転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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サンクトペテルブルグの銃砲産業力とクルス大公の政治力の結晶ともいえる編成の話です。

サブタイの”Guns Legion Brigade”は直訳すると「銃の集合体たる旅団」となりますが、Legionは色々な意味があるので、皆様のお好きな解釈でお願いします。






第324話 Guns Legion Brigade ~強い軍隊は大体、下の方から強い~

 

 

 

 5月に入ってもノブゴロドに続々と人員、それ以上に新装備が続々と到着していた。

 ”KSP-34/42”戦車も定数のノブゴロド全体で既に500両に達している。

 これをハルダウンないしダグインっでの移動トーチカ役と、機動的運用にどう振り分けるかが防衛司令官であるヴァトゥーチンの腕の見せ所だ。

 自走砲、兵員輸送車などは不足気味だが、機動歩兵を使う攻勢任務ではない以上、大きな問題となっていなかった。

 そもそも、搬入と設置がしやすい牽引砲や車載ロケット弾(カチューシャ)メインの砲兵陣地や固定式超重砲の類は備蓄砲弾込みで十分すぎるほど備蓄されているのだ。

 

 今や民間人居住の無くなったノブゴロド市や郊外に組まれた野戦演習場では、早速通常訓練以外にも新装備の慣熟訓練に余念が無かった。

 特に熱心に訓練を行っていたの言うまでもなく筆頭歩兵旅団である「ノブゴロド第一歩兵旅団」、通称”カミンスキー旅団”だ。

 その理由は……

 

「今日流す汗の一滴、血の一滴は、神を信じぬ背徳者どもが流す血の大河へとつながる! 痛みを恐れるな! 疲労を捻じ伏せろ! 全ては枢機卿猊下に捧げる勝利の為にっ!! ”蒼き聖なる花十字”に栄光をっ!!」

 

 そう旅団長の檄が飛べば、

 

「「「「「蒼き聖なる花十字に栄光あれっ!!」」」」」

 

 と旅団員から即座に返ってくる。うん、打てば響くような好反応……でいいのか、これ?

 うん。まあ、とりあえずそういうことだ。

 とはいえ、いくら狂し……信仰の力だけで中々こうはならない。

 訓練のカリキュラムその物は旧態依然とした行進とかではなく、実戦を想定した合理的な物だ。

 彼らが熱狂してるのは、ピカピカの最新装備に興奮し、胸躍らせているせいもある。

 唐突だが、強い軍隊とは一体なんだろうか?

 訓練や精神面は一先ず置いといて装備面から考察してみよう。

 

 カミンスキー率いる歩兵をサンプルにすると、最小戦闘単位は分隊ということになる。そして最小単位であるが故にもっとも多数の部隊となる分隊レベルから装備が良ければ、大体強い。無論、ただ武器を持たせただけでなく使いこなすところまではいかなくても「きちんと使える」ことが大前提ではあるが。

 まずノブゴロドの配備軍は、分隊からして規模が通常よりやや大きい。

 人員と武装のみに絞っても

・分隊長:AG43自動小銃×1,ナイフ型銃剣×1、30連発予備弾倉×6(アサルトベスト)、TT33改拳銃×1

・軽機関銃手:ZB30軽機関銃×1、30連発予備弾倉×6~8(弾倉ポーチ)

・機関銃補手:(ZB30用)交換銃身×2~3+30連発予備弾倉×8~12(弾倉ポーチ)、TT33改拳銃×1

・分隊機関銃手:TM43分隊機関銃×1、30連発予備弾倉×9~15(AG43と共通弾倉。弾倉ポーチ×3+アサルトベスト)

・分隊選抜射手:ASG38(皇国から購入したチ38式半自動歩兵銃)×1、20連発弾倉×8(ZB30と共用。弾倉ポーチ)、小銃擲弾×4、専用銃剣×1

・対戦車擲弾手:PAG43対戦車擲弾発射器×1、パンツァーファウスト規格擲弾×4、TT33改拳銃×1

・対戦車擲弾捕手:パンツァーファウスト規格擲弾×6~8、TT33改拳銃×1

・擲弾銃手:PGP43擲弾銃(Panzer Granate Pistol 43:皇国から購入した二式擲弾銃)×1、専用40㎜擲弾×12~18、TT33改拳銃×1

・一般歩兵×10名:AG43自動小銃×1,ナイフ型銃剣×1、30連発予備弾倉×9~12(弾倉ポーチ)、F1手榴弾×2、TT33改拳銃×1

 

 と18名編成が基本となっている。他国では普通、分隊は10~13名程度だと考えるとかなり多いだろう。

 無線機はこの時代は混線のリスクが高いこと、またノブゴロド防衛線では部隊ごとの配置距離が近く間隔を開けて行軍する可能性が低いため、小隊長以上の配備となっている。

 更に分隊にはスモレンスク防衛線で絶大な効果を発揮した”ツヴァイヘンダー”指向性対人地雷の有線起爆型が4発配布されていて、設置と起爆は分隊長権限に含まれていた。

 

 

 

 上記編成の標準歩兵分隊×3個を無線手を置く定数20名の小隊長直轄分隊が、火力支援分隊を加えて率いる……これが1943年5月時点でのノブゴロドの標準的な1個小隊編成だ。

 その火力支援分隊の装備は、

 ・ZM42小隊汎用機関銃×1

 ・88㎜対戦車ロケットランチャー”パンツァーシュレック”×1

 ・RM-39/50㎜軽迫撃砲×1

 が装備される。

 基本的に大量の弾薬や銃弾より重いロケット弾や迫撃弾を使うため、複数人のでの運用が前提となっている。

 

 この中隊長直轄小隊と標準編成小隊×2、これに

 ・BM-37/82㎜迫撃砲

 ・DShK38/12.7㎜重機関銃

 ・カールグスタフ84㎜無反動砲

 を装備する火力支援小隊が加わり4個小隊で歩兵中隊。同じく3個中隊+PM-38/120㎜重迫撃砲などを装備する火力支援中隊が加わり1個歩兵大隊となる。

 上記の例に当てはめると、

 ・1個小隊→100名弱

 ・1個中隊→400名前後

 ・1個大隊→1600名前後

 歩兵旅団は、旅団長直轄大隊に上記の歩兵大隊×3の4個歩兵大隊(6000~6500名程度)に加えて、歩兵を『機動歩兵化』する輸送と運搬を担当する自動車隊とその整備隊、”SG43自動狙撃銃”を装備する狙撃手やスポッターからなる1個狙撃中隊、医療を担当する衛生中隊など複数の役割別部隊から編成される。

 故に8000名、全ての兵科旅団の中で歩兵旅団が一番定数が多い。

 そして、ノブゴロド防衛司令官ヴァトゥーチン中将麾下全20個旅団中9個旅団、人数的に半分がこの歩兵旅団だった。

 

 ぶっちゃけ、同規模で同程度の練度なら史実では時代最強の火力を持っていた1945年編成の米陸軍正規部隊とも正面から戦い、捻じ伏せられるほどの火力を持っていた。

 無論、歩兵でこれなのだから戦車旅団や砲兵旅団が火力が低い訳はない。

 それに歩兵科以外の兵科もTT33改拳銃(安全装置付き改良型トカレフTT-33)と同じ7.62㎜×25弾(30トカレフ弾)を使う短機関銃『PMP41短機関銃(以前登場した仮称”SPMP-41短機関銃”の制式名。PPsh-1941の発展型)』を自衛用に装備しているので、接近されても近接対人火力もバカにできないだろう。

 ちなみにTT33改もPMP41もドイツの7.62㎜×25弾(30マウザー弾)でも問題なく作動するので、噂ではドイツやフィンランドの一部部隊や公的機関の採用例もあるようだ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 だが、サンクトペテルブルグ防衛軍の本当の恐ろしさは、”バルト三国義勇兵団(リガ・ミリティア)”の存在かもしれない。

 ブルドーザーやユンボを使った土木作業や陣地構築だけでなく、現在、街に駐留してる5万はサンクトペテルブルグからの輸送列車の運行管理、ノブゴロド内の発電所の保守点検、サンクトペテルブルグからの地上/地下の送電線や変電所の管理。

 軍用品管轄外の食料・燃料・医療品を含めた一般資材の備蓄と管理、炊事に選択、大掛かりな手術も可能な大型ブンカー内に設営された300床以上ある本格的な大病院の運営まで担っている。

 野戦病院まではサンクトペテルブルグ市民軍(ミリシャ)でできるが、それでは手に負えない病気や怪我も対処可能で、専門の防疫チームまで常駐していた。

 言ってしまえば要塞ではなく都市機能管理を請け負っていたのだ。

 

 バックアップに特化したバルト三国義勇兵団(リガ・ミリティア)が存在するからこそ、15万のサンクトペテルブルグ市民軍(ミリシャ)は「純粋な戦闘部隊」として動けるのだった。

 そう、”ノブゴロド防衛軍”は正面戦力として数に見合わぬ強さ以外にも、粘り強く戦う(・・・・・・)という側面に重きを置いていたのだ。

 つまり、最初から『辛い消耗戦や耐久戦を想定して(・・・・)』、ノブゴロドという”要塞”は準備・構築されていた。

 

 おそらくだが、これは後に大きく意味を持つことになるだろう。

 なぜならば、ノブゴロドの「火力からは見えない強み」は、そのことごとくが「赤軍の薄く弱い部分」だからだ。

 確かにソ連の軍勢の正面火力は高い。

 アメリカのレンドリースもあるから、物資があるのかもしれない。

 しかし、「兵を消耗品」と考える根底がある以上、どうしても超えられない部分がある。

 サンクトペテルブルグ大公領は、人口が加速度的に増えているいても根本的に簡単に補充が利かないのだ。

 人口が違うというのもあるが、「兵は教練で育てるものであり、畑で取れるものでは無い」からだ。

 近代兵器の性能を引き出すには、相応なプロフェッショナリズムがいる。

 足りないプロフェッショナリズムを圧倒的な動員力、数の暴力で補うのが赤軍でありソ連だ。

 

 

 

  とはいえ、歩兵旅団にこれだけ重武装させれば当然、弊害はある物で……

 今回はノブゴロドに立てこもった籠城要塞戦で大きく動く必要はないし、上記のように補給やら糧食やらは後方支援のスペシャリストが賄ってくれるが、いざ長距離移動の侵攻作戦ともなればこれだけの重装備に携行食糧やら野営機材やら何やらを合わせると、とても徒歩行軍は特に厳しいロシアの大地では難しく、機動的に運用するとなると前述のように自動車に頼るしかなくなる。

 その場合も行軍というより車両移動という方が適切だろう。

 まあ、サンクトペテルブルグ市民軍(ミリシャ)の本質は防衛隊、攻勢ではなく守勢の為に結成された軍事組織なので、これはこれで正解かもしれない。

 鉾の役目はドイツやフィンランドの正規軍で十分だし、それも今は「大きな状況変化が起きない限り、当面は戦線維持で十分」と守勢行動が中心となっている。

 というより、ソ連を消耗させる方向に舵を切っている感じがしないでもない。

 

 

 

 ”数は質で覆すことはできない”

 一見すると、それは真理のようにも見える。

 まさに史実の独ソ戦は人海戦術、「兵力の飽和攻撃」で勝敗を決したところがあった。

 だが、それは絶対的な不敗のドクトリンなのだろうか?

 

 その答えは……きっと夏までにはっきりするだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ジェーコフ:「ここに突撃するとか……マ?(真顔)」

Guns Legion Brigadeにオールハンドゥ・ガンパレードする羽目になりそうなソ連軍の心境とは?w
ミスってNEP入手前の開始直後に出してしまった熊本城ステージとどっちが生存率高いでしょうね~。

という訳で、前の話に出てきた銃器も続々前線に届いているのでノリノリなカミンスキー(歩兵)旅団の皆さんをサンプルに現在のノブゴロドの”一般的な陸上部隊の装備と編成”を記しておこうかと。

いや、次回とか次々回にいよいよ”国際旅団”の内情と規模が明らかになりそうなので、その呼び水? 比較対象用?に公表しておこうかな~と。

そして改めて……やっぱベトナム戦争初期じゃね?w
最低でもこの装備の完全編成9個歩兵旅団が居る要塞化した都市に突っ込むって……しかも居るのは歩兵旅団だけじゃないし、何よりも兵站補給に食事の準備、今や野戦病院の運営に輸送列車の運行までこなす後方任務特化の熟練者集団、丸っと要塞の維持管理ができる”バルト三国義勇兵団(リガ・ミリティア)”出張組5万が戦場を支えるんですよね~。
つまり、ヴァトさん率いる15万人は「余計な事考えずに戦闘だけにリソースの全てを傾注できる」……これ、敵にとっちゃあ完全に兵力詐欺なんじゃ?
まあ、それに数で対抗するのがソ連の常套手段なんですが、果たして……

次回はアメリカン・サイドを入れてみようかと。
次回もどうかよろしくお願いいたします。



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