やはり俺がラブライブの世界に異世界転移するのはまちがっている。 (ちい太)
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突如比企谷八幡の日常は転々としまくる。

書き直した。読んでね。追記して謝ったりするからよろしくです。

追記:ここを読んでいるあなた、もしこの作品を評価していないのならいますぐなさい!コメントも!いや、してくださいすいません。めっちゃチヤホヤされたいんです。先生も学生の間は何やっても許されるって言ってたので言ってみました。

はい、ということでね書き直しました。なぜかといえば文章が黒歴史になっていたからです。書き直し後はなかなか原作っぽく欠けてると思うのですが過大評価かな?
まぁ、結局一番いいたいのは、間あけすぎてすいませんでした!ということです。三週間くらいあいちゃったかな。特に申し訳ができないのが本当に…すいません!

しかし!この作品日間ランキングで一瞬4位をとらさせていただきました!見た瞬間スマホを落としかけて寸前でキャッチ、一瞬でスクショ、みたいな感じでした。みなさんのおかげです!感謝感激の嵐!テンションあがりすぎて何言ってんのかわかんなくなってきました。
これからもチヤホヤしてくださるとうれしいです!

次回二話書き直し、11月最初に投稿予定
遅い理由:テスト+模試が二週間連続であるから(言い訳)


俺の愛する妹、比企谷小町は年の割になのかそれとも相応になのかダラダラとくつろいでいた。

今年から受験生だというのにこれで大丈夫なんだろうか。希望を言えば同じ学校に入学してほしくはあるのだが……。

 

「あ、お兄ちゃんおかえり〜。今日は遅かったね」

 

「おうただいま …今日は少し用事があってな。」

 

「ふ〜ん…。珍しいね…」

 

小町は物珍しそうに俺を一瞥し首を傾けた。

 

「まあな。ちょっとこれからも遅くなるかもしれん」

 

「学校で何かするの?まさか部活動とかじゃないだろうけど……」

 

「あぁ……そのだな……」

 

 言い淀んでいると小町は雑誌から目を離しグルッとこちらへ体を向けた。

 机の上の雑誌はやはり思った通りで全面スイーツ(笑)一色であった。

 それを見て目を細めている俺を気にせず小町は驚きを声にした。

 

「え?集団行動が絶望的に苦手お兄ちゃんが!?ホントに!?」

 

「苦手じゃない。ただデメリットしかないものをやろうと思わんだけだ」

 

「え?でもでも部活入ったんでしょ?」

 

小町はますます頭の上に?マークを浮かべた。

 

「あれが部活動と言えるかわからんが…強制入部だとさ」

 

「あ〜!」

 

小町は完全に理解したというように手を叩いた。妹のこういう仕草は顔が可愛いだけにとてもあざとく見えてしまう。

 

「お兄ちゃんが何かやらかしたんでしょ!」

 

「別にやらかしたわけじゃない。俺は決められたルールに則って行動しただけでだな……」

 

「それで怒られてちゃ意味ないよ……」

 

そう食い気味に答えてやれやれと溜息を吐いた小町にやや心を傷つけられる。

「はいはい。反省してますよ」

 

「あ〜絶対反省してないでしょ!そういう態度小町的にポイント低い!」

 

「いやだからそのポイント制度なんだよ。」

 

 そのおかしな口癖が不変の日常を表しているかのようで少し安心してしまうような気がしないでもない。

 だからなのか ムッとしている小町の頭を撫でたくなってしまった。

 

× × ×

 

時刻は9時、もはや興味のない薄っぺらいラブストーリーを映し出す四角い箱など目に入ってこず、俺は小町へ「おやすみ」という愛の言葉を伝え自室へ戻ろうとしていた時だった。

パッとテレビの画面が切り替わり涙腺崩壊間違いなしの作品はCMへと移行した。

当然、普段ならそんなこと気にとめたりなどしないだろう。

だが、今日ばかりは違ったのだ。

まるで狙ったかのようなタイミングで映し出されたそれは俺を口を開けたままにとどめさせた。

あ〜出た出たこれ。

家族とTVを見ていて好きなアニメが流れてなんか気まずいやつだよ。

いっその事開き直ってしまえばいいのかもしれないが、生憎それは俺の心の自尊心が許さない。

刹那、俺の体が硬直したかと思うと予想外に小町が口を開いた。

 

「あ〜!これ小町知ってる!ラブライブってやつでしょ!」

 

え?

ま、まぁ知っててもおかしくはない。 今や大大人気アニメとなったラブライブだ。何一つ意外ではない。

……と思っていた。

突如にっこりとした小町の笑顔はニヤリと崩れ俺を羞恥の道へと誘った。

 

「お兄ちゃん、これ、部屋でニヤニヤしながらしてたから知ってるんだよねぇ〜!」

小町はますますニヤニヤを強めて足をパタパタと動かす。

くっ、なんて妹だ。

いいことなのか悪いことなのか、全く恨めないのが不思議でたまらない。

 

「兄が友達なしのオタクなのに引くどころか笑い話にしちゃう。うん!小町的にポイント高い!」

 

「勝手に俺の部屋を覗き見なんて八幡的に超ポイント低いぞ、小町……あと友達なんぞいらん、ていうか友達ってなんだよ。」

 

「まぁまぁ、そんな捻くれないで!今時こんなに兄としゃべる妹なんてなかなかいないんだよ!」

 

「あぁ、それはもちろん感謝してるが……。って話をそらすな」

 

「ありゃ、バレちゃった?でも小町に免じて許して、お兄ちゃん!」

 

今にもテヘペロしそうな顔で謝ってくる。反省の意などほぼ無に等しいだろう。

 

「許すも何も最初から怒ってはないが……とにかく、部屋に入る時はノックしてくれよ」

 

「あの時はたまたま忘れちゃってたの!もうしないよ!」

 

「ん、ならよろしい」

 

「あ、始まった!」

 

CMが開けたようだ。

ふと思ったのだが例えば今のようにラブストーリーのような番組とCMとのテンションの差が多大にある。これって結構致命的じゃないのか?

そんな他愛ないことを考えていると目の前がぼや〜と霞んだような気がした。

今日一日慣れないことをしたため体が疲れてしまったのだろう。

そう自分の体調を裁定し、ぐーっと背伸びをする。

今日はもう寝てしまおう、そう思って先ほどかけようとしていた言葉である「おやすみ」を小町へ投げかける。

 

「おやすみ」

 

投げかけたこの愛の言葉から次の愛の言葉の「おはよう」。

この間に一年もの間隔があいてしまうなんてこの時は当然誰も予想できるはずもなかった。

 

× × ×

 

 夢を見ている、それだけはわかっていた。

 

 いつの間にか座っているようで、距離は3メートル先ぐらいだろうか、目の前にはこの雰囲気からして全く似合わないなんとも普通な一つの椅子がおかれていた。その椅子と自分の椅子を挟んで長めの白いこれまたシンプルな机がおかれていた。

 あたりは明暗が表現できないような曖昧さで少し気持ち悪さを感じる。

 

夢なのにやけにリアルだった。なんてありきたりな言葉がぴったりと当てはまる状況だった。

確かというか確実に俺は部屋に戻って寝た、これは間違いない。

 

心は不自然に落ち着いていて逆にラノベみたいな展開だと少し上ずった気持ちになってしまうほどだった。

 だが、俺は死んでなんていないのでおきまりの転生などするはずもないし、これはきっと「明晰夢」というやつなのだろう。はぁ、俺そんなに疲れてたのか……。

大きめの溜息は静かなこの場所では大きな音となってしまう。

更に言えば歩く音などもっと大きく聞こえてしまうのだ。

 

姿の見えない黒い人型の「何か」は顔なんて見えないというのに無機質な笑みを浮かべているようだった。その「何か」はコツコツと音を立てて目の前の椅子へと進みゆっくりと座ったのだ。

 誰しもにとって未知のものは恐怖の対象となり得るがこれは現実ではなく夢なのだ。それがわかっているだけで何も怖がることはなくなってしまう。

 

「夢ではないですよ。」

 

 相変わらずモヤモヤで隠れている「何か」はあろうことか高いような低いような声で話しかけてきた。

 

「じゃあなんだって言うんだ。これから他の世界へ転移でもするっていうのか?」

 

 目の前の存在を確実に夢だと確信してしまっているのか俺の声はさらっと疑問を口にした。

 

「それはこれから説明させていただきます。とにかく時間がありません。」

 

律儀に敬語で話し、そしてはっきりとした早口な言葉の連続に少し圧倒されてしまう。

 

「まずは先ほどヒキタニ様がおっしゃった転移ですが、全くもってその通りです。ヒキタニ様の世界をα世界としましょう。すると今からヒキタニ様はβ世界へ転移されるわけです。ちなみにそのβ世界のヒキタニ様はα世界かはたまた他の世界へ転移されるのです。ここまでよろしいでしょうか」

 

 明らかに全部わかったとはだれもが言えないだろうと思われるくらいの情報量を含んだ言葉をいっきに耳に入れる。もう本当に時間が少ないんだということを体現しているようだった。俺はなぜかこいつの言葉が虚言だとは思えず熱心に話を聞いてしまっていた。

 

「また、この転移ですがヒキタニ様お一人だけでなく、他の方も転移されております」

 

 なるほど。

 ラノベみたいに特別に一人!みたいなわけではないのか。残念だなんてこれっぽっちも思わないが。

 

「そして一番重要な転移先ですが、ヒキタニ様は幸運なことであるのかラブライブの世界で過ごしてもらうこととなります。日付は音ノ木坂学院が廃校と伝えられる前からですね。……あれ?あまり嬉しそうではありませんね」

 

「当たり前だ。アニメが現実になったらそれこそただリア充がはしゃいでるだけだ。楽しいどころか怖いだけだ。アニメってのは現実じゃないからこそのものだ」

 

「は、はぁ。そうですか……。おっと、そろそろ時間がギリギリなのでこれとこれを渡しておきます。」

 

 そう言ってこいつはノートと紙を渡してきた。ノートはピカピカの新品で雰囲気がちっともでやしない。

 

「最後に何か質問があればできるだけお答えしますが……」

 

「……いや、特にない」

 

本当は数えきれないくらい聞きたいことがあったがどうせ考えが整理されることはないだろう、そう思い質問を飲み込んだ。

 

「わかりました。それでは……」

 

 そう言って数瞬、あたりはすっかり明るさを取り戻し、あいつはどこかへと消えてしまっていた。

 おれはもうあいつの言葉を信じざるを得なくなっってしまった。

目の前の机へ倒れこむと少しだけ興奮した心が落ち着いた気がした。

バッと顔を上げあたりを見回す。

これまたとてもシンプルな時計が表す時刻は午後10時。

チクタクと時計の音がはっきりと聞こえてくる。

どうやら何か部屋の一室にいるようだ。

信じざるを得ないといっても先ほどまでのことを完全には信じらることができない俺はひとまず渡されたノートとプリントを見てみることにした。

プリントにはぎゅうぎゅうにつめて書かれたこれからの日程が書かれていた。

その裏にはラブライブの舞台となる学校である音ノ木坂学院までの道のりを表した地図が貼り付けてあった。

次にノートにはこれからの生活のための情報、あとは日記を書き込む形式になっているようだ。何のためなのかはあらかた予想がつく。元のこの世界の俺のためなのだろう。

 

ふぅ……。

 本当にそれっぽいな、まさか本気の本気で異世界転移しちゃったんじゃないのか?

今までずっと現実は小説より奇なり、という言葉にんなことあるかとバカにしてきたのに、これではまるで本当にこの現実は奇ではないか。

このシチュエーションはラノベではよくあるパターンだろう。中学生の時に思い描いていた妄想が、今思い出される。

いや、これただの痛い思い出だったわ。ただただ心が痛むばかりだよ。

俺は何回か深呼吸し気持ちをを落ち着かせて、もう寝ることにした。

やはり世界は俺に厳しいようなので自分にはとことん優しくすべきだ。

見知らぬベッドへ倒れこみ見知らぬ毛布を体に被せる。転々とする一日のおかげで疲れきってしまった体はすぐに俺を眠りに落とさせた。

 

× × ×

知らない制服を着て知らない道を歩く。これだけのことがどれだけの違和感を感じさせるだろう。

こんな状況に苦笑しながら地図を見て歩く。

ノートによると俺は二年生であるらしい。二年生の色である赤を基調としたネクタイからもそのことがわかる。

しかし席順とかまで書いてあるのだからあいつの丁寧さがうかがえる。

あといつも一人でいる、などが書いてあった。心に傷がつくからやめようね。

校門をくぐろうと足を踏み入れる。目の前には辺り一面の桜が広がっていた。しかし桜の風情など感じる余裕もなく正直緊張感からきているのか気が重くて休みたい。かといって休むのもなぁ。

まぁ一人でいるだけでいいのだから、そんなに気にせずとも大丈夫だろう。

今日から始まる異世界転移生活。

 他人を他人と思って生きていこう。

だらだらと歩きながら自分の教室に入ると、そこには初めましての知り合い3人がいた。いや、知り合ってはいないのでどちらかといえばストーカーと例えた方がしっくりくる。それじゃだめだろ。

初心者ぼっちはここで挨拶するのかで迷ってしまうかもしれないが、俺は全然迷わない。ノータイムで席につく。俺は他人と「今日は暑いですねぇ」とか気候変化を共有したりしないのだ。

 

「あ、おはよう!比企谷君!」

 

今まで3人で話していたのにもかかわらず、高坂穂乃果はぐるっと体を向け直して挨拶してきた。

 高坂穂乃果、このラブライブと言うアニメの主人公である。顔は当然整っていて美人というよりはかわいいの部類だ。髪をサイドテールとかいう髪型にしていて穂乃果の活発さがそこに表れている。さっきからこちらに向けている目は青く綺麗な瞳で思わずごくっと唾を飲んでしまうほど緊張してしまう。

 

「あ、オハヨウ。」

 

 少し見つめてしまったのもあるが穂乃果のいい子さが予想の範囲外でついカタコトでさらにワンテンポ遅れて言葉を返してしまった。

 不覚にも見惚れてしまったのだ。こんなことはそうないと思っていたのに。

だが、これはアニメでなく現実世界。

まさに向日葵のような笑顔で挨拶してくる穂乃果も現実になってしまったここでは俺の敵。

 リア充はリア充同士でウェイウェイするのが常なのだ。だから穂乃果が後ろにいようが友達になんて、ましてやラブコメなど起こるはずもない。

 それに知り合いになってしまえば、人と平等に関わり合うおれの主義に反してしまうことになるしな。

 

何度もいうように青春は擬態で欺瞞で虚偽妄言なのだ。

 

 

 

 

 

 

 




小町に違和感を感じる、気がする……。


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巧まずして、彼と彼女らは引かれ合う。

三話:十二月後半に投稿予定(やや前後いたします。)

※後書きにて謝ったりお礼したりしてるよ。見なくてもいいものです。ちょっと大事なことも言ってるかも

だれかコメントしてくれませぬか。寂しくて泣きそうです。


何のことかも分からずいきなり呼び出された職員室。

音ノ木坂学院の生徒指導担当であるらしいこれまた顔の整った美人な先生は呆れたといった様子で俺を冷冷たる目で見ていた。何この世界、顔立ちが良い人間しかいないの?

 

「比企谷。なんだこの作文は」

 

「え?いや分からないですけど」

 

「そんな下らない嘘はいい。今日呼び出したのはこのお前の作文のことでだ」

 

今にも溜息を吐き出しそうな先生に対し、何のことかもわからない俺の目にその作文の文字が入る。

書いてあるのは職業希望調査のことのようだが、生憎俺はこんなもの書いた覚えがない。

何とか抗弁しなければと口を開く。

 

「待ってください先生。本当に俺はそんな作文を見た覚えもましてや書いた覚えなんてないです」

 

「まだそんな意味のない嘘をつくか。どう見てもここにお前の名前が書いてあるだろう」

 

こんな生徒を何人も相手してきて慣れてしまったのか先生はご丁寧に名前のところを指で示す。

た、確かに俺の名前でその上筆跡まで俺のだ……。

しかし、俺は全く書いた覚えがないので少し真面目に潜考するとこれは元のこの世界の俺が書いたものではないかと考えがついた。

さすが俺、と自分の高スペックさに浸っていると先生が手のひらを眼の前でひらひらさせてきた。

鬼教官だと俺の中で名高い独身女性平塚先生を思い出し、てっきり張り手が飛んでくると思ってしまった俺は仰け反り一歩後ずさりしかける。 一日で恐怖を埋め込むとかあの先生怖すぎだろ。

 

「おい比企谷。聞いているのか?」

 

「あ、あぁ、すいません。ちゃんと聞いてます。それでその作文がどうかしたんですか?」

 

ここで「もう一人の俺が書いたものです」と言えたらなんて全くもって意味のないことを考えるのはタブーだ。八幡的美学その1.後悔し、悩むものに明日はなし、だ。まぁ、明日が明るい日だったことなんてないけど。

 

「ん?自分が書いたと認めたのか?まぁそれならそれで良い。それでこの作文の内容についてだが、このふざけた内容は何だ?」

 

口調だけ平塚先生にどこか似ている先生はまたも見てほしい箇所を指で指し示した。

[職業希望調査について……]

 

希望する職業……専業主夫

理由……

人は基本、自己利益のために行動するものである。

職業といえば大半は会社で働くことを思い浮かべるだろう。

しかし労働というものは多大にリスクを伴うものである。

最近は凄惨たる面持ちを持つ者の集合体、もとい会社への女性進出が当たり前となってきている。それに合わせて数多くの条約が結ばれてきているがその条約の多くは女性への差別撤廃が主なところである。

しかし、彼女ら女性のほとんどはそれらの条約を正に武器のように扱い我々男性を追い詰めてきているのだ。もう男女平等など夢のまた夢のまた夢である。

例を挙げよう。彼女らは男性が何か気に触ることをすればそれを直ちに「〜ハラスメント」と呼ぶ。

男女平等を歌いし者共に限って女性限定の〇〇という文字にはほとんどなんの批判も起こしはしない。

彼女らのいう男女平等とは言ってしまえば女性の権利をそのままに男性の権利を貪り取るものなのだ。つまりは、自分らの受益のためならばそれこそ美味い樹液を吸うように何もかも奪い取ってしまうということである。結局は御都合主義でしかない。

ならば、そんな悪でしかないものは糾弾されるべきだ。

だが、彼女らの創り上げた幻想のような社会はそれを断じて認めない。

よって男性にはその幻想に取り込まれるか、戦略的撤退しか選択肢がないのである。

そして、私はこのどちらかの選択肢の中で、後者を選ぶ。なぜなら、その幻想に取り込まれるということは変化していく社会のルールに頭を下げ、媚びへつらう行為であるからだ。

従って以上の理由から希望する職業を専業主夫ということとする。

 

 

みたいなことが書いてあった。

うん、あれだね。なんかすごく恥ずかしい。家族に日記を見られるような恥ずかしさがある。別に先生身内じゃないけど。

俺が恥ずかしさのあまり少し顔を伏せると、先生の左手薬指にキラッと光る何か、というか指輪が見えた。このほとんど後ろに手を回しているような位置からしてよほど見られたくないものなのだろうか。

何故か(と言うと失礼かもしれないが)意外だったので数瞬の間見つめてしまっていた。

すると先生はそれに気づいたようでシュバッと効果音が出そうな素早さで完全に手を後ろに回す。

 

「どうしたんすか、先生」

 

と言いつつも、もとよりもう気がついているのは皆さんご存知のことである。

 

「いや、なんでもない。それよりもだ、比企谷。職業選択というのはだな」

 

「先生ご結婚なさってたんですね」

 

先生のありがたいお話が始まろうとしたその瞬間俺はなんとなくその言葉を口にした。

少し独身の平塚先生を思って泣き頻るような気持ちがあったかもしれないしなかったかもしれない。

「な、何を言ってる比企谷!も、もういい、この作文は書き直しだ!ほら早く出ろ!」

 

俺に煽られて顔を正に林檎のように真っ赤にした先生は俺の背中を押し外へと押し出す。かわいいけど先生、このラブコメ要素いる?しかもそんなに恥ずかしがることはない。恥ずかしがるのはどちらかといえば平塚先生のほうだろう。

余りに弱々しく押される背中になんだか寒気がした。うむ、この話はやめておこう。

「一週間待つ。それまでには書き直してこい……」

 

もう恥ずかしさで今にも涙を流しそうな先生は隠れるようにドアを閉めようとする。

そんな先生を見てしまうと悪戯心が働いてまだ少し追及しようと思ってしまう。

しかしこのままではラブコメ的に考えて先生ルート直行間違いなしになってしまうのですんでのところで口を噤む。まぁ先生既婚者だけどね。

人妻ってもう響きだけであれだよね、と考えながら自分の教室へと続くやたら長い廊下を歩く。

そんな長い廊下を歩いていると、ぼっちとしては「考える」ことにリソースを割くしかすることがない。

 

……長い一生の中で二つ高校を経験するというのは中々ないことであるだろう。

その経験の中でこの世界の音ノ木坂学院という学校は少しばかり異様であった。

周りを見渡せばどこを見ても女子だらけ。正に俺も歩けば女子に引かれる、である。引かれちゃうのかよ。

それでも、男子がいないというわけではもちろんない。全体の3割程度であろうか、少数だが存在している。

その中で時折見かけるハーレムまがいの集団。中心にいる男子が布団が吹っ飛んだ並のなんの面白みもない冗談を次々発せば、ドッと笑いがおき超おもしろ〜いなんていう歓声が飛び交う。あれが青春というやつなのだろう。

 

「ふっ」

 

つい、声が出てしまった。なんて上手な演技。演劇部にでも入ればいいのに。

こんなものは妬みでも嫉みでもなんでもなくて本気で詰まらない、すなわち眇たるものであるので、流れている空気は気を最大限まで使った元気玉と言っても差し支えないものだろう。

俺らのようなスクールカーストの低い弱者はあんな奴らに頭をさげる、言い換えて倒されてしまうことからもこの推察は間違っていないだろう。

そんな青春分析を行っていると、正にそのハーレムまがいの集団が廊下にアホみたいな数掲示されているプリントの一つに釘付けになっていた。

そのプリントに書かれているのは、ラブライブというアニメを見た奴なら誰でもわかる音ノ木坂学院廃校のお知らせである。そもそも、ラブライブというアニメは学校を廃校から救う9人の少女の物語を追うといったものである。

やっと貼り出されたこの大きな廃校の文字は物語を少しづつ、動き出させるのである。

俺はマジヤベ〜とか言っている彼らから目を離し、プリントを置くためにに自分の教室へと足を踏み入れた。

教室の中は、意外にも廃校の話はされておらず、先程のプリントが貼り出されたばかりであることがわかる。ジェバンニ並に働いた誰かにお疲れ様の言葉を念じる。

まだ何も知らないであろうクラスの奴らは黒板の方を注視していたのでつられて俺も黒板に目を向ける。

なんだろうかと眉を少し細めると、黒板にはもうすぐ行われるらしい少しばかり濃ゆく書れた全校集会の文字。これから廃校についての詳しい話が執り行われるのだろう。

時計を見てみても15分前とまだ少し時間は早い。しかし、先に行っていても別に悪いなんてことはないだろう。各自で早めに行動!って書いてあるしな。

当たり前のように存在している彼女らアニメキャラクターはそのままアニメから出てきているみたいで現実味が全くと言っていいほどない。

そんな情景を横目に見て苦笑をもらしつつも机の中に俺の作文を放り込む。

別に目の前まで近づいたらいい匂いがして動揺したとかそんな事実は微塵もない。

誰しもにとって、活発さも思いやりも脳トロボイスも全てが勘違いの種でしかないのだ。

 

× × ×

 

途中少し道に迷ったせいで結局は周りのギャイギャイ騒いでいる集団と同じくらいの時間になってしまった。

この自分とは毛ほども合いそうにない空気で自分の足は普段の2倍速はあるのではと思わせるくらい早く動く。高いエサをやれば動きの速いウチのかまくら並みである。ちなみにかまくらとはウチの飼い猫の名前である。

それはさておき、どこの学校もおきまりは同じなようでまだ集会の始まらない講堂の中は喧騒に包まれていた。

空気を読むのが上手い方だと自負している俺は自分の席であろう所へドカッと座る。マジ空気を読みすぎて空気になってしまうレベル。

そんなthe best of 空気の俺の隣に誰かが座ってきた。

一個一個が淀みを感じさせない所作でその淑やかな所作は少し雪ノ下を思いださせる。どことは言わないが似ているしな、どことは言わないが。

話を戻すが、俺はその大和撫子と形容していいであろう彼女を知っている。

昨日天性のいい子さを発揮した高坂穂乃果の幼馴染、園田海未である。

透明度の高い山吹色、と表現すればいいのだろうかそんな色の目は吸い込まれてしまいそうなくらいに大きい。

髪も青みがかった色合いの長髪でよく似合っている。

アニメでは彼女なりの思いやりで不真面目な穂乃果を厳しく叱咤するようなそんなキャラだ。

ちなみにラブライブというアニメの中での二大顔芸担当とも言われたりしている。もう一人と出会うかはわからないが。

 しかし、なんとも奇妙である。

クラスの人数は少なくとも30人はいるであろうに、隣に海未が座ってくるというのはなんと御都合主義なことだろうか。

こんないきなりのラブコメ的展開についていけるほど俺はリア充生活を送っていない。

今の状況を詩的に表現するならば俺と彼女だけ時間が止まっているような気がした、とかそんなところであろう。

しかしあろうことか海未は、そんな時が止まったような雰囲気を壊してもの哀しげな垂れた眉を見せながら話しかけてきた。

 

「あ、あの初めまして、高坂穂乃果の幼馴染の園田海未と申します。この集会が終わってから少しお話があるのですが、よろしいでしょうか」

 

「え?あ、お、おう。別に構わんが」

 

一番初めの言葉が詰まるのは、人と話すのが苦手な証拠である。ソースは俺。

まぁそれは置いといて話というのはなんだろうか。自己紹介で穂乃果のことを出されても挨拶をしたというだけで接点があるわけではないのだが。

 そんな風に話の内容を推測していると、それをぶった切るように静かにしろという旨の教師の声がかかる。

 集会は段取り良く進んでいき、この学校の理事長である南理事長が本題の廃校のお話を始める。

なぜ名前を知っているか。

それは穂乃果にはもう一人の幼馴染であることり、という女子がいるのだが、理事長はそのことりの母なのだ。理事長が母ちゃんとか学校で無駄に視線が集まりそうだが大丈夫だろうか。

ちなみに例に漏れず彼女も美少女である。

海未と会ってしまったし、もしかしたら彼女とも出会ってしまうかもしれない。

 話を聞かず、上の空でも時間は進む。つつがなく行われたらしい集会はもうすぐ終わろうとしていた。

そんな時に、ボーッと遠くを見ている俺の隣で先程から隣でそわそわしているやつがいた。

もちろん、海未である。わかるぞ、話すのが苦手だと話の切り出し方がわからないよな。

まぁ、海未の場合は異性に対してだけであろうが。

 俺が己のコミュ力に毒気に当てられたようになっているといつの間にか集会は終わってしまったようで、意を決したのか海未がスッと息を吸う。嫌いな俺と話すのに勇気がいるのかとかそんなことを考えてしまうからその顔はやめてほしい。え?本当にそうじゃないよね……。

 

「あの、比企谷さん」

 

「おう。えと、話って何のことだ。」

 

今までの経験から、ついネガティヴになってしまったが海未のことだし大丈夫だろう。

……多分。

 

「あ、はい。話というのは穂乃果のことなのですが……」

 

「え?」

 

あまりに予期に反した話にもう一度聞き返してしまった。

俺の知らない間にいつのまにか俺との接点ができていたのかもしれない。何それ怖い。

どの位怖いかっていうと優しい雪ノ下並。これ本人に言ったら確実に瞬殺されそうだな。

いや、逆にゆっくりと苦しませてからかもしれない。あいつ、正に氷そのものって感じだしな。

 俺のくだらない考えとは正反対になおも海未は申し訳なさそうに口を開く。だからその顔はやめてほしい、特にその潤んだ目。

 

「……ですから、私の幼馴染の高坂穂乃果のことでお話があるのです。」

 

「え、でも俺と高坂って話したことそんなにないよな」

 

そんなにどころか挨拶一回しか交わしたことないけどな。

 

「その、申し上げにくいのですが先程比企谷さんが教室に来た時、プリントを落としていかれたのですが、穂乃果がそれを見てしまいまして……」

 

「え、あの作文がか……」

 

一般人の思考からいってあの作文を見れば、引くか貶すかのどちらかであろう。

しかし、穂乃果が俺に対して嫌悪感を持ったからといってわざわざ伝えに来る必要性があるだろうか。

穂乃果に嫌われて可哀想です、とかいくら何でもそんなことはないだろう。

 

「ええ、幼馴染とはいえ流石に瞬間的に止めることはできませんでした。私の方から、次は無いように言っておくつもりです」

 

そう言って俺に対して少し頭をさげる。……何だかいたずらっ子のお母さんみたいだな。親子に見えるほど仲が深いとも取れなくはないのでので別段間違っていないかもしれないが。

 

「いや、見られたっていうのは全然気にして無いんだが、他に何かあるのか?伝えに来ただけっていう訳じゃないんだろ?」

 

「はい。その、話っていうのはこれから穂乃果が比企谷さんに迷惑をかけるかもしれないということを伝えたかったのです」

 

「迷惑?どうやったらそういう結論に至るんだ?」

 

まさか穂乃果に延々とイジられるのだろうか。我の業界ではご褒美ではありません。だって過去のあれこれが勝手に浮かんでくるし。

 

「先程穂乃果が比企谷さんのプリントを見たって言いましたよね。その時に穂乃果が目を輝かせていたのです。これは幼馴染の勘なのですが、多分穂乃果のことですから、突拍子も無いことを言い出すはずです。そして、そうなれば確実に比企谷さんに少しは迷惑がかかってしまうでしょう」

 

なんか予言みたいなことを言い出したぞ……。幼馴染とやらはお互いのことが何でもわかってしまうらしい。

というか、もし海未の言う通りのことになればそれはもう世界が俺を弄んでいるとしか考えられない。またも俺を勘違いさせようとしているのだ。

しかし、訓練されたぼっちは、二度も同じ手にはかからない。

どうしようが、俺はもう変わったりなどしないのだ。

 

「まぁ、大丈夫だろ。聞く限り、確実にそうなるとは限らないみたいだしな」

 

「そうだといいのですが……」

 

まぁアニメでの海未の性格を加味すれば、なおのこと確率は下がる。

俺はわざわざありがとな、と言葉をかけ一足先に講堂から出る。

 厳しい現実を知っている俺だからこそわかる。

世界は都合よくなんてできていない。

人は一人一人の役者で、ぼっちの役を与えられた俺は何時までも変わらない。

人生に配役変更は認められないのだ。

可愛いリア充な彼女らの部活は傍から見てる方が俺には合っている。

何故ならせいぜい頑張っても、俺は一瞬モブBになれるかなれないかぐらいなのだから。

 誰だろうか、人は皆人生の主人公とか言った奴は。

必死でラブコメの神様を呪いつつ、俺は講堂を後にした。

 

 

× × ×

 

一言で言えば、海未の言ったことは本当になった。いや、なってしまった。

 講堂から戻った後、保健室から戻ってきたらしい穂乃果は早々に盛大な勘違いを披露していた。

まぁ、そんな声も可愛いとか思ったりしないこともないかなぁとかそんなことは置いといて今は昼休みが終わってもう6限目。

もう少しで帰れるといったところであり、いつもの俺ならば少しは喜びの気持ちが出てくる頃合なのだが、今日ばかりはそうはいかない。

 深く突き刺さるような後ろからの視線。予想してもしなくても、事実、これは穂乃果の視線である。

 くそっ、安易にラブコメの神様を呪ったせいだ。このせいで今日から神を信じるしかなくなってしまった。神様でもなければ、こんなあり得ないことを起こせるはずが無いだろう。

 存外美少女からの視線はきつく、息をつく暇もない。

もとよりぼっちとは繊細なもので、少しの事で古傷が開いてしまうことがある。

更に、俺は一人を好んでいるので他人からの視線はちょっぴり気になってしまうものなのだ。

 唐突におきまりの音でチャイムが鳴る。苦手な数学だったことも相まって、授業の内容など、これっぽっちも頭に入っていなかった。

号令さんが掛け声をかけ、授業は終わりを迎える。空気は一変し、弛緩した空気が流れ始める。

もう俺にとってこのチャイムは試合開始のゴングにしか聞こえなかった。ツーラウンド目の開始である。

 

「ねぇ!比企谷君!ここが廃校になるの、嫌だよね!」

 

すぐさま俺の目の前に回り込んで、穂乃果は言う。近いよ、近い……。

俺は穂乃果と同じくらいの速さで視線を下げる。

これはパタパタと揺れるスカートを凝視するためではなく、視線を合わせないためにしていることだということをここに誓っておきたい。

 

「穂乃果ちゃ〜ん、無理に誘うのはダメだよ〜」

 

1ラウンド目と同じ切り出し方をしてきた穂乃果を止めたのはことりだった。

ポワポワしている彼女は声も仕草も全てがポワポワしている。

今だって穂乃果を止めに入っているが、言い方が優しすぎて穂乃果を止めるには戦力が足りなさすぎる。

 そんな彼女の名前は南ことり。この学校の理事長の娘さんである。

彼女はこのラブライブというアニメのキャラクター達の中でも一二を争う癒し系キャラだ。脳トロボイスと呼ばれる声で、人を瞬く間に骨抜きにする。

あざとさなしでこれを天然でしてしまうところが彼女の特徴であり、怖いところだ。

ちなみに結構でかい。

 俺がそんな男子中学生と同等の思考を行おうとしていると、今度は海未までもが話に入ってきた。

こちらを一瞥した後申し訳なさそうな顔をして、ことりと一緒に穂乃果を止めに入る。だからそんな顔すんなよ。

「そうですよ穂乃果!しつこく誘ってはいけません。迷惑をかけてはいけないと言ったでしょう」

 

俺が前の休み時間、穂乃果の勧誘に耐えかねて脱出した時、そんなこと言ってたのか。

あまり他人に興味のない俺だが、常に他人を思いやる海未に少し感心し、少し心配をしてしまう。疲れてしまわないのだろうか。俺とか他人を思いやったら、今までの経験から言って逆に引かれちゃうしな。ありがた迷惑というやつである。

 みんなは自分の適所をしっかりと把握しよう!なんか泣けてきたな……。

当然だが誰も俺の思考は汲み取れるはずもなく、穂乃果は海未からの言葉を返す。

 

「え〜!でも比企谷君いたら絶対頼りになるよ〜!」

 

「それはそうかもしれませんが、とにかく!迷惑をかけてはダメです」

 

何故か穂乃果から胃が痛くなるほどの信頼を受けているが正直困ってしまう。

信頼は大きければ大きいほど、失敗した時の失望は比例して大きくなる。とても危ういものなのだ。

しかし今までに信頼された試しがないので、体験談を話すことができないのが物悲しいところである。

するとツーラウンド目を終わらせるガラッという音が大きく耳に届く。

 

「ほら〜!みんな座れ〜!HR始めるぞ〜!」

 

更に、間延びした大きな声が教室中に広がると生徒たちは次々と席についていく。

穂乃果たちもそれに合わせて(穂乃果は渋々といった様子だったが)席に戻る。

 ラブコメの神様は変な所だけ厳しく、スカートは一度も翻ることはなかった。

今日の集会のように淡々と進んでいくHR。

 今度は視線がこちらに向けられる様子はない。もしかして、もう諦めたのだろうか。

他人に関わられるのは嫌だが、スパッとどこかへ行ってしまうと変な虚無感のようなものを感じる。ぼっちのというか俺のめんどくさい所かもしれない。

まぁ最初から関わるつもりはなかった訳で、結局は結果オーライである。

万事解決。

「よし、連絡は終わりだ。号令!」

 

そう声がかかると号令さんが凛とした声で挨拶をする。

帰宅部の本領発揮の時間である。

俺はすぐさまバッグを抱えて靴箱へと向かう。

 今日はなんて濃ゆい日だっただろうか。

ついに接点を持ってしまった俺はもう、逃げ惑うしか手段がない。

俺が彼女らと関わり合いを持つのは多分やってはいけない、タブーというやつなのだろう。

 人は大抵、自覚してもせずとも自分の色というものを持っている。

その中で、俺は限りなく黒に近いグレー。

彼女らと混ざっても色は汚くなってしまうし、俺に何色を混ぜたとしても俺が段々と黒へと近づくばかりである。

だから、俺は人と混ざらない。

人生は、色を吸い取るスポイトを用意してくれるほど甘くはないのだ。俺はそんなちゃちな期待なんてしない。

 俺はずり落ちそうになっているバッグをもう一度抱え直してまた一歩を踏み出す。

すると開いていた窓の外から御都合主義的になのか入ってきてしまった桜の花びら一枚が俺の目の前にスッと落ちる。

踏んでしまうのも気分が悪いしな。

俺は誰にしたのかわからない言い訳をして、桜の花びらを手に取ると、学校を後にした。




どうも!ちい太です!
まずは本当にすいませんでした。当初の予定では十一月前半に投稿する予定でございました。
ここで本当にいけないのは、投稿できなかった理由がないことです。単にサボってただけなんですね、ええ。
どうかそんな私めを許していいただけると……。
あ、失踪だけは必ずいたしません!命にかえても完結させる心算です。

あまり聞きたくはないはずですので謝罪はここまでにしておいて、UA50000更にお気に入り約550件ありがとうございます。
こんなに見てもらえて嬉しい嬉しい限りです。

そして、結構重大なことなのですが、三話以降を一回削除しようかな、と思っております。
どうしても二話から三話となる時に矛盾が生じてしまうので。
ダメ!残しておいて!という方は普通のコメントに添えて頂ければ、しっかり受け止めようと思っています。

はい!ここら辺で後書きを閉めようかな。
最後に一つだけ、お気に入り約500件の方々が全員評価、コメントをしたら……?(もちろん強制ではないです)
あ、別に特典があるわけではないので、そこの所よろしくです。ただ私のモチベが上がるだけですので、あしからず。

それでは、また次話で。


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一変した日常の中でも、彼の目だけは不変である。

なんとか間に合わせようとした結果、少なくなってしまいました。
反省しています。
次回はもっと早く更新したいね!
ごめんなさいい、おそくなっちゃったんですぅ……。


今日も今日とて、逃げ帰るようにして帰路についていた。

 彼女らと関わりを持ってから幾世の時(数日)が経っていて、穂乃果はアニメさながらの怒涛の行動力で「スクールアイドルを始めよう!」と奮起し始めていて、見る限り作曲者である西木野真姫も攻略中らしい。まだまだ依然として話しかけてくるあたり、俺のことをあきらめるつもりは毛ほども無いらしい。

 

びゅうっと、東京の迷路みたいな道を吹き抜けてくる風が追風となって背中を押してくる。少しばかり上がっていた体温も段々と下がっていくようだ。

ゆっくりと落ちていく太陽は俺の影を精一杯引き延ばしている。もうすぐ取れちゃうんじゃないの?○NE PIECEかよ。

 

それにしても荷物が重い。

 外に出る回数を減らすため三日分くらいの飯を買い込んだり、途中あった本屋に寄っていたりしていたら、貰ったビニール袋ははち切れてしまいそうなほどに中身ぎっしりだった。やっぱトッポってうまいよな。

 

「っはぁ……」

 

 俺の手に飄々とぶら下がっている荷物を何があるわけでもないのに目を細めて睨みつける。

 ひしひしと俺の肩にダメージを与えてくる荷物はとても楽そうだ。

  その恩恵を授かれるのならば、まさに理想の生きざまだ。

 

 やっとこさ自宅についても、階段があるのがつらい所。ぜひお年寄りを労わってエスカレーターもしくはスロープへの改装を検討すべき。

 

 そう考えながら、つったかつったか階段を上がる。

 すると、下に置いた買い物袋のビニール袋くんがガサガサうるさい。

 なぜこんなにも風に靡くビニール袋というものはうるさいのだろうか。常日頃台風の目が如く静かに安気に平穏に過ごしている俺を見習え。最近は予想外に騒々しいけど。

 

 カツンカツン。

 そんな俺の思考を切ったのは、新たに階段を上ってくる人の足音だった。

 規則正しくなる音が徐々に大きくなるごとに、その人の姿もまた大きくなっていく。

 

 華麗なる夕焼けを背にしたその人は後光で顔が見えないせいもあるのだろうか、何ともミステリアスな雰囲気を纏っていた。

 

その人のミステリアスな雰囲気に呼応するように、今日一番の風が吹きすさぶ。

 その風は艶めかしいとも呼べる香りを俺の鼻腔に運び、彼女が女性であるということを想起させた。

 

 いつの間にか、うるさいビニールの音は耳に入ってこず、どこかへと消失してしまっていた。

 

 「久しぶりやね、比企谷君」

 

数瞬の間見つめあっていると、徐に彼女は口を開いた。

 久しぶりなどと言われてもこちらとしてはお初にお目にかかりますねとしか言えない。

 しかしこの特徴的な関西弁、俺はその人物に心当たりがあった。

 

 東條希。

 さっきから続いて顔は見えずにいるが、間違いなんてことはない。

 先程も言ったように関西弁が特徴の彼女はアニメでは女神とか呼ばれていらっしゃる。

 光の加減によって暗くなっている紫がかった髪の毛は二つに結われておさげとなっていてなんだか神々しくも感じる。ビーナスとかアテナとかニケとかそんな感じ。

 このお方が穂乃果たちが作っているアイドルグループ「μ,s」の命名者だ。

 胸元のリボンは緑色で三年生だということが見て取れるが、俺は見てなくてもわかるというのが何だか違和感があって正直言って気持ちが悪い。

 ……それにしても、年齢にそぐわないたわわに実っているあれは本当に不可思議、数値的な意味でも。

 

「そうですね」

 

 下らない思考を取っ払い、この世界での過去との齟齬が起きないように努めて冷静に言葉を紡ぐ。なんだこれ、やけに疲れるな……。まぁ、そもそも他人との会話に気疲れするくらいだし、アニメキャラでしかも美少女とか緊張するのはむしろ自然かもしれない。

 

「相変わらず素気ないなあ。どう?最近は、うまくやれてるん?」

 

「ぼちぼちじゃないですかね」

 

 日常会話に多々出てくる言葉のやり取りを当たり障りなく行う。この手の質問はもう常套句と化してきているので、ぼっちとはいえども少しは慣れてしまっていたりする。

 

「そう。なら良かった。あ、そうだ!久しぶりついでに一緒にご飯食べへん?今日うち、ごちそう買ってきたんよ」

 

 無事会話終了。そう思っていたのも束の間、ゆらゆらとおさげを揺らす希は相変わらず余裕を顔に浮かべてそう言ってのけた。いや、ついでとか全く関係ないでしょそれ。

 

ここは断らなければいけない。

敢えて、例えばの話をしよう。

例えばもし、俺が本当にこの世界で生きていたとしたならば、どう生きようが勝手。自由も自由、フリーダム。

しかし、今俺は異世界転移者でつまりは、「未来を知る者」なのだ。

なんか中二的になったが、そんな俺がふりーだぁむ!とこの世界を生きたら彼女らアニメキャラクター達を引っ掻き回すこと請け合い、つまりは自明の理というわけだ。

そんな訳でやはりここの最善策は断ること一択。

 

「いや、遠慮しときます」

 

「そんな遠慮せんでU(8}_XZもええやん。ウチらの仲なんやし、ね?」

 

 その希の言葉を聴いて俺はごくっと固唾をのむ。ウチらの仲、ね……。

 しかし、その話がおかしいことに気づいてしまう。なぜならあの正体不明さんから俺が受け取った俺命名「未来日記」(パクリ)にはさも当然のように俺は「いつも一人でいる」と書かれていた。

 なら、この言葉は深い意味のない、冗談めいたものだろう。性別不詳で正体不明のあの人もこんな情報に嘘を紛れ込ませる必要はないだろうしな。ちぇ、もう少し夢見心地でいたかったのに。

 

「さ、流石に悪いんで、大丈夫です」

 

自分でも何が丈夫なのか分からないが、断るという旨は伝わっただろう。あちらの言葉を待って、俺は風に揺れているおさげを見つめた。

 

「ほら、あの時のお礼もせなあかんし……」

 

 あの時のお礼、そう口にした希の声はなんだかトーンが低い。何のお礼なのだろうか、当事者であるらしい俺には分かり得ないのだが。

 希がどんな感情を抱いているのか読み取ろうとしたが、表情が見えないんじゃどうしようもない。

 だから、そんな風に言われると嫌に断りずらい。自分が経験をしてきたように思いを踏みにじってしまうんじゃないかという疑心を持ってしまうからだ。

 

「分かりました。ご、ごちそうになります」

 

息を大きく吸い込んで声を出した。それなのに噛んでしまうのは相変わらずだったのがなんとも俺らしい。

 

「ふふっ、それに聞きたいこともあるしね。」

 

急に低くなった声はまたも急に元のトーンへと戻った。そんな声に今のが演技だったことが嫌でもわかる。くそう、周りが明るくて表情が見えてたらそんなの見破れちゃうんだからねっ!

 

「じゃ、準備してからそっちいきます」

 

 そう言って、俺は逃げるように鍵を開けて我が家の中に入る。

 ……なんか、順調にアニメキャラクター達と関係が形成されて行っている気がする。

 逃げれば逃げるほどドツボに嵌っていくというか。今回は完全に俺の失態なのだが。

 

考えながら買ってきた食材どもを冷蔵庫に詰めていく。相変わらず無駄なものがない、殺風景を現したかのような部屋は冷蔵庫の冷気も相まって、俺の緊張を解いていく。

 財布くらいしか特に準備するものもない俺は一個目の自分の家のドアを簡単に開けたかと思えば、二個目の希宅のドアの前で彫刻が如く硬直してしまった。

 

俺は当然の如く、今まで女子の家を訪ねたことがない。強いて言うならばぷりぷりかわいい妹の小町ぐらいのものである。なにこれ、緊張緩和が一ミリともなされないんだけど。

 

 ボールが弾む音の様に早まっていく拍動はまたも体温を上昇させる。乾いた唇を下で潤す。

 人という文字を飲み込んだりラジオ体操第一でもしたりしようかと考えていると、ドアのほうから勝手に開いてくれた。

 

まさか俺にも超能力が……と熱血お兄さんばりにねっけつねっけつしているとドアは止まる気配を見せることなく、そのまま俺の額にクリーンヒットした。開けごまもゴマちゃんもあったものではない。いや、あるけど。

 

「って!」

 

「え?比企谷君!?大丈夫?」

 

「はい……。大丈夫です」

 

 大丈夫なんて言っては見たものの存外硬い素材でできたドアは普通に痛い。ズキズキする額を手でさする。

 そんな痛みのおかげなのかせいなのか緊張は無くなり、ついでにラブコメ成分も緩やかな風と共に虚空へと飛んで行ってしまったようだった。

 

 やはり、俺に当分ラブコメは出来なさそうだ。

 

 

    ×          ×          ×

 

 

 

 希に飯をごちそうになった日の翌日、金曜日。朝。

 四月の朝というものはなんといっても空気が気持ちよく、二度寝のし甲斐がある季節だ。不快指数も極限まで下がるといってもいい。虫は許容範囲外だが。

 

 それにしても終ぞ、昨日希が言っていた「お礼」という言葉は何に対してのお礼なのか皆目見当がつかなかった。嘘と結論付けたとはいえ、引っかかるところがある。まぁ、あまり深く追求すべきものでもないだろう。いや、俺と希の話なんだけども。

 

 朝、少しばかり早く起きてしまった俺は朝飯を食べ終わった後、学校に行くまでの暇つぶしに練乳入りコーヒー(俺の中での通称、千葉ッシュ)を飲みながらスマホを触っていた。この貴重でレアな時間が妙に好きなのは果たして俺だけだろうか。尋ねる相手がいないので分からないが。

 

 悲しみに満ちた目に映る俺の携帯には希という今まで妹の小町と親くらいだったメールアドレスが新しく増え、うれしさ満点のハッピーな気持ちが……

 

 流れてはいなかった。

 

 素直に喜ぶことができない。

 最初の日から今まで、ずっと隠してきた不安。

 希の次に表示されている無機質な「小町」の文字。

 考えないようにしても不安というものは出てきてしまうもので、世界が違うといっても小町のことが心配でたまらない。異世界に行ったからといってなんだ、千葉の兄弟愛は世界をも超えるのだ。なにこれ、一冊本かけちゃいそう。

 

 俺の妹、比企谷小町はあざとかわいくて、要領がいい一方、寂しがり屋でもある。

 そのため、俺は学校が終わったら小町を一人にさせないために早く帰るような習慣がついた。それとは別に学校が終わった後に用事がないという悲しい理由もなくはないのだが。

 まぁ、それはこの際どうでもいい。大事なのは小町が一人でいるのかいないのか、つまりは寂しくしていないか、それだけである。

 

 俺はここへ来た初日に、この世界での唯一の情報源である「未来日記」を何度も何度も見返した。

 が、「未来日記」にもこのように小町の文字は全くもって……。

 

 ?

 

 ある、小町の文字が……。

 いやおかしい。俺が何回手掛かりがないかと探したことだろう。もう火で炙って隠された文字がないかどうか探したレベル。

 だからこそ、少し考えればわかる。十中八九、これは正体不明さん自らかお仲間が書いたに違いない。

 書いてあった文は、俺のプロフィールの下のスペースに、前と同じくこれまた走り書きで書かれていた。

 それを区切りながら読解していく。

 

『仕事の一環で比企谷様の生活を見させていただきましたところ、比企谷様は妹さんが大変心配なのかと勝手ながら詮索いたしまして追記させていただいた次第でござます。』

 

仕事の一環で生活を探るとか、プライバシーもあったもんじゃないなこれ。まぁ別にみられて困るもんでもないんだが。

 

『言い訳になるのですがまだ忙しく、端的にしか申せないのですが妹さんは元気で健康体です。近いうちに何かしら妹さんからコンタクトがあるだろうと思います。』

 

良かった、小町は元気らしい。

ほっと、一つ息をつく。

 

それにしても、正体不明さんも忙しくしてるんだな。夢の中に呼び出すとかいう超能力使えるのに忙しいとかやっぱ働くとか怖すぎる。やだぁ、俺は働かないぞぉ!

 

『それと、私も比企谷様にご報告しなけらばならないことがあるのでまた会いに行く所存です。

私共の不手際でこのようなことになり、本当に申し訳ございません。

 

                                                  世界保護機構  』

 

 ここで俺は、ある違和感を持った。

 しかし、別にさほど重要なことでもあるまい。

 それより、この這い寄れ!邪神さんが働く惑星保護機構をパロったこの名前はなんだ。スケールが名前を大きく飛び超えすぎだろ。バトル漫画終盤によくあるインフレかよ。

 

 おっと、あれこれしていたらもう時計は八時ちょっと前。ヘルメット、じゃなかった気づくのが遅ければ遅刻だった。

 

 靴を履いて、外へ出て歩いて教室へと入り穂乃果の勧誘を二三回寝たふりをしてやり過ごし、授業を寝たふりしてやり過ごす、のは穂乃果の溢れんばかりのオーラのせいでできなくなったので真面目に授業を受けていればあっという間に放課後だ。

 

 一日というものはなんだかんだいっても短い。一行日記があるくらいなのだから短いに決まっている。「今日は家でゆっくりと過ごした」を何回書いたと思っているんだ。もちろんそれは再提出、何書けばいいんだよ。

 

 まぁ、そんな訳で、いやそんな訳もどんな訳もないが、放課後である。

 いつものようにノート類をバッグにつめこむと同時に、穂乃果は話しかけてくる。習慣化しかけている恒例の勧誘である。俺みたいなノーマルサポートメンバーを勧誘しても得などないと思うが。だから俺は今の思った通りを告白することにした。

 

「ひk」

 

「なぁ、高坂。聞いた話なんだが、高坂達ライブするんだろ?」

 

「う、うん」

 

 初めて俺から話しかけたからなのか口をあんぐりさせた穂乃果は慌てて言葉をつなぐ。

 

「掲示板も目に入ったから見てみたんだが、ライブまで後一ヶ月しかないのに、ライブに関われない俺を誘っても意味がないだろ?それこそ、猫の手を借りるようなもんだ。猫の手は本当にギリギリの時に借りるもので、今じゃない」

 

 そうなのだ。冒頭で穂乃果はスクールアイドルを始めたと書いたが、それは順調には進んでおらず、むしろ行き当たりばったりでグループ名も俺たち生徒に投げやりだったりするのだ。更にいえば、まだ曲も踊りも決まっていないらしい。……これは本当に俺を勧誘している場合ではない。俺のせいで好きなアニメが崩壊するとか、これでは俺が彼女らから逃げた意味がない。

 

「そう、なのかなあ?」

 

 穂乃果は首を傾げながら答える。元気よく揺れるサイドテールは穂乃果の性格を表しているかのようだ。

 

「だから、優先事項をしっかり決めるべきだ。一ヶ月間という期限の中でどうすればライブに間に合わせるためには、これは必須だとか、これはほしいけど最低限いるものではないから切り捨て、みたいにな」

 

 俺が調子に乗って力説していると穂乃果の後ろから海未とことりまででてきた。その二人は穂乃果と顔を見合わせて、勧誘成功!みたいな動きをしている。いや、違うから。

 

「ゆうせんじこー、か。ライブまでに何がいるかなぁ。サインとか街を歩くときの変装方法とかかな!」

 

それは違うだろ。そう脳内でツッコむと海未が代弁してくれる。

 

「そんなの必要ありません」

 

「衣装は決めてあるし、後は作詞と作曲と踊りかなぁ?」

 

「う~ん、そうだ!作詞は海未ちゃんがやればいいんじゃない?前、ポエムとか書いてたでしょ?」

 

「なんて恥ずかしいこと言うんですか!思い出したくないくらい恥ずかしいのですよ!」

 

 海未は穂乃果に黒歴史を暴露され、半分泣いているような状態で怒っている。そうだよなぁ、中二病だった俺だがそれを思い返して死にたくなる気持ちと少しは似ているところがあるだろう。

 今も堪えきれないのか真っ赤にした顔を手で覆って隠れている。

 

「じゃあ、作詞は決まったってことでいいのか?」

 

「良くありません!」

 

「海未ちゃん、ゆうせんじこーだよ!ゆうせんじこー!」

 

なんか意味をはき違えている気がするが、まぁいいだろう。

 

「比企谷くん。海未ちゃんにはわたしたちから言っておくから大丈夫だよ!」

 

「お、おう」

 

やはり近くでこの声を聴くと、なんかくるものがあるよな。あざとい、やはりことりあざとい(あざとくない)。

 

「じゃあ次は~、作曲かな」

 

 今度はことりが話題提供もとい司会をつとめる。

 それを聞いてじゃれあって途中から離脱していた穂乃果と少し膨れ顔の海未も席に戻ってくる。

 

「作曲なら、一人できるかもって思う人見つけたんだ。歌もピアノも上手な娘がいたんだけど、その娘が作曲もできないかなって思ってて今日にでも聴きに行こうと思ってたんだ!」

 

 これは十中八九、真姫だろう。

 西木野真姫、彼女らアイドルグループの作曲者であり、真姫と言ったらツンデレである。

 まだ会うかわからないので、詳細は伏せておこう。あ、なんか今のでフラグが立った気がする。

 

「これから行くけど、比企谷君も来ない?」

 

 案の定、穂乃果がサイドテールを再度フリフリしながら提案してくる。

 やっぱりな、しかし俺はこういう時の断り方を編み出している。

 

「いや、行かない。それよか、西木野がどこにいるのか知ってんのか?」

 

 技名「意識そらし」だ。なんか妖怪の名前みたくなってしまった。ミスディレクションと言ったほうが格好がつくな。

 

「えぇ~。一緒に行こうよ~。てあれ?あのこ西木野さんていうの?比企谷君知り合いだったら心強いな!やっぱり一緒に行ってよ!」

 

 しまった。失敗も失敗、大失敗だ。ここで断って真姫と初対面だとばれたらアウト、一緒に行っても結局はアウト。

 墓穴を掘ったのは久しぶりだ。そもそも他人と話すのが久しぶりなので、致し方ないかもしれなくもない。

 

「いや、やっぱり俺が一人で行く。その方が作曲の依頼、受けてくれるかもしれないしな」

 

 口から出まかせをポンポン吐き出す。考えてみると、行かないと言った奴がいきなり一人で行くなんて違和感があるな。しかし、まだ俺の性格を知らないためか、ぽかんとした顔を見る限りそこまで気にしてはいないようだ。

 大きな違和感を持たれる前にさっさと行動してしまおう。

 

「じゃあ、行ってくる。結果は明日報告するから。じゃあな」

 

 そう早口で言って、バッグを背負いすたこらさっさと教室を出る。

 あれ、最初は断るつもりだったのにどうしてこうなった?

 まぁいい。どうせ断られるだろうしな。

 後ろからは「ばいば~い」という間延びした声が響いていた。

 

 

×          ×          ×

 

 

 

 放課後、音楽室にいることはアニメを見て既知の事実だったので容易に居場所は特定できたのだが、いかんせん中に入りにくい。

 

 辺りは部活動生もいないのか静まっていて、ピアノの音色と真姫の歌がいたるところで反射し独特の空間を作り上げていた。

 それはボッチ特有の「近づかないでオーラ」とも取れる気がした。

 

 真姫が歌い終わり、ピアノの旋律も静かになっていきやがては消失した。

 入るの今!?今?と一種のパニック状態に陥っていると、肩をトントンと叩かれた。

 なんだ?と思ってがばっと振り返ると、

 ぷにっ。

 

 「ふふっ、引っかかったね。なにしてるん?」

 

 きゅん。じゃなかった。

 いきなり肩をたたき、俺の頬をぷにっとしてきたのは希だ。なんでここにいるのかは、アニメからの推測だが「μ,s」を気にかけているからだろう。でもあくまで推測だ、完全じゃない。なら変な茶々は入れなくていい。

 

「ちょっと頼まれごとを受けたので来ただけです」

 

「ふ~ん。もしかして、高坂さんからの頼み事だったりするん?」

 

「……よくわかりましたね。どうしてですか?」

 

「うーん、この前の放課後に部活設立申請書持ってきたからかな」

 

 その言葉を聞いて「そうなんですか」と答えようとしたとき後ろのドアがガラッと音を立てて開いた。

 咄嗟に後ろを向こうとして足がもつれる。

 すると、こけないようにと頑張った結果リア充界ではよく知られている壁ドンの様な形になってしまった。後ろに壁ないけどな。

 

「ヴェあぁ!」

 

 文字に表しずらい声を出して真姫は二三歩距離をとる。

 そんなに驚かなくてもよくない?いや、確かに目が腐っている奴がいきなり目の前に現れたら怖いけどさ。八幡泣いちゃうぞ。

 

「お~、比企谷君。いきなり壁ドンはいくらなんでも怖いんやない?」

 

「わざとじゃないですよ……。」

 

 驚いている真姫、ニヤニヤしている希、それにツッコむ俺と変なトライアングルができてしまった。

 もう勧誘どころではないのは誰もが分かることだろう。

 

 さっきまで静かだったここ一帯も春の陽気が入り込んだようで、少しは暖かくなっていた。

 




違和感など感じましたら、はっきりいってくださると助かります!

大晦日にこんな駄作を見るだなんて、あなたたち大好きです!(深夜テンション)


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一変した日常の中でも、彼の目だけは不変である。2!

二ヶ月ぶりですね、どうも、ちやほやされたがりのちい太です。

……本当に申し訳ないです。理由も特になく時がすぎていました。

スランプで文が変とは思いますが読んでくれると嬉しいです。


部屋の中にぽつんと置いてあるピアノが四月の太陽に照らされ、輝きを放っていた。

 

しかし、その綺麗な情景に置いてけぼりにされて三人を取り囲む空気は混ざり混ざってしまっていた。

個性のぶつかり合いとは正にこのことだ。

目の前には涙目でこちらを睨む真姫、隣には先程から表情をコロコロと変える希とカオスな場が広がっている。希は酒でも飲んだのだろうか。

 

「比企谷くん!はよ謝らんと裁判沙汰になってまうよ」

 

ニヤけている酔っ払い、もとい希が真姫の状態を見かねて笑みを浮かべながら冗談めいた注意をしてくる。

 

「それで裁判とか起こってたら、もういけ好かないイケメンたちは刑務所に入ってますよ」

 

まぁ壁ドンとか本当に申し訳ない事をしてしまった。多分相手が真姫でなければ、明日にでも俺はあのピアノのようにぽつんと佇んでいることだろう。あ、それはいつもそうでしたね。

 

「でも比企谷くんイケメンやないやん?」

 

……ちょっと?正直で辛辣な言葉が一番心にくるからやめてくんない?

 

「ぐっ……。でも俺は自分の顔を平均以上だと自負しているんですが」

 

「ふふっ。わかっとるよ。比企谷くんはうちの王子様やもんね。」

 

希は口に手をあてて少し笑いながら摩訶不思議な事を言った。

俺が王子様?どういうことだ、この世界の俺は希に何をしでかしたの?

 

あまりに突拍子な言葉に惚けてしまっていると希に肩を叩かれた。

 

「ほら、はよ謝らんとあの子拗ねて帰ってまうよ。頼まれごとあるんやろ?」

 

そういえば、当初の目的である真姫に作曲を頼む事を忘れていた。

いや待て、ここは拗ねて帰ってもらうのも一つの手かもしれない。

ここで嫌われてしまえば、彼女らと距離を置くという点では成功といえば成功だ。

……やはりやめておこう。彼女らが簡単に人を嫌うとも思えない。それどころかむしろ何があっても人を嫌わなさそうだ。そこまでいくと逆に怖いな。

 

はぁ、と息を吐いて心を落ち着かせる。

未だ慣れることのない美少女に囲まれた生活は多分、これからも慣れることはない。

真姫を見据えると絶対領域がつい目に入った、つい。

心は落ち着かなかった。

 

「えーと、用があって来た。この前、やたらテンションの高い奴に作曲を頼まれなかったか?」

 

意を決していきなり本題をぶつけた。気の利くやつは得てして最初に場を和ませたりするが、そういうの八幡はできない……。

 

「頼まれましたけど、それがどうかしたんですか?」

 

俺の質問に対して、真姫は途端目を細めた。

あっちの世界と違って、言葉尻を強めた真姫の感情が少し読み取れるような気がした。

 

「俺も作曲を頼みに来たんだ」

 

「何回来ても私、やるつもりないですよ」

 

だろうな。穂乃果が言ってダメなのに、俺が言って成功するはずがない。

ここは、早々に撤退して後は穂乃果たちに任せよう。

 

「そうか、なら今のところは諦める。だが、歌詞が出来たらしい。それだけでも見てやってくれないか?」

 

「見たってやらないと思いますよ」

 

真姫は相変わらず目を細めたままだ。堅い意志を感じて、そこから穂乃果の凄さに気づいた。

 

「それならそれでいい、ってあいつは言うだろうからそれでもいい」

 

会うのはもう最後(のはず)なので出来る限り格好をつけて後ろを振り向く。決まった……!振り向くときに笑いを堪える希が見えた。

 

あ……。

全く関係のない希の笑みで真姫の名前を聞いていない事を思い出した。名前を聞いておかないと辻褄が変な風に合って、最悪ストーカー扱いを受けることになってしまう。

 

「そういえば、名前聞いてなかったな。俺は比企谷八幡だ」

 

振り向いた後に振り向いて、体育の隊列練習みたいになってしまった。気をつけの後に休めしてまた気をつけするのってなんでなんだろうな。

 

「……真姫、西木野真姫よ」

 

俺の360度回転に思うところでもあったのか若干遅れて真姫は言葉を返した。

 

「あいつのしつこさにはお互い苦労するだろうが、よろしくな。あとついでに作曲もよろしく」

 

「しないって言ってるでしょ!」

 

さっきまで細かった目を大きく開けて、真姫は怒鳴った。

よろしくしてももう会わないので、実質よろしくしたのは作曲だけだ。

踵を返して歩き出す。540度回転していた。

 

「比企谷くん」

 

歩き出したところで希に引き止められ、振り返る。危ない危ない、その場で立ち止まっていたら二回転するところだった。何が危ないんだよ。

 

「なんですか?」

 

振り返った先には、首を少し傾けた思案顔の希がいた。何そのポーズ、なんかグッとくるからやめてほしいんですけど。

 

「比企谷くんってあんなにはっきりものゆう子やったかなぁって思って」

 

相変わらず首を傾けたまま希は疑問を口にした。

さすが希、痛いところを突くな。だが例え希でも異世界から人がやってきた、なんて考えは浮かぶなんてことはありえない。そんな奴がいたら、そいつは痛いやつか超能力者だ。

 

「心境の変化ってやつですよ。ほら、高校生は多感な時期っていうじゃないですか」

 

「うーん、そんな感じには見えへんけどなぁ」

 

希は納得がいかないようで、腕を組んで口をすぼめながら歩いている。

確かに俺自身も全然全くもって納得がいっていない、例えばこの希の胸とか。

 

最低な事を考えながら歩いていると、廊下の曲がり角から金色の髪でイメージカラーが水色で生徒会長でKKEな彼女が出てきた。

これでアニメキャラ合計何人目だよ。スタンド同士は引かれあっちゃうの?

 

「あっ、えりち。何してるん?こんなとこで」

 

希も彼女、絢瀬絵里に気づいたようで小走りで駆け寄りながら尋ねた。おさげが少しばかり靡く。

 

「……希を探しに来たのよ。もう生徒会の仕事は始まってるわ」

 

駆け寄っていった希も絵里の顔を見てピタリと止まる。絵里の顔は先程の真姫の顔となんら変わりないように思えた。

 

その顔を横目で見ながら通り過ぎる。

どうやら彼女らは今から仕事らしい。若い頃から仕事なんて大変なこって。俺なんて一生する気がないのに。

 

「待ちなさい」

 

通り過ぎて二、三歩歩いたところで呼び止められた。

その声にはなにか固さがある。

 

振り返ると絵里はなぜか指をさしてきた。

示している位置は顔の下か?何かついてるんだろうか。

 

俺が何もしないでいると絵里は少しばかり大きなため息を一つついて、こちらへ歩いてくる。

え、近づきすぎてない?え?

 

ここで問題だ。

目と鼻の先にに美人が来たらどうなると思う?

答えは固まってしまう、だ。

 

「ネクタイのこと、集会で言っておいたはずだけど」

 

いつの間にか緩んでしまっていたネクタイがゆっくりと締まっていく。その時間はとても長い時間のように思えた。

 

「は、ハラショー……」

 

困惑して、思わず言葉がこぼれた。思わず出る言葉がこれって日本人としてどうなんだろうか。

 

「全然素晴らしくない。むしろ逆、使い方が間違ってるわ」

 

「あぁ、そうですね……」

 

誰とは言わないが、俺と同じで使い方を間違っている人がいたな、誰とは言わないが。

 

「じゃ、じゃあ、これで失礼します。ネクタイ、ありがとうございました」

 

お礼を言って早々に立ち去る。振り返る時に、またしてもニヤニヤしている希が見えた。

 

長い長い廊下を人の間を縫って歩く。

焦って早くなっていた足も段々と心臓の鼓動と一緒に遅くなってくる。

すると、ポケットに入っていた携帯がブルブルと震えた。

アマゾンのメールか?と思って見てみると、それは希からのメールだった。

歩きスマホはいけないので立ち止まって内容を確認する。

 

『えりちに鼻の下を伸ばしていた比企谷くんへ。

 

実はうち、三人のアイドル活動応援してたんだけど比企谷くんも関わってるみたいで良かった。相談したいことがあるんだけど、いいかな?日時は後で連絡するから、またね』

 

P.S.

さっき君に変わったって言ったよね。だけど目は全然変わって……。いや、やっぱりこの話はやめておくよ!

 

俺は読み終わるとすぐさま返信をした。別に追伸にムカついたとかそういうわけじゃない。

 

『先輩ってメールの時は関西弁使わないんですね。

相談は役に立てるかわかりませんが。』

 

俺は何故か勝ったような気がして、内心喜びながら歩き出した。

 

外には暖かい空気が流れている。

桜の花が舞っている。

もうすぐ季節がゆっくりと変わり始める。

その変化に合わせて、変わる何かがあるような気がしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうものんたんがヒロインみたいになってしまう。そんなつもりはないのに…

〈れんらくじこう〉
辻褄がどうも合わない(凛と花陽の所)ので4話分くらいを消すか書き直すかしようと思っています。


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第七話

間隔あけすぎちゃって本当に申し訳ない限りです。

不真面目な学生であるので課題が…ね。

今回も全員が満足できる!といった文章にはなってはいないでしょうがそうなるのを目指して頑張っていきます!

応援してくれるとありがたいな!コメントやらなんやらしてくださると自分のモチベが上がります。


時刻は五時。緩やかな風を感じながら、ドアに鍵を差し込む。

 

「ガチャ」

 

もう少しは聞きなれた音がしてドアを開く。靴を脱いで机にバッグをドサッとおく。

 

今から夜飯作るの面倒くせぇな、と若干力を入れてギュッと目をつむる。少し疲れてんな、そう思った。

 

×            ×          ×

 

明日から土曜日だ。あの人の話によれば小町からコンタクトがあるらしいがどうなんだろう、と思いつつこの一人では少し広すぎる部屋を見て少し悲しくなった。

 

「はぁ…。」

 

また溜息を吐いてしまったことを後悔しつつ俺は眠りについた。

 

 

ピンポーン、ピンピッピピピピピピピピンポーン

 

俺はけたたましいチャイムの音でゆっくりと目を覚ました。全くやめてくれ、なんでこんな早い時間に……俺は朝(11:00)弱いんだ、そう思いつつドアへ向かう。こんなチャイムの鳴らし方をするやつ俺の交友関係にいたか?いやいない。俺は頭をかきながらドアを開けた。

 

「ちょっとお兄ちゃん。迎えに来てくれるって言ったじゃん!小町的に超ポイント低い!!」

 

は?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺はそんなこんなで小町を家の中に招いていた。何をしてくるのだろうと思っていたが、まさか会いに来るとは。

 

さっきからお兄ちゃんにしてはセンスいいねぇ~と上から目線で宣っているが、まったくもって言い返す言葉もない。これ俺が用意したものじゃないしな。俺は小町に呼び掛けて椅子に座るように言う。小町は聞き分け良く座ってくれた。さすがラブリーマイシスター小町ちゃんである。俺は小町にコップに注いだお茶を差し出して、質問をした。

 

「んで?なんでお前はここに?」

 

大方予想は付いているが、一応聞いておかなければ。

 

「え、本当に忘れてたの?さすがにひどすぎるよ~。一週間前にそっちに行きたい!っていったら渋々だったけどいいよって言ってくれたじゃん!」

 

やはりか。俺は基本的に用事などないのである時は忘れることなどないが、一週間前だと別だ。だってその時俺は俺じゃなかったんだから。なんかこの文かっこいいな、とくだらないことを考えていると、小町がよりいっそうムッとした顔をする。俺そんな顔に出やすいんだろうか…。

 

「すまん。忘れてた、一週間すごいことが起き過ぎてな。迎えに行けなくてすまなかった。」

 

そう謝ると小町があははと笑ってこう言った。

 

「迎えは別に頼んでなかったんだけどね。」

 

くそっこいつと思っていると小町がそのすごいことって何?と続けて聞いてくる。あぁめんどくさいことになった、会話スキルがなさすぎるせいだ、どうごまかそう。と考えているとポケットに入れていたスマホが震える。なんだと思って確認すると希からだった。うれしいけど今はタイミングが悪い!、そう思ってまたポケットにスマホを隠すように入れる。

 

なんだったの?と小町が聞いてきたがいつも通り商品紹介だよ、と返す。すると俺の顔から嘘でも読みとったのだろうか、にやりと顔を歪ませる。小町ちゃん、そんな顔しちゃいけませんよと脳内つっこみをしていると小町はこう言った。

 

「嘘はいけないよ!おに~ちゃん!」

 

我ながらこわい妹である。嘘なんか言ってねぇと苦し紛れに言うと、スマホをポケットに戻すのが速かったという証拠を突きつけられ御用となってしまった。小町にラインを見られて希先輩ってかわいい?かわいい?と聞かれたが全力でスルーしておいた。

 

それから「希のチャイムたくさん鳴ってたけどどうしたの?」という文に「うるさい妹が来たんですよ。」と返し、小町に怒られた。

小町は今から遊びに行きたいらしい、なんか知らんが罰で俺もついていくことになってしまった。俺はおすすめの場所連れて行って!と言われても困るのでこう言う。

 

「小町、俺は外に極力出ないからここら辺のことは知らんぞ。」

 

実際そうだしな、まだ来て一週間もたっておりません。

 

「一年間もいて!?あ、じゃあ、その希先輩って人も連れて行けばいいじゃん!」

 

とピンとひらめいたような小町にいわれ、こいつまだ会ってもない人に勇気ありすぎだろと思った。思っただけでもちろん断ったのだが脅しをかけにかけられて、横暴だ!と言ったのだが俺の糾弾は認められずとりあえずお誘いだけしてみてよ!と言われてしまいしょうがなくメールを送る。

 

<妹の小町が俺が役に立たんので希先輩に東京を紹介してほしいと言ってるんですがどうでしょう。全然断ってくれてかまいません。むしろ断ってください。>

 

すると小町は断ってくださいの所をきれいに消し、その文を送ってしまった。断られたら黒歴史確定だ……と思っていると小町はフフンと言いながら憎たらしい顔をしている。その顔を見ているとまたスマホが震えた。確認してみると

 

「準備に時間かかるけどそれでいいならいいよ」

 

と書いてあり、俺は「ありがとうございます。準備できたら言ってください」と返した。それから1時間経たないくらいだろうか、さっきとは違って静かな家のチャイムがが鳴った。

 

小町がは~いと言ってドアを開ける。すると小町は希を上から下まで見たあと俺を見てえ!?という顔をしていた。なんて失礼な奴だ。

 




これからは文章がだんだんと短くなる可能性があります。許してね。


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第八話

遅れてしまいすいません。
課題がやばかったんですよぅ〜(一色風)

もう前書き書くより早く投稿したいのでどうぞ。
次話で色々書いて謝ります。



さっきからありえねぇみたいな顔をしている小町、綺麗な服に身を包んだ希、そして呆れている俺、と変な三人組に変な空気が流れていた。小町が開けたままのドアで室内と外の空気がおり混ざる。俺の嫌いな日光が明るく希を照らしている。別に俺がゾンビだから日光が嫌いとかそういうのでは決してない。

 

いつまでも三人で固まっているのも外に出るよりは幾分かマシなのだがやはり気まずくもあるので乾いた喉から出した声を小町にかける。

 

「はぁ…。小町さっきから首をブンブン振り回してないでさっさと行くぞ。先輩もわざわざ来てくれたし。」

 

思わず溜息が出る。最近俺溜息出しすぎじゃね?休日をダラダラと過ごしたいという思いがこもった溜息は願望は叶わないと俺に伝えるように口から出てどこかへと消えてゆく。

 

「ちょっとお兄ちゃん!いつの間にこんな綺麗なお義姉ちゃん候補が…!」

 

「ばっかお前、先輩は会って一週間も経ってねえよ。それをお前がお呼びだてしてだな。」

 

俺が女子と話せばそれだけで妹にとってはお義姉ちゃん候補であるらしい。当たり前のようにスルーされた俺のフォローの声はどこか虚空へと消えていき、またあたりをどこか気まずいような空気が包もうとする。

 

「はいはい。いつまでもそうやって言い合ってると時間なくなってしまうよ。時間は有限なんだから有意義に使わんと。」

 

パンパンと手を叩き希が空気を変える。にこやかなふわっとした表情からは怒ったり呆れている様子は感じられない。そこに漬け込んで外に出るというのは俺にとって無意義、というこうとを希に伝えてしまいそうなった。しかし小町がまたうるさくなるのを見越して言葉を喉で止める。言ってしまった後の小町の顔と声が目に浮かぶ。目に浮かんだものとは違う顔でハッとなった小町は少し申し訳なさそうにして希に謝ると持ってきたバッグを取りに行った。

 

「今日はありがとうございます。妹のワガママに付き合ってくれて、すいません。」

 

「別にええよ。それより謝るよりありがとうって言う方がええと思うよ。」

 

「あー。そうですかね。これからは善処します。」

 

「ふふっ、そうそう。いい子やね。」

 

お姉さんぶる希。その背は俺よりも少し低い。思わず背の差に少し笑みがこぼれてしまう。

 

「ん?今なんで笑ったの?」

 

「あ、いや、すいません。」

 

「ふふっ、また謝っとるよ。」

 

希は何かわかったのか知らないがうんうんと頷いた後、首で俺の後ろを指し示す。後ろを振り向くとニヤニヤした小町、こいつ…いつから見てたんだ。俺はこのままでは小町にいい餌を与えるだけだと思い、希に話しかけ外へ出ることにした。

 

× × ×

 

少しずつ近づいてきてるのではと思わせるくらい段々と上がっていく気温だがまだ夏ではない。常人には厳しくないのだろうが、俺には厳しい。誰だ俺のこと常人じゃないとか言ったのは。時折り吹いてくる風がちょうど良く少しは歩いてしまうのをやめようか、という考えを抑える。俺はすでに三人の中で孤立していた。俺は紳士であるのでウェーイ系みたいに話に割り込んで行ったりはしないのだ。それでさっきから耳を傾けるだけにしているのだが、小町がご趣味はなんですかとか聞いている。お見合いか何かかよ。

 

「ええと小町ちゃんでええかな。」

 

「はい!なんですか?」

 

「うちに興味持ってくれるのはとっても嬉しいんだけど、先に行く場所決めよか?」

 

「あ、はいそうですね!」

 

ニコニコと会話を続ける二人をよそにまだ決めてなかったのかよ、脳内ツッコミを決め二人と同時に歩みを止める。さながら自分が家来のようである。まだボディーガードとかの方がかっこいいか?

 

「比企谷君はどこかおすすめある?」

 

俺のくだらない思考を止めるように質問が飛び込んできた。小町がどこに行けば楽しめるか、ねぇ。妹のことなので真剣に考えようと思ったが俺には東京の情報が0に等しい。ムリゲーもいいところだ。

 

「すいません。俺は思いつかないっすね。みんな腹減ってるなら先に昼飯行きましょうか。」

 

「えと、うちはまだ大丈夫だけど、小町ちゃんは?」

 

「小町も大丈夫ですよ!」

 

こうして二人に聞くと二人ともまだ腹は減ってないらしい。どうしたもんかな、と二人を見ると希が口を開いた。

 

「あ、じゃあうちいいところ思いついたんだけど行ってみていい?」

 

「はい!小町はどこへでもついていきますよ!」

 

希に少しわざとらしい感じがなくもなかったが、別に悪いことをするわけではないだろうしな。

 

そうやって歩くこと少し。行くまでに大体予想がついていたがやはりか。俺たちはあの聖地、神田神社に来ていた!(二回目)いや俺だって行きたくなかったけど二人で話してるところに割り込むとかできないし。

 

「あっ、比企谷君だ〜!それに副会長も?」

 

あの希のことだ。これももちろん計画通りだろう。チラと希を見るとテヘッと笑った。くそう、小悪魔め。これで許せてしまうのだから男っていうのは随分単純なんだろう。

 

 

 

 




少なくてごめんなさいいい。

次話は8/27になると思います!よろしくお願いします。


別に自分は希推しではありませんです
俺は全員推しなので(断言)


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第九話

疲れた
あと三日でテスト
次の土日にまたあげるから見てね
一週間更新時持続するで


四月の青天井を見つめる。時折階段下から心地の良い風が運ばれてくる。風で前髪がゆらゆらと揺れ少しこそばゆさを感じる。辺りを女の子特有のいい匂いが包み込んでいた。

 

そんな夢の空間にいながら心の空で思っていた。夢みるものと実際に体験して見るものが此処まで違うものなんだな、と。

俺は自分を高スペックであると自負している。学校というものに行き始めた頃から一人だった俺はその類い稀なる能力(大げさ)でおれは大抵のことはこなしてきたつもりだ。

そんな俺はなんの因果かこの世界に強制的に連れてこられてしまった。今まで俺にだけ厳しかったくせに…。世界はツンデレだったんだな…!

そんなこんなで美少女に囲まれて過ごすことになった俺だが、息が詰まる詰まる。無意識的になぜだか後ろめたさを感じてしまうのだ。

行動に見合わない受益というのは怖いものでしかない。今までの一度も悪いことなんて何もしていない。これは世界が悪いと言っても差し支えないだろう。

 

はぁ、最初っからμ,sに関わらなかったらなぁ。

そんな選択肢はなかったがと付け加えて溜息を吐く。俺は遠い遠い虚空から目を移し、いつの間にかゆっくりと垂れてゆく汗を目で追ってしまっていた。いやんエッチ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

当然の如く女子共の話の輪に入れない俺。先ほどから、練習中であった二年生組と駄弁っていた、俺抜きで。内輪なんてない俺の本領発揮といったところか。俺とは対照的に小町の目は見開かれキラキラであった。

 

「うちのお兄ちゃんはですね、こんな目をしておりますがですね、とっても優しいのでこれからも仲良くしてくれると嬉しいです!もし良かったらお嫁さんになっていただいてもいいんですよ!」

 

変な喋り方をしているアホな小町を反射的に叩く。大袈裟な痛っ!という声がでる。

 

「いきなり何言ってんだお前は。」

 

「何ってお兄ちゃん!お兄ちゃんのお嫁さん探しを手伝ってるんだよ!お兄ちゃんはぼっちだからね。」

 

小町はぼっちという部分にアクセントをつけた。

 

「ぼっちはぼっちでも一人でいるのを嫌がっていない。むしろ好んで一人でいるんだ。気使って話すとかストレスの溜まる行為以外のなにものでもない。」

 

「ほらも〜!そうやってすぐ捻くれて!いいからお兄ちゃんは小町の手伝いに感謝してればいいの!」

 

「押し付けがましいなおい。ありがた迷惑もいいところだぞ。」

 

ふん!とそっぽを向いた小町。普段通りならこれぐらいでは怒ってしまうことはないだろう。周りを見ると他の四人は俺のありがたい話に少し引きつつも柔らかい表情で俺らを見ていた。

 

「仲がいいんですね。穂乃果と雪穂のようです。」

 

「うんうん!私上も下もいないから少し憧れちゃうなぁ…。」

 

各々の表情は一人一人違うもののとてもにこやかで、またも少しダメージを受ける。ああ、なんで俺ってイケメンか美少女に生まれなかったんだろう。もしこの目がキラキラと輝けば人生は720°変わるだろう。まぁないものを望んでも仕方がないのだが…。

 

「まぁ俺もお友達がいない分余計にいい妹に恵まれたよと思うよ。」

 

ふっとドヤ顔で言って数瞬、少しの間をおいて妹がこのバカお兄ちゃん何言ってんの、という意味を込めたような溜息を吐いたかと思えばことりが目をウルウルとさせながら口を開いた。何それなんかくるものがあるんですけど。

 

「私たち、友達じゃなかったの…?」

 

「へ?友達?」

 

生まれた時から皆無であった友達。それが目の前に存在しているというのだろうか。いやそんなはずがない。俺にとって友達を作るというのは最高難易度なことだ。将来働くことよりありえん。そもそも友達「作る」って何?なんか怖いんですけど。そしてどっからが友達?あ、これ友達いない奴の常套句だった。リア充は雰囲気で判断できるようです。すごいですね。

 

「「「……」」」

 

沈 黙

 

え?これは俺が悪いのかな?

 

「い、いやぁ今まで空気のようにふよふよしてたもんだから、そ、そうほらなんてーの?友達の定義がわかんねぇんだよ。」

 

「友達のてーぎ?」

 

あっ、リア充はそんな事考えないんでしたね。中学の頃延々とそれを考えてた俺はその時点でお察しって事だ。

 

「い、いやなんでもない忘れてくれ、少し焦っただけだ。」

 

ニヤリと笑い八重歯をチラリと見せるものがいた。その新しい玩具見るような目をやめようね。

 

「おいそこの二人悲しげに俺を見つめるな。好んで一人でいる奴がいる事をしかと覚えておくんだな。泣いちゃいそうになっちゃうだろうが。」

 

もしこんな会話の流れでなかったなら素直に喜べたのに。泣きそ…。今更ながら大人数で喋るのって初めてだったかなぁとか考えてしまう。完全にフルッじゃなかった、現実逃避です、ほん(ry

 

「お兄ちゃん!何言ってんの!完全に引かれちゃってるよ、引かれるんじゃなくて惹きつけてよ〜!」

 

小声で言ってるつもりだろうが小町ほとんど声が小さくなっていない。

 

「その書かなきゃわかんねぇような喋り方を止めろ。あとうまくないぞ。」

 

「そんなことはどうでもいいの!こんなに可愛い人たちと出会ってるのに台無しどころじゃないよ!」

 

「そうはいってもな小町。俺がどの言葉が台無しなのか見分けられると思うか?そんなのができるんならとっくに友達(笑)が出来てるよ。」

 

「大丈夫大丈夫。今話聞いてきたけどあの子たちは今のくらいじゃ引いたりせんみたいよ。」

 

「ちょ、近いです。あとなんでナチュラルに話に入ってるんすか。一応小声の内緒話って事なんですけど。」

 

そしてナチュラルに盗み聞きしてるし。

 

「まぁまぁ日企谷君。いい情報でしょ?お 嫁 さ ん 探しの。」

 

くっ。可愛くいえばいいと思うなよ!というか嫁なんか探してねぇ。いやあいつらが嫁になったらとか考えるとふへへ

 

『おかえり〜!今日のごはんはね!すごい自信作なんだよ!とっても上手に焼けたんだよ!ハンバーグ!』

 

『おかえりなさい。お風呂が湧いているので先に入ってきてください。も、もう、そんな冗談はやめてください!』

 

『おかえりなさいませ、ご主人様!な〜んちゃって!え?別に浮かれてるんじゃないよ〜!』

 

はっ!つい妄想の世界にダイブしてしまった。まんまと誘導された!

 

「ほほう、その笑い方は危険やねぇ?何考えてたん?」

 

希の顔を見ると案の定ニヤリとしている。可愛いのが悔しい。チラとあちらを見る。悪口を言うようなやつらではないとは信じれるが、それで他の全てを信じるってほど俺の心の傷は薄くない。あ、なんかこれかっこいい。

 

「そんな俺の笑みは危惧すべきものなんですか。あと何も考えてないっす。」

 

「別にそこまで言ってないやん!ちょっと通報される顔してたよ、って言っただけ!。」

 

「それさっきとほぼ同じ意味では…。というかむしろ悪化してるし。」

 

「ふふっ、日企谷君は話してて楽しいね、男子とあんまり喋らんからかなぁ。」

 

「っは、俺をそこらへんの男子と同じにしてもらっては困りますね。もっと高スペックだし社会のクソさへの理解も三枚くらい上手です。」

 

「自分で言うのはどうかと思うけど、その捻くれ方から見ると高スペックかは別にしてあながち間違いでもなさそうやね。」

 

「ふっ高スペックかは今から時期にわかりますよ。」

 

「そんな風に自分でいうとまた引かれるから気をつけてね。」

 

「」

 

八幡、完全に撃沈…!なす術なく…!

 

「というか結構長居してしまったけどもうお昼時やね、皆そろそろお腹空くんやない?」

 

「うー。もっとお兄ちゃんと皆さんとの掛け合いを見ておきたかったんですが、空腹には勝てませんね。」

 

「そうだな。腹減ったしさっさと行こう、すぐ行こう。」

 

「あ、ちょっと待って!小町ちゃんにオススメの場所があるんだ!東京初めて来たんだったよね。」

 

「はい!今日が初めてです!ほんとはお兄ちゃんと一緒に行くつ持ちだったんですが…。まぁ結果オーライでしたけどね!」

 

「? それでねオススメなんだけど

A-RISEがいるUTXってどうかな!学校とは思えないくらいこ〜んなに大きくてね、私最初見たときびっくりしたんだよ!」

 

「あ、うちUTXまでの道わかるよ。どう?小町ちゃん。」

 

「はい!オススメされたのでぜひ行きたいです。」

 

「その前に昼だ。腹減ってんじゃなかったの?」

 

「それはもううちが思いついてるからええよ。連れてってあげる。」

 

「ねぇ。少しだけ話変わるんだけど、お昼食べたあと穂乃果ちゃん家のお店の穂むらにデザート買いに来たらいいんじゃないかな。ね、海未ちゃん!」

 

「そうですね。穂むらの和菓子、特にほむまんはとても美味しいです…!」

 

うわぁキラキラした目してんなぁ〜。

 

「美味しそうですね!小町とってもお腹が空いてきちゃいました…!」

 

だからさっきから早く行こうと言ってるのに、この会話文で作者がどれだけ苦労したと思ってるんだ。もう休日のオリジナル話は書かないまであるぞ。

 

「ふふっ、じゃあ今日の予定は決定やね。ここにきてよかったやろ。」

 

ドヤ顔を決める希。この感じ、写真にしてほしい…!

 

「はい!正解でした!あんなにお義姉ちゃん候補がいるとは…!」

 

おい小町、その考えから行くとここからあと五人ほど増えてしまうことになるのだが、候補だけいてもダメでしょ…。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃあまたあとでね〜!」

 

「は〜い!またあとで〜!」

 

俺は三人組にペコッとなぞの礼をして振り返った。今から希の言うオススメランチを食べに行くようだ。予定から行くと

 

昼を食べに行く。

穂むらでデザート買う。

UTX見に行く。

解 散

 

こんな流れか、もうすでに俺の脚は厳しい(嘘)のだがあとどれくらい歩くのだろう。きついな…。

 

もう帰りたいです…。

 

俺は希の後ろに付いていくためにトボトボと歩き出した。

 

 




テスト終わって二週間後にテストってなんだよ。


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第十話

祝十話。めでたい。
だが、相変わらずスランプ。むしろ深まる。

まず最初に、更新できなくてすいませんでした。いろいろあったんですよ。急に友人が止まりに着たりとか。自分はオタク趣味を隠しているので…ね。

ここで俺の考えを聞け。いや、聞いてください。
評価があるじゃないですか。それは俺の考えから行くとどちらかといえば気に入らないと思う人のほうが評価をするわけです。ですから、必然的に評価は段々と10から遠ざかっていくわけです。
結論を言わせてもらうと、気に入らないならもちろん1をつけて全然かまいません。それが当然の権利だからです。しかし自分が言いたいのは、面白いと思ったら78910どれかつけてよってことです。ちやほやされてる気分に浸りたいんです。以上作者の最低発言でした。


希の行きつけであるらしいシャレオツな景観のレストラン?で飯を食ったあと俺たち三人はUTXに来ていた。アニメからではなく自分の視点から見たUTXはさながら大企業のビルである。高校とは思えない壮大な建物を見て上から見たら人がごみのように見えるんだろうなぁとか考えるてしまう。

まぁ、そうは言ってもここはアニメの世界だし別におかしくはないだろう。アニメはおおげさにしてなんぼだ。棒アニメ会社の広すぎる部屋とか。

 

「はぇ~~。おっきい~。」

 

「うちも初めて見たときはすごい驚いたんよ。」

 

「ここって高校なんですよね…。とても信じられないです。」

 

「ここは偏差値も高くてお金もかかるからなかなか入るのが難しいんよ。その分設備が十二分に確保されてるんやけどね。」

 

「へぇ~。私もここに通いたいなぁ。」

 

その言葉を聞いて少し想像してみる。もしこんなところに通うとなったら逆に萎縮してしまうんじゃないだろうか。もちろん俺の場合だが。こういうところには表だけ優しい感じの集団が集まる傾向がある気がする(偏見)。

例えば好んで一人でいるやつにいちいち話しかけてくるとかな。それ、優しさじゃなくて無用の親切になっちゃうからね三組の土田さん。あの時は親切だと思ってたよ。思ってましたとも。

しかし、そんな心の声を小町が読み取れるはずもなく、ぱぁ、と目を輝かせて俺を見つめた。

 

「お兄ちゃん!小町ここ通いたいからもしそうなったら小町をお兄ちゃんの家に住ませてね!」

 

「一緒に住むのはうれしいかぎりだが、生憎ほぼ十割ここに通うことはないだろう。なぜならうちにお金はないし、お前は頭がよくないからだ。」

 

「むぅ~。小町のこと頭悪いとか言うなんて小町的にポイント低い!」

 

なんだそのむう、てあざといな。字で書くとさらにあざとい。かわいいからいいけど。

 

「俺は事実を言ったまでだ。何も虚言は吐いていない。せめて音ノ木坂に入れるぐらい学力をつけてから言うんだな。」

 

「もぉ~。仲良しなんはいいけどひとりにするのやめてや~。」

 

「あ、すいません。もう!お兄ちゃんが小町に悪口言うから!」

 

「また兄妹仲がいいことが証明されたな。」

 

そう言うや否や小町がなに言ってんだこのごみみたいな目をしてくる。少し心にひびが入った俺を気にせず、小町は希に話しかけた。

 

「せっかくだから、この周りでウィンドウショッピングしませんか!」

 

「ええとおもうよ。まだ全然時間あるしな。じゃどんどんいこか!」

 

「もう歩くのいやなんだが…。」

 

そう小さい弱音を吐きながら二人の後ろをついていく。楽しさとめんどくささが入り混じった感情。外に出て楽しいなんていつ振りだろうか。前にいる二人の格差を見てふっ、つい笑ってしまうと小町がいきなりギラッと顔をこちらに向けてきた。やはり女ってのは怖い。その隣には笑顔の下に華奢な体をした希が綺麗な笑顔で立っていた。弱々しい風がスカートをゆらゆらと揺らめかせていた。




少ないけどとりあえず出す。このままだと全然出さなくなってしまいそうだから。
土日も出すから安心してください。

あ、やっと俺ガイル一巻読みました。だから少し書き方変わってるかも?
おかしかったら言ってください。


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第十一話

遅くなってすいませんすいません。大事なry
いやホント申し訳ないです。いつの間にか時間が過ぎてたんです。

時間があった割に文字数少なすぎるのも謝りたいです。
みんなにとっては毎日1000文字とかの方がいいんですかね…。悩みどころです。

明日とかから一話書き直しを始めるので前の方がいいと思ったら言ってね。


歩く、歩く、歩き回る。

 

これがウィンドウショッピング…!なんて圧倒的辛さ…!。目の前を飄々と歩く彼女ら二人を尊敬の目で睨みつける。

 

今度はアクセサリー店に入るようだ。ふらふらしながらも付いていく。店に入りチラと値札を見るとこういう店特有の丸いカラフル文字で値段が書かれていた、いや描かれていた。

 

スーと後ろへ下がり壁に背中を預ける。俺のお年玉三年分だと…。

 

都会の当たり前を無理してのみ込みながら息を整える。

 

落ち着いたところで内装を見てみると、これまたおしゃれなものであった。名称が何かわからないが落ち着いた色を放つ光源が周りの空気をなんかいい感じにしていた。この場の雰囲気は自分に合わないことを瞬間的に悟る。

 

少し息をついて、二人の方を見る。可愛いと思ったものを指差しながら色々見回っているようだ。決してかがんですごいことになっている希を特に注意して見ていたりしていない。かがむな、かがめ、かがむな。

 

それを邪魔するかのように置いてある少し小ぶりな広告的なものがパッと目に入る。来週が母の日らしい。母の日といえば白いカーネーションだが起源はなんだったか。まぁここでは営業戦略として母の日とアクセサリーを組み合わせているらしい。売れるためには何にでもこじつけなければいけないのが辛いところである。

 

うちの母にも買った方がいいのだろうか。社畜ご苦労様様としかかける言葉がないが。買わないでおこう…。

 

なんてことを考えているといつの間にか目の前に小町が悪代官のようなのに可愛い顔をして立っていた。

 

「お兄ちゃん!希さんに何か買ってあげれば好感度アップ間違いなしだよ!」

 

「何が間違いなしだ。自慢じゃないが俺はプレゼントを渡して喜ばれたことが一回もないんだぞ。」

 

「ホントに自慢じゃないし…。でもでも!希先輩なら絶対喜んでくれるよ!ほら、今日のお礼も含めて、ね!」

 

「なんでお前そんな張り切ってんだよ。これでひかれたらどうすんだよ。」

 

「大丈夫!自信を持って言えるよ!」

 

そんな風なやり取りをしているとなんとも予想外な人物がこの場に現れた。

 

「うわぁ〜!すごく綺麗だにゃ〜…!」

 

「ふふっ、そうでしょ。この前お母さんと買い物に来た時に見つけたの。」

 

対照的な服を着た二人組の美少女が仲よさげにこの場に登場する。純粋すぎる笑みを浮かべている二人は一歩二歩と歩みを進めて俺らのいる方に近づいてくる。

 

悪いことをしているわけでもないのに、自然と顔が引きつる。

 

大丈夫だ、まだ彼女らとは知り合っていない。普段通りにしていれば関わることはない。

 

これで「μ,s」と出会うのは八人目、しかもほとんどが偶然だ。

 

間違って建ててしまったフラグを折るべく俺は後ろを向いた。




花陽の口調が難しい…。
引き続きコメント、評価してくれると嬉しいです!

4/8 少し書き直しました。


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