原作知らないけど私に係わらないで!! (白だるま)
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プロローグ
プロローグ1「転生した意味があったのかな…」


どうも白だるまです

思ったより長くなったので数回に分けます(2~3ぐらいになるかと思います)

7/20訂正

特典の一つが未記入だったので追加

7/29

×が緑色で見にくいと指摘がありましたので修正


後日全体的に直す予定です

内容の追加等はないです

8/5

誤字報告を活用しました

11/14

転生特典のランク設定を追記しました



「やっぱお前らと遊んだ方が楽しいわ」

 

「僕も楽しいかな?バイトが忙しいからあまり遊べないけど」

 

「私は気にしてないわよ。全く××は理由があるんだから仕方ないでしょ!!」

 

「わかってはいるんだが××がいない時に遊んでもつまんねーし何か悪い気がするしな」

 

「全く・・・ちょっと!××も何か言ったら!!このバカ放っておくとめんどくさい事になるんだから」

 

「俺がめんどくさいってどうゆう事だ!××も相手しないとすぐ拗ねる癖してよ!!」

 

「二人とも喧嘩はダメだよ……」

 

 

私は友達とのこのいつものやり取りが好きだった

三人ともこんな私とよく友達になってくれたと思う……

 

だけど……

 

その時間は永遠ではなかった……

 

だって私は死んだのだから

 

______________________________________________________________________

 

私は自分の部屋で目を覚ました

またこの夢かと思う

まるで呪いのようにいつまでもつきまとう不快感

しかし、前の人生で一番楽しくて安らぎを感じた時だったので、手放したくはなかった

 

私は転生者だ

 

交通事故で運悪く死んで、胡散臭い神様に特典も付けてもらって転生したが、後悔している

元々何がしたいわけでもなく転生したので普通に暮らしていた

しかしこの世界は普通じゃない

私のいた世界とは大きく違い、人を飲み込み炭素に変えてしまう認定特異災害(ノイズ)と呼ばれるものがあることだ

実は私は認定特異災害(ノイズ)に対抗する為の力を転生した時に申請していた

 

それは魔剣バルムンク

 

有名な魔剣で、別の北欧神話ではグラムとも呼ばれる魔剣だ

 

その他に申請したものは以下の通りだ

 

1.『他の転生者の特典の無効化』

 

2.『リリカルなのはのリンカーコアの魔法(魔力ランクはランダム)』

 

3.『リリカルなのはの魔法を使う時のインテリジェンスデバイスのジークフリートとブリュンヒルデの二つ所有』

 

 

後もう一つは神様がおまけしてくれて、『一番の思い出だった友達と旅行した写真』を私の手元に残してくれた

 

神様から言われたことは以下の通りだ

 

「残念だけど君はDランクで一つペナルティが付くよ。さっきのくじで特典の使用の無効は無しって決まったけどいいのかい?君のペナルティはあちらに着いてからの執行となるよ」

 

私はどんなものでもいいと思っていた……けど

 

「君のペナルティは『原作知識を全て失う』こと。だけど君はラッキーだったね……この原作の事知らないでしょ?だったら第二の人生を楽しめると信じているよ……」

 

神様はそう言ってくれたけど私は楽しいと思えなかった

 

私は普通の家庭の子供として転生し、ありがちな設定の通りに隣の家の幼馴染やその親友と仲良くはなった

 

私もその二人と遊ぶのは楽しかったし嬉しかった

転生前の『よく世話を焼いてくれた男の幼馴染』と『一番騒がしくトラブルメーカーだった唯一の男の友達』、そして『私たちのまとめ役でもあり大親友と言ってもいい女友達』の事を思い出し、二人といて本当に良かったと思えたのだ

 

しかし、私が中学生の時にあの事件が起こった

 

_______________________________________________________________________

 

神の心配

 

 

さて、あの子は気がついてはいないけど、この世界で生き残るのは一人では難しいだろう

それと魔剣バルムンクか……

確かガングニールに砕かれた事があった気がしたが、それを知ったうえでこの先の展開(前の人生)を皮肉ったのかな?

さて、せっかくペナルティを『原作知識を全て失う』に細工したのだから、次の人生を謳歌してほしい

全くこの子も運が悪い

 

死んだ理由は交通事故だが、未練がかなりあったみたいだから転生が認められたからね

大切な大親友と大喧嘩して仲直り出来なかった後悔が一番の未練だったみたいだけど、他にも理由はあったようだね

 

それと最近は違反者も多いけど、確か僕が担当したのはあの娘だけだし、問題があったとしても『他の転生者の特典の無効化』を付けてもらえたから彼女がどうにかするかな?

 

だけどホントに良かった……本当のペナルティは『その転生先のメインキャラやサブキャラと恋仲及び親密になれない』だったから……

 

_____________________________________________________________________

 

 

不幸特典

 

不幸特典は理不尽な死を体験したものが得る事が出来る。その他にも病気やけがで暗い人生を、送った者も対象となるが大体は「理不尽な殺人事件の被害者」か「事故死」や「病死」が多い。

A~Bまでが不幸特典として追加される。

 

転生者の不幸特典ランクについて

 

Aランク  特典が3つ増える  家庭環境と身体の状態の安定 他のアニメやラノベの能力の申請の緩和

 

Bランク  特典が2つ増える  家庭環境と身体の状態の安定 他のアニメやラノベの能力の申請の緩和

 

Cランク  家庭環境と身体の状態の安定 他のアニメやラノベの能力の申請の緩和 

 

Dランク  他のアニメやラノベの能力の申請の緩和  ペナルティが付く

 

Eランク  ペナルティが2つに増加 

 

Fランク  ペナルティが3つに増加 

 

Gランク  ペナルティが4つに増加 特典なし(転生者の懲罰用のランク)

 

家族環境はAからCまで選択可能(いる、いない設定や好みの両親など)それ以外は無効(特典で変更可)

 

ペナルティの種類(一部)

 

「天涯孤独で無一文でスタート」

 

「身体の一部に障害あり」

 

「特典能力が一つ消滅」

 

「性別が逆になる」

 

「家庭環境と生活状況が最悪」

 

「転生前の記憶をすべて失う」

 

「特典能力がランダムで変わる」

 

「その転生先のメインキャラやサブキャラと恋仲及び親密になれない」

 

「転生先の固有スキルの習得無効及び武装使用の不可」

 

「特典能力の数回使用の消滅」

 

「寿命があらかじめ設定されている」

 

「転生者とばれたら即死亡か特典のロック」

 

「ランダムに特典能力が使えない時間がある(事前に通達あり)」

 

これらのペナルティは特典で無効化が可能

 

 

 

 

 




次回 プロローグ2「あなたは私の友達じゃない」




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プロローグ2「あなたは私の友達じゃない」

もしかしたらこの回はかなりの訂正があるかもしれません

そうなった場合はごめんなさい

あと駄文で申し訳ない

7/25
誤字・脱字の修正

8/5

誤字報告を活用しました


私はホントに困っていた。

 

二人の友人の1人である未来ちゃんに、「ツヴァイウィング」のライブに行けなくなったから代わりに行ってほしいと言われたのだ。私は自宅で過ごしたかったから断るつもりだったが、強制的にチケットを渡され行くことになった。

 

面倒くさいが早く響ちゃんと合流しないといけない。だが、一つ気になる事があった。

 

それは私の特典であるインテリジェンスデバイスの一つのブリュンヒルデ(愛称はヒルデ)が、おかしな反応がライブ会場にあると警告してきたのだ。

私は原作絡みの事なのかな?と思ったけど、私はこの原作のことを知らないし、何かあればどうにかなる特典もあったので、あまり気にしなかった。

しかし念のため、私のシンフォギアであるバルムンクを持っていくことにした。

 

もう入場ギリギリで私はライブ会場に入る事が出来たが、ブリュンヒルデが警告していたおかしな反応がやはりここからしたと言うので簡易的に探査魔法を使ってみた。何かしらの大掛かりな反応がする非公開の区画があるみたいだが、そこに行くには大掛かりなガードセキュリティとガードマンの攻略が必要だった。この先、普通の生活が送れなくなるリスクを冒してまで行くことはないと思い響ちゃんと合流しようと思ったが、なれない魔力使用(魔力ランクはC)で疲れてしまったので近くに椅子があったので休んでから行くことにした。

まあさっきの探査魔法で響ちゃんがどこにいるかわかったしね……

あ……ライブ始まっちゃった……。けど、ここからでもいい歌だとわかるけど……何か聞いたことがある声なのはやはり転生者ならではの悲しいサガなのだろうと私は楽観的に考えていた。

 

私はこの選択を後で後悔することになる

 

なぜなら、認定特異災害(ノイズ)が襲来してきたからだ

 

なぜ此処に?と思ったが今は響ちゃんの心配だ

 

私は人に見られないようにトイレの個室に入り、インテリジェンスデバイスの一つで地上戦と火力特化のジークフリート(愛称はジーク)を起動させる

 

〔マスター!バルムンクはいつでも使用出来るようにしておくぜ!〕

 

〔私はサポートに回ります!響さんの現在地まで最短ルートで案内します!撤退時は私に切り替えてください〕

 

私は漆黒のフルプレートのバリアジャケットを纏い邪魔な避難者がいないことを確認してながら壁を壊しながら進んでいく。避難者はその道を使って一目散に逃げていくが気にしないことにする

あくまで響ちゃんの救出が目的だ

幸いだが神様はこの魔法での攻撃でもノイズに対抗できるようにしてくれたのだ

ただし条件はあった

それはバルムンクを手元になければ効果が弱くなる

しかし聖詠しシンフォギアで戦うのは切り札としてとっておきたかった

 

私はやっとライブがあったステージまでたどり着くことが出来たが、響ちゃんがどこに居るかがわからない……。

しかしそこで私が見たのは、それぞれ槍と刀を持った、私以外の二人の装者だった。

装者たちは二手に分かれていて、なれているのか次々にノイズを倒しているが私は二人の戦いを観に来たわけではない。

私は必死に響ちゃんを探すが見つからない……。

周りで炭素化している人間だったものを見た時、私は間に合わなかったと思いかけた。が、まさにその時だった。

 

〔マスター!響さんを発見しましたが襲われています!!急いでください!!!〕

 

というヒルデの声に反応した私が見たのは、槍のシンフォギア装者がノイズの攻撃から響ちゃんを守ってくれているところだった。けど、ノイズの攻撃で徐々に装者の槍と防護服が壊れ、その破片が……後ろにいる響ちゃんの胸に当たり、響ちゃんはまるで花が散るように赤い飛沫を胸から出しながら倒れていった……。

 

倒れた響ちゃんに、助けてくれた槍のシンフォギア装者が何か言っていた。

 

「生きるのを諦めるな!」と

 

遠くから見ても瀕死の重傷だったが、響ちゃんが持ち直したのはわかった。

 

しかし、槍を持ち、シンフォギアを纏った少女がノイズの方へゆっくりと歩いて行く。

満身創痍で戦う力などもう……ってまさか!

刀のシンフォギア装者が待つように言っているが、〈絶唱〉を発動させる気なの!

私は急ぐ!原作知識がなくともわかる

 

あの人はここで死ぬ気だ!

 

私はジークに魔力武装の一つである長剣を装備させてもらい、少女の元へ急ぐ。

 

「性格いい奴は早く死ぬって本当だな……でもこんなのってねえよ!!なんでだよ!!あいつなんでこんな事になってるんだよ!!!××とやっと付き合えてうれしそうだったのにこんな結末なのかよ!!!!」

 

急に前世の友人との一番の悲しい記憶と、そして私が親友をこの後失う結果となった出来事を思い出す。

 

あんな思いはもう嫌だ!!

 

だから私が死なせない!!

 

友達を救ってくれた恩人を死なせない!!

 

 

私は槍の装者の前に立ちその行く手を阻むと、大剣を彼女に振るった。

 

一瞬の出来事に槍の装者は驚愕した顔になったが、無論考えての行動だ。

 

非殺傷設定にしているので、物理的ダメージは与えずに槍の装者を刀を持った装者の元まで飛ばしたのだ。

 

ここからが本番だ。

 

〈マスター、使うんですね?バルムンクを〉

 

「ええ、出し惜しみをしたら全滅するわ……。あの人に変わって私が〈絶唱〉を発動させる!!」

 

〈いいのですね?死ぬことはないと思いますが逃走が困難になります〉

 

私は響ちゃんを見た。

 

そして何が起こったか分からず狼狽えている二人の装者

 

「ヒルデ……逃げる事よりも三人を守る方が先決よ……。それにこいつ等(ノイズ)を放っておけないしね」

 

〈わかりました……。最悪ここで気絶した場合はバリアジャケットで正体がばれないように細工しますので安心して使用してください〉

 

私はヒルデのサポートに感謝すると聖詠を始める。

 

私はこの時、初めてシンフォギア装者となったが違和感はなかった。

 

手にあるのは大型の幅広の大剣

 

私は目を閉じて、その剣の力をさらに解放させる為〈絶唱〉を発動させる。

歌い終わり、周りで何か崩れる音が聞こえたので目を開ける。

そこにはノイズの姿はなく、

助かったことを確認し、その場で膝を落とし胃からこみ上げるものを吐き出す。どうやら吐血したらしい

それでも何とか体は動きそうだった

 

「びるで・・・とう・・そうするわっ・・・・」

 

吐血していたので、私は何を言ってるのかがわからないような声で言ったが、ヒルデになけなしの魔力でシンフォギアを解除させ、空中戦と接近戦特化のヒルデを装着後その場を後にした。

私に関しての追跡が無かったのは運が良かったのだろう。

目もあまり見えていなかったが、うっすらと槍の装者と響ちゃんが救護隊に助けられるのを確認できた。

この後ジークとヒルデのおかげで途中までは逃走出来たが、やはり限界が来てしまい知らない内に意識を失った。

 

___________________________________________

 

あの後、私は緊急入院となった。

 

運よく人気のない公園の茂みで動けなくなった私を散歩していた老人が発見してくれて、救急車で搬送されたのだ。

 

私もかなり……いや、生死をさまよう重症だったのだが、良く生きていたものだ

ヒルデに自分の体の事を聞くと良く逃走出来たと思うような状態だったのだ。

 

まず内臓器官がボロボロだった事

そしてリンカーコアに深刻なダメージがあった事

 

医者によれば「どうすればこんな体になるのかかがわからない」らしく、なんでこうなったのか警察に事情聴取されたが、記憶喪失を演じてなんとか騙した。

 

取りあえず数週間の入院が必要という事で、両親には迷惑をかけてしまうし未来ちゃんには大泣きされるし申し訳なく思った。

 響ちゃんも私と同様に瀕死の状態だったけど運よく助かったみたいだし、暇つぶしにニュースを見た時もこの時までわからなかったけどあの時の装者がツヴァイウィングの二人だとは思わなかった。

どうやら槍の装者の天羽 奏さんは生きてはいるみたいだけど人の前には出られない状態みたい……。

取りあえず今は情報を集めながら響ちゃんのリハビリに付き合う事にした。

 

運が良かったと思うべきなのだろうけど、私は重大なミスをした。

 

分かっての通り原作に介入してしまった事だ

 

入院中にジークとヒルデにハッキングして調べてもらっていたのだが、どうやら政府機関が私を最重要機密扱いにして身元調査もしているらしい。

まだ私だという事はばれてはいないけど、その為の裏工作はしておいた。

まず、私があのライブに行った痕跡を全て消した。

これなら、私は原因不明の事故に巻き込まれたことになる。

 

しかし、それよりも深刻な事態があった。

 

それは、あのライブでの認定特異災害(ノイズ)に関する誹謗中傷が多発している事だった。

それによって、リハビリしていた響ちゃんが心無い人に悪口を言われたりされていた。響ちゃんは気にしていないようにふるまっていたけど元気がないように見えた。

 

私は一足先に退院し学校にも行ってみたけど何かおかしい……。

私が教室に入った時に、クラスメイトの私を見る目が変わったのだ。

その日は何も無かったが、後で未来ちゃんに聞いてみると、理由は簡単なことだった。

 

それは『原因不明の入院』と『入院していた時に響ちゃんのリハビリを手伝っていた』からだ

 

その事が原因で私はよく絡まれるようになった。大体の人が言うのは「なんで人殺しのリハビリを手伝っていた」や「あんな奴の味方になってるんだ」などの悪口が多かったが、私は徹底的に無視をした。

 

響ちゃんが学校へ登校してから、その悪意は爆発的に増えていった。

 

私が無視していた人たちが男子生徒を連れてきて脅してきた。「生意気だ」という事で制裁に来たらしいけど返り討ちにしてあげた。徹底的に。前世で嫌々で覚えたバイト先の店長の護身術が役に立った。

 

その後私は孤立したが二人がいればいいと思っていた

 

しかしその反動のせいか響ちゃんの方のいじめが酷くなり始めた。

 

私もどうするか迷っていた時に両親から転校することが告げられた

理由は仕事の関係と言っていたが、真実は違っており、響ちゃんのとばっちりを受けたくないからだった。

父は恐れたんだと思う。だって響ちゃんのお父さんは耐えきれなくなっていなくなってしまうほどの酷さだったのだから。

 

私はどうしようと考えたが、ある一つの方法を思いついた。

 

しかしその方法はある意味逆効果になる可能性が高い

 

しかし私がそれ以上の事をすればいいだけなのだ

 

明日決行しよう

 

 

 

次の日私はあえて目立つように教室で転校することを告げた

 

響ちゃんは明らかに狼狽えていた……なぜならその原因を話したからだ。あえてここにいるクラスメイトに聞こえるように

「あなたのせいで私はここを離れる事になったわ……あのライブに行っていないに!私は違うのにあなたと同類になった!!」

と私は恨みを持ったように言った

響ちゃんはもう顔面蒼白だった……私もこんな事はやりたくはなかった。

 

その後私は涙を流しこう言った

 

「だからもう話しかけないで……もうあなたは私の友達じゃない」

 

その日から私は本当に1人になった。

その後未来ちゃんにも猛抗議されたが「だったらもう話しかけないで」と言ってその後無視した

 

 

 

そして、最後のお礼参りもしておこう。

 

_________________________________________

 

 

私が転校した後、響ちゃんへのいじめはなくなったと聞いた。

話によればいじめの主犯格である集団が全員病院送りになったらしい

そしてあえて見逃していた教師たちもだ

どうやらあの後、実際に認定特異災害(ノイズ)にあった人が真剣に訴えたらしく徐々に沈下していた。

 

〈マスター……これでよかったのか?俺は納得いかないが〉

 

「いいのよ……間に合ってよかった」

 

ジークは納得いかないみたいだったが、どうしても早めに実行しなければいけない理由があった

 

決行を決意した前日に、あのバカ共が響ちゃんを標的にするのをやめ未来ちゃんを見せしめで虐めようとしたのだ。

なら私が裏切られたように喧嘩別れすれば、あのバカ共にとって面白い話はないと思ったからだ。

その後安心したバカ共をボコって終了だ。

因みに変身魔法を使ってやったので足はつかないし、ある意味後であの生徒たちと教師はいじめの事できつい処分が待っているだろう。

 

新たな街での暮らしが始まったが、私は友達を作ろうと思っていなかった。

やはり一人でいる方が楽なのだ

だが数日後、ある事件が起きる

それは両親が認定特異災害(ノイズ)で亡くなったからだ

私は本当の独りぼっちになってしまった

 

 

 

 

 




次回 エピソード1「再会」


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第一期本編
エピソード1「再会」


内容が本編の1話の後半の範囲となっていますが

不自然な所があったら指摘おねがいします

主人公の名前も付けました


7/30

誤字の訂正

最後の主人公の名前を言う時の「ちゃん」づけの削除

8/5

誤字報告を活用しました


私は一人には慣れている

 

前世では両親が喧嘩ばかりで、それが嫌で中学生で一人暮らしを始めたぐらいだ。

普通の親だったら反対すると思うが、うちの両親は「金は用意してやるから安心しろ」の一言だけだった。

 

確かに住んでいたアパートの家賃や生活費を払ってくれていたが、それ以来彼らとは顔を合わせた事はない。

むしろ私の親権をどうするかでもめたと成人していた兄に聞いた(その後その兄がどうにかしてくれたらしい)

まあ気楽で良かったし、それに私の事を心配した幼馴染が一緒だったから平気だったのかも知れないが

 

今の両親は優しかったし、大事にしてくれたことを感謝していたから、こんな終わり方はさすがにへこんだ。

 

1人ではないと思えたのはジークとヒルデのおかげだろう

 

私はこの町では友人は作らなかった

 

いや、作れなかった

 

これは私の性格もあると思っているが、実のところまた友達を失うのが怖いのだ。

 

前の人生の事を少し語ろう

 

私は友人たちと過ごす時間が一番楽しかった

幼馴染でありいつも優しくしてくれた××、メンバーの盛り上げ役でいつもくだらない事を企画していた××、そしてまとめ役で学校でも優等生であった一番の友達だった××……

 

このつながりは永遠だと思っていたが……無くなるのはあっけなかった

 

幼馴染が殺されたのだ……快楽殺人犯の手によって…

 

その後あることがきっかけで私と××は大喧嘩をした……それも関係が修復不可能になるぐらいに……。そのとき、私はあの言葉を言ってしまった。

それは……響ちゃんにも言ったあの言葉だ。

 

「あなたは私の友達じゃない」

 

今思えば、二人とも元の友人に似ていたのだ……。

 

彼(前世の男友達)は最後まで心配してくれたが、結局そのアドバイスも無駄にしてしまった。

 

「正直な話……俺もかなりへこんでるがお前たちとは仲良くしたいんだよ……。だからこんな事で二人と喧嘩別れしてそのままは……俺は……嫌なんだ」

 

彼があそこまで落ち込んだところを見たのは初めてだった……。その後、ある事で仲直りしようとしたのだが、その当日に私は交通事故で……。最期を看取ってくれたのは兄だったような気がするが、最後の言葉は言ってくれただろうか?

 

転生した後もあの二人と友達になれたのは運が良かったと思っている。

しかしその結果はあの時とはいろいろと違うが、また友達を失う結果となった。

 

私はそれほど多くの趣味は持っていない

 

前の両親は、私に勉強以外は何もさせてくれなかったのだ。

漫画もアニメも「必要ない」の一言で済まされた

 

その中唯一出来たのは、音楽の教科書に載っている歌を歌うことぐらいだ

 

歌うのは好きで一人になった時はよく歌っていた

私の友人たちもカラオケなどで歌った時は褒めてくれたりしてくれてリクエストにも応えたぐらいだ

今は聞いてくれるのはジークとヒルデのみだった

別にそれ以外の人の前で歌う事をしなかったのも原因だったが

 

そんな私は、誰とも話さず仲良くしない問題児扱いされていたが、何故か親身に接してくれた教師がいた

なぜそんなに親身になってくれるのか聞いたことがあったが

 

「別に特別扱いはしていない。ただ君は何か理由があって仲良くしないだけだと思って気になっただけさ」

 

と言われ、両親が亡くなった後も教師の同居人の少女と共にほぼ拉致られ食事を一緒にしたりした

その恩?の為に彼が勧めてくれた進学先に何とか合格した

 

その教師は急に学校を辞めてしまった。私に送られてきた手紙には個人的かつ重要な用事でやめなくてはいけないと書かれていたが、それ以外にもこう書かれていた

 

「お節介かもしれないが、君は信頼できる人を見つけられればどんな困難も立ち向かえるだろうね。もう会う事もないかもしれないが、会った時には手料理を御馳走しよう」

 

全く……マメな性格をしている

 

もういない彼と彼女に少しばかり感謝し、私はこの先の事を考えていた

 

___________________________________________

 

「あの装者の捜索の打ち切りが決定した?」

 

特異災害対策機動部二課の司令官を務める風鳴 弦十郎は、上層部の決定に驚きの声を上げた。彼は不服そうな顔をするが、報告をした実の兄であり内閣情報官の風鳴 八紘からその理由が告げられた。

 

「不服そうなのはわかるが日本政府が決めた事だ……。それ以上にこの装者は危険な存在となるかもしれん」

 

どういう事だ?と彼は思った。あの事件の時、弦十郎は極秘での[ネフシュタンの鎧]の稼働実験に立ち会っていたのだが、ノイズによる襲撃で身動きが取れない状態だったのだ。

 

「一つに、あの装者の映像データがすべて改ざんされている……後でわかったのだが、何者かにクラッキングされた形跡があったことだ。特異災害対策機動部二課でもあった事ではないのか?それと、あの聖遺物の正体も分かった」

 

確かにあの後、事後処理の為の資料として保存されていた新たな装者のデータが、バックアップを含めすべて消去されていた事があった。ただ、用心の為データの一部を弦十郎は予備で保存していたのだが、どの聖遺物か判別できるぐらいの資料しか残されていなかったのだ。

だが、ここをクラッキングした後に、なおかつ痕跡を残さず立ち去ることは不可能に近い。

ある政府のクラッキングでも不可能だったのに想定外だったからだ

 

八紘はその資料を基に、装者が持っていたのがどのような聖遺物だったのかを特定したのだ

 

「あの聖遺物の名は、恐らく『魔剣バルムンク』。かつての英雄ジークフリードが使ったとされる魔剣だが……その装者を危険だと判断した理由は別にある」

 

「解析不能の未知の力がライブ前に感知されたが……まさか!!」

 

「そうだ……。彼女はシンフォギア以外にも、それぞれ『黒騎士』『戦乙女』を連想させる衣服を纏っていたらしいが、『黒騎士』『戦乙女』の衣服を纏っていた時に彼女が使っていた力が、改ざんされる前と思われるが、ライブ前に感知された解析不能の未知の力と一致した」

 

「それは[ネフシュタンの鎧]の強奪と関係が……」

 

「いや、それは違う。あの装者は巻き込まれただけだ。別の目的があったのだろう」

 

別の目的だとすると、あの起動実験の他の目的と言えば二人の装者の調査で間違いないだろう

だが、それならばなぜ自らの命を失う事も顧みずに絶唱を使用し去ったのかが疑問だ

 

「この件はこれ以上深追いすると、あの悪夢をまた繰り返すかもしれん……弦ならわかるはずだ」

 

弦十郎はあの事件を思い出していた

 

あのバルベルデの紛争に巻き込まれ、その後救出された少女の行方がわからなくなり、その後の捜索で深追いした捜査員は死亡か行方不明。捜査は打ち切りとなっていた……今でも彼はその捜索を忘れてはいなかった

 

「後の調査報告はそちらに送っておく」と言い通信を切ったあとも、弦十郎は少し考えてしまう

 

あのライブ会場の映像がまだ閲覧可能だった時見たのは、明らかに負傷者の少女と、奏の絶唱を阻止して代わりに絶唱を使用し、彼女自身も重傷を負うなか逃亡する、正体不明の装者

自分でも甘いと思ってしまうが、まさか目的はなくただ助けただけ?

しかしそのおかげで、今はこれまでの戦闘の影響とリンカーの後遺症で入院中だが、装者の1人であった奏が死なずに済んだのだ

 

「バルムンクの少女……一体何者なのだ?」

 

____________________________________________

 

季節は春になった

 

私はあの教師に勧められた私立リディアン音楽院に入学した

 

その時に、私は会いたくない二人に会ってしまった

 

私が廊下を歩いていた時に彼女たちが話しかけてきたので、振り向いてみるとそこにいたのは、あの時と変わっていない響ちゃんと未来ちゃんだった

 

あんな別れ方をしたのに響ちゃんが話しかけてくれたのはむしろ嬉しかったけど……もう私は友達ではない

 

「久しぶりね……立花さんと小日向さん」

 

私はあえて友達としてではなく…只の顔見知りのような言い方をすればもう私の事など構わなくなるだろうと思っていたが

 

「うん……久しぶりだね!元気だった?」

 

と無理やり作った笑顔ではなく、本当の笑顔で響ちゃんは再会を喜んでいたのだ

 

逆に私の方が困惑してしまう…なぜ嬉しそうにしてくれるのか?

未来ちゃんは少し怒ってるように見えるけど、私の態度に関してはそんなに気にしてないようだった

 

その後二人は「また後で話しよう」と言って自分の教室に行ってしまったが、私は話すつもりはもうなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思ったら……なんで響ちゃん、私に積極的に話しかけてくるの?

 

くだらない意地を張っている私が馬鹿みたいに思えてきた

だけど数日たってもまだ私に話しかけてくれている。なんでこんな私と話してくれるの?

訳が分からなかったけど、その後理由がわかった

 

それは未来ちゃんに呼び出された時だった。彼女もほぼ私に敵意しか抱いていないと思っていたけど、話してみると何故か彼女に謝られたのだ

 

「なんで謝るの?私は…」友達じゃない、と私が言おうとした時、未来ちゃんが

 

「じゃあなんで私を責めなかったの?私が二人をあそこに行かせたのに私には何も言わなかったのは何でなの?」

 

私はどういえばいいか迷ってしまう……なぜならあそこで未来ちゃんを責めたら、二人が同時にいじめにあう確率があったからなんて言えなかった

 

「私が響と同じような事にならないようにしてくれたんだよね?後でわかったんだよ……」

 

どうしてばれたか……

 

それは私が転校した後のことで、クラスメイトの1人が、未来ちゃんを見せしめにいじめる計画を私が聞いていたことを彼女に話したのだ

その後、彼女なりに調べて私の真意を知ったのだろう

 

私はやはり詰めが甘い…私は優しい友達に感謝したい

 

けど私にはまだ隠してることがある

最後の日にお礼参りをしていること

実はあのライブに行って響ちゃんたちを助けた事

 

 

だから私はあえて友達にはならない

 

だから二人には悪いけど私は一人になろう

 

「……あんなことをして、またやり直そうっていうのは私が納得出来ないの……。私はもう友達にはなれない……その資格が私はないの。ごめんね未来ちゃん…響ちゃんにもそう言っておいて」

 

私はそう言って立ち去った

 

未来ちゃんが何か言いたそうだったけどわかってくれたみたい

 

〔マスターも頑固だな…〕と人目のない所でジークはさっきの会話の感想を言ってきたけど余計なお世話だった。

 

〔だけどマスター、この学校……少しおかしいぜ?〕

 

突然ジークにそんなことを言われ少し動揺する

 

「どういう事なの?ただのハイテクな学校じゃないの?」

 

〔いや、問題はここじゃない。地下に何かしらの施設があるみたいだ。だが、探査魔法は使わない方が良いだろうな……。あの時に調べた時に観測されている……。もしかしたら正体がばれる可能性が高いぜ〕

 

〔私もジークの言う通りにした方が良いと思います……。あの事件の後、マスターは最重要機密での捜索対象となっていました。私たちもハッキングを試みましたが、ガードがかなり固くなっています。情報操作は難しくなっていますので慎重に行動してください〕

 

私は二人のアドバイスを聞きながらもどうしてこんなに原作に絡むのだろう?と考えていた。だが、その後その謎が解けたのだ

 

 

____________________________________________

 

 

少し経ってから、響ちゃんはまだ私に話しかけてくるけど、いつもと変わった様子は見られなかった

 

どうやら未来ちゃんはあの話をまだしていないらしい

今日も放課後にしつこく誘われるんだろうと思っていたけど、今日はそれが無かった

 

急いで帰って行ったけど、CDがどうとか言っていたっけ。たしか今日って……あ!なるほどね

今日は確か、風鳴 翼の新曲が出るんだっけ?

私も好きだったけど、今よりツヴァイウィングで活動していた頃の方が好きなのだ

 

今の彼女の歌は昔と変わっていないようだけど、私は少し寂しいように感じるのだ

今日のお昼に食堂で遠くから見ていたこともあったけど、何か昔の自分を見ているようだった

 

まあ自分と比べるのは少し失礼だと思いつつ私は帰る事にした。未来ちゃんがいたけど、この前の事もあるし何も言わずに行こうとすると呼び止められてしまった。何かまた話があるのかな?と思って「何か用?」と少し冷たい対応をとってしまったけど…それを気にしないように「少し話さない?」と言ってくれたのだ

 

断る理由がなく、仕方なく「私は少しだけならいい」と言って本当に久しぶりに話をした

最近の事や昔の事……それは少しの時間では済まずに長話になってしまった

お開きにして帰ろうとした時に、私はあることを彼女に聞いた

 

「あんなことをして、『友達じゃない』って言われて、なんで私に係わろうとするの」

 

それは私が本当に聞きたかった事だった

 

未来ちゃんは「響もそうだけど」と言ってから

 

「私はまだ友達だって思ってるよ 月華」

 

私は…本当に良い友達に会えたと思う

 

「ぶすっとした顔も可愛いからいいけどね…私たちは友達だと思ってるからいつかまた笑顔も見せてね、月華」

 

前世の友達と全く同じことを言ってくれる友達がいるとは思えなかったのだ

 

「努力はするわ…今日は楽しかった…また明日」

 

私は未来ちゃんに挨拶をした後、寮への帰り道を歩きながら響ちゃんにどう接したらいいか考えていた

 

今更どうすればいいか分からず、ジークとヒルデにからかわれて少し不機嫌になってしまう

 

その時に、響ちゃんがCDを買いに行った所にノイズが出た事を知り、ヒルデにバリアジャケットを展開してもらい、様子を見に行った

その時、初めて知ってしまったのだ

 

響ちゃんが装者になったことを

 

 

 




次回 エピソード2「私の選択はあっているのかな?」


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エピソード2「私の選択はあっているのかな?」

やっと更新できました

この先グダグダにならないよう努力したいと思います

近い内(時間があれば)に主人公の設定を出しますのでお願いします

違和感があったら指摘お願いします

8/4

誤字報告を適用しました

8/7

文章少し追加(場面1の最後)

8/18

次回エピソードを変更




ヒルデを起動させてバリアジャケットを纏い、探知されないように出力を調整した探査魔法を使い、響ちゃんの居ると思われる工場区へ急ぐが、そこで見たのは装者となった響ちゃんが、女の子を守りながらノイズと戦っている場面だった。

 

〔マスター、これはあの槍の装者のシンフォギアと似ている。何かしらの原因で彼女はシンフォギア装者として適合者となった可能性が高いぞ〕

 

ジークは冷静に私に情報を言ってくれるけど、私の思考は響ちゃんの事しか考えていなかった。

どう見ても女の子を守っているせいかピンチにしか見えない

私が今すぐに行こうとした時、バイクに乗った髪の長い人がノイズに特攻していった。聖詠するのが判ったので、あの刀を持った装者の正体ってやっぱり……あのツヴァイウィングのもう一人の方の風鳴 翼だ

 

私が行くまでもなくノイズは殲滅されたけど、響ちゃんの事が心配だった。

 

取りあえず酷い扱いはされていないけど、車でどこかへ移動するみたいなので幻影魔法を改良したステルス色彩で追跡しようとした。その時、あり得ないことが起きた。

 

スーツの若い男の人と目があったのだ。

 

気のせいだと思っていたけど、念のため早急にそこから立ち去った。

どうやら私の勘は当たっていたらしく、数分後に黒服の集団がそこに現れたとヒルデから逃走中に聞いたけど……あの人何者?

 

響ちゃんの事は心配だが一応寮に戻ろう。

 

私が人気のない所でバリアジャケットを解除して寮へと帰ろうとした時、響ちゃんがリディアンに居る事が分かったとヒルデが伝えてくれた。けど、なんでここに?と思ったが、前にジークがこの地下に何かしらの施設がある事を教えてくれたけどそれが何か関係しているのかな?

私は念のために寮の自分の部屋へ戻った後、地下の謎の施設について調べてみようと思った。

 

「ジーク、ヒルデ、此処の地下に何があるのか調べたいのだけど、どうにかできないかな?」

 

〔難しいと言いたいところです。前にマスター関連の資料を隠滅するためにハッキングした際にある程度の情報を入手しましたが、今ノイズの対策をしているのは、『特異災害対策機動部』別名『特機部二(とっきぶつ)』と言われている日本政府の機密組織です。わかりやすく言えば『ノイズ対策と聖遺物関連の事件の特殊部隊』ですね……。部隊と言っても主に情報操作のプロが主に配属されているらしく、その事が主な原因ですが、前よりもガードが固くなっていますので正体がわかってしまう可能性があります〕

 

「わかりやすい説明どうも……。つまり、出来ないって事ね……でもここに響ちゃんが連れてこられたって事は、最低でも何かしら関係があると見て良いわね?」

 

〔それは間違いないかもしれないな……俺たちがどうにか調べてみるが、あまり期待しないでくれ〕

 

とジークはインターネットに接続して情報を探し始めた。

 

〔本来であればマスターの安全を最優先したいのですが『お願い』であれば仕方がありません。最善を尽くしましょう〕

 

ヒルデも情報収集を開始した。私も手伝おうとしたのだが

 

〔マスターは寝てください。後は任せてください〕

 

ヒルデに止められてしまう。それは私の事を思ってくれての意見だった。二人とも私の事を信頼してくれているのが嬉しくて「ありがとう」とお礼を言って先に休むことにした。

 

響ちゃん平気かな?

 

何故かその時、響ちゃんの声が聞こえた気がしたのは気のせいかな?

____________________________________________

 

次の日、私は授業中に二人の調査結果を聞いたけど、ここまで大事になっているなんて思わなかった。

 

まず此処の地下の事だが、やはりそこに特異災害対策機動部二課の司令部が存在しているそうだ。

なぜ分かったのかというと、どうやら米国政府にも同じような機関が存在した為、そこのメインコンピュータにハッキングして分かったらしい。

それとあのライブで起こった事件の真相も知ってしまった。

響ちゃんは貴重なシンフォギア装者だから、おそらく酷い目には合わないと思うけど、問題は私の方だ。

私も装者だけど、特典で魔法少女もやっているから(まあ、バリアジャケットは甲冑騎士と背中に羽の生えた騎士をモチーフにしたものだから魔法少女には見えないよね……)この世界では規格外の存在だ。

ジークの話だと、私が昨日工場区に向かっていた事と見えないように追跡しようとしていたのがやはりばれていたらしい。

私が言うのもアレだが、あの男の人何者なの?

 

私は響ちゃんに直接会う事に決めたけど、やはりあんなこと言っておいてなんて言えばいいのかがわからずに迷っている内に、放課後になってしまった。

 

私は覚悟を決めて響ちゃんに会う為に教室に行く途中で、その響ちゃんとすれ違った。けど、なんで風鳴さんと一緒にいるの?

私は気になったので後を付ける事にしたけど、どうやらバレていたらしく途中で撒かれてしまった。

だけど一つ分かったのは、この学院の何所かに地下に行くエレベーターもしくは階段があることだ。

 

これ以上深追いするとばれてしまうので、寮に帰って今後の対策をしよう。

 

寮の自分の部屋に戻って対策を練ろうとした時、誰か来たみたいなので確認してみると未来ちゃんだった。

私は響ちゃん関連の事だと思い、未来ちゃんを部屋の中に入れ話を聞くことにした。

私の部屋には私しかいないけど、何で私に会いに来たのかと理由を聞いてみたが、やはり響ちゃんの事だった、私の所に来なかったかという事だったが、私は会わなかったと伝えると、未来ちゃんは真剣に言った。

 

「昨日、響の帰りが遅かったの……。何か事情があったみたいだけど話してくれなかったの……今日も『用事があるから』って早く帰宅したからつい、月華に会いに行ったと思ったからここに来たのに……」

 

全く……。事情は分かるけど、響ちゃん……もうちょっと未来ちゃんを安心させてほしい。

 

私は「絶対的に話せない理由があるからで、いつか話してくれるんじゃないか?」と言ったけど、あまり納得してもらえなかった。仕方がないので私は前の事を思い出しながら言った。

 

「未来ちゃんが私の事をまだ『友達』と思っているなら、響ちゃんの事を信じた方がいいよ。私よりも付き合い長いんだから……。それに未来ちゃんの所に帰ってくるのは当たり前なんだから」

 

未来ちゃんは少し不思議そうな顔をしてる。「なんでわかるの?」と言いたいみたいだけど

 

「だってさっき話してくれたじゃない……。響ちゃんは、未来ちゃんのことを『陽だまり』で安心できるって言ったのよね……。だったら簡単よ?だって太陽(響ちゃん)がいなくちゃ陽だまりは出来ないわ……。だから安心して帰れるのよ」

 

私は、あの前世での友達の事を思い出していた。

 

幼い頃からずっと、誰ともつながりを持とうとしない私の味方になってくれた幼馴染の事を……

 

「月華さんとはもう友達だと僕は思ってるし、あの二人も同じで、困った時は助けてくれると思うよ。」

 

全く……この二人はよく似ている。自分の事より相手を優先してしまうお人好しの幼馴染と、無茶をしないように見守ってくれる優しさを持つ一番の親友と……。

 

未来ちゃんも納得してくれたのか、「そうね……私、響が話してくれる時を待ってみる」と笑顔で答えてくれた。

 

響ちゃん……ホントに未来ちゃんに心配かけないでよ……。

 

結構時間が経ってしまい、未来ちゃんも自分の部屋に戻る時に、私に言ってくれた言葉は本当にうれしかった。

 

「響が太陽で私が陽だまり……だったら月華も同じじゃないかな?」

 

その言葉は、あの一番の親友の言葉と同じものだった。

 

「だって、『月は太陽がないと輝けないんだよ』。月華も早く響と話せるようになってね」

 

その親友のことを少し思い出してしまい、涙目になってしまうが顔を見られないようにして「努力はするわ」と少しぶっきらぼうに対応してしまう。未来ちゃんは苦笑しながらも「また明日ね」と言って自分の部屋に戻っていった。

 

私は自分の部屋に戻り、机の引き出しから写真の入ったパスケースを取り出す

 

その写真には私と友達の4人が集合して写っていて、私はやはりぶすっとした顔になっていた。

 

こんな私でも友達と言ってくれる人がいる。

 

そんな二人だから私は…

 

その時、ノイズが出たという警報がなった。

 

そこに、響ちゃんも行くのだろう。私は決意した。

 

「ヒルデ!ノイズが出た所まで案内して!!念のためステルス迷彩の幻影魔法を展開して!」

 

いつもならば即急に応えているはずなのだが、ヒルデは沈黙したままだ。もう一度言ったけど反応がない。

ジークも黙ったままだ。「なんで答えてくれないの?」と私が言った時、ヒルデが理由を言ってくれた。

 

〔マスター……戦闘に参加するつもりですか?私は賛成できません。私はマスターの安全を優先します〕

 

〔マスター……すまないが今回はあきらめてくれ。俺も危険な事は避けて欲しいからな〕

 

二人とも転生してからずっとそばにいたからこそ、私に危険な目に遭ってほしくないと思ってくれるのは分かるけど

 

「ヒルデ……お願い……私はやっぱり友達を救いたい!それと未来ちゃんに借りもあるし……。ジークも心配してくれてありがとう……。だけどね、戦える力があって何もしないで後悔するのは嫌なの……お願い!!」

 

二人が考えていた時間は少しなのだろうけど、私にはその時間が長く感じられた……。けど、その沈黙を破るようにジークが笑い始めたのだ。

 

〔すまない、マスター……やっと素直になってくれたな!俺はいつでも使えるぜ!ヒルデも観念したらどうだ?〕

 

ジークは待っていたのだ、友達を助けに行こうとする私の意志を。

 

〔私は賛成は出来ません……。ですが、『お願い』と言われてしまうと仕方がありませんね〕

 

そういえばヒルデも私の『お願い』には弱かった気がするけど、私を試したのね……。

 

「二人ともありがとう!!ノイズが出た所まで案内して!!」

 

私はノイズが出た所まで来てみたけど……もう戦闘は終わってるみたい。しかし二人の様子が少し変だ。

 

何で風鳴さんは響ちゃんに刀を向けているの?

 

まさか!!装者同士で戦うつもりなの?

 

ヒルデが二人の会話を伝えてくれるけど……響ちゃん、奏さんの代わりに戦うですって?それは言ってはいけない事だと思うんだけど……。風鳴さんも何か深い理由があるとは思うけど、只「気に食わない」と感じたことが理由で争うわけではないことは確かなようだ。

 

「二人ともサポートお願い!バルムンクを使うわ!!」

 

喧嘩するなら私が介入しよう。

 

〔了解!!マスター、派手にやり過ぎるなよ!!〕

 

〔逃走手段は私が何とかしますので、安心して戦ってください〕

 

私は二人に「ありがとう」と言った後に聖詠を始め、久しぶりにシンフォギアを纏った。

そして二人の間に割って入り、風鳴さんに大剣を向けていた。

 

この時あまり考えていなかったけど……私の選択はあっているのかな?

 

 

 

____________________________________________

 

特異災害対策機動部二課では、二人の争いを止めるために弦十郎がさっき指令室から現場に向かっていた頃だった。

 

「青春ねえ…」とその光景を見ていた了子が呟いていた時に警告アラームが鳴り、担当オペレーターから告げられたのは意外なことだった。

 

「この反応は……照合できました!!『バルムンクの少女』です!!」

 

映像からは二人の間に割って入り、大剣を翼に向けている少女の姿が確認された。

顔はバイザーがつけてあって見えないが、翼と響に近い年齢だろうと予測できた。

少女が止めようとする響を大剣でふっ飛ばした後に光のリングのようなもので拘束したことから、彼女が異端技術を知っていることがうかがえる。

 

どうやらバルムンクの少女の目的は[天羽々斬]の奏者の翼だったらしく、戦闘が始まった。

 




次回 エピソード3「上手くいかないわね人間関係って」


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エピソード3「上手くいかないわね人間関係って」

まずお詫び
戦闘シーンが短くごめんなさい

それとコレは本編の3話の前半に当たります
後半も頑張って書きますのでよろしくお願いします

8/20

誤字修正を適用しました(osero11さん毎度ありがとうございます)


「一か月たったが…かみあわんか…」

 

 

特機部二(とっきぶつ)の司令室で、ノイズを撃退している二人の装者が戦うところを弦十郎は観ていたが、二人の装者は全く協力して戦っているように見えなかった。

 

それは翼の響に対する確執が原因だったようだが、もう一つは〈バルムンクの少女〉の言った言葉も原因だと思われた。

あの時初めて接触し対話をしたが、弦十郎は直観的に敵対組織の所属ではないと確信していた。

今も、別の所にもノイズの出現が確認されていたが、別の装者によって解決していた。恐らく彼女のおかげだろう。

 

彼女は、自分が止めに入ろうと思った二人の装者の争いに介入し翼と戦った。そして、対話した際に弦十郎が「なぜあの時絶唱を使ってまでなぜ二人を助けた?」と聞いた時に返ってきた答えは、少なくとも敵ではないことが分かるような答えだった。

 

「全く…『死ぬのが判っている人を助けるのはいけないのですか?』か……。それで自分が瀕死になってるんじゃ、何も言い返せないよな…」

 

_______________________________________________________________________

 

 

私は少し怒っていた。

 

確かに、奏さんの代わりに戦うと言った響ちゃんの一言は、不快になっても仕方がないと思った。

 

だけど…ただ「気に食わない」という理由で装者同士で戦うのは許せなかった!!

 

そんなに喧嘩がしたいのなら私が相手しよう……

 

私は歌う。今までの気持ちの全てを、そして今此処にいる事に対する怒りを!!

 

風鳴さんに剣を向けた時に響ちゃんが「やめてください!同じ人間同士で!!」と言って私たちを止めようとしてくれたけど、響ちゃんには悪いけど退場してもらう為、大剣でふっ飛ばした後、拘束魔法をかけて邪魔されないようにした。

 

風鳴さんは私が剣を向けた事が意外そうだった

 

「なぜ私に剣を向ける!!あなたはこの子に用があったのではないのか?」

 

と私に刀を向けて説いたけど、私は声をジークとヒルデに頼み()()()の声に替えてもらった

 

「そうね…その子とあなたに用があったのだけど…今はあなたと戦いたくて来たわ」

 

と、私が言った時に風鳴さんの表情が怒りに変わるのを見た…。だってその筈、今の声は…

 

「なぜ!!奏と同じ声をしている!」

 

私は奏さんの声に替え話しているのだ

 

これは私なりの挑発だ

響ちゃんはただ巻き込まれただけの一般人だったのに「戦う覚悟もない遊び半分で戦おうとしているあなたに奏の何を受け継いでいるの」と言っていたけど…

受け継いでいなければ女の子を助けながら戦うなんてしていない。

 

「本当は、見学するつもりだったのだけど…そんなに戦いたいなら私が相手になるわ」

 

私は、ジークとヒルデに魔法による補助は、いらない事を告げたが二人は分かってくれたみたいだ。

 

私は、この場で初めての心の歌を歌う。

 

その歌詞は、自分が孤独ではない、こんな不器用な私でも優しくしてくてた人たちがいる、

その優しい人達を悪意から守り抜きたいという誓い。

 

そしてそんな優しい人たちを守れなかった自分に対しての怒りとその悪意に対しての怒り

そしてもう二度とあんな思い(前世での記憶)をしたくはないという誓いの歌だった。

 

私の挑発に係わらず、風鳴さんは冷静だった

 

私の実力を測る為なのか初めは剣同士の剣劇から始まった

やはり実戦がない私と比べて、風鳴さんは遥かに格が違った

 

どうにかして風鳴さんの剣を受け流してはいるけど…なんでだろう?この違和感は…

 

私は前世で護身術と言われ(明らかに護身術ではないレベルの格闘技)をバイト先の店長に、友人達とともに無理矢理教えてもらったことがあった。

その時の友達とも店長と嫌々で試合をしたことがあったけどその時は、男友達と大親友のあの娘は遊び半分だったけど真剣に取り組んでいたのは私の幼馴染だ。

彼には妹がいた。

かなり自分自身が不遇な体験をしたため妹にも同じ思いをさせたくないと思っていたらしい。

その為か私たちの中では一番強かった…私も彼と試合をした時にその思いが伝わった

 

[目の前の大切なものを守りたいと思う]という気持ちが

 

だけどなんで?風鳴さんの剣はそれが感じられないのだ…そしてシンフォギアからの歌もそうだった。

私のバルムンクがいまだに持っているのはそのおかげだった。

 

試しに私は、風鳴さんから離れバルムンクを構えなおした。

 

風鳴さんは好機と見たのか無数の青い光が降り注ぐ技を出してきた。

 

これはさすがに避ける事は出来ない!バルムンクを盾にして防御したとしても大きな隙が出来るのは分かっていた。

私はすべての光を全て切り払うイメージをバルムンクに込めて振るった。その時にバルムンクの刀身が刃の付いた無数の鞭に変化して、光の雨を薙ぎ払っていた。

バルムンクは私の歌に応えてくれていた。

 

どうやら迎撃出来たのが意外だったらしく、風鳴さんは刀を空に投げて巨大化した剣を蹴り私の方へ放ってきた

 

私は大剣に戻し風鳴さんのその技をかわさずに、巨大な剣が私に届く前にバルムンクを振り、そのままバルムンクで両断しようとしていた。

 

私の思いに応えてくれたのか、刀身が赤黒く変わっていきイメージとしては集束砲撃の一撃を放つ事になっていた。

 

その時、私の目の前であり得ない事が起きていたのだ。

 

背が高い大きな男の人が巨大な剣に正拳突きを食らわせていたのだ!!

その後、道路に亀裂が走りその男の人がいた地点から中心にクレーターみたいに変形していた。

水道管が破裂し噴水のように噴き上がっている

 

私はあわててバックステップして回避したけど、明らかに装者以上の戦闘能力を持ったあり得ない人間がここにいる為、前にあの気配を感じ取ったスーツの若い男の人もいるかもしれなかったので、警戒の為大剣を構えていた。しかし…その人から出てきた言葉は意外な一言だった。

 

「ったく……なにやってんだ…お前達?この靴高かったんだぞ…」

 

とその後「映画何本借りられると思ってんだ」とその男の人は、ぼやいていたけど……え?もしかしてこの人って関係者?

 

「すまなかったな、身内の問題に巻き込んでしまって…。俺一人で来ているから警戒しないでくれ」

 

となんかフレンドリーに言われたけど……もしかして私って余計な事しちゃったかな?

 

〔マスター……警戒は解かない方が良いかと思います。あの方の戦闘力は明らかに脅威です〕

 

とヒルデから警告されたけど、私は念話で「心配はいらないわ」と言ってバルムンクを地面に刺し警戒を解いたことを示した

 

こんな事になった後にどう話していいか迷っていると「なぜ、邪魔をしたのですか!叔父さま」と風鳴さんが抗議し始めた。「いきなり響ちゃんと口喧嘩した(一方的な逆恨みで)あなたも悪いわ!!」と突っ込んで言いたかったけどあえて黙った(私も感情的になっていたのもあって反省してるからだけど)。「奏君の恩人に剣を向けた事は良い気はしないな」とその男の人は言っていたけど…そうか、奏さんは生きているんだと少し安心した。

男の人が「失礼。待たせてしまって」と言った後、私は気にしていないと首を振って応えた

 

「自己紹介が遅れた。俺は特異災害対策機動部二課の責任者の風鳴弦十郎だ。改めてあの時の礼をさせて欲しい…。あの時君がいなければ観客を含めた多くの人が亡くなっていただろう。」

 

この言葉を聞けた事で私は安心出来た…

 

〈ジーク、ヒルデ、私の声を元に戻してくれないかしら…。このままだとあの人に失礼だから〉

 

〔本気ですかマスター!!私は賛成出来ませ…〔いいじゃねえかヒルデ…過保護過ぎるぞ〕〕

 

私は念話で二人に頼んだけど、やっぱり私の事を心配した為か、揉めたみたいだ。けど、その後のジークの〔ヒルデだってばれるようなヘマはしないだろ?〕の一言で渋々だったけど元に戻してくれた。

まず、響ちゃんに掛けている拘束魔法を解いて彼女に謝ったあと、目の前にいる…えっと、弦十郎さんに謝罪した。

 

「いえ、私も余計な事をしてしまってすみませんでした…」

 

私が別の声に替えて話していることに少し不快に思ったのか風鳴さんが何か言ってるけど無視した。

 

「謝る必要はないさ。君も止めようとしたけど翼の事が許せなかっただけだろうしな」

 

やっぱりこの人…いい人だ

 

私は始めは警戒をしていたけど……悪意を感じないのだ

それと、まず私にあのライブ会場の事でお礼を言ってくれた事も、彼がいい人だからだろう

本来であれば私は貴重なシンフォギア装者で未知な力も使える為、最優先で捕縛するのが普通だろう

今、探知魔法は使ってはいないが本当に一人で来ているのがわかる

私は「ありがとうございます」と感謝した後に自己紹介をしたかったけど、訳ありなので偽名を使うことにした

 

「自己紹介したい所ですが、本名を言ってしまうと私も普通の生活が出来なくなってしまうので、『グラム』とお呼びください。」

 

「そうか…ではグラムと呼ばせてもらおう。戦闘に介入した理由はわかるが、なぜ君は今になって出てきたのか理由を知りたくてね」

 

と弦十郎さんは聞いてきたけど…本当は「響ちゃんが心配だったから」とは言えないから、別の理由を素直に言おう

 

「先日のノイズが現れた時に、新たな装者も同時に現れたのでどの様な人なのか見に来たのですが……その際に、あの時の重傷者が装者となったのを知りました。追跡しようとしましたけど……ばれてしまっていたので、その時は断念しました。彼女が無理矢理あなた方に従っていたのであれば救出しようとしましたけど、今の彼女を見て安心しました。」

 

少し嘘をついてはいるけど弦十郎さんは納得してもらえたようだった。

 

「彼女は一方的になってしまったが協力を許可してくれたのでね。君もあの時に出て来て絶唱を使用しなければ奏君は助からなかったが……なぜあの時絶唱を使ってまで二人を助けたのだ?おそらくその後、君は体の負荷で数週間は動けない程の重傷だったはずだ…。そこまでした理由を聞かせて欲しい」

 

この質問は私は自分でも驚くぐらいに即答していた。

 

「死ぬのが判っている人を助けるのはいけないのですか?奏さんはあの時死を覚悟していました…そんな彼女を私は死なせたくはありませんでした(本当は響ちゃんを助けてくれた恩返しなんだけどね……そのおかげで入院したけど後悔はない)。彼女は…奏さんは生きているのですね?」

 

私が言った事に弦十郎さんは少し固まっていたけど「ああ、生きている…今はリハビリ中だが近い内に退院できるだろう」と答えてくれた。よかった、生きていてくれて…だけどなんで少し固まったんだろう?変な事言ったかな?

 

その後、私はあえて無視していた風鳴さんの所まで行った。

やはり先ほどの戦闘で奏さんの声を使った事が気に食わなかったみたいだったけど、私も疑問に思った事を言おうと思っていたのだ

 

「先ほどは不愉快にさせてしまった事は謝罪します。奏さんに失礼な事は致しましたけど、あなたはなぜ彼女を認めないのですか?あなたが彼女に言った言葉をお返しします。『あなたはなぜ戦っているのですか?』」

 

「それは全人類の為の防人(さきもり)として……」「私が聞きたいのはそのような義務感ではありません」

 

私はそんな事を聞きたかった訳ではなかった…

 

「質問を替えます…『あなたは何のために歌うのですか?』」

 

私はそれが聞きたかったのだ……

 

自分勝手な理由だけど、私があの時絶唱を歌ったのは、響ちゃんと奏さんを救いたかったからだ

今の理由は、只「友達を助けたい」と「今の日常を守りたい」……それが、私が戦う理由だ

響ちゃんが戦う理由はおそらく、ただノイズと戦う力があるのなら…今も口癖になっている「人助けの為に使おう」と思ったからだろう。

奏さんは分からない……けど命を落としてでも守りたい物があるとわかったから歌おうとしたのだ…あの体で絶唱を使ってでも守ろうとして

しかし、風鳴さんはそれが無いのだ。

確かに彼女は私より遥かに強い人だけど、戦っている時に思ったのだ……「なんでこの人は寂しく歌うのだろう」と

 

 

風鳴さんは私の問いに応えなかった……いや、応えられないのだろう

 

「そこの装者はまだマシな方だと思うわ…だって戦う理由があるのだから…。奏さんは命を落としてでも守りたい物があるからだとわかったけど、『あなたには何も感じない』。あなたはなぜ戦っているの?それと……」

 

私が言いたかった事はすべて言った。最後に一言を付けて

 

 

後、私はその後響ちゃんに対して「奏さんの代わりに戦う事は良いけど言葉を選んでください……大事な人の代わりなんていないのだから」と言っておいたけど…きつい一言だったかな?

 

私はシンフォギアからヒルデのバリアジャケットに変更した。長くここに留まってしまったがおそらくここには現場検証の為多くの捜査員が来るだろう。

 

「私はここで失礼させていただきます…。ご迷惑をおかけしました」

 

私はここにいた三人に深く礼をした後その場から立ち去った。

 

ジークが追手が来ない事を報告してくれたけどヒルデが心配だったのか幻影魔法を展開していたけど、それは杞憂に終わった。あの人はわざと見逃してくれたのだろうか?

 

寮の近くの人気のない場所でバリアジャケットを解除しこっそりと自分の部屋へ戻る事が出来たけど、今回はちょっとやり過ぎたかな?

 

風鳴さんにもきつい事言っちゃったけど…なんでいまだにアーティストをしているのかが疑問だった。

ノイズと戦う為なら学校も音楽活動なんてしなくてもいいじゃないのかな?と思ったのだ

それでも活動しているのは歌う事がやはり好きなのだろう…

だけど今はその感情を殺しているように思えたのだ、昔の私(転生前)みたいに

 

「はぁ…上手くいかないわね人間関係って…」

 

私と響ちゃんの今の関係を思い出し自己嫌悪し、この後ジークとヒルデに慰められた。

 

_______________________________________________________________________

 

 

翼は特機部二(とっきぶつ)の地下に存在する特別病棟に居る奏に、今回の事を話していた。

 

「それは翼が悪い」

 

翼からその一部始終を聞いた後の、奏の感想だった

 

あのライブ会場での戦闘の際に現れた『バルムンクの少女』と戦闘をした事と、その後に弦十郎に戦闘を止められたことを呆れられたのだ。そしてあの少女が言った質問に翼は答えられなかった…

 

あの少女の言った言葉は、今でも翼の耳に残っていた

 

「今のあなたの歌は少し寂しいように聞こえるわ……」

 

寂しいなどの感情は、すべてあのライブでの戦闘の後に捨てていたはずだった。

あの時自分が未熟だったから奏を最後まで守り切る事が出来なかった

あのグラムと名乗った彼女がいなければ、確かに今こうして奏と会話することは出来なかっただろう。

その自負の念から防人(さきもり)としての使命を果たす為、感情を捨てこの体は剣であると誓ったのだ

 

響との共闘だけは出来なかった。

翼は許せなかっただけだった。あの厳しい訓練と制御薬LiNKERの過剰投与の結果、奏がようやく手に入れた力を、ただ成り行きで戦う事になっただけでふるっている響と協力することが出来なかったのだ。

 

奏の声で挑発され彼女(バルムンクの少女)と戦ってみてわかったのは、自分より戦闘に慣れてはいないようだったが、彼女は強く、そして迷いが無かったことだった。

 

それは、奏と彼女に同じ覚悟があった証拠でもあった

 

「私はとっくに気がついてたさ、翼が寂しがっていることも…それでいて私の事を気にしすぎて先に行けないのも」

 

奏ではいつもの通り翼をからかうように言うが〈奏での事を気にしすぎて先に進めない〉と言ったが翼は理解が出来なかった。

 

翼は「気にしすぎてるってどうゆう事なの?」と聞くが、奏は「それは自分で解決しないと翼の為にならないな」と答えた。どうしても教えて欲しいと言ったが「私だけじゃないと思うぞ?答えを知っているのは…」と言って教えてはくれなかった。

 

翼は「やっぱり、奏は意地悪だ…」と少しむくれるが、奏は笑いながらも真剣な顔で当時の事を語りだした。

 

「あの時、私は助けようとしたわけじゃないんだ。ただ、思いっきり歌いたいだけだったんだ、私の命を懸けて…。だけどそれはあの装者(バルムンクの少女)に止められて、助けられた…。その時、何故か思ったんだ。『私は今まで何のために歌っていたんだ?』ってな…。その疑問に私はまだ答えられないけど…あの装者(バルムンクの少女)は直感的に感じ取ったんだろうな、私の歌う理由を…」

 

奏がノイズと戦っていた理由は家族の敵討ちだった。

 

厳しい訓練と制御薬LiNKERの過剰投与で、血反吐を吐いて手に入れた時限式の力を使い、様々な闘いをしてきた

しかし年月が経つうちに敵討ちであった戦いが別の気持ちに変わっていく事に気がついた。

 

「翼はずるいよな…私もあの娘(バルムンクの少女)に会って話をしてみたかったんだけど、この先会える時の楽しみにしておくかな?……それと、立花響だったっけ?少し話したい気がするけどまだ先かな?」

 

奏は明るく笑いながら言った。奏の体はまだ完治とはいかなかったが、日常生活はおくれるぐらいには回復したからだ。

 

翼は「無理をしないで」と心配するが、奏にももう一つ心配事があった。

 

「そういや翼…緒川さんに聞いたけど海外での活動を断ったのは本当なのか?」

 

翼は少し動揺するが「うん…だって私は人類守護の剣だから…」と言って黙ってしまった

 

看護師に面会時間の終わりが近い事を言われ翼は名残惜しそうに出て行った

 

「弦十郎の旦那も苦労するねえ…翼も我が儘になってもいいと思うんだけどな…」

 

奏は翼が自分の気持ちを殺して今の務めを果たしている事を知ってはいたが……自分が抜けた後はもっと酷くなったのを感じたのだ。

それはあの時、奏を守り切れなかった自負の念があったからだ。

自分のガングニールを受け継いだあの娘ならあの翼の心をどうにかなるかと思っていたが、溝が深まるばかりだった。現在の翼のマネージャーでありエージェントでもある緒川 慎次にも話は聞いたけど、海外進出の事も断った事とその時の会話も聞いていた。

 

「剣に感情なんて必要ない……だからあの娘(バルムンクの少女)は分かったんだろうな。」

 

奏は少し苦笑しながらつぶやいた

 

「感情がなかったら歌う事なんて出来ないのにな…」

 

その一言は、感情をなくし剣であろうとする翼を見て緒川がつぶやいた言葉と同じだった

 

 




次回 エピソード4「友達でも言えない事ってあるんだよ」


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エピソード4「友達でも言えない事ってあるんだよ」

やっと更新できました!

原作エピソードの三話の後半となります。

キャラ設定ですがかなり先になりそうですので気長にお待ちください


9/3

誤字報告を適用しました。


「私、絶対呪われてる…」

 

寮の自室で課題のレポートを親友である未来に手伝ってもらいながら書いてはいるが全く進まない。

ノイズの対処の為、授業をまともに受けられない事もあり本来であれば補習を受ける事になるのだが、そのあたりは緊急の用事という事でレポートの提出で済んだ。連日のノイズの掃討で疲労が酷いが、その他にもレポートが進まない原因があった。

 

それは一か月前に起こった翼との問題と、あのライブ会場で助けてくれた装者グラム(バルムンクの少女)の事だった。

 

響はあの事件の時に助けてくれた人がいる。

 

ノイズから響を守り、彼女が重傷を負った時に「生きるのを諦めるな!」と言ってくれた奏

別の場所でノイズを掃討していた翼

そしてグラム(バルムンクの少女)

 

二人が争うところなんて見たくはなかったが、原因は明らかに響の言った一言だった。

その争いは弦十郎の仲裁によって止められたが、その後拘束を解かれ、二人との会話が終わった後にグラムに言われた一言は今でも覚えている。

 

「奏さんの代わりに戦う事は良いけど言葉を選んでください……大事な人の代わりなんていないのだから」と

 

大事な人か…と響は考え事をしていると未来は「手が止まってるけど…どうしたの?」と心配そうに聞いてくるが「少し考え事してただけ」と答えた。

自分にとって大事な人は、支えてくれた母と祖母と今も傍にいてくれる幼馴染だ。

それともう一人いた。もう一人の幼馴染の月華だ。

本当はじっくりと時間を使って話をしたいのだが忙しく会っていない

 

疲労やレポートとこの前の事が重なって一気に疲れが出てしまいテーブルに突っ伏してしまう。

未来も早く起きるように言うが少し寝てしまいそうになる。未来が「大丈夫なの?」と聞くと、響はいつものように「へいきへっちゃら」と言ったのだが、彼女は「へっちゃらじゃない」と言い返してきた。

 

未来は何となく、さっき手が止まっていた時に響が何を考えていたかわかったような顔をした。近くに置いてあったファイルからプリントを出して響に渡した。

 

「忘れてたけど月華がこれを響に渡しとくように言ってたわ…。『暇つぶしで作った資料だから好きに使っていいわよ』って…こうゆう所は月華らしいわね」

 

そのプリントを見て見ると物凄く丁寧に書かれた資料だった。

 

その資料を読んだ後に嬉しさのあまり「月華ちゃんありがとう!」と響が歓喜の声を上げていたが、未来はなぜ月華と仲直りしたいと思ったのか…その理由を知らなかった。未来は改めて響に、疑問に思っていた事を聞いた。

 

「響…前から聞こうと思ったのだけど…なんで月華と仲直りしたいと思ったの?あの時にあんなこと…『あなたは私の友達じゃない』って言われて…嫌われたって思わなかったの?」

 

未来は不思議に思っていたのだ

あれだけの事をされて未だに友達として接しようとしている響の行動がわからなかったのだ。

未来は初めて会った時の会話の後に何回か二人で話す機会があった為、月華との仲は良好で、響が困っていることを言うとその次の日に資料を作ってくれたのだ…わざわざ暇つぶしで作った資料(・・・・・・・・・・)と言って用意したのだ。

その行動を見て未来は呆れながらも、「早く仲直りすればいいのに」と月華本人に言ったのだが「その資格が私にはない」の一言で片付けられているがこうして未来とは普通に会話出来ているので時間の問題かな?と未来は軽く考えていた。

 

響は少し考え込んでから真剣な表情で言った

 

「うん…私もそう思った。もう月華ちゃんと友達じゃなくなるって思ったら悲しかったしつらかったよ…。リハビリもその後の事もずっと味方でいてくれたのに…あんなふうに言われて絶交されて…」

 

あの時のいじめは人生で一番つらく悲しい時期だった。

そんな中での学校でのいじめは二人がいてくれたから耐えられた。

そんな時に月華の転校が決まりその原因は自分のせいだったと思った時は本当につらかった

しかし月華がいなくなった後に、いじめはすぐになくなり数日後に響はある事に気がついていた。

 

「月華ちゃんって、私たちの前でも笑顔をあまり見せなかったけど、それはただ素直じゃないのと意地っ張りな所があったからだと思うんだよね」

 

「うん、知ってる」と未来は言った

 

誰から見ても本当は仲直りしたいのに、あの事を気にして「その資格が私にはない」と言って拒んでいる彼女の意地っ張りな所は未来は知っていたが、その後の響の一言は未来にとって意外な言葉だった。

 

「だけどね…私、月華ちゃんが泣いたところは見た事ないんだ…あの時以外は」

 

未来が過去の思い出を振り返って見ても確かにあの時だけ泣いていた。

 

「だからね…私思ったんだ、『本当は何か理由がある』って…。そうでもなくちゃ泣いたりしないんじゃないかなって…月華ちゃん聞いても意地を張って言わなそうだけどね」

 

響が少し苦笑いしながら話したのを見て、未来は少し安心した。

しかし月華も気にしているらしく普段は一人でいる事が多くあまり人と関わらないようにしているようだった。

 

「だったら月華に話しかけないと…自分から話しかける事が少ないから早くしないと大変だよ」

 

「わかってるんだけど話しかけるタイミングが…」

 

無いんだよと言いたかったが、携帯にどうやらメールが入ったらしい。メールを見てみると特機部二(とっきぶつ)からの呼び出しだったので響は溜息をついてしまう。

 

アラームを間違えたのかと未来に聞かれるが「用が出来ちゃった…」と苦笑いするしかない

 

その後に寮の外出などは何とかしてくれると未来は約束した後に「こっちの方はどうにかしてね」とパソコンの画面を響に向け見せると、そこには流星群の映像が映っていた。

 

課題を頑張っていたのはこの流星群を二人で観ようと約束したからだ。

 

響は特機部二(とっきぶつ)のミーティングへ行くために制服に着替えようとした時に上着が突っかかって上手く服が脱げなくなってしまった。未来に助けてもらっていたが、その時にこの前の事と今の状況を思い出してしまい呟いてしまった。

 

「しっかりしないとな…私」

 

未来はその言葉に複雑そうな表情をしていた。

 

_______________________________________________________________________

 

響は少し遅れて特機部二(とっきぶつ)のミーティングに着き了子が「じゃあ、仲良しミーティングを始めましょ」と言った後、今の状況と地下の最深部に保管されている完全聖遺物であるデュランダルの説明がされていたが……響は全く分からない話で困惑していた。

しかし、世界を取り巻く世界情勢や今の状況はあまり良くない事は響でも分かった。

その話の後、オペレーターの1人である藤尭 朔也が米国政府の要求に対し不満を言ってしまう

 

「しかしデュランダルだけでなく、聖遺物の不法所持としてバルムンクの少女…いえ、グラムの身柄の拘束と引き渡しの要求もしてくるとはどうかと思いますが」

 

もう一人のオペレーターである友里 あおいもその一言に同意してしまい、つられて不満を言ってしまう。

 

彼女(グラム)は私たちも総力を挙げて捜索はしている、という事にしていますが…いつ横やりが入ってもおかしくないわね」

 

特機部二(とっきぶつ)でのグラムへ対する扱いは表向きは身柄の拘束と調査となっているが敢えて放置している状態だった。

それはノイズに対する対抗策がシンフォギアしかない事が関係していた。

 

その後、了子と朔也とあおいの三人で談笑していたが世界情勢の事や今回のノイズが人為的な事だったことに響は少し考え込んでしまう。

 

響が「なんで人類は争うのかな?」と言った時に了子がそれに答えた。

 

「それは人類が呪われているからよ」

 

 

___________________________________________

 

私は授業を受けながら少し聞きたい事があったのでジークとヒルデに念話で話をしていた。

 

「ねえジーク…ヒルデ…聞いていいかな?」

 

〔なんだマスター?また愚痴か?もう聞きたくないんだが〕

 

〔私も同意です…それ以外ならお答えしますが、愚痴なら拒否します〕

 

二人も呆れて言っているようだけど…確かにね…愚痴はこの頃多く言ったけど今回は違う事だった。

 

話の内容はノイズが頻繁に出ていた事だった。

 

私は前回の教訓である実戦不足を補うため二人が対処できない場所を対象に活動している

 

その為か、私は戦闘慣れはしたけど…響ちゃんさ…少しは戦えるようになってよ!

何回か戦闘は観ているけどアームドギア、つまり武装を出さないのだ。

 

私の場合はアームドギアは大剣で技としては【最大九つまでわかれる連結刃】と【大剣に力を溜めて放つ集束砲撃】と【大剣を双剣にして錐もみ回転して突撃する】と【双剣を手甲に替えての格闘】が今の所の私の必殺技なのだろう。

 

因みに魔法の方は幼い頃から鍛錬を欠かさずにしていたので、今は魔力ランクもBに上がり色々と応用も出来るようになった。(転校後は時間が腐る程あったので魔法と体の鍛錬をしていた。)

 

確かアームドギアとシンフォギアから流れる歌って持ち主の心が影響されるってジークとヒルデに調べてもらった時に聞いたけど…もしかしてそのせいで響ちゃんは武装を出さないのかな?

 

それより響ちゃんの事よりも深刻だったのは、ノイズの出現している場所なのだ

 

私は個人的にノイズの事を調べていたのだがここ最近は明らかに異常だった。

それはリディアンを中心として発生していて人為的に操作されている可能性が高いのだ

その点を二人に調べてもらった結果はやはりあの国家が裏で暗躍しているらしく、どうやら特機部二(とっきぶつ)の本部に保管されている完全聖遺物が関係しているらしい…

 

私は一時的に特機部二(とっきぶつ)に連絡しようと思っていたがジークに拒否されていた。その理由は信じられない答えだった。

 

〔実はなマスター…あの時の戦闘を米国政府が知っていたんだ…あの戦闘の翌日にマスターの捕獲命令が出されていたが対応が早すぎる!もしかしたらスパイがいる可能性が高い…本部に直接連絡するのは正体がばれるリスクが高いからやめておいた方が良い〕

 

〔私は条件付きで賛成いたします…あの責任者の方は信用できると思いますが…もしかしたら彼と同等の地位にいる方が内通者である可能性があります。緊急事態であれば彼に直接連絡した方が良いかと思います〕

 

ジークとヒルデには本当に心配かけてばっかりだったので私もしっかりしないといけない。

 

「私もまさかここまで複雑だとは思わなかったわ…。それに今本部に保管されている完全聖遺物(デュランダル)はどのような性質を持つのかが気になるわ…。確かあの事件の完全聖遺物(ネフシュタンの鎧)はまだ見つかっていないのよね…。最悪同一犯とみた方が良いわね」

 

私もこの先慎重に考えなければいけなくなった事実に悩まされてしまうが、自分で選んだ道なので後悔はしたくはなかった。

 

〔そういやマスター、この前ノイズに関して調べていたが半分は響の為みたいだったがもう半分はこの事を調べていたのか?〕

 

ジークは私に聞いてくるけど…若干ヒルデが不機嫌になったのは気のせいだろうか?

少しヒルデが無言なのが怖いが私なりに調べていたのだ。

 

「ええ…私なりに知りたかった事もあったしね…。それに特機部二(とっきぶつ)が管理している完全聖遺物(デュランダル)を狙ってる理由がわからなかったのもあったのだけど…今になって行動してるのかが疑問に思ったのだけど」

 

それが分かれば苦労はしない…と思った時に〔マスター…私なりの回答を言ってもよろしいでしょうか?〕とヒルデが話しかけてきたので少し驚いてしまったが私も答えを知りたかったので聞いてみると

 

〔確かにマスターの仰る通り、あの事件(ネフシュタンの鎧の強奪)と今回の事は深い関係があると思われます。それと気になる情報もありました…米国政府が何かしらのよからぬ作戦を考えています。私の方で調べておきますのでマスターの危害に遭うような事があれば至急お知らせします〕

 

どうやらヒルデもその事を調べていて、私がその事を調べていたのが驚いていたらしく黙っていたみたいだった。

 

「二人ともありがとう…無理しない程度にお願いね」

 

ジークとヒルデは〔いつもの事で気にしていない〕と言ってくれたけど本当に感謝している。

 

話が長くなってしまい授業が終わった事に気がつかなかったけど、その後が昼休みだったのが幸いした。

取りあえず時間もないのでパンを買って適当な場所で食べようと、一人でのんびり食べられる場所を探そうと思った時「人類は呪われている!!むしろ私が呪われている!!!」と近くから声が聞こえたので見てみると、やっぱり響ちゃんだ…。どうやら未来ちゃんと他の友達とお昼みたいだったけど…レポート出来てないのか食べさせてもらいながら書いているけど…

少し眺めていたけど、私も早くパンを食べたかったのでその場から立ち去った。

 

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放課後になり帰ろうと廊下を歩いていると響ちゃんが悲しそうな顔で走り去っていったけど、やはりジークに聞いてみるとノイズが発生して緊急招集がかかったそうだ。

 

私も行こうかな?と思った時、鞄を二つ持った未来ちゃんが誰かを探しているようだけど…もしかして何か約束でもしていたのかな…。私は一応確認の為に未来ちゃんを呼び止めた。

 

「響ちゃんだったら急いで帰ったけど何か約束でもしていたの?」

 

聞いてみると今日、流星群を見に行く約束をしていたらしく二人とも楽しみにしていたみたいだけど…響ちゃん…本当に運が悪いよ…

「寮に忘れ物を取りに行っただけかも」と言って寮に帰る事を私に言い、その後に私も誘ってくれた。けどノイズの事もあり断ったけど、流星群を見に行く場所を言ってくれた後に寮の方へ向かっていったけど…

 

本当はノイズの掃討を優先した方が良いと思うんだけど…私は未来ちゃんの事を優先することにした。

 

私は響ちゃんの今の事情を詳しく知っているからいいけど、ノイズとシンフォギアに関してはトップシークレットだ。響ちゃんが言いたくとも言えないし、未来ちゃんはこの前の時もその事で相談もされた。

 

今回もかなり楽しみにしていたと思うので二人がこの後気まずくならないように少し愚痴でもいいから聞いておこう。

 

私はこの時は軽く考えていたけど……この後に起こる出来事に自分の考えが甘かった事に後悔する事になる。

 

私は一旦寮に戻り、少し時間が経った後に待ち合わせの場所に行ってみると、一人で空を見上げる未来ちゃんがいたけどやっぱり少し落ち込んでいるようだった。

本来であればもう流星群は見えていてもいいのだろうけど流れ星は見えなかった。

 

私は「流れ星見えないわね」と声をかけた

 

未来ちゃんは私が来た事が意外だったのか少し驚いていたけど「月華が話しかけて来るなんて珍しいね」と苦笑しながら言ったけど……確かに私は自分から話しかけるのは少ないので珍しいと言われても仕方ないか……。それと未来ちゃんもまさか私がここに来る事を予想していなかったと思う。

 

「あの時に、話し掛けられる前に響ちゃんが悲しそうな顔で急いで帰る所見たから…楽しみにしていたのわかるよ」

 

「うん…分かってる…さっきの電話でもすごく残念そうだった…。けど本当に何を隠しているの?」

 

その秘密を私は知っている。だけどその秘密は言ってしまえば身近な人を巻き込んでしまう可能性もあることだ。

 

「私と前に話した事覚えてる?『話してくれる時を待ってみる』って言っていたけど信じてあげられないの?」

 

私が聞いてみると「信じているけど…」と言って黙ってしまう。やっぱり不安なんだろうと思う

 

「私は前にも言ったと思うけど友達でも言えない事ってあるんだよ…心配かけたくないと思ってだと思うけどそれが逆効果になることだってあるのにね…響ちゃん分かりやすいから…」

 

「本当にね…だけどそれは貴方も同じよ、月華?」

 

私は急に話を振られたけど…私も分かりやすいって?

 

「月華も素直になったら…私とは話せているのに響とは話さないのは何でなの?」

 

それを言われてしまうと少し困る…確かに私にはあの時の一方的な絶交の負い目もあるけど…それ以上の秘密もある。

私なりに素直な気持ちを未来ちゃんに言おうと思ったけど…やはり嘘も混じってしまうのでその後の事を考えると罪悪感もあった。

 

「それは言えないわ…聞けば私と友達だった事を絶対に後悔する…。だったら今のままでいいわ…逃げてるだけだけどね……」

 

私が言うと未来ちゃんも黙ってしまい、それからは一言も話さないで空を見上げていた。

私は空を見上げて見るけど…やはり流れ星は見えない

 

辛気臭くさせてしまったお詫びとして私は歌った。

 

その歌はお気に入りの一つで今のこの状況にピッタリだった。

 

それは…前世でアニメ好きだった男友達に見せてもらった時に気に入った歌だ。

 

その歌の名は〈流星ドリームライン〉

 

SHOW BY ROCK!!での挿入歌でこの歌がきっかけで主人公のバンドメンバーとの絆が強まったのが印象的だったので今の二人が仲良くいられるように願いを込めて歌った。

そしてこの歌には別の意味も含まれている…

SHOW BY ROCK!!の主人公であるシアンは異世界に飛ばされた人間であることだ

それは私が転生者であること、あとはその事を隠している事の罪悪感からこの歌を歌ったのだ

 

始めは私が歌いだしたのがビックリしたみたいだったけど、そのうち最後まで聞いてくれた…

 

「月華は変わった子ね」と未来ちゃんに言われるけど笑顔が戻ったみたいなので結果的には成功だった。

 

もうそろそろ響ちゃんが心配なので未来ちゃんに先に帰る事を伝えると何故かお礼を言われた

 

「月華なりに励ましてくれたんでしょ?あなたの歌を久しぶりに聞いたわ…また聞かせてね。今度は響も一緒だけど」

 

残念だけどそれは断りたい…私の考えが分かったのか「いつかでもいいから仲直りしてね…響が拗ねるわよ、『なんでまだ無視されてるの?未来だけずるい』って」と言われたけど、その点は話すタイミングぐらいだ。

「努力はするわ」と言うと「意地っ張り」と返されてしまった。

 

未来ちゃんはどうやら残って、響ちゃんに流星群の映像を見せる為に録画しているけど流れ星は見えないけどいいのかな?

 

私も少し遅れてしまうが響ちゃんが心配だったので未来ちゃんと別れ人気のない場所でヒルデのバリアジャケットを纏いノイズの発生している所まで急いだ。

 

 

 

 

私は甘かった…まさかこんな事になるなんて…私が着いた時には戦闘は終わっていた。

 

何で…こんな事になったの?

 

 

 




次回 エピソード5「私が余計な事をしなければ…」


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エピソード5「私が余計な事をしなければ…」

明日仕事なのに無理して書きました…白だるまです

今回は原作4話の内容となってます…(戦闘は無しです)

書き直しがあるかもしれません

この先の展開どうしよう…

6/17

書き忘れを発見しましたので修正

次回エピソードを7から6に修正

9/18

誤字修正を適用しました


私はどうしたらいいか分からなかった…

 

戦闘があった場所では強奪されたネフシュタンの鎧を装着した少女が逃走していくところを確認した事

響ちゃんが無事ではあるけど……なんで?

 

なんで!風鳴さんが絶唱を使っているの!

 

猛スピードでやってきた車が止まり、中から弦十郎さんと白衣を着た女の人が出て来てボロボロになった風鳴さんの所へ向かっていく…この後の響ちゃんの風鳴さんを呼ぶ声が耳から離れなかった…

 

私は二人の事が心配だったのでジークとヒルデに無理を言って幻影魔法を使って後を追った。

 

着いた病院に緊急搬送された風鳴さんは、その後の処置が早かったので助かったみたいだけど…

 

ここに来るまでに二人にこの事態になる前の話を聞いていたけど…

 

〔すまないマスター…まさか絶唱を使うとは思わなくてな…急ぐように言うべきだった〕

 

〔私もです…未来さんとのお話に横やりを入れてはいけないと思い戦況報告を後回しにしていました…〕

 

二人とも気にしていたようだけど…「気にしないで」と言ったが、これは私のミスだ…

 

どうやらノイズの撃退後にまた響ちゃんと風鳴さんが言い争いになって、その時にネフシュタンの鎧を装着した少女が襲撃してきたらしい…

驚くことにノイズを操って響ちゃんを拘束していたらしい…そして完全聖遺物の力の前に力負けしていた風鳴さんが、あの時の責任を取る為に絶唱を使った…二人の報告に私は自分の考えが甘すぎた事を後悔していた。

 

弦十郎さんが執刀医に頭を下げてお礼を言った後に数人の黒服を着た調査員と共に現場検証へ向かったけど、その時に彼と目が合ったのだ。しかし気にしないように出て行ったけど…私に気を遣ってくれたの?

そんな弦十郎さんの心遣いに感謝した。

 

私は響ちゃんの居る休息コーナーまで行ったけど、近くにあの若い男の人もいた。

 

響ちゃんは落ち込んでいるみたいだったけど「あなたが気に病む必要はありませんよ…翼さんが望んで歌ったのですから」と男の人は慰めていた。この時響ちゃんのおかげでこの男の人が緒川さんという名前だと知った。

 

私は壁越しに二人の会話を聞いていたけど…あまりにも重すぎる風鳴さんの生い立ちや今までの話を聞いてしまった。

 

あの時は私が絶唱を使って奏さんを助けられたけど、長年のLiNKERの投与を伴う戦闘による後遺症と、あの事件の時にLiNKERをあまり投与せずに戦った事による負荷で入院したらしい…その後の検査で分かったらしいが、ガングニールとの適合ができなかったらしい…

あの時私が介入しなければ奏さんは確実に死んでいただろうと話していた

風鳴さんは、その事を「自分が未熟だったが為に奏を守れなかった」と……

その後一人でノイズの掃討をして、そして今回のネフシュタンの鎧を装着した少女に対し、あの時の責任を果たす為に絶唱を使った。人類守護の剣としての役目を果たしたのだ…命を懸けて

 

だから…彼女の歌は寂しかったのか…

 

私が初めてリディアンで彼女を見かけたとき、「風鳴さんの事を昔の自分を見ているようだった」と思えたのは、前世での自分と彼女の姿を重ねたからかもしれない。

中学時代に一人暮らしを始める時まで娯楽を知らずただ両親の言いなりに過ごしていた。

後で兄に聞いて知ったのだが…「適当に権力を持つ男に嫁がせればいい」という理由で育てられていた。

私は両親からの愛情はなかったが兄は違ったのは幸いだった。

あとずっと近くにいてくれた幼馴染もいたからこそまだマシだったし…その後二人の友達のおかげで今の自分がいると思っている。

 

風鳴さんの家族については語られなかったけど…奏さんに対しての態度を見ればどれだけ大切な人かがわかった…

その話を聞いた後響ちゃんは泣いていた…

 

「翼さんの事を知らないで一緒に戦いたいだなんて…奏さんの代わりに戦うなんて…私は…」

 

私もあの時は響ちゃんの事で感情的になっていた事もあったので責任を感じていたけど

 

「僕もあなたが奏さんの代わりだなんて思っていません…誰もそんなことは望んではいません」と緒川さんが響ちゃんに優しく言った。その後「僕からお願いがあります」と言った後

 

「翼さんを嫌いにならないでください…翼さんを世界に一人ぼっちにさせないでください」

 

その言葉に響ちゃんは「はい…」と言っていたけど…落ち込んでいるみたいだった。

 

 

 

 

 

 

響ちゃんが寮へ帰る為に送迎の車で去った後も、私は残っていた…

 

私がいる事を知っていた緒川さんが私に話しかけてきた

 

「そろそろ姿を見せても大丈夫ですよ。ここには僕しかいません」

 

本当に弦十郎さんといい、この人も規格外の人間だけど…響ちゃんはいい大人の人に恵まれてるわね……

 

「お気遣い感謝します…あと姿を消して話を聞いていた事を謝罪いたします」

 

私はヒルデのバリアジャケットの姿で幻影魔法を解除し姿を現した。バイザーは付けて素顔を見られないようにしたけど警戒はされなかった。普通なら警戒されてもいいのに

 

「いえ…気にしなくてもいいですよ」と緒川さんは穏やかに言ってくれた。

 

「今回の事ですが…私が余計な事をしなければ…」

 

「こんな事にはならなかったかもしれない」と言い終わる前に緒川さんが遮るように

 

「響さんと同じ事を言いますが…翼さんが自分で望んでやった事ですから、責任を感じる事はないですよ」

 

と言ってくれたけど…私なりに責任を感じていた。

 

「今回の戦闘に関しても、私が早く二人に合流できていればここまでの被害はありませんでした…」

 

「もし、あなたが合流していたとしても翼さんの事ですから響さんの事をあなたに任せてあの襲撃者(ネフシュタンの鎧を装着した少女)と戦っていたでしょう…気にすることはありません」

 

「私は…風鳴さんの事を誤解していました…ただガングニールを受け継いだあの娘の事が気に入らないだけだと…。本当は違いました…彼女にも守りたい物が…意地があったのですね…本当に不器用ですね…」

 

「ええ…あなたも守りたいと思えたから強くなれたのでしょう。前に翼さんが言っていましたよ『戦闘に慣れてはいないようだったが、彼女は強く、そして迷いが無かった』と…僕に言ってくれましたよ…」

 

「私は…奏さんの事も、あの時戦った事も感情的に動いてしまっただけで強くなんて…」

 

「思っていない」と否定的に答えようとした時、緒川さんは私の否定することを分かっていたのか、私にその一言を遮るように言った。

 

「なぜあの時に、奏さんの代わりに絶唱を歌ったのですか?命の危険も顧みずに…翼さんはその自分の事を犠牲にしてまで絶唱を歌った。そんな覚悟を持ったあなただから強いと翼さんは言ったのですよ」

 

覚悟か…私はあまり深くは考えていなかったけど「友達を救いたい」と「この日常を守りたい」だけだったんだけど…私はあのような結末(前世の事件)を防ぎたかっただけかもしれない…今も悪夢として思い出させる幼馴染が殺された事件とその後の最悪の結末を…

 

「あと、翼さんの歌が寂しいと言ったそうですが、あなたに指摘された後に気にするようになりました。奏さんにも話していましたが…『今更分かってる事に気がつかなかったのか?』とぼやいていましたよ」

 

緒川さんは苦笑しながら話してくれるけど、風鳴さんは良い人に恵まれてる…私がこれ以上気にしていたら逆に周りの支えてる人と本人に失礼かな…全快した後に一言謝罪しよう…

 

私は気になったあることを緒川さんに言った。その内容に少し険しい顔に変わったけどそちらでも分かっていた事なのだろう。私はその内容を弦十郎さんと信頼できる人に言うように補足したが緒川さんも分かってくれた。

今回の事を謝罪した後、私は幻影魔法を展開しその場から立ち去った…

 

私は気になる事も聞いてしまった…

 

それは緒川さんが私の情報の対価として教えてくれたことだ。

 

ネフシュタンの鎧を装着した少女の目的は…響ちゃんの拉致…

 

これが何を意味しているのかを知るのはこの後の事だった。

 

___________________________________________

 

 

特機部二(とっきぶつ)の司令室で緊急招集がかけられ、この先の事についての話し合いが始まった。

 

ネフシュタンの鎧を装着した少女の目的が立花響の拉致…「これが何を意味しているのかは不明」と了子は言ったが、弦十郎は最低限、相手側が聖遺物関連の機密事項を知っていることが分かっている為内通者の可能性も窺っていたが、響はまだ落ち込んでいた。

それは翼の覚悟と自分自身の事だった

 

守りたい物があるがそれに似合う力が発揮できない響

奏が戦えなくなりたった一人で戦い続け、その孤独の中人に心の弱さを見せないように耐え続けた翼の覚悟

 

この二つの事で響は悩んでいた

 

アームドギアが構成されないのは自分が未熟だから…

 

話し合い後もその事を引きずるようになっていた

 

屋上で一人で考えていたが答えは見つからない…

 

その時に響は自分を呼んでいる声に気がついて振り向いてみると、未来がいて「どうしたの?最近一人でいる事が多いんじゃない」と聞かれた。「一人だと何も出来ないし」から始まって不安を誤魔化そうとしていたが、やっぱり長い付き合いで、それが嘘だという事も未来には分かってしまう。

 

未来も心配していたが、響は自分で考えて答えを出さなければならないことだった

 

未来はその言葉を聞くと「わかった」と一言言った後、自分が思っていた事を素直に響に話した

 

それは何を悩んでいるかは聞かないがどんな結果になろうとも出した答えで一歩前進したとしても響は響のままで成長してほしい…

その後の未来の言葉はあの時グラムの言っていた言葉と似ていた。

 

「響の代わりなんていないんだから…いなくなって欲しくないから」

 

その一言で自分がどのように強くなって守りたい物を守るのか…その考えが少しまとまったような気がした。

 

未来を見つめると笑顔で返してくれた。その後翼が入院している施設を見て響は自分の中のある答えが見えたような気がした。

 

「ありがとう。私のままで歩いて行けそう」と未来に礼を言った。

 

未来は響に少し明るさが戻ったのが嬉しかったのか、携帯をポケットから出し「こと座流星群の動画を撮ってあるけど観る?」と聞いてきたので響もその動画を見ようとするが何も映っていない…光力不足で流れ星が見えなかったのだ。

 

その事がおかしくて響が大笑いして、それにつられ未来も笑ってしまった。その後に、「ちょっと聞いて欲しい歌があるの」と言って未来は携帯をいじり「本当は全部聞かせたかったんだけど…急だったから」と言ってその音声データを再生した

 

その歌声を響は聞いたことがあった。優しく、まるで励ましてくれるような歌だった。

 

「この歌…もしかして月華ちゃん?なんで?」

 

未来はその経緯を話した。

 

響と流星群が見られず落ち込んでいた所を励まされた事

 

あとこの流れ星と友達の事を思ったこの歌を未来に歌った事

 

そしてこれは本題だった

 

未来は響に微笑みながら言った

 

「響…実は内緒にしていたわけじゃないけど、月華とは数回話しているの…。月華もあの事(一方的な絶交)を気にしてるのと他に理由があるみたいだけど…今でも響の事を『友達じゃない』って言ったことを後悔してる…」

 

響が携帯から流れる歌を聞きながら思った事は、あの時「泣き顔を滅多に見せた事の無い」月華が泣いて響を責め立て、彼女に絶交された時の事だった。

 

やっぱりあの時はああしなければいけない理由があったとわかったのだ…

 

「だからね響…あきらめないでね!月華も本当は仲直りしたいって思ってる…その歌が終わった後私が『また聞かせてね。今度は響も一緒だけど』って言った後なんて言ったと思う?」

 

未来はあの時の事を思い出し苦笑する…響はその言葉を聞いた後に笑顔が戻った

 

「月華は好き嫌いは、判りやすく言うからわかると思うけど『努力するわ』って言ったの…だから『友達じゃない』って言ってるのにこの前のレポートの資料なんて渡してくれないと思うわ…今でも響の事を月華に話すと、少し嬉しそうに話してくれるから」

 

響はその事を聞き、まだ月華とはやり直せる事を嬉しく思った。

 

 

その後二人で流星群を見に行こうと約束したが…二人ではなく、もう一人の幼馴染(月華)も誘ってこの時に歌った歌をまた聞かせて欲しい…それが二人の約束となった

 

響はそれをすぐに実行し、弦十郎の所に弟子入りをして戦い方を教えてもらっていたが…ある問題が発生した。

 

今は自分のやれることを頑張る事を優先しようとしたが…早めに月華と話すきっかけを作らなければいけなかった…リディアンに居ればいつでも会えるからその時に会って話せばいいと軽く思っていた。

 

その後…師匠こと弦十郎の厳しい指導と鍛錬、その他にも他の友達の付き合いなどで、全く機会が減り「早く仲直りしとけばよかった…私呪われてる…」と後悔するのは後の話…

 

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あの後、落ち込んでいた響ちゃんが忙しそうに帰ってしまったり、時には学校を休んでいるみたいだったので心配になった私は後を付けてみたら…何してるの?響ちゃん…(幻影魔法で姿を隠しているけど弦十郎さんには、ばれてる)

弦十郎さんに戦い方を教えてもらってるみたいだけど…何かどっかで見た事あるのよね…確かあの娘(前世の女友達)が見てたアクション映画の鍛え方を見ているようだったけど?

 

だけどこれが響ちゃんの答えなのだろう。

私は自分で答えを出せた響ちゃんを応援しよう…

 

しかしその後アクシデントが訪れる…。響ちゃんが帰った後に弦十郎さんに捕まり何故か素手での格闘戦での訓練をした。(結果はボロ負け…当たり前だけど生身の人間だから本気を出せなかったけど…)

その代わり、丁度報告したい重要な情報があったので、周りに人の気配がないか確かめた後、弦十郎さんに言った

 

「慎重にお願いします…この情報は危険だと思い直接言いに来ました」

 

弦十郎さんの顔色が緊迫したものに変わった…。私も「この他にもプランはあるみたいですので」とデータの入ったメモリーを渡し今日の事を感謝しその場を去った…

 

本当に厄介な事に巻き込まれたけど…響ちゃん平気なの?

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弦十郎は緒川から聞いたある事が気になっていた

 

病院から調査の為に部下を引き連れて現場へ向かう時に人の気配がしたが悪意を感じなかった為、あの少女だと思い見逃したが…その後、緒川からグラムと話したと聞いた。問題は話の内容だった

 

「米国政府がよからぬ事を考えている」

 

その後、響との特訓の後に見学していたグラムに頼み一戦してみたが…こちらが生身の人間という事で本気を出せなかったみたいだったが彼女がある格闘技を使用していた事が分かった…

 

その後彼女から伝えられた情報はかなり危険な情報だった…

 

「米国政府が今の防衛大臣の暗殺を計画しています…これによって有利になる組織が黒幕だと思ったのですが…心当たりはありますか?私も詳しい内容は知りません…」

 

グラムがハッキングしたその情報により、特機部二(とっきぶつ)内部に内通者がおり、デュランダルが狙われていることがはっきりした。

 

緒川には緘口令を出したので、彼ら以外にこの情報を知るのは実の兄である八紘だけである。

 

時期が来たらすべてを話す予定だが…グラムが警戒どころか信頼してくれている事は意外だった。

それと緒川からはグラムが「今回は私が早く来られたなら被害はここまではいかなかったかもしれません」と謝罪していた事も聞いていたが…この時の訓練の後に「気にしないでくれ…誰が悪いわけではない」の一言を言っておいた。

 

あのミーティングに決意を持った響が道場破りの如く弟子入りした為その特訓も効率よく考えなければならなかった。

 

「さて…子供ばっかりに負担をかけてはいかんな」

 

弦十郎は今後の事を慎重に考えながら計画を立てていた。

 

___________________________________________

 

 

学校へ行く通学路で響は未来に何も映っていない流星群の動画を見せて欲しいと言っていた

 

その動画を見ながら未来は今回動画を録画していた事と、月華と会っていた事を隠しているのが嫌だった事を言った。

 

「もう二度と隠し事したくないな…」

 

その未来の問いかけに響はこう答えるしか出来なかった…

 

「私も未来に隠し事なんて…ないよ」

 

それが大きな問題になることは響も…月華も予想していなかった。

 

 

 

 




次回 エピソード6「なんでこんな事になったの!!」


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エピソード6「なんでこんな事になったの!!」

本当に難産でした…更新できました

ここから少し原作とは異なる進み方になります。

原作5話の前半の内容になっています。

穴だらけの展開で申し訳ないです…

10/8

誤字報告を活用しました


「例の完全聖遺物の起動はどうなっている」

 

ある場所で、電話越しに米国政府に属する男性が、協力者である女性にとある聖遺物の起動実験の結果を求めていたが、彼女は「まだ起動していない」と報告していた

 

その報告は偽りではあったが、聖遺物関連は彼女に全面的に任せている状態だったのか、すでに使用されている事はばれていない様だった

 

〈ソロモンの杖〉

 

バビロニアの宝物庫へのゲートを開き、ノイズを任意で操作する事が可能となる完全聖遺物

 

その後も会話が続いていたが、彼らにある事を報告しておく必要があった

 

「それと、防衛大臣襲撃の計画が洩れていたみたいだけど、貴方たちのセキュリティーはそんなに脆いものなのかしら?」

 

「なるほど…あのグラムと名乗った装者にクラッキングされていたか…。そちらで対応するのではなかったのか?」

 

「こちらの方は身柄の確保は難しいと判断しているわ…。彼女もブラックアート(異端技術)に通じていることが原因のようね…」

 

「わかった…プランを変更するとしよう…。その為には君の協力も必要だ」

 

「わかったわ…実行のタイミングはそちらに任せるわ」

 

_______________________________________________________________________

 

 

響は学校を休み弦十郎の元で修行をしていた

未来には置手紙をしておいたので心配はないと思っていたが…その後その事で文句を言われたのは言うまでもなかった。

修行も順調で実力をつけ始めていた響は、今は地下司令部で休憩中だったがある疑問を聞いた。

これはノイズ、そして目の前の脅威と戦う事を決意したが、その時不思議に思っていたことだ。

 

それは、ノイズに対抗できる武器はないのか?という疑問だった。

 

その疑問に弦十郎は「現状では無いな」と言った

 

ノイズに対抗できるのは今のところシンフォギアのみとされており、日本では完全非公開となっている

 

響は戦闘の時に建物や公共物などを派手に壊していた事を思い出してやり過ぎていた事を言ったが「情報封鎖も私たちの仕事だから安心して」とあおいから言われ響はホッとした。

しかし、その情報封鎖で日本の閣僚から苦情が絶えない事と、もしノイズが根絶されたら、シンフォギアや異端技術を外交の有効な切り札として利用しようとしている事を近くにいた朔也が説明すると、響は「複雑なんですね…」と素直な気持ちで言ったが…もう一つ疑問があった。

 

それは、グラムがシンフォギアを使用せずにノイズと戦っていた事もあったことだ

 

「グラムのその力についてはまだ分かっていません。別の異端技術と推測されていますが……お手上げです」と苦笑して朔也は言った。

 

弦十郎が言うには、解析不能な力を使用し戦っているのが原因だが…聖遺物〈バルムンク〉はどうやって入手したのかが不明の為、グラムは最重要確保対象となっている事を説明した。

今現在もその命令は解かれてはいないが「異端技術による逃走により追跡不可」として処理されている

 

響は納得はしたものの少し気になっていたのだ…彼女が戦う理由を…

 

響はいつもだったらもうこの時間に居てもおかしくない了子がいない事に気がつきその事を聞いたが、了子は本部の防衛強化の必要性やその他の報告の為、永田町へ行っていたのだ

 

了子に連絡を取ろうと弦十郎が電話を掛けるが反応が無い…その時に指令室に通信が来たが、それは防衛大臣である広木 威椎からだった

 

理由は櫻井了子がまだ到着していない事だった。

 

いくらあの性格である了子でもおかしいと判断した弦十郎が至急了子との連絡と捜索を命令させた時、不審なメールが届いた

 

内容が強制時に表示され、弦十郎は部下を引き連れて現場に向かった。

 

メールにはこう書かれていた。

 

「正体不明の武装集団と戦闘中です 彼らの目的は櫻井了子の拉致 至急応援をお願いします グラム」

 

______________________________________________________________________

 

何でこんな事になったの!!

 

私は今の防衛大臣の殺害計画を阻止する為にジークとヒルデに情報を集めるようにお願いしたけど…事態は意外な展開になってしまった。

 

それはジークが米国政府にハッキングして分かった事だった

 

本来であれば弦十郎さんか緒川さんに報告しなければならないのだが時間がなかったのだ。

二人に今わかった真実と万が一に備え連絡を任せた

 

私の集めた情報はすべて偽物だったのだ…

 

彼らの本当のターゲットは…櫻井了子

 

現在特機部二(とっきぶつ)に所属している聖遺物関連の研究者

 

私は急いで櫻井さんを助けに向かった…

 

私が襲撃されたと思われる現場に着いた時、櫻井さんだろうと思われる女性が拉致されそうになっている所を確認したため、今回はジークのバリアジャケットを展開し応戦することにした

 

まず櫻井さんを助け出す為に魔力で光弾を数個作り出して櫻井さんを取り押さえている襲撃者に放った

そこで数人を無力化した私は桜井さんを救出しその場を去ろうとしたが、銃で応戦されてしまい、櫻井さんをかばいながら空を飛んで逃げるのは不可能と判断した私は、固定武装である大剣を非殺傷設定に替え銃を構える襲撃者と戦う事になった。

 

距離を詰めてナイフで襲い掛かってきた襲撃者を大剣で攻撃して無力化させていくが、接近戦は無駄と判断されたのか銃で一斉射撃されてしまった。魔力でシールドを形成して銃弾の嵐から櫻井さんを守っていたが、数分経つと襲撃者たちは気絶した仲間を回収した後撤退していったけど…目的は一体何だったんだろう?

 

その後櫻井さんから盛大に抱き着かれお礼を言われたけど…何だろう?少し違和感を感じたけど…?

私はヒルデから〔特機部二(とっきぶつ)の捜査員たちがこちらにすぐに到着様です…撤退してください〕と警告されていた。弦十郎さんに今回の事を謝罪したかったのだが…仕方がないのでここから撤退することにした。

 

櫻井さんが大げさすぎるくらいにお礼を言ってくれたけど…あの違和感は何だったのかは…その後知ることになる

 

 

______________________________________________________________________

 

翼は意識が戻り医師からの身体チェックが終わり、数日後には個室に移動することが決まっていた

 

翼は絶唱を使った時の事を思い出していた

 

使用すれば絶大な威力を持つ絶唱だが体の負荷が深刻に高く、死ななかっただけ運が良かったと言うべきなのだろうか…それとも無様に生き残ってしまったと思うべきか…

 

この様な状態になる絶唱をなぜためらいもなく奏とグラムは使おうとしたのか…

 

未だに考えていても答えは出なかった

 

ドアを開ける音が聞こえた。今は面会謝絶で誰も面会できないはずだったが…入ってきた人は意外な人物だった。

 

「翼!!意識が戻ったって聞いて…無茶しすぎだ!!」

 

そこにはかつての自分の片翼であった奏が目に涙をためて怒鳴っていた。

 

しかしその一言の後「生きてくれてて良かった」と涙を流しながら喜んでくれた

 

本来だったら退室しなければいけないのだが特別に許可して話す時間を少しつくってもらった

 

そして翼は現在の状況を奏から報告してもらっていたが…あの後、響が弦十郎の元で修行をしており戦い方を教わっている事や、あの襲撃者の目的と…グラムの事などを聞き、自分の思った事以上に深刻な事になっていたので、翼はあの時に絶唱を使用しなければ、ここまで深刻な事態にはならなかったのではと奏に言ったが

 

「真面目が過ぎるぞ…深く考えすぎるとポッキリ根元から折れるぞ…」

 

と彼女に呆れられるが「私はそんなに真面目じゃないから折れたりしないよ」と翼に言葉を返され、少し笑顔が戻りながら奏は少し安堵する。

 

翼は改めて奏に聞いた…奏は何のために戦っていたのかを…。奏は少し考えた後こう答えた

 

「初めは…ノイズに対しての復讐かもしれない…。だけどな…戦っている世界の裏側にまた違ったものがあるのを見て…それを守りたかったのかもしれない…。それが私の戦っていた理由かな…」

 

翼はそれが何だったのかを知りたかった

 

奏が抜けた後、1人でずっとノイズと戦い、この身を剣として戦ってきたが絶唱を使い瀕死の重傷を負い死ぬかもしれないと思った時に分かったのだ…自分の命は何も価値が無いと…

 

奏は答えを…教えなかった。自分で見つけなければ意味がないと判断しての答えだったが…

 

「奏はやっぱり私に意地悪だ」

 

と拗ねられたが、翼はその後「ありがとう…いつまでも甘えてばかりじゃだめだよね…」と謝ったが、その顔が憑き物が落ちたように安らかな笑顔だったのが奏にとっては救いだった。

 

前のように張りつめて悩んでいたら答えを言うしかないと思っていたが、これなら私がいなくとも自分で答えを見つけるだろう…。そしてその近くには、あの娘()がいるだろう…。そうなると寂しくなるのは自分か…と奏は寂しく思うが、翼の成長を見る事が出来るのは嬉しい事だった。

 

無理を言って面会させてくれた事もあり、奏が自分の病室に戻ろうとした時に翼は感謝の言葉ともう一言、言ったが奏はその一言の答えがいつ出るのかが、楽しみとなった

 

「私がその景色を見つけたら奏と一緒に見たい…それが私の答えだから」

 

_______________________________________________________________________

 

了子の拉致未遂事件の数日前の話、特機部二(とっきぶつ)の司令室で緊急招集がかけられグラムの提供した情報が公開された。

 

その内容は「現在の防衛大臣の殺害」と「完全聖遺物〈デュランダル〉の強奪」が明らかにされた事だった。

 

その後、グラムが提供してくれた情報はかなりの有力な証拠となり、強行捜査を実行し現在の防衛大臣の殺害の実行犯の逮捕を決行したが…結果は失敗だった。

 

現場の総指揮をしていた緒川によれば、数日前までは潜伏していたのを確認していたが、情報の公開をした後に撤退をしたらしい…

これは、内通者があの時の緊急招集された内の1人だという事が明らかになったことを意味していた。

 

それと、グラムのこの一言が気になっていた

 

「これによって有利になる組織が黒幕だと思ったのですが…心当たりはありますか?私も詳しい内容は知りません…」

 

内閣情報官の八紘の情報であることが分かった…

 

この件で得をする組織は自分たち…特機部二(とっきぶつ)であったことだ

 

現在の防衛大臣である広木 威椎は特機部二(とっきぶつ)本部の防衛強化の予算決議を先送りにしていた事が原因だった

しかし、それは国民の血税を用途不明で公開した時に、国民に不信を出さないようにする事と、膨大な資金を秘匿とされている組織に優先することによる国会内部の批判を回避する事が理由だった

 

その広木防衛大臣がもし失脚か死亡した場合は今の副防衛大臣が繰り上げとなるが、彼は「親米派」だったのだ。

その場合、この先米国政府の要求が通りやすくなる可能性が高い。

 

その話を聞いていた了子は「グラムって子は良い子ね~。命があってよかったわ」と気楽そうに言っていたが、命が狙われていたのが広木防衛大臣ではなく了子だったのが混乱の理由だった

 

グラムはこの件に対して「誤報をしてしまってすみませんでした」と謝罪のメールがあったが…弦十郎はそうだとは思っていなかった。

 

この事がきっかけとなり本部からデュランダルを、永田町に存在する記憶の遺跡に移送する計画が立てられていたが…これも情報が洩れている可能性がある。

 

響の修行中に彼女と会っていた時に、この先の事を考え、グラムには協力的ではあったが最重要の確保が命令されている為、弦十郎は「今回の件を最後に身を引いてくれ」とグラムに言ったが「ここで何もしなければ私は後で絶対後悔する…私にも協力させてください」と返されてしまったのだ。

 

弦十郎はこの会話で彼女も訳ありなのだと悟った

彼女も戦う理由があるのだ…自分の今の愛弟子のように

 

明日行われるデュランダルの移送計画で敵対組織の目的が分かるかもしれない…

 

弦十郎は本来であれば了子にも参加してもらう予定だったが、今回の武装組織の目的も分からない事が多く万が一の事を考え待機してもらう事になった。

 

この選択が…最悪の選択になろうとは弦十郎は予想していなかった。

 




次回 エピソード7「この身を犠牲にしても…」


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エピソード7「この身を犠牲にしても…」

早めに更新できました

今回の話は原作5話の後半になっています

10/13

誤字・脱字修正しました

10/15

誤字修正を適用しました


響は明日の作戦の為一度寮に戻っていたが、そこで待っていたのは、未来の質問攻めと朝の修行の置手紙の事の文句だった。

 

響ははぐらかしたまま荷物を持ってそのまま出ていってしまった…。

 

心配する暇もなく立ち去ってしまった幼馴染に未来は少し不満を言ってしまうが、話してくれるまで待つことにしたのでその時に色々訳を聞けばいいと思っていた。

 

もう一人の幼馴染の月華はどうしているのだろうか?

 

確か1人部屋だったはずだと考え、少し愚痴ぐらいは聞いて欲しかったので訪ねてみる事にしたが、彼女は月華がなぜあんなに頑なに仲直りをしないのかを疑問に思っていた。

 

「私とは自然に話せているのに」と不思議に思いながらも月華の部屋の前に着きチャイムを鳴らそうとした時、話し声が聞こえた。

 

何を言っているかはわからないが、月華の他にも誰かいる事は何となくだが分かった…。

 

邪魔をしてはいけないと思い自分の部屋に戻ろうとした未来だったが、話が終わっていたのかドアが開いて月華と鉢合わせしたしまった。月華に「何してるの?」と話しかけられ少し慌ててしまったが、話し声が聞こえたので誰か来ていると思い、大した用ではないので帰ろうとした事を月華に言うと、彼女は「大した話じゃないわ」と言って部屋に入れてくれた。

 

___________________________________________

 

本当の事を言うと少し危なかった…。

 

私は明日行われると思われるデュランダルの移送計画の事でジークとヒルデと私の三人で話し合いをしていた。でも、分かっていることだったけど、ヒルデから猛抗議されたのだ…。

 

〔響さんの事が心配なのはわかります…ですがご自身の事も心配してください!!今回の事もですが…〕

 

何故かヒルデが今回の事に限っては猛反対した。

 

理由は特機部二(とっきぶつ)の内通者の事だった。

 

防衛大臣じゃなくて、なぜ櫻井さんを拉致しようとしたのかが疑問だ。

櫻井さんは異端技術専門の考古学者と特機部二(とっきぶつ)本部の防衛システムの責任者だから狙われていた。そう考えるのが妥当な意見だけど何かおかしいのだ…。

 

その事をジークとヒルデに話した時に、ジークが〔確かになんでターゲットを替えたのかが気になるが…念のため調べよう。だがマスター、もう消されている可能性が高いから期待しないでくれ…〕と言いながら調べてくれた。

 

ジークの言うとおりデータは無かった。用心していたのか最新の追跡プログラムのトラップがあったが、そんなのに引っ掛るようなミスはしない。だが、私がハッキングすることを米国政府は想定していた事がこれで分かった。

 

その為かヒルデは私の事を心配して、この作戦に関わって欲しくないと言って口論まで発展してしまった。

(ジークは口を出すと面倒だから落ち着くまで黙っていたらしい)

 

だけど今回の事で分かったのは、確実に内通者がいる事と、米国政府のターゲットが櫻井さんになった事だ。

 

私は自分自身で、これから起こりうる最悪の事態を考えていた。その結果、今回の作戦は失敗したら私はここには居られなくなるか…もしくは響ちゃん達と敵になる可能性がある事が結論として出た。

 

その答えをヒルデに言わなかったせいか凄い言い争いとなってしまったが、黙っていたジークが〔部屋の前に未来がいるが平気なのか?〕と聞いてきてびっくりした。ジーク…そうゆう事は早く報告しなさい!!

 

ドアを開けてみると確かに未来ちゃんが居た。けど彼女からは、話し声が聞こえたので邪魔しちゃ悪いと思って帰ろうとしていた事を聞いた。

 

会話の内容は分かっていないようなので少し安心した。ヒルデのお説教よりは未来ちゃんと話していた方がかなり楽なので部屋で話を聞くことにしたけど…

 

どっちも似たようなものだった…響ちゃんしっかりしてよ!! 大変な事になっている事はわかるけど、これじゃヒルデのお説教と同じよ…。ジークが黙っていたのが良く分かるわ…。

 

だけど未来ちゃんがここまで私に会いに来るのと響ちゃんの世話を焼くのは無意識にあの事の罪滅ぼしのつもりかもしれない…。その為私はこの後数時間のように感じる未来ちゃんの愚痴を聞いていた…。

 

本当に勘弁して…響ちゃん…。

 

私はこの原因の犯人を呪った。

 

 

因みにこの長い闘いが終わった後、私が明日の事を言った時のヒルデの返事は…

 

〔マスターの勝手にしてください〕

 

この一言だけだった…。

 

___________________________________________

 

デュランダルの移送計画の前に響は実行まで休んでいようと思っていたが、作戦の緊張とここに来る前に未来に何も説明できずに来てしまった罪悪感で眠れなかった。

 

近くにあった新聞を見ようとしたが男のお宝ショット(察してください)を見てしまい、赤面しながら「男の人ってこうゆうの好きだよね」とつぶやきながら別の記事を見た。

 

そこには翼が疲労によって活動を暫く休止することが書かれていた。

 

その記事を見て考え事をしている響に緒川が話しかけ、情報操作をした事と、翼が意識が戻った事を彼から聞き、響は安堵の表情を見せた。

 

この時に、予定していたライブが出来なくなった事をファンにどう謝ればいいかを考えて欲しいと緒川に言われ、あの時に、自分の力不足によって翼が絶唱を使うことになってしまった罪悪感から少し落ち込んでしまう響だった。緒川の言葉はあくまでその場を和ませるためのジョークだったのだが、上手くいかず響に謝罪したが、その事で彼女に笑顔が戻った。

 

緒川は、色々な所でバックアップをしてくれる人がいる事を知って欲しかった事と、肩の力を抜いて欲しい事を言いたかっただけだったのだ。

 

「優しいですね、緒川さんは」と響は言ったが「臆病なだけです…。本当に優しい人は他にいますよ」と緒川は返した。

響は緊張が解けた事のお礼を言って、明日の為に休むため奥の仮眠室へ向かっていった。

 

それを見ていた緒川も「翼さんも響さんぐらいに素直だったら」と今まで苦労をかけさせている彼女を思い出し言った。

 

次の日のデュランダルの移送は緒川と響の担当となる事が決定していた。

 

これは本来は了子が担当する事になっていたが、危険性もあった為に変更となったのだ。

 

それと、明日は彼女(グラム)も来るだろうと読んでいた弦十郎は、非常事態が起こった時の事を考えていたのか特別な指令を出していた。本来であればこれは()()()()()()()()()()だが、緒川もその事に関しては了解した。

 

「甘いですね、司令は」と緒川は苦笑しながらもその命令に従った。

 

「甘いのは分かってる…性分だ」と迷いもなく弦十郎は言葉を返した。

 

___________________________________________

 

気分は最悪だ。

 

昨日の未来ちゃんとヒルデの地獄の部屋の後に目覚めが良いなんて事は無かった。

未だにヒルデは沈黙していたので、仕方なくジークのバリアジャケットを展開し、幻影魔法を使って自分の姿を見えなくして待機していた。

 

仕方ないので、ヒルデに私がなんでこの作戦に参加するのか、理由を言った。

 

この作戦でデュランダルが紛失、強奪された場合と、この作戦に伴う被害でもし今の防衛大臣が失脚した場合、今の副大臣がその席にスライドされるだろう…。

その副大臣の就任によって米国政府の要求が通りやすくなる…。

それが意味するのは、もし私が捕まった時、特機部二(とっきぶつ)に日本政府の横やりが入り、彼らの保護を受けられない事だ。その後は簡単だ…私を米国政府との交渉材料に使えばいいだけだ。

何所にも所属していないので、人権もなく、物として取引出来るので恩を売りやすい…。その後はもうわかるだろうから言わなかった。

ヒルデは〔分かっています…〕と答えてくれたが、少し納得していないようだった。

 

気まずいながらデュランダルの移送計画が実行された。

 

___________________________________________

 

デュランダルの移送計画が実行されたが急な変更もあった。

 

本来待機であった了子が無理矢理参加したのだ。しかしヘリで指揮を執る事になっている弦十郎と一緒にいる事で、これは了承された。

 

作戦が決行され、護衛車と共に目的地である永田町まで向かっている最中に、ノイズの襲撃にあった。襲撃自体は予想していたことだったが、ノイズによる攻撃で護衛車が破壊されていった。

 

「司令、少し拙くありませんか?」と吹き飛ばされてくる護衛車を避けながら運転をする緒川が弦十郎に言ってきたが、ノイズが先ほどから護衛車だけを的確に攻撃してくるこの状況は、前々から疑問にされてきた、ノイズが意図的に操られている事の証拠にもなった。

 

「弦十郎君!! このままだとやばいんじゃないの?」と横で了子が心配そうに聞いてきたが、弦十郎はこの後の作戦のため、この先にある薬品工場にあえて行く事を選択した。

 

デュランダルの強奪が敵の目的であれば、それが破損もしくは破壊されることは望まないはず。だからこそあえて危険な地域を選び、攻め手を封じるためにそこを通る事にしたのだ。

緒川と了子から勝算があるのかと聞かれ、「思い付きを数字で語れるものかよ!」と弦十郎が返したその時、最後の護衛車がノイズに襲われ、薬品工場のタンクに車が突込み爆発を起こした。その時、ノイズがその爆破を恐れるような動作をした。

それは狙い通りだったことを響が言った後、急に乗車していた車が横転してしまう。

横転した車の周りには、ノイズの大群がいた。

二人は車外へ出て、デュランダルが格納されたハードケースを響が持つが、「緒川さん、コレ重いです」と言ってしまうほど重かった。代わりに緒川が持ち車から離れようとした時、ノイズの攻撃で車が大破して爆発を起こした。

二人は爆風で吹き飛ばされてしまい、動けなくなっているところをノイズが襲い掛かったその時、二人をかばうようにノイズを炭化させ守った人がいた。それは、彼女たちにとっては見慣れた少女だった。

 

「ご無事ですか?」

 

それはグラムだった。バルムンクを連結刃に替え高速で回転させて、ノイズの攻撃を防ぐ盾になってくれていたのだ。

 

「今回は間に合いました…。あなたは早くここからデュランダルを持って撤退を!!」

 

グラムは二人を守っていたのだ。しかし、守られるだけではなく、自分も大切なものを守るために戦う事を決意した響は、決意を込めた声でグラムに向かって言った。

 

「私、歌います!!」

 

聖詠して、響はシンフォギアを纏う。彼女が初めて修行の成果を試す時が来た。

 

___________________________________________

 

凄い…ノイズと殆ど一人で戦えている…。

 

始めは配管につまずいていたが、ヒールを無くした後の戦闘では、あの時とは見違えるほどに彼女は強くなっていた。

弦十郎さんに教えてもらっていたのは知っていたけど、あのアクション映画を見て実戦に使えるようになったのだから、響ちゃんはやっぱりいい大人に出会えたのだと思った。

私も護身術を真面目に習えばよかったかな?

私も応戦はしているけどこれなら私が戦って二人は退却させた方が良かったのだけど万が一を考え残ったのだ。

だけど鎧の少女が見当たらない…。彼女の目的は響ちゃんとデュランダルのはずだ。

そう思っていると、響ちゃんに攻撃してくる鎧の少女の姿が見えたが、ノイズが湧き出るように出て来るのでその方まで対応が出来ない!!

 

「邪魔者はザコ相手に引っ込んでな!! アンタはここで始末しろって言われてんだ」

 

鎧の少女が無数にノイズを召喚する。連結刃から元に戻し双剣に替え戦っていたが…ふと緒川さんの様子を見ると何か様子がおかしい…。どうやらデュランダルに異変があったみたいだけど?

 

何?この嫌な予感は…。

 

この時の予感が的中する事を、私はまだ知らなかった。

 

___________________________________________

 

鎧の少女は苛立っていた。

 

この前の襲撃の時に翼の絶唱のおかげで深刻なダメージを負ったが、ネフシュタンの鎧のおかげで逃げ延びることができた。だがその後、帰還した彼女を待っていたのは拷問だった。

 

ネフシュタンの鎧は完全に粉砕された状態であろうが何度でも復元する特性を持っていたが、破片が体内に侵入したまま再生した場合、装着者の肉体を食い破ってしまう危険性があった。

 

それを防ぐため、電流を流し破片を除去する目的もあったが、()()()()の失敗の事もあって拷問され、精神的にボロボロだった。だが、彼女にも目的があった…。

 

その拷問をしていた女性に「アタシのやっている事は違っていないんだよな」と彼女は確認し、その女性は間違っていないと言った…。現にソロモンの杖を起動させたのはその少女であり、ある目的から女性に協力していたのだ。

 

その後、今回の事で命じられたのは、響の拉致とデュランダルの強奪…そしてグラムの抹殺だった。

 

 

 

今それを実行し、自分は響に対抗しながら、グラムには大量のノイズで対抗していたが、二人とも予想外にしつこかった為に彼女は苛立ちを隠せなかった。

そんななか、グラムによってノイズが殲滅された時、デュランダルが収納されていたハードケースを壊し意思を持ったように出てきたのだ。

 

鎧の少女は先にデュランダルの確保を優先したが手が届く寸前に響に体当たりされ、デュランダルを先に響に確保されてしまった。

 

その後に起こったことで、鎧の少女にとって一番予想外だったのは…抹殺対象であったあの少女に助けられることになったことだった。

 

 

___________________________________________

 

デュランダルを手に取った後、何か響ちゃんの様子がおかしい。

まさかとは思うけど暴走しているの? デュランダルの欠けた上部の刀身が復元して、その周りを纏うようにエネルギーが刃となっている。

 

鎧の少女がその力を恐れたのか「アタシの前で力を見せつけるな!!」と言ってノイズを出現させたが、この行動は今の響ちゃんにとって逆効果となった…。

 

響ちゃんは鎧の少女のほうを振り向き、デュランダルを振り下ろそうとしたのだ!

 

ここには緒川さんもいる! もし大爆発でもしたら、緒川さんが常人では無い事は確かだけど、まず助からない!!

 

絶唱も、響ちゃんの体の事やこの化学工場への影響の事も考えれば使用は出来ない…。

 

 

私はバルムンクを双剣から手甲に替え、魔法で身体能力を上げノイズを掃討した後、振り下ろそうとされるデュランダルの刀身をバルムンクの全力を持って握り、振り下ろすのを防止した。だが、これで解決されたわけではない…。手に激痛が走り耐えられなくなる前に、私はある事を実行する事を決めていた…。

 

「ジーク!! ヒルデ!! シーリングモード起動(封印魔法)!! デュランダルを停止させる!!」

 

私がやろうとしていた事に気がついてくれたジークはすぐに実行してくれたが、ヒルデは遅れてしまっていた。

 

〔マスター、申し訳ありま…〕「そんなこといいからデュランダルの停止に集中して!!」

 

ヒルデは気にしていたみたいだけど、私は今、全魔力をデュランダルの停止に使っていて、刀身を持つ力は私の歌でどうにかなっている状態だ。

 

私が念話で「文句ならいくらでも後で聞くから…シーリングモードの方は二人の力が必要なの」と言った後、ヒルデはすぐにシーリングモードの方へ集中してくれた。だが、完全聖遺物の力を甘く見過ぎていた。

 

魔力が無くなり、ジークもヒルデももう限界だった…。

 

静まれ!! 静まれ!!

 

私はあきらめたくなかった!! こんなもの(デュランダル)に支配されるほど響ちゃんは弱くない事を知っているからだ。

私は響ちゃんを信じながら歌い続ける。

戻ってきて!! その手は破壊する為じゃなくて、人を助ける為の手で…その手で誰かを殺されるところなんて見たくない!!

この身を犠牲にしても…響ちゃんを止めてみせる!!

 

その願いが叶ったのか、デュランダルは輝きを無くし始め、響ちゃんのシンフォギアが解かれ、彼女はその場に倒れた。

どうやら成功したらしいがまだ反応している為、完全に停止してはいないのだろう。だが被害はないので、上出来だろう。

生きていた事には変わりもなく、鎧の少女も撤退しているらしく見当たらなかった。

深刻だったのは…私の両手だった。

 

私の両手は自分の血で赤く染まり…その激痛に声にならない悲鳴を上げていた…。

 

何とか我慢してここから撤退しようとしても、今の私には…その手段がない。

魔力をシーリングモードで使い果たし、幻影魔法も飛行魔法も使えない…。

さっきからジークもヒルデも沈黙しているが、どうやら酷使してしまった為か今は強制停止され自己修復に移行されている。

そして体力もないのだ…。手の激痛で気絶しそうな意識をどうにか保っていたが…限界だった。

なぜならここには緒川さんがいるからだ。

 

私が逃走をあきらめた時、緒川さんに人気のない場所に連れていかれたが、彼はその後に驚きの行動に出たのだ。

彼はどこからか布を出して、私の両手の応急手当をした。

 

「すみませんが…あなたには無理でも逃走してもらいます」

 

と言った後、私をおんぶしてその場から撤退したのだ。

私は響ちゃんの心配をしたが、弦十郎さんと櫻井さんがすでに地上に降りていて、響ちゃんもデュランダルを確保していることを緒川さんが教えてくれた。

その時に響ちゃんは私の事を心配してくれていたみたいだったが、櫻井さんが「逃げられちゃったみたい」と説明してくれたらしい…。

 

私は緒川さんに、なんで逃走を手伝ってくれたのかを聞くと、弦十郎さんの命令で、今回私が逃走出来ないような事態になった時に逃走を手伝うように言われたそうだ。なんで私にここまでしてくれたのかを聞くと、今回の件で[広木防衛大臣の殺害]と[デュランダルの強奪]を防いでくれた事の弦十郎さんなりのお礼らしい。今回だけと言われたが少し嬉しく感じてしまう…私のした事は間違ってはいなかったのだから…。

 

今回の件で弦十郎さんから謝罪をされたが、緒川さんに伝言を頼んだ。

その言葉を伝えた後、緒川さんに「あなたが希望するのであれば特機部二(とっきぶつ)に来ませんか?」と言われたが、丁重に断った…。

 

私は適当な路地裏で下してもらい、今回の事でお礼を言った後、緒川さんはその場から立ち去った。

私はそこで数分経った後にシンフォギアを解除して寮へ向かう事にしたが、やはり限界だった…。

少し休もうと考えたとき、小さな公園があったのでそこのベンチで両手を隠すようにして休んでいたが…そこで私は気を失ってしまっていた…。

 

 

___________________________________________

 

さて、久々に帰ってきたが、どうやら物騒な事件が起こっているみたいだ。だが…私がいた所と比べればずいぶん平和なものだ…。

 

暫くここに住む事にしたので、二人の同居人の一人は今借りたアパートでまったりしているが、もう一人がどっかに行ってしまった。見つけたときには、どうやら公園で何かを見ているようだが…。

 

「あ…。シュウ…この子どうして寝てるのかな?」とアテナが話しかけてきたが、私はこの少女のことを知っていた。

 

「月華さん? なんでこんな所で寝ている」

 

それは数年前に自分が教師をしていた時の生徒だった。

 

 

 

 




次回 エピソード8「なんでそんなに私の事を…」


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エピソード8「なんでそんなに私の事を…」

更新が早めに出来ました…

今回はオリジナル回となっています

月華の過去とオリキャラの絡みが中心となっています

10/20

脱字修正しました

一部文章を変更しました

誤字報告を適用しました

10/31

次回エピソードを変更しました





これは夢だ…一番見たくない夢…

 

私が大親友と決別した時の事だ……。

 

 

それは幼馴染が快楽殺人犯に殺されてから数ヶ月後のこと……親友が学校に来なくなったのだ。

 

私とあいつは彼女を心配した…だって幼馴染が殺されたあの日に、本来であれば恋人として付き合う事が決まっていたからだ。

私も彼もどうしたらいいか分からなかったが、私が先に話してみる事にしたのだ。「すまんな…月華……。俺も後で来るからそれまで頼む」と気をきかせて三人で話す為にお菓子や飲み物を買いに行った彼は後に合流する予定だったけど、私と話している内に私のある一言で親友を怒らせてしまったのだ……。

 

それが最悪の結果となった……。

 

「月華に私の気持ちなんてわからない!! 本当に好きだったのに!! あんな別れ方して普通でいられるあなたとあいつが信じられない!!」

 

親友は本当に好きだったのだ…私にも惚気話を聞かせてくれたぐらいに……。私も「そんなことは無い」と言ってなだめたが、彼女のこの一言が原因で、自分でも許せない事を言ってしまったのだ……。

 

「あなたと友達になるんじゃなかった!! そうすれば彼に出会う事もなかった!! こんなに苦しむこともなかった!!」

 

その一言に怒りが込み上げて、親友の頬に思いっきり平手打ちをしていた自分がいた……。

 

その後口論となり、自分の隠していた気持ちもすべて明かした……。彼女は私の言葉に動揺していた、「なんで言ってくれなかったの?」と……。それは一番大好きな親友に幸せになって欲しかったからだ……。

だから、私はあきらめたのだ…死んだ幼馴染の事を私は好きだったからだ……。

 

私ではこの幼馴染を幸せには出来ない……。

 

だけど彼女なら幸せに出来ると信じたから…私は初恋の人をあきらめたのだ……。

 

夢だと分かっていても私はあの言葉を言ってしまう……。

 

この世界での響ちゃんの蒼白となった表情と幼馴染が重なって見えた。

 

「あなたは私の友達じゃない……。もうここには二度と来ない……」

 

私が部屋から走り去った時に私を呼び止めようとするあの悲痛な声は今でも耳に残っている……。

 

それが…大好きだった親友との最後の会話になった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

私は悪夢から現実に戻ったが…ここはどこだろう……。

 

ベットに寝かされている事から、どうやらあの公園で気を失ってしまったらしい……。

体を起こそうと手を使おうとした時に激痛が走った……。

忘れていた…私の両手はデュランダルの停止の影響でボロボロだったはず……。手を見てみると、緒川さんに応急手当してもらった布ではなく、ちゃんと包帯で手当てされていた。

暫く手当てされた両手を見ていると「あっ! やっと起きた!!」と明るい少女の声が聞こえたので振り向いてみると、そこには同年代ぐらいのショートカットの少女がいた。

 

「どうしたの、あんな大怪我して? あのままじゃいけないと思ってシュウに頼んでここまで運んでもらったの」

 

この後アテナと名乗った少女にお礼を言った後、どうして此処にいるのかの経緯を教えてもらった。

 

どうやら最近引っ越して来たアテナさんが、近くを散歩していた時に公園のベンチで気を失っている私を見つけ、同居人である二人に協力して住んでいるマンションまで運び、酷い怪我をした両手にも手当てをしてくれたみたいだ。けど…なんで見ず知らずの私にここまでしてくれるのかが分からなかった。が、この後その疑問が解けたのだ。

 

どうやら誰か帰ってきたみたいだけど、その人がここまで運んで手当してくれた人だろう……。

 

その人の顔を見た時、こんな再会をするとは思わなかった。

 

「おや? 起きていたのか……。久しぶりだね…月華さん」

 

「子安先生!! なんで……」

 

私は、もう会えないと思っていた人と再会した……。

 

 

 

先生は両手にビニール袋を持っているので買い物でも行っていたようだ。こころなしか、私が目を覚ましている事を少し喜んでくれているように見える。

 

「月華さんも元気そう…ではないとは思うが本当に久しぶりだね」

 

私の両手の状態を見てから途中で言葉を替えたみたいだが…この優しく丁寧に話しかける所は中学時代とはまるで変わっていない……。

そう言えば、名前初めて聞いた…子安 愁というらしいが急に学校を辞めいなくなったが、こうしてまた会えたのは運が良かったのか悪かったのか……。

 

そう言えば…前に食事を一緒にした彼女はどうしたのだろう?

その事を聞いてみたが、どうやら今は別行動をしているらしい……。

先生は私が普通に話をしていることに少し安心したのか

 

「応急手当はしてあったが状態が酷かったので私の方で治療しておいた。こう見えても医師の経験もあるので出来る範囲でしておいた。酷くなるようだったら、また私が診てあげよう」

 

と言ってくれたが…先生は私にこのような怪我をした理由を聞かなかった。

 

「なぜこんなを怪我をしたのか…聞かないのですか?」

 

私は疑問に思ったので先生に聞いたが、苦笑しながらこう答えてくれた。

 

「気にはなるが…話してはくれないのだろう? それに、騒ぎになると君も困るだろうと思ったから治療をしたのだが…迷惑だったかな?」

 

この先生は苦手だ…全てを見通したような言い方はいつも的確に私の本心を見抜いている……。

私がムッとした顔をしていたのか、先生は「すまない…私の悪い癖が出てしまったようだね」と言ってはきたが…本当にすまないと思っているのかは疑問だ。アテナさんが「仲がいいんだね……。シュウがここまで話している人、初めて見たよ」と言うけど、中学生の時は女子生徒に囲まれていた様な気がしたけど……。

 

先生が私の顔をずっと見つめてくるから、まだ何かあるのかと思ったけど、意外な事を言われたのだ。

 

「顔を見つめて不愉快にしたなら申し訳ない……。しかし、初めて会った時と比べて君が変わったようにも見えた……。良い友人か頼れる大人のどちらかに出会えたようだね。今の君はあの時とは印象が違うね……」

 

この人はどこまで見抜いているのだろうか……。

確かに、引っ越した後の私は他人との交流をしようと思わなかったのでずっと一人でいた。

学校の行事は全く出ず、さぼっていた事もあってこの先生と話したのがきっかけで交流が始まったが…今思えばなぜ私にここまでしてくれるのかが分からなかった……。

 

「そんなことはありません…私は今も一人ですよ」

 

「そうか…私にはそう見えなかったのだが? 今もこうして普通に話しているが、あの時の君であれば黙っているか、それとも立ち去るかしているはずだった。こうして話している事を嬉しく思っていてね」

 

それは、こうして怪我をしているところを偶然ながら助けてくれた恩人にそんな失礼な事は出来ないからだ。

 

その時に「シュウ、ちょっと月華さんとお話させて」とアテナさんが言ってきた。彼女が話してくれたのは、ここに運ばれた時に私が着ていた服とシンフォギアのコンバーターのペンダントとシーリングモードの使用で損傷して、今は自己修復モードで待機状態になっているジークとヒルデの事だった。

 

「忘れてたけど…服はちょっと血で汚れていたから捨てちゃったよ……。今着ている服は私のだけどあげるね」

 

と笑顔で言ってくれたけど、後で洗って返そう……。その時にコンバーターのペンダントとジークとヒルデも返してもらった。外したのは怪我の治療の為だった。見た目は赤と青の宝石が付いたブレスレットと、変わった形のペンダントなので「それ何所で売ってるの?」とアテナさんに聞かれたが、死んだ両親の形見なので分からないと言ったら「そうなんだ…だったら大切にしないとね…」と優しい笑顔で答えられた……。彼女にも昔に何かあったのだろうか?

 

取り敢えず、今回の怪我の手当てとここで休ませてくれた事をお礼を言って寮に帰ろうとした時に先生が最後に言ったその言葉は私は忘れられなかった。

 

「手紙にも書いたが、君は信頼できる人を見つけられればどんな困難も立ち向かえるだろうね……。それと、これは私の尊敬する科学者の言った言葉なのだが、君にアドバイスとして伝えよう……。『孤独な者は己の限界に行き届いてしまうが手を取り合い惹かれあった者はその限界が限界では無くなる』。君はもしかしたら、その誰かにもう手を繋がれているのかもしれないね…君が意識してなかったとしてもね。今、月華さんにその人の顔が浮かんだなら、それが証拠となるだろう」

 

…本当にこの人はどこまで私の本心を見抜いているのかと思った。

 

「余計なお世話です」と照れ隠しについ悪態をついてしまうが、先生も「君らしい返事で安心したよ」と皮肉を言った。

 

アテナさんは、もう少し帰るのを待ってほしいと言ってきた。私もこれ以上お世話になるわけにはいかなかったけど、アテナさんの押しに負け数分待つと「これ今日の夕飯にどうぞ! その手だと不便だと思ったから」とタッパーにサンドイッチを詰めてくれたみたいだった。断るつもりだったけど、失礼な事になってしまうかと思ったので受け取った。それと、痛み止めと化膿止めの飲み薬を万が一の為に渡してくれたけど…

 

その時に、先生に疑問に思った事を聞いた。

 

「なんでそんなに私の事を…助けてくれるのですか? 私に係わっても何も…良い事なんて…」

 

「君は一人でいる事で他者を守ろうとしている……。あえて聞かないと言ったが、その両手の怪我もそのような理由だと思っている。そんな君を知っているからこそ私は無条件で味方になりたかった…月華さんがどう思っていてもね」

 

この人は…本当に何者なのだろう……。私は再び「ありがとうございます」とお礼を言ったとき、先生が少し笑顔を見せていたけど…私はおかしな事をしたのだろうか?

私は二人に見送られて寮に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

寮の自分の部屋に着いた時に、やはり思っていた障害が発覚した……。

 

手が痛くて力が入らずドアを開けられないのだ……。

痛みをこらえてどうにか開けたけど…本当にこの先の生活が不安になった……。

 

帰る途中で両手の状態を確認したけど…やはり強く手を握ろうとすると痛い。

その為、帰る時に貰った薬やサンドイッチの入ったタッパーはエコバックを貸してもらい肘に掛ける事でどうにかなったけど、物を持ったりするのは暫くは無理みたいだ……。

 

ジークとヒルデは、自己修復モードが完了するまでは時間がかかりそうなので、暫くは普通に暮らさないと……。

 

試しに魔法をジークとヒルデなしに発動させてみるが…どうやら負荷を掛けすぎたみたいなので使用は出来ないようだ。

 

ジークとヒルデがいてくれたから一人ではないと思っていたが、今は本当の1人だ。

 

一人ぼっちになったからなのか…あの悪夢を思い出してしまう。前世での最大の後悔と自分が死んでしまった原因を……。

 

私は自室の机の引き出しからパスケースを取り出した。

 

このパスケースには4枚の写真が入っている。

 

一つは神様がおまけしてくれた前世での旅行の私を含めた四人の集合写真。

二つ目は私が幼い頃にこの世界での両親と一緒に写った写真。

三つ目は中学時代にあの事件が起こる前に撮った響ちゃんと未来ちゃんと私の写真。

 

これを見て思った事は、先生の別れる時に言ったあの言葉だ。

 

「『孤独な者は己の限界に行き届いてしまうが手を取り合い惹かれあった者はその限界が限界では無くなる』。君はもしかしたら、その誰かにもう手を繋がれているのかもしれないね…君が意識してなかったとしてもね。今、月華さんにその人の顔が浮かんだなら、それが証拠となるだろう」

 

その時に浮かんだのは、幼馴染と大親友のあの娘と最後まで心配してくれた男友達の顔…それに響ちゃんや未来ちゃんだ。けど、私はその手を、前世での三人とは事故で、響ちゃんと未来ちゃんは自らその縁を断ってしまった。

それでも繋がっている…今でも手を繋ごうと私に優しくしてくれる二人には本当に感謝したい……。

 

このパスケースも、実は響ちゃんと未来ちゃんが小学生の時の私の誕生日に二人がお金を出し合って買ってくれたものだ。

 

緒川さんに特機部二(とっきぶつ)に誘われた時に断らなければ良かったかな…と少し後悔したが…正体を明かした時に響ちゃんがどう思うのかが怖かったし…響ちゃんの事だからすべての件を含めて自己嫌悪で悶えるんじゃないかと心配してしまった……。

問題は未来ちゃんが一人になるかもしれないことだ。

響ちゃんがノイズと戦っている間は不安もあるだろうし、私も出来るだけ傍にいて安心させたい。

 

この前みたいな愚痴を延々と聞かされるのはもう嫌だが……。

 

時計を見てみると、夕飯をとるのにいい時間になっていた。二食抜いていたせいか、アテナさんのサンドイッチを数分で完食していた事には自分でも驚いた。

 

ジークとヒルデも、数日後には自己修復が終わって普通に会話できるだろう……。

 

「二人には謝らなくちゃいけないわね……。いつもありがとう…ジーク、ヒルデ……。これからもよろしくね」

 

沈黙したままだったが、〔気にするなマスター〕とジークが、〔こちらこそよろしくお願いします。マスター〕とヒルデが答えた様な気がしたが……この二人も私の家族だ……都合がいいと思うが、再起動した時に聞いてみよう。

 

私は服をどうにか着替え、両手に負担を掛けたくなかったので仕方がないのだが、体操着に着替えて寝る事にした。

 

 

少し神様に文句が言いたい……。

 

私は秘密が多過ぎる……。

 

転生者である事…そしてこの世界での私の出生の秘密の事……。

 

それは四つめの写真が原因だ……。その写真に写っている若い夫婦の写真……。

 

これは転校後に死んだ両親から渡されたものだったが…その衝撃的な話は今でも私は覚えている……。

 

だって本当の両親は…この写真に写る若い夫婦で…その本当の両親は…殺されたのだから……。

 

 




次回 エピソード9「特典の辻褄を合わせって必要だったの?」


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エピソード9「特典の辻褄を合わせって必要だったの?」

更新が早めに出来ました…

今回もオリジナル回となっています

今回は前回の月華の秘密の公開と月華の裏事情の事が中心です

ホントごめんなさい…一部修正しました

12/7

誤字報告を使用しました


事後処理中の特機部二(とっきぶつ)では、少し混乱が起きていた。

 

デュランダルの移送計画が無くなり、再び本部の最下層にあるアビスでの保管が決定された。

その為特機部二(とっきぶつ)の施設強化案が特別議会に可決されたが、そこには人員の移動は無かった。

 

今回の事で広木防衛大臣は今回の襲撃がまた起こる事を予想した為、反対派を説得し可決させたのだ。

 

後はグラムの事だった。

 

緒川の報告で彼女が無事に逃走出来た事はわかったが、問題は彼女の両手の事だった……。

 

彼が応急手当をした際に、グラムの両手は重度障害が残る大怪我をしていたことを緒川の報告で知ったのだ……。

最低でも握力の低下は免れない大怪我で、病院での治療が必須だったが、その後病院でそのような怪我をした女性は現れなかった。

この事から、協力者の存在がいる線が濃厚だったが……あえて治療が出来ずに大怪我に耐えてる可能性もあった。

弦十郎は、今度グラムに会った時に、改めてこの作戦の礼をしたいと思った。

 

それは今回の件で、弦十郎は緒川に、彼女への謝罪と伝言を頼んだのだが、グラムからの返答に……感謝するしかなかったからだ……。

 

「私はやるべきことをやり遂げました……この先の対応は大人のあなた方に任せます。私の事を信じてくれた事…感謝します。あなたを信じて良かった……」

 

緒川は、辛そうな声だったが…バイザーで隠された顔は笑顔で言ってくれたのではないかと言ってくれた。しかし弦十郎は、自身がそんな笑顔や感謝の言葉を言われるような立場ではないと思っていた。

 

それは、内閣情報官である八紘の情報である事が分かったからだ。

 

バルムンクは公式では紛失となっていたが事実は違った……。

ある研究者の手によって盗難されていて、その研究者も謎の死を遂げていたのだ。

 

その研究者は純粋にノイズ被害を無くすための研究をしていたが、兵器としての運用に替えた事でその研究者は逃亡したのだ…妻を連れて……。

その夫婦は潜伏先のホテルの謎の火災で亡くなっていた。

 

気になる点は、バルムンクの適合者についてだ。本来バルムンクと適合したのはその研究者の妻だったが、適合と判断された後に謎の失踪を遂げ、数か月後に戻ってきたのだが、その時の彼女は適合できなかったのだ……。

 

その事実から考えられたのは……その失踪の間にバルムンクに適合した女児を出産し、誰かに託したということだ。

 

そしてその後、バルムンクのコンバーターのペンダントをその誰かに渡した後、事故で死亡したのだ……。

 

グラムはその研究者の娘で間違いは無かったが…その研究者の名は…

 

____________________________________________

 

 

神様は本当に残酷な事をする……。

 

それは神様が言った、この世界での私の設定についてだった。

 

「すまないが君はDランク…特典とペナルティが一つ付く。それと申し訳ないが転生先の家庭状況はランダムに設定される…実はAからCまでは特典に関係なく家庭状況を選択できるのだが…DからFは運任せとなる…。

それと転生して始まる歳は4歳からだ。特典はきっかけが来れば使えるようにするので、それまでは普通の生活を楽しんでほしい」

 

これは納得はできた……。

それに前世の両親は、私に関しては「無関心」と「自分が出世するための道具」としか思っておらず、彼らと別れられた事は私にとっては後悔はない。

幼い頃に「出来そこないの欠陥したこんな子供を娘として認められない」と父が言った。

離婚して出て行った母には「こんな気味の悪い子供を産んだのが人生最大の汚点よ!!」と母が言った。

 

しかしそんな中でも味方もいた…それは歳がかなり離れていた私の実兄のはじめ兄さんだ……。

 

この私の名前も兄さんが付けてくれたのだ。

 

兄は両親の喧嘩を見たくなかったのと、家の事に関わりたくなかった為、早い内に独立して働いていたが、私が生まれた事を知って実家に帰った時に、私の事で両親がもめていたらしい。

それは家の跡継ぎ問題で、生まれたのが男では無かった事…そして障害が発見された事で、両親は互いを罵り合っていた…兄は私の名前が決まっていない事に気がついたらしく両親に無理を言って私に「月華」と名付けてくれたのだ。

 

私の生まれつきの障害は、先天性アルビノで髪が銀髪で眼の虹彩の色が赤だった事と、肌が普通の人よりかなり弱い事だった。

母は私が小学生の時に、父に押し付け逃げるように去って行った。

そんな父は新たな女性と結婚したが、私の事が邪魔だったので、その世話を兄に押し付けたのだ……。

それが中学生で一人暮らしを始めた理由だったが、私にとっては家で勉強をしているか趣味の歌を歌っているかしかしなかったので、あの緊張で張りつめた家での生活が無くなると思ったら嬉しく感じたぐらいだ。

 

兄さんは最後まで私の事を心配してくれた…幼馴染が殺された事件の後も大親友との決別した後も、毎日のように来てくれた…優しく頼りにしていた初めて信じ続けられた大人の1人だ。

 

兄さんは私の名前についてはこう話してくれた。

 

「あの時は満月が綺麗に見えた夜だったよ。その時に近くで雪が降っていたのかもしれないが風花が舞ったのだが…その風花が月の光で綺麗に輝いていてまるで光の花びらが舞っているみたいだった……。月の花弁が舞う…ここから私の考えた名前は『月華』になったんだ…」

 

兄さんには本当に迷惑をかけてしまった……。私の最期を看取ってくれた時に、今までの事で迷惑をかけた事と今までのお礼を言ったら、涙を流しながらも「礼を言うなんて月華らしくない……。私は意地っ張りで素直じゃない月華の方が好きなのだがな……。私も月華に会えて良かった」と震える声で言ってくれた事を嬉しく思う……。私は一人では無かったのだ。

 

最後のあの二人への遺言は伝えてくれただろうか?それが唯一の心配だ……。

 

これが前世での家族だ……。

 

転生後の家族は本当に優しく、こんな性格の私でも深く愛してくれた。

 

宝飾品のデザイナーの母と貴金属の加工職人の父は私にとても優しく、前の両親とは比べ物にならない程大切にしたい両親だった。

二人はよく私にシルバーアクセサリーの作り方やデザインの仕方を、丁寧に教えてくれた。高価な趣味となってしまったが、今でもアクセサリー作りはやっている。

まだ響ちゃんとも仲が良かった時に誕生日にプレゼントした事もあったけど、凄く喜んでくれた事を覚えている。

 

ジークとヒルデのブレスレットの制作も両親がしてくれた。『出所不明の宝石』を加工した事になっているけど…この世界にこんなもの(インテリジェンスデバイス)無いしね……。見た目はジークが赤、ヒルデが青の宝石だから会話が出来るなんて思わないだろう。

 

 

しかし、あのライブの事件ですべてが狂ってしまった。

 

私は、響ちゃんの誹謗中傷のとばっちりを避けるために転校したと思っていたが…事実は違った。

 

両親は私の特殊な力について知っていたからだ。

転校の理由は、私がバルムンクの装者だと知られない為だったのだ。

 

バルムンクの事も魔法の事も、すべて知っていて私の事を娘として育ててくれた両親には、本当に感謝しかなかったが…転校後に一枚の写真を出されこの写真に写る夫婦が、本当の両親だと告白された。

 

私はその日に本当の両親について聞いたが…その両親に捨てられたのだ…私を守るために……。

 

本当の父の名は「大神 四浪」(おおがみ しろう)。聖遺物関連の解析のスペシャリストだった。

母も同じく、聖遺物関連の解析のスペシャリストの「竜胆 叶」(りんどう かなえ)。

 

二人は同じノイズ災害を無くす事に情熱を燃やし、()()()()()()に所属し研究していた時に二人は恋仲となり結ばれた。

後にバルムンクが母に適合したので、本格的な実験に入ろうとした時に二人は失踪したのだ……。

 

その両親の失踪中に生まれたのが…私だ……。

その後、私を匿名で児童養護施設に預け、二人は古い友人であった今の両親に連絡を取り引き取ってくれるように頼んだのだ。

 

なぜこんな事になったのは…私の為だった。

 

実の両親の研究はノイズ災害を無くすためだったが…その後は戦争の道具として使われるのが決定していたからだ。私はバルムンクの適合者だ…実の母は私を妊娠した為に適合してしまったのだ……。

 

その事に気がついた実の両親は、私に普通の生活を送って欲しい願いを込めて…母は出産後に自らにその研究機関に出頭したのだ……。

その後、実の両親は研究中の事故で亡くなったとなっている。

 

ジークとヒルデに協力してもらい、実の両親の死の真相を調べた。結果は…実の両親はある聖遺物を持って海外に亡命しようとした事で公安捜査官に追い詰められ…自殺したのだ……バルムンクのコンバーターのペンダントと写真を今の両親に送った後に私の幸せを祈りながら……。

 

今思えば、バルムンクのコンバーターのペンダントは、私が小学校高学年の時に誕生日のプレゼントとしてもらっていたが…実の両親の形見とは思わなかった……。

 

実の両親に恨まれているかと思ったが、コンバーターのペンダントと一緒に送られてきた写真と共にに書かれていた手紙で…私は救われた。

 

「私たちは、君の誕生を喜んだ……。しかし私たちでは幸せに出来なかった……。月華…名前と送ったペンダントしか残せなかった私たちを許してほしい……」

 

この後に両親に私の名前の由来を聞いたが…前世のはじめ兄さんと同じような形でこの名前が付けられた居たのだ……。

 

その話をされた後でも、私は今の両親の事は嫌いになんてならなかった……。

むしろ私のせいで迷惑をかけてしまった……。

 

その話をした数か月後に、育ての両親も亡くなった。

 

結婚記念日の日に海外に旅行に行った時に、ノイズ災害に遭い行方不明となった……。

 

実の両親の形見、バルムンクのコンバーターのペンダント…

 

育ての両親の形見のジークとヒルデのブレスレット…

 

二組の両親は、私に戦う力と、私の事を大切にしてくれた思い出を残してくれた。

私は何を返せただろうか…それを見つけるのが二組の両親への供養となると思っている……。

 

「神様…特典の辻褄を合わせって必要だったの?」

 

今度会ったら文句が言いたい……。

 

私はそう思っていたが…この後大事件が起こるとは思わなかった。

 

 

____________________________________________

 

神はあわてていた。

 

「ふざけてんのか!あの××野郎!!」と雑な上層部の対応に怒りが収まらない。

 

原因は、自分の担当している転生者のランクが、間違えていた事だ。

 

事の発端は本来のペナルティとは、異なるペナルティに変更した自分の処罰が決定した事だったが…

 

転生課での不祥事調査の結果は、最悪なものだった。

 

月華の担当の神は、転生させた後に月華の死亡理由やそれに至った経緯を調べたが、どう考えてもDランクではなかった。

悪く言えばDランクからFランクは軽犯罪から重犯罪者か、あまりに身勝手な自殺者などが対象となっていた。もう一つの比較対象は、良くいえば報われていた生活をしていて事故や病気で死亡し、後悔や未練がない者も対象となっていた(大体は転生を断るので転生者するのは珍しい為ペナルティも軽いものにされている)。

 

月華は始めは「幼馴染に会いたいため自殺した為Dランクとなった」と書類には書かれていたが…

 

真実は違い、自殺するために車に轢かれたのではなく、あることが原因で寝不足となってしまった為、事故にあっただけだったのだ。

 

そして書類のミスのはなぜ起こったか……。

 

上層部からの回答は「面白くする為ランクを下げた」とふざけた回答だったのだ。

 

本当にくだらない理由だ……。

 

どうやら同じような転生者はかなりいたらしく、月華の担当の神は処分はされなかった。

 

それから、今まで不祥事調査の対応で忙しく月華に詳しく説明できなかった。

 

「彼女には本当に申し訳ない事をしてしまった……。すぐに対応したかったのだが、鬼のように報告書を仕上げなければいけなくて出来なかった……。だが、なんでメールが届いていないんだ?」

 

実は、月華に対して謝罪と特典のアップデートをするため連絡をしてほしい事をメールで送ったのだが、返信が無いのだ。

不審に思い調べた結果、何者かが連絡先を変更したのが原因だったが、犯人が分からないのだ。

本来なら、転生課の上司の爺さんと先輩二人を頼りたかったが……

 

三人とも自分の転生者の対応で忙しかった。

 

理由は違反転生者によって他の世界に飛ばされた事が原因だった。

 

先輩の片方の女神が担当した女の子の方は自力で戻ったらしく、男の子の方は発見し、その世界での厄介事が済み次第戻る予定だった。

 

問題は、もう一人の神の担当していた転生者が、行方不明だった事だ。

 

爺さんの方の転生者は違反転生者を捕まえる組織「キーパーズ」に所属しており、各世界を転々としていた。中には神自身が介入していた事もあり、爺さんがフルボッコモードで捕まえていた(爺さんは本来は上層部の役職に就く予定だったが『可愛い娘がいない』の一言で断った強者だ…)。

 

仕方がないので自力で連絡しようとしたが、もう[戦姫絶唱シンフォギアの一期]が始まっている所まで対応が遅れてしまった。

 

「違反者が彼女と接触していないのは良い事だが…」

 

安心はしていたが……

 

「もう…お詫びってレベルじゃないよね……。何この設定!! 重っ!! なんでこんな設定になってるの?僕が確認した時はこんな始まり方じゃなかったのに……」

 

実は本当の転生のスタートは第二期に当たる「戦姫絶唱シンフォギアG」でF.I.Sに所属からのスタートだったのだが、何故か一期からのスタートで響と未来の幼馴染になっていたのだ……。

神もF.I.Sに所属からのスタートは厳しいと思ったが…Dランクだった為に承認した。だが、何者かに操作された可能性が高い……。

 

「本当にどうお詫びすればいいだろう……。なんで連絡が取れないんだ?」

 

仕事の合間を使い、月華に連絡を出来るように自力で頑張ってメールをしているが、未だに連絡はない……。

 

 

その理由は簡単なことだった……。

 

現在ジークとヒルデが、自己修復モードでメッセージが聞けなかったのも理由だが……

ジークとヒルデが、神からのメッセージを迷惑メールだと認識して削除していたのが原因だった事を月華も神も知らない……。

 

月華がこの件で激怒するのはかなり後の話……。

 

 




次回 エピソード10「肝心な時に私は…」


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エピソード10「肝心な時に私は…」

やっと更新できました!!

今回の話は原作6話のになっていますが

月華中心のお話で響と翼と未来が少しの割合のお話となっています

次回は6話の響と翼と未来とクリスの中心となりそうです…





子安先生とアテナさんの治療と痛み止めの薬のおかげで、あの時と比べれば握力は戻ったが…未だに日常生活に支障があって困っている。

学院の方には「寮でお湯を沸かした際にポットを倒してしまって、そのお湯で両手を火傷した」と先生に報告したけど…どうにかなった…(幻影魔法で軽いやけどに見えるようにした)

今でも、ドアを開ける時や道具を持つ時にかなりの痛みがあるのが苦痛でしかない…

この頃の主食は、ブロック栄養食やパンなどの調理工程が無いモノに限定している為、今まで自炊していた私にはその味に飽きていた。

今日は、休日だったので両手の治療とこの前借りた服(アテナさんはあげるって言ったけど)とタッパーを返しに行く事にしたけど…もう一つの問題があった。

 

それは、ジークの自己修復が遅れている事だった。

 

その時の事を思い出すと…ジークに申し訳なく思ってしまう。

ヒルデが再起動したのは、昨日の朝で起きた時に私の事を心配してくれていたのか…

 

〔マスター…私がふがいないために申し訳ございません…〕

 

ヒルデはこの謝罪の後黙ってしまったが、私にも謝らなければいけない事もある。

私はあの時の口喧嘩の事を謝罪し、自動修復モードの時に言ったあのお言葉を言った。

 

「いつもありがとう…ヒルデ……。これからもよろしくね」

 

ヒルデは私が予想したように、〔こちらこそ…よろしくお願いします。マスター〕とヒルデが答えた。

 

この会話の後に、ジークが自己修復が遅れている事を聞いてみると、デュランダルの停止のシーリングモード(封印魔法)を使用した時に、ヒルデの遅れを取り戻す為に無茶をし過ぎてしまったのが原因だった。

 

今の私は、両手の怪我を誤魔化すぐらいの幻影魔法が使えない…両手の怪我もある。

だけど…私は出来る限りの事はしようと思っていたけど、この状態だと足手まといにしかならない。

最低でも、光球を使った攻撃魔法が、使えるようにならないと…魔法に関しては補助に特化させてしまったので、今から戦闘用に切り替え出来るのか不安でしかない…治療魔法も、この先必要になるだろうと覚えようとしている所だったが、暫くはおとなしく暮らそう…

 

取りあえず、子安先生の所で行こう…

私は貸してもらったエコバックを肘に掛け子安先生の所に向かった。

 

___________________________________________

 

響は、デュランダルの移送計画の数日後の日曜の午前中に、未来を誘ってグラウンドをランニングしていた。

 

デュランダルを手に取った時に、意識が黒く塗りつぶされ、その力をなんも躊躇いもなくあの鎧の少女に放とうとしていた自分がいた…

あんな事をしてしまったのは、まだ自分がアームドギアを形成出来ていない弱さのせいと思っていたからだ。

 

その暴走を止めてくれたグラムはどうしているだろうか?

彼女は、デュランダルの暴走を止めるために未知の力を使い暴走を止めてくれたが、両手を負傷したと緒川から聞いていたが、彼女が居なければその場にいた緒川と、力を振るおうとした鎧の少女を確実に殺していただろう。

本当にグラムは何者なのだろう…

 

気を失う前にグラムが「良かった…」と安堵の声の後に自分の名前を言われたような気がしたが…気のせいだったのだろうか?

 

その後、デュランダルは起動はしているが、響が使用した出力より低くなっていると了子からは聞いていた…

 

自分が弱いばっかりに、デュランダルの暴走を引き起こした事と、グラムにも迷惑をかけてしまった…

 

未来と決めていたゴール地点を過ぎても響は走り続けた。

ゴールで立ち止まってはだめだ…もっと遠くを目指さなければいけない…

その事を思いながら走り続けたが…その背中を、未来が複雑そうに見つめていた事を、響は知らなかった。

 

___________________________________________

 

翼は松葉杖を突きながら歩いていたがICUを出たばかりで体力は戻っていないので誰が見ても無理をしているのは分かった。

今も、看護師に無茶はいけないと心配されていた。その時、偶然にも学院のグラウンドが見え、そこで響が走っている所を見た。

奏から戦う理由を聞いた時の話した事を思い出した。

 

「初めは…ノイズに対しての復讐かもしれない…。だけどな…戦っている世界の裏側にまた違ったものがあるのを見て…それを守りたかったのかもしれない…。それが私の戦っていた理由かな…」

 

翼は、もうすでにあの二人(響とグラム)はその答えを出して戦っていたのを知ってしまった。

 

報告書を見たが…あの時は絶唱を使い撃退されていたあの鎧の少女に勝利してしていた事だ。

グラムの介入もあったが偶然にも起動してしまったデュランダルの暴走も彼女のおかげで最小限に出来たが負傷したと聞いたが…彼女はなぜここまで自分たちの味方をするのかが分からなかった。

 

絶唱を使用したあの日に、自分の事を心配して病院まで尋ね謝罪をした後立ち去った事を緒川から聞いていたが…全快したら謝罪しに来るのではないかと緒川は言っていたが…グラムの戦う理由は何なのだろうか…復帰した時に会える事があれば聞いてみたかった。

 

その為に、正常に歩けるようにリハビリしていたが…その後、奏に「本当にある意味ポッキリいきそうだ…」と呆れながら皮肉を言った後、病室に無理矢理連れて行き、強制終了されたのは少し後の話だった。

 

___________________________________________

 

未来は響と、グラウンドをランニングしていた事を思い出していたが不安は溜まる一方だった。

 

あの時、走り終え息を整えていた時に響は、まだ走り続けていた…

話せない理由があるのも知っているが…自分を置いてどっかに行ってしまいそうな不安がいまだにあるのだ。

そのランニングの後でお風呂に入った時に疲れでクタクタにはなってはいたけがいつもの響に戻っていた。

一応は、今日付き合ったお礼として今では常連となっているお好み焼き屋の[ふらわー]でおごってもらう約束をしたのでその不安は少しなくなったが…この後、その不安がさらに大きくなる事を未来は知らなかった。

 

___________________________________________

 

 

昨日は子安先生の所まで行ったけど両手の治療は、受けられなかった。

 

どうやら用があったのかアテナさんと二人で出かけていたけど…その代わりに、中学時代に会っていたもう一人の同居していた人に会っていたけど元気そうで良かった。

私は借りていた服やタッパーやエコバックを渡してお礼を言って帰ろうとしたけど、彼女と話すのは久しぶりだったので長居してしまった。

その間に子安先生は帰ってこなかったけど、いい気分転換になった。

彼女も結構な苦労人らしく子安先生が助けてくれたおかげでこうしていられる事を話してくれたことがあったけど、その事はあまり話してはくれなかった。

優しくしっかり者の姉がいる事は教えてくれたけど、どんな人なんだろう…(今は連絡していないみたいだけど…何かあったのかな?)

また来ることを約束してその日は寮に帰ったが、寮に着いた時に食べ物を買うのを忘れていたため、その日はブロック栄養食でどうにかしたけど…いい加減に味に飽きていたので、今日は久々においしいものが食べたい…

学院の学食もいいのだけどまだ上手く箸などを扱えないので、時間がかかってしまうのでパンかブロック栄養食になってしまうのだ。

 

その事を第一に考え、子安先生の所に治療に行くのはついでと考えていた。

 

学院の玄関で靴に履き替えようとしていた時に、未来ちゃんに声を掛けられたけど…私の両手に巻かれた包帯を見た時に、心配されたけど只の火傷と言って(ホントは重傷だけど)誤魔化したけど何故か火傷の事をすごく疑っているけど…何かあったのかな?

 

私は、直感的に響ちゃんに何かあったのか?と思い聞いてみたけど図星だったみたいで詳しい事を話してくれなかったけど…響ちゃんがこの前のデュランダルの移送計画も話してくれない訳も、今こうして私に未来ちゃんが悩んでいる事を話してくれない事…私の秘密の事を話せない事…何か複雑になってしまっている関係に、私はどうしたらいいか分からなかった…

 

こんな気まずい空気の中、私が空腹だったのか…音が鳴った…

未来ちゃんはその音が私から出たものだと察してくれたみたい…

確かにロクな食事をしていなかったけど、こんな時に鳴るとは…かなり恥ずかしいし立ち去ろうとした時だった。

 

「月華…おいしいお好み焼き食べに行かない?」

 

未来ちゃんが笑顔で誘ってくれたけど…私を引き留めようとして怪我をした手を取ってしまった…

激痛で悲鳴を上げそうだったのを必死で堪え私はこう答えた。

 

「行ってもいいけど…強く握らないで…お願い…」

 

少し涙目になっていながら、こんな時でも意地を張っている私を見て謝っていたけど気にしていない事は分かってくれたみたいで、未来ちゃんとそのお好み焼き屋に行くことになった…

 

 

 

目的のお好み焼き屋である[ふらわー]に着き、店員のおばさんと仲良く話している未来ちゃんが私の事も紹介してくれた時に「いつも人の三倍食べるあの子じゃないのね…新しいお友達?」とおばさんには聞かれたけど…友達とは言えなかった。

未来ちゃんも「大事な幼馴染なんです」と言ってくれたが…私は()()()()()()()()()と思ってしまう。

おばさんが未来ちゃんと話していたけど私は自分の今の状況を考えていたけど…私がいるせいで、二人に大きな重荷になっている事は自分で理解していた。

 

そんな事を考えていると未来ちゃんが元気がない事に、気がついたおばさんがお好み焼きを作りながら「じゃああの子の分まで食べるとしようかね~」と元気づけるように話してくれるけど、未来ちゃんの悩みは響ちゃんに対する不安だ…未来ちゃんも「食べなくていいから、焼いてください」と言った後におばさんも苦笑しながら焼いてくれていた。

 

「お腹空いてるんです…今日はおばちゃんのお好み焼き食べたくて、朝から何も食べていないから…」

 

未来ちゃんはうつむきながらも、おばさんに言ったけど…未来ちゃんの不安がそこまで大きくなっていたなんて…肝心な時に私は…どう言えばわからなかったけど…おばさんは察してくれたのか

 

「お腹空いているまま考え事しているとね…嫌な答えばかり浮かんでくるものだよ」

 

と未来ちゃんを励ましてくれたけど…それは私も同じか…

どうやらおばさんは私の事を含めて言ってくれたみたいだ…

 

未来ちゃんもその言葉で自分の答えを出したみたいだ…私も()()()()()()()()()()()()()

その後、お好み焼きをおいしくいただき夕飯用と()()()に子安先生へ治療に行くため三人分のお土産も頼んだ。

今回、此処を紹介してくれたお礼として奢ったけど…「今度は響も一緒だからね」と未来ちゃんに言われたけどそれは「仲直りしなさい!意地を張るのをやめて」と言いたいと思うんだけど…いつものように「考えとくわ」答えておくと「いつかでもいいから…」と笑顔で答えてくれた…

 

お土産用のお好み焼きが、焼きあがる時間もあったので未来ちゃんは先に帰った。

おばさんは、私たちの事情についてその場の空気で察してくれたみたいで何も聞いてはこなかったけど…私はある事を聞いてみる事にした。それは私のこの先の事を決める事で大事な相談だった。

 

「友達に絶対に言えない秘密があって…それがばれた時その事が原因で友達にも他の人にも迷惑がかかってしまう事が、分かっていても友達といたいと思う気持ちは…」

 

間違っていますか?と言い切る前におばさんはこう言ってくれた。

 

「あの時『大事な幼馴染』と言ってたけど…それが答えじゃないの?」

 

優しい笑顔でおばさんは答えてくれた…

その答えのおかげで私はこの先どうするかを決めた。私はおばさんにお礼を言ったけどおばさんは気にしてはいないようだったけど…感謝した

どうやら、子安先生達のお土産分が焼けたみたいなのでお金を払った後お土産が入ったビニール袋を手首に掛けておばさんに改めてお礼を言った後に子安先生の所に向かった…

 

この時私は、本当の意味での()()()()()()()()に気がついていなかった…

 

 

 

___________________________________________

 

ふらわーのおばちゃんは今日、話していた両手に包帯を巻いた少女の事を思い出していた。

 

二人とも仲のいい友達のように見えたが、何か深い訳でもあったのだろう…

 

「友達に絶対に言えない秘密があって…それがばれた時その事が原因で友達にも他の人にも迷惑がかかってしまう事が、分かっていても友達といたいと思う気持ちは…」

 

その後の言葉は、何となく勘で分かったがどうやら…悩みは解決したみたいだったので良かったが少し困った事があった。

 

それはあの少女が左腕に着けていたブレスレットの宝石が落ちていた事だった。

返そうにも連絡先が分からないので未来が来店した時に返してもらえばいいと思っていたが、その宝石がその後自分の命を救うきっかけになる事を知らなかった。

 




次回 エピソード11「その嘘は…」


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エピソード11「その嘘は…」

新年初投稿です。

今回は原作6話のになっていますが
響と翼と未来の話です

次回でクリス視点とあのお方視点になります…


1/10

書き忘れと少し文章を修正しました

1/16

後半を加筆修正しました



響は学院が終わった頃に緒川から連絡で翼のお見舞いを頼まれていた。

 

現在、緒川はあの了子の襲撃事件やグラムの情報にあった現場調査をしており手が離せなかった。

響も話したい事もあったので快く承諾したのだが…その代わり未来との約束を守る事が出来なかった事が、残念だったが後で自分から誘えばいいと思っていた。

図書室に用もあるから気にしなくていいと言ってくれたが…理由を言えない事が罪悪感を増していたが…それよりも今は翼のお見舞いに行かなければならなかったので学院内の購買で花束を買って緒川に事前に教えてもらった病院の病室に向かった。

響は深呼吸をした後、覚悟を決めてドアを開けた時…響は最悪の事態を想定した時…後ろから声を掛けられたが、

その人は心配した翼だった。

 

翼は「入院患者に無事を聞くってどうゆう事なの?」と疑問の声を上げたが…

 

その理由は簡単だった…

 

衣服と雑誌などが散らばって大きな事件が起こったように見えた響は特機部二(とっきぶつ)で心配されていた国家絡みの事件に巻き込まれたと思って心配した事を言ったのだが…よく見ると翼が恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた所を響が見た時察したのだ…

 

この部屋は只、汚くなっていただけだったと…

___________________________________________

 

その後、響のおかけで部屋は、綺麗に片付けられたが…翼は見られてはいけない物を、見られたので赤面したまま「もうそんなのいいから」と響に言ったが「緒川にお見舞いを頼まれているのでやらせて下さい」と言われ片付け作業を見守る事になってしまった。

奏に呆れられた事もあったので注意はしていたのだが、響がお見舞いに来るのは想定外だったのでそのままだったのを忘れていた自分も悪いと思っていた。

その時に響は、翼がなんでも完璧にこなすイメージがあった事を言ったが、翼はそのイメージとは逆で戦う事しか出来ない事を響に言った。

その時に丁度掃除が済み、いつもは緒川が部屋の掃除をやってくれる事を、ばらしてしまった事でちょっとした言い訳を言ってしまったりはしたが、その話題から逃れたかった翼は、自分の抜けた穴を補うように任務をこなしている事を報告書で知っていたのでその事を言うと、響はいつも二課の人達に助けてもらっていると謙遜した。

 

翼に褒められたことが嬉しいと響は言ったが、だからこそ翼は知りたかった。

 

響の戦う理由を、翼は問いたのだ。ノイズとの闘いは遊びではなく死を覚悟しなければならない…そんな闘いを、なぜ響は、自分からやろうとしたのか…その理由を知りたかった。

 

響は、始めの内は「人助けが趣味みたいなもので」と言った後に「人助けは誰かと争わずに済むからと」とか「自分には特技や人に誇れるものが無いから自分の出来る事で役に立ちたい」など翼に本心を誤魔化すように言ってはいたが…

 

「きっかけはあの事件かもしれません…私を救うために、奏さんが命がけで助けてくれた後に命を落としそうになって…グラムが絶唱を唄って助けてくれた…二年前のあのライブ…奏さんとグラムは、生きててくれましたけど…たくさんの人がそこで亡くなりました…でも私は、生き残って今日も笑ってご飯を食べたりしています…だから誰かの役に立ちたいんです…明日も笑ったりご飯食べたりしたいから…人助けをしたいんです…」

 

翼はその答えを聞いた時に、響らしいポジティブな理由だが「その思いは軽い自殺衝動かもしれない」と言った時に少し狼狽えていた響を見た翼は「誰かの為に自分を犠牲にすることで古傷の痛みから解放されたいという自己断罪の表れなのかもしれない」と響に素直に意見を言った。

 

自分が変な事言ったかと、響は少し動揺していたがそれを隠すように笑うが、翼はそれを見て苦笑した。

 

気分転換に病院の屋上に行き、翼は自分なりのアドバイスのつもりで言った。

 

「変かどうかは、私が決める事じゃないわ…自分で考え自分で決める事ね」

 

響はアームドギアの生成が今でも上手くいかない…その不安からなのか「考えても考えても…分からない事だらけなんです…」と言った後に、デュランダルを起動させた時に、暗闇に飲み込まれかけて…気がつけばあの力を鎧の少女に向かって使っていた事、あの時にアームドギアを形成する事が出来ていればこんな事にはならなかったかもしれないと…

 

翼は直感的にアームドギアを形成する事が出来ないのではなく、もうそれ以外(アームドギア)の力を持って戦っている事を知った。

 

翼は、本当の意味で知りたかった事を響に聞いた…それが昔の自分に無かったものだと確信していたからだ。

 

「力の使い方を知るという事はすなわち戦士になるという事…それだけ人としての生き方から遠ざかる事なのよ…あなたにその()()はあるのかしら」

 

響は少し考えたみたいだったが、迷いはなく答えた。

 

「守りたい物があるんです…それは何でもない只の日常、そんな日常を大切に思いたいと強く思っているんです…だけど、思うばかりで空回りして…」

 

「戦いの中、あなたが思っている事は?」

 

「ノイズに襲われている人がいるなら…一秒でも早く救い出したいです!最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に駆けつけたい…もしそれがノイズではなく、誰かだったら……どうしても戦わなちゃいけないのかという胸の疑問を…私の思いを届けたいと思っています」

 

翼は、本当の意味での響の思いと強さを知った…

この時に、ハッキリと分かった事があった

グラムが言ったあの言葉の意味だ。

 

「あなたはなぜ戦っているのですか?」

 

その時、翼は全人類の為の防人(さきもり)として使命感として奏が抜けてしまった事による穴を埋めるように戦っていたが…それだけだったのだ…

グラムの戦う理由は分かっていないが…もしかしたら単純に響と同じで守りたい物を守っただけなのかもしれないと…

今であれば、奏があの時に言った戦う理由も分かったような気がした。

 

翼は自分なりの答えを響に伝えた。

 

「今あなたの胸にあるものを、出来るだけ強くはっきりと思い描きなさい…それが貴方の戦う力…立花響のアームドギアに他ならないわ…」

 

その後、アームドギアの使い方を考えていた響だったが、やはりあまりいい考えが出てこないらしい。

突然響は、お腹が空いている時に考え事をしていても、ロクな答えが出せないと教えてくれたお好み焼き屋のおばちゃんの話を始め、その店に行ってお好み焼きを買ってくると言って翼が止めているの関わらずに走って行ってしまった。

 

翼は苦笑しながらも、響のアームドギアは既に出来ているのではないかと思っていた。

 

「ずいぶん長話をしていたんだな…入り込む事がで出来きなかったぞ」

 

奏に声を掛けられ、いつから聞いていたのかを聞くと病室を出て屋上に行った所から、その後は邪魔してはいけないと思って時間を潰してから来たらしいが…話の内容を聞かれていなくても、何となく分かっていたようで奏は何となく分かっていた。

 

奏と響の戦っていた理由は似ていたのだ。

家族や知り合いを聖遺物の発掘の現場で殺された復讐から装者となったがその後、復讐以外の何かを見つけた奏

あの、惨劇を乗り越えたからこそ、ノイズと戦い、その人々を守りたいと言った響…

 

翼は正直二人が戦っていた理由を解ったのだが…自分がそれを出来るのかが分からないのだ…

幼い頃からノイズとの戦いで人としての生き方から外れてしまった…また人に戻って響と奏の答えた場所に行く事が…その事を理解するのが怖いのだ…

 

「あんまり深く考えすぎだ…この前みたいに深く考えすぎると、ポッキリ根元から折れるぞ…」

 

奏は前に絶唱を使った事を、思い出しだしながら少し苦笑していた。

 

翼は「今更人に戻ったとしても…何をしていいのかも分からない…」と顔を伏せてしまうが、奏は「真面目が過ぎるぞ…軽く考えればいい…好きな事してみたらどうだ?」と言ってきたが好きな事なんて無かった・・・。

 

奏はそんな翼の事を思ったのか自分が今やりたいと思っている事を言った。

 

「私はシンフォギア装者では無くなった…けどさ…もうすぐ退院出来そうなんだ…今やり事があって仕方ないんだ…体を本格的に動かせるし…翼たちを影でサポート出来る様に二課の先輩方に教わる事も多いと思うが…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…」

 

「それは何なの?奏」

 

と翼は奏に聞くが…「その内、分かるんじゃないのかな?」と良い笑顔ではぐらされ「奏は私に意地悪だ…」とむくれたが…

 

「本当にやりたい事なんて意外に簡単に見つかるものだぞ…翼は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんじゃないかな」

 

奏は分かったような事を言ってくれるが、翼はさらにむくれたのは言うまでもなかった。

 

その時にだった…翼にとって因縁のあの少女が発見された警報が鳴ったが…

 

翼は迷わず現場に急行した…その時の翼を見た奏はもう自分がいなくても戦っていけると確信した

 

「…もう翼をからかう事も、出来ないと少し寂しくなるな…私の役目は終わったかな?翼の本当にやりたい事は皆知っているけど…言わない方が後が面白くなりそうだな…()()()()()()()()()()()()

 

奏は翼の成長を嬉しく思うと共に、寂しさを感じながら、かつて自分の相棒に、この後の起こる事を考えながら病室に戻った。

 

___________________________________________

 

未来はさっきの図書室で見た事を思い出しながら玄関へ向かっていた。

 

響が翼が入院していた病室で二人で話している所を見てしまった為だった。

急な用事とはいえ、なぜあの響があまり会う事もなかった翼と仲がよさそうに話しているのか?

直接聞けばいいのだが…響は最近の()()()()は異常であっても答えてくれないだろう。

そんな事を思いながら歩いていた時に、もう一つの悩みであったもう一人の幼馴染である月華がいたが…数日前には無かった包帯が巻かれた両手を見て、気がつけば話しかけていたが…

 

「只の軽い火傷よ…心配しなくてもいいわ」

 

と平気そうに言ったが…鞄を手で持っていない手首に掛けているので本当は軽くはない事が分かってしまっていた。

その時に月華に、「響ちゃんと何かあったの?」と聞かれそれが図星だったので黙ってしまった。

月華もなぜ仲直りをすることをここまで拒むのか…火傷の事など…未来はなぜその事が聞けない事が多過ぎる事を響と同じように感じていた…

 

その時に、こんな気まずい空気の中、月華が空腹だったのか…音が鳴っていた

 

おそらくその両手の状態で箸などを扱うのが出来なかったのか…月華の事だから簡単に食べられるもので済ませていたのだろうと思い[ふらわー]でお好み焼きでも一緒に食べに行こうと思った時には、恥ずかしかったのか月華が走り去ろうとしていたので、未来は「月華…おいしいお好み焼き食べに行かない?」と言って引き留めようとして腕を掴もうとしたのだが…それは包帯の巻かれた手だった。

 

未来がその言葉を言った時に激痛で悲鳴を上げそうだったのを必死で堪えて涙目ながらも月華は…

 

「行ってもいいけど…強く握らないで…お願い…」

 

と言ってくれたが…少し悪い事をしてしまった罪悪感があったが月華は気にしていないようだったので気にしない事にした…

 

[ふらわー]に着いた時におばちゃんに「新しいお友達?」と聞かれた時に、月華はどう言っていいのか戸惑っていたようだったので「大事な幼馴染なんです」と未来は答えたが…月華はあくまでも()()()()()()を突き通すようだった…

月華も、友達と言えなかった罪悪感か黙ってしまう。

悪い考えが浮かんでしまう未来におばちゃんは、「お腹空いているまま考え事しているとね…嫌な答えばかり浮かんでくるものだよ」と励ましてくれた

いつか、響も月華もいつか隠している事を話してくれると信じておばちゃんにお礼を言った。

 

月華も、今回誘ってくれたお礼として奢ってくれたが、その後に、寄る所があるらしく一緒には帰れなかったが…

未来が「今度は響も一緒だからね」と言った時に未来の真意が分かったのか月華はいつものように苦笑しながらも「考えとくわ」と言ってくれたが…月華は、火傷の治療の為に行く所と、自分の夕食用にお好み焼きを持ち帰る為の時間待ちで残っていた。未来は、月華はリディアンで初めて会った時に比べて友好的で仲直りも時間の問題と思っていた。

 

何かしらの悩みを持っている月華も、何時かは話してくれる…その前に自分が行動しなくてはいけない…

そう思った時に、未来は[ふらわー]に寄った後の買い物を済ませた後に、時間はかなり経ってはいたが月華が両手の事が気になっていたのでまだ居るだろうと思っておばちゃんを訪ねてみたが行き違いになっていたみたいだった。

その時、おばちゃんから宝石を渡されたが、見覚えのある宝石だった。

月華のいつも大事そうに身に着けているブレスレットの二つの宝石の一つだったが、おばちゃんに聞いてみると…どうやらお土産用のお好み焼きを腕にかける時にブレスレットと宝石を繋ぐチェーンが壊れたみたいで月華も気がつかずに帰ってしまったらしい…おばちゃんから、代わりに返して欲しいと頼まれ快く受けた。

おばちゃんは月華の事を一人にしないように言ったがどうやら悩みを相談したらしいが内容は言ってくれなかったが、月華も響と未来に歩み寄ろうとしてくれたことが嬉しかった。

 

 

月華も歩み寄ろうとしてくれている…未来も今日の事を響に聞こうと寮への帰り道で決意した時に、運よく響が走ってきたのが見えた。

 

響に手を振って近寄ろうとした時…その日が未来にとっては知りたくなかった響の隠していた事が分かってしまった。

 

何か強い衝撃でふっ飛ばされた後、その近くに止めてあった車が未来に向かっていたが…突然の事に動けなかったので車に潰されると思った時、寸前で飛んできた車を殴り飛ばしていた人がいたが…

 

それは見た事もなかった姿をした響だった。

 

___________________________________________

 

私は先生の所で治療を受けていた時に、アテナさんにブレスレットの宝石…つまりジークを落としてしまった事を指摘されかなり慌てたが…

 

〔ジークならあのお好み焼き店の店主の手で保管されていますので心配せずに治療を受けてください〕

 

私は何で報告しなかったのかをヒルデに聞いたけど…

 

〔ジークの事よりもマスターの治療の方が優先的と判断しました〕と言ったけど…ジークの事を信頼しての事だったけど…今ジークって修復中だよね?と思いつつ…後でジークに謝ればいいと思ったのでヒルデの言うとおりに、治療が終わった後に受け取りに行けばいいと思っていた。

 

子安先生もアテナさんも不思議そうにしていたけど…口に出ていたのだろうか?どうしたのか聞いてみると

 

「いや…前にあった時に比べて少し悩みが無くなったのかと思っててね…少し安心したよ」

 

「そーだね…前に比べて可愛くなったような気がする…何かあったの?」

 

二人はどうやらさっき未来ちゃんと話していた事がばれているみたいだったが…そんなに印象が違っていたのかな?

 

「そんな事は無いです…いつもと同じです…」と言うがアテナさんから「照れ隠ししてもわかっちゃうよ…機嫌よさそうだし…これなら両手の治療も今日が最後でいいかな?」と言うけど…最後って?

 

「勘違いしないで欲しいのだが…治療が最後という事で私たちがいなくなる事ではないので安心してほしい…」

 

子安先生は補足するけど、どうやら先生はこの町での就職が決定したみたいだが……どこだかは言ってくれなかったが、治療が終わりなのは素直にありがたかった。

 

「数日間、痛み止めを飲んでいれば手の痛みは大丈夫だろう…だけど無茶をしないように…テニスとか物を持つ運動をし過ぎないように…またぶり返して後悔しないようにね。」

 

そんな事する事は無いが…戦闘は別だよね…バルムンク持って戦うのは限界がありそうだ…

 

おそらく両手の治療が必要になったら行く事になると思うけど…先生に聞きたい事があった…

 

「先生…言ってはいけない事があって…その嘘は…」

 

「それを言うのは私とアテナでいいのかい?」

 

私は子安先生の予想外の言葉に驚いてしまったが…

 

「私の事を信用してくれるのは嬉しい事だが…しかし()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

どうゆう事かを聞いた時に、先生の言ってくれたことは私のこの先を分かっていたようなアドバイスだった。

 

「それを聴くのは私たちでもない…君の傍にいてくれた人にいう事ではないのかい?もし私以外に、この事を相談したのなら…もう答えは出ていると思うのだが…間違っているかな?」

 

先生の言葉に私はあのお好み焼き屋のおばさんの一言が浮かぶ。

 

「あの時『大事な幼馴染』と言ってたけど…それが答えじゃないの?」

 

全く…先生もどうしてこんな言い方をするのか…

 

「ありがとうございます…自分なりの納得がいくようにします」

 

私がそういうと…先生も「怪我でなくても遊びに来るといい…アテナと彼女も良い息抜きになる」と言って少し笑顔で答えてくれた。

 

お土産のお好み焼きを渡しジークを回収しようと[ふらわー]へ向かおうとした時に、ヒルデがジークの反応が動いていると報告を受けたけど、どうやら未来ちゃんが持っているみたいだけど…ヒルデに聞いてみると別れた後に再び[ふらわー]を訪ねその時に、私に返してほしいとおばさんから頼まれていたのを未来ちゃんが快く受けジークを受けとったと言ってくれた。

 

私は今日の夜にでも未来ちゃんの所へ行ってみようかと思っていたけど

 

〔ジークの事は、明日でも未来さんの所へ伺えばいいかと思います…修復の完了はまだ掛かりそうなので、それまでは私で十分かと思います〕

 

ヒルデ…ジークの扱い酷いと思うんだけど…

 

そんな事を考えながら未来ちゃんと合流して返してもらおうと思っていた時…ヒルデはさっきの先生との会話で思った事を私に言ってくれた。

 

〔響さんと仲直りをするのであれば、お早めにされた方がいいかと思います。ただ…私が心配なのは…〕

 

「わかっているわ…私がグラムって事を明かすのはまだ早すぎるわね…まだ解決していない事が多過ぎるしね」

 

私も下らない意地を張るのはやめて響ちゃんとは仲直りしようと思ったけど…バルムンクや転生者のことについては別の話だ。

 

幸いにも、今なら神様の作ってくれた私の設定があるけど、ちょっと無理があるけど…魔法の事は異端技術でどうにかなりそうな気がするかな?

ジークとヒルデの力って事で…

 

嘘をついているのは罪悪感はあるけど…仕方ないよね…

 

それと…私の罪はまだある…響ちゃんのいじめの事の件だ。

 

あの後のお礼参りの事も言わないといけない…

 

その事をどうしようかを考えていた時にヒルデから鎧の少女が現れた事を警告された。

 

 

あの鎧の少女が響ちゃんと未来ちゃんを襲撃した事…

そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 




次回 エピソード12「私はその手を握らない…」


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エピソード12「私はその手を握らない…」

本当にごめんなさい…展開を練っていたら遅くなりました

今回は自分も驚きの10,000字越え…

だけど、戦闘無し…しかもクリス視点とあのお方視点も少ないです…

本編7話が中心となっていますが、前半部分が殆ど無い展開…どうしよう…

10/31

エピソード予告変更しました。





私は警報を聞いた時にノイズが現れた思っていたけど…まだ体も魔力も全回復していないけど、ヒルデに頼んで探索魔法を使用し状況を把握した…この前と同じ聖遺物の反応が出たので、どうやらあの鎧の少女と響ちゃんが戦闘をしているみたいだった。

 

「ヒルデ!!援護しに行くわ!バリアジャケットお願い!」

 

私はヒルデにバリアジャケットの展開しようとしたけど、ヒルデから予想外の回答が返ってきた。

 

〔拒否します…マスターの安全を最優先にします…今のマスターは戦えるとは思えません〕

 

ヒルデの回答はもっともだったけど…何も出来ないままは嫌だったが…

 

〔響さんは無事ですよ…天羽々斬の反応がありました…あの二人がいれば問題は無いと思います…お願いです…無理をこれ以上なさらないでください…マスター〕

 

懇願するようなヒルデの言葉に私は従うしかなかった

 

「ゴメン…ヒルデ…今は治療に専念しないとね…ありがとう…止めてくれて…」

 

私はヒルデに一言謝った…私は警報に従って避難したけど…避難先で別れてからそれ程時間が経っていない未来ちゃんはどうしているのか…心配したけど…どうやらヒルデがジークと情報を共有して探してくれていたみたいだけど

 

〔マスター!!ジークから通信です…再起動を無事確認しましたが、それ以外にマスターにとっては大変良くない問題が発生しました…〕

 

ヒルデの慌てている念話に少し驚いてしまうがどういう事なの?

 

_______________________________________________________________________

 

〔自動修復システム終了…全機能オールグリーン…ジークフリード、愛称ジーク再起動します…〕

 

ジークは再起動したが此処が何所だか分からなかったが…どうやらマスターの月華ではなく第三者の手に渡っている事に気がついた。

一応ここが何所なのかを知るために近くでされている会話を解析してた。

 

〔マスターの声じゃないな…これは成人男性と…もう一つは、もしかして未来の声か?〕

 

この時、聞いたのは特異災害対策機動部に未来が保護されたことだ。

ジークは話を聞いていた時に、マスターが最も恐れていた事態が発生した事が起こっている事を知った。

響がシンフォギア装者という事が未来に知られてしまった事だ。

 

その事を報告するためにヒルデに情報リンクを開始し月華に今得た情報を伝えた。

 

月華も予想外の事が起こったのでどうするかを迷っているみたいだったが、現在月華自身も軽率な行動を控えようとしていた…

 

「ジーク…未来ちゃんの事を頼めるかしら…私は怪我で暫く治療に専念しないといけないから…」

 

ジークは月華から自分が再起動するまでの情報を知ったが…両手の負傷を心配したがヒルデがサポートするなら問題ないと判断した。

月華の念話の後、ヒルデと念話は続いていた…

 

〔ジーク…あの時は…〕とヒルデが謝罪を言おうとしているのを〔やめろ〕の一言で止めた

 

〔ヒルデ…あの時の誓いを忘れたか?何があってもマスターを守る…お前はそれを守った…俺がどうこう言える立場じゃない…この後もマスターの事頼むぞ〕

 

ジークは気にしていないように言ったがヒルデは〔分かりました…家族は守ります…この借りはいつか返します〕と言って通信を切った。

 

〔マスターの事しっかりと守ってくれよ…ヒルデこんな事になった理由は後で聞くが…おそらく俺が自己修復中だからマスターを、独占したいからか、後で回収すれば問題ないと判断したからだと思うが…ヒルデはマスターの事に関しては、かなり度が過ぎる程だから俺をこんな扱いにしたんだな…全く…別に構わないが…この知らない更新データは何だ?〕

 

ジークはある違和感を感じた…

その違和感は時期に分かった…なぜならそれは…

 

〔俺とヒルデの知らない情報が追加されている…カートリッジシステムの申請の為の連絡と注意点の説明…送信主は…あの神様か?〕

 

ジークは不振に思っていたが…なぜ今更連絡してくるのかが分からなかった…

 

その理由は、この数年は全く連絡もなかった事と、ペナルティ付きであるランクDの月華に、なぜ自分たちの強化出来るカートリッジシステムが申請できるのかが分からなかったからだ…

 

〔本来であればマスターに報告したい所だが…合流した時にでも報告すればいい…ヒルデもこの事は知っているだろう…〕

 

そのメールは…月華の担当の神ではなく…ある人物の機転で申請された善意の贈り物だと気付くのは後の話…

 

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特機部二(とっきぶつ)では今回の鎧の少女の襲撃で新たな情報があった。

 

ネフシュタンの鎧を解除させ、その後に少女はシンフォギア…紛失された〈イチイバル〉を起動せた事とその正体は、行方不明となっていたギア装着候補であった[雪音クリス]であった事…

 

戦闘はあったが、響も怪我は重傷は無く疲労ぐらいで問題なく、翼も無茶はしたものも問題はなく、一番の問題であった二人の確執はもうなかった。

 

問題は今回の事件の首謀者と思われる女性[フィーネ]の襲来…大きく事態が動いていた。

 

今回の襲撃でのもう一つの問題は…グラムが援護に来ていない事だ。

彼女はデュランダルの封印での負傷で動けないと見られた。

 

様々な問題が山積みとなっている時、響は今回の事で特機部二(とっきぶつ)で戦っている所を未来に見られたことを気にしていた…

 

その時、了子が響の胸を指で触り叫び声をあげて「何てことを!!」と抗議したが今の響はガングニールの欠片が体組織と融合している為、驚異的な回復力とエネルギーはそのおかげだと言ったが…翼は少し不審に思ったのか表情を曇れせたが…

 

了子は問題はないと言った事に響は安堵の声を上げていた。

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すっかり遅くなったわね…

 

私は避難場所から寮に帰ろうとしていた。

 

今回の鎧の少女の襲撃で未来ちゃんに響ちゃんの秘密がばれてしまった。

私は嫌な予感しかしない…絶対今まで不安になっていた感情が爆発して大喧嘩になっていないといいのだけど…

 

ここで、私の秘密がばれたら最悪の展開ね…慎重に行動した方がいいわね…

 

せっかくのお好み焼きも、気分的にいらなくなってしまったが、明日の朝でも食べればいいと思っていた時に、偶々公園から帰る道の途中で、おそらく女の子が泣いているを男の子が慰めようとしているけど泣き止まないので困っているようで…それを見かけた私と同い年ぐらいの少女がどうやら女の子をいじめていると思い注意したのだろうけど…何か困ってるみたいだ。

 

私は、初めは無視しようと思っていたが、振り向いた時に彼女と目が合ってしまったので、取りあえず訳だけでも聞いておこうとしたが…私はある違和感に気がついたが…後回しにした。

 

普通に話を聞いたら、只の迷子で、そこでこの子が虐めて泣かしていると思い注意していただけだったので父親を捜す事になった。

 

取りあえず交番の場所は覚えていたので、そこまで案内する事にした…

 

交番へ行く途中に手を繋いで兄妹を連れて歩く所を見て私は言葉遣いは荒いけど面倒見は良いんだなと思ってしまう…

 

私も、人付き合いをしようとせず、一人でふさぎこんだ時に、前世の私の幼馴染もよく慰められた事を思い出してしまう…

 

何でそんな彼と友人になれたのかは今でも疑問だ…そして大親友あの娘もなんで友達になってくれたんだろう…幼馴染と男友達の二人は知っていたみたいだが…

 

「月華さんから聞いてみればいいと思うよ…僕も聞いたのは最近だし…」

 

「でもな…あいつ結構こうゆう事を、面と向かって話すの嫌がるから、いつか話してくれるんじゃねえか?」

 

と二人にははぐらされたけど…その答えを聞くことは出来ない…

 

昔の事を思い出して落ち込んでいた時に鼻歌が聞こえた…

 

明るく元気づけるような優しい鼻歌だった…

女の子が彼女に「お姉ちゃん。歌好きなの?」と聞くが「歌なんて大嫌いだ…特に壊す事しか出来ないアタシの歌はな…」と少し悲しげに言ったけど…どうゆう事?

 

交番の前まで行くと、どうやら父親も探していたらしく二人は走って行ってしまった…

彼女と私もその後をついて行きお礼を言われたが彼女も私も成り行きでやった為、少し照れくさい…

 

彼女は兄妹に「仲いいんだな?そうだなそんな風に仲良くするにはどうしたらいいんだ?」と聞いていたけど…やっぱり訳ありかな?

 

兄妹の子からは「そんなの、分からないよ。いつも喧嘩しちゃうし」と言った後「喧嘩しちゃうけど、すぐ仲直りするから仲良し」と妹が言った…

 

彼女は少し思った事があったみたいだ。何があったかは知らないけど…彼女は何者なの?

 

私は少し気になった事があったので、少し話しかけた。

 

「あの子たちになんであんな質問したの?」

 

私が質問した事が意外だったのか「アンタには関係ない…」の一言で終わってしまう。

 

私は、その言葉に構わず言った。

 

「あなたに何があったのかは聞かないわ…もし誰かと喧嘩した時に、何もしないと後悔する時もある事は覚えておいて…まあ…それが最善だと思っても後悔する事はあるけどね…」

 

私の言葉に彼女も反応したしたいだ。

 

「じゃあ…どうしたらよかったんだ…アタシは正しいと思って行動した…唯一の味方だって思っていた恩人に…言われたようにした…けど結局は…」

 

彼女はまた黙ってしまう…本当に訳ありね…シンフォギアのコンバーターペンダント持ってるって事は…彼女が鎧の少女本人か関係者なのだろう…

本来であれば警戒対象なのだが…あの兄妹の傍にいたり、「壊す事しか出来ないアタシの歌はな…」と少し悲しげに言った事…その二つで信用できるかと言えば微妙な所だが…さっき「恩人」と言ったけどその人の命令でやった事なのだろうか…

 

その時、ふとある言葉が浮かび夕飯として食べようとしたお好み焼きを彼女にこう言って渡した。

 

「ある人が言ってたわ…『お腹空いているまま考え事していると…嫌な答えばかり浮かんでくる』って本当かどうかは分からないけど気晴らしにはなると思うわ…冷たくなってるけど味は保証するわ…」

 

彼女は私の行動に「同情はいらない」や「お節介はいらない」と言ってるけど聞かない振りをして彼女から去った…

 

全く…私らしくないわね…

 

その時だった…

 

〔マスター…ジークから通信です…やはり響さんと未来さんが今回の事で険悪になっているそうです…この様子だと未来さんがマスターの所に訪れるかと思います…〕

 

ヒルデの通信に壮大な溜息をつく…

 

「私…自分の秘密以上に、人間関係が複雑になってるは気のせいかしら…」

 

自分の問題より、友人や敵かもしれない人に気にかけてる私に呆れながら寮に帰った。

 

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未来は特異災害対策機動部に保護された後に解放され寮の部屋で今日の出来事を考えていた

 

響がなんであんなことをしていたのか…

 

ノイズと戦っていた事…自分が思っていた事以上の事があり過ぎて気持ちの整理がつかない…

その後、響が帰って来た時に事情を話そうとしたが、その事で響と口喧嘩となって部屋から飛び出てしまった…

 

少し気持ちを整理したいと思い外で歩こうとも思ったが時間も遅いので迷惑だと思いつつ月華の部屋に行ってしまう…

 

月華の部屋の前まで来たが、この前の愚痴を聞いてもらった時に、げっそりと引き攣った顔で付き合ってもらったのを思い出し遠慮がちになってしまう。

そういえば月華のブレスレットの宝石を預かったままだった事を思い出したが部屋に置いてきてしまった…

 

遅い時間だけど外で散歩でもしようと思っていた時に、月華に鉢合わせしてしまった。

 

話を聞いてみると、野暮用で帰宅が遅くなってしまったのと、その理由の説明を寮長に報告していたらしい…

 

何か訳ありと察してくれた月華に部屋に入れてもらった後に「夜も遅いから言いにくいなら私から聞くけど…響ちゃんと何かあったの?」月華の直球的な質問に長い沈黙が流れてしまう。

 

そんな沈黙を破るように、月華の携帯が鳴り少し退室するしたが、未来は月華の両親からの電話だろうと思っていた。

 

そういえば、月華の両親の事は一度も聞いていない…あの過保護な二人をどうやって説得して寮に入れたのかを知りたくなり話題として振ってから響の事を相談しようと思っていた。

 

戻って来た時に「誰からの電話だったの?」と聞いた時に、月華はあまり良い事ではないように思える暗い表情を見せていた。

 

月華は少し考えてから「家の遺産の相続の事で電話していただけ」と場を明るくするように気を遣って軽く言ったが…なぜ遺産の相続の話がされているのかを疑問に思った未来は月華の両親の事を聞いたが…聞いてはいけなかったと後悔した。

 

「未来ちゃん…私の両親はノイズ被害に巻き込まれて行方不明なの」

 

それは…事実上の死亡扱いを意味していた…

 

___________________________________________

 

私は後悔していた…

 

それは未来ちゃんが私の両親について聞いてきたので知っているだろうと思ってもういない事を言ったのだが…

 

どうやら知らなかったらしく逆に心配されてしまったが遺産に関してはすべて知人としてジークとヒルデが後見人をしてくれている。

私は、はぐらかすつもりで言ったのだが逆効果だったみたいだった。

 

私は話題をそらすために「何か用があったんじゃないの?」と聞いたけど…やはり私の両親の事でショックだったらしい…

私の両親は響ちゃんと未来ちゃんの両親と仲が良かった

それだからこそショックが大きかったのだと思う

未来ちゃんにはいつ頃からか聞かれたのであの転校の後でなった事を言った

 

未来ちゃんには「あんなことにならなければ…」と落ち込んでいたので、私はそれは違う事を言った

 

「私は気にしてはいないわ…一人は慣れてるし。それとあの事(ライブ会場での事件)をまだ気にしてるならもうやめて…あれは偶然の事故…未来ちゃんのせいじゃないわ…響ちゃんだって同じ考えだと思う。」

 

未来ちゃんはやはりあの事を罪悪感を持っていた…響ちゃんの世話を焼くのも最悪の別れ方をした私にも優しく接してくれるのは償いの意味もあったのだろうと私は思った。

 

私も二人とは友達でいたかったが響ちゃん以上の秘密がある…

 

その事を考えれば二人とも私に係わらない方が普通の生活が出来ると思っていたけど…響ちゃんが装者になった事を知ってこの先でノイズ対策で万が一あえなくなる事を不安に思っている…

 

だからあえて私は…

 

「未来ちゃんこれだけは言っておくわ…今すぐにとは言わないけど、響ちゃんと仲直りしてあげて…私の事は気にしなくていいわ…だって私は友達にはなれないから」

 

未来ちゃんは「なんでそんな事言うの?」と聞いてきたので私は秘密を一つ明かすことした。

 

「私があんな事をしたから天罰があっただけよ…未来ちゃん……あの時私は転校する時にある事をしたの…それは…」

 

これは私なりの罰だ…これを言えば私が言った「その資格が私にはない」の一言の意味が分かると思ったのだ。

 

「いじめの主犯と加担していた先生を病院送りにしたのは私が仕組んだのよ」

 

その告白に未来ちゃんは「知ってるわ…だってあの人たちが後で私に言いに来た…『私たちが一番狂っていた…あんなことをしなければ自分が保てなかった』って謝りに来たの…あの時の暴行受けた人たちが全員」

 

私は予想外のだった事に余計な事をしてしまったと後悔した。

 

あの事件の後の事は知らなかったが…いじめが無くなったのは主犯と加担していた先生を病院送りになった事と、響があの最悪な状況での生還者と知りその糾弾した事に対しての罪悪感から謝りに来たのだ…響ちゃん直接言えなかったので代わりに未来ちゃんに言ったらしい…

 

「月華もその事や他の事で悩んでいたのを知らなかった…私もあの人達同じよ…響も月華も私を責めなかった…そんな優しさに私は…甘えてるだけ…」

 

「それは…響ちゃんは未来ちゃんが近くにいて甘えられたから今でも友達でいられるのよ…私がした事も良い事とは言えない…このほかにも私は秘密を隠してる…その嘘は…二人を本当の意味で裏切る事だから…」

 

未来ちゃんは黙ってしまったがその事は追及しなかった…だけど次の一言だけは私は二人を遠ざけようとする思いを大きく揺らいでしまった…

 

「そんな秘密なんてどうでもいい…月華は今でも大切な友達よ…」

 

本当に…優しいのは私じゃない。この二人だ…

 

最低だけど…私は未来ちゃんに質問をした。

 

「未来ちゃん…響ちゃんの秘密って何だったの?」

 

その質問に未来ちゃんは言おうとするけど言えなかった…結局は「言えない…言えば月華を巻き込むから」とその後黙ってしまった…

そうだよね…言えないはずだよね?でも私は知っているんだ…響ちゃんが戦っていた事も…私は未来ちゃんが知らなかった事を知ってる…だからあえて私は…

 

「未来ちゃん…友達と思ってるなら言えるよね?言えないのは私の為?だったら私の秘密も同じと思ってくれともいいわ…友達だからって何でも言えるわけじゃない…それを分かっているの?」

 

未来ちゃんは黙ってしまった…

 

本当は分かっているけど、自分で納得できる答えが出ていないだけなのだ…

 

「私はその秘密が言えない…だから『友達と言う資格がない』って言ったのよ…未来ちゃん…私もね…こんな秘密が無ければ普通の友達でいられたのにって思った事があったわ…」

 

本当は仲直りしたいけど…私はこのままでいいかな…一人は慣れてるから…私はあえて未来ちゃんに冷たくしよう…

 

「帰って…もう話したくない…」

 

私の言葉に未来ちゃんは無言で帰って行った…

 

私はジークに念話で未来ちゃんの様子を見る様に頼んだ…

 

「後は…響ちゃんに会わないと…私は間違わない…これでいいだよね…」

 

ヒルデは何も言わなかった。

 

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次の日に学校で二人の様子を見に行ったけど…やっぱり最悪の状態ね…

 

偶然、朝に見かけた時別々に登校している二人を見たのだ。

いつもだったら二人仲良く登校しているから…

 

私もこういう時にどうしたらいいか分からない所は、前世の時と変わっていないわね…

どうしようかは決めているけど…そのタイミングがつかめない…

私は二人が仲互いのまま終わってしまうのは嫌だった…

 

結局は話すタイミングが、見つからず昼休みになってしまった…

屋上で両手のリハビリのつもりで作ったサンドイッチを、食べながら自分がこんなにヘタレだったのかと自己嫌悪していた時に、誰かが屋上に来たけど…昇降口の横で身を隠して確認してみると未来ちゃんだった…

 

話しかけようとした時に、響ちゃんも来た…

 

その会話は響ちゃんが今まで隠し事をしていた事の謝罪だった…

けど未来ちゃんも、もう理解していると思う…

昨日の事で、色々な事が起き過ぎたせいか未来ちゃんも限界だった…

想像以上の秘密を知ってしまったからこそ…どんな言葉も信じられなくなる…

そんな自分に未来ちゃんは傍にいる資格がないと思ったのだろう…

 

「これ以上…私は響の友達でいられない…」

 

「ゴメン」と言った後に走り去っていった未来ちゃんに響ちゃんが泣いていたのを見た時…私はこの最悪のタイミングで決行する事を決めた…

 

「何があったかは知らないけど…立花さん何かあったの?」

 

私は響ちゃんに声をかけたけど、どうやら私がいた事が意外だったのか涙を急いで拭いた後に何もなかったようにしたかったみたいだけどもう遅い…

 

「月華ちゃん…なんでここにいるの?」

 

「お昼をここで食べちゃいけないの?私のお気に入りの場所だから…」

 

こんな状況では沈黙が長くなるし、やっぱり気まずいわね…さて…本題にいこうかしら…二人の為にも…

 

おそらく響ちゃんは、今の未来ちゃんとの事情は国家機密で話せないだろう…

私は「前から聞きたかった事があるんだけど…聞いても良い」と言ってから本題を言った

 

「ねえ、立花さん…なんで私と仲良くしたいの?私は友達じゃない…あんなことをした私を…心配してくれるの?」

 

私は響ちゃんの気持ちを知りたかった…

こんな最悪のタイミングだけど…こんな時だからこそ聞きたかった…響ちゃんはこんな時に嘘はつかない…

いや、いつだって真剣に私の事を思ってくれたからこそ私がした事の真実を知って欲しかった。

 

「月華ちゃん…嘘つくの下手だから…あの時…嫌われたと思ったけど…あの時泣いていた顔見たの初めてだった…

今もこうしてちゃんと話してくれるし…月華ちゃん…忘れたの?『私嫌いな人とは、話さないから』って言ったの…」

 

確かに言ったような気がするわ…自分で墓穴掘ってるわね…でもよく覚えているのね…本当に…

 

「気まぐれよ…小日向さんに借りがあるからこうして話しているだけよ…あの事も話していないようだしね…」

 

響ちゃんは「なんの事?」みたいな顔してるけど…私は真相を話した…あの時なんであんな事を言ったのかを…

いじめをしていたあのバカ共が響ちゃんを標的にするのをやめ未来ちゃんを見せしめで虐めようとした為にあえて酷い事を言って絶交した事…

そしてその計画したバカ共と見逃した教師たちを病院送りにしたのは自分がやった事を話した…

 

「これでも仲直りしたいって思えるの?私は思えない…私は自分がした事は許せない…どんな理由があっても…私は友達の資格なんてない…だからもう私に…構わないで…」

 

私は自分のした罪を全て話した…軽蔑したのならそれでもかまわない…だけど…

 

「そうだったんだ…ゴメン…何も知らないで…月華ちゃんを追い詰めて…」

 

響ちゃんからでた言葉は謝罪だった…

 

「月華ちゃん…本当は優しいから…こんなことしたくないのにさせちゃって…実はね…卒業する時に謝れたんだ…いじめをしていた子に…全員じゃないけど…ね」

 

「知ってるわ…小日向さんに聞いたから…だけどその人たちを傷つける結果になったのは変わらない…だから…私は一人でなろうと思った…それが罪滅ぼしになるから…」

 

「それは違う…じゃあなんで未来を支えてくれたの?」

 

私が言った事を否定した響ちゃんは逆に聞いてきたのだ…

 

「友達じゃないなら未来の事も無視してるのにそれをしないのは…月華ちゃんが優しいからだよ……自分の事を後回しにして優しく出来るから…」

 

…私はそんな出来た人間じゃないのに…それは響ちゃんと未来ちゃんの事だから出来たのよ…

 

「だからね…もう一度やり直したいって思ったんだ。未来とは今は…あんな感じだけどね…また三人であの時みたいに仲良くしたいんだ…だから仲直りしたい」

 

響ちゃんはそう言うと私に握手をしようと手を伸ばしてくれる…

 

私は…一度離したこの手を握る資格はあるのかを考えてしまう…だけど、響ちゃんの本音は分かった…だから私は…

 

その手を取らずに響ちゃんを通り過ぎた…

 

響ちゃんが悲しそうな顔をしているのが分かった…だから私は此処で私の本音を言おう…

 

「勘違いしないで…響ちゃん…」

 

響ちゃんから「今、月華ちゃんなんて…」と戸惑う声が聞こえたけど…そうだよね…名前で呼んだのは響ちゃんに対しては久しぶりだから…

 

「どんな理由があって、未来ちゃんと仲が悪くなったかは知らないけど…未来ちゃんも本音で言ったと思わないわ…だから…私が先に仲直りして手を繋ぐなんて出来ない…だって今まで響ちゃんを支えてくれたのは未来ちゃんでしょ…だから私はその手を握らない…先に手を繋がなきゃいけないのは未来ちゃんじゃないの?」

 

これは私なりの考えた事だ…

 

未来ちゃんだってこのままで終わる事は望まない…私もそう思いたい…

 

「未来ちゃんと手を繋げないのなら…私は仲直りなんて出来ないわ…二人の傍に居られる事が、私にとっては一番楽しかったし…嬉しかった…二人の問題に私はどうこう言う資格は無いから、私は何もこの事に関しては何も言わない…けどね…私は響ちゃんの落ち込んだ顔見たくない…だから早く仲直りして…」

 

私の言いたい事はすべて言った…

 

私の言った事を理解した響ちゃんが私に嬉しそうにこう言ってくれた

 

「未来と絶対仲直りして来るから…その時、また手を繋いでもらえるかな!!」

 

私はその言葉で二人は上手く仲直り出来る事を確信した…だから私はこう答えた…

 

「嫌よ…」

 

響ちゃんは「なんで?」と聞き返してきたけど私の返事に苦笑した後に「月華ちゃんらしいや」と言ってくれた…

 

私は左手を上げて包帯の巻かれた手を見せて…

 

「こんな怪我をして手で仲直りなんて嫌よ…治ったら…考えておくわ…」

 

今思えば…なんて断り方かな…自分でも少し呆れてしまった…

 

私は二人に本当の思いを言った…

だけど、私は友達には戻れないだろう…

最悪の裏切りとなる重大な私の秘密……本当の嘘つきは…私だ…

 

_______________________________________________________________________

 

クリスは困惑していた。

 

これまで自分の信念を貫いてきたが今回の事で自分がしていた事が分からなくなったからだ。

彼女の目的は、()()()()()()()()()()()為の行動だった。

 

その目的に力を[フィーネ]に与えてもらった事でクリスは言われるがまま実行した。

 

戦う意思と力を持つ者を滅ぼす事で自分の目的が果たせると信じた結果は…

 

今回の戦闘でも自分のやっている事に疑問を持つようになった。

ソロモンの杖によるフィーネに操られたノイズの総攻撃から、敵である自分を庇った拉致対象の装者に事もあった。

デュランダルを時間もかけずに起動させ、その力を使って見せたあの装者に説得されたが言ってる事は綺麗事だと思っていたが…そのノイズの総攻撃から庇った理由もクリスが危ないからと言う理由からだった…

 

前回の戦闘では自分が優位だったはずだった天羽々斬の装者も、何かが変わったみたいに絶唱の後遺症も感じさせないぐらいに強くなっていた…

 

その後、フィーネの口から出たのは見限りの言葉だった…

 

あの戦闘の後、フィーネを追ったが追いつくことが出来ずに真意を聞くことは出来なかった…拠点へ戻ろうと公園を偶々通ろうとした時に、まだ幼い兄妹の面倒を見る事になってしまった…

 

その時、偶然目が合った自分と同い年ぐらいの少女も面倒くさそうな顔をしながらも交番までの道のりを案内してくれたが…彼女の両手には包帯が巻かれていた…

 

幼い兄妹と手を繋ぎながら父親を捜しながら交番を目指していた時に、不意に鼻歌を歌ってた…

 

妹の方に歌が好きなのかと聞かれたが…

 

歌は…嫌いだった…自分の目的の為とはいえ、その歌を武器にして戦っている破壊の歌なんて好きになんてなれなかった…

 

その言葉に、少し離れて道案内をしている彼女が顔色が少し曇ったようなように見えたのは気のせいだっただろうか?

 

同行してくれている彼女の両手の包帯を見た幼い兄妹に心配されていたが…「軽い火傷だから…心配しないで」と安心させるように言ったが、さっきから手を繋ごうとした時に拒否した事から軽い火傷ではないのだろう…

 

クリスはあるもう一人の装者の事を思い出した…

あのグラムと名乗った装者は今回は見かけなかったが、それはデュランダルの力を抑えた事による負傷が原因じゃないのか…

 

正体は分からないが…彼女が戦う理由は何なのだろうか?

なぜ自分と同じように戦う意思と力を持つ者を滅ぼすような事をしないのか疑問に思った。

 

交番に着き父親との再会の後、礼を言われ照れくさいのでそっぽを向いてしまうが、幼い兄妹に聞きたい事があったので聞いた…

 

「仲いいんだな?そうだなそんな風に仲良くするにはどうしたらいいんだ?」

 

その二人の答えは「そんなの、分からないよ。いつも喧嘩しちゃうし」と兄言った後「喧嘩しちゃうけど、すぐ仲直りするから仲良し」と妹が言った…

 

自分が納得するような答えではなかった。

 

その後、交番から立ち去った後、付き合ってくれていた少女が急に「あの子たちになんであんな質問したの?」と話しかけてきたが…個人的な理由だったので、「アンタには関係ない」の一言で済ましてしまった…

 

その言葉に何か確信したのか

 

「あなたに何があったのかは聞かないわ…もし誰かと喧嘩した時に、何もしないと後悔する時もある事は覚えておいて…まあ…それが最善だと思っても後悔する事はあるけどね…」

 

彼女も似たようなことがあったのか、事情も聴かずにアドバイスしたのだ…

 

「じゃあ…どうしたらよかったんだ…アタシは正しいと思って行動した…唯一の味方だって思っていた恩人に…言われたようにした…けど結局は…」

 

いつの間にかクリスは自分の思っていた事を抑えきれずに彼女に話していた…

彼女も訳ありと見たらしく左手に持っていた袋を無理矢理渡した後に

 

「ある人が言ってたわ…『お腹空いているまま考え事していると…嫌な答えばかり浮かんでくる』って本当かどうかは分からないけど気晴らしにはなると思うわ…冷たくなってるけど味は保証するわ…」

 

クリスはそんなお節介はいらなかったが文句も聞かずにそのまま立ち去ってしまった…

 

公園で渡されたお好み焼きを食べながらも嫌な考えは無くならなかった…

しかし、やる事は決まっていた…拠点のに戻りフィーネの真意を聞く事…

 

それを目的に拠点に戻った時に言われた真実は…

 

只フィーネの目的の為に利用された事と…ある実験の成果によりネフシュタンの鎧を纏う事が出来る様になった事と、完全聖遺物の覚醒為にクリスを利用していた事だった。

 

「カ・ディンギルは完成してると同然…貴方一人に固執している理由は無いのよ」

 

その言葉を聞いた後にされた事は…ソロモンの杖によるノイズでの口封じだった。

 

 

 




次回 エピソード13「その借りは返さないと…ね」





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エピソード13「その借りは返さないと…ね」

本当にすいませんでした…
超長くなりそうだったので(二万字超えそうだったので)分割しました
次回は早く出来そうです…

一応投稿しておきます…

本編8話の前半になっています…



未来は朝早くに目が覚めてしまった…

正確には昨日の幼馴染の二人の事を思うと余りよく眠れなかった。

 

そんな憂鬱な気持ちを表すかのように今日の天気は雨でさらに気分が沈んでいく。

本来であれば一緒に響と登校する所だが、昨日の事もあり朝早い時間だが着替えて一人で学院に行く事にした…

 

そんな時に、いつも飾っている響と二人で撮った幼い頃の写真の事を思い出していた。

実は月華と三人で撮った写真もあったのだが、響を刺激しないようにと実家で大切に保管しているが、この他に月華と撮った写真は少ないのだ。

理由は簡単で…

月華は写真に撮られた時の表情は大体不機嫌そうな顔だから、不快になるだろうと遠慮しているのが理由だが未来も響も気にしないでいいと言ったが頑固に聞かなかった。

 

確かに保管してある月華の表情は、笑顔を無理矢理に使った顔なので機嫌が凄く悪いように見えて「もう二度と写真はごめんだから…」と苦笑して言っていた事はいい思い出だ。

 

そんな月華も天罰と言ったが…

 

溺愛と言ってもいいほど可愛がられていた両親を失った悲しみと、響のいじめの裏でやっていた事の罪についての悩みを抱えここまで暮らした苦痛はどんなに言葉でも表せないのだろうと思った。

そんな話をしていたので結局は月華の大切にしているブレスレットの宝石を返せずにいた…

 

両親の形見でもあるのか出会った時から付けており、小中学生の時は流石に身に着けて登校はしなかったが、それ以外の時は肌に離さず身に着けていた…

そういえば…趣味でやっていたアクセサリー作りは今でもやっているのだろうか…

才能はあったみたいで誕生日にプレゼントされた指環は今でも宝物だ…

それと…暇さえあれば学校の屋上で一人で歌っていた事もあった…

そんな月華の話せない秘密はなんなのだろうか想像は出来なかった…

 

「私はその秘密が言えない…だから『友達と言う資格がない』って言ったのよ…未来ちゃん…私もね…こんな秘密が無ければ普通の友達でいられたのにって思った事があったわ…」

 

今にも泣き出しそうな顔で話した月華の事を思うと、「そんな秘密なんてどうでもいいと」と言った自分の言葉がどんなに月華を苦しめていたのかが分かってしまいさらに落ち込んでしまう…

 

いつもの商店街を歩いていた時に、未来はある違和感に気がついた…

 

目立たないビルの間に黒い塊があったが、問題はその場所には気絶した同年代の少女が居た事だった…

 

___________________________________________

 

ジークの情報で未来ちゃんが仲直りしていない事を知った。

朝早くに目が覚めたけど(と言うよりジークに叩き起こされた)私は、ジークから未来ちゃんが朝早くに出た事と、一番心配した事は…

 

〔マスター…ノイズが確認されたが少し前に反応がロストしている…未知の反応も確認している…俺の予想だが…その反応はシンフォギア装者で正体は昨日会った彼女だろう…理由としては、今回の事での失敗で黒幕から見限られて口封じの為にノイズに襲われていると予想している…念のためだが…マスター…朝早い所すまないが、未来の所まで来てほしい…今は平気だが万が一の事を考えた方がいい…〕

 

……ヒルデの文句を聞きながら私も、未来ちゃんの居る場所に行く事にしたけど…運よくノイズは出現しなかった。

私も昨日の事でかなり気まずいのだけど…ジークには〔そんなの知らん…マスターが勝手にやった事だ〕と冷たく言われ少し凹んだ…今回の事に関してはヒルデも口を出してはいたけど、私のやる事には反対はしなかった。

 

それと、ジークのおかげで未来ちゃんの居る場所もわかったので、偶然に会った事にして会おうと思っていた時、どうやらタイミングよく会えたけど…お好み焼き屋のおばさんも一緒に居たのは、ぐったりした見覚えがある人で

、どうやら一人では運ぶのは無理と判断したんだろう…助けられていたのは…昨日、お好み焼きを渡した彼女だった。

 

ぐったりした彼女をお店まで運び、おばさんは雨で濡れた服を脱がせた後に洗濯に行ってしまった。

 

つまりは…未来ちゃんと二人で彼女の看病をする事になってしまった事だけど…

 

未来ちゃんも昨日の事で私に話しかけづらい…仕方ないので私から話しかけた。

始めは、朝早く出た理由とかを聞いていたけど…あまり反応が良くない…

まあ…当たり前よね…昨日のような別れ方したら話ずらいので仕方ないので昨日の事を話すことにした。

 

「響ちゃんに昨日…すべてを話したわ…私のやった事…全てをね…」

 

未来ちゃんは、私がその事を話した事が意外だったのか「なんであの事を言ったの?」と聞かれた。

 

「私は…あんな事をした自分がまだ許せない…だからあの時も…今までも『あなたの友達じゃない』って言った…だからね…あの時の真実を話せば私は本当に響ちゃんとの縁は無くなるって…そう思っていたのに…未来ちゃんと同じで謝られちゃった…私の事追い詰めていたって…そんな事思っていないのにね…」

 

「そっか…月華は許してもらえたんだ…じゃあ仲直り出来たんだね…」

 

未来ちゃんは少し寂しそうだった…響ちゃんとの確執が無くなって友達に戻れたって思っているみたいだけど…本当の事言わないと…

 

「仲直りはしてないわよ…」

 

私の言葉に未来ちゃんは困惑しているみたいだった…

私は昨日私が考えていた本音を言った。

 

「未来ちゃんより先に仲直りするのは、私は納得しない…ここまで貴方が支えたから響ちゃんと友達に戻れるまで話すことが出来た。だから未来ちゃん…私は二人が仲直りするまでは響ちゃんの手は握らない…」

 

未来ちゃんは私の真意を分かってくれたのか…「ずるいよ…月華は…」とうつむいてしまった…

 

本当はヒルデには止められたけど、私は両手の包帯をほどいて未来ちゃんに、本来の大火傷を見せ

 

「それにね…こんな手で仲直りなんて嫌よ…まだ強く握られると痛いから…ちゃんと治してからにしたいだけ…深い意味は無いわ」

 

未来ちゃんは、予想以上に酷い火傷で驚いているみたいだったけど、私が気を遣っていると思ってくれたのか、苦笑に近いけど少し笑顔も見られた…

 

「月華らしいわ…そんな理由で仲直りしてないなんて言うなんて…もうとっくに仲直りしてるじゃない…」

 

「そうかもしれないわね…私ね…あの時の事件で、一方的に響ちゃんと縁を切ったと思っていたみたいだけどね…そう思っていたのは…私だけみたいだったわ…それに気が付けたのは未来ちゃんのおかげ…ありがとう」

 

未来ちゃんには本当に感謝していた…

未来ちゃんも何故か驚いた顔をしていたので、何故か聞いてみたら…

 

「月華が笑顔見せるなんて意外だったから」と言われて見て分かったけど…少し恥ずかしい…

そんなに私は…ぶすっとした顔してないのかな…あの娘(前世の親友)に笑われるわね…

だからこそ…私も本音を言ったのだ…二人の為になる事を信じて…

私は……最悪の裏切りである秘密がある…友達に戻れない。

 

もう二度と仲直り出来ない前世の親友の事を思い出し苦笑してしまう…

 

後の問題は…彼女の事かな…なんでこんな事になってるのか…理由を知らなければ…

 

未来ちゃんに彼女の事を任せて、他に所有物があったら何かわかるかと思いおばさんの所へ行く事にした。

 

___________________________________________

 

未来は月華の本当の気持ちを聞いた…

 

両親が亡くなり本当に一人で、どんなふうに暮らしていたか知らないが、誰とも関わらずに孤独に耐えた強さは此処からくるものなのだろう…

 

両手の火傷の事もあそこまで重症で「大したことは無い」と言っていたが気を遣ってくれたのは未来を元気づける為だと思うと、さっきまで話ていた事で答えは出てしまっている事だが…今更どうすればいいのか分からない…

月華のブレスレットの宝石も返そうとしたが…

 

「響ちゃんと仲直り出来たら返してくれたらいいわ…」

 

と言って受け取らなかった…絶対に返してくれる自信から出た言葉に、未来は彼女なりの気遣いが嬉しかったが…響が許してくれるかの不安もあった…

 

それにあの両手の事も気になった…

趣味としてやっていたアクセサリー作りの為に、手を大きな怪我しないように警戒していた月華がポットの熱湯で両手を火傷するなんていうミスをするとは思えなかった。

もしかして、それが…月華の秘密に繋がるのだろうか?

 

そんな事を考えていた時に、うなされる声が聞こえたので振りかってみると助けた彼女が悪夢でも見ているのだろうか…

 

寝苦しそうにする彼女の額に浮かぶ汗を方向とした時に丁度目が覚めたらしく飛び起きていた…

此処が何所だか分からずに戸惑う彼女を安心させるために、状況を報告した後に衣服はびしょ濡れだったので未来が使用していた体操着の上着を使っていたが…

気に障ったのか「余計なお世話だ!!」と言って立ち上がり文句を言っていたが、彼女は未来がある事を言わなかったのでそうしたのが逆効果となった…

 

つまり…

 

「下着の替えは無かったから…」

 

その事実に気付いた彼女は掛け布団を被ってしまい少し気まずさを感じたが、彼女の服を洗濯した後心配してくれたおばちゃんが様子を見に来てくれた事でどうにかなった事は幸いした。

おばちゃんが服を干すと言うので手伝おうとするが、丁度その時月華も居て「私がするから彼女の事お願い…」看病の続きをするように言ったが、「アンタは…昨日の…」と月華の顔を見て驚いているみたいだが何処かで知り合っていたのだろうか?

その疑問を月華に聞く前におばちゃんの手伝いに行ってしまったので後で聞けばいいと思っていた。

 

酷くうなされていたので寝汗も掻いているだろうと、彼女の体を拭くことにしたが…着替えさせた時に思った事は、体中の痣を見て何か訳ありだとすぐにわかった事だった。

彼女の背中をタオルで拭いていた時に…

 

「何も…聞かないんだな…」

 

自分の体の痣の事、路地裏で気を失っていた事…聞きたい事はあるだろうと思っていた彼女が沈黙を破るように言ってきた。

 

「うん…私はそうゆう事苦手みたい…これまでの関係を壊したくなくて…なのに…一番壊したくない物を壊してしまった…」

 

すぐに察したみたいで大切な友達と喧嘩をした事を知った彼女は、その後も何も聞かずにいた。

 

___________________________________________

 

私は乾いた服を彼女の元に持って行った時に、彼女に前日に迷子の案内の後にお好み焼きを渡した事で知り合った事を未来ちゃんに知られた時に「月華が珍しいわね…初めて会った人にそんな事するなんて」と言われたけど…私は彼女が今回の騒動のきっかけを作った張本人なので、黒幕を誰なのかを知るためにやっただけで親切にしたわけではない…

偶然とはいえ響ちゃんの事をまだ狙っているのであれば、敵であることは間違いは無い…

だけど…何か訳ありのは感じていたし、昨日の事もある…

彼女の目的って何だったのだろう…私はそれが気になっていた。

 

彼女は未来ちゃんと何か話していたみたいだけど、どうやら響ちゃんと喧嘩した事を話していたみたいだ…

未来ちゃんは友達と喧嘩した事は無いのかを聞いた時に…彼女から吐き捨てる様に言ったのは…幼少期の大人による虐待と、その後この事件の首謀者に用済みで捨てられた事を言った事に、私もそうだが未来ちゃんも絶句してしまった。

だけど少し疑問に思ったのは…そのような状況になってしまったかが分からない事だ。

私の勘だけど…両親の事は好きだったのだろう…その後一人になった事と虐待体験を経て、この騒動の黒幕に何かを言われ協力していた…

 

響ちゃんとの喧嘩の話をした後、未来ちゃんに対しての仲直りの方法が「喧嘩の相手ぶっとばして、どっちが強いのかはっきりさせたらそれで終了してとっとと仲直り」って…あいつ(前世の男友達)が見せられた熱血友情アニメじゃないんだから…

 

その回答に未来ちゃんは少し唖然となってうつむいて「出来ないよ」と言った時に未来ちゃんの顔を見ないで彼女は「わかんねぇな…」と言った時、それでも未来ちゃんは相談に乗ってくれた彼女に相談に乗ってくれた事に対しては良かったみたいだ…

気遣ってくれた事に対してお礼を言った後に、お互いの自己紹介まだだった事に気が付きそこで私は彼女が雪音クリスと言う名前を知った。

 

「優しんだね…クリスは」

 

そう言った時に雪音さんは少し動揺して未来ちゃんに背中を向けてしまった。

未来ちゃんは友達になりたいと優しく言った後に雪音さんの手を包み込むように両手で優しく握ったけど、その手を振り払った後に振り向くことなく「アタシはお前たちに酷い事をしたんだぞ…」と苦言を言ったけど、未来ちゃんは何の事だか分からない表情をしているけど、私は未来ちゃんを巻き込んだあの時の襲撃の事を後悔しているのだろう…

 

結果的に巻き込んだだけで、命令に従っていただけなら…雪音さんを使ってまで、響ちゃんをなんで拉致しようとしたのか?それと…米国政府とこんなバレバレのやり取りしてまでこんな事件を起こしているのは…誰なの?

 

そんな時だった…ノイズによる異常警戒のサイレンが鳴ったのは…

まさか…雪音さんの口封じでこの辺りにノイズを放ったっていうの!?

 

私達はおばさんの店から出た時に見たのは、ノイズから逃げようとする人々だった…

雪音さんはこの状況を把握していないみたいで「おい…一体何の騒ぎだ?」と何も知らないように言っていたのを、未来ちゃんはノイズが現れた事を知らせる警戒警報をを言った後、警戒警報を知らなかったのだろう…雪音さんは未来ちゃんが制止する言葉も聞かずに走り去ってしまう。

 

未来ちゃんがどうしようか迷っているけど…私ならノイズに対応できる…それに雪音さんはこの事件の真犯人を知る為には生きてもらわないといけない…

 

いや…言葉を変えよう…

 

未来ちゃんを元気づけてくれた事…その借りは返さないと…ね。

 

私は雪音さんを連れ戻してくると、未来ちゃんに言い走って後を追おうとした時にジークを返そうとしてくれたけど、響ちゃんとの仲直りの後に受け取ると言い受け取らなかった。

私は無茶はしないと未来ちゃんに言った後、雪音さんの元へ駆け出していた。

 

〔マスター…あまり戦闘に加わる事に賛成は出来ませんが…無理をしない程度にお願いします〕

 

ヒルデが心配するように言ってくれたけど本当の心配は未来ちゃんとおばさんだ…ジーク…頼むわよ…

 




次回 エピソード14「貴方は何で私を助けたの?」


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エピソード14「貴方は何で私を助けたの?」

本当にすいませんでした…久々の投稿です。

本編八話の後半になります。
此処の展開が思った以上に書きたい所はあったのですが蛇足でつまんなくなりそうなのでやめました。

それにしても、今年中には一期の完結目指さないといけないですね…

2018.8.8

誤字修正しました。

一部書き足しました。



響は学院に着いた時に特機部二(とっきぶつ)からの緊急連絡を受けていた。

 

早朝という事で、被害者は出てはいないが行き慣れている商店街でノイズが発生した事を弦十郎に聞いていたが…その反応の中に聖遺物の反応…つまりクリスがそこにいてノイズと交戦していた事実だった。

 

その時、響はクリスに戻る所が無いのではないかという疑問に対して、「そうかもな…この件についてはこちらで捜査を引き継ぐ事になる…響君には指示があるまで待機してほしい」と弦十郎からは言われ電話を切り教室に着いた時に、先に出たはずの未来がいない事に気がついた。

この時、未来が休みなのかを付き合いの長い友人三人に聞かれたが、自分より早く出たはずなのに無断欠席をするような様子はなかったと言おうとした時に、昨日の口論のきっかけを生んだ事に責任を感じていた創世が謝罪していたが、その気まずさを無くそうとしたのか、それとも空気が読めなかったのか「こんな時アニメだったらどうすんだっけ」と弓美が悩みながら言っていたが、真面目に考えるように詩織が呆れながら注意していた。

 

響は不安を感じて少しでも未来と仲直り出来る様にフォローしてくれる友人に感謝し、このまま未来との仲を改善されずに終わるのは嫌だと思いながら、どう未来と向き合うかを考えていた。

 

屋上で登校していない未来を心配していた響が考え事をしていた時に、励ましに来たのであろう翼とベンチに座りため込んでいた不安を内明かしていた…

 

自分なりに覚悟を決めシンフォギアの戦士になったが、未来にノイズと戦っている事がばれた時に気持ちが落ち着かず何も手に着かないようになってしまっていた…

もっと強くなりたいと…変わりたいと思っていたが…未来と関係を小さな問題と言った事を察した翼は

 

「その小さなものが、立花が守りたいものだとしたら…今のままでもいいんじゃないかな…立花は立花のままで強くなれる…」

 

響に自信を持って言った事だった。

その後に、奏みたいに励ますのは苦手だと少し顔を曇らせていたが、響は逆に助かっていた…

翼に、この屋上で二人の親友に励まされた事を言い、また落ち込んでいた自分自身の事に呆れながら「ダメだな~」と言っていたが、翼はいつもの響に戻った事に安堵の笑みを浮かべていた。

 

響はまだ体が万全ではない翼にまだ傷むのかを聞いてきたが、翼は「大事をとっているだけ、気にするほどでもない」と言った事に響は安堵した。

 

その時…翼は絶唱による体の負荷は極大だった事、絶唱は自分も他者も全てを破壊しつく滅びの歌と言った後、その代償がこのくらいで済んだのだか良かったと言ったが、響は違った…

 

それがきっかけで響は二年前の辛いリハビリを乗り越えられたのは翼の歌に励まされたのと滅びの歌だけではなく聞いた人を元気にさせてくれる歌だと言った事後に早く完治するように励ましたが…

 

「これでは私が励まされているみたいだな」

 

翼は穏やかに響に言った…

 

その時だった

 

ノイズ反応を警告する警報が鳴った時に、弦十郎からの緊急連絡で朝に検知されたノイズが商店街で発見され今朝の反応と関係があると判断し出動を命じられたが翼はメディカルチェックが出来ていない事を理由に許可されなかったが、響の「みんなを守ってください、だったら私は前だけを向いていけます」と言った後、現場に急行した。

_______________________________________

 

警報が鳴っている時に、雪音さんが走っていなくなってしまった事を心配した未来ちゃんに、私が探してくる事を言った後、雪音さんを見つけた時、この商店街の人々を巻き込んでしまった事に、涙していた所を見ていたら…放っておくことなんて出来なかった…

 

ヒルデはシンフォギアを纏う事には反対はしなかったけど…

 

〔両手はまだ万全ではありません…無理をなさら無い様にお願いします〕

 

ヒルデには悪いけど、多少無理をしなければ雪音さんを守れないだろう…

私もなんで数日しか会っていない…しかも敵だった彼女を助けるのか…

 

「響ちゃんに影響されちゃったかな…それでもいいか…あんな風に泣いてる雪音さんを放ってはおけない!!」

 

雪音さんはノイズの攻撃をかわしながら聖詠しようとしているけど、体が万全ではなかったので咳込んだ所をノイズに襲われたけど…弦十郎さんのおかげで助かっていた…だけど、道路のアスファルトを踏み込みだけで剥がして盾にするなんて…しかも、雪音さんを抱えてビルの屋上まで跳躍出来るなんて…どんな鍛え方してるのよ?

私はその光景に呆れながらも、心の中で弦十郎さんだからと納得した。

 

私は人気のない場所でシンフォギアを纏った。

 

雪音さんは、悪態をつきながらも、ノイズの誘導を引き受けたみたいだ…私は雪音さんに加勢する事にした…

弦十郎さんに彼女の援護をする事を伝えた時に「すまない…彼女を頼む…」と悔しそうにつぶやいた…

 

後でヒルデから言われて知った事だけど…「俺は…あの子を救えないのか…君に対しても…償えないのか…」って弦十郎さんが言っていたと聞いた…その意味は後で分かった…

 

雪音さんもノイズを掃討していた時に、私が来た事で警戒したみたいだ…

 

「あなたを援護しに来ました…お互い体調が万全でないので慎重に対応しましょう…」

 

私が協力する事を言ったけど…「余計なお世話だ!!」と言われたが私を狙ってくる様子はない…

早く終わらせて彼女から詳しく情報を聞こう…多分話さないだろうけど…

 

両手を気にしながらも大剣でノイズを掃討していくが、時間が経つうちにわずかだけど、握力が落ちてきていた…

雪音さんは、私の両手の事を分かっていてくれたのか浮遊しているノイズを、出来るだけ掃討してくれているみたいで、近寄ってきたノイズを掃討して背中を守っていれば問題は無いくらいだった。

 

その時、ジークから通信で未来ちゃんがおばさんとノイズから逃げ廃ビルで隠れていた事…そして響ちゃんがシンフォギアを使えるようにする為未来ちゃんが囮になっている事を聞いた時…私は単純なミスをした…

 

その事を聞いた動揺から攻撃の手を緩めてしまった事で、ノイズの攻撃を直撃を受け、ビルに叩きつけられてしまう。

雪音さんが援護してくれたおかげで追撃は無かったけど…彼女が援護してくれた事が意外だった…

 

「さっさと起きやがれ!!助けに来ておいてアタシに助けられてんじゃねぇ!!」

 

雪音さんもお人好しよ……口は悪いけど。

 

「そうでしたね…早く終わらせましょう…貴方と話がしたくなりましたので…」

 

雪音さんは「アンタと話す事なんて何一つねえ!!」と迷惑そうに言ったけど…

私はそのお人好しの元親友だ…

響ちゃんは、今未来ちゃんの事で他が離せない…二人の事だからも、もうとっくに仲直りしているだろう…

私は二人を信じよう…今は響ちゃんが対話しようとした、弦十郎さんが助けようとした雪音さんを今一人にするのは危険と判断した。私はジークが念話で状況を報告してくれたけど…二人を信じよう…

 

〔マスター!!未来の事は…〕

 

「未来ちゃんの事は響ちゃんに任せるわ…二人の事…もしもの時は、お願いね…ジーク」

 

〔了解だ…いざとなったら俺が何とかする!!〕

 

私の真意を分かってくれたのかジークはその一言で念話を切った…

 

「ヒルデ!!一気に殲滅する!!身体強化魔法の限界時間は?」

 

〔逃走を考えるなら使用を控えて欲しいのですが…数分はもちます…ただを超えた場合…身体の疲労とバリアジャケットの展開の不可…そしてシンフォギアが強制解除される可能性がありますので注意してください…出来れば3分以内が好ましいと思います〕

 

念話でヒルデに身体強化魔法を使う事にしたけど…あれを3分でか…

私は雪音さんに「私は今から3分間、出来るだけ多くのノイズを掃討します…援護をお願いします!!」と言った後に魔法を発動させた…

 

この選択が運命の分かれ道になるなんて思ってもみなかった…

 

___________________________________________

 

 

クリスは、目の前の光景に唖然となりそうになった…

グラムが討ち損ねたノイズをアームドギアであるガトリングとミサイルで倒していくが…

 

「何なんだ…あの化け物は…」

 

今さっきまで動きが多少鈍かったグラムが今ではノイズの大群を、空と陸上構わず殲滅していく所は明らかに異常だったが…時限式かつ何かしらを代償にしている事は分かっていた…

 

しかし…クリスは理解できなかった。

 

明らかに自分の口封じの為に操られたノイズによる襲撃を自分で片付けようとしたのに、敵である自分を信じて目の前で戦うグラムの事…

背中をいつでも撃つことも出来た…さっきもノイズの攻撃を受けビルに叩きつけられた時も助ける必要も無かった…

 

今こうして共闘している事もしなくても良い事だ…デュランダルを起動出来たあの装者と同じで、ここで始末をつけておかなければ今後大きな障害になるだろう…

だが…フィーネは自分に対しもう見切りをつけている…ノイズの襲撃も自分が此処に居たせいだ…

自分のした事で迷惑が掛かってしまった事の罪悪感もあった…今日、友達になろうと言ってくれたあの恩人には仇で返していた事と、たった一度だけ話したあの月華と名乗った少女とも話はしたが…今回の事で巻き込んだのは間違いなかった…

 

そんな事を迷いがあったせいか…クリスも目の前で戦っているグラムの援護に集中していたせいで…背後から襲い掛かるノイズに気がついていなかった…

それに気がついた時には、ノイズの攻撃が直撃するのはもう分かっていた…

その時、目の前に大剣が突き刺さり盾となっていたが…それを意味するのは、グラムが自分のアームドギアを手放したと言う事実である事と、ノイズに囲まれている中で孤立した事を意味していた。

 

グラムはクリスがいる所まで行くまでにノイズの攻撃を受けてはいたが、ガトリングでの攻撃で致命的な攻撃は受けてはいなかったが限界が近くアーマーを半壊させ息切れしながらも、ノイズの警戒を怠っていた疑問を言う余裕はあった。

 

「援護に集中してくれた事には感謝します…ですが、あんなミスをするとは…何か疑問に思う事でもあったのですか?」

 

「大ありだ!!なんでアタシの事を庇った!!」

 

「その理由は後で話します…すみませんが…さっきの力はもう使えません…ですが、かなりの数を討伐出来ましたが…油断は禁物です。早く殲滅しましょう…」

 

それから互いに協力しあい殲滅する事が出来たが…敵同士なのにここまで信用する理由が分からなかったクリスがその事を聞こうとした時に…理由が分かったのだ…

全てのノイズを討伐した時にグラムが苦悶の声を出した後に、「なんで…?時間制限は守ったのに…そっか…さっきの無茶で…」と言った後にその場に倒れてしまった。

 

慌ててクリスが駆け寄った時に…今まで正体が分からなかったグラムの正体が…此処で分かってしまった…

 

その正体は…自身の恩人でもある。

 

月華と呼ばれていた少女だった…

_______________________________________

 

ジークは安堵していた。

マスターである月華にに頼まれ未来たちの事を頼まれたが、それは杞憂に終わり二人は仲直りも出来無事を報告できそうだったからだ。

 

二人はその後、特機部二(とっきぶつ)に保護された未来が弦十郎に避難中に分かれた友人を探してほしいと言った時に、ヒルデからの通信があった。

 

どうやら戦闘中に無茶をして、あの敵であるクリスに正体がばれてしまった事、その後連れ去られどうなるかと思っていたが…ヒルデに月華の居る場所を聞くとクリスがなぜそのような行動をしたのかが意外だったが、その場所を伝えるのにどうしたらいいか迷ったジークのとった対応は単純で…

 

〔未来にメール送っておくか。一応、あの装者にノイズに襲われている時に、助けられた事にして、その後ノイズによる攻撃の負傷で気絶という事でマスターには一芝居打ってもらおう。マスターには悪いがな…〕

 

未来の携帯に月華からのメールとして送信され無事に保護されていたが、ヒルデからも苦情は無くこのまま別行動でも平気だろうと思っていた。

 

〔これはチャンスかもしれない…特機部二(とっきぶつ)の内部に潜入が可能になれば今の状況を改善できる〕

 

ジークの読みは当たり、未来が…特機部二(とっきぶつ)の外部協力者として配属が決定し、地下基地に潜入する事に成功したのは言うまでもない。

 

_______________________________________

 

了子は商店街の事後処理をしていた…

 

弦十郎からの報告ではグラムがクリスと共にノイズの掃討をしていた事を聞いていた…

犠牲者はいなかったみたいだが…

ノイズの思考制御がここまで精密に出来るものとは驚きだったが…この事も報告書に書かなくてはいけない。

事後処理は多くある…別の意味でもだ。

了子は調査員に支持を出していくが、路地の曲がり角で物音がしたので、逃げ遅れた住民かノイズかの確認で武装した同僚と共に向かった。

 

立ち入り禁止となっているはずだが、炭素化したノイズを調べている男性の姿があった…

了子はその男性を知っていた…

その男性は了子の事に気がつくと、何もなかったように話しかけた。

 

「久しぶりだね。桜井女史…こんな所で会うとは思わなかったが」

 

その男性は、親しみやすく話しかけてきたが了子も皮肉で返した。

 

「本当に久しぶりね…子安 愁博士…」

 

「ああ…何年ぶりになるだろうね…天羽々斬の起動の立ち合い…いやF.I.Sで会った時以来だね…」

 

本当に久しぶりとなる再会だが…了子はあまり会いたくない人物だった。

 

了子の記憶が正しければ様々な聖遺物の研究に着手しており、櫻井理論もたった数日で理解し成果を出しているが…素性がまるで分からず、各研究施設を転々としており謎が多いのだ…

此処に居る理由を聞いてみれば、此処の商店街で怪我人の治療をしていたらしいが…ノイズに興味を持っていたらしく炭素化のサンプルを取っていたらしいが、明らかに違法行為だった。

理由を聞けば…

 

「あの生物がどのような思考を持ち、なぜこのように人や自分自身をなぜ炭素化してしまうのか興味が湧いてね…」

 

この子安博士の性格がよく分かるセリフだった…

 

了子は気になる事があった。

 

「EUの研究機関に就職していたと聞いたけど…あなたほどの天災が、どうしてこの日本にいるのか気になるわ…」

 

「…自負するわけではないが…確かに天才と言われているが…皮肉と聞こえるのはわざとかな?」

 

愁に皮肉を微笑しながら返され少し機嫌が悪くなった了子だったが、その疑問はすぐに語られた。

 

「そのEUの研究機関の担当していた研究が白紙になってしまってね…その研究機関との退所手続きが済んだ後、少し日本に滞在しようと思ってね…この商店街で医者をして生計を立てていたのだが、ちょっとした金銭の問題でより良い就職先を探していたが少し前に決まってね…許可を取って調査をしていたのだが…その様子だとまだ聞いていないようですね…」

 

了子は「まさか!!その就職先って!!」と驚きの声を上げた後、

 

「近い内に私も特機部二(とっきぶつ)の一員として配属される…これからよろしく頼む桜井女史」

 

愁は了子に対して嫌味を含んだ笑顔で答えた。

 

_______________________________________

 

ああ…バレちゃったか…

 

どうやら…私とヒルデが思っていた以上に、身体強化魔法は体とリンカーコアに負担をかけていたみたいだった…

雪音さんの前でシンフォギアが解け正体がばれてしまう…

 

私がグラムだった事に、雪音さんは動揺しているみたいだが…ガトリングを私に向けているので、この事件の黒幕に言われていたようにここで私を始末するみたいだ…

 

私は覚悟は決めていたのでそのまま目を瞑った…

 

しかし…時間が経っても撃って来る様子はない…

全く動けない私にとどめを刺す事なんて簡単なはずだ…

 

「どうしたの…私を撃てば貴方は…恩人と慕う人の元に帰れるんでしょ?」

 

私が気力を絞って出した言葉に雪音さんは…舌打ちをした後にガトリングを解除した後、私を抱きかかえた…

連れて来られたのは初めてあった時のあの公園だった…

ベンチに私を寝かせシンフォギアを解除したけど…まさかとは思うけど、助けてくれたのだろうか?

雪音さんもなぜこんな行動をとったのか分かっていないようだったけど、私は理由は分かっていた…

確認の意味で私は雪音さんに聞いた。

 

「雪音さん…貴方は何で私を助けたの?」

 

「ただ借りを返しただけだ…もうこれですべてチャラだ……ただ…それだけだ…」

 

「雪音さんも…十分お人好しです。優しいですよ…私は…敵なのに…」

 

私が言った後…私は意識を失い、気がつけば病院にいて詳しく聞いた時に特異災害対策機動部に保護されていたみたいだ…

意識を失う前に、雪音さんが何と言ったのかは覚えていない…

その時私の言った言葉に、顔を赤くさせて否定している雪音さんが…すごく印象に残っていた…

 

 




次回 エピソード15「私も覚悟を決めないと…」


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エピソード15 「私も覚悟を決めないと…」

…長い事更新しなかった事で罰があったのかスマホのパスワードを忘れ初期化した影響で、「ゆゆゆい」「シンフォギア」「ゴットイーター」のデータが死にました…

結構前から出来上がってはいましたが、内容がまとまらずやっと公開出来ました…

原作9話の前半の展開とオリ展開があります。

久々なんで文法が変になっていたら誤字脱字で報告お願いします。


私はどうやら運よくあの後、特異災害対策機動部にノイズによる戦闘で気を失い善意の報告(ジークだけど)で保護され病院に搬送されたけど、此処で私は危機が迫っていた…

 

私がグラムだとばれる可能性があったけど、あっさり回避された。

私が気絶した後に、雪音さんがコンバータペンダントを持ち出した事でノイズ災害の被害者という事で保護された事はいいけど、問題は両手の大火傷を見られ質問された事だ。

 

運良く、ある人が持って来てくれた診断書が証拠となりその事は説明無しにとなった事は嬉しい事だけど、早い所退院したいといった時に、検査等で問題なければ出られると聞いて早めに検査をお願いした。

でも本当にビックリしたのは子安先生が就職先として学院と病院のスタッフとして会った事だった。

 

本音を言えば響ちゃん達がお見舞いに来る前に出たかった事と、雪音さんからコンバータペンダントを返してもらわないといけない事だ。

その願いが通じたのか検査の日に即日退院が出来た事は本当に運がよかったと思ったわね…

 

退院して学園寮に戻った時に特機部二(とっきぶつ)の基地内に潜入できたジークからはかなりの情報があった事は運が良かったと言えるけど…

 

未来ちゃんに知らない内にスパイさせているようで何か悪い気がするのは気のせいだろうか?

 

響ちゃんと未来ちゃんの仲直り出来た事をジークを通じて知ったけど、今は特機部二(とっきぶつ)の基地内の案内をしており、今はどうやら近い内に歌手活動に復帰する風鳴さんの話題で盛り上がってみたい…

それとその前の雑談で櫻井さんの恋愛話をしていたけど、コイバナか…私のとってはいい思い出はないから遠慮したいわね。

恋をしたら大きく変わるか…本当に変わると思うわ…

 

それが人生最悪の思い出になる事もあるけどね。

 

それとジークから気になった事として神様からのメールが届いていると言われ内容を確認するとジークとヒルデの強化の件と絶対閲覧してほしいと書かれていたらしいけど、なんでそんな事になっているのか状況が分からないので、理由だけでも聞こうと返事を送信した数秒後にメールが返ってきたが映像が送られてきたけど、今は無理なので後で見ておこう。

ジークは調査の為にもう特機部二(とっきぶつ)にクラッキングを済ませているみたいで必要な情報を検索しているが…

 

〔マスター…思った以上に収穫が多い。どうやら真犯人は割り出せているようだが、目的が不明で泳がせているみたいだ。今、その黒幕の端末を探っている。詳しくはヒルデに聞いてくれ〕

 

退院した後で即日に雪音さんの所に行くのは気が引けるけど、手早く終わらせようかな。

雪音さんの居場所はヒルデにマークングされた私のペンダントの反応で分かっているけど、行く途中で黒幕の名前を聞いた時に、あの時の違和感の意味が分かったからだ。それと警戒する事がもう一つあった。

 

子安先生がもう一つの就職先として特機部二(とっきぶつ)に所属した事…何者なの?

ジークの情報では聖遺物関連の解析と医術の腕が見込まれて入ったようだけど、今思えば、私の両手の怪我は此処まで回復する物ではない…

恩人を疑ってはいけないと思うけど、アテナさん達にそれとなく話してみよう。

 

一応保護された時はノイズに襲われ逃亡中に気を失った事になっている。

職員さんに軽い質問と書類の記入だけで済んだ事と、入院してその次の日に即日退院出来たのは運がいいのかな?

 

それより今は、雪音さんの所に行かなければいけない…

 

一応何か食べ物でも持って行った方がいいかな?商店街の被害の事で人気のない場所で隠れてるみたいなので食事はちゃんとした物を食べてないだろうと思っていたけど、私の差入は口にするかは分からないし…どうしようか迷っていた時に、ヒルデからは、何も買わなくてもいいのではないかと助言され理由を聞くと納得した。

 

少し時間が掛かったが目的地には着いた。

どうやら雪音さんは廃マンションの部屋に隠れているみたいだけど、あらかじめペンダントには無くしても私の探索魔法でわかるようにしてあって居場所はすぐにわかっていたのだけど…

分かり切っていたけど少し問題があった。

 

それは只今、雪音さんにすごく警戒されている事だ…

長年使われていない畳には食べ散らかされたコンビニ弁当が散らばっていた事で長くここにいた事が分かっていたけど、やっぱり何か食べ物を持ってきた方がよかったかな?

 

隙あらば殴りかかろうとしているけど、私はそんな事をしに来たんじゃないし用事を済ませようかな。

取りあえず敵意が無い事を言った後に、ペンダントを返してほしいと言った時に、警戒はしていたけど返そうとしてくれているのは信用してくれているのだろうと思う。

 

どうして此処が分かったのかを聞いてきたので、単純にペンダントに発信機したいなものが付いていて、それを頼りにして来たと言った。

 

本当だったら此処で帰る所だけど、今回の事に対してのお礼だけはしたけど、雪音さんは「アンタの為にしたんじゃねえ!!」と否定的に言ったけど、雪音さんに私はある疑問を言った。

 

「雪音さん…だったら何故私のペンダントを持って行ったの?それを持ち帰ればフィーネと呼ばれる人の所に帰れるんじゃないの?それをしないのは何故なの?」

 

雪音さんは答えなかったけど、無言でペンダントを投げ渡した。

外はまだ雨が降っているのかその音だけが響いていて、時間だけが過ぎて行った。

 

「私も人の事は言えないけど、信用出来る人を作った方がいいわよ…」

 

その一言で雪音さんも腹が立ったのか「そんな奴いらねえ!!」とかの否定的な言葉が出てくるけど、そんな中で一番信用出来て、頼れる大人が思いつくあたり一人いるわね…

 

「私は此処で帰るわ…でも、時間があったら少し話しましょう。

雪音さんがどんな目に遭ったかは知らないけど、愚痴ぐらい言い合えるぐらいには話したいと思うから」

 

私はヒルデに頼みバリアジャケットを展開してステルス迷彩の幻影魔法を使って帰ろうとした。

 

その時、雪音さんが私以外の何者かがこの部屋に向ってきている事が分かっていたけど、その人が誰かは分かっていたけど、少し困った事になった。

本当は分かっていたのだけど、弦十郎さんが思った以上に早く来てしまい雪音さんの居た部屋から出られずにいた。

どうやら私が来ていた事を予想していたようで気配をギリギリまで消してこの部屋に近づいていたみたい…本当にスペックが違うわ。(そして私の気配も分かっているみたいで目が合った…本当に人間なの?)

 

弦十郎さんが雪音さんの為に差入を持って来ていたみたいだけど、警戒していて食べないのを見かねて毒見をしてから渡しながら、雪音さんの家族の事となぜ保護する事をしようとするのか理由だった。

この話を聞く内に雪音さんの歌に対する嫌悪した理由もわかった事、弦十郎さんも適合者の保護として捜索したしたけど、この件に関わった捜査員は弦十郎さん以外は死者と行方不明者が出た事だ。

弦十郎さんはその保護命令をたった一人となった今でも雪音さんの保護をしようとしている。

 

雪音さんも虐待され信じられる大人がいなかったから信用できないようだけど、慈善活動中に両親を亡くして現地兵にそんなことされたら今の性格になってもしょうがないかも…

私も前世では信用出来る人たちがいなかったら本当に生きた人形として扱われていたでしょうね。

そんな事を想うと雪音さんはまだ恵まれている…こうしてまだ保護してくれようとしている人がいるのだから…

 

雪音さんがベランダから逃げる様に立ち去った後、私も部屋から出ようとした時、弦十郎さんに呼び止められた。

 

「グラム…君にも悪い話ではないと思う。この件が終わり次第、特機部二(とっきぶつ)に保護という形で来ないか?俺は君の両親を…」

 

やっぱり気にしてるんだな…私のこの世界での本当の両親の死亡した原因の事を…

保護の事については前向きに検討したいけど、産みの両親の方の事件については私は知っていた…

 

「私は…気にしていません。両親は私を利用される事を嫌ったのだと思います…」

 

弦十郎さんは黙っていた…だって私のこの世界での産みの両親を殺したのは…

 

「両親が風鳴機関に所属していた事…仲違いをした理由は、『ノイズ災害無くすのはあくまで日本のみを想定した事』…両親は全世界のノイズ災害を無くそうと考えていた為に同じ思想を持つ海外機関に亡命しようとした時に、聖遺物解析の技術の漏えい防止の為に事故に見せかけ殺害した…その命令を下したのは、風鳴 訃堂…つまり風鳴家に対して私は恨んでいた…と思っていたんですか?」

 

弦十郎さんは真実を知って私に何を言っていいか分からなかったんだろう…でも私は恨みなんてない。

私は腕とペンダントを見せる様にして自分の気持ちを伝えた。

 

「両親との絆はここにすべてあります…名前とこれしか残せない事を許してほしいと…

そんなのとっくに許しています…謝らないといけないのは私なんですから…」

 

私の存在が両親を死に追いやった…此処まで育ててくれた両親も不幸にしてしまった。

私は…此処に居てはいけない。

 

本当はこの日本から海外に逃亡する事も考えたけど、思った以上に切り捨てる事の出来ない思いもあった。

 

二人の親友との仲直りをしていない事…

まだ会って間もないけど雪音さんに助けてもらった恩を返す事…

そして、今もなお保護し守ろうとしてくる弦十郎の思い…

 

それを裏切るように、逃げたくなかっただけの意地かもしれないけど…

 

「弦十郎さん…私よりも雪音さんを優先してください。

私は一人ではありません…本当に助けを必要としてるのは彼女の方です。

私は、後でも構いません」

 

私の思いが伝わった様で、弦十郎さんも分かってくれたみたいなので私はそこから立ちさった。

 

私はもう逃げない…響ちゃんとも未来ちゃんにすべてを話そう…

私の今の気持ちを全てを…

 

私も覚悟を決めないと…

 

____________________________________________

 

ジークは侵入した特機部二(とっきぶつ)の基地を調べていたが、少し気になった事もあった。

 

それは、響達が了子との過去の恋話をしていた時に了子が話すのを途中でやめ立ち去ろうとした時に「おや?桜井女史…此処で会うとは奇遇だね」と話しかけてくる知った顔があった。

 

月華の知り合いでもあり両手の治療もした愁だった。

 

了子は愁に対して事務的な挨拶をした後、顔も見たくないように早急に立ち去った事で「やれやれ…私は彼女にかなり嫌われているみたいだ」と苦笑しながら響達に話していたが、始めて観る職員だった為にどう声を掛けようか迷っていた時に、緒川は聖遺物関連と医療のスペシャリストとして雇った事を響達に説明し、愁も緒川に紹介してくれた事を感謝し改めて自己紹介をした後に雑談となった。

 

主な内容として今さっきの了子の反応についての事で、過去に聖遺物関連での論弁で仲違いしている事、後は彼女が提示した櫻井理論をたった数日で理解し政府に資料で明かされていない部分を報告した事が決定打となり了子から敵視される事を話した。

 

彼自身もあそこまで露骨に嫌われるとは思っていなかったが、何故こんな事をしたのかが疑問だった為の行動であった為悪意はない事を話していた。

響も未来も専門外の話だった為少し複雑そうな表情をしていたが、愁は話題を響の事に切り替えていた。

 

「それにしても君は無理をしていないか心配になる…君は自分の体の事は桜井女史から聞いているのかね?」

 

その事に関しては響は問題は無いと言った後に「元気いっぱいですよ!!」と明るく言った為、愁はそれ以上追及はしなかった。その時翼の表情がこわばった事を抜かせばだが…

少し雑談が進むと近い内に響と未来と翼でデートする話もした時に、未来はその前に月華のお見舞いに行こうと話したが、愁がもう既に退院した事を話した後に月華とは中学時代に教師をしていた頃に知り合った事を話した。

 

愁もプライベートな事は多くは話さなかったが、月華が学院でも一人でずっといた事に分かってしまったが、響と未来が心配した所を見た愁は安心したように笑って「月華さんは、いい友人に恵まれたようだ…」と言った。

 

ジークは敵意は無いと判断し今は黒幕であろう端末にハッキングする事に集中した。

____________________________________________

 

そういえば神様の映像メールって何だったんだろう?

その内容を確認するためにヒルデに頼みテレビの方に接続して観た時に、違和感を感じた。

 

「はーい月華っちゃん。元気にしてるかな?神様です」

 

笑顔で両手を振っている神様らしい男性がいるけど、一言いいかな?

 

…………誰??

 

その画面に映っている男性は一言で言えば私を担当した神様ではなかった…

どことなく女好きでいい加減な性格だと分かる見た目で、私は映像を止める様にヒルデに言おうとした時に、その男性は映像を最後まで見て欲しい見ないと後悔すると言われ渋々見る事になったが…

 

本当に観て正解だったと思う内容だったからだ…

その内容は次の通りだった。

 

「まずはふざけた挨拶を言った事は謝罪しとくね。ごめんね…こんな性格なんでね。

さて、本来であれば月華ちゃんの担当が連絡するんだけど、今彼は連絡出来ない状態になっていているんだよね。

 

実は今、転生課では違反者もしくは違反神による世界の崩壊が問題になっていて対応が忙しいんだ…

 

彼も同僚の押し付けられたクレームの対応で手が離せないらしいけど、もっと適当でもいいと思うけどね。

 

さてさて…今回の件についての謝罪を伝えるね。

 

月華ちゃんの担当は転生が決まった後に、死亡した時の状況の書類が後で上司に聞いた時と異なる事に気がついて、転生ランクの決定に疑問を感じて上層部に確認したら、月華ちゃんは確か…Dランクだったと思うけど本来はCランクだった事…つまり意図的に何者かがランクを変えてこの世界で月華ちゃんを違反者にして利用される予定だったんだと思うけど、そうはならなかった事は彼に感謝した方がいいかな。

 

それと実は月華ちゃんの本来のペナルティは〈その転生先のメインキャラやサブキャラと恋仲及び親密になれない〉を彼は〈原作知識を全て失う〉にすり替えた。実はこれが原因で彼は上層部から身勝手な行動として、違反神として厳罰処分となる予定だったらしいよ…下手すりゃ存在消滅処分となっていただろうね…お~怖い怖い。

でも、そのかいあって月華ちゃん…君はこの世界の敵にならずにメインキャラと仲良くなれたんだし良かったと思うよ…本当にね。

 

俺の予想だと、月華ちゃんの転生ランクをいじった違反神は、彼がペナルティを変えるだなんて予想してなかったんだろう。月華ちゃんの担当はクソ真面目と言ってもいいほど規律は絶対に守る奴だから…あとこの計画を分かりやすく言うなら『月華ちゃんを絶望させてラスボスにしちゃおう作戦』と言ったところだね。

 

ペナルティのせいでメインキャラやサブキャラとは仲違いしか出来ないからどんな善行をしたとしても、君に対してこの世界での主人公である響ちゃんを含めた人達とは、敵意しか感じさせないような言葉と行動しかされないだろうね。

特機部二(とっきぶつ)と敵対する事になれば、物語の中でも名のないモブキャラと仲良くなっても、メインキャラの介入で仲違いして、結局は無実でも長く付き合える事は無くなるだろうね。

誰も自分の事を理解してくれない…誰も信じてくれない…世界どこにも味方はいない。

 

その孤独と絶望心を利用して違反神が接触し違反特典を与える。その結果…世界がどうなるかは……分かるでしょ?

 

でも、月華ちゃん…彼は君の人生を書かれた書類を見て、あのペナルティでは重過ぎると判断して今のペナルティにすり替える事が出来る優しさを持った奴だという事を知って欲しい。

査問会議の時も「あのような報われない思いを残した少女にさらなる地獄を与えるような神になった覚えはない!!」と上層部に啖呵を切った事で、上層部の訴えに不信に思った調査部が動いて彼は潔白を証明したんだ。

 

この後の話が面白くてね…ランクの改ざんとその理由を聞いた彼が『ふざけてんのか!あの××野郎!!』と怒りをあらわにしていたのは今でも覚えてるよ。それと、月華ちゃんを嵌めようとした違反神や上層部の神は捕まっているから安心してね。

だけど、他の世界でもあった事だけど、他の違反神による違反転生者の特典で『異世界を渡る事が出来る』奴もいるから注意してほしいんだ…そのせいで望まない原作崩壊でいくつもの世界が終わった事があるから…

 

最後に、月華ちゃんの使っている特典の強化と特典申請をしてほしいけど、違反神が連絡先をいじりやがって彼はずいぶん長く探していて今でも連絡できずに探しているから、俺が代わりに月華ちゃんを連絡取れなかった事と一緒にお詫びとしてデバイス強化のお知らせの事を伝えただけだから…これが月華ちゃんの担当の神のアドレスだから、時間があったら連絡お願いね。

 

それと意味無いと思うけど〈原作知識を全て失う〉のペナルティはもうとっくに無効にされるから安心して。

 

警戒したほうがいいかなと思った事は、彼以外の神が対応として出てきたら俺に一度報告してね。

もしかしたら、違反神の罠かもしれないからね。

 

じゃ、もし彼に繋がったら俺の事言えば納得してくれるから、その時に『あの時の借りは返したから、また仕事肩代わりよろしく!!』って言っといてね!!

 

んじゃ、またね~」

 

私は予想の超えた事実に思考が止まっていた…

 

ヒルデの必死に私を呼ぶ声で思考が戻ったけど、私は神に利用されそうだったのか…

私はすぐにヒルデに頼み担当の神と連絡しようとしたが、対応してきたのは幼い少女だった為に、彼を出すように言ったけど私の事情を知っていたのか特典の申請を言ってきたので、彼の立ち合いで申請すると言ったのだけど…

 

「ごめんなさい!!あの人は業務の関係で忙しくて代理として私が聴きます」

 

と言っていたが、頼りなさそうで信用できないので、私は担当の神様が時間が空いたら連絡するとに言った時に、「ものすごく対応が遅くなりますけどいいんですか?私の権限で出来る限る事は対応します」と涙目ながら対応したけど、また後でいいと言っているのに関わらず、長くしつこく対応の事を言われ「信用できない…」と一言言って通信をを切ったけど、その後もウザいぐらいに通信があって、もう対応がめんどくさかったので着信拒否するようにヒルデに伝えておいた。

 

あのいい加減な神を信じていいかもわからないが、一応その神にも連絡したら、本当に頼ってくれるとは思っていなかったみたいで動揺していたのが分かったけど理由を言ったら

 

「わかった!対応しとくよ…でも本当に連絡くれるなんて思わなかったよ…聴いてみたらホント忙しいみたいだね…代わりに出た子に悪い事しちゃったな…あの子は違反転生者に担当してた子が被害に遭って闇落ちしちゃって違反者寸前までなった事にショックと罪悪感で泣いてた子だったから、つまり信用できる側の子だったんだけど…って今更もう遅いか。あはは…罪悪感が半端ないから俺から謝っておくよ」

 

その後、すぐに通信をしたけど、ものすっごくぎこちない対応となったけど…その代わりに担当してくれた女神が、デバイス強化の許可は即日にOKがでた。

特典の申請は担当の神様の権限で無ければいけないらしく現在の業務が終了次第すぐに対応してくれるみたいだ。

一応、冷たくあしらった事を謝罪はしておいたけど「気にしないでください…信用できないのは分かりますので、あの人(いい加減そうな神)が土下座して謝ってくれましたけど、謝るのは私たちの方ですから」と落ち込んだ声で返事を返された時に少し罪悪感を感じた…

 

でも、デバイス強化はデータインストールなどに数日間掛かる事が分かったので、今の自分の出来る事を考えれば今回は見送りとなるだろう。

 

神のシナリオによって私は利用されてこの世界にとっての脅威となるなんて…予想外の事で情報処理出来なくて頭痛くなったわ…

 

でも矛盾する事もある。もし、その違反神のシナリオで進んでいた場合に、バルムンクはどのように手に入れていたのかが気になるのよね。

疑問に今更思ったのだけど、コンバーターペンダントも作ったのは、誰かは分かっていない…つまり両親の他に味方もしくは、その違反神に従う転生者がいたという事だ。

両親の失踪を手助けし生まれた私を児童養護施設に預け、そしてコンバーターペンダントと写真を私に送った協力者…そこまで出来る櫻井さんと同じ聖遺物のスペシャリストである事が想定しているけど…少しヒルデかジークに調べてもらおうかな。

 

そう思ったが、アテナさんの事を思い出した…

ついこの間に先生に会って話した時に、手を此処まで治したのはアテナさんで、先生よりも医術、特に外科手術においては最高の腕を持っていいるらしい…

 

そう言えば、中学時代の時にはアテナさんは会った事はないけど、先生と初めて会った時は何をしていたんだろう…

 

ヒルデにお願いして調べてもらった結果は…ボランティア団体で医師をしていていた事が分かった。

少しあの神様に毒されて先生たちを警戒してしまった事に少し罪悪感を感じたがこのぐらいの警戒心はあった方がいいのかもしれない。

 

アテナさんに先生の事詳しく聞いてみよう…

 

____________________________________________

 

「さて…月華ちゃん平気かな…俺的には特典申請で『他の転生世界でやり直す』でまた一度からやり直した方が利口だと思うんだけど、本当に良い友達や理解者を持ったみたいで、罵倒されて憎まれる事覚悟でメールしたけど、思っていたより最悪な事になっていなくて良かった。

 

でも、その意志の強さは苦難の道だけど、この先のどんな困難でも打ち勝てる気がするよ。

違反者がいないかよく確認しないと…あんな終わり方はあってはならないからね。

 

でも…何者なんだ?この愁という人物は?

 

俺が調べた限り転生者でそんな名前は無かった…月華ちゃんを含めた転生者によって作られたキャラって事か?

 

要注意していこうか…

 

俺も違反神にハメられてからな~畜生!!いくら俺がいい加減な仕事していても書類のチェックは真面目にしとるわ!!あのクソ野郎知らん顔して『お前みたいな奴が信用なんてあるか』なんて言いやがって!まあ…犯人ソイツだったし、その後、仕組んだバカタレ死神と同時にキレた爺さんに半殺しされたのはホントいい気味だぜ!!

…それまで懲罰転生でゴブリンにされたのは恐怖しか感じなかったがな…いつ何所で冒険者に殺されるか分からなかったから、逃げまくったのはいい思い出だぜ…

神官ちゃんと武闘家ちゃんと魔法使いちゃんと剣士君元気にしてるかな…

 

見てて危なっかしいから色々と助けたけど、生き残れたのは彼女達のおかげだしな…

…俺見て速攻殺そうとした戦士を説得してくれて、俺が作った爆薬見せて作り方も教えたら『…ゴブリンじゃない』って言ってくれてなんか仲良くなったけど元気にしてるかな?

 

…許可が下りたら一緒に冒険してみたいな。ゴブリンとしてじゃなくて只一人の友達として…

黙っていなくなったのは謝れば許してくれるかな?」

 

____________________________________________

 

響達と別れた愁は弦十郎に挨拶する為に残っていたが、時間が掛かりそうなのでまた後で顔を出す事を告げようしたが緒川に少し聞きたい事があると言われ談話室で話す事となった。

 

その内容は愁が所属していたEUの研究所についてのことだった。

 

その研究所は表向きは新型の原子発電の研究という事になっていたが、真実は違い聖遺物による力で世界のエネルギー不足を解消するために作られた施設でありその聖遺物は…

 

「子安博士…やはりデュランダルは…欠けていた剣先部分はEUの上層部によって厳重に保管されていたのは本当だったのですね」

 

「ええ…そうですね。響君が発動させる前に、適合者がいたみたいですね…その少女はEU政府に隠されていて現在行方がわかりませんが、残った覚醒していたデュランダルを純粋にあの破壊の力を平和的に有効活用したい熱意に負けました…私も本当は私用があってそちらの方を優先するので乗る気ではなかったのですが、協力させてもらいました」

 

「ですが…貴方にはあの研究所の事故の唯一の生存者でもあります。何か知っている事があれば話してくれませんか?」

 

その研究所は表向きは原発事故として処理されているが、事実は違い全所員が行方不明となっている事とデュランダルが強奪された事だ。

愁は私用で休暇しており各特殊機関から尋問をされたがアリバイも成立しており釈放され日本に戻った事を聞いた内閣情報官の風鳴 八紘からの依頼で特機部二(とっきぶつ)に配属となった事だ

愁は緒川に少し言葉を選んでいたのか少し黙った後に

 

「…実はあの研究所で信頼していた者にすぐに退所するように警告されましたので、丁度その頃に、運良く私用で休まなければならない事がありましてね。数日後に、戻れば…あの状況ですよ。彼には感謝しないといけませんね」

 

愁の表情は穏やかだが僅かに怒りを感じた声に緒川は謝罪をしたのちに聞いた。

 

「子安博士。あの事件は貴方が仕組んだのではないかと各国から警戒されている事も知っています。無論我々特機部二(とっきぶつ)からも…

貴方が犯人ではないとしたら、誰が仕組んだのかはわかっているのですか?」

 

「予測なら出来るが余りいい話ではないが…いいかね?」

 

愁は可能性がある人物を言ったがそれは良い話ではなかった…

 

「私の推測だが。桜井女史…彼女はある目的の為に櫻井理論を提唱したが、それを邪魔する何者かがいるようですね。あの研究所の所員はその者達によって、拉致か処分されたと思います。

 

後は、シンフォギアは本来その勢力に対抗する為の力として利用しようとした可能性が高いですね…ノイズそのものは彼女にとっての障害ではないと思いました。どうやら聖遺物にノイズを制御できるものが存在するのかもしれませんが、あくまでも私独自の推測ですが…

 

その他に本当は聞きたい事があるのではないのですか?」

 

状況を既に把握していた愁に緒川はもう聞こうとしていた内容も知っているのではないかと思い、もう一つの本題に入った…

 

「単刀直入に聞きます…子安博士。

 

水鏡 月華…この少女の名に聞き覚えはありますよね?」

 

「ええ…少し教師として日本にいた時と、帰国し此処に赴任する前に少し訳があって治療をしただけですが?

それがどうかしたのですか?」

 

「彼女が先日の商店街のノイズ襲撃の際に保護され治療を受けた時に両手に大火傷を確認しました。

本人は熱湯による火傷と言いましたが、その治療をしたのは、子安博士だったと彼女から聞き診察書もあり真実という事も分かっています」

 

「なるほど…つまりあなたはこう言いたいんですね…

 

月華さんの本当の怪我の理由が聴きたいと?」

 

 




次回 エピソード16「あの時はありがとうございます…」


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エピソード16「あの時はありがとうございます…」

本当に長い失踪申し訳ない…

この回は本当は一回で進めようと思いましたけど、文字数の関係で分割しました…

原作9話の前半とオリジナル展開が中心です。

次回は速めに更新しますので…

2020/4.5

誤字修正しました。




緒川の真実を知りたいと願う言葉に愁は少し咳払いしてから話した。

 

「私も詳しい事は知らないのです…治療した時は厄介事に関わっていると感じましたが、月華さんは何も言わなかった。

 

只、それだけです」

 

それで話は終わりだという愁の意思は緒川は感じたが言葉を続けた。

 

「彼女の過去を調べさせてもらった結果、響さんと未来さんの幼馴染だった事は初めて知り驚きました。

その事よりも、ある時期の入院の履歴がその理由が不明な点がありました。その怪我の記録はある症状と似ていました…

 

『絶唱』…少し前に翼さんが使用した後の時の症状と似ている事と、その入院をした時期は、あのライブの後日だと記録されていました。

 

当初あの事件に関与したのは聖遺物実験のデータの入手あるいは強奪目的と政府は判断し、グラムはロシアのエージェントではないかと司令は推測されていました。

 

その理由は司令が響さんとの訓練を開始していた頃に、訓練の終了後にグラムと手合わせした時に彼女はロシア軍隊格闘術であるシステマを巧みに使い実力もあったそうですが…

 

真実は僕や司令が予想したよりも残酷でした。

 

貴方があの頃在籍していた同じ研究をしていた風鳴機関の研究員の二人をまだ覚えていますか?」

 

「…ええ。私のとってはかけがえのない友人でした。ですが、死んだはずです。あなた方が処理したのですから」

 

「…そうですね。司令にとっても友人でした。あのような結末は望んではいませんでした」

 

「私もその件に関しては呆れました…弦十郎さんには感謝してますよ。私をF.I.Sに出向させた後に理由を聞かずに退職を無条件で許可してくれたのですから…」

 

緒川もあの事件の事情を知り風鳴機関を退職した事は予想は出来ていた。

死体を残らず炭素の塵に変え何も存在しなかったようにしてしまう惨劇であるノイズ災害を憎み全ての人々を守ろうと研究した偉大な二人の科学者を意見が合わない理由で事故に見せかけ殺した事に愁が激怒していた事は弦十郎を知っていた。

もし、愁が風鳴機関に復讐するのであれば紛失扱いとなったバルムンクを所持しコンバーターペンダントを作りグラムに渡し両親の死の真相を教え襲撃するのではないかと思ったのたが…グラムの行動は予想外にも全くの敵意が無く好意的だった事だ。

 

その推測から緒川や弦十郎の出した解は…

 

「その恩返しの為に此処に戻ったと聞きましたが、本当は司令の為ではなく、別の理由があるのではないのですか?」

 

「…そんな理由はありませんが?」

 

「本来の適合者であった叶さんが適合しなくなったのは、当時妊娠し、その子供に対して適合したのではないかという調査報告がありましたが、彼女にはその後妊娠どころか出産の経緯もありませんでした…ですが」

 

「私にはそれが出来ると言いたいんですね?確かに可能でしょう。

医師の心得はありますが…私にはその方の経験は皆無です…少し無理があるのではないでしょうか?」

 

「これはあくまでも僕の推測ですよ。貴方は二人から相談を受けた後に二人を匿い出産後にその子供を児童養護施設に預け、大神夫妻の親友であった水鏡夫妻と連絡を取り養子として引き取らせた。

その後、運命の出会いと言いたくはありませんが響さんと知り合い親友となった事…それが原因で今こうしてグラムとして僕たちに協力してくれている…司令と同意見ですが事件に巻き込まれ戦っただけで、響さんの事を守るために戦う事になった。あの両手の火傷はデュランダルを暴走時に響さんを止めた時に出来た火傷です…そこまでしてくれた彼女を善意とはいえ、これ以上は巻き込めません」

 

緒川は私情も含め本音を言った…これは弦十郎も同じ意見だからだ。

少し時間が過ぎた後に愁は諦めたように言った。

 

「名探偵と言いたい所ですが、貴方達は甘すぎますね…今の櫻井女史の様に大変珍しい装者である響君や、奏君が許可したとはいえ薬漬けにして装者にしても何と思わず薬の改良もせずに実験動物の様に利用するのが普通でしょう…だからこそ、あなた方に私からは話す事はもうありませんよ。それでも真実を知りたいのなら、月華さんがグラムと確認する事が出来るアドバイスをしましょう」

 

緒川は予想外の言葉に沈黙してしまうが、そんな事を関係無しに愁は話を続けた。

 

「直接本人に確かめたらいいでしょう。そうですね…事前に会いに行く理由を言って話せば済む事です。『この前に保護した際の情報機密書類に記入漏れがあった』ただそれだけであなたの望むお話が出来るでしょう」

 

愁はもう話す事は無いと制止の声も聴かずに立ち去った…

 

「やれやれ…僕の事は信用してくれたという事でいいですよね?子安博士」

 

緒川は愁の不器用さに呆れながらも感謝した。

 

___________________________________________

 

「さて…月華さんもここまで介入しているとは思いませんでしたが、私にはどうでも良い事ですね」

 

愁はどうでも良いと言ってはいるが、いつも傍で見ていたアテナからすれば、個人的な付き合いが長くとも無条件で治療をしアドバイスをするなどの行為は大変珍しい事で、シュウの事をよく知る友人にその事を言った時は大げさなほどに驚いたぐらいだ。

 

「私らしくないですね…一個人に此処まで関わった事は多くありますが、此処まで気になる人は初めてですね」

 

そんな事を考えていると携帯が鳴った事に気が付き、番号非通知ではあったが、誰だかは予想は出来た。

 

「何の用ですか?私は忙しいのですが…そうですか…あの事件の犯人が分かりましたか…やはり私の予想通りでよかったですよ。少しパヴァリア光明結社の彼はやり過ぎましたからお礼をしないといけませんね」

 

愁は独自の方法であのEUの研究所の犯人を追っていたが、自分の予想通りだった事で笑みを浮かべる…

他の人から見れば只の機嫌がいい笑顔見えるが、電話をしている仲間からすればそれは悪魔の笑みだと知っている。

 

「それで、どうする?ですか…私の都合ですし、面倒ですが私が…え?貸1つでいいですか…それでは派手にやって結構ですよ。私だとやり過ぎてしまうかもしれませんが貴方なら面白い事になりそうなので」

 

電話を切る時に「わかったわ派手に暴れてあげるけど…全く…敵だと認識したら本当に容赦ないわね」と呆れたように言われたが此処に居る時に無駄な問題を無くしたい事と、確実に恩人を殺した者達に報復を達成させる事は自分にとっても最重要事項だったが、無意識に月華のトラブルがあれば助けようとしていた事は本人にも分かってはいなかった。

 

「君が全てを知っているからこそつまらないと思っているけど、それで何もしないと本当につまらなくなるよ?」

 

愁は何時の時か聞いたあの言葉を思い出し、今こうして此処に居る事を只生きているだけの人形だった自分を変えた恩人に感謝した。

 

「全く…面倒は多いですが退屈ではない事は確かですね。退屈な日々を変えた礼とはいえ、同士の頼まれた物を見つけ確実に確保するために此処に戻ってはきましたが、退屈しなそうなので暫くは此処にお世話になりましょうか」

 

今、この状況を楽しんでいる事を過去の自分や古い友人達が知ったらどんな皮肉を言うのかを想像し苦笑しながら自分の業務に戻る愁だった。

____________________________________________

 

 

私は早速アテナさんを訪ねてみる事にした。

通いなれていたので顔パスで部屋に入れてくれたけど、鼻歌交じりで機嫌よくお菓子やお茶を出して一方的に雑談をされアテナさんに対して敵ではないかと警戒していた事が馬鹿々々しく思ってきた…

長い雑談の後に私は本来の目的である両手の治療を前の入院時で診てもらった事、出来れば治療を、アテナさんか先生に、今後も診てもらいたいと伝えた時にアテナさんは…

 

「あれ?月華さんの両手はあの大きな病院で診てもらったのに、もう私やシュウじゃなくてもあっちの設備の方が良いしあの病院で診てもらった方がよくない?」

 

アテナさんは当然の事を疑問に感じて聞いてきたけど、あんなにボロボロだった両手があそこまで回復できるものなのかと質問した時にアテナさんは少し真剣なもの変わった後に…悪戯がばれた子供のように…

 

「残念だけどそれ言ったらシュウに怒られちゃううんだけど…けどね。気になるからしょうがないかな…実はねシュウが特殊お仕事してんだけど、ナノマシンを使った治療を実験したかったみたいで…それでモルモットにしちゃった!!テヘ☆」

 

…なんかものすっごくこの笑顔殴りたいのは気のせいかしら?

どうやら、私が不機嫌になっている事が伝わったようで、アテナさんは冗談が過ぎた事を謝った後に、あの時の状況を思い出しながら言った。

 

「怖い顔しないで…でもね。それをしたから両手はその程度で良くなったのは運が良かったと思う…私の判断では最悪手首から切断も考えたから、モルモットは冗談だけど、ちゃんと認可も得た治療法だから安心してほしいかな。

後遺症もないし、私たちが勝手にやった事だからその治療費もいらないし、シュウが『こっちが勝手にやった事ですし、訪ねられたらこういえばいいだけです…人を助けるのに理由がいるのか?』って言ってるけどシュウって素直じゃないから、助けたかったんだと思う…私は最善を尽くしただけだから」

 

私もそれ以上は何も言えなかった。

念のためにヒルデに調べてもらったけど、すべて真実という事が分かった。

あの神様の事は一応は信用はしているが、先生のことに関しては謎が多い…

 

幸いにもアテナさんは先生の事について、私の疑問に問題なく答えてくれたけど、よく分からいと言って言葉を変えある研究のエキスパートと言ったけど聖遺物関連の研究員だという事はもう知っている。

でも、アテナさんと先生の関係に聞いた時は意外な言い方に戸惑ったのは確かね…

 

「私とシュウとの関係?う~ん…どう言っていいのかな?家族?パートナー?奴隷?そんな感じ」

 

…最後の奴隷が気になるけど、よく聞けば幼い頃からの付き合いで先生が仕事中の時は家事を全て請け負っていて、医師活動は好きでやってみたらしい…

その活動中で海外に行く事になり、私とは会えなかったらしく、その事を悔やんでいたみたいだ。

その後も先生と深く交流した人の事とか聞いても「知らない」の一言だった。

 

「シュウは興味を持った人か恩人…もしくは信じられると思った人以外は態度が冷たいからね~本当にブリザードだよ~こっちくんなオーラ全開で拒否するよ~だから月華さんの事お気に入りなんだよ~そこは自慢してもいいかな?」

 

ニコニコしながらだらけた会話をするアテナさんのせいで毒抜かれた気分よ…敵かもしれないと警戒した事を馬鹿々々しく思っていたけど、「からかうような言い方してごめんね」と言いアテナさんは苦笑しながらも諭すように言ってくれた。

 

「月華さん…シュウの事信じてあげて、私も長い付き合いだからわかるけど、こんなに心配している他人の人初めてなの。

私も月華さんの本当に知りたい事は言いたいんだけど、何時かシュウが自分から話すまで待ってほしい…意地悪してごめんね」

 

此処まで言われると警戒はするけど敵ではないと思いたい…

 

その後、何故かアテナさんに今の学院生活の事とか、未だに仲直り出来ていない響ちゃんと未来ちゃんの事を聞かれ長話となってしまった。

前世で一人っきりの事を考えれば、今のこの時間は大事なんだと思えるぐらいは分かるんだけど…アテナさんは明るすぎる性格でそのテンションについて行けないのは自分がいかに話慣れていないのが分かった。

意外に自分でも分からいくらいに長話をしていたら中学の時に知り合った人と会え、同じ様な雑談したけど、アテナさんと二人で話すよりは疲れが半減した事は感謝したい。

 

…でも疑問は解けたような気がする。

 

少なくとも先生達は、この事件には関わっていない事と少なくとも今は敵ではない事も…

じゃあ…コンバーターペンダントの作成者は違反神に従った転生者なのか?

深く考えすぎても仕方ないので今は、自分の安全の事を考えた方が利口かもしれない。

 

今現在ジークの情報では、まだこの事件に関しての真相がまだわからない事が多いので未来ちゃんには悪いけど当分会わないようにしてジークを預かってもらおう…

 

私はアテナさん達に色々質問した事を謝罪した。アテナさんからは気にしなくていいと言ってくれて、むしろプライベートな事を聞き過ぎた事に不快に思っていないかと言われ私も気にしていないと言った時にアテナさんもホッとしていた。

今度は先生がいる時にも訪ねてみよう…

 

寮に帰った時に固定電話に留守電があった事に気が付きその内容を聞くと、この前の保護時に機密事項の書かれた書類に記入漏れがあったので都合がいい日に職員が持って来て書くだけいいという内容だったけど…

取りあえずまだ連絡できる時間だったので、私も早い内がいいと思ったので近い内の休日の午後に会う事となった。

 

ヒルデは危険だとすぐここから逃げる様に言ってくれたが、前々から覚悟はしていたので気にしてはいなかった。

それに私に会いに来るのはあの人だろう。

 

予定は決まったし、人が来るなんて事少ないからお茶菓子ぐらいは買ってきておくかな…

そんな事を考えて言っていたら、ヒルデからは緊張感が無さ過ぎると言われたが、もう私は開き直っている。

ジークの情報だと、どうやら響ちゃん達はその日はお出かけする事は知っていたので、ゆっくり話せそうだ…

 

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特殊災害部署の人と会う約束した日にその前に私がした事と言えば、寮の部屋を少し整理したぐらいで、後やった事と言えば客人用のコップ類と茶菓子を本当に買いに行った事かな。

ジークからも少し心配されたけどあの人が私と平和的に話したいだけで敵対はほぼないと確信しているので問題な事を言った後に…〔響達は寝坊して今さっき急いでデートに行ったが、マスターには逐一報告しないでもいいだろうと思ってはいる…一応はなんかあったら報告はするが、どうする?〕とジークに確認されたんだけど…

 

ジーク…余計な気遣いなんだけど?

でも、あの風鳴さんが二人とどんなデートするのかは気になるけど、それは後回しにしてもいいわね。

確かに気になる事は気になるけど…

でも、風鳴さんも何か考えがあっての今日のデートだし、楽しんでほしいかな。

 

一応、私は黒幕が考えそうな襲撃をジークに聞いたが、雪音さんが離脱したようなものだから大きな動きをするのは当分先だろうと予想しているが、それ以上に完全聖遺物が複数所持がある為油断しないようにと警告された。

下手をすればあの人と話した後の数時間後にはに襲撃があるかもしれない…

その為に私は必要最低限の物しか部屋に置かなかったからだ。

 

その油断を無くす為の相談としてその人を待っていた。

ジークからの通信の数時間後に、来客を知らせるアラームが鳴り私はその人をリビングに案内し書類の未記入だった個所を署名した後、この後の本題が長くなると思いお茶と茶菓子を持って目の前の男性に差し出した。

その男性は、私のしたことに少し警戒したみたいだけど、私は敵対する意思は無かった…

只、今後の相談をしたいだけだ。

 

「お構いなく…僕の用はもう終わりましたのでここでお暇させて…」

 

その男性…緒川さんは話を済ませたかのように立ち去るようだったけど、もうジークの報告で私がグラムだという事がばれている事は分かっていた。

 

「本当の用事はこれだけなんですか…緒川さん?」

 

私が緒川さんの名前を出した時に私の顔を見た時に私の覚悟を分かってくれたみたいだった。

緒川さんは私の出したお茶を飲んだ後に「美味しいですね…貴方の決意を無駄にする様なことをしてしまって申し訳ありません」と謝罪してくれたけど、私はそんな事はどうでもいい事だった。

私の出したお茶をに口を付けたという事は敵ではないと信じてくれた事の証明で嬉しく思った。

 

 

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緒川は月華に対して警戒した事を後悔した。

万が一に風鳴機関を恨み復讐するのであれば自分は人質となりあらゆる情報を手に入れる事が出来る…

今までの行動から敵対は無いとしても両親の死の真相を知ったであるなら危険視してもおかしくない。

 

だが、月華に会いに行く前に弦十郎があのクリスとの会話後に話した内容で両親の死の真相を知っていた事と、その事に対して恨みはないという事とその事実でで両親を死なせてしまった事を後悔しているような事を言った事、そう言った事を確かめる為に愁が言った提案でこうして自分に会いに来たのだ。

 

デュランダルによる攻撃を被害を少なくするために庇った時の怪我が酷かった事が分かる両手に巻かれた包帯を見た時に、もう十分だと判断し立ち去る事を決意したが、月華がお茶を入れ自分に出した事とある一言で彼女の決意を知った。

月華に対して対応に来た職員とは言ったが、偽名を名乗っていたのにも関わらず自分の名を呼ぶ事は自分の正体を明かすという事だった…

月華が入れたお茶を飲んだ後に謝罪をした後、月華ははっきりと言った。

 

「この姿では初めまして緒川さん。あの時はありがとうございます…私がグラムです」

 

その後、多少の雑談をし緒川が聴いたのは事件に関わった理由と異端技術についてだったが、理由は響の為だったと聞き弦十郎の勘が正しかった事と、両親の事の会話の時に出されたコンバーターペンダントと初めから見せる予定だったのか、ポケットに入れていたパスケースから一枚の写真を取り出し確認した事で大神夫妻の娘だと確認出来たがその裏に書かれたメッセージはあの命令が無ければ月華が幸せになれたのだろうと思うと悲しく辛い別れにしてしまった事を後悔させた。

しかしあの異端技術については答えは無かった。

月華が言うには今はまだ言うべきではないと言ったが、なぜ言えないのかを聞いた時に悲しそうな声で

 

「この力は私にとっては重大な秘密あり罪なんです…緒川さん達の事は信用はしています。ですが、それよりも前に話さなければいけない人がいるんです…その後にだったら全て話しますからそれまでは時間をくれませんか?」

 

その話さねばいけないのはおそらく響達の事だと察した事で、後日改めて詳しく聴くを約束し月華は安心したようだった。

その後、翼が近い内に復帰ライブをする事になっていて会場はあの悲劇の現場となった会場だった事を聞き、月華も最悪の思い出となったは確かだが奏と響の存命と会場の人命救助に役立った事など、今思えばあの時の自分の判断は間違っていなかったと笑顔で言った。

響と仲違いをしていた頃に初めて月華が翼と戦った事で奏に説教された事も話したが、月華は一方的に響と反発する翼に良い印象が無かった為に戦闘となったが、今ではやり過ぎたと反省していた。

 

「私はあの時風鳴さんの事情も知らずに酷い事言っちゃいましたね…私もあの時戦ったのは十分に自分勝手な理由だったのに、私はなぜ響ちゃんを認めないのかが分かりませんでした…

でも、理由がいつも隣にいて当たり前の人がいなくなって、その大事な人の力を事故だとはいえ奪い取った様なもので、その人の代わりに戦うなんて言ったら風鳴さんもその事に対して怒っても仕方ないと思います。

 

でも、響ちゃんはいつもの口癖の『へいき、へっちゃら』なんて言って装者にならなくてもノイズ災害に巻き込まれた人達を助けに行くんだろうと思います…平和な日常を過ごしているからこそ、その日常を守りたいという覚悟があった。

だから風鳴さんにも知って欲しかった。私は響ちゃんが守りたいものを…

 

でも、今思えば二人には私が介入したせいで迷惑かけてしまったので私も反省しないといけませんね」

 

緒川はそんな事は無いと言い、あの時に月華の言った事が今の翼の歌に大きな影響が与えたのかを言った後にポケットからあるものを出し机に置いた後に月華に言った。

 

「翼さんは、あの時水鏡さんと戦った時に言ったあの答えが今出せそうな気がすると言っていました…ですからこれを…」

 

緒川が出したのは翼の復帰ライブチケットだった。

 

予想外の緒川のしたことに戸惑っていたが「私が行ってもいいのかな」と翼に対しての罪悪感から苦笑する月華に緒川は言った。

 

「その自分勝手な行動で翼さんは自分なりの答えを見つけたのですから、その答えを聞きに行く事は貴方にとっては今、自分の中にある悩みを解決できるのではないかと思いますよ」

 

その言葉に月華は「ありがとうございます…必ず観に行きます」と頭を下げ言い、次の問題の事を話した。

 

「今日、緒川さんと話したことで大きな問題が発生しました…私の正体があの人に知られたら米国政府によって拉致される可能性が高まりました…お願いがあります」

 

「ええ…僕もそれに関してはいい案があります」

 

それは想定していた黒幕への対応の事と月華の今後に大きく関わることだった。

 

 

 




次回 エピソード17「…私を慰めてくれてるの?」


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