17号は戦艦霧島に憑依するようですよ? 作:榛猫(筆休め中)
side KIRISIMA
江ノ島鎮守府の奴等に見送られて再び海へと繰り出した俺に、不意に霧島の奴が声をかけてきた。
『もう一人の私、少しお尋ねしますが、これは何処に向かっているのですか?』
「さあな、ただ進んでいるだけだな」
『え…?宛もなく進んでいるのですか?それなら空を飛んで移動した方が他の鎮守府もすぐに見つかりますし、そちらの方が良いと思うのですが…』
分かってないな霧島は……。
「そんなことしても面白くないだろ?こうやって宛もなくさ迷う、この
『…そういう面倒臭いこと好きですよね男性って…私には全く理解できませんが…』
おいおい、コイツいつかの18号みたいなこと言ってるな……。
これが楽しいってのに…分からないもんかな……。
<ピピピピピッ>
「ん?」
『はい?どうかしましたか?』
「あぁ、電探に感ありらしい…数は十二…か、行ってみるか」
『そうですね、深海棲艦の大軍かもしれませんが、あなたであれば、もし遭遇しても大丈夫でしょう』
決まりだな、それじゃあ向かうとするか。
俺は電探の感じた方向へと向かっていくのだった。
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「この辺だと思うが……あれか?」
俺達の目の前には艦娘の一団と深海棲艦の一団が海戦を繰り広げていた。
『ふむ…。見たところ、艦娘の攻撃が深海棲艦に通っていませんね、恐らく錬度が足りていないのでしょう、このままだと危険です。助太刀に入りましょう』
「そうだな、放っておいて沈まれたりしたら寝覚めが悪いからな、仕方ない、艤装展開……」
俺は艤装を展開し、深海棲艦一団に狙いを定める。
「主砲!敵を追尾して!撃て!!」
声を張り上げ、精一杯霧島になりきって叫び撃ち放った。
sideout
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side霧島
「主砲!敵を追尾して!撃て!!」
もう一人の私が勢い良く叫んで主砲を発射します。
弾は的確に敵、駆逐ロ級に突き刺さり、爆炎を巻き起こします。
「グギャアァァァァ……」
そんな断末魔にも似た絶叫と共に、駆逐ロ級は水底へと沈んでいきます。
「さて、次は…ん?」
もう一人の私が次の標的を変えようとしたときでした。
もう一人の私が何かに気がつき海面を注視していました。
それに釣られて私も海面を見ます。
一見特に変化は見られない海面なのですが、良く見てみると、魚雷が迫っていました。
通常、魚雷が接近してきたら急いで回避するか、甘んじて受けるかのどちらかになってしまいます。
ですが、もう一人の私はそのどちらでもない斜め上を行く行動をしました。
「はい、お返ししますよ」
そんな私に似せているのであろう台詞を口にすると、器用に接近してきた魚雷を掴み、その行き先を反転させて打ち返したんです。
「ギャアァァァッッ!?!?」
魚雷を放ったであろう敵軽巡のヘ級は驚いたのか、回避する暇もなく自身の放った魚雷で沈んでいきました。
その行動に他の深海棲艦達も動揺したのでしょう、動きが一瞬止まります。
その隙を見逃すほどもう一人の私は甘くはありません……。
その一瞬の隙をついて近くにいた重巡リ級に瞬く間に間合いを積めると、副砲を頭に突きつけ、その頭を吹き飛ばします。
「ギャッ……」
悲鳴を上げることもなく無惨に沈んでいく頭の無くなったリ級の身体……。
それを見届けたもう一人の私はふと口を開きます。
「さて、残りはあなただけになりましたね」
「ヲヲッ!!」
それを言われた敵、空母ヲ級は艦載機を発艦させようと、頭の部分を開こうとします。
しかしそれは未遂に終わりました……。
ヲ級が発艦するよりも速く動いたもう一人の私の腕がヲ級の身体を貫いていたのです。
「…………」
声を上げることすらも許されずにヲ級は暗い水底へと沈んでいきました。
「ふぅ…全く歯応えありませんね」
そんなもう一人の私の言葉を聞きながら私は今までの戦いを見ていて思いました。
……海戦ってなんなのでしょう……と……。