転生した僕が姫様と結ばれるために頑張る話 (ソラ@姫キチ)
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主人公設定(ネタバレ注意)

詩音とオラージュの紹介です。
ネタバレを多分に含むので最新話まで読み終えてから読むことをお勧めします。


望月 詩音(もちづき しおん)

 

この小説の主人公。

 

ルックスは中の上くらい。

 

転生直後の格好は制服姿だったが、5年間の修行期間の間にエクセリアと共にいて恥ずかしくない格好をしようと、様々な島を巡り、ひとまずは及第点、といえる服装を拵えた。

イメージを湧きやすくするなら、カジュアルな燕尾服、といったところか。

 

高校への通学中、白猫のガチャを引こうとした瞬間、工事現場から落ちて来た鉄骨に直撃、転生して白猫の世界にやってきた。

 

転生の際、神様から”思いの丈に応じた能力”を授けてもらっている。

 

実際、転生以前からエクセリアに過剰とも言える愛情を注ぎ込んでいた。

本家の白猫で登場したエクセリアとモチーフ武器の全コンプのためにつぎ込んだ資金は50万円を越える。

なんの資料も無しにエクセリアを描けと言われても、難なくそれをこなせる位には彼のエクセリア愛は深い。

それゆえに、エクセリアを使う時はノーダメージクリアという制限を自らに課していた。

無論、アマデウスやオールウェイズといった、旧仕様の鬼畜な星12、星13、新仕様の星15、ピースフル、トリプルアクセルもノーダメージクリア済み。

 

その結果、白猫の世界では、チートレベルの魔力や身体能力、全ての武器や魔法に対する深い知識と技能となって、彼に宿ることになった。

 

なお、白猫の世界に転生し、エクセリアと直接対面したことで、さらにその能力は強化され、彼のスペックは上がる一方である。

 

そんな彼の弱点は、1つの物事に集中しすぎるあまり、時折、状況把握が遅れること。

7話ではその弱点を突かれて竜狩りに敗北を喫している。

 

身長は168cmほど。

 

 

 

10話現在、

双剣、魔の技術を複合させた独自のスタイルで戦闘をこなす。

ドラゴン(オラージュ)の制御は修行中だが、エクセリアから教えられたことで直にマスターするだろう。

 

 

オラージュ

 

詩音が転生してから初めて受けた緊急クエストの行き先の、雷の島で見つけた竜の卵から生まれた銀鱗の竜。

 

『くぉん』という鳴き声で鳴く。

 

10話現在、体長は5mほどまで成長し、詩音を乗せて飛ぶことが出来るくらいには成長した。

 

本編にも書いたが、名前の由来はフランス語の雷雨を意味する"orage"。

 

非常に好奇心旺盛で、食いしん坊。

基本的には何でも食べるが、7話あたりで詩音が竜狩りに襲われ、オラージュの世話が出来なかった時、代わりに世話をしてくれた、エクセリアのお手製のフードを貰った時は、ただでさえ旺盛な食欲が3割増しで旺盛になっていた、というのは姫様の談。

 

 




設定は話が進み次第追記します。


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プロローグ 憧れていた世界へ

初めましての人は初めまして。
ソラ@姫キチです。
白猫作品を今まで読んできましたが、エクセリアがヒロインの作品がない、この現実をどうにかしたいと思い、投稿しました。
見切り発車気味かもしれませんが、エタらないよう頑張ります。
時間とアイデア、モチベがたまれば、そのうちR-18版も書こうかな、と考えてます。


僕の名前は、望月 詩音(もちづき しおん)。

どこにでもいる、高校3年生だ。

今日も退屈な授業を受けるために高校に向かう途中、僕の平凡な日常は180度方向転換することになった。

 

「今日も退屈だなぁ、白猫の世界なら退屈なんて無縁なんだろうなぁ…。」

 

僕は人気のスマホアプリ『白猫プロジェクト』のプレイヤーだ。

今日も爆死覚悟でガチャを回した時だった。

 

上空から降ってきた工事現場の鉄骨が僕の後頭部にクリーンヒットしたのだ。

 

「理不尽だあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

そう叫ぼうとした言葉は最後まで言い切られることはなく、僕の意識はプツッと途絶えた…。

 

 

 

〜謎の空間〜

 

「あれ?ここは…?」

 

「若人よ、申し訳ない!」

 

orz

↑このAAをそのままコピペしたような見事な土下座を決める謎の和服のちっぱい美人は

「誰がちっぱいじゃ!」

 

ズビシッ!

 

〜しばらくお待ちください〜

 

「と、つまり、あなたのミスで、本来なら死なないはずの僕が死んだので、そのお詫びに好きな世界に転生させてあげますよ、と?」

 

「あぁ、そうじゃ。して、そなたはどの世界への転生を望むのじゃ?」

 

「白猫プロジェクト!」

 

「早いのぅ、即答かえ?」

 

「もちろんです!僕の大好きなあの人に会えるチャンスですから!」

 

「ほう、あの人というのは?」

 

その問いに、僕はスマホの画面を見せる。

電波は圏外だが、待ち受けも、ロック画面も彼女で統一してある僕に隙はなかった←

 

「竜の国の王女の、エクセリア様です!」

 

僕の熱意に押され気味な女神様は、少し思案する表情をとると、こう切り出した。

 

「詫びの一つじゃ。そなたの望む、エクセリアと必ず接触できるよう、その可能性の世界に転生させてやろう。それ以外はそなたがどれだけ彼女を思うか、その思いの丈に応じた能力を授けようぞ。」

 

心の中で、あれ、これぶっ壊れフラグ?と思いつつ、僕は白い光に包まれた…。

 

 

 

目が覚めると、そこは見知らぬ海岸だった。

手元には、

2.5m位の長さを持つ蒼い斧槍、

五線譜に言葉が記された、楽譜のような一冊の本、

柄に青い薔薇の彫刻が施された一対の双剣、

虹色に輝く、六芒星の物体(いや、これは間違いなく虹のスタールーンだろう)が1ダース分、

白い光を放つ天使の羽のような物体、

生活道具一式、

それに、一通の手紙があった。

 

手紙を開く。

『まずは転生おめでとう、と言っておこう。そなたがいる世界軸は、白猫の本編開始の5年前じゃ。それに伴い、そなたの年齢も、本編開始に合わせて18歳になるよう設定した。まずは、そなたの手元にある白い物体について説明しよう。

これは空間のルーン。その名の通り、空間を作り出すルーンじゃ。

さらに、これは同時に何個もの空間を作り出すことができる。それぞれの武器の収納に役立てるといい。

続いて、武器の説明じゃ。

まずは斧槍。

これは竜牙槍グリフィス。サ○ン○イ○4の最強クラスの装備じゃが、チューンナップして、ドラゴンライダー用に改造しておいた。(笑)

次に本じゃが、これはミサレクイエム。T○シリーズの武器を拝借してきた。普通に強いが、召喚魔法は使えぬ。堪忍しておくれ。

最後に、双剣じゃが、これはスターリング・シルバーという私が創造した一点モノじゃ。水属性を持つ強力な代物じゃ。

では、異世界ライフを満喫するがよい。 神様より。』

 

…あれ、こんな至れり尽くせりでいいんでしょうか、僕は…。

 

 




ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
次の話から2、3話ほど、主人公最強化の道を辿らせます。
どのように最強にするかは考え中ですが、かなりえげつないスペックの持ち主になるかと思います。
それでは、皆さん、また次回お会いしましょう。


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修行編 〜そして彼はぶっ壊れる〜
★第1話 初めての戦闘(フルボッコ☆)


エクセリアとの邂逅まではなるべく間を空けずに投稿したいと思います。
戦闘描写がある回は★を付けます。


さて、まずは武器を使えるようにならなくては話にならないので、

早速双剣を構えて素振りをしてみる。

 

すると。

出来るではないか!

白猫で使っていたクロスセイバーと全く同じレベルの動きが!

すんなり使いこなせたことに多少落胆したが、それならもっと高位な動きを会得しようという、(抱かなくていい)欲望が芽生えた。

まずは、初速の動きの改善か?

抜刀速度を限界まで上げることで初撃の威力を上げることにした。

 

〜18ヶ月後〜

 

「ぜぇ、はぁ、ここまで出来れば納得かな?」

 

僕はこの世界に来てからというもの、修行に明け暮れていた。

ジャガーを狩り、肉を焼いて食べたり、(海で採った塩で味付けをしただけでも、ワイルドな肉の味が味蕾をノックし続け、すっかり好物になっていた。)森に生っている木の実を食べたり、と、食事にも気を使いつつ、いつか出会う愛しい(エクセリア)のことを考え、この世界の常識、礼儀作法を学んだり、と、かなり充実した日々を送っていた。

 

武器を扱う修行の方も、(やらなくてもいい)フォームの改善を重ね、既にクロスセイバーの皮を被った別の何かに変貌している事に気がつかないまま、休憩を取ろうとした矢先、そこに現れたのはコボルトの集団(あわれなぎせいしゃたち)

 

「早速使う機会が来るとはね…。ご愁傷様…。」

 

そう言って双剣のホルダーに手をかける。

 

「奥義・乱れ散々桜・双!!」

 

(無駄に)隙の無い(無駄に)洗練された(無駄に)過剰な威力の斬撃の嵐が止むと、そこには血の海に沈んだ大量のコボルト(だったもの)

が散乱していた。

 

あぁ、血腥い(なまぐさい)…。

 

基本的な各色のルーンはこの18ヶ月でカンストまで溜まり、ソウルボードは既に100LV4凸状態である。

 

さて、お次は魔法かな?

 

血で染まった双剣を双剣自体が持つ水の力で洗い流し、ホルダーにしまい、空間のルーンで収納して、本を取り出した。

 

魔法と一口に言っても、その種類は多岐にわたる。

攻撃魔法、回復魔法、付与魔法、特殊なものなら召喚魔法などもある。

僕は、攻撃魔法、回復魔法の2つを会得する事にした。

 

 

〜36ヶ月後〜

〜スキエンティア魔法学園〜

校長「卒業証書授与!」

 

 

〜2時間後〜

 

学術都市(スキエンティア)で学んだ3年間は非常にためになることばかりだった。

魔法の基礎から非常にコアな分野までひたすらに自己研鑽を続けた僕は、めでたく首席(黒魔術学科だったにも関わらず、白魔術学科の次席以上に回復魔法が使いこなせていたので教員として迎え入れたいとスカウトされたが、ここで(エクセリア)と出会うチャンスを捨てるわけにはいかないので、もっともらしい理由をつけて断った。)で卒業した。

 

そんなわけで。

 

今、僕はアクーア(かわいそうな被害者)の群れに囲まれていた。

この3年間の修行の成果を見せるには格好の相手だ。(無論、魔道士としての僕も、3年間で100LV4凸になった。)

 

爪を出して迫るアクーアの攻撃を紙一重でかわしつつ、詠唱を続ける。

「放て、魔力の大輪!マス○○○パ○○!」

 

と、一撃でアクーアの群れを蒸発させ、

僕はアストラ島へ足を向けた。

 




次回、いよいよ本編開始です。

早速色々ぶっ壊れスペックを見せてくれました詩音くん。
ちゃんとオリジナル技も出すので安心して下さい←


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★第2話 さあ、冒険の空へ

いよいよ、時系列が本編に入ります。
次の次くらいでエクセリアが出せるはずです。
では、
本編です。
↓↓↓↓


僕がこの世界に転生してから4年半の月日が流れた。

(無駄に)強力な奥義を2つも生み出した僕は、(やらなくてもいいのに)新たな必殺技を生み出そうとしている途中だった。

 

「この3段目の攻撃の直後までに無詠唱で双剣に属性付与を2回か…、あらかじめ無詠唱で唱えておけば間に合うかな?」

 

 

〜6ヶ月後〜

 

「出来た!さて、おあつらえ向きなモンスター(じっけんだい)は出てこないかな?」

 

物事というのは、都合のいいときは、とことんまで都合がよくて、

そう呟いた矢先にスケルトン(いけにえ)が現れた。

 

僕は心に秘めた思い(姫様への思い)を力に変えて、スケルトンに向かい、一閃、制御のために編み出した詠唱文を唱える。

 

双星(そうせい)煌めく(しろがね)の花よ、花蕾(からい)に秘めし想いの(しるし)、光輝く恒星となれ!

双星銀歌(アルジェント・アンセム)』!!」

 

「な、なんて威力よ、アレ…。」

 

「…!!」

 

「すごい…。」

 

おっと、ギャラリーが出来て…って、えっ!?

間違いない、白猫の主人公達御一行!!

 

「あはは、見られちゃったかー。僕の名前はシオン。シオン・モチヅキだよ。」

 

「わたしはキャトラよ!」

 

「わたしはアイリス、こちらはソラ。よろしくね、シオンさん。」

 

「…♪」

 

「うん、よろしく!」

 

赤髪(ソラ)、アイリス、キャトラとの挨拶を済ませ、飛行島へ向かった僕は、(さすがに飛行島が浮かぶ瞬間には立ち会えなかった。アイリスの話では、もう一刻(2時間)早く出会っていたら見られたかもしれない、と言っていた。)島にある一軒家に住まわせてもらうことにした。

 

島に住む主要な住人(ヘレナさんやバロンさんはもちろん、大工たぬきにまで挨拶をして回った。)

やっぱり星たぬきは可愛いなぁ。(ここにいるのは大工たぬきだが)

存分にしっぽやお腹をもふもふさせてもらった後、僕はヘレナさんからたった今入った緊急依頼を受けることにした。

 

雷の島で竜の卵が見つかったので、危険性を判断した後、然るべき対処をしてほしい、という依頼だ。

 

まさか、これが出会いのフラグ?

そう思った僕は、ソラやアイリスには依頼に出かけることを伝え(どんな依頼かという質問には緊急依頼だということだけを伝え、濁したが)、その依頼を受諾して、雷の島へ向かうことにした。

 

 

〜雷の島周辺〜

 

名前通りのすごい雷である。

魔法で落雷の対策をして、すっかり手に馴染んだ双剣(あいぼう)を装備する。

 

依頼人から話を聞くと、山の山頂にある洞窟で発見したという話だ。

標高2000mクラスの高い山、しかも島特有の気候の激しい雷雨。

 

初依頼にしてはかなりの高難易度だと今更ながらに思った。

岩山で崩れやすい斜面を慎重に歩きながら、襲いかかるモンスターを、山の斜面に衝撃を与えないように撃破していく。

 

そうして、山の中腹あたりに辿り着いた時、僕は1人の人影を見つけた。

 

今にして思えば、これは僕という存在をこの世界が受け入れるかを試す試練だったのかもしれない。

 

 

そして、もう1つ。

この依頼を終えた後、僕は運命を変える2つの出逢いを果たすことになる。

 

この時の僕は、まだ、何も知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

竜の卵→1人の人影
あからさまなフラグですねw

次回、戦闘回を挟んで、いよいよエクセリアが登場します!


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★第3話 戦い、そして、運命の邂逅

前の2話で修行の成果が出ていましたが、この話で更に詩音くんはチートに磨きがかかります←

それでは、本編へどうぞ
↓↓↓↓


目の前に現れた人影が振り返る。

 

「こんなところで、他の人間に出会うとは。珍しいこともあるものですねぇ。」

 

「あなたの名前は?」

 

「人に名前を聞く時は自分から名乗るのが筋ですよ?」

 

「僕はシオン。シオン・モチヅキ。冒険者だ。」

 

「ほう、シオンさん、ですか。生憎ですが、あなたに名乗るような名前は持ち合わせてはおりません、竜狩りとでもお呼びください。」

 

そう言って、竜狩りは山頂を目指して進んでいく。

 

取り留めもない話をしながら山頂の洞窟の前で、僕は竜狩りの前に立ちはだかる。

 

「ちょっと待って。僕はこの山頂にあるという竜の卵を調べに来た。そこに竜狩りが現れたという事は卵を破壊する気だろう?

依頼を遂行するためなら、僕はあなたと戦うよ。」

 

そう言って双剣を抜いて敵意を示す。

 

「ご明察。あなたの言う通り、私は卵を破壊しに来ました。

それを阻止すると言うのなら、あなたもあのドラグナーどもと同じです、死んでいただきましょう。」

 

そう言うが早いか、背中にかけた剣を抜き、凄まじい速度で僕へと斬りかかった。

 

その一撃を双剣で弾き、

無詠唱魔法で火属性を纏わせた片刃で反撃する。

 

「なかなかの反応速度だ。だが、遅い!」

 

そう言った竜狩りが僕の右手にあった双剣の片割れを弾き飛ばしたのは一瞬の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

が、全ては弾かせるための計算づく。

 

弾かせた双剣を魔力の糸で手繰り、その魔力の糸に纏わせた火を引火させて、竜狩りを包囲、そこに、雷の魔力を纏わせたもう片割れの剣を投擲。

落雷が威力を増大させた、雷の魔力の纏った剣は瞬く間に引火した魔力の糸を伝い、雷と炎を纏った糸が竜狩りを拘束した。

 

「な……に……!?」

 

「生憎、僕はそのドラグナーの1人の王女様に恋をしているんだ。彼女に仇なすなら僕が許さないよ。『火山雷(エシュベルク・サンダー)』!!」

 

トドメに無詠唱でチャージしていた極大複合魔法を放つと、竜狩りは声にならない叫び声をあげて、雷が止む頃には、焦げ臭い匂いだけが辺りを支配していた。

 

 

 

戦いが終わり、洞窟に入ると、凄まじい罪悪感と疲労が僕を襲った。

人を殺めてしまったというこの現実は、僕の足を止まらせるには十分すぎる精神ダメージを与えていた。

 

すると。

 

背後から背中を叩かれる感触が。

叩いてきたものの正体を突き止めようと、振り返ると、そこには今しがた生まれたばかりの幼竜が、僕を無垢な瞳で見つめていた。

 

涙が溢れる。

竜狩りはこの命を摘み取ろうとしていたのか。

僕はこの命を守ったんだ。

そう思うと、罪悪感は少しずつ薄れていき、生まれたばかりの命に祝福を送るべく、僕はその幼竜を抱き上げた。

 

「生まれてきてくれてありがとう。君が生まれたこの世界は危険がいっぱいある。僕をどう思っているのかは分からないけど、君が側にいる限り、僕は君を傷つけさせないからね。」

 

そう言って、幼竜を撫でる。

 

くぉん、と無垢な産声をあげたその竜は、近い将来、詩音のかけがえのない相棒となって、空を駆けるのだ。

 

団欒の時間が流れていき、夜が明けると、雨上がりの空が僕たちを迎えてくれた。

 

 

 

 




人を殺める描写って何度書いても慣れないですorz

シオンにやっとドラゴンのパートナーが出来ました!

次回、姫様との邂逅です!


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第4話 ずっと、ずっと会いたかった人

いよいよ姫様登場です!

本編へどうぞ
↓↓↓↓


帰り道、幼竜と共に下山して、依頼人に報告をした後、僕は一路、竜の国へ向かうことにした。

船にあったルーン通信機で飛行島にしばらく帰ってこないことと、依頼内容を黙っていた事への謝罪を伝え、疲労を癒すべく、店内の売店で買った食料を幼竜に与えて、扉に鍵を掛けてベッドで横になる。

 

2日間の船旅を終えて、竜の国の関所で雷の島で幼竜を保護したので、竜の生態を勉強するために来たことを伝えると、学校に案内された。

 

ドラグナー養成学校の校門を潜り、理事長室に向かうと、そこには見覚えのある、いや、愛してやまない彼女と、そんな彼女の護衛、兼指南役の2人の姿が…!

 

僕は深くお辞儀をして、自己紹介をする。

「は、はじめまして! 雷の島で幼竜を保護した、シオン・モチヅキと申ひまひゅ!」

 

か、噛んだ…。死ねるorz

 

そんな、噛み噛みの自己紹介を終えると、2人は自己紹介を返してくれた。

 

「俺の名はゲオルグ。ゲオルグ・ランディルだ。竜の国竜騎士団の騎士団長であり姫様の護衛と指南役を務めている。シオンと言ったか。関所の者から話は聞いた。だが、あの島の竜の卵は竜狩りに狙われていたはずだが…。」

 

「その…。」

 

重い口を開く。

 

「僕はその竜狩りを殺しました。この幼竜はその竜の卵から生まれた幼竜です。」

 

 

その言葉にゲオルグは驚きを露わにする。

 

「彼らはその身1つで竜と渡り合う戦闘のエキスパートだぞ。お前の力、いつか見せてくれ。」

 

そう言い残して立ち去ろうとした、ゲオルグを呼び止める声が。

 

「待って、ゲオルグ。」

 

「姫様?」

 

「あなたがこの命を守ってくれたのですね…。可愛い女の子ですね…。ラピュセルともいいお友達になれるかしら…?

…シオンさん、竜の国の王女として感謝します。私はエクセリア。エクセリア・クルスです。」

 

そう言って、手を差し出してくれた。

 

「はい。えっと…、」

 

「姫様と呼べばいい。」

 

ゲオルグの助言に従い、その手を握る。

 

「お会いできて光栄です…、姫様…」

 

ダメだ、姫様の姿を直視出来ないくらいに自分の顔が真っ赤に染まっている。

 

「そんなに畏まらないで大丈夫ですよ…?」

 

違う、でも言えない。

姫様と握手をしてどうしようもなくドキドキしているだなんて…!

 

「ほら、顔を上げて下さい?」

 

その言葉に後押しされて、顔を上げた。

 

 

あぁ、ずっとずっと会いたかった人が今、目の前で僕に微笑み掛けている……!

 

その事実がどうしようもなく僕の胸の鼓動を早めていく。

永遠とも思えた時間は、しかし、あっという間に過ぎ去っていく。

 

「では、行きましょう、姫様。」

 

「ありがとう、ゲオルグ。シオンさん、頑張って下さいね。」

 

去り際に再び微笑み掛けてくれた姫様。

 

あぁ、どうしてこんなにもこの人は僕の心を捉えて離さないのか…。

 

真っ赤に染まった顔を隠すこともできないまま、僕と姫様の初対面の時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

やっと姫様を出せた…!

次の話からはオリ展開のドラグナー養成学校編に入ります。
ドラグナー養成学校編が終わったら、divine dragon's saga編に入ります。

UAが早くも800突破しました!

それだけたくさんの人に見ていただけてとても嬉しいです。

感想、誤字の指摘、ご意見など、ございましたら、遠慮なくお寄せください。

ではまた、次話でお会いしましょう!


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ドラグナー養成学校編 〜そして彼はドラグナーになる〜
第5話 入学前日


ドラグナー養成学校編に入ります。
学校への編入自体は次回ですが、ちょっとした説明回+αとなっています。

では、本編へどうぞ
↓↓↓↓


夢のような姫様との邂逅のひと時をしっかり脳に焼き付けた僕は、担任の教師に寮へ案内された。

明日からの編入ということらしい。

 

自室の鍵を渡され、ここでの簡単な規則を教えてもらい、学校の時間割を渡された。

 

コマ割りは90分らしい。

 

8:00から25分はホームルーム。

その後、8:30から1時間目、竜の生態やドラグナーのとしての心得、さらに、実践的な内容として、防衛戦、殲滅戦などのシミュレーションを行う。

 

11:30からの2時間目は一般教養の時間らしい。基礎計算やこの世界での公用語の読み書きだ。(ただ、神様がくれた能力であろう自動翻訳のせいである意味、ライティングが不安要素なのは言うまでもないが。)

 

その後昼食を取り、2:00からの3時間目、4時間目は戦闘訓練。

ドラグナーに欠かせない竜槍術や、魔術の素養がある生徒は魔術の訓練、竜槍や魔術の他にも得意な武器があるのなら、この時間で技能を磨くことも出来るらしい。

 

その後、簡単に掃除をして、ロングホームルームをしたら1日は終わりだ。

これからの1年間、ここで学んでいくことになる。

 

寮の自室で寛いでいると、寮母の人から一通の手紙を渡された。

 

王家の紋章の封蝋(シーリングワックス)を見て、一瞬驚きはしたが、無類の竜好きなことで知られる姫様だ。

まだ名前は付けてはいないが、この幼竜についてのことが書いてあることが、なんとなくだが想像はついた。

 

『シオンさんへ

あの時お話しそびれてしまったのですが、その幼竜には名前をつけていないと思います。

なので、なるべく早めに名前をつけてあげてください。

名前をつけ、その名前で呼んであげることで、ドラグナーに欠かせない、竜と人の信頼関係を育むことに繋がります。

シオンさんとその子の間には刷り込み(インプリンティング)が成立しているみたいなので、その子が成長して、幼竜から小竜になる前に、名前をつけてあげることはとても重要なのです。

それでは、1年間、頑張って勉学に励んで下さい。陰ながら応援しています。

エクセリア』

 

 

手紙に目を通すと、大事なことが書かれていた。

名付けの重要性、それに、この子の間に刷り込みが成立していたことを教えてくれた姫様に感謝しながら、この幼竜の名前を考えることにした。

 

姫様が、この子が女の子であることを一目で見抜いたので、性別について悩む必要が無くなった(手紙のみならず、そういった点でも姫様へは感謝してもしきれない)。

 

さて、どんな名前にしようか。

 

雷の島で出会ったので、雷に因んだ名前にしたい。

 

かつ、女の子の名前なので、響きのいい名前にしたいと考え、候補を考えてみる。

 

グローザ?

却下だ。黒の勢力(後にソラ側に着くが)と同じ名前は避けたい。

 

ロクなアイデアも出ないまま、3時間が経とうとしていた。

 

その時、僕の頭にヒラメキの電流走る…!

 

オラージュ?

 

前にいた世界の知識だが、フランス語で雷雨という意味だ。

 

試しに幼竜をその名で呼んでみる。

 

「オラージュ!」

 

そう呼ばれた幼竜(オラージュ)は、嬉しそうに尻尾を振りながら飛んでいき、僕の肩に乗って、くぉん、と鳴いた。

 

気に入ってくれたようで良かった。

 

僕は、幼竜(オラージュ)の名前が決まったことを姫様に伝えるために一筆認める(したためる)ことにした。

 

『姫様へ

大事なことをお教え頂き、ありがとうございました。

自分なりに考えて名前を付けた結果、オラージュという名前になりました。

姫様が一目でこの子の性別を見抜いてくれたことと、名付けの重要性を教えてくれなければ、この子の名前が決まるのはもっと後になっていました。

繰り返しになりますが、大事なことをお教え頂き本当にありがとうございました。

シオン』

 

 

 

寮母の人に出かけることを伝え、王城の守衛に事情を話してしばらくすると、ゲオルグさんが城内から出てきた。

 

「シオンか。姫様への手紙を渡してほしいと言ったな。

中身を見させてもらうぞ。」

 

そう言って、ゲオルグさんが目を通す。

 

しばらくして、ゲオルグさんは渡しても構わないという結論に至ったのか、城内へと戻っていく。

去り際に、

「手紙は姫様に俺から渡しておこう。元気でやれよ、シオン。」

と、言ってくれた。

 

手紙をちゃんと渡して貰えることに安堵しながら、僕は暗くなりかけた寮への道を駆け出していった。

 

 

 

 

 

 

 




ここまでお読みいただきありがとうございました。
UAがまさかの1000オーバー…!
驚きました。
とても驚きました。

因みに、本文中のオラージュの名付け候補に出た、グローザですが、
白猫のキャラで適当に選んだわけではありません。
ロシア語で雷雨が гроза(グローザ)なのです←


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★第6話 1学期 居場所は自分の力で勝ち取るもの

養成学校編、今話から本格的に始まります。
前話含めて4話くらいを予定してます。


自室に戻り一夜を明かすと、太陽はまだ日の出から間もなく、綺麗な朝焼けが窓から見えた。

教科書、ノートの類を空間のルーンに仕舞い込み、朝食を取ることにする。

焼きたてのパンの芳しい香りと、厨房から漂う、スパイシーな香りに誘われてダイニングに向かうと、これから1年を共にするドラグナー候補生の姿が見えた。

 

「あっ、あいつだ、噂の転入生!」

 

知らぬ間に噂になっているみたいだ。

 

「姫様と握手したという羨ましすぎる経験をしたラッキー野郎!」

 

「よし、決めた、午後の戦闘訓練でボコボコにするわ、俺。」

 

「協力するぜ、俺も妬ましいと思ったw」

 

散々な言われようだ。

しかもボコボコにすると出た。

ならば、反抗する気も起きない程に叩きのめそうか。

ただ、なるべく波風立てないで済ませたいが。

 

とりあえず、彼らの噂話は聞き流した。

ただし、彼らが口を滑らせた、武器や、戦術のプランはしっかりと頭に刻み込んで。

 

彼らが朝食を食べている間に僕は朝食を済ませ、一足早く校舎に入り、準備を整えた。

 

早めに出たおかげで、予習をしっかりして1、2時間目の授業に備えることが出来た。

 

ホームルームが始まると、案の定、質問責めにあった。

これはどこの世界でも共通事項だろう。

差し障りのない回答をして、(ただし、好きな人の質問には、名前は伏せるが、とても身分の高い人でまず叶わない片思いだと答えた。氷の国のソフィ王女あたりと誤解してくれたなら助かる。)

 

 

1時間目が始まり、竜の生態をしっかりノートに書き留め、戦術や陣形の利点と欠点を上げる質問には、予習して理論武装をした甲斐あって、

及第点の回答にまでは漕ぎ付けた。

前の世界でいう、ランチェスターの法則や、戦闘ドクトリンをしっかり学ばなければならないな、と痛感した。

 

2時間目の一般教養はもう、こちらの独壇場だ。

前世では、偏差値60後半の高校でこの世界に来るまでの2年間、学年トップ10から落ちたことはなかった。

不安要素だったライディングは、姫様に手紙を書いた経験が活きたのか、思いの外簡単にマスター出来た。

数学の方は、基礎クラスの四則演算を、ものの4、5分で解き終え、先生から寝ている暇があるならと渡された、

(先生曰く超難問揃いだから終わらなくても構わないと言われた)

三次方程式、漸化式、微分積分などがびっしり書かれた問題プリントをスラスラと解き進める姿に、先生からの評価も少し上がったみたいだ。

 

終業のチャイム(拡声のルーンを使っているらしい)が鳴り、昼休み。

カフェテリアでファース島風のハンバーガーを食べ、(ジューシーなハンバーグ、とろりととろける濃厚なチーズ、瑞々しい新鮮なトマト、シャキシャキと快音を奏でるレタス、隠れた名脇役のピクルス、フルーツベースの甘さの中に緻密に計算された配合のスパイスによる辛味が絡み合うソース、それらを包みこむふわふわのバンズ、その全てが渾然一体となって僕を襲い、1つで済ませるつもりが、おかわりして2個分のゴールドを使ってしまった。)

 

そして、昼休み明けの戦闘訓練。

トラブルはその時に起こった。

 

任意に相手を選び模擬戦を行う時間。

朝の噂話の連中が僕を取り囲む。

 

「「「オヒメサマ直々に期待されてるその実力、しかと見せてもらうゼェ!」」」

 

そう言うが早いか、左から斧、槍、剣を構えた3人が一斉に攻撃を仕掛ける。

一番出の早い剣の一撃を双剣で弾き、斧の攻撃を3歩分のバックステップでかわして槍の攻撃もまとめて回避、走り込んで突撃を仕掛けてきた槍使いを蹴り飛ばして、続けて攻撃して来た剣使いと衝突させる。

そのまま、最後に残った斧使いを双剣のラッシュ攻撃で翻弄して喉元に双剣の切っ先を突きつける。

 

1対多の戦闘なんて5年の修行の間に何千回も経験している。

スキエンティアの魔法学園に通っていた頃も、暇を見つけては魔物狩りをしていた。双剣修行の時もそうだ。この5年の修行という経験は僕の戦闘能力を前世の何十倍というレベルで向上させていた。

 

僕に完膚なきまでにフルボッコにされた彼らは、以後1ヶ月の間、僕のことを師匠と呼び慕うようになった。

が、正直鬱陶しさを感じ、師匠と呼ばないことと、今後ちょっかいを出さないようにお願いをし、代わりに、寮で宿題をやる時と、座学の時間にちょこちょこアドバイスを送って、彼らの成績を上げる一助となることで和解をした。

 

この学校、成績が優秀であれば1年で卒業出来るが、平凡な成績の者は2年次へ、2年次で一定の成績を残せば卒業、不出来な成績の者は留年、留年が2年続くと退学という、独特なシステムになっている。

 

そんな養成学校での日々は過ぎていき、あっという間に夏休み。

山のような宿題を両手に抱えた3人組(名前は、斧使いはアルク、槍使いはラース、剣使いはウォードというらしい。入学した年に3人揃って留年をしてしまい、それがきっかけで仲良くなったとか。)と、空間のルーンに宿題をまとめて突っ込んだ僕は他愛ない雑談をしながら寮への道を歩いていく。

 

後で教師から聞いた話だが、3人組がまとめて僕に戦いを挑んだ日、姫様とゲオルグさんが視察に訪れていたらしい。

 

その事は彼らには内緒にしておく。

僕がフルボッコにする様子を姫様やゲオルグさんに見られていたと知ればひどく落ち込むことが容易に想像がつくからだ。

 

 

 

 

 

 

 




かなり長くなってしまった…。

1学期が終わり、次回は2学期、そして、オラージュにも変化が…?

次回をお楽しみに!


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★第7話 夏休み 平和を脅かす者たち

夏休み編です。
ドラグナーと竜狩りとの戦いにシオンも巻き込まれていくことになります。


夏休みの宿題を僅か3日で片付けた僕と、僕のアドバイスとスケジュール管理の結果、2週間で終わらせるという奇跡を成し遂げた3人組(あの一件以来、友達と呼べる関係になった。)は、最後の課題(とはいえ、自由課題なので任意の参加なのだが)を終わらせるため、古き竜の住まう山へと出かける事にした。

本来なら僕は参加する必要はないのだが、(将来のパートナーとなる竜を探すことが課題なので)3人組に万が一のことがあっては嫌なので同行する事にした。

 

そういえば、手紙を渡して以来、王城へ行くことはなかったため、姫様やゲオルグさんには会えていないが、元気にしているだろうか。

 

そんなことを考えながら、山道を進むと、何故だか火薬の匂いが鼻を突く。

3人組に下山指示を出し、彼らが退避したのを確認して下山しようとしたのだが、運悪く3人組のうちの槍使い(ラース)がこの現状を引き起こした元凶と鉢合わせてしまい、退避が出来なくなってしまった。

 

すかさず、斧使いのアルクと剣使いのウォードはラースを救出しようと、元凶に立ち向かうが、ラースを人質に取られ、攻撃するに出来ない状況になっていた。

 

僕は、ノートを取り出し、空白のページに自分の魔力をインク代わりに文字を書き、人質に取られているラースに指示を飛ばす。

 

『←てげ下を頭ぐすらたえ見が光力魔らかるす撃攻で法魔を奴るてえら捕今←

分かったら「師匠」と叫んで!』

 

「師匠!」

 

理解したらしい。

ラースを巻き込まないよう、魔力を矢の形状に変えて撃ち出す。

「『マジックアロー』!!」

 

完全に不意打ちのタイミングで飛来した魔法攻撃に、その元凶はラースの拘束を解き、慌てた様子で回避する。

 

3人組の退避が済んだことを確認し、いざ、僕も帰ろう、としたその時、僕の体は地面に叩きつけられていた。

 

「がはっ…!」

全身が激しい痛みに襲われる。岩肌が皮膚を切り裂き、結構な量の出血もしている。

 

「雷の島ではやってくれたなぁ。お前だろ。俺たち竜狩りを殺した冒険者というのは。」

 

「まぁね。」

 

「仇討ちだ。悪く思うなよ。こう見えて、俺たちにも仲間意識というのはあるんでね。」

 

そう言った竜狩りの大剣が僕の首を落とそうとした、その瞬間。

 

 

「『ディヴァインアウラ』!!」

 

「『竜王炎舞刹』!!」

 

愛しき姫君と、頼れる騎士団長は颯爽と僕の元へ現れた。

 

「言いたいことは山程あるが、まずはこの危難を凌いでからだ。姫様のいるあたりまで下がれ。傷も少しは癒えただろう。」

 

確かに、歩けないほどではなくなった。

ラピュセルの放った光が僕の傷を癒したのだろう。

 

 

「すみません、ありがとうございます…!」

 

「礼なら後で聞く、早く退け!」

 

この後のことはあまりよく覚えていない。

姫様とゲオルグさんが竜狩りの連中を追い払い、竜の背に乗せられたところで意識が飛んだからだ。

 

3日後、僕はやけに天井の高い部屋で目が覚めた。

 

「気がついたようですね。シオンさん?」

 

「えっ、あっ、…姫様…?」

 

「はい、ゲオルグを呼んでくるので少し待ってて下さい。」

 

「わかりました。」

 

しばらくして、ゲオルグと共に、姫様が戻ってきた。

 

そして、部屋に来るや否や、ゲオルグさんは。

 

「馬鹿野郎!!!」

 

思いっきり拳骨をくれた。

 

「ぎゃあ!!」

 

ジンジンする頭を押さえながら、続く言葉を待つ。

 

「俺と姫様が来たから助かったようなものだ、来なかったら、今頃お前は死んでいたぞ。

確かに情報統制を敷いて、竜狩りの襲来を隠していたのはこちらの責任だ。

だが、そうでなくともあの場所は危険地帯だ。授業で教わっただろう。

下手をすれば四人の人命が失われていたんだぞ!?

実力を過信して、身の丈に合わない場所へ行くのは馬鹿のすることだ。1つ聞くぞ、お前は馬鹿か?」

 

「いいえ、馬鹿ではない、と思いたいです。」

 

「ならば、実力を考え、何があっても無事に帰還できる場所を選ぶんだ。安全マージンを置け、ということだ、分かったか?」

 

「はい。」

 

「なら、俺からは以上だ。あと、姫様にも感謝をしておけよ。お前の意識が戻るまで、お前の寮にいる幼竜の世話をしてくれたのは姫様なのだからな。」

 

「そうだったのですか…。姫様、本当にありがとうございました。

ゲオルグさんにも、姫様にも、大変ご迷惑をお掛けしました。」

 

「あっ、オラージュちゃんのお世話は私が好きでやったことですから…。」

 

「いえ、それでも、3日間オラージュをお世話してくれて助かりました。」

 

「気にしなくて大丈夫ですよ。

…それにしても、オラージュちゃん、綺麗なアメジストのような瞳ですね…。それに、光を浴びて輝く銀色の甲殻、まるで神話の戦女神のような美しさです…!

やはり白竜とは違った魅力に溢れていますね!

あっ、白竜のラピュセルは私の妹のようなもので、少し人見知りな所がありますが、一度、ラピュセルと一緒にオラージュちゃんを見に行った時…(ry」

 

部屋から出て行こうとしたゲオルグさんがため息をついたのを僕は見逃さなかった。

 

僕がお辞儀をした時の手(両手を合わせた状態)を両手で被せるように握り、キラキラと目を輝かせてオラージュやラピュセルの魅力を語る姫様。

正直、凄く可愛い。しかも顔が近くにあるため、必然的に姫様を見つめることになる。

 

当然、その可愛い口撃に耐えられるわけもなく、真っ赤に染まった顔で姫様の話を聞いて、およそ15分。

 

「あっ…、私ったらまた…!ごめんなさい、シオンさん…。」

 

顔から湯気が出そうなほど紅潮した僕へ会釈して、姫様は部屋から出て行った。

 

早まる心臓の鼓動が治まるのを待って、謁見の間に赴き、3日間お世話になった事への感謝を伝え、僕は王城を後にした。

 




戦闘描写が思いの外長くなってしまったので、
4話の予定が1話伸びて5話になりますorz
前話で予告したオラージュの変化は次回、明らかにします!

これからもエタらないように頑張ります。
ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました!

また次回お会いしましょう!


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第8話 2学期 テスト期間、僕と友人の奮闘

投稿遅れてすみません。

誕生日に買った白猫のファンブックを読み耽っていたのと、ミステリーランドの攻略に夢中で、執筆作業をサボってました、すみませんorz

探偵ガチャは24連回して、ツキミ、マリー、ネモが当たりました←

では、本編へどうぞ
↓↓↓↓


寮へと戻った僕を最初に迎えてくれたもの。

それは、男泣きをしながら僕を迎える3人組と、鼻腔をくすぐる芳醇な薫りを放つ特盛のカツカレーだった。

 

「生ぎで帰っでぐれで良かっだあああぁぁぁ!!!」

「お前が死んだら俺、後追っでだどごろだよおおおぉぉぉ!!!」

「俺達のだめにがらだをばっでぐれでありがどううう(体を張ってくれてありがとう)ぅぅぅ!!!」

 

泣きじゃくる彼らの背中をさすって、落ち着かせてから、一言。

「ただいま!」

 

「「「おかえり!!!」」」

 

 

 

 

月日というものは早いもので、この3日の間に夏休みは終わってしまい、いよいよ、明日からはテスト期間が始まる。

戦闘技術以外の全てのテストがあり、それが卒業、進級、留年の大まかな目安となるらしい。

戦闘技術のテストは3学期の期末に行われる。3月上旬に予定された、竜騎士団との模擬戦がそれにあたる。

 

自室に戻り、オラージュと夜のお散歩をすることにした。

この3日間、お世話をしてやれなかった事へのお詫びだ。

 

「くぉーん!」

楽しそうに雷の球を飛ばしながら空を飛び回るオラージュ。

拾った時の2.5倍位の体長になった(原作のゲームで言えばフィーユくらいか)彼女(オラージュ)は子竜の仲間入りを果たしていた。

 

コボルトや、マッチョバードといった、雑魚掃除をオラージュと一緒に行っているうちに、自然とコンビネーションも身につき、2時間くらい経つ頃には、オラージュが雷の球で感電させたところを双剣で攻撃、といった基礎的な共闘戦術を確立させるまでになっていた。

(しかも驚いたことに、オラージュの雷撃は数種類のパターンがあり、その中には、こちらの敏捷性を上げるもの、消費魔力を抑えるものなど、双剣と魔道士の両面で、補助効果付与(バフ)が出来ることを発見したのは大きい収穫と言えるだろう。)

 

 

 

消灯時刻の23時に間に合うよう、少し急ぎ足で寮へ戻ると、3人組は頭を抱えて唸っていた。

 

「どうしたの?そんなに頭抱えて…?」

 

「師匠…、1836騎の竜騎兵、6372人の歩兵、2481人の魔道兵を、平等になるよう、3個小隊に分けた場合、それぞれの兵士の内訳と、兵士の割合ってどう求めるんですか…。

それに、小数点第2位で四捨五入って何度も聞いたのに理解出来ないんですが…。」

そう聞いてきたのはアルクとウォードだ。

ラースはどうしたのかと聞いてみると、数学は得意なので共通語を猛勉強しているそうだ。

 

「じゃあ、まずは、平等に分けようか。」

 

1836÷3

6372÷3

2481÷3

をそれぞれ計算させ、

1836÷3=612

6372÷3=2124

2481÷3=827

の値を求める。

これが兵士の内訳。

 

その後は割合の計算で、

まずは合計を求めて、

612+2124+827=3563

そうしたら、

612÷3563×100=17.17...

2124÷3563×100=59.61...

827÷3563×100=23.21...

と値を求め、

小数点第2位で四捨五入すれば、

竜騎兵 17.2%

歩兵 59.6%

魔道兵 23.2%

の答えが出る。

 

この説明を15分で解説し、数字を変えた別の問題を同じやり方で解かせて、正解したようなので、ラースの共通語の方へ向かうことにした。

 

「あっ、師匠…。」

見ると、ラースは暗記カードを自作して勉強している途中だった。

 

「あー、間が悪かったね…。温かい紅茶でも持ってくるよ。」

 

僕とラースで数学をアルク、ウォードに教え、共通語は逆に教わり、を繰り返すうち、時計を見ると深夜1:30。

寝ることで記憶を定着させるんだ、という前世の知識を与え、僕達は万全の体制でテストに臨むことが出来た。

 

 

翌日以降の兵法論などでも、苦手な部分を相互指導→睡眠による記憶の定着という勉強法をテスト期間中、徹底した結果、前年度に留年した3人組と(教えてはいないが)異世界人の僕が成績TOP4を独占し、

しばらくクラスの人気者となったのはまた別の話。

 

 

 

 




ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

投稿遅くなり、本当にごめんなさいorz

エタらないよう頑張りますが、これからもこのようなことが頻発すると思います。
感想、評価、毎度有難く読ませてもらってます!

また次回お会いしましょう!


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★第9話 3学期 この力、示すとき

養成学校編最終話です。
シオンとオラージュの初陣は次章になる予定です。

今話はゲオルグとの模擬戦と、次章の繋ぎになります。
では、本編へどうぞ。
↓↓↓↓


定期テストから数ヶ月。

いよいよ明日は模擬戦の日である。

オラージュの成長速度は日毎に増し、模擬戦の一月前には僕を乗せて飛べるくらいにまで成長したので、誰にも言わないことを条件に3人組に打ち明けた。

 

それを聞いた3人組は、

「「「さすが師匠だぜ!!」」」

「そっか、だから転入初日に姫様と言葉を交わしていたのか…。」

「竜の卵を見つけるなんてすげー幸運だな!」

「俺も自分の竜を見つけたいぜ!」

 

と、僕への畏敬の念をより高めてしまうことになった。

 

さて、模擬戦なのだが、1年次の成績TOP5名と、2年次の成績TOP5名の計10名で行われる。

 

それ以下の成績の生徒は、竜騎士団とではなく、生徒同士のトーナメント式で行われる。

 

対戦相手はくじ引きで決まり、前日、くじ引きを引いた僕は戦慄した。

ゲオルグ・ランディル

こう書かれたくじを持って席に戻るなり、3人組から

「師匠、引き良すぎます(笑)」

と、肩をポンと叩かれた。

 

ちなみに、模擬戦で勝利を収めた人は、9年前にゲオルグさんが成し遂げたのが最初で最後らしい。

やはり、あの人は凄かった。

でも。

越えるんだ。

姫様に少しでもお近づきになるためには、最低でも相討ちに持ち込みたい。もちろん勝ちに行くが。

 

そんな決意を固め、武器の手入れとオラージュの世話を終えた僕は、明日に備えることにした。

 

 

そして、迎えた当日。

 

例年通り、誰も勝者が出る事はなく(アルク、ウォードはなす術なく敗れたが、ラースが思いの外善戦して会場を沸かせた。)

 

そして迎えた僕の出番。

 

対面したゲオルグさんは、

「まさか、この場でお前の力を直接見ることになるとはな。白けさせてくれるなよ。殺すつもりで来い。」

 

と、意外そうな顔をしながら自らの得物(フレイムフューリー)を構えた。

 

一歩引いた位置で僕の得物(スターリング・シルバー)を構え、相対する。

 

審判の声が鋭く響き、僕とゲオルグさんは雄叫びを上げて駆け出した。

 

最初の一撃を後退して躱し、アサルトエッジを投擲する。

 

しかし、その一撃は振られた斧に遮られる。

 

続け様に振り回される斧を掻い潜り、高く飛び上がり、魔力を双剣に込めて、詠唱する。

 

「凍てつけ、刀身(やいば)籠る(こもる)(しぶき)よ。死線を越える糸口となれ!『晶碧守護(ジュ・ラ・プロテージュ)』!」

 

僕を守るように覆う氷の壁をゲオルグさんが斧の一撃(竜爆陣)で叩き割った直後、再び、アサルトエッジを砕ける氷に紛れ込ませて投擲、大部分は躱されたが本命のアサルトエッジは何とか命中し、そのままアサルトコンボを叩き込み、スキルの威力強化に成功した。

 

「やるな、シオン。ここまでやれるとは思わなかったぞ。」

 

そう言った直後。

ゲオルグさんが今までに見せた事のない好戦的な目付きで猛攻を仕掛けてきた。

見切ることに全神経を傾け、ひたすらに攻撃を躱すが、とうとう武器を弾き飛ばされてしまう。

これはマズい。

 

僕は最後の手段に打って出る。

双剣が無くとも撃てるが、双剣という媒体がない状況で撃つのは初めての大技に全てを賭けることにした。

 

「『新星光華(ノヴァーリス)』!!!」

 

刹那、眩い紺碧の光が会場中を覆い、僕は意識を手放した…。

 

 

 

 

2時間後、僕は医務室で目が覚めた。

隣にはゲオルグさんが。

 

「ふっ、ははははは!まさか俺が医務室送りになるとは思わなかった。大したものだ、これからも精進しろよ。」

 

と、医務室に駆け込む4人の人影が。

 

3人は分かる、いつもの3人組だ。

 

「師匠!!!大金星でしたね!」

 

では、もう1人は?

 

そう、そのもう1人は。

 

「ゲオルグ!?シオンさん!?大丈夫ですか?」

 

びっくりした表情で駆け込んで来た姫様だった。

 

姫様、会場にいらしたのか…。

 

「師匠、会場中で話題になってますよ?騎士団長と相討ちした生徒は誰だ!って。」

 

そりゃ、そうもなるか…。

 

「姫様、ご心配お掛けしました。」

 

「ええ、すごく心配しました。」

 

そう言って、ジト目でゲオルグさんと僕を見つめる姫様。(ただ、可愛いので怒られている気にならないのだが。)

 

「その、ごめんなさい、姫様…。」

 

「お前は謝らなくて良いんだぞ?」

 

そんなやり取りの間に、3人組は姫様に敬礼をして寮へと戻っていった。

 

「いえ、姫様に心配かける要因を作ったのは僕なので…」

 

「ともあれ、あの竜狩りの件からよく学んだな。」

 

「ええ。ああいう危険地帯でも安全マージンを取れるくらいに強くなるために、戦闘訓練が終わった後も1人で魔物退治してました。討伐クエストを受注したりもしましたから。

だって、僕自身が強くならなければ、大切な人を守れませんから。」

 

そう言って、姫様に視線を向ける。

 

やらかした、目線が合っている…。

 

「あっ、シオンさん…、その時は頼りにさせて貰いますね…?」

 

照れてる姫様、可愛い…、可愛すぎます…!

 

ゲオルグさんの目が怖い。

「俺の目があるうちは姫様に手は出させないからな。」

 

「だ、大丈夫ですから!」

まぁ、いつか特別な関係になりたいとは思っているけれどね!?

 

「あっ、意識もはっきりしましたし、僕は行きますね!?」

 

「教師が言っていたぞ。医務室行きの者は翌日以降、個別で総評を行うと。」

 

そう言われた直後、扉が開き、

「ゲオルグ様、シオン様、翌日には退院許可が下ります。本日はこちらでお休み下さい。」

と、ありがたい報告を最悪のタイミングで受け取ることとなった。

 

「あっ、でしたらシオンさん、今日はオラージュちゃん、私が見ますね?」

「姫様、ありがとうごじゃいまひゅ!」

また噛んだorz

 

教師と医師に、二重で釘を刺され逃れられない状況で、秘密にしたい感情が姫様に露呈しかけてしまい、さらには修正の効かないカミカミの感謝で真っ赤な顔を2人に見られながら、僕は、姫様が城に戻るまでの半刻を、天国のような針の筵で過ごすことになった。

 

翌日の1日分は休暇扱いにすると、連絡されていたので、明日はゆっくり休もう…。

 

姫様が病室から出た半刻後、僕は微睡む(まどろむ)意識に身を任せた…。

 




ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

模擬戦で、ほとんどの生徒は自分の竜を見つけていないという都合上、茶熊版の斧装備のゲオルグさんにしました。
ドラライ版は次章で姫様と一緒にたっぷりと出しますので!

いよいよ、次回からdivine dragon's Saga編に入ります!
一番書きたかった所なので、気合い入れて書いていきます!

10話位かかると思います。
R-18版の方も少しずつ構想を練って、divine dragon Saga編が終わったら、本格始動していこうと考えてます!

では、また次回お会いしましょう!


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Divine Dragon's Saga編 〜そして彼は決意する〜
第10話 ただいま! 飛行島


いよいよ、Divine Dragon's Saga編に入ります。
次の話から本編に入るので、この話はインターバルにあたります。

では、どうぞ
↓↓↓↓


迎えた卒業式当日。

僕と、3人組は無事卒業を果たし、3人組は見習いの竜騎士として兵舎に入ることになった。

僕は飛行島へ戻ることを告げると、最後の思い出作りとして、ルーンカメラで集合写真を撮った。

その写真を4枚に焼き増しして、4人で円陣を組み、ずっと友達でいることを誓い合った。

 

 

翌日、寮の掃除を終えて、王城に向かうと、たまたまゲオルグさんと姫様と鉢合わせた。

 

「ゲオルグさん、姫様、一年間、とてもお世話になりました!」

「礼なら行動で示せ、その実力に満足せずに研鑽しろ、それを礼として受け取っておく。」

「オラージュちゃんの事で困ったらまたいつでもお手紙送って下さいね? 私に出来ることならお手伝いしますから。」

「姫様、ありがとうございます!」

 

2人に飛行島に戻ることを伝えると、関所まで見送ってくれた。

 

 

飛行島に戻って3日後、僕はオラージュに乗って戦う練習を始めた。

無論、キャトラや、ソラに気づかれないよう、夜明け前の深夜や、みんなが出払っている時間を使って。

 

竜槍の扱いは養成学校で習った経験が活き、すんなりと基礎をマスターすることが出来た。

 

あとは、オラージュの制御だが……。

 

「くぉーん!」

 

右に。

 

「くぉぉ!」

 

左に。

 

「くぉ?くぉぉ!」

 

いきなり急上昇。

 

「くぉー、くぉん!!」

 

かと思いきや、急降下。

 

と、好奇心旺盛すぎるオラージュに手を焼いて、制御はなかなか上手くいかなかった。

 

姫様なら対処法知っているかな、と思い、一筆。

 

『姫様へ。

早速、オラージュのことで困ったことが起きたのでお手紙を送りました。

横を飛ぶガルーダ種の魔物や、地上を走り回る星たぬきに気を取られているのか、オラージュが急上昇や急降下、急旋回を繰り返し、全くと言っていいほどに制御出来ません。

何か他に原因があるのでしょうか?

竜槍の扱いは一通り出来るようになったので、あとはオラージュの制御が課題です。どうか、お力添えお願いします。

シオン』

 

 

その間も特訓を繰り返したが、改善されることはなく。

2ヶ月が過ぎた頃、待ち望んでいた手紙の返事は本人の登場という形でもたらされることとなった。

 

「ふぅ~、よかった~!こんなところに足場があるなんて。

あなたもずっと飛び続けて疲れたでしょう。

よくがんばったわね、ラピュセル。」

 

「姫様!?」

 

「あっ、シオンさん!お久しぶりですね!」

 

「ひっ!み、みんな、ドラゴンよ!ドラゴンが襲ってきたわ!」

 

キャトラが騒いでいる。

 

「待て!我々に敵意はない!まずは自分たちの話を……」

 

「も、もう一匹出たわ!敵襲よ、敵襲―――!!」

 

「ごめん、キャトラ、落ち着いてー!」

 

その後、アイリスの呼びかけで落ち着き、姫様とゲオルグさんは自己紹介をした。

 

姫様と、ゲオルグさんは、長らく行方不明になっていた白竜を追って飛行島へとやってきたらしい。

 

ソラ、アイリス、キャトラはそれの手伝いを申し出て、僕もそれの同行を必死にお願いすると、聞き入れて貰えた。

 

その夜、姫様から直接オラージュの制御のコツを教えてもらい、翌朝、早速出発することになったのだが、

 

 

白竜を巡る竜狩り、そして闇、その熾烈な争いに身を投じていくことになる事をこの時はまだ、誰も知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 





次回から本格始動します!

探偵ガチャは、ツキミ、リリー、ネモ、ポン、メリドが当たり、ポンは餅武器も交換しました!
誰か、フランを下さい…!←
BP絶大アップは魅力的すぎますw

では、また次回お会いしましょう!


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番外編 姫様とテニスデート

白テニで姫様が出たので更新再開しようと思いましたが、なかなか文章が浮かばず、スランプになっていたこと、お詫びします。
まずは、番外編として、白テニ版の姫様の短編を書こうと思います。

※ シオンと姫様は恋人設定です。

では、本編へどうぞ
↓↓↓↓


ある晴天の日の飛行島。

 

そこに建てられたコートで汗を流す男女が1組。

言うまでもなく、シオンと、その恋人、エクセリアである。

 

審判はゲオルグが務めている。

コートの外では、ラピュセルとフィーユがボールで遊んでいる。

 

「それにしても、シオンさんもテニスやられていたんですね、はっ!」

 

「姫様が始めた、とゲオルグさんに聞いてからですけどね、ふっ!」

 

お互い話しながらも、互いのストロークの球速は時速130km近く出ている。

 

「ゲオルグったら…、はぁっ!」

少し浮いたボールを見逃さず、的確にスマッシュを決める姫様。

 

「あっぶな!おかげでこの機会を得られて幸せですけど!」

 

強烈なトップスピンのかかったボールをギリギリでドロップショットで返球するシオン。

 

テクニックタイプ特有のドロップショットは、当然、彼女も使えるわけで。

 

「読めてましたよ?シオンさん?」

 

そう言って、彼女はサイドギリギリにボレーを打ち込んだ。

 

「30-40。」

 

ゲオルグは淡々とスコアを読み上げてくれる。本当、生真面目で優秀な上司を持ったな、と思う。

 

姫様のマッチポイントに危機感を感じ、必殺ショットを構える。

無論、飛行島ルールなので、冒険家としての技能は当然使用可能なのである。

 

姫様のサーブがワンバウンドしたのを見計らい、現状打破の意気を込めて叫んだ。

「これで、決める!!」

紫電を纏ったラケットから、レールガンの要領で撃ち出されたボールは、亜音速で姫様と逆側のサイドを抜け、着弾点とフェンスに焦げ跡を残していた。

 

「デュース。シオン、姫様に怪我はさせるなよ。」

 

「心得てます。事故でも姫様には傷一つ負わせませんから。」

 

「あぁ。それでいい。」

 

「やりますねぇ、シオンさん。」

そう言って向けられた姫様の笑顔は、眩しい程に愛しく、けれど、同時に彼女だからこそ出せる高潔な闘志を纏っていた。

 

デュースで迎えた僕のサーブ。立ち位置から予測して、ストレート寄りに落とすスライスサーブを打つ。

しかし、予想は結果の前には無力である。

クロスステップで回り込んだ姫様からバックサイドクロスへの強烈なフォアハンドが返ってきた。

さすがに返球出来ず、ボールは僕の横を抜けて行った。

「アドバンテージ・レシーバー。」

 

やはり、経験の差だろう。

 

続く2本目のサーブ。

見計らったかのように絶妙なタイミングで姫様は必殺ショットを放った。

「行きます!」

強烈に曲がるボールを辛くも返球した僕はそのままの体勢で凍りつき、続く返球を冷たい氷の中で見守る事しか出来なかった。

 

「ゲームセット&マッチ。won by エクセリア。」

 

「いい勝負でしたね、シオンさん。」

氷の束縛から解放され、寒さに悴む僕を、姫様が手を握り温めてくれる。

「そうですね、姫様。」

「2人きりの時は敬語も姫様呼びもいらないですよ?」

「いえ、姫様呼びはもう、身に染み付いてるので…。」

「ふふっ、そんなに堅くならなくて大丈夫ですよ?シオンさん。」

「では、お言葉に甘えて。」

 

その後、日が沈むまで微笑ましい会話は続き、夜。

 

「今日は凄く楽しかったです、ありがとう、姫様。」

「ええ、また試合しましょうね。それでは、また明日。」

「ええ、また明日。姫様、大好きですよ。」

「ふふっ、私もです、シオンさん。」

去り際に姫様に口付けを交わす。

照れて紅く染まる姫様を抱きしめて、再び愛を囁き、僕は自室へ戻る。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「シャッターチャンス!」

その様子をとある毒蛇にすっぱ抜かれてスクープとして報じられ、姫様との関係が島中に明るみになったのはまた別の話。




久しぶりの投稿、楽しんでいただけたなら幸いです。
本編はもう少しかかりそうです、すみません。
ちなみにバイパーさん、結構好きなキャラですw

また次回、お会いしましょう。


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番外編2:明けまして…羽根つき大戦争!?

明けましておめでとうございます。

就活や、ここのログインが出来なくなってしまったり、諸々ありまして、年明け寸前にやっと戻ってこれました。

不甲斐ない作者ですが、これからもよろしくお願いします。


「明けましておめでとうございます!」

「明けましておめでとう。」

「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。」

 

新年。

僕達は竜の国の王城で新年を迎えていた。

 

「姫様、ゲオルグさん、今年もお願いします。」

「ええ。シオンさんも、オラージュちゃんもお願いしますね。」

「シオン。今年もよろしくな。この後、竜騎士団の新年特別訓練…というよりは無礼講に近い恒例行事だな。姫様も参加される。ちょっとした景品もある。まぁ、楽しめよ。」

 

 

特別訓練…?

 

それがどういうものなのか分からないまま、姫様と手を繋いで訓練所へと足を向けた。

 

 

 

〜訓練所〜

 

 

「新年!!明けまして!!!おめでとう!!!!!」

 

ゲオルグさんの声が訓練所中にこだまする。

 

「今年も、竜騎士団恒例、新年特別訓練を開催する!」

 

うおおおおおお!!!

 

団員の雄叫びと共に、ボルテージは一気に高まる。

 

ゲオルグさんからは戦闘準備をしてから来い、とのお達しだったが。

 

これから何をするのだろうか、と考え事をしていると、前にいた団員から、前世でものすごく見覚えのあるラケット的な何かを手渡された。

 

これは……!羽子板だ!!!

 

「皆にも行き渡ったと思うが、今から羽根つきを行う。2人チームに分かれて、先に3失点したチームの負け抜け、最後に残ったチームにはお年玉を渡す!今更だが、武器、ドラゴン、己の技、どんな手段を使っても構わん。己の力、技術、その全てを生かさねば、勝ちはないからな。」

 

うおおおおおおお!!

 

……竜騎士団って、こういうノリだっただろうか…。

 

さておき僕は、自然な流れで姫様と組むことになり、迎えた第1戦。

 

相手の打った羽根が姫様に直撃するコースだったので、オラージュの雷撃で敏捷性を上げ、羽子板を双剣に持ち替えて、剣の面の部分で羽根を一閃。

オラージュのバフを乗せた双剣の一撃は想像以上の威力で、相手の打ち返した羽子板にめり込み、外れなくなっていた。

 

姫様も姫様で、テニスで培ったであろう高速カーブショット(ご丁寧に、打ち返した相手を凍結させ、スリップフィールドを作成するところまで完全再現)を披露し、気がつけば残りのチームは、僕&姫様、セルジュ団長補佐&ゲオルグさんの2チームだけとなっていた。

 

「案の定、か。いくぞ。」

 

「よろしく頼むよ。」

 

姫様はラピュセルに乗りながら、セルジュさんが打ち上げたショットを、高高度からのほぼ直角から撃ち込み、負けじとゲオルグさんも羽根自体が燃えている、打ち返せば大火傷間違いなしのショットを問答無用で撃ち込んでくる。

それを僕は魔力を使い、上空で凍結させて姫様のスマッシュチャンス

を作り上げる。

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

姫様が裂帛の気合いを込めて叫び、決着のスマッシュを打ち込もうとした、まさにその時。

 

「明けまして、おめでとうございます。シオンさん。」

「随分と寝相が悪かったな。どんな夢を見ていたんだ?」

 

姫様とゲオルグさんが、僕の自室のベッドの横で並んで立っていた。

 

「えっと、羽根つき大会は?姫様のラピュセルに乗りながらのスマッシュで決着がつきそうだったのですが。」

 

「羽根つき?それは何ですか?ゲオルグ。」

 

「アオイの島やクジョウの島などに伝わる正月遊びです。それにしても、羽根つき大会か…。ははは!!楽しそうな初夢で何よりだ。」

 

まさかの、夢オチでした。

 

「ただ、いいかもな。羽根つき大会。今日の訓練でやるか。」

 

「私もやります!」

 

「ええ。姫様とタッグで優勝を目指しますよ、正夢にします!」

 

「タッグ決めは公平にくじ引きだからな。」

 

「…はい。」

 

「ラピュセルも参加出来ますかね?」

 

「シオンの見ていた初夢的にはOKだろうが…。善処します。」

 

 

今年も、竜の国は平和です。




改めて、明けましておめでとうございます。

早く本編も進めたいので、なるべく早めに次話投稿します!


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