東方結鏡 (草賀魔裟斗)
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プロローグ 煌めく破片

はじめまして、初めての投稿となります
更新は不定期ですが気長に待って戴けたら幸いです


ここは幻想郷、現代の世界より

結界で孤立した世界

そして忘れ去られたものたちが漂流する最後の世界

 

その幻想郷のここは三途の川の向こう側

死者が集う天国の…いや人によっては地獄の門である

死者はここで閻魔である四季映姫・ヤマザナドゥの裁きをうけ

天国かあるいは地獄の門を叩く

 

「そんなに怒らないでくださいよー四季様ー」

「怒ってませんよあきれてるだけです貴方だけですよ?最近、仕事をサボる死神は!」

「ひぇー最近のやつらは真面目ですねぇー」

「貴方が!不真面目なだけです!!」

実を言うと最近、ずっとこの調子だ

閻魔である四季映姫に死神である小野塚小町は怒られる

デジャヴというには続きすぎである

「いやですねー不真面目だなんてー」

「誉めてませんよ!少しは反省の色をですね!」

四季は大きな鏡の前を横切った

別に特別な物ではなく長年そこに飾っていた人の大きさ程の鏡 

しかしその時、小町は少し違和感を感じた

鏡の中の四季の後ろに目がついてきた様にみえた

「四季様!!しゃがんでください!!」

小町の今まで聞いたことのない異常というべきその声は四季にも届き

その歩を止めるに至った

しかし鏡の中の目玉が鏡の中に溢れかえり鏡が粉々に砕け散った

その鋭い破片は四季に襲いかかる

幸い、大きな怪我はないものの

四季の小柄な顔に小さい傷を入れた

四季は鏡の砕ける衝撃で腰が抜けて倒れる

小町がすぐに駆け寄る

「四季様!大丈夫ですか!?」 

「えっえぇ…」 

「なにが…鏡がいきなり…」

「まさか何もないのに鏡が割れるなんてことはあり得ませんし…」

「誰にせよ…四季様のお顔に傷をつけるなんて…許しません…!」

小町が立ち上がり何処かへ走っていった

いつもなら呼び止める四季だがそれが出来なかったのには理由があった

「小町のあんな顔…初めて見ました…

待ちなさい!!小町!!」

我に帰った四季が後を追った

 

 所変わって博麗神社

現代の世界と幻想郷を区別する巨大な結界

博麗大結界を司る神社であり

その神社の縁側には13代目の博麗神社の巫女、博麗霊夢が座ってお茶を飲んでいた

彼女は齢、20前半でこの幻想郷でも屈指の強者として数えられ

人間ながら妖怪やもののけとも互角に戦える実力者だ

「何もないって素晴らしいわね…このまま永遠に異変が起こらなければいいのに…」

そんな最近の平和を噛み締めている霊夢にその平和をある意味脅かす声が耳に届く

「霊夢ー!」

空飛ぶ箒に乗って博麗神社に降り立ったのは幻想郷では珍しくない魔導師の霧雨魔理沙

せっかちで手癖の悪い霊夢の相棒だ

ちなみに生まれつきのトラブルメーカーでもある

「なによ、魔理沙、あんたが来ると持ってくるのはいつも変な薬か異変か茸よね?今回はどれ?茸?」

「さすがは霊夢!だが残念!茸はもってないぜ今回は異変が手土産だぜ」

「よりによって異変かい…」

「ん?なんかいったか?」

霊夢は深くため息をついた

「ううんなんでもないわよ…で、なに?その異変は?」

「そうそう、私ん家にデカイ鏡があるんだがな」

「そんなのあったっけ?」

「最近買ったんだぜ、幸せを呼ぶ鏡って触れ込みで買ったんだがな…あっいや説明戻すぜ、その鏡が何もないのに割れたんだよ、パリーンって!これは間違いなく異変だろ?」

「鏡?そんな事してなんの得があるのかしら…とにもかくにも、たしかに異変だし不穏ね…ところであんた怪我してないの?」

「あぁ布団と鏡は離れてたからな」

「そうならいいけど…ちょっとその鏡見せてもらってもいいかしら?」

 

魔理沙の家

「そういうと思って割れた当時のまま残してあるんだぜ!」

「へぇあんたにしては気が利くじゃない」

霊夢はしゃがみ鏡の破片を手に取った

(鏡自体は特別なものではないわね霊力も滞留してないし…それより)

霊夢には一つ気がかりがあった

(フレームから全ての破片が落ちてる…少しでも残ってても不思議じゃないのに…まるで内側から押し出されたみたい…それに…)

「音は何回だった?」

「一回だけデカイ音が鳴ったぜ」 

「足音は?」 

「そういえばしなかったな…なんでだ?」

霊夢がすくっと立ち上がった

「ねぇ…おかしいと思わない?」

「なにがだ?」

「鏡を割る方法は主に3つ、まず一つ目は内側や外側からの衝撃で落とす

二つ目は外側からの衝撃で砕く

三つ目は巨大な音や霊力を出しその衝撃で割る」

「それがどうしたんだよ」

「全部できるはずがないのよ、霊力は滞留してないし、大きな音を出せるわけがない外側からの衝撃ならフレームに破片が残るはず逆に内側からの衝撃は家の外壁に阻まれて不可能…大体第三者が割ったのなら足音は必ずするはず空中でいる状態で鏡を割ろうとしたら重心が定まらず最悪転倒して鋭い破片に頭を突っ込むことになるもの」

「んじゃなんで鏡は割れたんだ?」

「それがわかったら苦労しないわよ…

とにかく一度、この破片を詳しく調べる必要があるわ、何個か神社にもって帰りましょう」

「お、おう」

霊夢は一抹の不安を抱えていた

鋭い勘はすでに勘づいているのかもしれない

この異変がただの異変ではないことを…




頑張って書いたつもりですが
何分、私も未熟者ですから
誤字、脱字等で読みにくい場合がありましたら
申し訳ありません
今後も精進して参ります


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一話 不穏な幕開け

お気に入り登録してくださった方
誠にありがとうございます
こんな未熟者の書いた作品ですが楽しんで戴けたなら
嬉しい限りです


その日の夜中

 

霊夢は魔理沙が帰った後も今回の異変について考えていた

(ここまで実害がない異変は、はじめて…鏡を割ってなんの意味があるのかしら…)

結局、割れた鏡からは何も見つからなかった

霊夢に提供された情報は鏡が割れたという事実だけ

圧倒的な情報不足が今回の最大の敵だった

(今は考えても埒があかないわね…)

「明日、聞き込みでもするかな…」

 

 次の日、霊夢は人里に下りていた

鏡が割れる異変がどのくらいの規模で起きているか確かめるためである

「そうですか…ご協力感謝します」

(人里の方ではまだ鏡は割れてないみたい…魔理沙の家だけ?)

霊夢が人里を歩いていると多くの人が集まっているのが見えた

霊夢はそこに急いで向かおうとしている男性を引き留めて話を聞いた

「どうしましたか?」

「いやね、鏡が急に割れたらしいんだよ」

「!?、鏡が!?」

「そうだよ、そこの八百屋の手鏡が急に割れたらしいんだよ」

「いつ!?」

「ついさっきだよ…いやぁ世の中、物騒だねぇ…あんさんも気を付けてな」

男性は走り去っていった

「鏡が…また…」

霊夢はその鏡が割れた八百屋に行こうとした

すると後ろからパリーンと耳をつんざく嫌な音が鳴り響いた

「まさか…!」

音の方へ駆け寄ると5才前後の女の子が割れた鏡を前に泣き崩れていた

「大丈夫?」

霊夢が声をかけても泣き止む様子はなかった

余程大切な鏡だったんだろう

「弱ったな…これじゃ話も聞けない…怪我はない?大丈夫?」

嗚咽で途切れ途切れになりながらも女の子は頷いた

「うん、良かったね…そんなに泣いていたから痛い所、あるのかと思ったよ…この鏡、どうして割れちゃったのかな?」

女の子はだんだん落ち着きを取り戻していき霊夢の質問に小さな声で答えた

「解らない…勝手に割れちゃったの…」

(また勝手に鏡が…)

霊夢はその子の頭をゆっくり撫でた

「鏡、大切な物だったの?」

「お母さんが買ってくれたの…」

「…そっか、それは大切な物だね…」

その子はまたぐずりだした

「あぁ泣かないで…えっと…」

(どうすれば…!そうだ、紫から貰った飴があるわ)

霊夢は昨日の朝、紫から貰った飴をポケットから出した

(紫のやつ、こういう時に役立つんだから…)

「ほらこれなーんだ」

霊夢が笑顔で飴を女の子に見せる

「飴、嫌い?」

女の子は首を横に振った

「なら良かった、これあげるからもう泣かないで…ね?お姉さんと約束」

「うん」

女の子は飴を貰うとにっこり笑った

そしてそのあとすぐに聞こえた母親の声のもとへ走っていった

 

霊夢は一度、神社に戻っていた

今回の鏡が割れる異変の規模の大きさに少し戸惑っているのかもしれない

「ずっと見られてたら気持ち悪いんだけど」

霊夢は後ろを振り向いて言った

すると空中に亀裂が走ったかのように穴が開き

穴の中から八雲紫が顔を出した

八雲紫は古くから存在している妖怪で

その力も並大抵の妖怪とは比べ物にならないほどである

性格の方は胡散臭く信用できないためか

人間、妖怪双方より嫌われている

彼女の能力"境界を操る程度の能力"で

スキマと呼ばれる境界を作り出し

神出鬼没に行動する

「あら?いつからバレてたのかしら?」

「結構、前から…あんた今回の異変どう思うの?」

「何の話かしら?」

「惚けないであんたほどの妖怪なら把握してるはずよ、鏡が割れる異変」

霊夢の台詞を聞くや否や紫は黙った

「霊夢、今回は…この異変には関わらないで」

「はぁ?それは出来ないわよ、私が博麗の巫女である限り」

「…でも」

「いい加減にしてよ、あんたらしくもない、なにか知ってるなら言いなさい」

「この異変は…私たちだけの問題じゃないの」

「はぁ?」

「この異変の元凶は…外界」 




第一話お楽しみ頂けましたでしょうか?
プロローグと比べて半分ほどの長さになっており
満足して頂けないかもしれませんね
申し訳ありません
次回からは少し長くする予定です

さて次回ですが小町と四季様の行動を書く予定です


次の更新は今回よりも少し遅れます
気長に待って戴けたら幸いです


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二話 新たな扉の開く音

更新が遅れて申し訳ありません
かなり今回の回は悪戦苦闘しており
誤字、脱字があるかもしれません
それでも楽しんで戴けたら幸いです



「はぁ?」

紫の予想外の発言にすっとんきょうな声が出た

「外界?博麗大結界を越えたとでもいうの?」

「博麗大結界は人間を遮る物であって物や動物なら結界を越えれるでしょ?」

「動物がスキマを操るとでもいうの?」

「動物や物なら結界を越えれるなら力はどう?」

「そりゃ…あれ?」

普通であれば人間と同じなのだから結界は越えられはず

外界の能力の有無ですら幻想郷からは確認できない

しかし…いや、だからか霊夢には

"外界からの何らかの力が結界を越えない"とは断言できなかった

「そう、私たちには"力"が結界を越えないとは断言できない」

「でもそれは"外界に能力が無い"って証拠のはずよ」

「それは幻想郷の常識よ、外の世界にもし能力があってそれが結界を越えれるものだったら?」

「それも紫の勝手な想像でしょ?」

「でも貴方も思っているんじゃない?、正しいかもしれない、紫の言うとおりかもしれないって」

「胡散臭い…ほんとあんたって胡散臭い!」

霊夢が神社の方に後頭部をかきむしりながら進む

「どこいくの?」

「もう少し寝るわ…誰かさんのせいで頭、痛いもの」

紫は苦笑いしながらそのようすを見届けた

「だから…この異変に関わってほしくないの…もしここに貴方が帰って来なかったら…私は…」

紫は一人、空を見上げしばらく物思いにふけた後、スキマに消えた

 

 一方ここは紅魔館のある霧の湖

紅魔館には永遠の紅い幼き月と呼ばれる吸血鬼

レミリアスカーレットが生活している

とはいえ吸血鬼という種族上

昼間は静かな物である

そこに小町は通り掛かった

「おかしいな…結構歩いたし人里が見えてきてもいいと思うんだけど…」

「どうしましたか?」

突然の声に驚いた小町だったが声の主を確認するとホッと胸をなでおろす

「美鈴か…びっくりしたなぁもう」

「えへへ、静かな物でしょ?夜になると賑やかなんですけどね…」

「真面目だなぁ…あたいならサボって遊びに行くねぇ」

「門番は…みんなの命を預かってるから…私は皆の命を預かってるから…」

門番について語っている美鈴の目は真っ直ぐとしていた

「そうかい…」

小町は少し影を含んだ表情で美鈴を見た

「ところでどうしたんです?サボってきたなら早めに帰った方が…」

「あはは、別にサボってないから心配しなくていいよ、それより人里ってどっちだっけ?」

「あれ?人里にご用ですか?珍しいですね」

「あっいや、人里に用事って訳ではないんだけど…」

「?…訳ありですか」

美鈴は凭れていた壁から身を離した

「…そんなとこ」

「…まぁ深くは聞きませんよ、人里まで案内しますよ」

「えっ?良いの?」

「貴方が咲夜さんに言わないのであれば…それに口で言うより案内する方がいいと思いません?百聞は一見にしかずってね」

「ならお願いするかな…」

小町と美鈴の声が紅魔館から遠退いていく

しばらくして紅魔館のメイド長、十六夜咲夜が出てきた

彼女は時を操る程度の能力をもった人間だ

人外ばかりの紅魔館で唯一の人間で

完璧で瀟洒なメイドとも呼ばれる

その呼び名に正しく

どんな仕事も完璧に素早くこなす

「美鈴、昼食の準備が…」

咲夜は門番の居ない門のまえでしばらく絶句した後

空を見上げて呟いた

「また…早く見つけないと…昼食が冷めてしまう」

瞬間、咲夜はその姿を消した

 

四季は妖怪の山の近くを走っていた

「小町、どこ?」

「おや?どうしました?閻魔様」

からす天狗の射命丸文が四季に声をかけた

「小町を見ませんでした?ここら辺にいるはずなのですが…」

「うーん見ませんでしたね…第一さっきまで取材してましたし…」

「取材?」

文が目を輝かせて語った

「今、幻想郷全体で鏡が割れるという異変が起こっています!そしてついに私たちは博麗の巫女とスキマ妖怪が謎の会談する姿を捕らえる事に成功しました!!これから博麗の巫女は異変解決に乗り出すのか!?これで今回の記事はこれで決まりです!」

「…幻想郷全体で?もう少し詳しくお願いします!」

文は食い気味な四季に少し戸惑いながら口を開いた

「えぇ…人里で二件、魔法の森で一件鏡が何もないのに急に割れてしまうという異変が起こっているんですよ、もっとも、それで怪我をした人間はいないらしいんですけどね」

「異変…さっき博麗の巫女が異変解決に乗り出すのかとか言ってましたよね?」

「はい、あのスキマ妖怪と一緒にいるのをみました」

「なら小町も博麗神社に…ありがとうございます!」

「えぇ閻魔様もお気を付けて」

四季は文の言葉を聞いてか聞かずか博麗神社方面へ向かっていった

「これも異変でしょうかね、死神と閻魔様が生人に関わるなんて…少し探りをいれた方がいいのかもしれない…」

文はその場から姿を消した

 

「…それは不穏ね」

ここは白玉楼

亡霊が集まる所謂、霊界だ

ここの主、西行寺幽々子は穏やかな性格で有名だが

今日は違った

紫が今回の鏡異変の事を伝えに来た為か

いつもの幽々子とは違い不安に彩られた真剣な表情だった

「あんたのそんな顔、何年ぶりかし

ら」

「それも仕方ないでしょ…まさか小さな異変だと放って置いたものが外界と関わっていたなんて…」

紫は出されたお茶を落ち着いた様子で飲んだ

「それもそうよね」

「外の人間がこっちに、来るとかはあり得ないの?」

「それは無いわ、博麗大結界は意思の有るもの、"自分"という概念のある物には激しく抵抗するもの」

紫が茶飲みを置く音が虚空を揺らした

「ただ、"力が届く"ってだけでもかなり驚異よ、私達、

 幻人《まぼろしびと》にはね」




二話、お楽しみ戴けたでしょうか
個人的になんか、いろいろ詰め込み過ぎたかもと後悔中です

さて次回ですが外界について触れようかなと思います
更新は遅くなるか早くなるかは分かりませんが
気長に待って戴けたら幸いです
では次回、お会いしましょう!


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三話 記憶の旋律

更新かなり遅くなりすみません
例により今回も、悪戦苦闘してます
誤字脱字等が目立つ場合があります
申し訳ございません
それでも楽しんでいただけたら幸いです


人里

「美鈴、ここまででいいよ、あとはあたい一人で行くからさ」

「そうですか…まぁ詳しくは聞かない約束でしたしね…邪魔者は去るとしますか」

その後、すぐに二人の耳を貫くような鋭い音が届いた

「この音は…」

「鏡ですね、最近、人里で多くなってるらしいですよ」

「何が?」

「何もないのに急に鏡が割れてしまう異変ですよ、最近の文々。新聞はその事ばかりですよ、小町さんは新聞はお読みになられませんか?」

「あぁ…生人とは距離をおいているもんでねぇ…そうかい、これは異変か…」

小町が歩きだした

「美鈴、もう少し付き合って貰ってもいいかな?」

「えっ?」

「もう少し、探りをいれた方がよさそうだからね、人手は多いに越した事はないでしょ?」

「それもそうですね、お手伝いさせてもらいますよ」

小町と美鈴の影は人里の人混みに消えていった

 

所、変わって博麗神社

霊夢は目を覚まして神社の境内を掃き掃除していた

しかしその顔は落ち葉ではなく

もっと遠くの物を考え見つめているように見えた

「…外界…」

博麗の巫女は幻想郷でもかなり高い立ち位置にいる

代々、引き継がれてきた強力な陰陽の力、それを行使した妖怪等の魑魅魍魎の類いの退治や異変の解決を使命としている

博麗の巫女自体、ここ幻想郷から外界に出たという記述もなく言い伝えもない

霊夢が外界に出るのを躊躇うのも頷ける

(紫に頼めば外界にはいけなくもないただ…私は博麗の巫女…幻想郷を離れるわけには…)

「どうした?」

魔理沙が目の前にたっていた

かなり心配そうな目で霊夢に眼差しを向けていた

「なにが?」

「お前のそんな顔見たことなかったからな気になったんだぜ」

「いや…なんでもな…」

霊夢は最後までいう前に止まった

魔理沙には嘘はつきたくなかったのか

誤魔化しても無駄なことを察したのか

つかの間の沈黙のあと霊夢は話を再開した 

「今回の異変…外界が関わっているらしいの…でも私は…」

「行けば良いじゃないか」

あまりに真顔で即答されたからかただ単にこの人間の単純さに呆れたからか霊夢は声がでなかった

「私は博麗の巫女がどーたらとか幻想郷の結界がどーたらとかあんまり詳しくない、けどお前の事なら…霊夢の事なら少しは詳しいと思ってるぜ、行きたいんだろ?外界に、異変は放って置けない性分だもんなお前、特に"子どもを泣かせる異変"は」

「あんた…」

「嘗めないで貰いたいぜ私はお前の幼なじみで親友なんだからな」

「てかあんた、どこで見てたのよ、子どものこと」

「実はな…いや良いや、魔法使いの勘って事にしておいてくれや」

霊夢は肩の荷が降りたように感じた

(そうだ、外界に行きたいなら行けばいい…私は博麗の巫女であるまえに博麗霊夢という一人の人間だから…)

霊夢の顔を見や否やホッと魔理沙は表情を崩した

「魔理沙はどうするの?」

「勿論着いていくぜ、お前だけに、いい格好はさせたくないしな」

「そういうと思ったわよ、さっそうと決まれば紫を探すわよー、あいつが居ないと外界にも行けないしね」

 

白玉楼

「…たまにわからなくなるのよ」

幻人という単語が出てから展開された

痛いほどの沈黙を始めに破ったのは

幽々子だった

「貴方は幻想郷が心配なの?それとも博麗の巫女が心配なの?」

「そりゃ、両方ともよ」

「そう、まぁ貴方らしいと言ったららしいわね」

幽々子は静かに茶飲みに入ったお茶を飲んだ

「何が言いたいの?」

「少し、人間に肩入れし過ぎと言いたいの、人間の脆さ位、貴方も理解している筈よ、どうしてそこまで博麗の巫女…いや博麗霊夢に肩入れするのよ?」

「…それは…」

紫が口ごもる、普段の余裕は見られず

あからさまに動揺していた

「貴方がどうであれ霊夢も何時かは死んでしまうわ、他の巫女同様にね」

「わかってるわよ」

「なら少し霊夢と距離を置きなさい、悪いことは言わないから」

幽々子は立ち上がって襖に近づいた

「彼女が今回の異変の事で外界に行きたいと言うのなら連れていったらどう?」

「何をいってるのよ幽々子!?、霊夢は博麗の…」

紫は立ち上がり幽々子に猛反発した

が幽々子は涼しい顔で続けた

「博麗の巫女であることを差し引いても霊夢なら大丈夫よ、強いし魔理沙もいる…それにそんなに心配なら着いていけば良いじゃない」

紫は反論出来ずにその場に座り込んで考え込みだした

「幽々子様、紫様は大丈夫ですか?」

幽々子の従者である魂魄妖夢が心配そうにいった

「良いの、私は楽しいわよ紫の困った顔を、みるの」

「は、はぁ」

妖夢は幽々子のいつもの緩い感じに少し落ち着きを覚えていた

しばらくは紫のため息が白玉楼に響きそうだ




三話いかがでしたでしょうか?
二話よりは少なめですが
頑張って書かせていただきました
楽しんでいただけたなら嬉しい限りです
外界に触れると言わなかったか?って?
シラナイ、ワカラナイ、ゲンチョウカナニカデスヨ


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四話 鉄の檻の中

前話に引き続き遅くなって申し訳ありません
今回は外界の内容です
ここからオリキャラが段々、多くなってきます
ネーミングセンスは皆無です、すみません


ここは外界

幻想郷とは結界で遮られた

非情な現実とネオンの明かりで彩られた不動であり鉄の世界

幻想郷よりも時の流れは早く

ボーッとしていると取り残されそうになる

人々は妖怪や闇といった原始的な恐怖は忘れ

全ては"科学"の名の元、人々は便利に暮らしている

その幻想郷にはない"科学"の発展

それは外界の真の意味での夜を無くし人々から怪異や魑魅魍魎の類いの記憶を確実に奪っていった…

 

外界の夜中の病院

病人はもう寝静まっている時間帯だが

廊下に急にスキマが現れた

スキマは本来、互いに干渉しないはずの外界と幻想郷を繋ぎ主と主が望んだ者のみを通す扉となる

スキマから紫が姿を現した

紫は迷いなくある個室の病室の前まで行き、その病室の扉の前で立ち止まり

消えるように小さな声で扉の向こう側に語りかけた

「カオル、まだ起きてるかしら?」

「起きてますよ、入ってください」

その声にしたがい紫は扉をあける

中には白髪で気弱そうな少年が上体を、起こした状態でいた

紫に向けられたその目は血のように赤い瞳だった

「どう?調子は」

「…」

「そ、そうよね、よかったらとっくに退院してるわね…ごめんなさい」

「紫さんが謝る事ではありませんよ、これは俺の問題ですから」

「そう…やっぱりカオルは優しいわね…」

「…紫さんが来てくれるお陰ですよ」

「いやぁねおだててもなにも出ないわよ」

紫はせっせと花の入れ替えをすると病室を出ようとした

「いつも短くてごめんなさいね」

「良いんですよ少しだけでも来てくれるだけで嬉しいです」

「…幽玄は来てないの?」

カオルは黙って紫から目をそらした

「…そう…それじゃまた明日ね」

「紫さん!」

いつにもまして大きな声でよび紫は驚いて振り替えった

「なに?」

「紫さんは俺の前から消えたりしないよね…俺、もういやなんだ誰が俺の前から消えるの…」

「カオル…私は消えないよ、絶対に消えない…からカオルは泣かないで絶対…それじゃあねまた明日」

紫は病室から出た

「私は消えない…か…ろくな事言わないわね私って…」 

紫はドアにもたれかかり静かに拳を握りしめた

 

 翌日、その病院前のバス停

「蓮子、遅いなぁ…」

バタバタとした足音に少女は目を向ける

「ごめん!メリー待った?」

「10分遅刻」

「だからごめんって…」

バス停で一人10分待っていたのはマエリベリー ハーン 

名前が長いため周囲の友人からはメリーと呼ばれている

外界の人間だが幻想郷の住人と同じような力が使える

能力は結界の境界が見える程度の能力

過去に夢の中で幻想郷に迷い込むこともあった

性格は温厚でおとなしいタイプ

そんなメリーの後で来た少女は宇佐見蓮子

彼女もまた幻想郷の住人と同じような力が使える

能力は星を見ただけで今の時間が分かる程度の能力

しかし日本時間にしか対応していないため

外国や異界では正確な時間は計れない

性格は行動力があるタイプ

時間はかなりルーズで待ち合わせには必ず遅れてくる

この二人は秘封倶楽部というオカルトサークルをつくり活動している

「ここ?メリーが境界を見たっていうのは」

「う、うん…でも蓮子、今回の境界は…変なの」

「変?」

「うん…人為的に作られたと言うか…自然にできた境界ではないような気がするの」

「人為的に境界を?そんな事可能なの?」

「分からない…から怖くて…」

蓮子がメリーの肩に手を置く

「大丈夫」

真っ直ぐにメリーを見つめ蓮子は続けた

「分からない事を怖がってたら何も産まれない、行動しないと…知ろうとしないと闇はいつまでも晴れないよ」

「蓮子…」

「行こうメリー、時間が勿体無いよ」

「…うん」

メリーの不安は晴れずにいた

そんな矢先

後ろから野太い声がした

「境界がどうしたんや?」

「「!?」」

二人は固まった、目の前には見るからに素行が悪そうな男が立っていたからだ

サングラスに金髪、革ジャンを来ていた

バイクから降りたばかりか左手にヘルメットをぶら下げていた

「えっ…えっと…」

「あの…えっと…」

二人はジリジリと後ろに下がっていく

「あぁそう怖がらんでえぇわ、何も取って食おうなんて思てないわ」

「えっ?」

「いや俺の友達で境界を操る言ったかな…能力をもってる奴がおってん、んであんさんたちの会話聞いてたら気になったんや、盗み聞きしてもうてすまんな」

「そうでしたか…えっと…」

「あぁ紀伊幽玄や、幽玄って呼んでな」

見た目は不良のようだが

話を聞く限りそこまで悪い人でも無さそうだ

メリーが申し訳無さそうに言った

「じゃ…あの、その友達の所まで案内してくれますか?」

「えぇけど…おるかな…あいつおる時とおらん時があるんや」

次に蓮子が幽玄に話しかけた

「何て言う人なの?幽玄の能力者の友達って」

「紫や…八雲紫、共通の友達で知り合ったんや」

「そのご友人がこの病院に?」

幽玄が驚いたようにメリーを見た

「そうや、ようわかったな」

「何て言う病気なの?その人」

蓮子の質問に幽玄は少しうつむき黙ってしまった

「あれ、しまった…」

あの一言で気まずい空気を作り出した蓮子にメリーが小声で一喝入れた

「蓮子!」

「えっとすみません…なんか聞いたら…不味かったというか…非常識だったというか…」

「えぇんや、気にするな、あいつの病気に関してはまた、別の機会に話すわ、ひとまず病院に入ろか」

三人は病院に入っていった




四話お楽しみ戴けましたでしょうか?
蓮子やメリーが出て来てやっと外界らしくなってきましたねー(他人事)

さて次回ですが霊夢たちの外界入りを書くか
幻想郷内の事を書くかどっちかです

次回も読んでいただけたら嬉しい限りです


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五話 絶望への行進曲

今回は更新早いですよ

そういえば皆さんは今年の夏は映画見ましたか?
個人的に特撮作品が好きなのでシン・ゴジラが見たいです
でも僕ってDVDを家でゆっくりと見たいタイプの人間ですから
映画館には行くかなぁ?

なんて世間話はここまでにして第五話お楽しみ戴けたら嬉しい限りです





幻想郷、博麗神社

「紫、居るんでしょ?」

スキマが現れ、紫が中から出てきた

その表情にはいつもの余裕が戻っていた

「あら霊夢どうしたの?」

「私を外の世界へ連れていって」

紫は少し驚いたように霊夢を見つめる

「あんたの能力なら簡単でしょうに…この前もなんか果物みたいな南京錠、持ってきたばかりでしょ?それと同じ要領でさ、私も外の世界に連れていって」

「そんなの…」

ダメよと続けようとしたが紫の脳裏に

幽々子の言葉が走り抜けた

(彼女が今回の異変の事で外界に行きたいと言うのなら連れていったらどう?)

(そうだ…私は信じるって決めたのに…また…)

「良いわよ、準備しなさい」

「えっ?」

「どうしたの?行きたくない?」

霊夢は首を傾げながら神社の中に戻っていった

「これで良いのよ、これで…」

紫は空を見上げ呟いた

 

 しばらくすると魔理沙も来た

紫は魔理沙の同行も許した

霊夢の心には不信が宿ったが

(今は素直に喜ぼう)と思うことで

不信を押し殺した

「…それじゃ行きましょうか」

「おう、私、初めてだな、外の世界に行くの…霊夢は行ったことあるのか?」

「無いわよ、あと魔理沙、遠足に行くわけじゃないんだからはしゃがないでよ」

紫がスキマを開いた

「あっちに行ったら真っ先に幽玄って人を探して…金髪で茶色い上着、あとサングラスをかけた人間なの…私の友人よ、きっとあなたたちの力になってくれるはずよ」

「紫はどうするの?」

「私は…私も行くわ、ただ少し用事があるだけ」

「ふーん、まぁ良いわ、幽玄ね、わかった」

霊夢と魔理沙はスキマをくぐり抜けて行った

「……これで……」

紫もスキマの中に入りスキマが閉じた

誰も居なくなった神社に鏡が割れる音が虚空に響いた

 

外界、カオルの入院している病院

「ここや、俺の友達のカオルの病室は」

三人は病室前で立ち尽くした

「…幽玄は入らないの?」

「俺は…俺にはその資格はない…」

「えっ?、どうしてですか?友達…なんですよね?」

「これに関しては俺の問題や、すまんけどメリーは黙っててくれるか?」

「ごめんなさい」

蓮子が今までにない鋭い目付きで幽玄を睨みつける

「…はぁ?」

「蓮子?」

「メリー、先にカオルくんに会っててくれる?」

「えぇ!?」

「私、幽玄と話がしたいの」

蓮子が幽玄を連れてどこかへいった

「えぇ…私一人…?」

 

 病院内の食堂

「どういうこと?会う資格がないって」

「…だから関係ないっていいよるやろ」

「…いいから話なさい」

幽玄は 蓮子から目をそらした

「3年前…俺はカオルと出会った…そん時な俺、やんちゃしとって…ちと悪い集団の頭やったんや…俺が会ったときなカオルは不治の病に侵されとってな…でもあいつ、好きな奴がおって…そいつに届けるように晴れた日はいつも紙飛行機をとばっしょったんや…会ったときからなんかあいつが気になってな…それから病院に通うようになったんや…けどそのカオルが好きな奴、来たとこ見たことなかった…流石におかしいと思って調べたんや…そしたら…」

幽玄は苦痛に耐えるように呟いた

「俺の組の奴が殺しとったんや…組の機密情報を持ち出そうとしてそのまま射殺や…カオルの好きな奴は…刑事(デカ)やったんや…」

「!?」

「それから罪悪感から…いやその事がわかってカオルに嫌われるんや嫌やったんやろな…俺は…それから逃げよんや、あいつから、自分の罪から…」

食堂にビンタの音が響いた

蓮子が幽玄の頬にビンタをしていた

「過去は変えられないよ、過去が捨てられないのは分かる…けどその過去は足枷にしかならないよ、目を覚ましてよ、君の為ではなくカオルくんのために…」

「お前がカオルを語るな!!カオルのなにを知ってるんや!?」

「なら逃げてる貴方はもっとカオルくんを語る資格はない!!」

蓮子と幽玄の力強い声に周囲がびくっとなった

 

「ん?」

スキマは必然か偶然かその病院につながり魔理沙も霊夢もその病院にいたのだ

霊夢とはぐれ魔理沙は食堂前にいた

「あれ、幽玄ってやつじゃねぇか?なんか取り込み中みてぇだが…行ってみるか」

 

一方メリーはというと

病室に入っていた

「失礼します…」

「どうぞ…紫さん?」

「へ?」

カオルは少ししたあとハッとした

「あっあぁすみません、人違いでした」

「あの…えっと…幽玄さんのご友人でよろしいでしょうか?」

「幽玄さんを知ってるんですか!?」

「えっえぇ…さっき知り合ったばかりですけどね」

「そうですか…あっお座りください」

メリーが近くにあった椅子に静かに腰を下ろした

そして気まずい沈黙が二人を包んだ「

 

 「幽玄…?紫が言ってた人間か…それじゃこいつは?」

霊夢は病室前でこの話を聞いていた

 

それぞれの物語は段々、近づき

そしていずれ複雑に絡み合う

その異変の足音は徐々に大きく確かにその歩みを進めていた…




ついに霊夢、魔理沙が外界に行きました!
これから小説は正念場です
未熟者なりに頑張って行きたいと思います
では第六話もお楽しみ戴けたら幸いです


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六話 想いはいずれ恋になる、恋はたまに涙になる

例のごとく更新遅れて申し訳ありません
今回はすごく長めになっております
題名も本文も…
あと今回、百合要素を含みます
しかもカップリングを珍しいものにしてあります!

ところで夏休みが終わってしまいました(泣)
学校まで自転車で行かなくてはいけないので
一刻も早く涼しくなっていってほしいものです

世間話はここまでにしてそれでは本文お楽しみ戴けたら幸いです



外界 某病院

「…」

カオルの病室前で霊夢は中の様子をうかがっていた

(気まずい!入りにくい!なんで黙ってんの?あの二人!話でもしてて和やかな雰囲気だったらまだ入れるのに、何よこれ!和やかどころか話すらしてないじゃない!これで入れるのなんて魔理沙か…)

ふと思考を止める

霊夢はこの雰囲気でもずかずかと土足で入れる妖怪のことを思い出す

その妖怪の声や姿まで鮮明に

まるで映像のように霊夢の頭に浮かび上がった

そしてその映像は直ぐには消えず

長らくの間、霊夢の頭を支配し続けた

(あいつなら…この空気平気なのかな…今頃、何してるんだろ…しばらく会えてないな…)

 

 幻想郷 旧地獄

「居ない…居ない!居ない!」

ある異変を察知した人影が何かを訴えるように階段を駆け上がり

自らの主の所まで走った

「さとり様!居ない!居ないんです!!」

「…どうしたの?お空」

階段を駆け上がってきたのは霊烏路空

元は地獄鴉だったが守矢神社で奉られている神の1柱

八坂神奈子によって八咫烏の力を得た

一度は地上の世界を地獄に変えようと企むが霊夢達の手により未遂で終わっている

圧倒的に忘れっぽく行動も衝動的なものが多いためか幼い印象を受ける

そして彼女の主が古明地さとり

心を読む程度の能力を持ち

地上の人間や妖怪から忌み嫌われていた過去を持つ

今は地上に馴染んで宴会にも出席するようになった

「あれ?えーっと……あっ!そうだ!霊夢が、霊夢がどこにもいないんですよ!」

「霊夢さんが?…地上にも居ないのですか?」

「色んな所探したけど居ません」

 お空がふと何かに気づいたように俯いた

「…最近、なかなか遊んでくれなかったし…嫌われちゃったのかな…今回もあたしから逃げてるのかも…」

(お空がこんなに…私も何か力に…それに…霊夢さんは…)

さとりは既に霊夢の心を読んでお空への気持ちを確認している

その事を伝えてもいいのだが…

(駄目、駄目よさとり…これはこの子と霊夢さんの問題…私がむやみやたらと首を突っ込んでいいはずがない…本人に気づかせよう、この事でこの子も少しは成長してくれるかもしれない…ここは心を鬼にして…)

「どうでしょうね…ただ自分で確かめてみてはどうですか?ただ」

「ただ?」

「霊夢さんは自分に嘘はついても他人にはつきませんよ、最近会えないのも何か理由があってのことでしょう」

(あーあ、最終的に助言しちゃったな~親バカなのかな?私って)

しかしお空の表情は晴れなかった

「でも…怖い」

お空のいつもの元気はどこへやら

俯いて呟くように本音を溢した

(お空がここまで…あぁ明日は大嵐が来るの?それとも天変地異が起こるの?)

彼女の主ですら血の気が引くほど悩みようだった

「と、とにかく、貴方がそんなんでどうしますか、霊夢さんと会うときは絶対に笑って会うって言ってたの忘れたわけではないでしょ?…もう一度よく探して、それでも居なかったら…私が見つけてあげます」

「は、はい」

「元気を出して、もう少し頑張ってみましょう、ね?お空」

お空は頷くとさとりの部屋から出た

すぐに背後から声がした

「早く告白しちゃえばいいのにね、霊夢もお空も」

「こいし…寂しくなりますよ?」

「それでお空が幸せなら私はいい」

「強がりですね…こいし」

さとりが振り替えるとそこにこいしの姿はなかった

「まったく…これ以上、読めない人が増えるのは止めて貰いたい物です」

 

 博麗神社

「兎に角、異変と言えばここだろう」

「そうですね…霊夢さんなら何か知ってるかもですし」

博麗神社の石段を小町と美鈴が登る

「おや?珍しい先客が居たもんだ」

「貴方はさとりさんの所の…」

神社のお賽銭箱の前に地べたに座り込んだお空が居た

「えっと…小餅とみすずだっけ?」

「小町と美鈴だ、本当に鳥頭だねぇあんた」

「悪かったね…」

いつもの勢いが無く困惑する二人

「あの…霊夢さんは?」

「…居ない…どこにも…居ない…」

絶対自分の中で泣かないと決めていた博麗神社の賽銭箱に涙を溢した

それは決して鳥頭で決めていた事を忘れていた訳ではなく不意にお空を襲った巨大な喪失感によるものだった

美鈴はおろおろしながら絞り出すように言葉を選び謝罪の言葉を口にした

「えっ?あの、えっとなんか…すみません」

「なんでみすずが謝るの?、あたしが…ただ泣いてるだけなのに…」

「私は美鈴ですよ、とりあえずハンカチで涙拭いてください」

「落ち着いてからで良いから事の経緯をあたいに聞かせて貰えるかい?」

お空がこくりと頷いた

二人は安堵の表情になる

 

  少女説明中

 

「そうかい…霊夢がねぇ」

「あたし…嫌われているのかな?」

「そんな事ありませんよ、きっと霊夢さんもお空さんのこと、想ってますよ」

少しずつだがお空に笑顔が戻ってきた

「…とにかく、霊夢を探さないとだねぇ」

小町の言葉のすぐあと、スキマが空いた

「!!」

お空がそのスキマに魅入る

「あのスキマ妖怪が近くにいるのかねぇ」

「紫さんですか…苦手なんですよ、あの人、何を考えているかまるで分からないし…」

「向こうから霊夢の声がする…」

「「えっ?」」

お空がスキマに走って行った

「ちょっと!待ってください!お空さん!」

美鈴と小町が急いでスキマに近づくもあともう少しの所でスキマが閉じてしまった

「くそっ!」

「お空さん、どこに連れていかれたのでしょうか…」

「分からない…けど今は無事を祈るしかない…」

美鈴は静かに頷いてスキマのあった所を見つめた

 

 外界 某病院

状況は膠着状態、メリー、カオルともに黙ってしまっている

そして霊夢も病室に入れずにいた

「…はぁ」

霊夢のため息に反応するかのようにスキマが開いた

(スキマ?紫かな?)

中から出て来た人物に大声が出る

「霊夢~!!!」

「お空!?どうしてここに?」

「博麗神社に居たらねスキマ?が開いてその中を通ったら霊夢がいて…」

ふとお空が霊夢から離れる

「ねぇ、霊夢、あたしの事…嫌い?」

「えっ?ど、どうしてそんな事聞くの?」

「だって最近、遊んでくれないし…姿も見せてくれなかった…あたしの事、嫌いになったからなんじゃないの?」

「…違う…私はただ…」

「こんなところで何してるんですか?」

霊夢の言葉を遮ったのは病室から顔を出したメリーだった

「えっ?あっいや…その…」

「…何が違うの?」

「メリー、詳しく話してる暇はないの、ごめんなさい、これが終わってからゆっくり説明させて…あっ、私、八雲紫の友人だから」

「?…まぁ分かりました」

「お空、場所変えよう」

「うん」

 

近くの休憩室

「…お空、よく聞いてね」

「うん」

「私たち会わなくなって何週間経った?」

「分かんない、けどすごく長い間」

「その理由は…ね…それまではお空のこと気が合う友達って思ってたの…でもずっと会ってるとね、なんか胸の奥が熱くなったり時々、鼓動が早くなったりすることがあったの…これが何なのかわからなかった…魔理沙やパチュリーに相談してこれが恋って事に気づいたの…怖かった…この感情のせいでお空に嫌われると思ってしまったのよ…だって変じゃない?私もお空も女なのに…恋だなんて…それで逃げてたんだと思う」

「…」

「言い訳にも…ならないよね…」

「…だったらあたしは…霊夢のことずっと前から好きだったのかもね…」

お空がニコリと笑って答えた

「嫌いになんてならないよ、あたしは何があっても霊夢の味方だもん」

「お空…なんだ、二人共、要らぬ心配だったのね…考えすぎて損しちゃった」

「霊夢?どうして泣いてるの?」

お空に聞かれるまで霊夢にも分からなかった

頬に涙が伝っていたのだ

「あれ?、なんで?なんで止まらないの?悲しくないのに…嬉しいはずなのに…」

「…たまには…泣いても良いと思うよ、だって霊夢ずっと笑ってるもん」

「あんたにっだけはっ言われたくないっ」

「うん、そうだね」

お空は霊夢を残して席をたった

霊夢はお空の気遣いに感謝しつつ

突っ伏し声を圧し殺して泣いた




六話いかがでしたか?
空霊って珍しいと思うんですよ、お気に召しましたか?
趣味で東方の小説は書いていたりするのですが
空霊は初めて書きました
少しお空が大人っぽ過ぎるかな?と後悔中です
さて次回ですがまだ構想も出来てません
気長に待って戴けたらうれしい限りです
こんな未熟者の小説ですが最後まで御付き合い
宜しくお願い致します


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七話 美しい関係

今回の更新は早めです
前話、空霊をノリノリで書いていたらストーリーがおざなりになってしまってました(反省中)
しかし今回もふんだんに空霊です(反省の色見えず)

もう9月、一年とは早いものです
あともう今年も3ヶ月しかないですね
今年の紅葉を楽しみにこれから頑張っていこうかな

と世間話はここまでにしてそれでは本文お楽しみ戴けたら幸いです


霊夢とお空は病室に戻ってきた

その途中でお空が霊夢に手を出した

霊夢は黙ってその手を握りしめた

「ありがとう」

「なにが?」

「…何でもない」

お空は妖怪だからかはたまた人間特有…霊夢の手の暖かみが好きなのか

一緒に居るときは手を握ろうとする

霊夢も別に嫌がる事もせずまんざらでもない感じ

「…お空、この異変が終わったらさ…遊びにいく?」

「えっ?」

「2ヶ月もあってなかったもん、私のせいでさ…だから、今度さ…」

「霊夢ぅーーーー!!」

お空が霊夢に抱きついた

(近い!近い!顔が赤くなるって…!!)

「な、ななななななによ!」

「真っ赤だよ?」

「こ、こんなに近かったら赤くもなるわよ」

「あはは、可愛いなぁ」

「むぅ…」

そんなやり取りをしていると病室前に着いた

 

メリーとカオルがいる病室

時間は少し遡って霊夢とお空が去った少しあと

「お知り合いですか?」

カオルが長い間続いた沈黙を破った

「えっと…初対面の筈なんですけどね…」

「?」

「どこかで会ったことあるような…気のせいだと思うんですが…」

その後、また訪れたのは沈黙だった

そして病室の扉が開く霊夢とお空が立っていた

「メリー、話があるの、ちょっと来てほしい」

「?…はい」

メリーと霊夢が病室から出た

お空が代わりに椅子に座る

お空は間髪いれず、カオルに話しかけた

「君、名前何て言うの?」

「えっ?」

少しの間のあとお空は何かにひらめいた様子を見せ、続けた

「あぁごめん私は霊烏路空、お空って呼んでね」

「えっと…カオルって言います宜しくお願いします、お空さん」

「カオルかー宜しくカラス」

「カオルです」

「あっごめんよー人の名前覚えるの苦手で…」

お空は苦笑いをしたカオルも少し警戒を解いたようでお空に質問した

「…貴方は紫さんの友人ですか?」

「うにゅ?紫と?…うーん霊夢の近くにいる人ってイメージだからな…恋人の友達って感じ?」

ガタッ!とドアから音が響いた

少しの間のあと、霊夢がドアを凄い勢いで開いた

顔は真っ赤で息が荒い

「お空!!」

「あっごめんごめん」

「もうしっかりしてよ…」

 

扉の外ではメリーが呆然と霊夢の前に立っていた

「…ゴホン」

霊夢は恥ずかしさを隠すように咳を一回入れた

「えっと」

「あ、あぁ大丈夫、本題に行こう、貴方は八雲紫を知ってる?」

「えっ、えぇ…話に聞いています」

「実際に会ったことは?」

「無いです…記憶にもない」

「…そう…」

少し沈黙が包んだ

メリーは苛立ちを隠せず聞いた

「それがなんですか?はっきり言ってください」

「あぁ、ごめん…貴方は一度、幻想郷に来ているわ、その時、私や紫と認識があるはずなのよ…ないの?」

メリーは過去に夢で幻想郷に迷い混んだことがあった

寝ている意思の無い間に夢のなかで結界の断片を見つけ触れることで幻想郷に入ることができた

「でも、あれは夢で…」

「ならどうして、私は貴方を知ってるのかしら?それに貴方の友達の蓮子のことや貴方の能力のこと、そして外界のことも知ってるわ」

「…」

「貴方が見たのは夢じゃない、貴方にとっては夢でも少なくとも私たちにとっては現実よ」

「…幻想郷の事…博麗大結界の事を教えてください」

「…戻れなくなるわよ…もしかしたら人の道を外れるかもしれない」

「構いません、お願いします」

 

食堂、

時はまたもや遡って魔理沙が外界に、ついてすぐ

「蓮子…」

「ごめん」

「こっちも…なんかすまんな」

こっちも気まずい沈黙が包んでいた

「よう、紀伊幽玄…であってるか?」

魔理沙は幽玄たちの前にたった

「あぁそうや、どうしたんやてか誰や?」

「私は霧雨魔理沙、紫の友達だ」

「紫の?…そうか…なんか悪いなぁピリピリしとってー」

「良いぜ気にしてない」

「まぁ立ち話もなんや、座れや」

「おう、なら失礼するぜ」

魔理沙が横に座った

しばらく周囲を見渡し蓮子に気づく

「…お前、蓮子じゃないか?メリーの友達の」

「そうだけど…どうしてメリーのことを?」

「…ちと話長くなるけどいいか?」

「うん」

「…やっぱいいや、私の知識なんてたかが知れてるしな」

「なによーもったいぶって~私ってそうやってもったいぶると気になる質なの」

「…本当にあいつそっくりだ…」

ボソッと魔理沙が声を溢した

「なに?」

「あっいや、なんでもない…それより紫が幽玄に会えばなんとかなるみたいなこと言ってたぜ」

「あぁ?、俺に?」

「みたいだな…まぁしばらく一緒に行動するくらいなら良いだろ?」

「それくらいやったら…!ところでメリーちゃんは?」

「あっ!!メリー、一人のまんまだ!戻ろう、きっと気まずい事になってる!」

「えっ?ちょっ!お前ら待てよ!」

三人は急ぎ足で食堂をあとにした

 

「…それは本当ですか?」

「…ううん、これは…あくまで私の推測でしかないわ、私自身分からないし」

「…信じられませんよ…そんな事」

「私だって信じたくない…でも私の推測と予感はよく当たるのよ…」

病室前でシリアスな雰囲気が作りだれた

「…いつからその推測を?」

「貴方に会ったときからよ…まぁその事は置いておきましょう、今はカオルくんの事を知っておきたいわ」

「?…どうしてですか?」

「彼、能力者よ、それも紫と同じ境界を操る程度の能力…そして私の読みが正しければ幻想郷で起こった"何もないのに鏡が割れる異変"の正体はきっと彼よ」




もったいぶりましたねぇ~
核心を絶対に言わない!でもカオルが異変の正体だそうです
どういうことかな?
(べ、別に考えて無いわけではないですよ)(;゜0゜)

さて次回ですがまたもや構想を考えてません
今度はかなり遅くなるかもしれません、申し訳ありません
気長に待って戴けたらうれしい限りです


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八話 動き出した真実

前回の七話が超展開過ぎて
読んで驚きました…てか笑いました
本当に申し訳ありません
深夜のテンションで書いてました

ところで皆さん、秋とは名ばかりの暑い日が続きますがお元気ですか?
僕はというと元気ではないです
最近、妙に疲れているのか、日課だった小説を書く事をせずに寝るという日が多くなったような気がします
これも学校のせいだ おのれ学校!!

と冗談はさておき本文、お楽しみ戴けたら幸いです


「カオルさんが…異変の正体?」

メリーが呆然と呟いた

「幻想郷で原因の分からない、鏡が割れる異変が起こっているのよ、その異変は外界からの何らかの力が影響してるらしいの…つまりこの世界の数少ない能力者が関わっている事は確か…

まだ断定はできないけど私の勘がカオルだと言っているのよ」

霊夢がメリーの目を真っ直ぐ見て言った

強張った表情で語っていたが少し表情が緩んだ

「あくまで私の勘だから断言できないけど…」

「根拠は…根拠はあるんですか!?」

「勘だと言った筈よ、根拠もなければ証拠もない…」

「ならそんなこと言わないでください…不愉快です」

メリーが病室に入っていった

「…何怒っているのよ…」

 

病室内

「メリーさん?どうしました?」

カオルがメリーに気付き問いかけた

異様に小声なのに疑問に思いながらもメリーは応えた

「なんでもないです…紫さんは戻られましたか?」

「まだです…えっと霊夢さんは?」

カオルの小声を指摘しようとするも霊夢の名前が気になり聞き返した

「えっ?」

メリーが視線を下げると横になっている体勢のカオルに突っ伏すように寝ているお空がいた

「よほど疲れていたんですね…しばらく喋り詰めだったのですが…急に黙ったかと思うと糸の切れた人形のように寝てしまいました」

「うにゅ~…れぇーむぅー」

 

廊下

「霊夢!!」

魔理沙が幽玄と蓮子と共に病室に歩いてきた

幽玄は隠れるようにドアの近くに隠れていた

「病院では静かにせぇや!」

「そうだよ!ここは病院だよ?」

「そのびょういんで喧嘩してた二人はどこの誰だよ…」

二人は黙って視線を落とした

「…霊夢、紫は?」

「いないのよ…ねぇ魔理沙、あの人、どう思う?」

霊夢は後半の言葉を魔理沙の耳にしか届かぬように言った

「……弱い魔力が左目に宿ってるな…でも能力に…特に博麗大結界を通り過ぎ幻想郷にまで届く力になるとは考えにくいな」

「そう…なら良いんだけど…」

「どうした?」

「なんでも…ないんだけどお空ぅぅぅ!!」

霊夢が真っ赤な顔でお空を引き取った

「なんてところで寝てんのよあんたはあああああ!」

「あのえっと」

「ごめんなさい!うちのお空がご迷惑を!!」

「いえいえ…えっとお疲れのようですよ」

「えっ?…」

 

 少年説明中

 

「そ、そう…お空…」

霊夢がお空を背負った

「今日はいろんなことが有りすぎたのね…」

「蓮子!貴方って人はああああ!」

メリーは蓮子に気づくとこめかみを拳でグリグリした

「痛い痛い!ちょっ怒らないでよ」

「どんだけ気まずかったか分かりますか!?えぇ!?」

「ごめんよ、メリー…でもどうしても幽玄と話しておきたかったんだ…私の考えも伝えたかったし…それに…一度、殴っておきたかったしね」

「えぇ!?はじめから殴る気やったんかい!」

「そうだよ、だからそんなに怒ってなかったでしょ?」

「幽玄さん?いるんですか?」

「!?…しもうた…よぅカオル久しぶりやな…」

「…そうですね」

「みんな、悪いんやけど帰ってもらってええか?」

魔理沙と蓮子が頷いた

「霊夢、行くぜ」

「う、うん紫を探さないとだね」

「それよりお前の彼女がゆっくり寝れる所、探さないとだぜ?」

「や、やめてよ!」

「れぇーむぅー」

賑やかな声が遠退いていった

「幽玄、ゆっくり話して、お互いにちゃんと理解しなさいよ」

「解っとる、もう逃げるんは止めたんや」

「カオルさん、また明日も来ますからね」

「はい」

蓮子とメリーのその場を立ち去った

「何か話があるんですよね」

幽玄がカオルの病室の椅子に座った

「あぁそうや…」

「響輝さんのことですよね」

「…そうや…あのなカオル、響輝は実はな…」

「…皆まで言わなくて大丈夫です、知ってますよ…」

少しの間、カオルを見つめる幽玄だったがしばらくしてから俯く

「…そうか…それでもお前は俺のこと迎え入れてくれるんか?」

「…はい」

「…ほんま、ありがとうな…カオル…明日、また来るさかいな…今度は見舞いらしくなんかもって来るわ」

「はい、待ってますよ」

幽玄も立ち上がり病室を軽やかな足取りで去った

「…ねぇ響輝さん…死ぬって…どんな感じなんですか?…」

日が落ち真っ暗な病室にカオルの声が虚空に響いた

 

病院近くの公園

霊夢はお空を背負ったまま歩いていた「霊夢はお空の事、好きなのか?」

霊夢は魔理沙からの質問に少し戸惑った

霊夢自身、お空への気持ちを完全に理解した訳ではない、ただ…

「分からない…でも紫もあんただって私にとってかけがえのない存在のはずなのに…お空は…お空の居ない日常だけは生きていける気がしないのよ…」

「…そうか…思ったより重症だな、恋患い」

「……そうかもね…」

背中の服が引っ張られた気がして霊夢は立ち止まった

「どうした?霊夢」

「…なんでもない…進みましょう」

歩きはじめた瞬間、霊夢の耳にお空の声が届く

「霊夢…どこにも行かないで…」

その寝言はあまりにはっきりしていて

霊夢は再度立ち止まった

「お空?」

「うにゅ?…あたし寝てた?」

「うん、たてる?」

お空が霊夢から降りた

その顔をみた霊夢は驚いたように固まった

お空は"泣いていた"

現在進行形で目から輝く雫を流していた

「お空、どうしたの?」

「うにゅ?何が?」

お空も涙に気付き必死に拭う

が涙は止まる気配はなく溢れ続ける

「あれ?あれ?あれれ?」

「…お空…」

魔理沙が近寄ってきた

「こいつ、霊夢と会えなくなってから何度か私の家に来てたんだ…文字通り幻想郷中を飛び回ってたんだよ、お前を探してな、お前の言いつけを守り核の力を使わずにな」

お空の能力は"核融合を操る程度の能力"

この能力を使えば

半永久的にエネルギーの供給ができる簡単にいえば永遠に飛び続けたり

永遠に火球を打ち続けたりできるというわけだ

しかし自分の力のみで飛び続けるのは

たとえ八咫烏でも限度がある

お空がつづけていた生活はまさに一日中、空を飛び続ける生活

それは朝早くに起き、夜遅くまで自分の町をずっと走り続けるのに等しい

そんな生活をしていたらいつか体はボロボロになる

それはたとえ妖怪でも幽霊でも神でも例外ではない

「そんな…まさか…今日も…」

「飛び回ってた…かもな…だからこんなに疲れてるんだろ、スキマの通過ではこんなには疲労しないはずだしな」

霊夢はお空を抱き寄せた

「ごめんなさい、寂しい思いさせちゃって…私のせいで…もう体もボロボロだろうに…ごめんなさいッ」

すがり付くような形で霊夢が崩れる

「霊夢…あたしは大丈夫だよ…それよりスキマ妖怪を探そうよ…あたし、早く帰りたい…」

「うん、そうしよう…」

夜の町を三人は歩き始めた

霊夢の目は涙が溢れんばかりに溜まっていた

 

「これで博麗の巫女、スキマ妖怪、八咫烏が一つの世界に集まった…あと少しだ…あと少しで私の計画は完成する!」

 

「!?」

カオルが起き上がった

夢で聞いたその声に一抹の不安を覚えていた

「…あの声は…聞いたことがある…」




今回も超展開の気が見え隠れしていますが
前回ほどではないはずです(汗)
これから深夜のテンションで小説書くのは控えます
次回ついに物語が大きく動きます!
あっ!でも前回のような超展開ではないのでご安心ください

それでは⑨話もお楽しみ戴けたら幸いです
(やりたかっただけ)


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九話 反転の世界

前回、超展開ではないと言ったな
あれは嘘だ
うわああああああああ
▂▅▇█▓▒(’ω’)▒▓█▇▅▂
とまぁ冗談はさておき、
物語を大きく動かす以上こうなってしまうんです
申し訳ございません

ところで皆さんはどのようにお過ごしですか?
僕はというと学校での文化祭が近いこともあり
結構、充実(?)した日々です
最近、小説を書く習慣も戻り更新速度が夏休みより早くなっていますね…活動報告ェ…

世間話はここまでにして本文、お楽しみください
(今回はめちゃくちゃですwww)


外界、病院前の公園

霊夢が急に立ち止まった

「どうした?霊夢」

「スキマ」

霊夢の指差すほうにスキマが広がっていた

お空と魔理沙もスキマを確認できた

「あれで帰れるの?」

「たぶんな…行ってみる価値は有るだろ」

二人がスキマに近づく

「待って!嫌な予感がする…それ、紫のスキマじゃない!」

「「えっ?」」

お空と魔理沙がそのスキマに吸い込まれていった

「嘘でしょ!?…お空!魔理沙!」

霊夢が走って向かうもスキマは消えてしまう

「えっ?…う、嘘…」

霊夢は呆然と立ちすくみ、背後から広がるスキマに気づかなかった

霊夢は背後から近づいたスキマに吸い込まれていった

 

病院 カオルの病室前廊下

「カオルさん、来ましたよ」

「カオルおるか?プリンこうてきたで」

返事がないのが気になり幽玄とメリーが病室内に入る

するとそこにはいるはずのカオルが居なかった

「嘘やろ…」

「どこかへ外出中なのでは?」

「カオルの病状では一人で外に出るなんて無理や…」

「!?…私、看護士さん呼んできます!」

メリーが病院内を走って移動しようと病室を飛び出すとそれを待ち構えるかのようにスキマが開いた

幽玄には見えてないようすだ

「メリー!!」

遅れてきた蓮子にはスキマが見えておりメリーがスキマの中に入っていくのが見えた

「駄目よ…そこは危ない!!」

蓮子もスキマの中に入りスキマは閉じた

「?、メリー?」

 

魔理沙とお空は全面鏡貼りの世界に飛ばされていた

「お空、大丈夫か?」

「うにゅ~、なんとか…」

不思議な世界だった、全面鏡で出来ているのにすべての面で青空が映り

光源になる太陽はないのに眩しく感じるほど明るい

「ここは?」

「わからん…変に歩くと迷子になりかねないな…しばらくじっとしておくのがよさそうだ」

「うん」

お空がうなづいた

 

霊夢は夜空が広がる全面鏡貼りの世界に飛ばされた

「ここは…異世界?…外界でもない幻想郷でもないわ…」

少し歩くと蓮子が倒れていた

「あんた、大丈夫?」

「うっ…メリーは?」

「居ないわ、あんたと私以外誰も」

蓮子が立ち上がる

「ここ、どこ?」

「幻想郷でも外界でもないのは確かね」

蓮子が頷いて帽子を拾い被った

「…霊夢だっけ?」

「そうよ、そういうあんたは蓮子だよね、改めて宜しく」

「宜しく…ねぇ?霊夢、ここ臭くない?」

「そう?…!!」

蓮子はうなづいた、そのすぐあと

霊夢は凄い見幕で叫んだ

「危ない!!」

3m弱程の大きさの拳が二人を襲った

「えっ?えぇ!?」

蓮子は辛うじて回避できた

その巨大な腕の持ち主はその巨体を二人に見せつけた

全体は10m~15mほどの大きさで

肌は人間と同じ肌色だがその

肌はどうやら人間の死体で出来ているようだ

顔は人間のような顔だが目は紅に光り

口から死臭を伴った蒸気を唸り声と共に発する

「この世界の住人かしら?」

「違うわ、死体で出来た人形っぽいわね、人工的に作られた感じがするわ、恐らく"死獣番犬ナベリウス"」

「…どうしたの?厨二病でも発症した?」

「違うわよ…あれは人工的生命体…ホムンクロスの一種、古代のとある国で実際に作られていたとされる人工生命体、ホムンクルスの一種で、数多くの人間の死体をより集め練ることで一つの生命体にするのよ、このナベリウスは番犬の言葉どおり主人に忠実なホムンクルスで主人の命を完遂するためにのみ、その命を使う…それにしてもこれはかなり初期の技術が使われているわね…練り方がかなり荒くて材料が見えてるもの」

霊夢はポカーンとして聞きなれない単語を繰り返した

「ほむんくろす?れんきんじゅつ?じんこうせいめいたい?」

「兎に角、練り方が甘いなら脆いはずよ!!倒して!!」

ナベリウスの拳はまた、二人を襲う「なんだかわからないけど…のろまだし一撃ね」

霊夢の周りを札と陰陽玉が囲む

「霊札"夢想封印"」

夢想封印はナベリウスにあたりナベリウスは行動を停止した

「なべりうすとかは倒したわ…でもまぁ」

ナベリウスの唸り声が響いた

「早々には終わってくれないか…」

 

この異世界のとある場所

「…ホムンクルスのナベリウスね」

紫がある人物に近づいた

「あんな量の死体どこから集めたの

?」

「さぁなぁお前に答える義務は無いだろう」

その人物はクックックッと怪しげに笑った

「私がいうのも変だけど、あんた胡散臭いわね」

「…そうだな…しかしあと少しだ、あと少しで私の計画は完成する!」

紫が身構えた

「計画?」

「それまでゆっくりしていくといい」

その人物を中心に衝撃波が放たれた

紫は微動だにしなかったが頬に赤い筋が走った

「…この鏡の世界でねぇ」




超☆展☆開☆お☆待☆た☆せ
かなりの超展開でしたがいかがでしたか?
ホムンクルスやナベリウスといった中二病設定もやってきて
いよいよクライマックスが近付いてきましたー!
幻想郷、外界、鏡の世界
三つの世界はどう交わるのか…
(・ω⊂)どうなることやら…
あと三話ほどでこの小説も最終回かなと今の所は考え中です
怒涛の三話になる事は確かですので皆さんも頑張って付いてきてくださいね!
(書いてる本人が一番、ついていけていないw)

では次回もお楽しみ頂けたら嬉しい限りです


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十話 332の気持ち

今回は少し短めです

ところで皆さんは特撮作品はお好きですか?
この小説を読んでる方の中で仮面ライダーがお好きな方はあっと思った方もいらっしゃったかもしれませんね
この小説には平成ライダーのリスペクトがあったりします
暇な時に探してみてください

宣伝はここまでにして本文お楽しみください

投稿した当初
題名の332のところを334と表記していました
お詫びして訂正します、申し訳ありません


蓮子と霊夢はナベリウスを薙ぎ倒し

ひたすら夜空の中を前へ走り続けた

しばらくすると蓮子は息切れして立ち止まった

「蓮子、へばってんじゃないの?」

「まだまだ、秘封倶楽部を嘗めないで」

「無理はしないで」

急なトーンダウンに蓮子は驚いて姿勢を元に戻した

「無理は…しないで…」

その憂いに包まれた表情は蓮子を揺さぶる

まるで出会ったころのメリーだ…そう思っていたのかもしれない

「…わかった、行こう」

霊夢の中でお空と蓮子が重なって見えたのかもしれない

大切な人のためにひたすら前へ進み続ける蓮子の姿が

それで蓮子の身に何があれば苦しみ

過去として引きずるのは大切な人

つまりメリーであること

そして何よりもそんな大切な人のそんな姿を見ることが辛いことも…

するとすぐにナベリウスの雄叫びが聞こえた

「おっとお客さんね、丁重におもてなししないと」

霊夢が札を握り締める

その拳には覚悟が込められていた

(いい機会だよ…お空、待ってて、今度は私が走り回る番だから…)

 

 一方、お空と魔理沙は青空に囲まれた不可解な空間でじっとしていた

「…意外だな」

魔理沙がお空に話しかけた

「なにが?」

「幻想郷にいるときはあんなに必死に霊夢を探していたのに…この世界ではじっと待っているんだな、てっきり

霊夢はどこ!?ってパニックになって其処ら中を飛び回るかとおもったんだが…」

「魔理沙の中の私ってなんなの…」

お空は少しだけ苦笑を浮かべたあと魔理沙の問に答える

「…幻想郷でいるときは…本当に居なくなってみたいで…怖くなって…でもねここ、不思議なんだ…ここでいたら霊夢が近くでいるように感じるんだ…まるで結ばれたみたいにね…」

「運命の赤い糸ってやつか?」

「違う…もっと…この世界のお陰かな…」

魔理沙はしばらくお空を見詰めたあとみあげた

「そうかもな…」

「お空さん、魔理沙さん」

青空の世界にカオルの姿が現れた

「カオル…」

「…お話、混ぜて貰ってもいいですか?」

「良いぜ、どうせ迎えが来るまで暇な身だ」

カオルが魔理沙の隣に来た

カオルに合わせ二人は地べたに座った

「…俺の病は今までに例がない、難病中の難病…医師からもいつ死んでもおかしくないと説明を受けていました、両親共に居ない俺からすれば死ぬ事なんて怖くなかった…でもその時、出会ったんです、響輝さんと幽玄さんに…」

 

 3年前

俺はいつもの日課である小説を読んでいたんだ

その日は夏の晴天で太陽がとてもまぶしかった…

「…913室、913室は…あっここだ」

俺に来客は珍しかった

病気になる前から人との付き合いが苦手だった俺に友人はいるわけもなく

見舞いに来てくれたのは担任の先生か母か父くらいだったんだ

「えっと…ここ、カオル君の病室でいいのかな?…あっ書いてた個室なんだ…」

少し身長が小さめで黒髪のショートの女性が病室に入ってきた

「えっと…あなたは?」

「浜多響輝です、刑事の見習いです、今回は貴方のお母様に紹介を受けて…」

カオルからすれば彼女はまさしく母から送られたプレゼント

"心の安らぎ"だった

響輝さんとは趣味もあって

1ヶ月もしないうちに誰にも話せなかった…母にさえ話せなかった死への恐怖さえも吐き出せたりできる仲になった

 

「でもある日を境に響輝さんは来なくなった

いなくなった当初は本当に心配だった

でも俺に連絡方法はなかった

だからさ…母に頼んでさ折り紙を買って貰ってそこに手紙をかいて紙飛行機を折って飛ばしてたんだ…そんな時、幽玄さん、紫さんと出会ったんだ…

寂しさは和らいだんだけど…響輝さんはその後も来なかった…死んでたんだ…幽玄さんの組の人にね…不思議と憎しみは感じなかった、それより死への恐怖が倍増したんだ…」

カオルは少し頭を下げた

「響輝さんは語ってたんだ、この世界が好きだって…だから俺、もっと生きて…この世界の全てを見たいんだ…

まぁ、そんなの無理なんだけどね…」

「…そうか…紙飛行機何機飛ばした?」

「332機…」

「そんなに飛ばしたんだ…そりゃそっか…大切な人…だもんね」

お空が立ち上がった

「大切な人が居なくなるのってとても辛いこと…だけど響輝の事も考えないと…332機の紙飛行機はカオルの気持ちであり同時に鎖でもあるんだ…

カオルを過去とくくりつける鎖なのよ」

「…言われたいこと言われちまったな…」

魔理沙も立ち上がりカオルに手を出した

「立ち上がって見てみろよ、ずっとしゃがんでいても景色は変わらないぜ、立ち上がって高いとこからさ、見てみようぜ、見方を変えてみようぜ」

カオルが魔理沙の手を借り立ち上がった

「じっとしてるんじゃないの?」

「私とお空も見方変えてみようか」

「うん、そうだね」

お空と魔理沙とカオルが歩き始めた

 




※前書きに書いたのですが仮面ライダーのリスペクトですが
最終回のあとがきに全部書くよていです

今回は少し落ち着いた感じでしたね
最近突っ走りすぎてたまの休憩です
次回は突っ走ります!ついてきてください!


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十一話 血の惨劇

本当に更新が逆に早くなりましたね

ところで皆さん、ニュースは見ますか?
僕は現代社会の教科が好きなこともあり良くニュースを見ます
それ以上にアニメを見てしまうのは秘密の方向で

さて世間話はここまでにして本文お楽しみください


蓮子と霊夢はついに鏡の壁まで歩を進めた

「ここが限界みたいね」

「そうね…ここまで歩いたけど、出会ったのはナベリウスばっかりね…人っ子一人いない」

ナベリウスの雄叫びも聞こえなくなった

だいたい、たおせれたようだ

「これからどうする?」

「…進みようがなければ…どうすることも…」

背後から拍手が聞こえた

霊夢と蓮子が振り向くとそこには

カオルが立っていた

ただ霊夢は違和感を感じていた

「カオルくん?どうしてここに?」

警戒を解き近づく蓮子を霊夢は大声で制止する

「だめ!!そいつカオルくんじゃない!!」

蓮子の腹部に深々とカオルの拳が突き刺さる

その衝撃に蓮子は気を失った

「蓮子…!、あんた!!誰なの!?」

「私かい?私の名はシザーズ」

シザーズは白衣を取り出しバサリと羽織った

その直後シザーズの影が鋭い刃に変形を遂げた

「!?」

霊夢は飛行能力をフルに使いその刃を交わしきる

しかし猛攻は終わらない

霊夢が着地した足元から影の刃が霊夢をつき狙う

その刃も交わしきり改めて着地した霊夢にシザーズが続ける

「通りすがりのただの科学者さ」

「…あんたね、幻想郷の鏡を割ってるの…あんたの目から魔力を感じる 」

シザーズの目が紫に輝く

「あぁ私の実験の影響が届いたかもしれんな」

「実験?」

シザーズは高らかに笑い実験を説明し出した

「外界とこの鏡の世界を繋げるのさ…ここにいるナベリウスを外界に放ち憎きあの世界に終止符をうつ、この私がこの手で」

「それと鏡、なんの関係があるのよ」

「ふふ、よくぞ聞いてくれた…この鏡の世界と外界、そして幻想郷は謂わば鉄の檻で区切られた刑務所さ…それぞれの部屋には行けないし、干渉もできない…だったら檻を壊してしまって全部一緒にしてしまえばいいと考えたのさ…だから檻を壊すことのできる能力、八雲紫の能力を利用しようと思った、スキマを利用すれば檻を壊すことが可能だ…しかし実証実験をしなくてはいけなかった」

「その実証実験を幻想郷で行っていたわけね…しかしスキマとはいえ、貴方の実験で出来たスキマは不完全だった、扉となる媒体が必要であり、さらに力が強すぎたのよ、だから扉として選んだ媒体の鏡が割れた、そうでしょ?」

シザーズは少しだけ残念そうに白衣のポケットに手をいれた

「あの実験は失敗に終わった…その後も何度したって同じ事の繰り返し…扉の媒体は壊れ、扉が開くことはなかった…しかし私は今度こそ素晴らしいスキマの力を手にいれた」

霊夢が身構える

「まさかあんた…紫に何か」

「確かに紫さんに会った、だがその前よりスキマの…いや素晴らしい力は手にいれていたのだよ」

シザーズは天を仰ぐように両手を広げる

「カオルくんだよ…彼の力は素晴らしい…外界産まれでありながら幻想郷でも通用する能力を持っているのだ

私の"自分の影を操る程度の能力"以上に素晴らしい能力だ…」

シザーズはおぞましい笑顔で霊夢をみた

「カオルの能力って何よ?」

「"死ぬ前に念じた事が叶う程度の能力"」

「!?し、死ぬ前に!?」

「そうだよ、彼には死ぬ前に私の実験の成功を念じてもらう…そのためには君や蓮子くんが必要なのだよ」

霊夢は刹那、いままでに無いほど全力で飛び去った

「おやおや逃がさないよ」

シザーズの影が追撃に入る

霊夢の速度についてこられずしばらく追いかけあいがつづくも

それも霊夢の敗北で決着がつく

霊夢の足に影が巻き付いた

影は体を滑るように移動し首に巻き付いた

「カッ!…ググ…」

「私の影からは逃げられないよ…フフッそうそうに殺しはしないから安心して」

(お空ッ…)

霊夢は強くお空の名前を心で叫んだ

 

魔理沙達の前にスキマが開いた

「スキマ…どうするよ?カオルくんよ」

「…行こう…紫さんが行けといってるような気がします」

お空に寒気が襲う

(なんだろう…嫌な予感がする…)

 

 魔理沙達がスキマを潜るとそこは蓮子達がいる夜空の世界だった

そこで蓮子たちの惨状を魔理沙たちは目撃する

お空は目付きがかなり鋭くなり叫び散らす

「手前ぇ…何してる!!!!その人から離れろ!!!!!!」

お空は制御棒をシザーズに向ける

「おや?反応が予想外だ…」

「やめろ!お空!霊夢まで消し炭にする気か?」

魔理沙が制御棒を下げさせる

「でも…でも!!」

「今は彼の要求を聞こう…な?落ち着けよ」

魔理沙がお空のまえにたった

「なにか要求があるんじゃないか?そうでもなけりゃそんな長い間保つような力加減にしねぇはずだ」

「ほう、君とは話ができそうだ…私の要求は…カオル君の死だ」

「はぁ!?ふざけないで!!」

お空がまた叫ぶ

「何も君達に殺せとはいっていない…カオル君を渡してくれればそれでいい」

「殺されると知っていて渡す奴がいると思うか?」

魔理沙が怒りを抑えるような口調で淡々と話した

「なら、この女の首を引きちぎるだけだよ」

霊夢の目は生気を失っており

首も脱力しだらんとしている

魔理沙は歯ぎしりをならした

「…俺が行けば霊夢さんの命は取りませんか?」

「あぁ約束しよう、ここ見えて約束事は守る質だ」

「なら行きます、霊夢さんを離してください」

シザーズは少し驚いたようにカオルを見ていたが霊夢を離した

霊夢は落下して凄い勢いで噎せていた

お空が直ぐに駆け寄る

「大丈夫?」

「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!…大丈ゲホッ!ゲホッ!」

「無理はしないで…休んでて」

霊夢は少し落ち着き貪るように呼吸を再開した

「カオル!なにやってんだ!世界の全てを、見るんじゃねぇのか!?」

「未来のある霊夢さんが命を落とすことはしなくていいんです…俺にはもう時間がない…少し終わりが早かっただけですよ」

シザーズは影を大鎌の形にした

「では死ぬ前にシザーズの実験が成功するように念じてくれ、もし別の事を念じたなら、直ぐに女が四人そっちに逝くことになるぞ」

「…はい」

大鎌は振り落とされた

魔理沙の大声も空しく地面の鏡に紅の花が咲き乱れた

糸の切れた人形のようにカオルは倒れこんだ

シザーズの笑い声

霊夢の悔しそうな顔

お空の呆然とした顔

気を失ったままの蓮子

もう動かないカオル

全てがストップモーションのように魔理沙の頭の中を巡る

それは歯ぎしりとして具現化された

「…」

魔理沙は八卦炉を手に仕込んだ

「これで私の実験は完遂する!ふはははは!」

鏡の世界にスキマが沢山現れた

そこにナベリウスが集まりだした

シザーズはよりいっそう高笑う




憎しみの炎は彼女たちからかけがえのない物を奪い去った
しかし彼女たちは前に進まなければならない
たとえ修羅の道であろうとも突き進まなければならない
友人が見れなかった世界の全てをその目に焼き付けるために
彼が愛した世界を守るために

次回ついにこの物語は完結します
最後まで頑張って行きたいと思います


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最終回 今はこれで…

ついに最終回ですね

ところで皆さん、季節のなかでは何がお好きですか?
僕は春かな…桜が好きです
春の前に冬を越さなければなりませんね(寒いの嫌い)

世間話はここまでにして
それでは東方結鏡の最後、お楽しみ頂く


魔理沙のストップモーションが終わった

すぐさま八卦炉を構えた

歯ぎしりを鳴らすとゆっくりと口を開いた

「…許さねぇ…死人は大人しく…土に帰れぇーーーー!!!スペルカード発動!!恋符"マスタァースパーク"!」

魔理沙はマスタースパークを回転しながら放つ

周囲のナベリウスは強い魔力に焼かれ

マスタースパークをうけたところが消し飛び生命活動を停止する

魔理沙の周りを小さな光の玉が浮遊する

「このまま成仏しろ…!」

 

「ナベリウスを全員倒すなんて困難だ、この世界には数えきれないほどの、ナベリウスがいるのだから」

お空は急に立ち上がった

高笑いを続けるシザーズに歩いて近づく

「お空?」

「…霊夢、ちょっと休んでて、ちょっと消し炭にしたい人間がいるの」

お空が制御棒をシザーズに向けた

「…ほう、核融合か」

「そう…これで貴方を消し飛ばす…死ね」

霊夢が制御棒をおもいっきり押さえる

「だめ!」

「霊夢どうして?こいつは霊夢を殺そうとした…だからあたしが殺すの、絶対に殺すよ、この世に肉片ひとつも残さないから」

「貴方、かなりの消耗なのに能力なんて使ったら…貴方は…」

「関係ないよ、殺すよこいつだけはあたしが死のうとも」

お空が霊夢を振り払おうとするも

霊夢は更に強く袖をつかむ

「…いやなの…お空のそんな顔、そんな言葉…聞きたくない…見たくない…お空が私のために怒ってくれるのとても嬉しいよ…でも、やめてお空、そんな事…死ねなんて…殺すなんて…言わないで…そんなのお空じゃないよ…」

お空は霊夢の必死な表情を見た

首の赤いアザも

「嫌だ…たとえ霊夢のお願いでも嫌だよ…こいつは殺すよ、あたしがあたしの手で、霊夢退いて消し炭になっちゃうよ」

それでも退かない霊夢にお空は強行に出た

「ごめんよ、霊夢…眠って」

お空の拳が霊夢の鳩尾に深々と突き刺さる

「ほう…」

「そんな…お空…どうし…て…」

霊夢がガクッと倒れてしまった

お空は霊夢を受け止めそっと寝かせた

「これでいいの…あたしだって霊夢に見せたくないもん、こんなの…あたしじゃないから…」

お空の胸元の赤い目が紅き輝きを放った

「…熟、君は面白い…ただ感情に左右されるのは未熟な証だ…」

シザーズは魔理沙の焼いたナベリウスの首を拾った

「愛だの友情だの…それが産み出すのは失った後の喪失感だけさ…長く生きた君ならわかるはずだ…妖怪に恋をした人間の末路を…」

お空は俯いた

妖怪と人間では圧倒的に寿命が違いすぎる

その両者が愛し合えば

その結末は悲しい別れだ

その為、幻想郷ではその両者が愛し合う事は長らくタブーとされた

「逆もまたしかりだがね」

「解らないよ、あたし、バカで鳥頭だから…そんな難しいこと知らない…だから今を必死に生きようと…」

お空が再度、制御棒を構えた

「霊夢を愛そうと…そう決めたんだ」

「強欲だ…君は今後事を考えず修羅の道に突き進もうとしている」

シザーズが影の刃を複数展開した

「…あたし霊夢は好きだよ…何がどうひっくり返ろうとそれは変わらない、それが強欲なら貴方のしていることも強欲だよ、自分の利益だけのためにカオルを殺して…」

お空はすべて火玉を飛ばしすべて焼き倒す

「それでもなさければならないことが私にはあるのだ」

お空のいる地面から影の刃が生える

お空は回避はせず影の刃に突き刺さる鮮血が流れる

「…ならあたしにもあるよ、なさければならないこと」

まるで散歩でもするかのように歩いて進むお空

その様子に思わずシザーズは警戒をといてしまった

お空はシザーズの左腕を握りしめる

「あんたを殺すこと」

次の瞬間、お空はシザーズの左の腕を引きちぎる

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

鮮血が飛び散る

お空の冷徹とも言える冷たい顔にシザーズの鮮血が飛び散る

シザーズは影を集めて翼を作り出し飛び去ろうとした

腕を千切られた事でかなりの動揺が産まれたらしい

かなりよろけながら飛びたつ

「逃がさないよ」

お空も翼を展開しシザーズを追う

すぐに追い付きシザーズの右翼をもぎ取る

バランスを崩し落下するシザーズだが一瞬の隙に影の刃を複数展開した

半分はシザーズの衝撃を和らげ

半分はお空に攻撃する

お空は回避することはなかった

奇跡的に致命的な場所に当たることはなく頬に切り傷を負った

「なぜ避けない!?」

「避ける気にもならないの…あんたの生ぬるい攻撃なんて」

着地したシザーズは叫び声と共に太い槍のような影を展開した

それをお空に向かって投げる

それが刺さると流石のお空も少し痛そうに声を溢す

「グッ…」

「殺されるのはお前だ!、私は死ねないんだよ、外界を滅ぼすまでは!!」

「いや、殺すよ…あたしがね」

お空がスペルカードを取り出した

「スペルカード発動…七星"セプテントリオン"」

シザーズは影の刃をいままでの比ではない量繰り出す

お空の周りには七つの太陽球が現れ

そこからあらゆる方向に弾幕が飛んでいる

数でまさりお空の弾幕はシザーズに届く

複数回あたりシザーズは煙の中に消えていった

「全部、終わったよ、霊夢…今度会うときは…いつものお空だよ」

魔理沙が合流した

「終わったか?」

「うん、シザーズは死んだよ…カオルも死んじゃったけどね…蓮子は?」

蓮子が歩いてきた

「あれ?どうなってるの?…カオル君擬きは?どうして貴方たちがここに?」

 

 少女説明中

 

カオルの死を伝えられた蓮子は呆然としていた

「で、でもね、そいつも今、殺したしもう死体人形も残ってない」

「そうなんだ…私…なんて使えないの…」

霊夢が歩いてきた

「…霊夢ごめん」

「お空…シザーズは?」

「殺した」

霊夢は少し俯いて答えた

「お空…もし…」

腐肉のような匂いが充満しだした

「うっ!これは…」

死体人形を寄せ集めた人型の何かが立った

それはかなり巨大で四人全員が見上げた

「ガイカイヲホロボス、ジャマヲスルヤツハコロス」

その中心ではシザーズが埋め込まれており人の頃の気配は残っておらず

化け物と化している

「まさかあいつ、私の殺した死体人形と影を重ねて…」

「フュージョンしてる!?」

「お空、嬉しそうに言わないで…蓮子、あいつ、分かる?」

「…ナベリウスはね、変幻自在なの…消しゴムのカスで練り消しを作ったことあるかしら?」

三人が首を横に傾けた

「練り消しなら知ってるぜ、なんか黒くて変な感触なんだ香霖堂でみたぜ」

「練り消しは柔らかくて、大きかったら物を簡単には包むことができるのよ…それとおなじ、ナベリウスの場合一体でもいれば…いや、もう肉片でも人間をつつむなんて十分…それも彼の能力と重なれば…結合力も二倍ってわけね」

霊夢が飛んでシザーズに近づく

「哀れね…シザーズ」

「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」

「今話しても解らない…か…」

霊夢は右手だけ服と分離した袖を外した

「あの世でカオルに詫びいれなさい」

霊夢の右手はシザーズを貫いた

その後、霊夢は手を抜き取るとシザーズの本体が分離した

すかさず霊夢はスペルカードを取り出した

「スペルカード発動、霊符"夢想封印"」

強い閃光のなかにシザーズは消えていった

それと同時に包んでいた腐肉も朽ち果てた

「…カオル…」

着地した霊夢がカオルに近づこうとすると大きな揺れがあった

「なに!?」

「なにが起きてる!?」

鏡が割れ始め世界が崩壊していく

「やばいんじゃねぇか?これ!」

「どうしよう!」

その時、四人の後ろにスキマが2つ現れた

「四人とも早く!」

「この世界はもう!早く!」

紫とメリーの声がした

「紫!?どうしてここに?」

「メリー…やっとみつけた…」

「蓮子、帰ろ?私たちの世界に」

メリーと蓮子がスキマに入りスキマは消えた

「あとで説明するわ!早く入って!」

魔理沙が素早くスキマに入り込んだ

しかしお空が出たところで流れが止まる

「霊夢!?なにをして…」

霊夢はスキマとはまったく逆、カオルに近づいていた

「カオルを連れて帰る」

「無茶よ!諦めなさい!」

霊夢はそれでもカオルに歩を進める

それは自分の代わりに死んだカオルへの詫びもあったのかもしれない

しかしそれはあまりに無謀だった

もう一度、強い揺れがおき霊夢は体制を崩す

「霊夢!!」

その時、スキマから黒い羽が舞い上がった

お空が霊夢を担ぎスキマに飛び込んだ

スキマが閉じた次の瞬間、鏡の世界は完全に崩壊した

 

幻想郷、博麗神社

「お空、どうして助けたの?」

「…」

「…私はあのまんま、死んだってよかった!!友人一人助けれないでなにが博麗の巫女なのよ…」

お空は霊夢の頬にビンタをいれた

「死んだってよかったは酷いよ…あたし、霊夢がいない世界なんて…住みたくないもん…だからさ…最後の最後まで一緒にいたいんだ…いい?霊夢」

「でも…私…」

霊夢の体を包むようにお空が羽を広げる

「痛いなら分け合おう…そのために一緒にいるんだもん」

霊夢の嗚咽が響き始めた

「…紫、なんで鏡の世界は崩壊したんだ?」

魔理沙が紫に質問を投げ掛けた

「三回のスペルカード使用に耐えられなくなったのよ…鏡の世界は脆い世界だからね」

しばらく無言が続いた

「…霊夢」

お空が口を開けた

「なに?」

「手…握っていい?」

「…うん」

霊夢がお空に手を出す

「…今度さどこ行こうか?」

「えっ?」

「もう、お空ってば本当に鳥頭ねぇ~遊びにいくんでしょ」

「…うん、どこいこうか…」

霊夢の笑顔を見てお空は少し安堵した

 

 

いつかは終わりが来る

カオルのように霊夢もいつか死んでしまう

ならあたしは最後まで愛しきろうと思う

でもできたらこのまま、カオルの言ってた

世界の全てを霊夢と一緒に見てみたいと思った

でも今はこれでいいんだ

今は…この一言だけでいいと思う

 

「霊夢、大好き」




お空のこの言葉で東方結鏡、締めさせて戴きます
で、前々回かな?の、時触れた仮面ライダーのリスペクトですが

鏡の世界じたい龍騎のリスペクト
五話でロックシード
十話での「通りすがりのただの科学者」
だけでしたもう少しいれたような気がしたのに少なかったです

さて草賀魔裟斗としての最初の小説が完結しました
今回はハーメルンに投稿した他にも
初挑戦のことばかりで慣れがなかなかでず
読書の方が面白くないと思われても仕方がない部分が多々ありました
でも一つの小説が終わるってなんだか感慨深いものですね…

ではまたいつかお会いしましょう


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