己を探す者たち (葵・Rain)
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三つの分かれ道
稲妻、7年の月日


 はじめての人も知っている人もではどうぞ!


 ユクモ狩猟大戦から七年。

 古竜、新種のジンオウガの出現の異例の事態となったが、無事討伐できた。

 それぞれの道に進み、七年の歳月が過ぎた。

 そして、ここモガ村には一人の少年がいた。

 白い髪と蒼のメッシュが特徴。

「イナズマ!」

「どうしたのおっちゃん?」

 彼の名前は稲妻。一夏の息子である。

 稲妻を呼んだのは、セガレと呼ばれている村長の息子だ。

「とってきてもらいたいものがあるから一緒に来てくれないか?」

「わかった!」

 稲妻は村での役割は採取。モガの森にある骨や木の実、モンスターの素材などを取りに行くのが仕事だ。

「今回は?」

「今回は竜の巣から竜骨【小】や竜骨【中】などを取りに行く」

「そっか、全員巣立ちしたんだ」

「ああ。あまりにも危険だから、その期間は森に入るのを禁止した」

「けど、ギルドは討伐命令出した」

「だが、それを阻止したのはラギアクルス亜種っと噂されているけど」

「僕じゃないですよ!?」

「わかっている」

 リオレウス、リオレイアの繁殖期に入ると巣がある村全体に緊張が走る。繁殖期のモンスターは気性が悪い。一歩そのテリトリーに入ると、無害だろうが襲ってくる。

 例え天敵でさえ。

 そのためギルドではその時期、その環境を考えてクエストを出している。

 補食対象のモンスターが少なければ、雨季が長引いていたら、他のモンスターが入れればなどで出す。

「一夏は大丈夫なのか?」

「今回の仕事は難しいと聞きました」

「そうか」

「はい」

 一夏の話題をしゃべっていくうちに竜の巣についた。

「よし。さっさと回収するぞ」

 竜骨【小】やなぞの骨を持てるだけ使うだけ持って、竜骨【中】集めた。

 中には上位の鳥竜種から取れる上質な鳥竜骨が数本取れた。

「よし、これぐらいでいいだろう。いくぞ」

 モガ村へ帰った。

 道中もこれといった変化はなく落ち着いていた。

「ただいま」

「あ!お帰り二人とも。どうだった?」

 アイシャが帰って来た二人に聞いた。

「今日は収穫だな」

「はい」

 答えていると後ろから誰かに抱きしめられた。

「っわぁ!?」

「……おかえり稲妻」

「いきなり抱かないでくださいユウさん!」

 本来いるはずがないユウがいた。

「今日もいませんよ」

「……そう」

 残念そうな顔をしながらも抱き着いていた。

「電撃ぶち込みますよ?」

「……それはごめん」

「なら、離れてください」

「……わかった」

 しぶしぶ離れた。

 それをみはらかったようにアイシャが口を出した。その顔は悲しそう。

「稲妻くん、君の家に言ってもいいかな?」

「はい?いいですが」

「どうしたアイシャ?お前彼氏がいないからって稲妻を襲うのか?」

「襲いません!」

「……大胆」

「何考えているんですか!」

「アイシャお姉さん?」

「そんな怖がる目で私を見ないで!」

 一呼吸入れて。

「セガレさんもユウさんも来てください。大事な話ですから」

「わかった」

「……(コクン)」



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稲妻、村を出る

 元小次郎の家、現一夏、稲妻の家に集まっていた。

「全員集まったね?じゃあ話すわ」

 じっとしていた。

「一夏くんが行方不明になったわ」

 間が空いた。最初に口を開いたのは稲妻。

「どうゆうことですか?」

「ギルドからの極秘任務を受けてから一カ月、音沙汰がないことに気付いたギルドがその地に送ったの。そこには爆発した形跡が見つかったの。爆発に巻き込まれたと思ったのだけど、ロックラックのギルド幹部が彼の実力を高く評価しているからそれはないと断言したわ。つまり」

「任務に失敗して捕縛されて、そのまま犯人に連れ去らわれた」

「そんな訳ない!」

 稲妻は否定した。その現実が受け入れられないのだ。たった一人の家族がさらわれたんだから、しかたないことだ。

「信じがたいけど、事実よ」

「うそだうそだ!」

「稲妻!」

「!?」

「落ち着け。一回深呼吸しろ」

 深呼吸を促すセガレ。

 稲妻は落ち着いて深呼吸をし、口を開いた。

「すみません。取り乱してしまって」

「気にするな」

「そうですよ。私も村長やみんなが同じだったらなります」

「……稲妻、一夏は大丈夫」

「そう…ですか?」

「……うん。何年一緒にいたと思う?」

「そうだな。あいつはそんなにやわじゃない」

「もしかしら、何処かにいるんじゃないかな?吹っ飛ばされて」

 ユウとセガレ、アイシャは稲妻を励ました。

「……少し外に出ます」

 そう言うと稲妻は外に出て行った。

「話さなければよかったのかな……」

「どうせ手紙とかが来て知っただろう」

「……探しに行きたい」

「だろうな」

 三人は悩んでいた。もし探しに行くって言われたら止めるべきなのかどうなのか。その日は解散した。

 次の日稲妻はいなくなっていた。置手紙を残して。

「どうするのよ!?」

「……私が行く」

「ダメだ」

「……どうして?」

「お前は村専属のハンター代理。もし人探しでいなくなったって知られたらどうなる?」

「!……じゃあどうする!?」

「落ち着けお前ら!」

 村長が現れて、一喝した。

「ユウお前に知り合いはいないか?」

「……いる」

「そいつらに手紙を送れ」

「村長、小次郎にも手紙を送る」

「そうしろ。返信が来るまで。セガレ森にはいったのか?」

「いや」

「村の者を集めて探して来い!」

「了解!」

 すべてを指示を終えた村長はアイシャに向いて聞いた。

「アイシャよ。稲妻が行くとしたらどこだと思う?」

「わかりません。私だったら知り合いのところかな?けど稲妻は知り合いのところにいかないと思います。ばれると思っているから」

「なら行先はわかったな。ユウとセガレを呼んでこい」

 アイシャはユウとセガレを呼びにいった。

「二人ともロックラックに知り合いはいないか?」

「俺はいないな」

「……引っ越ししていなければ何人か」

「その人たちに送れ。いいな」

 ユウは頷き部屋に戻った。

 その頃ユウはと言うと。

「しまった!どこに行けばいいんだろう?」

 目的地決めないで来てしまった。

「おい小僧遭難か?」

「ん?いや違います。タンジアに向かっている途中で」

「なら乗っていけ」

「いいんですか!」

「おう。小僧名前は?」

「稲妻です」

「稲妻か。俺はガイだ。タンジアで漁師をしている」

 ガイに拾われた稲妻。果たしてロックラックにつけるのか?



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ユキネ、過去を知る

 稲妻がモガ村からいなくなる前の夜。ユクモ村ではクロ、シロがユキネについて話していた。

「そろそろ話した方がいいかもな」

「ええ。あの子には今話さないといけない気がするのよ」

「だけど!」

「ええ。その時は、ね」

「……わかった」

 次の朝、朝食が食べ終わるとシロがユキネに大事な話があるからと言った。

「どうしたの父さん母さん?」

 お互い顔を見合いながらクロが話だした。

「ユキネ落ち着いて聞いてくれないか」

「う、うん」

「お前は俺と母さんの子じゃない」

「え?」

 不意を突かれたかのようにユキネが止まった。

「続き話してもいいか?」

 ユキネは首を横に振った。傍にシロがより肩を抱いた。

「大丈夫。ユキネ、あなたは私たちの子じゃないけどね。けどね、他人の子だからって嫌いになったりはしないわ。だって私はあなたのことを愛しているのよ」

「ほんと…?」

 俯きながらユキネは聞いた。

「ああ俺もそうだ。ユキネの事を愛している。俺たちは家族なんだ。当たり前のことだ」

 クロが言うと、ユキネは顔を上げながらクロとシロを見ながら言った。

「ありがとう、父さん母さん」

 シロの胸に頭を乗せながら泣いた。

 ユキネが泣き終わると、クロが温かい飲み物を持ってきた。

「持ってきた。はい」

「ありがとう父さん」

 ユキネはカップに入った飲み物をちびちび飲む。

 クロとシロも飲むと、クロがしゃべりだした。

「じゃあ話すぞ。あれはユキネが赤ちゃんの時だ。当時、秘境の近くで狩りをした帰り、近くの村がモンスターにやられた跡だったところにお前の母さんが家の下敷きでな。助けようとしたんだが、自分の命よりユキネの命を助けてくれって言われたんだ」

「そう…なんだ」

「それでどうしたい?」

「え?」

「本当の母さんに会いに行きたいか?」

「どういうこと?」

「いい。あなたのお母さんにあなたのことを任されたわ。でもね、ユキネは一回でもいいから生まれた村に行かない?」

「お前もいい年だ。体は大丈夫なはずだから、墓参りに」

 ユキネは考えた。記憶はないけど、自分が生まれた村に行ってみたいと気持ちがあった。

「どうする?」

「…………」

 ユキネは顔を上げて覚悟を決めた。

「行くよ。もしかしたら決めれるかもしれないから」

 二人は疑問に思ったが、ユキネから話すときに聞けると思った。

「……ねえ母さん、父さん」

「なんだ?」

「もう一回聞くんだけど、私の母さんは母さん、父さんは父さん。本当の母さんは死んだけど、それでも私のことを自分の子供と言える?」

 クロはニヤっと笑ってユキネの頭を撫でた。

「何言っている。当たり前だろ」

「ええ、だって私もクロもあなたを私たちの子供だと思っているのよ。ユキネは?」

「……私も思っているよ」

 そう言うとユキネが二人の所に近寄ってきて抱き着いた。

「いつもありがとう父さん、母さん」



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ツキヨ、引っ越しをする(準備編)

 ユキネがお墓参りのため村を出ていく準備をしている時、ツキヨ、ハーデ、レンはギンナにハクラが呼んでいると言われ、渓流の奥地に来た。

 ハクラが住んでいる洞窟に入っていくと、胡坐で座っているハクラがいた。その姿は前よりも弱弱しく見える。

「おじいちゃん大丈夫?」

「おおう。大丈夫じゃよ。それよりよう来てくれた」

「大丈夫には見えないんだが?」

「はい。薬よ」

「すまないな」

 冗談を言えるぐらいの元気はあるようだが、時々せき込むときがある。

 それを見て心配な目で見るツキヨ。

「それよりもじゃ。さっそくじゃが、とうとう予言がはっきり見えるようになった」

「「‼」」

 その一言でハーデ、レンは驚愕した。

「そこでじゃ。引っ越ししないか?」

「引っ越しですか?」

「そうじゃ。幸いワシに伝手がある」

「で、ですが!?」

「なんじゃ不満でも?」

「ないですけど、ここ以外に安全なところなんて。それにいくら伝手があるからって」

「確かに。じゃが、大丈夫じゃろう」

「ちなみに場所は?」

「候補としてはドントルマ、タンジアの周辺。後はシナト村って場所じゃ」

「シナト村って天空山のある村か?」

「ああそうじゃ。そこの長老とはちょとした仲での」

 考え込むハーデとレン。その深刻な話が自分とは知らないツキヨはハクラにシナト村のことを聞いた。

「そうじゃのう。霊峰と同じくらいの山々にある風が多く吹く村じゃの」

「寒くないの?」

「どうしてそんなことを聞くんじゃ?」

「お母さんが寒いところが苦手だから」

「確かに寒いがここと同じくらいじゃがら大丈夫じゃよ」

「よかった」

 話し終わったハーデとレン。

「どうやら終わったな」

「ああ。どういった奴が来るのかわからないが、アンタの案に乗った方が安全だと思う」

「ふむわかった。ならシナトじゃな?」

「ああ」

「これを持っていけ」

 ハクナに渡されたものは金色に光る鱗と白い鱗のお守りみたいなものだった。

「これを長老に渡せばいい」

「たったこれでだけで?」

「なんじゃ不安でもあるか?」

「てっきり手紙でも渡すものかと」

「別にそれでもいいが、ワシが面倒じゃ」

 そう言って帰した。

 そこに残っているのはハクラ。岩陰から現れたアマツとクシャル。

「いいのですか?」

「なにがじゃ?」

「彼らに自分のことを言わなくて」

「なーに大丈夫。もしもの場合は、な」

「クシャルすまないがギンナを呼んでくれないか?」

「ああ」

 クシャルはギンナを呼びに出て行った。

 その間ハクラは奥に行ってあるものを持ってきた。

 ちょうどギンナが着いた。

「どうしたんですか父?」

「ギンナこれをお前にやる」

 ハクラが渡したのは二対の片刃の刀。一本は白い刀、もう一本は黒い刀。

「これは?」

「お前が一人前になった時に渡そうと思った物じゃ」

「父!私はまだ半人前です!」

「持っておけ。一人前じゃからのう」

「いいえ!」

「ギンナ!」

「!?」

 怒鳴りだしたハクラに驚いたギンナ。

「ギンナ!お前はワシのことを心配しているのじゃろ?ライガが行ってお前が行かないのはおかしいじゃろ?」

「ですけど!?」

「少しは世界を回って来い。ワシは一人前になってもらうために教え込んだはずじゃ。それを試して来い」

「は、はい!明日明朝出ます!」

 それを聞いて安心したのか目を瞑った。

 アマツとクシャルは悲しい顔でハクラを見た。

 翌日、ここに訪れたラインが発見した時、ハクラは息を引き取っていた。だが、その姿はまだ生きていると思わせるぐらいの姿であった。



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ユキネ、手伝いをする

 (ユキネ)は昨日、父さんと母さんに自分の出生を聞かされた。最初は困惑した。だって今まで親だと思っていたのに親じゃないと言われて困惑しない人っている?

 って、私誰に話しているのかな?

 だけどね、父さんも母さんも愛しているとか家族だと言ってくれたの。ちょっと恥ずかしかったけど。けどね、その言葉のお蔭で前を向くことに決めたの。

 それでね、今本当の母さんがいる村に行くことになったんだけど、なんだけど。

「父さんと母さん人じゃなかったの」

「驚いたか?」

「うん」

 親がアイルーとか驚いていた。驚いただけだから。

「もう戻れないと思っていたんだけ」

「けどこれで通常の奴も使えるな」

「そうね。今までの失敗作がまさかの成功作になるなんて。しかも、自由自在に姿を変えられるしね」

 まさかの失敗作同士が成功作に変わるなんてびっくりだよ。

 母さんの実験小屋の掃除をしているんだけど、かなり危険さっきみたいなことがさっきから起きているし、居たくないんだけど。いないといけないとか、拷問に近いよ。何か火薬の匂いとか悪臭とかヤバいですけど。

「クロ~そこにある。クリー〇ーの欠片を纏めて湿った革袋に入れて」

「なんちゅうもんあるんだよ!?」

「あと古龍の血ドリンクもレシピと一緒に入れて」

「誰飲むんだよ!?」

 物騒なアイテムまであるし。他にはって、モンスターホイホイとか異性をイチコロ、リミッターMax、キメラのつばさなど。面白アイテムもあるし、簡単‼変化自在顔セットやパーティーにはこれ!手持ち音爆弾、食事中ごめんなさい!?コンガクッションなど。便利な物なら携帯調合書や毒ケムリ噴射ビン、強力こやし玉(古龍、新種以外)など。

「ユキネちょっとこっちに来て」

 母さんの元に行ったら、かなりの本があった。

「なにこの量?」

「溜めすぎちゃった、テヘ」

 舌を出してって、父さん見たら卒倒ものだよ。

「これどうするの?」

「捨てるわよ。燃やして」

 父さんがここへ来た。

「ま~たかよ」

「ごめんね」

「ったく。ユキネ本運ぶの手伝ってくれ」

「うん」

 実験小屋の外に母さんのいらない本を燃やした。少し悪臭がしたけど。

 その後、実験小屋の中を掃除と点検して、扉や窓の所に板を張り付けて家に帰った。

「ユキネ何食べたい?」

「う~ん」

「私は魚料理!」

「シロには聞いていない」

 父さんと母さんがああだこうだしているうちに、夕飯が決まった。

「私の大好物!」

「あれかな?」

「うん!」

「よし!シロ先にユキネと帰ってくれ」

「はいはい。行くわよユキネ」

「は~い!」



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ツキヨ、引っ越しをする(移動編)

 (ツキヨ)たち家族はユクモ村を離れて、シナト村に行くことになった。寂しいけど、また会えるから平気かな。

  村でお世話になった方々に別れの挨拶をしているの。色んな思い出が詰まったところを離れるのは心苦しいけど、また来れるから悲しくはなかった。

「ツキヨ持っていものまとめた?」

「うん」

 明日にはユクモ村を離れて、シナト村へ向かうの。お父さんが背中に乗ってね。

 渓流しか出たことがないから、お父さん心配しているの。お母さんもだって。

 村から離れた場所で擬人化を解いて出発するって言っていたけど。

「どうも」

「ラインか」

「ちょっと話がある」

 ラインおじさんが(お兄さん!)お兄さんがお父さんを外に連れていった。

 

 ラインから話があるといわれたため外に出た。

 ラインが止まっている部屋に来ると悲しい表情で話し始めた。

「ハクラが死んでいた」

「え?」

「何か聞かされていないか?」

「え、ちょっと待てよ。死んだのか?」

「ああ」

「ウソだよな。ウソだな。ウソだと言ってくれ!?」

 ハーデはそれを聞いて、狂いながら泣いていた。

 それを見ていたラインが声を掛けた。

「ハーデ。悲しみに暮れている暇があるのか?ハクラはな。お前たち家族を安全なところに逃がすため言ったんじゃないのか?違うか?」

 それを聞いて頷く。顔を上げて目を拭いた。

「ああ。そうだよな。じいさんが言ったんだ」

「一応聞くがハクラは何か言っていなかったんだ?」

「ああ」

 そうかと言うとハーデに帰ってもいいぞ言った。

「それとこのことは誰にも言うな」

「おう」

 

 次の日の朝。まだ日が昇っていなく濃い霧が辺りを覆っていた。その中を三人家族が歩いていた。

 その家族は街道から外れて渓流から少し離れた場所にいた。父親は赤い玉を自分の足元に叩きつけるとその場所に眩い赤い光が光るとそこにいたのはジンオウガ亜種。ジンオウガ亜種は背中に母親と娘を乗せると森を一気に抜け出した。

 母親は肌寒くなったのか娘を抱きながらジンオウガ亜種の背中にしがみ付いた。娘は風に当たっているのに心地よいのか顔をにやけていた。

 ジンオウガ亜種は東から昇っている太陽の光を少し見て走るスピードを上げた。

 森を抜けると平原に出た。

 抜け出したジンオウガ亜種はさらに走るスピードを上げて、一気に向かいの森にいことしていた。

 その時、何かを感じたのか振り向いた。ジンオウガ亜種はそれを見て、一礼したと思ったら一気に走り出した。

 ジンオウガ亜種が振り向いた場所には白いジンオウガと老いた老人がいた。白いジンオウガは叫ぶ動作を老人は手を振りながら、一匹と二人のことを見送った。



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ユキネ、村に着く

 アフターストーリー全部移し変え終えました。


 次の日、クロとシロ、ユキネはお世話になった人たちにユクモ村を出ていくと伝えた。

 悲しむ人たちがいたが、ほんの数年いなくなるだけで終わり次第帰ると言った。

 そして……。

「体に気をつけて」

「うん」

 そう言って、ユキネを抱きしめる鳳翔。

「お世話になりました」

「あんたらまでいなくなるといよいよユクモも終わりか」

「大丈夫だってここも故郷なんだから」

 クロと親しく話しているのは小次郎の父、次郎長。

「シロさんくれぐれも迷惑を掛けずに」

「村長、それはないでしょう」

 冗談を言い合うシロと村長。

「じゃこれで」

「ええ」

「またね」

 三人はユクモ村を出て、目的地はユキネが生まれた村とロックラック。

 そして、歩き始めてはや一週間。

「場面変わるの早くない?」

 気にするな!

 

 ユキネの村に着いた三人。そこは壊された家屋に苔が、その辺りには雑草が生えている所だった。

「ここが」

「ああ、そうだ」

 クロが先頭に真ん中にユキネ、シロが後ろ。目的の場所に着いた三人。そこには大きな四角の石が建っていた。

「これって」

「お前の母さんの墓だ」

「ここにはこの村の人たち全員のお墓なのよ」

 そのお墓の前に花が供えられていた。

「誰か来たのね」

 シロはそういうと持ってきた花と線香をあげた。拝んでいると、そこへレックスXを身にまとった男性ハンターが現れた。

「あんたら?」

「ちょっとお墓参りに来たのよ」

「そうか」

「貴方の名前は?」

「俺はトウジ。あんたらは?」

「俺はクロ、そしてシロとユキネだ」

「いまユキネと言ったか?」

 トウジはクロの口から出たユキネの名前を聞いた時、近づいてきた。

「あ、ああ。そうだけど、どうした?」

「俺の娘の名前と同じだったからな。なあ、この墓って……」

「私たちが建てたのよ」

 もう同じ過ちは犯さないと、シロが言った。

「私たちは当時ハンターとしてはすごく弱かった。あの時現れたモンスターには勝てないとわかっていたのよ。本来ならハンターらしく村人を守らないといけないはずなのに、怖くて怖くて。モンスターが去ったあと、生きている人たちを探している時にこの子を託されたのよ。そのとき、誓ったのよ。今度こそ強くなってやろうて」

「ああ。俺らは強くなったのかはわからないけど、あの時より断然に強くなっていると自覚している」

「……そうなのか」

「ああ、ユキネの父さん」

 その言葉を聞いた時、双剣の矛先をクロに向け、そしてこう言った。

「その力、見せろ」

「いいぜ。来いよ」

 クロは飛竜刀【花之宴】を抜刀の構えで向いた。

 トウジの武器は白雷双剣ネオクルス。白海竜ラギアクルス亜種の素材をメインにした双剣。

 先に仕掛けたのはトウジ。最初から鬼人化になり、怒涛の鬼人化乱舞をしてきた。対してクロは、最小限の動きだけでかわしているのだった。そして、一瞬のスキを狙って抜刀した。それに対して双剣でガードして衝撃を後ろに逃がした。

「本気出してないだろ?」

「ああ、それは様子見だからな」

「様子見するほど余裕があるだな」

「そりゃ、対人なんてやったことないから」

「そうかよ」

 左手に持っている剣を逆手に持ち、高速でクロに接近して右手の剣だけの連続の突きを繰り出した。それに対してクロはさっきと同じようにかわし、かわせられないのだけ防いでいた。そこへ逆手でもっている剣で刀を弾き、そこへ連続の突きを喰らわせた。いくら頑丈なレウスXでも弱点の雷属性を喰らったなら相当のダメージを負う。

 連続の突きで飛ばされたクロは鞘を地面に突き刺しながら勢いを止め、体重を太刀に乗せて一気に地面を叩いた。

「飛天御剣流土龍閃‼」

 散弾の如く、土砂がトウジに降り注いだ。トウジは両手の剣を回転して防いだ。

「やるな」

「そっちこそ」

 太刀を鞘に戻しながらクロは言い、また抜刀の構えになる。

 トウジは双剣を構えて、鬼人化の準備をした。

 二人が同時に掛ける時、廃村全体にモンスターの方向が響いた。その声は数年前聞いたモンスターと同じ声だった。



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クロ、因縁の再開を果たす

 1ヶ月半?ぶりの投稿です!
 ではどうそ!


 前にも聞いた咆哮。此方へと近づいてくる度地響きが大きくなる。小規模の地震が何回もきているみたいに思ってしまう。

 シロは急いでユキネを見つからない場所へ隠す。

「母さんどうしたの?」

「いいユキネ、ここから出たらダメだから」

「うん」

 シロは急いでクロがいる場所へ戻った。

 着くとそこにいたのは深緑色の獣竜。体のあちこちに古傷があり、そこから血管が浮き出ているかのような姿をしている。口からは赤黒い吐息が出て、溢れ出していた。

 恐暴竜、イビルジョー。

 その最悪の状態、怒り喰らうイビルジョーがいた。

「俺が奴を惹き付ける」

「惹き付け役は俺がやる」

「なら、援護は任せて」

「俺は尻尾を斬る。そのために出来るだけ惹き付けろ。この技はカウンター型必殺技だから」

「っしゃあ!いくぜ!」

 左腰に構えて目を瞑ったクロ。疾風怒濤の速さでイビルジョーの前へ移動し、斬り結ぶトウジ。それを援護するシロ。

 白雷双剣ネオクルスをイビルジョーの足へ連続斬りをする。決め手になっていないにも関わらず鬼人化したのだ。その時、イビルジョーが踏みつけるのを見えたシロは逃げてっと警告した。しかしそこにはトウジはいなく、イビルジョーの顎下にいたのだ。また鬼人化をし集中的に顎を狙った。

 シロはひたすらLevel3貫通弾を撃った。しかし、怯んだ様子はなくピンピンしていた。

「やっぱり堅いわね。でもこれはどうかしら!」

 次に装填したのは滅龍弾。しかも徹甲榴弾サイズのものだ。それをイビルジョーの頭に狙い、撃った。当然、イビルジョーは怯み、撃ってきたシロの方へ怒りながら咆哮し、怒り喰らうイビルジョーになり、シロへ向かった。

 Level3通常弾で牽制と引き付けをしながら距離を保っていた。シロがいた地点を通りすぎたとき、イビルジョーの胴体が地面へ沈んだ。シロはやみくもに撃ったのっlではない。徐々に自分へとヘイトを稼ぎながら落とし穴を設置していたのだ。

 シロは素早く大タル爆弾Gを設置し、Level3通常弾を撃った。

 バゴォォォォンっと爆発音がなったとともに怒り喰らうイビルジョーが起き上がりシロを睨んでいた。

 その時、空からヒュゥゥゥンと風を切る音が聞こえた。

「ハアァァァァァア!」

 飛竜刀【花之宴】を構えたクロが空から降ってきたのだ。

「飛天御剣流龍巻!」

 怒り喰らうイビルジョーの尻尾に目掛けて前方宙返りで尻尾全体を先端まで回りながら斬り、また上へ跳び上がり、自分の全体重を飛竜刀【花之宴】にかける。

「槌閃!」

 クロの全体重が怒り喰らうイビルジョーの尻尾を斬り落とした。

 その瞬間、飛竜刀【花之宴】が砕け散った。

 好機見たのかイビルジョーが襲ってきた。しかし。

「ハアァァァァァア、ソイヤァア!」

 トウジが白雷双剣ネオクルスで頭を斬りつけ、乗り攻撃をし始めた。

 クロは一旦離脱し、ユキネの方に走った。

 乗り攻撃が成功し、ダウンしたイビルジョーの腹へ鬼人化の状態で何度も斬りつけた。それに苛立ったのか怒り喰らうイビルジョーになり無理やり起き上がった。

 それと同時にクロがついた。

 手に持っているのはユクモの堅木を鞘に赤と青の塗装がされている。鞘から抜き出すと鈍色の刀があらわれた。

「飛天御剣流九頭龍閃!」

 刹那、怒り喰らうイビルジョーの胴体に九つの斬り傷がついていた。しかし、それでもまだ倒せていなかった。ギリギリ耐えた怒り喰らうイビルジョーがクロを噛み付こうとした時。

「飛天御剣流天翔龍閃!」

 本来は右から踏み込む没頭を軸足にし、左足を踏み込む抜刀を見せたのだ。

 斬られたイビルジョーは首から大量の血を流し倒れた。

 今度こそ、イビルジョーが倒れたのだ。

「やったな!」

「ああ、ありがとうトウジ」

「録な装備じゃないから倒せるか自信がなかったけど」

「まあいいさ。それよりも、ッツ!構えろ!」

「「!」」

 イビルジョーが起き上がった。完全に倒したと思ったと全員がそう思っていた。しかし、倒れていなかった。

 イビルジョーの咆哮とともに第二ラウンド始まった。



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三人、暴食に会う

 やっとできた。どうぞ!


『ゴオォォォォン!』

 イビルジョーが咆哮を発しながら再びクロたちに突撃してきた。

 クロはサイドステップでよけ、足を斬りつけた。

 シロは少し後ろに下がり、物陰に隠れながらLevel2毒弾を射つ。

 トウジは高く飛び上がり、大車輪のような動きでイビルジョーの背中を切り裂く。

 イビルジョーには効いてないのか、動きが変わらない。その場で何度も踏みつけや回転をする。

 避けたり受け流したりと一進一退の攻防が続く。

「はあはあ、まだ倒れないのか!」

「一気に斬るにも隙がない」

「……クロ、トウジ次で決めましょう」

 クロとトウジが突撃しようとしたとき、イビルジョーが頭をあげて口に何かを貯めていた。嫌な予感がした。三人は野生の勘が騒ぎ、自分等が用いる最善の手を出した。

 貯め終えたイビルジョーの口から今まで以上の竜ブレスが発射された。

 通常の赤黒い竜ブレスではなく黒紫の竜ブレスだった。

「これでも食らいなさい!」

 シロは急いで装填した弾丸を発射した。

 発射された弾丸はボウガンの先から青白い光線が無数に発生した。

 青白い光線対黒紫の竜ブレス、相討ちのように見えたが、煙の中から数本の光線がイビルジョーに当たった、いや貫通したのだ。

「流星弾の威力は?」

 悲鳴をあげるイビルジョーへクロが抜刀の構えで走ってきた。

「決める!」

 イビルジョーの足に抜刀を決め、鞘に戻しながらもう片方の足へ抜刀を決めた。さらに鬼神斬りを決め、その場で回転し、両足を連続で斬りつけた。

「緋天御剣流龍翔閃・惨!」

 その場で回転し刀を上にあげて錐揉みしながら上へ飛び上がり、龍槌閃・惨を決めた。

 着地と共にシロのところへ向かい、二度目の流星弾対黒紫の竜ブレスのぶつかり合いが生じた。この爆風で二人は吹き飛ばされてしまった。

「「あとは頼んだ!」」

 黄色の物体がイビルジョーに衝突し、イビルジョーの体中回り始めた。黄色の物体が這いずり回ったあとに切り裂いた後が残っていた。その様子は雷のように見えた。

 黄色の物体がイビルジョーの顔へ来ると突進した。イビルジョーは顔から血を出しながら倒れ、起き上がろうとした。

「止め!」

 黄色の物体は顔へ、クロは胴体へ鬼神斬りからの龍巣閃・咬を決め、シロはある弾を装填しイビルジョーへ撃ち込んだ。

 イビルジョーは体中から龍属性のオーラを吐き出しながら倒れた。

「ふー、どう?龍裂弾のお味は?」

 黄色の物体は動きを止め、出てきたのはトウジだった。

「お疲れ」

「そっちこそ紅の抜刀齋、緑の実験姫」

「あんたが雷電とは知らなかった」

 イビルジョーの確認をしてから三人はユキネがいる場所へ帰ろうとしたとき、地面が揺れた。

 そこから現れたのはどす黒い体色のイビルジョー。通常サイズと同じだが、出てきたのが問題だった。

「ぼ、暴食!」

「っち!」

 暴食と呼ばれるイビルジョーは普通のイビルジョーとは違い、何でも食べるのだ。石や草、武器や防具も。

 暴食は死んだイビルジョーを加え、呑み込んだ。自分の数倍はある体格の相手を呑み込んだのだ。

 暴食は何もせず、この場から離れていった。



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ユキネ、父を知る

 今年最後の投稿です。


 イビルジョーの討伐、暴食の登場が終わった。

 極限まで疲労が溜まった三人はユキネのいるところに来た途端倒れた。

 そんな親と実の父を見るユキネは体に布を掛けて、火を熾し始めた。

 

 sideトウジ

 目が覚ますとユキネが向かい側にいた。

「起きましたか?」

 お茶が入ったコップをもらった。

「ああ、ありがとう」

 ユクモ村特産のお茶を飲む。渋みが鼻を通す。

「うまいな」

「はい。私の好きなお茶なのです」

 俺は一つ聞いてみた。

「今幸せか?」

「!実の父として聞きたいことですか?」

「ああ」

「幸せです。偽りの親子でもそこには幸せがあります。居てよかったと。会えてよかった人もいます」

「……それが聞けて良かった」

「お父さん」

「いや、お前の父は違うだろ。いくら血が繫がった人だって、他人だ。それにお前には見捨てた人には見えないか?」

「違うよ。確かに父さんは父さん。けど、本当の父はお父さんなんだよ」

「まだ親らしいことしてないけど」

「そんなの今やっていけばいいよ。とりあえず、私の事を名前で呼んでよ」

「そんなのでいいのか?」

「私もどうすればいいのわからないけど、たぶん名前を呼べばいいと思うよ」

「ユキネ」

「うん」

「ユキネすまない。すまない!?」

 うれしく抱き着いてしまった。泣いてしまったよ。ったく、お前に似たなユキ。

 

 sideユキネ

 実の父を目の前に私は色々考えていた。

 お父さんとの記憶はない。今の父さんの記憶はある。

 だけど本当の家族にはなれるかはわからないけど、今からでも思い出は作ることはできるはず。

 あ、目を覚ました。

「起きましたか?」

 お茶を汲んで渡す。

「ああ、ありがとう」

「うまいな」

「はい。私の好きなお茶なのです」

 このお茶はユクモ村特産の緑茶。いい香りの渋い味が特徴。

「今幸せか?」

 幸せか聞いてきた。もちろん。

「!実の父として聞きたいことですか?」

「ああ」

「幸せです。偽りの親子でもそこには幸せがあります。居てよかったと。会えてよかった人もいます」

「……それが聞けて良かった」

「お父さん」

「いや、お前の父は違うだろ。いくら血が繫がった人だって、他人だ。それにお前には見捨てた人には見えないか?」

 確かにそうだけど……違うよ。

「違うよ。確かに父さんは父さん。けど、本当の父はお父さんなんだよ」

「まだ親らしいことしてないけど」

「そんなの今やっていけばいいよ。とりあえず、私の事を名前で呼んでよ」

 たぶん私が言いたいことはそれだろう。

「そんなのでいいのか?」

「私もどうすればいいのわからないけど、たぶん名前を呼べばいいと思うよ」

「ユキネ」

「うん」

「ユキネすまない。すまない!?」

 いきなりお父さん抱き着いてきた!?……泣いているの?

 泣いている理由はわかるけど、ちょっと恥ずかしい。

 

 一晩明けた次の日、ロックラックに向かう日が来た。

「クロシロ、ユキネを頼みます」

「ああ。そっちも頑張ってくれ」

「おう、じゃあな」

 トウジが行ったと同時にクロたちも行った。

 目指すはロックラック。



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稲妻、疑問に思う

 村を出た稲妻は漁師のガイのお陰で無事タンジア港に着いた。

 そう、着いたのだがここで問題が起きた。

「ええ!?ロックラック行きは当分ない!?どうして!?」

「そりゃあ、来ているから奴が」

「規模は?終わるのは!」

「まだ、わかんないな……っと、わりぃなこちとて仕事があるんでな」

「ありがとうございます」

 いきなり移動手段がなくなった稲妻はあることを考えた。

「お金持つかな」

 そう。急いで来たため所持金が少ない。

 とりあえず、ガイのところに戻ることにした稲妻。

 戻っているときに声を掛けられた。

「おい、お前さんどうした?」

 ウェスタンハットを被った男性。

 彼は心配そうに稲妻を見ている。

「えっと、ロックラックに行きたいんだけど、丁度あれが来たって言われて」

「あれ?ああ!あいつかジエン・モーラン!」

「はい」

「おっと俺のことまだ話していなかったな。我らの団の団長だ」

「稲妻です」

「稲妻?ああ、君が」

「し、知っているのですか?」

「君のことは一夏と我らの団のハンターマッソから聞いている」

「団長探したぜって、稲妻どうしてここに!?」

「マッソ兄さん」

 砂漠と同じ色をしたごつごつとした防具ディアブロXと暗い色をした大剣エターナルグリフを装備したマッソと偶然あった。

「なんだ一夏の迎えか?」

「実は行方不明なんだ」

「行方不明だと!?」

「ハンターには付き物だが、一夏ほどのハンターが行方不明とは裏があるな」

「父さんがギルドナイトって知ってますよね」

「「ああ」」

「詳しくは言えない、言える自信がないですが、爆発に巻き込まれたといってました」

「いやいやアイツほどが」

「跡形なくです。肉片の一つも」

 一応一夏だって、人の子(・・・)だ。

 だけど、奇妙なことに気付いた。

「なら、爆発したと言ったんだ?」

「見たから……!」

「一夏の仕事は聞いている。部下の一人や二人連れてきているはず。なのに、爆発したと言えた。おかしいはずだ。そいつらも一緒に巻き込まれている(・・・・・・・・・・・)

「遠くから見ていたからでは?」

「ギルドナイトは本来、一人で行動するんだ。部下を連れていくのは非常時のみ」

「言われれば」

 マッソも気付いた。

「仕事に行ったのは二週間前です。バルバレって言ってました。なら、可笑しいです。どうして早くに連絡来た?」

「マッソ、今すぐロックラックに行くぞ」

「了解だ」

「稲妻、俺たちの船に乗れ」

「それって」

「我らの団、目指すはロックラック」

 団長の案内のもと、我らの団の船、イサナ号に着いた。

 そこから団長の手早い指示でタンジア港を出発した。

 それと同時。三人の親子がタンジア港に着いた。



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稲妻、ロックラックに着く

 作者の別作品で指摘されたことをこれにも導入します。
 主人公は稲妻だよ


 タンジア港を出て四日。そろそろロックラックに着く頃。僕は小さいリオレウスと遊んでいる。

「ガウ!」

 こうしてみると、父さんにじゃれていたことを思い出すな。

「ほほう、リオレウスになつかれるとは」

 竜人商人のお爺ちゃんが笑い。

「にゃ、にゃんと恐ろしいものであるニャ」

「珍しいニャル」

 マッソ兄さんの筆頭オトモロベルトが怖がり、料理長が珍しい物を見た顔をしている。

「さ、触ってもいいかな?」

「本物のリオレウスが目の前にいるのだから、スケッチしないと!」

 怖がりながらも触りたい土竜族のお姉ちゃん、興味津々でスケッチするソフィアお姉ちゃん。

「これはすごいな」

「案外かわいいな」

「ますます一夏に似てきたな」

 驚いている加工屋のおじさん、ブーギーと同じくらいの目線で話すマッソ兄さん、父さんと比べる団長。

「そろそろ帰りな。待っているよ」

 数百メートル離れた所にリオレウス、リオレイアが飛んでいた。子供のリオレウスは僕に顔を擦りながら飛んでいった。

「そろそろロックラックに着くぞ」

 ロックラック、そこに行けば父さんを知っている人に会える。けど、その前にやらなければならないことがある。

「み、水をください」

 水分補給だね。

 

 ~ロックラック停泊中~

 

 ここがロックラックか。周りが大砂漠なので太陽が暑いが、人の活気がさらに暑くしている。まるで祭りだ。しかも、ジエン・モーランが撃退が終わった時でもあった。

 まず、ハンターズギルドロックラック本部へ行く。父さんに依頼を出した人に聞く。名前はスミノフと言う人。

 ハンターズギルドに行くとき、マッソ兄さんと団長も着いていく。ある程度、顔が利くと言っていたので少し聞ける可能性が高くなった。

 行こうと思うが、マッソ兄さんに止められた。

 なんでも「知り合いに会いに行くぞ」と言われ、ロックラックの商業通りを通ってある店に着いた。

「ここは?」

「アルベール商会だ。主に装飾品や洋服、化粧品などを扱っているところ」

「知り合いって」

「こっちだ」

 細い道に入り、アルベール商会の裏口に着いて、入っていった。

 使用人の男の人が立っていた。

「お待ちしておりました」

「早速案内を」

「こちらへ」

 お偉い人なのかな?

「ではごゆっくり」

 扉を叩いて、ハイと返事したので入ってみると、金髪の縦ロールのお嬢さんがいた。年齢は僕より上ってわかる。

「久しぶりだなリシャルッテ」

「お久しぶりマッソ。そして、こんにちは稲妻くん」

 僕の名前を知っていることは父さんの知り合いだね。

「はじめましてリシャルッテさん、稲妻です。よろしくお願いいたします」

「リーシャと呼んでください。さて、座ってお茶でも飲んでください」

 マッソ兄さんはそうするわっと言って座った。

 一応、断りを入れてから座った。

「さて、何から話しますか」

「父さんとはハンター仲間ですか?」

「そうよ。それと同時に初恋の人でもありました」

「ありました?」

「ええ、しかし振られました。彼はやることがあると言って」

「そうですか」

「稲妻くん、お父さんの仕事は知っていますか?」

「はい」

「信じたくないでしょうが、ですが万が一のことは覚悟していてください」

『スミノフ様がいらっしゃいました』

「通してください」

 扉から肌黒いスキンヘッドの人が出てきた。この人がスミノフさん。筋肉が盛り上がっている。

「お前が稲妻か。小さいが強くなりそうだな」

「わっ!?」

 大きな手で乱暴に撫でられた。けど、父さんみたいに暖かい。

「さて、一夏のことだな。単刀直入言うと、生きている」

「本当ですか!?」

「断言できる」

「本当にそうか?」

 マッソ兄さんが聞いてきた。根拠がないね。

 そう言うと、スミノフさんは懐から有るものを出してきた。

「これは銀龍の天鱗、これが銀色に輝いている間は生きている証拠」

「待て、まるで一夏が龍になったと聞こえるが」

「ああ、アイツは龍になって俺に渡してきた」

 僕の目の前が暗くなった。



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稲妻、父のことを聞く

 当分稲妻が主人公です


 あれ、僕はどうして?ここは?

「目が覚めたわね」

「僕は……そうだ!父が生きているんですよね!?」

「その話を聞いて倒れたのよ」

「よかった」

「よほど嬉しかったのね。だから」

「!」

 僕はリーシャさんに抱き締められていた。嬉しさよりも恥ずかしさが上を行っていた。

「泣いていいわよ。ここには私しかいないわ」

「け、けど」

「寂しかったでしょう。嬉しかったでしょう。だから泣いてもいいのよ。泣けなかった分、泣いていいわよ」

「う、うわあああああああん!ひっく、ひっく、よ゛がっ゛だ、あああああああ!」

 泣いた。一度も泣かなかったのに泣いてしまった。

「頑張った、頑張ったね」

 リーシャさんに抱き締められていた時、思ったことは父とは違う暖かい温もりだった。

 

「すいません。服を汚してしまって」

「いいわよ。それよりまだ泣く?」

「い、いえ//////」

「続き話してもいいかしら?」

「はい」

「一夏と最高責任者以外知らない内容だから言わないでね。

 一夏は密猟を行っている組織へ行ったの。その組織はリオレウスを始め、ブラキディオスやラギアクルスなどの竜種を捕まえていたわ。

 本当は組織を崩壊し、終わったわ。ギルドに戻った時、彼はまた出ていった。その時、置いていった資料には『イコール・ドラゴン・ウェポン』と書かれていた。その行き先も。後は、あなたが知っている通りよ」

「イコール・ドラゴン・ウェポンってなんですか?」

「古代文明の負の遺産。竜と同等の力いや、それ以上を持った機械の竜よ。結局、古龍には勝てなかったけど」

「その爆発に巻き込まれてどこかへ行ったと」

「そうゆうことになるわ」

「教えてもらい、ありがとうございます」

「いいのよ。それよりご飯にしましょう」

「はい」

 

 夜のロックラックを散歩していた。頭の整理がまだついていない。生きていることを知ったから後は帰ればいいと思っている。しかし、ただただ戻ってもダメな気がする。

 なら何か学んでから帰ろう。ロックラックの装飾技術を学んだらいいかな?

 それかハンターになるのもいいかな?だとしたら、古龍観測所の役員になりたい。王立書士隊にも興味あるし、モガ村以外の村や町にも住んでみたいな。

 ダメだ、また頭が混乱してきた。

 考えているうち大通りまで来ていた。見上げてみると二つの柱の間から出ている月が綺麗だ。星もモガ村と同じくらい綺麗。

 戻るとしたとき、視線を感じた。人間ではないモンスターの、竜種の視線を。

 僕は視線の方向を見た。しかし、何もいなかった。視線は感じないが、一応用心することにした。



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稲妻、行く

 サブタイが適当だと思ってしまう。


 次の日、僕は考えたことを伝えることにした。

「旅に出ます」

「いや、出ていると思うが?」

「そうじゃなくてここで別れて旅に出ようと思います。村に戻らないでここからまた別の場所へ行こうと考えています」

「稲妻、お前が決めたことならいい。いいけど、大変だぞ。そもそもお金はどうする?」

「そこなんですが、一つ宛があります」

「宛ですか?」

 僕は持っていた手紙を見せた。

「これはベルナ村の……って龍歴院の招待状じゃねぇか!?」

「しかも、稲妻宛だと?怪しいな」

「稲妻くんそれは誰から送られてきたの?」

「はい。ギルシュ兄さんから送られてきました」

「ギルシュから?アイツどこで何をしているかと思えば龍歴院で働いていたのか。けど、専属ハンターって枠組みで行くしかないと思うが?」

「ダメよ。あなたの父、一夏みたいにならくてもいいの」

「いえ、ハンターにはなりたいですが、あくまでも見学しに行こうと思っていて」

「見学?」

 マッソ兄さんたちが手紙の内容を見せた。

『イチカへ

 元気にしているか?俺は元気で過ごしているぜ。

 突然で申し訳ないがイナズマをスカウトしたい。俺が今いる場所を知っていると思うが、龍歴院にいる。こちらは古龍観測所と王立書士隊と同じくらい歴史があるわけではない。人員が少ないのだ。どんなに研究をしよと、調査をしようが、人員が少ないと色々と不便なんだ。そこでイナズマをスカウトしたい。あの子は純粋で興味があるのを積極的にやろうとしている。それにあれに関する情報(・・・・・・・・)も少なからずある。

 よい返事を期待しているよ。

 ギルシュより』

「あれに関することって」

「間違いないわ。でもどうして?」

「あれって何?」

「稲妻お前父さんから何も聞いてないのか?」

「う、うん」

「稲妻くん一夏が、君のお父さんは伝説の黒龍を倒したことは知っているよね?」

「うん」

「なら、黒龍の呪いって知っている?」

「黒龍の呪い?」

 僕が疑問に思っているとスミノフさんが言った。

「ここは俺が説明する。稲妻、黒龍が三体いるのはしっているね?」

「はい」

「黒龍の血は他の古龍種や飛竜種たちとは違い。毒素がある。これは研究で明らかにされたことだ。不確定な要素があるが。その血は熱く、草木を枯らす。もちろん人が浴びたら体なんて消える。それなのになぜ一夏は生きていられた?答えはわからない。だから、何かしらの作用があると思い、本人に聞いたが、平気だっと言っている。黒龍を狩って一月経とうとしていた時、突然変化が起きた。一夏の肩に白い鱗状の物が出てきたんだ。俺は急いで問いただしたが、平気だと言っていた。俺はそうは思えない。だから、黒龍の呪いといい始めた」

「そんなことが」

「さて、どうやら行き先は……決まったな?」

「うん。行こうベルナ村へ」

「よし、そうと決まれば行くぞ。善は急げだ!」

 団長の声と共に僕たちは立って行こうとしたとき。

「会話中のところすみません。スミノフ様、ギルドの者から急ぎ戻られよ、と手紙を渡されました」

「ありがたい。……!?マッソ緊急依頼頼まれるか?」

「なんだ?」

「砂漠にゴアマガラ出現した。しかも、G級クラスだ。早急ギルドに来てくれ」



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マッソ、黒蝕龍と戦う 前編

 エターナルグリフとディアブロXを装備したマッソとドボルXネコアックスとドボルXネコシリーズを装備したロベルトがイサナ号にいた。

「旦ニャー、ウチケシの実は持ったニャー?」

「おう!」

「マッソさん、知っていると思いますが、ゴア・マガラは狂竜ウイルスを撒き散らして動いています。そのためにウチケシの実と抗竜石は持ちましたか?」

「ああもちろん」

 エターナルグリフを背負い、砂原へ向かっていった。

「歩きながら作戦言うぞ。見つけたら即ペイントボールを投げる。そして、出来るだけ街から離して討伐もしくは捕獲する」

「誘導はどうするニャ?」

「俺が囮になりやつを引き寄せる。お前は落し穴やシビレ罠を仕掛けてくれ。幼体だからってやつは古龍だから油断するなよ」

「旦ニャが一番油断するニャー」

 一人と一匹は冗談をいいながら大砂漠を航る。

 風に舞う砂煙で辺りは見えづらいが、いつもより風向きが砂原向きだったので予定より早く着くことができた。

「どうする?ゴア・マガラがいた場所近辺まで送っていくか?」

 船頭が聞いてくるが、首を横に降りながら「そのままキャンプベースにいってくれ」と言った。

 進路はそのままキャンプベースへと向かっていくと、空に黒い影が見えた。こちらに来る様子はないが、近くの陸地に船を着けてもらった。

 船頭にはロックラックに帰ってもらわず、キャンプベースで待機してもらうことにした。その護衛にロベルトを使い、先にマッソがゴア・マガラの囮役になり、引き付けることにした。予め、集まる場所を決め、そこで討伐もしくは捕獲を実行することに決めた。

 船から降り、ゴア・マガラがいる場所に向かっていく。乾ききった大地が広がって、ところどころに枯れた木が倒れており、蟻塚もある。どうやらエリア4にきたようだ。予定とは違うが、ここでロベルトを待つことにしたマッソは手頃な登れる岩壁によじ登ることにした。

 そこから見える景色はエリア4より下に見えるエリアと空を見えることできる。だが、ゴア・マガラの影は見えなかった。

 腹が減ったのかポーチからこんがり肉を取り出して食べることにした。油が滴る肉を勢いよくかぶりつく。熱々だか、食えない熱さではない。太陽の熱さに体が焼けるように暑い。

 そのときだった。マッソの頭上に黒い影が通り過ぎた。上を向くとゴア・マガラがいた。だが、さっき見かけた個体とは違う個体。右半身が金色になっているのはシャガルマガラになろうと脱皮不完全の状態のモンスター、混沌に呻くゴア・マガラが飛んでいた。

 マッソは崖を降りて、ゴア・マガラの跡を急いでついていった。

 エリア4に隣接しているエリア8にいた。

 黒い鱗粉を振り撒く、黒い衣を着ているようなモンスター、混沌に呻くゴア・マガラが闊歩していた。

 マッソはポーチからペイントボールを取り出し、ゴア・マガラに向かって投げる。投げたと同時にエターナルグリフを手にかけ、ゴア・マガラへ走っていく。溜め斬りをし、ゴア・マガラがマッソのいるところ頭を持ってきた。溜めに溜めた溜め斬りを食らわせた。まずは一撃とエターナルグリフを背負いその場を離れた。

 そして、軽く登れる崖を見つけ登り、空中で回転し始めた。ゴア・マガラは翼脚を使い攻撃してきた。大振りながらも確実に当てるために。

「くらえニャ!」

 ゴア・マガラの体の下から爆発と煙が出ていた。

「お待たせニャ!」

「遅いぞ」

 マッソのエターナルグリフがゴア・マガラの左肩を叩き斬った。

「ゴオアアアア!?」

 ゴア・マガラの悲鳴が聞こえ、倒れこんだ。

「よし、そのまま砂原を出るぞ!」

「いいのかニャ?」

「いいんだ。ヤツは俺たちのことを覚えたからな!」

 そう言ってエリア8を抜けていった。



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マッソ、黒蝕竜と戦う 中編

 エリア8を抜けて、エリア9着くとそのままエリアを抜けたマッソとロベルト。エリアを抜けた先は崖しかなかった。そこを素早く走り抜けていく。途中、落ちそうになったが、抜けた先はエリア9ぐらい広い場所だった。

 砂煙とともにゴア・マガラが降りてきた。

 

『ゴオォォォォ!』

「来たか。変更した作戦で行くぞ!」

「ニャー!」

 

 ロベルトが穴に潜って消えた。マッソは素早くポーチからケムリ玉を出してたたきつけた。その場から白い煙が出てきてあたりを覆いつくす。

 ゴア・マガラは自分の能力でマッソの居場所を探り、三発の紫のブレスを放つ。しかし、マッソは避けたのでブレスは当たらない。

 ゴア・マガラは再度ブレスを放つ。今度は一発だけだが、爆発が大きい攻撃。しかし、エターナルグリフを盾にして防ぐ。その攻撃で煙が晴れた。離れたところにいたのを片目で確認。そこへ滑空攻撃しようと飛び上がったとき、どこからか砲撃が飛んできた。

 

『ゴオォアァァ⁉』

 

 不時着したゴア・マガラは、地面に倒れた。

 

「ナイスだ!」

「本気はまだまだニャー!」

 

 一人と一匹は頭と尻尾に攻撃する。

 マッソは溜斬りをし、薙ぎ切りと横殴りをし、さらに高威力の強溜斬りを頭に食らわせる。

 ロベルトは尻尾を集中的に斬りつけていく。

 やっと起き上がるゴア・マガラ。少ないが、傷はついている。マッソは再度、ケムリ玉をたたきつけて離れる。ゴア・マガラは見つけて、追い回してくる。

 マッソはゴア・マガラがいるほうに体の向きを変え、向かってくる。そして、躱した。

 それは通り過ぎたような感覚に陥ったようなものだった。

 緊急回避という、あるハンターが編み出したハンターたちが習得できる回避技術。

 回避したマッソは溜斬りの体制になり、突進してきたゴア・マガラの頭に叩きつけようとしたが、狙いが外れ左翼脚に当たった。さらに突進にも当たり、飛ばされてしまった。

 

「コッチニャー!」

 

 ロベルトがブーメランを投擲する。

 それに気づいたゴア・マガラは滑空攻撃で近づいてきた。ロベルトはイガグリ大砲の技を使い、球を飛んでいるゴア・マガラへ撃った。

 当たったゴア・マガラは気絶して地面に落ちた。今度は逆になって攻撃する。

 何回かの攻撃で起き上がったゴア・マガラは空を飛び上がり、地面に向けて三発放ち、爆発がある一発も撃ち込む。ロベルトは地面に潜り、マッソは爆発を利用して飛び上がりゴア・マガラの頭に振り落とした。

 それと同時に頭の角が壊れ、地面に落ちた。

 

『ゴオォォォォ!』

 

 片側の角が起き上がり、咆哮した。

 

「さてと、さっさと決めるか!」

 

 怒り状態になったゴア・マガラは飛び上がったが、閃光玉を投げたマッソおかげで落ちてきた。起き上がるまで必死に尻尾を斬りつける。起き上がったゴア・マガラは尻尾で薙ぎ払い、マッソを吹き飛ばした。転がるマッソへブレスを吐いたが、緊急回避で避けた。

 マッソは近すぎず、離れすぎない距離でゴア・マガラの前を走る。両翼脚で攻撃するが避けられてしまう。

 そして、ある一点を通り過ぎたとき、ゴア・マガラは落とし穴に引っかかり落ちた。それはただの落とし穴ではなく、毒が練りこまれた毒々落とし穴の技。嵌るだけではなく、抜けだしてからも一定の時間毒状態になる技。

 必死にもがいているが、抜け出せずにいた。マッソとロベルトは置けるだけの大タル爆弾を置いていき、抜け出したゴア・マガラに待ち受けていたのは大タル爆弾を持って特攻してくるロベルトの姿だった。

 特攻した爆弾が置いていった爆弾に連鎖していき、爆発する。

 怒り状態が解除されたゴア・マガラが倒れてもがいていた。

 これがラストだと、尻尾へ斬りつける。とうとう尻尾は切断されたゴア・マガラ。

 最終ラウンド始まった。



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マッソ、黒蝕竜と戦う 後編

 ゴア・マガラは口から涎を垂らし、疲れ果てていた。それを好機と見たマッソはゴア・マガラの腹のところで溜斬りをし、なぎ払いをする。突進する前に抜け出し、止まるだろう位置で溜斬りをし始め、ゴア・マガラが来たと同時に打ち込んだ。さらにその攻撃は頭に決まり、もう片方の角が破壊された。

 それを好機と見たマッソは続けて横殴りを決め、強溜斬りを行い、止めに強なぎ払いを決めて、いったん抜け出す。

 抜け出したと同時に疲れが抜けたゴア・マガラは咆哮し、空を飛んだがロベルトがマッソの肩に飛び乗りそのまま大きい岩へ飛び移り、次々と岩に上りゴア・マガラの頭上まで飛び全体重を乗せて頭に強い一撃を与えた。

 その一撃を食らったゴア・マガラは落ちてきた。

 マッソはひたすら攻撃を続け、ロベルトは大タル爆弾を置いていく。

 起き上がったゴア・マガラを爆破させる。それによって、翼がボロボロになる。

 ゴア・マガラは危機感に覚え、逃げ出そう空を飛んだ。

 

「逃がすか!」

 

 再び閃光玉を投擲したが、落ちてこなかった。

 その時、空から何かが降下してきたのは。

 もう一体のそこにいたのは渾沌に呻くゴア・マガラ。

 

「くそ、二体目って!?」

「旦ニャ……」

「撤退だ、逃げるぞ!?」

 

 マッソたちは逃げようとしたが、二対ともさっきから襲ってこないことに疑問に思ってしまった。振り返ってみると。二体とも争っていた。正確に言えば、降下してきたゴア・マガラに襲っているさっきまで戦っていたゴア・マガラ。

 降下してきたゴア・マガラはマントのような長い翼、両翼脚がシャガルマガラになっており、何といっても特徴的な青い目をしている。

 

「こいつ、憂鬱王か!?」

「特徴が確かに似ているニャ」

 

 憂鬱王ゴア・マガラ。一言で言うとなかなか死なないモンスター。脱皮不全に陥った時点死ぬ運命なのだが、しぶとく生きている。ハンターたちに何回も狩猟依頼が来ているのに、それでも生きている。以来を受けたハンターは大きな怪我などを負わずに生還している。依頼を受けたハンターたちが口々に言うことはいつもひとつ。『ここまでやる気のないモンスター初めてだ』と。

 怪我を負っているにもかかわらずそれでも油断できないはずなのに、右翼脚のみで抑えている憂鬱王。左翼脚に黒いオーラを出して、ゴア・マガラの頭に打ち込んだ。軽く地響きを起こして。砂煙が晴れると、首を折られたゴア・マガラがいた。

 憂鬱王はダルそうに欠伸をしてその場で寝てしまった。

 

「旦ニャ」

「今のうちに」

 

 早々、その場からさったマッソたち。討伐の証、渾沌の竜麟を数枚持ってロックラックに帰還した。



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稲妻、ベルナ村へ向かう

 黒蝕竜との戦いを終えたマッソたちはロックラックの門を潜り抜けてきた。

 先に駆け寄ってきたのは団長だった。首尾はどうとか、無事生きて帰ってきてくれてよかったと言っていた。次々と寄ってくる我らの団の仲間たち。

 しかし、マッソの顔は暗かった。

 町の人や他のハンターの声にも反応しないで、ギルドへの道をひたすら歩いていった。

 ギルドの着くなり受付嬢に討伐したこととその証拠、ギルドマスターに会わしてくれと頼んだ。

 余程のことだと感じたのか、急いで取り次いでくれた。

 受付嬢の案内の元、ロックラックのギルドマスターとスミノフがいた。

 

「先の手腕見事であった。してどうした?」

 

 称賛の言葉と急ぎの用を聞いてきた。

 

「ゴア・マガラは討伐した」

 

 マッソは一拍置いてから急ぎの用を言った。

「……憂鬱王(・・・)も出現した」

「なんと⁉」

 

 ギルドマスターは驚愕の声をあげた。

 スミノフは顔には出ていないが、驚いていていた。

 

「基本奴は無害ですが、一応用心を」

「情報だと、ゴア・マガラ特有の狂竜ウイルスを出さない。出したとしても索敵に使う程度しかと書かれています」

「……一応用心を、と町の人たちに伝えておこう」

 

 ギルドマスターはスミノフにそのことを受付嬢に伝えてこいと命令し、スミノフは退出し、それに乗っかるように出て行こうとしたマッソは、ギルドマスターに止められた。

 

「あの子はどうだ?」

「元気だ」

「そうか、そうか。後のことは頼むな」

「死ぬのか?」

「死ぬ?馬鹿馬鹿しい。ワシが死ぬと思うか?引退だ、引退」

「そのときはうまい酒とあの二人を連れてくる」

「せいぜい楽しむことにする」

「失礼した」

 

 マッソは退出した。

 ギルドマスターは葉巻を取り出し、火をつけ吐いた。

 

「もうお前には会えないかと思ったが、いいもん残してくれたな馬鹿息子」

 

 そう言うと、葉巻を吸った。

 

 

 Side稲妻

 とうとうロックラックから離れることになった次の目的地はシナト村。

 そこに言って職場見学と父さんの手がかりを見つけないと。

 

「もう少ししていけばいいのに」

「まあな、当分は大丈夫だろ。教官もいるし、リーシャもいる」

「元気でね」

「いきなり抱きつかないでください」

 

 リーシャさんに抱かれ、たぶん顔は赤いよね。けど、振り払いはしなかった。まだ、居たいな。

 

「いつでも来なさい。ただし、ちゃんと言ってからね?」

 

 う!?ばれているってことは知っているんだね。

 

「そうします」

「それとこれ」

「一夏からの贈り物のよ」

 

 なぞの木箱を渡されて、父さんの贈り物と聞いたと、その中身を開けてみた。

 中には杖みたいな一メートルくらいの物が入っていた。けど、ただの杖じゃないよねこれ?

 

「それはドスと言う刀よ」

 

 ドス、父さんは何でこんなものを送ったんだろう?

 

「名前は?」

「まだないわ。あなたが決めていいわよ」

 

 白い鞘に入っていて、刀身も抜いてみるとそれも白い。曇りのいっぺんもない。……決めた。この刀の名前は。

 

「色彩」

「しきさい?」

「父さんの故郷の言葉で色に関することです。この刀はどんな色にも変わり、色とりどりの色彩を見せてくれる」

「だから色彩ね」

「はい」

 

 僕は、ドスを置いてリーシャさんに感謝を伝えた。

 

「ありがとうございます。また来ます」

「ええ、いってらっしゃい」

「!……いってきます!」

 

 イサナ船に乗り、だんだんと空へと上がっていき小さくなっていくロックラックの町を後にした。



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ツキヨ、シナト村に着く

 話は一転、二転して、ツキヨたちは無事シナト村に着いた。ハクナの言う通りに長老と言うか、年若い竜人族の青年だった。正式役職は大僧正。彼は二つ返事で家と娘の安全を保障してくれた。

 一軒の空き家をもらい、さっそく物の準備をし、近所周りをしていた。それが終わり、夕食を摂り寝た。

 次の日、隣の家のショウジと天空山を上ることになったハーデ。

 

「お前さん方はユクモ村から」

「はい。爺さんが候補の一つに出してきたので」

「始めて来たのか?」

「はい、そうです」

「そんなに硬くならなくてもいいぞ」

「ああ、わかった」

「順応早いな」

「それより危険な時期とかはあるのか?」

「そうだな。あと三か月後にリオレウスの発情期と半年後のジンオウガの発情期だな」

「他のモンスターいないのか?」

「いるんだが、場所が遠く離れているからな。問題はないな」

 

 話しながら近づいてくるモンスターを撃退していく二人。

 エリアを全部回り終わると村に戻って行った。

 

「そうなの?」

「今の俺たちは人間として身体になっているからそんなことは起きないがな」

「ねえ、お父さんお母さん」

「なに?」

「私ってモンスターなの?人間なの?」

 

 ツキヨが夕食の時、自分はどちらなのか聞いてきた。

 

「どっちでもいいぞ。自分が誇れるならな」

「誇れるって?意味わからないよ」

「そうね。ツキヨは私たちをどう見ているの?」

「人間かな?」

「なら、ツキヨも人間よ」

「そんな簡単に」

「まあいいじゃない。簡単に決めてしまえばいいのよ」

「難しい」

 

 ハーデがツキヨにこう言った。

 

「とりあえず、人の時は人、モンスターの時はモンスターとわければいい」

「…………」

「そうね。ハーデも混乱していた時、そう言うふうに分けていたわね」

「当分、そうしてみる」

 

 そう結論付けたツキヨ。食事を終えて、食器を片付けながら自分は明日から何をするか考えていた。

 

「(私はどうしよ。ユキネちゃんはギルドマネージャーになると言っていたし、稲妻くんは装飾職人をしながらモンスターに関する仕事についてみたいと言っていたけど、私だけまだ決められていないし。さすがに負んぶに抱っこは不味いし、どうしようかな?)」

 

 自分の初恋の相手とそのライバルのことを考えながら、自分は何になるか迷っていた。

 

「(いっそうのことハンターになってみようかしら。一夏さんいえ、お義父さんの所で修行つけてもらうのがいいかも。ハンターってどうすればなれるのかしら。聞いてみようかしらお父さんに)」

 

 そう結論付けると、両親におやすみと言って寝た。

 寝たのを確認したハーデとレンは今後の事を話し始めた。

 

「あなた仕事は見つかった?」

「今回も採取の仕事をしようと思う。お前は?」

「私は花屋をやってみようと思うの。種とかはもらったし、薬草とか怪力の種なども育ててみたいし」

「確かに、なにか珍しい植物を見つけたらもってくるよ」

「楽しみに待っているわ」

 

 二人は明かりを消して眠った。



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ツキヨ、考える

 Sideツキヨ

 朝起きて、お父さんにハンターにはどうすればなれるのか聞いてみた。

 

「俺も知らないが、誰かの元で修行するのがいいだろうう。……ツキヨお前!?」

「聞いてみただけだよ!ただ、職業の一つとして」

「そうね」

 

 お母さんが料理をテーブルに置いていた。

 

「最初は私の手伝いをしてみる?」

「手伝いって?」

「お花を育てるのよ」

「今から?」

「そうよ。だけど、ここでは育たない作物やこれも」

 

 私の目の前に瓶のなかに入った緑色の液体を見せてきた。少し嗅いでみると草の臭いに近い、薬のような臭いがする。

 

「これって回復薬」

「正解。行商の人に売ったりするわ。薬屋もしながら花屋もするの」

「絞った方がいいと思うけど?」

「大丈夫よ。薬屋は副業よ」

「俺はそろそろ行く」

「「いってらっしゃい」」

 

 私とお母さんは仕事に行くお父さんを送り、皿を片付けながらお母さんに聞いた。

 

「作物の畑とかどうするの?」

「昨日の内に大僧正様に聞いてみたのよ。そしたら、使わなくなった土地があるといわれたの。案内のもと今日行こうと思うのよ」

「ふーん。私はどうすればいい?」

「いっしょにくる?」

「……うん!」

 

 作物の種と花の種を鞄に仕舞い、鍬を持ってきた。

 

「じゃあ行こうか」

 

 家を出て、中央の広場に大僧正様が普段着?本来の服装?でいた。

 

「待っていましたよ。では、いきましょう」

 

 大僧正様の案内のもと、村から少し離れたところに少し雑草が生えている。畑の大きさは、普通の平屋一軒と半分暗いの大きさで、その周りには古びた柵と小屋が建っていた。

 

「ここを好きに使ってください」

「ありがとうございます」

 

 お母さんは早速、無造作に生えている雑草を刈ることにした。一日は草刈りで終わると思う。にしても、広い

し、草も多いし疲れるな。

 

「お母さん疲れた」

「何、今始めたばかりでしょう」

「だけど……」

「は~、わかったわ。もう少し、やったら休みましょう」

「うん」

 

 それから休んだのは、二人で四分の二をやろうとした辺り。小屋の辺りで持ってきたお茶を飲みながら、休んだ。

 

「お母さん、お母さんってお父さんと同じモンスターなのでしょう?今までどんな生活していたの?」

 

 私はお母さんに聞いてみた。すると、お母さんは目を瞑りながら、私にモンスターの生き方ってツキヨはどのようなものを想像しているのと聞いてきた。

 

「どんなのって、生きるために他のモンスターを食べたり、縄張りを守ったり、子を産んだりとか?」

「そうだね。私も、お母さんもそうだったわ。今と変わらないわよ。ただ、それが人として変わっただけ」

「人として?」

「そう、例えばね。食べるって動作は変わらないわ。ただ、どういう風に食べているかの違いよ。縄張りも、家と置き換えると守ること。だけどね、子を産むは人も人も変わらないわ。種族繁栄もっはいるけど、生まれてほしいと願うのはどの生き物も変わらないわ。現に私たちもうれしいのよ。あなたという存在が産まれてきてくれたのは、最初は戸惑ったわ。だけど、それ以上に元気に産まれてきてくれたのはうれしかったのよ」

 

 少し変わっただけ。私はモンスターとしての生き方は知らないけど、あまり変わらないと言うことがわかった。ただ、スケールの違いだけ。

 お母さんは立ち上がり伸びてから、続きしようか、と言った。

 私はそれを考えながら、草刈りを始めた。



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ツキヨ、消える

 ここでやっとプロローグは終わりです。


 ツキヨたちが来て、一ヶ月半が過ぎた。シナトの村人たちに受け入れられて、店も開き、二人の仕事は軌道に乗ってきたある日。

 

 Sideツキヨ

 シナト村にきて一か月半が過ぎた。村の人たちとも仲良くなって、毎日のようにお母さんの仕事を手伝っていた。少しづつだけど、家事もできるようになって今ではご飯も作れるぐらい成長した。とにかく、目標は家事を完璧にできるようになること。好きな人に振り向いてもらうなら家事もできて、胃袋も掴めるようにならないといけないし。だけど、母性はまだないかな。それは成長すれば自然ともに身につくよね?……つくよね?

 お父さんには雷光虫と蝕龍虫の操り方を教えてもらっている。今できるのは体に雷と龍属性を纏って攻撃や防御にする戦い方。それと事情も知っている大僧正さまには棒術を教わっている。扱うのは難しいけど、基礎はできてきたと思う。

 昔よりは強くなったと思うけど、まだまだだから逃げることを優先にしておかないといけない。同じことを二度も繰り返すほど馬鹿じゃない。

 

「それじゃあお母さん先に行っているね」

「気をつけてね。お母さんもすぐに向かうから」

「うん」

 

 今日も畑に行き、収穫できる薬草とアオキノコ、少量のハチミツ。

 いつも思うけど、ハンター必需品のアイテム素材って成長速度が異常に早いよね。だって、早くて三日、長くて五日だよ。本当におかしすぎる。

 収穫できる物を収穫し、その場を耕して、肥料を蒔いて終わる。

 休憩の合間に棒術を反復練習をする。目の前には仮想の敵がいることを想定して、上段、中段、下段、突きをする。人やモンスター、地形、その時の天気などを想定。

 

「すみません、道を尋ねたいのですが?」

「はい」

 

 私より年上の女性は道を尋ねてきた。服装は綺麗な緑色をした防具を身に着けている。背中には武骨な大剣を背負っていた。

 

「シナト村のマカ爺の店はどこですか?」

「村に入って雑貨屋さんの二つ隣です」

「ありがとう。お礼とはなんだけどどうぞ」

「これは何の果物ですか?」

「熱帯イチゴのドライフルーツさ。甘さが凝縮した一品」

「ありがとうございます」

 

 女性は村への道へ行った。疲れたので休憩。さっきもらったドライフルーツを食べてみた。ん~、おいしい!イチゴの甘酸っぱさがさらに濃く出ていておいしい。なんか、眠くなってきたな。少し、寝てしまおうかな。おやすみ。

 

「寝たわね。では、連れていくぞ」

「「「ハッ!教祖さま」」」

「予見の子、竜の巫女はこの世界に再び竜たちの世界を復活してくれるぞ!」

 

 ツキヨがこの日から行方不明になった。




 次回予告
 三人の物語は一歩進んだ。当の三人が望んだものではなかった抗うことができない運命。

「これが竜騎兵」
「見つけたぞ!皆の者、被験者Rの確保!」

「巫女よ。見つけましたか?」
「はい。苦しんでいる竜はそこにいる。今すぐ行く」

「ユキネちゃん、ギルドやめてくれない?」
「え?」

 また三人で居たい。苦しいと思っていた。そこへ来たのは……。

「やっと帰ってこれた。貴様ら」
「そうね」
「そうだな」

 家族はどんなときでも裏切らない。

 次回、○○、親を探す。アラガウウンメイ。

『ギャオオオン!!!』

 お楽しみ。


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マテリアル

 マテリアル

・名前:稲妻

・身長:160㎝/体重:48㎏

・年齢:14歳

・出身地:モガ村

・好きな人、物、事:父さん(一夏)、ユキネ、ツキヨ、父さんの料理、泳ぐこと

・嫌いな人、物、事:好きな人に危害を加える人、爆発

 

・紹介:一人称は僕。白髪の青いメッシュ。姿はケイオスドラゴンの忌ブキをイメージ。ラギアクルス亜種の子どもで一夏の息子。ユキネの母、シロに人の姿に変える擬人化薬を貰い人の姿になった。手は器用で装飾品を作ることができるほどの腕前。

 半年前に一夏が行方不明になり、手がかりを求めロックラックへ。その道中立ち寄ったタンジア港でマッソ達と会う。

 武器は色彩と言う長ドス。反りがない直刀。白く細い刀身。稲妻の雷属性を良く通す。

 

・名前:ユキネ

・身長:145㎝/体重:秘密

・年齢:14歳

・出身地:ユクモ村

・好きな人、事、物:父さん、母さん、稲妻、ツキヨ、甘いもの

・嫌いな人、物、事:好きな人に危害を加える人、狭く暗いとこ

 

・紹介:一人称は私。白髪のポニーテール。姿はケイオスドラゴンの真シロ。クロとシロの義理の娘だが、本当の娘のように思っている。赤ちゃんの頃に二人に助けられた経緯を持つ。本人はそれをつい最近知ったが、薄々気づいていたらしい。クロとシロの連れ添いで何度もギルドに入っていたら、将来受付嬢になりたいと強く思い始めた。

 ギルドの受付嬢試験に向けてロックラックへ。その道中、自分が生まれた村へ立ち寄った際、本当の父、トウジと出会う。

 幅広い知識と瞬時に判断する頭脳を持つ。

 

・名前:ツキヨ

・身長:144㎝/体重:秘密

・年齢:14歳

・出身地:ユクモ村(正確には渓流)

・好きな人、事、物:お父さん、お母さん、稲妻、ユキネ、お爺ちゃん、ギンナお姉ちゃん、ライガお兄ちゃん、涼しいところ

・嫌いな人、事、物:好きな人に危害を加える人、怒った母の顔

 

・紹介:一人称は私。暗い紫髪の狼の耳みたいなロングヘアー。姿はケイオスドラゴンのエィハ。ハーデとレンとの間に生まれた子。ジンオウガとして産まれたわけではなく、人として生まれた希な事例。雷と竜属性を操ることができる。ハクラの予言で近い将来誘拐されると言われている。

 属性を操る練習場と大僧正に教えてもらってる棒術が得意。シナト村へ引っ越して暮らしていたが、予言通り誘拐された。

 

 世界観

 ゲームとは変わらない世界。オリジナルモンスターや亜種、希少種、二つ名がいる。

 

 大罪モンスターについて。ハンターズギルドと古龍観測所、王宮書士隊が決めた一匹だけ国を滅ぼすほどの力を有するモンスターたちのこと。一匹、一匹が古龍に匹敵するほどの力を持つ。

 伝説上の古龍〈大罪モンスター=古龍種〈現存する希少種、二つ名〈亜種〈原種

 



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二章 繋がる道
稲妻、旅に出る


 この事件は僕の父さんが残した手掛かりが引き起こす日記。

 そして、稲妻、ユキネ、ツキヨ、僕たち三人を引き寄せ、人と竜たちを争う、第二次人竜大戦が始まる大きな事件。

 物語は僕がベルナ村で見習い調査員として、初めての大仕事を終えたところまで遡る。

 僕の一日の流れは、先輩調査員が調査したモンスターの生態やその地域の生態系のまとめて、資料及び報告書をつくること。それが終わったら村やギルドで一人でも行えるクエストをする。それを繰り返す毎日でつい最近、調査の方にも行ってきたので、少しずつ調査員としての働きを出来ているのではないかと思います。

 

「稲妻今いいか?」

「はい。どうしたのですか?」

 

 ギルシュ兄さんが僕を呼びました。あ、そうでした。僕はギルシュ兄さんの部下で他に五名で働いています。話しは逸れましたが、僕を呼ぶことは資料などのミスなのだが、今日出したときは何も言わなかったから、問題は何もないはずだけど。

 

「まあ、そこに座ってくれ。これを見てくれ」

「これは……日記ですか?」

「ああ、この日記は一夏があるクエストに行く前に見つけた物だ。読んでみろ」

 

 日記をパラパラっと見ていくと気になるページを見つけた。

 

 ○月○日 晴れ

 E.D.Wの稼働実験前日。この日のために多くの子供を殺してきた。それは今回で終わりだ。コアとなる被験者の様子は良好。しかし、普通の子と特殊な子でこんなにも性能に差があるとはな。明日は早い、寝るとするか。

 

 ○月×日 雨天

 E.D.Wの稼働実験当日。被験者を指揮竜機に乗せる際、暴れられたが問題ない。稼働率は九割となかなかいい。専用武器の扱いもよし。そして、私の命令に忠実だ。これで我らはあの忌々しい悪魔たちを倒せる。戦いは五年後。楽しみでしょうがないくらい騒いでしまった。

 

 ××月×日 雨天

 なぜだ!なぜ、ここがバレた!?最新の注意を払い、尚且つ絶対にバレまいと思っていた研究所が悪魔たちにバレたのだ!?私はここで終わるわけには()()()()

 

 これはなんだ!?実験ってなんだよ?E.D.Wの日記は製造から結果まで書き残している。しかも、とんでもないくらいヤバイものだって僕はわかってしまった。思えば読めないページの黒いところって血だ。しかも、ところどころにこの人物の性格がわかる。血で潰されたところを見てみると、”雷竜の胴体に火竜の翼を縫い合わす”や”電気で心臓が”など狂気がわかる。

 

「この日記は今から千年前の代物。それは捨てるべきものだ。俺も一夏も。しかし、これは歴史的資料のひとつにもなる。だから、ヤバい。ところどころ、破れたページがあっただろ?一夏よりも早く見つけたやつがいるかもしれない。だから、稲妻お前にこれを託す」

「ま、待ってください!?こんなもの受け取れません!」

「俺だと判断が鈍ってしまう。頼むそれをなんとかしてくれないか?」

 

 こんな狂気の日記、僕でも捨てたい。けど、捨てるとまた起こるんだ昔の大戦が。

 なんだこのページは?”特殊な子は竜”竜?

 

「ギルシュ兄さん。休みをもらってもいいですか?」

「なぜだ?」

「ツキヨ、僕の友人が行方不明になったんです。その子、竜に関係するかもしれません」

「ふむ、意味がわからん。わからないが、とても大事なことだな?」

「はい。もしかしたら、利用されているかもしれません。今回ばかりは大事になりそうだからな」

「……いいだろう。ただし、俺も着いていく」

「ありがとうございます!」

 

 僕は急いで旅支度をしに家に帰ることにした。

 

 SideOut



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ギルシュ、語る

 Sideギルシュ

 とうとう稲妻が旅立つのか。一年くらいいっしょにいたが、教えられることは教えた。モンスターやアイテム、地理、歴史、宗教などの知識、武器や会話、売買、交渉などの技術、限界からのさらなる体力。ハンターになるための大切なことは全部教えた。

 稲妻と会ったのは五年前。当時、一夏からラギアクルスの子供と聞かされた時はにわかに信じられなかったが。

 それでもちょくちょく会いに行っていた。

 そう言えば一夏に稲妻が来たら育ててくれと言われたのは。本当に来るとは思わなかった。言われた通り、育てたが、お前あの時何を見たんだ?

 

『当分消えるってどういうことだよ?』

『言った通りだ。ちょっとした面倒ごとだ。二年ぐらいいなくなると思うが、稲妻の事任せる。他の奴にも言ったが……』

『ユウにも言ったのか?』

『いや言ってない。絶対に止めると思うし、それに大事なことだから』

『大事なこと?』

『しっかりと蹴りつけてこないといけないから』

『そうか。わかった、稲妻のことは任せておけ』

 

 そんな会話したな。蹴りって何だろうな?お前が見た何かの手掛かりなのか?そう言えばこう言ったよな?

 

『聞いてもいいか?女がらみか?』

『……』

『え、マジ?』

『ギルシュ、少し体を動かしたくないか?』

『急にどうしたんだ?』

『今、怒り喰らうのと激昂したのクエストいかないか?』

『いや、い『いくよな?』ハイ』

 

 ……あの時は大変だった。無駄に大きいイビルジョーに無駄に小さいラージャンを倒すのに二日がかりだった。

 一夏って、女難の相が出ていたっけ?しかも呪いの類並みに。毎度、ユウとかリーシャに会ったら、絡まれていたっけ?受付嬢や他の女ハンターにも人気あったな。モテていたなー。無性に殴りたいな!

 

「ギルシュ兄さん」

「稲妻か。とうとう出るのか?」

「はい、あいさつ回りもしてきたので、最後はギルシュ兄さんだけです」

「そうか。気をつけてな」

「はい」

「すこし寂しいな」

「はい」

「稲妻、色々大変だと思うが気をつけてな」

「はい、兄さんも体に気をつけて」

 

 俺は稲妻を抱いた。まだ、子どものこの子に旅は危険かもしれない。けど、乗り越えていく気がする。助け合っていけばいい。頼ればいい。俺は行くから。

 と、声には言えない。だから、精一杯抱きしめる。

 

「ちょっと待っていろ」

 

 俺は部屋に戻り、ある物を取り出した。

 

「これは何ですか?」

「ピアスだ。こいつはな、あらゆる厄災を払うと言われている」

 

 青色の玉が特徴のピアスを着けさせた。

 前に作ってもらい、渡すのを忘れているとは。

 

「ありがとうございます」

「おう、俺も見つけたら連絡するようにするわ」

「はい、いってきます!」

「いってらっしゃい!」

 

 いい旅日和だ。空が青い。

 さて、仕事をするか。

 

「ギルシュさん!龍歴船からって、どうしたんですか!?」

「なんでもない!龍歴船がどうした?」

 

 目に溜まっている水滴を拭い、龍歴船に向かった。



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稲妻、夢を見る

 Side稲妻

 向かう場所はロックラックにした。一番情報が集められて、知り合いもいるから。龍識船に乗り込み、ロックラック行きの飛行船を待った。その間、集会酒場でお腹を満たしていた。そこへ、一人のハンターがやって来た。

 

「いな坊、どっか行くのか?」

「人探しに行くんです」

「そうか。いつ帰ってくるんだ?」

「未定です。帰ってくるので大丈夫です」

「そうかそうか。一杯付き合えよ。酒以外なら奢るぜ」

「お言葉に甘えて」

 

 少し高めの果物ジュースを頼み、話をし始めた。最初にあった話とか、イビルジョーから逃げた話、大食いの話から喧嘩の話など思い出を語り合った。そして、時間になった。

 

「じゃ、行ってくる」

「おう、いってらっしゃい」

 

 ロックラック行きの飛行船に乗り、ベルナ村を離れていった。僕は仮眠場で横になった。距離はある。ゆっくりと目を瞑った。

 

『いなくん』

『稲妻くん』

 

 二人の声が聞こえる。そうか、夢か。二人とは八年もあっていない。僕の事覚えているかな?

 

『『助けて!?』』

 

 助けて?どういう事?

 

『嫌、来ないで』

『や、やめて、私じゃなくなる』

『『きゃあああ!?』』

 

 なんだあの無数の手は!?助けにいかないと、ッ!?う、動けない!?

 

『助けていなくん!?』

『助けて稲妻くん!?』

 

 やめろ、やめろぉぉぉっ!?

 

「おい、大丈夫か坊主!?」

「ハァ、ハァ、っ。大丈夫です夢を見ただけです」

「そうか。ならよかった」

 

 心配で来たハンターが帰り、僕は今の夢を思い出した。『助けて』と二人に言われた。嫌な予感がする。僕は首を振り、部屋を出て気分転換に外に出て空気を吸うことにした。外に出ていくと夜になっていた。肌に刺さる冷たい風で目が覚める。

 さっきのことを考えてしまう。正直に言って二人とは連絡を取り合っていなかった。住む場所が変わったので手紙を送ったのだが、返事がなかった。

 もしかしたら、ユキネはロックラックにいるじゃないかと思った。思っただけで根拠はない。だけど、夢を叶えているなら必ずここにいる、もしくは情報が入るかもしれない。

 眠くなってきたのでもう一回寝ることにした。

 

『稲妻』

 

 父さん?父さんなの!?どこにいるの!?

 

『ああ、声は聞こえないが表情を見ればわかる。場所は言えないが帰ってくるから安心しろ』

 

 そっか。わかったよ。待っているよ。それよりも聞いてくれないかな?さっき怖い夢を見たんだ。

 

『怖い夢か。ふむ、どういった内容なんだ?』

 

 ユキネちゃんとツキヨちゃんが囚われている夢。黒い手がいっぱいでてきて二人を押さえ込んだんだ。

 

『なるほど。もしかしたら、二人は会いたいんじゃないかな?俺も稲妻と会いたい。夢でどこか遠くにいってしまう稲妻を見るんだ』

 

 僕が会いたい?確かに会いたいユキネちゃんとツキヨちゃんに。もちろん、父さんにも!

 

『うれしいな。だったら、半年後、古き塔の上まで迎えに来てくれ。その日に帰ってくる』

 

 うん、わかった!

 

『それと、……には気を付けろ、半年後!』

 

 最後のところ聞き取れなかったけど、父さんが帰ってくるんだ。あとは場所を探さないと、古き塔か。着いたら、調べてみよう。

 

「ロックラックまであと一時間で着きます。忘れ物無いようお降りください」

 

 船員の声と共に一年ぶりのロックラック。太陽に熱しられた乾いた風が僕の頬を撫でていった。



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ユキネ、表を出さない

 Sideユキネ

「ユキネ、何やっているのよ!あんたのせいでまた、怒られたんじゃない!」

「だいたいね。私よりできるからって、偉そうにしてムカつくのよ!」

「そうよ、そうよ!あんたさ、自分が子供だからって甘いって思っているなら止めてしまえ!」

 

 また、怒られた。なんで、怒るの?私何かやった?わからないわからないよ。

 

「あんたはここにいなさい!このブスが!」

 

 先輩達が部屋から出ていった。泣きたくなってきた。厳しいのは知っているのに。ほとんど、いいがりだし、私が何をしたのかわからないよ。なんで、こうなったんだろ?

 数日前、私がギルド職員の試験を合格し、研修をしている時にそれは起きた。

 その日は研修最後の日、その日は宴会を開いてもらっていた。私の他に同期の子が五人、先輩と教官の八人で飲んでいた。私は未成年だから、ジュースを飲んでいたんだけど、先輩の一人が一夏さんのお話をしていた。一夏さんの武勇伝を聞かされていて、つい私はいなくんのことを話してしまった。それだけなら、まだよかった。次の言葉が原因だった。

 一夏さんとの交遊関係。簡単に言えば、私が賄賂を払って一夏さんにギルド職員の合格をもらったという虚言。さすがに、それに対しての誤解は教官が解いてくれた。

 その話が捩れてしまった結果、私が一夏さんのお相手と言う、見も蓋もない噂がロックラックのギルドに伝わっていた。とばっちりなのに、先輩達は私が悪いの一点張り。

 

「ユキネ、大丈夫?」

「うん」

 

 ロックラックのギルドで一緒の子に心配されたけど、大丈夫。人の噂は八百日って言うし、なんとかる。と思っていた。だけど、甘かった。人の悪いところをそんなに受けたことがなかったので、精神的に舞ってしまった。

 日に日にエスカレートしていって、しまいには暴力を振るわれる始末。痛かったけど、泣かなかった。心配はされたくなかったから。

 だから、なんでいるの。体は大きくなっていてもその顔はあった。どうしているのいなくん。

 

 SideOut

 

 Side稲妻

 荷物を宿屋に下ろし、ロックラックのギルドへ向かっていた。その途中、父さんおすすめの食事処へより昼食を食べた。

 ギルドの中に入ると、様々な鎧を来た人たちが、酒やツマミを食べて、どんちゃん騒ぎをしていた。僕はハンター登録を済ませて、ギルドの書庫へ向かっていった。向かっている途中喧騒が聞こえたので、そこへ向かって歩いていった。歩いて幾度喧騒はなくなったが、気になったんでそのまま歩いていった。僕はある扉の前に立ったとき、知っている気配を感じた。僕は嬉しくなって開けたら、そこにいたのは泣きそうな顔をして、虚ろな目をしていたユキネだった。声をかけようとした時、僕を押し退けて、出ていった。僕は急いでその背中を追いかけた。どうして逃げたのかわからなかった。けど、全てが最悪の事態しか想像できなかった。日差しが西に指してきたとき、ロックラックの入り口で止まった。

 

「ユキネ」

「なんでいるの?」

「父さんを探しに来たんだ。それと、おめでとう」

「……ありがとう」

 

 会話が続かない。まあ、連絡とかここ一年取っていなかったからね。さて、どう聞こうかな?

 

「いなくん私ね。私は何をしたんだろ?」

「どう言うこと?ユキネは何かしたの?」

「わからない、わからない、わからない!?私は何をしたの!」

「ユキネ」

「ねえ、私どうすればいいの?」

 

 どうすればいいのか、僕にはわからなかった。そもそも、どうしてこうなったのかを聞いていないから何を言えばいいのかがわからない。だけど、僕は気休めだけど、ユキネに抱きついた。離そうと押し退けようとしていたけど、力は強いので、思っていることをしゃべった。

 

「理由はあとで聞く。だから、泣いていいよ。僕が同情したって意味がない。それでユキネの心を救えるならやるけど、救えないとわかっている。だから、泣いてよ。貯まっているものを吐いて」

 

 僕はそういうと、静かに鳴き始めた。嗚咽の中に私は悪くない、どうしていじめるのと、聞こえた。だけど、これを聞いて、自分の中にある竜としての人としての怒りの感情が、ふつふつと沸いてきた。

 SideOut



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ユキネ、決意を言う

 Side稲妻

 この怒りを抑えることができるはずがなかった。だけど、ユキネを見ていると怒りが収まっていった。

 

「いなくん、私耐えられない」

 

 ユキネは呟いた。小さく弱々しい声で、喋りだした。

 

「本当に些細なこと。いなくんのお父さんのことでね」

「父さんのこと?」

「うん。私は一夏さんの知り合いってだけでね、色々噂されたの。それで、いじめられていた」

「父さんの知り合いってだけで、そんなことは……」

「いなくん。あなたのお父さんは有名なのは知っているでしょ?さらに若くてイケメンで、ギルドの女性たちには人気あるの」

「父さんが原因だね」

 

 呆れたとしかいけない。たったそれだけで、ユキネはいじめられていたんだ。おかしい、絶対におかしい。

 知り合いだったからって、いじめるのはおかしい。

 許さない。

 

「ユキネ、逃げよう」

「え?」

「今、ここにいて解決しても、また同じことが起きる。だから、ここを出ていかない?」

「だ、だけど」

「迷惑とか考えている?大丈夫だよ、僕は。それに、一度くらい逃げてもいいと思うよ」

「え、どうして?」

「僕だって逃げたことがある。逃げて逃げて、最後は勝った」

「けど勝ったんだよね?私には無理だよ」

「諦めちゃいけない!確かに無理かもしれない、無茶かもしれない、だけどそのままだと嫌でしょ?だから、少しずつ強くなろ?強くなるまで僕が守るよ」

 

 あれ?励ましているのに、なんか違うような。って、僕、父さん探しに来たのに、ユキネまで巻き込むとか、バカか!

 クスクスと下を見ながら、笑いを押さえるユキネを見た。僕はそれを見て、ちょっとムスッとしてしまった。それでも僕は笑ってくれたと嬉しく思った。

 

「いなくん、私行ってくるよ。これで何か言われても、たぶんスッキリする、と思う」

「いいの?」

「うん。それに一緒にいてくれるんでしょう?」

 

 決意したユキネを見てよかった半分、いたずらが成功したような笑顔を見せてくるので、少しばかりどうしようかなと考えてしまった。

 ユキネの後を追う。ギルドに近づくにつれて少し歩みが重くなっていくように見えた。僕は近くにより声をかけた。

 

「大丈夫、僕がいるから」

「うん」

 

 ギルドの女性職員室に着くとその部屋から数人の声が聞こえた。いっている内容はユキネに対する悪口とかだった。

 

「いってくるね」

 

 ユキネは覚悟を決めて部屋に入っていた。

 

 SideOut

 

 Sideユキネ

 私は勇気をもらった。

 私は決意した。

 私は覚悟を決めた。

 部屋の扉を開ければ、そこにいるだろう先輩たち。

 言うんだ。私の思いを。例えここをやめても、夢をあきらめても、私は守ってくれる人にこれ以上心配をさせたくないから。

 

「ユキネあんたどこ行っていたの?」

 

 黙る。

 

「私たち忙しかったんだけど?」

 

 言うんだ。

 

「男でも会いに行ったの?サイテー、イチカさんがいるのに」

 

 もう言おう。

 

「そうだ今夜ユキネの「うるさいです」え?」

「うるさいと言ったんです」

「ユキネ、そんな口きいてもいいの?」

「ええ。それに私は先輩方に言いたいことがあります」

「なに?まっ、どうせろくなことではないでしょ?」

「私は何もしていないです。いつも私は無関係なことや私がやる仕事も押し付けて、先輩方はできるんですか?それに一夏さんとは知り合いのだけで、好きではありません。尊敬する人ですが。私の好きな人はいます!」

 

 言った。言ってやったわ。これで未練なくやめれる。心残りはここまで応援してくれた父さんと母さんに対して失礼なことをしたこと。謝らないと。

 

「ふざけるな!生意気な口聞いて!」

 

 先輩の一人に殴られると思い目を瞑った。だけど痛くなかった。目を開けてみると、先輩の手を掴んでいるいなくんがいた。

 

「なにしている?」

「あ、あんた手離しなさいよ!」

「ユキネのことを殴ろうとしたでしょ?」

「これは御仕置ぎっ!?イタイイタイ!?」

 

 いなくんは握力を強めて、先輩を痛めさせた。その手を話すと、先輩方を睨み付けた。

 

「二度とこんなことをするな。するなら、わかっているよね?」

 

 先輩方は涙流しながら、頷いていた。なんかくさい臭いもしたけど。

 いなくんのこと初めて怖いと思った。怒ることはさっき見たからわかったけど。先輩方に向けたのが殺気なんだろ?

 私の手を引きながら部屋を後にした。

 いなくんに連れながら着いたのはギルドマスターの部屋だった。

 

「いなくんどうしてここに?」

「ん?あ、そっか知らなかったっけ?僕、ギルドマスターと知り合いなんだ」

 

 その時、私の頭は真っ白になった。

 

 SideOut



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稲妻、報告をする

 Side稲妻

 扉をノックして、返事したので入った。

 

「失礼します」

「よく来たね、なんだいガールフレンドかい?」

「いえ、違いますよ」

 

 冗談がうまいな。それよりも……。

 

「ユキネいつまでボーっとしているの?」

「え、は、あい!はう~~!?」

 

 テンパっているね。それよりも話さないとね。

 

「それよりこの前、依頼したものはありますか?」

「ああ、それ」

 

 丸められた紙が投げ渡された。それをキャッチした。内容は後で確認することに。

 それよりももう一つの要件を話さないと。

 

「ギルドマスター、ここにいるユキネに少し休みを与えてもらえませんか?」

「いきなりどうしてだい?」

「職場いじめ」

 

 僕がその言葉を言った瞬間、固まった。

 

「ユキネは言われもないことで精神がボロボロだった。今気丈に振舞っていますが、いつ壊れるかわからない」

「だから休みね。だけど、彼女はまだ新米だね?確かにそれは由々しき事態だ。だが、身内贔屓はしない。それにこの子の未熟さが招いたことだ、彼女自身がいうことだ。そこのところをはき違えるな」

 

 言葉の重みは違うな。たしかに身内贔屓。なら、彼女が言うならば別だね。

 ユキネの背中を押してやった。ユキネはギルドマスターにしゃべりだした。

 

「ギルドマスター、私に休みをいただけませんか?」

「ふむ、理由は?」

「人探しです。とても大切な友達です」

「期限は一年と言いたいが、君はまだ仕事を覚えていない。だから、ひと月。たったひと月で仕事を完璧に覚えろ。できないなら休みはなし、いやならやめて結構」

「わかりました。一カ月で覚えます」

 

 無茶じゃないかな?僕でも半年ぐらいだったよ。

 

「では結構。楽しみに待っているよ」

「ユキネ、もう少しだけいて」

 

 ユキネは少し後ろに下がった。

 

「改めて、父さんがいったここに行く地図をもらいたいです」

「そこは、そうか。いいだろう、見てくると言い、そこにある物を。渡すのは一カ月後だ」

「わかりました。後、家に明日伺います」

「わかった」

 

 僕たちはギルドマスターの部屋から退室した。

 ユキネとは別れて酒場へ向かった。掲示板の所へ向かおうとした時に肩を叩かれた。振り向くと僕より年上の少女がいた。

 

「君がユキネといた子だね」

「そうですが、あなたは?」

「あたしはあの子の同期よ。それより君逃げた方がいいよ?」

「別に大丈夫ですよ。こういうのは慣れていますから」

「見た目に反してアグレッシブなんだねでも気をつけた方がいいよ。君が怒らせた人たちここの人たちに浴してもらっているから」

「肝に銘じておきます」

 

 じゃあね、と言われて去ったと同時にユキネが普段着に着替えてきた。僕が行く店に連れて行こうした。その道を阻むように大柄な男たち遮られた。避けようとしたが、肩を掴まれてた。

 

「お前か。新参者は」

「離してください」

「いいからこっちにこい」

 

 その三人に連れられて、町の大通りから離れた道へきた。そこにはユキネをいじめていた受付嬢たちもいた。

 

「とりあえず、一発貰っとけ」

 

 殴られたんで僕は、カウンターで相手の顎へ反撃した。後ろへ倒れかけたのを足払いし確実に転倒させた。一応反撃されないように頭も蹴った。男は完全に気絶した。

 

「な、な、な、なんだよコイツ!?」

 

 もう一人の男が殴りにかかって来たから、腕を掴み投げ飛ばした。がら空きの首元へ手刀。相手は気絶した。

 

「これで二人目。ねえ、父さんが襲い掛かってくる者がいたら、容赦なくやれって教えてもらったからやったけど、何がしたいの?」

「お前子供か!?」

「質問に答えてよ。何がしたいの僕に?」

 

 男は気絶した二人を置いて逃げて行った。ここにいるのは受付嬢たちとユキネのみ。僕はユキネを抱えて、屋根の上を上った。

 

「いなくん、ありがとう」

「どういたしまして?」

 

 SideOut



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ユキネ、妄想に浸る

 Sideユキネ

 先輩たちに襲われてからいなくんに抱き抱えられながら、屋根から屋根へと渡り着いた場所は宿屋でした。

 なんでこうなっているんだろう?

 

「えっと、たぶん帰したら襲われるから今日だけ泊まって」

「え?ええええええ!?つ、つまり一夜過ごすことだよね?」

「そうなるね。部屋は二つとれるか聞いてくるから」

 

 行っちゃった。

 けど、うれしい。好きな人と一緒に過ごすなんて私、すごく幸せ!

 あ、お母さんが言っていたけど、男の人ってジンオウガって言っていたけど、襲われるよね?だ、だけど見境なく襲うわけないしいなくんだからそんなことしないよね!(謎の根拠)

 けど、一緒に寝られたらいいな。

 

 ~ユキネ妄想中~

 

「い、いなくん、恥ずかしいよ//////」

「ユキネ、そんなこと言ってもここは喜んでいるよ」

「だって、だって、ひゃう!?」

「ふふ、口では言っても説得力ないよ」

「そ、そこはンっ!?ん、ぅん、ん、ん、ぅん!?ハァハァ、アンっ!?」

「食べちゃダメ、か?」

 

 ~ユキネ妄想終了~

 

 んんんんんん///!?やられたら立てなくなっちゅ!?

 

「ユキネ?」

「ひゃい!?」

「ひゃい?」

 

 は、恥ずかしい!?今のはない、ないよ!

 

「部屋は僕のところ使うから」

「う、うん」

 

 僕のところを使う(・・・・・・・・)

 ………………え?ええええええ!?本当なの?ウソ、じゃないよね。うん、本当なんだねその顔。

 

「案内するよ」

 

 戸惑いなく手を繋いでって、さっきお姫様抱っこされていたっけ。うん、これぐらい問題ない……わけないでしょう!?

 昔は繋いでいたでしょう、ですって?

 そうよ、そうよね!昔繋いでいたんだから、今も繋げられないわけはないし!

 ……うん。一周回って冷静なったけど、変わらないな。手は大きくなったし豆とか出来ているけど、暖かくて優しい手は変わらない。やっぱり、いなくんだ。

 背は大きくなったし顔も男らしくなっているけど、私に対する態度とか変わっていない。

 

「どうしたの?」

「ううん、なんでもないよ。それよりここ?」

「入って」

「うん、お邪魔します」

 

 簡素な一人部屋。机とベット、荷物くらいしか見当たらない。好きなところに座ってと言われたからベットに座った。

 椅子に座ったいなくん。上に来ていた白の着物の上衣を机においた。細い腕だと思っていたけど、鍛えている腕の筋肉が見えた。

 

「それじゃあ、今後の話をしようか」

「うん、話すことってある?」

「そうだね。一つだけ、住む場所を変えようか」

 

 どうすれば話が飛ぶんだろう?

 

「まあ、急に言ったことだからしょうがないけど、さっきのことがあったばかりでしょう?なら、用心に越したことないし、一番いいのは知り合いの家に止めてもらうことなんだけど、事態がややこしくなるだけだから、ここに住まない?」

「いいの?」

「だから、この話をしたんだよ」

「お願いします」

 

 確かに私は先輩たちの怒りを買ってしまった。だけど、いなくんに被害があったらと思うと嫌だ。いなくんはそうとは想っていない。あといなかった時間を少しでも多く過ごせればいいと思っていた。

 

「それじゃあ、寝ようか。ベットに寝ていいよ」

「いなくんは?」

「床で寝るからいいよ」

「そ、それはダメだよ!風邪引くよ!」

「これぐらい平気」

 

 これはダメ。私が床で寝ると言うとベットで寝ろって言われる。なら、は、恥ずかしいけど、一緒に寝よう。

 

「い、いなくん!い、一緒に、寝よう……?寝てる?」

 

 私が一人で考えている間に寝ているなんて。寝顔かわいい。

 

「すぅ……すぅ……ユキネ……大好きだよ……」

 

 大好きって!?ね、寝言だし、友達としてだよね!?だよね、だよね……自分で言っていて少しイラつくな。

 そうだ、隣で寝てみよう!起きたら、驚くだろうな。

 いなくんの肩を枕代りにしちぇ!?え、ええええええ!?抱きついてきた。しかも、優しく、決して抜け出せないように。けど、いいか、このままで。

 

「おやすみいなくん」

 

 おでこにキスして私は眠った。口にしなかったって?恥ずかしいでしょ!

 余談だけど次の日起きたらやっぱり恥ずかしくなってしまう私でした。



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ユキネ、旅立つ

 約半年振りの投稿に見てくださっているみなさん、すいませんでした。
 言い訳云々はありません。あんま面白いことも言えないですが、今年一発の投稿どうぞ!


 Sideユキネ

 休暇宣言から早一ヶ月が経った。

 あの事件以降周囲の状況は変わっていた。

 まず一つは先輩と協力したハンターたちだが、突如辞めたり辺境のギルドへ行ってしまった。理由はわからないが、恐らく私関係ではないかと思う。思い込みかもしれないかもしれないけど。理由として挙げるなら、職場内のパワハラが芋づる式でバレただろう。無関係の人たちも辞めたりなどしていたから。

 因みに恐喝したハンターたちは口々に「あ…悪魔だ……悪魔が、悪魔がいたんだ!?」とか「ドラゴンダイブ勘弁して!?」、「悟◯怖イ悟◯怖イィィィィイ!?」など。ナニヲミタンダロ?

 次はいなくんのこと。

 とうとう上位ハンターになりました。ギルドでは珍しいらしいです。因みにハンター最小年齢は一夏さんで僅か二年足らずでG級ハンターになったと言ってました。

 うれしいのですが、負けた気分です。

 最後に私です。

 無事にギルド役員の仕事を覚え、夢であった受付嬢になることができました。

 色々あったけど、ええイロイロト……。

 以上三つの出来事でした。

 そして、ロックラックの街で過ごすのは今日で最後。

 見納めというわけじゃいけど、帰ってくるのは未定。

 

「ユキネ行くよ」

「待って」

 

 私はこれからいなくんの旅に同行します。

 理由はある手紙を貰ったのがきっかけ。

 

 

「つきちゃんが行方不明なんて」

「だけどおじさんたちが気付かないはずがない。たぶん、相当な手練れだよ」

 

 そうつきちゃんことツキヨちゃんが行方不明なっていること。未だ見つかったという話は聞かない。

 

「て、手練れってそれって誘拐じゃない!?」

「うん。だけど目的が不明なんだよね」

 

 いなくんは誘拐って言っているけど本当なのかな?ただの迷子だったら手紙で現に送っているしね。

 

「考えてもしょうがない。とりあえず、話した通り最初はシナト村へ行くよ。けど、おじさんたちには言わなくていいの?」

「……うん。言ったら帰って来いって言われそう」

「まあ、そうだよね」

 

 いなくんに手を引かれ、シナト村行の砂上船に向かった。

 事前に買ったチケットを見せて乗ろうとした時、リーシャさんたちが来てくれた。

 

「二人とも気をつけて」

「はい!」

「ギルマスにもよろしくと伝えてもらっていいですか?」

「ええいいわよ」

「いっていらっしゃいユキネ!」

「うん!」

 

 船頭の出発の合図が響いた。私は急いで乗り、船の上から手を振った。その隣にいなくんがいる。

 

「大変な道なるけど」

「平気だよ。それよりもゆきちゃんといなくんのお父さんを探し頑張ろう!」

「うん!」

 

 頑張るぞー!



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