羽川翼の親になった男の話 (瑠璃ぃぃぃ)
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1話

はじめまして

初めて小説書きますので拙い文ではありますがよろしくお願いします。


俺、羽川隼は私立直江津高校三年生だ。

 

小学生の頃からやっていた野球を高校でもやることにし、すでに三年の夏…つまり俺の高校最後の野球生活だが…

 

 

「まさか甲子園準優勝とはねぇ…」

 

エースで四番、私立とは言え野球の実力はそこそこだった高校で一年の頃からそれを俺は担っていた。

 

一年の時は地区予選敗退

 

春の選抜予選も選ばれず

 

二年は県大会で決勝戦で敗退

 

春は選ばれず、そして三年生の夏で甲子園初出場

 

その頃の俺は実力もメキメキ上がっていたため甲子園でも通用するような実力だった…

 

しかし決勝戦はあのあかつき大付属高校

 

4ー3の接戦だったがあと一歩及ばず

 

 

「猪狩守、まさしく超高校級選手」

 

チームの総合力でも負けていた。

 

接戦とは言っていたが点が取れたのは運が味方してくれたからだろう。

 

さて、何で今俺がその猪狩について話しているかと言うと…

 

 

「どういう事だ羽川‼ドラフトの指名全部断るなんて⁉」

 

目の前にその猪狩守がいるからだ…

 

「君は僕が認めたライバルなんだぞ⁉プロに行かないとはどういう事だ⁉」

 

「いや、これには事情があってだな…」

 

「事情だと⁉僕を納得させるだけの事情があるのか⁉」

 

「まてまて落ち着け。まず離れろ、顔が近い。つかお前何で俺ん家知ってんだよ?今年のドラフトの目玉は何?探偵チックな能力も持ってんの?なにそれチート?」

 

 

「ふざけてないで答えろ‼」

 

いや、住所知ってる所に関してはふざけてねぇよ

 

「単純な話だ、今は野球より優先するべきものが見つかった。それだけだ。」

 

「何だと?」

 

猪狩は要領を得ないと言った顔をしている

そりゃそうだわな…

 

仕方ないのであの娘を紹介するかね

 

 

「翼ちゃん、おいで。」

 

猪狩が急に来たので翼ちゃんは台所に隠れていた。

 

そして翼ちゃんを手招きして呼ぶ

 

「羽川…その子供は?」

 

「俺の娘」

 

「は?」

 

「娘」

 

「………」

 

猪狩が急に携帯を持ち出して…

 

 

「僕だ、猪狩コンツェルンの医療チームを呼べ‼最高メンバーでだ‼頭の病気に対するスペシャリストもだ‼」

 

「まてまてまてまてまて‼病気でも何でもねぇよ⁉」

 

「じゃあ何だ‼誘拐したのか?」

 

「してねぇよ⁉色々事情があって俺が引き取ったんだよ‼」

 

「事情があって娘だと?」

 

「そうだよ…」

 

 

猪狩に翼ちゃんの事情を話す…勿論翼ちゃんの許可は取っている

 

 

「ふざけた親だな。」

 

「全くだよ、夜逃げする様子なんて無かったのによ…」

 

翼ちゃんは血が繋がっていないから娘じゃないと…ほざくつもりかよ…‼

 

「あの…」

 

そう考えていると翼ちゃんから袖を引かれた

 

「私は大丈夫です。隼さんの将来を我慢してまで私を引き取る事なんてないんですよ?私が我慢すれば良いんですから。子供のわがままは基本的に叶いません。それが普通なんですから。」

 

「なっ…」

 

「……(これが幼い子供の考える事か?あり得ない…どんな環境で育てばこんな風になるんだ…⁉俺が見ていたあの家族は所詮上辺だけだったのかよ…‼)」

 

 

猪狩は絶句し、俺は内心愚痴ってる

 

「翼ちゃん」

 

ビクッ

 

顔を下げて俯いてる翼ちゃんがギュッと両手を握って震えている

 

自分で言った事に後悔があるのだろう、実質上翼ちゃんを良く知っているのは現状俺だけだ

 

その俺に迷惑はかけたくない…けど頼れる人も居ない事もまた事実。

 

その板挟み状態で翼ちゃんが抱えるストレスは恐らく想像を絶するものだと思う。

 

「確かに翼ちゃんを引き取る事で俺の夢…まぁ、プロ野球選手なんだが…遠ざかるけど別に今すぐにならなきゃいけない理由なんてないんだぜ?」

 

「え…?」

 

「俺が翼ちゃんを引き取ろうと思ったのは確かに同情とかもあるけどさ…知り合いの子供がこんな状況になってるのに見て見ぬふりなんて事、俺には出来ない。」

 

それに…

 

「血の繋がりが無くても家族になれる。翼ちゃんにはその事を教えてあげたい…俺なんかじゃ役不足かも知れないけど、俺は翼ちゃんに家族の温もりを知ってほしい」

 

頭を撫でながら翼ちゃんに伝える

 

すると翼ちゃんが両目から涙を流しながら…え?泣いてる⁉

 

 

「えっ⁉何で泣いて…ごめっ⁉ごめんね翼ちゃん‼何か嫌な事言っちゃったかな?」

 

「いえ…嬉しいんです…お父さんとお母さんは……私の事をどこか腫れ物みたいに避けていましたから………ホントに……良いんですか?」

 

翼ちゃんの涙を見て俺はここで誓った。

 

もう翼ちゃんに悲しい思いも寂しい思いもさせない…孤独になんかさせるものか…翼ちゃんが幸せになれるなら…

 

「勿論だよ。」

 

「…うぅぅ…うわぁぁぁぁぁぁぁん…‼」

 

この小さい体に耐えきれない程の重みを…苦しみを…俺が一緒に背負ってやるさ。

 

「だから今は…好きなだけ泣けば良い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕がいることを忘れてないか?」

 

 

「「あ…」」




この小説を描きたい理由

羽川翼にちゃんとした親がいたらどうなるかというもの

パワプロ設定は翼ちゃんにユニフォームを着せたいという欲望も妄想である(笑)


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2話

遅くなりました


あの後、猪狩は…

 

「社会人野球に行け。」

 

っと言っていたが、社会人野球…まぁ働きながら野球をするなら社会人野球が良いよな。

 

 

「しかし猪狩、高卒で野球部のある会社に就職って厳しくないか?」

 

大体が大卒の人が野球部のある会社に行くイメージが…

 

最終学歴が高卒…なんだろ?ちょっと不安になってきた。

 

「近場ならミゾットスポーツがあっただろ?」

 

ミゾットスポーツなら確かに…可能性はあるかな?

 

「そもそも君は甲子園準優勝投手だぞ?どこからでも引く手数多だろう。」

 

「奇跡やらまぐれとも言われてるがな…」

 

「運も実力の内だ。」

 

「とは言うがな…」

 

「ええい、君は僕がライバルと認めた存在だ‼何も問題無い‼」

 

 

そこまで行って猪狩は玄関へと向かう

 

「とにかく、その子はしっかり君が面倒を見るんだ。その子がある程度自立出来たらプロにこい。良いな?」

 

「そんな待ち合わせ感覚でプロになれねぇよ」

 

猪狩は言うだけ言って帰って行った。

 

 

「さて…翼ちゃん」

 

「はい?何ですか?」

 

翼ちゃんが首を傾げながら視線をこっちに向ける

 

 

「取り敢えず幼稚園はどうする?」

 

 

現在羽川翼は休園中である

 

 

……………そして………

 

「…ごめんなさい、まだ暫くは休みたいと思います。正直、他の人達と一緒にいたら混乱すると思いますので…」

 

 

「わかった、暫くはゆっくりすると良いよ。俺も学校終わればすぐに帰ってくるし…」

 

もう少しで学校いかなくても良いし

 

「本当は俺も学校休んで翼ちゃんに付きっきりいた方が良いんだろうけど…」

 

「気持ちは凄く嬉しいですけどそれは…」

 

「だよなぁ……」

 

 

学校休んだら翼ちゃんが気にしてしまうからその案は元々無理だったって事だな

 

しかし、プロ野球か…猪狩は当然として早川や友沢達もドラフトで指名されている

 

早川に至っては女性で高校野球をやり、尚且つ女性選手にも出場の機会が与えられる様に署名活動的な事も色々やっていていた…テレビでそのシーンを見たときは驚いたが

 

早川か…その昔は一緒に遊んでいた頃もあったけど、俺の親の引っ越しでそれ以来…じゃないか。

 

直江津高校で甲子園に行ったときに三回戦で再開したもんなぁ…

 

三つ編み御下げの緑髪の少女。

 

早川あおい、アンダースローからのシンカーと絶妙なコントロールが売りの女性投手である

 

 

後はポイズンクッキングの使い手である。

 

いや、アイツの料理おかしいって。塩と砂糖を間違えるとかならまだ可愛い方だよ?どうやったらケーキがダークマターになるの⁉

 

いや、ケーキだけじゃねぇ…何で作る料理全てがダークマターになってんだよ⁉

 

学校の家庭科室が焼け野原一色だよ、戦場だよ、関ヶ原だよ⁉

 

お前の前世は何⁉お妙さん⁉

 

 

閑話休題

 

 

それから暫くして…

 

「ところでさ…」

 

「どうしました?隼さん」

 

「いつまで俺たちって、さんやちゃん付けで呼ぶんだろう…てね」

 

「あ」




感想ありがとうございます。


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3話

更新できました。


猪狩の提案を聞いてから俺はミゾットスポーツに就職することに決めた

 

だが実際はかなり大変だった…急な就職希望もあって先生方には無理を言ってしまったし、プロ行きを断った理由を聞いてくる野次馬も相当いた…

と思いきや先日の猪狩の様に家に訪ねてくる奴も多かったし

 

つかアイツ等何で俺の住所知ってんの?教えた記憶無いんだけど…

 

 

と、まぁ色々な事があったけど…それから月日が経ち、俺は無事にミゾットスポーツに就職することが決まった。

 

卒業までの間は学校も休みなので翼ちゃんとなるべく一緒に過ごしている。

多少は翼ちゃんも落ち着いてきたのか、近所の買い物位には一緒にだが行ける様になっていた

 

そして今…

 

「これがグローブ…何か変な匂いがしますね…」

 

「大切に保管していたけど、やっぱオイルやら汗やらで匂いは完全にはとれないからなぁ…」

 

空き地でキャッチボールをしている

正確にはこれから始めるのだが…さて何でこうなったかと言うと…

 

 

ー以下回想ー

 

「隼さん」

 

「ん?」

 

「私も野球やってみたいです」

 

「良いぞー」

 

ー回想終わりー

 

たった四行の回想だった…

 

「取り敢えずゆっくり投げるから目を瞑ったりしないでしっかり見て捕ること」

 

「はい‼」

 

「じゃあいくよ」

 

軟式ボールだが下投げでゆっくり翼ちゃんに投げる

 

翼ちゃんは言い付け通りにボールをしっかり見ている

 

そして…

 

「うみゃ⁉」

 

頭に直撃した

 

「いや、しっかり見ててもグローブ構えなきゃ…」

 

しっかり見てたが動かずにボールに直撃した翼ちゃん

 

「うぅ~」

 

当たった場所を右手でさすっている翼ちゃん

少し涙目なのは不謹慎ながら可愛い

 

「痛いならやめとくか?」

 

 

「やだ‼やるの‼」

 

少し泣いているせいか子供っぽく…いや、子供だからこれが普通なんだよな…

 

「そうかそうか…なら今度は翼ちゃんがボール投げてみなよ。」

 

「えい‼」

 

「待って⁉投げるの早いよ⁉」

 

 

投げ方を説明してからって思っていたんだが…ちょっとムキになってないか?案の定ボールは変な所にいってるし…

 

「ご、ごめんなさい‼」

 

翼ちゃんが直ぐ様謝ってきた

 

「大丈夫。投げ方もちゃんと説明するから慌てないでね?」

 

さて、ボールを拾いにいくかな。

 

「ふーん…隼君が小さい女の子と一緒にいるとは聞いてたけど…本当なんだ」

 

「へ?」

 

ボールを拾いに行くと空き地の入り口に人がいたのか声が聞こえた

 

「久しぶりだね、隼君。」

 

そこにいたのは、甲子園の三回戦にて戦った女性エース

 

高校野球初の女性選手であり、女性初の甲子園出場者として今年の甲子園を湧かせた人がいた

 

早川あおい…そのひとである

 

 

「早川…」

 

「別に名前で良いよ?昔馴染みなんだし」

 

「まさか、甲子園のスターを名前呼びなんて…恐ろしや恐ろしや」

 

「なにそれ?そんなキャラだっけ?」

 

「気にするな」

 

「気になるよ」

 

「木になってろ」

 

「気に…ん?今何か違ったような…?」

 

 

閑話休題

 

「へぇーこの子が噂の…」

 

「なんだよ?噂って?」

 

「幼女趣味を拗らせた隼君が全力で引き取った女の子」

 

「今すぐその噂を広げた人間を教えろ。」

 

そいつは必ずぶち殺す…つか誰がロリコン拗らせただ‼

 

「え?違うの?」

 

「違うわ‼お前、俺の事何だと思ってやがる⁉」

 

そう言うと早川は満面の笑みで…

 

「困っている人がいると自分の事は後回しにしてでも人助けをする優しいお節介焼き…かな?」

 

早川……お前…

 

 

 

「死ぬほど似合わねぇな」

 

「表に出ろ」

 

もう表です(笑)

 

 

ー閑話休題ー

 

 

「それで?何の用だよ?」

 

 

確か早川もドラフトに指名されているはずだが…

 

「自主練がてら、ドラフト指名を断った隼君の様子を見にきたんだよ。」

 

「自主練って…まぁ、いいか」

 

 

こいつの地元から直江津までかなり遠いはずなんだが…

 

 

「こんにちは、ボクは早川あおいって言うんだ。君は?」

 

「えっ?その………はぅ……」

 

っと、俺が目を離した隙に自己紹介が始まっていた

 

 

「はわわわ…‼」

 

 

あ、翼ちゃんが目をぐるぐるにしながらパニクってる

 

「その娘は羽川翼ちゃん、俺の娘だよ」

 

流石に可哀相なので助け船を出す

 

まだ完全には治らないよなぁ…人見知り

 

「へ~翼ちゃんって言うんだ。可愛いね~」

 

羽川が翼ちゃんの頭を撫でようとするが…

 

 

「ひゃあ⁉」

 

っと叫んで俺の背中に隠れる

 

可愛いな、おい

 

 

「あれ?嫌われちゃったかな…?」

 

 

あはは…と苦笑している早川

 

「人見知りなんだよ。まぁ、徐々に慣れていけば良いさ」

 

 

そう答えて翼ちゃんの頭を撫でる

 

基本的に翼ちゃんは頭を撫でられるのが好きだが、人見知り…と言うより対人恐怖症が勝っているため他の人には絶対触らせないと言う感じなのである。

 

「ま、早川もめげずに翼ちゃんとゆっくりコミュニケーション取ってくれよ。」

 

 

「まぁ、しょうがないか…うん、これから宜しくね?翼ちゃん」

 

俺の背中越しだが頷いているようだ。

 

翼ちゃんも成長しているんだな…と考えつつ、晩飯を何にするかを考える俺だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの隼さん…キャッチボールは?」

 

 

「あ」




次回位から化物語キャラを増やしていきたいと思います


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4話

遅くなりました。


早川あおいと邂逅した後日、世間一般的に言う休日…日曜日である。

 

 

早朝ランニングをやっている最中、一人の女の子を見つけた

 

でかいリュックサックを背負って早朝から出歩いてる女の子…

 

 

通常ならば小学校の遠足か何かかと思うがあまりにもでかすぎるリュックサックだった

 

「やぁ、おはよう真宵ちゃん」

 

俺が挨拶をするとその少女…八九寺真宵ちゃんはこちらに振り向いた

 

「おや?隼さん、黒咲隼さんじゃありませんか。」

 

「真宵ちゃん、人を素材の数だけ強くなるような奴の名前で俺を呼ぶな。俺の名前は羽川隼だ。」

 

「失礼、かみました」

 

「違う、わざとだ」

 

「かみまみた」

 

「わざとじゃない⁉」

 

「髪焼いた?」

 

「パーマにする気ねぇよ‼」

 

 

閑話休題

 

 

この少女…八九寺真宵とは数年前からの付き合いであり、一緒にキャッチボールなどもやったことのある近所の子供だ。

 

少々言動がおかしいが少女なのである。

 

「そういえば、聞きましたよ?ドラフト指名を断ったそうですね?」

 

 

「良く知ってるね。何?そんなに噂になってるの?」

 

「直江津に住んでて隼さんと親しい人はほとんど知っていますよ。それに野球をやってる人なら尚更です。」

 

直江津高校初のプロ野球選手登場とまで言われてたんですからね…と続けて真宵ちゃんはこっちを見て笑顔を見せる

 

「それに私は隼さんのファンなんですから、知ってて当然ですよ。」

 

俺のファンとは初めて聞いた、と言うか居たんだ…などと考えていると

 

「私は隼さんの事が好きなんですから。」

 

ニッコリ笑顔で衝撃の真実を言った真宵ちゃん

 

 

 

 

 

 

「あぁ、俺も真宵ちゃんの事は好きだよ」

 

「ほう…因みにどのくらいですか?」

 

「真宵ちゃんのファンブックが出たら迷わず買うくらい」

 

「甘いですね隼さん。私だったら観賞用、保存用、実用と合わせて三冊は買いますね‼」

 

「俺の愛が真宵ちゃんに負けた…だと…‼」

 

「私の愛は限界突破なんてよゆーです。大気圏外です!」

 

 

因みにこれ…小学生と高校生の会話なんだぜ?

 

 

ー閑話休題ー

 

結局真宵ちゃんと話し込んでる内に結構な時間がたち…

 

「あ、そろそろ戻らないとな…」

 

「おや、このあとご予定でも?」

 

「そういう訳じゃないけど、翼ちゃんの朝食作ってやらないといけないからな。」

 

あの娘、休日でも決まった時間に起きるからなぁ…

 

「噂の娘さんですね?私もいずれ会ってみたいものです。」

 

「おぉ、そうしてくれよ。翼ちゃんもきっと喜ぶ。」

 

「はい‼それでは私はこれにて失礼します。」

 

元気良く返事をして真宵ちゃんは帰って行った…と思ったらこっちに振り返って両手をメガホンの形にして大声でとんでもないことを言った

 

 

「隼さーん‼私はー‼貴方の事がー‼本気で大好きですよー‼」

 

 

一回一回区切りを入れて大声での告白

 

真宵ちゃんはまだ小学生だが随分と大人びている…と言うか会話のレベルが非常に高く、へたな高校生より言葉使いが丁寧な子だ。

 

そんな子が真っ直ぐな思いを真っ直ぐな言葉で言い表す。

 

 

つまり何が言いたいかと言うと…

 

「割と本気で照れるから早朝からの告白はやめて欲しいものだ…」

 

実は真宵ちゃんからの告白は初めてではない

 

出会った時からこういうじゃれあいながら告白される事は多かった。

 

「その告白は10年後にお互い相手がいなかったら受け取らせて貰うよー」

 

その言葉が聞こえたのか両手を降っている真宵ちゃん。

 

 

真宵ちゃんには悪いが今は流石に…ねぇ

 

軽く心臓が高鳴っているが走って帰っているからおそらくそのせいだろう。

 

小学生にときめいてなんていないからな?

 

ほんとだぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰宅後…

 

 

「翼ちゃんごめんな、少し遅れちゃったね。今からご飯作るから」

 

「あれ?昨日のカレーがあるから朝食は大丈夫なんじゃ…?」

 

 

 

「あ」

 

 




他のキャラも出したいです…頑張ろう‼


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5話

更新しました。


八九寺真宵との邂逅の後の話だ

 

 

「小学生になったら本格的に野球を教えて欲しい?」

 

 

「はい」

 

 

卒園式が間近になってきた今日、翼ちゃんから言われた事である

 

「それは別にいいけど…野球チームに入りたいって事かな?」

 

「それもですけど、隼さんに教えて欲しいかな。」

 

野球チームに入りたい…

 

けど俺にも指導して欲しいって事か…

 

「それは別にいいけど…俺も仕事があるから頻繁には出来ないよ?」

 

「それで大丈夫です。」

 

あ、そうなんだ…

 

 

「しかし、嬉しいものだな…翼ちゃんが野球を本格的にやってみたいなんて」

 

「嬉しい…ですか?」

 

翼ちゃんは首を傾げながら疑問を浮かべる

 

「あぁ、自分の娘が自分のやってる野球をやりたいってのは親として光栄だし、嬉しいよ。特に翼ちゃんは色々あったのに前向きに行動してくれている。素直に感心するし嬉しいとも思う。」

 

「あぅ…」

 

 

褒められて顔を俯かせて赤くなっている…褒められ慣れていないから、そういう言葉に弱い翼ちゃんが可愛い過ぎてヤバイ。

 

「なら暫くは俺と一緒に野球しようか」

 

 

俺も春から社会人だし、時間ある時は翼ちゃんに使ってあげたい。

 

 

「それじゃ、えっと…ご指導宜しくお願いします。隼さん」

 

 

「うん、任せてよ翼ちゃん。」

 

 

 

そのあと、翼ちゃんとキャッチボールをしたり、素振りのフォームチェックをしたり、翼ちゃんの素質が良いのか、乾いたスポンジの様に技術を吸収していった。

 

 

真宵ちゃんもそうだが、最近の女の子は才能豊かだよ全く…軽く嫉妬しそうである。

 

この調子で行けば早川に次いで、女性プロ野球選手か増えるかも知れない、そんな期待をしている俺だったが…

 

 

しかし、この時の俺はまだ知らなかった…

 

 

これからも先、真宵ちゃんと二度と野球が出来ないと言う事を…

 

 

 

 

帰宅後…

 

 

 

「なぁ、翼ちゃん」

 

 

俺が帰宅してからも素振りを続けていた翼ちゃん

 

 

「ふぅ…どうしました?」

 

だいぶ振り込んだのか、汗を拭いながら素振りを中断してこっちに振り向く翼ちゃん

 

 

「いや、翼ちゃんポジション何をしたいのかなって…」

 

 

「バッターです‼」

 

胸張って答える翼ちゃんが可愛すぎてツラい

 

「いや、ポジション…」

 

「指名打者です‼DHです‼」

 

昨日のプロ野球を見ていたからだろう…だが…

 

「翼ちゃん…DHはポジションじゃないよ?」

 

「そうなんですか?」

 

「あれは投手の代わりに他の選手が打つって言うのであってポジションではないね…」

 

「そうなんですか…」

 

 

「付け加えるなら少年野球にDHはないね」

 

 

「あ」

 

 

少年野球チームに入る前にポジションを決めとかないとな…

そう考える俺だった…

 



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6話

ちょっと色々あって遅れました。待っていてくれた人は本当に申し訳ございません。


ついに翼ちゃんが小学生になり、俺も社会人としての一歩を踏み出した。

 

入学式に入社式、二つのイベントをこなした俺に待っていたのはミゾットスポーツで仕事と野球をやる毎日である。

 

 

そんな中、何と翼ちゃんが同じクラスのお友達を家に招いて遊ぶそうだ。

 

何より翼ちゃんが友達を作ったと言う事が重要である。

 

 

人見知りかつ対人恐怖症のあの翼ちゃんが…である

 

 

数日前…

 

 

晩御飯を食べている時に翼ちゃんがやけにそわそわしていた

 

 

「どうした?」

 

「えっと…」

 

顔を赤くして視線がキョロキョロしている

 

「?」

 

「その…今度…友達を家につれてきて良いですか?」

 

驚いた…翼ちゃんが友達をこんな短期間で作れるとは…

 

周りを見ていたのはその友達を招く際に部屋を綺麗にしたい言う想いか…

 

「勿論良いよ、招く際は前もって教えてくれ。部屋の掃除しないとな。」

 

そう言うと翼ちゃんは気不味そうな顔をしていた

 

大方、掃除を遠回しに手伝ってくれって言いたかったのだろう。

 

「それで…そのお友達の名前は?」

 

 

 

「戦場ヶ原さんです。」

 

 

凄い苗字だな…

 

 

閑話休題

 

約束の日まで掃除をしっかりと終わらせる

 

 

そしてその日が訪れる。

 

 

「こんにちは、戦場ひたぎです。」

 

紫色の長い髪で整った凛々しくも可愛い顔立ちをしている少女…戦場ヶ原ひたぎちゃんがやって来た。

 

 

「いらっしゃいませ、戦場ヶ原さん」

 

「えぇ、お邪魔します。羽川さん。」

 

礼儀正しい女の子だ…翼ちゃんも礼儀正しいし、最近の子はしっかり礼儀が出来るんだなぁ…

 

そう考えていると戦場ヶ原ひたぎちゃんが…

 

 

「早速で申し訳無いけど…

 

 

キャッチボール……しましょう?」

 

 

キャッチボール…それは野球をやっていない人でも知っている簡単な物、遊びでも出来る野球の基礎

 

だが戦場ヶ原ひたぎちゃんが言っているのは遊びではなく…

 

 

「うん、私も戦場ヶ原さんの実力を見てみたいし…良いよ。」

 

「ふふ、楽しみだわ。あの羽川隼選手の子供とキャッチボールだなんて…」

 

あの?とはいったい?

 

そんな視線を向けただけでひたぎちゃんが答えてくれた

 

 

「あの甲子園は観ていました。羽川選手と猪狩選手の投手戦は観ていて興奮しましたからね!」

 

 

話してる途中で熱が入ったのか、少し興奮気味に語っているひたぎちゃん

 

そうか…観てたんだね…

 

 

「兎に角、キャッチボールするなら空き地に行かないとな。」

 

 

翼ちゃんが連れてきた友達…戦場ヶ原ひたぎちゃん

 

翼ちゃんが友達になったぐらいだから、彼女は恐らく社交的な性格なのだろう

 

しかし、最近の女の子は野球をしたりするのが遊びなのかねぇ…個人的には嬉しいものだ。

 

しかし、早川あおい選手に触発されたって感じでは無さそうだ。

 

甲子園を観ていたから猪狩を知っている…って感じだろう。

 

 

「まぁ、キャッチボールだから楽しくやってくれれば問題無いな。」

 

「それじゃあ空き地にいきましょうか?」

 

「うん、良いよ。戦場ヶ原さん。」

 

そうして二人はグローブとボールを持って出掛けようとしていたが…

 

 

「ちょっとまて、君たちはスカートでキャッチボールをするつもりか!?」

 

 

「「あ」」

 

 

今更気付いたの!?




もう少し長く書いてみるべきかな?


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7話

遅くなりました。
申し訳御座いません。
今の仕事が2月20日で終わるのでそれ以降は少しは早くなると思います。


ひたぎちゃんとの邂逅の後…

 

 

翼ちゃんとひたぎちゃんは良く一緒にキャッチボールをする仲になったようだ

 

近々一緒の野球チームに入るみたいだ。

 

 

そして俺はと言うと…

 

ズパァァァン‼

 

「ストライク‼バッターアウト‼ゲームセット‼」

 

 

主審の試合終了の合図でマウンド上にいた俺は整列のため、ホームベース間際に集合する

 

 

ありがとうございました

 

互いに帽子をとって挨拶をし、ベンチに戻っていく

 

ベンチではミゾットスポーツの選手…ではなく、別の会社のチームだったりする

 

さて、何故別チームの試合に俺が出ているかと言うと…

 

 

単なる助っ人である

 

それもミゾットスポーツの会社から直々にである。

 

まぁ、経営難になっているから他のチームに助っ人に行って助っ人料稼いでこい。

という事なのだろう…しかし一試合勝つだけで何百万も手にはいるのは凄いな…

これで給料アップでもしてくれればなぁ…

 

まぁ、無理だろうな。

 

まぁ、これで今日の仕事終わりだし家でゆっくりしよう

 

 

隼視点終了

 

 

翼視点

 

 

こんにちは皆さん。初めまして、羽川翼と申します。以後よろしくお願いいたします。

 

 

「羽川さん、急に明後日の方向見て挨拶してるけどどうしたの?」

 

 

「ごあいさつだよ、戦場ヶ原さん。」

 

「挨拶?」

 

「そ、挨拶は大事でしょ?」

 

「それはそうでしょうけど…」

 

今回から視点を色々変更してお話をお送りして行きたいと思います。お目汚しになるかも知れませんがどうぞよろしくお願いします。

 

「羽川さん羽川さん。何か見えてるの?見えちゃいけないものでも見えてるの?私には羽川さんの視線の先にはなにも見えないのだけれど…」

 

 

「大丈夫だよ戦場ヶ原さん。正確には私も見えてないから。」

 

「全然大丈夫じゃないわよ!?本当に大丈夫なの?」

 

 

閑話休題

 

 

戦場ヶ原さんと一緒にキャッチボールをしてから学校では常に戦場ヶ原さんと一緒にいる。

 

休みの日も基本一緒にいる。

 

と、言うより戦場ヶ原さん以外に友達がまだいません。同年代で野球する女の子いないしなぁ…残念

 

「そう言えば今日、隼さん試合って言ってたなぁ…」

 

「あらそうなの?学校がなければ応援に行けたのに。サボれば行けたわね。」

 

「戦場ヶ原さん、学校にはちゃんと行かないと。」

 

戦場ヶ原さんのサボり宣言に苦笑しつつ、応援に行きたいと思っていた戦場ヶ原さんに嬉しく思う。

 

 

自分の身内が…大切な人が褒められて嬉しく無い人はいないと思うし、何より…

 

「戦場ヶ原さんにそう言ってもらえると、友達として嬉しいな。」

 

「サボりが?」

 

「応援の事だよ、隼さんの。」

 

「見てみたかったわね、直江津のスターの野球。」

 

「私も直接見たことは無かったなぁ…」

 

「やっぱりサボって見に行けば良かったわね。」

 

「だからサボりは駄目だってば…」

 

戦場ヶ原さんは悪い顔をしながらこっちを見て…

 

見たいくせに…

 

…っと口パクしていた。

 

ほんとにそう言ったかは不明だけど多分そうだと思う。

 

「それに私達もそろそろチームに入って試合したい訳だし、練習しないと。」

 

 

「試合を観るのも勉強にはなるわよ?」

 

「まぁ、そうなんだけど…でもサボってまで行くのは駄目です。」

 

「ハイ、わかりましたよお母さん。」

 

 

「誰がお母さんですか」

 

 

戦場ヶ原さんは笑いながら私にそう言った…

 

私達は同い年ですよ?

 

 

 



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8話

遅れまして非常に申し訳ございません。

これからは少しずつ更新ペース上げていけたらなと思っています。


「は?ムナンチョ…なに?」

 

 

「ムナンチョヘペトナス教です」

 

 

とある日曜日、ひたぎちゃんが家に遊びに来ている時に聞いた言葉だ

 

言葉と言うか…意味不明な宗教らしい

 

「私のお母さんが怪しい宗教にハマってしまって…」

 

「…確かに怪しいね…怪しさしかないね。ってかそんな神様とかいないでしょ?」

 

俺の隣に座る翼ちゃんに聞いてみる。恐らく翼ちゃんが知らないならそんな神様何ていないだろう。

 

 

「いないですね。」

 

「あぁやっぱり。」

 

翼ちゃんはかなり優秀だ。知力がカンストしてる位のレベルだ。

 

以前DHの話題で間違った知識を覚えていたのが相当悔しかったらしい…

 

普通の小学生なら知らなくて当たり前の知識でもあるが、彼女は自分の事に妥協はしたくないらしい。

 

 

「宗教なんざ個人の自由だが人様の迷惑になるようなのは許せないねぇ。」

 

 

「戦場ヶ原さん話によるとここ最近家にも帰ってきてないみたい。」

 

 

「加えてそのムナンチョヘペトナス教と言うのは変な呪文を唱えて洗脳したりしているらしいの…」

 

家にも帰って来てないときたか…

 

さすがにこれは、俺一個人で対処するのは厳しいぞ?

かと言って時間が経てば経つほど被害は増える一方だろう…

 

 

するとひたぎちゃんは自分のスカートをギュッ…と握りしめ、俯いた

 

 

「おかあさんは私の話を聞いてくれなかった…最後に会った時も、私を見ていなかった…」

 

 

ひたぎちゃんのスカートに雫が落ち、染みを作っていく

 

顔を俯かせ、肩を震わせ、泣いているひたぎちゃん……

 

恐らく、今回の件をそのままにしておくと被害は酷くなる一方だ。

 

いつひたぎちゃんにまで被害が来るかは解らない。

ここで止めないと恐らくひたぎちゃんの心に深い傷が残ることになる………ならやることはひとつだ。

 

 

「…この件、なんとかしてみせる‼子供達が安心出来ない未来なんざ意味がねぇ‼ひたぎちゃんのおかあさんは俺に任せろ‼」

 

 

そういうとひたぎちゃんは涙を浮かべながらも笑顔で答えた

 

「隼さん…ありがとう………ございます…」

 

 

「隼さん…」

 

 

翼ちゃんは不安そうな顔をしているが俺は止まらない。

 

俺を慕ってくれる子供達は裏切りたくないしな。

ムナンチョヘペトナス教…

宗教に対して特に何とも思っていなかったが、ひたぎちゃんが傷付いてる以上放っておけない。

 

それに宗教にはまっているにしても娘を見ない母親ってのも気になる…最悪洗脳の可能性とかも考えるべきか?

 

どっちにせよまずは調べてみるしかないか。

…しかし、そんな宗教団体に俺一人でどうにか出来るとも思えないし、保険も考えておかないとな…助っ人でも呼ぶか。




次回、ダイジェスト+新キャラです。



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9話

更新しました~


後日…

 

ひたぎちゃんから聞いた情報を元にその現場(宗教)に行ってみた。

 

そして今回の協力者に話してみた結果…

 

 

数時間前…

 

とあるビルの一室、そこに俺事羽川隼と、今回の件の協力を頼んだ先輩がいた…

 

「最近金の羽振りが良いと言う宗教団体がいたが…成る程そいつらか。」

 

「知ってるんですか?」

 

「まぁな…と言っても奴等が宗教を語る詐欺集団だと言うことはあまり知られてはいない。何故なら、被害にあった連中が全員詐欺だと認識していないからだ。」

 

認識していない?でもひたぎちゃんの母親は…

 

「今回被害にあったその子供の母親だが…それは恐らく洗脳の類いだろう。方法までは解らんが、被害にあった連中は全員、正気ではないのは確かだ。」

 

 

「なら早く解決しないと…‼」

 

「そう言う事だな。」

 

 

そう言うと先輩は手に持っていたワインを飲み干した…

 

「今回の件で頼れるのは先輩だと思っています。…他の先輩方はなんと言うか…」

 

 

「だろうな。忍野は怪異絡みじゃないと基本動かない、影縫は武力はあるが揉み手には使えない。臥煙先輩なら解決出来るだろうが、理由なく他者を助けるほど酔狂ではない。」

 

「そもそも連絡先を知らないですからね…」

 

「そこで金次第で動く俺…と言うことか。」

 

断言、そうするように俺をじろりと見る先輩。

 

 

「まぁ、お前には臥煙先輩の厄介事に付き合わせた借りがある…だから今回に限り特別に………無料(ロハ)でやってやる。」

 

「っ…本当に特別ですね…」

 

「その代わり、やり方は俺が好きなようにやる。」

 

そう言うと壁に掛けてあった上着を羽織り、服を整える先輩

 

 

「しこたま金を溜め込んでそうだからな…仕事としては上等だ。」

 

 

そう言って部屋を後にする貝木先輩だった………

 

 

ー回想終了ー

 

 

「とりあえず後は貝木先輩のやり方に協力するだけだな。」

 

その貝木先輩からの連絡を待つ…

 

あの人なら解決してくれると思っている…まぁ、貝木先輩は金目的かも知れないけど相手も詐欺集団だから詐欺にあっても文句は言えまい…

 

 

 

そう思いつつ先輩を待つのであった…

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして、後日談と言うか今回のオチ

 

 

 

貝木先輩のやり方で宗教団体を内部から崩していき、そして金をむしり取ったらしい。

 

 

俺も工作兵として潜入していた。貝木先輩から100万円を渡されて、宗教団体のリーダーに渡したが、それも策だったのだろう。

 

 

内部からまだまともそうな人を集め、内部から瓦解させ、イカサマを突き付け、ムナンチョヘペトナス教のリーダーを撃破した。

 

因みに撃破した人は片目に眼帯を着けて、金属バットを振り回していた蛇柄コートのヤクザっぽい人だった…

 

 

 

そしてひたぎちゃんの母親だが…

 

 

 

ー羽川家ー

 

 

「本当に何とお礼を言ったら良いのか…」

 

 

「お礼なんて…ただ、ひたぎちゃんのお願いを聞いただけですよ。」

 

 

ひたぎちゃんのお母さんが我が家にお礼を言いに来ていた。

 

正気を取り戻したひたぎちゃんのお母さんは涙を流しながらひたぎちゃんを抱き締めていた…

 

ひたぎちゃんも同じように泣いていた…だけどそれは悲しい涙ではなく、嬉し涙だった…

 

「娘の…ひたぎの病気が治るようにお祈りをしたのがあの宗教団体でした…本当に願いが叶うならなんでもするつもりでしたが…」

 

 

藁にもすがる思いで来た人を騙すとはな…やっぱりあの宗教団体は潰れて正解ってか。

 

「ひたぎ…本当にごめんなさい。駄目なお母さんで…」

 

「ううん…そんなことないよ。だって私の病気が治ったのはお母さんがお祈りしてくれたおかげでしょ?…だから、お母さん…ありがとう‼」

 

 

これにて一件落着って事かな?

 

 

その後、改めてお礼を言われた俺は特に気にする必要は無いと言っておいたが…まぁ、ひたぎちゃんも笑顔になったのでそれで充分と言っておいた…

 

ひたぎちゃんが照れていたのか顔が真っ赤になっていたが…

 

 

そして後日、貝木先輩に話を聞いてみた所…

 

「今回の仕事は実に割の良い仕事だった…礼を言うぜ羽川。」

 

「こちらこそ、おかげでひたぎちゃんのお母さんも正気に戻りました。」

 

 

「予想通り、奴等は洗脳をしていた。中には効いていない奴もいたが…まぁ、誤差の範疇なんだろうな。金をしこたま溜め込んでいたぜ。これで暫くは金に困ることもあるまいよ。」

 

 

そう言ってワインを飲む貝木先輩…

 

何だろう…絵になるなぁ…

 

「羽川は知り合いの子供の母親を救い出せて、俺も金が手に入り得を得た…今回の件で俺が得るべき教訓は、例え人を陥れ金を得たとしても、その影で救われるかもしれない人間もいると言うことだ。」

 

「その教訓は一般的には使えないですね…」

 

 

基本人を騙して金を得るのは詐欺師だけだしな…

 

「当然だぁ…俺の教訓だからな。…あぁそれとな…ほれ。」

 

そう言って1枚の白い紙を渡してきた…これは名刺?

 

 

「俺の名刺だ。連絡先も書いてあるから、次回からは依頼として受けてやる。」

 

 

「はぁ…まぁ、ありがたく頂戴します。」

 

ゴースト・バスター…

 

 

流石にこれに引っ掛かる人はいないだろう…

 

そう思ってしまう俺だった…

 

 

 




ヤクザっぽい人とは…(笑)





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10話

遅れてすみません。


そしてお待たせしました。


宗教詐欺グループ壊滅後の翌日…

 

朝食を作りテレビを見ながら食事をしようとしていた時の事

 

『今日のゲストは先日の試合でノーヒットノーランを達成した猪狩守選手です。』

 

『どうも』

 

猪狩だった…

 

「あいつ、ノーヒットノーランとか達成したの?俺が工作兵やってる間にスーパースターになってるよ。心なしかキメ顔してるよ。猪狩じゃなくてキメ狩だよ」

 

 

『キメ狩じゃない猪狩だ。』

 

「おいスゲーよ、奇跡的に俺と会話成立しちゃったよ。」

 

朝食の食パンをかじりながらテレビを観る

 

『昨夜は素晴らしいピッチングでしたね。』

 

『ありがとうございます。』

 

一年目でありながら高卒ルーキーがノーノー達成をするのは非常に珍しいのであろう、いろんな人が猪狩に質問していっている。

 

 

『…では猪狩選手に質問します。ノーノーを達成しての感想をお願いします。』

 

『試合では常にベストを尽くせるように調整していますが、昨夜のコンディションなら完封を狙えると思って、それがノーノーだったのでただただ驚きでしたね。』

 

『そうですか…猪狩選手は入団時に周りからの期待が凄かったですが、やはり今年の目標は新人賞ですか?』

 

『当然狙います。そしてチームのエースを目指し、日本のエースと呼ばれるような選手になってみせますよ。』

 

猪狩はそれが当然と言わんばかりに次々コメントを残していく。

 

自信家で自他共に認める天才猪狩…

 

それ故にやっかみも多いと聞く

 

…と思っていたからか?共演者の人が猪狩に質問をしていた。

 

『しかし、ここまでルックス良し野球としての能力も高い人気者…親は猪狩コンツェルンのオーナー…人生の勝ち組ですね。更に本人はプロ野球選手として稼げる…いやー女性が放っといて置かないでしょう?人気もお金もルックスも良い野球選手なんて………』

 

そこまで共演者の人が言って猪狩が急に立ち上がった…

 

 

『………………この僕が………』

 

 

『ど…どうしました?猪狩選手…?』

 

 

『この猪狩守が!!金やちやほやされる為に野球をやっていると思っているのかぁ!?』

 

 

『ひぃ!!』

 

 

質問していた共演者の男の人が情けない声を出して驚いている…

 

『僕は野球が好きだから野球をやっているんだ!!金や人気はその付属品に過ぎない!!今日のノーノーで僕は警戒される投手になっただろう。それを踏まえて、練習して研究して相手を完封出来なければこのノーノーに意味はない!!野球とは常に人を成長させ進化させる、そんな野球が好きだから僕は野球に文字通り命を賭けれる!!金や名声、女性からの人気が高いのも確かにあるかも知れないが、そんなものの為に僕は野球をするんじゃない!!わかったか!?』

 

 

『は…はい………』

 

そう言って猪狩は席につく。

 

不覚にも格好いいと思ってしまった

 

 

 

 

 

 

その数日後…猪狩の人気は爆発的に上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そんなある日、翼ちゃんとひたぎちゃんから野球チームに入ったと報告があった。

 

「もう入れたの?」

 

「はい!他の子達も人が足りないから大歓迎って言われました。」

 

「早速私達の実力を見せつけてやりましょう?翼。」

 

「そうだねひたぎちゃん!」

そう、この二人名前で呼びあっているのだ。

 

「そのチーム名は?」

 

この辺の少年野球チームはそこそこ多い。

女の子しかいないチームも含めれば更に増える…最近は少年野球チームじゃなく、少女野球チームも注目されている。

 

「「おてんばピンキーズ!」」

 

 

「…………………」

 

 

早川の古巣じゃねぇか……

 



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11話

明けましておめでとうございます。
遅れて申し訳ございません。


さて、二人の少女がおてんばピンキーズに入った話をしている頃…

 

 

とある喫茶店_

 

 

「さて、今回みんなに集まって貰ったのは他でもない…羽川の事だ。」

 

 

数日前の放送にて人気が爆発した猪狩守…

 

「羽川?何であいつの名前が?」

 

 

ルーキーながら既にショートのレギュラーを奪ったスーパールーキーの一人友沢亮…

 

「え?隼君の話なの?」

 

マリンボールの使い手早川あおい…

 

 

「羽川先輩がどうかしたんですか?」

 

現在高校三年生橘財閥の娘橘みずき…

 

「みずき、それは私のだぞ。」

 

同じく三年生六道聖…

 

「あの…二人とも一回チョコパフェ食べるのやめないかい?」

 

同じ東條小次郎

 

 

「言っても聞かねーだろ?そいつらには」

 

猛田慶次…

 

 

「それで兄さん…羽川先輩がどうしたんですか?」

 

猪狩守の弟、猪狩進…

 

 

とある昼下がりの喫茶店にて有名所の野球選手が集まり、一人の男の事について話し合う事柄…周りの反応は推して知るべきである。

 

「現在あいつは社会人野球で色々活躍しているが………」

 

 

「社会人野球?あいつ、ドラフト断って社会人野球に進んだのか?」

 

そう友沢は水を飲みながら答える…

 

「ま、まぁ色々訳ありなんだ…隼君って…」

 

「あおい先輩!羽川先輩って確か…」

 

「うむ…子供を引き取ったという噂があったな…それが理由か?」

 

女三人組が各々スイーツを頬張りながら話している…幸せそうな表情なのはご愛嬌である。

 

 

「話しながらでもスイーツは食べるんだ…」

 

「そういや、ここって女性人気のスイーツがある喫茶店だっけか?」

 

周りを見れば確かに女性客が多い

 

 

 

―みんな何食べるー?

 

―チョコパー!

 

―ストロベリーサンデーを頼む

 

― クワトロベンティーエクストラコーヒーバニラキャラメルへーゼルナッツアーモンドエキストラホイップアドチップウィズチョコレートソースウィズキャラメルソースアップルクランブルフラペチーノおねがーい

 

―それ食い物ちゃう、飲み物や

 

などなど…

 

「居心地は良くないね…何で兄さんはここを?」

 

進は兄である守にそう問いかける。

 

「あおい君からの希望だ。丁度食べたいものがあるとね。」

 

「早川……太るぞ?」

 

「ふっ…!?は、はぁ!?太らないよ!!運動してるし!!」

 

上から守、友沢、あおいの順である…

 

「そーだそーだ!そんな簡単に太ってたまるもんですか!」

 

「みずきの言う通りだ。」

 

みずきと聖の言…しかし、目をそらしつつある…

 

「……ま、まぁとりあえず…羽川先輩の近況報告ですか?兄さん?」

 

「そうだ…いずれプロに来る僕のライバルだが…最近自分の会社の借金返済の為の試合を繰り返しているらしい。」

 

 

「会社の借金?また厄介事を……」

 

 

「高校時代からずっと厄介事に巻き込まれてるよね……」

 

猪狩兄弟の言に友沢とあおいが苦笑する

 

 

「そういえばここにいる人達って全員羽川先輩と何かしら関わりがあった人達よね?私と聖は練習試合が多かったから交流がわりとあったし…」

 

 

「僕も練習試合は良くしてたなぁ…初めの試合で完封されたけど…」

 

「地区予選で良く戦っていたな。最後の夏で負けたが…」

 

「友沢先輩の最後の試合っすか…あの時は悔しかったぜ…」

 

皆が思い思いに感傷に浸っていた…

 

 

「そこで…羽川の現状と能力を確認しておきたい。」

 

猪狩兄…守は1つの白い紙を鞄から取り出し…

 

「最近兄さんが色々調べていたのって……」

 

「そうだ…そしてこれが奴の能力だ!」

 

 

バンッ!と効果音が付きそうな勢いで紙をテーブルに叩きつける。

 

「いや、なぜ叩きつける?」

 

「演出…ですかね?」

 

呆れる友沢に苦笑気味の東條

 

全員がその紙に注目する。

 

「僕が調べた限りの能力がこれだな。あとは会社の者にやらせたよ。」

 

「(深くは聞かないでおくか…)球速151キロ…高校の時より速くなってるな。」

 

「変化球は…スライダー3カーブ3フォーク5シンカー3…この数値って上限7なのは何でなの?」

 

「仕様って事ですよあおいセンパイ。」

 

「む…スタミナBにコントロールBか…平均以上の能力だな。流石と言うべきか…」

 

「後は…ピンチに強く、打たれ強い。」

 

「バッターとしての能力も高くねぇか?ミートとパワーAだってよ。」

 

「走力Dに肩はA…守備力もBと高いですね。」

 

「バッターとしても充分優秀なんだ。あいつは。」

 

羽川隼の能力を見て驚愕する者、感心する者、それぞれ違いはあるがある一人を除いて皆は気付いた…

 

「何で羽川先輩がマリンボールを…?」

 

 

尊敬する先輩の、あおいの決め球を投げられるもう一人の先輩を思い描く。

 

 

みずきはあおいをほうを向いて質問を投げ掛けた……

 

 

 

.




もう少し仕事が楽にならないかな…?


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12話

生きてます…

遅れて申し訳ありません


喫茶店でそんな会話があっている一方…

 

「いくよーひたぎちゃん」

 

 

「いつでもOKよ翼。」

 

 

とある空き地でのキャッチボール

 

二人は距離を15メートル程離し、キャッチボールを始める

 

 

「野球と言う共通するものがあってすぐ仲良くなれた事はホントによかった…これで翼ちゃんの人見知りが良くなればなお良しだな。」

 

小学生時代に野球を初めてそれを大人まで続ける人は少ないだろう。

 

けど、草野球なり倶楽部なり、やる人はやるものだ

 

「翼ちゃんやひたぎちゃんが野球を続けてくれるならそれは俺としてはうれしいものだ。」

 

二人から離れた位置でキャッチボールを見守る隼

 

本人は何事も無ければプロ野球選手になっていた…

 

だが翼の存在…あの娘が、親に捨てられたあの娘が失意の闇に沈むのを黙って見ていることが羽川隼には出来なかった。

 

別段、特別に詳しいわけではないが翼の両親はお互いが再婚の夫婦であり、翼はその連れ子である。

 

血が繋がってはいない…ある種の奇跡のような女の子だった。

 

 

そんな女の子を放って置いてプロ野球選手になると言う薄情な事が出来る程浅い付き合いではない…

 

本人の性格にもよるが……

 

ー閑話休題ー

 

 

暫く二人のキャッチボールを見ている隼

 

 

 

「しかし小学一年生ではまだ試合には出して貰えないかもなぁ…人数が少ないとはいえ…ねぇ…」

 

軟式と硬式では雲泥の差があると迄は言わないがやはり軟式の方が安全である。

 

二人のキャッチボールを見ていてそう考えた隼。

 

 

 

そもそも軟式ボールとは1985年から2005年まで「ティンブル」というくぼみのある、ゴルフボールのような球であった。

 

 

 

それが2006年からM号球になるまで使用されていた、ティンブルがほとんどない形状に変更されている。

 

この変更で縫い目(縫ってはない)も若干高くなり、飛距離も約10%アップしたと言われ、縫い目が高くなった事で指にかかりやすくなり「直球は伸びる」「変化球は曲がる」と、投手は大喜びだったらしい。

 

ほかに、2バウンド目以降の高さが低くなって軟式特有の「叩きつけ内野安打」が減っていてその影響もあったのか軟式野球は強烈な「投高打低」になってしまった…

 

トップクラスの試合は基本的にロースコアであり、凄まじい衝撃を受けたのは第59回全国高校軟式野球選手権大会の中京高 対 崇徳高の「延長50回」の試合である。

 

 

 

ー閑話休題ー

 

体の出来上がっていない子供に無茶はさせられない…

せめて《小学三年生以上なら多少は大丈夫》だろう…

 

今からだと《二年後》の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………と言う訳で次回から二年後に飛びます(笑)



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