそれを利用し彼らにPT並びに特機に搭乗せざる負えない状況を作った。
なお、ハスミのガーリオン搭乗の件に関しては全くの偶然だった模様。

※テンペスト・ホーカー
この世界でのハスミの養父。
現在はギリアム・イェーガーと共にある事件の真相を追って連邦軍情報部に所属している。
ハスミのAM無断搭乗に一件に少なからず怒っていたが生き延びた事に安堵もしていた。
元々の養子縁組をする筈だったカーウァイにお遊び半分で教えられたPTの操縦が今回の延命に繋がったとギリアムに話している。

※ギリアム・イェーガー
連邦軍情報部所属の壁際のいぶし銀。
偶然とはいえ息を吐く様にPTを動かしたハスミとリュウセイの操縦センスに驚いている。
イングラムの件もあり何か秘密があるのではと怪しまれている。

※九浄家
ハスミの実家、母方の実家であるが祖父母と母が死亡し婿養子の父親の一件で没落状態。
先祖は明治時代より旧陸軍士官として所属し多くの功績を上げており、少なからず名のある軍人家系の一族だったが直系である母の死後に婿養子の父親が迎えた義母によって繁栄から没落の道へと一転した。
後に義母一族の犯した母親殺害の一件で婿養子の父親はお家断絶の末自殺。
義母は実の息子からの拒絶に寄る精神崩壊でそっち系病院行きの末に死亡、殺害に関わった義母一族は刑務所へ、異母弟は施設送りとなった。
現九浄家当主はハスミとなったが、別居中であった事と軍属になる事となったので信頼出来る知り合いに実家を預けている。
旧西暦より続く旧家の為、古びた倉や地下壕に改装された元座敷牢跡等が残っている。
ハスミによると古い手記なども多く残っており、当時の世に跋扈していた魑魅魍魎などと戦ったと言う痕跡も残されている。


九浄優弥(ユウヤ・クジョウ)
10歳になるハスミの異母弟。
異母姉の様な能力を全く持っていない普通の一般人。
幼いながらも実母が犯した罪を理解している。
異母姉であるハスミから遠ざかる為に自ら施設行きを選んだ。
現在は施設から都内の小学校に通学していた。
が、急性白血病を発症しドナーが見つからないまま死去した。
主人公もドナー検査をしたが彼と血縁関係が無いらしく赤の他人と判明している。




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第一話 『混世《マザリヨ》』

世界は混ざり合い…

そして…

境界は消え…

全ては始まる…

今はただ…

限りある命を救うべく…

希望を胸に新たな時代へ動き出す…


ある日の事…

 

 

「ゼンガー少佐、レポートお持ちしました。」

 

 

私が室内に入ると屍が3名ほど出来上がっていた。

 

 

「ど、どうしたんですか!?」

「あ、ハスミ。」

 

 

そこには看護服を着たクスハが例のドリンクをトレイに乗せて持っていた…

 

 

「クスハ、少佐達が…ってまさか?」

「うん、いつもの栄養ドリンクを作ってあげたら…」

「……(あ、察し」

「ハスミの分もあるんだけど?」

「私はいいよ!これからトレーニング行くから何か入れちゃうと動けないし。」

「そう?」

 

 

クスハドリンク(オレンジジュース割り)を正論でスルーした後、ある意味で屍と化してしまった3名に心から合掌した。

ちなみにゼンガー少佐は某ボクシングアニメな真っ白に燃え尽き、エクセレン少尉は受け狙いのセクシーポーズで倒れ、ブリットは耳から紫色の煙を出しながら俯せに倒れている。

皆さんネタキャラ乙。

 

 

「あれ?キョウスケ少尉は?」

「ああ、少尉もトレーニングに行くって言って出て行ったばかりよ?」

「そっか、とりあえず少佐達を医務室に運んでおこうか…」

「うん…皆さん相当疲れていらっしゃったんですね。」

「そ、そうね……(違う、違う、そう言う事じゃなくてー!!(泣)」

 

 

内心、私はクスハ汁の脅威に怯えていた。(いくら乾燥ムカデが漢方薬でも飲めません!)

この騒ぎに駆け付けた他の隊員の手(ジャータ達)を借りて3人を医務室に運んだ。

その後の処置を勤務医とクスハ達に任せて私は医務室を後にした。

 

 

 

 † † † † †

 

 

 

「本当に済みません、こちらでも気を着けていたのにとうとう犠牲者を…」

「気にするな、俺も何かあると思って飲まなかった。」

 

 

先程の騒動から一時間後、ハガネ艦内に設けられたトレーニングルームのランニングマシンでランニングするキョウスケとハスミの姿があった…

 

 

「それにしてもよく気が付きましたね、今回はオレンジジュース割りだったので判りにくいと思ったのですが?」

「かすかに匂いがな、分の悪い賭けだったが…」

「流石クスハ汁……(オレンジジュースの香りすら退けるとは!」

「恐らくは俺の方に原液が少し多めに入っていたんだろう…そのせいだ。」

「はぁ…(余計にベッドの住人期間が長引きますよ、それ」

「…それでゼンガー少佐に用事があったんだろう?」

「少尉、実は少佐がその件で倒れてしまったのでレポートを提出するのが遅れてしまうのですが。」

「後で俺の方から渡しておこう、トレーニングが終わったら俺に渡してくれ。」

「了解しました。」

 

 

 

******

 

 

 

幕張での戦いから2週間が経過。

 

私とクスハがATXチームに配属されハガネに乗艦。

 

訓練とその他諸々の勤務をこなしつつ懲戒任務に従事し、しばらく経ってからの事だ。

 

リュウセイ達はヒリュウ改に乗艦し別ルートから遊撃隊として参加する事となったのだが、合流予定だったヒリュウ改はジオン公国の強襲を受け、その翼を折られる事となった。

 

その為、急遽地球圏へ帰還予定だったアーガマへ配属となったらしい。

 

リョウトとリオも同戦艦に配属される予定だ。

 

ネルガル重工や獣戦機隊の存在は電子雑誌やネットのメディアで確認済みでだったので…

ヒリュウ改の代わりにナデシコやガンドールがその代わりを担うと思ったが少し違ったようだ。

 

民間企業の所有戦艦と動力炉に難のある母艦では不備があるだろう。

 

ちなみにサバイバルイレブン中だったガンダムファイトの急な中断や完成式典を行ったオービタルリングとアルゴス号の出港の情報もあったのでJかWの設定も混じっているのかもしれない。

 

DCはビアン博士の謎の失踪を切っ掛けに内部分裂が発生し穏健派と強硬派に別れてしまった。

 

ビアン博士の失踪に関しては心辺りがあるが、それは後に話す事にします。

 

そう言えばあの人って邪神とかの問題をどうしたんだろう?

 

よく判らないけど人類史上最凶の迷子君と一緒にいたんだよね。

 

分裂を起こしたDCは強硬派であるAnti・DCがジオン公国と結託し穏健派であるcross・DCが連邦と繋がりを持つ事となった。

 

この世界の連邦軍のティターンズ設立を止める為に『蒼い睡蓮』を使い、色々と裏で手を回して関係のある存在達をブタ箱へ放り込む手筈を整えて置いた。

 

切っ掛けは些細なものだが、同じ様に設立を阻止しようと動いていた存在達も居た様で、手を出せない部分はその存在達に任せる事にした。

 

結果的にティターンズに組み込まれる筈だった犠牲者達を救う事が出来た。

 

連邦軍特殊独立部隊ロンド・ベルのメンバーに組み込まれた様だ。

 

ちなみにこの肩書は誤字ではなく未来が変わった為の誤差である。

 

そんな中で気になったのは…

 

イングラム少佐によるリュウセイ達の監視の為だろう。

 

私もクスハも一緒にアーガマに配属される筈だったが…

 

ギリアム少佐の伝手で私達だけはATXチームに配属と言う形で遠ざけられてしまったのだ。

 

気になって後から少佐に問いただしてみたが、困った様に苦笑してスルーされてしまった。

 

 

『すまない、君達の為なんだ。』

 

 

察しては居たものの…

 

私はそれらの行動が確定出来る内容を聞いてしまった。

 

ギリアム少佐とリュウセイの話を…

 

 

******

 

 

『それが本当ならば…イングラム・プリスケンは…』

『間違いない…俺は奴の念を視た。』

『…』

 

 

とある個室でギリアム少佐と話しているリュウセイ。

その表情はとても複雑な思いを持ち合わせていた。

ちなみに上下関係上の事もあり、あのリュウセイが敬語だったのが吃驚だった。

 

 

『信じられないですよね…俺だって驚きました。』

『同一人物への逆行、実際に眼にしたのは初めてだが…』

『俺にも分からない事があります、前の世界には居なかった奴も居れば…』

『君の言う様に存在した者も居た、そして生き残らなかった者も…か?』

『そう言う訳で俺が説明出来る情報は一部、曖昧な部分を多いから確実な情報だけになってしまいます。』

『証明させるとは言え、私の正体を知っている以上放っておくつもりはない。』

『…(やっぱ、ヘリオスは図星だったか?』

『二人だけだが…クスハ・ミズハとハスミ・クジョウの配属先だけはこちらの方で何とかしよう。』

『分かりました、リョウトとリオは?』

『君の話ではまだ彼らが能力の片鱗を見せた訳ではない様だったな、狙われる危険性はまだないだろう。』

『俺と同じ配属先になるのは免れねえか…』

『問題はイングラムが今後どう動くかだ。』

『恐らくは残りのSRXチームと合流してSRXを完成させる為に動く筈です、エアロゲイター、いやバルマーへの手土産代わりに…!』

『それが奴の目的か?』

『はい、それでクスハは兎も角、問題はハスミです。』

『クジョウ君がどうかしたのか?』

『俺はハスミの人生が今後どうなるか知らないんです、この世界で初めて出会ったかので…』

『そうだな、何かあるのを防ぐ為にもイングラムの監視下から逸らした方がいい。』

『頼みます、アイツ…結構無茶するんで…』

『彼女らしいな、前と全然変わっていない。』

『えっ?』

『ハスミ・クジョウはホーカー少佐の養女でね、戦技教導隊に居た頃は一緒に暮らしていた事あるんだよ。』

『あの人の?』

『思う所があるだろうが、彼女は心配しなくてもしっかり場を良く弁えているよ。』

『そうですか。』

『先程、君に貰った情報は有効に使わせて貰うよ。』

 

 

 

******

 

 

やはり、この世界のリュウセイは逆行していた様だ。

 

α設定かOG設定か新設定か何処の記憶でどこまで知っているのか?

 

ギリアム少佐の正体を知ると言うのは『ヘリオス・オリンパス』としてか『仮面の総統アポロン』としてかは不明だが…

 

リュウセイの様に逆行を起こしている者達が居るのか?

 

そして私と同じように複数の情報を所持しているのかとアカシックレコードに問いただした所。

 

アカシックレコードからは正解であるが一部間違いもあると返答された。

 

逆行者は他にも存在する。

 

これは正解。

 

逆行者は情報を所持しているがどの世界の記憶に基準するかは不明である。

 

これが間違いの理由だ。

 

恐らく逆行者達の覚えている記憶の基準が一作品までの記憶しかないと言う事だろう。

 

その推理でいけば、この世界の逆行リュウセイの記憶はOG基準と言う事になる。

 

そうでなければ幕張の時にあそこまで冷静な判断は出来ないだろうし…

 

バーニングPTの大会で優勝する事は無かった。

 

だからこそ、ガンダムやマジンガーを始めとした版権の機体をメディアに放送された際に踊る勢いで喜んでいた。

 

そんな感動は初めて見た時しか味わえないだろう。

 

そもそも日頃から口走っている情報がOG基準のものばかりなのも理由だが…

 

 

あ………!?

 

 

逆行者が居る時点で気がつかなったが、他にも逆行者が居ると言う事はこの世界の改変は彼らの行動に寄るものだろう。

 

その内会う事もあるだろうが、今は自分の成すべき事をするだけだ。

 

まずはこの世界に存在するホワイトスターを叩く為に。

 

そして…

 

世界で見え隠れする奴らを倒す為に。

 

有無言わずに出てくるでしょうけど。

 

そろそろ新作の執筆でも始めますかね。

 

=続=

 




混乱の世は変わらず世界は一歩ずつ戦乱へと向かう。

次回、幻影のエトランゼ・第二話『嵐声《アラシノコエ》』

横浜に巨人が唸りを上げ、大いなる祈りが勇者の嵐を呼ぶ。


<今回の登場人物>

≪ATXチーム≫
ハガネに配属されているPT隊。
ゼンガー達を含めた6名が配属されていたが志願兵としてクスハとハスミが配属された為、大所帯化しつつある。
アサルト4がクスハ、アサルト7がハスミ、5、6は別行動中の為、不在である。
特機が2機、PTが3機(内1機は空中戦型)、AMが1機のバランスが取れた部隊である。

※キョウスケ・ナンブ
階級は少尉、ATXチームの副隊長、コールサインはアサルト1。
アインストとの本格的な接触を果たしていない様子。
この世界では配属された順番が違うせいかアサルト4ではなくアサルト1になっている。
冷静であるが博打に似た戦法は相変わらず。
エクセレンを観る眼がどことなく違う事から何か複雑な経緯を抱えている模様。
乗機は納機されたアルトアイゼン。

※エクセレン・ブロウニング
階級は少尉、ATXチームの一員、コールサインはアサルト2。
アインストとの本格的な接触は果たしていない様子。
チームのムードメーカー、志願入隊したクスハとハスミで遊んでいる。
いつも通り、お姉さまか姐さんで呼んでと話しているが立場上の事もあり双方少尉で定着している。
乗機は納機されたヴァイスリッター。

※ブルックリン・ラックフィールド
階級は曹長、愛称はブリット、ATXチームの一員、コールサインはアサルト3。
グルンガスト弐式に搭乗したクスハに一目惚れし密かにアプローチし続けている。
エクセレンに弄られている姿を観たハスミから『もしかしてあだ名ってひよこですか?』と言われた際、入隊当初の古傷だったらしくかなり落ち込んでいた。
乗機はマオ社より納機されたヒュッケバインmk-Ⅱ。

※ゼンガー・ゾンボルト
階級は少佐、ATXチーム隊長、コールサインはアサルト0。
原作とは違い、DCへの離脱が無くなったので引き続きATXチームを率いている。
ハスミとは旧戦技教導隊時代からの知り合い。
乗機はグルンガスト零式。

※クスハ・ミズハ
階級は曹長、ATXチームの一員、コールサインはアサルト4。
幕張の一件で志願兵として配属する。
通常時は看護兵として働いているが有事の際はパイロットとして戦う。
ブリットから密かにアプローチを掛けられているが本人は気づいていない模様。
乗機は幕張で搭乗してしまったグルンガスト弐式。

※ハスミ・クジョウ
階級は曹長、ATXチームの一員、コールサインはアサルト7。
物語の主人公、クスハと同じく幕張の一件で志願兵として配属される。
ブランクはあるものの旧特殊戦技教導隊の戦闘データと渡り合える技量を持つ。
隠しているがれっきとしたチート級念動力者。
乗機はATXチームに納機予定だった試作ガーリオンに取り付け予定だったパーツを加えて完成させた正式採用型ガーリオン・タイプT(カラーリングはホワイトだがヘッドとウイング部分にアイリスグリーンが塗装されている。)。

≪SRXチーム≫
ヒリュウ改に配属予定だったイングラム・プリスケン少佐の指揮する特殊PT部隊。
『念動力』を利用した戦術兵器SRXの開発並びに搭乗者の育成を行っている。
現在はアーガマに配属され行動している。

※イングラム・プリスケン
毎度お馴染み『フフフ…』の人。
リュウセイ、リョウト、リオを引き抜いてアーガマに配属となった。
後続で同部隊のライ、アヤと合流している。
リュウセイ曰く現在はゴッゾォの枷に操られている模様。
乗機はビルドシュバイン。

※リュウセイ・ダテ
ハスミが確認できている逆行者。
バーニングPTの優勝者、幕張の一件で志願兵となり階級は曹長。
原作の様な突貫する癖は無くなり、状況を冷静に判断してから行動する。
趣味の特撮、戦隊、ロボットアニメのフィギュアその他諸々の収集は相変わらず。
主人公がテンペストの養女だった事に驚いている。
乗機はR-1。

※ライディース・F・ブランシュタイン
SRXチームの一員、階級は少尉。
ゲームの腕でスカウトされたリュウセイと反りが合わず突っかかって行く様子は相変わらずだが二週間の行動で少し軟化した模様。
理由とすれば実戦と同じ装備可能範囲の武装でコテンパンにやられた事を根に持っていたがリュウセイの真意とこれからの行動を観察した上での軟化と思われる。
連邦軍内に父親、兄、従妹が存在するが『エルピス事件』が切っ掛けで疎遠になっている。
乗機はシュッツバルド。

※アヤ・コバヤシ
SRXチームの一員、階級は大尉。
原作と同じくリュウセイのサポートに回っている。
過去に特脳研の事故で妹のマイを失っている。
乗機は量産型ゲシュペンストmk-Ⅱ・タイプTT。

≪???≫
※ブルー・ロータス
裏社会で有名な所属不明の謎のハッカー。
その正体を知ろうとした者はその名の花言葉通りに「滅亡」する。


<今回の登場勢力>
※Anti・DC
内部分裂を起こした強硬派のDC。
アードラ・コッホやアギラ・セトメなどの性根のひん曲がった曲者達が集まる。
その多くは人体実験や戦いを遊びの様に思う連中が揃っている。
cross・DCと同様に元はコロニー統合軍だったが、最強の兵士を造る研究や実験が出来なくなる理由からそれらが公認されてしまっている現在のジオン公国と接点を持つ。

※cross・DC
内部分裂を起こした穏健派のDC
ビアン博士の意思を継いだブランシュタイン家を筆頭に宇宙規模の災厄に立ち向かう姿勢を持ち、また自身の汚点であるAnti・DCの壊滅に力を注いでいる。
Anti・DC同様に元はコロニー統合軍だったが連邦政府内の大きな改革を切っ掛けに賛同する様になる、現在は連邦政府と接点を持つ。
一部の管轄は民間の研究機関と共にメテオ3の管理も行っている。

※ジオン公国軍
α基準だがアイドネウス島(南アタリア島)に落下した『マクロス』の一件で『一年戦争』は停戦状態になった、その7年後にAnti・DCと同盟を結んだ事により活動を再開した。
前回と同じくザビ家が主な指導者だがお飾り状態であり、真の黒幕は別に存在している模
様。
尚、風の噂ではザビ家はミネバ・ラオ・ザビを残して一族全員が処刑されたとされる。

※連邦政府
α基準だが、かつての強硬派やその権力で軍部を牛耳っていた存在達を謎の一斉検挙を期に新たなに統合された、現在は連邦軍内の穏健派を筆頭に太陽系規模の戦乱の収拾に力を注いでいる。
その為、連邦軍特殊独立部隊ロンド・ベルには独自の権限と現場での独自の行動を許されている。
ちなみにエゥーゴがその部隊を組み込む連邦軍内の独立組織であり、穏健派の支持の元で他の遊撃部隊の派遣などを行っている。
また、エゥーゴは民間の研究機関や企業などのバイパスを数多く持っている。


<今回の登場用語>
※クスハ汁
知る人ぞ知る、飲めば体力並びに身体の不調を回復させるが一度は気絶を余儀なくされるクスハ特性のドリンク。
通常時の材料はセイヨウサンザシ、ホンオニク、ローヤルゼリー、ナルコユリ、グレープフルーツ、ドクダミ、ウナギ、マグロの目玉、梅干、セロリ、マソタの粉末、ムカデ、イモリ、マムシ、コラーゲン、柑橘類…
強化版としてこれにアガリクス、冬虫夏草、紅茶キノコ、スッポン&オットセイのエキス、ローヤルゼリーを2倍。
飲みにくい場合はオレンジジュースか烏龍茶で割って飲むらしい。
リュウセイとハスミの話に寄るとかつての改悪版はアスファルト臭や紫の煙が立ち昇ったものもあったらしい。
学生時代、双方ともに服用した後は仲良く保健室に担ぎ込まれたと青ざめた顔に遠い眼で語っており。
学園の料理研究部で完成版に近い状態の物を目にしたハスミはムカデなどが含まれているのでやたらに口にしない方が身の為と同級生だった兜甲児らに呟いた後に学園の調理室で食中毒?発生の騒ぎが起きたらしい。
その時のドリンクの色は『テケリテケリー』と声を発する物体が出てくるような状態だったとの事。

※白野睡蓮
ハスミが小説を出版する際に使用しているペンネーム。
女性向けや御伽話風のファンタジー小説の執筆が多い為か女子学生から若い世代を中心に人気を得ており、読みやすく心に残るとコメントや支持を受けている。
以下は出版済みの小説タイトルである。
※紅い騎士と星の悪魔。
※不器用な君が貴方を好きなるのは…
※弱虫な僕は君を護りたい。
※魔法使いは願いの杖を振るう。
※白雪姫に恋した黒い死神。
※神様の悩み事は些細な事で…
※勇者と英雄の違い。
※暗い心にさようなら。


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第二話 『嵐声《アラシノコエ》前編』

月光に照らされる市街地…

飛び交うは無数の光…

巨人は唸りを上げ…

そして…

六人の特攻者が現れる…


日本を中心に中国や赤道直下の島国を転々としながら日々遊撃隊として戦う日々が続いていた。

 

ある日の分隊室で備え付けのソファで干物になっているエクセレン、飲み物を持ってきたブリット、追加された状況報告の資料を閲覧するキョウスケの姿があった。

 

 

「それにしても今週に入って出撃回数が多くなったわね。」

「日本ではDrヘル、恐竜帝国、妖魔帝国と様々な組織が動いていますからね。」

「宇宙ではジオン公国を始めとした反連邦軍の連合やエアロゲイター、そして異星人の連合や未確認の起動兵器を使役する組織も現れている。」

「例の宇宙怪獣も近々太陽系に到達するらしいし、ビアン・ゾルダーク博士の『人類に逃げ場無し』ってよく言ったものね。」

「エクセレン、クスハとハスミは?」

「クスハちゃんは医務室の勤務中、ハスミちゃんはパパと通信室でお話中よ。」

「ハスミの義父さんと言う事は…ホーカー少佐に?」

「そうよ、義理とは言え年頃の養女とその養女を娘に持つあしながおじさんな少佐…何か匂わない?」

「変な妄想をするな、エクセレン。」

 

 

その会話を端で自身の刀の手入れをしつつ聞いていたゼンガーは刀を鞘に戻すと何処からか携帯端末を取り出し、ある写真を見せた。

 

 

「あら~可愛いわね、これってハスミちゃん?」

「ああ、カーウァイ大佐に引き取られた頃のだ…まだ六歳だったな。」

「あの、隣に移っている方は?」

「俺の上司だったカーウァイ大佐だ。」

 

 

映像に移された写真には可愛い笑顔で笑う少女とその隣で少女と高さを合わせる様に並んだ壮年の男性の姿があった。

 

 

「て、事はボス達とも?」

「そうだ、11年前…当時の俺達は大佐の元、テスラ研でPTのOS開発の一端を担っていた。」

 

 

† † † † †

 

 

『今日から私の娘になるハスミだ。』

『ハスミです、よろしくおねがいします。』

 

 

あの日、テスラ研の一室で友人の葬式から戻って来た大佐の一言にその場に居た隊全員が唖然としていた。

 

相変わらずの大佐とその横で礼儀正しくお辞儀をするハスミを連れてな。

 

 

『大佐、急に一体!?』

『後で説明する。』

『おじさん…?』

『大丈夫だ、ハスミはしばらくここで一緒に生活する事になった、迷惑をかけるかもしれないがよろしく頼む。』

 

 

ちなみにハスミが俺達と生活できたのもカザハラ所長から了承を得たからだ。

 

規律に厳しい所なら全寮制の施設行きになっていただろう。

 

それから一週間位経った頃だったな。

 

 

『ハスミちゃんはいい子ですね、礼儀正しくしっかりしてますよ。』

『本当に、私の娘はまだまだ甘え盛りで…』

『そこで子持ちの二人に相談なんだが…』

『はい?』

『な、何でしょうか?』

『正直言うとハスミには我慢させてばかりの様にも思えて来てな、何か喜んでくれる様な事は無いだろうか?』

 

 

カイ少佐とテンペスト少佐は妻子が居るとは言え、軍務の関係で家族サービスなど余り出来ない状況だ。

 

ましてや年頃の娘、お二人は眉間に皺を寄せながらかなり悩んでいた。

 

 

『ぬいぐるみなんてどうでしょう?』

『ぬいぐるみ?』

『ええ、小さな女の子なら誰でも好きな物でしょう?』

 

 

ギリアムが助け舟として一案を出したのだが…

 

 

『すまんな、ギリアム…あの子にぬいぐるみは駄目なんだ。』

『何か不都合な事でも?』

 

 

大佐は言うべきではないのかもしれなかったらしいがその重い口を開けた。

 

 

『あの子は母親との思い出のぬいぐるみを義母に壊されているんだ、目処前で…』

 

 

死亡した実の父親が後妻として迎えた女性は前妻の子であるハスミを嫌っていた。

 

事ある毎に虐待に近い事を繰り返していたらしい。

 

ぬいぐるみを始めとして思い出の品々を壊された様で。

 

それ以来、何も欲しがらなくなったらしい。

 

壊される位なら要らないと。

 

 

『…』

『あの子の控えめな態度もその虐待から来ているのではないかと思っている。』

『そうでしたか、ぬいぐるみが無理でしたら他に何かを…』

『何を悩んでいるんだい?』

『カザハラ所長。』

『大の大人が雁首揃えて…PTの事は優秀なのに女の子のご機嫌取る事に関してはまだまだだね。』

『所長は何か策でもあるのですか?』

『ん、ハスミちゃんね…いつか星空を自由に飛んでみたいって前に話していたんだよ。』

『星空を?』

『その位なら大佐達でも出来るんじゃないかな?』

 

 

そこで大佐はハスミを喜ばせる為にPTのシミュレーターを使ってある事を計画した。

 

 

『お星さま、いっぱい!』

 

 

当時、PTのOS開発の一環でテスラドライブ搭載機のトライアルも行っていた。

 

その為、シミュレーターにはガーリオンの前身であるリオンのデータを組み込まれていた。

 

大佐はシミュレーターにハスミを乗せて夜間飛行のまねごとをさせた。

 

 

『ハスミ、これからも我慢させる事があるかもしれない…時々でいい、ハスミの事も私に打ち明けてくれると嬉しい。』

『えっ?めいわくしないんですか?』

『そんな事は無い、ハスミはもう私の家族だからな、それと敬語はいいんだよ?』

『あ……ありがとう。』

 

 

”お義父さん…“

 

 

小さな声でお義父さんとその時からハスミはカーウァイ大佐の娘になった。

 

 

† † † † †

 

 

「ふうん…随分とボスの上司やボス達に可愛がられていたのね。」

「俺達にとっては妹の様な存在だった。」

「だから、最初に会った時に隊長の事をお義兄さんと呼んだんですね。」

「ああ、昔の名残でな。」

「ハスミちゃん、時々、ボスの事を言い直しているけどやっぱり可愛いわね。」

 

 

ゼンガーはその思い出話を話した後、静かに悲痛な顔で答えた。

 

 

「だが、その幸せも長くは続かなかった。」

「…続かなかったとは?」

「その2年後、エアロゲイターが地球に現れた最初の日に大佐は戦死された。」

 

 

「「「!?」」」」

 

 

「そして、同時に起こったエアロゲイターによる都市襲撃の際にテンペスト少佐の妻子も亡くなられた。」

「そうだったんですか。」

「養父である大佐が亡くなり、ハスミは施設に送られる事になっていたが…テンペスト少佐はそんな彼女を引き取った。」

「傷の舐め合いって訳じゃないだろうけど……ボス、どうしてなの?」

「最初は亡くなられた娘さんに重ねて見て居たそうだが、長く生活する内に本当の娘として守りたいと話していた。」

「最初の言葉は同感できませんでしたが…そう言う事でしたか。」

「それが無ければテンペスト少佐は妻子の敵だけを望む復讐鬼に成り果てていたかもしれなかった。」

「つまりハスミちゃんの存在はパパの暴走するかもしれない衝動を止める事が出来たって事かしら?」

「ああ、偶然とは言えハスミは一人の人間の心を救ったのだ。」

 

 

 

******

 

 

 

現在、私達は赤道直下の島国からの日本の伊豆基地に向かって帰還中だった。

 

本来なら伊豆基地でハガネの修理と補給を行う為、少しの間だけ休暇になる予定なのだが。

 

急遽、テスラ・ライヒ研究所からの依頼で超古代文明の起動兵器である『超機人』の発掘調査を行っている安西エリ博士を保護し国際警察機構の所持する日本の極東支部へ移送する事となった。

 

現在、博士の身柄は上海の港で国際警察機構のエージェントによって無事確保された。

 

しかし、超機人は発掘調査中に現れたBF団によって確保されてしまったそうだ。

 

肝心の乗り手が居ない以上、奴らが扱うには無理な話だが。

 

奴らにも念を使う者が居る以上、油断は出来ないのが私なりの不安だ。

 

明治時代の戦乱中に超機人を特殊な物質で操った事例が残っている訳だしね。

 

それと脱線して国際警察機構とBF団の世界について説明する。

 

彼らの世界のエネルギー源であるシズマドライブの事だが…

 

この世界では開発当初から問題点が発見された様で後に破棄された。

 

なのでこの世界では『バシュタールの惨劇』は起きていない模様だ。

 

うん、いくらリサイクル可能なエネルギー媒体でも使い続けると地球の酸素が無くなる代物なんて使えないもんね。

 

こちらとしても二酸化炭素で窒息死なんて御免だ。

 

本当にスパロボマジック補正は乙です。

 

話は戻り…

 

超機人の事ならバラルが黙っていない筈だ。

 

α時代のバラルが何をしていたかは情報が無かったので判らなかったが…

 

何せアカシックレコードと言うwikiを引っ提げてますので調べた所。

 

例の孫光龍が表舞台から姿を消している事が判明した。

 

裏社会にサトー・スズキ他偽名8種の名前と外見に一致する男性の姿が無かったのも裏付けの一つだ。

 

どうも、アカシックレコードによると第二次世界大戦後のオーダーとの戦いの傷が今だ癒えていない為らしい。

 

オーダーのメンバーには敵に容赦のない人達が集まっていたからだろうけどね。

 

後の子孫が刀で銃弾を切断する人(トウゴウ家)とか…

 

時々先祖に正義感が強い人が居るのに子孫が戦争狂のキチガイ(グリムズ家)とか…

 

金髪美形な天才軍人家系(ブランシュタイン家)とかだし…

 

そう言えばあの話まだ最後まで見ていないけど結末はどうなっちゃったんだろう?

 

更にその子孫がまたバラルの残党に捕まったり戦ったりしている時点で勝ったと思うが…

 

その話は当事者だった超機人達に合流出来たら聞いてみよう。

 

教えてくれるか判らないけどね。

 

結構あの話はシビアだったし。

 

誰にだって話したくない事もあるもの。

 

当面の問題とすれば、今の状況で四霊クラスの超機人である応龍皇が戦いの舞台に出て来られるのも困る。

 

対応出来る戦力が現状で少ない事もあるのだが、あえて言えば相手したくない。

 

α版ではえっ?これでボスクラス?感だけどOG版だと余りにも強化されすぎてて本当に泣きました。

 

とりあえず、横浜で暴れるであろう列車型ロボットをどうやって倒そうか考え中です。

 

戦闘場所が市街地だったし。

 

流石にあの戦闘は南京で起こった事だけど、他でも同じ事をすれば地元民が怒るよ。

 

多分、今回の件でBF団の十傑集が直接出てくる事は無いだろう。

 

用心に越した事は無いかな。

 

それと勇者特急隊に喧嘩売る気ですか?あのBF団の覆面戦闘員ズは!!

 

ちなみに調べたら研究都市の一つとしてヌーベルトキオシティがあったのよね。

 

下手すると他の勇者達も集結しちゃいそうな気がしてきました。

 

リュウセイが観たら狂喜乱舞しそう。

 

この前も通信でマジンガーとゲッターロボの合体シーンを拝めたらしくて仏壇に祈る勢いだったのを思い出しました。

 

一応、SRX計画の機体は機密扱いの上に秘密裏の訓練中だったので顔合わせは出来なかったと言っていた。

 

その後、アーガマの部隊と合流したがDrヘルの襲撃とジオン公国軍の他に見慣れない機動兵器を有した部隊と鉢合せしたそうだ。

 

データを送って貰った所、正体はギガノスのメタルアーマーだった。

 

うわ…

 

Aも入りつつあるみたい。

 

α基準でちょっと違う様のは判ってた。

 

こっちもジオン公国軍の部隊(ツボの人)と鉢合わせをし、ジェットストリームアタックとやらを拝ませて頂きました。

 

勿論、リュウセイにその時の映像を送ってあげた。

 

SRXチームで連携攻撃を思いついたからと仲間に話を持ちかけたらしい。

 

あれだね、リュウセイ。

 

成功を祈ってる。

 

ん、出撃命令が出た様なのでこの辺で…

 

 

******

 

 

月明かりに照らされる横浜市街。

 

ATXチームは街に出現したBF団の戦闘兵器と交戦する所だ。

 

安西博士は斥候として先に出撃していたジャイアントロボを操る草間大作によって先に救助されハガネへと運ばれた。

 

引き続き、ジャイアントロボと共に共闘し一掃する事となった。

 

 

 

「んもーせっかく日本にたどり着いて休暇もないのに相手はポンポン出てくるんだから!」

「少尉、仕方がありませんよ…」

「せっかく横浜に来たんだから中華街位行かせて欲しいわよ!」

「仕方がないだろう…」

「確か、休暇申請と言えば街にはアーガマの隊員も出払っているって聞きましたけど…」

「アーガマって…ハスミ、もしかしてリョウト君やリオも?」

「それは分からないけど…今日横浜で開催予定の花火祭があるから来てるかもしれない…(クスハが言う様にリョウトとリオの念が中華街辺りから感じるし。」

「あら?その子達って誰?」

「高校の同級生のお友達です、幕張で仲良くなりました。」

「私やクスハと同じ様に幕張の戦いに巻き込まれて志願兵に、現在はアーガマ隊へ配属されています。」

「ああ、あの時のね。」

「巻き込まれていないといいのですが…(巻き込まれちゃっていると言えば正しいけど。」

「アサルト1以下各機、無駄口を叩くのは終わりだ…隊長の雷が落ちる前に気を引き締めるぞ…!」

 

 

キョウスケの発言を皮切りにゼンガーが各機に号令を掛けた。

 

 

「アサルト0より各機へこれより国際警察機構所有の特機と共に街に出現したBF団所有の機体を破壊する、民間人の避難が終わるまで極力市内での戦闘は避けろ!!」

「アサルト1、了解!」

「アサルト2も了解よ、ボス!」

「アサルト3、了解!」

「アサルト4、了解しました!」

「アサルト7、了解です!」

「皆さん、よろしくお願いします。」

 

 

各自の了承と共にジャイアントロボを操る少年は礼儀正しく挨拶をした。

 

 

「よろしくね、えっと?」

「僕は草間大作です、よろしくお願いします。」

「可愛いボクちゃんは礼儀もいいのね、私はエクセレン、エクセ姉さんって呼んでね。」

「少尉…自分はブルックリン、ブリットと呼んでくれ。」

「はい、エクセレンさん、ブリットさん。」

「あら、姉さんって呼んでくれないの?」

「いえ、初対面の人にそんな事を言うのは…」

「気にしなくていいのに~」

 

 

相変わらずの茶々を入れるエクセレンにどう対応すればいいか困る大作。

 

その様子を見ていたゼンガーは早速布陣を決めて各自に通達した。

 

 

「アサルト1は俺と行動、アサルト2と3は草間少年と共に行動、アサルト7は前回と同じく4のフォローを頼む。」

「アサルト1、了解。」

「OKよ、ボス!」

「了解。」

「アサルト7、了解です。」

「ハスミ、ごめんね…私が操縦に慣れないから。」

「クスハは前よりも旨くなってるし心配しなくていいよ。(序盤はそうでも、貴方は後に超機人を乗りこなせる位に成長するんだから…」

「うん。」

「クスハ、相手が特機の場合は敵が寄ってこない内はブーストナックルとマキシブラスターで牽制…寄って来た時は…?」

「様子を見ながら弐式爆連打と計都瞬獄剣の格闘戦で応戦ね…ええ、覚えたわ。」

「そう、こっちもなるべく援護に回るから落ち着いて行こう。」

「ありがとう、ハスミ。」

 

 

各自のメンタリティーの調整が終わる頃合いを見計らいゼンガーは隊長として活を入れて戦闘を開始した。

 

 

「各機、散開!」

 

 

=続=




<今回の登場人物>

≪LTR機構≫
遺失技術調査研究(Lost Technology Research)機構で新西暦160年に発足。
世界中の遺跡を調査し、失われた技術を解析する機関。
安西真琴博士が中心人物で、娘であるエリ博士も所属している。

※安西エリ
ドリルLOVEな人。
超機人発掘の為、中国大陸山西省の蚩尤塚に滞在していた所、BF団に捕らえられそうになった。
今回は国際警察機構の伝手で救い出され、横浜まで護送されていた。


≪国際警察機構≫
俗に言う正義の味方であるが人外級(一部除く)の集まり。
黄帝ライセを筆頭に九大天王と呼ばれるS級エージェント、A級エージェントとランク付けがされている、最下位はC級エージェント。
察しの通り、ランクが上に行くほど人外率が高くなる。
現在はα基準でBF団を始めとした反政府組織と対立中。
話から察するにGGG等の特殊な組織と面識があるらしい。

※草間大作
ジャイアントロボが無いと何の力も持たないごく普通の少年。
どことなく背伸び加減が見え隠れしている。
漫画版の様な能力を持ち合わせていない。
現時点でOVA版と思われる。

※銀鈴
国際警察機構のエージェント、テレポート使い。
声的に某○○の城を思い出す。

※鉄牛
国際警察機構のエージェント、鉄斧による戦闘を得意とする。
微妙に大人げなく見える。


≪BF団≫
こちらも人外級が集う国際犯罪組織。
今回は安西エリ博士の誘拐を目論むつもりだった様だが国際警察機構とハガネ率いるATXチームの活躍によって退けられる。
向こう側の幹部クラスが出ていない事もあり、何か別の思惑がある様に思われるが?

※Qボス
OVA一話でお役御免の人。


≪旋風寺コンツェルン≫
『電力』を利用した研究都市に存在するヌーベルトキオシティの財閥。
実際は秘密のヒーロー『勇者特急隊』の隠れ蓑であり、日夜街を荒らす悪党を懲らしめている。
各研究都市に指定されているシン・ザ・シティの『破嵐財閥』や星見エリアの『西園寺財閥』とコネを持っており、Gアイランドシティの『宇宙開発公団』に多大な出資を行っている。


※旋風寺舞人
若干15歳の旋風寺コンツェルンの社長、祖父は総帥をしている。
ヌーベルトキオ大学の入試問題を軽々と解いてしまう頭脳を持つ。
『勇者特急隊』のリーダー。
今回は正体を明かさず、エネルギープラントを襲撃した敵を撃破するも、後編にて大損害を被る。
Vではなく勇者の物語の設定と思われる。

※マイトガイン
勇者特急隊が所有する特機の一機にしてマイトガインそのもの。
マイトウイング、ロコモライザーとの合体前はガイン。
ヌーベルトキオ・タイムズの新聞にも一面を飾っている。


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第二話 『嵐声《アラシノコエ》中編』

月下の街で巨大な侍は吠え、その剣を構える…






「くそっ、ジャイアントロボならいざ知らず…あのATXチームまで出てくるとは…!」

 

 

車両に偽装していたBF団所有の怪奇ロボを操縦する覆面の男性は外に丸出し状態のコックピットから悪態をついていた。

 

何故なら同団員が操る同型機が次々に破壊されてしまっているからである。

 

 

「チェストぉぉぉぉ!!!」

 

 

零式斬艦刀による一刀両断。

 

 

「取った!」

 

 

『切り札』と呼ばれる連続釘打ちから鉛玉の全弾発射。

 

 

「はいは~い、むさ苦しい人はご退場ってね!」

 

 

オクスタンランチャーBとWモードの連射攻撃。

 

 

「チャクラムGO!」

「パンチだ、ロボ!」

 

 

チャクラムシューターの援護攻撃とジャイアントロボの鉄拳。

 

 

「クスハ、今よ!」

「ええ、マキシブラスター!!」

 

 

バーストレールガンによる援護射撃とマキシブラスターのコンビ攻撃。

それぞれの武器の組み合わせによってBF団の放ったロボットは瞬く間に破壊されたのだ。

その為、残っているのは悪態付いていた隊長格のQボス機のみである。

 

 

「こんな筈では…!」

「男なら潔く引き際を見据えた方がいいわよ?」

「投降してください、次は撃ちます。」

「ふん、投降するくらいなら!」

 

エクセレンの挑発的な説得からクスハの献身的な説得を試みるが通じず…

最後の悪あがきに乗り、こちら側に特攻してきたのである。

 

 

「その意気や良し!」

「隊長…!」

「奴の相手は俺が引き受けた…全員手を出すな!」

 

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

ゼンガーは零式斬艦刀を構えると突撃を開始したBF団のロボットに対峙した。

 

 

 

「我が名はゼンガー!ゼンガー・ゾンボルト!悪を断つ剣なり!!」

 

 

その切っ先を向け、もはや名言とまで言われた台詞を語った。

 

 

「斬艦刀!疾風怒濤!!!」

 

 

グルンガスト零式がブースターを噴かせ、相対する様に突撃しそのままのその巨撃を振り下ろした。

強大な剣先は瞬く間に相手の戦闘ロボを押し潰し、機体は横浜の地に沈んだ。

 

 

「我が斬艦刀に…断てぬものなし!」

 

 

敵前逃亡は彼らBF団に取って最大の裏切り行為。

逃げる事は出来なかったのだろう。

潰されたコックピット部分だった場所に朱い跡が四散していた。

せめてもの鎮魂を込めて、私はコックピットの中から合掌と黙祷を捧げた。

 

 

「これで敵さんは全部かしら?」

「ブリッド、どうだ?」

「周囲に敵残存兵力はありません。」

「アーガマ隊は?」

「無事避難を終えたとアーガマより入電がありました。」

「よし、これより帰還…!?」

「隊長、これは!?」

「少佐!伊豆基地より入電、横浜郊外の海上発電プラントが謎の起動兵器に襲撃されていると通達です!」

 

 

ブリットが通信を受け、命令内容を復唱した。

 

 

「現現場は後続の別部隊に引き継ぎをし、ハガネ以下ATXチームは海上プラントへ急行せよと命令が出ました!」

「分かった、アサルト2と7は先行し海上プラントに向かえ!」

「了解よ、ボス!」

「アサルト7、了解。(海上しかも発電プラントに襲撃?それに夜って事は…まさか!?」

「そう言う訳だから先にドライブと洒落込むわよ、ハスミちゃん!」

「了解です。」

 

 

ヴァイスリッターとガーリオン・タイプTはそのまま部隊を離れて海上プラントへと急行した。

 

 

† † † † †

 

 

横浜郊外に隣接された海上発電プラントに向かっている道中の事である。

ちなみにこの海上プラントはヌーベルトキオシティへの電力供給を行っている発電所の一つだった事が後の報告書で分かった。

 

 

「全く、こういう忙しい時には白いキツネちゃんが欲しいわね。」

「あ、青いタヌキじゃなくて…ですか?(どう聞いてもどら焼きLOVEのネコ型ロボットです。」

「あら?そうだったっけ?」

 

 

最初はカップ麺?と思ったが空気を読んで青いタヌキと返しておいた。

エクセレン少尉、イイ感じのネタをありがとうございます。

 

 

「キツネは兎も角、この件が終わったらお夜食にうどんでも作りましょうか?」

「あら本当に?」

「はい、報告書を纏め終わったらですけどね。」

「わぉ、お姉さん期待しちゃうわよ?」

「甘辛お揚げの入ったきつねうどんでよろしければ。」

「それじゃ、早い所暴れまわってる悪い子さんにお尻ペンペンしに行きましょ?」

「了解です。」

 

 

 

† † † † †

 

 

先程グルンガスト零式によって真っ二つにされた怪奇ロボを近くのビル街から伺う人影があった。

 

 

「ふん、小物を焚き付けてみたがこの程度か…」

 

 

独特の髪型、右目に独特の眼帯をした紳士服の男性が葉巻煙草を吹かしながら嫌味を呟いた。

その横にスキンヘッドの男性が付き従っていた。

 

 

「やはり、直接焚き付けなければいかん様だな。」

「アルベルト様、どうされます?」

「今は奴らの動向を探り、いずれジャイアントロボごと奴らを襲撃する。」

「はっ!」

「イワン、車を出せ!」

「只今。」

「我らがビッグファイアの語る『九浄家の姫巫女』…我ら十傑集に匹敵する力の持ち主か?それとも凡人か?楽しみだな。」

 

 

******

 

 

その頃、シン・ザ・シティの郊外に構える屋敷の一室にて。

 

 

「万丈様、先程横浜にて勇者特急隊が動きを見せたそうです。」

「ようやく彼も戦いに出られる戦力を整えたらしいね。」

「ええ、ですが確認できた機体は1機のみでした。」

「なるほど、足並みを揃えるにしてもGEARもGGGもパイロット候補者の確保や彼の調整と問題が山積みだからね。」

「ええ、ブレイブポリスからのデータ提供や旋風寺コンツェルンの極秘裏の協力がありましても…」

「判っている、彼らも僕らもあの『蒼い睡蓮』からの警鐘を無下にする訳にもいかない、来るべき日までにその戦力を整えよう。」

「そうですね。」

 

 

=続=

 




<今回の登場人物>

≪アーガマ隊≫
本来の正式名称は第13独立遊撃隊ロンド・ベル、上記は略称として使用される。
この世界ではティターンズが設立されなかったので連邦軍特殊独立部隊ロンド・ベルと呼称されている。
メンバーはMS乗りを含め日本各地に在住する研究機関の特機、フリーの傭兵、異世界帰り等が集結している。
度重なる連戦で機体の修理やオーバーホール中だった事と横浜の花火大会に戦闘要員の多くが出払っていた為に出撃する事が出来なかった。
今回の事件後にSRXチームが実戦での戦闘経験の為に合流する。

≪破嵐財閥≫
※破嵐万丈
シン・ザ・シティに屋敷を構える富豪。
現当主である彼自身の手腕もあり、経済的にもかなり裕福である。
その実態は火星のメガノイドに復讐心を燃やすダイターン3の隠れ蓑。
一節によると彼自身が最高傑作のメガノイドと言う説がある。

※ギャリソン時田
万丈の執事、旋風寺舞人の執事をしている青木とは執事仲間。

≪BF団≫
※衝撃のアルベルト
BF団十傑集の一人、ジェガン破壊の人。
BF団首領であるビッグ・ファイアの勅命で『九浄家の姫巫女』の監視を行っている。
特に能力の開花など目立った様子は無いと判断している。
放置してもいいと言う考えに至ってもいるが…?


※オロシャのイワン
BF団B級エージェント、ハニワさんの運転手。
『バシュタールの惨劇』の被害に遭っていないものの何故かBF団入りしている。


<今回の用語>
※きつねうどん
ハスミが作ったきつねうどん。
諸事情で一部が手抜きだが味は保証済み。
材料は冷凍うどん、冷凍だしキューブ(だし汁を煮詰めて冷凍したもの)、鰹節、油揚げ、しょうゆ、みりん、お砂糖、長ネギ、七味唐辛子。
エクセレンから「私のお嫁さんに来て~♪」と冗談交じりな発言をされている。
後に一日20食限定で伊豆基地の食堂に並ぶ羽目になる。

※クスハおにぎり
クスハの作ったおにぎり。
具材はおかかと梅わさび。
クスハの中で定番になっているチョコレートと梅ジャムが投入されそうになった所をハスミが止めたので普通のご飯と具材となっている。
理由は過去に学園全体で行われた体力強化合宿の際にクスハドリンクでご飯を炊こうとしていた為である。

※九浄家の姫巫女
ハスミの事を指す、九浄家は代々女性のみに特殊な能力が宿る。
ハスミの母である『蓮華』も特殊な能力を所持していた。
しかし、近年に入りその能力の伝承も薄れてしまっている。
先祖返りを起こして能力に目覚めた蓮華やその子であるハスミにも素質は受け継がれていると思われたが周囲からは何もないとの事で普通の子として扱われていた。
実際はハスミ自身は能力を所持しており、母親の形見であるペンダントの力で自身の能力を封印しているのが真実である。
ハスミが確認している中で姫巫女の秘密を知っているのは死去した先代当主の母方祖父母と実母、養父となったカーウァイとテンペストのみである。
何故、BF団首領のビッグ・ファイアがこの事を知っていたかは不明である。


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第二話 『嵐声《アラシノコエ》後編』

少女の祈りと共に現れる嵐を呼ぶ勇者…

愚かな鬼は泣き叫びながら退散したが…

巻き起こるは更なる波乱の波…

赤き忍が…

剣を携えた狼が…

月下の舞台で美しく舞う…






横浜の戦闘が発生して少し経った頃。

 

 

「お願いです、どうか電気を奪わないで!」

 

 

少女は赤いロボットに向かって叫んだ。

何度も何度も繰り返し繰り返し叫んだ。

しかし、己の欲望の為に赤いロボットは少女を踏みつぶそうとした。

だが、それを止めようと一人の人影が走り彼女を抱きかかえて物陰へと飛び込んだ。

自分を救ってくれたヘルメットをかぶった少年の姿を観ると彼はこう答えた。

 

 

「君、大丈夫かい?」

「はい、ありがとうございます。」

「良かった…でも、ここは危険だから早く逃げるんだ。」

「あの、貴方は…?」

「俺は嵐を呼ぶ勇者…君とは何処かでまた遭えるよ。」

 

 

少年はそう答えると赤いロボットを抑え込もうと応戦している青いロボットに指示を出す為に去って行ってしまった。

いつか遭えると答えて。

それは何を意味しているのか?

少女がその意味を知るのは長い時間が必要であった。

 

 

「ガイン、予定通り始めるぞ!」

「分かった、舞人!」

 

 

青いロボットことガインの了承を得た少年こと舞人は左手首に装着したブレスに向かって叫んだ。

 

 

「ロコモライザーアァァ!!」

 

 

同時刻。

海上プラントに接近する物体があった。

それはSL型の機動兵器だった。

巨大な汽笛を鳴らし、海上を突っ切って海上プラントに向かって来たのだ。

 

 

「ちょ、何あれ!?」

「っ!(間違いない、あれはロコモライザー!」

 

 

私は自分の中で確信しながらエクセレン少尉と共に巨大なSLの機動兵器に目を向けていた。

これこそがあの名シーンの幕開けだったからだ。

ちなみにガーリオンの搭載カメラでロコモライザーを総撮り中である。

後でリュウセイに送って変なポーズをする様を見ようと思ってる。

 

 

「あらら、随分とおっきいSLが出て来たわね。」

「…機動兵器か何かでしょうか?」

「ん~逆に輸送艦か何かかもね?」

「それもありそうですね。(輸送艦でもあってガインの合体パーツなんですよね。」

「まあ、それはともかくこっちも急ぎましょっか?」

「了解です!」

 

 

私達は同じ場所へ向かっているSL型の機動兵器を追う様にその後方から機体を飛ばした。

 

 

「レェェェッツ! マァァァイトガァァァイン!!」

 

 

海上プラントで目撃したのは何処からか聞こえて来た少年の声と汽笛の音。

プラントに到着したSL型の機動兵器は既に戦闘を開始していた青いロボットと新幹線を模した戦闘機を認識すると変形を開始した。

後は知っている通りの動作だ。

そしてあの言葉が聞こえた。

 

 

 

「まさか、あれが噂のマイトガイン!?」

「そう、その通り!!」

 

 

 

「「銀の翼に希望を乗せて、灯せ平和への青信号!勇者特急マイトガイン、定刻通り只今到着!!」」

 

 

毎度おなじみの台詞を聞いた後は何も知らなかった素振りをしてエクセレン少尉と会話を続けた。

ちなみに合体中にヴォルフガングに武装解除の勧告をしたが予想通りの反応をしてくれたのでフルボッコにする予定です。

 

 

「ビックリし過ぎて呆気にとられちゃったわ。」

「本当です。(TV画面越しとかじゃない、本物です!」

「どんでん返しのサプライス状況になった所で…ハスミちゃん。」

「こちらの警告を無視した輩はどうしますか…ですかね?」

「そうね、あの真っ赤かのゴロゴロちゃんに痛~いお仕置きでもしましょっか?」

「はい、了解しました。(正直、舞人君達を敵に回したくないのが本音だし」

 

 

私はエクセレン少尉と一緒に画面越しではあるが悪意を込めた笑みを互いに交わした。

うん、思いっきり性根が悪くなり始めてる。

だが、私達が手を下す前にマイトガインはティーゼル5656を仕留めてしまった。

しかも必殺技ではなくただの一文字切り。

どういう事かは不明だが、必殺技をするに値しない相手だったのだろうか?

謎が残った。

無事に海上プラントに襲撃をかけてきたティーゼル5656を退けた私達だったが、問題が残っていた。

 

 

「少尉、どうしますか?」

「そうね、ボス達が来るまでにSLちゃんと周辺の状況確認だけしときましょうか?」

 

 

それはマイトガインの事である。

 

軍に認識されていない所属不明の機体。

 

これをどうするかでエクセレン少尉と悩んだ。

 

私の考えとすればこうである。

 

後続でこちらへ向かっている隊長の指示を仰いでも良かったが、問題は彼の正体が知らればとんでもない事になるからだ。

 

一介の大企業の社長が極秘裏に機動兵器の開発及び武力行為を行っていたと知られればスキャンダルの騒ぎではない。

 

各地に点在する研究都市へ軍強硬派の介入の糸口にさせてしまうからだ。

 

軍事制圧による関係者への身柄拘束及び戦力の接収などで彼らの自由が無くなるのは避けたい。

 

彼らは今後起こる戦いに無くてはならない存在だからだ。

 

後の戦いでも彼らの助けを借りなければならない。

 

そう考えていた矢先だった。

 

 

 

「っ!?(この感じ、何か来る!?」

「ハスミちゃん、どうしたの!?」

「何か来ます!(アカシックレコード…そんな!?」

 

 

その場に現れたのはボロボロになった正体不明の機動兵器群である。

各自損傷が激しく何かから逃げてきた様にしか見えない。

 

 

「何なの~あの厳つい連中は?」

「わ、分かりません。(あれはザ・ブーム軍のバンクスとギャンドラーの小物その他!?」

「そりゃ見た事もない機体だもんね。」

「何故でしょうか、あの機体やけに傷ついてませんか?」

「そうね、敵さんなら…いざ戦闘って時にこれだけやられてるのも可笑しいわね。」

「…(あれだけの数なら二人でやれなくもないけど問題はそれを無傷かつ一人で相手した存在だ。」

 

 

相手にしたくない相手がこっちに向かって来ていると言う事である。

 

「流石、忍者汚い!」とか言いたくなるような物騒な忍者がね。

 

前世では画面越しであるがあれはチート過ぎるだろう。

 

奇天烈な見た目に反して美声なのは許すが。

 

碌に戦闘経験を積んでいないレベル10以内のルーキープレイヤーが中堅プレイヤーに手を出すのと同じ事だ。

 

いや、もっと拙い展開かもしれない。

 

下手をすればレベル1がレベル100に対して戦いを挑む状況でもある。

 

 

 

「何でしょうか、あれ?(まさかビッグゴールドをこの目で拝む日が来るとは思わなかった。」

「な、成金趣味とかじゃないわよね?」

「た、多分。(今更だけど、あの趣味は解らんわ。」

 

 

この世界の原作では設定はあったものの出現しなかったマスク・ザ・レッドとビッグゴールド。

 

それが今、目処前に現れた。

 

正直言うと弐式とmk-Ⅱを指パッチンネタを披露した素晴らしきの紳士の方が印象的だ。

 

だが、この忍者も負けず劣らずかなりの猛者だ。

 

現代に残るチート級・忍者の一人である以上、その実力も確かだろう。

 

 

 

「フン、面白いものを見つけたと思ったが…実に手ごたえがない。」

「何なの?あの赤マスクのヘンテコ忍者さんは?」

「少尉、それは言わない方が本人も気にしているかもしれませんし。(はい、全滅フラグ確定しました。」

「聞こえているぞ…」

「あらら、別に悪気があって言った訳じゃあ~」

「少尉、悪ふざけは止めておいた方が良いです。」

「そうね、とんでもない忍者を相手にしているみたいだしね。」

「ほう?」

「…(本能的には逃げたいけど逃げる訳にはいかない!」

 

 

その一瞬だった。

 

何が起こったのか判らなかった。

 

破損し墜落したヴァイスと吹き飛ばされたマイトガインの姿が見えた。

 

オマケにバンクスとギャンドラーの小物達は真っ二つに両断された屍の山を築いていました。

 

 

「…(これは剣圧、それもかなりの技量だ。」

「ほう、これが視えた様だな?」

「嫌な気配には敏感な達のもので。」

「…(あのパイロット、一瞬とはいえ俺の居合を避けるとは…面白い!」

 

 

一介のパイロットがあれを避けたのは拙かったかな?

 

それでもあの一撃を被弾すればガーリオンが保たないし。

 

 

 

「貴様、名は?」

「私は蓮実、九浄蓮実…ATXチームの一人です。(機嫌を損ねてもアレだし名乗っても大丈夫かな?」

「九浄だと…!?」

「あの?(驚いている?」

「そういう事か、孔明め…」

 

 

気配が変わった?

 

これは殺気!?

 

 

「奴が何を企んでいるかは知らんが、貴様を野放しにする訳にはいかないな!」

「っ!?」

「十傑集が一人、マスク・ザ・レッド、これが貴様の息の根を止める者の名だ!」

「私もATXチームの名に賭けてここで引き下がる訳にはいかない!」

「その意気や良し!」

 

 

ここで引き下がったらエクセレン少尉、舞人君やガインの命はない。

 

無謀かもしれない。

 

それでも彼らを守れないのはもっと辛い!

 

やるしかないのよ!

 

 

「まだ、これを使うつもりはなかったけど!」

 

 

私はガーリオンに装備された刃をパージした。

 

そのままパージすれば地面に落下するだけだがそれは起こらない。

 

刃は私の念を通して浮いているからだ。

 

 

「これは?」

「強念の刃は今、華開く!」

 

 

念じて刃は華開き、一瞬にして咲き誇る花弁の槍。

 

それは誰をも寄せ付けぬ気高き一輪の華。

 

穢れを浄化する美しき歌蓮鳴る華。

 

踊れ、踊れ、舞い踊れ!

 

 

「舞え!ストライク・アキュリス!!」

 

 

私の念を通して敵を射抜くストライク・アキュリス。

 

相手に刺されば巨大な念の槍と化して敵を射抜く。

 

敵を翻弄し最後は花が咲き誇る。

 

そう燃料と鮮血の花が咲く。

 

まるで妖に魅入られた哀れな生贄の様にその命を散らすのだ。

 

 

「腕は良いようだが、持久戦には向いていない様だな。」

「ぐっ!?」

 

 

外部に念の力を感知されない様にブレーカーの役割を持つ形見のペンダント。

ペンダントを付けた状態の私ではここまでが限界だった。

 

後、一歩の所で念が途切れたのだ。

 

もう少しでマスク・ザ・レッドに一矢を向けられたのに!

 

目の前がぼやけて来た。

 

 

「冥土の土産だ、一瞬で終わらせてやる。」

 

 

機体を墜落させ、地に墜ちた私のガーリオンはただ破壊されるのを待っていた。

 

意識が途切れる最後、独特の台詞を耳にした後、私の意識は飛んだ。

 

 

「待てぃ!!」

 

 

そして次に目覚めたのは病室のベッドの上。

 

後続で追って来た隊長達の話では既に敵影はなかったとの事だった。

 

どうやら助かったらしい。

 

******

 

 

海上プラントでの事件後、予想外の敵襲により自分自身と機体を損壊させた私とエクセレン少尉は治療の後に報告書とその時に撮影し破損で削除されなかった僅かな映像を纏めてゼンガー少佐へ提出した。

 

今頃、レイカー司令の元へその報告が上がった頃だろう。

 

そして現場で回収された残骸が一部を除き、地球性の機動兵器ではない事が判明した。

 

つまりは外来…異星人の物ではないかと言う議論が上層部で行われている。

 

まあ、こんなにも早くザ・ブーム軍とギャンドラーが出てくるとは思わなかったけどね。

 

それでも各陣営共に少数だけだったのが気になる。

 

情報を聞き出す前にマスク・ザ・レッドに倒されてしまったので彼らが地球圏にやって来た理由を知るのはどうやら先の様だ。

 

後はロム・ストールから直接聞き出すしかない。

 

外宇宙で何か起こっているのかをね。

 

後で『蒼い睡蓮』にひと仕事して貰うのとアカシックレコードに詳しく聞いてみる事にする。

 

肝心のマイトガインの戦闘データはさすがにどうしようかと思ったが…

 

運良く、その戦闘でデータが破損してしまったので見せずに済んだ。

 

うん、合体シーンの画像がパーです。

 

その元凶であるマスク・ザ・レッドに目を付けられた事も少々厄介だ。

 

ここ暫く…ものすっごい寒気に襲われるのだが気のせいと思いたい。

 

あの戦闘の情報はBF団にも届いて居るだろう。

 

エクセレン少尉は気絶していたので見られてはいなかったが、私のサイコドライバーとして能力をフル発動させてしまったのだ。

 

流石に相手を退ける程度に収めていたがそれでも気絶してしまう反動だ。

 

後の事もあるし、後で修業をやり直そう。

 

 

******

 

 

事件後、負傷は大した事は無く二、三日で動ける様になった私はエクセレン少尉との約束だった料理を披露した。

 

 

「わお!すっごく美味しいわよハスミちゃん♪」

「気に入って頂けて何よりです。」

「クスハ曹長のおにぎりも美味しいですね。」

「ありがとうございます。」

「二人ともお料理出来てお姉さん感動しちゃうわ。」

「普段から自炊しないからだろう?」

「あら~お湯入れて三分は出来るわよ?」

「カップ麺は料理と言えませんよ、少尉?」

「ブリット君まで~」

「まあまあ…(設定とは言え、エクセレン少尉の調理技術壊滅ネタがここまでとはね。」

 

 

双方呆れた顔で料理できない事をキョウスケとブリットに指摘された後、空の器をテーブルに置くとエクセレンはいつものノリでハスミに抱き付いた。

 

 

「ハスミちゃん、遠慮しなくていいから私のお嫁さんに来てぇ~!」

「あの、それだと同性婚とかになりますけど?」

「いいじゃない、同性婚合法化とか進んでるし~!」

「…キョウスケ少尉はどうするのですか?」

「勿論、私の旦那様でハスミちゃんは私のお嫁さんでいいじゃない?」

「…今度は多重婚ですか。(わー相変わらずのノリ御馳走様です。」

 

 

相変わらずのノリを軽くスルーする中で、陰湿なオーラを出しながら部屋の隅で怨念を飛ばしかねない養父の笑ってない顔が目に映った。

 

 

「言うのは構わないが…テンペスト少佐、部屋の隅から怨まないで下さい。」

「お、お義父…いえ、テンペスト少佐?(何だが撫子パパなノリになってる。」

「あらら~少佐御免なさい、お宅の義娘さんに何かしようとかそう言う悪気は…」

「エクセレン少尉、冗談だろうが次はペナルティを考えておく…ゼンガーもいいな?」

「構いません。」

「ぼ、ボスまで!?」

「日頃の行いのせいだな。」

「きょ、キョウスケ!仏頂面しないで助けてよ~!」

「上官命令だ、諦めろ。」

「キョウスケの馬鹿ぁ~っ!!!!」

 

 

泣きっ面に蜂状態なのかエクセレンは泣きながら分隊室を退室して行った。

ご丁寧に食べた分の食器を持ってである。

 

 

「テンペスト少佐、今のは職権乱用では?」

「部下の健全を見守るのも上司の務めだ、そうだろうゼンガー?」

「全くです。」

 

 

うわ、あの隊長が威嚇されている。

 

ここまで運命を変えると人格も変わるものかな?

 

他の面々もこうなっちゃうのかしら?

 

兎も角、お義父さんが親バカになり始めている事にはごめんなさいです。

 

 

「以前出会った時よりも少佐の過保護が進んでいる様だな。(汗」

「はい、元気そうで何よりですけどね。(唖然です。」

「あの様子では、当分恋愛の一つもさせて貰えないだろう。(遠い目」

「ですよね。(シクシク。」

 

 

私はゼンガー少佐にヒソヒソレベルの会話で状況を説明した。

 

ピンと来る相手も居ないので私の春は当分先の様だ。

 

 

† † † † †

 

 

その夜、とある海岸沿いにて。

 

 

「指定の場所はここか…」

 

 

人気のないの海岸で誰かを待つロムの姿があった。

 

 

「…待たせてしまって申し訳ない。」

 

 

彼を見つけた白いローブ姿の人物が現れた。

 

 

「貴方がブルーロータスか?」

「その通りだ、そちらはロム・ストールで宜しいか?」

 

 

互いに自己紹介を終えると本題に入った。

 

 

「ああ、それで俺に聞きたい事とは?」

「知る限りでいい、そちらが持つ外宇宙での情報を聞かせて貰いたい。」

「何故それを知りたいのですか?」

「全ては大いなる禍から世界を救う為にだ。」

 

 

その言葉と共に高波が静かに音を弾けさせた。

 

 

=続=

 




集結する力と力。

新たな仲間と共に突き進む。

例え分かれていてもその志は同じ。

次回、幻影のエトランゼ・第二.五話『別道《ワカレミチ》』

変わりつつある未来は何を与える?


<今回の登場人物>

≪民間人≫
※吉永サリー
後の旋風寺舞人のお嫁様。
父親の手術中に停電が起こり、その原因を作ったウォルフガングの操るロボットに押しつぶされそうになった所を舞人に救助される。
その後、シンデレラ街道をまっしぐらする事となる。
戦闘後は一連の事件の事情聴取の為、ヌーベルトキオシティ内の警察機構に保護される。

≪犯罪者≫
※ウォルフガング
自身の技術力を誇示するため様々なロボットを作り出すマッドな博士。
ティーゼル5656を部下と共に操縦しロボット開発に必要なエネルギー源を奪う為に発電所を襲った。
マイトガインによってフルボッコされ尻尾巻いて退散した。

《BF団》
※マスク・ザ・レッド
地球外勢力の調査に出撃していた所、今回の戦闘に出くわす。
生身で戦うと思いきやビッグゴールドで出撃していた。
どうやら秘密裏に動いているアルベルトを密かに追っていた模様。
因みに主人公曰く相手にしたくないランキングに含まれる。(順位は不明)


≪???≫
※ロム・ストール
天空宙心拳の使い手。
単身でギャンドラーとザ・ブーム軍を追っていたが既にマスク・ザ・レッドに倒された後だった。
その後、地球で動く為の隠れ蓑として勇者特急隊と行動を共にする。
現在は舞人の話し相手兼ボディガードと言う触れ込みで雇われている。

※ブルーロータス
ロムの前に現れた謎の仮面の人物。
声を電子機器で変換している為、男か女か判別は不明。
白のローブに独特の仮面を付けている。
ロムに外宇宙の状況を聞く為、呼び寄せた。



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第二.五話 『別道《ワカレミチ》』

指し示されるは幾多の道…

選べるのは一つだけ…

ならば、己の信ずる道を進む…

選べぬ道は未来を託し…

仲間に希望を託そう…


横浜の事件から三日後。

 

私達ATXチームは伊豆基地に置いてアーガマ、修復を終えたヒリュウ改、新たに帰港したクロガネ、それぞれに乗艦するクルーと合流する事となった。

 

レイカー司令の指示の元、各地で進軍を続ける敵勢力の無力化を進めると共に新たな任務への着任が決定したのだ。

 

その説明をする前に今回の合流メンバーを紹介します。

 

まず、アーガマ。

 

カミーユ、エマ中尉、クワトロ大尉らアーガマ隊、シャングリラチルドレン。

 

日本各地で行動していた光子力研究所、早乙女研究所、ムトロポリス、南原コネクション、ビッグファルコンと言ったスーパーロボット軍団の大御所。

 

そこへSRXチームとリョウト、リオが所属している。

 

次にヒリュウ改。

 

オクト小隊は相変わらずであるがレオナがオクト4として隊に組み込まれていた。

 

レオナによると以前所属していたトロイエ隊は別エリアにてエアロゲイターの襲撃に遭い、その多くが死亡はしていないものの負傷で戦線を離脱状態らしい。

 

どう言う経緯か不明だが元PTXチーム所属のイルムガルド・カザハラ中尉が乗艦していた。

 

何でも月面基地でダンガイオーと呼ばれる特機に搭乗する4人の少年少女らを保護したらしい。

 

彼らは宇宙海賊バンカーから逃亡中の身で仲間の一人が地球産まれとの事で逃亡先に選んだらしい。

 

後で格納庫を覘いたらアイザム・ザ・サードがあった。

 

あれ?衝撃のストーリーかなり飛ばしてないですか?

 

戦艦は参加していないがキング・ビアルの面々も参戦していた。

 

前々から思っていた事ですが、あのキチガイ緑ブタと言い訳ばっかの脳髄コンピューターはフラグが立つ前に消し炭にする予定です。

 

赤の他人が勝手に地球は悪の意思に満ちているとか決めつけるなんて馬鹿げている。

 

アカシックレコードに因ると後にガンエデン登場でフルボッコな結末が見えたので直接手を下す必要もないが個人的には止めを刺して置きたい。

 

今回、ギリアム少佐が極秘の任務でヒリュウ改に乗艦する事となった。

 

続いてクロガネ。

 

クロガネに配属するトロンべ隊にはエルザム・V・ブランシュタイン少佐を筆頭にATXチームのアサルト5のユウキ・ジェグナン、アサルト6のリルカーラ・ボーグナインがそのまま転属と言う形となった。

 

別動隊で動いていた獣戦機隊もこちらに参加していた。

 

例のあの人は既に裏切った模様です。

 

主に左遷の末、閑職に追いやられた筈の真空管ハゲs&スーパーサ○ヤ人な髪型しているアレが原因です。

 

ついでにハンス中佐も関わっていたよ。

 

碌な事しないこの4人には後で過去の羞恥ネタ暴露で精神的かつ社会的に始末しよっと。

 

ゴッドバードな妖魔帝国の復活フラグなどへし切長谷部ってくれるわ。

 

最後に我らがハガネ。

 

私達ATXチーム、ちなみに私はユウ達の転属でアサルト5にコールサインが変更になりました。

 

ハガネ所属のゴースト小隊よりカイ少佐、ジャータ少尉、ガーネット少尉、ラトゥーニ、他数名。

 

ゴースト小隊は数日前に伊豆基地司令宛に届いた『異名からの情報』で極秘遠征していたのだが、とある研究施設でラトゥーニの仲間である3人の少年少女と数名の被験者達を保護したとの事。

 

現在は違法薬物による投薬と精神汚染の関係で治療中らしい。

 

助けるのが遅くなってしまったが無事でよかった。

 

アーガマ隊所属のフォウやロザミアも別系統の研究対象だったが彼らと顔見知りだった様で心配していた。

 

残念な事に大元の元凶であるジジババ共は取り逃がしてしまった。

 

次にあったら袋叩きにします。

 

そして養父のテンペスト少佐が今回の任務からATXチームに同行する事となった。

 

お義父さん、いくら何でも職権乱用のしすぎです。

 

 

 

色々と愚痴ってしまったが、ある程度のメンバーは紹介できたので行き先を説明します。

 

 

 

レイカー司令から複数の戦艦が集結したので三手に別れて行動する事となった。

 

アイドネウス島経由トリントン基地行はハガネ、クロガネ。

 

アイドネウス島への監査を終えた後、そのまま南下してオーストラリアへ移動する事となった。

 

因みにこの世界ではシドニーにコロニー落としをされなかったので普通に都市として機能している。

 

お待ちかねの新型受領とそのテストにトリントン基地への旅行の様なものである。

 

それと同時にアルビオンを経由して地球に降りて来ると言うジオン公国のVIPと将校達の事が気になる。

 

これに関してはアカシックレコードからの先取り情報である。

 

ジャブロー経由ダガール行はアーガマ。

 

ジャブロー周辺の様子がどうもキナ臭くなってきたので現地調査を依頼された。

 

そのままダガール経由で同基地に配属されているアムロ大尉ら、カサレリアでウッソ達を拾って戻ってくるルートだ。

 

日本残留組にヒリュウ改。

 

流石に他のルートに戦力を回す訳にはいかず、日本防衛の為に残留となった。

 

噂の大元である「勇者」や「EVA」を確認できるチャンスかもしれない。

 

 

と、まあ…この様な布陣となった。

 

私はATXチームに所属している以上、他のルートへ向かう事は出来ない。

 

とりあえず、アーガマにリュウセイ。

 

ヒリュウ改にギリアム少佐。

 

この二人が居る以上、悪い方に展開が行かないと思うので彼らに任せようと思う。

 

後で『蒼い睡蓮の助言』を送っておくつもりだ。

 

さてと、アイドネウス島でマクロスの式典が行われるまであと二月…

 

それまでに戦力と布石を整えるつもりだ。

 

彼らにあの時の様な敗戦の想いだけはさせない。

 

私の眼の黒い間は危なっかしいフラグなんぞごみ箱へ強制送還してくれるわ!

 

あ、隠し要素は全員救出&救済主義なのでよろしくです。

 

=続=




アイドネウス島へ向かうハガネ。

そこで行われる究極と呼ばれるガンダムの稼働実験。

そしてあの悪夢が再来する。

次回、幻影のエトランゼ・第三話『金指《キンノユビ》』。

心の王の黄金の指は何を思うのか?






※今回はルート選択と説明の為、登場人物は省略します。


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第三話 『金指《キンノユビ》』

現れるは究極だった悪魔…

それらを止めるは…

荒々しくも神々しい金の指…

曇り無き水の一滴…

悪魔の産声に隠された嘆きと共に…

睡蓮は銀色の呪いを受ける…

それは偶然か必然か…




横浜での事件の後、各自の滞っていた機体修理や必要な補給物資到着までの遅延が続いていた。

 

物資到着までと療養期間を含めて1週間ほど、伊豆基地で缶詰にされてました。

 

その間に休暇を言い渡されたパイロット達は伊豆の海へ海水浴を敢行しそれぞれの親睦に勤めていた。

 

しかし、私の考えが甘かった。

 

今の時間軸はα、IMPACT、OGの序盤だ。

 

お決まりのネタをやられそうになったのだ。

 

そう、スパロボお色気シーン恒例行事の『のぞき』である。

 

幾ら何でも『のぞき』をされる日が来るとは思わなかった。

 

ちなみに甲児やボス達曰く『我が学園きっての三大ボ〇ンちゃんや数々のボ〇ンさん達がこれだけ揃っているんだぜ!見なくてどうする!?』だそうだ。

 

我が学園きってと言うのはさやかとクスハ、どう言う訳か私らしい。

 

オイこら!です。

 

ちなみにアカシックレコードでそれが発生する事を先に知った私は女子更衣室に罠を仕掛け、尚且つお義父さん達に頼んで恐怖の訓練メニューを考案してもらった。

 

案の状、更衣室に忍び込んで盗撮カメラ設置なり実力行使で覗こうとした連中は動画サイトyou・friend仕込みの罠(時限式メントルコーラ&タバスコ入りスライム爆弾)で仕留めました。

 

ちなみにこれらの罠道具は全部、先日伊豆の駄菓子屋で購入した代物です。

 

そして、とっ捕まった数名は炎天下の中で旧戦技教導隊きっての頑固親父sに説教の末、恐怖の訓練メニューをこなすペナルティに処されました。

 

うん、合掌はしておいてあげるよ。

 

えっとお義父さん、さすがにそれは素人じゃ死にますって。

 

何だかブツブツと『私の義娘に手を出せばどうなるか…』聞こえるわ怨念っぽいのが漂ってる!?

 

ついでにカイ少佐、数名昇天してます。

 

パパセコムってすごいね。

 

そんな阿鼻叫喚な状況を他所にエルザム少佐の海の家風の料理美味しかったな。

 

相変わらず黒のエプロンにブランシュタイン家の金箔家紋入りは凛々しいです。

 

後、ゼンガー少佐。

 

毎度の事ですが、ふんどし姿で釣りをしないで下さい。

 

それと貴方本当にドイツ人ですよね?

 

似合いすぎてて貫禄が出まくりです。

 

そのせいで浜辺の隅っこでエクセレン少尉や忍達辺りが腹部抑えて悶絶しています。

 

毎度の事ながら抱腹絶倒させてしまう破壊力は抜群です。

 

と、思いつつ隊長が釣った魚で作られた浜焼きを黙々と食べていた私である。

 

さてブリット、そろそろ気絶から回復しないと君鼻孔からの出血多量でそのうち死ぬよ?

 

いくらクスハの水着姿見て卒倒したとは言え、むっつりスケベ率が日々アップしてるね。

 

タスク、リュウセイ、気絶した彼に素数を数えろと言っても無理だよ。

 

それとクスハ、介抱するのに今のブリットには貴方の膝枕は毒だよ?

 

これが本当の無限ループって奴だね?

 

アハハ。

 

本当に楽しいね、この人達。

 

 

*****

 

 

そして休暇期間の1週間が過ぎた。

 

補給物資の詰め込み作業と短い休暇を終えた私達の部隊はハガネに乗艦し、アイドネウス島へ向かっていた。

 

今回はクロガネが追従する形で任務に参加しているのでありがたい。

 

元ATXチーム所属のユウとカーラとはクスハと共に意気投合し、紅茶の件でユウと音楽の件でカーラと話をした。

 

私も小説を執筆をする時に良くコーヒーやお茶にヒーリングソングを嗜みつつ進めるのでリラックスできるお茶や音楽などでいい知識を貰えた。

 

クスハドリンクの洗礼だけは何とか止めました。

 

察してくれた二人には感謝しきれない。

 

そう言えば、二人が連邦軍(OG)の軍服に袖を通している姿はかなり斬新だった。

 

まあ、お義父さんも同じ連邦軍の軍服だったので少し違和感はあるものの似合っていると思う。

 

私も同じ連邦軍の軍服に袖を通しているがピンク色の少女兵用よりも成人女性用の青い軍服の方が好みだ。

 

早い所、あの軍服が着られる様に成長したい。

 

後、前回の一件に関する情報収集並びに生還で私の階級が准尉へ昇格しました。

 

理由とすれば、あの時アキュリスを盾代わりにヴァイスやマイトガイン、屍の山を防御して死守し情報を持ち帰ったのが一つらしい。

 

確か、オリジン辺りで准尉に関する説明があった様な気もするけど割合します。

 

うん、気になる人は調べてください。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

次の哨戒任務まで休憩を取っていた私は自室でコーヒーを片手に小説の添削をしつつ例の情報に関してぼそりと呟いた。

 

 

「…にしても困りました。」

 

 

蒼い睡蓮から手に入れた情報に寄ると現在の外宇宙は大規模な混乱に陥っている。

 

原因と言うのは四大星間国家のいがみ合いである。

 

一つ目は只今、地球圏に喧嘩を売っていますよゼ・バルマリィ帝国。

 

二つ目は秘密裏に偵察を繰り返しているインスペクターことゾヴォーク。

 

三つ目は植民星かき集め中のズールとムゲ筆頭の星間連合。

 

四つ目は数で勝る驚異の軍団を使役するバッフ・クラン。

 

この四大勢力が星間内で戦争中らしい。

 

そしてゼントラーディとメルトランディの巨人軍団、宇宙怪獣、現在は地球圏に接触していないアインスト、ラダム、イバリューダー、ガルファ等の勢力が無作為に介入しているそうだ。

 

その余波でフリード星、ブレイブ星、ラドリオ星など温厚的な星々は滅ぼされるか隷属星として各勢力に星ごと拿捕されてしまっている。

 

逆に抵抗を続けた根性のある惑星群などは上記の四大勢力に取り込まれています。

 

誰だかもう察していますよね?

 

世紀末なアイツらですよ。

 

この様な感じに四大勢力は戦力増強の為の他星への侵略を繰り返してしまっている。

 

その最中に何とか生き延びた少数はここ地球圏を目指して流れているとの事だ。

 

何故か?

 

彼ら曰く、地球人は四大勢力と渡り合える戦力を秘めているかららしい。

 

後にそうなるかもしれませんが、今あの戦力で地球圏に攻め込まれたらひとたまりもないのですが?

 

 

「今は地球圏に侵略を開始しているホワイトスターを何とかしないと話が始まらないですね。」

「話には聞いていたがここまで複雑とは…地球圏よりも外宇宙の方が慌ただしいな。」

 

 

 

同じ様に私の自室でコーヒーを啜り、気難しい顔で答えたお義父さんことテンペスト少佐。

 

私が転生者で今回の経緯を大体把握している事を知っている人物の一人です。

 

正体を明かしたのは私がお義父さんの養女に迎え入れられた時である。

 

驚いていたものの過去の羞恥ネタを話したら信じてくれました。

 

うん、私が来る前の戦技教導隊時代にエルザム少佐のお手製虫料理を試食して卒倒し一日病室から出られなかった上にゴキブリのガサゴソ音でトラウマが発生するオチなんて誰にも言えないものね。

 

 

「はい、恐らくは各陣営に隠れ潜む悪意の仕業と思います。」

「例の悪霊の事か?」

「いえ、それとは違う欲望の悪意の集まりです。」

「己の欲望の為に他者の血を流させる輩だったな。」

「知っているとは言え、今の私に止める術はないのでどうしようもないです。」

 

 

知っているからこそ何も出来ない自分が歯痒い。

 

こう言う所はアニメや漫画の様にはいかない。

 

これが現実である以上、そのルールに沿って世界は進むのだから。

 

 

「ハスミ、お前はどう進む?」

「前にも話した通り、私は私の信じる道を進みます。」

「そうか…」

「無謀と思っていますか?お義父さん。」

「確かに無謀だが、それを補える手腕と知識がお前にはあるのだろう?」

「はい。」

「ならば私は何も言わん、お前が進むべき道を進むといい。」

「お義父さん…」

「だが、無茶だけはするな…それだけは約束して欲しい。」

「判りました。」

 

 

前世のお父さんもこんな感じだったのかな?

 

ゲームキャラクターを義理の父と呼び慕う今の状況。

 

傍から見ればおかしいかもしれないがこれが私の現実であり今の状況だ。

 

彼を父と呼び、同じ戦場を駆け巡る日々はとても充実している。

 

私はこの人を父と呼べて安堵しているのだ。

 

 

「お義父さん、前に話した通り…シャイン王女の護衛をお願いします。」

「分かっている、例のキョウスケ少尉の事件で降格と左遷したとは言えハンス少佐…奴の行動には不可解な事が多い。」

「恐らく、Anti・DCがそれに一つ噛んでいるでしょうから…」

「そうだったな。」

 

 

これから発生するシャイン王女の拉致事件にはAnti・DCが関わっている。

 

時系列と同じであればジャブロールートへ進んだリュウセイ達の部隊と接触する筈だ。

 

敵の数が多い為、ジョルジュ・ド・サンドがその場で介入する予定となっている。

 

この世界では彼を慕うマリアルイゼ姫とシャイン王女がご友人らしい。

 

歳も近いし、いい友達になっているのだろう。

 

ラトゥーニ、着せ替え人形にされまくりだろうな。

 

見た目も性格も可愛いからちょっとうらやましいかも。

 

話はさておき、その後の護衛をお義父さんに担って貰おうとした訳である。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

時折現れる敵を迎撃したり哨戒任務や艦内で訓練を行いつつ、ハガネ一行はアイドネウス島へ到着した。

 

予想通り、巨大なマクロスの母艦が鎮座している姿が目に移った。

 

そして島の中央にぽっかりと開いた湖にはメテオ3が沈んでいる。

 

現在は重力アンカーでメテオ3を支えているもののいずれセプタギンとなって地球圏を襲うだろう。

 

アカシックレコードによるとこの世界のUGのUG細胞はこのメテオ3の破片より転用されたらしい。

 

そう言えば『新』で似たような設定を聞いたような?

 

でも、この世界の東方不敗は地球人だし。

 

何で?またスパロボマジック?無限力(イデ)の陰謀?ややこしい。

 

この世界はどこまで『実験室のフラスコ』を『因果』で満せば気が済むんだろう。

 

 

 

「では、もう一度今回の目的を説明する。」

 

 

ハガネ艦内のグリーフィングルームにて今回の目的を説明された。

 

今回の目的はアイドネウス島にあるEOTI機関からの依頼で今回の稼働実験を行うUG(アルティメットガンダム)の警護依頼だった。

 

本来は地球環境再生を行う為の過程で作成されたものだが、このご時世だろうか兵器転用の声も上がっていた。

 

その一派があのヘンテコ銀仮面を付けていないウルベ・イシカワである。

 

あの仮面は原作では暴走したDG追撃の際に受けた傷を隠す為に付けていたので今はありません。

 

お義父さんにも事前に原作での彼の経緯を説明しておいたが、どうやらクロらしい。

 

軍諜報部でもギリアム少佐がマークしていたと話していた。

 

半信半疑だったが私の言葉でそれが確信になったとの事。

 

アカシックレコードの読み通り、今回の一件で事を起こすらしい。

 

出来る事なら止めなければならない。

 

 

******

 

 

私達は艦内で説明を受けた後、護衛対象の機体を見学する為にEOTI機関本部の格納エリアに訪れていた。

 

ゴースト隊やトロンべ隊も一緒である。

 

大部分は閲覧出来ないものが多いが今後の研究によって実用化が進められている技術やスポンサー確保の為に自分達の研究を見て貰いたいと言う研究グループなど様々な思惑がそこにはあった。

 

二ルファで戦う事になってしまったリクレイマーの母体となる伊佐未ファミリーのオルファンの研究も眼にする事が出来た。

 

時折、あの名を耳にするが既に彼は行方不明になっている様だ。

 

そりゃバイストンウェルで兵器開発を行ってますからね。

 

一通り、有名な名前をちらほらと聞きつつUGの保管されている格納庫へ足を進めた。

 

ビアン博士が行方不明になっていてもここは正常に機能している。

 

恐らくは側近だった存在達によって支えられているのだろう。

 

アカシックレコードに因ればビアン博士はシュウ・シラカワ博士とマサキ・アンドーと共に今もどこかで行動しているらしい。

 

何かの思惑か暗殺未遂でもあったのかは不明だが原作のDG設立フラグはへし折っておいたのでラングレー基地のグレッグ司令達は今だ健在だ。

 

私は出会った事はないがその内に顔を合わせる事もあるのかもしれない。

 

出来る事ならいずれ起こるであろう『次元を超えた先での戦い』の為に戦力は多い方がいい。

 

それが今の私の出した答えだ。

 

 

「あれがUG?」

 

 

考え事をしている私がエクセレン少尉の声で現実に引き戻された。

 

格納庫に鎮座するUG。

 

その横で主任研究者達が最終調整を行っていた。

 

 

「すごいですね…(あれはライゾウ博士とキョウジ・カッシュ、奥さんにミカムラ博士か。」

 

 

その中でひときわ目立つ赤いマントを羽織った青年がその様子を見守っていた。

その姿を観たエクセレンは狂喜乱舞しその横で案内を務めた男性の研究所スタッフが説明をしてくれた。

 

 

「ねえ、あれってドモン・カッシュよね!?」

「このUGの開発責任者が彼の父親だそうで、彼自身も今回の稼働実験の警護に参加してくれました。」

「うっそ、色紙持ってくるんだったわ!」

 

この様な感じで暴走するエクセレンにブリットが対応し、クスハやカーラ、ユウが話を進めた。

 

「少尉、任務中ですよ?」

「もう、ブリット君ったら~今は中止しちゃってるけど、彼って有名なガンダムファイターなのよ?」

「俺も知っていますよ、数か月前のアメリカの都市部でアメリカ代表のチボデー・クロケットと交戦してましたからね。」

「いいわよね、ブリット君ってばその時その場所に居たんだし~」

「居たと言っても任務中でしたし…」

「そう言えばその後に大会の中止が宣言されたんですよね?」

「そうそう、エアロゲイターとかの襲撃も徐々に悪化していたし。」

「その結果、大会よりも地球防衛の為に選手すら担ぎ出される羽目になったか…」

「うん、情勢は日々悪くなる一方だしどうしようもないよね。」

 

 

しかし、ガンダムファイトの中止で救われた命はいくらでもある。

 

UGの研究成果で宇宙放射線病の治療法が確立したり、国連から派遣されたWHOによって一部の国の命令でドーピング薬の服薬を余儀なくされ薬物などで弱ったファイターが戦場に担ぎ出される事も無くなったのだ。

 

戦場での死を望む人もいるかもしれないがそれ以上に残された者達の事を考えるきっかけとなった。

 

せめて余生位は静かにさせてあげたいのが私の信条でもある。

 

でも、誰かがまた新たな犠牲になる事だけは避けたい。

 

出来る事はやるつもりだ。

 

 

「あれ?」

「ハスミちゃん、どうしたの?」

「いえ、あのUGでしたっけ?何だか不思議な感じがしたので…」

「そう?」

「多分、私の気のせいかもしれませんけどね。」

「あらら?とうとうハスミちゃんもブリット君やクスハちゃんみたいにキュピーンとかなったり?」

「何を言っているのですか?私は二人や皆よりも適性がギリギリで…」

「そうは言っても、こう言うのって二人にはない特別な能力が実はあったりするものよ?」

「そうですかね?(ううっ、モロに図星なんですけど?」

「そうよ、自信を持ちなさいって!」

「は、はい。(本当に隠しててごめんなさいです。」

 

 

ちなみに私はサイコドライバーとしての能力の事を隠す為に適正テストではギリギリのランクを取って置いたのだ。

 

そうでなけれは私はあのガーリオンから降ろされてしまう。

 

それを避ける為の措置だ。

 

今の所、適性が高いとイングラム少佐に思われているのがリュウセイとクスハ、ブリットである。

 

後にSRXアルタードや龍虎王を乗りこなすのだがら適正は高めなのだろう。

 

その次にユウ、リョウト、タスク、アヤ大尉が同格、三番目にカーラ、リオ、レオナが似たり寄ったり、最後があるのかないのか不明な程度の私と言う結果だ。

 

正直に言うとペンダントを外してテストを受けていたらとんでもない結果になっていたかもしれない。

 

予測通りにフフフ…の人に謀られて機体ごと拉致、そのままホワイトスターにお持ち帰りルートだったかもしれない。

 

うん、ヤダね。

 

 

「そう言えばキョウスケは?」

「少尉なら先にハガネに戻られましたよ?」

「あらそう?」

「命令あるまで待機でしたから先に休んでいるのかもしれませんね。」

 

 

ゼンガー少佐らと各小隊と共にUG開発研究主任ライゾウ博士と研究メンバーに挨拶を終えた後、キョウスケ少尉は先にハガネへと戻ってしまったそうだ。

 

命令があるまで待機命令は出ているがUGの見学をするもよし、研究スタッフに連れ添って残りのスペースの見学もOKと言う事で自由時間になっていたのだ。

 

それを他所に私はアカシックレコードからまた情報を開示された。

 

 

「…(ん、そう言う事か?」

 

 

アカシックレコードより開示された情報が正しければキョウスケ少尉は会いに行ったのだ。

 

永遠のライバルである彼に。

 

そして偶然にも出遭う事になってしまった。

 

 

 

「久しぶりだな、キョウスケ・ナンブ?」

「やはり、アクセル・アルマー…!」

「その様子だとお前も記憶を持っている様だな?」

「!?」

「貴様もどうか知らんが、知っている記憶、知る筈のない記憶、どちらも所持するっていうのは何の因果だろうな?」

「状況はお前も同じという訳か?」

「俺と?お前も『あの戦い』を知っているのか?」

「ああ…」

 

 

二人は互いに『あの戦い』を口にした。

 

 

「俺達は『あの戦い』で確実に死んだ筈だった。」

「そしてどう言う訳か俺達は記憶を持ったまま同じ存在として生まれ落ちた。」

「お前は向こう側から来たのか?」

「ああ、俺が完全に記憶を取り戻したのはアインストに取り込まれたお前と対峙する時だった。」

「…」

「気にするな、貴様も救える筈の命を救えなかったのだろう?」

「調べたのか?」

「ああ、キョウスケ…この世界でも例のシャトルの事故に巻き込まれていたのだろ?」

「そうだ、そしてあの事故をきっかけに俺も記憶を取り戻した。」

「互いにややこしい時に記憶が戻ったものだな、これがな?」

「そうだな…だが!」

「安心しろ、俺はヴィンテル達と離別した。」

「何だと?」

「新しい可能性を見出したと言ったら『好きにしろ』だとさ。」

「…そうか。」

「それにちょっとばかり入れ知恵をしておいたし暴走はしないだろう、国際警察機構やBF団やら敵に回すと厄介な連中がいるからな?」

「アクセル、ラウル達はどうなった?」

「奴らは向こうの世界の月面のコロニーで研究を続けている筈だ。」

「記憶が戻らなかったのか?」

「記憶が戻るにしても差異はあるんだろう、恐らくは向こうで…」

「そうか…」

「見捨てるつもりはなかったが向こう側の独立機動部隊が余計な事してくれたおかげで宇宙との行き来どころか連絡すら取れなくなった。」

「どういう事だ?」

「あの機械仕掛けの女神(ガンエデン)の仕業ではないのは確かだ。」

「それでも地球圏を宇宙から遮断するフィールドを発生させるものでもあったのか?」

「何分情報が曖昧でな、分かったのはその独立機動部隊が何かの装置を起動させたと言う位だ。」

「そうか…」

「結果、俺達の居た世界は衰退と滅亡する運命にまたなった訳だ。」

「話が変わるがアクセル、何故ここに居る?」

「過去の記憶のよしみでなUG…いや、DG(デビルガンダム)の暴走を止める為だ。」

「…お前もDGの事を知っているのか?」

「ああ、恐らくお前の持つ記憶とは違う記憶で関わっていたらしい。」

「だが、知っているのなら話は早い、あの事件が起きるのはいつだ?」

「俺の推測が正しければこれからだ…!」

「!?」

「かつてDGの暴走を引き起こす原因を作ったウルベ・イシカワの周囲でキナ臭い連中が関与していたからな。」

「やはりか…」

「傭兵の真似事をしている俺がここでの警備の依頼を受けたのもそれが理由だ。」

 

 

 

あ~隠れていたとは言え、拙い事聞いちゃった。

 

まあ、これはこれで良かったのかな。

 

まさかアクセル・アルマーやキョウスケ少尉が逆行者だったなんて、何て奇跡?

 

それにしても『あの戦い』って何の事だろう?

 

可能性で言えば『霊帝』か『御使い』との戦いだと思うけど?

 

もっと強大な敵でも現れたのかな?

 

コンパチフラグ立ちそうな時点で『例のアレ』を思い出した私がいる。

 

 

******

 

 

その後。

 

稼働実験の開始時刻となり、各自持ち場に付いた。

 

ATXチームは外部からの侵入を妨害する為に施設の外で待機。

 

アクセルは内部での思惑を阻止する為にこの場には来ていない。

 

ドモンの姿もないので付き添っているのだろう。

 

 

 

「それにしても、あれ凄かったな?」

「ええ、あれが実現されれば地球の環境問題は無くなるんでしょ?」

「うん、そう説明を受けた。」

 

 

EOTI本部の実験場右側に展開するゴースト小隊のジャータ、ガーネット、ラトゥーニが通信機で会話をしていた。

 

彼らの乗機は順にゲシュペンストmkーⅡ(青)が二機とビルドラプターだ。

 

実験場左側に展開しているトロンべ小隊はガーリオン(黒)、ゲシュペンストmk-ⅡタイプTTが二機、ダンクーガの配備。

 

中央がATXチーム、ハガネ、クロガネの傍にテンペスト少佐の搭乗するガーリオン(ダークブルー)が待機していた。

 

EWAC等の電子戦装備が施されており、周囲の警戒に呈していた。

 

原作だとラングレー基地への攻撃に使用したのはリオンの電子戦装備だったが、時系列の変化でこうなった。

 

普段は遠距離戦を想定したMLRS装備(多連装ロケットシステム)になっている。

 

様はミサイルコンテナを積んだガーリオンである。

 

実際はガーリオンの特性である機動性を封印してしまうが、撃つだけ撃って後はMLRSを切り離してからが本領発揮だ。

 

トリントン基地にて私の機体を含めて各機のガーリオンはカスタム化する予定になるので少しは変化もあるかもしれない。

 

 

 

「…(静かすぎる。」

 

 

待機中であるがこの空気は嫌な予感しかしない。

 

後はアクセルとドモンの手腕に任せるしかない。

 

ドモン・カッシュも逆行者であるのはアカシックレコードから確認済みである。

 

悪い方向にはいかないと思いたい。

 

 

「っ!?」

「ハスミちゃん、どうしたの!?」

 

 

私の頭痛と同時に施設周辺で爆発が起こった。

 

爆発の規模からして陽動だと思われる。

 

 

「何が起こった!?」

「カイ、どうやら施設内部で爆発が起こっている!」

「何だと!?」

「規模からして…これは陽動だ!」

「ゼンガー!」

「各自、警戒を怠るな!来るぞ!!」

 

 

カイの言葉を皮切りにテンペストが状況を説明、察したエルザムがゼンガーに声をかけた。

 

それと同時に現れたのはAnti・DCの部隊である。

 

構成はガーリオン、バレリオン、シーリオン、ジオン軍の水中戦用MSのオンパレード、それに混ざってギガノスのMAが含まれていた。

 

 

「やはり、Anti・DCか!?」

「報告にあった機体もあるな。」

「テンペスト、数は!」

「数からして奴らは奇襲が目的だろう、後続の部隊が後に控えていると思われる。」

「この戦法は恐らく…」

「おそらくはロレンツォ中佐だろう。」

「!?」

「…油断は禁物という事だ。(だが、何故リオンとガーリオンの機動性を利用した奇襲に切り替えなかった?最悪の結果にならなければいいが…」

「アサルト0より各機へ奇襲部隊への攻撃は俺とアサルト1、2で行う!3、4、5は本部周辺の防衛に当たれ!」

 

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

「トロンべ1より各機へ我らも本部の防衛に向かう、獣戦機隊の諸君らも追従してもらおう。」

「仕方がねえ…少佐さん、付き合うぜ!」

「ゴースト小隊各機はハガネの防衛しつつ、あぶれた敵を叩くぞ!」

 

 

「「「了解!」」」

 

 

先行してグルンガスト零式、アルトアイゼン、ヴァイスリッターが奇襲部隊を叩き、あぶれた敵を中立地帯のゴースト小隊、トロンべ隊、ダンクーガが叩く。

 

本部周辺の警戒をヒュッケバインmk-Ⅱ、グルンガスト弐式、ガーリオン・タイプT、ガーリオン(紫)で行い、撃ち漏らしを叩く事となった。

 

今回は大物が参加していなかった事が唯一の救いだった。

 

また黒い三連星やMA繋がりでギガノスの蒼き鷹とかと当たりたくないし。

 

星座占い好きのガーリオンを見かけたが、侵攻中にアルトアイゼンのリボルビング・ステークを撃たれて早期退場となった。

 

ご苦労様です。

 

しばらくしてから増援でマクロスに配属されているバルキリーの部隊が駆けつけてくれた。

 

どうやらマクロスにも奇襲が行われたが無事に退けた様だ。

 

こちらは実験エリアをキラーホエール級からの砲撃を受けてしまったものの無事とは言えないがEOTI機関の本部死守に成功した。

 

Anti・DCの奇襲部隊が撤退を開始し少し落ち着いた頃に私は異様な気配を感じた。

 

 

「っ!(何、この気配は?」

 

 

圧倒的な闇の念が押し寄せた。

 

恐怖、悲しみ、苦しみ、痛み。

 

 

 

イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ。

 

コワイ、コワイ、コワイ、コワイ、コワイ、コワイ。

 

 

「えっ!地震!?」

「な、何が起こった!?」

 

 

そして実験エリアを中心に地響きと爆発が起こった。

 

 

「クスハ!危ない!!」

「えっ!?」

 

 

私は言葉よりも先に体が動いてしまい、クスハの乗るグルンガスト弐式の前に移動していた。

 

そして地中から無数の触手が飛び出しガーリオン・タイプTを貫いた。

 

 

 

「ぐっ!?」

「ハスミ!?」

「何だ、これは!?」

 

 

コックピットまで貫いた触手は運よく座席から外れており、即死は免れたが少し左腕に掠ってしまった。

 

独特のサイレンとerrorの赤い文字がコックピットのディスプレイを埋め尽くしていた。

 

触手に捕まったガーリオン・タイプTは身動きが取れず、行動不能に陥ってしまった。

 

そして現れたのは警護対象だったUGだったものだ。

 

 

「しっかりして、ハスミ!」

「ダメだ、通信が繋がらない!」

 

 

クスハは起こった衝撃でうろたえてしまい、ブリットは何とか連絡を取ろうと回線を繋げるも返答はなく、sound・ONLYの表示が映し出されるだけだった。

同時にハガネ並びにクロガネより各パイロットに入電が入った。

 

 

「各員に次ぐ、UGが暴走しコックピットに民間人が囚われている。」

「ちょっと、どういう事!?」

「UGには環境修復機能の制御ユニットが積まれている、それが先ほどの戦闘での爆発で誤差を起こしたらしい。」

「マジかよ!」

「どうしよう、ハスミが…!」

「クスハ、落ち着くんだ。」

「ハスミ!」

「…と、さ…。」

「ハスミ、無事なのか!?」

「私は…大丈…夫、でも…機体…が。」

 

 

ノイズまじりの音声で私は無事だと伝えたが、既にUGいやDGの触手に囚われてしまい身動きが取れなくなっていた。

 

コックピット内に侵入し細分化した触手に捕まり絞殺されるのを待つだけだったのだ。

 

意識が遠のく中、DGの触手から意思を感じ取った。

 

コワイ、タスケテと。

 

私は無意識にこう答えた。

 

 

「大丈夫…怖くない…よ…。」

 

 

そこで私の意識は遠のいてしまった。

 

 

 

「俺のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き!叫ぶ!」

 

 

 

聞こえる声と共に現れたのは黄金の指を持つガンダム。

 

 

 

「必殺っ!!シャァァイニング!!フィンガァアアアッ!!!」

 

 

 

シャイニングガンダムのシャイニングフィンガーはガーリオン・タイプTの触手を引きちぎった。

 

拘束されていたガーリオン・タイプTはそのまま地面に落下する所だったがそれを庇ったのが彼だった。

 

 

「何とか間に合ったようだな、これがな。」

 

 

青い二本角のソウルゲインである。

 

 

「兄さん…くっ!」

「ドモン、油断するなよ!」

「分かっている…!」

 

 

その後、増援で現れたシャイニングガンダムとソウルゲインに私は救出されたが肝心のDGは取り逃がしてしまったとの事だった。

 

また、私は取り返しのつかない結果を残してしまった。

 

 

******

 

 

今回の戦いでドモンとレイン、フリーランスのアクセルらがハガネに乗艦する事となった。

 

理由は軍の情報網によるDGの情報提供行う代わりにドモンのその戦闘能力を買った為である。

 

今回の戦闘の事故でUGはDGに変貌してしまった。

 

UGを止めようとしたドモンの兄はDGの取り込まれてしまい、そのまま行方不明。

 

今回の奇襲の手引きをしたと思われるウルベ・イシカワは失踪。

 

彼に脅されて協力してしまったミカムラ博士は撃たれてしまい、現在も治療中との事だ。

 

ドモンの両親は今回の件でその身柄を国際警察機構の総本山である梁山泊に移送される事となった。

 

命を狙われている以上、もしもを踏まえて『蒼き睡蓮』を通して秘密裏に手回しをして置いたのだ。

 

そして。

 

これからシュバルツ・ブルーダーが産み出される。

 

ドモン・カッシュ。

 

貴方は彼と出会えたのならを兄として迎え入れますか?

 

それとも戦友として迎え入れますか?

 

どちらにしてもそれはドモンが決める事である。

 

私はただその行く末を見守るだけです。

 

アクセルは表向きはお金目当てだが過去の記憶よしみで乗艦するらしい。

 

貴方が味方で良かったです。

 

記憶喪失な貴方も見たかったですけどね。

 

 

† † † † †

 

 

今後の活動指針が決定し隊でのミーティングを終えた後、各自指示があるまで通常勤務となった。

私は先の戦いで負傷はしたものの軽い軽傷であったので自室で静養する様に言い渡された。

 

 

「これ、どうしようかな。」

 

 

私は自室に籠りベッドの上に座り軍服の袖を捲って左腕に付いた少し縦長で六角形の銀色の何かを見ながらぼそりと呟いた。

 

 

「…(やっぱりあの時しか考えられない。」

 

 

私はあの時DGの触手に捕まった。

 

恐らくはあの時に受けた攻撃が原因だろう。

 

アカシックレコードは必然だって言っていた。

 

確かに悲しみと苦しみの中で生きる存在達を救いたいと願った。

 

それはあのDGも入っているのだろうか。

 

誰かを救う為にはその存在の痛みを知らなければならない。

 

この銀色はDGの痛みと悲しみ。

 

これからは悪意は感じ取れないし様子見をするしかないよね。

 

DGいや、UGはどうしたいのかな。

 

 

物語と同じ様に悪魔になるのか?

 

新しい道を進むべく生まれ変わるのか?

 

 

望まれて生まれてきたのに君はその力故に追われた。

 

逃げて、逃げて、逃げた。

 

怖いのに訳も解らず撃たれて泣いた。

 

そんな力を持ったのは自分のせいじゃないのに、だからシステムは暴走した。

 

誰か一人でもその思いに答えてくれたのなら、あの様な悲劇は起きなかった。

 

画面越しとは言え、私は何度もあの物語を見る為にそう思ってしまう。

 

だから…

 

いつか手を取り合える事を願って私は前を進む。

 

偽善なのかもしれない。

 

それでも私は解り合いたい。

 

同じ様に誰かと解り合いたいと願った。

 

あの主人公と姫君が望んだように。

 

私は繋ぎ止めたい。

 

 

=続=

 




紡がれる記憶。

それは合わせ鏡の様で違うもの。

伝承はその者の持つ記憶であり。

全てが同じという訳ではない。

今は知らずともいい。

次回、幻影のエトランゼ・第三.五話『差異《チガイ》』。

真相は白日の元へ。







<今回の登場人物>

≪ネオジャパン≫

※ドモン・カッシュ
第二の逆行者、ネオジャパン代表のガンダムファイター。
既に明鏡止水を扱えるが乗機がシャイニングガンダムの為、無茶をすると回路のショートやオーバーヒートを起こしてしまう。
原作同様にサバイバルイレブンの最中であったが、異星人の出現に伴い大会は無期限の中止状態にある。
ギアナ高地で修業中だったがアイドネウス島で父親が主任を務めるUGの稼働実験の様子を見学する為に訪れていた。
しかし、原作同様ウルベの策略でDGへと変貌してしまう。
アカシックレコードによるとDGの発生を知っていても止める事は出来ない運命らしい。
それはドモンの人生を作り上げた最も深い出来事である為に切り離せないとの事。
原作の様な暴走加減はなく落ち着いているが、何処か悲しさを秘めた表情を見せている。
現在はDGの捜索に軍諜報部と『蒼い睡蓮』の情報に頼っている。

※レイン・ミカムラ
ガンダムファイトにおけるドモンのサポート役であり幼馴染で後の嫁さん。
今回の一件でライジングガンダムを受領、ドモンと共にDG捜索に当たる事となる。


≪フリーランス≫

※アクセル・アルマー
第四の逆行者、元シャドウミラーに所属していた隊長格。
OGの記憶だけではなくAの記憶を所持しており、未来を変える為にシャドウミラーと縁を別つ。
現在はフリーランスとして各地を転々としていた。
今回の一件で民間からの協力者と言う事でハガネに同乗。
ATXチーム預かりとなった。
コールサインはアサルト6。


≪ATXチーム≫

※キョウスケ・ナンブ
第三の逆行者、今回の事件で発覚。
OG主軸だがIMPACTの記憶も保持していた。
彼が語った『あの戦い』がいつの時期に起こったのか不明である。

※ハスミ・クジョウ
ATXチームの一員、コールサインはアサルト5。
今回の戦いでDGにDG細胞を植え付けられてしまう。
特に悪意などは今は感じられない為、様子見をしようと本人が決めた。
元々能力の事もあり精神的に強い自我を持っていたので感染は通常よりも遅いがその恩威を受けてしまっている為、早期に治療をしなければ人としての命は無い。
今回は発生時期のズレもありDG事件が開始した直後の為、治療法は発見されていない。
原作同様早くとも治療法が発見されるまで三ヶ月の月日が必要となる。




<今回の用語>

※あの戦い
キョウスケとアクセルが語るある戦いの事。
双方が覚えているのでOG主軸の戦いである事が予測されている。
その戦いで彼ら自身や所属する鋼龍戦隊共々全滅したらしいが?


※you・friend
世界公認の動画サイト、危険なものからフレンドリーなものまで揃っている。
おわりかいちょーとビネガーライスン、タンメン・メンの実験且つ脅かし動画が人気。


主人公が伊豆の駄菓子屋で購入した駄菓子一式。
一部は罠に使用されている。

※メントル
現実世界におけるメン〇スの様なもの。
パッケージは似ているが謎のフレーバーで赤シソ味とサルミアッキ味などがある。

※ゲコ・コーラ
カエルの絵が描かれている緑色パッケージのコーラ。

※うまね棒
現実世界におけるう〇い棒の様なもの。
材料は似ているがグラタン味やエビチリ味、ミネストローネ味、苺ミルク味などがある。

※べビーサンラーメン
現実世界におけるべ〇ースターラーメンの様なもの。
どういう訳か酸辣湯味がある。

※山菜の都
現実世界におけるき〇この山とた〇のこの里の類似品。
チョココーテイングと棒状ビスケットで山菜を真似ている。

※カロリーパートナー
現実世界におけるカロリーメ〇トの類似品。
厚めのハート型ブロッククッキーが4枚封入されている。
メロン味、カフェモカ味、シナモン味がある。



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第三.五話 『差異《チガイ》』

紡がれる記憶。

それは合わせ鏡の様で違うもの。

伝承はその者の持つ記憶であり。

全てが同じという訳ではない。

今は知らずともいい。

これが『虚億』であり『実憶』と知るのはもう少し未来である。




話は遡り、DG失踪から1日が経過した頃。

 

この戦いで私は取り返しのつかない失態を侵してしまった。

 

目覚めたのはメディカルルームの一室、どうやら救出されたらしい。

 

横で付き添っていたクスハが他の皆を呼びに行った後、医者からは外傷は左腕の傷だけで他に異常は見られないと説明を受けた。

 

パイロットスーツを着用していなければコックピットの破片で左腕所か体の肉の何処かが抉れていたかもしれないと冷や汗ものの話もあったが、左腕の傷は縫う程の物ではないので出血が止まれは保護フィルムで良いと言われた。

 

運が良いのか悪いのか不明な感じだ。

 

 

******

 

 

「ハスミ、私のせいでごめんなさい。」

「そんな事はないよ、クスハのせいじゃないから気にしないで。」

「でも、無事で良かった。」

「うんうん、あそこにいるタレ目の赤ワカメな王子君がハスミちゃんを助けてくれたのよ?」

「誰が赤ワカメな王子君だ…!」

 

 

私はATXチームの分隊室で他のメンバーから心配されていた。

 

もちろん、お義父さんからはしっかり平手打ちを受けて置きました。

 

心配ばっかりさせてゴメンなさい。

 

クスハは謝りっぱなし、エクセレン少尉は冗談交じりで新メンバーにちょっかいを出していた。

 

 

「あの、そちらの方は?」

「彼はアクセル・アルマー、元傭兵でうちの方で預かる事になったのよ。」

 

 

エクセレンの説明を受けてハスミはアクセルに自己紹介を含めて挨拶を交わした。

 

 

「助けて頂きありがとうございます、私はATXチーム所属ハスミ・クジョウ准尉です、コールサインはアサルト5です、よろしくお願います。」

「慣れ合うつもりはないが…よろしくな。」

「はい、よろしくお願いします。」

 

 

それと同時に独特の赤いマントの男性と女性が分隊室へ入ってきた。

 

 

「お~来た来た、ハスミちゃん、今日からこの部隊に参加する事になった…」

「ドモン・カッシュだ、DGの追撃の依頼を受けてしばらく同行する事になった。」

「私はレイン・ミカムラ、ドモンのサポートメンバーよ。」

「お話は伺っています、ご迷惑をおかけしたようで…」

「ハスミだったわね、体調がすぐれなかったりしたら相談に乗るから気軽に声をかけてね。」

「レインは医者でもあるんだ。」

「はい、その時はお願いします。(やっぱりDGと直接接触した一人だからかな?」

「でね、ハスミちゃん。」

「はい?」

「アナタをコックピットから出すのにすっごく苦労したのよ?」

「へっ?」

「だって、触手に巻き付かれたあられもない姿だったのよ?」

「はい?(うわ…まさかの危ない薄い本ネタがぁ。」

「少尉、なっ何て事言うんですか!?」

「だって~滅多に出来ない体験じゃない?」

「…(いや、後に貴方もその餌食になるのですか。」

「大丈夫よ、ハスミちゃんはちゃんと乙女のままだから。」

「あ、はい…(意味は解りましたが、そこでそのネタ振りますか!?」

 

 

エクセレンのいつものネタ発言にブリットがツッコミを入れた。

 

周囲はノリに着いて行けず唖然としている。

 

呆れた表情でエクセレンを見た後、キョウスケ少尉が話しかけてきた。

 

 

「ハスミ、お前のガーリオンだが…」

「やはり、壊れてしまいましたか?」

「いや、修理は終わっているが…機体のスペックがお前に追いついていないらしい。」

「えっ?」

「専属のマーリン博士にも相談をして置いたが、元から改良を加えた方が今後運用するのに支障は無いだそうだ。」

「そんな事が、私にそんな高度な操縦技術を持っている訳じゃ…」

「日頃、お前が地道にシミュレーターで練習を重ねているのは皆が知っている。」

「それが徐々に実ったって話よ。」

「いえ、私は自分に出来る事をしているだけで…(でなきゃ即死でしょ、普通。」

「もう~お姉さん感動しちゃう~。」

 

 

本音を他所に謙虚な発言をしたのだが、エクセレン少尉に捕まり某龍玉のスケベな亀様の様な状況に陥ってしまった。

 

いつもの通り、呆れた表情でブリットが話をしていた。

 

「ふえっ!?」

「少尉、ハスミが窒息しますよ。」

「可愛い子はモフモフするに限るでしょ?」

「わふっ!?(く、くるしい。」

「兎に角、次の行き先であるトリントン基地でお前の機体は改修作業に入る、改修作業が終わるまではゲシュペンストmk-Ⅱに乗って貰う。」

「りょ、了解しました。」

「ゲシュペンストmk-Ⅱは地上での戦闘が主だ、ガーリオンとはモーションパターンや戦術が違ってくる、カイ少佐がシミュレーターでの講義してくれるそうだ。」

「カイ少佐が?(あーこれってまさか?」

「隊長はエルザム少佐やテンペスト少佐と共に前回のAnti・DCの戦力を調査中だ。」

「例のですね、たしかAnti・DCの戦力の他にジオン軍、見られない機体がありましたね。」

「ああ、以前にもアーガマ隊とSRXチームが遭遇した集団に酷似しているそうだ。」

「確かにMSとはちょっと違う感じはありましたね。(まだ決起の様子がないけど、きっとギガノス帝国と名乗りを上げる筈だ。」

「だが、機体に使用されていた素材は地球圏で採取される素材だった、この意味は解るな?」

「…察しました。」

 

 

確かに前回もAnti・DCはジオン公国軍と同盟を結んでいる事は連邦も知っている。

 

実際、地球に偵察程度でバッタやカトンボを放っている木連や個々出しで戦力を出撃させているギガノス帝国の事もある。

 

似たり寄ったりな異星人連合やDrヘルに恐竜帝国等の異形勢力は特機な彼らに任せるとしよう。

 

アクセルさんが出て来た以上、Aのシナリオも入って来ているだろうな。

 

ラミア・ラヴレスと敵対する可能性もあるけど、今はOGの状況だし。

 

まだ動きはないとは言え、ちょっと心配だな。

 

出来る事ならWシリーズの人達も救ってあげたい。

 

問題はあの緑ワカメがこっちの説得に乗るかだけど、場合によってはご本人単体システムXNでエンドレスフロンティア送りにしちゃおう。

 

ご趣味の闘争真っ盛りの世界だし、一石二鳥でしょう。

 

あれ、ちょっと待てよ?

 

Aのシナリオが入って来ていると言う事はそろそろあのドラグナーの三馬鹿トリオに接触する筈だよね?

 

また記憶持ちって訳じゃないと思うけど、何だかややこしいな。

 

まあ、傲慢な態度を取っていたら修正しよう。

 

その方が彼らにとっていい薬だろうし。

 

まったく『この世はさながら戦国』ですかね。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

アイドネウス島での事後処理を終えた後、私達はオーストラリアのシドニー基地を経由し内陸のトリントン基地へ向かう事となった。

 

二日程度の巡航である。

 

途中で敵部隊の交戦もあったが、新規参入したソウルゲインとシャイニングガンダムの敵ではなかった。

 

むしろ敵が可哀想な位の悲惨な迎撃を受けていたので。

 

水上メインの戦闘時はハガネの艦橋でライジングガンダムの射撃を見る事が出来た。

 

やはりレインさんの射撃の腕はいいが、接近戦では躊躇いが見られた。

 

今回は原作と違い、早期参入してくれたので時間は掛かるが腕を磨く経験は詰めると思う。

 

そして私自身に問題が起きていた。

 

DG細胞の感染だ。

 

感染の傾向は原作よりも遅いがそれも時間の問題だろう。

 

今の所、破壊衝動に飲まれる様な危険性は感じられない。

 

寧ろ静かな方だ。

 

そして次にDGに接触した場合どうなるか不明な所だ。

 

私は正気を保っていられるだろうか?

 

DGのDG細胞の感染の恐ろしさは画面越しや書籍、ゲームなどで理解している。

 

だからこそ私は立ち向かわなければならない。

 

解り合えずに何も知らずにただ復讐に囚われる人を見ているのは嫌だから。

 

 

******

 

 

「ハスミ、ちょっといいかしら?」

「はい、何でしょう?」

「お仕事中だったかしら?」

「いえ、丁度作業が終わった所だったので時間はありますよ。」

 

 

私は自室でカイ少佐へ提出予定のレポートの作成を行っていた。

 

ゲシュペンストmk-Ⅱのモーションパターンや戦術指南を受けた後、自分なりに戦う方法をレポートに纏めて提出と言われた為である。

 

ガーリオン・タイプTに装備されたストライク・アキュリスは取り外しが可能なのでゲシュペンストmk-Ⅱに装備された状態での戦法も含まれている。

 

予想していた通り、『究極ゲシュペンストキック』のモーションパターンの入ったOSを頂きました。

 

はい、今度叫んできます。

 

丁度作業を終えた所でレインさんが訪ねて来たのだ。

 

 

「調子はどう?」

「もうすっかり、クスハドリンクを飲んだせいかもしれません。」

「ああ、あのドリンクね。」

「はい、あのドリンクです。」

 

 

2人そろって遠い目で思い出しました。

 

私が病室から出られる様になり分隊室で団欒している時にクスハがクスハドリンクを携えて現れたのだ。

 

その場に居た三人から同情の視線を受けつつ飲み干しました。

 

文字通りで半日程、病室送りになりましたが現在は快調です。

 

 

「あのドリンクって不思議ね?」

「ええ、どう言う訳か味は兎も角…効力が凄まじいですからね。」

「ドモンやアクセルも飲んでいたけど、よく耐えたわね。」

 

 

そう言えば地獄を見て来たかの様な姿で二人とも青ざめていたな。

 

あれに耐えきれる人って結構少ないんだよね。

 

特例としてエルザム少佐他数名以外はね。

 

 

「大体は必ずと言っても倒れるのですが、中には無事な人もいるんです。」

「そ、そうなの。」

「一例としてエルザム少佐とか…」

 

 

普通は驚きますよね。

 

あのブクブクと泡立ってジャリジャリしててコッテリでドロドロの紫色のスライムみたいな飲み物を飲んで無事で居られる人って何でしょうかね。

 

 

「あの…それで本題の話とは?」

「ええ、貴方に伝えておきたい事があって…」

「はい。」

「実は前の戦闘での事なのだけど、何か変わった事は無い?」

「変わった事?」

「例えば今回の様に急に調子が良くなったり感覚が鋭くなったりとか?」

「体調は良くなりましたけど、他はどうかと言われると…」

「そう、ならいいのよ。」

 

 

恐らくDG細胞の研究結果が出たのかな?

 

相当ヤバい状況になってきているみたいだね。

 

 

「実はUGいえDGと呼称される様になったのだけど厄介な事が分かったの。」

「厄介な事?」

「ええ、UG細胞と呼ばれる環境再生システムなのだけどあれが誤作動を起こしてDG細胞に変異した事は知っているわね?」

「はい、先日レポートの方は目を通させて頂きました。」

「そのDG細胞に生物への感染の事例が出たの。」

「えっ、生物にですか?」

「実験用のマウスに回収されたDG細胞を投与した結果、凶暴性を発揮して周りにいた未感染のラット次々に襲って感染させてしまったの。」

 

 

やっぱり、原作と同じ結果になった訳か。

 

治療法が見つかっていないから実験用ネズミちゃん達は処分されちゃったんだろうな。

 

 

「もしも貴方にも感染の傾向が出始めたらすぐに教えて欲しいの。」

「私が直接DGに接触した人間の一人だからですか?」

「ええ、感染経路はまだ判明されていないけど直にDGと接触しているのなら考えられるとライゾウ小父様から通信が入ったの。」

「そうですか、あの…もしも私が感染したらどうなってしまうのですか?」

「一時的に隔離をお願いする事になるわ。」

「…(ですよね。」

「小父様の研究が進めば治療法が見つかるかもしれない、それがいつになるかは今後の研究次第なのだけど。」

「判りました、何か変化があれば相談します。」

「ええ、今の所感染の様子も無い様だから念の為と思って頂戴。」

「いえ、ご心配をお掛けして申し訳ないです。」

 

 

その後、レインは軽い検査をハスミに行った後に部屋を離れていった。

 

 

「…」

 

 

話すべきだったのかもしれない。

 

でも、話せる状況じゃない。

 

私は解り合いたいと願ったのだから。

 

 

******

 

 

その頃、ATXチームの分隊室の一室にて。

 

キョウスケ、アクセル、ドモンの三人がその場に集まっていた。

 

ゼンガー達は引き続きAnti・DCの戦力の調査。

 

エクセレンとブリットは偵察任務で不在、クスハはメディカルルームで仕事中、ハスミはレインとハスミの自室で話している最中であった。

 

 

 

「俺達の今の状況を話を纏めるとこう言う事になった。」

 

 

内容が長いので箇条書きで説明。

 

 

※この場に居る俺達は全員過去の記憶を持って復活?転生したらしい。

 

※差異はあるものの『あの戦い』を知っているのは俺とアクセルのみ。

 

※ドモンはとある世界で『調律された世界に現れた怨念を司る存在』に世界を破壊された記憶を最後に転生した。

 

※一例としてドモンが既に明鏡止水を会得している様に転生者は前回の能力を引き継いでいる。

 

※この世界は俺達が関わった複数の記憶にある様々な世界が入り混じり混濁した世界である。

 

※この時期に発生している筈の事件や死亡者の死亡が未然に防がれてしまっている。

 

※現時点で不明であるが新たな組織の存在と居る筈の無い存在が存在している事。

 

※少なくとも転生者は他にも存在する可能性がある事。

 

 

 

「要約するとこうなった訳だな、これがな。」

「ややこしいな。」

「それよりもお前達は何処まで記憶を持っている?」

「三度目位までなら覚えている。」

「俺も三度目だ。」

 

アクセルとキョウスケが転生の際に覚えていた転生前の記憶は三度までだった。

 

そしてドモンの方へ顔を向けると指折りで確認しているドモンの姿があった。

 

ドモンは申し訳なさそうに顔を背けるとボソリと呟いた。

 

 

「俺は十二度目位…かなり曖昧だが。」

 

「「!?」」

 

「何だ、その出鱈目な記憶量は!?」

「転生前の記憶を持つ者に差異があると言ったのはお前達だろう!」

「否定はしないが…」

「流石に多すぎだろう!」

「一番多い記憶が師匠と殴り合いしていた事ばかりだ。」

「あの爺さんか。」

「そんな事もあったな。」

 

 

ドモンの保持している記憶数にツッコミを入れるしかない二人。

 

二人の発言に正論を問うドモンであった。

 

ふと、キョウスケはある提案を思い出しドモンに話を進めた。

 

 

「ドモン、覚えている限りで良い…今からある人物達の名前を上げる。」

「名前だと?」

「今から話す人物に出会った事のある奴は居るか確認して欲しい。」

「分かった。」

 

 

キョウスケは転生前の世界で仲間であった存在達の名前を幾つか上げた。

 

そしてその幾つかにヒットしたのである。

 

 

「ラウルとフィオナ達、ヒューゴ、アクア、トーヤ、カルヴィナ、三人娘、リュウセイ達SRXチーム、キョウスケ、エクセレン、アクセル、ラミア、マサキ達と奴等と縁のある敵勢力も知っている。」

「他には?」

「この世界でまだ会った事は無いがイルム、リンの二人とゾヴォークのゲスト三将軍も転生前の何処かの世界で出遭った事がある。」

「そこまで関わりがあるとは…」

「出会った事があるとは言え、そちら側と若干情報が違う様だ。」

「そうだな、かなり差異がある。」

「兎に角、今後現れるだろう敵勢力の存在も知る事が出来たが…」

「問題はそれをどうするかだ。」

 

 

ドモンが知る転生前の記憶から数多くの戦いとそれに関わった勢力について情報を得る事が出来た。

 

差異がある記憶はトーヤが紫雲統夜と言う名前で呼ばれていたり、三人娘が純粋な地球人で幼少期よりフューリーに拉致された事、ラウル達が元々居た時代からデュミナスとの戦闘が原因で5年前の戦いに時間移動してしまった事、ヒューゴ達と戦ったAI1やリュウセイ達と共にゼ・バルマリィ帝国のユーゼスとラオデキヤ率いる第8艦隊と交戦した事が判明したのだ。

 

そしてキョウスケとアクセルの転生前の記憶に残るアインストとシャドウミラーとの戦いも覚えていたとの事だった。

 

 

「ざっくり話すとその位だ、お前達の知るインスペクターいやゾヴォークが今後こちら側に侵略を開始するのがいつ頃なのかは分からない。」

「そうだな、現状ではゼ・バルマリィのはぐれバルマーが侵攻してきているのは予想は着いているが…」

「今後の展開は俺達にも不明だ。」

「何分、俺達の知らない勢力もこの戦いに姿を現している様だからな。」

「いずれ現れる敵勢力の事もな…」

「一つ気になる事がある、ブルーロータスを知っているか?」

「ブルーロータス?」

「例の神出鬼没のハッカーの事か?」

「ああ、俺はあのブルーロータスに情報を貰いUGいやDGの誕生に遭遇した。」

「やはり、ドモンお前もか…」

「キョウスケ、どういう事だ?」

「ブルーロータス、経歴は不明、神出鬼没の凄腕ハッカーもしくは情報屋と呼ばれている存在だ。」

「そんな奴が存在していたのか?」

「その情報収集能力を手に入れようとしてブルーロータスの正体に近づくものはその名の通り破滅する。」

「破滅だと?」

「レインに聞いてみたが蒼い睡蓮の花言葉は『滅亡』を意味するらしい。」

「なるほどな、だからブルーロータス(破滅を意味する蒼睡蓮)か。」

「情報も使い方次第では身を滅ぼすと言う事だ。」

「現にゴースト小隊にアラド達スクールのメンバーや他の実験体が捕らえられている実験施設の情報を流した位だ。」

「奴らを?」

「どうも、何かしらの条件で協力している様だ。」

「キョウスケ、アクセル…少しいいか?」

「どうした?」

「俺の他にブルーロータスと直接接触した事がある奴が居る。」

 

 

ドモンの驚愕発言に再び驚く二人。

 

 

「何だと!?」

「誰だ…そいつは?」

「キョウスケお前なら知っている筈だ、ロム・ストールの名を。」

「ロムが!?地球圏に来ていたのか?」

「ああ、俺がギアナ高地で修業をしている時に再会した。」

「もしや記憶を持っていたのか?」

「転生前の記憶で覚えていたのはお前と同じく三度程度、地球圏に向かったのもそれが最良と考えた末だったらしい。」

「今は何処に?」

「縁あって、とある財閥の家に厄介になっていると話していた。」

「まさか破嵐財閥か?」

「いや、そこまでは…家主との約束で教えて貰えなかった。」

「おい、二人だけで話を進めるな。」

「すまん…」

 

蚊帳の外にされかかっていたアクセルの発言にドモンは転生前の世界でのかつての仲間であり異星人であるロム・ストールの事を話した。

 

 

「成程な、で…そのロムが接触したブルーロータスとはどんな奴だった?」

「外見は白いローブに睡蓮の絵を入れた仮面を付けていたらしく性別も不明だったそうだ。」

「だろうな…」

「ロムも人としての気配を感じ取れなかったと話していた、恐らくアンドロイドか何かで遠隔操作していたかもしれないと…」

「余程の秘密主義か、奴は何故ロムに接触を図った?」

「地球圏外の外宇宙の情勢を知る為と言っていた。」

「外宇宙でも拙い事になっているのか?」

「拙い所の騒ぎじゃない、下手をすれば地球圏を侵略されかねん勢いだぞ…!」

「!?」

「さっき話したゼ・バルマリィ帝国の他にゾヴォーク、ズール・ムゲの星間連合、バッフ・クランの四大勢力による抗争、ゼントラーディの巨人軍に宇宙怪獣、地球圏に接触していないがアインスト、ガルファにラダム、イバリューダーが無作為に行動しているらしい。」

「聞き慣れん勢力もあるが、かなりの脅威である事は判る。」

「他は兎も角、俺はゼントラーディの巨人軍とイバリューダーについては何も知らない。」

「俺は主に後半部分から既に解からん。」

「とりあえず俺達が気をつけるべきは地球圏に飛来している勢力並びに反勢力だな。」

「そうだな、以前コソコソとしているが木連やギガノスの行動も放って置けば厄介な事になる。」

「ああ。」

 

 

行動すればするほど、変化があればあるほど抱え込む厄介事は増えるばかりである。

 

やはりこの世界は何かがおかしいと思う三人であった。

 

 

「俺はその場に居なかったがドモン、アクセル、DGの誕生現場に居合わせていたな?」

 

 

キョウスケは先の戦闘で起こったDGの誕生現場の件について聞こうとした。

 

 

「…何があった?」

「前と同じ様にウルベの奴が外部の協力者を募ってDGの格納庫に爆発物を仕掛けていた。」

 

 

UG稼働実験の最中、突然起こった爆発から父さん達を護るのが精一杯だった。

 

そしてその爆発が原因でUGのUG細胞に誤作動が起きてDGへと変貌してしまった。

 

そしてそれを期にウルベは父さん達を反逆者としてDGを接収しようと現れた。

 

だが、ウルベを追っていた国際警察機構の村雨が現れた。

 

村雨とウルベに脅されていたものの内部告発をしたミカムラ博士の話でウルベのAnti・DCとの密約があった事が判明し、軍上層部の権限でウルベの権限を凍結並びに逮捕する筈だった。

 

所がAnti・DCに協力していた木連の北辰によって奴はまんまと逃げ果せてしまった。

 

俺とアクセルは奴らの伏兵から父さん達を護るのに精いっぱいだった。

 

そしてDGを止めようとした兄さんがDGに取り込まれてしまい取り逃がしてしまった。

 

真実を告発したミカムラ博士は父さんを庇ってウルベに撃たれてしまい今も治療中だ。

 

 

「それが全てだ。」

「…」

「俺ももう少し助力出来れば良かったが…すまん。」

「いや、兄さんは死んだ訳じゃない…今度DGを見つけて取り戻して見せる。」

 

 

ドモンは全てを話し終えた後、必ず兄を救うと心に決めた。

 

 

「しかし、木連までAnti・DCに協力していたとはな。」

「烏合の衆って奴だろう。」

 

 

木連の出現に少し不安な面を語る二人。

 

 

「この場に居ないが村雨の奴には感謝しきれない、ミカムラ博士も…俺は必ずウルベの奴を仕留める。」

「協力するぞ、ドモン。」

「乗り掛かった舟だ、これがな。」

「キョウスケ、アクセル…すまない。」

「とりあえず、俺達がすべき事はどうするか?」

「これまで通り戦い…その最中で俺達と同じ様に転生の記憶を持つ者達を探す事だ。」

「そうだな。」

 

 

この場の三人が決めた決意はいずれ未来を変える礎となるだろう。

 

 

=続=




月夜の下で白き忍者は忍びなれど忍ばない。

そして折り鶴に従えられた獅子、鳳凰、青竜、巫女はそれに続く。

そして睡蓮は紡がれた外伝の奇跡を目の当たりにする。

次回、幻影のエトランゼ・第四話『月下《ツキノシタ》』。

満月の空で紡いだ軌跡は真の奇跡。


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第四話 『月下《ツキノシタ》』

月夜の下で忍が飛び交う。

時過ぎれば火の海と化す街並み。

守るべく鋼鉄と黒鉄は進む。

そして更なる出会い。

荒ぶる竜の騎兵隊。

奇跡の象徴は雨ノ百合と鬼灯。

睡蓮は亡霊の必殺技を披露する。




その航路がオーストラリア近海へと近づきつつあったハガネとクロガネ。

 

その時、謎の集団の戦闘を目撃する。

 

このまま戦闘が続けば目的地のシドニーにも多大な被害が及ぶ。

 

各部隊に迎撃の任が下ったのである。

 

 

「アサルト0並びに4、6発進どうぞ。」

 

 

特機用のカタパルトでオペレーターの通信が入り順に発進する。

 

 

「グルンガスト零式、参るぞ!」

「アサルト4、行きます。」

「とっとと終わらせるぞ、アサルト6出る!」

 

 

こちらのPT用のカタパルトでも発進準備を進めていた。

 

 

「アサルト1発進どうぞ、順に2、3、5、シャイニングガンダム、ライジングガンダム、発進どうぞ。」

 

 

発進口が開閉しその先には月夜の空と海が広がる。

 

 

「アサルト1了解、出るぞ。」

「はいは~い、じゃ行ってきます♪」

「アサルト3、出撃します!」

「アサルト5、ゲシュペンストmk-Ⅱ出ます。」

「レイン、遅れるなよ。」

「ええ!」

 

 

ATXチームが発進した後、続けてゴースト隊が発進した。

 

今回は戦艦の警護の為に後衛に当たっている。

 

 

「ハスミ、mk-Ⅱの乗り心地はどうだ?」

「悪くありません。」

「俺の組んだ戦闘OS、無駄にはならない筈だ。」

「はい、有効に使わせて頂きます。」

「ハスミ。」

「テンペスト少佐、何でしょうか?」

「無茶はするな。」

「了解です。」

 

 

戦闘海域に向かう途中でゴースト1より通信が入り、応対した。

 

やはり『究極ゲシュペンストキック』を使わざる負えないらしい。

 

そして人数調整の関係でゴースト隊に編入したテンペスト少佐から心配されてしまった。

 

前の事を根に持っていた様だ。

 

通信の周波数を変えてお義父さんだけに通信を行った。

 

 

「お義父さん、必ず帰ります。」

「分かった。」

 

 

私は通信を切ると部隊と合流し戦闘海域に向かった。

 

 

******

 

 

ATXチーム並びに各部隊が戦闘海域に向かっている最中の事。

 

そこでは折り鶴に似た戦艦と5機の人型機動兵器が横浜の事件で出現した赤い忍者に襲撃されていた。

 

なお、この赤い忍者の正式名称であるバンクスである。

 

しかし現時点では不明の為、連邦からは『レッドアサシン』と呼称されていた。

 

 

 

「ちっ、地球に帰って来たと思ったら奴らと鉢合せしちまうとは!?」

「兄貴、どうするんだ?」

「やるしかねえ、そもそもローニンの知り合いがいるって言う極東支部まで無事にたどり着けるとは思っては無かったしな。」

「ちょっと、ジョウ、マイク、二人ともグダグダ言っている場合じゃないわよ。」

「ごめんなさい、私のせいで…」

「カレンのせいじゃないわ、アイツらだって偶然私達を狙って来た様なものだもの。」

「そうだ、来るなら俺達で奴らを倒すだけだ。」

「レニー、ダミアン…ありがとう。」

 

 

白い忍者型の機体からジョウ、青い竜型の機体からマイク、飛行型の赤い機体にレニー、黄色い獅子型の機体のダミアン、薄水色の人型の機体のカレンがそれぞれ通信で話していた。

 

彼らは火星へ移民した移民団だったが、折り鶴型の戦艦エルシャンクが降り立った事から全てが変わったのだ。

 

エルシャンクを追ってザールとムゲの星間連合に組み込まれたザ・ブーム軍が追撃してきたのである。

 

その場に立ち会ったジョウ達はエルシャンク一行に協力し火星から地球へと脱出してきたのである。

 

現在、火星はザ・ブーム軍、メガノイド、木星トカゲとの三つ巴戦に移行している。

 

火星侵攻の一端を担ったハザードであるが蒼い睡蓮の仲間である『地獄』のコードネームを持つエージェント達によって謀殺されたとの事である。

 

その様子を確認したローニンは彼らよりハザードの裏帳簿並びに悪行の数々を記した記録媒体を渡された。

そしてエージェントの一人が『奴は火星侵攻の罪を償う為に自決した。』と上層部に伝えろと言い残して去って行ったのだ。

 

ローニンは説明された通りの指示を行い、その後の上層部の指示で民間人をマーズクレイドルへ避難させ籠城する事を決めた。

 

現在も火星で敵勢力への抵抗を続けているそうだ。

 

ちなみに彼が何故『地獄』と名乗った者達の指示を受けたかと言うと常識が通じる相手ではないと悟った為でもある。

 

そして地球への逃避行の間にハザードの政策に意を反したレジスタンスの出であるダミアンと元敵側の刺客だったカレンも加わっていたのである。

 

そしてジョウは飛影の操縦者に選ばれ、戦力上申し分ない力を手に入れた一行だったが爪が甘かったせいで他勢力の追撃を受けた上にザ・ブーム軍の偵察部隊に発見されてしまったのだった。

 

 

「姫さん、ここは俺達が何とかする。」

「その隙にここから逃げてください。」

「いえ、皆さんが戦っているのに私達だけで逃げる訳には行きません。」

「姫様…」

「私も戦います、そうでなくては火星に残してきてしまったローニンさん達に顔向けができません!」

 

 

ロミナ姫の意思は固く、曲げられるものではないと悟ったジョウ達はそのまま戦闘に参加してもらう事に決めた。

 

 

「分かったぜ、姫さん力を貸してくれ!」

「ええ、ガメラン、シャフ、このまま戦闘準備を!」

「はっ!」

「判りました。」

 

 

エルシャンクも戦闘態勢に入りザ・ブーム軍の偵察部隊と戦闘に入る直前だった。

 

この戦闘海域に乱入する機影が存在した。

 

 

「こちら地球連邦軍極東方面伊豆基地所属戦艦ハガネ、貴殿の所属を述べて貰いたい。」

「こちらはエルシャンク、私達はシェーマ星系ラドリオ星より亡命してきました。」

「エルシャンク…?」

「艦長、照会が取れました。」

「上層部からの要請で保護の指示があります。」

「分かった。」

 

 

通信で互いの紹介を終えた後、エルシャンクは連邦軍上層部からの指示で保護の任が下された。

オペレーターのエイタとアズキの照会でダイテツ艦長はエルシャンクの代表者に会話を続けた。 

 

 

「こちら戦艦ハガネ、艦長のダイテツ・ミナセです。」

「私はロミナ・ラドリオ、ラドリオ星のラドリオ王家の者です。」

「では、ロミナ姫でよろしいか?」

「はい、ダイテツ艦長。」

「火星開拓基地からの照会で上層部より貴方方の保護を任命されました。」

「では…」

「まずは周囲の敵を一掃してからとしましょう。」

「判りました、こちらも微力ながら協力致します。」

 

 

二つの戦艦の通信が終了しこの戦闘を終わらせる為に行動開始となった。

 

 

「アサルト0より各機へ、これよりエルシャンク所属の特機と共に戦艦エルシャンクの護衛並びに敵の掃討を行う。」

「アサルト1了解。(ここでジョウ達に出遭うとはな。」

「OKよ、ボス。」

「アサルト3了解です。」

「アサルト4了解しました。」

「アサルト5了解。(物語が加速し過ぎてる、このままだと最悪の結果になりそう。」

「了解した。(あれがエルシャンクか、まるで折り鶴だな。」

 

 

ATXチームはゼンガーの号令と共に合意の声をかける中で前回の記憶を持つ者達はそれぞれの思惑を過らせていた。

 

 

「レイン、お前はハガネの艦橋で援護頼む。」

「分かったわ、ドモンも無理をしないで。」

「すまない。(DGの気配はなさそうだ、今はザ・ブームの雑魚を片付けるか。」

 

 

ドモンとレインの二人も互いに鼓舞していた。

 

 

「…」

「ちょっと忍、どうしたんだい?」

「いや、何でもねえ。(あいつら何処かで?」

「忍がボーっとするなんて珍しいね。」

「明日は槍の雨が降るか?」

「お前ら…俺を何だと思っているんだ!」

「そうそう、いつも通りシャキッとしとくれよ!」

「ああ!!」

 

 

忍もまた仲間に叱咤され戦闘態勢に入った。

 

互いに軽い挨拶をしザ・ブーム軍と見慣れない機体(ムゲ・ゾルバトス帝国製の戦闘メカ)が混合する偵察部隊を相手に私達は戦闘を開始した。

 

 

「わぉ、さすが忍者って所かしら?」

「少尉、ふざけている場合じゃないですよ?」

「いいじゃない、これだけ大盤振る舞いの部隊で攻めてるんだし。」

 

 

正直に言えば戦力として申し分ない状況だ。

 

何せ前回の記憶を所持しているキョウスケ少尉、アクセルさん、ドモンさん、おそらくジョウがいる以上、この戦線を崩す事は不可能だろう。

 

旧戦技教導隊であるゼンガー隊長、エルザム少佐、カイ少佐、お義父さんことテンペスト少佐まで揃っているのだから。

 

今は敵の数を減らす事に専念しよう。

 

 

「あらら~また増援?」

「どうしたんでしょうか?」

「よほど、彼らを俺達と接触させたくないのかもしれん。」

「ややこしい、これがな。」

 

 

しばらく戦闘を続けているとここを嗅ぎつけたのか敵の増援部隊が現れたのだ。

 

更に増えた敵機の数にこちらも少し延長戦を強いられる事になりそうだ。

 

その時だった。

 

 

「こちら、トリントン基地所属アルビオン隊、応答を願う。」

「こちらは伊豆基地所属ハガネ、どうぞ。」

「コーウェン司令の命により貴君らの救援に入る、指示はそちらに従う。」

「救援感謝する。」

 

 

ハガネにアルビオン隊からの通信が入り、救援に来たと説明を受けた。

 

戦闘の指揮権はハガネになった為、ダイテツ艦長は各機に命令を下した。

 

 

「これよりアルビオン隊と連携し敵の殲滅を継続する。」

 

 

近くの小島付近に到着したアルビオン隊のメンバー。

 

GPシリーズの二機のガンダム、ジムカスタム、ジムキャノンⅡ、そしてドラグナーの三機であった。

 

 

「ヒヨッコども、訓練通りにやれ。」

「了解です、バニング大尉。」

「少佐は後方から援護を願います。」

「了解した。」

「ケーン、お前達は敵の攪乱を頼む。」

「了解。」

 

 

ありゃりゃ、アカシックレコードの予告通りかなり編成が変わってるな。

 

少佐の件は後で説明するとして三馬鹿の機体はまだカスタムではない。

 

無茶をしなきゃいいけど。

 

 

******

 

 

敵の増援もあったが味方の増援もあり、こちらの優勢で敵機の姿が見えなくなった頃だろうか。

 

バンクスの一体がエルシャンクの装甲の影に潜んでおり、期を見たのかエルシャンクのブリッジを狙って行動したのだ。

 

既にエルシャンクから離れすぎてしまったジョウ達では間に合わない状況である。

 

 

「姫さん!?」

「やらせはしない!」

 

 

コックピットのディスプレイに『ULTIMATE・GESPENST・KICK』と表示され続けて『SHOUT・NOW!!』と表示された。

 

ゲシュペンストmk-Ⅱを飛翔させ空中でバランスを取った後、こう叫んだ。

 

 

「究極!ゲシュペンストォォォ!!キィィック!!!!」

 

 

ゲシュペンストmk-Ⅱの重量とブーストを利用し落下の速度もプラスされたキックがバンクスを狙う。

エルシャンクを狙っていた一体のバンクスに強烈な足蹴りが決まりそのまま爆発四散する。

 

 

「永久に…地の底を這いずり回れ。」

 

 

うん、INのキョウスケ少尉をイメージしてみた。

 

そのままゲシュペンストmk-Ⅱの体制を立て直し、次の行動に移った。

 

 

 

「あららん?ハスミちゃん、やるじゃない。」

「言わないでください、恥ずかしいです///」

「そう?結構ノリノリだったけど?」

「忘れてください…!(改めて思い出すと恥ずかしい。」

「どうしようっかな?」

 

 

貴方には絶対に言われると思いましたよ。

 

はあ、後で何て言われるだろう。

 

泣けてきた。

 

 

「その辺にして置け。」

「あらん、キョウスケ~私はハスミちゃんのお叫び羞恥プレイを褒めてるのよ?」

「それは褒めているに入っていない。」

「ん、もう。」

「ハスミ、その技を使うなら羞恥心を捨てろ。」

「りょ、了解です。(ですよね。」

「あら?ハスミちゃん。」

「はい?」

「左の眼が赤くなっているけど?」

「えっ?」

「もしかして泣いちゃった?」

「いえ、さっき前髪が眼に当たっちゃったので。」

「そう、もしだったらヘルメットちゃんと被っておきなさいな?」

「そうですね、そうします。」

「…」

 

 

もしかして感染が進行した?

 

確かに原作でもDG細胞は精神の不調で進行の有無が決まっていた。

 

いや、今は戦闘に集中しないと。

 

 

「っ!?」

 

 

油断していたとは言え海中から突如現れたバグスの攻撃を喰らってしまったのだ。

 

 

「ハスミちゃん!?」

「新手か!」

「ハスミちゃん、大丈夫!?」

「だ、大丈夫です。」

 

 

その時だった。

 

 

 

ーユルサナイー

 

 

 

「!?」

 

 

 

ーモウスグー

 

 

 

「…(この声は!?」

 

 

 

ーアエルー

 

 

ーワタシモー

 

 

ーアナタニアイタイー

 

 

ーワタシヲマモッテー

 

 

 

「ぁ……(声が聞こえる?」

 

 

 

ーダカラー

 

 

ーソマッテー

 

 

ーワタシノイロニー

 

 

ーハスミハー

 

 

ーワタシガマモルカラー

 

 

 

「私は…(貴方をマモル。」

「ハスミちゃん?」

「!?」

 

 

キョウスケが通信画面越しで見たハスミの姿は異常であった。

 

普段の深い蒼をした瞳のハイライトは無く澱んでおり、相対して左眼は紅く染まっていた。

 

そして無言のまま敵陣営に突撃し戦場をかき乱した。

 

装備されたストライク・アキュリスを展開し敵をかく乱しその隙をついてメガ・ビームライフルで撃ち落とし、プラズマ・ステークで殴りつける。

 

所謂バーサーカー状態である。

 

 

 

「ど、どうしちゃったの?」

「兎に角、ハスミを止めるぞ!(あれではまるで…!」

 

 

 

その後、無事に戻された私は隊長の話で私の様子がおかしくなったと聞いた。

 

ストッパーが外れたかの様に突如現れたバグスの集団を完膚無きなまでに仕留めたらしい。

 

クスリと笑う姿は狂気の沙汰としか言えなかったとの事。

 

キョウスケ少尉やクスハ達が必死に呼びかけて味方に被害が及ぶと言う凶行は無く事無きを得た。

 

医者の話では被弾した衝撃で破損したT-LINKシステムが幼少期に受けた虐待を起因として一時的に相手を倒す事で自身を護ると言う思考に染まっていた可能性があると説明を受けた。

 

私はそう言う事にして置く事にした。

 

その後、新たに仲間に加わったエルシャンク一行、トリントン基地所属組、ドラグナーの三馬鹿トリオと交流を深める事にした。

 

毎度の事ながら皆がクスハドリンクの洗礼を受けていたがウラキ少尉とガトー少佐は見事に逃げました。

 

前回の記憶があるからって逃げるとは情けない。

 

気持ちは理解しますが。

 

一緒に同行していたリンダとローズから私が隠れて執筆している作品のファンだった事が嬉しかった。

 

ライトノベル専門雑誌であるファンタジア掲載の「賞金稼ぎと桜月の姫君」の続きが気になる筝だ。

 

丸河書店の出版社には軍属になってから執筆が出来ない時、纏めて完成した原稿を送って置いて小出しで掲載して貰っていた。

 

一気読みしたいのは判るがそれだと面白味が無くなってしまう。

 

残念だがそのスタンスは崩せない。

 

二人ともごめんね。

 

その後、私は自室に戻って行った。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

「やっぱり感染が進行している。」

 

 

自室で制服の袖を捲ると銀色の六角形の部分が増え始めていた。

 

確か原作では腕を一回りする位の感染が進むと徐々に自我が曖昧になっていたのを思い出した。

 

 

「まだ時間はあると思うけど、悠長している訳にはいかないよね。」

 

 

そう、DGとの再会が近い事をアカシックレコードから警告を受けていた。

 

ただでさえトリントン基地で例の存在達が現れる事を警告されていたばかりなのに。

 

物語は余りにもねじ曲がりそして変異しつつあるのだろう。

 

その予兆としてジャブロールートへ進んだアーガマ隊がバイストンウェルに飛ばされてしまった事をアカシックレコードから伝えられた。

 

極東残留ルートのヒリュウ隊もややこしい事に鉄甲龍の風のランスターと交戦したらしい。

 

ゼオライマーはまだラストガーディアンの基地に眠り続けているのでまだMXの流れが入って来ている訳ではないらしい。

 

 

「…(そろそろ本格的に蒼い睡蓮に情報を渡して動いてもらった方がよさそうだな。」

 

 

私は銀色に染まる事を予期し事を始める事にした。

 

全ては救済の為に。

 

 

=続=

 




血の繋がらない義親子の会話。

それは別道を行く先の仲間達の軌道。

陰で動く者達の雄姿と思惑は何を感じるのか?

次回、幻影のエトランゼ・第四.五話『会話《トーク》』

心の底より盛大に笑みを浮かべよ。


《今回の登場人物》

<エルシャンク>

※ジョウ・マヤ
飛影のパイロット、今回の件で逆行している事が判明。
しかし、一部の記憶が蘇っておらず曖昧な所があるがカレンの一件は覚えていた。

※レニー・アイ
鳳雷鷹のパイロット、ジョウの事を好いている。
ロミナとはライバル関係にある。

※マイク・コイル
爆竜のパイロット、ジョウを兄貴と慕う。

※ダミアン
黒獅子のパイロット、カレンとは恋人同士。

※カレン
シャーマンのパイロット、元ザ・ブーム軍のくのいち部隊だったが彼らのやり方に反しこちら側に投降、反旗を翻した。
ダミアンとは恋人同士である。

※ロミナ・ラドリオ
ザール、ムゲの星間連合によって隷星となったラドリオ星のプリンセス。
エルシャンクの艦長を務める。
ジョウに対して一途な思いを馳せている。
既にジョウから地球での忍者の事情を聞いており理解している。
連邦軍に保護を求め、VIP扱いとなっている。


<トリントン基地所属>

※コウ・ウラキ
トリントン基地所属のテストパイロットだったがアルビオン隊に転属。
本編開始前の2年前に逆行した。
今回は同じ様に逆行を果たしたガトーと意気投合している。
逆行の影響で過去の操縦技術を披露した為、GPシリーズ01のテストパイロットを務める。
ストレスが溜まると嫌いだった筈のボイルした塩ゆでニンジンをドガ喰いするなど原作とは真逆の状況にある。

※アナベル・ガトー
内部抗争によりジオン公国より亡命、現在は客将扱い。
コウと同じく本編開始前の2年前に逆行を果たした。
ザビ家暗殺の汚名を着せられたデラーズの護衛に当たっていたが本人からの指示でアルビオン隊に協力する事となった。
アルビオンで地球に降下する際に追撃してきた部隊から艦を守る為にGPシリーズ02を駆って死守しそのまま機体のテストパイロットとして搭乗する。
「ソロモンの悪夢」の異名は錆付いていない模様。

※サウス・バニング
アルビオン隊に配属になった不死身の四小隊の一人。
乗機はジムカスタム。

※チャック・キース
コウと同じくテストパイロットを務める。
乗機はジムキャノンⅡ。


<ドラグナー隊>

※ケーン・ワカバ
戦艦アルビオンと共に地球に帰還した元アストロノーツアカデミー生。
成り行きでドラグナー1型のパイロットになる。
元はリーゼントだったがバッサリ切られた。
現在は『A』の時と同様、他二名と共にバニングの元でスパルタ訓練を受けている。

※タップ・オセアノ
ケーンと同じアカデミー生。
成り行きでドラグナー2型のパイロットになる。

※ライト・ニューマン
ケーンと同じアカデミー生。
成り行きでドラグナー3型のパイロットになる。
戦闘後にクスハにナンパを仕掛けるもクスハドリンクの洗礼を受ける羽目になる。


<クロガネ・トロンべ隊>

※藤原忍
獣戦機隊の一人、ダンクーガのメインパイロットを務める。
うろ覚えな『虚憶』の関係で以前よりも落ち着いている。


<ハガネ・ATXチーム>

※キョウスケ・ナンブ
逆行の記憶を持った仲間が増えた為、前より計画していた転生の記憶を持つ仲間集めを進める。
ハスミがDG細胞に感染している事にドモンやアクセルと共に薄々気が付いている。

※クスハ・ミズハ
ATXチーム所属、アサルト4。
仲間入りしたメンバー達にクスハドリンクを披露し悪夢の根源の一端を担う。
記憶を持っているコウとガトーは颯爽と避難した為、事無きを得る。

※ハスミ・クジョウ
ATXチーム所属、アサルト5。
今回の戦闘でDG細胞の汚染が進行。
100%中20%に上がり、感情の高ぶりで左眼が紅く輝く様になってしまっている。
傾向としてDGの声をダイレクトに聞こえるまでに侵食が進んでいる。
また『究極・ゲシュペンストキック』を披露した結果、スーパー系か?と誤解されてしまう始末である。
またケーン達の仲間であるリンダとローズから白野睡蓮著の書籍のファンであると聞かされる。

<???>

※地獄
ブルーロータスの仲間、ハザードの悪行を阻止する為に派遣された。
彼に協力する者達は全て鎮圧され生き残っている者は居ない。
ローニンによると二人組で刀と拳銃を所持していた模様。
互いに第6の悪魔、第4の堕天使と名乗っていた。


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第四.五話 『会話《トーク》』

物語は加速し止める事はない。

ならばその流れに乗って突き進もう。

これは一時の珈琲時間。

現れる影の人々。

それは未来への軌道へと繋がる。




私達はシドニー基地を経由しアルビオン隊の案内でトリントン基地へ到着した。

エルシャンクは上層部から命令でそのままハガネ、クロガネ両艦が護衛。

アルビオン隊の母艦である戦艦アルビオンはシドニー基地で修理中のままだった。

地球へ降下する際の敵勢力の追撃で未だ修復が終了しないのである。

アルビオン隊、ドラグナー三馬鹿トリオはエルシャンク共々ハガネとクロガネ預かりとなったのである。

 

 

******

 

 

「ハスミ、お前が予言した通りの事が起こった。」

「そうですか…」

「以前宇宙は今だ停滞を保っているが地球内部はかなりの混乱に陥っている。」

「それに関しましては順に説明しますが宜しいですか?」

「任せる。」

 

 

前回の戦闘から翌日、テンペストはハスミの自室でコーヒーを啜りながら今後の事に着いてハスミと話し合いを行っていた。

 

今回は飲みやすいアメリカンである。

 

普段は紅茶やハーブティを嗜むが義父の嗜好に合わせてコーヒーを付き合う事もある。

 

 

 

「お義父さん、予定通りに一か月後にマクロスの出港式典が行われます。」

「以前から話していた例の事件だったな。」

「はい、蒼い睡蓮にも情報を回して置いたので近々大規模な部隊編成が行われると思います。」

「承知している。」

 

 

トリントン基地での一件が終わった後、伊豆基地に戻れば新たに仲間に加わった人達と交流があるだろう。

 

しばらくは共に行動するが、マクロスの一件で宇宙に飛ばされるので地上になるべく戦力を残して置く算段にしたのだ。

 

パワーバランスが取れれば地上に残存する敵勢力の鎮圧も出来る。

 

宇宙に移動した場合は協力関係になるだろう新たな仲間との出逢いを含めて漁夫の利を得ようと思っている。

 

だが、余りにもやり過ぎると無限力からの横槍が入る可能性があるのでマクロスの転移は止めて置かない事にしたのだ。

 

変異しすぎた物語にそれは必要ないと思うが念の為である。

 

ちなみに私達が宇宙ルートへ行く事はアカシックレコードで確定済みです。

 

 

「ハスミ。」

「何でしょうか?」

「お前の身体の事だが…」

 

 

私はコーヒーの入ったマグカップをテーブルに置くと感染が広がりつつある左腕を摩った。

 

 

「このまま感染が進めば…私はいずれ戦う為だけの傀儡となります。」

「ハスミ、やはりレイン君に…!」

「これは自分で決めた事です、必ず説得して戻ってきます。」

 

 

ハスミの決意は固いとその表情で判断したテンペストは内心心配しつつも送り出す事を決めた。

 

保護者としてどうかと思うが義娘の決意を崩すのは容易ではないと悟ったのもある。

 

 

「…分かった、それまでの『庭園』の行動は私の方で調節して於こう。」

「よろしくお願いします。」

 

 

エルシャンク防衛の一件で私は一度DGの破壊衝動に飲まれた。

 

仲間に被害が及ばなかったがそれでも私の失態に変わりはない。

 

DGの声が聞こえる様になったのもその後だった。

 

どうしていいのかわからないまま怖がっている子供の声だった。

 

誰もが皆同じものになれば怖くないとそう自分自身に言い聞かせていた。

 

それでは何の意味も持たない。

 

だから言葉を掛けて挙げなければならない。

 

 

「では、少佐…本題に入りましょう。」

「そうだな。」

 

 

アカシックレコードによってもたらされたジャブロールート、極東ルートへ向かった仲間達の動向を説明します。

 

まずジャブロールートより。

 

ジャブローに向けて出港したアーガマであったが、太平洋上にて突如発生した現象によりバイストンウェルへと転移してしまった。

 

そこで出会ったショウ・ザマと言う青年の話ではバイストンウェルは異世界であり、地球における海と大地の狭間にあると説明を受けた。

 

俗に言う伝承などで語られる『死後の世界』に近い世界らしい。

 

そこではアの国のドレイク・ルフトが地上から招いたロボット工学の権威の一人、ショット・ウェポンの手で完成したオーラマシンを利用しバイストンウェルの制圧を進めており、いずれ地上にその戦火を広げると話していた。

 

αと衝撃、UXを入り交ぜた状態にあるらしい。

 

彼の伝手からラの国の王女、シーラ・ラパーナとラウの国の女王、エレ・ハンムの協力を得る事で一行は一先ず地上に戻る事が出来たがアの国のオーラバトラーまでも巻き込む事態となってしまったのだ。

 

降り立ったのがアメリカのボストン。

 

流石に故郷を火の海に出来ないとドレイクに与していたトッドはショウ達の仲間に加わったのだ。

 

何とかドレイク軍を撤退させる事に成功した一行は目的地のジャブローへ向かった。

 

その後、アーガマ隊はバイストンウェルで数か月過ごしたらしいがこちらでは三日間のMIAだったらしい。

 

その為、大したお咎めは無かったそうな。

 

気になるのはバイストンウェルで数か月過ごした彼らの体内時間は行方不明期間と同じく三日間しか変動がなかった事だ。

 

あの浦島効果はどこ行ったー?

 

また無限力の陰謀ですかねー?

 

ジャブローへ到着した一行は現地で戦闘を続けるジオン公国軍の部隊の鎮圧並びに取り逃がしたドレイク軍の捜索に当たった。

 

例の如くガンダム界のロミジュリ騒動は何とか収まり、お付きの人も色々あって投降。

 

やはり、ジャブローへの侵攻を進めていたジオン公国軍内部でも疑心暗鬼か続いており、彼らに協力しているAnti・DCや例の機体ことメタルアーマー(MA)を中心とした勢力の正体が判明した。

 

その名はギガノス帝国。

 

そのギガノス帝国とAnti・DCが裏で何やら行動を起こしているらしく、今だ公の場に姿を見せないザビ家が暗殺されたと言う情報はより確実になっているとの事だ。

 

そしてダカールへと巡航中にリクセント公国から脱出して来たシャイン・ハウゼン王女を保護した。

 

どうやら正体不明の勢力(OZ)に公国が侵略されてしまい、お付きのジョイス、同国のパイロットであるルーメン4、偶々リクセントへ来訪していたジョルジュ・ド・サンドの尽力をへて囚われの身になる事だけは避けられたとの事だった。

 

もちろん、一度敵勢力に捕まったが王子様の如くライディース・F・ブランシュタインによって救われたとの事。

 

うん、その時のシャイン王女の心情は察しました。

 

そのまま王女共々同乗しダカールへと巡航を続けた。

 

道中でカサレリアのリガ・ミリティアに接触し協力を得られたのも幸いだったのかもしれない。

 

そしてダカール到着後は連邦基地内で内部抗争の真っただ中だった。

 

偶然にも左遷させておいた膿共が原因だったらしい。

 

しかし蒼い睡蓮の情報で手助けにやって来た『宇宙の始末屋』と呼ばれる者達の手によって首謀者達は捕らえられた。

 

彼らによってもたらされた首謀者達の悪行の数々が暴露された後、軍法会議にかけられるとの事だった。

 

外見が海〇主な人と髪型が某野菜人の様な人、しっかりお勤めしてきてください。

 

ちなみに彼らと内通していたと思われるAnti・DCの部隊が襲撃を掛けて来たがアーガマ隊によって返り討ちになりました。

 

エルピスに毒ガスをまき散らそうとした人よ、爪が甘いのだよ。

 

そんな輩には狼の印が黙っていない。

 

後続の部隊に事後処理を任せた一行は伊豆基地へと帰還していった。

 

 

「ジャブロールートのアーガマ隊の動きはこの様な状況です。」

「ついにギガノスとOZが動き出したか…」

「ええ、まあ彼らの飼い主であるロームフェラ財団に関しましては抑え込めると思います。」

「…あの若造に任せただったか?」

「はい、蒼い睡蓮の協力者である死天使さんには色々とやって頂く事がありますので。」

「そうか。」

「彼の前座としてはいい相手でしょう。」

「犬猿の争いの様にも思えるがな。」

「では、極東ルートのヒリュウ隊についての状況です。」

 

 

極東へ残ったヒリュウ隊の同行を説明します。

 

ネルガル重工で建造された戦艦ナデシコは火星の極冠遺跡から発見されたオーバーテクノロジーを利用して創られたものである。

 

しかし、彼らの雇い主の目的は古代火星文明の技術独占だった。

 

表向きは火星に取り残された火星都市・マルスシティの住民の救助となっている。

 

それを知らずにナデシコのクルー達は火星へと出港準備を進めていた。

 

所がその技術を接収しようと連邦軍内部の某真空管ハゲがやらかしてくれたのである。

 

それを止める為にヒリュウ隊は出撃を余儀なくなされた。

 

しかし、紫色の老人によってそれは崩されてしまったのである。

 

某真空管ハゲの下で動いていた兵士達は口々にこう言ったそうな。

 

 

『紫がぁ…』

 

『笑い声ひぃいい!!?』

 

『何でおさせげぇえあ!!』

 

 

等とトラウマと化してしまい全員病院送りとなったそうな。

 

相変わらずいい仕事してますね。

 

次に会う時は敵である以上、容赦しませんからね。

 

そして某真空管ハゲは伊豆基地の兵力無断使用並びに同基地司令部への命令違反からのその他諸々の一件で独房入りと相成りましたとさ。

 

念の為、蒼い睡蓮がナデシコにエージェントを送ったと話していたがどんな隠し玉なのか気になる。

 

ヒリュウ隊と某真空管ハゲの私兵隊が小競り合いを起こしている際に彼らは火星へと旅立って行った。

 

そしてその数日後、地球圏に飛来している異星人の集団による街への襲撃が行われた。

 

そして現れたのだ『勇者』と呼ばれる存在達がその場所へ。

 

彼らは故郷の星を追われた者、星の意思により生まれた者、平和を誓う人々の手によって生み出された者、その思いは様々であるが弱きものを助け悪を挫くスタンスは崩していない模様である。

 

彼らは国連事務総長が指揮する地球防衛軍所属の為、管轄が違うもののいずれ共に手を取り合える事を願いたい。

 

命と呼ばれる宝を守る白き獅子よ。

 

この世の悪を挫く不死鳥よ。

 

地球の意思を継ぐ蒼き命よ。

 

大いなる風となれ颯爽せし嵐よ。

 

白と黒に彩られし金色の印を胸に抱く者。

 

黄金の祈りを携えて冒険心を持つ者よ。

 

七色の七人の戦士達。

 

未だ姿を見せない金色の獅子と緑の誓い。

 

蒼き竜と紅き鳳凰。

 

雷を纏う少年少女達。

 

忍の心を志す三人の少年達。

 

太古の恐竜の魂を受け継ぐ少年少女達。

 

御伽の鬼退治を続ける少年少女達。

 

彼らとの出逢いを胸に行く道違えどいつか会える日を願う。

 

そしてヒリュウ隊は更にその翌日に使徒との遭遇を果たした。

 

残暑の残る第二新東京市に第三使徒が出現。

 

彼らは救援に向かおうとしたが『ネルフ』によってそれを遮られてしまう。

 

何故なら彼らの保有する機動兵器である『EVA』がいともたやすく倒してしまったからだ。

 

実際の戦闘は見ていないが恐らく彼も転生者である。

 

理由とすれば『暴走』と言う言葉を耳にしていないからである。

 

彼が何処までの記憶を持っているか不明である。

 

まさかと思うが『御使い』までの記憶もあるとは考えにくい。

 

蒼い睡蓮はエージェントを控えさせると話してはいたが『ネルフ』の暗部達が黙っていないだろう。

 

その為、エージェントの一人は彼が身近な場所で出会える様に手配はするらしい。

 

そして問題は使徒との戦闘後に現れた『鉄甲龍』だ。

 

現在も『国際電脳』を隠れ蓑にしている。

 

後々残して置くのも何なので『国際電脳』の一件は『博士』に一任している。

 

うん、異星人のAIプログラムその他を掌握するウイルスを仕込めるのだから一巻の終わりであろう。

 

出来る事なら彼らからキチガイの遺伝子の呪縛を解いてあげたいのもある。

 

ヒリュウ隊を襲った『風のランスター』は様子見だけだったのだろうかちょっかい程度の戦闘を行った後、そのまま撤退したそうだ。

 

理由とすればあの『八卦ロボ』は原作でも15年の歳月をかけて開発されたのだ。

 

未だ解明されていない部分も多いのだろう。

 

流石、あのキチガイの作品である。

 

その内。『烈』も出そうな気もしなくもない。

 

 

「少々無駄口が過ぎましたね、申し訳ありません。」

「いや、二つの部隊の行動で奴らを閑職に追い込んだ事だけは何よりも救いだ。」

「そうですね。」

「所でハスミ…お前が話した『紫の老人』と言うのはまさか?」

「ええ、先のガンダムファイト優勝者である人外級の御人です。」

「…あれはもう人と言えるのか?」

「お義父さん、それを言ったら国際警察機構とかBF団がもっと人外級ですよ。」

「そ、そうだったな。」

「それに彼らに襲撃予定の敵の刺客達がもっと不憫と思います。」

「う、うむ…」

 

 

いや、あれはさすがにね。

 

地球の人外級が集う秘境に刺客を送り付けちゃ駄目でしょ。

 

Zなお話の31話を思い出したよ。

 

アハハ、あれよりももっと酷いけどね。

 

今回は国際警察機構、BF団、シャッフル同盟、クロノス星勢等々が揃ってる。

 

説明とか描写とか難しいかもね。

 

そんな事でテンペスト少佐との話を切り上げ、私はある事をふと思った。

 

気がかりなのがあのキチガイの作った『次元連結システム』である。

 

微妙に『交差する門』に原理が似ている様に思える。

 

まさかと思うが今は考えておかない事にする。

 

あの確証が当たっている事もなければアカシックレコードから警告されていないからである。

 

いや、伝えたくても伝えてくれないと言うのが正しい。

 

ここ最近無茶をしすぎたのでアカシックレコードから心配されているのだ。

 

今もし過ぎている。

 

自覚はあるし申し訳ないと思っている。

 

 

 

=続=

 




砂の大地で睡蓮は何を思う。

異形が集う地で何を見るのか?

太陽すら掻き消す暗き闇夜。

静寂を求める存在がその姿を現す。

次回、幻影のエトランゼ・第五話『異形《アインスト》』

変異する物語は加速する事を止めず、ただ突き進む。


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第五話 『異形《アインスト》』

光すら届かない闇の世界。

魔方陣より現れるは異形。

静寂を求める異形達は何故現れたのか。

交差する思いを胸に。

闇夜を貫け。




前回から1週間近く経過した。

 

トリントン基地へ到着した私達は現地の司令官であるコーウェン准将と挨拶を交わした後、本題の護衛対象の話と私達の機体の改装作業が行われた。

 

その間は基地のテストパイロット達と共に共同訓練や模擬戦を行ったり、基地を狙って現れる敵部隊と交戦し追撃したり等で時間を忘れる程日々が過ぎて行った。

 

補給の為に基地を訪れた独立遊撃部隊の姿を見る事も多かった。

 

スパロボの原作では関わりは無いものの設定として生きていた一年戦争の影の功労者達である。

 

ちなみにドラグナー三馬鹿トリオとも模擬戦を行った。

 

クスハ、ブリット、私を巻き込んでの形である。

 

チーム戦のバランスを考えてクスハもゲシュペンストmk-Ⅱに乗り換えて行われた。

 

弐式を使ってやってもいいと思ったけどね、後でグダグダ言われるのも何だし。

 

結果はと言うと?

 

うん、こっちの圧勝ですよ。

 

何度、君らの戦闘パターンと癖をゲームとDVDで見てると思ってるのかね?

 

オ○○のつく所業へ堕ちるとこまで堕ちた人間は容赦ないよ。

 

余りにも調子づいていたから厭味ったらしく、にこやかに責めてあげたよ?

 

えっ?漢字の表記が違うって?

 

キノセイデスヨー。

 

ちなみに三馬鹿トリオは前の記憶を持っていない。

 

そのせいかドモンが「また『見切り』の稽古を一からやり直さなきゃな。」と師匠顔負けの黒い呟きを聞いてしまった。

 

MX版の対ギルガサムネ戦用の為、致し方がないとは思う。

 

そんな訳でケーンの悲鳴が基地の一角から聞こえて来るのは気のせいと言いたい。

 

ケーンよ、無事に生き残れば君が人外級の仲間に足を踏み入れる事になるだけだから安心したまえ。

 

うん、合掌。

 

 

******

 

 

「うぇえ…」

「もう勘弁してくれ…」

「本当に…」

 

 

トリントン基地滞在から3日目位だろうか?

 

正午の休憩時間にテストパイロット並びに民間上がりのパイロット一同が食堂に集まっていた。

 

日々ハードな訓練のせいかケーン達は相当参っている様である。

 

特にケーンは自覚はないもののドモンから見切りを取得させる為の修行もプラスされているので疲労もその倍である。

 

他二人も旧戦技教導隊のきっての頑固親父ズことカイ少佐とお義父さんにしごかれているので同じ様なものである。

 

ライトに関しては私にナンパしたのが切っ掛けでお義父さんから殺意を込めた訓練をさせられているとか?

 

ゴメン、そんな状態のお義父さんは私でも止められんのよ。

 

毎日そんな隊長達と鍛錬しているブリット達でさえ少し疲れ気味である。

 

その理由は数か月前から破壊した筈の敵の兵器がどう言う訳か再び姿を現し基地周辺を狙って襲撃を繰り返しているとの事だ。

 

確かにオーストラリア大陸は資源が豊富なのは知っているがそれも限りがある。

 

だが、その敵部隊に遭遇した味方部隊の報告にはまるで納品されたばかりの新品同様だったそうだ。

 

しかも無人機でパイロットの気配はない。

 

一瞬該当する言語が頭を過ったがDGの声ではないし他の可能性もないとアカシックレコードで確認した。

 

しいて言うならまたシナリオが加速し始めたと言う事だろう。

 

話を戻すが、もっとも襲撃されているのはここトリントン基地。

 

そして偵察部隊の命がけの情報収集で敵機動部隊の拠点が特定された。

 

その為、大陸各地に散らばった手練れをこちらに集結させて敵拠点への総攻撃をする予定なのだ。

 

手練れと言っても各基地から厄介者扱いされたメンツばかりなのだが…

 

その厄介者達が現場では優秀である事に上は気が付かないのか?

 

まさにその一部の奴らは阿保としか言いようがない。

 

彼らには彼らなりの戦法並びに情報収集能力に長けていると言うのに。

 

司令室でふんぞり返っている者達には解らないと思うが、そこでしか見えない何かを見ると言う事は大事な事だと思う。

 

 

「今日はさすがに疲れたな。」

「うん、後で栄養ドリンクでも作ろうかな?」

 

 

はい、皆から却下からのストップ宣言されました。

 

理由はいつもの事であるが今は昼時。

 

ここと日本との時間差は場所にもよるが大体一時間から二時間程度であり余り支障はない。

 

しかも気候も場所によって変わっており、砂漠性気候地域に近いここでは昼間は35度以上、夜は逆に爽やかで過ごしやすい。

 

日本ではもう暦で冬季の中間辺りだろう。

 

季節が逆になるとは言え、慣れないとキツイ。

 

そうでなくても減るものは減るのだ。

 

 

「…(前に見た雑誌にあったメニューに似てるな。」

 

 

私は端末をランチプレートの奥に置いて食事をしていた。

 

トマトベースのスープはあっさりしていてこの気候にぴったりだろう。

 

野菜と豆類の量が日本のより多いがそれに加えて大きめのウインナーが入っていた。

 

オマケに炭水化物類が多いので体重が気になるのは置いといて。

 

付属されていたお菓子類は後で食べる為に残して置いた。

 

 

「ハスミ、どうしたの?」

 

 

食事後に私がいつもの考える状態になると深刻な顔をする癖に気が付いたクスハが話しかけて来た。

 

それに対し私も話を返しておいた。

 

 

「うん、ちょっと気になった事があって…」

「気になる事?」

「この前の戦闘でちょっと違和感があったから、それが気になってね。」

「…私は戦うのに精一杯だったし、ブリット君はどう?」

「俺もそんな事は無かったよ。」

「アタシもユウは?」

「いや、ここの所連戦が続いているのもある…疲れているんじゃないか?」

「そうかもしれない。」

「でもさ、ハスミの『気になった』って後で助かった事あるじゃない?」

「うん、ハスミには助けられてばかりで…」

「クスハ、それは気にしないでっていつも言っているでしょ?」

「けど、ハスミが言うのなら何か不吉な事が起こるんじゃないか?」

「迷信に囚われてどうする?」

「とか言ってさ、ユウってそう言うの苦手だもんね?」

「カーラ、俺は非科学的な事が…」

「そっか、時間があったらとあるジェイルハウスの話でもしてあげようか?」

「なっ?」

「信じるも信じないも貴方次第でしょ?」

「分かった、受けて立とう。」

 

 

この話を後日、ユウやカーラ達と交えて行ったら全員顔を青ざめていたのは気のせいか?

 

 

「何の話?」

 

 

へばっていたケーン達がこちらの話に入って来たので一緒に話す事にした。

 

閲覧?している人には悪いが、かくかくしかじかで説明しておいた事にしてください。

 

 

「そういう事がね…」

「そう言えばそっちのメンバーって例のテストの適正者だったっけ?」

「そうよ、私は有るか無いか程度だけどね。」

「けどさ、話を聞く限り君の方がより能力者っぽいけど?」

「そうかな?(だから言えないって!」

「もしかして機械の故障だったりしてさ。」

「ないない、ちゃんと軍の査定が通ったのしかテストに使わないって。」

「そだよ?」

 

 

そこへ現れたのはここでは不釣り合いな白衣を着た金髪の美女である。

 

 

「はぁい、ハスミ。」

「ティアリー博士!?」

「ゲンコしてた?」

 

この女性はウィスティアリア・マーリン博士。

 

通称はティアリー。

 

私の機体である『ガーリオン・タイプT』の主任技術者である。

 

 

「ええ、まあ。」

「もう、私の居ない所で無茶した駄目よ?」

 

 

ティアリー博士に毎度の事ながらスリスリ込みで抱き付かれる私。

 

ちなみに私の胸のスクィーズなグレフルとティアリー博士のメロンが谷間で潰しあっている状態が続いている。

 

おい、そこの三馬鹿トリオよ鼻の下伸ばすな!

 

こっちだって恥ずかしいの。

 

 

「博士、何か用があったんじゃないんですか?」

「そうそう、そうだったね。」

 

ティアリーは抱き付きを終わりにすると本題に入る為に緩めにかけた眼鏡を掛け直した。

 

 

「ハスミのガーリオンの改修作業がもうすぐ完了するから早めに教えようと思ってね。」

「資料は読ませて頂きました、かなり様変わりしたそうですね。」

「そだね、あっちこっちガタが来てたし…いっそのこと全部取っ払って入れ替えした方が良いかなって思ったのさ。」

「それは該当があり過ぎて何とも…」

「あのDGと遭遇して奇跡的に生還出来ただけでもすごいけどね。」

「…ですよね。」

「それと追加装備とアキュリスのバージョンアップしておいたから後で試して見て。」

「追加装備にアキュリスのパワーアップですか?」

「そ、アキュリスはシステムの伸びが見えて来たから更に使用時間を延ばして置いたし追加装備は使ってからのお楽しみだね。」

「何と言うかキョウスケ少尉な事を…」

「じゃ、先に格納庫で待ってるよ。」

 

 

ティアリー博士が去った後、壁にかけられた時計に目をやると休憩時間はまだ十分あった。

 

なのでその足で元ガーリオンが置かれている格納庫エリアに向かった。

 

 

******

 

 

「これが君のNew機体、機体名はガーリオンC(ガーリオンカスタム)・タイプTだよ。」

「槍を携えた獅子と言った方がいいでしょうか?」

「君の武装から察するにそうなるね。」

 

 

基本構造は原作のと大差はないが、私個人に対応出来る様にセッティングされているのである意味で私専用になっている。

 

正直に言うとレオナのズィーガーリオンの発展前と言ってしまった方が早い。

 

 

「エルザム少佐やテンペスト少佐のガーリオンもカスタムに変更になったのですね。」

「うん、担当は私じゃないけどね。」

「…(足並みは揃いつつある、後は時を見るしかないか。」

 

 

格納庫でハンガーに収納された私の機体とその横で調整を受ける黒と赤のガーリオンCと青黒いガーリオンCが調整作業を受けていた。

 

こちらも原作のカスタムと大差ないが違いがあると言えばT-LINKシステムを導入していない事だろう。

 

それでも今回の戦争で勝ち抜けるだけの戦力でしかない。

 

この後に控える「例の事件」と「インスペクター事件」ではギリギリだろう。

 

エルザム少佐は後に乗り換える予定になっているので支障はないだろうが問題はお義父さんの機体だ。

 

恐らくはリオン系の後継機に乗り換える事になるだろうが、あの胡散臭い女狐社長では裏でまた余計な思惑を立てているに違いない。

 

そんな機体に乗せる訳には行かないのだが現実とは皮肉なモノである。

 

おすすめとすればヴァルシオン改なのだが、フラグが立ちまくりなので即時却下です。

 

もしそうなったら必ず止めるけどね。

 

 

 

「ん、にゃ?外が騒がしいね。」

「何でしょうか?」

 

 

外から騒ぎ声が響いており、ティアリー博士はこちらへ走ってくる整備兵の一人に声を掛けた。

 

 

「何があったの?」

「博士、友軍が正体不明の大型機動兵器に襲撃され、襲撃を受けた小隊が運び込まれたそうです!」

「どこの部隊?」

「クライ・ウルブズ隊だそうです!」

「!?」

「部隊は全員生き残ったそうですが、使用していた機体は全てボロボロです。」

 

 

私はティアリー博士と共に格納庫の外へ出てみると悲惨な光景が広がっていた。

 

輸送艦のレイディバードから運び出される原型を留めていないPTの残骸。

 

しいて言うならコックピットブロックが無事な位だろう。

 

そして負傷したパイロット達が運び出されていた。

 

気絶しているのか担架で運ばれる者。

 

よろよろと救護兵に付き添われて出てくる者。

 

あちらこちらに包帯やガーゼで傷口を追っているが歩ける者等だ。

 

だが、明らかに負傷している者の中に同じ気配を感じた。

 

そうDG細胞感染者が紛れ込んでいると確信した。

 

 

「これは厄介な事になっているね。」

「…(誰も死んでいない、けど…」

「ありゃ?今昼時だよね?こんなに暗かったっけ?」

「えっ?」

 

 

空を見上げると昼間なのに太陽が見えない。

 

まるでここだけ消えたような状態だ。

 

そう、太陽を失った昼間。

 

それは奴らの活動を予兆させる光景でもあった。

 

 

******

 

 

それから一時間後、トリントン基地の作戦室には同基地内に着艦中の艦長数名と所属艦パイロット、基地配属のパイロット、補給に訪れていた遊撃部隊のパイロット達が集まっていた。

 

 

「では、作戦要項を伝える。」

 

 

レイディバードで運ばれた部隊とは別に活動していた部隊の生き残りから今回の襲撃事件の首謀者達が拠点としている地点を割り出したのだ。

 

そこへ奇襲攻撃を仕掛け、敵部隊を掃討する事となった。

 

その奇襲作戦に選ばれたのがハガネとクロガネ、エルシャンクである。

 

基地に残留中の各遊撃部隊は基地防衛の為にここへ残る事となった。

 

つまり別れて行動する事となったのだ。

 

ここまではいい。

 

問題は機体の事だ。

 

生憎、私のガーリオンCはまだシステム面で調整作業中の為に前線へ出す事が出来ない。

 

その為、再びゲシュペンストmk-Ⅱへ搭乗する筈だったが…

 

クライ・ウルブズ隊の隊長、アルベロ・エスト少佐が隊長と話し合っている場面に出くわしたのだ。

 

どうやら機体が無いのでこちらのゲシュペンストmk-Ⅱを貸して貰えないかと言う事だ。

 

事実、あの人の戦闘能力は嫌と言う程知っているのでそれはありがたいのだが…

 

その問題が私が戦闘に出られないと言う点である。

 

俗に言うイベント出撃的な要素になってしまうのだ。

 

それは仕方がないが物凄く嫌なイベントがこの後に待っているのでそれを危惧している。

 

正直、ペンダントを外そうかと思ったがBF団やバラルに感づかれそうなので却下する。

 

私はあきらめてアルベロさんにゲシュペンストmk-Ⅱを貸出する事に決めた。

 

 

「隊長、私からもお願いします。」

「ハスミ…!」

「私の機体は調整さえ終われば出撃できます、今は手勢が多いに越した事はない筈です。」

「分かった…では、エスト少佐。」

「こちらこそ無理を言って済まない、そちらの隊の者にも礼を言わせて貰いたい。」

「いえ、現状でそう思っただけなので…」

「名は何と言う?」

「ハスミ・クジョウ准尉です。」

「准尉?もしや志願兵か?」

「はい。」

「そうか…(志願兵の受け入れ年齢が引き下げされたとは言え、こんな少女まで戦う事になるのか…」

 

 

アルベロは複雑な表情をした後、その場を去って行った。

 

 

「では、失礼する。」

 

 

出遭う確率は高いと思ったがまさかここまで早いとは…

 

DGの一件が出てきているしMXの件で縁が繋がったのかな。

 

だとすると事を急がないといけない。

 

イエッツドの一件がまだ始まっていないとしても止めなければならない。

 

貴方達も必ず救ってみせる。

 

そして、あの蛇ジジイとキチガイオバハンに鉄槌を下してやる。

 

あの二人の所業は許されるものではない。

 

プレイしている時も虫唾が走った位だし。

 

悪業即瞬殺です。

 

 

******

 

 

先の話通り、私のゲシュペンストmk-Ⅱはクライ・ウルブズ隊へ回された。

 

そして私は機体調整が終わるまでハガネの格納庫でスタンバっていた。

 

先に調整が終わったエルザム少佐達は既に出撃していたが、あの数の敵を倒せるかが不安だった。

 

読み通り、ストーン・サークルから出て来たのはアインストだった。

 

唯のアインストだったらまだ良かったのだが…

 

これが何の因果かエンドレスフロンティアで出現するアインスト達が出て来たのだ。

 

しかも機動兵器サイズで白兵戦サイズではありません。

 

きっと邪神様(KOS-MOS)でも相手に出来ると思います。

 

W07?言わなくても解る人には解ると思います、うん。

 

それにしてもあれは蹂躙し過ぎたと思いますよ。

 

記憶持ちの三人衆。

 

 

 

「アクセル、奴らは本当に…!」

「ああ、間違いない!奴らはエンドレスフロンティアで遭遇したアインストの一団だ。」

「こいつらが…」

 

 

キョウスケ、アクセル、ドモンの三人は互いに通信で出現したアインストの正体がエンドレスフロンティアで出現するアインストである事をアクセルから聞き出していた。

 

 

「奴らはどう言う訳か知らんが機動兵器サイズになっているのは厄介だ。」

「こちら側に転移する時に変異したのかもしれない。」

「だが、アインストに変わりはないのだろう?」

「ああ、ここへ出て来たが運の尽き…纏めて送り返してやる、これがな!」

「オイオイ、俺達の事も忘れて貰っちゃ困るぜ!」

「記憶は違えどアインストとの戦闘経験を忘れた訳ではない。」

「及ばずながら支援します。」

 

 

同じく記憶を所持するジョウ、ガトー、コウもまた状況を理解し参戦してきた。

 

 

「飛影、今日は大盤振る舞いだ!」

「ウラキ、バックスは私に任せろ!」

「了解、フォワードに着きます!」

 

 

各機散開し周囲に散らばったアインストへ攻撃を仕掛けていった。

 

 

「化けモンだが何だが知らねえが!天下のドラグナー隊を舐めんなよ!!」

「そうだとも!」

「生まれ変わったドラグナーのお披露目と行きますか!」

 

 

トリントン基地にてカスタムへ改造されたドラグナー1型、2型、3型。

空中戦に加えビームバズーカーまで装備された為、火力は十分だった。

 

 

「あっちもやるね!」

「カーラ、敵の気をこっちに引き付けるぞ!」

「了解だよ、ユウ!」

「ハスミ…私も戦う!」

「クスハ。」

「ブリット君、大丈夫よ…私もハスミの分まで戦う。」

「じゃ、ハスミちゃんが出て来られるまで頑張っちゃいましょ!」

「忍、一気に行こう。」

「おう!」

 

 

同僚のクスハ達もアインスト相手に頑張りを見せていた。

 

 

「ゴースト小隊は俺に続け!」

「了解。」

「アイツらばかりにいい格好させられねえな!」

「ええ!」

 

 

ゴースト小隊もまた艦の護衛に当たりながら周囲に展開するアインストを迎撃。

 

一方、戦闘中のハガネのブリッジでは。

 

 

「艦長、トリントン基地より入電です。」

「例の情報の予想通り、基地にも例のアンノウンが襲撃を開始したそうです。」

「そうか。」

「艦長、『蒼い睡蓮』は一体何者なのでしょうか?」

「解らん、だが…基地の襲撃を回避できた事には感謝しよう。」

 

 

ISA戦術による敵拠点の制圧並びに基地への敵別動隊による強襲を予想し基地防衛に支障のない戦力を残す。

 

これが『蒼い睡蓮』の提供した情報であり、戦術提案でもあった。

 

流石に上層部の誰もが疑心暗鬼となったが『蒼い睡蓮』の奇跡の噂は耳にしていたコーウェン准将の声で提案を推奨する事となったのだ。

 

もちろんキョウスケら記憶所持者達もアインストの神出鬼没な習性を把握していた為、この提案は妥当だと判断した。

 

 

「粗方、片付いたようだな。」

「ああ…」

「一体どれだけ湧いてくれば気が済むんだ、奴らは?」

 

 

ストーンサークル周辺のアインストは姿を消した。

 

消したと言うよりは突撃をした三名並びに旧教導隊切っての切込み隊長格達の手により屍の山を築いていた。

 

釘打ちで撃たれてはベアリング弾の雨霰でボコボコ。

 

ぽっかりと巨大な穴を開けられてスカスカ。

 

手形の延焼跡を残したコゲコゲ。

 

巨大出刃包丁で三枚卸しのピラピラ。

 

最後は風穴だらけのハチの巣状態である。

 

他にも撒き菱だらけのトゲトゲなどがある。

 

はい、合掌。

 

その屍達も既に灰塵となってしまい原型を留めていない。

 

その為、生きたサンプルが回収される事は無いだろう。

 

向こうの基地司令部にも奴らの死骸サンプルに手出し無用と『蒼い睡蓮』から警告を受けていた為である。

 

それに事実上、アインストの回収を行う部隊が行動不能ならそれも出来ない筈だ。

 

だが、ノイ・レジセイア率いるアインストの集団がいつこちらへ転移するかはまだ不明なので安心は出来ない。

 

無限力からの眼を逸らしつつ危険なフラグを一つずつ消していくのも容易ではない。

 

ストーンサークルに一瞬の静寂が訪れた後、再びそれは起こった。

 

 

「まだ残っていたのか!?」

 

 

ストーンサークルより現れたのは白と黒のツートンカラーの巨大なアインスト。

 

そのアインストの姿にアクセルは驚愕の声を上げそうになったが何とか抑えた。

 

 

「アイツは…!」

「アクセル、奴は?」

「奴がエンドレスフロンティアに出現した女王蜂級アインスト…ヴァールシャイン・リヒカイトだ。」

「奴が…!」

「だが、意思の様なものは感じ取れないが…?」

「恐らくは顕現に失敗したのだろう、奴は抜け殻かコピーだろう。」

 

 

キョウスケとアクセルは少なからずともアインストと縁を持つ、後者はアインストの力を経て身体を蘇生しているのでその声や意思を聞く事も容易いのだろう。

 

ドモンは格闘家としての相手の気を感知する事に長けているのか気配を感じ取った時にその違和感を感じ取っていた。

 

 

「…」

「アルフィミィの機体と何処となく似ているな。」

「個体差はあるにしても違いは出る。」

「念の為に言って置くが奴の鬼面には注意しろ。」

「っ!?来るぞ!」

 

 

キョウスケの声に続き、動き始めるヴァールシャイン・リヒカイト。

 

自我亡き複製でもその力は侮れない。

 

鬼面より発せられるビーム兵装は威力が高いのか周囲に土煙を上げて一気にハガネへと接近してしまった。

 

 

「緊急回避!」

「間に合いません!」

「万事休す、か。」

 

 

その時だった。

 

ヴァールシャイン・リヒカイトに無数の槍が突き刺さった。

 

 

「これはオマケよ!」

 

 

特機用カタパルトデッキから出てきたのは白いガーリオンC。

 

すかさずレクタングル・ランチャーを放った。

 

 

「!?!!!?」

「古巣に戻れ!」

 

 

ストライク・アキュリスによる不意打ちと動きを止めた一瞬を突いての射撃攻撃。

 

それは目眩まし程度かも知れないが怯ませる事は出来ただろう。

 

 

「ギリギリでしたが何とか間に合いましたね。」

「わぉ、それがハスミちゃんの新兵器?」

「はい、先行配備されたレクタングル・ランチャーです。」

「例のか、もう配備体制に入ったのか?」

「連射はイマイチですが火力は十分です。」

「じゃ、足並みが揃った所で…」

「各機、奴を仕留めるぞ!」

 

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 

 

† † † † † †

 

 

無事にストーンサークルに出現したアインストを殲滅した。

 

事件の終息後、私達の部隊は任務を終えて伊豆基地へ帰路を向けていた。

 

今回の一件はストーンサークル跡地を厳重警戒し別機関に調査を依頼する事になった。

 

灰燼となった死骸は焼却処分しサンプルの回収は一切禁止された。

 

後は成り行きに任せるしかない。

 

そして極東へ近づいていた頃。

 

ハガネ艦内の一室にてハスミは交代時間となった為に自室にて休んでいた。

 

 

 

 

「…(DG」

 

 

 

 

ーハスミー

 

ーヤクソクシタヨー

 

ーアイニキテー

 

ータイヨウヲカガゲルチヘー

 

ーソシテオシエテー

 

ーアナタノシルミライノハテー

 

ーコノサキニマツサイヤクノオトズレヲー

 

ーワタシハアナタヲシナセナイー

 

ーワタシガマモルカラー

 

ーアナタヲギセイニシナイカラー

 

ーレイテイモミツカイモヤミノタイジニモテダシハサセナイー

 

ーハスミハオトモダチダカラー

 

ーハスミハワタシノミコトナルー

 

ー“     ”ノミコニハサセナイー

 

ー“     ”ノミコハモロハノツルギー

 

ーハスミジブンヲキズツケナイデー

 

ーアナタハー

 

ー“   ”ー

 

 

 

「…(うん、心配しないで。」

 

 

ハスミの左眼は紅く輝いており虚ろなまま表情を変えずに過ごしていた。

 

だが、ビキビキと音を立てながらハスミの皮膚は変色を始めていた。

 

 

「…(ATXチームの皆、ゴメン。」

 

 

パシュンと室内の扉をスライド式の開閉音が響く。

 

そこに居たのは同じ様に銀色の洗礼を受けた者。

 

 

「もう行くのね?(絶対に取り戻して見せるよ。」

 

 

その言葉を最後に室内の主は消えた。

 

 

=続=




消えた睡蓮と黄土。

集結する仲間達。

滅びを迎えた都市で流れる悲しい旋律。

現れた機械仕掛けの悪魔。

囁く闇の声は契約の証。

次回、幻影のエトランゼ・第五.五話『涙悲《ナミダトカナシミ》』

睡蓮は銀の揺り籠で闇の中に眠りにつく。


<今回の登場人物>

《トリントン基地在住》

※モルモット小隊
元ジャブロー直属の第11独立機械化混成部隊。
現在はオーストラリア大陸を転々とする独立遊撃部隊として活動。
同部隊はマクロス落下事件以前にEXAMシステム事件にかかわっていた。
しかし、システムそのものが危険視され実験は破棄された。
現在はEXAMシステムが外されたブルーディスティニーシリーズを部隊で使用している。

※ホワイトディンゴ小隊
オーストラリア大陸に点在する独立遊撃部隊の一つ。
補給の為、トリントン基地へ帰還していた。
基地防衛の為に出撃を余儀なくされる。
マクロス落下直後の戦闘で本隊から捨て駒にされた『荒野の迅雷』は彼らの部隊預かりとなっている。

※ドラグーン小隊
プロトタイプドラグナー3機のデータを基に作成された新規採用型MAを使用する部隊。
今回は先行量産された物をモブキャラの部隊が基地防衛に任った。
しかし、カスタム化したドラグナーとは天と地の差があった。
もしくは彼らのパイロット技能によるものかもしれない。

※クライ・ウルブズ隊
地球連邦軍の特殊作戦PT部隊。
上層部からの命令で現在逃走中のDGを追って各地を転々としていたがオーストラリア大陸南部にて交戦、死傷者はないものの部隊は壊滅状態の上、同部隊の隊員らが負傷しトリントン基地に搬送された。
今回は基地防衛の為、後方支援に回っていた。
今回の一件でウルフ9ことフォリア・エストがDG細胞に感染している事が判明。
治療の為、梁山泊へ送り届ける為にハガネ、クロガネ隊に部隊共々乗艦する。


《伊豆基地所属》

※ウィスティアリア・マーリン
伊豆基地より出向している研究者。
トリントン基地でガーリオン・タイプTの改装作業に携わっている。
ハスミがT-LINKシステムで異常な数値を出している事を隠した存在の一人。
現在は数値に細工をしている為、普通の技術者では判別できない様になっている。
常に読めない性格でありハスミへのスキンシップが激しい。

※ハスミ・クジョウ
主人公。
今回乗り換えたガーリオンC・タイプTで奮闘し二つ名を授与される。
DG細胞による汚染は続いているものの今回だけはDGより力を貸して貰えた。
しかし、その一件で感染が進行してしまった為にDGの声に抗えなくなってしまっている。


<DG軍団>

※デビルガンダム
第三話『金指』で出現し誕生した。
ファーストコンダクターであるキョウジ・カッシュはDGによって生体ユニットにされているが今回は仮死状態にされている。
つまり、完全に感染しきっていない状態にある。
そしてセカンドコンダクターであるハスミが『大丈夫』と声を掛けたのが切っ掛けで興味を持ち、特殊な脳波で彼女へメッセージを送り続けている。
今回クライ・ウルブズ隊と交戦したのは自衛の為である。
旧UG細胞を制御するのに別研究機関から提供された『超AI』が使用されているのか自我の様なものが芽生えているらしくその性格や話し方からまだ幼子を思わせている。


<???>

今回、トリントン基地より数千キロ離れた地点に出現したストーン・サークルを依代として出現したアインストの集団。
しかし、顕現自体が成功した訳ではなかったので女王蜂級は出現しなかった。
後にアクセルから今回のアインストがエンドレスフロンティア側で遭遇したアインストであると仲間内の間でのみ判明した。


※アインスト・ヘルツ
エンドレスフロンティアで出現する浮遊霊風のアインスト。

※アインスト・オンケル
エンドレスフロンティアで出現する胴体から生えた長い尾で立ちあがっているようなアインスト。

※ヴァールシャイン・リヒカイト(モノクロ)
エンドレスフロンティアで出現するアインスト達の元締め。
今回は更に複製された物が登場するがオリジナルよりもかなりパワーダウンしている。
自我は無くストーンサークルに侵入する者は見境なく排除している。


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第五.五話 『涙悲《ナミダトカナシミ》』

突然の出来事。

消える睡蓮と黄土。

刻まれた銀色の烙印は抗いを許さず。

悪魔の手繰り糸は踊り。

銀色の駒は足並みを見せる。

これもまた物語の一つであるのなら越えなければならない試練なのか?


伊豆基地へ進路を取り、後数時間で到着する頃。

 

ハガネの格納庫で爆発が起こり、二機の機体が飛び出した。

 

飛び出した機体はガーリオンC・タイプTと黒のゲシュペンストmk-Ⅱだった。

 

ブリッジではエイタとアズキが通信を何度か試みてコックピットの映像を映し出すがアズキは余りの光景に悲鳴を上げていた。

 

それもその筈、二機のコックピット内部は異常な光景だったからだ。

 

側面のディスプレイを埋め尽くす生きたコードとパイロットの皮膚を侵食する銀色の烙印。

 

そしてパイロット達の虚ろな紅い眼だ。

 

二機はそのままその場を離れてロストしてしまった。

 

急ぎ,その足取りを掴もうとするが何者かの意思が絡んでいるのか反応は消えてしまった。

 

今回の一件で同じ様に極東エリア周辺で任務中だった部隊やパイロット達が失踪すると言う事件が起こっていた。

 

全員の共通点はDGに直接接触した事があるパイロットや部隊である。

 

DG細胞による汚染と洗脳によりこの様な行動を行ったと言う事は事前に開発者であるライゾウ博士の研究レポートで把握されていた。

 

そして治療法が今一歩の所で確立出来ていない為、発見されても彼らは倒すしかないと上層部内で判断されつつあった。

 

しかし、この失踪事件が発覚した三日後にようやくDG細胞の治療法が発見された。

 

だが、それは100%の感染者には使用出来ずあくまで感染がまだ進み切っていない者に対する治療法だった。

 

それは完全に感染してしまったパイロットの命は保証できないと言う事だった。

 

急ぎ、彼らを捜索する為にハガネ一行は伊豆基地へ帰路を進めた。

 

伊豆基地に到着した一行は極東エリアの警戒を行いつつ同エリア内でロストした失踪者達の捜索に当たっていた。

 

だが、一向に情報は入らず八方塞がりの状況が続いた。

 

 

******

 

 

「ハスミ…」

 

 

伊豆基地の一室にて。

 

テンペストは一人、収集された情報を閲覧していた。

 

PCのディスプレイの文字の羅列を気にせず、ただひたすら一句一句余さず確認を行っていた。

 

 

「テンペスト少佐。」

「ギリアム…」

 

 

そこへギリアムがコーヒーを入れたカップを携えて室内に入って来たのだ。

 

 

「少し休まれませんか?」

「すまない。」

 

 

コーヒーカップを渡されたテンペストは礼を伝えた後、目元を抑えていた。

 

自分でさえ、どの位の時間を情報整理に当てていたのか判らなくなる位に気を張り詰めていたのだ。

 

以前の自分であれば、ギリアムの持ってきたコーヒーカップを払いのけていただろう。

 

それも無くなったのは義娘(ハスミ)の御蔭なのかもしれない。

 

ただ一つの意識だけに縛れると周りが見えなくなりいずれ人生の迷子になってしまう。

 

義娘が私に対し良く話していた事だ。

 

 

「気持ちは解りますが、貴方が倒れてしまっては元も子もない。」

「解っている、だが…どうしても何かしていないと落ち着かんのだ。」

「少佐…」

 

 

テンペストはコーヒーを一口啜り、自身の不安を吐露した。

 

 

「先日、アルベロ少佐と話をしたそうですね。」

「…」

 

 

ハガネ一行が伊豆基地へ着艦した直後の事である。

 

情報もなくただ闇雲に捜索へ向かおうとした部下達を抑えていたが、その中にも不安を隠せぬ存在が居た。

 

失踪者の一人であるフォリア・エスト准尉の父親であるアルベロ・エスト少佐である。

 

彼は暴走する部下達から離れた場所でその様子を見ていたが自身もまた部隊の部下であり実の息子である准尉を捜索しに行きたいと思っていたのだ。

 

その表情を察したのかテンペスト少佐は彼に話を持ち掛けた。

 

義娘が世話になったと話を皮切りにして。

 

アルベロはトリントン基地でのアンノウン迎撃作戦の際にゲシュペンストmk-Ⅱを譲り渡してくれた少女の父親が彼であると知った。

 

そして彼女もまたフォリア准尉と姿を消したAMのパイロットであると知ったのだ。

 

互いに身内をDGによって攫われた。

 

現状ではどうする事も出来ず、ただ時間だけが過ぎる事に苛立ちもあった。

 

テンペストはいずれ来る打開策の時まで待つしかないとアルベロに語った。

 

義娘の感染期間が最も長く完全に感染するまで時間が残り少ない事を知っていてもだ。

 

せめて悔いのない行動をと語った後、その場を去って行った。

 

 

「いずれ暴走する事は目に見えていた、出る杭は打って置くべきと思っただけだ。」

「ハスミの影響ですか?」

「かもしれんな。」

「必ず彼女や他の人々を助け出しましょう。」

「ああ。」

 

 

ハスミ、お前は『必ず戻る』と言ってくれたな?

 

私は出来る限り、お前の事を待とう。

 

だが、どうしようもない時はお前を救いに行こう。

 

嘗てお前が私を救ってくれた様に私もお前を助けに行こう。

 

それまで無事で居てくれ。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

集結する筈だった部隊、だがそれは仲間の失踪を迎えたままそれは果たされた。

 

幼馴染が失踪し悲観する者。

 

友として仲睦まじい間柄だった者。

 

信頼する部下を失った者。

 

そして義娘と共に日々を暮らし、共に歩んだ者はもっとも悲観しつつも部下への示しの為にその姿を見せずにいた。

 

各部隊は捜索と襲撃を続ける敵部隊の迎撃を繰り返しながら不安な日々を送っていた。

 

そんな部下達の心情を察し、全員とは言えないが頭を冷やせと言う意味合いで待機命令と半休が出された。

 

その中でドモンはある場所を訪れていた。

 

いずれ七つの心と共に現れる星の海と七つ星の名を持つ少年達が集う場所。

 

 

「ドモンさ~ん!!」

「来たか…」

 

 

星見町を見渡せる公園の展望スペースでドモンに向かって走ってくる少年が居た。

 

 

「久しぶりだな、銀河。」

「お久しぶりです、ドモンさん!」

 

 

このイガグリ頭の少年こと出雲銀河と言い、かつて前の世界でドモン達と共に戦った戦友でもあった。

 

 

「最初電話を貰った時、ビックリしましたよ。」

「済まなかったな、道場を訪ねようとしたが目立ちそうだったんで止めて置いて正解だった。」

「むしろ俺の母ちゃんが卒倒するか手合わせとか言ってきそうな気もする。」

「そうだったな。」

「ドモンさんにも記憶があって良かった、俺…前の記憶が戻った時どうしようって思ってずっと悩んでいたんです。」

「最初は戸惑うだろうな、個人差はあれど俺はこの世界で生誕と同時に記憶が戻った位だからな。」

「それ、どこの無双ですか?」

 

 

ドモンのトンでも発言に唖然とする銀河を他所にドモンは彼らと共に戦った電子の聖獣達に声を掛けた。

 

 

「お前達も元気そうだな。」

 

 

「「「…(コクコク」」」

 

 

「所で記憶が戻っているのはお前やデータウェポン達だけなのか?」

「俺の他にも北斗にも記憶が戻っているんですけど…といってもまだ電童には乗れてないんですけどね。」

「そうか…」

 

 

銀河の話では当人の記憶が戻ったのは小学3年生位からで、親の眼を盗んではレオサークル達を探していたそうだ。

 

しかし無駄骨であり、彼らもまた使えるべき主の記憶を持っていたのですぐさまそこへ訪れていたそうだ。

 

現在はギアコマンダーが無い為、銀河の持つ携帯端末に身を隠している状況である。

 

またレオ達を使ってまだこの町に越して来ていない北斗と連絡を取り合っていたそうだ。

 

 

「それとドモンさん、俺達…もしかしたらドモンさん達と一緒に戦えないかもしれない。」

「どういう事だ?」

「実は…」

 

 

銀河は北斗からある情報を得ていた。

 

北斗の話によると彼の母親である織絵のPCの端末からユニコーン達を使って情報を集めており、GEARが国連事務総長の指揮下にある地球防衛軍所属になっている事である。

 

地球連邦軍とは別の扱いになっており、いずれ電童で戦う事があっても一緒になる可能性が低いと話に出たのだ。

 

現時点で地球連邦軍内で腐敗の膿出しを行っているとは言え、いつ一部の強硬派が暴挙に出るか分からない。

 

可能性とすれば彼らの家族を人質に取って、自分達の手駒にすると言う暴挙もあり得るのだ。

 

そう言った可能性があるのなら彼らの所属は地球防衛軍の方が良いのかもしれない。

 

 

「成程な、だが…何処かでまた共に戦える事があるかもしれない。」

「…」

「道は違えといずれその道は繋がる事もある…」

「それって…」

「以前、出会った仲間がよく言っていた言葉だ。」

「意味は解りました。」

「なら、電童に乗るその時まで己の技と心に磨きを掛けろ。」

「はい。」

 

 

ドモンは気晴らしに銀河と手合わせとした後、ロムやヒューゴ達と再会した事を話した。

 

そしてDGがこの日本に潜伏している可能性がある事も話した。

 

銀河もDGと聞き、かなりヤバそうな顔をしていたがすぐに落ち着いた。

 

 

「ええっDG!?」

「ああ、現時点で行方は不明のままだ。」

「うわ…」

 

 

銀河もかつて『時と不完全が争った世界』と『調律されたものの霊帝と呼ばれる存在によって滅んだ世界』で戦った事はあったが、それもまた脅威である事は骨身にしみていた。

 

 

「そう言えば変な噂を聞いた事があります。」

「変な噂?」

 

 

銀河の話ではこの日本にDr.ヘルや恐竜帝国などの地下勢力などの侵攻によって復興作業が滞っている旧東京エリアがある事を話した。

 

そこに近づいた人が行方不明になると言う失踪事件が起こっていたのだ。

 

幽霊の仕業か?と興味本位で肝試しに行く学生や一部の記者や娯楽番組の撮影団がその噂を真実を突き止める為に侵入し行方が分からなくなったそうだ。

 

それが増え始めたのが約二週間前。

 

丁度、アイドネウス島からUGがDGとなり姿を消した期間と重なるのだ。

 

その話を聞き、ドモンはある推測をした。

 

DGは自己増殖で己の分体を増やし、本体はそこへ逃げていたのではないか?

 

それならばオーストラリア大陸や他のエリアで目撃されたDGが分体であると想像がつく。

 

そしてそれらが一斉にその廃墟へ集合していると言うのならと。

 

DGの三大理論を利用すればそれも容易いだろうと判断した。

 

 

「ドモンさん?」

「銀河、すまないが俺は基地に戻る。」

「また会えますか?」

「いつかは分からないがまた会いに来る。」

「その時は北斗と一緒にいいですか?」

「ああ、楽しみにしておく。」

「はい、ドモンさん…気を付けてください。」

「ありがとう、銀河。」

 

 

ドモンは銀河との再会を約束しその場を後にした。

 

いずれ彼が出会うだろう仲間と共に再会するのはまた戦場であると言うのは神のみぞ知ると言った方がいいのだろうか。

 

縁は繋がったのだ。

 

それもまた必然と言うのならこの縁は無駄ではない。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

 

「気付かれたみたいね。」

 

 

ーソウー

 

 

「兄弟で戦うのは嫌?」

 

 

ーイヤダー

 

 

「だったらどうしたい?」

 

 

ーテニイレル、ズットイッショニイルー

 

 

「そう(DG、分かり合えなければすれ違うままなのよ?」

 

 

ーハスミ、ハスミハキエナイヨネ?ー

 

 

「出来る限りは一緒に居てあげる。」

 

 

ーウン、イッショイッショー

 

 

「…(抑え込めるのもここまでか。」

 

 

ーハスミ、マタコモリウタヲウタッテー

 

 

「眠るの?」

 

 

ーウン、ダカラキキタイノー

 

 

「解ったわ。(舞台は整った、後は貴方次第です…ドモン・カッシュ。」

 

 

ハスミは暗い空間で口ずさむ。

 

いつか人が歌で手を取り合おうとした世界で歌を胸に戦う少女達が歌う子守歌を歌った。

 

世界が繋がった誰もが知る子守歌を静かに歌った。

 

 

=続=




悪魔を滅ぼす為に集結する力。

全ては愛すべき者を救う為に。

機械仕掛けの悪魔の子の嘆き。

傀儡となった睡蓮は妖艶なる人形。

次回、幻影のエトランゼ・第六話『闇歌《ヤミノウタ》』


「義娘を返して貰おうか?」(スナイパーライフルを構える音)
「テンペスト少佐、抑えて抑えて!!」
「止めるなダテ少尉!もしや少尉…私の義娘に近づくつもりか!!」
「ないです、ないですから!!?」
「信用できん!」
「クスハっ!少佐に栄養ドリンク一杯っ!!」
「はーい。」
「何をする!やめっガボッ!?」


ードサッー



ーポクポクー



ーチーンー


<今回の登場人物>


※出雲銀河
GEAR戦士電童のパイロット。
現在は小学4年生、パイロットではなくただの民間人である。
約一年ほど前に嘗ての記憶が戻った為、単独で相棒であるレオ達を捜索していた。
しかし、彼らも記憶が戻っていたので後に合流し共に行動している。
ドモンの連絡で再会し今回の失踪事件に関わるヒントを伝える。
ちなみにレオ達三匹は銀河の持つ携帯端末に身を隠している。


※草薙北斗
GEAR戦士電童のパイロット。
銀河と同じく記憶が戻っており、ユニコーン達と再会している。
現在は銀河と連絡を取り合いつつ自分達の所属すべき場所を調べている。



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第六話 『闇歌《ヤミノウタ》』

妖しき言の葉は呪詛。

曖昧で不変でそしてその心に浸透する。

咲き開くは美しき睡蓮。

解放されしその力は■■■■■■。

物語は終焉となるか継続となるか。

誰にも分からない。


前回、銀河から聞かされた噂の場所へ向かう前に基地へ戻ろうとしたドモンだったが…

 

今回の件に関係しているがまだ確定した訳ではなかったので単独で調査へ向かう事にしたのだ。

 

その移動中(GF式徒歩)に伊豆基地に居るレインを通して連絡をしたが、本人は音信不通だったのでメッセージに伝言を残して置く事にした。

 

旧東京エリアで不可思議な失踪事件が発生している、DGと関係があるかは不明だがそこを調べるとメッセージを残して。

 

ドモンは旧東京エリアへと向かった。

 

 

******

 

 

一方その頃。

 

 

「あの人、一人でここへ来るみたいね。」

 

 

ーハスミノウラナイアタッタネー

 

 

「占い、か…正直に言えば予言なのだけどね。」

 

 

ーソウナノ?ー

 

 

「未来を識ると言う点では同じものよ。」

 

 

ハスミはDGの傍でタロットカードを数枚めくりその結果を見ていた。

 

左から『星』、『運命の輪』、『月』のカードである。

 

順に過去、現在、未来を表しておりそれによって相手の運勢を占う。

 

複雑な方法もあるのだが判りにくいので今回は簡易的なものである。

 

カードの絵柄には正位置と逆位置が存在しそれも占いの結果に関係してくる。

 

壱番目は『星』の正位置で希望や願いが叶うを意味する。

 

弐番目の『運命の輪』が正位置の為、変化や定められた運命を意味する。

 

参番目の『月』は逆位置の為、徐々に好転するを意味する。

 

 

「これは願った事が叶えられたけど、いずれ変化が生じ…不安定な結末を迎えるが徐々に好転はすると言う意味なの。」

 

 

ーソレハダレノウンメイ?ー

 

 

「特定の相手に占った訳じゃないから誰になるかは分からないわ。」

 

 

ーソウナンダー

 

 

「それよりもここへドモン・カッシュが向かっているけど、準備はいいの?」

 

 

ーダイジョウブダヨー

 

 

「解ったわ。」

 

 

 

彼には旧東京エリアの地下迷宮で少しお手伝いをして貰いましょう。

 

いずれここへ現れる敵を退ける為にも必然を偶然と装わなければならない。

 

さてと、どう動こうかな。

 

この一帯にマシーンランドを建設される訳にはいかないしね。

 

ドモンさん、貴方には悪いが人暴れして貰うよ。

 

貴方を追って写し身の忍も現れるだろうし。

 

いずれ起こる災厄の一つを消す為にもやらなければならない。

 

脅威に成り得る敵の対処はDGにも受け入れて貰えた。

 

その為に貴方達を手に入れる。

 

それがDGの提案であり最も生存の確率を高める方法。

 

DGが私の持つ過去の記憶と知識を垣間見た結果、先の件を認める決を下した。

 

やはりDGはかなりのスピードで成長を続けている。

 

どうすればいいのか、自ら考え、提案し行動、そして結果を元に新たな方法を模索する。

 

人に近い考えを行える『超AI』だからこそ出来る思考だ。

 

だが、『超AI』も人の犠牲の上に成り立っている。

 

この『超AI』を完成させる為に人体実験まで行われしまっていた位だ。

 

私がこの世界に産まれる前に起こってしまった事件の為、防ぐ事は出来なかった。

 

『超AI』のプロトタイプの開発者は世界から非難され今も冷凍刑に処されている。

 

現在、軍で使用されているAI搭載のロボット達は一部の思考パターンを限定されたものである。

 

例外はブレイブポリスや勇者特急隊、GGGで活動中の『超AI』のロボット達だけだろう。

 

同じAIチップを使用している以上、『例の事件』に関わる危険性がある事を危惧したい。

 

それは笛吹男に導かれて地の底へ消えて行く子供達の行列の様に。

 

 

ーハスミ?ー

 

 

私はまた考えに耽ったらしい。

 

この癖は直さなければならないが、どうしても抜けないのだ。

 

 

「DG?」

 

 

ーマタ、カンガエゴト?ー

 

 

「ええ…」

 

 

ーシンパイ?ー

 

 

「それが起こるか起こらないかは今後次第だけどね。」

 

 

DGはシュルシュルと触手の一部の伸ばしてハスミの手に置いた。

 

生物の様に脈を打ち、それでいて鉄の様に冷たい感触が触れた部分から伝わった。

 

 

「大丈夫、心配しないで。」

 

 

悪い様にはならない、ただそれだけしか話せなかった。

 

貴方にとっても。

 

私にとっても。

 

それが最良なのだから。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

更に時間を遡る事、ドモンが星見町へ向かう前の事である。

 

伊豆基地内のATXチーム分隊室にて。

 

少佐達は上層部との対策会議、他は巡回などで出払っており、現在はキョウスケとアクセルの二名のみ残っている。

 

その為、記憶保持者達を集めて話し合いを進める事となったのだ。

 

 

「俺はヒューゴ・メディオ、キョウスケ達とは前の世界での仲間だった。」

「久しぶりだな、ヒューゴ。」

「ドモン、お前も記憶が戻っていたのか?」

「ああ、俺の他にもここに居る全員は差違はあるが過去の記憶を持っている。」

「差違か、俺はつい最近記憶が戻ったせいか少し違和感を感じるな。」

「暫くすれば馴染むだろう。」

 

 

今回、新たに前世の記憶を取り戻したヒューゴが仲間に加わった。

 

しかし、今回のDGの一件の間だけでありDGの事件が終息すれば再び別の任務に着任しなければならない。

 

そのヒューゴ自身も先のDGとの戦闘で負傷し戦闘に参加出来る状態ではなかった。

 

搭乗機を破壊されたのもあるが、隊長であるアルベロより絶対安静の命令を受けたのもある。

 

ちなみにヒューゴの記憶が戻ったのは先のDGとの戦闘が切っ掛けだったとの事。

 

一通りの自己紹介を終えた後、それぞれが持つ情報を纏めた。

 

ヒューゴからは遭遇したDGの件についてその時の状況を詳しく聞く事が出来た。

 

例のアインストが引き起こした事件を追っていた矢先の出来事だったらしく部隊全員が奇跡的に生き残れたのは偶然にも等しかった。

 

下手をすれば同僚のフォリアはDG細胞によって完全なゾンビ兵になっていたかもしれない。

 

だが、部隊が生き残れたものの結局フォリアにDG細胞が感染した事実は変わらなかった。

 

今回は状況が違い徐々に感染が進行するタイプだったので治療の見込みがある事が幸いだった。

 

しかし、その本人はDGの信号に引き寄せられ行方不明になってしまっている。

 

一刻も早くフォリアを取り戻したいとヒューゴは表情を陰らせていた。

 

次にアクセルからは先の戦闘で遭遇したアインストがエンドレスフロンティアと呼ばれる世界に現れた群れの集団だったと説明。

 

そしてそこに住まう住人を操っていた事もあると聞かされた。

 

幸いにもそれに抗った現地に生きる人々の手によって滅んだとの事だが、今回の転生の一件でリセットされている可能性を視野に入れるべきと危惧していた。

 

ジョウからは火星の一件についてである。

 

前と同じくハザードによって火星に点在していた連邦軍が壊滅し生き残りはマーズクレイドルに集結し今も攻防戦を続けている。

 

マーズクレイドルは地球のアースクレイドル、月のムーンクレイドルと並び人類が生き残る為の設備や戦力も配備されていた。

 

そしてマーズクレイドルに冷凍睡眠に入る予定の人々がまだ居なかった事もある。

 

その為、火星の避難民達の受け入れが可能だったのだ。

 

ちなみにハザードは『蒼い睡蓮』が派遣したエージェントによって謀殺された。

 

エージェント達が追撃をされた時に搭乗していた機体にどこか見覚えがあったそうだが完全に思い出せないとの事。

 

一言で言えばマジンカイザーの様な風貌だったそうだ。

 

その謎は後で考える事にした。

 

続けてはガトー少佐からの情報である。

 

やはりザビ家は木蓮の草壁とギガノス帝国のドルチェノフの秘密裏の結託によって暗殺されてしまっていた。

 

その場に偶然にも居合わせてしまったデラーズとシン・マツナガは生き残った幼いミネバとドズルの奥方、事実を知った将官、士官達と共に二人を逃がす為にこちらへ亡命したとの事だ。

 

その逃亡中に犠牲を払いつつも連邦軍内で彼らと和平を望む穏健派に救われたのだ。

 

彼らにその情報を託しミネバ達は地球のある場所に隠居されている。

 

ガトー自身はその時再会したコウとデラーズの指示、彼の意向を察した連邦軍のとある将官の伝手でトリントン基地所属とになったとの事だ。

 

それを聞いたこの場に居る全員が驚愕した事実である。

 

ちなみにこの情報は連邦軍上層部の穏健派のみが知る情報である。

 

そしてコウからは気になる事を耳にした。

 

地球の半数以上のコンピューターシェアを握っていた国際電脳の株価が一気に下落し、現在倒産の危機に陥っているとの事である。

 

逆にGreAT社とJUDAコーポレーションと呼ばれる二つの企業が新参として参入してきたのである。

 

前者は日用品からトイレまでが売りの複合企業、後者は大手医療器具メーカーであるが双方共に今までにない画期的な技術が売りで株価を伸ばしつつあるとの事だ。

 

イスルギ重工がGreAT社かJUDAコーポレーションとの合併を企てていたがあっさりと双方から却下されたそうだ。

 

この情報はコウ自身がアムロ・レイと並ぶ機械工学への思慮深さとそれに先進的な企業を調査した結果である。

 

ジョウがJUDAコーポレーションに関してどこか聞き覚えがあると話したが思い出そうとすると先のマジンカイザーもどきと同様に靄がかかった様に頭痛を引き起こしていた。

 

これはジョウの記憶にある『虚億』もしくは『実億』の中に彼らと何らかの関わりを持っていた可能性があるとキョウスケ達は推測した。

 

しかし思い出そうとすると頭痛がすると言う事はその記憶に何らかの枷が掛かっている可能性があり、それが何者かの意思かは不明だが強大な力が関わっている事は確かだろう。

 

現に自分達の様に転生を果たした人間がこうも都合よく記憶を持ち、なおかつこうして集結する事はほぼ奇跡としか言えない程に都合が良過ぎる。

 

そして『蒼い睡蓮』の予言。

 

この予言によってこの時期に発生する戦闘や戦死者の数が前回の記憶よりも激減していた。

 

少なからず地下勢力などの侵略者、異星人やジオンなどの敵勢力からの襲撃はあるものの被害状況はどこも最小限にとどめられている。

 

『蒼い睡蓮』とは何者なのか?

 

何故こうもこちら側に介入しているのだろうか?

 

その行動は壊滅を滅亡させ、その言葉は悲報を滅亡させている。

 

『蒼い睡蓮』は災厄を滅亡させる為の意味だとしたら?

 

その行動からキョウスケの導き出した『答え』は確実なものでもないので自分自身に留めておいた。

 

隣にいたアクセルもまたキョウスケの考えを察したものの同じ様に口を噤んだ。

 

最後にキョウスケは改めてアインストの一件と同僚で部下のハスミがDG細胞に侵されて、失踪している事を話した。

 

そしてとんでもない爆弾発言を投下した。

 

 

「本人は隠しているのか自覚がないのか判らんがハスミの操縦技術は旧戦技教導隊と同等の技術力を持っている。」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

ジョウを始めとしたその場に居たメンバーが声を荒げた。

 

 

「ハスミのシミュレーション訓練結果のログを調べていたがあれはもう化け物じみている。」

「そのシミュレーションの相手は?」

「どうやって組んだのか知らんがゼンガー隊長ら旧戦技教導隊全員と対峙した戦闘シミュレーションをやっていた。」

「おい、そいつはどういうことだ?」

「ジョウ、お前は知らないと思うが隊長達はかつてPTやAM、MSの基礎OSを手掛けていた。」

「基礎OSってたしか…」

「俺が説明するよ。」

 

 

助け船としてコウが基礎OSについて説明。

 

 

「そう言う訳で現時点で稼働している多くのMSやPTの初期OSはそのデータを一般兵用に最適化して転用されているんだ。」

「て、事は…!?」

「隊長達は人知れず、とんでもない人材を生み出していたと言う事だ。」

「キョウスケ、前から聞こうと思っていたがハスミ・クジョウは一体何者だ?」

「彼女は基礎OSの開発者であるカーウァイ・ラウ大佐の養女だった。」

「ナンブ少尉、彼女の義父はテンペスト少佐だと聞いていたが?」

「カーウァイ大佐はハスミの二人目の義父、テンペスト少佐は三人目になる。」

「どういう事だ?」

「そうか、カーウァイ大佐は数年前のエアロゲイター襲撃で…」

「期間は短いとは言え、ハスミはあの旧戦技教導隊と共に過ごしていた。」

「成程な、知らずがどうか分からんが操縦技術を身に着けていたのなら化け物並みにもなるか…これがな。」

「…」

「キョウスケ少尉、もしかして…まだあるとか?」

「少佐達の悪ふざけなのかその仕込みのせいで銃器の扱いからハッキング、白兵戦闘までこなせる。」

 

 

その発言を聞いたキョウスケを除く全員の表情が青ざめた。

 

 

「最近は独学で爆薬と罠の仕掛け方法を学んでいたな。」

「…更に悪くなっているのは気のせいか?」

「いや、後者は以前の甲児達の悪ふざけ防止に役立っていた。」

「悪ふざけ?」

「…覗きだ。」

「記憶が戻ってないにしろ相変わらずですね、彼らも。」

「今の所、記憶は蘇る傾向は見えていない。」

「アイツらも『虚億』と『実億』を封じられているのか?」

「それは解らん、可能性としてはあり得ると思う。」

「そう言えばリュウセイは?」

「リュウセイにはイングラム少佐の監視を避ける為に別行動を取って貰っている。」

「…この世界の少佐も奴らに操られているままなんですね。」

「少佐の背後関係に居る存在がレビかユーゼスが分からない以上、下手な行動はとれない。」

 

リュウセイの情報が確かなら二つの『実億』に残る記憶ではホワイトスターの黒幕は二人いると話していた。

 

それがレビ・トーラとユーゼス・ゴッゾォである。

 

この世界での黒幕がどちらであるか現状では不明。

 

レビに関してはマイの事があるのでリュウセイに任せる事にした。

 

 

「あの『蒼い睡蓮』なら何か情報を掴んでいるって事はないですよね?」

「そこまで都合よく情報を持っているとは限らないと思うが…」

「それに遭遇する確率すらない相手にどうやって接触すればいい?」

「ですよね。」

「そろそろ時間か…」

「ドモン、どうしたんだ?」

「悪いが一旦抜けさせてもらう。」

「何処へ行く気だ?」

「知り合いを待たせているんでな、星見町へ行ってくる。」

「星見町!?」

 

 

ドモンの語った場所に覚えのあるヒューゴは声を上げてしまった。

 

 

「ドモン、まさかと思うが銀河達も?」

「確認は取れている。」

「ロムに続いて銀河達もか…」

「ヒューゴ、何か知っているのか?」

「前の世界で一緒に戦った仲間達の事だ、その仲間がその町に居る。」

「仲間か、どんな奴らだ?」

「まだ小学生さ、ドモンが会いに行く仲間は」

「子供か…勝平達と仲良く出来るといいね。」

「前の時といい、この部隊はどうしてこうも子供が参加する確率が高いのか…」

「状況は人それぞれだけど…彼らは軍に従っていた訳じゃなくて自分の意思で戦っていた、それだけは確かだよ。」

「…そうだったな。」

 

 

ガトーは前の記憶でもこの独立機動部隊に参加する者の大半が未成年の子供であった事を思い出し、眉間に皺を寄せていた。

 

コウもまたそれにフォローを入れ一度は抑えたが濁す様に発言をした。

 

 

「ただ、今回だけはちょっと複雑になっているのは俺にも解る。」

「何があった?」

「アムロ大尉やクワトロ大尉の話ではそう言った関わり持つ子供達を国連事務総長の指揮下にあるGGG…いや、地球防衛軍に集結する様に仕向けている存在が居るとだけ聞いた事がある。」

「その存在は一体?」

「それも『蒼い睡蓮』の仕業じゃないかって大尉達も話していた。」

「あの『蒼い睡蓮』か…こちらでも噂は耳にしている。」

「やっぱり、そっちでも噂になっていたんだ。」

「こちらと変わらんと思う、経歴、所属、その他諸々が素性不明の情報屋とだけな…」

「それと?」

 

 

「「正体を知ろうとした者は必ず『滅亡』する。」」

 

 

「その手口は様々だが、知っている中で最も凶悪なのが…」

「権力主義者達が起こした社会復帰ゼロに等しい汚職事件、天下り事件、隠ぺい事件の露見だね。」

「実に鮮やかな手腕だったと閣下も感心していた。」

「普通に感心してくれる人がいるだけ羨ましいよ。」

「…何があった?」

「大尉達、その事件を知った後…かなり共感し過ぎてあの世にも恐ろしい黒い眼差ししていたのを俺は見たんだよ。」

「私は何を言わんぞ。」

「うん、何も言わない方が良い…後が怖いから。」

 

 

コウは『蒼い睡蓮』の起こした露見事件の一件でアムロとクワトロの両名の腹黒い一面を目の当たりにしてしまった事をガトーに漏らした。

 

そのガトーも知らぬが仏と言うスタンスでスルーを決め込んだ。

 

上記の事で察して頂く様に二人も『記憶持ち』である。

 

何処までの記憶を持つがは語られていないが腹黒い一面を見せると言う状況に陥っているのでかなりの精神年齢となっている筈である。

 

 

「互いに盛り上がっている所で悪いが話を戻すぞ?」

 

 

会話の最中にドモンはその場を離れ、残った六名で話し合いを続けた。

 

 

「俺が言いたいのはDGがもしもハスミ達の持つ技術力などを吸収しているのなら油断は出来ないと言う事だ。」

「腐っても囚われた連中は最前線で戦う兵士、その能力も様々だ。」

「それにハスミはT-LINKシステムへの適性を少なからず持っている…俺はそれも危惧している。」

「彼女は適正検査でも最低位置の筈、余り気にし過ぎじゃ…」

「本当に最低位置だったらな…」

「どういう事だ?」

「アイツは何かしらの戦いや事件が起きる前に必ず予言の様に何かがおかしいと呟く事があった。」

「偶然では?」

「それはない、クスハ達も戦いに参加する前はそのおかげで事故や不測の事態から逃れられたと話している。」

「それじゃあ彼女はこうなる事を知っていたとでも?」

「俺達と同じ『記憶』を持つ者であれば…話は別だ。」

 

 

キョウスケはハスミもまた『記憶』を持つ者である可能性を語った。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

更に別の場所において。

 

某高層ビルの最上階にて社長室と思われる場所で専用のデスクからモニターを見る白人の男性。

 

そしてモニターには同じく社長室の様な場所で通信を送る黒髪の男性が対話をしていた。

 

 

 

「久しぶりだね。」

「お互いに。」

「まあ、そう敵視しないで頂きたい…私も『蒼い睡蓮』によって救われた身なのでね。」

「貴方もですか…同じ同志と言うのなら仕方ありませんか。」

「ですが、これだけは言わせて頂きたい。」

 

 

自分はもうあの様な過ちを犯す者になる事は無い。

 

今は共に歩む仲間もいるのだからと白人の男性は答えた。

 

 

「…そうですか。」

「身の潔白は今後の行動で示すとします。」

「信じますよ、仲間を騙し偽る様な事をしていた私が言うのも何ですけどね。」

「ははっ、こう言う業務を行っていると腹の探り合いもまた必要と思いますけどね。」

「言えますな。」

 

 

淡々と世話話を続けた二人は話の本題を持ち出した。

 

 

「『蒼い睡蓮』から君と私で『悪魔』に忍び寄る『害虫』の駆除を依頼された。」

「知っているよ、数日前に『蒼い睡蓮』から連絡は貰っている。」

「そうか…依頼にあった『悪魔』は厄介な相手でもあるが君と同じく助けるべき相手でもある。」

「一方的な迫害、理不尽な過去を持つのか…あの『悪魔』も?」

「そうらしいね、だからこそ『蒼い睡蓮』も動きを見せたのだろう。」

「確か『巫女(メディウム)』が『悪魔』に張り付いているらしいね?」

「そうらしいが彼女も『悪魔』の洗礼を受けて居る以上、時間の猶予はないよ。」

「なら、早々に出た方が良いね。」

「現地集合で宜しいか?」

「そうさせて貰うよ。」

「では、『大統領』。」

「ええ、『将軍』。」

 

 

互いに通信を切った後、社長室を後にした。

 

 

******

 

 

時間は進みドモンが銀河と別れた後、旧東京エリアに到着した。

 

 

「…紋章が疼いている。」

 

 

ドモンの手の甲に刻まれたシャッフルの紋章が警告する様に輝きを放っていた。

 

 

「解っている、ここに居るんだろう?」

 

 

それを抑え込む様にドモンは紋章に手を置いた。

 

 

「やはり、繰り返すしかないのですか…師匠?」

 

 

ドモンは消え入りそうな声で呟いた後、廃墟へと侵入した。

 

その後、旧東京エリアから様々なチャンネル、ネットを介して何かの動画が流れていた。

 

それは美しくも切ない音楽と共に影絵の少女が歌っている姿だったそうだ。

 

 

=続=




語られるは駄文の如き裏の話。

彼らは何処から来たのか?

それを知るにはまだ早いのか?

ここは庭園で起こった一時の出来事。

次回、幻影のエトランゼ・第六.五話『影話《カゲバナシ》』

蒼い睡蓮と悪魔の密会は波乱を極める。



「コックさん、一番安いランチと調味料ありったけ。」
「おやおや新郎君、ここは社員専用の無料の食堂だよ?」
「…」
「君も私の会社の社員なのだから遠慮しないで、ね?」
「あーそうですか。」
「君って本当にマイペースだね。」



<今回の登場人物>


≪???≫

※大統領
ホルトゥスのエージェント。
某企業の社長でかつて大罪を犯したらしい。

※将軍
ホルトゥスのエージェント。
某企業の社長、結構腹黒いらしい。

※巫女
ホルトゥスのエージェント。
所載は不明。

※新郎
ホルトゥスのエージェント。
現在は将軍が経営する企業の社員として雇われている。


<クライ・ウルブズ>

※ヒューゴ・メディオ
新たな記憶所持者。
現在はDGとの戦闘で負傷中の為、戦線から退いている。


<アーガマ隊>

※アムロ・レイ
記憶所持者。
二つ名の「白い悪魔」は健在。
膨大な記憶を所持している為、かなり腹黒くなっているらしい。

※クワトロ・バジーナ
記憶所持者。
アムロ同様にかなり腹黒くなっているらしい。


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第六.五話 『影話《カゲバナシ》』

語られるは駄文の如き裏の話。

彼らは何処から来たのか?

それを知るにはまだ早いのか?

ここは庭園で起こった一時の出来事。

そして世界に関わった記憶以外の記憶を持つ者達は静かに歩みだす。

蒼き睡蓮は大嵐の緊急の知らせを知る。


これはDGによるDG細胞感染者達の集団失踪事件発生後の事である。

 

あるエリアにて。

 

 

******

 

 

「おい、どう言う事だよ!」

 

 

執務室を思わせる場所にて自動ドアから脅しにも聞こえる声を上げて入ってくる二人組。

 

二人組と言っても叫んでいるのは相方の方であり、もう片方は無言のまま入って来た。

 

 

「どういう事…とは?」

 

 

それに応対するのは執務室にあるデスクの席に鎮座する『蒼い睡蓮』ことブルーロータスであった。

 

相変わらずその姿を悟られぬように全身に蒼鎧、白いローブと仮面を付けていた。

 

 

「あのデカブツの事だよ!あんな大物が居るって知ってて黙ってたのか!?」

「海動、止せ。」

「真上だってあいつと戦いと思わないのか!」

「堕天使君、彼には説明をしたのでは?」

「こいつが素直に話を聞くと思うのか?」

「…そうでしたね。」

「あ!?」

 

 

堕天使こと真上の言葉にブルーロータスは肯定した。

 

その言葉に不満を隠さず、海動は堂々と威嚇していた。

 

そしてブルーロータスは再度説明を言い渡した。

 

 

「そう言う訳で…あのDGは今後の戦いに必要不可欠な力なのです。」

「んで、JUDAのおっさんらを向かわせたって訳か?」

「言葉通りですよ。」

「けっ…あのヒキガエル顔のオッサン(ハザード・パシャ)をぶっ飛ばしたのはいいけどよ、こっちは腕が訛ってしょうがないぜ!」

 

 

ブルーロータスは彼らの性質を知った上でエージェントとして仲間に引き入れたが、余りにも扱いにくいと言う事を改めて痛感していた。

 

内心、彼らを指揮していた中間管理職の方達はさぞや胃を痛めただろうと合掌した。

 

 

「では、次の仕事を与えましょう。」

 

 

ここで彼らの鬱憤を解消しておかないと後々の行動に支障が出ると判断したブルーロータスはある任務を言い渡した。

 

 

「貴方達には雷王星へ向かって頂きます。」

「雷王星?たしかSTMC(宇宙怪獣)共の巣になる予定になると話していた惑星だな。」

「正確にはその調査ですけど、場合によっては数減らしをお願いしたいと思います。」

「へっ、何だろうと関係ねぇ…俺は暴れられればそれでいい!」

「了解した。」

「但し、引き際を見誤らない様に…」

「解っている。」

 

 

STMCは扱い方によって恐るべき武力になる。

 

何処にも属さず己の欲望のまま突き進む。

 

無限力が生命体に架した生存の為の試練と言うがこれは余りにも不憫だろう。

 

しかも厄介な事に銀河大戦と呼ばれる戦乱で行われるバスターマシン三号による作戦を切っ掛けに奴らは後の多元世界に転移してしまい多大な被害を与えてしまっていた。

 

その転移に加担したのが『御使い』であるのも『彼女』からの進言で理解している。

 

それを防ぐ為にもここで奴らの数を削減をしなければならない。

 

 

「出来る事なら雷王星ごと奴らを始末出来ればいいのですが…」

「俺達もそうしたいのは山々だがSKL-RRが修理中では出力不足だ。」

「おまけに由木達も怪我でぶっ倒れたまま…ウイングルやアイアンメイデンもぶっ壊れたままだしな。」

 

 

現時点で彼らが搭乗しているマジンカイザーSKLは翼と乗馬を失った状態である。

 

理由とすれば彼らがこの世界に転移して来た事から話さねばならない。

 

ある日、彼らは突然この世界に現れた。

 

彼らは満身創痍で敗北と言う屈辱に塗れた惨い状況だった。

 

『彼女』からの予言でブルーロータス達は彼らの救助に赴いた。

 

後に事情を聴くと彼らの世界が何者かによって滅ぼされた事が語られた。

 

神が起こした破滅から平和を手に入れた世界に訪れた突然の終焉。

 

その光景は誰もが予想も出来なかったものだったらしい。

 

これで『彼女』の予言通りであれば新たな転移者も現れるだろう。

 

そして、いずれはこちら側にもやってくる災厄に立ち向かう為に彼らを仲間に引き入れたのだ。

 

 

「アンタには感謝している、こうやって再び立ち上がる事が出来るのだからな。」

「おうよ、掛けられた恩と売られた喧嘩はキッチリ返さねえとな!」

「…(悪魔君、貴方のさっきの怒りは何処へ?本当に単純ですよね。」

 

 

ふと、真上は『彼女』の事をブルー・ロータスに訪ねた。

 

 

「所で例の『彼女』からは何も連絡は来ないのか?」

「前に話した通り…全てを語るにはまだ力不足、そしてその時ではないとの事です。」

「けっ、勿体ぶりやがって…」

「余程、情報漏洩を危惧しているのだな。」

「そうですね、話を戻しますが貴方達の出撃に関してですが…」

 

 

雷王星調査に彼らだけではなく、エージェント数名と共に同行し調査を進めて欲しいと話した。

 

勿論数減らしが可能であればそれも行い、あわよくば殲滅も視野に入れて欲しいと再度付け加えた。

 

 

「だが、JUDAのメンバーは『将軍』と『想像者』を除いて今だ動けん状況だろう?」

「ええ、貴方達の世界が消滅した時に負った傷と転移時の衝撃でファクターはほぼ活動停止状態に追い込まれました、ファクターではないアルマ搭乗者達を守る為とはいえ発見時は酷い状況でした。」

「けどよ、俺らもそうだったがアイツらも唯じゃすまなかっただろ?」

「ええ…(そもそもファクター以上の自然治癒能力を発揮する貴方達が悪魔じみているのですが?」

「表社会に忍ばせたJUDAコーポレーションとGreAT社、地球内部の海域で隠密活動を続ける竜宮島、外宇宙で調査を進めるクトゥルフと最凶の魔術師、アンタの事だろうが他にも隠し玉を数多く持っているのだろう?」

「どうでしょうね、必要あらばっ……!?」

 

 

その時、ブルー・ロータスの着席するデスクに置かれたディスプレイにメールが一件着信された。

 

 

「どうした?」

「少々失礼する。」

 

 

ブルー・ロータスはメールの内容を見ると仮面越しでその場の二人には解らなかったが、その表情は動揺しつつあった。

 

 

「オイオイ、何なんだよ?」

「失礼した、先程『大嵐』から伝言がありましたので…」

「例の『巫女』と行動しているエージェントか?」

「ええ、前回の任務の調査結果の件でね。」

「例の骨太とニョロニョロお化けだったか?」

「海動、正確には『アインスト』だ。」

「話を戻しますが…早速、二人には先の任務に着任して頂きたい。」

「調査は俺達二人の他に誰を組ませる気だ?」

「不本意ではありますが『霧』達を選出しておきます。」

「げっ、奴らかよ!?」

 

 

『霧』と言う言葉に反応した海動と真上はその表情に苦みを見せていた。

 

 

「彼らもこのまま放置して置けば何をしでかすか判りませんからね。」

「それは同感する、アンタが秘密裏に続けたこの行動を奴一人の行動で全てぶち壊す可能性もあるからな。」

「へっ、空気を読めなさは相変わらずだぜ。」

「…(貴方も人の事は言えないと思いますが?」

「そいつらの御守りもしながら任務を遂行しろと言う訳だな?」

「手間をかけると思いますがよろしくお願いします。」

 

 

任務を受領した二人は室内を後にした。

 

 

「やはり『彼女』の言う通り、世界の終焉は着実に進んでいるようですね。」

 

 

そう、『彼女』は語った。

 

この宇宙は終焉へと続く最後の人の世。

 

ここで破滅を迎えれば人類は永久に決められた生と死の無限ループに陥る。

 

そこは創造も破壊もない中間の世界。

 

たった一人の存在によって作り上げられた遊戯盤の世界として成り立つ。

 

その一人の手に誰もの生死が握られ弄ばれる。

 

その一人の存在が飽きるまで続けられる希望も絶望もない。

 

それこそ人の理解すら超えた真の意味で終焉の世界に代わるだろう。

 

それを止める為に様々な意思達がこの宇宙へ集結しようとしている。

 

その存在はそれを良く思わないが故に抹消させようとしている。

 

以上の経緯を『彼女』は生命の記憶から教えられた。

 

 

「だが、『巫女』は『悪魔』に囚われたままだ。」

 

 

念の為に『大統領』、『将軍』、『新郎』を向かわせたがどうなるか。

 

『彼女』の言う奇跡は起こるのだろうか?

 

それはまだ誰にも分からない。

 

 

「道化もまた現る、そうバラルの復活か…」

 

 

ブルーロータスはデスクに置かれた資料に目を向けた。

 

そこには武器商人アラン・ハリスと記載された白人男性の調査資料とレンジ・イスルギの心臓発作による変死事件の経緯資料が置かれていた。

 

 

=続=

 




動き出す存在達。

地下迷宮で再会する仲間との戦い。

遂に睡蓮はその牙を剥く。

そして蒼い睡蓮は新たな同志を送り込む。

全ては呪われし眼が仕向ける遊戯。

次回、幻影のエトランゼ・第七話『呪眼《ジュガン》』

新たな物語は交差する。



「初めまして、猫日に登場したファルセイバーだ。」
「同じくブルーヴィクターだ。」
「本編に登場してないのに何故次回予告に出て来た、と?」
「理由は簡単だ、作者曰くネタが思いつかないからだそうだ。」
「そんな理由で?」
「理由は兎も角、そもそもファルセイバーはネタの宝庫だろう?」
「は?」
「BXでは『お前は保護者』かと言わんばかりにユキに過保護だっただろう?」
「そ、それは…」
「過保護も道を外れればユキの成長を妨げる、度の過ぎた発言は控えるべきと思うが?」
「う…」
「同じ保護者仲間のデッカードやバーン達からも過保護すぎて周りへの影響も考えるべきだと苦情まで言われたのだぞ?」
「済まない。」
「そう言えばバーンガーンの声の事何だが…」
「どうした?」
「バルギアスに似ているのは気のせいか?」
「他人の空似じゃないか?」
「浜田君からは中の人とかどうとか?」
「はあ?」

ハヨ、オワレ。


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第七話 『呪眼《ジュガン》』

廃墟に残された地下鉄跡地。

入り組んだ先にあるのはかつての電波塔。

そこに待ち受けるのは鍵盤楽器が奏でる戦操の音。

過去の再来は再び起こるのか?

庭師達は害虫を刈り取る為に動き出す。

全ては悪しき眼より語られる。


極東エリア内におけるDG細胞感染者達の失踪事件の三日目。

 

旧東京エリアの地下鉄迷路内部にて。

 

 

******

 

 

「奴に気付かれない内に早くその人を!」

 

 

少女は覆面を被った男性にそう叫んだ。

 

トリコロールの覆面を被った男性は気を失った男性を担いで外へと向かっていた。

 

覆面の男性は歩みを進める中でこう思った。

 

自分は無力だ。

 

彼女の様に誰かを救う余裕がない事に。

 

弟と近い年齢の彼女は自分の身の安全よりも私達の安全を優先したのだ。

 

彼女もまた悪魔の洗礼に身を蝕まれていると言うのに。

 

何故、こうも他人の為に動ける?

 

彼女は『私は末端ですが…一軍人として民間人を守る義務があります!』と答えた。

 

そして…

 

 

「私は大丈夫ですから。」

 

 

私は彼女の重みのある言葉を受け取り、キョウジを連れてその場を去った。

 

彼女の最後の言葉を後に背を向けた。

 

たった一人で廃墟の奥底に彼女を置いてきたのだ。

 

DG細胞の支配がある以上、これ以上の侵入は出来なかった。

 

私は無力だ。

 

余りにも無力過ぎた。

 

過去の記憶を辿り、私のオリジナルであるキョウジを救出したのはいい。

 

だが、別の犠牲者を出してしまったのだ。

 

キョウジの感染を除去する為の猶予がない事が私を焦らせた。

 

それが冷静になり切れなかった私の責任だ。

 

そして正気を保った彼女の最後の姿だった。

 

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

 

時は戻り、ドモンが地下鉄の駅に到着した頃。

 

 

「あの人達、勝手に動くのは良いけど…もう少し節度を持って行動してほしかったな。」

 

 

かつて電波塔と呼ばれた場所にある一室にて。

 

ハスミはノートPCを広げて地下迷宮の様子を伺っていた。

 

その眼は虚ろではなく鮮明な真紅の眼だった。

 

 

「ま、今の状況の彼らじゃ…ドモンさんに勝てないけどね。」

 

 

ハスミは普段しっかりと着用している軍服を着崩す様に着用していた。

 

そしてDG細胞に侵された部分を露出させる様に見せており。

 

ネクタイを外して首元の鎖骨を露出し胸の谷間が見えそうで見えないと言う如何にも狙った着こなし方をしていたのだ。

 

 

「力に溺れるのはいいけど…DGの命令に背くならお仕置きが必要だね。」

 

 

ハスミは真紅の瞳を一度閉じると再び開きその眼を猫の様に視線を変えた。

 

クスリと笑みを浮かべるその表情もかつてのハスミとはかけ離れており、むしろ冷酷な一面を見せていた。

 

 

「まあ、成り行きに任せようか?」

 

 

ハスミはデスクに置かれたPCを閉じるとその部屋を後にした。

 

 

******

 

 

現在ドモンは廃墟となった旧東京エリアにて、前と同じく地下鉄跡を利用し目的地である電波塔へと向かっていた。

 

そして記憶にある通り、通った事のある道を進んでいた。

 

 

「この音は?」

 

 

既に破棄された地下鉄の駅に到着するとこちらへ向かって停車しようと地下鉄の車両が入って来たのである。

 

 

「…(罠である事は知っているがここは。」

 

 

ドモンはそのまま停車した車両に乗り込み、乗り込みが確認されると発射音と共に車両は発車した。

 

車両内へ入ったドモンは運転席がある車両へと歩みを進めた。

 

 

「…(紋章が騒めている。」

 

 

ドモンは再び紋章の浮かび上がる右手の甲に手を添えた。

 

 

「解っている、お前も悲しいのだろう。」

 

 

再び起こった災厄。

 

その一つに遭遇している。

 

紋章が繰り返される悲劇への嘆きをその痛みとして訴えた。

 

 

「キング・オブ・ハート…嘆くのは後だ、まずはあの四人を取り戻す…!」

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

一方その頃。

 

地上では旧東京エリア一帯に展開していたデスアーミーの大群が二機の機動兵器と戦闘を開始しており、約数十体が両断された姿で放置されていた。

 

 

「やれやれ、『蒼い睡蓮』も随分と厄介な依頼を持ち込んでくれたね。」

「将軍、怖気づいてしまったかい?」

「いや、逆だよ…大統領。」

「ほう?」

 

 

普段の礼儀の良い言葉遣いもその本性を晒したのか荒々しいものへと変化していた。

 

 

「俺も少しばかり腕が鈍ってしまったのでね、慣らし相手には丁度いいと思っただけさ。」

「では、期待させて貰おう…織花、準備はいいかな?」

「いつでもどうぞ、大統領。」

「了解した…!」

 

 

コックピットにて後方のサブシートから指示を受ける織花と呼ばれたストレートヘアーの女性は大統領の合図と共に次の行動へ移った。

 

 

「いくら『悪魔』の能力で再生、増殖した所で所詮は劣化コピーに過ぎないんだ。」

 

 

ディアーズショットによる牽制の後、ビームハルベルトによる突撃攻撃で空中に展開するデスバーディの一体を破壊する。

 

 

「威力は抑え気味だが、君達を始末するには丁度いいよ。」

 

 

一旦距離を取った後、デスバーディを全機狙える位置に機体を移動させインペリアルランチャーを発射した。

 

一機目の僚機撃墜で混乱した隙を突いた結果だった。

 

そして地上でもその様子は伝わっており、デスビースト達にも混乱を呼び込んでいた。

 

 

「おっと、お前達の相手は俺だよ。」

 

 

地上で動きが鈍ったデスビーストをジュダの七支刀が断ち切る。

 

 

「おやおや、逃げるにはまだ早いよ?」

 

 

切り飛ばされた残骸が周囲に展開していたデスビーストに接触し更なる獲物へと変貌する。

 

 

「残念だが、俺はお前達を全員逃がすつもりはない。」

 

 

ジュダに搭乗する『将軍』の恐るべき気迫はデスビーストだけではなく空中に展開するデスバーディにもそれは悪い意味で伝わった。

 

 

「その名も石神祭り(しゃくじんまつり)だ!」

 

 

七支刀による剣撃乱舞はデスビーストだけではなく周囲の廃墟ビルをも巻き込み灰塵となす。

 

もしも月夜をバックにすれば絵となるが今は曇天の空でそれは望めない。

 

 

「いやいや、俺も大人気なくはしゃぎすぎたかな?」

 

 

七支刀を重々しく肩に担ぎ上げると『将軍』はコックピットで肩をすくめた。

 

周囲に展開していたデスビースト、デスバーディの混合部隊を一掃した後、『大統領』は『将軍』に通信を送った。

 

 

「そう言えば、先行して地下へ潜った『新郎』はどうしているかな?」

「さて、彼が極度のマイペースである事は君も知っているだろう?」

「そうだったね。」

 

 

二人の通信に割り込む存在が居た。

 

 

『それどころじゃないでしょ!!』

「おっと、『軍曹』…君も居たのかい?」

『何ぃ~呑気に会話しているのでありますか!?』

「そう言うつもりでは無かったのだがね。」

『ちょっと、ちょっと、今回の相手は気が抜けない相手だと…吾輩、何度も説明したでありますよね!?』

「揺さ振りをかけたが大将首が出てこないしどうしようもないだろう?」

『そう言う油断する様な事を言うから銃弾で脳天撃たれるのでありますよ!』

「いや~あの時の私もやり過ぎちゃったよね。」

「君、よく無事だったね……ああ君もファクターだった事をすっかり忘れていたよ。」

『全く、通信役の吾輩の身に…モグモグ、なって欲しいであります…モグモグ。』

「『軍曹』、通信しながらいきなり団子を齧るのもどうかと思うよ?」

『だって!だって!二、三日前からずっとここで吾輩一人で寂しく待機だったんだもん!』

「それでいきなり団子をお供に通信ですか?」

『そうであります、これブルーロータス殿から選別に貰ったであります♪』

「そう言えば君の姪っ子君はどうしたんだい?」

『モア殿なら雷王星に派遣されたであります。』

「雷王星?たしか例の宇宙怪獣の巣だったね?」

『吾輩にすればあれは台所から湧き出る巨大なゴキブリの様なものであります。』

「ああ、言えるね…それは。」

『それに何かあったらモア殿が居ますし何とかなるっしょって事で吾輩も許可したであります。』

 

 

「「「…」」」

 

 

『ちょ、ちょっと何で皆して無言になるんでありますか!?』

「いや~あれはね。」

「どう反応していいか…」

「『大統領』、その場合は常識の域を超えた存在と言う回答が宜しいかと?」

「そうだね。」

 

 

その後、雷王星が何かの影響により全壊したと言う報告が地球圏に点在する各勢力が知る事となる。

 

 

******

 

 

そして地下では。

 

ドモンは地下鉄車内でチボデーに遭遇し一戦交えた後。

 

地下鉄を収容するホームへと移動した。

 

だが、待ち受けていたのは拳を交えた仲間であった。

 

 

 

「お前達のファイターとしての魂はそんなものなのか!!」

 

 

拳と拳が衝突する。

 

救いたいと思う意思と捻じ曲げられた意思の衝突。

 

 

「如何にDG細胞で強化されようがキング・オブ・ハートに同じ技は二度と通用しない!」

「へっ、相変わらずスカしてやがるぜ!」

「本当にアニキは楽しませてくれるよね!」

「貴方にどう言われようともここを通す訳には行きません。」

「…」

 

 

ドモンに対峙するのはDG細胞によって操られた者達。

 

ドモンと共に拳を交えた者達の姿は戦いに狂う狂戦士そのものだった。

 

 

「チボデー、サイ・サイシー、ジョルジュ、アルゴ、お前達は…!」

 

 

前回とは違う空気を漂わせている事を感じ取ったドモン。

 

何かがおかしい。

 

それだけは感じ取れた。

 

 

「やはり脳筋は脳筋でしたか…」

 

 

カツカツとヒールの音を立てながらこちらへ通じる広間に出て来る者の姿があった。

 

 

「お前は…ハスミ・クジョウ!」

「お久しぶりです、ドモンさん。」

 

 

同ホーム内の上の階層から一礼をするハスミ。

 

だが、その姿はDG細胞に感染したと言う証で染まっていた。

 

 

「DGからのご命令です、貴方達は地上に現れた敵を排除せよとの事です。」

「えーせっかくいい所なのに?」

「たった一人に苦戦していた者がどの口で言いますか?」

「へっ、言ってくれるぜ。」

「二言はありません、直ちに地上へ赴いてください。」

「命令とあらば致し方ありませんね。」

 

 

チボデー達はその場を離れて地上へと向かった。

 

 

「さて、人払いは済みました。」

「まさか…ハスミ、お前は。」

「言っておきますが…浅はかな希望はお持ちにならない方が宜しいかと思いますが?」

「…それがお前の本性か?」

「さぁ、どうでしょうね?」

 

 

DG細胞によって操られた者はその本心を晒される。

 

この場にいるハスミは本来の本性を晒しているのだろうか?

 

それも余りにも災厄な状況で。

 

 

「フォリア・エストはどうした?」

「彼なら地上です、他の兵士達もDGのご命令で出撃しています。」

「ならお前は何故ここに居る。」

「私はDGからアナタに伝言を届ける為のメッセンジャーとして残りました。」

「何だと?」

「ドモン・カッシュ、我々の同志になれ…との事です。」

「俺がそんな事に加担すると思ったか?」

「ええ、思っていませんよ?」

 

 

ハスミはニコリと笑みを浮かべる。

 

それは清楚な少女を思わせるが一瞬にして冷酷な表情に変わった。

 

 

「だから力づくでなって頂きましょう。」

 

 

指を鳴らすとホーム内の出入り口全てのシャッターが閉まり、代わりに車両搬入用の大型シャッターが開閉する。

 

 

「こいつは!?」

 

 

現れたのは車両整備用に配置されていた整備用レイバーである。

 

レイバーはMSやPT、特機などの開発に伴い。

 

需要性を失ってしまいその数を徐々に減らしていった。

 

現在地球圏で使用されているのは公共や民間用として下げ降ろされているものだけである。

 

有名なのはお台場の僻地に置かれた特車二課と呼ばれるレイバー隊である。

 

もっとも金喰い虫扱いされ不遇の扱いを受けてしまっている。

 

話を戻すが、放置された旧東京エリアには回収されていない破棄レイバーも数多く存在する。

 

DGならそれらをかき集めて手駒として使用する事も可能だろう。

 

 

「幾ら貴方でもこれだけの数を相手にするのは無理でしょう?」

「ふっ、俺も舐められたものだな…だが!」

「そうでしょうか?」

 

 

突如、西側ホームのシャッターを突き破れた。

 

そこから現れたのは二人の人影。

 

 

「兄さん!?シュ…っ!?」

 

 

ドモンは言い掛けた言葉を飲み込んだ。

 

ドモンはこの世界ではシュバルツ・ブルーダーに出遭っていない。

 

知りもしない相手の名前を答えるにはリスクが多すぎる。

 

 

「やはり、罠だったか…(ドモン、何故ここへ!?」

「さて、役者が揃った所ですしそろそろ…っ!?」

 

 

シャランと鈴に似た音が周囲に響いた。

 

 

「えーっと、ドモン・カッシュってアンタ?」

「誰だ、貴様は!?」

 

 

更に現れたのは黒いタキシードに身を包んだ男性。

 

先ほどの音は唾の長い帽子の端に取り付けられたリングから鳴り響いたものだ。

 

 

「あー俺はブルーロータスに頼まれてアンタらを助けに来た。」

「ブルーロータスだと!?」

「悪いが名前を明かす訳にはいかないんで…メンドーだし。」

「…(ブルーロータス、とうとう庭師達を動かしたか。」

 

 

分が悪いか。

 

流石に白兵戦に置いて狂人を超えている三人に整備用レイバーでは荷が重い。

 

ならば、戦場の舞台を変えよう。

 

 

「では、地上で再度お会いしましょう。」

「待てっ!?」

 

 

ハスミがその場を去ろうとしたので追いかけようとしたが整備レイバーに遮らてしまい。

 

その姿を見失った。

 

 

「くっ!」

「さっさと行けよ、俺はメンドーを押し付けられてイライラしているんで…!」

「しかし…」

「ドモン・カッシュ、この場は彼に任せて我々は地上へ戻るぞ。」

「…分かった。」

 

 

ドモン達はタキシード姿の男性をその場に残して彼が進んできた道を辿って地上へ向かった。

 

 

「やれやれメンドーだ。」

 

 

タキシード姿の男性は蛮刀を取り出すとこちらへ向かって来た整備用レイバーに切りかかった。

 

 

******

 

 

再び地上では。

 

地上での戦闘を聞き付け、旧東京エリアへと到着したハガネ、クロガネ、アーガマ。

 

なお、ヒリュウ改とエルシャンクは別エリアで発生した戦闘を止める為に二手に分かれている。

 

現在、地上へ現れた四機のガンダムと連れ去らわれた軍兵士の搭乗するPT、AM、MSの混成部隊とそれにデスアーミーの歩兵隊と言う部隊が待ち構えていた。

 

先の戦闘の首謀者である二機は既に撤退した模様で姿は無かった。

 

これも『蒼い睡蓮』の仕込みであり、旧東京エリアに潜む『悪魔』を燻り出す為の行為であった。

 

囚われていた民間人達は既に『蒼い睡蓮』のエージェント達によって救出されている。

 

その連絡を受け取ったハガネ以下二つの僚艦は残った兵士達を無力化し救出する為に行動していた。

 

 

「彼らも操られていたなんて…」

 

 

四機のガンダムの姿に反応したレイン。

 

続けてATXチームとカーラ、ユウが会話に加わった。

 

 

「うっそお!?レイン、彼らって確か!?」

「ええ、彼らもガンダムファイター…そしてドモンと拳を交えた事のある人達。」

「あの四機、強豪とされている国家代表のファイター達ですね。」

「確かネオアメリカ、ネオチャイナ、ネオフランスだっけ?」

「最後はネオロシアか、武装から察して接近戦は控えた方が良いな。」

「だが、ハスミの姿がないな。」

「ハスミ。」

 

 

展開する敵部隊にハスミのガーリオンCの姿は無かった。

 

恐らく、まだ出撃していないのだろう。

 

肝心のDGの姿もないので後続出撃と思われた。

 

 

「せっかく呼ばれたので出ますよ。」

 

 

通信を傍受していたのか地響きと共に現れるDGとその僚機としてガーリオンC・タイプTがその姿を現した。

 

 

「ハスミちゃん。」

「お久しぶりです、三日ぶりでしょうか?」

「ハスミ、無事だったのね!」

「無事とは?」

「クスハ、待って!」

「ああ、DG細胞ならまだ私の中にありますよ?」

「ハスミ。」

「DGを狙う者にはそれ相応の対価を…それがDGの命令です。」

「それはお前の本意か?」

「どうしてです?」

「お前からは殺意を感じられない。」

「それは戦えば判る事ですよ。」

「何だと?」

「DGの悲しみを理解出来ないのなら何も知らないまま消えてください。」

 

 

******

 

 

別ルートで脱出中のドモン達は。

 

脱出の道中でドモンはシュバルツよりDG暴走の真相。

 

そしてそこに巣くう黒幕の正体を語った。

 

 

「それじゃあDGは!?」

「ああ、全てはあの始まりの日が原因だ。」

「EOT機関にそんなものが保管されていたのか。」

 

 

EOT機関に保管されていたある物質がUGをDGへ変貌させてしまった正体である。

 

それに気づかず、同じ暴走だと思い込んでいたドモン。

 

 

「それはお前の知らぬ所で起こった事だ、自分を責めるな。」

「シュバルツ…いや、兄さん。」

 

 

ドモンの落ち込みに叱咤を加えるシュバルツ。

 

その思いを感じ取りドモンはシュバルツを兄と呼んだ。

 

 

「兄さんか…そう呼ばれるのはいつ振りだろうか。」

「例え、兄さんの映し身であっても俺にとってアンタも兄さんと変わらない。」

「ドモン。」

「必ず、アイツらもDGも俺と仲間達と共に救ってみせる。」

 

 

かつては猪突猛進の如く一人で突っ走っていたが冷静に状況を判断し仲間を信じ突き進む。

 

その姿にシュバルツは変わったなと呟いた。

 

 

「…(成長したなドモン。」

「だから力を貸して欲しい。」

「ああ、解っている。」

 

 

二人の会話にキョウジも加わった。

 

 

「だか…ら…言った…だろう?」

「兄さん!」

「俺の…俺達の弟は……誇れると…」

「キョウジ、今は…」

「ああ…ドモン、シュバルツ…後を任せるよ。」

 

 

一度は目覚めたもののDGの生体コアにされていた為、衰弱も激しく余り体力も残っていなかったのである。

少しだけ会話をすると再び眠ってしまった。

 

 

「兄さん。」

「ドモン。」

 

 

「「今は成すべき事の為に!!」」

 

 

******

 

 

再度、地上にて。

 

 

「やはり、姿が無かったとは言え油断してしまいましたね。」

「ISA戦術の弱点を探すのがお前の目標の一つだった、その戦術の裏の裏を突いただけの事だ。」

「敵に塩を送ってしまったか。」

「ハスミ!」

「お義父さん、本気で来なければ死ぬだけだとそう教えてくれましたね。」

「そうだ、だからこそ私はお前を救うと決めたのだ!」

「ならば、本気で戦い合うのみです!」

 

 

同型同士の戦い、戦いを制するのは搭乗者の技量のみ。

 

 

「少佐っ…!」

「義娘の不始末は私が着ける!お前達はDGを頼む!!」

 

 

他の機体をDG討伐に向かわせ、テンペストは義娘を取り戻す為に銃口を向けた。

 

 

******

 

 

DGと共に現れるガンダムヘッドの猛攻を掻い潜り、一機、また一機とDGに近づき攻撃を加える。

 

またその僚機を狙うガンダムヘッドやデスアーミーを撃墜しながら援護射撃を加えていた。

 

洗脳されていた兵士達や四機のガンダムは行動不能にしライゾウ博士より提供されたDG細胞を阻害する特殊弾薬のおかげで身動きが取れなくなっていた。

 

 

「レイン、無事か!」

「ドモン、今まで何処に!?」

「話は後だ、まずは奴を止める!」

 

 

「出ろぉぉぉ! ガンダァァァァム!」

 

 

ドモンが指を鳴らすとハガネの格納庫に収容されていたシャイニングガンダムを呼び出し搭乗する。

 

ちなみにこの状態で呼ぶと格納庫のハッチを壊しかねないので特機用のハッチから瞬時に出られる様に配備して貰っていた。

 

 

「シュバルツ、頼む!」

「任せて貰おう。」

 

 

「超・級・覇王!電影弾っっ!!」

 

 

ドモンはシャイニングガンダムに搭乗後、待機していたガンダムシュピーゲルと合流しDGに強烈な一撃を披露した。

 

本来ならば彼の師匠と共に行うべき技であるが不在の為、致し方ない。

 

繰り出された技は周囲に展開していたガンダムヘッドとデスアーミーを巻き込みDGの左側腕部をもぎ取っていった。

 

シャイニングガンダムはその一撃を終わらせると元の位置へ戻って来た。

 

 

「皆聞いてくれ!あのDGはガイゾナイトと呼ばれる鉱石生物によって操られている!」

「ガイゾナイト?」

「EOT機関に保管されていたが、あの襲撃事件でDGに取り憑いて復活の機会を待っていたらしい。」

「それじゃあハスミちゃん達を操っていたのも…!」

 

 

「ドウヤラワタシノソンザイニキガツイタチキュウジンガイタトハ?」

 

 

DGは瞬時にDG細胞で再生するとコックピット部分に生物の瞳を巨大化させたような物体が配置されていた。

 

 

「とうとう出て来たか…!」

「ハハハハハッ、ズイブントオモシロイキゲキヲミレタガマダマダミタリナイ、キサマラヲゼンインワタシノテゴマ二ッ!?」

 

 

だが、この一瞬だった。

 

DGに寄生したガイゾナイトが動きを封じられたのは。

 

 

 

ーソウハサセナイー

 

ーワタシハアナタノアヤツリニンギョウジャナイー

 

ーダカラトメルー

 

 

「クッ!DGメ、ニンゲンニウラギラレタミデナニヲイウカ!!」

 

 

ーワタシハヒトヲシンジルー

 

ーハスミガワタシノコエヲキイテクレタカラー

 

ーワタシハヒトヲシンジタイー

 

 

「オノレ!!」

 

 

ーミナサンゴメンナサイー

 

ーワタシゴトガイゾナイトヲハカイシテクダサイー

 

ーワタシガトメテイルウチニハヤクー

 

 

朧げな電子音でその言葉を伝えたDG。

 

搭載された『超AI』が心に目覚め始めた兆しでもあった。

 

『自己犠牲』による『人格』の確立。

 

それはこの世界における新たな可能性だったのだ。

 

 

「DG、お前の気持ち受け取った!!」

 

 

シャイニングガンダムが黄金へと染まり、その両手には巨大なビームソードが形成される。

 

 

「お前の愛と怒りと悲しみを重ねる!!」

 

 

その意思は曇り無き一滴。

 

 

「俺のこの手が光って唸る、お前を倒せと輝き叫ぶ!」

 

 

明鏡止水の志と共に。

 

 

「喰らえ! 愛と、怒りと、悲しみのぉ!!」

 

 

闇を葬り去る。

 

 

「シャィィィイニングッ!フィンガーソード!!」

 

 

巨大な剣はDGの機体ごとガイゾナイトを斬り裂いた。

 

 

「ソンナ…バカナァアアア!?!?!?!」

 

 

断末魔と共にその呪眼は光の浄化を受けて消えて行った。

 

そしてDGもその原型を失い爆発四散した。

 

だが…

 

 

「せっかく解り合えたのならやり直す事も必要だと思うな。」

 

 

ボロボロになった二機のガーリオンCの腕には不釣り合いなコアブロックが収まっていた。

 

 

「全く、私の義娘ながら無茶ばかりする。」

「…申し訳ありません。」

「戻ったら私を含めてゼンガー達との説教とこの経緯の始末書が待っている事を覚悟して置け。」

「りょ、了解です。(前途多難だよ。」

 

 

その後、改修されたコアブロックに収まった『超AI』より感染してしまった人々からDG細胞を除去した後、その力を使い果たして眠りに就いたのだった。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱ 

 

 

ある場所において。

 

 

「やれやれ、僕らが眠っている間に面白い事が起きているじゃないか?」

 

 

男性は笑みを浮かべる。

 

 

「トウゴウにブランシュタインそしてクジョウ、グリムズとあの彼女の子孫はいないみたいだけど…かつての大戦を思い出すねぇ。」

 

 

球体状の装置から映し出される映像を見る男性はある事に気が付いた。

 

 

「君は…そうか、そう言う事か?」

 

 

映像に映し出された少女の思念を察し、その顔に手を添えると笑みを浮かべた。

 

 

「君と神の子、どちらが地球を…いや、銀河を守護する巫女に相応しいか見極めさせてもらうよ。」

 

 

男性はスーツのポシェットに添えられた花に触れた。

 

 

「君もそう思うだろう?」

 

 

花は静かに揺れた。

 

 

=続=

 




一つの禍は去った。

しかし油断は出来ない。

仲間の結束を高める為にある名称を付ける事となった。

次回、幻影のエトランゼ・第七.五話『名称《メイショウ》』

その名の如く志を胸に乱世を駆けめぐれ。



<今回の登場人物>

※新生シャッフル同盟
ここではドモン以外の四名を指す、今回もDG細胞に操られてしまっていた。
今回の一件で双方共に救出され、旧シャッフル同盟の後継者に選ばれた。
現在はその傷を癒すと同時に旧シャッフルより過酷な修行を受ける事を決めた為、今回は仲間にならず離脱した。

※シュバルツ・ブルーダー
DG細胞より生み出されたキョウジのコピー。
その生命はDGが居る限りと言う限定の為、不安定な生命を持つ。
前世の記憶を所持しドモンと再会。
その後、今回のDGの行動を説明し止める為にドモンと行動を共にする。
事件後はDGより独立した存在として切り離されたので消滅を免れた。

※キョウジ・カッシュ
DG細胞によって操られていたドモンの兄。
DGの興味対象が変わった為に一時的に支配下から逃れた。
再び支配下に置かれない内にDGが欲しているものや裏で糸を引いている者の正体をシュバルツを通してドモンに知らせる。
戦闘後、無事救出されたがDG細胞の感染期間が長かったので精密検査の為に伊豆基地に移送された。

※DGのコア
DG細胞を制御する為に『超AI』のチップが搭載された制御コア。
今回の戦闘で肉体となっていた機体は大破したが『超AI』が収まった制御コアのみはハスミによって救出された。
安全の為、制御コアのみ梁山泊へ護送される事となった。
肝心の『超AI』のチップは破棄と言う名目でハスミに譲渡された。
現在も名称のないまま、新たなボディが出来るまでハスミの携帯端末にお引越ししている。

※ガイゾナイト
鉱石生物、以前はブレイブポリスによって倒され封印の為にEOT機関に保管されていたが例の強襲事件の際に逃走。
DGが暴走した原因であり今回の事件で寄生していた事が判明。
DGが自らの躰を失う覚悟で己の躰に留め、その隙をついてドモンの明鏡止水版シャイニングフィンガーソードで破壊された。


※ヴァン
『新郎』の正体でダン・オブ・サーズデイのパイロット。
訳アリで『蒼い睡蓮』のメンバーに加わっている。
地下鉄車両を収容するホームで苦戦していたドモン達に加勢した。
マイペースかつ変な敬語やボンクラ路線は相変わらずの様である。
だが、剣技の腕は落ちておらず蛮刀でDG細胞によって操られた整備用無人レイバーを一網打尽にした。

※石神邦生
『将軍』の正体でJUDAコーポレーションの社長を務める。
前回の一件でイスルギ重工から合併の話を持ち込まれたが早々に却下している。
既に『蒼い睡蓮』のメンバーに加わっており、DG出現の際にジュダを駆って出撃した。
会話から目には目を大物には大物をと言うスタンスで『御旗』の事をルドに話していたのでもう一つの記憶も所持しているものと思われる。

※ルド・グロリア
『大統領』の正体でGreAT社の社長を務める。
前回の一件でイスルギ重工より合併の話を持ち込まれたが石神同様に早々に却下している。
嘗て自らが起こした所業を知っており、今度は道を外さない様に考えを改めた。
石神同様に『蒼い睡蓮』のメンバーに加わっており、DG出現の際にインペリアルヴァレイを駆って出撃していた。
尚、サブパイロットとしてHL-1が同乗している。
本来の乗機であるガルトデウスを持ち出さなかったのは『蒼い睡蓮』から内密にと依頼されていた為である。

※HL-1
普段はハルカ・オルヴェと言う名でGreAT社の社長秘書を務めるアンドロイド。
今回の戦闘でインペリアルヴァレイのサブパイロットとして同乗し戦闘補佐をした。
本来の名前を偽る意味で与えられた名前ではあるがルドより共に歩むと言う意味合いで名前を与えられた事に感謝している。
エージェント活動時は『織花』と言う名称で活動する。


※ハスミ・クジョウ
ガイゾナイトに寄生されたDGからの精神干渉で凶暴性を控えた冷酷な感情に支配されている。
過去に旧戦技教導隊に教え込まれた技術を披露し旧東京エリア内に数多くのトラップを設置し迎え撃った。
現在はDG細胞の感染期間がキョウジと同時期だったので精密検査の為、伊豆基地に収容される。


※軍曹
メタ発言をする謎のカエル?。
今回は戦闘の様子を伺っていた。
『蒼い睡蓮』の仲間と思われる。


※謎の男性
普通に素性は判ります。


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第七.五話 『名称《メイショウ》』


志同じくする者達を総称して名を示す。

名を表すものは『絆』。

そして時は過ぎ去り。

それまでに起こった禍は全て打ち破る。

そして運命の時。

『絆』は星の海へと誘われる。




 

前回の戦いからしばらく経ちました。

 

私はDG事件の後、他の感染者達と共に救出され無事にDG細胞から解放されました。

 

その後にお義父さん達からかなりキツイ説教をされました。

 

五人の後光に閻魔様とかの地獄の使者が数名見えましたし。

 

延々と五時間ほど各一名ずつよりお説教されておりました。

 

エルザム少佐とギリアム少佐のあの笑ってない笑顔が本当に怖い。

 

隊長とカイ少佐は問答無用でもっと怖い。

 

お義父さん、お願いですからそんな怨念籠った笑顔でクスハドリンクを勧めないでください。

 

ガタブル覚悟で本当に死ぬかと思った。

 

反省しました本当にごめんなさい。

 

私もあそこでガイゾナイトが寄生しているなんて思ってなくてですね。

 

しかも無限力の陰謀だったので。

 

アカシックレコードに聞いたので確定済みです。

 

どうやら蒼い睡蓮の仲間が雷王星を全壊させたのが悪かったらしい。

 

そりゃ雷王星はSTMCによって増殖しエクセリヲンの縮退炉暴走で破壊されるかシュウ・シラカワ博士の伝手で消滅する予定だったのだ。

 

情報を与えたのは私だが下手をすれば救出出来る命も救えなかったかもしれない。

 

今後の情報提供する時は細心の注意をする事にする。

 

それではDG事件後から現在の時間軸までに起こった事を説明します。

 

まずDGの一件。

 

無事に救出された人達はDG細胞除去も行われて元の所属や生活の場へ戻って行った。

 

どうやら私がガイゾナイトに寄生されたDGに洗脳されていた時、新生シャッフルとなる四人を止める為に旧シャッフルの四人が駆けつけてくれたらしい。

 

理由は蒼い睡蓮から未来ある若者を救う為に手を貸して欲しいとの依頼だったらしい。

 

原作通り後継者を見つける事も出来たので彼らに修行をしないかと誘ってそれぞれの修行地に移動した。

 

流石はガンダムファイター、体力だけは脳筋レベルですね。

 

二~三日したらすぐに動ける様になってたので。

 

フォリアさんも無事に元に戻ったそうなのでホッとしている。

 

肝心のキョウジさんと私は感染期間が長かったので安全が確認されるまで隔離されていた。

 

その検査の為に国際警察機構のエージェントに付き添われてライゾウ博士が来日した。

 

ドモンさんは兄を取り戻せた事とDG、シュバルツの件を説明した。

 

どうやら本物のシュバルツ・ブルーダーはガンダムファイト中に何者かに襲われて戦死していた。

 

それを偶然DGが発見しキョウジさんが不本意ながらアンドロイドとして復活させたそうだ。

 

あの状況では致し方無いとは言え人の命をその一生を変えてしまったのだ。

 

その自責の念は余りにも重いだろう。

 

当のシュバルツも『成るべくしてそうなった、ただそれだけだ』と論してキョウジを励ましていた。

 

そしてDGに搭載された『超AI』は私が引き取る事となった。

 

理由とすれば『超AI』自身が私から離れたくなかった事と私が切っ掛けで自我に目覚めた事である。

 

今後は私個人のサポートロボットとして傍に居る事となった。

 

そして制御コアは安全が確立されるまで梁山泊で封印される事になった。

 

後で『超AI』の名前を考えねばと思った次第だ。

 

それから必要な手続きを終わらせた後、私は隔離期間終了と同時に原隊復帰した。

 

キョウジさんは本人の希望もありドモンさんのサポートクルーとして共に行動する事になった。

 

シュバルツも共に戦線に加わる事を決めた様だ。

 

 

それから一週間後。

 

 

宝石型の使徒との激戦とネルフの参加。

 

二体のジャイアントロボの激突。

 

黒鉄の城の翼と赤き竜。

 

ギガノス帝国の正式な宣戦布告。

 

クロスボーン・バンガードの出現。

 

更なる異星人連合の侵攻。

 

サイバスターとEVA弐号機の合流。

 

など、目まぐるしく日々は過ぎて行った。

 

そして…

 

 

私とお義父さんで親子喧嘩勃発。

 

理由とすればお義父さんとシャイン王女が桃姫よろしくな状況で拉致されました。

 

私は赤い配管工か!っとツッコんだのは別の話。

 

急ぎ、その足取りを掴んだ私達はアイドネウス島ルートの海域でAnti・DCの部隊を発見し交戦する事となった。

 

あのYの字鉄板ジジイめ、よくもやってくれましたね。

 

ゲイムシステム搭載のヴァルシオン四機と戦う事となった。

 

どうやら今までの敗退が原因で鉄板ジジイの部隊はトカゲの尻尾切りにされたらしい。

 

苦し紛れに開発途中だったヴァルシオンを組み上げて総力戦に出た様だ。

 

 

一号機にシャイン王女。

 

二号機にAnti・DG兵。

 

三号機にテンペスト少佐。

 

四号機にテンザン。

 

 

原作と同じ組み合わせの様だった。

 

 

一号機にライとラトゥーニ達。

 

二号機は他のメンバー。

 

三号機は私とギリアム少佐達。

 

四号機はリュウセイとリョウト達が張り付いた。

 

 

暫く戦っているとラーダさんからゲイムシステムの経緯が判明したと言う通信が入った。

 

何とか動きを封じてゲイムシステムの制御系部分を破壊。

 

二号機のパイロットは残念ながら救出出来なかったが他の三機は何とか確保する事が出来た。

 

アードラの戦艦はマサキのコスモノヴァで撃沈。

 

今回の拉致を手引きしたハンス少佐の乗艦した戦艦は隊長の斬艦刀で真っ二つにされた。

 

それぞれの何名か因縁を持つ相手は今回で倒す事に成功した。

 

無事助けられた三名は伊豆基地へ搬送される予定だったが、お義父さんはゲイムシステムの影響が比較的に軽度だったので精密検査のみとなった。

 

と、言うよりも私が念動フィールドでお義父さんの脳への負担を軽減した為だ。

 

それでも周囲に気付かれない様にしなければならないので静養が必要になってしまった。

 

シャイン王女はそのまま伊豆基地へ、テンザンは戦犯として裁かれる筈だったがゲイムシステムの影響でDCに加担していた頃の記憶を失くしてしまい、ただのゲーム好きに戻ってしまった。

 

リュウセイから聞いた事だが、どうやらバーニングPTの大会前の記憶まで後退しているらしい。

 

特に害はないので一時伊豆基地で拘束した後、そのまま病院に移されるそうだ。

 

以上がこの一カ月の間に起こった出来事である。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

次の指令が下るまで再び休暇となった。

 

レイカー司令は度重なる戦いで疲弊した私達に英気を養ってもらう為に立食を兼ねたパーティの開催を許可した。

 

勿論、今後の作戦や諸々の説明をしながらである。

 

その間に仲間になった人達との交流なども含めての事である。

 

そして。

 

 

「突然だが君達の部隊に正式な呼称を付けたいと思う。」

 

 

レイカー司令の言葉に全員が騒然。

 

因みに艦長達を交えて前々から考えていた事だったらしい。

 

様々な所属の部隊が集まった事でその部隊を一つの呼称で呼べる事と正式な独立機動部隊として行動する為にとの事だった。

 

命名はこの場の全員が考えて欲しいとの事で更なるガヤガヤで周囲は再び騒がしくなった。

 

 

因みに出された名称は以下のとおりである。

 

 

アムロ大尉からは『マーチウインド』。

 

ドモンからは『ラウンドナイツ』。

 

ウッソからは『ブルー・スウェア』。

 

カミーユからは『マグネイト・テン』。

 

他からは『ヴェルダー』、『ブライティクス』など聞き慣れた部隊。

 

キョウスケ少尉からは『鋼龍戦隊』。

 

リュウセイは『αナンバーズ』。

 

 

と言う流れである。

 

因みに変なネーミングを付けようとしていた連中にはにっこりと笑ってない笑みを上げてやった。

 

DG事件で私が凶悪な戦術を見せつけたのが原因らしい。

 

本当にゴメン、わざとじゃないのよ。

 

 

「他には?」

「ネクサスって名前は?」

「それさっきも聞いたよ?」

 

 

私はネクサスと言う名である言葉を思い出した。

 

ずっと心の中でいずれ付けたいと思っていた名前である。

 

 

「あの!」

 

 

私は名乗りをあげた。

 

 

「ノードゥスと言うのはどうでしょうか?」

「意味はラテン語で『絆』か。」

「はい、ここに集まったのは何かの縁かもしれません…そして『絆』で結ばれていると言う意味で考えたのですがどうでしょうか?」

「いいんじゃないかな?」

「ねえ、キョウスケ…『絆』なら私達にピッタリな名前じゃない?」

「そうだな。」

 

 

他からも共感の声を頂き、私達の部隊の名称は「ノードゥス」と命名された。

 

 

******

 

 

私達はアイドネウス島に再び訪れていた。

 

理由はマクロスの護衛である。

 

一カ月の間にギガノス帝国とジオンの共同戦線部隊が月のマスドライバー施設を占拠。

 

このアイドネウス島を狙っていると言う厄介な事になっていた。

 

ゴチャ混ぜシナリオにも程がある。

 

因みにこの隕石を阻止する方法は二通りある、一つはゲッタードラゴンとR-GUNパワードによる撃ち落とし、もう一つはこの前合流したEVA三機による押し返しである。

 

だが、地球衛星軌道上にフォールドアウトしてきたゼントラーディの艦隊のおかげで半分は何とかなったが自動追撃機能によるマクロスの砲撃で彼らと戦う羽目になってしまった。

 

それに伴いSDF部隊の登場。

 

二度に渡る戦いで勝利を収めたが敵の増援部隊によって撤退を余儀なくされた。

 

島から脱出した者、脱出できずにマクロスへ避難した者、それらの確認が済んだ。

 

そうフォールドアウトで衛星軌道上に転移しゼントラーディの艦隊に攻撃を仕掛ける決断をしたのだ。

 

所が私達は地球を遠く離れ、冥王星宙域へフォールドアウトしてしまったのである。

 

各戦艦は一先ずマクロスへ収容。

 

各部隊の大気圏用装備の回収作業、マクロスへ避難した避難民への対応。

 

そして自力で帰還せざる負えない状況。

 

乱世は始まったばかりだ。

 

 

=続=

 





星の海は暗くそして冷たい。

蒼き星への旅路は長くそして困難を極める。

そして新たな戦いが始まる。

次回、幻影のエトランゼ・第八話『騎士《テッカマン》』

一筋の光は何を見つめる。


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第八話 『騎士《テッカマン》前編』

蒼き星を目指し戦士達は突き進む。

その先にどんな苦難が待ち受けようとも受け入れよう。

これが我らの進むべき道であっても変えられる道ならば。

切り開こう。


私達が冥王星宙域に飛ばされてから数週間が経った。

 

息を潜めていた異星人連合の襲撃。

 

何度も続くゼントラーディとの交戦。

 

クロスボーンバンガードの横槍。

 

そして姿を現した木連。

 

私達は彼らと交戦を繰り広げていたネルガル重工所属の戦艦ナデシコを救出。

 

別の指揮系統からの命令で木連と和平を結ぶ予定だったが向こう側が和平交渉を破棄し交渉決裂。

 

その最中だったそうだ。

 

以後、私達と同じ指揮下に入る事が決定した。

 

彼女らの目的も地球に帰還する事なので同行する方が得策と判断したのだろう。

 

後、ヤマダさんと九十九さんが無事でした。

 

何でもアキトさんの機転で助けられたそうです。

 

あ、これは記憶持ち決定です。

 

どうも最近になって記憶持ちの人達がこちらに合流する様になった。

 

もうじき大きな波が訪れる予定だったので致し方ない。

 

私自身が想定していたとは言え、急な転移だったので地球の事が心配だ。

 

しかし今回のこの世界は数多くの戦力と蒼い睡蓮が影で動いている為、そう易々とは敵陣営が戦火を広げる事は出来ないと思う。

 

今は合流予定の彼がどう動くかが問題である。

 

どこぞの眼帯付の仙人さんじゃないけど『流れのままに』なのかもしれない。

 

そしてマクロスは木星宙域から離脱し火星宙域へと到着する予定だ。

 

火星を通り過ぎれは地球へ帰還する事が出来る。

 

だが、その前に起こる出来事がある。

 

そうαのシナリオである例の裏切りフラグが待っているのだ。

 

今回ばかりはやらせる訳にはいかない。

 

 

******

 

 

マクロス、実際乗艦したが悪い所は余りない。

 

ただ、現時点でマクロスに天候システムが導入されていないのでしばらく朝日を拝めないのが難点だ。

 

訓練や偵察で宇宙に出る時は星海航行を満喫し放題だが。

 

後に進宙するバトル7と連結されているシティ7やバトル・フロンティア船団のコロニーなら二十四時間のサイクルで様々な天候、朝から昼、夜へと切り替わるので時代の流れなのかもしれない。

 

元々移民船としての機能も持っていたので住民が住める居住スペースから工場、農場など生活に困らない様に様々な業務ブロックが配置されていた。

 

そして長い航海になる事に不満が溜まるのを防ぐ為に『ミス・マクロス』を決めるアイドル選抜コンテストを開催する動きもあった。

 

私はいずれこの戦いを救う『歌』を歌う彼女の事は好意を持てるが初代トライアングラーを視る羽目になるので何処かまどろっこしいのである。

 

恋愛小説も執筆する過程で相手を不快にする様な執筆は避けているせいもあるかもしれない。

 

実際、彼が選んだのは彼女ではなくあの人だったし。

 

取りあえず、ミスマクロスのコンテストに乱入するゼントラーディの横槍は目を瞑る事とする。

 

あれも必要なターニングポイントである。

 

彼らに文化を与えるのは元々決まっていた事だし。

 

何よりもそのバタフライエフェクトがあったからこそ勝利出来た戦いでもある。

 

その後に起こった悲劇はどうしようもないが…

 

蒼い睡蓮の新規情報でラダムの他に早期にガルファも地球圏を目指して現在侵攻を続けていると厄介な情報を得た。

 

ガルファは勇者軍団の敵陣営であるグランダーク達に組しており利害一致の共闘関係を結んでいる様だがこれも敵の敵は味方と言う考えではなく互いに足の引っ張り合いをするスタンスだろう。

 

出来る事なら救える命があるなら救いたいが何分、こちらの情報の開示が難しい事と無限力の介入も危険視しなければならないので下手を打てない。

 

いずれ鉢合せをするかもしれない。

 

そして更に厄介な事に孫光龍が早期に目覚めた以上、沈黙を貫いてきたビッグファイアも動きを見せるだろう。

 

そうなれば私の正体もいずれ彼らに知られる。

 

そろそろ腹を括る必要も考えて置こう。

 

ああ、また地獄の黒い番犬と獅子座の金甲冑の覇気を纏ったエルザム少佐とギリアム少佐の冥府級説教が…

 

隊長なんて三枚卸し上等、カイ少佐は鬼軍曹よろしく速攻で訓練室行き、お義父さんは前回の事もあってネガティブオーラが余計に酷い。

 

ヤバい、考えただけで恐ろしくなってきました。

 

いや、今は考えるのはよそう。

 

兎に角、バラルとBF団の今後の動きを調べながら動くしかない。

 

そう言えば、マクロス出航のドサクサに紛れて密かに忍び込んだ五人組はどうしているだろうか?

 

 

「ふう…」

「ハスミ、どうしたの?」

「ちょっと考え事。」

 

 

只今、ハガネ艦内の自室に籠っている私。

 

その隣には1/60サイズのガーリオンが浮遊している。

 

この機体の正体は前回のDG事件で生き残った『超AI』である。

 

構築された性別は女性、精神年齢は大体15歳前後位になっている。

 

私にとっては妹の様な存在になった。

 

名は『ロサ』、ラテン語で薔薇と言う意味だ。

 

機体のカラーリングは薄い水色にしており青い薔薇の花言葉の『奇跡』と『不可能を成し遂げる』と言う意味合いを持たせている。

 

ロサの外装を作ろうと思い立った時、ロブさんからはグルンガストとかゲシュペンストの一案を頂いたが人格モデルが女性なので却下させて貰った。

 

リュウセイはバーンブレイド3の外装とか言うのでハリセンを構えて笑ってない笑みをしてあげたら踵返して逃げて行った。

 

他にもハロやロペットなどの外装はどうかと案件を頂いたがピンとくるものが無かったのでマイナーだが一番親しみのあるガーリオンの外装にする事にした。

 

ぬいぐるみっぽいSD風ガーリオンでも良かったがロサ本人が動きづらいと話していたので元のガーリオンをプラモサイズにした外装と言う事で落ち着いた。

 

少し変化を付けてスカートの様な装甲と頭部アンテナに小さな白いリボン型アンテナのオプションを付けてあげた。

 

念の為、背部分に取り付けたバーストレールガンには麻酔針とスタンガンが仕込まれている。

 

音声は麻酔銃と関連している方と同じなので察してください。

 

流石にフェアリオンの様なロリ風は出していない。

 

あえて控えめの女性風に仕上げてみた。

 

通常勤務に勤しみながらだったので完成するのが遅くなってしまったがとりあえず良かった。

 

ちなみにロサの外装が完成したのが、丁度お義父さん達が連れ去らわれた事件前。

 

ロサは名目上、私のサポートロボットなのだがお義父さん達が拉致られた為に搭乗者不在のガーリオンCをコックピットからハッキングし戦闘に参加してしまったのだ。

 

流石の私もこのお転婆ぶりには気が付かなかった。

 

色々とあって救出後のお義父さんは鹵獲したヴァルシオンへ、ロサはそのままお義父さんのガーリオンCに搭乗し、私の随伴機として行動する事となった。

 

勿論カラーリングも判りやすい様に変更しました。

 

機体の改装とか塗装って結構難しくてリョウト達に手伝って貰った次第であります。

 

あれだね、自動車の傷直しとは桁違いに難しかったです。

 

コックピットブロック内部に取り外し可能な専用のコネクトシートを接続。

 

要はoo版ハロの設置スペースと似たようなものが取り付けられたのだ。

 

そこからガーリオンCをロサが操縦する事になる。

 

勿論普通にパイロットとの同伴も可能だが、戦力の乏しいこの状況では乗り手が居る事が好ましい様でロサの戦闘AIとしてのパイロット登録が決定した。

 

 

「前に話した事、覚えてる?」

「うん、例の事件だったね?」

「そう…それがもうすぐ行われる。」

「助けるの?」

「今の状況で助けられるか分からないけど…やるしかない。」

「大丈夫、私も手伝う。」

「ありがとう、ロサ。」

 

 

どうか、これから起こる『あの戦い』に間に合って欲しい。

 

星の海を駆け巡る白き騎士よ。

 

どうか間に合って欲しい。

 

私はロサを抱きしめながらそう願うのだ。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

イングラム少佐からRシリーズの合体テストを行う為、護衛と言う形で出撃命令が下った。

 

その中にクスハとブリット、マサキに私とロサも含まれている。

 

他はマクロスの護衛と周辺の偵察などで動いている。

 

何かある事は解っているのにこちら側の拒否権無しは歯痒いが致し方ない。

 

そこでキョウスケ少尉はドモンさんとアクセルさんに頼んで秘密裏に私達の後を追尾していた。

 

あの二人は民間からの協力者だし何とでも言い訳は出来るだろう。

 

 

ちなみにRシリーズはR-3だけプラスパーツが装着されておらず、合体しても脚部部分がない上にR-2はトロニウムエンジンの出力が不安定でエネルギー不足に陥り、すぐに動けなくなる。

 

はい、れっきとしたフラグ確定です。

 

そして確実な不安が過る中、マクロスから少し離れた宙域でテストが行われた。

 

だが…

 

 

「皆さん、こちらに向かって未確認の機動兵器が接近中です!」

「えっ!?」

「イングラム少佐、各機の警戒態勢への移行を推奨します。」

 

 

ロサの言う通り、αのシナリオが始まる。

 

初めましてレビ・トーラ、シャピロ・キーツ、アタッド・シャムラン。

 

 

「私はレビ、レビ・トーラ、ラオデキヤ様直属の戦爵にしてジュデッカを操る者。」

 

 

実際に感じてみたがジュデッカを制御機にしている分、その念は実に厄介だった。

 

クスハとアヤ大尉が不穏な状況で説明していたし。

 

リュウセイとマサキは前の記憶がある分、相手の正体を理解していたので慢心はしていなかった。

 

 

「予定通りにリュウセイ・ダテ、クスハ・ミズハ、ブルックリン・ラックフィールド、ハスミ・クジョウが揃っているようだな。」

「何故、俺達の事をを知っている!」

「我らの偵察部隊から随時お前達の情報は送られている。」

「こちら側の情報が筒抜けだったと言う事か…」

「…(それでも前回よりは情報流出を最小限に抑えているんだよね。」

 

 

今回は蒼い睡蓮が秘密裏に彼らの偵察部隊とされている人員を秘密裏に処分していた。

 

これは悪い意味ではない、寧ろ理不尽に洗脳されている人達を救っていたと言った方が正しい。

 

そのせいか、奴らに入る情報も微々たるものになってしまったのだろう。

 

奴らに入る情報は既に戦闘部隊でも入手出来る代物ばかりだ。

 

それでも相手側に渡ってしまった情報も少なからずあった。

 

あの状況下で私達の情報を入手出来る人はイングラム少佐ただ一人。

 

そのイングラム少佐はシャピロに例の如くその正体を暴かれ。

 

レビはここにおびき寄せられた私達について説明していた。

 

アタッドは地球人と見下しているけど、一応貴方も地球人なのですが?

 

カーウァイお義父さんの状況次第ではアレンジペルソナを永久に表面意識に出て来られない様に始末する。

 

元々、ジェニファー・フォンダの責任じゃないしね。

 

ある程度の説明を語り終えた後、私はレビに問いただした。

 

 

「リュウセイやクスハ達なら話は分かるけど、何故私まで?」

「フ、うまく隠しているのか自覚があるのか判らんが貴様も強念者だ。」

「は?」

「えっ!?」

「何だって!?(やっぱりDG事件の時に感じたあの念は間違いじゃなかったのか!」

「アタシだって信用したくないさね、お前のデータを見る限りレビ様に近い念を所持している以上、放っておく訳にもいかないのさ。」

 

 

おい、無限力。

 

これもお前のシナリオか?

 

だとしても早すぎるだろう。

 

あーこりゃ冥府級説教コース突入するかも。

 

何とか誤魔化す所だけ誤魔化して逃げるしかない。

 

 

「…一つ聞きたい事がある。」

「ん?」

「カーウァイ・ラウを知っているか?」

「…(カーウァイってたしか?」

 

 

今は写真だけでしか見れなくなってしまった義父の面影が脳裏を過ぎった。

 

癖のある教導隊を指揮し私を受け入れてくれたあの優しい手を。

 

だからこそ聞きたかったのかもしれない。

 

その最後を。

 

 

「ああ、捕らえたサンプルにそんな名前の奴がいたねぇ?」

「!」

「随分ともがいてくれたものでさ、加減が出来なかったよ。」

「まさか…」

「アタシが人形として再利用してやったのさ。」

「!?」

 

 

レビに代わりベラベラと話し始めたアタッド。

 

OGシナリオの結末の一つに繋がった瞬間だった。

 

 

「そんなに逢いたいなら逢わせてやるさね…もっとも、お前の様な地球人の事を覚えているかは保証できないけどね?」

 

 

数機のメギロートとゼカリアの混合部隊と共に転移して来たエゼキエル・ラヴァン。

 

通信でその無惨な姿を垣間見る事となった。

 

昔の面影を残したサイボーグ姿でコックピットに鎮座していた。

 

それも原作と違い身体の半分が機械化された姿だった。

 

 

「…」

「カーウァイお義父さん。」

「おい、ハスミ!大丈夫なのか!?(キョウスケ達から聞いていたが、コイツはかなりヤバい状況だぜ。」

「どうするニャ。」

「マサキ。」

「くっ!(下手に動くとこっちの素性も相手にバレちまう。」

「ハスミ!(もしもキョウスケの感が当たっていたのなら…!」

「ハスミ、返事をして!」

「ハスミ!」

 

 

マサキやリュウセイ、クスハ達の声が通信機から何度も響く。

 

私は何をしている?

 

これくらいの動揺で動けないのか?

 

情けなくここで終わるのか?

 

何もせずにただ落とされるのか?

 

答えは否だ!

 

私は約束した!必ず貴方に会うって!

 

そして私達の願いと夢を貫く為に!

 

例え、これが仕組まれた罠だとしても!!

 

 

「…リュウセイ。」

「ハスミ、平気なのか?」

「平気よ、それよりもお義父さんの事は私に任せて貰える?」

「何を!?」

「理由は聞かないで…」

「ハスミ…」

「私は私の戦いを続ける、それが死んだ母さんやカーウァイお義父さん達との約束だから。」

「…分かった、無茶はするなよ。」

「ありがとう。」

 

 

その通信を聞いていたのかイングラムはリュウセイ達にSRXへの合体を指示した。

 

 

「リュウセイ、ライ、アヤ、お前たちはSRXへの合体を始めろ。」

「隊長、しかし!」

「他はSRXの合体が完了するまで援護を…それがこの状況を打開する唯一の方法だ。」

「隊長…」

「…(碌なテストもしない内にパターンOOCを発動とは。」

 

 

前回なら失敗していただろう、だがリュウセイは信じていた必ず成功させてみせると。

 

 

「ライ、アヤ…やってやろうじゃねえか!」

「リュウセイ。」

「リュウ?」

「ここで失敗したとあっちゃあ…俺達にRシリーズをSRXを託してくれた皆に示しがつかねえ!」

「お前に言われるとはな…」

「ライ、リュウ、やりましょう!」

 

 

SRXへの合体陣形へと三機が移動し準備に入った。

 

 

「念動フィールド、オン!」

「トロニウムエンジン、50パーセント限定で稼働!」

「行くぜ!ヴァリアブル・フォーメーション!!(前回の失敗はアヤの念動フィールドへの多大な負荷とトロニウムエンジンの不備が原因だった、それなら!」

 

 

リュウセイは合体シークエンス中に前回の事を振り返り、ある事を思いついた。

 

失敗すれば自身の命も危うい可能性もあった。

 

だが、これから起こる戦いに比べれば些細な事かもしれない。

 

過信か執念か。

 

リュウセイは必ずやり遂げると誓った。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

リュウセイ達がエアロゲイターの偵察部隊と交戦を始めた頃。

 

この宙域へ向かって突き進む一筋の光があった。

 

 

「一刻も早く、行かなければ…!」

 

 

紅と白の装甲を纏った騎士は碧色の閃光と共に宙域へ突き進む。

 

それは更なる警鐘を鳴らす事となる。

 

 

=続=

 




痛みをその身に宿す白き騎士。

不完全な念動兵器。

罪を背負いつつも絶望に抗う睡蓮。

全ては交差し奇跡となる。

次回、幻影のエトランゼ・第八話『騎士《テッカマン》後編』

抗え、残酷なる未来を。


<今回の登場人物>

※ロサ
第六話に登場したDGに搭載されたUG細胞の制御AI。
DGと切り離された為、別格となっている。
回収された後、本人の希望でハスミのサポートAIとして生きる事を決める。
GGGから提供された『超AI』の為、いずれは『勇気』に目覚める可能性もある。
外装フレームは1/60スケールのガーリオン。
背部分に装備されたバーストレールガンには麻酔針とスタンガンが仕込まれている。
現在は乗り手の居ないガーリオンCの戦闘AIとして登録されている。

※マサキ・アンドー
魔装機神サイバスターの操者。
ある事情で行方を眩ませているビアン博士達の護衛を務めていた。
現在はノードゥスに合流しAnti・DCの行方を追っている。
過去の記憶を所持しているがとある記憶だけ封印されている。

※レビ・トーラ
エアロゲイターの幹部。
ラオデキヤの名が出ている為、α基準と思われる。

※アタッド・シャムラン
レビの腹心。
数年前に捕虜となったカーウァイに人体改造を施した。

※シャピロ・キーツ
説明不要の裏切りフラグ持ち。
服装はディラド戦のもの。



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第八話 『騎士《テッカマン》後編』

星海を翔ける光。

覆されるシナリオ。

全ては交差し大いなる光となる。

差し伸べよ、己が強き意志を。

睡蓮は闇の物語を解放する。


ハスミ達がエアロゲイターの偵察部隊と交戦を始めたと思われる頃。

 

 

「…」

 

ここマクロスでもエアロゲイターの別動隊によって攻撃を受けていた。

 

しかし、今回は収容されている戦艦から部隊までかつての小戦力ではない。

 

かなりの大部隊となっている。

 

その為、それなりの戦力を相手にしなければならない事は彼らも理解している筈だ。

 

そこまでして自分達に釘付けにする理由を私は理解した。

 

奴らの目的は別行動を行ってるSRXチームと護衛に入ったハスミ達である。

 

敵の狙いがトロニウムエンジン並びに念動力者の確保が目的なら察しがつく。

 

偶然(・・)にも定時偵察に出ていたアクセルとドモンに彼らが向かった宙域へ向かう様に指示し、足の速い戦艦をその後続として向かわせる事が決定した。

 

恐らく数日前より行動を共にしたナデシコと分離型使徒との戦いから参戦したリーンホース・Jrが妥当と思われる。

 

ナデシコのボソンジャンプもしくはリーンホース・jrのビーム・ラムによる突撃離脱の戦法を用いるしかその場を離脱する手段はないだろう。

 

あるいは…

 

いや、余り考えたくないがその方法ではハスミの正体を知られる可能性があるだろう。

 

だが、人の謀が及ばぬ領域の存在ならば話は別だ。

 

無限力。

 

奴らの差し金か。

 

ハスミ、お前の語ったシナリオは早まるかもしれん。

 

私はヴァルシオンの操縦席から義娘達の無事を願うしかなかった。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

しくじった。

 

横浜での戦闘、アイドネウス島からオーストラリア大陸への遠征、DG事件と当てはまる限りの無茶振りは私の責任もある。

 

解っていたとは言え…

 

私が強念者である事が知られてしまった。

 

だが、敵の言葉をそう易々と信用する彼らではないと願いたいが今回は違う。

 

記憶を持っていなければ怪しむのはライとアヤ大尉だけだっただろう。

 

だが、記憶を持つリュウセイとマサキなら恐らく感づいてしまっている。

 

もう言い逃れは出来ない。

 

本来なら私が念動力者である事を語るのはもっと先にする予定だったのだ。

 

それが現在の戦闘で見事に崩された。

 

これも無限力の仕込みだろう。

 

おのれ○○め!とナルトとしらたきの様な名前の人の台詞を叫びたくなった。

 

奴らは完全にこの状況を楽しんでいる?

 

いや、秤に賭けているのか?

 

ゲームの様に…

 

 

「…(さてと、どう攻めるか。」

 

 

念の為、現場の指揮権を持つイングラム少佐に進言をし許可を得た上で行動している。

 

しなかったら命令違反で撃たれても可笑しくない。

 

まあ裏切る予定の人の許可を貰っても意味がない様に思えるが裏切りを確定させていないので従うしかない。

 

その当人も私の念の力を見たがっている素振りもあるので遠慮なくやらせて貰う。

 

どの道、この会話は人の影にコソコソ隠れてストーキングよろしくな仮面付けた忍者に筒抜けだし。

 

マクロスの転移後、街中で似合わない色のスーツを着込んで優雅にティータイムを楽しんでいる年齢不詳の能天気紳士も来ているらしいので。

 

問題はクスハとブリッドを守り切れるかだ。

 

αのシナリオならどちらかがエアロゲイターに連れ攫われる可能性がある。

 

それを承知しているのならリュウセイとマサキも動くだろう。

 

なら、私とロサはカーウァイお義父さん…いや、ガルインと共に現れた部隊を退ける。

 

アタッドはマサキ、クスハ、ブリット。

 

レビはリュウセイ達。

 

シャピロはイングラム少佐に任せよう。

 

同時に今後奴らが手出し出来ない方法で行動させてもらう。

 

奴らも『例の存在』と同一の能力を持つ存在達に手出しはしないだろうけどね。

 

この方法は更に二つの組織に私が強念者である事を確定させてしまう上にリスクが高すぎる。

 

あの事を知られるのも早すぎるけど…

 

それでも切り抜ける方法にかけるしかない。

 

 

「ロサ、まずは周囲の雑魚を片付けるよ!」

「了解!」

 

 

こちらの動きに気が付いたのかアタッドの機体がこちらを狙って来た。

 

 

「アタシらを無視する気かい?」

「んな訳ないだろ!」

「っ!?」

 

 

アタッドの機体に張り付いたサイバスター。

 

 

「テメエの相手は俺達だ!」

「このっ…地球人が!」

「…(だから、貴方も地球人ですけど?」

「ハスミ、コイツの相手は俺達で何とかする!」

「俺達の事は気にするな。」

「だから、ハスミはお義父さんを救ってあげて。」

「マサキ…ブリット、クスハ。」

「後で訳は聞かせて貰うからな!」

「ありがとう!」

 

 

私はマサキ達に礼の言葉を告げ、エゼキエル・ラヴァンの部隊に交戦を仕掛けた。

 

 

「…(リュウセイ、後は頼むわ。」

 

 

そして。

 

史実には存在しない未完全な天下無敵のスーパーロボットが誕生した。

 

 

「未完全でも天下無敵のスーパーロボットっ!ここに見参!!」

 

 

SRX(脚部パーツ不足版)の合体に成功したのだ。

 

サルファでも脚部パーツが無くても稼働は可能。

 

しかし、そのエネルギー不足により武装は制限されてしまっている。

 

 

「大尉、無事ですか?」

「ええ、何とか…(それにしても念動フィールドの負荷がいつもより軽いような?」

「リュウセイ、合体は成功したが…一部の武装しか使えんぞ!」

「わ…解ってるって。」

「リュウ、さっきから声が変よ?」

 

 

通信で互いの無事を確認するものの、リュウセイの声に異変を感じ取ったアヤ。

 

 

「だ、大丈夫だって!」

 

 

同じく違和感を感じたライはそれぞれの念動バイタルの画面を確認した。

 

 

「ん?念動フィールド生成の……これはR-1からだと!?」

「リュウ…貴方まさか!?」

「お前、合体のみならず…SRXの念動フィールド生成までしたのか!?」

「ははっ、けど…うまくいっただろ?」

 

 

リュウセイは合体から活動までの念動フィールド生成までも自らの念で補ったのだ。

 

本来ならアヤの念動フィールドでSRXの安定を図る筈だった。

 

以前のリュウセイであればここまでの器用さはない。

 

理由は念の力はその性格から影響する為である。

 

つまり念の力は千差万別、確率の様に何通りもあるのである。

 

現在のリュウセイはいとも簡単にその複雑な念の操作を行っているのだ。

 

更にその念の操作の為に膨大な念の力を要する。

 

だからこそ二人は驚きを隠せなかった。

 

それが現実に行われているのだから。

 

 

「リュウ、どうして…?」

「アヤばっかりに負担はさせられねえって思ってさ、俺にも念動力はあるんだ…助け合えるならするべきだろ?」

「ごめんなさい、リュウ。」

「大尉、泣き言は後です…今は!」

「ええ、解っているわ!」

「わりぃ、ライ。」

「こんな無茶は今回だけにして貰うぞ!」

 

 

リュウセイは思った以上の念の消費に耐えつつも使用可能武装を確認した。

 

R-3のプラスパーツが無い事とEN不足により、テレキネシスミサイル、ブレード・キック、ドミニオン・ボール、天上天下無敵剣が使用不能である。

 

現状ではハイ・フィンガーランチャー、ガウン・ジェノサイダー、ザイン・ナックルが使用可能だった。

 

無茶振り披露合体のツケだろうと攻撃の術が奪われた訳ではなかった。

 

 

「アヤ、さっきの合体でストライク・シールドのパーツが離れちまったけど使えるか?」

「え…使えなくはないけど?」

「リュウセイ、どうする気だ?」

「やられっぱなしじゃ性に合わねえ、相手に一泡吹かせてやるのさ!」

「リュウ…」

「分かった、だが…無茶はこれっきりにして貰うぞ!」

 

 

リュウセイに策がある事を察したライはその言葉を信じ、後押しをした。

 

 

「その程度の念でこのジュデッカを!」

「何がだって!」

「っ!?(何だ?この念は!?」

 

 

SRXから発せられる念にレビは反応し一時的だが怯みを見せた。

 

 

「今のお前には解らないだろう!だがな、俺は必ず真の無敵のスーパーロボットへの合体をやり遂げて見せる!!」

「何をふざけた事を…!」

「解んねえだろうさ!図体ばかりデカいロボットを振り回すしか能がない…お前にはな!(マイ、必ず助けるからな!」

 

 

 

******

 

 

「…」

 

 

フフフ…

 

リュウセイ、お前は俺の予想以上の行動を起こしてくれる。

 

お前ならば魔星の守護者に相応しい。

 

レビ以上の念を引き出し、そして圧倒する意思の力。

 

それがお前の出した答えなのだろう?

 

そして…

 

ハスミ、お前もまた更なる可能性を見出した様だな?

 

いや、元から隠していたらしいが関係ない事だ。

 

レビが使い物にならなくなった場合を含めて新たなジュデッカの操者は必要だろう。

 

その時はお前がジュデッカの人形と成る時だ。

 

 

「…」

「どうした、ここまでか?」

「いや、計画通りだ。」

「?」

「そろそろ次の段階に入らなければならないのでな…」

「ようやく本性を現したか。」

 

 

この男、奴らのエージェントだと聞かされているが…

 

一体何を考えている?

 

得体の知れない男か?

 

いや、底知れぬ何かを感じる。

 

これは陛下にお伝えせねばな。

 

 

「…(忍、この戦いは何処か捻じ曲がっている。」

 

 

シャピロは己の思惑の中でイングラムの印象に違和感を感じ取った。

 

以前、地球連邦軍に属していた頃に出遭った彼とは異なる感覚。

 

それは彼の中にある野性が成せる事なのだろうか?

 

 

******

 

 

「標的確認、攻撃開始。」

「っ!?」

 

 

それぞれの戦いが続く中でハスミはカーウァイを救う為にエゼキエル・ラヴァンと交戦に入った。

 

僚機を数機程撃墜し、残りをロサに任せての行動だった。

 

 

「お義父さん、思い出して!」

「…」

 

 

相手の攻撃を牽制し応戦しつつ何度も説得を続けた。

 

 

「…(やっぱり、向こう側の精神操作が!」

 

 

そしてエゼキエル・ラヴァンが攻撃を近接戦闘へと切り替えた。

 

相手の実体剣を避けるべく、こちらもアサルトツインブレードでその一撃を止めた。

 

刃と刃が火花を散らす時、それは起こった。

 

 

「っ!?(これは!」

 

 

流れ込んできたのはカーウァイそしてガルインの記憶。

 

幼き頃の自身と過ごす記憶と交戦時に被弾し重傷を負った記憶。

 

そして奴らに改造されると言う恐怖の記憶。

 

人形として自らの意思に反した戦いを強いられる記憶。

 

 

「こんなの酷すぎるよ…(解っていたとは言え、これは惨すぎる。」

 

 

サイコメトリーに近い力による他者の記憶の開示。

 

その記憶が一瞬の内に脳裏に焼き付く様に視えたのだ。

 

本来ならば数行程度に記された結末だっただろう。

 

だが、現実にその記憶が呼び起こされたのだ。

 

当時の騒音や叫び声、下手をすれば生々しい惨状と共に。

 

血の臭いと恐怖の声。

 

それらは一瞬の内に人を狂わせるだろう。

 

 

「お義父さん、苦しかったね…辛かったね。」

 

 

私は涙を流すしかなかった。

 

だがその涙は悲しみの為ではない。

 

復讐の為の涙だ。

 

 

「幼き思い出は…真実へと変わる!識れ、玄き闇の物語を!詩れ、残酷な童話を!」

 

 

もう迷わない。

 

この時だけ私は!

 

自分を偽らない!

 

 

「…行こう、ロサ!」

「分かったわ、ハスミ!」

 

 

私はパイロットスーツの首元を緩めるとそのペンダントを外した。

 

黒き物語とその語り手の枷は外されたのだ。

 

 

******

 

 

同時刻。

 

マクロスでは第一種戦闘配備の為に住居ブロックに人気はなかった。

 

しかし、違和感を残す様に白いスーツを纏った男性が喫茶店の一角で冷めてしまった紅茶に口を付けていた。

 

 

「君はどこまで上り詰める気かな?」

 

 

皿に置かれたティーカップの紅茶は静かに揺れる。

 

 

「僕もご挨拶位はしておこうかな。」

 

 

 

更に同時刻。

 

地球の一角にある南国の島では。

 

夜を迎えた月夜に島に建築された城のエントランスから宇宙を眺める学生服を纏った青年と控える様に独特の羽根団扇を持った男性の姿があった。

 

 

「どうやら姿を見せた様だね。」

「どうなされますか?」

「アルベルトには連絡を送って置いた、後はマスク・ザ・レッドだけど…彼は木星の近海に居るしね。」

「では、残りの十傑集に収集を?」

「そうだよ、彼らや君の力を取り戻す為にね?」

「畏まりました。」

「…(ハスミ、いずれ君に会いに行くよ。」

 

 

新たなシナリオが刻み始めた瞬間でもあった。

 

 

******

 

 

「はぁ、はぁっ!」

 

 

久しぶりの感覚だね。

 

この念の力、抑え込まれた分だけ溢れかえるよ。

 

力が有り余る感覚。

 

だけど、飲まれるな、溺れるな。

 

与えられた力は己の為にあり他者を守る為のものである。

 

大丈夫、行ける。

 

 

「ロサ、モードの活動限界時間は?」

「約五分、それ以上は…」

「それだけあれば十分よ。」

 

 

放出される念によって弾き飛ばされるエゼキエル・ラヴァン。

 

そして周囲のT-LINKシステム搭載機に余波は届いた。

 

 

「!?(この念はハスミなのか?」

「ひゃっ!?」

「ぐうっ!」

「この念は…!?」

 

 

怒りと憎しみを通り越して救いたいと願う意思と復讐の念が周囲に広がった。

 

 

「この念をあの機体か…!」

「このっ地球人が!」

 

 

念の発生した機体を索敵したアタッドはマサキ達の攻撃を潜り抜けハスミの元へ向かって来た。

 

 

「お前か!」

「…」

「なっ!?」

 

 

瞬時にカナフ・スレイブによる先制攻撃で逃げ場を失わせたと確信した。

 

だが、それはものの数秒で崩れ去った。

 

周囲に展開したカナフ・スレイブは全て撃破され、搭乗している機体の片腕、片足を切断されたのだ。

 

 

「そんな…アタシがこんな奴に後れを!」

「貴方の十八番は封じたわ、まさか同じ事が出来る奴がいないとでも思った?」

「お前っ!」

「…見下すのも大概にして貰おうか?」

 

 

私はアタッドの機体の残された腕と足、スラスターの部分を斬り裂いた。

 

私にしてはかなり低ボイスな罵りだったと思う。

 

だが、カーウァイお義父さんが味わった恐怖に比べれは優しい方だ。

 

 

「一体何処の誰が自分達が最強と決めつけた?」

「っ!?」

「地球には『窮鼠猫を噛む』って言葉の揶揄があるけど…それが今の現状だよ?」

「お前は一体…」

「貴方は噛みつかれた猫…私は噛みつくんじゃなくて。」

 

 

『喰い千切る方だからw』と語った後、出来る限りの苦痛と恐怖をアタッドの機体に与えた。

 

ロサには四肢を切断しコックピットブロックだけ残ったエゼキエル・ラヴァンの牽引して貰っていたが。

 

全てがうまくいく訳ではなかった。

 

突然のイングラムの裏切りによりアヤ大尉の不調。

 

そして彼らの軍門に下る様にリュウセイと私に勧誘する言葉。

 

勿論、御断り申し上げた。

 

流石のリュウセイもアヤ大尉を不要と語ったイングラムの声に切れてR-GUNを破壊した。

 

しかし、イングラムは機体から脱出し原作と同様に後続で現れたエアロゲイターの部隊に救助されてしまった。

 

しかし、世界は新たなシナリオの啓示を示した。

 

見慣れない謎の未確認生物。

 

宇宙怪獣とも違う感じにその場に居た誰もが驚くしかなかった。

 

そうラダムの襲来だ。

 

だが、その集団を追って現れた白と紅の騎士と蒼き地球を意味する航宙機。

 

人型にして人間サイズの騎士達は瞬く間にラダムを蹴散らして行った。

 

 

「行くぞ、シンヤ!」

「OKだよ、兄さん!」

 

 

「「ダブルッ!!ボルッテッッカァアア!!」」

 

 

ブレードのボルテッカとエビルのPSYボルテッカ。

 

エビルのボルテッカを吸収するPSYボルテッカに力を添える事で技の威力を上乗せし敵に放ったのだ。

 

 

贖罪の紅と断罪の碧が重なり。

 

二つの力を束ねて一つとなる。

 

周囲に点在していたラダム獣とエアロゲイターの部隊を巻き込み。

 

フェルミオンの光の中でその残影は消えて行った。

 

 

「くっ!この場を退くぞ!」

「わ、解りました。」

「…(ハスミ・クジョウ、貴様もサンプルとして申し分ない…いずれはリュウセイと共に。」

 

 

不利と悟ったのかレビ達はエアロゲイターの残存部隊を率いて撤退した。

 

 

「…」

「兄さん、大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。(次は月、か。」

 

 

二人の騎士は藍色の海に漂いながら己の罪を再確認した。

 

この身に宿った力と暗黒の星海に置き去りにしてしまった家族への懺悔。

 

そして新たな戦乱を呼び込んでしまう事に。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

地球人の修羅場による念の胎動。

 

そして危険視していたラダムの襲撃によって撤退を余儀なくされたエアロゲイター。

 

いや、ゼ・バルマリィ帝国の偵察部隊はその経緯を総司令へと申告した。

 

そして偵察に赴いたレビ以上の念能力者が二人も出現した事はこちら側にとって朗報であり深刻な状況だろう。

 

だが、総司令は強敵との遭遇にうっすらと笑みを浮かべていた。

 

そして隣でその経緯を聞いていた仮面の男。

 

ユーゼス・ゴッゾォは仮面の裏からある思惑を駆け巡らせていた。

 

 

「…(あの者、そしてアシュラヤーの目覚めはハトハラーの時である、か。」

 

 

そしてユーゼスは仮面の裏から笑みを浮かべた。

 

 

「…(ならば手に入れよう、その力を私の求めた答えを識る者を。」

 

 

思惑を新たに彼は野望の一手へと模索し始めたのである。

 

 

******

 

 

その後。

 

エアロゲイターの幹部クラスと交戦を繰り広げた私達はナデシコとリーンホース・Jrによって救助された。

 

緊張の糸が切れたのかリュウセイは念の使い過ぎでコックピットにて気絶しアヤ大尉はイングラムの言葉で錯乱した為、鎮静剤を打たれて同じくメディカルルーム行きとなった。

 

クスハとブリットも念の為、メディカルルーム行きとなった。

 

ライはイングラムの一件で一時拘束され、マサキはギリアム少佐に連行されていった。

 

私はテンペスト少佐と隊長達にカーウァイお義父さんが生きていた事を話した。

 

動揺はしていたものの念で確認したから確実であると説明したら信じて貰えた。

 

そして新たに現れた騎士達はスペースナイツと呼ばれ、偶然にもマクロスに乗艦していた責任者から照会が取れたのでその正体は私の念とイングラムの一件を説明する為に後日となった。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

ハガネ内のメディカルルームにて。

 

 

「これから兄さん達がこちらに来る。」

「何で急に?」

「恐らくお前が無茶をした例の件についてだろう。」

 

 

真面目な表情で忠告をしたライ。

 

 

「いいか、絶対にエルザム兄さん達を怒らせるなよ。」

「な、何だよいきなり?」

「俺は忠告したぞ?」

 

 

しかし、リュウセイには?マークの為にイマイチ読み込めず仕舞いである。

 

しっかりとリュウセイに忠告をしたライはそのままメディカルルームを後にした。

 

そして入れ替わりにエルザムとギリアムの両名が室内に入室して来た。

 

 

「リュウセイ曹長、話し合いを始めようか?」

「安心してくれ、悪い様にはしないよ?」

 

 

二人の背後に地獄の番犬と呼ばれる犬人間と小さな一つ目魔法使いを肩に乗せた死神の姿がぼんやりと見えていた。

 

 

「…(そう言う事は判りやすく言ってくれよ、ライっ!!!」

 

 

リュウセイはこの場を持ってライの意味を知った。

 

そして。

 

燃え尽きた表情で魂が抜けかかっているリュウセイをラトゥーニがメディカルルームで発見するのは約三時間後の事である。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

その頃。

 

人気のない格納庫にて。

 

 

「ハスミちゃん。」

「紅葉さん?」

「蒼い睡蓮から貴方宛によ。」

 

 

ナデシコクルーの七枝紅葉は待ち合わせていたハスミにディスクを手渡した。

 

 

「どうも。」

「一応言うけど、無茶もほどほどになさいね?」

「解っています…そちらは?」

「黒い王子様は貴方の言う通り記憶を持っているわ。」

「やはりですか。」

 

 

他愛のない会話、紅葉は普段のヘラヘラな表情を変えて語った。

 

 

「所で…いつまでこの茶番を続ける気?」

「彼らはまだ『真化』への道に立っただけ、まだ続ける必要がある。」

「全く、いつになったら『巫女』としての自覚を持ってくれるのかしらね?」

「おやおや、『護行柱』の一角が嫌味?」

「別にそう言う訳じゃないわよ、兄さんや他の三人は兎も角…貴方が言う様にシナリオが加速しているのなら予定を早めた方が良いってアタシが思っただけよ。」

「予定は現状維持のまま、動きを見せる訳には行かないわ。」

「また『無限力』のせい?」

「ええ、あの陰険で強引で我が儘で傲慢で…性根のひん曲がった意識集合体のせいでどれだけシナリオの修正に手間取ったか。」

「ちょっと、真っ黒いわよ。」

 

 

ハスミの醸し出す黒のオーラにツッコミを入れる紅葉。

 

 

「そう言う訳で貴方には火星ルートの監視役として行ってもらいます。」

「は?」

「この後、この部隊は二手に分かれて火星と月・地球のどちらかに向かう事になります。」

「何でよ?」

「火星でちょっとした動きもありますからその牽制です。」

「成程ね、所で何でアタシが火星に行くのが決定済みな訳?」

「ナデシコが再度火星に向かうからです。」

「…そう言う事なら仕方がないわね。」

「私の所属部隊がどちらに配属されるかは現状では不明なので今後次第です。」

「ふうん…事によっては『紅扇』を動かす事になるけどいいかしら?」

「構わないわ、ただ素性は明かさない事を約束して。」

「了解したわ、巫女様。」

「様は止めて。(これで更なるシナリオが加速する。」

 

 

=続=




睡蓮の目覚め。

重なる白と紅の騎士。

語られるは悲劇の始まり。

そして新たな可能性。

絶対なる悪の使者の脅威。

次回、幻影のエトランゼ・第八.五話『解想《カイソウ》』

望まぬ結末を誰が受け入れるものか。


<今回の登場人物>

※相羽タカヤ
テッカマンブレードに変身する青年。
アルゴス号におけるラダム襲撃事件の生き残りの一人。
周囲には上記の事があり二つ名のDボゥイ(デンジャラス・ボゥイの略)と呼ばれる事となる。
記憶保持者だが、思い出したのはラダム襲撃の最中との事。

※相羽シンヤ
テッカマンエビルに変身する青年。
相羽タカヤの双子の弟。
同じくアルゴス号におけるラダム襲撃事件の生き残りの一人。
もう一人のDボゥイ(デストロイド・ボゥイの略)。
記憶保持者でDボゥイと同時期に思い出す。
色々とあって過去のしがらみは拭い去ったとの事。

※如月アキ
ブルーアース号のサブパイロット。
前回と同様にD兄弟の兄の方に恋い焦がれる。

※ノアル・ベルース
ブルーアース号のパイロット。
Dボゥイ達の二つ名の命名者。

※ミレッタ・ルルージュ
ミリィと言う愛称で呼ばれるオペレーター
マクロスに乗り合わせていたスペースナイツの一員。

※ハインリッヒ・フォン・フリーマン
外宇宙開発機構の創設者であるがEOT機関に出向中にマクロスの転移に巻き込まれ同乗していた。
別行動中だったブルーアース号のメンバーとDボゥイ達の身柄について説明した。


※ハスミ・クジョウ
今回の一件で自身が強念者である事が発覚。
その件に関しては次回へと続く。
そしてその思念の叫びはBF団、バラルに自身が強念者である事を発覚させてしまう結果となった。

※七枝紅葉
ハスミとの密会で彼が『護行柱』の一角と話しているが?

※リュウセイ・ダテ
SRXの合体に成功させるが、それは自身の念動力も使用してアヤの念動フィールドの形成をも自身が行うと言う荒行を見せた。
しかし、念動力の使い過ぎで病室送りとなる。

※ビッグファイア
BF団を統べる存在。
ハスミの念を感じ取り動きを見せる。

※孫光龍
バラルを預かる強念者。
ハスミの念を感じ取り動きを見せる。

※ユーゼス・ゴッゾォ
ゼ・バルマリィ帝国・帝国監察軍第七艦隊の副司令官。
野心に満ちた性格は相変わらずであるが今回は決定的に何か違う様子を見せている。
総司令官であるラオデキヤと共にヴィレッタの報告でハスミの存在を知る。
最後に『アシュラヤーの目覚めはハトハラーの時である、か…』の言葉を残している。


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第八.五話 『解想《カイソウ》』

暗黒の宇宙より帰還した者。

語られるは悲劇と奇跡。

奇異な記憶の覚醒のルーツは何を意味するのか?

その一端が明かされる。

睡蓮は母との遺言を語る。



数日後、リュウセイの念は回復したもののアヤ大尉の錯乱症状からの昏睡は今だ続いていた。

 

現在もアヤ大尉は念の力に不調を見せていた為、メディカルルームから出て来る事はなかった。

 

念動力に関してはケンゾウ博士の元で治療する必要があるとの事でSRXチームは地球帰還後は伊豆基地へ単身戻る事が決定した。

 

そしてリュウセイとライの二名はイングラム少佐の裏切りもあり、現在も独房へ入れられている。

 

元々SRX計画はイングラム少佐が関わっていた為、何処までエアロゲイターに情報が漏れているか不明だった。

 

リュウセイ達に何らかの暗示操作も行われている可能性も捨てきれないとの事でしばらくは戦闘に参加する事は出来ないだろう。

 

肝心のRシリーズも前回の戦闘で無理をした為に修理されないまま現在も凍結されている。

 

そして他のT-LINKシステム搭載機はRシリーズとの関係を否定されたので凍結措置はされなかったのは救いだっただろう。

 

イングラムによって私やクスハ達を含めた念の力も持つ者はマークされていた事が判明した。

 

ダンガイオーチームのミア・アリス達やひびき洸など他の念に関連した能力を持つ者達もである。

 

疑う者達を納得させる為に全員が検査を受け、全員シロで会った事が検査結果で判明されたので事なきを得た。

 

 

そして…

 

 

*******

 

 

「ハスミ、貴方の念の測定値なのだけど…」

「…」

「測定値を超えた念を検出したわ。」

「やはりですか。」

 

 

私だけメディカルルームの検査室でラーダさんから検査を受けていた。

 

前回の戦闘で私から膨大な念の波動を感知した為である。

 

あの戦闘の後、リュウセイ達の拘束のドサクサでペンダントを没収されてしまったのだ。

 

未だ返却すらして貰っていない。

 

 

「話して貰えるかしら?」

「…」

「勿論、話せない理由があるなら私からは何も聞かないわ。」

「ラーダさん。」

「貴方にも話せない理由があったのでしょう?」

 

 

貴方にもと言う言葉に私はラーダさんの過去を思い出した。

 

彼女もまたその能力によって被検体として扱われていた時期があった事を。

 

そしてその後の悲しい別れも。

 

 

「私は…絶対に話してはいけないと死んだ母の言葉を守っていました。」

「ハスミのお母様の?」

「はい、母はずっと死ぬ間際まで私の事を守ろうとしました。」

「…」

「そして…」

 

 

私は『信頼に至る人物が現れるまで何があろうともその力の事は口外してはならない。』と答えた。

 

 

「その信頼に至る人物と言うのは?」

「今だ、見つかっていません。」

「そう。」

 

 

私が口外するに至る人物に貴方達は出会っていない。

 

だからこそ貴方達にとっては見つかっていないが正解にあたる。

 

あの人の正体をまだ語る訳には行かない。

 

名前だけで気付く人物もこの部隊には存在しているから。

 

本当に屁理屈と言葉の理、言葉遊びは便利である。

 

言い方を変えればその意味は千差万別と様々な意味に置き換わる。

 

私は仲間すら欺いている。

 

だけど、その仲間すら危険に晒す訳には行かない。

 

例え、裏切る形になったとしても私はやり遂げなければならない。

 

そうでしょう、ケイロン。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

それから数時間後、イングラム少佐の裏切り、私の念、そしてスペースナイツの参戦についての説明が行われた。

 

イングラム少佐の裏切りはαとOG基準で誰もが疑心暗鬼になっていた。

 

元々、感情をさらけ出す様な人ではなかったのでその印象は人それぞれだろう。

 

元々史実では出会う事の無かった人達の印象は何処か複雑だった。

 

なお、私の念については所持していたペンダントが念を抑える特殊な作用を持っていたのではなく、死亡した母親からの遺言が強力な暗示となって念の力を押さえ付けていたと言う話をラーダさんが説明した事で終わった。

 

私が前回の戦闘でその暗示を断ち切った事で発動した。

 

その為、今まで低の低として見られていた念の素養は一気に跳ね上がったとだけ説明された。

 

ちなみに返却されたペンダントは私以外が使用する事は出来ないので、ただの装飾品と思って貰えた。

 

とりあえず、窮地に立たされる事だけは避けられた。

 

そして問題のスペースナイツであるが…

 

外宇宙開発機構の創設者であるハインリッヒ・フォン・フリーマン氏より大まかな説明された。

 

数か月前に外宇宙調査に旅立ったアルゴス号とシグナライト号の二隻がある宙域で行方が途絶えた。

 

その二隻の内の一つであるアルゴス号が謎の宇宙船と接触し調査に当たった。

 

しかし、そこに居たのは寄生生物ラダムと呼ばれる外宇宙生命体だった。

 

彼らは何も知らずに乗艦してしまったアルゴス号の乗組員を襲い、瞬く間に制圧してしまったとの事。

 

僚艦であるシグナライト号だけは逃がしたもののシグナライト号は敵の攻撃で航行不能なったばかりか偶然発生したブラックホールに飲み込まれてしまい、その消息は途絶えてしまったとの事だった。

 

そしてアルゴス号の乗組員は寄生生物ラダムによって彼らにとって都合の良い素体にする為、改造されてしまった。

 

だが、その急激な身体改造に耐えきれる筈もなく乗員の95%近くが死亡した。

 

残されたのはここに居るDボゥイ達二名と他数名だったとの事。

 

しかし、奇跡が起こった。

 

同じ様に身体改造に耐えきれず排除された乗組員の一人であり、今回の外宇宙探査の計画の立案者でもある相羽孝三博士によって二人が囚われていたブロックを破壊し逃がしたそうだ。

 

偶々、二人だけは別ブロックで洗脳されないまま身体改造を終えて奴らの道具にされるのを待つばかりだった。

 

そして二人が居たブロックは切り離しが可能だった為に博士は最後の力を振り絞って二人の居たブロックを切り離して逃がした。

 

博士はブロックの切り離す為に爆発に巻き込まれ消えて行った。

 

その爆発のせいで奴らの宇宙船は航行不能となり追撃を免れたそうだ。

 

二人は当てもなく宇宙を彷徨う事になった。

 

そしてここで問題なのが…

 

 

「二人を救助したのがあのブルーロータスの仲間だった事だ。」

 

 

彼らは宇宙を彷徨っている中でブルーロータスが所属する組織のエージェントに救出され、そこで治療を受けていた。

 

その組織の名は『ホルトゥス』と呼ばれ、ラテン語で庭園を意味する。

 

ホルトゥスの実働部隊である『庭師』達によって発見され救助されたのだ。

 

そして研究部隊である『園芸家』達により治療と研究が進められ、二か月前に治療を終えて地球圏へ戻る算段だった。

 

彼らは地球を敷いては世界を救う手助けになる事を願い、無償で二人の立て直しを支援してくれたのだ。

 

そして木星軌道上で彼らの部隊と別れ、地球へ向かう最中にスペースナイツ所属のブルーアース号と接触しそのまま協力する形となったとの事。

 

地球に帰還しなかったのは調査対象の追跡中、つまりラダムの先遣隊を追撃していた為であった。

 

そして二か月後の今回で冥王星に飛ばされてしまったマクロスと接触するに至ったという訳である。

 

そしてホルトゥスに接触した二人からある事を告げられた。

 

 

「ホルトゥスが俺達を発見できたのは彼らのメンバーに先視と呼ばれる予知能力者がいた為だと話を聞いた。」

「僕らの乗っていたブロックは推進装置や救難信号を発信する装置も故障していて、発見されたのが奇跡的…正直生きた心地がしなかったよ。」

 

 

その言葉は驚愕を与えた。

 

ブルーロータスの奇跡は予知による先視。

 

それだけであれだけの奇跡が起こせたのだ。

 

だが、先視だけではない。

 

ブルーロータスの独自の戦略と戦術、そして今だ姿を見せない彼らの戦力によるものも含まれると思う。

 

 

「だが、ブルーロータスは自身がホルトゥスの取締役ではないと語っていた。」

「そうそう、確か…上に組織を運営する元締めが居るって話していたよね?」

「その存在が先視の能力を持った人物と協力体制にあるとだけ知る事が出来た。」

「後は知る必要のない事って言われてバッサリお断りされちゃったけどね。」

 

 

二人が手に入れる事が出来た情報はここまでであり、彼らと協力体制になる存在は今だ不明のままとなった。

 

例の火星で地獄を見せたマジンガーの様な機体、各地で活動する機動兵器の謎もまた不明のまま…

 

話は終わりを告げた。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

ハガネ艦内のハスミの部屋にて。

 

私は長い尋問と始末書の束を片付け終え、自室で一息を入れていた。

 

そして蒼い睡蓮の情報を開示した所、更にややこしい事が起こっている事が判明した。

 

 

「またややこしい事に…」

 

 

折角入れたコーヒーの味が不味くなりそうな勢いである。

 

もうミルクココアを入れてカフェモカに味換えでもしようか。

 

 

「無事に地球圏に戻れたのはいいけど、ここまで厄介な事になっているとはね。」

「何があったの?」

「予想はしていたけど、こちらの読み違いでラダムの侵入を許してしまったのよ。」

「だが、お前の話していたオービタルリングには何の損傷も見られないが?」

 

 

同じくロサとテンペスト少佐もまたこの自室で今後の事を検討する為に集まっていた。

 

ここ暫くはシュバルツさんの監視が激しいのであの人の偵察任務が重なる時間に合わせて行っていたのだ。

 

 

「アイドネウス島でのゼントラーディ偵察部隊が現れた時、奴らの機体や戦艦に張り付いていたんです。」

「!?」

「何だか虫みたいです。」

「ロサ、ラダムの習性としては寄生虫の一種に変わりないんだけど…」

 

 

ロサの天然発言に一応ツッコミを入れるハスミ。

 

 

「規模はどの位なんだ?」

「数体程度ですが、既に奴らは行動を開始し…各地へラダム樹として地中に埋まってしまっています。」

「それが向こう側からの連絡か?」

「はい、ホルトゥスが奴らの同行を捜索していますが…これも無限力の差し金の為に監視に留めています。」

「手が出せないと言う訳か…」

「恐らくはラダム樹の開花は奴らのシナリオの一つとして定めされていると見ていいでしょう。」

「…」

「本題は、地球圏と火星での戦況変化です。」

 

 

私達が地球から離れて二カ月と数週間近く経った。

 

そしてその戦況は一変し再び複雑な分布に変異していた。

 

月では例のアイドネウス島での任務後、新たな敵が襲来していた。

 

ガルファである、奴らの襲来は半年後と予想をしていたのだが余りにも早期に飛来したのである。

 

そして同盟を結んでいるグランダーク一味、ギャンドラー、ガイスターズ、機械化帝国などの機械化同盟で構成されている。

 

その為、月の半分は奴らの侵略領域へと変貌してしまったのだ。

 

現在も月の駐留部隊が応戦し何とか食い止めているが時間の問題だろう。

 

マスドライバーを占拠したジオンとギガノスの混成部隊は早期に撤退、理由とすればギガノスの大将であるギルドールが自軍の士官に暗殺されたのだ。

 

その為にギガノスでの内部抗争に発展してしまったのだ。

 

しかも原作では月にギガノスの拠点が存在した筈なのだが、どう言う訳は無くなっているらしい。

 

やはり月は様々な勢力が点在している為か、現在の月が軍事拠点に向かないと思ったのだろうか?

 

ここからは展開が読めるのであえて何も言いません。

 

今の所、月面都市フォン・ブラウンやセレネシティ、そしてヒュッケバイン系統の製造を行っているマオ・インダストリー社の安否が気になる。

 

月の地中で籠城しているフューリーが現時点でどう動くかは不明であるが、自分達の平穏を脅かすのであれば動くだろう。

 

なお、同じ月面都市であるグラナダは既に機械化同盟に占拠されてしまった為にジオンも更なる戦力低下の首締め原因となっている。

 

何となくメガノイドらが機械化同盟と手を組むと思っていたが…

 

やってくれちゃいました、破嵐万丈さん。

 

同世代とは言え、末恐ろしい。

 

やっぱり最強裸族な竜の星座は伊達じゃない?

 

どうやったら、たった一人でメガノイドを壊滅に追い殺れるのですか?

 

αでも度肝を抜かされましたが、本当に完全無欠の超人と言うキャッチコピーは伊達ではない。

 

本当に眼玉ドコーです。

 

その為、火星のメガノイド勢の戦力が激減し衰退中との事だそうです。

 

そこで逆に戦略的陣地を拡大しつつあるのが異星人連合と木連である。

 

地球側のマーズクレイドルも防戦の一方であったが、火星へダイモビックと大空魔竜が援軍として向かったのである。

 

本来ならばあの某野菜人の様な髪型の人に邪魔をされそうであるが、ご本人は例のダカールでの一件で今も塀の向こうでお勤め中である。

 

蒼い睡蓮も火星に秘密裏に援軍を送ったそうなのでとりあえずは事なきを得ている。

 

これが今の月と火星の現状である。

 

地球でもザンスカールによる地球を洗浄するとかの物騒な作戦を行おうとしているので、そろそろ『正義の味方』のご登場を迎えるとしましょうかの予定だ。

 

ドレイク軍も地上から更なる勇士を募って戦力増強を行っている様だし。

 

沈黙を貫いているOZの方もそろそろご対面の予定もあるだろう。

 

こちらは竜宮島メンバーにも動いてもらう算段でいる。

 

さてと、無限力とやら…

 

ここまでド派手な事をしてくれたのだから、その下剋上の凄まじさを見せてあげましょう。

 

私とてここまでやられて黙っているつもりはないのでね。

 

前回のドサクサでガルインを奪い返された怨みもあるので。

 

 

「何だかハスミ…怒ってる?」

「ロサ、あれは寧ろ…怨念と言った方が正しい。」

「?」

 

=続=




新たなる試練と新たなる戦い。

月の女神の聖地は焦土と化す。

二対の鷹は女神を守る為に羽ばたき。

呼応する竜の騎士と宇宙の騎士。

次回、幻影のエトランゼ・第九話『月廻《ツキメグリ》』

月の元へ騎士達よ集結せよ。


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第九話 『月廻《ツキメグリ》前編』

二人の騎士が語った生存の真実。

新たな可能性と脅威。

月での思惑。

月の戦場は近く遠いのか?


漸く地球に帰還する予定だったが、私達の部隊へ月の駐留部隊の危機を知らされる。

 

それと同時に火星のマーズクレイドルより救援要請も受けていた。

 

そこで部隊を二つに分けて行動する事となった。

 

月へはUCガンダム勢、Gガンダム組、スペースナイツ、ドラグナートリオ、ハガネ、クロガネ、ゲッターチーム、国際警察機構。

 

火星へはナデシコ、マジンガーチーム、ザンボットチーム、超電磁チーム、エルシャンク、ライディーンチーム、リガ・ミリティア、ダンガイオーチーム、オーラバトラー組、EVA組、ヒリュウ改。

 

と言う配置になった。

 

月ルート組は月の駐留部隊と合流予定なので火星組の配置が多いのはこの為である。

 

マクロスとSDF部隊はアイドネウス島や地球帰還道中で保護したコロニーからの避難民の関係もあり、暫く別行動となった。

 

地球に帰還するまでに起こった小競り合いで合流したイサムさん達は別として、ちゃっかりマクロスに紛れ込んでいたヒイロ達がどう動くかは不明である。

 

取り敢えず、OZの裏工作は何とか食い止める予定だが…

 

暴走カトル君になる事が無いように祈りたい。

 

ちなみにゼントラーディのブリダイさんの所の艦隊に捕まった時に興味深いヒソヒソ話を聞く事が出来た。

 

まさか彼らも自分達の言葉を瞬時に解読可能な地球人がその場に居るとは思わなかっただろう。

 

前世のネットサーフィン癖かつ中毒マニアのアニメ言語解読サイトを閲覧しといて良かったわ。

 

ちなみにグ〇ンギ語の解説とかもあったね。

 

彼らの話から察するにザールやガルラの単語を聞くこととなった。

 

この宇宙に『古の獅子達は集う』だろうか?

 

イバリューダーは既にWシナリオフラグが経ってしまったのでいずれは太陽系へと訪れるだろう。

 

味方が増えるのは結構だが、STMCの様に敵が沸いて来るのはご遠慮願いたい。

 

寧ろ願い下げである。

 

さて本題の話を戻そう。

 

火星組は向こう側での戦況が落ち着き次第、ボソンジャンプで地球に戻る予定。

 

こちらもどうにかして月の敵戦力を叩く予定だ。

 

個人的には勇気ある子ども達に余計な負担を掛けさせたくない。

 

そう言えばBF団って月面にも基地を持っていた筈だけど、どうなる事やら。

 

まあ、鉢合わせだけはしたくないです。

 

 

******

 

 

地球、火星の近海に到達する数日前。

ここマクロス艦内のとある一室にて。

 

 

「見事に別れたな。」

 

 

クワトロの言葉を皮切りに過去の記憶を所持する者達が集結していた。

 

DG事件後に起こったいくつかの騒動により数名の記憶保持者達と再会。

 

それによって様々な情報を得る事となった。

 

彼の発言は今回の部隊編成の決定に関しての物である。

 

 

「どちらにしてもバラケた方が双方の戦いに介入しやすいと思うぞ?」

「それもそうだな。」

 

 

アムロもまた今回の部隊編成に異存はない事を話した。

 

 

「それにしてもこんなに記憶を持った人達が現れるなんて…」

「不思議と言えば不思議なんだよね。」

「あの…」

「そっか、シンジ君は昔の俺の事を知らないから慣れないよね。」

「ごめんなさい。」

「いいよ、あの時の俺は復讐に囚われていたからね。」

 

 

EVA初号機のパイロットである碇シンジとナデシコのコック兼パイロットのテンカワ・アキトの二人が話していた。

 

ちなみにシンジがアキトに違和感を持つのはMXシナリオの一件である。

 

二人が接点を持っているのはそのシナリオと遥か遠き銀河の海を航海する物語だけである。

 

 

「二人のおかげで新たな情報を得る事が出来た、感謝している。」

「いえ、ほとんどは共通している情報が多いですし…」

「だが、我々が介入していない記憶もあるだろう?」

「それもこの世界で通用するか判りません。」

「それにしてもあの二つの企業が隠れ蓑と言うのは驚いたけど…」

「僕も最初は目を疑いましたけど、あの戦いでは関係を持っていた企業でした。」

 

 

シンジの記憶に残る並行世界からの侵略者との戦い、それによる新たな管理世界の想像。

 

その言葉にアクセルはシャドウミラーと同じ思想の持つ者かと思ったが…

 

それよりもタチが悪い相手だったとシンジの話から理解した。

 

ナノマシン制御による人類統一。

 

あるべき感情を失った人間と徹底管理された希望も絶望もない世界。

 

それは人間が求める世界ではない。

 

その管理者ともいえるセントラルと三つ巴戦の相手がGreAT社である。

 

GreAT社とJUDAコーポレーション。

 

表向きは複合企業と最先端治療を受け持つ医療メーカー。

 

しかしその裏では双方共に高性能の機動兵器を所有する組織だった。

 

地球圏で『加藤機関』と名乗っている義勇組織もJUDAコーポレーションと接点を持っている。

 

そしてGreAT社は現時点で機動兵器の保有をしていないもののいずれは何かの形で姿を見せるだろうと彼らも危険視していた。

 

 

「…(それでもあの人は最後に間違った正義を押し付けた自分の行いを悔やんでいた。」

 

 

シンジは結局は戦う事でしか解り合えなかったあの人の事を思い出した。

 

 

「…(だから、僕はもう間違った選択はしないよ…カヲル君。」

 

 

そしていずれ出会うであろう彼との和解を望んでいた。

 

 

「…(ガイ達も無事に助け出す事が出来た、今度こそ俺も間違った選択はするつもりはない。」

 

 

いずれ黒衣の亡霊として動く未来が待っているアキトもまた別の未来を模索していた。

 

 

「…」

「どうした、シンヤ?」

「何て言うか、兄さんの仲間って不思議な人達が多いなって。」

「半分以上は俺も初対面だ、ドモン達が信頼出来ると話すのなら信頼してもいいだろう?」

「そうだね、ラダムに寄生された僕らをこうも受け入れてくれたのだからね。」

 

 

二つの記憶でラダムに寄生され機動部隊とノイ・ヴェルターに敵対していたシンヤことテッカマンエビル。

 

今回は異なる方法で早期にラダムより脱した為に本来迎えるべき未来が変わってしまったのである。

 

これからはラダムの操り人形ではなく本当の正義の味方と言う位置で戦う事となったのだ。

 

 

「Dボゥイ、お前達がラダムから脱した話を詳しく聞きたい。」

「俺も気になっていたんだ。」

「そうだな、俺も正直…今回の事には驚いている。」

 

 

Dボゥイはドモン達顔見知りからの提案を受け入れ、自分達の救出された経緯を詳しく語った。

 

 

******

 

 

Dボゥイ達がホルトゥスの実働部隊『庭師』達によって救出された後。

 

寄生されたラダム摘出とその後の治療は困難を極めた。

 

地球側で成長したラダム樹と違い、原生型のラダム樹は扱いを間違えると寄生された生命体を死に追いやる可能性があるからである。

 

地球で成長したラダム樹は地球に存在する生命体に合わせてその生体構造も変化している。

 

その為、このラダム樹に取り込まれた地球人は何の障害もなくテッカマンの素体である素体テッカマンに変異する事が可能なのである。

 

しかし、Dボゥイ達アルゴス号の乗組員の場合は違う。

 

アルゴス号が接触したラダム樹は原生型の為、生命体への安全性が極めて低い。

 

その為、取り込まれた生命体が素体テッカマンとして完成するのはほんの一握りなのだ。

 

原生型は言わば寄生する生命体の安全性が欠けたテッカマン製造機である。

 

彼らが寄生した生物と同じ生命体を発見した場合の言わば研究室のモルモットと同じ扱いだったのだ。

 

成功しようが失敗しようがラダムにとっては関係ない。

 

自分達にとって優秀な鎧が出来上がればいい。

 

そんな考えを持った連中なのだ。

 

つまりアルゴス号の乗組員はラダムの生存の為の人体実験に巻き込まれた最初の被害者なのだ。

 

そこを留意しておきたい。

 

話を戻そう。

 

以上の点からDボゥイ達を原生型ラダム樹から切り離す事は危険と判断したホルトゥスの研究部隊『園芸家』達は彼らが完全なテッカマンとして完成されるまで見守るしかなかったのだ。

 

彼らの生命維持を第一に取り込まれていたDボゥイ達の了承を得て行われた。

 

そしてラダム樹から排出された後、彼らからラダム獣の摘出手術が行われた。

 

しかし、ラダム樹から解放された彼らは予定通り暴走。

 

実働部隊『庭師』の『地獄』と『聖女』達の尽力により休眠状態に持ち込んだ。

 

その後、脳幹に寄生されたラダムは破棄。

 

完全型テッカマンと化した彼らの生体治療へと切り替えられた。

 

その為、過去のDボゥイが抱えていた欠点である変身後の理性を保てる30分までのタイムリミットが無くなった。

 

この30分タイムリミットの関係でテッカマンブレードは不完全なテッカマンとなっていた。

 

こうして『園芸家』達の治療もあって無事に生還する事が出来た。

 

朗報として彼らの研究と治療の結果により更なる変化であるブラスター化が生命危機の危険性もなく発現可能となったのだ。

 

現在ブレード、エビルの双方のブラスター化が解除されていないが、後々可能となる日は近いだろう。

 

 

「そう言う訳だ。」

「暴走状態のお前達を抑え込むとは中々のやり手だな。」

「ドモンと似た様な戦闘力を持った人達も居たんだ…」

「ドモンさん…確か、たった三人で科学要塞島を無力化してましたよね?」

「ガンダムファイターなら、あんなものモノの数に入らないだろう?」

 

 

その場に居たUCガンダム組は遠い眼をしながらドモンの発言をスルーしていた。

 

ちなみに科学要塞島の件を知らないDボゥイ達は顔を合わせて?を浮かべている次第である。

 

 

「ドモン…自分を基準に話すな、Dボゥイ達がカルチャーショックを起こしているぞ。」

「キョウスケ、寧ろ現実逃避しているアムロ大尉達の方が心配だぜ?」

「こりゃ完全にショック状態だな…」

 

 

キョウスケの発言に続き、マサキとジョウが感想を述べていた。

 

話はさておき。

 

 

「キョウスケ、リュウセイ達の謹慎はまだ解けないのか?」

「ああ、しばらくはあのままだ。」

「今回はかなり謹慎措置が長いんですね。」

「俺達の居た世界もそうだったがSRXの件でかなり上が騒いでいたからな。」

「ま、リュウセイがこの場に居たらDボゥイ達がオタク被害を被っていただろうし今はいいんじゃないか?」

 

 

マサキの発言にキョウスケはその時の状況を想像すると頭を抱えてしまった。

 

 

「所でマサキ、ハスミの事だが…」

「それなんだけどさ、ギリアム少佐に制止されちまった。」

「どういう事だ?」

「多分、念動力の事と誤解されちまったと思う。」

「要は判らず仕舞いか?」

「悪い、何とか話を聞こうと思ったけどさ…親父さんの事もあったしあんまり聞ける様な状態じゃなかった。」

「接触したガルインが彼女の前の義父親だった事か…」

「俺達は兎も角、アイツは知っていたのか判らないけどよ…あの驚き様は芝居って訳じゃなさそうだった。」

「つまりハスミは『記憶所持者』ではなくシャイン王女と同じ『未来予知』、もしくは『念による高度な危険察知能力』の類だったのか?」

「リュウセイ曹長が居れば彼女の念動力の力量を確認出来たのだが…」

「シュバルツ、貴方の方はどうだっただろうか?」

「こちらも探りを入れたがその様な素振りはなかった、寧ろ我々の動きを察知しているかの様に尻尾を掴ませていない。」

「彼女は教導隊と言うサラブレット達の中で成長した仔馬だ、それなりに事を動かす才覚を持っているのかもしれん。」

「シュバルツ程の忍を欺くとなると十傑集クラスの猛者と認識せざる負えないが…」

「いずれにしろ、彼女の行動は今後も調べる必要はあるだろう。」

 

 

進展のないまま、彼らは次の月での戦闘の作戦会議を始めた。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

火星ルートへ向かう部隊と別れ、私達の部隊は無事に月面都市フォン・ブラウンへと入港。

 

艦長達は月司令部と今後の作戦についての会合へと向かい、私達は待機となった。

 

だが、必ず連絡が付くことを条件に月面都市内部に行く事を許可された。

 

戦闘前の息抜きと言った所だろう。

 

ウラキ少尉とガトー少佐が二人で隠れるようにダウンタウン方面へと出て行ったのを見かけた。

 

失われた世界から宜しくの某グラサン&モヒカンネタで某木○洋画劇場な展開でもする気だろうか?

 

おまけに何でも商品として売り出す移動式店舗を所持する某セクシーな店長を思い出したわ。

 

うん、思い出すとキリが無いから止めよう。

 

私はティアリー博士に例の機能のバージョンアップと武装の解凍をお願いしたので、そのお礼に月面都市限定のコスメを購入していた。

 

意外とね、化粧品ってお金も掛かりますし減りも激しいものなのです。

 

リョウト達はマオ社へ出向。

 

恐らくヒュッケバイン系とグルンガスト系の話だろう。

 

SRXチームの一件もあったので念入りに調査と整備が必要と思われる。

 

例のR-GUNは回収されマオ社にて封印される事となったし。

 

現在もT-LINKシステム搭載機は集中メンテを行っており、次の戦闘で使用できる様に整備を進めている。

 

そろそろ追加武装でも欲しい位だ。

 

αシナリオでは計都瞬獄剣とGインパクトキャノンが追加装備として後付けされていたが、前回も話した通り技術関連で動きがあった為にあの幕張事件の最初から既に装備されていた。

 

となると、この戦いでの後継機オチは打ち止めだろうか?

 

OGシナリオの介入ならインスペクター事件で参式やmk-Ⅲが参入していた。

 

私が現在搭乗しているガーリオンCもINシナリオのガーバインに乗り換えになる可能性も捨てきれない。

 

それに更なる敵勢力も侵攻を開始しているので戦力増強もかねて参式やmk-Ⅲ辺りは参入を果たして貰いたい。

 

超機人達はBF団や早期に目覚めてしまったバラルの追撃もあるので下手に手を出す事は出来ない。

 

寧ろ、さっさと手に入れた方がよくない?と言う言葉が脳裏に浮かんだ。

 

そうしたいのは山々だがリュウセイ達の一件でクスハ達の念が安定しない事もある。

 

今の状況で接触をさせるのは危険すぎるので却下。

 

まあ…αシナリオなら八人の誰かが操者に選ばれるだろうが、この先は彼ら次第なので余り口出しをするつもりはない。

 

私はクスハ達を信じたいから手を貸さずに事を構えるのだ。

 

結末を知る一人として必然シナリオを覆す事は出来ない。

 

出来るとすれば災厄の結末から少し道を逸らす程度だ。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

艦長達が会合から戻り、そのまま作戦会議に移行。

 

月の駐留艦隊司令より月における絶対防衛戦線の奪還と敵の戦力を削減する作戦が決定した。

 

本来ならばここで敵本拠地を叩きたい所であるが地球と火星の防衛にも戦力を割っている為にそこまでに持っていく事は出来ない状況だ。

 

戦略バランスを崩せばどうなるか解っているからこその判断だろう。

 

タカ派共の動きを鈍らせると本当にやりやすいものである。

 

そしてこの展開も予想はしていました。

 

 

「久しぶりだな、ケーン・ワカバ。」

「アンタはマイヨ・プラート…!」

 

 

ジオン・ギガノスの混成軍から投降して来たマイヨ・プラートと彼の部下達。

 

連邦軍は彼らからギルドール暗殺の一報を受ける事となった。

 

そしてその主犯として汚名を着せられてしまったマイヨはギルドール派の士官達を集めて亡命してきたのである。

 

以前、京都で行われた和平会談の際も木連の工作員によって阻まれてしまい和平の道は閉ざされてしまった。

 

この時、蒼い睡蓮が動かなかったのは訳がある。

 

和平に応じてもその内部に残る腐敗の膿を取り除かなければ意味がないと…

 

その為、犠牲者を最小限にしつつ和平会談を失敗させていたのだ。

 

傍から見ればいい迷惑であるが、後々にこれが不幸な結果を招く。

 

だからこそ蒼い睡蓮は『滅亡』を意味するのだ。

 

『滅亡』には『滅亡』を。

 

和平の時期が早すぎたものや遅すぎたものを見定め、行使する。

 

既にこちら側に転移したシャドウミラーが後々行動を起こす際に接触する可能性のある組織を徐々に壊滅させていた。

 

地球内の小競り合いを早々に終わらせる為に。

 

そしていずれ戦うべき相手との接触に備えての事だった。

 

 

「アンタのして来た事を許すつもりもねえが、今はアテにさせて貰うぜ。」

「よろしく頼む。」

 

 

とりあえずは上々かな。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

月の半分を侵略された為、連邦軍は月の絶対防衛戦線を敷く。

 

その絶対防衛戦線の奪還と均衡を保つのが今回の目的である。

 

既に月機動艦隊、月面基地からの勇士達、月に点在する企業からのバックアップにより準備が進められている。

 

その中で興味深い名前を聞く事となった。

 

 

「栄光の星の乙女、月の女神が愛した鷹、白き山猫か…」

 

 

地球連邦軍戦技研究班グローリー・スター。

 

エンデュミオンの鷹。

 

ホワイト・リンクス。

 

 

「シナリオは変異し新たな物語を刻む、それは世界が求めた事かな?」

 

 

ハスミは出撃直前のガーリオンC・タイプTの中で呟く。

 

 

「ケイロン、ようやく『悲しみの乙女』と出会えそうだよ。」

 

 

そう、神に抗う為のシナリオが刻み始めた瞬間だった。

 

 

=続=

 

 




月の戦域。

そして現れる機械仕掛けの道化達。

竜の騎士よ、星の騎士よ、二対の鷹よ、乙女よ、山猫よ、睡蓮よ、妖精よ、踊れ、踊れ。

黒き物語を語れ。


次回、幻影のエトランゼ・第九話 『月廻《ツキメグリ》中編』

踊れ機械仕掛けの道化よ、己の所業を悔い改めよ。


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第九話 『月廻《ツキメグリ》中編』

月の聖地を脅かす者よ。

二対の鷹がそれを拒み。

竜の騎士と宇宙の騎士が月の舞台を駆け巡る。

さあ、機械仕掛けの道化達よ踊り狂え。

薔薇の妖精は妖艶に微笑む。

睡蓮よ、己の枷を解き放ち、刃の花弁で切り刻め。


眼を背けるつもりはない。

 

私は戦う。

 

その先の未来を勝ち取る為に。

 

 

******

 

 

「…(予想通りの展開かな?」

 

 

作戦開始から一時間が経過した。

 

万全の用意を整えた私達ノードゥスが奇襲役を務め、月駐留部隊が絶対防衛戦線に侵攻し戦線を掌握する。

 

それが今回の目的である。

 

敵はそれを察したのか部隊を派遣し応戦を開始した。

 

相手は小回りの利く機体ばかりではない、火力重視のスーパー系である。

 

「…(ギャンドラーは兎も角、ガルファは重機士クラスが出撃していない所を見るとまだ偵察部隊規模か?」

 

その部隊に見覚えのある敵が混じっているが落ち着いて行けばやられる事は無い。

 

隊長クラスがまだ出撃していないのが幸いだった。

 

だが、敵側の戦線維持が困難になった頃合いでもある。

 

今こそ痺れを切らせて出て来るだろう。

 

その時が狙い眼である。

 

先に機械化城を目視したメンバーの映像を見ると電球のオブジェが確認出来た。

 

恐らく現在の城の主は電気王。

 

そして、この前線の司令官なのだろう。

 

電気王の戦闘パターンは前任の歯車王よりシンプルだ。

 

歯車王が狡猾かつ知略に長けた指揮官であれば、電気王はその逆である。

 

姑息な手を使わず、力押しによる圧倒的な戦力を投入し続けるだろう。

 

DG事件以降後に地球侵略を開始したらしいが…

 

侵略行為も儘ならず、かなりの失態を侵しているのでそろそろ奴にとっては大詰めだろう。

 

 

「麗しきは戦の花か…」

 

 

つい、鼓舞する為に口ずさんでしまう。

 

蒼き翼を持つ少女の歌を。

 

写し取った姿が若干似ている為かどうしてもこの癖も治らないのだ。

 

 

「戦い護る為の歌も…いいよね。」

 

 

いずれ出会うだろう熱き魂の歌を歌う歌い手達の姿を思い出しながら。

 

私は戦闘に集中した。

 

 

******

 

 

「Dボゥイ、ぺガスの調子はどう?」

「悪くない。」

「そりゃそうさ、文句を言えばおやっさんとレビンにどやされちまうぜ?」

「フッ、そうだな。」

 

 

ブルーアース号よりアキの通信を受けたブレード。

 

現在ブレードは月支部で開発していた新装備と共に戦場を駆け巡っていた。

 

その名もぺガス。

 

地球圏に戻ったDボゥイ達はノードゥスに所属した事により、彼らが戦う相手はラダムだけではなくなった。

 

代償として様々な敵勢力と戦う事になってしまう選択でもあったのだ。

 

その為、今後予測される戦いに備えてとあるプランが発案された。

 

戦力増強をかねてスペースナイツで稼働していた人型作業ロボットを改修した結果。

 

このぺガスが誕生した。

 

史実とは違い、かなり早い登場であるがDボゥイ達の進言が関わっていると言う真実を知るのはフリーマン氏のみである。

 

 

「僕らの武装はエネルギー消費が激しいからね、これはありがたいよ。」

「ああ、それに答える為にも奴らを蹴散らすぞ!」

「OKだよ、兄さん!」

 

 

そして更に物語は変異し、この場に居る天馬は一機だけではない。

 

 

「エクレス、僕らも続くよ!」

「ラーサ。」

 

 

紅と白の騎士は機械仕掛けの天馬と共に戦場を駆け抜けた。

 

 

******

 

 

その頃、機械化城では…

 

 

「くっ、地球人共め!」

 

 

機械化城の玉座の間で悪態をついているのはこの城の主である電気王である。

 

依然として地球侵略が遅々として進まず、占拠地である月の掌握に力を注いでいた。

 

しかし、地球人の戦力を甘く見ていた為かこの様な醜態を晒す事になってしまったのである。

 

現在、月の防衛戦線の維持の為に部隊を投入していたのだが…

 

 

「この隙を突いてあ奴らの侵入を許すとは…おのれっ!!」

「電気王様、緊急事態です!」

 

 

玉座の間に入室する部下の機械兵。

 

人であるならば表情などから焦りなどが確認出来るが、この機械兵には表情を変えると言う精密性はないので声の状況で判断するしかないだろう。

 

しかしその声で緊急を要する事であるのは電気王でも理解する事は可能だった。

 

 

「今度は何だ!」

「何者かにより我々が掌握していたマスドライバー施設が先ほど制圧されました。」

「何だと…!?」

「一瞬の事でした、次の地球制圧作戦の為に整備を進めておりましたが…」

 

 

機械兵によるとマスドライバー施設のメインコンピューターが何者かに掌握されたと説明した。

 

その時、制御区画の画面には渦巻きが描かれた二つのレンズが接続された奇妙なマークと余りにも気色の悪い声が響いたとの事だった。

 

そしてその声の主から電気王に伝言が言い渡された。

 

 

『ク~ックックック、オタクらさ~自分達が優位に立ったのに一瞬の内に崩された気分はどう?』

 

 

発現から察するに嫌味めいた声で挑発を繰り返していた。

 

 

『ちなみにこの音声は録画されたものだからそちらさんが何を言ってもこっちは痛くも痒くもないんで~♪』

 

 

口癖なのかク~ックックと言う声を何度も発言。

 

 

『悪いけど、このマスドライバーはオレ達『ホルトゥス』が乗っ取らせて貰ったぜ。』

 

 

声の主の音声メッセージの後、施設に侵入していた謎の生物に機械化帝国の駐留部隊を全滅させられてしまったのだ。

 

残された部下の映像から重火器を操る赤い何かと嫉妬タラタラの黒い物体、高速で動く蒼い存在、ビームサーベルで落書きの様な切り跡を付ける緑のアホによって部隊は壊滅したらしい。

 

最後に『ゲロゲロゲロ~♪』と言う謎の声を最後に通信は途絶。

 

マスドライバー施設は掌握されたとの事だった。

 

 

「以上です。」

「…!」

 

 

怒りに任せて部下の頭を握り潰し、その残骸を隅に放り投げた。

 

部下は火花を散らし機能停止。

 

電気王は再び前線の映像が映し出されたメイン画面に体を向き直した。

 

そして電気王は覚悟を決めねばならなかった。

 

前任の歯車王の失墜させた事で手に入れた地位であったが…

 

それ以上の醜態を晒した電気王に次はない。

 

恐らくは本星から後任のエンジン王が派遣されている頃だろう。

 

 

「かくなる上は…」

 

 

電気王は苦肉の策として愛機と同化し最終決戦に挑む事を決めた。

 

それが自らの命を縮める事になろうとも…

 

 

******

 

 

奪還作戦決行から数時間前。

 

地球・極東方面地球防衛軍日本支部において…

 

 

『急な通信で申し訳ない、私の名はブルーロータス…率直ではあるが貴方達に伝えねばならない情報がある。』

 

 

地球防衛軍に送られた一つのメッセージ。

 

それは戦局を左右する情報でもあった。

 

ブルーロータスからの情報によると地球連邦軍月面駐留部隊と特殊独立遊撃部隊『ノードゥス』による月面の絶対防衛戦線の奪還作戦を行うと言うものであった。

 

それも今から数時間後と言うお墨付きである。

 

敵勢力による月の掌握は地球のオービタルリング制圧の足掛かりにさせてしまう危険性があった為、前々から重要視されてきた案件でもあった。

 

連邦軍も眼を光らせていたが、何分敵の戦力図が不明だった為に中々手が出せずにいたのだ。

 

もしも月が掌握されオービタルリングを制圧された場合、地球上における重要拠点を一斉に制圧する事が可能だからである。

 

オービタルリングは宇宙港だけではなくコロニーへの物資輸送や地球圏における防衛装置の役割も担っている。

 

上記の事から地球圏の人類にとって重要拠点である為、一年戦争の頃に置いてはその管理を地球防衛軍が行っていた。

 

理由とすれば連邦軍とジオン、その後に現れたザンスカール、クロスボーンバンガードなどの戦争に利用されるのを防ぐ為でもある。

 

もしも連邦軍の管轄だった場合、一部の強硬派による被害は計り知れなかった。

 

その為、オービタルリングは地球防衛軍の管轄並びに人類間の戦争による強制的な利用は一切行わないと言う約定が取り決められたのである。

 

しかしその約定から数日後、例のマクロス落下を期に休戦協定が結ばれた為に七年経った今では忘れ去られているのが現状である。

 

話を戻そう。

 

地球防衛軍に与えられた情報は彼らと協力関係を持つGGG(ガッツィー・ジオイド・ガード)の傘下に収まっているザウラーズにとって重要な案件であった。

 

 

<貴方達が敵対している機械化帝国を連邦軍が眼を惹き付けている、もしも先手を打つなら今しかない。>

 

 

要約するとこの様なメッセージである。

 

勿論、彼らには宇宙へ移動する手段は持ち合わせている。

 

ノードゥスが冥王星へ飛ばされてから一週間後。

 

彼らの協力関係であるVARSの本拠地が襲撃されたのである。

 

その最中に彼女らの切り札の一つである『移動要塞モビィ・ディック』を起動させ壊滅は免れた。

 

しかし、強力な戦力を保有している事が露見してしまい一時期は接収の危機もあったが…

 

表向きは地球防衛軍の保有する移動戦艦と言う建前で事無きを得たのである。

 

GGGが大きく動けない現状で稼働する事が可能な移動要塞はその一隻のみ。

 

元々、月の機械化城や月の位相空間に隠れているグランダーク城への決戦が近かった事もある。

 

その為、地球防衛軍はGGGを経由しブルーロータスの提案を承諾。

 

急ぎ、早期決戦に向けて動き出したのである。

 

地球の守りは各地の地球連邦軍や協力関係にある民間の研究機関、秘密裏に動いているホルトゥスが眼を光らせているのでそう易々と占領される危険性はないだろう。

 

賽は投げられた。

 

後は流れるままに事が進むのを待つばかりである。

 

 

******

 

 

時は戻り。

 

月の絶対防衛戦線奪還作戦開始から数時間後。

 

 

「どうやら敵さんも切羽詰まったみたいね。」

「ああ、例のマスドライバー施設を解放しに行った部隊の話では既に敵の姿が無かったらしい。」

「あら、また睡蓮さんの仕業かしら?」

「かもしれん、確証はないがな。」

 

 

進撃を続けるノードゥス。

 

乱戦の中でエクセレンとキョウスケは変化しつつある戦場に違和感を感じていた。

 

 

「…(アムロ大尉の言う通り、セツコ・オハラ曹長とカルヴィナ・クーランジュ少尉に接触を果たしたが双方共に記憶がなかった。」

 

 

後のZ事変の立役者の一人であるセツコ・オハラ。

 

フューリーとの激戦に置いて共に戦ったカルヴィナ・クーランジュ。

 

二人に簡易的な接触を果たしたが記憶を取り戻した気配はなかったのだ。

 

一例としてカルヴィナ少尉の前でドモンとDボゥイの会話を見せる事で過去の記憶を持つのか?と確認したが…

 

その表情を確認したが特に反応はなかった。

 

記憶を取り戻すにしても何かの法則性があるのか現在でも不明のままである。

 

結局は無駄骨となってしまったが今後も二人の事はマークする必要があるだろう。

 

一方でマスドライバー施設への奇襲作戦に参加していたモビルアーマー部隊からは『エンデュミオンの鷹』の不満の声が拾えた。

 

 

『俺達の苦労は一体…』

 

 

先程も説明した通り、奇襲には成功したものの掌握する予定の施設がもぬけの殻だったのだ。

 

何者かと争った形跡と睡蓮のマークが残されていた事からホルトゥスの仕業ではないかと噂になっている。

 

その為、マスドライバー施設の確保は事無く終わってしまった。

 

モビルアーマー部隊はそのまま待機となりマスドライバー施設の警戒を続けている。

 

だが、その施設を眺める様に謎のMSが一機その様子を伺っていたのは誰も知らない。

 

 

『キョウスケ少尉。』

「隊長、どうされました?」

『先程月面駐留部隊からの通信で絶対防衛戦線の奪還が完了したそうだ。』

「わぉ、じゃ私達は?」

『このまま敵勢力を拠点まで追い詰める。』

「ですが、この戦力では…」

『それだが、地球防衛軍が敵勢力の拠点に奇襲を仕掛けているそうだ。』

「!?」

『どうやら制圧相手の敵勢力は防衛軍の追っている敵勢力の一つらしい。』

「つまり共闘と言う訳ですか?」

『いや、殿は彼らの方で俺達の任務は彼らの進む道を作る事だ。』

「成程ね、それじゃあ花道を作りに行きましょうか?」

「ああ。」

 

 

 

変異する物語の対峙は交差しつつあるのだろうか…

 

 

=続=




絆の戦士達は勇者の進む道を切り開く。

次回、幻影のエトランゼ第九話『月廻《ツキメグリ》後編』

歩め、その先の未来を勝ち取る為に。



<今回の登場人物>

※エクレス
テッカマンブレード支援機ぺガスの兄弟機。
早期にラダムから脱したテッカマンエビルの支援機として導入された。
カラーリングは彼の装甲と同じ黒をベースとしている。
武装はぺガスと同じであるが、捕縛用のアンカーが取り付けられている。
名称はペガサスの兄弟馬エクレウスより。

※???
ホルトゥスが秘匿する技術で作成されたMSサイズの機体。
今回はその一機をブルーロータスが搭乗している。


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第九話 『月廻《ツキメグリ》後編』

可能性の物語は更に変異する。

終わりは始まり。

始まりは終わり。

いや、新たなる戦いの始まりなのかもしれない。

今はただ…

この奇跡を受け入れよう。


月の絶対防衛戦線奪還作戦開始直後。

 

月へ向かう一隻の移動要塞の姿があった。

 

それは優美な白い鯨を想像させるフォルムだろう。

 

これは私設防衛組織VARSが所有する移動要塞モビィ・ディックである。

 

月での早期決戦に向けて出港。

 

そこで待ち受けるのはそれぞれの因縁。

 

若しくは新たな戦いの始まりなのかもしれない。

 

そんな予期せぬ物語の変異に誰が気付くだろうか?

 

いずれにしても勇者達は平和の為に戦場へ向かうのだ。

 

 

*******

 

 

「…」

「お姉様、どうしました?」

「ちょっと気になる事があってね。」

「あのブルーロータスの事ですか?」

「まさしくそれよ、あの人には随分と助けられているけど…余りにも都合が良過ぎない?」

「そうですね、正体不明のハッカー若しくは情報屋…表と裏の世界でも噂の存在ですからね。」

「悪い人ではなさそうだけど、何か裏がありそうでね。」

「考え過ぎじゃないですか?」

「だと良いけど。」

 

 

モビィ・ディックのブリッジにて二人の女性が会話を行っていた。

 

一人は黒い長髪の姉御肌の女性、もう一人はお嬢様な雰囲気を醸し出す女性。

 

前者はこの私設防衛組織VARSの司令官である芹沢愛美。

 

後者は同組織のオペレーターの椎名ひろみ。

 

二人は極東エリア大手の複合企業の一つC-Naゼネラルカンパニーのトップエンジニアと社長令嬢と言う間柄である。

 

だが、VARSでは司令官とオペレーターと立ち位置がコロコロ変わっている。

 

そんな些細な事は二人には関係ない。

 

ただ慕われる者と慕う者が一緒に居るだけの事である。

 

話を戻そう。

 

彼女達も地球引いては平和の為に戦い護る事を決めた人々の一人でもあった。

 

しかし原作の彼女達のご時世であれば何の問題も無かっただろう。

 

この世界ではそんな願いでさえも陰謀の材料に代わってしまうのだから。

 

かつての様な甘い考えは出来ない。

 

 

「愛美さん、目的のエリアまで到達しました。」

「判ったわ、全戦闘要員に出撃準備を急がせて!」

「了解しました。」

 

 

******

 

 

その頃、モビィ・ディック艦内。

 

 

「…」

「瞬兵、どうしたんだ?」

「洋?」

 

 

艦内に設けられた一室にて戦闘要員であり、VARE司令官の弟でもある芹沢瞬兵は考え事に耽っていた。

 

それを察したのか彼に話しかける親友の坂下洋。

 

彼もまた変異した結末と余りにも早すぎる決戦にどことなく違和感を感じているのだ。

 

だが、瞬兵が気にしている事はそれだけではなかった。

 

 

「アスタルと話した事、覚えてる?」

「ああ、例の事か?」

「うん、この戦いが終わっても次の戦いが待ち受けているって話。」

「俺達がグランダークやバルドーを倒しても更に新たな戦いが待っている…だろ?」

「僕達が覚えている所はそこまでだったし…」

「そうだな、今回は俺とスペリオンがセルツに乗っ取られる事が無かったせいか…瞬兵はキリコさん、クリンさん、ジョルディ王子に会う事がなかったのもある。」

「バーンも何かしらのズレが生じているんじゃないかって前に言ってたよね?」

 

 

そう答えると瞬兵の羽織っているジャケットの中から現れるバーンと呼ばれた青い玩具サイズのロボット。

 

 

「ああ、恐らくは過去の記憶を頼りに今まで起こるべき事象を変化させたせいだろう。」

「そうだよね…」

「戦いの中でキリコ達と出会う事が無かったのも瞬兵自身が知るべき事を理解している為に大いなる意思アスタルは必要がないと思われたのだろう。」

「僕にとってはキリコさん達に会える事が大事だったんだけど…」

「何かの縁があれば、いずれ会えるだろう。」

「その時は戦いの最中と言う事もあるかもしれんがな。」

 

 

同じ様に洋のパーカーから出て来た赤い玩具サイズのロボット。

 

 

「スペリオン、もしかしてバルドーとの戦いの時かもしれないって事なのか?」

「ああ、記憶が確かならキリコ達と出会ったのもその頃だった筈だ。」

「うん、あの時に皆より出会ったのが僕が最初だったもんね。」

 

 

何か察したのか二人のロボットは進言した。

 

 

「その話は無事に戻ってからする事だ、奴の気配が迫っている。」

「そうだな。」

 

 

それと同時に艦内放送で出撃要請のアナウンスが放送された。

 

 

「瞬兵、まずはグランダークとの決戦だ。」

「うん。(シズマさん待ってて、必ず助けて見せるから!」

 

 

******

 

 

同時刻、月面機械化城周辺。

 

ブルーロータスからの情報で地球防衛軍の一軍が機械化城へ進撃を開始。

 

その進撃ルートを確保するのがノードゥスに与えられた命令であった。

 

地球防衛軍は機械化城の破壊並びに同盟を結んでいる背後組織の壊滅。

 

月面駐留部隊とノードゥスはその進撃ルートの確保と追撃部隊との戦闘。

 

これがブルーロータスの出した提案である。

 

どちらにしても双方に利点がある作戦として各上層部はこれを承認。

 

要はギブ&テイクの方式である。

 

地球防衛軍には決戦兵器が揃っていた事もあり、前者の作戦。

 

ノードゥスは部隊を半分に分けてしまった為にそれなりの戦力はあるものの決戦に挑む事は危険と判断し後者の作戦。

 

前回の説明も含めた結果、どちらも重要な作戦である為にこの様な配置になったのである。

 

 

「…(とは、言ったもの…機械化城の兵力に加えて更にグランダーク城の兵力まで投入するとはね。」

 

 

乱戦が続く中、機械化城の兵力を叩いて城内へと下がらせた。

 

だが、援軍を送るかの様にグランダーク城の兵力が出現したのである。

 

なお、連邦軍は彼らを総称してナイトメアを呼称している。

 

 

『ハスミ、状況は!』

「こちら敵勢力の隊長クラス二機と交戦中!」

 

 

隊長であるゼンガーからの通信でハスミは状況を説明。

 

援軍として現れた恐竜型ロボと戦闘中だった。

 

なお、キョウスケとエクセレン、アクセルは赤と青の巨大ロボットと交戦中。

 

クスハとブリッドも他の雑兵らしき機体と交戦中の為、援護に周れないのである。

 

 

「このメカ共、すばっしこい上に攻撃が全然当たらねえ!」

「プテラ、プテラ。」

「戦闘中に何だ、サンダー!」

「あの子、可愛い。」

「はぁ!?」

「俺、あの子捕まえる!」

「待て、サンダー!?」

 

 

紫色のプテラノドン型ロボットのプテラガイスト、青いブラキオサウルス型ロボットのサンダーガイストのペアは現在、ハスミとロサのペアと交戦中だった。

 

 

「ハスミ、何だかあの青いロボット…」

「ええ、聞こえてたわ…早速だけどお仕置きと行きましょうか?」

「う、うん。」

「私の妹分に手を出すとどうなるか思い知りなさい!」

 

 

ハスミは武装をストライク・アキュリスに切り替え、攻撃を再開する。

 

ロサはミサイルコンテナから追尾ミサイルを発射し後方援護へと回る。

 

 

「ハスミ、右から敵の反応!」

「っ!?」

 

 

更なる敵の出現。

 

姿から察するに二機の仲間達であろう。

 

 

「遅せえぞ、てめえら!!」

「へっ、たかが二機程度で手間取ってる奴に言われたかねえがな!」

「てめえこそ、さっきまでモニタールームでごろ寝しながら胡坐掻いて居やがった癖に!」

「そーそー。」

「うっ、うるせえ!!」

「だから言ったのに…」

 

 

オレンジ色のトリケラトプス型ロボットのホーンガイストとミリタリーグリーン色のステゴサウルス型ロボットのアーマーガイストの出現と同時に痴話喧嘩を開始。

 

その様子を見ていたハスミとロサは余りの呆気なさに唖然としていた。

 

 

「あら、ここであの懐かしいネタなのね。」

「えっ?」

「兎も角、四機を相手にするのは得策じゃないわね。」

 

 

宇宙海賊ガイスターズ、首領ダイノガイストが認める四機の将。

 

問題はあの四機に合体機能が備わっていると言う事だ。

 

マッドガイストは兎も角、プテダーとホーマーに合体させられたらこちらの火力不足で手に負えない。

 

キョウスケ少尉達はドライアス傘下の起動兵器であるソドム、ゴモラと交戦中だし。

 

クスハ達はオーボス配下のレッドロン部隊のメカと交戦。

 

ゼンガー隊長は何の因果かデビルサターン6とディオンドラと交戦中。

 

他も母艦防衛をしつつ交戦中、助けを期待する事は出来ない。

 

 

「…(長期戦を想定していたとは言え、もう弾数も残り少ない。」

「ハスミ。」

「ロサ、ダークテイルモードを使用するわよ。」

「了解です!」

 

 

ハスミは解除コードを発声しようとしたが、何者かに遮られてしまう。

 

 

「幼き思い出は…」

「その必要はないよ、ハスミ君。」

「えっ!?」

 

 

現れたのはかつて退けた筈の起動兵器。

 

ジャイアントロボの兄弟機、GR2である。

 

 

「久しぶりだね、ハスミ君。」

「貴方は…BF団十結集が一人、眩惑のセルバンデス!?」

「おや、覚えていてくれたのかい?」

「何故貴方が?貴方達の狙いは大作君とジャイアントロボの筈!?」

「ちょっとした用事ついでに君を助けに来た。」

「どういう事ですか?」

「前にも話した筈だよ、君の御爺様に助けられたと?」

「…」

「信用して貰うつもりはない、敵である私にはそんな資格はないからね。」

「解りました、今はそのお手をお借りします。」

「ハスミ。」

「…(残念だけど、今の戦力だけでガイスターズやGR2を相手にする事は出来ない。」

「賢明な判断だよ。」

 

 

そもそも、宇宙空間で平然と素のままで出ている貴方を相手にしたくもありませんので。

 

ビッグファイアの御蔭ですか?

 

相変わらず破天荒な設定ですよね。

 

第一、国際警察機構の極東支部襲撃で死亡する筈だった貴方が生き残ったのも何かの縁でしょうし。

 

今はただこの奇跡に感謝します。

 

 

「大作君、聞こえる?」

『ハスミさん、どうしましたか?』

「実は…」

 

 

念の為、艦長達と隊長、大作君に連絡を取って今の状況を説明。

 

余り納得はしていないものの現状ではどうにもならないので様子見となった。

 

 

『バンデスおじさん。』

「懐かしい呼び方だね、大作君。」

『僕は何故貴方が味方をしたのか判りませんが…悪い様には思えなかったので。』

「君にだけは教えてあげよう、これはビッグファイアのご意思だよ。」

『えっ?』

「アシュラヤーが目覚めた今、更なる危険性の排除が命令として下されたのだよ。」

『アシュラヤー?』

「アシュラヤーは君達のすぐ傍で見守っている、それが善であるが悪であるかは君達が決める事だ。」

『どういう事ですか!』

「それ以上は私も知らない事だ、だが…いずれ君達は知る事になるとだけ伝えておこう。」

 

 

セルバンデスはアシュラヤーの情報を大作に話すと通信を切り、戦闘を開始した。

 

 

******

 

 

別の戦線にて。

 

 

「ガトー、またせたな。」

「ケリィ!」

「踏ん切りがつかなかったが、今の状況を軽んじる程…俺は落ちてはいないぞ。」

「いや、待っていたぞ。」

「ケリィさん。」

「ウラキとか言ったな、ガトーが認めた男ならまだ戦えるな!」

「勿論です。」

「まあ、“待たせる”のが旨いのはガトーの方なんだがな。」

「何の話だ?」

「細かい事は気にするな。」

「はぁ?」

 

 

マスドライバー施設を掌握した月面駐留部隊であったが、漁夫の利を得ようとラダムの先遣部隊が襲撃を開始。

 

モビルアーマー部隊が応戦に入ったが、たった一体のテッカマンによってその守備は崩されそうになっていた。

 

 

「やはり貴様か、テッカマンダガー!」

「ふん、裏切り者のブレードとエビル…よもや生きていたとは。」

「色々とあってね。」

「だが、ラダムを裏切った者には死を!それがオメガ様のご命令だ。」

「!?」

「ダガーの奴、マスドライバーにラダム獣を寄生させただと!?」

「エビル、マスドライバーの方を頼む。」

「了解したよ、兄さん。」

 

 

連絡を受けて現場に急行したスペースナイツとドラグナーチーム。

 

ブレードはラダム獣を指揮するテッカマンダガーを。

 

エビルはマスドライバーに寄生したラダム獣を。

 

ドラグナーチームはモビルアーマー部隊と共に周辺に展開したラダム獣の追撃を開始した。

 

 

「同じ鷹の二つ名を持つ同士、頼りにさせて貰うよ。」

「了解した。」

 

 

エンデュミオンの鷹とギガノスの蒼き鷹の共闘。

 

 

「虫共の相手は俺達だ!」

「漁夫の利を狙うとはいい度胸だね!」

「そんじゃま、蟲退治と行きましょうか!」

 

 

竜の騎兵隊もまたそれに続いた。

 

ちなみに彼らがこちら側に来られたのには訳がある。

 

機械化城へ接近する戦艦があった。

 

白き鯨、モビィ・ディックである。

 

そこから六機の機体が落下し戦場に現れた。

 

エルドランに選ばれた戦う小学生達と騎士の風貌を持つ二体のロボットである。

 

彼らは機械化城の主である電気王との決着の為に現れたのである。

 

それに察して周囲の敵の動きも変わって来た為に各方面の援護に向かったのである。

 

モビィ・ディックはそのまま進路を機械化城へ向けていた。

 

月の異次元の先にあるグランダーク城へ向かう為に。

 

私は機械化城の上に現れた歪に向かう白きクジラに向かって告げた。

 

行ってらっしゃいと…

 

 

「ちっ、奴らを城に潜入させちまった。」

「てめえらがモタモタしてたからだろう!」

「ケンカ、良くない。」

「そうは言うがこの状況じゃあ…」

 

 

機械化城の周辺は既に焦土と化しており、敵部隊の殆どは壊滅状態であった。

 

それを察したのか同盟を結んでいるギャンドラーとガルファは早期に撤退。

 

残っているのは機械化帝国の戦力のみである。

 

 

「俺達を甘く見過ぎたな!」

 

 

ゲッターチームの発言を皮切りにノードゥスのメンバーは勝利の声を上げる。

 

 

「地球はお前達の物ではない。」

「早々に退場して貰おうか、貴様達を相手にする程…我々も暇ではないのでな。」

 

 

黒いオーラを出しつつ発言するニュータイプ達。

 

 

「「…(発言と表情が合ってない。」」

 

 

その表現にツッコミたいカミーユとジュドーであるが後が恐ろしいので内心のみに留めている。

 

 

「所詮は烏合の衆、統率の取れん連中に後れを取る我々ではない。」

「俺達は先へ進む、ここで足止めを喰らうつもりはない。」

 

 

ゲルマン忍者とキングオブハートの二人もまた機械化城の兵力の屍を築いていた。

 

 

「さて、逃げるならこれ以上の追撃しませんよ?」

「くっ…!」

「最も、次に会った時は手加減できませんけどね。」

 

 

ハスミもまた相手にしていたガイスターズのにこやかな黒いオーラを出していた。 

 

 

「ボスからの命令だ、撤退するぞ。」

「逃げる、勝ち。」

「屈辱だぜ。」

「ま、その内いい事あるって。」

 

 

敗戦の気配を察した彼らのボスは彼らに撤退命令を下した。

 

瓦解する機械化城の兵力。

 

そして機械化城はこの日を持って地球連邦軍並びに地球防衛軍によって敗北したのである。

 

同時にマスドライバーに襲撃を行っていたラダムも月駐留部隊の援軍によって敗北した。

 

その中に敵テッカマンの姿は無かったそうだ。

 

 

******

 

 

無事、月の絶対防衛戦線の奪還並びに機械化城の壊滅に成功。

 

グランダーク城へ向かったモビィ・ディックが帰還するまでの間、私達は簡易修理と補給を済ませた後。

 

周囲の警戒へと向かった。

 

しかし、物語は更なる変化を見せる。

 

 

「これは!?」

「ハスミ!」

 

 

―どうか彼女達を守って―

 

 

涼やかな幼い声と謎の光と共に私とロサは現戦場から姿を消した。

 

それは新たな戦いに向けての過酷な試練の旅路でもあった。

 

 

=続=

 




睡蓮よりもたらされた新たな記録。

いずれ出遭うのだろうか?

次回、幻影のエトランゼ第九.五話『追憶《ツイオク》』

戦いの果てに待ち受ける真の敵の名が明かされる。


<今回の登場人物>

※VARS
愛美が立ち上げた私設防衛組織『Valiant Attack and Rescue Staff』の略。
司令官は芹沢愛美。
戦闘要員は二名で彼女の弟とその親友が受け持っている。
またVARSとは宇宙開発を目的とした小型ロボットの総称であるが、OS設定などが簡単に行える上に扱いやすい為に軍事利用の側面もあったが開発者の愛美は玩具特許を取得した上で子供向けの玩具として販売する事で軍事転用を防いだ。

※宇宙警察機構、地球の守護戦士、勇者特急隊、ブレイブポリス、レジェンドラの勇者
表向きは地球防衛軍と協力体制にあるGGG傘下の組織。
連邦軍強硬派等の介入を防ぐ為の表向きの所属である。
今回のグランダーク城並びに機械化城との早期決戦に参加。
それぞれの因縁のある敵とは今回で決着を付けた。
なお、勇者特急隊の宿敵であるブラック・ノワールの消息は掴めていない。

※GGG
ガッツィー・ジオイド・ガード 『Gutsy Geoid Guard』の略。
国連事務総長指揮下の地球防衛組織。
戦闘要員は獅子王凱と臨時で特別隊員となっているヨウタ・ヒイラギとユキ・ヒイラギ。
他は開発の遅延で正式参加出来ず、主力となっているのはファルセイバーとブルーヴィクターのみである。
機械化城での早期決戦の援護に向かった。

※ザウラーズ
エルドランに選ばれた戦う小学生チームの一つ。
原作とのズレで小学5年生。
電気王との決着を付ける為にグランダーク城へ向かう一同と別れて機械化城へ向かった。

※地球防衛組
エルドランに選ばれた戦う小学生チームの一つ。
原作とのズレで小学4年生。
電気王と決着を付けるザウラーズを援護する為に機械化城へ同行した。

※ガンバーズ
エルドランに選ばれた戦う小学生チームの一つ。
原作とのズレで小学3年生。
電気王と決着を付けるザウラーズを援護する為に機械化城へ同行した。
正体がばれると犬になる呪いに関してはブルーロータスの仲間の介入で事無きを得る。

※ダンケッツ
エルドランに選ばれた戦う小学生チームの一つ。
原作とのズレで小学4年生、他のチームとは一ヶ月程遅れて参戦した。
電気王との決着を付けるザウラーズを援護する為に機械化城へ同行した。

※ハスミ・クジョウ
ノードゥスのメンバーと共に勇者達の侵攻ルートの敵を一掃すべく奮闘した。
作戦終了直後に謎の時空転移に巻き込まれ失踪する。
ちなみに謎の敵製恐竜ロボの漫才じみた発言に『あら、ここであの懐かしいネタなのね。』と妙に納得した発言をしている。

※ロサ・ニュムパ
侵攻ルート上の敵を一掃すべく奮闘した。
ちなみに機械化城と協力体制にある宇宙海賊ガイスターズの四将の一人サンダーガイストから『可愛いタイプの女の子』と言う事で色々と酷い目に遭いそうになったが、ハスミが締め上げたので問題なしである。
ハスミと共に転移に巻き込まれてしまう。

※ケリィ・レズナー
月面都市でガトーと再会。
自身を慕うラトーラの事もあり前線に戻る事を拒否していたが、ラトーラの住む都市を守る為に前線に復帰。
フリーの傭兵と言う形でノードゥスに参戦する。
負傷した腕に関してはJUDAが行っている最先端治療のモニターをしており、義手ではあるが以前と同じ腕を振るう事が可能。

※眩惑のセルバンデス
月の絶対防衛戦線の作戦行動中に出現。
何かしらの理由で出撃していたが、どう言う訳か今回は共闘する事となった。
戦闘終了後の行方は不明のままである。



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第九.五話 『追憶《ツイオク》』

歪の開閉と共に帰還した睡蓮。

その手に携えた刀と力は何をもたらすのか?

睡蓮は静かに永き旅路の記録を書き記す。



歪の先を超えて帰還した私達。

 

長い時間を向こう側で過ごしたが、こちらでは数時間の出来事だったとの事だ。

 

時間のズレは様々な要因を生み出すと聞かされていたが、それでも不思議な体験であった。

 

私は事の説明をする為に艦長室に呼び出され、説明をする事となった。

 

異なる別世界での出来事。

 

それは険しくも自らを高める旅であった事を告げた。

 

 

******

 

 

数時間後。

 

 

「はぁ…(口から魂が抜けそう。」

「ハスミ、大丈夫?」

「大丈夫だけど、報告書が山積みでどうもこうも…」

 

 

只今、向こう側で起こった出来事を報告書に纏めている最中です。

 

まだ半数もある報告書を纏める為に自室のPCとにらめっこ中。

 

本当に真っ白に燃え尽きたい気分。

 

 

「ロサ、コーヒー…お代わり貰える?(セフィーロの次は九十九事件ってハードすぎやしませんかね。」

「うん、ちょっと待っててね。」

 

 

本日4杯目のコーヒー。

 

カフェインの取り過ぎ上等である。

 

前世のOL時代に比べればまだ十分の一にも満たない量である。

 

 

「まさか、向こう側で事前に作って置いた報告書のデータが帰還時に破損しているなんて誰が予想できた?」

「う~ん、判らない。」

「絶対、無限力の陰謀よ……呪ってやりたいわ。」

「ハスミ…(また黒いオーラが。」

「何が何でも地球に戻るまでに終わらせるわ。」

 

 

こんな所で足止めを食う訳には行かない。

 

私達が地球に戻る頃には『地上クリーン作戦』と『恐竜帝国による極東進撃作戦』、『ドレイク軍の最終決戦』が待ち受けている。

 

あんな事を二度とさせる訳にはいかない。

 

それを見通し、蒼い睡蓮が先行してエージェント達を派遣している。

 

ティターンズが設立されなかったし、OZもホルトゥスのエージェント達によって既に瓦解が始まっている。

 

旨く行っているといいけど…

 

アクシズは例のザビ家暗殺事件で宇宙に引きこもっている。

 

プルとプルツーはこの前のドサクサに紛れて救出したし、ゼナとミネバの母子は地球に居るから様子が不明だ。

 

残るはギガノス、ジオン、木連、Anti・DGの連合組織、ザンスカール帝国、ジュピトリアン、クロスボーン・バンガード、ゼ・バルマリィ帝国の先遣部隊に異星人連合。

 

この頃になると先遣部隊は支配下に置いている異星人連合とジュピトリアン達の監視を強めて内部分裂の要因を引き起こし始めている。

 

何とかして瓦解に持ち込めないだろうかと考えている。

 

地上は恐竜帝国、Dr.ヘル、妖魔帝国、ドレイク率いるバイストン・ウェル軍か。

 

ラダムは偵察部隊を壊滅させたし、STMC共は雷王星を壊滅に追いやったので奴らの侵攻は停滞している。

 

機械化城は壊滅し、グランダーク城も崩壊、他の同盟組織も瓦解し再起までに時間が掛かるだろう。

 

既にメガノイド達も万丈さんによってフルボッコ状態、

 

第13使徒と第18使徒の件はシンジ君に任せるとして…

 

これだけシナリオが変異した世界でBF団とバラルがどう動くかが問題。

 

不安要素はまだまだあるけど、今の戦力でやれるのはここまでだ。

 

足並みは揃いつつあるけど肝心の力が足りない。

 

未来世界直行までは何とか防げたけど、インスペクター事件や修羅の乱、封印戦争も控えているのにこのまま行けるのだろうか。

 

考えてもしょうがない、今は目処前の仕事を片付けないと。

 

まだアレを動かすには早すぎる。

 

過ぎた力は災いを呼ぶ。

 

自分自身でよく解っている事じゃないか。

 

だからこそ出来る限りの生存&救出フラグは立てて見せるわ。

 

 

******

 

 

更に半日後。

 

ラーカイラムの一室にて。

 

前回の戦闘で無理をし過ぎた為、アーガマは月のドッグ入りとなった。

 

その為、月面基地でラーカイラムに乗り換える事となり今に至る。

 

 

「…」

 

 

ハスミが提出した報告書のコピーを閲覧する記憶保持者達。

 

現在は戦艦を直結させて行き来可能な状況になっている為、他の艦に乗艦しているメンバーもここへ来ていた。

 

 

「セフィーロは聞かない名だが、九十九事件はアクセルからの情報だったな。」

「ああ、指定閉鎖区域渋谷から始まった揺らぎの始まりだ。」

「それに関する詳しい経緯を彼女達のおかげで手に入れる事が出来た上に我々も新たな情報を手に入れる事が出来た。」

「惑星セフィーロの存在する宇宙にペンタゴナ・ワールド、ドキドキスペース、惑星ガイア、惑星アースト、惑星Zi、アースティアが存在する、か…」

「通りで俺達が知る世界と接点が見つからなかった訳だ。」

「一瞬、バルドナドライブで惑星エリアに吹っ飛ばされたと思ったけどよ。」

「前回の事もある、もしもと言う事も視野に入れた方が良いだろう。」

「しかし、どれだけ事件が起こっているんだ…この世界は?」

「解っていても頭が追いつかないと言うか…」

「胃が…」

 

 

キョウスケの言葉を皮切りにアクセルは九十九事件の始まりを語り。

 

クワトロとアムロはハスミの報告書によって行方が不明だった世界の情報を知る事が出来た。

 

マサキが次元転移の状況をかつてのアナザーセンチュリーズエピソードと呼ばれる惑星エリアでの出来事を思い出した。

 

しかし、度重なる状況変化にコウ達は思考が追いつかずにいたのである。

 

なお、ガトーは最近胃薬がお友達と化してしまっている。

 

 

「しかし、こんな短期間であれだけの報告書をよく纏め上げられたものだな。」

「仕事を必ずやり遂げるのが彼女の良い所じゃないか?」

「そもそもハスミは苦労している様に思えますが、慣れていると言った方が正しいです。」

「どういう事だ?」

「これも隠している様子ですが…彼女、小説家です。」

 

 

「「「「「は?」」」」」

 

 

「以前、月面都市で衛星通信越しに小説の原稿やら印税やらと隠れて騒いでいましたから。」

「印税まで付くとなるとかなりの売れっ子の様だね?」

「ペンネームは白野睡蓮、最近話題になっている作家と雑誌に取り上げられてます。」

「白野睡蓮って…ニナが読んでいた恋愛小説の作家じゃないか。」

「そう言えばアキも新刊が出ないと話していた。」

「白兵戦も出来て、ハッキングから爆薬処理、おまけに事務処理に長ける人間ってどうなんだろう?」

「まあ、優秀と言う事で良いんじゃないか?」

「そう言うものかな?」

 

 

本日のキョウスケの爆発発言を皮切りにD兄弟はツッコミを入れたい気分の様だ。

 

 

「話を戻すが、今後の我々は地球に降下し地上で進撃中の地下組織、バイストン・ウェル軍、ザンスカールの動きを止めなければならない。」

「ザンスカールは欧州を中心に地上クリーン作戦を開始する頃合いの筈だった。」

「ああ、恐竜帝国もこの期に極東制圧を進め、バイストン・ウェル軍も最終決戦を行う予定だ。」

「火星での状況だが、向こうでも厄介な事が起こったらしい。」

 

 

クワトロとアムロの説明で更なる情報が展開された。

 

 

「厄介な事?」

「ゼ・バルマリィ帝国からの逃亡者と避難民達を確保したらしい、SPTと言えば判るか?」

「SPT…エイジ達か!」

「ああ、そしてエイジ君にも記憶があったそうだ。」

「話によると彼の姉と義兄と共にゼ・バルマリィ帝国の後続部隊から脱出し火星に降り立ったとの事だ。」

「それだけじゃないだろう?」

「ああ、火星の研究施設跡地でラウル達を発見したそうだ。」

「木連の部隊に囚われていたそうだが、隙を見て脱出したらしい。」

「ラウル達が…」

「記憶に関してはラウル君だけで他はないそうだ。」

「向こう側の事は何か言っていたか?」

「話に寄ると向こう側の地球圏はアインストによって掌握され滅んだそうだ。」

「そうか。」

 

 

ゼ・バルマリィ帝国の隷星となってしまった惑星グラドスからの逃亡者。

 

そして、かつて不完全と戦ったラウル一行の消息が判明した。

 

事情や名前を知る者達は安堵の声と感想を告げた。

 

だが、アクセルの居た向こう側の世界の崩壊も告げられたのだ。

 

複雑な想いもあっただろうが、なるべくしてなった世界に未練はないそうだ。

 

 

「キョウスケ、リュウセイ達の今後は変わらずか?」

「ええ、SRXチームは謹慎が取れても伊豆基地で待機の予定だとギリアム少佐から連絡がありました。」

「問題はその伊豆基地にレビやイングラムの奴らがちょっかいを掛けて来るって事だ。」

「確か例の記憶の…?」

「それだけじゃねえ、ハスミの前の義親父さんも引き連れてな…奴ら胸糞悪い事をしやがるぜ。」

「恐らくはイングラム…いや、ユーゼスの思惑が絡んでいる筈だ。」

「キョウスケ少尉、結局の所…彼女の真意は掴めていないがどう思う。」

「何とも言えませんが、我々の敵ではない事は確かでしょう。」

「敵ではないと?」

「彼女から悪意は感じられないとリュウセイから聞きましたから。」

「真意が判らない以上、今後も彼女の行動は監視を視野に入れ続けるしかないだろう。」

「ええ、それが妥当と思います。」

 

 

そして語られる先の記憶。

 

 

「最後にだが、クスハ達が梁山泊で手に入れる力が今後の我々の先を示す事になる。」

「白き魔星か異空間か…どちらにしても手を抜けない戦いになるだろう。」

「我々は進まなければならない。」

 

 

そう『テンシ』との戦いが待ち受けているのだから…

 

 

=続=




英雄、柱、勇者、魔法騎士。

たった一人の犠牲によって成り立つ世界群。

そんな幻想世界で起こった出来事。

次回、幻影のエトランゼ第十話『少女《マジックナイト》』

睡蓮よ、喜びと悲しみの思い出と共に覚醒せよ。


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第十話 『少女《マジックナイト》』

戦う為の力とその力を背負う覚悟。

試練は苛烈であろう。

知っているからこそ、その手は鈍るのだ。

睡蓮よ、己はまやかしであれど愛すべき者の姿をした虚像を断ち切れるのか?

だが、真実の視る眼は曇っていない。

全てはこの先の災厄から世界を守る為に力を振るうのだ。



こんにちは、ハスミ・クジョウです。

 

前回の話を遡り、向こう側で起こった出来事を話したいと思います。

 

当時の私達はセフィーロと呼ばれる惑星が存在する異世界に飛ばされております。

 

月の絶対防衛戦線奪還作戦終了直後に飛ばされてから早三ヵ月。

 

この苛烈で人外クラスに足を踏み入れるようなサバイバルに慣れつつあります。

 

つい最近はイノシシ型の魔獣を狩猟致しました。

 

お供にネコが居たら色々とツッコミたい気分です。

 

 

******

 

 

本日は近くの果実園から果物を採取し、森の奥にある一軒家に帰宅。

 

 

「只今戻りました。」

「おかえりなさい。」

 

 

家主の名はプレセア。

 

この世界で創師と呼ばれる鍛冶職人の様な職業をされている方である。

 

つい三ヵ月前までは酷い衰弱で倒れていた人であるが、体調も落ち着いてきており通常生活には支障がない位に回復しています。

 

この世界に飛ばされて半分訳分からん状態の私達を救助してくれたのも彼女である。

 

その恩返しとして彼女の身の回りの世話を行っていました。

 

例のフラグは何とか回避しました。

 

 

「果実園の方はどうだったかしら?」

「先週よりも魔物が増えて来たみたいです。」

「そう…」

 

 

家のダイニングルームで収穫して来た農作物を確認しながら私はプレセアに現状報告を行った。

 

現在の生活圏となっているこの森林地帯では結界によって魔物の類が侵入出来ない様になっていたのだが…

 

ここ最近になってその結界が緩み始めてしまい、安全とは言えなくなってしまったのである。

 

この理由を話す為には私達が飛ばされた三ヵ月よりも前に遡る。

 

この惑星セフィーロは『柱』と呼ばれる一種の人柱の様な存在によって守られた星である。

 

特性として人々の想いが力となる星であり、その力が最も強い存在を柱と呼称されるのだ。

 

そしてその柱の祈りによって星のバランスが保たれている。

 

要するに喧嘩も戦争も出来なければ、柱の結界によって武力による侵略もないと言うものだ。

 

その為、セフィーロは平和な時を過ごしていた。

 

しかし。

 

そのセフィーロに異変が起こった。

 

現在の柱であるエメロード姫が神官ザガートによって攫われたのだ。

 

その為、柱の継続に不備が生じ魔物が出現すると言う事態に陥った。

 

星に伝わる伝承では柱を救う為に異世界から魔法騎士(マジックナイト)と呼ばれる存在が召喚されるらしい。

 

だが、柱によって召喚された筈なのだが未だ音沙汰がない。

 

周辺に住む村人達は姫が召喚に失敗してしまったのではないかと噂をする状況に陥っている。

 

その人々の不安は更に魔物を呼び寄せる要因となってしまっていた。

 

余りにもお粗末な顛末である。

 

正直に言えば私はこの物語の結末を知っている。

 

そもそも柱システム自体が異常すぎるのだ。

 

そんなものが無くても私達の世界は混乱の最中ではあるが生きていられる。

 

前へ進む事、自分自身で立ち上がる事、それらをたった一人の姫に押し付ける考えは異常だと私にも理解出来る。

 

話はさておき。

 

問題はどうやって魔法騎士となる予定の少女達に接触すべきかと言うものである。

 

アカシックレコードからは何の音沙汰がないので動く事を控えている。

 

ただ闇雲に動くのではなく、待つ事も大事であると言う事を隊長達に教え込まれた結果だ。

 

その内に『空から女の子が!』のフレーズが似合う召喚のされ方で落ちて来るのでロサには現地点を中心に周辺の地域を偵察して貰っている。

 

連絡がないのでその予兆がまだないのだろう。

 

私とすれば、なるべく早く彼女達と同行してこの先の森の奥にある伝説の泉『エテルナ』に向かいたい。

 

理由は母の形見である『詩篇刀・御伽』をこの世界で発見からである。

 

しかも無事ではなく刀身は折れてしまい現状では使用出来ずにいる。

 

プレセアの見立てではかなりの年月を掛けて使い込まれた武器である為に生半可な鉱物で修復してもすぐに折れてしまうらしい。

 

解決案としてエテルナにある希少鉱物エスクードを採取する事を勧められた。

 

勿論、入手出来ればこれ程心強いモノはないだろう。

 

ただ、その試練に勝利する事が出来るのだろうか?

 

知っているからこそ、その手は鈍るのだ。

 

 

「!?」

「どうしたの?」

 

 

ダイニングルームに響くアラートの電子音。

 

どうやらその時が訪れた様である。

 

 

「ロサからの連絡です、しばらくここを留守にします。」

「判ったわ、気を付けてね。」

「はい。」

 

 

私は家を出るとガーリオンカスタム・タイプTで上空待機中のロサと合流した。

 

 

******

 

 

「ハスミ、ここが問題の不安定エリアよ。」

「確かに歪の様なモノが出ているわね。」

 

 

ロサと合流した私はロサの案内で問題のエリアへ訪れていた。

 

空にぽっかりと開いた謎の穴の様な歪は違和感と同時にある気配がこちらへ落ちて来るのを感じ取れた。

 

セフィーロの空は美しいがこれも虚像である。

 

空は海の色を写しただけの巨大な鏡の様な結界が張られている。

 

その為、この世界が重大な危機に見舞われている事をごく少数が知る程度である。

 

 

「…(この結界の先に彼女が囚われているのは知っているけど、今はどうする事も出来ない。」

「ハスミ、歪から生体反応…数は3です!」

「運命は動き出すか…」

 

 

歪から閃光と共に落ちて来る少女達。

 

一人はピンク色のおさげの赤い制服の女の子。

 

一人は水色のストレートヘアーの青い制服の女の子。

 

一人は薄茶のセミロングヘアーの緑の制服の女の子。

 

流石にこの状況が飲み込めず、悲鳴を上げながらパラシュート無し空中ダイブを現在進行形でやっているのだ。

 

それは一部を除いて誰でも驚くだろう。

 

正直に言うと生身でカタパルトから射出されるのとどっちかマシかと悩む位である。

 

私は空しい考えをしつつAMの操縦桿を握りしめ、落下する彼女達を保護した。

 

 

『貴方達、大丈夫?』

「た、助かったの?」

「そうみたいです。」

「良かったわ…危うく水風船みたいにペッシャンコになる所だったわ。」

「それにしてもここは?」

『とりあえず、地上に降ろすから詳しい話はそこでしましょう。』

「お願いします。」

 

 

途中で羽を付けた巨大な魚に出遭い、その後に着いて行く形で地上に着陸した。

 

私達も彼女達への自己紹介を兼ねてAMから降りた。

 

 

「助けて頂きありがとうございます。」

「無事で何よりよ、貴方達こそ怪我はない?」

「はい、大丈夫です。」

「貴方は連邦の兵士さん…よね?」

「私は地球連邦軍極東方面伊豆基地所属、戦艦ハガネ配備隊ATXチーム所属ハスミ・クジョウ准尉。」

「私はサポートロボのロサです。」

「私は鳳凰寺風と申します。」

「私は龍咲海よ。」

「私は獅童光。」

「風、海、光ね。」

 

 

互いに自己紹介を終えた後、これまでの経緯を整理した。

 

 

「では、クジョウさん達は三ヵ月前にここへ?」

「ええ…私達は部隊の仲間と共に月面で作戦行動中だったの、作戦は終了したけど…」

「その直後に私とハスミはここへ飛ばされてしまったの。」

「私達は他校交流の一環で見学ツアーに参加してましたの、丁度オービタルリングの衛星タワーへ上っている最中でしたわ。」

「最近物騒になってきて本当は東京タワーだったけど、治安の関係で衛星タワーに変更になったのよね。」

「確かに地球防衛軍の駐留部隊が警備しているから安全と言えば安全ね。」

「私達、偶然一緒の見学コースになって一緒に回る予定だったんだ。」

「それで、巻き込まれたと言う訳ね。」

 

 

どうやらこの三人は私達が居た世界の同時刻、日本の衛星タワーに居たらしい。

 

ここまで変異が続くと何やら何やらだわ。

 

 

「クジョウさん、お聞きしたい事が…」

「ハスミで構わないわ。」

「では、ハスミさん…この世界は一体?」

「話すと長くなるのだけど……ここは地球ではなく、セフィーロと呼ばれている惑星よ。」

 

 

私はプレセアから聞き出す事が出来た情報を分かりやすく説明し彼女達に伝えた。

 

彼女達も半分程コンヒュ状態になっていたが、付け加えでリアルなRPGとファンタジーな世界と解釈した方が良いとだけ話した。

 

 

「と、言う訳だけど…理解出来たかしら?」

「何だかすごい事になってて…」

「私も何が何だか…」

「???」

 

 

流石にこの状況下では混乱するのは当たり前だろう。

 

原作の彼女達はこれからその手を血で染めなければならないのだから。

 

14歳の少女には余りにも過酷すぎるかもしれない。

 

それを言うとシンジ君達の方がもっと理不尽すぎるので考えない事にした。

 

私自身も戦場に出て一体何人の命を奪って来たのか見当もつかない。

 

いや、知ろうと思えば知る事が出来るがアカシックレコードがそれを拒絶するのだ。

 

私が壊れない様にする為に。

 

私は誰かを救いたいが故に誰かを傷つける覚悟はしていた。

 

私はせめてもの贖罪の証としてエゴイスト達から蹂躙されつつある世界群を救う事を決めた。

 

それが私に出来る償いだ。

 

 

「私が集められた情報はこの位かしらね。」

「いえ、色々と参考になりましたわ。」

「月でそんな事をがあったなんて…」

「恐らくは民間への混乱を避ける為に行った措置よ、後日にでも正式に情報開示が行われると思うわ。」

「確かに私達が混乱しても何の得策にもなりませんものね。」

「ハスミさんは戦ってて怖くなかったの?」

「そうね、怖いと言えば怖いけど…何も出来なくなるよりはマシって考えたらどうにでもなったわ。」

「要は慣れって事かしら?」

「そこまで慣れなくてもいいけど、踏み入れれば平穏に戻れないって言うのがあるかな。」

「ハスミさん。」

 

 

これは戦場に出ている者なら誰でも成りやすいPTSDの一種だ。

 

研ぎ澄まされた神経は平穏な世界に戻ると一瞬の内に恐怖へと変わる。

 

何処かで誰かが狙っているのではないのか?

 

戦わなくてはいけない、そんな感覚に陥るのだ。

 

 

「ハスミさん、私達…元の世界に戻れないの?」

「残念だけど、私にも判らないの。」

「そんな…こんな、デリーズやハールンナッツのない世界になんてぇ!!」

 

 

海の叫びにはごもっともである。

 

某大手ファミレスや有名ブランドアイスがないと言うのは女学生にとっては苦痛だろう。

 

後ゴメン、私はフリーズストーン・クリーミィのアイスの方が好きなのよ。

 

氷点下まで冷えた大理石の上で色々とミックスされるアイスって見ているだけでおいしそうだから。

 

昔は体重計に乗るのが怖かったけど、こっちに転生してからか太りにくい体質になってくれたのは良い。

 

その代わり、食べた栄養が胸に行くのはどうなんだろう。

 

クスハじゃないけど最近胸が大きくなった様な気がして重い気がするのは気のせいだろうか?

 

これ以上、サイズが大きくなるとブラの買い直しやパイロットスーツの変更をしないといけないから困るんだけどな…

 

クスハも制服のボタンが跳ねちゃってとんでもない事になっていたから他人事でもないのよね。

 

エクセレン少尉が成長期の継続かしら?って言ってたし。

 

またクスハと一緒に揉まれそうで気が気でない。

 

 

「ちょっと光、どこ行くの?」

「ウサギさんがこっちに来てって!」

「ぷぷっ!」

「まあ、ふくよかな可愛らしいウサギですね。」

「ウサギと言うよりマシュマロっぽい感じもするわね。」

「ウサさん、可愛いです。」

「長い耳もあるしウサギでいいよね。(あれはモコナ、と言う事は呼んでいるのか?」

 

 

一瞬ウサギを見た時、某チョリーッスって声の黄色い毒舌ウサギを思い出したのは気のせいだろうか?

 

私達はそのウサギ?の後を追う事にした。

 

その奥の遺跡跡地で待っていたのは杖を携えた威厳を持つ美少年だった。

 

 

「よく来た、選ばれし魔法騎士達よ。」

「魔法騎士?」

「私の名はクレフ、導師をしている者だ。」

「クレフさん、私達がここへ来た理由を知っているのですか?」

「そうだ、それについては説明をしなければならないが…大方の説明はその少女より聞かされたので全てだ。」

 

 

クレフは杖の先をハスミに向けた。

 

彼はプレセアを通して今までの経緯を知っていたらしく、大体の説明は終わっていると推測していた。

 

 

「君達二人はエメロード姫の手でこの世界に招かれたのではない、何かの理由でこちらに転移したのだろう。」

「つまり、私達は魔法騎士ではないと言う事ですか?」

「いや、イレギュラーな存在ではあるが…魔法騎士の資格を持つ者として見てもいいだろう。」

「…」

 

 

はい、原作崩壊の危機です。

 

アカシックレコード様、本当にごめんなさい。

 

 

「それじゃあ…私達が魔法騎士となって姫を救う事が出来れば、元の世界に戻れるんですね?」

「その通りだ。」

 

 

少し変わってしまったが、経緯は原作と同じか。

 

少し話し終えた後、クレフは私達の名前を聞き終えた後に魔法と防具を授けてくれた。

 

ご丁寧に私とロサも頂きました。

 

連邦の制服にあの初期甲冑を付けていると思ってください。

 

ロサは小さなシールドが二つ程ロサの周囲に浮いている形になっている。

 

 

「その防具と魔法はお前達の成長と共に進化するものだ。」

「RPGで言うレベルアップの様な物ですね。」

「?、それと同じかは判らんが、必要な時にその力を発揮するだろう。」

 

 

原作通りなら光は炎の魔法、海は水の魔法、風は風の魔法だけど…

 

 

「ハスミ、ロサ、お前達は見た目に反してかなりの修羅場を潜り抜けた様だな…」

「まあ、元の世界で軍人をしていましたから。」

「そうか。」

 

 

付け加えてクレフは私達の魔法のヒントを授けてくれた。

 

私は太陽と月がその先を指し示す、ロサは命の尊さを知る事で目覚める。

 

何となく理解出来たので、後は実践あるのみである。

 

クレフとの会話の後、アルシオーネと言うザガートの刺客を一度退け。

 

彼と別れてAMにてプレセアの家へと移動。

 

プレセアから武器を借り、その足でエスクード採取へと向かう事となった。

 

道中でフェリオと言う少年に出遭い、エテルナまで同行する事になった。

 

そして…

 

 

「泉に引き込まれる事は知っていたけど、まさかここまでとはね。」

 

 

海曰く妙な泉エテルナに引き込まれた私達は離れ離れになってしまった。

 

何もない空間を当てもなく彷徨う事になりそうだったが展開と言うものは早い。

 

 

「成程、私の相手は貴方か……ケイロン。」

 

 

私はプレセアから借り受けた刀の形状をした剣を構えた。

 

 

「私の志は折れない!」

 

 

******

 

 

同時刻。

 

光は愛犬の閃光、海は自分の両親、風は自分自身と戦い始めた頃。

 

 

「ハスミは言っていた、エテルナは試練の場であり自分が最も苦手とする姿で虚像が現れるって。」

 

 

ロサの目処前に現れたのはサイズダウンした自分自身の前身であり忌むべき姿。

 

 

「解ってる、私が悪魔だった頃の事を忘れる事はないわ。」

 

 

ハスミは泉に向かう前に光達に助言をした。

 

もしも虚像であっても自分の大切な人と戦えるか?

 

そして大切な人が自分達を傷つける事があると思うか?

 

三人は納得出来ずにいたが、ハスミの助言を心に留めて置く事にした。

 

その意味を理解した。

 

 

「よくも閃光の姿で現れたな!!」

 

「私のパパとママはこんな事をしないわ!」

 

「私の事は私自身が一番良く知っています!」

 

「知っているからこそ…その手は鈍る、だけど私が揺らぐ事ない!!」

 

「自分の犯した罪は背負っていきます!」

 

 

己の心の強さと共に魔法を放つ。

 

 

「紅い稲妻!!」

 

「蒼い竜巻!」

 

「碧の疾風!」

 

「月の嘆き!」

 

「大地の叫び!」

 

 

それぞれの虚像が倒されると各自その場でフェードアウトした。

 

彼女達は無事に試練を乗り越えてエテルナの入口へと戻って行った。

 

 

「皆、無事の様ね。」

「プレセア!」

「どうやら戻ってこれた様ですね。」

「エスクードは?」

「頭の上に浮いているのがそうじゃないかしら?」

「これですよね?」

 

 

プレセアによるとエテルナの上で浮いてる事は試練を乗り越えた証らしい。

 

早速、武器を作って貰うのだが今回は5人分になる。

 

プレセアの負担はかなり大きい。

 

その為、ロサの武器だけは彼女の双子の妹であるシエラの助力で創る事となった。

 

アニメ版がごっちゃになってますよね。

 

詩篇刀・御伽は一から作り出すのではなく修理の過程なのでシエラにやり方を教わりながらエスクードを精神力で刀に取り込む工程を始めた。

 

精神力=念動力である。

 

かなり神経の居る作業であるが、元に戻したいと言う願いが届いたのか無事詩篇刀は再生する事が出来た。

 

プレセア達は近隣の村人達と共により安全な場所を求めて森から出ていく事が決定。

 

そして伝説の武器を手に入れた私達は三体の魔神探しの旅に同行する事となった。

 

AMは武器完成後に追撃して来たアルシオーネの裏工作によって背部分のバーニアが破損してしまい飛ぶ事が出来なくなってしまった。

 

歩行は可能だが、ENの残りも数少ないのでモコナのお腹に一時的に預かってもらう事にした。

 

本当に便利な能力よね。

 

ここから先が長い話になるのだが、大部分を省く事にする。

 

理由とすれば話せない部分が多いのもある。

 

無事三体の魔神と念神、機神を手に入れた私達はザガートの空中居城へ侵攻。

 

私とロサが魔神ザガートの相手を務めている間に光がエメロード姫から真意を聞き出して説得。

 

エメロード姫が柱制度の廃止を願った事で今回の戦いは終わりを告げた。

 

代償としてセフィーロの結界は崩壊、柱制度の廃止により姫への罵声が多かったが…

 

私とロサが事の弁明と今回の事件の要因を説明した事で民達は納得した。

 

これからはエメロード姫を中心とした魔導士達によって国家再建が開始されるとの事だ。

 

光達はその手伝いをしたいとの事でセフィーロに留まる事になった。

 

しかし、私とロサは元の世界に戻る事を告げた。

 

理由は元の世界の危機が去った訳ではないので早急に戻りたいと話した為である。

 

手に入れた魔法と武器、防具はセフィーロを救った御礼としてありがたく授与した。

 

そして姫達の力で元の世界に戻る道中で『揺らぎ』に巻き込まれた。

 

特別閉鎖区域・渋谷に落とされた私達はそこで出会った森羅のエージェント有栖零児と小牟に出遭い、彼らと同行。

 

そのまま九十九事件に巻き込まれる形となったのである。

 

前世でシナリオ看破していたおかげか道中は困る事は一切ありませんでした。

 

但し、ゾンビと恐竜とカタパルトと駄洒落は二度と相手にしたくありません。

 

後、たろすけ…今度会ったら絞める。

 

何とか九十九事件を解決したものの後にエンドレスフロンティアでの事件もあるので気が気でないのもある。

 

詩篇刀に収められた記憶と力、母の遺言の事もあるし更にやる事は多そうだ。

 

 

******

 

現時刻。

 

 

「もうすぐ地球か…長かったな。」

「そうだね。」

「さてと、諸々の戦いもあるけど…梁山泊での戦いは本気で行くわよ?」

「了解です。」

 

 

境界線のズレは更なる戦いを生み出す。

 

 

=続=

 




迫る三つの争い。

介入者達の影。

次回、幻影のエトランゼ第十.五話『進言《シンゲン》』


二つの睡蓮は何を問うのか?


=今回の登場人物=

※獅童光
都内の公立女子校の生徒。
天真爛漫ではあるが、エテルナでの一件の後にかつての記憶を取り戻す。
セフィーロでの事件が終わった後、復興の手伝いをする為に他の二人と共にセフィーロに残る事を決める。

※龍咲海
都内のお嬢様御用達の女子校の生徒。
フェンシングの使い手。

※鳳凰寺風
都内の名門女子校の生徒。
弓道を嗜む。

※ハスミ・クジョウ
今回の事件でセフィーロにて詩篇刀・御伽の回収、光と闇の魔法、念神■■■■を手に入れる。
報告書に念神の一件は記載せずに置いてある。
セフィーロから九十九事件後に元の世界に戻った際は甲冑も所持していたが、セフィーロ製の物は手甲の宝珠の中に全て収納されている。
再生された詩篇刀・御伽は他人が触れると睡蓮を模した刃が突き出して拒絶する。

※ロサ・ニュムパ
今回の事件でセフィーロにてロサ専用の銃剣、地の魔法、機神■■■を手に入れる。
ハスミの報告書では機神の一件は記載されていない。
セフィーロから九十九事件後に元の世界に戻った際は甲冑も所持していたが、セフィーロ製の物は手甲の宝珠の中に全て収納されている。
ちなみにロサの銃剣は他人が触れると砂となってしまう。


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第十.五話 『進言《シンゲン》』

迫りつつある白き魔星との決戦の影。

睡蓮は進言する。

この戦いの行く末を決める戦の駒を動かすのだ。


月~地球近海にて。

 

私達ノードゥスは地球へ降下後、予定通り伊豆基地でリュウセイ達と別れる事となった。

 

理由は前回に語った事と原作通りと同じく、Rシリーズの修理とアヤ大尉のメンタル回復の為である。

 

イングラムの裏切りの後、何度か目覚めている時にも情緒不安定でエクセレン少尉が胸ハグで慰めていたのを見てしまった位だ。

 

リュウセイとは独房越しではあるが、会話する事が出来た。

 

 

『ハスミ、お前が何を考えているのか判らねえけど…俺は信じてるぜ。』

 

 

正直、胸が痛んだ。

 

話せない事は無いが、今はまだ話す時期ではない。

 

話せてしまえば楽になるのかもしれない。

 

だが、私は楽になりたくて話すのではない。

 

知られてはいけないから話さないのだ。

 

どこでその歯車が外れるのか判らないから。

 

奴らの眼はいずれここへと向けられるのだ。

 

 

******

 

 

「久しぶりです、ブルーロータス。」

『ハスミ、連絡がないと思いましたが…』

「前回話した例の転移で色々ありましてね。」

『…そうでしたか。』

「次の動きについて分かった事がありますので報告します。」

 

 

前回と同様に私はブルーロータスへ連絡と取り、今後の件に関して作戦会議を行った。

 

欧州を中心に展開されるザンスカール帝国所属モドラット艦隊による『地球クリーン作戦』。

 

戦艦アドラステア級汎用戦艦を用いた作戦である。

 

大体原作を知っている方はご存知であるがDのシナリオと同様に巨大なバイク戦艦によって地上のあらゆるものを押し潰すと言う荒行であり、非人道的行為でもある。

 

ダ・ガーン達辺りが見過ごす行為ではないが、軍事介入は避けられない状況だ。

 

流石の私やブルーロータスも出し惜しみは無しと言う考えで度肝を抜かせる戦力を投入する事に決定した。

 

斥候として『加藤機関』を向かわせる事となった。

 

そして敵侵攻ルートの民間人の救助を地球防衛軍に依頼する形で体裁を取り繕うと言う方向だ。

 

Dシナリオではかなりの苦渋な想いをさせられたのだ、一撃で戦艦を落とされる屈辱を味わうがいい。

 

次は恐竜帝国による極東進撃作戦である。

 

正式な名称はない、恐竜帝国の地上制圧作戦の最終決戦と言える。

 

地上制圧に動く度に他勢力からの横槍や同盟による瓦解によってその侵攻作戦は停滞していたのである。

 

向こうも痺れを切らしたのだだろう。

 

漸く『地獄』の復活に目処が立ったので本当の地獄を見せてあげようとブルーロータスが呟く。

 

貴方も容赦がないですな。

 

そして最後はバイストン・ウェル軍との決戦。

 

こちらは原作とは事なり北米エリアの制圧を行おうとしている。

 

その為、オーラバトラー対策の為に竜宮島のメンバーに向かって貰う事となった。

 

こちらの手の内を見せる様であるが、致し方がないとブルーロータスが話していた。

 

OZ瓦解のドサクサで『隠者』達には要人護衛に出ている。

 

他のエージェント達も今後の活動に備えて動いている為、動かせる戦力はそこまでと語った。

 

 

「所でプラントの動きはどうなっていますか?」

『今の所、何の動きもない…寧ろ静かすぎると言った方が正しい。』

「そうですが…小父様がロゴスとゼーレの動きを監視している以上は大きな動きがあれば、こちらにも連絡が入るでしょうし。」

『貴方が監視対象にしているアクシズ、リクレイマー、ミケーネ、バラル、BF団などはこの先の未来で事を起こす可能性があると言いましたが…何故ですか?』

「そう言うシナリオの予定だからです。」

 

 

可能性としてその前にシャドウミラーからの刺客、修羅の到来、闇脳野郎の暗躍などが起こる。

 

それもフラグの一つだ。

 

アクセルさんの早期合流やラウルさん達の発見もその兆しだろうし。

 

捨て置く訳には行かない。

 

異常な介入をした結果、起こるべき戦いが起こらなければ…最悪の場合は早まる可能性もある。

 

様々な視野を入れた結果、余すことなく監視を徹底する事に決めた。

 

例え、無限力に逆らう結果であっても私は人の可能性を信じたいのだ。

 

 

「そしてOZや木連を瓦解させても、次の組織が発足される筈です。」

『まさに亡霊ですね。』

「ええ、BF団とは梁山泊で接触の機会があるのでこちらで様子を伺います。」

『解りました、どうかお気を付けて…』

「はい。」

 

 

私は連絡を終えると通信機のスイッチを切った。

 

 

「さてと。」

 

 

お膳立てはこの位でいいでしょう。

 

月のグランダーク城も壊滅、背後組織はほとんど壊滅。

 

生き延びた者も散り散りとなった。

 

これで彼らも少しは動きやすくなったでしょうけど。

 

問題は彼らの母星が今だインスペクター、いやゾヴォークの難民として扱われている以上は下手な手出しが出来ないと言う事だ。

 

この辺は何とかしないとね。

 

リュウセイ、レビ…いやマイを救えるのは貴方次第よ。

 

そしてイングラムの呪縛を解き放つ為にもその力は必要とされる。

 

ここから原作崩壊の巻き返しと行きましょうか?

 

後手に回るつもりはないよ?

 

 

=続=




その力を手に帰還する睡蓮。

そして変わりつつある戦況。

更なる力を求めて深き山の元へ。


次回、幻影のエトランゼ第十一話『竜虎《リュウコ》』


目覚めよ、四神の竜と虎よ。


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第十一話 『竜虎《リュウコ》前編』

各地で始まる庭師達の活動。

白き鬼、蒼穹、地獄はその猛威を振るう。

戦いは最終決戦へと近づくのだ。


前回から更に時間が過ぎた。

 

地球降下後、部隊を三つに編成し状況対応を行う事となった。

 

火星ルート組はボソンジャンプによって転移し、北米エリアのバイストン・ウェル軍に対応。

 

月ルート組は欧州エリアのザンスカール軍に対応する事となった。

 

私達の部隊は伊豆基地へ移動しリュウセイ達を降ろした後に恐竜帝国の進撃を止める事となった。

 

道中で艦隊の編成も行われ、ザンスカール軍にはリガ・ミリティア、バイストン・ウェル軍にはオーラバトラー隊、恐竜帝国にはゲッターチームが中心となって動く算段となった。

 

また火星ルート組は木連と一部異星人連合との決着を終え、道中でガンバスターに乗り換えたトップレスのチーム、グラドス人と地球人のハーフであるエイジらSPT隊、イルボラが参戦した。

 

ここまでは良かったのだが、度重なる戦いが原因で一部の搭乗機体の限界が超えたのだ。

 

主に前線を張っている主力機である。

 

一部は集中メンテナンスを受ければ稼働は可能であるが、他はそうはいかない。

 

特に部品交換がしにくい機体が多い為、補給が途絶えると活動もままならない。

 

今回はマジンガーZやゲッタードラゴンなどの特機や一部のMSが対象である。

 

シャイニングガンダムに至ってはパイロットであるドモンの成長速度に追い着いていない。

 

冥王星へ転移した頃から、その兆しは出始めており…

 

騙し騙し運用の結果、今回の最終決戦が運用可能限界点と推定された。

 

ヒュッケバインmk-Ⅱやグルンガスト弐式もクスハとブリットの念への対応不全が見えている。

 

タスクはジガンスクードへの乗り換えもあったので支障はないが、リョウトやユウ達の機体も乗り換えの時期だろう。

 

例の如く、第三の凶鳥と参式の出番なのか竜虎の目覚めかは不明だ。

 

その先の物語の開示はまだされていない。

 

読み違えれば、多大な被害が出てしまう。

 

だからこそ手は抜けない。

 

予定されている梁山泊へのBF団介入の件なら尚更だ。

 

原作通りならあの忍者と指ぱっちん、台詞無しとお供が出てくる予定だ。

 

あ、相手にしたくない。

 

特に忍者。

 

冥王星にも引っ付いて着たみたいだけど、隠れて女性陣の着替えシーンと女性用浴場を覗き見しおって!!

 

一瞬漫画版か!って思ったわ!

 

『役得』と呟いたのは絶対に許さない…

 

あの時、エクセレン少尉に胸揉まれたの絶対見られてる。

 

ううっ、泣きたい。

 

いっその事、ビッグファイアにチクってやりたいわ。

 

いや、機会があったら厭味ったらしく遠回しにチクろう。

 

ん?

 

どうやら『庭師』達が動き出した様だ。

 

蒼い睡蓮も相変わらず仕事が早いですな。

 

まあ、出し惜しみは無しの方向性の介入だ。

 

精々、震えあがって貰おうか?

 

 

******

 

 

同時刻、欧州エリアにて。

 

 

地表を抉り、粉塵を上げながら進行するモドラット艦隊のアドラステア級戦艦。

 

しかし、その大部分が炎上し侵攻不能状態に陥っていた。

 

 

「正義の味方、参上!!」

 

 

前衛に立つ白い機体。

 

東洋で言えば白い二本角の鬼だろう。

 

名はラインバレル。

 

現在の『加藤機関』に置ける旗機の一つだ。

 

周辺にはイダテン、迅雷と呼ばれるアルマの部隊。

 

部隊長はそれぞれラインバレルと同じマキナが務める。

 

上空にはシャングリラと呼ばれる戦艦が待機し、モドラット艦隊の侵攻を拒んでいた。

 

 

『シャングリラは上空で待機、各員はアドラステア級艦隊を制圧し無力化に専念しろ。』

「要は殲滅だろ?」

『ああ、奴らに慈悲は不要だ。』

「了解!」

 

 

ラインバレルの両腕に搭載された二本の刀が引き抜かれるのと同時にMS部隊の追撃が始まった。

 

本当の暴力を知る『蒼』。

 

山々を震え上がらせる『黄』。

 

魔獣を従えさせる『紫』。

 

蜃気楼の如く姿を消す『緑』。

 

騎士を思わせる『銀』。

 

無数の線を操る『桜』。

 

空を駆ける『灰』。

 

巨大な光を操る『朱』。

 

 

真の意味で戦慄の時が始まった。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

同時刻、北米エリアでは。

 

 

『各員、オーラバトラー部隊の迎撃と同時に艦隊の都市部への侵攻を阻止する。』

「全く、ブルーロータスも無茶な作戦を押し付けてくれたもんだな。」

「道生さん、愚痴は後です。」

「一騎こそ、体の方は大丈夫なのか?」

「ええ、ホルトゥスの治療で以前よりも調子が良くなりました。」

「一騎君、術後の慣らしとは言っても無理は禁物だよ。」

「真矢ちゃんの言う通りだ、雑魚は俺達に任せて大将首を頼む。」

「解りました。」

 

 

バイストン・ウェル軍による北米侵攻作戦。

 

こちらで参入した地上人達も加わり、その戦いは苛烈さを増した。

 

その為、チーム戦を得意とする竜宮島のアルヴィスメンバーを向かわせたのだ。

 

主戦力はマークザインを始めとしたファフナー部隊。

 

それぞれの特性を生かしたチーム戦を得意とし、その連携力は侮れない。

 

何度(・・)も戦った事のある相手である、苦戦を強いられた事もあるが油断する気もないだろう。

 

 

さあ、蒼穹を駆け抜ける時だ。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

同時刻、極東エリア。

 

こちらは説明するまでもないだろう。

 

たった一言で表せるのだ。

 

まさに『地獄』であると…

 

 

「貴様らは一体…!?」

 

 

進撃を開始した恐竜帝国のバッド将軍はボロボロになった自機から爆炎と共にこちらへ向かってくる『魔神』を目撃した。

 

そして、たった一機によって最終決戦に挑む筈の戦力を半数も失ったのだ。

 

明らかに『マジンガーZ』や『グレートマジンガー』ではない事は確かである。

 

地獄の使者?

 

いや、地獄そのものと言った方が相応しいだろう。

 

 

「んな事は関係ねぇ、ただてめえらがムカつく奴らだって事だけだ。」

「貴様らをこの先へ絶対通すなと依頼されているのでな?」

 

 

パイロット達は口々に言う。

 

正義なんてものは関係ない。

 

自分達が良ければそれでいい。

 

バッドや無敵艦隊ダイからその惨状を見た帝王ゴールとガレリィ長官はその意味を理解した。

 

『狂っている』と…

 

人でありながらその思考は逸脱し彼らの思うがままに動いている。

 

最早人ではないのだろうか?

 

そう思えてしまうのだ。

 

 

「さてと、とっとと仕上げに行くか!」

「ああ!」

 

 

そして恐竜帝国は更なる地獄を眼にするのだ。

 

 

「神に会うては神を斬り!」

「悪魔に会うてはその悪魔をも撃つ!」

「戦いたいから戦い!」

「潰したいから潰す!」

 

「「俺達に大義名分など無いのさ!」」

 

 

大義名分など無い。

 

これが彼らの行動原理である。

 

恐竜帝国が地上を欲すると言う行動原理であると同時に彼らの行動原理は大義名分そっちのけの戦いこそが行動原理なのである。

 

失うものがない以上、彼らに太刀打ちする事は出来ないだろう。

 

この日を持って恐竜帝国は完全な敗北を受けたのである。

 

地獄は目処前にあると言う惨状を見せつけられたのだ。

 

まさに『神が恐れ、悪魔すら慄く』と言った所だろうか?

 

だが、恐竜帝国は知る由もなかった。

 

彼らが本気の半分程度しか出してない事に…

 

その程度の相手と認識されたのも知らぬまま、マグマの滾る地の底へと沈んでいった。

 

 

******

 

 

火星ルート組と月ルート組の追撃により、ザンスカールの地上作戦は失敗に終わりバイストン・ウェル軍は内部分裂の末に事の始まりを造った者達の処刑と共にドレイクがその罪を背負って自害した事で終わりを告げた。

 

ザンスカール軍は残存兵力を集めると宇宙へと引き返した。

 

これで奴らの切り札は『天使の輪』のみである。

 

バイストン・ウェル軍は主な司令官と旗頭であるドレイクを失った事で瓦解、シーラ女王とエレ王女が彼らを纏め上げバイストン・ウェルへと送り返した。

 

向こう側の友軍に一時預け、戦いが終わった後にその処遇を決めるとの事だ。

 

ドレイクの娘であるリムルと黒騎士ことバーンは彼らの処遇を決めるのと同時に起こしてしまった争いを終結させる為にこちらに参入した。

 

すんなりと言った事に正直驚いている。

 

そして私達極東ルート組は恐竜帝国の壊滅を受けて、一時伊豆基地で待機だったが…

 

それに参じてエアロゲイターの襲撃を受けた。

 

察しの通り、アタッド、ガルイン、そしてレビの再来である。

 

例の一件でアタッドから怨みを買われていたが、私はガルイン…

 

カーウァイお義父さんを取り戻す為に奮闘した。

 

若干ながらその意思に揺らぎを見せていたが、後一歩の所で撤退してしまった。

 

R-GUNリヴァーレを駆るイングラムの出現によって…

 

それにより、リュウセイ達が参戦。

 

新しい武装を携えたRシリーズによる新合体技でイングラムを撤退させた。

 

レビもリュウセイとひと悶着あったが、撤退してしまい助ける事は出来なかった。

 

リュウセイ達の処遇は戦力不足の事もあり、戦線復帰する事となった。

 

今後予測されるホワイトスターとの最終決戦に控える為にスーパーロボット組は各地の研究所で緊急メンテナンスの実施。

 

そしてリアルロボット組もMSの乗り換えや改造などが徹底された。

 

私達ATXチームは部隊を離れて梁山泊へと向かう事となった。

 

全ては龍虎の目覚めの為に…

 

 

=続=

 

 




変異は気紛れ。

誰しもが気が付く事ではない。

突発的に起こるのだ。

次回、幻影のエトランゼ・第十話『竜虎《リュウコ》後編』

竜虎の目覚めは混乱の目覚め。


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第十一話 『竜虎《リュウコ》後編』

深き山脈の奥深くに佇む秘境。

過去の記憶を携えた者達の限界が知らされる。

強すぎる力は時として制御不能の領域へと至る。

また、満を期して新たな災厄もまた現れた。

そして睡蓮は選択を迫られる。


本来であれば国際警察機構の北京支部で行われた筈の出来事。

 

変異とは新たな可能性と予測不可能な出来事を引き起こす。

 

偶然でもなければ必然であるかの様に。

 

今回の私達はノードゥスの部隊を離れて梁山泊へと到着。

 

早速、こちらで秘密裏に整備されていたヒュッケバインmk-Ⅲとグルンガスト参式を受け取る準備に入った。

 

私達がこちらへ出向く前に国際警察機構でも例の事件に関して一通りの真相を話していた頃だと思う。

 

このシナリオを察している方は解るとおりますが、シュウ博士が来てます。

 

まあ、今回は決められたシナリオなので流れのままに進む事しか出来ない。

 

そう…変える事は出来ないのだ。

 

 

*******

 

今回のメンバーはATXチーム、アクセルさん、マサキ、ドモンさんらGガンチーム、スペースナイツ、大作君ら国際警察機構である。

 

なお、例の件でエルザム少佐、ギリアム少佐が同行している。

 

大作君達は経過報告の為に国際警察機構本部の司令部へ、クスハ達はLTR機関のエリ博士と話があると言うので別行動になった。

 

マサキはシュウ博士の姿を見つけるや否やそのまま姿を消した。

 

彼らにも色々と事情でもあるのだろう。

 

同じ様にドモンさん達は保護されている御両親と再会、私とロサも御挨拶に出向いた。

 

DG事件の一件でギクシャクが取れていなかったが、ロサ自身は受け入れられる様になっていた。

 

そして今回呼ばれた要件の為に私とロサはエルザム少佐達と共に別の部屋に案内された。

 

ジェガン破壊で有名な極東支部襲撃事件のドサクサで会う事も無かった為、今回が初対面となる。

 

案内されたのは一見何の変哲もない個室で取引先に使われる様な感じの部屋だった。

 

 

「急な申し出で済まなかったね。」

「いえ、それよりも彼女を呼んだ理由の説明を願えますか…中条長官?」

 

 

それぞれ軽い挨拶の後、九大天王の一人静かなる中条こと中条長官と呉先生こと呉学人が話を始めた。

 

 

「君がハスミ・クジョウ君だね?」

「はい、ハスミ・クジョウ准尉です。」

「蓮華君によく似ておられる…」

「母をご存じで?」

「元々彼女は我々国際警察機構のエキスパートで九大天王候補にと推薦される位だったのだよ。」

「えっ?(初耳なんですけどー」

「驚くのは無理もない、彼女は君の前ではそのお転婆ぶりを見せていなかった様だからね。」

「あの…覚えている限りでは母は儚げでおしとやかな感じでしたが?」

 

 

「「…」」

 

 

あの、長官、呉先生…

 

ちょっと顔が青いですけど?

 

うちの母が過去に何かしましたか?

 

しちゃった系ですかね?

 

 

「あの…?」

「あ、いや…すまなかったね。」

「つかぬ事をお聞きしますが、私の母が過去に何か?」

「まあ、色々とあったね。」

 

 

呉先生、視点が遠い所に行ってますけど?

 

 

「それはさておき今回君達を呼んだ件なのだが……話せば長くなるのだがね。」

 

 

中条長官は後に『約定事件』と呼ばれる事件の話を始めた。

 

今から数十年前のある日、私の母『蓮華』は中条長官に辞表を叩き付けて失踪。

 

他エージェントを送り、その消息を掴もうとしたが全て的外れとなったらしい。

 

そして、その数日後にBF団の開戦布告によって『約定事件』が開始された。

 

双方が拮抗する戦いが始まり、しばらく経った頃…

 

行方不明だった蓮華がその姿を現した。

 

母は双方の戦いに介入し『約定』と呼ばれる能力を発動。

 

その結果、国際警察機構とBF団の能力者達はその能力を封印されてしまった。

 

封印されたのは特殊能力のみであり、通常の格闘戦ならば行使する事は可能。

 

何故、蓮華が能力を封印し失踪したのか不明のまま今日に至った。

 

その謎は私の祖父『漣』から託された手記に記載されているが、遺言が残されていたので今まで開封する事が出来なかったとの事だ。

 

 

「開封が出来ないとは?」

「漣氏の遺言では『次期当主である君が16歳を過ぎた頃、戦いの場に居るのならば…君をこの日に呼ぶ事。』と聞かされていたのでね。」

「御爺様がそんな事をですか?」

「呉先生、例の手記を…」

「はい、こちらに。」

 

 

呉先生がアタッシュケースから取り出したのは何の変哲もない手帳、何かの鍵が施されており開封出来ない様だ。

 

 

「これがその手記だ。」

「鍵の様な物が掛かっている様ですが?」

「その通りだ、漣氏との約束もあったのでね…手付かずのままにしてある。」

 

 

あれ?この形は…

 

 

「もしかして?」

 

 

私は形見のペンダントを取り出し、手記の鍵穴に合わせた。

 

形は合っている、恐らくは嵌め込み式の鍵の様だ。

 

 

「鍵が開いた。」

「成程、君の持つペンダントが手記を開く為の鍵だったのか。」

「鍵かどうかは解りませんでしたが…」

 

 

鍵の部分が外れた手帳を改めて確認する事となった。

 

中に記録されていたのは約定事件の真実だったのだが、詳しい事は何も書かれておらず簡易的な言葉しか記載されていなかった。

 

 

『封印の時、終焉の時を抗った先の未来。』

 

『四封の機械仕掛けの神々が集う時、傲慢な御使い、大いなる破滅に抗う時である。』

 

『十二の宝玉が現れ、破界と再世、時獄と天獄が始まる。』

 

『約定を断ち切り、人としての抗いを求めるのなら御伽の声を聴け。』

 

 

物凄く拙い事が掛かれています。

 

予測通り封印戦争、銀河大戦、Z事変の到来の前触れです。

 

ガンエデンは察し、ついでにエゴイスト四人衆と完璧親父の事も記載されてますとも。

 

内心冷や汗ダラダラモノですよ。

 

 

「約定を断ち切るなら御伽の声を聴け?」

「恐らくは詩篇刀・御伽の事だろう、だが…」

「例の約定事件で失われていますからね。」

 

 

例のレポートを閲覧していない中条長官達は詩篇刀が失われたままの認識しかない。

 

ギリアム少佐が朗報がてら説明を入れてくれた。

 

 

「…その事なのですが。」

「どうしたのかね?」

「詩篇刀・御伽は現在クジョウ准尉が所持しています。」

 

 

そんなチベットスナギツネの様な眼差しを送らないでください。

 

こちらもこんな事になるなんて知ってはいましたが、ここまでとは思いませんでしたから。

 

本当にごめんなさい。

 

 

「ハスミ准尉、出して貰えるか?」

「はい。」

 

 

私は忍ばせて置いた手甲を右手に装着し詩篇刀を呼び出した。

 

以前よりも形状が少し変わってしまったが、面影が残っていたので詩篇刀である事は判って貰えた。

 

 

「長官。」

「ハスミ君、実は君に…」

 

 

呉先生と長官が何かを言いかけた時、室内にアラート音が響き渡る。

 

 

「何事だ!?」

『長官、この梁山泊に侵入者が!?』

 

 

監視施設からの通信が入ったが、爆発か何かに巻き込まれて通信が途絶してしまう。

 

 

「ハスミ准尉、何か分かるか?」

「確認中です。」

 

 

ギリアム少佐の発言で私は念を通して梁山泊を視る。

 

 

「梁山泊の格納庫にスーツを着た人……指を弾いただけで人が切れた!?」

「恐らくそれは十傑集の一人、素晴らしきヒッツカラルドだろう。」

「他には?」

「赤い仮面でスーツ姿の忍者が貯水施設に独特の和服を着た隻眼の男性が梁山泊の搬入口に居ます。」

「マスク・ザ・レッドに直系の怒鬼。」

「十傑集が三人も…!」

「っ…待ってください!」

「眼帯を付けた人と…あの人はセルバンテスさん!?」

「衝撃のアルベルトに眩惑のセルバンデス…十傑集の半分がここに集まったと言う事か!?」

「長官、他の九大天王の方々にも…!」

 

 

呉先生の掛け声の後に続く爆発音、今度は外部からの様である。

 

 

「また爆発!?」

「あれは!?」

 

 

この気配はアインスト!?

 

しかもエンドレスフロンティア版じゃない。

 

ここに超機人が現れるからかもしれないけど…

 

でも、どういう事?

 

原作ではBF団とあしゅら男爵がここへ攻めて来る筈。

 

キョウスケ少尉達が居る事でシナリオに変化が起きたのか?

 

確かにOGの超機人絡みのシナリオではアインストが現れたけど…

 

これは流石に展開が早すぎる。

 

また無限力のお遊びか…

 

相変わらず性根が曲がり過ぎている。

 

何とかしたいけど、今回はアカシックレコードから介入禁止って釘打たれてるし。

 

キョウスケ少尉達、申し訳ないです。

 

今回はそちら様だけで何とかしてください。

 

 

******

 

 

梁山泊内部にBF団、外部周辺にアインストと言う『前門の虎後門の狼』状態な今回の

敵の布陣。

 

格納庫に近かったメンバーは梁山泊在住のエキスパート達の援護で出撃しアインストに対応。

 

しかし、クスハとブリッドの機体は念対応のアップデートが済んでいないので無理は出来ない。

 

現れたBF団への対応については…

 

貯水施設にシュバルツさん、搬入口にドモンさんと言う布陣である。

 

なお、衝撃のアルベルトと眩惑のセルバンデスは九大天王の方々が追っている。

 

避難道中でエキスパートの一人、不死身の村雨健二こと村雨健二と大作君らと合流したが…

 

必然的に指パッチンこと素晴らしきヒッツカラルドに鉢合せと成りました。

 

もうムンクの『叫び』をやりたい位に心境はパニくってます。

 

 

「長官。」

「村雨君、いつ戻って来た。」

「つい先程です、それよりもBF団の狙いは…」

「我々の目的が『草間大作』とでも言うつもりかな?」

「っ!?」

 

 

指をスナップさせる音で私達が居るフロアの障壁を斬り裂くヒッツカラルド。

 

 

「初めましてかな、私の名は素晴らしきヒッツカラルド。」

「やはり、十傑集か。」

「今回は確実な任務達成の為にゲストを追加させて貰っている。」

「…(その為に十傑集の半数も集結させるとは無限力も汚いね。」

「我々の目的はただ一つ、そこに居るハスミ・クジョウをこちらに引き渡して貰いたい。」

 

 

「えっ!?」

 

 

「どうしてハスミさん何ですか!」

「判らないのかい?彼女も強力な念者、そして次代のアシュラヤーに選ばれた存在だ。」

「アシュラヤーって!?」

「さてね、我々も詳しくは聞かされていないが…我らがビッグファイアの命令である以上、こちらに引き渡して貰いたい。」

「そんな一方的に!」

「勿論、ある程度の条件はこちらも呑もう。」

「条件?」

「例えば、彼女をこのまま引き渡して貰えれば…何もせずに我々は引き下がる所存だが?」

「…(典型的な天秤掛けか、中条長官はこの条件をどう判断するか?」

 

 

ヒッツカラルドが提示した条件は私がBF団に来れば梁山泊に居る全員の命を保証すると言うものだ。

 

断れば問答無用で血が流れる。

 

問題は管轄の違う私と言う一人の兵士をこのまま連中に引き渡せば、国際警察機構の管理体制に異議を唱えて一部のタカ派の連邦軍から横槍が行われるだろう。

 

余りにも計算尽くした条件だ。

 

そのドサクサで何かの行動を起こすつもりだろう。

 

今回は介入禁止にされている以上、下手な芝居は出来ない。

 

想定していたとは言え、接触するにも早いと思ったのだが…

 

余程、想定外の事がBF団でも起こっているのだろうか?

 

さて、どうする?

 

外はアインストの襲撃の最中、無事にクスハ達が竜虎王と接触出来ても残りの十傑集を彼らが相手に出来るか不明だ。

 

常に理不尽な選択を強いられるのは解っていた。

 

今回も読み違えれば多大な被害が出る。

 

失敗は許されない。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

その頃、外部では。

 

 

「んぅもう!何なのよあいつらは!!」

「エクセレン!梁山泊には一歩も近づけさせるな!!」

「解ってるわよ、ハスミちゃん達がまだ中に残っている訳だしね!」

「…(レジセイア側のアインストが現れるとは想定していたとは言え、行動が早すぎる。」

 

 

現在梁山泊へ侵攻しているアインストの種類は動物の骨の様なクノッヘン、植物型のグリート、鎧型のゲミュートである。

 

以前の戦闘力程度の為、偵察が目的だろう。

 

だが、油断できないのは確かである。

 

下手をすればアインスト化を促す霧の様な物質を散布する可能性がある為だ。

 

その為、防衛ラインを決めて防戦一方の戦法になってしまっている。

 

梁山泊内部ではBF団の十傑集が侵入している為に避難が完了せずにいる為にいつになっても深入りが出来ないのだ。

 

内部で十傑集を相手にしているドモン達でさえ苦戦を強いられる相手である。

 

無理強いは出来ない。

 

 

「っ!?」

「クスハ、どうしたんだ!」

「弐式のT-LINKシステムが動かない!?」

「ちょっとどう言う事よ!?」

「クスハ、梁山泊へ下がれ!」

「りょ、了解です!」

 

 

その時だった、ゲミュートの一体が交代するグルンガスト弐式に張り付いたのである。

 

 

「クスハっ!?」

「あっ!」

 

 

引きはがそうとブリッドのヒュッケバインmk-Ⅱが応戦に入るが逆にこちらもT-LINKシステムに異常をきたし動けなくなってしまう。

 

 

「ブリッド君!」

「mk-ⅡのT-LINKシステムも限界が!」

 

 

二人に待つのは死。

 

その時だった…

 

二人に語り掛ける謎の声が響いた。

 

中国の武将の姿をした二人の人影が二人に声をかけたのだ。

 

 

要約すると『この世界を守る覚悟があるのか?』と。

 

二人は答えた。

 

真っ直ぐな想いを告げた。

 

青の竜と白の虎はその声を聴き届けて覚醒した。

 

 

 

「竜虎王、顕現っ!」

 

 

 

グルンガスト弐式とヒュッケバインmk-Ⅱを核に竜王機と虎王機が融合したのだ。

 

そして四神クラスの超機人が合体する事で顕現する。

 

破邪を祓う力が今この時をもって生まれた。

 

 

「龍王破山剣!逆鱗断っ!!」

 

 

古き破邪を竜の逆鱗が切り裂く。

 

真っ二つにされたゲミュートは事切れる様に塵と化した。

 

残存していたアインスト達もその破竹の勢いで壊滅し、この場の驚異は去った。

 

 

† † † † † †

 

 

アインスト壊滅を遠目で確認するハスミとロサ。

 

 

「さて、ハスミ君行こうかね?」

「…約束は守ってください。」

「それは君次第だ。」

「ハスミ。」

「ロサ、大丈夫よ。」

 

 

私が選んだ選択。

 

それはBF団の提案を受け入れる事。

 

あの時点で受け入れなければ、梁山泊内部に行われる攻撃で各エリアが連鎖崩壊を起こし…

 

避難中の人々が圧死していたのである。

 

その中にドモンさんの家族が含まれていたのもある。

 

それを避ける為とは言え、私のやり方は裏切りに近いのかもしれない。

 

誰からも分かって貰えない事は重々承知している。

 

この選択が間違っているかも判らない。

 

それでも出来る限りの可能性があるのならやるしかない。

 

 

* * * * * *

 

 

一行は梁山泊におけるアインストとの勝利を収めたが、ハスミ・クジョウとロサ・ニュムパがBF団に拉致されてしまった。

 

それは限りなく灰色に近い勝利でもあった。

 

 

=続=




これは必然。

孤島の鳥籠で睡蓮は仲間の無事を願う。

だが、巨大な炎と対話の時が迫る。

次回、幻影のエトランゼ・第十一.五話『捕人《トラワレビト》』

迫る選択肢はいつも理不尽が付きまとう。


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第十一.五話 『捕人《トラワレビト》』

孤島の鳥籠の中で何を思う。

問われた問いに耳を傾け。

この先の未来を決める。

これはその予兆に過ぎない。







梁山泊での戦いから早一週間。

 

現在ノードゥスは伊豆基地で待機のまま、パワーアップの為に各施設に戻った仲間達の帰りを待っていた。

 

時には迎えに行ったりしている。

 

大きな流れではシンジ君が第13使徒と戦ったり、今まで放置されていたカイラスギリーの破壊、フロンティア1から他のコロニーにバグを放った鉄仮面との戦い、リュウセイがレビを救出したりなど、時系列が崩れ過ぎた状態が起きているらしい。

 

と、アカシックレコードがリアルタイムで教えてくれた。

 

残るは鎖国状態となっているアクシズの動向やジオンを隠れ蓑にしているギガノス帝国とAnti・DG、弱体化させた異星人連合、現時点で脅威になっているゼ・バルマリィ帝国の動向である。

 

地上の敵勢力はこの一週間の間にノードゥスに総力戦を持ち込んたが、ほぼ壊滅したと言って良いだろう。

 

目まぐるしく変わる戦場と戦況。

 

私は最後の戦いに間に合うのだろうか?

 

 

******

 

 

「浮かない顔だね。」

「…そう見えますか?」

「無理もない、無理やりとは言え少々手荒な真似でこちらに出向いて貰ったからね。」

 

 

現在、私は地球の某所のBF団所有の孤島に囚われている。

 

目処前に居るのはBF団の総帥ビッグファイア本人である。

 

その横には諸葛孔明が控えている。

 

 

「…(本当に私と同じ元学生にしか見えないな。」

 

 

目処前のビッグファイアは学ランの様な服?を着ており、年相応の青年の様にしか見えないのだ。

 

悪いと思ったがビッグファイアの過去をアカシックレコードに教えて貰った所、その手のマニアなら誰でも知るとある有名な物語の過去を持っているらしい。

 

マーチウインドを相手にGR計画を遂行したあの有名なシナリオである。

 

私も正直驚いている。

 

 

 

「敵である私をここへ呼び寄せた理由は何なのでしょうか?」

「君と話して見たかった。」

「それだけではないのでは?」

「君は用心深いようだね。」

「敵地のど真ん中で気を許す兵士などいませんよ。」

 

 

 

ビッグファイア、BF団を統べる者。

 

現存する最古のサイコドライバーにしてガンエデンに並ぶ力の持ち主。

 

例のシナリオでは遥か遠い銀河に生きる異星人だったが、同胞達の愚かさに愛想を尽かせて地球へ降り立った。

 

そして長き時の中でバラルと敵対しある意味では地球を守護していた存在でもある。

 

私は複雑に絡み合う時系列の記憶から出来るだけ彼の情報を引き出していた。

 

正念場、ここで選択を間違えればバベルの塔での頂上決戦が開始してしまう。

 

それを防ぐ為にも情報と言うカードの切り方を誤ってはいけない。

 

 

 

「では、率直に言おう…我々の仲間になって欲しい。」

「っ!?」

「驚いたかい?」

「いえ、想定していたとは言え…はっきりと言われたので。」

「想定?」

「私を連れ去った理由は私の持つ力、まずは仲間へ勧誘し出来なければ命を…とありきたりですがね。」

「これは一本取られましたな。」

「そうだね。」

 

 

こうやって笑っているのにどうしてあんな事に踏み切れたのか理解できない。

 

本来の優しさを隠す様に踏み切ってしまったGR計画。

 

人はそんなに愚かなのだろうか?

 

私にはそうは思えない。

 

確かに裏表は誰にでもある。

 

絶望するには早すぎる位に。

 

人類に対して絶望するには足りない。

 

それ以上の絶望がこの先の未来で脅威として待ち受けている。

 

それを彼は知っているのだろうか?

 

 

「きっかけはアシュラヤーの単語でした。」

 

 

アシュラヤー。

 

ヘブライ語で『幻想』を意味する言葉。

 

あの手記に隠されていた言葉。

 

『アシュラヤーの目覚めはハトハラーの時』と言う言葉。

 

要約すると『幻想の目覚めは始まりの時』と言う意味だ。

 

そしてこの一週間でその存在が何なのかを理解した。

 

 

「私がアシュラヤーに選ばれた、それは貴方達にとって有力な利益若しくは脅威を生む何かであると推測しました。」

「その着眼点は間違ってはないね。」

「ここへ招いたのも手元に置いて監視する為でしょうか?」

「初めはね、けれども君は自分の推理で大体は把握出来ているだろう?」

「…」

「僕としては、そろそろ君の『正体』を晒してもいいと思う。」

「正体?」

「君がアシュラヤーの巫女であり、ホルトゥスを統べる者と言う事をね。」

 

 

理不尽は常に寄り添う様に。

 

これはカマかけか?

 

だが、あの眼は真理にたどり着いた眼だ。

 

 

「詩篇刀・御伽を所持すると言う事はそう言う事だよ。」

「…」

「勿論、この事を『バラル』が放って置く事は無いだろうね。」

 

 

成程、既に正体はばれていたか…

 

なら、こちらのジョーカーを一つ切らせて貰おう。

 

 

「共犯者にするつもりですか?」

「だとしたら?」

「条件があります。」

「条件?」

「この先の未来、そして貴方が絶望せずにすむ新たな未来への開拓を決める事でもあります。」

「成程、その条件とは?」

「まずはバラルの説得もしくは力を示して掌握する事、もう一つは…」

「っ!?」

 

 

その発言は一凪の海風にかき消された。

 

 

******

 

 

今回の決議で彼がどう出るかは判らない。

 

だけど、悲劇的結末を変えられるのなら変えてあげたい。

 

絶望せずに済む未来を見せてあげたい。

 

その思想は余りにもねじ曲がり、変わってしまうかもしれない。

 

それでも可能性があるのならその可能性に賭けたいと思った。

 

だから、それぞれの決着は人類共通の脅威を祓ってからご自由に。

 

そこまで邪魔をするつもりはない。

 

 

「ふぅ…」

「ハスミ、大丈夫?」

「うん、ちょっと疲れただけ。」

 

 

ビッグファイアとの話の後、私は牢屋代わりの一室に連行された。

 

拉致された身ではあるが、待遇が少し良過ぎるのもどうかと思う。

 

同じ様に拉致されたロサと再会し今に至る。

 

 

「結局どうなったの?」

「正体バレてたわ。」

「ええっ!?」

「まあ、そんなに驚く事じゃないわ。」

「で、でも…」

「いずれ判る事が早く来ただけよ。」

「…ハスミが言うなら。」

「こちらの意思は伝えたし、後は向こうがどう出るかかな?」

「大丈夫なの?」

「うん…理は巡り、結末へと辿る。」

「それって?」

「なる様にしてなるだけ…後は時間が掛かるだけよ。」

 

 

その後、どう言う訳か私はBF団から解放された。

 

ビッグファイアの意思らしい。

 

鹵獲されていたゲシュペンストmk-Ⅱに搭乗させられた上に極東方面へと放置された。

 

ちなみに放置された場所がネルフ本部。

 

はい、シンジ君がゼルエルに対してキレッキレの暴走中でした。

 

オマケにその様子を見に来たのか、ユーゼスまで現れる始末である。

 

どうやらレビを奪還された事で向こう側のパワーバランスが狂ったのだろう。

 

ざまぁwと思うのは私だけだろうか?

 

ここまで来て、また拉致られるヘマをしたくないのでキッチリ応戦しました。

 

ここできてダイターン3の援護もあり、何とか窮地を逃れました。

 

しかし、シンジ君がやり過ぎた為にエヴァに取り込まれました。

 

今回は何者かの思惑が絡んでいるらしくサルベージ作戦は失敗。

 

私は初号機の前で何も出来ずに落ち込むレイに助力する事に決めた。

 

初号機に触れて私が『架け橋』となる事でレイの意思を取り込まれたシンジ君に繋いだのだ。

 

後は当人同士によるものだが、すんなりと事は旨く行った。

 

即席サルベージに成功しエヴァから排出されたシンジ君を含めたエヴァのパイロット達はネルフ本部で待機となった。

 

エヴァシリーズのフルメンテや新規参入した参号機の事もあり、調整が必要と判断された為である。

 

私はそのままノードゥスに帰還、色々と根掘り葉掘り聞かれたが有力な情報がなかったのですぐに解放された。

 

そして報告書&始末書の束と格闘する羽目になりました。

 

カフェインプリーズである。

 

コーヒーカップを片手に私は一刻一刻と迫る決戦に向けて、思惑を巡らせた。

 

 

=続=

 




決戦の時が迫る。

捻じ曲がったシナリオに抗えるのだろうか?

次回、幻影のエトランゼ・第十二話『白星《ホワイトスター》前編』

結末は白き魔星と共に。


*******


「結局、解放して宜しかったので?」
「彼女の真意が判ったからね。」
「真意ですか?」
「そう、僕が想定していたよりも強大な脅威がこの世界に集結していると教えてくれた。」
「!?」
「彼女はそれを知っている、今までのあらゆる布石はその為だろう。」
「しかし、我々の監視では…」
「うまく肝心な所は欺かれていたようだね。」
「私もまだまだの様ですな。」
「さて、これから僕らもバラルやこの地を目指す脅威との対策で忙しくなるよ。」
「しかし、蓮華によって封じられた我々の能力は結局の所…どうなったのでしょうか?」
「それなら大丈夫、もう『繋いだ』と言っていたからね。」


僕はこの地を去るハスミ達を見送りながら次の戦いに備える構えを孔明に伝えた。


「…(ハスミ、いくら何でもオイタが過ぎた僕の妹に尻叩きはどうかと思うが?」


すり寄って来たアキレスを撫でながらそう思った。



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第十二話 『白星《ホワイトスター》前編』

幾多の戦いの始まり。

その通過点に過ぎない。

この戦いも進むしかない。

その先に一瞬の出来事が待ち受けようとも。







天使の輪は墜ち、最後の使者は共に歩む道を選ぶ。

 

鎖から外された異星の人々の帰還。

 

偽りの独裁者からの解放を期に人々は結束の時を向かえる。

 

敵は白き魔星にアリと…

 

 

******

 

 

私がネルフ本部に放り出されてから三週間近くが経過した。

 

エアロゲイターの前線基地とされているホワイトスターへの反攻作戦が決定。

 

そう、OGシナリオの一つである『OPERATION・SRW』の開始でもある。

 

 

「例の伊豆基地での襲撃を合わせたエアロゲイター保有のゲシュペンストmk-Ⅱの記録データです。」

 

 

作戦に備えて物資、資材の供給が進む中で私は例のゲシュペンストの件でクロガネの一室に呼び出された。

 

旧戦技教導隊関係者の集まりである。

 

ギリアム少佐の説明の後、カイ少佐の言葉を皮切りにそれぞれが意見を出す。

 

 

「どう思う?」

「疑念の予知は無いと思います。」

「ハスミ、あれに乗っていたのは確かにカーウァイ隊長だったのか?」

「画面越しですが、あの姿…そして機体に触れた時に感じた気配は間違いなくお義父さんでした。」

「年季が立ち過ぎているとは言え、あの様な姿にされるとは…」

「ギリアム少佐にはもう話してある事ですが、お義父さんを操っていた相手の念動波形パターンを記録しておきました。」

「そしてハスミが記録した敵の念波データと一致する念波データがこちら側に残っています。」

 

 

ギリアムが近くのコンソールを動かし、テーブルにはめ込まれた画面からあるデータが表示される。

 

 

「そのデータは地球連邦軍内に秘匿されていた特殊脳医学研の実験非検体『ジェニファー・フォンダ』と一致しました。」

「特殊脳医学研…特脳研か、SRX計画の要である以上はイングラム少佐が前々から接触していた可能性は高いか。」

「リュウセイ曹長に救出されたレビ・トーラ…いえ、マイ・コバヤシの事もありますからね。」

「それらが繋ぐピース、奴らは人類を拉致し自らの兵として戦場に投入しているのだろう。」

「つまり、今までのエアロゲイターの行動は…実戦投入の為の実験でしょうか?」

「恐らくは…」

 

 

知っていたとは言え、実際にやられるとキツイ。

 

ホルトゥスが動いているから被害は最小限に抑えられている。

 

それが無ければどれだけの人が犠牲になっていただろう。

 

同じ人間のする事じゃないと実感できる。

 

 

「ハスミ、大丈夫か?」

「…すみません。」

「ハスミ、お前はどうする?」

「ゼンガー隊長?」

「恐らく、次の作戦ではカーウァイ隊長が投入されるだろう。」

「カーウァイお義父さんをどうするか…ですか?」

「そうだ。」

「我々は最悪のケースを想定して戦う覚悟だ。」

 

 

救える可能性が低い以上、せめて自分達の手で…

 

それが隊長達の決断。

 

私は、私が出来る事をするだけ。

 

 

「同行させて貰えないでしょうか?」

「ハスミ、判っていると思うが…」

「判っています、だからこそ……諦めたくないのです。」

「ハスミ。」

「もしも、その時が来たのなら私も覚悟を決めます。」

「判った、作戦時は俺達と追従して貰うぞ?」

「了解です。」

 

 

ほんのわずかでも希望があるのなら意地でもしがみつく。

 

けれども、私の中で一つの思いが揺らぎはあった。

 

カーウァイお義父さんとテンペストお義父さんのどちらを優先するのか?

 

私にとってはどちらも育ての親に変わりはない。

 

私は偽善であろうとも自分の意思を捻じ曲げる事だけは絶対にしたくはない。

 

だから揺らぎはない事を告げた。

 

 

「テンペスト少佐、私は少佐の養女になれて嬉しかったです。」

「ハスミ?」

「カーウァイお義父さんを無事に助けても私の気持ちは変わりません。」

「…」

「私にとって二人はどちらも私のお義父さんですから。」

「ハスミ。」

 

 

変わりつつある現実と未来。

 

過去は変えられなくても進んできた歩みは残るのだ。

 

この培ってきた思いだけは間違いじゃない。

 

 

「当たり前だろう、お前は私の義娘に変わりはないのだからな。」

 

 

照れ臭く言うお義父さんであったが…

 

 

「お義父さん、顔が赤いですよ?」

「うっ///」

「一本取られたな。」

「カイ、お前っ!?」

「微笑ましいですね。」

 

 

いつも通りに茶化されるのであった。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

同時刻。

 

ハガネ艦内格納庫にて。

 

 

「…」

 

 

ホワイトスターか…

 

今回は前の記憶も入り混じっているせいかどうも落ち着かねえ。

 

SRXの合体も出力の関係で数十回か…

 

レビ…いや、マイを救えただけまだマシだったけどよ。

 

マオ社からR-GUNパワードとビルドシュバインの納機も終わった。

 

ヴィレッタ隊長とも合流出来た。

 

後は教官を救えるかだ。

 

いや、今度こそ救うんだ。

 

絶対にこの手を放さねえって決めた。

 

何度だって追いかけてやる。

 

もうあんな思いは懲り懲りだ。

 

 

「教官…逃げても何度だって追いかけてやるから待ってろよ。」

 

 

リュウセイは誓う。

 

その先の未来の為に。

 

 

******

 

 

「ドモン、判っていると思うが…」

「無茶は今回だけだよ、兄さん。」

 

 

ホワイトスターへの反攻作戦。

 

その前に起こった戦いに置いてシャイニングガンダムはついに地に伏せた。

 

想定していた時期よりも持った方だろう。

 

 

「…(ゴッドガンダム、ようやくお前に会えた。」

 

 

格納庫に納機されたゴッドガンダム。

 

時系列の違いから今回の戦いが初陣となる。

 

シャイニングガンダムは回収され、向こうで解体される予定だ。

 

名残惜しいがシャイニングは役目を果たしたのだ。

 

いつかまた乗る事があるだろうか?

 

それは誰にも予測不可能である。

 

 

「稼働テストもしていない機体にお前を乗せるのは…」

「大丈夫だ、今までもそうだった筈だよ。」

「ドモン。」

「必ず帰ってくる、その時は兄さんに応援して欲しい。」

 

 

危機が去れば、ガンダムファイトは再び再開されるだろう。

 

今回の俺はDG事件を追う為にガンダムファイターに選ばれた訳じゃない。

 

正式な国からの依頼だ。

 

 

「…(DGは無くなり、ウルベがDG細胞を手にする危機は去った、だが…今も感じるこの不快な感覚は何だろうか?」

 

 

今はまだ、訪れる事の無い災厄の気配にドモンは不穏な感覚を覚えるのだった。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ 

 

 

同艦内休憩所にて。

 

 

「ふう…」

「兄さん、どうしたの?」

 

 

ぺガスらのメンテナンスが終了し一息入れたD兄弟。

 

 

「ちょっとな。」

「もしかして、次の作戦の事?」

「ああ…」

「兄さんの記憶でも僕の記憶でも体験した事が無い戦いだったね。」

 

 

二人にはC・Eを主軸とした戦いの記憶しかない。

 

その為、今回の戦いに関する記憶がない為か遅れをとるのではないか?

 

そんな不安が過ぎるのだ。

 

もしもこの戦いで別の勢力が仕掛けてきたら護り切れるのか?

 

変わりつつある戦況に抗える事は出来ない。

 

 

「クワトロ大尉だっけ?あの人の話じゃ…こっちの?前の世界はややこしい事になっているみたいだし。」

「そうだな、クワトロ大尉…いや、あの人がシャア・アズナブルとして敵対したのちに地球連合軍が設立された事には驚くしかない。」

 

 

異なる世界における封印戦争時に起こったシャアの反乱、封印戦争終結後に地球連邦軍は各組織の残存兵力を纏め上げ地球連合軍へと編成される事となったが…

 

更なる混乱の渦中に身を投じる結果へと繋がった。

 

 

「本当にややこしい。」

「ああ、今回の戦いを切り抜けても次の問題が山積みに残っているからな。」

「ラダムの母艦、また月に不時着すると思う?」

「それは判らない、場合によっては別の場所に拠点を変える可能性があるかもしれない。」

「うん、これだけ多くの敵勢力が地球を狙っている以上は考えられるよね?」

「この話は後だ、今はただやるべき事をやるだけだ。」

 

 

******

 

 

同時刻、ラーカイラムの個室にて。

 

 

「ホワイトスターへの反攻作戦、気が抜けないな。」

「ああ、そして影で暗躍するシャドウミラーや他の組織の動向も気になる。」

「敵が動いている様子が無い以上は手出しは出来ないですよね?」

「私兵か何か伝手があればこちらも動けるでしょうが…」

「その伝手でミスリルやグランナイツが発見されただけでも朗報と言えるだろう、ラル達には感謝しきれない。」

「ラルさんが?」

「ああ、地球でアルテイシア…いや、セイラと共に調査をしてくれている。」

「そうか、こっちでもカイの伝手を使って例の組織に接触できないか動向を探って貰っている。」

「例の組織?」

「コウ、お前も覚えているだろう…GGGだ。」

「ですが…アムロ大尉、この時期の凱達は…」

「解っている、今後の事を踏まえての話し合いだ。」

「しかし、ここまで大胆に動いても良いのですか?」

「あくまで我々の様に記憶を所持していると言う仮定での行動だ。」

「こちら側から特定の人物にある言葉を送ってそれに反応すれば記憶を所持していると判断できる。」

「ある言葉?」

「彼らが記憶を所持しているのなら反応する言葉だ。」

「GGGには霊帝、ミスリルとグランナイツには御使い、こんな感じにね。」

「そうか、前の世界で戦った相手の異名を知っているのなら…」

「可能性はあると言う訳だ。」

「しかし、こちらの誘いに乗るでしょうか?」

「やるだけの事をやるだけさ。」

「だが、向こう側の気付いている筈だ……この世界を覆う強大な影をな。」

 

 

戦いの中で見え隠れする強大な影は近々その姿を現すだろう。

 

クワトロの言葉にアムロ、コウ、ガトーはただ頷くしかなかった。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

搬入作業が終了し宇宙へと上がったノードゥス。

 

彼らは敵の中枢に潜り込み、敵の大将格を倒す任務が与えられた。

 

ホワイトスターに向かって続々と集結する艦隊。

 

地球連邦軍保有のグレートアークを旗艦とし、それぞれの組織で主だった戦艦がその姿を現していた。

 

そしてOPERATION・SRWの開始の合図である閃光弾が発射された。

 

OGシナリオの一つ『L5戦役』の始まりである。

 

 

=続=

 




流れる筈の涙は堪えるしかない。

ただ、勝利の為に魔星へと向かう。

あの温もりは過去の思い出。

次回、幻影のエトランゼ・第十二話『白星《ホワイトスター》中編』

嘆くな、戦いはまだ終わりではない。



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第十二話 『白星《ホワイトスター》中編』

操り人形は踊る。

それは自らが望んだ行動ではない。

思惑の糸を断ち切れ。

その先の未来を勝ち取る為に。





OPERATION・SRWが開始した。

 

ホワイトスターへの総攻撃準備の為にノードゥスは敵部隊への奇襲攻撃を仕掛ける事となった。

 

相手が同じ地球人でその成れの果てであったとしても…

 

 

「ちっ、虫だったり他の組織から鹵獲した機体ばっかりだ。」

「やはり、我々への様子見でしょうか?」

「恐らくな、全く舐めた真似をしやがって!」

 

 

ヒリュウ改のオクト小隊隊長カチーナとその部下であるラッセル。

 

敵部隊の構成の様子に違和感を覚えた。

 

艦を狙うバグスの塊にタスクが、タスク機を狙う漏れた敵をレオナが対応する事で現状維持のまま戦闘は続いた。

 

 

「俺らが仕掛けて来てるってのに隊長格の姿がねえ。」

「恐らくはこちらの戦力を削る為に使い捨ての戦力を投入しているのでしょうね。」

「だよな、とにかくヒリュウ改に近づけさせる訳にはいかねえ。」

「周囲の雑魚は中尉と私達に任せて、貴方は敵の陣形を潰す事に専念なさい。」

「合点承知だぜ、レオナちゃん。」

 

 

ジガンスクードのギガ・ワイド・ブラスターが前方の陣形を崩し、それを好機に他の各機が落としていく。

 

同じ様にラーカイラム、リーンホース・Jr、ナデシコ、エルシャンク等の艦隊所属MS・特機の混成部隊も母艦を護りつつホワイトスターへと向かって行った。

 

 

******

 

 

ハガネよりSRXチームが発進。

 

 

「SRXチーム発進します。」

「…」

「レビ…いや、マイ。」

「リュウセイ?」

「やっぱり気になるか?」

「皆は私を受け入れてくれた、だから私は私を救ってくれたリュウセイやアヤ達の力になりたい。」

「マイ。」

「じゃ、敵さんの本拠地に殴り込みに行こうぜ!」

「うん。」

「各機、ATXチームの出撃の邪魔になる。」

「了解、先行開始します。」

「ヴィレッタ隊長、指揮をよろしくお願いします。」

「ええ、任せて。」

 

 

SRXチームに参入したレビことマイのR-GUNパワード、ヴィレッタのビルドシュバインと共に進撃を開始する。

 

続けてヒリュウ改よりATXチームが出撃を開始する。

 

 

「キョウスケ中尉、各艦の進路を切り開いてください。」

「了解、ATXチーム突貫する!」

 

 

ATXチーム隊長代理のキョウスケが合図をする。

 

 

「ラジャー!」

「了解!」

「はい。」

「了解です。」

「要は艦に近づく奴らを片っ端から倒せばいいのだろう?これがな。」

 

 

ATXチームは例の一件でゼンガーとハスミが抜けている。

 

その為、残りのメンバーでホワイトスターへの進路を切り開く事となる。

 

しかし、前回とは違い戦力は十分である。

 

だが、ホワイトスターには強念の結界が張られている。

 

SRXチームの役目はホワイトスターに辿り着き、バリアを破壊する事である。

 

付け焼刃のT-LINKツインコンタクトによるトロニウムバスターキャノンでの一点集中攻撃である。

 

バリア発生地点を破壊すれば、ホワイトスターを包むバリアを破る事が可能である。

 

それがマイの持つ敵の情報である。

 

その後は各艦に搭載されたHIMAPWによる総攻撃が開始される。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

グレートアーク級からの核攻撃開始までのタイムリミットはSRXチームがホワイトスターのバリアを破壊するまで。

 

それまでにカーウァイお義父さんの機体を探さないと…

 

周囲に念の張り巡らせているが、どうも引っかからない。

 

 

「ハスミ、反応はあったか?」

「いえ、もしかするとまだ出て来ていないのかもしれません。」

「ある程度の揺さぶりを掛けんと現れんか…」

 

 

念の為、グレートアーク級周辺にホルトゥスのメンバーが控えている。

 

これはアタッドの進撃ルートが複雑だからだ。

 

ディバイン版では真っ先にSRXチームに接触。

 

レコード版ではグレートアーク級へ。

 

OGsでは作戦開始半ば辺り。

 

どれに当てはまるかは判らないが念の為である。

 

 

「…(今回はテンザンが退場した事でパワーバランスが狂い始めているし、敵がどう出るかが問題ね。」

 

 

R-GUNリヴァーレが出ている以上、漆黒の堕天使が出現するかは判らない。

 

複雑な並行世界の果てに集約されたこの世界はあるのだから。

 

可能性は否定できない。

 

 

「…(後はリュウセイ次第か。」

 

 

この結末はどう転ぶだろうか。

 

 

「っ!?」

「ハスミ!」

「ゼンガー隊長、ホワイトスターから出て来ます!」

 

 

漸くお出ましみたいね。

 

 

「この念、あの地球人か!」

 

 

アタッドのヴァイクル、そしてガルインのゲシュペンストmk-Ⅱがこちらの気配を察知し進撃を開始した。

 

 

「ガルイン、奴らを始末するよ。」

「了解。」

 

 

こちらもそれを察知し接触を果たした。

 

 

「あの地球人もいるのか、丁度いい…ここで今までの屈辱を晴らさせて貰うよ!」

「ゼンガー隊長、グリフォンの相手は私がやります……お義父さんの事、お願いします!」

「承知した!」

「カーウァイ隊長、貴方を縛る呪縛は我々が解きます。」

 

 

因縁の対決は始まった。

 

早期にグリフォンを停止させる為に交戦を開始した。

 

 

「地球人、お前のせいでアタシはぁ!!」

「逆恨みは大概にしなさいよ!貴方だって地球人なんでしょう!!」

「な、何を…!?」

「レビ・トーラ…いえ、マイから聞いたわ!」

 

 

“貴方の本当の名前はジェニファー・フォンダ。”

 

“私達と同じ地球人よ!”

 

 

「ふざけるな!」

「否定しまくりの所を見ると実感はある様ね。」

「アタシが地球人?笑わせるな!!」

「実際、そうなのだから否定する必要もないでしょう?」

「アタシは生粋のバルマー人、地球人の訳がっ!?」

 

 

アタッドの脳裏を巡る記憶。

 

嘗てジェニファーであった頃の記憶。

 

だが、仮面を付けた様に塗り替えられていく。

 

ジェニファーであった証が消えて行こうとしていた。

 

ジェニファーの人格とアタッドの人格がせめぎ合っている。

 

 

「アタシは…アタシは!?」

「後はこの機体のT-LINKシステムを…!」

 

 

グリフォンの頭部に搭載されたT-LINKシステムを撃ち抜く。

 

 

「ああっ!!!?」

 

 

せめぎ合う思念。

 

解放されたジェニファーに取り憑こうとするアタッドの思念。

 

 

「アタッドの人格、アレンジペルソナ…これで終わりよ!!」

 

 

詩篇刀・御伽の解放。

 

 

「お前の思念を断ち切る…!!」

 

 

刀の切っ先がアタッドの思念を斬り裂く。

 

その常人では聞こえない叫び声と共にアタッドの人格は四散した。

 

ジェニファーはそのまま気絶しグリフォンは停止した。

 

 

「グリフォンを沈黙!」

 

 

グリフォンことヴァイクルの停止と共にガルインのゲシュペンストmk-Ⅱの停止した。

 

 

「止まったのか?」

「判りません。」

「ハスミどうだ?」

 

 

グリフォンを牽引し停止したゲシュペンストmk-Ⅱの元へ接近。

 

確認した所、どうやらこのグリフォンがガルイン機をコントロールしていたらしい。

 

その為、グリフォンの送受信機だったT-LINKシステムを破壊した事でガルイン機は機能停止したのだろう。

 

 

「妙な気配は感じられませんが、頭部に搭載されている外部コントロール受信機を破壊した方がいいと思います。」

「判った。」

 

 

別の機体からの操作も考えられる為、ギリアム少佐がガルイン機の頭部を破壊。

 

私は動かなくなったガルインに声を掛けた。

 

 

「お義父さん、カーウァイお義父さん?」

「…っ!」

「カーウァイお義父さん!」

「ここは……?ハスミ?お前なのか?」

「うん、御帰り…お義父さん。」

 

 

何度目かの呼びかけで目覚めたガルインことカーウァイ。

 

 

「お前達、随分と老けたな?」

「お、お義父さん?」

 

 

お決まりのジョークによって周囲が静まり返る。

 

 

「第一声がそれですか…」

「隊長、外見は兎も角お変わりない様で。」

「皆、随分と迷惑をかけた様だな。」

 

 

隊長は隊長のままである事に安堵した。

 

 

「お義父さんのせいじゃない、だから…」

「私が居なくなってからの事を聞かせて貰えないか?」

「解りました、色々と話したい事もありましたし。」

「ですが、手短な説明になります。」

「戦いはまだ終わった訳ではありませんので。」

「そうだったな。」

 

 

私達は一度、ヒリュウ改と合流し事情を説明。

 

二機を預かってもらい、先に先行したメンバーと合流する為に再度出撃した。

 

 

「良かった…」

 

 

すり抜けた手をつかみ取った。

 

最後の仕上げと行こう。

 

皆が待っている。

 

 

=続=

 




白き魔星の牢獄。

漆黒の堕天使の目覚めと共に黒き地獄と審判者が現れる。


次回、幻影のエトランゼ・第一二話『白星《ホワイトスター》後編』


更なる奇跡を起こせ。


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第一二話 『白星《ホワイトスター》後編』

先を知るからこそ出来る事。

これ以上は好きにさせない。

白き魔星…

これがお前達の墓標だ。


無事アタッドことジェニファーとガルインことカーウァイを救出した旧戦技教導隊の一行。

 

ヒリュウ改にて彼らの引き取りと機体の補給を済ませた後、先行したノードゥスの部隊と合流した。

 

現在、第二次敵防衛ラインを突破し最終ラインへの戦闘を行っていた。

 

そう、ホワイトスターへの直接攻撃開始の合図である。

 

 

******

 

 

『ハスミちゃん、無事にパパを助けられたのね。』

「はい、ご迷惑をおかけしました。」

『いや、何事もなくて良かったな。』

「正気に戻っても相変わらずでした……そちらの戦況はどうなっていますか?」

『SRXチームのサポートする部隊と周囲の敵を引き付ける部隊に別れている所だ。』

「転移による敵の強襲などは無かったのですか?」

『それはマサキとリューネ、ダンガイオーチームやナデシコのメンバーが防いでくれた。』

「それでは展開しているグレートアーク級艦隊の壊滅は無かったと言う訳ですか?」

『その理由はこれを見れば判る。』

 

 

ATXチームと合流した私はホワイトスターへ突入するまでの経緯をキョウスケ中尉から聞く事となった。

 

本来ならばホワイトスターからの転移戦法で味方艦隊の被害は甚大だった。

 

だが、転生者達の機転と思わぬ援軍によってそれらは阻まれたのである。

 

 

「赤いヴァルシオン?」

『パイロットの名前を聞いたら驚くわよ、何とビアン博士が乗ってるのよ!』

「まさか、ビアン・ゾルダーク博士が…!」

『ああ、博士達もブルーロータスの進言を聞き付け…戦場に出向いたそうだ。』

『ホント、あの人達のおかげね。』

「…」

 

 

浸透する蒼い睡蓮の奇跡。

 

先視の力と卓越した戦術、そしてその戦力。

 

場合によっては危険視の言葉も入ってくるが、今回はそれを煽る一派が一掃されたのでそれはなくなっている。

 

先を視る事で危機と成り得る事象を防いできた。

 

だが、彼らが表舞台に出る事はない。

 

今はその時ではないから…

 

 

「キョウスケ中尉、ATXチームはどちらの部隊へ入る事になりますか?」

『俺達はSRXチームのサポートに入る。』

「…やはり、伊豆基地での一件ですか?」

『ハスミちゃんだって一矢報いたいでしょ?』

「ええ、お義父さんをあんな目に遭わせたのですから…出来る事なら。」

『だが、無理は禁物だ…俺達がチームである事を忘れるな。』

「了解です。」

 

 

幕引きまでは程遠い。

 

残るは漆黒の堕天使、黒き地獄、紫の審判者。

 

負ける訳には行かない。

 

この先の災厄戦はそれほどまでに過酷な戦いであるから。

 

 

「…」

『ハスミ。』

「キョウスケ中尉。」

『これは秘匿通信だ、俺はお前とだけで話をしたい。』

「…話ですか?」

『そろそろお前の本性を見せて貰いたい。』

「本性?」

『俺の考えが正しければ、お前は転生者だろう?』

「…何故ですか?」

『お前はさっきの話で艦隊について聞いたな?』

「それが何か?」

『お前はグレートアーク級艦隊が転移奇襲を受け、壊滅する事を知っていたのだろう?』

「…」

『先程、お前は壊滅は無かったと言った。』

「はい。」

『そこで本音が出た。』

「?」

『お前はどうやってグレートアーク級艦隊がこの戦場で壊滅する事を知った?念視や先視だけでは全体を把握出来ないだろう?』

「…(あ。」

『…お前はこうなる事を事前に知っていたと言う事だ。』

「…」

『グレートアーク級の壊滅が無かった事でお前は何処か安心していた。』

「それだけですか?」

『お前は何かしらの方法で艦隊が必ず無事である事を知った、それにこの戦場でグレートアーク級艦隊が壊滅をする事を知るのは転生の記憶を持つ者だけだ。』

「…(失言だ。」

 

 

ああ、こう言う性格で少ない情報で真実に辿り着く人だって事を忘れていました。

 

私も爪が甘い。

 

一番厄介な人物に情報を与えてしまったか…

 

けれども、言うべきか?

 

話せば災厄の脅威に晒される。

 

災厄はずっと私を監視し続けている。

 

なのに…

 

また私の一言で誰かを巻き込もうとしている。

 

 

『ハスミ、お前は俺達の敵なのか?』

「違います!」

 

 

私は貴方達の敵じゃない。

 

そう言いたい。

 

だけど…

 

だけど!

 

 

『…』

「ある話です『少女が魔王となった切っ掛け』は何だったのでしょうか?」

『それは?』

「その小説を探してください、それが答えに繋がります。」

『ハスミ…』

「そろそろ時間です、配置に戻ります。」

 

 

私は通信を切ると泣いてしまった。

 

本当の事を伝えたい。

 

だけど、伝える事が出来ない。

 

ごめんなさい。

 

ごめんなさい。

 

 

******

 

 

あの話は私の前の世界での生涯とその後の願いを御伽噺風に綴ったものだ。

 

あの話の教訓は嘘は付けない、いずれ暴かれると言うものである。

 

そして掟は必ず守らなければ罰が待ち受ける。

 

例えに利用するには十分な題材である。

 

 

「…(考えるのは止めよう、もうホワイトスターに着く。」

 

 

今度はリュウセイ達の手助けをしなければならない。

 

次も助けるとそう決めた。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

周辺の敵は赤いヴァルシオン率いる強力な援軍によって一掃され、ノードゥスは半分に別れる必要はなくなった。

 

ホワイトスターの障壁を破る為にノードゥスの艦隊が集結。

 

トリはSRXチームのSRXとR-GUNパワード。

 

そして障壁を破壊する為にジガンスクードとクロガネ、ハガネ、ヒリュウ改が配置に着いた。

 

だが…

 

動揺していた私はイングラムの罠により結界に取り込まれる史実に気が付く事が出来ずに…

 

失態をまた犯してしまった。

 

そしてタスクが障壁を破壊する為に無理をし過ぎて戦線を離脱する結果を作った。

 

レオナには嫌な思いをさせてしまった。

 

ごめんなさい。

 

私達は迎え撃つ雑魚と隔壁を破壊しつつホワイトスターの最深部に突入した。

 

そこにあったのは…

 

 

「空に草原?」

 

 

地球の環境に酷似した場所。

 

けれども、私はこの光景を知っている。

 

モノクロのページとカラフルな液晶画面の中でだけど。

 

ここは奴らが地球人を繋ぐ牢獄だから…

 

 

「ようこそ、地球人種よ。」

 

 

銀色の髪に独特の赤いタトゥーを付けた男性が鎮座していた。

 

ラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォ。

 

ゴッツォ家によって創り出されたハイブリットヒューマンの一体。

 

彼自身はその事実を知らないだろう。

 

彼もまた人形だから…

 

 

「我が名はラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォ、この自動要塞ネビーイームを統べる者。」

 

 

やはり、レビの代わりがラオデキヤ。

 

そして裏で操っているのはユーゼス。

 

だけど、その姿は無い。

 

当の本人は高みの見物だろうか?

 

 

「…(奴がリュウセイの話していたゴッゾォの創り出した人形か。」

「…(何度か問いかけをしているがこいつから答えが聞ける状態じゃない、これがな。」

 

 

他のメンバーが問いかけを行うが、聞けるのはレビの…OGと同じ事だけだった。

 

答える必要はないと…

 

元々答えるべき真実を知らない以上、これ以上の詮索は出来ない。

 

本当に厄介だわ。

 

 

「貴様達に許されるのは我らの元に仕える事のみ、答えよ…我らの軍門に下るのか?」

「断る!」

 

 

ラオデキヤの問いに答えるキョウスケ。

 

それは拒絶。

 

 

「俺達は貴様らの手鼻を挫く為にここまで来た。」

「俺達は屈しない。」

「貴様達は踏み入れてはならぬ地へ訪れたのだ。」

 

 

 

アクセルが、アムロが、クワトロが。

 

 

「人を人形の様に扱うお前達の好きにさせてたまるか!」

「我々はどんな事があろうとも抗う覚悟は出来ている!」

「俺達にもやるべき事が残されている!」

「ここで立ち止まる訳には行かないんでね。」

 

 

コウが、ガトーが、D兄弟が。

 

 

「僕達は貴方に立ち向かう。」

「そうだ、これ以上の好きにはさせない!」

「目標が目処前に現れてくれたんでね、やらせて貰うぜ!」

「地球だけじゃない、他の星々を解放する為に!」

 

 

シンジが、アキトが、ジョウが、エイジが。

 

 

「ラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォ…ここが貴様達エアロゲイターの墓標だ!」

「地球へ攻め込んだその罪、償って貰おう!」

「倍返しの時だぜ!」

「犠牲者を出させる訳には行かない!」

 

 

ドモンが、シュバルツが、マサキ、ラウルが。

 

侵略者への反攻の意思を伝える。

 

 

「この期に及んでも…まだ自らを篩にかけるか?」

 

 

ラオデキヤは座席から立ち上がるとそのマントを翻した。

 

 

「よかろう、この時を持って我らの審判をその身に受けるがよい。」

 

 

空間内の隔壁が開閉し現れた機動兵器。

 

その名はズフィルード。

 

人の形を象ったネビーイームを守護する門番。

 

 

「…(真の審判はまだ始まっていない、貴方はその前座に過ぎない。」

 

 

それぞれが倒すべき相手に銃口を向けた。

 

 

******

 

 

「くっ!」

「イングラムっ!!」

「…(SRXの機動性能ではリヴァーレに追いつける筈が…!」

「俺はアンタのツラに一発ぶち込む……そしてアヤ達の前で土下座させてやる!!」

「やれるものな…がぁ!?」

「やれるものじゃない、やってやるんだよ!!」

 

 

ホワイトスター内部でズフィルードと共に現れたR-GUNリヴァーレと交戦するSRX。

 

機動性ではリヴァーレの方に利があるが、リュウセイはそれを見通してザインナックルをリヴァーレに叩き込んだ。

 

転生の記憶を持ったリュウセイの念はイングラムが想定していた以上に成長を遂げていた。

 

それは数々の修羅場を潜り抜けて来た彼らだからこそ成し得る事だった。

 

 

「レビ、ヴィレッタ、やはり裏切ったか…」

「私の名はマイ・コバヤシだ…ユーゼス!」

「貴方には随分と苦渋を舐めさせられ続けられたわ…」

「ふん、レビよ…それが偽りの名であってもか?」

「それでも私はアヤの妹、マイ・コバヤシだ!!」

「マイも私も前に進む、お前達を倒す事で!」

 

 

ユーゼスのジュデッカにR-GUNパワードとビルドシュバインを中心に攻撃を仕掛けていた。

 

そして私もまた、奴と交戦を開始した。

 

 

「地球人如きが…!?」

「どうだろうか、その見解は?」

「何だと?」

「貴方の様な人形遣いに話す事は無い。」

 

 

お義父さんやジェニファー達を操ってくれた事、忘れたとは言わせない!

 

ユーゼス・ゴッツォ。

 

貴方も倒して見せる。

 

 

「貴様か、アウレフを通じて監視していたが……よもや貴様こそが最も危険で有用な存在だったか。」

「…」

「レビが戻らぬ以上、貴様を捕らえ…ジュデッカのコアにしてやろう。」

「お断りよ!」

「…(あの愚帝を思わせる念、排除すべきと思ったが傀儡として使役する方が得策と言えよう。」

 

 

我らの母星に存在した黒の死海文書。

 

対成す様に地球に存在した白の死海文書。

 

その二つを合わせる事である真実を語っていると思われた。

 

だが、違った。

 

死海文書は二つではない。

 

四つに分かれていたのだ。

 

残りの二つ。

 

記述に残されていた紅の死海文書と蒼の死海文書。

 

それらを奴らより早期に見つけ出さねば…

 

 

「…(ジュデッカのコアは完全に破壊しないとアレが起動してしまう。」

「ハスミ、援護有難う。」

「いえ、それよりも…奴を倒さないと!」

「うん、ユーゼスを放っておく訳にはいかない。」

「マイ、ヴィレッタ大尉、私達が援護します。」

「判った。」

「任せるわ。」

「ロサ、一気に詰めるよ!」

「了解です!」

 

 

後は奴の行動パターンを思い出して戦うだけ。

 

予行演習無しの一度きり。

 

油断はしない。

 

ここで終わる訳にはいかない。

 

キョウスケ中尉、皆さん。

 

ラオデキヤの相手を頼みます。

 

私はここで奴を食い止めます。

 

それがこの先の未来に関わる事でも…

 

 

******

 

 

「…(ドモンやリュウセイから聞いていたが、厄介な相手だな。」

 

 

奴の機体に搭載されているズフィルードクリスタル。

 

その大元は今もアイドネウス島に眠っている。

 

あの時はシュウ・シラカワの手によって大気圏外に転移させた事で事無きを得たが…

 

今度はどう転ぶか。

 

マサキは考えがあると言っていたが…

 

兎に角、奴を倒さなければ話にならん!

 

 

「ふっ、やはりお前達は他の地球人種と異なり予想を超える戦力を…」

 

 

ズフィルートの攻撃の際に現れる影。

 

かつて前世で戦った機械仕掛けの神の姿。

 

それは女性的だったり男性的だったりと姿を変えて現れる。

 

その正体を知る者はその光景を思い出す。

 

ナシムとゲベルの名を…

 

 

「その台詞は聞き飽きたぜ!」

「!?」

「お前達が俺達を成長させ自身の手駒として利用する事は既に解っていた。」

「だが、貴様達はこの時点で失態を犯している。」

「俺達がお前達を超える戦力を手に入れてしまうと言う失態をな…!」

 

 

ズフィルードに目掛け、それぞれの必殺技が炸裂する。

 

燃え上がる不死鳥が、鉄杭と鉛のオンパレードが、蒼き麒麟の一撃が。

 

それらがズフィルードを貫いた。

 

爆炎を上げつつ朽ち果てる機体へ言葉を送る。

 

 

「お前達の事だ…この時点でそれを覆す策でもあるのだろう?」

「…だとしたら?」

「悪いが既にその対策はこちら側で用意済みだ。」

「シュウ、用意は出来ているんだろう!」

 

 

『やれやれ、人使いが荒いですね。』

 

 

******

 

 

地球、アイドネウス島にて。

 

 

「ですが、奴らに復讐が出来るのならお手伝いしますよ。」

 

 

島の中心部より打ち上げられるメテオ3。

 

 

「以前の様な後出しにはなりませんよ?」

 

 

最後の審判者が宇宙へと転移する。

 

早期決戦はこれから始まる。

 

 

「さて、私も決戦の場へ赴きましょう。」

 

 

蒼き魔神もまた宇宙へと舞台を移した。

 

 

=続=

 




母なる大地に眠る悪夢。

それは星を滅ぼす災厄。

危機を察して集結する人類。

志は一つ。

次回、幻影のエトランゼ・第一三話『審判《セプタギン》』

可能性は目処前に。


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第一三話 『審判《セプタギン》』

シナリオは覆される。

その先にある変わりつつある未来と世界に。

どんな事が待ち受けようとも。

突き進め。

歩みを止めるな。

それが一筋の希望だとしても…



ホワイトスター最深部にて。

 

激戦を繰り返すノードゥスの部隊。

 

そして一つの決着が終わろうとしていた。

 

 

******

 

 

「馬鹿な…」

 

 

紫の番人が敗れ、黒の地獄もまた地に堕ちた。

 

 

「これで終わりだ、ユーゼス。」

「私達の運命を弄んだ罪、ここで償いなさい!」

「この様な事が…あって!!」

 

 

ジュデッカの再生機構が損傷し蓄積されたダメージによって機体は悲鳴を上げていた。

 

所々で起こる爆発と火花。

 

そのまま逃げる事も出来ただろう。

 

 

「こ、のままでは…!」

『侵略者が潰える歴史は常に繰り返させる。』

「何が…言いたい?」

『アプローチの仕方次第で未来を変える事も出来た筈と言う事よ。』

「…」

『貴方が目指そうとした未来がどんなモノなのかは分からない、それでも歪んだ犠牲の上で成り立つ未来からは何も得られない。』

「では、如何すれ…ば…良かったのだ?」

『互いに逢いより言葉を交わす事から始めればよかったのよ。』

 

 

誰もが知る言葉と言葉。

 

通じ合う事が出来ないかもしれない。

 

それでも何かで伝える事が出来るかもしれない。

 

相手に悪意があれば立ち向かい。

 

共に歩むのなら手を取り合えばいい。

 

小さな子供でも出来る事。

 

 

「ふ、甘いな。」

 

 

仮面の支配者は最後の言葉を送った。

 

 

「ハスミ・クジョウ。」

『…』

「地獄の底からお前達を嘲笑おう、愚かな選択をし続けるお前達をな…!」

 

 

その言葉を最後に黒いジュデッカは爆散した。

 

コアも損傷し跡形もなく砕け散った。

 

 

「これで終わればいいけど…」

「ハスミ。」

「ロサ…」

「本当に良かったの?」

「もう説得が出来ないまでに歪んでしまっていた、例え救ったとしても遺恨を残すだけよ。」

「…」

「相寄れない時もあるって事ね。」

 

 

正直、私の中でカーウァイお義父さんを苦しめた事で枷になっていた。

 

だから説得は出来なかった。

 

心の何処かでユルサナイと言う想いがあったからだ。

 

手を取り合いたいと願った。

 

だけど、それもここでは出来なかった。

 

このユーゼスにはかつて世界の為に戦おうとした意思は無かったからだ。

 

全ては己の欲望の為に澱み切った意思は覆す事は出来ない。

 

これが私の出来る限界だ。

 

 

******

 

 

一方SRXチームは…

 

 

「少佐、イングラム少佐…!」

「アヤ…」

「少佐!」

「ようやくお目覚めですか?」

「お前達、どうして…」

「枷は外れたみたいね。」

「ヴィレッタ。」

「あの子達に感謝しなさい、命掛けで貴方を救おうとしたのだから。」

 

 

イングラムが周囲を見渡すと集まっていたSRXチームの面々とボロボロになったSRX、無残に破壊されたR-GUNリヴァーレの残骸が目に映った。

 

目元に涙を溜めていたアヤは自身を抱きしめ、他のメンバーは安堵した表情でこちらを見ていた。

 

本来なら死ぬ事で解放される筈だったが、それらが覆された。

 

付けられた枷の気配はない。

 

消えている、何故だ?

 

 

「…(まさか?」

 

 

俺はリュウセイを見た。

 

それに気が付いたリュウセイは相槌の様に笑い返した。

 

それが何を意味するのか判らない。

 

だが、この時に感謝しなければならない。

 

もう一度、お前達と共に歩めると言う事を…

 

 

「イングラム少佐、今後の事ですが…」

「…」

「貴方はエアロゲイターに洗脳されていたと言う事で通してあります。」

「ライ…!」

「これはSRXチーム全員の総意です。」

「だが、俺は…」

「散々自分達を引っ掻き回したのです、その対価は体で払って貰うと言う事になりました。」

「それでいいのか?」

 

 

SRXチームは皆それを了承した。

 

それぞれがその証の言葉をかけた。

 

 

『リュウセイ、一大事だ!!』

「キョウスケ、どうしたんだ!?」

『メテオ3が起動を開始した。』

「何だって…!?」

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

ホワイトスターの守護者達を倒した後…

 

コアを失ったメテオ3ことセプタギンを破壊する事で全ては終わる筈だった。

 

しかし、ここでもシナリオは覆されたのだ。

 

 

「では、メテオ3は元々エアロゲイターが所持していた惑星殲滅兵器だったと?」

『その通りだ、それに気が付いた我々は何度かメテオ3の破壊方法を模索していた。』

 

 

合流したビアン博士から語られた真実。

 

メテオ3の正体はエアロゲイターが何かしらの状況で壊滅した場合に動き出す惑星殲滅兵器。

 

そしてその起動コアがないものの別の方法で起動してしまった。

 

恐らくは何かの安全装置が働いた可能性があるとの事だった。

 

このままでは地球圏が壊滅。

 

人類滅亡は免れないとの事だ。

 

 

「しかし、今になって何故?」

『メテオ3の正体を知ったワシらを狙う輩が現れた為に身動きが取れん状況だった。』

 

 

真実を知る者の口を封じる為に幾度もその命を狙われていた。

 

その為、ビアン博士を始めとした数名は姿を隠す必要があったのである。

 

 

『このまま放置すれば人類に未来はない。』

「しかし、ホワイトスター戦で疲弊した現在の戦力では…」

『言った筈だ、人類に未来はない…それは地球もコロニーも同じ事だ!!』

 

 

ビアン博士の言葉はオービタルリングの衛星通信で地球全土、コロニー群に届いていた。

 

 

『これは人類存続の為の戦い、臆するな諍いあった者達よ…この言葉に賛同するならばこの地に集え!!』

 

 

そして願いの言葉は届いたのだ。

 

かつて敵対していた者達が、枷に繋がれていた異星人達が、地球を守護していた勇者達が。

 

宇宙に集い始めたのだ。

 

 

******

 

 

この光景に私は涙した。

 

手を取り合えなかった筈の人々が手を取り合ったのだ。

 

これは一時かもしれない。

 

それでもこの奇跡に感謝したい。

 

 

「もう一息だ!」

 

 

ノードゥスはセプタギンに向かって追撃を開始した。

 

ホワイトスター戦で使用されなかった艦隊の核兵装をセプタギンへ発射。

 

ある程度のダメージを与え、残りの兵力で殲滅させる。

 

いつもと同じ手であるが、他に方法が無い以上…

 

致し方ない。

 

 

「何ともまあ敵さんも大きいくす玉を用意してくれちゃったわね。」

「隕石だと思いますけど?」

「兎も角、俺達で出来るだけ破壊するぞ。」

「敵は強大にして一体、いざ行かん!!」

「了解!」

 

 

 

セプタギンに向かって行くノードゥス。

 

大火力で迫りくる結晶の嵐を掻い潜り、攻撃を加えて行く。

 

しかし、最深部までには届かず停滞している。

 

 

 

「ちっ、相変わらず堅いな。」

「減らず口を叩いている暇があるのなら攻撃を続行したらどうですか?」

「へっ、言われるまでもねえぜ!」

 

 

合流したグランゾンのワームスマッシャーが周囲の結晶群を蹴散らし、サイバスターが斬り裂く。

 

疲弊する体と機体に鞭を打ち、攻撃を加えて行く。

 

どんなに困難でもその先の未来を勝ち取る為に。

 

そして宇宙に声が響いた。

 

 

 

『テトラクテゥス・グラマトン』

 

 

 

現れたのは半壊に近いSRXと大破した筈のR-GUNリヴァーレ。

 

二つの機体が呪文と共に融合した。

 

SRXの巨体とR-GUNリヴァーレの特性を持ち合わせた機体。

 

その名はSRXリヴァーレ。

 

 

「リュウセイ、長くは持たん…一度きりだ。」

「判ったぜ。」

 

 

R-GUNリヴァーレの必殺技。

 

因果地平の彼方へ送る一撃。

 

 

 

「「「「「「アキシオン・バスタぁああああ!!!」」」」」」

 

 

 

展開された魔方陣の中で崩壊し続けるセプタギン。

 

それを好機にノードゥスのメンバーも更なる攻撃を開始する。

 

最後の審判者は覆されたシナリオで覚醒したがその稼働時間は僅かだった。

 

崩壊する審判者を最後に…

 

人類は滅亡の脅威から生還。

 

そしてエアロゲイターとの戦いに勝利したのだった。

 

 

=続=

 

 




一つの戦いに終止符が打たれた。

ある者は戦場を退き。

ある者は戦う事を決意する。

『希望』は拡散し『未来』へと紡がれる。


次回、幻影のエトランゼ・第十四話『後日《ゴジツ》』


今は一時の安らぎを。




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第十四話 『後日《ゴジツ》』

白き魔星での戦いは終わった。

だが、災厄が過ぎ去った訳ではない。

これは次の戦いまでの記録。



ホワイトスターとの総力戦。

 

この戦いは『L5戦役』と呼ばれ、一時的だが民衆を騒がせた。

 

この戦いを切っ掛けに地球連邦軍は各勢力と和解し地球連合政府を設立。

 

その政府には各勢力の現在の主である人物達が肩を並べる事で調和を保つ事となった。

 

だが、この政策を良く思わない輩やこれを期に漁夫の利を得ようとする輩も少なくない。

 

そんな毒物はホルトゥスのメンバーによって処理され毒を出す事は無かった。

 

その後に起こったホワイトファングやOZ残党による小競り合いや妖魔帝国と決着。

 

L5宙域に自治権を置くコーディネーター主体のコロニー国家『プラント』の出現。

 

新たな異星人の出現。

 

起こるべきシナリオは早期に始まりつつあったのだ。

 

 

******

 

 

L5戦役から数週間後。

 

L5戦役の勝利を祝して祝勝パーティが行われた。

 

このパーティ後、軍を去る者、続ける者、新天地へ赴く者と別れる事になっている。

 

流れ通りにバニーちゃんはさせられました。

 

ちなみに祝勝パーティに参加していたハマーン様がバニースーツを見て『いいモノだな。』とボソリと呟いていたのは気のせいと思いたいです。

 

ツインテール時代のハマーン様も可愛かったですけどね。

 

テンペスト&カーウァイWお義父さんとビアン博士が自分の娘のバニーガール姿に後光から閻魔様が出ていた事は教えるつもりはないので…

 

エクセレン少尉がどうなったかは不明である。

 

それはさておき。

 

おめでた組が二組程いたのでそのお祝いを兼ねている。

 

ジャータさんとガーネットさん、シローさんとアイナさんのカップルである。

 

二組は子育てに専念したいとの事で退役する事となった。

 

ジャータさん達は浅草へ、シローさん達はカナダへ新居を構える予定である。

 

それを聞きつけたシャイン皇女が二組にご懐妊祝いと称して新居をプレゼントしていた。

 

さすが皇族、新居すらプレゼント出来るとは…

 

それよりもノリスさん、ホールの隅っこで苔を生やさないでください。

 

カーウァイお義父さんとジェニファーは地球へ降りた後、JUDAコーポレーション系列の病院で治療に専念する事になった。

 

カーウァイお義父さんの身体は半分が機械化していたので通常生活するにしても支障があった。

 

その治療とリハビリをする事となった。

 

JUDAでは再生治療と言う最先端医療が確立しつつある。

 

そのモニターをする条件で受けさせて貰える事となった。

 

私の親権については引き続きテンペスト少佐が持つ事に決定。

 

一番必要な時に居る事が出来なかった為だと話していた。

 

私は何も言えなかった。

 

 

******

 

 

それから更に数週間後。

 

大雑把であるが地球で活動する者、地球近海で活動する者、外宇宙へ向かう者に別れた。

 

 

外宇宙へはマクロス艦隊を中心とした部隊。

 

そこへトップレス、エルシャンク、ダンガイオーチーム、SPTチームが便乗する形となった。

 

以外にも超電磁チームもこれに加わる事となった。

 

どうやら火星での一件が絡んでいるらしい。

 

 

地球近海はヒリュウ改、ラーカイラムの部隊、アルビオン隊などのUCガンダム組などである。

 

シーブックとセシリーはコスモバビロニア思想の廃止を掲げる為に木星へと旅立った。

 

同時にイカロス基地の修復へジュドー達が向かう事になった。

 

稼ぎ場所があるなら飛んでいくと言うのは彼ららしい発想である。

 

ちなみにプルとプルツーも一緒に行くとの事である。

 

ヒイロ達はOZ壊滅後、それぞれが行方不明となった。

 

色々とあるのだろう。

 

ウッソ達はカサレリアへ戻り、それ以外は地球連合軍へと組み込まれる事となった。

 

リョウト達は結局軍に残る事になり、月のマオ社へ出向。

 

タスク達はヒリュウ改にて地球近海の警備へ。

 

 

地球ではお察しの通りスーパーロボット組、ハガネ、クロガネである。

 

スーパーロボット組は各地への復興の手伝い。

 

国際警察組は元の居場所へ。

 

スペースナイツは地上で発見されたラダム樹の調査へ。

 

ナデシコは解体され、それぞれがしていた仕事に戻って行った。

 

アキトさんはユリカ艦長との結婚を許して貰う為にラーメン修行へ。

 

ドモンさん達は地球へ散らばったDG細胞の欠片の調査の為、一度アイドネウス島へ。

 

SRXチームは特脳研とテスラ研を交互に行き来する形となった。

 

イングラム少佐は事が事なのでしばらくは謹慎措置が決定。

 

ブリッドとクスハは超機人の調査の為にテスラ研へ。

 

カーラ達は引き続き、クロガネに搭乗しエルザム少佐の指揮下に。

 

ラウルさん達は色々と問題あるのでクロガネ預かりとなった。

 

アクセルさんは本人の希望で軍に所属、そのままATXチームへ配属された。

 

今後の事もあり、自身の素性を明かした上での決断との事だ。

 

ラトゥーニは戦技教導隊へ配属、ジャータさん達が抜けた欠員に彼女と同じ同郷の仲間達が加わる事となった。

 

テンペストお義父さんはギリアム少佐と共に諜報部へ

 

私はキョウスケ中尉達と共に引き続きATXチームで戦う事にした。

 

時々、国際警察機構へ出向する事もありますが…

 

全ての戦いが終わった訳じゃない。

 

始まったばかりなのだから…

 

 

******

 

 

未だ合流を果たしていない勇者チーム。

 

彼らは母星解放の目処が経っていないので引き続き地球へ残る事となった。

 

一部は諸事情で表舞台から消えたり、別行動をしているとブルーロータスから連絡を受けた。

 

GGGもようやく活動の目処が経ったのでそろそろ例の奴らと鉢合せの時が来るだろう。

 

一月頃にガルファが月の防衛戦線外を掌握、GEARが本格的に行動を開始した。

 

パイロットは察しの通りである。

 

また同じく土星軌道上へ新たな異星人が襲来。

 

現在の所、動きは見せていない状態だ。

 

光達は無事に転移した時間軸へ帰還。

 

今は動きを見せない様にしている。

 

把握出来ている事はこれが全てである。

 

次のシナリオは転移騒動と異界騒動である。

 

気を抜く事は出来ない。

 

 

******

 

 

「ねえ、ハスミ。」

「ん?」

「結局、キョウスケ中尉には本当の事を話したの?」

「話したと言うよりはヒントをあげただけよ。」

「ヒント?」

「理由はどうであれ、私はアカシックレコードとの契約で本当の事を話せない。」

「そうだよね。」

「でもね、この契約には抜けている所があるのよ。」

「へ?」

「直接話す事が出来なくてもヒント程度の記述は許されているって事よ。」

「…そ、そうなんだ。」

「綺麗事だけじゃ世界は救えないもの。」

 

 

北米ラングレー基地へ転属となった私達は次の戦闘まで待機の間。

 

少しながら会話をしていた。

 

私はハスミの事が心配だ。

 

かつてDGとして活動していた時にDG細胞を通して視たあの記憶。

 

あれが真実ならば、ハスミの抱える闇はとても深い。

 

救った光に支えられ、強大な闇に立ち向かう。

 

ハスミはそれでバランスを取っている。

 

きっとセフィーロで手に入れた力もそれが由来だって思った。

 

ハスミはこれからどんな選択を強いられるのだろう。

 

私はずっとハスミを支えると決めた。

 

その選択次第では仲間を裏切る事になるかもしれない。

 

それでも私はハスミと一緒にいる事を望んだ。

 

 

『総員、第一種戦闘配備!繰り返す…』

 

 

「ロサ、出撃よ。」

「了解です。」

 

 

=第一章・完=

 

 

 




強大な闇、争い、異変。

新たなる戦いの幕開け。

予兆の果てに世界は斬り裂かれる。


次回、幻影のエトランゼ・第二章『異界ノ詩篇』


世界を揺るがす異変の影は全てを覆い尽くす。


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二章予告

白き魔星の脅威は去った。

だが、闇に蠢く者達の姿が消え去った訳ではない。

流れは新たな災厄を呼び込む。


世界の流れは時として新たな流れを呼び込む。

 

 

 

=血のバレンタイン=

 

 

 

「何者かが連合軍のタカ派を先導しプラントに核攻撃を開始したのです。」

「何だと?」

「我々ホルトゥスもその妨害の為、行動を開始します…どうか鏡に映る影にお気を付けて。」

 

 

 

地球を揺るがす惑星規模の異常気象。

 

 

=惑星断裂現象=

 

 

「地球との交信が途絶しました!」

「あれは一体!?」

「…(あれこそが太古の地球の姿か。」

 

 

 

新たな次元からの転移者達。

 

 

 

=アストラギウス銀河=

 

 

「俺が危険視している奴らの名は御使い…」

「御使い?」

「天使の名を語ったエゴイストの象徴とも言える。」

 

 

 

=惑星アースト=

 

 

「僕らがここに転移した理由がまだ何かありそうな気がするんだ。」

「そう…」

「元の世界に戻れる保証がないかもしれないけど、いつか帰れる日の為にやってみるよ。」

 

 

=惑星セフィーロ=

 

 

 

「人々の混乱と恐怖の意思により闇の女王が産まれました。」

「…(恐れていた事が現実になるなんて。」

「その者の名は…」

 

 

 

地球に浸透する百鬼夜行の存在。

 

 

=魔族襲来=

 

 

「あらあら随分と躍起になってるわね?」

「さっさと御退場願おうか、このオカマ野郎!!」

「声が似ている分、どうもややこしいのでございますです。」

 

 

=純粋なる存在=

 

 

「私達は扉を開きたいのです。」

「扉?」

「そう、彼の者を呼び寄せる為にでしてよ?」

 

 

 

新たなる異星人の侵攻。

 

 

 

=監査官到来=

 

 

「貴様ら下等生物の墓場と知れ!」

「それはこちらのセリフだ!」

「はいはい、坊主さんは引っ込んでなさいってね!」

 

 

 

=ゾンダー出現=

 

 

 

「屈するがいい、心弱き者どもよ。」

「俺達は屈しない、勇気ある限り!!」

「炎より蘇った不死鳥を甘く見るな!」

 

 

 

各地で蜂起するそれぞれの正義と悪意の意思。

 

 

 

「これもまた一つの戦いか…」

 

 

 

「私達の出番だね。」

 

 

 

「もうあんな悲劇は繰り返させない。」

 

 

 

「不本意であるが我らBF団は貴様達との共闘を望んでいる。」

 

 

 

「ザ・クラッシャーって言いやがったのは誰だ!」

 

 

 

「光、私の声が聞こえる?」

 

 

 

 

「ラダム、お前達の好きにはさせん!」

 

 

 

「敗者と化した私が仮面を被る時が来るとは…」

 

 

 

「オーガン、貴方の意思はオレが継ぐ!」

 

 

 

「地球を守護する為に僕らバラルも人肌脱ごうかな?」

 

 

 

「新たなDG細胞だと…!?」

 

 

 

「キョウスケお迎えに来ましたの。」

 

 

 

「抗う、そしてこの先の未来を勝ち取る為に!!」

 

 

 

「お目覚めですか?アシュラヤー様。」

 

 

 

「戦い合う運命はここで断ち切る!!」

 

 

次回、幻影のエトランゼ・第二章『異界ノ詩篇』。

 

 

 




新たなるシナリオと事象は更なる混乱と悲劇を招く。

抗う為の希望は前世の記憶と己の力量のみ。


「これがお前達の仕組んだゲームか、無限力っ!!」


次回、幻影のエトランゼ・第一五話 『波乱《ハラン》』


新たなる戦いの幕開けは血染めの日より始まる。


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異界ノ詩篇 第一五話 『波乱《ハラン》』

再び、戦いの火蓋は開かれる。

それは静かにゆっくりと…




『L5戦役』から早四か月。

 

地球連合政府設立と同時に厳正な投票によって大統領の就任式が行われた。

 

地球連合政府代表・ブライアン・ミッドクリッド大統領は新たなる異星人の再来と危険性を説き、今後の太陽系防衛戦線の強化と異星人難民の受け入れを検討すると主張。

 

この異星人難民についてはラドリオ星の皇女であるロミナ姫を筆頭とした異星人の方達の事である。

 

一部はマクロス艦隊と共に旅立って行ったが、残る者は今後の外部侵略者の情報と戦力を提供。

 

それはお堅い頭の連中を納得させる為の口実として使わざる負えなかった。

 

 

イージスの盾か…

 

ハルパーの鎌か…

 

どちらに転んでもこの戦いは起きるのだ。

 

それが無限力が提示した今回の遊戯だ…

 

余りにも腹が煮えくり返る答え方だった。

 

 

******

 

 

アメリカ大陸、テキサス州に近い荒野エリアにて。

 

 

『各機へ、戦闘中のオセロ小隊が敵の機動中隊に押されている。』

 

 

戦艦のカタパルトデッキの起動音と共に通信が入る。

 

 

『エクセレン、先行してオセロ小隊の護衛を頼む。』

「OKよ、キョウスケ。」

『アサルト2、どうぞ。』

 

 

オペレーターの合図と共にヴァイスリッターは出撃した。

 

今回の敵はAnti・DCの残党。

 

ホワイトスター戦後にビアン博士と連合軍の介入によって残党の大部分は解体されたが、それをよしとしない連中の集まりである。

 

未だ、自分達こそが正義と思い込んでいるのだ。

 

 

「フン、地球連合のウジ虫共め…我らAnti・DCが健在である事を思い知らせてやる!」

「た、隊長!?」

 

 

空中で陣を取るガーリオンの部隊。

 

しかし、その一機が長距離射撃によって撃墜されたのだ。

 

「直上からの射撃だと!」

『はいはい、一列に並んでね。』

 

同じ様に長距離射撃によって二機、三機と撃墜されていった。

 

地上ではランドリオンとバレリオンの敵混成部隊が進軍していたが、それらも壊滅の危機に瀕していた。

 

赤き衝撃と青き閃光が敵陣に突撃し、敵を翻弄。

 

撃ち漏らした敵機体を後方から追撃してきたカーキ色のヒュッケバインモドキが撃墜していた。

 

 

『ハスミ、先行配備された量産型の調子はどうだ?』

「安定していて扱いやすいですが、やはり馬力はヒュッケよりも落ちますね。」

『量産型だからな、本来ならブリッドに任せるつもりだったが…』

「仕方ありません、ブリッドはクスハと共に超機人の一件でテスラ研へ出向中ですから。」

『そのブリッド達も数日前に超機人に似た機動兵器と1戦交えて動けない状態だ。』

「本当に…二人とも無事でよかったです。(孫光龍の早期復活のせいで妖機人の活動を早める事になってしまうとは、『おのれ無限力め!』と言いたい。」

 

 

私はマオ社より納機されATXチームに先行配備された量産型ヒュッケバインmk-Ⅱに搭乗している。

 

データ収集の為とはいえ、愛機から降りるのは少し心細い。

 

私の愛機であるガーリオンC・タイプTは現在ロサが搭乗し行動している。

 

今はエクセレン少尉と共に空を散歩中である。

 

「艦長、敵部隊の壊滅を確認…敵母艦の機影は確認出来ません。」

「判った、各機シロガネへ帰投せよ。」

 

戦死者は出ていないものの、損害を受けたオセロ小隊は後続部隊と合流しラングレー基地へ帰還。

 

私達は引き続き、警戒任務に戻った。

 

 

******

 

 

今回の戦闘報告書を各自提出し一息ついた頃。

 

 

「今月に入って連中の襲撃回数、何件目よ?」

「今回を合わせて68回目ですね。」

「何だか多くない?」

「主に連邦政府から連合政府に代わったのが原因ですね。」

「でしょうね。」

 

 

早期による地球連合政府設立は大きな波紋を呼んだ。

 

この政策に人類全てが同意する訳ではない。

 

ごく一部がこの様に反乱や紛争を起こしているのだ。

 

だが、そうせざる負えない状況に近々なるのだから仕方がない。

 

そんな複雑な想いを巡らせる私、そしてエクセレン少尉は分隊室のソファーで項垂れながら文句を続けていた。

 

 

「東海岸から西海岸を右往左往する身にもなりなさいよ。」

「敵がこっちの都合を考えてくれる筈も無いと思いますけどね。」

「それ言っちゃう?」

「ブリッドが居ない分、突っつく相手がいないからと私まで巻き込まないで下さい。」

「ハスミちゃんってば毒が出てるわよ。」

「事実を話したまでです。」

 

 

毎度の事ながらエクセレン少尉の相手をしていたブリッドの胃がよく無事だった事を称賛したい。

 

それはさておき。

 

今回の戦いからインスペクターやアインストが本格的に活動を開始する。

 

既にガルファ、鉄甲龍、百鬼帝国、イバリューダーまでもが活動を開始している状況だ。

 

そして二月十四日に起こったプラントへの核攻撃未遂事件。

 

これはバイオネット、アマルガム、シャドウミラーによる同盟とそれに同調したタカ派連合軍の一派による介入である。

 

バイオネットとアマルガムはホルトゥスの介入で活動すらままならない位の大打撃をL5戦役時に与えていたのだが…

 

シャドウミラーの出現によって今回の戦いから少しずつではあるが参戦の兆しを見せていた。

 

おまけにこの件にイスルギ重工も一枚噛んでいると来た。

 

あの女狐、少し痛い目を見ないと判らんものかな?

 

例のナマズ髭にはしばらく道化を演じて貰うし無論手は打ってある。

 

ナマズ髭には後の事件で役に立って貰わなければならない。

 

某銀行員の如く『倍返しだ!』をするつもりである。

 

 

******

 

 

次の命令があるまで自室に籠る事にした。

 

勿論、隊の訓練メニューとその他の提出書類を仕上げてからである。

 

この辺は前世のワーカーホリック癖が出ているのでどうしようもない。

 

因みに自室に籠ったのには理由がある。

 

ある場所へ連絡を取る為だ。

 

 

『おや、珍しいですね…君から連絡を寄こすとは?』

「お久しぶりです、小父様。」

『お久しぶりですね、ハスミ君。』

「少し込み合った話になるのですが…お時間は宜しいですか?」

『構いませんよ、君もそれを見通して連絡したのでしょう?』

「はい、現国防産業連合理事の小父様も多忙の身ですし…無理強いは出来ないと思いましたからね。」

『色々とね、君が教えてくれた『鏡に映る影』共とあのオカマ君や女狐さんのおかげでこちらの市場を荒らされて困っているよ。』

「やはりですか…」

『こちらでも手を打って置きましたが、どこまで介入出来るかは現状では不明ですね。』

「相変わらず用意周到で…」

『備えあれば患いなし…君の母君が良く仰っていた事ですよ。』

 

 

電話相手はお察しの通り、あの方である。

 

実は幼少の頃、母の葬式の際に御爺様の伝手で顔合わせをしている。

 

小父様が母の学生時代からの後輩だった事に驚きを隠せないのだが…

 

その関係から九浄家の財産並びに遺産管理をして頂いている。

 

ちなみに今回のこの方は反コーディネーター運動はしておりません。

 

何故なら、その先駆けとなった諍いに学生時代の母が介入した為である。

 

DQNないじめっ子コーディネーター達を相手に到底人間業とは思えない荒業、モザイク修正要の惨状、その後の真っ黒い後始末などが鮮やかに行われたらしく…

 

それからの付き合いだそうだ。

 

因みにアカシックレコードで調べたらDQN共の屍の山の上にオホホな笑い声で佇む紺のセーラー服姿の母のシルエットの記録がありました。

 

何だか竹刀とかヨーヨーが似合いそうな一場面です。

 

母さん、青春謳歌の学生時代に貴方は何をやっているのですか?

 

 

「……才色兼備でおしとやかな母のイメージが何処かへ逝きそうです。」

『実子の前で自分の黒い歴史を出さないと言うのが親と言うものですよ。』

「本当ですね。」

『では、本題と行きましょうか?』

「はい、実は…」

 

 

私が小父様に伝えた事。

 

ヘリオポリスに納機される五機のガンダムの件。

 

それらにある細工を依頼した。

 

どうせ、いろんな人の手に渡ってしまうのだから別に細工位いいでしょう?

 

対価はそれらの発展型の改良データ。

 

いずれ必要になってくるので秘密裏の依頼だ。

 

例の老人達を出し抜いて貰わないといけないのでその保険である。

 

念の為、ホルトゥスを通して小父様の警護も付けている。

 

 

『何となくですけど、君も母君に似てきましたね。』

「そうですか?」

『やり方は大人しめですが、少量で飛び散らせる火花の量は膨大…母親譲りですよ。』

「よく言われます、母を知る人には母に似てきたと…」

『…(それでも君の隠す苛烈さは母君以上ですけどね。』

「例の四月の件はホルトゥスに依頼してあるので大事にはならないと思います。」

『判りました、君も気を付けてください。』

「はい、気を付けます。」

『最後にですが、僕の不祥事で犠牲となった彼らを救って頂き感謝します。』

「直接ではなく遠回しです…私は情報を与えただけにすぎません。」

『判っていますよ、彼らの今後はこちらで調節しますし…場合によっては君に助力を願う事もあるかもしれません。』

「その時はその時です。」

『では、失礼するよ。』

 

 

私は最後の言葉と同時に通信を切った。

 

例の事を思い出したらムカついてきたから、バイオネットの施設に地獄の二人組でも差し向けてやろうかしら。

 

それはそれで楽しそうだけどね。

 

タヌキやキツネになるつもりはないけど、これだけはどうにもなりません。

 

 

******

 

 

一方その頃。

 

シロガネ艦内、ATXチームの分隊室にて。

 

深刻な表情で話を続けるキョウスケとアクセルの姿があった。

 

ハスミは自室にエクセレンとロサは休憩所へ居る為、二人のみである。

 

 

「どう思う?」

「どうもこうも、あれはヴィンテル達の仕業だろうな。」

「ブルーロータスの介入で被害は防げたが…」

 

 

二月十四日に発生したプラントへの核攻撃事件において。

 

 

『何者かが連合軍のタカ派を先導しプラントに核攻撃を開始したのです。』

 

 

突如送られてきたホルトゥスからの暗号通信。

 

ブルーロータスからのメッセージであり深刻な状況でもあった。

 

 

『我々ホルトゥスもその妨害の為、行動を開始します…どうか鏡に映る影にお気を付けて。』

 

 

しかし、対応に遅れた連合軍の代わりにホルトゥスが介入し核攻撃は防がれたが、それでもプラント側に数名の死傷者を出した為に情勢は悪化しつつある。

 

その後、二月二十二日に行われる筈の『世界樹攻防戦』は例の猫事件が原因で頓挫した。

 

逆にプラント側が報復として起こしたエイプリル・フール・クライシス事件が原因でナチュラルとコーディネーターの開戦は防ぐ事が出来なかった。