真剣で私に恋しなさい!SK-大切なものはココにある- (夏みかん)
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プロローグ 「きっかけ」
そこら辺を考慮していただき、読んでください。
この話は義経たちクローンたちに執事がいたら、の話です。
自分の妄想が爆発した作品です、どうぞ
プロローグ
ーーーー気づいていたら俺は盗みを何とも思わなくなっていた。金を払わずに施設を利用するようになっていた。そのことに何の疑問も感じないようになっていた。
周りは全員が敵。信じられる奴なんか自分以外にこの世にいない。俺はそう信じていた。この世の人間は自分のことしか考えていない。だから俺もそうする。俺は誰も信じずに、他の人のことなんか考えずに、一人で生きていく。
ある日、俺がいつものように幼稚園から帰ってきたら、家には何もなかった。
テレビも、机も、冷蔵庫も、俺の好きなおもちゃも、
そして両親も、
何もかもがなくなっていた。
俺は家中を歩き回った。
何か残っていないのか、何があるのか、ずっと探し続けて、歩き回った。
リビングの床の上に手紙が置いてあったのに気がついた。それがこの空間に唯一残っている物だった。
俺は手紙を手に取り、どういう内容か読んでみた。俺にも分かるようにひらがなで書いてあった。それで俺の今の状況がどういうことかよく分かった。
俺の両親は俺を捨てた
何でも、ひどい借金を抱え、家を出ることに決め、それで子供の俺は重荷になると判断して俺を捨てたらしい。
俺の目の前から金も、生きるために必要なものも、大好きだった両親もなくなってしまった。
今まで両親は、自分が欲しいと言ったものは笑顔で買ってくれた。無償の愛を受けていた。そんな母親が、父親が、好きだった。
だが、俺のそんな想いはすべて打ち砕かれた。一滴残らずその想いは消えてしまった。手紙にはごめんとも、寂しいとも、元気でねとも、書いてなかった。しかも親権を捨てていなかったようで、孤児院にも引き取られなかった。親戚も俺が捨てられたのは知らないだろうし、電話が無いので知らせるすべがない。それに、知っていたとしても俺は嫌われていたので引き取ってはくれないだろう。理由は分からないが、俺に一度も顔を見せたことはないし、話したこともしなかった。
どうやら俺は死ぬようだ。このまま死ぬしかなかった。誰にも受け入られず、拒絶され、死ぬしかなかった。親は俺が死んでも構わないらしい。それほど、俺の存在はどうでもいいらしい。子供の俺にでも分かった。
そんなの嫌だった。
そんなの受け入られるかよ、俺は何も悪くないのにこのまま死ぬなんて嫌だった。
俺は初めて生きたいと強く望んだ。こんな理由で死んでたまるかよ。
そして、両親を恨んだ。
あの頃の俺への愛はどこに消えてしまったのか。
自分が楽をするためにこうも簡単に俺のことを捨ててしまえる。そう思うと人間という存在のことを信じられなくなった。簡単に愛するものを見捨て、自分が生きることしか頭にない。
だから俺は一人で生きることに決めた。そんなくそったれの人間なんかに頼って生きるなんてことはしたくなかった。人間は自分を拒絶したのだから、俺だって人間を拒絶してやるさ。
当時の俺は六歳。働くこともできず、当然金もなかった。
俺が生きるためには人から奪いとるしかなかった。俺はそれが正解だと信じて疑わなかった。そのことに何の躊躇いも感じなくなった。俺は、足が速かった。大人なんかには捕まらなかった。そのうち、俺が盗みや無銭での施設利用を繰り返していたら警察にも追われるようになった。
だけど、俺はそれさえも何とか逃げ切ることが出来るようになった。俺は逃げているうちに足が速くなっていたのだ。これが生存本能というモノなのだろう。
俺はとにかく生きたかった。
そんな生活を繰り返していたある日。
俺は八歳になっていた。
あれから、やはり俺の家族や親戚が俺を探している様子はない。テレビで俺はちょっとした話題になっていたのにも関わらず、テレビではそいつらの姿が一向に出てこない。
俺は簡単に捕まらないために住む場所を転々としていた俺はある街にやってきていた。俺はその場所でも変わらず、いつものように空き家に入ってものを盗んだ。今日は酷い雨が降っていたから、なるべく雨をしのぐ物を中心に盗んだ。
盗んだものを抱えて出てくるとき、目の前には金髪の男が立っていた。普通の者ならば、自分のしたことが見られたと思い慌てるが、俺は全く動じずにその場から逃げるために横に逃げた。
こんなことはもう慣れていた。
そして、自分の視界からその男が消え、逃げきることが出来たと思った。
が、俺の足が突然、言うことが聞かなくなったような感覚に陥った。
バランスを崩した俺はそのまま前のめりに地面に倒れこんだ。今日は雨が降っていたので顔に変な不快感が襲った。さっきまで手に持っていた物は派手に転がって、手元から離れた。拾いに行こうと慌てて足を動かそうと思ったら、全く動かせなかった。まるで、自分の足がそこにないかのように。
「無駄だ。骨を折っておいた。もう立ち上がれんぞ、小僧」
自分の頭の上から、低く威圧感のある声が降ってきた。俺はその声に怯えた。そのとき、俺の心の中で一つの感情が芽生えていた。
殺される
人生で初めて恐怖を覚えた。
恐る恐る顔を声のした方に向けた。そこには先ほどの金髪の男がいた。表情は影になっていてよく見えなかった。
その時、俺は涙を流していることに気がついた。理由は分からなかった。その涙は止まりそうにない。俺はただ歯を食いしばって、涙が出てくるのを抑えようとしたがさらに勢いを増すばかりであった。こんなみっともない顔を見せたくなく、俺は俯いた。
「小僧、なぜ泣く。自分のしたことを今更悔いているのか?」
その男の声には誰にも有無を言わせない凄味があったが俺は怯まなかった。
「ちげーよ、ひっく。お、おれは…ひっく」
この男の声を聴いて、涙が出る理由に気がついた。俺は怖かった。このまま死んでしまうことに。このまま孤独で死んでしまうことに。それを可能にする力を、この男は持っていると分かったからだ。
「では、なんだ」
…生きたい。生きたい。生きたい! 俺はこれ以上ないほど強く願った。
「俺は…うう。…生きたいんだよおぉお。ひっく。…おではただ生きてえんだぁぁぁ」
自分がここまで怯えているとは思わなかった。俺は思いの丈を言った。声がこの上ないほど震えていた。
雨足はさらに強まる。俺の頬を伝うものが涙なのか雨粒なのか分からなかった。
その男は返事をしないので俺はもう一度上を見上げた。金髪の男の表情は視界が霞んでいてよく見えなかった。
殺されたくない、死にたくない、そんな思いが頭の中を駆け巡っていく。
生きたい! 一人だと生きることもできないのかよ! 一人だとこんなにも惨めになってしまうのかよ!
………だったら、誰かと生きてみたい。俺はふと思った。
誰かがいれば生きていけるかもしれない。
そう、両親と暮らしていた、あの頃のように。
一瞬頭をよぎったこの考え。そう思うと、俺の目から溢れ出てくる涙が勢いをさらに増した。
しゃくりあげる声もさらに激しくなる。両親に捨てられた、というのはまさに死ねって言われてるのと一緒なのだ。そう思うとどんどん哀しくなってくる。
捨てられた実感が生々しく甦ってくる。あの日の苦痛が甦ってくる。
俺は孤独なのだということを改めて実感する。
そして、もう俺はここで死んであの温もりを味わうこともできないと思うと、さらに哀しくなってくる。俺は、孤独のまま、死んでしまうのか。俺はこの世の終わりかのようにただ泣き叫んだ。
「そんなに生きたいか、小僧」
「小僧、小僧うるさい! 俺は神崎蓮だ……生きたい…よ」
「そうか……ならば神崎蓮、俺の下で働け」
「……え?」
急な言葉に反応が遅れた。意味が分からない。
「貴様はこれから俺の下で働け。そこで、お前は罪を償え。もしそれ相応の働きを見せれば、ここで見たことは白紙にしてやる」
…ソーオー、とかハクシ、とかよく分からない単語があってどういうことを言っているかは分からなかった。だけど、助けてくれる、と言っている事だけは分かった。俺が、生きられる…
「…殺さないのか? 俺を、こんな俺を、たすけてくれるのか?」
「そういうことだ」
信じられなかった。この俺を…助けてくれるって?
表情を確認したかったが、涙に覆われていてまだ見えなかった。
だが、この声は嘘をついているようには聞こえなかった。
いや、ホントであることを強く願った。
この男が何を考えて、何を思ってこう言ったのかは分からない。
でも、この男は俺を拒絶しなかった。俺にもう一度生きるチャンスをくれる。だから、信じてみようと思った。いまの俺は誰かと生きてみたいから。
返事をしようとしたが、そこで俺の意識は途切れてしまった。――
俺は九鬼の下で働くきっかけになったあの日のことを思い出していた。今は、立派に(?)仕事をこなしている。あの時のヒュームには本当に感謝している。
ヒュームがあの時あんなことを言ってくれたのは、俺の武術の才能があると見抜いて、かつ子供を刑務所に連行するのは少し酷だったからと言っていた。
だったら足の骨を折るなよ、と思ったがまあ理由はそれだけじゃないだろうとは思う。何を考えているか分からない。
ちなみに俺に課せられた仕事というのは主に…
「おーい、蓮。こっちに来てくれないか」
「ハイハイ、今行きますよ、義経」
なぜか、俺と年が同じの源義経、武蔵坊弁慶、那須与一、葉桜清楚たちクローンの護衛だった。
ヒューム曰く、「今まで散々、人のモノを奪ってきたんだ。だったら今度は他人のモノを護ってみろ」だ。
が、こちらも当然、理由はこれだけではないだろう。まあそんなおかげで、誰にも心を開かなかった俺に、大切な仲間ができた。
はじめ、俺は避けられてしまうのが怖かった。両親ですら自分の子を捨てるのだから、ただの他人が自分を受け入れてくれるのか?
だが予想に反して四人とも、俺のことを歓迎してくれて、嬉しかったのを昨日のことかのように思い出せる。俺のしてきたことは関係ない、仲良くしよう、と。
九鬼に拾われてからというもの、様々なことを学んだ。
武道、礼儀作法、勉強など、どれも大変なものだった。だけど、心をなくしてあの地獄の日々を送っていた時に比べれば、とても充実していて、楽しかった。俺は誰かと生きることに喜んでいた。
「蓮、義経は買い物に行きたいのだが、誰も一緒に来てくれない。蓮なら一緒に来てくれるよな?」
「ハイハイ、いいっすよ。ったく、つまらないことで呼ぶなよなあ」
「そんなことない。義経はいたって真面目だ」
「分かった、分かった。ほら、ぐずぐずしてないで、行くなら行こうぜ」
少し拗ねる義経を宥めてやった。
義経は他の三人と違って、少し幼いところがあって妹のようだった。うーん、なかなか可愛い妹だな…
「? 義経の顔に何かついているか」
じっと見ていたら義経が気づいたのでごまかそうと俺は義経の頭を乱暴に撫でてやった。義経は痛そうにしていたが、嫌がってはなかった。
義経は主に服を買っていた。やっぱり女の子は服に興味があるのかと黙認した。
俺はあまり女の子のそういうことは分からないのでつまらなかった。
欠伸の連発で、義経が服を持ってきて自分に合っているかどうか聞いてきたも、俺はああ、とか、いいんじゃない、などと適当に答えていた。んなこと聞かれても分かんねーよ。
だが、この時、義経は俺を自分に振り向かせるために、わざわざ買い物に誘って、自分に合っている服を選んでいるのを俺は知らなかった。
読んでいただき、ありがとうございます
投稿は不定期になるかと
最初は暗かったですが、ここからはマジ恋らしく、ギャグを混ぜていきたいと思います
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1章ー1話 「護衛としての一日」
それでは、どうぞ
「なんかこの部屋暑くないか?」
言ってはみたものの俺の主張には誰も反応しない。
あの清楚まで何食わぬ顔で本を読んでいる。よし、もう一度…
「こんな狭い部屋にこんなに集まってるから、暑いんだろうなあ。な、皆?」
「うるさいなあ、ちょっと静かにしててよ、寝てるのに。別に暑くないし、何言ってるの?」
弁慶に反撃までされる。まあそれはごもっともなんですけど、俺が言いたいのはそういうことではなくて…
「何で俺の部屋にナチュラルにみんないるんだよ!? さっさと自分のとこに帰りやがれー!!」
俺は爆発した。だが、みんな無反応。こいつら…
今の状況はこうだ。
まず、弁慶は俺のベッドを独占して寝ていやがる。
俺が寝ていたら、いきなり部屋に入ってきたと思ったら、襟を掴まれて無理やりどかされた。俺の扱い方がひどい。俺はお前らの護衛だろ…?
与一は部屋にあるテレビを独占して借りてきた自分の好きなアニメを見ている。いかにも与一が見そうなアニメだった。そういうのは自分の部屋でやれ、こちとらいい迷惑だ。
清楚は部屋にあるソファにちゃっかり座って読書している。そういうのって自分の部屋で落ち着いてするのが良いんじゃないの?
そして義経は床に座って地べたに横になる俺に勉強を聞いている。その顔は悪びれるどころか、俺に必死に頼っている顔だった。なあなあセニョール、ちょっと待てよ…
「ここって俺の部屋、だよな…?」
「ここは俺たちの部屋だ。 奴らが来るいざという時、ここが一番安全だからな」
「ちげーよ、俺の部屋だよ!? 与一、黙ってろ!」
「まあまあ、みんな集まってた方が楽しいよ。蓮君もそう思うでしょ?」
「清楚、お前本読んでるだけじゃん」
「ZZZ…ZZZ…」
「おい、弁慶、起きろ。マジで寝るんじゃあない」
「なあ、蓮。ここはどうやって解けばいいのだ?」
「…もう分かったよ。俺の降参。追い出すのも面倒くさい。好きにしてろ」
俺が音をあげるとマジで寝ている弁慶以外のみんなの表情は満足したような表情をしていた。こいつら本当に英雄のクローンかよ。だったら、当時の英雄たちも結構だらしがねえな。俺、歴史上の武蔵坊弁慶、けっこう好きだったんだけどな。
俺は一応、九鬼で働いている身なので、確かに部屋がとても居心地の良いものだった。
…義経たちの部屋と対して変わらないような気もするが。
だからと言って他のメイドや執事の部屋にどかどかと入ってくつろぐのも失礼極まりない。なので、同い年で、かつ気心の許している俺の部屋にみんなくつろぎにくる。まあ、その気持ちは理解できる。
いくら俺でもヒュームの野郎の部屋でこんな風にしていたら、良くて俺の腕一本、ヒュームの機嫌が悪かったら、全身が二か月使えないものにされるだろう。
いや、あいつの場合は性格の問題か…
まあ、それほどこいつらから信頼されきっていると考えると、仕事も問題なく出来ており問題が無い証拠なのでとても嬉しいのではあるが。
「そういや、お前たちって今度川神だかなんだかに編入するらしいな。そのための準備とかしなくていいのかよ」
だから、前まで過ごしていたあの島を離れて九鬼本社ビルの極東本部に来ているんだし。
「みんなもう済ませているから心配ないよ、蓮君」
「そうだ。それより、蓮の方こそ、準備したのか?」
「何のことだ?」
「なんのって、蓮も一緒に編入するんだぞ」
「え゛」
「知らなかったのか? てっきりヒュームさんに聞いているのかと思った」
義経は驚いていた。まさか、護衛である俺が知らされていないとは夢にも思わなかったようだ。
まあ普通の反応だろうが、いやいやそんなの初耳だし。いや待てよ、こいつらのお守りが仕事なんだからそれもまあ当然と言えば当然か。
「んだよ、面倒くさいなあ。俺のお守りなんかなくてもお前らで充分だろ、学校なんか」
「ヒュームさんの伝言があります「断ったら殺す」だそうです」
清楚が俺を見てヒュームの真似を一生懸命にしているのが可笑しかった。あの清楚が、しわを頑張って寄せているのが可愛かった。まあ可愛い顔して言う言葉じゃないが。
その口ぶりからすると、どうやら俺に拒否する権利はないらしい。
俺はヒュームにむかつくことは山ほどあるが、それでも一生の恩があるため頭が上がらない。
あの時のことが無かったら、俺は今ここにはいない。
「あそこは英雄とかあずみもいるんだよな」
「そうだ。なんでも、義経たちは武士道プランによって編入するらしい」
「へえ、武士道プラン、ねえ」
「なぜ、義経が蓮に教えているのだ? 普通は逆ではないのか?」
確かになんで俺は知らないんだ?
それはもっともなんだが義経に指摘されると何だかムカつく。
俺はむっとしたので、義経の頭にデコピンしてやった。
義経は躱すことが出来ず本気で痛がっていた。その様子を見て俺はゲラゲラと笑った。義経はデコピンをされたところを押さえて不満そうな顔をしていたが俺はそんなの気にしない。
「じゃあ、俺はそろそろ体鍛えに行く時間なんで」
俺はそう言って立ち上がった。部屋を出る前に「部屋を荒らすなよ」と言っておいたが、義経の表情は微妙だった。さっきのデコピンの仕返しをするつもりなのかもな…俺は溜息をつきながら、クラウディオさんとヒュームが待っているトレーニング室へと向かった。
------------第三者視点----------
「蓮君、やっぱり優しいな」
「そうだな」
彼女たちには分かっていた。自分たちが蓮と一緒に川神に行くと聞いて、彼は自分たちの為に修行しに行ったのだということを。
少しでも強くなって、自分たちを守れるように。彼は一見、というか実際、かなりの面倒くさがりやで、態度も悪いし、仕事本当にしているのか?
そう思えるような彼だが、なんだかんだで彼女たちのことは大事にしている。
「さすが、義経が惚れただけのことはあるね」
弁慶はいつの間にか起きていた。と言っても眠たそうではあったが。
義経は弁慶の言葉に顔を赤らめた。
義経は中二のころか、修行の最中に自分が大怪我を負ってしまったとき、蓮は義経のことを一瞬たりとも休まず面倒を見てくれた。
そして、俺の目が届いてなかったばっかりに怪我をさせてしまいすまない、と何度も謝っていた。
そんな彼の優しさに義経は心惹かれた。
その時から、義経は蓮を見続けた。ずっと気になっていたのだ。
度々、買い物に誘っていたが、もちろん彼は仕事のうちだと思っているためあまりデートと言う感じには絶対にならなかった。
人の感情の揺れや、心境を鋭く見抜ける彼だが、何故か彼自身に対する義経の恋愛感情だけには鈍かった。
「蓮もいつ義経の気持ちに気づいてくれるのか…罪な男だな」
「べ、弁慶。蓮に、し、失礼だろ」
「慌てる義経も可愛いねえ」
弁慶はベッドから降りて義経の頭を撫でた。その撫で方は義経を可愛がっている撫で方だった。
------------神崎蓮視点-----------
「今日も一日、ありがとうございました!」
「お疲れ様です。いい返事ですね。気合が入っているようですね」
一日分の鍛錬を見てくれたクラウディオさんに深くお辞儀をした。
俺はこの人を本当に尊敬する。多分、九鬼にやってきてから一番尊敬したと思う。
何やってもできるし、礼儀正しいし、この人は俺の目標だった。
俺はこの人みたいになれるように目指しているが、実力以外の部分ではまあ俺の怠惰が邪魔してなかなか近づけないでいる…
それに比べて
「ふん、まだまだ赤子だがな」
うっせーよ、ヒューム! 俺には何でこんな他人に対して失礼、しかも弟子を可愛いとも何とも思わないこんな奴が九鬼従者部隊の永久欠番をもらっているのかが謎で仕方がない。
俺も人のこと言えないぐらい失礼な奴だと皆には思われているだろうが…まあ、確かに爺のくせにバカみたいに強いけど…
「おい、貴様。今バカにしているだろ」
「し、してねえよ」
俺は顔が引きつった。心まで読めるとは、本当に化け物極まりない。こんな爺なのに…
「ふん!!」
「ぐはぁ! いっっってえぇえ!!!」
「ここまで鍛えてやったことへの感謝が足らんぞ」
「か、感謝してるっつの」
いきなり蹴りを入れられて壁まで吹っ飛ばされた俺は悶絶しながら答えた。これは本音だ。
それが分かったのか、それとも俺を蹴れて満足したのか、ヒュームは納得したような顔をして俺にさらに仕掛けようとしていた蹴りを止めた。
くそ、蹴られたところが痛い。俺は蹴られた腹をさすった。うう、覚えてろよ。一日分の鍛錬が終わったら毎回、必ずこんな風に攻撃されるが、俺はよく死なないなと、自分で思う。くそっ、いつか、てめえをギャフンと言わせてやる。
「ですが、今の蹴りでその程度のダメージで済むとはやはり蓮様は強くなられております。今のは、あずみでさえ、気絶はするであろう威力でしたから」
「そ、そうなのか?」
「はい。自信を持ってください」
俺は意外に思った。俺はクラウディオさんとヒュームにずっと鍛えられてきてどのくらい強くなっているのか今一つ分からなかったからだ。
褒めてくれるクラウディオさんはやっぱり優しいなあ。嬉しくなった俺は頭を掻いた。俺ってここまで強くなっていたんだ…いや、やっぱり具体的には分からないが
「まあ、この程度で調子に乗ってもらっては困るがな」
「分かってるよ。いつか、あんたから永久欠番の座を奪ってやるつもりだからな」
「ふん、いい心意気だ」
ヒュームにも褒められた。まあ、実力とは関係がないところでだが、ヒュームに褒められることは滅多にないため、より嬉しくなった。今日はいいことづくめだ。俺はもう一度二人に深くお辞儀をして部屋を出た。
しっかり汗をかいた俺はまっすぐに自分の部屋に戻った。だが俺は忘れていた。部屋にみんながいることを。
そして俺は自分の部屋の風呂にさっさと入りたいがために通路の途中で上半身を脱いでいたのだ。
部屋にはやっぱりみんなまだいた。なんでまだいるんだか。
そして俺を見た女性陣からいろんな反応が飛び交った。
「きゃあ! れ、蓮君、は、早く服をき、着て!」
「よ、よよよ義経は見ていないぞ…」
「おお、蓮もいよいよ本能を剥き出しにしてきたね」
義経と葉桜は顔を赤らめていた。義経はぼそぼそと声が小さすぎたので何を言っているのか聞き取れなかった。弁慶は何も気にしていなかったが、俺がそういう対象として見られていないと思うとちょっとがっかりした。というか、何で弁慶は逆にこんなに落ち着いているんだよ。与一は何かやらかしたのか、何故かゴミ箱に突っ込まれて気絶させられていた。恐らく、俺がいない間に弁慶の怒りに触れたのだろう。頼むからゴミ箱はやめてあげてよ。
俺はもちろん恥ずかしかったので
「早くでていけー!!」
と叫ばさせてもらった。
これが主に俺の一日だ。俺の部屋に皆が来るのも、俺がヒュームに理不尽な暴力をされるのも、悲しいことに毎回のことだ。まあ退屈はしていない。面倒くさいことは嫌だけど、つまらないのはもっと嫌だからな。
これが川神学園に入ったらどうなるのだろうか。俺は少々不安だった。
ストックはまだまだあるので暇なときに更新していきます
ちなみにタイトルのSKは
S=主人公
K=神崎蓮
の略です
主人公は義経たちによく懐かれている設定です、あと英雄とかあずみたちメイドにも
それにしても義経はくっつけようかくっつけまいか悩み中です
文章はなかなか上達しませんが、暖かく見守ってください
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1章ー2話 「東西交流戦」
これがこんなに難しいことだとは思わなかったです
引き続き、どうぞ
俺も義経たちと一緒に川神に編入すると知ってからは、俺は今まで以上に修行を厳しくした。
川神と言えばあれだ、武神とかいう世界が誇る化け物がいるからな。しかも、揚羽さんを倒したそうな…おっかね
そんな奴が万が一義経たちに危害を加えようとなったら、大変だからな。俺が守ってやれるようにしなくては、という思い一心で修行をしていた。
「最近は真面目にやっているようだな」
「まあ一応、ね。ったく、なんで川神なんだよ? わざわざ俺の仕事が増えそうなところに編入させやがって」
「ふん、文句を言っても何も始まらんぞ。もう決まったことだ」
「へいへい」
ホント、川神って確か決闘とかいうシステムもあるじゃねえか。それって、川神はそれほど戦い好きなんだろ? そしたら絶対、義経たちが人気者になるじゃねえか。俺はそれをいちいち見なくちゃいけない、と。はあ、面倒くせえ
「無駄口叩くな!」
「何も言ってねえよ!」
最近、さらにヒュームの指導も厳しくなったような気がする。全く、つかれ…っと、アイツは心まで読んでくるからな、これ以上どつかれないように無心でやらなきゃ。
俺はずっとヒュームからいつ理不尽な暴力がきても大丈夫なように警戒しながら鍛錬を積み重ねていった。集中できねえよ、クラウディオさんと変われや
一日分のノルマを終えて俺は自分の部屋に戻った。今は九時だし、流石に誰もいないだろうと思っていたのだが、与一がベッドでふんぞり返ってラノベを読んでいやがった。ベッドにダイブしたかったのに、邪魔だな。
「お前、少しは遠慮しろ」
「ふん、そんなもの。連中の前ではくその役にも立たないからな」
その無遠慮さの方が、かえって役に立たないと思うが…
俺に気がついた与一はかっこつけているのか、頭を悩ましく押さえながら、足を組んでポーズを決めている。これだから中二病は鬱陶しい…
「ハイハイ、分かった。分かったからそこ退け」
与一は仕方がないなと言わんばかりに表情を歪ませてベッドから離れた。舌打ちまでしやがった。いちいち行動がやかましいな。
「お前の部屋は無防備だな、簡単に侵入できてしまう。罠の一つでも仕掛けておけ、心配で夜も眠れないだろう」
「そんな心配してねえよ!」
与一がドヤ顔で言うので、すかさず突っ込みを入れる。呆れた。こいつはそれだけの為に俺の部屋に来たのか? このままだとこいつのペースに乗らせることになるので話を変えた。
「俺たちは明日から川神に編入だな」
「ああ、そうだな」
与一の顔は余り明るいものとは言えなかった。普段通りのけだるい顔をしているが、それ以上に嫌嫌オーラが顔に出ている。俺は何かあるのかと勘付いた。
「どうした、不安か?」
「ああ、川神なんて世界に知られているじゃないか。そんなとこに俺たちが通っていたら、いつ“奴ら”に気づかれるか分かったもんじゃない」
与一のその言葉は全力でスルーした。いちいち反応していると会話が全然進まなくなるから。この中二病って病気に特効薬無いの?
「他にもあるんじゃないのか?」
「…」
「図星だって顔に書いてあるな」
与一の表情は曇っていた。どうやら、俺になにか用があったのは間違いないらしい与一はしばし硬直していたが、観念したかのように表情が砕けた。手をオーバーにあげて肩をすくめていた。本音を言う気になったのは良いが、その中二病による鬱陶しい動作はどうにかならんのかね
「…蓮にはお見通しだな。そうだ、俺は学校なんて行きたくねえ。行く気なんかねえよ。馴れ合いな
んて、意味がねえと思っているからな」
与一は他人とは余り関わりたがらない。それは知っている。だから、こんなひどい中二病になっているのだし。この調子だと川神学園で面倒くさいことが起きそうだ。やれやれここは一つ、行ってもいいな、くらいにはさせないとな、護衛として。そして、友として…
「そんなことかよ。…関わりたくないなら関わらなければ良い」
「蓮?」
「学校なんて、ただ勉強しに行くだけだと考えればいいんだよ。周りなんか気にしなくていいんだ
よ。お前が自由に過ごしたいようにすればいい。護衛の俺も何とかするさ。俺だって面倒事は嫌だからな」
「…ふーん、学校つってもそんなもんか」
俺は力強く頷いた。何も気負う事なんてないんだ。なんか嘘を教えているような気がしなくもないが、面倒くさいことは避けるに限るとは思う。与一はほっとしたのか先ほどまで真剣だった表情は消え、またいつものけだるそうな表情に戻った。
これで、学校に行く気にはなったかな
「部屋に勝手に入って悪かったな。じゃあな」
「おう、悪いと思ってんなら今度来るときいいもの持ってこいよ」
こんなこと言ったって絶対にアイツは何も持ってこないけどな。
与一が部屋を出て、俺はベッドに横になった。そして俺は風呂に入ろうと思っていたのだが、いつの間にか寝てしまっていた。
翌日になって、早朝に俺はシャワーを浴びて準備をした。もちろん、川神に編入する準備だ。正式に通うのはいよいよ明後日だ。
ホントは今日から学校に通うのは今日からなのだが、あいにく今日は川神と天神館との東西交流戦だったらしく、俺たちのことを知っているのは、まだ英雄とあずみぐらいしかいない。
天神館の奴らが川神に修学旅行がてら勝負を吹っ掛けてきたらしい。勝負を仕掛ける天神館も天神館だが、それを受ける川神もなかなか血の気が多い。
俺は義経たちと一緒にヘリコプターに乗って戦場を見に行くことになった。なぜ、わざわざ向かうのかというと、自分たちに何かできるコトがあるはずだと義経が張り切っていたからだ。
清楚と弁慶と与一は何で一緒に来るのかは分からないが。
ヘリコプターではそこには見慣れない光景があった。義経が制服を着ていたのだ。
「制服かあ。なかなかにあってんじゃん」
「そ、そうか…」
義経は照れていたが嬉しそうであった。
「何で蓮まで制服なの?」
「あのなあ、俺だってお前と同い年だぞ。制服を着て何が悪い」
「いやあ、新鮮だなあと思って」
俺はごまかしたが、制服を着ていたのは義経の護衛としてこいつが万が一にもこれから向かう戦場に降りて戦う時に見守るためだ。
弁慶は俺をからかうのが楽しいらしく、意地悪な笑みを浮かべている。それを機に、皆の表情がいつも通りになり楽しそうに会話をしていた。
「お、そうこうしているうちに戦場に着いたぞ」
ヘリコプターから真下を覗いてみると、生徒同士が戦っているのが分かった。今は二年生の試合らし
い。形勢は今のところ川神の制服を着ている方が押され気味であった。
川神頑張れよ! 俺は心の中で叫んだ。
二年生ということは英雄がいるはず。俺はそう思い、英雄を探してみた。大体全体を見渡したところでようやく見つけたと思ったら、隣にあずみもいた。どうやら、自分からは戦っていないらしい。俺は義経がはしゃぎ過ぎないようにするために来ただけだが、英雄たちと話したくなった。
「んじゃま、俺英雄の様子見てくるわ」
そうみんなに言い残してヘリコプターから飛び降りた。
義経が心配だったが、まあ降りてきたら分かるだろ。
ヘリコプターから飛び降りるというものは気持ちよかった。風が突き抜け何とも言えぬ爽快感がそこにはあった。しばらく俺はその爽快感に感動していた。
俺は着地に備えて空で体勢を整えて、迫りくる地面に意識を集中した。
俺は足にめいいっぱい力を込めて、着地の瞬間に足を屈折して地面との衝撃を少なくした。
見事に音を立てずに着地することが出来、英雄もあずみも後ろにいる俺にはまだ気づいていなかった。おいおい、あずみは気づかなきゃダメだろう。あとでこいつの上司であるヒュームに報告だな。
「おい、あずみ。気づかないなんて情けないぞ」
俺の言葉にその場にいる者全員が警戒の目で俺の方を振り向いた。どうやら、敵がやってきたと思ったらしい。ほとんどが俺は知らない顔ぶれだった。当たり前だけど。
「お前、いつの間に!」
「おお、蓮ではないか! よく来てくれたな!」
俺の顔を知る英雄とあずみは敵ではないことに安堵していた。他の生徒も二人の知りあいだと気がついて、警戒していた目を緩めた。英雄はクラスでリーダーのような存在なんだなと理解できるシーンだ。
「英雄、この方は?」
「我が友トーマよ、紹介しよう。こいつは我が九鬼家で働く最年少執事、神崎蓮である。年は同じだ
から、よろしくやってくれ」
「よろしくな。訳ありで今日から川神に編入することになった。彼女募集中!」
若干褒められたような気がした俺は調子に乗ったことを言ってみたら何人かの女子が反応してくれた。俺はいい印象のルックスらしく嬉しくなった。
…あともう一人、反応する男が英雄の近くにいたけど。
「どうです、今度一緒に水族館にでも」
「英雄、こいつ誰だ」
「蓮よ、紹介しよう。我が友の葵冬馬である。仲良くしてやれ」
「う、うん。分かった。考えてみるよ…」
俺は葵という男のさっきの発言に妙な寒気がした。どうやら、あまり深くかかわらない方が身のためだな。俺は直感した。
「ち、来るならもっと早く来い」
「おいおいあずみよー。俺の到着に気づかなかったくせにやけに偉そうな態度だな」
「うるせー、とにかく今は状況を見てわかるようにこっちが押されている。折角だからお前、行ってこい」
「そうだな、我らの最高戦力が来たのだ。大将退治は貴様に任せよう」
二人ともノリノリだな、おい。表情もどこか緩んでいるような気がする。二人とも俺に久しぶりに会えて嬉しいのだろう。
俺の仕事は主に義経たちの護衛だが、時々英雄とあずみに連れられて一緒にどこぞの会議に参加させられることもあった。そのおかげか英雄は俺のことを気に入っていて、呼び捨てで良いと言ってくれた。まあもとから俺に忠誠なんて意識はあんまりないんだけどね。
「やれやれ、あずみだけ言うんだったら断ってたが英雄にそう言われたら行くしかなくなるじゃねえか。わーったよ、ちゃっちゃと行ってくるよ」
俺としてはただ久しぶりあった英雄とあずみと話していたかったのだが英雄に言われたので、まあ九鬼で働いているわけなので、行くしかなかった。
面倒くさいが行くか。俺は渋々、激化する戦場に向かった。
大将を倒して来いと言われたは良いが、特徴教えもらい忘れたし、俺の知らない奴ばっかりだったのでとりあえず一番強そうな気を持っている奴がそうなのだろうと見当を立てて探しに行った。
歩いても歩いても右も左も戦闘をしていた。なんともやかましいんだ。
俺は気を探って、誰が一番強いかなー、と調べていたが、今のところ特に強そうな人無し。
変な軍人さんに気づき、なかなか強そうだから大将か? と思ったのだが、天神館の女の子をめったくそに殴っていたので違った。俺は引き続き探索をする。
しばらく歩いていて、いつの間にか川神の制服を着ている方が圧しはじめたので俺は帰ってもいいかな、と思った。だって、結構倒してるぜ、川神の奴ら。俺もういいだろ、と俺ははるか上空に漂っているヘリコプターに戻ろうとしたら、いきなり気が跳ね上がった奴を感知した。
ようやくお出ましか。
そいつが大将だと思った俺はその気がある方に急いで向かった。
到着してみると髪が金髪に輝いている男が刀を川神の生徒に振り回していた。その川神の生徒の避け方はあまりにも滅茶無茶でとてもお世辞にも綺麗だとは言えなかった。
このままではいずれやれてしまうだろうと思い、俺はそいつの下に駆け寄ろうとした。
が、空から、いや俺が乗っていたヘリコプターからといった方が正確か、降りてきて金髪野郎の後ろの太いパイプを駆けて降りてきている存在があった。俺はそれが誰なのかすぐに分かった。何やってんだ、あいつは?
「源義経、推参!」
義経は素早く降りてくると一直線に金髪野郎目がけて走った。金髪野郎はその存在に気づくも一歩遅く、すでに義経が切りかかっていた。
「ぐはぁ!」
金髪野郎に鋭い一撃が決まった。するとさっきまでの髪の勢いがなくなり、黒色になっていた。その男は為すすべもなく、地面に倒れた。なんか、気絶する前にゴニョゴニョ言っていたが聞こえなかった。
「た、助かった…。君は川神の生徒だっけ?」
「源義経だ。義経は今日から川神に編入したので問題ない」
「そ、そうなのか。俺は直江大和。改めて、助けてくれてありがとう、義経」
大和という男はそう言って義経に握手を求めた。義経もそれに応えた。俺は義経が何をしに来たのかを問い詰めるため二人に近づいた。
「おーい、義経。お前、何やってるんだ?」
「あ、蓮。というより、なぜ直江君を助けてやらなかったんだ?」
「今来たばっかだっつーの。偉そうに、するな」
なるほど、やられそうになっていたこの男の助けに来たわけか。とりあえず、俺は義経の頭にデコピンしてやった。義経は痛そうにしてこっちを涙目で訴えていたが、俺はそんなの気にしない。
前にもあったな、こんなやり取り。というか、このやり取りはいつものことか。
そのやり取りを傍から見ていた川神の生徒らしき男は困惑していた。
「えーと、あんたは誰だ?」
「うん? こいつは義経だ。よろしくやってくれ」
「蓮、義経はもう自己紹介をした。蓮のことを言ってるんだぞ」
「あれ、そうなの」
いや、こいつらの会話は聞こえていたから知っていたけどね。
「俺は九鬼で働いてる神崎蓮だ。仕事は主にこいつとかその他もろもろの護衛だ。俺も川神に今日から編入することになった。2-Sに入る。よろしくな」
「そんな年で九鬼で働いてるなんてすごいな。俺は直江大和だ。こちらこそよろしく」
大和はそう言って手を差し出してきた。なるほど、こいつが英雄の言っていた直江大和、か。英雄から話を聞いていた通り、どこか違った雰囲気を持っている。大和の差し出した手を俺は応えてやった。すると、あっちの方で赤い髪のポニーテールの女の子が相手の制服着た先生(?)を倒していた。どうやらこれで完全勝利らしい。
「ふぅ。じゃあ、帰るぞ義経」
「分かった。じゃあな、直江君」
「ま、待ってくれ。義経には勝鬨を上げてもらわなきゃ」
行こうとする俺たちを大和がそう言って呼び留める。
「よ、義経がしてもよいのか?」
「ああ、ぜひやってくれ」
「良かったな、義経」
義経は少し照れながら、ごほんと咳払いした。まあ、今までこんなことは島にいるときでもなかったからな。嬉しそうだな。義経は改まって深く息を吸っては吐いてから
「敵将、全員倒したぞー!」
すると、そこここから怒号のような雄叫びが飛び交った。勝ったと知って、みんな喜んでるようだった。やれやれ、川神は血の気が多い奴ばっかりだな。俺は仕事が多くなりそうな予感がして、辟易した。義経の勝鬨に満足した様子の大和はうんうんと頷いて手を振ってどこかに行ってしまった。さてと、俺たちも帰るとしますか…
「ところで蓮。義経たちはどこに帰ればいいのだ」
「むっ」
俺は義経がやってきた空の方を見てみるがヘリコプターはどこにも見当たらなかった。そこは残っていろよ、なんで帰っちまうんだよ。
俺は帰り道は知っていたが故、その遠さに絶望した。まあ、俺が全力で行けばどうってことはないが…
義経は俺の方を向いて心配そうな顔をしていた。帰れるのか、と涙目で俺に訴えている。それぐらいで不安がるなよ。
「やれやれ、ヘリコプターがないとはな…。ちっ、仕方ない。義経、俺にしっかり掴まれ!」
「蓮、何をするのだ? て、うあ!」
俺は義経を無理やり抱き寄せて、体を持ち上げた。俺はそのまま俺の胸板に寄せて、義経の膝の裏と肩を手で抱えた。まあ、いわゆるお姫様抱っこをした。
---------第三者視点--------
「れ、蓮。こ、これは!?」
義経は顔を真っ赤にしてひどく狼狽した。それもそうだ。思いを寄せている男にお姫様抱っこをされて困惑しない女の子はいない。
義経は急にこんなことをされて恥ずかしい気持ちになった。
自分の体温がどんどん上昇していくのが分かる。心臓はこの男に聞こえてしまうのではないかというぐらいに激しく脈を打っていた。顔も近くて、まともに見られない。蓮はそんな義経の気持ちなんか知らないので、その様子にどこか具合が悪くなったのか心配になった。
「どうした義経。苦しいか?」
「い、いや、あの。そ、その…」
「? なんか大丈夫そうだな。じゃあ俺の首に手をまわして、しっかりつかまってろよ!」
「……は、はい」
義経の声は消え入りそうだった。今の義経はそう答えるので精いっぱいだった。
---------神崎蓮視点--------
義経のやつ、俺の顔もまともに見てくれない。まさか、俺が落すと思って不安になっているのか? ったく、なめられたもんだぜ。
「心配するな。死んでも離さねえからなあ!」
「ふぇ!?」
なんか間抜けな声出してる。
そしてますますうつむき小さくなる義経をみて、がっかりした。
少しは信用しろよ…。護衛の身としては泣きたくなった。
が、ひるまず俺は足に思いっきり力を込めて空に向かってジャンプした。
うーん、空を飛ぶのって気持ちいいなあ。俺は思わずその気持ちよさににやけてしまった。
義経は相変わらずだんまりしていて、俺は少々つまらなかった。ちぇ、喜んでくれるかと思ったんだけどな。俺は、なるべく義経が地面に着地した時に衝撃を受けないように気を遣った。しかし、人の体って温かいんだな。俺は改めて人間の体温というモノを認識した。
俺は飛んでいる気持ちよさに途中から、義経の首を掴む力が強くなっているのに俺は気がつかなかった。
「お、戻ってきたみたいだ」
九鬼のビルに着いてヘリコプターから降りた弁慶は俺が帰ってきたことに気がついてくれた。丁度よかった。何とか義経を離してくれ。俺、多分人生で一番醜い顔をしていると思う。
「どうしたの、蓮。目が充血しているけど?」
おう、そうなんだ。助けてくれ。俺は今、声が出せない。というか、本当にこのままだと息が止まる。
「喋らないけど、本当にどうしたんだ」
「ねえ、弁慶ちゃん。蓮君の様子、何か変だよ」
そうなんだよ、変なんだよ。流石は清楚。俺は手が使えないから身振りで今の状況を伝えようとしたが、とても無理だった。
「なんか変だね、蓮君」
「踊ってないでさっさと手を離しなよ」
無理だ、今苦しすぎて手の感覚がなくなりかけてる。
「義経、何やってるんだ?」
そうだ与一、いいところに目が行くな。流石は弓兵だ。
こいつが俺の首を折るのか!?ていう力でつかんでいるんだ。早く気づいてくれ!
「…なるほどそういうこと。義経、早く離してやりな。蓮が死んじゃう」
「…べ、弁慶? あ、着いたのかってああ! す、済まない蓮!」
忘我していた義経は気づくと素早く蓮から離れた。お、俺もう死にそう…。
「た、たすか、たすかたあ。し、死ぬかt、げほっげほっ!」
「れ、蓮!」
義経は倒れる俺に素早く駆け寄ってくれた。さっきから気づいてなかったのかよ。
意識がだんだんと薄れていく。与一が俺に何か叫んでいたが、俺は聞き取れなかった。
なんとか落ち着こうと思ったが、俺の意識はとうとう途切れた。
俺は意識が途切れていて知らなかったが、あの後クラウディオさんが助けてくれたらしい。
全く、義経に殺されかけるとは思わなかった。
字数が安定しなくてすみません
自己満足の小説ですが、楽しんでいただけたら幸いです
それにしても、A-2,発売遅れないといいですね
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1章ー3話 「朝の挨拶」
それでは、引き続き、どうぞ
「武士道プランの申し子たちは全部で4人。残り三人は関係者じゃ。
まずは3-S。葉桜清楚、前へ」
「だ、大丈夫かな…緊張する」
「大丈夫だって。行ってこい」
「う、うん。よし!」
遂にこの日がやってきたのか。ますます面倒くさくなりそう…
今日は正式に皆に自己紹介をする日だ。
武士道プランの発表によって注目を集めていたクローンの子たち、今俺の目の前にいる人たちだ。清楚と義経はそれで緊張して硬くなっているから俺が何とか緊張をほぐしてやってる。確かに緊張はしちゃうな。
それに比べて弁慶は落ち着いた表情をしていた。自分の手に持っている瓶を見ていたから川神水を飲みたがっているだけかもしれないが。
与一は一人隅の方で、黄昏ていた。こいつは来る途中に何度も何度も逃げ出そうとしていたので俺がその度に捕まえていた。相当嫌なんだろう。自己紹介ぐらい別にいいじゃねえかと思うけど。
恐らく、こいつは何も言わないだろう。こいつの紹介は俺からしておくか…面倒くせえな
「こんにちは、初めまして、葉桜清楚です。皆とお会いできる日を楽しみにしていました。
これから、よろしくお願いします」
清楚が壇上に上がって、ふわり、と挨拶をした。すると、校庭に並ぶ生徒から野太い歓声が湧き上がる。男子どもが清楚に色めき立っているのだ。
まあ、分からなくもないが、煩いなあ。
「学長、質問がありまーす!」
お? よくも全校の前で質問なんて出来るな。確かに葉桜清楚なんていう偉人はいないから気にするか。護衛を務めている俺や、英雄にも知らされていないし。
「全校の前で大胆な奴じゃのう、言うてみい」
「是非、3サイズと彼氏の有無を…!」
あー、なんだそっちか。
確かに清楚は美人だが、よくもそんな質問、全校の前でする気になったな?
質問してたやつはなんか鞭を持った先生にしごかれてるし。
「阿保かい! …まあ3サイズは気になるが」
おいおい、この学長さん、この年で何言ってるんだか。まあ、もちろん清楚は恥じらって答えなかった。誰でも普通は答えないよな。
そのあと、清楚は正体が自分でも聞かされていないこと、25歳になったら教えてもらえること、それまでは学問に打ち込めと言われていること、を説明した。自分では清少納言の辺りでは、と言っているが、違うような気がする。俺の勘だが、そんな大人しそうな偉人ではないと思う。
「次は2-Sに入る四人。まずは、源義経、武蔵坊弁慶、前へ」
学長の声に俺は義経たちを見る。義経のやつ、上手く出来るかな? アイツ真面目だけど、どこか抜けてるんだよな。二人が壇上に上がるのを俺は黙って後ろから見守っている。
「こんにちは。一応、弁慶だそうです。よろしく」
弁慶が超適当に自己紹介を終えると、またもや男子どもの野太い歓声が起きた。まあ、これだけの美人だし、仕方がないだろうが、いちいちうるさくねえか?
「ごほん、ごほん」
「義経ちゃん、落ち着いて」
「義経はやればできる」
「よし。源義経だ。性別は気にしないでくれ。武士道プランにかかわる人間として
恥じない振る舞いをしていこうと思う。よろしく頼む」
おお、義経よくやったな。普段は真面目ながらもどこかおっちょこちょいなところがあったのでヘマするかと思ったが、今回しっかりと言えていて、俺は感激した。今の俺の心情は親のそれと同じだ、親の元を飛び立つひな鳥を見ているようだ。
するとまた男性共のやかましい雄叫びが聞こえてきた。川神ってバカが多いのか? 何回騒げば気が済むんだ。そして、俺の感動を邪魔するんじゃねー!
「やったぞ弁慶、蓮。挨拶できたぞ!」
「義経、マイクはいってる」
ああ、こいつはやっぱ駄目だったか…まあ分かっていたからいいんだけどね…
とりあえず、俺のいまの感動を返してほしい。
「女子諸君、次は武士道プラン唯一の男子と、今まで紹介したクローンたちをを護衛する男子、
それぞれ一人ずつじゃぞ。2-S、那須与一、神崎蓮、出ませい!」
「お、俺たちか。与一行くぞ」
いよいよ出番なので、俺は隅っこにいる与一に呼びかけた。が、与一は俺の声に反応したかと思うと、すぐにまた変な方向をニヒルに眺めはじめた。来いやてめえ
「お前、いいから来い!」
「ふっ、わざわざ自己紹介する必要はねえ。俺を知って、不幸になったら困るからな」
「来いよ、このボケナスが!」
動こうとしない与一に対して俺は無理やり連れていくことに決めた。皆を待たせるわけにもいかないし。俺は与一の頭をがっしりと掴んだ。そのまま持ち上げて、与一の足が地面に着くか着かないぐらいまで上げる。大丈夫、砕けはしないさ。
与一は何か叫んでいるが俺は無視して、そのまま壇上にまで運ぶ。
「すまん、このバカが愚図ってたもんで」
俺は軽く手をあげてお詫びを示した。壇上にすでにいる義経と清楚は与一のいまの状況に茫然としていた。全校生徒もそうだ。早く、こいつの紹介を済ませないとな。してやる分、適当で良いよな?
「俺が今持っているのが那須与一だ、弓が得意」
俺はこれ以上ないほどに簡潔に与一の紹介を済ませて、手を放した。解放された与一はその場でうずくまって頭を抱え込んでいる。もう一度、大丈夫、頭は決して砕けていない。
「そして、俺はクローンというわけではないが、今回入ることになった、神崎蓮だ。
九鬼で働いている。仕事の内容は主にこいつらクローンの護衛だ。
こいつらがなるべく迷惑かけないよう、目を見張っておく。彼女募集中!」
俺はポッケに手を突っ込んだまま、全校生徒の前で自己紹介をした。すると、義経たちの時と同じように歓声が上がった。何故だ? 俺は不思議に思い、騒いでいる奴らの顔を観察してみた。
…なるほど、女子はキャー、と黄色い歓声を上げていて興奮しているようで、男子どもはこの野郎ー、と怒号をあげていた。そうか、そんなに女子から好印象を受ける俺が許せないか、哀れな男子どもよ?
俺は一人、優越感に浸っていた。
「れ、蓮! その紹介の仕方は無用に敵を作っているようで、義経はハラハラする」
「ホントのこと言っただけだぜ?」
「だからって…皆、この二人は別に悪意があるわけじゃないんだ、仲良くしてほしい」
「仲良くしろだぁ!? 俺は関わらねえぞ!」
うずくまっていた与一が復活して、義経に抗議をたてた。そこまで否定するか。
マイクは入っていないが、騒いでうるさい与一は弁慶に殴られていた。まあ、仕方ないよな。
それっきり、与一は黙った。弁慶は力をセーブしてあげていたのか、与一は壇上の上からは吹っ飛ばなかった。
っと、皆も落ち着いたところで、と思っていたら皆がまたざわざわと騒ぎ始めた。何かあったのかと俺は義経たちの顔を見た。っておい!
「弁慶! 我慢できなかったのか?」
「申し訳も。しかし、一度全校生徒の前でこの姿を見せておけば好きな時に飲めるわけで」
「こ、これは皆の知っている川神水であって酒ではない」
「すみません、私はとある病気でして、こうしてときどき飲まないと体が震えてしまうんです」
「弁慶、明日の分の川神水、没収な」
「え! それだけは勘弁」
「だったら、それ以上飲むのをやめんかい!」
弁慶を言い聞かせるにはこうして脅すのが一番手っ取り早い。ったく、このアル中が。弁慶は渋々川神水を飲むのをやめた。
言っていることは分かるが、俺らは恥ずかしいぞ…特に護衛と宣言してしまった俺が。
「ごほん、皆に不快感を与えてしまって済まない。だが、皆とは仲良くしていきたい。
よろしく頼む」
義経はそう言うと頭をさげ、清楚は丁寧にお辞儀をした。うーん、やっぱり義経しっかりしたなあ。さっきのは帳消しだな。最早、兄の感情になった俺は皆にお辞儀するのを忘れていた。弁慶ですら、手を少し上げて軽く会釈しているのに。与一は無反応。まあ、変なポーズをしていないだけありがたい。
「あとは武士道プランの関係者じゃ。二人とも1-Sじゃ。入ってくるがよい」
学長の言葉が終わると同時に行儀の良さそうな人たちがそぞろに出てきた。皆がその人たちの登場にざわざわし始めた。そして、その人たちはいきなり演奏を始めた。
相変わらず、派手好きな人だ、紋は。
しかし、もう一人って誰だ? 聞いてないが…俺が思索していると、校庭に次々に現れた人たちが向かい合って肩を組み始めた。それによって小さい人一人分の歩く道が出来上がった。
そして、その上を優雅に歩く派手な格好をした小さい人が一人。
「我、顕現である。我の名前は九鬼紋白。紋様と呼ぶがいい! 我は飛び級することになってな。
武士道プランの受け皿になっている、川神学園に進学先を決めたのだ。
そっちの方が護衛も分散せずに済む。我は退屈を良しとせぬ。
一度きりの人生、楽しくやろうではないか」
そして、九鬼家お決まりの笑いをした。九鬼家はこの笑い方がすきだなあ。
だが、俺の疑問は解決されない。やはり、あと一人はどこにもいない。壇上に上がったのは紋と、紋の横に何気なくいやがる爺。そういえば、ヒュームの仕事は紋の護衛だ。
まさかとは思うが、まさか…な? 嫌な予感がする。
「ヒューム、挨拶しておけ」
「新しく1-Sに入ることになりました。ヒューム・ヘルシングです。皆さん、よろしく」
「ヒュームは紋ちゃんの護衛で特別枠として入ることになったのじゃ」
やっぱりそういう事なのか! というか、他の学生と話題が合うわけねーだろ! これから1-Sは大変だろうな、いろいろと。
俺はとにかく突っ込みまくりたかったが、今ここでそんなことをしたら俺は全校の前でヒュームの手によりきっと醜態を晒すことになってしまうので、ぐっとこらえた。はあ、何故学校に来てもなお、ヒュームに監視されるのか、俺。学校ではなるべく大人しくしていよ。
「こう見えて、私はゲームなどは好きですよ。スプライト型の機体が私のロボです」
するとどこかからか、突っ込みが入る。当たり前だ。何年前のゲームだ。
皆がこの爺さんの編入の事実に驚く中、一人違う反応をするものがいた。ここからじゃあよく見えないが、おそらく噂に聞く戦闘狂の武神だろう。
すると、目の前にいたヒュームは消えた。と思ったら、戻ってきた。
クラウディオさんも壇上にいつの間にか壇上に上がっていて、自分たち護衛が度々顔を出すこと、など説明していた。
やはり、この方は礼儀正しいな。
そして、皆の興奮も冷め切れぬまま、朝の全校集会を終えた。これにて今日から、俺たちの川神での日々が始まった。
何事もなければいいが、そんなことはないんだろうな絶対に。
この川神学園からは厄介事の匂いがプンプンする。
俺は更に面倒くさくなる予感を抱えながら、義経たちと校内へと向かった。
はあ、面倒くせえ、こいつらのお守り…
字数はこれぐらいを目安に頑張ります
それでは、また
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この小説やめます
突然のお知らせで恐縮ですが、誠に勝手ながら、この小説は本日をもって、打ち切りにします。
自分の考えた小説を読んで楽しんでいただけたらいいなあ、と気軽な気持ちで投稿していました。
自分のその気軽な気持ちに心からムカつきます。
そのことを心から申し訳なく思います。
自分はまだまだでした。甘かったです。
自己満足で書いているとはいえ、こんなにも皆さんのお気に召されないと、流石にモチベーションが下がってしまいました。自分勝手な理由で本当に申し訳ございません。
ですので、この小説は打ち切らせていただきます。
自分の実力のなさを痛感しました。ここで、経験がつけるかな、とも思っていました。ですが、そもそも見てくれなくては、それも出来ないですね
少ないながらもお気に入り登録してくれた方々、突然の打ち切り、本当にすみません。
どうぞ、怒ってください。
これからは、感想を書くことに専念します
この小説はお気に入り登録してくれた方々全員が見終わったら消そうと思います
このページを送るのにあたって、文字数が足りないので、予定していたラストの辺りを掻こうと思います。
最後まで自分勝手で本当にすみません。
見たくない方はここまでで結構です。ありがとうございました。腕を磨きなおしてきます。
それでは、どうぞ
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川神学園での、日常
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突然の一人暮らし
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タッグマッチトーナメント
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夏休み
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マープルたちの反乱、義経たちとの対立
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自分の夢を見つけた
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護衛を辞めた、義経たちと離れる
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修学旅行
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クリスマス
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皆と旅行
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時を経て、高校卒業
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思えば、川神では色々なことがあった。
あの頃の俺は、義経たちの護衛をやり続けるもんだと思っていた。
でも、あの日、紋が俺に自分のやりたいことを探して来いと言ってくれた。
俺はあのまま、義経たちの護衛をやり続けるもんだと疑っていなかった。
でも、俺がやりたかったことは違った。自分の気持ちに素直になった時、それが分かった。
俺はいま、そのために世界を旅している。
今、どこか分からない荒野を一人歩いている。
皆とは今でも交流はある、それどころか、今でもあの頃と変わらず、強く結びついている。
大和も、岳人も、風間も、モロも、ゲンも
モモ先輩も、わんこも、京も、クリスも、まゆっちも
トーマも、小雪も、ハゲも、マルギッテも
京極も、板垣たちも、釈迦堂さんも、川神院の人たちも、九鬼家の皆も
そして、義経、与一、弁慶、清楚も
俺には相も変わらず大切な仲間がいる
近くにはいなくても、この世界のどこかに必ずいる
それが分かっていれば十分だ
ーー俺の大切なものはココにある
今度、義経が俺と話したいことがあると、明日に日本に行かなければならない
なんでも、あの頃からずっと言いたくて言えなかったことだそうだ
内容は聴かされていないが、行くことにした
俺は日本をめざし、歩き続けたーー
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