新しい艦娘が着任しました!!これよりオリジナルイギリス艦娘を紹介します! (たんぺい)
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新しい艦娘が着任しました!!これよりオリジナルイギリス艦娘を紹介します!

~ある鎮守府~

 

 

「大本営の広報部より、通信が入りました」

 

やや抑揚の無い声で、生真面目な表情のまま白亜の軍服を着た男に語る、黒髪で眼鏡の艦娘が執務室に現れたのは…およそ、ヒトマルマルマルぐらいだったか。

その眼鏡の艦娘…大淀に向かい、軍服を着た男こと、その鎮守府の司令官が何事だ?と書類を整理し直しながら問いただす。  

そこで返ってきた答えは、以下のようなものだった。  

 

「…『新種の海外艦が建造された』と言うことで、しかし、その艦娘がが少しならず特殊なために、その艦娘が日本で戦えるかどうかのテストを兼ねてこの鎮守府にホームステイをさせてほしい、と言うことですね」

 

なるほど…と、大淀の言に対して納得するその司令官だったが、もう一つだけ質問を付け加える。

どこ出身で、どの艦種か、と。

大淀が言うには、イギリス所属の空母、と言うことだった。

  

「ウォースパイトが喜びそうだが…また、あのナチュラル英会話が来るのかな?」

 

司令官は、一言だけ、大淀の言に対して感慨深げに呟いた。

 

 

さて、そして、その二週間後。

件の、イギリス所属の艦娘がその鎮守府にやって来る日が訪れた。

 

ウォースパイトや金剛達のイギリスに関わる艦娘や空母組ならず、ミーハーな性格をした青葉達や新しいもの好きな駆逐隊達が固唾を呑んでその姿を人目見ようと港に集まり…そして、その異様さに一同は戦慄した。

 

その、深海棲艦をも彷彿とさせる、所謂『御嬢様結び』に整えた白銀の艶やかな長髪。

それを際立たせる、同じように透き通るかの様な白い肌。

その瞳は、血のように紅く、妖しい光を帯びている。

スタイルは良好であり、やはり海外艦娘らしい長身で豊満な肉体を露にしていた。

 

服装はどうなのかと言うと、ミイラを一瞬思い起こさせる、服を着ずにシースルーじみた青白い絹を素肌にぐるぐると巻き付けていると言う露出度がとんでもない格好をしており非常に扇情的。

そんななかで、背中に背負った巨大な飛行甲板が微妙にシュールである。

そして、直射日光を避ける為か、大きな白い日傘をさしていた。

 

だが…異様さの本領は、見た目や格好だけではない。

 

艦娘輸送船のコンテナのハッチを開いた瞬間に、周囲が冷気に包まれる。

それだけではない。

その艦娘が海面に降り立った瞬間に、彼女が足を乗せた辺りの海水が悉く凍りつき、まるで某元海軍大将の能力のごとき辺り一面が薄いアイススケートリンクみたいに変わるのだ。

 

 

「なんデースか、この超常現象…」

 

金剛が思わず声をあげると、その艦娘は…それに答えるかのように、笑顔でこう告げるのであった。

 

「私の名前は、『ハボクック』。全長600メートルの巨体を持つ『パイクリート』って氷の身体を持った、イギリスの正規空母です。史実だと計画倒れで終わった艦なんだけど、精一杯、艦娘としての任務を全うするわ!」

 

…ウチの国のcrazyな空母、ね。

ウォースパイトは、死んだ目で、その艦娘の着任に対してなんとも言えないコメントを残していた。

 

 

さて、そうして着任したハボクック。

どんな娘なのか、簡単に紹介しよう。

 

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~ハボクックの通常ボイス~

 

放置:「…手が冷たい女の子って優しい子って、ジャパンで言うらしいけど、本当かしら?」

 

おさわり1:「やめて、いきなり触らないでアドミラル!手がシャーベットになりたいの!?」

おさわり2:「あんまり触られると、私がメルトしちゃうからやめてほしいかな…」

おさわり3:「ハボクックに興味があるのかしら、アドミラル?」

 

入渠(小破):「お風呂に入った方がダメージが大きそう…あ、水風呂もちゃんとあるんだ」

 

入渠(大破):「あぅ…皹だらけのパイクリートもちゃんと治るのかな…」

 

建造:「ニューフェイスの子、どんな艦娘なのかなぁ?」

 

艦隊帰投:「あ、皆がリターンしてきました!」

 

連絡:「レターが来てるみたいよ、アドミラル」

 

補給:「10秒でエネルギーチャージ!二時間キープ!って、ジャパンで言うらしいって金剛に聞いたけど、なにこれ?」

 

 

~ハボクックの、時報~

 

0時:「ハイ、アドミラル!今日は私、ハボクックが時報を担当するわ。ヨロシクね!時刻は、マルマルマルマルマルマ…あ、英語で良いんだ。ありがとう、アドミラル」

 

1時:「ワン・オ・クロック、夜よ。日が照ってない時間は…好きなのに戦えないのがもどかしいわ…」

 

2時:「トゥー・オ・クロック!アドミラル…眠いの?子守唄でも歌ってあげようか…え、『お前の近くで寝たら凍死する』ですって!?エベレストじゃないんだから、私は…」

 

3時:「スリー・オ・クロック。あ、アドミラル!眠気覚ましに珈琲入れてくれたんだ…って!ホットはダメ!体温が15度を越えると溶けちゃう、私、溶けちゃう!!」 

 

4時:「フォー・オ・クロック…アドミラル、あのね、私は氷の空母ってことをちゃんと考えて…え、今度は珈琲味のシャーベット?あ、ありがとう…」

 

5時:「ファイブ・オ・クロック!朝よ、皆を起こしてあげないと!」

 

6時:「『ソーイン・オコシ』を手伝いました、えっへん!アカーギやカガー達のおでこに手を乗せたら飛び起きたわね、冷たい手、ならではね!時刻は、シックス・オ・クロックよ」

 

7時:「セブン・オ・クロック、そろそろ、私ブレイクファストが食べたいな~…あ、アドミラルが色々見繕ってくれるの、わーい!」

 

8時:「エイト・オ・クロック!美味しかったな~、『ヤキオニギーリ』。冷たくて、バリバリ食べるライスは新食感だったわ。あれ?何でアドミラル、ドン引きしてるの?『チンして食べずに冷凍のまま食べるとは思わなかった?』えー…だから、アツアツのご飯は食べれないんだってば…」

 

9時:「ナイン・オ・クロック!あ、ウォースパイトだ、グッモーニン!貴女、日本に馴れたかしら?」

 

10時:「テン・オ・クロック…そろそろ、外が暑くなってきて身体が溶けそうです~…冷房付けて、冷房…」

 

11時:「イレブン・オ・クロック…身体がだるい…お腹がぐるぐるなってる気がします、冷房じゃ、ちょっと冷却が足りてないかも…え、マミーヤに行く?え、え、アドミラル!?」

 

12時:「マミーヤさん達の使ってる、業務用の冷凍庫とは考えましたね、アドミラル!体調も、このおっきな冷凍庫の中ならなんだか良くなってきたかも知れないわ。時刻は…ノゥーン、よ!」

 

13時:「ワン・オ・クロック。ふう、身体もだいぶ落ち着いたきがす…あれ?イラーコが、物凄い目で私を見てる…」

 

14時:「トゥー・オ・クロック、冷凍庫の中に居た事情を説明したら納得してくれたわね、ジャパンの子達は話が通じやすくて好きよ」

 

15時:「スリー・オ・クロック!あ、カガとアカギ、いらっしゃい!どうしたの?え、『冷凍庫にある3時のおやつのアイスを取りに来た?』へぇーえ、ジャパンにもティータイム的な風習が有るのね」

 

16時:「そろそろ夕方ね、冷凍庫からでてアドミラルのお仕事手伝わないと!時刻は…フォー・オ・クロック!」

 

17時:「アドミラル、あのね、そろそろお仕事手伝う…ってアレ?定時?お仕事終わってるの?そんな~…」

 

18時:「シックス・オ・クロック…え、何よ…不貞腐れてる訳じゃないの、ただ欠陥空母で迷惑かけちゃった自分が情けないだけで…うん、愚痴、言っても良いよね…?」

 

19時:「…あのね、アドミラル。あの、えと、この一時間におきた事はナイショ!ナイショよ!特にウォースパイトには絶対にね!!」

 

20時:「エイト・オ・クロック!『ご飯を用意する暇がなかった』って、マミーヤで済ますのは良くないと思うわ。え、『食べないのか』って?もちろん、ゴショーバン…だっけ?お供致します、アドミラル」

 

21時:「サシミってバカにしてたけど、私、気に入ったわ!!ワビサビってやつね、冷たくて、美味しかったわ!…時刻?あ、ナイン・オ・クロック!」

 

22時:「テン・オ・クロック、そろそろ夜中ね。軽巡洋艦も絶好調みたいね、あのニンジャみたいな娘!かっこいいなぁ…」

 

23時:「ふふ、イレブン・オ・クロック。一日も、ようやくお仕舞いね、お疲れ様。一杯、呑む?パパ・ダイキリ…とか、どうかしら?」

 

 

~ハボクックの限定ボイス~

 

お正月:「ハッピィ・ニューイヤー!日本の新年は過ごしやすくて大好き!ずっと、日本がウィンターだったら良いのに」

 

七草粥:「こんな素敵な季節にこんな鍋で湯気がたってるアツいもの食べろって…酷いわ、アドミラル!え…私の為に、わざわざレトルトを凍らした七草粥を特別に用意したって?あ、ごめん、そして…ありがとう」

 

節分:「セッツブーン…あのビーンズを、お面を被った神通さんに当てたら良いんだ。へぇ、不思議な文化ね~」

 

バレンタインデー:「はい、アドミラル!金剛が教えてくれたけど、日本じゃバレンタインデーにチョコをあげるらしいわね!日頃の感謝をこめて、チョコアイス、特製の濃厚なのをね!」

 

お花見:「…春、あったかくなってきて、ちょっと過ごしにくい季節だけど…桜は、嫌いじゃないわ」

 

こどもの日:「なんだか溶けそうな季節になってきて、憂鬱ね…」

 

梅雨:「何で、あのシラツユ型って子達は元気なんだろう…あ、アブクーマが仲間を見つけたって顔をしてる」

 

七夕:「願いを叶えるおまじない…『日本が永久凍土になりますように』っと…無理?そんな~…」

 

夏:「無理!ノン!私引きこもる!この季節は引きこもるわ!冷凍庫の中に引き込もって、かき氷と一緒に添い遂げる!!」

 

夏祭り:「あー…私はパスだってば、ってお土産?あ、かき氷!しかも大好きなストロベリー!」

 

秋:「そろそろ、日が短くなって、私も過ごしやすくなるのかな?アドミラル」

 

クリスマス:「サンタクロースが来るって、リベッチオちゃんがはしゃいでたな。私の所にも来るかしら?」

 

 

~ハボクックの戦闘ボイス~

 

開幕:「第一攻撃隊、発艦します!」

 

通常攻撃:「敵艦隊を発見…待ちに待った、実戦よ!!頑張って、艦載機のみんな!」

 

被ダメ小:「アウチ…まだ、パイクリートは砕けてない!」

披ダメ小2:「オゥ!?まだまだ、私はやれる!今度こそハボクックの実力を見せる時!」

 

被ダメ大:「そんな!?水、水をかけて応急修理…って、逆に溶けちゃう!!ど、どうしよう!?」

 

MVP:「え、私がナンバーワン…やった、やったわ!本当に、嬉しい…」 

 

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~さて、ハボクックの基本的なデータを出して以降の、それからの鎮守府のお話~

 

 

こんな感じの基本的なデータよろしく、ハボクックは基本的には冷たい時でないとまるで役に立たない娘である。

 

戦闘中は、冷凍庫のような艤装のおかげでなんとか冷却せずとも戦えるとは言え…やはり、南方への移動、と言うか北方海域と鎮守府周辺以外での戦いは厳しすぎるものがある。

 

消費エネルギーも尋常ではない。

何せ、ハボクック周辺の海を瞬間凍結させるレベルのエネルギーを常時振り撒けないと、ハボクックは海水の温度ですら溶けてしまうと言う脆弱さがある為に…単純計算で、大和型の燃料消費の250倍はかかると言う、とんでもない大飯ぐらいだった。

 

鋼材こそ消費は少ない方であるが、整備の手間自体がとんでもないためトントンと言う、本当に妖精さん泣かせな艦娘だったと言う。

 

妖精さん泣かせと言うと、艦載機の妖精さんも何度もハボクックのせいで死にそうになっていた。

 

ハボクック自身が言っていた通り、まず、根本的に彼女の体温が異常に低い。

と言うか、戦闘中の彼女の周囲は普通に氷点下をはるかに下回るのである。

エンジントラブルが続出するわ、着艦時に凍りついた飛行甲板がスリップする大惨事を続出するわ、そもそも妖精さんが何度も凍死しかけるわ、と様々な意味でダメダメだったと言う。

 

そして…大人数の艦隊の連合で動かそうとすると、艤装の排気の熱でハボクックが大ダメージを受ける可能性が高かった…と言うか、実際に何度か起きた為、ハボクックを中心とした艦隊が組めないと言う事態に陥り、『使いにくい』と評価する外なかったと言う。

 

 

…そうした報告を受けて、結局、大本営は『氷山空母』と言う一種一族の艦娘であるハボクックの採用を見送ることとなり、日本ではそのハボクックと言う艦娘の存在は縁遠いものになった。

件の、鎮守府以外では、と言う注釈は付くのだが。

 

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~ハボクック、ケッコンカッコカリ~

 

「…こんな、使いにくい艦娘だったのに、指輪を渡すの?」

 

 

上目使いでハボクックは、そんなことを言いながら件の鎮守府の提督をじっと見ていた。

 

一方のその提督はと言うと、ああ、と告げてしっかりとハボクックを抱き締めながら、一言だけこう返す。

使いにくくても、弱くても、それでも俺はお前が可愛いと思ったんだ!と。

 

そして、ハボクックは…

 

 

「アドミラル…私、身も心も…メルト…しちゃうよぅ……」

 

…色々ドロドロになりかけながら、メロメロになっていた、とか。

一方のその鎮守府の提督は、メディック!メディーック!と叫びながら、明石を呼ぶ羽目になっていた、とさ。

 

 

 

 

新しい艦娘が着任しました!!これよりオリジナルイギリス艦娘を紹介します!~完~

 

 



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