転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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本日も深夜アップェ……

さて、今回、クルスはデンマーク国王”クリスティエルンX世”と会うのですが、そういえばサシで国王と邂逅するのはもしかして初めてなのでは?

ある意味、初の王族外交なんですが、この男ときたら……





第416話 クルス、いよいよデンマーク国王と邂逅す! ~そして、英国産”ミーティア”の話題などを少々添えて~

 

 

 

 

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 デンマーク国王”クリスティエルンX世”は、実に「王らしい威厳に溢れた国王」としてデンマーク国民人気が高かった。

 6時間でドイツに敗戦したとはいえ、数日で国権が復帰し、またドイツが王家を厚遇するとしたのは、クリスティエルンX世の王としての威光(カリスマ)だと国民には固く信じられていた。

 勿論、国際政治とはそんなに甘いものではないのだが……どの国の国民でも夢を見る権利くらいはあるだろう。

 ちなみに異世界の同位体(?)である史実のクリスチャン10世も「侵略されながらもナチス抵抗へのシンボル」になった程の気骨溢れる王様だったらしい。

 

 そして1944年が年明けてすぐの1月初旬、デンマーク王国首都コペンハーゲン、その中心部のスロッツホルメン島に聳え立つ迎賓館としての機能も兼ね備えた王城”クリスチャンスボー城”……

 その日、”会合”という性質上、謁見の間ではなく貴賓室にて”クリスティエルンX世”は相変わらず威厳と共に居たのだが、

 

 

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「こうして謁見できることを光栄に思います。クリスティエルンX世陛下」

 

(なんか貴賓室に枢機卿(まおう)が座ってるんじゃがっ!?)

 

 はい。本日はフォン・クルス大公ではなく”フォン・クルス枢機卿猊下”デーな気分だったようです。

 

(そんなわけあるかいっ!!)

 

 クリスティエルンX世陛下、地の文にツッコミはご遠慮ください。

 あー、まあこうなってしまった理由はあると言えばある。

 端的に言えば、クルスのいつもの”やらかし”、外交的大チョンボだ。

 

 まず前提から……

 欧州、特に”王政”の歴史がある国は爵位に弱い。

 そりゃもう種族的遺伝記憶(レーシャルメモリー)に刻まれてるんじゃないかってぐらい弱い。

 だが、故に序列は大事だ。

 つまり、いくらクルスが大公と言っても一国の王の方が形式的には単純に位が上で偉い。

 

 しかし、それとは別の序列が特にキリスト教を国教ないしそれに準じた扱いをしてる国にはある。

 そう、キリスト教における”位階”だ。

 枢機卿というの本来はカトリックの位階で、カトリック教会における教皇の最高顧問という高い立場だ。

 また、枢機卿は厳密に言えば枢機卿の中でも上から司教枢機卿、司祭枢機卿、助祭枢機卿という三つの位階に分かれている。

 

 しかし、サンクトペテルブルグ大公領の事実上の国教であるサンクトペテルブルグ正教において、サンクトペテルブルグ正教において枢機卿はクルスしか存在しない。

 つまり、必然的に司教枢機卿ということになるのだが……クルス以外に枢機卿が生まれる可能性は今のところ無いので、”枢機卿=クルス”という図式なので、単に枢機卿と呼ばれているだけだ。

 そう、枢機卿という”王侯貴族”とは別の階層にある相手は勝手が違う。

 流石に”カノッサの屈辱”とは時代が違うが……

 

 

 

(あれ? もしかして儂、王様なのに恫喝外交されてる? 静かなのに圧迫感が凄いんじゃが?)

 

 無論、クルスは外交的非礼は一切していない。

 柔らかい物腰に丁寧な言葉遣い、王を敬う姿勢をちゃんと態度に出している。

 

「以上のデータが示すようにアイスランドを同君連合としておく限り、グリーンランド侵攻を行った”アメリカに対する地政学リスク”が高過ぎます。デンマーク王国の現状の国防力で対応するのは難しいでしょう。また、現状のデンマーク王国の財政と人口を考えれば、国防力の大幅な拡大は国家に大きな負荷を齎し、将来的に国家運営に禍根を遺すでしょう」

 

「う、うむ。しかし、グリーンランド侵攻の直後にアイスランドを手放すというのも……」

 

「『米軍に瞬く間に蹂躙された現実』を見せつけられたせいで、宗主国のデンマークにアイスランドを米軍の侵攻から守護できる力を持っていないことをアイスランドの住民に知られてしまってます。率直に言って、デンマーク王国は向かい風の中にあるのですよ。残念ながら、今は戦乱が嵐のように世界を覆う時代……無理をすれば、取り返しのつかないことになりますよ?」

 

「しかし、アイスランド居住の国民は納得するのか?」

 

「もし、クリスティエルンX世陛下並びにデンマーク王立議会が了承して下さるなら、僭越ながら私がメッセンジャーを務めさせていただきますよ?」

 

(いや、それこそ恫喝じゃろっ!?)

 

 という言葉を音声には出さず、クリスティエルンX世は

 

「しかし、国民にどう説明したものか……」

 

 王として苦悩であった。

 何しろ、国土を自ら捨てるに等しい行為だ。

 

「アイスランドとの同君連合を解消する対価……サンクトペテルブルグは用意できるとは言いませんが、道筋は提供できると思いますよ?」

 

「ほう? それは?」

 

「クリスティエルンX世陛下、デンマーク国王としてだけでなく”バルト海の海運王(・・・)にご興味はありませんか?」

 

 それはまるで悪魔の微笑みのようだった。

 

「そして、将来的には『世界海運の1割を掌握する海運王国』への飛躍を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*******************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、場所は再び1944年を迎えたばかりのバッキンガム宮殿。

 執務室ではなくごくプライベートエリアにあるリビングでは……

 

「にょほほほ~っ♪ ついに”我らが英国(ブリタニア)”にやって来るのね? ”The Man of Saint Petersburg”、大()公フォン・クルス!」

 

 本日もとっても上機嫌なドロシーちゃんであった。

 

 

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「気持ちは分かるがな。ドロシー、少しは抑えろ。私がまた無駄に嫉妬するだろ?」

 

 

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「あら? 光栄だわ♡」

 

 などとあざとくパンチラするレアな着衣状態の(フルアーマー)ドロシーだった。

 ちなみにドロシー、プライベートスペースにいる時は(主にリチャードが喜ぶのと本人の性癖で)下着姿やボンテ(ライトアーマー)がデフォで、フルフロンタルであることも珍しくない。

 

「……まあ良い。”宰相(チャーチル)”の言葉を信じるならば、英国には縁が深い”V-1”と”V-2”の設計図を土産として持参するようだが……」

 

 どうやら、小野寺君のメッセージは、無事に吉田欧州統括の元へ届いたようだ。

 

「『アイスランドのミカジメ料』なら妥当なところね。いや、この場合は用心棒代(てすうりょう)という方が人聞き良いわね」

 

 ※ミカジメ料:暴力団が縄張り内で営業する飲食店や風俗店などから、営業の容認や用心棒代の名目で不当に徴収する金品のこと。

 今回は、国家暴力団(イギリス)が、縄張り(大西洋)にある大英連邦候補地(アイスランド)から徴収するのではなく、ドイツ(サンクトペテルブルグ)が代理で支払うのでちょっと勝手が違う。

 

「でも、それだけじゃないんでしょ? お・み・や・げ♪」

 

フォン・クルス大公の街(サンクトペテルブルグ)からは、オハイン博士設計の『遠心圧縮式ターボジェット』の設計図と仕様書を選択したようだな」

 

「なるほどね。英国との技術交換が二次的目的かしら? ターボジェットは遠心圧縮式は構造的に限界が見えているから手っ取り早く完成度を上げたいっていうのは理解できるわ」

 

「ふむ。俺も受けても良いと思っている。サンクトペテルブルグの技術水準を直接知れる良い機会でもあるしな」

 

「それは私も思った。というか、サンクトペテルブルグでもエンジンの”実機”が完成しているなら、こっちの”ニーン”や”ダーウェント”の実物と交換しても良いと思ってるわよ?」

 

 ”ニーン”も”ダーウェント”も英ロールスロイス社が開発を成功させた遠心圧縮式ターボジェットエンジンだ。

 そう、史実でも英国は黎明期からのジェット先進国であり、史実ですらも「Me262に僅か数週間遅れでグロウスター・ミーティアを飛ばす」などしていた。

 そして、驚くべきことに……米国に叩き売った北アイルランドに配備された戦略爆撃機への対抗手段として、1944年1月時点で、”ニーン”×2機を搭載した”グロウスター・ミーティア”の先行配備を始めていた。

 史実ではダーウェント Mk.Vとされているが、実際にはダーウェントの系譜ではなく「ニーンを小型化した代物」でダーウェントの系譜ではなくニーンのファミリーであるらしい。

 ”この世界線”では開発が前倒しされたせいもあり、”ニーンMk.I”という名称でそのまま搭載……というか、まんま初期型のニーンなので推力は4000lbf(1816kg。後に開発されるMk.IIで5000lbf=2270kg、Mk.Ⅲに至っては水噴射装置付で6200lbf=2817kgまで向上するが、そこで頭打ちになった)を誇り、実はグロウスター・ミーティアという名前は同じでも、英国本土全域に優先的に配備されるミーティアは、実は「戦後のF4仕様」であると同時に、史実のミーティアF4はテイル・ヘビーが更に深刻化し機首に500kgものバラストを積んでいたが、”この世界線”の”グロウスター・ミーティアMk.I(Fナンバーでないことが識別点)”は、バラストではなく、配備を急いだために電波測距儀としての機能に絞り込まれているがパラボラアンテナ式のレーダーを搭載することにより限定的ながら全天候戦闘能力を獲得していた。

 しかもこのレーダー、英国自慢のジャイロ式照準器と連動させる事により、機銃や空対空ロケット弾の命中精度を大幅に向上させているのだ。

 ジャイロ式照準器は史実ではP-51に搭載されたK-14ガンサイトが有名だが、実はアレ、英国の”Mk.IIジャイロ式照準器”が原型だ。

 ただ、史実のこの時期のジャイロ式照準器は「敵機の横幅をプリセットして測距を行い、見越し角を計算する」もので距離測定が不確実だった。

 だが、レーダー(電波測距)と連動させることにより距離測定をより確実に行える……というか、ぶっちゃけ”ミーティアMk.I”の火器管制周りは史実のF-86”セイバー”のA5後期からF10型まで搭載されていた”AN/APG-30”レーダー測距儀システムと”A-1CM”ジャイロコンピューティング照準器の組み合わせをほぼ再現していた。

 いや、むしろ照準器自体はF86F型以降の後継型”A-4照準器”の方が造りとしては近いかもしれない。

 

 そう、”この世界線”では実用ジェット戦闘機の先駆者の座こそドイツの”He280A”シリーズに譲ってしまったが、Me262には先んじて実用化し、既に先行量産型が実戦配備に就けるまで完成していたのだ。

 

「少なくともジェットを食料(メシ)と引き換えにアカにくれてやるよりは健全か?」

 

 これは史実の1947年、ダーウェントMk.Vとニーンは、食糧支援と引き換えに”アトリー労働党政権(英国史上初の労働党政権=ソ連工作員(アカのイヌ)の巣窟)”によってソビエト連邦に供与され、後にMig-15の”VK-1”エンジンとなったことを言っているのだろう。

 

「考えるまでもないわね。経済の何たるかも理解できないアカの親玉より”アカの天敵”との取引の方が、よほど有益な商売ができそうだわ」

 

 相変わらずブレずに損得勘定まっしぐらな我らが”銭ゲバ王妃(ドロシーちゃん)”であった。

  この王妃が生きている限り、英国に衰退は訪れないような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【悲報】フォン・クルス枢機卿猊下(・・・・・)、デンマーク国王相手に(無自覚の)恫喝外交をやらかす【やると思ったよw】

あと、デンマーク国王”クリスティエルンX世”が、威厳溢れる外見と違って、中身は存外にお茶目なオッサンだった件についてw
それにしても、相手が国王だからって、

クルス:「国王相手に大公じゃあ、流石に慣例的に格下だよなぁ……ヨシッ! 枢機卿ならとりあえず、どっちが上かよくわからんから誤魔化せるだろう」

そうはならんやろっ!?
いや、コイツ本当に元外交官か?
そりゃあ、あちこちから元外交官という記録も記憶も消え去るわけだわ……だって発想が既に王侯貴族的というか、明確に権威も権力もある「支配する側」の発想やし。
というか、王様相手に動じる気配すらない……というか、むしろ圧迫面接してるしw

んで、次のお相手の英国王夫妻。
ドロシーちゃん、完全にアイスランドを”大英連邦(コモンウェルス)”に組み込む気満々ですやん……
まあ、彼女は死ぬまで”銭ゲバ王妃”なんだろうなぁ~とw
リチャードも良い嫁を娶ったもんだ(いや、ドロシーが自分から売り込みかけたんだけど)

あと、”グロウスター・ミーティア(ミーティアMk.I)”が史実ミーティアF4準拠(微強化)+F-86F準拠のレーダーFCS搭載で結果超強化されてた件についてw
しかも既に先行量産型の本土配備始まってるし……まあ、これもアイルランドに戦略爆撃機乗っけたアメリカが悪いんですがw

次回は、いよいよリチャード&ドロシーとクルスのエンカウント予定っすw

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次回もどうかよろしくお願いいたします。



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