ジパング×艦これ ~次元を超えし護衛艦~   作:秩父快急

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みらいのSPYレーダーに探知された敵の戦闘機は40機。あの時と同じ状況が再現されるなか菊池三佐が下した決断とは…。


航跡33:対空戦闘~1対40~

ゴオオオォォォンンン

 

 深海棲艦の戦闘機が[みらい]に向かって飛行していた。CICのモニターには。SPY-1レーダーで捕らえた敵機の姿が小さな光の点となって表示されていた。

 

「砲雷長。イージス艦の最大の武器は長距離射撃による攻撃方法です。…どうします?」と、青梅が菊池に尋ねる。菊池は目をつぶり頭の中で有効な攻撃方法を模索していた。

(…深海棲艦は明らかに人類の敵である。数は40…シースパロなら90%以上の確率で撃墜可能。だが、我々は異世界の人間。……この世界に大きな影響を及ぼすことは出来ない。だが…。)

 

マリアナ基地にて補給しているときに みらい から話があると言われて艦内の資料室で梅津艦長と共に、みらいが船だったときの話を聞いていた。その話に出てきた砲雷長は[菊池 雅行 三等海佐]自分自身だったのだ。

 

「前甲板VLS1~3番。シースパロ装填。対空戦闘!射撃用意!」

 菊池はみらいから教えられた対ワスプ戦のことを思い出した。あちらの世界の自分は、弾薬の節約と言う理論に至った結果。弾薬より大切な乗員の命を危険にさらし…。その上、5人の命を奪ってしまったのだ。近づく敵機の光点を見ながら…。同じことはさせないと心に決めていた。

 

「砲雷長、目標が射程圏内に入ります!」と、レーダー監視をしていた隊員が叫ぶ。菊池は梅津艦長に「艦長、攻撃します。」と、話した。梅津は無言で頷き、「対空戦闘、CIC指示の目標、発射弾フタ発、シースパロー攻撃始め!」と指示を出した。

ジリリリリリリリリリリと警報が鳴り響く。

「発射用意…!ってー!」

みらいの前甲板にあるVLSからシースパロが2基発射された。

「インターセプト、10秒!」深海棲艦の戦闘機に向かってまっすぐ飛行するシースパロー。それに気づいたのか敵機は回避行動を取るが…。

 「5 4 3  2 1、マーク・インターセプト!」

 

ドオオオオオオンンン

 先頭を飛行していた敵機が撃墜された。深海棲艦の戦闘機は二手に別れ、みらいへ近づいてくる。

「目標!さらに近づく。左右前方より接近!」と青梅が叫び、「艦橋!取り舵いっぱーい!シースパロー、発射待て!」と菊池が艦橋と対空担当に指示を出す。みらいは双方に対処できるように攻撃に有利な進路を取る。

「目標!127㍉砲射程に入ります。距離40!」菊池は情報を聞くと127㍉砲の射撃開始を指示した。

「右対空戦闘、CIC指示の目標、トラックナンバー2628、主砲打ちー方始め!」隊員がトリガーを引くとドオンという大きな音と共に127㍉砲が火を吹く!放たれた砲弾は敵機に次々と命中する。

「左舷より近づく目標、シースパロー発射始め!Salvo!!」

みらいの左上空に接近していた敵機に向かってシースパロが発射される。まるで目がついているかのように敵機を追いかけ命中していく。気づけばみらいに接近していた敵影はほとんど撃墜され、あわてて母艦へと逃げ帰る目標がわずかに残っていた。

 

(やったか…?)

 

CICに安堵の空気が一瞬流れた…。しかし、その空気はすぐに打ち消されることとなる。

「本艦上空に敵機!本艦直撃コース!」と青梅が叫び菊池はモニターを急いで確認する。様子を見ていたみらいは青ざめた。

 (このままじゃ、あの時と!!)

高度800メートル上空から見た護衛艦みらいの姿は、海面に浮かぶ木の葉のような感じに見える。深海棲艦の機体は、みらいに向かって真っ直ぐ落ちてくる。そのお腹には大きな爆弾が装着されていた。「対大型艦用爆弾ヲ食ライヤガレ!」と思ったのか、爆弾をみらいへ向けて投下してきた。

 

「CIWS AAWオート!」

菊池がCIWSによる射撃を命じ、前後にあるCIWSが一斉に唸り発砲し始めた。

 

ドルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル…!!!

 

ヒューン

 

爆弾に数発の弾丸が当たりドッカーンと大きな音を立てて大爆発する。艦橋は衝撃で大きく揺さぶられた上、爆弾の煙で一時的に視界ゼロになる。

 

「うぉっ!」艦橋にいた尾栗は、衝撃で倒れないよう近くにあった羅針盤にしがみつく。煙から抜けたみらいは、敵機の位置を探るが…。

 

「左舷SPYレーダー損傷!」と、青梅が叫びCICに緊張が走る。「しまった!」と、みらいが慌てて菊池と梅津の元に駆け寄る。

「梅津艦長!敵は特攻するすもりです!進路変更を!!!」その時みらいはあの時の事が頭をよぎっていた。米海軍のドーントレスの部隊を壊滅させたものの、敵の決死の体当たりを受けてしまい左舷艦橋に居た隊員5名が死傷したのだ。その事を再発させない!みらいは心の中で決意していたのだ。

「艦長!」

みらいの声に梅津は「面舵いっぱい。最大戦速!」と指示を出す。

急加速で右に進路を取るみらい。だが、あの時と同じルートを踏んでいる。

 

ダダダダダダダダダダダダダダダ!!!

 パリン!パリン!

 

敵機の機銃掃射で艦橋の窓ガラスが割れ、上部の衛星通信用のアンテナが破壊され海へ吹っ飛んでいく。そして、左舷前側のSPYレーダーが被弾によって破損し火花をあげる。

「ひ、引き起こさないのか!?」

艦橋に居た隊員が真っ青な顔で上を見つめる。

 

「シースパロはもう、間に合わない…。」菊池はCIWSを見つめるしかできなくなっていた。みらいから教えられたワスプ戦の事。あの通りになってしまうのか?いや、そうはさせない!俺はこの船を守るんだ!

 

「取舵いっぱい!機関全速後進!!」

 

叫んだのはみらいだった。その時、みらいの掛け声がなければ…。ワスプ戦と同じ結果になっていたのだろう。みらいの指示のお陰で、敵機は艦橋マストの空中線の一部を切断したものの…。スレスレを通過し海中に墜落した。みらいの素早い動きに対応できなかったらしい。

 

 

「…周囲、敵影なし。対空および対水上レーダー反応なし。」

青梅がレーダーの状況を話す。それを聞いた梅津艦長は「対空戦闘用具収め…。」と、ヘルメット外しながら指示を出そうとした時…。青梅が叫んだ!

 「目標敵空母より多数の飛行部隊発艦を確認!第二次攻撃だと思われます。接触まで45分。」

 「な、何機上げるつもりだ?」と、CICに緊張が走る。

 みらいの素早い判断と砲雷科と航海科の素早い反応により、敵戦闘機の衝突という最悪の事態は回避されたものの…。すでに今回の戦闘による負傷者 21名(重症5名 軽症16名)。船体のダメージは、ソナー室で機器の断線が数ヶ所。艦橋の窓ガラス破損。前甲板VLSの一部断線、衛星通信アンテナの破損であった。その上、爆弾の炎にさらされた艦橋左舷デッキとSPYレーダーは焼け焦げていた。

 

みらいCIC

 

 菊池は下を向きながら眼鏡を吹いていた。ふと、その手を止めて立ちあがり梅津の元へやって来た。

 「艦長。第一次攻撃はなんとか乗り切れましたが…。敵機動部隊は今もなお着々と発艦準備をしているでしょう。」と、菊池は下を向きながら独り言のように話す。意思を固め梅津に話した。

「くっそ、諦めの悪いやつらだ!」と一部の隊員から苦情が上がる。すると菊池は「俺たちは諦められるのか?」とCICにいた全員に問いかけた。

「戦場において諦観は美徳じゃない。やらなければやられる。俺たちはそれに気づくのが遅すぎた。さっきは艦娘の力で避けられたが、今後はそうは行かないだろう…。」と、梅津の元へ歩く。そして…。

 

「艦長。トマホークでの敵空母撃沈を具申します。」と、具申した。

 

 

 

 ザァ…。

 

[じんりゅう]の潜望鏡から見ていた滝は、みらいの戦闘能力や練度に驚いていた。潜望鏡から顔をはずし制帽を被る。

「流石、海上自衛隊のイージス護衛艦だ。あれだけの空襲を受けて沈まぬとは…。だが、どうやらダメージを負ったようだぞ?」と滝が話すと角松は慌てて潜望鏡を覗いた。潜望鏡からは左舷デッキ付近から煙をあげるみらいが見えた。

(…この様子だと今、艦橋は地獄だ!!!)

と、心の中で思った角松は滝の襟を掴む。反動で滝の制帽が落ちて、角松のこめかみには拳銃が当てられる。

「てめぇ、自分がしたことがわかってんのか!あんたらの身内も乗ってんだぞ!!」と、大声で滝を怒鳴り付ける。角松は滝を殴りそうになったが近くにいた隊員に引き離される。二人がもめている頃、みらいCICでは…。

 

「トマホークで撃沈だって!?」

 

菊池と梅津の会話を聞いていた尾栗が驚きの声を上げた。

「トマホークを使わなくともハープーンで敵を無力化すれば…。」という尾栗に菊池は…。

「いや、奴ら…。深海棲艦の回復速度は早い。ハープーンで無力化したとしても最速3時間で回復する。おまけに制空権を奪われている現状では、撃沈するしか方法はない。既に我々は手負いの状態。一部機器が破損している現状では戦闘の続行は不可能だ。」

菊池の決断に尾栗は驚いたが…。

「だからといって、相手を沈めるのかよ。俺たち自衛隊の魂はどこ行ったんだよ。」と、問う。

「残念だが、これが現実だ。平和ボケした俺たち自衛隊が言うのもあれだが…。戦争なんだ。この世界で自衛隊なんだといい続けることは不可能に近い。」と、菊池は現実をいい放った。

 

 ガァン!

 

「くそっ!」と、尾栗が机に八つ当たりする。 数秒の沈黙が流れたあと…。

「艦長。目標到達まで30分かかります。一刻の猶予もありません。」と、菊池が具申する。

「通信機は生きているな…?」

通信設備を確認した梅津は、ある事を指示した。

  

「敵である深海棲艦が第二次攻撃を断念した時点で、トマホークは自爆だ。」梅津は目で菊池に合図を送った。

 

 ウイイイイイン…。

 前甲板のVLSにトマホークが静かに装填される。そして…。

 

 「トマホーク、攻撃始め!」

 

 バシユュュュュュウウウウウウ!!!!!!

 

 爆音と凄まじい煙と共にトマホークは敵空母へ向けて発射された。

 

 「ふ、副長。みらいからトマホークが…。」潜望鏡を覗いていた柳が声を上げ、角松が慌てて覗くと…。トマホークは敵空母へ向け、青空に雲を引きながら一直線に飛んでいった。

 

  

 

 




更新が遅れてしまい申し訳ありません。少し煮詰まっていたので、提督食堂の方へ逃げてしまっていました(・・;)楽しみにしていた方、本当にごめんなさい。
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