Fallout 3 -Lyrical edition- 作:クラッチペダル
というか、Vault101のあいつは間違いなく公式でチートキャラ。
--父を追ってVault 101を飛び出してから、既にどれほどの月日が流れただろうか?
そのコンソールを前にし、旅人はふと思う。
--数週間……いや、数ヶ月が経過したのか。
--あるいは、まだ数日しかたっていないのか……
まるで絶え間なく放たれる5mm弾のように立て続けに起こった出来事は、彼から時間経過に関する感覚をそぎ落としていた。
そんなものに気を取られては、生きていけない世界だったが故に。
--父を追いかける過程で、レイダーと何度も遭遇したっけ。
--スーパーミュータントの圧倒的な暴力にも何度も晒されよな。
--他にも、タロン社、ヒットマン、エンクレイヴ……
--あらゆる敵と戦い抜いたはずだ。
--それだけではなく、少しでも信じようとした人間に裏切られたりも珍しいことではなかった。
他にもさまざまな事柄が、旅人の脳裏によぎる。
--よくまぁ、こんな希望を絶望で塗りつぶす世界でいて、なお最後の希望だなんだと呼ばれるまでに個人的な感覚でまっとうに生きてこれたもんだ。
旅人は背後を振り返る。
強化ガラス越しに見えるのは、旅の初めの頃から旅人を支え続けた忠犬と、旅の終わりに近い頃に出会った、正しき心を持つ異形。
--下手をすれば一日かからずにレイダーどもと同程度までに堕ちるかも知れないこの世界で、こうしていられたのは、間違いなくあいつらのおかげだよな。
それは、彼の性格故に今まで決して言葉に出来ず、そして終ぞ言葉にする機会が失われてしまった感謝の念。
既に彼らと旅人をさえぎる扉は開け放たれることは無く、そして旅人の体は目に見えぬならず者どもに好き勝手に蹂躙される。
--だから……
「だから、これは俺がやる。俺の仕事だ」
その念を言葉として伝えれなかった旅人は、行動する。
押し付けることも出来たのだ。
特に、旅人を友と呼ぶ異形ならば、この見えないならず者どもの影響を受けずにこの機械を起動させることが出来ただろう。
しかし、旅人はそれを良しとしなかった。
彼らの未来を守る為に命をかける。
それが、旅人が自らの思いを形とするために選んだ選択であった。
なぜ意固地なまでにそれにこだわったのか、自分でも分からない。
現に友は自らが行こうと言っていたのだ。
それを、自分は止め、自分が行くと言ったのだ。
体の内部から襲い掛かってくる熱でふらつく視界を何とか保たせ、旅人はコンソールへとたどり着く。
あしらえられているのは、1から9までの番号が振られたキーと、実行キー。
「ヨハネ黙示録、第21章6節……」
旅人の父が生前事あるごとに語った、その言葉。
旅人の母が好きな言葉だったと聞かされている、その言葉。
『私はアルファであり、オメガである。最初であり、最後である。私は、渇く者には、命の水の泉から、値なしに飲ませる』
旅人の指が、迷い無く三つの数字を選ぶ。
第『2』『1』章『6』節。
すなわち、2・1・6……
そして指は、実行キーを押した。
瞬間、轟音を上げ動き出す装置。
最早たつことさえ叶わぬ旅人の目の前にある貯水槽の水が、瞬く間に澱みをなくし、澄み渡っていく。
ぼやける視界の中、旅人は見た。
貯水槽の中に存在する、第三代アメリカ大統領トーマス・ジェファーソンの像を。
その像は、まるで自分の選択は間違っていなかったと賞賛するかのように、浄化装置によって浄化されていく水の中からその姿を現した。
(父さん……これで、いいんだよな?)
石像に見守られ、旅の仲間に見守られ、旅人はその目を閉じた。
そして、その目は二度と開くことが無いだろう。
その事を察したのか、浄化装置の外にいる忠犬が悲しげに吠え、異形の友が悔しさに身を任せたように彼の怪力でも壊せない強化ガラスに拳を叩き付けた。
だからこそ、彼らは見逃した。
ジェファーソンの像の顔の前に、青く光る何かが現れたという光景を。
父の足跡を追うため、安寧なるゆりかごから飛び出した旅人は、荒んだ大地と荒んだ心がはびこる地で、しかし父の教えを胸に抱き、戦い続けた。
そして旅の果て、勇気の持つ真の意味を知った旅人は、かつて父がそうしたように、人類の明日のため、我が身を捧げた。
選ばれし者として、多くの命を奪うことを拒否し、人類の過ちさえも許し、人類が絶えぬよう、命の水を流すために。
Vault 101を飛び出した旅人の、一つの旅が終わり、歴史に綴られた。
しかし、人類が歩みを止めることは無く、生きるための戦いをやめることは無い。
そう……戦いだ。
戦いですべてを失った人類は、しかし戦いをやめることは無い。
人は……過ちを繰り返す。
※ ※ ※
彼が意識を取り戻し、まず感知した情報は音だった。
それも、かなり大きな音。
そう例えるなら何か大きな質量を持った物体が岩にぶつかったような……
「……?」
その音を感知した彼は、重いまぶたを何とかこじ開ける。
視界に入ってきたのは満天の星空。
しかし、それを見た彼はふと疑問に思う。
いつも自分が見ることが出来る星空は、これほどまでに暗く、見難いものだったか? と……
そんな事を考えている最中に、再び大きな音が聞こえてくる。
その音がした方を見た彼は目を見開く。視界の中には少女が一人とその向こう側に見たことがない、化け物。
「……っ!?」
それを視界に収めた彼の行動は早かった。
すぐさま立ち上がり、左腕に装着されているモニターつきの巨大な腕輪を操作し、何処からとも無く取り出した注射器に入った薬剤を大量投与。
ついでに先ほどと形が違う注射器で何かを体に注入し、さらには吸入器のようなものから何かを吸い出す。
そしてそのまま、彼は腕輪を再び操作する。
しばらく腕輪を操作していた彼が操作をやめると、その手には先ほどまで無かった物が握られていた。
塗装などがはげ、やや劣化している風にも見える黒い金属製のボディ。
そのボディの前には、色褪せてしまった木製の握りがつけられている。
しかしその磨耗した見た目と違い、それは間違いなく凶暴な威力を秘めている。
手に現れたそれに目をさっとやり、見た目にあらわれている大きな問題が無いことを確認すると、彼は手に現れたそれ……クサンロング・アサルトライフルと呼ばれているそれを構え、しばらく経った後にトリガーに指をかけ、ためらい無く引く。
放たれた弾丸は、すべてが化け物の頭や胴体にヒットする。
自分が放った弾丸により化け物がひるんだことを確認した彼は、そのまま化け物と対峙していた少女の下へ駆け寄り、自分の背中に少女を隠すような立ち位置に陣取った。
「お嬢ちゃん、大丈夫か!?」
「へ、ふぇ!?」
いきなり声をかけられたせいか、少女は混乱を隠せないようだ。
そうしている間にも、先ほどクサンロングによって吐き出された5.56弾12発を喰らった化け物は、その傷を再生させて彼とその後ろにいる少女をその赤い目で睨みつける。。
「怪我が再生した? スーパーミュータントの新種か? いや、人型じゃないから……ケンタウロスの新種か?」
そう呟きながらも、少女を背中に隠している彼は左腕の腕輪を操作する。
先ほどまで持っていたクサンロングはその姿を消し、代わりに現れたのはドラムマガジンをその銃身中央よりやや前方側に備え付けた銃火器。
現れたそれをしっかりと握り、銃口を化け物に向ける。
「ハッハァ! テリブルだ、ミンチになりやがれ!!」
その叫びと共に銃口から飛び出した
これは……R-18の方がいいのだろうか?
でも、さすがにゲームPC版みたいにあれがぽーんとなるようなことはしないですし、これでも大丈夫……ですよね!?
今回お目見えした武器はクサンロングアサルトとテリブルショットガン
どちらも強力な武器で筆者の主戦力でした。