インフィニット・オンライン ~孤高の剣士~   作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス

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 どうも、おはこんばんにちは、黒ヶ谷・ユーリ・メリディエスです。

 超久し振りの連日投稿。ですが、全然時間は経過していなかったり。リズベット武具店から一切移動していない。

 このスローペース展開は果たして良いのだろうか……そう自問自答しているここ最近です。それについて後書き最後ら辺でちょっと意見欲しいなと書いてますので、宜しければ見て下さい。

 さて、今話は前半ユウキによる本作でのリアル情報及び生い立ちを地の文で暴露、後半はリーファによる剣道話です。

 本作での紺野姉妹の生い立ちが遂に明かされます……まぁ、ご都合主義なんですがねッ! どちらかと言うとユウキの心情の方を見て下されば幸いです。

 ちなみに、今回の後書きも相当長いですよ。本文は二万文字です。

 ではどうぞ。




第四十二章 ~想い想う一時~

 

 

「……落ち着いた?」

「ん……」

 

 恐慌を来したキリトを抱き締め、ゆっくり諭すように言葉を掛け、頭を撫で続ける事およそ五分の後、腕の中に納まっていた黒尽くめの子は漸く落ち着きを取り戻した。こちらの問い掛けにもしっかり頷いたし、一先ず恐怖は立ち去ったようだ。

 そう判断してからゆっくり身を離す。

 

「……ありがとう……」

 

 流石に人の好意に鈍くても男の子だからかキリトは少し恥ずかしそうに頬を赤く染めていて、微妙に目もボクから逸らしていた。

 そんな姿も可愛いなと思いつつ、ボクは笑って首を横に振った。

 

「別にこれくらいはいいよ……今はもう、大丈夫なの?」

「……一応は。予想外の場面で遭ったら分からないけど……居るって知ったから、また会っても今みたいに取り乱す事は無いと思う」

「そう……」

 

 大丈夫、と一言しか返してこないだけマシだろう。この世界に来ていると思わず心の準備をしていなかったから恐慌を来したのであって、覚悟さえ固まっていれば取り乱す事は無いという事だ。それだけでもかなりの精神力である。

 しかし、覚悟をしていなかったからとは言え顔を合わせただけであそこまで取り乱すとは……余程キリトにとって心の傷になっているらしい。

 いや、まぁ、目の前で笑って捨てられたら、そりゃトラウマの一つや二つくらい出来るのもおかしくないのだが。

 

「…………そういえば、皆はアキに…………アキトに会ったのに、何とも無いんだな……」

「ん? それ、どういう意味?」

 

 恐らく《アキ兄》と言おうとしたのだろうが、今は家族では無いため他人を呼ぶ時のように呼び捨てに言い直したのを何とも言えない思いで流し、引っ掛かった事を訊く。

 その言い方だと、今まであの男と話した相手はどうかしてしまったような感じだ。

 

「ん……近所の人とか、クラスの人とか、最初は優しくてもアキトに会った後は態度が変わったから…………正直、さっき取り乱したのは……その、友達がまたそうなるんじゃって、思って……」

 

 ボク達の疑問に、キリトは暗い表情でそう返してきた。

 その言葉だけでは少し要領を得ないが、どうやらあの男が会話した者は、たとえ元々キリト/一夏に対して優しかった者でもアキトの態度に同調して虐げて来るようになってきたようだ。

 さっきの恐慌は、恐怖の対象である元実兄に心の準備が整っていないまま会ってトラウマが出ただけで無く、ボク達が今までの彼らのように自身を虐げるようになってしまうのでは……そう考えてしまったかららしい。

 ボクはアスナ、姉ちゃんと共にキリトと長らく関係を結んでいるが、どちらかと言えばボク達側から接触した方だ。

 だがシリカとリズの場合、出会った切っ掛けこそアスナやアルゴといった第三者を介しているが、交友を結ぼうと動いたのはキリト側だ。自分から友達になりたいと思って、勇気を出して行動した結果、この二人はキリトと友達になったのだ。

 その背景を考えれば、確かに今までのように態度が変わって虐げて来るようになると考えてしまったら恐ろしいだろう、トラウマを思い出している最中の思考だったのから余計取り乱す筈だ。むしろ錯乱して泣き喚かなかっただけ、キリトは強いと思う。

 それを聞いたボク達は、思わず顔を見合わせてしまった。

 

「そんな……そんな事が、あったなんて……」

「確かにアイツの眼は変な気がしたけどそこまでっていう感じなのよね……」

 

 シリカが唖然とキリトの過去に動揺し、リズがさっきの会話で思い当たる節があったのか思い出すように虚空を見上げる。

 考えてみれば、少し違うかもしれないがあの男の眼は確かに変な感じがした。何というのだろうか、こちらを人として見ていないとか、ただ見下しているとは思えないような眼だったのだ。個人として見ていながら人として見ていないと言うか……

 良い表現が見付からないが、とにかくリズやボクが覚えた『変な感じ』というのは、恐らくボク達に向ける眼の事なのだろう。それがキリトのいう、周囲の人間の心変わりに関係あるかは分からない。

 ただの会話による洗脳とも思えない。

 この《アインクラッド》にも言葉巧みに人間の心理を誘導し、タガを外させていた者は居る。あの有名なレッドギルド《笑う棺桶》の首領PoHだ、あの男は話に聞いた限りではあるが最低でも三ヵ国語――日本語、英語、韓国語は最低限――喋れるマルチリンガルだと、どこかで聞いた事がある。

 あの男に付いて行く人間がいたのは、韻律に富む不思議なイントネーションによる話術が人の心を惹き込むからだ。その甘言は徐々に人の精神を蝕み、犯し、何時の間にか犯罪に対するモラルを低くして手を染めるよう唆していた。

 少々毛色は異なるが、アレも洗脳と言えなくはないだろう。

 しかしさっきの男の口調はどう見ても相手を丸め込んだり、自分の勢いに呑ませるものでは無かった、むしろ始終リズの勢いに呑まれていたくらいだ。途中で羞恥と怒りに歪めた顔を赤くしていた辺り、もしかすると今までそれで通用していたのかもしれないが。

 だが残念ながら、この世界を生きるにあたって誰もが強かになっているのだ、特にリズは客商売で接客に馴れているのだから相手が悪かったとしか言えない。

 まぁ、接客を殆どしない戦闘専門のボクでもあの程度であれば普通に言い返せるのだが。

 

「あの、キリトくん……もしかして、今までの友達全部が……」

「あ、いや、何人かは……何でかは分からないけど、その人達は今のユウキ達みたいに影響されてなかったから……」

「そっか……それは、よかったね」

「うん……今頃、何をしてるかな……」

 

 シリカの問いに対する答えを聞いて、一先ずキリトが《織斑一夏》であった頃の何人かは一応敵では無かったようだ、出来れば味方であって欲しいと思うが彼に対する虐待は相当な規模があるから表立って庇った事は無いのでと思う。

 まぁ、当時の彼が巻き込んでしまう事を憂慮して庇うのを拒んで、距離を取った可能性もあるのだが……というか多分それだろうなと思う。

 それにしても、アキトと会話した者は全員態度を変えるのではなく、一部の人間は変わっていないというのも妙な話だ。洗脳が使えるのならボク達にもしているだろうし、話に出た人達もその影響を喰らっている筈だから、やはり洗脳では無いのかも知れない。

 あるいは……

 

「……信用していないから、か……?」

 

 ポツリと、誰にも聞こえない程度に密やかな声で洩らす。

 キリトに対して態度を変えた者達や態度を変えなかったという人達の人柄や関係性、事情を知らないので予想になるが、少なくともボク達はあの男と会話するよりも前にその正体に気付き、本性を知っている。キリトが嘘を吐いていたらまた違っただろうが、彼が信用と信頼を向けているボク達に嘘を吐く性格とは思えないし、あの男の口振りから察するに捨てた事は事実なのだと分かる。

 違いは会話をする前にあの男の本性を知っているか否かではないだろうか。あるいはそもそも信用する――受け容れる――気も無いからか。

 考えられる事と言えばこれくらいか。

 そもそもキリトを虐げている者達には大き過ぎるフィルターが掛かっている、《織斑一夏》は出来損ないという意識、《織斑千冬》や《織斑秋十》は天才や神童といった上の存在であるという意識だ。このフィルターの有無が、態度の変化の有無に関与しているのではないだろうか。

 だとすれば、ボク達が態度を変えていないのも納得がいく、そもそもボク達の意識の中では圧倒的にキリトが凄いという意識がある。と言うかアキトに関して悪印象しか無いし、仮にそれが無かったとしても碌にあの男自身の凄さを知らないのだ、戦闘力や覚悟の固さに関しても。それを知らないのに受け容れられる訳が無い。

 現実であればボク達は親類縁者や政府といった遥か上の立場に庇護されているが、この世界は謂わば一種の無法地帯、システムが許す範囲内の行動には殺人だってあるのだから倫理やモラルを護らなければ一気に《アインクラッド》は殺伐とした世界になる。

 それを予期したキリトが悪の《ビーター》として振る舞った事で一定の秩序は保たれているが、それでもやはり、庇護は無い。

 SAOプレイヤーは余程の事が無い限り他者を信用なんてしない。戦友やパーティーメンバーとして一定の信頼を置く事はあるだろう、役割分担とは『この役目を果たすと信じている』という意味だ、だが信用は『自身を裏切って命を狙わない事を信じている』という意味だ。少なくともボクはそう考えている。

 故にボク達は自分の身を自分自身で護るしか無い。それはモンスターに殺されない事では無く、人の悪意から身を護るという意味だ。だからボクは戦ってレベルを上げて力を付けているし、姉ちゃんや仲間を護る事を目的にして動いている。

 仮に、アキトというあのプレイヤーが攻略組に参加する事になったとしても、不和や裏切りさえ働かないならボクは特に関与するつもりは無い。戦友として一定の信頼はしよう、戦友としてピンチに陥れば最低限助力はする。

 だがそれだけだ。逆に言うなら、信用はしない。

 裏切りを警戒するのであれば親交を結ばなければいい、不和を警戒するなら無関係を貫けばいい。何も知らない人間に対して信用を置くなど以ての外だ。そもそもあの男は、キリトを一度死ぬのを認めた上で見捨てた男だ、信用など置ける筈が無い。

 その意識は恐らくキリトから話を聞いた誰もが抱いているだろう。

 だからボク達の態度が変わらなかった、あの男に迎合しなかった理由は、そこにあるのではないかと思う。信用など一切しないという気持ちがあって、フィルターが一切無かったからこそ、ボク達はキリトの敵へと翻意しなかったのではないかと。

 もしこの推察が正しければ、キリトが抱いている恐怖の一部……ボク達が離れてしまうという恐怖は杞憂に終わると言って良いだろう。

 休暇を提案された時に来した彼の恐慌は、自分は必要ないと判断されたと早とちりして親しい者が離れていくと思ったからだ。あの恐怖の根幹が神童の兄への迎合、すなわち自身を虐げる者への変化だとして、その迎合があの男をある程度信用している事で成ってしまうのなら、ボク達がそうなる事は絶対無いと断言出来る。

 少なくとも、キリトが絶大な信頼を寄せているリーファと、キリトに恋情があるのだと自覚したボクは、絶対に無い。そして十中八九、ほぼ間違いなく他の皆も翻意する事は無い。

 だが……今それを言っても、今までが今までだっただけに信じたくても信じ切れないだろう、もしも間違っていたらと考えると絶望しか無いのだから。

 そして信じたところで、もしボクの予想が外れて翻意した人が出てしまったら……今度こそ、彼はもう誰も信用出来なくなる。したくても、出来なくなる。

 それはあまりに哀しくて、惨たらしい未来だ。

 だからこれについてキリトには話さない事にした。彼が踏み込んで問い掛けて来た時は、その時には予想である事を前置きして話そうと思う。

 

「……俺は、もう大丈夫。落ち着いたから……それに、皆の態度が変わってない事に安心出来たから……だから、大丈夫……」

「キリト……」

 

 そう決めた……のだが、キリトがあまりにも儚く微笑むものだから、思わず言ってしまいたいと思った。

 キリトから感じた儚さは、言葉とは裏腹に安心してない事を如実に言い表していた。今回は大丈夫だっただけ、次はダメかも……そう考えていて、それでも今はとボク達を支えに立ち直っている。

 それは矛盾で、ある意味で破滅への道だ。

 ボク達が最後まで翻意しなければ彼は安心し、救われるだろう。

 だが仮に一人でも翻意してしまえば、彼の拠り所はその全てが喪われてしまう。もしかしたらこの人も、という嫌な未来をどうしても考えてしまって、心の底から安心出来る拠り所を喪う。

 キリトもそれを理解している。

 しているが、もう抗う事は諦めている……自身ではどうしようも無いのだからと、期待したくてもし切れないのだ。

 

 

 

 その様は、あまりにもかつてのボク達姉妹に似ていた。

 

 

 

 リアルでは《紺野木綿季》という名前を両親から戴いたボクは、《紺野藍子》という名を与えられた双子の姉と共に生まれた。双子なので、母の胎盤の中に同時に存在していた。

 順調に育っていたのだがいざ出産の時に問題が発生した。母の産道は狭く、子供が通れる大きさでは無かったのだ。

 そのため帝王切開が為される事となった。子宮を斬り裂いて子供を産むその手術は、代わりにもう二度と子を孕めなくなるという事を意味していたが、それでも実行に移された。

 その術中、何があったかは知らないが母が大量出血を起こして死に掛けたらしく、大慌てで輸血をしたらしい。それで母は一命を取り止め、母子共に生き永らえた。

 しかし、ボク達一家に降り掛かった悪夢はその輸血が切っ掛けだった。何と献血をした者の中に、HIVウィルスの保因者が存在していて、検査をすり抜けた輸血パックが宛がわれていたのである。

 それに気付いた時はもう何もかもが遅かった。輸血をされた母は勿論、その時はへその緒で繋がっていたらしいボク達姉妹にも母子感染を起こし、恐らく術後安定してから励んだのだろう父にも感染。結果、一家全員がウィルス感染者になってしまっていた。

 HIVウィルスは、ヒトの免疫系の司令塔である《ヘルパーT細胞》というものに取り付き、指揮系統を麻痺させる。この細胞は体内にウィルスなどの『本来体内に無いもの』あるいは『体内にあると害悪を及ぼすもの』を、『体内に必要なもの』と区別し、排除を指令する為の免疫細胞の一つであり、ある意味で指揮官とも言える。

 これの機能がマヒすると、体内にウィルスや菌が混じっても判断出来ない状態なので、実際に菌を排除する他の免疫系等も働かなくなる。

 その状態をAIDSという。日本での正式名称を《後天性免疫不全症候群》。その名の通り、免疫系等が働かなくなって風邪などを引いても治らなくなる状態で、もっと酷くなれば、普通に免疫系が働いている人では決して発症しない程に感染力の弱い菌にすら冒されてしまう。

 投薬や精神を強く保つことでAIDSの発症を遅らせる事は出来る。実際に医学的にもそれは証明されているらしく、十年や二十年のスパンでHIVウィルス感染から実際にAIDS発症までを遅延させられる。

 だが何れは発症してしまう、必ずだ。あくまで遅延なのだから。

 結論から言うとボク達一家は全員が発症した。両親はデスゲーム開始から二年ほど前に、ボクと姉ちゃんは丁度デスゲームが始まる年に発症した。

 何年も何年も副作用で辛い思いをしながら戦っていたが、遂にその瞬間が訪れてしまったのである。感染を知って尚生きる道を選んだ両親も、これには耐えきれなかったようで、泣き崩れていた記憶が強く残っている。

 ボクと姉ちゃんは小学校と中学に、HIV感染者、AIDS発症者の事実を隠して通っていた。法律でそれらの差別は禁じられているが、規制したから無くなったら人は争いを起こさない。

 どこからか漏れ、誰が流したかは知らないが、ボク達がAIDS発症者であると知られて引っ越しと転校をした事もある。それまで親しかった友人達に掌を返され、暴行を振るわれた記憶は今も鮮明に残っている。

 それが切っ掛けだったのだろう、ボクと姉ちゃんの免疫力が弱って行ったのは。姉ちゃんは六月頃に、ボクは九月頃に発症した。何れ必ず死んでしまう病に罹ってしまったのだ。

 死しか無い未来に希望など抱ける筈も無く、ボク達は悲嘆に暮れる……筈だった、本来ならば。そんな辛い想いをしていたボク達に二つの救いが現れたのだ。厳密に言えば二つで一つか。

 一つはAIDSの治療法……HIVウィルスに対する抗体が見つかった事。

ボク達が感染していたウィルスは恐ろしく珍しい薬剤耐性を持ったもので、薬の効き目も悪いものだった。

 それを滅却する治療法の一つとして、骨髄移植というものがある。ただしただの骨髄では無く、血液型から髄液のタイプ、そしてHIVウィルスに絶対的な滅菌力を有する抗体を持つ骨髄で、更には対象者――この場合はボク達――の骨髄タイプと適合していなければならないという非常に厳しい条件を通ったものでなければならない。

 それが見つかった。白人でも一パーセント程しか存在しない抗体持ちの骨髄が、その年の夏に骨髄バンクに登録されたのだ。最早奇跡と言って良かった。

 次にその骨髄の手術についてだったが、これが中々キツイもので、拒絶反応による死亡も考えられるものだった。そして何より術中と術後が恐ろしく苦しいらしく、途中で苦しさの余り亡くなってしまう人もいるのだという。

 それを解消したのが二つ目の救い。医療用に試作されたフルダイブ機器《メディキュボイド》の存在だ。

 《メディキュボイド》はジェルベッドが敷かれた直方体の筐体という形状のベッドで、頭を寝かせる方に巨大な被り物が存在する機器だ。形状こそ完全に異なっているが、メットギア型のフルダイブハード《ナーヴギア》のスペックを底上げしている代物なのだという。主に寝たきり患者や目が不自由な方を対象として試作された機器らしい。

 それを薦められたのは、《ナーヴギア》が持つ性能に起因していた。

 《ナーヴギア》は、延髄部分で脳から首より下に送られる全ての電気信号をシャットダウンし、それをハードに取り込み、仮想世界で再現されたアバターに送って動かすようにしている。これは逆に体から脳に送る電気信号もシャットダウンする部分は同じだ。

 ちなみに心臓や血液循環に必要な交感神経・副交感神経に関しては別らしい。そこまでシャットダウンしてしまうと死ぬからだ。なのでこちらで激しい戦闘をして荒く呼吸している時は、現実の肉体も呼吸が荒く心拍が速いという事になる。

 閑話休題。

 そして電気信号のシャットダウン率は驚異の百パーセント。すなわち現実の肉体を動かそうとどれだけ足掻いてもピクリとも動かせないし、逆に肉体が痛みや熱を受けても、脳はそれを認識する事が出来ない。まぁ、痛みなどに関しては脊髄反射は残ってしまうのだが、それはまた別だ。

 この《ナーヴギア》の特異性に着目したある研究者が、医療用そして治療用にこれの採用を考えた。先に挙げた寝たきり患者の終末期医療だけでなく、骨髄移植手術などの死亡可能性が高い痛みを伴う手術に導入する事で、最も苦しい期間を仮想世界で暮らしてやり過ごすという訳だ。その間は寝たままになるので肉体が弱化するが、死ぬほどに苦しい痛みに較べればマシだろう。

 それの使用を薦められたのである。

 ただし、試作機であるため台数が少なく、たった二基しか無かった。

 その頃に話題となっていたのが《ソードアート・オンライン》。仮想世界でも現実同様に走り回れる上に遊べる初のRPGタイトルだと知って、あまりゲームはしていなかったが子供心にやりたいとせがんだボクのお願いを聞いてくれて、両親は何日も行列に並んだ末に二つも一万本しかない初期ロットを手に入れてくれた。

 結果、子供で手術に耐え切れる可能性が両親より低いという理由でボクと姉ちゃんは、《メディキュボイド》を利用する事になった。

 ……まぁ、意気勇んで入ってみれば運命の悪戯なのか、デスゲームとなって閉じ込められてしまったのだが。

 骨髄移植に関しては《ソードアート・オンライン》正式サービスの二日前に施術が行われた為、もうとっくに移植は終わっているだろう。拒絶反応が出たら死亡するという話だったが、一応施術時のボク達がまだ健康体に近い状態だった――少なくとも何か難病を発症したりはしていなかった――為か、どうやら出なかったらしい、今も生きているのがその証拠。

 一応先に滅菌効果がある事は確認されていたので、これでこの世界を生還すれば、肉体は弱っているものの免疫は復活している筈である。

 それはともかく、そんな過去があるボク達は容易に人を信用する事が出来なくなっていた。現時点で確認出来ていないので恐らくだが、元になっているとは言えAIDS発症者であると知られたらどうなるか考えたら恐ろしかったからだ。過去知られた時の事を思い出すと、どうしても人を信用し切る事が出来ないでいる。

 だからボクと姉ちゃんは、親しいアスナの誘いを断って二人だけでギルドを作っていた。アスナの事を親友だと思っているが、それでも恐ろしいものは恐ろしいのだ、クラインやエギル、ディアベルさんにヒースクリフさんはまだしも見知らぬ男性など以ての外である。

 それなのにサチを受け容れたのはキリトの頼みだったからだが……何だかんだ言って、キリトにはボクも姉も心を許しているのである。

 それはきっと、キリトは虐げられる者が受ける心の痛みを知っている、だから虐げないと、そう思ったから。キリトは人を虐げる側では無く、護る側なのだと信じているからだ。

 そう思えるようになったのは、キリトが自らを虐げているキバオウを助ける為にコボルドロードの前に立ちはだかり、リンド共々彼らを助け出したから。

 そして決定的だったのが、大勢による精神的虐待を受ける事が分かっていても、その彼らの生と《アインクラッド》の秩序の為に自らを犠牲にする精神性の象徴、《ビーター》の悪名を自ら背負ったあの瞬間。

 何とも醜いものだと思う。《ビーター》として虐げられているというのに、それがキリトを信用する決定的な瞬間になっているだなんて。

 彼に惹かれたのは、彼が一人で迷宮区へ続く道中で剣を振るった時。

 彼が護る側の人間なのだと思えたのは、自らを虐げる者達を命懸けで助け出した時。

 彼に恋情を抱いたのは、彼が素顔を晒した時。

 彼を信用するようになった決定的瞬間は、彼が人の為に虐げられる行動を取った時。

 そして彼は、かつてのボクに似ている。生きられはするが未来など無いという状態が正にそれ。

 だからボクはキリトの事が心配で、少しでも幸せになって欲しかった、今までずっと案じて来たのはかつての自分自身を見ているように思えたからだ。

 まぁ、彼に一目惚れしていたというのもあるが、その理由も確かに存在する。

 

「……ねぇ、キリト」

 

 改めて、キリトの儚い姿を見て想いを抱いた切っ掛けを思い出したボクは、気付けば優しく名前を口にしていた。

 それに、キリトが小首を傾げこちらを見上げて来る。そんな彼にボクは優しく微笑んだ。

 

「不安だと思う、今は信じられないかもしれない……だけどボクは、絶対にキミを裏切らない。裏切る事も、虐げる事も、ボクは大嫌いだし……それに……」

「……それに……何……?」

 

 不思議そうに首を傾げて訊いてくるキリト。元々年齢のせいか異性に興味を持たない事と人の好意に対して警戒的な性格で、今はそれを気にしていられる精神状態ではないからか、ボクが何を言おうとしているのか全く気付いていないようだった。

 他の三人は気付いたようで、リズとシリカが呆気に取られつつも応援を、シノンが物凄く物申したそうな面持ちだが割り込まずに我慢しているのが視界の端に映った。どうやらリズとシリカは友達としての想いの方が強く、シノンはさっきの話を聞いた限りで自分と同じく惚れてしまったのだろう。

 シノンとあからさまに好意を抱いていると分かるリーファに少々申し訳無いとも思うが、自覚してしまったからにはもう誤魔化せない。今のキリトにはきっと選ぶのは無理だから、彼が選べるようになるその時まで待つ覚悟だ。

 彼を安心させる為でもあり、自分の為でもある。ある意味で背水の陣にして不退転の覚悟だ。

 

「ボクは…………キミの事が……」

 

 さぁ、言ってしまえ!

 そう胸中で意気勇んで、『大好きだから』と言おうと口を開いて……

 

 

 

「よーリズっち、こっちにまだキー坊居るカ?」

 

 

 

 カランカラン、と来客を告げるベルが鳴って、情報屋の声を聞いた瞬間ガチンと口を閉じる。

 それから何も知らずに入って来た茶色のフーデッドケープを纏っている情報屋を、理不尽と分かっていながら睨み付けてしまう。

 

「……オ? 何だこの空気……オネーサン、間が悪かっタ?」

「ええ、物凄く最悪のタイミングね……」

「それって、もしかしてユーちゃんが睨んで来てるのと関係あったりすル?」

「大ありよ。ユウキ、何か言いたい事はある?」

「馬に蹴られて死ねばいいのに」

「開口一番いきなり酷いゾッ?! って、え、そう言うって事は……オネーサン、やっちまったのカ?」

 

 友人とは言え人前で告白する覚悟を固めてまで自覚して今だ熱が冷めない想いを伝えようとしたその矢先にこれって……デスゲーム化の事と言い、本当に運命の悪戯としか思えないなぁ……ッ?!

 アルゴが悪くないのは分かっている、これが理不尽な怒りというのも分かっている……分かっているが、そこはかとないどす黒いものが胸中に巻き起こってしまうのは仕方ないだろう。

 羞恥よりも想いを伝える方を優先していたのだ。雰囲気も最高だったと思うのに……それをいきなり崩されるとか……

 

「あああああああああぁぁぁぁ……ッ!!!」

「……その、ごめん。マジごめん、ユーちゃん」

「穴があったら入りたい……と言うか、時間を巻き戻してやり直したい……ッ!!!」

 

 頭を抱え、覚悟を台無しにされた脱力感に苛まれて思わず蹲ってしまう。もしもあそこで溜めたりせず、ほんの少しの間で済ませていれば言い切れていた筈だった……!

 アルゴが凄く申し訳無さそうに素で謝ってくれているのがせめてもの救いか……

 

「えっと……『それに』の後は、一体……?」

「はぅ……ッ!」

 

 先の言葉を心待ちにしていたキリトが、物凄く純粋に不思議そうな顔で問うてくるものだから思わず変な声が出てしまった。察せない時点で色々と鈍い気がする。

 ……いや、愛情というものを知らないのなら、気付く筈も無いのだが。

 だが、それでも。

 

「えっと……と、とにかく、キリトを裏切るなんて絶対無いから! 天地神明、いや、ボクの魂と剣に誓っても無い!!!」

「そ、そう……」

 

 気付いて欲しいと願ってしまうボクは、強欲なのだろうか。

 

「うぅ……意を決して言おうとしてたのに……」

「……抜け駆け禁止って事よ、きっと」

「シノン……」

 

 物凄く同情の色を含ませながらもどこかホッとしているように微苦笑を湛えながら、シノンが言ってきた。

 抜け駆けの意味を理解していないキリトは不思議そうにするだけだったが、他の者には伝わったのか、面白そうだと考えているのが丸わかりな笑みを浮かべるリズベット、期待に目をキラキラさせているシリカ、凄く申し訳無さそうに落ち込むアルゴとそれぞれ反応を示していた。

 どうやら、想いを自覚した時点で恋敵にも会ったようである。

 きっとHIVウィルスも死滅しているだろうし、それであれば未来は開けているのだから、結婚だって夢では無い。まぁ、キャリアだった事実を受け容れてくれる人でなければならないのだが、キリトはきっと大丈夫だと思う。

 何れ、そう遠くない日。勿論姉の許可を得てからになるが……想いを伝えるその時に、ボクはこの事実を伝えようと思う。

 その結果、拒絶されればもう誰も信じられなくなりそうだが……それでも構わない。好いた惚れたの時点でボクが悪いのだから。

 それでもきっと、キリトは受け容れてくれる。

 そう信じて、今は待つことにする。時でないのであれば相応しい時が来るまで待つとしよう。その時であればきっと邪魔は入らないのだから。

 キミが誰かを受け容れられるようになる、その日まで。ボクはこの想いを胸に秘めて、キミを待つ。

 キミが人を信じ受け容れられるようになる、その日まで。

 

 ***

 

 アルゴさんが先に店に入った事で起きた小さな騒ぎは、丁度店に入ろうとしていたあたしでも事の経緯を察する事が出来た。どうやらユウキさんが完全にキリトに惚れて、告白する場面だったらしい。

 まさかと思っていたが、やはり彼女はキリトに惚れていたようだ。しかも人前で告白する事すら厭わないという大胆さは余りにも予想外。恋敵はとても強敵のようである。

 まぁ、その矢先にアルゴさんの突入を喰らって出鼻を挫かれたようだが……流石にそこには同情を禁じ得ない、一世一代の覚悟が流れてしまったのだ。人前でするという羞恥を抑え込んでしようとした結果がそれなのだから、自身の言動を思い返して羞恥に悶えるのも当然だと思う。あまりの取り乱しっぷりにあたしの存在に気付く事すら遅れていたし。

 

「……そっか。キリト、遭っちゃったんだ……」

 

 しかし、いきなり何故告白する事になったのか、キリトがユウキさんの告白に気付いていないので明確な単語こそ避けて問うてみれば驚いた。何とアルゴさんから二人きりで話したいと言われ、キリトがシノンさんの《弓》クエスト解消に動いている間に話された事……正確には人物と遭遇し、情緒不安定になっていたキリトを落ち着かせていたというのだ。

 あたしがアルゴさんから教えてもらった人物は黒髪黒目で耳が尖っている平均的な背丈の男性プレイヤー。耳が尖っているという特徴からあたしと同じでSAOに迷い込んだALOプレイヤーであるのはほぼ確定的だ。

 そしてアルゴさんがキリトに聞かせないように話してきた理由が、そのプレイヤーの名前が《アキト》である事、そして誅殺隊の概念的リーダーであるキバオウに何時か知らないが接触して煽動している可能性からリアルが《織斑秋十》であると推測された為だ。

 キバオウはキリトを《ビーター》として嫌悪しているのではなく、《オリムラの出来損ない》として見て憎悪していて、更には周囲の人間を巻き込んで先頭をひた走る人間。そんな奴が誰かの指図に従う筈が無いのに、現に煽動されているという事は、キバオウ以上にキリト……いや、《オリムラの出来損ない》に対して並々ならぬ負の感情を抱いているという事になる。

 そして極め付けにプレイヤーネーム。

 これはまさかと思ってあたしに話し、折を見てあたしからキリトに話し、落ち着かせつつ心構えをしてもらおう……と決まって迎えに来てみたらもう遅かったという訳だ。

 正直、キリトは色々と運命に呪われている気しかしない。

 

「アイツ、キバオウと繋がってたのね……それを知ってたら売らなかったのに……」

 

 リズさんが凄く苛立たしげに言う。どうやら割とおおらかな部分がある彼女ですら苛立つ程の人格者らしい。

 まぁ、あたしも話した事こそ無いものの、キリトから聞き知っている人物像を思い浮かべるだけでも腹立たしい気持ちになる。

 

「……まぁ、アイツが選んだ剣はそこまで良質って訳じゃ無いし、別に痛手っていう訳でも無いから良いけど。むしろずっと売れ残ってた粗悪品だし」

「え、そうなんですか?」

「あの《アルジェントブレード》ね、凄い綺麗な純白だから見た目が良いって手に取って見る人はいるんだけど……強化試行回数がたった三回なのよ、耐久値も低めだし。アレは設定的に儀礼剣だから豪華な反面弱いのよね。まぁ、その分クリティカルポイントを攻撃した時のダメージ倍率は普通の片手剣より強いし、スピードタイプに適した剣だったから値段はそこそこにしておいたの。アレを取るって事は、よっぽど怒りで我を忘れていたか、品定めする目が節穴かのどっちかね」

「「「「……うわぁ……」」」」

「……」

 

 どんな剣だったか知らないのであたしとアルゴさんは反応が出来ないが、リズさんの説明を聞いてシリカさん、シノンさん、ユウキさん、アルゴさんの四人が物凄い呆れた笑みを浮かべ何も言えないとばかりに頬を引き攣らせていた。

 対して、キリトは微妙な面持ちだ。自身を捨てた兄とは言え、情緒不安定になっていたという事はキリトの内心では切り捨てていないという事だから、まだ家族の情が少しあるのなら少し思うところがあるというのも分からなくはない。

 優し過ぎるとも思うが、庇うような言動を取っていないのだから注意も出来ないし、今はする必要性も感じられないから今はいいだろう。

 

「あのアキトっていう人、どれくらい強いのかな」

「……元ALOプレイヤーで三週間前に来たという事と、リズの剣を持てていたという事はレベルは最低でも65はある筈だ。運ぶ時に不自然さが見られなかったからステータスにも余裕がある筈……70以上は確実だから、攻略組に入れる程度にレベルはあるんじゃないかな」

「確かに剣を持ってたからそれくらいは要るよね……実力に関してはどうなんだろう……?」

「俺が二日で辞めた篠ノ之道場では一番だった筈だ。確か今から二年程前の夏にあった全国剣道大会男子の部で優勝してたような……」

「あー……居たね、そういえば。新人なのに強いって凄い注目浴びてたの覚えてる」

 

 二年前の剣道大会では和人を思い切り虐げていた人物という事を知っていて、そんな人物が同じ全国大会に出場して、あまつさえ優勝まで行ってしまっていた事に何とも言えない気持ちになったものである。

 和人がデスゲームに囚われた翌年、すなわち去年の全国大会にも出場していたし、女子の部には束さんの妹も居たから尚更鮮明に覚えている。彼女もかなりの実力者だったようで決勝まで勝ち抜いて来て、最後の試合で当たったのだ。

 まぁ、速攻で勝ったが。荒々しい剣は確かに圧倒に向いているだろうが、それよりも強い覚悟を秘めていれば効かないので、冷静に対処すればすぐに勝てた。

 とは言え、簡単に言っているものの相当集中力を要したが。もう一度同じことをやれと言われても十回に三回は失敗するだろう。

 

「あれ? リーファさんって、リアルでは剣道をされているんですか?」

「うん。一応一昨年と去年の全国剣道大会女子の部で優勝しました」

「「「「えぇ?!」」」」

 

 これでも物心付いた事から祖父に扱かれていたし、一昨年は和人が家族になってあたしから教え込み始めた年だったから実に充実していたのだ。義弟の前では誇りある義姉として振る舞いたかったのだ。

 まぁ、流石に会場まで来ると和人はヤバいので来る事が出来なかったが、その代わりテレビ中継で応援してくれていたようなので嬉しかった覚えがある。メールで応援までしてくれたので、色々と吹っ切れて、一気に勝負をつけに行っていた。

 

「一昨年のは知ってたけど、去年も優勝した事は知らなかった……一年近く遅いけど、おめでとう」

「ふふ、ありがとう。でも流石に今年は無理だなぁ、SAOに居るからそもそも出られないし」

 

 剣道部員達には悪いがあたしとしても現状を如何にかする事も出来ないので彼女達で頑張ってもらうしかない。部長として、生還してから結果を聞きたいものである。出来れば誰かが優勝していて欲しい。

 

「全国大会優勝者って……えぇ……キリトくんのお義姉さん、凄い……」

「義弟の応援で頑張っちゃいまいした」

「「「「「なるほど納得」」」」」

 

 シリカさんの呆然とした言葉にそう返せば、キリト以外の五人が声を揃えて言ってきた。

 どうやらキリトの応援で頑張れてしまうのは共通見解らしい。

 

「三連覇目指してたから心残りが無いと言えば嘘だけど……まぁ、キリトに逢えたから良いかな。今年もあの人とぶつかってただろうから半分助かった思いもするし」

「あの人って誰よ」

「篠ノ之箒っていう人です。束さんの妹……らしいんですが、ね」

 

 篠ノ之箒。

 生憎束さんから年齢まで聞いていないので、あたしが中一の時――デスゲームの年――に出場した夏の全国大会に居なかったのはあたしより年下だったからか、あるいは単純に勝ち抜けていなかったからなのかは分からないが、かなりの実力者というのは確かだ。

 とは言え彼女の剣はあまり親しめるものでは無い。いや、他者を拒絶し蹴落とす暴力的な印象を受けたから、彼女の人間性からしてあまり他者と親しく出来るようなものではないのだろう。

 現在、篠ノ之家は日本政府による重要人物保護プログラムによって一家は離散し、日本の何処に居るのか親類縁者ですら分かっていない現状だ。

 彼女は束さんから、妹も剣道をやっているから会うかも、という事で一応名前を教えてくれていたから分かった。

 ちなみにその時に束さん以外は名前を変え、戸籍やプロフィールなどもでっち上げで偽造されているらしいのだが、束さんはその偽名すらも知っていたためあたしも彼女が妹なのだと分かった。他の人には《篠ノ之箒》という名前ではなかったから、大天災の妹であるとは露とも思っていないだろう。

 その彼女と去年の剣道大会でぶつかった。危うい場面もあったものの勝利して優勝したあたしは、何故か物凄い目つきで睨まれたのである、まるで目線で射殺さんばかりの眼は殺気に満ち溢れていた。

 多分今年は負かせてやろうと息巻いているだろうが、残念ながらあたしはSAOに巻き込まれてしまったのでそもそも出場出来ない。次に顔を合わせるとすれば和人関連か、高校の剣道か……

 いや、そういえば彼女は『束さんの妹だから』という理由でIS学園に入学させられると束さんから聞いた事がある。あそこは高等学校で部活も存在するものの、色々と国交関係で面倒な事になるので大会には出場出来ないらしいので、もう二度と剣道で顔を合わせないという事になる。

 つまりあたしの勝ち逃げという訳だ。流石にSAO乱入はあたしが意図した事では無いので責められる謂われは無いのだが、彼女のあの目つきからして人の話を聞くタイプだとは思えないので諦めている。まぁ、そもそも合わなければいい話なのだが。

 あたしが剣道でぶつかった彼女と何があったかの部分だけを語ると、一同が何とも言えない面持ちになった。

 

「うぅん……何て言うか、逆恨みだよね、それ……」

「……やっぱりそうだよね。やだなぁ……恨まれるような事じゃないのに……ていうか、束さんの家族とは思えないくらい性格歪んでると思う」

 

 色々と破天荒で昔は好き勝手していたらしい束さんだが、今は凄く落ち着いているし、面倒見も良いお姉さんみたいになっている。まぁ、言動がちょっと……いや、かなり軽いノリなのだが、実際は思慮深い女性なのだと知っている。あのおちゃらけた感じも、慣れてしまえばそれはそれで良いと思う。

 それに対し、あの篠ノ之箒は傍若無人で粗暴な印象が強かった。一言も言葉を交わしていないが、あの目つきを見ただけで大体の人間性を測れてしまう。所謂、底が浅い、というやつだ……偉そうな事を言える立場では無いのだが。

 

「…………まぁ、箒は……道場に入ったばかりの俺に『千冬さんの弟なら強くあるべきだ』って言って、実戦形式で扱いて来たからな……」

 

 ちなみに、和人が五、六歳の頃だったらしい。

 …………ダメだろう。理由もやり方も。

 

「うっわ……理由もそうだけど、やり方も酷いわね……それ、誰も止めなかったの?」

「師範と師範代が居ない時を狙われたから……周りも、むしろ煽ってたし」

 

 確かこの子が虐げられ始めたのはISが世に出てから三年目、五歳の時だった筈。だとすれば丁度虐げられ始めた頃の話だ。

 ……織斑千冬に問い詰めるべき事が増えたようだ。あの女、一体何をしていた、せめて最初くらいは一緒に居てあげるのが普通だろう。幾ら忙しくても多少時間を割いてあげるべきだ。

 確か織斑千冬は第一回《モンド・グロッソ》が開かれる一年ほど前から束さん直轄の日本代表選手として働いていた筈なので、それより以前に比べて忙しさは軽くなっていた筈だ、少なくともバイトに奔走していた頃よりも。日本代表選手だったのだから給金は出ていたのだろうし、実際それで和人が買い物でお金に困った事は無かったと聞いている。

 日本代表として働いていたから忙しいのも分からなくも無いが、もっと時間を割けば防げた事もある筈である。

 まさかこの世界に来てまで織斑千冬に対する文句が出て来ようとは思いもしなかった。

 

「とは言え、すぐに束博士が助け出してくれたから、二日で道場を辞める事が出来た……織斑千冬が凄い怒鳴って来たけど、それにも対処してくれたし」

「……あの女ァ……ッ」

 

 キリトには聞こえない程度に密やかに憤怒の声音を洩らす。また今度会って、その時も覚えていたらもう一度強く言ってやる。多分次会う時は別の事に気を取られている気がするけど。

 ……それにしても、そのエピソードは初めて聞く。前通っていた道場は二日で辞めたと聞いた事はあるが、その原因と経緯については一切聞いていなかったので初耳だ。

 

「あの、リーファさん。リアルのキリトくんってどれくらい強いんですか?」

「え? えーっと……」

「……」

 

 ふと、シリカさんが思い至ったようにそんな質問してきた。予想していなかったので詰まっていると、当のキリトがちょっと期待しているような眼でこちらを見て来るので、少しぐっと来る。

 とは言え、ここで贔屓しても意味は無いので、正直にあたしの感想を言った方が良いだろう。

 

「あたしもまだまだ修行中の身だから偉そうな事は言えないけど……他の人が一を教われば自然と二、三と進められるのに対し、この子は一だけでなく二も三も教わらないとほぼ出来ない」

 

 けど、とあたしはそこで言葉を区切った。

 

「この子は、努力は絶対怠らない。決して実を結ばないとしても、それで自棄になったり放り出す事は一切無かった」

 

 努力していれば何れ報われる、なんて言葉が幻想に満ち溢れた嘘である事を既に理解している。しているが、それで放棄する事は無い。努力していても報われない事は必ずあるが、努力していなければ絶対事を為せない事を理解しているからだ。

 だからこそ、この子は愚直なまでに一つの物事を繰り返し練習する。その反復練習は正に武道には持って来いだ。

 

「一言で言えば大器晩成……でも、そんな言葉に納めて良いものではないとあたしは思う」

 

 成長は確かに遅い、むしろ遅すぎると言っても言い足りないくらいではあった。

 だが、それでも成長していない訳では無い。少しずつ、少しずつ前に進んで、リアルのあたしが鍛錬で掛けた技に対処する事が出来るようになっていった。

 それは本当にゆっくりとした速度ではあったが、手応えはあったのだ。

 

「そして、この子にはきっと誰よりも優れてる点がある……それが見取り稽古とその独創性」

 

 見取り稽古。

 それは他者や先達の技量を見て学び、己のものとしていくものだ。強い人の試合を見て感化されるものがこれに当たるが、この子の場合はそれが並みでは無く、強者の長所と短所を見抜いて改善点を見出し、それを吸収するだけの能力があるのだ。

 そして独創性とは、見取り稽古によって得た他者の型に嵌る事無く、あくまで一つのスタイルとして捉えて疑似的な経験……所謂イメージトレーニングというものにしている。

 そこには彼自身の技もあるし、他の人の技もある。

 

「見取り稽古については何となく知ってましたけど、独創性についてはユウキさんとのデュエルで気付きました。特に後半……キリトが敗北寸前になってから、一度たりとも攻撃が掠らなくなって暫くしてからでした」

 

 キリト本人に自覚があったかは知らないし、ユウキさんが気付いていたかも分からないが、キリトは途中からユウキさんの動きに合わせ始めていた。たった数合斬り合っただけなのにだ。

 たとえ一年半もの間、ボス戦で共に戦った仲であろうと、基本的にソロであった彼が彼女のスタイルに合わせられる程慣れている筈が無い。デュエルも短い間だけだったから、あの短時間で慣れたとは思えない、もしもそうならそれはそれで別の才能だ。

 それなのに出来てしまっていた。それはつまり、あの短時間でこの子は彼女の動きを見切り、先を読み、意図を汲み取っていたという事になる。

 

「でもただ読んで模倣しただけじゃ意味が無い。ただの模倣は、初見の攻撃ですぐに地金を晒す事になるから」

 

 模倣というのは、一度見た動きや攻撃の再現であり、その特徴から一度も見ていない動きを真似る事など絶対に出来ない。

 確かにキリトは前半で腹に一撃、手に一撃、体に十撃を受けていた。その後は激しい剣戟の応酬とソードスキルの打ち合い、読み合いだ。

 だが、仮に模倣していたのだとしたら、ただの一撃も激しい剣戟に掠らなかったというのはあり得るだろうか。相手の攻撃を読めるとしても、少しの読み違いで掠ってしまう筈なのに、それが無かった。

 それはつまり、彼女のスタイルに自分のスタイルを合わせ、長所と短所を噛み合わせ、隙を無くした事に他ならない。

 それを丁寧に説明すると、さしものユウキさんでも驚愕していた。まさかそこまで出来ているとは思わなかったのだろう。

 

「キリトに初見の技が通用しないのは闘技場《個人戦》でも嫌という程に見ました。あの隕石と火焔弾の嵐を、キリトは見事生き残って見せた」

 

 けれど、あの攻撃を前にして一体どれだけの人間が生き残れるだろうか? 少なくともあたしには無理だ、そもそもどうやって対処すればいいか分からない。

 だが、彼はそれをやってのけた。他の初見の攻撃にも大体対処して見せた、少なくとも彼が万全である間は。最後のホロウに関してはアレだが、たとえ相手の手札を知っていたとしてもそれで捌き切るとなれば話は別なので、あの戦闘スタイルも学習していた筈だ。

 ただ模倣が得意であれば、これまでの戦いで攻撃を対処する事は出来なかっただろう。それをやってのけたという事は、彼には見取り稽古で他者の技を自分のものにする能力だけでなく、それの長所短所を加えて自分なりのスタイルを維持し成長する独創性も存在しているとあたしは考えている。

 キリトは謂わば、真っ白なカンバスなのだ。

 他の人にはその人なりの色、つまりはやり方があって、一を教えられれば自分の法則に従って二、三と進んでいく。それで他の子と並べても、決して同じ結果にはならず、並べた人数の分だけ違う成長図形を描く筈だ。

 反面、キリトは無色、何も知らないし自分なりのやり方が無い。何故なら他者のやり方を見て学習する事に限局しているから。それもただ決められた一人では無く大勢のやり方を見て学び、最も良いものを選ぶのではなくそれら全てを寄り集めて最良の形を新たに自ら作り出す、それが彼なのだ。だから彼の成長図形も絶対に誰一人とも被らないものになる、強いて言えば、誰のにも似ているという不思議なものになるだろう。

 だから彼は、生きれば生きる分だけ、他の人と接すれば接する分だけ強く成長する。人を恐れているのに人から離れないのは、もしかするとそういった部分もあるのではないかと思っている。

 きっとこの子には才能が無いんじゃない、才能が芽生えてないだけだ。まだ基盤が、下地が出来ていなかっただけで、これからそれを芽生えさせ、育て、開花させるのだ。

 そしてこの世界に来て、デスゲームという戦わなければ死ぬ極限の環境をきっかけに、才能は萌芽し、一気にこれまでの分を返すかのように成長を始めた。

 

「だから強い弱いで言えば、過去のこの子は確かに弱かった、何故なら先達と言える人をほぼ見て来なかったから。けれど、この世界に来て、多くの人々と共に戦った事でとても成長したと思います……きっと、リアルに戻って体力を戻してから試合をすれば、あたしが勝てる確率は五分を切っている」

 

 十回全て負ける事は無いだろうが、勝てても二回あるかどうかというくらいだと思う。ルール無用なら全敗を喫する事間違いなしで、ルールありの試合ならチャンスがあるかもくらいなものである。少なくともあたしはそう認識している。

 そしてその勝率は、回数を重ねていく度に低くなっていくに違いない。

 

「予想ありきの話だけど……この子はもう十分強者の域に居ると思いますよ。この子に勝てる相手はそうそう居ないでしょうし、勝てても苦戦は必至でしょう」

「リー姉……ッ!」

 

 ぱぁぁぁっ、と嬉しそうに、褒められて喜んでいるのが分かる満面の笑顔と感涙を浮かべるキリトの視線と声を受け、少し面映ゆくなるものの、決して恥ずかしい事ではないのだからと目を逸らさずに見返した。

 それにキリトは恥ずかしそうに、けれどそれ以上に嬉しそうに華やかな笑みを浮かべた。

 

「良かったわね、キリト。お義姉さんに認められて」

「ああ……今まで頑張って来て良かった……!」

「……そこまで喜ばれると、ちょっとむず痒いなー……」

 

 キリトは本当に嬉しそうに、感涙を浮かべながら満面の笑みで喜びに震えていた。

 別に正直に思った事を言っただけだからそこまで喜ばれるとなーと思うものの、自分が言った事を思い返せば、かなり真面目にべた褒めしていたため、これは喜ぶのも当然だなと自分で納得してしまった。

 

「ふ、ふふ、あふ……ふふふ……」

「わー…………キリトがトリップするくらい喜んでるのって、物凄いレアじゃない?」

「「「「うん」」」」

 

 喜びで赤くなっている両頬に手を当て、譫言のように嬉しそうな声を洩らすキリトを見て、ユウキさんが呆気に取られたかのように呆然と言ったのを聞いて、あたし達は首肯せざるを得なかった。

 多少は喜ぶかなとは思っていたが、まさかトリップする程とは思わなかった……どうやらキリトにとって『姉』の立場にいる人物の言葉や評価は絶対的らしい。これでもしもこっぴどく扱き下ろしていたらと思うと、考えるだけでも恐ろしい事態にしかならないと思って少し震えてしまいそうだった。

 ちなみに脳裏には、目からハイライトが消え失せたキリトが迫ってくるシーンが浮かんでいた……かなり猟奇的な光景なので、純粋に怖い。流石に義弟であっても病みは遠慮したい。

 まぁ、この子の場合、そんな危険な方に転がるくらいなら危険も何のそのともっと危険な方に進んで成長しようとすると思うが。

 そういう意味で評価する言葉には気を付けなければなと、あたしは新たに胸に刻んだのだった。

 

 *

 

「……また、取り乱しました。ごめんなさい……」

「いや、誰も気にしてないから……ねぇ?」

「「「「うん」」」」

 

 褒められて喜ぶだけならともかくトリップする程となると相当珍しいのでちょっと観察しようという事になってからおよそ十分の後、はっと我に返ったキリトが顔を羞恥で真っ赤にしながら謝罪と共に頭を下げて来た。

 それにあたしが対応した。同意の言葉に皆も同じだと頷く。

 実際、見ていてとても和んだ。純粋に褒めただけでトリップするっていうのもどうかと思うが、とても可愛らしい一面なので見ていて凄い和んだ。

 ……撫でまくったらどんな風になるのかなと、ちょっとあたしの心の中の小悪魔が誘惑してきたくらいだ。ちょっとくらっとしたけど、何とか精神力を振り絞って耐え抜いた。

 他の皆が居なかったら真っ先に我慢せずやっていたと思うが、それはそれ、今は耐え抜いた自分を褒めてやりたい気分である。

 

「…………えっと……そういえば、ナンは何処に……」

「ナンちゃんなら、さっきからずっとピナと一緒にカウンターで寝てるけど」

「え?! あ、ホントだッ?!」

 

 恥ずかしさを紛らわすためだろう、露骨な話題転換に苦笑しながら答えれば、ナンちゃんが来ていた事に全く気付いていなかったようで驚きの声を上げていた。むしろ墓穴を掘っていて凄く可愛いと思う。

 ちなみにナンちゃんは、自分の名前が呼ばれた時点で目を開けて頭を持ち上げ、キリトの方を見ていた。

 目が合うや否や、ちょっと忘れていた事に拗ねているのかぷい、と顔を逸らし、不貞寝するかのようにまた身を横たえた。

 

「あぅー……」

「あははっ、振られちゃったね」

 

 事情が事情だから仕方ないとは言え、存在を忘れられていたからナンちゃんは少しご立腹のようだ。これはまた夕食に美味しいご飯を用意しなければいけないだろう。ゆらゆらと尻尾を揺らしているのはちょっとご機嫌な証拠だけど。

 アレは一体どっちなんだろうか。

 懸念すべき事は増える一方だけど、それでもキリトは少しずつ成長し、穏やかな一時を享受する事が出来ている……その事実があたしは、堪らない程に嬉しかった。

 

 






 はい、如何だったでしょうか。

 いきなりのユウキ告白はアルゴによって邪魔されました。ここに誰を来させるか悩んだ、最初はリーファ突入から空気が絶対零度に凍るっていう展開を考えたんですが、ちょっとほのぼのに持っていきたかったのでアルゴを犠牲にしました。

 すまん、アルゴ。何れ単独回をしようと考えてるから(するとは言ってない)

 最早原作ユウキの面影がどこにも無いくらい精神的に成長しているが、これが本作の紺野木綿季です。むしろ人生経験っていう意味ではかなり他のキャラより上じゃないかなと思ってたり。

 あと、過去の差別や虐待経験がキリトに似ているんで、共感を得ていたりするんじゃないかなー……というご都合主義で。実際かつての危ない自分に似てたら目が離せないと思うんですよね。こう、年齢的に姉として。

 次にリーファ/直葉。

 物凄いお師匠感というか、千冬を柔らかく面倒見良くした上でブラコンが入ってる上位互換版だなと書いてて思った。全国剣道大会で中一、中二と二連覇してるし。三連覇させてやれないのがちょっと惜しい気がしてます。

 所々千冬との対比を意識しているので、読み返してみたらこれかなと思う表現があるかも。基本的に千冬は褒めずに悪いところばかり言ってるけど、直葉は悪いところを言いつつそれを踏まえて褒めてます。

 そして仮想世界に閉じ込められていてもヘイトを向けられる世界最強。時期的に考えれば実際国家代表と言えども以前ほど余裕が無いという訳じゃ無い筈なので、かなり自業自得感がある。

 次に名前だけでも本作初登場の篠ノ之箒。

 本作ではありきたりなオリキャラ一直線にするべきか、それとも色々と空回りまくってあんな行動を取った事にするか悩んでるので、セリフを一切入れてないです。どちらにでも取れる風に書きつつゆっくり決めていこうと思います。

 ホントなぁ……ツンデレなのかヤンデレなのかただの暴力娘なのかよく分からんです、原作一夏ってよく笑って過ごしてますよね。そのせいで黒一夏も爆誕してるし。

 本作で和人が竹刀で叩かれる事案(未遂含む)が直葉に伝わったら、その時点で極刑確定ですな。義姉として九割、剣道経験者として一割で。経験者が凶器を人に向けたらダメだと思う(代表候補性である原作ヒロインズのIS無断展開を思い浮かべつつ)

 彼女が後にキリト側になるかどうか、それは今の所不明。あと年齢が分かってないのも、活動報告のアンケートを呼んでる方なら分かると思いますが、アレのルート決定次第で年齢が上下するから不明にしているのです。実際一年生で全国大会に出られるレベルは相当だと思うんで。ただ原作で優勝した時の話で、もしも負けていたらと思って書きました。

 直葉は義弟応援による義姉パワーでやってのけたという事で一つ。弟に応援されたお義姉ちゃんは最強なのです。千冬は応援があっても無くても当然出来ると思ってる気がするので別。

 そしてオリ兄のアキト。

 彼は性格こそアレですが、実力ある強者とする事にしました。人間性がアレでも実力ある人って割といるし(例:PoH、ガブリエル、オータム、リゼヴィム・リヴァン・ルシファー等)。よって本作の彼は強者です。

 まぁ、物語の展開上絶対に負けるんですが、それはそれ、現状のキリトと戦う時は負けはしないけど互角程度に食いつく描写にしたいなと思っております。

 主な目安としては原作キリトか本作ユウキと互角。天才な上に剣道全国優勝者ならそれくらい出来てもおかしくない筈(完全天才肌の原作ユウキと剣道経験者のキリトとゲーム苦手な筈の剣道現役者リーファの適応力と強さを考えつつ)



 ……しかし、本当にスローペース。今話の内部時間、一時間も経過してないですよ。下手したら三十分も経ってない……

 《レイド戦》はどうしよう、もう飛ばしてニシダさん出して七十五層ボス攻略行きましょうか。それとも《レイド戦》も書くべき?

 一応考えているボスは第一層、第二十五層、第五十層、《個人戦》ホロウ、ヤバい奴なんですが……もうキリトの限界突破であらすじみたいにまとめて、ストーリー進めた方が良いかなと思う今日この頃。流石に第七十五層で三十章分は長過ぎる、文字数的にも。

 今の私は飛ばそうかなと思ってるんですが、読みたい方がその旨を感想と共に送って下されば書くかも知れません。一話で一体か二体くらい倒す予定。最大で六話くらい使うかも? その後はアシュレイさんのがありますが。

 まぁ、最後のヤバい奴の所から書くという手もあるんですがね、原作みたいに場面飛び。でもあんまり戦闘でしたくない。ユウキの時は思い切りしてましたがマンネリ化が嫌だったから時間経過させたんです。

 ちなみに《レイド戦》飛ばしたら、代わりに第七十五層ボスをフルで書こうと考えてます。どっちになるかは皆さん次第。

 感想を送って下さる際に意見を聞きたいなーと思っております。無論強制では無いしアンケートでも無いです。読みたい意見が多かったら書く、構成は出来てる、あとはモチベーション!

 注文含めて長々と失礼。

 では、次話にてお会いしましょう。


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