深海棲艦との戦闘で装備の一部を破損した[みらい]は横須賀鎮守府ドックで修復を受けていた。作業はほぼ終わり残るは補給作業だけだった。
「補給作業、あと1時間ほどで終了します。」と、尾栗が梅津に報告する。「ご苦労。航海長、修復作業完了後、相模湾で射撃演習を行うことになった。既に砲雷長には伝えてあるが、本艦の性能確認及び演習のデータ採取と言うことで国防海軍の[りょうかみ]がしばらくの間我々と行動を共にすることになった。」
「は、はぁ…。」
「なぁに、緊張することはない。普段通りに指揮を行えばよい。」と、梅津は尾栗の肩に手を置く。
翌朝 1030 護衛艦みらい CIC
「対潜戦闘!シーフォーク発艦!」
「了解。SH発艦する。」
みらいはりょうかみと共に相模湾で対潜演習を行っていた。CICのモニターには、りょうかみの[DDG-210]と示された光点が光っていた。陣形は単横陣。潜水艦に有利な陣形だ。
「敵潜水艦を発見!10時の方向。目標魚雷発射を確認。数は2!」と、SHから情報が入る。
「左舷デゴイ発射!」演習モードのため実弾は発射されないが、左舷魚雷発射管はガコン!という音と共に動く。「デゴイ発射を確認。魚雷さらに近づく距離1000!」観測員から情報が入る。「機関最大出力面舵いっぱーい!」りょうかみと共に進路を右へ取る。
「魚雷左舷を通過!」
CICに魚雷が通過したことを伝える放送が流れる。
「シーフォーク!対潜弾投下!」
SH-60Jから対潜弾投下を知らせる合図が出る。「対潜弾爆発を確認!」
「敵潜水艦撃沈を確認。」とソナー室から情報が入る。
「状況終了。対潜戦闘用具納め。」報告を受けた梅津艦長が戦闘終了を宣言しみらいは原速へ戻る。
ふと、りょうかみから入電する。「梅津艦長お見事。流石、海上自衛隊。練度は高いですね。」りょうかみに乗艦していた柏木提督から誉め言葉をかけられ、梅津艦長は少し驚いた。「いえ、我々は普段通りの訓練をそのまま行っただけです。練度はまだまだ未熟です。」梅津は普段通りの訓練だと話した。演習を終えたみらいとりょうかみは横須賀鎮守府へ帰投した。
1730みらいCIC
「砲雷長。イージスシステムの状態はどうかね?」梅津が菊池に尋ねる。「ええ、イージスシステムは元の状態と変わらず。元通りです。」
「それは良かった。柏木提督と妖精さんとやらに感謝せんとな。」
「そうですね。あれだけの被害を修復出来るとは…。私も驚きました。」
菊池は妖精さんの修復力に驚いていた。あれだけ破損していたSPYレーダーを元に戻してくれたのだ。
「といっても、直ぐに復旧できると言うわけではないと言うことを知りました。随伴艦が居ない以上、我々の対空戦闘能力の練度を、上げておく必要があると考えます。」
「確かに君の言う通りだよ。今後、どんなことが起こるかわからん。」と、梅津は静かに頷いた。
2000安針塚公園
「やはり、例の艦は隠されるような形で係留か…。」暗視スコープを使い横須賀鎮守府内部を見ている人物がいた。安室 利谷 警察庁公安部国防軍内部調査担当部 調査官だ。既に安室の元には みらい の情報が上っており、安室は神奈川県警察の中山刑事と共に交代でみらいの偵察及び監視を担当していた。
「安室さん。あの護衛艦ほんとに異次元から来たんですかねぇ?私には普通の護衛艦にしか見えませんが。」タバコを吸いながら中山が話す。「…防衛費の予算案を見てもイージス艦の建造数が一致しないんだよ。異次元から来たかどうかはさておき、監視は必要だと思います。」と、警察庁本部へと連絡を入れた。