転生しても戦争だった ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~ 作:ガンスリンガー中年
サブタイは、某ウマ娘初期の名曲”ユメヲカケル!”です。
今回は久方ぶりに5000字を超えましたが、さて、どんな”夢”が語られるのか……
「希望ちゃんの、貴仁兄曰く『介助が必要なレベル』の私生活ポンコツっぷりはさておき……」
「希望ちゃんとやらは某”ペットな彼女”かい」
何やら”
「……あながち的外れじゃない分、微妙にクる物があるな」
『わんっ♪』
※画像は和仁のイメージです。
(いかんいかん。首輪でペットな嫁さんプレイとか言い出したら、希望ちゃんは十中八九悪ノリして自作で首輪を用意して室内に”のぞみのワン娘小屋♪”とか無駄に凝った犬小屋を作成しそうだし、そうなれば兄貴は確っ実に引きこもりブーストV-MAXになる……益々
「うむ。それはそれで問題だな」
「? カズヒト、どうしたの?」
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているんだなとつくづく思ってさ」
「何があった!?」
「大した事じゃない。ちょっと貴仁兄と希望ちゃんの”可能性未来”の一つを思い描いて、暗鬱たる気分になっただけだ」
「どんな想像したのよ? 何というか……今生の日本皇族が、アマテラス陛下を筆頭に
「お前こそ某”
「なんか”バルディ○ス”っぽいわね……」
なんかスパロボも守備範囲っぽいマリアンナお嬢である。
いや、ある意味この二人も込みで未来人だらけな日本皇国なのだが……”S-1”星やAKDとは似ても似つかないが。
「それでそんな規格外のお兄さん達を持つカズヒトは、どんな
「まあな。軍需産業を復興事業に組み込むのは正直、お勧めできない。オート・メラーラ、ああ今はまだ”オデーロ・テルニ・オルランド”か?は、何とかなるかもしれないが、他は有力なコンテンダーが多過ぎる。どうせ戦後復興で国内産業を再構築するなら、食える人間が多い方が良いだろう?」
「それはそうね」
「北部の肝の自動車産業は、戦後に欧州全体にモータリゼーションが広がるしどうにかなると思うが……せっかく航空産業が根付いてるんだ。それを活かさない手はない」
「何かアテはあるの?」
「あるっちゃある」
和仁は少し考えて、
「今、皇国航空産業全体、いや関係省庁も絡めて官民一体の戦後の航空機開発プロジェクトを水面下で動かしているんだ」
「えっ? なんか大掛かりな話?」
「かなりな。計画の名前は”弓翼計画”、英語表記なら”Project Bow Wing”……ただ、これはある企業を揶揄っているのさ」
「?」
「本当の意味は”BOW”ではなく、WをEに変えた”
「えっ!?」
「弓翼の隠された意味は、『将来的に出てくるだろうボーイング社のジェット旅客機を先んじて作って市場を席巻しよう』。弓って”射落とす”物だろ? だからさ、『ボーイングの旅客機を世界中の空から射落とそう』って計画なんだよ」
☆☆☆
「そんなこと日本は考えていたの?」
「正確には、元々の出所は”三菱のプライベートプラン”さ。今生の現総帥、立場から考えればまだ若いが……ジェット機に対する執着が半端じゃなく、特にジェット旅客機に関して怨念じみた執念を感じるんだ。今、三菱の航空部門やエンジン部門はレシプロ機の技術者を中島や中西、川崎なんかのライバル企業に出向って形で押し出してまで代わりにジェットの開発リソースを確保しているが、それもこれも”弓翼計画”を完遂させる為だったっぽい」
「どうしてそこまで……」
「おそらくだが、あの会長……会ったことあるけど俺達と同じ”転生者”なのはほぼ間違いないが、おそらくは前世じゃ”MSJ”、”Mitsubishi SpaceJet”計画の生き残りか何かだろうな。多分」
または”MRJ”、”三菱リージョナルジェット”計画。
リージョナルジェットとは一般的に『旅客数が50から100名程度の短距離貨客輸送用ターボファンエンジン搭載航空機』を示す航空用語だ。
意外にもその元祖は旧ソ連の”Yak-40”だと言われている。
三菱はその市場に参入しようと機体開発を行い、失敗していた。
つまり「YS-11以来の純国産旅客機開発」は夢に終わったのだ。
ただその失敗の原因は、三菱の技術的問題だけでなく米国が絡んでいたりするのだが……
「今からジェットの技術蓄積始めれば、そりゃあ黎明期のジェット旅客機事業にも間に合うだろうが……だが、目標としているのは明らかに『戦後のボーイング』、今でさえ万単位の四発爆撃機を万単位で量産できる地力を持つ企業だぜ? 三菱は財閥って組織形状だから守備範囲は広いが企業規模が違いすぎる。相手は”大巨人”のボーイングだ。一社じゃ到底再現なんて無理と考えるのは当然だな」
「そこで公官庁巻き込んで、日本の航空産業全体でやろうって?」
「ああ。おそらく参考にしてるのは前世の官民一体国家プロジェクト、”YS-11”開発計画だろうな」
和仁はニヤリと笑い、
「だからイタリアの航空産業を部品供給網、いわゆるサプライチェーンにねじ込む事ができるかもしれん。まあ、実機が完成すれば、欧州の販売代理やライセンス生産も狙えるかもな」
「……冗談でしょ?」
「勿論、本気だぞ? その程度の権威とコネはあるし、何より『欧州に”日の丸ジェット機”を納入』するつもりがあるなら、保守部品や消耗品は現地調達が出来た方が良いに決まってる。故障の度に日本からいちいち部品取り寄せるなんて、運用側にとっちゃ悪夢もいいとこだぞ?」
実際、明らかな消耗品やある程度の保守部品は確保・保管するするのは当然だが、倉庫にも物理的制約はあるし、また部品によっては使用素材の経年劣化などの理由で長期保存に向かないものもある。
「幸い、イタリアは19世紀末期から日本と同じメートル法だしな。それで、そこで部品製造のノウハウ蓄積と実績作りをして……いずれはイタリア主導で本格的な旅客機を作りたもんだ」
何やらしっかり野心があるっぽい将来のサヴォイア公爵(現親王殿下)である。
「例えば、”エアバス”みたいな?」
「まさにそれな。前世ではフランスが主導していたが、別に今生でイタリアが主導して悪いってもんじゃないだろ? 他にも資本は皇国になるかもしれないが、欧州におけるFBW(フライ・バイ・ワイヤ)の研究施設を並行して立ち上げてもいいし。ほらせっかく生体CCV持ちの俺がいるんだし」
多分、和仁がイメージしてるのはおそらく史実のエアバス・シリーズの中でも”A320”だろう。
旅客機で初めてデジタル式FBWを採用したのが”A320”だ。(アナログ式FBWは実はコンコルド)
ちなみに”A320”ファミリーは、現実のエアバス最大のヒット商品で、1988年の初号機完成以降シリーズ累計8000機以上が既に生産されている。
「なんか夢のある話ね~。特に今のイタリアの現状を考えると」
「夢は現実にできてナンボだぜ? そもそも”弓翼計画”の最初の機体は四発の”707”準拠から始まる。そりゃあ双発の”737”も国内路線向けに作るだろうけど、海外航路向けのメインストリームは同じ四発機の拡大版、長距離大型”747”になるだろうからな……付け入る隙はあると思うぞ? ”727”みたいな三発機は俺が知る限り開発予定はないけどな。確か『性能が中途半端になりやすいから』ってのが理由だったか? とりあえず、双発と四発に開発を絞るのはほぼ画定と見ていい」
「747っていわゆる”ジャンボジェット”の事よね? それが海外路線のメインストリームになるの?」
マリアンナはどうも首を捻らせるが、
「理由は簡単だよ。日本海側にせよ太平洋側にせよ、周辺国は「米ソに東西中国、南北朝鮮の”空路を繋げたくない
「あー、地政学的理由かぁ」
「だから短~中距離で200座席未満の双発中型旅客機は、”737”開発が終われば当面はその発展型で行くつもりだろうさ。”757”以降の双発は、高バイパス比ターボファンみたいな技術的ブレイクスルーを待つつもりみたいだし」
流石、そのあたりは専門家らしい和仁の読みだった。
「だが、欧州の戦後空路を考えると、その『短~中距離で200座席未満の双発中型旅客機』というのが実に使い勝手が良いんだ。なんせほとんどの国が地続きだろ? ただ、”737”が開発されたとしても最優先は国内路線の拡充だろうし。その次は、わんさかできた”地中海沿岸の友好国”だろうからな」
「ん? インドシナ半島じゃないの?」
「あそこが本格的にジェット旅客機を必要とするようになるのはまだまだ先さ。地中海は狭い海だ。多国間の空路を結ぶってんなら、条件は欧州に似てる。皇国の航空産業が総力結集したところで製造数には限度がある。同時に軍用機も含めた他の機体も作らないとならないし、”使い勝手が良いサイズの日本製旅客機”がいつ欧州に回ってくるか目算がたたないんだよ」
「ドイツとかは?」
「むしろ、戦後はサンクトペテルブルグ込みでドイツの航空産業の方が余裕がなくなると思うぞ? 現状、ドイツにソ連を”完全消滅”させる力はないし、その理由もない。何しろソ連があった方が”
『”明確な敵が”いるのと、そうでないのとどちらが国家として安定させやすいか?』は日本皇国にも当てはまる。
冷戦終結後の”曖昧故に混沌となり、その果ての秩序の破綻と崩壊”を知っていれば尚更だろう。
今更だが……東西対立構造の”冷戦”は、あれはあれで立派な「戦後の秩序」だったのだろう。
「ということは戦後もソ連、あるいは”共産圏”は『レーヴェンスラウムの宿命的な敵』として残る。いや、完全消滅させない限り、ソ連がやがてロシアに戻っても中身は変わらんだろうし。おまけに大統領が変わる度にコロコロ国家方針を変える米国が”不穏な不確定要素”過ぎる……そんな時代なら、ドイツは『レーヴェンスラウムの武器庫』として機能せねばならなくなるから、どこまで民間機に余力を避けるか疑問だな」
「んー……じゃあ、英国とかは?」
「ハハッ!」
和仁は不意に乾いた笑い声を出すと、
「英国航空産業は”弓翼計画”には加わらず”独自路線”を行くんだと。今度こそ『連続墜落しない”コメット”』を作りたいみたいだな。悪い意味で、英国面が出てる気がするぞ。俺は」
「うわぁ~……なんか将来に対する不安要素が見え隠れしてるわね」
「いや、どちらかと言えば、”ハッキリ見えてる機雷原”のような気もするが……」
た、多分、そんなことは……ほら、英国も”転生者”はそこそこいるし。ねっ?
「おそらく共同開発できるくらい航空産業に戦後余力が出るのは、復興の早いフランスくらいかな? これも皮肉だけどな……ゴーマニズム、じゃなかった
転生しても消えぬ遺伝子レベルに刻まれたフランスへの不信感をちょっと感じさせる和仁の言葉である。
まあ、彼が前世で自衛官(空自)というのなら、まあわからなくもない話である。
「それがカズヒトのイタリア戦後復興計画……違うわね」
マリアンナはニッコリ微笑み、
「それがカズヒトの”ユメ、ソラヲカケル”なのね♪」
何とか『イタリアの戦後復興』に話が戻って来れましたw
ついでに、今後の皇国航空産業の戦後開発計画と、イタリア航空産業の将来像なども。
実は結構、和仁は野心家だったみたいですよ?
計画実現のためには、親王時代のコネも権威も、伊公爵になって手に入れられるだろう権力も存分に使う気満々ですw
まあ、どこかの国とかを不幸にする野望や夢じゃないですし、このくらい良いかな~と。
何より親王以前に、和仁は皇国屈指の”ヒコーキ野郎”ですしね。
自画自賛に聞こえてしまうかもしれませんが、今更ながらマリアンナは洒落にならん美少女がな~とw
中身に残念臭? いや、それはまあ……
相変わらず色気のない(ヲタ成分は多めの)会話ですが、少しは良い雰囲気になってきたかな?
もっとも、これは私の手柄ではなく、AIパイセンの腕が良いからなんですけどね。
絵柄から察している方もいらっしゃいますでしょうが、実はAIパイセンは複数おり、マリアンナと(微妙に前話の後書き繋がりの)希望ちゃんは”別のパイセン(笑)”が描いていたりします。
さて、次回は久しぶりにローマ以外の視点で書いてみようかな?
イタリア戦の後始末は、ローマだけでできるも物じゃないですし。
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