1月20日 新満州国 平壌郊外
とある山道にある検問所で一台の車が検問を受けていた。
「了解しました。通過して構いません。」
憲兵から身分証明書を丸刈りの男が受けとる。街灯のない暗い山道を進むと大きな工場が見えてきた。
バタン!
丸刈りの男と、髭を生やした眼鏡をかけた男性が降りる。
「ここですか。」
「ええ、我が陸軍の極秘研究所ですよ。」
建物の中に入り、応接室へ案内される。その応接室にはある人物がいた。
「石原さん。お久しぶりです。」
「草加元気だったか?」
待っていたのは草加少佐だった。そして石原が連れてきた人物は…。
「初めまして倉田博士。」
髭を生やした眼鏡をかけた男性は、物理学の権威の倉田博士だ。
「早速ですが、我々の計画をお伝えします。」
草加はパソコンとプロジェクターを使い、モニターに計画を出した。そこに書かれていたのは、日本が核兵器を持つ。という事だった。
「…戦争で唯一の被爆国である日本が、核兵器?冗談はよしてください。」
と、苦笑いの倉田。だが草加は、
「いえ、我々が現在戦闘している深海棲艦。彼らの本拠地を叩き殲滅させるには核兵器を使うしかない。」
と、草加は淡々と話す。
「幸い、この朝鮮半島北部にはウランやプルトニウム等の鉱物が埋蔵されている。それに石油も健在だ。」と、石原がタバコを吸いながら話す。
「しかし、どうして核兵器を作ろうと?」
倉田が尋ねると草加は、みらい のことを話始めた。
「この写真に写っている護衛艦182番。この艦の名前は みらい 。我が海軍旗を掲げていますが、彼らは我が海軍の艦ではなく海上自衛隊の艦です。」
「海上自衛隊って、とうの昔に解散したはずじゃ?」
倉田が質問する。すると、石原が話始めた。
「私も最初は信じられなかったよ。だが、彼の話を聞いて確信したよ。この艦が我々の世界とは別次元からやって来たということを。」
無言の倉田博士。そして、草加はあることを呟いた。
「あなたが研究していた原子爆弾。あれは近く、米国が使用します。日本という国を犠牲にして。」
その言葉は、日本に4回目の原爆が落とされることを意味していた。太平洋戦争中の広島と長崎。そして、第五福龍丸事件…。
「米国の策略による原爆により我が海軍は巻き沿いを食らい、壊滅的被害を受けます。そして、日本の防衛機能は喪失。米国に統合されます。」
草加は護衛艦みらいにあった資料を印刷した物を手渡した。確かに米国の傘下に、置かれることが書いてあった。
「そこで、あなたに原爆を作っていただきたい。」
「それはなぜですか?」
倉田が草加に尋ねると…。
「我々の戦後は終わった。それを米国に伝えなければならない。米国が原爆で深海棲艦を駆逐するなら、その前に我々の手で深海棲艦を駆逐する。」
と、草加は答えた。