航跡45:合流
本格的な夏が過ぎ、残暑が厳しい季節となった9月10日の昼過ぎ…。新満州国へ草加を追跡していた角松達がみらいへ帰艦した。
「そうか、目の前で張宗元が…。」
「申し訳ありませんでした!」
梅津に深々と謝罪する角松。だが、梅津は「よく、無事に帰ってきてくれた。」と、角松とみらいを出迎えてくれた。一方、角松とみらいは不在中の出来事を梅津から聞いた。相模湾海戦があり汎用護衛艦あらなみが撃沈されたこと。そして、今後の行動について報告を受けた。
「北方海域ですか…。」
「ああ、長旅の疲れが残っているだろうが…。例の攻略本に記載されていたガダルカナル島での戦闘は、我々の手によって回避された。だが、南の戦闘が回避されたということは…。」
「北で戦闘が起こると…。」
梅津の予想は的中していた。北方海域のキスカ島には国防陸軍の前線基地がある。柳の意見を元に菊池と予想をしたのだが、ガダルカナル島周辺海域から追い出された形となった敵勢力は…。今後、北方海域で大規模な作戦をする可能性が高くなっていた。
「明後日、我々は横須賀を出港し単艦で一旦、釧路沖へ向かう。釧路沖で補給艦から補給を受けたのち、我がみらいはキスカ島撤退作戦部隊と合流しキスカ島へ向かう。」
「キスカ島ですか…。」みらいがふと呟いた。みらいは前世でキスカ島撤退作戦に参加していたのだ。その時、高緯度であったために太陽からのソーラーマックスが原因によるSPYレーダーの一時的な故障があったのだ。その上、米軍の艦船と衝突した際に梅津艦長が重傷を負っていたのだ。
「おい。みらい?どうかしたのか。」
ふと、角松が声を掛けてきた。
「あっ、いえ、なんでもありません…。」
「ということだ。明後日出港となり、慌ただしいがよろしく頼むぞ。」と、梅津は二人に念を押した。
その夜、みらいは資料室であることを調べていた。パソコンに表示されるあるデータを…。
9月13日 横須賀鎮守府 埠頭
「今回の作戦に至り、我が鎮守府から5名の艦娘を向かわせることになりました。」
「了解しました。あなた方の命。私が預からせていただきます。」
柏木から梅津の元へ5名の艦娘がやって来る。今回選抜されたのは輸送船団の護衛担当として 響 吹雪 最上 川内 そして、気象観測担当として しらせ が乗艦することとなった。
「姉さん、あまり無茶しないでくださいね。」と、見送りに来た神通が声をかける。
「大丈夫。まかせときなって!」
夜戦大好きの川内に少し心配げな神通はあるものを渡した。「これ、お守。効くかどうか分からないけど持っていてね。」
「ありがとう!じゃ、行ってくるね!」
と、響をはじめとする北方海域護衛部隊がみらいのタラップを登っていく。
ボー!
長い汽笛が鳴り響き、護衛艦みらいはゆっくりと岸壁を離れる。これから釧路沖までは単艦での航行となる。離れていく横須賀の町並みを見ながら、みらいは出港した日の事を思い出していた。
出港しから3日かけ、護衛艦みらいは北海道釧路沖へ順調に向かっていた。
9月16日未明 北海道釧路沖20キロ
護衛艦みらいはキスカ島撤退作戦の要である輸送船団に合流した。輸送船団は 民間徴用フェリーの すいせん いしかり に護衛として舞鶴鎮守府より派遣された汎用護衛艦 くろべ あらかわ と、先行して向かっていた 強襲揚陸艦 しまばら の合計5隻と共に行動することとなった。その中で、護衛艦みらいに課せられた任務は…。輸送船団の先頭に立ち、露払いを行うことであった。