航跡54:艦隊再編成
季節はすっかり秋になり、鎮守府内の木々が色づき始めた頃…。鎮守府内部の航空機整備場(米軍から譲渡)では、各国防海軍の護衛艦から修理に出された艦積機に混じって、一機だけ旧型のSH-60Jが整備を受けていた。
「ふぅ、エンジンの点検は終了。あと、試運転だけだな。」
と、整備員の一人が呟く。この少し旧型の機体は、護衛艦みらいに搭載されている哨戒ヘリだ。国防海軍になってから哨戒ヘリの更新が一気に進み、SH-60Jは今や訓練生用の機体となっていたからだ。一方の海鳥は既に検査が終わり、今日は試験飛行で横須賀から房総半島沖合を飛行し戻ってくるという最終試験だ。
キィイイイインンンン
エンジンが起動しプロペラが回る。
「横須賀離陸1025。これより房総半島沖での試験飛行に入る。」
佐竹の操縦の下、海鳥は大空へ飛び立った。
1105 千葉県房総半島沖 20キロ
「うん。エンジンも快調。操縦に問題なしだな。」
海鳥は房総半島沖の大空を順調に飛行していた。秋晴れの空に美しい大海原。深海棲艦と戦争しているなど思わせない平和な空だった。海鳥が横須賀に帰還する頃…。横須賀鎮守府では、次の作戦について会議が行われていた。
「…聖地MIか。」
柏木は本部からの通知を見て…。遂にきたか。と、心の中で思っていた。聖地MI、つまりミッドウェー諸島のことであるが…。敵勢力の主要拠点の一つであることは、衛星の観測で分かっていた。だが、相当な戦力があり米海軍を初めとする各国軍は接触を避けていた。国防海軍は不定期だが周辺海域の偵察を行っていた。だが、日々肥大化する勢力に待ったをかけなくてはいけない状況になっていたのは事実。戦力の太平洋の3分の1の勢力を失った米海軍に代わり、戦力に余裕のある日本国国防海軍に国連から白羽の矢が立ったのだ。そして、要請を受けた日本国国防海軍は横須賀鎮守府に出撃命令を出したのだった。
「…まさかとは思っていたが、遂にこの日が来るとはな。」
夕暮れの執務室で柏木は一人呟いた。
10月29日 1000 横須賀鎮守府
鎮守府の駆逐艦寮では明後日のハロウィンに備えて、駆逐艦娘全員で飾り付けが行われていた。
「夕立ちゃん、そっち持って!」
「っぽい~!」
「南瓜のお化けを作るのです!」
「あっ、響…。何で逃げるのよ~!」
と、ドタバタ朝から大騒ぎである。
「おーい。吹雪は居るか?」
駆逐艦寮に柏木がやって来た。
「あ、はい!司令官。何でしょうか?」飾り付けの手を止めて吹雪がやって来た。
「ちょっと、次の作戦について話があるんだ。来てくれないか?」
1030 提督執務室
ブロロロロロロロ…。
窓の外には訓練を行う最上達西村艦隊の瑞雲が旋回していた。
「えっ?艦隊、再編成ですか…。」
「ああ、次期作戦の前に艦隊の練度を上げておきたいんだ。」と、再編成された艦隊の内容が書かれた紙を手渡す。
[第三護衛艦隊 旗艦 吹雪 ]
「ええっ!?私が旗艦ですか!?しかも正規空母2人の!?」と、驚きを隠せない吹雪。柏木が提案してきた艦隊は旗艦を吹雪として、空母が加賀の瑞鶴 戦艦 榛名 に随伴艦として護衛艦娘の せとぎり と響の6名の艦隊だ。よりによって仲の悪い加賀と瑞鶴のコンビに早速頭を悩ませる吹雪。
(て、提督…。なんでこんな艦隊に…。)
と、吹雪が思っていると柏木が理由を説明してきた。
翌日
「なんであんたが同じ艦隊なのよ!」
「知らないわ。私は提督の指示にしたがっただけ。」
と、ミーティングルームで睨み合う。
「まぁまぁ、瑞鶴さん、加賀さん落ち着いて…。」と、せとぎり がなだめるが…。
「嫌よ!こんな艦隊!」
「五航戦の子と一緒にしないで。」
「何よ!!」
と、マジギレモードの瑞鶴…。
(大丈夫かなぁ…。この艦隊。)
啀み合う二人を見ながら吹雪は今後の艦隊運営を心配していた。
北方海域での作戦が終わり今回から新しい章に入ります。遂に、聖地MIの攻略を上部から言い渡された柏木提督。そして、その作戦の準備として五航戦育成に当たりますが…。ちょっと、アニメ版の要素も入れてみました。相変わらず瑞加賀コンビは仲があまり良くないですねf(^^; 吹雪がちょっとかわいそうですが、頑張って書いてきます。