キスカ島の沖合で濃霧の中始まった戦闘。艦橋から見える景色は半径500メートル以下。ほぼ視界ゼロでの戦いだ。敵の深海棲艦は物量でみらいを叩こうとしている。CICのレーダーパネルには敵大型新鋭戦艦2隻を始めとする艦隊。戦艦ル級(電探装備)2 重巡リ級1 軽巡ト級1 駆逐ナ級2 からなる主力部隊と重巡リ級2 軽巡ヘ級2 雷巡チ級1 駆逐ハ級1 からなる応援部隊、合計12隻の姿が映っている。その敵勢力が一斉にみらいの方向へ向けて撃ってきてるのだ。
「面舵20°最大戦速!」
角松の指示でみらいは回避行動を右へ左へと蛇行しながら進む。キスカ湾に入港した回収部隊。これを無事に濃霧の中、当海域から脱出させるには…。みらいのイージスシステムが必要不可欠だ。
「目標正面!識別判定重巡リ級!距離1000!」
「了解!主砲射撃開始!」
菊池の指示で127ミリ速射砲が射撃を開始する。艦橋から見ると霧の中へ無造作に撃っているようにしか見えないが、そこはイージス護衛艦。見事に初弾命中。しかも、船で言う艦橋に当たる深海棲艦の顔に命中させた。127ミリ速射砲の射撃は休みを入れずに続けられる。開戦してからわずか10分。敵駆逐艦と重巡洋艦は撃沈もしくは無力化に成功。だが、敵新鋭戦艦の無力化がまだだ。
「よし、このままで行けば…!」
CICの隊員達がそう思った時、レーダーに異変が起きた!
「な、なんだ!?急にレーダーが!」青梅が慌ててレーダーの調整に入るが治らない。
「おい!どうした!?」
角松が声をあげた瞬間。全てのレーダー機器がホワイトアウトした。
「まさかとは思っていたが…。ここで起きるとは…。」と、菊池が呟く。
「雅行、これは!?」
角松が尋ねると菊池はある自然現象を伝えた。
「ソーラーマックスだ。」
「なんだと!?」
唖然とする角松に菊池が簡単に説明する。
「この作戦に当たって、高緯度であるアリューシャン列島の気象条件を調べたんだ。元々、高緯度の地域はオーロラが出やすい。ということは、強力な磁気嵐が発生する可能性がある。念のため太陽の活動周期とNASAが公開してる活動予報を調べたんだ。すると、我々が作戦決行する今日…。約50%の確率で磁気嵐が発生すると予報が出ていたんだ。」
唖然とする角松に菊池は話を続ける。
「放射能汚染や化学兵器に対応しているからとは言っても、強力な電磁波には対応しきれない。発生した以上、アレを使うしかない。」
「まさか、使うつもりか?」
菊池は眼鏡をかけ直し話した。
「意見具申。無差別飽和攻撃…。ハルマゲドンモードの起動を具申します。」
「全弾撃ち尽くすと言うのか…。」
「ああ、この状況下で敵新鋭戦艦を無力化するには起動するしか方法はない。」
確かにハルマゲドンモードならミサイルを始めとする搭載兵器が自動的に周囲全ての目標が消滅するまで攻撃を行う…。だが、それは最終手段だ。例え起動したとしても、敵新鋭戦艦を確実に仕留められるとは限らない。角松は悩んだ。すると…。「私たちがこの艦の代わりの目になるよ。」話しかけてきたのはみらいと共にCICで、様子を見ていた川内だった。
「川内さん!?」驚くみらいに川内は…。「私は夜戦でこういう見えない状況下、慣れてるからさ。きっと役に立つって!」と、答えた。
その言葉に角松は思い出した。自衛隊の精神を…。
「よし!」
角松は艦内放送用マイクを手に取り…。「全乗組員に告ぐイージスシステムにトラブルが発生した。これより我が艦は手動で行動する。見張りを厳重にし周辺状況をCICに伝えてくれ。」
角松の意外な指示に菊池は驚いた。予想していなかった目測による射撃を行うと言うことだ。
「洋介…。お前。」
「船乗りの最後の手段忘れたのか?最後は己の目と耳だ。」その言葉を聞いて菊池は…。「ああ、忘れていたよ自分が船乗りだってことを…。」と、答えた。
みらい艦橋
「CICからの指示だー!見張り強化しろ!」と、尾栗が各員に双眼鏡を使うように指示を出す。すると…。
「左舷前方!発砲炎!」
「了解!取舵いっぱーい!」
人力で動くみらい。強烈な砲雷戦は続いていた。
ついに火蓋を切った、濃霧の中のキスカ島沖海戦。高性能レーダーを持つ、イージス護衛艦みらい…。だが、戦闘中に高緯度地帯ならではの磁気嵐に遭遇しレーダーの目を奪われてしまった。イージスシステムが使えない中での戦闘、実は描くの相当苦労してますf(^^; 濃霧で視界がほぼゼロの中での戦闘は苦戦しますよね。このキスカ撤退作戦はまだ続きます。次回もお楽しみに。(にしても、敵勢力の設定…強すぎたかな?)