インフィニット・オンライン ~孤高の剣士~ 作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス
お久り振りです、黒ヶ谷です。
見てない間にじわじわとお気に入りが増えてて嬉しいです。文字数で根気がいる本作を、ゆっくり読んで下さっている人が入れてくれてるのでしょう……
あとずっと音沙汰無かったけど私は元気です。年度初めってやっぱ大変ですよね……(仕事疲れで執筆が進まなかった)
皆さまもしっかり寝て、休んで、免疫高めて、元気にお過ごし下さい。今のところコロナに出来る事はそれくらいだと思います。他の風邪、インフルなど感染症も原則免疫が重要なので。
では今話です。
視点:楯無
字数:約八千
ではどうぞ。
二〇二五年六月七日土曜日。午前。
一般的に休日とされる今日だが、IS学園は高等学校としての教育にIS関係の専門学問が追加され、カリキュラム的にキツキツなせいか、余程の事が無い限り土曜は原則
半ドンの日の授業は大抵が座学。これは最低二コマは時間を要するISの実践授業が平日に多い分、一般教養科目が不足しているからだ。とは言えその一学期の間はIS関係の座学も入っていたりする。
「――本日の授業はこれまでとする。各員、次の授業までにさっき配布したプリントをやっておくように」
IS基礎理論の授業を講義していた織斑教諭がそう指示を出した。
そこで狙い澄ましたように鐘の音を模したチャイムがスピーカーから流れる。最新鋭機器を設置されているだけあり、中学まで慣れ親しんた音割れなど一切無いそれは、学校中に木霊した。
「起立、礼――」
クラス代表に選ばれている私が指示を出し、生徒全員が授業終了の挨拶を行う。教壇に立つ教諭がそれに頷いて視線を教室のドアに向けてから、僅かに空気が緩んだのを感じた。
「ああ、更識、ちょっと来い」
「え? あ、はい」
そのまま廊下に出ると思いきや、予想を裏切って直前で立ち止まり、振り返るなり名指しで私を読んできた。なんだろうと首を傾げながら近付く。
平均的な女性の身長よりやや高い教諭は、怜悧な表情を崩さず、出席簿と講義データの入ったフラッシュメモリを持ったまま口を開いた。
「
「あー……はい、大丈夫です」
珍しい事もあるなぁと思いながら、頷く。
日本代表としての立場、担任としての仕事の他、数十個のコアを保有する学園の警備関係の打ち合わせなど、方々とのやり取りで忙しい彼女は、それでもどうにか時間を見繕って元弟との時間を確保していた。しかし今月の学年別トーナメントや近づいてきている《モンド・グロッソ》などで彼女も様々な段取りの対応に追われ始めたのだろう。表情は怜悧なままだが、言葉尻にそこはかとなく惜しむ心情が滲み出ている。
無論、滲み出るそれに気付けたのも、同じ“姉”という立場だからだろうが。
それ以上なにか言う事は無く、彼女は教室から出て行った。
「たーっちゃん!」
「きゃっ」
途端、背後から勢いよく抱き着かれた。
「いきなりやめてよね、薫子ちゃん」
「あっははー、いつものお返しよー」
後ろから抱き付き、朗らかに文句を流したのは、眼鏡を掛けた同輩《
「それで、何か用かしら?」
「あら、何か用事が無いと声を掛けちゃいけないの?」
「そうじゃないけど、薫子ちゃんの事だしまーた格好のネタを見つけたと思って声を掛けてきたんじゃないかなーと思って」
彼女の姉もジャーナリストを志し、働いている影響か、彼女自身もその道に進もうと日々精進しているのは周知の事実。なまじクラスメイトで一番仲が良いと言ってもいい間柄なので、彼女の思考回路もどういうものかはある程度察せるというもの。
その予想は当たっていたのか、肩越しにこちらを見遣る彼女の顔が、にんまりとした笑みに彩られた。
「さっすがたっちゃん、分かってるぅ。ねね、私もお昼と夕食、一緒にいいかな?」
その申し出は予想出来た事だった。
普段は私と
逆に言えば、織斑教諭が居なければ他の生徒が入って来る可能性は非常に高い。
織斑教諭も暇ではない。むしろ多忙な身なので、食事の際に彼女が同席できない時も出て来る事は予想に難くない事態と言える。だからいずれこうなるだろうと思ってはいた。
「うーん……それは、和人君に聞かないと何とも言えないかも」
しかし、私は返答に窮した。
この事態を予想出来ていたなら予め答えを用意しておくのが常と言える。しかしそう出来なかったのは、件の“彼”の意向によるものだ。
「あら意外。もっとキッパリ断られるものかと思ってたわ」
「彼って人柄を重視するタイプだから。まぁ、薫子ちゃんなら多分大丈夫だと思うけど……」
見ず知らずの相手と食事を共にする事に対し、彼自身も忌避感というものは無くはないという。出来る事なら他者との接点は少なくしたい――それが彼の本音だ。
しかし、未だ公表されていないとは言え、政府との密約により将来的にIS学園に在籍する事が決まっている以上、現在在籍している生徒と学食で顔を合わせる事は必定。今の一年、二年生と学校生活を共にする未来が分かっている以上、ある程度の人付き合いはしておくべき――というのが彼の考えだった。
警備、警護の関係もあるので、不特定多数との見境の無い接触は喜べないものである。
だが――警護を担当する立場の人間が選別しておけば、ある程度はそれも許容できるのが実情だ。
世間的に私と織斑教諭は、彼の“凶悪な側面”に対する抑止力として見られている。それもまた事実ではあるが、同時に私達は、日本の未来を背負う彼を警護する身でもあった。後ろ盾という権力的な意味でもある。
つまり私と織斑教諭の信用を受け、彼と顔を合わせる以上、何かをすれば相応の報復を与えるという言外の警告でもある訳だ。そんな事態になれば私達も政府から何らかの罰則を受ける事になるので、こちらも報復は全力で行う事になるだろう。ともすれば、彼がした“拷問”以上の事も行う可能性はある。
それらを考慮した上で――《黛薫子》という少女は、彼と合わせてもいい人種だと思えている。
ジャーナリストの悪癖か、人に受けやすい印象操作や脚色、多分の捏造記事を作るきらいがあるのはこの二ヵ月で既知の事。
しかし、それを彼にまでするかと問われれば、ノーと私は答える。
下手な事をして“獣”を呼び起こしたくないのは誰だって同じ。その意図を含ませ、変な事はしないよね、と確認も込めて視線を投げかける。
それを察したらしく、薫子は苦笑の中に神妙な表情を含ませ、頷いた。
「分かってる、変な事はしないわ。私だってまだ死にたくないもの。彼が嫌がってたら無理強いもしない」
「なら良いわ」
その返答に満足した私は、次の授業の準備をしつつ、携帯端末を取り出てメッセージアプリを起動させる。送る相手は件の彼。昼食と夕食で織斑教諭は用事で来れない事と、私の友人が同席してもいいかの窺いを立てる内容で送信。
読まれれば既読アイコンが付く筈だが、午前中の授業が終わるまで待っても返事はおろか既読も付かなかった。
彼が軟禁されている部屋まで向かう道すがらもこまめに確認するが、やはり既読は付いていない。
「連絡、まだ無いの?」
ひょこっと、私の携帯端末を覗き込む薫子。
「そうみたい。悪いけど、先に食堂に行って席を取っておいてもらえる?」
「それはいいけど、でも彼がイヤがった場合はどうするの? 後から行っても都合よく席が空いてるとは思えないけど……」
薫子が小首を傾げて疑問を呈する。
それは尤もな意見だ。食堂で食事をする時、自分達が座るテーブル席はいつも同じだったが、そこに誰も座らないという訳ではなかった。公共の場である以上、自分達だけで常に独占するというのはマナー違反である。それは私は勿論、教諭と少年も望まないだろう。
かと言って、そこ以外の場所――例えば屋上や中庭など――で食べるのも、諸般の事情で難しい。
「その時は彼が借りてる部屋で食べるだけよ。食堂で食べなきゃいけない規則がある訳じゃないし、和人君だって、常に衆人環視の中で食べるのはイヤでしょうからね」
結果、一緒に居なくて良い部屋が答えになる。
そもそも、私か織斑教諭のどちらかが一緒に居なければならないのは、彼個人の脅威度に対する抑止力扱いを受けているからだ。
要は彼が部屋の外に出なければ私達が一緒に居る必要もないのである。
彼自身、将来的に直面する問題を先に解決するべく部屋から出ているだけで、その必要が無いなら部屋に閉じ籠るだろう。ヘンな噂が立たないよう普段の彼を周知した以上、毎回食堂に向かう必要性もかなり薄れている。無理に出る必要が無いならそろそろ部屋で食べる機会も作っておくべきかもしれないと私は考えていた。
この学園に世界中から集うエリートの少女達は、ISが女性にしか扱えない特性も相俟ってか男性馴れしておらず、大部分が妄想や想像、ないしドラマやゴシップ誌などで凝り固まった男性像を描いている。それは他者の情報を真に受けやすいという事を意味していて、つまり彼――《
悪い、というのは心証が悪いという意味では無い。正確性の薄い極端なもの、という意味だ。
世の中で彼を支持する人が居れば、徹底的にこき下ろす人、デスゲームで殺し合ったと思しき人物の発言もあれば、《出来損ない》というかつての風評を理由に貶める者も居て、その内容や人物像は正に千差万別。そのごった煮状態の人物像を真実と思い込んでいたのがこの学園の生徒たちの大部分だった。
彼を理解し、受け容れようとしている者は確かにいる。
しかし――世界規模で言えば、それでもまだ一握りレベル。
少しずつ覆してはいるが、未だに《
彼自身、その功績が過去のものであり、現実世界に何かを齎すわけでない以上、現実側でもなにかしらアクションを起こす必要があるとは考えていた。
その第一歩が食堂での食事――大衆にありのままの姿を知ってもらおうという行動だった。
男への偏見。《出来損ない》としての風評。その他、数多くの中傷が未だ強く尾を引いている彼を見て、衝撃を受けた人は決して少なくない。
学園に来た当時の人物像は“復讐鬼”という当然の――しかし、彼を知らないが故の的外れな評価だった。
それを真っ向から否定し、剰え“憎悪の対象だろう実姉”と、ぎこちないながらも言葉を交わし、笑みを浮かべ、同じ卓で食事をする。その光景を見ていつまでも冷酷無比な人物像を保てるほど、十代女子の固定観念は固くない。
勿論、
――元より彼は、万人に受け入られようとはしていない。
必要なのは“大衆の認識”である。大衆が彼を受け容れる流れを作れば、その時点で彼の目標は半ば以上達せられたも同然になる。
日本国憲法には人として必要最低限の生活を送れるように個人を守る条項が存在している。それを一言で言えば“人権”となる。
憲法は個人を守り、人権を尊重しなければならない。
個人情報がネットに流出し、謂われなき中傷と差別に蔓延していた当時を考えれば、とても彼を守り、人権を尊重していたとは言えない。それは憲法が働いていなかったとか、政府が動かなかったよりも、大衆がそれを是としたが故の動きである。政府と言えど、それを動かすのは人であり、大衆の意思を反映した人間だ。議員や政党の維持には大衆に沿った働きを求められる。
謂われなき中傷で溢れ、見知らぬ第三者に知られるネット中継に大きな拒絶反応を見せた事が無いのは、彼の策と結果的に合致したものだったからに他ならない。仮に拒絶反応を見せていれば――止められない中継はともかく――彼を想う少女達が情報を洩らすような真似は慎む筈だ。
それを前提にすれば、
薫子の要望がその証拠。新聞記者として虎穴に飛び込む事も時に是とする度胸があるとは言え、『裏』は勿論、極限状態に陥った事すら無い少女でしかない彼女の行動は、彼の策が成功している凡例と言えよう。
学園に来てたった六日しか経ってないのに実を結んでいる事には戦慄を禁じえない私である。
それを知る由もない新米新聞部員は、普段の食事風景を思い出しているのか、苦笑を滲ませた。
「あー……いっつも注目浴びてるものね。たしかにストレス凄そう……わかったわ。先に行ってるね」
「お願いね。結果はメッセで連絡するから」
「はいはーい」
ヒラヒラと手を振る薫子と途中で分かれ、私は拘置所のある方に足を向けた。
*
然して時間を掛けず拘置所区域に辿り着いた私は、彼に宛がわれている部屋に向かった。
金持ち、箱入り娘を軽い懲罰として入れる拘置所とは名ばかりの部屋は、内装の間取りも全部寮のそれと同じ。それ故か扉も普通の木製ドアだ。
入る前に礼儀としてドアを三回ノックする。
「和人くーん?」
ノックしてから、声も掛ける。
しかし返事は無い。あれ? と首を傾げる。
もう一回ノックと呼び掛けを行うも、結果は同じ。しーんと無音が空間を支配した。
「……用事とかは聞いていないけど……」
余人に知られない秘密地下のアリーナでここ数日訓練する事はあったが、それでも部屋の外に出ているため織斑教諭か自分の同伴は必須扱いになっている。首のチョーカーから発せられる信号は国際IS委員会トップになった束博士が幾らでも改竄出来るとは言え、それを爆発させるリモコンを持っている私達が近くに居なければならないのは変わらないためだ。部屋の出入り口にも感知器が取り付けられており、彼が通るタイミングで周囲数メートル以内にリモコンの反応がなければ爆発するなどのギミックもある。学園に軟禁され始めてから制限が厳しくなり、室外に居る間に
束博士もリモコンを持っている一人なので連れ出している可能性はある。彼女の場合は国際指名手配中なので表向き一緒に居られず、信号ログの改竄も面倒なためか、彼女がこの六日間で連れ出した覚えは記憶に無い。
まぁ、今回が初回の場合も無きにしも非ずだが……
疑問を抱きながら、私は制服の内ポケットから生徒会長権限を付与された生徒証を取り出し、扉の窪みに差し込む。次に生体認証の指紋、瞳孔の照合を行う。ピピーッ、という機械音と重なるように開錠音が聞こえた。
扉を開けて部屋に入る。
部屋は寮のそれと変わらない間取りのため、ベッドも二つある。しかしどちらももぬけの殻。性格を表しているのかぴっちりと整えられたそこに少年の姿が無い事に、私は眉を顰めた。
土曜日の半ドン体制を取っている学校は、進学コースなどを受講している場合を除いて基本少ないのが日本だが、彼が籍を置いている帰還者学校は土曜の半ドンはあるところだ。当然二年分の遅れを取り戻すための苦肉の策である。通信教育制度を利用している彼も、それは同じ。
通常の通信教育と異なるのは、彼の場合は《アミュスフィア》でフルダイブする事だろう。通常はオンラインを介して問題集を解いたり、時にテレビ講義を介して授業を受けるなどだが、彼の場合は学校が用意したサーバーにログインし、そのアバターを学校が用意した投影機でホログラムとして投影し、コミュニケーションを取るというAR技術に踏み込んだスタイルを取っていると聞く。勿論毎回ではないらしいが、私はどの授業でそれをするのかまでは把握していないから、返事が無いのもてっきりフルダイブの授業を受けているためかと考えていた。
しかしベッドに姿が無いので、あてが外れてしまった。
「となると、トイレ……?」
午前中の授業の時は彼も通信教育の方に集中し、それが終わってすぐトイレに駆け込んだなら、私のメッセージに気付かないとしても無理はない。かなり集中していたとすればメッセージに気付かないというのは考えられる話だった。
――そこで、背後からガチャ、という音が聞こえた。
部屋に入ってすぐのところにトイレとシャワー室一体型の部屋と、小さめのキッチンが備えられている。ドアがあるのは前者だけだ。
きっとトイレに入っていたんだろうという確信を持って振り向いた。
「ああ、和人君。お昼呼びに来たー……」
振り向いて、そこまで口にしたところで、ぴしりと固まる。
ぽた、ぽたと雫を滴らせる白の長髪。濡れそぼった白髪を張りつかせた上体は傷だらけの裸体で、辛うじて下半身をトランクスの下着で隠しているというかなりキワどい恰好だった。見方によっては水着姿と言えなくもない。
しかし決定的に違うのは、ほかほかと湯気を上げている点だ。
仄かに朱色を足された乳白の肌は熱に当てられ、上気している。タオルで頭を噴いて、ふぅ、と息を吐く仕草は、男のものとは思えない雰囲気を醸し出している。
――でも、男の子、なんだよね……
どれだけ少女のように華奢で、整った顔をしていても、僅かながら筋張った筋肉を付けている肢体は男性のそれだ。女性も鍛えれば同程度の体格になるだろうが、平らな胸に付いている硬さはやはり異性特有のものだった。裸の胴体に余すところなく刻まれている古傷が余計そう思わせるのかもしれない。
胴体の傷跡と較べ、白磁を保つ顔や四肢の滑らかさは却って恐ろしいものを感じさせるが。
「……楯無、もう来てたのか」
そこで、タオルから覗いた金色の双眸が、こちらに定められる。
「え、ええ……和人君は、シャワーを浴びてたの?」
「ああ、うん。気分を変えたくなって」
ごしごしと濡れそぼった髪の水気を取っていきながら、少年はそう言った。
どこか元気が無いように思えるのは気のせいだろうか。
「その……和人君、大丈夫? 今日は部屋で食べる? 織斑先生も、用事があって昼と夕方は一緒に食べられないらしいし……」
「そうなのか?」
「ええ。午前中にメッセージアプリで和人君にも連絡しておいたけど……」
首を傾げているのを見るに気付いていなかったんだなと察せた。余程通信教育の課題に集中していたか、元気が無くなった原因に気を取られていたか。
その理由は教えてくれなかった。
ただ――昼は、部屋で、と。そう短く答えた彼は、のそのそと用意していた着替えに袖を通していった。
その様子は、鷹崎元帥と話した夜を思い出せて――――
一も二も無く頷いた私は、メッセージアプリで薫子に結果を伝えて、自分の分と彼の分の昼食を調達しに食堂へ向かった。
・
原作ISに一巻から登場しているキャラクター。
新聞部所属のエース。セシリアとの対決後、クラス代表決定おめでおうパーティーにて登場し、インタビューし、満足いかない返答の場合は捏造記事を作り上げるとんでもない記者の卵。
パパラッチやマスゴミに
姉が情報雑誌に務めている記者というのも原作設定。
楯無の事を『たっちゃん』と呼ぶ距離感の近さ。
・更識楯無
逆ラッキースケベ(爆)をかましたヒロイン候補。
予想外の事態や押しに弱かったりするので、唐突な展開にあたふたしそうなものであるが、案外冷静。それは”無かった事になった会談”の夜、和人の様子を重なるものがあったかららしい。
まぁ、しっかり赤面動揺して、思考がピンク色に傾いたんですがね。
・桐ヶ谷和人
かなりダウナーな状態の主人公。
テンションの振れ幅が大きいが、比較的フラットな事が多い和人にしては珍しくダウナーテンション。大体こういう時は良くない事が起きている。
”無かった事になった会談”の夜では、木綿季に『裏切られた(意訳)』と言われた事でトラウマ発症、からのトラウマで抑制という極限状態に陥った。おそらく一生解消されない状態である。
問題は、午前中(朝食以降)に何があったかだが……?