8月26日 0315 みらいCIC
「予想通り…だな。」
梅津の予想通り、ぶこう艦長は敵艦隊撃破を行うと連絡をしてきた。しかも、ハープーンでの長距離攻撃を行うそうだ。
「砲雷長、ハープーンへのチャフ搭載作業は?」
「既に完了しています。」
「了解した。」
菊池の話を聞き、梅津は艦内放送用のマイクを手に取る。
「これより本艦は、伊豆大島沖に潜伏している敵空母機動部隊を殲滅する。総員ただちに対空戦闘用意!」
ジリリリリリリリ
深夜の艦内に非常ベルが鳴り響き、仮眠を取っていた各科員が一斉に寝室から飛び出してくる。
「総員、配置完了しました。」
と、報告が入る。作戦概要はこうだ。まず、みらいからチャフ搭載ハープーンを敵空母機動部隊に向けて発射する。発射から1分後 ぶこう からハープーンが発射。敵空母撃沈を行い、敵の戦闘能力を完全に奪う。そこで敵勢力が大島沖から離れれば作戦は成功となる。
「チャフ搭載ハープーンは無線誘導とする。管制士官、誘導を頼むぞ。」梅津は管制士官に念を押した。夜間に対艦ミサイルを応用したチャフ発射など…。自衛隊では前例がない。
「0330 艦長、時間です。」
「ハープーン発射始め!」
「4番発射管、ハープーン発射始め!」
バシュュュウウウ!!!
みらいのハープーンキャニスターからチャフ搭載ハープーンが発射される。ハープーンは上空で東へ進路を変えて飛び去っていく。そして1分後、ぶこう から弾薬入りハープーンが発射された。
「目標上空まであと10分!」
管制員から報告が入る。ハープーンは高度50メートルを保ちながら着々と敵の空母機動部隊へ近づいていた。
0345 伊豆大島沖 深海棲艦空母機動部隊
接近するハープーンに気づいたのか空母が迎撃態勢に入る。だが、ハープーンはこちらへ落ちてくるどころか逆に高度を上げつつあった。
「ナンダアレハ?」
と、空母ヲ級は空を見上げる。すると…。
ボッカーン!
と、チャフ搭載ハープーンが艦隊上空で自爆した。そして辺りにアルミ箔が散らばる。それを見たヲ級は慌てて艦積機を発射させようとするが…。
ヒューン
ぶこうが1分差で発射したハープーンが着弾する。レーダーの目を奪われたヲ級には一体何が起きたか分からなかった。だが、確実にミサイルが飛び込んできた事だけは理解できた。ぶこうのハープーンによりヲ級は2隻共に中破し艦積機は放てなくなった。だが…。
「艦隊、依然として変化ありません。」
CICで様子を伺っていた青梅が話す。なんと、空母が使えなくなったにも関わらず敵の部隊はその場に留まっているのだ。しかも、何やら小さな点が少しずつ増えてきている。
「目標!艦種判明! 水母棲鬼!」
「なんだと!?」
青梅の報告に菊池が驚く。水母棲鬼といえば艦これでも上位にランクインする強敵だ。しかも、夜戦が可能。下手に手を出したら不味い深海棲艦だ。
敵の艦積機はみらい達護衛艦隊の視認距離に入るところだった。
「艦長。どうします?」
「ECM作動!敵の通信能力を完全に奪え!」
その頃艦橋では…。
「目標視認!あっ、タコ焼き型じゃねぇーか!」
観測員が大声で叫ぶ。前方を航行する ぶこう の彼方前方に白いタコ焼き型の無数の戦闘機が見えたのだ。
「やべぇぞこれ。」と、観測員の一人が呟いた。
「目標視認!数は…80以上!」
青梅の報告にCIC全体が緊張に包まれる。
「前甲板VLSシースパロー装填。射撃用意!」菊池が淡々と指示を出すが、その額には汗が浮かんでいた。
前を航行する ぶこう から探照灯が入る。
「ワレ、タイクウセンニハイル。」
「艦長、ぶこうが対空戦開始しました!」
艦橋からCICに一報が入る。
「了解。砲雷長、射撃を許可する。だがひとつ言っておく、自分の身は自分で守れ。」
「…了解。」
梅津のその一言で、菊池は安心した。もうひとつの世界の自分がワスプ戦でしでかした事。それは繰り返さないと誓っていた。
「対空戦闘、CIC指示の目標!!シースパロー発射始め!salvo!」
バシュュュウウウ
シースパローが発射され敵機体へ向かって飛翔する。後に相模湾海戦と呼ばれることとなる対空戦が開始された。