2330 ポートモレスビー 深海棲艦基地上空
キィイイイイインン
海鳥は敵に気づかれずに深海棲艦の陣地の上空へ来ていた。搭載されている暗視カメラで基地の様子を伺う。
「くそ、よく映らねぇな。林原、歯を食いしばってろ。」
「えっ?」
すると海鳥は突如、急降下を始めた。
ウゥーウゥー!
深海棲艦達が気づいたのかサイレンが鳴り響き、対空砲火を上げる。
ドオン!ドオン!
対空砲の射程ギリギリを飛び上空を旋回する海鳥。
「よし、これで基地の全体を撮れた。」と、納得する佐竹。基地上空から退避し海鳥は、護衛艦みらいへ帰艦した。帰りの道中、林原は呟いた。「佐竹一尉!無理しないでくださいよ!」と…。
翌日 佐竹達の偵察のお陰で基地の詳細が分かった。敵は港湾棲姫で、湾内に多数の敵船舶も確認。その上、飛行場もあるとのことだ。
「なるほど。海鳥の偵察で敵基地の概要は掴めた。砲雷長、これを効果的に叩く方法はあるか?」
と、角松が菊池に尋ねる。
「はっ、本作戦は敵基地の機能喪失が目標であることを考えると…。艦娘の空母赤城を始めとする空母艦載機部隊で制空権を獲得後、護衛艦ふゆづき による長射程ヴォルカノ127ミリ弾での攻撃が効果的であると考えます。勿論、不足の場合に備えて我がみらいのトマホークの使用も念頭に入れています。」
「わかった。これを みらいプランとして横須賀と だいせん に具申してくれ。 」
「了解。」
~一時間半後 みらいCIC~
「横須賀から作戦開始の許可が降りた。作戦開始は明朝0630。各科今のうちに十分、休息を取り戦闘に備えよ。」と、艦内放送で角松が話す。
1月31日 1830 護衛艦だいせん
食堂では赤城達空母組が夕食を取っていた。
「いよいよ、明日ですね。」
「翔鶴さん。被弾しないように気をつけてくださいね。」
「ええ、大丈夫です。被弾するのは慣れてるから…。」
と、冗談を交えながら話す赤城と翔鶴。一方の加賀と瑞鶴は無言で夕食の回鍋肉を食べている。すると、
「瑞鶴。この前にみたいに油断しないことね。」
と、加賀が呟く。
「なっ、何よ!私がまたヘマをするって思っているの?」
と、瑞鶴が怒り口調で話す。
「今回の戦いは厳しくなる予感がするの。前回のようにフォローは出来ないと思うわ。制空権奪取には私達空母機動部隊の力が必要不可欠なの。一人でも欠けたら、お終いなのよ。」
と、加賀は話し終えると漬物に手を付ける。瑞鶴は加賀の言葉に圧倒されて無言のままだった。
「相変わらずね加賀さん。」
夕食後、食堂に残った赤城と加賀は缶コーヒーを飲みながら話していた。
「あの子にはあのくらい強く言わないと戦場では生き残れないわ。」
と、加賀が呟く。
「でも、あの事件のあと瑞鶴は成長したと思う。今まで目の前の敵を倒すことにしか頭になかった子が、仲間を守るようになり…気配りも出来るようになったわ。」
「ふふ、先輩として私達も頑張らなくちゃいけないわね。」
と加賀の言葉を聞いた赤城は微笑んだ。
2230 だいせん艦娘居室
ベットで寝間着姿の時雨がスマホを見ていた。画面には白露型駆逐艦のLINEが映っている。
{時雨、作戦頑張るっぽーい!}
と、横須賀にいる夕立からメッセージが届く。
{うん。頑張る。}と、返信する。
{私がいない代わりに一番活躍してよ!}と、白露。
{無理しないでね。}と、村雨。
相変わらずの白露達を見て内心ホッとする時雨。佐世保の空襲があった直後から深海棲艦への憎しみや恨み、怒りで気が落ち着かない状態が続いていたからだ。
{うん。ありがとう。時雨、頑張るから!}
と、返信する。作戦開始まであと8時間。艦隊は作戦準備を行い備えのために暫しの休息に入った。