インフィニット・オンライン ~孤高の剣士~   作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス

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 どうも、おはこんばんにちは、黒ヶ谷です。

 今話はラン、???視点。

 視点は読めば分かる。原典ゲームを知っているとにやりとしてしまうかも?(最早ネタバレである)

 文字数は約一万三千。

 原作にもある設定を使って、幾つか独自設定をまた追加しております。その解説で後書きが長いですが、どうかご容赦を。

 ではどうぞ。




第十四章 ~二つの戦い~

 

 

 キリトが立ち去った後、慌ただしくボス戦に向けてアイテムの準備や武具の耐久値回復を突貫で行い、私達はすぐにヴォークリンデへと向かった。

 ――【スヴァルト・アールヴヘイム】には、攻略順序を意図的に操作する為か高度制限が存在している。

 【浮島草原ヴォークリンデ】の場合、ボスが居るであろう空中遺跡の他に、あと二つほど遺跡がある浮島に辿り着く事が出来ない。今後攻略をしていけば何れ解放されるだろう。しかし今は存在している為に、ギミックを解く必要があった。

 そのギミックも彼から譲り受けた古文書を読み解いた事で解除フラグが立ち、浮島草原中央に鎮座していた風のレリーフを掘られた装置に『風の魔力晶』を嵌め込む事で、装置が起動する。実際は嵌め込んだと同時に門番役なのかやや高レベルのワイバーン四体に襲われたのだが、これはアッサリと倒せた。

 そうして漸く装置から吹き上がる風で中央に浮かぶ空中遺跡に突入出来た。

 下から吹き上がる風に乗る関係で、先に飛ぶ順番でやや揉めたが、男性陣が先に飛ぶ事で事なきを得た。スパッツを履いている人もいればそうでない人もいるから女性にはあまり優しくない仕掛けと言える。

 あと絶叫マシンが苦手らしいシリカは目を回していた。

 反対に、リーファは表情が薄いながら、目を輝かせていたが。流石はALO全土に於ける最速プレイヤー(スピードホリック)と言われるだけある。

 

「さて、じゃあ改めて隊列を編成しよっか」

 

 そうして上に上がり、中央遺跡へ突入したところでアスナがそう言った。

 

「編成……? このままでいいのでは?」

 

 思わず首を傾げる。彼から倍率的な意味でも規格外なバフを大量に掛けてもらい、大幅なパワーアップを得ている自分達は、編成してもらうほど消耗していない。能力的な事が原因でやや前に出ている事が多い気もするがそれくらいだ。

 しかし彼女は甘いよ! と可愛らしく叱って来た。

 

「シウネーさん達は失敗出来ないんだよ? この一回で成功させないと《三刃騎士団》に先を取られちゃうよ! その為にはボス戦までどれくらい体力を温存出来るかが大切なんだから!」

 

 だからあなた達は暫く下がって温存ね、と有無を言わせず隊列を組み変え始めるアスナ。なんだか自分達よりも気合が入っているのは気のせいか。何が彼女を焚き付けたのだろう。

 とは言え実際装備やアイテムの事を考慮すれば温存するのはむしろ助かる話で、シウネーさん達も反対しないようで、厚意に甘える事にした。

 少し進んだところで次々とMobと遭遇して、ヴォークリンデのボスが居るダンジョンなだけあってレベルが高い事を思い知る。しかし七十六層に到達したばかりの頃の激しさと苦しさを覚えている身としては、アレほどではないと思えてしまう訳で、SAO攻略組は同じなのか的確にそれらに対処していく。

 ――そうして安定して敵を倒し、ピクシー達の案内(GMに許されたGM通報案件)で進むことおよそ一時間後。

 私達はマップで最奥に位置する部屋がある回廊まで辿り着いた。

 しかし、そこには『交錯する二本の剣と槍(三刃騎士団)』のギルドタグを並べている二十人程の妖精達がいた。

 

「間に合わなかった……?」

 

 それを見て、ジュンが悔しげに顔を歪ませた。

 しかし私は首を振る。

 

「いえ、エリアボスに挑むレイドにしては人数が少ないです。アレは『先約』としての先遣隊でしょう」

 

 『先約』というのは、順番待ちが起こり得るクエストやボス戦に於いて他のプレイヤーを通せんぼし、自分達が所属するギルド、パーティーなどの集合を待ち、挑むというマナーレス行為に該当するプレイを意味する。数が半分なのは、後からもう半分来るのか、それともミニライブを戦勝祈願としている者達がフルレイドメンバーで後から交代するのかのどちらかだ。

 どちらにせよ、そんな事情など知った事では無い。揃っているならまだしも集合待ちなら譲ってもらうまでだ。

 そう決断し、足を止めた仲間を追い越して先頭を歩く。彼らに近づくと、リーダーらしき両手斧を担いだノームが出てきた。《三刃騎士団》に属しているだけあり装備の質はかなり高い。

 

「あんた達もエリアボスに挑むつもりかな。でも悪いね、ここは今通行止めなんだ」

「通行止め……ともすると、それは人数が揃っていないから待っているのですか?」

「ああ、そうさ」

「やっぱりですか……ですが、私達は数こそフルレイドに足りませんが、それでもボスに挑むつもりで準備して来たんです。そこをどいてください」

「上からの指示だから、俺達にもどうしようもないよ。抗議なら央都のギルド本部まで行ってしてくれないか」

「そ、そんなとこまで行ってたら、それこそ一時間掛かる!」

 

 テッチの声を聞いたからか、一瞬リーダーの後ろにいる連中が嘲笑った。

 ――思わず顔を顰めてしまう。

 こうやって特定の場所を塞ぎ、狩場やクエストを独占するプレイヤーは今まで幾度も見て来たが、それは全て傍観者兼仲裁者としてだった。怒りや苛立ちを覚えるプレイヤーを宥める事に苦労した覚えがあるが――なるほど。彼らの気持ちを今は痛いほど理解出来る。

 

「そうですか……――――では、仕方ありませんね」

 

 しかし、こちらはシウネー達の命も――間接的ではあるが――懸けた真剣勝負。

 彼らのプレイングを否定するつもりはない。しかしこちらとて、ここで引く訳にはいかないのだ。

 

「……おい、まさか……」

 

 何かに気付いたらしいノームのリーダーは、こちらを信じられないような表情で見てきた。

 彼の話を聞いてから、ボス部屋に来るまでの間に話し合っていた。もし『先約』をされていたらどうするか。答えは当然――蹴散らすの一択。彼女らの覚悟はそれほどに固かった。これから悪名を轟かせる事になる自分達の覚悟も、また。

 

「――セァッ!」

 

 気合一閃。

 あちらが戦闘態勢を取る前に、デフォルトながら神速に等しい速さの刺突を連発。鋭い剣尖は吸い込まれるようにノームの体を貫き穿ち、思いのほかあっさりと彼をリメインライト(黄土色の炎)へと変えた。

 

「お前、不意打ちは卑怯だろ?!」

「――卑怯はどっちかな! 邪魔しないでよ!」

 

 明らかな敵対行動に激昂する先遣隊。しかし、SAOプレイヤー中最速の反応速度を持つ少年と拮抗する少女()が、彼らの前に立ちはだかった。

 サラマンダー、ノームといった前衛職向きの種族、シルフ、インプなどのバランス種族のプレイヤーが様々な武器を手に彼女へ襲い掛かる。剣、棍、槍、鎚――それら全ての攻撃を、ユウキは側面を叩いて軌道を反らし、皮一枚のところで躱していく。

 走り寄る数人の攻撃をいなし、捌いた時、彼女はその場から一歩も動いていなかった。

 ――あの動きは、自分と彼女の師匠に相当する人物を真似たもの。

 SAOから解放されて以来、自分達はリアルで護身のためと桐ヶ谷直葉に武道を師事していた。ただの護身術でないのは剣術の師事を含んでいるため。

 理論と理屈で習熟していくきらいのある自分はまだだが、感覚でこなしていく天才肌の彼女は直葉の技術を次々と吸収していっている。それが今のいなし方に現れていた。

 攻撃を完璧にいなされあ男達の顔は驚愕に染まっている。

 

「ウオリャァァァアアアアアアッ!!!」

「――ふっ」

 

 そこに突貫する二つの影。一つは刀を手に羽織をたなびかせる紅き侍、もう一つは金糸をなびかせ影のように直走る翠の妖精――クラインとリーファの二人だった。

 クラインは隙だらけの男達を豪快に斬り付け、爆発で吹っ飛ばしていく。かなりのダメージだが同種族のプレイヤーは耐性によってかギリギリ生き延びていた。

 対して、リーファは自分の実力だけで体勢を崩した者達の斬り裂く。纏う鎧の構造によっては急所に叩き込めない時もあったが、殆どは首を一撃で飛ばし、倒し切れていなくても返す刃で命を刈り取っている。隣で侍が一度斬り付ける間に彼女は二度、三度と速度を上げていく。

 

「お、おい()()()隊、早く援護を……!」

 

 このレイドの副リーダー的な立ち位置にあるらしいサラマンダーの青年が指示を出した。両手剣を構えているが、声からも分かるように震えを見せている。良い意味でも悪い意味でも有名なSAO生還者メンバー、それも最前線を戦っていたプレイヤーが相手なのだから、そうもなるかもしれない。

 あるいは、ALO上位と認めらたも同然のギルド加入でプライドを持っていたところで、アッサリとそれを崩されたからか。

 こちらもあちらもほぼ同数の人数だった。そこで勝敗を分けたのは、こちらが接近戦に強い――最初に距離を詰めていたアドバンテージがあったからであり、あちらが動揺から立ち直るのが遅かったからでもある。

 しかし自分達が現れた時点で後方に下がった魔術師隊は流石に壊滅に追いやれないでいた。

 

「あいつらは私に任せなさい」

「一人たりとも逃しません! キリカ、行きますよ!」

「ん!」

 

 その声がすると同時に、慌てながらも詠唱を始めた敵の魔術師が次々とファンブルを起こす。シノンが次から次へと弦を引いて自動装填された矢を、ユイとキリカのAI姉弟二人がエネルギーボウガンから紫色の光矢を放ち、離れた魔術師達に穿っていったからだ。

 戦場に雨が降り始めた。

 

「クソがぁッ!」

 

 開幕一分と経たず、二十人あまりの《三刃騎士団》のレイドは残り一人へと減っていた。顔を真っ赤にしながら男が突っ込んでくる。

 それに応じるように、こちらも剣を突き出す構えを取り――

 

 ――水色が横を過ぎった。

 

 前に突出したのは水妖精の後衛術師シウネーだった。彼女は長杖の持ち柄で、最後に残ったサラマンダーの男の剣を受け止める。

 それを見て驚いたのはむしろこちら側。自分とユウキは最初こそ前に出たが、以降は後ろに下がっていて、シウネー達と同様温存する構えを取っていた。最初に出たのは彼らと敵対する直接的な理由にアスナ達が関わっていないからであり、一種のケジメのようなものだったが――

 そこまで思考し、気付く。

 前に突出した理由がケジメだったなら。力を貸してもらっている状況を心苦しく思っていた彼女が、せめてけじめをと自ら前に出る可能性は、かなり高い方だろう。なまじどうにか出来る実力を持つから尚の事心苦しい筈だ。

 

「クソッ、なんで、【魔導士】はウンディーネの後衛ビルドの筈だろ?! なんで押し切れねぇんだよ?!」

 

 競り合いながら、サラマンダーの生き残りが怒鳴る。理由としては明らかに少年が残したお節介な訳で、バフアイコンとしても克明に表示されている訳だが、気が動転し過ぎて冷静にそれらを把握出来ていないらしい。

 その怒号を真っ向に受けたシウネーは……

 

「――すみません」

 

 一言、短く謝罪を口にし。

 

「私達は、引けないんです」

 

 ごめんなさい、と。そう結ぶと同時、彼女は競り合いながらも長杖の下の先端を床に突き――同時、突いた地点から斜め前方へと蒼白い氷柱が鋭く生えた。

 青年は無造作に貫かれ、宙に浮く。ワンアクションで発動する自衛タイプなのか威力は低いようだ。その代わり即応性と撃退性は高い。青年も何が起きたか分かっていないらしく、ペインアブソーバによる不快な衝撃の発生源である腹部へと視線を下ろす。

 ――瞬間、今度は素早く二度床が突かれ、二本の氷柱が天を貫かんと姿を現す。

 弱点属性である氷に貫かれ、サラマンダーは絶命。

 敵が居なくなった回廊には彼らだったリメインライトがそこかしこに散らばっていたが、少し待てばそれらは次々と消え去った。もし仲間が蘇生アイテムや魔法をリメインライトに使えばそこから体が再構成される仕組みになっているが、敵しか居ない現状では意味が無いので、六百秒の蘇生猶予時間をキャンセルし、セーブしているリスポーン地点へと戻ったのだ。

 そして戦勝祈願としてライブに赴いている本隊に報告し、程なく彼らは此処へ戻って来るだろう。

 

「――じゃあ、ここは私達に任せて!」

 

 それを阻止する為にアスナ達は殿を担う手筈になっている。

 ――SAOであればボス部屋前に殿を置く必要はなかった。

 しかしALOのボス部屋にはコモンエリアとインスタンスエリアの二種類存在している。前者は別パーティーが入っている間は進入不可になるSAO七十五層以上のタイプ、後者はパーティー毎に別々に用意されるタイプで、ボスに関しては多くが前者を採用されている。

 対してALO本土や【スヴァルト・アールヴヘイム】のボスに関してはインスタンスタイプにされている。

 この情報は運営が告知したものなので間違いようが無い。しっかり明言しておかないとクレームが面倒な事になるからか、『別のパーティーが先にボスと戦っていても、後続のパーティーが先にボスを倒せば初回討伐の記録はそちらになる』としっかり注意書きまでされていた。残念ながら自分達が狙っている企画は運営とは無関係――名前の参照も運営の公開情報を基にするだけ――なので、名前が載る条件が『討伐時点での生き残り』か『ボス部屋に入った時点でのメンバー』かがハッキリしておらず、特に後者を警戒して七人だけで挑む事になった。

 《三刃騎士団》の先遣隊を交渉決裂と同時に問答無用で屠ったのも、苦し紛れにボス部屋に入られるのを防止する為、そして万が一負けた時サーチャーなどでボス戦の状況を盗み見られてしまう事態を防ぐ為という意図があっての事。

 ……後続の部隊と合流した後、そのままボス部屋に入って自分達より先にボスを倒す可能性を考慮して、最初から殲滅する腹積もりだったのは内緒だ。

 最低限一度は交渉するパフォーマンスも、対外折衝では必要なのである。万が一にも受け入れられる訳なかったので決裂前提で備えておき、実際に決裂した途端殲滅する――そうする事で、非常識者の誹りは最低限免れる。マナーレス行為に変わりはないが、人数が揃っていないのに『先約』として後続を待たせる行いの方が批判されやすいのだ。匿名性故に炎上しやすいネットで今回の愚痴を言えるものではない。

 ――だからこそ、シウネー達は後ろめたい思いを抱える。

 自分達がボスと戦っている間、アスナ達は後からやって来た《三刃騎士団》の前に立ち塞がる事になる。それはつまり、さっきの《三刃騎士団》メンバーと自分達の立場が逆になった訳で、相応の批判を受けるのは想像に難くない。なまじ【歌姫】の絶大な人気を考慮すればこちらの立場が危ぶまれるだろう。

 それを理解した上で全員がこの作戦に従っているのだ。

 万が一にも失敗は許されない。シウネー達としても、自分達の苦労という意味でも。

 扉から一定の距離を取ったアスナ達は、こちらに手を振ったり、拳を握ったり、声援を送るなど、個々の人柄が垣間見える形でエールを向けてくれる。

 そんな中、薄紫色の小妖精姿になったストレアが飛んできた。

 

「ユイとキリカは殿に就くからさ、今回はアタシがGM権限持ちピクシーとしての性能を最大に発揮してラン達を援護するよ!」

「……それはありがたいのですが……いいのでしょうか、それは」

 

 システム権限的に。

 

「細かい事は気にしない! 出来る事は何でもやっとかないと、後悔してからじゃ遅いんだから!」

「そ、そうですか……」

 

 システム的に大丈夫なのかと思って問い掛けたのだが、彼女はモラル的な意味合いで取ったようで、若干ズレた返答をしてきた。とは言え彼女らは敵Mobやボスの攻撃予測をしてくれるため、失敗が許されない今回の戦いに於いて大いに頼りになる存在と言える。

 ややぎこちなくはあるが、彼女を受け容れ、肩に乗せる。今回の戦いでは自分が指揮を執るので、俯瞰的に戦場を見渡せる中衛~後衛の術師として立ち回るつもりだった。

 細剣をストレージに仕舞い、変わりに()()()()()を手に取る。

 普段ならここでバフを掛け直すのだが、今はキリトが懸けた条件付きの永続バフがあるため、MPを温存する。魔法と魔術(OSS)という違いこそあれバフ内容は同じだから重ね掛けしても意味が無いのだ。しかもどうも効果も彼のバフの方が高いらしい。

 そうしてアスナ達の応援を背中に受けながら、私達はボス部屋の扉に手を当てる。ごごご、と重い音を立てて分厚い石の扉は上に開いた。

 ――途端、強烈な空気の流れが生じる。

 開いたボス部屋の入り口に吸い込まれているのだ。不意打ち気味のギミックだが、ボス部屋の扉を開けたら転移させられるのはALO本土やSAOのクエストでも存在したため、驚きはない。

 

「皆、行きましょう!」

「気合入れて行くよ!」

 

 自分に続き、ユウキが声を上げる。シウネー達がおー! と応じる。

 直後、私達は光に包まれた。

 

 ***

 

『みんなー! 楽しんでるー?!』

 

 明るい少女の声が響き渡った。

 それに応じて響く、おー! と幾重にも重なった人々の声。

 

『ふふっ、いいわよ、その調子! ハーラショーッ!!!』

「「「「「ハラショー!!!」」」」」

 

 躍動的でポップな曲と共に一人の少女が舞台で踊る。銀糸が踊り、光が舞い散る。【歌姫】と称される音楽妖精(プーカ)の少女セブンがゲリラ開催したミニライブだ。

 突発的な開催にも関わらず、会場には数百に上るプレイヤーが押しかけていた。そこら中にMMOストリームを初めとしたネットサイトのカメラが回っている事から実際の視聴者は数千、ともすれば万に達していてもおかしくない。今や彼女はネットアイドル――すなわち、世界的にどこでも視聴可能で、ある意味現実よりも身近な存在なのだから。

 

 ――その認識が、私の心に影を落とす。

 

 かつて私が求めていた道。デスゲームに巻き込まれた事で鎖され、ただ求める心だけが浮かんだままのそれを、彼女は天才科学者という立場もありながら、見事にこなしてしまっている。自分には分からない苦労も多いだろう。それでもしっかり出来ているのだ。あんな二足の草鞋、自分では到底履き切れない。

 あの才能に嫉妬を覚える。

 同時、あの姿が痛ましい。

 この突発的なゲリラライブは元々計画されていたものでない事を知っている。これは周囲の人間が彼女に求めて実現したライブ。彼女はするつもりではなかったが、浮島草原のボス攻略を間近にしている《三刃騎士団》の団員達は、戦国時代の武将《織田信長》が戦の度に行っていた戦勝祈願の如く、彼女に歌を求めた。バフなんてない――しかし、確かにクラスタ(ファン)達にとっては意味のある歌を。

 彼らはセブンの為に貢献出来れば満たされる。近くに在りたいとは思う、見て欲しいとは思う――しかしそれ以上に、幼さを残す少女の為に働ける事が彼らの誇りであり、原動力なのだ。

 それほどまでに人を夢中にさせる魅力はアイドルとして最高の力と言える。得たくとも得られない天性の素質。持つべくして持ってきたもの。

 ――けれど、それは彼女を雁字搦めにしているのではないだろうか。

 天才科学者という高い頭脳とどこか高嶺の花を思わせる立場、それに対しとても身近な位置にいると()()するアイドルとしての顔出し、行動が、まるでそれだけ彼女の能力が高いを想わせて、無理を強いているのではと思ってしまう。

 ……これは、ただ自分の勝手な妄想であり、ある意味では理想の押し付けだ。醜いエゴなのかもしれない。

 

 彼女は、かつて生き別れした、私の――

 

「オーッス!」

「わっひゃぁ?!」

 

 突然、真横から声を掛けられ、同時に肩も掴まれた。びっくぅっと思わず大きく肩を震わせ距離を取る。

 視線の先にはフードを目深に被り――それに反しへそや腰回りを晒すという、やや奇抜なファッションをした顔馴染みがいた。彼女は口角を釣り上げ、漫画なら『にま~』とオノマトペを付けられていそうな笑みを浮かべていた。

 

「にゃっははー♪ やー、相変わらずレインっちの驚きぶりはイイネ。驚かし甲斐があるってモンだヨ」

「もう……アルゴさん、毎度毎度驚かさないで下さい」

「それは無理な注文だナー。リアルと()()()の激務を兼任してるオネーサンには、心の潤いというものが不足気味なんだヨ。だからここは一つリアクションがとても初々しいレインっちをだネ……」

「その度にドキドキさせられるこっちの身にもなってくださいよ……」

 

 はぁ、と息を吐いて肩を落とす。

 ひょんな事からSAOで顔見知りの仲に――と言ってもとある少年を介してだが――なった彼女は、こちらの反応が余程ツボなのか、隙あらばハイディングで距離を詰め、真横や背後から声を掛けて来る。それを面白がって紫紺色の少女剣士や大剣使いが真似する時もあった。

 何度されても慣れる兆候が無いから余計深みに嵌っている気がしなくも無い。

 溜息を吐くと幸せが逃げるゾ、と言って来る女性を軽く睨む。予想通りと言わんばかりのにんまりとした笑みが地味に腹立つ。

 

「――そーいえば。レインっち、マジで《三刃騎士団》に加入したんだナ」

 

 ふと、思い出したようにこちらの頭上――そこに表示されているであろうゲージ横のマークについて言及してきた。自分の視界端にあるゲージ横にもギルドマークが付与されている。

 それはALOで一番有名と言っても過言では無い《三刃騎士団》の印章。

 別にコアなファンという訳では無い。歌は好きだが、クラスタのように騒ぐレベルに達していないので、入りたくても入れない人からすれば激怒ものだろう。

 私が《三刃騎士団》に入った理由はただ一つ。歌姫セブン(あの子)に少しでも近付くために過ぎない。

 

「聞いた話じゃALO上位陣すら落とされるくらい難しい入団試験なんダロ? よく通ったナ」

「まぁ……そこは、あの世界での経験の賜物と言いますか」

 

 半分くらい声を大きく出来ない手段を講じたのでお茶を濁しておく。実際、その手段も素の実力があって初めて効力を発揮したようなもの。この受け答えも間違いではなかった。

 

「でも団員なのにこんなトコに居ていいのカ?」

「それはご心配なく。今日は元々非番だったから」

「……遊びのALOで『非番』なんて聞きたくなかったゾ」

「あはは~……はぁ」

 

 二人して肩を落とす。

 ある意味現実と言えた――命が懸かっていたからあながち間違いでは無い――SAOならまだしも、まさかALOでそんな単語を聞く事になるとは思いもしなかった。好きに集まり、自由に遊べる事がゲームだというのに、これでは仕事と同じだ。しかもリアルの賃金は発生しない。

 入団したとはいえ、【歌姫】の熱狂的なファンでない自分からすればログインのモチベーションはだだ下がり。半ば自分の事情と惰性でログインしているだけだ。

 ログインしていると知られたら自分の実力を加味して攻略レイドに加えられる事は間違いないので、フレンドのログイン状況設定も全てオフにするくらい徹底している。あの人達の狂信ぶりは近くで見れば見るほど怖気が立つ。アイドルを目指していた身としては余計リアルな危機感を覚えさせられた。

 

「……何だ、この空気は」

 

 そこで、知り合いの少年の声が聞こえた。人気のない路地に入って来た彼は、やや呆れ顔を浮かべこちらを見つつ、不思議そうに首を傾げている。

 

「あ、キリトくん。プリヴィエー……――――って、うぇ?!」

 

 取り敢えずクセになっているロシア語の挨拶をする――その時に視界に入った、彼のゲージ下のアイコンを見て、さっきとは別の意味で驚いてしまう。知り得る限りのステータスデバフや状態異常のデバフアイコンがずらっと並んでいて、あまりに多いから幾つかが交互に明滅するほどの状態なんて初めて見た。これでは驚くなという方が無理だ。

 というか普通そんな状態になる前に全損してリセットされる。

 ここまで満身創痍の状態はALO史上初じゃないだろうか。

 

「オ、オイキー坊、なんだそのバッドステータス(バッステ)?! しかもHPはドット単位しか残って無くて、MP全損って、一体何をやってたんダ?!」

 

 デバフにばかり気を取られていたから気付くのが遅くなったが、アルゴの言葉で彼のHPとMPの状態にも気付く。緑色のドットが僅かにあるだけで、ゲージはほぼ完全に空の状態だ。

 間違いなくHPの残量は1だろう。

 

「ん……ああ、これか。それは今から話すよ」

 

 その指摘を受けた彼はと言えば、非常に暢気なものだった。ぴりぴりしていないのが逆にこわい。

 

「先に報告だ。ユウキとランは【魔導士】シウネー達に協力する運びとなった。ボス戦だけはユウキ達七人、そこまでの道程はアスナ達が協力するようになってる。で、俺のこのデバフは、ボスと戦い七人に条件付きの永続バフを掛けたから」

「……そんなもの、ALOの魔法にあったカ?」

「魔術……魔法のOSSで作ったんだよ。リスクで効果を底上げしたものなんだ」

 

 ちなみに魔術は魔法OSSを従来のものと分けて言えるよう彼が考えた単語らしい。既存ALOのものを魔法、オリジナルのものを魔術と言い分ける事で、差別化を図るのだそうだ。

 それはいい案だナ、と言ってアルゴは後日それを情報屋としてALOに広める腹積もりだそうだ。

 一般プレイヤーの間で『魔術』という単語が出て来るのもそう遠くないかもしれない。作れるかどうかは、置いておくとして。

 

「アー、なるほどそーいうヤツなのカ。つまりあっちのバフが有効である限りキー坊のデバフものかないんダナ」

「理解が速いようで助かる」

「ねぇ、そのデバフってキリト君がやられちゃった時はどうなるの?」

「俺のデバフとあっちのバフは連動してる。さっき言った条件……パーティー編成や並び順替え、誰かのログアウトが起きない限り、バフもデバフもそのままだよ」

「そっか……」

 

 つまり彼は件の彼女達がボスを倒すまでずっとデバフを受けたまま過ごす事になる訳だ。ログアウトしたらその努力も水泡に帰すから暫くはインし続けるのだろう。

 街中でデバフアイコンを残したままの人はまずいないから、大通りを歩けば相当目立つだろうなぁ、と思った。

 ここに来るまでの間に人目に付いた筈だが、彼の事だ、その辺はなんとかして来てもおかしくない。

 

「……でもさ、その状態なのに続けるつもりなのカ?」

「え、何をなの?」

「レインっちは知らないのカ……オネーサンが頼まれた仕事なんだけどな、《三刃騎士団》の攻略レイド周辺の情報収集なんだヨ。勿論エリアボスに向けての事。そしてキー坊は、《三刃騎士団》にエリアボスを倒させるつもりが無イ。もしそうなりかけたら実力行使で妨害する事も厭わないくらいにナ」

「……でも、ミニライブで攻略レイドは留まってるし、ユウキちゃん達の方が速いんじゃ……?」

 

 流石に七人パーティーと四十九人パーティーとでは、幾ら経験に差があると言っても瞬間火力と秒間ダメージ量に差が生まれる。しかし《三刃騎士団》がまだ出発していない以上かなりのアドバンテージを有していると言える筈。

 ――筈なのに。

 キリトとアルゴの表情は、和らいでいなかった。

 

「レイン。以前、レインはアイドルを目指していると言ってたな」

「あ……う、うん……」

 

 彼に協力を仰ぐにあたり、自分とセブンの粗方の事情も自主的に教えているし、動機についても語っている。関係者として心配なこと、多分かつてアイドルを目指していた者としての嫉妬もあるなども一切合切全て。自分が隠している事なんて多分無いくらいには事情を伝えた。

 彼も複雑な立場にあるから応えられるかは分からない――そう前置きされた上で、こちらの頼みを聞き入れてくれた事には感謝しかない。

 ともあれ、そんな彼だから自分の過去や来歴について知っているのは、まったくおかしい事ではなかった。

 隣に立つアルゴが『そうなのカ』と意外そうな目で見て来る。そう、知り合いの殆どが意外だったり、時には馬鹿にしたような目で見て来るから、あまり吹聴しない。なまじ【歌姫】という可愛らしいアイドルが居るから尚更だった。

 

「アイドル……あれは、偶像崇拝に近い。悪く言えば宗教と変わりないんだ。端から応援するくらいならいい。でも『信じる』という行為で当事者になるのは危険だ。崇拝、狂信、妄信……信じるモノの為なら何だってする輩は少なくない。IS至上主義を例にすれば分かりやすいかな」

「あ、あー……それは、まぁ……うん……」

 

 正に目の前にISと女尊男卑、ブリュンヒルデ崇拝の被害者が居る訳で、でもそれを真っ向から言うのも失礼なので、適当にお茶を濁しておく。

 ともあれ言いたい事は理解出来た。

 

「アイドル関係で暴動が起きたり、炎上したり、ファン同士が争ったり……とかく『信じる』人とそうでない人との差が大きいのは問題になりがちだ」

「現実でそうなら、この世界でそうならない訳ないダロ? ましてや普通のゲームプレイでも平然とマナーレス行為が横行するんダ。それがPK上等のハードなゲーム……しかもヴォークリンデみたいな名前が売れる競争性の高いクエストで、皆が皆、品行方正にお上品なプレイをすると思うカ?」

「ライブ関係なら……入場前の長蛇の列、かな」

「――っ!」

 

 そこまで言われて漸く理解する。ライブや人気のお店は開店する時間のずっと前から並んでいて、他の人を牽制する事があるという。

 それがボス部屋の前で行われたなら……

 

「――で、でも、ちょっと待って。ならキリト君はなんで此処にいるの? もしそうなら手遅れになっちゃうじゃん!」

 

 そこで疑問が浮かんだ。ボス部屋前に待機している人が居るとしたら、そもそも今の段階でユウキ達の目標は達せられない事になる。それ以前に先に進んでいるアドバンテージがあちらのものになっているから倒す時間を考慮しても圧倒的不利ではないか。

 そう困惑するも、彼は首を横に振った。

 

「さっきレイン自身も言っていた。攻略レイド……この場合は、本隊と言うべきか、あるいは主戦力か、そういうのはまだライブに留まってる。ボス部屋前に居るのは他のプレイヤーが先に入らないよう通行止めにするための要員の筈だ、その分隊でエリアボスに突貫してもやられるだけ。MMOゲーマーは効率を求める傾向にあるからな、無駄を嫌う」

「つまり、ボス部屋前で『並んでるから』って先に行かせないで、本隊が来るまで通せんぼ……?」

 

 纏めると、頷かれた。

 物凄く納得出来る話だ。順番待ちなんてリアルでも日常茶飯事。競争性の高いクエストでそれが横行する事はあるし、SAOでも効率のいい狩場は特定のパーティーやギルドが占領する事もあった。

 SAOだと攻略ギルドは一切そういう事をしなかったが、その辺は【黒の剣士】の圧力と、負けてなるものかという意地で最前線に赴いていて余裕が無かったからだろう。

 

「……ま、分隊くらいアスナ達なら鎧袖一触だろう。ユウキやシウネー達が出張る必要も無いだろうな」

 

 しかし彼はあまり心配していない様子だ。SAOからALOでの戦いぶりを長らく見て来た彼にとって、ALOの上位実力者で揃えられた《三刃騎士団》を相手にしたとしても、負けるイメージが無いらしい。

 

「むしろ問題は分隊を倒した後……実力行使で破るんだ、あっちも同じ手で来る。ボス部屋はインスタンスエリアだからユウキ達が挑んでいる間も別のパーティーが挑む事は可能。それで先に倒されたら目も当てられないから足止めする必要がある」

「じゃあキリト君はそうするつもりで……あ、だからアルゴさんはさっき……」

 

 そこで、漸くさっき情報屋の女性が苦虫を噛み潰したような顔で、苦言を呈したのかと察する。彼女はこれからどうするか知っていたのだ。

 実際そこまでデバフを受けて、しかも猛毒のせいでHPは1ドットしか残っていない状態で戦おうとするのはいただけない。というかまず戦いにもならない筈だ。薄皮一枚切れただけで1ドットくらい削れるのだから接近させてはならない、しかしMPは切れていて、《ⅩⅢ》も引き継いでいない彼に、遠距離戦の手段は無い。弓矢を使っても魔法で狙い撃ちにされたり、接近を許してやられるだけ。

 

「……あれ? でもアスナちゃん達もそれは分かってる筈だよね? だとしたらボス部屋の前に同じように陣取るんじゃ……?」

「ああ」

「……どうしてそこまでするの? アスナちゃん達が控えてるなら無理する必要はないのに、それでもしようとするなんてユウキちゃんやシウネーさん達の為って言うには度が過ぎてるよ。しかもそんな状態で……」

 

 ハッキリ言って、彼の状態で勝ち目があるとはまったく思えない。それは彼の方がより理解出来ている筈だ。しかし彼の口ぶりは《三刃騎士団》のボス攻略レイドを止めに行くつもりだと分かるもの。

 これまで多くの逆境を乗り越えて来た彼の事だ、勝算はあるのだろう。

 しかし危ない橋を渡すのには変わりない。何より、最近上向きになってきている彼の評判――ひいては将来的な生命線を、自ら狭めているようにしか見えない。

 その疑問に、彼は透明な笑みを浮かべ、答えようとしなかった。

 結局自分から《三刃騎士団》の内部情報について、アルゴからALO全体の情報を聞いて情報共有した後、そのまま立ち去ってしまう。答えは聞けずに終わる。

 

「――結局、何も変わってないじゃないカ……!」

 

 黒尽くめの少年が立ち去った後、ずっと黙っていた情報屋の女性がダンッ、と壁を横殴りに殴った。その顔は悔しさと怒り、悲しみが混ざっていて、複雑なものだ。

 ……彼女の気持ちも、分からなくはない。

 やっと平穏に暮らせると思っていれば、遊びの筈のゲームで、彼のスタンスはSAOの時と変わっていないのだから。

 

「分からないよ……彼が何を見据えて動いてるのか、昔と違って全然分からない……!」

 

 ぎり、と歯を食いしばる音が立つ。

 自分も、セブンが何を目指しているか分かっていなくて、燻っている気持ちがある。だから彼女の苦しみは理解出来て――だからこそ、声を掛ける事も出来なくて。

 私は黙ってその場を後にした。

 

 






 はい、如何だったでしょうか。

 ラン視点に関しては導入に収まってしまいました。

 原作だとアスナ+《スリーピング・ナイツ》6人の合計7人で20数名のレイドを壊滅させてる場面ですね……主にアスナの《フラッシング・ペネトレイター》が文字通り虐殺して、ね。

 アニメだとユウキ達が個別で倒してる人数とアスナが倒した人数が、小説の描写数(フルレイドの半分くらい=20数人)と合わないんですが、細かい事は気にしてはいけない(戒め)

 この戦闘ではリーファ、クライン、シノン、ユイ、キリカが大金星。地味にユウキも強化されている、という……

 原作や本作SAO時点でソードスキルの超速を見切れる子が技術まで身に着けたらどう化けるのだろうか(戦慄)

 そしてAI組で『戦う畑違い』のストレアがナビとしてピクシーに。ゲームだとたった一つのイベントでしか見れない貴重なピクシーストレアです。


 ボス部屋のコモン、インスタンスというのは、小説やゲームをやりながら疑問に感じて設定したものです。一応原作小説でも出ます。

 《アインクラッド》みたくグランドクエストとして階層攻略が進展するものは、他プレイヤーが挑んでる間は入れないというのはおかしくない。これは原作七巻ボス戦と同じですね。これがコモン。

 対するインスタンスは原作だとプログレッシブ辺り(第二巻のダークエルフの里など)で出るんですが、ゲームだとちょくちょく登場しています。基本的に『別のプレイヤーと進行度が重なる場合の配慮』としてこの設定が使われており、同じクエストを進行中でも、居る場所はインスタンスなので他のパーティーのプレイヤーとは会わず、討伐対象のMobの取り合いにならなくてよくなる利点があるそうです。

 そして本作の【スヴァルト・アールヴヘイム】は『プレイヤーの進行度に応じて装備性能が解放される』という点があるため、各ダンジョンの中ボスは全てインスタンス扱い。

 エリアボスはグランドクエストっぽいですが、従来のMMOを基準に考えると、『何万ものプレイヤーが居る中でそのボスには一つのパーティー・ギルド・レイドしか戦闘できない』というのは、ブーイング待ったなしだと思うんですよね。 

 サーバーに一つの伝説級武器をLAで落とすヤツの場合はコモンにするべきでしょうが、それ以外は新規参加プレイヤーの育成にボス戦の経験値はおいしい訳ですし、ゲーム時間にも限りがあるのですから、挑めるようにするのが良心的かなと。

 ――そう考えてたら、【スヴァルト・アールヴヘイム】のラスボス以外はインスタンスにするのが、より現実的なMMOらしい設定になるのではないかと考えた次第です。



 そして視点の?はALO初登場のレインでした。

 彼女がユウキ達と合流しなかったのは《三刃騎士団》に入団して忙しかったからなんですね。『ギルド関係で~』とか書いてなかったけど伏線の関係なのでゆるして()

 レインは原典ゲームだと二番目の浮島大陸攻略で漸くマトモに登場し、以降ちょくちょく会話に出て来て、本格参戦は三番目の大陸というキャラです。ゲームだと二刀流ソードスキルを使えます。バフはほぼ網羅してるのでなんならキリトより火力は高いです。ただしHPは低め。

 ちなみにキリトがギリギリ気付けるレベルに高いハイディングストーカーです。

 尚、シノンはスキル補正無しの勘でレインの尾行に気付きます。公式シノンも割かし反則的な能力持ってないか……?

 レインは原典ゲームでも《三刃騎士団》に入団してたと明言されています。ただ物語開始時点で追い出されていたようで、時期や入団中の活動は不明です。

 視点描写であるように《三刃騎士団》に入団したのはセブンに近付くため。その具体的な内容、目的については意図的に伏せています。

 キリトはレインから色々事情を教えられ協力を求められたので、じゃあ《三刃騎士団》の内部情報寄越せと、ビジネスパートナー的な関係に。

 こうして見ると割とキリトも手段を選んでいないですね。

 ALO初登場のアルゴは巻き込まれた情報屋。本人もキリトを見張る為に割と協力的だったりする。しかしキリトが本心を見せず、発言も真意か分からないせいでかなりストレスを溜めている。口調が素になってる辺りからしてかなり病んでそう(恍惚) 

 何れアルゴ視点も描写したいですなぁ。

 では、次話にてお会いしましょう。



 ちなみに原典での実力は――

 ゲームALOキリト≒ユウキ≒本気レイン≧スメラギ≧ユージーン

 ――という感じになってます。


 公式設定でレインは『キリトに匹敵する実力を持つ』となっているからです。優劣はともかくほぼ互角です。

 ――実は彼女専用のスキルの発動モーション、敵の時だけ短く攻撃が速いという優遇があったり……(スメラギは敵味方同等)


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