インフィニット・オンライン ~孤高の剣士~ 作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス
どうも、おはこんばんにちは
今話は視点の移り変わりが激しいです
視点:アルゴ、キリト、リーフェ、キリト
字数:約九千
ではどうぞ
VRMMOが世に生み出されてからおよそ三年。レイドクエストという名目で数多のプレイヤーが集い、一個の強大なボスモンスターと戦う事、パーティーや個人でランキング争いをする事、そしてフラグボスの討伐を競ってプレイヤー同士が争う事など、大規模な戦闘には枚挙に暇がない。直近で思い浮かぶのはALOスヴァルトエリアで、ロキ側とオーディン側で分かれた時の事だ。
だからいま起きている事も、決して珍しい事ではない。
敵の人型Mobフォールン・エルフが力に魅入られるあまり、太古に封印された悪しき存在を復活させ、世界全土の支配を目論んでいる――クエストのテキストにするなら、こういうのが妥当な展開。
たったそれだけの事だが、そこに至るまでの経緯がかなり特殊なのが、今回の特異な部分である。
フォールンに与していたのはオレンジ・ブルーなどの、プレイヤーの弾かれ者達。そこから察するにおそらく犯罪者カラーにしか受けられないエルフクエストなのだろうが、当のオレンジ達をフォールン達は敵と見做していた。敵の敵は味方というが、使い物にならないと判断した時点で切り捨てたのだ。
更に、フォールンと対峙する筆頭プレイヤー・キリトは、生き場を失ったオレンジ達を受け入れた。森エルフ達はなにか言いたげだったが、仇敵に等しいフォールン達を前にした事、巫女を助けるべく動いていたキリトへの信頼を優先してか、彼の言葉通りにフォールン騎士達に斬りかかり始めていた。
混沌とも言える様相に、【鼠】の名で知られる情報屋の自分も思考を纏めるのに手いっぱいだった。
「パーティーを組み直す暇はない! プレイヤーは、オレンジとブルーに分かれて妖魔Mobと戦え! ヘイトを常時稼ぐブルーは専守防衛しつつ後退、側面からオレンジが妖魔を叩くんだ!」
「な、なんでお前の命令なんか……!」
「おい、そんな事言ってる場合じゃないだろ! 行くぞ!」
「チィ……ッ!」
キリトの指示に、オレンジ、ブルー達の一部が不快気に顔を歪めるも、冷静な面々が彼らを押し留め、指示通りに動き出す。
彼が言ったように、ブルーカーソルはモンスターのヘイトを常時稼ぐデメリットがある。圏内にも入れないデメリットと合わせてゲーム続行不可能な制裁だが、今回はそれを逆手に取り、理性なき妖魔達の囮にブループレイヤーを、その横から叩く役割にオレンジプレイヤーを割り振った訳だ。
「森エルフも人族に負けていられないわよ! イスノキ騎士団、総員でフォールン・エルフを討て!」
「「「「「おおっ!」」」」」
キリトに負けじとリーフェが号令を発すると、呼応した美麗な森エルフ騎士達が煌びやかな装いに統一された制式剣を翳し、前進を始める。
その間に馬を駆り、リーフェがキリトに近付いた。
特に指示を受けていない自分達もキリトに近付くと、彼はこちらを向いて行った。
「アルゴ、ユイ、フィリア! 三人も妖魔討伐の方に協力してくれ!」
「お、オイオイ、それじゃあキー坊は……」
「俺にはエリート騎士のリーフェがいる。それに――あちらも、俺が狙いらしいからな」
馬上の騎士の隣で言うキリトは、それから視線を前方を見やった。
妖魔達は既にブループレイヤーを狙って進軍を始め、その側面からオレンジが攻撃しつつ、遠くの方への撤退を開始している。方向は北東側だ。
残るフォールンの騎士達は、こちらの森エルフの騎士と見合う形で臨戦態勢を取っていた。
そして、双方を率いる首領――隻眼の女性フォールンと、銀髪金瞳の剣士は、互いを宿敵と見定めているようだった。リーフェがキリトの隣にいるのは、相手が同格のエリート騎士クラスでキリトには荷が重いと判断しての事か。
「できれば、キリトには指揮を担当して欲しいのだけどね」
「俺の指揮をいつまでも聞く人が爪弾き者になる訳ない。体裁は取れたが烏合の衆には変わりないんだ」
「――だから、敵の頭を討って早々に戦いを終わらせると?」
馬から降りて長刀を抜いたリーフェが問う。それに、彼は頷いた。
「そういう事。妖魔の統制権はアイツが持っていそうだし、オレンジ達が持ち堪えてる間に押し切る!」
二刀を携えるキリトが歩みを進める。同調するように、集団の首領らしき隻眼のフォールン騎士が歩み出た。腰のカタナの柄に手を添え、いつでも斬りかかれるように構えている。
同じように、リーフェも既に抜いていた長刀を力強く握りしめて構えを取った。
「――森エルフの近衛、《
「そう言うあなたは《
「……リーフェ、知り合いなのか?」
「名前だけは。《剥伐》の由来は、聖大樹の皮を剥ぎ、枝を
「代償強化か……」
じり、と二刀を構えたキリトが一歩身を引いた。二つ名にもなった力、妖魔王から与えられた力を持つ刀使いのフォールン騎士のカーソルは真っ黒だ。現状プレイヤーが勝てるレベルではない。
おそらく戦闘を避け、妖魔王を倒す事に専念すべき相手なのだ。
それを分かった上で挑もうとしているのは――おそらく、キリトなりの秘策があるのだろう。森エルフの援軍を頼んでいた事から自分はそう考える事にした。
「キー坊、無理だけはするなヨ!」
「ああ!」
最強のフォールン・カイサラを二人に任せ、自分はユイ達の後を追う形で妖魔討伐の集団に参加した。
眼前に立つのはフォールンエルフ、妖魔の部隊を率いる騎士。頭上には【Kysarah:Fallen Elven Adjutant】のフォント。どうやら立場的に、このフォールン騎士は副官らしい。
《剝伐のカイサラ》と呼ばれるのは、リーフェが語った由来によるもの。
その由来が真実であれば、聖大樹を奉じる森エルフ、黒エルフの王都に侵入し、一度はその聖大樹に手を届かせたという事になる。このカイサラという騎士は、それを為すだけの実力を持っている敵という訳だ。
その強さを表すように、頭上のカーソルは乾いた血のように黒々とした赤色をしている。
まともにやり合っても勝てそうにはない相手だ。本来なら強化している妖魔王を倒し、弱体化させた上でどうにか倒せられる……というレベルの強さの筈。強化されたまま倒すのはとてもではないが現実的ではない訳だ。
だが、妖魔王の場所が分からない今、俺達にはこの場でカイサラを下す以外に道はない。
「俺が崩す。リーフェは、隙を突いてくれ」
「分かった」
そのやり取りに、そこかしこのエルフ騎士からどよめきが起きた。おそらく自分達を率いる地位の者にタメ口でやり取りをした点に思うところがあったのだろう。
だがそれを無視し、俺は地を蹴る。
――瞬間、真横に閃く軌跡。
それは神速で振るわれた刃の軌跡。カイサラの抜刀術が、俺の首を斬り飛ばさんとまっすぐ迫ってきていた。
「ッ……!」
その一閃を、二刀を並べて翳し、防ぐ。ギャァンッ! と強烈な衝撃音が響き、わずかに後退させられた。
そこで、隣をリーフェが走り抜け、同じように抜刀術を放った。
黒い刀と翡翠色の刀が交わり、二人のエルフが鍔迫り合いを始めた。
森エルフ側のクエストを受けている俺には、リーフェのカーソルはクエストNPCの黄色に見えているが、以前は黒に近い赤色――つまり、カイサラのそれとほぼ同じ色味だったと記憶している。カイサラは副官の位置にあるため立場的にはリーフェの方が下だが、森エルフとフォールンエルフ間での階級名に違いがあるだけで、実際の権力は大差ないのかもしれない。
ともあれ、二人の実力が拮抗しているのなら、勝敗を決めるのは味方の有無だ。
「人族、覚悟!」
カイサラ目掛けて突進攻撃を――と考えた矢先、同じ思考に至ったのか、近場にいたフォールン騎士の一人が斬りかかってきた。怒声とともに振り下ろされてきた直剣を、俺は二刀で受け止める。強烈な衝撃に手首がじんと痺れた。
速く、また重い。
相手はカイサラのようなエリートクラスMobではないが、色の濃い真っ赤なカラーカーソルを見れば、オレンジやブルーを斬ってレベルを上げた俺でも一対一は厳しいらしい。あるいは妖魔王バフがここまで底上げをしているのか。
しかし、ここで逃げる訳にはいかない。フォールンエルフ達の目的は聖大樹の占領、破壊だけで留まらない事を先の会話で知ったからだ。
これはALOの《キャリバー・クエスト》と同じだ。プレイヤーがクリアした形であれば、《カーディナル・システム》はVRワールドの大きな変動を齎す事が可能になっている。つまりこの場合、オレンジ・ブルー達が受注したクエストを達成させてしまえば、フォールンエルフ達は宣言通り人族の街を襲い、プレイヤーの蘇生も不可能な状態になるだろう。
そうなっては最早ブルーだのNPC殺しだのの問題ではない。
エルフクエストには思い入れがあるため、平穏無事に済ませていきたいと思っていたのだが――
これもまた、人が与えたNPCへの影響という形の顕れなのかもしれない。
「おおおおッ!」
「……ッ!」
追撃を仕掛けてきたフォールン騎士の剣戟を横に往なす。それから手首を返し、右手の剣を体の真横でぴたりと構え――スカイブルーの輝きを迸らせた。右後方に引き絞られた剣は一条の閃光となって走り、袈裟掛けに敵の胸を切り裂く。眩い閃光と衝撃波に圧されるように、騎士が上体をのけぞらせた。
跳ね戻ってきた剣が左腰で一瞬静止すると、再びライトエフェクトが弾け、システムアシストと蹴りの加速力によって左から右への二撃目が発動。敵の左横を抜けるように薙がれた剣先が、敵の左脇腹を痛撃する。
さらに、二撃目の勢いのまま時計回りに回転し、敵の背中を横一文字に斬り付ける。
そしてまた回転し、その勢いで敵の右横を切り抜け、右腹を深く斬り付けた。水平四連撃技――《ホリゾンタル・スクエア》の四撃目は、正方形を描く光芒を水平方向に拡散させつつ打ち出された。
全撃を鎧の隙間を突く形で叩き込んだが、それでもHPは半分を削るに至っていない。
純粋に俺の攻撃力が不足しているのだ。
――だが、どうという事はない。
かなり不利な状況にも関わらず、俺の心に焦りは無かった。技を一つ使うだけでHPを数割削れる。それは、一人で数多のボスモンスターを相手取ってきた俺にとって、悲報にもなり得ない。
更に言えば、森エルフの味方もいる。
――この世界は、あの世界にとてもよく似ている。
――けれど明確な違いがある。
俺は、独りで戦っている訳ではない――――
「――そこをどけぇッ!!!」
立ちはだかるフォールン騎士に咆え、血色の光と共に突撃した。
硬い手応えが腕を痺れさせる。
《剥伐のカイサラ》。その異名の由来に偽りは無いようで、神聖な聖大樹を傷付けた事で得た力は本物らしく、イスノキ騎士団きっての実力派と言われる自分をして押し切る事は敵わなかった。
ギャァン、と甲高い音と共に刃が離れる。
「「――ッ!」」
踏み込みは同時。
鋭い呼気の後、わたし達は同時にカタナを振るっていた。刃が交わった――そう認識したのは、振るってから一瞬後の事だ。弾かれた事を認識したのも、また。
更に幾度か刃を交えた後、埒が明かないと判断したわたしは距離を取った。
耳を
思わず、カイサラと同時にその出所に眼を向ける。直後、視界を横切るように吹っ飛ぶ影を視認した。慌てて追えばそれはフォールンエルフの騎士の男で、天命が尽きたのか、霊力へと還っていく。
「おおおおおおおおおッ!!!」
間髪を入れず、騎士を斃した主――人族の剣士キリトが怒号を上げ、カイサラに斬り掛かる。
虚を突かれたのだろう。カイサラは彼の初撃をそのカタナで受け止め、次撃をも許していた。だが名を知らしめるフォールンの副官騎士とは伊達ではなく、その身に刃を届かせはしなかった。堅実な守り――剣の結界でキリトの二刀を防ぎ続ける。
――だが、程なく状況に変化が訪れた。
「は……ぁぁあああああッ!!!」
「……くっ」
キリトの攻撃は続く。苛烈な猛攻は留まるところを知らず、それどころか更に加速し、カイサラに反撃の隙を与えない。八種の斬撃と一種の刺突――計九つの型を自在に操るキリトの猛攻に、さしものカイサラも押されてしまっていた。
目を瞠るのは、仕切り直そうと後退を続けるカイサラに、キリトが追い縋り続けている点だ。
後退すれば当然剣の間合いから外れてしまう。しかし彼はそれを瞬時に修正し、同じだけ距離を詰め直していたのだ。徐々に防御を掻い潜った剣戟が体の端々を捉え、血を流させてまでいる。
「調子に乗るな、人族ッ!」
「喰らえぇッ!」
そこで、部隊長を助けようと近くにいたフォールンの騎士達が動いた。カイサラを庇うように割り込み、キリトに武器を振り下ろそうとする。
彼は、割り込んだ二人の騎士の側面に回り込み、攻撃を躱した。
「――終わりだ」
そこを狙い、カイサラは腰だめにカタナを構えていた。緑色の輝きを迸らせている。
わたしはそこで助けに入ろうとしたが、フォールン騎士の一人に割り込まれ、進路を遮断される。
また距離的に間に合わないと理解していた。あの技はカタナを使う者が誰しも習得する中距離攻撃技《ツジカゼ》。その抜刀速度は、あらゆる剣技で随一だと、使い手であるわたしもよく理解していたからだ。
「逃げなさい――――!」
わたしに出来た事は、そう叫ぶ事だけだった。
――その後、わたしの想像を超える出来事が立て続けに起きた。
緑の斬閃が走る、その寸前。地を駆ける少年が持つ二刀が
そんな馬鹿な――そう思う間もなく、二刀が揃って右に薙がれる。同時、左に薙ぐ軌道で緑の斬撃が閃いた。
起きたのは、まず爆音。鼓膜を麻痺させんばかりのそれの後に、一拍遅れる形で破裂した空気の風が肌を叩き、髪を靡かせた。この戦場にいるすべての者の意識がそちらに向いた。
視線の先には、勝者と敗者が存在している。
地に伏し、霊力へ還っていっているのは、フォールンエルフの騎士カイサラだった。わずかに遅れて、風を切りながら一本のカタナが落ちてくる。
それはカイサラが振るっていた漆黒のカタナ。
キリトは、それの柄を掴み、大地から引き抜いた。夜天に翳しながら彼は叫ぶ。
「――指揮官は倒した! フォールンエルフよ、この戦い、お前達の負けだ!!!」
夜の森に、彼の宣言は
程なく、生き残っているフォールン達は武器を捨てて投降。同盟関係にあった妖魔達は尚も抵抗したが、余力のあったキリトやイスノキ騎士団の総攻撃を受け、森エルフの《聖大樹の森》に侵攻してきた集団は壊滅した。
「――――あー、つっかれた!」
一息入れられると分かった俺は、開口一番そう言った。
現在時刻は午前五時。あのフォールン・妖魔連合との戦いから約一時間が経ったいまは、即興で出来上がったオレンジ・ブルー・グリーン、更に森エルフという妙な構成の連合を率い、森エルフの砦に滞在していた。そこでオレンジ達から電子ドラッグの取引に関する事情聴取、森エルフ達との意見交換をするためだ。
どうにも単なるクエストに留まりそうもないエルフ関連の事柄をこのまま放っておくのはマズいと判断した俺は、運営――つまり茅場や束博士達に連絡を取った。
その結果、電子ドラッグの件はあちらが動いてくれる事になったが、エルフクエストに関しては俺達の方でどうにかしなければならなくなった。
なぜなら、サーバーのリセットをしても意味が無いからだ。
状況的には《クラウド・ブレイン事変》の時に近いが、あの時とは決定的に異なる点が存在する。それは、今回俺はSA:Oサーバーの自動バックアップ機能に関して口出しをしておらず、カーディナルの自動機能に任せてしまっている事だ。つまり今更バックアップのリロードをしたところで、エルフクエストが同じ経緯を辿る事は避けられないのである。
正直、これだけ問題のあるゲームを運営し続けるのは《ユーミル》にとってデメリットでしかないが、開発元が政府であり、それをはねのける事はすぐには難しい。だからこのクエストをプレイヤーが解決し、アイングラウンドのプレイヤーの居場所を守らなければならなくなった。
思った以上に事が大きくなった――そう暗澹たる気分になった俺は、それを払拭する意図もあって、先の一言を口にした訳だ。
それに、一緒にいた仲間が苦笑や呆れの表情を浮かべる。
一番に口を開いたのは、付き合いの最も長い情報屋の女性だった。
「そりゃ自業自得だゾ。トランスプレイヤー達を纏めて相手取って、更にあんな乱戦までしたんダ。こうなる事くらいキー坊なら予想出来たダロ」
その言葉が、言外にアルゴ達に助けを求めなかった事を責めているのだと理解した俺は、いやいや、と首を横に振った。
「流石に最初からは予想してなかったよ。電子ドラッグの件だって、半ばカマを掛けて確証を得たくらいだったし」
「ホントかなぁ? 予想してなかったならリーフェに森エルフの援軍を頼んだり出来ないよね?」
「む……」
「それに、件のNPCを救い出す事が目的だった訳ですし、いくら契約のためとは言え無理に残る必要は無かったのでは?」
俺の反駁に、すぐさま反論したのはストレアだった。
更に、石壁に背を預け、腕を組む黒髪の女性ユイが口を開く。
二人の言うように、件のNPCの下に辿り着く前に俺はリーフェに援軍を要請していた。妖魔とフォールンエルフの繋がり、更にオレンジ・ブループレイヤーがエルフクエストを受けているかは分かっていなかったので、純粋に対プレイヤーを念頭に置いた対策だった訳だが、それはつまり、俺には彼らと戦う何かしらの理由があった事を意味している。NPCを助け出すだけなら、すぐに逃げの一手を打つのが定石なので、そこに違和感を覚えるのはむしろ当然と言えた。
それに元々は件のNPCがキルされた場合どうなるか分からないから助けに行ったのが当初の目的。オレンジ・ブループレイヤーが結束した原因を探る事は二の次であり、すぐに解き明かす必要は無かった。SA:Oの秩序を考えれば必要だったが、優先度的には高くなかった訳だ。
反論の余地もなく、俺は黙って視線を泳がせるのが精いっぱいだった。
暫くアルゴ、ユイ、ストレアの三人に白い眼を向けられていると、そういえば、と話題を変えるようにアルゴが声を上げた。
「あのカイサラってハイネームドMobを倒す時、剣が二本とも光ってたよナ? この世界でも《二刀流》を会得したのカ?」
「あぁ、アレか……」
次は何を追及されるのかと身構えた俺は、その内容に少し肩の力を抜いた。別に隠す事でもないためあっさりと俺は答えを口にする。
「アレは新しいシステム外スキルだよ、《
「えー! また新しいの作ったの?! すっごーい!」
「……まーた新しいの作ったのカ」
「まぁ、キリトですしねぇ……」
驚くどころか、むしろ呆れたようにアルゴが言う。ユイも似たり寄ったりの表情で、純粋に賞賛してくれたのはストレアだけだった。
ちょっと悲しんでもいいだろうか。
「どーせ他の誰にも使えなさそうだケド……それの発動方法は何ダ?」
「酷い言い草じゃないか? ……そこまで難しくないよ。装備タブ経由と非経由の片手武器それぞれで、同時にスキルを発動するだけだ」
理屈自体はそれこそ簡単である。イレギュラー装備状態になってはならない片手は敢えてタブ非経由にする必要があるが、それでもスキルは発動可能だ。後は左右同時にスキルを発動できるよう、構えを調節するだけである。
《片手剣》の場合、《ホリゾンタル》は腰だめに薙ぎ払う型と、大振りに薙ぐ型の二つがある。聞き手が右の場合は前者が右薙ぎ、後者が左薙ぎである。
つまり俺はあの時、右手の剣で右薙ぎの型の構えを、左手の剣で左薙ぎの型の構えを取り、同時に発動させた訳だ。単純計算で《ホリゾンタル》を二発同時に放った訳で、威力計算も倍になる。両手武器のカタナの技に打ち勝ち、且つカイサラにトドメを刺せたのもソードスキル二発分を一度に叩き込んだが故である。
無論、黒カーソルの強さは伊達ではないので、瀕死まで追い込んだ過程もあってこその勝利なのであるが。
それを
「……まぁ、確かに他のに比べればまだ出来そうだナ」
「ですが、左右同時に技を使える構えというのはそう多くないのでは? 片手武器のソードスキルのほとんどは、盾を持つ場合しか想定してないからか逆の手はほぼ武器を振る構えになってないですし」
「うん、まぁ、そうだな」
ユイの指摘に、俺は肯定を返した。
実際彼女の言う通りで、構え――システムが検知するプレモーションは、武器を持たない側を想定していない。加えて攻撃の軌道も大振りなものは向いていない。
ホリゾンタルやスラント、バーチカルのように、単発且つ単一方向のスキルしかこのシステム外スキルは向いていないという欠点がある。
とは言え、《スキルユニゾン》は成功すれば一度の行動で二発分のソードスキルを叩き込めるというメリットがあるし、単発スキルは技後硬直が概して短く、隙が少ない事が多い。外してもリカバリーが効きやすいのだ。
連続技も強力だが、カイサラのような人型NPCやプレイヤーを相手にした時にはそこそこ使えそうなシステム外スキルと言える。
尚、両手に持った武器を自在に扱える――という前提条件があるのだが。
「ンなの誰もが出来るわけねーゾ」
そうジト目で言ったアルゴによって、このシステム外スキルも”常人には使えないモノ”という評価を受ける事になったのだった。
Q:一人一人の視点短過ぎじゃね?
A:冗長は良くないと学んだのです
Q:カーソル真っ黒なのにカイサラ弱すぎじゃね?
A:本作にはレベル差あっても即死させられる設定があってじゃな?(首を出せ)
・《剥伐のカイサラ》
原作プログレッシブ6巻に出てきたフォールンエルフの騎士
カーソル真っ黒なハイネームドMob。原作ではまだ決着がついていないが、本作のキリトは既に決着をつけた後のため、アッサリと倒されてしまった
しかし実際現時点でカイサラを倒せるのは、一度戦った経験のあるキリト、キリカの二人のみである
・
オリジナル・システム外スキル
カイサラを倒すために初めて使われた
左右の武器で同時にソードスキルを使う。スキルコネクトが技の連携なら、こちらは二つの技を一度に放つ。同時に放つ性質上、基本的に単発技に限られる
理屈の簡単さの割に今まで使われなかったのはなぜなのか
・現在のSA:O
フォールン達が世界征服(プレイヤー、人族NPC、森&黒エルフ排除)に乗り出している
サーバーのリセットは、カーディナルの自動バックアップ機能を有効にしていたせいで意味がない
ゲームの運営は政府の命令で止められないのでキリト達がフォールンを止めるしかない
和人は普通に政府製作陣にキレていいと思います
では、次話にてお会いしましょう
【参考】SA:O編ラスボスの難易度あんけーと 気軽に答えてネ! 難易度上昇でボスが増えるよ! 1.さくさく敵が倒れます。原典仕様のいーじーもーど 2.仲間と一緒に協力プレイ。コミックス仕様ののーまるもーど 3.形態変化にボス追加。改変仕様のはーどもーど 4.思い出補整で狂化します。極悪仕様のかおすもーど 5.ぷれいやー・ますと・だい(がち)
-
1.かんたん
-
2.ふつう
-
3.むずかしい
-
4.ごくあく
-
5.ですげーむ