インフィニット・オンライン ~孤高の剣士~ 作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス
視点:楯無(前半回想、後半現実)
字数:約八千
ではどうぞ。
――暗部当主の楯無さんは、十代女子である事を忘れてはならない(戒め)
どちらも《更識》に連なる家系で、互いに密に触れていたからこそ成り立ったもの。それに憧れが無かったと言えば嘘になる。幸せな家庭を築く事は、誰もが抱く夢の未来だろう。
逆に言えばお互いが
《更識》は日本国内に於いて最大規模の力を持つが、なにも《更識》以外に暗部が無いわけではない。古今から《更識》を目障りに思っている小組織が集まって出来た暗部も存在している。そういった暗部は、所属する人間の家族を時に人質に取って命懸けの作戦を強制させる。それくらいしないと組織として成り立たない事もあるからだ。だから小規模暗部の人間の配偶者は往々にして同じ組織内の異性である事が多い。仕事中に絆を結び、そして愛が芽生える事もあるからだ。
《更識》の配下にも結婚している人は当然いる。そしてその配偶者が、必ずしも《更識》の裏の顔を知っている訳でないのも、それだけ《更識》の経営や盤石なものである事を裏付けている。古くは朝廷の頃から繋がりがあり、今も政府と繋がっているからそれも当然だ。
つまり、私はやろうと思えば恋愛結婚も不可能ではない――が。
それは同じ暗部の人間で、且つ心惹かれる異性が居る場合に限られる。
父が亡くなり、名を襲名してから早数年。その間に縁談の話は枚挙に暇がない。更識も表向きは古い名家なので本家筋、分家筋という扱いが存在する。
自分はその本家筋。つまり、《更識》全体を統べる人間。
古い名家である以上避けて通れないと言うべきか、『当主の座は男であるべき』という考えも定着しており、本家長女の自分が襲名する時もかなりの反対意見が出た。代表候補になり、ISと女尊男卑が蔓延する世の中を考慮して襲名と成った訳だが、裏ではやはり『当主を男に』という意見が出ている。
そして分家の人間が考える事として、自身の息子を婿に出し、本家筋との結び付きを強くしようという動きがあった。
それが件の縁談の真実。
襲名する前は真っ向から“女”である事を理由に――能力度外視で――批判され、襲名後は手のひらを返してすり寄って来る俗物を、私は心惹かれなかったし、信じてはならないと自戒もした。
――嗚呼、人って醜いんだな。
その所感に男女の別は無い。息子を自慢する傍ら、私を詰る分家の女性も山ほどいた。
だから私の将来設計に暗部内での結婚は含まれていない。《更識》内であれば父から受け継ぎ、妹を守る為の手段である“楯無”を喪ってしまうし、外部の暗部との結婚は政略結婚になる。一人の少女として、政略結婚を受け容れられるほどまだ達観はしていない。
だから恋愛結婚になるなら相手は一般人に限られる。
けれど、一般の人が、果たして“
私の手はまだ血に濡れていない。
でも、血を流させる指示を下した事はある。人が死ぬ作戦も指揮した事がある。直接命を取っていないからと言って、自身を“穢れていない”とはとても思えない。
……例えば。
“楯無”を襲名した直後まで。まだ血を流す作戦指揮を執る前に、好きな人が居たとして、私は襲名を後悔しただろうか? 誰かに譲ろうと、そう決心しただろうか?
――否、断じて否だ。
そもそも、そんな“もしも”はあり得ない。
当主の座をステータスとしか見ていない者達に譲ったとして、明るい未来が望めるかは不明確。むしろそんな者達は私や簪を駒のように使うだろう。
それは、私が襲名した理由と矛盾する
血
――――不幸になりたい訳じゃない。
私だって幸せにはなりたい。
でも私は、自分の事よりも。
大切な“
簪は、お世辞にも人の上に立つ器ではない。性格が内気だから人を率いるのにあまり向いていない。溜め込むタイプだから爆発力はあるだろうが、不安定なそれを頼りにするには、暗部の世界はあまりにリスキー。
父の危篤を知って、混乱して、哀しくなって――一番に不安になったのは、自分と簪の未来。
とても、とても悩んだ。
そして私は、
妹との不仲は、辛かった。
けれど暗部は命を落とし得る危険な世界。彼女が生きていれば、幸せになってくれればと想い、涙を呑んで不仲を続けた。それだけ彼女の事が大切だった。
――それが、自己投影を求めての事だとは、分かっている。
彼女が幸せになる事で、あり得たかもしれない自身の幸福の
簪を大切に想う心に偽りは無い。
ただ、彼女への身勝手な押し付けは、私自身の未練によるものだったのだ。
――――あなたは、無能でいなさいな。
“無能”のレッテルを彼女に与えて暗部から距離を置かせ、普通の生活を送らせる。そうしていつかは誰かに惹かれ、恋をして、家庭を築く。
あまりにも醜い自己満足。
邪悪なエゴだと、自分で自分に吐き気がする。
簪への感情は本物でも、その言動が、態度が、未練そのものでしかなくて、彼女個人の心情なんてまるで度外視。独り善がりにも至らない幼稚な思考だった。
それに気付けたのも、つい最近。
とある喫茶店にて、思わぬ邂逅を果たした姉弟の対話を見て、私は気付いた。
人の振り見て我が振り直せとはよく聞く話。それをあの形で思い知る事になるとは思わなかった。あれは――あの二人の関係は、私と簪が至ったかもしれない
姉は、
程度の差はあれ、私のエゴが既にそうさせていた。私と簪があの関係になるのも時間の問題。
皮肉なものだ。私は、
本来であれば、自ら拒絶した彼女と寄りを戻そうなど烏滸がましい思考だと思う。罪を自覚しているなら己から身を引くべきだと。
しかし、和人は私の願望を、肯定してくれた。
――女権襲撃が終わり、簪に話がしたいと申し出る前の事。
彼をIS学園の地下拘置所に移送し終えた時に、相談を持ち掛けた。
一連の事件で改めて簪を如何に大切に想っているか、自分の中でどれだけ大きな存在かを再認識した私は、簪と話をして、仲直りしたいと考えている。だが仲直り出来る自信が無い、と。私は自分のエゴや自己投影の事も洗いざらい懺悔もした。
『――楯無は、昔の俺に似てるな』
項垂れる私に、彼はそんな事を言った。顔を上げて彼を見れば、彼は回顧するように遠くを見つめていた。
『どういう、こと……?』
『俺は《桐ヶ谷直葉》を姉と慕っていた。だが同時に、《織斑秋十》の事を兄と認識していた。《織斑一夏》の名を厭い、忌避し、兄を殺す程に憎んでいたのに、実の兄を殺したと後悔するくらい強い認識だ。桐ヶ谷の立場と織斑の意識、その齟齬があったから、俺はあの時苦しんだ。第一層の頃からその齟齬があった』
『それは……』
それは、確かに自分に似ている。《楯無》という立場と、《
『あの再現映像では映らなかったが……《ホロウ・エリア》で皆と再会した時に、直姉と大喧嘩をしたんだ。元兄を殺し、心身ともに疲れ果てていた俺は生きる気力も喪っていて……でも、自殺だけは、それまで殺した人達の全てが無意味になるからダメだと自戒していた。その生き方を否定された、『何様のつもりだ』って。自己犠牲精神だったか。とにかく俺は顔も知らない人まで守ろうと、自分を犠牲にしていた。キバオウによって直姉と詩乃が外周部から落とされ、二個しか無かった転移結晶を二人に使う事を決心した事で、直姉の堪忍袋の緒が切れたんだ』
知らず、耳を傾ける。
その話はただの前置き。彼が、私の為に伝えようとしている言葉を、正しく理解されるようにという気配り。
聞かなければ――と、私の意識は集約された。
『直姉だけがそう訴えてたわけじゃない。クラインやユウキ、アルゴ達も、ずっとずっと俺を止めてくれていた。自分を犠牲にしてまで誰かを救うその在り方を危ぶんでいた。ただ、デスゲームという状況で、俺の行動で救われる命もあったから無理に止めなかっただけなんだ』
でも直姉は違った、と彼は言う。
『俺も、SAOにログインする前はもっと普通の子供だった。ゲームに一喜一憂して、直姉と笑って、テレビを見て……そんな俺を知っていたのは、直姉だけ。そして俺は《ビーター》の計画を立てた時から意識が《織斑一夏》に変わった。俺は、その時に未来を諦めていた。生きる希望を捨てていた』
ドクン、と。掴まれたように心臓が一際大きく鼓動した。
――同じだ。
父が危篤に陥り、“楯無”を襲名する覚悟を固めた時、私は自分の幸福を諦めた。彼はデスゲームに直面し、《ビーター》の名を背負う覚悟を固めた時、自身が生きる未来を諦めた。
彼は、私と同じだった。
『俺に未来は無い。だから、俺の命を犠牲に、他の人達を生かそうって考えて……でも、な。直姉からすれば、ふざけるなって話なんだよ。直姉は、俺の事を大切に想ってくれた。凄く愛してくれて……だからこそ、あれだけ激しく怒った。俺の事を痛烈に批判した。勿論頭ごなしに批判した訳じゃない、俺の努力を認め、労ってくれてもいたよ。その上で弾劾してきたんだ。
『――――……』
『……そして、俺は負けた。心の、凄く凄く奥底で、未来を諦め切れていなかったから…………見抜かれて、いたんだろうなぁ……』
ふぅ、と深く息を吐いて、少年は背凭れの椅子に大きく凭れ掛かった。大きく背を反らせて天井を見上げる姿勢になる。
『未練が無かったら俺は
『……それは、簪ちゃんも……?』
彼と千冬のような関係にならない未来は、確かにあるのだろうか。また仲直り出来るのだろうか。
そんな不安で胸がいっぱいになっていた私は、そんな問いを投げかけていた。聞けば聞くほど直葉は彼の事を理解していて、反面私は簪の事を理解していない事がよく分かったから。
背を反らして天井を見ていた少年は、姿勢を戻し、私を真っ直ぐ見てきた。
『――憎むと嫌うは別物だ。なら
『……でも、きっと、嫌われてるわ』
『当然だろう、嫌われない訳が無い事をしてるからな』
『あぅ……』
バッサリと、容赦なく言い捨てられ、涙目で少年を見る。
『でも好きの反対は無関心だ。嫌いの反対も同じ……嫌われてるだけマシだろう? 俺は確かに織斑千冬を嫌ってはないが、
『……和人君は、織斑先生に怒らないの?』
それは、言外に《織斑千冬に対する理想像》――優しい姉としての姿などは無いのか、という問い。私の不安とはほぼ関係の無い質問。
関係が薄いからか、彼は肩を竦め、答えなかった。
理想像は無い、だから怒らないという言外の返答。
――同時に、私と簪は、まだ間に合うとも伝えて来ていた。
彼女は私の事を嫌い、忌避している。そして私の行いに怒るだろう。それが、私への《理想》、言い換えれば期待の裏返しだとすれば――――
『楯無』
少しずつ、思考が上向きになっていく時、厳かに名を呼ばれた。
『負の感情は正の感情の裏返し。希望への道のりを恐れて心を折るか、絶望を恐れて希望に向け進むかは、その人次第だ。あの時、楯無は簪を喪う事を恐れたんだろう? その恐れと恐れを抱くだけ簪を大切に想っている事は伝わっていたと思うよ』
『……そう、かな……?』
『追い詰められた時ほど性格や精神性が表に出る。平時の言葉だと伝わらなかっただろうけど……なぁに、憎み続ける疲れる道を選ぶよりは、好くか嫌うかの楽な道を選ぶだろうさ。肉親を憎んでる俺が保証する』
『す、素直に喜べないんだけど……』
『でも説得力はあるだろう』
そう言って、真剣な表情を悪戯めいた笑みに変え、彼は笑った。
悪戯が成功したような、ちょっとだけ生意気な微笑み。その顔に、こちらを気遣う優しい色が浮かんでいるのは
――強くて、優しい
沢山の苦悩を経て、いまの強く、優しい少年へと成長したのだと理解し。
その優しさに、勇気づけられて。
『良いのかしら。私も……立場を、気にせず、自分の幸せを求めて……簪ちゃんと寄りを戻しても……』
簪と寄りを戻す、という傲慢な
心惹かれた人と立場を抜きに恋愛結婚したい、という
――どちらも、強欲に求めて。
『――
何をいまさら、と彼は優しい顔で肯定してくれた。
*
「――付き合ってくれてありがとう、楯無。色々と教えてくれて助かった」
遠く、彼方に飛んでいた私の意識を、少年の声が引き戻した。
視線を下げる。大量の食糧と肩に担いでいた十キロの米袋を部屋の隅に置きながら、まだ余裕そうな白髪金瞳の少年が、脳裏で想起していた表情で礼を伝えてくる。
「ええ、どういたしまして……」
私はそれに気の抜けた返事を誤魔化すように扇子を開くばかり。いまの私は、正直それどころではなかった。
――今の私、顔、朱くなってないかしら。
穢れを知らない少女の如き考えが思考を止めている間に彼の買い物は終わってしまっていた。
購買に向かう道中、買い物している間のやり取りは記憶に無い。しかし彼が言うように“色々と教えていた”のがただの気遣いでないのなら――そしてそれは事実だろう――私はオートパイロット状態でやり取りしていた事になる。
思考が凍結していたなら、恐らく感情もフラットか、あるいは何時も被っている“
逆に言えば、思考が動き始めたいま私の感情は大きく揺れ動くという事だ。
仕事柄ポーカーフェイスは鍛えているつもりだが、色恋の類はほぼ初めて。しかも自分の内側から発生している感情である。相手から一方的に求愛された事こそあれ、自分の方が熱を入れる事になった事は今までなかった。
“楯無”の襲名を覚悟した時点で純な恋愛なんて出来るわけが無いと諦めていたから、対処法は不明で、経験も当然無い。
――予想できるわけ、ないじゃない。
――誰かを好きになる、なんて……
扇子を開き直す。何時もは口元だけ隠すようにしているが、いまは目元まで大きく隠している。
視線の先には、私に背中を向けて冷蔵庫と冷凍庫に食料を詰め込んでいる少年がいる。手伝おうかとも思ったが、入れる順番に拘りでもあるのか、ジェスチャーでやんわり断られたので傍観に徹する。
一通り片付けが終わったところで、彼がこちらを剥く。
「そういえば織斑先生はたしか夕食も来れないって言ってたよな」
「え? え、ええ……」
「なら夕食は作るか。楯無はどうする? ここで食べるか?」
「…………えっ」
今なんて、とまた思考が止まる。
「何時も世話になってるし、お礼にご馳走してもいいかなって。一人分か二人分かで作れる料理の幅が違うし」
声には出ないが、言いたい事は伝わったらしく、そう付け加えて来る少年。それから口を閉じてこちらを見上げてくる。返事待ちらしい。
ど、どうしよう……
「い……いいの?」
「俺が提案してるんだが」
「じゃ……じゃあ、お願いします……」
「ん、任せろ」
腰に手を当て、胸を張って威張る少年。そういえば家事だけは素直に自慢する子だったか、と過去の会話から思い出す。
「さて、そうと決まれば仕込みしないと。米を研いでー、鍋とか食器類洗ってー……肉と野菜は何を使おうか」
備え付けのキッチンに足取り軽く向かった少年は、ああそうだ、と思い出したようにこちらを向いた。
「楯無、献立に希望はあるか?」
「え? な、無いわ」
「ん、なら俺の好きに作るぞ。あ、アレルギーってある?」
「それも無いわ」
「ん。なら今日は……おにぎりと卵焼き、豚汁、千切りキャベツにしよう」
うんうんと頷いた彼は、さっき購入した食器やボウルなどを取り出し、シンクに置いていく。
そこで、また私の方を向いた。
「あ、俺準備で夕食まで動けないから、四、五時間は暇だぞ。それまで
「
「――自分の事を……ん?」
被せるように言ったから、よく聞き取れなかったらしく首を傾げ、こちらを向いた。
「ごめん。喋ってたから聞き取れなかった。いま何て言ったんだ?」
「刀奈……“楯無”を襲名する前の私の
上手く、喋れているだろうか。顔は真っ赤になっていないだろうか。
不安だ。察せられた時の羞恥を考えるとドキドキが止まらない。でも、伝えたいという思いが、今は勝っていた。
「剥奪って、マジか……そういえば学生証とかも楯無って……政府がその辺、改竄したのか」
「戸籍の方も改名で“楯無”に変わってるわ。 “刀奈”なんて名前、書類上ではもう存在しないのよ」
小、中学校までに関わっていた人には覚えられているだろうが、昨今改名なんてあり得ない話ではない。だからこう《更識》の実態を知らない人からすればちょっとはっちゃけたエピソード扱いが関の山。
そして代表候補として身を立てた時、世間に知られたのは“楯無”の方。
簪や幼馴染の従者たち、《更識》の側近を除いて、果たしてどれだけ覚えている人が居るだろうか。妹を含めてここ数年は『お嬢さま』や『楯無様』、『現当主』としか呼ばれていないから、忘れている人の方が身内でも多いだろう。
「……書類上では死んだ事になってる“
「ふふっ……そうかも」
彼としてはあまり気分のいい話ではないだろう。でも私からすれば、また類似点を見つけられたように思えて、ちょっと嬉しかった。
「それで……その名前を、どうしていきなり教えたんだ」
「私の事を、個人としての“
「……」
じっと、金の瞳が私を見つめる。
数秒後、何かを飲み下すように瞑目し、息を吐いて――
「善処する。忘れてたら言ってくれ」
そう、前向きな答えを返してくれた。
堪え切れず、破顔した。
胸の奥がぽかぽかした。
・簪の楯無に対する認識(刀奈ver.)
怨む:憎む、殺意的な憎悪
・簪の楯無に対する認識(和人ver.)
恨む:不満、文句、鬱屈した怒り
類義語:恨めしい
・更識楯無
改め、更識刀奈。
当主就任前後に本家、分家の人達と色々あり、人間不信気味に。当主として結婚の事を視野に入れているが現実を知って夢を諦めていた。
――が、夢見た未来を諦め切れておらず、簪を”普通の幸せ”にする事で、それに自己投影して満足しようという未練たらたらな事を無意識にしていた(本作オリジナル)
それだけ”恋愛結婚”を望み、政略結婚を望んでいなかったという事。
せめて精神が成熟している二十代に当主就任していれば変わったかもしれない。
簪の幸せを自分の幸せ、と考える思考は実は和人と酷似している。
自分のどん詰まりを視た人間は、他者を幸福にする事で自分の幸せと錯覚し、逃避したいのかもしれない。当たり散らさない辺り、刀奈も和人も根っこが優しい。
簪に心無い言葉を吐き、距離を取ろうという愚行も、裏を返せばそれだけ刀奈が楯無として、暗部として、そして姉として苦悩した顕れ。だから赦される訳ではないが、簪を大切に想っていた気持ちに偽りは無いのである。
『暗部当主』の前に、刀奈もまた一人の少女。
頼り、甘えられる相手を欲するのも、当然の事である(原作同様)
甘えられる相手を『簪』の他に『
和人は『簪を守る事』だけを楯無の幸せと捉えており、認識に差異があるが、刀奈は分かった上でやり取りを終えている。
甘えるだけではない有能な人物なのでヒロインレースに(所有権利、立場的に)強敵出現。現状和人の手料理を食べられる片割れ(もう一人はクロエ)
実は縫物が苦手。
・桐ヶ谷和人
『……そして、俺は負けた。心の、凄く凄く奥底で、未来を諦め切れていなかったから…………見抜かれて、いたんだろうなぁ……』
答え:……ああ、でも、ひとつだけ。
by
立場と認識の差で苦しんだ事がある少年。
なまじある意味”楯無”に近い事をしていた《ビーター》という経験があるため、刀奈からすると先達として、和人はかなり重要視されている(更識スカウトを真っ先に考える+簪の身の安全で依頼を出していいと信頼する程の高評価)
ちなみに、和人からすれば『話し合えるならその方がいい、自分のようにはならない方がいい』という
二人の事は嫌いではないが好きでもない。
多少同情、共感があるが故のお節介である。
――ちなみに、SAO編第百五章《観光デート》のユウキ曰く。
親切心は”無責任な偽善行為”。
お節介は”後の事もある程度面倒見る”。
和人は痛みが分かる人だから――――
・織斑千冬
流れ弾で割を食った人。
和人に”怒る程の期待はしてないし、関心も無い”と断言された。普段普通に会話しているのは『無関心故のフラットな対応』という恐怖。この対応すら千冬は大切にしようと思っている辺り、実は割と病んでいる()
地味に刀奈からの姉としての評価もボロクソ。反面教師にされているが、この千冬は和人と対話したので、心で泣きながらも顔は笑って刀奈を応援出来る(するとは言ってない)
尚、後で