〇〇〇姐かわいいよ〇〇〇姐。
流星街のとあるビルの一角。
『何故ですか!? サウロンさん!』
部屋の中にある社長が座っているような椅子と机を無視し、部屋の隅に座布団を敷いてそこで酒瓶片手に座っている彼と、それに交渉に来たとおぼしき男たちがいた。
『流星街の仲間が謂れの無い罪を着せられて不当に拘置されているんですよ!? それなのに黙っていとというのですか!!』
男の腕には手榴弾の詰まった箱が抱えられていた。
何をしに行くかは明白だろう。
『おいおい物騒な…少しは大切にしろっての…自分の……って言っても伝わらねぇか』
彼は目を瞑ると少し考えてから瞼を上げた。
そこには男だけでなく、数人の男女がそこにいた。
『うーん、それならさ…』
彼は半分ほど中身の入った酒瓶をリーダー格の男に投げ渡した。
『!? 何を…』
彼の姿は既にそこにはなく、そこにいた者たちが慌てて見渡すと部屋の入り口に彼が立っていた。
酒瓶の変わりに男たちが用意していた手榴弾の詰まった箱を小脇に抱え、肩には刀身の極めて長い刀を担ぐように乗せていた。
『お前らは明日飲む美味い酒の事でも考えてろよ。そこの棚にある暑中見舞の酒好きに持ってって良いからさ。ってか俺一人じゃ全部飲めねぇし。まあ、酒道楽もほどほどだがな』
彼の謎の行動にそこにいる人間が戸惑っていると先に彼が動いた。
『じゃ、ちょっくら行ってくる』
一言、そう言い残すと彼は完全に彼らの目の前から姿を消した。
"明日"
残された者たちにはその言葉が何故か頭に残った。
明くる日、不当に拘置されていた流星街出身の男が救出される。
その跡には警察署員死傷者224名という稀に見る被害と、一人の人間を救出する為に流星街のトップであり、"剣聖"とまで呼ばれた剣師であり、念能力者の男が動いたという事実がだけ残された。
◇◆◇◆◇◆
「ほう、おぬし、第267回ハンター試験を受験しているようじゃな」
「は?」
「ニャ?」
ピトーがまじまじと俺を見詰めてきている。
現在、ピトーだけでは話にならなかったようで、俺とピトーは一緒にネテロ会長からなにやら話を聞いているのだが開口一番がこれだ。
267…今が第287回だから丁度20年前か……。
「来てたんですかニャ?」
うーん…そんな記憶は…。
「4次試験での試験官殺害により失格及び10年間の再受験禁止になっておるな」
「あ」
「思い出したんですかニャ…」
いやー、それジンに無理矢理連れていかれた時の奴じゃないか。
懐かしいなぁ、うんうん。
確か3次試験でジンと俺だけが残って、4次試験の試験官に…。
"互いに戦闘を行い、勝ち残った方を合格者とする"
とか言われて思わず試験官を真っ二つにしちゃったんだっけなぁ、あれは試験が悪い。
「………まあ、20年前のハンター試験といえば色々と過激だったからのう。それにしても少し短気過ぎやしないか?」
「2人でずっと試験通過して最後にアレでしたからねぇ…」
そりゃ、ねえよ。
11歳のジンと、当時の俺。
あの頃はまだ俺の方が遥かに上の実力だったからな。
ふむ、そう言えば前の試験より今回は大分楽だったような気がする。
「その時のお前さんと行動していたジンは当時11歳か…。時が経つのは早いのう。それはそうとジンとはハンター試験からの付き合いなのか?」
「まさか、俺みたいなはみ出し者が自分から受けに来るわけないでしょう? アイツとはハンター試験の1ヶ月ぐらい前に会いましてね……っていりますかこの話?」
「ジンは自分の話をせんからのう。良いネタが聞けると思ってな」
「それなら後でいくらでも話しますよ。アイツにはキツいお灸が必要ですからね…」
あの野郎今頃どの辺にいるんだろうか? まだ、暗黒大陸にいないだろうけどな。
「それにしてもジンとは本当に仲が良いのじゃな。ジンの経歴を改めて見通すと……ふむ、どの功績にもどこかしらに必ずオヌシの名前がありおる」
ネテロ会長はペラペラと何かの資料を捲りながらそう言った。
「相棒でしたからね…」
俺はネテロ会長とピトーに染々と昔のこと幾つか、かいつまんで話した。
ルルカ文明遺跡では発見がニュースに流れたため、押し寄せて来た盗掘、盗賊、強盗、狂信的なファンetcを修復、保護、一般公開可能に至るまでの間、全て斬殺して護ったり。
ジンが二首オオカミの繁殖法の確立する過程で、個体の天敵となる外来種と密漁者を殲滅し、保護区を超巨大な柵で囲ったり。
コンゴ金脈の発掘の時は金脈発見のためのドリル代わりとして牛馬以上の働きをしたり。
酒の席でどちらが強いか喧嘩になった果てにどういうわけか、クート盗賊団を2人で壊滅させたり。
レイザーの捕獲の時なんてレイザーとジンが一騎討ちしてる間、他のレイザーの一味全員を相手にしたな。
ん? ピトーとネテロ会長の目がなんか優しいような……。
「………………いつも貧乏クジ引いていたのじゃな…」
「主様可哀想にゃ……」
………………。
止めろ…そんな目で俺を見るな!?
特にピトー! その"ボク…あなたと一緒に背負っていくよ…"みたいな目を止めろ!
嬉しいけど悲しくなるから止めろぉぉ!!
あ、でも表情は凄く良い……"心の思いry)
「ジンは最強の喧嘩師、俺は最強の剣師。全く…世界最高の腐れ縁ですよ」
ついでに悪友、親友、後盟友もつくか。
本当にアイツの隣にいつもいた頃は退屈しなかったな…。
「ああ、でももちろん今度あったら八つ裂きにしてやるよ…」
「そ、そうか…ではいくつか質問をするぞい?」
「はい」
「はいニャん」
「ハンターの志望動機は?」
「「ボク(ピトー)が戸籍取って、主様(俺)と結婚するため(です)ニャ」」
「リア充爆ぜろ」
ひでェ!?
「まあ、どんなハンターになるかは人それぞれじゃ、おぬしらのような者も少なからずいるわい」
なるほど……つまり、あなたがハンターだとおもうものがハンターです。ただしたにんのどういをえられるとはかぎりません。 ということですねわかります。
「次じゃ。注目している受験者と、一番、戦いたくな受験者は何番じゃ?」
「注目してるのは405番。なにせジンの息子ですから…その内一体何をやらかすのやら…。一番戦いたくないのは44番ですね」
「ほう、何故じゃ?」
「アイツが望むのは誰の邪魔の入らない静かな場所で2人だけの死合ですから」
もう10年間で3回ぐらい撃退してるけどね。
……撃退する度にソウルシリーズの周回NPCの如く実力が上昇してんのはスゲーと思うけどな。
「お前さんなら一捻りじゃろうに…」
「そんなこと無いニャ。ヒソカは強いニャ」
ぬ? ピトーが他人を評価するなんて珍しいな。
「ヒソカが死力で掛かってきたらボクと刺し違えるぐらい出来ないこともないニャ」
………………ファ!? え? ヒソカってそんな強かったの?
「主様とヒソカじゃ相性が最悪なだけですニャ。もちろん、ヒソカが不利ニャ」
まあ、伸縮自在の愛は俺にほぼ効かないしな。
「でも理論上の話ですニャ。本気で戦えばぜったいボクが勝ちますニャ」
「避けるもんな…ピトー…」
俺は誇らしげな表情を浮かべるピトーを少し疲れたような目で見つめた。
ピトーはどういうわけか"未来でも見えてない限り回避不可能"な攻撃をさも普通に回避するんだもの…。
その上で"未来でも見て無い限り不可能な攻撃"も普通にしてくるし…。
そして、なぜそんな事が出来るか聞くと決まってこう言われる。
"直感ですニャ"………………解せぬ…。
「これで質問は終わりじゃが1つ聞きたいことがある」
そうするとネテロ会長の雰囲気が、のらりくらりとしたぬらりひょんのようなさっきまでの状態から、まさに武人と言った風格に変わった。
「コイツはなんだ?」
ネテロ会長は懐から神字がびっしりと刻まれた白っぽい石の欠片を出した。
ああ…やっぱり渡したのか。
「それは
「ボーレタリア?」
「ええ、
「ニャんニャん」
ピトーが横からぎゅっきゅっと弱く引っ張ってきた。
「訂正、俺とピトーで作った念能力者強化用ゲームです」
ちなみにグリードアイランドで俺は"S"の文字だ。
……具現化系とアイテム確認(実験台とも言う)の担当だったということを知ったのは最近の話だがな…。
ボーレタリアはグリードアイランドの親戚に当たるわけだ。まあ、今度は俺とピトーが2人で作ったんだけどな。知り合いにαテスト手伝ってもらってるけど。
「ほう…グリードアイランドは知っている。それに似たゲームか」
「ええ、詳しい話は中にいるガイドに聞いてください。後、一度入ると中のとある場所で要石の欠片をもう一度使わないと現実へ戻れないのでその辺り注意してください。ついでに要石の欠片は消耗品ですから使うと中で手に入れる必要があります。最後ですがこのゲームはグリードアイランドをクリア済みの者向けで、さらに戦闘が得意な方用の難易度に作られています」
一度、言葉を区切り、目の前のお茶を啜った。
まあ、念能力強化用なんだから戦闘向けで構わないもんな。
「最もまだ、β段階なので製品版はもう少し先になりますね。そのアイテムは特別招待チケットのようなモノです。と言ってもゲーム自体は既にほぼ完成していますから問題はありませんよ」
β版の理由はテスターもとい、クロロたちなんかにもやらせているが、未だにピトー1人しかクリア出来た人間がいないということ内緒である。
あ、ピトーはホモサピじゃないからノーカンか?
ちなみに今、一番クリアに近いのはレイザーだな。後、坑道の3、嵐の2と3、王城の3と4、腐れの3を残すだけだ……その中の嵐の3以外の4体のボス…もとい俺の念獣が特に地獄なんだけどな。
「これぐらいでいいですよね?」
「ニャ」
「試験と関係のない話題で引き止めて悪かったのう」
「いえいえ、俺の落ち度ですから」
それだけ言うと俺とピトーは部屋から出て行った。
◇◆◇◆◇◆
「ふぃ…」
ネテロは事実婚カップルが部屋から出ていったのを確認すると短く溜め息を付いた。
最強の剣士とは誰か?
その道の歴史家は遠い過去の人間を挙げる。
テレビとインターネットからでしか世界を知らない者は人気の天空闘技場のフロアマスターを挙げる。
剣を取り、日の浅い者は自らの師の名を挙げる。
そしてそのフロアマスターと、弟子を抱える師は揃ってある男の名を挙げる。
この問いを世界最強の剣術流派は何か? という問いにしても結局は同じ回答に成るだろう。
サウロン・ネイル…と。
賞金首にも関わらず"剣聖"と呼ばれ、現在、過去、未来において彼を越える剣士はいないと謳われる伝説の男。
そして、世界に2人だけしか扱えない世界最強の剣術流派を修得する人間でもある。
剣士としての誇りがあるのならばハンターであろうと犯罪者であろうと、自らの剣がどこまで通じるか是非とも手合わせ願いたいと思うことだろう。
彼の剣術流派自体は数千年の長きに渡り、究極の殺人剣術として脈々と受け継がれてきたモノだ。
だが、数百年ほど前に使い手が消え、流派自体が消滅してしまい。文献の中に残るだけの存在となってしまったのだ。
現存する数少ない指南書を読んだ者は10億人中10億人はこう答えるだろう。
"こんなものを人間にやらせようとするな"……と。
それほどまでにその剣術流派は人間が剣を振るうことを想定していると思えないような机上の空論をブッチギリで超えるの何かのため、実現不可能と言い切ってもいいような産物なのだ。
ネテロも昔、一部を読んだことがあるが、自分の拳より遥かに意味が解らなかったことをよく覚えている。
難易度で言えばラジオ体操第100ぐらいのレベルである。
だが、それを実現しようとし、実際に実現した馬鹿がただ一人だけ存在した。
そう、若き日のサウロン・ネイルその人である。
年代が古すぎる故に世界中のモノをかき集めたとしても全体の60~70%程度しか全容が掴めないであろうその文献を10代の頃に読み解き、そして研究に研究を重ね、足りない部分は自らが考案して補うことにより、僅か数年で完全に自分の剣術流派を新たに復活させ、体得してしまったのだ。
文献が存在しないために彼が考案した技も入っているので実質的には本来のモノからは多少外れているが、それでもこれだけでハンターなら三ツ星ハンターになれるような偉業だったりする。
当時の彼はただ強い者を求める幽鬼のようなモノだったため、特に関係はない。
つまり、彼は他に並ぶ者の無い剣士…いや、剣師なのである。
さらにそれだけではなく、底無しの化け物のようなオーラの総量を持ち、さらにオーラの質に関しては間近でみたネテロすら舌を巻く程だった。
それからピトー・ネイルという彼の恋人の魔獣。
彼女の単純な戦闘能力も恐らくは今の自分の倍以上の実力があることをオーラから理解した。
だが、何よりも彼女の恐ろしいところはその思考だろう。彼女は彼さえ居れば他を踏みにじり、擂り潰すことに何の躊躇も抱かないのだから。
もしサウロン・ネイルという男と本気で殺り合うとすれば戦いながらさらにあの念獣とも戦はなければいけない。 オマケにあの猫も付いてくる。
なんの冗談かと言いたくなるレベルである。
最も現在は彼の世界最強たる由縁の剣術流派の師範代の称号は1人の弟子へと渡り、ジャポンで隠居のような生活を送っているだけなのでネテロに討伐の命令が入ることは恐らく無いだろう。
まあ、世界の上層部から贔屓されている彼に討伐隊が編成される可能性など明日星が滅ぶ並みにあり得ないが。
「おっと」
ふと、風に流されて彼の応募してきた時のプロフィール文のようなものが空を舞い、それをネテロはキャッチした。
プロフィール文とは言ってもかなり簡易的なモノで試験においても特に参考になるものではないが形式上…いや、伝統として受験者が書くことになっているだけのモノであり一応、面接に持ってくるだけは持って来ていたのだ。
「ん…?」
ふと、さっと目を通すと欄のなかに妙な回答があることに気がついた。
いや、書くことは自体は間違っていない。
「ここに書くことも無かろうに…」
そこにはこう書かれていた。
特技:"アークス流剣術"…と。
サウロンさんは念の概要と発を知らなかった×
サウロンさんには念の基礎と応用だけで二十分だった⚪
その他用語解説
アークス流剣術
人間止めましたシリーズ代表格。最終奥義の滅界は一瞬の斬撃で正面の敵を粉にするぐらい切り刻む神速の面攻撃。どういうわけか壁には仁王が彫られる。逃げるには地面に穴を掘っ て潜りましょう。作中には36手中2手しか出てこないので、私が幻想世界和風ネーミングナビゲーション片手に34手を捏造します。
どうでもいいがTo LOVEるの作者が前に書いた正当派バトル漫画の流派だったりする。