転生しても戦争だった ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~ 作:ガンスリンガー中年
BGMは”Red Fraction”推奨ですw
ロック、日高信緑郎はポーリ宮殿の廊下を歩きながら、懐から取り出したサングラスをスチャッと装着する。
東洋人らしいベビーフェイスで、どちらかと言えば温和な顔つきの信緑郎は、このイニシエーションを行うことで、カチッと戦闘用にメンタルセットを行うのだ。
何気に世話好きな人の好い外交官の顔から、血と硝煙の匂いの中で生きるガンスリンガーの顔へ……
そして、宮殿の玄関で合流した双子の少女に、
「さあ、お前たち……お仕事の時間だ」
「「Si、マスター。ようやくですね」」
そう言いながら、信緑郎の私的な部下である双子の姉妹、ヘーゼルとグレンダは徐に個人携行用としては大型の火器を引っ張り出した。
「ヲイヲイ。”チ26式改”じゃねえか……そんな大物、どっから持って来たんだ?」
”チ26式改分隊支援機関銃”
チェコの名作軽機関銃”ZB26/30”を日本皇国でライセンス生産したものをベースに小改良を加えた分隊用の軽機関銃で、バレルが放熱リブを無くした肉厚のヘヴィバレルになってることと、30連発マガジンが標準となってる事で、印象はオリジナルよりややブレン軽機関銃寄りになっていた。
使用弾は相変わらず7.92㎜×57(8㎜マウザー弾)のままだが。
「「皇国軍のお兄さんたちにおねだりして借りてきましたぁ♡」」
まあ、実際には書類を出して正規手続きを経て借りてきたんだろうが。
この二人は「ロックに付随する者」であり、皇族の付き人に任命されるほど少々特殊な立ち位置に居るロックの権限なら、個人携行火器の範疇なら書類1枚で済む話だ。
「まあ、いいけどな。流れ弾に当たるような市民はもうここにはいねぇし」
”トレヴィの泉”の周囲には観光客どころか人影はなく、やけに閑散としていた。
市民たちの賑わいが消えた広場には泉からの水音だけが響き、まるで映画の1シーンのような非現実的な空虚さが広がっていた……
「「マスターは”いつもの”なんだね?」」
「ああ。道具は扱い慣れた物が一番だからな」
「「じゃあ、私たちと”
何気に主張の強い言葉が聞こえたような気がするが……
そして、やがて聞こえてくる調律の取れていない無粋な足音。
「さて、”屠殺”の時間と洒落こもうか」
噓は言ってない。
狩るのではない。駆除するだけだ。
「この世で我らが信じるは」
”
「「ただ剛力のみ……!!」」
双子の姉妹がにこやかに応じた。
☆☆☆
「Let's Pray (さあ、祈れ)」
走り出す瞬間、信緑郎が呟いた言葉は不死身疑惑な”ある男”を彷彿とさせる。
赤色勢力に対する痛烈な皮肉にも聞こえるが。
そして、噴水広場に入ろうとした暴徒の先端、最も密集した部位に向けて……
”VOM! VOM!”
躊躇なく10番ゲージ散弾の引き金を引く!
合計18発放たれた直径9.1㎜の散弾は、まるでクレイモア地雷の直撃を食らったかのように数人をまとめてなぎ倒すっ!!
何が起こったかわからず啞然とする暴徒だが、どうやらそれなりに実戦経験がある者もいたらしく、
「Non aver paura! L'avversario è un vecchio fucile da caccia! Mira finché non finisci i proiettili! !(怯むな! 相手は古臭い散弾銃だ! 弾切れを狙え!!)」
(いや、一応最新型なんだがなぁ~)
”チャキン”
だが残念。
右手の親指でレバーを操作し銃を中折れさせると同時に発砲済みのやけに大きなショットシェル×2がオートエジェクターで排莢され、同時に左手の人差し指/中指/薬指で腰のレザー・アモベルトに入れていたショットシェルを挟んで抜き出し、流れるような動作で再装填し慣性を利用して銃身を戻して再び発砲ポジション。
信緑郎が排莢から再装填にかかった時間は、銃から弾き出されたショットシェルが石畳に落ちるのと同じ程度、まさに絵に描いたような刹那の”クイック・リロード”だ。
つまり、
「
”VOM! VOM!”
”標的”が何かをする、あるいはできる前に次弾が叩き込まれる!
それにしても左手を装弾に専念させるためとはいえ、高威力故に反動の強い10番ゲージ・ショットガンを片手撃ちとは中々に恐れ入る。
叫んだ男は、”雉も鳴かずば撃たれまい”という諺の具体例となった。
ちなみにアモベルトには一つにつき12発の10番ゲージ散弾を仕込んであり、これを信緑郎は腰に1本巻きつけ、肩から襷がけでもう1本吊っていた。
最初から装填してあった分も含めると合計26発。発砲済みを抜いても、まだまだ弾はある。
信緑郎はまず武装した者を中心に、先陣を崩す事に集中した。
暴徒の失敗は、多方向からではなくラヴァトレ通りとサン・ヴィンチェンツォ通りのたった二本の通りから”トレヴィの泉”へ入り込もうとした事だ。
まあ、人数的にどちらかを使うしか無いのだが……この二つの通りは泉の広場で必ず合流する上に身を隠す場所は無い。
そこに信緑郎に陣取られて、機先を制されて先陣を潰された。
そして、先陣を潰されたということは、後続が二つの通りに詰まり密集するということであり……
「「せーの」」
”VoVoVoVoVoVoVoVoVoVoVoVoVoVoVoVo!!”
脇道を使って回り込んだ双子の機関銃一斉射!!
いや、片手で軽々と10番ゲージ振り回す信緑郎も驚きだが、どちらかと言えば小柄で細っこいのに10kg級の軽機関銃を使いこなす双子も驚いていい。
☆☆☆
「「いぇい」」
微かな笑みと共にハイタッチする双子。
どうやら一仕事終わったようだ。
無論、服が返り血で汚れてなどはいない(返り血が飛んでくるような距離まで近づかれるヘマはしていない)が、硝煙臭くはなったのでクリーニングに出した方がいいだろう。
信緑郎が消費したショットシェルは都合16発。双子が消費した30連弾倉は二人合計で7つ。
何というか……随分とエコな殺し方である。
結局、信緑郎が懐に仕込んだ”
端的に言えば二つの通りから”トレヴィの泉”広場への入り口にかけて肉塊と血だまりに溢れた。
結局、この「銃撃戦も殺し合いも給料の内」な三人を相手にするのに、武装はしてても素人に毛が生えた程度の戦力でしかない100名足らずの人間では力不足だったということだ。
いや、外交官とその助手の姿としてこれが正しいか?と問われると、絶対違うとしか言えないが。
そして慌ててかつけてきたローマ警ら隊が、その惨状に顔を青くしていたが……
「お勤めご苦労さん」
そうにこやかに紙タバコで一服しながら出迎える信緑郎だった。
「あ、あの、これは……」
困惑しながらそう聞いてくる年配の警ら官に、
「この先の宮殿には、我が皇国の新王殿下がご滞在なさっているのでね。悪いが、警備上の理由でこちらで対処させてもらったよ」
「えっ?」
「今回の対応で問題あるというのなら、王室を通じて正式に抗議してくれたまえ」
有無を言わさずに『できるものならな』というニュアンスを忍ばせる信緑郎である。
「あの、貴殿は一体……?」
その滲み出る凄味に気圧されながらも聞く警ら官に信緑郎は口の端で笑みを作り、
「ただのしがない外交官。殿下の付き人さ」
ただし言ってる事と
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「えっ? ナニアレ……暴徒が100人くらいあっという間に溶けて消えたんだけど。コワッ……」
カーテンの隙間から、どうやら一部始終を見ていたらしいマリアンナに、
「まあ、ロックだからな。アレぐらいはできるし、やれるさ」
(なんか、”舩坂”と同門だか何だかって聞いたことがあるような?)
「どうりで戦い方が似てるわけだ」
どうやらまだまだ謎が多い信緑郎であった。
という訳で、暴徒100人が溶けて消えましたw
正確には、肉塊の山と血の池に姿を変えました。
そして、信緑郎のビジュアルは、やっぱり張の兄貴寄りだったw
いや、この三人相手に流石に少なすぎでしたかねぇ?
まあ、これでローマでの戦い(いや、単なる流血沙汰か? 規模的に)は一先ず終結ですが……
事態は確実に面倒な方向へ流れて行くみたいですよ?
えーと、投稿が1日空いたことからお察しいただけたかもしれませんが……残弾0です(泣
書きかけ分はあるのですが、ちょっとイタリア戦のラストへの流れになるので、ちょっとノリが変わったりなんだりで、割と執筆に手間取ってる上に、明日の金曜はクッソ忙しいのでおそらく投稿できないっす。
ははっ、早出&残業確定っすよ(号泣
なので、次話投稿は早くても土曜日、(疲労で瀕死となってれば)遅ければ日曜になりそうです。
次回の内容は未定とさせて頂きます。
気長にお待ち頂ければ幸いです。