17号は戦艦霧島に憑依するようですよ? 作:榛猫(筆休め中)
sideKIRISIMA
「もうすぐ着くのです!」
そう言って少女が指差す方角には、うっすらと建物の影が見えていた。
「あれがあなた達の鎮守府なのですか?」
「なのです!とっても良いところなのですよ!」
ふぅん…少なくとも前にいた所みたいにブラックって訳じゃなさそうだね。
まあ、何かありそうなら白だろうと容赦なく首を飛ばすだけだけどね。
そんなことを思案しながらも進んでいると陸地が近付いていることに気がついた。
私は艤装を仕舞うと陸地に上がる。
他の子達も同じように上がって来ていた。すると、そこに声がかけられる。
「第二艦隊の皆さんご苦労様でした。皆さんは補給を……。それと、そこのあなた、良く来てくれましたね」
声のした方を向くと、そこにいたのは弓道着に赤いスカートを身に付けた長い黒髪の女が立っていた。
「赤城秘書艦さん!この方が通信でも伝えた人なのです」
さっきまで私の手を引いていた少女が赤城と呼ばれた黒髪の女に話しかける。
「えぇ、話は聞いています…。お話を聞きたいところですが今はその傷を治すのが先決でしょう、先に入渠をなさってきてください。その体では話しにくいでしょうから」
「ありがとうございます…。お言葉に甘えさせていただきますね……」
正直なところ、疲れてはないのだが身体中傷だらけの所為かとても動きにくい……。
「ドックには私が案内するのです」
「では、電さんにドックへの案内はお願いしますね、その前にあなたの名前教えてもらえますか?」
不意に声をかけられ少し動揺しつつも私は名前を教える。
「え?あ、失礼しました。そうですね、私は霧島と申します」
私の言葉に赤城と呼ばれた女は一つ頷く。
「霧島さんと言うのね、じゃあ霧島さん、入渠が済んだら後で司令室まできてください」
それだけ言うと女は何処かへ歩き去っていった。
「さあ、行きましょう?ドックご案内するのです」
「え?えぇ、お願いします」
私はまたも少女に手を引かれるままについていくのだった。
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「ここが入渠ドックなのです」
そう言って少女が連れてきた場所は赤レンガの建物に上の方に大きく【入渠ドック】と書かれている場所だった。
「ここが……入渠ドック……」
なんだかんだで初めて見たね、前の時は見に行く暇もなかったからね。
「今は空いてる筈なのでゆっくりしていってくださいなのです。それじゃあ私は補給に行ってくるのです。また入渠が終わったら迎えにいくのです!」
「分かりました、案内感謝しますね」
「いいのです!それじゃあごゆっくりなのです!」
そう言うと少女は走り去って行った。
私はそれを見送ると建物の中へと入っていく。
「ふぅん、なかはこんな風になってるのか……」
脱衣所に入って一言溢すと服を脱ぎ去る。
露になる女の肉体に若干赤面する。
「やっぱり女の身体ってのは慣れないね……」
『念のため言っておきますけど、私の体に変なことしたら怒りますからね?』
不意に本物の霧島が声をかけてくる。
「今は私の体だろ?まあ、安心しなよ別に何かしようってわけじゃないからさ」
そうだ、仮にも自分の身体なんだ。余計なことをして面倒な事になるのは避けたい……。
『……その言葉、信じますからね?』
「あぁ、信じてくれていいよ」
そう言葉を交わしながら私は浴場に入っていく。
中には私以外誰もおらず何処に入ってもいい状態だった。
「へぇ、なかなか立派な所じゃないか」
私は適当な所に入ると体を浸ける。
傷だらけで風呂なんて入ったら悪影響じゃないかとも思ったが、それはどうやら杞憂だったらしい……。
「……気持ちいいけれど…暇だね」
『まあ、入渠は時間がかかりますからね…。私のような戦艦の艦娘は特に時間がかかるんですよ』
「ふぅん、なんか面倒だね…というか、この口調やっぱ慣れないな…もういつも通りでいいか?」
『私相手でしたらどちらでも構いませんよ?そういう口調の艦娘もいますからね』
へぇ、男みたいな口調の艦娘もいるのか、面白そうだな……。
しかし、暇だな……。
チラと後ろの壁を見る。そこにはパネルがついており、入渠の完了時刻が書かれていた。
【入渠完了まであと…九日】
「九日間もここに入り詰めなのかよ。ちょっと嫌になるな……」
『こればかりは仕方ありません…我慢してください』
と、そんなことを話していると不意にブザー音が鳴り出し、何やら天井から【修復】と書かれた緑色のバケツが出てきた。
「なんだ?あれ」
『あれは!
霧島が驚いているのを他所にバケツは俺達のところまで来ると中身をダバダバとドックに投入していった。
その直後、とてつもない気持ちよさが俺達を包み込んだ。
ふと、後ろのパネルを見ると物凄い勢いで時間が短縮されている、体の方の傷も瞬く間に塞がった。
【ブーブーブーブーブー…ッ!】
修復完了のブザーが鳴り響く。
俺達はそれを聞くとドックから上がり脱衣所に向かった。
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「ん?これ、さっきまで着てた服と違わないか?」
脱衣所に置いてあったのは先程まで来ていたボロボロの服ではなく、それに良く似た赤いスカートの巫女服のような物だった。
『この服は……もしかして……』
と、考え込んでいる霧島を他所に俺はその服を手早く着込むとドックから出ていくのだった