菜月スバルに直死の魔眼とか色々組み込んでみた。 作:繭原杏(繭原安理)
そして新しいアンケート。すいませんね、いつも。
前話のあとがきに、書き忘れた項目を書き足しました。あと、誤爆すいませんでした。
まあ、唯のネタなので気にしなくてもいいんですが。
念のため、此処にも載せておきます。
【執事】
因果なものである。うん。
あったら昴/スバルの正体に微妙に近づくかな? という程度。
そこに色は無く、形は無く、ただ意志だけがあった。
死ね。それは愛であり。それは終着で在り。
それは恋であり、それは妄執であり。死ね。
それは一途に。死んでしまえ。それはひたむきに。
純粋に。呪ってやる。濁りきっていて。
血潮は海潮と間違う程。殺す。
心の臓は激しく脈打つ。殺す。
ああ、それは魔性? それは人。
それは悍ましく。それは美しく。
世界の「必要」で。存続の為の不可欠。
そこには意味があり、意義があり、価値がある。
殺さなければ、その魔性を。
魔的な物を、殺さないと。
それは、狂おしく、縋りつく様に囁く。
愛して―――――――
続きは、聞こえなかった。
「ごっふぅ!」
腹に衝撃。なんだ。記憶を思い返す。
遠くに人の気配を感じたと思った。どうせ母さんだろうと思ったら違和感を覚える。
しばしの思考の内、鈍い脳細胞が異世界転移何て夢物語の答えをはじき出す。
うん、腹痛ぇ……!
「くはぁ……誰……メイド姉妹、か」
目を開けた先に居るのは青髪のメイド。
あれ? ピンク、ラムがいねぇな。
「お、おはよう……ずいぶんな、もーにんぐこぉるだこって……」
あ、駄目だ。昨日食ったもん吐きそう。
口を押さえてベットの上でうずくまる。ああ、こりゃあ随分良い所に当たったな。
だいたい……腹の真ん中にかかと落としでもしたのか? 身体強化でもして? でないとこんな分厚い布団越しにこんなでかいダメージ受けないだろ……
柄そこまでするって確実に悪意があるよな。
俺、怒っていいよな?
そのメイド服、指一本でバラバラにしてやろうか? あ?
それはさすがにやりすぎか。
「おはようございます。お客……いえ、スバルく、ん」
うん、今なんで躊躇ったの? てか思いっきり顔しかめませんでした? いや、ほんの少しだけど。無表情キャラからすれば顔に出るだけで大層な感情だよな? 俺何か悪いことでもした? ねぇ、俺なんか悪いことでもした?
そう言いたかったけれど、現実は腹と口を押さえて呻くのが精々。
「起きましたね? では着替えて厨房まで来てください。今日から仕事ですよ」
「……ぁ、て。いき、なり腹……」
声がかすれる。どうやら横隔膜が機能不全を起こしているようだ。
俺の声を聴いて振り返るレム。その顔は、少し罪悪感が浮かんでいて。
「……随分良い所に入りましたか……」
おいこら。
「少しだけなら待ちます。早くしてくださいね」
……ドアが閉まる。
音をたてないようにしたのは未だに寝ているものへの配慮か。最後のセリフを聞いて「優しい所もあるんだな」なんて思った俺は、大分基準が狂っているように思う。
てかこっちに来てから腹へのダメージ酷くね?
そんなことを思いつつ、それはそれ、仕事は仕事。どんなに気に入らない人物が先輩だろうが、笑顔でこなすのだ。
腹を抱えながらベットを下り、痛みに呻きながら執事服を着た頃になって気付く。
……日、上ったばっかじゃん。
道理で薄暗いわけだ。
俺の雇用条件は、一か月近くのお試しということになった。
それは見慣れない俺の事を怪しんでいるから、ということもあるだろう。この条件は俺にも都合がよく、一も二もなく承諾した。
なんせ俺はまだ用事がある。一か月後ぐらいに先生の所へ行かないといけないのだ。この世界がどんな位相にあるのかは分からないが、来れたなら戻れるはずだ。
必ず二月の初め。最低でも、三月になる前までには戻らないと。
いざとなったら……その時は、この世界を「死なせて」でも戻る覚悟がある。
しかしそれをすると、日本にも、この異世界にも、どんな影響が出るかわからない。未知数だ。だからそれは最終手段。
ああ、今の時点での、俺の見解は纏めておこう。
正直に言って、一段落してからの思考で、俺はこの世界が「異界」の一種であると睨んでいる。
「異界」とは怪異の存在する空間であり、それらは時折、この世界ではない位相に根付いている。
この異世界もその異界の一種であり、俺はふとした折に迷い込んでしまったのではないか。
そう考えているのだ。
ここまで広い異界は見たことが無いが、別に無いと確定出来はしない。マジモノの異世界だと認めるよりかは筋が通っている。
常識を捨てることができなかったのか、戻る希望を失いたくなかったのか。
それは兎も角として、今は執事業だ。頑張ろう。
今年のクリスマスが最後だから……家事をするのは三日ぶりくらいか。
ま、異世界の作法がどんなもんかもわからないし、まずは慣れていこう。
「では、まず朝食の準備からです。包丁の使い方は分かりますよね」
流石に異世界だからって、包丁の使い方が大きく異なることは無いだろう。大人しく頷く。
その様子に気をよくしたのか、レム―――先輩は付けた方が良いのだろうか? と聞いたところ、別に要らないと言われた―――は頷きを返し、包丁を俺に差し出した。
粗鉄製。品質はそこまでよくないが、流石にステレンスと比べるのは酷か。
手入れはしっかりされており、欠けは目立たない。手垢がついており、持ち手のへこみが手に合わない。
それは自分より手の小さいものが何年も、柄が擦り切れるほど包丁を握った証であった。
全く手に馴染まず、寧ろ他人の手の形に馴染んだ凹凸は握りにくいことこの上ない。
慣れない道具に感覚が狂う。だが、ある程度の調理に支障は無いだろう。
で、これで何をするのか。
確認の為に下げていた顔を上げると、そこには笊いっぱいのジャガイモが。笊じゃねぇや、籠だわ。
その隣にドンとでかいボウルを置いて、レムは言った。
「これ、全部剥いてください」
とてもいい笑顔である。
顔が引き攣る。
いや先輩冗談きついっす。ジャガイモの皮むき、それも包丁でとか素人にやらせるもんじゃないっすよね?
やるけどさ。できるけどさ。
でもジャガイモの皮むきがどんだけ大変か分かる? これ軽く五キロぐらいはありそうだよ?
笑みを絶やさず、無言で見つめてくるレムに、俺は頷くことしかできなかった。
せめてもの抵抗に、調理台で野菜を切り始めた背中を「青い悪魔め!」って睨む。
まあ、そんなことをしていても仕様がないんだけれどな。
嫌われているんだなぁ、と今更ながらに再確認した。
嫌われていないのであればこんな仕打ちを顔色一つ変えずにするわけがない。
シャリシャリと皮を剥き始め、半分が片付いた頃。
体の凝りに集中が切れ、肩を回す。後まだ半分あるのか……
てか芽が多い。めっちゃ多い。異世界のジャガイモにメラニンが入っているのかは分からないけど、調べる気もないけど、取らないといけないよな。うん。
クッソめんどくさい!
そうだ、レムは何をしているんだろう。
そう思って調理場を見ると、
その動きの精錬されていること、まるで何かの舞踊の如く。
最高率で最低限の確認、経験からの味の調整。
工夫を凝らし、並列で調理を進め、一食の料理を作り上げる。
あらゆる工程に長年の経験が見いだせる。
あそこまでの調理は、俺にだって無理だ。
「すげぇなぁ……」
思わず口を突いて出た言葉を、傍にいたらしきラムが拾う。
「そうでしょう? レムは凄いのよ?」
「うん、そうだな。で、胸を張ってるお前は何してるの?」
「先輩と呼びなさい。バルス」
「目がっ!」
「何をふざけているの、バルス。さっさと先輩と訂正しないと……潰すわよ?」
「何をっ!? てか目潰しの呪文が俺を指してた!? すいませんした先輩!」
うむうむと満足げに腕を組むラムは、その手にハンマーのようなものを持っている。
恐らく蒸かしたジャガイモを潰すのだろう。そうに違いない。
……そういえば今日初めてこの人見たな。
「因みに先輩。先輩はさっきまで何をしてたんで?」
「寝てたわ」
「潔すぎる! って、え? 俺あんなに早く起こされたのに、先輩起こされなかったんですか?」
「ええ、先輩だもの」
「先輩だからってさぼりが許されるわけではありませーん。てかこの芋潰すんすね」
「さあ?」
ん?
「じゃあ、なんでそれ持ってんですか?」
「芋といえば『潰す』じゃない」
「何その、カレーといえば『飲み物』、みたいなプロ感出してるんですか」
無論、誉め言葉ではない。
「芋の料理何てマッシュポテト以外にもポテチとかいろいろあるでしょうよ。ああいや、油の値段が高いのか」
「何を言っているかわかりませんが、芋といえば『潰す』ですよ、スバルくん。姉様の言うことに間違いはありません」
「あ、レムさん。火加減はどうで?」
頭に「狂信者」とつけながら、話に加わってきたレムに対応する。
後ろでは竈の中で赤々と火が燃えている。薪に咲いた花のように、赤く、赤く。
ぶっちゃけ今にも火加減か崩れそうな印象を受けるほど不安定である。
「大丈夫です。延焼する前に水を掛けます」
「大丈夫じゃないっすよねそれ」
事前に水魔法が使えるとは聞いていたものの、それは事故が前提の安全策である。決して、調理を成功させるための策ではない。てか火魔法は使えなかったのか。適性が無いんでしたねそうでしたね。
「そういえば、レム」
「なんでしょう。スバルくん」
「このジャガイモ、いつ使うんで?」
「……」
急に押し黙るなよ。
え、まさか嫌がらせの為に出したの? なんて疑念が湧いてくる。
「とりあえず潰します」
「マッシュポテト?」
「賄いは楽しみにしてくださいね?」
「まさかマッシュポテトっすか?」
「フフッ……」
「はははー冗談きついなー、いややめてくださいよ。まさかマジでそんなこと……するんすか?」
ラムのドヤりが聞こえた気もするが、目の前のレムの笑顔しか今は目に入らない。
この顔はあれだ。やっべぇ失態だ、誤魔化さなきゃって顔だ。
「……せめて、マヨネーズ使っても?」
我が救いのマヨネーズ。
そうだ、マヨネーズだ。
ポテトサラダなら何とか食いきれる気がする。
「まよねーず? というのが何かは分かりませんが……多分ありませんよ?」
「……え?」
マヨネーズが、無い?
嘘だろあんたら何を楽しみに生きてんの?
何が楽しくて生きてんの?
え? 生きてて楽しい? マヨネーズもない世界で生きてて楽しみとか見いだせる?
衝撃的すぎる宣言に、ああだからかと納得してしまう。
きっと、この嫌がらせ染みた皮剥きも、マヨネーズが足りないからこそ起こる、心の栄養失調なのだ。
ならば助けなければ。この世界にマヨネーズを齎し、彼女を救済せねば!
記憶を掘り返す。
レシピは知ってる。
材料は……あれが見当たらないな。
「……生卵あるか?」
「ありますけど、どうしたんですか?」
「レム。ああ、レム。俺がお前に――――――」
「――――――本当の、調味料を教えてやる」
生卵に細菌があるかもしれない? ノンノン。俺の魔眼がなんだか忘れたのか?
冷却器具が存在しない? 魔術で代用だ。いざとなれば、エミリアの力を借りよう。
受け入れられないかもしれない? ああ、それは、有り得ない。
何故なら。
マヨネーズとは、至高の調味料、いや、食材であるからこそ――――――!
混ぜて旨い! 吸って旨い! 嗅いで香ばしく、見て美しい!
ああ、マヨネーズこそ神の与え給うた財宝!
神の存在の絶対証明!
にっくきケチャラーどもに対する、最終兵器なのである!
いやまあ、ケチャップも好きだけどね?
頭のどこか冷静な部分が、そう呟いた。
【黄泉竈食ひ】
ヨモツヘグイ。
要するに、死者の国の料理を口にするとその世界に縛られ、帰還できなくなるという概念。規則と言い換えてもいい。
スバルはとある身体的理由―――或いは、後遺症―――から、この概念を無視できる。だから頭から抜け落ちてる。
正確には、どれだけ縛られようが、既に別の土地に縛られているので、そこへ移動することができる。ただしその場合、直接菜月家に戻ることは叶わない。
その土地というのは冬木なのだが、そこの教会の神父にお祓いを頼めば、何故か冬木への束縛は緩くなる。
ずいぶん都合のいい女である。
独占欲が強く、ちょろいってもう……かわいいなぁ……
【水魔法】
液体・流体・細胞を操作する魔法。
独自解釈が入っているが、水魔法とは「魔力を用いて物質に別の性質を付与する魔法」だと作者は考える。
魔力そのものが流体であるから、同じ流体である水に変化できる。
魔力そのものが生体から生成されたものであるから、生体部品(細胞)に性質を変化できる。
或いは、変わり種。
同じ流体であるから、水の性質を変化させて果汁にできる、とか。
なお、性質が離れるほど消費する魔力は莫大に増えてく。
魔力が変化した物は物質だが、変化する途中のものは魔力である。故に、神秘の法則を万全に受け、余程の年齢の術者でなければサーヴァントの対魔力で弾いてしまう。なんて裏設定がある。
サーヴァントを水魔法で治癒するなら、魔力をエーテルに変換しなければいけない。その後、それをサーヴァントの傷口に流す。
普通に魔力供給した方が早い。
【火魔法】
運動エネルギー・熱量の制御をする属性。
氷を生む原理は、一定空間内の水分子に運動エネルギーを与え、一点に集中。後、分子運動を止めて温度を下げている。
水魔法と違うのは、こっちは空気中の水をかき集めているということ。
但し、精霊たちは素材をかき集めるのではなく、自ら生成する(=
【マヨネーズとケチャップ】
どんな関係かと言われれば、「きのこの山とたけのこの里」みたいな関係としか言えない。
【途切れない茶番】
に、日常編だから……(汗)