ジパング×艦これ ~次元を超えし護衛艦~   作:秩父快急

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敵空母機動部隊の不明艦は水母棲鬼だった。次々と飛来する敵艦積機に対抗する護衛艦みらい。だが、弾薬には限度がある。敵機は、だいせんを護衛するみらいとぶこうに魚雷を次々と撃ち込んでくる。護衛艦みらいへ2発の魚雷が向いた時、汎用護衛艦あらなみが取った行動とは…。


航跡44-2:あらなみ被弾

 ドォン ドォン

 

 みらいの127ミリ速射砲が火を吹き続ける。イージスシステムがあるとはいえ80機を越える敵機にはかなわない。シースパローにも残弾という限度がある。

 「報告!シースパロー残弾数20!」

 まだ多数の敵機がいるのにシースパローが底をつきかけている。CIWSも稼働し続けており、艦橋は勿論…。CICにまで火薬が燃える匂いが漂っていた。対空戦で優位に立てるイージス艦でさえ苦戦を強いられている。

 

 「くそっ!こりゃ、本体を叩かねぇとやられるぜ。」

 艦橋で流れ弾を交わすように物陰に隠れながら外を見つめる尾栗。既に流れ弾で艦橋の窓ガラスの一部が割れていた。

 

 ヒューン ヒューン

 

 ドォン ドォン ドォン

 

 バシュュュウウウ

 

 ドルルルルルルルル

 

 爆弾が爆発する音と火を吹き続ける127ミリ砲。そしてVLSから発射されるシースパロに唸り続けるCIWS 現代戦では経験したことのない、凄まじい弾薬の雨にみらい乗組員達は改めて戦争の恐怖を感じていた。

 

 「敵機!魚雷投下!」

 

 CICから魚雷が接近していると聞き、急加速で回避する。敵機は魚雷も抱えている。このままではいつ懐に魚雷が飛び込んできてもおかしくない状況だ。

 

 ドォン ドォン ドルルルルルルルル

 

 127ミリ砲と2つのCIWSで弾幕を張る。みらいの他の艦も各自弾幕を張っていた。だが、今回の任務で真っ先に守らなければならないのは改いぶき型ヘリ搭載艦娘輸送護衛艦 だいせん だ。敵は空母の形をしただいせんをしつこく狙って攻撃している。だいせん にはCIWS 2基とSeaRAM近SAMシステム 2基しか対空防御機器がない。SeaRAM近SAMシステムは既に全弾を使い果たし、CIWSだけて応戦している。手薄になった だいせん をみらいとぶこうの2隻のイージス艦で防御しているのだ。だが、自艦にも敵機は飛んでくる。敵はだいせんへの防空攻撃が無くなる瞬間を狙っているのだ。その為、みらい と ぶこう に大量の魚雷を撃ち込んでくる。

 

 「あっ!右舷より魚雷接近!距離1000本艦命中コース!」

 と、青梅が叫ぶ。すると…。

 

 キイイインン

 

 ボイラーから黒煙を上げて あらなみ がみらいのほぼ真横に出た。そして…。

 

 ドッカーン!!!

 

 爆音と共に大きな水柱が上がった。「あらなみ被弾!魚雷が命中しました!」と、青梅が叫ぶ!

 

 艦橋では尾栗があらなみに魚雷が命中する瞬間を見ていた。魚雷はあらなみ右舷前方に命中。水柱と共に炎が上がった。すると、あらなみから…。「我に構うな、だいせんの防衛を!」と、無線が入る。尾栗は涙をこらえながらだいせん防衛を続ける。あらなみ はダメージが酷かったのか徐々にスピードが下がっていく。

 

 みらいCIC

 「あらなみ被弾。右舷に魚雷2発被弾した模様。」

 「なんとしてもこの第一次攻撃を乗り切るぞ!」と、菊池が叫ぶ。

 

 10分後…。

 

 第一次攻撃が終わったのか…。敵の戦闘機が徐々に離れていく。

 「なんとか、だいせん を防衛できたな…。」

 梅津は額の汗を拭いた。だが、敵は水母棲鬼。油断はならない…。今、まさに第二次攻撃準備の段階だ。

 「使いたくなかったが仕方ない。砲雷長、トマホークの発射用意を…。」

 「了解しました。」

 「前甲板VLS10番。トマホーク装填。」

 CICのVLS管理用のモニターにトマホークが装填されたと表示される。

 「トマホーク攻撃始め!」

 

 バシュュュウウウ!!!

 

 トマホークがみらいから水母棲鬼に向けて1発発射される。今度は前と違って予告なし、本気のトマホークだ。凄まじい勢いで帰艦する敵機達を追い越しトマホークは突き進む。そして…。

 

 ヒューン

 

 ドッカーン!!!

 

 トマホークは水母棲鬼に命中した。弾薬や艦積機に次々と誘爆していく。そして最後に「ドウイウ…コト? …ソウ……ソウ、ナノネ……あり、がとう…!」と、意味深な言葉を残して海中に没した。残った敵艦達は、旗艦が撃沈させられた為伊豆大島沖合から徐々に離れていく。

 

 「…終わったのか?」

 

 CICにホッとした空気が流れる。「いや、まだ終わっていない。被弾した あらなみ の救助を開始せよ。」

 「了解!」

 

 あらなみの被害状況は予想よりも酷かった。2発の魚雷のうち、1発は不発弾だったが艦首が吹き飛び、居住区には浸水が発生していた。幸い機関は無事だったが…。魚雷が命中した区画にいた隊員5名が死亡した。また、重軽傷者も数十名に及び…。単艦での行動はほぼ不可能だった。その上、火災が弾薬庫の近くで発生しているためにいつ誘爆してもおかしくない状況だ。総員退艦命令が出たのか、あらなみの救命ボートが下ろされており無事な人は海中に飛び込んでいる。みらい や ぶこう 、だいせん から短艇が下ろされ救助に向かう。そして、海に飛び込んだり救命ボートで脱出した乗組員を救助したあと…。

 

 ドカッドッカーン!

 

 弾薬庫に引火したのか大爆発を起こし船体が真っ二つに割れる。そして、あらなみは相模湾海中へ没した。こうして後に相模湾海戦と呼ばれる戦いは終わった。

 

 翌朝

 

 みらい達は、横須賀へ入港した。だいせんには負傷したあらなみの乗組員が沢山乗船しており、順次横須賀鎮守府に隣接する海軍病院へ搬送された。

 その姿を見ながら梅津は呟いた。

 「もし、あらなみが決死の防御をしなければ…。沈んでいたのは我々だっただろう…。」

 

 

 

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