殺人鬼メアリー (フリッカ・ウィスタリア)
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1話 忘却

この作品は前作『少女と殺人鬼が幻想入り』の続編にあたります
なので前作をお読みでない場合はそちらをお先にお読みいただくことを推奨いたします
https://syosetu.org/?mode=write_novel_submit_view&nid=91637



魔法の森のはずれにある峠

メアリー戦後、フリッカ達が八雲家へ行った後

メアリー「…あの女の人に、情け…かけられちゃった…わね。せっかく…お母さんの所に行けると…思ったのに…」

その時、メアリーの脚から力が抜けた

メアリー「ハハハ…どっちにせよ…この傷じゃもうそろそろ死ぬか…」

そうメアリーが呟いていると、八雲家の方が光っているのが見えた

メアリー「ん?何か…あっちで光ってるわね。って、こっちに近付いて来てる!?」

その光を傷負いのメアリーが避けれるはずもなく、吹き飛ばされてしまった

 

妖怪の山

椛「さてと、今日の警備も終わったし、家に帰りましょうかね。…ん?」

椛は自宅への帰り道の途中に何かを見つけた

椛「あれは…人?まさか登山でもして遭難したんでしょうか…」

そう思い近づいてみると、その人は血塗れになっていて、腹も切り裂かれていることが分かった

椛「!?大丈夫ですか!?何かに襲われたんですか!?」

メアリー「コヒュー…コヒュー」

椛はその人間が僅かながら息をしていることを確認できたが、この息の音は肺に穴が開いている可能性があった

椛「(と、とにかく、一旦私の家に運んで手当しないと!)」

椛はそう思い、メアリーを担いで自分の家に走った

 

椛の家

メアリー「…うっ…ここ…何処?」

椛「ああ、ようやく気が付いたんですね。数日間起きないからもうダメかと思いましたよ」

メアリー「貴女誰ですか?と言うか、ここは何処なんですか?」

椛「ああ、そんなに警戒しないでください。私は椛、ここは私の家です」

メアリー「何で私はこんな所に…」

椛「何でかは知りませんが、山で大怪我をしていたようですよ?お腹も熊か何かに引き裂かれたような傷がありましたし。とりあえず、止血だけでもと思って勝手に連れてきたんですよ」

メアリー「そうだったんですか…ありがとうございます」

椛「それで、何があったんですか?」

メアリー「…何で怪我をしたのかも山に登った記憶もないんです」

思い返そうとしたが、ベルさんと別れた後からの記憶を思い出そうすると頭がズキズキと痛み、思い出せない

椛「そう…ですか。まあとりあえず、体が大丈夫なようなら麓まで案内しますよ?」

メアリー「何から何まで、ありがとうございます。じゃあお願いします」

椛「いえいえ、じゃあ行きましょうか」

そう言って二人は山を下っていった

 

妖怪の山 麓

椛「ここを真っ直ぐ進めば人里に着きますよ」

メアリー「ありがとうございます」

椛「それでは、お気をつけて」

そう言って椛は妖怪の山に帰っていった

メアリー「(とりあえず、何か手掛かりがあるかもしれないし、私の事を知ってる人を探さないといけないわね)」

 

人里

メアリー「どなたか、私の事を知ってる人はいますか?」

メアリーはそのように人里で聞いて回った。すると…

老婆「あれ?あんた確か前に回覧板で回ってきてた似顔絵の…」

老婆がそう呟き、懐から何か紙を取り出した

老婆「…やっぱりだ!あんたこの紙の人物じゃ!」

老婆がそう叫ぶと、周りの住民が集まってきた

メアリー「え?なんか私ここらで有名人なんですか?」

急に人が集まってきて注目されたことにより、メアリーは少し照れてしまう

しかし、それはメアリーの大きな勘違いであった

男性「ああこいつだ!間違いねぇ!」

メアリー「あの、私何でそんなに有名になってるんですか?」

男性「何で…だって?こいつ、自分のやった事を理解してねえぞ!」

メアリー「え?まさか、私何か悪い事をして指名手配されてるんですか?」

女性「あんたは…私の母や喜助さんを殺した…殺人鬼だよ!」

メアリー「え?…何…それ…」

老婆「こ、こやつ…泣いておるぞ」

男性「嘘泣きに決まってんだろ!殺人鬼が罪を悔いるかよ!」

メアリー「嘘だ…そんな…わけ…」

メアリーは何故か無意識に体がその場から逃げていた

男「あっ!おい!逃げるな!」

 

人里 人気のない裏道

メアリー「ハァ…ハァ…そんなの…嘘…だよね?」

メアリーがそんな事を呟いていると、声をかけられた

フリッカ「貴女…メアリー?あんた今までどこ行ってたのよ!」

メアリー「私の名前…知ってるの?」

フリッカ「はぁ?当たり前でしょ?」

メアリー「私は人を殺したの!?嘘よね!?嘘なのよね!?」

フリッカ「…まさか、今までの記憶がないの?」

メアリー「うん…でも、その反応って事は私は誰かを殺したのね…」

フリッカ「…ちょっとついて来て」

そう言ってフリッカはメアリーの手を引き人目につかぬようにとある場所に向かった

 

博麗神社

フリッカ「霊夢、ちょっと話があるんだけど」

霊夢「あら、フリッカいらっしゃい。話って何?」

フリッカ「今日ってさとりさんが来てる予定だったよね?」

霊夢「ええそうだけど?今は縁側に居ると思うわ」

フリッカ「そう、ありがとう」

そう言ってフリッカはメアリーを連れて縁側に向かった

霊夢「あれ?今フリッカが連れて行った子ってどこかで見た気が…」

 

博麗神社 縁側

さとり「ふぅ…地上でひなたぼっこもなかなかに良いものねー」

そんな独り言を言っている小五ロ…さとりのもとにフリッカ達がやってきた

フリッカ「さとりさん、お久しぶりです」

さとり「あら、フリッカさん、ご無沙汰してます。私に何か…ああ、そういう事ですか」

フリッカが用件を言う前に言いたい事をを察したさとりはメアリーに意識を集中した

さとり「…ええ、確かにこの方は記憶を失っているようですね。ベルさん?とかいう人の場所から去った後位から記憶が曖昧になって読み取れなくなっていますよ」

メアリー「何でベルさんの事知ってるんですか?」

さとり「何でって…貴女の記憶から読み取ったんですよ。私覚妖怪ですし…」

メアリー「妖怪?そんな現実性のない話あるわけ…」

さとり「そんなこと言われても私が妖怪なのは事実ですし…」

その後、浮遊したりしてようやくメアリーはさとりが妖怪だという事を理解し、ついでにここが幻想郷という所だという事も教えた

メアリー「それで、私は記憶がない間にこっちで何をしてたの?フリッカだっけ?は知ってるんでしょ?」

フリッカ「…貴女は、人を殺したの。それも数十人単位でね」

メアリー「…やっぱり、そうなのね。ありがとう、あと、ここにはもう来ないわ。貴女やさっきの巫女さんに迷惑かかるだろうし」

そう言ってメアリーは帰っていった

さとり「あの人、お燐から聞いてる話と別人ですね」

フリッカ「ええ、ほんとに同じ人物なのか疑うレベルですよ」

さとり「もしかして、現世に居た時に何かがあって、それで殺人鬼になってしまったのかもしれませんね」

 

To Be Continued




自分が殺人鬼だったと知らされたメアリーは行くあてもなく歩き続け、いつの間にか魔法の森へたどり着きます。そこでとある妖怪に会い、そのことがメアリーの人生を大きく変えることとなりそうです
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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2話 邂逅

未だに記憶の戻らないメアリー、師に教わった戦術を磨くために近くにいた妖怪に手合わせを頼むが…


魔法の森

メアリー「私はこっちの世界で殺人を犯してたようだけど、全然覚えてない…」

そんな事を呟きながら森の中を歩いているメアリー

メアリー「…もう、なるようになれって感じね。ベルさんに言われてた実戦修行でもしようかな?相手はそこら辺の妖怪でいいとして…あっ、ちょうといいのがいたわ」

そう言って見つけた妖怪に近づいていく

メアリー「ちょっとお願いがあるんだけど」

ルーミア「え?私に何か用なのかー?」

振り返ったルーミアの顔を見てメアリーは驚いた

しかし、それはルーミアも同じ事だった

二人「私がもう一人いる(のだー)!?」

二人共ほぼ同時に驚いたが、すぐに冷静になった

メアリー「いや、ただ似てるだけか」

ルーミア「えっと、何の用なのだー?」

メアリー「私の実践訓練に付き合って欲しいのよ」

ルーミア「それ、私は何の得もないのだー」

メアリー「んー、じゃあ私に勝ったら、私のことを食べてもいいわよ。あなた妖怪でしょ?」

ルーミア「!?…のったのだー。後で助けてとか言っても知らないのだー!」

メアリー「ええ、交渉成立ね」

そう言って少し二人の間を作った直後、ルーミアが人外なスピードで跳んできた

だが、見えないほどでもないルーミアの攻撃はたやすく避けられてしまった

ルーミア「なかなかやるじゃないかー」

メアリー「貴女も、なかなか素早い攻撃じゃない。次はこっちからよ」

そう言ってメアリーはナイフを取り出して、ルーミアの遥か頭上に投げた

ルーミア「え?どこを狙ってるのだー?」

ルーミアは不思議に思ったが、すぐにその意味が分かった

メアリーがナイフを投げた直後、ルーミアに大量の落ち葉が降ってきて、視界を遮った

ルーミア「くっ!邪魔なのだー!」

ルーミアが落ち葉に気を取られている隙にメアリーはルーミアの後ろに回り込んでもう一つ取り出していたナイフでルーミアを拘束していた

メアリー「チェック…メイトね」

ルーミア「…負けたのだー…」

だが、メアリーはルーミアが負けを認めると、すぐに拘束を解いた

ルーミア「…どういうつもりなのだー?」

メアリー「ん?何がかしら?」

ルーミア「何故拘束を解いたのかと聞いているのだー!」

メアリー「え?だって、貴女はもう負けを認めたでしょ?なら、それ以上攻撃も拘束もする必要性ないじゃない」

ルーミア「それでも、私はお前を食べようとしたんだぞー?」

メアリー「いやいや、さっき約束したじゃない実戦訓練に『付き合って』、戦いに勝てたら『私を食べてもいい』って、お互いそれで納得したし、実戦訓練は十分できたんだからそれ以上のことをする気はないわ」

ルーミア「…変な奴なのだー」

メアリー「フフッ、よく言われるわ。それじゃ、私はもう行くわね。手伝ってくれてありがとう」

ルーミア「待つのだー!妖怪として恥をかかせた罰として、名前を聞かせるのだー!」

メアリー「あら、それは失礼したわ。私はメアリー、メアリー・フォードよ」

ルーミア「私はルーミアなのだー」

メアリー「そう、分かったわルーミア、それじゃまたね」

ルーミア「次は負けないのだー!」

そう言って二人は別れた

 

迷いの竹林

メアリー「さてと…建材は竹とか木が手頃なのかしらねぇ…家とか作ったことないから全くわかんないけど…」

その時メアリーは、竹藪の向こうを誰かが通ったのを見つけた

メアリー「(あ、今誰か通ったわよね。今の人に聞いてみようかしら)」

そう言ってメアリーはその者?に近付いて行った

すると、近づくにつれその者は獣のような耳が生えていることに気が付いた

メアリー「(あれはケモ耳?っていう事は、妖怪なのかしら?まあいいけど)」

一瞬他をあたろうかとも思ったが、人通りが少ない事にはメアリーも気付いていた為、その者に聞くことにした

メアリー「あのー、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」

影狼「え、私?何…かし…ら?…」

メアリー「?…どうかしたんですか?」

影狼「メア…リー?」

メアリー「!?私の事を知ってるんですか?まさか、貴女の家族か知り合いにもなにか…」

影狼「今度は記憶喪失を装ってるの!?騙されない!私は騙されないわよ!?」

影狼は異常なまでに怯えていた

メアリー「ほ、本当なんです!何も覚えてないんです!」

影狼「じゃあ教えてあげるわ!あんたは現世で私を生きたまま解剖して笑ってたキチガイよ!」

メアリー「え?…」

メアリーは勘違いをしていた

フリッカ達から話を聞いた時、自分はただの殺人鬼だったのだと思っていた。しかし、今目の前に居る妖怪の話が本当ならば、自分は快楽殺人を犯してきたイカレた女という事になる

そう考えた瞬間、足の力が抜けて、その場にへたり込んでしまった

メアリー「生きたまま…解剖?そんな非人道的な事を私は…嬉々としてやっていたというの?」

メアリーはそんな事を呟きながらゆっくりと立ち上がった

影狼「な、何!?私とやろうっていうの!?言っとくけど、あの時みたいに簡単にはやられたりはしないわよ!?」

影狼は半狂乱になっていたが、メアリーが向かってくることはなかった

メアリー「何も思い出せないですけど、貴女の言動から察するに本当の事なんですよね?すみません、私は消えますね…」

そう言い残し、フラフラとどこかへ消えて行った

メアリーが立ち去った事で安心したのか、影狼もその場にへたり込んだ

影狼「た、助かったぁ…またバラされるかと思った…」

 

To Be Continued




幻想郷で偶然影狼と再会したメアリーですが、元を糺せば影狼の裏切りが原因じゃ…
次回はメアリーがベルさんと別れ、影狼と出会うまでの話を書こうと思います
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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3話 傭兵部隊

影狼との運命的な再会をしたメアリーであったが、影狼から自分のした非道な諸行を明かされ、また途方に暮れながらさまよっていると、男が話しかけてきて…


玄武の沢

メアリー「さっきの妖怪、すっごく怯えてた…記憶がないとは言っても、私って最悪な奴ね…」

自分を毒づきながら人気のない道を歩いていると、いつの間にか知らない所に居た

メアリー「(ハァ…これからどうしよう…ほとぼりが冷めるまでサバイバルって言うのもありだけど、人里の雰囲気から見て何年も人前に出れそうにないわね…)」

そんな風に思っていると

男「ねぇねぇそこのお嬢ちゃん」

メアリー「え?わ、私ですか?(まさか、私の首を狙ってる人?)」

男「そんなに警戒しないでよ。ちょっとお手伝いして欲しい事があるだけだからさ」

メアリー「お手伝い?いいですけど…(まあ、ベルさんに鍛えられてるから物運ぶくらいならしてもいいけど…)」

男「ありがとう!じゃあ早速……この刀の切れ味を試させて♪」

メアリー「っ!?(この人、辻斬り!?)」

メアリーの考えがまとまりきる前に男は斬りかかってきた。だがそれは素人のそれであり、メアリーにとって脅威ではなかった

男「おいおい、避けたら切れ味が確かめられないだろ?」

メアリー「そんな太刀筋じゃ、一生かかってもあたらないわよ」

男「ほほう、威勢がいいね」

メアリー「それに、私もナイフ持ちなんだけど?(ベルさんには自衛でのみ使っていいって言われてたし、使っていいよね?)」

メアリーの方も刃物持ちという事実は相手も意外だったようで、少しメアリーから距離をとった

男「これは意外だな。最近の女の子は自衛用のナイフを持ってるのか。ただ、それで何ができるって言うんだい?僕に勝てるとでも思ってるの?」

メアリー「あまりなめないでもらいたいわね。これでもそこいらのゴロツキよりは強いわよ」

男「へっ!そうかい!」

そう言って再び襲いかかってくる男

メアリー「…遅いわね」

男の一太刀を軽く避け、ナイフを滑らすようにして男の体を斬り込む

男「なっ!ゲホッ…」

メアリー「これで分かったでしょ?ここでのことは誰にも言わないであげるから帰りなさい!」

メアリーはそう言ったが、男の返答がない

メアリー「……あれ?…!?死んでる!?」

メアリーは気付いてないが、今の体は子供の様に見えているだけで、力は青年期と同じなので、力が有り余っているのだ。そんな状態で力がない事が前提の斬技をやろうものなら大惨事になるのは必然である

メアリー「(どうしよう…完全に加減間違って殺っちゃった!)」

メアリー自体は何度か人を殺めているとはいえ、記憶上は初の殺人であり、慌てふためいてしまう

しかし、今の状況に不思議と既視感を感じるメアリー

メアリー「あれ?この感じ、どこかで見たような…」

ズキッと頭が痛む

メアリー「何か、思い出せそうなんだけど、何だっけ?」

次第に鼓動が激しくなってくる

そしてついに

メアリー「…!思い出した!たしかあの時、私は初めて人を殺めたんだ!」

 

ベルさんとの決別後

荒野

メアリー「この周辺で傭兵組織が組まれてるって聞いたんだけど…」

傭兵「お嬢ちゃん、そこで何やってるんだい?ここは傭兵達の訓練場だから危ないよ?」

メアリー「あの、私は入隊希望者です」

傭兵「え?いやいや、傭兵はあそびじゃないんだよ?」

メアリー「それくらい承知してます」

その傭兵はメアリーにただならぬものを感じた

傭兵「…まあいいけど、採用試験で落ちると思うよ?」

そう言って二人は隊長のところへ行った

 

男女移動中……

傭兵「ボス、入隊希望者を連れてきました」

ボス「そうか、ご苦労…だった…な?」

メアリーを見た瞬間ボスが固まった

ボス「…ハワードよ、いくらうちの隊に女が少ないからって、こんな小さな子供を連れて来ちゃいかんだろ…」

傭兵「ち、違います!この子が入隊を希望したんです!僕がロリコンなのではありません!」

ボス「だといいが…まあいい、訓練に戻れ。あとは俺が相手する」

傭兵「はい、それでは失礼します」

そう言って傭兵は去っていった

ボス「それで、お前が入隊希望者で合ってるか?」

メアリー「はい!」

ボス「いい返事だ。だが、うちの隊に木偶はいらない。だから、毎回実技試験をしているんだ」

メアリー「どんな内容なんですか?」

ボス「俺と戦って男なら10分、女なら5分持ちこたえられたら合格だ」

メアリー「ナイフを使った無力化は合格に含まれますか?」

ボス「別にいいが、体格的に無理だと思うぞ?」

メアリー「まあ、聞いてみただけです」

ボス「じゃあ、試験を始めるぞ」

 

数十分後

ボス「ほぅ、なかなかやるじゃないか」

メアリー「ハァ…ハァ…ハァ…あの、もうとっくに5分は経ってるんじゃ…」

ボス「え?あっ…もう30分経ってた…」

メアリー「やっぱり…ですか」

ボス「いやー、久しぶりの強者だったから、必死になってしまった」

メアリー「よく言いますよ…全然息が上がってないじゃないですか…」

ボス「…バレてたか」

メアリー「何で手を抜いていたんですか?」

ボス「あー、一応言っておくと、手加減は入隊希望者全員にしている事だ」

メアリー「何故そんな事…」

ボス「自惚れているわけじゃないが、俺は何度も死地を潜ってきただけあってそれなりに強い。だから、本気を出したら、いい人材も門前払いしてしまうことになる。だから、時間で合否を決めているようなことを言ったが、実は俺にどれほど本気にさせれるかで判断していたんだ」

メアリー「私はどれ位の力を出していたんですか?」

ボス「いつもは半分そこらだが、お前には8割方本気だったし、正直何度か本気を出していたぞ」

メアリー「それは賞賛と受け取っていいんですか?」

ボス「ああ、大賞賛だ。喜んでうちの隊に引き入れよう」

メアリー「ありがとうございます!」

ボス「取り敢えず、名前を聞こうか」

メアリー「メアリー・フォードです」

ボス「分かった。俺は皆からボスと言われてるから、メアリーもそう呼んでくれ」

メアリー「分かりましたボス!」

 

To Be Continued




次回はメアリーが狂った原因になった事件を書こうと思います
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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4話 全てが狂い始めた日

メアリーが入隊してから早四年、組織内での生活にも慣れてきた
そんなある日、メアリー達に一つの依頼が来た
その以来の中で自分の全てが変わってしまうとは思っているわけもなく……


メアリーが入隊してから3年後

荒野

ボス「おいお前ら、MSFから依頼が入った。内容はイラク地域のスラム街に住む人たちの救助及び避難の援助だ」

兵士「何名要請がかかっているのですか?」

ボス「最悪交戦する事も考えて、戦績の良い三人ぐらいを寄越して欲しいそうだ」

トム「じゃあ、僕らのチームが行きますよ。一応うちのチームは全員一対多数の戦いには慣れてますし。…誰かさんのせいで…」

ボス「なんだ?俺のせいなのか?」

トム「いや違いますよコイツですよ」

そう言ってトムはメアリーを指さした

メアリー「え!?私のせい!?」

トム「毎度毎度依頼中にホールドアップ吹っ掛けて敵兵に笑われたお前以外に理由が思い浮かばないんだが異論は?」

メアリー「うっ…」

それを言われてしまったメアリーは押し黙ってしまった

トム「まあいい、メアリーは隠密行動が得意なのは事実だし、あとは俺とカルロス行きますよ」

ボス「分かった。お前たち、頼んだぞ!」

三人「了解!」

 

砂漠地帯

トム「この先を真っ直ぐ進めば紛争地の村に着く筈だな…俺は先に村まで行く、だからお前らは逃走経路を確保しながら、後から来てくれ」

カルロス「分かった。気を付けろよトム」

トム「ああ、お前らもな」

そう言ってトムは走って森を抜けて行った

メアリー「それじゃ、私たちもそろそろ行きましょうか」

カルロス「そうだね」

そう言って二人も森の中に入っていった

 

ミルフ湖

カルロス「…ここら辺もだいぶ安全になってきたね」

メアリー「ええそうね、ここの近くはまだあまり戦禍は広がってないみたいだしね」

メアリーがそう言った直後、カルロスの防弾チョッキに銃弾があたった

カルロス「!?まだ敵がどこかに隠れてるのか!」

???「チッ、防弾チョッキに当たったか…」

メアリーは何処からか微かに声が聞こえたのを聞き逃さなかった

メアリー「何処に居るの!出てきなさい!」

そう言うと、意外な事に敵はすんなり出てきた

トム「おいおい、そんなにいきり立つなよ。シワができるぜ?」

なんと出てきたのは、先に村に行ったはずのトムであった

メアリー「トム!貴方まさか…」

トム「ああ、カルロスを今撃ったのは俺さ」

カルロス「何でだ!俺らを裏切ったのか!?」

トム「裏切った?違うね!俺は元からお前らの仲間なんかじゃない!」

カルロス「どういう事だ!詳しく聞かせ…」

カルロスがすべてを言い切る前にその言葉は遮られてしまった

トム「ヒュー…ナイススナイピング」

なぜなら話している途中に頭を消し飛ばされてしまったからだ

直後、近くに血とカルロスの残骸が散らばる

メアリー「カルロス!」

おそらく即死だったのだろう。カルロスはピクリとも動かない

メアリー「…トム!私はお前を許さない!」

トム「ひぃ恐い恐い。だが死ぬのはお前だよメアリー!」

メアリー「…さっきの銃声と着弾のタイミングから考えるに…そこか!」

メアリーは何か呟いた後、急にトムの後方5mの岩場目掛けナイフを投げた

スナイパー「ガハッ!?」

メアリー「…ビンゴ」

これにはトムも驚いた

トム「(い、一発でスナイパーをナイフで仕留めただと!?こいつはバケモンか!?)」

メアリー「…次はお前だよ…トム!」

メアリーがゆっくりこちらへ近づいてくる

トムはこの時、直感的に理解した。撃たなければ殺されると

トム「う、うわぁぁぁぁ」

トムは必死に銃の引き金を引いたが、焦り過ぎて3発も外してしまった

メアリー「…ずっと仲間だと思ってたのに…まさかそれは私達だけだったのね…許せない」

だが、4発目はメアリーの脇腹に当たった

メアリー「うっ!…哀れね」

トム「だ、黙れ黙れ黙れ!」

トムの撃った銃弾が今度はメアリーの頬を掠める

メアリー「痛っ!そう簡単に死ねると思わない事ね。たっぷり苦しむといいわ!」

少しずつ距離を詰められていく

だが、トムは銃の引き金を何度も引いているが次の弾が一向に出てこない

こんな時にジャムを起こしたかとも思ったが、その直後トムは気が付いた

自分の使っている銃はリボルバー。という事は装弾数は6発であることに

急いで弾を装填しようとしたが、それは叶わなかった

遂にメアリーがトムの前に辿り着いてしまったのだ

トム「た、助けてくれ!俺が悪かった!」

メアリー「…醜い!汚らしい!くたばれ!」

そう言いながらトムの上に馬乗りになり、一心不乱にナイフをトムの手足に突き立てて、地面に固定していく

トム「や、やめてくれ!何をする気なんだ!?」

メアリー「何をするかだって?…お前を今からゆっくり丁寧に切り刻んで、そこの湖に住んでる魚の餌にしてやるんだよ。その為に動かれちゃたまらないから、固定させてもらうわ」

そう言いながら、トムの足を固定し終わったメアリーがこちらを振り向いた

その顔を見てトムはゾッとした

さっきまで憎しみで満たされていた顔は消え失せ、狂気的な笑顔を浮かべていたのだ

それは無垢な少女の様でとてつもなく残酷な笑顔であった

その直後に刺されたナイフでトムは息絶えてしまった

メアリー「…もう死んじゃったの?もっと私を楽しませてよ!綺麗な悲鳴を聞かせてよ!」

そんな事を言いながらトムに何度もナイフを突き刺す

メアリー「…チッ!つまんない奴だったわね」

そう言いながら、ミルフ湖にトムの死体を投げ込んだ

すると大量の魚が集まってきて、すぐにトムを食べつくした

メアリー「フフッ…いいきみだわ…」

そう言って立ち去ろうとして、ある事を思い出した

メアリー「…カルロスを弔ってあげなきゃ…それに、任務も終わってないし、二人が死んだんだから私が遂行しないと…」

と呟きながらカルロスの所に戻っていった

 

荒野

メアリー「…ただいま帰りました」

ボス「ああ、おかえり。依頼は遂行でき…たか?」

ボスが急に言葉を詰まらせた

メアリー「どうかしたんですか?」

ボス「だ、大丈夫なのか?体中血塗れだが…」

メアリー「え?…ああ、これはほとんど返り血ですよ」

ボス「ああそうなのか、ならいいんだが…ところで、トムとカルロスは何処に行ったんだ?」

メアリー「…カルロスは、トムの裏切りによって死にました」

ボス「!?どういうことだ?トムがお前たちを裏切ったのか!?」

メアリー「…はい」

ボス「そう…か…それで、死体はどうしたんだ?」

メアリー「カルロスは近くにあった木の下に埋めました。トムの方はミルフ湖の魚の餌にしてやりました」

ボス「は?どういうことだ」

メアリー「裏切り者らしい最後を与えてあげたんですよ」

ボス「…メアリーが…殺ったのか?」

メアリー「?…そうですけど?」

ボス「すまない、かつての同志を殺すのは辛かったろうに」

メアリー「いや、私は裏切り者を仲間とは認めませんから。でも…」

ボス「ん?どうしたんだ?」

メアリー「トムを殺ってる時、私はなぜかとても楽しくなっていたんです。…私は気が触れてしまったのでしょうか?」

ボス「メアリー、あまり深く考えるな。ちょっと早いが今日は休め」

メアリー「…分かりました。失礼します」

そう言ってメアリーは自分の部屋へと帰っていった

ボス「…あいつ、このままでは殺人鬼になるやもしれんな」

さっきの会話から、メアリーに殺人衝動が芽生え始めていることに気が付いたボスは別のチームにメアリーを移すことに決めた

ボス「…影狼の所にあいつを入れて、様子を見てみるか…」

そう呟いて、ボスも自室へと消えて行った

しかし、メアリーが影狼のチームに入った次の年、影狼とメアリーが依頼中に行方不明となり、後に解剖された影狼の遺体が発見されたが、今だメアリーの生死は判明していない

 

To Be Continued




今まで常識人だったメアリーが狂ってしまった理由はトムの裏切りによって死んだカルロスだった様です
余談ですが、メアリーはカルロスのことが好きだったという裏設定があったりします
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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5話 良心の呵責

記憶を取り戻したメアリーでしたが、どうやら何か今までと違うようです


玄武の沢

メアリー「…思い出した。何もかも…」

メアリーは苦悩していた

過去の自分の記憶は戻ってきた。そこまでは良かったのだが、殺人鬼メアリーとしての性格は戻ってこなかったのだ

メアリー「私…なんてことを…」

殺人衝動にかられていた当時とは真逆に、後悔と罪悪感が押し寄せてきた

メアリー「どうにかして…この罪は償えないかしら?…」

メアリーは必死に考えた

メアリー「…あの人なら、何か良い方法を教えてくれるかも…」

考えた末に、とある考えに至った

メアリー「でも、最悪の場合はちょっと覚悟を決めといた方がいいわね」

そう呟くと、メアリーは来た道を戻って行った

 

博麗神社

さとり「そう言えば、さっきフリッカさんと一緒にメアリーさんが来ましたよ」

霊夢「あぁ、どこかで見たことがあると思ってたけど、メアリーだったのね」

さとり「思考を読んだところ、数年間の記憶が消えているみたいですけど」

霊夢「あら、そうだったの」

そんな他愛の無い話をしていると、メアリーがやって来た

メアリー「こ、こんにちは」

さとり「あら、メアリーさん?ここには来ないと言って…えぇ!?それ本当ですか!?」

霊夢「ど、どうしたの?」

さとり「…記憶が戻ったそうです」

そのことを聞いた瞬間、霊夢の目付きが変わった

霊夢「!?…まさか、私に報復でもしに来たの?」

メアリー「あぁいや、そうじゃなくて…」

メアリーが口篭る

さとりは不思議に思い、さっきよりもさらに深層まで意識を潜らせた

さとり「…あぁ、そういうことですか」

霊夢「なにか分かったの?」

さとり「何故かは分かりませんが、記憶はあっても以前のような殺人衝動は無くなっているようですね。ちゃんと意識の深層まで潜ったので間違いないです」

霊夢「…さとりが言うならそうなんでしょうね。じゃあ、何の為にここに来たのかしら?」

メアリー「えっと…私の罪を償う為に何か出来ることがあるなら、何でもいいから教えてくれないかしら?」

霊夢「えー…急にそんな事言われてもねぇ…」

霊夢は「え?今何でもって言ったよね?」と言いたくなったが、ぐっと我慢した

さとり「霊夢さん、私には筒抜けですよー。あと、メアリーさんは私の見る限りでは本当の意味で何でもって言ってますよ」

霊夢「え?そうなの?…じゃあ、私が各方面から言われてる妖怪退治を手伝ってくれるかしら?」

メアリー「分かったわ!」

自分に役目が与えられた途端、メアリーは笑顔になった

メアリー「さっそく、何を手伝えばいいかしら?」

霊夢「(うわ、目がキラッキラしてるんだけど…)んー、じゃあ魔法の森で調子に乗ってる下級妖怪共をちょっと懲らしめて来てくれないかしら?」

メアリー「了解!」

依頼の場所と内容を聞くなり、メアリーは走り出して行った

 

魔法の森

サニー「さてと、今日は誰に悪戯してやろうかなー♪」

ルナ「サニー…いい加減にしないと博麗の巫女に退治されちゃうわよ?」

サニー「大丈夫だよ!私達三人の力を合わせたら誰にも捕まらないわ!」

スター「二人共静かに!誰かが近づいてきてるわ」

どうやらスターの能力レーダーに何かが引っかかったようだ

スター「相手は…一人か1匹ね」

サニー「なーんだ、つまんないなぁ。まあいいや、姿を消すよー」

サニーがそういった直後、三人の姿が消えた。サニーの能力で光を屈折させて姿を消したのだ

ルナ「一応音も消しとかなきゃ」

ルナがそう言うと、さっきまで聞こえていた鳥のさえずりが聞こえなくなった

その少し後、人がやってきた

メアリー「魔法の森に入ってから真っ直ぐここに来たけど、それらしい妖怪には会わないわね」

魔法の森は結構広い事もあって、特定の人物を探すとなると結構苦労するのである

メアリー「意外と森に入ってすぐのほ……(あれ?)…(声が出ない?)」

独り言を言いながら歩いていくと、急に自分の声が出なくなった事に気が付いた

メアリー「…(鳥の声も聞こえないし、もしかして声が出せないんじゃなくて、聞こえなくなったのかしら?)」

そう思い、メアリーは周辺の様子を探ってみた

メアリー「…!(あの木の陰に何か気配を感じるわね…)」

何かの気配を感じたメアリーはその気に近付いて行った

サニー「(え!?何でこの子一直線に近づいてくるの!?まさか私達のことが見えてるの!?)」

だんだん近づいてくるメアリーを見て心配になってきたサニーであったが、メアリーはサニーたちの前で立ち止まっただけで、それ以上は何もしてこなかった

サニー「(よかったぁ…見えてはいないようね)」

木の目の前で立ち止まったメアリーはふと何を思いついたのか、懐からナイフを取り出した

ルナ「(!?この子なんでナイフなんか持ち歩いてるの!?これ見つかったら殺されるんじゃ!?)」

その直後、メアリーがナイフを振り上げて、次の瞬間木に突き立てた

三妖精「(こ、殺される!?)」

命の危機を感じた三妖精は一目散に逃げ出した

しかし、その時に慌てていたのか、後ろにあった草が体にあたって、草が揺れてしまった

メアリー「(あそこにいるのね!)」

直感を信じてメアリーはその草の少し向こう側にダイブすると、何か手ごたえがあった

するとその直後、音が聞こえるようになった

ルナ「ヒィー!許して!ちょっとした出来心なの!」

メアリー「別に取って食おうって訳じゃ無いわ。さっきのも声が出せないから文字を彫ろうとしただけよ」

ルナ「サニー!スター!助けてよー!」

パニックになってるのか全然話を聞いてくれない。と言うか一向に透明なままで、どんな顔をしているのかもわからない

メアリー「(…とりあえずナイフをしまった方がいいかしら?と言うか、まだ仲間がいるのね)」

そう思い、メアリーは懐にナイフをしまった

メアリー「何処に居るか知らないけど、別に貴方達と敵対しようとしてるわけではないわ。なんならナイフをそこの木まで転がすけどー?」

そう言って、持ってるナイフ5本を2m横にある木まで軽く投げて武装がないのをアピールした

サニー「…本当に私たちを殺さない?」

そんな声が目の前の木の裏から聞こえた

メアリー「あんな事で殺したりしないわよ。ただ周りの人が迷惑してるみたいだから、やめてほしいって警告しに来たのよ」

そう言うと、さっき声がした木の上、その反対にある木の上、メアリーの足元の三か所にメアリーと同じくらいの背丈の羽がある幼女が姿を現した

メアリー「あら、思ったよりも可愛らしい妖怪ね」

スター「よ、妖怪じゃなくて妖精…」

メアリー「あら、そうだったの」

ルナ「ご、ごめんなさいぃぃぃぃぃぃ!」

メアリー「えっと、なんでこの子はこんなに怯えてるのかしら?」

サニー「あー…ルナは怖がりだからナイフが相当怖いんじゃないかなー」

メアリー「(今何も持って無いんだけどなぁ…)大丈夫よ。何も怒ってないから」

そう宥めると、やっと落ち着いたようだ

メアリー「まあ、悪戯も程々にしないと霊夢に退治されるわよー」

三妖精「肝に銘じときます!」

ここまで統率のとれた謝罪もなかなか見られないんじゃないかというくらい声がハモっていたので、メアリーは苦笑した

まあ、自分の役目は終わっただろうと思い、メアリーは帰っていった

 

To Be Continued




あの殺人鬼メアリーが人助けとは…人は変わるもんですね!
次回はメアリーが妖怪を助ける話を書こうと思います
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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6話 同族嫌悪

自分の勘を頼りに犯罪の起きていそうな場所を探しに来たメアリー
すると何処からか声が聞こえてきて…


無名の丘

メアリー「今日は別に何の依頼もないけど、こういう人気のない所で悪事は働かれてるものよねー」

そんな事を呟きながらメアリーは歩いていた

すると、どこからか声が聞こえてきた

???「…て…さい!なん…蹴る…か!?」

メアリー「ん?今何処かで声が…」

声のした方に足音を立てないように走っていった

すると、その声は次第に大きくなりはっきりと聞こえるようになってきたので、物陰に隠れて覗いてみた

そこに居たのは20代そこらの男と妖狐と思しき少女だった

モブ雄「ほらほら!もっといい声を聞かせてくれよ!なあ!」

何故だか知らないが、妖狐の少女が男に蹴飛ばされている

メアリー「(何か悪い事でもしたのかしら?それにしても酷いとは思うけど…)」

そんなことを思いながら傍観していたメアリーであったが、次の会話を聞いて驚いてしまった

妖狐「私が何かしたというなら謝りますから許してください!」

モブ雄「いいや、謝るこたぁないさ。別に何も悪い事はしてねえんだからな!」

妖狐「じゃあなんで!?」

モブ雄「何で?そんなのお前が妖怪だからに決まってるじゃねえか!恨むなら妖怪に生まれた自分を恨むんだな!」

その言葉を聞いた瞬間、メアリーはキレた

メアリー「ちょっと待ちなさい!」

モブ雄「あぁ!?なんだガキ、なんか用か?」

メアリー「さっきから聞いてみれば、妖怪だから?妖怪として生まれた自分を恨め?ふざけた事ぬかすんじゃ無いわよ!」

モブ雄「なんだよ、人間を襲う妖怪を退治するのは良い事だろ?」

メアリー「本当に性根が腐ってるわね。何も悪い事をしていない妖児虐めてる貴方の方がよっぽど退治されるべき存在よ!」

モブ雄「いちいちうるせえなぁ…ぶちのめすぞ?」

男がそう言った瞬間、妖狐はメアリーの周りの空間が急に冷えたように感じ、ゾッとした

メアリー「ぶちのめす?へぇ…やって貰おうじゃないの!」

メアリーが顔を上げた瞬間、男はその狂気的な笑みに恐怖した

モブ雄「チッ!分かったよ!やめりゃぁ良いんだろ!」

男はブツブツ言いながら去っていった

メアリー「(ふぅ良かった、諦めたわね。妖怪助けるために人間殺してちゃ意味ないしね)」

そんなことを考えながらメアリーは妖狐の下に歩いて行った

メアリー「貴女、大丈夫?怪我は大したことないかしら?」

メアリーがそう尋ねると…と言うより近付いていく段階で妖狐は怯えていた

メアリー「(もしかして、さっきの顔を見て私も危ない人って認識されてるのかしら?)」

妖狐「あ、あの…助けていただいて、ありがとうございます…でも、何でですか?」

返答に少し間が開いたが、応対してくるあたり、完全に怖がられてるわけではなさそうだ

メアリー「何でって何がかしら?」

妖狐「貴女は…人間ですよね?」

メアリー「?…そうだけど?」

妖狐「なら、なんで私を助けてくれたのですか?助ける意味が無いじゃないですか」

メアリーはそんな質問をされて一瞬戸惑ってしまった

メアリー「…過去の自分への戒めと罪滅ぼし…かしらね」

妖狐「罪滅ぼし…ですか?」

メアリー「ええ…私、昔は殺人衝動があってね、しかも快楽殺人。何人もの人を殺してしまったわ」

そう言いながら、メアリーは自分を嘲笑った

妖狐「(よく考えてみれば、さっきの罪滅ぼしっていうのが嘘だったとしたら、今の状況って相当危ないんじゃ…)」

妖狐がそう思っているのを察したのか、メアリーは妖狐から少し離れた

メアリー「あら、怖がらせちゃったかしら?じゃあ私はもう行くわね」

そう言ってメアリーは立ち去ろうとして、途中で再び振り向いた

メアリー「一応忠告しておくわ。人間は全員が悪人でも善人でもないから、無闇に信じない方がいいわよ。信じなさすぎるのも問題だけどね」

そう言い残して、今度こそ立ち去った

 

魔法の森

メアリー「(ふぅ…さっきは柄にもない事をしたわね…)」

そんな事を考えながらメアリーは森の中を歩いていた

すると、背後にあった木の上から突然…

ルーミア「隙あり「ないわよ?」うわーーー!」ゴスッ!

ルーミアが襲ってきたが、メアリーに難なく数m先の木に投げ飛ばされてしまった

ルーミア「い、痛いのだー…」

メアリー「襲うならもう少しうまくやりなさいよ…」

ルーミア「メアリーは後ろに目でも付いてるのかー?」

メアリー「そんな訳ないじゃない…声出しながら襲ってきたら気付くに決まってるでしょ…」

ルーミア「うー…失念してたのだー…」

しょんぼりしてるルーミアを見てメアリーは不覚にも可愛いと思ってしまった

ルーミア「…もうスペカを使うしかないのだー!」

メアリー「(スペカ?…ああ、あれの事か)」

ルーミア「夜符『ナイトバード』」

ルーミアがスペカを宣言すると、辺りが暗くなり、すぐに全く見えなくなった

ルーミア「勝負あった…あれ?メアリーがいないのだー!」

メアリー「チェックメイトよ」

そう言いながらメアリーは、初めて会った時と同じように後ろからルーミアの首元にナイフを突きつけた

ルーミア「何で真っ暗なのに私の後ろをとれるのだー?\(≧Д≦;)/」

あまりに一方的にやり過ぎてしまって、ルーミアはちょっと涙目になってしまった

メアリー「ただ気配を探って後ろに立っただけよ」

ルーミア「だけよって…ますます勝てる気がしないのだー…」

メアリー「まあ、気配を消す練習でもしてみたら?」

ルーミア「うー…分かったのだー。ところで、今日は何の用で来たのだー?」

メアリー「ただ茸を採りに来ただけよ。でも、よく考えたら幻想郷の山菜って見た事ない物ばかりだから、毒の有無がさっぱり分からないのよね」

ルーミア「その手の話なら、魔理沙が適任なのだー。案内するからついてくるのだー」

そう言われてルーミアについて行くと、いかにもガラクタ小屋と言わんばかりの建物に辿り着いた

ルーミア「魔理沙―、いるなら返事するのだー!」

魔理沙「なんだ?なんか用か?」

ルーミア「食べられる茸を教えてほしいのだー」

魔理沙「分かったぜ。じゃあ一緒に行って採れた茸で食卓でも囲むのぜ」

その後、魔法の森に自生してる茸を採って三人で食卓を囲んだが、見事に魔理沙以外の二人は茸に当たった

何故魔理沙は平気なのかを聞いたところ、自分でもわからないが、長年食べてるものだから耐性がついているのではないかと答えていた

メアリー「(茸毒に耐性とかあるのだろうか…まあ、あるからこの状況ができているのだろうけど)」

そんなことを思いながらメアリーは自分の住処にしている場所に帰っていった

 

To Be Continued




今まで自分のしてきたことを悔いているからこそメアリーはこの男に激情したんでしょうね
次回はルーミアの話を書いて行こうと思います
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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7話 食人鬼ルーミア

メアリーに戦闘のアドバイスをされたルーミアであったが、いまいちコツを掴めずにいた
そんなある日、ルーミアの所に男がやってきて…


魔法の森

ルーミア「うーん、気配を消すなんてどうやったらできるのだー?」

ルーミアは悩んでいた

ルーミア「と言うより、この森はメアリーくらいしか人が入ってこないし、そのメアリーは一向に食糧になりそうな気配がないから、どんどんお腹が減っていくのだー…」

ルーミアは久しく人肉を食べておらず、腹を空かせていた

一応、他の肉や野菜でも腹は膨れるのだが、どうしても人肉より早く腹が減ってしまうようだ

その結果、宴会などではその体躯に見合わぬ大喰らいになってしまうのだ

ルーミア「うーん、森の中に入ってきた人間は食べてもいいって霊夢に言われたけど、そもそも入ってこないから全然お腹が満たされないのだー…人里を襲えばすぐお腹はいっぱいになるだろうけど、霊夢に退治されちゃうのだー…」

ルーミアは霊夢と一つ約束をしていた

それは人里の人間を無闇に襲わない代わりに、森に迷い込んできた人間を食べるのは黙認するというものだ

この約束は妖怪と人間のテリトリーを明確にするという点において紫も認可している

無闇に人里を襲えば霊夢に退治され、逆に森などに迷い込んだら人間は命の危険がある。こうすれば両者が互いのテリトリーを犯す可能性が減り、ただの行き来は自由な為、互いに友好的な者はお互いの土地に赴いて不自由なく交易をする事が出来る

ルーミア「うー…お腹減ったのだー…」

さっきから同じことしか言っていない気がするなと自分でも思い始めていたその時

???「見つけたぞ!こんな所に居やがったのか!」

ルーミア「?…誰か来たのかー?」

ルーミアが声のした方を見てみると、ひとりの男がそこに立っていた

ルーミア「(!…久しぶりの人間なのだー!見た感じそんなに強そうでもないし、殺れそうなのだー!)」

モブ雄「てめぇ…昨日はよくも邪魔してくれたな!」

ルーミアはその言葉の意味が分からなかった

ルーミア「邪魔?何の話なのだー?まずお前なんて私は知らないのだー」

モブ雄「へっ!やった方は忘れてても、やられた方は覚えているもんだぜ!」

そう言いながら男が取り出したのは拳銃だった

おそらく、河童が作ったものなのだろう

ルーミア「一応言っておくが、そんなものでは私は倒せないのだー」

モブ雄「それはどうかな!」

そう言って男は銃の引き金を引く

弾はルーミアの腹のど真ん中に直撃した

しかし、最初こそ血が流れていたが、すぐに血は止まり、傷もふさがった

モブ雄「なっ!?お前人間じゃなかったのか!?」

ルーミア「見た目は人間でも、私はれっきとした妖怪なのだー!さあ、今度はこっちの番なのだー!」

そう言って男に襲いかかろうとした時、ルーミアは後ろから呼び止められた

???「ルーミア、ちょっと待つのぜ!」

ルーミア「!…何の用なのだー?」

ルーミアを呼び止めたのは魔理沙であった

ルーミア「今ご馳走にありつけそうなのだー!邪魔しないでほしいのだー!」

魔理沙「だから、それをやめろって言ってるのぜ」

モブ雄「あ、あんた!そいつは人間じゃねぇ!妖怪だ!」

魔理沙「そんなこと言われなくても知ってるのぜ。それに、何で妖怪を攻撃してるのぜ?」

モブ雄「今まさに喰われそうになってるからに決まっているだろ!見て分からねえのか!?」

魔理沙「違う違う、私は『今からの話』なんてしてないのぜ『今までの話』をしてるのぜ」

モブ雄「ど、どういうことだ?」

魔理沙「お前、多田野モブ男だろ?結構有名だぜ?弱小妖怪を虐めてばかりいる弱虫だって」

ルーミア「とにかく、なんで私を止めるのだー?私が何を食べようが魔理沙には関係ないのだー!」

魔理沙「いや、関係あるのぜ。だってここ、私の家の前だぜ?こんな所で食事されたら私の家まで臭いが来るのぜ」

ルーミア「で、でも、せっかくのご馳走なのだー!」

魔理沙「別に喰うなとは言ってないのぜ。もっと向こうで、そうだな…森の奥で喰ってくれないか?」

その言葉を聞いた瞬間、男は耳を疑った

今の会話を聞いている限り、彼女は人間のはずだ

その彼女があろうことか、食人を否定せず、臭いの届かぬ所で喰うのなら構わないと言ってのけたのだ

男は命の危険を感じ、必死になって走った

ルーミア「…これでいいのかー?」

魔理沙「ああ、ありがとな」

ルーミア「あぁもう!今の人間は脂がのってて美味そうだったのだー!」

魔理沙「スマンスマン、家でキノコ料理をご馳走してやるから機嫌直せって!」

ルーミア「魔理沙の作るキノコ料理は耐性がないと食当たりするから嫌なのだー!」

魔理沙「大丈夫だって!今日の茸はちゃんと一般的な食用茸なのぜ」

ルーミア「例えばどんなのがあるのだー?」

魔理沙「ベニテングダケだろ、ヒトヨタケだろ、ボルチーニだろ、それに今日は奇跡的に松茸も手に入ったのぜ」

ルーミア「…ベニテングダケは毒キノコだった気がするのだー」

魔理沙「生で食ったらそうだけど、ちゃんと毒抜きすれば普通に食えるのぜ。ヒトヨタケの方は酒と一緒に食ったら大変な事になるがな!」

ルーミア「…分かったのだー…過ぎた事を延々と言ってもしょうがないから許してやるのだー!そのかわり、食糧が無くなるまで食ってやるから覚悟するのだー!」

魔理沙「うわっ…それは勘弁して欲しいのぜ…」

そんな会話をしながら魔理沙宅へ二人は消えて行った

結論だけを述べるなら、ちゃんと調理されていたのか、今回は毒に当たらなかった

そして、宣言通り魔理沙宅にある全食料をたいらげた

 

To Be Continued




可愛らしい顔をしていますがルーミアはれっきとした人食い妖怪です
あぁ、でもルーミアに食べられるならほんm…ゴホンゴホン!ま、まあ、とにかく、次回は迷いの竹林の事件を解決する話をしようと思います
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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8話 同業者

最近、迷いの竹林では幼い女の子が行方不明になる事件が頻発しているそうだ
その原因を見つけるためにメアリーは迷いの竹林に行ってみた。するとそこには妖怪と少女がいて…


迷いの竹林

妹紅「ハァ…また輝夜との殺し合いはうやむやにされてちまったな」

いつもの如く永遠亭に行って輝夜と死闘をしかけてきた妹紅であったが、最近は向こうが気乗りしないのか酒の大飲みや座戦がほとんどである

かくいう妹紅自身も、もう千年以上経った今では昔ほど輝夜を恨んではいないのだが、昔の習慣は未だに抜けぬようで、気まぐれでも輝夜と戦っていないと落ち着かないのだ

妹紅「またフリッカに怒られちまうかもな…」

そんな事を考えながら自宅への帰路についていた時、ふと少し離れたところで声がした

???「…さい!…なら…わよ!」

妹紅「ん?こんな時間に物好きな奴が誰か喧嘩でもしてるのか?」

見事なまでのブーメランを受けそうな発言をしながら声のする方へと歩いて行った

すると、そこには二人の少女と小さな鵺がいた

小さいとは言っても2mを超すような化け物ではあるのだが

鵺「何故だ!お主に我を止める権利はないはずだぞ!」

メアリー「この子供が本当に偶然ここに迷い込んだのならそうでしょうね。でも、貴方は自分の能力で人間に化けて、この子を誑かしてここまで連れてきたのはお見通しなのよ!」

鵺「くっ!だが、お主が我にかなうとは到底思えん!その娘を諦めて立ち去れ!」

メアリー「あら、それはどうかしらね!」

メアリーは一足で鵺との距離を詰め、鵺の足を蹴りはらった

そのせいで鵺は盛大に転び、膝をつくことになった

鵺「ぬぅ…人間にしてはやるではないか。我も本気を出すとしよう」

そう言うと、鵺の形態が猿から虎になった

メアリー「(この子をかばいながらは流石に危ないわね…)お嬢ちゃん、早く人里まで走って逃げなさい!助けは呼ばなくていいから!」

少女「う、うん!分かった。ありがとうお姉ちゃん!」

そう言って少女は人里まで必死に走っていった

メアリー「さあ、お目当ての女の子はもういないわよ!」

鵺「チッ!もうお主でも良い!我は腹が減っているのだ!」

そう言いながらメアリーに突進してきた

メアリー「フッ…単純な動きね」

メアリーは余裕綽綽に鵺の突進を避け、すれ違いざまに鵺の目にナイフを刺し、視界を奪った

鵺「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」

メアリー「そんな単純な突進じゃいつまで経っても私には当たらないわよ」

鵺「この鵺を愚弄するか!」

鵺が潰れた目を開くと、みるみる傷が塞がっていった

メアリー「やっぱり、ただの武器じゃ一時的な傷にしかならないか…」

鵺「許せん!八つ裂きにして喰ってやる!」

今度は周りの竹を駆使して不規則な軌道で攻撃してきた

本来、竹は頑丈だとよく言われているが流石に数百kgにもなる者の体重を支えれるわけがない。しかし、迷いの竹林の竹は魔法の森の木同様妖気に晒され続け、そうそう折れなくなっている

むしろ、強度が増している事で反発力も強くなり大きなパワーを生み、鵺の攻撃は速くなってきた

メアリー「だからそんな動きじゃ当たらないって…!?」

まだ多少不規則でも目で追えないまでではないため、さっきと同じ結果になるだろうと思っていたメアリーだったが、すれ違う時に尻尾の蛇でも攻撃してきたことで攻撃の隙が無くなっていた

しかも、鵺のスピードはまだまだ速くなっていき、少しずつ目で追えなくなってきた

メアリー「くっ、攻撃の間隔が小さくなってきたわね…痛っ!」

遂に防ぎきれなくなった攻撃がメアリーに当たる

鵺「ほれほれ!さっきまでの威勢はどうした!」

メアリー「(流石に虚勢張り過ぎたわね…私もここでおしまいかしら?)」

そんな事を考えていた矢先

妹紅「呪札『無差別発火の符』」

鵺「なぬ!?がぁぁぁぁ!熱い!体が焼ける!」

数秒悶えた後に鵺は焼け死んだ

妹紅「お前さん大丈夫かい?」

メアリー「ええ、助かったわ」

妹紅「あれ?お前は…メアリーだっけ?」

メアリー「ええ。そう言う貴女は、フリッカちゃんと一緒に居た妹紅で合ってたっけ?」

妹紅「ああ、でも本当に別人みたいになってるんだな」

メアリー「殺人鬼も更生したらまともになるのよ」

妹紅「え?それを覚えてるって事は、記憶が戻ってるのか?」

メアリー「そうね。その後で霊夢にこの役割を任されたのよ」

妹紅「この役割って…妖怪退治か?」

メアリー「んー、どっちかと言うと人妖問わず助ける自警団みたいな立場ね」

妹紅「(という事は、私と大まか同じ事をしてるってわけか)そう、それならこっちとしても助かるわ」

メアリー「そう言えば、妹紅も自警団をしてるのよね?なら同業者になるのかしら?」

妹紅「まあ、そうなるかもな。じゃあ私はもう行くから、あんたも気を付けて帰るんだよ」

メアリー「ええ、分かったわ」

そう言って二人はその場を立ち去った

 

妹紅の家

妹紅「ただいまー」

フリッカ「おかえり妹紅、もしかしてまた輝夜さんと喧嘩してきたの?」

妹紅「ま、まあ、そんな感じだな」

フリッカ「もう…どうせお酒飲みまくったりするだけなんだから、楽しく飲めばいいのに…」

妹紅「そうは言ってもなぁ…もう数百年やってる事だから今更仲良くなんて…」

フリッカ「でも輝夜さんも妹紅も一緒に飲んでる時、楽しそうよ?昔にいろいろあったのは知ってるけど、1300年も前の事でしょう?そろそろ時効にしてあげてもいいんじゃない?」

妹紅「(なんだか口調が慧音に似てきたな…そう言えば何年か前に慧音も同じ事言ってたな)」

そんなことを思いながら、ふとあることを思い出した

妹紅「あっ、そうだ。今帰ってくるときに大ニュースを手に入れたよ」

フリッカ「大ニュース?」

妹紅「ああ、メアリーと竹林の途中で会ったんだけどね。妖怪に襲われてた女の子を助けてたよ」

フリッカ「女の子を助けた?やっぱり別人みたいになってるのね」

妹紅「しかも、記憶が戻ったみたいなんだけど、更生して霊夢の手伝いをしてるそうだよ」

フリッカ「え!?メアリーの記憶が戻ったの!?また何か企んでるんじゃ…」

妹紅「いや、それは多分ないな。人里の人間にはメアリーは極悪人って事になってる。何か企んでるなら、今は良くも悪くも目立ちたくないはずだよ」

フリッカ「それはそうかもしれないけど…」

妹紅「まあ、心配なら、明日にでも霊夢の所に行って直談判してきなよ」

フリッカ「うん、そうするわ。それじゃお休み」

そう言ってフリッカは布団に入り、すぐに寝息を立て始めた

 

To Be Continued




フリッカと妹紅にメアリーの今の状況が知られてしまいましたね
次回は今回の続きで博麗神社での話を書こうと思います
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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9話 抑止力

昨晩妹紅からメアリーの記憶が戻った事を聞かされたフリッカは博麗神社に行って霊夢に事情を聞くことにした
するとちょうどメアリーもその場に現れて…


博麗神社

霊夢「ふぅ…今日も退屈な一日が始まったわねー…」

そんな独り言を言っていると、フリッカがやってきた

フリッカ「霊夢おはよー」

霊夢「あらフリッカじゃない。おはよう。何か用かしら?」

フリッカ「用って言うより、事実確認かな?」

霊夢「事実確認?」

フリッカ「…メアリーの記憶が戻ったって聞いたんだけど?」

霊夢「ええ、記憶が戻ってもあの殺人衝動は無くなったみたいだけどね」

フリッカ「それを鵜呑みにしたの?」

霊夢「まあ、あの時はさとりも居たし、その事についてはかなり信憑性が高いわね」

フリッカ「んー、まあ、さとりさんが居たなら信じざるを得ないか」

霊夢「で、どうするの?」

フリッカ「?どうするって何が?」

霊夢「記憶が無くなっていたちょっと前までならいざ知らず、今は記憶がある。つまり、あんたとの過去も思い出してるだろうから、復讐するのかって聞いてるのよ」

フリッカ「…正直、戸惑ってるわ」

霊夢「戸惑ってる?」

フリッカ「ええ、私の知ってるメアリーは残忍で、狡猾な人間だった。でも、行方不明になった後に見つけた時も妹紅に聞いた限りでの記憶が戻った後の様子も何処にでもいるような普通の少女なのよ」

霊夢「そうね。それに関しては私も驚いてるわ」

フリッカ「あれは本当に…メアリーなの?ただのそっくりな別人なんじゃないのか?って思うようになってきたのよ」

霊夢「つまり、復讐心が薄れてきていると?」

フリッカ「結果的には、そうなるわね」

そんな話をしていると、誰かが神社前の階段を上ってきた

メアリー「ふぅ…毎回この階段上るのはさすがに疲れるわねぇ…」

フリッカ「メアリー…」

メアリー「!?…フリッカちゃん」

フリッカ「記憶が…戻ったんですってね」

メアリー「ええ…今更自分のやった事の言い訳も弁明する気はないわ。八つ裂きにしたいなら好きにしなさいな」

そう言って両手を広げ無抵抗をアピールした

フリッカ「…いや、やめておくわ。今は人の役にたってるようだしね」

メアリー「そう…ありがとう」

フリッカ「…ただし、次何か変な行動をしたら容赦しないわよ」

メアリー「ええ、肝に銘じておくわ」

フリッカ「ああそうだ霊夢、前に言ってたマミの件はどうなったの?」

霊夢「ああ、あれなら私よりもメアリーの方が詳しいわよ」

フリッカ「え?なんで?」

霊夢「私が他の事で忙しかったから、その件をメアリーに頼んでおいたからよ」

メアリー「あー、あれなら多分解決したわよ。マミを虐めてた子供は叱っておいたし、人里の近くに住んでたマミ達を一切合切近くの森とか洞窟に身を隠して無闇に出てこないように言ったし、あれからマミゾウさんも言ってこないって事は、あれ以降問題が起きてないって事でしょ?」

霊夢「ええそうね」

フリッカ「そう言えば、さっき退屈って言ってたけど、最近は前みたいに依頼が来てないって事なの?」

霊夢「そうね、前までは忙しいことこの上なかったけど、良くも悪くもメアリーは顔が知れてるから妖怪も人間も近くにメアリーがいるだけで抑止力になってるのよ」

フリッカ「元悪人だからこそ悪事が起きやすい所は熟知してるって事ね。なんだか皮肉だわ…」

メアリー「まったくね。でも、こんな私が恐れられることで抑止力や人柱になって役に立てる。それだけで今までの悪事の償いになるんならなんでもいいわ」

フリッカ「(本当に…何でこんな考えができる奴があんな殺人鬼なんかになっちゃったのかしら?)」

フリッカは戸惑っていた

過去にあれほどの事をしたこの狂人の本質的な性格がこんなにも綺麗なものだったのかと、罪滅ぼしとはいえここまで自己犠牲を厭わぬ人間になれるのかと

霊夢「そう言えば、前から少し引っかかってたことがあるのよね」

メアリー「引っかかってる事?」

霊夢「ええ、あんたが前に起こした事件の時の一回目の似顔絵とあんたじゃ少し違うところがあるのよね」

メアリー「そうなの?」

霊夢「赤い髪、紫の目って言うのは同じなんだけど、それ以外の特徴が合わないのよね」

紫「それは私が彼女の年齢の境界を曖昧にしたからよ」

霊夢「あら、生きてたのね紫」

フリッカ「(ビ、ビックリした…)」

紫「そうそう簡単に私はくたばらないわよ」

霊夢「そうね、あんたはゴキブリ並にしぶといものね」

紫「あら酷い」

フリッカ「それより、年齢の境界を曖昧にしたってどういう事?」

紫「論より証拠よ。これを見なさいな」

紫がメアリーに手をかざすと、メアリーの姿がどんどん成長し、女性になった

霊夢「なるほど、確かに一回目の似顔絵に合致して昔のルーミアにそっくりね」

メアリー「ゆ、紫、さっきの姿に早く戻して欲しいんだけど」

紫「え?なんでかしら?」

メアリー「さっきまでずっと小さい頃の姿だったから、そっちに慣れちゃったし、その、服が…キツイ」

少し顔を赤らめながらメアリーがそう言った

紫「あら、分かったわ」

紫がもう一度メアリーに手をかざすと、再び子供の姿に戻った

フリッカ「何で十年以上姿が変わってなかったのか、ようやく理解出来たわ」

メアリー「ところで、あれから新しい依頼は来てないのかしら?」

霊夢「そうね…あんたが一日に5件も6件も仕事を片付けていくから、今はからっきし依頼は来てないわね」

メアリー「そう、じゃあ暇潰しに見回りして帰るわ」

そういってメアリーは去っていった

フリッカ「…一日5,6件って多過ぎない?内容によるだろうけど」

霊夢「ええ多すぎるわ。私達みたいに空を飛べるならまだわかるけど、メアリーは普通の人間だからいつも現場まで走っていってるわ。しかも本人曰く、ほとんど戦闘ありっぽいし」

フリッカ「キ、キチガイじみた体力ね…」

紫「あの体力には私も驚かされるわ」

霊夢「で?何の用?あんたから来るなんて珍しいじゃない」

紫「ちょっとまずい事が起こってね」

フリッカ「まずい事?」

紫「なんでだか知らないけど、幻想郷で銃器の弾が見つかったのよ」

霊夢「?…別に不思議でもないんじゃないの?火縄銃とかあるんだし」

紫「見つかったのは火縄銃の弾じゃなくて、多分…拳銃の弾よ」

霊夢「ケンジュウ?何それ?」

フリッカ「拳銃!?」

紫「まあ簡単に言えば片手サイズの銃って感じね。もちろんそんなもの幻想郷に持ってきた記憶も迷い込んだ記憶もないわ」

霊夢「じゃあ河童達が作ったって事?」

紫「おそらくね。でも、河童の技術が発展してるからと言って、あんな物作れる程ではなかったはず。何かモデルとなる物が無いと作れない筈なのよ。霊夢、心当たりあるでしょ?」

霊夢「…菫子のモデルガンとかいうやつね」

紫「ええ、それしか思い当たる節がないわ。あの時、河童のにとりもあの場にいたから、辻褄があうわ」

フリッカ「内容がさっぱり分かんないんだけど、銃が量産されてるのって、結構やばいんじゃないの?」

霊夢「かなりやばいわ」

紫「ええ、妖怪と人間のパワーバランスが崩れかねないわ。いくら妖怪が死ににくいとは言っても、弱小妖怪はそこまで頑丈じゃないしね。とりあえず、行くわよ霊夢」

そう言って2人は妖怪の山にある河童の里まで飛んでいった

フリッカ「…ここに居てもしょうがないし、私も帰ろっと」

そんな独り言を言いながら、フリッカは階段を降りていった

 

人里 とある民家

男1「二人共、銃は手に入ったか?」

男2「ああ、手に入ったぜ」

男3「久しぶりの妖怪狩りだねぇ」

男1「決行は3日後、あのクソ生意気なガキは絶対殺すぞ!」

男達「オー!」

 

To Be Continued




菫子のせいで幻想郷の中に拳銃が量産されているようですね
次回はメアリーが紅魔館に行く話を書こうと思います
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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10話 紅魔館

とある事を聞くため、博麗神社を訪ねたメアリー
その内容は妖怪にとっての知識についての事で…


博麗神社

メアリー「ねぇ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

霊夢「聞きたいこと?何かしら?」

メアリー「少し前に戦った妖怪が『もう少しでコイツの知恵を手に入れられたのに!』って怒鳴ってたんだけど、どういう事?」

霊夢「ああ、あんたは知らなくて当然か」

メアリー「?…どういう事?」

霊夢「まず、人間の記憶がどこに宿ってると思う?」

メアリー「え?そりゃ頭の脳じゃないの?」

霊夢「確かに脳にも記憶は残っているわ。でも、それ以外にも他の四肢や体にも宿っていると考えられているわ」

メアリー「え?そうなの?」

霊夢「聞いたことないかしら?『頭で考えてみても思い出せないけど、実際やってみると体が憶えてるもんだ』って」

メアリー「んー、なんか聞いたことはあるような気がするわ」

霊夢「言われてるだけで、何の根拠もないけどね。まあとりあえず、妖怪は元々人間の思想や思い込みから生まれてくる。だから、生まれたての妖怪は人間と同様、無知なのよ」

メアリー「…それってつまり、人間を食べてその人間の記憶を取り込むってこと?」

霊夢「ええ、ある程度成長したらただ単に食料として襲うみたいだけどね」

メアリー「(…ルーミアが執拗に私を食べることにこだわっているのは、これがあるからなのかしら?)」

霊夢「どっかの吸血鬼は『その者のすべてを喰らえばその者の魂をも取り込める』とか言ってるけど、どこまでが本当なのかわかったものじゃないわ」

メアリー「へぇ、その吸血鬼ってどこに住んでるの?」

霊夢「霧の湖にある館よ。でも、会いに行く気なの?」

メアリー「ええ、面白そうだし、何より本物の吸血鬼に会ってみたいわ」

霊夢「あんたも物好きねぇ…」

メアリー「褒め言葉と受け取っておくわ」

そんなことを言いながらメアリーは神社を去っていった

 

霧の湖

メアリー「この近くの館って聞いたけど、その名に違わず霧が濃いから、どこに館があるのかさっぱり分かんないわね」

???「あんた何してるの?」

そう後ろから話しかけられて、メアリーが振り返ってみると

メアリー「…妖精?」

???「そうだよ!アタイは最強の氷精チルノ!」

その妖精はチルノと言うらしい

メアリー「私はメアリーよ」

しかし、なんとまあ…子供特有の全能感丸出しである

メアリー「ところで最強のチルノちゃん、ちょっと教えて欲しい事があるんだけどいいかしら?」

チルノ「なになに?アタイなんでも知ってるから何でも聞いていいよ!」

そのドヤ顔を見て、可愛いなぁと思いながら、撫でたい気持ちをぐっと押さえ込んで話を切り出した

メアリー「この湖の近くに大きな館があるって聞いたんだけど、知ってる?」

チルノ「大きな館?紅魔館のこと?」

メアリー「んー、分かんないけど、吸血鬼がそこに居るなら多分そうね」

チルノ「うん、吸血鬼なら確かにいるよ。アタイも時々一緒に遊ぶし」

メアリー「じゃあ、そこまで案内してくれないかしら?」

チルノ「いいよ!なんたってアタイは最強だからね!」

メアリー「ありがとう」

そんなことを言いながら、気が付くとチルノの頭を撫でまわしていた

チルノ「えへへー、褒められたぁ(●´ω`●)ゞ」

チルノのその無垢な表情を見て抱きしめたくなったが、流石にこれ以上は引かれると思い踏みとどまった

 

紅魔館 門前

チルノ「ここが紅魔館だよ」

メアリー「意外と近かったわね。ありがとう」

チルノ「じゃあねメアリー」

メアリー「ええ、またね」

チルノが手を振りながら飛んで行った

メアリー「さてと、門は何処かしら?」

そんな事を呟きながら壁伝いに進んでいくと、門と思しき場所についた

そして、その門の前には誰かが立っていた

メアリー「(あれは…門番かしら?でも、ここから見た感じ、寝てるような…)」

そんな事を思いながら近づいて行き、メアリーは驚愕した

メアリー「ベルさん!?なんでこんなところに!?」

その声でその人物が起きてしまった

ベル?「はっ!?ち、違います!ちゃんと起きてましたよ咲夜さ…あれ?」

急に起きたかと思うと誰かに弁明の様な物をしていたが、その人物がいない事に気が付くと安堵の表情を浮かべた

ベル?「よかった、咲夜さんは来てないわね…ん?あなたは誰でしょう?」

メアリー「ベルさん…じゃないわね」

ベル?「へ?誰ですかその人、私は紅美鈴ですよ」

メアリー「(ルーミアといい、この人といい、こっちの世界には瓜二つな人が多いわね」

そんなことを思っていると、門の中から誰かが出てきた

???「美鈴、貴女今日も居眠り…今日は寝てないのね。異変かしら?」

美鈴「咲夜さんは失礼ですね…私だっていつも寝てる訳じゃ無いですよ」

咲夜「あら、1000日門番やって999日は寝てる人の言葉とは思えないわねー」

そんなことを言いながらメイド服の裾からナイフを取り出し、美鈴につきつけた

メアリー「!?そのナイフ、なんで貴女も持ってるの?」

咲夜「え?これは私のナイフだから私が持ってても不思議じゃないはずなんだけど?と言うより、貴女『も』ってどういう事かしら?」

メアリーはそう聞かれて、腰元からナイフを取り出した

咲夜「何で貴女が私のナイフを…いや、違うわね。それは私が現世で使ってたタイプのナイフね。貴女こそ何処でそれを手に入れたの?」

メアリー「師のベルさんにもらったのよ」

咲夜「ベル?それってもしかして、ベル・スミスのこと?」

メアリー「ええ、そうよ。知ってるの?」

咲夜「そりゃ、昔の弟子ですもの」

メアリー「え!?じゃあこのナイフって…」

咲夜「ええ、私がベルにあげた物よ。でも、幾ら素手專だからって、師に貰った物を他人にあげないで欲しいわ…」

咲夜は少し呆れたような表情を浮かべた

咲夜「まあいいわ。そのナイフ、大事にして頂戴」

メアリー「ええ、大事にするわ」

咲夜「そう言えば、紅魔館に用があるんでしょう?入りなさいな」

メアリー「ありがとう。お邪魔させてもらうわ」

咲夜「じゃあ、引き続き門番よろしく…って、やっぱり寝てるじゃないの!」

そう言って勢いよくナイフを美鈴の頭に突き刺した

美鈴「いっっったぁぁぁぁい!!!!」

いや、痛いでは到底すまないでしょっと思いながらメアリーは紅魔館の中に入った

 

To Be Continued




悪魔の館とも呼ばれている紅魔館に足を踏み入れたメアリーは果たして生きて帰って来れるのでしょうか?
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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11話 永遠に幼き紅い月

遂に紅魔館へたどり着いたメアリー、主に会わせてくれと頼むと、とある部屋に案内され、中へ入るとそこに居たのは…


紅魔館

メアリー「今更だけど、用件も聞かずに私を館にあげてよかったの?もしかしたらテロリストかもしれないのに」

咲夜「そんなもの、時を止めれる私にかかれば問題ではないわ」

何そのチート能力…DIOみたい

咲夜「ところで、紅魔館になんの用なのかしら?」

メアリー「霊夢からここに住んでる吸血鬼のお嬢が『人間を喰ったら魂をも取り込めると話してた』って言ってたから、詳しい話をと思って来たのよ。まあ、大半私がただ単に吸血鬼に会いたかっただけなんだけどね」

咲夜「あの脇巫女は、また適当な事を言ってるのね…」

メアリー「え?じゃあ、嘘なの?」

咲夜「いや、そうも言いきれないわね。あのお嬢様だもの、出来るかどうかは別として仰る可能性もあるわ。まあ、実際に会って聞いてみたらどうかしら?」

そう言って咲夜はとある部屋の前で立ち止まった

咲夜「お嬢様、御客人が来てますのでお通しして構いませんか?」

???「え!?ちょ、ちょっと待って!一分だけ待って!」

そう言って部屋の中からドタバタと音がして、ちょうど一分後に咲夜が部屋のドアを開けた

???「も、もうちょっと待ってよぅ…」

咲夜「一分だけ待てと言ったのは貴女でしょう?レミリアお嬢様?」

メアリーは意外だった

先程までの話に聞いている通りなら、お嬢様はとても威厳があって、凛々しい人物なのだと思っていた

しかし、今しがた咲夜にお嬢様と呼ばれた者は幼く、部屋に色んなものが散乱しているような、可愛らしい少女であった

メアリー「…この人が、貴女の主?」

咲夜「ええ、可愛いでしょ?」

メアリー「ええ、とっても可愛らしいわ」

レミリア「ちょっと咲夜!主に向かって『可愛い』とはなによ!」

咲夜「良いじゃありませんか。大変麗しゅうございますよ」

レミリア「うぅ…ところで、御客人っていうのは、この子かしら?」

咲夜「はい、以前お嬢様が宴会の時に『食した者の魂を取り込める』と言っていた事について聞きたいのだそうで」

レミリア「そうは言っても、これでも私は忙しいのだけど?」

咲夜「ほう、例えば何が忙しいのでしょうか?」

レミリア「スーファ…いろんな世界の運命を操って囚われた者を救ったり「ゲームをしたいだけですね」最後まで言わせてよ!」

どうやら幻想郷にはスーファミは入ってきてるらしい

咲夜「とにかく、日中お外に出れないお嬢様はただでさえ外交関係がないんですから、偶には外の者とも対話をしていただかないと、紅魔館の主が廃れますよ?」

レミリア「うっ…分かったわよぉ」

咲夜「それでは、私は失礼します」

そういった直後、咲夜が一瞬で消えた

その代わりにレミリアとメアリーの前に紅茶が置かれていた

レミリア「それで?何で私が人間の魂を取り込む事に興味があるのかしら?」

咲夜がいなくなった途端、レミリアが急にカリスマ全開になった

メアリー「貴女が…と言うより、妖怪が食べた人間の知力や技術を自分のものにできるって言うのを詳しく教えてもらいたいって感じですね」

気づけばメアリーはレミリアに対して敬語になっていた

レミリア「細かい事を言うと、食べた人間の全ては自分の物に出来ないんだけどね」

メアリー「そうなんですか?」

レミリア「最初の頃は食べた人間の知識の大部分を取り入れられるんだけど、ずっと食べていくうちに一人あたりから得られる知識が少なくなってしまったり、低能で得るものが無くなかったりするから、ただの食糧としか扱わなくなってしまうのよ」

メアリー「ゲームの経験値みたいですね」

レミリア「まあ、簡単に言ったらそうかもしれないわね」

メアリー「一応聞いておきたいんですが、貴女が以前言っていたという「喰い尽くした者の魂を取り込める」と言うのは本当なんですか?」

レミリア「ええ、本当よ?なんなら貴女で試してあげましょうか?」

レミリアが不敵な笑みを見せた

メアリー「いえ、遠慮しておきます。ただ、一つお願いしたい事が」

レミリア「あら、何かしら?」

メアリー「お手合わせ…していただけませんか?」

レミリア「…フッ……ハハハ!面白い事を言うんだねぇ!私と手合わせ?相手になるわけがない!」

レミリアはケラケラと見た目相応、だがとても綺麗な笑みを浮かべた

メアリー「ええそうでしょうね。でも、知りたいんです。本当の吸血鬼と言うものを、この肌で」

レミリア「本当に面白いやつだ!いいわ、受けて立とうじゃないの!」

そう言ってレミリアに、とある部屋へと案内された

 

紅魔館 魔導室

レミリア「ここならある程度暴れても大丈夫よ」

メアリー「そうですか(さて、私は何秒持ち堪えられるかな…)」

レミリア「そうだ、ただ遊ぶだけではつまらない。何かを賭けようじゃないか」

メアリー「分かりました。なら…私が賭けに勝ったら貴女を抱きしめさせてください」

レミリア「なるほど、なかなかに屈辱的な罰ゲームだねぇ。じゃあ、私が勝ったらお前の血を少しばかり頂こうかな。もちろん直吸いで。ああ、別に私が吸血したからって吸血鬼にはならないから安心しな」

メアリー「それは安心ですね」

勝敗の判定はお前が戦闘不能になるか降参する前に私に目に見える傷を付けれたら、でどうだ?」

メアリー「なるほど、それなら私にもまだ勝機がありそうですね」

レミリア「私から行っても興が削がれる。お前の方から来るといいわ」

メアリー「分かりました。行きますよ!」

そう言ってレミリアに一直線に突進しナイフで切りつける…と見せかけて足をはらった

レミリア「あらあら、なかなか技巧派じゃないの。危うく転んで顔を擦りむいてしまう所だったわ」

しかし、レミリアは逆にその足払いを利用して横一回転をして悠々と立っていた

メアリー「まだです!」

次はナイフをレミリアの顔と体に投げてそれを追うようにレミリアに突進した

レミリア「甘いわね。その程度じゃ私は…え!?」

レミリアは飛んできたナイフを両方空中で掴み軽く反撃しようとしたが、そこにはメアリーの姿はなかった

レミリア「…!?上か!」

そう思い上を向くと、メアリーがナイフを振りかざして落下してきた

レミリア「場所を悟られちゃおしまいよ!」

そう言ってさっきメアリーから奪った二本のナイフで鍔迫り合いをしようとした。だが…

レミリア「なに!?」

メアリーのナイフと刃が振れた瞬間、レミリアの持っていた方のナイフの刃が欠け、折れてしまった

しかし、流石吸血鬼、人外の反射速度でナイフを白羽取りし、そのままメアリーを投げ飛ばした

レミリア「お前…わざと脆いナイフを私の方に投げたのか?」

メアリー「ええ、貴女にその戦術が通じてよかったですよ。まあ通じた上でもナイフを防がれちゃいましたけどね」

レミリアは驚愕した。目の前にいる娘は咲夜の様な能力はない。美鈴の様な腕力もない。なのに、この気高き吸血鬼レミリア・スカーレットに人間如き攻撃で欺き、負けを意識させるという事をしてのけたのだ

レミリア「…どうやら、私はお前を侮っていたようだ。こちらも少し本気を出そうかねぇ」

レミリアがそう言うと、人間であるメアリーにも分かるほどレミリアの覇気が大きくなった

その後の展開は言わずもがな、一瞬で負けた

メアリー「やっぱり、ただの人間じゃ吸血鬼には勝てませんね」

レミリア「分かりきっていたことだ。だが、なかなかに楽しませてもらったぞ?お前ならそこいらの妖怪には負けないくらいには強かったしな」

メアリー「お褒めに預かり光栄です」

レミリア「まあ、約束は約束だ。少しばかり血をもらうぞ」

メアリー「ええ、どうぞ」

そう言って首を晒した

レミリア「?…ああいや、私は首からじゃなくて、指から吸いたいんだが」

メアリー「え?指から…ですか?」

レミリア「首からじゃ血が出すぎて飲みきれんからな」

そう言ってメアリーの人差し指を少し噛み切って血を吸い始めた

メアリー「(ヤッバイ!この構図めっちゃ萌える!)」

レミリア「…ふぅ、もうお腹いっぱいだ」

さっき吸い始めてからまだ数分なのに、もう十分だそうだ

メアリー「凄く小食なんですね」

レミリア「ああ、魂を取り込めると言ったものの、私の場合血肉どころか血も飲み干すのもかなり時間がかかるわね」

その苦笑いをしている吸血鬼にはさっきまでの覇気は見受けられなかった

レミリア「ところで、まだ何か用はあるのかい?」

メアリー「いえ、もう充分楽しませてもらいました。そろそろお暇させてもらいます」

レミリア「そうかい。またいつでもおいで。また相手になってあげるわ」

メアリー「ありがとうございます。それでは」

そう言って、メアリーは紅魔館から帰っていった

 

To Be Continued




やはり500年を生きてきたレミリア嬢にはメアリーは勝てなかったようです
しかし、あのレミリア嬢に少しとはいえ本気を出させるとは…本当に人間なんですかね?
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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12話 悪夢の目覚め

以前、昔のルーミアに似ていると言われたメアリーは、昔のルーミアの事を知る為霊夢の所へ行った。すると、話の途中に大きな地響きが起きて…


博麗神社

メアリー「そういえば、前に私の下の姿が昔のルーミアに似てるって言ってたけど、昔のルーミアってどんな感じだったの?」

霊夢「昔のルーミア?」

メアリー「ええ、なんか今と昔じゃ全然違うみたいなこと言ってたから」

霊夢「まあ、確かに全然違うわね」

霊夢はそう言うと、一呼吸おいて話し始めた

霊夢「ルーミアの頭についてるリボンは知ってるわよね?」

メアリー「ええ、それがどうかしたの?」

霊夢「あれはルーミアの力を抑制してる制御符なの」

メアリー「そんなに危ない妖怪だったの?」

霊夢「狂暴だったというか、大喰らいにも程があって、昔に人里の人間を食い尽くしかけたことがあったのよ。だから先代の巫女にあの符を付けられて、出来るだけ食べる量も消費する量も減らしてるってわけ」

メアリー「そんなことされた割にはのんびり生活してる様に見えるわね」

霊夢「符を付けられた時の反動なのか、一部の記憶が曖昧だそうよ。符自体はルーミアの手で取れないし、とったらまずい事になるって事は理解してるみたいだしね。まあ、私自身もその姿を見たのはだいぶ前のことだけどね」

その時、一瞬霊夢がなにか思いついたかのような顔をした

霊夢「現世風に言うなら、私にとっては昨日(過去)の出来事だが、君達にとっては多分…明日(未来)の出来事だってやつね」

メアリー「やめてよ…霊夢の発言は現実になるって有名なんだから…」

霊夢「あら、それじゃあ私が疫病神みたいじゃないの」

そんな話をしていると、魔法の森の方で轟音がした

メアリー「な、なに!?今なんかすごい音がしたわよね!?」

霊夢「ええ、魔法の森の方から聞こえたわよね…!?」

すると、霊夢が急に驚愕の顔を浮かべた

メアリー「どうかしたの?」

霊夢「…さっきの言葉、撤回するわ」

メアリー「さっきの言葉?…!?まさか!?」

霊夢「ええ、なんでだか知らないけど、ルーミアの妖気がどんどん大きくなっていってるわ。それこそ、全盛期並みにね」

メアリー「それって、すごくヤバイんじゃ…」

霊夢「すっごくやばいわ。メアリー、行くわよ!」

メアリー「え?私も?」

霊夢「そうよ。もう一度ルーミアに制御符を付けるには一定範囲内にいといてもらわないと術がかけれないの。だから、ルーミアの気を引いといてもらう必要があるのよ。術中は私が動けないし」

メアリー「…分かったわ。その役割、引き受けようじゃないの!」

霊夢「言っといてなんだけど、ルーミアはかなり強いわよ?あの紫と互角に戦うくらいだし」

メアリー「私の役目は『囮』でしょ?相手の強さなんて技術でどうとでもなるわ。それに…友に殺されるんなら…本望よ」

霊夢「あんた本当に肝が座ってるわねぇ」

そんなことを言いながら二人は魔法の森へと急いだ

 

数分前

魔法の森

ルーミア「あぁ、お腹減ったのだー」

もはや口癖となりつつある言葉を呟きながら、その場しのぎで森の木の実を食べていた

ルーミア「前に来た人間、あいつは美味しそうだったのだー…」

過去を振り返っても意味が無いと知りつつも考えてしまう

しかし、神はルーミアを見放してはいなかったようだ

モブ雄「いたぞ!あそこだ」

モブ助「妖怪狩りだぁ!」

モブ衛門「妖怪を退治したら泡銭くらいは貰えるのかねぇ」

そんな事を言いながら男が三人近づいてきた

ルーミア「!?お前は…前来た旨そうな人間なのだー!一度ならず二度も私の前に姿を見せるなんて、私はついてるのだー!」

モブ雄「へっ、今回は三人もいるからな!前みてぇにはいかねぇぜ?」

ルーミア「ふん!人間が数人群れたところでどうとでもなるのだー!」

その直後男が撃った弾により、ルーミアの左脇腹に小さな穴があいたが、すぐに塞がってしまった

モブ衛門「チッ、やっぱ体撃ってるだけじゃバケモンには銃は効かねえか」

ルーミア「そんなもの、ちょっと痛いだけでどうってことないのだー!」

そう言いながら、普段弾幕しか使わぬルーミアには珍しく瞬時に男達との距離を詰めて物理攻撃に出た

ルーミア「これでも、食らうのだー!」

ルーミアが繰り出したのは、メアリーの真似なのだろうか、サマーソルトであった

それを咄嗟に、手に持っていた散弾銃でガードした

普通なら壊れてもおかしくない様な威力の蹴りを受けた散弾銃だったが、流石河童製、かなり丈夫であった

しかし、ルーミアが蹴った場所が引き金近くだったこと、偶然銃口がルーミアの側頭部に向いてしまったことが災いし、暴発弾が数発ルーミアの頭に当たってしまった

ダダーン!

ルーミア「がっ!…痛いのだー…」

幾ら妖怪とはいえ、頭は弱点であり、重要部位である

頭が吹き飛んでいないか確認する為に頭に手をやったルーミアはあることに気がついた

ルーミア「!?リボンが…欠けてるのだー!」

何故リボンが欠けていてはいけないのかはルーミア自身もよく覚えていないが、心の奥底で危険だと何故か理解している

その慌てようを見た男達三人は、そのリボンがこの妖怪の弱点だと思い、ニヤリとした

モブ助「そのリボンがお前の弱点か!」

ルーミア「ち、違うのだー!これは自分でもわからないけど、なくなると危険なのだー!」

モブ雄「その慌てよう、この状況じゃ逆効果だぜ!やれ!」

その合図をきっかけとしてルーミアのリボン及び顔に大量の銃弾が浴びせられた

そして遂にリボンは跡形もなく吹き飛び、顔も一部が飛散してしまい、糸が切れた人形のようにルーミアは地に臥した

モブ衛門「やったぜ!大口叩いた割にはチョロかったな!」

そんなことを言いながらルーミアに近づいていった

しかし、あと少しでルーミアに触れるという所で他の二人の視界からモブ衛門が消えた

いや、消えたというよりは、闇に呑まれたというべきか

モブ衛門は自分の影から伸びた黒い手に足を掴まれ、影の中に引きずり込まれてしまったのだ

モブ助「な、なんだよ今の!まさか、コイツまだ生きてやがるのか!?」

そう思い、ルーミアの方を見る二人

すると、ルーミアの周りに闇が集まり始め、ルーミアを包み込んだ

その直後、ルーミアの体が急に成長し、成人ぐらいまで成長したところでルーミアが起き上がった

EXルーミア「ふぅ…開口一番早速顔が半分ないんだけど、どういう状況なのよ…」

そんなことを言いながら欠損部に闇を集めると、みるみる傷や欠損が治っていく

モブ雄「ようやく本性を表したな化物!」

EXルーミア「あら、早速人間(食糧)はっけーん」

その笑みを見た時、男二人は本能的に勝てないと悟って逃げようとした

EXルーミア「あら、逃がさないわよ!」

ルーミアは自分の影から黒い手を伸ばし、モブ助の腹を貫き、そのままモブ雄の顔を鷲掴みにした

そして手の中に妖気を溜めて爆裂させると見た目以上の大爆発が起き、モブ雄の顔も消し飛んだ

EXルーミア「ふぅ…やっぱりまだ体が鈍ってるわね…全然力の加減が分からないわ」

ルーミアは普通に魔力弾で人間を弱らせようとしただけだったのだが、加減を間違ってしまった様だ

EXルーミア「とりあえず、もうおなかペコペコだし、残ってる分だけでも食べちゃおうかな」

そう言ってルーミアは『物』と成り果てた二人を喰らい始めた

EXルーミア「…全然お腹が満たされない…やっぱりこの体は消費が激しすぎるわね」

一瞬人里でも襲おうかとも考えたルーミアであったが、否と言う結論に辿り着いた

EXルーミア「お腹はすっごく空いてるけど、--との約束だもの。唯一の友との約束くらい守らなきゃね」

そんな事を呟いていると向こうから誰かやってきたようだ

霊夢「居たわ!こっちよ!」

メアリー「これが…ルーミア?」

やってきたのは霊夢とメアリーだった

 

To Be Continued




博麗神社には疫病神でも憑いてるんですかねぇ?(すっとぼけ)
次回はEXルーミアとメアリーの対決を書こうと思います
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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13話 殺人鬼VS食人鬼

長年の呪縛が解けてしまったルーミア
表面上は森から出ないと言い張っているものの、その殺気は常にあふれ出ているようで…


魔法の森

EXルーミア「あら霊夢久しぶりね。最後に会った時はあんなに小さかったのに、えらく大きくなったじゃない」

霊夢「あんたを最後に見た時からもう10年はたってるからね。嫌でも成長するわよ」

EXルーミア「で、そっちは…ああ、貴女がメアリーね」

メアリー「ええ、貴女自体には初対面だけどね」

EXルーミア「ところで、私に何か用かしら?」

霊夢「あんたが久方ぶりに現れたから、また暴れるんじゃないかと思って来たのよ」

EXルーミア「まあ、それしかないわよねー。でも、先代とも人里を襲わないって約束をしてるから、安心して頂戴」

霊夢「そう…ならいいのよ。それじゃあ私たちは帰るわね」

そう言って二人は帰ろうとした

その次の瞬間、ルーミアが出した黒い手が二人に襲いかかり…

メアリー「やっぱり…か」

メアリーのナイフによって切り落とされた

EXルーミア「あら、バレちゃったみたいね」

霊夢「そりゃあんなに殺気だってたら誰だって気づくわよ」

EXルーミア「でも、ここは人里じゃない。だから約束には触れてない。そうよね?」

霊夢「はぁ…そうね。約束に触れた行動はしてないわね。でも、やっぱりあんたを再封印させてもらうわ!」

そう言って霊夢は森の上空に飛んで行った

EXルーミア「という事は、メアリー、貴女が私の相手をしてくれるのかしら?」

メアリー「ええ、私が貴女の足止め役よ」

EXルーミア「なかなかにナメられたものね。かつて紫に並ぶ大妖怪とまで言われた私の相手が何の能力もないただの小娘とは…笑わせる!」

メアリー「ええ、全力を出せる貴女なら、私なんか一瞬で消しとばせるでしょうね」

なぜかメアリーは含みのある笑みを浮かべた

メアリー「でも貴女は今、まだ本気は出せない。しかもそっちには霊夢の封印までの制限時間というハンデもある。それならまだ私にも勝機はあるんじゃないかしら?」

EXルーミア「フッ、そんなものハンデの内に入らないわ!」

ルーミアは余裕の表情をしていたが、メアリーにはわかった。ルーミアは今少なからず見栄を張っていると

メアリー「(それなりにはハンデになっているようね…でも、今のルーミアの妖気は人間である私でもわかるくらい強大な物だし、まったく油断できないわね)」

その後、少しのにらみ合いが続いたが、すぐに動きがあった

先に動いたのはルーミアの方だった

EXルーミア「召喚『闇に蠢く黒い手』」

ルーミアがスペカを唱えるとルーミアの影から2本の黒い手が出てきて、メアリーを襲った

メアリー「その程度、避けられないとでも思ってるの?」

そう言って襲ってきた二本の手を空中で切り落とし、着地した

EXルーミア「へぇ、なかなかいい動きするじゃない。でも、無尽蔵に湧いてくる闇に対して、いつまで耐えられるかしらね?」

メアリー「あら、それはどうかしらね?」

EXルーミア「?…どういう事かしら?…!?」

そこでルーミアはあることに気が付いた

EXルーミア「腕が…再生できない!?」

メアリー「やっぱり、貴女も妖怪なら、霊夢の霊力には敵わないのね」

EXルーミア「くっ…なら術を解除するしかないわね」

そういうと、ルーミアから伸びている二本の手が消えた

メアリー「さあ、これで振り出しに戻ったわね」

EXルーミア「(この子、あからさまに時間稼ぎをしてるわね…早くしないと霊夢の術式が完成しちゃうわね)」

そう考えたルーミアは次のスペカを取り出した

EXルーミア「蝕符『闇夜に潜む殺人鬼』」

すると、今度はルーミアを中心としてあたりが真っ暗になり、何も見えなくなった

メアリー「(流石に、前と同じで自分も見えてないっていうのは期待出来ないわよね)」

そんなことを考えながら、周りに現れた殺気を消していった

すると、しばらくしてメアリーを包んでいた暗闇が晴れた

EXルーミア「ほんと貴女には目潰しは全く聞かないわね」

メアリー「あら、分かりきってる事じゃないの」

EXルーミア「そうね…じゃあ、直接殺らせてもらうわ!」

そう言ってメアリーに一直線に突っ込んできた

だが、本気を出せないルーミアの突進などメアリーに見えない訳が無く、簡単に避けられてしまう

メアリー「そんな馬鹿正直な突進当たるわけ…!?」

そう言い切る前に、とあることに気が付きメアリーは咄嗟に回避行動をとった

なんと、ルーミアは突進している自分の体に隠して闇の手を背中から出していたのだ

そのことに気が付くのが一瞬遅れたメアリーに闇の手が掠った

だが、その掠っただけでも人間であるメアリーには大怪我を作るのには十分であった

メアリー「へぇ…なかなか考えた攻撃方法ね」

斬られた腹を押さえながらメアリーがそう言った

EXルーミア「ようやく貴女に攻撃を当てることができたわね。これでさっきまでみたいには動けないわよ」

メアリー「そうね…だから、こうさせてもらうわ!」

そう言ってメアリーがナイフを投げた

そのナイフはルーミアの左翼に刺さった

EXルーミア「あら、幾ら退魔の効果があるからって、その程度の物じゃ私はやられないわよ?」

メアリー「でしょうね。だってそれが目的じゃ無いもの」

EXルーミア「は?それってどういう…」

ルーミアはメアリーが何を言っているのかさっぱりわからなかったが、すぐに異変に気が付いた

メアリーの投げたナイフはルーミアの左翼を貫通し、後ろにあった木にルーミアを繋ぎ止めていたのだ

しかもこの魔法の森にある木のほとんどは森の中に充満している魔力が染みついていて、退魔の効果が木や土にも働くのだ

今のルーミアであればナイフを木ごと引き抜くことも、おそらくは可能であろうが、そんなことをしている間にほぼ間違いなくメアリーに次のナイフを刺され、拘束がきつくなることは目に見えていた

EXルーミア「(これは…詰んだかしらね…)」

メアリー「(ルーミアがおとなしくなった?…今なら、あれが出来るかしら?)」

ふとある事を思い出したメアリーはルーミアに近付いて行った

そしてあと数十センチで手が届くという所で…

EXルーミア「私に…触るなぁぁぁぁ!」

ルーミアの出した闇の手に腹を貫かれ、風穴を開けられてしまった

 

To Be Continued




メアリーの悪い癖で、勝ったと早とちりしてしまったせいで致命傷を負ってしまいましたね(汗)
次回は今作の最終話です!
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ


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最終話 友に遺す物

油断してルーミアに近づいたメアリーは腹を貫かれてしまう。しかし、メアリーはまだ勝負を諦めてはおらず…


メアリー「ガッ…ハッ!?まだ、そんな…力が…?」

EXルーミア「ハァ…ハァ…ハァ…油断…したわね!私の…勝ちよ!」

霊夢の術式が完成するまでまだ数分はかかる。そのことを確認したルーミアは勝利を確信した

メアリー「まだ…よ!」

EXルーミア「え?何か言ったかしら?」

メアリー「まだ…終わって…ない!」

そう叫んだかと思うと、メアリーが突然起き上がり、いつの間にか手に握り締めていたものをルーミアの頭に叩きつけた

EXルーミア「痛っ!…って、これは…封印符!?何で貴女がこれを持ってるのよ!?」

メアリーがルーミアに叩きつけたのは、霊夢から貰っていたルーミア用の封印符だった

霊夢が神社からここへ来るときに「もし可能なら」という事でメアリーに渡していたのだ

EXルーミア「ぐっ!…力が…抜ける!」

そう言いながらルーミアは倒れ込み、どんどん体が縮み見慣れた幼女の姿になった

ルーミア「うぅ…何があったのだー?」

ちょっとしてからルーミアが起き上がり、辺りを見回した

ルーミア「…!?メアリー何があったのだー!?その大怪我、まさか私が?…」

メアリー「ええ…そうね。すっごく強かったわ」

ルーミア「ち、違うのだー!あれは私の様で、私じゃないのだー!」

メアリー「貴女さっき…まさか私が?って…自分で言ったじゃない…」

ルーミア「そ、それは…」

そうルーミアが口籠っていると、霊夢が降りてきた

霊夢「メアリー!無事かしら?」

メアリー「見ての通り…相討ちよ」

ルーミア「霊夢!早くメアリーを永遠亭に運んで欲しいのだー!」

霊夢「…もう、手遅れよ。素人目にも出血が多すぎるし、何よりそのお腹の穴はどう見たって助かりようがないわ。今生きてるのも驚きなくらいね」

ルーミア「そ、そんな…」

メアリー「ね、ねぇ…ルーミア」

ルーミア「どうしたのだー!?何か言いたいことがあるのかー?」

メアリー「一つ…私のお願い…聞いてくれない?」

ルーミア「な、なんなのだー?」

メアリー「私を…食べてくれない?」

ルーミア「!?…何を言ってるのだー!今はそんな冗談聞きたくないのだー!」

メアリー「冗談では…ないわ…貴女…約束したじゃない…私に勝ったら私を食べる…って」

ルーミア「あれは食べても``いい''って言う約束なのだー!食べるかどうかは私の勝手なのだー!」

メアリー「よく…覚えてるわね…でも、私の技術を…貴女以外には…あげたくないのよ」

霊夢「最後ぐらいいうこと聞いてあげれば?そんな哀れな罪人でも一人の人間よ」

メアリー「霊夢は…手厳しいなぁ…」

霊夢「ふん、どうとでも言いなさい。それじゃ、私はもう帰るわ。ルーミアも元に戻ったんだし」

そう言って霊夢は帰っていった

メアリー「私の最後の我儘…聞いてくれるかしら?」

ルーミア「…私はこの森の妖怪、そしてお前は私にやられた一人の人間。それでいいのかー?」

メアリー「ええ…実力があるわけでもないのに…功績目当てで妖怪退治をして…返り討ちにあった馬鹿な人間よ」

ルーミア「…ったく…手間かけさせ…グスッやがったのだー…ようやく…グスッ餌にありつけたのだー…」

そう言いながらルーミアはメアリーに近付いていき、ルーミアの闇がメアリーを包んだ

そしてしばらくの間、闇の中からは何かを咀嚼したり噛み砕く音が森に響いていた

 

数日後

博麗神社

霊夢「ハァ…今日も誰も来ない…」

ルーミア「霊夢―、遊びに来たよー」

霊夢「あらルーミアじゃないの。いらっしゃい」

その時、霊夢はルーミアから流れてる妖気から自分が帰った後の事を察した

霊夢「…メアリーの望みどおりにしてあげたのね」

ルーミア「うん。メアリーがそれを望んでたしね」

霊夢「ところで、いつもの『のだー』口調はどうしたのかしら?」

ルーミア「ああ、メアリーを食べた影響なのか、自然と消えたみたい」

霊夢「一人の人間を食べただけでそんなに影響されるものなの?」

ルーミア「普通はそんな事ないんだけど、私は同じ位の歳の妖怪に比べて人間を食べれてないから、一人あたりの人間からの影響が大きいのよ」

霊夢「へえ、そう言うもんなの?」

ルーミア「そう言うもんなのよ。それにしても、私もメアリーの闇の量には驚いたよ」

霊夢「闇の量?」

ルーミア「私の場合、食べる者の闇の深さや大きさを取り込んで生命エネルギーにしてるからね。知識は肉を食べなきゃ手に入らないけど」

霊夢「つまり、メアリーは闇が深かったと?」

ルーミア「うん。当分何も食べなくても大丈夫なくらいの闇だったわ。流石に先代ほどではなかったけどね」

霊夢「え?先代?何であんたが先代のこと知ってるのよ」

ルーミア「ああ、この封印が不完全だったのか、昔の私の記憶が一部だけ残ってるのよ」

霊夢「…改めてちゃんと封印した方がいいかしら」

ルーミア「だ、大丈夫だって!ちゃんと約束は守るし、私の妖気で霊夢には勝てないのは目に見えてるでしょ?」

霊夢「あら、えらく謙虚になったものね…それもメアリーの影響かしら?」

ルーミア「んー、そうかもね。メアリーを食べた事で一部だけどメアリーの思想も知ることができてね」

霊夢「へぇ、どんな思想を持ってたの?」

ルーミア「『幸せとは、相対的な物である。最初の内は小さな幸せで満足していられるが、次第にその幸せは『日常』になってしまい、その幸せでは満足できなくなり、今度はそれ以上の幸せを求めてしまう。そして、ある時気が付くのだ。自分の周りに誰も居なくなっていることに。だから、まだ私に近付いて来てくれる人が居たら幸せを追い求めすぎると身を滅ぼすとその人に言おうと思う。これ以上、私みたいな惨めな人間は現れてほしくないから』こんな内容だったわ」

霊夢「へえ、あのメアリーがそんな事を思っていたのね」

ルーミア「私もその考えには共感するところがあるし、私自身、高望みし過ぎて失敗したことも多々あるから見直さないといけないと思うしね」

霊夢「そう…その思想、貫けるといいわね」

ルーミア「うん。貫いてみせるわ」

霊夢「それ以外には何かメアリーから得られた物はあるの?」

ルーミア「うーん、あと得られたものって言ったら、ナイフ攻撃、気配の消し方と探り方、CQCとかかな?」

霊夢「CQCって言うのはわからないけど、結構いろんなことをメアリーから得られたのね」

ルーミア「一応私とメアリーの能力を合わせたスペカで、闇討『常闇の殺人鬼』っていうのも作ってみたよ」

霊夢「へぇ、メアリーとあんたの能力の合わせ技ね…なかなか強そうじゃないの」

ルーミア「私はまだ弱い妖怪だけど、メアリーと一緒だと思えば頑張れる気がするわ。それじゃ、私はそろそろ帰るね」

そう言ってルーミアは魔法の森に帰っていった

霊夢「ええ、またいらっしゃい」

その後、少しの間鳥居の方を見ていた霊夢であったが、急に振り向き、虚空に向かって話し始めた

霊夢「…紫、居るんでしょ?」

紫「はいはい、居ますよー」

霊夢「あんたが連れてきた殺人鬼、最期は人間らしく死ねたみたいよ?」

紫「ええ、そうね。正直私も驚きだわ」

霊夢「人間は変わることで成長し、過ちを正していく生き物よ。あんたら妖怪が思ってるより強いのよ」

紫「それはそれは、お見逸れ致しました」

霊夢「メアリーは、人里では大量虐殺の大罪人として記憶されることになるでしょうけど、私達やルーミアの中では身を挺して幻想郷を救った者として記憶されるわ」

メアリー・フォード:殺人鬼異変の主犯者,ルーミア暴走時、身を挺してルーミアの再封印をし、ルーミアと相討ちになる。本人の希望によりルーミアの中に眠る

 

The End




今作をご覧になった皆さん、誠にありがとうございます!m(_ _)m
今回でこの『殺人鬼メアリー』は終わりとさせていただきます
それでは、また何処かでお会いしましょう!(*≧▽≦)ノシ


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