ペルソナ4 孤独な少女 『更新停止 削除予定』 (煌酒ロード)
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転校、そして事件

ペルソナ楽しいよね!という訳でペルソナ4です!
このssが皆様の暇つぶしとなれば幸いです


転校なんてのは人生でそう何度も経験することじゃないと思う。そりゃ親がよっぽど特殊な仕事でもしていればその限りではないかもしれないし、単純に転勤の多い仕事を親がしているから頻繁に転校してますなんて人もいるかもしれない。私は後者だ。あまりに親の転勤が多く、私も親が嫌いだった。預けられた時から顔を見たことも無く。事務的に私に金を送ってくる。別に私は住むところを変えたって問題は無い。そう思って一人暮らしを始めることにした。幸いにしてかどうかは知らないけど、私の両親はそこそこ金持ちだ。それこそ私が働かなくても食っていけるぐらいには金持ちで、多少の贅沢も許されるレベルだ。だから私は今までずっと都会にいたからこそ憧れた、田舎暮らしなんかをやりたい。そう思って昔住んでいた町に戻ることにした。一人暮らしと言っても、当然親からの援助もあるから完全な自立とまでは行かないが、どうせあの親はもう入れるなと言っても金を入れてくるだろう。愛情の注ぎ方なんて知らないだろうから。まあそんな事はどうでもいいんだ。今から私が住む町は八十稲羽市と言う名前の、人の少ない田舎町だ。車内に他の人影はなく都会から何本も電車を乗り継いでやっとつくような辺鄙な場所だ。どちらかというと私はゴミゴミした都会より、そういった落ち着いた場所の方が好きだ。私は電車内に誰も居ないのをいいことにタバコを吸おうとするが、

 

「失礼ですが、車内ではやめた方がいいですよ」

 

その声に反応して顔を上げると銀髪の長身の男が立っていた。

 

「・・・・・・誰アンタ?」

 

鳴上悠(なるかみゆう)です」

 

「ふーん・・・度胸あるね君」

 

「え?」

 

「知らない人に注意するのって結構勇気がいるんだよ少年。相手が異性なら尚更ね」

 

気の抜けたような返事をする少年を尻目に私は吸おうとしてたタバコをケースに戻し

 

「君がどこに行くのかは知らないが、荷物の心配はしなくていいのかい少年?」

 

駅が近く、到着する旨のアナウンスが流れ始め、少年は慌てたように自分の荷物を取りに行っている。それを見ながらなんとなく少年とはまた会うような気がした。

 

 

それからは特に変わったこともなく。用意された家に着く。元は薬局だったが潰れたため、土地を買い取って家を立てたんだとか、私は家に入るなり荷物を放り、送ってある荷物の荷解きをする気にもなれず、一服していた。明日から転校生として学校に通わなければなら無いのだが、制服を何処にやったか数秒考えてどうでもいいかと思考を放棄する。考えなきゃ行けないことは明日考えればいい。私はそう思って真新しいベッドに横になって寝た。

 

 

 

次の日、眠くてだるい体を起こした時にはもう朝九時半で、取り敢えず学校に向かう。転校初日から遅刻ってのも青春でいいかもしれない。そんなことを思いながら学校の門をくぐり、予め説明されていた自分のクラスに向かう。中からなにか聞こえるが構わずに扉を開け放つ。

 

「遅れましたー・・・」

 

我ながら綺麗な棒読みだったと思う。実際にみんな唖然としてたしね。唯一動じてないのが私と同じく転校生なのか、昨日の電車内の少年が立っていた。

 

「昨日の・・・」

 

「・・・あー?昨日の少年か?」

 

「同じ学年だったんですね」

 

「それはなにか少年?私が年をとって見えるとそう言いたいのかい?」

 

「こら!そこの転校生遅刻女!さっさと挨拶せんか!」

 

そんなやりとりをしていると担任らしき人から怒鳴られたので取り敢えず挨拶をしてよう。まあ一応

 

凪紗真央(なぎさまお)。一つよろしく」

 

「もっとちゃんとした挨拶せんか!全く・・・。えー、ゴホン。こいつらは二人してただれた都会から辺鄙な田舎に飛ばされたいわば落ち武者だ!女子は間違っても色目なんか使うんじゃないぞ!男子もこんな見た目だけの奴に騙されるなよ!」

 

誰が見た目だけだ、私はどうせ見た目も何もかもダメダメですよ〜とちょっとしかめっ面になるがどうせこういうタイプには何を言っても無駄だ。どこに座ろうかとか考えていると、

 

「誰が落ち武者だ」

 

「言うね君」

 

なんと横の少年が反論したではないかすごいな少年。

 

「むっ、教師に口答えするとはなんという事だ。貴様の名前は腐ったミカン帳に記入しておくからな!」

 

なんだよ腐ったミカン帳って、つーかなんで腐ったミカン?あれか、放っておくと無限に増えるからか?

 

「センセー、転校生君の席ココとココでいいですかー?」

 

「むっ、そうだな。さっさと席につかんか!」

 

なんて理不尽な、今さっき席決まったばかりだというのに怒られたよ。鳴上君はさっき発言した女子の横に座り、私はその前の、茶髪ヘッドフォンの男子の横に座ろうとするが

 

「待て貴様・・・制服はどうした!」

 

やっぱり言われるか。今の私は私服だ。なんでかっていうと・・・

 

「制服間違えられたので無いだけですけど?」

 

この学校に転校する時全体写真を送って、制服が来たのだが、なんと男子制服だったのだ。私は女だ。先生は返答に困ったのかそれならそうとさっさと言わんか!と逆ギレされた。なんと理不尽な。それからは特に何事もなく終わり、放課後になって帰ろうという時に放送が入り、先生達は招集がかけられ、生徒達には教室で待機するようにと言われていたが守るはずも無く皆帰ろうとしていた。私も帰ろうとしていたが、

 

「ねえ一人?良かったら一緒に帰らない?」

 

そう声をかけられ顔を上げると、緑色の女の子が立っていた。

 

「・・・誰?」

 

「ああ、自己紹介してなかったっけ、私は里中千枝(さとなかちえ)こっちが天城雪子(あまぎゆきこ)

 

「天城です。よろしく」

 

「あーうん、よろしく。てか転校生男子も一緒なんだ」

 

「ああ、よろしく」

 

「鳴上君だっけ?名前」

 

「ああ、合っている」

 

「そっか、私人の名前覚えるの苦手だからさ」

 

「そうか・・・しかしその服は・・・」

 

そう言われて自分の服を考える。今は薄い赤色のショートヘアにパンクスタイル。首にはヘッドフォンというどっかのパンクギャルみたいな格好だ。

 

「これがどうかした?」

 

「随分とハイカラだな」

 

「また古い言い回しをするね君は」

 

それから四人で帰ることになり、外に出るなり私は煙草を咥え火をつける。

 

「学生のうちはやめた方がいいと思うが」

 

「私の勝手」

 

鳴上君の忠告をバッサリ切り倒し、私は咥えタバコで歩く。そして校門を出ようとした時。

 

「ねえ」

 

声のした方を見ると、おそらく他校の生徒であろう、目が死んだ男子が天城さんに話しかけていた。

 

「キミさ、雪子だよね。これからどっか遊びに行かない?」

 

明らかに嫌そうにしている天城さんになおも言いつのる。

 

「天城さん、知ってる人?」

 

「え、知らない」

 

バッサリだった。記憶にすら無い男子からナンパされるとは、天城さん恐るべし。自覚無しの美少女とはこういう事だろう。

 

「つまり迷惑客って事か」

 

「客じゃないけどね・・・」

 

里中さん、そういうマジレスいらない。

 

「あ、あのさ、行くの?行かないの?どっち?」

 

「い、行かない・・・」

 

「・・・ならいい!」

 

それだけ言って走り去ってしまった。ナンパしてきて失敗した瞬間に逆ギレとは、何様のつもりなんだろうか。

 

「・・・あの人、何の用だったんだろう」

 

「え、・・・いやどう見てもナンパでしょ」

 

「そうなの?」

 

なんと言うか・・・ナンパだという事すら理解されて無かったようだ。哀れ男子生徒。

 

それからは茶髪ヘッドフォン(花村とか言うらしい、さっき里中さんから借りたDVDを割ったとかでシバかれてた)と少し喋った後。里中さんに町を案内してもらった。八十稲羽は子供の頃少しだけ住んでいたからある程度はわかるが、やはり少し寂れていた。そしてたまたま、事件現場にたどり着いてしまった。野次馬の話の内容から察するに女の人の死体が普通じゃないような死に方で上がったらしい。

 

「おい、ここでなにしてる」

 

「叔父さん、通りすがっただけです」

 

「そうか・・・まあそうだろうな」

 

その人は少しボヤいた後私の方へ来て、

 

「高校生がタバコとはいい度胸だな」

 

私の口からタバコを取り上げた。だがそれはいい。私はその人に見覚えがあった。

 

「・・・もしかして・・・堂島さん・・・ですか?」

 

「あん?俺の事を知ってるのか?」

 

「凪沙真央です。覚えてないですか?」

 

「凪沙・・・、まさか・・・あん時のガキか?」

 

「そうです。よく覚えてましたね」

 

「そうか・・・立派に成長したもんだなぁ・・・お袋さんは元気か?」

 

お母さんの名前を出され、私は少し顔を暗くする。それに気づいたのか、

 

「どうした、お袋さんに何かあったのか」

 

「消えました。お金だけ持って。今は顔も見たことの無い親戚に預けられました」

 

「そうか・・・」

 

一瞬で場の雰囲気が重くなる。そんな空気を打ち砕くように、奥からスーツ姿の男性が一人走ってきて、電柱の影に行って情けなくゲロを吐いている。

 

「足立・・・おめえはいつまで新米気分だ!今すぐ本庁帰るか?あぁ!?」

 

「す・・・すいませ・・・うぇえ」

 

謝りながら吐くなんて器用な人だ。新米気分と言われてるという事は入ってからそんなに長くは無いんだろう

 

「たぁく・・・顔洗ってこい。すぐ地取り出るぞ!」

 

相変わらず仕事一筋のようだ。ついていく新米さんも大変だな。

 

「あぁ・・・まあこれも何かの縁だ、なんかあったら頼ってくれていいぞ」

 

「恩に着ます」

 

そう言って堂島さんは去っていった。その後を追いかける新米さんの背中の悲壮感がハンパなかった。南無。

 

それからジュネスに行くのもまた今度にしようということになり、みんな真っ直ぐ帰っていった。私も特に用もなかったので真っ直ぐ帰り、そのまま寝た。




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