我が軌跡は誰かの為に   作:みずしろオルカ

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 大変遅くなりました。

 暗い話を進めていきたいと思います。

 ただ、自身へのダメージもでかいですw

 ほのぼの脳が枷になってる気がしますね。


第1話 決別

 ミッドチルダに雪が降る。

 

 地球の暦では今日はクリスマスイブ。

 

 忙しい合間を縫って高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやての三人は友人や家族を集め、クリスマスパーティーを催していた。

 

 この日、多くの偶然が重なり、六課時代の教え子達も参加し、大所帯になっていた。

 

 その中で、一人を紹介したいという八神はやての申し出から物語は始まる。

 

「うち等の同僚なんや、天才ちゅうんはああいう奴のこと言うんやろうな」

「そうだな、料理がはやて並みにギガウマなんだぜ!」

「カートリッジ式のインテリジェントデバイスを使っていて……強いな」

「薬学や医学にも知識が高くて、デバイスマスターの資格も持ってますね」

「うむ、アイツは主はやてを幾度となく救った恩人でもある」

 

 それほどまでに友人たちの高い好感度を得ている男が気になる。

 なのはとフェイトははやてとは親友同士であり、深い付き合いがある。

 

 しかし、友人の周囲に男の気配は無かった。

 暗黙の淑女同盟もあるので、隠してたとは考えづらかった。

 

「はやてちゃん、その人といつ知り合ったの?」

「ちょうど、六課解体の後やな。有名人やで? 特になのはちゃんは聞いたことあるんやないか?」

 

 そう言われて、自身の記憶を探るなのは。

 正直、料理云々などの家庭的な情報は親密にならないと知りえない情報なので、検索項目ははやての所属部隊と強いという情報だ。

 そして、少々目立つ一人が思い浮かぶ。

 

「もしかして、三高君?」

「三高君って眼帯してるあの三高順一?」

「当たり! エースオブエースの名を持つもう一人や」

 

 それは、なのは達が管理局で働き始めた頃にはすでに所属していた同い年ぐらいの男性だった。

 9歳の時分から眼帯をして最前線で闘っていた。眼帯の下は管理局入りする前に失っているらしい。

 その頃から知っていて、話す機会が無かったのは互いに忙しかったからか。

 高町なのはには『不屈のエースオブエース』という称号がある。

 三高順一には『不撓のエースオブエース』という称号が与えられていた。

 

「確か、元第444管理外世界アースの出身で現在は出身世界は消失、アースただ一人の生き残りだって」

「うち等よりも若い頃から管理局に居った先輩やな。つーか、フェイトちゃん詳しいなー」

「うん、匿名でこの人の不正を垂れ込まれて、調べたことがあるから……、結局何もなかったけど」

「胡散臭い上司連中に嫌われとるからな」

「あれ、それだとはやてちゃんも……」

「それ、うちが胡散臭いってことか? そうやのうて、黒い噂がある上司連中や」

 

 ああ、っとなのはとフェイトは納得した。

 先の事件で管理局の中でも汚職や犯罪で捕まった人間は多い。

 それでも一掃しきれていないのが現状だ。

 

 そういう人たちに嫌われているということは、後ろ盾なども無い状態で上司などに意見し続けているのだろう。

 内容までは知りえないが、痛い所でも突いた可能性が高い。

 

「ああ、それで彼の任務歴見た時に単独任務が多かったんだね」

「それってホント?」

「うん、はやてなら知ってるかもだけど、今年だけで単独任務50件以上、内危険度Aクラスの任務が28件」

「残りの22件も、実は凶悪案件だったって結果が付いて来とって、結果的に50件全てがAクラス難度以上の危険任務や」

 

 通常そんなことはありえない。

 どんなに優秀でも少数精鋭部隊を率いての任務になる。

 それを一年間に50件、しかもすべてが難易度Aクラスばかりだ。

 

「これは私たち執務官が動くような話?」

「これはやめておいたほうがええで、クリスマスパーティーには不釣り合いな話になるし、本人からも止められとる」

 

 それだけで、黒い雰囲気が漂う話題になる。

 パーティーの場にふさわしくはない。

 

「その人が来るなら、料理追加しないといけないね。フェイトちゃんと一緒に買い出し出てくるよ」

「せやな、悪いけどたのむわ」

 

 暗くなった雰囲気の切り替え。

 少しばかり強引ではあったが、仕事モードが出てきそうな状態を切り替えるためにも、買い出しに出るのは正解だ。

 

「ヴィヴィオもいく~!」

「外寒いけど大丈夫?」

「ヴィヴィオもおてつだいする!」

「三人で行こう? なのは」

 

 ヴィヴィオは新しく買ってもらった防寒着を出して付いていく気満々だった。

 フェイトの言葉もあり、なのは自身も強引に反対する理由もなかったのだ。

 外は雪のチラつく寒さ。

 風邪を引かないだろうか? という心配事だけ。

 

「じゃあ、三人でお使い行こっか!」

 

 笑顔でパーティーの買い出しに出かけた。

 

 

********************

 

 

 大袋二つ、小袋一つ分。

 一人一袋を持ち、薄く雪の積もった帰り道を戻っていく。

 

「いっぱいかえたね~!」

「そうだね。袋重くない? 大丈夫?」

「だいじょうぶ! フェイトママもおもくない? ヴィヴィオもっともてるよ!」

「ふふ、フェイトちゃん相変わらず心配性だねー」

「うぅ、でもでも! ヴィヴィオがこんな寒空の中で転んじゃったら……」

 

 苦笑気味に親友と娘を交互に見るなのは。

 そこには確かに幸せがあった。

 数々の苦難をなのはも、フェイトも、幼いヴィヴィオでさえ、目の当たりにして、挫折しそうになりながらも乗り越えてきた。

 

 後悔はない。

 だけど、それは今の幸せがあるからで……。

 

 ふと、暗い思考に捕らわれそうになり、慌てて頭を振ってそれを追い出す。

 確かに今は幸せなのだ。

 

「ねぇ……、なのは」

「ん? なに、フェイトちゃん」

「はやての家の前……」

 

 そう言われ、改めて目的地へ目を向けると、赤い服を着た長身の人間が白い袋を持って立っていた。

 普段なら、それは不審者以外の何物でもないのだが、今日はクリスマスイヴである。

 地球のしかも日本で育ったなのはもフェイトも該当する登場人物を知っていた。

 

「サンタクロース?」

「だよね? なのはもそう見えるよね」

 

 兄の恭介が気を利かせてくれたのだろうか? などという考えも思いつくが、それにしては少々背が高く、兄が少々不器用な人間であることを知っているため、その考えは却下される。

 クロノも同じ理由で却下される。

 ユーノならばと思い至るが、それにしては目の前の人間は筋肉質だった。

 

「ん? あ、八神一佐の友人の高町一尉とハラオウン執務官、それとヴィヴィオちゃんですね」

 

 こちらを向いたその顔に一瞬緊張する。

 眼帯。

 左目を隠すように顔の半分程を覆っているその眼帯が目立っていた。

 

「えっと……、三高……さんですか?」

「はい、三高准空尉です。初めまして」

 

 スッと、会釈する。

 見ると、両手には白い袋がぶら下がっていて、敬礼できる状態ではなかった。

 今はプライベートなため、そこまで厳しく言うつもりは二人には無かったし、今の格好を見る限り、色々と予習をしてくれていたようだった。

 その心意気が嬉しかったというのもあったが。

 

「本日は八神一佐に身内のパーティーのようなものに呼んでいただきまして……」

「うん、はやてちゃんから聞いてるよ。どうしたの? 家に入らないの?」

「いえ、残念なことに緊急の仕事が入ってしまいまして、これから仕事になってしまいました」

 

 そういう三高の眉はハの字になっており、残念そうな感情が読み取れた。

 実際、サンタクロースを調べて、その衣装を用意して、見たところプレゼントもきちんと用意している。

 かなり楽しみにしていたのだろうということは理解できた。

 

「すいませんが、こちらを皆さんで分けてください。人数分きちんと用意していますので……」

「え? おっと」

 

 両手に持っていた白い袋をなのはとフェイトの二人に渡す。

 ズシッと重量があったが、すぐ目の前が会場だったのでそれぐらいならば大丈夫だと感じる。

 

「後で通信の方でも謝罪しますが、お二人からもすいませんが、言伝をお願いします」

 

 そういうと、転移魔法で三高は離れていった。

 なのはは丁寧な人だと感じた。

 フェイトはどこか悲しそうな雰囲気を持った人だと感じていた。

 そして、ヴィヴィオは……。

 

「ど、どうしたの!? ヴィヴィオ!」

「なんで泣いてるの!?」

「え? ほんとだ……」

 

 涙を流していたヴィヴィオ本人もわからないようで、グシグシと涙を拭うと、首をかしげている。

 三高が何かをしたわけではない。

 むしろ、礼儀正しくて物腰も柔らかかった。

 私たちの名前を呼ぶときも失礼のないように気を使っていたのが分かるし、今なのはとフェイトの手にある白い袋の重量からたくさん準備をしてくれていたと分かる。

 ヴィヴィオを虐めるような仕草も気配もなかった。

 

「あのおにいちゃん、見てたらでてきちゃったの」

「三高君を?」

「うん、うまくいえないんだけど……、何回も見たような、悲しい光景が」

 

 その言葉を聞いて、思い出すのはヴィヴィオの出自。

 彼女は聖王のクローンだ。

 その記憶はほぼ受け継いではいないが、根底の記憶、遺伝子レベルで刻まれた物が出ることがあってもおかしいことではない。

 

「なのは、もしかして聖王の記憶かな?」

「たぶん、三高君の故郷が無くなっている関係かも知れない」

 

 この二人が気づかないのはおかしいことではない。

 もしこの場にヴォルケンリッターのメンバーがいたなら、気づいたのかもしれない。

 

(二度とかえってこないような、かなしい感じがした)

 

 悲しい決意と死相。

 それがこの少女が、三高順一に見た感情だった。

 戦乱の世で、何度も何度も彼女自身が拒んでも見せられた死地へ向かう人間の表情と雰囲気。

 

 それを二人が気づくのは、真相を知った後だった。

 

 

********************

 

 

『マイスター、よろしかったのですか?』

「ああ、久しぶりに楽しいって思ったけど、俺の責任だしな。ケジメをつけないと」

『しかし、マイスターにも幸せになる権利が!』

「ありがとう、クサナギ。だけど、俺は闘わないといけない。彼女こそ、幸せにならなきゃ……ウソだろ」

 

 笑いながらそう言うと、ギュッと自身のデバイスである『クサナギ』を握る手に力が入る。

 何かを耐えているように、口元でギリッと歯が軋む音が鳴る。

 

「もう、義理も恩も尽き果てた。管理局は潰す」

 

 誰もいない空間で、彼のデバイスだけがその目に宿るモノを見ていた。

 黒く、禍々しい色。

 純然たる殺意をその目に宿していた。

 

(ああ、貴方こそ幸せになるべきなのに……。貴方はどうして……)

 

 クサナギの嘆きを理解するものは居ない。

 いや、三高はもしかしたら気づいていたのかもしれない。

 だが、彼は自身の目的のために、その嘆きに答えるわけにはいかなかった。

 




 いかがでしたでしょうか?

 本来なら、1シリーズを終わらせてから投稿する予定でしたが、どうも感想という燃料が投下されないとモチベが……。

 饅頭でやっていた手法の規模を広くしてやるつもりだったんですけどねぇ。
 胃にクル話故に、きちんと終わらせたいですね。

 では、楽しんでくださいね。
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