転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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沿岸警備庁のSSTではなく、警察機構系のSATの実力が垣間見えるエピソードです。
ついでに久々の”新キャラ”登場回だったりw







第384話 鴻上と相沢、『特殊警備』セクションの実力

 

 

 

「なあ……”SAT(連中)”、もしかして俺たちより荒っぽくねぇか?」

 

「いや、隊長より荒っぽいってのは流石に無いでしょうが……確かにありゃ大概ですなぁ」

 

 ああ、舩坂弘之だ。海軍陸戦隊の小隊長なんぞしている。なんか久しぶりだな?

 さて、市街戦やゲリコマ対策訓練を部隊丸ごと受けている俺達は、”ピアチェンツァ”へ投入してる訳だが……

 

「ああ、なんつったっけ? 壁にいきなりロタ砲ぶっ放して、開けた大穴から2丁拳銃で突入したあの無茶苦茶なの」

 

「え~と、確か”鴻上(こうがみ)”、”鴻上慎矢(こうがみ・しんや)”特捜官だったと思います」

 

 ※SAT隊員は基本的に「武装特別捜査官」という役職。鴻上の実際の警察階級は”警部補”の模様。

 それは良いのだが……あれ? その”響き”はどこかで聞いたことのあるような?

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「”鴻上(こうがみ)”さん、どうやらあの倉庫に連中、立て籠もってるみたいです。倉庫に擬態した武器庫兼拠点(ネスト)ってとこでしょう」

 

 声をかけてくる、この作戦の為に特例編成された日本皇国”SAT選抜第08小隊”の副隊長に

 

 

【挿絵表示】

「人質は?」

 

 シンプルに返すのは、第08小隊の小隊長、”鴻上慎矢”だった。

 

「一応、いないことになってはいますが……」

 

「ならば、テロリスト殲滅を優先する。ロタにHESH装填。裏に潜んでるのごと吹き飛ばしてよし。その後にグレランで催涙弾4発を破孔から叩き込め。突入制圧(アサルト)隊は防毒面を装着用意」

 

 そう矢継ぎ早に指示を出しながら自らもガスマスクを装着し、両腰に下げたホルスターから片手に1丁ずつの”S&W M27”を引き抜く。

 正確には、国産のライセンス生産品(ポリッシュ仕上げではなく艶消しマットフィニッシュのM28”ハイウェイパトロールマン”仕様)で、どうやら私的に購入して服務装備として登録しているらしい。

 一目で分かるのは、官給のそれが4インチ銃身であるのに対して鴻上のそれは6インチのロングバレル仕様であることと手に合わせたパックマイヤータイプのカスタムグリップであること。何となくシルエットはより現代的になっている。

 加えて、左手に握るのはどうやら”レフティー・スペシャル”っぽい。

 M27に限らず市販のスイングアウト式のリボルバーは普通、右手用に作られておりシリンダーをスイングアウトする方向は銃の左側だが、鴻上の左手のそれは右側にスイングアウトする特注品だ。

 左右合計12発装填される357マグナム弾は、1発残らずJHP(ジャケッテッド・ホロ―ポイント)で、6インチ銃身から発射される場合は160グレイン(約10g)の弾頭を銃口初速450m/sで撃ち出す事ができる。

 その場合の運動エネルギーは1,000ジュールを超え、軍用の9㎜パラベラム弾が軍用自動拳銃から発射された場合の運動エネルギーが440~500ジュール以下なのが一般的なので、倍以上のエネルギーがある事が分かる。

 この時代の拳銃弾としてはまさに規格外のパワーだ。

 

「さて、駆逐するか」

 

 

【挿絵表示】

「やっぱり鴻上さんも突入するんですね?」

 

「”相沢(あいざわ)”、俺が行かなくてどうするんだ?」

 

 副隊長を務める少し歳が若い男の名は”相沢”、”相沢ユーリヒ(Jülich)”。階級は巡査長だ。

 名前からして両親あるいはその前の世代に異国の血筋の者がいるのだろう。

ちなみに ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州には”ユーリヒ”という名の街があり、古代ローマ時代の「ユリウスの集落」を意味する「Juliacum」に由来するとされ、中高ドイツ語では「イチイの丘」を示すらしい。

 

「ホント、鉄火場好きですよねぇ。警部補にまで出世してるのってに」

 

 そう呆れるユーリヒに、

 

「俺は単に現場主義なだけだ。だからこれ以上、出世する気はないぞ? よく言うだろう。『事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ』ってな」

 

 いや、それは多分、”この世界線”では言われてないと思うぞ?

 言われるとするなら、半世紀ぐらい未来だと思う。

 

「上がそれを許してくれればいいですけどね」

 

「受け入れられないなら河岸を変えるだけさ」

 

「それ、朱里(ヨメ)さんが許してくれます?」

 

 鴻上の奥方は”鴻上朱里(あかり)”という名で、かなりの美人らしい。

 

【挿絵表示】

※画像はイメージです。

 ちなみに怒らせるとかなり怖いらしく、見た目とは裏腹に肝っ玉の座った女性とのことだ。

 鴻上とは職場結婚。つまり今は結婚を機に退役しているようだが……朱里も元はSAT隊員の可能性が?

 なんか腕っぷしは妙に良さそうな気配がある。

 

「……お前、戦地でそれを言うか?」

 

 プライベートでも先輩後輩の付き合いがある相沢は、朱里が鴻上のウィークポイントであることをよく知っていた。

 ちなみに相沢も妻帯者で、妻の名は”相沢雪名(ゆきな)”。

 

【挿絵表示】

※画像は雪名の学生時代のイメージです。

 ユーリヒは学生時代の一時期、雪名の実家に居候(ユーリヒの母と雪名母である秋名が無二の親友同士らしい)していたことがあり、それが縁となり交際開始、なんと勢い余って学生結婚してしまったらしい。いや、ユーリヒ、雪名のこと好きすぎだろう。

 嫁と朱里の関係も良好のようで、旦那同士が同じ職場の先輩後輩な上にご近所さんなせいもあり、プライベートではよく買い物や食事などに一緒に出かけたりしてるようだ。

 

「冗談ですよ。それに嫁が怖いのはお互い様ですし」

 

「……この噓つきが」

 

 鴻上もあまり人の事は言えない気がするが、ユーリヒは恐妻家というより大の愛妻家だ。

 休みの日ともなれば、日がな一日雪名とイチャついているらしいし。ちなみに避妊はしっかりしているらしく、『赤ちゃんは戦争が終わってから』だそうな。

 

「では、さっさとお仕事を終わらせましょう。早く皇国(くに)に帰りたいのは俺も同じですし」

 

 そう言いながら、愛用の”イサカM37”ショットガン(ソウドオフ&フォールディングストック仕様)のスライドをガシャンと操作し、ドアブリーチ用に一粒弾(スラッグ)のショットシェルを装填するユーリヒに今度は鴻上が呆れた様子で、

 

「お前がさっさと帰りたいのは国ではなく嫁のところだろうが」

 

「それの何が問題で? 鴻上さんだって似たようなもんでしょうが。第一、”お国の為”なんてガラじゃないでしょ?」

 

「言ってくれるな」

 

「御大層な愛国心(たいぎめいぶん)より身近なヨメの為に戦うって方が、より気乗りもするでしょ?」

 

 気のいい兄ちゃんのような顔をして、どうやらユーリヒも大概なようだ。

 いや、むしろ「この先輩にしてこの後輩在り」か?

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 二式九糎対戦車噴進砲から発射された粘着榴弾が倉庫の壁にへばりつき、ちょうど側にした赤化した(元かもしれないが)イタリア人の何名か巻き込んで爆発して大穴を開けた。

 間髪入れずに複数の二式擲弾銃から催涙弾が投射され、建屋内部に催涙ガスを瞬く間に充満させる。

 対人榴弾などを使わないのは、『内壁で仕切られた建造物のような密閉空間』では、内壁自体が障壁となり榴弾の破片が思ったより効果がない事がままあるからだ。

 もし必要があれば、火力の重ね掛けで建屋丸ごと吹き飛ばすのが軍隊の流儀である。だが、警察機構では……

 

「突入! 制圧せよっ!」

 

 より確実性を求める。これが組織の性質の違いだろうか?

 ただし、鴻上の言葉に”捕獲”の二文字は無い。必要なのは鎮圧ですらない制圧だけだろう。

 犯罪者(テロリスト)を「(しず)めるのではなく制する」のがこの作戦全体の目的なのだから。

 

”ダンッ!”

 

 突入するなり早速エンカウントした催涙ガスで咳き込む駆逐(・・)対象者の頭部に、鴻上は無造作に銃口を向けて引き金を絞る。

 軍用拳銃のそれに比べて重低の銃声と同時にホロ―ポイント弾は発射され、テロリストの頭蓋骨を貫けつつ頭の中でマッシュルーミング効果を起こし、対象の首から上を”ザクロのような”という表現がピッタリな状態に強制変換し、この世から退出させた。

 

 まず壁の大穴、突入口付近を確保し、更なる建屋の奥に。

 内部から施錠された、「いかにも誰か潜んでいる」風の怪しいドアにユーリヒが愛用のショットガンをドアノブ付近に向けて発砲。

 ロック部分が破壊されると同時に鴻上が強烈な蹴りを放ちドアを蹴破り、即座に試作品の閃光手榴弾を室内に投げ込む。

 強烈な発光による一時的に敵対者の感覚を奪ったところに間髪入れずに突入。

 

 鴻上は357マグナム弾を、ユーリヒはスラッグ弾を、他の突入隊員は短機関銃の9㎜弾を放ち、新鮮な屍を量産した。

 例えこの建屋から脱出できたとしても、周囲には九九式狙撃銃を構えたSATの狙撃班が陣取っている。

 無傷で逃げおおせる事は到底不可能だろう。

 

 

 

 そして、幾ばくかの発砲音が続き……作戦が敢行された一帯は静かになった。

 この突入作戦において”北イタリア社会主義共和国”の生存者はいないと記録されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、SATの”鴻上慎矢”と”相沢ユーリヒ”のビジュアル(嫁さん込み)付初登場回でしたw

無論、元ネタは”PSYCHO-PASS”の「狡噛慎也」と「常守朱」、そして”kanon”の「相沢祐一」と「水瀬名雪」ですね~。
鴻上もユーリヒもしっかり結婚(ゴールイン)しとりますw ユーリヒに至っては学生結婚w
ヒロインズ、大勝利?

「荒っぽい警察関係」と考えた時、真っ先に狡噛さんが浮かんでしまってw
ちなみに”この世界線”のSATハンドガンがリボルバーになったのって、「第1期のラスト、日本国内で狡噛さんが最後に使ったのがリボルバーだから」というのが大きかったりします。

相方がユーリヒになったのは、「PSYCHO-PASS系をバディにするとシリアスになり過ぎるなぁ~」と思ったときにふと思い浮かんだのが、何故か懐かしの”kanon”。
そういえば、「祐一って割と大概だったな……」と。
ちなみに作者は原作から「ゆうなゆ派」ですw

”ピアチェンツァ”を巡る戦いはこれで終幕、いよいよイタリアを巡る戦いも終幕へと向かって行きます。
次回は、ちょっと閑話っぽいエピソードでも入れようかと。

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次回もどうかよろしくお願いいたします。




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