9月18日 ニア諸島南西150キロ
緯度が高くなり、北極圏すれすれの位置にあるキスカ島は9月だというのに気温は10℃を下回り上着がないと寒いほどである。
ブォォッ!!!…ザッパーン!
「うぉ!ありゃ鯨だぜ。すげぇところに来たんだなぁ~。」
艦橋デッキで警戒に当たっていた隊員達が歓声を上げる。
「艦長、キスカ島到着まであと3日になりました。」
「そうか、このまま敵勢力に見つからなければいいんだが…。」梅津は艦橋で敵勢力に見つからないことを祈っていた。その頃…。
「菊池三佐、少しお話があるのですが…。」
「どうした…?」
CICの前の通路でみらいが菊池に話しかけていた。
1430 みらい資料室
カチャカチャカチャ…。
菊池とみらいがパソコンとにらめっこしていた。パソコンに表示されていたのは…。ある気象情報のデータだった。
「影響がなければいいんだが…。」
1830 みらい食堂
「このカレーおいしい!」
最上が食堂で驚いていた。
「護衛艦みらいのカレーライス…。間宮さんに負けないくらい美味しいですね♪」
「これだけ食べれば夜戦も大丈夫だね!」
と、乗艦していた艦娘達が歓声を上げていた。今日の献立は、チキンカツカレーにゆで卵 サラダ 卵スープ 牛乳 福神漬だった。サクッとしたチキンカツに少し甘めで給食のような懐しさ漂うカレーはとても美味しい。吹雪達が談笑していると艦内放送が流れた。
「艦長の梅津だ。皆、そのままでよい。明後日に迫ったキスカ島撤退作戦についてだが、この海域は敵勢力の激しい反抗が予想される。全員、不測の事態に備えるよう準備をしてもらいたい。また、我々の目的は敵勢力の殲滅ではなくキスカ島に駐留している国防陸軍の前線部隊撤退を目的としていることを忘れないで頂きたい。以上だ。」
「いよいよ明後日ですね。キスカ島到着は…。」と、吹雪が呟く。
「まぁ、いつも通りにやればいいでしょ。」と、川内はカツカレーをかきこんでいた。
9月20日 キスカ島撤退作戦決行前夜
「深海棲艦の部隊に遭遇しませんが…。大丈夫ですかね?」
「分からん。だが、今回の作戦では俺達の出番は無いだろう。」
ヘリ搭乗員の居住スペースで佐竹がタバコを吸いながら部下と話していた。外は同じ艦隊の船以外の明かりはなく漆黒の闇に包まれていた。その頃…。ミーティングルームでは、明日行われるキスカ島撤退作戦の最終の作戦会議が開かれていた。作戦概要は国防陸軍の前線部隊の撤退を目的としており、合流地点はキスカ島西部のキスカ湾内部のリトルキスカ島の東側だ。まず、みらいの露払いによりキスカ湾へ進入し敵勢力の有無を確認する。そして艦娘達の護衛の元で強襲揚陸艦 しまばら をキスカ島沿岸部へ乗り上げさせる。陸軍の前線部隊とはGPSでリンクしており、上陸地点は短時間で収容可能な海岸で行うこととなった。上陸時、しまばら から負傷者輸送用の大型トラック4台が出動するが、敵勢力の動きによっては島に投棄と決まっていた。また、前線部隊に配置されているCH-47やアパッチ、装甲車等は爆破処理の上で同じく投棄予定だ。だが、二つの問題がある。一つは、先の大戦の不発弾や機雷が多数残っており接触する可能性が高いこと。また、ほぼ視界ゼロの濃霧が出ていることが問題だった。幸い、明日の午前中は濃霧予報がででいる。午前中に撤退作戦が完了しキスカ島周辺海域から離脱すれば作戦完了である。
護衛艦みらいで最終の打ち合わせが行われている頃…。キスカ島へ近づく不気味な艦隊がいることに、みらい達はまだ気づいていなかった。