ジパング×艦これ ~次元を超えし護衛艦~   作:秩父快急

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サジタリウス作戦が成功し南方棲鬼を威嚇することができた角松達。だが、ガダルカナル島に[やまと]が接近していた。戦争の行く末を知った国防海軍草加少佐が取った行動とは…。


航跡26:自衛隊の戦い ガダルカナル攻防戦~ジパング~

 

同時刻 ガダルカナル上陸部隊

 

「━副長、緊急事態発生。」

「どうした…?」

「━ガダルカナル島北西より海軍の艦隊が接近中。戦艦大和を貴艦とする大艦隊だ…。」

菊池からの報告に「なんだとぉ!?」と上陸部隊全員が驚く。菊池は戦艦[やまと]に居る草加から送られた無電の内容をそのまま話した。話を聞いた角松に柳が…。「副長…。」と、声を掛けようとしたが尾栗が無言で制止した。下を向いていた角松は…。

「あの…。」と小さく呟いた。「えっ…?」しらねが見ている側で「…あの野郎。今、俺の目の前に居なくて幸せだったな。」拳を握り締めながら怒りをあらわにする角松。その顔はいつもの様子とは違うことが目に見えて分かった。その頃、原子力戦艦大和艦内では…。草加少佐が同乗している山本五十六司令長官や吉岡 勉 参謀等と話をしていた。

「ここから航空機格納庫までどのぐらい掛かりますか…?」と、訪ねる草加に吉岡は…。

「そうですな…。私の足で普通に歩いて10分。走って5~6分って所でしょうか。」と話した。草加は「ありがとうございます。」と一礼し艦橋から出ていこうとした。すると、「草加君、やはり気にしてるのか?」と山本が話しかけてきた。

「この作戦を立案したのは君だったよな…。やはり、別世界からやって来た彼らの事、気になるのか…。」山本は草加に尋ねた。草加は足を止め、山本に向かって振り向いた。

「だったら、なぜ攻撃開始直前に格納庫へ向かう?」扇子を扇ぎながら吉岡が問いただす。

「はっ、確かに作戦を立案したのは私です。しかし、彼らは専守防衛を貫く身…。危険を省みず、深海棲艦を守るため行動するでしょう。」草加はその場の全員に聞こえるように話した。

「では、そのまま深海の野郎共々吹き飛ばしてはいかがかな?」吉岡はきつい言葉で草加を追い込む。

「…それは出来ません。彼らは人命救助を前提に行動しているのです。それに横須賀の艦娘も乗艦…」

「んな、事はどうでもいい!!!」吉岡は怒りをあらわに草加に詰め寄る。そして…。

「…ここで奴等を攻め落とさねば。南太平洋は奴等の手に渡る。陸軍や米軍の奴らには悪いが…。侵攻を防げなかった我々はアジアの恥になるぞ。」吉岡は人命救助よりもガダルカナルの南方棲鬼を攻め落とすのが先決だと答える。だが、その持論に山本が反論した。

「…彼らは海上自衛隊だったな。この情報も彼らから君を経由して密かに計画された作戦だ。ここで彼らを殺めれば…。今後の作戦に支障が出るのではないのかね?吉岡参謀。」と、吉岡を制止して山本は草加を格納庫へ向かわせた…。

 

 

0400 原子力戦艦[やまと] 航空機格納庫

 

ピッピッピッ カチッ…。

 

草加は格納庫の[海鳥]に搭載されている無線機の周波数を[みらい]に合わせて通信を開始した。

「…こちらは国防海軍 旗艦[やまと]角松二佐聞こえるか?」

「━ああ、はっきりと頭の奥深くまで聞こえていて怒りが爆発しそうだぜ。」と、角松から返答が来た。

「あなた方を砲撃に巻き込みたくない。速やかにそこから退避してくれんか?」草加は角松達、上陸部隊を退避させようと説得するが…。

「━お前は分かっていないな現状を…。俺達が南方棲鬼に警告を発し、このガダルカナルから戦闘せず追い払おうとしているのが分からんのか?」

「それは理解しているつもりだ。だが、この機を見過ごすことはできない。南太平洋の制海権を奪われれば…。長期的に見ても世界的規模で影響が出る。ましてや要塞化すれば我々が太刀打ちできなくなり新たな犠牲者を産み出すことになる。」怒りの口調で話しかけてくる角松を草加は持論で説得し続ける。

「━だが、それを考えたのは貴様だろう…。あの本の資料を元に…。」角松は草加がマリアナ入港前にしていたことを思い出した。草加はあの本に記載されていた事項を全てメモしていたのだ。

 

「━お前がしようとしているのは、ジャンケンの後出しだ。敵からの砲撃がないと踏んでいるだろうが…。俺たちは見過ごさんぞ!」角松は草加に、場合によっては[やまと]への攻撃を行うと警告した。

「…フッ。」と、僅かに草加は笑った。

「━草加、何がおかしい。」

 

「…あなた方、海上自衛隊にですよ。専守防衛とは敵からの明確な侵略行為がなければ発動できない。要するに、反撃することができない。いや、反撃の時には既に深傷を負っている。そういうことだ。」

「━専守防衛の何がおかしい。」

と、専守防衛について答えを求めてきた角松に草加は言い放った…。

 

 

「…最早、この世界で専守防衛を貫く事は極めて困難いや、不可能といってもいいだろう…。それでもあなた方は専守防衛を貫き通すつもりか?」

角松はその言葉に愕然とした。また、この通信を受信していたイージス艦[みらい]のCIC内部にも同じやり取りが聞こえていた。

「━俺たちは、命を護り救うために自衛隊として存在している。専守防衛こそ我々に与えられた最大の使命なんだぞ。」という角松に草加が尋ねてきた。

 

「━では聞くが、あなた方の敵は一体…。誰なんだ…?」

 

ジャングルに横になり敵陣営を監視しながら角松は

(・・・!!!)

草加の言葉にハッとした…。草加の話した通り、この世界では[みらい]に明確な敵対意思を持つものは存在していなかったのだ。[みらい]艦内の各隊員達も時空を越えて艦これの世界に迷い込んだその日から…。日々、悩み考えていた。数分の沈黙が流れ…。角松が重い口を開けた。

 

「…俺たちは海上自衛隊だ。…あんたら国防海軍と違って先制攻撃はしない。人命救助を最優先に行動する。…海軍の力を借りることもあるだろうが。我々は専守防衛・人命救助をこれからも行っていく。お前らがやりたければ…やれ。だかな、一発でも撃ったら…。俺たちは[やまと]に対艦ミサイルを叩き込む!」

「━深海棲艦の見方をするのか?」

「違う!!」草加の言葉に大声で反論する角松。

「確認はできていないがな、敵に捕らえられている兵士も居る可能性があるんだ…。俺たちにとって人間の流す血の色は白も黄色もねぇ…。全部赤いんだよ!」

 

「…生命の尊厳に国家も民族の違いはない。その通りです角松二佐。…私はあなたの言葉に救われた思いがしている。」

 

「━なにぃ?」無線の先で疑問に思う角松に草加は、話を続けた…。

「別次元の現代社会の日本人…。その海上自衛隊護衛艦の指揮官たる人間がその考えを持つことを私は誇りに思います。だが、それは平時のモラル…。残念ながら、この世界は戦時中なのだ。…悲しむべき事に今の日本は、軍民区別のない国家総力戦を行っている。それを始めたのは誰か角松二佐お分かりか?」

 

「━そいつを始めたのは、深海棲艦出現に伴う戦闘が原因だが…。今の日本は、中国 韓国 台湾 北朝鮮 その他東南アジア各国を支配下にいれてるではないか?混乱に乗じてアジアを支配しようと企んでいるのは国防軍の軍人ども…。お前もその一人だ。」

「それは違う。」草加は角松に反論し始めた。

「…私はあなた方と出会いこの世界の未来を知った上でこの戦争における我が日本の間違いに気づいた。自身の護身用9㎜拳銃を山本長官に返上したこの身は…。もはや、国防海軍の軍人ではない。そして、この世界に迷い込んだ[みらい]乗員にとってこの日本は守るべき国ではない。あなた方が守るべき国はあの日…。霧の中に消失したままだ。」

「━ならば、俺達が何のために戦っているか分かるはずだ。」角松はマイクを口に近づけて話す。

「━軍人は本来、国民の生命及び財産と国家の主権を守るために存在する。決して安直なヒューマニズムに拠って戦うものではない。」

「…やはり、貴様も深海棲艦を虐殺する思考か?」

その言葉に草加は反論した。

「━違う!!」

 

「我々が守るべき国は明らかに存在する。」

「━そんな国何処にある!?」と、角松はマイク越しに怒鳴り付けた。

「何の対抗策もなく、護衛艦を沈めさせ戦争の泥沼にハマッた今の日本でも…。アメリカへの2回目の無条件降伏という屈辱から始まる戦後日本でもない…。二つの世界に触れたからこそ私の脳裏にある国が浮かんだ。」

「━それは角松二佐、いや[みらい]のクルー達にも分かるはずだ。四海に囲まれ独立し力に満ちたその島は間違いなく我々の目の前に存在する。…それが、ジパングだ。」

 

 

 

「ジ…ジパングだと?」

「━そう呼びたい。」

驚き固まっている角松に草加は話続ける。

「━かつて、西洋の旅人が夢見た場所…。だが現実にはあなた方の世界に至るまで日本人が経験していなかった新しい国家だ。」

「なにぃ?」疑問を持った角松は草加対しての怒りで銃を持った腕が震えていた。

「━現在、ガダルカナルヘ布陣中の深海棲艦南方棲鬼部隊は…。今後のマリアナ基地攻略の重要な部隊だ。本作戦は彼らにとって初陣であり予備部隊はない。もし、彼らが全滅したとすれば再建には1年を要する上、日米双方2万5千人の死者を出さずに済む。また、深海棲艦側でも大きな打撃となるであろう。これが、誇りあるジパング創設への第一歩だ。」

 

「…それが、貴様の思惑か。」怒りに震える角松に草加は告げた。

「あと、1分で攻撃時刻だ…。あなた方の返答次第で退避する時間を作る用意はある。」草加は角松達上陸部隊が退避する事を期待していた。しかし、角松から来た返答は…。

 

 「俺たちは退避するつもりはない。撃つなら撃て…。絶対に阻止してやる。」

 

「━それは本気か…?」

「今、レシバーからブチッブチッって音が聞こえているだろ…。俺はな、未だかつてこんなに頭に来たことはねぇんだよ!!!」と、無線越しに角松は叫んだ。すると、草加は…。「正常だな。あなたの行動に期待する…。」と話し、無線を切った。

 

「おいコラァ!!!!!待ちやがれ草加!!」

再度通信を試みたが、草加には繋がらなかった…。

 

草加は格納庫にある艦内電話を使い、艦橋に居る山本に連絡した。

「彼らと交信したところ…。撤退はしないとの事です。また、砲撃を開始した場合…。全力でそれを阻止するとの事です。」

「何と…。彼らは我々に敵対する部隊なのか?」山本は草加に尋ねた。すると…。

「いえ、彼らは決して我々に敵対する意思を持っているとは考えられません。彼らの行動目的は人命救助。上陸部隊数名の命の為に、我が[やまと]の乗組員の生命を奪うとは考えられません。」

静かに草加の話を聞く山本に草加はさらに続けた…。

「私は、上陸部隊の隊長…。[みらい]の副長 角松 洋介 二佐と交信しました。彼は、我が国防海軍の行動に怒りを抱いていましたが…。この戦場において、彼が一番冷静さを保っていると感じました。」

 

 

同時刻 [みらい]CIC

 

「雅行![やまと]はやる気だ…。海上自衛隊のイージス護衛艦[みらい]の全能力を使い、ガダルカナル島へ1発も着弾させるな!!!」角松はCICに居る菊池に迎撃要請を出した。

「了解!」菊池はCICの砲雷科全員に迎撃準備を整えるよう指示を出す。

「海軍側とは手合わせしたくなかったが…。仕方ないな。我々は我々の道を突き進むだけだ。」梅津はモニターを見ながら呟く。

「前甲板VLS、1~3番シースパロ装填確認!システムデータ入力…。迎撃用意!」

 

その頃[やまと]艦橋では…。ガダルカナル沿岸部への攻撃準備が完了しつつあった。

「神仏照覧…。深海棲艦め、新鋭艦の威力思い知るがいい…。」と、外を眺めていた吉岡は不気味な笑みを浮かべながら呟いた。

「艦長!左舷VLS 地対艦ミサイル発射用意完了!」

「了解、攻撃始め。」

艦長の海江田は、ガダルカナル沿岸部へのミサイル攻撃を了承した。

 

バシュュュュユウウウウ!!!

 

現地時間0420 左舷VLSより地対艦ミサイル3発が轟音と共に発射された。

 

同時刻 [みらい]CIC

 

「あっ!出ました[やまと]発砲!!」

「いくつだ!?砲台か?」と、隊員の報告に菊池が尋ねる。

「いえ、ミサイルと思われます!数は3!ガ島敵部隊拠点へ飛翔中!!」

「分かった!前甲板VLSシースパロ攻撃始め!サルボー!!!」菊池の声と共に[みらい]前甲板から2発のシースパロが発射された。上空でブースターを切り離し、[やまと]から発射された地対艦ミサイルへ向かい飛翔していった。

 

 

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