デジモンアドベンチャーtri 第三章 「告白」を見てから心の赴くままに一気に書き上げました。

このお話には第三章の重大なネタバレが含まれています。これから観る人は注意してください。

それと、駄文になっている可能性もありますがよろしくお願いします。

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このお話には第三章の重大なネタバレが含まれています。
読まれるかたは注意してください。


デジモンアドベンチャーtri 番外章 足掻き

 こんなことを言うと怒られるのかもしれないが、この作品を和田光司さんと水谷優子さんに捧げられたらいいなと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「届けぇーーー!!!!」

 

 そう叫びながら俺は手に持っている水色の物体を<REBOOT COMPLETE>と赤い背景に表示されているパソコンの画面へと押しつける。

 

 奇しくもその瞬間、お台場にあるビッグサイトでは空が急激に暗くなり、8人の選ばれし子供たちの紋章の力によって金色のゲートが開いていた。

 

 そんなことが起きているとは全くもって知らず。

 真っ赤な画面の奥に表示されている小さな門のようなアイコンめがけて手に持つものを必死に突き付ける俺の背後にも黒い光を放ちながら何かが描き出され始めていた。

 

 勿論俺はそのことに気付かない。

 

 頭の中にあるのは再び俺の相方であるあいつに会って謝ることだけ。

 

 そんな俺の背後に描き出されているそれは誰も知らない9個目の紋章。それが示すのは「渇望」。

 

 画面に押し付けられたデジヴァイスが背後に描かれる紋章に対応するかのよう黒い光を灯す。

 

 そして紋章が背後に描き出された瞬間、パソコンから金色の光が逆流し閉ざされた(デジタルゲート)は開かれた。

 

 

 

 

 

 

 お台場から遠く離れた大阪のとあるボロアパートの2階に門が開かれる一月前。

 

「なぁ英司。」

 

 その部屋には座布団の上に座っている毛並みの良いライオンのような生き物(レオルモン)と、

 

「ん~、なんだぁ~?レオルモン。」

 

 ベッドに横たわってぐーたらしきっている下谷英司()がいた。

 

「がっこうって奴は行かなくていいのか?」

 

「………今日は祝日だから問題な~い。」

 

「そうか。だったらいいや。」

 

「それにしても、いきなりパソコンの画面の向こうからこれ持って現れたときは驚いたぜ。」

 

 レオルモンがだったらいいやと俺のぐーたらっぷりを納得したところで俺は居住まいを直してデジヴァイスを右手の中で転がしながらそう言った。

 

「急にスイッチ入ったな。まぁ、真剣な話をするにはいいけどさ。」

 

 俺の急激な変化に一瞬レオルモンは驚いたが、そんな俺の様子を見て気を取り直した。

 

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 レオルモン

 

 成長期の聖獣型

 

 属性はワクチン種で必殺技はレオクローとクリティカルバイトの二つ。

 

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「お前、俺の事パートナーって言っていたけどさ。そんなに深い縁ってあったか?」

 

「あるよお前が覚えていないだけで。」

 

「……?」

 

 途中で声のトーンを落としたレオルモンと名乗るこのライオンが俺の前にいきなり現れたのは一月前。

 

 俺がパソコンで東京に住む友人とスカイペで通話を終えた瞬間こいつは現れた。

 

『よぉ!』

 

『!?』

 

『んしょ。んしょ!!』

 

『な………何もんだよお前!!』

 

『英司。お前のパートナーだよ。』

 

『パートナー!?』

 

『はい、これはお前の分だから持っておけって。』

 

 そんな会話を繰り広げてからいろいろと起きた。

 レオルモンが現れた際にいきなり上がった電圧のせいで建物全体のブレーカーが落ち、周囲は真っ暗になった。

 そしてさらに追い打ちをかけるかのようにレオルモンが現れてから質問している途中に銃を持った黒づくめの男たちが窓を蹴破って俺の部屋に突入。

 

 そのまま拘束されて連れていかれた俺は、様々なことを説明された。

 選ばれし子供たちのこと。俺が小学生の頃にデジモンが原因でお台場で起きた事件のことや。中学生の時にあったあのよくわからない事件のこと。あのでかい奴は当時お台場にいた俺も見ていた。

 

 そして事情をうまく呑み込めていないまま再び建物から連れ出された先にいたのはデカくて赤いクワガタだった。

 

 ……まぁ、襲われて死にかけたわけだが。

 

 他人事のように語っているが、仕方がない。

 

 だって襲われて死ぬと思った瞬間握っていたデジヴァイスが光ってレオルモンが一瞬でデカいライオンになった。かと思ったらそのままあっさりクワガタ倒したから呆然としていた俺には何も残らなかった。

 

 そしてそのまま共同生活しながら、喧嘩して、仲直りして、なんかいきなり拉致られて、こっちに出てきたデジモンを倒してを繰り返していたら夏休みが見えてきた。

 

 そんな中だった。あのメッセージが東京のお台場からはるか離れた大阪の俺の部屋にあるパソコンの画面にも流れたのは。

 

 

 

 破滅の時は来た デジモンは再び解き放たれる

 

 脆弱なるデジタル基盤に依存した、お前達の世界は砂上の楼閣にすぎない

 

 今こそ崩壊の序曲を奏でよう

 

 

 

『なんだこれ……』

 

 夜遅くに勉強していたら消えていたはずのパソコンがいきなり再起動して流されたメッセージに俺はそうつぶやいた。

 

『わからない。だがこれはあの感染デジモンにかかわることに間違いはないだろうな。』

 

 その俺の困惑に同意するかのようにレオルモンはそう告げた。

 

『じゃあ、これまずいんじゃないのか!?』

 

『あぁ。かなりまずいな。』

 

 そう俺とレオルモンが話していたタイミングだった。

 

 充電中だったスマホが登録していない着信音を奏でる。それは厳粛な鈴の音色だった。

 

『もしもし…?』

 

 俺がその着信を取ると相手は

 

『今、デジタルワールドと人間世界は、非常に危険な状態になっています。

 

 あなた方も既に知っているでしょう、感染したデジモンの存在を。彼の者が、量子化した世界の連続性を破壊しています。

 

 デジタルワールドは、人間世界のデジタル機器と、それによって生まれたネットワーク、その発達と複雑化するように量子の海から姿を現しました。

 

 あらゆる可能性の世界が重層的に発生し、似ているところもありながら、異なった世界が隣り合わせに存在しているのです。

 

 あなた方が言うところの感染デジモンによって、量子化された世界が破壊されていくと、デジタルワールドは存在できなくなっていくでしょう。

 

 そして、人間世界も電子機器の恩恵を失っていくのです。』

 

 何の前触れもなくスマホを勝手にハンズフリーモードに切り替えてそう告げた。

 

『は?ちょっと!?どういう事か説明してくれよ!!あんたは誰で、一体今何が起きてるんだよ!!!』

 

 電話越しに相手に向けてそう怒鳴ってみるも、返事はない。

 おかしいと思って画面から顔を離すと先ほどまで通話画面だったはずのスマホの画面は暗転していた。

 

 慌てて画面を叩いたり電源ボタンを押しても反応はない。そんな中とある可能性を思い出して充電スタンドにスマホを差し込むと再び画面に灯がともった。

 

 そう。

 電話を取る前は9割がた充電が終わっていたスマホの電池は、たった数秒の言葉を伝えられただけで全て使い果たされていたのだった。

 

 そんな俺の様子を見てレオルモンは

 

『まさかリブートが起きるのか?』

 

 そう告げた。

 

『リブートってなんだよ。言葉の感じからしたら再起動みたいだけど。どういうことなんだよ。レオルモン。お前知ってるのなら教えてくれよ。お前は何を知って何をするためにここに来たんだよ。』

 

『………俺は感染デジモンからお前を守るためにこちらに来た。それは前にも言ったな。実はもう一つ役割を背負っているんだ。それは()()()()()()()()()を探ること。』

 

『それって……実質不可能なんじゃないのか?だって俺は感染デジモンが多数確認されている東京に住んでない。』

 

『そうだ。だからその時にホメオスタシスから伝えられたよ。『あなたがなしたいことをしなさい』とな。』

 

『それで俺からずっと離れようとしなかったのか?』

 

『ああ。俺からしたらしたいことというのはお前を守り共に過ごすことぐらいだったからな。』

 

『それで、リブートって一体何なんだよ。』

 

『リブートというのは、俺が知る限りではデジタルワールドを守るために一度時間を巻き戻すらしい。』

 

『それって!!』

 

『ああ。お前も気づいたか。俺という存在は残るだろうが今までの記憶すべて消えるだろうな。』

 

『それで本当に解決するってそのホメオスタシスは思っているのか!?どう考えても無理だろ!時間を巻き戻しても根源が見つかっていない以上根絶することなんて不可能だ。絶対に影響が出た状態で世界は再生されるぞ!!』

 

『だが、神である彼女が決めた以上どうしようもない。ないんだ………。』

 

 レオルモンはそう言って顔をうつむけた。俺は其の顔を見て

 

『……俺夏休み入ったら東京行く。』

 

 そうすることを決めた。

 

『どうしたいきなり。熱でも出たのか?』

 

 俺の唐突な東京行く宣言に対してレオルモンは顔を上げて面食らったような表情を見せたが

 

『短いとはいえお前との縁をなくしたくないからな。原因を突き止めるためにも発生源がいると思わしき東京に行かなきゃ話にならない。』

 

 俺がそうはっきりと告げると

 

『………そうか。ありがとう。私のことを気にかけてくれて。』

 

 再び顔を伏せてしまった。

 

『照れんなよ。それに…………。それにお前の口から直接聞きたいからな。』

 

『英司……』

 

 俺は知りたかった。なぜ、俺がこのレオルモンというデジモンと深い縁があるのか。

 俺の覚えている記憶の中で動物を飼っていたという記憶はない。

 となると、俺とレオルモンのつながりというものはないはずなのに、レオルモンは()()と断言した。

 

『お前が俺とあるといった深い縁が何なのか俺はわからない。だからこそ、もし忘れているというのならばお前の口から直接聞いて思い出したいんだ。』

 

 俺がそう言ったのに対してレオルモンは

 

『…………スゥ。』

 

 寝ていた。

 

『ありゃりゃ……』

 

 椅子から滑り落ちながら俺はそう呟き

 

『……ま、明日にでも聞くか。』

 

 そう決めて寝ることにした。

 

 その()()が次の日が忙しすぎたせいでまたさらに伸び、そして機会が永遠になくなることになるなんて想像してもいなかった。

 

 

 学校の帰りにそれは起きた。

 

 スマホを見ながら歩いていたら家まであと少しというところで急に始まった10分というカウントダウン。

 

 慌てて家まで駆けだし、部屋に飛び込むと神妙な顔でパソコンの画面を見るレオルモンの姿があった。

 

『英司……リブートのカウントダウンが始まった……。』

 

『そんな……嘘だろ!?』

 

『本当だ。どうやら、感染が許容を超えたらしい。』

 

『まじかよ…』

 

『恐らくこのカウントダウンが止まらずに進めば私もただじゃすまないだろうな。』

 

『………』

 

『英司。君のせいじゃない。』

 

『………』

 

『だから君は私のことなど背負わずに笑っていてくれ。それが私の望みでもあるから。』

 

やだ……。』

 

『ん?』

 

『嫌だ嫌だ嫌だ!!』

 

『英司……』

 

『俺は諦めない。きっとお前だけでも助かる道はあるはずだ。だから……そんなこと言わないでくれよ……』

 

『……すまない……時間だ。』

 

『え?………あ』

 

 レオルモンの陰に隠れていたせいで見えなかったモニターに表示されていたカウントダウン。その数字は0を指示していた。

 

『さよならだ。英司。』

 

 手の中からレオルモンが消えていく。

 

『あ……あ…!!』

 

 そして光の粒となってレオルモンは画面に吸い込まれていった。

 

『うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』

 

 その無慈悲な結末に、俺はただ泣き叫ぶことしかできなかった。

 

 

 

 定期考査の返却が行われ、先生からはお小言を頂く。

 

 そんな普通となった日常。だけどつい俺の目はいつもレオルモンの姿を無意識に探してしまう。

 

(このまますべて忘れて大人になっていくのか?)

 

 終業式の日、夏にしては珍しく雨が降っているというのに傘もささずに自問自答しながら家路を急ぐ。

 

 ふと顔を上げると、雷が横向きに走っていた。

 

『あ……』

 

 俺はその光景を知っている。見たことがある。

 

 そしてその雷を俺を守るために使ってくれた大きなライオンの姿を。

 

『あいつ……あの時の!!そうだ。そうだったんだ!!!』

 

 幼稚園の頃。光が丘にある団地に移り住んで間もなく。友達もそんなにいなかった俺が偶然巻き込まれた大きなオレンジ色のトカゲ(後で知ったがグレイモンというらしい)とデカい緑色の鳥との戦闘で俺を救ってくれたライオン。それがレオルモンが進化した姿と全く同一だった。

 

 それはすなわちあいつと俺の深い縁というのはそれを指しているということになる。

 

『俺、なんてことを………』

 

 次の瞬間、俺は走り出した。それまで土砂ぶりだった雨はもう止んでいた。

 

 

 

 家に帰って濡れた服を着替えようともせずにデジヴァイスをパソコンの画面に突き出す。

 

 あの日以来、ひょっこりレオルモンが返ってくるんじゃないかと一縷の望みにかけてパソコンの電源を落としたことは一度もない。

 

「開け……開けよ!!…こうしたら東京に住んでるやつらはあっちに行けるんだろ……開いてくれよ!!俺は……俺は…………」

 

 涙で視界がかすむ。

 

「俺はアイツに謝んなくちゃいけないんだよぉ!!!!」

 

 画面に顔を押し付けて男泣きする。

 

 その時、ふと気づいた。

 

「なんだこれ……門?」

 

 赤一色になった画面の下の方に小さく門のようなアイコンがあることに。

 

「もしかして……」

 

 そんな馬鹿なと思いながらも持っていたデジヴァイスを近づけると一瞬だけチカっと光った。

 

「行ける……」

 

 俺はその反応に半ば確信に近いものを持った。

 

 そして、

 

「届けぇーーーーーーーー!!」

 

 叫びと共に閉ざされていた門を開いて異世界へと旅立った。

 




感想、評価が入れば嬉しいです。
ツッコミでも良いです。
後、このお話は続けるつもりは今のところ無いです。

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